令和7年3月14日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(行ウ)第161号、平成29年(行ウ)第43号美浜原子力発電所3号機運転期間延長認可処分等取消請求事件(以下、順に「161号事件」及び「43号事件」という。)令和4年(行ウ)第35号美浜原子力発電所3号機保安規定変更認可処分無効確 認請求事件(以下「35号事件」という。)令和4年(行ウ)第49号美浜原子力発電所3号機設置変更許可処分取消請求事件(以下「49号事件」という。)口頭弁論終結日令和6年7月19日判決 主文 1 別紙1原告目録記載の番号8、10、16、26、27、32、34、50~52、62、64及び72の原告らの訴えをいずれも却下する。 2 その余の原告らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、参加によって生じた費用を含め、原告らの負担とする。 事実 及び理由目次第1 請求 ............................................................... 5第2 事案の概要 ......................................................... 6第3 前提事実 ........................................................... 9 第4 争点 .............................................................. 22第5 争点に関する当事者の主張の要旨 .................................... 25第6 当裁判所の判断(原告適格、出訴期間及び判断枠 .......... 22第5 争点に関する当事者の主張の要旨 .................................... 25第6 当裁判所の判断(原告適格、出訴期間及び判断枠組み)................ 25 1 争点1(原告適格)について ........................................ 25 2 出訴期間について .................................................. 38 3 争点2(判断枠組み)について ...................................... 39 第7 当裁判所の判断(地震に関する争点) ................................ 47 1 認定事実(地震) .................................................. 47 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ....... 80 3 争点3-(1)(地震規模を示す経験式のばらつきの考慮のなさ)について 88 4 争点3-(2)(レシピの(ア)法のみならず(イ)法を用いるべきこと)について .................................................................... 96 5 争点3-(3)(アスペリティ応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定)について ........................................................... 103 6 争点3-(4)-ア(繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性)について ................................................. 103 6 争点3-(4)-ア(繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性)について ..................................................... 109 7 争点3-(4)―イ(蒸気発生器伝熱管の耐震性)について .............. 115 8 争点3-(4)―ウ(主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価)について................................................................... 118 9 争点3-(4)-エ(格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性等)について.... 120 10 争点3-(5)-ア(1次冷却設備の減衰定数を3%としたこと)について ................................................................... 122 11 争点3-(5)-イ(燃料集合体の減衰定数を10%に変更したこと)について ............................................................... 142 12 争点3-(6)(本件活断層群①の連動の考慮の欠如)について........ 145 13 争点3-(7)(震源が敷地に極めて近い場合の考慮の欠如)について . 155 14 争点3-(8)(蒸気発生器の耐震評価の不正)について .............. 183 15 地震に関する争点のまとめ ....................................... 190 蒸気発生器の耐震評価の不正)について .............. 183 15 地震に関する争点のまとめ ....................................... 190第8 当裁判所の判断(火山に関する争点) ............................... 190 1 認定事実(火山) ................................................. 190 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ...... 236 3 争点4-(1)(層厚想定に関する基準の不合理性)について ............ 246 4 争点4-(2)(噴火規模に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について251 5 争点4-(3)(層厚に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について.... 255 6 争点4-(4)(降下火砕物の荷重に対する健全性に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について ............................................... 258 7 争点4-(5)(気中降下火砕物濃度を想定しないことの不合理性)について ................................................................... 260 8 争点4-(6)(気中降下火砕物濃度の推定手法に関する基準の不合理性)について ............................................................. 264 9 争点4-(7)(気中降下火砕物濃度の推定に関する基準適合性判断の不合理性)について .................. ............................... 264 9 争点4-(7)(気中降下火砕物濃度の推定に関する基準適合性判断の不合理性)について ....................................................... 266 10 争点4-(8)(非常用DGの機能喪失(フィルタ交換の実効性)に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について ............................... 272 11 火山に関する争点のまとめ ....................................... 273第9 当裁判所の判断(中性子照射脆化に関する争点)..................... 274 1 認定事実(中性子照射脆化) ....................................... 274 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ...... 337 3 争点5-(1)―ア(破壊靭性遷移曲線の導出に係る基準の不合理性)について ................................................................. 340 4 争点5-(1)-イ(破壊靭性遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落)について ....................................................... 359 5 争点5-(2)-ア(PTS状態遷移曲線の導出に係る基準の不合理性)について ............................................................... 368 6 争点5-( 遷移曲線の導出に係る基準の不合理性)について ............................................................... 368 6 争点5-(2)―イ(PTS状態遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落)について ....................................................... 376 7 中性子照射脆化に関する争点のまとめ ............................... 383 第10 当裁判所の判断(電気ケーブルに関する争点)..................... 383 1 認定事実(電気ケーブル) ......................................... 383 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ...... 397 3 争点6-(1)(電気ケーブルの火災防護対策)について ................ 398 4 争点6-(2)(電気ケーブルの老朽化に伴う絶縁低下)について........ 400 5 電気ケーブルに関する争点のまとめ ................................. 407 第11 当裁判所の判断(使用済燃料に関する争点)....................... 407 1 認定事実(使用済燃料) ........................................... 407 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ...... 421 3 争点7-(1)(使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽の危険性)について.... 423 4 争点7-(2)(使用済燃料 体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について ...... 421 3 争点7-(1)(使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽の危険性)について.... 423 4 争点7-(2)(使用済燃料の貯蔵施設の審査に関する違法性)について . 427 5 争点7-(3)(最終処分問題に関する争点)について .................. 428 6 使用済燃料に関する争点のまとめ ................................... 432第12 結論 ........................................................... 432(別紙1)原告目録 ..................................................... 434(別紙2)原告ら訴訟代理人目録 ......................................... 435 (別紙3)被告訴訟代理人目録 ........................................... 436(別紙4)参加人訴訟代理人目録 ......................................... 437(別紙5)略語一覧 ..................................................... 438(別紙6)関係法令の定め ............................................... 476(別紙7)当事者の主張の要旨 ........................................... 535 1 原告適格(争点1) ....... ....... 476(別紙7)当事者の主張の要旨 ........................................... 535 1 原告適格(争点1) ............................................... 535 2 判断枠組み(争点2) ............................................. 538 3 地震に関する争点(争点3) ....................................... 545 4 火山に関する争点(争点4) ....................................... 590 5 中性子照射脆化に関する争点(争点5) ............................. 619 6 電気ケーブルに関する争点(争点6) ............................... 653 7 使用済燃料に関する争点(争点7) ................................. 662(別紙8)設置許可基準規則解釈の別記2の概要 ........................... 675(別紙9)地質ガイドの概要 ............................................. 680(別紙10)地震ガイドの概要 ........................................... 681(別紙11)レシピの概要 ............................................... 691 (別紙12)耐震工認審査ガイドの概要 ............... 11)レシピの概要 ............................................... 691 (別紙12)耐震工認審査ガイドの概要 ................................... 695(別紙13)機器・配管系の工事計画認可に関するJEAG4601 の概要.......... 702(別紙14)火山ガイドの概要 ........................................... 704(別紙15)高経年化技術評価(劣化状況評価)審査の概要................. 712(別紙16)数式目録 ................................................... 714 第1 請求 1 161号事件及び43号事件(1) 原子力規制委員会が平成28年11月16日付けで参加人に対してした美浜発電所3号機に係る発電用原子炉の運転期間延長認可処分を取り消す。 (2) 原子力規制委員会が平成28年10月5日付けで参加人に対してした美浜発電所3号機に係る発電用原子炉の設置変更許可処分を取り消す。 (3) 原子力規制委員会が平成28年10月26日付けで参加人に対してした美浜発電所3号機に係る発電用原子炉施設の工事計画認可処分を取り消す。 (4) 原子力規制委員会が平成28年11月16日付けで参加人に対してした美 浜発電所3号機に係る保安規定変更認可処分を取り消す。 2 35号事件原子力規制委員会が令和2年2月27日付けで参加人に対してした美浜発電所3号機に係る保安規定変更認可処分が無効であることを確認する。 3 49号事件 原子力規制委員会が令和3年5月19日付けで参加人に対してした美 年2月27日付けで参加人に対してした美浜発電所3号機に係る保安規定変更認可処分が無効であることを確認する。 3 49号事件 原子力規制委員会が令和3年5月19日付けで参加人に対してした美浜発電 所3号機に係る発電用原子炉の設置変更許可処分を取り消す。 第2 事案の概要(以下で用いる略語は、別紙5略語一覧記載のとおりである。肩書等は、特記しない限り、当時のものである。) 1 本件は、別紙1原告目録記載の各肩書地に居住する原告ら(別紙1原告目録の事件1~4に対応する事件について、事件1~4の列に「〇」を付した原告 が、請求の趣旨1~6の列に「〇」を付した請求をしている。)が、原子力規制委員会が、美浜発電所3号機に関して参加人に対してした、平成28年10月5日付けの本件原子炉に係る本件設置変更許可処分、同月26日付けの本件原子炉施設に係る本件工事計画認可処分、同年11月16日付けの本件原子炉に係る本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分がいずれも違 法であるとして、平成28年各処分の取消しを求める事案(161号事件及び43号事件)、原子力規制委員会が令和2年2月27日付けで参加人に対してした本件原子炉に係る令和2年保安規定変更認可処分が違法無効であるとして、同処分の無効確認を求める事案(35号事件)及び原子力規制委員会が令和3年5月19日付けで参加人に対してした本件原子炉に係る令和3年設置 変更許可処分が違法であるとして、同処分の取消しを求める事案(49号事件)である。 2 関係法令の定め(1) 関係法令の定めは、本文中に記載するもののほか、別紙6関係法令の定めのとおりである。特記しない限り、平成28年各処分のうち本件保安規定変 更認可処分及び本件運転期間延長認可処分のされた同年1 関係法令の定めは、本文中に記載するもののほか、別紙6関係法令の定めのとおりである。特記しない限り、平成28年各処分のうち本件保安規定変 更認可処分及び本件運転期間延長認可処分のされた同年11月16日当時の法令等をいう。 (2) 発電用原子炉の設置、運転等に対する規制の概要ア設置変更許可について発電用原子炉設置者は、炉規法43条の3の8第1項本文所定の事項を 変更しようとするときは、原子力規制委員会の許可(設置変更許可)を受 けなければならないものとされており(同法43条の3の8第1項本文)、原子力規制委員会は、設置変更許可の申請が同法43条の3の6第1項各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、上記許可をしてはならないとされている(同法43条の3の8第2項、43条の3の6第1項。なお、原子力規制委員会は、上記許可をする場合においては、あらか じめ、同項1号に規定する基準(発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと)の適用について、原子力委員会の意見を聴かなければならないとされ(同法43条の3の8第2項、43条の3の6第3項)、上記許可をする場合においては、あらかじめ、経済産業大臣の意見を聴かなければならないとされている(同法71条1項1号)。)。そして、同法4 3条の3の8第2項、43条の3の6第1項2号(技術的能力に係る部分に限る。)、3号及び4号は、その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力があること、その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則(実用発電用原子炉については実用炉規則4条)で定める重大な事故をいう。)の発生及び拡大の防止に必要な 措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に 力規制委員会規則(実用発電用原子炉については実用炉規則4条)で定める重大な事故をいう。)の発生及び拡大の防止に必要な 措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること、発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則(実用発電用原子炉については設置許可基準規則)で定める基準 に適合するものであることという基準に適合しているか否かについて審査を行うべきものと定めている。 イ工事計画認可について発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障 がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしよう とする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則(実用炉規則)で定めるところにより、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならないとされており(炉規法(平成29年法律第15号による改正前のもの)43条の3の9第1項本文)、原子力規制委員会は、当該認可の申請が同条3項各号のいずれにも適合し ていると認めるときは、認可をしなければならないとされている(同条3項)。そして、同項2号及び3号は、発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること、その者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであることという基準に適合して いるか否かについて審査を行うべきものと定め、同法43条の3の14は、発電用原子炉設置者 査のための組織が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであることという基準に適合して いるか否かについて審査を行うべきものと定め、同法43条の3の14は、発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則(技術基準規則)で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならないと定めている。 ウ保安規定(変更)認可について 発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則(実用炉規則)で定めるところにより、保安規定(発電用原子炉の運転に関する保安教育、溶接事業者検査及び定期事業者検査についての規定を含む。)を定め、発電用原子炉の運転開始前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも、同様とされており(炉規法43条の3の24 第1項)、原子力規制委員会は、保安規定が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないと認めるときは、認可をしてはならないとされている(同条2項)。 エ運転期間延長認可について発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができ る期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に炉規法43条の 3の11第1項の検査に合格した日から起算して40年とされ(同法(平成29年法律第15号による改正前のもの)43条の3の32第1項)、この期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り20年を超えず、かつ、政令(炉規令)で定める期間を超えない期間において延長することができ(同法43条の3の32第2、3項)、当該認可 を受けようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則(実用炉規則)で定めるところにより、原子力規制委員会に認可の申請をしなけれ することができ(同法43条の3の32第2、3項)、当該認可 を受けようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則(実用炉規則)で定めるところにより、原子力規制委員会に認可の申請をしなければならず(同条4項)、原子力規制委員会は、当該認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、延長しようとする期間において安全性を確保するための基準とし て原子力規制委員会規則(実用炉規則)で定める基準に適合していると認めるときに限り、同項の認可をすることができるとされている(同条5項)。 第3 前提事実前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等) 1 当事者等(1) 原告らは、福井県を含む1都1府7県に居住する住民である。 (2) 参加人は、関西地方を供給地域として電気事業を営むことを目的とする株式会社であり、福井県三方郡美浜町丹生66号川坂山5番地3に所在する美浜発電所を設置している。 (3) 処分行政庁は、設置法に基づき、環境省の外局として設置された、原子力利用における安全規制を一元的に行う被告の行政機関である。 2 本件原子炉施設の概要本件原子炉施設は、参加人が、昭和47年3月13日に内閣総理大臣から設置許可処分を受け、その後、工事計画の認可等を経て、美浜発電所内に建設し た加圧水型原子炉である本件原子炉及びその附属施設である。本件原子炉施設 は、昭和51年1月28日に初臨界を達成し、同年2月19日に送電を開始し、同年12月1日に営業運転を開始した。 本件原子炉施設は、福島第一原発事故後、定期検査のため運転を停止していたが、令和3年6月23日から再稼働し、現在、営業運転をしている。( 19日に送電を開始し、同年12月1日に営業運転を開始した。 本件原子炉施設は、福島第一原発事故後、定期検査のため運転を停止していたが、令和3年6月23日から再稼働し、現在、営業運転をしている。(甲G1046) 本件原子炉施設は、熱出力が244万kW(キロワット)、電気出力が82. 6万kW の発電設備を有している。発電のための燃料には低濃縮二酸化ウランが用いられており、燃料集合体数は157体、燃料装荷量は約73トンである。 3 原子力発電所の仕組みの概要(1) 発電用原子炉の原理 ア原子力発電は、ウラン燃料が核分裂した際に放出する熱エネルギーを利用して水を蒸気に変え、その蒸気の力でタービンを回転させて電気を起こしている。 イ原子力発電は、原子炉内部にウラン燃料を装荷し、ウラン燃料の核分裂連鎖反応を利用して、熱エネルギーを継続的に発生させている。核分裂連 鎖反応とは、燃料であるウランの原子核に中性子が衝突し、ウランの原子核が概ね2個の異なる原子核に分裂(核分裂)する際に放出される中性子が、別のウランの原子核に衝突して次の核分裂を起こすことを繰り返すことで、核分裂が継続することをいう。 ウランは、1回の核分裂により2又は3個の中性子を放出するが、1回 の核分裂で発生した2又は3個の中性子のうち1個のみが次の核分裂を引き起こす状態、つまり核分裂を引き起こしたのと同数の中性子が次の核分裂を引き起こす状態では、核分裂の数が常に一定に保たれており、このような状態を「臨界」という。また、次の核分裂を起こす中性子の数が、核分裂を引き起こさない物質への吸収等により、核分裂を引き起こした数 より少なくなる状態を「未臨界」といい、核分裂連鎖反応はやがて止まる こととなる。 ウ原子力発電所とは、核 、核分裂を引き起こさない物質への吸収等により、核分裂を引き起こした数 より少なくなる状態を「未臨界」といい、核分裂連鎖反応はやがて止まる こととなる。 ウ原子力発電所とは、核分裂連鎖反応を制御しつつ、これを継続的に起こさせることによって熱エネルギーを発生させ、発電用のタービンを回転させる蒸気を作るための装置であり、中心部に炉心があり、核分裂反応を起こして発熱する核燃料、核分裂で新たに発生する高速の中性子を次の核分 裂反応が起こりやすい状態にまで減速させるための減速材、発生した熱を取り出すための冷却材、核分裂反応を制御するための制御材等から成り立っている。 軽水型原子炉とは、減速材及び冷却材の両者の役割を果たすものとして水(軽水)を用いる発電用原子炉のことをいう。軽水型原子炉には沸騰水 型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)があるが、本件原子炉はPWRに該当する。 (2) PWRの構造と発電の仕組みア PWRに用いる核燃料には、中性子が当たると核分裂反応を起こすウラン235を3~5%含む二酸化ウランを円柱状に焼き固めた燃料ペレット が使用され、この燃料ペレットを金属製の被覆管の中に縦に積み重ね、両端を密封した燃料棒を数十本ごとにまとめた燃料集合体により炉心を構成している。また、制御材として、中性子吸収材(銀-インジウム-カドミウム)が詰められている制御棒を燃料集合体内部に配置し、この制御棒を出し入れすることによって、炉心に存在する中性子の数を増減させ、核分 裂反応を調整し、出力を制御している。 イ PWRは、原子炉内を加圧することで、冷却材(1次冷却材)である水を沸騰させることなく高温(約320度:冷却材出口温度)、高圧(約157気圧)の熱水状態で維持し、この熱水(1次冷却材) いる。 イ PWRは、原子炉内を加圧することで、冷却材(1次冷却材)である水を沸騰させることなく高温(約320度:冷却材出口温度)、高圧(約157気圧)の熱水状態で維持し、この熱水(1次冷却材)を熱源として、蒸気発生器において別の系統の水(2次冷却材)を蒸気に変えている。その 蒸気は、主蒸気管を通ってタービンに送られ、発電用タービンを回転させ て発電を行う。タービンを回転させた蒸気は、復水器で冷却水(海水)により冷却されて水となり、この水(2次冷却材)は給水管を通って蒸気発生器に戻される。放射性物質を含んだ1次冷却材とそれを冷却する2次冷却材とは、蒸気発生器の伝熱管を通して熱交換を行っていることから接触することはない。 ウ PWRは、1次冷却材を沸騰させるBWRと異なり、1次冷却材に圧力をかけて沸騰させないようにしているため、沸騰水の流量調整による出力調整はしないが、1次冷却材に中性子を吸収するホウ酸を混ぜ、その濃度を調整することで出力を調整することができる。 (3) 発電用原子炉施設の3つの基本的安全 ア原子力発電所は、安全確保の観点から、異常を早期に検知し、緊急を要する異常を検知した場合には全ての制御棒を原子炉内に自動的に挿入し、原子炉を緊急停止(核分裂連鎖反応を止める)する設計がされる(「止める」)。 さらに、万一、事故に発展した場合においてもその影響を緩和するため、燃料を冷却し(「冷やす」)、放射性物質の異常な水準の放出を防止する設計 がされる(「閉じ込める」)。 イ原子炉を「止める」ための設備として、例えば、制御棒及びこれを急速に挿入する機能があり、緊急を要する異常時において、制御棒を急速に挿入することで、原子炉を安全に緊急停止させる設計がされる。PWRは、制御棒を炉心上部から の設備として、例えば、制御棒及びこれを急速に挿入する機能があり、緊急を要する異常時において、制御棒を急速に挿入することで、原子炉を安全に緊急停止させる設計がされる。PWRは、制御棒を炉心上部から挿入する構造であり、通常時は制御棒駆動装置内の 電磁石に電流を流し、制御棒を炉心上部の適切な位置に保持し、原子炉緊急停止時は、電磁石への電流を切断し、制御棒が自重で炉心に落下することで炉心の核分裂反応を制御する。 ウ原子炉を緊急停止した場合においても、原子炉内の燃料には運転中に生成、蓄積された核分裂生成物等が存在するため、崩壊熱(核分裂の結果生 じた核分裂生成物は、アルファ線、ベータ線又はガンマ線等の放射線を出 しながら別の原子核に変化していく(放射性崩壊)が、その際に放出されるエネルギーが周辺の物質に吸収されて、最終的に熱になったもの)が発生しており、炉心の著しい損傷の防止等のために、崩壊熱の除去を続ける必要がある。事故時に炉心を「冷やす」ための設備として、例えば、非常用炉心冷却設備により、炉心を冷却できる設計がされている。また、非常 用炉心冷却設備により除去した熱を最終的な熱の逃がし場(最終ヒートシンク)へ輸送する系統(例えば、原子炉補機冷却水設備等)により、原子炉圧力容器内において発生した残留熱(燃料の核分裂生成物の崩壊熱及び機器等から発生する熱に加えて、通常運転中に炉心・原子炉冷却材系等の構成材、原子炉冷却材及び2次冷却材に蓄積された熱を含む。)を除去する 設計がされている。 エ放射性物質の異常な水準の放出を防止する「閉じ込める」ための設備として、原子炉格納容器等があり、原子炉格納容器は、想定される最大の圧力、最高の温度及び適切な地震力に十分に耐えることができ、かつ適切に作動する格納容器隔離弁 放出を防止する「閉じ込める」ための設備として、原子炉格納容器等があり、原子炉格納容器は、想定される最大の圧力、最高の温度及び適切な地震力に十分に耐えることができ、かつ適切に作動する格納容器隔離弁の作動と併せて放射性物質の漏えいを抑制する設 計がされている。これらに加え、PWRのアニュラス(原子炉格納容器と原子炉建屋の間にある気密性の高い空間)浄化設備のように、原子炉格納容器の貫通部等から漏えいする空気を浄化し、外部へ放出される放射性物質の量を低減する設備もある。なお、発電用原子炉施設のうち、原子炉格納容器において想定される事象が発生した場合において、圧力障壁及び放 射性物質の放出の障壁となる部分を原子炉格納容器バウンダリという。 (以上(1)~(3)につき、乙B172・26~37頁) 4 福島第一原発事故の概要(1) 平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震の揺れを受けて発生した福島第一原発事故は、必ずしもその全容が明らかになっているわけではないが、 原子力規制委員会は、次のような経緯で発生したと判断している。 (2) 当時運転中であった福島第一発電所1~3号機は、平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震の揺れを受けて、原子炉が正常に自動停止した。地震による送電鉄塔の倒壊などにより外部電源喪失状態となったが、非常用DGが起動するとともに、炉心冷却系が起動したことにより、原子炉は正常に冷却された。しかし、福島第一発電所1~5号機においては、非常用DG、配 電盤、蓄電池等の電気設備の多くが、海に近いタービン建屋等の1階及び地下階に設置されていたため、地震随伴事象として発生した津波により、建屋の浸水とほとんど同時に水没又は被水して機能を喪失した。これにより、全交流電源喪失となり、交流電源を駆動電 ビン建屋等の1階及び地下階に設置されていたため、地震随伴事象として発生した津波により、建屋の浸水とほとんど同時に水没又は被水して機能を喪失した。これにより、全交流電源喪失となり、交流電源を駆動電源として作動するポンプ等の注水・冷却設備が使用できない状態となった。直流電源が残った3号機においても、 最終的にはバッテリーが枯渇したため、非常用DGが水没を免れ、かつ、接続先の非常用電源盤も健全であった6号機から電力の融通ができた5号機を除く、1~4号機において完全電源喪失の状態となった。また、海側に設置されていた冷却用のポンプ類も津波により全て機能喪失したために、原子炉内の残留熱や機器の使用により発生する熱を海水へ逃がす、最終ヒートシン クへの熱の移送手段が喪失した。その結果、運転中であった1~3号機においては、冷却機能を失った原子炉の水位が低下し、炉心の露出から最終的には炉心溶融に至った。その過程で、燃料被覆管のジルコニウムと水が反応することなどにより大量の水素が発生し、格納容器を経て原子炉建屋に漏えいし、1・3号機の原子炉建屋で水素爆発が発生した。また、3号機で発生し た水素が4号機の原子炉建屋に流入し、4号機の原子炉建屋においても水素爆発が発生した。また、2号機においては、ブローアウトパネルが偶然開いたことから水素爆発には至らなかったものの、放射性物質が放出され、周辺の汚染を引き起こした。(以上につき、乙B172・39、40頁) 5 設置法及び原子力規制委員会について (1) 福島第一原発事故を契機に、平成24年6月27日、新たに原子力規制委 員会を設置すること等を柱とする設置法が制定され、同法は同年9月19日から施行された。 設置法は、福島第一原発事故を契機に明らかとなった原子力利用に関する 6月27日、新たに原子力規制委 員会を設置すること等を柱とする設置法が制定され、同法は同年9月19日から施行された。 設置法は、福島第一原発事故を契機に明らかとなった原子力利用に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、原 子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設 置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする(同法1条)。 原子力規制委員会は、経済産業省や文部科学省ではなく環境省の外局とされ、内閣から独立した組織である3条委員会(設置法2条、国家行政組織法3条2項)として設置された。 原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ることを任務とし(設置法3条)、委員長と4名の委員をもって組織するものとされている(同法6条1項)。原子力規制委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うものとされ(同法5条)、人格が高潔であって、原子力利用に おける安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとされている(同法7条1項)。また、原子力規制委員会には、審議会等として、学識経験のある者で組織される原 及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとされている(同法7条1項)。また、原子力規制委員会には、審議会等として、学識経験のある者で組織される原子炉安全専門審査会が置かれ(同法13条1項、15条2項)、原子力規制委員会の指示を受けて、原子炉に係る安全性に関する 事項を調査審議するものとされている(同法14条)ほか、原子力規制委員 会の事務を処理させるため、同委員会に事務局である原子力規制庁が置かれており(同法27条1項、2項)、原子力規制庁には事務局長その他の職員が置かれ(同条3項)、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても、原則として、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への 配置転換を認めないこととされている(同法附則6条2項)。 原子力規制委員会は、上記の任務を達成するため、原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること等の事務(同法4条1項2号)のほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき、原子力規制委員会に属させた事務 (同項14号)をつかさどるもの(同項柱書き)とされている。そして、原子力規制委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、原子力規制委員会規則を制定することができ(同法26条)、炉規法の委任を受けて、原子炉施設の位置、構造及び設備に係る許可基準(同法43条の6第1項4号)として設 置許可基準規則を、原子炉施設の技術上の基準(同法43条の3の14)として技術基準規則を、原子炉施設の保安のために必要な措置 置、構造及び設備に係る許可基準(同法43条の6第1項4号)として設 置許可基準規則を、原子炉施設の技術上の基準(同法43条の3の14)として技術基準規則を、原子炉施設の保安のために必要な措置(同法43条の3の22)として実用炉規則をそれぞれ制定するなどしている。 (2) 設置法の附則において、原子力安全規制の厳格化として、炉規法が一部改正され(設置法附則15~18条)、炉規法の目的が見直され、重大事故(発 電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故。同法43条の3の6第1項3号参照)への対処が新たに規制対象とされた。そして、原子力施設の規制基準に関し、工事計画認可、使用前検査等に係る技術基準に適合していない場合等に加え、原子力施設の位置、構造及び設備に係る設置許可基準に適合していない場合にも、原子力規制委員会 から発電用原子炉の設置許可を受けた者に対して、使用の停止、改造、修理、 移転等を命ずること(バックフィット命令)ができると規定された(同法43条の3の23第1項)。 6 平成28年各処分に至る経緯(1) 本件設置変更許可処分に至る経緯ア参加人は、平成27年3月17日付けで、原子力規制委員会に対し、炉 規法43条の3の8第1項の規定に基づき、本件原子炉に係る同法43条の3の5第2項5、8~10号に掲げる事項の変更について許可の申請をした(本件設置変更許可申請。なお、平成28年5月31日付け及び同年6月23日付けで申請内容の一部を補正した。)。 イ原子力規制委員会は、本件設置変更許可申請について、炉規法43条の 3の8第2項の規定が準用する同法43条の3の6第1項1号に規定する発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないか否か、同項2号に 会は、本件設置変更許可申請について、炉規法43条の 3の8第2項の規定が準用する同法43条の3の6第1項1号に規定する発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないか否か、同項2号に規定する申請者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があるか否か、同項3号に規定する申請者に重大な事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他 の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるか否か、同項4号に規定する基準である設置許可基準規則に適合するものであるか否かを審査し、同審査の結果、同項1~4号のいずれにも適合していると認め、平成28年10月5日付けで、参加人に対し、本件設置変更許可処分をした。(以上につき、乙C1、5の1及び2、乙C5) (2) 本件工事計画認可処分に至る経緯ア参加人は、平成27年11月26日付けで、原子力規制委員会に対し、炉規法43条の3の9第1項の規定に基づき、本件原子炉施設に係る変更工事の計画について認可の申請をした(本件工事計画認可申請。なお、平成28年2月29日付け、同年5月31日付け、同年8月26日付け及び 同年10月7日付けで申請内容の一部を補正した。)。 イ原子力規制委員会は、本件工事計画認可申請について、炉規法43条の3の9第3項1号に規定する同法43条の3の8第1項の許可を受けたところによるものであるか否か、同法43条の3の9第3項2号に規定する基準である技術基準規則に適合するものであるか否か、同項3号に規定する基準である品質管理基準規則に適合するものであるか否かを審査し、同 審査の結果、同項1~3号のいずれにも適合していると認め、平成28年10月26日付けで、参加人に対し、本件工事計画 号に規定する基準である品質管理基準規則に適合するものであるか否かを審査し、同 審査の結果、同項1~3号のいずれにも適合していると認め、平成28年10月26日付けで、参加人に対し、本件工事計画認可処分をした。(以上につき、乙C2、6、7の1及び2)(3) 本件保安規定変更認可処分に至る経緯ア参加人は、平成27年11月26日付けで、原子力規制委員会に対し、 炉規法43条の3の24第1項の規定に基づき、本件原子炉施設に係る保安規定の変更の認可の申請をした(本件保安規定変更認可申請。なお、平成28年3月10日付け、同年5月31日付け、同年8月26日付け、同年10月28日付けで申請内容の一部を補正した。)。 イ原子力規制委員会は、本件保安規定変更認可申請に係る保安規定につい て、炉規法43条の3の24第2項に規定する核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないと認めるときに該当しないかを審査し、同審査の結果、これに該当しないと認め、平成28年11月16日付けで、参加人に対し、本件保安規定変更認可処分をした。(以上につき、乙C4、9) (4) 本件運転期間延長認可処分に至る経緯ア参加人は、平成27年11月26日付けで、原子力規制委員会に対し、炉規法43条の3の32第4項の規定に基づき、本件原子炉を運転することができる期間の延長(20年0日(2036年11月30日まで))について認可の申請をした(本件運転期間延長認可申請。なお、平成28年3 月10日付け、同年5月31日付け、同年8月26日付け及び同年10月 28日付けで申請内容の一部を補正した。)。 イ原子力規制委員会は、本件運転期間延長認可申請に係る本件原子炉について、炉規法43条の3 5月31日付け、同年8月26日付け及び同年10月 28日付けで申請内容の一部を補正した。)。 イ原子力規制委員会は、本件運転期間延長認可申請に係る本件原子炉について、炉規法43条の3の32第5項に規定する基準である実用炉規則114条に適合するものであるか否かを審査し、同審査の結果、同条に適合していると認め、平成28年11月16日付けで、参加人に対し、本件運 転期間延長認可処分をした。(以上につき、乙C3、8) 7 令和2年保安規定変更認可処分に至る経緯(1) 原子力規制委員会は、平成29年11月29日付けで火山ガイドの改正(これにより改正されたものが平成29年火山ガイド)、同年12月14日付けで実用炉規則の改正等をし、実用炉規則84条の2の新設及び同規則9 2条1項の改正等により、火山現象による影響が発生し又は発生するおそれがある場合(火山影響等発生時)における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関し、保安規定に定めることとした。同改正によって保安規定の変更認可手続が必要となり、平成30年12月31日までの経過措置期間が設けられた。 (2) 原子力規制委員会は、令和2年1月23日、「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う実用発電用原子炉に係る原子力規制委員会関係規則の整備等に関する規則」(令和2年原子力規制委員会規則第3号。改正規則)により、実用炉規則を改正し、同規則84条の2の「火山影 響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備」の規定は改正規則により削除され、改正規則による改正後の実用炉規則83条の「設計想定事象、重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子 等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備」の規定は改正規則により削除され、改正規則による改正後の実用炉規則83条の「設計想定事象、重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子炉施設の保全に関する措置」として、火山現象による影響につき、(1)「火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(火山影響等発生時)にお ける非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること。」、 (2)「火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること。」、(3)「火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること。」を含む「発電用原子炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに、当該計画の実行に必要な要員を 配置し、当該計画に従って必要な活動を行わせること。」が規定され(同条1号ロ)、保安規定の記載内容を定める実用炉規則92条について、同条1項21号の2の「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること。」の規定は改正規則により削除され、改正規則による改正後の実用炉規則92条1項16号において「設計想定事象、 重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子炉施設の保全に関する措置に関すること」が規定された。なお、気中降下火砕物濃度に関する考え方は、同改正後も維持されている。 (3) 参加人は、原子力規制委員会に対し、平成27年3月17日付け保安規定変更認可申請(令和2年保安規定変更認可申請。平成30年1月15日及び 令和元年7月31日付けで一部補正。)を行っていたところ、上記(1)の改正を受けて、実用炉規則84条 月17日付け保安規定変更認可申請(令和2年保安規定変更認可申請。平成30年1月15日及び 令和元年7月31日付けで一部補正。)を行っていたところ、上記(1)の改正を受けて、実用炉規則84条の2の「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動に対する保全に関する措置を新たに追加するとともに、当該保全に関する措置に関連する保安規定の定めについて同年12月9日付けで上記申請を一部補正した。 原子力規制委員会は、令和2年2月27日付けで、参加人に対し、令和2年保安規定変更認可処分を行った。(乙C44) 8 令和3年設置変更許可処分に至る経緯(1) 原子力規制委員会は、平成31年4月17日、大山火山の大山生竹テフラ(DNP)の噴出規模を11㎦程度とする見直しを行い、それに伴って本件 原子炉施設等の敷地における降下火砕物の最大層厚の設定も見直すべきとし、 令和元年6月19日付けで、参加人に対し、炉規法43条の3の23第1項に基づき、本件原子炉施設等について、DNPの噴出規模が11㎦程度と見込まれること等の事実を前提として炉規法43条の3の6第1項4号の基準に適合するよう、本件原子炉施設等の基本設計等を変更し、同年12月27日までに同法43条の3の8第1項の許可(設置変更許可)に係る申請をす ることを命ずる本件バックフィット命令を出した。(乙79・3頁)(2) 参加人は、本件バックフィット命令を受け、本件原子炉施設について、火山影響評価に係る基本設計等を見直した上で、令和元年9月26日付けで、令和3年設置変更許可申請を行った(なお、令和3年1月26日付け及び同年2月26日付けで申請内容の一部を補正した。)。 原子力規制委員会は、令和3年5月19日付けで、参加人に対し、本件原子炉につ 年設置変更許可申請を行った(なお、令和3年1月26日付け及び同年2月26日付けで申請内容の一部を補正した。)。 原子力規制委員会は、令和3年5月19日付けで、参加人に対し、本件原子炉について、令和3年設置変更許可処分を行った。(乙C52、78、79・3、4頁) 9 本件各訴えの提起等(1)161号事件原告らは、平成28年12月9日、平成28年各処分の取消し を求める訴えを提起した。また、43号事件原告らは、平成29年4月5日、平成28年各処分の取消しを求める訴えを提起したことから、当裁判所は、平成29年5月10日、同事件の弁論を161号事件の弁論に併合した。 (2)35号事件原告らは、令和4年4月1日、令和2年保安規定変更認可処分の無効確認を求める訴えを提起し、当裁判所は、同年5月11日、同事件の弁 論を161号事件の弁論に併合した。 (3) 49号事件原告らは、令和4年5月17日、令和3年設置変更許可処分の取消しを求める訴えを提起し、当裁判所は、同年6月2日、同事件の弁論を161号事件の弁論に併合した。 第4 争点 1 原告適格(争点1) 2 判断枠組み(争点2) 3 地震に関する争点(争点3)(1) 地震規模を示す経験式のばらつきの考慮のなさ(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(1))(2) レシピの(ア)法のみならず(イ)法を用いるべきこと(本件設置変更許可処分 関係)(争点3-(2))(3) アスペリティ応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(3))(4) 繰り返しの揺れの想定が欠如していること(争点3-(4))ア繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性(平成28 年各処分関係)(争点3-( 係)(争点3-(3))(4) 繰り返しの揺れの想定が欠如していること(争点3-(4))ア繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性(平成28 年各処分関係)(争点3-(4)-ア)イ蒸気発生器伝熱管の耐震性(本件工事計画認可処分関係)(争点3-(4)―イ)ウ主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価(本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(4)―ウ) エ格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性等(本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(4)-エ)(5) 減衰定数に関する争点(争点3-(5))ア 1次冷却設備の減衰定数を3%としたこと(本件工事計画認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(5)-ア) イ燃料集合体の減衰定数を10%に変更したこと(本件工事計画認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(5)-イ)(6) 本件活断層群①の連動の考慮の欠如(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(6))(7) 震源が敷地に極めて近い場合の考慮の欠如(本件設置変更許可処分関係) (争点3-(7)) (8) 蒸気発生器の耐震評価の不正(本件工事計画認可処分関係)(争点3-(8)) 4 火山に関する争点(争点4)(1) 層厚想定に関する基準の不合理性(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(1))(2) 噴火規模に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及 び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(2))(3) 層厚に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(3))(4) 処分及 び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(2))(3) 層厚に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(3))(4) 降下火砕物の荷重に対する健全性に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(4)) (5) 気中降下火砕物濃度を想定しないことの不合理性(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(5))(6) 気中降下火砕物濃度の推定手法に関する基準の不合理性(令和2年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(6))(7) 気中降下火砕物濃度の推定に関する基準適合性判断の過誤、欠落(令和2 年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(7))(8) 非常用DGの機能喪失(フィルタ交換の実効性)に関する基準適合性判断の過誤、欠落(令和2年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(8)) 5 中性子照射脆化に関する争点(いずれも本件運転期間延長認可処分関係)(争点5) (1) 破壊靭性遷移曲線に関する争点(争点5-(1))ア破壊靭性遷移曲線の導出に係る基準の不合理性(争点5-(1)―ア)(ア) JEAC4201-2007 シリーズの不合理性(イ) JEAC4206-2007 の不合理性イ破壊靭性遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落(争点5-(1)- イ) (ア) 高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が高経年化技術評価書(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていること(イ) 原データの確認をしていないこと(ウ) 破壊靭性値の試験結果数 (エ) CT 試験片ではなくWOL 試験片を 0年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていること(イ) 原データの確認をしていないこと(ウ) 破壊靭性値の試験結果数 (エ) CT 試験片ではなくWOL 試験片を用いたこと(オ) 「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」を行っていないこと(2) PTS状態遷移曲線に関する争点(争点5-(2))ア PTS状態遷移曲線の導出に係る基準の不合理性(争点5-(2)―ア) (ア) 熱伝達率の評価式(JF式)の不合理性(イ) 核沸騰の想定をしていないこと(ウ) 冷却期間中における熱伝達率の変動を考慮していないこと(エ) プルームを考慮していないことイ PTS状態遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落(争点5-(2) ―イ)(ア) 熱伝達率が適切に評価されていないこと(イ) クラッドの考慮(ウ) 熱伝達率の確認をしていないこと 6 電気ケーブルに関する争点(争点6) (1) 電気ケーブルの火災防護対策(本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点6-(1))(2) 電気ケーブルの老朽化に伴う絶縁低下(本件運転期間延長認可処分関係)(争点6-(2)) 7 使用済燃料に関する争点(争点7) (1) 使用済燃料及び使用済燃料貯蔵施設の危険性(本件設置変更許可処分関係) (争点7-(1))(2) 使用済燃料の貯蔵施設の審査に関する違法性(本件設置変更許可処分関係)(争点7-(2))(3) 最終処分問題に関する争点(本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点7-(3)) 第5 争点に関する当事者の主張の要旨別紙7当事者の主張の要旨のとおり第6 当裁判所の判断(原告適格、出 争点(本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点7-(3)) 第5 争点に関する当事者の主張の要旨別紙7当事者の主張の要旨のとおり第6 当裁判所の判断(原告適格、出訴期間及び判断枠組み) 1 争点1(原告適格)について(1) 認定事実 アチョルノービリ事故についてIAEAが作成したチョルノービリ事故に伴う放射性セシウムの土壌濃度マップ(事故発生後3年8か月後)によれば、昭和61年(1986年)4月26日のチョルノービリ事故によって放出された放射性物質による汚染が4万ベクレル/㎡以上となった地域は、最も遠くて約1800㎞ にまで広がった。 ソビエト社会主義共和国連邦が1991年末に消滅した後、ロシア、ウクライナ及びベラルーシ(ロシア等)は、それぞれ自国の法律を制定し、チョルノービリ事故による被ばく量が年間5mSv 以上(セシウム137が55万5000ベクレル/㎡以上)と考えられる地域を移住義務ゾーン、被 ばく量が年間1mSv 以上(セシウム137が18万5000ベクレル以上/㎡以上)と考えられる地域を移住権利ゾーンとし、セシウム137が3万7000ベクレル/㎡以上の地域に社会経済的な特典を付与した。なお、ロシア等の国内法における安全基準値は、ICRP(国際放射線防護委員会。 1928年に設立された国際X線・ラジウム防護委員会が1950年に改 組されて設立された民間独立の国際学術組織)の1990年勧告を取り入 れたものである。(以上につき、甲F34、37・2頁、甲F38、39、乙F8・125頁、弁論の全趣旨・被告第6準備書面19頁)イ福島第一原発事故について(ア) 福島第一原発事故によって空気中に放射性物質を放出した1~4号機の電気出力は、1号機が46 、39、乙F8・125頁、弁論の全趣旨・被告第6準備書面19頁)イ福島第一原発事故について(ア) 福島第一原発事故によって空気中に放射性物質を放出した1~4号機の電気出力は、1号機が46.0万kW、2~4号機が各78.4万kW である。この当時、原子炉内に存在した燃料集合体は、1号機が400本、2号機が548本、3号機が548本、4号機が0本であり、使用済燃料プール内に存在した燃料集合体は、1号機が392本、2号機が615本、3号機が566本、4号機が1535本、そのうち使用済燃料集合体は、1号機が292本、2号機が587本、3号機が514本、 4号機が1331本であった。(甲F4・61、136、137頁)(イ) 原子力委員会のH1委員長が政府からの指示により作成した本件資料によれば、福島第一原発1号機の水素爆発により放射性物質が放出され、その後4号機の使用済燃料プールから放射性物質が放出され、続いて他の号機の使用済燃料プールからも放射性物質の放出がされた場合、 セシウム137の土壌汚染の度合いは、148万ベクレル/㎡を超えて強制移転を求めるべき地域が110㎞以遠(1炉心分)又は170㎞以遠(2炉心分)に、55万5000ベクレル/㎡を超えて任意移転を認める地域が200㎞以遠(1炉心分)又は250㎞以遠(2炉心分)に生じる可能性があり、これらの範囲は時間の経過とともに小さくなるが、自 然(環境)減衰にのみ任せておくならば数十年を要するとし、初期濃度が148万ベクレル/㎡の場合、線量率は当初約90mSv/年、1年後約40mSv/年となり、20mSv/年となるのは約5年経過時であり、初期濃度が55万5000ベクレル/㎡の場合、線量率は当初40mSv/年弱、1年後20mSv/年弱となるとする。(甲F10・ 年後約40mSv/年となり、20mSv/年となるのは約5年経過時であり、初期濃度が55万5000ベクレル/㎡の場合、線量率は当初40mSv/年弱、1年後20mSv/年弱となるとする。(甲F10・8、12、15頁) (ウ) 平成23年4月22日、緊急時の防護措置についてのICRPの20 07年勧告を踏まえ、年間実効線量が20mSv に達するおそれのある地域は、計画的避難区域として指定された。(甲F4・331、352、354頁、乙F2・1頁)(エ) UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の2013年報告書によれば、福島第一原発事故による放射性物質の総放出量 の推定値について、ヨウ素131の推定値は約10~50京ベクレルの範囲にあり、セシウム137の推定値は総じて0.6~2京ベクレルの範囲にあるが、より限られた情報に基づく一部の推定値では4京ベクレルまでとするものもあったとする。(甲F82)ウ自然界には宇宙からの放射線、地殻を構成している岩石等に含まれる放 射性物質から放出される放射線、人間が摂取する飲食物等の中に含まれる放射性物質から放出される放射線等が存在し、これらの自然放射線からの放射線量は、日本では全国平均1人当たり年間2.1mSv、世界では年間2. 4mSv、地域によっては年間約10mSv である。また、人間はレントゲンやCTスキャン等の人工放射線による被ばくをしており、全身CTスキャン による被ばく量は1回6.9mSv である。(乙F1、弁論の全趣旨・被告第6準備書面14頁)エ放射線被ばくによる有害な健康への影響は、確定的影響と確率的影響に分類されている。確定的影響とは、組織の機能を損なうのに十分な細胞喪失を引き起こす放射線による細胞致死の結果から生じる健康影響 エ放射線被ばくによる有害な健康への影響は、確定的影響と確率的影響に分類されている。確定的影響とは、組織の機能を損なうのに十分な細胞喪失を引き起こす放射線による細胞致死の結果から生じる健康影響である (乙F1・66頁、乙F2・7頁、乙F4・9頁)。ICRPの2007年勧告は、臓器ごとのしきい値として1%発生率を示しており、そのうち最も低いものは100mSv である(乙F2・127頁)。確率的影響とは、放射線被ばくによって引き起こされた細胞の修飾の結果として起こるかもしれない健康影響である(乙F4・9頁)。平成23年12月22日付け「低 線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」によれば、 放射線による発がんのリスクは、100mSv 以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいとされる(乙F6・4頁)が、2007年勧告は、明確に実証する生物学的・疫学的知見がすぐに得られそうにないとしつつ、実用的な放射線防護体系を勧告する 目的から、約100mSv を下回る線量においては、ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮説(LNTモデル)に引き続き根拠を置くとして、ICRPの1977年勧告以降、これを採用している(甲F66・10、11頁、乙F2・17頁、乙F5・6頁)。 1990年勧告は、全ての平常状態における公衆被ばくにおける線量限度として、非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除いた自然放射線源からの年間実効線量(実効線量とは、身体の全ての組織・臓器の荷重された等価線量の和であり、等価線量は、組織・臓器にわたって平均し、線質 として、非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除いた自然放射線源からの年間実効線量(実効線量とは、身体の全ての組織・臓器の荷重された等価線量の和であり、等価線量は、組織・臓器にわたって平均し、線質について荷重した吸収線量)が約1mSv であることから、年実効線量限度 として1mSv を勧告し(乙F5・6、9、55頁)、放射線審議会(「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づき、放射線障害防止の技術的基準の斉一を図ることを目的とし、現在、原子力規制委員会に置かれる機関)は、平成10年6月、1990年勧告の国内制度等への取入れの意見具申において公衆被ばくに関する限度として実効線量年1mSv とすること が適当であるとした(乙F9・9、12頁)。上記の意見具申を受け、線量告示は、周辺監視区域の外側の線量限度を1mSv/年と定め、実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度は、線量告示2条1項1号により年間1mSv とし、放射線障害防止法も、公衆の被ばく限度を実効線量年間1mSv としている。 他方、2007年勧告は、緊急時被ばく状況(計画的状況における操業 中又は悪意ある行動により発生するかもしれない至急の注意を要する予期せぬ状況)において計画される最大残存線量の参考レベル(これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切であると判断されるもの)は、年間実効線量20mSv から100mSv の範囲と提示している。なお、2007年勧告は、1990年勧告と異なり、放射線審議会による国内制度等へ の取入れの意見具申はされていない。(乙F2・総括ⅹⅶ、57、69頁)オ元京都大学原子炉実験所助手のH2は、平成7年6月、原子力発電所事故が起きた場合のシミュレーション(H2シミュレーション)を公 取入れの意見具申はされていない。(乙F2・総括ⅹⅶ、57、69頁)オ元京都大学原子炉実験所助手のH2は、平成7年6月、原子力発電所事故が起きた場合のシミュレーション(H2シミュレーション)を公表した。 H2シミュレーションは、米国の原子力規制委員会が、マサチューセッツ工科大学のH3に依頼して行った原子力発電所事故で放出される放射性物 質のシミュレーションの報告として公表された計算手法に基づくものであり、電気出力100万kW のPWRの炉心冷却系が故障して炉心溶融を引き起こし、更に格納容器スプレイと熱除去系も故障するため、格納容器内の圧力上昇を抑えることができず、格納容器の耐圧限度を突破して破裂し、格納容器内に充満していた大量の放射能が環境に噴き出すという事故が起 きたとき、ヨウ素131が218京ベクレル、セシウム137が10.7京ベクレル、それぞれ環境中に放出されるとする。 H2は、H2シミュレーションにおける算出方法について、科学的に考える根拠に基づいて、パソコンでは時間が掛かりすぎて実用的ではないので、簡便な方法として独自に計算した適当な変数係数を使用し、独自に工 夫した近似関数を用いた旨を述べている。 (以上につき、甲F28・175、176、186、187、189、190頁、甲F80)(2) 原告適格の有無の判断枠組み行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、 当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は 必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個 益を侵害され、又は 必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に 侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮される べき利益の内容及び性質を考慮し、この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘 案すべきものである(同条2項、最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。以上の理は、無効確認訴訟の原告適格を有する「法律上の利益を有する者」(同法36条)についても同様に考えられる。 本件各訴えは、原告らが原子力規制委員会(処分行政庁)がした本件原子 炉施設の設置変更許可処分、工事計画認可処分、保安規定変更認可処分及び運転期間延長認可処分の取消し又は無効確認を求める訴えであり、上記の見地に立って、原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 許可処分、工事計画認可処分、保安規定変更認可処分及び運転期間延長認可処分の取消し又は無効確認を求める訴えであり、上記の見地に立って、原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 (3) 炉規法その他関係法令の趣旨及び目的並びに考慮されるべき利益の内容及 び性質 ア炉規法は、原子力基本法の精神にのっとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに、原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害を防止し、及び核燃料物質を防護 して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用等に関する必要な規制を行い、もって国民の生命、健康及 び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする(同法1条)。そして、同法は、原子力規制委員会は、①同法43条の3の6第1項各号に適合していると認めるときでなければ発電用原子炉の設置許可をしてはならないとし(同項)、同許可を受けたものが同法43条の3の5第2項2号から5号まで又は8号から10号(平成29年法律第 15号による改正後は11号)までに掲げる事項を変更しようとするときも同様とし(同法43条の3の8第2項)、②発電用原子炉施設の設置又は変更の工事をしようとする発電用原子炉設置者は、当該工事に着手する前に、その設計及び工事の方法その他の工事 を変更しようとするときも同様とし(同法43条の3の8第2項)、②発電用原子炉施設の設置又は変更の工事をしようとする発電用原子炉設置者は、当該工事に着手する前に、その設計及び工事の方法その他の工事の計画の認可を受けなければならない(同法43条の3の9)とし、③発電用原子炉設置者は、発電用原 子炉施設の保全、運転等について、保安のための必要な措置(重大事故が生じた場合における措置に関する事項を含む。)を講じなければならない(同法43条の3の22)とし、保安規定を定め、発電用原子炉の運転開始前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない(同法43条の3の24)とし、④発電用原子炉の運転期間は、原子力規制委員会の認可 を受けて、1回に限り延長することができる(同法43条の3の32)と している。 炉規法は、原子炉等の利用による災害の防止及び公共の安全を図るために当該原子炉の設置及び運転等に関して必要な規制を行い、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全等に資することを目的としており、そのために、原子力規制委員会において、発電用原子炉施設の設置(変更)、 設計及び工事、保安、運転延長の各段階に応じて、それぞれ同法所定の審査を行うこととしているところ、これらは、発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは、当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命、身体に重大な危害を及ぼし、当該発電用原子炉施設の周辺に存する土地等の財産に回復困難な重大な損害をもたらすほか、周辺の環境を放射 性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み、このような災害が万が一にも起こらないようにするため、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子 どの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み、このような災害が万が一にも起こらないようにするため、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子力規制委員会において、科学的、専門技術的見地から、上記の各段階に応じた審査を行い、もって当該発電用原子炉施設の 安全性を確保しようとしているものと解される。 イまた、炉規法に関係する法令として、設置法、原子力基本法、環境基本法、原子力災害対策特別措置法及び災害対策基本法があるところ、①設置法は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とし(同法1条)、②原子力基本法も、その基本方 針として、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的としており(同法2条2項)、③環境基本法は、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とし(同法1条)、人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染等によって、人の健康又は生活環境(人の生活 に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びそ の生育環境を含む。)に係る被害が生ずることを公害とし(同法2条3項)、事業者は公害を防止するなどの責務を有する(同法8条1項)とする。また、④原子力災害対策特別措置法は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とし(同法1条)、原子力緊急事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害を原子力災害とし(同法2条1号)、原 子力緊急事態が発生したときには原子力緊急事態宣言が発出され(同法15条2項)、内閣総理大臣が一定の区域の市町村長及び都道府県知事に対し、一定の地域の居住者 原子力災害とし(同法2条1号)、原 子力緊急事態が発生したときには原子力緊急事態宣言が発出され(同法15条2項)、内閣総理大臣が一定の区域の市町村長及び都道府県知事に対し、一定の地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退き又は屋内への退避の指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとし(同条3項)、⑤災害対策基本法は、その目的におい て国民の生命、身体及び財産を災害から保護することを定め(同法1条)、国、都道府県及び市町村は、国民又は住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、それぞれ責務を有するとしている(同法3条1項、4条1項、5条1項)。このような炉規法の関係法令の趣旨及び目的に照らすと、これらの関係法令は、発電用原子炉施設の利用に当たって、国民又は住民 の生命、身体の安全、財産等に対する保護を要求しているものと解される。 ウ以上のとおり、上記アの炉規法の規定に加えて、上記イの関係法令の規定の趣旨及び目的をも参酌し、これらの規定が原子力規制の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば、発電用原子炉施設に関する炉規法の規定は、単に公衆の生命、身体の安全、健康、財産、 環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、発電用原子炉施設から一定の範囲内に居住し、事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命、身体の安全、財産等を、それが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解される。 エしたがって、発電用原子炉施設から一定の範囲内に居住し、上記の被害 を受けることが想定される範囲の住民は、本件各処分の取消し又は無効確認を求める訴えについて原告 と解される。 エしたがって、発電用原子炉施設から一定の範囲内に居住し、上記の被害 を受けることが想定される範囲の住民は、本件各処分の取消し又は無効確認を求める訴えについて原告適格を有するというべきである。 そして、当該住民の居住する地域が、上記のような発電用原子炉の事故等による災害により直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域であるか否かについては、当該発電用原子炉の種類、構造、規模等の当 該発電用原子炉に関する具体的な諸条件を考慮に入れた上で、当該住民の居住する地域と発電用原子炉の位置との距離関係を中心として、社会通念に照らし、合理的に判断すべきものである(もんじゅ最高裁平成4年判決参照)。 (4) 原告らの原告適格の有無 アまず、ICRPが策定した2007年勧告は、放射線被ばくによる有害な健康への影響を確定的影響と確率的影響に分類し、確定的影響についての臓器ごとのしきい値として最も低いものを100mSv とし、確率的影響については明確に実証する生物学的・疫学的知見がすぐに得られそうにないとしつつ、ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発が ん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮説(LNTモデル)を引き続き採用し、全ての平常状態における公衆被ばくにおける線量限度として、非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除いた自然放射線源からの年間実効線量が約1mSv であることから、年実効線量限度として1mSv を勧告する一方、緊急時被ばく状況(計画的状況における操業中又 は悪意ある行動により発生するかもしれない至急の注意を要する予期せぬ状況)において計画される最大残存線量の参考レベル(これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切であると判断されるもの) は悪意ある行動により発生するかもしれない至急の注意を要する予期せぬ状況)において計画される最大残存線量の参考レベル(これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切であると判断されるもの)として、年間実効線量20mSv から100mSv の範囲と提示している。 このように、2007年勧告は、1990年勧告が公衆被ばくの実効線 量について年間1mSv を限度とする勧告をしたのと同様、平常状態におけ る公衆被ばくにおける年実効線量限度として1mSv を勧告しており、また、実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度も線量告示による年間1mSv とし、放射線障害防止法(放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則及び数量等告示を含む。)も公衆被ばく限度を実効線量年間1mSv としているところ、線量告示や放射線障害防止法の上記定めは、 1990年勧告を取り入れるべきであるとする放射線審議会の平成10年の意見具申を反映したものであり、ロシア等の国内法における安全基準値も1990年勧告を取り入れたことによるものである。 もっとも、人類は自然界からの放射線を被ばくしており、我が国の全国平均で1人当たり年間2.1mSv とされ、世界の平均は年間2.4mSv とさ れているものであり、公衆被ばくにおける年実効線量限度である1mSv は、平常状態においてこの線量限度を超える被ばくから公衆を保護する措置として用いられるものであって、この数値をもって発電用原子炉施設の事故等がもたらす放射線被ばくにより生命、身体の安全、財産等に対する直接的かつ重大な被害を受けることが想定される住民の範囲を画するもの と位置付けるのは相当とはいい難い。そして、2007年勧告は、1990年勧告と異なり、放射線審議会による国内制 産等に対する直接的かつ重大な被害を受けることが想定される住民の範囲を画するもの と位置付けるのは相当とはいい難い。そして、2007年勧告は、1990年勧告と異なり、放射線審議会による国内制度等への取入れの意見具申がされたものではなく、また、実用的な放射線防護体系を勧告する目的から、約100mSv を下回る線量においては、ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じる であろうという仮定(LNTモデル)を前提としており、科学的な不確かさを補う観点から公衆衛生上の安全サイドに立った判断ではあるものの、発電用原子炉施設の事故により放射線被ばくが起きた場合における被ばく状況としては、至急の注意を要する予期せぬ状況である緊急時被ばく状況において計画される最大残存線量の参考レベルとして提示された年間 実効線量20mSv から100mSv の範囲の数値を参照するのが合理的であ るということができる。現実にも、福島第一原発事故後においては、緊急時の防護措置についての2007年勧告を踏まえて、年間実効線量が20mSv に達するおそれのある地域が計画的避難区域として指定され、住民の避難が行われたものである。 以上からすれば、原子炉施設の事故により放射線被ばくが起きたときに 年間実効線量が20mSv に達するおそれのある地域に居住する住民は、事故時に年間実効線量20mSv 以上の被ばくをし、一定の確率的影響を受けるおそれがあるとともに、住居からの避難を指示され、生命、身体及び財産に対する直接的かつ重大な被害を受けるものと想定されるというべきである。 イそこで、年間実効線量20mSv 以上の被ばくを受けるおそれのある範囲につき検討すると、原子力委員会のH1委員長が政 する直接的かつ重大な被害を受けるものと想定されるというべきである。 イそこで、年間実効線量20mSv 以上の被ばくを受けるおそれのある範囲につき検討すると、原子力委員会のH1委員長が政府からの指示により作成した平成23年3月25日付け「福島第一発電所の不測事態シナリオの素描」(本件資料)によれば、福島第一原発事故において、1号機の水素爆発の後に4号機の使用済燃料プールから放射性物質が放出され、続いて他 の号機の使用済燃料プールからも放射性物質の放出がされた場合、セシウム137の土壌汚染の度合いは、148万ベクレル/㎡を超えて強制移転を求めるべき地域が110㎞以遠(1炉心分)又は170㎞以遠(2炉心分)に、55万5000ベクレル/㎡を超えて任意移転を認める地域が200㎞以遠(1炉心分)又は250㎞以遠(2炉心分)に生じる可能性があり、 初期濃度が148万ベクレル/㎡の場合、線量率は当初約90mSv/年、1年後約40mSv/年となり、20mSv/年となるのは約5年経過時であり、初期濃度が55万5000ベクレル/㎡の場合、線量率は当初40mSv/年弱、1年後20mSv/年弱となると想定されている。 本件原子炉施設について、これが福島第一原発(1号機が46万kW、2 ~4号機が各78.4kW)と比べて、その電気出力(82.6万kW)や使 用済燃料(令和3年度末時点で1149体(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(86)4頁))等の点において、原子炉施設の事故時における放射性物質の放出量が特段低いというべき事情をうかがわせる証拠は提出されておらず、本件原子炉施設の安全性が損なわれる重大な事故等が生じた場合には、その放射性物質の放出量を別異に解すべきものとはいい難い。そうすると、 本件原子炉施設において事 がわせる証拠は提出されておらず、本件原子炉施設の安全性が損なわれる重大な事故等が生じた場合には、その放射性物質の放出量を別異に解すべきものとはいい難い。そうすると、 本件原子炉施設において事故が起き、本件資料のような事態となった場合、セシウム137の土壌汚染の度合いが148万ベクレル/㎡となり強制移転を求めるべき地域が少なくとも1炉心分の110㎞以遠となる可能性があることを否定し得ないから、本件原子炉から110㎞以内に住む原告らは、年間実効線量20mSv 以上の被ばくをするおそれがあり、住居から の避難を求められるおそれがあると認められるというべきである。 したがって、本件原子炉から110km 以内に住む原告らは、いずれも本件各訴えの原告適格を有するというべきであり、これより遠方に住む原告ら(別紙1原告目録の番号8、10、16、26、27、32、34、50~52、62、64及び72。本件原子炉と原告らの居住地との距離は、 別紙1原告目録の「距離(㎞)」欄記載のとおりである(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(69)、(126)))は、原告適格を有しないというべきである。 ウこれに対し、原告らは、H2シミュレーションに基づいて、全ての原告について原告適格が認められる旨を主張するが、H2シミュレーションは、電気出力100万kW のPWRが事故を起こした際、原子炉1基からヨウ 素131が218京ベクレル、セシウム137が10.7京ベクレル、それぞれ環境中に放出されるとし、この計算手法による高浜発電所1号機(電気出力82.6万kW)が過酷事故を起こした場合の推定は、185㎞の地点は年間250mSv、516㎞の地点は年間50mSv となり、年間20mSvとなるのは800~1000㎞に及ぶというものである(甲F45)が、 W)が過酷事故を起こした場合の推定は、185㎞の地点は年間250mSv、516㎞の地点は年間50mSv となり、年間20mSvとなるのは800~1000㎞に及ぶというものである(甲F45)が、 これはUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が行 った福島第一原発事故による1~3号機(電気出力合計202.8万kW)の放射性物質の放出量の推定値(ヨウ素131が約10~50京ベクレル、セシウム137が0.6~2京ベクレル、より限られた情報に基づく一部の推定値でも4京ベクレル)と比べて、電気出力が約2分の1であるにもかかわらず、ヨウ素131が約4~20倍、セシウム137が約3~27 倍多く計算されている上に、算出方法も、簡便な方法としてH2が独自に計算した適当な変数係数を使用し、独自に工夫した近似関数を用いたものであり、放射性物質の放出量の推定値として原告適格の判断において用いるにはその信用性に疑義があり、これを原告らが被ばくを受けるおそれの数値として用いることはできない。 2 出訴期間について(1)49号事件は、令和4年5月17日に提訴されたところ、取消しを求める令和3年設置変更許可処分は令和3年5月19日にされたものである。49号事件原告らは、令和4年4月頃に令和3年設置変更許可処分がされたことを知った旨主張し、被告らはこれを不知とするところ、令和3年設置変更許可 処分は参加人を名宛人とするものであり、49号事件原告らに通知されるものではなく、同原告らが令和4年4月頃よりも早く同処分がされたことを知っていたと認めるに足りる証拠もないから、同原告らが同処分がされたことを知ったのは令和4年4月頃と認めるのが相当である。 (2) よって、49号事件は、処分があったことを知った日から6か月 ことを知っていたと認めるに足りる証拠もないから、同原告らが同処分がされたことを知ったのは令和4年4月頃と認めるのが相当である。 (2) よって、49号事件は、処分があったことを知った日から6か月以内かつ 処分の日から1年以内に提訴されており、出訴期間内に提訴された適法な訴えと認められる。 3 争点2(判断枠組み)について(1) 発電用原子炉の設置、運転等に関する規制の権限を原子力規制委員会に付与した趣旨 上記第2の2(2)のとおり、炉規法は、原子力規制委員会において、発電用 原子炉設置(変更)許可、工事計画認可、保安規定(変更)認可及び運転期間延長認可の各処分について、炉規法が定める基準に適合するか否かを審査し、これに適合していると認めるときに各処分をすることとしている。その趣旨は、発電用原子炉が原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置で発電の用に供するものであり、その 稼働により内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって、発電用原子炉設置者が適切に発電用原子炉の設置、工事、運転、保安等をしなければ、当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命、身体、当該発電用原子炉施設の敷地内又はその周辺に存する財産に重大な危害を及ぼし、周辺の環境を放射性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こ すおそれがあることにかんがみ、このような災害が万が一にも起こらないようにするため、発電用原子炉設置(変更)許可、工事計画認可、保安規定(変更)認可、運転期間延長認可等の各段階で、科学的、専門技術的見地から、十分な審査を行わせることにあるものと解される。 上記の審査は、当該発電用原子炉施設そのものの工学的安全性、平常運転 時における従業員、周 間延長認可等の各段階で、科学的、専門技術的見地から、十分な審査を行わせることにあるものと解される。 上記の審査は、当該発電用原子炉施設そのものの工学的安全性、平常運転 時における従業員、周辺住民及び周辺環境への放射線の影響、事故時における周辺地域への影響等を、当該発電用原子炉施設の設置場所の地形、地質、気象等の自然的条件、人口分布等の社会的条件及び当該発電用原子炉設置者の上記技術的能力との関連において、多角的、総合的見地から検討するものであり、しかも、上記審査の対象には、将来の予測に係る事項も含まれてい るのであって、上記審査においては、原子力工学はもとより、多方面にわたる極めて高度な最新の科学的、専門技術的知見に基づく総合的判断が必要とされるものであることが明らかである。 そして、上記第3の5のとおり、原子力規制委員会は、福島第一原発事故を契機として成立した設置法により新たに設置された被告の行政機関であり、 原子力利用における安全の確保に関して高度の専門性を有する中立公正な独 立した合議制の機関として、しかも、その任務にふさわしい組織性や権限を有するものとして設置されている。さらに、設置法の附則において炉規法が改正され、原子力規制委員会が原子力利用の安全の確保のための規制を一元的に行うものとされるなどし、その一環として、原子力規制委員会において、上記の発電用原子炉の設置変更許可、工事計画認可、保安規定(変更)認可 及び運転期間延長認可の各処分に係る審査及び判断を行うこととされたことにかんがみると、炉規法が定める各処分の基準への適合性の判断については、原子力規制委員会の専門技術的裁量に委ねる趣旨と解するのが相当である。 (2) 審理・判断の方法及び主張・立証の在り方について以上の点を考慮すると、 定める各処分の基準への適合性の判断については、原子力規制委員会の専門技術的裁量に委ねる趣旨と解するのが相当である。 (2) 審理・判断の方法及び主張・立証の在り方について以上の点を考慮すると、炉規法が定める基準への適合性の判断の適否が争 われる発電用原子炉設置(変更)許可処分、工事計画認可処分、保安規定(変更)認可処分及び運転期間延長認可処分の各取消訴訟又は無効確認訴訟における裁判所の審理及び判断は、原子力規制委員会の専門技術的な審査及び判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、上記審査において用いられた具体的審査基準に不合 理な点があり、又は、当該発電用原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認められる場合には、原子力規制委員会の上記審査及び判断に不合理な点があるものとして、上記審査及び判断に基づく処分は違法と解すべきである。 そして、上記炉規法の定める各処分が上記のような性質を有することにかんがみると、原子力規制委員会がした上記審査及び判断に不合理な点があることの主張立証責任は、本来、原告らが負うべきものと解されるが、上記の基準への適合性の審査に関する資料を全て被告の行政機関である原子力規制委員会の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告において、まず、 その依拠した上記具体的審査基準並びに審査及び判断の過程等、原子力規制 委員会の審査及び判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告がこの主張、立証を尽くさない場合には、原子力規制委員会がした上記審査及び判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。 な の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告がこの主張、立証を尽くさない場合には、原子力規制委員会がした上記審査及び判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。 なお、設置法の制定とこれによる炉規法等の改正に伴い、原子力安全委員 会等が定めていた安全指針類の内容の一部に相当するものが、原子力規制委員会規則として制定されたところ、設置法26条により原子力規制委員会に規則の制定権が付与され、炉規法の委任という民主的正統性を有する法規命令として設置許可基準規則、技術基準規則、実用炉規則等が制定されているから、原子力規制委員会規則については、それが炉規法の委任の範囲を逸脱 するなどし、違法無効でない限りは、行政主体と私人の関係の権利義務に関する一般的規律として外部的効果を有するものであり、その不合理性は司法審査の対象にはならないというべきである。また、新規制基準のうち原子力規制委員会規則以外のものについては、審査における用いられ方を踏まえて、その不合理性を判断すべきである。 (3) 本件各処分の審理対象について炉規法(平成28年各処分時のもの)は、その規制の対象を、製錬事業(第2章)、加工事業(第3章)、原子炉の設置、運転等(第4章)、貯蔵事業(第4章の2)、再処理事業(第5章)、廃棄事業(第5章の2)、核燃料物質等の使用等(第5章の3)、国際規制物資の使用等(第6章の2)等に分け、それ ぞれにつき原子力規制委員会の指定、許可、認可等を受けるべきものとしているのであるから、第4章所定の原子炉の設置、運転等に対する規制は、専ら原子炉設置の許可等の同章所定の事項をその対象とするものであって、他の各章において規制することとされている事項までをその対象とするものでないことは明らかである。 の設置、運転等に対する規制は、専ら原子炉設置の許可等の同章所定の事項をその対象とするものであって、他の各章において規制することとされている事項までをその対象とするものでないことは明らかである。 また、炉規法第4章の原子炉の設置、運転等に関する規制の内容をみると、 発電用原子炉の設置の許可、変更の許可(同法43条の3の5、同条の3の8)のほかに、工事の計画の認可(同法43条の3の9)、使用前検査(同法43条の3の11)、保安規定の認可(同法43条の3の24)、定期事業者検査(同法43条の3の16)、運転期間の延長の認可(同法43条の3の32)、原子炉の廃炉措置の認可(同法43条の3の34)等の各規制が定めら れており、これらの規制が段階的に行われることとされている。したがって、原子炉の設置の許可の段階においては、専ら当該原子炉の基本設計のみが規制の対象となるのであって、後続の工事の計画の認可(同法43条の3の9)の段階で規制の対象とされる当該原子炉の具体的な詳細設計及び工事の方法は規制の対象とはならず、設置(変更)許可処分の取消訴訟において審理、 判断の対象となる事項は、基本設計に関わる事項に限られ、工事計画認可処分の段階においては、当該発電用原子炉施設の具体的な設計や工事方法といった詳細設計の妥当性を審査するものであって、工事計画認可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となる事項は、詳細設計に関わる事項に限られるというべきである。 また、保安規定(変更)認可処分の審査においては、炉規法43条の3の24第1項が委任する実用炉規則92条1項各号に掲げる事項について定めた保安規定を確認することで、保安規定(変更)認可申請が炉規法43条の3の24条2項に規定する「核燃料物質若しくは核燃料物質によって 4第1項が委任する実用炉規則92条1項各号に掲げる事項について定めた保安規定を確認することで、保安規定(変更)認可申請が炉規法43条の3の24条2項に規定する「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないと認めるとき」に該 当するかどうかを審査するものであるから、保安規定(変更)認可処分に係る取消訴訟において審理、判断の対象となるのは、上記申請に係る保安規定の妥当性に関わる事項に限られ、このうち、実用炉規則(令和2年原子力規制委員会規則第3号による改正前のもの)82条2項、92条1項25号の高経年化対策に係る保安規定変更認可処分の審査においては、高経年化技術 評価の技術的妥当性や同評価の結果を踏まえて長期保守管理方針が策定さ れているかを確認することで、保安規定変更認可申請が炉規法43条の3の24条2項の要件に該当するかどうかを審査するものであるから、高経年化技術評価に係る本件保安規定変更認可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となるのは、高経年化技術評価及び長期保守管理方針の妥当性に関わる事項に限られるというべきである。 そして、運転期間延長認可処分の審査においては、申請に至るまでの間の運転に伴い生じた発電用原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検(特別点検)が適切に実施され、それを踏まえ、延長しようとする期間における運転に伴い生ずる発電用原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価(劣化状況評価)及び運転しようとする期間における発電用原子 炉その他の設備についての保守管理に関する方針(保守管理方針)の策定が適切に実施されていること等を確認することで、実用炉規則114条の規定する認可の基準への適合性を審査するものであるから、運転期間 炉その他の設備についての保守管理に関する方針(保守管理方針)の策定が適切に実施されていること等を確認することで、実用炉規則114条の規定する認可の基準への適合性を審査するものであるから、運転期間延長認可処分に係る取消訴訟において審理、判断の対象となるのは、特別点検の結果、劣化状況評価及び保守管理方針の妥当性に関わる事項に限られるというべき である。(以上につき、伊方最高裁判決参照)これは、平成29年法律第15号による炉規法改正により、同法43条の3の9の「工事の計画の認可」が「設計及び工事の計画の認可」へと改正され、同法43条の3の11の「使用前検査」が「使用前事業者検査等」へと改正されるなどした後であっても変わるものではない。 (4) 無効確認の要件についてア処分の無効原因については、処分要件の存在を肯定する処分庁の認定に重大かつ明白な誤認があると認められる場合を指すものと解すべきである(最高裁昭和34年9月22日第三小法廷判決・民集13巻11号1426頁)とされ、また、裁量処分の無効原因についても、行政庁が行政処分 をするにあたってした裁量権の行使がその範囲を超え又は濫用にわたり、 したがって、右行政処分が違法であり、かつ、その違法が重大かつ明白であることを原告らにおいて主張・立証することを要するものと解するのが相当である(最高裁昭和42年4月7日第二小法廷判決・民集21巻3号572頁)とされている。 処分の無効原因としての瑕疵の重大性とは、行為に内在する瑕疵が重要 な法規違反であることをいい、処分の無効原因としての瑕疵の重大性とそれによってもたらされる結果の重大性とは区別されなければならず、処分の瑕疵によってもたらされる結果に着目してその重大性の有無を論ずるのは、相当ではない。 い、処分の無効原因としての瑕疵の重大性とそれによってもたらされる結果の重大性とは区別されなければならず、処分の瑕疵によってもたらされる結果に着目してその重大性の有無を論ずるのは、相当ではない。 無効事由に該当する瑕疵が認められるのは、取消訴訟の手続によること なくその主張を認めることが相当と認められる場合であるから、出訴期間を経過しても、その瑕疵を争わせるに足りるものであるような顕著な違法があることが必要というべきであり、処分に重大な瑕疵があることに加え、瑕疵の存在が明白に認められることを要するというべきである(最高裁昭和30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2070頁、同昭 和31年7月18日大法廷判決・民集10巻7号890頁等)。そして、瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白であることを指すものと解すべきであり、また、瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである(最高裁昭和36年3月7日第三小法 廷判決・民集15巻3号381頁)。また、客観的に明白ということは、特に権限ある国家機関の判断を待つまでもなく、何人の判断によっても、ほぼ同一の結論に到達し得る程度に明らかであることを指すものと解すべきである(最高裁昭和37年7月5日第一小法廷判決・民集16巻7号1437頁)。 そして、炉規法43条の3の23は、発電用原子炉施設の位置、構造若 しくは設備が同法43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと認めるとき、発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は発電用原子炉施設の保全、発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質に 適合していないと認めるとき、発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は発電用原子炉施設の保全、発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が同法43条の3の22条1項の 規定に基づく原子力規制委員会規則(実用炉規則)の規定に違反していると認めるときは、その発電用原子炉設置者に対し、当該発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる旨を規定しており、重大な違法が認められるときは当該措置の義務付けを求めることもできる のであるから、明白性の要件を要求することにより、原子力発電所の設置、運転等に係る重大な違法があるにもかかわらず、これを是正することができずに不都合な結果をもたらすということはできない。 イ本件において無効確認の対象となる保安規定変更認可処分についてみても、これを受けた発電用原子炉設置者に対する授益処分であり、原子炉施 設を運営管理するために必要な人員の配置や管理方針を策定した当該処分の名宛人自身はもとより、原子炉施設の運営に関わる多数の利害関係人の利害が関わっているから、第三者の不利益をおよそ考慮する必要がなく、出訴期間の経過にかかわらず、不利益を解消することが強く要請される事案とは異なる。 ウ以上からすれば、保安規定(変更)認可の無効確認訴訟においても、瑕疵の存在の明白性を不要とすべき例外的事情は認められず、原則どおり同要件が必要であると解すべきである。 (5) 原告らの主張についてア原告らは、科学の不確実性や原子力発電所の事故の特殊性に照らし、「疑 わしきは安全のために」という基本方針 原則どおり同要件が必要であると解すべきである。 (5) 原告らの主張についてア原告らは、科学の不確実性や原子力発電所の事故の特殊性に照らし、「疑 わしきは安全のために」という基本方針を採用し、本件各処分に係る新規 制基準の内容に、原告らの指摘するような不合理な点がないこと(基準合理性審査)並びに原子力規制委員会による新規制基準適合性の審査及び判断の過程において、原告らの指摘するような過誤、欠落の存在するおそれがないこと(基準適合性審査)の各点について、被告が相当の資料に基づいて立証を尽くさなければ、本件各処分を違法として取消し又は無効確認 を認めるべきであると主張する。 しかしながら、設置法は、専門技術的な知見を有し、行政機関から独立性を有する3条委員会として原子力規制委員会を設置し、炉規法は、これを前提として、原子力規制委員会が、設置変更許可、工事計画認可、保安規定(変更)認可、運転期間延長認可等の各処分において、各処分の要件 を満たすと判断する場合に各処分をする旨を定めていることからすると、上記各処分に当たって原子力規制委員会に専門技術的裁量があることは明らかであり、上記各処分に対する司法審査においては、裁判所が原子力規制委員会に代わって判断代置型審査を行うことは予定されておらず、このような原子力規制委員会の専門技術的裁量に基づく判断に不合理な点 があるか否かという観点から行われるべきであるから、これと異なる原告らの主張は採用できないイ原告らは、新規制基準の下での再稼働にかかわる審査・検査に関しては、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時期に受け付け、ハード・ソフト両面から一体的に審査を実施することとし、ま た、運転期間延長にかかわる審査・検査において 関しては、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時期に受け付け、ハード・ソフト両面から一体的に審査を実施することとし、ま た、運転期間延長にかかわる審査・検査においては、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時に受け付け、一体的な審査の実施が求められているなど、基本設計と詳細設計の区別は希薄化しており、本件は再稼働かつ運転期間延長に関わる平成28年各処分の取消しを求めるものであるから、詳細設計も設置変更許可処分の司法審査の対象 となるべきと主張する。 しかしながら、再稼働や運転期間延長にあたって設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時に審査するとしても、それぞれの処分ごとに、それぞれの審査基準に照らした審査をするのであるから、設置変更許可処分において詳細設計が司法審査の対象となるものではなく、あくまで工事計画認可において司法審査の対象となるというべきで ある。 ウそのほか、原告らは、運転期間延長認可処分についてはより厳格に司法審査をすべきである、行政庁の判断に不合理な点がないことについて被告が主張立証責任を負うべきである、令和2年保安規定変更認可無効確認の訴えにおいて明白性の要件は不要であるなどと主張するが、上記に説示し たとおり、いずれも当裁判所の判断と異なるものであり、採用することができない。 第7 当裁判所の判断(地震に関する争点) 1 認定事実(地震)(1) 地震に関する規制の概要 ア設置(変更)許可関係(ア) 炉規法43条の3の6第1項4号は、設置(変更)許可をするための要件として「発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防 ア) 炉規法43条の3の6第1項4号は、設置(変更)許可をするための要件として「発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合す るものであること」を規定し、同号の委任を受けた設置許可基準規則は、「設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない」(4条1項)、その「地震力は、地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない」(同条2項)、 「耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼ すおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(基準地震動による地震力)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」(同条3項)と規定する。 (イ) 設置許可基準規則4条に関する設置許可基準規則解釈(乙B5・122~132頁)は、同条の解釈について、別記2のとおりとする旨を定 めており、その概要は、別紙8設置許可基準規則解釈の別記2の概要のとおりである。 また、原子力規制委員会は、設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈の趣旨を十分踏まえ、基準地震動及び基準津波の策定並びに地盤の安定性評価等に必要な調査及びその評価の妥当性を厳格に確認するため に活用することを目的として地質ガイド(乙B20)を定め、さらに、設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈の趣旨を十分踏まえ、基準地震動の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的として地震ガイド(乙B21)を定めている。地質ガイド及び地震ガイドは、規制基準に関連する内規(行政手続 可基準規則解釈の趣旨を十分踏まえ、基準地震動の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的として地震ガイド(乙B21)を定めている。地質ガイド及び地震ガイドは、規制基準に関連する内規(行政手続法上の審査基準に該当しないもの)に 位置付けられるものであり、これら以外の手法等であっても、その妥当性が適切に示された場合には、その手法等を用いることは妨げないとされている(地質ガイド及び地震ガイドの各附則)。 地質ガイドの概要は、別紙9地質ガイドの概要のとおりであり、地震ガイドの概要は、別紙10地震ガイドの概要のとおりである。 (ウ) 地震ガイドは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の「断層モデルを用いた手法による地震動評価」における震源断層のパラメータは、地震調査研究推進本部(推本)による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)等の最新の研究成果を考慮することとしており、レシピ(甲D153、乙D1、90)の概要は、別紙11レシピの概要 のとおりである。 イ工事計画認可(平成29年法律第15号による改正後は、設計及び工事の計画の認可)関係(ア) 平成29年法律第15号による改正前の炉規法43条の3の9第1項は、「発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(括弧内略)をしようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところによ り、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならない」と規定し、同条3項は、発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること(同法43条の3の9第3項2号)等を工事計画認可の要件としている。平成29年法律第15号による改正前の同法43条の3の14本文 は、「発電用原子炉 14の技術上の基準に適合するものであること(同法43条の3の9第3項2号)等を工事計画認可の要件としている。平成29年法律第15号による改正前の同法43条の3の14本文 は、「発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」と規定し、原子力規制委員会は、この委任を受けて技術基準規則を定め、その解釈として技術基準規則解釈(乙B9)を定めている。 (イ) また、原子力規制委員会は、発電用軽水型原子炉施設の工事計画認可 に係る耐震設計に関わる審査において、審査官等が設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈並びに技術基準規則及び技術基準規則解釈の趣旨を十分踏まえ、耐震設計の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的として、耐震工認審査ガイド(乙B60)を定めており、耐震工認審査ガイドは、規制基準に関連する内規に位置づけられるものであ り、耐震工認審査ガイドに記載されている手法等以外の手法等であっても、その妥当性が適切に示された場合には、その手法等を用いることは妨げないとされている(同ガイドの附則)。 耐震工認審査ガイドの概要は、別紙12耐震工認審査ガイドの概要のとおりである。 (ウ) さらに、耐震工認審査ガイドは、機器・配管系の減衰定数について、 JEAG4601 の規定を参考に設定するものとしているところ、機器・配管系の工事計画認可に関するJEAG4601 の概要は、別紙13機器・配管系の工事計画認可に関するJEAG4601 の概要のとおりである。 (乙B13・16、17頁、乙B60・1、25、39頁、乙B172・16~18頁)(エ) 技術基準規則5条は、設計基準対象施設は、これに作用する地震力に よる損壊により公衆 のとおりである。 (乙B13・16、17頁、乙B60・1、25、39頁、乙B172・16~18頁)(エ) 技術基準規則5条は、設計基準対象施設は、これに作用する地震力に よる損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設しなければならない(1項)、 耐震重要施設は、基準地震動による地震力に対してその安全性が損なわれるおそれがないように施設しなければならない(2項)と規定し、技術基準規則解釈(乙B9・17頁)は、技術基準規則5条2項について、設置許可基準規則4条3項の規定に基づき設置許可 で確認した設計方針に基づき、耐震重要施設が、同項の基準地震動による地震力に対し、施設の機能を維持していること又は構造強度を確保していることをいうと規定する。 ウ使用前検査関係(ア) 原子力規制委員会は、発電用原子炉設置者が実際に当該工事に係る発 電用原子炉施設を使用する前に使用前検査を実施し、上記工事が既に認可を受けた工事の計画に従って行われたものであるか否か及び技術基準規則で定める技術上の基準に適合するものであるか否かを確認する(炉規法43条の3の11第2項)。 (イ) 1次冷却設備等の耐震設計については、工事計画認可の段階で、詳細 設計の妥当性を審査し、その上で、現実に工事がされた物に対し使用前検査を行うことによって、認可された工事計画どおりに実際に工事されているか否かを確認することとなっている(炉規法43条の3の9第1~3項、43条の3の11第2項)。 エ運転期間延長認可関係 (ア) 平成29年法律第15号による改正前の炉規法43条の3の32第 5項は、運転期間延長認可の要件として、認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、延長しよ 号による改正前の炉規法43条の3の32第 5項は、運転期間延長認可の要件として、認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、延長しようとする期間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合していると認められることを規定し、同項による委任を受けた実用炉規則114条は、運転期間延 長認可の基準として、「延長しようとする期間において、原子炉その他の設備が延長しようとする期間の運転に伴う劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合するもの」であることを規定している。 (イ) 原子力規制委員会は、実用炉規則114条の要求事項への適合性審査をするに当たって確認すべき事項をまとめたものとして、運転期間延長 審査基準(乙B10)を定めており、運転期間延長審査基準は、実用炉規則113条2項2号に掲げる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価(劣化状況評価)の結果、延長しようとする期間において、①同評価の対象となる機器・構造物が同基準の表に掲げる要求事項(運転延長)に適合すること、又は②同評価の結果、要求事項(運転延 長)に適合しない場合には同項3号に掲げる延長しようとする期間における原子炉その他の設備についての保守管理方針の実施を考慮した上で、延長しようとする期間において要求事項(運転延長)に適合することを求めている。そして、運転期間延長審査基準は、劣化状況評価の対象となる機器・構造物に関する耐震安全性評価に関する要求事項(運転延長) として、「経年劣化事象を考慮した機器・構造物について地震時に発生する応力及び疲労累積係数を評価した結果、耐震設計上の許容限界を下回ること。」等を求めている。(乙B10・4頁)(2) ) として、「経年劣化事象を考慮した機器・構造物について地震時に発生する応力及び疲労累積係数を評価した結果、耐震設計上の許容限界を下回ること。」等を求めている。(乙B10・4頁)(2) 新規制基準の策定経緯ア原子力規制委員会発足前の原子力安全委員会及び原子力安全・保安院に おける検討概要等 (ア) 原子力安全委員会及び地震等検討小委員会における検討等原子力安全委員会の耐震指針検討分科会は、約5年にわたり43回の会合を重ね、3つのワーキンググループを設けた検討を行い、福島第一原発事故が起こる前の平成18年9月、当時の地質学、地形学、地震学、地盤工学、建築工学及び機械工学等の専門家らによる検討を踏まえて、 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(旧耐震指針)を改訂した(平成18年耐震指針)。平成18年耐震指針は、旧耐震指針が応答スペクトルに基づく地震動評価を中心として基準地震動S1、S2を策定することとしていたのに対し、断層モデルを用いた手法による地震動評価を取り入れ、震源を特定せず策定する地震動の評価手法を大きく変更し、 基準地震動Ssを策定することとするなど、基準地震動の策定方法を大幅に変更するものであった。