【DRY-RUN】○ 主文 被告が原告らに対してなした昭和三九年一一月一二日付各戒告処分はこれを取消 す。 訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の申立および主張 <略> 第二 証拠関係(省略) ○ 理由
○ 主文被告が原告らに対してなした昭和三九年一一月一二日付各戒告処分はこれを取消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の申立および主張<略>第二証拠関係(省略)○ 理由第一本案前の主張についての判断被告は、本件戒告処分は特別権力関係における被告の服務規律権に基づく内部的行為であつて司法審査の対象とならない旨主張するので、この点について判断するに、被告が市町村立中学校の教員である原告らの任命権者であることおよび被告が原告らに対し、昭和三九年一一月一二日付で本件戒告処分をなしたことは当事者間に争いがない。ところで、地方公務員に対する戒告処分は、明文上の根拠を有しない訓告、警告等と異なり地方公務員法(以下、地公法という。)二九条に規定された懲戒処分の一つであつて法律上の根拠を有するものであるから、この点において既に被処分者が蒙る不利益をもつて単なる事実上の不利益にすぎないものとはいい難いのみならず、被処分者は、爾後の昇給を延伸され、あるいは特別昇給から除外される等の具体的な不利益を蒙る(道内市町村立学校職員につき、道人事委員会規則七-四〇五、昭和四八年四月一日道人事委員会事務局長通知第二六七号参照)のであるから、戒告処分は、被処分者の法的地位に直接の変動を生じさせるものであることがあきらかである。そうとすれば、戒告処分が任命権に基づく内部的行為であることの故をもつてこれに対する司法審査の余地を否定すべきいわれはない。けだし、任命権者は、その任命権に服する職員に対し、地公法二九条第一項所定の要件のもとに、その裁量により懲戒処分をなすことができるが、任命権者がなした戒告処分につき、同条項の要件を欠く等の明白な法令違背が存する場合はもちろん、かかる法令違背が存しない場合においても、任命権者の裁量の範囲を逸脱し、ない 懲戒処分をなすことができるが、任命権者がなした戒告処分につき、同条項の要件を欠く等の明白な法令違背が存する場合はもちろん、かかる法令違背が存しない場合においても、任命権者の裁量の範囲を逸脱し、ないしは懲戒権を濫用したものと認められる場合においては、当該処分は違法たるを免れず、かかる場合において、被処分者が前述の如き法律上の不利益を蒙るのである以上、戒告が内部的規律に関する処分であることをもつて、これに対する司法上の救済を否定すべき特段の根拠とはなしえないからである。したがつて、本件処分が抗告訴訟の対象となりうる行政処分であることはあきらかである。 なお、右の点に関し被告の引用する裁判例はいずれも本件とは事案を異にし、当裁判所の右判断とは何ら抵触するものではない。 第二本案についての判断一原告らが被告の任命にかかる教員であり、昭和三九年一一月一二日当時、原告Aが檜山郡K村立L中学校長、原告Bが同村立K中学校教諭であつたこと、被告が右同日付で原告らに対し、地公法二九条一項一号、二号に基づき、原告主張の理由により本件戒告処分を行なつたこと、右処分に対し、原告らが北海道人事委員会に行政不旅審査法に基づく審査請求をしたが、昭和四六年三月一九日、同委員会が右処分を承認する旨の裁決をしたことは、いずれも当事者間に争いがない。 二そこで、本件戒告処分に原告ら主張の違法があるかどうかについて判断する。 1 原告らは、第一に、学校における夏季、冬季、学年始、学年末等の各休業期間(以下、春休み等の休業期間という。)における行動については、教員の自主的判断に委ねられており、教員が右休業期間中に組合活動その他の自宅研修以外の行為をする場合に所属長の承認を得る必要はないから、原告Aが訴外Cに対し義務免の承認を与えた行為は何ら適法、違法の法的評価を受ける余地がな れており、教員が右休業期間中に組合活動その他の自宅研修以外の行為をする場合に所属長の承認を得る必要はないから、原告Aが訴外Cに対し義務免の承認を与えた行為は何ら適法、違法の法的評価を受ける余地がないし、また原告Bが所属長から何らの承認も得ることなく本件支援活動に参加した行為も適法であり、したがつて原告らの右各行為を違法なものとして行なつた本件戒告処分は違法な処分である旨主張するので、まずこの点につき判断するに、原告Aが訴外Cに対し義務免の承認をしたことにつき、右承認の対象となつた日(四月一三日を除く。)