平成12(あ)1859 強盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成13年10月25日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 平成12(う)433
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判決文本文1,312 文字)

主文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中270日を本刑に算入する。 理由 弁護人大塚利彦の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は事実誤認,量刑不当の主張であり,被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ,職権で判断する。 原判決及びその是認する第1審判決の認定によると,本件の事実関係は,次のとおりである。 スナックのホステスであった被告人は,生活費に窮したため,同スナックの経営者C子から金品を強取しようと企て,自宅にいた長男B(当時12歳10か月,中学1年生)に対し,「ママのところに行ってお金をとってきて。映画でやっているように,金だ,とか言って,モデルガンを見せなさい。」などと申し向け,覆面をしエアーガンを突き付けて脅迫するなどの方法により同女から金品を奪い取ってくるよう指示命令した。Bは嫌がっていたが,被告人は,「大丈夫。お前は,体も大きいから子供には見えないよ。」などと言って説得し,犯行に使用するためあらかじめ用意した覆面用のビニール袋,エアーガン等を交付した。これを承諾したBは,上記エアーガン等を携えて一人で同スナックに赴いた上,上記ビニール袋で覆面をして,被告人から指示された方法により同女を脅迫したほか,自己の判断により,同スナック出入口のシャッターを下ろしたり,「トイレに入れ。殺さないから入れ。」などと申し向けて脅迫し,同スナック内のトイレに閉じ込めたりするなどしてその反抗を抑圧し,同女所有に係る現金約40万1000円及びショルダーバッ- 1 -グ1個等を強取した。被告人は,自宅に戻って来たBからそれらを受 し,同スナック内のトイレに閉じ込めたりするなどしてその反抗を抑圧し,同女所有に係る現金約40万1000円及びショルダーバッ- 1 -グ1個等を強取した。被告人は,自宅に戻って来たBからそれらを受け取り,現金を生活費等に費消した。 【要旨】上記認定事実によれば,本件当時Bには是非弁別の能力があり,被告人の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなく,Bは自らの意思により本件強盗の実行を決意した上,臨機応変に対処して本件強盗を完遂したことなどが明らかである。これらの事情に照らすと,所論のように被告人につき本件強盗の間接正犯が成立するものとは,認められない。そして,被告人は,生活費欲しさから本件強盗を計画し,Bに対し犯行方法を教示するとともに犯行道具を与えるなどして本件強盗の実行を指示命令した上,Bが奪ってきた金品をすべて自ら領得したことなどからすると,被告人については本件強盗の教唆犯ではなく共同正犯が成立するものと認められる。したがって,これと同旨の第1審判決を維持した原判決の判断は,正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官深澤武久裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官町田顯)- 2 -

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