(甲B17、乙B45、172・46頁)平成23年3月、地震及び津波を原因とした福島第一原発事故が発生したことから、原子力安全委員会に設置された専門部会である原子力安全基準・指針専門部会は、安全確保策の抜本的な見直しについて検討す るため、新たに地震及び津波に関する専門家17名を構成員とする地震等検討小委員会を設置した。 地震等検討小委員会は、平成23年7月12日から平成24年2月29日までの間、合計14回の会合を開催し、東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波の分析に加 成員とする地震等検討小委員会を設置した。 地震等検討小委員会は、平成23年7月12日から平成24年2月29日までの間、合計14回の会合を開催し、東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波の分析に加えて、女川発電所、福島第一発電所、福島第 二発電所及び東海第二発電所で観測された地震、津波の観測記録等の分析を行うとともに、東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波に係る知見並びに福島第一原発事故の教訓を整理したほか、平成18年の耐震指針の改訂後に実施された耐震バックチェックによって得られた経緯及び知見を整理し、推本(文部科学省)、中央防災会議(内閣府)、国土交通 省等の他機関における東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う津波につい ての検討結果に加えて、土木学会における検討状況、世界の津波の事例及びIAEAや米国の原子力規制委員会等の規制状況、福島第一原発事故に関連した調査報告書も踏まえて平成18年耐震指針及び関連指針類に反映させるべき事項について検討を行い、想定外の地震が発生したことを踏まえて、「残余のリスク」に係る事項についても検討を行った。 以上の検討を踏まえ、地震等検討小委員会は、平成24年3月14日付けで平成18年耐震指針の改訂案や、耐震や耐津波に関する安全審査で用いるための審査の手引きの改訂案を取りまとめ、原子力安全基準・指針専門部会は、平成24年3月、これらの改訂案を原子力安全委員会に対して報告した。(以上につき、乙B22~29、172) (イ) 原子力安全・保安院における検討原子力安全委員会は、平成23年4月、東北地方太平洋沖地震等の知見を反映して、原子力安全・保安院に対し、耐震安全性に影響を与える地震に関して評価を行うよう意見を述べた。 原子力安全・保安院は、同年9月、事業者より報告さ 成23年4月、東北地方太平洋沖地震等の知見を反映して、原子力安全・保安院に対し、耐震安全性に影響を与える地震に関して評価を行うよう意見を述べた。 原子力安全・保安院は、同年9月、事業者より報告された東北地方太 平洋沖地震及びこれに伴う津波による原子力発電所への影響などの評価結果について、学識経験者の意見を踏まえた検討を行うこと等により、地震・津波による原子力発電所への影響に関して的確な評価を行うため、地震・津波に関する意見聴取会及び建築物・構造に関する意見聴取会を設置し、審議を行った。 地震・津波に関する意見聴取会においては、東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う津波について、福島第一発電所、福島第二発電所、女川発電所及び東海第二発電所における地震動及び津波の解析・評価を行い、これに基づく同地震に関する新たな科学的・技術的知見について、耐震安全性評価に対する反映方針が検討された。 建築物・構造に関する意見聴取会においては、上記の各原子力発電所 における建物・構築物、機器・配管系の地震応答解析の評価、津波による原子炉施設の被害状況を踏まえた影響評価を行い、これに基づく東北地方太平洋沖地震に関する新たな科学的・技術的知見について、耐震安全性評価に対する反映方針が検討された。 これらの意見聴取会において、それぞれ報告書が取りまとめられ、平 成24年2月、原子力安全委員会に報告された。(以上につき、乙B71~77、172・47、48頁)イ原子力規制委員会における検討等(ア) 原子力規制委員会は、設置法に基づき炉規法が改正されたことなどを踏まえ、重大事故等への対策、地震及び津波以外の自然現象への対策に 関する設計基準に加え、これまで原子炉設置許可の基準として用いられてきた原子力安全委員会が 基づき炉規法が改正されたことなどを踏まえ、重大事故等への対策、地震及び津波以外の自然現象への対策に 関する設計基準に加え、これまで原子炉設置許可の基準として用いられてきた原子力安全委員会が策定した安全設計審査指針等の内容を見直した上で、原子力規制委員会が定めるべき基準を検討するため、J1委員を担当委員とする原子炉施設等基準検討チームを構成した。また、自然現象に対する設計基準のうち、地震及び津波対策については、原子力 規制委員会の前身である原子力安全委員会に設置された地震等検討小委員会の検討も踏まえた上で、原子力規制委員会が定めるべき基準を検討するため、元日本地震学会会長のJ6委員長代理を担当委員とする地震等基準検討チームを構成した。それぞれの検討チームは、原子力規制庁職員も参加し、また、関係分野の学識経験者を有識者として同席を求め、 専門技術的知見に基づく意見等を集約する形で規制基準の見直しが行われた。(乙B78、79、172・48、49頁)(イ) 地震等基準検討チームにおいては、平成24年11月19日から平成25年6月6日までの間、発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる設置許可基準規則等策定のため、地震、津波及び地盤等の専門技術的 知見を有する学識経験者6名をメンバーとし、検討内容に応じて地形学、 地震、津波及び建築に関する学識経験者も参加して、合計13回の会合が開催され、種々の検討がされた。 地震等基準検討チームは、上記の検討結果を踏まえ、地震・津波に関する新規制基準の骨子案を作成し、これについて、原子力規制委員会が平成25年2月に意見公募手続を行った結果も踏まえ、基準案を取りま とめた。(以上につき、乙B30~44、78、79、84、85、172・51~53頁)(ウ) 原子 いて、原子力規制委員会が平成25年2月に意見公募手続を行った結果も踏まえ、基準案を取りま とめた。(以上につき、乙B30~44、78、79、84、85、172・51~53頁)(ウ) 原子力規制委員会は、上記基準案に対し、行政手続法に基づいて平成25年4月11日から1か月間の意見公募手続を行い、その上で、設置許可基準規則等の規則及び当該規則の解釈を策定するとともに、発電用 原子炉の設置許可に係る基準適合性審査で用いる各種審査ガイドを策定した。 そして、原子力規制委員会は、平成25年6月19日、設置許可基準規則解釈、地震ガイド等を含むいわゆる新規制基準を策定した。(以上につき、乙B21、87、172・53頁) (3) 本件設置変更許可処分における設置許可基準規則4条(地震による損傷の防止)についての審査等ア参加人は、本件設置変更許可申請に係る申請書(補正後)、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。 (ア) 本件原子炉の敷地周辺の地震発生状況の調査・評価として、過去の被 害地震について、地震資料及び明治以降の地震観測記録をもとに主な地震の震央位置、地震規模等を取りまとめた資料等から、本件原子炉からの震央距離が200㎞程度以内の主な被害地震を確認し、それらのうち、本件原子炉敷地に大きな影響(震度Ⅴ程度以上。現在の震度5弱程度以上)を及ぼすと考えられる11個の地震を、検討用地震の候補として抽 出した。抽出された過去の被害地震は、活断層との関連や地震の発生深 さから、いずれも内陸地殻内地震とした。その他、プレート間地震については、南海トラフに沿って有史以来M8クラスの大地震が繰り返し発生しているが、その震央は本件原子炉から概ね200㎞を超えて離れており、本件原子炉敷地で震度Ⅴ以上の した。その他、プレート間地震については、南海トラフに沿って有史以来M8クラスの大地震が繰り返し発生しているが、その震央は本件原子炉から概ね200㎞を超えて離れており、本件原子炉敷地で震度Ⅴ以上の揺れが想定される地震はなく、海洋プレート内地震については、それら地震の多くが近畿中南部で発生し ており、本件原子炉敷地から離れた場所で発生しているため、いずれも敷地へ及ぼす影響は大きくないとした。(丙C3・3~4、6頁、丙C4・添付書類六・6-4-2、6、7、27~32、65、67頁)(イ) 地質・地質構造の調査として、本件原子炉の敷地周辺地域は、活断層が繰り返し活動しており、活断層の発達過程が「未成熟」ではなく、活 動の痕跡が地表に現れている地域であることから、その現れた痕跡である地表地震断層を調査することで震源断層を把握することができる地域である。参加人は、本件原子炉敷地周辺の陸域及び海域を対象に文献調査を実施し、概ね半径100㎞の範囲の地形及び地質・地形構造を把握するとともに、文献に記載されている活断層を抽出した。次に、本件原 子炉から少なくとも半径30㎞以内について次のとおり多様な調査を行った。(丙C4・添付書類六・6-1-3~6、6-4-3頁)a 陸域の調査(a) 活断層の有無やその位置等を把握するため、空中写真判読、航空レーザー測量等を用いて変動地形学的調査を行った。(丙C4・添付 書類六・6-1-4、5頁)(b) 文献調査及び変動地形学的調査により活断層又は変動地形・リニアメントの可能性があるとされた地形について、稠密な地表踏査を行い、さらにトレンチ調査、ピット調査、ボーリング調査、剥ぎ取り調査、反射法地震探査といった多様な手法を用いて地表地質調査 等を実施し、後期更新世以降(約12~ 地形について、稠密な地表踏査を行い、さらにトレンチ調査、ピット調査、ボーリング調査、剥ぎ取り調査、反射法地震探査といった多様な手法を用いて地表地質調査 等を実施し、後期更新世以降(約12~13万年前以降)に堆積し た地層における断層活動の痕跡の有無を確認し、変位・変形が確認できた場合は、「震源として考慮する活断層」とした。(丙C4・添付書類六・6-1-5頁)(c) 本件原子炉敷地の地質は、江若花崗岩とこれに貫入するドレライト及びこれらを覆って分布する第四系より構成される。江若花崗岩 は、細粒黒雲母花崗岩及び粗粒黒雲母花崗岩である。ドレライトは黒色を呈し、斜長石及び輝石の斑晶が認められる緻密で堅硬な岩石であり、岩脈として江若花崗岩に貫入し、小規模に分布する。第四系は主に沖積層からなる。(丙C4・添付書類六・6-1-129、130頁) ボーリングコアの採取率はほぼ100%であり、基礎岩盤は非常に安定した岩盤であると考える。(丙C4・添付書類六・6-1-138頁)b 海域の調査参加人は、地質調査所(現在の産総研)及び海上保安庁等が行った 海上音波探査記録を用いて地質・地質構造を評価するとともに、自らも海上ボーリング調査及び海上音波探査を行った。この際、参加人は、海上ボーリング調査で採取した堆積物や岩石を分析し、海域に堆積している地層の年代と深度を把握した上で、海上音波探査を行った。これらの調査により、陸域と同様、後期更新世以降の断層活動の有無を 確認し、敷地に与える影響が大きい断層については、その端部や延長部分の付近において、断層の走向に対して直行するように複数の測線を配置し、断層の端部を慎重に評価した。(丙C4・添付書類六・6-1―5、6、211頁)c 参加人は、以上の調査結 、その端部や延長部分の付近において、断層の走向に対して直行するように複数の測線を配置し、断層の端部を慎重に評価した。(丙C4・添付書類六・6-1―5、6、211頁)c 参加人は、以上の調査結果を基に、震源として考慮する活断層のう ち本件原子炉に与える影響が大きいと考えられるC断層、三方断層、 白木-丹生断層、大陸棚外縁~B~野坂断層、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層について、その位置を詳細に把握し、地震動の評価が安全側となるよう、次のとおり、長さや連動の可能性を保守的に評価した。 (a) C断層 既存文献には、C断層について長さ約2㎞~11㎞の小断層が複数示されていた。参加人は、これらの小断層について、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、互いに連続しない複数の小断層であったことを確認したが、近接して分布していることから、一連の断層(C断層)と評価し、その長さを約18㎞と評価した。(丙 C4・添付書類六・6-1-125~127頁、丙C6・312~328頁)(b) 三方断層既存文献には、三方断層について陸域に長さ約18㎞、その北部の海域に長さ約5.5㎞の断層が示されているものや、陸域及び海 域に分布する複数の断層からなる断層帯の長さを約26㎞とするものがあった。参加人は、陸域は地表地質調査等、海域は海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、一連の断層と評価し、その長さを約27㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1-85~94頁、丙C6・353~398頁) (c) 白木-丹生断層既存文献には、白木-丹生断層について陸域に長さ約4㎞のリニアメント、その北部の海域に北から長さ約3㎞、約4㎞及び約2㎞の3条の断 頁、丙C6・353~398頁) (c) 白木-丹生断層既存文献には、白木-丹生断層について陸域に長さ約4㎞のリニアメント、その北部の海域に北から長さ約3㎞、約4㎞及び約2㎞の3条の断層が示されていた。参加人は、陸域では地表地質調査等、海域では海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、一連の断 層と評価し、その長さを約15㎞と評価した。 (丙C4・添付書類六・ 6-1-113~117頁、丙C6・293~311頁)(d) 大陸棚外縁断層既存文献には、大陸棚外縁断層について長さ約9㎞と示されていた。参加人は、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、その長さを約14㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1-77 ~85頁、丙C6・346~351頁)(e) B断層既存文献には、B断層について長さ約13㎞~17㎞と示されていた。参加人は、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、その長さを約21㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1-7 7~85頁、丙C6・339~345頁)(f) 野坂断層既存文献には、野坂断層について長さ約6㎞~約7㎞と示されていた。参加人は、陸域では地表地質調査等、海域では海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、一連の断層と評価し、その長さ を約12㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1-77~85頁、丙C6・330~338頁)(g) 大陸棚外縁断層とB断層と野坂断層の連動参加人は、大陸棚外縁断層とB断層について、①B断層は北西端に向かって変形幅を広げ、横ずれ断層の端部であることを示すとと もに、②B断層は大陸棚外縁断層とはT字状に接していることから、両断層は異なる断層と評価した。 また、B断層と野坂断層についても、①B断 て変形幅を広げ、横ずれ断層の端部であることを示すとと もに、②B断層は大陸棚外縁断層とはT字状に接していることから、両断層は異なる断層と評価した。 また、B断層と野坂断層についても、①B断層が南東端に向かって後期更新世以降の地層の断層活動による変位量が終息すること、また、②B断層と野坂断層の間にはR層(後期更新世より前の岩盤 等)が海底面まで張り出すという、両断層が位置する海域の地層と は異なる状況が見られること等から、両断層は異なる断層と評価した。 もっとも、参加人は、大陸棚外縁断層がB断層とはT字に接しているものの、L字に近い形状であることや、B断層と野坂断層は走向・傾斜が調和的であり、一直線上に分布していること等から、別々 に活動すると完全にいい切れないと判断し、地震動評価にあたっては、十分に保守的な評価を行う観点から、大陸棚外縁断層とB断層と野坂断層が同時活動(連動)して地震を引き起こすケースを想定して、全長約49㎞のひとつながりの断層となる大陸棚外縁~B~野坂断層による地震を考慮することとした。(以上につき、丙C4・ 添付書類六・6-1-85頁、丙C6・352、421頁)(h) 安島岬沖断層参加人は、既存文献に安島岬沖断層が示されていたことから、その文献の基になった海上音波探査のデータの提供を受けて評価を行い、その長さを約22㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1 -25~45頁、丙C6・16~28頁)(i) 和布-干飯崎沖断層既存文献には、和布-干飯崎沖断層について長さ約13㎞と示されていた。参加人は、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、その長さを約41㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1 -25~45頁、丙C6・30~56頁)(j) 約13㎞と示されていた。参加人は、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、その長さを約41㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1 -25~45頁、丙C6・30~56頁)(j) 甲楽城断層既存文献には、甲楽城断層について長さ約15㎞と示されていた。 参加人は、海上音波探査等の調査で得られた記録を検討し、その長さを約19㎞と評価した。(丙C4・添付書類六・6-1-25~4 5頁、丙C6・57~98頁) (k) 安島岬沖断層と和布-干飯崎沖断層と甲楽城断層の連動参加人は、安島岬沖断層(の南東部)と和布-干飯崎沖断層について、①横ずれ断層と逆断層というずれ方の異なる断層であり、②その境界では断層の分布が連続していないことから、両断層は異なる断層と評価した。 また、和布-干飯崎沖断層と甲楽城断層についても、①逆断層と横ずれ断層というずれ方の異なる断層であり、②その境界では鉛直変位量の終息や食い違いが認められたこと、③段丘面の分布に相違が認められたこと等から、両断層は異なる断層と評価した。 もっとも、参加人は、それぞれの断層が近接していることや、断 層の分布が連続していること等から、別々に活動すると完全にいい切れないと判断し、地震動評価にあたっては、十分に保守的な評価を行う観点から、安島岬沖断層と和布-干飯崎沖断層と甲楽城断層が同時活動(連動)して地震を引き起こすケースを想定して、全長約76㎞のひとつながりの断層となる安島岬沖~和布-干飯崎沖~ 甲楽城断層による地震を考慮することとした。 (以上につき、丙C4・添付書類六・6-1-44、45頁、丙C6・136、406頁)(l) 甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層参加人は、文献調査に加え、陸域は地表地質調査等、海域 (以上につき、丙C4・添付書類六・6-1-44、45頁、丙C6・136、406頁)(l) 甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層参加人は、文献調査に加え、陸域は地表地質調査等、海域は海上音波探査等の調査で得られた記録を検討した結果、甲楽城沖断層、 浦底-内池見断層、ウツロギ峠北方-池河内断層について、それぞれ長さ約13㎞、約21㎞及び約24㎞と評価した。また、柳ヶ瀬山断層については既存文献において活断層とされた位置では積極的に活断層の存在を示唆するデータは得られなかった一方、活断層であることを否定する詳細なデータも得られなかったことから、約4 ㎞の活断層と評価した。 参加人は、これらの断層同士は断層の分布が連続していないこと等から異なる断層と評価し、これらの断層が同時活動(連動)する可能性は極めて低いと評価したが、原子力規制委員会における議論も踏まえ、それぞれの断層が近接していること等から、地震動評価にあたっては、十分に保守的な評価を行う観点から、全長約36㎞ のひとつながりの断層となる甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層による地震を考慮することとした。(以上につき、丙C4・添付書類六・6-1-57~68頁、丙C6・195~233、407~409頁)(m) 連動を考慮しない断層 参加人は、本件原子炉の敷地周辺の断層が近接して分布する場合には、より入念に、両断層の活動状況等の異同や、両断層間に分布する地層に断層運動の影響による変位や変形があるか等の地層の性状を確認することにより、両断層を結ぶような構造の有無を確認し、それらが同時に活動する(連動する)可能性を総合的に検討した。 例えば、B断層と三方断層は、①断層の分布が連続していないとともに、②走向が異な とにより、両断層を結ぶような構造の有無を確認し、それらが同時に活動する(連動する)可能性を総合的に検討した。 例えば、B断層と三方断層は、①断層の分布が連続していないとともに、②走向が異なること、③B断層の南部は横ずれが卓越する鉛直の断層であるのに対し、三方断層は東に傾斜する逆断層であり、両断層が近接する箇所付近では、地層の深部になるほど断層面が離れる関係にあること等から、また、C断層と三方断層は、①断層の 分布が連続していないこと、②両断層の間に異なる走向のB~野坂断層が分布していること等から、それらの断層の連動を考慮する必要はないと評価した。(丙C6・423、425頁)d 参加人は、活断層の長さから想定される地震の規模及び震央距離から、本件原子炉敷地に大きな影響を及ぼす(敷地において震度V程度 以上の地震動が生じ得る)と考えられる、C断層等、15個の活断層 による地震を、敷地に影響を及ぼすと考えられる活断層による地震として抽出し、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価に用いる「検討用地震」の候補とした。(丙C3・8頁)(ウ) 地震動評価に影響を与える地域特性の評価a 参加人は、断層傾斜角について、①断層の傾きを評価することがで きる地形調査・地質調査結果等が得られている場合には、それを参照する、②周辺に位置する同じタイプの断層をもとに、断層の傾きを評価することができる場合には、それらを参照する、③断層の傾きに関する調査結果が得られていない等の場合には、広域応力場と断層の方向(走向)との関係に関する既往の知見(一般的に、広域応力場の圧 縮方向に対して、断層が直交する場合は逆断層、走向が斜め方向である場合は横ずれ断層となり 、逆断層の場合は断層傾斜角45°、横ずれ断層の場 の関係に関する既往の知見(一般的に、広域応力場の圧 縮方向に対して、断層が直交する場合は逆断層、走向が斜め方向である場合は横ずれ断層となり 、逆断層の場合は断層傾斜角45°、横ずれ断層の場合は断層傾斜角90°となるとされている)をもとに断層の傾きを評価し、次表のとおり評価した。(丙C5・17~28頁)断層名傾斜角断層のタイプ評価方法C断層60°逆②三方断層60°逆①白木-丹生断層60°逆①大陸棚外縁断層60°右横ずれ①B断層(北部)60°左横ずれ②B断層(南部)90°左横ずれ①野坂断層90°左横ずれ①安島岬沖断層45°逆③和布-干飯崎沖断層45°逆③甲楽城断層90°左横ずれ③ 甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層90°左横ずれ①また、C断層は、本件原子炉の敷地に近い断層であるため、地震動評価では断層の傾きを敷地側により傾斜させた不確かさを考慮したケースも考慮し、その際、C断層と白木-丹生断層が地表(海底)で最も近い位置にある場合でも、地震発生層の下端で両断層が交差しない限度にまで最大限傾斜させて、55°とした。(丙C4・添付書類六・ 6-4-42頁、丙C5・16~28頁)b 参加人は、断層の幅(地震発生層の深さ)について、上端深さをできるだけ浅く評価して4㎞と評価した上、より保守的に3㎞として地震動評価を行った。また、下端深さは、気象庁の震源データを用いた震源深さの分布の検討等、既往の研究結果を用いて、保守的に18㎞ と評価した。これにより、本件原子炉に与える影響が大きいと考えられる活断層の幅は15㎞と評価した は、気象庁の震源データを用いた震源深さの分布の検討等、既往の研究結果を用いて、保守的に18㎞ と評価した。これにより、本件原子炉に与える影響が大きいと考えられる活断層の幅は15㎞と評価した。(丙C3・52、53頁)c 参加人は、地震波の伝播特性のうち内部減衰について、若狭湾付近で発生した20個の中小の内陸地殻内地震の地震記録から同地域のQ値(内部減衰についての媒質に固有の値。小さいほど減衰の効果が大 きい。)についての知見を基に、Q値を50f1・1と設定した。(丙C5・33頁)d 参加人は、本件原子炉敷地の地表面近くの浅部地盤の速度構造について、ボーリング調査による地盤の特徴を調査した上で、PS検層、試掘坑弾性波探査、反射法地震探査等を行い、それらの調査結果を総 合して評価し、敷地浅部にP波速度及びS波速度がそれぞれ約4.0㎞/s、約1.65㎞/s の硬質な地盤が広がっていることを確認した。 その上で、反射法地震探査によって、本件原子炉敷地の地下に、地層 の極端な起伏等の地震波の伝播に影響を与えるような特異な構造が認められないことを確認した。そして、参加人は、本件原子炉の地下構造について、地震動評価上は水平成層構造とみなしてモデル化できると評価し、一次元の速度構造モデルを作成することにした。(丙C3・11~46頁、丙C4・添付書類六・6-4-8、9頁) e 参加人は、微動アレイ観測により、本件原子炉敷地内や周辺地点において、常時存在する地面の小さな揺れの観測を行い、その観測記録を解析して、深部までの地盤の速度構造を評価した。(丙C3・11、28~36頁、丙C4・添付書類六・6-4-9頁)(エ) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価 a 参加人は、上記「敷地周辺の地震発 地盤の速度構造を評価した。(丙C3・11、28~36頁、丙C4・添付書類六・6-4-9頁)(エ) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価 a 参加人は、上記「敷地周辺の地震発生状況の調査・評価」において「検討用地震」の候補として抽出された11個の地震及び上記「地質・地質構造の調査」において「検討用地震」の候補として抽出された15個の活断層による地震を対象に地震の規模及び敷地までの距離に基づいて敷地に与える影響を検討し、本件原子炉敷地への影響が大きい と考えられる地震として、C断層、三方断層、白木-丹生断層、大陸棚外縁~B~野坂断層、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層の6つの断層による地震を、検討用地震として選定し、下記b及びcのとおり、「応答スペクトルに基づく地震動評価」及び「断層モデルを用いた手法によ る地震動評価」を行った。(丙C3・6~10頁、丙C4・添付書類六・6-4-10、32、33頁)b 「応答スペクトルに基づく地震動評価」(a) 参加人は、設置許可基準規則解釈の別記2及び地震ガイドの要求事項を踏まえ、距離減衰式について耐専式を用いることとした。耐 専式は、地震の規模(M)と等価震源距離(Xeq)から応答スペク トルが求められ、これに評価地点の地盤増幅率を乗じることで地震動を評価するものである。(丙C3・56頁、丙C4・添付書類六・6-4-12頁)(b) 耐専式に用いる地震の規模(M)については、松田式を用いた。 (丙C3・56頁、丙C4・添付書類六・6-4-12頁) (c) 耐専式は、その開発に当たって基礎とされた地震観測記録群に、等価震源距離が「極近距離」よりも著しく短い場合のデータは含まれず、「 丙C3・56頁、丙C4・添付書類六・6-4-12頁) (c) 耐専式は、その開発に当たって基礎とされた地震観測記録群に、等価震源距離が「極近距離」よりも著しく短い場合のデータは含まれず、「極近距離」より短くなるにつれて実際の地震動に比べて大きな評価結果が得られる傾向があるとされている。本件原子炉の検討用地震のうち、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層は「極近距 離」以上の等価震源距離があった。また、C断層、三方断層、白木-丹生断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層は「極近距離」より若干短く、実際の地震動に比べて大きな評価結果になる可能性があったが、「極近距離」からの乖離の程度が小さいこともあり、保守的に評価する観点から、安島岬沖~和布-干飯 崎沖~甲楽城断層による地震の地震動評価のみならず、C断層、三方断層、白木-丹生断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層による地震の地震動評価についても耐専式を適用することとした。 一方、大陸棚外縁~B~野坂断層の等価震源距離は、「極近距離」 より著しく短いため、同断層による地震の地震動評価については、耐専式を用いるのは不適当と判断し、耐専式以外の各種の距離減衰式により応答スペクトルを求めることとした。 参加人は、平成18年耐震指針において、震源が評価対象地点に近く、その破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると考えられ る地震については、「断層モデルを用いた手法による地震動評価」を 重視すべきであるとされ(乙B1・223頁)、地震ガイドにおいても同様であることから、大陸棚外縁~B~野坂断層による地震の地震動評価については、「断層モデルを用いた手法による地震動評価」を重視することとし、各種の距離減衰式によって求めた応 、地震ガイドにおいても同様であることから、大陸棚外縁~B~野坂断層による地震の地震動評価については、「断層モデルを用いた手法による地震動評価」を重視することとし、各種の距離減衰式によって求めた応答スペクトルは、あくまで「断層モデルを用いた手法による地震動評価」の 妥当性を検討するために用いるものとした。 (丙C3・57、58頁、丙C4・添付書類六・6-4-12、102頁)(d) 耐専式は、内陸地殻内地震に適用できるとして用意されている低減係数である内陸補正係数0.6があるが、保守的に評価する観点から用いないこととした。(丙C4・添付書類六・6-4-12頁) (e) アスペリティの配置は、等価震源距離が短くなるよう、断層面のうち本件原子炉に近い位置にアスペリティを配置した。(丙C3・61、62、64、66、68、70、72頁、丙C4・添付書類六・6-4-11、12、95~101頁)(f) 断層傾斜角は、上記(ウ)a のとおり評価したが、C断層について、 不確かさを考慮したケースとして、保守的に等価震源距離が短くなるよう55°としたケースを設定した。(丙C3・60、62頁、丙C5・28頁)(g) 本件原子炉敷地の解放基盤表面のP波速度及びS波速度は、それぞれ4.0㎞/s、1.65㎞/s と評価するとともに、地震波の局所 的な集中を生じさせるような特異な地下の速度構造がなく、耐専式で得られる評価結果を補正する必要がないことを確認した。(丙C3・20、54頁)(h) 耐専式を用いない大陸棚外縁~B~野坂断層の地震については、9個の距離減衰式のそれぞれに、震源から敷地までの距離、地震の 規模等、距離減衰式ごとに必要となるパラメータを入力して、応答 スペクトルを求めた。その際、断層の上端 地震については、9個の距離減衰式のそれぞれに、震源から敷地までの距離、地震の 規模等、距離減衰式ごとに必要となるパラメータを入力して、応答 スペクトルを求めた。その際、断層の上端の深さを保守的に3㎞と設定し、各種の距離減衰式において提案されている補正式がある場合はそれを用いて地盤の硬さを踏まえた補正を行うなどして、各種の距離減衰式の諸元となった地盤の硬さと本件原子炉敷地の地盤の硬さの差異を考慮した。(丙C3・58頁、丙C4・添付書類六・6 -4-12、13、54頁)c 「断層モデルを用いた手法による地震動評価」(a) 参加人は、短周期側について統計的グリーン関数法を用いて計算した地震動と、長周期側について理論的方法を用いて計算した地震動とを組み合わせる、ハイブリッド合成法を用いて波形合成を行う こととした。(丙C4・添付書類六・6-4-13頁、丙C5・29~32頁)(b) 震源断層面積(S)は、保守的な条件により設定した震源となる断層の長さ(L)及び断層の幅(W)から求め、不確かさの考慮として、C断層について、断層傾斜角を55°にしたケースも設定し た。(丙C4・添付書類六・6-4-46頁、丙C5・34頁)(c) 参加人は、レシピで提案されている入倉・三宅式を用いて、震源断層面積から地震モーメントを求めた。(丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙C5・33、35~37、41、45頁) (d) 参加人は、レシピで提案されている壇ほか式を用いて、地震モーメントから短周期レベルを求めた。(丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙C5・33、35~37、41、45頁)(e) 参加人は、新潟県中越沖地震の短周期レベルが平均的な短周期レ 短周期レベルを求めた。(丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙C5・33、35~37、41、45頁)(e) 参加人は、新潟県中越沖地震の短周期レベルが平均的な短周期レ ベルの1.5倍であったとの新たな知見について、基本ケースとす るのではなく、不確かさとして考慮することとして、短周期の地震動レベルを1.5倍とするケースも設定した。 (丙C4・添付書類六・6-4-40、41頁)(f) 参加人は、短周期レベルからアスペリティ面積を求めた。レシピにおいては、壇ほか式からアスペリティ面積を求める方法も示され ているが、その方法は断層が長大で面積が大きくなるほどアスペリティ面積が過大評価となる傾向にあるとされており、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層については、関係式による算定の結果、アスペリティ面積比が30%を超えたため、アスペリティの総面積は断面総面積の20~30%に分布するとの知見が示されているこ とを考慮し、レシピに示されたSomervilleetal.(1999)で提案されている知見により、アスペリティ面積比を22%としてアスペリティ面積を求めた。(丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙C5・33、35、36、38、42、45頁、丙D8・10頁) (g) 参加人は、震源断層全体の応力降下量について、レシピに示された方法により、C断層、三方断層、白木-丹生断層、大陸棚外縁~B~野坂断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層についてはEshelby(1957)等で提案されている震源断層面積及び地震モーメントから求める方法を用いて、安島岬沖~和布-干飯 崎沖~甲楽城断層については、内陸の長大な横ずれ断層に係る震源断層全 はEshelby(1957)等で提案されている震源断層面積及び地震モーメントから求める方法を用いて、安島岬沖~和布-干飯 崎沖~甲楽城断層については、内陸の長大な横ずれ断層に係る震源断層全体の応力降下量について、Fujii&Matsu’ura(2000)において提案されている3.1MPa とした。(丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙C5・33、35~37、41、45頁、弁論の全趣旨・参加人準備書面(3)134、135頁) (h) 参加人は、アスペリティの応力降下量について、レシピで示され ているMadariaga(1979)で提案されている震源断層面積に占めるアスペリティ面積の割合22%と、震源断層全体の応力降下量からアスペリティの応力降下量3.1MPa を求める関係式により、アスペリティの応力降下量14.1MPa を求めた。なお、各アスペリティの応力降下量は同じ値に設定した。(丙C5・33、35、36、3 8、42、45頁、丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、53頁、丙D8・11頁)(i) 参加人は、破壊伝播速度について、既往の研究においてS波速度の0.72倍とされていることから、これを基本ケースとし、不確かさの考慮として、破壊伝播速度が大きくなり、より短い時間によ り多くの地震波が敷地に到達することで敷地の地震動が一般的に大きくなるよう、保守的に、横ずれを伴う長い断層である大陸棚外縁~B~野坂断層及び安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層については、既往の研究における不確かさも考慮した0.87倍としたケースを設定した。(丙C4・添付書類六・6-4-50、52頁、丙 C5・39、43頁)(j) 参加人は、アスペリティの配置について、保守的な 研究における不確かさも考慮した0.87倍としたケースを設定した。(丙C4・添付書類六・6-4-50、52頁、丙 C5・39、43頁)(j) 参加人は、アスペリティの配置について、保守的な観点から、本件原子炉敷地に近い位置に配置することで、より大きな地震動を想定することにした。(丙C3・61、62、64、66、68、70、72頁、丙C4・添付書類六・6-4-45、47~49、51、 53、95~101頁、丙C5・33、35~37、41、45頁)(k) 参加人は、破壊開始点は、遠い方から近い方に破壊が進行していく場合に評価地点での地震動が大きくなるとされていることから、断層の端やアスペリティの端といった本件原子炉敷地から遠い地点に置くなど、複数の位置に設定した。(丙C3・61、62、64、 66、68、70、72頁、丙C4・添付書類六・6-4-95~ 101頁)(l) 参加人は、断層傾斜角及びすべり角について、C断層、三方断層、白木-丹生断層、大陸棚外縁断層及びB断層(北部)については60°、B断層(南部)、野坂断層、甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層については90°、安島岬沖断 層及び和布-干飯崎沖断層については45°とした。また、すべり角(断層のずれの方向)は、逆断層である、C断層、三方断層、白木-丹生断層、安島岬沖断層及び和布-干飯崎沖断層については90°、横ずれ断層である、大陸棚外縁断層、B断層(北部及び南部)、野坂断層、甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~ 柳ヶ瀬山断層については0°又は180°とした。もっとも、C断層については、本件原子炉の敷地に近い断層であるため、地震動評価では断層の傾きをより傾斜させ、55°としたケースも設定した 断層~ 柳ヶ瀬山断層については0°又は180°とした。もっとも、C断層については、本件原子炉の敷地に近い断層であるため、地震動評価では断層の傾きをより傾斜させ、55°としたケースも設定した。 (丙C3・60、62頁、丙C4・添付書類六・6-4-45~49、51、53頁、丙C5・28頁) (オ) 「震源を特定せず策定する地震動」の評価a 参加人は、加藤ほか(2004)で示されている応答スペクトルを採用した。本件原子炉敷地の解放基盤表面はS波速度1.65㎞/s であるところ、参加人は、加藤ほか(2004)で示されている応答スペクトルをS波速度1.65㎞/s の地盤の応答スペクトルに補正して採用すること とした。(丙D13・65頁)b 参加人は、地震ガイドに例示されているMw(モーメントマグニチュード)6.5以上の2地震である2008年岩手・宮城内陸地震と、平成12年鳥取県西部地震を検討し、平成12年鳥取県西部地震の震源近傍の賀祥ダムでの地震動の観測記録を用いることにした。賀祥ダ ムの地盤よりも本件原子炉敷地の地盤の方が硬いため、地震波の増幅 の程度は小さくなると考えられたが、保守的な観点から、地盤の特性による補正等は行わなかった。2008年岩手・宮城内陸地震については、地域性を比較して収集対象外とした。(丙C3・75頁、丙C4・添付書類六・6-4-15頁)c 参加人は、地震ガイドに例示されているMw6.5未満の14の地震 の中から、加藤ほか(2004)の応答スペクトルとの比較において特に影響が大きいと考えられ、かつ、はぎとり解析により観測点において地下の岩盤面(基盤面)における地震動を推定するために必要な精度の高い地盤情報が得られている記録は、平成16年北海道留萌支庁南部地震のみであ 大きいと考えられ、かつ、はぎとり解析により観測点において地下の岩盤面(基盤面)における地震動を推定するために必要な精度の高い地盤情報が得られている記録は、平成16年北海道留萌支庁南部地震のみであったことから、この記録を採用することとした。この地 震は、震源近傍の比較的軟弱な地盤の地表面上に地震計が設置されたHKDO20(港町観測点)における観測記録があるが、同観測点におけるボーリング調査やPS検層の結果をもとに、地表から解放基盤表面と評価できる硬さを有する岩盤面(基盤面)の深さ(地下41m)までの地下構造を検討・評価した上で、同観測点の基盤面における地震動 の推定がなされていたから、この推定された地震動を採用した。HKDO20の基盤面よりも本件原子炉敷地の方が硬いため、地震波による揺れは小さくなると考えられるが、保守的に評価するため、補正等を行わずに採用した。さらに、参加人は、HKDO20 の地下構造の不確かさを考慮して、基盤面から地表までの減衰をより大きく、すなわち基盤面にお ける地震動をより大きく評価し、その評価結果を更に保守的に大きくして、「震源を特定せず策定する地震動」として評価し、応答スペクトルを設定した。(丙C3・76~79頁、丙C4・添付書類六・6-4-15、16頁)(カ) 基準地震動の策定 a 参加人は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価結果 より、まず、「応答スペクトルに基づく地震動評価」の結果を踏まえ、基準地震動Ss-1 の応答スペクトルを策定すると、最大加速度は水平方向で750gal、鉛直方向で500gal であった。これはC断層、三方断層、白木-丹生断層、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層による地震 平方向で750gal、鉛直方向で500gal であった。これはC断層、三方断層、白木-丹生断層、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層による地震に ついて、地震動評価を行った結果である。(丙C3・80頁、丙C4・添付書類六・6-4-166、167頁)参加人は、大陸棚外縁~B~野坂断層による地震の各種の距離減衰式による応答スペクトルと、基準地震動Ss-1 の応答スペクトル(水平方向)とを比較したが、大陸棚外縁~B~野坂断層による地震の各種 の距離減衰式による応答スペクトルが、すべての周期帯で基準地震動Ss-1 の応答スペクトルを下回る結果となった。(丙C3・81頁、丙C4・添付書類六・6-4-168頁)b 次に、参加人は、C断層による地震、三方断層による地震、白木-丹生断層による地震、大陸棚外縁~B~野坂断層による地震、安島岬 沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層による地震(全30ケース)及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層による地震(全10ケース)に係る「断層モデルを用いた手法による地震動評価」の結果のうち、基準地震動Ss-1 の応答スペクトルを一部周期で上回るケースから、基準地震動Ss-2~Ss-19 を策定した。最大加速度は、水平 方向が基準地震動Ss-3(EW方向)の993gal、鉛直方向が基準地震動Ss-8 の577gal である。(丙C3・82頁、丙C4・添付書類六・6-4-169~174頁)また、参加人は、連動の不確かさを考慮した地震動評価結果を踏まえた基準地震動の策定として、甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層 ~柳ヶ瀬山断層の北側の安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層、南 側の柳ヶ瀬断層南部、鍛冶屋断層、関ヶ 評価結果を踏まえた基準地震動の策定として、甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層 ~柳ヶ瀬山断層の北側の安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層、南 側の柳ヶ瀬断層南部、鍛冶屋断層、関ヶ原断層が同時活動(連動)する可能性は極めて低いと評価したが、原子力規制委員会における議論も踏まえ、それぞれの断層が近接していること等から、地震動評価にあたっては、十分保守的な評価を行う観点から、全長約137㎞のひとつながりの断層となる、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層~ 甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層~柳ヶ瀬断層南部~鍛冶屋断層~関ヶ原断層を、連動の不確かさを考慮したケースとして追加的に考慮することとした。安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層~甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層~柳ヶ瀬断層南部~鍛冶屋断層~関ヶ原断層のパラメータについては、地震 モーメント(Mo)及び震源断層全体の応力降下量(Δσ)をFujii&Matsu’ura(2000)の式により算定することとして設定し、この設定をもとに断層モデルを用いた手法による地震動評価を行った結果(応答スペクトル)から、基準地震動Ss-20~Ss-22 を策定した。(丙C3・83、85頁、丙C4・添付書類六・6-4-17頁、丙C6・41 0~414頁)c 参加人は、「震源を特定せず策定する地震動」の評価結果のうち、加藤ほか(2004)による応答スペクトルは全周期帯で基準地震動Ss-1 を下回っていたことから基準地震動に採用しなかったが、平成12年鳥取県西部地震及び北海道留萌支庁南部地震の観測記録を考慮した応答 スペクトルは一部周期で上回るため、基準地震動Ss-23、Ss-24 として策定した。(丙C3・89頁、丙C4・添付書類六・ 鳥取県西部地震及び北海道留萌支庁南部地震の観測記録を考慮した応答 スペクトルは一部周期で上回るため、基準地震動Ss-23、Ss-24 として策定した。(丙C3・89頁、丙C4・添付書類六・6-4-17、185、187頁)d 以上の基準地震動Ss-1~Ss-24 の応答スペクトルの最大加速度は、水平方向が基準地震動Ss-3 の993gal、鉛直方向が基準地震動Ss- 8 の577gal である。(丙C3・98頁、丙C4・添付書類六・6- 4-60頁)(キ) 基準地震動の年超過確率参加人は、基準地震動を超える地震動が発生する可能性について、確率論的な観点から定量的に確認したところ、Ss-1 の年超過確率は、水平方向では全周期帯で10-4~10-5程度、鉛直方向では短周期側で10 -4~10-5程度、長周期側で10-5~10-6程度となった。(丙C3・114頁、丙C4・添付書類六・6-4-20、21、226、227頁)イ原子力規制委員会は、本件設置変更許可申請について、①「地下構造モデル」に関し、参加人が設定している解放基盤表面は、必要な特性を有し、 要求されるS波速度を持つ硬質地盤の表面に設定されていること、本件原子炉施設敷地及び敷地周辺の地下構造の評価に関して、参加人が行った調査の手法は、地質ガイドを踏まえているとともに、調査結果に基づき地下構造を水平成層かつ均質と評価し、1次元地下モデルを設定しており、当該地下構造モデルは地震波の伝播特性に与える影響を評価するにあたって 適切なものであることを確認し、②「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関し、参加人が複数選定した検討用地震ごとに、不確かさを考慮して応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動 ることを確認し、②「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関し、参加人が複数選定した検討用地震ごとに、不確かさを考慮して応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を適切な手法で行っていることを確認し、③「震源を特定せず策定する地震動」に関し、参加人が過去の内陸地殻内の地震について 得られた震源近傍における観測規則を精査し、各種の不確かさ及び敷地の地盤物性を考慮して策定していることを確認し、④「基準地震動の策定」に関し、参加人が、使用済燃料ピットトラックの設計変更に伴い当該施設が「やや長周期の地震応答が卓越する施設等」に該当しないことを確認するとともに、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特 定せず策定する地震動」に関し、敷地の解放基盤表面における水平方向及 び鉛直方向の地震動として基準地震動を策定していることを確認し、それぞれ設置許可基準規則解釈の別記2の規定に適合していることを確認した。 (乙C5・11~21頁)ウ原子力規制委員会は、上記イの確認等を踏まえて、本件設置変更許可申請が設置許可基準規則4条に適合していると認め、平成28年10月5日 付けで、参加人に対し、本件設置変更許可処分をした。(乙C1)(4) 本件工事計画認可処分における技術基準規則5条(地震による損傷の防止)についての審査ア原子力規制委員会は、技術基準規則5条の基準地震動による地震力に対する構造強度に関する耐震設計について、耐震工認審査ガイドを参考に、 以下のとおり審査をした。(乙C6・12~14頁)(ア) 耐震設計の基本事項として、設計基準対象施設を、これに作用する地震力による損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設するため、設置変更許可申請書の設計方 た。(乙C6・12~14頁)(ア) 耐震設計の基本事項として、設計基準対象施設を、これに作用する地震力による損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設するため、設置変更許可申請書の設計方針に基づくとともに、耐震工認審査ガイドを踏まえ、工事計画認可において実績のあるJEAG4601 等の規格及 び基準等に基づく手法を適用して、耐震重要度に応じてSクラス、Bクラス、Cクラスに分類した上で、それぞれの施設が耐震重要度に応じた地震力に対し構造強度を確保する設計としていること、耐震重要施設(Sクラスの施設)を、基準地震動による地震力に対して、当該施設の安全機能が損なわれるおそれがない施設とするため、設置変更許可申請書の 設計方針に基づくとともに、耐震工認審査ガイドを踏まえ、工事計画認可において実績のあるJEAG4601 等の規格及び基準等に基づく手法を適用して、基準地震動による地震力に対して、施設の機能を維持する設計としていることを確認した。 (イ) 荷重の組合せについては、建物・構築物、機器・配管系、津波防護施 設等(浸水防止設備、津波監視設備等を含む。)の施設ごとに、耐震重要 度分類に応じて、施設に作用する地震力と地震力以外の荷重を適切に組み合わせていることなどを確認した。 (ウ) 建物・構築物、機器・配管系のそれぞれの強度評価における許容限界については、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づき、施設の機能を維持又は構造強度を確保できる設定としていることなどを確認し た。 (エ) 使用済燃料ピットについては、燃料取扱建屋等の背面地盤上に使用済燃料ピット躯体と接続させる鋼管(シアキー)付きの補強スラブを設置し、背面地盤が拘束することにより使用済燃料ピットに作用する地震荷重を低減させる設計と については、燃料取扱建屋等の背面地盤上に使用済燃料ピット躯体と接続させる鋼管(シアキー)付きの補強スラブを設置し、背面地盤が拘束することにより使用済燃料ピットに作用する地震荷重を低減させる設計としており、基準地震動により生じる応力等が許容 値を満足することなどを確認した。 (オ) 1次冷却設備の設計用減衰定数の妥当性については、参加人が、本件加振試験の内容及び同試験の結果をもって、2点支持蒸気発生器である本件原子炉において1次冷却設備の減衰定数が3%以上確保できる見通しであることを説明し、これを確認した。(乙C115・6頁、乙C11 6・5頁)(カ) 本件原子炉施設の燃料集合体の設計用減衰定数10%については、参加人が、JEAG4601-1991 追補版において、PWRの燃料集合体の設計用減衰定数は振動試験結果に基づいて振幅依存性を持つものとして定めるとされていることに則して、本件原子炉の燃料集合体の振幅依存性を踏 まえた減衰定数10%の設定の妥当性を示していること、また、燃料集合体の群振動解析において応答変位が減衰定数10%を適用可能なレベルであることが確認できた場合のみ、燃料集合体の応答解析における燃料集合体の設計用減衰定数に10%を適用し、それ以外は1%を適用するという方針の下、Ss-1 からSs-24 までの全ての基準地震動について、 減衰定数10%が適用可能であることを確認した。(乙C104・135 ~230頁、乙C105・5~12頁、乙C106・3~5頁、乙C123、129・4~11頁)(キ) 参加人が、蒸気発生器伝熱管の耐震評価に関して、「1次膜応力強さ+1次曲げ応力強さ」の評価基準値(許容応力)を、JEAG4601・補-1984 に基づき539MPa と算出し、発生値(52 (キ) 参加人が、蒸気発生器伝熱管の耐震評価に関して、「1次膜応力強さ+1次曲げ応力強さ」の評価基準値(許容応力)を、JEAG4601・補-1984 に基づき539MPa と算出し、発生値(527MPa)は評価基準値(許容応 力)(539MPa)を満足する(下回る)としたことは、耐震工認審査ガイドに記載されているJEAG4601・補-1984 の形状係数1.5倍を用いたものであり、耐震工認審査ガイドに則ったものであることを確認した。 (乙C6・12~16頁、乙C131・添13-17-3-2-2-131、132頁) イ原子力規制委員会は、上記アの事項等の確認を踏まえて、本件工事計画認可申請が技術基準規則5条の規定に適合していると認め、平成28年10月26日付けで、参加人に対し、本件工事計画認可処分をした。 (乙C6・7頁)(5) 本件運転期間延長認可処分における実用炉規則114条適合性(地震関係) についての審査ア原子力規制委員会は、本件運転期間延長認可申請の実用炉規則114条への適合性に関する耐震安全性評価のうち、応力及び疲労累積係数の評価についての参加人の申請内容について、運転期間延長審査基準に基づいて、以下のとおり審査をした。(乙C8・29~32頁) (ア) 耐震安全上考慮する必要のある経年劣化事象の抽出について、低サイクル疲労等の劣化事象に加え、劣化傾向監視等の劣化管理がされている劣化事象のうち、これらの劣化事象が顕在化した場合に、振動応答特性上又は構造強度上から地震による影響が有意である事象を抽出していること、評価対象機器・構造物の抽出について、耐震安全上考慮する必要 のある劣化事象に該当する機器・構造物であって、かつ応力評価及び疲 労累積評価に影響を与える機器・構造物 出していること、評価対象機器・構造物の抽出について、耐震安全上考慮する必要 のある劣化事象に該当する機器・構造物であって、かつ応力評価及び疲 労累積評価に影響を与える機器・構造物を抽出していることを確認した。 (イ) 前提条件として、評価において使用する地震力は、工事計画認可で使用している地震力としていること、評価対象部位の劣化の想定は、運転開始後60年時点での推定劣化量又は取替基準値を使用していること、評価手法として、評価は、JEAG4601 等の規格に基づき、水平2方向及び 鉛直方向地震力の組合せの評価手法を使用するなど、工事計画認可で使用している手法に従い実施していること、疲労累積係数評価は、通常運転時の疲労累積係数に地震時の疲労累積係数を加えて求めていること、評価で使用する流れ加速型腐食の減肉条件は、保守的な解析条件として、減肉形状を周軸方向一様減肉としていること、流れ加速型腐食による応 力評価は、取替基準値による応力評価を行い、発生応力が許容応力を上回っている場合には、実測値を用いた運転開始後60年時点での推定劣化量による応力評価を行っていることを確認した。 (ウ) 評価結果として、応力評価の結果、発生応力が許容応力を下回ったこと、疲労累積係数評価の結果、疲労累積係数が1を下回ったことを確認 した。 イ原子力規制委員会は、上記アの確認等を踏まえ、本件運転期間延長認可申請が、炉規法43条の3の32第5項に定める基準である実用炉規則114条に適合していると認め、平成28年11月16日付けで、参加人に対し、本件運転期間延長認可処分をした。(乙C3、8・33頁) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について(1) 上記認定事実(地震)(3)~(5)のとおり、原子力 に対し、本件運転期間延長認可処分をした。(乙C3、8・33頁) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について(1) 上記認定事実(地震)(3)~(5)のとおり、原子力規制委員会は、本件設置変更許可処分に係る地震関係の審査においては、設置許可基準規則解釈の別記2に基づき、地震ガイドを参考として、「断層モデルを用いた手法による地震動評価」を行うに当たっては、レシピの枠組みに従って基準地震動が策定 されていることを確認し、本件工事計画認可処分に係る地震関係の審査にお いては、技術基準規則解釈に基づき、耐震工認審査ガイドやJEAG4601 等を参考として減衰定数等が設定されていることを確認し、本件運転期間延長認可処分に係る地震関係の審査においては、運転期間延長審査基準に基づいて疲労累積係数等の評価がされていることを確認したことが認められる。 したがって、設置許可基準規則解釈、地震ガイド、技術基準規則解釈、耐 震工認審査ガイド及び運転期間延長審査基準のうち、原子力規制委員会の審査に用いられた部分について、レシピやJEAG4601 等の用い方を含めて、具体的審査基準に当たると認められる。 (2) 地震に関する新規制基準についてア上記認定事実(地震)(2)のとおり、新規制基準は、東北地方太平洋沖地 震及び福島第一原発事故を経て、原子力安全委員会に設置された専門部会である地震等検討小委員会における合計14回の会合を経て取りまとめられた平成18年耐震指針の改訂案及び耐震や耐津波に関する安全審査で用いるための審査の手引きの改訂案、原子力安全・保安院が設置した地震・津波に関する意見聴取会及び建築物・構造に関する意見聴取会の検討結果 等を踏まえ、平成24年9月に発足した原子力規制委員会の地 いるための審査の手引きの改訂案、原子力安全・保安院が設置した地震・津波に関する意見聴取会及び建築物・構造に関する意見聴取会の検討結果 等を踏まえ、平成24年9月に発足した原子力規制委員会の地震等基準検討チームにおいて、学識経験者らの参加の下、合計13回の会合を経て新規制基準案が取りまとめられ、2度の意見公募手続を経て策定されたものであり、その策定過程に不合理な点があるとはいえない。 そして、地震に関する新規制基準の内容をみても、別紙8設置許可基準 規則解釈の別記2の概要のとおり、設置許可基準規則4条3項に規定する「基準地震動」は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとして、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、解 放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動としてそれぞれ策定 するものとされている。このうち「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(検討用地震)を複数選定し、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施して策定するものとされ、この過程で各種の不確 かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等の不確かさ並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)を必要に応じて組み合わせて考慮するものとされ、「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について 得 考え方及び解釈の違いによる不確かさ)を必要に応じて組み合わせて考慮するものとされ、「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について 得られた震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に、各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定するとされるなど、最新の科学的・技術的知見を踏まえて複数の手法により不確かさを組み合わせて策定することとされている。そして、地震ガイドは、別紙10地震ガイドの概要のとおり、基準地震動に続いて、耐震設 計方針について、基本方針、耐震重要度分類、弾性設計用地震動の策定方針、地震力の算定法、荷重の組合せと許容限界、設計における留意事項等について審査の確認事項等を定めている。 また、上記認定事実(地震)(1)イ及び別紙12耐震工認審査ガイドの概要のとおり、耐震設計の段階では、耐震工認審査ガイドが、建物・構築物、 機器・配管系等の施設ごとに、使用材料及び材料定数、荷重及び荷重の組合せ、許容限界、地震応答解析、構造設計手法、基準地震動による地震力に対する耐震設計、弾性設計用地震動による地震力、静的地震力に対する耐震設計等に係る審査における確認事項及び確認内容を定めている。これらは、地震ガイドの耐震設計方針に合致するものといえる上、地震応答解 析に用いる材料定数は地盤の諸定数も含めて材料のばらつきによる変動 幅を適切に考慮していること、施設に作用する地震力と地震力以外の荷重を適切に組み合わせていること、基準地震動による地震力に対する耐震設計については、Sクラスの建物・構築物について、基準地震動による地震力と地震力以外の荷重の組合せに対して、構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な 震動による地震力に対する耐震設計については、Sクラスの建物・構築物について、基準地震動による地震力と地震力以外の荷重の組合せに対して、構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐 力に対し妥当な安全余裕を有していること、機器・配管系の構造強度に関する耐震設計については、基準地震動による地震力と施設の運転状態ごとに生じる荷重を適切に組み合わせ、施設に作用する応力等を算定し、それらが許容限界を超えていないこと、当該荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が微小なレベルに留まって破断延性限界に対し十分 な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないことなどを確認することを定めている。 なお、原子力規制委員会は、新規制基準の考え方(乙B172・285~292頁)において、基準地震動を超える地震が発生したときの耐震重要施設の安全機能の損失の有無について、①地盤伝播解析において保守的 な減衰定数を、②建屋応答解析において保守的な荷重の組合せや非線形特性を、③機器応答解析において保守的な減衰定数(乙E57・167頁)や周期方向に拡幅した設計用床応答スペクトルをそれぞれ採用する(乙E56・516頁)などして、地震応答の最大値が保守的なものとなるようにしており、また、建物・構築物の耐震設計上の余裕として、①規制に用 いる許容値を設計段階の限界値(終局耐力)に対して十分余裕を持たせるという規制上の余裕(乙E56・392頁)、②設計時に基準地震動による建屋の変形が許容値を十分満足するよう余裕を持たせるという設計上の余裕、③コンクリートの強度などの設計強度を十分満足するよう、さらに大きな強度で施工管理を行うという施工上確保される余裕があり、これら の余裕が を十分満足するよう余裕を持たせるという設計上の余裕、③コンクリートの強度などの設計強度を十分満足するよう、さらに大きな強度で施工管理を行うという施工上確保される余裕があり、これら の余裕が集積されるため、基準地震動によって建物・構築物に生じるひず みは終局耐力時のひずみをはるかに下回ることになり、仮に基準地震動を超過するような場合であっても、即座に耐震重要施設が損傷するようなことはないとの考え方を示している。 さらに、上記認定事実(地震)(1)エ(イ)のとおり、運転期間延長認可の段階においては、運転を延長しようとする期間において劣化状況評価等を 行い、運転期間延長審査基準の要求事項(運転延長)に適合することが求められており、このうち機器・構造物に関する耐震安全性評価については、「経年劣化事象を考慮した機器・構造物について地震時に発生する応力及び疲労累積係数を評価した結果、耐震設計上の許容限界を下回ること。」等を要求し、経年劣化事象を考慮して耐震設計上の許容限界を下回るように している。 以上のような地震に係る新規制基準の内容は、最新の科学的、技術的知見を踏まえたもので、各種の保守性が考慮されており、基準地震動を超える地震が発生しても直ちに安全性を喪失しないよう許容値に対して余裕を持たせるように定められているなど、合理性を有するものということが できる。 イ原告らは、過去約10年間で設計上想定された地震加速度を超過した事例が5地震(平成17年8月16日の宮城県沖地震、平成19年3月25日の能登半島地震、平成19年7月16日の新潟県中越沖地震、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震、同年4月7日の宮城県沖地震)、の べ8回あったことをもって、新規制基準の定める基準地震動の策定手法が根本 平成19年7月16日の新潟県中越沖地震、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震、同年4月7日の宮城県沖地震)、の べ8回あったことをもって、新規制基準の定める基準地震動の策定手法が根本的に不合理であるかのように主張する。 しかしながら、そのうちの3地震(宮城県沖地震、能登半島地震、新潟県中越沖地震)に関する事例は、新規制基準に基づいて策定されたSsを超過した事例ではなく、旧耐震指針に基づいて策定された基準地震動S₁、 S₂を超過した事例であり(甲F4・193頁、弁論の全趣旨・被告第9準 備書面84頁)、上記認定事実(地震)(2)ア(ア)のとおり、平成18年の耐震指針改訂時に、旧耐震指針が応答スペクトルに基づく地震動評価を中心として基準地震動S₁、S₂を策定することとしていたのに対し、断層モデルを用いた手法による地震動評価を取り入れ、震源を特定せず策定する地震動の評価手法を大きく変更し、基準地震動Ssを策定することとするな ど、基準地震動の策定方法は大幅に変更されている。したがって、旧耐震指針下において策定された設計上想定される地震加速度を超過した事例をもって、新規制基準の定める基準地震動の策定手法が不合理であるとする原告らの主張は理由がない。 また、原告らの主張する5つの地震のうち、平成23年3月11日の東 北地方太平洋沖地震及び同年4月7日の宮城県沖地震により、女川発電所において基準地震動又は設計上想定される地震動を超過した事例があるが、平成18年耐震指針による基準地震動Ssを超過したのは一部周期帯にとどまり、その他の周期帯では概ね同程度以下であって(甲D7、乙D41・7、23、29、45頁)、これらの地震動により女川発電所におい て耐震重要施設に損傷が生じたとは認められない。 そし にとどまり、その他の周期帯では概ね同程度以下であって(甲D7、乙D41・7、23、29、45頁)、これらの地震動により女川発電所におい て耐震重要施設に損傷が生じたとは認められない。 そして、原子力安全委員会、原子力安全・保安院及び原子力規制委員会は、上記認定事実(地震)(2)ア及びイのとおり、それまでに発生した地震によって得られた知見を踏まえ、基準地震動に係る具体的審査基準をより高度化させてきたと認められるから、新規制基準が定める基準地震動の策 定手法が不合理であるということはできない。 ウ原告らは、2004年中越地震は既知の活断層の活動ではないとする見解が有力であり、地震ガイドの「地表地震断層としてその全容を表すまでには至っていない地震であり、孤立した長さの短い活断層による地震」に該当するにもかかわらず、「収集対象となる内陸地殻内の地震の例」に記載 していないことは不合理であると主張する。 しかしながら、原告らがその根拠として挙げる推本報告書(甲D98)には、2004年中越地震が既知の活断層の活動ではないとする見解が有力である旨の記載は見当たらないのに対し、地震ガイド策定時に参考とされた「平成24年度震源を特定せず策定する地震動レベルに関する既存資料の整理業務報告書」(乙D2・2.2.1-3、4頁)によれば、200 4年中越地震の震源断層については、既知の活断層である六日町断層帯の活動であるとする見解が有力であり、震源と活断層を関連付けることが困難なものとはいえないことから、地震ガイドの策定に当たり、2004年中越地震について、「収集対象となる内陸地殻内の地震の例」に挙げる必要がないと判断されたものと認められ、このことをもって地震ガイドが不合 理であるとはいえない。 エ以上によれ 、2004年中越地震について、「収集対象となる内陸地殻内の地震の例」に挙げる必要がないと判断されたものと認められ、このことをもって地震ガイドが不合 理であるとはいえない。 エ以上によれば、地震に係る具体的審査基準に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたと認められる。 (3) 本件適合性審査について上記認定事実(地震)(3)イのとおり、原子力規制委員会は、本件設置変更 許可申請について、参加人が設定している解放基盤表面が適切なものであり、本件原子炉施設敷地及び周辺の地下構造の評価に関して、調査の手法が地震ガイドを踏まえており、設定された地下構造モデルが適切なものであること、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関し、検討用地震ごとに不確かさを考慮して「応答スペクトルに基づく地震動評価」及び「断層モデル を用いた手法による地震動評価」に基づき策定していること、「震源を特定せず策定する地震動」に関し、過去の観測記録を精査し、各種の不確かさ及び敷地の地盤特性を考慮して策定していること、「基準地震動の策定」に関し、参加人が、使用済燃料ピットトラックの設計変更に伴い当該施設が「やや長周期の地震応答が卓越する施設等」に該当しないことを確認するとともに、 敷地の解放基盤面における水平方向及び鉛直方向の地震動として基準地震動 を策定していることをそれぞれ確認し、設置許可基準規則解釈の別記2の規定に適合していると判断している。 そして、上記認定事実(地震)(3)アのとおり、本件設置変更許可申請において、参加人が策定した基準地震動は、設置許可基準規則解釈の別記2に基づき、地震ガイドを参考として、各種の保守性、不確かさを考慮して策定さ れたものと認められるから、本件設置変更許可処分のう おいて、参加人が策定した基準地震動は、設置許可基準規則解釈の別記2に基づき、地震ガイドを参考として、各種の保守性、不確かさを考慮して策定さ れたものと認められるから、本件設置変更許可処分のうち地震に係る原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (4) 本件工事計画認可処分に係る審査について上記認定事実(地震)(4)のとおり、原子力規制委員会は、本件工事計画認 可処分に係る審査において、耐震工認審査ガイドを参考に、耐震設計の基本事項(設計基準対象施設を、設置変更許可申請書の設計方針に基づき、耐震工認審査ガイドを踏まえ、JEAG4601 等の規格及び基準等に基づく手法を適用して、耐震重要度に応じて分類し、耐震重要施設を基準地震動による地震動に対して施設の機能を維持する設計としていることなど)、荷重の組合せ、許 容限界、既工認実績のない手法、条件等に問題がないことを確認しており、このうち、1次冷却設備の設計用減衰定数については、参加人が、本件加振試験の内容及び同試験の結果をもって、2点支持蒸気発生器である本件原子炉において1次冷却設備の減衰定数が3%以上確保できる見通しであることを説明したことなどを確認している。 また、本件原子炉施設の燃料集合体の設計用減衰定数10%については、燃料集合体の群振動解析において応答変位が減衰定数10%を適用可能なレベルであることが確認できた場合のみ、燃料集合体の応答解析における設計用減衰定数に10%を適用し、それ以外は1%を適用するという方針の下、Ss-1 からSs-24 までの全ての基準地震動について、減衰定数10%が適用可 能であることを確認している。 さらに、本件原子炉施設の蒸気発生器伝 %を適用するという方針の下、Ss-1 からSs-24 までの全ての基準地震動について、減衰定数10%が適用可 能であることを確認している。 さらに、本件原子炉施設の蒸気発生器伝熱管の1次応力評価基準値は、耐震工認審査ガイドに記載されているJEAG4601・補-1984 の形状係数1.5倍を用いたものであり、耐震工認審査ガイドに則ったものであることを確認している。 したがって、本件工事計画認可処分のうち地震に係る原子力規制委員会の 審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (5) 本件運転期間延長認可処分に係る審査について上記認定事実(地震)(5)のとおり、原子力規制委員会は、参加人の申請内容について、運転期間延長審査基準に基づいて、評価対象事象、機器・構造 物を抽出していること、工事計画認可で使用している地震力を用いて、JEAG4601 等の規格に基づき、工事計画認可で使用している手法に従い評価を実施していること、通常運転時の疲労累積係数に地震時の疲労累積係数を加えて疲労累積係数を評価し、疲労累積係数が1を下回っていることなどを確認している。 したがって、本件運転期間延長認可処分のうち地震に係る原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 3 争点3-(1)(地震規模を示す経験式のばらつきの考慮のなさ)について(1) 争点に係る認定事実 ア地震ガイド及び地質ガイド策定に至る経緯(ア) 平成18年耐震指針は、5項の解説Ⅱ.(4)④において、「経験式を用いて断層の長さ等から地震規模を想定する際には、その経験式の特徴等を踏まえ、地震規模を適切に評価することとする。」とし 緯(ア) 平成18年耐震指針は、5項の解説Ⅱ.(4)④において、「経験式を用いて断層の長さ等から地震規模を想定する際には、その経験式の特徴等を踏まえ、地震規模を適切に評価することとする。」としていた。(甲B50・12頁) (イ) J4委員は、平成23年12月12日、原子力安全委員会の第9回地 震等検討小委員会において、今までは残余のリスクといわれていたが、同じ想定域からマグニチュードがより大きな地震が発生する可能性があるので、断層パラメータのばらつきだけではなく、マグニチュード等のばらつきも想定すべき旨の意見を述べた。これは、活断層の評価に関しては、その経験式の特徴を踏まえ地震規模を適正に評価するという規定 があるが、海溝型地震、プレート間地震については過去の平均則を使って想定するのが現状であるとして、海溝型地震、プレート間地震を念頭に置いた発言をしたものであり、その後、J2委員も海溝型地震、プレート間地震を念頭に置いた発言をした。(甲B49・47、48頁)(ウ) J3委員は、平成23年12月26日、原子力安全委員会の第11回 地震等検討小委員会において、上記(ア)の平成18年耐震指針の5項の解説Ⅱ.(4)④の文言に続けて、2文目として「その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、その不確かさ(ばらつき)も考慮する必要がある。」と追加する改訂案について、平均値と断定しているが、経験式によっては平均値とみられるとは限らず、1文目の「経 験式の特徴等を踏まえ、地震規模を適切に評価する」という中には色々なことが含まれるから、2文目は耐震指針ではなく、もう少し下のレベルの手引きに記載することを提案した。また、J2委員は、1文目だけだと経験式を使うことになるが、経験式の不確かさ る」という中には色々なことが含まれるから、2文目は耐震指針ではなく、もう少し下のレベルの手引きに記載することを提案した。また、J2委員は、1文目だけだと経験式を使うことになるが、経験式の不確かさの考慮を求めることが重要である旨の意見を述べた。(甲B53・40、41頁、甲B54・ 12頁)(エ) 原子力安全委員会事務局は、平成24年1月30日、第12回地震等検討小委員会において、「その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、その不確かさ(ばらつき)も考慮する必要がある。」という規定を、耐震指針の改訂案から削除し、発電用原子炉施設 の耐震安全性に関する安全審査の手引き(耐震手引き)の改訂案のⅢ.ⅱ. 1.1(2)②における「震源断層モデルの長さ又は面積、あるいは単位変位量(1回の活動による変位量)と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲を十分に検討して行うこと。」という規定の後ろに記載する案(甲B57・15頁)を示した。その後、この条項について特段異論はなく、地震等検討小委員会 の最終的な改訂案まで引き継がれた。(甲B55・5、7頁、甲B56・12頁、甲B57・15頁、乙B28・39頁)(オ) 原子力規制委員会は、地震等基準検討チームにおいて地震ガイド及び地質ガイドについて検討してきたが、平成25年6月19日、耐震手引きを基に、地震ガイド及び地質ガイドを策定し、地震ガイドⅠ.3.2. 3(2)及び地質ガイドⅠ.4.4.2(5)に「震源断層モデルの長さ又は面積、あるいは単位変位量(1回の活動による変位量)と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲を十分に検討して行うこと。その際、経験式は平均値として の長さ又は面積、あるいは単位変位量(1回の活動による変位量)と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲を十分に検討して行うこと。その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、その不確かさ(ばらつき)も考慮する 必要がある。」(本件ばらつき条項)と規定した。(乙B20・21頁、乙B21・3頁)イ本件ばらつき条項についての専門家の意見等(ア) J8は、函館地方裁判所平成22年(行ウ)第2号ほか事件において実施された平成28年12月16日付け書面尋問において、本件ばらつ き条項に関して、松田式及び入倉・三宅式を用いてばらつきを考慮する必要について、「この規定によるかどうかは別として、地震動評価全体として、必要に応じて他の要因によるばらつきと重ね合わせて考慮する必要があると思います」、具体的な考慮の方法として、「今後の課題として、偶然的ばらつきとして扱う必要があると考えます」と回答した。(甲D9 7・6頁) (イ) J2は、平成26年3月29日、伊方発電所の基準地震動をテーマにした愛媛新聞のインタビューにおいて、自ら科学的な式を使った計算方法を提案してきたが、これは地震の平均像を求めるものであり、平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある旨を述べている。(甲D11) (ウ) J2は、令和3年5月28日付け意見書(乙D94)において、「ばらつき」と「不確かさ」の用語について、「ばらつき」は自然の持つ揺らぎに起因した完全にランダムな変動を指し、「不確かさ」はプロセスのモデル化における科学的な不確かさを指すが、レシピは決定論的評価をしており、決定論的評価では使われている経験式、パラメータは真値である た完全にランダムな変動を指し、「不確かさ」はプロセスのモデル化における科学的な不確かさを指すが、レシピは決定論的評価をしており、決定論的評価では使われている経験式、パラメータは真値である 前提のため、その予測からの偏差は観測値としてみれば「ばらつき」であり、モデル化によるものとみれば「不確かさ」であり、地震等検討小委員会において両者を厳密に区別しなかったこと(同1、2頁)、地震等検討小委員会における本件ばらつき条項の設置の経緯は、経験式の適用範囲を確認した上で、値に「ばらつき」があることも考慮して震源特性 を表すパラメータ全体を決める必要があるとの注意喚起であり、地震モーメントM0の値の上乗せを求める文章ではなく、震源断層の面積やアスペリティ位置の「不確かさ」等、レシピ全体の震源パラメータの「不確かさ(ばらつき)」を総合的に考慮して強振動予測の保守的評価をする必要があるという趣旨であり(同3、4頁)、震源断層面積Sや短周期レ ベルAに「不確かさ」を考慮した保守性を確保すれば、地震モーメントM0の上乗せ以上の保守的評価となり、更に地震モーメントM0の上乗せをする必要性も合理性もないこと(同4~12頁)などを述べている。 (エ) J3は、令和3年5月28日付け意見書(乙D95)において、震源断層面積Sと地震モーメントM0の関係についてみると、震源断層面の 設定において考慮される「不確かさ」と、経験式の基になったデータの 「ばらつき」は同等に扱うことができ、震源断層面積Sの「不確かさ」と、経験式から外れて震源断層面積Sに対する地震モーメントM0を大きく評価することを同時に考えるのは、過剰で不必要な考慮になること(同3、4頁)、地震等検討小委員会における本件ばらつき条項の設置の経緯は、総論において不確か 層面積Sに対する地震モーメントM0を大きく評価することを同時に考えるのは、過剰で不必要な考慮になること(同3、4頁)、地震等検討小委員会における本件ばらつき条項の設置の経緯は、総論において不確かさ(ばらつき)については適切な手法を用 いて考慮するという記載があったので、各論にも同様に「不確かさ(ばらつき)」を考慮するとの表現が使われたと推測するが、震源断層の設定において「不確かさ(ばらつき)」を考慮した保守的な設定が行われ、それが審査で確認されるべきという認識であったこと(同7頁)、本件ばらつき条項について、例えば標準偏差の定量的な上乗せをするのかといっ た議論はなかったこと(同8頁)、震源特性パラメータの設定で重視されるのは短周期に関わるパラメータであり、短周期レベルAを「不確かさ」として1.5倍することは、地震モーメントM0を約3.4~5.1倍(入倉・三宅式による場合は5.1倍)上乗せした地震を想定していることと等価であるといえること(同9~11頁)などを述べている。 (オ) J4は、令和元年11月29日付け「経験式と地震動評価のばらつきに関する報告書」(同年度原子力規制庁請負調査報告書。乙D92)において、日本のM6以上の主な内陸地殻内地震を9つ選び、データのばらつきを評価したところ、震源特性・伝播経路特性・サイト特性のどの特性をみても、データをきちんと処理して個々のデータが持つ個性を平均 値として評価し、それ以外の変動をばらつきとして評価すれば、そのばらつきはいずれも概ね倍/半分の変動範囲に収まることが示されたこと(同95頁)、これは、関係式の変動をデータからみたとき、その変動は全データ空間が持っている変動をある断面で切り取ってみたものにすぎないことを示唆し、N個のパラメータがあればN次元の空間と れたこと(同95頁)、これは、関係式の変動をデータからみたとき、その変動は全データ空間が持っている変動をある断面で切り取ってみたものにすぎないことを示唆し、N個のパラメータがあればN次元の空間となるが、 どの空間で切り出しても変動幅が一定であれば変動空間は円球状のため、 それを重畳させる理由はないこと(同97頁)、複数の関係式で表現されている予測モデルにおいて、個々のパラメータにばらつき・不確かさが存在しているからといって、それを重畳して変動させ予測強震動のばらつき評価を行うのは適切ではないこと(同頁)などを述べている。 (カ) J4は、令和3年5月31日付け意見書(乙D96)において、本件 ばらつき条項が設置されるきっかけとなった地震等検討小委員会における自身の発言は、活断層から生じる地震動評価はその不確かさ(ばらつき)の考慮について細かく規定されているのと比較して、プレート間地震は、直接震源域にアクセスすることができず、過去の発生履歴に基づいて想定する以外にないことから、想定するパラメータの不確かさ(ば らつき)については特に考慮すべきである旨の記載があった方がいいというものであったものの、当初の趣旨とは異なり、プレート間地震に限定されたものではなく、活断層から生じる地震も含めてすべての想定地震に対して適用される条項として記載されたこと(同11頁)、M0に対して「ばらつき」を上乗せすべきとの趣旨で発言したのではなく、その ような認識を持っていた委員がいたとは認識していないこと(同頁)、震源断層面積Sと地震モーメントM0の関係における「ばらつき」を考慮するためには、震源断層面積Sの「不確かさ」を保守的に評価する方が合理的であり(同12、13頁)、各パラメータ間の独立性が明確に示されていないパラ 地震モーメントM0の関係における「ばらつき」を考慮するためには、震源断層面積Sの「不確かさ」を保守的に評価する方が合理的であり(同12、13頁)、各パラメータ間の独立性が明確に示されていないパラメータに関して重畳考慮することには科学的合理性がない こと(同14頁)などを述べている。 (2) 検討ア原告らは、地震規模を設定するにあたって用いられる松田式及び入倉・三宅式等は、各基礎となった観測データにばらつきがあり、また、あくまで断層から発生する地震の平均像を示したものにすぎないから、本件ばら つき条項は、これらのばらつきを考慮し、予測値(平均値)にばらつきを 定量的に上乗せすることを要求しているものと解されるが、本件適合性審査においては、そのようなことはされていないから、過誤、欠落があると主張する。 イこの点、原子力規制委員会は、新規制基準の考え方(乙B172・297~299頁)において、本件ばらつき条項は、経験式を用いて地震規模 を設定する場合の当該経験式の適用範囲を確認する際の留意点として、経験式は平均値として地震規模を与えるものであることから、当該経験式の適用範囲を単に確認するのみではなく、当該経験式の前提とされた観測データとの間の乖離の度合いまで踏まえる必要があることを意味し、「経験式が有するばらつき」とは、当該経験式とその前提とされた観測データとの 間の乖離の度合いのことであるとする。 しかしながら、上記(1)アのとおり、原子力安全委員会の地震等検討小委員会において本件ばらつき条項が追加された経緯からすれば、経験式は平均的な数値を求めるものであり、これを上回る数値も存在することから、その不確かさ(ばらつき)を適切に考慮することを求めるものとして、本 件ばらつき条項が追加さ された経緯からすれば、経験式は平均的な数値を求めるものであり、これを上回る数値も存在することから、その不確かさ(ばらつき)を適切に考慮することを求めるものとして、本 件ばらつき条項が追加されたというべきである。もっとも、上記(1)イ(ウ)~(カ)のとおり、地震等検討小委員会の主査又は委員として本件ばらつき条項の追加に関与したJ2、J3及びJ4は、地震等検討小委員会における議論において「ばらつき」と「不確かさ」は厳密に区別されずに用いられており、震源断層の面積やアスペリティ位置の不確かさ等全体を通じて 不確かさを考慮した保守性を確保していれば、経験式を用いて地震モーメントM0を求める際に定量的な上乗せをする必要性も合理性もなく、むしろ、過剰考慮であり、各パラメータ間の独立性が明確に示されていないパラメータに関して重畳考慮することには科学的合理性がないなどと述べており、本件ばらつき条項が追加されるきっかけとなる発言をしたJ4自 身が、地震等検討小委員会においてM0に対して「ばらつき」を上乗せすべ きという趣旨で発言したのではなく、そのような認識を持っていた委員がいたという認識もなかったなどと述べていることからすれば、本件ばらつき条項は、経験式を用いたときの不確かさ(ばらつき)の考慮として定量的な上乗せを求めているものとは解されず、全体として不確かさを考慮した保守性の確保を求めているものというべきである。 ウまた、原告らが本件ばらつき条項により定量的な上乗せをすべきと主張する入倉・三宅式により求められる地震モーメントM0は、それ自体が地震動計算に直接用いられるものではなく、他のパラメータを算出する過程で用いられる中間的なパラメータであり(乙D1・44頁)、地震モーメントM0を大きくしたからといって、 ーメントM0は、それ自体が地震動計算に直接用いられるものではなく、他のパラメータを算出する過程で用いられる中間的なパラメータであり(乙D1・44頁)、地震モーメントM0を大きくしたからといって、必ずしも評価地点における地震の大きさ に寄与する他のパラメータの値が十分に大きくなるとは限らない。レシピは、既往の知見から、アスペリティ部分の平均すべり量を震源断層全体の平均すべり量の2倍としている(乙D1・10頁)ところ、M0への数値の上乗せによりアスペリティ面積比(Sa/S)が50%を超えると、アスペリティ部分のすべり方向と震源断層内のその他の部分のすべり方向が正反 対となるような物理的に考え難いモデルを採らないと説明がつかなくなったり、M0のみ数値の上乗せをするとM0に数値の上乗せをせずに同様の計算をした場合に比して、アスペリティの応力降下量が下がり、かえって保守性が下がったりするおそれがあると認められる(弁論の全趣旨・被告第31準備書面35~38頁)。さらに、レシピは、「誰がやっても同じ答え が得られる標準的な方法論」として策定されたものであり(乙D1・1頁)、レシピにない数値の上乗せが想定されているとは考え難いことなどに照らしても、レシピを用いた基準地震動の策定において、M0への定量的な上乗せが求められているとはいえないというべきである。 エそして、上記認定事実(地震)(3)アのとおり、本件原子炉に係る基準地 震動の策定においては、C断層、三方断層、白木-丹生断層、大陸棚外縁 ~B~野坂断層、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層の6つの断層による地震を検討用地震として選定し、「地震発生層の上端深さ・下端深さ」も不確かさを考慮して保守的に設定さ 和布-干飯崎沖~甲楽城断層及び甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層の6つの断層による地震を検討用地震として選定し、「地震発生層の上端深さ・下端深さ」も不確かさを考慮して保守的に設定され、「アスペリティの位置」についても敷地に近くなるような保守的な位置に設定されており、また、参加人は、不確かさを考 慮する断層パラメータについて、事前の詳細な調査や経験式に基づき設定できる「認識論的な不確かさ」と、事前の詳細な調査や経験式からは特定が困難な「偶然的な不確かさ」に分類した上、認識論的な不確かさは独立して考慮を行い、偶然的な不確かさは認識論的な不確かさに重畳させて考慮を行っている(例えば、認識論的な不確かさである短周期の地震動レベ ル1.5倍と偶然的な不確かさである破壊開始点の不確かさの組合せ)と認められる(丙C3・60、63、65、67、69、71、73、83、98頁)。このように、本件原子炉に係る基準地震動は、複数の不確かさを重畳的に考慮して策定されており、本件ばらつき条項が求める全体としての不確かさを考慮した保守性の確保がされているものといえる。 オ以上によれば、本件ばらつき条項に関する原告らの主張を採用することはできず、基準地震動の策定に当たり、経験式を適用した値に定量的に上乗せがされていない点をもって、本件設置変更許可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し得ない過誤、欠落があるとはいえない。 4 争点3-(2)(レシピの(ア)法のみならず(イ)法を用いるべきこと)について(1) 争点に係る認定事実アレシピは推本の地震調査委員会が作成する「全国地震動予測地図」の付録の1つであり、断層帯を個別に取り上げて、詳細に強震動評価を行うことを目的としてまとめられてきたが、多くの 争点に係る認定事実アレシピは推本の地震調査委員会が作成する「全国地震動予測地図」の付録の1つであり、断層帯を個別に取り上げて、詳細に強震動評価を行うことを目的としてまとめられてきたが、多くの断層帯を対象として一括して 計算するような場合や、対象とする断層帯における詳細な情報に乏しい場 合であっても強震動の時刻歴を計算できるようにするため、平成20年4月に更新された際に、従来のレシピに基づきながらも一部の断層パラメータの設定を簡便化した方法が(イ)法として追加された。(乙D16・2-1頁)イレシピ改訂に至る経緯 (ア) 平成28年7月15日に行われた推本地震調査委員会の強振動評価部会第156回強振動予測手法検討分科会において、レシピから(ア)法を削除することについての提案があり、これに対し反対する意見もあり、議論がされた。(甲B78)(イ) 平成28年9月7日に行われた推本地震調査委員会の強振動評価部 会第157回強振動予測手法検討分科会において、J5主査名義の「「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」の検証について」と題する資料(甲B79)が配布され、2016年熊本地震を経て、(ア)法より(イ)法の方が安定的である可能性が高いとして、(ア)と(イ)のセクションタイトルを変えること等が提案された。(甲B23、79) (ウ) 推本事務局は、平成28年9月14日に行われた推本地震調査委員会の第152回強振動評価部会において、「「レシピ」の一部記述表現について(案)」と題する資料(甲D159)を配布して説明した。同資料には、(ア)法は得られる知見や情報の質・量が申し分なければ本来あるべき姿であり、(イ)法は得られる知見や情報に多少の精粗があってもある程度 安定的に扱える方法であっ 配布して説明した。同資料には、(ア)法は得られる知見や情報の質・量が申し分なければ本来あるべき姿であり、(イ)法は得られる知見や情報に多少の精粗があってもある程度 安定的に扱える方法であって、得られる知見や情報の質・量とも不完全な現状では、方法としての「詳細さ」と結果としての「信頼性」は必ずしも一致しないので、仮に(ア)法を用いる場合であっても、併せて(イ)法の結果も照合して検討することが必要な場合が多いと思われる旨が記載されている。(甲B25、甲D159) (エ) 推本事務局は、平成28年11月8日に行われた推本地震調査委員会 の強振動評価部会第158回強振動予測手法検討分科会において、「「レシピ」の訂正・微修正・補足についての事務局案」(甲B80)と題する資料を配布し、レシピの修正案の「特に現象のばらつきや不確定性の考慮が必要な場合には、その点に十分留意して計算手法と計算結果を吟味・判断した上で震源断層を設定することが望ましい」のうち、「計算手法と 計算結果を吟味・判断した上で」とあることについて、(ア)法を使う場合には、例えば、併せて(イ)法についても検討して比較するなど、結果に不自然なことが生じていないか注意しながら検討してほしいという趣旨である旨を説明した。そして、レシピの訂正・微修正・補足についての事務局案を分科会として承認することの提案がされ、特に異議はなかった。 (甲B26・8頁、甲B80)(オ) 推本事務局は、平成28年11月15日に行われた推本地震調査委員会の第153回強振動評価部会において、「「レシピ」の訂正・微修正・補足についての事務局案」(甲B82)と題する資料を配布したが、レシピの(ア)法と(イ)法に係る部分については特に異議はなかった。(甲B8 1、82) 会において、「「レシピ」の訂正・微修正・補足についての事務局案」(甲B82)と題する資料を配布したが、レシピの(ア)法と(イ)法に係る部分については特に異議はなかった。(甲B8 1、82)(カ) 推本事務局は、平成28年12月9日に行われた第298回推本地震調査委員会において、資料として「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(案)」や「「レシピ」の訂正・微修正・補足についての事務局案」(甲B84)を配布して説明し、同委員会は、同事務局案を承認し、同 日、レシピを修正した。(甲B20、83・20頁、甲B84)これにより、レシピの(ア)法のタイトルは、「過去の地震記録などに基づき震源断層を推定する場合や詳細な調査結果に基づき震源断層を推定する場合」から「過去の地震記録や調査結果などの諸知見を吟味・判断して震源断層モデルを設定する場合」へ、(イ)法のタイトルは、「地表の 活断層の情報をもとに簡便化した方法で震源断層を推定する場合」から 「長期評価された地表の活断層長さ等から地震規模を設定し震源断層モデルを設定する場合」へ、それぞれ修正された。(甲B20、84)ウ (ア)法及び(イ)法に関する専門家の意見等(ア) J6は、平成29年4月24日、名古屋高等裁判所金沢支部平成26年(ネ)第126号の証人尋問において、(ア)法を使って(イ)法を使わな いという原子力規制委員会の審査は、大変な欠陥である旨を述べている。 (甲D102・34頁)(イ) J5は、平成30年5月18日、NHKラジオの番組のインタビューにおいて、2016年熊本地震を受けて、レシピの(ア)法と(イ)法を両方検討し、値がかなり違うようだったらその大きい方を使う方が安全側の 想定になるのでそのようにレシピを改訂した旨を述べてい において、2016年熊本地震を受けて、レシピの(ア)法と(イ)法を両方検討し、値がかなり違うようだったらその大きい方を使う方が安全側の 想定になるのでそのようにレシピを改訂した旨を述べている。 (甲D160、161)(ウ) J3は、「平成30年度原子力規制庁請負調査報告書」(乙D61)において、もともと(ア)法のみから構成されていたレシピに、作業効率の観点等から(イ)法が付け加えられたにすぎないので、レシピにおける(ア)法 の評価手法や位置付けは現在も変わっておらず、地震調査委員会が、全国地震予測地図を作成する際などには、多くの活断層(帯)について全国一律に手続化された手法による評価を行うという観点から、一部の例外を除いて一律に(イ)法が使用されている旨を述べている。(乙D61・85頁) (エ) 推本がレシピ(平成29年版)を用いて評価した地震動予測地図2017年版は、(イ)法により評価したものについて、併せて(ア)法による評価を行っていない。(乙D1、17、18)エ 2016年熊本地震の評価等(ア) 2016年熊本地震の震源域である布田川・日奈久断層帯については、 主要活断層帯と位置付けられ、2016年熊本地震前から熊本県等が調 査を実施していた。(甲D102・18頁)(イ) 推本の地震調査委員会は、平成25年2月1日付け「布田川断層帯・日奈久断層帯の評価(一部改訂)」において、日奈久断層帯は布田川断層帯の布田川区間を含めた広い領域が同時に活動する可能性が考えられ、長さ約100㎞、M8.2程度の地震が発生する可能性があるとしてい た。(甲D220・30頁)(ウ) J5は、上記イ(イ)の「「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」の検証について」において、実際に起こった地震 2程度の地震が発生する可能性があるとしてい た。(甲D220・30頁)(ウ) J5は、上記イ(イ)の「「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」の検証について」において、実際に起こった地震から求めた震源断層モデルは、長さ45㎞、幅16.5㎞、下端深さ16.0㎞、Mw7.0、地表地震断層は34~35.4㎞となり、布田川・日奈久断層帯北東部 の長期評価(2002)により断層長さを約27㎞などとすると、(ア)法はMj6.9となるのに対し、(イ)法はMj7.2程度となり、布田川断層帯布田川区間の長期評価(2013)により断層長さを19㎞などとすると、(ア)法はMj6.6となるのに対し、(イ)法はMj7.0程度となり、(ア)法が過小評価になっており、その理由として、大地震の震源断層の下端は地震発 生層から更に深い部分に及ぶことが多いことや、震源断層は地表には表れない部分が存在し、地表地震断層より長いことが多いことから、震源断層面積が過小評価となるとする。(甲B24・4、8~10頁)(エ) 原子力規制庁技術基盤グループは、平成29年4月26日付け「熊本地震の分析について」において、2016年熊本地震は布田川・日奈久 断層帯が活動したものであり、各機関による震源インバーション解析の結果、長さ42~56㎞程度の地下の震源断層が活動したと分析した。 (乙D43・2頁)(オ) 推本地震調査委員会強震動評価部会による「2016年熊本地震の観測記録に基づく強震動評価手法の検証について(中間報告)」(中間報告。 甲D237)において、本検討が2016年熊本地震の事例解析である ため標準的な強震動予測手法としての妥当性は改めて検討する必要がある(同21頁)とした上で、長期評価(2013)では布田川断層帯布田川区 て、本検討が2016年熊本地震の事例解析である ため標準的な強震動予測手法としての妥当性は改めて検討する必要がある(同21頁)とした上で、長期評価(2013)では布田川断層帯布田川区間の活断層長さは約19㎞と推定され(同1頁)、(イ)法に従い震源断層モデル長さは24㎞と設定されていたが、これらの長さは、いずれも2016年熊本地震で出現した地表地震断層の長さである約34㎞より も短かったこと(同4頁)、地震発生後に得られた様々な観測事実を踏まえて、(ア)法に従い約34㎞を初期震源断層モデルの長さとして初期震源断層モデルを設定すると、地震モーメントが観測値の半分程度となり、最大速度(PGV)の計算値は全体的に過小評価となったこと(同1、3、4、9、10頁)、断層面積を変えずに地震モーメントを2倍又は2. 3倍したモデルや震源断層モデルの長さを46又は52㎞に変更したモデルでは、再現性が改善したこと(同10~19頁)などが報告されている。 (2) 検討ア原告らは、地震ガイドによれば、「断層モデルを用いた手法」における震 源特性パラメータの設定にあたっては、推本のレシピ等の最新の研究成果を考慮し設定されていることを確認するとされているところ、平成28年に修正されたレシピは、詳細な活断層調査をすれば(ア)法だけを用いればよいということではなく、(イ)法についても計算結果を吟味、判断した上で震源断層を設定すべきという趣旨であるにもかかわらず、本件適合性審査 においては、単に(ア)法に依拠するだけで、(イ)法による計算結果を吟味、判断していないから、その審査及び判断の過程に過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記(1)アのとおり、レシピは「全国地震動予測地図」の付録の1つであり、多くの断層帯を る計算結果を吟味、判断していないから、その審査及び判断の過程に過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記(1)アのとおり、レシピは「全国地震動予測地図」の付録の1つであり、多くの断層帯を対象として一括して計算するような場 合や、対象とする断層帯における詳細な情報に乏しい場合であっても強震 動の時刻歴を計算できるようにするため、従来のレシピに基づきながらも一部の断層パラメータの設定を簡便化した方法として(イ)法が追加されたものと認められ、(ア)法と(イ)法との間に優劣があるということはできない。 また、上記(1)ウ(エ)のとおり、推本がレシピ(平成29年版)を用いて評価した地震動予測地図2017年版においても、(ア)法と(イ)法が併用され ているものではない。さらに、レシピ冒頭には、「不確定性を考慮して、複数の特性化震源モデルを想定することが望ましい。」(乙D1・2頁)と記載されているものの、これは、断層モデルを設定する場面において、アスペリティや破壊開始点などの配置を複数考慮することを意味するものと解され、(ア)法と(イ)法の双方により評価することを意味するものとはいえ ない。 イまた、上記(1)イのとおり、レシピの改訂に至る経緯として、J5主査から(イ)法の方が安定的である可能性が高いとして、セクションタイトルの変更が提案され、それぞれのタイトルが修正されたこと、上記(1)ウ(ア)及び(イ)のとおり、複数の専門家が(ア)法及び(イ)法を併用すべきであるとの 意見を述べていること、上記(1)エ(オ)のとおり、2016年熊本地震においては、事前に調査をしていたとしても、長期評価(2002)や長期評価(2013)の断層長さを上回る約34㎞の地表地震断層の長さが出現した上、この長さを用いて(ア )のとおり、2016年熊本地震においては、事前に調査をしていたとしても、長期評価(2002)や長期評価(2013)の断層長さを上回る約34㎞の地表地震断層の長さが出現した上、この長さを用いて(ア)法による震源断層モデルを設定しても、観測値より過小評価となることなどが認められる。 しかしながら、そもそも基準地震動は、「その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼす恐れがある地震」による地震動をいい(設置許可基準規則4条3項)、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとされており(同規則解釈の別記2の 5一)、原子力発電所の基準地震動を策定する際には、詳細な調査によって 震源断層の詳細な情報を得る必要があるから、震源として考慮する活断層の評価に当たって、調査地域の地形・地質条件に応じ、各種の調査手法を組み合わせて調査した上で、震源として考慮する活断層の長さだけでなく、震源断層の長さ、幅、傾斜角等の詳細な情報を得ることになる。(ア)法は「過去の地震記録や調査結果などの諸知見を吟味・判断して震源断層モデルを 設定する場合」に用いられる手法であり(乙D1・3頁)、上記のような詳細な調査で得られた震源断層の情報を全て地震動評価に活用することができ、より直接的に地震動評価に反映することができることから、原子力発電所の基準地震動を策定するに当たり、(ア)法を用いて地震動評価を行うことには合理性があるというべきである。そして、上記(1)ウ(ウ)のとお り、J3は、レシピの解説書である「平成30年度原子力規制庁請負調査報告書」において、(ア)法の位置付けは現在も変わっていないと述べており、レシピ改訂に至る そして、上記(1)ウ(ウ)のとお り、J3は、レシピの解説書である「平成30年度原子力規制庁請負調査報告書」において、(ア)法の位置付けは現在も変わっていないと述べており、レシピ改訂に至る経緯をみても、(ア)法を廃止して(イ)法に一本化したり、(ア)法を用いるときは必ず(イ)法を併用するように議論がまとめられたものとまでは認められず、専門家の間で(イ)法を併用することが必須である との科学的知見が確立されているともいえない。また、中間報告は、あくまでも2016年熊本地震の事例解析であり、本件原子炉敷地の周辺において当てはまるともいえないから、本件適合性審査において、(ア)法のみに依拠して基準地震動を策定していることが不合理であるということはできない。 ウしたがって、レシピの(イ)法を併用するべきであったとの原告らの主張を採用することはできず、(ア)法のみに依拠して審査していることをもって、本件設置変更許可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 5 争点3-(3)(アスペリティ応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定)に ついて (1) 争点に係る認定事実アレシピ(平成29年版)は、円形破壊面を仮定することが適当でない場合のアスペリティの静的応力降下量Δσa(MPa)について、「Δσa=(S/Sa)Δσ」(Sは震源断層全体の面積(㎢)、Saはアスペリティの総面積(㎢)、Δσは震源断層全体の静的応力降下量(MPa))の関係式から求める ことを提案し、アスペリティの面積比(Sa/S)を約22%、震源断層全体の静的応力降下量(Δσ)を3.1MPa、アスペリティの静的応力降下量Δσa を約14.4MPa としている。(別紙11レシピの概要 を提案し、アスペリティの面積比(Sa/S)を約22%、震源断層全体の静的応力降下量(Δσ)を3.1MPa、アスペリティの静的応力降下量Δσa を約14.4MPa としている。(別紙11レシピの概要参照(乙D1・10~12頁))イ東京電力は、平成20年5月22日、原子力安全・保安院に対し、「柏崎 刈羽原子力発電所における平成19年新潟県中越沖地震の地震時に取得されたデータの分析及び基準地震動に係る報告書」において、新潟県中越沖地震の際のアスペリティ応力降下量は震源に近いアスペリティから順に25.47MPa、20.84MPa、19.91MPa と解析され、短周期レベルは壇ほか(2001)の経験式の1.56倍(入倉(2008)モデル)、1.78倍(釜 江(2007)モデル)、又は1.64倍(東京電力モデル)となり、約1.5~1.8倍であったと報告した。(甲D171・5-22、23、55頁)ウ原子力安全・保安院は、平成20年5月29日に開かれた原子力安全委員会の第4回耐震安全性評価特別委員会において、新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析及び基準地震動について、東京電力から、 同月22日、壇ほか式に比べ、震源において通常より1.5倍程度強い揺れを生じる地震であったとの報告を受けたこと、JNESから、同日、同地震について震源特性の影響として、同規模の地震と比べて平均的に1. 5倍程度大きかったと推定される(短周期レベル約1.5倍)との報告を受けたことを示した。(乙D62・添付資料1・3頁目、添付資料2・1頁、 弁論の全趣旨・被告第20準備書面20頁) エ原子力安全・保安院は、平成20年9月4日、「新潟県中越沖地震を踏まえた原子力発電所等の耐震安全性評価に反映すべき事項について」におい 弁論の全趣旨・被告第20準備書面20頁) エ原子力安全・保安院は、平成20年9月4日、「新潟県中越沖地震を踏まえた原子力発電所等の耐震安全性評価に反映すべき事項について」において、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽発電所の観測地震動が同規模の地震から推定される平均的な地震動と比べて大きかった要因について、震源特性として短周期レベルが平均的なものよりおよそ1.5倍程度大きかったこと 及び3つのアスペリティのうちの1つが敷地に近く強い地震波が伝播したことが挙げられると報告した。(甲D170)オ平成24年に開催された原子力安全・保安院における地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)において、不確かさの考慮として、アスペリティ応力降下量を1.5倍又は20MPa 若しくは25MPa とすることにつ いて議論がされた。(甲B60、62、64)J8は、同年5月29日、第4回地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)において、アスペリティ応力降下量を1.5倍としても何に対して1.5倍をしているのかを考えた方が良い、不確かさを考慮するということでは、新潟県中越沖地震で得られた25MPa という値はそれなりに意 味を持つ値と考える、例えば1.5倍又は25MPa の絶対値は検討したらよいが、その大きい方をとって不確かさをみたことにしたほうがよいのではないか、などと発言した。(甲B62・7頁)また、同年8月17日に開かれた第7回地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)で配布された原子力安全・保安院耐震安全審査室作成の「活 断層による地震動評価の不確かさの考慮について(考え方の整理案)」には、考慮すべき不確かさとして、応力降下量について1.5倍又は20MPa の大きい方(断層のずれのタイプや地域特性等について 断層による地震動評価の不確かさの考慮について(考え方の整理案)」には、考慮すべき不確かさとして、応力降下量について1.5倍又は20MPa の大きい方(断層のずれのタイプや地域特性等について十分な検討が行われた場合、これ以外の数値を用いて評価しても良い。)と記載され、その解説には、特に応力降下量が20MPa 以下のサイトは、適切性について再点検 が必要と記載されていた。同会合において、委員の一人は、応力降下量の 1.5倍というのはある種の不確かさを考えた上積みというので理解できるが、20MPa という数字は根拠が見えなかったので、この具体的数値が出てきた根拠を書いた方が良いことを指摘し、耐震安全審査室長は、20MPa か25MPa かいろいろ議論したが、できる限りその根拠を書けるようにしたいと答えた。(甲B65・37頁、甲B66・1、2頁) カ原子力規制委員会は、平成25年10月30日、第39回審査会合において、伊方発電所3号機に係るアスペリティの応力降下量の不確かさケースにおいて、アスペリティの面積比にこだわらずに保守的に評価することをコメントしたが、具体的な数値は指示しなかった。四国電力は、平成26年2月12日、従前のアスペリティの応力降下量12.2MPa を1.5 倍した18.3MPa から、20MPa まで引き上げた。原子力規制委員会は、平成27年7月15日、パラメータの不確かさを考慮したケースとして、応力降下量を基本震源モデルの1.5倍又は20MPa としたケースを設定した申請内容について設置変更許可処分をした。(甲D176・22、23頁、甲D177・15頁、乙C27・24~26頁) キ J3は、平成25年12月21日、東京大学で開催された専門家フォーラムにおいて、新潟県中越 変更許可処分をした。(甲D176・22、23頁、甲D177・15頁、乙C27・24~26頁) キ J3は、平成25年12月21日、東京大学で開催された専門家フォーラムにおいて、新潟県中越沖地震では短周期レベルの地震動が平均値よりも1.5倍くらい大きかったため、現在は、短周期レベルを1.5倍ぐらい大きく想定して基準地震動を策定しているが、この不確かさが1.5倍でいいのか、もっと大きく2倍としなければならないかという議論がある 旨を述べている。(甲D108・7頁)ク J2は、平成26年3月29日、伊方発電所の基準地震動をテーマにした愛媛新聞のインタビューにおいて、四国電力がアスペリティ応力降下量につき不確かさを考慮して1.5倍にしていることについて、明確な根拠はない旨を述べている。(甲D11) ケ東京電力は、平成28年9月30日に開催された柏崎刈羽発電所6号炉 及び7号炉についての新規制基準適合性審査の中で、新潟県中越沖地震の短周期レベルについて、後の知見も踏まえるなどして検討した結果からすれば、ばらつきは認められるものの、その平均は壇ほか式で求めた数値の1.3倍程度であり、不確かさの考慮として1.5倍を見込むことは妥当であると考えられる旨を説明し、この点を踏まえて基準地震動の策定をし た。原子力規制委員会は、これを前提として、平成29年12月27日、同発電所の設置変更許可処分をした。 (乙C26・133頁、弁論の全趣旨・被告第20準備書面20頁)(2) 検討ア設置許可基準規則解釈の別記2の4条5項2号⑤及び地震ガイドⅠ.3. 3.3(2)は、アスペリティ応力降下量のような支配的パラメータについての不確かさの適切な評価を規定し、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2)は、「アスペ 4条5項2号⑤及び地震ガイドⅠ.3. 3.3(2)は、アスペリティ応力降下量のような支配的パラメータについての不確かさの適切な評価を規定し、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2)は、「アスペリティの応力降下量(短周期レベル) については、新潟県中越沖地震を踏まえて設定されていることを確認する」と規定するところ、上記認定事実(地震)(3)ア(エ)c(d)~(h)のとおり、参加人は、本件設置変更 許可申請において、短周期レベルについて、レシピに示された方法に従い、アスペリティの面積比(Sa/S)を22%とし、震源断層全体の応力降下量(Δσ)を3.1MPa として、「Δσa=(S/Sa)Δσ」の関係式から14.1MPa と算出し、これを基本ケースとし、新潟県中越沖地震の知見を反映してこれを1.5倍した値を不確かさ考慮ケースとして設定してい る。 イこれに対し、原告らは、上記(1)イのとおり、東京電力が平成20年5月22日に原子力安全・保安院に報告した新潟県中越沖地震の評価結果をまとめた資料によれば、同地震のアスペリティ応力降下量(短周期レベル)は壇ほか式の1.5倍よりも大きいこと、壇ほか式のデータセットの中で も、短周期レベルが2倍の線を越えてばらついているものがいくつもある ことから、新潟県中越沖地震を踏まえた設定としては、少なくとも1.8倍、できれば2倍程度は必要である旨を主張する。 しかしながら、上記(1)ウのとおり、同月29日に開催された原子力安全委員会の第4回耐震安全性評価特別委員会において原子力安全・保安院が示した資料によれば、東京電力及びJNESは、いずれも短周期レベル(応 力降下量)を壇ほか式の約1.5倍と報告しており、さらに、上記(1)ケのとおり、東京電力は、平成28年9月30 全・保安院が示した資料によれば、東京電力及びJNESは、いずれも短周期レベル(応 力降下量)を壇ほか式の約1.5倍と報告しており、さらに、上記(1)ケのとおり、東京電力は、平成28年9月30日に開催された柏崎刈羽発電所6号炉及び7号炉についての新規制基準適合性審査の中で、新潟県中越沖地震の短周期レベルについて、後の知見も踏まえるなどして検討した結果からすれば、ばらつきは認められるものの、その平均は壇ほか式の1.3 倍程度であり、不確かさの考慮として1.5倍を見込むことは妥当であると考えられる旨を説明している。また、壇ほか式は、ばらつきのある複数の観測データを回帰分析して求めた経験式であるから、その前提とされた個々の観測データとの間にかい離が生ずることは当然であり、基準地震動の設定に当たっては、個々の場面で想定し得る最大の保守性を上乗せする ことまでが求められるということはできず、各種の不確かさや保守性が適切に考慮されていれば合理性を有すると解されること、本件原子炉施設の敷地周辺において、壇ほか式で求められる平均的・標準的な姿よりも短周期レベルが大きくなるような地域性が存在する可能性をうかがわせる特段の事情も認められないことに照らせば、データのばらつきを考慮して上 乗せをすべき必要性があったともいえない。 なお、上記(1)オ、キ及びクのとおり、専門家の中には不確かさの考慮として1.5倍が妥当であるかについて議論があることがうかがわれるが、上述したところによれば、新潟県中越沖地震を踏まえた考慮として1.5倍とすることでは不十分であるとの科学的な知見が確立されているとは いえない。 したがって、参加人が短周期のアスペリティ応力降下量を壇ほか式の1. 5倍としたことが不合理であるとはいえず、地震 は不十分であるとの科学的な知見が確立されているとは いえない。 したがって、参加人が短周期のアスペリティ応力降下量を壇ほか式の1. 5倍としたことが不合理であるとはいえず、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2)の規定に照らして、不十分であったともいえない。 ウ原告らは、参加人が採用したアスペリティ応力降下量14.1MPa は、レシピにおいて「既往の調査・研究成果とおおよそ対応する数値」とされ た「約14.4MPa」より小さく、これを1.5倍しても21.15MPa にとどまり、新潟県中越沖地震を踏まえたアスペリティ応力降下量の設定とは到底いえない旨主張する。 しかしながら、上記(1)アのとおり、レシピは、円形破壊面を仮定することが適当でない場合のアスペリティの応力降下量(Δσa)の設定方法につ いて、アスペリティの面積比(Sa/S)を約22%とし(乙D1・10頁)、震源断層全体の応力降下量(Δσ)を3.1MPa として(乙D1・12頁)、「Δσa=(S/Sa)Δσ」の関係式(乙D1・11頁)から求めることを提案しているところ、そのとおり計算すれば、アスペリティの応力降下量は約14.1MPa となるから、レシピに記載されている「約14.4MPa」 との記載は誤記であるとうかがわれ、他方、参加人が採用した数値はレシピに沿って算定されたものと認められる。 したがって、参加人が、アスペリティ応力降下量を14.1MPa としたことが、レシピと異なる不合理なものとはいえず、原告らの主張は理由がない。 エ以上のとおり、本件設置変更許可申請における参加人のアスペリティの応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定が不合理であったとはいえず、これを妥当とした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い 以上のとおり、本件設置変更許可申請における参加人のアスペリティの応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定が不合理であったとはいえず、これを妥当とした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 6 争点3-(4)-ア(繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合 理性)について (1) 争点に係る認定事実ア地震等検討小委員会における議論(ア) 上記認定事実(地震)(2)ア(ア)の地震等検討小委員会における検討のうち、平成24年2月16日の会合(甲B75)において、大きな規模の地震が繰り返し起きた場合についての考慮の要否が議論された。