および原告Bが所属長から何らの承認を得ることなく本件支援活動に参加した日がいずれも春休み期間中であつたことは当事者間に争いがない。 (一) そこでまず、春休み等の休業期間の性格を考えてみるに、右休業期間は、授業が行なわれないために学校内で行なうべき仕事が少なく、したがつて、平常どおり登校して通常の勤務体制に入る必要が必ずしもない時期であつて、現実においても本件戒告処分がなされた昭和三九年当時、休業期間中は各教員が登校の要否を自主的に判断し、これに基づいて行動している実状にあつたことは後に詳述するとおりである。しかし、右期間につき、職務に服すべき義務の全部または一部が免除されたと解すべき特段の根拠はないのであつて、右期間中といえども年次有給休暇中や義務免が与えられた場合のように、教員が勤務から全く解放された状態にあるものということは到底できない(成立に争いのない乙第七号証の三によつて認められる道教育長から直轄学校長あての通達(昭三四・七・一七、三四教職七八三)の内容も右の趣旨に副うものとして首肯できる。)したがつて、休業期間中といえども服務の義務を負う点においては平常と変りがないというべきである。もつとも、義務教育諸学校等の教諭等に対する 教職七八三)の内容も右の趣旨に副うものとして首肯できる。)したがつて、休業期間中といえども服務の義務を負う点においては平常と変りがないというべきである。もつとも、義務教育諸学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する法律の制定について、人事院が昭和四六年二月八日付でなした「教員の勤務時間については、教育が特に教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことおよび夏休みのように長期の学校休業期間があること等を考慮すると、その勤務のすべてにわたつて一般の行政事務に従事する職員と同様な時間的管理を行なうことは必ずしも適当でなく、とりわけ超過勤務手当制度は教員にはなじまないものと認められる。」旨の説明(成立に争いのない甲第三号証によつて認められる。)からも窺われる教員の職務の性質に鑑みると、休業期間中の教員の行動については教員の自主性が十分に尊重されるべきであり、勤務時間に相当する時間内の行動についても、かなりの範囲において、各教員の良識と自主的判断に委ねられているものというべきであるが、それにも自ら限界が存するのであつて、たとえば、教員が、通常の勤務と全く関係がなく、かつ自宅研修の一環と解する余地もないような特定の目的を達するための行動に積極的に参加するごときことはあきらかに右の限界を逸脱するものであり、したがつて、勤務時間に相当する時間内にかかる行動をとることは、有給休暇をとり、または義務免の承認を得た場合等の特段の事由が存するのでない限り教員の職務専念義務(地公法三五条)に違背するものといわなければならない。 本件についてこれをみるに、証人Cの証言および原告B本人尋問の結果によれば、訴外Cは、昭和三九年三月二四日、二七日、二八日、三〇日および四月一三日、その当時上ノ国土地改良区の手によつて進められていた天の川かん排事業をめぐ に、証人Cの証言および原告B本人尋問の結果によれば、訴外Cは、昭和三九年三月二四日、二七日、二八日、三〇日および四月一三日、その当時上ノ国土地改良区の手によつて進められていた天の川かん排事業をめぐる農民組合等の活動を支援する北教組の本件支援活動につき、自らの勤務場所を離れて上ノ国村役場等に出向いたうえ、すわり込み等の行動に加わり、またはこれを支援する等の行動をとつたこと、原告Bも、同年三月二七日および三〇日、同じく右支援活動に参加すべく自らの勤務場所を離れ、右同様の行動をとつたことがそれぞれ認められるところ、右のような行動は教員の通常の勤務とは全く関係がないのみならず、これを自宅研修の一環として評価する余地もなく、これによりCらは、教員としての勤務体制から全く離脱したものであることがあきらかであるから、同人らは、有給休暇等の前述した特段の事由が存するのでないかぎり、これにつき職務専念義務違背のそしりを免れることができない。 そうとすれば原告Bが右支援活動に参加したことは教員の職務専念義務に違反する違法な行為であるというべきであり、また、原告Aが訴外Cに対し義務免の承認を与えたことについては違法であつたかどうかの評価を受けるべき筋合にあつたものであつて、それが春休み期間中であつたことの故をもつて直ちにかかる評価をする余地がなかつたものと解することはできない。 (二) そこで次に、原告Aが訴外Cに対して与えた義務免の承認行為が原告ら主張のように適法なものであつたかどうかについて判断するに、右Cが右承認当時組合専従職員ではなかつたことおよび原告Aが右Cに対し、本件条例二条三号を適用して義務免の承認をしたことは当事者間に争いがない。 原告らは本件条例二条三号が組合専従職員でない者にも適用されると主張するのでこの点について検討するに、本件条例は、 Cに対し、本件条例二条三号を適用して義務免の承認をしたことは当事者間に争いがない。 原告らは本件条例二条三号が組合専従職員でない者にも適用されると主張するのでこの点について検討するに、本件条例は、その二条において「職員は、左の各号の一に該当する場合において、あらかじめ任命権者又はその委任を受けた者の承認を得て、その職務に専念する義務を免除されることができる。」としたうえ、その三号において「もつぱら職員団体の業務に従事する場合。」と規定しているところ、右条号は、その文言からも明らかなとおり、組合専従職員に対してのみ適用されるものと解するのが相当であつて、原告ら主張の解釈はとりえないものである。 この点に関し、原告らは、まず第一に、道義務免除例と本件条例とを比較したうえで、道義務免条例二条三号が組合専従職員に限つて適用されるものではないと解されていることから、本件条例もこれと同様に解すべき旨主張するが、道義務免条例は、同様の場合につき、「職員団体の業務に従事する場合」と規定し、「もつぱら」の文言を欠いているところ証人Dの証言によると、道義務免条例のように「もつぱら」の文言の記載のない都道府県条例は全国都道府県のうち、北海道を含むわずか三道県にすぎず、また、右文言のない市町村条例は全道約二八〇の市町村のうち、わずか七市町村余にすぎないことが認められ、右事実をも考慮に入れたうえで道義務免条例と本件条例の文言の相違を考察すると、両条例を原告ら主張のように同一に解釈すべき根拠はどこにもなく、また、両条例はその適用対象を各々異にしているから、両条例の解釈が右のように別異になることをもつて本件条例の右部分が地方自治法一四条四項により無効とされるものでもない。 原告らは、さらに、組合専従職員については専従条例が別に存在すること、専従条例が適用される場合に のように別異になることをもつて本件条例の右部分が地方自治法一四条四項により無効とされるものでもない。 原告らは、さらに、組合専従職員については専従条例が別に存在すること、専従条例が適用される場合には専従休暇期間中の給与が支給されないのに比し、本件条例によつて義務免の承認を得た者については給与が支給されること、専従休暇の承認権者と義務免の承認権者とが異なつていることおよび右両条例の根拠法が各々異なること等を根拠として、本件条例二条三号が組合専従でない教員が組合活動に従事する場合にも適用される旨主張する。しかし、本件条例と専従条例の各条文を対比して考察すると、本件条例が義務免の承認が与えられるべき場合をあきらかにしたものであるのに対し、専従条例は、本件条例を受けて、専従職員につき専従休暇の承認の手続、期間、効果等を定めたものであつて、両者はその目的を異にするものであることがあきらかであるから、本件条例二条三号の意義を前述のように解したからといつて、これにより同条号が無用の条文に帰する等の原告主張の如き不合理を生ずるものではなく、また、承認権者の点から右条号を原告主張のように解すべきいわれもないというべきである。 右によると、原告Aが当時組合専従職員でなかつた訴外Cに対し、本件条例二条三号を適用して義務免の承認を与えた行為は、右条号に違反する違法なものであつたといわなければならない。 (三) 以上によれば、本件戒告処分は、原告Aが訴外Cに対してなした右承認行為を違法なものとしてなされたことおよび原告Bが所属長から何らの承認を得ることなく本件支援活動に参加した行為を違法なものとしてなされたことにつき、原告ら主張の違法はなかつたといわなければならない。 2 そこで次に、原告ら主張の不当労働行為の点について判断する。 (一) 原告A関係(1) 原告 参加した行為を違法なものとしてなされたことにつき、原告ら主張の違法はなかつたといわなければならない。 2 そこで次に、原告ら主張の不当労働行為の点について判断する。 (一) 原告A関係(1) 原告Aが昭和三九年当時学校長の地位にあり、かつ職員団体たる北教組の組合員であつたことは当事者間に争いがない。 (2) 成立に争いのない甲第一、七号証、乙第一三、一四号証および証人C、同E、同F、同G、同H、同I、同J、同Dの各証言ならびに原告B本人尋問の結果を総合すると、以下の事実を認めることができる。 原告らの所属する檜山地区の中学校および小学校においては、教員が勤務時間中に組合活動のために勤務場所を離れる場合に関する服務規律は、従来必ずしも厳格なものではなく、個々の教員が授業が行なわれている通常の時期において、組合活動に参加するために短時間勤務場所を離れるについては所属長の承認を求めるための正規の手続をとることなく、所属長に対し、単に予めまたは事後に口頭でその旨を申し出るだけで済ます取扱いがしばしばなされ、また組合活動のために長時間勤務場所を離れる場合でも、所属長の承認により、出張の扱い(正式の出張とは異なり出張旅費等は支給されない。)とするのが通例であつたこと、とくに春休み等の休業期間中に、個々の教員が買物、読書等の私的な行動をするについては、所属長に対し何らかの承認を求めることや事前に連絡をすることすらなく、長期の私的な旅行をする場合でもせいぜい所属長に対し旅行先等連絡場所を予め告げておく程度のことが行なわれていたにすぎなかつたこと、また、右休業期間中に組合活動に参加する場合においても、教員は多くの場合右のような事前の連絡すらしないで自由に行動していたものであつて、以上いずれの場合においても、個々の教員が私的用務や組合活動をするにつき、所属 中に組合活動に参加する場合においても、教員は多くの場合右のような事前の連絡すらしないで自由に行動していたものであつて、以上いずれの場合においても、個々の教員が私的用務や組合活動をするにつき、所属長に対し、右のように便宜的な口頭の申出や事前の連絡をしただけで義務免や有給休暇等の正規の手続をとらなかつたこと自体が問題とされたり、そのことによつて何らかの懲戒処分を受けたことは全くなかつたこと、ところが昭和三九年初めころから、上ノ国村における天の川かん排事業に関する北教組の前記支援活動について、右支援活動に参加することが教員上してふさわしい行為であるかどうかが同地区の住民の間で問題とされ、社会問題にまで発展するに至つたので、北海道および上ノ国村各教育委員会においても、右にみたように従来の服務規律がきわめてあいまいであつたことに着目し、急きよ教員が職務を離れる場合の手続等を明確にし、地公法三五条の定める職員の職務に専念する義務の免除(すなわち義務免)に関する本件条例や道義務免条例等の解釈を明確にして各教員に対しこれを周知徹底させるように積極的に指導監督するようになつたこと、もつとも、右当初は右各教育委員会においても、本件条例二条三号が道義務免条例と同様に組合専従職員でない者についても適用があるかどうかについては必ずしも見解が統一されておらず、原告Aが訴外Cに対し義務免の承認をした同年三月ないし四月当時においても右の点に関する解釈が明確にはされていなかつたこと、そして原告Aのように学校長の地位にある者にとつても、その当時は義務免の制度の趣旨、目的について明確な認識がなく、まして一般の教員にとつては義務免という用語自体周知されておらず、原告Aが上ノ国村教育委員会等に呼出される等して本件処分が行なわれることがうわさされるにいたつた同年九月ころに至つ て明確な認識がなく、まして一般の教員にとつては義務免という用語自体周知されておらず、原告Aが上ノ国村教育委員会等に呼出される等して本件処分が行なわれることがうわさされるにいたつた同年九月ころに至つてにわかに義務免の用語が一般の教員の間でも話題にのぼるようになつたこと、しかし、各学校の校長の間では、そのころに至つても、義務免の制度の趣旨については必ずしも十分には理解されておらず、教員が組合活動に参加する場合はすべて義務免の承認を得る必要があると指導したり、あるいは義務免については問題があるから有給休暇の承認をとるようにせよと指導したり、あるいは両手続の併用を指導するなど、各学校において組合活動参加のための承認手続に関する取扱いが必ずしも統一されていなかつたこと、したがつて、本件条例二条三号の定める義務免が組合専従職員でない者についても適用があるか否かの点については、右段階における各校長の理解はまちまちであつたこと、そして、本件処分が行なわれた日と同日である同年一一月一二日に同日付各地方教育局長、各直轄学校長および各市町村教育委員会教育長宛の北海道教育委員会教育長通達が発せられ、右通達において、教員が組合活動に参加する場合には義務免の承認手続を経なければならない旨および当該市町村が制定している職員の職務に専念する義務の特例条例に「もつぱら職員団体の業務に従事する場合」と規定されている場合は、右規定はいわゆる専従職員以外の職員には適用されない旨の明確な公定解釈がはじめて打ち出されたこと、以上の事実を認めることができる。 