主文 一原判決を次のとおり変更する。 1 被上告人らは各自、上告人A1に対し二四四六万三三五三円、上告人A2に対し二三二八万三九五三円及び右各金員に対する昭和六三年八月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 2 上告人らのその余の請求を棄却する。 二訴訟の総費用はこれを五分し、その一を上告人らの、その余を被上告人らの負担とする。 理由 一上告代理人宮竹良文の上告理由一の1ないし3について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 二同一の4について 1 原審の適法に確定した事実によれば、上告人らの子であるDは昭和六三年八月一一日被上告人B1運転の自動車に同乗中、被上告人B2運転の自動車との衝突事故により傷害を受けて同日死亡し、Dの相続人である上告人らは、被上告人B1が締結した自家用自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)に適用される保険約款中の搭乗者傷害条項(以下「本件条項」という。)に基づき、本件保険契約の相手方である保険会社から死亡保険金一〇〇〇万円を受領した。 本件訴訟は、上告人らがDの相続人として、自動車損害賠償保障法三条の規定に基づき被上告人らに対しDの死亡により被った損害の賠償を請求するものであるところ、原審は、上告人らがDの死亡により被った損害額は上告人A1が二四四六万- 1 -三三五三円、同A2が二三二八万三九五三円であるとした上、本件条項に基づき上告人らが受領した前記死亡保険金一〇〇〇万円は右損害をてん補するものであるとし、被上告 は上告人A1が二四四六万- 1 -三三五三円、同A2が二三二八万三九五三円であるとした上、本件条項に基づき上告人らが受領した前記死亡保険金一〇〇〇万円は右損害をてん補するものであるとし、被上告人らは連帯して上告人らに対し、右損害額から五〇〇万円ずつを控除した額である上告人A1につき一九四六万三三五三円、同A2につき一八二八万三九五三円及び右各金員に対する不法行為の日である昭和六三年八月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があると判断した。 2 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。 原審の適法に確定した事実によれば、(1) 本件保険契約は、被上告人B1運転の前記自動車を被保険自動車とし、保険契約者(同被上告人)が被保険自動車の使用等に起因して法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補するとともに、保険会社が本件条項に基づく死亡保険金として一〇〇〇万円を給付することを内容とするものであるが、(2) 本件保険契約の細目を定めた保険約款によれば、本件条項は、被保険自動車に搭乗中の者を被保険者とし、被保険者が被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然の外来の事故によって傷害を受け、その直接の結果として事故発生の日から一八〇日以内に死亡したときは、保険会社は被保険者の相続人に対して前記死亡保険金の全額を支払う旨を定め、また、保険会社は、右保険金を支払った場合でも、被保険者の相続人が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得しない旨の定めがある、というのである。 このような本件条項に基づく死亡保険金は、被保険者が被った損害をてん補する性質を有するものではないというべきである。けだし、本件条項は、保険契約者及びその家族、知人等が被保険自動車に搭乗す ある。 このような本件条項に基づく死亡保険金は、被保険者が被った損害をてん補する性質を有するものではないというべきである。けだし、本件条項は、保険契約者及びその家族、知人等が被保険自動車に搭乗する機会が多いことにかんがみ、右の搭乗者又はその相続人に定額の保険金を給付することによって、これらの者を保護しようとするものと解するのが相当だからである。そうすると、本件条項に基づく死- 2 -亡保険金を右被保険者の相続人である上告人らの損害額から控除することはできないというべきである。 以上によれば、上告人らの被った損害額から前記死亡保険金を控除すべきものとした原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。この趣旨をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、原審の確定したところによれば、上告人らの損害は上告人A1につき二四四六万三三五三円、同A2につき二三二八万三九五三円であるというのであるから、被上告人らは、自動車損害賠償保障法三条にいう運行供用者として、Dの相続人である上告人らに対し、連帯して右各金員及びこれに対する不法行為の日である昭和六三年八月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるというべきである。 よって、原判決を主文第一項のとおり変更することとし、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条、九二条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官根岸重治裁判官中島敏次郎裁判官大西勝也裁判官 根岸重治裁判官中島敏次郎裁判官大西勝也裁判官河合伸一- 3 -
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