具体 的には、委員の一人から、大きな地震が起きた後に新たな活動が発生することを想定した検討が必要ではないかとの問題提起がされ(同25頁)、複数の委員から、連続発生に関しては基本的に設計上個別の地震として基準地震動をどうするかという話であり、大きい方で決まるため、連続発生というのは余り考慮する必要はないという意見(同26、27頁) や、連続発生による非線形の変形がたまっていくような計算も検討する必要があるという意見(同28、29頁)が出され、J2主査は、①基準地震動レベルの地震により弾性領域を超えて塑性領域に達し、建屋がある程度損傷を受けている状態で、数日から1か月以内に同レベルの地震が来た場合にどうなるかという問題と、②同時発生によって基準地震 動そのものをかさ上げする必要があるかという問題という2つの問題があると整理した(同36頁)。 (イ) 地震等検討小委員会は、平成24年3月14日付け「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について(とりまとめ)」において、平成18年耐震指 36頁)。 (イ) 地震等検討小委員会は、平成24年3月14日付け「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について(とりまとめ)」において、平成18年耐震指針の改訂案や耐震手 引きの改訂案を取りまとめ、原子力安全基準・指針専門部会は、平成24年3月、これらの改訂案を原子力安全委員会に対して報告したところ、ここでは、多種多様な地震像の検討として、地震の連続発生が主要な論点として議論された。(乙B28)①余震や誘発地震に関して、1つの地震の揺れが収まった後に発生す る地震(地震の連続発生)の考慮については、基準地震動Ssに影響が ないことから、それぞれ個別の地震動として検討されるべきであるとの意見や、施設の設計においては、策定された地震動を連続で入力し、解析することが可能であり、繰り返し荷重として施設の設計において考慮されるべき事項であるとの意見があり、地盤や施設の非線形応答の永久ひずみ(変形)を考慮した検討の必要性等は今後の課題とされるにとど まり(同3頁)、地震等検討小委員会が取りまとめた耐震指針の改訂案(同13~25頁)や耐震手引きの改訂案(同27頁以下)には、この点に関する記載は盛り込まれなかった。 他方、②地震が同時的に発生する場合については、同じ地震発生様式における連動等は考慮されているが、ある地震の継続時間中にその地震 がトリガーとなって異なる地震発生様式の地震が発生する可能性は考慮されていないため、これを考慮すべきか議論され、地震発生に伴う応力伝播によって、異なる発生様式の地震が発生する可能性の検討は、科学的知見に基づいて発生可能性を検討し、検討結果を踏まえて評価を行う必要があるとして、その旨を規定すべきとされ(同3、4頁)、耐震手引 よって、異なる発生様式の地震が発生する可能性の検討は、科学的知見に基づいて発生可能性を検討し、検討結果を踏まえて評価を行う必要があるとして、その旨を規定すべきとされ(同3、4頁)、耐震手引 きの改訂案に、「地震発生に伴う応力伝播によって異なる発生様式の地震が発生する可能性について検討すること。」という一文が追加された(同39頁)。 イ 2016年熊本地震について(ア) 2016年熊本地震では、M7.3の地震(平成28年4月16日午 前1時25分)の約28時間前にM6.5の地震(同月14日午後9時26分)が発生し、震度7が観測される揺れが2回発生した。その後も最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生し、震度5弱以上の地震は19回に及んだ。(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(2)3、4頁)(イ) 2016年熊本地震において、熊本県益城町の観測点では、平成28 年4月14日及び同月16日に震度7が観測された。地震動は軟弱な表 層地盤で増幅される性質があるところ、2016年熊本地震において最大の加速度を観測した同月14日の地震のKiK-net 益城観測点(KMMH16)の観測記録(最大1399gal(上下))は、火山灰質粘土や砂からなる軟弱な地盤(S波速度約0.1~0.2㎞/s 程度)における地表観測記録であるのに対し、同観測点の地下-252mの地震基盤相当の硬質な 岩盤(S波速度約2.7㎞/s)に設置された地震計では、上下方向で最大127gal、水平方向(北南方向)最大237gal、水平方向(東西方向)最大178gal であった。また、同月16日の地震のKiK-net 益城観測点(KMMH16)の観測記録は、最大1157gal(水平方向(東西方向))であるのに対し、同観測点の地下-252mの 向)最大178gal であった。また、同月16日の地震のKiK-net 益城観測点(KMMH16)の観測記録は、最大1157gal(水平方向(東西方向))であるのに対し、同観測点の地下-252mの地震基盤相当の硬質な岩 盤に設置された地震計では、上下方向で最大196gal、水平方向(北南方向)最大159gal、水平方向(東西方向)最大243gal であった。 (乙D42、43・参考1の1、5、6頁)(2) 検討ア原告らは、本件設置変更許可処分、本件工事計画認可処分及び本件運転 期間延長認可処分について、女川発電所における東北地方太平洋沖地震等の各観測記録、地震等検討小委員会における議論状況、2016年熊本地震の発生状況等を根拠として、本件原子炉施設敷地において、基準地震動を超過する地震動が間を置かずに繰り返し発生する可能性があるにもかかわらず、これを想定していない具体的審査基準は不合理である旨主張する。 しかしながら、女川発電所の当時の基準地震動Ssを超えた最大地震加速度を観測した東北地方太平洋沖地震等のうち、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震はプレート間地震、同年4月7日の宮城県沖の地震は海洋プレート内地震(スラブ内地震)であり、これをもって同じ様式の基準地震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生した例ということは できない。また、上記2(2)イのとおり、東北地方太平洋沖地震等による女 川発電所での観測記録は、東北電力が示した同発電所の基準地震動Ssの応答スペクトル(平成18年改訂後の耐震設計審査指針を踏まえたもの)を一部の周期帯で超過したが、その他の周期帯では概ね同程度以下であり、これらの地震動により女川発電所において耐震重要施設に損傷が生じたとは認められない。したがって、女 震設計審査指針を踏まえたもの)を一部の周期帯で超過したが、その他の周期帯では概ね同程度以下であり、これらの地震動により女川発電所において耐震重要施設に損傷が生じたとは認められない。したがって、女川発電所における東北地方太平洋沖地 震等の各観測記録をもって、新規制基準に基づく基準地震動を複数回超過すること(あるいは基準地震動に匹敵するような揺れが時間をおかずに発生すること)を具体的に示す事例があるとはいえない。 次に、上記(1)アで認定した地震等検討小委員会における議論の経過によれば、地震の連続発生の考慮については、地盤や施設の非線形応答の永久 ひずみ(変形)を考慮した検討の必要性等が今後の課題とされるにとどまり、地震等検討小委員会が取りまとめた耐震基準の改定案や耐震手引きの改訂案にこの点に関する記載は盛り込まれなかったものであり、このような地震等検討小委員会における議論をもって、繰り返しの揺れを想定していない新規制基準が不合理ということはできない。 また、上記(1)イのとおり、2016年熊本地震においては、熊本県益城町の観測点(KMMH16)において、平成28年4月14日及び同月16日に震度7が観測されているが、この観測点は、火山灰質粘土や砂からなる軟弱な地盤(S波速度約0.1~0.2㎞/s 程度)における地表観測記録であり、同観測点の地下-252mの地震基盤相当の硬質な岩盤(S波速度 約2.7㎞/s)に設置された地震計では、最大243gal にとどまっており、2度の震度7の観測は、軟弱な地盤により増幅された結果と考えられる。これに対し、発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震設計において問題となる基準地震動は、浅部地下構造より下の解放基盤表面における、浅部地下構造による影響がない地震動として定義されるも 考えられる。これに対し、発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震設計において問題となる基準地震動は、浅部地下構造より下の解放基盤表面における、浅部地下構造による影響がない地震動として定義されるものであるから (設置許可基準規則解釈の別記2の5一)、2016年熊本地震で観測さ れた記録は、地下の固い地盤において比較すると、発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震設計に当たって策定される基準地震動に匹敵するほど大きな地震動ではなかったというべきである。したがって、2016年熊本地震における観測記録は、基準地震動に匹敵する地震動が繰り返し発生する場合を想定すべき根拠にはならない。 イ原告らは、設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈は、基準地震動による地震動により、弾性限界を超え、塑性ひずみが生じ得る場合を容認しつつ、地震により安全機能が損なわれるおそれがないことについて、基準地震動による地震力のみが考慮されており、基準地震動に匹敵する強い前震や余震が発生した場合についての考慮はされていないから、基準地震 動に匹敵する地震動が繰り返し起きると、安全機能が損なわれるおそれがあるなどと主張する。 しかしながら、弾性限界を超える地震動が発生した場合、発電用原子炉施設は塑性変形の領域となるが、上記2(2)アで説示したとおり、基準地震動が各種の不確かさを踏まえて保守的に策定される結果、基準地震動との 応答スペクトルの比率の値が、目安として0.5を下回らないような値で、工学的判断に基づいて設定される弾性設計用地震動(設置許可基準規則解釈の別記2の4一)についても保守性をもって策定されることとなり、弾性設計用地震動それ自体も相当程度強い地震動となる。 また、設置許可基準規則4条1項は、設計基準対象施設の耐震設 設置許可基準規則解釈の別記2の4一)についても保守性をもって策定されることとなり、弾性設計用地震動それ自体も相当程度強い地震動となる。 また、設置許可基準規則4条1項は、設計基準対象施設の耐震設計に係 る規制上の要求として、「設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。」とし、この「地震力に十分に耐えること」を満たすために、Sクラスの設計基準対象施設について「建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせ、その結果発生す る応力に対して、建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準に よる許容応力度を許容限界とすること。」、「機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。」を求めている(設置許可基準規則解釈の別記2の3一)。さらに、設置許可基準規則4条 3項に関し、設置許可基準規則解釈の別記2の6一において、基準地震動に対する耐震重要施設の設計に当たり、①建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が「構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐 力に対し妥当な安全余裕を有していること。」が求められ、また、②機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、このような「荷重により塑性ひずみが れ、また、②機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、このような「荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その 施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと」が求められているとおり、規制基準上の許容値について、許容限界値(建物・建築物の終局耐力、機器・配管系の破断延性限界)に対して十分な余裕を持たせて規定している。 さらに、上記2(2)アのとおり、地震ガイドが設置(変更)許可段階における耐震設計方針を定め、耐震工認審査ガイドが工事計画認可段階におけ る耐震設計の確認事項を定めており、これらも十分な保守性を持った内容といえる上、新規制基準の考え方においても耐震設計上には複数の余裕が含まれているとの考え方が示されている。 したがって、弾性限界を超える地震動が繰り返し起きたとしても、直ちに発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の安全機能が損なわれるおそれ があるとは認められないから、これと異なる原告らの主張は理由がない。 ウ以上によれば、基準地震動を超過する地震動が間を置かずに繰り返し発生する可能性があるにもかかわらず、これを想定していない具体的審査基準は不合理であるとの原告らの主張は理由がない。 7 争点3-(4)―イ(蒸気発生器伝熱管の耐震性)について(1) 争点に係る認定事実 ア参加人は、本件工事計画認可申請において、蒸気発生器伝熱管の基準地震動Ssによる1次応力評価結果として、基準地震動Ssによる1次応力発生値は527MPa、Ss用評価基準値は539MPa、弾性設計用評価基準値は295MPa と記載した。(弁論の全趣旨 熱管の基準地震動Ssによる1次応力評価結果として、基準地震動Ssによる1次応力発生値は527MPa、Ss用評価基準値は539MPa、弾性設計用評価基準値は295MPa と記載した。(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(2)11頁)イ耐震設計における応力分類 物体に力(荷重)がかかると、物体内部にそれに対応する力(応力)が発生する。この応力には、1次応力、2次応力及びピーク応力が存在する。 1次応力は、内圧や地震力などの外荷重により機器内部に発生する応力であり、1次応力は更に膜応力(外力によって断面に発生する平均応力)と曲げ応力(モーメントによって断面内で引っ張りから圧縮に変化する応力) に分けられる。この1次応力は、機器の変形やひずみにかかわらず一定の力でかかり続けることから、降伏点を超えた過大な1次応力が発生すると、延性破壊(1次膜応力によって生じる。)や塑性崩壊(1次膜応力+1次曲げ応力によって生じる。)を引き起こすおそれがある。他方、2次応力とは、例えば物体が熱により膨張しようとする際に支持金具で拘束されること によって発生する応力であり、ピーク応力とは、物体の断面などが変化する部分に発生する応力集中により、1次応力又は2次応力に付加される応力である。2次応力やピーク応力は、大きな変形を起こすものではないが、繰り返し発生する場合には、疲労破損を引き起こすおそれがある。(乙E53・82頁) 各応力分類の許容応力は、材料の強度(降伏応力、引張強さ等)にそれ ぞれ所定の安全率を乗じる等の方法により規定されており(1次+2次応力+ピーク応力を除く。)、構造や寸法に左右されるものではない。(乙E30・24頁、乙E33・87頁)設計降伏応力や設計引張強さは、日本機械学会「発電用原子力設備規格 されており(1次+2次応力+ピーク応力を除く。)、構造や寸法に左右されるものではない。(乙E30・24頁、乙E33・87頁)設計降伏応力や設計引張強さは、日本機械学会「発電用原子力設備規格材料規格」に規定されているところ、材料の各温度における引張試験デー タの下限値(例えばデータの99%信頼幅の下限値)として設定されており(乙E30・24頁)、現実の材料の降伏点、引張強さに対して保守性を有している。また、別紙13機器・配管系の工事計画認可に関するJEAG4601の概要のとおり、JEAG4601・補-1984 において、基準地震動と運転状態による荷重の組合せに対する1次一般膜応力の許容応力は、設計引張強さの 2/3とされており、設計引張強さに対し保守的に設定されている。(乙B60・23頁、乙E30・24、25頁、乙E33・87頁、乙E54・82頁)(2) 検討原告らは、上記(1)アのとおり、本件原子炉施設の蒸気発生器伝熱管の基準 地震動における1次応力(膜応力+曲げ応力)発生値は、弾性設計用地震動に対して設定された評価基準値(許容値)を上回っており、基準地震動に対しては塑性ひずみの発生を容認しているため、さらに基準地震動に匹敵する地震が発生すると、塑性変形を引き起こす可能性が否定できず、このような繰り返しの荷重についての考慮を要求しない本件工事認可処分は、原子力規 制委員会の審査及び判断の過程で用いられた具体的審査基準に不合理な点があり違法であると主張する。 しかしながら、上記6(2)で説示したとおり、これまでに基準地震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生する可能性をうかがわせるような事例があったとは認められず、基準地震動及び弾性設計用地震動自体が多数の保守性 を考慮した相当程度強い地震動 までに基準地震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生する可能性をうかがわせるような事例があったとは認められず、基準地震動及び弾性設計用地震動自体が多数の保守性 を考慮した相当程度強い地震動として策定され、耐震設計においても各種の 保守性が確保されているから、新規制基準において、基準地震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生することが想定されていないことが不合理であるとはいえない。 また、上記(1)イのとおり、許容応力は、材料の強度(降伏応力、引張強さ等)にそれぞれ所定の安全率を乗じる等の方法により規定されており、構造 や寸法に左右されるものではないから、基準地震動が発生して弾性設計用地震動に対して設定された評価基準値を上回り、塑性ひずみが生じたとしても、その構造の変化が直接許容応力に影響するとはいえない。 さらに、上記(1)イのとおり、設計引張強さや設計降伏応力は、材料の各温度における引張試験データの下限値(例えばデータの99%信頼幅の下限値) として設定されており、現実の材料の降伏点、引張強さに対して保守性を有している上、JEAG4601・補-1984 において、基準地震動と運転状態による荷重の組合せに対する1次一般膜応力の許容応力は、設計引張強さの2/3とされており、設計引張強さに対し保守的に設定されている。 したがって、基準地震動後に引き続きこれに匹敵する地震動が発生し、本 件原子炉施設の蒸気発生器伝熱管が塑性変形を引き起こすおそれがある旨の原告らの主張は理由がなく、繰り返しの揺れを想定していないことをもって蒸気発生器伝熱管の耐震評価に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 8 争点3-(4)―ウ(主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価)について (1) 争点に係る とをもって蒸気発生器伝熱管の耐震評価に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 8 争点3-(4)―ウ(主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価)について (1) 争点に係る認定事実ア本件原子炉施設について、ピーク応力強さに基づいて地震時の揺れの想定繰返し回数を設定する際には、水平方向と鉛直方向のそれぞれの繰返し回数を算定して大きい方の値を採用し(乙C47・30頁)、弾性設計用地震動の揺れの想定繰返し回数の算定においては、弾性設計用地震動に対す るピーク応力強さの代わりに基準地震動に対するピーク応力強さを用い (乙C47・31頁)、最終的に地震時の揺れの想定繰返し回数を設定するに当たっては、上記のピーク応力強さに基づいて算定された想定繰返し回数より大きな値(基準地震動時と弾性設計用地震動のいずれについても200回)が設定されている。(乙C47・30、31頁)イ参加人は、低サイクル疲労評価における過渡回数について、起動に係る 平成23年度末までの起動実績回数が46回であるのに対し、設計上の想定繰返し回数は78回とした。(乙C21・4、38、39頁)ウ参加人は、本件運転期間延長認可申請に係る平成28年8月26日付け耐震安全性評価書において、主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価として、疲労累積係数を通常運転時0.209、基準地震動Ss地震時0. 725、合計0.934と記載した。(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(2)24、25頁)エ疲労累積係数について疲労累積係数の算出に当たっては、機器・配管系に加えられる荷重(地震力等)の実際の繰返し回数と繰返しピーク応力強さに対応する許容繰返 し回数の比が用いられる。このうち、許容繰返し回数の設定に当たっては設計疲労線図 たっては、機器・配管系に加えられる荷重(地震力等)の実際の繰返し回数と繰返しピーク応力強さに対応する許容繰返 し回数の比が用いられる。このうち、許容繰返し回数の設定に当たっては設計疲労線図が用いられるが、これは通常、平滑な丸棒試験片の単軸引張圧縮疲労試験データに基づいてその回帰分析を行って設定した曲線(最適疲労曲線)を、環境効果、寸法効果及びデータのばらつきを考慮して、最適疲労曲線に対して繰返し回数方向(横軸)に1/20、応力振幅方向(縦 軸)に1/2の安全率を乗じて設定される。(乙E30・14、15頁、弁論の全趣旨・被告第16準備書面18頁)オ原子力規制委員会が実施する機器・配管系の耐震安全性評価に係る安全研究の一環として、原子力規制庁と学校法人東京電機大学の共同研究の成果を報告した論文である藤原啓太ほか(2023)は、配管要素の試験体を対象 とした振動試験の結果に基づき、現行基準に基づく設計疲労評価手法は、 疲労累積係数を10倍以上保守的に評価していると報告している。 (乙E134、135、乙F61、弁論の全趣旨・被告第53準備書面14、15頁)(2) 検討原告らは、本件保安規定変更認可申請及び本件運転期間延長認可申請に際 し、主給水系配管の耐震評価における疲労累積係数が0.934と高い値となっており、強い余震等に続けて襲われると、許容値の1を超えてしまう可能性があり、このような繰り返しの荷重についての考慮を要求しない具体的審査基準は不合理であると主張する。 しかしながら、上記6(2)で説示したとおり、新規制基準において、基準地 震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生することが想定されていないことが不合理であるとはいえず、基準地震動及び弾性設計用地震動自体も多数の保守性を 示したとおり、新規制基準において、基準地 震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生することが想定されていないことが不合理であるとはいえず、基準地震動及び弾性設計用地震動自体も多数の保守性を考慮した相当程度強い地震動として策定され、上記7(2)のとおり、それに対する耐震設計の段階においても、設計引張強さや設計降伏応力が保守的に設定されているなど、保守性が確保されている。 さらに、上記(1)エのとおり、疲労破損の防止について、許容繰返し回数の設定に当たって用いられる設計疲労線図は、最適疲労曲線に対して繰返し回数方向(横軸)に1/20、応力振幅方向(縦軸)に1/2の安全率を乗じて設定されたものである上、上記(1)ア及びイのとおり、本件原子炉施設について、ピーク応力強さに基づいて地震時の揺れの想定繰返し回数を設定する際 の繰返し回数、弾性設計用地震動の揺れの想定繰返し回数の算定におけるピーク応力強さ、最終的な地震時の揺れの想定繰返し回数の各段階において保守的な数値を設定し、低サイクル疲労評価における過渡回数についても起動実績回数よりも多い設計上の想定繰返し回数とするなど、保守的な設定をしており、藤原啓太ほか(2023)においても、現行基準に基づく設計疲労評価手 法は、疲労累積係数を10倍以上保守的に評価したものであることが報告さ れている。 したがって、本件原子炉施設の主給水系配管について、基準地震動後に引き続きこれに匹敵する地震が生じて破損するおそれがある旨の原告らの主張は理由がなく、本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分に係る審査及び判断の過程で用いられた具体的審査基準に不合理な点があると はいえない。 9 争点3-(4)-エ(格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性等)について( 分及び本件運転期間延長認可処分に係る審査及び判断の過程で用いられた具体的審査基準に不合理な点があると はいえない。 9 争点3-(4)-エ(格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性等)について(1) 原告らは、本件原子炉施設の高経年化技術評価書(30年目)によれば、本件原子炉施設の原子炉格納容器の伸縮式配管貫通部(主蒸気ライン貫通部)の耐震評価は、通常運転時と基準地震動時を合計すると疲労累積係数0.7 46となっており、余震等により基準地震動の3割程度の影響があれば許容値を超えるおそれがあると主張する。 しかしながら、証拠(乙C23)及び弁論の全趣旨(被告第16準備書面33頁)によれば、参加人は、本件工事計画認可申請において、新規制基準の下で設備の耐震裕度を向上させるため、主蒸気系伸縮式配管貫通部の伸縮 継手について、耐震補強工事として取替えを実施することとし、これを前提として本件原子炉の高経年化技術評価(40年目)においては主蒸気系統の伸縮継手の疲労累積係数を合計0.589と記載しており、耐震補強工事後の疲労累積係数は1を大きく下回っていると認められる。 したがって、原告らの主張はそもそもその前提を欠くものであって理由が ない。 (2) 原告らは、参加人が、本件運転期間延長認可申請に係る審査において提出した保守管理に関する方針書において、「疲労評価における実績過渡回数の確認を継続的に実施し、運転開始後60年時点の推定過渡回数を上回らないことを確認する。」と記載していることについて、地震が発生した後に実績過渡 回数を確認するのでは遅く、疲労評価は繰り返しの揺れの影響を予め見込ん だ評価を実施しなければならないと主張する。 しかしながら、原告らの上記主張は、基準地震動後に引き続きこれに匹敵す 回数を確認するのでは遅く、疲労評価は繰り返しの揺れの影響を予め見込ん だ評価を実施しなければならないと主張する。 しかしながら、原告らの上記主張は、基準地震動後に引き続きこれに匹敵する地震が生じて機器や配管が破損するおそれがあることを前提とするものというべきところ、上記6(2)及び7(2)で説示したとおり、新規制基準において、基準地震動又はこれに匹敵する地震が繰り返し発生することが想定さ れていないことが不合理であるとはいえず、基準地震動及び弾性設計用地震動自体も多数の保守性を考慮した相当程度強い地震動として策定され、それに対する耐震設計の段階においても、設計引張強さや設計降伏応力が保守的に設定されているなど、保守性が確保されており、さらに、疲労破損の防止についても繰返し回数及び応力振幅についてそれぞれ安全率を乗じて設定さ れるなど、保守的な設定がされている。 したがって、本件原子炉施設の伸縮式配管貫通部について、基準地震動後に引き続きこれに匹敵する地震が生じて破損するおそれがあることを前提として疲労評価は繰り返しの揺れの影響を予め見込んだ評価を実施しなければならない旨の原告らの主張は理由がなく、本件運転期間延長認可処分に係る 審査及び判断の過程で用いられた具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 (3) 原告らは、伸縮式配管貫通部の耐震評価に関して本件保安規定変更認可処分の違法事由としても主張する。 しかしながら、原告らが本件保安規定変更認可処分の違法事由の根拠とす る事業者ヒアリングの資料(甲C27)は、高浜発電所2号炉の運転期間延長認可申請に関し、平成27年1月7日に開催された同原子炉の保安規定変更認可申請(高経年化技術評価等)に関する伸縮継手についての資料であるから、本件原子炉に C27)は、高浜発電所2号炉の運転期間延長認可申請に関し、平成27年1月7日に開催された同原子炉の保安規定変更認可申請(高経年化技術評価等)に関する伸縮継手についての資料であるから、本件原子炉に係る本件保安規定変更認可処分とは何ら関係があるとはいえず、本件保安規定変更認可処分の違法事由となるとはいえない。 10 争点3-(5)-ア(1次冷却設備の減衰定数を3%としたこと)について (1) 争点に係る認定事実ア 1次冷却設備の減衰定数に関する審査の経緯(ア) 高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設の蒸気発生器は、中間胴及び下部に水平サポートを有する2点支持である。高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設の各蒸気発生器の全体構造、上部 支持構造及び下部支持構造は同一ではないが、蒸気発生器サポートの配置や支持点数等で相違はない。(甲C14・6頁、甲C19・5頁)(イ) 参加人は、平成27年12月10日、原子力規制委員会の第305回審査会合において、高浜発電所1号機及び2号機の耐震設計について、高浜発電所3号機及び4号機の申請で適用したものと同様の耐震設計 手法を用いないことについて、高浜発電所3号機及び4号機以降に設置された原子力発電所については、「高耐震」という設計のためラジアルサポートが6つ設置されているのに対し、高浜発電所1号機及び2号機については、4つしか設置されておらず、同設備の1個あたりにかかる荷重負担が大きいことや、基準地震動が大きくなったことから、従来の耐 震設計手法によれば、耐震健全性が示せないと述べた。 (甲C15・67、68頁)(ウ) 参加人は、平成27年12月17日、第310回審査会合において、高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設のいずれも よれば、耐震健全性が示せないと述べた。 (甲C15・67、68頁)(ウ) 参加人は、平成27年12月17日、第310回審査会合において、高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設のいずれも、1次冷却設備(1次冷却ループ)の設計用減衰定数について、新規制基準施行 以前の工事計画認可時は1%としていたものを、3%に変更する旨を説明した。(乙C105・13頁)この時点では、3点支持の蒸気発生器については、1次冷却設備の設計用減衰定数を3%と設定した工事計画認可の例があったが、2点支持の蒸気発生器については、新規制基準施行前に、1次冷却設備の設計用 減衰定数を1%と設定した工事計画認可の実績はあるものの、新規制基 準施行の前後を通じ、設計用減衰定数を3%と設定した例はなかった。 (乙C104・264頁)これに対して、原子力規制庁の職員は、JEAG4601-1991 追補版は、1次冷却設備の設計用減衰定数を3%としているが、同値は、1次冷却設備を構成する蒸気発生器が上部、中間及び下部に水平サポートを有する 3点支持蒸気発生器の場合の試験結果に基づく減衰定数であるのに対し、高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設の蒸気発生器は2点支持蒸気発生器であることから、耐震工認審査ガイド4.4.1(4)②及び③の後段の「既往の研究等における試験等により妥当性が確認されている設定等を用いる場合は、適用条件、適用範囲に留意する。」との記載 に則る必要があるとして、2点支持蒸気発生器の場合に1次冷却設備の設計用減衰定数3%を適用することの妥当性やその適用可能性の説明が必要不可欠である旨を指摘した。(乙C105・12、13頁)(エ) 参加人は、上記第310回審査会合における指摘を踏まえて、平成28年1月1 定数3%を適用することの妥当性やその適用可能性の説明が必要不可欠である旨を指摘した。(乙C105・12、13頁)(エ) 参加人は、上記第310回審査会合における指摘を踏まえて、平成28年1月14日、第317回審査会合において、国内外のデータ、特に 2点支持が主流の米国における2点支持蒸気発生器の減衰定数に関するデータを集積し、高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設の1次冷却設備への設計用減衰定数3%の適用性を説明する方針を示した。 (乙C106・29、30頁)これに対して、原子力規制庁の職員は、海外知見から高浜発電所1号 機及び2号機並びに本件原子炉施設への適用性を説明するのであれば、高浜発電所1号機及び2号機や本件原子炉施設の地震動に対する海外知見の「包絡性」(有用性)、海外知見と高浜発電所1号機及び2号機や本件原子炉施設の支持構造の差を踏まえ、「減衰機構別に寄与」(各機器の減衰定数)を積み上げた場合の減衰定数の値といった定量分析等を確認 する上で、基幹的かつ重要な事項の説明のための情報が必要である旨を 指摘するとともに、高浜発電所1号炉及び2号炉の運転期間満了日(平成28年7月7日)までのスケジュールを踏まえ、同論点に対する効率的な対応としての観点から、実機を用いた加振試験の実施の可能性について示唆した。(乙C106・18、19、30頁)(オ) 参加人は、平成28年1月26日、第323回審査会合において、原 子力規制庁から示唆があった実機を用いた加振試験に関し、国内外のデータの集積及び分析により、1次冷却設備の設計用減衰定数3%の適用可能性は説明可能であるとした上で、当該説明を補足・補完するためのものとして実機での加振試験を実施する意向を示し、加振機による定常加振とハンマーによ 析により、1次冷却設備の設計用減衰定数3%の適用可能性は説明可能であるとした上で、当該説明を補足・補完するためのものとして実機での加振試験を実施する意向を示し、加振機による定常加振とハンマーによる打撃加振の両方の実施を検討している旨を説明し た。(乙C107・5~10頁、乙C108・3~8頁)これに対して、原子力規制庁の職員は、参加人によるこれまでの説明では、米国での設計の考え方、減衰定数の適用範囲が明確でないとして、「実機による加振試験」は必須であるとの見解を示したところ、参加人は、これを了承した。(乙C107・25頁) (カ) 原子力規制庁は、従前の方針を変更して「実機による加振試験」を実施する見込みになったこと、運転期間満了日が近づいていること等の状況に鑑み、平成28年2月10日に開催された平成27年度第55回原子力規制委員会において、高浜発電所1号機及び2号機に係る審査の状況等を原子力規制委員会に報告した。原子力規制庁は、参加人が実施予 定の加振試験の結果を含め、後段規制において設計用減衰定数の適用性を確認する必要があるとの見解を示し、今後、設置変更許可を行った場合であっても、参加人により実施予定の加振試験の結果、設計用減衰定数が3%に達しない場合には、工事計画認可ができないという状況もあり得ることを説明した。原子力規制委員会は、原子力規制庁に対し、1 次冷却設備の設計用減衰定数の適用性の確認方針については、審査の状 況・進展を踏まえて検討の上、最終的には原子力規制委員会に諮るよう指示した。(乙C111・9~15頁、乙C112・1頁)(キ) 参加人は、平成28年2月18日、第331回審査会合において、従前の方針を変更し、本件原子炉施設の実機(蒸気発生器)を用いた加振試験(本件加 。(乙C111・9~15頁、乙C112・1頁)(キ) 参加人は、平成28年2月18日、第331回審査会合において、従前の方針を変更し、本件原子炉施設の実機(蒸気発生器)を用いた加振試験(本件加振試験)を実施し、当該試験結果を基に、2点支持蒸気発 生器の1次冷却設備の設計用減衰定数3%の妥当性を説明する方針を説明した。(乙C109・5~7、14頁、乙C110・2頁)(ク) 原子力規制庁は、平成28年3月23日に開催された平成27年度第62回原子力規制委員会において、高浜発電所1号機及び2号機の1次冷却設備の設計用減衰定数の適用性に関する確認プロセスについて次の ①~④のとおり整理し、原子力規制委員会は、これを了承した。 ①工事計画認可の審査においては、工事計画に示された減衰定数を基に設計する設備が技術基準に適合することを確認する。 ②高浜発電所1号機及び2号機においては、工事計画に示される減衰定数(3%)に基づき評価される機器等の許容応力に対する余裕が、従 前の減衰定数(1%)に基づく評価に比べ小さくなることが見込まれるため、設計における若干の相違や施工上のばらつきにより発生する減衰定数の不確かさに対して保守性を有する値であるかを確認する必要がある。 ③工事計画においては、今後、必要な工事実施後の状態において今回 の減衰定数を適用するものであること、工事完了後の実機(高浜発電所1号機及び2号機)を対象とした加振試験を実施し、減衰定数を確認することを明記することを要求する。 ④使用前検査においては、必要な工事実施後、実機(高浜発電所1号機及び2号機)を対象に加振試験を実施して取得したデータにより、工 事計画における減衰定数を確認する。(以上につき、乙C113・1頁、 乙C114・3、6 後、実機(高浜発電所1号機及び2号機)を対象に加振試験を実施して取得したデータにより、工 事計画における減衰定数を確認する。(以上につき、乙C113・1頁、 乙C114・3、6~8、10頁)(ケ) 原子力規制委員会は、平成26年5月2日の平成26年度第6回原子力規制委員会において、新規制基準施行後の工事計画の審査及び使用前検査についての対応方針を検討し、工事計画認可に係る審査については、「事業者の実施した評価が、既に認可された工事計画で用いられたもの と同じ手法及び条件の場合には、入力と結果を確認することとし、新たな手法等である場合には、それに先立ち、その手法等の妥当性と適用可能性を確認する。」とし、使用前検査については、「安全機能を有する主要な設備については、これまでの実績を踏まえた適切な手法で検査を実施する一方、それ以外の設備については、使用前検査において、事業者 において認可された工事計画に従って工事が行われたことを記録により包括的に確認するとともに、抜き取りにより現物を確認する等の手法を用いる。」と整理するとともに、工事計画認可後に炉規法43条の3の9第3項2号「発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること」に違反することが判明した場合は、違反の内容・ 程度及び施設の状況等を踏まえつつ、同法43条の3の23第1項に基づく施設使用停止等命令の発出を行うこと等により対応するとしていた。 (乙B154、155・14、15、19頁)(コ) 参加人は、平成28年4月14日、第349回審査会合において、工事計画に示す1次冷却設備の設計用減衰定数の妥当性について、下記イ のとおり実施した本件加振試験の内容及び結果をもって、蒸気発生器頭頂部変位2.0㎜以上のデータに 349回審査会合において、工事計画に示す1次冷却設備の設計用減衰定数の妥当性について、下記イ のとおり実施した本件加振試験の内容及び結果をもって、蒸気発生器頭頂部変位2.0㎜以上のデータにおけるモーダル減衰定数の下限値は3. 2%であり、設計用減衰定数の解析によるモーダル減衰定数2.99%を上回り、2点支持蒸気発生器である高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設において1次冷却設備の減衰定数が3%以上確保でき る見通しである、本件加振試験について、加振方法等改善の余地がある ことがわかったので耐震工事完了後の状態において実施する加振試験につなげていきたい、本件加振試験は反力型の加振であったが、耐震工事完了後の加振試験では慣性型加振を考えているなどと説明した。 (乙C115・6、7、12頁、乙C116・5頁)また、参加人は、本件工事計画認可処分後の使用前検査において、平 成27年度第62回原子力規制委員会において同委員会が了承した方針に則り、耐震工事完了後の状態にて蒸気発生器、冷却材ポンプの各々が主体的に振動する場合の実機の減衰定数を取得し、工事計画(設計)で設定した値を有することを確認すると回答した。(乙C116・14、15頁) イ本件加振試験について(ア) 参加人は、本件原子炉施設並びに高浜発電所1号機及び2号機の1次冷却設備に対する設計用減衰定数3%の適用可能性を確認するため、本件原子炉施設の実機を用いた加振試験(本件加振試験)を耐震設計の評価条件であるプラント運転時に近い条件で実施した上で、このような実 機の加振試験により得られるループ全体(原子炉容器と1次冷却設備)のモーダル減衰定数(機器・配管系等の振動現象を様々な揺れ方、すなわち振動モードごとに分解したときに、各 た上で、このような実 機の加振試験により得られるループ全体(原子炉容器と1次冷却設備)のモーダル減衰定数(機器・配管系等の振動現象を様々な揺れ方、すなわち振動モードごとに分解したときに、各振動モードに発生する減衰の効果の大きさを個別に表現したもの。)と、工事計画認可申請において設定している各機器の設計用減衰定数に基づく解析により算出されるルー プ全体のモーダル減衰定数を比較することとした。これは、実機を用いた加振試験では1次冷却設備のみの減衰定数を計測することはできず、原子炉容器と1次冷却設備を合わせたモーダル減衰定数しか計測できないからであり、実機によるモーダル減衰定数と各機器の設計用減衰定数から算出されるモーダル減衰定数を比較して実機によるモーダル減衰定 数が設計用減衰定数を上回るか否かにより、各機器の設計用減衰定数が 保守性を有するか確認するものである。各機器の設計用減衰定数として、原子炉容器を1%、1次冷却設備の各機器(蒸気発生器、冷却材ポンプ、1次冷却材管及びホットレグ・クロスオーバーレグ・コールドレグ)を3%と設定した場合、モーダル減衰定数は2.99%と算出された。(乙C120・2頁、弁論の全趣旨・被告第38準備書面37頁) 参加人は、本件原子炉施設の代表的な振動モードにおける各機器の設計用減衰定数の寄与度を確認した上で、減衰機構の主要因はサポート部であるという過去の知見により、部材減衰定数としては本体よりサポート部の方が大きいとして、蒸気発生器の設計用減衰定数としては蒸気発生器の本体の減衰寄与率の高い1次モードの振動モードによる試験で代 表することができるとし、加振対象物であるAループ蒸気発生器及びBループ蒸気発生器について、これらの対象物の形状及び構造等から、主軸をホッ 衰寄与率の高い1次モードの振動モードによる試験で代 表することができるとし、加振対象物であるAループ蒸気発生器及びBループ蒸気発生器について、これらの対象物の形状及び構造等から、主軸をホットレグ軸直方向及びホットレグ軸方向と決定した上で加振試験を実施することとした。(乙C104・269~280、364頁、乙C120・13頁) (イ) 本件加振試験は、次の①~⑤に示す測定及び解析手順に基づき実施された。(乙C104)①Aループ蒸気発生器とBループ蒸気発生器の2箇所において加振試験を実施する。試験の加振レベルとして、実機を加振した際の変位量(ひずみレベル)の違いによる減衰定数の違いを把握するため、小レベル、 中レベル及び大レベルの3種類を実施する(同366、374、381頁)。 ②加振位置は、油圧加振機を蒸気発生器の2次側マンホールと周囲構造物との間に設置し、加振ポイントとして蒸気発生器の2次側マンホール部を選定する。Aループ蒸気発生器においてはホットレグ軸方向から 33.5°の方向、及びBループ蒸気発生器においては同61.6°の 方向で蒸気発生器を強制定常加振する(同365、366頁)。加振条件は、加振力を一定とした単一振動数の正弦波加振により、振動が一定(安定)となった状態(定常応答)の蒸気発生器頂部の変位等を計測する。 計測に当たっては、振動数を試験で確認し、確認した固有振動数を中心に、加振振動数を段階的に変化させる正弦波ステップ加振を行う(同3 65、366頁)。また、蒸気発生器頂部の変位等は、ホットレグ軸直方向及びホットレグ軸方向の2方向において計測し、これに従い、減衰定数も同じく2方向において算定する(同369、370、372頁)。 ③上記①及び②に従った加振試験により取得さ 等は、ホットレグ軸直方向及びホットレグ軸方向の2方向において計測し、これに従い、減衰定数も同じく2方向において算定する(同369、370、372頁)。 ③上記①及び②に従った加振試験により取得された計測データについて、加振力(入力荷重)とその応答(応答加速度)の値を求め、その振 幅比(応答/加振力)を振動数ごとにそれぞれ算出する。算出された振動数ごとの振幅比のデータについて、「加振振動数」を横軸、「振幅比(応答/加振力)」を縦軸とするグラフに図示する(同372頁)。 ④理論的な応答曲線をハーフパワー法に基づいて算出し、減衰定数や固有振動数等のパラメータを試行錯誤的に変化させながら、上記③で得 られた各振幅比のデータに合わせる。そして、当該応答曲線が上記③で得られた各振幅比のデータに最も適合する場合の減衰定数をもって、解析により得られる最適な減衰定数の値とする。また、ハーフパワー法とは別のナイキスト線図を用いた手法によっても減衰定数を算出する。そして、ハーフパワー法及びナイキスト線図から算出した各減衰定数を比 較することにより、両者の算出精度を確認しつつ、最終的な減衰定数の算定方法を決定する(同366、388頁)。 ⑤大レベルの最大加振時にはデータの再現性確認を目的として3回以上データを取得するが、得られる減衰定数のばらつきが十分小さいことを考慮し、より保守的な評価となる下限値の計測データを使用する(同 366、397~400頁)。(以上につき、乙C120・13~19頁) (ウ) Aループ加振試験の結果aAループ蒸気発生器について、試験の加振レベルとして、小レベル、中レベル及び大レベルの3種類を実施し、大レベルにおいては3回の試験により減衰定数を取得した。この加振試験の結果から、ハーフパ 果aAループ蒸気発生器について、試験の加振レベルとして、小レベル、中レベル及び大レベルの3種類を実施し、大レベルにおいては3回の試験により減衰定数を取得した。この加振試験の結果から、ハーフパワー法及びナイキスト線図に基づき減衰定数を算出したところ、両手 法ともに、ホットレグ軸直方向(蒸気発生器頂部の変位は約2.5㎜の応答)については減衰定数3.2%~4.0%、ホットレグ軸方向(蒸気発生器頂部の変位は約0.6㎜の応答)については減衰定数4. 4%と評価された。最終的に、Aループ蒸気発生器の加振試験においては、保守的な値として、大レベルの加振試験により得られたホット レグ軸直方向の減衰定数のうち下限値の3.2%が適用され、実機のモーダル減衰定数3.2%が各機器の設計用減衰定数の解析から求めたモーダル減衰定数2.99%より大きいことが確認された。(乙C104・374~380頁)bAループ蒸気発生器において、ホットレグ軸方向については、ホッ トレグ自体が有する振動特性(ホットレグ軸方向がホットレグ軸直方向に比べて振動しにくい特性)の影響から、加振レベル(大レベル)に比して想定されていた2㎜以上の応答変位を下回る応答変位(0. 8㎜)しか得られず、大レベルの加振試験による減衰定数は取得できなかった。小レベル及び中レベルでは、ホットレグ軸方向よりもホッ トレグ軸直方向の方がいずれも減衰定数は小さかった。(乙C104・366、375、389頁)c 以上により、ホットレグ軸方向よりホットレグ軸直方向の方が減衰定数は小さいことから、耐震評価においてより保守的なホットレグ軸直方向の減衰定数(3.2%)を最終的な評価値とした。(乙C104・ 374頁) (エ) Bループ加振試験の結果aBルー ことから、耐震評価においてより保守的なホットレグ軸直方向の減衰定数(3.2%)を最終的な評価値とした。(乙C104・ 374頁) (エ) Bループ加振試験の結果aBループ蒸気発生器について、試験の加振レベルとして、小レベル、中レベル及び大レベルの3種類を実施し、大レベルにおいては3回の試験により減衰定数を取得した。この加振試験の結果から、ハーフパワー法及びナイキスト線図に基づき減衰定数を算出したところ、両手 法ともに、ホットレグ軸直方向(蒸気発生器頂部の変位は約2.3㎜の応答)については減衰定数3.2%~4.1%、ホットレグ軸方向(蒸気発生器頂部の変位は約0.6㎜の応答)については減衰定数4. 9%と評価された。最終的に、Bループ蒸気発生器の加振試験においては、保守的な値として、大レベルの加振試験により得られたホット レグ軸直方向の減衰定数のうち下限値の3.2%が適用され、実機のモーダル減衰定数3.2%が各機器の設計用減衰定数の解析から求めたモーダル減衰定数2.99%より大きいことが確認された。(乙C104・380~387頁)bBループ加振試験においても、Aループ加振試験と同様に、ホット レグ軸方向については、大レベルの加振試験による2㎜以上の応答変位を下回る応答変位(0.7㎜)しか得られなかった。小レベル及び中レベルでは、ホットレグ軸方向よりもホットレグ軸直方向の方がいずれも減衰定数は小さかった。(乙C104・366、382、389頁) c 以上により、ホットレグ軸方向よりホットレグ軸直方向の方が減衰定数は小さいことから、耐震評価においてより保守的なホットレグ軸直方向の減衰定数(3.2%)を最終的な評価値とした。(乙C104・381頁)(オ) 本件加振試験に用いられた グ軸直方向の方が減衰定数は小さいことから、耐震評価においてより保守的なホットレグ軸直方向の減衰定数(3.2%)を最終的な評価値とした。(乙C104・381頁)(オ) 本件加振試験に用いられた油圧加振機は、加振エネルギーが大きく、 加振対象振動数が可変かつ振動変位が制御可能なものである。 (乙C10 4・371頁、乙C108・9頁)ウ本件原子炉施設の使用前検査における1次冷却設備の加振試験について参加人は、令和2年2月、本件原子炉施設の使用前検査において、慣性型加振機を用いて1次冷却設備の加振試験を実施し、実機のモーダル減衰定数が3%以上となる結果(ホットレグ軸直方向について減衰定数3. 3%~3.4%、ホットレグ軸方向について減衰定数8.6%~9.0%)が示された。(乙C115・12頁、乙C117・3頁)原子力規制委員会は、上記結果も踏まえて、検査結果を「良」と判断し、令和3年7月27日本件原子炉施設について、使用前検査成績書(使用前検査合格証)を発行した。(乙C118・7頁、乙C119) エ高浜発電所1号機及び2号機の使用前事業者検査及び確認における1次冷却設備の加振試験について(ア) 参加人は、令和2年1月頃、高浜発電所1号機の使用前検査において、慣性型加振機を用いて1次冷却設備(Cループ蒸気発生器)の加振試験を実施し、実機のモーダル減衰定数が3%以上となる結果(ホットレグ 軸直方向について減衰定数3.3%、ホットレグ軸方向について減衰定数9.4%~9.6%)が示された。(乙C116・14、15頁、乙C147)原子力規制委員会は、上記結果も踏まえて、高浜発電所1号機について炉規法43条の3の11第2項各号のいずれにも適合していると判断 し、令和5年8月28日、参 6・14、15頁、乙C147)原子力規制委員会は、上記結果も踏まえて、高浜発電所1号機について炉規法43条の3の11第2項各号のいずれにも適合していると判断 し、令和5年8月28日、参加人に対し、使用前検査合格証を交付した。 (乙C149、150)(イ) 参加人は、令和3年3月頃、高浜発電所2号機の使用前検査において、慣性型加振機を用いて1次冷却設備(Aループ蒸気発生器)の加振試験を実施し、実機のモーダル減衰定数が3%以上となる結果(ホットレグ 軸直方向について減衰定数3.4%、ホットレグ軸方向について減衰定 数8.2%~8.5%)を示した。(乙C116・14、15頁、乙C129)原子力規制委員会は、上記結果も踏まえて、高浜発電所2号機について炉規法43条の3の11第2項各号のいずれにも適合していると判断し、令和5年10月16日、参加人に対し、使用前検査合格証を交付し た。(乙C151、152)(2) 検討ア 1次冷却設備に3%の設計用減衰定数を適用できるとしたことについて(ア) 蒸気発生器等の1次冷却設備は、耐震重要施設に該当するところ(設置許可基準規則3条1項)、工事計画認可の際の審査の基準である技術基 準規則は、耐震重要施設は、基準地震動による地震力に対してその安全性が損なわれるおそれがないように施設すべきことを求めており(5条2項)、同条に係る技術基準規則解釈(乙B9・17頁)は、耐震重要施設が基準地震動による地震力に対して施設の機能を維持していることなどを求めている。また、別紙12耐震工認審査ガイドの概要のとおり、 耐震工認審査ガイドは、機器・配管系の耐震設計において、その減衰定数の設定についてはJEAG4601 を参考とし、既往の研究等において試験等により妥当 12耐震工認審査ガイドの概要のとおり、 耐震工認審査ガイドは、機器・配管系の耐震設計において、その減衰定数の設定についてはJEAG4601 を参考とし、既往の研究等において試験等により妥当性が確認されている設定等を用いる場合は、適用条件、適用範囲に留意することを定めている。 (イ) 原告らは、本件工事計画認可処分は、参加人が、機器・配管系である 1次冷却設備の設計用減衰定数を3%に設定したことの妥当性を確認しないままされているから、耐震工認審査ガイドの基準に明確に違反しており、その判断過程に看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記(1)ア(ア)~(キ)のとおり、高浜発電所1号機及び2号機並びに本件原子炉施設の蒸気発生器は、いずれも2点支持であり、 従来は1次冷却設備の設計用減衰定数を1%としていたが、基準地震動 が大きくなったことなどから耐震健全性を示せないこととなり、JEAG4601-1991 追補版は、1次冷却設備の設計用減衰定数を3%としているが、1次冷却設備を構成する蒸気発生器が3点支持の場合の試験結果に基づく減衰定数であったことから、耐震工認審査ガイドの「既往の研究等における試験等により妥当性が確認されている設定等を用いる場 合は、適用条件、適用範囲に留意する。」との記載に照らして、その妥当性を示すことが求められ、海外知見によるデータのみならず、本件加振試験を行うことにより設計用減衰定数3%の適用可能性が検討されたと認められる。 そして、上記(1)イのとおり、本件加振試験は、油圧加振機を用いて加 振力を一定とした単一振動数の正弦波加振により振動が一定となった状態で蒸気発生器頂部の変位等を計測するものであるところ、本件加振試験の結果、本件原子炉施設のAループ蒸気 油圧加振機を用いて加 振力を一定とした単一振動数の正弦波加振により振動が一定となった状態で蒸気発生器頂部の変位等を計測するものであるところ、本件加振試験の結果、本件原子炉施設のAループ蒸気発生器及びBループ蒸気発生器それぞれについて各機器の設計用減衰定数に基づく解析から求められたモーダル減衰定数2.99%を、実機のモーダル減衰定数いずれも3. 2%が上回ることが確認されており、耐震工学、振動工学、装置機器学などの専門家であるJ7も、J7意見書(乙E103)において、本件加振実験について技術的に不合理な点はない旨を述べているから、本件加振試験の内容が不十分なものであったということはできない(原告らが指摘する本件加振試験の問題点については後記ウにおいて説示する。)。 原子力規制委員会は、上記(4)ア(オ)のとおり、本件加振試験の内容及び同試験の結果をもって、本件原子炉施設において1次冷却設備の減衰定数が3%以上確保できる見通しであることを確認し、本件原子炉施設の1次冷却設備に3%の設計減衰定数を適用することができると判断したものであり、これが耐震工認審査ガイドに反しているとはいえない。 イ減衰定数3%の妥当性が確認されていないとの原告らの主張について (ア) 原告らは、工事計画認可処分は工事が行われる前に設計に係る審査をするものであり、耐震工認審査ガイドの減衰定数も設計用減衰定数であるから、工事計画認可後に実機による試験をすることにより確認することは不合理であると主張する。 しかしながら、上記(1)ア(ク)及び(コ)のとおり、本件工事計画認可処分 後の使用前検査の段階で本件原子炉施設、高浜発電所1号機及び2号機の加振試験が予定されていたとしても、上記認定事実(地震)(4)ア(オ)、イ )ア(ク)及び(コ)のとおり、本件工事計画認可処分 後の使用前検査の段階で本件原子炉施設、高浜発電所1号機及び2号機の加振試験が予定されていたとしても、上記認定事実(地震)(4)ア(オ)、イ及び上記(1)イのとおり、本件原子炉施設については、本件工事計画認可処分の前に実機を用いた本件加振試験が行われ、1次冷却設備に対する設計用減衰定数3%の適用可能性が確認されているから、実機による 試験をすることなく内容未確定や条件付きで本件工事計画認可処分がされたとはいえず、原告らの主張は理由がない。 また、工事計画認可処分に係る審査において設計用減衰定数の妥当性を確認するための具体的な方法や、使用前検査において認可を受けた工事計画どおりの工事がされているか否かを確認するための具体的な方法、 その際に設計用減衰定数が工事計画認可処分の内容どおりのものとなっていることを確認することの要否に関する規定はないから、これらは、審査及び検査の対象となる設備の具体的な構造的特性及び審査実績の有無等を踏まえた原子力規制委員会の専門技術的裁量に委ねられているというべきである。そして、上記(1)ア(コ)のとおり、本件においては、工 事計画認可の審査の段階で本件原子炉施設の実機による本件加振試験を実施し、使用前検査の段階で本件原子炉施設の実機による加振試験を実施することが予定されていたところ、原子力規制委員会が、設計用減衰定数の妥当性を確認するため、これらの各加振試験の実施を求めたことは、その専門技術的裁量に基づく判断として不合理とはいえない。 (イ) また、原告らは、本件工事計画認可処分に当たり、実機による打撃試 験が行われておらず、本件加振試験も後日改善しなければならないような不十分な試験であったにもかかわらず、減衰 (イ) また、原告らは、本件工事計画認可処分に当たり、実機による打撃試 験が行われておらず、本件加振試験も後日改善しなければならないような不十分な試験であったにもかかわらず、減衰定数3%の適用を認めた原子力規制委員会の判断は不合理であると主張する。 しかしながら、上記(1)ア(オ)のとおり、参加人が、平成28年1月26日の第323回審査会合において、加振機による定常加振とハンマー による打撃加振の両方の実施を検討している旨の説明をしたことは認められるものの、原子力規制委員会からその両方の実施が必要であるとの方針等が示されたと認めることはできない上、打撃試験の方が油圧加振機を用いた加振試験よりも精度が高い試験結果が得られるともいえない(乙C108・9頁)から、油圧加振機を用いた本件加振試験の実施に 加えて打撃試験が必要であったということはできない。 また、上記(1)ア(コ)のとおり、参加人は、第349回審査会合において、本件加振試験について、加振方法等改善の余地があることがわかった旨の発言をしているが、具体的には、本件加振試験は反力型の加振であったが、耐震工事完了後に実施する加振試験では慣性型加振を考えて いると説明するものであって、その意味で本件加振試験に改善の余地があったとしても、J7意見書によれば、本件加振試験について技術的に不合理な点はないとされており、また、減衰定数の評価に当たり、基準化された相対値を用いることにより、減衰定数の値に入力特性である入力の位置や方向などが一切影響を及ぼすことがないように処理されると 認められる(乙E103・同13頁)から、上記参加人の発言から、直ちに本件加振試験の結果の合理性が否定されるものとはいえない。そして、上記(1)ウ及びエのとおり、本件原子炉施 に処理されると 認められる(乙E103・同13頁)から、上記参加人の発言から、直ちに本件加振試験の結果の合理性が否定されるものとはいえない。そして、上記(1)ウ及びエのとおり、本件原子炉施設並びに高浜発電所1号機及び2号機の使用前検査で行われた加振試験は、慣性型加振機によるものであり、同試験で得られた実測データに基づくモーダル減衰定数の下 限値は、本件加振試験によって得られた実測データに基づくモーダル減 衰定数の下限値と同等であることに照らすと、反力型加振機を用いた本件加振試験の結果が不十分なものであったということもできない。 (ウ) さらに、原告らは、原子力規制委員会は、高浜発電所1号機及び2号機の1次冷却設備への減衰定数3%の適用を確認するため、高浜発電所1号機及び2号機の実機試験が必須であるとしていた、蒸気発生器周辺 の構造は、高浜発電所1号機及び2号機と本件原子炉施設とで大きく異なるから、本件加振試験により高浜発電所1号機及び2号機の減衰定数の妥当性を確認できるとはいえないなどと主張するが、これらの主張が本件原子炉施設に係る本件工事計画認可処分の違法事由にならないことは明らかである。 ウ本件加振試験の問題点について(ア) 原告らは、本件加振試験の内容の問題点として、蒸気発生器の上部から単一振動数に基づく一定状態の正弦波加振しかしておらず、実際の地震動とは全く逆側からの振動入力であり、実際の地震波は前後左右上下の振動が含まれ、周波数も様々な波が含まれているから、減衰状況を再 現できているとはいえないなどと主張する。 しかしながら、J7意見書(乙E103)によれば、機械システム等の構造物は、固有の振動特性(振動モード)を有しているところ、この固有の振動特性(振動モード)は、主 いるとはいえないなどと主張する。 しかしながら、J7意見書(乙E103)によれば、機械システム等の構造物は、固有の振動特性(振動モード)を有しているところ、この固有の振動特性(振動モード)は、主に当該機械システム等の構造物の大きさ(重さ)、形状、構造(硬さ)によって決まるから、減衰定数が入 力の位置や方向に影響されることはなく、同じ揺れ方(動的挙動)をする場合には、いかなる方法で揺らしたとしても、減衰定数の値は同じ値となる(同5~7頁)、減衰定数の評価に当たり、実測したデータそのものではなく、基準化された相対値を用いることにより、減衰定数の値に入力特性である入力の位置や方向などが一切影響を及ぼすことがないよ うに処理される(同13頁)、地震波のようなランダム波で加振すると、 地震波に含まれる無数の周波数により別の振動モードも励起されるが、そのような場合は全体システムとして有する減衰定数は増大する方向に働く(同12、13頁)などとされ、これらの内容が不合理であるとは認められない。そうすると、振動の入力方向が減衰定数に影響するとはいえず、実際の地震動が本件加振試験と異なり、ランダムであるとして も、減衰定数が増大する方向に働くというのであるから、本件加振試験の方法が保守性を欠いて不合理であるということはできない。 また、上記(1)イ(イ)のとおり、本件加振試験は加振振動数を段階的に変化させる正弦波ステップ加振を行ったものと認められ、単一振動数に基づく加振試験であったという原告らの主張はその前提を欠き、理由が ない。 (イ) 原告らは、本件加振試験において、油圧加振機を蒸気発生器の一部に押し当てて加振しているため、3点支持と同様の効果があったと主張する。 しかしながら、上記(1)イ(イ)のとおり、 ない。 (イ) 原告らは、本件加振試験において、油圧加振機を蒸気発生器の一部に押し当てて加振しているため、3点支持と同様の効果があったと主張する。 しかしながら、上記(1)イ(イ)のとおり、本件加振試験では、蒸気発生 器の2次側マンホール部を加振ポイントとしているが、J7意見書(乙E103・14頁)によれば、加振機は正弦波状に動き、蒸気発生器の2次側マンホール部と同じ動きをしているため、加振機は支持点の役割を果たしていなかったと認められるから、3点支持と同様の効果があったとの原告らの主張は理由がない。 (ウ) 原告らは、本件加振試験は反力型加振機を用いて行われたが、従前の高浜発電所4号機の加振試験や、工事完了後の使用前検査の段階で実施された加振試験では慣性型加振機を用いており、反力型加振機を用いたのは、3点支持に近い条件として減衰定数を大きくする目的であった可能性があると主張する。 しかしながら、上記(ア)のとおり、減衰定数が入力の位置や方向に影響 されることはなく、同じ揺れ方(動的挙動)をする場合には、いかなる方法で揺らしたとしても、減衰定数の値は同じ値となり、また、減衰定数の評価に当たり、実測したデータそのものではなく、基準化された相対値を用いることにより、減衰定数の値に入力特性である入力の位置や方向などが一切影響を及ぼすことがないように処理されるというのであ るから、加振方法の違いをもって本件加振試験が減衰定数を大きくする目的であったということはできず、反力型加振機を用いたことが不合理であるということもできない。 さらに、上記(1)イ~エのとおり、反力型加振機を用いた本件加振試験と、慣性型加振機を用いた本件原子炉施設並びに高浜発電所1号機及び 2号機の使用前検査の際の加振 あるということもできない。 さらに、上記(1)イ~エのとおり、反力型加振機を用いた本件加振試験と、慣性型加振機を用いた本件原子炉施設並びに高浜発電所1号機及び 2号機の使用前検査の際の加振試験のモーダル減衰定数の下限値がいずれも同等であることからしても、反力型加振機を用いた本件加振試験が減衰定数を大きくするものであったということはできない。 (エ) 原告らは、本件加振試験について、大レベルでも3回しか行われておらず、実験回数が少なすぎて実験回次ごとの誤差の把握が困難であり、 単に下限値を採用することが保守的であるか判断することができない、大レベルの3回の試験でも0.8%ものばらつきが出ているから、試験回数を増やせば減衰定数が3%を下回る蓋然性が非常に高いなどと主張する。 しかしながら、J7意見書(乙E103)によれば、試験状態が良好 であれば、少ない実験回数であっても十分高い信頼性があると評価でき、本件加振試験における各試験条件の不確定要素は十分に小さいと判断できるから、たとえ3回の試験であっても信頼性の高いデータが得られている、保守的な評価となるよう下限値の計測データが使用されていることからも、本件加振試験により得られた減衰定数は3%以上であると考 えられる(同15、16頁)、本件加振試験の大レベル入力において、減 衰定数の値に0.8~0.9%のばらつきが生じているが、不確定要素が少ない実機加振での定常応答から減衰定数が求められていること、最小3.2%~最大4.1%のばらつき幅で、平均値の±10%程度の間に収まっていることから、十分小さなばらつきで信頼性の高い減衰定数が得られている(同16、17頁)などとされており、この内容が不合 理であるとはいえず、このことは、上記(1)イ~エのとお 度の間に収まっていることから、十分小さなばらつきで信頼性の高い減衰定数が得られている(同16、17頁)などとされており、この内容が不合 理であるとはいえず、このことは、上記(1)イ~エのとおり、反力型加振機を用いた本件加振試験と、慣性型加振機を用いた本件原子炉施設及び高浜発電所1号機及び2号機の使用前検査における加振試験のモーダル減衰定数の下限値がいずれも同等であることからも裏付けられるというべきである。 (オ) 原告らは、本件加振試験の小レベル及び中レベルでは減衰定数が3%を下回っていると主張する。 しかしながら、入力の揺れの大きさ(振幅)が大きくなるにつれて、摩擦により発生する熱や空気抵抗などにより振動系のエネルギーが減少し、振動が減衰するため(乙E70・80頁)、減衰定数の値が大きくな る傾向があると考えられ、小レベル及び中レベルの減衰定数は大レベルの減衰定数よりも小さくなるのが自然であるところ、技術基準規則5条2項及び同項に係る技術基準規則解釈の趣旨に照らせば、基準地震動による地震力に至らない小レベル及び中レベルの加振による揺れ(振幅)の大きさに基づく試験結果を基礎として、基準地震動による地震力が作 用した際の耐震設計上考慮すべき減衰定数を設定することは適切とはいえない。 また、J7意見書(乙E107・16頁)によれば、本件加振試験では、小レベル、中レベル及び大レベルの3段階の試験が実施されているが、これは実機から正確な振動特性や減衰定数を評価するために動的挙 動の振幅の大きさを変えて計測する必要があるからであり、減衰定数の 大きさは、振幅の最大応答や振動の収まり方に大きく寄与するが、小レベルや中レベルで設計減衰定数を満たさない場合でも、原子力発電所内の機器・配管系の機能 必要があるからであり、減衰定数の 大きさは、振幅の最大応答や振動の収まり方に大きく寄与するが、小レベルや中レベルで設計減衰定数を満たさない場合でも、原子力発電所内の機器・配管系の機能維持の観点で重要となる地震時の損傷に直結するような応答を招くことはないと判断できるとされており、これが不合理であるとはいえない。 そして、本件加振試験では、蒸気発生器頂部につき2㎜を超える応答変位が得られるような加振による揺れ(振幅)の大きさを大レベルと想定しているが、これは本件原子炉の基準地震動(Ss地震時)による蒸気発生器頂部の応答変位としては、2㎜を超える変位が生じることになる(乙C104・401頁)ことから設定されたものと認められ、本件 加振試験による小レベル及び中レベルの加振による蒸気発生器頂部の応答変位は2㎜以下にとどまり(乙C104・375、382頁)、基準地震動による地震力が作用した際の応答変位には到達していないから、本件加振試験による小レベル及び中レベルの減衰定数が3%未満であることをもって、設計用減衰定数を3%とすることが不合理であるとはいえ ない。 エ以上によれば、1次冷却設備の設計用減衰定数を3%として本件工事計画認可処分をした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 11 争点3-(5)-イ(燃料集合体の減衰定数を10%に変更したこと)につい て(1) 争点に係る認定事実ア原子炉内のウラン燃料には、二酸化ウランを円柱状に焼き固めた燃料ペレットが使用されており、この燃料ペレットを金属性の被覆管の中に縦に積み重ね、両端を密閉したものが燃料棒である。この燃料棒を数百束ねた ものが燃料集合体であり、百体以上の燃料集合体が炉心を構成している。 用されており、この燃料ペレットを金属性の被覆管の中に縦に積み重ね、両端を密閉したものが燃料棒である。この燃料棒を数百束ねた ものが燃料集合体であり、百体以上の燃料集合体が炉心を構成している。 燃料集合体は、炉内構造物によって支持されている。(乙B172・26~33頁、弁論の全趣旨・被告第38準備書面62、63頁)イ JEAG4601-1991 追補版(乙E25・159、160頁)において、燃料集合体(PWR)の設計用減衰定数は、振動試験結果に基づいて、振幅依存性を持つものとして定めるとされている。燃料集合体は、燃料棒が支持格 子に対して摩擦のみで拘束される構造となっており、燃料棒自体の揺れが小さい場合は燃料棒が単体としての減衰特性を有することになる一方、基準地震動のような大きな揺れにより燃料棒の揺れが大きくなる場合は支持格子の摩擦力、すなわち支持格子による拘束力が増大して、いわゆるエネルギー消散(消散エネルギー)が大きくなる結果、燃料棒自体が揺れにく くなり、燃料集合体の全体としての減衰定数が大きくなる。(乙C123・4頁、弁論の全趣旨・被告第38準備書面63、64頁)ウ参加人は、本件原子炉の燃料集合体の地震応答解析に用いる設計用減衰定数について、新規制基準が用いられる以前の工事計画認可では、1%を適用していたところ、本件工事計画認可申請では、1%を適用せずに、振 幅依存性を踏まえた減衰定数の設定に変更した。具体的には、各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位レベルを確認し、減衰定数10%を適用可能なレベルであることが確認できた場合のみ、燃料集合体の応答解析における設計用減衰定数に10%を適用し、それ以外の場合は1%を適用する方針とした。 (乙C104・135頁、乙C10 定数10%を適用可能なレベルであることが確認できた場合のみ、燃料集合体の応答解析における設計用減衰定数に10%を適用し、それ以外の場合は1%を適用する方針とした。 (乙C104・135頁、乙C105・ 5、6頁、乙C123・2頁)上記減衰定数10%の適用可能性について、燃料集合体の減衰定数の振幅依存性、すなわち燃料集合体の揺れの大きさ(振幅)に対応する減衰定数の具体的な値は、燃料メーカーによる既往の燃料集合体1体の自由振動試験結果に基づき評価されている。当該試験は、燃料集合体の「振動試験」 と「振動解析」に分けて実施され、「振動解析」による算定結果が「振動試 験」結果の下限を概ね包絡するように「振動解析」の入力パラメータを調整し、最終的に、工学利用可能な、燃料集合体の振動振幅に対応する具体的な減衰定数の値を設定する。上記評価により、燃料集合体1体の「振動試験」及び「振動解析」の結果、振動振幅が小さい領域では減衰定数は10%を下回るものの、振動振幅の増加に伴い減衰定数は10%以上となる ことが確認された。(乙C104・136、178、183、184、196、201、202頁、乙C105・6、7頁)次に、参加人は、燃料集合体の減衰定数の評価手法及びその妥当性を示すため、まず、代表性を有する支配的な基準地震動として、固有周期全域にわたって大きな応答を示すスペクトル波である設計用応答スペクトル (基準地震動Ss-1)を選定し、この基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位レベルを求めた。そして、参加人は、15体の燃料集合体の応答変位の平均値を算出した場合及び15体の燃料集合体の応答変位のばらつきを算出した場合の2種類を評価し、これらの方法で求めた応答変位がいずれも燃料集合体の減衰定数 、参加人は、15体の燃料集合体の応答変位の平均値を算出した場合及び15体の燃料集合体の応答変位のばらつきを算出した場合の2種類を評価し、これらの方法で求めた応答変位がいずれも燃料集合体の減衰定数10%を適用可能な応 答変位よりも大きいことを示し、さらに、基準地震動Ss-1 以外の基準地震動Ss-2 からSs-24 までについても、燃料集合体の応答変位レベルが減衰定数10%を適用可能なレベルであることを確認した旨を説明した。(乙C104・137頁、乙C121・31頁、乙C122・4頁、乙C123・7、9、10頁) エ原子力規制委員会は、参加人が、JEAG4601-1991 追補版の定めに則して、本件原子炉の燃料集合体の振幅依存性を踏まえた減衰定数10%の設定の妥当性を示していること、また、参加人が、本件原子炉の全ての基準地震動について、燃料集合体の群震動解析における応答変位レベルが、減衰定数10%が適用可能なレベルであることを確認していることから、本件原 子炉の燃料集合体の設計用減衰定数を10%とすることは妥当であると判 断し、本件工事計画認可処分をした。(乙C105・5~12頁、乙C106・3~5頁、乙C129・4~11頁)(2) 検討原告らは、本件工事計画認可処分に係る審査において、燃料集合体の減衰定数が従前の工事計画認可時の1%から10%へと大幅に変更されていると ころ、このような変更に全く合理性はなく、その妥当性が判断されているとはいえず、耐震工認審査ガイドの基準に明確に違反することから、その審査及び判断の過程に看過し難し過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記(1)ウのとおり、参加人は、本件原子炉の各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位レベルを確認 その審査及び判断の過程に看過し難し過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記(1)ウのとおり、参加人は、本件原子炉の各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位レベルを確認し、減衰 定数10%を適用可能なレベルであることが確認できた場合のみ、燃料集合体の応答解析における燃料集合体の設計用減衰定数に10%を適用し、それ以外は1%を適用するという方針の下、JEAG4601-1991 追補版において、PWRの燃料集合体の設計用減衰定数は振動試験結果に基づいて振幅依存性を持つものとして定めるとされていることに則して、燃料メーカーによる既往 の燃料集合体の自由振動試験結果に基づき振幅依存性を評価し、振動振幅の増加に伴い減衰定数は10%以上となることを確認し、その妥当性を示すため、Ss-1~Ss-24 の各基準地震動について、15本の燃料集合体の群振動解析における応答変位レベルを求めたところ、平均値及びばらつきを算出した場合のいずれも減衰定数10%を適用可能な応答変位であったことを確認し たことが認められる。 そして、上記認定事実(地震)(1)イ(ア)及び上記(1)イのとおり、燃料集合体(PWR)の設計用減衰定数を、振動試験結果に基づいて、振幅依存性を持つものとして定めることは、耐震工認審査ガイドが参考にするとしているJEAG4601-1991 追補版の定めるところであり、参加人はこれに則して、燃料 集合体の設計用減衰定数を、振幅依存性を踏まえて10%と設定したものと 認められるから、かかる燃料集合体の設計用減衰定数の設定は、耐震工認審査ガイドの基準に反するとはいえない。 したがって、本件工事計画認可処分において、参加人が燃料集合体の設計用減衰定数を10%と設定したことが妥当であると 料集合体の設計用減衰定数の設定は、耐震工認審査ガイドの基準に反するとはいえない。 したがって、本件工事計画認可処分において、参加人が燃料集合体の設計用減衰定数を10%と設定したことが妥当であるとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえず、原告らの主 張は理由がない。 12 争点3-(6)(本件活断層群①の連動の考慮の欠如)について(1) 争点に係る認定事実ア地質ガイドが審査において一部参考としている推本報告書(乙D8)は、新しい活断層評価の手法に反映すべき事項について検討した内容として、 「起震断層」の設定方法については、基本的に従来の考え方を踏襲し、松田(1990)の「5㎞ルール」に従う、ただし、このルールを機械的に適用することなく、断層の特性や判読精度、断層間の相互作用の程度、又は地球物理学的データなどによって総合的に判断することとし、「起震断層」の範囲を設定した根拠を評価文に記述するとしている。また、新しい活断層評 価手法として、活断層評価の単位について、①「起震断層」は、主として地表における断層の分布形状から、同時に活動すると想定される活断層及び活断層群である、②断層の分布形状の基準としては、松田(1990)の起震断層の基準(5㎞ルール)を採用する、③起震断層を構成する活断層は、活断層であることが確実なもの及び活断層であると推定されるものとし、 活断層の可能性があるものは、他の活断層との位置関係等から起震断層に含めるかどうかを判断する、④断層崖の連続性のみでなく、ずれの向き、地質構造の連続性、断層同士の地下での位置関係等の条件を考慮して断層の連続性を総合的に判断した結果、他の括り方が適当であると評価できる場合は、②に示した以外の条件に基づいて起震断層を設定 れの向き、地質構造の連続性、断層同士の地下での位置関係等の条件を考慮して断層の連続性を総合的に判断した結果、他の括り方が適当であると評価できる場合は、②に示した以外の条件に基づいて起震断層を設定することもでき る、④について、断層崖の連続性のみでなく、段丘面の変形や隆起ベンチ の高さなど様々な変動地形を考慮し、重力や地質など地下の情報も参照して起震断層の連続性を総合的に判断した結果、一連の起震断層と評価できる場合又は異なる起震断層と評価できる場合は、松田(1990)の基準を機械的に適用することは避け、適切な起震断層を設定する必要があるなどとしている。(乙B20・7、11、13、14頁、乙D8・9、10、36~ 38、116頁)イ松田(1990)は、活断層系から発生する地震規模を評価する際、①5㎞以内に他の活断層のない孤立した長さ10㎞以上の活断層、②走向方向に5㎞以内の分布間隙をもってほぼ一線に並ぶほぼ同じ走向の複数の断層、③5㎞以内の相互間隙をもって並走する幅5㎞以内の断層群、④その断層線 の中点の位置が主断層から5㎞以上離れている走向を異にする付近断層又は分岐断層を、それぞれ独立して地震を起こす起震断層と設定した。活断層(群)の離間距離5㎞を目安としたのは、世界の主要な地表地震断層の主断層帯の幅が5㎞以内であることや、主断層帯を構成する地震断層線とそれに付随してその時動いた副断層(の中点)との間の距離が多くの場合 5㎞内外であることによる。(乙D133・289~293頁)ウ本件設置変更許可処分における本件原子炉の活断層の連動性評価に係る審査及び判断の過程(ア) 上記認定事実(地震)(3)アのとおり、参加人は、本件適合性審査において、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価 分における本件原子炉の活断層の連動性評価に係る審査及び判断の過程(ア) 上記認定事実(地震)(3)アのとおり、参加人は、本件適合性審査において、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の評価のための検討 用地震の選定に当たり、「震源として考慮する活断層」として14個の断層を抽出し、設置許可基準規則解釈の別記2の5項2号②ⅱ)の規定に従い7つのケースについて活断層の連動性の検討を行った。(乙C93・4、426頁)(イ) 参加人は、「安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~山中 断層~柳ヶ瀬断層~鍛冶屋断層~関ヶ原断層」(本件活断層群①)につい ては、次のとおり、その一部である「安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層」について連動を考慮するものの、本件活断層群①全体が連動する可能性は極めて低いと評価した。(乙C93・419頁)a 甲楽城断層以北の断層(安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層)について、既存の文献調査の結果、産総研・福井大学(2013) は、16世紀後半から17世紀後半頃の活断層の最新活動として、「柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部/北部」の全域若しくはそれに近い広い範囲が活動した可能性を示唆している。(乙D132・28~30頁)参加人が離水生物遺骸調査を実施したところ、西暦1600年頃の地震による最大隆起量約4m及び平均隆起量2mの隆起イベントの存 在が明らかとなった。この隆起イベントから、粟田泰夫「日本の活断層におけるセグメント構造とカスケード試案モデル」や松田ほか「1896年陸羽地震の地震断層」に基づき推定される地震セグメントの長さは、最大で約40㎞と評価されるところ、かかる結果は、海上音波探査等の調査結果から得られた和布-干飯崎沖断層の長さ約41㎞ 896年陸羽地震の地震断層」に基づき推定される地震セグメントの長さは、最大で約40㎞と評価されるところ、かかる結果は、海上音波探査等の調査結果から得られた和布-干飯崎沖断層の長さ約41㎞ と整合しているとして、西暦1600年頃に推定される断層の規模は、和布-干飯崎沖断層全体が活動した可能性を示唆している。(乙C98・254、255頁)かかる調査結果に基づき、産総研・福井大学(2013)により示された、地震セグメントの長さが75~100㎞であり、「柳ヶ瀬・関ヶ原 断層帯主部/北部」の全域又はそれに近い広い範囲が活動したという結果は確認できない。(乙C97・83、84、88頁、弁論の全趣旨・被告第35準備書面21頁)和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層の段丘面調査の結果、後期更新世に形成された海成段丘の旧汀線の高度分布が一致しており、後期更新 世以降において同様な隆起パターンが繰り返し発生していたと推定さ れることから、本件活断層群①が全体で動くというよりは、和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層のセグメント又は起震断層の単位で活動していることを示している。(乙C97・84頁、乙C98・256~259頁)和布-干飯崎沖断層の最新活動時期について、対応する歴史地震は 必ずしも明らかでないものの、離水生物遺骸調査の結果からは西暦1600年頃であり、同結果に照らせば地震発生からの経過時間が短いことから断層の応力蓄積は小さいと考えられる。(乙C97・82、84頁、乙C98・254頁)甲楽城断層と甲楽城沖断層については、海上音波探査の結果から、 甲楽城断層は最上位の地層(表層)であるA層まで断層による地層の変位・変形が認められているところ、同様に、甲楽城沖北部セグメントもA層(第四紀完新世の地層)まで地 、海上音波探査の結果から、 甲楽城断層は最上位の地層(表層)であるA層まで断層による地層の変位・変形が認められているところ、同様に、甲楽城沖北部セグメントもA層(第四紀完新世の地層)まで地層の変位・変形が認められていることから、甲楽城断層と甲楽城沖断層北部セグメントとの連動の可能性は否定できないものの、一方、甲楽城沖南部セグメントについ てはA層の変位・変形は見られず、A層の下位のB層(第四紀後期更新世の地層)までしか地層の変位・変形が認められないことから、断層による地層の変位・変形の違いにより、甲楽城断層と甲楽城沖断層南部セグメントとの活動履歴は異なる。 (乙C97・84頁、乙C98・206、207、221~223頁、弁論の全趣旨・被告第35準備 書面23頁)上記の各検討結果を総合的に考慮した結果、本件活断層群①の一部である「安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層」の断層帯の連動は否定できないものの、その連動を超える規模の活断層の連動を考慮する必要はないと評価した。(乙C93・415~419頁、乙 C97・84頁) b 甲楽城断層以南の連動性について、平成27年7月10日の第247回審査会合において、原子力規制庁の職員から、山中断層の北部の断層(甲楽城断層以北)は連動性を評価し、南部の柳ヶ瀬断層も活断層であり、山中断層は活断層と推定されるという資料があり、いずれも左横ずれの断層といわれていることなどから、松田(1990)の5㎞ル ールを考えれば山中断層が活断層ではないとしてもその北部と南部の活断層の連動評価をすべきであり、これを否定するのであれば山中断層に係る詳細な証拠が必要である旨の指摘があった。(乙C99・77~84頁)山中断層の活動性について、山中断層は文献で示さ と南部の活断層の連動評価をすべきであり、これを否定するのであれば山中断層に係る詳細な証拠が必要である旨の指摘があった。(乙C99・77~84頁)山中断層の活動性について、山中断層は文献で示された断層である が、山中断層を含む周辺広域における航空レーザー測量による地形判読(変動地形学的調査)の結果、山中断層から甲楽城断層又は柳ヶ瀬断層にかけて連続するようなリニアメントは判読されなかった。 (乙C93・141頁、乙C100・19頁)航空レーザー測量による地形判読の結果、山中断層に相当するリニ アメントは判読されたが、参加人において、リニアメントの直下の3か所において露頭調査や剥ぎ取り調査(地質調査)を実施したところ、文献に示されている断層がないことが確認された。(乙C93・138~162頁、乙C97・88頁)以上の結果、山中断層については、小規模な破砕帯に起因する岩質 の差による差別侵食及び古い断層によって生じた組織地形であると判断し、震源として考慮する活断層とは認められないと評価した。(乙C93・162頁、乙C100・20頁)c 柳ヶ瀬断層以南については、柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の地質図や柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の反射法地震探査結果から、 柳ヶ瀬断層と鍛冶屋断層を連続させるような明瞭な断層構造は認めら れない。(乙C97・84、85頁、乙C98・261、262頁)また、杉山雄一ほか「1992年柳ヶ瀬断層(椿坂地区)トレンチ調査」におけるトレンチ調査の結果、柳ヶ瀬断層の最新活動が1325年の地震(正中地震)に対応する可能性が示されており、地震発生からの経過時間が短く断層の応力蓄積は小さい。(乙C97・85頁、 乙C98・263頁、弁論の全趣旨・被告第35準備書面29 5年の地震(正中地震)に対応する可能性が示されており、地震発生からの経過時間が短く断層の応力蓄積は小さい。(乙C97・85頁、 乙C98・263頁、弁論の全趣旨・被告第35準備書面29頁)以上を踏まえて、柳ヶ瀬断層と鍛冶屋断層の連動は認められない。 (乙C97・85頁)(ウ) 参加人は、「安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層~柳ヶ瀬断層南部~鍜 冶屋断層~関ヶ原断層」(本件活断層群②)についても、連動する可能性は極めて低いと評価した。(乙C93・410~414、426頁)(エ) 原子力規制庁の職員は、平成27年7月24日の第253回審査会合において、その時点における参加人による説明では、一部のケースについては、地震動評価において連動しないとする決定的な根拠があるとは 判断できないとして、参加人による活断層の連動を否定する評価にかかわらず、保守的に連動を考慮した上で地震動評価を行う必要がある旨を指摘し、本件活断層群①及び本件活断層群②については、連動の可能性に対する不確かさが残るとして、地震動評価において検討用地震の基本ケースとしてではなく、不確かさケースとして考慮する必要があるが、 本件活断層群①及び本件活断層群②は、当該断層帯の北部(安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層)と南部(柳ヶ瀬断層~鍛冶屋断層~関ヶ原断層)を共通の活断層として、中央付近で分かれるものであることから、両連動ケースを考慮する必要はなく、地震動評価上、より厳しくなる連動ケースを検討するよう指摘した。(乙C97・91~93 頁) 参加人は、上記指摘を受けて、平成27年7月31日の第257回審査会合において、本件活断層群①及び本件活断層群②の 動ケースを検討するよう指摘した。(乙C97・91~93 頁) 参加人は、上記指摘を受けて、平成27年7月31日の第257回審査会合において、本件活断層群①及び本件活断層群②のいずれも、各個別活断層の連動性検討結果の段階ではケース全体の連動性を考慮しないという評価を維持しつつ、地震動評価に際しては、不確かさケースとして基準地震動への影響を考慮するとし、本件原子炉の敷地により近く、 より地震動への影響が大きいと考えられる本件活断層群②を対象として地震動評価を行う意向を示し(乙C101・43、44頁)、地震動評価に際して、検討用地震のうち「甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層」による地震の不確かさケースとして、本件活断層群②の連動による基準地震動(Ss-20~22)を策定した。(乙C102・93~ 103頁)(オ) 原子力規制委員会は、平成28年5月20日の第361回審査会合において、上記(イ)等の参加人による本件活断層群①の連動性評価に関する説明内容については、十分な検討がされており妥当なものであると判断した。(乙C100・44頁) (カ) 以上を踏まえ、原子力規制委員会は、本件活断層群①の連動性評価を含め、参加人による検討用地震の選定に係る評価は、設置許可基準規則解釈の別記2の規定に適合していることを確認した。(乙C5・11~21頁)エ山中断層について (ア) 推本の平成16年1月14日付け柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価は、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部は、過去の活動時期の違いから、福井県福井市鮎川から山中峠南東付近までの北部、山中峠南東付近から椿坂峠付近までの中部、椿坂峠から断層帯南端の岐阜県不破郡垂井町に至る南部の3つの区間に細分され、最新活動と同様に3つの区間に から、福井県福井市鮎川から山中峠南東付近までの北部、山中峠南東付近から椿坂峠付近までの中部、椿坂峠から断層帯南端の岐阜県不破郡垂井町に至る南部の3つの区間に細分され、最新活動と同様に3つの区間に分かれて活動す ると推定されるが、北部と中部又は中部と南部を合わせた区間が活動す る可能性や断層帯全体が1つの区間として同時に活動する可能性もあるとしているところ、山中断層は北部の南端に位置する。(甲美D5・1、2、5頁)(イ) 産総研の活断層データベースによれば、山中断層は甲楽城活動セグメントの一部に含まれている。(甲美D8、弁論の全趣旨・原告ら準備書面 (65)15頁)(2) 検討ア原告らは、山中断層は「震源として考慮する活断層」であるとして、本件活断層群①の連動を認めるべきである旨を主張する。 しかしながら、上記(1)ウ(イ)bのとおり、参加人は、松田(1990)の5 ㎞ルールを考えれば山中断層の北部と南部の連動評価をすべきであり、否定するのであれば山中断層に係る詳細な証拠が必要である旨の指摘を受けて、既存文献の調査のみならず、山中断層を含む周辺広域における航空レーザー測量による地形判読(変動地形学的調査)の結果、山中断層から甲楽城断層又は柳ヶ瀬断層にかけて連続するようなリニアメントは判読 されなかったことや、山中断層に相当するリニアメントについて、3か所の露頭調査や剥ぎ取り調査等の地質調査を行った上で、山中断層については、小規模な破砕帯に起因する岩質の差による差別侵食及び古い断層によって生じた組織地形であると判断し、震源として考慮する活断層とは認められないと評価したものと認められ、これは設置許可基準規則解釈の別記 2の5項2号②ⅰ)に従ったものといえる。 また、上記(1)ウ(エ 組織地形であると判断し、震源として考慮する活断層とは認められないと評価したものと認められ、これは設置許可基準規則解釈の別記 2の5項2号②ⅰ)に従ったものといえる。 また、上記(1)ウ(エ)のとおり、参加人は、本件活断層群①及び本件活断層群②について連動を否定する評価をしていたが、連動の可能性に対する不確かさが残るとの指摘を受けて、不確かさケースとして、本件原子炉への影響のより大きい本件活断層群②の連動による基準地震動Ss-20~22 を 策定している。 上記(1)エのとおり、山中断層が、推本による柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価では柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部の北部に含まれ、北部と中部や北部、中部、南部全体が同時に活動する可能性があるとされていることや、産総研の活断層データベースで甲楽城活動セグメントの一部として扱われていることが認められるものの、これらの文献は、設置許可基準規則解釈の 別記2の5項2号②ⅰ)が要求する「震源として考慮する活断層」の評価に当たっての「既存の文献調査」から得られる根拠の一部というべきであり、参加人が、変動地形学的調査、地質調査、地球物理学的調査等の観点から、航空レーザー測量による地形判読、リニアメント直下の3か所の露頭調査や剥ぎ取り調査を実施して「震源として考慮する活断層」に当たら ないと評価したことが不合理とはいえない。 したがって、山中断層を「震源として考慮する活断層」に当たらないとして、本件活断層群①の連動評価をしなかったことについて、原子力規制委員会の審査及び判断の過程に過誤、欠落があるとはいえず、原告らの主張は理由がない。 イ原告らは、仮に山中断層が震源として考慮する活断層ではないとしても、甲楽城断層の南端と柳ヶ瀬断層の北端は3㎞程度しか離れてい 程に過誤、欠落があるとはいえず、原告らの主張は理由がない。 イ原告らは、仮に山中断層が震源として考慮する活断層ではないとしても、甲楽城断層の南端と柳ヶ瀬断層の北端は3㎞程度しか離れていないため、松田(1990)の5㎞ルールに従えば、本件活断層群①の連動を考慮すべきであると主張する。 上記(1)アのとおり、地質ガイドが審査において一部参考としている推本 報告書は、起震断層の設定方法について、基本的に、松田(1990)の5㎞ルールに従うとしつつ、断層の特性や判読精度、断層間の相互作用の程度、又は地球物理学的データなどによって総合的に判断することや、断層崖の連続性のみでなく、段丘面の変形や隆起ベンチの高さなど様々な変動地形を考慮し、重力や地質など地下の情報も参照して起震断層の連続性を総合 的に判断した結果、一連の起震断層と評価できる場合又は異なる起震断層 と評価できる場合は、松田(1990)の基準を機械的に適用することは避け、適切な起震断層を設定する必要があることなどを記載している。また、松田(1990)において、離間距離5㎞を目安としたのは、世界の主要な地表地震断層の主断層帯の幅が5㎞以内であることや、主断層帯を構成する地震断層線とそれに付随してその時動いた副断層(の中点)との間の距離が多 くの場合5㎞内外であることによるというものであり、5㎞以内の活断層が連動して動く仕組みを科学的に分析したものとは認められないことからしても、断層の離間距離のみにより機械的に5㎞ルールを適用して連動を評価するのが相当とはいえない。 したがって、上記アのとおり、参加人が、航空レーザー測量による地形 判読、リニアメント直下の3か所の露頭調査や剥ぎ取り調査を実施して山中断層が「震源として考慮する活断層」に当た はいえない。 したがって、上記アのとおり、参加人が、航空レーザー測量による地形 判読、リニアメント直下の3か所の露頭調査や剥ぎ取り調査を実施して山中断層が「震源として考慮する活断層」に当たらないと評価し、離間距離が5㎞以内であっても本件活断層群①の連動性を否定したことが不合理であるとはいえず、機械的に5㎞ルールを適用して本件活断層群①の連動を考慮すべきという原告らの主張は理由がない。 ウ原告らは、大飯発電所におけるFO-A~FO-B~熊川断層の連動性評価や伊方発電所における中央構造線断層帯~別府-万年山断層帯の連動性評価に係る審査実績を根拠に、本件活断層群①についても、その連動性を考慮して地震動評価における基本ケースとした上で、更に各種の不確かさを考慮して地震動評価を行うべきである旨主張する。 しかしながら、本件活断層群①とは異なる断層群に係る連動性評価に係る審査実績をもって、直ちに本件活断層群①の連動性を考慮しなかったことが不合理であるとはいえないことは明らかである。原子力規制委員会は、上記アで説示したとおり、本件活断層群①については、参加人から連動性を考慮しない理由が具体的に説明され、その説明は十分な検討がされてお り妥当なものであると判断したこと、上記(1)ウ(エ)及び(カ)のとおり、参加 人が、本件活断層群①及び本件活断層群②の連動の可能性に関する不確かさが残ることを考慮して、不確かさのケースとして、本件原子炉へより影響の大きい本件活断層群②の連動による基準地震動を策定していることなどを踏まえ、参加人による検討用地震の選定に係る評価は、設置許可基準規則解釈の別記2の規定に適合していることを確認したものであり、こ のような原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠 踏まえ、参加人による検討用地震の選定に係る評価は、設置許可基準規則解釈の別記2の規定に適合していることを確認したものであり、こ のような原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるということはできず、原告らの主張は理由がない。 13 争点3-(7)(震源が敷地に極めて近い場合の考慮の欠如)について(1) 争点に係る認定事実ア新規制基準において震源極近傍規定が導入された経緯 (ア) 原子力安全委員会による平成18年耐震指針においては、基準地震動の策定に際して、震源が極近傍にある場合の地震動評価について格別の考慮を要求する規制は設けられていなかった。(乙B144)(イ) 原子力安全委員会が、原子力安全・保安院に対し、東北地方太平洋沖地震等の知見を反映して耐震安全性に影響を与える地震に関して評価を 行うよう意見を述べたことを受け、原子力安全・保安院が設置した地震・津波に関する意見聴取会において、次のとおり意見等があった。 a 平成24年5月29日の第4回地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)において、敦賀発電所の浦底断層の地震発生層の上端深さについて、基本ケースを4㎞、不確かさとして3㎞と見ており、不確 かさとして上端深さを2㎞とすると位相速度の理論分散曲線から外れてくるため、上端深さを2㎞にまでする必要はないなどと意見が述べられたことを受けて、J8委員は、サイトの近傍の断層による地震動の評価は非常に厳しく、上端深さを2~3㎞としたときにアスペリティを浅く配置すると極端な計算例が発生しかねない旨を述べ、また、 浦底断層から敦賀発電所への距離が極めて短く、この地震動の評価を、 不確実さも含めて行う手法はまだ確立されておらず、従来のモデルを用いると不自然に値が多す ねない旨を述べ、また、 浦底断層から敦賀発電所への距離が極めて短く、この地震動の評価を、 不確実さも含めて行う手法はまだ確立されておらず、従来のモデルを用いると不自然に値が多すぎるか過小評価を生むか分からず、震源の極近傍のサイトに適切な評価法を検討してほしい旨を述べた。 (甲美D10・46~48、52、53頁)b 平成24年7月18日の第6回地震・津波に関する意見聴取会(地 震動関係)において、不確かさの考慮についての意見交換がされた際に、J8委員は、断層面からごくわずかしか離れていないところでの地震動の評価が従来の地震動の予測式でうまく行えるか十分な検証がされていない状況で、地震動の予測においては不確かさを上乗せできる枠組みを用意したほうが良い旨の意見を述べた。(甲美D11・9、 10頁)c 平成24年8月17日の第7回地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)において、浦底断層の地震発生層の上端深さを不確かさを考慮して2㎞にすることについて、J8委員は、不確かさとして上端深さを浅くしてそこまでアスペリティを考える評価法自体を見直した 方がよい、上端深さを2㎞として地震動評価をするならば既存の手法の適用限界に入ってきているため、全体として不確かさを上乗せすべきである旨の意見を述べた。(乙D25・1~5、34頁)(ウ) 平成24年9月に発足した原子力規制委員会は、新規制基準における主な検討事項の1つとして、活断層がサイトの至近距離にある場合の不 確かさを考慮した地震動評価を挙げ、地震等基準検討チームがこれを検討し、新規制基準骨子案に反映させる方針とし、地震等基準検討チームにおいて、次のとおり意見等があった。(甲美D13、乙B32の2、乙B172・51~57頁)a 平成24年1 検討チームがこれを検討し、新規制基準骨子案に反映させる方針とし、地震等基準検討チームにおいて、次のとおり意見等があった。(甲美D13、乙B32の2、乙B172・51~57頁)a 平成24年12月7日の地震等基準検討チームの第3回会合におい て、原子力規制庁から、「活断層がサイトの至近距離にある場合の地震 動評価」が提案された。原子力規制庁は、この背景として敦賀発電所においては、耐震設計上考慮する活断層である浦底断層の露頭が同発電所の1号炉及び2号炉からおよそ250mという至近距離にあること、活断層が至近距離にあるときの地震動評価における課題として、既存の断層モデルを用いた手法の枠組みでは評価できない現象、効果 等が存在する可能性があること、断層モデルを用いた手法を用いた場合、震源断層モデルの設定が地震動評価に及ぼす影響が顕著に表れやすいと考えられるため、既存の調査・評価手法による設定の適用性を再検討する必要があることを説明した。J3は、あまり近いところにおける地震波の計算方法は非常に問題が難しい旨の意見を述べ、J8 は、断層面を要素断層に分けて影響を重ね合わせるという現状の強震動の評価手法では、要素断層よりも距離的に近いサイト、数㎞以内、例えば1~2㎞以内のサイトについては、物理モデルとして波動論的な計算手法が破綻する領域になってきている、現在の評価手法は、内陸の活断層自身が持っている不均一さや破壊の特徴、そこから出る地 震動の特徴を、ある程度離れたところで見れば十分適用できるが、近くでは評価で用いている値以上の不均一さを持っているかもしれない、そのため不確実さを何らかの形で定量的に上乗せする、断層近傍の記録として2008年岩手・宮城内陸地震のほぼ逆断層真上で取れた記録は深さ260mの地中 ている値以上の不均一さを持っているかもしれない、そのため不確実さを何らかの形で定量的に上乗せする、断層近傍の記録として2008年岩手・宮城内陸地震のほぼ逆断層真上で取れた記録は深さ260mの地中でさえ加速度記録で1Gを超える値になって おり、そういう不確実さを十分に考慮してほしい旨の意見を述べた。 (乙B145・38、45、46、49、50頁、乙B146・5、6頁)b 平成24年12月27日の地震等基準検討チームの第5回会合において、資料とされた新規制基準の骨子素案には、「敷地内に活断層の露 頭がある等、震源が敷地に近接している場合」は不確かさを詳細に評 価し、十分な裕度を考慮して基準地震動を策定する旨の記載があった。 J8は、資料として骨子素案に関するメモ(甲美D18)を提出し、不確かさの考慮の方法を整理して妥当性を示す必要があり、その1つとして断層の極近傍の地震動について不確かさを定量的に上乗せする必要がある旨の意見を述べ、J3は、極近傍というのはどれくらいか というのは定量的に非常に問題である旨の意見を述べた。 (甲美D18、乙B147・30、33~35頁、乙B148・7頁)c 平成25年1月15日の地震等基準検討チームの第6回会合において、J3は、上記第5回会合における骨子素案に対するメモ(甲美D19)を資料として提出し、敷地内に活断層の露頭やそれに伴う副次 的なものがあるというのは地盤の安定性のところに記載されていることなどから、「敷地内に活断層の露頭がある等、震源断層が敷地に近接している場合」という記載を「震源断層が敷地に近い場合」へと修正する意見を述べ、J8は、変位が地表まで現れるような断層が極直近にあるときのそのすぐ近くで起こる現象については現状の断層モデル を用いた計 合」という記載を「震源断層が敷地に近い場合」へと修正する意見を述べ、J8は、変位が地表まで現れるような断層が極直近にあるときのそのすぐ近くで起こる現象については現状の断層モデル を用いた計算手法では無視して計算しているが、変位に伴うような地震動などには完全に把握していない何かがあるかもしれないため、変位を伴うような断層が敷地内や本当に直近にあるような場合、十分な余裕を上乗せすべきである旨の意見を述べた。(甲美D19、乙B149・42、44、45、67、68頁) d 平成25年1月22日の地震等基準検討チームの第7回会合において、資料とされた新規制基準の骨子素案(甲美D20)では、「敷地内に活断層の露頭がある等」の記載が削除された。J8は、断層の極近傍の地震動評価においては、これまで考えられてきた起震断層だけではなく、変位、ずれを起こす断層面全体から生じる地震動の影響を評 価すべきであり、ここからは長周期だけではなく、短周期の地震動も 出ており、本当に近いところの地震動には影響する可能性がある、骨子素案には、「震源が敷地に極めて近い場合は、変位を生じ得る断層面全体を考慮した上」との記載に修正してほしい旨の意見を述べた。(甲美D20、乙B143・45頁)e 平成25年1月29日の地震等基準検討チームの第8回会合におい て、資料とされた新規制基準の骨子素案(乙B150)は、「震源が敷地に極めて近い場合は、地表に変位を伴う断層全体を考慮した上」という記載となり、震源極近傍規定(設置許可基準規則解釈の別記2の5項2号⑥)と同様の記載となった。 f 地震等基準検討チームが作成した新規制基準の骨子素案について、 平成25年2月7日から同月28日までの間、パブリックコメントを行った結果、震源が敷地 5項2号⑥)と同様の記載となった。 f 地震等基準検討チームが作成した新規制基準の骨子素案について、 平成25年2月7日から同月28日までの間、パブリックコメントを行った結果、震源が敷地に極めて近い場合の定義を設計基準として明確に規定すべきとの意見があったが、原子力規制庁の地震・津波安全担当管理官は、これに対して明確な考え方は示さず、基準地震動の妥当性については、審査の際にその妥当性を適切に判断できるようマニ ュアルの検討を行っているので、マニュアルの中で可能な限り明確にしたいとの考え方を示した。(甲美D22、23・11、13頁)g 平成25年3月22日の地震等基準検討チームの第10回会合において、資料として地震ガイド案(甲美D24)が配布され、「震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価」について、地表変位を伴う断層全 体を考慮した評価をすることになり、不確かさの考慮が非常に重要であり、地表に地震断層が出ている1999年の台湾集集地震の観測記録などを見て再現解析をしたり、敷地に近い場合は非常に断層変位があるため地震動と永久変位・変形との整合性を見たり、極めて断層が近いときには、逆断層の場合、2008年岩手・宮城内陸地震におい て上盤効果が現れていると考えられるため、従来の水平動成分に加え て上下動成分の考慮をしたりすることを考えているとの説明がされた。 J3は、地震ガイド案について、震源が敷地に極めて近い場合は、不確かさをいろいろ考えて評価するということと、記録を集めて科学的・技術的に知見を取り込むという部分が重要である旨の意見を述べた。 (甲美D25・19、20、46頁) h 平成25年6月6日の地震等基準検討チームの第13回会合において、地震ガイド案について行ったパブリックコメントに いう部分が重要である旨の意見を述べた。 (甲美D25・19、20、46頁) h 平成25年6月6日の地震等基準検討チームの第13回会合において、地震ガイド案について行ったパブリックコメントに対する意見とそれに対する考え方案が資料として配布され、震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価について、極近傍の地震観測が存在しない可能性があり、また、断層モデルによる手法は永久変位を求める手法ではな いため、再現解析を実施する旨の記載や永久変位が再現できていることを確認する旨の記載を削除すべきという意見に対し、地表に変位を伴う被害地震の例として、1999年の台湾集集地震等を挙げ、震源極近傍の地震動評価手法の妥当性を十分に確認できている必要性があるという考え方を示した。J8は、不確かさの取扱いについて、原子 力安全・保安院の地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)の議論が受け継がれ、これを踏まえて新規制基準による審査を行ってほしい旨の意見を述べた。(甲美D26・26頁、甲美D27)イ白木-丹生断層について(ア) 参加人は、本件適合性審査の資料等において、白木-丹生断層の上端 深さは3㎞、断層長さは20㎞であること(乙C92・65頁)、地震規模を示すマグニチュードは6.9であること(乙C92・57頁)、基本ケースにおいてアスペリティは敷地に近い位置に配置し、要素断層は1. 54㎞×1.57㎞であること(乙C92・66頁)、応答スペクトルに基づく地震動評価において、等価震源距離とマグニチュード(Mj)の関 係をプロットしたグラフを用いて耐専式のコントロールポイントである 「極近距離」との乖離の程度を見ても耐専式の適用範囲内であること(乙C92・57頁、乙C94・2~4頁、乙C101・53頁)、断層周辺 たグラフを用いて耐専式のコントロールポイントである 「極近距離」との乖離の程度を見ても耐専式の適用範囲内であること(乙C92・57頁、乙C94・2~4頁、乙C101・53頁)、断層周辺域で実施された海上音波探査やボーリング調査等の詳細な調査の結果、断層面が東側に60°傾き、本件原子炉敷地から離れる方向に傾いていること(乙C92・66頁、乙C94・43頁)等を記載した。 (イ) 参加人は、本件適合性審査の資料において、地殻変動による基礎地盤の変形の影響評価について、Okada(1992)の手法により地殻変動量を算出すると、白木-丹生断層に伴い生ずる地盤の傾斜は、原子炉格納施設及び原子炉補助建屋の傾斜が1/1万3900であり、地盤ガイドに記載の評価の目安である1/2000を下回っている旨を記載した。(乙C 153、154)(ウ) 産総研の「活断層データベース」に公開されている情報を基に、本件原子炉の建屋と白木-丹生断層との地表最短距離を求めると、約1.3㎞であり(丙F5)、地表断層と本件原子炉施設の敷地境界との地表最短距離は、約600mである。(乙C93・294頁、弁論の全趣旨・原告 ら準備書面(95)34頁)「断層モデルを用いた手法による地震動評価」において参加人が用いた基本ケースの断層モデルの白木-丹生断層と本件原子炉敷地との断層最短距離は、地震発生層の上端深さや傾斜角を踏まえると、約3.7㎞となる。(丙C3・66頁、弁論の全趣旨・参加人準備書面(16)12、1 3頁)ウ C断層について(ア) 参加人は、本件適合性審査の資料等において、C断層の上端深さは3㎞、断層長さは18㎞であること(乙C92・60頁)、地震規模を示すマグニチュードは6.9であること(乙C92・57頁)、基本ケー ア) 参加人は、本件適合性審査の資料等において、C断層の上端深さは3㎞、断層長さは18㎞であること(乙C92・60頁)、地震規模を示すマグニチュードは6.9であること(乙C92・57頁)、基本ケースに おいてアスペリティは敷地に近い位置に配置し、要素断層は基本ケース 等で1.90㎞×1.73㎞であること(乙C93・61頁)、応答スペクトルに基づく地震動評価において、等価震源距離とマグニチュード(Mj)の関係をプロットしたグラフを用いて耐専式のコントロールポイントである「極近距離」との乖離の程度を見ても耐専式の適用範囲内であること(乙C92・57頁)、断層周辺域で実施された海上音波探査等の詳細 な調査の結果、断層面が東側に60°傾き、本件原子炉敷地の真下に入り込むこと(乙C92・61頁、乙C94・43頁)等を記載した。 (イ) 参加人は、本件適合性審査の資料において、地殻変動による基礎地盤の変形の影響評価について、Okada(1992)の手法により地殻変動量を算出すると、C断層に伴い生ずる地盤の傾斜は、原子炉格納施設及び原子炉 補助建屋の傾斜が基本ケースで1/5400、断層の傾斜角を55°とした不確かさを考慮したケースで1/5200であること、C断層に伴い生ずる地盤の傾斜について食い違い弾性論に基づき評価すると、地震動による最大傾斜は、Ss-2(短周期1.5倍ケース、破壊開始点1)のときに1/3500で最大となり、地殻変動及び地震動を考慮した最大傾斜は 1/2090となって、地盤ガイドに記載の評価の目安である1/2000を下回っている旨を記載した。(乙C153、154)(ウ) 産総研の活断層データベースに公開されている情報を基に、本件原子炉の建屋とC断層との地表最短距離を求めると、約3㎞であり(丙 1/2000を下回っている旨を記載した。(乙C153、154)(ウ) 産総研の活断層データベースに公開されている情報を基に、本件原子炉の建屋とC断層との地表最短距離を求めると、約3㎞であり(丙F5)、地表断層と本件原子炉敷地全体との地表最短距離は、約1.7㎞である。 (乙C93・313頁、弁論の全趣旨・原告ら準備書面(95)38頁)「断層モデルを用いた手法による地震動評価」において参加人が用いた基本ケースの断層モデルのC断層と本件原子炉敷地との断層最短距離は、地震発生層の上端深さや傾斜角を踏まえると、約3.1㎞となる。 (丙C3・61頁、弁論の全趣旨・参加人準備書面(16) 12、14頁) エ本件適合性審査における耐震式の適用範囲の検討について 参加人は、本件適合性審査において、設置許可基準規則解釈の別記2の5項2号④ⅰ)に基づく「応答スペクトルに基づく地震動評価」に当たり、耐専式の「等価震源距離と地震規模の関係図」を用いて各検討用地震に係る耐専式を適用し得るか否かについて説明を行った。具体的には、各検討用地震について地震規模と「等価震源距離」を求めて、耐専式の「等価震 源距離と地震規模の関係図」にプロットし、「大陸棚外縁~B~野坂断層」による地震のみ、耐専式の「極近距離」を示す折れ線から乖離が大きいため、同式の適用範囲外であるとする一方で、本件各断層(白木-丹生断層及びC断層)による地震については、いずれも耐専式の適用範囲内である旨を説明した。(乙C94・2、3頁、乙C101・53頁) オ震源極近傍に係る平成26年度安全研究について(ア) 震源極近傍に係る平成26年度安全研究は、平成25年度から平成26年度にかけて、震源極近傍の場合に、表層地盤の地震動及び震源域による基準地震動 震源極近傍に係る平成26年度安全研究について(ア) 震源極近傍に係る平成26年度安全研究は、平成25年度から平成26年度にかけて、震源極近傍の場合に、表層地盤の地震動及び震源域による基準地震動への影響を定量的に評価することを目的として実施された。同研究においては、震源極近傍の地震動評価手法を整備するため、 アスペリティを地震発生層に設定した上で、地表までの断層全体の破壊を再現する動力学的断層破壊シミュレーションに基づく震源極近傍の地震動評価の高度化に関する委託研究(後記カ(ウ)の大崎総合研究所(2015))を実施し、当該シミュレーション結果を基に、表層地盤の震源域による地震動解析への影響が評価された。その結果、横ずれ断層の場 合、断層極近傍において断層直交成分は地震発生層の震源域に、断層平行成分は表層地盤の震源域に支配されること、地震動に与える震源域の影響として、当該シミュレーションの設定条件で断層から2km 程度以上離れると、表層地盤の震源域による影響は無視できる程度に下がること、逆断層の場合は、おおむね地震発生層の震源域からの地震動が支配的で あり、表層地盤の震源域からの影響が小さいことが示された。(乙D12 5・3頁、乙D126・2、6、9、10頁)震源極近傍における地震観測記録は乏しいことから、上記動力学的断層破壊シミュレーションの結果やその分析結果を用いた地震動評価の結果について、実際の地震観測記録との整合性の検証は行われていない。 (乙D126・1、2頁、弁論の全趣旨・被告第34準備書面68頁) (イ) 平成27年4月20日に実施された第3回地震・津波技術検討会において、震源極近傍に係る平成26年度安全研究について、外部専門家からの技術的評価を踏まえた事後評価が行われた。同検討会 (イ) 平成27年4月20日に実施された第3回地震・津波技術検討会において、震源極近傍に係る平成26年度安全研究について、外部専門家からの技術的評価を踏まえた事後評価が行われた。同検討会においては、「震源極近傍」の定量的な定義(「震源極近傍」の距離を定めること)の可否について議論が及んだ際、原子力規制庁の職員から、サイトの地下 構造等にも影響を受けるため震源極近傍の定量的な定義をするのは困難である旨の説明があるなど、「震源極近傍」の定量的な定義を定めることは困難であるとの結論に至り、外部専門家からも、上記研究で示された結果は飽くまで同研究の中で扱っている対象におけるものであることを明確化しておくべきである旨の意見が示された。(乙D125・9、10 頁)(ウ) 上記技術評価検討会における意見を受け、原子力規制委員会は、平成27年7月8日の平成27年度第18回原子力規制委員会において、震源極近傍に係る平成26年度安全研究につき、同研究は飽くまで特定の設定条件下における数値シミュレーションの結果にとどまるとして、事 後評価においては、「現時点での成果の規制への活用は認められないことから、適宜活用できるよう対応する必要がある。」と評価するにとどめ、同研究の成果を正式に規制として取り入れることはしなかった。 (乙D129・47頁、乙D130・20頁)カその他の科学的知見等について (ア) J8も共著者となっている山田ほか(2015)(甲D116)は、断層極 近傍における地震動予測について考察した論文であり、断層面からの距離が数㎞以下の領域を断層極近傍として扱い、統計的グリーン関数法のグリーン関数は、近地項、中間項及び遠地項があるS波のうち遠地項のみを使ってモデル化したものであるため した論文であり、断層面からの距離が数㎞以下の領域を断層極近傍として扱い、統計的グリーン関数法のグリーン関数は、近地項、中間項及び遠地項があるS波のうち遠地項のみを使ってモデル化したものであるため、断層極近傍では誤差が生じると考えられる、要素断層による手法は数値積分を厳密に評価する手法と はなっていないため、要素断層サイズよりも近い断層極近傍では計算手法が正常に機能しない場合があるなどとして(同77、78頁)、アスペリティが地表に露頭する断層を想定し(同80頁)、近地項及び中間項も考慮した理論地震動シミュレーションを実施した結果、観測点と断層との最短距離が要素断層の1辺の長さの半分以下であれば断層極近傍にお ける誤差は十分小さいものと考えられ、断層最短距離が要素断層の1辺の長さの1倍以上2倍未満の範囲では、最大速度及び最大加速度が過大評価となり、断層最短距離が要素断層の1辺の長さの1倍未満の範囲では、過小評価になる箇所があるとする(同82頁、弁論の全趣旨・参加人準備書面(16)6頁)。また、深さ3~4㎞程度までのごく表層からも地 震動を発する可能性があるとして、断層の上端深さを4㎞として、4㎞以浅の断層表層領域からも背景領域の値からすべり速度時間関数を修正した値の地震動を発するとして理論地震動シミュレーションを実施した結果、断層表層領域を考慮しない場合と比べて最大で最大速度が1. 