この点に関し、前記D証人は、上ノ国村において学校管理規則を制定した昭和三三年一〇月一七日の時点ですでに本件条例二条三号が組合専従職員に限つて適用される旨の説明会がなされ、それ以降本件処分にいたるまで一貫して所属の各教員に対 上ノ国村において学校管理規則を制定した昭和三三年一〇月一七日の時点ですでに本件条例二条三号が組合専従職員に限つて適用される旨の説明会がなされ、それ以降本件処分にいたるまで一貫して所属の各教員に対して右解釈を周知徹底させてきた旨供述し、前記乙第一四号証にもこれと同旨の記載があるが、右はいずれも前記甲第七号証、前記証人C、同E、同F、同G、同H、同I、同Jの各証言および原告B本人尋問の結果に照らし採用し難く、また、前記乙第一三号証によると、上ノ国村内の校長のうちには、右のような解釈を認識していた者もあつたことが窺われないではないが、それは例外的な存在であつて、一般には、右解釈が周知徹底していたものではなかつたことが同号証によつて認められるから、結局同号証も前記認定と何ら抵触するものではない。 (3) 右によると、教員が勤務時間中に勤務場所を離れる場合の服務規律について檜山地区の中学校等におけるその取扱いはきわめてあいまいなものであつたのであり、とくに春休み等の休業期間中においては、教員が義務免や有給休暇等正規の手続をとらずに組合活動に参加しても、従来そのことの当否が問題とされたりそれが懲戒処分の理由とされたりしたことはなかつたものであつて、これに加えるに、右休業期間中における組合活動その他自宅研修以外の行為について職務専念義務違反を理由とする懲戒処分の例が本件処分にいたるまで一度もなかつたこと(この事実は当事者間に争いがない。)をもあわせ考えると、本件処分は、本件条例二条三号の解釈につき、学校長の間ですら必ずしも明確な認識がなされていなかつた状況のもとにおいて、原告Aが同条例の趣旨を正しく理解し、休業期間中の教員の職務専念義務につき、従来の取扱いとは全く異なる厳格な取扱いをなすべきであつたことを同原告に期待し、これを前提としてなされた処分 のもとにおいて、原告Aが同条例の趣旨を正しく理解し、休業期間中の教員の職務専念義務につき、従来の取扱いとは全く異なる厳格な取扱いをなすべきであつたことを同原告に期待し、これを前提としてなされた処分であつたということができるから、本件処分は、同原告と同様に学校長の地位にありながら職務専念義務に関してあいまいな取扱いをしていたものの、これに対して何の処分も受けなかつた他の学校長の場合と比較して権衡を失し、唐突の感を免れることができない。しかしながら、右事実をもつてしては、いまだ本件処分が、原告Aが北教組の組合員であることの故をもつて不利益な取扱いをしたものと推認するに足りない。 すなわち、前記各証拠によれば、天の川かん排事業をめぐる前記支援活動に関して、昭和三九年一一月一二日付で懲戒処分を受けた者は、本件各原告の他は当時檜山郡江差町立江差中学校長であつた訴外Mであつて、同人は、同年三月二四日から四月二四日にいたるまでの間、四名の所属教員に対し、義務免の承認をしたことが江差町条例に違反する措置であり、校長としての職務上の義務に違背するものであるとの理由により、原告らと同じく戒告処分を受けたものであることが認められるところ、同人が原告Aと同様北教組の組合員であつたか否かの点については本件全証拠によつても明らかではなく、また、原告Aと同様に校長の地位にありながら同原告と同様に同年三月ないし四月当時前記支援活動に関して義務免の承認を与えたにもかかわらず何らの処分も受けなかつたとか原告Aの場合よりも軽微な処分で済まされた事例が他に存したかどうかの点についての立証もないのであつて、これらに前記認定のとおり、右支援活動が当時社会的にも問題となつたのを機に、被告が従来のあいまいな服務規律をより厳格にしようとしたことが本件処分の一契機をなしていることをもあ 立証もないのであつて、これらに前記認定のとおり、右支援活動が当時社会的にも問題となつたのを機に、被告が従来のあいまいな服務規律をより厳格にしようとしたことが本件処分の一契機をなしていることをもあわせ考えると、結局、前認定の各事実によつては、原告Aに対する本件処分が同原告が北教組の組合員であることの故をもつて不利益な取扱いをしたものと認めるに足りないのである。以上のほかには、本件処分が原告Aに対する不当労働行為であることを雅認させる事実を認めるに足りる証拠はない。(二)原告B関係原告Bに関して原告らが主張するところは、本件戒告処分は原告Bが職員団体の正当な行為をしたことの故をもつて不利益な取扱いをしたものに該当するというにあるから、まず、原告Bが本件支援活動に参加したことが職員団体の正当な行為に該当するかどうかの点について判断するに、地公法五二条一項によれば、職員団体とは職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体またはその連合体をいうのであり、同法五五条一項によれば、一地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに付帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つ」のであつて、これと労組法七条の趣旨を綜合して考察すれば、少くとも政治的な行為であつて、しかも職員の給与、勤務時間その他の勤務条件およびこれに付帯する事項の維持改善を図ることと全く関連を有しないものは職員団体の正当な行為に該当しないと解すべきである。 本件についてこれをみるに、前記各証拠によれば、本件支援活動は、上ノ国村において、農民組合等が上ノ国土地改良区の経理等に不正があつたとして起した抗議行動につき、北教組が 当しないと解すべきである。 本件についてこれをみるに、前記各証拠によれば、本件支援活動は、上ノ国村において、農民組合等が上ノ国土地改良区の経理等に不正があつたとして起した抗議行動につき、北教組が昭和三九年三月を中心として右農民組合等の行動を支援する行動であることが認められるところ、北教組が農民のこのような行動を支援した動機・目的は・本件各証拠によつては必ずしもあきらかではなく、また農民のこのような政治的活動を支援することが直ちに職員の勤務条件等を維持改善することと関連を有するものということはできないから、結局右支援活動は、勤務条件等と全く関連のない政治的活動の域を出るものではなく、したがつて、原告Bの前記行為が職員団体の正当な行為であつたということはできない。そうとすれば、原告Bが右行為をしたことの故に同原告を不利益に扱つたとしても、これをもつて不当労働行為ということはできない。 3 そこで次に、原告ら主張の期待可能性の不存在ないし処分権限の濫用の点について判断する。 (一) 原告A関係原告らは、原告Aが訴外Cからの義務免の請求を不承認とするように期待することが不可能であつた旨主張するところ、右主張は、ひつきよう同原告の右承認行為を理由とする本件戒告処分が被告の有する処分権限を濫用したものないしは裁量の範囲を逸脱したものであつて違法であるというにあると解されるから、以下は右処分権限の濫用ないし裁量の逸脱の有無について検討する。 前記甲第一、七号証および前記証人Cの証言によると、原告Aは、昭和六年に教員となつて以来継続して教職に従事し、昭和二六年二月から現在にいたるまでは引続き学校長の地位にあつたものであるが、学校長に就任いらい、所属の教員が勤務時間中に組合活動に参加する場合には、当該教員から口頭でその旨の申出がなされるのを常とし、同 年二月から現在にいたるまでは引続き学校長の地位にあつたものであるが、学校長に就任いらい、所属の教員が勤務時間中に組合活動に参加する場合には、当該教員から口頭でその旨の申出がなされるのを常とし、同原告は、その都度これを了承する扱いをしていたこと、ところが、同原告が出席した昭和三九年二月開催の学校経営研修会において、道の係官から、義務免の趣旨等に関聯して、教員が勤務時間中に組合活動に参加するについての承認は義務免の承認に該るが、その手続については従来の慣行どおりで差支えない旨の説明がなされたこと、同原告は、義務免という言葉自体は昭和三四年ころから知つていたものの、その制度の趣旨内容についての確たる認識がなく、右研修会における係官の説明によつて初めてこれを理解したものであつたが、その際には本件条例二条三号の義務免が組合専従職員に限つて認められるものである旨の説明はなかつたこと、他方、同原告は、訴外Cから従来前記天の川かん排問題に関して種々の相談を受けていたが、昭和三九年になつて右の問題がにわかに世間の注目を浴び、前記研修会において義務免について説明がなされたこともあつて、本件支援活動に参加することについては慎重に対処するように同人に勧めていたところ、同年三月から四月にかけて同人から右支援活動に参加する旨口頭で申入れを受けたので、同原告は、同人の右支援活動に参加する日が一日を除いて他はいずれも春休み期間中であつたために学校の授業にも支障がないものと判断し、義務免の承認の趣旨で右申入れを承認したこと、右承認は、同原告が訴外Cに対し、単に口頭で同人の申入れを了承する旨を伝えたものにすぎず、出勤簿等の書面上に義務免の承認をした旨の記載をする等の形式を整えた処理は何もなされなかつたし、Cとしても、それまで同原告と右支援活動の問題についてしばしば話し