7倍程度、最大加速度が1.6倍程度となることが分かったとする(同 82~86頁)。そして、今後は、断層表層領域におけるすべり速度時間関数の分布に対して、物理的考察を加えて、より現実に近いシミュレーションを行うことが重要であると考えられるとしている(同89頁)。 (イ) 貴堂ほか(2020)(甲美D39)は、2016年熊本地震以降、地表 布に対して、物理的考察を加えて、より現実に近いシミュレーションを行うことが重要であると考えられるとしている(同89頁)。 (イ) 貴堂ほか(2020)(甲美D39)は、2016年熊本地震以降、地表断層近傍の地震動評価が着目されており、観測点と点震源の距離から必要 な断層面分割を定量的にまとめることが断層極近傍における地震動予測 のための理論地震動計算を行う上で重要であるとして、断層極近傍の範囲は研究対象によって震源断層に着目した研究では数㎞程度、地盤構造に着目した検討では数百m~1㎞程度、建物被害と断層との関係を調べる研究では数十m~100m程度とする場合もあるが、当該論文では10m~1㎞程度を断層極近傍と扱い(同118、119頁)、断層の上端 が地表面まで到達する断層を想定し(同120頁)、薄層法に基づく理論地震動計算時の断層極近傍における解の収束と断層面分割の関係を調べたところ、要素断層の分割が粗いと過小評価の傾向があり、断層最短距離と要素断層の長さが同じときにはやや誤差が残り、断層最短距離に対し、半分程度の要素断層の長さとすることでほぼ収束したとする(同1 21、128頁)。断層最短距離が要素断層の1辺の長さの1倍以上2倍未満の範囲では、同程度かやや過大評価となり、断層最短距離が要素断層の1辺の長さの1倍未満の範囲では、過大評価となっているところもあるが、要素断層が長くなる(断層最短距離に対する倍率が低くなる)ほど過小評価の傾向があるとしている。 (ウ) 大崎総合研究所(2015)(甲美D40)は、震源極近傍に係る平成26年度安全研究の基となった報告書であり、強振動予測手法の高度化のため、震源の極近傍での地震動を評価し、レシピとは異なる評価方法の構築を目指すことを目的としたものである(同 、震源極近傍に係る平成26年度安全研究の基となった報告書であり、強振動予測手法の高度化のため、震源の極近傍での地震動を評価し、レシピとは異なる評価方法の構築を目指すことを目的としたものである(同1-1)。活断層より数㎞以内の距離に位置する場所を震源極近傍と扱い、レシピでは表層部分から の地震動を考慮していないが、震源極近傍では表層破壊による地震動の影響を無視することができない可能性があるとして、動力学的断層破壊シミュレーションを行い、地表地震動において表層由来の地震動がどの程度含まれているかを評価した(同2.1-1)。同報告書は、長さ25㎞、破壊領域幅18㎞の横ずれ断層及び傾斜角60°、長さ25㎞、破 壊領域幅20.8㎞の逆断層について、それぞれ3㎞以深を地震発生層、 0~3㎞を表層とし(同2.2-2、2.3-2)、表層からもアスペリティよりは弱い地震動が発生するものとしてパラメータを設定するなどし、シミュレーションをした(同2.2-7、8)。その結果、断層近傍観測点における地震動は、横ずれ断層では、FP(断層平行)成分の地震動が断層近くにおいて浅部からの地震動が支配的であるが、震源断層 からの地震動は断層から離れるに従って大きくなり、2㎞以上離れると支配的となり、逆断層では、FP成分について、地表面トレースからの距離が0.2~1㎞の範囲で浅部からの地震動スペクトルが震源断層からの地震動を一部の周期で上回るものの、概ね震源断層からの地震動が支配的であり、UD(上下)成分について、地表面トレースからの距離 が2㎞以下では浅部からの地震動が震源断層からの地震動を部分的に上回っており、1㎞の位置では浅部からの地震動が支配的であるなどとしている(同2.4-1、2)。 (エ) 田中信也ほか(2018)( が2㎞以下では浅部からの地震動が震源断層からの地震動を部分的に上回っており、1㎞の位置では浅部からの地震動が支配的であるなどとしている(同2.4-1、2)。 (エ) 田中信也ほか(2018)(甲美D41)は、地表地震断層近傍における永久変位を含む長周期成分の地震動評価が可能な震源断層モデルの設定方 法を構築することを目的として、既存の震源インバージョンの結果から、地震発生層以浅における震源断層モデルの設定に必要なパラメータを求め、レシピの震源断層モデルを地震発生層以浅まで拡張するとし、震源断層の延長が地表に達した部分である地表地震断層から2㎞程度以内の領域を地表地震断層近傍と扱う(同1525、1526頁)。そして、2 016年熊本地震の地表地震断層近傍に位置するKiK-net 益城(断層上端(ほぼ地表地震断層位置に相当)からの最短距離は約2.1㎞)及び西原村(断層上端からの最短距離は約0.8㎞)を対象に観測記録と地震動評価の評価結果を比較して、レシピに基づく震源断層モデルを地震発生層以浅に拡張するためのパラメータの設定方法を検討し、正確な巨 視的断層面が設定できれば地表地震断層近傍の永久変位を含む広域の観 測記録をある程度予測可能であることが示されたとする(同1529、1532、1533頁)。 (オ) 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所、港湾航空技術研究所、地震防災研究領域の領域長であるJ9は、J9意見書(甲美D42)において、次のように述べている。 地震ガイドの「地表に変位を伴う断層全体(地表地震断層から震源断層までの断層全体)を考慮」は、深さ0㎞~3㎞程度の浅部断層を含めた断層全体を考えるという意味であり、震源が敷地に極めて近い場合は、浅部断層で生成される地震波があまり減衰せず 地表地震断層から震源断層までの断層全体)を考慮」は、深さ0㎞~3㎞程度の浅部断層を含めた断層全体を考えるという意味であり、震源が敷地に極めて近い場合は、浅部断層で生成される地震波があまり減衰せずに敷地に到達するため、浅部断層で生成される地震波の割合が小さかったとしても無視するのが 不都合であるからである(同1頁)。本件各断層は、3㎞以浅の浅部断層の影響が無視できない場合として、「震源が敷地に極めて近い場合」に該当する(同3~5頁)。 参加人が調査した本件原子炉の地下構造モデルによれば、0~4000mの範囲で岩盤の密度は一定値2.6g/㎤となっており、4000m 以深の2.7g/㎤と比較してもわずか4%しか異ならず、深さ1000mにはS波速度2800m/s の極めて堅固な花崗岩が存在し、深さ3000mのS波速度3300m/s と比較してもわずか15%しか異ならないから、少なくとも深さ1000mには深さ3000mと同質の岩盤が存在し、多くのひずみエネルギーをため込み、強い地震波を発生する 可能性がある。一般に岩盤の強度が大きいほど大きな応力をため込むことができ、密度2600㎏/㎥の岩盤であれば、13.3MPa 程度の応力をため込むことができ、参加人が「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の策定において考慮しているアスペリティの応力降下量と同程度となる(同5~7頁)。アスペリティ上端深さが浅くなると、敷地での 地震動の短周期レベルは大きくなっていき、白木-丹生断層についてア スペリティの上端深さが1㎞の場合は上端深さが3㎞の場合の1.5倍程度、上端深さが0.5㎞の場合は1.8倍程度となる(同7、8頁)。 敷地ごく近傍の活断層で地表まで変位が生じる場合、断層の上盤側、下盤側とも地震前後で位置がず 場合は上端深さが3㎞の場合の1.5倍程度、上端深さが0.5㎞の場合は1.8倍程度となる(同7、8頁)。 敷地ごく近傍の活断層で地表まで変位が生じる場合、断層の上盤側、下盤側とも地震前後で位置がずれ、一方向の動きが生じるが、この動きをフリングステップ(永久変位を伴うステップ状の地震波形)と呼ぶ。 フリングステップは周期数秒程度の比較的長周期の地震動となることが多いが、短周期の地震波も生成する可能性があり、地震ガイドの「浅部における断層のずれの進展の不均質性が地震動評価へ及ぼす影響を検討」とは、短周期地震動の生成の可能性を考慮することを求めたものといえ、浅部における微視的震源パラメータについても詳細に検討する必要があ る(同8~10、12頁)。 (カ) J3は、J3意見書②(乙D177)において、次のように述べている。 一般にM7以上の大地震時には地震発生層よりも浅い地表付近の浅部領域もすべり、地表地震断層が出現して永久変位成分(フリングステッ プ)を含む地震動が生じ、「震源が敷地に極めて近い場合」には浅部領域でのすべりの大きさによっては永久変位による発電所施設への影響を考慮する必要がある(1、2頁)。一般に内陸地殻内地震では浅部領域の岩盤に大きなひずみエネルギーを蓄えられるだけの強度がなく、応力降下によって強い地震波を放射するような断層破壊は発生しないと考えられ ている(同3頁)。 「震源が敷地に極めて近い場合」に浅部領域におけるすべりを考慮することを求めているのは、地震動評価において永久変位を適切に評価することを求めたものと考えるのが自然である。断層運動によって生成される長周期地震動の振幅(変位)については、震源からの距離の2乗に 反比例して減衰し、その影響が小さくなることが知られており、震源か を求めたものと考えるのが自然である。断層運動によって生成される長周期地震動の振幅(変位)については、震源からの距離の2乗に 反比例して減衰し、その影響が小さくなることが知られており、震源か らの距離が極めて近い地点では永久変位を含む長周期地震動の影響が支配的になるものの、震源からやや離れた地点ではそれらの影響は無視できるとするものである(同3、4頁)。 永久変位の影響を考慮するに当たっては、発電所敷地との離隔距離(地表最短距離)の長短や想定される地震の地震規模の大小とを考慮する必 要があり、本件原子炉の建屋と本件各断層との距離は、白木-丹生断層が約1.3㎞、C断層が約3㎞であること、本件各断層による地震規模はMj6.9程度の中程度とそれほど大きくはなく、断層のすべり量(平均すべり量)も55~62㎝程度であることから、地震動評価において断層運動による永久変位の敷地への影響は小さいものと想定される(同 5頁)。 国内外の永久変位の例として1999年の台湾集集地震(Mw7.6)では約700㎝、2008年岩手・宮城内陸地震(Mw6.9、Mj7.2)では約150㎝の永久変位が観測されていることなどと比べれば、C断層による地震の地殻変動に伴う敷地における永久変位は約60㎝と評価 されているが、実際の永久変位は30㎝以下と推定されることから、本件各断層による永久変位の影響は顕著なものではないといえる。本件原子炉敷地と本件各断層は離隔距離が数百m程度の至近距離ではない上、本件各断層による地震の地震規模からして永久変位の影響は顕著なものではないと考えられること、地殻変動の影響がより大きいC断層による 地震の地殻変動に伴う地盤の傾斜角が1/2000以下とわずかであり、断層すべりに起因する永久変位の発電所施設 影響は顕著なものではないと考えられること、地殻変動の影響がより大きいC断層による 地震の地殻変動に伴う地盤の傾斜角が1/2000以下とわずかであり、断層すべりに起因する永久変位の発電所施設への影響は顕著ではないと考えられることから、永久変位の観点から本件各断層が「震源が敷地に極めて近い場合」に該当するとの判断はできない(同7頁)。 2016年熊本地震により得られた主な最新知見によっても、浅部領 域から短周期地震動は生成されないという従来からの知見は維持されて おり、原子力施設の耐震安全評価(耐震設計)において重要な短周期地震動については、レシピに基づき適切な不確かさを考慮することにより十分に合理的な地震動評価を行うことができる。本件原子炉敷地における本件各断層による地震については、断層のずれによる永久変異の影響が顕著でないことから、地震動評価に当たっての浅部領域のモデル化は 不要であり、参加人の本件各断層による地震が「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないとの判断は、2016年熊本地震による最新知見を踏まえても妥当である(同10、11頁)。 (キ) J4は、J4意見書(乙D178)において、次のように述べている。 震源極近傍規定及びこれに係る地震ガイドの定めを読めば、「震源が敷 地に極めて近い場合」において留意すべき点として最も重要なポイントは、「断層全体からの地表に表出する変位を含む変位の評価を適切に行うこと」と、それに与える「各種の不確かさの評価をより詳細に評価すること」にあるといってよいが、後者の詳細な不確かさの評価の要請は通常の場合にも要請されており、これをもって「震源が敷地に極めて近い 場合」に該当するか否かを判断する根拠とするのは難しいから、「震源が敷地に極めて近い場合 後者の詳細な不確かさの評価の要請は通常の場合にも要請されており、これをもって「震源が敷地に極めて近い 場合」に該当するか否かを判断する根拠とするのは難しいから、「震源が敷地に極めて近い場合」とは、表出する地表変位及び断層浅部のすべり運動の影響が近傍に立地する発電施設にとって無視できないほど大きい場合であり、表出する地表変位の寄与がその発電施設にとって十分安全といえる範囲内か直ちに判断できないような場合においても、その浅部 断層の影響は専ら地表に表出する変位の寄与を長周期地震動の生成に対する震源断層の寄与とともに考慮すればよいということができる(同4、5頁)。 本件原子炉のサイトに対する本件各断層(白木-丹生断層及びC断層)による地震の地震動評価において、参加人が行った地震動評価の妥当性 を考察すると、震源断層の上端深さをできるだけ浅く想定するとしても 深さ4㎞と設定できることを確認した上で、上端深さを3㎞と更に浅く設定し、本件原子炉建屋敷地から想定している断層までの地表最短距離は白木-丹生断層については約1.3㎞、C断層については約3㎞であることがわかり、発電所におけるプラントに対する地表変位の影響を考慮するに当たっては、発電所敷地から想定している断層までの地表最短 距離の長短や想定している地震の地震規模の大小を考慮する必要があるが、これらの距離を前提にOkada(1992)の方法で推定される敷地への永久変位を計算した結果をみると、その影響がより大きくなるC断層の変位量の評価結果は最大約60㎝、永久変位の生成で生じる傾きは1/5200であり、地盤ガイドにおける評価の目安が1/2000であることも 踏まえると地表変位の影響は十分に小さいといえ、基準地震動を用いた建屋の基礎底面の傾斜を動的解 の生成で生じる傾きは1/5200であり、地盤ガイドにおける評価の目安が1/2000であることも 踏まえると地表変位の影響は十分に小さいといえ、基準地震動を用いた建屋の基礎底面の傾斜を動的解析によって計算した結果(最大傾斜)である1/3500と上記結果を足し合わせても1/2090となるから、評価の目安である1/2000と比較して問題ないことが確認されている(同6、7頁)。 以上より、本件原子炉のサイトにおいては、結果として震源断層からのサイトに対する生成変位の影響がプラントの安全性に対して重大な影響を及ぼすものではないことが審査時において定量的に検証されており、「震源が敷地に極めて近い場合」には該当しないとして審査を実施したことは妥当な判断であったといえる(同7頁)。 浅部断層運動の寄与の評価を検討することとして、地表から深さ3㎞までの断層浅部のすべりが何によってコントロールされているか考察すると、強い短周期地震動を生成するためには大きな応力降下量が必要であり、応力降下量は震源深さに依存して増大することが確認されているから、断層浅部において大きなすべりが生じて断層変位が表出したとし ても、その大きなすべりが生じた場所において大きな応力降下量があっ たと考えることはできず、震源断層上のアスペリティやSMGAの運動の影響として受動的に変位を生じたものと考えられる(同9頁)。 受動的に生じている浅部断層のすべりが発電所のサイトに与える影響を検討すると、動的破壊シミュレーションをして深さ2㎞以上の浅部断層において応力アスペリティの直上ですべり量が特に大きくなるのは、 その部分の速度構造がS波速度1㎞/s かそれ以下(P波速度で2㎞/s 以下)の堆積岩又は堆積地盤を想定したからであり、地表面付近 において応力アスペリティの直上ですべり量が特に大きくなるのは、 その部分の速度構造がS波速度1㎞/s かそれ以下(P波速度で2㎞/s 以下)の堆積岩又は堆積地盤を想定したからであり、地表面付近まで火成岩で構成され、S波速度2㎞かそれ以上(P波速度3.8㎞/s 以上)の速度を有していた場合、地表面付近のすべり量は深さ2㎞部分と同等の1.5m程度となっていたと考えられる(同11頁)。 本件原子炉の敷地は、P波速度で概略5.4㎞/s 以上の層が浅部まで存在し、地表面付近(深さ200m)においてS波速度1.8㎞/s、P波速度4.2㎞/s の岩盤層となっていることから、震源断層において仮定されたアスペリティ(SMGA)の直上で受動的に浅部断層部分ですべりが生じたとしても、地表付近での顕著な増幅は生じず、そのすべり 量はアスペリティ(SMGA)内のすべり量である1.36m(ばらつき考慮ケース)と同程度かそれ以下となると推察されるから、仮に「震源が敷地に極めて近い場合」に該当する場合に考慮することとなる浅部断層のすべり量の寄与を加算したとしても、プラント地点における変位や傾斜角の推定値は設計上の許容範囲に収まると考えられるので、「震源 が敷地に極めて近い場合」には該当しないとの判断は変わらない(同11、12頁)。 2016年熊本地震の震源近傍で観測された加速度波形は、現行のレシピで再現性が確認されており、地表断層運動に伴う地殻変動量の評価を除いて、観測記録と比べて過小評価となっていないことが示されてお り、逆に浅部の断層の短周期の生成を加えたら評価は過大となる(同1 3頁)。 (2) 検討ア原告らは、本件各断層は、震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い場合」に当たり、同規定及び地震ガイドⅠ 層の短周期の生成を加えたら評価は過大となる(同1 3頁)。 (2) 検討ア原告らは、本件各断層は、震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い場合」に当たり、同規定及び地震ガイドⅠ.3.3.2(4)④に基づいて地表に変位を伴う断層全体を考慮すること等の評価をする必要があったにも かかわらず、本件適合性審査においてはこれを一切検討していないから、本件設置変更許可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると主張する。 本件適合性審査において、本件各断層が震源極近傍規定に該当しないものとされ、原子力規制委員会が参加人に対して震源極近傍規定該当性に関 する質問をしていないことは当事者間に争いがなく(第42準備書面6、7頁)、本件適合性審査に係る資料等には、本件各断層が震源極近傍規定に該当しないとされた理由等の記載はされていない。 そこで、以下、本件各断層が震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないものとしてされた原子力規制委員会の審査、判断に 看過し難い過誤、欠落があると認められるか、検討する。 イ(ア) 別紙8設置許可基準規則解釈の別記2の概要及び別紙10地震ガイドの概要のとおり、震源極近傍規定については、設置許可基準規則解釈の別記2の5二⑥のほか、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)④にも定めがあり、これらの規定等をみても、震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い 場合」の該当性について具体的に定められていないが、上記(1)アのとおり、震源極近傍規定は、敦賀発電所1号炉及び2号炉から250mの距離に浦底断層があることをきっかけとして、原子力安全・保安院の地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)及び原子力規制委員会の地震等基準検討チームにおける検討等を経て設けられたものと ら250mの距離に浦底断層があることをきっかけとして、原子力安全・保安院の地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)及び原子力規制委員会の地震等基準検討チームにおける検討等を経て設けられたものと認められる。 そして、震源極近傍規定の必要性については、地震発生層の上端深さ を不確かさを考慮して2~3㎞としたときに、近傍の断層による地震動の評価は確立されていないとして不確かさの定量的な上乗せの議論がされ、要素断層よりも距離的に近いサイト、例えば1~2㎞以内のサイトでは波動論的な計算手法が破綻する領域になってきている、断層近傍では活断層の不均一さの影響が大きい、変位を伴うような地震動では地震 発生層だけではなく変位を起こす断層面全体から生じる地震動の影響を評価すべきであるなどの意見があったと認められる。ここで、上記(1)ア(ウ)aのとおり、J8は、地震等基準検討チームの第3回会合において、数㎞以内、例えば1~2㎞以内のサイトについて言及しているが、これが地表断層からの距離を指すのか、地震発生層からの距離を指すのか明 確ではない上、同会合において震源極近傍に該当する距離について共通認識があったとは認められない。また、J8は、同会合において、2008年岩手・宮城内陸地震を断層近傍の例として挙げており、同地震において地中の三成分合計1078gal を記録したKiK-net 一関西観測点(IWTH25)は、断層までの地表最短距離でも5㎞以上あると認められるが (甲D89、甲美D15の2)、これは不確かさを検討すべき例として挙げたものと解され、同会合において5㎞程度の範囲を震源極近傍に含むという共通認識があったとは認められない。 そして、上記(1)ア(ウ)b及びcのとおり、地震等基準検討チームにおける新規制 として挙げたものと解され、同会合において5㎞程度の範囲を震源極近傍に含むという共通認識があったとは認められない。 そして、上記(1)ア(ウ)b及びcのとおり、地震等基準検討チームにおける新規制基準の骨子素案には、当初、「敷地内に活断層の露頭がある等、 震源が敷地に近接している場合」という記載があり、敦賀発電所の浦底断層に相当するような極めて近い距離を想定した記載となっていたところ、J3の提案を受けて「敷地内に活断層の露頭がある等」との記載は削除されたが、J3が削除を提案した理由は、活断層の露頭やそれに伴う副次的なものがあるというのは地盤の安定性のところに記載されてい るというもので、震源極近傍に該当する範囲を広げるべきという理由で あったとは認められない。 さらに、上記(1)ア(ウ)fのとおり、骨子素案のパブリックコメントにおける意見として、震源極近傍の定義を明確に規定すべきとの意見があったが、原子力規制庁の地震・津波安全担当管理官が、これに対する明確な考え方を示さなかったことについて、地震等基準検討チームの出席 者から具体的な意見が述べられたとは認められない。 このような経緯に照らすと、地震等基準検討チームにおいて、少なくとも敦賀発電所1号炉及び2号炉から250mにある浦底断層の露頭が震源極近傍に当たることを前提として震源極近傍規定が設けられたという限度で共通認識はあったと認められるものの、「震源が敷地に極めて近 い場合」の距離に関する明確な共通認識があったとは認められない。 (イ) 震源極近傍規定は、「震源が敷地に極めて近い場合」には、地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当 規定は、「震源が敷地に極めて近い場合」には、地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当性を詳細に検討することを求め、地震ガイドは、震源が敷 地に極めて近い場合の地震動評価として、地表に変位を伴う断層全体(地表地震断層から震源断層までの断層全体)の考慮や、浅部における断層のずれの進展の不均質性が地震動評価へ及ぼす影響の検討を求めている。 これに加えて、上記(1)カ(カ)及び(キ)のとおり、震源極近傍規定について、J3意見書②は、地震動評価において永久変位を適切に評価することを 求めたものとし、J4意見書は、「震源が敷地に極めて近い場合」とは、表出する地表変位及び断層浅部のすべり運動の影響が近傍に立地する発電施設にとって無視できないほど大きい場合などとしていることからすると、震源極近傍規定は、地表地震断層までの浅部断層の変位が原子炉施設及びその敷地に与える影響の考慮を求める規定であると解される。 したがって、震源極近傍規定該当性において主に考慮されるべき要素 は、原子炉施設の設置された敷地と地表変位の影響の生ずる地表断層との距離であると解される。 (ウ) そして、敷地上に設置されている原子炉施設とは、設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈において基準地震動による地震力に基づいた耐震設計等が求められている各種施設というべきであり、耐震重要施設 (設置許可基準規則4条3項)、兼用キャスク貯蔵施設(同規則3条1項、同条の解釈、同規則4条6項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)、同条の解釈)、常設重大事故防止設備であって常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設 条1項、同条の解釈、同規則4条6項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)、同条の解釈)、常設重大事故防止設備であって常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(同規則38条1項1号)、常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施 設(同項3号)、特定重大事故等対処施設(同条4号、同規則39条1項4号)、常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(同規則39条1項1号)、常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(同項3号)及び緊急時対策所(設置許可基準規則61条の解釈)(本件各施設)がこれらの施設に当たり、耐震重要施設及び重大事 故等対処施設については斜面の崩壊についての考慮も求められているから(設置許可基準規則4条4項、39条2項)、震源極近傍規定にいう「敷地」とは、本件各施設の敷地のみならず、必要な機能が損なわれるおそれに関わる周辺の斜面についても含むものと解されるが、他方で、本件各施設と関係のない敷地までは含まれないというべきである。 したがって、震源極近傍規定における「敷地」とは、原子炉施設の敷地全体を指すものではないが、上記本件各施設の敷地並びに耐震重要施設及び重大事故等対処施設に関わる斜面(本件各施設敷地等)をもって、震源極近傍規定にいう「敷地」に当たるというべきである。 (エ) 上記(1)カ(カ)及び(キ)のとおり、J3意見書②は、震源極近傍規定が求 める永久変位の影響の評価について、断層運動によって生成される長周 期地震動の振幅(変位)は、震源からの距離の2乗に反比例して減衰し、その影響が小さくなることが知られているとした上で、発電所敷地との離隔距離(地表最短距離)の長短や想定される地震の地震規模の大小を考慮し 動の振幅(変位)は、震源からの距離の2乗に反比例して減衰し、その影響が小さくなることが知られているとした上で、発電所敷地との離隔距離(地表最短距離)の長短や想定される地震の地震規模の大小を考慮して永久変位の敷地への影響を評価する旨を述べ、J4意見書も、発電所敷地から想定している断層までの地表最短距離の長短や想定して いる地震の地震規模の大小を考慮して敷地への永久変位の影響を考慮する旨を述べており、敷地と地表断層との距離に加えて、震源断層から想定される地震規模の大小も、震源極近傍該当性判断において考慮すべき要素というべきである。 (オ) 上記(1)ア(ウ)aのとおり、震源極近傍規定が導入された経緯において、 断層モデルによる強振動予測手法は、断層を要素断層に分割して重ね合わせるという手法を用いて計算するものであるが、要素断層の長さより近いサイトにおいては、波動論的な計算手法が破綻する領域となってきているとの意見もあり、上記(1)カ(ア)及び(イ)のとおり、 山田ほか(2015)及び貴堂ほか(2020)によれば、断層最短距離(これは震源断層最短距離 と解される。)が要素断層の長さの2倍未満の範囲では、過大評価又は過小評価が生じることが指摘されていることも考慮すると、要素断層の長さと震源断層最短距離についても、震源極近傍規定該当性判断の考慮要素になるというべきである。 (カ) 以上によれば、震源極近傍規定該当性は、敦賀発電所1号炉及び2号 炉から250mにある浦底断層の露頭が震源極近傍に当たることを想定して震源極近傍規定が設けられたことを踏まえつつ、本件各施設敷地等と地表断層との距離を主として、震源断層から想定される地震規模の大小、要素断層の長さと震源断層最短距離を踏まえて判断されるべきものと解される。 が設けられたことを踏まえつつ、本件各施設敷地等と地表断層との距離を主として、震源断層から想定される地震規模の大小、要素断層の長さと震源断層最短距離を踏まえて判断されるべきものと解される。 ウこれに対し、原告らは、「震源が敷地に極めて近い場合」とは、震源断層 (ただし、地表に変異を伴う断層全体)から数㎞以内に敷地がある場合(地表断層との最短距離が数㎞以内)という意味に解するべきであると主張する。 しかしながら、地震・津波に関する意見聴取会(地震動関係)及び原子炉施設等基準検討チームにおいてJ8の発言する1~2㎞や一関西観測 点の5㎞をもって震源極近傍規定に該当すべきといえないことは、上記イ(ア)で説示したとおりである。また、山田ほか(2015)は、断層面からの距離が数㎞以下の領域を断層極近傍として扱い、貴堂ほか(2020)は、10m~1㎞程度を断層極近傍と扱っているが、いずれも要素断層の長さと震源断層最短距離との関係を検討しているものであり、必ずしも地表断層からの 距離が一定の範囲にある観測点を断層極近傍と扱っているものではない上、要素断層を断層最短距離に対し半分程度の長さとして細かく設定することにより誤差は収束したというのであるから、定量的な距離をもって震源極近傍規定に該当する根拠となるとはいえない。 また、中間報告は、2016年熊本地震において地表断層から1.7㎞ 程度のKiK-net 益城、3㎞程度の南阿蘇村河陽を断層ごく近傍の観測点として、過小評価等があるため強振動評価手法の検討が必要であるとしているが、これはあくまでも2016年熊本地震の事例解析であり、地震規模等にかかわらず3㎞程度の距離に震源極近傍規定を適用すべき根拠になるものとはいえない。 そして、大崎総合研究所(2 しているが、これはあくまでも2016年熊本地震の事例解析であり、地震規模等にかかわらず3㎞程度の距離に震源極近傍規定を適用すべき根拠になるものとはいえない。 そして、大崎総合研究所(2015)は、原子力規制庁が委託した平成26年度安全研究の基となった報告書であり、表層断層から2㎞以内では浅部断層からの影響があるとしているが、これはあくまで設定した条件の下でシミュレーションをした結果であり、動力学的断層破壊シミュレーションの結果やその分析結果を用いた地震動評価の結果について、実際の地震観測 記録との整合性の検証は行われておらず、上記(1)オ(ウ)のとおり、原子力 規制委員会においても平成26年度安全研究の成果を規制に取り入れるには至らなかったことからすれば、地震規模等にかかわらず地表断層から2㎞以内のサイトに震源極近傍規定を適用すべきということはできない。 さらに、田中信也ほか(2018)は、地表地震断層から2㎞程度以内の領域を地表地震断層近傍としているが、これは2016年熊本地震のKiK-net 益城から地表地震断層位置までの距離が約2.1㎞であり、この観測記録と地震動評価の評価結果を比較した検討を行うための扱いと考えられ、これをもって地表断層から2㎞程度以内に震源極近傍規定を適用すべきということはできない。 以上のとおり、震源極近傍の扱いは専門家の間でも明確ではなく、検討 対象や設定条件によっても異なり得るから、定量的な距離をもって震源極近傍規定の適用性を判断すべきということはできない。 エまた、原告らは、本件原子炉の地下岩盤の密度を根拠として浅部断層も相当の地震波を発生させる可能性がある旨を述べるJ9意見書に基づいて、本件各断層は浅部断層で生成される地震波の考慮等が必要であり、「震源 、原告らは、本件原子炉の地下岩盤の密度を根拠として浅部断層も相当の地震波を発生させる可能性がある旨を述べるJ9意見書に基づいて、本件各断層は浅部断層で生成される地震波の考慮等が必要であり、「震源が 敷地に極めて近い場合」に該当する旨主張する。 しかしながら、上記(1)カ(カ)及び(キ)のとおり、J3意見書②によれば、浅部領域の岩盤に大きなひずみエネルギーを蓄えられるだけの強度はなく、応力降下によって強い地震波を放射するような断層破壊は発生しないと考えられる旨が述べられ、J4意見書によれば、応力降下量は震源深さ に依存して増大することが確認されている旨が述べられており、岩盤の密度が高いからといって、浅部領域では上部に存在する地層からの圧力は弱いため、強いひずみエネルギーを蓄えることはできないと考えられるから、J9意見書をそのまま採用することはできない。また、J9意見書は、浅部のフリングステップが短周期の地震波も生成する可能性があるとする が、J4意見書によれば、地表から深さ3㎞までの断層浅部に大きなすべ りが生じて断層変位が表出したとしても、震源断層からの影響で受動的に変位を生じたと考えられ、2016年熊本地震の知見に照らしても、浅部の断層の短周期の生成を加えると評価は過大となるとされていることからすると、浅部のフリングステップに関するJ9意見書の見解も直ちに採用することはできない。 オ本件各断層について上記イを踏まえて、本件各断層について検討する。 (ア) 白木-丹生断層について上記(1)イのとおり、本件原子炉施設の敷地全体と白木-丹生断層の表面断層との地表最短距離は600m、本件原子炉の建屋との地表最短距 離は約1.3㎞であり、本件各施設敷地等との地表最短距離はこの間に含ま のとおり、本件原子炉施設の敷地全体と白木-丹生断層の表面断層との地表最短距離は600m、本件原子炉の建屋との地表最短距 離は約1.3㎞であり、本件各施設敷地等との地表最短距離はこの間に含まれることになるが、いずれにしても敦賀発電所1号炉及び2号炉と浦底断層との距離250mと比較して、倍以上の距離があると認められる。また、白木-丹生断層の地震規模はM6.9と比較的小さく、要素断層は1.54㎞×1.57㎞とされており、「断層モデルを用いた手法 による地震動評価」において、参加人が用いた基本ケースの断層モデルでは、白木-丹生断層と本件原子炉の建屋との震源断層最短距離は、地震発生層の上端深さや傾斜角を踏まえると約3.7㎞となり、要素断層の長さの2倍以上となっている。 これらの観点に照らすと、白木-丹生断層は震源極近傍規定の「震源 が敷地に極めて近い場合」に該当するということはできない。 (イ) C断層について上記(1)ウのとおり、本件原子炉施設の敷地全体とC断層の表面断層との地表最短距離は約1.7㎞、本件原子炉の建屋との地表最短距離は約3㎞であり、本件各施設敷地等との地表最短距離はこの間に含まれるこ とになるが、いずれにしても敦賀発電所1号炉及び2号炉と浦底断層の 距離250mと比較して、6倍以上の距離があると認められる。また、C断層の地震規模はM6.9と比較的小さく、要素断層は基本ケース等で1.90㎞×1.73㎞とされており、「断層モデルを用いた手法による地震動評価」において、参加人が用いた基本ケースの断層モデルでは、C断層と本件原子炉の建屋との震源断層最短距離は、地震発生層の上端 深さや傾斜角を踏まえると、約3.1㎞となり、要素断層の長さの1. 63~1.82倍程度となるが、上記(1)カ(ア 層モデルでは、C断層と本件原子炉の建屋との震源断層最短距離は、地震発生層の上端 深さや傾斜角を踏まえると、約3.1㎞となり、要素断層の長さの1. 63~1.82倍程度となるが、上記(1)カ(ア)及び(イ)のとおり、山田ほか(2015)及び貴堂ほか(2020)によれば、断層最短距離が要素断層の1辺の長さの1倍以上2倍未満の範囲では過大評価の傾向が指摘されており、過小評価の傾向が指摘される1倍未満よりも離れている。 これらの観点に照らすと、C断層は震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当するということはできない。 (ウ) さらに、上記認定事実(地震)(3)ア(エ)並びに上記(1)イ及びウのとおり、参加人は、本件各断層について主要な震源特性パラメータである断層面積、アスペリティ配置、断層の破壊開始点等を不確かさも考慮して 保守的に設定している上、短周期の地震動レベルを1.5倍とするケースを設定し、破壊開始点を複数の位置に設定して多角的に評価するなど保守的な評価を行い、C断層については等価震源距離が短くなるよう傾斜55°とする不確かさケースも想定している。そして、上記(1)イ(イ)及びウ(イ)のとおり、白木-丹生断層に伴い生ずる原子炉格納施設及び原 子炉補助建屋の傾斜は1/1万3900、C断層に伴い生ずる原子炉格納施設及び原子炉補助建屋の傾斜は不確かさを考慮したケースで1/5200であり、いずれも地盤ガイドの評価の目安値(1/2000以下)よりも十分小さく、より影響の大きいC断層による傾斜角1/5200に基準地震動による原子炉建屋の地震応答解析から得られる建屋基礎の最大 傾斜1/3500を合わせて考慮しても、傾斜角は1/2090となって 地盤ガイドの評価の目安値(1/2000以下)を下 震動による原子炉建屋の地震応答解析から得られる建屋基礎の最大 傾斜1/3500を合わせて考慮しても、傾斜角は1/2090となって 地盤ガイドの評価の目安値(1/2000以下)を下回っていることが確認されている。 カ以上によれば、本件各断層について、震源極近傍規定に基づく評価、検討がされていないこともって、本件設置変更許可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるということはで きない。 14 争点3-(8)(蒸気発生器の耐震評価の不正)について(1) 争点に係る認定事実ア蒸気発生器伝熱管は、炉心で加熱された高温の1次冷却水の熱を2次冷却水に伝えて、蒸気を発生させる役割を果たすものであり、直径数㎝の細 管が数千本束ねられた構造をしており、蒸気発生器内に下部から逆U字型に設置されている。(乙B104・36頁、乙C130・6頁、乙E75・3頁)イ耐震工認審査ガイドは、機器・配管系の構造強度に関する耐震設計においては、JEAG4601・補-1984 等の規格の規定を参考として許容応力を設定 することとしている。JEAG4601・補-1984 は、通商産業省(当時)から「耐震設計用地震力のとり方に関する指針の検討」の依頼を受けたことを端緒として、多数の専門家の関与の下、日本電気協会において検討され、耐震設計における審査指針として策定された規格であり、原子力規制委員会発足前の平成18年の時点において、当時の技術基準であった「発電用原子 力設備に関する技術基準を定める省令」(昭和40年通商産業省令第62号)の解釈5条2項により引用され、具体的な評価手法として基準の一部とされていた。(乙B156、乙E79・3枚目)ウ JEAG4601・補-1984 にお る省令」(昭和40年通商産業省令第62号)の解釈5条2項により引用され、具体的な評価手法として基準の一部とされていた。(乙B156、乙E79・3枚目)ウ JEAG4601・補-1984 においては、蒸気発生器伝熱管は第1種容器に分類され(弁論の全趣旨・被告第39準備書面13頁)、第1種容器の許容応力 状態ⅣAS(運転状態Ⅳ(設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間 に想定される環境条件において、発電用原子炉施設の安全設計上想定される異常な事態が生じている状態(技術基準規則2条2項48号))相当の許容応力を基準として、それに地震により生じる応力に対する特別な応力の制限を加えた許容応力状態)における「1次膜応力+1次曲げ応力」の許容応力の値は、「1次一般膜応力」の値の1.5倍の値とされている。(乙 E31、79・77、82、87頁)エ JEAG4601・補-1984 の策定において参考とされたASME 規格は、米国における規制の一部として用いられている(乙E80・添-(8)頁)。1963年に策定された当時のASME 規格(ASME1963)において、1次膜応力+1次曲げ応力の許容値は、1次一般膜応力の許容値の1.5倍とする旨の規定 が設けられた。ASMEは、この1.5倍という数値について、曲げにおける矩形断面の形状係数とし、応力区分に対する基本的な応力強さ限界の選択は、工学的判断と保守的な簡略化に基づく限界設計理論の適用によって達成されたと説明している。このASME1963 の規定は、1977年版のASME 規格(ASME1977)においても踏襲されている。(乙E81~83) オ原子力専門委員会耐震設計分科会機器配管許容応力小委員会による検討を経て、日本電気協会が策定した原子力発電所耐震 E 規格(ASME1977)においても踏襲されている。(乙E81~83) オ原子力専門委員会耐震設計分科会機器配管許容応力小委員会による検討を経て、日本電気協会が策定した原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601-1970)においても、ASME1963 の上記規定と同様に、形状係数は1.5とされ、JEAG4601・補-1984 においてもこれが維持されたものである。(乙E84) カ ASMEは、ASME1977 においても、ASME1963 の規定を踏襲して形状係数を1.5としていたが、翌1978年の追補版において、矩形断面以外の断面形状のものについて、1次膜応力+1次曲げ応力の許容値を算定する際に、形状係数が1.5を超えない場合に限り、1次一般膜応力の許容応力の値に形状係数α(純曲げによる全断面降伏荷重と初期降伏荷重の比で あり、断面の形状によって値が異なる。乙E30・25頁)を乗じる算定 方法を用いることができる旨が追記された。ASME 規格におけるこのような1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の値の算定方法は、最新の2021年版のASME 規格においても採用されている。(乙E85、86)キ原子力発電所の設計・建設基準に関するフランス協会が策定した機械機器の設計・制作に関する技術基準の2017年度版においても、1次膜応 力+1次曲げ応力の値を1次一般膜応力の1.5倍とする旨が定められており、フランス原子力安全機関が策定する安全基本原則は、同基準の採用を容認している。また、韓国及びカナダにおける規制もASME 規格と同様である。(乙E80・添付-(10)頁、乙E87、88)ク参加人は、本件工事計画認可申請において、蒸気発生器伝熱管について、 基準地震動による地震力に対する評 る規制もASME 規格と同様である。(乙E80・添付-(10)頁、乙E87、88)ク参加人は、本件工事計画認可申請において、蒸気発生器伝熱管について、 基準地震動による地震力に対する評価結果として、許容応力状態ⅣASにおける「1次膜応力強さ+1次曲げ応力強さ」の許容応力を、JEAG4601・補-1984 に基づき、「1次一般膜応力強さ」の許容応力値359Mpa の1. 5倍に相当する539MPa として、発生値(527MPa)が許容応力(539MPa)を下回ることを示した。(乙C131・添13-17-3-2-2 -131、132頁、乙C132)。 ケ原子力規制委員会は、本件工事計画認可処分に係る審査において、蒸気発生器伝熱管の耐震評価については、許容応力状態ⅣASにおける蒸気発生器伝熱管の1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の値539MPa について、JEAG4601・補-1984 に基づき、1次一般膜応力の1.5倍として算出さ れたことを確認したとして、技術基準規則5条の規定に適合していると認めた。 (乙C6・12~16頁、弁論の全趣旨・被告第39準備書面19頁)コ機械工学、材料力学、破壊力学等を専門分野とし、日本材料学会や日本機械学会の会長であったJ10は、J10意見書(乙E90)において、次のように述べている。 ASME 規格は、科学的視点に基づいて合理的に案を策定していること、製 作者、使用者、管理者、学術界が共に共同して制作していること、規格について継続的に議論を行い時代に合わせて改定を重ねていることなどの優れた特徴があり、民間規格であるものの、米国における規制の一部として用いられ、日本、カナダ、韓国などの規格はこれを参照しており、世界の事実上の標準となっている(同2頁)。A を重ねていることなどの優れた特徴があり、民間規格であるものの、米国における規制の一部として用いられ、日本、カナダ、韓国などの規格はこれを参照しており、世界の事実上の標準となっている(同2頁)。ASME1963 は、1次膜応力+1次 曲げ応力の許容応力を1次一般膜応力の1.5倍としており、翌年発行された解説では、矩形断面の場合の数値であることを前提としつつも、工学的判断と保守的な簡略化に基づく極限(限界)設計理論の適用によって達成されたとして、他の形状の断面にも適用できる一般的な形状係数である旨説明している(同3~6頁)。この1.5倍という数値は、弾完全塑性体 (降伏点を超える応力増加がないとする単純化した材料の応力とひずみの関係を示したもの)を前提とした矩形断面から計算上求められる(同6~8頁)。上記「保守的な簡略化」とは、実際の材料では、ひずみ硬化特性により、応力が降伏点を超えてもなお応力が発生するため、より大きな荷重に対しても耐えることができるが、弾完全塑性体という簡略化されたモ デルを使用して保守的にひずみ硬化特性を考慮しないことをいう。また、上記「工学的判断」とは、経験的専門的知見による総合的な判断により一定の線引きや決定を行うものである(同8、9頁)。ASME 規格は、1978年版において形状係数α倍を採用してもよいとされているが、現在においても1.5倍を矩形断面以外に適用できるとする判断に変更はないもの と考えられる(同6頁)。 サ日本電気協会の原子力規格委員会耐震分科会は、令和5年2月7日付けで、原子力規制庁に対し、JEAG4601・補-1984 について、次のように回答している。(乙E93)1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力を1次膜応力の許容応力の1.5 倍の値としているが、この 子力規制庁に対し、JEAG4601・補-1984 について、次のように回答している。(乙E93)1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力を1次膜応力の許容応力の1.5 倍の値としているが、この「1.5倍」は、材料を弾完全塑性体と仮定し た中実矩形断面形状の構造における、純曲げでの全断面降伏荷重と初期降伏荷重の比に相当する値である(同3頁)。JEAG4601・補-1984 の第1種容器の耐震設計許容応力は、制定当時のASME 規格を参考として定められた。 評価断面の形状に関わらず1.5倍の値を一律に設定しても、弾完全塑性体を仮定していることの保守性があり、地震力に対して設備が過大な変形 を起こして必要な機能が損なわれない設計を達成するには問題はない(同4頁)。JEAG4601・補-1984 の後継規格では形状係数α倍を用いることとしているが、これはJSMEの設計・建設規格における規程内容と整合をとったものであり、この変更を踏まえてもなお、評価断面の形状に関わらず1.5倍の値とするJEAG4601・補-1984 の規定の技術的妥当性が失われた ものではなく、これについて否定的な意見や議論があった経緯はない(同6頁)。 シ耐震工認審査ガイドにおいて適用実績のある耐震設計に関連した規格及び基準等とされている日本機械学会の設計・建設規格2005 等は、クラス1容器の基準地震動に対する許容応力として、「1次膜応力+1次曲げ応力」 の許容応力を、「1次一般膜応力」の許容応力のα倍の値、αは、純曲げによる全面降伏荷重と初期降伏荷重の比又は1.5のいずれか小さい方の値とする旨を定めている。形状係数αは、断面の形状によって値が異なり、中実矩形断面では1.5、薄肉円筒断面では1.27、厚肉円筒断面では1.28~1.70、 伏荷重の比又は1.5のいずれか小さい方の値とする旨を定めている。形状係数αは、断面の形状によって値が異なり、中実矩形断面では1.5、薄肉円筒断面では1.27、厚肉円筒断面では1.28~1.70、中実円断面では1.7などとされている。(乙B60・ 3頁、乙E30・25頁、弁論の全趣旨・原告ら準備書面(3)5、6頁)参加人は、高浜発電所1号機及び2号機の工事計画審査においては、上記「1次膜応力+1次曲げ応力」の許容応力をいずれも481MPa とし、α倍の数値を用いて1次膜応力の1.5倍よりも小さい値としている。(弁論の全趣旨・原告ら準備書面(3) 3~7頁)。 (2) 検討 原告らは、本件原子炉の蒸気発生器伝熱管の1次応力評価基準値は539MPa とされているところ、同じ材料を用いている他の発電所の1次応力評価基準値は481MPa とされており、この数値を用いると本件原子炉の1次応力発生値527MPa が基準値を超えることになるため、あえてJEAG4601・補-1984 が定める緩やかな許容値を採用したと主張する。 上記(1)ウ、エ及びコのとおり、JEAG4601・補-1984 は、許容応力状態ⅣASにおける「1次膜応力+1次曲げ応力」の許容応力の値を「1次一般膜応力」の1.5倍の値としているところ、これは材料を弾完全塑性体と仮定した中実矩形断面形状の構造における、純曲げでの全断面降伏荷重と初期降伏荷重の比に相当する値であり、ASME1963 を参考としたものであって、 ASME1963 の当該規定は、保守的な簡略化と工学的判断により、矩形断面の場合の形状係数を他の形状の断面にも適用できる一般的な形状係数としたものであり、実際の材料では、ひずみ硬化特性により、応力が降伏点を超えてもなお応力が 、保守的な簡略化と工学的判断により、矩形断面の場合の形状係数を他の形状の断面にも適用できる一般的な形状係数としたものであり、実際の材料では、ひずみ硬化特性により、応力が降伏点を超えてもなお応力が発生するため、より大きな荷重に対しても耐えることができるが、弾完全塑性体という簡略化されたモデルを使用して保守的にひずみ硬化特性 を考慮しないことにより他の形状の断面にも適用できる一般的な形状指数としたものと認められる。その後、上記(1)カ及びシのとおり、ASME 規格の1978年版において形状係数α倍を採用してもよいとされ、設計・建設規格 2005 等も形状係数をα倍としつつ、αか1.5倍のいずれか小さい方の値とする旨を定めており、高浜発電所1号機及び2号機等、他の発電所の審査に おいては、α倍を採用して1.5倍よりも小さい許容応力としているから、本件原子炉においてJEAG4601・補-1984 が定める形状係数1.5倍を用いたのは、耐震工認審査ガイドが参照する他の規格が定めるα倍を用いる場合に比べて、保守性の低い方法といえる。 しかしながら、上記(1)イ、ウ、カ、キ及びサのとおり、耐震工認審査ガイ ドは、許容応力の設定について参考とするものに1.5倍の形状係数とする JEAG4601・補-1984 を明記している上、ASME 規格は、1978年版以降、α倍を採用してもよいとしたが、保守的簡略化等により1.5倍の形状係数を矩形断面以外にも一般的に用いることができるとした考え方を否定したものとはいえず、現在においてもフランス、韓国、カナダ等、国際的に1.5倍の形状係数が用いられており、JSMEは、JEAG4601・補-1984 の後継規格 においてα倍が採用されたのは、JSMEの設計・建設規格との整合をとった ス、韓国、カナダ等、国際的に1.5倍の形状係数が用いられており、JSMEは、JEAG4601・補-1984 の後継規格 においてα倍が採用されたのは、JSMEの設計・建設規格との整合をとったものであり、1.5倍の形状係数について否定的な意見や議論があって技術的妥当性が失われたものではない旨を回答し、J10意見書においても1. 5倍の形状係数の合理性が裏付けられている。 以上によれば、本件原子炉の蒸気発生器伝熱管について、設計・建設規格 2005 等が定める形状係数α倍を用いると、許容応力状態ⅣASにおける1次応力発生値(計算値)が「1次膜応力+1次曲げ応力」の許容応力を超えるため、より緩やかなJEAG4601・補-1984 による形状係数1.5倍による許容応力を採用したことがうかがわれるものの、許容応力の算定に当たり形状係数1.5倍を用いることが技術的妥当性を欠き不合理であるということはで きないから、このことをもって、本件工事計画認可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 15 地震に関する争点のまとめ以上のとおり、地震に関して、平成28年各処分について、現在の科学技術水準に照らし、各審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、 又は、本件原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、平成28年各処分が違法であるとはいえない。 第8 当裁判所の判断(火山に関する争点) 1 認定事実(火山) (1) 火山に関する規制の概要 ア発電用原子炉の設置(変更)許可の要件として、炉規法43条の3の6第1項4号(同法43条の3の8第2項により設置変 1 認定事実(火山) (1) 火山に関する規制の概要 ア発電用原子炉の設置(変更)許可の要件として、炉規法43条の3の6第1項4号(同法43条の3の8第2項により設置変更許可に準用)は、「発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること」 を規定し、この委任を受けて、原子力規制委員会は、設置許可基準規則を定め、また、設置許可基準規則解釈(乙B5・13頁)は、設置許可基準規則6条1項に規定する「想定される自然現象」とは、敷地の自然環境を基に、火山の影響から適用されるものをいうと定めている。 イ炉規法43条の3の14本文は、「発電用原子炉設置者は、発電用原子炉 施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」と規定し、この委任を受けて、原子力規制委員会は、技術基準規則を定め、また、技術基準規則7条1項についての技術基準規則解釈(乙B9・19頁)は、「想定される自然現象」には火山事象を含むと定めている。 ウ炉規法43条の3の22第1項柱書きは、「発電用原子炉設置者は、次の事項について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保安のために必要な措置(重大事故が生じた場合における措置に関する事項を含む。)を講じなければならない」と規定し、発電用原子炉施設の保全(同項1号)、発電用原子炉の運転(同項2号)等について必要な措置を講じることを定 め、この委任を受けて、原子力規制委員会は、実用炉規則69条~90条を定めているところ、平成29年改正実用炉規則84条の2は、火山現象による影響が発生し、又は発生す 要な措置を講じることを定 め、この委任を受けて、原子力規制委員会は、実用炉規則69条~90条を定めているところ、平成29年改正実用炉規則84条の2は、火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(火山影響等発生時)における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関し、火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うた めに必要なフィルターその他の資機材を備え付けること(同条4号)、火 山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うために必要な次に掲げる事項を定め、これを要員に守らせること(同条5号)を定め、同号イは、火山影響等発生時における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること(要求事項(火山)①)、同号ロは、イに掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備その 他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること(要求事項(火山)②)、同号ハは、ロに掲げるもののほか、火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること(要求事項(火山)③)をそれぞれ定めていた。 また、炉規法43条の3の24は、「発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保安規定(括弧内略)を定め、発電用原子炉施設の設置の工事に着手する前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」と規定し、認可の要件として、「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染され た物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないものであること」に該当するときは認可をしてはならないと規定し、この委任に基づいて、原子力規制 「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染され た物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないものであること」に該当するときは認可をしてはならないと規定し、この委任に基づいて、原子力規制委員会は、実用炉規則92条を定めているところ、平成29年原子力規制委員会規則第16号による改正により追加された同条1項21号の2において、「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全の ための活動を行う体制の整備に関すること」を保安規定の記載事項とした。 さらに、原子力規制委員会は、保安規定認可の審査のための内規として保安規定審査基準(乙B11)を定めており、平成29年改正実用炉規則92条1項21号の2の記載事項として、要求事項(火山)①~③が定められていることを要求していた。(乙B136・別紙2-2) エ原子力規制委員会は、発電用原子炉施設の安全性審査として、火山の影 響により原子炉施設の安全性を損なうことのない設計であることの評価方法の一例であり、火山影響評価の妥当性を審査官が判断する際に参考とするものとして、火山ガイド(平成25年火山ガイド(乙B117)、平成29年火山ガイド(乙B118)及び令和元年火山ガイド(乙B141))を定めている。 火山ガイドは、原子力規制委員会において、IAEAの安全指針(IAEA・SSG-21)、日本電気協会作成の「原子力発電所火山影響評価技術指針」(JEAG4625-2009)等の文献や専門家からのヒアリング結果を基に、最新の科学的知見を集約して制定したものである。火山ガイドの策定に当たり、原子力規制委員会は、そもそも、現在の火山学の水準では火山噴火の時期 や規模を的確に予知、予測することまではできないことを前提とした上で、現在の火山学の知見に照らせば、可能な の策定に当たり、原子力規制委員会は、そもそも、現在の火山学の水準では火山噴火の時期 や規模を的確に予知、予測することまではできないことを前提とした上で、現在の火山学の知見に照らせば、可能な限りの調査を尽くすことにより、運用期間中における活動可能性や設計対応不可能な火山事象の到達可能性が十分に小さいといえるか否かなどといった評価を行うことまでは可能であり、その限りでの評価に基づいて安全面に十分配慮した規制を行っ ていくことが科学的かつ合理的であるとの基本的立場を採っている。(乙B172・331頁)火山ガイドが参考としたIAEA・SSG-21 には、具体的な評価基準や指標は記載されていないが、評価の手順として、完新世(約1万年前まで)に活動した火山を将来の活動可能性が否定できない火山とする考え方、立地評 価及び影響評価を行うという判断の枠組み、検討の対象とする火山の運用期間中における活動可能性を評価するという枠組み、原子力発電所に影響を与える可能性のある火山事象の抽出の枠組み、火山事象の原子力発電所への到達可能性を評価する手法及び降下火砕物の最大層厚の設定方法等について、火山ガイドはIAEA・SSG-21 に整合している。(乙B172・3 38頁) 平成25年火山ガイドの概要並びに平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドの各変更点については、別紙14火山ガイドの概要のとおりである。 (2) 本件設置変更許可処分における火山に係る審査ア参加人は、本件設置変更許可申請の申請書(補正後)、審査会合の資料等 において、次のとおり記載した。(乙C41)(ア) 原子力発電所に影響を及ぼし得る火山及び地理的領域外の火山について、文献調査及び地質調査結果により、敷地及びその周辺において降灰層 資料等 において、次のとおり記載した。(乙C41)(ア) 原子力発電所に影響を及ぼし得る火山及び地理的領域外の火山について、文献調査及び地質調査結果により、敷地及びその周辺において降灰層厚が比較的厚い降下火砕物を抽出した。噴出源を同定できる降下火砕物について、文献調査、地質調査及び位置関係も含めて検討し、姶良 Tnテフラ、DKP及び恵比須峠福田テフラを対象に、当該火山の将来の噴火の可能性について噴火履歴及び地下構造から検討した。姶良Tnテフラは、噴火履歴及び地下構造を検討し、運用期間中に姶良Tnテフラ規模の噴火の可能性は十分低いと評価した。DKPは、噴火履歴やZhaoetal.(2011)によると、低速度層をマグマ溜まりと評価した場合 においても20㎞以深に位置し、爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点の深度7㎞より深い位置にあることから、運用期間中のDKP規模の噴火の可能性は十分低いと評価した。大山については、繰り返し生じている数㎦以下の規模の噴火の中でも最大の5㎦を考慮し、移流拡散モデル(Tephra2)を用いた降下火砕物のシミュレーションを実施 した結果、風速等のばらつきも踏まえても最大層厚は約6㎝程度であった。恵比須峠福田テフラは、噴火履歴によると運用期間中に恵比須峠福田テフラ規模の噴火の可能性は十分に低いと評価した。 (イ) 噴出源が同定できない降下火砕物の降灰層厚として、NEXCO80 を抽出し、敷地周辺のボーリングコアの調査結果等により、降灰層厚は10㎝ 以下と評価した。 (ウ) 降下火砕物の粒径については、降下火砕物を顕微鏡写真で確認した結果、粒径は約0.2㎜程度であった。Tnテフラの粒度試験結果による粒径分布は1㎜以下であった。文献調査の結果、敷地周辺で (ウ) 降下火砕物の粒径については、降下火砕物を顕微鏡写真で確認した結果、粒径は約0.2㎜程度であった。Tnテフラの粒度試験結果による粒径分布は1㎜以下であった。文献調査の結果、敷地周辺で確認される主なテフラの最大粒径はいずれも1㎜以下である。樽前火山から156㎞離れた地点での粒径分布は、約0.2㎜から約1㎜程度である。 (エ) 降下火砕物の密度については、若狭湾沿岸における津波堆積物調査により得られたテフラの火山灰の単位堆積重量は、乾燥密度で約0.7g/㎤、湿潤密度で約1.3g/㎤程度であった。また、文献調査の結果、乾燥した火山灰は密度が0.4~0.7g/㎥程度であるが、湿ると1.2g/㎥を超えることがあるとされている。 (オ) 文献調査、地質調査及び降下火砕物シミュレーション結果から、運用期間中における敷地の降下火砕物の最大層厚は10㎝と設定した。また、降下火砕物の粒径及び密度については、文献及び地質調査を踏まえ、粒径は1㎜以下、乾燥密度を0.7g/㎤、湿潤密度を1.5g/㎤と設定した。 (カ) 降下火砕物の直接的影響のうち、非常用DGの閉塞については、開口部を下向きの構造とすることにより、降下火砕物が流路に侵入した場合でも閉塞しない設計とし、設備対応として、フィルタを設置することにより、フィルタより大きな降下火砕物が内部に侵入しにくい設計とし、さらに降下火砕物がフィルタに付着した場合でも清掃や取替えが可能な 構造とすることで、降下火砕物により閉塞しない設計とする。 (キ) 降下火砕物の直接的影響のうち、非常用DGの磨耗については、降下火砕物は砂よりも硬度が低くもろいことから、磨耗の影響は小さく、構造上の対応として、開口部を下向きとすることにより侵入しにくい構造とし、仮に当該施設の内部に のうち、非常用DGの磨耗については、降下火砕物は砂よりも硬度が低くもろいことから、磨耗の影響は小さく、構造上の対応として、開口部を下向きとすることにより侵入しにくい構造とし、仮に当該施設の内部に降下火砕物が侵入した場合でも耐磨耗性の ある材料を使用することにより、磨耗により安全機能を損なうことのな い設計とする。設備対応として、フィルタの設置等により降下火砕物の侵入を防止することが可能な設計とする。(以上につき、乙C41・15~18、39、40、乙C43、55)イ原子力規制委員会は、設置許可基準規則6条1項及び2項が想定される火山事象が発生した場合においても安全施設の安全機能が損なわれないよ うに設計することを要求していることについて、以下のとおり審査をした。 (乙C42・68~74頁)(ア) ①原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出、②原子力発電所の運用期間における火山活動に関する個別評価、③原子力発電所への火山事象の影響評価について、参加人が敷地における降下火砕物の最大層厚を 10㎝、降下火砕物の粒径を1㎜以下、乾燥密度を0.7g/㎤、湿潤密度を1.5g/㎤と設定する等、平成25年火山ガイドを踏まえていることを確認した。 (イ) ④火山活動に対する防護に関して、設計対象施設を抽出するための方針について、参加人が、降下火砕物によって安全施設の安全機能が損な われないようにするために必要な設備を設計上防護すべき施設(防護対象施設)として、安全重要度分類指針で規定されているクラス1、クラス2及びクラス3に属する構築物、系統及び機器を抽出する方針とし、それぞれ降下火砕物によって安全機能が損なわれる恐れがある構築物、系統及び機器並びに上位クラスへ影響を及ぼし得る施設について、平成 ラス3に属する構築物、系統及び機器を抽出する方針とし、それぞれ降下火砕物によって安全機能が損なわれる恐れがある構築物、系統及び機器並びに上位クラスへ影響を及ぼし得る施設について、平成 25年火山ガイドを踏まえて降下火砕物の特徴を考慮した上で、適切に抽出するものとしていることを確認した。 (ウ) ⑤降下火砕物による影響の選定について、参加人による降下火砕物の直接的影響及び間接的影響の選定が、平成25年火山ガイドを踏まえたものであり、降下火砕物の特徴及び防護対象施設の特徴を考慮している ことを確認した。 (エ) ⑥設計荷重の設定について、参加人による設計荷重の設計が、防護対象施設ごとに常時作用する荷重及び運転時荷重を考慮するものであることを確認した。 (オ) ⑦降下火砕物の直接的影響に対する設計方針について、参加人の設計が降下火砕物の特徴を踏まえ、防護対象施設に与える化学的影響、機械 的影響その他の影響に対して、安全機能が損なわれない方針としていることを確認した。また、外気取り入れ口からの降下火砕物の侵入に対する設計方針について、降下火砕物や防護対象施設の特徴を踏まえて、降下火砕物の侵入防止対策として、平形フィルタ等の設置や換気空調系の停止により、安全施設の安全機能が損なわれないようにする等の方針と していることを確認した。さらに、降下火砕物の除去等について、除灰作業等に必要な資機材を確保するとともに、手順等を整備する方針としていることを確認した。これらから、参加人の設計方針が平成25年火山ガイドを踏まえていることを確認した。 (カ) ⑧降下火砕物の間接的影響に対する設計方針について、参加人の設計 が降下火砕物の間接的影響として外部電源喪失及び交通の途絶を想定し、非常用DG及び燃料油貯蔵 えていることを確認した。 (カ) ⑧降下火砕物の間接的影響に対する設計方針について、参加人の設計 が降下火砕物の間接的影響として外部電源喪失及び交通の途絶を想定し、非常用DG及び燃料油貯蔵タンクを備え、7日間の連続運転を可能とする方針が平成25年火山ガイドを踏まえたものであることを確認した。 ウ原子力規制委員会は、上記イの事項等の確認を踏まえて、本件設置変更許可申請が設置許可基準規則6条1項及び2項の要求を満たしているもの と判断し、平成28年10月5日付けで、参加人に対し、本件設置変更許可処分をした。(乙C1、42)(3) 原子力規制委員会が気中降下火砕物濃度に関する規制対応の検討を開始した経緯ア原子力規制庁は、参加人が本件原子炉について行った設置変更許可申請 に係る審査書案について、平成28年8月4日から同年9月2日までの間 に意見公募手続を実施した。その公募に応じた意見の中に、気中降下火砕物濃度に関し、平成22年4月のアイスランド南部エイヤヒャトラ氷河で発生した噴火による観測値(ヘイマランド観測値)から3241㎍/㎥を用いているが、1980年のセントヘレンズ山の噴火では、30000㎍/㎥超とされているなどとして、3241㎍/㎥の妥当性について説明されたい 旨の意見があった。(乙B120・2枚目)平成28年10月5日の原子力規制委員会において、上記意見公募手続で寄せられた意見に対する回答案及び意見を踏まえた審査書案の修正案が諮られたところ、上記意見に対しては、仮にセントヘレンズ山の噴火における大気中濃度を適用した場合であってもフィルタを交換することで 施設の機能を確保できることを確認した旨の回答案及び意見を踏まえた審査書案の修正案が了承されたが、今後も最新知見の収集・分析や おける大気中濃度を適用した場合であってもフィルタを交換することで 施設の機能を確保できることを確認した旨の回答案及び意見を踏まえた審査書案の修正案が了承されたが、今後も最新知見の収集・分析や研究を進めて規制に反映すべきか否か判断する必要があるとの指摘がされた。 (乙B120・1、2枚目、弁論の全趣旨・被告第28準備書面22頁)イ原子力規制庁は、国内外の原子力施設の事故・トラブルに係る情報に加 え、最新の科学的・技術的知見を、規制に反映させる必要性の有無について、整理し認識を共有すること等を目的として、原子力規制委員会委員、原子力規制庁の関係課長等をメンバーとする技術情報検討会を開催し、そこで報告された内容を原子力規制委員会に報告するなどしているところ、上記アの指摘を受けて、平成28年10月19日の第21回技術情報検討 会において、気中降下火砕物濃度及びフィルター設備に関する新知見として、いずれも同年4月に公表された電中研報告書(乙E45)及び産総研報告書(乙E46)の内容等が報告された。(乙B120・別紙2・2頁、乙B153)電中研報告書は、「FALL3D」という計算コード等を用いて、1707年の 富士宝永噴火における火山灰の移流・拡散シミュレーションを行った研究 結果等をまとめたものであり、一例として、横浜(降灰実績16㎝程度)における気中降下火砕物濃度のシミュレーション結果につき、最大約100㎎(0.1g)~1000㎎(1g)/㎥と算出している。(乙B120・別紙2・2、6、7頁)産総研報告書は、火山噴火による大規模降灰が吸気フィルタに及ぼす影 響を評価するため、フィルタの性能試験(気中降下火砕物濃度70㎎/㎥、700㎎/㎥、7000㎎/㎥の火山灰を供給して、それぞれの条件におけ 書は、火山噴火による大規模降灰が吸気フィルタに及ぼす影 響を評価するため、フィルタの性能試験(気中降下火砕物濃度70㎎/㎥、700㎎/㎥、7000㎎/㎥の火山灰を供給して、それぞれの条件におけるフィルタの性能変化を確認する等)を実施し、その結果をまとめたところ、7000㎎/㎥という濃度で乾燥状態であると数分でフィルタ交換圧力損失まで到達してしまうことが明らかとなったなどというものである。 (乙B120・2、9頁、乙E46・3、25頁)ウ平成28年10月26日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、第21回技術情報検討会における検討内容等が報告され、今後の取組方針案として、①既に設置変更許可済みの高浜発電所1号炉及び2号炉や他の原子炉(設置変更許可において、上記のアイスランド南部のエイヤヒ ャトラ氷河で発生した大規模噴火における気中降下火砕物濃度を参照していたもの)に関し、本件原子炉と同様に、1980年のセントヘレンズ山の噴火で得られた観測データを用いて施設の機能に対する影響評価を行うことを事業者に求め、ヒアリングによってその結果を聴取すること、②電中研報告書及び産総研報告書の妥当性を確認した上で、火山ガイドの改正 その他の検討に着手することとされた。(乙B120・1枚目)原子力規制庁は、これを受けて、平成28年10月31日、参加人を含む各事業者に対し、1980年のセントへレンズ山の噴火で得られた観測データを用いた影響評価を行うことを求め、各事業者から、非常用DGについて、下方向から吸気をするという構造上、降下火砕物を吸い込みにく く容易に閉塞しないものであり、また、セントヘレンズ山の噴火で得られ た観測データを用いて試算した閉塞までに要する時間等を考慮すれば、フィルタの交換によ 降下火砕物を吸い込みにく く容易に閉塞しないものであり、また、セントヘレンズ山の噴火で得られ た観測データを用いて試算した閉塞までに要する時間等を考慮すれば、フィルタの交換により運転を継続することが可能であるとの評価結果の報告を受けて、既に新規制基準への適合性を確認した原子炉については、セントヘレンズ山の噴火で得られた観測データを適用した場合であっても、降下火砕物の直接的影響に対する設計方針を変更する必要がなく、フィル タを交換するという運用の影響を確認することで非常用DGの機能を確保できることを確認した。(乙B121)原子力規制庁は、平成28年11月16日の原子力規制委員会において、各事業者による評価結果及び原子力規制庁の確認結果を報告するとともに、同年10月26日の原子力規制委員会における議論を踏まえ、各事業 者に対し、電力中央研究所(電中研)が公表した富士山宝永噴火に関する数値シミュレーションに関する見解、当該研究成果も踏まえた各発電所敷地において想定される最大気中降下火砕物濃度の程度、最大でどの程度の気中降下火砕物濃度に対応可能であるかの評価及び対応措置について、それぞれ報告するよう求めたことを報告した。(乙B121) 原子力規制庁は、同年11月25日、各事業者から報告を受け、その報告も踏まえ、電中研報告書等の分析及び降下火砕物の影響評価に関する研究を進めるとともに、規制基準等への反映に関する検討を開始した。そして、平成29年1月25日及び同年2月15日の原子力規制委員会会議において、気中降下火砕物濃度の評価及び発電用原子炉施設の機器等への降 下火砕物の影響評価に関する考え方及び留意点を検討し、これらを取りまとめるため、「降下火砕物の影響評価に関する検討チーム」(降下火砕物検 下火砕物濃度の評価及び発電用原子炉施設の機器等への降 下火砕物の影響評価に関する考え方及び留意点を検討し、これらを取りまとめるため、「降下火砕物の影響評価に関する検討チーム」(降下火砕物検討チーム)を設けることとし、原子力規制委員会委員及び原子力規制庁職員をその構成員とするとともに、必要に応じ、外部専門家及び事業者から意見を聴取し、参考とすることとした。(乙B122・1、2頁) エ降下火砕物検討チームにおいては、原子力発電所における降下火砕物の 濃度評価の考え方に関する論点及び機器への影響評価に関する論点を検討するものとされ、平成29年3月29日、同年5月15日及び同年6月22日の3回にわたり、会合が行われた。(乙B126)(ア) 原子力発電所における降下火砕物の濃度評価の考え方に関する論点については、第1回会合において、電中研より、電中研報告書について 説明を受け、原子力規制庁は、自然現象における設計基準を定立するに当たっては、既往最大値を用いる考え方と理論的評価による考え方とがあり得るとした上で、気中降下火砕物濃度の推定方法として、①観測値の外挿(ある既知のデータを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めること)による手法(手法①)、②降灰継続時間を仮定 し、原子力発電所の敷地における堆積量等から気中降下火砕物濃度を推定する手法(手法②)、③電中研報告書のようにFALL3D 等による数値シミュレーションを用いて原子力発電所の敷地における気中降下火砕物濃度を推定する手法(手法③)の3つの手法を提案した。(乙B127・16~18頁) 原子力規制庁は、手法①~③のいずれも不確実さを多く含んでいるが、特に手法①は、観測値の不確かさという問題があるために採用し難いこと、手 つの手法を提案した。(乙B127・16~18頁) 原子力規制庁は、手法①~③のいずれも不確実さを多く含んでいるが、特に手法①は、観測値の不確かさという問題があるために採用し難いこと、手法②及び③については、パラメータの設定につき確立した根拠がない場合が多く、大きな不確実性が伴うため、そのような不確実な値を設計基準として用いることは困難であるが、飽くまで「現時点で適用可 能な理論的評価」として、手法②又は③を用いて気中降下火砕物濃度の計算を行い得るという考え方を説明した。(乙B127・16~18、23~26頁)降下火砕物検討チームの第2回会合において、原子力規制庁は、手法②及び③について、火山から100㎞離れた地点で15㎝の降灰を想定 した場合、手法②で噴火継続時間を24時間と仮定すると気中降下火砕 物濃度は2~4g/㎥となり、手法③で噴火継続時間につき3時間、19. 5時間、36時間及び48時間の4ケースを仮定して計算すると、いずれのケースにおいても気中降下火砕物濃度は1~2日程度にわたり数g/㎥が継続するとの結果が得られ、手法②及び③のいずれによっても、気中降下火砕物濃度はセントヘレンズ山の噴火の観測値である33㎎/㎥ を上回る数値(数g/㎥)となること、また、このようなモデル計算を踏まえ、規制上の取扱いとして、手法②又は③を用いた上、噴火継続時間については、確立した根拠があるとはいえないが、総合的、工学的判断として24時間とするのが適当であり、保守的でもあること、手法②又は手法③による推定値は、設計基準ではなく、機能維持評価用の「参考 濃度」とすることを説明した。これに対し、事業者側から、24時間という値が余りに短く、保守的にすぎるのではないかとの懸念が示されたが、原子力規制庁は 設計基準ではなく、機能維持評価用の「参考 濃度」とすることを説明した。これに対し、事業者側から、24時間という値が余りに短く、保守的にすぎるのではないかとの懸念が示されたが、原子力規制庁は、観測データが余りに少ない中でも早期に対策をとるべきであるとの考えに基づく総合的、工学的な判断であると説明し、K1委員は、24時間との噴火継続時間には科学的合理性も認められる 旨の認識を示した。(乙B129・8、15頁、乙B130・20~24、28~30、32~35頁、乙B159)(イ) 機器への影響評価に関する論点については、降下火砕物の直接的影響(構造物に対する荷重、換気系、電気系及び計装制御系に対する磨耗、腐食及び閉塞並びに原子力発電所周辺の大気汚染等)のうち、気中降下 火砕物濃度の増大によりその評価の再検討を要する影響因子や対象施設・設備を抽出し、再検討を要するものについていかなる対応が可能かについての確認がされた。再検討を要する影響因子や対象施設・設備として抽出されたものは、換気系、電気系及び計装制御系に対する磨耗、腐食及び閉塞のうち、屋外との接続がある設備(屋外に開口している設 備又は外気から取り入れた屋内の空気を機器内に取り込む機構を有する 設備)、非常用DGや開放型の海水ポンプモーター部の外気取入口の閉塞であるとされた。(乙E48の2・1、2頁、乙E50)そして、非常用DGについては、手法②又は手法③によって算出した気中降下火砕物濃度に対し、そもそも吸気口を降下火砕物の侵入しにくい構造とするという従前からの設計対応を前提に、改良型のフィルタ等 を用いて閉塞までの時間を延長する、フィルタの取替・清掃に要する時間を短縮するなどの保全活動によって対応することが確認された。 (乙E48の1・ 従前からの設計対応を前提に、改良型のフィルタ等 を用いて閉塞までの時間を延長する、フィルタの取替・清掃に要する時間を短縮するなどの保全活動によって対応することが確認された。 (乙E48の1・5枚目、乙E49・5枚目、乙E52・5~7枚目)また、開放型の海水ポンプについては、モーター部に防じんフィルタが付いておりその閉塞の可能性が考えられるものの、そもそも海水ポン プ自体が厳しい環境条件(塩や砂などが入り込み得る)で使用することを前提に、絶縁材で保護されているなど耐食性に優れているため、たとえ防じんフィルタを外しても短期間で腐食等の影響を受けることは非常に小さいことから、この防じんフィルタを取り外すことにより、高濃度の降下火砕物に対しても、腐食等の影響を受けることなく閉塞を防ぐこ とができるため、特段の措置は不要であることが確認された。(乙B129~131、乙E48の2・2頁、乙E49、50、52)オ原子力規制庁は、平成29年7月19日の原子力規制委員会において、降下火砕物検討チームが取りまとめた「気中降下火砕物濃度等の設定、規制上の位置付け及び要求に関する基本的考え方」(濃度考え方)(乙B13 2・添付1)の内容について報告した。 濃度考え方では、気中降下火砕物濃度の評価について、現在得られている科学的知見からは、手法①~③を用いることが考えられるが、いずれの手法も大きな不確実さを含んでいるため、これらの手法によりハザードレベル(自然現象に対して想定する基準値)を設定することは困難であるも のの、運用期間中の活動が否定できない火山の噴火による降下火砕物の襲 来により安全施設の安全機能を喪失する可能性があるため、気中降下火砕物濃度につき、設計又はその後の運用により、安全施設の機能維持を 間中の活動が否定できない火山の噴火による降下火砕物の襲 来により安全施設の安全機能を喪失する可能性があるため、気中降下火砕物濃度につき、設計又はその後の運用により、安全施設の機能維持を確認すべきであるとし、大きな不確実さを含んでいるものの、手法②又は手法③による推定値を考慮し、フィルタ交換等の運用面での対応による安全施設の機能維持が可能かどうかの評価(機能維持評価)に用いる気中降下火 砕物濃度及び継続時間を、総合的、工学的判断により設定するとの考え方を示した。 また、濃度考え方は、気中降下火砕物に関し、安全施設は、ダンパー(空気量制御弁)閉止等により一時的に停止すれば損傷等は考え難いこと、数時間から数日後に降灰が収まれば、安全機能を復旧できることから、必ず しも降灰開始と同時に損傷等を引き起こすとは限らないとして、気中降下火砕物に対しては、施設・設備面での対応だけでなく、運用面での対応も含めて全体として対応することが可能であり、降下火砕物の特性を踏まえた要求とすべきであるとし、降下火砕物の気中降下火砕物濃度との関係では、手法②により噴火継続時間を24時間と仮定した平均濃度、又は手法 ③により噴火継続時間を24時間とした場合の最大濃度を参考濃度とした上で、この参考濃度において、非常用DG等の非常用交流動力電源設備(設計基準事故対処設備)の24時間、2系統の機能維持を求めることとした。また、非常用交流動力電源設備2系統が偶発的に多重故障を起こし、いずれの機能も喪失した場合をあえて想定し、そのような場合でも電源車 等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求めることとし、さらに、参考濃度よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉塞等に起因して代替電源設備も機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合 等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求めることとし、さらに、参考濃度よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉塞等に起因して代替電源設備も機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合まで想定し、その場合における原子炉の炉心損傷の防止を求めることまで要求することとした。そして、手法②又は手法③によって算出した参考濃度に対し ては、交流動力電源設備以外の安全施設についても同様に、適切な設計及 び運用により、水源(海水ポンプ、取水設備などを含む)、通信連絡設備(無線、有線)等の機能維持、降灰時のアクセスルートの確保を求めることとした。濃度考え方は、既往最大の観測値に基づく気中降下火砕物濃度(セントヘレンズ山の噴火では33㎎/㎥)は、これを大幅に上回る手法②又は③によって算出される参考濃度(数g/㎥)を用いて非常用交流動力電源設 備の機能維持の確認を行うことから不要であるが、今後新たな観測値が得られる可能性もあることから、参考情報として把握することを求めることとした。(乙B132・添付1)原子力規制委員会は、原子力規制庁から、濃度考え方について報告を受け、その内容を了承した。その中で、フィルタ交換等の運用面での対応に よる安全施設の機能維持が可能かどうかの評価に用いる基準(機能維持評価用基準)は、ハザードに対して設計のみで対処する設計基準とは異なり、運用面も含めて対応するための基準ではあるが、求められる対策としては設計基準と同列に考え、手法②又は③によって算出した気中降下火砕物濃度(機能維持評価用参考濃度)によっても非常用DG等につき2系統の機 能を維持することを要求するほか、機能喪失した場合を想定した代替電源を要求し、さらに代替電源も機能喪失して全交流電源喪失に至った場合をも想定した対 度)によっても非常用DG等につき2系統の機 能を維持することを要求するほか、機能喪失した場合を想定した代替電源を要求し、さらに代替電源も機能喪失して全交流電源喪失に至った場合をも想定した対処まで要求するという考え方を採ることを確認した。(乙B133・11~15頁)カ平成29年9月20日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、 実用炉規則等の改正案が諮られ、規則、解釈及び審査基準の改正案については行政手続法による意見公募手続を実施し、火山ガイドの改正案については行政手続法によらない任意の意見公募手続を実施することが了承された。(乙B134)改正案の内容は、実用炉規則の改正として、84条の2を新設して、火 山影響等発生時における施設の保全活動のための体制整備を求めるとと もに、92条1項を改正し、上記体制整備に関する事項を保安規定に記載することを求めて、同保安規定の記載事項に係る審査基準を追加し、火山ガイドについて、非常用DG等の外気取入口からの火山灰の侵入に対する機能維持評価(フィルタ交換等の運用面での対応)を行う際に用いる気中降下火砕物濃度の推定手法(手法②又は③を用いること、降灰継続時間を 24時間とすることなど)を追記した平成29年火山ガイドへ改定するものである。(乙B134・1、2頁、乙B135)平成29年11月29日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、上記改正案に寄せられた意見に対する回答案及び意見を踏まえて一部の文言を修正した改正案が諮られた。(乙B136) 原子力規制委員会は、上記回答案及び修正された改正案を了承するとともに、同改正によって保安規定の変更認可手続が必要となるところ、平成30年12月31日までの経過措置期間を設けることについても了承し、 原子力規制委員会は、上記回答案及び修正された改正案を了承するとともに、同改正によって保安規定の変更認可手続が必要となるところ、平成30年12月31日までの経過措置期間を設けることについても了承し、改正について決定した。(乙B137・1~8頁)以上の経緯を経て、平成29年12月14日付けで実用炉規則等の改正 がされ、同日、施行された。(乙B135)(4) 本件バックフィット命令発出に至る経緯等ア原子力規制庁は、実用発電用原子炉における火山事象に係る安全規制の高度化に向け、火山の活動可能性を評価するための手法を整備するために必要な知見の収集をする安全研究を行っており、その一環として、産総研 に対し、平成26年度から平成30年度にわたり、「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(安全研究)を委託した。産総研は、日本最大級の公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化等を行い、全国11か所の研究拠点で約2300名の研究者が研究開発を行っており、その中の地質調査総合センターは、1882年に産総 研の前身である地質調査所が設置されて以来、日本で唯一の地質の調査の ナショナルセンターとして地質情報の整備に取り組んでいる機関であり、その中に活断層・火山研究部門がある。(乙F35~38、第32準備書面40頁)火山影響評価に係る安全研究は、産総研の地質調査総合センター活断層・火山研究部門に所属するK2らによって行われたものであり、大規模・ 巨大噴火を起こした事例のある火山を対象とし、同研究の一部として、平成27年度から平成29年度にかけて、以下のとおり、大山の火山活動に係る研究が行われた。(乙D107、109、113~115)(ア) 平成27年度研究では、大山の過去20万 同研究の一部として、平成27年度から平成29年度にかけて、以下のとおり、大山の火山活動に係る研究が行われた。(乙D107、109、113~115)(ア) 平成27年度研究では、大山の過去20万年間の噴火履歴及び大山を起源とする降下火砕堆積物(DNP等)の分布の見直しが行われ、これ らを基に大山のマグマ噴出量が再計算され、新たに積算マグマ噴出量の階段図(縦軸に噴出量、横軸に噴出年代を設定)が作成された。また、国内主要火山の階段図を類型化した結果、マグマ噴出率は一定ではなく上昇又は低下している事例の方が多いことが明らかになり、噴出率上昇期にはマグマ供給系の変化が起きていることが多いことや、噴出率低下 期にはマグマ供給系の変化がほとんど起きていない傾向があることが明らかとなり、結論として、マグマ噴出量の階段図に噴出物の岩石学的な検討を組み合わせて評価することが火山活動の将来評価では重要であることが指摘された。この際、1980年代の文献において京都府越畑盆地において層厚30㎝のDNPの降下火砕物の分布が確認されているこ と等が考慮された。(乙D113)(イ) 平成28年度研究では、平成27年度研究の成果を受けて、火山活動の将来予測に結び付けられるようなマグマ噴出率変化とマグマ組成変化の関係が大山でも確認できるか否かを目的として、大山の代表的な噴出物試料の全岩化学組成分析を実施し、岩石化学的な性質の時系列変化を 調査することとされた。その結果、DKPやDNPといった大規模プリ ニー式噴火が頻発した高噴出率期とその前後の低噴出率期とでは、特に噴出物試料のSr(ストロンチウム)/Y(イットリウム)比に差異があり、低噴出率期においてはSr/Y 比が高いのに対し、高噴出率期においてはSr/Y 比が低く、マ とその前後の低噴出率期とでは、特に噴出物試料のSr(ストロンチウム)/Y(イットリウム)比に差異があり、低噴出率期においてはSr/Y 比が高いのに対し、高噴出率期においてはSr/Y 比が低く、マグマ組成が異なっていることが示され、大山の最後の噴火である三鈷峰溶岩・阿弥陀川火砕流堆積物のSr/Y 比は、低噴出率期 に属する古期大山火山溶岩のSr/Y 比と同程度に上昇し、マグマ噴出率の低下に伴ってマグマ組成が変化したように見ることもできるとされた。 (乙D114)(ウ) 平成29年度研究では、大山の噴出物試料の全岩主成分及び微量成分の追加分析が行われ、平成28年度研究の分析精度を向上させ、各噴出 率期の火山噴出物について組成分析を行い、Sr/Y 比とY(イットリウム)の関係を比較したところ、高噴出率期と低噴出率期のマグマ組成が異なり、最末期の噴出物は低噴出率期と同程度であることが分かり、これは異なるSr/Y 比を持つ親マグマから分化したことを示しているとされた。 また、Nb(ニオブ)はスラブ脱水による流体に入りにくい元素であり、 反対にBa(バリウム)は流体に入りやすい元素であることから、Nb/Y 比とBaの関係を比較すると、高噴出率期のものはNb/Y比の小さな領域に、低噴出率期及び最末期のものはNb/Y 比の大きな領域に分布していることが分かった。 そして、高噴出率期と低噴出率期・最末期の噴出物の化学組成の違い としては、高温マントルの寄与が少ない場合、生産されるスラブメルトの量は少なくなり、メルトの含水量も乏しくなるのに対し、高温マントルの寄与が大きい場合は、生産されるメルトの量自体が大きくなり、高噴出率期のDKPやDNPのような巨大なプリニー式噴火においてスラブメルト指標(Sr/Y)が低下していることは、 のに対し、高温マントルの寄与が大きい場合は、生産されるメルトの量自体が大きくなり、高噴出率期のDKPやDNPのような巨大なプリニー式噴火においてスラブメルト指標(Sr/Y)が低下していることは、高温マントルの寄与が大 きかったと評価することができ、最末期に噴出量が急減し、Sr/Y 比が上 昇して、噴火活動を停止したのは、約10万年前から始まった高温マントルの関与が約2万年前にほとんどなくなったと理解できるとした。 (乙D115)イ平成29年6月6日の技術情報検討会において、平成27年度研究及び平成28年度研究の概要等の説明がされ、この研究結果を踏まえた規制対 応について、原子力規制委員会で議論することとされた。 (乙C56、57)同月14日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、「火山活動可能性評価に係る安全研究を踏まえた規制対応について(案)」(乙C58)が報告された。これは、平成27年度研究により、DNPの分布が見直され、既存の知見である町田・新井(2011)の分布と大きく異なり、その根拠 となった層厚に関する既往文献データに不確実さが伴うものの、より東側にまで火山灰の分布範囲が示されており、その結果から、DNPの噴出量については既知見と異なる可能性があること、大山火山は最後の活動である約2万年前の噴出物のマグマ組成が低噴出率期と同程度であることを考慮すると、現在は低噴出率期に入ったことなどが示唆されているが、現 時点で研究が継続中であり結論は得られていないことを踏まえ、参加人に対し、DNPの火山灰分布について情報収集を行うことを求めるものであり、原子力規制委員会は、この方針を了承した。(乙C58、59・4~12頁)ウ参加人は、平成30年3月1日付けで、原子力規制庁に対し、 NPの火山灰分布について情報収集を行うことを求めるものであり、原子力規制委員会は、この方針を了承した。(乙C58、59・4~12頁)ウ参加人は、平成30年3月1日付けで、原子力規制庁に対し、DNPの 火山灰分布に関する情報収集結果を提出し、原子力規制庁は、同月28日の原子力規制委員会において、上記情報収集結果の報告及びこれに対する見解を報告した。原子力規制庁は、参加人が、越畑地点で確認されたDNPの地層について、DNPによって一度に堆積した純層ではなく、河川等の流水の影響によって後から堆積した再堆積層であるとしたのに対して、 参加人が提出した資料を分析し、一部は火山灰が降って堆積した純層の可 能性は否定できないとして、越畑地点におけるDNPの最大層厚は、Yamamoto(2017)で引用している文献値(30㎝)よりやや小さい26㎝とみなすことが可能であるとした。これを受けて、原子力規制委員会は、同日、当該見解に対して議論が必要であれば公開の場で行うとの方針を示した。(乙C60・1~3頁、乙C61・25~29頁) エその後、参加人から追加の調査結果が提出され、原子力規制庁及び参加人は、平成30年6月29日及び同年10月5日、意見交換会を実施した。 (乙C62~65)参加人は、越畑地点のDNPの堆積状況について、火山灰を含む地層に流水等の影響により移動して再堆積したものであり、降灰時の堆積状況が 保存されていないから降灰層厚としては評価できないと説明したが、原子力規制庁は、参加人の主張を支持する科学的根拠を十分に確認することができなかったため、原子力規制庁及び参加人は、同月29日、地質学の専門家であるK1委員出席の下、越畑地点の現地調査を実施した。原子力規制庁は、越畑地点において、降下火山 的根拠を十分に確認することができなかったため、原子力規制庁及び参加人は、同月29日、地質学の専門家であるK1委員出席の下、越畑地点の現地調査を実施した。原子力規制庁は、越畑地点において、降下火山灰層として15㎝程度の層厚、その 上位に10㎝程度の風化帯が存在し、この風化帯は降下火山灰層が風化又は植生による擾乱で土壌と混じり合ったと解釈し得るから、規制の観点からこれも降下火山灰層として扱うこととし、越畑地点のDNP降灰層厚を25㎝程度として評価することとした。また、原子力規制庁は、DNPの噴出量6.1㎦と、その倍の12.2㎦の2ケースでシミュレーション解 析を実施し、後者の方が越畑地点を含む7つの評価地点の層厚を概ね再現したことから、規制の観点から、DNPの噴出規模を、既往の研究で考えられてきた規模を上回るVEI6規模(噴出量10~100㎦)と評価することとした。(乙C66・1~6頁)上記の意見交換及び現地調査を踏まえて、原子力規制委員会は、同年1 1月21日の原子力規制委員会において、越畑地点のDNPの降灰層厚は 25㎝程度であり、DNPの噴出規模は10㎦以上と考えられること(本件新知見)を認定し、これを規制に参酌することを確認した。(乙C67・19~26頁)オ原子力規制委員会は、平成30年12月12日の原子力規制委員会会議において、炉規法67条1項に基づき、参加人に対し、①越畑地点等7地 点におけるDNPの降灰層厚(越畑地点は25㎝)に基づくDNPの噴出規模、②上記①の噴出規模を踏まえた不確かさケースも含めた降下火砕物シミュレーションに基づく本件原子炉を含む原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚について報告することを義務付ける報告徴収命令(本件報告徴収命令)を発出した。(乙 ケースも含めた降下火砕物シミュレーションに基づく本件原子炉を含む原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚について報告することを義務付ける報告徴収命令(本件報告徴収命令)を発出した。(乙C68~70) カ参加人は、本件報告徴収命令を受け、平成31年3月29日、原子力規制委員会に対し、本件報告書(乙C71)を提出した。 参加人は、本件報告書において、①本件報告徴収命令に提示された7地点に新たに文献調査等から得られた7地点を加えた合計14地点におけるDNPの降灰層厚の情報を用いて、複数の等層厚線図を作成し、これら の等層厚線図を基に複数の手法によりDNPの降下火砕物の噴出量を算出し(単一の閉じられた等層厚線から噴出量を求める方法として、Legros法では1.8㎦~3.4㎦、Hayakawa 法では5.8㎦~11.0㎦)、このうち最大の11.0㎦を採用してTephra2 を用いた降下火砕物シミュレーションをした結果、本件原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚 は13.5㎝と算出されたこと、②40万年前以降、10㎦以上の噴火を起こしているのはDNP(約8万年前)とDKP(約5.5万年前)の2つの噴火だけであり、その期間(約8万年前~約5.5万年前)以外では数㎦以下の噴火しか発生していないから、DNPとDKPは高噴出率期に発生した一連の巨大噴火と考えられること、③平成27年度研究の成果の 一部として作成されたYamamoto(2017)でも、大山は約10万年前からマグ マ噴出量が大きくなり、約2万年前の三鈷峰噴火で活動を終えたとされていること、④第四紀火山の発達史的分類では大山は第4期に整理されており、第4期の噴出量は第1期~第3期に比べて少なく数㎦とされていること、⑤大山の地下構造か 万年前の三鈷峰噴火で活動を終えたとされていること、④第四紀火山の発達史的分類では大山は第4期に整理されており、第4期の噴出量は第1期~第3期に比べて少なく数㎦とされていること、⑤大山の地下構造からするとマグマ溜まりの可能性を示唆する低速度領域は本件設置変更許可申請時と同程度の20㎞以深に位置しており、爆 発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点の深度7㎞より深い位置にあると評価されていること、以上のことから、大山は現在数㎦規模の噴火しか起こらない段階にあり、DNP・DKP噴火に至る活動間隔(約30万年以上)はそれ以降の経過時間である約5.5万年と比べて十分な時間的余裕があると考えられ、原子力発電所の運用期間中にDNP規模の 噴火の可能性は十分低いと考えられると報告した。(乙C71)キ原子力規制委員会は、平成31年4月17日の原子力規制委員会において、本件報告書について議論した。 原子力規制庁は、本件報告書におけるDNPの噴出規模11.0㎦及び参加人の原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚(本件原 子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚は13.5㎝)がいずれも議論の前提に足りるものと評価できる一方、参加人がDNPとDKPを一連の噴火と評価していることは適切でなく、発電所の運用期間中のDNP規模の噴火の可能性を考慮するのが適切であるとの見解を示した(本件新認定事実)。そして、原子力規制委員会は、参加人が設置変更許可申請をす る意図がないようであることから、何らかの規制上のアプローチが必要であることを了承した。(以上につき、乙C72、73・7~16頁)ク令和元年5月29日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模の見直しに係る今後の規制上のアプ とを了承した。(以上につき、乙C72、73・7~16頁)ク令和元年5月29日の原子力規制委員会において、原子力規制庁から、「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模の見直しに係る今後の規制上のアプローチについて」と題する資料(乙C74)が配布された。上記資料で は、①本件原子炉施設の火山影響評価に係る基本設計等において、その運 用期間中に安全機能に影響を及ぼし得る火山事象として最大層厚10㎝の降下火砕物を設定していることは、11㎦程度と見込まれるDNPの噴出規模に鑑みると、設置許可基準規則6条1項の「想定される自然現象」の設定として明らかに不適当であり、本件原子炉施設は「想定される自然現象」に対して安全機能を損なわない基本設計等を有するものであるといえ ないため、同項への不適合が認められること、②大山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえず、DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にはないから、直ちに原子炉の停止を求める必要はないと考えられること、③対応方針として、本件原子炉施設の火山影響評価に係る基本設 計等は同項に適合していないと認められるため、炉規法43条の3の23第1項に基づき、令和元年12月27日までに、これに適合するよう基本設計等を変更し、同法43条の3の8第1項の設置変更許可申請をすることを命ずること、④「想定される自然現象」の設定により影響を受ける基本設計等又は保安上の措置についても所要の手続を経て関係法令に抵触し ないよう措置することが求められること、⑤命令に当たって参加人に対し弁明書の提出期限を同年6月12日として弁明の機会の付与をすることとされていた。 原子力規制委員会は、上記資料のとおり対応することを いよう措置することが求められること、⑤命令に当たって参加人に対し弁明書の提出期限を同年6月12日として弁明の機会の付与をすることとされていた。 原子力規制委員会は、上記資料のとおり対応することを決定した。(以上につき、乙C74、75・5~13頁) ケ参加人は、令和元年6月11日、原子力規制委員会に対し、弁明を行わず、同年12月27日までのできるだけ早い時期に、設置変更許可申請を行う旨を通知した。(乙C76・別紙2)コ原子力規制委員会は、令和元年6月19日の原子力規制委員会において、本件バックフィット命令の発出を決定し、参加人に対し、これを発出した。 (乙C76、77・3頁) (5) 令和2年保安規定変更認可処分に至る経緯及び火山に係る審査ア平成29年の実用炉規則等の改正に伴い、同改正前に保安規定(変更)認可を受けていた原子炉施設については、同改正に対応した保安規定変更認可を要することとなった。 参加人は、本件原子炉施設について、平成29年改正実用炉規則84条 の2に「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動(その後、令和2年保安規定変更認可処分後に施行された令和2年改正実用炉規則により83条1号ロ「火山現象による影響」に改正)が追加されたことから、これに対する保全に関する措置を新たに追加するとともに、当該保全に関する措置に関連する保安規定の定めについて変更を行い、平 成27年3月17日付け保安規定変更認可申請(令和2年保安規定変更認可申請)を令和元年12月9日付けで一部補正した。(乙C44)イ参加人は、令和2年保安規定変更認可申請の申請書、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。(乙C44~46、134)(ア)平成29年改正実用炉規則84条の2第 部補正した。(乙C44)イ参加人は、令和2年保安規定変更認可申請の申請書、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。(乙C44~46、134)(ア)平成29年改正実用炉規則84条の2第5号が定める火山現象による 影響について、火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(火山影響等発生時)における発電用原子炉施設の保全のための活動に関して、以下の対応をする。 ①火山影響等発生時における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること(要求事項(火山)①)として、非常用DG の吸気ラインに改良型フィルタを取り付け、2台運転。また、電動補助給水ポンプによる炉心の冷却を行う。 ②①に掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること(要求事項(火山)②)として、タービン動補助給水ポンプ を使用し、蒸気発生器2次側へ注水することにより炉心の冷却を行う。 ③②に掲げるもののほか、火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること(要求事項(火山)③)として、電源車を動力源とした蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプ(電動)により蒸気発生器2次側へ注水することにより炉心の冷却を行う。(以上につき、乙C45・通しページ10) (イ) 要求事項(火山)①についてa 火山影響等発生時における炉心冷却のための対応手段と設備の選定の考え方として、火山影響等発生時において、原子炉停止後、外部電源喪失が発生した場合、炉心崩壊熱の除去を維持継続する必要があるため、非常用DGからの給電により蒸気発生器2次側及び余熱除去系 による炉心冷却を行う。この場合、継 おいて、原子炉停止後、外部電源喪失が発生した場合、炉心崩壊熱の除去を維持継続する必要があるため、非常用DGからの給電により蒸気発生器2次側及び余熱除去系 による炉心冷却を行う。この場合、継続して非常用DGの機能を維持する必要がある。(乙C45・通しページ16)b 火山影響等発生時の想定として、平成29年火山ガイドに示す手法に従い、本件原子炉施設の降灰量(10㎝)が24時間継続すると仮定することにより気中降下火砕物濃度を推定し、その環境下での対策 を検討した。資機材として、既存の資機材(スコップ、マスク、ヘッドライト及びゴーグル等)に加え、必要な道具を配備するとともに、作業性を確保するための防護具(マスク、ゴーグル)についても配備する。非常用DGの機能維持に必要な改良型フィルタとして、1ユニット当たり2台、フィルタ数24体(1体当たり9.5㎏)、交換用フ ィルタ数24体を配備する。(乙C45・通しページ11、15)c 気中降下火砕物濃度の算出については、平成29年火山ガイドの手法②により算出した。設計層厚10㎝、総降灰量12万4000g/㎡、降灰継続時間24時間、粒径分布をTephra2 による粒径分布の計算値として、0~1φ(φの数値が大きいほど粒径は小さい。)の割合を1 9.0%、1~2φの割合を62.0%、2~3φの割合を15.0%、 3~4φの割合を3.4%、4~5φの割合を0.69%、5~6φの割合を0.06%、6~7φの割合を0.0018%、それぞれの粒径分布に応じた終端速度を1.8~0.01m/s(粒径が小さくなると終端速度は遅くなる。)などとして算出すると、1.75g/㎥となる。フィルタの性能試験の条件及びフィルタ取替の着手時間の計算に 用いる気中降下火砕物濃度について .01m/s(粒径が小さくなると終端速度は遅くなる。)などとして算出すると、1.75g/㎥となる。フィルタの性能試験の条件及びフィルタ取替の着手時間の計算に 用いる気中降下火砕物濃度については、降下火砕物の層厚が増えることを考慮し、2.63g/㎥とする。(乙C46・通しページ146~148)d 火山影響等発生時における非常用DGの機能を維持するため対策として、フィルタの取替・清掃が容易な改良型フィルタを取り付けるた めの手順を整備する。気象庁が発表する降灰予報により発電所への多量の降灰が予想された場合等に改良型フィルタを取り付けることとし、気象条件等を考慮した噴火から降下火砕物が発電所敷地に到達するまでの時間を60分(保守的に最大風速約60m/s で火山灰が飛散すると仮定)、改良型フィルタの取付けに要する時間は50分(1ユニット 当たり8人、移動時間10分、作業時間40分を想定。模擬作業時間は移動時間10分以内、作業時間40分以内)であり、作業の成立性がある。気中降下火砕物濃度2.63g/㎥として、フィルタの最大捕集容量は7万2588g/㎡となるが、フィルタ取替の目安は保守的に5万g/㎡として、基準捕集容量到達までの時間は137分である。改 良型フィルタの取替・清掃は、1交換サイクル当たり80分(1交換サイクル当たり5名、取替時間20分、清掃時間60分を想定。模擬作業時間は取替時間20分以内、清掃時間60分以内。取替・清掃を合わせて20分以内に実施する場合は1ユニット当たり5名で行う。)であり、作業の成立性がある。フィルタ取替の着手時間は117分と なるが、保守的に110分でフィルタ取替に着手し、降灰継続時間が 24時間と想定しており、フィルタの取替回数は6回となる。フィルタは2セッ る。フィルタ取替の着手時間は117分と なるが、保守的に110分でフィルタ取替に着手し、降灰継続時間が 24時間と想定しており、フィルタの取替回数は6回となる。フィルタは2セット配備していることから、1セット当たり6回の使用となり、フィルタの清掃回数は5回必要である。フィルタの取替・清掃時は、火山灰の侵入を防止するため、流路を塞ぐ閉止板を装填する。(乙C45・通しページ20、22、83、84、乙C46・通しページ 139~142、145)(ウ) 要求事項(火山)②についてa 火山影響等発生時における炉心冷却のための対応手段と設備の選定の考え方として、全ての非常用DGの機能が喪失した場合は全交流動力電源喪失となるが、降下火砕物の影響により空冷式非常用発電装置 からの代替受電が不可能なため、タービン動補助給水ポンプを用いた蒸気発生器2次側による炉心冷却を行う。 b 気中降下火砕物濃度によらず、その動作に期待できる対策を検討した。タービン動補助給水ポンプとともに利用する主蒸気大気放出弁は、屋外に大気開放部を有しているが、大気開放部に堆積する降下火砕物 の荷重より主蒸気大気放出弁の噴出力は大きいことから、機能に影響を及ぼすことはない。 (以上につき、乙C45・通しページ11、18)(エ) 要求事項(火山)③についてa 火山影響等発生時における炉心冷却のための対応手段と設備の選定の考え方として、タービン動補助給水ポンプによる給水ができない場 合は、蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプ(電動)を用いた蒸気発生器2次側による炉心冷却を行う。火山影響等発生時のアクセスルートについて、降灰前に燃料取扱建屋内等に電源車等を配置するため、アクセスルート確保のための除灰作業は、降灰状況や体制等を考慮し、必 発生器2次側による炉心冷却を行う。火山影響等発生時のアクセスルートについて、降灰前に燃料取扱建屋内等に電源車等を配置するため、アクセスルート確保のための除灰作業は、降灰状況や体制等を考慮し、必要に応じ適宜実施する。(乙C45・通しページ16) b 蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプ(電動)の準備作業として、電源 車の移動及び電源ケーブルの敷設・接続、可搬式排気ファンの設置及び仮設ダクトの敷設・接続並びに可搬式ダストサンプラ等を設置して、電源車を起動し、蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプ(電動)を用いた蒸気発生器2次側による炉心冷却を行う。(乙C45・通しページ25~27) c 推定した気中降下火砕物濃度の2倍の濃度を想定し、その環境下で、非常用DGは降灰到達後も一定期間機能を期待するものとして対策を検討した。(乙C45・通しページ11)気中降下火砕物濃度の2倍の濃度を想定し、非常用DGは、フィルタの基準捕集容量到達までの時間137分を約1/2にした60分間 機能を維持するものと設定し、その後に停止して全交流動力電源喪失及び補助給水機能喪失が発生したとしても、主蒸気大気放出弁による2次系強制冷却を開始することで蒸気発生器の圧力が低下し、仮設中圧ポンプによる蒸気発生器への注水が開始され、蒸気発生器の水位は、事象発生中、約23%以上に保たれる。仮設中圧ポンプによる蒸気発 生器への注水により蒸気発生器2次側の保有水を確保できること、1次系の保有水が十分確保されていること、主蒸気安全弁の作動及び主蒸気大気放出弁による2次系強制冷却により1次系の自然循環が維持されることから、継続的な炉心冷却が可能であり、不確かさの影響を考慮しても、炉心の著しい損傷を防止することができる。以降は減温・ 減圧し、安定 による2次系強制冷却により1次系の自然循環が維持されることから、継続的な炉心冷却が可能であり、不確かさの影響を考慮しても、炉心の著しい損傷を防止することができる。以降は減温・ 減圧し、安定停止状態に移行する。 (乙C45・通しページ25、26、122~127)ウ原子力規制委員会は、令和2年保安規定変更認可申請が炉規法43条の3の24第2項2号に規定する核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないものであるこ とに該当するかどうかについて、以下のとおり審査をした。(乙C44) (ア)実用炉規則92条1項21号の2の「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備」に関し、令和元年火山ガイドを踏まえ、原子力発電所の敷地において運用期間中に想定される降下火砕物が24時間に堆積したと仮定して気中降下火砕物濃度を求め、火山影響等発生時における原子炉施設の保全のための活動を行う 体制の整備について、上記イ等の事項が定められていることから、これを満足していることを確認した。(乙C44・7、8頁)(イ) 原子力規制委員会は、上記(4)キ~コのとおり、本件新認定事実に基づけば、本件原子炉施設の火山影響評価に係る基本設計等は、火山事象に係る「想定される自然現象」の設定として明らかに不適当であり、設置 許可基準規則6条1項への不適合が認められるため、炉規法43条の3の23第1項の規定に基づき基本設計等を変更すべき旨、参加人に対し本件バックフィット命令を発出したところ、参加人から、令和元年9月26日に令和3年設置変更許可申請がされた。原子力規制委員会は、平成31年4月17日の原子力規制委員会において判断したとおり、大山 火山は活 ット命令を発出したところ、参加人から、令和元年9月26日に令和3年設置変更許可申請がされた。原子力規制委員会は、平成31年4月17日の原子力規制委員会において判断したとおり、大山 火山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえず、上記のとおり認定したDNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により当該発電所が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にはないこと、本件バックフィット命令の適切な履行により上記の不適合状態は是正することができ、かつ、大山火山の状況に照らせばこれで足りることなどか ら、本件バックフィット命令に係る手続が進んでいる現在の状況下における本件の審査においては、DNPの噴出規模を含め火山事象に係る「想定される自然現象」については、既許可の想定を前提として、令和2年保安規定変更認可申請についての基準適合性を判断した。(乙C44・12、13頁) エ原子力規制委員会は、令和2年2月27日、令和2年保安規定変更認可 申請に係る保安規定の変更が、保安規定審査基準を基に、炉規法43条の3の24第2項各号のいずれにも該当しないことを確認し、令和2年保安規定変更認可処分をした。(乙C44)(6) 令和3年設置変更許可処分における火山に関する審査ア参加人は、本件バックフィット命令を受けて、令和元年9月26日、本 件原子炉につき、DNPの噴出規模の見直しに伴う令和3年設置変更許可申請をし、同申請に係る申請書、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。(甲D242、乙C78、79、83)(ア) 大山の噴火時期、噴火規模、活動休止期間を示す階段ダイヤグラムによれば、大山は約100万年前頃(更新世中期頃)に火山活動を開始し、 40万年前以降、最も規模の大きな噴火はDKPであ (ア) 大山の噴火時期、噴火規模、活動休止期間を示す階段ダイヤグラムによれば、大山は約100万年前頃(更新世中期頃)に火山活動を開始し、 40万年前以降、最も規模の大きな噴火はDKPであったが、DKP噴火に至る活動間隔(約30万年以上)は、DKP噴火以降の経過時間(約5.5万年)に比べて十分に長いことから、次のDKP規模の噴火までには、十分な時間的余裕があると考えられ、発電所運用期間中におけるDKP規模(約20k㎥以上)の噴火の可能性は十分低いと考えられる。 (乙C83・32頁)火山影響評価に係る安全研究の成果報告によると、大山では、階段ダイヤグラムからマグマ噴出率の変化が認められ、噴出率の高噴出率期と低噴出率期では噴出物の化学組成のトレンドが明瞭に異なり、DKPは高噴出率期のトレンドと一致し、約2万年前の最終噴火では低噴出率期 のトレンドに戻っているとされている。 マグマの深さと組成との関係を検討した結果、爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点の深度は7㎞程度に定置すると考えられる。 また、過去に巨大噴火を起こした火山の噴火直前のマグマの温度・圧力条件からマグマの定置深さを推定した結果、概ね10㎞以浅と示される。 大山の地下構造については、Zhaoetal.(2011)等によると、大山の地下 深部に広がる低速度層と、大山の西で生じている低周波地震の存在から、地下深部にマグマ溜まりが存在する可能性が示唆されるものの、仮にマグマ溜まりだとしても、これらの低速度層は20km 以深に位置していることが示される。これらの研究をさらに進めたZhaoetal.(2018)によると、大山の地下深部の低速度層の存在が示されるが、その深度はZhao etal.(2011)と同程度であ ることが示される。これらの研究をさらに進めたZhaoetal.(2018)によると、大山の地下深部の低速度層の存在が示されるが、その深度はZhao etal.(2011)と同程度であり、大山の地下深部に広がる低速度層の深度に変化がないことが示される。 以上より、大山については、火山発達史、噴火履歴の検討結果、火山影響評価に係る安全研究の成果報告及び地下構造の評価結果から、運用期間中におけるDKP規模相当の噴火の可能性は十分低いと評価する。 したがって、火山影響評価上、DNPの噴出量11㎦を運用期間中の噴火規模として設定し、移流拡散モデル(Tephra2)を用いた降下火砕物のシミュレーションを実施した結果、風速等のばらつきを含めても最大層厚は13.5㎝であった。(以上につき、乙C78・別添3)(イ) 文献調査、地質調査及び降下火砕物シミュレーション結果から、運用 期間中における敷地の降下火砕物の最大層厚は15㎝と設定した。また、降下火砕物の粒径及び密度については、文献及び地質調査結果を踏まえ、粒径は1㎜以下、乾燥密度を0.7g/㎤、湿潤密度を1.5g/㎤と設定した。(乙C78・別添3)(ウ) 降下火砕物の密度は、本件原子炉の敷地及びその周辺に分布する主な 広域降下火砕物として、古い地層の保存状態が良い三方五湖周辺において実施した津波堆積物調査の結果、姶良Tnテフラ(約2.9万年前~約2.6万年前)、鬱陵隠岐テフラ(約1.1万年前)、鬼界アカホヤテフラ(約7300年前)等が確認されたことから、菅湖における津波堆積物調査における降下火砕物データのうち、鬼界アカホヤ及び鬱陵隠岐 の火山灰の単位堆積重量を見ると、乾燥状態で約0.7g/㎤、湿潤状態 で約1.3g/㎤であった。また、宇井 津波堆積物調査における降下火砕物データのうち、鬼界アカホヤ及び鬱陵隠岐 の火山灰の単位堆積重量を見ると、乾燥状態で約0.7g/㎤、湿潤状態 で約1.3g/㎤であった。また、宇井忠英編「火山噴火と災害」(乙D121・65頁)には、乾燥した火山灰は、密度が0.4~0.7程度であるが、湿ると1.2を超えることがあるとの記述がある。そこで、降下火砕物の密度は、乾燥状態0.7g/㎤、湿潤状態1.5g/㎤を想定する。(乙C78・6-7-4、5頁) (エ) 降下火砕物シミュレーションには、Tephra2 を用いて、噴出量(11㎦)、噴出物総重量(1.10×1013㎏)、噴煙柱高度(2万5000m)、風速(1~12月の各月の平均値)、風向(1~12月の各月の最頻値)、粒径パラメータ(最大粒径1/2-10、最小粒径1/210、中央粒径1/24.5、標準偏差1/23.0)、軽石密度1.0t/㎥、岩石密度2. 6t/㎥等のパラメータを基本ケースとし、噴煙中高度、風速、軽石密度及び岩石密度等を修正した6つの不確かさケースを設定したところ、風速を平均+標準偏差とした不確かさケースのものが最大層厚13.5㎝となった。これらのパラメータは、噴出量及び噴出物総重量以外は、本件設置変更許可申請から変更していない。 (乙C55・48頁、乙C83・ 38、46頁)(オ) 原子力規制委員会からの越畑地点における降灰層厚と本件原子炉との距離の関係を踏まえて設計層厚を見直すことという指摘を踏まえて、越畑地点の降灰層厚25㎝を基に、本件原子炉の降灰層厚を大山からの距離に応じて算定すると、21.4㎝となる。これも踏まえて、本件原 子炉の降灰層厚を22㎝と設定する。(乙C83・1、51頁)(カ) 建物・構築物の静的荷重評価として、 降灰層厚を大山からの距離に応じて算定すると、21.4㎝となる。これも踏まえて、本件原 子炉の降灰層厚を22㎝と設定する。(乙C83・1、51頁)(カ) 建物・構築物の静的荷重評価として、既認可の工事計画認可における評価手法と今回の設計及び工事の計画の認可とでは評価手法を変更する。 既認可の評価手法では、設計時長期荷重を1.5倍した評価上の基準値を、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和が超え ないことを確認する評価手法(荷重による評価)であった。これに対し、 今回の設計及び工事の計画の認可では、長期許容応力度を1.5倍した短期許容応力度(許容限界)を、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和により発生する応力度が超えないことを確認する評価手法(応力度による評価)である。評価手法(荷重による評価)は大きな保守性を有していたのに対し、評価手法(応力度による評価)は 保守性を有する。複数ある建屋のうち許容層厚が最小となる建屋について評価手法(応力度による評価)をすると、本件原子炉施設の降灰層厚22㎝に対し、燃料取扱建屋の許容層厚32㎝、復水タンクの許容層厚29.7㎝、燃料取替用水タンク22.7㎝となるなど、必要な機能を損なうことはなく、成立性が確認できた。復水タンク及び燃料取替用水 タンクについては、100㎝の積雪荷重も併せて評価した。 (甲D242・8~12頁)(キ) 平成29年火山ガイドの手法②により設計層厚22㎝、総降灰量27万7200g/㎡として算出すると、気中降下火砕物は3.91g/㎥となる。 フィルタ性能試験の結果では、改良型フィルタの最大捕集容量は13万8132g/㎡となるが、フィルタ差圧曲線の差圧が高い領域を避け、差圧上昇が時間的に十分なだら 物は3.91g/㎥となる。 フィルタ性能試験の結果では、改良型フィルタの最大捕集容量は13万8132g/㎡となるが、フィルタ差圧曲線の差圧が高い領域を避け、差圧上昇が時間的に十分なだらかな領域となるように、フィルタ取替の目安として基準捕集容量を保守的に5万g/㎥とし、降下火砕物濃度3. 91g/㎥として計算すると、フィルタ基準捕集容量到達までの時間は9 3分である。フィルタ取替に要する時間を20分として、フィルタ取替の着手時間は73分となるが、70分でフィルタ取替に着手し、降灰継続時間が24時間と想定しており、フィルタ取替が完了するまでの時間は90分である。フィルタは2セット配備していることを踏まえると、フィルタ1セット当たりの火山灰を捕集する回数は8回となり、フィル タの清掃回数は7回必要である。フィルタは清掃して繰り返し使用する こととなるが、フィルタの性能は十分確保できていることを検証試験により確認している。また、要求事項(火山)③に関して、非常用DGの機能を期待する時間は、93分を約2分の1にした45分となり、仮設中圧ポンプによる注水の効果により、蒸気発生器の水位は、事象進展中、約20%以上に保たれ、解析コード及び解析条件の不確かさを考慮して も、炉心の著しい損傷には至らない。(以上につき、乙C134・5、125~127、134~136、140~146頁)イ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可申請について、設置変更許可基準規則6条1項及び2項が想定される火山事象が発生した場合においても安全施設の安全機能が損なわれないように設計することを要求してい ることについて、次のとおり審査をした。(乙C53、140)(ア) 参加人が実施した設計対応可能な火山事象の影響評価については 安全施設の安全機能が損なわれないように設計することを要求してい ることについて、次のとおり審査をした。(乙C53、140)(ア) 参加人が実施した設計対応可能な火山事象の影響評価については、火山ガイドを踏まえたものであり、文献調査、地質調査等により、本件原子炉への影響を適切に評価していることを確認した。また、原子力規制委員会は、参加人が設定した降下火砕物の最大層厚等は、火山ガイドを 踏まえたものであり、最新の文献調査及び地質調査結果を踏まえ、降下火砕物の分布状況、不確かさを考慮した降下火砕物シミュレーション結果及び越畑地点におけるDNPの実績層厚と大山から本件原子炉までの距離関係から総合的に評価し、適切に設定されていることから、妥当であると判断した。(乙C53・5頁) (イ) 原子力規制委員会は、降下火砕物の影響に対する設計方針等について、降下火砕物の最大層厚の変更に関連する降下火砕物に対して設計上対処すべき施設を抽出するための方針、降下火砕物による影響の選定、設計荷重の設定、降下火砕物の影響に対する設計方針について、既許可申請の内容から変更がないことを確認した。 この過程において、原子力規制委員会は、参加人に対して、設計基準 対象施設及び重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を含む。)について、降下火砕物の最大層厚の変更によって影響を受ける項目を整理した上で、降下火砕物の最大層厚以外の基本設計等の技術的成立性を詳細に説明し、これらを変更する必要がないことを示すよう求めた。 これに対して、参加人は、降下火砕物の最大層厚の変更に伴い評価が 必要となる影響因子は荷重及び閉塞であり、これらの観点から影響確認が必要な項目として、①施設を内包する建屋及び屋外施設に対する静的荷重の影響、② 加人は、降下火砕物の最大層厚の変更に伴い評価が 必要となる影響因子は荷重及び閉塞であり、これらの観点から影響確認が必要な項目として、①施設を内包する建屋及び屋外施設に対する静的荷重の影響、②屋外との接続のある施設に対する閉塞の影響、③降下火砕物の除去に対する影響を抽出し、①については、施設を内包する建屋、屋外タンク等に対する降下火砕物の堆積荷重(積雪による荷重の組合せ を含む。)の影響について、荷重又は応力による簡易評価を行ったところ、発生値が許容限界を下回ることから、構造健全性は維持されるとの評価結果が得られた、②については、主蒸気逃がし弁等の大気開放部に対する閉塞の影響について、堆積荷重及び噴出力の評価を行ったところ、出口配管内へ直接降下火砕物が侵入・堆積した場合でも、堆積荷重と比較 して噴出力が十分に大きいことから閉塞は生じず、必要な機能は維持されるとの評価結果が得られた、③については、建屋の屋根部、屋外タンク等からの降下火砕物の除去作業について、降下火砕物の堆積量から作業量及び作業時間の評価を行ったところ、30日以内の除去が可能であり、かつ、除去した降下火砕物を保管する場所は十分な容量を有してい るとの評価結果が得られたとの説明をした。 原子力規制委員会は、降下火砕物の最大層厚の変更後においても、それ以外の基本設計等に技術的成立性があることから、降下火砕物の最大層厚以外の基本設計等を変更しないとの参加人の方針は妥当であると判断した。(以上につき、乙C53・6、7頁) (ウ) 原子力規制委員会は、上記審査を踏まえて、令和3年設置変更許可申 請は、炉規法43条の3の6第1項2号(技術的能力に係る部分に限る。)、3号及び4号に適合しているものと判断した。 なお、審査の過程において、令 審査を踏まえて、令和3年設置変更許可申 請は、炉規法43条の3の6第1項2号(技術的能力に係る部分に限る。)、3号及び4号に適合しているものと判断した。 なお、審査の過程において、令和3年設置変更許可処分後に行われる設計及び工事の計画の認可申請等の対応方針を確認したところ、参加人は、変更認可されている保安規定に定める、火山事象による影響が発生 し又は発生するおそれがある場合における発電用原子炉施設の保全に関する措置について、本件原子炉については、降下火砕物の最大層厚の変更後においても当該措置に技術的成立性があるため、本申請による変更許可後においても保安規定の変更はしないとした。 これに対して原子力規制委員会は、変更後の最大層厚から推定した気 中降下火砕物濃度で非常用DGの改良型フィルタの性能試験を実施した結果、フィルタ取替までの時間間隔を短縮する必要があるが、保安規定で定めるフィルタ取替及び清掃の作業に要する時間を変更する必要はないとの評価結果が得られたこと、火山影響対策に使用する屋外施設に対する静的荷重の影響について、荷重による評価を行ったところ、発生応 力は許容値を下回ることから、構造健全性は確保されるとの評価結果が得られたこと、非常用DGの改良型フィルタの取替ができないと仮定した場合、フィルタの閉塞により電動補助給水ポンプが機能喪失する時間が早まるものの、蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプを用いた蒸気発生器への注水により蒸気発生器の水位が維持されること等から、炉心冷却は 可能であるとの解析結果が得られたことが確認できたことから、現行の保安規定に定める措置により、本件原子炉については、降下火砕物の最大層厚の変更後においても発電用原子炉施設の保全のために必要な活動を行うことが可能であり、令和3年 たことが確認できたことから、現行の保安規定に定める措置により、本件原子炉については、降下火砕物の最大層厚の変更後においても発電用原子炉施設の保全のために必要な活動を行うことが可能であり、令和3年設置変更許可処分後においても保安規定を変更しないとの参加人の方針は妥当であると判断した。 (以上につ き、乙C53・7頁) ウ原子力規制委員会は、令和3年3月17日の原子力規制委員会会議において、審査書案の取りまとめを行い、同月18日から同年4月16日までの期間で意見公募手続を行い、また、原子力委員会及び経済産業大臣に対する意見聴取(炉規法43条の3の6第3項、同法43条の3の8第2項、同法71条1項1号)を行った。そして、原子力規制委員会は、これらの 意見公募手続及び意見聴取の結果を踏まえ、同年5月19日、本件原子炉に係る令和3年設置変更許可処分をした。(乙C52、81・17頁、乙C82)(7) 火山についての知見ア噴火の原理等 (ア) 地球表層部は、十数枚のプレート(地球の表面を取り巻く厚さ約100㎞の硬い岩石の層であり、地殻と低温の上部マントルを含む。)で覆われており、これらのプレートが地球の表面上を移動したり衝突したりしており、火山の大部分は、このプレートの沈み込みによりその境界に沿って形成される。プレートが沈み込む際、プレート上部の海洋地殻には 多くの水が含まれており、これが脱水する温度・圧力条件まで沈み込むと水を放出し、その水と大陸地殻内のマントルとが反応することによりマントル内の岩石の融点が降下するため、岩石を溶解する温度・圧力条件を満たす領域でマグマが生成される。そして、マグマ(液体)は、周囲の地殻(固体)との密度差から地表方向へ上昇し、周囲の密度と釣り 合うところ の融点が降下するため、岩石を溶解する温度・圧力条件を満たす領域でマグマが生成される。そして、マグマ(液体)は、周囲の地殻(固体)との密度差から地表方向へ上昇し、周囲の密度と釣り 合うところでマグマ溜まりを形成し、マグマ溜まりから供給されたマグマが地表に到達して噴出し、火山が形成されると考えられている。(乙B172・333、334頁)(イ) 火山の噴火は、地下で生成されたマグマが地表に噴出することによって生じるものであり、そのマグマは地下に形成されたマグマ溜まりから 供給される。マグマの物理的性質、粘性や密度は、マグマが移動する際 の速度や噴火の激しさと密接に関係するため、火山活動を理解する上で重要なパラメータであり、一般的に、玄武岩質マグマは、高温で粘性が低い場合が多いが、珪長質マグマ(流紋岩質マグマ及びデイサイト質マグマ)は、低温で粘性が高いため、長い年月をかけて大量のマグマを蓄積しやすく(乙D69・94、95頁、乙D72・53頁、乙D76・ 83、84頁)、大規模なマグマ溜まりを形成して噴火を起こす巨大噴火は、一般に珪長質マグマによるものとされている(乙D77・7、8頁)。 珪長質マグマは、粘性が高いことにより、噴火した際にはプリニー式噴火(噴煙柱を高く形成するもの)を引き起こすとされている。 (乙D76・128~139頁) (ウ) マグマが噴火可能な状態にあるかどうかは、マグマに含まれる結晶量の割合に左右されると考えられている。結晶量の割合が50%程度以上のマグマはマッシュといい、そのままでは噴火できないところ、実際のマグマ溜まりは大部分がマッシュ状であるため、その状態では噴火できないが、粒間のメルト(完全に溶融したマグマ)が分離・集積したり、 高温マグマ等の注入によってマッシュ 火できないところ、実際のマグマ溜まりは大部分がマッシュ状であるため、その状態では噴火できないが、粒間のメルト(完全に溶融したマグマ)が分離・集積したり、 高温マグマ等の注入によってマッシュが溶融したりすることなどにより噴火に至るとされ、この再活性化は数か月~数十年という比較的短期間で起こるという見解もある。(乙D78・2、3頁、乙D80・282、283、286頁)(エ) マグマの発泡や噴火は、マグマに含まれる水の量にも左右されると考 えられており、マグマが地下深部のような高い圧力下にあると、水はマグマに溶け込めるが、マグマの上昇による減圧等が起こると、その水が水蒸気となってマグマから分離し、マグマが発泡し、そうすると、その泡を含めたマグマの体積が増加し、マグマ溜まりの圧力が増加することで、上部の岩石を破壊し、噴火に至るとされている。(乙D69・91、 92頁、乙D76・191~195頁、乙D82・16~19頁、乙D 83・10~13頁)イ噴火予測(ア) 火山の諸現象を解明するための調査手法には様々な手法があるが、代表的な手法として、①地質学的調査手法、②岩石学的調査手法及び③地球物理学的調査手法がある。 ①地質学的調査手法は、地層の現地調査を行って火山噴出物(火山岩)の種類、堆積物分布範囲、噴出量及び各地層の堆積順序を確認したり、各地層における堆積物の放射年代等を調査したりすることにより、火山噴出物が噴出し堆積した年代を推定して、当該火山における噴火履歴をまとめるなどの研究を行う火山地質学の手法を用いるものであり、個々 の火山におけるマグマ供給系ごとに検討される過去の噴火履歴を把握することにより、現在の活動状況や将来の活動状況を推定することができる場合があり、地質学的な調査 の手法を用いるものであり、個々 の火山におけるマグマ供給系ごとに検討される過去の噴火履歴を把握することにより、現在の活動状況や将来の活動状況を推定することができる場合があり、地質学的な調査結果については、縦軸に噴出量、横軸に噴出年代を設定した階段ダイヤグラム(階段図)を作成して噴火履歴を示し、これを分析して、火山活動の傾向や将来の活動可能性を評価する。(乙B17 2・343~345頁、乙D87の2・27頁)②岩石学的調査手法は、岩石の性質・産状・相互関係・成因等を研究する火山岩石学を利用するものであり、火山噴出物の岩石学的調査(偏光顕微鏡を用いた観察、主成分・微量元素組成分析等)を行うことにより、活動したマグマの特徴、地下におけるマグマの成因、火山活動の履 歴等を推定するものである。(乙D75)③地球物理学的調査手法は、物理学的方法により地球を研究する地球物理学を利用するものであり、火山に関する調査手法として、地震波の観測により地下の地震波速度構造を解析することにより、マグマ溜まりの位置等を推定する地震波トモグラフィ法などがある。地震波トモグラ フィ法は、地震が発生し、震源から発生した地震波が地表まで伝わる途 中に存在する物質の性質(岩盤等の剛性率や密度)によって地震波の伝わる速度が異なり、その速度の違いを把握することによって、当該物質の場所や性質を推定することが可能となる地下の地震波速度構造解析技術である。熱水やマグマ等の液体が多く含まれている岩盤等を通るときは地震波の速度が遅くなるため、地震波到達時間に遅延等の異常がみら れる場合、地下に低速度領域があることが推測され、マグマ溜まり等の低速度領域の原因が存在する可能性がある。(乙D81、89)(イ) 噴火が起こる前には、マグマが 到達時間に遅延等の異常がみら れる場合、地下に低速度領域があることが推測され、マグマ溜まり等の低速度領域の原因が存在する可能性がある。(乙D81、89)(イ) 噴火が起こる前には、マグマが地下の一定の深さに定置するという考え方が火山学において受け入れられているが、その中で、マグマの密度が周囲の岩石と均衡すればその均衡した深さでとどまるという原理に依 拠する見解があり、これは、マグマは地球内部の密度構造に支配されながら、浮力によって上昇・移動し、マグマの密度が地殻の密度と釣り合う深さ(浮力中立点)にマグマ溜まりができるとするものである。我が国では、マグマ活動の中心的役割を果たす玄武岩質(粘性が低く、高温で、密度が高い)のマグマ溜まりが地下10~12㎞を浮力中立点とし て存在し、その上層に珪長質(粘性が高く、低温で、密度が低い)のマグマ溜まりが生成されると、そのマグマ溜まりが更に浅所の浮力中立点に移動するとの考え方が示されている。(乙D73・78、79頁、乙D78・6~8頁、乙D79・723頁)もっとも、マグマ溜まりの位置について、浮力中立点よりも浅部には 形成されないが、マグマ溜まりがシル(水平方向に薄く広がった貫入マグマ)の集合体である場合には、浮力よりもむしろ、地殻内のレオロジー(流動学)や剛性のコントラスト、応力場などがマグマの定置深度を支配するらしいとの見解(東宮(2016))がある。 (甲D240・284頁、乙D79・722頁) ウ降下火砕物の影響 (ア) 噴火が発生すると、火砕物は、噴煙柱として立ち上り、噴煙柱と周囲の密度が釣り合った付近で噴煙は水平へ傘状に広がるが、重力と空気抵抗が釣り合う速度(終端速度)に達すると落下し始め、小さい粒子ほど終端速度は小さく遠くまで 砕物は、噴煙柱として立ち上り、噴煙柱と周囲の密度が釣り合った付近で噴煙は水平へ傘状に広がるが、重力と空気抵抗が釣り合う速度(終端速度)に達すると落下し始め、小さい粒子ほど終端速度は小さく遠くまで運ばれる。日本列島を含む中緯度地帯の上空には、地球規模の大気循環により西風である偏西風が常に吹いており、 降下火砕物は規模の大きな噴火ほど強い西風に送られ、火山の東側に分布すると考えられており、日本の後期第四紀(約13万年前以降)テフラの場合は120例中84%がそのような分布域である。(乙D86)(イ) 火山灰の密度は、乾燥状態で概ね1g/㎤程度であるが、湿潤状態になると1~2g/㎤と、乾燥時より密度が増加し、湿り気を帯びた新雪(0. 1~0.2g/㎤)の10倍程度の密度である。火山灰は、乾燥時には絶縁体であるが、水を含んで湿った状態になると、火山ガス成分や火山灰に含まれる塩基類によって通電性を持つことがあり、湿った火山灰が電柱の碍子等に付着した場合、碍子部分の絶縁性が弱くなり、閃絡等による停電等が起こることがあるほか、火山灰から硫化イオン(SO42-) が溶出すると、金属腐食の要因となる。火山灰の融点は約1000℃であり、航空機用ガスタービンのエンジン燃焼度(1400℃以上)で火山灰が溶融し、その後、冷えてタービンブレード等に付着するため、飛行中のエンジン停止等異常の原因となる。(甲D201・5、6頁、甲D208) (ウ) Tephra2 は、風による移動(移流)と空中で勝手に拡がる現象(拡散)を盛り込んだ「移流拡散モデル」を用いたシミュレーションコードである。噴煙柱高さ、噴出量、粒子の粒径、給源火口の座標、拡散係数、見かけ渦拡散係数、岩片の密度、軽石の密度、地形データ、標高ごとの風速・風向等の多数のパラメ モデル」を用いたシミュレーションコードである。噴煙柱高さ、噴出量、粒子の粒径、給源火口の座標、拡散係数、見かけ渦拡散係数、岩片の密度、軽石の密度、地形データ、標高ごとの風速・風向等の多数のパラメータを入力することにより、降灰範囲及び降 灰量が得られ、各地点の降下火砕物の堆積量及び粒径分布のデータが同 時に出力される。Tephra2 は、垂直に上昇する噴煙中から粒子が離脱するというモデルに基づいており、噴煙中の傘型領域からの落下は盛り込んでおらず、開発者によれば、大気を水平方向の層に分け、その層の中では風速と風向が一定であると仮定し、各層間で風速と風向が変化するようにして、モデルを単純化しているため、小規模な噴火には有効であ るが、より規模の大きい噴火や風の変化が激しい場合には、現実をうまく表現できない可能性が高いとされる。(甲D214、259、弁論の全趣旨・被告第32準備書面34、35頁)(エ) 噴出物量の算出に用いられるLegros 法は、等層厚線の情報のみから、等層厚線に囲まれた面積と厚みの積により最小体積を計算する方法であ り、その提案者は、1つの等層厚線しか利用できない降下火砕物堆積物の最小体積の推定値として有用であると提案する。(甲D275)(オ) 圧密とは、一般に、土や地盤に荷重がかかり、内部に発生する圧縮応力のため、土(堆積物)の間隙を構成する水や空気を追い出し、土の体積を減少させて、密な状態に変わる現象を指すものであり(乙D119・ 393頁)、特に土木建築においては、地表に構造物を建設することなどにより圧力が加わり地盤に圧密が生じ、それが地盤沈下の原因となるため地盤改良として圧密促進工事などが行われる。これに対し、地質学でいうところの圧密は、地層を形成する堆積物が、その上層 設することなどにより圧力が加わり地盤に圧密が生じ、それが地盤沈下の原因となるため地盤改良として圧密促進工事などが行われる。これに対し、地質学でいうところの圧密は、地層を形成する堆積物が、その上層に堆積した堆積物の圧力で堆積物粒子の間隙が最小限となる現象や作用を指し、長い 年月を経てそれが更に進行すると、堆積物粒子が接着されて固化し、堆積岩となる。(乙D120・92頁)エ専門家の意見等(ア) 川内発電所1号機及び2号機の稼働差止仮処分申立事件(鹿児島地方裁判所平成26年(ヨ)第36号)の同裁判所平成27年4月22日決 定を受けて、火山学者に対して行われた緊急アンケートにおいて、静岡 大学防災総合センターのK3、山梨県富士山科学研究所所長及び火山噴火予知連絡会会長のK4並びに匿名の火山学者から、数十年以上前に巨大噴火を予測することは不可能である旨の回答がされた。(甲D119)(イ) 第四紀学を専門分野とする東京都立大学名誉教授のK5は、令和5年6月20日の松山地方裁判所における証人尋問(甲D265)、陳述書(甲 120)及び意見書(甲D264)において、噴火ステージのサイクルはテフラ整理のための1つの考え方にすぎず、これによって破局的噴火までの時間的猶予を予測できる理論的根拠にはなり得ない(甲D120・3頁)、噴出物量の規模は桁程度の誤差があり得、噴出物量を根拠に一定規模以上の噴火は起こらないということはできない(甲D265・番号 16~30)などと述べている。 (ウ) 原子力規制委員会が設置したモニタリング検討チームの平成26年8月25日に開催された第1回会合において、外部専門家K6(京都大学名誉教授)、K7(東京大学地震研究所地震噴火予知研究センター教授)、K1(東北大学東北アジア研 モニタリング検討チームの平成26年8月25日に開催された第1回会合において、外部専門家K6(京都大学名誉教授)、K7(東京大学地震研究所地震噴火予知研究センター教授)、K1(東北大学東北アジア研究センター教授)、K8(産総研活断層・火 山研究部門首席研究員)及びK9(独立行政法人防災科学技術研究所観測・予測研究領域総括主任研究員)らを交えた議論が行われたところ、モニタリング検討チームの平成27年7月31日付け提言とりまとめにおいては、現状において巨大噴火の時期や規模を正確に予知するだけのモニタリング技術はないこと、モニタリングで異常が認められたとして も、それが巨大噴火の予兆か定常状態からのゆらぎの範囲内なのかを科学的に識別できないおそれがあること、巨大噴火は何らかの前駆現象が数年~数か月前に発生する可能性が高いと考えられるが、そのような事情が巨大噴火の前駆現象か噴火未遂に終わるかを予測するのも簡単ではないことなどが記載されている。(甲D122) (エ) K4は、平成28年11月16日受付の論文「わが国における火山噴 火予知の現状と課題」(甲D123)において、常時監視観測が行われている活火山における火山噴火予知は、1998年の段階において、①観測データの変化から火山活動の異常を検出して噴火の可能性を警告する、②観測データの解釈に基づいて火山の状態を評価し、過去の噴火事例も考慮して噴火の発生や推移を定性的に予測する段階にあるものと評価さ れたが、現在までこの状況に本質的変化はなく、部分的に噴火の物理モデルに基づいて噴火の推移を予測する試みも行われるようになっているが、地下のマグマ供給系の状況を的確に把握できているとはいい難く(同212、213頁)、階段ダイヤグラム(階段図)による噴火時期の予 デルに基づいて噴火の推移を予測する試みも行われるようになっているが、地下のマグマ供給系の状況を的確に把握できているとはいい難く(同212、213頁)、階段ダイヤグラム(階段図)による噴火時期の予測はマグマ供給量又は噴火噴出物放出率が一定であることが必要条件であ るが、これが長期的に成立する保証はなく、噴出物量や噴火年代についても大きな誤差があることから、数万年レベルの噴火履歴から原子力発電所の稼働期間である数十年単位の噴火可能性を階段ダイヤグラムで議論すること自体に無理があり、火山噴火の長期予測に関しては、その切迫度を測る有効な手段は開発されていない旨(同219頁)を述べてい る。(甲D123)(オ) マグマ学を専門分野とする神戸大学名誉教授及び海洋底探査センター客員教授であるK10は、令和5年7月5日の広島地方裁判所における証人尋問(甲D269)、同年10月1日の松山地方裁判所における証人尋問(甲D271)、令和6年2月7日の鹿児島地方裁判所における証 人尋問(甲D291)及び意見書(甲D267)等において、浮力中立点の状況のみでは必ずしも噴火につながるマグマ溜まりがないとは断言できない(甲D269・12、13頁、甲D271・番号38~46、甲D291・番号32~36)、マッシュ状のマグマは直ちには噴火不可能な状態であるが、親マグマ溜まりから高温のマグマが供給されると再 活性化して噴火可能となり、このような変化はVEI7の破局的噴火で あっても10年オーダーで変化することがあり得る(甲D267・7、8頁、甲D269・20、24~27頁、甲D271・番号68~72頁、甲D291・番号46~51、405~408)、マッシュ状のマグマ溜まりを各種の探査によって確認することは困難である(甲D26 、8頁、甲D269・20、24~27頁、甲D271・番号68~72頁、甲D291・番号46~51、405~408)、マッシュ状のマグマ溜まりを各種の探査によって確認することは困難である(甲D267・8頁、甲D269・23頁、甲D271・番号47~55、甲D291・ 37~45、104~106、108~117、319、324、393、394、409~411)、現時点で日本列島の火山の地下に近い将来破局的噴火を起こす可能性のある巨大なマグマ溜まりが存在しないことを示す科学的知見は存在しない(甲D267・8、9頁、甲D269・17~20頁、甲D271・番号30~37)、地殻変動の観測データの 変化により破局的噴火の前兆を判断するのは難しい(甲D291・番号79、80)、ストロンチウム同位体比率等のマグマ組成の違いから、マグマ供給システムが変化したという仮説を立てることはできるが、仮説が正しいかどうかはわからない旨(甲D269・26頁、甲D271・110~118)などを述べている。 (8) 大山についての知見ア大山は、西南日本弧(ユーラシアプレート(大陸プレート)の下にフィリピン海プレート(海洋プレート)が沈み込むことによって形成されたもの)上に存在する火山であり、アダカイト(沈み込んだ海洋地殻が部分溶融して形成されたと考えられる安山岩、デイサイト、流紋岩等の火成岩類) 質火山岩が見られる。大山は、鳥取県西部にある東西約35㎞、南北約30㎞の大型の第四紀(約258万年前から現在までの期間)デイサイト質複成火山(同じ火口から何度も噴火を繰り返し、火山体を成長させるタイプの火山)であり、高浜発電所1号機及び2号機の敷地から約180㎞、本件原子炉施設の敷地から約220㎞離れた場所に位置する。 (乙D101、 火口から何度も噴火を繰り返し、火山体を成長させるタイプの火山)であり、高浜発電所1号機及び2号機の敷地から約180㎞、本件原子炉施設の敷地から約220㎞離れた場所に位置する。 (乙D101、 109~111・8、9頁、乙D112) 大山では、約6万年前に国内で最大規模のプリニー式噴火であるDKPが、約8万年前にDNPがそれぞれ噴出し、最末期の噴火は約2万年前であり、それ以降は噴火の記録がない。大山は、約60万年前から40万年前にかけて溝口凝灰角礫岩という合計噴出量約50㎦の噴出物があったが、これは長期間にわたる噴出物が2次的に泥流等として流動・堆積した ものとされる。(乙C55・37、40頁、乙D97・645、646頁、乙D98・285、286頁、乙D115・2頁)イ大山は、火山噴火予知連絡会が平成15年に「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」として定義し直した111の活火山に選定されておらず、また、同連絡会が「火山防災のために監 視・観測体制の充実等の必要がある火山」として選定し(47火山)、同連絡会の下に設置された「火山観測体制等に関する検討会」の提言により追加された(3火山)、24時間体制で常時観測・監視が行われている50火山には含まれていない。(甲F131・99、100頁)ウ大山については、Zhaoetal.(2011)において、周辺の地下構造について 地震波トモグラフィ法による検討を行った結果、低速度領域及び低周波地震の存在から、大山の西方20㎞以深にマグマ溜まりが存在する可能性が示唆されている。この研究を更に進めたZhaoetal.(2018)においても、大山の地下深部の低速度領域の存在が示されているが、その深度は平成23年のものと同程 マグマ溜まりが存在する可能性が示唆されている。この研究を更に進めたZhaoetal.(2018)においても、大山の地下深部の低速度領域の存在が示されているが、その深度は平成23年のものと同程度とされている。(乙D101、117) エ火山影響評価に係る安全研究を行ったK2らは、平成27年度研究から平成29年度研究までの研究結果を基に、岩石学、地球化学等に関する学術雑誌(Lithos)においてYamamotoandHoang(2019)を発表した。同論文は、大山アダカイトは高カリウム群と低カリウム群に分けられ、高カリウム群は、低カリウム群に比べ、TiO2、Sr、Ba、Nb 及びLa 含有量が高く、 Sr-Nd-Pb 同位体組成において枯渇しており、低カリウムアダカイトは、高 カリウムアダカイトに比べ、下部地殻同化作用の度合いが高いことが示された、低カリウムアダカイトは10万年前から2万7600年前の火山活動が増えた期間(高噴出率期)に噴出した一方、高カリウムアダカイトはこの期間の前と後に噴出しており、この相関関係は、高噴出率期の地殻へのマグマ貫入比率が増加したことによって、下部地殻同化作用の度合いが 大きくなった結果であると考えられ、高噴出率期の後、噴火活動も下部地殻同化作用も減少し、噴火活動は2万0800年前に停止したとしている。 (乙D109) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について(1) 上記認定事実(火山)(1)及び(2)のとおり、炉規法43条の3の6第1項 4号の委任を受けた設置許可基準規則6条1項は、「想定される自然現象」が発生した場合においても安全施設が安全機能を損なわないものでなければならないと規定し、設置許可基準規則解釈は、これに火山の影響を含むと 委任を受けた設置許可基準規則6条1項は、「想定される自然現象」が発生した場合においても安全施設が安全機能を損なわないものでなければならないと規定し、設置許可基準規則解釈は、これに火山の影響を含むとしており、技術基準規則7条1項の「想定される自然現象」について、技術基準規則解釈は、火山事象を含むとし、平成29年改正実用炉規則84条の2は、 「火山影響等発生時」への対策を講じることを規定している。そして、設置(変更)許可及び保安規定(変更)認可の審査においては、内規である火山ガイドを踏まえた審査が行われており、本件設置変更許可処分の審査には平成25年火山ガイドが、令和2年保安規定変更認可処分の審査には平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドが、令和3年設置変更許可処分には令 和元年火山ガイドが、それぞれ用いられたものと認められる。 したがって、これらの火山ガイドは、原子力規制委員会の審査に用いられた部分について具体的審査基準に該当するものと認められるが、上記認定事実(火山)(1)エ及び別紙14火山ガイドの概要3(1)のとおり、火山ガイドは、評価方法の一例として火山影響評価の妥当性を審査官が判断する際に参 考とするものとして定められたものであり、令和元年火山ガイドは、火山ガ イドの各規定の趣旨及び火山ガイドに基づく審査実務の考え方を正確に表現し、かつ文章としてより分かりやすいものとなるようにしたものと認められるから、平成25年火山ガイド及び平成29年火山ガイドのうち、令和元年火山ガイドにより改正された部分については、その規定の文言そのものが具体的審査基準となるのではなく、審査実務に用いられた考え方に応じて具体 的審査基準に該当するものと認められる。 (2) そこで、令和元年火山ガイドの規定を中心に火山 、その規定の文言そのものが具体的審査基準となるのではなく、審査実務に用いられた考え方に応じて具体 的審査基準に該当するものと認められる。 (2) そこで、令和元年火山ガイドの規定を中心に火山ガイドの不合理性の有無について検討する。 ア上記認定事実(火山)(1)エ及び別紙14火山ガイドの概要1のとおり、火山ガイドは、原子力規制委員会において、IAEAの安全指針(IAEA・ SSG-21)、日本電気協会作成のJEAG4625-2009 等の文献や専門家からのヒアリング結果を基に、最新の科学的知見を集約して作成されたものであり、原子力発電所に影響を及ぼし得る火山として、第四紀に活動した火山に関する文献調査、地形・地質調査及び火山学的調査を行い、その中から将来の活動可能性が十分小さいとはいえない火山を抽出して個別評価の対象と し、必要に応じて地球物理学的及び地球化学的調査を行い、地理的領域(原子力発電所から半径160㎞の範囲)において原子力発電所の運用期間中に設計対応が不可能な火山事象を伴う火山活動の可能性を評価し、設計対応不可能な火山事象によって原子力発電所の安全性に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された火山について、原子力発電所の安全性に影響を 与える可能性のある火山事象の直接的影響及び間接的影響を確認するなどの内容となっており、これらは、IAEA・SSG-21 に整合するものであるから、科学的な知見に基づく合理性のあるものといえる。 イまた、別紙14火山ガイドの概要2のとおり、平成29年火山ガイドは、原子力発電所への火山事象の影響評価として、気中降下火砕物濃度の推定 手法を追加し、これを間接的影響の評価にも用いることとしたものである が、上記認定事実(火山)(3)のとおり、気中降下火 電所への火山事象の影響評価として、気中降下火砕物濃度の推定 手法を追加し、これを間接的影響の評価にも用いることとしたものである が、上記認定事実(火山)(3)のとおり、気中降下火砕物濃度について、平成22年4月のアイスランド南部エイヤヒャトラ氷河で発生した噴火による観測値3241㎍/㎥に基づく評価では過小評価の疑いがあることから、最新知見の収集・分析等を行う必要があるとの指摘を受けて、技術情報検討会及び降下火砕物検討チームにおける検討結果等を踏まえて、保守的に 改正されたものといえる。 ウさらに、別紙14火山ガイドの概要3のとおり、令和元年火山ガイドは、噴出規模が数十㎦程度を超えるような巨大噴火によるリスクについては、火山の現在の活動状況が巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認でき、かつ、運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある 具体的な根拠があるとはいえない場合は、少なくとも運用期間中は、「巨大噴火の可能性が十分に小さい」と判断でき、火山活動のモニタリングは、「運用期間中の巨大噴火の可能性が十分小さい」と評価して許可を行った場合であっても、この評価とは別に、評価の根拠が継続していることを確認するため、評価時からの状態の変化を検知しようとするものと改正して いる。令和元年火山ガイドの改正点は、巨大噴火のリスクについては社会通念上一定程度容認されているとして一定の場合に原子力発電所の安全対策の範囲外とし、モニタリングについても平成29年火山ガイドまでは火山活動に関する個別評価の範囲内としていたものを範囲外とするものであり、少なくともその文言のみからは、平成29年火山ガイドを非保守的に 変更したようにも読める。 しかしながら、原子力規制委員会は、上記認定事実(火山)(1) していたものを範囲外とするものであり、少なくともその文言のみからは、平成29年火山ガイドを非保守的に 変更したようにも読める。 しかしながら、原子力規制委員会は、上記認定事実(火山)(1)エのとおり、新規制基準の考え方(乙B172・331頁)において、火山ガイドの策定に当たっては、そもそも、現在の火山学の水準では火山噴火の時期や規模を的確に予知、予測することまではできないことを前提とした上で、 現在の火山学の知見に照らせば、可能な限りの調査を尽くすことにより、 運用期間中における活動可能性や設計対応不可能な火山事象の到達可能性が十分に小さいといえるか否かなどといった評価を行うことまでは可能であり、その限りでの評価に基づいて安全面に十分配慮した規制を行っていくことが科学的かつ合理的であるとの基本的立場を示しており、別紙14火山ガイドの概要3(1)のとおり、令和元年火山ガイドは、原子力規制 庁が、平成30年2月21日に開催された原子力規制委員会において、火山の巨大噴火(噴出物の量が数十㎦程度を超えるような噴火)に関する基本的な考え方についてわかりやすくまとめるよう指示を受け、同年3月7日付け資料において、巨大噴火によるリスクは社会通念上容認される水準であると判断でき、現在の火山学の知見に照らした火山学的調査を十分に 行った上で、火山の現在の活動状況が巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認でき、かつ、運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるとはいえない場合は、少なくとも運用期間中は、「巨大噴火の可能性が十分に小さい」と判断でき、火山活動のモニタリングは、「運用期間中の巨大噴火の可能性が十分小さい」と評価して許 可を行った場合であっても、この評価とは別に、評価 期間中は、「巨大噴火の可能性が十分に小さい」と判断でき、火山活動のモニタリングは、「運用期間中の巨大噴火の可能性が十分小さい」と評価して許 可を行った場合であっても、この評価とは別に、評価の根拠が継続していることを確認するため、評価時からの状態の変化を検知しようとするものであるなどと考え方を整理したことを踏まえて、火山ガイドの各規定の趣旨及び火山ガイドに基づく審査実務の考え方を正確に表現し、かつ文章としてより分かりやすいものとなるように改正されたものと認められる。 したがって、このような令和元年火山ガイドの基本的考え方は、平成25年火山ガイド及び平成29年火山ガイドにおいても同様であったというべきであるから、令和元年火山ガイドがそれ以前の火山ガイドを非保守的に変更したものであるとはいえない。 そして、炉規法は、大規模な自然災害の発生を想定した必要な規制を行 うことを目的として規定しているものの(同法1条)、想定すべき自然災害 の内容や規模について具体的な定めをしておらず、設置許可基準規則6条1項は、「安全施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。」、同条2項は、「重要安全施設は、当該重要安全施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該重要安 全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。」と規定し、同項に関する設置許可基準規則解釈(乙B5・13頁)の5項は、上記「想定される自然現象」には、火山による影響を含むとした上で、「大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象」とは、「対象となる自然現象に対応して、最新の科学的技 術 頁)の5項は、上記「想定される自然現象」には、火山による影響を含むとした上で、「大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象」とは、「対象となる自然現象に対応して、最新の科学的技 術的知見を踏まえて適切に予想されるものをいう。」としている。また、福島第一原発事故後にされた炉規法の平成24年改正によっても、どのような大規模自然災害が生じても原子炉内の放射性物質が外部の環境に放出されることはないといった達成不可能なレベルの高度の安全性を求めることを前提とすると解されるものは見当たらず、設置許可基準規則55条 は、放射性物質の拡散が生じ得ることを前提として、その抑制のための設備を設けなければならない旨を規定している。 これらの現行の炉規法等の規定からすれば、炉規法は、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される最大規模の自然災害を想定した発電用原子炉施設の安全性の確保を求めるものであって、最新の科学的技 術的知見から合理的に予測される範囲を超える自然災害による危険性については、これを想定した対策を講じなくとも社会的に容認されていることを前提としているものと解される。そして、一般の建築物に関する規制をみても、我が国においては、影響が著しく深刻なものではあるが極めて低頻度の規模及び態様の破局的噴火を含む、噴出物が数十㎦を超える巨大 噴火の危険性については、その発生が相応の根拠をもって示されない限り、 開発行為の制限や建築構造物の規制をはじめとして安全性確保の点で考慮されていないのが実情であり、独り発電用原子炉施設についてのみ巨大噴火による危険性について考慮しないことが社会的に容認されていないとまではいえないから、噴出物が数十㎦を超える巨大噴火の危険性については、その発生の可能性が相応の根拠を 用原子炉施設についてのみ巨大噴火による危険性について考慮しないことが社会的に容認されていないとまではいえないから、噴出物が数十㎦を超える巨大噴火の危険性については、その発生の可能性が相応の根拠をもって示されない限り、その危険 性を想定しないことが社会的に容認されているというべきである。 したがって、上記した令和元年火山ガイドの基本的考え方は、炉規法の求める安全基準に違反するものであるということはできない。 エ次に、平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドは、気中降下火砕物濃度について、上記認定事実(火山)(3)及び別紙14火山ガイドの概要 2のとおり、降下火砕物検討チームによる検討結果を取りまとめた濃度考え方の中で、降下火砕物濃度の推定に必要な実測値(観測値)や理論的モデルは大きな不確実さを含んでおり、基準地震動や基準津波のようにハザードレベルを設定することは困難であるものの、降灰継続時間を仮定し、原子力発電所の敷地における堆積量等から気中降下火砕物濃度を推定する 手法(手法②)、電中研報告書のようにFALL3D 等による数値シミュレーションを用いて原子力発電所の敷地における気中降下火砕物濃度を推定する手法(手法③)を基に、降灰継続時間を24時間と仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法(3.1の手法)と数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法(3.2の手法)により気中 降下火砕物濃度を推定することとしている。そして、これらにより推定した気中降下火砕物濃度を参考濃度とした上で、この参考濃度において、非常用DG等の非常用交流動力電源設備(設計基準事故対処設備)の24時間、2系統の機能維持を求め、また、この非常用交流動力電源設備2系統が偶発的に多重故障を起こし、いずれの機能も喪失 濃度において、非常用DG等の非常用交流動力電源設備(設計基準事故対処設備)の24時間、2系統の機能維持を求め、また、この非常用交流動力電源設備2系統が偶発的に多重故障を起こし、いずれの機能も喪失した場合をあえて想定 し、そのような場合でも電源車等の代替電源設備(重大事故防止設備)の 機能維持を求めることとし、さらに、上記の参考濃度よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉塞等に起因して代替電源設備が機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合を想定し、その場合における原子炉の炉心損傷の防止を求めることを要求している。 このように、平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドにおいて、 3.1の手法又は3.2の手法を用いて推定された気中降下火砕物濃度の参考濃度は、これを超えると、設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものとはいえない。 そして、別紙14火山ガイドの概要2(3)のとおり、3.1の手法においては、降下火砕物の粒径の大小にかかわらず同時に降灰が起こると仮定す るとともに、気中降下火砕物濃度を低下させる可能性のある事象である粒子の凝集を考慮しないこととされており、実際の降灰現象と比較して保守的である上、降灰継続時間を24時間とすることに科学的合理性があることは降下火砕物検討チーム会合において原子力規制委員であるK1委員及び外部専門家である産総研のK2も認めている(乙B130・42、4 3頁)。また、別紙14火山ガイドの概要2(4)のとおり、3.2の手法においても、気象データの設定について、1年で最も原子力発電所敷地に対して影響のある月を抽出し、一定風を設定することとされており、実際の降灰現象と比較して保守的であるといえる。そして、3.1の手法及び3. も、気象データの設定について、1年で最も原子力発電所敷地に対して影響のある月を抽出し、一定風を設定することとされており、実際の降灰現象と比較して保守的であるといえる。そして、3.1の手法及び3. 2の手法のいずれによっても、気中降下火砕物濃度の推定値は、少なくと も現時点において既往最大の観測値として取り扱われているセントへレンズ山の噴火の観測値である33㎎/㎥をはるかに上回る数値(数g/㎥)となることが確認されている。 これらによれば、火山ガイドにおける気中降下火砕物濃度の推定手法に不合理な点があるとはいえない。 オ以上によれば、火山に係る具体的審査基準に不合理な点がないことにつ いて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (3) 上記認定事実(火山)(2)のとおり、原子力規制委員会は、本件適合性審査において、参加人が、平成25年火山ガイドを踏まえて、文献調査及び地質調査結果により、敷地及びその周辺において降灰層厚が比較的厚い降下火砕物を抽出し、噴出源を同定できる降下火砕物について文献調査、地質調査及 び位置関係を含めて検討し、噴火履歴及び地下構造を検討して、大山については約6㎝程度の降灰層厚と評価していること、噴出源が同定できない降下火砕物の降灰層厚としてNEXCO80 を抽出し、降灰層厚10㎝以下と評価していることなどを確認し、設置許可基準規則6条1項及び2項の要求を満たしているものと判断している。 しかしながら、上記認定事実(火山)(4)及び(6)のとおり、原子力規制委員会は、本件設置変更許可処分をした後に、越畑地点のDNPの降灰層厚は25㎝程度であり、DNPの総噴出規模は10㎦以上と考えられるとの本件新知見を認定し、かつ、DNPとDKPを一連の噴火と評価することは適切でな 置変更許可処分をした後に、越畑地点のDNPの降灰層厚は25㎝程度であり、DNPの総噴出規模は10㎦以上と考えられるとの本件新知見を認定し、かつ、DNPとDKPを一連の噴火と評価することは適切でなく、本件原子炉施設の運用期間中のDNP規模の噴火の可能性を考慮す るのが適切であるとの判断に基づき、本件バックフィット命令を発出し、令和3年設置変更許可処分に当たっては、DNPの噴出量11㎦を踏まえて本件原子炉の敷地における降灰層厚を22㎝と評価している。 上記第6の3で説示した判断枠組みのとおり、原子力規制委員会の審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、当該発電用原 子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認められる場合には、原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点があるものとして、設置変更許可処分が違法になるというべきであるところ、これらは現在の科学技術水準に照らして判断すべきであるから、上記原子力規制委員会が認定した本件新知見 等を踏まえると、本件設置変更許可処分について、本件原子炉の敷地におけ る降灰層厚を10㎝として具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程には看過し難い過誤、欠落があったと認められる。 もっとも、その後、本件バックフィット命令を経て、令和3年設置変更許可処分がされたことにより、本件設置変更許可処分のうち火山による影響に関する部分は、令和3年設置変更許可処分により変更されているから、本件 訴訟においては、令和3年設置変更許可処分の違法性について審査すれば足りるというべきであって、令和3年設置変更許可処分の審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、 ら、本件 訴訟においては、令和3年設置変更許可処分の違法性について審査すれば足りるというべきであって、令和3年設置変更許可処分の審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、当該発電用原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認められる場合に、令和3年設置変更許可 処分が違法となり、これに伴って同処分によって変更された本件設置変更許可処分も違法となると解するのが相当である。 (4) 上記認定事実(火山)(6)のとおり、原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分に当たり、参加人が実施した設計対応可能な火山事象の影響評価については、令和元年火山ガイドを踏まえたものであり、文献調査、地質調 査等により、本件原子炉への影響を適切に評価していることを確認するとともに、参加人が設定した降下火砕物の最大層厚等は、最新の文献調査及び地質調査結果を踏まえ、降下火砕物の分布状況、不確かさを考慮した降下火砕物シミュレーション結果及び越畑地点におけるDNPの実績層厚と大山から本件原子炉までの距離関係から総合的に評価し、適切に設定されていること から、妥当であると判断した。 また、原子力規制委員会は、降下火砕物の影響に対する設計方針等については、設計基準対象施設及び重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を含む。)に関して、降下火砕物の最大層厚の変更によって影響を受ける項目を整理した上で、降下火砕物の最大層厚以外の基本設計等の技術的成立性を 詳細に説明し、これらを変更する必要がないことを示すよう求め、参加人の 説明を受けて、降下火砕物の最大層厚の変更後においても、それ以外の基本設計等に技術的成立性があることから、降下火砕物の最 に説明し、これらを変更する必要がないことを示すよう求め、参加人の 説明を受けて、降下火砕物の最大層厚の変更後においても、それ以外の基本設計等に技術的成立性があることから、降下火砕物の最大層厚以外の基本設計等を変更しないとの参加人の方針は妥当であると判断したものと認められる。 さらに、原子力規制委員会は、上記認定事実(火山)(6)イ(ウ)のとおり、 審査の過程において、既認可の保安規定に定める火山事象による影響が発生し又は発生するおそれがある場合における発電用原子炉施設の保全に関する措置について、本件原子炉については、降下火砕物の最大層厚の変更後においても当該措置に技術的成立性があるため、令和3年設置変更許可処分後においても保安規定の変更はしないとした参加人の方針について、現行の保安 規定に定める措置により、本件原子炉については、降下火砕物の最大層厚の変更後においても発電用原子炉施設の保全のために必要な活動を行うことが可能であることを確認し、妥当であると判断している。 このように、原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可申請に対し、参加人が、本件設置変更許可処分後に得られたDNPに関する本件新知見等を 考慮し、令和元年火山ガイドを踏まえて、新たな調査を行い、不確かさを考慮していること等を確認した上で、参加人の申請内容が妥当であるとの判断をしたものであるから、令和3年設置変更許可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (5) 上記認定事実(火山)(5)のとおり、令和2年保安規定変更認可処分は、平成29年の実用炉規則等の改正に伴って「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること。」 記認定事実(火山)(5)のとおり、令和2年保安規定変更認可処分は、平成29年の実用炉規則等の改正に伴って「火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること。」(平成29年改正実用炉規則92条1項)に対する保全に関する措置を新たに追加し、関連する保安規定の定めについて変更をしたものであるところ、原子力規制 委員会は、令和2年保安規定変更認可処分に当たり、実用炉規則の要求事項 (火山)について、平成29年火山ガイドの手法②により、設計層厚10㎝とした気中降下火砕物は1.75g/㎥となるが、降下火砕物の層厚が増えることを考慮して2.63g/㎥としたほか、要求事項(火山)①~③に関する記載がされていることを確認し、要求事項(火山)③に関しては、気中降下火砕物濃度の2倍の濃度を想定して非常用DGが機能停止したときであって も仮設中圧ポンプによる蒸気発生器への注水が行われ、蒸気発生器の水位は保たれて炉心の著しい損傷には至らないことを確認するなどしている。 このように、令和2年保安規定変更認可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断は、平成29年改正実用炉規則の要求事項(火山)等について、平成29年火山ガイドに基づき、DNPに関する本件新知見等を踏まえた確 認も行うなどしているから、その過程に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 3 争点4-(1)(層厚想定に関する基準の不合理性)について(1) 原告らは、令和元年火山ガイドについて、現在の火山学の水準では、噴火の時期や規模について、噴火の相当前の時点で的確に予測することは困難で あり、特定の規模の噴火が発生する可能性が十分小さいといえる水準にはなく、そのようなリスクを社会的に受容する 準では、噴火の時期や規模について、噴火の相当前の時点で的確に予測することは困難で あり、特定の規模の噴火が発生する可能性が十分小さいといえる水準にはなく、そのようなリスクを社会的に受容することも許されず、また、火山の噴火規模に関する指標は不確実性が大きく、大きな誤差、不定性を含みうるにもかかわらず、特定の噴出規模の噴火ごとの運用期間中の発生可能性を判断することが可能であるとの前提に立った規定となっており、平成29年火山 ガイドまでの要件を緩和し、噴火の時期や規模について、相当前の時点で的確に予測できることを前提としている点で不合理であると主張する。 この点、上記認定事実(火山)(7)エのとおり、火山等の専門家であるK3、K4、K5、K7及びK10らの意見等によれば、現在の火山学の水準においては噴火の予測について科学的に課題が多く、精度よく噴火の規模や時期 を予測できる段階にあるとは認められない。 しかしながら、上記2(2)で説示したとおり、火山ガイドは、原子力規制委員会において、IAEAの安全指針(IAEA・SSG-21)、JEAG4625-2009 等の文献や専門家からのヒアリング結果を基に、最新の科学的知見を集約して策定したものであり、その内容は、科学的な知見に基づくものといえる。また、令和元年火山ガイドは、現在の火山学の水準では火山噴火の時期や規模を的 確に予知、予測することまではできないことを前提とした上で、現在の火山学の知見に照らせば、文献調査、地形・地質調査、火山学的調査、地球物理学的調査及び地球化学的調査を行うなど、可能な限りの調査を尽くすことにより、運用期間中における活動可能性や設計対応不可能な火山事象の到達可能性が十分に小さいといえるか否かなどといった評価を行うことまでは可能 び地球化学的調査を行うなど、可能な限りの調査を尽くすことにより、運用期間中における活動可能性や設計対応不可能な火山事象の到達可能性が十分に小さいといえるか否かなどといった評価を行うことまでは可能 であり、モニタリングにより評価の根拠が継続していることを確認するなど、その限りでの評価に基づいて安全面に十分配慮した規制を行っていくことが科学的かつ合理的であるとの基本的立場に基づくものであるところ、上記のとおり、噴火の予測に多くの不確実性が含まれ、精度よく噴火の時期や規模を予測することは不可能であるとしても、上記認定事実(火山)(7)ア及びイ を踏まえれば、最新の知見を踏まえた上記の各調査結果を総合的に考慮することにより、原子力発電所の運用期間という火山活動の歴史から見れば極めて限定された期間中に、その安全性に影響をもたらす規模の火山事象が起きる可能性の程度が十分に小さいといえるか否かなどといった評価を行うことまでは可能としていることが、科学的合理性を欠くものであるということは できない。そして、上記2(2)ウで説示したとおり、現在の炉規法においても絶対的安全性まで求められるものとは解されず、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される範囲を超える自然災害による危険性については、これを想定した対策を講じなくとも社会的に容認されていることを前提としているものと解されることなども考慮すると、噴火の予測に多くの不確実性 が含まれることをもって、令和元年火山ガイドが不合理であるということは できない。 そして、別紙14火山ガイドの概要3(4)のとおり、令和元年火山ガイドは、従前の火山ガイドが「敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物で噴出源が同定でき、その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合は考慮対 別紙14火山ガイドの概要3(4)のとおり、令和元年火山ガイドは、従前の火山ガイドが「敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物で噴出源が同定でき、その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合は考慮対象から除外する。」と定めていたものを、「敷地及び敷地周辺で確認された降下火 砕物の噴出源である火山事象が同定でき、これと同様の火山事象が原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合は考慮対象から除外する。」と変更しているが、上記認定事実(火山)(2)ア(ア)のとおり、平成25年火山ガイドに基づいて行われた本件設置変更許可処分に係る審査においても、噴出源である火山事象が同定され、これと同様の火山事象が原子力発 電所の運用期間中に発生する可能性が十分小さいと評価できるとして、DKP規模の噴火を考慮対象から除外していたことからすれば、火山ガイドの基本的な考え方自体に変わりはないというべきであり、令和元年火山ガイドは、従来の審査実務の考え方を正確に、かつ、分かりやすく表現したものにすぎないと認められるから、実質的に平成29年火山ガイドの要件を緩和した不 合理なものということはできない。 (2) 原告らは、令和元年火山ガイドの規定に従えば、最も大きい噴火(大山でいえばDKP)の活動可能性が十分小さいと評価された場合には、その次の規模の噴火(大山でいえばDNP)を考慮すればよいことになるが、このような推論は論理の飛躍であり、その間の規模の噴火の可能性まで否定する枠 組みとなっている点で不合理であると主張する。 しかしながら、上記2(2)ウで説示したとおり、設置許可基準規則6条1項、同条2項、同項についての設置許可基準規則解釈5項、設置許可基準規則55条等の規定からすれば、炉規法は、最新の科学的技術的知見を踏まえて合 、上記2(2)ウで説示したとおり、設置許可基準規則6条1項、同条2項、同項についての設置許可基準規則解釈5項、設置許可基準規則55条等の規定からすれば、炉規法は、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される最大規模の自然災害を想定した発電用原子炉施設の安全性 の確保を求めるものであって、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に 予測される範囲を超える危険性については、これを想定した対策を講じなくとも社会的に容認されていることを前提としているものと解される。 そして、令和元年火山ガイドは、原子力発電所の敷地及びその周辺調査から求められる単位面積当たりの質量と同等の火砕物が降下するものとし、敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物の噴出源である火山事象が同定でき、 これと同様の火山事象が原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合は考慮対象から除外し、降下火砕物は浸食等で厚さが小さく見積もられるケースがあるので、文献等も参考にして、第四紀火山の噴火による降下火砕物の堆積量を評価することとしている(乙B141・11頁)ところ、これは、火山事象については、発生メカニズムの解明や過去の観測記 録のデータが不十分であることから、理論的評価に基づきハザードレベルを設定する手法は確立されていないが、原子力発電所の敷地及びその周辺での降下火砕物の観測値等のうち原子力発電所の運用期間中に想定される最大のものを用いることは可能であることから、既往最大の観測値等に基づきハザードレベルを設定する手法を用いて降下火砕物の最大層厚を設定することを 求めるものである。敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物の噴出源である火山事象のうち、原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合を考慮対象から除外す 大層厚を設定することを 求めるものである。敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物の噴出源である火山事象のうち、原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合を考慮対象から除外することが不合理であるとはいえず、その余の降下火砕物の噴出源である火山事象については、原子力発電所の運用期間中に想定される既往最大の観測値等に基づき降下火砕物の最大層厚を設定して いるのであるから、令和元年火山ガイドが、噴火の可能性を十分に小さいと判断できることとしている巨大噴火に至らない規模の範囲内において、既往最大の観測値等よりも上乗せした火山事象を想定することまで求めていないとしても、これが不合理であるということはできない。 (3) 原告らは、令和元年火山ガイドは、モニタリングを立地調査の外側に位置 付け、いわゆる社会通念論により巨大噴火をそれ以外の噴火と区別し、巨大 噴火は活動性評価を緩やかに行うこととし、従前の不確実な予測だけで足りるとするものであり、実質的に平成25年火山ガイドの要件を緩和するものであることは明らかであり、不合理であると主張する。 しかしながら、原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可申請に係る審査において、令和元年火山ガイドの巨大噴火の活動可能性評価の考え方を用 いているとは認められないから、巨大噴火に関する規定は令和3年設置変更許可処分に係る審査及び判断の過程で用いられた具体的審査基準に該当せず、その不合理性は、直ちに令和3年設置変更許可処分の違法性に影響しないというべきである。この点を措いたとしても、上記2(2)ウで説示したとおり、炉規法は、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される範囲を超 える自然災害による危険性については、これを想定した対策を講じなくとも社会的 たとしても、上記2(2)ウで説示したとおり、炉規法は、最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される範囲を超 える自然災害による危険性については、これを想定した対策を講じなくとも社会的に容認されていることを前提としているものと解され、影響が著しく深刻なものではあるが極めて低頻度の巨大噴火の危険性については、その発生の可能性が相応の根拠をもって示されない限り、その危険性を想定しないことが社会的に容認されているというべきであるから、令和元年火山ガイド の巨大噴火に関する考え方が、炉規法の求める安全基準に違反するものとはいえない。そして、令和元年火山ガイドは、それまでの審査実務の考え方を正確に表現し、文章としてより分かりやすいものとなるように改正されたものであり、上記した基本的考え方は、平成25年火山ガイド及び平成29年火山ガイドにおいても同様であったといえるから、令和元年火山ガイドが従 前の火山ガイドの要件を不合理に緩和したとの原告らの主張は理由がない。 4 争点4-(2)(噴火規模に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について(1) 原告らは、現在の火山学の水準によって火山規模の推定を精度よく行うことは困難であり、噴出率期の違いから大規模な噴火が発生しないと結論付けることはできず、DKPとDNPが一連の噴火ではないというだけでDK P規模の噴火の可能性が否定されるわけではないから、DKP規模の噴火を 考慮せずにされた令和3年設置変更許可処分の基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記2(2)及び3で説示したとおり、最新の知見を踏まえた各種調査結果を総合的に考慮することにより、原子力発電所の運用期間という非常に限定された期間中に、その安全性に影響を与える火山事 しかしながら、上記2(2)及び3で説示したとおり、最新の知見を踏まえた各種調査結果を総合的に考慮することにより、原子力発電所の運用期間という非常に限定された期間中に、その安全性に影響を与える火山事象が発生す る可能性の程度を評価する令和元年火山ガイドが不合理であるとはいえないところ、上記認定事実(火山)(6)ア(ア)のとおり、参加人は、令和3年設置変更許可処分における審査において、令和元年火山ガイドに基づいて、火山影響評価に係る安全研究の成果報告、Zhaoetal.(2018)等を検討し、階段ダイヤグラムによるマグマ噴出率の変化、高噴出率期と低噴出率期の化学組成 のトレンドの違いからDKPとDNPは一連の噴火ではないこと、爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点による定置深度、低速度層と低周波地震の存在から大山地下深部のマグマ溜まりの存在が示唆される深度等を基に、火山発達史、噴火履歴の検討結果、火山影響評価に係る安全研究の成果報告及び地下構造の評価結果から、本件原子炉の運用期間中にDKP規模 の噴火が発生する可能性は十分に小さいと評価し、火山影響評価上、DKP規模の噴火を本件原子炉の運用期間中に考慮すべき噴出規模から除外したものであって、これが不合理であるということはできない。 また、上記のとおり、参加人は、DKPとDNPが一連の噴火ではないということのみを根拠として、本件原子炉の運用期間中にDKP規模の噴火の 可能性は十分に小さいと評価したものではなく、噴火履歴、火山影響評価に係る安全研究の成果による高噴出率期と低噴出率期の差異、Zhaoetal.(2018)による大山の地下深部の低速度層と珪長質マグマの浮力中立点の深度の位置関係の違いなどを検討して評価しているから、DKPとDNPが一連の噴火 率期と低噴出率期の差異、Zhaoetal.(2018)による大山の地下深部の低速度層と珪長質マグマの浮力中立点の深度の位置関係の違いなどを検討して評価しているから、DKPとDNPが一連の噴火ではないことも考慮して、本件原子炉の運用期間中にDKP規模 の噴火の可能性は十分に小さいと評価したことが不合理であるということも できない。 そして、大山において、DKPを除き、繰り返し生じている数㎦以下の規模の噴火の中でも最大のものがDNPであり、DNPの噴出規模については、従前の5㎦から11㎦へと引き上げられているのであるから、DNP以上DKP未満の噴火については、当該噴火があったことをうかがわせるような降 下火砕物の堆積が本件原子炉施設の敷地及びその周辺調査により認められていない以上、DNPを超える規模の噴火を考慮して火山の影響評価を行うべきとする合理的な根拠があるということはできず、降下火砕物の観測値等のうち原子力発電所の運用期間中に想定される最大のものといえるDNP規模の噴火を想定し、これを超える規模の噴火を考慮していないことが不合理で あるとはいえない。 したがって、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査において、DNPを超える規模の噴火を考慮した降下火砕物の最大層厚の設定をしていないことが不合理である旨の原告らの主張は理由がない。 (2) 原告らは、火山ガイドは、原子力発電所の運用期間中の活動可能性を評価 することとしているが、使用済燃料の最終的な処分方法や搬出先も決まっていないから、運用期間は数百年単位に及ぶ可能性があり、運用期間が明らかでない以上、運用期間中の活動可能性の大小は評価不能であるにもかかわらず、運用期間を定量的に明らかにしないまま、運用期間中にDKP規模の噴火が発生す は数百年単位に及ぶ可能性があり、運用期間が明らかでない以上、運用期間中の活動可能性の大小は評価不能であるにもかかわらず、運用期間を定量的に明らかにしないまま、運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性が少ないと評価した判断には、看過し難い過誤、欠落が あると主張する。 しかしながら、令和元年火山ガイドは、「原子力発電所に核燃料物質が存在する期間」を「運用期間」とし、これは原子力発電所の運転期間のみならず、その後の核燃料物質が存在する期間も含んだものであるものの、原子力規制委員会は、原子力発電所の運用期間は数十年オーダーであるとの想定の下で 審査を行っていると認められ(弁論の全趣旨・被告第32準備書面102頁)、 火山の影響評価において将来の活動可能性を検討する完新世(約1万1700年前から現在までの期間)の期間の長さとの関係に照らして上記運用期間をそれ以上に具体的に運用期間を設定して審査する必要があるとはいえないから、本件原子炉施設の運用期間を定量的に明らかにしないまま、運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性が少ないと評価した判断に看過し難 い過誤、欠落があるということはできない。 また、使用済燃料の最終的な処分方法や搬出先が決まっていないとしても、原子力発電所において発電に用いられた後の使用済燃料については、①原子力発電所の敷地内にある使用済燃料の貯蔵設備で一時的に貯蔵を行った後、②必要な場合には、原子力発電所とは別の場所にある中間貯蔵施設に運搬し て中間貯蔵を行い、③いずれかの貯蔵施設から再処理施設に運搬し、再処理施設において使用済燃料からプルトニウム等を取り除いてガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物に加工し、④廃棄物管理施設において高レベル放射性廃棄物の冷却のために貯蔵・管理した後 理施設に運搬し、再処理施設において使用済燃料からプルトニウム等を取り除いてガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物に加工し、④廃棄物管理施設において高レベル放射性廃棄物の冷却のために貯蔵・管理した後、⑤高レベル放射性物質を第一種廃棄物埋設施設において地層処分することが想定されており(乙A1、弁論の 全趣旨・被告第43準備書面12、13頁)、炉規法(平成29年法律第15号による改正前のもの)をみても、原子炉の設置及び運転と並び、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業を規制対象とし、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用につき、分野ごとに一連の所要の安全規制を行うという分野別安全規制の体系を採り、実用発電用原子炉の運転期間を最長60年とし ているから(同法43条の3の32第3項、炉規令20条の6)、数百年単位にわたり本件原子炉施設に核燃料物質が存在する可能性があるとは認められず、同程度の期間を運用期間と想定する必要があるとはいえない。 したがって、原子力発電所の運用期間は数十年オーダーであるとの想定の下で運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性が少ないと評価した判 断に看過し難い過誤、欠落があるということはできない。 (3) 原告らは、大山においては、40~60万年前に溝口凝灰角礫岩の存在が確認されており、この時期には高噴出期とされる時期と同程度の噴出率になっていること、岩石に含まれるNb/Y 比やSr/Y 比の違いをみても有意の違いといえるか疑問があり、高噴出率期と低噴出率期の区別自体が恣意的であると主張する。 しかしながら、溝口凝灰角礫岩は、長期間にわたる噴出物が2次的に泥流等として流動・堆積したものとされており(上記認定事実(火山)(8)ア)、その存在をもって直ちに40~60万年前に高噴出 。 しかしながら、溝口凝灰角礫岩は、長期間にわたる噴出物が2次的に泥流等として流動・堆積したものとされており(上記認定事実(火山)(8)ア)、その存在をもって直ちに40~60万年前に高噴出率期と同程度の噴出率になっていたとみることはできない。また、高噴出率期と低噴出率期の区別が必ずしも明瞭ではないとしても、上記認定事実(火山)(4)ア及び(8)エのと おり、専門家であるK2らが一定のトレンドの差違を分析しており、その内容に不合理な点はあるとは認められない上、上記(1)のとおり、これのみに基づいて本件原子炉の運用期間中にDKP規模の噴火の可能性は十分に小さいと評価したものでもないから、原子力規制委員会の判断が不合理であったとはいえない。 (4) 原告らは、地下のマグマ溜まりを精度良く把握することは困難であり、また、必ず浮力中立点付近にマグマ溜まりが位置するとは限らず、浮力中立点よりも深部に存在する可能性があるから、マグマ溜まりが存在しないように見えるからといって大規模な噴火が発生しないと結論付けることはできないと主張する。 しかしながら、クリスタルマッシュと呼ばれるマッシュ状のマグマであっても、岩盤が一部溶解するなどして温度が比較的高い岩盤等を通るときは地震波の速度が遅くなるとされており(乙D81・3、4頁、乙D89・38、39頁)、ある程度容量のあるマグマ溜まりは、周囲の地殻とは地震波の速度が異なるため、地震波トモグラフィ法を用いれば、地震波速度が低下し、「低 速度領域」として検出することができると考えられる。また、原告らがその 主張の根拠とする東宮(2016)(甲D240)においても、一般的にマグマの浮力中立点の考え方を否定しているのではなく、マグマ溜まりがシル(水平方向に薄く広 られる。また、原告らがその 主張の根拠とする東宮(2016)(甲D240)においても、一般的にマグマの浮力中立点の考え方を否定しているのではなく、マグマ溜まりがシル(水平方向に薄く広がった貫入マグマ)の集合体である場合には浮力中立点以外の要素が定置深度に影響している旨を指摘するものにとどまる(同284頁)から、マグマの浮力中立点の考え方が不合理であるということはできない。 さらに、上記(1)のとおり、原子力規制委員会は、マグマ溜まりの位置のみを根拠として本件原子炉の運用期間中にDKP規模の噴火の可能性は十分に小さいと評価したものではないから、マグマ溜まりに関する原告らの主張をもって、DKP規模の噴火の可能性は十分小さいと評価した原子力規制委員会の判断が不合理であるとはいえない。 5 争点4-(3)(層厚に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について(1) 原告らは、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査において、噴火規模についてDNPを前提とするとしても、降下火砕物は堆積後に圧密して層厚がかなり減少するため、現在堆積している層厚よりも噴火当時の層厚は大きく、本件原子炉敷地における最大層厚も大幅に上方修正されるべきで あるが、原子力規制委員会はこれを考慮せずに最大層厚を設定しているから、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、令和元年火山ガイドは、降下火砕物に関して、原子力発電所の敷地及びその周辺調査から求められる単位面積当たりの質量と同等の火砕物が降下するもの(乙B141・11頁)として評価することとし、また、 降下火砕物の影響評価では、降下火砕物堆積荷重に対して、安全機能を有する構築物、系統及び機器の健全性が維持されること(乙B141・12頁)を確認することとしているとこ 価することとし、また、 降下火砕物の影響評価では、降下火砕物堆積荷重に対して、安全機能を有する構築物、系統及び機器の健全性が維持されること(乙B141・12頁)を確認することとしているところ、この「降下火砕物堆積荷重」には、単位面積当たりの質量(荷重)が用いられ、この単位面積当たりの質量(g/㎠)は、降下火砕物の降灰層厚(㎝)に密度(g/㎤)を乗じることによって求め られるものであるから、圧密作用を受ける前後で変化するとは認められない。 したがって、本件原子炉の敷地における降下火砕物の最大層厚の推定に当たり、圧密の影響を考慮して降下火砕物の降灰層厚を実測値よりも厚く設定する必要があるとはいえず、これをしないことが不合理である旨の原告らの主張は理由がない。 (2) 原告らは、圧密以外にも、浸食、風化、再移動等の考慮がされていない、 Legros 法による噴出物の算出は最小限の体積であるにもかかわらず最大値であるかのように層厚の想定をしているなどと主張する。 この点、令和元年火山ガイドは、降下火砕物は浸食等で厚さが小さく見積もられるケースがあるとして、文献等も参考にして降下火砕物の堆積量を評価することとしている(乙B141・11頁)ところ、令和3年設置変更許 可処分に当たり、明確に浸食、風化、再移動等を考慮して保守性を上乗せした降灰層厚が設定されたとは認められない。また、上記認定事実(7)ウ(エ)のとおり、Legros 法による噴出物の数値は、最小体積を推定するものであり、これよりも噴出物量が多い可能性は否定できない。 もっとも、令和元年火山ガイドは、文献等を参考にして堆積量を評価する よう定めるにとどまり、浸食等の影響を定量的に上乗せするよう求めているものとは解されない。そして、上記認定事 定できない。 もっとも、令和元年火山ガイドは、文献等を参考にして堆積量を評価する よう定めるにとどまり、浸食等の影響を定量的に上乗せするよう求めているものとは解されない。そして、上記認定事実(火山)(6)ア(イ)及び(ウ)のとおり、参加人は、令和3年設置変更許可申請に当たり、湿潤状態の堆積火山灰の密度を1.5g/㎤と設定しているが、これは古い地層の保存状態が良い三方五湖周辺の津波堆積物調査において、菅湖で確認された鬼界アカホヤテフ ラ(約7300年前)及び鬱陵隠岐テフラ(約1.1万年前)の火山灰単位体積重量を測定したところ、乾燥状態で約0.7g/㎤、湿潤状態で約1.3g/㎤であったことや、宇井忠英編「火山噴火と災害」に火山灰は湿ると密度が1.2を超えることがあるとの記述があることから、保守的に1.5g/㎤と設定していると認められる。 さらに、上記認定事実(火山)(4)カ、(6)ア(エ)及び(オ)のとおり、参加人 は、降灰層厚の設定に当たっては、Legros 法では1.8㎦~3.4㎦、Hayakawa法では5.8㎦~11.0㎦と算出されたもののうち、最大の11.0㎦を採用して、DNP規模の噴出量11㎦について不確かさも考慮した降下火砕物シミュレーションをした結果、最大層厚13.5㎝となったが、越畑地点との距離との関係から算出した21.4㎝も踏まえて、本件原子炉の降灰層 厚を22㎝と設定しており、Legros 法による数値を上回るHayakawa 法により算出された数値のうち最大の噴出量を用いるなどして保守的に降灰層厚を設定していると認められる。 加えて、上記2(2)のとおり、層厚を用いて推定される気中降下火砕物濃度の影響に関しては、手法②又は手法③により推定される濃度は参考濃度とさ れ、要 に降灰層厚を設定していると認められる。 加えて、上記2(2)のとおり、層厚を用いて推定される気中降下火砕物濃度の影響に関しては、手法②又は手法③により推定される濃度は参考濃度とさ れ、要求事項(火山)①~③は、①非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策、②代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策、及び③交流動力電源喪失時に炉心の著しい損傷を防止するための対策に係る体制整備を求め、これらについて保安規定に記載することを求めることとして、非常用DGの機能が維持できなかった場合 に備えた対策を求めており、参考濃度はこれを超えると設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものではない。 これらに照らすと、令和3年設置変更許可処分において、降灰層厚の設定に当たり、明確に浸食、風化、再移動等を考慮した上乗せがされていないと しても、そのことをもって原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるということはできない。 6 争点4-(4)(降下火砕物の荷重に対する健全性に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について原告らは、降下火砕物の静的荷重の影響について、本件設置変更許可処分時 において、本件原子炉施設の原子炉補助建屋、燃料取扱建屋、ディーゼル建屋 及び制御建屋の許容値は20㎝であったから、いずれも本件原子炉施設における最大層厚22㎝を下回っており、許容限界がこれを上回っているとしても、保守性の食い潰しであり、安全を切り下げるものにほかならず、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、炉規法は段階的安全規制の体系を採用しており、設置( 安全を切り下げるものにほかならず、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、炉規法は段階的安全規制の体系を採用しており、設置(変更)許可の段階では、専ら当該原子炉施設の基本設計等の安全性のみが審査の対象となり、降下火砕物の荷重の影響に関していえば、設置(変更)許可処分においては、原子炉施設の基本設計等として、設計荷重の設定(降下火砕物の堆積荷重に加えて考慮する荷重の組み合わせの設定)及び安全機能を有する構築物 等の健全性の維持(荷重)に対する設計方針の妥当性について審査するものであり、具体的に、原子炉施設の構造強度評価を行い、安全機能を損なうおそれがないよう構造健全性を維持する設計となっているかなど、原子炉施設の具体的な設計及び工事方法といった詳細設計の妥当性については、設計及び工事の計画の認可において審査することになっている。したがって、令和3年設置変 更許可処分において、降下火砕物の堆積荷重の影響について簡易評価を行い、構造健全性が維持されることを確認しているとしても、設置変更許可処分の審査事項そのものではない以上、これが令和3年設置変更許可処分の違法事由になるとはいえない。 なお、参加人の平成30年10月5日付け「降下火砕物に対する施設の裕度 について」(甲D187・2頁)によれば、本件原子炉施設の降下火砕物に対する裕度評価は、本件原子炉施設の原子炉補助建屋、燃料取扱建屋、ディーゼル建屋及び制御建屋の許容層厚が20㎝であり、令和3年設置変更許可処分時の最大層厚(22㎝)を下回る数値とされていたことが認められるが、参加人は、令和3年設置変更処分後にされた本件原子炉施設に係る設計及び工事の計画の 変更処分に係る審査において、降下火砕物の 時の最大層厚(22㎝)を下回る数値とされていたことが認められるが、参加人は、令和3年設置変更処分後にされた本件原子炉施設に係る設計及び工事の計画の 変更処分に係る審査において、降下火砕物の最大層厚を22㎝に変更した上で、 建屋の降下火砕物に対する構造強度評価を行い、いずれの建屋も、構造強度評価上問題がないことを確認した旨の説明をし(乙C90・12~16頁)、原子力規制委員会はこれを妥当と認め、上記認可処分をしたことが認められる。このことからしても、令和3年設置変更許可処分における降下火砕物の堆積荷重の健全性評価について看過し難い過誤、欠落があったということはできない。 また、上記認定事実(火山)(6)ア(カ)のとおり、参加人は、令和3年設置変更許可処分に係る審査において、既認可の工事計画認可における評価手法と今回の設計及び工事の計画の認可では評価手法を変更する、既認可の評価手法(荷重による評価)は大きな保守性を有していたのに対し、今回の評価手法(応力度による評価)は保守性を有すると説明しており、既認可の工事計画認可の際 の評価手法(荷重による評価)よりも保守性は低下していると認められるが、炉規法が既認可の評価手法と同程度の保守性を確保することを基準として求めているということはできず、評価手法(応力度による評価)によっても、長期許容応力度を1.5倍した短期許容応力度(許容限界)を、常時作用する荷重及び降下火砕物堆積による鉛直荷重の和により発生する応力度が超えないこと を確認しており、依然として保守性を有するといえる。 したがって、降下火砕物の堆積荷重の影響について、原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があったということはできず、この点に係る原告らの主張は理由がない。 7 争 といえる。 したがって、降下火砕物の堆積荷重の影響について、原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があったということはできず、この点に係る原告らの主張は理由がない。 7 争点4-(5)(気中降下火砕物濃度を想定しないことの不合理性)について (1) 原告らは、気中降下火砕物濃度は基本設計の中で審査されるべきであるにもかかわらず、令和3年設置変更許可処分に係る審査において、気中降下火砕物濃度が設定されておらず、仮に段階的安全規制として、気中降下火砕物濃度について設置(変更)許可の段階で審査する必要がないというのであれば、そのような基準自体不合理であるし、そうでないのであれば、令和3年 設置変更許可処分に係る審査には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、炉規法は、段階的安全規制の体系を採用しており、原子炉の設置変更許可の際に審査されるのは当該原子炉施設の基本設計等の安全に関わる事項のみをその対象とするものと解されるところ、炉規法43条の3の6第1項の趣旨が、同項3号(技術的能力に係る部分に限る。)及び4号所定の基準の適合性について、原子力利用における安全の確保に関して専門的 知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子力規制委員会において、科学的、専門技術的見地から審査を行う合理的な判断に委ねるものであることに鑑みると、どのような事項が基本設計等の安全に関わる事項に該当するのかという点についても、上記の基準の適合性に関する判断を構成するものとして、原子力規制委員会の科学的、専門技術的知見に基づく合理的な 判断に委ねられているものと解される(もんじゅ最高裁平成17年判決参照)。 そして、上記認定事実(火山)(3)のとおり、原子力規制委員会は、気中降下火 学的、専門技術的知見に基づく合理的な 判断に委ねられているものと解される(もんじゅ最高裁平成17年判決参照)。 そして、上記認定事実(火山)(3)のとおり、原子力規制委員会は、気中降下火砕物濃度については、原子炉の基本設計の安全性には影響せず、当該原子炉の運転管理体制の問題として保安規定(変更)認可の段階における審査 対象とすることとし、そのための平成29年改正実用炉規則への改正等を行っているところ、これは、外部専門家や事業者を交えた降下火砕物検討チームにおける検討結果を取りまとめた濃度考え方(乙B132・3頁)において、気中降下火砕物に関し、安全施設は、ダンパー(空気流量制御弁)閉止等により一時的に停止すれば損傷等は考え難いこと、数時間~数日後に降灰 が収まれば、安全機能を復旧できることから、必ずしも降灰開始と同時に損傷等を引き起こすとは限らず、気中降下火砕物に対しては、施設・設備面での対応だけでなく、運用面での対応も含めて全体として対応することが可能であり、降下火砕物の特性を踏まえた要求とすべきとされていること等を踏まえて、設置(変更)許可において確認される従前の基本設計等の変更を要 することなく、フィルタ交換などの保安活動の体制整備を行うことによって 対応可能なものであると判断したことによるものであると認められ、原子力規制委員会の科学的、専門技術的知見に基づく判断として不合理であるとはいえない。 また、原告らは、設置許可基準規則6条1項の規定や令和元年火山ガイドの記載(「外気取入口からの火山灰の侵入により、換気空調系統のフィルタの 目詰まり、非常用DGの損傷等による系統・機器の機能喪失がなく、加えて中央制御室における居住環境を維持すること。」(乙B141・12頁)、「気中降下火砕物 侵入により、換気空調系統のフィルタの 目詰まり、非常用DGの損傷等による系統・機器の機能喪失がなく、加えて中央制御室における居住環境を維持すること。」(乙B141・12頁)、「気中降下火砕物濃度は、設計及び運用等による安全施設の機能維持が可能かどうかを評価するための基準として用いる」(乙B141・28頁))を指摘して、気中降下火砕物濃度は基本設計として設置変更許可の中で審査されるべ きである旨を主張する。 しかしながら、上記のとおり、原子力規制委員会は、専門家や事業者を交えた降下火砕物検討チームの検討結果に基づき、気中降下火砕物濃度については、原子炉の基本設計の安全性には影響せず、当該原子炉の運転管理体制の問題として保安規定(変更)認可の段階における審査対象とすることと判 断したものであり、原告らの指摘する設置許可基準規則及び令和元年火山ガイドの記載は、いずれも上記判断と矛盾するものとは解されないから、原告らの主張は理由がない。 したがって、令和元年火山ガイドが、設置変更許可処分の段階で気中降下火砕物濃度の想定を要求していないことが不合理であるとはいえず、気中降 下火砕物濃度の設定がされていないことをもって、令和3年設置変更許可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (2) 原告らは、令和元年火山ガイドは、降下火砕物に関する影響評価において、一応設計基準が設定されているようにみえながら、実際には設計基準とは別に参考濃度を設定することとしており、セントヘレンズ噴火のヤキマ観測値 33㎎/㎥を設計基準としても過小な数値(想定される参考濃度の100分の 1程度)であり、実質的に設計基準を設定しなくてよい規定となっているのは基準として不合理であると主張する。 しか 33㎎/㎥を設計基準としても過小な数値(想定される参考濃度の100分の 1程度)であり、実質的に設計基準を設定しなくてよい規定となっているのは基準として不合理であると主張する。 しかしながら、そもそも令和元年火山ガイドは降下火砕物に関する影響評価において実測値(観測値)をもって設計基準として設定することを求めているとは認められず、原告らの主張はそもそも前提を欠く。 また、上記2(2)エのとおり、令和元年火山ガイドは、気中降下火砕物濃度の評価について、現在得られている科学的知見では、降下火砕物濃度の推定に必要な実測値(観測値)や理論的モデルは大きな不確実さを含んでおり、基準地震動や基準津波のようにハザードレベルを設定することは困難であるものの、3.1の手法又は3.2の手法による推定値を参考濃度とした上で、 この参考濃度において、非常用DG等の非常用交流動力電源設備(設計基準事故対処設備)の24時間、2系統の機能維持を求めることとし、また、この非常用交流動力電源設備2系統が偶発的に多重故障を起こし、いずれの機能も喪失した場合をあえて想定し、そのような場合でも電源車等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求めることとし、さらに、参考濃度 よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉塞等に起因して代替電源設備が機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合を想定し、その場合における原子炉の炉心損傷の防止を求めることを要求することとしている。 このように、3.1の手法又は3.2の手法により求める気中降下火砕物濃度は、これを超えると、設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可 能になる限界値として位置付けられているものとはいえず、専門技術的な見地から、気中降下火砕物濃度の参考濃度をこのように位置付けて、さ れを超えると、設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可 能になる限界値として位置付けられているものとはいえず、専門技術的な見地から、気中降下火砕物濃度の参考濃度をこのように位置付けて、さらに高濃度の想定での対策等も要求することとしているのであるから、令和元年火山ガイドにおける気中降下火砕物濃度の位置付けが不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 (3) 原告らは、気中降下火砕物濃度を、保安規定(変更)認可段階の審査事項 として、不確実性が大きい人的対応中心の考え方によることも不合理であると主張する。 しかしながら、降下火砕物への対応は人的対応も含めて平成29年改正実用炉規則で規定されているところ、原子力規制委員会規則に位置付けられる実用炉規則については、訴訟において適用されるべき法規である以上、伊方 最高裁判決がいう「具体的審査基準」に当たるとして単なる不合理性をもって司法審査の対象とすることはできないというべきである。 また、上記認定事実(火山)(3)カのとおり、平成29年改正実用炉規則は、事業者に施設の保全活動のための体制整備を求めるとともに、上記体制整備に関する事項を保安規定に記載することを求めて、同保安規定の記載事項に 係る審査事項を追加したことから、保安規定変更審査において、かかる体制の整備により人的対応によって対応が可能であることが確認されることになる上、上記2(2)エのとおり、保安規定において、外部電源が喪失した場合の非常用電源設備の機能維持、非常用電源設備が喪失した場合の代替電源設備等の機能維持、そして全交流動力電源喪失の場合における炉心損傷防止の対 策までも要求することにより、深層防護の観点から多重の対策がされているといえるから、人的対応中心とした 場合の代替電源設備等の機能維持、そして全交流動力電源喪失の場合における炉心損傷防止の対 策までも要求することにより、深層防護の観点から多重の対策がされているといえるから、人的対応中心としたことにより不確実性が大きくなり不合理であるとの原告らの主張は理由がない。 8 争点4-(6)(気中降下火砕物濃度の推定手法に関する基準の不合理性)について (1) 原告らは、気中降下火砕物濃度を推定する手法である3.1の手法及び3. 2の手法は、いずれも手法②及び手法③の不確実性を包含するほどの保守性があるとはいえず、これらを選択的に利用すれば足りるとする令和元年火山ガイドは、具体的審査基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記2(2)エのとおり、3.1の手法は、降下火砕物の粒径 の大小にかかわらず同時に降灰が起こると仮定しており、また、3.2の手 法は、風向きについては不確かさが大きく、実際には一定の方向で風が吹くとは限らないにもかかわらず、火口からの一定風を設定しているから、いずれも実際の降灰現象と比較して保守性を有する上、3.1の手法及び3.2の手法による推定値は、既往最大の観測値として取り扱われているセントへレンズ山の噴火の観測値である33㎎/㎥をはるかに上回る数値(数g/㎥) となることが確認されている。 また、上記7(2)で説示したとおり、3.1の手法又は3.2の手法によって推定される気中降下火砕物濃度は参考濃度とされ、これを超えると設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものとはいえない。 したがって、3.1の手法及び3.2の手法それぞれに保守性が含まれていることや、これらの手法によって推定する参考濃度の位置付けからすれば、そのうち て位置付けられているものとはいえない。 したがって、3.1の手法及び3.2の手法それぞれに保守性が含まれていることや、これらの手法によって推定する参考濃度の位置付けからすれば、そのうち一方を用いた推定で足りるとしていることが不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 (2) 原告らは、降下火砕物検討チームの会合における専門家(K2及びK11) の発言内容をみても、手法②及び手法③のいずれも不確実性が大きいため、両方の手法を用いるなど保守的な評価を用いるべきと述べていたにもかかわらず、令和元年火山ガイドは専門家の意見を正しく反映していない旨主張する。 しかしながら、専門家が出席した降下火砕物検討チームの第2回会合にお いて配布された資料である「気中降下火砕物に対する規制上の具体的取扱い(案)」(乙B159)には、「(5) 規制上の具体的取扱い(案)」として、「手法②により降灰継続時間を24時間と仮定した平均濃度、又は、手法③により噴火継続時間を24時間とした場合の最大濃度とする」案が明記されており(同2頁)、同会合において、原子力規制庁の職員が手法②又は手法③によ り参考濃度を求める旨を口頭で説明したこと(乙B130・29頁)からす れば、手法②及び手法③を併用して気中降下火砕物濃度の参考濃度の設定を求めていないからといって、令和元年火山ガイドが専門家の意見を踏まえていないとはいえない。 また、K2は、実際の噴火記録がある場合には、その記録と手法③により算出された数値を比較してその正確性を確認すべきである旨述べている(乙 B130・26頁)にすぎず、3.1の手法又は3.2の手法が不合理であると述べているとはいえない。さらに、K11は、手法③、つまりFALL3D というシ 確性を確認すべきである旨述べている(乙 B130・26頁)にすぎず、3.1の手法又は3.2の手法が不合理であると述べているとはいえない。さらに、K11は、手法③、つまりFALL3D というシミュレーションコードを用いて行ったモデル計算において、一番小さい粒径でも0.25㎜であることに疑問を呈している(乙B130・31頁)が、これに対して原子力規制庁の職員は、実際に審査で確認する際には、粒 径分布は適切な値を入れて計算するのであって、一律に決めるものではない旨を述べており、それに対してK11から更に疑問が呈されたとは認められない(同頁)。 したがって、降下火砕物検討チームの会合における専門家の発言内容をもって、令和元年火山ガイドが専門家の意見を正しく反映していないというこ とはできず、原告らの主張は理由がない。 9 争点4-(7)(気中降下火砕物濃度の推定に関する基準適合性判断の不合理性)について(1) 原告らは、高浜発電所1号機及び2号機における気中降下火砕物濃度は3. 78g/㎥とされているところ、より遠方にある本件原子炉施設における気中 降下火砕物濃度3.91g/㎥よりも小さくなっており、このような結果となったのは、参加人が粒径の大きな火山灰の割合が大きくなるように恣意的で非保守的な計算方法を用いているからであると主張する。 しかしながら、別紙14火山ガイドの概要2(3)のとおり、3.1の手法は、降灰継続時間を24時間として、粒径ごとの堆積速度と終端速度から算出さ れる粒径ごとの気中濃度の総和を気中降下火砕物濃度として求めるものであ り、終端速度からすれば降下までに24時間以上を要する降下火砕物であっても24時間で全て降下するものとして、終端速度の遅い降下火砕物が多いと気中降下火砕物 砕物濃度として求めるものであ り、終端速度からすれば降下までに24時間以上を要する降下火砕物であっても24時間で全て降下するものとして、終端速度の遅い降下火砕物が多いと気中降下火砕物濃度が大きくなる計算方法であるため、大山から遠方に位置して小さい粒径分布が多くなる本件原子炉施設の方が気中降下火砕物濃度が大きくなったと考えられる。このような数値は、火山からの距離によらず、 降灰継続時間を24時間として計算していることによるものであるが、終端速度によれば降下までに24時間以上を要する降下火砕物であっても降灰継続時間を24時間としてその間に全ての降下火砕物が降下するものとして計算することは、保守的な評価をするものといえるから、高浜発電所1号機及び2号機の気中降下火砕物濃度が、本件原子炉施設よりも小さな数値になっ ていることをもって、参加人が恣意的で保守的な計算方法を用いているということはできない。 (2) 原告らは、Tephra2 について、Tephra2 マニュアル(甲D259)及び萬年論文(甲D214、乙D103)等によれば、大規模な噴火のシュミレーションに適用するのは誤りである、原子力規制委員会は、Tephra2 と同様の移 流拡散モデルに基づくSPEEDI について、信頼度が不十分として利用しない方針を示しているにもかかわらず、Tephra2 を信頼するのは矛盾すると主張する。 しかしながら、Tephra2 マニュアルが、大気を水平方向の層に分け、その層の中では風速と風向が一定と仮定しており、より規模の大きい噴火や風の 変化が激しい場合には現実をうまく表現できない可能性が高い(甲D259の2・5枚目)としているとしても、上記認定事実(火山)(6)ア(エ)のとおり、最大層厚の算出に当たっては、風 噴火や風の 変化が激しい場合には現実をうまく表現できない可能性が高い(甲D259の2・5枚目)としているとしても、上記認定事実(火山)(6)ア(エ)のとおり、最大層厚の算出に当たっては、風速を1~12月の各月の平均値、風向を1~12月の各月の最頻値とするなどの基本ケースに、噴煙中高度、風速、軽石密度及び岩石密度等を修正した6つの不確かさケースを設定してシミュ レーションを行った結果、風速を平均+標準偏差とした不確かさケースのも のが最大層厚とされているのであり、風速や風向きを一定と仮定したほうが本件原子炉敷地への降下火砕物が多くなる保守的な設定といえるから(乙B130・23、24頁、乙B131・13頁)、これが現実をうまく表現できていない可能性があるとしても、本件原子炉施設の敷地における降下火砕物のシミュレーションにTephra2 を用いたことが不合理であるとはいえない。 また、萬年論文をみても、降下火砕物の堆積量を求めるために各コードによって一長一短が存在するとされており、3次元の大気場における噴煙の拡散の再現など、特定の面において、Tephra2 よりも適切なコードが存在するとしても(甲D214・174、175頁)、移流拡散モデルを基にしたTephra2 を用いて大山から相当距離の離れた位置に所在する本件原子炉敷地 における降下火砕物を求めたことが不合理であるということはできない。萬年論文には、傘型領域からの落下という重力流モデルの肝の部分がTephra2に盛り込まれていない旨の記載もある(甲D214・184、185頁)が、噴出物の分布からTephra2 に入力すべき初期パラメータを求めるというインバージョン的な使用方法における課題を指摘しているものであり、初期パラ メータを与えて噴出 ・184、185頁)が、噴出物の分布からTephra2 に入力すべき初期パラメータを求めるというインバージョン的な使用方法における課題を指摘しているものであり、初期パラ メータを与えて噴出物の分布を求めるというTephra2 の使用方法(乙C108・53頁)が不合理であるということはできない。 さらに、上記認定事実(火山)(6)ア(イ)(ウ)及び(オ)のとおり、参加人は、Tephra2 のシミュレーション結果のみに依拠して最大層厚を算定したものではなく、越畑地点におけるDNP実績層厚25㎝と大山からの越畑地点及び 本件原子炉との距離関係を踏まえて、敷地において設計に用いる降下火砕物の最大層厚を22㎝と評価したものであり、原子力規制委員会は、参加人が設定した降下火砕物の最大層厚等が、火山ガイドを踏まえたものであり、最新の文献調査及び地質調査の結果を踏まえ、降下火砕物の分布状況、不確かさを考慮した降下火砕物シミュレーション結果及び越畑地点におけるDNP の実績層厚と大山からの越畑地点及び本件原子炉までの距離関係から総合的 に評価して、適切に設定されていることから、妥当であると判断しているのであるから、原子力規制委員会は、Tephra2 により算出された最大層厚が、最新の文献調査及び地質調査の結果等を踏まえて事業者により設定された最大層厚の数値を再現できているかという観点からも確認をしており、Tephra2の技術的限界を意識した確認をしていたといえる。 また、原子力規制委員会がTephra2 と同様の移流拡散モデルを用いたSPEEDI による計算結果を使用しないこととしたのは、原子力災害発生時にいつどの程度の放射性物質の放出があるか等を把握することや気象予測の不確かさを排除することは不可能であることか デルを用いたSPEEDI による計算結果を使用しないこととしたのは、原子力災害発生時にいつどの程度の放射性物質の放出があるか等を把握することや気象予測の不確かさを排除することは不可能であることから、防護措置の判断に用いると被ばくのリスクを高めかねないという判断によるためと認められるのに対し (乙F64)、気中降下火砕物濃度については、不確実性等を有することを前提としてTephra2 を用い、上記のとおり噴煙中高度、風速、軽石密度及び岩石密度等を修正した6つの不確かさのケースを設定するなど、不確実性を考慮した保守的な用い方をしているといえるから、矛盾しているということはできない。 (3) 原告らは、参加人が計算に用いた粒径分布は実現象と比べて大きな粒径が多く、恣意的に設定されていると主張する。 しかしながら、上記認定事実(火山)(2)ア(ウ)及び(6)ア(イ)のとおり、参加人は、顕微鏡写真、Tnテフラの粒度試験、文献調査、樽前火山から156㎞離れた地点での粒径分布などを考慮して粒径を1㎜以下とし、Tephra2 の推奨値による粒径分布(乙C83・38、42頁)を用いてシミュレーションをしたと認められ、恣意的に粒径分布を大きくしたということはできない。また、Tephra2 の設定パラメータとして、噴出量、噴出物総重量、噴煙中高度、風速、風向、粒径、軽石密度、拡散係数等があるが、これらの設定根拠も恣意的であるとは認められず(乙C83・38頁)、特定の地点における 粒径分布を恣意的に高く設定できるものがあるとも認められない。 (4) 原告らは、大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループが作成した平成30年12月7日付け「火山灰の特徴について」という資料(甲D200・2頁)を基に、一般的な粒径 い。 (4) 原告らは、大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループが作成した平成30年12月7日付け「火山灰の特徴について」という資料(甲D200・2頁)を基に、一般的な粒径分布としては、およそ200㎛(概ね2~3φ)付近にピークがあるものの、100㎛以下でも相当の降灰があり得ることを示す分布図が示されているにもかかわらず、参加人は125㎛(3 φ)未満の降灰が4%程度しかないという粒径分布を用いていると主張する。 しかしながら、上記資料は、直径2㎜以下の火山灰の特徴の例示として示されているものにすぎず、火口から本件原子炉施設までの距離などを考慮して降下火砕物の粒径分布を示したものではないから、本件原子炉施設における粒径分布と単純に比較できるものではない。また、参加人は、火口での噴 出物の粒径分布として、粒径パラメータ(最大粒径1/2-10、最小粒径1/210、中央粒径1/24.5、標準偏差1/23.0)を設定し、中央粒径を約44㎛(1/24.5=4.5φ)としており(認定事実(火山)(6)ア(エ)、乙C83・38、42頁)、100㎛以下の粒径分布も相当の割合で含むものであったと認められる。 (5) 原告らは、樽前山噴火(Ta-a)、有珠山2000年噴火及び浅間山2009年噴火における粒径分布と比較して、参加人が計算に用いた粒径分布が不当に大きな粒径が多い分布になっていると主張する。 しかしながら、降下火砕物の粒径分布は、噴火規模、噴火様式、風向、風速、火口からの距離等により異なると考えられるところ、DNP規模の噴出 量の噴火は総噴出物量11㎦でVEI6相当となり、プリニー式噴火のマグマ噴火が想定される(乙D138)のに対して、樽前山噴火(Ta-a)は総噴出物量4㎦のVEI5相当のマグ DNP規模の噴出 量の噴火は総噴出物量11㎦でVEI6相当となり、プリニー式噴火のマグマ噴火が想定される(乙D138)のに対して、樽前山噴火(Ta-a)は総噴出物量4㎦のVEI5相当のマグマ噴火(乙D139)、有珠山2000年噴火は総噴出物量0.0009㎦のVEI1のマグマ水蒸気噴火(乙D140)、浅間山2009年噴火は一連の噴火によるマグマ噴出量が0.00001D REのVEI1の水蒸気噴火に近いマグマ水蒸気噴火(乙D162、164) であり、いずれも噴火規模や噴火形式がDNPとは異なっている。このように、DNPと噴火規模や噴火様式の異なる噴火の個別地点の粒径分布をもって、参加人の設定した粒径分布が不合理であるということはできない。 (6) 原告らは、浸食、風化、溶解等によって粒径の小さい微細粒子は消滅したり検出できなくなったりするため、噴火の際の実現象よりも粒径が大きい粒 子に偏っていると主張する。 この点、令和元年火山ガイドは、層厚の点では、浸食等を考慮することとしているが、粒径分布の点では浸食等の考慮を求めているとは認められず、令和2年保安規定変更認可処分の審査においても、これが考慮されたとは認められない。 しかしながら、上記2(2)エのとおり、3.1の手法又は3.2の手法により求める参考濃度は、これを超えると設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものでなく、3.1の手法及び3.2の手法にそれぞれ保守性が含まれていることも考慮すると、粒径分布の点で微細粒子の浸食等を考慮していないとしても、令和2年保安 規定変更認可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (7) 原告らは、3.1の手法について、粒子の凝集 細粒子の浸食等を考慮していないとしても、令和2年保安 規定変更認可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (7) 原告らは、3.1の手法について、粒子の凝集により、単独では地表に到達し得ない微細火砕物が凝集によって地表に到達することで、濃度が増加するという要因にもつながり得るのであり、凝集によってどの程度濃度が小さ くなるのかが定量化されない限り、保守的とみるべきではない旨主張する。 しかしながら、令和元年火山ガイドには、粒子の凝集を考慮しないこと等から、推定値が実際の降灰現象と比較して保守的な値となっていると記載されているところ(乙B118・28頁)、当該記載は、粒子の凝集によって気中降下火砕物濃度が低下することになることを捉えて、粒子の凝集を考慮し ない3.1の手法で算出した推定値が、実際の降灰現象と比較して保守的な 値となる旨を記載したものということができ、凝集を考慮しないことをもって保守的でないということはできない。 また、3.1の手法は、原子力発電所の敷地における降灰量の全量が降灰継続時間中に降下するものと仮定して気中濃度を推定するものであり、地表に到達し得ない微細火砕物が凝集によって地表に到達することで気中降下火 砕物濃度が増加するという要因が考慮されていないということはできない。 (8) 原告らは、3.2の手法における「原子力発電所への影響が大きい観測値に基づく気象条件」の意味は明確ではなく、基本ケースとして風速又は風向を平均値又は最頻値と設定したとしても、敷地への影響が最悪となる気象条件を設定したことにはならず、保守的な評価となるとは限らないと主張する。 しかしながら、参加人は、3.2の手法により気中降下火砕物濃度の推定値を算出しているもの 地への影響が最悪となる気象条件を設定したことにはならず、保守的な評価となるとは限らないと主張する。 しかしながら、参加人は、3.2の手法により気中降下火砕物濃度の推定値を算出しているものではないから、3.2の手法の不合理性の主張は令和2年保安規定変更認可処分との関係では主張自体失当である。 (9) 以上によれば、令和2年保安規定変更認可処分に係る気中降下火砕物濃度の推定手法の不合理性に関する原告らの主張はいずれも理由がなく、この点 に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 10 争点4-(8)(非常用DGの機能喪失(フィルタ交換の実効性)に関する基準適合性判断の過誤、欠落)について(1) 原告らは、非常用DGの機能維持のための対策について、参加人及び被告 は、非常用DGのフィルタの基準捕集容量到達までの時間の計算根拠についてすべてを明らかにしておらず、その評価の妥当性について判断できないと主張する。 しかしながら、後掲各証拠によれば、本件原子炉施設の非常用DGのフィルタ取替の目安となる基準捕集容量は、参加人によって実施されたフィルタ 性能試験の結果等に基づき算出されたものであり(乙C56・通しページ1 43、144頁)、基準捕集容量や最大捕集容量は、試験濃度、試験風速及び閉塞時間の積により求められるところ、参加人は、試験濃度はDNP規模の噴火による気中降下火砕物濃度(2.63g/㎥)を、試験風速は非常用DGの吸気流量が最大となる定格出力時の吸気流量(2.3m/s)を、閉塞時間はフィルタ性能試験の結果(200分)をそれぞれ用いた上で、最大捕集容 量を7万2588g/㎡と算出し、この結果に基づき、保守的に万単位未満を切り捨てて、基準捕集容量とし 3m/s)を、閉塞時間はフィルタ性能試験の結果(200分)をそれぞれ用いた上で、最大捕集容 量を7万2588g/㎡と算出し、この結果に基づき、保守的に万単位未満を切り捨てて、基準捕集容量として5万g/㎡を設定した(乙C56・通しページ139~141、143、144頁)と認められ、その設定方法に不合理な点があるとはいえない。 (2) 原告らは、フィルタ性能試験の結果を踏まえ、基準捕集容量到達までの時 間を計算しているが、フィルタ性能試験はTephra2 による粒径分布の計算結果となるよう粒径調整をした火山灰を用いて行われており、Tephra2 による数値シミュレーションには不確実性が大きく、実際の火山灰とは異なるから、様々な粒径分布の火山灰を用いて保守的な数値を採用すべきであると主張する。 しかしながら、参加人のTephra2 に係る粒径パラメータの設定等が不合理とはいえないことは上記9(2)~(6)で説示したとおりであり、これを理由としてフィルタの性能に疑義があるということはできない。 (3) 原告らは、フィルタの取替及び清掃に要する時間は、全く検証等のされていないいい加減な数値が用いられている可能性が高い、大量の降灰がある状 況において、訓練時と同様の作業ができるか疑わしく、かかる人的対応ができなくても、少なくとも20~30時間非常用DGが機能喪失しないような設計がなされなければならないなどとと主張する。 しかしながら、上記認定事実(火山)(5)イ(イ)dのとおり、改良型フィルタの取付け、取替・清掃について作業の成立性が確認されており(乙C14 2)、資機材として、既存の資機材(スコップ、マスク、ヘッドライト及びゴ ーグル等)に加え、必要な道具を配備するとともに、作業性を確保するため の成立性が確認されており(乙C14 2)、資機材として、既存の資機材(スコップ、マスク、ヘッドライト及びゴ ーグル等)に加え、必要な道具を配備するとともに、作業性を確保するための防護具(マスク、ゴーグル)の数を増やすなど、大量の降灰のある状況を想定した対策がされている。 また、炉規法等において、人的対応ができなくても、少なくとも20~30時間非常用DGが機能喪失しないような設計が求められているということ はできず、上記認定事実(火山)(5)イ(ウ)、(エ)及びウのとおり、非常用DGが機能停止した場合も想定して電源車等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求め、さらに、代替電源設備が機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合における原子炉の炉心損傷の防止を求めることが要求され、この確認もされている。 したがって、人的対応の不確実性に関する原告らの主張は理由がない。 11 火山に関する争点のまとめ以上のとおり、火山に関して、現在の科学技術水準に照らせば、本件設置変更許可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があったというべきであるが、その後に本件バックフィット命令を経てされた令和3年設置変 更許可処分について、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分が違法であるとはいえない。 また、令和2年保安規定変更認可処分についても、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程 また、令和2年保安規定変更認可処分についても、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、令和2年保安規定変更認可処分が無効であるということはできない。 第9 当裁判所の判断(中性子照射脆化に関する争点) 1 認定事実(中性子照射脆化)(1) 運転期間延長認可に関する規制の概要ア炉規法43条の3の32第4項において運転期間の延長の認可の申請に当たり定めることとされている原子力規制委員会規則は、実用炉規則113条である。 同条で要求される申請書及び申請書に添付されるべき書類に 係る記載内容等の詳細は、運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55)の定めによる。 運転期間延長認可申請運用ガイドは、実用炉規則113条2項1号の「申請に至るまでの間の運転に伴い生じた原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検」(特別点検)の実施時期並びにその対象となる機器・ 構造物、対象の部位、着目する劣化事象及び点検方法等を示しているが、運転期間延長認可申請書の記載に係る要件の技術的内容は、運転期間延長認可申請運用ガイドの規定に限定されるものではなく、実用炉規則に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、実用炉規則に適合するものと判断される。