れを了承する旨を伝えたものにすぎず、出勤簿等の書面上に義務免の承認をした旨の記載をする等の形式を整えた処理は何もなされなかつたし、Cとしても、それまで同原告と右支援活動の問題についてしばしば話し合つてきたことおよび春休み期間中の私的活動につき従前安直に取り扱われてきたことから、右の支援活動に参加するとの申入れについても、正規の手続に則つて義務免の承認を求めることを念頭においてなしたものではなく、従来の方法にしたがつて単に右支援活動に参加する旨を同原告に伝えたにすぎなかつたこと、次いで同年五月に開催された校長研修会において、同原告は、被告の函館支部係官から、教員が勤務時間中に組合活動をする場合には義務免の承認によつて処理してよいと思うが、天の川かん排問題をめぐる本件支援活動についてはやや疑問があるので本庁に照会した後改めて指示をすることとし、それまでは従来の慣行どおりで差支えない旨説明を受けたが、ここでも本件条例二条三号が組合専従職員に限つて適用される旨の説明はなかつたこと、さらに同月一八日の上ノ国村教育委員会において同原告が右支援活動の問題に関して調査を受けた際にも、前記Cに対する本件承認手続が義務免であれば問題ない旨の説明を受けたこと、ところが、同年九月一〇日ころになつて、同委員会は、同原告のなした右承認手続には問題があるとの見解を示し、その後上ノ国村の校長会において被告から、本件条例は組合専従職員に限つて適用される旨の説明がなされ、さらに本件処分がなされた同年一一月一二日、被告教育長の前記通達において、本件条例に関する右解釈が正式に発表されるにいたつたこと、以上の事実を認めることができ、これを覆えずに足りる証拠はない。 右によると、原告Aは、訴外Cから本件支援活動に参加するため学校を離れる旨の申出がなされたのに対して、このような されるにいたつたこと、以上の事実を認めることができ、これを覆えずに足りる証拠はない。 右によると、原告Aは、訴外Cから本件支援活動に参加するため学校を離れる旨の申出がなされたのに対して、このような場合組合専従職員ではなかつたCに対して義務免の承認をすることは本件条例二条三号が許容するところであつて何ら違法ではないとの認識のもとに右承認をしたものであることが窺われるのであるが、本来学校長の地位にある同原告としては、教員の職務専念義務等服務規律一般につき十分な知識を有していなければならず、本件条例二条三号が前記のとおり組合専従の場合にのみ適用されるものであることについても十分に認識していなければならなかつたのであつて、同原告が右承認当時たまたま右条号の正確な意義を知らなかつたからといつて、そのことの故に右条号に抵触する承認をしたことにつき直ちにその責を免れうるものではなく、むしろ右条号の理解に欠けるところがあつたことにつき学校長の地位にあるものとしての職責を十分に果たしていなかつたとの非難を受ける余地がないではない。 しかしながら、右認定のとおり、同原告が右の承認をした当時、教員の任免その他服務規律に関する一般的な監督権限を有する被告および上ノ国村教育委員会においても本件条例の解釈が必ずしも明確にされておらず、これに関する各学校長に対する指導も徹底されていたとはいえない情況にあつたこと(なお、この点に関し、前記乙第一三号証が右認定事実と何ら抵触するものでないことは、前記のとおりである。)からすると、原告がその当時組合専従職員ではなかつたCに対し、本件承認を与えることは右条例に違反するものであるとの認識を持つことはほとんど期待できず、したがつて、これにつき条例違反はないと考え、ないしは、これに抵触するかどうかにつきさしたる関心を持たなかつた 件承認を与えることは右条例に違反するものであるとの認識を持つことはほとんど期待できず、したがつて、これにつき条例違反はないと考え、ないしは、これに抵触するかどうかにつきさしたる関心を持たなかつたとしても、それはまことに無理からぬところであつたといえるのである。