(乙B55・1頁) イ運転期間延長認可に係る審査基準等の概要(ア) 炉規法43条の3の32第5項において運転期間延長認可の申請に対する審査における基準として定めることとされている原子力規制委員会規則は、実用炉規則114条である。同条は、上記認可の基準として、「延長しようとする期間において、 において運転期間延長認可の申請に対する審査における基準として定めることとされている原子力規制委員会規則は、実用炉規則114条である。同条は、上記認可の基準として、「延長しようとする期間において、原子炉その他の設備が延長しようと する期間の運転に伴う劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合」することを要求している。 そして、実用炉規則114条の要求事項への適合性審査をするに当たって確認すべき事項をまとめたものとして、運転期間延長審査基準(乙B10)が定められており、上記基準の要求事項(運転延長)を満たせ ば、上記実用炉規則114条における要求事項を満たすことになる。 (イ) 運転期間延長審査基準は、審査に当たって確認すべき事項として、①運転期間延長認可の時点において、当該時点において適用されている炉規法43条の3の14の技術上の基準(技術基準規則)に適合させるために必要となる同法43条の3の9及び同条の3の10に掲げる工事の計画が全てこれらの規定に基づく認可等の手続により確定していること、 ②実用炉規則113条2項2号に掲げる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価(劣化状況評価)の結果、延長しようとする期間において、同評価の対象となる機器・構造物が運転期間延長審査基準記載の表に掲げる要求事項(運転延長)に適合すること、又は同評価の結果、要求事項(運転延長)に適合しない場合には同項3号に掲げる延 長しようとする期間における原子炉その他の設備についての保守管理方針の実施を考慮した上で、延長しようとする期間において、要求事項(運転延長)に適合することを定めている。上記②については、これに適合しない場合であっても、それが技術的な改良、進歩等を反映したものであって、運転期間延長審査基 長しようとする期間において、要求事項(運転延長)に適合することを定めている。上記②については、これに適合しない場合であっても、それが技術的な改良、進歩等を反映したものであって、運転期間延長審査基準を満足する場合と同等又はそれを上回る 安全性を確保し得ると判断される場合には、これを排除するものではないこととされている。(乙B10・1頁)(ウ) 上記の運転期間延長審査基準の要求事項(運転延長)②にいう実用炉規則113条2項2号における延長しようとする期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価(劣化 状況評価)の結果が記載された書類(劣化状況評価書)は、運転期間延長に係る認可の申請書に添付される(実用炉規則113条2項柱書及び同項2号)。 そして、運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・5頁)において、劣化状況評価書の記載内容について評価の対象とする機器・構造物 及び評価手法は、実用炉規則82条2項に規定する運転開始後40年を 迎える発電用原子炉に係る発電用原子炉施設についての経年劣化に関する技術的な評価におけるものと同様とされており、この実用炉規則82条2項に規定する運転開始後40年を迎える発電用原子炉に係る発電用原子炉施設についての経年劣化に関する技術的な評価を含む高経年化技術評価の審査に当たっては、内規として高経年化対策実施ガイド(乙B 56)及び高経年化対策審査ガイド(乙B57)が存在する。高経年化技術評価(劣化状況評価)審査の概要は、別紙15高経年化技術評価(劣化状況評価)審査の概要のとおりである。 また、運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・5頁)は、特に運転期間延長認可申請に伴うものとして評価を行い、その結果の記載が 求められる事項と 劣化状況評価)審査の概要のとおりである。 また、運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・5頁)は、特に運転期間延長認可申請に伴うものとして評価を行い、その結果の記載が 求められる事項として、①特別点検の結果を踏まえた劣化状況評価、②運転開始後30年を経過する日から10年以内のできるだけ遅い時期に取り出した監視試験片の試験結果、③加圧水型軽水炉に係る上記②の試験結果に基づく健全性評価等における以下の事項(監視試験片の中性子照射量に相当する運転経過年数を算出すること、照射脆化の将来予測を 伴わない実測データに基づく評価及び照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価(本件保守性条項)、原子炉容器炉心領域内表面から深さ10㎜の部位における破壊靭性値を用いた加圧熱衝撃評価)、④技術基準規則に定める基準に照らした評価を定めている(同3. 2(1))。 (2) 中性子照射脆化に係る規制ア概要(ア) 中性子照射脆化とは、原子炉容器等の材料が中性子の照射を受けて微細な組織変化が生じ、粘り強さを失い脆くなり、延性(物体が、弾性限界を超えて、破壊されずに引き延ばされる性質)や破壊靭性(衝撃試験 等から求められた、力に対して材料が破壊されずに耐えられる性質)が 低下する現象をいう。(乙E16・3頁)上記(1)のとおり、炉規法43条の3の32第5項において運転期間延長認可の申請に対する審査における基準として定めることとされている実用炉規則114条は、上記認可の基準として、「延長しようとする期間において、原子炉その他の設備が延長しようとする期間の運転に伴う劣 化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合」することを要求しており、技術基準規則における中性子照射脆化に関する規定として、同 おいて、原子炉その他の設備が延長しようとする期間の運転に伴う劣 化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合」することを要求しており、技術基準規則における中性子照射脆化に関する規定として、同規則14条及び22条が定められている。 (イ) 技術基準規則14条2項は、安全設備は、設計基準事故時及び当該事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その機能を発 揮することができるよう施設しなければならないと規定し、同条についての技術基準規則解釈の4項(乙B9・29、30頁)は、安全設備のうち供用期間中において中性子照射脆化の影響を受ける原子炉容器にあっては、JEAC4206-2007 の規定に、技術基準規則解釈の別記-1の要件を付したものに掲げる、破壊靭性の要求を満足することとしている。 なお、技術基準規則解釈の別記-1記載の技術基準規則とJEAC4206- 2007 との対応表には、JEAC4206-2007 の附属書Dは記載されていない。 (乙B9・1、2頁)また、技術基準規則14条についての技術基準規則解釈の4項(乙B9・29、30頁)は、破壊靭性の評価のために監視試験を行うに当た っては、JEAC4201-2007 シリーズの規定に、技術基準規則解釈の別記-6の要件を付したものによることを示している。 (ウ) JEAC4201-2007 シリーズは、日本電気協会が、原子力施設の安全性と信頼性を確保する観点から、その設計、建設、運転等において実現することが適切と考えられる技術及び技術的活動の仕様について定める電気 技術規程のうち、発電用軽水炉原子炉圧力容器用鋼材の中性子照射によ る機械的性質の変化を定期的に調査し評価するための監視試験方法について規定したものとして、昭和45年10 る電気 技術規程のうち、発電用軽水炉原子炉圧力容器用鋼材の中性子照射によ る機械的性質の変化を定期的に調査し評価するための監視試験方法について規定したものとして、昭和45年10月、米国の原子力規制に取り入れられているASME・E185-66「軽水炉圧力容器の監視試験のための標準実施要領」を参考にJEAC4201 を作成し、その後、改定してきたものであり、JEAC4206-2007 は、日本電気協会が、原子力発電所に設置する機 器を構成する材料の破壊靭性の妥当性を確認する試験方法及び合格基準等について規定したものとして、昭和48年2月、ASMECodeSectionⅢを参考に、JEAC4206-2007 の前身となる規程を作成し、その後、JEAC4206- 2007 へと改定してきたものである。(乙E21・3、4枚目、乙E23・2、3枚目、乙E154・2枚目、乙E155・2枚目) そして、後述するとおり、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007のような民間規格を規則等に引用するに当たっては、規制機関が、専門家の意見を踏まえ、適用可能性について技術評価を行うのが一般的であり、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 についても、原子力安全・保安院及び原子力規制委員会によって技術評価が実施され、その評 価結果を示した技術評価書が作成されている。(乙B58、乙E19、20)(エ) 技術基準規則22条は、監視試験を実施するための監視試験片に係る要求事項を規定する。 技術基準規則22条の解釈2(乙B9・61頁)は、同条に適合する 監視試験片について、既存プラントについては、施設時に適用された一定の告示による監視試験片が設置されていることとしてお する。 技術基準規則22条の解釈2(乙B9・61頁)は、同条に適合する 監視試験片について、既存プラントについては、施設時に適用された一定の告示による監視試験片が設置されていることとしており、通商産業省「発電用原子力設備に関する構造等の技術基準」(昭和45年告示)適用プラントについては同告示75条の規定によることとしている。 昭和45年告示75条(乙B170)は、監視試験片を採取する試験 材は、中性子による照射領域にある容器の材料と同等の製造履歴を有す るものであることとしている。 (オ) 運転期間延長認可申請に対する審査において、実用炉規則114条の要求事項への適合性審査をするに当たって確認すべき事項をまとめた内規である運転期間延長審査基準(乙B10・2頁)は、中性子照射脆化の項目における加圧熱衝撃評価に関する要求事項(運転延長)として、 加圧熱衝撃評価の結果、原子炉容器の評価対象部位において静的平面ひずみ破壊靭性値(原子炉容器の炉心近くの内面〔原子炉容器の評価対象部位〕において原子炉容器が耐えられる力)が応力拡大係数(加圧熱衝撃による力)を上回ることを要求する。 これを満たすことにより、技術基準規則14条2項の原子炉容器に係 る要求の一部(加圧熱衝撃評価に係るもの)が満たされることになる。 (カ) 実用炉規則113条2項1号は「申請に至るまでの間の運転に伴い生じた原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検の結果を記載した書類」を提出することを求めており、特別点検の実施を要求している。 上記の点検方法等を示した運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・2頁)においては、原子炉容器の中性子照射脆化に係る特別点検について、炉心領域全体の母材及び溶接部に対し、超音波探傷試験による 上記の点検方法等を示した運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・2頁)においては、原子炉容器の中性子照射脆化に係る特別点検について、炉心領域全体の母材及び溶接部に対し、超音波探傷試験による欠陥の有無の確認をすることを示している。 イ中性子照射脆化に係る審査のうち加圧熱衝撃評価に係る評価手法 (ア) 加圧熱衝撃(PTS)とは、PWRにおける加圧された運転状態において、事故の際にECCS(非常用炉心冷却系)の作動に伴う冷却水の炉内注入により原子炉圧力容器が急激に冷却され、原子炉圧力容器内外間の温度差により高い引張り応力が容器内面に発生する事象をいい、関連温度とは、高温側では柔らかく粘り強く、低温側では硬く脆くなると いう、鋼材の持つ性質が変化する指標となる温度をいう。(乙E16・2 2、30頁)(イ) 関連温度の上昇量の予測についてa 引用されている民間規格の概要JEAC4201-2007 シリーズは、関連温度の上昇量(移行量)の予測に係る評価手法として、監視試験によって得られたデータに基づき、当 該監視試験に使用された監視試験片の関連温度の上昇量を評価し、更に国内脆化予測法によって将来の関連温度上昇量を予測(いわゆる予測式による予測)する手法を規定している。上記のとおり、原子力規制委員会は、JEAC4201-2007 シリーズの技術評価を行い、同評価書は技術基準規則解釈に引用されている。 (乙B9、58、乙E19、20) b 監視試験について(a) 監視試験は、原子炉容器の発電用軽水型原子炉構造材がその供用期間中(原子力発電所の商業運転開始試行、商業運転終了までの期間)に受ける中性子照射によって変化する関連温度等の性質について、その変化を計画的に調査し、評価するための手法で 型原子炉構造材がその供用期間中(原子力発電所の商業運転開始試行、商業運転終了までの期間)に受ける中性子照射によって変化する関連温度等の性質について、その変化を計画的に調査し、評価するための手法である。(乙E 21・1、2頁)監視試験の実施のために、原子炉容器の製造時に、その原子炉容器を製造した鋼材の一部から、監視試験片を作製する。監視試験カプセルには、監視試験片(破壊靭性試験片、シャルピー衝撃試験片及び引張試験片等)が格納されており、同監視試験カプセルに収納 された監視試験片は、原子炉容器の内部に設置される。その設置位置は、原子炉容器の内壁よりも、中性子が照射される炉心に近いため、監視試験片は、原子炉容器より多く中性子が照射される。(乙E16・30頁)JEAC4201-2007 は、溶接熱影響部(HAZ)試験片について、一 般に、溶接熱影響部は溶接時に加熱・急冷され、その後の溶接後熱 処理により再加熱されるため、材料の焼入れ・焼戻しと同様の熱履歴が付与されることから、母材よりも良好な破壊靭性を示す傾向にあるなどとして、HAZは母材で評価を代表できるので国内脆化予測法ではHAZの脆化予測法は規定していないとする。(乙E21・解4) (b) 引張試験について引張試験とは、金属材料を両端から引っ張るように力を加え、当該金属材料が、どの程度の力でどの程度延びるか、どの程度の力で破断するか等の性質を調査するための試験であり、JEAC4201-2007では、日本工業規格JIS・Z・2441(1998)「金属材料引張試験方法」 が採用されている。(乙E21・8頁)JEAC4201-2007 は、衝撃試験又は落重試験以外の破壊靭性試験の試験方法及びその試験片については、各国で適用されてい 「金属材料引張試験方法」 が採用されている。(乙E21・8頁)JEAC4201-2007 は、衝撃試験又は落重試験以外の破壊靭性試験の試験方法及びその試験片については、各国で適用されている規格の調査結果を踏まえて、JEAC4206-2007 の附属書Dに概要が記載されているので、監視試験において破壊靭性試験を実施する場合にはこ れを参照するとしており、JEAC4206-2007 の附属書Dには、複数の規格ごとの試験片形状が記載されているが、WOL 試験片は記載されていない。(乙E21・解4、乙E23・附D1~5)(c) 衝撃試験について衝撃試験とは、金属材料に衝撃を与え、金属材料が破断するまで にどの程度のエネルギーを吸収するか等の性質を調査するための試験であり、JEAC4201-2007 においては、日本工業規格JIS・Z・2242(2005)「金属材料のシャルピー衝撃試験方法」又はASTME23-06“StandardTestMethodsforNotchedBarImpactTestingofMetallicMaterials”が採用されている。(乙E21・8頁) c 監視試験による関連温度の上昇量の予測手法 監視試験においては、監視試験片に照射された中性子の照射量を評価する。監視試験片は、原子炉容器の鋼材の中性子照射脆化に係る将来の状態を表しているものとなっており、監視試験片の配置に係る原子炉の設計によって異なるものの、監視試験片の中性子照射量は、PWRでは、原子炉容器内面の位置に換算すると、最新実績で約1.3 ~4.4倍程度である。(乙B58・4頁)関連温度の上昇量(ΔRTNDT)を評価するには、中性子照射前の監視試験片によるシャルピー衝撃試験 子炉容器内面の位置に換算すると、最新実績で約1.3 ~4.4倍程度である。(乙B58・4頁)関連温度の上昇量(ΔRTNDT)を評価するには、中性子照射前の監視試験片によるシャルピー衝撃試験において、吸収エネルギーが41Jとなる温度と、中性子照射後の監視試験片によるシャルピー衝撃試験において、吸収エネルギーが41Jとなる温度の差を測定する。 この温度差が、関連温度の上昇量(ΔRTNDT実測値)となる。(乙E21・2頁)d 国内脆化予測法について(a) 監視試験により評価した関連温度上昇量は、監視試験片の中性子照射量に相当する運転年数経過時の関連温度上昇量である。監視試 験の結果には、ばらつきが存在するため、そのようなばらつきを踏まえて関連温度上昇量を保守的に評価する手法として、JEAC4201- 2007 シリーズにおいては、国内脆化予測法による予測手法が規定されている。また、当該予測手法を用いることによって、任意の運転年数時点での関連温度上昇量も評価することができる。国内脆化予 測法は、予測式により関連温度の上昇量の予測値(ΔRTNDT予測値)を算出するものである。(乙E21・附B-1)(b) 国内脆化予測法による関連温度の上昇量の予測手法イ ΔRTNDT予測値は、ΔRTNDT計算値にMR(マージン。予測値に保守性をもたせるための余裕分。)を加えたものとなり、 JEAC4201-2007 は別紙16数式目録10-1、JEAC4201-2007 [2013]は別紙16数式目録10-2の予測式により算出する。 (乙E21、22)予測式におけるΔRTNDT計算値を算出するための式があり、その式の元となる基本モデル式がある。基本モデル式は、脆化に影響するクラスター(脆化に影響する領域 式により算出する。 (乙E21、22)予測式におけるΔRTNDT計算値を算出するための式があり、その式の元となる基本モデル式がある。基本モデル式は、脆化に影響するクラスター(脆化に影響する領域のこと)が形成される までの複雑なプロセスを、単純化したプロセス(基礎過程)に立脚した比較的簡単な数式として近似した形で示すものとされている。(乙B58、乙E16・12頁)ロ国内脆化予測法によるΔRTNDT計算値には、中性子照射量や銅(Cu)やニッケル(Ni)といった化学成分の含有量等のパラメ ータが必要となるが、JEAC4201-2007 シリーズにおいては、そのパラメータを少しずつ変更して計算した結果を記載した表(附属図表B-2100-1 及びB-2100-2)が掲載されており、その表を基にして、ΔRTNDT計算値を算出することとしている。これは、2002年より前の脆化予測法の多くは、脆化に影響があると考えら れる材料条件や照射条件と脆化量との単なる相関性に基づいて設定されていたのに対し、照射材に対する微視的観察(3次元アトムプロープ、陽電子消滅法、透過型電子顕微鏡等)の調査結果等に基づき、脆化メカニズムを考慮して策定されたものである。(乙E21、22・44頁) ハ ΔRTNDT予測値に保守性をもたせるために、マージン(MR)が設定されている。マージン(MR)は、JEAC4201-2007[2013]に改正するに当たり、監視試験によるΔRTNDT実測値が2個未満の場合、20℃から22℃へ、監視試験によるΔRTNDT実測値が2個以上の場合、10℃から18℃へ変更された。また、監視 試験によるΔRTNDT実測値が、ΔRTNDT予測値を上回った場 合は、実測値を包絡するようにMRを定め直すこ T実測値が2個以上の場合、10℃から18℃へ変更された。また、監視 試験によるΔRTNDT実測値が、ΔRTNDT予測値を上回った場 合は、実測値を包絡するようにMRを定め直すこととしている。MRは、標準材を除く監視試験材のデータを対象に求めた予測誤差(ΔRTNDT計算値-ΔRTNDT実測値)の標準偏差の原則2倍とするものである。仮に、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回ることになれば、得られたデータによる国内脆化予測法への 影響を評価する必要があるため、原子力規制委員会は、JEAC4201- 2007 シリーズの策定者である日本電気協会に対し、当該データによる国内脆化予測法への影響を評価した結果を報告することを求めている。(乙B58・62頁、乙E21、22)ニ JEAC4201-2007[2013]においては、関連温度移行量の予測式の 係数の算出において、JEAC4201-2007 から平成19年以降に得られた監視試験片20点(中性子照射量が5×1019n/c ㎡以上の12点を含む。)、PWR標準材9点、試験炉照射材38点のデータを追加した。(乙B58・10頁)(ウ) 破壊靭性の確認 a 引用されている民間規格の概要JEAC4206-2007 は、破壊靭性の確認試験方法を示しており、これについて、原子力安全・保安院及びJNESが、技術的検討を行って技術評価書を作成し、同評価書は技術基準規則解釈に引用されている。 (乙B9・29頁、乙E20・1頁、乙E23) b 原子炉容器の加圧熱衝撃に係る評価手法(a) 原子炉容器の加圧熱衝撃に係る評価手法の概要原子炉容器の加圧熱衝撃(PTS)に係る評価手法は、まず、最大仮想欠陥最深部における加圧熱衝撃による応力拡大係数(加圧熱衝 衝撃に係る評価手法(a) 原子炉容器の加圧熱衝撃に係る評価手法の概要原子炉容器の加圧熱衝撃(PTS)に係る評価手法は、まず、最大仮想欠陥最深部における加圧熱衝撃による応力拡大係数(加圧熱衝撃による力)と金属材料の温度との関係の時間推移を示すPTS 状態遷移曲線を設定し、また、中性子照射による金属材料の関連温 度の上昇量から、中性子照射による金属材料の破壊靭性の移行量を計算し、破壊靭性と金属材料の温度との関係を示す破壊靭性遷移曲線を設定する。その際、最大仮想欠陥として、原子炉圧力容器炉心領域内表面に深さ10㎜、長さ60㎜の軸方向の半楕円表面欠陥を想定する。(乙E23・附C-3、4) そして、PTS状態遷移曲線及び破壊靭性遷移曲線を1つのグラフに示し、PTS状態遷移曲線と破壊靭性遷移曲線が交差しなければ、加圧熱衝撃による力が破壊靭性値を超えないということであるため、PTS事象に対して原子炉容器が健全であると評価する。(乙E23・附C-4、5) (b) 破壊靭性遷移曲線の設定イ中性子照射脆化後の破壊靭性遷移曲線を設定するには、まず、監視試験による破壊靭性値(KⅠc)(照射されていないもの及び照射されたものを含む。)を実測する。その上で、監視試験結果等から、プラント評価時期(例えば、運転開始後60年など)におけ るΔTKⅠc(破壊靭性値の移行量)を計算し、ΔTKⅠcだけ破壊靭性値を高温側に平行移動し、その点を包絡する線(下限包絡線)を描くことで、中性子照射脆化後の破壊靭性遷移曲線が設定される。この破壊靭性遷移曲線は、破壊靭性試験により得られた全ての破壊靭性試験値について、予測値を下限包絡するように別紙1 6数式目録11記載の式を設定して得る。(乙E23・附C-4、5)ΔT 。この破壊靭性遷移曲線は、破壊靭性試験により得られた全ての破壊靭性試験値について、予測値を下限包絡するように別紙1 6数式目録11記載の式を設定して得る。(乙E23・附C-4、5)ΔTKⅠcは、監視試験回数が1回以下の場合と2回以上の場合で求め方が異なり、別紙16数式目録12の式により算出する。 この式は、破壊靭性値の移行量が、関連温度の上昇値に、不確か さを考慮するためのマージン(σΔ)を追加したものであることを 示している。(乙E23・附C-4)技術基準規則解釈(乙B9・別記-1)は、JEAC4201-2007 シリーズを適用するに当たっては、このマージン「σΔ」を、「2σΔ」と読み替えることを要求している。 ロ諸外国における破壊靭性遷移曲線の設定手法との比較 米国、フランス及びドイツの規制基準における破壊靭性遷移曲線の設定手法は、運転開始前に行う落重試験及びシャルピー衝撃試験から得られる関連温度RTNDTと、監視試験カプセルに装荷され中性子照射を受けたシャルピー衝撃試験片から得られる関連温度移行量ΔRTNDTを基に破壊靭性遷移曲線を設定するという ものであり、同曲線の設定に当たって破壊靭性値KIcは使用されていない。(乙E60・8、9頁)(c) PTS状態遷移曲線の設定イ PTS状態遷移曲線は、①熱水力解析、②熱伝導解析、③応力解析及び④応力拡大係数KⅠの解析の各過程を経て設定される。 (乙E23・附C-2、3、10)ロ ①熱水力解析熱水力解析とは、解析コードを用いて1次冷却材温度・圧力等の時間変化を解析することを意味する。具体的には、主蒸気管破断事故、小破断LOCA又は大破断LOCAが起こり、これらの 事故に対応して原子炉容器内へECCSから低温の非常 次冷却材温度・圧力等の時間変化を解析することを意味する。具体的には、主蒸気管破断事故、小破断LOCA又は大破断LOCAが起こり、これらの 事故に対応して原子炉容器内へECCSから低温の非常用冷却水が注入されることによって加圧熱衝撃が生ずるという具体的なPTS事象を選定し、選定されたPTS事象に対して、熱水力解析を行って、原子炉容器内表面での1次冷却材(1次冷却水のほか、ECCSから原子炉容器や1次冷却設備内に注水される非常用冷 却水を含む。)の温度、圧力及び流量の時間変化を設定する。(乙 E23・附C-2、3)ハ ②熱伝導解析について熱伝導解析とは、冷却水と原子炉容器内表面との間における熱の移動と原子炉容器内表面より内部の鋼材の温度分布に係る解析である。熱伝導解析により、原子炉容器内表面における熱伝達率 を用いて、同内表面より内部の鋼材の温度分布を評価する。この熱伝導解析においては、PTS状態遷移曲線の横軸(温度)が算出される。この原子炉容器内表面における熱伝達率は、JF式で評価する。(乙E23・附C-3)ニ ③応力解析について 応力解析とは、内圧による膜応力及び熱応力の時間変化の解析である。①の熱水力解析により得られた圧力の時間変化及び②の熱伝導解析により得られた原子炉容器内表面より内部の鋼材の温度分布の時間変化に基づいて応力解析を行う。(乙E23・附C-3) ホ ④応力拡大係数の解析について応力拡大係数の解析とは、③応力解析により設定された原子炉容器内表面の応力分布に基づいて、最大仮想欠陥最深部での応力拡大係数KⅠを算出することであり、最大仮想欠陥最深部での温度と時間、最大仮想欠陥最深部での応力拡大係数KⅠと時間の関 係に基づき、横軸を最大仮想欠陥最深部の いて、最大仮想欠陥最深部での応力拡大係数KⅠを算出することであり、最大仮想欠陥最深部での温度と時間、最大仮想欠陥最深部での応力拡大係数KⅠと時間の関 係に基づき、横軸を最大仮想欠陥最深部の温度、縦軸を応力拡大係数KⅠとして、PTS事象時の応力拡大係数KⅠと温度の時間推移を示すPTS状態遷移曲線を設定する。(乙E23・附C-3)(d) 原子炉容器の加圧熱衝撃に係る健全性の評価方法最大仮想欠陥最深部におけるPTS状態遷移曲線及びプラント評 価時期に対応する破壊靭性遷移曲線を最大仮想欠陥深部の温度で比 較し、両者が交差しないことを確認する。(乙E23・附C-4)cPTS事象について(a) JEAC4206-2007 は、PTS事象として具体的な事象が特定されない場合には、主蒸気管破断事故、小破断LOCA及び大破断LOCAを対象とする。大破断LOCA時は、大気圧状態となるため、厳 密にはPTS事象ではないが、1次冷却材温度の低下が最大となることから、PTS事象とされている。 (乙E23・附C-2、解26)主蒸気管破断事故とは、PWRにおいては、蒸気発生器内において2次冷却水から発生した蒸気をタービンに送る管(主蒸気管)が瞬時に両端破断する事故をいい、小破断LOCAは、破断が小規模 で1次冷却水の喪失が比較的緩やかに生ずることが想定される事故をいい、大破断LOCAとは、1次冷却水系の配管のうち低温側配管などの主冷却材管が破断し、1次冷却水が系外に流出することを想定した事故をいう。このうち、大破断LOCAは、高温の1次冷却水で満たされることにより高温となっていた原子炉容器が非常用 冷却水の注入により急激に冷却されることになるため、PTS事象の中においても、原子炉容器内表面に最も急激な温 CAは、高温の1次冷却水で満たされることにより高温となっていた原子炉容器が非常用 冷却水の注入により急激に冷却されることになるため、PTS事象の中においても、原子炉容器内表面に最も急激な温度変化(冷却)が生ずる事故であり、原子炉容器内表面に発生する引張応力が最も大きくなり、PTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線に最も接近することが想定される事故である。(乙E62・5頁) (b) 大破断LOCAの初期段階は、①破断した配管から原子炉容器内の1次冷却水が急速に流出して炉心が空焚きになる「ブローダウン」、②ECCSが多量の非常用冷却水の注水を開始する「リフィル」、③原子炉容器のダウンカマー部を満たして炉心の底部から徐々に水位が上昇し、原子炉容器内が非常用冷却水で満たされることにより炉 心が冷却されていく「再冠水」の過程を経て進行する。(乙E62・ 5頁)①ブローダウン過程は、原子力発電所の定格出力運転中に、約290℃の高温の1次冷却水を蒸気発生器から原子炉容器へ還流する低温側配管の1本が破断することで開始する。このとき、低温側配管には2つの破断口が生じ、約155気圧の原子炉容器から大気圧 の原子炉格納容器へ高温(約290℃)の1次冷却水が激しく噴出する。原子炉容器内の1次冷却水は大部分が破断口から原子炉格納容器へ流れ去り、1次冷却水の喪失により、配管が破断した直後に炉心は空焚き状態となる。炉心には制御棒が自動挿入されて核分裂反応は停止するが、核燃料は高い崩壊熱が継続する中で、冷却材の 喪失に伴い炉心の冷却能力が著しく低下するため、燃料棒温度が急速に上昇していく。このブローダウン過程は破断後13秒前後の短時間で終了する。(乙E62・6頁)②リフィル過程は、原子炉容器内の圧力が約45気圧に 心の冷却能力が著しく低下するため、燃料棒温度が急速に上昇していく。このブローダウン過程は破断後13秒前後の短時間で終了する。(乙E62・6頁)②リフィル過程は、原子炉容器内の圧力が約45気圧に低下すると、ECCSの1つである蓄圧注入系から低温側配管へ、窒素ガス で加圧された大容量の非常用冷却水の注水が開始する。そのとき、原子炉容器内では依然として蒸気等が破断口に向かって高速で流れており、非常用冷却水は注入の初期には大部分が破断口から流れ出す。原子炉容器のダウンカマー部では、破断口へ向かう強い上向きの蒸気の流れが生じ、非常用冷却水が落下できないため、炉心は高 温の状態が継続する。その後、圧力の低下とともに破断口から流れ出す水流の勢いは弱まり、大容量の非常用冷却水の注水によってダウンカマー部は一気に満水となる。リフィル過程は、破断後30秒前後にて終了する。炉心では下端から冷却が始まり、再冠水過程へと移行する。(乙E62・6頁) ③再冠水過程において、ダウンカマー部が満水になると、ダウン カマー部の大部分には、原子炉容器内表面に沿って上向きの自然対流が生ずる。また、破断していない低温側配管の下方のダウンカマー部には、ECCSからの低温の非常用冷却水の注水による下向きの強制対流(機械的な力によって強制的に引き起こされる流れ)が生じ、その状況が長期に継続して原子炉容器の炉心を徐々に冷却し ていく。炉心では、水位が徐々に上昇して高温に加熱された炉心を冷却していき、10分(600秒)程度で炉心の上端まで水位が上昇して、再冠水過程は完了する。(乙E62・7頁)d 熱伝達率及びJF式について(a) PTS状態遷移曲線の設定過程のうちの②熱伝導解析において熱 伝達率が用いられる。 熱伝達率とは 昇して、再冠水過程は完了する。(乙E62・7頁)d 熱伝達率及びJF式について(a) PTS状態遷移曲線の設定過程のうちの②熱伝導解析において熱 伝達率が用いられる。 熱伝達率とは、鋼材と空気、又は鋼材と水といった、固体と流体のように性質が異なる2種類の物質間で熱エネルギーの伝えやすさ(伝熱)を単位面積、単位時間、単位温度差当たりの伝熱量(単位温度差当たりの熱流束密度)として表す値である。この熱伝達率は、 別紙16数式目録13のニュートンの冷却法則の式により定義され、伝熱量を求めることができる。 (b) 熱伝達率の算出方法熱伝達率は、熱が移動する流体の物性値(物体固有の密度や粘度等)や流体の流速、流路の形状等により変化する。そのため、別紙 16数式目録13のニュートンの冷却法則の式を基にして様々な条件を与えた実験を行い、多くのデータをとって熱伝達率を表すことができる式が開発された。その際、別紙16数式目録14の式が、熱伝達率を無次元数(次元指数がゼロとなる数)として表すヌッセルト数を定義する式として用いられる。ヌッセルト数を算出すれば、 別紙16数式目録14の式を用いて、流体の熱伝導率及び代表長さ から、伝熱面での熱伝達率を求めることができる。 ヌッセルト数は、流路の形状のほか、強制対流(機械的な力によって強制的に引き起こされる流れ)か自然対流(温度差に伴う密度差で生ずる浮力が原因となって起こる流れ)か、層流(乱れのない整然とした流れ)か乱流(不規則に乱れた流れ)かなど、様々な条 件を交えて実験が行われた結果、該当する条件に従ってヌッセルト数を求める評価式(実験式(実測結果からその諸量の間の関係を式の形で表したもの)を含む。)が数多く提唱されている。そのため、ある条件でのヌ を交えて実験が行われた結果、該当する条件に従ってヌッセルト数を求める評価式(実験式(実測結果からその諸量の間の関係を式の形で表したもの)を含む。)が数多く提唱されている。そのため、ある条件でのヌッセルト数を求めるには、数多くある評価式の中から、当該条件に適合する評価式(又は実験により適合が確認された 評価式)を選択して用いる必要がある。乱流の場合におけるヌッセルト数を求める式は、いずれも実験式である。 代表長さとは、現象を特徴付ける長さであり、ヌッセルト数を求める評価式において定義され、ヌッセルト数を求める評価式によって代表長さの取り方は異なってくる。(以上、弁論の全趣旨・被告第 33準備書面50~52頁)(c) JEAC4206-2007 は、1次冷却材の温度変化から原子炉圧力容器の温度変化を解析する際、原子炉圧力容器近傍で上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースの熱伝達率は、別紙16数式目録9のJF式で評価するとしている。(乙E25・附C-3) JF式は、Jackson とFewster が1977年(昭和52年)に発表した論文(Jackson,Fewster(1977))に掲載された熱伝達率の実験式であり、熱伝達実験の結果に基づき、共存対流領域(自然対流と強制対流が相互に影響し合う領域)の熱伝達相関式として提案されたものである。Jackson とFewster は、直径98.4㎜、長さ7m の垂直加熱円管を用いて、流体を水として大気圧下降流(強制対流) と自然対流の乱流複合対流の実験を行い、理論的解析を加えて評価式(JF式)を導いた(JFの研究)。 JF式は、別紙16数式目録9のとおり、共存場でのヌッセルト数を、強制乱流場でのヌッセルト数を用いて評価する式であるため、強 験を行い、理論的解析を加えて評価式(JF式)を導いた(JFの研究)。 JF式は、別紙16数式目録9のとおり、共存場でのヌッセルト数を、強制乱流場でのヌッセルト数を用いて評価する式であるため、強制乱流場でのヌッセルト数を求める必要がある。また、JF式の 原論文であるJackson,Fewster(1977)では、JF式中の代表長さとして直径を取ることが記載されている。(乙E61・5、10頁)(d) JF式について、三菱重工業が1984年(昭和59年)に発表した論文で報告された三菱の実験的研究がある。三菱の実験的研究は、等温加熱垂直二平行平板(等温に加熱された2枚の平板を、水 平面と垂直かつ2枚の平板が平行になるように設置したもの)上の強制自然複合対流熱伝達に関するものである。実験に用いられた流体は空気であり、試験部の寸法は平板高さ4m、平板幅0.6m、二平行平板間距離は0~0.25mの間で可変であり、実験で設定された二平行平板間距離は0.02m、0.1m、0.25mであ る。このうち、二平行平板間距離が0.02mと0.1mの試験部を用いた実験により、これらの試験条件の下において、強制対流が層流、乱流のいずれでも、JF式が適用可能であることを確認した。 三菱の実験的研究においては、原子炉容器のダウンカマー部流路の一部を切り出したように等温加熱垂直二平行平板が設置され、また、 二平行平板間距離(流路断面方向距離)を基に計算された相当直径を代表長さとして用いている。(乙B105、乙E61)(e) 発電設備技術検査協会は、PTS調査報告書(詳細は後述)において、JFの研究、三菱の実験的研究等の調査に基づき、JF式が国内PWRプラントに適用できることを報告した。(乙E114・1 4頁) e 、PTS調査報告書(詳細は後述)において、JFの研究、三菱の実験的研究等の調査に基づき、JF式が国内PWRプラントに適用できることを報告した。(乙E114・1 4頁) ePTS調査報告書(乙E114)について(a) PTS評価の手法については、JEAC4206-2007 の附属書Cに定められているところ、附属書Cは、原子力安全・保安院の委託を受けて発電設備技術検査協会の原子炉圧力容器加圧熱衝撃試験実施委員会(PTS合同委員会)で開発された手法を基にしたものであり、 これはPTS調査報告書において実証試験を経て記載された手法である。(乙E23・附C-1、乙E114)PTS調査報告書は、PTS状態遷移曲線と破壊靭性遷移曲線とを同一のグラフ上で比較し、両者が交差しなければ、保守的な形状の想定欠陥からき裂が進展せず、原子炉容器は破損しないという判 定基準を設定し、その妥当性を実証試験で確認したものである。実証試験は、実証試験の条件を定めるための材料試験とPTS事象の熱的条件の設定、その上で行われた実物大の試験体を用いた実証試験の準備と実施からなる。PTS調査報告書を取りまとめたPTS合同委員会の委員には、材料系、熱関係等の当時の分野を代表する 専門家が多数参画した。(乙E62、63、114)PTS調査報告書における熱衝撃解析の調査の目的は、国内PWRにおいて健全性評価の観点から想定されるPTS事象を選定し、その圧力及び温度分布の時間的変化等がどのような値になるかを安全解析的に捉えることによりPTSの程度を把握し、この結果に基 づいて破壊力学による解析の対象となる事故事象を抽出し、詳細な温度圧力解析を行って、その評価条件を設定することであり、熱伝達率の評価に当たりJF式を用いることの の程度を把握し、この結果に基 づいて破壊力学による解析の対象となる事故事象を抽出し、詳細な温度圧力解析を行って、その評価条件を設定することであり、熱伝達率の評価に当たりJF式を用いることの妥当性を調査することは含まれていなかった。(乙E114・9頁)(b) PTS調査報告書においては、JF式は強制対流の乱流時の熱伝 達率を基準として、共存場で熱伝達率が上昇する効果を示す評価式 であり、実機では強制対流及び共存場においても乱流領域にあるので、実機に適用するものと判断できるとされた。 (乙E114・14、15頁)(c) PTS調査報告書においては、破壊靭性の移行量の方が関連温度の移行量よりも若干小さくなる傾向が認められるものの、ほぼ等し い関係が成立することが認められるとして、本件等価の仮定が採用された。(乙E39、114・46~51頁)(d) PTS調査報告書においては、大破断LOCAにおける圧力、温度の変化は、0分の時点(破断発生時点)で圧力と温度が低下するものとして、27℃の非常用冷却水により冷却が開始するものとさ れている。これは、破断発生と同時に、1次冷却水の喪失による圧力低下が生じ、非常用冷却水の注水による温度低下が発生することを意味しているが、実際は、大破断LOCA時には、ブローダウン過程及びリフィル過程が30秒前後あり、ダウンカマー部は高温状態であるが、事故の発生直後から確実に冷却が開始するという想定 をし、原子炉容器内表面における温度変化及び引張応力の観点から保守的な評価をするものである。(乙E62・11、12頁、乙E99・18頁)(e) PTS実証試験においては、小型円筒容器では実機に近い応力分布等が得られないのに対し、平板試験体であれば曲げ及び引張荷重 するものである。(乙E62・11、12頁、乙E99・18頁)(e) PTS実証試験においては、小型円筒容器では実機に近い応力分布等が得られないのに対し、平板試験体であれば曲げ及び引張荷重 を負荷することで応力分布等を模擬できるとして、平板試験体が用いられた。(乙E114・99~101頁)(3) JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 に対する技術評価並びに高経年化報告書等についてア JEAC4201-2007 及びJEAC4206-2007 については平成21年8月に、 JEAC4201-2007[2010]については平成23年5月に、それぞれ原子力安全・ 保安院において技術評価が実施され、JEAC4201-2007[2013]については平成27年10月に原子力規制委員会において技術評価が実施された。 (乙B58、乙E19、20)イ原子力安全・保安院による技術評価(JEAC4206-2007、JEAC4201-2007 及び同[2010]について) (ア) 原子力安全・保安院は、原子力発電設備の技術基準における学協会規格の活用のための仕組みとして、学協会規格に対して規制上の要求を充足するものか否かの技術評価を行うこととしており、技術評価における具体的な確認事項として、技術基準やその他の法令又はそれに基づく文書で要求される性能とその項目・範囲において対応が取れること(規制 の要求範囲との整合性)、技術基準で要求される性能を達成するための必要な技術的事項については、具体的な手法や仕様が示されていること、民間規格に示される具体的な手法、仕様、方法や活動について、その技術的妥当性が証明又はその根拠が記載されていること等を挙げていた。 そして、技術評価の手続として、 体的な手法や仕様が示されていること、民間規格に示される具体的な手法、仕様、方法や活動について、その技術的妥当性が証明又はその根拠が記載されていること等を挙げていた。 そして、技術評価の手続として、学協会規格を含めた民間規格の技術評 価に当たり、JNESの協力を得て技術評価書案を作成し、関係審議会の意見を聴き、パブリックコメントを求めた上で、技術評価書を公開し、行政手続法に基づく審査基準や行政文書により、規制上の取扱いを明確に位置付けるものとし(エンドース)、その際には、技術評価の結果に基づき民間規格の活用に際しての条件を付すことがあるとしていた。 (乙E 20・1頁)(イ) 技術評価に当たり、技術事項の検討要領として、中性子照射脆化に対する安全規制は、米国が世界の先導的な役割を果たしてきており、JEAC4201-2007 及びJEAC4206-2007 も当初米国の規定を参考にして策定され、国内の研究成果等を反映して改訂されてきたことから、JEAC4201- 2007 及びJEAC4206-2007 の技術評価に当たっては、米国の現行規制と同 等であり、かつ国内外で技術的課題が顕在化していない部分については、技術的に妥当であるとし、また、米国の規制基準と相違する部分でも、国の委託研究等の成果であって学識経験者による審議を経て取りまとめられ公表されている内容を規格化している場合には、技術的に妥当であるとした。これに対し、米国の現行規制と同等ではない場合で、国等の 研究成果がないときや、国等の研究成果があっても成果に反する新知見があるときは、技術的妥当性、具体性の詳細検討が必要であるとした。 (乙E20・4頁)(ウ) JEAC4206-2007 の技術評価の結果JEAC4206-2007 におけ も成果に反する新知見があるときは、技術的妥当性、具体性の詳細検討が必要であるとした。 (乙E20・4頁)(ウ) JEAC4206-2007 の技術評価の結果JEAC4206-2007 におけるPTS状態遷移曲線の設定方法及び破壊靱性 遷移曲線の設定方法は、米国の現行規制が採用する方法と同等とはいえないものの、基本的にPTS調査報告書等の成果であって、その成果に反する知見はないので、技術的に妥当であると判断された。(乙E20・31~35、49~51頁)(エ) JEAC4201-2007 の技術評価の結果 JEAC4201-2007 におけるシャルピー衝撃試験等の監視試験方法は、米国の現行規制と同等であり、国内外で顕在化した技術的課題はないため、技術的に妥当であると判断された。(乙E20・13~15、49、50頁)JEAC4201-2007 における関連温度移行量の予測方法は、米国の現行規 制が採用する方法と同等とはいえず、また、2004年度版までの国等の研究成果に基づく予測式から、2007年度版で民間研究成果に変更したものであり、国の委託研究等の成果ではなかったとして、技術的妥当性、具体性の詳細検討を要するものと判断された。そして、JEAC4201- 2007 は、民間研究の成果を規格化したものであるが、同民間研究の成果 には、規制に適用する上で重要な予測の保守性と汎用性に関し、200 4年度版までの予測式との比較において更に確認が必要であるとして、その妥当性が確認できるまでは、国の委託研究の成果に基づく2004年度版までの国内脆化予測法による条件を付す必要があると判断された。 (乙E20・19、50頁)(オ) JEAC4201-2007[2010]の技術評価の結果 JEAC4 果に基づく2004年度版までの国内脆化予測法による条件を付す必要があると判断された。 (乙E20・19、50頁)(オ) JEAC4201-2007[2010]の技術評価の結果 JEAC4201-2007[2010]における関連温度移行量の予測(国内脆化予測法)は、銅含有量が0.16%以下の場合には、保守性、汎用性に優れた予測法であり、妥当であると判断され、銅含有量が0.16%を超える材料に対して適用する場合には、評価期間におけるRTNDT調整値について、2004年度版により得られるRTNDT調整値を下回る場合、 評価に用いるRTNDT調整値は、2004年版の関連温度移行量の予測により得られるRTNDT調整値とするとの条件を付した上で安全規制の判断に用いることは妥当であると判断された。(乙E19・7~20頁)ウ高経年化技術評価に関する意見聴取会及び高経年化報告書について(ア) 原子力安全・保安院は、玄海発電所1号機(1975年10月15日 運転開始)において、第4回目監視試験片の関連温度がJEAC4201-2007に基づく関連温度の予測値を超える結果となり、また、他の一部の高経年化プラントにおいてもJEAC4201-2007 に基づく予測値から乖離する傾向が見受けられたため、関連する技術的知見を収集・評価・検証し、予測値を超える上昇が生じた要因、現行規制を直ちに見直す必要性等を検 討するため、平成23年11月29日から平成24年7月27日までの間、高経年化技術評価に関する意見聴取会を開催し、専門家の意見を参考として、高経年化報告書を取りまとめた。(乙E16・2頁)(イ) 高経年化技術評価に関する意見聴取会の経過等a 平成24年5月8日の第14回高経年化技術評価に関する意見聴取 会において、 として、高経年化報告書を取りまとめた。(乙E16・2頁)(イ) 高経年化技術評価に関する意見聴取会の経過等a 平成24年5月8日の第14回高経年化技術評価に関する意見聴取 会において、L1委員は、玄海発電所1号機について熱伝達率を変化 させて試算したPTS評価を示し、熱伝達率を2倍にすると応力拡大係数が増加し、かつ低温側にシフトし、参考に熱伝達率を∞にすると破壊靭性値を上回る旨発言した。また、L2委員は、本件反応速度式の銅の拡散係数が2乗となっているのは1乗の誤りである旨の意見を述べたが、この意見にそのまま同意する委員はいなかった。(乙B17 3・28~31、61~69頁)b 原子力安全・保安院は、平成24年6月6日の第16回高経年化技術評価に関する意見聴取会の配布資料(乙B100)の中で、JEAC4201- 2007 で採用された脆化予測モデルは複雑な物理現象の基礎課程を記述するものではなく、脆化に効くクラスターが形成されるまでの複雑 なプロセスを簡単な項により近似するために考えられものであり、L2委員が指摘する考え方とは異なるという意見、拡散係数の2乗に比例する現象もあり必ずしも間違いとはいえないという意見等があり、更なる学術的な議論が必要であり、国内監視試験片に関してはJEAC4201-2004 に比較して小さい誤差の範囲内で予測ができており、 実測値を考慮したマージンの設定等保守的に予測を行う仕組みが組み込まれていること等を確認していることから、直ちに規制の見直しを行う必要性はない、脆化予測式の妥当性については、今後、学協会において詳細な議論が行われるべきであるが、本意見聴取会において更なる議論を行う必要性はないと考える旨の回答をした。(乙B100) c 電気事業連合会(電 式の妥当性については、今後、学協会において詳細な議論が行われるべきであるが、本意見聴取会において更なる議論を行う必要性はないと考える旨の回答をした。(乙B100) c 電気事業連合会(電事連)は、平成24年6月20日の第17回高経年化技術評価に関する意見聴取会において、上記aの第14回意見聴取会におけるL1委員のコメントに対する回答(電事連回答)をした。電事連回答においては、PTS事象の初期段階では高温の原子炉容器内表面(クラッド内表面)に冷水が接することにより原子炉容器 内表面(クラッド内表面)と冷水の間で沸騰熱伝達が生じることが想 定されるが、原子炉容器内表面(クラッド内表面)の温度は比較的早く飽和温度(100℃)以下となって沸騰は停止すると考えられる、約290℃の1次冷却水高温水温度となっている原子炉容器内表面(クラッド内表面)全面が瞬時に約27℃の冷却水に晒されるという仮想的に想定した条件で評価を実施していることから、現状の熱伝達 率は、沸騰熱伝達率を考慮せずに算出している、沸騰熱伝達率を考慮した熱伝達率やPTS状態遷移曲線等の試算をすると、初期の熱伝達率は現状評価の熱伝達率と比較して大きくなるが、数十秒で原子炉容器内表面(クラッド内表面)の温度は100℃以下となり、沸騰熱伝達の温度域から外れることが分かり、欠陥深さ位置となる母材内面か ら10㎜位置の温度も、特にPTS評価上厳しい低温領域ではその差がほとんどないことが分かることから、沸騰熱伝達の影響は十分小さく、現状の評価方法で適切に評価できているなどとされている。また、電事連回答には、沸騰熱伝達を考慮した場合の破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線の比較として、想定欠陥深さ位置(母材内面深さ1 0㎜の位置)の温度が約150℃に ているなどとされている。また、電事連回答には、沸騰熱伝達を考慮した場合の破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線の比較として、想定欠陥深さ位置(母材内面深さ1 0㎜の位置)の温度が約150℃に低下するまでは約200秒であり、沸騰熱伝達率を考慮した方が応力拡大係数は高くなるが、それ以降は破壊靭性遷移曲線に最も接近する約600秒から約3600秒までの期間を含め、沸騰熱伝達率の考慮の有無で違いはない旨の解析結果が示されている。(乙B109、110) 原子力安全・保安院は、同日の配布資料(甲E83)において、応力拡大係数KⅠに見込まれる保守性として、PTS評価に使用する想定欠陥の大きさは原子炉圧力容器内面に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円形としているが、原子炉圧力容器の炉心領域は製作時に超音波探傷試験及び放射線透過試験を実施して有意な欠陥がないことを確認し、 供用開始後は供用期間中検査で溶接線に対し超音波探傷試験を実施し て有意な欠陥がないことを確認しており、超音波探傷試験における検出可能な最小欠陥寸法は、JNESが実施した事業の結果、深さ3. 8㎜と評価されるから、想定欠陥の大きさが現行の検査制度から検出可能な大きさに比べて十分大きなものとなっていること、評価に際し、冷却水の混合を考慮せず約291℃から約27℃へステップ状に変化 することを条件としている手法は保守性な評価となっていること、PTS評価における熱伝達率について、原子炉設置者は、温度分布解析では時刻歴による熱伝達係数により解析(クラッドを考慮。1次冷却材温度とクラッド内表面温度により評価。)し、沸騰状態はごく短時間であるから考慮せず、応力解析ではクラッドは強度部材でないから考 慮しないとする現実的な解析を実施していることなどから、現行のP 材温度とクラッド内表面温度により評価。)し、沸騰状態はごく短時間であるから考慮せず、応力解析ではクラッドは強度部材でないから考 慮しないとする現実的な解析を実施していることなどから、現行のPTS評価は厳しい条件で行われているといえるとした。(甲E83・1~4、13頁)さらに、原子力安全・保安院は、国内脆化予測法の銅の拡散係数が1乗か2乗かという問題について、全委員にアンケートを取ったとこ ろ、この問題を高経年化技術評価に関する意見聴取会において引き続き議論することについては、12名の委員中、L2委員のみが賛成し、10名の委員が反対、1名が棄権した。また、国内脆化予測法の信頼性や精度の向上について、今後は学協会での議論を求めることについては、11名の委員が賛成し、1名が棄権した。原子力安全、保安院 は、同アンケート結果などを踏まえ、この問題は高経年化技術評価に関する意見聴取会ではなく、学協会において議論すべき事項と整理した。(乙B99、110・21、22頁)d 原子力安全・保安院は、平成24年7月27日の第18回高経年化技術評価に関する意見聴取会の配布資料(乙B97)により、第17 回高経年化技術評価に関する意見聴取会におけるL2委員の意見に対 する回答をした。この回答では、本件反応速度式の拡散係数についての理論的な誤りの指摘に対し、拡散係数の項は1乗に比例するはずであるという意見と、脆化に効くクラスターが形成されるまでの複雑なプロセスを簡単な項により近似するために考えられたものという意見があり、議論を重ねたが結論には至らず、学術的な領域であるという こともあり、学協会での検討に委ねることとした旨技術評価書を見直す、高経年化技術評価に関する意見聴取会では本件反応速度式が間違っていると 議論を重ねたが結論には至らず、学術的な領域であるという こともあり、学協会での検討に委ねることとした旨技術評価書を見直す、高経年化技術評価に関する意見聴取会では本件反応速度式が間違っているとは結論していないなどとされていた。また、原子力安全・保安院は、同意見聴取会の配布資料(乙B101)により、同年7月5日付けL2委員の要求に対し、国内脆化予測法の妥当性について今 後は学協会で議論することとなり、その検討が終われば、規制への取入れを検討することになる旨回答した。(乙B97・3、4頁、乙B98・25~29頁、乙B101)(ウ) 高経年化報告書においては、平成21年4月に取り出した玄海発電所1号機の監視試験片(運転開始後85年に相当する中性子照射を受けた もの)によるJEAC4201-2007 に基づく関連温度は98℃であったが、これは関連温度の計算値にこれまでの実測補正及びマージンを加えた値を約14℃超過した結果であり、予測値を超える関連温度の上昇が生じた要因として、原子炉圧力容器の材料の不均一性、従来知見にない脆化メカニズムによる脆化、予測手法(予測式)の不十分さなどが考えられた が、材料の不均質性及び従来知見にない脆化メカニズムによる脆化は確認できなかった、各監視試験片の引張強さと関連温度移行量(ΔRTNDT)については概ね相関関係があることや関連温度のシフト量を用い将来の破壊靭性値を予測する手法についても、整合性が欠けているものでないことを確認した、他方、予測手法については、本件反応速度式の拡 散係数の項は1乗に比例するはずであるという意見と、複雑な物理現象 の基礎過程を記述するものではなく、脆化に効くクラスターが形成されるまでの複雑なプロセスを簡単な項により近似するために考えられた 項は1乗に比例するはずであるという意見と、複雑な物理現象 の基礎過程を記述するものではなく、脆化に効くクラスターが形成されるまでの複雑なプロセスを簡単な項により近似するために考えられたものであるという意見があり、議論を重ねたが結論に至らず、学協会での検討に委ねることとした、また、国内脆化予測法は、脆化に影響するクラスターが形成されるまでの複雑なプロセスを基礎過程に立脚した比較 的簡単な数式として近似した形で示されたものであるところ、平成18年12月までの国内監視試験片から得られたデータ群によりフィッティング係数が最適化されており、最新国内監視試験片データとJEAC4201- 2007 により評価された関連温度の移行量との関係を確認した結果、一定の誤差の範囲内で脆化傾向を評価できていたため、国内脆化予測法の前 提となっている脆化メカニズムを直ちに見直す必要はないものと考えられたが、平成18年当時の国内の監視試験片データは中性子照射量が低いデータが圧倒的に多く、高い積算照射量領域のデータが少ないため、高い積算照射量領域の予測精度の信頼性には課題があると推測できるなどとされた。(乙E16・6~13、18、19頁) (エ) また、高経年化報告書においては、現行規制の見直しの必要性及び方向性として、関連温度については、予測手法の信頼性が問題となっているところ、従来から保守的に予測を行う仕組み(監視試験実測値を考慮したマージン等)が組み込まれていることなどから、直ちに規制の見直しを行う必要はないが、高い積算中性子照射量の監視試験片データが得 られつつあり、これを踏まえて予測式の精度を向上することを求める必要があるなどとされ、また、加圧熱衝撃については、実測値から評価する確実な方法、応力拡大係数について十分な 視試験片データが得 られつつあり、これを踏まえて予測式の精度を向上することを求める必要があるなどとされ、また、加圧熱衝撃については、実測値から評価する確実な方法、応力拡大係数について十分な大きさのき裂をあらかじめ想定する保守的な方法で行われており、直ちに規制の見直しを行う必要性はないが、想定事象、応力拡大係数の評価、判定基準に関して世界的 に知見の拡充が行われていることに鑑み、国際的な整合性に留意しつつ、 適宜最新知見を反映することが望ましいなどとされた。そして、まとめとして、中性子照射脆化に関する規格が改定された場合には速やかに技術評価を行う必要があるとされた。(乙E16・22~25頁)エ原子力規制委員会によるJEAC4201-2007[2013]の技術評価について(ア) 原子力規制委員会による技術評価においては、原子力規制委員会委員、 原子力規制庁職員及び技術支援機関職員により構成される検討チーム(必要な場合には当該民間規格策定に関与していない外部有識者の参加を得る。)が、公開の会合で、民間規格の策定プロセス等によらず、規定内容が技術的に妥当であるかという観点から技術評価を行うこととしており、技術評価における確認事項は、原子力安全・保安院による技術評 価の確認事項と同様である。そして、技術評価書案及び基準解釈文書案に対してはパブリックコメントを実施し、原子力規制委員会において、技術評価書及び基準解釈文書を決定することになる。(乙B58・1~3頁、乙E19)(イ) 平成27年1月7日に構成された検討チームにより行われた JEAC4201-2007[2013]の技術評価においては、JEAC4201-2007 及び同[2010]からの変更点について技術的妥当性を評価するものとされ、 た検討チームにより行われた JEAC4201-2007[2013]の技術評価においては、JEAC4201-2007 及び同[2010]からの変更点について技術的妥当性を評価するものとされ、JEAC4201-2007[2013]は、JEAC4201-2007 から予測式の基となる基本モデル式を変更したものではなく、監視試験データ(追加データを含め、監視試験片279点、PWR標準材54点、試験炉照射材38点)等の 充実を基に予測式の係数を最適化したものであり、基本モデル式がデータに基づく多項近似式と捉えても差し支えないとの認識の上で、予測式の係数の算出に用いたデータの信頼性、予測式の係数最適化の方法、関連温度移行量の予測値の信頼性(海外予測式との比較等)、ΔRTNDT計算値と実測値のばらつき、基本モデル式に係る新知見等について検討す るものとされた。(乙B58・5、6、10頁) (ウ) JEAC4201-2007[2013]の関連温度移行量の予測値の信頼性について、日本電気協会が行った海外の予測式に国内監視試験データを適用した場合の標準偏差、平均残差及び信頼区間上限の比較検討をしたところ、JEAC4201-2007[2013]は、国際的に比較しても国内圧力容器鋼材に対しては同等以上の信頼区間の上限により予測していると判断された。 (乙B 58・34~36頁)また、予測式の係数の算出に使用された追加データ、予測式の係数の最適化、関連温度移行量の予測について技術的評価を検討した結果、JEAC4201-2007[2013]の予測式は規制に当たって適用可能と考えられたが、中性子照射量が高い領域では、関連温度が従来の予測以上に増大す るような脆化メカニズムが国内外で確認されていないものの、その可能性 [2013]の予測式は規制に当たって適用可能と考えられたが、中性子照射量が高い領域では、関連温度が従来の予測以上に増大す るような脆化メカニズムが国内外で確認されていないものの、その可能性が否定されているとまではいえないことから、個別プラントの監視試験片をより多く取り出し、個別プラントの監視試験データに基づくMC補正を行い、その予測値の信頼性を向上することが求められるとされた。 (乙B58・7~9、59、60頁) そして、適用に当たっての条件として、特定時点での原子炉圧力容器の健全性を評価するための関連温度を予測するに当たり、特定時点に想定される原子炉圧力容器内面の中性子照射量が、2.4×1019n/㎠(稼働率を80%とした場合の40年運転に相当するPWRの最も小さい中性子照射量)を上回る場合であって、かつ、当該プラントから既に 取り出された監視試験片に対する中性子照射量を上回っている場合には、原子炉圧力容器内面の中性子照射量が既に取り出された監視試験片の中性子照射量を上回る時点の前に、次の監視試験片を取り出し、新たに取り出された監視試験片から得られたデータに基づき、特定時点での関連温度の再予測を行うこととされた。また、原子炉圧力容器内面の中性子 照射量が、2.4×1019n/㎠を上回る場合であって、運転開始後40 年を超えて運転を行う場合には、運転開始後40年から50年の間に少なくとも一度、更に運転開始後50年から60年の間に少なくとも一度、監視試験片を取り出し、必要な関連温度の再予測を行うこととされた。 (乙B58・61頁)さらに、JEAC4206-2007 の附属書C(C-3230)の実測値がある場合(別 紙16数式目録12③、④)において、「σΔ」とあるのは「2σΔ」と読み替える た。 (乙B58・61頁)さらに、JEAC4206-2007 の附属書C(C-3230)の実測値がある場合(別 紙16数式目録12③、④)において、「σΔ」とあるのは「2σΔ」と読み替えることとした。そして、技術評価を受けた今後の対応として、日本電気協会に対し、監視試験データがJEAC4201-2007[2013]に基づく予測値を上回っている場合には、当該データによる予測式への影響を評価し、その評価結果を原子力規制委員会に報告することを求めることと された。(乙B58・8、59~61頁)(エ) 原子力規制庁は、JEAC4201-2007[2013]に関する技術評価書(案)及び技術基準規則解釈の改正(案)について、平成27年7月23日から同年8月21日まで意見募集を実施した。原子力規制委員会は、上記技術評価や意見募集の結果を踏まえ、技術基準規則14条及び22条を満足 する仕様を示すものとして、JEAC4201-2007[2013]を技術基準規則解釈の14条、22条及び別記-6中に位置付けた。(乙B9・29、30、62頁、別記-6、乙B58・61頁、乙B59・1頁、別紙1・8頁)オ日本電気協会に対する特定指導文書及びこれに対する回答について(ア) 原子力規制委員会は、平成27年10月19日付けで、JEAC4201-2007 [2013]の技術評価を踏まえて規制に取り入れた際、同規格の今後の改定等に関し、予測式の改定に向けた日本電気協会の具体的対応及びスケジュール、同規格の妥当性を示すうえで必要な情報の検証と公開に関する日本電気協会の具体的な対応等について報告するよう求める本件特定指導文書(なお、特定指導文書は、特定の被規制者等に対し、その者 の固有の事情に基づいて何らかの作為又は不作為を要請するた 関する日本電気協会の具体的な対応等について報告するよう求める本件特定指導文書(なお、特定指導文書は、特定の被規制者等に対し、その者 の固有の事情に基づいて何らかの作為又は不作為を要請するための文書 であり、行政指導としての性質を有する。)を発出した。(乙B205)これに対し、日本電気協会は、同年11月30日付けで、今後も脆化予測法の改定検討を継続的に進めていけるよう、監視試験データを入手し、予測性能の適切性を確認していく、今後、実機の監視試験片において、予測を外れるデータが得られた場合には、当該規格の改定要否につ いて検討を行い、その検討結果を原子力規制庁に情報提供する、平成30年予定の次回改定に向け、最新知見に基づく中性子照射脆化に対する影響因子の検討、基本モデル式の改定要否、MC補正の妥当性の検討、別モデルの採用要否も含めて検討していく予定である旨を回答した。 (乙E138) (イ) 日本電気協会がJEAC4201 シリーズの次回改定を進める旨表明したことを受け、日本溶接協会の原子力研究委員会は、脆化予測法の策定に携わる産業界の関係者と照射脆化メカニズムに精通した専門家とが意見交換をすることを目的として、同委員会内に、L3を主査とするIET小委員会を設置した。IET小委員会においては、平成29年度から令和 元年度までの約3年にわたり、国内外の照射脆化に係る最新知見や研究動向等を調査し、最新知見に基づいて産業界委員から提案された脆化予測法改定案の導出プロセスや検証プロセスの的確性等について議論されるとともに、JEAC4201-2007[2013]についても議論されたが、JEAC4201-2007[2013]の合理性に疑義を呈するような知見は得られなかった。(乙 E136・13頁、乙 るとともに、JEAC4201-2007[2013]についても議論されたが、JEAC4201-2007[2013]の合理性に疑義を呈するような知見は得られなかった。(乙 E136・13頁、乙E139)カ米国の脆化予測法(ASTME-900)の改訂版(2021 年版)作成時の各国の脆化予測法の比較検討について米国において、同国で策定された脆化予測法の改訂版(2021 年版)を作成するに当たり、JEAC4201-2007[2013]を含む2002年(平成14年) 以降に発行された9つの脆化予測法の比較検討が行われた。これによると、 JEAC4201-2007[2013]は、銅の含有量が比較的低い(0.075%以下)データ群を用いた場合には、実際の原子炉容器で使用されている鋼板や鍛鋼品だけでなく、全ての鋼種について、他の8つの脆化予測法と比べて予測性が最も高いという検討結果が得られた。(乙E136・15、16頁、乙E140) (4) 本件運転期間延長認可処分における「中性子照射脆化」についての審査等ア実用炉規則113条2項2号は、運転期間延長認可申請の申請書に「延長しようとする期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を記載した書類」(劣化状況評価書)を添付することを規定するところ、参加人は、本件劣化状況評価書及び本件 補足説明資料(平成28年)において、次のとおり記載した。 (ア) 本件原子炉施設には、監視試験片のカプセルが8体配置され、1カプセル当たり引張試験片4体、シャルピー衝撃試験片44体、破壊靭性試験片4体が含まれているところ、これまでに以下のとおり取り出されている。 昭和52年10月監視試験回次第1回のカプセル昭和6 引張試験片4体、シャルピー衝撃試験片44体、破壊靭性試験片4体が含まれているところ、これまでに以下のとおり取り出されている。 昭和52年10月監視試験回次第1回のカプセル昭和62年1月監視試験回次第2回のカプセル平成14年1月監視試験回次第3回のカプセル平成23年5月監視試験回次第4回のカプセルなお、第4回のカプセルは、本件原子炉施設では約50定格負荷相当 年数(定格出力で連続運転したと仮定して計算した年数)の中性子照射量であった。(丙C1・容器の技術評価書(原子炉容器)24頁、丙C2・18頁)(イ) 各回のシャルピー衝撃試験によって算出されたTr30(吸収エネルギーが41Jとなる温度(℃))は、以下のとおりであった。 本件原子炉母材 溶接金属熱影響部 初期値-32℃-48℃-51℃第1回-10℃-46℃-61℃第2回10℃-13℃-42℃第3回18℃―12℃-35℃第4回45℃-7℃-14℃ (ウ) 関連温度は、RTNDT初期値+[ΔRTNDT計算値+MC]+MRの式に基づいて算出した。また、JEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法に基づく関連温度の予測値は、本件原子炉の運転開始後60年時点の母材は64℃であり、ΔRTNDT実測値からΔRTNDT計算値を差し引いた値を示したグラフにおいて、その値がMC+MRの範囲内に収まっており、 関連温度実測値は予測の範囲内であった。 (丙C1・容器の技術評価書(原子炉容器)23~27頁、丙2・28~30頁)(エ) 本件原子炉の原子炉容器は、低合金鋼を加工して製作しており、内面の1次 関連温度実測値は予測の範囲内であった。 (丙C1・容器の技術評価書(原子炉容器)23~27頁、丙2・28~30頁)(エ) 本件原子炉の原子炉容器は、低合金鋼を加工して製作しており、内面の1次冷却材と接液する部位にはステンレス鋼を内張りしている。(丙1・容器の技術評価書(原子炉容器)2、4頁) (オ) PTS事象として設定した小破断LOCA、大破断LOCA及び主蒸気管破断のPTS状態遷移曲線について、JEAC4206-2007 付属書Cに従ってPTS評価を実施した。PTS事象の中で最も厳しくなる大破断LOCAの主要な条件は、き裂形状がJEAC4206-2007 に基づく深さ10㎜、軸方向長さ60㎜、温度条件が初期温度約291℃から冷却水の混合を 考慮せず約27℃へステップ状に変化、圧力条件は約15.6MPaG から0MPaG にステップ状に変化という代表的な3ループプラントと同じ条件とし、応力解析により求められた応力分布に基づき仮想欠陥最深部での応力拡大係数を算出し、PTS評価をしたところ、運転開始後60年時点において、破壊靭性遷移曲線はPTS状態遷移曲線を上回っている ことから、脆性破壊は起こらないと評価された。(丙C2・8、9、35、 36頁)(カ) 高経年化対策実施ガイドに記載のある「照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価」として、これまで実施した監視試験によって採取した破壊靭性実測値をプロットし、第1~3回監視試験のデータについては測定したTr30実測値と第4回監視試験で測定したTr30実 測値の差分だけ温度シフトさせ、温度シフトさせた破壊靭性実測データを下限包絡した破壊靭性遷移曲線をJEAC4206-2007 の附属書Cに従い設定したところ、破壊靭性遷移曲線はPTS状 30実 測値の差分だけ温度シフトさせ、温度シフトさせた破壊靭性実測データを下限包絡した破壊靭性遷移曲線をJEAC4206-2007 の附属書Cに従い設定したところ、破壊靭性遷移曲線はPTS状態遷移曲線を上回っていることから、「照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価」においても脆性破壊は起こらないと評価された。第4回監視試験の照射量 は、原子炉容器内表面から深さ10㎜の位置(想定き裂先端位置)の照射量に換算すると、運転開始後約52年時点の照射量に相当する。(丙C1・容器の技術評価書(原子炉容器)28頁、丙C2・11頁)(キ) なお、参加人は、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)において、高経年化技術評価書(30年目)よりも関連温度が46℃上 昇したことについて、高経年化技術評価書(30年目)の評価手法であるJEAC4201-2000 の評価手法と高経年化技術評価書(40年目)の評価手法であるJEAC4201-2007[2013]の評価手法とを比較すると、後者の関連温度が22℃増加し、これはJEAC4201-2007[2013]がJEAC4201- 2000 に比べて16℃の保守的な評価結果を与えることと、脆化予測のば らつきを考慮するためのマージンとして6℃増大したことによること、上記22℃を引いた残りの24℃は第3回及び第4回の破壊靭性試験データを拡充した結果であると説明する。(乙C14・52、53頁)イ本件原子炉施設の破壊靭性試験片は、試験回次第1回及び第3回が母材、試験回次第2回及び第4回が溶接金属のものであり、各回次4体の破壊靭 性試験片について、非延性破壊や試験装置の故障により、破壊靭性値のデ ータが得られたのは2~4個であった。(弁論の全趣旨・参加人準備 4回が溶接金属のものであり、各回次4体の破壊靭 性試験片について、非延性破壊や試験装置の故障により、破壊靭性値のデ ータが得られたのは2~4個であった。(弁論の全趣旨・参加人準備書面(10)18頁)また、本件原子炉施設の破壊靭性試験片はWOL 試験片であり、参加人は、WOL 試験片の片面のねじ穴に治具を取り付けて試験を行うことにより変形を拘束することに伴う余分な曲げが生じないように、取り付ける治具に回 転アダプタを取り入れてCT 試験片と同様な荷重負荷形態で試験をした。 日本電気協会は、令和5年9月5日付けで、参加人に対し、WOL 試験片により得られた破壊靭性データを用いることをJEAC4206-2007 は禁止するものではない旨を回答している。(丙F3)ウ原子力規制委員会は、本件運転期間延長認可申請が、炉規法43条の3 の32第5項に規定する基準である実用炉規則114条に適合するものであるかどうかについて、その要求事項を具体化するものとして定めた運転期間延長審査基準の要求事項(運転延長)に適合するものであるか、原子炉容器の中性子照射脆化について、次のとおり審査した。(乙C8)加圧熱衝撃結果について、評価対象機器及び部位として原子炉容器炉心 領域部を抽出し、現状の保守管理として、原子炉容器について超音波探傷試験が実施され、有意な欠陥のないことが確認されていること、特別点検として、炉心領域部の母材及び溶接部について超音波探傷試験が実施され、有意な欠陥のないことが確認されていることを確認した。 そして、①評価の前提条件として、監視試験片を運転開始後30年を経 過する日から10年以内である平成23年5月に取り出し、監視試験を実施していること、監視試験は、JEAC4201-2007[2013 、①評価の前提条件として、監視試験片を運転開始後30年を経 過する日から10年以内である平成23年5月に取り出し、監視試験を実施していること、監視試験は、JEAC4201-2007[2013]を用いて、中性子照射量及び遷移温度(Tr30)が求められていること、評価時点の静的平面ひずみ破壊靭性値が求められていること、原子炉容器の炉心領域内表面及び深さ10㎜における中性子照射量は、監視試験による中性子照射量とこ れまでの運転実績から算出していること、②評価手法として、運転開始後 60年時点での炉心領域内表面及び深さ10㎜における中性子照射量の算出は、運転期間延長認可申請運用ガイドに定めているとおり、将来の設備利用率の値を80%以上かつ将来の運転の計画を踏まえたより大きな値を設定していること、評価に当たっては、JEAC4206-2007 の附属書Cを用いて、運転開始後60年時点の静的平面ひずみ破壊靭性値の下限包絡曲 線及び原子炉容器炉心領域部内表面に深さ10㎜の欠陥を想定した応力拡大係数を示すPTS状態遷移曲線を求めていること、PTS状態遷移曲線は、PTS事象として、設計基準事故は小破断LOCA、大破断LOCA及び主蒸気管破断事故を、重大事故等は2次冷却系からの除熱機能喪失を対象としていること、③評価結果として、加圧熱衝撃評価により求めた 運転開始後60年時点の静的平面ひずみ破壊靭性値の下限包絡曲線は、原子炉容器炉心領域部内表面に深さ10㎜の欠陥を想定した応力拡大係数を示すPTS状態遷移曲線を上回ったことを確認した。(乙C8・10、11頁)エ原子力規制委員会は、平成28年11月16日の第43回原子力規制委 員会において、参加人の監視試験の実施方法、同試験に基づく破壊靭性遷移曲線・PTS状態遷 た。(乙C8・10、11頁)エ原子力規制委員会は、平成28年11月16日の第43回原子力規制委 員会において、参加人の監視試験の実施方法、同試験に基づく破壊靭性遷移曲線・PTS状態遷移曲線の設定等がJEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 に従って行われたものであり、要求事項(運転延長)を満足していると認め、同日付けで本件運転期間延長認可処分をした。(乙8、36、37) (5) JEAC4206-2016 及びクラッドについてア原子炉容器におけるクラッドとは、腐食防止のため原子炉容器内面に厚さ5㎜前後のステンレス鋼を肉盛溶接(コーティング)した金属層のことをいう。クラッドは、本件原子炉における原子炉容器に限らず、日本国内に存在する全ての発電用原子炉における原子炉容器に施されている。 (乙E 62・19頁) イ技術基準規則解釈において審査基準として引用されているJEAC4206- 2007 の附属書CはPTS評価手法について規定しているところ、これはPTS調査報告書において実証試験を経て記載された手法を基にしたものである。PTS調査報告書の実証試験のうち、モデル試験に用いられた材料にはクラッドは施工されていなかったが、PTS調査報告書において設定 されたPTS状態遷移曲線は、熱伝導解析においては5.5㎜の厚さのクラッドを考慮し、応力解析においてはクラッドを考慮していないものである。(乙E153、丙F6、弁論の全趣旨・被告第66準備書面16頁)JEAC4206-2007 には、クラッドに関する記載は存在せず、PTS評価に当たってクラッドを考慮して評価すべきか否かについては明文で規定さ れてはいない。(乙E23)ウ本件原子炉について(ア) 本件 07 には、クラッドに関する記載は存在せず、PTS評価に当たってクラッドを考慮して評価すべきか否かについては明文で規定さ れてはいない。(乙E23)ウ本件原子炉について(ア) 本件原子炉施設のクラッドの厚さは、最大値7.0㎜、最小値4.93㎜である。(丙E5)原子力規制庁は、本件原子炉のクラッド施工時の厚さが公称値5.5 ㎜に対して最小値が4.93㎜であったことを受け、クラッドの効果を定量化してクラッド厚さが4.93㎜であることの影響を試算したところ、JF式で評価する熱伝達率を6~12%高くする程度の影響と予測された。原子力規制庁は、一般に熱伝達率のモデル(評価式)には相当程度の不確かさがあるとされ、例えば強制乱流場の熱伝達率の評価式と して一般的なDittus-Boelter 式では25%程度の不確かさがあるとされているから、クラッドの厚さが4.93㎜であることの影響はPTS評価におけるモデル等の不確かさを包絡する保守性の範囲内と考える旨を報告している。(乙E180)(イ) 本件運転期間延長認申請に係る参加人のPTS評価は、PTS調査報 告書と同様の条件とし、熱伝導解析においてクラッドを考慮し、応力解 析においてはクラッドを考慮しないという条件の下で実施された。 (弁論の全趣旨・原告ら準備書面(15)2、3頁)エ JEAC4206-2016 の技術評価について(ア) 日本電気協会は、JEAC4206-2007 の後継規格として、平成28年(2016年)3月にJEAC4206-2016 を取りまとめた。(弁論の全趣旨・被告 第36準備書面12頁)(イ) JEAC4206-2007 からJEAC4206-2016 への主な変更点は、①破壊靭性遷移曲線設定に当たってプラント を取りまとめた。(弁論の全趣旨・被告 第36準備書面12頁)(イ) JEAC4206-2007 からJEAC4206-2016 への主な変更点は、①破壊靭性遷移曲線設定に当たってプラントごとの破壊靭性値を下限包絡する曲線を設定する考え方ではなく、マスターカーブ法(マスターカーブは、破壊靭性と温度の関係を規定する曲線であり、その形状は鋼材によらず一定 であって、鋼材の違いによる遷移温度領域の破壊靭性の大小は、マスターカーブがその形状を保持したままで温度軸に沿って左右にシフトすることで表現される。)の考え方を採用すること、②クラッドを考慮した仮想欠陥を想定すること、③健全性評価の許容基準として、破壊靭性遷移曲線がPTS状態遷移曲線と交差する場合であっても欠陥が板厚を貫通 しない場合は許容する基準を規定したことである。 (乙E66・2、3頁、弁論の全趣旨・被告第52準備書面33頁)また、クラッドについての変更点は、①残留応力等の取扱いの規定がなかったものを、クラッド溶接等による熱膨張差により生ずる残留応力を考慮するものとすること、②最大仮想欠陥としてクラッドについての 規定がなく、内表面に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円表面欠陥を想定していたものを、内面のクラッド下に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円欠陥を想定するものとすること、③応力拡大係数の算出法として板厚内の応力分布から応力拡大係数の評価式により算出するとしていたものを、板厚内の応力分布からクラッドの効果を考慮した応力拡大係数の評価式 により算出するものとしたことである。(乙E68・3頁) (ウ) JEAC4206-2016 について、原子力規制委員会により設置された外部専門家を交えた技術評価検討チームは、令和元年7月から令和2年7月に たことである。(乙E68・3頁) (ウ) JEAC4206-2016 について、原子力規制委員会により設置された外部専門家を交えた技術評価検討チームは、令和元年7月から令和2年7月にかけて6回の会合を実施し、同年9月9日、技術評価の結果を報告した。 (乙E66)上記結果報告においては、PTS状態遷移曲線の設定に関連する熱伝 導解析及び応力解析について、クラッドによる影響を考慮するためには線膨張係数等の熱的特性及び機械的特性が必要であるが、JEAC4206-2016にはそれらの設定方法について規定がなく、クラッドの熱的特性及び機械的特性についてはその代表性を確認した上で設定方法を明確にする必要があること、長時間運転がクラッドの材料特性に与える影響について 考慮する必要があるとされた。(同38、39頁)また、応力拡大係数の算出法について、クラッドがある場合の応力拡大係数はJEAC4206-2016 に規定された方法で算出可能と考えられるが、これらの計算の基となっている材料特性の適用範囲が明確ではなく、クラッドの機械的特性やクラッドの厚さの設定方法を明確にする必要があ ること、応力拡大係数は最大仮想欠陥最深点に対して評価することとなっているが、クラッド溶接によってクラッド直下にはHAZが形成されるとともに、溶接残留応力が生じ、HAZについては熱履歴の違いによる組織の違いから中性子照射による脆化感受性が仮想欠陥最深点と異なる可能性があること、クラッド溶接による残留応力はクラッドでは引張、 母材では圧縮から引張に変化するなど複雑な分布となることなどから、最大仮想欠陥最深点以外のき裂前縁でPTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線に最も近づく可能性があることなどが指摘されている。(同44、45頁)(エ) 張に変化するなど複雑な分布となることなどから、最大仮想欠陥最深点以外のき裂前縁でPTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線に最も近づく可能性があることなどが指摘されている。(同44、45頁)(エ) 日本電気協会は、技術評価検討チームによる技術評価において、国内 のPWRプラントの32EFPY(定格負荷相当年数)時点での破壊靭性遷 移曲線の遷移温度T70(℃)について、JEAC4201-2007[2013]の脆化予測法に基づき32EFPY 時点まで温度移行した破壊靭性データに基づく破壊靭性遷移曲線(JEAC4206-2007)と32EFPY 時点の破壊靭性遷移曲線(JEAC4206-2016)とを比較すると、JEAC4206-2016 の破壊靭性遷移曲線が保守的であると報告したが、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線が 保守的な結果となっているものも異なる材質で5つ存在した。(乙E66・49、50頁、乙E149)(オ) 技術評価検討チームによる技術評価において、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線を設定するための式については、現時点においてこれを否定する技術的根拠は見出されていないことから、今後引き続き使用する ことは問題ないといえるとされた。(乙E66・47頁)(カ) 技術評価検討チームによる技術評価の結果、①マスターカーブ法を取り入れた破壊靭性遷移曲線について、ばらつきの信頼下限が5%の式であるが、信頼下限を下回る可能性が5%であることの妥当性、JEAC4206- 2007 とJEAC4206-2016 の式を比較すると、材料(鍛鋼品、圧延材、溶接 金属)によってデータの包絡性に差が生じる理由、データ数が少なく検討が十分でない材料(圧延材、溶接金属)に対するマスターカーブ法の 6-2016 の式を比較すると、材料(鍛鋼品、圧延材、溶接 金属)によってデータの包絡性に差が生じる理由、データ数が少なく検討が十分でない材料(圧延材、溶接金属)に対するマスターカーブ法の式の適用性、マスターカーブ法の式に使用する補正温度には中性子照射量依存性があるにもかかわらず一定の中性子照射量以上のデータから算出した定数が用いられている理由の各点について確認が十分に行えなか った、②クラッドを考慮した仮想欠陥の想定について、応力拡大係数の計算において用いるクラッドの材料特性に関し、国内プラントのクラッドを代表する材料特性を設定する方法、詳細評価において溶接金属に対する仮想欠陥の方向として、従来軸方向としていたものを溶接線方向に変更しているが、周溶接に対しては、周方向の欠陥を想定することとな ることに対する妥当性の各点について確認が十分に行えなかった、③健 全性評価の許容基準について、中性子照射脆化した材料においても成り立つかについての確認が十分に行えなかったとして、JEAC4206-2016 について、現時点において規制における適用性を判断することは時期尚早であることから、技術基準規則解釈への適用は見送ることとされた。原子力規制委員会は、令和2年9月9日、これを取りまとめた技術評価書 を了承した。(乙E66・1~4頁、乙E67)オ日本電気協会は、令和4年9月8日付けで、原子力規制委員会からの質問に対し、JEAC4206-2007 においてクラッドに関する規定が存在しないことについて、一般論として、考慮すべき事項、禁止すべき事項は明確に規定しているため、規定していないものについては利用者の判断に委ねてお り、JEAC4206-2007 においてクラッドに対する要求は規定しておらず、対 考慮すべき事項、禁止すべき事項は明確に規定しているため、規定していないものについては利用者の判断に委ねてお り、JEAC4206-2007 においてクラッドに対する要求は規定しておらず、対象となる低合金鋼部内表面に想定する最大仮想欠陥に対する応力拡大係数や破壊靭性を評価するに当たって、最大仮想欠陥位置における応力や温度を利用者の判断で評価できれば良いこととしているから、クラッドを考慮した解析を禁止はしていない旨の回答(日本電気協会回答)をした。(乙E 65)(6) 本件破壊靭性検討及び本件破壊靭性検討(その2)についてア令和5年7月27日の第60回技術情報検討会において、「安全研究及び学術的な調査・研究から得られる最新知見」(乙E113・2頁)との議題に関する配布資料として、原子力規制庁長官官房技術基盤グループによ る「実プラントのデータによる破壊靭性に関する検討」(本件破壊靭性検討)が示された。本件破壊靭性検討は、破壊靭性の確認試験方法に規定されるPTSの評価方法は、PTS調査報告書で開発された手法がベースとなっているところ、事業者より提出されたPTS評価に関するデータが蓄積されつつあることから、蓄積されたデータを用いて技術的検討を開始したも のである。本件破壊靭性検討においては、これまでに得られたデータによ り算出した破壊靭性温度移行量と関連温度移行量との関係は、ほぼ等価であるとの大きな方向性はあるものの、破壊靭性温度移行量が関連温度移行量よりも若干小さくなるという傾向とはやや異なる傾向が示されたとして、今後の対応として、用いるデータの網羅性、破壊靭性温度移行量ΔTKⅠcの算出方法、破壊靭性温度移行量ΔTKⅠc と関連温度移行量ΔRTNDTと の関係がPTS評価に与える影響等に されたとして、今後の対応として、用いるデータの網羅性、破壊靭性温度移行量ΔTKⅠcの算出方法、破壊靭性温度移行量ΔTKⅠc と関連温度移行量ΔRTNDTと の関係がPTS評価に与える影響等について詳細な検討が必要であることから、原子力規制庁において、引き続き検討を進めることとされ、また、規格策定者である日本電気協会や事業者による検討も必要であることから、実プラントのデータを踏まえた破壊靭性温度移行量ΔTKⅠcと関連温度移行量ΔRTNDTの関係について、意見を聴取することとされた。(乙E11 2・1~4頁)第60回技術情報検討会においては、本件破壊靭性検討の内容を受けて、様々な検討要素があり、すぐに方向性が決まるものではない、詳細な検討が今後必要と思われるなどの意見があったが、本件等価の仮定が誤っているなどとして直ちに規制に取り入れるべきという意見はなかった。(乙E 113・23~31頁)イ令和6年3月27日の第64回技術情報検討会において、原子力規制庁長官官房技術基盤グループから、「実プラントのデータによる破壊靭性に関する検討(その2)」(本件破壊靭性検討(その2))が示された。本件破壊靭性検討(その2)は、本件破壊靭性検討が示された第60回技術情報検 討会以降の検討内容の途中経過を報告するものであり、本件破壊靭性検討で用いられた実プラントのデータについて、破壊靭性温度移行量ΔTKIcと関連温度移行量ΔRTNDTの関係ではなく、破壊靭性温度TKIcを試計算し、これと関連温度RTNDTとの関係について検討を行うとともに、PTS実証試験の実験条件と実プラントの条件との主な差異について検討を 行った。その結果、破壊靭性温度TKIcと関連温度RTNDTがより等価に近 い結果となり、本件破 うとともに、PTS実証試験の実験条件と実プラントの条件との主な差異について検討を 行った。その結果、破壊靭性温度TKIcと関連温度RTNDTがより等価に近 い結果となり、本件破壊靭性検討における破壊靭性温度移行量ΔTKIcと関連温度移行量ΔRTNDTとの比較とはやや異なる傾向となった旨が報告された。この違いの原因として、PTS調査報告書のPTS実証試験の実験条件と実プラントの条件では、例えば、①TKIcを算出するために用いている破壊靭性試験片の数、②破壊靭性試験片の照射条件、③破壊靭性試 験片の化学組成といった点に差異があることが指摘され、これらが破壊靭性温度TKIcの計算結果に影響を与えていることが考えられる旨が報告された。 原子力規制庁は、今後の対応として、これらを踏まえた分析(例えば、統計解析)等の多角的な検討を行うことが必要であると考えられることか ら、引き続き原子力規制庁において、より詳細な検討を進めることとした。 (以上につき、乙E170、171)(7) 高浜発電所1号機の第5回監視試験結果について参加人は、令和5年11月2日、高浜発電所1号機について実用炉規則82条3項の規定に基づき実施した高経年化技術評価のうち、中性子照射脆化 の評価結果を補足説明する資料として、本件補足説明資料(令和5年)を提出した。当該資料には、次のような記載がある。(乙E167)ア JEAC4201-2007[2013]、JEAC4206-2016 及び技術基準規則解釈の別記―1の評価手法に基づき(同5頁)、令和3年7月に取り出した監視試験片を用いて監視試験をした結果、当該監視試験片への中性子照射量は5.70 ×1019n/㎠(約55EFPY)、Tr30は母材105℃、溶接金属57℃、熱影響部3 和3年7月に取り出した監視試験片を用いて監視試験をした結果、当該監視試験片への中性子照射量は5.70 ×1019n/㎠(約55EFPY)、Tr30は母材105℃、溶接金属57℃、熱影響部39℃(同9頁)、RTNDT実測値は母材101℃、溶接金属52℃、熱影響部51℃となり(同別紙2-3頁)、原子炉容器胴部の関連温度の予測値は令和4年12月末時点で母材91℃、溶接金属45℃、熱影響部53℃、運転開始後60年時点で母材96℃、溶接金属50℃、熱影響部5 8℃(同13頁)であり、監視試験結果は、母材及び溶接金属のいずれも ΔRTNDT実測値-ΔRTNDT計算値+MCが±MR(MRは18℃)の範囲内に含まれた(同14、15頁、別紙3-1頁)。 イ第1回から第5回までの監視試験回次のデータを用いてそれぞれTp(当該プラントにおけるプラント評価時期の破壊靭性遷移曲線を設定する際に定まるプラント個別の定数(℃))を求めたところ、第5回監視試験回次の ものが最も高い温度となり、これを用いて破壊靭性遷移曲線が描かれた(同別紙6-1~4頁)。運転開始後60年時点における破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線についてのPTS評価結果は、深さ10㎜の想定き裂を用いた評価であっても、両曲線がデッドクロスしておらず、JEAC4206-2016を用いた評価においても健全性を確認し、照射脆化の将来予測を伴わない 実測データに基づく評価結果(深さ10㎜の位置の照射量に換算すると運転開始後約63年時点に相当)としても、両曲線がデッドクロスしないことを確認した(同17、19頁、参考1-1)。 ウ原子炉容器に対しては、超音波探傷検査を実施して健全性を確認しているが、いずれの検査対象箇所も検査結果は良であった(同20頁)。特別点 いことを確認した(同17、19頁、参考1-1)。 ウ原子炉容器に対しては、超音波探傷検査を実施して健全性を確認しているが、いずれの検査対象箇所も検査結果は良であった(同20頁)。特別点 検において実施した超音波探傷検査により検出可能な最小欠陥寸法は深さ4.8㎜以上であるから、深さ4.8㎜の欠陥を想定し、運転期間60年までの疲労き裂進展評価をすると、疲労き裂進展量は0.1㎜未満であり、運転期間60年時点での欠陥深さは4.9㎜未満である(同7-1頁)。監視試験カプセルは8体挿入し、現在までに5体のカプセルを取り出し、将 来の運転期間に対する脆化予測を行っており、今後の原子炉の運転サイクル・照射量を勘案して、運転期間60年を迎える前の適切な時期に第6回監視試験を実施する(同20頁)。 (8) 専門家の意見等についてア金属材料学を専門とする東京大学名誉教授であるL2は、L2共同意見 書及びL2意見書①、②等(甲E67、90、104、107、甲高E3) において、次のように述べている。 (ア) JEAC4201-2007 シリーズの基本モデル式に含まれる銅原子の移動とクラスターの形成を表す本件反応速度式に、拡散係数の2乗の項が含まれているが、物理的にあり得ない。高経年化技術評価に係る意見聴取会において誤りを指摘したが、学術的な場で議論すべき課題であると先送り された。JEAC4201-2007[2013]の作成においても、この誤りを認めないまま議論の範囲を限定した。原子力規制委員会は、特定指導文書を発出して新しい規程の作成を迫ったが、規程の基本的問題点についての日本電気協会での議論は遅々として進まない。IET小委員会最終報告書(甲E105)では、本件反応速度式とは異なる速度式群を使った新しいモ て新しい規程の作成を迫ったが、規程の基本的問題点についての日本電気協会での議論は遅々として進まない。IET小委員会最終報告書(甲E105)では、本件反応速度式とは異なる速度式群を使った新しいモ デルを提案し、クラスター体積率、クラスター平均体積、クラスター数密度及びマトリックス銅密度の4つの指標について、クラスター体積率以外はJEAC4201-2007[2013]の相関性がとてつもなく悪く、新しいモデルの相関性が高いとしており、新しいモデルにも物理的意味のはっきりしない変数を導入するなどの問題はあるが、JEAC4201-2007 シリーズ では観測結果と合わないことが示されている。(甲E67・29、31~36頁)(イ) き裂の進展により破壊が進行する脆性破壊の本質的な現象として破壊靭性測定値は本来的に大きなばらつきを示す。シャルピー衝撃試験の結果と比較しても、破壊靭性試験値のばらつきははるかに大きい。この 対処法としては多くの測定(できれば20点以上)を行うことが必要であるが、PWRでは1回の試験片は4点程度であり、延性破壊や装置の故障があれば、データ数は更に少なくなる。少ないデータに対して下限包絡曲線を求めても、信頼性は低い。高浜発電所1号炉及び2号炉並びに本件原子炉の破壊靭性試験数も少なく、母材は第1回と第3回のみ、 溶接金属は第2回と第4回のみという問題や1つのチャージの破壊靭性 試験片の結果しか報告されていないという問題もある。(甲E67・37~40、78、91頁)(ウ) JEAC4206-2007 では、本件等価の仮定を用いて、照射量の異なる破壊靭性観測データをシャルピー衝撃試験で求めた脆性遷移温度の温度上昇分だけシフトさせる。この根拠はPTS実証試験とされるが、30年前 -2007 では、本件等価の仮定を用いて、照射量の異なる破壊靭性観測データをシャルピー衝撃試験で求めた脆性遷移温度の温度上昇分だけシフトさせる。この根拠はPTS実証試験とされるが、30年前 の試験であり、試験データは母材と溶接金属各2試料について、静的及び動的破壊靭性試験を行った計8データしかなく、根拠薄弱である。(甲E67・39、41頁、甲E90・21、22頁)Hure 論文の破壊靭性値測定データに基づき下限包絡曲線を求めると、ΔTKⅠcはおよそ142℃となり、脆性遷移温度のシフト量83℃より はるかに大きく、本件等価の仮定には誤りがある。2007年のNRCの報告書のデータベースをみても、ΔT0はΔT30よりも高く、鍛造品では1.5倍、鋼板は1.1倍を示す直線上にほぼ乗っており、Hure 論文の実験結果もこの1.5倍の直線上にほぼ位置する。Hure 論文のデータがΔTKⅠcとΔTr30各1つずつであったとしても、本件等価の仮定 が成り立たないデータであることに変わりはなく、未照射材及び照射材に対し破壊靭性試験及びシャルピー衝撃試験をいずれも10数点~20点行って導かれたものであるから、十分に信頼できる実験結果といえる。 廣田・吉本論文をみても、T0とTr30との温度補正をしており、ΔT0=ΔTr30ではないことは明らかである。ΔT0とΔTKⅠcとは、同じ破 壊靭性観測データから導かれる量であり、データの解析方法が違うだけであるから、本質的には同一の量であり、ΔT0とΔTr30との関係は、ほぼそのままΔTKⅠcとΔTr30との関係を表す。(甲E67・41、45~47頁、甲E90・18~21頁)高浜発電所1号機の30年目評価と40年目評価を比較すると、 JEAC4201-2007[2013]へと規程が r30との関係を表す。(甲E67・41、45~47頁、甲E90・18~21頁)高浜発電所1号機の30年目評価と40年目評価を比較すると、 JEAC4201-2007[2013]へと規程が変更された影響以上に40年目評価が 悪い結果となっており、想定を超える破壊靭性値が観測されている。(甲E67・52、53頁)(エ) JEAC4206-2007 とJEAC4206-2016 とを比較すると、JEAC4206-2007 の方が非保守的な破壊靭性遷移曲線となり、JEAC4206-2007 の運転開始60年後の評価を試算するとほぼ接し、ASMEによる破壊靭性遷移曲線 によってはデッドクロスする。(甲E67・54~56頁)(オ) 本件破壊靭性検討に示された72点のデータを分析し、最小二乗法により関連温度移行量ΔRTNDTと破壊靭性温度移行量ΔTKⅠcとの関係を求めると、母材について後者は前者の1.32倍、溶接金属について1.44倍、両者を区別しないと1.42倍である。このデータを基に 本件等価の仮定についてt-分布で仮説検定をすると、本件等価の仮定は高い有意水準で棄却される。(甲E90・9~15頁)(カ) 高浜発電所1号機の第5回監視試験結果を見ると、今回も第5回破壊靭性観測値により下限包絡曲線が決まり、第4回までのデータで作成された曲線よりも右側に移行し、PTS状態遷移曲線に接近している。同 じデータを用いてマスターカーブ曲線を描くと、5%下限許容区間を示す曲線でもPTS状態遷移曲線にほぼ接し、1%下限許容区間を示す曲線ではデッドクロスした。母材の関連温度移行量ΔRTNDTよりも破壊靭性遷移温度移行量ΔTKⅠcが1.32倍の関係にあるとすると、マスターカーブ曲線はよりPTS状態遷移曲線に接近し、 容区間を示す曲線ではデッドクロスした。母材の関連温度移行量ΔRTNDTよりも破壊靭性遷移温度移行量ΔTKⅠcが1.32倍の関係にあるとすると、マスターカーブ曲線はよりPTS状態遷移曲線に接近し、5%下限許容区間 を示す曲線でも約80℃~120℃の間の温度でPTS状態遷移曲線が上回り、1%下限許容区間を示す曲線では低温側まで大きくクロスし、き裂進展を防ぐことができない。 「照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価」であっても、同様にマスターカーブ曲線はPTS状態遷移曲線と大きくクロスする。(甲E90・26~28、31、33~ 36頁) (キ) 本件破壊靭性検討(その2)は、関連温度RTNDTと破壊靭性温度TKⅠcとの相関を調べたものであり、本件破壊靭性検討とは似て非なるものであって、絶対値そのものを両軸に取っているため中性子照射以外の影響が加算されてしまうという欠陥がある。破壊靭性温度TKⅠcは、破壊靭性値KIcが100MPa√mとなる温度であるが、もともと移行量を見 るために定義された量であるから、この算出法の妥当性は不明である。 未照射材についてのデータのみを取り出すと、関連温度初期値が母材で-50℃~-20℃、溶接金属では-70℃~-50℃の範囲にあることがわかり、照射前(未照射材)における関連温度の違いも紛れ込んでしまうことが示されている。本件破壊靭性検討(その2)の各データに よる破壊靭性温度TKⅠcと脆性遷移温度RTNDTとの関係は、合わせると後者が前者の1.02(決定係数R2は0.574。決定係数は1に近いほど二つの量の相関が高いことを示す。)となるが、母材と溶接金属で分けて解析すると、母材のみでは1.2(決定係数R2は0.807)、溶接金属のみでは1.3(決定係数R2は 574。決定係数は1に近いほど二つの量の相関が高いことを示す。)となるが、母材と溶接金属で分けて解析すると、母材のみでは1.2(決定係数R2は0.807)、溶接金属のみでは1.3(決定係数R2は0.816)となり、合わせた ときよりも決定係数R2は高くなっている。(甲E104・1~7頁)イ原子力安全、原子炉構造、材料に関する研究及び教育業務を専門とするL3は、L3意見書①、②等(乙E60、136、172)において、次のように述べている。 (ア) 1970年頃までは、原子炉容器の脆性破壊の評価は破壊評価線図に 基づく手法が用いられていたが、1970年代初頭には、き裂を仮定した材料の破壊現象を静的破壊靭性により評価する手法が用いられるようになり、これは関連温度の上昇量と破壊靭性値の移行量は等価として無延性遷移温度とシャルピー衝撃試験結果から得られる遷移温度から静的破壊靭性を推定する方法である。代表的な静的破壊靭性遷移曲線はAS MEに規定され、過去に取得された静的破壊靭性データの下限を包絡す るように作成されたものである。米国、フランス、ドイツは、ASME又は自国で開発した静的破壊靭性曲線を用いて評価を行っており、現在までに原子力施設の大型構造物で脆性破壊が生じた例はなく、その評価方法は妥当と考えられている。IAEAにおいても、中性子照射脆化についての国際共同研究が実施され続けており、1984年~1992年 の国際共同研究では、関連温度の上昇量と破壊靭性値の移行量は等価であるかに関する検討が行われ、統一的な合意はされなかったものの、米国、フランス、ドイツの脆化予測においてもこれらは等価であるという前提で破壊靭性遷移曲線が設定されている。日本では、PTS実証試験においてシャルピー衝撃試験片及び破 的な合意はされなかったものの、米国、フランス、ドイツの脆化予測においてもこれらは等価であるという前提で破壊靭性遷移曲線が設定されている。日本では、PTS実証試験においてシャルピー衝撃試験片及び破壊靭性試験片に中性子を加速照射 し、中性子照射後の材料特性を把握した試験の結果により、中性子照射による破壊靭性値の移行量と関連温度の上昇量が同等であることが確認された。(乙E60・4、5頁、乙E136・25頁)Hure 論文は、破壊靭性値の移行量と関連温度の上昇量とを比較するものではなく、中性子照射材に対する高温予荷重効果について確認した研 究成果であり、中性子照射量は破壊靭性試験片の方がシャルピー衝撃試験片よりも3割近く高くなっているから、その結果をもって本件等価の仮定を否定する科学的合理性はない。廣田・吉本論文は、マスターカーブ法を参考にしているものの、異なるプラントの材料をひとまとめにした上で、関連温度の上昇量で整理したデータに対しマスターカーブを適 用しており、新たな破壊靭性遷移曲線の設定方法の提案に当たって破壊靭性の指標となる参照温度の移行量と関連温度の上昇量の関係が扱われているにすぎず、これをもって本件等価の仮定の妥当性について判断することはできない。(乙E136・27、28頁)(イ) シャルピー衝撃試験と破壊靭性試験とでは、いずれも材料の脆化を評 価することができるが、原子炉容器の破壊は、切欠を有する試験片に落 錘を落下させるなどの動的な力で生じるものではなく、切欠ではない先端が鋭いき裂に引張応力が付加されることにより生じるものであるから、精度良く評価するためには破壊靭性試験の方が適しており、監視試験片を取り出したプラント固有の実測データを用いる意義は大きい。 (乙E60・10頁) 応力が付加されることにより生じるものであるから、精度良く評価するためには破壊靭性試験の方が適しており、監視試験片を取り出したプラント固有の実測データを用いる意義は大きい。 (乙E60・10頁) (ウ) 原子炉容器の材料の主成分は鉄であり、合金元素のマンガン、ニッケルや不純物元素の銅(溶質原子)などが含まれているところ、中性子照射脆化のメカニズムとしては、炉心からの中性子照射により、原子炉容器の材料の原子配列から一部の原子がはじき出され、原子配列のずれや乱れが起こり、原子配列のずれや乱れで発生した空孔等の働きにより、 銅、ニッケル、マンガン、シリコン等が集まった大きさ数ナノメートル(㎚)の原子の塊(溶質原子クラスタ)や原子が存在しない隙間や元の原子配列の間にはじき出された原子が入り込んだ格子間原子の集合体(マトリックス損傷)が材料の結晶中に形成され、材料が変形する際には、転位と呼ばれる線状の結晶欠陥が移動する必要があるが、溶質原子 クラスタ及びマトリックス損傷は転位の障害物となるため、材料は変形しにくくなって硬くなり、粘り強さも失い脆くなる(脆化する)。溶質原子クラスタやマトリックス損傷は非常に微細なため、透過電子顕微鏡では十分な観察精度が得られなかったが、高い空間分解能で材料中の個々の原子を3次元マッピングできる3次元アトムプローブ法等の発展によ り、溶質原子クラスタについては原子スケールでの観察、解析が可能となり、JEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法は、3次元アトムプローブ法により得られた最新の知見(溶質原子クラスターの体積率と脆化量は比例する。)を反映して、中性子照射脆化のメカニズムを考慮した相関式となっている。(乙E60・6~8、13頁) 日米で用いられている脆化予測法を の知見(溶質原子クラスターの体積率と脆化量は比例する。)を反映して、中性子照射脆化のメカニズムを考慮した相関式となっている。(乙E60・6~8、13頁) 日米で用いられている脆化予測法を比較すると、規制基準として採用 される予測式は、いずれも関連温度移行量の実測データと中性子照射量や化学成分等を統計的に処理して相関式を求め、中性子照射メカニズムを考慮しており、フィッティングに用いられるパラメータは、JEAC4201-2007[2013]が19であるのに対し、米国の予測式は15~32、フランス、ベルギー等を含めても12~32であるから、JEAC4201-2007[2013] のパラメータが特に多いとはいえない。JEAC4201-2007[2013]の技術評価において、日本電気協会により国内監視試験データを用いて各種脆化予測法の予測値のばらつきが比較検討されたところ、JEAC4201-2007[2013]の予測性が最も高いが、他の予測式の成果も大きく外れているものではない。(乙E60・13、14頁、乙E136・14、15、1 7、18頁)(エ) JEAC4206-2007 に基づくPTS評価においては、最も温度が厳しい大破断LOCAを想定し、原子炉容器の炉心領域内表面に深さ10㎜、長さ60㎜の縦方向の欠陥を想定するという保守的な条件設定としている。 また、原子炉容器の表面は製造時の熱処理により鋼の強度及び靭性が高 められているが、監視試験片は約200㎜ある原子炉容器の板厚の1/4の位置から採取されているから、焼き入れの効果が低く評価され、保守的となる。高温予荷重効果として、き裂を有する原子炉容器等が高温で引張の負荷を受けると、見かけ上の破壊靭性が増加することが知られており、一部は米国の規制や規格等 、焼き入れの効果が低く評価され、保守的となる。高温予荷重効果として、き裂を有する原子炉容器等が高温で引張の負荷を受けると、見かけ上の破壊靭性が増加することが知られており、一部は米国の規制や規格等に取り込まれているが、JEAC4206-2007 では見込んでいない。原子炉容器内表面は相対的に中性子照射量が高いため破壊靭性が低く、外表面に向かって高くなり、PTS事象時の冷却水による温度低下も内表面の方が大きいため、き裂が進展し、外表面に近づくに連れ、破壊靭性が高くなるためき裂の伝播が停止するき裂伝播停止効果が知られており、米国の規制や規格等に取り込まれているが、 JEAC4206-2007 では見込んでいない。想定する仮想欠陥は原子炉容器の 厚さ200㎜程度に対して深さ10㎜という約5%の浅いき裂であるのに対し、破壊靭性試験片のき裂は試験片幅に対するき裂深さが約50%にもなり、き裂が浅いと塑性変形しやすくなる(拘束が低下する)ことで破壊に必要な力が大きくなること(拘束効果)が知られているから、実機プラントの浅いき裂はより脆性破壊を起こしにくいが、JEAC4206- 2016 ではこれを見込んでいない。他方、実機プラントでPTS事象が生じると、垂直方向と平行方向の2方向の引張応力が作用するが、破壊靭性試験は垂直方向の1軸の負荷で実施され、2軸で負荷した方がき裂先端の応力が高くなる(拘束が大きくなる)ことで破壊靭性が低くなることが知られているから、拘束効果が相殺され、実機における浅いき裂に 起因した拘束効果はあまり大きな安全余裕とはならない。このように、JEAC4206-2007 における安全余裕に加え、見込んでいない様々な安全余裕があるから、シャルピー衝撃試験と破壊靭性試験に基づく破壊靭性の設定などの り大きな安全余裕とはならない。このように、JEAC4206-2007 における安全余裕に加え、見込んでいない様々な安全余裕があるから、シャルピー衝撃試験と破壊靭性試験に基づく破壊靭性の設定などの材料に関する1つの因子だけで原子炉容器が脆性破壊するか否かの議論をするのは的を射ていない。(乙E60・15~20頁、乙E 136・32、33頁)(オ) 日本と諸外国のPTS評価を比較すると、諸外国では全ての原子炉に監視試験カプセルが入っているものではなく、入っていても常に破壊靭性試験片が格納されているのではないため、破壊靭性試験片による破壊靭性値を用いることなく、シャルピー衝撃試験結果による関連温度を用 いた将来予測が行われている。日本では、破壊靭性試験片を用いた破壊靭性試験を実施し、得られた破壊靭性の実測値と国内脆化予測法を用いてプラント評価時期における破壊靭性遷移曲線を算出し、PTS評価を行うことを基本としており、より実機の状態に即した直接的な評価となっている。(乙E136・28、29頁) (カ) 高浜発電所1号機では、第4回の監視試験までの9点の破壊靭性試験 データを有しているが、Wallin 論文の方法により実測した破壊靭性値とその時点の破壊靭性遷移曲線との温度方向の差を見ると、9点のデータは累積確率曲線(データが正規分布している場合を指す曲線)上にほぼ乗っており、概ね正規分布となっていて特異なデータが含まれていないことが分かり、データのばらつきの範囲は高浜発電所2号機と比較して も同程度である。(乙E60・20頁)(キ) WOL 試験片は、1960年代後半に開発され、1970年代初頭までに多くの監視試験カプセルに格納されるようになったが、その後、試験片の準備と試験が容易になるように改良し E60・20頁)(キ) WOL 試験片は、1960年代後半に開発され、1970年代初頭までに多くの監視試験カプセルに格納されるようになったが、その後、試験片の準備と試験が容易になるように改良したCT 試験片が開発された。 この開発過程において、CT 試験片とWOL 試験片が同等の破壊靭性値を評 価できることが確認されている。ASME 規格に規定されている破壊靭性遷移曲線の式の制定の際に用いられた破壊靭性データベースにも、WOL 試験片で得られた破壊靭性データが含まれている。また、WOL 試験片を用いた試験については、試験方法の改良に関する研究も行われており、WOL試験片の後部を切り落とした上で側溝を加工することでCT 試験片と同 等の値が得られることが公表されるなどしている。(乙E136・18、19頁)(ク) HAZについては、電中研の研究では、中性子照射による関連温度の上昇量(移行量)が母材とほぼ同等であることから、母材で代表できるとされている。米国電力中央研究所が2022年に報告した技術レポー トにおいて、HAZの関連温度の上昇量が母材及び溶接金属の関連温度の上昇量よりも高いデータが281点中2点あるものの、その差異は約18℃というわずかな量の範囲にとどまり、HAZの関連温度の上昇量が母材の関連温度の上昇量と比べて高いとはいえないと評価され、熱処理よりも化学組成が脆化の進行を決定する上で重要な要素であることを 示唆しているとされている。NRCは、HAZの破壊靭性値は母材に比 べて優れているとして、2020年10月、HAZのシャルピー衝撃試験を規制要求として求めない旨の規制の改正をしている。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が2023年に発表した研究成果でも、全体的にはHAZから得ら 、2020年10月、HAZのシャルピー衝撃試験を規制要求として求めない旨の規制の改正をしている。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が2023年に発表した研究成果でも、全体的にはHAZから得られた破壊靭性値は母材より優れていることが報告されている。(乙E136・21~23頁) (ケ) き裂等の検出に係る検査について、原子炉容器は、供用開始前に日本機械学会の溶接規格に基づき、全ての溶接部に対して放射線透過試験等の非破壊検査を実施し、有害な大きさのき裂等がないことを確認している。供用開始後は、日本機械学会の維持規格等に基づき、有害な大きさのき裂等及び進展するおそれのあるき裂等がないことが供用期間中検査 において確認されることになり、運転間隔(13か月以下)毎に検査を行い、10年間(30年目以降は7年間)で全ての溶接部の試験可能な範囲を対象に超音波探傷検査等を実施することとされている。原子炉容器の検査は、諸外国においても全ての部位を10年に1度検査することとなっており、日本の検査制度は国際的にみても保守的である。平成1 6年度まで行われた原子力発電施設検査技術実証事業においては、クラッド付試験体について、クラッド面からの探傷における有効性検証が実施されており、検出可能な最小のき裂深さは母材のき裂で4.8㎜、クラッドのき裂で3.8㎜であった。これを基に、PTS評価においては十分余裕のある深さ10㎜のき裂を仮定して評価している。(乙E13 6・30、31頁)ウ伝熱工学の研究に従事する小山工業専門学校機械工学科教授であるL4は、L4共同意見書及びL4意見書①~③等(甲E61、66、67、103、108、甲高E4)において、次のように述べている。 (ア) JEAC4206-2007 では、熱伝達率の算出をJF式 るL4は、L4共同意見書及びL4意見書①~③等(甲E61、66、67、103、108、甲高E4)において、次のように述べている。 (ア) JEAC4206-2007 では、熱伝達率の算出をJF式によるものとしている が、その根拠となったPTS調査報告書には、NRCのPTS解析 (NUREG/CR-4183)を調査し、熱伝達率の計算にJF式を用いていることを確認した、とされている。その基となった資料を確認すると、1つは水と塩水により塩分濃度の相違による密度差によって自然対流を再現し、高温液(真水)が残っているところに低温冷却水(濃度を変えた塩水)が流入するときの流動状態を塩分濃度の測定によって定量化したもので あり、熱伝達率の増加について測定したものではなく、大破断LOCAのようなプルームが生じない場合の流動状態についての言及もない。もう1つは垂直壁面と空気間の自然対流熱伝達状態に下降流を付加した場合の共存対流時の熱伝達率を測定したものであり、これらによりNRCがJF式を用いているからといって、大破断LOCA時の熱伝達率の計 算にJF式を使えることにはならない。三菱の実験的研究についても、実験流体は空気であり、壁面温度と流体温度の温度差は10℃~最大70℃であるから、これらの実験データから、PTS事象が生じたときの壁面初期温度291℃の大気圧下で27℃の冷却水が到来するときの熱伝達率が評価できるとは考えられず、大気圧下での大規模LOCA時に は沸騰が生じるにもかかわらず、相変化のない空気ではこの現象を再現することはできない。そもそもPTS実証試験は試験片を水平下向きにして水平方向に冷却水を流して冷却しており、共存対流場ではなく、実機条件を再現した冷却条件とは異なる。空気は圧縮性気体であることから することはできない。そもそもPTS実証試験は試験片を水平下向きにして水平方向に冷却水を流して冷却しており、共存対流場ではなく、実機条件を再現した冷却条件とは異なる。空気は圧縮性気体であることから圧力によって体積(密度)が変わるが、水は非圧縮性流体とみなすこ とができるため、相似則の安易な適用は危険である。(甲E67・61~63頁)(イ) JEAC4206-2007 ではJF式を用いることとしているが、そこで用いる代表長さが規定されていない。JEAC4206-2007 では、熱伝達率の設定について記述はあるものの、自然対流の影響を加味する式が定められてい るだけで、強制対流熱伝達率の求め方については定められておらず、こ れでは流動様式を想定して、適切な相関式を用いて強制対流熱伝達率をどのように算出するのかわからない。(甲高E4・4、17、18、70頁)(ウ) PTS事象が生じた初期段階では核沸騰が生じ、核沸騰の熱伝達率は10kW/㎡K 以上となるが、本件原子炉のPTS評価では沸騰熱伝達率 が考慮されていない。熱伝達率の測定に当たっては、試料の熱伝導率は影響しない。(甲高E4・2頁、甲E67・65、66頁)(エ) PTS調査報告書によると、PTS実証試験に用いた平板状試料に予め引張荷重と曲げ荷重を加えた状態の加熱試料を急冷することで、熱応力を再現しているが、この時の応力分布は、圧力容器のような肉厚の円 筒状容器を急冷したときの熱応力分布の計算例とは異なる分布となっている。したがって、PTS調査報告書による応力拡大係数が、実際の圧力容器に発生する応力拡大係数を再現しているか疑問である。(甲E67・67頁)(オ) PTS調査報告書にはクラッドに関する記載がなく、PTS実証試験 の試験試 よる応力拡大係数が、実際の圧力容器に発生する応力拡大係数を再現しているか疑問である。(甲E67・67頁)(オ) PTS調査報告書にはクラッドに関する記載がなく、PTS実証試験 の試験試料にクラッドは施されていなかった。クラッドを考慮すると母材の熱応力は小さくなるが、保守的な解析をするのであれば、クラッドのない状態で温度分布、応力分布を求めるべきであり、JEAC4206-2007 にクラッドの記述がないのは、クラッド肉盛り溶接施工時に母材に生じる残留応力の評価が困難なため、あえて保守的にクラッドを除去した状態 でPTS解析を行うよう定めたものと解釈するのが合理的である。クラッドを含めて計算するのであれば、クラッドの残留応力の評価の仕方、物性値(クラッドのヤング率、熱膨張係数、熱伝導率の温度依存性、比熱、密度等)についてなどの規定が必要となるはずであるが、JEAC4206- 2007 にこれらの規定はない。(甲E67・69~74頁) (カ) 高浜発電所1号機についてクラッドがなく沸騰熱伝達を考慮した場 合のPTS状態遷移曲線を試算すると、200秒で100℃付近まで急冷され、600秒までは破壊靭性遷移曲線に極めて接近し、部分的にはデッドクロスする。クラッドがあり沸騰熱伝達を考慮すると、熱伝導率の低いクラッドの存在のため、クラック先端部の温度は200秒では145℃までの低下にとどまり、デッドクロスはしなかったことから、ク ラッドにより沸騰の影響は著しく緩和されることがわかる。