これに加えるに、前記認定のとおり、春休み等の休業期間中において組合活動その他自宅研修以外の行為をするについては、長期の旅行等を除くほか、所属長に対し口頭で承認を求めることすらほとんど行なわれていなかつた等、勤務時間中に教員が組合活動をする場合に関する服務規律がきわめてあいまいであつたこと、同原告が右承認をした日は一日を除いていずれも春休み期間中であつて(これは当事者間に争いがない。)、同原告は、Cが本件支援活動に参加しても学校業務に支障をきたさないと判断して右承認をしたものであり、また、現実に学校業務に支障を生じたとの事実を認めるべき資料は何もないこと、他方、教員が春休み中に組合活動その他自宅研修以外の行動をしたことにつき、職務専念義務違反を問われて懲戒処分に付された事例はこれまでに存在せず、また学校長が義務免手続を知らぬままに、教員が組合活動等に参加する場合につき出張扱いとしたことに対し、処分がなされた例もなかつたのであつて、本件処分は、かかる意味において前例のない処分であつたこと、しかも原告が組合専従でない場合につき義務免の承認をしたことに対し何らの警告もなされたことがなく、突如として本件処分がなされたこと等の諸般の事情を総合して考察すれば、同原告が行なつた本件承認行為に対し戒告処分をもつてのぞんだことは、右承認行為の違法の程度が必ずしも重大ではなく、かつ右承認をしたことにつき同原告を責むべき事情に乏しかつたのに対し、処分によつて同原告が蒙る不利益は、名誉の著しい毀損のみな 分をもつてのぞんだことは、右承認行為の違法の程度が必ずしも重大ではなく、かつ右承認をしたことにつき同原告を責むべき事情に乏しかつたのに対し、処分によつて同原告が蒙る不利益は、名誉の著しい毀損のみならず、昇給延伸あるいは特別昇給の停止等の経済的な不利益にも及ぶ重大なものであるから、彼比著しく均衡を失したものということができるのであつて、これを要するに同原告に対する本件処分は、裁量の範囲を逸脱したものないしは権限を濫用したものであつて違法な処分であつたといわなければならない。 (二) 原告B関係前記証人Dの証言によると、有給休暇の届出をしたうえで本件支援活動に参加した者もあつたことが認められ、原告Bのように有給休暇あるいは義務免等の特段の事由がないのに右支援活動に参加したことは前述のとおり職務専念義務に違背する違法な行為であつたということができるが、同原告が右支援活動に参加したのは昭和三九年三月二七日と三〇日のみであつて、右両日はいずれも春休み期間中であつたところ、従来勤務時間中における組合活動その他勤務場所を離れる行為に関する服務規律がきわめてあいまいであつて、とくに春休み等休業期間中においては長期の旅行等を除いては所属長に対し何らの承認を求めることもなく勤務場所を離れる教員が多く、これに対する管理体制もはなはだ不十分であつたこと、義務免の制度およびその趣旨についても、同原告が右支援活動に参加した当時各教員の間で必ずしも周知徹底されておらず、本件処分を機縁にして前記教育長通達によつてはじめて右に関する明確な指導や説明がなされたものであつて本件支援活動につき事前に各教員に対し右の点につき警告する等の措置は何もとられなかつたこと、春休み中における組合活動その他自宅研修以外の行為について職務専念義務違反を理由とする処分の例がかつてなかつたこ 援活動につき事前に各教員に対し右の点につき警告する等の措置は何もとられなかつたこと、春休み中における組合活動その他自宅研修以外の行為について職務専念義務違反を理由とする処分の例がかつてなかつたことはいずれも前記のとおりであつて、これらの点からすれば、同原告が所属長に対し何らの承認を得ることなく右支援活動に参加した行為に対して戒告をもつてのぞんだことは、これまた右行為の違法の程度が必ずしも重大ではなく、かつ同原告を責むべき事由に乏しいのに対し、本件処分によつて蒙る同原告の不利益は重大であつて、彼比対比して考察するときは、本件処分は著しく均衡を失した重い処置であつたということができるのであつて、同原告に対する本件処分もまた、裁量の範囲を逸脱しないし権限を濫用した違法なものであるといわなければならない。 第三結論以上によると、原告両名に対して行なつた本件戒告処分は、いずれも違法であつて取消を免れない。 よつて、右処分の取消を求める原告らの本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官橘勝治稲守孝夫大和陽一郎)
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