(甲E67・100~102頁)(キ) 参加人は、PTS解析において、圧力容器の温度分布の解析にはクラッドの存在を考慮し、応力解析や応力拡大係数の計算ではクラッドを考慮しない解析を行っており、熱伝導に関しては、クラッドをステンレ (キ) 参加人は、PTS解析において、圧力容器の温度分布の解析にはクラッドの存在を考慮し、応力解析や応力拡大係数の計算ではクラッドを考慮しない解析を行っており、熱伝導に関しては、クラッドをステンレス 鋼として扱い、応力計算では母材と同じ材質と扱って計算したことになる。しかし、クラッドはステンレス鋼、母材は炭素鋼であり、熱物性値も力学的物性値も異なるのであり、熱伝導率、比熱、密度はステンレス、熱膨張係数、縦弾性係数は炭素鋼などという物質は存在しない。Fekete論文によれば、クラッドの物性値について、①母材(炭素鋼)と同じと した場合、②熱伝導率はステンレス鋼と同じ、熱膨張率、縦弾性係数は母材と同じとした場合(参加人の条件に近い)、③熱伝導率、熱膨張率がステンレス鋼と同じとした場合、いずれも溶接残留応力を考慮せず、熱伝達率を5kW/㎡K として試算すると、熱応力は③のクラッド部分(厚さ9㎜)が非常に大きくなり、応力拡大係数はクラッドと母材の界面付近 で最も大きくなり、その前後10㎜程度の範囲で破壊靭性値の曲線と交差することが示され、次いで①の応力拡大係数が高くなるが、破壊靭性値とのデッドクロスは免れ、参加人が実施した条件に近い②が最も余裕が生じた。これは、参加人が実施した条件は熱伝導率をステンレス、熱膨張率、縦弾性係数は炭素鋼というそれぞれ都合の良い数値であったか らであり、他方、③が最も危険となったのは、クラッドの熱伝導率の安 全側への影響よりも、熱膨張率による危険側への影響の方が大きいことを示している。Jang 論文でも、クラッド内の熱応力と応力拡大係数が最も大きくなり、クラッド領域内の高い引張応力により表面き裂の先端に適用された最大の応力拡大係数が示されるなど同様の結果となった。 (甲E1 。Jang 論文でも、クラッド内の熱応力と応力拡大係数が最も大きくなり、クラッド領域内の高い引張応力により表面き裂の先端に適用された最大の応力拡大係数が示されるなど同様の結果となった。 (甲E103・2~4頁) エ軽水炉事故時の熱水力安全及びシビアアクシデントに関する研究を専門とするJAEA安全研究・防災支援部門の非常勤嘱託であるL5は、L5意見書①、②等(乙E62、137、173)において、次のように述べている。 (ア) PTS評価の対象となる大破断LOCAの過程としては、ブローダウ ン(破断後13秒前後で終了)、リフィル(破断後30秒前後で終了)、再冠水(10分程度で炉心の上端まで水位が上昇して完了)の主に3つの過程を経て進行する。ブローダウン過程及びリフィル過程の約30秒間は、不確かさの大きな冷却状態が生じることが知られており、この状態を評価に含めることは適切ではないから、事故の発生直後から27℃ の低温の非常用冷却水により確実に冷却が開始するという条件設定は、290℃と高温の原子炉容器炉心領域部と温度差が最大となる温度条件で瞬時に冷却を開始させるものとして、熱的に最も保守的な境界条件を付与しているといえる。非常用冷却水の温度は、炉心領域部に達するまでに加熱されることが確認されているが、ダウンカマー部で注水温度を 27℃と設定することも正味の伝熱量を大きく見積もることで保守性を担保する合理的条件設定といえる。(乙E62・5~7、10~13頁)(イ) JEAC4206-2007 のPTS事象に対する評価手法は、PTS調査報告書をベースとしており、これは我が国のみならず世界各国で行われている安全評価と同等の手法を用いたものとして合理性は確かなものであり、 このような大規模かつ包括的なプロジェ 法は、PTS調査報告書をベースとしており、これは我が国のみならず世界各国で行われている安全評価と同等の手法を用いたものとして合理性は確かなものであり、 このような大規模かつ包括的なプロジェクトはその後には行われていな い。(乙E62・10頁)(ウ) 運転時の原子炉容器の炉心領域部は約290℃と高温のため、事故の発生直後に注入される非常用冷却水は一時的に沸騰熱伝達を生じる可能性があるが、電事連回答に示されているように、沸騰熱伝達率を考慮した場合であっても、原子炉容器母材内面から10㎜位置(想定欠陥の位 置)の温度についての曲線はほぼ同じであり、沸騰熱伝達がPTS事象へ与える影響は小さいことが確認されている。大破断LOCAのPTS評価において健全性の判断に影響を与える時間帯は約600秒以降であるのに対し、原子炉容器炉心領域部の表面温度は、沸騰熱伝達を考慮した場合で約130秒、沸騰を考慮しない場合でも約160秒で100℃ を下回るため、それ以降の時間に沸騰熱伝達率を考慮する必要はない。 (乙E62・14、18、19頁)(エ) JEAC4206-2007 やPTS調査報告書にクラッドの考慮を許容しない旨の記載は見当たらない。クラッドに用いられるステンレス鋼は熱伝導率が小さいため、冷却される原子炉容器の母材の温度分布の形成に影響を 与える。熱工学の観点からは、クラッドの物性値等が明らかであることから、クラッドの影響を考慮した熱水力解析は明瞭に評価可能である。 現実に存在するクラッドを熱水力解析において考慮することは当然であり、クラッドがない状態の想定は保守性の加味には該当せず、原子炉の安全評価上、熱工学的な意味を見出すことはできない。 (乙E62・19、 20頁)(オ) PTS調査報告書が調査 は当然であり、クラッドがない状態の想定は保守性の加味には該当せず、原子炉の安全評価上、熱工学的な意味を見出すことはできない。 (乙E62・19、 20頁)(オ) PTS調査報告書が調査した三菱の実験的研究については、査読を得た論文ではないものの、信頼性の担保となり、原子炉容器ダウンカマー部を模擬したスライスモデルとなっており、原子炉容器ダウンカマー部にJF式が適用できるとする根拠とすることは妥当である。流体として 気体を用いているとしても相似則を用いることにより水にも適用可能で あるから、三菱の実験的研究の成果をもってJF式を原子炉容器ダウンカマー部に適用できることを確認したとするPTS調査報告書の見解は妥当である。JF式は単相流の相似則に基づく評価式であるから、単相流に対してのみ適用でき、沸騰を含む気液二相流に対して沸騰条件に対応した相似則と共にJF式を用いるのは適当ではないが、PTS評価に おいて原子炉容器の健全性の判断に影響を与える時間帯は大破断LOCAが発生してから約600秒以降であり、その時間帯において原子炉容器炉心領域部の表面温度は100℃を下回り、沸騰は生じないから、気液二相流に対して相似則を用いてJF式を適用することにはならない。 複合対流熱伝達について、異なる幾何形状(円管と矩形管)、異なる流体 (空気と水など)、異なる加熱方式、異なる流動条件で取得した単相流の条件下での実験データをJF式が良好に再現しており、JF式に相似則が成立することが示された研究成果もある。 (乙E137・4、6~8頁)(カ) JEAC4206-2007 においては、上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースの評価式しか設定されていないが、JF式は強制対流が 支配的となり自然対流の寄与が ~8頁)(カ) JEAC4206-2007 においては、上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースの評価式しか設定されていないが、JF式は強制対流が 支配的となり自然対流の寄与が無視できる条件についても使用可能である。強制対流のヌッセルト数は、数多くある精度の良い評価式のいずれかを適切に判断して用いることを前提としている。また、JF式の原論文であるJackson,Fewster(1977)には、代表長さとして直径を取ることが明記されており、JEAC4206-2007 においては代表長さは流路相当直径 を採用することを前提としていると考えるべきである。(乙E137・5頁)(キ) Qian 論文では、プルーム(水温の不均一さ)を考慮すると熱伝達率の変化が大きく異なるとするが、同論文は大破断LOCAではなく中破断LOCAを想定したものであり、大破断LOCAでは原子炉容器内の高 温の冷却材が喪失していると考えられる上、事故の発生と同時に瞬時に 27℃の非常用冷却水に置き換わると仮定しているから、プルームを考慮する必要はない。(乙E137・9、10頁)オ流体力学・熱工学の専門家であるL6は、L6意見書(乙E61)において、次のように述べている。 (ア) 三菱の実験的研究は、査読を経た論文ではないが、企業研究では研究 成果の論文化の優先順位は必ずしも高くなく、あえて研究成果を学術論文として公表しない戦略も取られるから、査読を経た学術論文を公表していないという理由で信頼性が低いとはいえない。三菱の実験的研究は原子力熱流動工学に関する日本を代表する専門家の指導を受けたものであることからも信頼性に問題がないと判断することができる。(乙E6 1・1、2、11、12頁)(イ) 三菱の実験的 的研究は原子力熱流動工学に関する日本を代表する専門家の指導を受けたものであることからも信頼性に問題がないと判断することができる。(乙E6 1・1、2、11、12頁)(イ) 三菱の実験的研究は、等温加熱垂直二平行平板上の強制自然複合対流熱伝達に関するものであり、JF式が適用可能であることを実験的に確認している。これは直径4m程度の原子炉容器のダウンカマー部の流路を想定して行われたものであり、スライスモデルの手法である。流体と しては空気を用いているが、流体の流動特性や熱伝達特性を特徴付ける無次元数が一致する流動・熱伝達には相似性が成り立つという相似則を用いれば、空気を用いて得られた実験結果は水に対しても適用可能であり、流体力学の実験式の適用場面では一般的である。JF式の無次元数には代表長さを含むが、水平方向(流路断面方向距離)を用いることが 規定されているから、三菱の実験的研究では非円形流路を円形流路と見立てた場合の直径である相当直径を用いており、この概念はダウンカマーのような円環形状に対しても適用可能である。三菱の実験的研究により、JF式を原子炉容器ダウンカマー部に適用妥当なことが示されていると評価できる。(乙E61・4~7頁) (ウ) JEAC4206-2007 には、「上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存す るケース」しか設定されていないが、原子炉容器ダウンカマー部への冷却水注水時の対流状態としては、このケースを想定すれば問題ない。また、JF式は、無次元数の組み合わせにより、強制対流熱伝達が支配的となり自然対流熱伝達の寄与が無視できる場合でも使用可能な式であるといえる。強制乱流場でのヌッセルト数を求めるための精度の良い評価 式は数多く開発されており、その知見は熱工学の分野では が支配的となり自然対流熱伝達の寄与が無視できる場合でも使用可能な式であるといえる。強制乱流場でのヌッセルト数を求めるための精度の良い評価 式は数多く開発されており、その知見は熱工学の分野では一般的であって、精度の良い評価式のうちいずれかを選択して使用することが当然の前提になっているにすぎないから、これを規定していないことをもって、基準として不合理であるとは考えられない。JEAC4206-2007 に代表長さが設定されていないが、JF式の原論文であるJackson,Fewster(1977) には代表長さとして直径を取ることが明記されているから、代表長さとして流路相当直径を取ることが前提となっていると考えるべきである。 (乙E61・9、10頁) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について(1) 上記認定事実(中性子照射脆化)(1)~(3)及び(5)のとおり、運転期間延長 認可処分の審査における中性子照射脆化の審査については、炉規法43条の3の32第5項、実用炉規則114条、技術基準規則14条及び22条が規定されており、技術基準規則解釈は、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206- 2007 に技術基準規則解釈所定の要件を付したものを満たすこととし、本件運転期間延長認可処分に係る審査においてもこれらを用いて審査が行われてい る。したがって、技術基準規則解釈、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206- 2007 は、本件運転期間延長認可処分の審査との関係で、具体的審査基準に該当するものと認められる。 (2) そして、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 は、日本電気協会が策定した民間規格であるが、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)ア(ウ 当するものと認められる。 (2) そして、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 は、日本電気協会が策定した民間規格であるが、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)ア(ウ)のと おり、JEAC4201-2007 シリーズは、米国のASME・E185-66「軽水炉圧力容器の 監視試験のための標準実施要領」を参考に作成され、以後、改定されてきたものであり、JEAC4206-2007 は、米国のASMECodeSectionⅢを参考に、JEAC4206-2007 の前身となる規程が作成され、その後、JEAC4206-2007 へと改定されてきたものである。そして、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)eのとおり、PTS評価の手法については、 JEAC4206-2007 の附属書Cに定 められているところ、付属書Cは、当時を代表する多数の専門家が参画して取りまとめられたPTS調査報告書を基に作成されている。 さらに、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)のとおり、原子力規制委員会及びその前身である原子力安全・保安院は、日本電気協会を含む3学協会等の民間規格を規則等に引用するに当たっては検討チームによる公開の会合で 技術評価を実施することとしており、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206- 2007 についても、それぞれ技術評価を実施して、その技術的妥当性を審査した上で、規制等に引用するにあたっての条件等を付して、それに合わせた技術基準規則解釈の改正も行って、引用している。 JEAC4201-2007 シリーズは、監視試験片の監視試験によって得られたデー タに基づき関連温度の移行量を評価するものであり、JEAC4206-2007 は、破壊靭性試験の結果から関連温 JEAC4201-2007 シリーズは、監視試験片の監視試験によって得られたデー タに基づき関連温度の移行量を評価するものであり、JEAC4206-2007 は、破壊靭性試験の結果から関連温度の移行量に応じて移行させた破壊靭性値を下限包絡するよう破壊靭性遷移曲線を描き、最大仮想欠陥として原子炉圧力容器炉心領域内表面に深さ10㎜、長さ60㎜の軸方向の半楕円表面欠陥を想定してPTS事象が生じたときのPTS状態遷移曲線を描き、両曲線が交差 しないことにより健全性を確認するものであるが、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)ウ(イ)c及び(8)イのとおり、深さ10㎜の欠陥を想定することについて、超音波探傷試験における検出可能な最小欠陥が深さ4.8㎜と評価されることから十分に大きなものとなっていること、冷却水の混合を考慮せずに約291℃から約27℃へステップ状に変化する条件としている手法が、 保守的な評価であることなどについては、高経年化技術評価に関する意見聴 取会において説明がされ、外部専門家を含めて妥当性が確認されている。併せて、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)ア(オ)のとおり、運転期間延長認可申請において、原子炉容器の超音波探傷試験による欠陥の有無に関する点検結果を記載した書面を添付することが定められていることも考慮すれば、中性子照射脆化に係る具体的審査基準に不合理な点がないことについて相当 の根拠をもって立証されたと認められる。 (3) 上記認定事実(中性子照射脆化)(4)のとおり、原子力規制委員会は、参加人が、実用炉規則113条2項2号の規定に基づいて、本件運転期間延長認可申請の申請書に添付した本件劣化状況評価書及び本件補足説明資料(平成28年)により、本件原子炉の原子炉容器について、超音波探傷試 人が、実用炉規則113条2項2号の規定に基づいて、本件運転期間延長認可申請の申請書に添付した本件劣化状況評価書及び本件補足説明資料(平成28年)により、本件原子炉の原子炉容器について、超音波探傷試験により 有意な欠陥がないことが確認されていること、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 の定めるところに従って、運転開始後30年を経過する日から10年以内である平成23年5月に取り出した監視試験片までを用いた監視試験に基づいて運転開始後60年時点の静的平面ひずみ破壊靭性値の下限包絡曲線(破壊靭性遷移曲線)が描かれ、原子炉容器炉心領域部内表面に深 さ10㎜の欠陥を想定した応力拡大係数を示すPTS状態遷移曲線が描かれていること、破壊靭性遷移曲線がPTS状態遷移曲線を上回っていることを確認するなどして、本件原子炉について、原子炉容器の評価対象部位において静的平面ひずみ破壊靭性値が応力拡大係数(加圧熱衝撃による力)を上回ることを確認し、中性子照射脆化の項目における加圧熱衝撃評価に関する要 求事項(運転延長)を満たすと判断したものと認められる。 したがって、本件運転期間延長認可処分のうち中性子照射脆化に係る原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 3 争点5-(1)―ア(破壊靭性遷移曲線の導出に係る基準の不合理性)について (1) JEAC4201-2007 シリーズの不合理性 ア基本モデル式に含まれる銅の拡散係数の誤りについて原告らは、JEAC4201-2007 シリーズの基本モデル式に含まれる本件反応速度式(別紙16数式目録7)には、銅の拡散係数を1乗とすべきところを2乗とするという理論的な誤りがあると主 について原告らは、JEAC4201-2007 シリーズの基本モデル式に含まれる本件反応速度式(別紙16数式目録7)には、銅の拡散係数を1乗とすべきところを2乗とするという理論的な誤りがあると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)ウのとおり、平成2 3年11月29日から平成24年7月27日まで行われた高経年化技術評価に関する意見聴取会において、基本モデル式を構成する本件反応速度式の銅の拡散係数について、L2委員から拡散係数が2乗となっているのは1乗の誤りである旨の意見が述べられ、議論がされたものの、L2委員の意見にそのまま同意する意見はなく、L2委員が指摘する考え方とは異 なるという意見、拡散係数の2乗に比例する現象もあり必ずしも間違いとはいえないという意見等が出されたこと、全委員に対するアンケートも行われ、高経年化報告書においては、学協会による検討を要するものの、最新国内監視試験片データとJEAC4201-2007 により評価された関連温度の移行量との関係を確認した結果、一定の誤差の範囲内で脆化傾向を評価でき ていたため、国内脆化予測法の前提となっている脆化メカニズムを直ちに見直す必要はないなどとされたことが認められる。 この点について、L2は理論式としては誤りである旨を述べ(甲E107・5、6頁)、L3も理論式としては誤りであることや、その後にIET小委員会が作成した新モデルでは銅の拡散係数は含まれておらず、銅の拡 散係数の入った現行の反応速度式のパラメータ(係数)を修正して今後も利用しようという動きはない旨を述べる(乙E172・31、53、54頁)。 しかしながら、他方で、L3は、中性子照射脆化の分野において理論上のものと現実の結果が一致した結果になるとは限らず、予測式として ようという動きはない旨を述べる(乙E172・31、53、54頁)。 しかしながら、他方で、L3は、中性子照射脆化の分野において理論上のものと現実の結果が一致した結果になるとは限らず、予測式として用い る段階では、近似式として用いるものであり、アトムプローブによる観察 結果や監視試験結果とも整合性が高いことから、多数の研究者は理論式としての誤りか否かよりも、予測式としての精度の高い方法に関心が向いているなどと述べ(乙E172・2~6、31、32頁)、L2も、銅の拡散係数の2乗を1乗に変えても、結論にどのように影響するかはわからない旨を供述する(甲E107・7、8頁)から、本件反応速度式に銅の拡散 係数を2乗とする部分が含まれているとしても、そのことから直ちに非保守的な脆化予測がされるということはできないというべきである。 また、基本モデル式を基にした国内脆化予測法は、脆化に影響するクラスターが形成されるまでの複雑なプロセスを基礎過程に立脚した比較的簡単な数式として近似した形で示した相関式であり(乙E16・12頁)、 上記認定事実(中性子照射脆化)(3)エ(イ)~(エ)のとおり、JEAC4201-2007[2013]の予測式は、JEAC4201-2007 から国内脆化予測法の基となる基本モデル式を変更したものでなく、監視試験データ等の充実を基に予測式の係数を最適化したものであり、原子力規制委員会は、その技術評価において、基本モデル式がデータに基づく多項近似式と捉えても差し支えないと の認識の上で、予測式の係数の算出に用いたデータの信頼性、予測式の係数最適化の方法、関連温度移行量の予測値の信頼性(海外予測式との比較等)、ΔRTNDT計算値と実測値のばらつき、基本モデル式に係る新知見等について検討を行い の算出に用いたデータの信頼性、予測式の係数最適化の方法、関連温度移行量の予測値の信頼性(海外予測式との比較等)、ΔRTNDT計算値と実測値のばらつき、基本モデル式に係る新知見等について検討を行い、規制に当たって適用可能であると判断し、適用に当たっての条件を付した上で、技術基準規則解釈の14条、22条及び別記 -6中に位置付けている。 したがって、基本モデル式を基にしたJEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法は、脆化の複雑な過程を比較的簡単な数式として近似した形で示した相関式であるから、これが理論式であることを前提とする原告らの主張は、理由がない。 そして、国内脆化予測法のフィッティング性については、国内300点 を超えるデータに基づいて最適化されているほか、JEAC4201-2007[2013]の技術評価において、中性子照射量が高い領域では関連温度が従来の予測以上に増大するような脆化メカニズムがある可能性を考慮して、原子炉圧力容器内面における中性子照射量が各原子炉施設から取り出された監視試験片の中性子照射量を上回る前に新たな試験片を取り出し、追加データ も用いて特定時点の関連温度を再予測することとしたり、JEAC4201-2007[2013]では、同[2010]に比べてMRを大きくするなど、予測の不確かさを補う対策をしていることも考慮すれば、本件反応速度式について理論式としての誤りが指摘され、専門家の間で意見が分かれている状況であるとしても、基本モデル式を多項近似式と捉えて国内脆化予測法を用いることが、 現在の科学技術水準に照らして不合理であるということはできない。 イ基本モデル式のパラメータ数について原告らは、JEAC4201-2007[2013]の基本モデル式を経験式であ ことが、 現在の科学技術水準に照らして不合理であるということはできない。 イ基本モデル式のパラメータ数について原告らは、JEAC4201-2007[2013]の基本モデル式を経験式であると考えても、19というパラメータ数が多すぎて、妥当性が判断できないような式になっており、適切な式になっていないと主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)イのとおり、L3は、JEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法は、3次元アトムプローブ法により得られた最新の知見(溶質原子クラスターの体積率と脆化量は比例する。)を反映して、中性子照射脆化のメカニズムを考慮した相関式となっていること、米国で用いられている脆化予測法のパラメータ数は15~32 であり、フランス、ベルギー等を含めても、脆化予測法のパラメータ数は12~32であるから、JEAC4201-2007 シリーズのパラメータ数の19が特に多いとはいえないことなどを述べており、これらに不合理な点は見当たらない。また、L2は、19というパラメータ数があまりに多い旨を述べるものの、他方で、19のパラメータのどの部分に具体的な問題がある かを指摘するものではなく、上記各国の他の脆化予測法のパラメータ数に 19よりも多いものがあること等を把握していない旨も述べており(甲E107・8、27~29頁)、19のパラメータ数が多すぎて不合理であるということはできない。 そして、脆化のメカニズムが科学的に解明されているとは認められず、JEAC4201-2007 シリーズの改定により19個のパラメータの係数は大幅に 修正されており(甲E99・19頁)、それぞれのパラメータの意味が脆化のメカニズムを正確に反映していない可能性は否定できないもの -2007 シリーズの改定により19個のパラメータの係数は大幅に 修正されており(甲E99・19頁)、それぞれのパラメータの意味が脆化のメカニズムを正確に反映していない可能性は否定できないものの、上記アのとおり、中性子照射量が高い領域では関連温度が従来の予測以上に増大するような脆化メカニズムがある可能性を考慮して、原子炉圧力容器内面の中性子照射量が既に取り出された監視試験片の中性子照射量を上回 る時点の前に、次の監視試験片を取り出し、新たに取り出された監視試験片から得られたデータに基づき、特定時点での関連温度の再予測を行う等の対策をしていることも考慮すれば、19個のパラメータを有する基本モデル式を用いているJEAC4201-2007[2013]が、現在の科学技術水準に照らして不合理であるということはできない。 ウ脆化予測の精度について原告らは、JEAC4201-2007[2013]について、玄海発電所1号機において予測を上回る数値が観測され、予測式の係数を変更するなどしており、その技術評価では、高い中性子積算照射量においては精度が十分高いとはいえない可能性があることや、最新知見に基づき現行脆化予測法の信頼性改善 の検討や予測法の見直し等の継続的取り組みを求める等の指摘がされていることなどから、基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)ウ及びエのとおり、玄海発電所1号機について予測を上回る数値が観測された点については、高経年化技術評価に関する意見聴取会において検討が行われた結果、 JEAC4201-2007 シリーズの国内脆化予測法の基となった基本モデル式につ いては、平成18年12月までの国内監視試験片から得られたデータ群によりフィッティン れた結果、 JEAC4201-2007 シリーズの国内脆化予測法の基となった基本モデル式につ いては、平成18年12月までの国内監視試験片から得られたデータ群によりフィッティング係数が最適化されており、最新国内監視片データとJEAC4201-2007 により評価された関連温度の移行量との関係を確認した結果、一定の誤差の範囲内で脆化傾向を評価できていたとして、直ちに見直す必要はないとの結論が示されている。また、原子力規制委員会は、 JEAC4201-2007[2013]の技術評価において、国内脆化予測法の係数の最適化の方法、国内脆化予測法から得られる関連温度移行量の値の信頼性(海外の脆化予測法との比較等)、関連温度の移行量の計算値と実測値の相関、基本モデル式に係る新知見等の観点から検討を行い、その技術的妥当性を確認し、規制に当たって適用可能であると評価しており、その技術評価に 当たって日本電気協会が行った比較検討において、海外の脆化予測法と比較して国内監視試験データを用いた評価では同等以上の信頼区間の上限により予測していると判断されている。 また、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)オのとおり、原子力規制委員会は、平成27年10月19日付けで、日本電気協会に対し、本件特定指 導文書を発出しているが、日本電気協会は、同年11月30日付けで、2018年予定の次回改定に向け、最新知見に基づく中性子照射脆化に対する影響因子の検討、基本モデル式の改定要否、MC補正の妥当性の検討、別モデルの採用要否も含めて検討していく予定である旨を回答し、これを受けて、日本溶接協会の原子力研究委員会がIET小委員会を設置し、脆化 予測法改定案等について議論するとともに、JEAC4201-2007[2013]についても議 予定である旨を回答し、これを受けて、日本溶接協会の原子力研究委員会がIET小委員会を設置し、脆化 予測法改定案等について議論するとともに、JEAC4201-2007[2013]についても議論が行われたが、その合理性に疑義を呈するような知見は得られなかったというのであるから、本件特定指導文書発出後もJEAC4201-2007[2013]を用いていることが不合理であるということはできない。 さらに、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)カのとおり、米国において、 脆化予測法であるASTME-900 の改訂版(2021 年版)を作成するに当たっ て、JEAC4201-2007[2013]を含む2002年(平成14年)以降に発行された9つの脆化予測法の比較検討が行われたが、JEAC4201-2007[2013]は、銅の含有量が比較的低い(0.075%以下)データ群を用いた場合には、実際の原子炉容器で使用されている鋼板や鍛鋼品だけでなく、全ての鋼種について他の脆化予測法と比べて予測性が最も高いという検討結果が得 られている。 したがって、JEAC4201-2007[2013]は国内外においてその予測性について高い評価をされていると認められ、その合理性に疑義を呈するような科学的知見が得られているとはいえないから、その不合理性に係る原告らの主張は理由がない。 エ試験回次ごとに破壊靭性曲線が危険側にシフトすることについて(ア) 原告らは、高浜発電所1号炉の第4回監視試験のデータによる照射脆化予測曲線が第3回監視試験のデータによる照射脆化予測曲線と比較し約22℃上方へシフトしたこと、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)によれば、同(30年目)と比較して60年目予測につ いて大幅に余裕がなく のデータによる照射脆化予測曲線と比較し約22℃上方へシフトしたこと、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)によれば、同(30年目)と比較して60年目予測につ いて大幅に余裕がなくなっていることから、JEAC4201-2007[2013]では適切な予測及び評価をなし得ないと主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(4)ア(キ)のとおり、参加人による高経年化技術評価書(30年目)における脆化予測は、監視試験回次第2回までに得られた関連温度を用いてJEAC4201-2000 に基 づき行われたものであり、同(40年目)における脆化予測は、監視試験回次第4回までに得られた関連温度を用いてJEAC4201-2007[2013]に基づき行われたものであるところ、参加人は、関連温度が上昇した46℃のうち、22℃については、JEAC4201-2007[2013]において、評価手法の変更及びマージンの増大によるものであり、 残りの24℃につい ては、第3回及び第4回の監視試験で破壊靭性試験データを拡充した結 果であると評価している。 上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)d(b)のとおり、JEAC4201- 2007 シリーズは、2002年より前の脆化予測法の多くが材料条件や照射条件と脆化量との単なる相関性に基づいて設定されていたのに対し、3次元アトムプロープ等を用いた照射材の微視的観察の調査結果等に基 づいた脆化メカニズムを考慮して策定されたもので、JEAC4201-2000 とは異なる評価手法であり、また、JEAC4201-2007[2013]は、JEAC4201- 2007 から平成19年(2007年)以降に得られた監視試験片20点等の監視試験片の実測データを拡充するとともに、2回 手法であり、また、JEAC4201-2007[2013]は、JEAC4201- 2007 から平成19年(2007年)以降に得られた監視試験片20点等の監視試験片の実測データを拡充するとともに、2回以上の監視試験結果があるときのMRを10℃から18℃に増やすなど、脆化の実態を踏 まえた、より保守的な予測方法に改定されたものといえる。したがって、JEAC4201-2000 とJEAC4201-2007[2013]との評価手法の違いによる関連温度22℃の上昇については、保守性を持たせた評価の結果といえる。 これに対し、残りの24℃の上昇については、高浜発電所1号炉の第3回及び第4回の破壊靭性試験のデータが追加されたことによるものと 認められ、高照射領域において予測を超える関連温度の上昇が生ずる可能性は否定できない。もっとも、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)は、試験回次第4回までの監視試験結果に基づくことにより、原子炉容器内表面から深さ10㎜の位置(想定き裂先端位置)の照射量に換算すると運転開始後約54年時点に相当する高照射領域の破 壊靭性値(実測値)がベースとなっており、プラント評価時期(運転開始時から60年時点)までの国内脆化予測法を用いた予測分は約6年分にとどまる上、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)エ(ウ)のとおり、中性子照射量が高い領域では関連温度が従来の予測以上に増大するような脆化メカニズムがある可能性を考慮して、原子炉圧力容器内面の中性子 照射量が既に取り出された監視試験片の中性子照射量を上回る時点の前 に、次の監視試験片を取り出し、新たに取り出された監視試験片から得られたデータに基づき、特定時点での関連温度の再予測を行う等の条件を付していることなども考慮すれば、高照射領 る時点の前 に、次の監視試験片を取り出し、新たに取り出された監視試験片から得られたデータに基づき、特定時点での関連温度の再予測を行う等の条件を付していることなども考慮すれば、高照射領域において予測を超える関連温度の上昇が生ずる可能性は否定できないとしても、現時点において、JEAC4201-2007 シリーズによる関連温度の上昇量の予測が不合理で あるということはできない。 したがって、高浜発電所1号炉の監視試験結果に基づき、JEAC4201-2007[2013]では適切な予測及び評価ができないという原告らの主張は理由がない。 (イ) また、原告らは、JEAC4201-2000 とJEAC4201-2007[2013]では計算式 自体が異なるものになっており、計算式の評価としても、特に銅含有量が0.16%を超えるような圧力容器鋼材では、JEAC4201-2000 の方がJEAC4201-2007 より厳しい結果を与える傾向があることが指摘されているから、決してマージンの設定値が保守的に変更されたものとは評価できないと主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)d(b)ロのとおり、2002年より前の脆化予測法の多くは、脆化に影響があると考えられる材料条件や照射条件と脆化量との単なる相関性に基づいて設定されていたのに対し、JEAC4201-2007 の国内脆化予測法は、照射材の微視的観察の調査結果等に基づき、脆化メカニズムを考慮して策定された 式に、保守性をもたせるためのマージンを加えるという関連温度の予測方法であって、JEAC4201-2000 よりも予測精度を向上させたものといえる。また、上記(ア)のとおり、JEAC4201-2007[2013]は、JEAC4201-2 加えるという関連温度の予測方法であって、JEAC4201-2000 よりも予測精度を向上させたものといえる。また、上記(ア)のとおり、JEAC4201-2007[2013]は、JEAC4201-2007の監視試験データに対して実測データを拡充するとともに、JEAC4201- 2007 よりもマージンを大きく加えることにより、より実態を踏まえた、 保守的な予測方法になっており、単純比較はできないまでも、JEAC4201- 2007[2013]は、その時々の科学技術水準に即して更に見直しがされた、より保守的なものということができる。 そして、国内脆化予測法によるΔRTNDT計算は、銅、ニッケル等の化学成分の含有量等のパラメータに応じた計算がされる上、L3意見書②(乙E136・14~16頁)及びL3の尋問調書(乙E172・5 0、51頁)によれば、JEAC4201-2007[2013]は、各国の予測法と比較して、銅の含有量が多くなると予測性が悪いものもあるが、各国において当該国の原子炉の材質等に合わせて反応速度式が作られており、日本の原子炉に用いられている材質等で見れば、最も予測性が高いものとされているから、一定の条件の下でJEAC4201-2000 の方が厳しい結果を与 えることがあったとしてもJEAC4201-2007[2013]が不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 オ実測値が予測値を超えた場合に実測値から更にマージンを上乗せしないことについて原告らは、関連温度の上昇量について、仮に実測値が予測値を超えるよ うな場合には、当該実測値より悪い結果(予測値より更に離れた結果)が実際には生じ得ることを考えて、実測値から更にマージンを持たせるべきであるにもかかわらず、実測値を包含 値が予測値を超えるよ うな場合には、当該実測値より悪い結果(予測値より更に離れた結果)が実際には生じ得ることを考えて、実測値から更にマージンを持たせるべきであるにもかかわらず、実測値を包含すればよいとしているから、JEAC4201-2007[2013]は基準として不合理であると主張する。 上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)d(b)ハのとおり、JEAC4201- 2007[2013]においては、ΔRTNDTの実測値が、ΔRTNDT予測値を上回った場合は、実測値を包絡するようにMRを定め直すこととしているが、実測値を一定程度上回るよう余裕を持ったMRを定め直すことまでは求められていない。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(4)ア(ウ)のとおり、本 件運転期間延長認可申請における参加人の本件劣化状況評価書及び本件 補足説明資料(平成28年)によれば、本件原子炉の監視試験の結果、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回るという事態が生じているとは認められず、本件運転期間延長認可処分に係る審査において、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合にΔRTNDT実測値を包含するようにMRを定め直すとの基準に基づいた審査、判断はされていないから、 同基準の不合理性が本件運転期間延長認可処分の違法事由となるとはいえない。 仮にこれを措いたとしても、ΔRTNDT予測値を算出する際に、ΔRTNDT計算値と個別の各プラントで得られた監視試験結果からΔRTNDT実測値を求め、これらから加えるべきマージン(MC)を決定し、ΔRTNDT計 算値に決定したマージン(MC)を加えるとともにマージン(MR)を加えているのであるから、更にΔRTNDT実測値にマージンを加えることに合理性があ きマージン(MC)を決定し、ΔRTNDT計 算値に決定したマージン(MC)を加えるとともにマージン(MR)を加えているのであるから、更にΔRTNDT実測値にマージンを加えることに合理性があるとはいえない。保守性をもたせるためにMRが設定されているとしても、PTS評価の過程において深さ10㎜の仮想き裂を設定することや、原子炉圧力容器内面の中性子照射量が既に取り出された監視試験片 の中性子照射量を上回る時点の前に、次の監視試験片を取り出し、新たに取り出された監視試験片から得られたデータに基づき、特定時点での関連温度の再予測を行う等の種々の保守的な考慮がされていることからすれば、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合に、実測値を上回るようなマージンの上乗せを求めていないことをもって、JEAC4201-2007 [2013]が具体的審査基準として不合理であるということはできない。 (2) JEAC4206-2007 の不合理性についてア破壊靭性値の移行量ΔTKIcが関連温度の移行量ΔRTNDTと等価であると仮定すること(本件等価の仮定)について(ア) 原告らは、Hure 論文、廣田・吉本論文及び本件破壊靭性検討等をみて も、本件等価の仮定の誤りが裏付けられており、ΔTKIc>ΔRTNDTで あることは明らかであるから、本件等価の仮定を前提とするJEAC4206- 2007 は不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)及び(ウ)e(c)のとおり、JEAC4206-2007 は、破壊靭性遷移曲線を求めるに際し、本件等価の仮定を前提としているが、これはPTS合同委員会の下で中性子 照射による材料特性を把握した結果、中性子照射による破壊靭性値の移 C4206-2007 は、破壊靭性遷移曲線を求めるに際し、本件等価の仮定を前提としているが、これはPTS合同委員会の下で中性子 照射による材料特性を把握した結果、中性子照射による破壊靭性値の移行量の方が関連温度の移行量よりも若干小さくなる傾向が認められるものの、ほぼ同等であることが確認されたことから、PTS調査報告書において本件等価の仮定を採用し、これがJEAC4206-2007 において取り入れられたものと認められる。その後、上記認定事実(中性子照射脆化) (3)ウ(ウ)のとおり、平成21年4月に取り出した玄海発電所1号機の監視試験片による関連温度がJEAC4201-2007 による予測値を超過するなどしたことから、高経年化技術評価に関する意見聴取会が開催され、その要因の検討等がされたが、関連温度のシフト量を用い将来の破壊靭性値を予測する手法について整合性が欠けているものではないこと等が確認 されている。 また、IAEAは、2009年(平成21年)に公表した報告書(乙E145)において、従来より関連温度移行量と破壊靭性との間には1対1の相関関係があるという仮定がされており、過去に入手可能であったまばらなデータに基づけば、これは妥当な仮定であったと記載してい るほか、L3意見書②(乙E136・27頁)によれば、米国、フランス、ドイツにおいても、本件等価の仮定が採用されていると認められる。 (イ) これに対し、Hure 論文は、中性子未照射材と中性子照射材とのΔTr30は約83℃であるのに対し、ΔTKIcは約142℃であったとしているが、シャルピー衝撃試験片への中性子照射量が、破壊靭性試験片への 中性子照射量の約1.3倍であった上、同論文は、フランスのPWRに おける60年以上の運転に相当す あったとしているが、シャルピー衝撃試験片への中性子照射量が、破壊靭性試験片への 中性子照射量の約1.3倍であった上、同論文は、フランスのPWRに おける60年以上の運転に相当する中性子照射量まで照射した鋼に対する高温予荷重効果を検討したものであって、本件等価の仮定を否定できる旨が記載されているものではないと認められる(甲E67、乙E110、136・27頁)。この点、L2は、約1.3倍の照射量の違いでこれほどの温度の違いが出るとは考え難いと述べるが(甲E107・32、 33頁、甲E111・13頁)、L2は中性子照射脆化に特化したシャルピー衝撃試験や破壊靭性試験を実施した経験があるとは認められない(同19、20頁)のに対し、40年以上にわたり中性子照射脆化の分野を専門に研究しているL3が、照射量に約1.3倍の違いのある試験結果では比較できない旨を述べていること(乙E172・1、2、13 頁)からすれば、Hure 論文をもって本件等価の仮定が否定されるとはいえない。 また、廣田・吉本論文は、マスターカーブ法の考え方を取り入れた破壊靭性遷移曲線を設定するに当たり、T0に代わりTr30を用い、その温度補正をするなどしているが、単一材料の評価に用いる本来のマスター カーブ法とは異なる方法であり、同論文についても、本件等価の仮定を否定できる旨が記載されているものではないと認められる(甲E67・47頁、乙E110、136・27、28頁)。この点、L3は、廣田・吉本論文について、現行の監視試験のデータを用いて相関が取れるような形にデータ整理をしたという点で非常に価値のある論文と思うが、本 件等価の仮定を否定しているものではない旨を述べ(乙E172・13、14頁)、L2も、廣田・吉本論文が本来のマスターカー ような形にデータ整理をしたという点で非常に価値のある論文と思うが、本 件等価の仮定を否定しているものではない旨を述べ(乙E172・13、14頁)、L2も、廣田・吉本論文が本来のマスターカーブとは異なる方法を用いていることや、等価の仮定の検証のための論文ではない旨を述べている(甲E107・33、34頁)。 さらに、NUREG-1807 には、参照温度の移行量ΔT0と関連温度の移行 量ΔTr30(原文はΔT30)との関係について、ΔT0=αΔTr30とす ると、αは鋼板で1.1である旨の記載があるが、これは測定の不確かさに由来する可能性もあり、ΔT0の変動とΔTr30の変動がほぼ等しいことは、実験的証拠からよく立証されている旨の記載もされている(甲E44、乙E146)。 したがって、これらの文献等を根拠として、本件等価の仮定が誤りで あるということはできない。 (ウ) これに対して、上記認定事実(中性子照射脆化)(6)のとおり、本件破壊靭性検討において、本件等価の仮定とは異なり、破壊靭性温度移行量の方が関連温度移行量よりも高い傾向が示され、本件破壊靭性検討(その2)においては、移行量ではなく素点で見れば等価に近い傾向が示さ れているものの、L2意見書②によれば、決定係数は高くなく、母材と溶接金属に分けて解析するとそれぞれ破壊靭性温度の方が高く、決定係数も高くなるとされている。L3は、この点について特に異論を述べておらず、本件破壊靭性検討(その2)の解析に余り賛成していない旨を述べ、本件等価の仮定とは異なる破壊靭性値そのものからのマスターカ ーブ法による破壊靭性遷移曲線の利用可能性を述べている(乙E172・39、40、52頁)。 もっとも、L3は、本件破壊靭性検討及び同(その2)は、基となっ 破壊靭性値そのものからのマスターカ ーブ法による破壊靭性遷移曲線の利用可能性を述べている(乙E172・39、40、52頁)。 もっとも、L3は、本件破壊靭性検討及び同(その2)は、基となっているデータのばらつきが多いなど、更なる検討を要する段階にあり、世界的にみてもデータを利用することが可能となったが、諸外国を含め て本件等価の仮定が否定された旨の報告や研究はされていないなどとも述べている(乙E172・16~18、51、52頁)。 加えて、証拠(乙E174、175)によれば、川内発電所1号炉及び2号炉について、JEAC4201-2007[2013]及びJEAC4206-2007 を用いて運転開始後60年時点予測が行われたところ、川内発電所1号炉の第5 回監視試験結果を踏まえた破壊靭性遷移曲線の下限を決めたのは第3回 監視試験結果であり、川内発電所2号炉の第4回監視試験結果を踏まえた破壊靭性遷移曲線の下限を決めたのは第3回監視試験結果であったと認められ、仮に、原告らが主張するように本件等価の仮定が誤っており、破壊靭性値の移行量が関連温度の移行量よりも大きいとすれば、常に直近の監視試験結果が破壊靭性遷移曲線の下限を決めることになるのが自 然であるが、それと異なる結果が存在することは、必ずしも本件等価の仮定が誤りであるとはいえないことを示すものといえる。 (エ) 以上によれば、ΔTKIC(破壊靭性値の移行量)とΔRTNDT(関連温度移行量)との関係については、等価ではなく前者の方が大きいことをうかがわせる資料が一定程度認められるものの、等価であることを否定 できるほどの専門的な知見があるということはできない。 この点、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)エ(イ)及び(エ)のとおり、本件等価の仮 が一定程度認められるものの、等価であることを否定 できるほどの専門的な知見があるということはできない。 この点、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)エ(イ)及び(エ)のとおり、本件等価の仮定によらない破壊靭性遷移曲線の設定方法の1つとして、JEAC4206-2016 が採用するマスターカーブ法があり、日本電気協会は、JEAC4206-2016 に関する技術評価において、国内のPWRプラントの3 2EFPY 時点での破壊靭性遷移曲線の遷移温度T70(℃)について、JEAC4206-2007 とJEAC4206-2016 による値を比較すると、大部分のプラントでJEAC4206-2016 の破壊靭性遷移曲線の方が保守的であると報告しているものの、JEAC4206-2007 の方が保守的な結果となっているものも異なる材質で5プラント存在し、必ずしもJEAC4206-2016 の方が保守的 であるということができるものではない。そして、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)エ(カ)のとおり、JEAC4206-2016 に係る技術評価においても、マスターカーブ法を取り入れた破壊靭性遷移曲線については、ばらつきの信頼下限を5%とする妥当性、データ数が少ない材料(圧延材、溶接金属)への適用性等について確認が十分に行えなかったとして、現 時点において規制における適用性を判断することは時期尚早との技術評 価がされる一方で、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線を設定するための式については、現時点においてもこれを否定する技術根拠は見出されていないことから、今後引き続き使用することは問題ないとされている(乙E66・49、50頁、乙E149)。 そうすると、高照射領域の破壊靭性値のデータが十分に集まっておら 技術根拠は見出されていないことから、今後引き続き使用することは問題ないとされている(乙E66・49、50頁、乙E149)。 そうすると、高照射領域の破壊靭性値のデータが十分に集まっておら ず、これまでのデータの解析も十分に進んでいない状況において、本件等価の仮定の妥当性が否定されているとはいえない。 そして、破壊靭性値の移行量(ΔTKIC)が関連温度の移行量(ΔRTNDT)を上回るようなデータがあるとしても、上記認定事実(中性子照射脆化)(3)エ(ウ)のとおり、JEAC4201-2007[2013]の技術評価書において、 原子炉圧力容器内面における中性子照射量が当該プラントから取り出された監視試験片の中性子照射量を上回る時点の前に、新たな監視試験片を取り出し、当該監視試験片の追加データも用いて特定時点の関連温度を再予測する等の条件を付していることも考慮すれば、現在の科学技術水準に照らして、本件等価の仮定を前提とするJEAC4206-2007 を引用す る具体的審査基準が不合理であるということはできず、この点に係る原告らの主張は理由がない。 イ JEAC4206-2007 による破壊靭性遷移曲線の設定方法における破壊靭性値のデータ数について原告らは、破壊靭性値には本来的にばらつきがあるにもかかわらず、監 視試験によって得られた破壊靭性値のデータが少なすぎ、過去の試験回次による破壊靭性値のデータがあるとしても、JEAC4201-2007 シリーズ等に過小評価の問題があるため、直近の試験回次の破壊靭性値が下限値を決めることとなる上、試験に用いられた試験片の材質が限定されており、母材(原子炉容器そのもの)の脆化の度合いが適切に把握されているとはいい 難いことから、脆化の将来予測について十分な保守性がなく、 ることとなる上、試験に用いられた試験片の材質が限定されており、母材(原子炉容器そのもの)の脆化の度合いが適切に把握されているとはいい 難いことから、脆化の将来予測について十分な保守性がなく、基準として 不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)c、d及び(ウ)b(b)イのとおり、プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線は、破壊靭性試験から得られる破壊靭性値(実測値)に、シャルピー衝撃試験により得られる関連温度移行量の予測値(国内脆化予測法による予測値)を加え て設定されるところ、関連温度移行量の予測値にはマージンMRが加えられる上、未照射材及び過去の照射材の破壊靭性試験片を用いて得られた破壊靭性値も含め、当該プラントに係る破壊靭性試験で得られた全ての破壊靭性値を用いて、プラント評価時期までの関連温度移行量を国内脆化予測法によって予測して重ね合わせ、これらを下限包絡するように破壊靭性遷 移曲線を描くことになるから、1回の破壊靭性試験で得られる破壊靭性値が少なく、母材と溶接金属のいずれかに限られるとしても、試験の回数を重ねることにより、プラント評価時期における健全性評価に用いるデータ点数を増加させることができることになる。 そして、マージンMRは、本件等価の仮定に基づいて関連温度移行量に相 当する破壊靭性値(破壊靭性遷移温度)を移行させる際、予測誤差の標準偏差の2σとして設定されたものであり、L3は、破壊靭性試験結果そのもののばらつきについて考慮されているものではない旨を述べるが(乙E172・55、56頁)、予測期間の長短によらずに一律にマージンMRを18℃とする現行のJEAC4201-2007[2013]を用いることにより、これま でその範囲を超える 旨を述べるが(乙E172・55、56頁)、予測期間の長短によらずに一律にマージンMRを18℃とする現行のJEAC4201-2007[2013]を用いることにより、これま でその範囲を超える試験結果が生じた事例があるとは認められないことからすれば、18℃のマージンMRを加えて破壊靭性値をシフトさせたものも含めた下限包絡曲線を描くことによって一定の保守性が保たれているということができる。 さらに、後述するように、PTS状態遷移曲線の設定においても、事故 発生0秒で瞬時に原子炉容器が冷却水で満たされると仮定したり、深さ1 0㎜のき裂を想定したりするなどの保守性を持たせていることも併せ考慮すれば、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 を用いた加圧熱衝撃に係る評価手法全体の中で、破壊靭性遷移曲線の設定方法が不合理であるとはいえない。 したがって、1回当たりの破壊靭性試験のデータ数が少ないことをもっ て、JEAC4201-2007 シリーズ及びJEAC4206-2007 の定める破壊靭性遷移曲線の設定方法が不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 ウ JEAC4206-2016 との比較について原告らは、JEAC4206-2016 の技術評価において、JEAC4206-2007 の下限包 絡曲線の方法はマスターカーブ法と比べて精度が低い、非保守的な結果が出るなどとされているから、十分な保守性を持つとはいえず、基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記ア(エ)で説示したとおり、JEAC4206-2016 の技術評価において、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線を設定するための式につい ては、現時点においてもこれを否定する技術的根拠 (エ)で説示したとおり、JEAC4206-2016 の技術評価において、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線を設定するための式につい ては、現時点においてもこれを否定する技術的根拠は見出されていないとして、今後引き続き使用することは問題ないと評価される一方で、マスターカーブ法を取り入れたJEAC4206-2016 については、規制における適用性を判断することは時期尚早との評価がされており、現時点において、マスターカーブ法によることがより妥当であるとの科学的知見が確立されて いるとはいえない。 原告らは、L3も破壊靭性値のみを用いたマスターカーブ法による評価が理想である旨述べていると主張するが、L3は、破壊靭性値のデータが十分にそろっていない中、現段階において本件等価の仮定を前提として関連温度を利用して破壊靭性遷移曲線を求めるJEAC4206-2007 の設定方法が 信頼性に欠けて不合理である旨を述べるものではないから(乙F172・ 8、9、16、17頁)、原告らの主張は理由がない。 (3) 高浜発電所1号炉の第5回監視試験結果について原告らは、高浜発電所1号炉の第5回監視試験結果によれば、原子炉はほとんど停止していて中性子照射量はわずかの増加であったにもかかわらず、母材のTr30は第4回監視試験結果の99℃から105℃へ6℃上昇し、破 壊靭性値もさらに低い値が観測され、第5回監視試験データを加えた破壊靭性遷移曲線はPTS状態遷移曲線にさらに接近しており、このような傾向は、シフト量が不足している事実を端的に示していると主張する。 この点、上記(1)エで説示したとおり、高浜発電所1号炉の高経年化技術評価書(40年目)における脆化予測においても同(30年目)における脆化 予測から関連 事実を端的に示していると主張する。 この点、上記(1)エで説示したとおり、高浜発電所1号炉の高経年化技術評価書(40年目)における脆化予測においても同(30年目)における脆化 予測から関連温度が46℃上昇しており、新たな監視試験データが加わるごとに破壊靭性遷移曲線が危険側にシフトしていることは、JEAC4201-2007[2013]及びJEAC4206-2007 に基づく破壊靭性値のシフト量が十分でない可能性をうかがわせる事情といえる。 もっとも、上記(2)アで説示したとおり、川内発電所1号炉及び2号炉の、 JEAC4201-2007[2013]及びJEAC4206-2007 を用いた運転開始後60年時点予測では、それぞれ破壊靭性遷移曲線の下限を決めたのは直近の監視試験結果ではないなど、必ずしも本件等価の仮定が誤りであるとはいえないことを示す試験結果も存在する上、現時点において、本件等価の仮定の妥当性を否定する十分なデータが存在するとまでは認められず、原子力規制委員会は、 JEAC4201-2007[2013]の技術評価書において、高照射領域で予想以上に関連温度の上昇が進むメカニズムが存在する可能性を考慮して、原子炉圧力容器内面における中性子照射量が当該プラントから取り出された監視試験片の中性子照射量を上回る時点の前に、新たな監視試験片を取り出し、当該監視試験片の追加データも用いて特定時点の関連温度を再予測する等の条件を付し ていることや、上記(2)イで説示したとおり、JEAC4201-2007[2013]におい てマージンが18℃に改定され、これまでにその範囲を超える試験結果が生じた事例があるとは認められないこと、PTS評価を全体としてみれば、超音波探傷試験により検出可能な大きさを超える深さ10 てマージンが18℃に改定され、これまでにその範囲を超える試験結果が生じた事例があるとは認められないこと、PTS評価を全体としてみれば、超音波探傷試験により検出可能な大きさを超える深さ10㎜の仮想欠陥を想定し、事故発生時に瞬時に原子炉容器が冷却水で満たされると仮定するなど、保守性を持たせていることなどからすれば、高浜発電所1 号炉の第5回試験 の結果から、直ちにJEAC4201-2007[2013]及びJEAC4206-2007 に基づいて破壊靭性遷移曲線を設定し、PTS評価を行うことが不合理であるということはできない。 なお、上記認定事実(中性子照射脆化)(7)のとおり、高浜発電所1号炉の第5回監視試験結果によれば、破壊靭性遷移曲線を設定する際に定まるプラ ント個別の定数は第5回監視試験回次のものが最も高い温度となり、これを用いて破壊靭性遷移曲線が描かれたが、運転開始後60年時点における破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線についてのPTS評価結果は、深さ10㎜の想定き裂を用いた評価であっても、両曲線がデッドクロスしておらず、照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価結果(深さ10㎜の 位置の照射量に換算すると運転開始後約63年時点に相当)としても、両曲線がデッドクロスしないことが確認されている。 (4) 以上によれば、破壊靭性遷移曲線の導出に係る具体的審査基準に不合理な点があるとは認められない。 4 争点5-(1)-イ(破壊靭性遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落) について(1) 高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が同(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていること原告らは、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が、同(30年目 電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が同(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていること原告らは、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が、同(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっているなど の問題があるにもかかわらず、参加人は毎回の試験で鋼種ごとの破壊靭性試 験を行っておらず、特に直近の値について母材のデータもないのに参加人に補充させることもしないなど、原子力委員規制委員会は、これらの問題を十分審査せずに適合性審査を行っており、本件運転期間延長認可処分の審査過程には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、本件原子炉とは異なる高浜発電所1号機の高経年化技術評 価書(40年目)及び同(30年目)とを比較した結果をもって、本件運転期間延長認可処分の審査過程に過誤、欠落があるとはいえない。 また、上記3(1)エで説示したとおり、参加人による30年目の高経年化技術評価における脆化予測は、第2回監視試験までに得られた関連温度を用いてJEAC4201-2000 に基づき行われたものであり、40年目の脆化予測は、第 4回監視試験までに得られた関連温度を用いてJEAC4201-2007[2013]に基づき行われたものであって、参加人は、関連温度の差46℃のうち22℃はJEAC4201-2007[2013]がJEAC4201-2000 よりも保守的な評価結果をする影響であり、残りの24℃は第3回及び第4回の破壊靭性試験データを拡充した結果であると評価しているところ、高照射領域において予測を超える関連温 度の上昇が生ずる可能性は否定できないとしても、現時点において、JEAC4201-2007 シリーズによる関連温度の上昇量の予測が不合理で しているところ、高照射領域において予測を超える関連温 度の上昇が生ずる可能性は否定できないとしても、現時点において、JEAC4201-2007 シリーズによる関連温度の上昇量の予測が不合理であるということはできない。 したがって、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)の破壊靭性遷移曲線が同(30年目)よりもPTS状態遷移曲線に接近しているこ とをもって、本件運転期間延長認可処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるということはできない。 (2) 原データの確認をしていないことア原告らは、実用炉規則113条2項第2号は、「技術的な評価の結果を記載した書類」の提出を求めており、運転期間延長認可申請運用ガイド3. 2(1)②も「監視試験片の試験結果」を挙げているから、監視試験片の試験 結果の原データを申請書に記載することが要求されているにもかかわらず、原子力規制委員会は、原データを受け取らずに申請書に記載された結果だけを見て審査を行っており、原データの確認を行わなかった審査には重大な過誤、欠落があると主張する。 この点、上記認定事実(中性子照射脆化)(1)ア及びイ(ウ)のとおり、炉 規法43条の3の32第4項の委任を受けた実用炉規則113条2項2号は、「延長しようとする期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を記載した書類」を延長期間延長申請書の添付書類と規定し、上記認定事実(中性子照射脆化)(1)イ(ウ)のとおり、運転期間延長認可申請運用ガイド3.2(1)は、「②運転開始 後30年を経過する日から10年以内のできるだけ遅い時期に取り出した監視試験片の試験結果」及び「③加圧水型軽水炉に係る上記②の試験結果 期間延長認可申請運用ガイド3.2(1)は、「②運転開始 後30年を経過する日から10年以内のできるだけ遅い時期に取り出した監視試験片の試験結果」及び「③加圧水型軽水炉に係る上記②の試験結果に基づく健全性評価等における以下の事項」を記載することを求め、③の中には「照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価及び照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」及び「原 子炉容器炉心領域内表面から深さ10㎜の部位における破壊靱性値」が含まれている。 上記「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」の技術的意義は、JEAC4206-2007 に基づき、破壊靭性値の実測値に対して評価したいプラント評価時期に対応するΔTKⅠC分だけ平行移動させた、 将来時点の破壊靭性曲線を意味し、同③に含まれる「加圧熱衝撃評価」の技術的意義は、PTS状態遷移曲線を意味し、関連温度(Tr30)は含まれず、「②運転開始後30年を経過する日から10年以内のできるだけ遅い時期に取り出した監視試験片の試験結果」に関連温度(Tr30)や上部棚吸収エネルギーが含まれ、シャルピー衝撃試験の結果の原データは含まれ ないと解するのが相当である。 したがって、運転期間延長認可申請運用ガイドに基づき、監視試験片の試験結果の原データの確認が求められる旨の原告らの主張は理由がない。 イ原告らは、運転期間延長認可申請運用ガイドが監視試験片の試験結果の原データの記載を求めていないとしても、審査に際して試験データ等の正確性に疑義がある場合には原データを確認すべきであると主張する。 しかしながら、原子力の安全に関する条約9条は、締結国が、原子力施設の安全のための主要な責任は関係する許可を受けた者が負うことを確 に疑義がある場合には原データを確認すべきであると主張する。 しかしながら、原子力の安全に関する条約9条は、締結国が、原子力施設の安全のための主要な責任は関係する許可を受けた者が負うことを確保するものと規定し(乙B92・51頁)、IAEA安全基準・基本安全原則は、施設と活動の存続期間全体を通じて安全の一義的な責任は許認可取得者にあると定めているなど(乙B93・6頁)、国際的にみても、原子力 施設の安全については、事業者が一義的責任を負う旨の考えが示されており、設置法は、同法3条において、原子力利用における安全の確保を図ることなどとして規制機関である原子力規制委員会の任務を定める一方、同法附則第6条9項、原子力基本法において、原子力事業者は、原子力施設の安全性の確保及び事故の収束につき第一義的責任を有することを深く 自覚し、炉規法等の規定により講ずることとされる措置のほか、その原子力施設ごとに、当該原子力施設における事故の発生及び当該事故による災害の拡大の防止に関し、万全の危機管理に係る体制を整備するため、一層の自主的な対策を講ずるよう努めるものとする旨規定して、事業者が原子力施設の安全性の確保等につき第一義的責任を負うことを確認し、炉規法 57条の8も、発電用原子炉設置者が安全性の向上等の必要な措置を講ずる責務を有することを規定する。 このように、発電用原子炉施設の安全確保について第一義的責任を負うのは事業者であり、原子力規制委員会は、原子力施設の設置及び運転等に関し必要な規制を行うなどして、事業者の活動が安全確保の観点から適切 にされていることを監視、監督、指導する責任を負うものである。原子力 規制委員会は、その規制の一環として、事業者からの各種許認可申請に対して審査を実施するが、その審 観点から適切 にされていることを監視、監督、指導する責任を負うものである。原子力 規制委員会は、その規制の一環として、事業者からの各種許認可申請に対して審査を実施するが、その審査に際しては、法令により、各種申請において申請書に記載すべき事項及び必要とされる添付書類が定められ、これらに基づき審査を行うことが予定されており(設置変更許可につき、炉規法43条の3の5、実用炉規則3条、運転期間延長認可につき、炉規法4 3条の3の32、実用炉規則113条等)、これを超えて、事業者から各種申請内容を導く試験データ等を提出させ、逐一確認すべきことを定めた法令上の規定は見当たらない。 また、実際にも、原子力規制委員会が、各種許認可申請に対する審査において、試験データ等を逐一確認することは、その人的物的資源が限られ ていること等から困難であるのに対して、炉規法43条の3の9第3項3号(平成29年法律第15号による改正前のもの)を受けた品質管理基準規則は、発電用原子炉設置者に対し、品質管理監督システムを確立し、実施するとともに、その実効性を維持しなければならない責務を課すなどし、炉規法43条の3の22第1項を受けた実用炉規則69条は、発電用原子 炉設置者に対し、保安規定に基づき品質保証計画を定め、これに基づき保安活動等を行わなければならない旨を規定し、保安規定(変更)認可の要件を定めた炉規法43条の3の24第1項を受けた実用炉規則92条1項3号(令和2年原子力規制委員会規則第3号による改正前のもの)は、「発電用原子炉施設の品質保証に関すること」についての保安規定を定め ることを求めているなど、事業者に対して品質保証に関する規制を課すことにより、許認可申請に係る試験データ等が適正に収集され、申請内容もこれを正 品質保証に関すること」についての保安規定を定め ることを求めているなど、事業者に対して品質保証に関する規制を課すことにより、許認可申請に係る試験データ等が適正に収集され、申請内容もこれを正確に反映したものであることへの信頼性が確保される制度となっていると解されるから、原子力規制委員会に対し試験データ等を逐一確認することを要求していると解することはできない。 そして、後掲各証拠によれば、参加人は、その保安規定(丙C20・3 条)において、品質保証計画を定め、原子炉容器の中性子照射脆化に関する評価を含む劣化状況評価についても品質の確保を図り(丙C1・20~24頁)、本件運転期間延長認可処分の審査において原子力規制委員会の確認を受けており(乙C8・各6頁)、また、劣化状況評価の実施期間中、品質保証計画を含めて、保安規定の履行状況に関して定期的に原子力規制 委員会による保安検査での確認を受けている(丙C21の1~3)と認められるから、品質保証の観点から原子力規制委員会が原データを確認すべきであったというべき事情は見当たらない。 ウ原告は、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(30年目)と同(40年目)を比較して大幅に余裕がなくなっていることや、本件原子炉施設 について、直近で母材についての試験が行われていないこと、試験回次が増えると低下傾向となるはずの上部棚吸収エネルギーについて試験回次間の逆転現象があること、破壊靭性値は監視試験片の数よりも少ないことなどの問題があったから、試験データ等の正確性に疑義が生じていたと主張する。 しかしながら、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書の比較については、上記(1)で説示したとおり、JEAC4201-2000 からJEAC4201-2007[2013] いたと主張する。 しかしながら、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書の比較については、上記(1)で説示したとおり、JEAC4201-2000 からJEAC4201-2007[2013]への改定によって保守的な評価方法へと変更された影響等があったと考えられ、これ自体は試験結果の原データの正確性に疑義を生じさせるものではなく、かえって、原データを正確に用いたからこそ、余裕が大幅に減 少するという評価が明らかとされたということもできる。上部棚吸収エネルギーについても同様に、原データの正確性への疑義を生じさせるものではなく、原データを正確に用いたからこそ模式的な理論見込みとは異なる結果となったといえる。また、破壊靭性値についての監視試験片の試験結果は、延性破壊した場合には試験結果が得られなかったものとなり、その ような温度帯による試験も実施しているのであるから、監視試験片の数に 比して少ない試験結果しかなかったとしても、直ちに正確性に疑義を生じさせるとはいえない。直近で母材についての試験が行われていないことについては、その要否については下記(3)に記載するが、原データの正確性に疑義を生じさせる事情とはいえない。 このように、本件運転期間延長認可処分に係る審査において、特に監視 試験片の試験結果の原データを確認すべき事情があったとはいえない。 エ以上によれば、原子力規制委員会が監視試験片の試験結果の原データを確認していないことが、審査の重大な過誤、欠落に当たるということはできず、この点に関する原告らの主張は理由がない。 (3) 破壊靭性値の試験結果数 ア原告らは、本件原子炉施設において、破壊靭性試験が各回とも母材か溶接金属のどちらかしか行われておらず、最も重要となる直近(第4回)の試験に 由がない。 (3) 破壊靭性値の試験結果数 ア原告らは、本件原子炉施設において、破壊靭性試験が各回とも母材か溶接金属のどちらかしか行われておらず、最も重要となる直近(第4回)の試験については、「溶接金属」の測定しか行われていないこと、1回の破壊靭性試験で得られるデータ数は2、3件にすぎず、わずかなデータに基づいて導出された破壊靭性遷移曲線が下限を決める曲線とはいえず、データ を増やせば値が下がる可能性が高いというべきであるから、これを看過した本件運転期間延長認可処分に係る審査には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 イしかしながら、上記3(2)イで説示したとおり、プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線の設定に当たっては、それまでに実施した破壊靭性試 験において得られた破壊靭性値KIcの実測値を全て用いて評価し、破壊靭性遷移曲線の設定に当たっては、最も厳しい予測値を下限包絡するよう評価することになる。そして、JEAC4201-2007[2013]は、破壊靭性遷移曲線の移行量(関連温度移行量)を設定するに当たって、監視試験結果が2個以上のときのマージンMRを18℃とし、MRを10℃としていた JEAC4201-2007[2010]以前よりも保守的に設定することを要求しているこ とからすれば、破壊靭性遷移曲線の設定は保守的にされているといえる。 したがって、上記認定事実(中性子照射脆化)(4)イのとおり、本件原子炉施設における1回の破壊靭性試験片は母材又は溶接金属のいずれかのみであり、1回の試験で得られる破壊靭性試験データは2~4個であったとしても、特に高照射領域が問題となる新しい時期の破壊靭性遷移曲線の 設定においては、過去に実施された母材及び溶接金属の破壊靭性試験データも用いる で得られる破壊靭性試験データは2~4個であったとしても、特に高照射領域が問題となる新しい時期の破壊靭性遷移曲線の 設定においては、過去に実施された母材及び溶接金属の破壊靭性試験データも用いることにより、1回当たりの破壊靭性試験データ数の少なさが補われているということができる。 これに対し、L2は、組成や熱履歴の違いがあるため、母材と溶接金属両方の破壊靭性値測定を行う必要がある、異なるチャージのものも試験す る必要があるなどと述べるが、他方で、米国においても1つのチャージでよいとされていることは認識していない、HAZは母材で代表できるとされた協議結果を認識していないとも述べており(甲E107・30、31頁)、抽象的な危険性を述べるものにとどまるといわざるを得ない。 ウ以上により、破壊靭性値のデータ数に関する原告らの主張は理由がない。 (4) CT 試験片ではなくWOL 試験片を用いたこと原告らは、JEAC4206-2007 は、WOL 試験片による試験を許容していないと解されるところ、本件原子炉の破壊靭性試験においては、CT 試験片ではなく、WOL 試験片による試験が実施されており、WOL 試験片は、大きな破壊靭性値を持つ試験片に対して余分な曲げが負荷されて塑性変形が起こり、破壊靭性値 を正確に測定することができず、非保守的な評価となるという問題が指摘されているにもかかわらず、原子力規制委員会はこれを看過しているから、本件運転期間延長認可処分に係る審査の過程に重大な過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)b(b)のとおり、 JEAC4206-2007 が破壊靭性試験を実施する場合に参照することとしている附 属書Dには、WOL 試験片は記載 記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(イ)b(b)のとおり、 JEAC4206-2007 が破壊靭性試験を実施する場合に参照することとしている附 属書Dには、WOL 試験片は記載されていないものの、技術基準規則解釈の別記-1の別表にはJEAC4206-2007 の附属書Dは含まれておらず、上記のとおり、JEAC4201-2007 においても「参照する」と表現されるにとどまることからすれば、具体的審査基準である技術基準規則及び同解釈によりWOL 試験を用いることが許容されていなかったということはできない。そして、上記認 定事実(中性子照射脆化)(4)イのとおり、JEAC4206-2007 を策定した日本電気協会も、WOL 試験片を用いて破壊靭性値のデータを得ることをJEAC4206- 2007 が禁止するものではない旨を回答しているところ、監視試験片は、発電用原子炉の設置時に備え付ける必要があり、後の科学技術の発展等により新たな監視試験片が用いられるようになっても新たに備え付けることができな いから、その規格を限定していないことが不合理であるとはいえない。 また、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)イのとおり、L3は、CT 試験片の開発過程において、CT 試験片とWOL 試験片が同等の破壊靭性値を評価できることが確認されており、ASME 規格に規定されている破壊靭性遷移曲線の式の制定の際に用いられた破壊靭性データベースにも、WOL 試験片で得られた 破壊靭性データが含まれている上、WOL 試験片を用いた試験については、試験方法の改良に関する研究もされており、WOL 試験片の後部を切り落とした上で側溝を加工することでCT 試験片と同等の値が得られることが公表されるなどしている旨を述べている。 そして、上記 は、試験方法の改良に関する研究もされており、WOL 試験片の後部を切り落とした上で側溝を加工することでCT 試験片と同等の値が得られることが公表されるなどしている旨を述べている。 そして、上記認定事実(中性子照射脆化)(4)イのとおり、参加人は、WOL 試験片の片面のねじ穴に治具を取り付けて試験を行うことにより変形を拘束することに伴う余分な曲げが生じないように、取り付ける治具に回転アダプタを取り入れてCT 試験片と同様な過重負荷形態で試験をしており、本件運転期間延長認可申請に係る審査において、WOL 試験片を用いたことで誤った破壊靭性値データが用いられたことをうかがわせる事情は見当たらない。 したがって、破壊靭性試験にWOL 試験片が用いられたことに関する原告ら の主張は理由がない。 (5) 「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」を行っていないこと原告らは、運転期間延長認可申請審査ガイドは、本件保守性条項として、「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」を記載 することを求めており、実測データによる現時点の健全性評価だけではなく、将来予測の場合には別途保守性を求めているが、破壊靭性値をシフトさせる際にマージンMRを加えることは、将来予測における独自の保守性の要素ではないから、JEAC4206-2007 の規定により破壊靭性遷移曲線を作図した上で、さらに相当程度の安全余裕度を加える等の対応が求められるにもかかわらず、 参加人は、本件保守性条項に基づく保守的な評価を何らしていないから、これを看過した原子力規制委員会の審査の過程に重大な過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)のとおり、炉規法43条の3の32第5 評価を何らしていないから、これを看過した原子力規制委員会の審査の過程に重大な過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)のとおり、炉規法43条の3の32第5項が運転期間延長認可の申請に対する審査における基準と して委任している実用炉規則114条は、原子炉その他の設備が延長しようとする期間の運転に伴う劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合することを要求しており、技術基準規則14条2項は、安全設備は、設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その機能を発揮することができるよう、施設しなければならないと 規定し、同条に関する技術基準規則解釈の4項(乙B9・29、30頁)は、中性子照射脆化の影響を受ける原子炉圧力容器について、JEAC4206-2007 及びJEAC4201-2007 シリーズに一定の要件を付したものによる破壊靭性の要求を満足することを定めているのであるから、本件保守性条項の「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」とは、上記JEAC4206- 2007 及びJEAC4201-2007 シリーズに一定の要件を付したものによる破壊靭性 の評価を意味するものと解される。そして、上記認定事実(中性子照射脆関係)(3)のとおり、JEAC4201-2007 シリーズは、原子力安全・保安院及び原子力規制委員会の技術評価を経て規制に取り入れられたものであり、海外の他の脆化予測法と比べても高いフィッティング性を有することなどが確認されているのであるから、それ自体をもって本件保守性条項に基づく保守的な将 来予測がされているということができる。これに対して、本件保守性条項の外に原告らが主張するような相当程度 ことなどが確認されているのであるから、それ自体をもって本件保守性条項に基づく保守的な将 来予測がされているということができる。これに対して、本件保守性条項の外に原告らが主張するような相当程度の安全余裕度の上乗せ等を求める規定等は見当たらない。 したがって、そもそも本件保守性条項に係る原告らの解釈を採用することができず、これを前提とする原告らの主張は理由がない。 5 争点5-(2)-ア(PTS状態遷移曲線の導出に係る基準の不合理性)について(1) 熱伝達率の評価式(JF式)の不合理性ア強制対流のみの場合が設定されていないことについて原告らは、JEAC4206-2007 が熱伝達率の評価式として用いるJF式は「上 向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケース」しか設定されていないが、強制対流だけの場合の計算式(強制対流伝熱式)も設定しなければ、適切な熱伝達率の評価をすることができないから、不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)eのとおり、 PTS調査報告書においては、JF式は強制対流の乱流時の熱伝達率を基準として、共存場で熱伝達率が上昇する効果を示す評価式であり、実機では強制対流及び共存場においても乱流領域にあるので、実機に適用するものと判断されたものであるが、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)オのとおり、L6は、原子炉容器ダウンカマー部への冷却水注水時の対流状態と しては、上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースを想定す れば問題ないと述べており、原告らがL4の意見に基づいて提出した準備書面(125)においても、上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースより熱伝達率が高くなるケースは基本的にはないと考えられる ば問題ないと述べており、原告らがL4の意見に基づいて提出した準備書面(125)においても、上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケースより熱伝達率が高くなるケースは基本的にはないと考えられる旨が主張されているから(甲E108・43頁)、JEAC4206-2007 が、JF式を用いることとして、強制対流のみの場合を想定していないとしても、不 合理であるとはいえない。 また、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)d(c) 及び(8)オ(ウ)のとおり、別紙16数式目録9のJF式は、強制乱流場でのヌッセルト数に自然対流のヌッセルト数に対する効果を表す項を掛け合わせて、自然対流と強制対流の共存場(複合対流)でのヌッセルト数を計算するものであり、 レイノルズ数、平均グラスホフ数及びプラントル数という3つの無次元数から成る部分が0に近づけば共存場でのヌッセルト数は強制乱流場でのヌッセルト数に近づき、上記無次元数から成る部分が0となれば共存場でのヌッセルト数は強制乱流場でのヌッセルト数に一致して、強制対流熱伝達が支配的となるから、自然対流熱伝達の寄与が無視できる場合にも使用 可能な式であると認められる。さらに、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)エ(カ)及びオ(ウ)のとおり、L5及びL6は、強制乱流場でのヌッセルト数を求めるための精度の良い評価式は数多く開発されており、その知見は熱工学の分野では一般的であって、精度の良い評価式のうちいずれかを選択して使用することが前提とされている旨を述べており、これが JEAC4206-2007 に規定されていないことも不合理であるとはいえない。 したがって、強制対流のみの場合が設定されていないことが不合理である旨の原告らの主張は理由がない。 イ代表長さが設定されていないこと 2007 に規定されていないことも不合理であるとはいえない。 したがって、強制対流のみの場合が設定されていないことが不合理である旨の原告らの主張は理由がない。 イ代表長さが設定されていないことについて原告らは、JF式にはヌッセルト数、平均グラスホフ数、レイノルズ数 という無次元数が含まれているが、これらの「代表長さ」が設定されてお らず、設定される代表長さによって熱伝達率を導く式は異なるから、適切な熱伝達率を導くためには代表長さの設定は不可欠であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)d(c)のとおり、JF式に含まれている無次元数は代表長さを含むものであるが、JF式の原論文であるJackson,Fewster(1977)には、代表長さとして直径を取るこ とが記載されており、三菱の実験的研究でも二平行平板間距離(流路断面方向距離)を基に計算された相当直径を代表長さとして用いているように、JF式は代表長さを水平方向に採ることを前提としていると認められる。 したがって、代表長さが設定されていないという原告らの主張は理由がない。 ウ JF式の根拠となった熱伝達実験と原子炉圧力容器との流動形態の違いについて原告らは、JF式は、内径98.4㎜及び全長7000㎜の細長い垂直加熱円管を用いた熱伝達実験結果によるものであるが、原子炉圧力容器は内径4m程度、流路の長さ7m程度であり、流動状態が全く異なる、三菱 の実験的研究は、原子炉容器ダウンカマー部を模擬したスライスモデルとなっているとしても、流体として水ではなく空気を用いた実験であり、大破断LOCA時には、沸騰が生じて気液2相流となることが想定され、空気ではこの間の現象を再現することができないなどと主張する。 しかし ているとしても、流体として水ではなく空気を用いた実験であり、大破断LOCA時には、沸騰が生じて気液2相流となることが想定され、空気ではこの間の現象を再現することができないなどと主張する。 しかしながら、JFの研究や三菱の実験的研究において実験に用いられ た試験部の形状と原子炉容器のダウンカマー部の形状は異なっているが、L6意見書、L5意見書②及びL5の尋問調書(乙E173・9~11、33~38頁)によれば、三菱の実験的研究は、原子炉容器のダウンカマー部の流路を想定したスライスモデルの手法を用いて、空気を流体として行った実験であり、流体の流動特性や熱伝達特性を特徴付ける無次元数が 一致する流動・熱伝達には相似性が成り立つという相似則を用いれば、空 気を用いて得られた実験結果は水に対しても適用可能である、JF式は単相流を想定した評価式であるから、沸騰を含む気液二相流に対して沸騰条件に対応した相似則と共にJF式を用いるのは適当ではないが、PTS評価において原子炉容器の健全性に影響を与える時間帯において沸騰は生じないから、水の単相流による冷却を想定すればよく、相似則を用いるこ とにより水に対してもJF式が適用できる旨が述べられており、その内容が不合理であるとはいえない。 なお、三菱の実験的研究は査読を受けた論文ではないものの、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)オ(ア)のとおり、L6意見書によれば、企業研究においては研究成果の公表に主眼が置かれるものではなく、原子力熱流 動工学に関する日本を代表する著名な研究者の指導を受けて行われたものとされているから、査読を受けていないことをもって信頼性が低いともいえない。 したがって、JF式に関する実験と本件原子炉圧力容器との流動形態の違いを理由にJF式の適用性を 指導を受けて行われたものとされているから、査読を受けていないことをもって信頼性が低いともいえない。 したがって、JF式に関する実験と本件原子炉圧力容器との流動形態の違いを理由にJF式の適用性を否定する原告らの主張は理由がない。 エ PTS調査報告書が根拠としたパデュー大学の実験やPTS実証試験について原告らは、JF式を用いる基となったPTS調査報告書が根拠としたパデュー大学の実験は、水と塩水により、塩水濃度の相違による密度差によって自然対流を再現して、高温液(真水)が残っているところに低温冷却 水(濃度を変えた塩水)が流入するときの流動状態を塩分濃度の測定によって定量化した実験にすぎず、熱伝達率の増加について測定したものではなく、また、PTS実証実験は共存対流熱伝達を再現できていないなどと主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)dのとおり、 PTS調査報告書は、JFの研究、三菱の実験的研究等の調査に基づきJ F式が国内PWRプラントに適用できることを報告したのであり、パデュー大学の実験に依拠してJF式の適用を報告したとは認められず、三菱の実験的研究に相似側を用いることによりJF式が適用できることは上記ウで説示したとおりである。 また、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)eのとおり、PTS調 査報告書における熱衝撃解析の調査の目的に、熱伝達率の評価に当たりJF式を用いることの妥当性を調査することは含まれていなかったから、PTS実証実験が共存対流熱伝達を再現していないとしても、JF式を用いることが不合理であるということはできない。 オ数土(1989)によりJF式の適用性に疑義が生じていることについて 原告らは、数土(1989)によれば、JF式 いないとしても、JF式を用いることが不合理であるということはできない。 オ数土(1989)によりJF式の適用性に疑義が生じていることについて 原告らは、数土(1989)によれば、JF式を基に、代表長さとして流路入り口からの距離を用いることに修正した式を提案していると主張する。 しかしながら、L5によれば、数土(1989)は炉心の高さが75㎝、ギャップが約2㎜という研究用原子炉の安全評価のためにその流体の条件に合わせた代表長さを検討する必要があったということであり(乙E17 3・38~40頁)、本件原子炉とは場面を異にし、直ちにJF式の適用性に疑義を生じさせるものとはいえない。 原告らは、数土(1989)の実験における流路幅と、三菱の実験的研究における流路幅はさほど変わらず、サイズの問題は相似則が適用できるのであるから、数土(1989)が代表長さについてJF式を修正していることは、J F式の適用性に疑義を挟むものであると主張するが、数土(1989)が代表長さとして流路入り口からの距離を用いると修正したのは、上記研究用原子炉に合わせた代表長さを検討する必要によるものと認められ、数土(1989)をみても、実用発電用原子炉において水平方向に代表長さを採ることが誤りである旨の記載は見当たらない。そして、流体は空気であったとしても、 スライスモデルの手法により原子炉容器のダウンカマー部の流路を想定 して行われた三菱の実験的研究によりJF式が適用可能であることが確認されていることを考慮すると、数土(1989)が代表長さを流路入り口からの距離を用いていることによって、水平方向に代表長さを採ることを前提とするJF式を用いることが不合理であるということはできない。 したがって、数土(1989)によりJF式の適 表長さを流路入り口からの距離を用いていることによって、水平方向に代表長さを採ることを前提とするJF式を用いることが不合理であるということはできない。 したがって、数土(1989)によりJF式の適用性に疑義があるという原告 らの主張は理由がない。 カ以上のとおり、JEAC4206-2007 が熱伝達率の評価式としてJF式を用いるとしていることが不合理である旨の原告らの主張は理由がない。 (2) 核沸騰の想定をしていないこと原告らは、原子炉容器に冷却水が注入されると、初期の段階で必ず核沸騰 が生じることとなり、核沸騰時の原子炉圧力容器の内側表面の熱伝達率は1~2桁以上大きくなるが、JEAC4206-2007 は核沸騰が生じることによる熱伝達率の値を考慮しておらず、具体的審査基準として不合理であると主張する。 上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)e(d)のとおり、JEAC4206-2007の基となったPTS調査報告書は、実際には、大破断LOCA時のブローダ ウン過程及びリフィル過程が30秒前後あり、ダウンカマー部は高温状態であるが、0分の時点(破断発生時点)で圧力と温度が低下するものとして、27℃の非常用冷却水により冷却が開始するものとしており、核沸騰を想定していない。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)エ(ア)のとおり、L5 意見書①によれば、事故の発生直後から27℃の低温の非常用冷却水により確実に冷却が開始されるという条件設定は、不確かな冷却状態であるブローダウン過程及びリフィルを除外し、290℃と高温の原子炉容器炉心領域部との温度差が最大となる温度条件で瞬時に冷却を開始させるという熱的に最も保守的な境界条件を設定したものとされており、また、上記認定事実(中 性子照射脆化) 290℃と高温の原子炉容器炉心領域部との温度差が最大となる温度条件で瞬時に冷却を開始させるという熱的に最も保守的な境界条件を設定したものとされており、また、上記認定事実(中 性子照射脆化)(3)ウ(イ)cのとおり、高経年化技術評価に関する意見聴取会 における電事連回答(乙B109)によれば、沸騰熱伝達率を考慮した熱伝達率やPTS状態遷移曲線等の試算をすると、初期の熱伝達率は現状評価の熱伝達率と比較して大きくなるが、数十秒で原子炉容器内表面(クラッド内表面)の温度は100℃以下となり、沸騰熱伝達の温度域から外れることが分かり、欠陥深さ位置となる母材内面から10㎜位置の温度も、特にPTS 評価上厳しい低温領域ではその差がほとんどないことが分かるから、現状の評価方法で適切に評価できている、沸騰熱伝達を考慮した場合の破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線の比較として、想定欠陥深さ位置(母材内面深さ10㎜の位置)の温度が約150℃に低下するまでは約200秒であり、沸騰熱伝達率を考慮した方が応力拡大係数は高くなるが、それ以降は破壊靭 性遷移曲線に最も接近する約600秒から約3600秒までの期間を含め、沸騰熱伝達率の考慮の有無で違いはない旨の解析結果が示されている。 さらに、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)b及び(5)アのとおり、加圧熱衝撃に係る評価手法として、最大仮想欠陥として原子炉圧力容器炉心領域内表面に深さ10㎜、長さ60㎜の軸方向の半楕円表面欠陥を想定し、 その欠陥の深さ位置によりPTS評価をすることになるが、国内全ての発電用原子炉の原子炉容器にステンレス鋼のクラッド(クラッドの考慮については後に詳述する。)が施されているから、クラッド下の母材のき裂部分に沸騰状態の冷却水が接触するものではなく なるが、国内全ての発電用原子炉の原子炉容器にステンレス鋼のクラッド(クラッドの考慮については後に詳述する。)が施されているから、クラッド下の母材のき裂部分に沸騰状態の冷却水が接触するものではなく、沸騰熱伝達率がPTS状態遷移曲線で描くこととなる最大仮想欠陥最深部に直接作用するものとはいえない。 したがって、JEAC4206-2007 が核沸騰を考慮していないことをもって不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 (3) 冷却期間中における熱伝達率の変動を考慮していないこと原告らは、熱伝達率は時間の経過とともに激しく変動するにもかかわらず、JEAC4206-2007 は、冷却期間中の熱伝達率の変動を考慮しておらず、基準と して不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)b(c)ホのとおり、JEAC4206-2007 の附属書Cは、PTS状態遷移曲線を設定する際に最大仮想欠陥最深部での温度と時間、応力拡大係数と時間の関係に基づき、PTS事象時の最大仮想欠陥最深部での応力拡大係数と温度の時間推移を示すPTS状態遷移曲線を設定すると記載しており、時間推移に伴う温度変化に関係し た熱伝達率を設定した上で応力拡大係数を求めることを求めている。そして、JEAC4206-2007 においては、事故発生時に瞬時に27℃の非常用冷却水に入れ替わることを想定し、核沸騰を考慮しないため、熱伝達率の時間推移による変化は事故発生初期を除き乏しいものとなっているが、核沸騰を考慮せず、瞬時に非常用冷却水に入れ替わると想定することが不合理とはいえないこと は上記(2)で説示したとおりである。 したがって、JEAC4206-2007 が冷却期間中の熱伝達率の変化を考慮して 、瞬時に非常用冷却水に入れ替わると想定することが不合理とはいえないこと は上記(2)で説示したとおりである。 したがって、JEAC4206-2007 が冷却期間中の熱伝達率の変化を考慮していないということはできず、原告らの主張は理由がない。 (4) プルームを考慮していないこと原告らは、プルーム(冷却時に生じる冷却温度の不均一さ)を考慮した熱 伝達率は、プルームを考慮しない場合よりも高くなるとして、熱伝達率の評価に当たってプルームを一切考慮していないJEAC4206-2007 は、基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(中性子照射脆化)(2)イ(ウ)cのとおり、JEAC4206-2007 は、PTS事象として具体的な事象が特定されない場合には、 主蒸気管破断事故、小破断LOCA及び大破断LOCAを対象とすることとして、PTS評価上最も厳しいとされる急激な温度変化を伴う大破断LOCAを想定しているところ、大破断LOCAでは、原子炉容器内の高温の冷却材が急激に喪失した後に非常用冷却水が注入されるため、プルームが発生するとはいえないから、これを考慮していないことが不合理であるとはいえな い。また、JEAC4206-2007 の基となったPTS調査報告書は、約290℃の 1次冷却水が事故発生直後に27℃の非常用冷却水に入れ替わるという想定をしているが、この条件が不合理とはいえないことは上記(2)で説示したとおりとおりである。 原告らは、Qian 論文(乙E42)を根拠として、プルームを考慮しないことが不合理であると主張するが、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)エ(キ) のとおり、L5意見書②によれば、Qian 論文は、大破断LOCAではなく、中破断LOCAを想定したも を考慮しないことが不合理であると主張するが、上記認定事実(中性子照射脆化)(8)エ(キ) のとおり、L5意見書②によれば、Qian 論文は、大破断LOCAではなく、中破断LOCAを想定したものと認められるから、原告らの主張を採用することはできない。 したがって、JEAC4206-2007 がプルームを想定してないことをもって、基準として不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 6 争点5-(2)―イ(PTS状態遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落)について(1) 熱伝達率が適切に評価されていないこと原告らは、JEAC4206-2007 は、核沸騰、冷却期間中における熱伝達率の変動及びプルームを考慮していないなどの不合理性があり、これらを考慮すれ ばデッドクロスの可能性があるにもかかわらず、これらを看過しているから、本件運転期間延長認可処分に係る適合性審査に看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記5(2)~(4)で説示したとおり、JEAC4206-2007 が核沸騰及びプルームを考慮していないことが不合理であるとはいえない以上、参 加人がJEAC4206-2007 に基づいて行ったPTS評価が不合理であるということもできない。 したがって、原子力規制委員会が、本件運転期間延長認可処分の審査において熱伝達率を適切に評価していない旨の原告らの主張は理由がない。 (2) クラッドの考慮 ア原告らは、JEAC4206-2007 においては、PTS状態遷移曲線を計算する に当たって、クラッドを考慮することが許容されていないにも関わらず、原子力規制委員会は、クラッドを考慮したPTS評価に基づいてその安全性を審査し、本件運転期間延長認可処分をしている る に当たって、クラッドを考慮することが許容されていないにも関わらず、原子力規制委員会は、クラッドを考慮したPTS評価に基づいてその安全性を審査し、本件運転期間延長認可処分をしているから、その審査、判断の過程に著しい過誤、欠落があると主張する。 上記認定事実(中性子照射脆化)(5)ア及びウのとおり、本件原子炉の原 子炉容器内面にはステンレス鋼のクラッドが施されており、参加人は、熱伝導解析においてはクラッドを考慮し、応力解析においてはクラッドを考慮せずにPTS評価を行っているところ、弁論の全趣旨(参加人準備書面(17)15頁)によれば、本件原子炉について、クラッドを考慮せずにPTS評価をすると、PTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線側へ近づくもの の、デッドクロスまではしないと認められる。 また、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)イ及びエのとおり、本件運転期間延長認可処分に係る審査に用いられたJEAC4206-2007 には、クラッドに関する記載は存在せず、クラッドを考慮して評価すべきか否かについて明文の規定はないところ、日本電気協会は、その後継規格となるJEAC4206- 2016 において、PTS状態遷移曲線の設定に関連する熱伝導解析及び応力解析についてクラッドによる影響を考慮するものに変更している。そして、クラッドを考慮したJEAC4206-2016 については、技術評価検討チームの技術評価が行われた結果、クラッドがある場合の応力拡大係数はJEAC4206- 2016 に規定された方法で算出可能と考えられるが、これらの計算の基とな っている材料特性の適用範囲が明確ではなく、クラッドの機械的特性やクラッドの厚さの設定方法を明確にする必要があること、応力拡大係数は最大仮想欠陥最深点に対して評価する 、これらの計算の基とな っている材料特性の適用範囲が明確ではなく、クラッドの機械的特性やクラッドの厚さの設定方法を明確にする必要があること、応力拡大係数は最大仮想欠陥最深点に対して評価することとなっているが、クラッド溶接によってクラッド直下にはHAZが形成されるとともに、溶接残留応力が生じ、HAZについては熱履歴の違いによる組織の違いから中性子照射によ る脆化感受性が仮想欠陥最深点と異なる可能性があること、クラッド溶接 による残留応力はクラッドでは引張、母材では圧縮から引張に変化するなど複雑な分布となることなどから、最大仮想欠陥最深点以外のき裂前縁でPTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線に最も近づく可能性があることなどが指摘され、技術評価書においても、JEAC4206-2016 について、現時点において規制における適用性を判断することは時期尚早であるとして、 技術基準規則解釈への適用は見送ることとされた。 このように、クラッドを考慮したPTS状態遷移曲線の設定については、応力拡大係数の計算の基となる材料特性の適用範囲が明確でない点や、溶接残留応力が複雑な分布となる等の観点から、規制に取り入れることに一定の課題があることが認められるが、上記JEAC4206-2016 の技術評価にお いて検討された課題は、いずれも熱伝導解析ではなく応力解析についてのものと認められる。 他方で、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)イ及びオのとおり、JEAC4206- 2007 の基となったPTS調査報告書においても、熱伝導解析についてはクラッドを考慮し、応力解析についてはクラッドを考慮せずにPTS状態遷 移曲線を設定していることに加えて、高経年化技術評価に関する意見聴取会に提出された電事連回答においても、PTS事象 いてはクラッドを考慮し、応力解析についてはクラッドを考慮せずにPTS状態遷 移曲線を設定していることに加えて、高経年化技術評価に関する意見聴取会に提出された電事連回答においても、PTS事象の初期段階では高温の原子炉容器内表面(クラッド内表面)に冷水が接することにより原子炉容器内表面(クラッド内表面)と冷水の間で沸騰熱伝達が生じることが想定される、応力拡大係数は、時刻により変動させた熱伝達率を使用して、ク ラッドを含めてモデル化した一次元非定常熱伝導計算により板厚内温度分布を求め、熱応力解析を行うことで算出される、欠陥深さ位置となる母材内面から10mm 位置の温度は、特にPTS評価上厳しい低温領域ではその差はほとんどないことが分かるなどとされ、原子炉容器内表面にき裂のないクラッドがあり、母材のき裂部分には直接冷却水が接触しない想定を している(乙B109)が、これが問題視された様子はうかがわれない。 そして、本件運転期間延長認可処分後ではあるものの、JEAC4206-2007 を策定した日本電気協会も、JEAC4206-2007 においてクラッドに対する要求は規定していないが、クラッドを考慮した解析を禁止はしていない旨の回答(日本電気協会回答)をしている。 これらの事情に照らすと、JEAC4206-2007 にクラッドに関する規定がな いことをもって、JEAC4206-2007 が熱伝導解析においてクラッドを考慮することを禁止しているとは認められず、現に本件原子炉容器内表面にクラッドが存在する以上、熱伝導解析においてクラッドを考慮することが不合理であるとはいえない。 イ原告らは、参加人が、熱伝導解析においてクラッドを考慮し、応力解析 においてクラッドを考慮していないことについて、Feket 析においてクラッドを考慮することが不合理であるとはいえない。 イ原告らは、参加人が、熱伝導解析においてクラッドを考慮し、応力解析 においてクラッドを考慮していないことについて、Fekete 論文及びJang論文等を根拠として、不合理に応力拡大係数を小さくする計算結果をもたらすものであると主張する。 上記認定事実(中性子照射脆化)(8)ウ(キ)のとおり、L4は、クラッドの材質は母材に比べて熱伝導率は低いが、熱膨張係数は高く、Fekete 論文 (乙E181)によれば、ステンレス鋼製のクラッドの物性値を、①母材(炭素鋼)と同じとした場合、②熱伝達率はステンレス鋼と同じで、熱膨張率及び縦弾性係数は母材と同じとした場合、③ステンレス鋼と同じとした場合では、③が最も応力拡大係数が高くなり、一部において破壊靭性値の曲線と交差することが示され、参加人が実施した条件に近い②が最も応 力拡大係数が小さくなり、余裕がある結果となっており、Jang 論文でも同様の応力拡大係数の傾向となっている旨を述べている。 この点については、L5も、熱伝導率や熱膨張係数による応力拡大係数の違いにより、熱膨張係数がクラッド(ステンレス鋼)のものとなればより応力拡大係数が高くなる可能性や、Fekete 論文の応力拡大係数の傾向を 否定しておらず(乙E173・24、25、50頁)、熱水力解析及び熱伝 導解析まではクラッドを考慮し、応力解析においてクラッドの材質を考慮していないことは、仮にクラッド表面から母材まで貫通する半楕円表面欠陥を想定した場合には、非保守的な計算となるものと解される。 しかしながら、上記のとおりJEAC4206-2007 にクラッドに関する記載は存在せず、クラッドを考慮する場合にクラッド表面から母材まで貫通する た場合には、非保守的な計算となるものと解される。 しかしながら、上記のとおりJEAC4206-2007 にクラッドに関する記載は存在せず、クラッドを考慮する場合にクラッド表面から母材まで貫通する 欠陥を想定すべき根拠となる規程は見当たらない上、PTS調査報告書、電事連回答及びJEAC4206-2016 のいずれにおいても、クラッドを考慮する場合に、クラッド下の欠陥を想定してPTS評価を行っていると認められる。 さらに、L4は、クラッドにき裂があったとしてもき裂が母材まで伝播 する可能性は低い旨を述べており(甲E108・44、45頁)、L5も、クラッドにき裂が生じることは通常考えられない旨を述べていること(乙E173・44、51頁)、廣田(2020)(乙E177・49頁)によれば、クラッドの内表面は、製造時に浸透探傷試験により表面割れがないことが確認されており、運転中の欠陥発生要因も考え難く、供用中の疲労き裂進 展量は十分小さく、クラッドと母材に跨る大きな表面欠陥が存在する可能性は極めて低いことから、クラッド内表面に表面欠陥を想定する必要はないとされていることなどからすれば、JEAC4206-2007 において、クラッドを考慮する場合に、クラッド表面から母材まで貫通する欠陥を想定することが求められていると解することはできない。 そして、L4によれば、Fekete 論文及びJang 論文は、いずれもクラッド表面にき裂があることを前提とするものであり(甲E108・7、8、22、23頁)、参加人が、本件運転期間延長認可処分後にJEAC4206-2016を用いて最大仮想欠陥としてクラッド下に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円欠陥を想定し、熱膨張差による応力及び残留応力も考慮して設定したP TS状態遷移曲線は、破壊 後にJEAC4206-2016を用いて最大仮想欠陥としてクラッド下に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円欠陥を想定し、熱膨張差による応力及び残留応力も考慮して設定したP TS状態遷移曲線は、破壊靭性遷移曲線との接近が問題となる温度帯付近 を中心に、概ねJEAC4206-2007 を用いたPTS状態遷移曲線よりも下方に描かれており(丙C25・参考資料1、弁論の全趣旨・参加人準備書面(16)17頁)、L4も、クラッドのない母材にき裂がある場合よりも、き裂のないクラッド下の母材にき裂がある場合の方が応力拡大係数は小さくなる旨を述べ(甲E108・45頁)、廣田(2020)(乙E177・5頁)におい ても、クラッド下の低合金鋼部の内面にき裂を想定した場合、応力拡大係数を低下させる効果が期待されると記載されていることに照らすと、クラッド下の欠陥を想定した場合、応力解析においてクラッドを考慮することが非保守的な評価をもたらす可能性も否定できず、応力解析においてクラッドを考慮しないことが安全性の面で不合理であるとはいえない。 なお、熱水力解析及び熱伝導解析におけるクラッドの考慮は、クラッドが厚いほど応力拡大係数が低くなるというようにクラッドの厚さに影響を受けるものであるにもかかわらず、参加人は、本件原子炉に実際に施工されているクラッドの厚さを考慮することなく、一律に公称値5.5㎜という数値を用いており、本件原子炉について一部で公称値5.5㎜よりも 薄いところがあると認められる。 しかしながら、参加人によれば、実際に施されているクラッドの厚さが5.5㎜より薄くても、PTS状態遷移曲線はわずかに上昇する程度にとどまると試算されており(丙F7、弁論の全趣旨・原告ら準備書面(17))、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)ウ るクラッドの厚さが5.5㎜より薄くても、PTS状態遷移曲線はわずかに上昇する程度にとどまると試算されており(丙F7、弁論の全趣旨・原告ら準備書面(17))、上記認定事実(中性子照射脆化)(5)ウ(ア)のとおり、原子力規制庁は、ク ラッドの厚さが公称値の5.5㎜よりも薄い4.93㎜であることの影響はJF式で評価する熱伝達率を6~12%高くする程度であり、PTS評価におけるモデル等の不確かさを包絡する保守性の範囲内である旨を報告しているから、この点をもってクラッドの考慮が不合理であったということもできない。 ウ以上によれば、PTS評価報告書及び電事連回答と同様に、熱伝導解析 においてクラッドを考慮し、応力解析においてクラッドを考慮しないでされた参加人の評価方法が不合理であるとはいえず、これを前提にされた原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるということはできない。 (3) 熱伝達率の確認をしていないこと 原告らは、本件運転期間延長認可処分に係る審査において、原子力規制委員会が、PTS状態遷移曲線の設定に当たって参加人が用いた熱伝達率の値を確認しなかったことが、看過し難い過誤、欠落であると主張する。 しかしながら、上記4(2)イで認定説示したとおり、国際的にみても、設置法、原子力基本法及び炉規法等の国内法令をみても、原子力施設の安全性の 確保等につき第一義的責任を負うのは事業者であり、原子力規制委員会は、原子力施設の設置及び運転等に関し必要な規制を行うなどして、事業者の活動が安全確保の観点から適切にされていることを監視、監督、指導する責任を負うものといえる。そして、事業者からの各種許認可申請に対する審査に際しては、法令により、各種申請において申請書に記載すべき事項及び必 全確保の観点から適切にされていることを監視、監督、指導する責任を負うものといえる。そして、事業者からの各種許認可申請に対する審査に際しては、法令により、各種申請において申請書に記載すべき事項及び必要 とされる添付書類が定められ、これらに基づき審査を行うことが予定されており、これを超えて、熱伝達率等の評価の過程に用いられる数値まで逐一確認すべきことを定めた法令上の規定は見当たらず、原子力規制委員会の人的物的資源が限られていることや、事業者に対しては品質保証に関する規制が課されていることなどに照らすと、このような規制のあり方が不合理である とはいえない。 また、上記5で説示したとおり、熱伝達率に関するJEAC4206-2007 の定めに不合理な点があるとはいえず、上記(1)で説示したとおり、本件原子炉の熱伝達率の評価に関する原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるともいえないから、本件運転期間延長認可処分の審査に当 たり、特に熱伝達率の数値を確認すべき事情があったということもできない。 したがって、熱伝達率を確認しなかったことについて、原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認めることはできず、原告らの主張は理由がない。 7 中性子照射脆化に関する争点のまとめ以上のとおり、中性子照射脆化に関して、本件運転期間延長認可処分につい て、現在の科学技術水準に照らし、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、本件運転期間延長認可処分が違法であるとはいえない。 第10 当裁判所の判断(電気ケーブルに関す 適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、本件運転期間延長認可処分が違法であるとはいえない。 第10 当裁判所の判断(電気ケーブルに関する争点) 1 認定事実(電気ケーブル)(1) 電気・計装設備に係る規制の概要ア設置変更許可処分との関係において、設置許可基準規則8条1項は、設計基準対象施設は、火災により発電用原子炉施設の安全性が損なわれないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、早期に火災発生を感知す る設備及び消火を行う設備並びに火災の影響を軽減する機能を有するものでなければならないことを要求し、同条についての設置許可基準規則解釈(乙B5・16頁)は、上記の「発電用原子炉施設の安全性が損なわれない」とは、安全施設が安全機能を損なわないことを求めているものであり、具体的には、火災防護基準に適合するものであると規定する。 火災防護基準(乙B6・5、6頁)は、「安全機能を有する構築物、系統及び機器は、以下の各号に掲げるとおり、不燃性材料又は難燃性材料を使用した設計であること。」(2.1.2柱書本文)、「ケーブルは難燃ケーブルを使用すること。」(同(3))とし、難燃ケーブルについて、「使用するケーブルについて、「火災により着火し難く、著しい燃焼をせず、また、加熱 源を除去した場合はその燃焼部が広がらない性質」を有していることが、 延焼性及び自己消火性の実証試験により示されていること。」を要求しており、自己消火性の実証試験の例としてUL垂直燃焼試験が、延焼性の実証試験の例としてIEEE383 又はIEEE1202 が挙げられている。また、火災防護基準は、当該構築物、系統及び機器の材料が、不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能 垂直燃焼試験が、延焼性の実証試験の例としてIEEE383 又はIEEE1202 が挙げられている。また、火災防護基準は、当該構築物、系統及び機器の材料が、不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの(代替材料)である場合、若しくは、当 該構築物、系統及び機器の機能を確保するために必要な代替材料の使用が技術上困難な場合であって、当該構築物、系統及び機器における火災に起因して他の安全機能を有する構築物、系統及び機器において火災が発生することを防止するための措置が講じられている場合は、この限りではない(2.1.2柱書ただし書)と規定する。 イ運転期間延長認可処分との関係において、炉規法43条の3の32第5項の委任を受けた実用炉規則114条の規定する認可基準への適合性を審査するに当たって確認すべき事項をまとめた内規である運転期間延長審査基準(乙B10・1、3頁)は、「電気・計装設備の絶縁低下」に関する要求事項(運転延長)として、①点検検査結果による健全性評価の結果、評 価対象の電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと、②環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと、を要求している。電気ケーブルは、当該「電気・計装設備」に該当する。 (2) 本件設置変更許可処分における設置許可基準規則8条(火災による損傷の防止)のうち、「難燃ケーブル」についての審査等ア参加人は、本件設置変更許可申請に係る申請書(補正後)、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。 (ア) 安全機能を有する機器に使用するケーブルは、実証試験により自己消 火性及び延焼性を確認した難燃ケーブルを使用 請に係る申請書(補正後)、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。 (ア) 安全機能を有する機器に使用するケーブルは、実証試験により自己消 火性及び延焼性を確認した難燃ケーブルを使用する設計とする。ただし、 安全機能を有する機器に使用するケーブルには、自己消火性を確認するUL垂直燃焼試験は満足するが、延焼性を確認するIEEE383 垂直トレイ燃焼試験の要求を満足しない非難燃ケーブルがある。したがって、非難燃ケーブルについては、①非難燃ケーブルを引き替えて難燃ケーブルを使用する設計、②非難燃ケーブル及びケーブルトレイを防火シート、結 束バンド及びシート押さえ器具で覆い複合体を形成する設計又は③電線管に収容する設計とする。 このうち、②複合体を形成する設計については、複合体は、難燃ケーブルと同等以上の難燃性能を確保する設計とするため、複合体外部の火災を想定した場合に必要な設計を行った上で、複合体内部の発火を想定 した場合に必要な設計を加えるなどする。 複合体外部の火災を想定した場合の設計として、複合体は、外部の火災に対して、燃焼の3要素(熱(火炎)、酸素、可燃物)のうち熱(火炎)及び酸素量を抑制することにより、難燃ケーブルと同等以上の難燃性能が確保できる設計とする。このため、複合体は、熱(火炎)及び酸素量 を抑制するため、非難燃ケーブルが露出しないように非難燃ケーブル及びケーブルトレイを防火シートで覆い、その状態を維持するため結束ベルトで固定し、シート押さえ器具で非難燃ケーブルと防火シートの隙間が拡大することを抑える設計とする。実証試験では、この設計の妥当性を確認するため、防火シートが不燃性、遮炎性、耐久性及び被覆性を有 していること、そのうえで、複合体としては、自己消火し燃え止まるこ 大することを抑える設計とする。実証試験では、この設計の妥当性を確認するため、防火シートが不燃性、遮炎性、耐久性及び被覆性を有 していること、そのうえで、複合体としては、自己消火し燃え止まること、延焼による損傷長が難燃ケーブルよりも短くなることを確認した上で使用する。 また、複合体内部の発火を想定した場合の設計として、複合体は、短絡又は地絡に起因する過電流により発火した内部の火災に対して、酸素 量を抑制することにより、難燃ケーブルと同等以上の難燃性能が確保で きる設計とする。このため、複合体は、複合体内部の延焼を燃え止まらせるため、ケーブルトレイが火災区画の境界となる壁、天井又は床を貫通する部分に防火シールを処置し、延焼の可能性のあるケーブルトレイにシート押さえ器具を設置する設計とする。また、複合体内部の火炎が外部に露出しないようにするため、防火シート間を重ねて覆う設計とす る。実証試験では、この設計の妥当性を確認するため、複合体内部の火炎に対して自己消火し燃え止まること、防火シートで複合体内部の火炎が遮られ外部に露出しないことを確認した上で使用する。(以上につき、丙C9・8-1-110~113頁)(イ) 参加人は、平成27年11月5日に開かれた原子力規制委員会第25 9回審査会合において、非難燃ケーブルに防火措置を施すことによる難燃性能の向上について説明した。(乙C40)イ原子力規制委員会は、電気・計装設備の火災対策に係る参加人の本件設置変更許可申請が、次のとおりであることを確認した。 (ア) 設置許可基準規則8条の関係における「火災の発生防止に係る設計方 針」の「安全機能を有する機器等における火災の発生防止」として、参加人が、難燃ケーブルは、実証試験により自己消火性及び延焼性を確 設置許可基準規則8条の関係における「火災の発生防止に係る設計方 針」の「安全機能を有する機器等における火災の発生防止」として、参加人が、難燃ケーブルは、実証試験により自己消火性及び延焼性を確認したケーブルを使用するとしていることなど、参加人による安全機能を有する機器等における火災の発生防止に係る設計が、火災防護基準の規定に則っていることを確認した。 (イ) 参加人が、非難燃ケーブルについて、上記ア(ア)②のとおり複合体を形成する方針とし、その設計目標を定めて、成立性を実証試験により確認するとしていることについて、参加人の設計方針が、火災防護基準に規定している事項と同一ではないものの、難燃ケーブルと同等以上の難燃性能を確保する設計目標(保安水準)を定めるとしていること、この設 計目標には、外部の火炎及び複合体内部からの発火を想定し、燃焼の3 要素のうち、熱(火炎)及び酸素量の2つを抑制する観点が含まれていること、この設計目標の成立性を確認する実証試験には、難燃性能の確認はもとより、非難燃ケーブルの通電性及び絶縁性並びにケーブルトレイの耐震性の確認が含まれ、さらに施工後の傷等も想定していることから、十分な保安水準が確保されることを確認した。 (ウ) また、難燃ケーブルとすべき核計装用ケーブルは、それ単体では延焼を確実に防止できないものの、チャンネルごとに専用電線管に収納し、電線管外部からの酸素の供給防止のため、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計とすることにより、十分な保安水準が確保されること、複合体から安全機能を有する機器等に接続する非難燃ケーブルは電線管 に収納し、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計とすることにより、十分な保安水準が確保されることを確認した。 (以上につき、乙 体から安全機能を有する機器等に接続する非難燃ケーブルは電線管 に収納し、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計とすることにより、十分な保安水準が確保されることを確認した。 (以上につき、乙C5・89、90頁)ウ原子力規制委員会は、上記確認を踏まえて、電気・計装設備の防火対策に係る参加人の本件設置変更許可申請が設置許可基準規則8条の要求を満 たすものと判断した。(乙C5・421頁)(3) 本件運転期間延長認可処分における運転期間延長審査基準「電気・計装設備の絶縁低下」についての審査等ア参加人は、本件運転期間延長認可申請の添付書類、審査会合の資料等において、次のとおり記載した。 (ア) 高経年化対策上着目すべき経年劣化事象の評価として、絶縁体の絶縁低下について、ケーブルの長期間の経年劣化を考慮した必要性能の評価は、IEEE 規格等を基に低圧ケーブルの長期健全性を評価した。特に、重大事故等時雰囲気内で機能要求がある難燃KKケーブル及び難燃PHケーブルについては、重大事故等時雰囲気内での健全性を合わせて評価し た。試験条件は、本件原子炉の実機環境に基づいて60年間の運転期間 及び設計基準事故、60年間の運転期間及び重大事故等、又は、60年間の運転期間を想定した劣化条件を包絡しており、評価の結果、上記各ケーブルは運転開始後60年時点においても絶縁機能を維持できると判断する。(甲美E3・14、15頁)(イ) 設計基準事故時雰囲気内で機能要求がある難燃KKケーブル及び難 燃PHケーブルについては、ACA ガイドに従った長期健全性評価についても評価した。評価に当たっては、JNES-SS レポートの試験結果を用いた。評価の結果、一部の難燃PHケーブルを除いて運転開始後60年時点においても は、ACA ガイドに従った長期健全性評価についても評価した。評価に当たっては、JNES-SS レポートの試験結果を用いた。評価の結果、一部の難燃PHケーブルを除いて運転開始後60年時点においても絶縁機能を維持できると判断するが、通路部に布設されている一部の難燃ケーブルは60年の供用を想定すると、絶縁低下の可能 性は否定できず、これについてはACA ガイドに従った長期健全性評価結果から評価期間に至る前に取替え等の措置を講じることで、絶縁体の絶縁低下により機器の健全性に影響を与える可能性はないと考える。ここで、難燃KKケーブル及び難燃PHケーブル等の長期健全性試験の手順としては、供試ケーブルに対し60年相当の加速熱劣化、60年相当の 放射線照射、設計基準事故時相当の放射線照射(1500kGy)を加え、放射線を除く設計基準事故時雰囲気暴露(最高温度190℃、最高圧力0.41MPa[gage])をした後、屈曲浸水耐電圧試験(ケーブルの両端部以外を常温の水中に1時間以上浸した後、その状態で公称絶縁体厚さに対し交流電圧3.2kV/㎜を5分間印加し、絶縁破壊を生じるか否かを調 べる。)により判定するものである。(甲美E3・15、16頁)これに対し、本件原子炉における設計基準事故相当時の環境条件は、放射線607kGy、最高温度約122℃、最高圧力約0.26MPa[gage]であり、重大事故等時の環境条件は、放射線500kGy、最高温度約138℃、最高圧力約0.305MPa[gage]である。(甲美E3・18、1 9頁、乙E15) (ウ) 実布設環境下での長期安全性評価の結果、例えば、本件原子炉施設のループ室の難燃KKケーブルは、稼働率100%での評価期間130年と評価された。(甲美E2・24頁)この評 (ウ) 実布設環境下での長期安全性評価の結果、例えば、本件原子炉施設のループ室の難燃KKケーブルは、稼働率100%での評価期間130年と評価された。(甲美E2・24頁)この評価期間は、JNES-SS レポートにおいて、約3mの難燃KKケーブル(供試体番号M-B-96)に対し100℃で5577時間加熱、99. 9Gy/h の平均線量率で5549時間照射した劣化条件をした結果、破断時の伸びが29%となっていたが、LOCA試験に合格したものを基に(乙E13・139、146、168、169頁)、本件原子炉におけるケーブルの実機試験条件(温度32度、放射線量率0.3462Gy/h)(甲美E3・24頁)に等価損傷線量データの重ね合わせ手法を用いて 算出した。(弁論の全趣旨・被告第26準備書面33~35頁)イ原子力規制委員会は、電気・計装設備の絶縁低下に係る参加人の運転期間延長認可申請が、次のとおりであることを確認した。 (ア) 点検検査結果による健全性評価については、安全重要度分類指針において安全機能を有する構造物、系統及び機器として定義されるクラス1、 2及び3の機能を有するもの等を評価対象機器・構造物として抽出された電気・計装設備を対象とし、現状の保守管理として、評価対象機器ごとに現状の保守管理による絶縁低下傾向の管理ができているか確認を行っていること、絶縁低下傾向の管理として、点検検査の実施、絶縁低下の状況の傾向把握、有意な絶縁低下と判断する値の設定及び有意な絶縁 低下と判断する値に達する前に取替え等の管理を行っていることを確認した。(乙C8・6、7、18頁)(イ) 環境認定試験による健全性評価については、評価対象機器及び部位として、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び 等の管理を行っていることを確認した。(乙C8・6、7、18頁)(イ) 環境認定試験による健全性評価については、評価対象機器及び部位として、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備を抽出していること、 評価の①前提条件として、評価対象部位は、電圧区分、形式、設置場所、 絶縁材料等によりグループ化した中から使用条件が厳しいものを抽出していること、評価に用いる通常運転時の放射線量及び温度は、布設箇所周囲の実測値を用いていること、設計基準事故及び重大事故等における放射線量、温度及び圧力は、工事計画認可申請記載の値を用いていること、②評価手法として、環境認定試験による健全性評価は、高経年化技 術評価で実績のあるIEEE 規格、ACA ガイド等を用い、有意な絶縁低下と判断する値となるまでの期間を求めていること、評価に用いたケーブルの劣化特性は、JNES-SS レポートにある、温度及び放射線量に応じた劣化進行度合いの実験結果を用いていること、③評価結果として、評価の結果、有意な絶縁低下と判断する値となるまでの期間は運転開始後60 年以上であったことを確認した。(乙C8・18、19頁)ウ原子力規制委員会は、上記イの確認を踏まえ、電気・計装設備の絶縁低下に係る参加人の本件運転期間延長認可申請が、「電気・計装設備の絶縁低下」に関する要求事項(運転延長)を満足していると認めた。(乙C8・18頁) (4) ACA ガイド及びJNES-SS レポート等についてア JNESは、原子力プラントでの使用条件に即したケーブルの経年劣化評価手法を確立することを目的として、平成14年~20年に実施した「原子力プラントのケーブル経年変化評価技術調査研究」(ACA ア JNESは、原子力プラントでの使用条件に即したケーブルの経年劣化評価手法を確立することを目的として、平成14年~20年に実施した「原子力プラントのケーブル経年変化評価技術調査研究」(ACA 研究)の成果を踏まえて、平成26年2月にACA ガイドを取りまとめた。(乙E14・ⅰ 頁)イ ACA ガイドは、原子力発電所における設計基準事故時に事故の拡大を防止し速やかに収束するための安全機能を有するケーブルについて、通常運転時の供用期間を経た後に設計基準事故の環境条件下においても期待される機能を遂行できるか検証するための試験等を実施するに当たり考慮すべ き事項又は推奨される方法を示すものである。ACA ガイドの適用範囲は、 設計基準事故時において、事故の拡大を防止し速やかに収束するための機能が期待される電気・計装設備に対し、電力を供給する機能又は監視・制御信号を伝達する機能を有するケーブルのうち、設計基準事故時に環境条件が著しく悪化する区分に布設されているものを対象とし、検証方法として、検証対象ケーブルと同等の供試ケーブルを使用し、期待される機能を 遂行できるかを検証する型式試験は、ケーブルが通常運転時の供用期間を経た後に設計基準事故の環境条件下においても期待される安全機能を遂行できることを検証するために最適な方法であるとしている。 (乙E14・1、4、5頁)ウ ACA ガイドによる型式試験の試験手順は、①劣化処理前の供試ケーブル について、状態を確認するための機能試験を実施する(初期機能試験)、②供試ケーブルに検証寿命相当の経年劣化を付与するため、検証寿命期間中の通常運転時の運転条件を模擬した環境等に供試ケーブルを曝す(劣化処理。熱及び放射線を同時かつ加速的に付与し、その試験条件は、想定す 供試ケーブルに検証寿命相当の経年劣化を付与するため、検証寿命期間中の通常運転時の運転条件を模擬した環境等に供試ケーブルを曝す(劣化処理。熱及び放射線を同時かつ加速的に付与し、その試験条件は、想定する通常運転条件と検証寿命に基づき、時間依存データの重ね合わせ手法、等 価損傷線量データの重ね合わせ手法又は等加速倍率手法によって設定する。)、③劣化処理後の供試ケーブルについて、状態を確認するための機能試験を実施する(劣化処理後機能試験)、④供試ケーブルを設計基準事故における運転条件を模擬した環境等に曝す(事故時環境試験。供試ケーブルに設計基準事故時相当の放射線を照射した後、試験用圧力容器に供試ケー ブルを設置し、設計基準事故時相当の温度・圧力・湿度条件に曝露させる。)、⑤事故時環境試験後の供試ケーブルについて、その状態を確認するための機能試験を実施する(最終機能試験)、⑥供試ケーブルが期待される安全機能を遂行できるか否かを確認するため、健全性判定試験としてJIS 規格による耐電圧試験(JIS 耐電圧試験)を実施する(健全性判定試験)、という ものである。健全性判定試験の判定基準は、JIS 耐電圧試験において供試 ケーブルに絶縁破壊が生じないことであり、耐電圧試験において絶縁破壊が生じない供試ケーブルは、通常運転時の検証寿命期間を経た後、設計基準事故時の環境条件においても期待される安全機能を遂行できると判定される。(乙E14・6~8頁)ACA ガイドの解説(乙E15・12頁)は、上記②の劣化処理における試 験条件の設定方法の詳細は、JNES-SS レポートに示されているとしているところ、JNES-SS レポートは、加速劣化試験条件の設定方法として、上記のとおり時間依存データの重ね合わせ手法、等価損傷線量 件の設定方法の詳細は、JNES-SS レポートに示されているとしているところ、JNES-SS レポートは、加速劣化試験条件の設定方法として、上記のとおり時間依存データの重ね合わせ手法、等価損傷線量データの重ね合わせ手法を示しており、これらの手法は異なる条件下の劣化特性を1つの劣化特性に重ね合わせてマスターカーブを作成し、マスターカーブを基に 実機の劣化特性を想定するものである。この際、重ね合わせを行うための経年劣化の指標として、「破断時の伸び」が用いられている。(乙E13・209~245頁)発電設備技術検査協会による「平成13年度高経年化対策関連技術調査等事業報告書〔高経年化関連安全対策技術高度化調査に関するもの〕」(平 成13年度高経年化事業報告書)(甲E4)は、経年変化指標として、ケーブルの絶縁体の絶縁機能が維持されていることは、絶縁抵抗や耐電圧試験(破壊電圧)により確認できるが、絶縁抵抗及び破壊電圧は経年変化パラメータとして捉え難く、ケーブルの経年変化指標としては、一般的に「破断時の伸び」が使用されていること、ほとんどのケーブルにおいて電気特 性の変化は大きくなく、ケーブルの機能が失われたか否かは、通常、機械的特性の変化である絶縁体のひび割れによって決定されるといわれていること、ほとんどの高分子材料は、熱・放射線の劣化の程度によって徐々に低下し、このためケーブルの劣化診断においても診断パラメータと破断時の伸び値とを相関させているといわれていること、破断時の伸びは、高 分子材料の劣化度を判定するための信頼できる手法であるといわれてい ることなどから、ケーブルの経年変化指標は「破断時の伸び」とすることが妥当であるとしており、JNES-SS レポートは、このことも参考にして策定された。(甲E る手法であるといわれてい ることなどから、ケーブルの経年変化指標は「破断時の伸び」とすることが妥当であるとしており、JNES-SS レポートは、このことも参考にして策定された。(甲E4・287頁、乙E13・259頁、弁論の全趣旨・被告第26準備書面32、33頁)エ ACA ガイドの解説は、事故時環境試験条件における試験条件に含まれる 設計基準事故時の環境条件に対する裕度として、「原子力発電所の安全系電気・計装品の耐環境性能の検証に関する指針」(JEAG4623-2008)に基づき、最大温度に+8℃、最大圧力に+10%、放射線に+10%(事故時線量)の裕度を加えるとしている。(乙E14・14頁)オ JNES-SS レポートにおいて、LOCA試験の健全性判定は、熱及び放射 線により劣化させ、蒸気暴露試験後の供試体に対し、①JIS 耐電圧試験(供試ケーブルにより条件は異なり、難燃KKケーブルM-B-96 は、1500V、1分間)、②IEEE 耐電圧試験(①と同様、難燃KKケーブルM-B-96 は、2600V、5分間)、③IEEE 屈曲浸水耐電圧試験を順に行うものである。 試験に用いられた難燃KKケーブル12本のうち、M-B-96 に次ぐ厳しい劣 化条件であったM-B-95 は、JIS 耐電圧試験(1500V、1分間で実施)に合格した後、IEEE 耐電圧試験(3200V、5分間で実施)の途中で不良となったが、その余の11本はIEEE 屈曲浸水耐電圧試験まで「良」と判定された。(乙E13・4、55、134~136、168-1頁)また、電気ケーブルの絶縁体の熱劣化特性の傾向は、破断時の伸びで評 価すると、①初期は劣化の進行がほとんど認められないが、ある時点から急激に劣化が進行するもの、②初期は劣化の進 68-1頁)また、電気ケーブルの絶縁体の熱劣化特性の傾向は、破断時の伸びで評 価すると、①初期は劣化の進行がほとんど認められないが、ある時点から急激に劣化が進行するもの、②初期は劣化の進行がほとんど認められないが、ある時点からやや早い劣化が進行するもの、③比較的早い時期から劣化の進行が認められるが、劣化の進行そのものは緩やかな傾向であるもの、④初期は劣化の進行がほとんど認められないが、かなり遅い時点からやや 早い劣化が進行するものなどがあり、破断時の伸びは、当初約300~6 00%であったものが、劣化後は0%に近づくとされている。(乙E13・180~183頁)(5) NRA 技術報告2019-1002 等についてア原子力規制庁は、技術情報検討会を開催し、そこで報告された内容を原子力規制委員会に報告するなどしているところ、技術情報検討会は新知見 のふるい分けや作業担当課の特定を目的とした事務的な会議体であり、原子力規制委員会の判断を示すものではないとされている。(乙B153)NRA 技術報告2019-1002 は、原子力規制庁長官官房技術基盤グループが行った重大事故環境下におけるケーブルの絶縁性能の分析に関する研究成果をまとめたものであり、この内容を規制基準、評価ガイド等として審 査や検査に活用する場合には、別途原子力規制委員会の判断が行われることになる。(乙E120・2枚目)イ NRA 技術報告2019-1002 には、次のような記載がある。 (ア) 原子力発電所のケーブルのうち、安全系ケーブルは、供用期間中において、設計基準事故を含め、想定される環境条件下において機能を維持 することが求められ、重大事故等対処施設に属する一部の安全系ケーブルは、重大事故に対処するための必要な ブルは、供用期間中において、設計基準事故を含め、想定される環境条件下において機能を維持 することが求められ、重大事故等対処施設に属する一部の安全系ケーブルは、重大事故に対処するための必要なパラメータを推定するために有効な情報を把握できる設備の設置が求められており、通常運転時の経年劣化を受けた後であっても、重大事故環境条件下において意図した機能を維持することが必要である。重大事故環境条件下における電気絶縁性 能を調べるための試験を行うと、蒸気暴露中においては、蒸気暴露による温度上昇及び蒸気による吸湿により、ケーブルの電気絶縁抵抗が大きく低下することが分かり、計装ケーブルの絶縁抵抗が低下すると、測定結果に含まれる誤差が大きくなる可能性がある。(乙E120・ⅰ頁)(イ) 国内のPWRにおける重大事故時の原子炉格納容器内の気相部の温 度及び圧力の解析条件の最大値は約145℃、約0.44MPaG である。 PWR用ケーブルについて、155℃、0.44MPaG で336時間の蒸気暴露をしたところ、開始直後の長さ1m当たりの絶縁抵抗は108~109Ωm 程度まで急激に低下し、最小値は108Ωm 程度であった。(乙E120・17、25頁)(ウ) ACA ガイド等では、ケーブルの健全性は、健全性評価試験における事 故環境を模擬するための蒸気暴露試験の終了後に行われる耐電圧試験結果により判定することが規定されているが、ケーブルの重大事故等時の健全性評価においては、現状の試験項目に加えて、蒸気暴露中のケーブルの絶縁抵抗を測定し、その測定結果をケーブルの重大事故等時における性能要求と照らし合わせて評価を行う必要がある。(乙E120・62 頁)ウ原子力規制庁は、令和元年11月20日の技術情報検討会において 測定し、その測定結果をケーブルの重大事故等時における性能要求と照らし合わせて評価を行う必要がある。(乙E120・62 頁)ウ原子力規制庁は、令和元年11月20日の技術情報検討会において、NRA技術報告2019-1002 を踏まえた今後の対応として、実プラントの状況を踏まえたケーブルの絶縁抵抗低下による重大事故対策に与える影響について、電気事業者に確認する必要があるとした。そして、原子力規制委員会は、 令和2年1月29日の第57回会合において、ATENA(原子力エネルギー協議会)との技術的意見交換会を行うとの進め方について了承した。 (乙E122、125・35頁、乙E126)エ ATENAは、令和2年5月22日の技術的意見交換会において、次のとおり報告した。(乙E127、128) (ア) ケーブルが高温、高湿になれば絶縁抵抗が低下するのはこれまでも確認されていた一般的な知見であり、これまでの事故時環境に対する健全性確認の試験において、課電した状態で蒸気暴露試験を実施しており、課電できていれば問題ないと考えていたが、NRA 技術報告2019-1002 は、蒸気暴露試験中における計器誤差への影響を定量的に示したものとの認 識で、ケーブルの使用状況等を踏まえた影響確認をした。(乙E128・ 6頁)(イ) NRA 技術報告2019-1002 の対象とされているPWRのケーブルについては、重大事故環境下で使用される状況にある対象ケーブルの最長は約200mであることを確認し、重大事故環境試験中のケーブルの絶縁抵抗値108Ωm を踏まえても、実際の絶縁抵抗値は5×105Ω以上と計算 され、対象ケーブルに接続されている計装機器からすると、絶縁低下に伴う計器誤差への影響は非常に小さく、誤差が数%あっ 縁抵抗値108Ωm を踏まえても、実際の絶縁抵抗値は5×105Ω以上と計算 され、対象ケーブルに接続されている計装機器からすると、絶縁低下に伴う計器誤差への影響は非常に小さく、誤差が数%あったとしても、重大事故環境におけるパラメータ監視は傾向監視を主体としていることから、操作判断に大きな支障となる誤差ではなく問題ない。(乙E128・10頁) (ウ) NRA 技術報告2019-1002 の対象以外のPWRのケーブルは、重大事故環境を模擬した蒸気暴露試験において試験中に実測した絶縁抵抗値は2. 0×1010Ω以上あることを確認しており、PWRプラントの最長ケーブル長200mとしても108Ωオーダーとなる。実際の判断を必要とする105mSv/h 付近での誤差は極めて小さいことから問題となることは ない。(乙E128・10頁、乙E130・6、7頁)(エ) 上記のように、現在実機に適用するケーブルについて問題がないことを確認した。プラントごとの評価については、今後、新検査制度における検査時、安全性向上評価の報告時又は高経年化技術評価の審査時等に確認することができる。(乙E128・6頁) オ原子力規制庁は、令和2年7月22日の原子力規制委員会において、ATENAとの技術的意見交換会の結果として、上記エのとおり説明を受けた等の報告をし、原子力規制委員会は、これを了承した。(乙E131・18頁、乙E132・19、20、24頁、乙E133・3頁) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について (1) 上記認定事実(電気ケーブル)(1)アのとおり、本件設置変更許可処分に当 たっては、設置許可基準規則8条1項、同項についての設置許可基準規則解釈を受けて、火災防護基準の要求事項を満たし 上記認定事実(電気ケーブル)(1)アのとおり、本件設置変更許可処分に当 たっては、設置許可基準規則8条1項、同項についての設置許可基準規則解釈を受けて、火災防護基準の要求事項を満たしているか否かの審査をすることになり、火災防護基準は、安全機能を有する電気ケーブルについて、難燃ケーブル又はこれと同等以上の性能等を有するものであることを求めているから、具体的審査基準として不合理な点がないことについて相当の根拠をも って立証されたと認められる。 また、上記認定事実(電気ケーブル)(2)イ(イ)及び(ウ)のとおり、原子力規制委員会は、本件適合性審査において、火災防護基準の要求事項について、安全機能を有する機器に使用する電気ケーブルには、非難燃ケーブルがあるが、非難燃ケーブル及びケーブルトレイを難燃性の防火シートで覆うなどし て複合体を形成し、この複合体の難燃性について実証試験により確認する、又は、電線管に収納し、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計であることなどを確認し、設置許可基準規則8条の要求を満たすと判断しており、本件設置変更許可処分のうち電気ケーブルに係る審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (2) 次に、上記認定事実(電気ケーブル)(1)イのとおり、本件運転期間延長認可処分に当たっては、炉規法43条の3の32第5項の委任を受けた実用炉規則114条、その審査事項をまとめた内規である運転期間延長審査基準に基づいて、点検検査結果による健全性評価結果及び環境認定試験による健全性評価の各評価対象となる電気・計装設備について、「有意な絶縁低下が生じ ないこと」等を審査することとしており、電気ケーブルが経年劣化により有意な絶縁低下が生じて機能を発揮で 定試験による健全性評価の各評価対象となる電気・計装設備について、「有意な絶縁低下が生じ ないこと」等を審査することとしており、電気ケーブルが経年劣化により有意な絶縁低下が生じて機能を発揮できなくなることを防ぐものとしているといえ、具体的審査基準として不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたと認められる。 また、上記認定事実(電気ケーブル)(3)及び(4)のとおり、原子力規制委 員会は、本件運転期間延長認可処分に係る審査において、参加人が、ACA ガ イド及びJNES-SS レポート等の知見に基づいて本件原子炉施設の電気ケーブルを評価した結果、有意な絶縁低下と判断する値となるまでの期間は運転開始後60年以上であったことを確認し、「電気・計装設備の絶縁低下」に関する要求事項(運転延長)を満たすと判断しており、本件運転期間延長認可処分のうち電気ケーブルに係る審査及び判断に不合理な点がないことについて 相当の根拠をもって立証されたというべきである。 3 争点6-(1)(電気ケーブルの火災防護対策)について原告らは、火災防護基準への適合性について、非難燃ケーブルをケーブルトレイごと防火シートでくるんだ「複合体」では難燃性能が高いとは到底考え難く、少なくともケーブルの老朽化によるケーブルトレイ中の自己発火に際して、 延焼して複数のケーブルに影響が伝播しかねない構造であり、難燃ケーブルと同等以上の性能を有しているとはいえないから、本件原子炉施設が火災防護基準に適合するとした審査及び判断には、看過し難い過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(2)アのとおり、参加人は、複 合体を形成する設計について、複合体外部の火災及び複合体内部の発火を想定し、複合体外 過誤、欠落があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(2)アのとおり、参加人は、複 合体を形成する設計について、複合体外部の火災及び複合体内部の発火を想定し、複合体外部の火災を想定した場合の設計として、複合体は、外部の火災に対して、熱(火炎)及び酸素量を抑制して難燃ケーブルと同等以上の難燃性能が確保できるようにするため、非難燃ケーブルが露出しないように非難燃ケーブル及びケーブルトレイを防火シートで覆い、その状態を維持するため結束ベ ルトで固定し、シート押さえ器具で非難燃ケーブルと防火シートの隙間が拡大することを抑える設計とし、実証試験で、防火シートが不燃性、遮炎性、耐久性及び被覆性を有し、複合体として自己消火し燃え止まること、延焼による損傷長が難燃ケーブルより短くなることを確認した上で使用することとしている。 また、複合体内部の発火を想定した場合の設計として、複合体は、短絡又は地 絡に起因する過電流により発火した内部の火災に対して、酸素量を抑制して、 難燃ケーブルと同等以上の難燃性能が確保できるようにするため、複合体内部の延焼を燃え止まらせるため、ケーブルトレイが火災区画の境界となる壁、天井又は床を貫通する部分に防火シールを処置し、延焼の可能性のあるケーブルトレイにシート押さえ器具を設置する設計とし、また、複合体内部の火炎が外部に露出しないようにするため、防火シート間を重ねて覆う設計とし、実証試 験で複合体内部の火炎に対して自己消火し燃え止まること、防火シートで複合体内部の火炎が遮られ外部に露出しないことを確認した上で使用するとしている。さらに、証拠(丙C10)によれば、参加人は、本件設置変更許可処分がされる前に、複合体の難燃性能に係る実証実験を行い、難燃ケーブルと同等以上の難 部に露出しないことを確認した上で使用するとしている。さらに、証拠(丙C10)によれば、参加人は、本件設置変更許可処分がされる前に、複合体の難燃性能に係る実証実験を行い、難燃ケーブルと同等以上の難燃性能を有することを確認していると認められる。 そして、上記認定事実(電気ケーブル)(2)イのとおり、原子力規制委員会は、参加人による上記設計方針を確認し、非難燃ケーブルについて施すとされた複合体が難燃ケーブルと同等以上の性能を有し、十分な保安水準が確保されると判断したものであって、その審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。その他、原告らは、上記複合体では難燃性能を有するとは考 えられないと主張するが、抽象的な不安を指摘するに留まっており、具体的な問題が主張、立証されているとはいえないから、採用することはできない。 4 争点6-(2)(電気ケーブルの老朽化に伴う絶縁低下)について(1) 基準の不合理性ア原告らは、JNES-SS レポート脚注の記載(甲E51・4頁)を根拠とし て、そもそも電気ケーブルの老朽化の指標として「絶縁低下」は捉え難いものであるにもかかわらず、「有意な絶縁低下が生じないこと」を要求事項(運転延長)とする運転期間延長審査基準は、基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(4)ウのとおり、JNES-SS レポートが参考とする平成13年度高経年化事業報告書には、絶縁抵抗及 び破壊電圧は経年変化パラメータとして捉え難い旨が記載されているものの、その趣旨は、電気ケーブルの絶縁低下については、経年劣化が一定程度進行した時点で急激に生じることが多いため、経年劣化の進行や変化の程度を見る指標として用いることができない旨を指摘するもの るものの、その趣旨は、電気ケーブルの絶縁低下については、経年劣化が一定程度進行した時点で急激に生じることが多いため、経年劣化の進行や変化の程度を見る指標として用いることができない旨を指摘するものと解され、現時点の絶縁低下や「破断時の伸び」を利用した加速劣化処理により 予測される将来時点の絶縁低下について把握することが困難なことを意味するものではない。 そして、上記認定事実(電気ケーブル)(4)ウのとおり、ACA ガイドは、供試ケーブルに検証寿命相当の経年劣化を付与した上で、劣化処理後の供試ケーブルを設計基準事故時の運転条件を模擬した環境等に曝し、その後 のJIS 耐電圧試験において供試ケーブルに絶縁破壊が生じないことを確認することによって健全性判定をするものであり、加速劣化処理によって予測される将来時点の絶縁低下を耐電圧試験によって把握できることが前提となっている。また、参加人を含む原子力発電所を所有する電気事業者が共同で取りまとめた平成30年7月付け(同年11月改訂)「原子力発電 所の運転期間と機器・構造物の経年劣化影響に関する技術レポート」(乙E44・3-75頁)によれば、事業者は、ケーブルの定期的な絶縁抵抗測定等に関する保全活動として、電力用ケーブルの絶縁低下に対しては、系統機器の点検時に絶縁抵抗測定を実施し、許容値以下であることを確認し、制御・計装用ケーブルについては、系統機器の動作試験において、ケーブ ルの絶縁機能の健全性を確認するなどの定期的な絶縁抵抗測定や機能試験等を実施し、点検で有意な絶縁低下となる許容値を上回る管理値に達した段階でケーブルの取替えを行うこととしているように、現在の絶縁低下の状況を絶縁抵抗測定等により計測することは可能と認められる。 したがって、「有意な絶縁低下が生じないこ 許容値を上回る管理値に達した段階でケーブルの取替えを行うこととしているように、現在の絶縁低下の状況を絶縁抵抗測定等により計測することは可能と認められる。 したがって、「有意な絶縁低下が生じないこと」を要求事項(運転延長) とする運転期間延長審査基準が不合理であるということはできず、原告ら の主張は理由がない。 イ原告らは、JNES-SS レポートにおいて、ACA ガイドによる試験に合格した電気ケーブルでも、IEEEのより厳しい耐電圧試験で不良を起こすものがあることが報告されており、ACA ガイドの環境認定試験により健全性評価を行う運転期間延長審査基準は不合理であると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(1)イのとおり、そもそも運転期間延長審査基準は、「電気・計装設備の絶縁低下」に関する要求事項(運転延長)として、①点検検査結果による健全性評価の結果、評価対象の電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと、②環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装 設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないことを要求するものであって、ACA ガイドの環境認定試験により健全性評価を行うべきことを定めているとは認められないから、本件運転期間延長認可処分との関係において、ACA ガイドが具体的審査基準に当たるとは認められず、原告らの主張はその前提を欠くものといわざ るを得ない。 また、上記認定事実(電気ケーブル)(4)オのとおり、JNES-SS レポートによれば、LOCA試験の健全性判定をしたところ、JIS 耐電圧試験は「良」と判定されたが、その後に行われたIEEE 耐電圧試験の途中で不良となった難燃KKケーブル( おり、JNES-SS レポートによれば、LOCA試験の健全性判定をしたところ、JIS 耐電圧試験は「良」と判定されたが、その後に行われたIEEE 耐電圧試験の途中で不良となった難燃KKケーブル(M-B-95)があったと認められるものの、JIS 耐電圧 試験の後にIEEE 耐電圧試験をしたものであるから、通常のIEEE 耐電圧試験によって不良を起こしたとはいえず、そのことをもってACA ガイドによる健全性評価に問題があるということはできない。 ウ以上によれば、電気ケーブルの老朽化に関する具体的審査基準が不合理であるとはいえない。 (2) 適合性審査の過誤、欠落について ア原告らは、「絶縁低下」の代替指標として「破断時の伸び」を用いることについて、審査基準自体は不合理であるとまでいえないとしても、実際に本件原子炉施設で行われた評価について、事故時に機能要求される低圧ケーブルである難燃KKケーブルの「破断時の伸び」が130年後に初期値から約15分の1にまで落ちており、これをもって健全性が保たれるとす るのは不合理である、また、参加人は、JNES-SS レポートが提案する約10%の余裕を持たせた管理値案も採用していないと主張する。 しかしながら、運転期間延長審査基準は、環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に「有意な絶縁低下が 生じないこと」を求めているところ、上記(1)アで説示したとおり、ACA ガイドによる健全性判定試験の判定基準は、劣化処理後の耐電圧試験において供試ケーブルに絶縁破壊が生じないことによってされるものであり、「破断時の伸び」は、供試ケーブルに対して検証寿命相当の劣化処理をする による健全性判定試験の判定基準は、劣化処理後の耐電圧試験において供試ケーブルに絶縁破壊が生じないことによってされるものであり、「破断時の伸び」は、供試ケーブルに対して検証寿命相当の劣化処理をする際の経年劣化の指標として用いられるものであって、絶縁低下の有無を 判定する健全性判定における指標として用いられるものではないから、破綻時の伸びが大幅に低下していることから、直ちに健全性判定に問題があるとはいえない。そして、上記認定事実(電気ケーブル)(3)ア(ウ)及び(4)オのとおり、本件原子炉施設のループ室の難燃KKケーブルについて稼働率100%での評価期間130年と評価されたのは、JNES-SS レポートに おいて、難燃KKケーブル(供試体番号M-B-96)の所定の劣化処理後の破断時の伸びが29%となっていたが、LOCA試験に合格したものを基に、本件原子炉におけるケーブルの実機試験条件に等価損傷線量データの重ね合わせ手法を用いて算出されたものであり、供試ケーブルの破断時の伸びが大幅に低下しているとしても、劣化処理後のJIS 耐電圧試験において 絶縁破壊が生じないことが確認されている以上、その健全性判断に不合理 な点があるとはいえない。 また、JNES-SS レポートは、C社シリコーンゴム絶縁ケーブルについては29%でその後のLOCAに耐えられることを確認しているとして40%(11%の裕度)の劣化指標管理値案(破断時の伸び)を提案しているが、A社シリコーンゴム絶縁ケーブルについては24%でその後のLO CAに耐えられることを確認しているとして30%(6%の裕度)の劣化指標管理値案(破断時の伸び)を提案するなど、一律に10%の余裕を設けておらず、約10%の余裕を設けることを提案しているとは認められない(乙 られることを確認しているとして30%(6%の裕度)の劣化指標管理値案(破断時の伸び)を提案するなど、一律に10%の余裕を設けておらず、約10%の余裕を設けることを提案しているとは認められない(乙E13・255、256頁)。 そして、上記(1)のとおり、参加人を含む事業者は、ケーブルの定期的な 絶縁抵抗測定等に関する保全活動として、電力用ケーブルの絶縁低下に対しては、系統機器の点検時に絶縁抵抗測定を実施し、許容値以下であることを確認し、制御・計装用ケーブルについては系統機器の動作試験において、ケーブルの絶縁機能の健全性を確認するなどの定期的な絶縁抵抗測定や機能試験等を実施しており、点検で有意な絶縁低下となる許容値を上回 る管理値に達した段階でケーブルの取替えを行うこととして管理値を設定しており、上記認定事実(電気ケーブル)(3)イ(ア)のとおり、原子力規制委員会は、本件運転期間延長認可申請に係る審査に当たり、参加人が、上記のとおり管理値を定めた保守管理をしていることを確認している。 したがって、本件原子炉施設で行われた評価が、要求されている評価手 法を満たしていないとの原告らの主張は理由がない。 イ原告らは、本件運転期間延長認可処分に係る審査において、ACA ガイドの手法に基づき運転期間延長審査基準の要求事項(運転延長)を満たしたとされているが、ACA ガイドは重大事故等環境を想定したものとはいえず、過誤があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(3)ア及び(4)エのとおり、 ACA ガイドは、設計基準事故時の環境条件に対する裕度として、最大温度に+8℃、最大圧力に+10%、放射線に+10%(事故時線量)を加えるとして保守性を求めているところ、参加人は、本件原子炉における CA ガイドは、設計基準事故時の環境条件に対する裕度として、最大温度に+8℃、最大圧力に+10%、放射線に+10%(事故時線量)を加えるとして保守性を求めているところ、参加人は、本件原子炉における設計基準事故相当時の環境条件は、放射線607kGy、最高温度約122℃、最高圧力約0.26MPa[gage]であり、重大事故等時の環境条件は、放射線 500kGy、最高温度約138℃、最高圧力約0.305MPa[gage]であるのに対し、長期健全性試験において、放射線1500kGy、最高温度190℃、最高圧力0.41MPa[gage]というACA ガイドの求めを上回る裕度を加えて評価している。 そして、上記認定事実(電気ケーブル)(3)ア及び(4)イのとおり、ACA ガ イドは設計基準事故時を適用範囲としたものであるが、参加人は、重大事故等時雰囲気内で機能要求がある難燃KKケーブル及び難燃PHケーブルについて、重大事故等時雰囲気内での健全性評価を合わせて評価している。 したがって、ACA ガイドは重大事故等環境を想定したものとはいえない との原告らの主張も理由がない。 ウ原告らは、参加人の資料(甲E1・16頁)によれば、代表機器以外の評価結果として、ケーブル接続部の「高圧コネクタ接続」について、健全性評価として「長期健全性試験を実施していないため、絶縁低下の可能性は否定できない」とされ、高経年化への対応として「絶縁抵抗測定を実施 していく」とされているが、電気ケーブルでは、事故時の絶縁低下は予測困難であると認めながら、ここでは測定して判断できることを前提としており、説明として矛盾していると主張する。 しかしながら、高圧コネクタは原子炉格納容器内で使用されるものではなく(弁論の全趣旨・参加人準備書面(7)19頁 こでは測定して判断できることを前提としており、説明として矛盾していると主張する。 しかしながら、高圧コネクタは原子炉格納容器内で使用されるものではなく(弁論の全趣旨・参加人準備書面(7)19頁)、設計基準事故又は重大 事故等が生じたとしても高温水蒸気や高放射線の環境に曝されるとは認 められない。そして、上記(1)で説示したとおり、経年劣化の指標として「絶縁低下」ではなく「破断時の伸び」が用いられているとしても、現在の絶縁低下を計測することができないものではないから、絶縁低下が検知可能であることを前提として絶縁抵抗測定を実施することにより高経年化への対応を行うとした参加人の説明に矛盾があるとはいえない。 したがって、参加人の説明に矛盾があるとの原告らの主張は理由がない。 エ原告らは、NRA 技術報告2019-1002 によれば、重大事故時の蒸気環境下において、シリコーンゴム絶縁体の絶縁抵抗値が大きく低下することなどが示されており、法令上一般の電気設備の電路が守るべき抵抗値の下限を下回る結果が存在することなどを踏まえると、重大事故等環境下で機能が 要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じるという評価をすべきであるところ、そのような評価がされていない点に過誤があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(電気ケーブル)(5)のとおり、NRA 技術報告2019-1002 は、原子力規制庁長官官房技術基盤グループが行った安全研究等の成果をまとめたものであって、この内容を規制基準、評価ガイド等 として審査や検査に活用する場合には、別途、原子力規制委員会の判断が行われることになるものであり、NRA 技術報告2019-1002 を受けて、原子力規制庁は、ATENAとの技術的意見交換会を行い、その結果を や検査に活用する場合には、別途、原子力規制委員会の判断が行われることになるものであり、NRA 技術報告2019-1002 を受けて、原子力規制庁は、ATENAとの技術的意見交換会を行い、その結果を原子力規制委員会に報告して了承を受けたが、NRA 技術報告2019-1002 について、規制基準、評価ガイド等への取入れが検討されたとは認められない。そし て、ATENAとの技術的意見交換会の内容等をみても、PWRにおける対象ケーブルの最長の長さに換算した絶縁抵抗値を踏まえても、対象ケーブルに接続されている計装機器からすると、絶縁低下に伴う計器誤差への影響は非常に小さく、誤差が数%あったとしても、重大事故環境におけるパラメータ監視は傾向監視を主体としていることから、操作判断に大きな 支障となる誤差ではなく問題がないなどと報告されており、重大事故時の 蒸気暴露環境下において温度・湿度の影響等により絶縁低下が生じるとしても、直ちに有意な絶縁低下が生じると評価すべきものとは認められない。 また、上記認定事実(電気ケーブル)(5)のとおり、NRA 技術報告2019- 1002 によれば、PWRのケーブルについて、国内のPWRにおける重大事故時の原子炉格納容器内の気相部の温度及び圧力の解析条件を踏まえて 設定された155℃、0.44MPaG で336時間の蒸気暴露をしたところ、ケーブルの長さ1m当たりの絶縁抵抗の最小値は108Ωm 程度にとどまっており、実際のPWRにおける対象ケーブルの最長の長さ(約200m)を踏まえても、ケーブルの実際の絶縁抵抗値は、5×105Ω以上となるから、法令等で要求される下限値を下回るとはいえない(弁論の全趣旨・原 告ら準備書面(99)・3頁、第52準備書面29頁)。 原告らは、NRA 技 の実際の絶縁抵抗値は、5×105Ω以上となるから、法令等で要求される下限値を下回るとはいえない(弁論の全趣旨・原 告ら準備書面(99)・3頁、第52準備書面29頁)。 原告らは、NRA 技術報告2019-1002 では、PWRで絶縁抵抗が105Ω以下となっているものがある(甲E69・29頁図3.4)とも主張するが、証拠(甲E69・25、26、29、30頁)によれば、重大事故時の解析条件を踏まえて設定された条件である約155℃、約0.44MPaG より も過酷な200℃、0.62MPaG 及び220℃、0.62MPaG で168時間の蒸気暴露をした時の結果であると認められ、これをもって法令上一般の電気設備の電路が守るべき抵抗値の下限を下回るとはいえない。 したがって、NRA 技術報告2019-1002 の知見を踏まえても、本件運転期間延長認可処分における電気ケーブルについての原子力規制委員会の審 査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があると認めることはできず、原告らの主張は理由がない。 オ以上によれば、参加人が、本件原子炉施設について、ACA ガイド、JNES-SS レポート等の知見を用いて電気ケーブルの健全性評価を行い、原子力規制委員会がこれに基づいて「電気・計装設備の絶縁低下」に関する要求事 項(運転延長)を満たすと判断したことについて、看過し難い過誤、欠落 があると認めることはできず、原告らの主張は理由がない。 5 電気ケーブルに関する争点のまとめ以上のとおり、電気ケーブルに関して、本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分について、現在の科学技術水準に照らし、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体 的審査基準に適合するとした 更許可処分及び本件運転期間延長認可処分について、現在の科学技術水準に照らし、審査において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、本件原子炉施設が上記具体 的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分が違法であるとはいえない。 第11 当裁判所の判断(使用済燃料に関する争点) 1 認定事実(使用済燃料) (1) 使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽等についてア使用済燃料は、原子炉内で使用した燃料であり、運転中に消費されなかった核分裂性物質があるため、臨界に達することがないように臨界管理が必要である。また、使用済燃料には運転中に生成、蓄積された核分裂生成物等が存在するため、崩壊熱及び放射線が発生しているが、崩壊熱は時間 とともに減少する。例えば、ウラン燃料の場合、一般に、原子力発電所が発電をしている定格出力時に発生する熱と比べると、崩壊熱は原子炉の停止直後に約7%、24時間後に1%未満になるとされている。 (乙B172・200、201頁)イ使用済燃料の特徴により、使用済燃料の貯蔵施設は、使用済燃料の臨界 を防止する設計であること、使用済燃料からの放射線を遮蔽する設計であること、使用済燃料の損傷を防止するために崩壊熱を除去する設計であることが求められる。使用済燃料貯蔵槽内の水が喪失し、使用済燃料が冷却できない状態になると、核燃料を覆う燃料被覆管が高温になり、破損し、放射性物質が放出されるおそれがあるが、使用済燃料は炉内の燃料と比較 すると発熱量が小さく、燃料被覆管は、概ね1200℃以下であれば、冷 却可能な形状を維持できることから、使用済燃料貯蔵槽への補給水系が失 れがあるが、使用済燃料は炉内の燃料と比較 すると発熱量が小さく、燃料被覆管は、概ね1200℃以下であれば、冷 却可能な形状を維持できることから、使用済燃料貯蔵槽への補給水系が失われた場合においても損傷が生じるような事態に至るまでには長時間を要する。(乙B16・9頁、乙B172・201~203頁)ウ使用済燃料貯蔵槽からの水の喪失に備え、ポンプ車、スプレイヘッダ等の可搬型スプレイ設備を配備し、使用済燃料を納めるラックの形状を臨界 にならないような設計とすることや、中性子を吸収することで臨界を防ぐほう素入りのラックにすること等の方策がとられ、使用済燃料貯蔵槽の水位及び温度を監視するための計装設備が必要となる。(乙B172・204~206頁)(2) 我が国における使用済燃料及び放射性廃棄物の処理方法の方針等 ア平成26年4月11日に閣議決定されたエネルギー基本計画(第4次エネルギー基本計画)において、「我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。」と定められており、このような核燃料サイクルを推進する 基本方針はその後に改訂されたエネルギー基本計画においても維持されている。(乙F42・46頁、乙F43・53頁、乙F44・72頁)イ原子力委員会は、平成31年9月、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」において「将来わが国の実情に応じた燃料サイクルを確立するため、増殖炉、燃料要素再処理等の技術の向上を図る」と定めた。(乙F 41・5枚目)ウ原子力発電所において発電に用いられた後の使用済燃料については、①原子力発電所の敷地内にある使用済燃料 ため、増殖炉、燃料要素再処理等の技術の向上を図る」と定めた。(乙F 41・5枚目)ウ原子力発電所において発電に用いられた後の使用済燃料については、①原子力発電所の敷地内にある使用済燃料の貯蔵設備で一時的に貯蔵を行った後、②必要な場合には、原子力発電所とは別の場所にある中間貯蔵施設に運搬して中間貯蔵を行い、③いずれかの貯蔵施設から再処理施設に運搬 し、再処理施設において使用済燃料からプルトニウム等を取り除いてガラ ス固化体等の高レベル放射性廃棄物に加工し、④廃棄物管理施設において高レベル放射性廃棄物の冷却のために貯蔵・管理した後、⑤高レベル放射性物質を第一種廃棄物埋設施設において地層処分することが想定されている。(乙A1、弁論の全趣旨・被告第43準備書面12、13頁)(3) 使用済燃料及び放射性廃棄物の処理等に関する法規制等 ア炉規法(平成29年法律第15号による改正前のもの)は、原子炉の設置及び運転と並び、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業を規制対象とし(1条)、それぞれの分野別に行政庁の指定、許可等を受けるべきものとし、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用につき、分野ごとに一連の所要の安全規制を行うという分野別安全規制の体系を採っている。また、 原子炉施設の設計から運転に至る過程を段階的に区分し、それぞれの段階に対応して一連の許認可等の規制手続を介在させ、これらを通じて原子炉の利用に係る安全確保を図るという段階的安全規制の体系を採用している。 そして、発電用原子炉設置者が原子力発電所の敷地内にある使用済燃料の貯蔵施設で行う貯蔵は第4章の規定により、中間貯蔵施設で行う中間貯蔵 は第4章の2の規定により、再処理事業者が再処理施設で行う再処理は第5章の規定により、廃棄物管理事業者 内にある使用済燃料の貯蔵施設で行う貯蔵は第4章の規定により、中間貯蔵施設で行う中間貯蔵 は第4章の2の規定により、再処理事業者が再処理施設で行う再処理は第5章の規定により、廃棄物管理事業者が原子力発電所の敷地外に設置された廃棄物管理施設において行う廃棄物管理及び第一種廃棄物埋設事業者が第一種廃棄物埋設施設に行う廃棄物埋設は第5章の2の規定により、それぞれ規制されている。 イ発電用原子炉施設に対する規制について(ア) 炉規法43条の3の6第1項1号は、設置変更許可の要件として、「発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと」を規定し、この要件において、原子力規制委員会が、使用済燃料が適切に処理される方針であることを確認することとされている。 (イ) 炉規法43条の3の6第1項4号は、設置変更許可の要件として、「発 電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること」を規定し、同号が委任する設置許可基準規則4条は、「設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。」 (同条1項)と規定し、上記の地震力については、「地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。」(同条2項)と規定するところ、設置許可基準規則解釈(乙B5・122頁)は、設計基準対象施設を、耐震重要度に応じて、以下のクラス(耐震重 要度分類)に分類するものと定めている(同解釈の別記2の2柱書)。 aSクラス地震により発生するおそれがある事象に 頁)は、設計基準対象施設を、耐震重要度に応じて、以下のクラス(耐震重 要度分類)に分類するものと定めている(同解釈の別記2の2柱書)。 aSクラス地震により発生するおそれがある事象に対して、原子炉を停止し、炉心を冷却するために必要な機能を持つ施設、自ら放射性物質を内蔵している施設、当該施設に直接関係しておりその機能喪失により放射性 物質を外部に拡散する可能性のある施設、これらの施設の機能喪失により事故に至った場合の影響を緩和し、放射線による公衆への影響を軽減するために必要な機能を持つ施設及びこれらの重要な安全機能を支援するために必要となる施設、並びに地震に伴って発生するおそれがある津波による安全機能の喪失を防止するために必要となる施設で あって、その影響が大きいものをいい、「使用済燃料を貯蔵するための施設」はSクラスとされる。 bBクラス安全機能を有する施設のうち、機能喪失した場合の影響がSクラス施設と比べ小さい施設をいい、「燃料を冷却するための施設」はBクラ スとされる。 cCクラスSクラスに属する施設及びBクラスに属する施設以外の一般産業施設又は公共施設と同等の安全性が要求される施設をいう。 (ウ) 使用済燃料の貯蔵施設は、使用済燃料貯蔵槽、補給水設備及び冷却系によって構成されており、耐震重要度分類において、使用済燃料貯蔵槽 及び補給水設備は「使用済燃料を貯蔵するための施設」としてSクラスに分類され、冷却系は「使用済燃料を冷却するための施設」としてBクラスに分類される。使用済燃料貯蔵施設の計装装置は、上記の「使用済燃料を貯蔵するための施設」にも、「使用済燃料を冷却するための施設」にも該当せず、Cクラスに分類される。 (エ) 耐震重要度分類によりクラス分 使用済燃料貯蔵施設の計装装置は、上記の「使用済燃料を貯蔵するための施設」にも、「使用済燃料を冷却するための施設」にも該当せず、Cクラスに分類される。 (エ) 耐震重要度分類によりクラス分類された施設は、クラスごとに適用される基準が異なり、例えば、別紙8設置許可基準規則解釈の別記2の概要4のとおり、建物・構造物の場合、静的地震力における水平地震力の算定に当たり、水平地震力は、地震層せん断力係数Ciに、施設の耐震重要度分類に応じた係数を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定す ることと規定し、当該係数について、Sクラスは3.0、Bクラスは1. 5、Cクラスは1.0、として、SクラスはCクラスの3倍、BクラスはCクラスの1.5倍大きい水平地震力として算定することを要求している。 (オ) 設置許可基準規則16条2項は、発電用原子炉には、使用済燃料の貯 蔵施設を設けなければならないと定め、その具体的な設計に対する要求として、「燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものとすること」(同項1号ロ)を求めており、同号についての設置許可基準規則解釈(乙B5・35頁)は、「発電用原子炉に全て燃料が装荷されている状態で、使用済燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、1 炉心分以上貯蔵することができる容量を確保すること。」としている。 そのほか、設置許可基準規則16条2項は、使用済燃料の貯蔵施設について、「燃料体等の落下により燃料体等が破損して放射性物質の放出により公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合において、放射性物質の放出による公衆への影響を低減するため、燃料貯蔵装備を格納するもの及び放射性物質の放出を低減するものとすること」(同項1号イ)、「燃 料体等が臨界に達するおそれがないも 合において、放射性物質の放出による公衆への影響を低減するため、燃料貯蔵装備を格納するもの及び放射性物質の放出を低減するものとすること」(同項1号イ)、「燃 料体等が臨界に達するおそれがないものとすること」(同号ハ)、「使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものとすること」(同項2号イ)、「貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであって、最終ヒートシンクへ熱を輸送できる設備及びその浄化系を有すること」(同号ロ)、「使用済燃料貯蔵槽から放射性物質を含む水があふれ、 又は漏れないものであって、使用済燃料貯蔵槽から水が漏洩した場合において水の漏えいを検知することができるものとすること」(同号ハ)、「燃料体等の取扱中に想定される燃料体等の落下時及び重量物の落下時においてもその機能が損なわれないものとすること。」(同号ニ)を要求している。 さらに、設置許可基準規則16条3項2号は、外部電源が利用できない場合においても、使用済燃料貯蔵槽の温度、水位等を監視することができる設備を設けることを要求し、同号についての設置許可基準規則解釈(乙B5・36頁)は、外部電源の喪失時においても使用済燃料貯蔵槽の状態の監視が可能であることを求めているが、当該状態の監視方法 には、直接的な測定方法に加え間接的な測定方法を含めてもよいとしている(乙B172・201、202頁)。 設置許可基準規則54条1項及び同項についての設置許可基準規則解釈(乙B5・106頁)は、使用済燃料の貯蔵施設について、設置許可基準規則43条所定の重大事故等対処設備に共通する要求事項に加え、 補給水系が損傷することなどにより、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若し くは注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏洩その他の の重大事故等対処設備に共通する要求事項に加え、 補給水系が損傷することなどにより、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若し くは注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏洩その他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が低下した場合を想定し、代替注水設備として可搬型代替注水設備を配備するなど、貯蔵槽内燃料体等を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備の設置を要求している。また、設置許可基準規則54条2項及び同項につい ての設置許可基準規則解釈(同106、107頁)は、スプレイヘッダ、スプレイライン及びポンプ車等の可搬型スプレイ設備を配備し、貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷の進行を緩和し、及び臨界を防止する措置を行うための設備を設けることを要求している。さらに、設置許可基準規則54条1、2項及び同項についての設置許可基準規則解釈(同107頁) は、使用済燃料貯蔵槽の監視について、使用済燃料貯蔵槽の水位、水温及び上部の空間線量率について、燃料貯蔵設備に係る重大事故等により変動する可能性のある範囲にわたり測定可能であること、これらの計測設備は、交流又は直流電源が必要な場合には、代替電源設備からの給電を可能とすること、使用済燃料貯蔵槽の状態をカメラにより監視できる ことを要求している。 (カ) 工事計画認可等の段階では、技術基準規則において、燃料取扱設備及び燃料貯蔵設備に関する基準が規定されている(26条)ほか、使用済燃料その他高放射性の燃料体を貯蔵する水槽の水温及び水位を計測する装置(34条1項14号)、使用済燃料貯蔵槽の水温の著しい上昇及び水 位の著しい低下を確実に検知し、自動的に警報する装置(47条2項)、使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備(69条)の各施設が求められている。 号)、使用済燃料貯蔵槽の水温の著しい上昇及び水 位の著しい低下を確実に検知し、自動的に警報する装置(47条2項)、使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備(69条)の各施設が求められている。 (キ) 保安規定(変更)認可の段階では、実用炉規則において、保安規定に「核燃料物質の受払い、運搬、貯蔵その他の取扱いに関すること。」を記 載することが求められており(92条1項17号)、保安規定審査基準(乙 B11・6頁)では、運搬する場合に臨界に達しない措置を講ずること及び貯蔵施設等が定められていることや燃料装荷実施計画(取替炉心の安全性評価を含む。)を定めること及び燃料移動手順に従うこと等が定められていることを求めている。 (ク) 運転期間延長認可の段階では、運転期間延長審査基準(乙B10・2 ~4頁)において、使用済燃料の貯蔵施設に関し、特別点検の結果も踏まえて劣化状況評価を行うこととし、コンクリート構造物に対し、コンクリートの強度低下、コンクリートの遮蔽能力低下、鉄骨の強度低下を評価事項とし、運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・7頁)において、採取したコアサンプル等による強度、中性子深さ、アルカリ骨 材反応等の確認を行うこととされている。 ウ中間貯蔵施設に対する規制について炉規法は、使用済燃料の貯蔵の事業を行おうとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない旨を規定し(43条の4第1項)、使用済燃料貯蔵事業者が使用済燃料貯蔵事業を行 うためには、設計及び工事の方法の認可の申請(43条の8第1項)並びに保安規定の認可の申請(43条の20第1項)を行って、それぞれ原子力規制委員会の認可を受けることが必要であり、その後に使用前事業者検査等に合格する必要が の方法の認可の申請(43条の8第1項)並びに保安規定の認可の申請(43条の20第1項)を行って、それぞれ原子力規制委員会の認可を受けることが必要であり、その後に使用前事業者検査等に合格する必要がある(43条の9)。 エ再処理施設に対する規制について 炉規法は、再処理の事業を行おうとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の指定を受けなければならない旨を規定し(44条1項)、再処理事業者が再処理事業を行い、再処理施設を設置するに当たっては、設計及び工事の方法の認可の申請(45条1項)並びに保安規定の認可の申請(50条1項)を行って原子力規制委員会の認可を受け、その 後に使用前事業者検査等に合格する必要がある(46条)。 オ廃棄物埋設施設及び廃棄物管理施設に関する規制について炉規法は、第一種廃棄物埋設、第二種廃棄物埋設又は廃棄物管理の事業を行おうとする者は、当該各号に掲げる廃棄の種類ごとに、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受ける必要がある旨規定し(51条の2第1項)、廃棄物埋設事業者が廃棄物埋設事業を行い、廃棄物埋設 施設を設置するに当たっては、保安規定の認可の申請(51条の18第1項)を行って原子力規制委員会の認可を受ける必要があり、また、特定廃棄物埋設施設に関しては、設計及び工事の方法の認可の申請を行い(51条の7第1項)、原子力規制委員会の認可を受け、その後、使用前事業者検査等に合格する必要がある(51条の8第1項)。廃棄物管理事業者が廃棄 物管理事業を行い、廃棄物管理施設を設置するに当たっては、廃棄物管理事業許可の申請(51条の2第1項)を行い、原子力規制委員会の許可を受ける必要があり、設計及び工事の方法の認可の申請(51条の7第1項)並びに保安規定 棄物管理施設を設置するに当たっては、廃棄物管理事業許可の申請(51条の2第1項)を行い、原子力規制委員会の許可を受ける必要があり、設計及び工事の方法の認可の申請(51条の7第1項)並びに保安規定の認可の申請(51条の18第1項)を行って原子力規制委員会の認可を受け、その後、使用前事業者検査等に合格する必要がある (51条の8第1項)。 カ使用済燃料に関する炉規法以外の法律による規制について(ア) 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律(積立金法)は、特定実用発電用原子炉設置者は特定実用発電用原子炉の運転に伴って生ずる使用済燃料の再処理等を適 正に実施するため、毎年度、一定額を使用済燃料再処理等積立金として資産管理法人に積み立てなければならず(3条1、2項)、使用済燃料再処理等積立金は資産管理法人が管理する(同条3項)こととするなどし、使用済燃料の再処理等を適正に実施できるようにしていた。 平成28年法律第40号による改正後(平成28年10月1日施行) の原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(再処 理等拠出金法。令和5年法律第44号による改正後(令和6年4月1日施行)は、原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律。)においては、使用済燃料の再処理等を行う認可法人制度が創設され(第3章)、特定実用発電用原子炉設置者に対し再処理等に要する費用を認可法人である使用済燃料再処理機構に拠出することを 義務付ける拠出金制度が新設された(4条)。 (イ) 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)は、特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために、経済産業大臣が特定放射性廃棄物の最終処分に関す 新設された(4条)。 (イ) 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)は、特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために、経済産業大臣が特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(3条)や最終処分に関する計画(4条)を定め、公表すること、特定放射性廃棄物の最 終処分地選定プロセス(第3章)、特定放射性廃棄物の最終処分業務に要する費用の確保(第4章)、特定放射性廃棄物の最終処分の実施主体(第5章)等の最終処分事業の枠組みを定めている。そして、最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)は、最終処分計画に従って、最終処分事業を行うこととし(16条)、発電用原子炉設置者は、 NUMOに対し処分費用を拠出しなければならないこととされている(11条1項)。 (4) 本件設置変更許可処分における使用済燃料及び使用済燃料貯蔵施設に係る審査等ア参加人は、本件設置変更許可申請に係る申請書(補正後)、審査会合の資 料等において、次のとおり記載した。 (ア) 設計基準対象施設の耐震設計の基本方針は、耐震重要度に応じてSクラス、Bクラス又はCクラスに分類し、それぞれに応じた地震力に十分耐えられるように設計する。使用済燃料を貯蔵するための施設として使用済燃料ピットはSクラス、使用済燃料を冷却するための施設として使 用済燃料ピット水冷却系はBクラス、その他として使用済燃料貯蔵槽の 計測装置はCクラスに分類されている。(丙C9・561~567頁)(イ) 設置許可基準規則16条の使用済燃料の貯蔵施設における重量物落下対策について、使用済燃料貯蔵槽周辺の状況、現場における作業実績、図面等にて確認することにより、落下のおそれのある重量物等の落下時のエネルギーを評価し、気中における 燃料の貯蔵施設における重量物落下対策について、使用済燃料貯蔵槽周辺の状況、現場における作業実績、図面等にて確認することにより、落下のおそれのある重量物等の落下時のエネルギーを評価し、気中における落下試験時の燃料集合体の落下エ ネルギー以上となる設備等を抽出することとし、原子炉補助建屋の構造物、使用済燃料ピットクレーン、補助建屋クレーン及び使用済燃料ピットラック用仮設クレーンを当該重量物として抽出した。そして、①原子炉補助建屋の構造物については、基準地震動に対して使用済燃料貯蔵槽内への落下を防止できるように設計し、②使用済燃料ピットクレーンに ついては、基準地震動に対して、クレーン本体、転倒防止金具及び走行レールに発生する荷重が許容応力以下となるように、吊荷を考慮し保守的に設計することとし、③補助建屋クレーンについては、使用済燃料貯蔵槽の上部に一部走行レールを敷設しているが、走行範囲を制限する措置を講ずること及び建屋の構造上、仮に走行レールから脱落したとして も、クレーン本体及び吊荷の使用済燃料貯蔵槽への落下を防止できる設計とし、また、使用済燃料輸送容器をキャスクピット上で取り扱う場合は、落下物とならないよう運用上の措置を講ずることとし、④使用済燃料ピットラック用仮設クレーンについては、使用済燃料ピットクレーンの走行レール上に設置し、基準地震動に対して、クレーン本体、転倒防 止金具等及び走行レールに発生する荷重が許容応力以下となるように、吊荷を考慮し保守的に設計することとした。 (乙C5・115、116頁)(ウ) 重大事故等対策の有効性評価として、使用済燃料貯蔵ピットの冷却機能又は注水機能が喪失することにより、使用済燃料貯蔵槽内の水の温度が上昇し、蒸発により水位が低下する事故を想定し、使用済燃料貯蔵ピ 重大事故等対策の有効性評価として、使用済燃料貯蔵ピットの冷却機能又は注水機能が喪失することにより、使用済燃料貯蔵槽内の水の温度が上昇し、蒸発により水位が低下する事故を想定し、使用済燃料貯蔵ピ ット冷却系の故障及び水補給に失敗した場合を想定したところ、崩壊熱 により保有水の水温が100℃となるまでの時間は約10時間、保有水が蒸発し、2.9m水位が低下する時間は約1.3日間であり、合計約1.7日間となる。ここで、2.9mの水位低下は、使用済燃料貯蔵槽中央水面の線量率が燃料取替時の遮蔽設計基準値(0.15mSv/h)以下となるための許容水位低下量が3.07mであることから保守的に設定 したものである。使用済燃料貯蔵槽の崩壊熱による蒸発水量を上回る容量の消防ポンプを整備しており、使用済燃料貯蔵槽の水位が放射線の遮蔽が維持できる最低水位に到達するまでに注水を開始することで燃料有効長頂部は冠水でき、放射線の遮蔽が維持できる水位を確保できる。(乙E4・15、88頁) イ原子力規制委員会は、使用済燃料及び使用済燃料貯蔵施設に係る参加人の本件設置変更許可申請について、次のとおりであることを確認した。 (ア) 本件設置変更許可申請の炉規法43条の3の6第1項1号への適合性について、①発電用原子炉の使用の目的(商業発電用)を変更するものではないこと、②使用済燃料については、法に基づく指定を受けた国 内の再処理事業者において再処理を行うことを原則とし、再処理されるまでの間、適切に貯蔵・管理するという方針であること、③海外において再処理を行う場合は、我が国が原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国の再処理事業者に委託する、これによって得られるプルトニウムは国内に持ち帰る、再処理によって得られるプルトニ いて再処理を行う場合は、我が国が原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国の再処理事業者に委託する、これによって得られるプルトニウムは国内に持ち帰る、再処理によって得られるプルトニ ウムを海外に移転しようとするときは、政府の承認を受けるという方針に変更はないことから、発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないものと認めた。(乙C5・1枚目)(イ) 本件設置変更許可申請の炉規法43条の3の6第1項4号への適合性について、①耐震重要度分類の策定について、参加人が、設計基準対 象施設について、設置許可基準規則解釈の別記2の耐震重要度分類に応 じて、Sクラス、Bクラス、Cクラスに分類する方針としていること、②参加人の上記ア(イ)の設計が、現場状況及び作業実態を調査した上で、使用済燃料貯蔵施設の機能に影響を与えないことが既に確認されている燃料集合体の落下時のエネルギーと比べて、その値が大きい物を、落下によって使用済燃料の貯蔵施設の機能を損なうおそれがある重量物とし て抽出する方針とし、それぞれの重量物に対して落下を防止する方針としていること等を確認して、燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設について、設置許可基準規則16条に適合するものと判断した。(乙C5・115、116頁)。 (5) 本件運転期間延長認可処分における使用済燃料及び使用済燃料貯蔵施設に 係る審査等ア運転期間延長認可申請運用ガイド(乙B55・2、7頁)は、コンクリート構造物である原子炉補助建屋の使用済燃料プールを対象部位として、強度、中性化深さ及びアルカリ骨材反応を特別点検の点検項目と定めるところ、原子力規制委員会は、参加人が実施した特別点検について、保安規 定第3条の品質保証計画及びその下位規定を準用して実 て、強度、中性化深さ及びアルカリ骨材反応を特別点検の点検項目と定めるところ、原子力規制委員会は、参加人が実施した特別点検について、保安規 定第3条の品質保証計画及びその下位規定を準用して実施していること、特別点検の実施に当たっては、品質保証計画及びその下位規定に基づき、点検計画及び要領書の策定、点検の実施、要員の力量の確認、測定機器の管理等を実施していること等の事項を確認し、参加人が運転期間延長認可申請運用ガイドの内容に基づき点検を実施していると認め、運転期間延長 審査基準に適合していることを確認した。(乙C8・2、4、5頁)イ原子力規制委員会は、参加人の設備の劣化の状況に関する技術的な評価について、コンクリートの強度低下(熱、放射線照射、中性化、塩分浸透、アルカリ骨材反応、機械振動及び凍結融解)として、評価対象部位等の抽出、現状の保守管理及び特別点検並びに評価を確認し、運転期間延長審査 基準の要求事項に適合していることを確認した。(乙C8・6、20~25 頁)(6) 使用済燃料及び放射性廃棄物に関する施設の適合性審査の状況並びに最終処分法に基づく調査等ア原子力規制委員会は、中間貯蔵施設であるリサイクル燃料貯蔵株式会社のリサイクル燃料備蓄センターについて、令和2年11月11日、炉規法 43条の7第1項に基づく使用済燃料の貯蔵の事業の変更許可処分を、令和3年8月20日及び令和4年8月16日、同法43条の8第2項に基づく設計及び工事計画認可処分をそれぞれ行い、現在、同法43条の20第1項の規定に基づく保安規定変更認可処分に係る審査を行っている。 (乙F45~47、弁論の全趣旨・被告第43準備書面34頁) イ原子力規制委員会は、再処理施設である日本原燃再処理事業所について、令和 基づく保安規定変更認可処分に係る審査を行っている。 (乙F45~47、弁論の全趣旨・被告第43準備書面34頁) イ原子力規制委員会は、再処理施設である日本原燃再処理事業所について、令和2年7月29日、炉規法44条の4第1項の規定に基づく再処理の事業の変更許可処分を、令和3年5月21日、工事を要しない部分について同法50条1項の規定に基づく保安規定変更認可処分をそれぞれ行い、現在、同法45条1項に基づく設計及び工事計画認可処分並びに同条2項の 規定に基づく設計及び工事計画認可処分に係る審査を行っている。 (乙F48、49、弁論の全趣旨・被告第43準備書面35頁)ウ日本原燃再処理事業所には、廃棄物管理事業の許可を受けた廃棄物管理施設があり、原子力規制委員会は、令和2年8月26日、炉規法51条の5第1項に基づく新規制基準適合性に係る事業変更許可処分を、令和3年 5月21日、工事を要しない部分について同法51条の18第1項の規定に基づく保安規定変更認可処分をそれぞれ行い、現在、同法51条の7第1項の規定に基づく設計及び工事計画認可処分に係る審査を行っている。 (乙F50、弁論の全趣旨・被告第43準備書面34、35頁)エ第一種廃棄物埋設施設について、現在、最終処分法6条1項に規定する 文献調査が、北海道の寿都村及び神恵内村において実施されている。(乙F 58) 2 具体的審査基準並びに原子力規制委員会の審査及び判断について(1) 上記認定事実(使用済燃料)(3)のとおり、炉規法は分野別安全規制の体系を採っており、使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽については、発電用原子炉施設について、同法43条の3の6第1項1号が、「発電用原子炉が平和の目 的以外に利用されるおそれがないこと」を規定し、この要 を採っており、使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽については、発電用原子炉施設について、同法43条の3の6第1項1号が、「発電用原子炉が平和の目 的以外に利用されるおそれがないこと」を規定し、この要件において、原子力規制委員会が、使用済燃料が適切に処理される方針であることを確認することとし、同項4号が、「発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合する ものであること」と規定し、同号が委任する設置許可基準規則4条は、「設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。」(同条1項)、「地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。」(同条2項)と規定している。これらの法令を踏ま えて、設置許可基準規則解釈は、設計基準対象施設を、耐震重要度に応じて分類し、分類ごとに異なる基準を満たすことを要求しているものであり、具体的審査基準として不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 また、上記認定事実(4)イのとおり、使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽につ いて、本件適合性審査において、炉規法43条の3の6第1項1号の適合性について、使用済燃料が適切に処理される方針であることが審査され、同項4号への適合性について、参加人の耐震重要度分類の策定が設計基準対象施設についてSクラス、Bクラス、Cクラスに分類する方針としていること等を確認し、使用済燃料の貯蔵施設における重量物落下対策の方針等を確認し、 燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設について、設置許可 設についてSクラス、Bクラス、Cクラスに分類する方針としていること等を確認し、使用済燃料の貯蔵施設における重量物落下対策の方針等を確認し、 燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設について、設置許可基準規則16条に適合 するものと判断しているから、本件設置変更許可処分のうち使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽に係る審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 (2) 上記認定事実(使用済燃料)(5)のとおり、本件運転期間延長認可処分においては、使用済燃料プールを対象部位としてコンクリート構造物の特別点検 及び設備の劣化の状況に関する技術的な評価について、運転期間延長審査基準及び運転期間延長審査ガイドを用いて審査が行われており、これらは具体的審査基準というべきであるところ、上記認定事実(使用済燃料)(3)イ(ク)のとおり、運転期間延長審査基準は、使用済燃料の貯蔵施設に関し、特別点検の結果も踏まえて劣化状況評価を行うこととし、コンクリート構造物に対 し、コンクリートの強度低下、コンクリートの遮蔽能力低下、鉄骨の強度低下を評価事項とし、運転期間延長認可申請運用ガイドにおいて、採取したコアサンプル等による強度、中性子深さ、アルカリ骨材反応等の確認を行うこととされており、劣化状況に応じた評価をするものとなっているから、具体的審査基準として不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証さ れたというべきである。 また、上記認定事実(使用済燃料)(5)のとおり、本件運転期間延長認可処分において使用済燃料プールを対象部位としてコンクリート構造物の特別点検及び設備の劣化の状況に関する技術的な評価について、運転期間延長審査基準及び運転期間延長審査ガイドを用いて審査が行われ、運転期間期 において使用済燃料プールを対象部位としてコンクリート構造物の特別点検及び設備の劣化の状況に関する技術的な評価について、運転期間延長審査基準及び運転期間延長審査ガイドを用いて審査が行われ、運転期間期間延長 審査基準の要求事項に適合していることの確認がされているから、本件運転期間延長認可処分のうち使用済燃料貯蔵槽に係る審査及び判断に不合理な点がないことについて相当の根拠をもって立証されたというべきである。 3 争点7-(1)(使用済燃料及び使用済燃料貯蔵槽の危険性)について(1) 原告らは、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽について、①堅固な施設に よって囲い込まれていないこと、②冷却設備がBクラスとされていること、 ③計測装置がCクラスとされていること、④使用済燃料を市松模様状に配置する運用が要求されていないこと、⑤重量物の落下による破損のおそれがあることを指摘して、深刻な災害が万が一にも起こらないというために必要な対策が取られていないから、炉規法43条の3の6第1項4号の「災害の防止上支障がない」に違反し、本件原子炉施設に係る本件適合性審査には、過 誤、欠落があると主張する。 (2) 上記①について、原告らは、使用済燃料貯蔵槽も原子炉格納容器内の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固める必要があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(使用済燃料)(3)イのとおり、使用済燃料貯 蔵槽は、それを囲い込む施設を含めて、設置許可基準規則解釈において耐震重要度分類Sクラスと明記されている「使用済燃料を貯蔵するための施設」に該当し、基準地震動に耐える設計がされている。また、上記認定事実(使用済燃料)(1)アのとおり、使用済燃料には、核分裂生成物等が存在するため、崩壊熱及び れている「使用済燃料を貯蔵するための施設」に該当し、基準地震動に耐える設計がされている。また、上記認定事実(使用済燃料)(1)アのとおり、使用済燃料には、核分裂生成物等が存在するため、崩壊熱及び放射線が発生するものの、崩壊熱は時間とともに減少し、例えば ウラン燃料の場合、発電中の定格出力時に発生する熱と比べ、原子炉の停止直後に約7%、24時間後に1%未満になるとされているから、運転中の原子炉内の燃料のように高温、高圧の環境下になく、大気圧下において使用済燃料貯蔵槽を水で冠水させることにより管理すれば足り、使用済燃料貯蔵槽及びこれを囲い込む施設について、原子炉圧力容器ほどに堅固な施設で囲い 込む必要があるとはいえず、これを要求してないことが不合理であるということはできない。 したがって、使用済燃料貯蔵槽が炉心部分と同様に堅固な施設で囲われているべきである旨の原告らの主張は理由がない。 (3) 上記②について、原告らは、使用済燃料貯蔵施設の冷却設備の耐震重要度 分類がBクラスに分類されているが、この基準は緩やかにすぎ、Sクラスと して審査しないことは、設置許可基準規則4条3項(地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないものであること)及び同規則16条2項2号ロ(使用済燃料の貯蔵施設は、貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであること)に違反する旨主張する。 しかしながら、上記(2)のとおり、使用済燃料は、大気圧下で使用済燃料貯 蔵槽において冠水させることにより管理されるところ、使用済燃料貯蔵槽が耐震重要度分類Sクラスとされることに加えて、その補給水設備も「使用済燃料を貯蔵するための施設」としてSクラスとされており、上記認定事実(使用済燃料)(1)イのとおり、使用済燃料が含まれた燃料被覆 耐震重要度分類Sクラスとされることに加えて、その補給水設備も「使用済燃料を貯蔵するための施設」としてSクラスとされており、上記認定事実(使用済燃料)(1)イのとおり、使用済燃料が含まれた燃料被覆管は、概ね1200℃以下であれば冷却可能な形状を維持することが可能であるから、大気圧 下において冠水状態が維持されていれば、100℃以下に維持されることになり、仮に地震により冷却設備の機能が損なわれたとしても、使用済燃料貯蔵槽及びその補給水設備が機能を維持していれば、再臨界や放射性物質の拡散などに発展することはないというべきである。 したがって、設置許可基準規則解釈において、使用済燃料貯蔵槽の冷却設 備の耐震重要度分類がBクラスとされていることが不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 (4) 上記③について、原告らは、使用済燃料貯蔵槽の計測装置の耐震重要度分類がCクラスであるため、基準地震動を超える地震でなくとも損壊し、使用済燃料貯蔵槽の正確な状況の把握が困難となるから、使用済燃料貯蔵槽の計 測装置をSクラスとして審査しないことは、設置許可基準規則4条3項及び同規則16条2項2号ハ(使用済燃料貯蔵槽から水が漏えいした場合において水の漏えいを検知することができるものとすること)に違反する旨主張する。 しかしながら、計測装置は、使用済燃料の冠水状態の維持に直接必要な装 置とはいえず、上記認定事実(使用済燃料)(4)ア(ウ)のとおり、本件原子炉 施設の使用済燃料貯蔵槽の冷却設備及び補給水設備が停止したとしても、保有水が蒸発し、2.9m水位が低下するまでに合計約1.7日間を要すると評価されているから、一定の時間的猶予があると認められる。そして、上記(2)のとおり、使用済燃料から発生する崩壊 したとしても、保有水が蒸発し、2.9m水位が低下するまでに合計約1.7日間を要すると評価されているから、一定の時間的猶予があると認められる。そして、上記(2)のとおり、使用済燃料から発生する崩壊熱及び放射線のうち、崩壊熱は原子炉の停止直後に定格出力時の約7%、24時間後に1%未満になるとされ ており、水による放射線の遮蔽効果もあることから(乙B172・212頁、弁論の全趣旨・被告第11準備書面36頁)、使用済燃料貯蔵槽周辺の放射線等の環境が過酷であるとはいえず、保有水の水位の状況を目視により確認することも可能であることからすれば、仮に地震によって計測装置の機能が失われたとしても、直ちに使用済燃料の適切な管理、保管が困難になるものと はいえない。 したがって、使用済燃料貯蔵槽の計測装置について、耐震重要度分類Sクラス及びBクラスに位置付けていない設置許可基準規則解釈が不合理であるということはできず、原告らの主張は理由がない。 (5) 上記④について、原告らは、使用済燃料ラックに詰め込む使用済燃料の量 が増えると熱負荷の負担が大きくなり、危険性が増加するため、加熱によるジルコニウム火災のリスクを軽減するため、使用済燃料を市松模様状に保管してラックに配置するべきであると主張する。 しかしながら、設置許可基準規則は、満たすべき性能を規定して要求する、いわゆる性能要求を基本としており、使用済燃料貯蔵施設について「貯蔵さ れた使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであ」ることを要求する(16条2項2号ロ)ものであるから、使用済燃料が崩壊熱により溶融しないのであれば、その配置の形状がどのようなものであっても直ちに不合理であるとはいえない。また、原告らは、米国の制度が市松模様状の配置を指示している旨を主張するが、原子力基 燃料が崩壊熱により溶融しないのであれば、その配置の形状がどのようなものであっても直ちに不合理であるとはいえない。また、原告らは、米国の制度が市松模様状の配置を指示している旨を主張するが、原子力基本法2条2項の「確立された国際的な基準」 とは、原則的にIAEAの基準を指すものと解され、米国の制度がこれに当 たるということはできない。そして、本件原子炉施設における使用済燃料の配置方法に具体的に不合理な点があると認めるに足りる証拠はない。 したがって、使用済燃料を市松模様状に配置すべきであるとの原告らの主張は理由がない。 (6) 上記⑤について、原告らは、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽は、地震 時に重量物が落下し、使用済燃料貯蔵槽や使用済燃料が破損する危険性があると主張する。 この点、設置許可基準規則は、燃料体等や重量物の落下を想定し、そのような場合であっても使用済燃料貯蔵槽が損傷し、その機能が喪失しないこと等を要求している(16条2項2号ニ)ところ、上記認定事実(使用済燃料) (4)ア(イ)のとおり、参加人は、燃料集合体の落下のエネルギーより大きい重量物として、原子炉補助建屋の構造物、使用済燃料ピットクレーン、補助建屋クレーン及び使用済燃料ピットラック用仮設クレーンを抽出し、それぞれの重量物に対して落下を防止する方針を立てて設計していると認められる。 これに対し、原告らは抽象的に重量物の落下のおそれを主張するにとどまり、 参加人の設計に不備があること等を具体的に主張、立証していない。 したがって、重量物の落下による危険性があるとの原告らの主張は理由がない。 (7) 以上によれば、使用済燃料貯蔵施設に関する規制に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえず、これに基づいてされた原子力規制委員会の審 下による危険性があるとの原告らの主張は理由がない。 (7) 以上によれば、使用済燃料貯蔵施設に関する規制に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえず、これに基づいてされた原子力規制委員会の審 査、判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとも認められない。 4 争点7-(2)(使用済燃料の貯蔵施設の審査に関する違法性)について原告らは、本件設置変更許可処分がされた当時、既に本件原子炉施設に係る使用済燃料貯蔵槽の保有割合が72%に達していたことからすれば、延長期間中に容量不足となることは明らかであり、設置許可基準規則16条2項1号ロ に係る設置許可基準規則解釈が、燃料体等の貯蔵施設の容量について、「使用済 燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、1炉心分以上貯蔵できる容量を確保すること」としているのは、基準として不合理であると主張する。 しかしながら、上記設置許可基準規則解釈が、使用済燃料の貯蔵施設について、1炉心分以上貯蔵することができる容量を確保することを求めているのは、原子炉の点検等の際に炉心内に装荷された全燃料の取り出しが必要となる場合 があることから、一時的にそれらの燃料を使用済燃料の貯蔵施設に移動させることができるようにするためであり、原子炉には1炉心分の燃料しか装荷されないことから、1炉心分以上貯蔵できる空き容量が確保されていれば、上記目的を十分に達成することができる。そして、保安規定には、「核燃料物質の受払い、運搬、貯蔵、その他の取扱いに関すること」を記載することが求められて おり(実用炉規則92条1項17号)、炉規法43条の3の24第4項において、発電用原子炉設置者及びその従業者の保安規定の遵守義務が定められ、これに違反した場合、同法43条の3の20第2項5号に該当し、原子力規制 規則92条1項17号)、炉規法43条の3の24第4項において、発電用原子炉設置者及びその従業者の保安規定の遵守義務が定められ、これに違反した場合、同法43条の3の20第2項5号に該当し、原子力規制委員会は、同項に基づき、発電用原子炉の運転停止命令や設置許可処分の取消しを行うことができる。また、上記のとおり設置許可基準規則16条2項1号ロは、 使用済燃料の貯蔵施設に1炉心分以上貯蔵することができる容量を確保することを求めているから、発電原子炉設置者が、その容量を確保できなくなるまで運転を継続することはできず、仮に使用済燃料の貯蔵施設の容量が不足することになれば、設置許可基準規則16条2項1号ロに適合せず、炉規法43条の3の6第1項4号の基準に適合していないことになるため、原子力規制委員会 は、同法43条の3の23第1項の規定に基づき、その発電用原子炉設置者に対し、当該発電用原子炉施設の使用の停止等の措置を命ずることができる。 したがって、参加人が、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽の保管容量を超えて本件原子炉の運転を継続する可能性があるとはいえず、設置許可基準規則16条2項1号ロに係る設置許可基準規則解釈の定めが不合理であるというこ とはできないから、原告らの主張は理由がない。 5 争点7-(3)(最終処分問題に関する争点)について(1) 原告らは、核燃料サイクルが破綻している現実からすれば、使用済燃料を放射性廃棄物から除外することは相当でなく、炉規法は、原子力規制委員会に対し、本件原子炉の運転により不可避的に発生する放射性廃棄物の処分方法について、審査に関する規則の制定を求めていると解されるから、原子力 規制委員会が、規則すら制定せず、本件設置変更許可処分において審査を行わなかったのは、法の委任 発生する放射性廃棄物の処分方法について、審査に関する規則の制定を求めていると解されるから、原子力 規制委員会が、規則すら制定せず、本件設置変更許可処分において審査を行わなかったのは、法の委任の趣旨を逸脱濫用した違法があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(使用済燃料)(2)、(3)カ及び(6)のとおり、我が国は核燃料サイクルを基本的方針として、使用済燃料は再処理をしてプルトニウム等を取り出してから最終処分することを原則とし、最終処分法に おいてもこの基本的方針を踏まえて制度設計をしており、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉となった後も、再処理の事業の変更許可処分が行われ、最終処分施設についても文献調査が実施されているなど、上記基本方針に沿った使用済燃料の処理・処分に向けた取組みは続けられており、核燃料サイクルが破綻しているということはできないから、再処理をしていない使用済燃料を 放射性廃棄物から除外していることが不合理であるとはいえない。 そして、上記認定事実(使用済燃料)(3)アのとおり、炉規法は、いわゆる段階的、分野別安全規制の体系を採用しており、設置変更許可の段階では、原子炉施設の設計等の安全性に関わる事項の妥当性のみが審査され、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の最終処分については、再処理事業者や第一種 廃棄物埋設事業者に対して必要な規制を行うこととしており、炉規法43条の3の5第2項8号が設置許可申請書に使用済燃料の処分方法について記載することを要求しているのは、炉規法43条の3の6第1項1号の「発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと」を判断する際の資料とするためと解され、同項4号の規定も、発電用原子炉施設の位置、構造 及び設備に関する要件を定めるもので、放射性廃棄物の処分方法 が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと」を判断する際の資料とするためと解され、同項4号の規定も、発電用原子炉施設の位置、構造 及び設備に関する要件を定めるもので、放射性廃棄物の処分方法に関する要 件を定めたものと解することはできず、他に設置変更許可の段階において使用済燃料の処分方法に関する審査をすべきことを規定する法令の定めは見当たらない。 したがって、炉規法が、原子力規制委員会に対し、設置変更許可の審査において、放射性廃棄物の処分方法に関する審査を義務付けているとはいえず、 この点に関する原告らの主張は理由がない。 (2) 原告らは、使用済燃料の処分に関する審査が設置変更許可の審査事項でないとすれば、後続規制のどこかで審査がされなければ不当であるところ、運転期間延長認可においては、事業者は、申請の時点で当該原子力発電所の使用済燃料の貯蔵量や今後の発生見込み等を把握しているはずであるから、こ れについて災害の防止上支障がないかを審査することは十分可能であり、行き場もない使用済燃料を原子力発電所の敷地内に発生させる危険性を考慮すれば、運転期間延長に伴い発生することが見込まれる使用済燃料の処分方法の審査を義務付けているというべきであるから、使用済燃料の処分方法について審査しないでされた本件運転期間延長認可処分は、炉規法の趣旨に違反 した権限濫用逸脱の違法があると主張する。 しかしながら、上記認定事実(使用済燃料)(3)ア及びイ(ク)のとおり、炉規法は、段階的、分野別規制の体系を採用しており、運転期間延長認可の段階で審査を行うこととされている事項は、発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、延長しようとする期 間において安全性を確保するための基準として 認可の段階で審査を行うこととされている事項は、発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、延長しようとする期 間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合しているか否かであり(炉規法43条の3の32第5項)、これは使用済燃料貯蔵槽のコンクリートの劣化等に関するものをいうと解され(実用炉規則114条、運転期間延長審査基準)、使用済燃料の貯蔵見込み等を審査事項とするものとはいえない。 また、原告らは、運転期間延長認可に係る炉規法43条の3の32第5項 の規定は白地要件規定であり、放射性廃棄物の処分方法に関して国民の権利利益も考慮した基準の制定、公表を義務付けているとも主張するが、同項は、運転期間延長認可処分の要件として、「原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ」「延長しようとする期間において安全性を確保するための基準」などの要件を規定しているから、白地要件規定として、運転期間延長認可の段階 において放射性廃棄物の処分方法等の基準の制定、公表を義務付けていると解することはできない。 さらに、原告らは、運転期間が延長されることにより、本件原子炉施設の保管容量を超える使用済燃料が発生することを前提にその処分方法を審査すべきである旨を主張するが、上記4で説示したとおり、設置許可基準規則1 6条2項1項ロの規定に適合するためには、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽に1炉心分以上貯蔵することができる容量を確保する必要があり、参加人がこれに違反した場合、本件原子炉の使用の停止、その他保安のために必要な措置が命じられることになるから、そもそも保管容量を超えるまで運転が継続される可能性は考え難く、その可能性を前提とする原告らの主張を採 用 合、本件原子炉の使用の停止、その他保安のために必要な措置が命じられることになるから、そもそも保管容量を超えるまで運転が継続される可能性は考え難く、その可能性を前提とする原告らの主張を採 用することはできない。 (3) 原告らは、使用済燃料が環境に及ぼす悪影響の観点から、原子力発電所の運転期間の更新が認められなくなった事例として、米国のコロンビア巡回裁判所の2012年6月8日判決(甲F93)を挙げ、本件設置変更許可処分又は本件運転期間延長認可処分の際に考慮すべき事項を考慮しなかったこと、 又は定めるべき基準を定めないまま処分をしたことの違法性を裏付ける先例として参考にされるべきであると主張する。 しかしながら、我が国と米国とは、原子力発電所に係る規制体系や裁判制度等が異なっており、我が国の使用済燃料に係る規制体系は上記2及び3で説示したとおりであるから、上記判決によって本件設置変更許可処分又は本 件運転期間延長認可処分の違法性が裏付けられるものとはいえない。 そして、上記認定事実(使用済燃料)(2)ウのとおり、原子力発電所から発生した使用済燃料については、当該原子力発電所の原子炉から取り出した後、敷地内にある使用済燃料貯蔵設備において冷却・貯蔵し、その後、中間貯蔵施設又は再処理施設まで運搬し、使用済燃料貯蔵事業者又は再処理事業者に引き渡すことになるところ、上記認定事実(使用済燃料)(3)ア~オのとおり、 炉規法は各分野において使用済燃料の取扱いについて規制をしているから、設置変更許可及び運転期間延長認可の段階で、発電用原子炉設置者から使用済燃料貯蔵事業者又は再処理事業者に使用済燃料が引き渡された後の事項である核燃料サイクルや最終処分の観点からの審査が行われていないことが不合理であるということはで 段階で、発電用原子炉設置者から使用済燃料貯蔵事業者又は再処理事業者に使用済燃料が引き渡された後の事項である核燃料サイクルや最終処分の観点からの審査が行われていないことが不合理であるということはできない。 また、上記認定事実(使用済燃料)(3)カのとおり、積立金法及び再処理等拠出金法は、使用済燃料の再処理を適正に実施できるようにするため、特定実用発電用原子炉設置者に対し使用済燃料の再処理等に要する費用を負担させることとし、最終処分法は、最終処分を計画的かつ確実に実施させるようにするため、発電用原子炉設置者に対しNUMOに処分費用を拠出させるこ ととしており、我が国の使用済燃料に対する現在の規制が安全性確保の観点からみて不合理なものであるということはできない。 6 使用済燃料に関する争点のまとめ以上のとおり、使用済燃料に関して、本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分について、現在の科学技術水準に照らし、各審査において用い られた具体的審査基準に不合理な点があり、又は、当該発電用原子炉施設が上記具体的審査基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとは認められないから、本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分が違法であるとはいえない。 第12 結論 上記第6~第11で説示したとおり、地震、火山、中性子照射脆化、電気ケーブル及び使用済燃料に関して、本件各処分に係る原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点があるとは認められないから、本件各処分が違法又は無効であるとはいえず、その他、原告らが種々主張するところをみても本件各処分が違法又は無効であるとはいえないから、原告適格の認められる原告らの請求 はいずれも理由がない。 よって、別 違法又は無効であるとはいえず、その他、原告らが種々主張するところをみても本件各処分が違法又は無効であるとはいえないから、原告適格の認められる原告らの請求 はいずれも理由がない。 よって、別紙原告目録記載の番号8、10、16、26、27、32、34、50~52、62、64及び72の訴えはいずれも不適法であるからこれらを却下し、その余の原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官剱持 亮 裁判官佐久間 隆 裁判官小野啓介 (別紙1) 原告目録(省略)以上 (別紙2)原告ら訴訟代理人目録(省略)以上 (別紙3)被告訴訟代理人目録(省略)以上 (別紙4)参加人訴訟代理人目録(省略)以上 (別紙5)略語一覧数字1990年勧告ICRPの1990年勧告(乙F5)2007年勧告ICRPの2007年勧告(乙F2)2004年中越地震平成16年10月23日に新潟県中越地方を震源として発生したM6.8の地震2008年岩手・宮城内陸地震平成20年(2008年)6月14日午前8時43分に発生したMw6.9 の地震2016年熊本地震平成28年4月16日に熊本県において発生したM7.3の地震。同月14日午後9時26分に発生したM6.5の地震を含むこともある。 3.1の手法3.1 降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法 おいて発生したM7.3の地震。同月14日午後9時26分に発生したM6.5の地震を含むこともある。 3.1の手法3.1 降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法3.2の手法3.2 数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法3学協会日本原子力学会、日本機械学会及び日本電気協会3条委員会国家行政組織法(昭和23年法律第120号)3条2項に規定される委員会英字ACA 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JEAG4601・補-1984」(乙E33)JEAG4623-2008日本電気協会「原子力発電所の安全系電気・計装品の耐環境性能の検証に関する指針」JEAG4625-2009日本電気協会「原子力発電所火山影響評価技術指針」(JEAG4625-2009)JF式Jackson-Fewster 式JFの研究Jackson とFewster がJF式を導いた研究JISJapaneseIndustrialStandards。日本産業規格。 JIS 耐電圧試験JIS 規格による耐電圧試験(「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法」(JISC 3005:2000)、2000年)JNES独立行政法人原子力安全基盤機構JNES-SS レポートJNES原子力システム安全部による平成21年7月付け「原子 電線試験方法」(JISC 3005:2000)、2000年)JNES独立行政法人原子力安全基盤機構JNES-SS レポートJNES原子力システム安全部による平成21年7月付け「原子力プラントのケーブル経年変化評価技術調査研究に関する最終報告書 JNES-SS レポート」(JNES-SS-0903)(乙E13)JSME日本機械学会Legros 法「Legros,F.2000:Minimumvolumeofatephrafalloutdepositestimatedfromasingle isopach.J.Volcanol.Geotherm.Res.,96,p.25-p.32」による噴出量の算出法Madariaga(1979)Madariaga,R.「Ontherelationbetweenseismicmomentandstressdropinthepresenceofstressandstrengthheterogeneity」,JournalofGeophysicalResearch,84,2243-2250 頁Murotani ほか(2015)Scalingrelationofsourceparametersofearthquakesoccurringoninlandcrustalmega-faultsystems,PureandAppliedGeophysics,172,1371-1381 頁Murotani ほか式Murotani ほか(2015)で提案されている、震源断層面積(S)と地震モーメント(M0)の関係式NRANuclearRegulationAuthorit Murotani ほか式Murotani ほか(2015)で提案されている、震源断層面積(S)と地震モーメント(M0)の関係式NRANuclearRegulationAuthority。原子力規制委員会。 NRA技術報告2019-1002NRA技術報告「重大事故環境下におけるケーブルの絶縁特性の分析」(甲E69、乙E120)NRCNuclearRegulatoryCommission。米国の原子力規制委員会。 NUMO原子力発電環境整備機構NUREGUSNuclearRegulatoryCommissionRegulation。米国原子力規制委員会の規制。 NUREG-1807ProbabilisticFractureMechanics-Models,Parameters,andUncertaintyTreatmentUsedinFAVORVersion 04.1(NUREG-1807)(乙E146)NUREG/CR-4183NUREG/CR-4183、PressurizedThermalShockEvaluationoftheH.B.RobinsonUnit 2 Nuclear PowerPlant(Chapter1-8).Volume 1,2(乙E160)NUREG/CR-3702T.G.Theofanousetal.,BuoyancyEffectsinOvercoolingTransientsCalculatedfortheNRCPressurizedThermalShockStudy,NUREG/CR-3702(1986).(乙E161)Okada(1992)「Internaldef ortheNRCPressurizedThermalShockStudy,NUREG/CR-3702(1986).(乙E161)Okada(1992)「Internaldeformationduetoshearandtensilefaultsinahalf-space」Y.Okada,Bull.Seism.Soc.Am.,82,1018-1040,1992.PLM 基準2008 版日本原子力学会が作成した日本原子力学会標準「原子力発電所の高経年化対策実施基準:2008」(乙E12)PTSPressurizedThermalShock。加圧熱衝撃。 PTS合同委員会原子炉圧力容器加圧熱衝撃試験実施委員会PTS実証試験PTS調査報告書において報告された実証試験PTS調査報告書財団法人発電設備技術検査協会(現在のJNES)の平成4年3月付け「溶接部等熱影響部信頼性実証試験に関する調査報告書」[原子炉圧力容器加圧熱衝撃試験]〔総まとめ版〕(乙E40、63、114)PTS評価中性子照射脆化に係る加圧熱衝撃評価PWRPressurizedWaterReactor。加圧水型原子炉。 Qian 論文GuianQian ほか「effectofnon-uniformreactorcoolingonfractureandconstraintofareactorpressurevessel」(乙E42)ΔRTNDT関連温度移行量SomervilleetSomerville,P.ほか「Characterizingcrustal al.(1999)earthquakeslipmodelsforth mervilleetSomerville,P.ほか「Characterizingcrustal al.(1999)earthquakeslipmodelsforthepredictionofstronggroundmotion」,SeismologicalResearchLetters,70,59-80 頁Somerville ほか式Somervilleetal.(1999)で提案されている、震源断層面積(S)と地震モーメント(M0)の関係式SPEEDI緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムTephra2 マニュアル「Tephra2 UsersManual」(甲D259)T0破壊靭性試験によって得られる破壊靭性値が100MPa√m となるときの温度Tr30シャルピー衝撃試験による吸収エネルギーが41J となる温度VEIVolcanicExplosivityIndex。火山爆発指数。 Wallin 論文K.Wallin「Statisticalre-evaluationoftheASMEKⅠc and KⅠR fracturetoughnessreferencecurves」、EngineeringandDesign 193(1999)317-326.(甲102)WellsandCoppersmith(1994)Wells,D.L. andCoppersmith,K.J.(1994)「Newempiricalrelationshipsamongmagnitude,rupturelength,rupturewidth,rupturearea,andsurfacedisplacement. relationshipsamongmagnitude,rupturelength,rupturewidth,rupturearea,andsurfacedisplacement.」WOL 試験片WedgeOpeningLoading 試験片Yamamoto(2017)山元孝広による「大山火山噴火履歴の再検討」と題する論文(乙D107)YamamotoandHoang(2019)山元孝広らによる「第四紀大山アダカイト(西南日本)の地球化学的変化は、マグマ生産率によって支配 される」と題する論文(乙D119の1及び2)Zhaoetal.(2011)DapengZhao,WeiWei,YukihisaNishizono,HirohitoInakura による「西日本の低周波地震とトモグラフィー:流体とマグマ活動に関する洞察」と題する論文(乙D101の1及び2)Zhaoetal.(2018)Zhaoetal.(2011)の研究を更に進めた、DapengZhaoらによる「鳥取地震と大山火山:流体、スラブメルティング及び高温マントルの上昇流の影響」と題する論文(乙D117の1及び2)φ粒径をd(㎜)とするとき、φ=-log2d で表される単位。1φは0.5㎜、2φは0.25㎜と、φの数値が大きくなると粒径は小さくなる。 日本語「あ行」浅間山2009年噴火浅間山の平成21年(2009年)2月2日の噴火(ア)法レシピにおける震源断層モデルを設定する手法のうち(ア)の手法安全重要度分類指針発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)(乙B119)安全設計審査指針 を設定する手法のうち(ア)の手法安全重要度分類指針発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)(乙B119)安全設計審査指針発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針(平成2年8月30日原子力安全委員会決定、平成13年3月29日一部改訂)(乙B15)伊方最高裁判決最高裁判所昭和60年(行ツ)第133号平成4年10月29日第一小法廷判決・民集46巻7号1114 頁伊方発電所四国電力株式会社伊方発電所L7L7K11K11K1K1L2L2L2共同意見書L2らの共同意見書(甲E67)のL2執筆部分L2意見書①L2の意見書(甲E90)L2意見書②L2の意見書(甲E104)(イ)法レシピにおける震源断層モデルを設定する手法のうち(イ)の手法J2J2入倉(2004)入倉孝次郎「強震動予測レシピ―大地震による強震動の予測手法―」(京都大学防災研究所年報第47号A平成16年4月)(甲D175)入倉・三宅(2001)入倉孝次郎・三宅弘恵「シナリオ地震の強振動予測」地学雑誌第110巻、849~875頁(乙D7、丙D11)入倉・三宅式入倉・三宅(2001)で提案されている、震源断層面積(S)と地震モーメント(M0)の関係式有珠山2000年噴火有珠山の平成12年(2000年)3月31日の噴火(乙D140)運転期間延長審査基準実用発電用原子炉の運転の期間の延長の審査基準(原管P発第1311271号)(甲B1、乙B10)運転期間延長認可申請運実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用 用ガイドガイド(原規規発第1408263号)( 査基準(原管P発第1311271号)(甲B1、乙B10)運転期間延長認可申請運実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用 用ガイドガイド(原規規発第1408263号)(乙B55)運転状態Ⅰ発電用原子炉施設の通常運転時の状態(技術基準規則2条2項45号)運転状態Ⅱ設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される環境条件において、運転状態I、運転状態Ⅲ、運転状態Ⅳ及び試験状態以外の状態(技術基準規則2条2項46号)運転状態Ⅲ設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される環境条件において、発電用原子炉施設の故障、誤作動その他の異常により発電用原子炉の運転の停止が緊急に必要とされる状態(技術基準規則2条2項47号)運転状態Ⅳ設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される環境条件において、発電用原子炉施設の安全設計上想定される異常な事態が生じている状態(技術基準規則2条2項48号)大飯発電所関西電力大飯原子力発電所大崎総合研究所(2015)株式会社大崎総合研究所の「平成25年度原子力発電施設等安全調査研究委託費(福島第一事故を踏まえた震源極近傍の地震動評価の高度化)事業業務報告書」(甲美D40)女川発電所東北電力女川原子力発電所「か行」改正規則「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の 一部を改正する法律の一部の施行に伴う実用発電用原子炉に係る原子力規制委員会関係規則の整備等に関する規則」(令和2年原子力規制委員会規則第3号)火災防護基準実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準(原規技発第1306195号)(乙B6)火山影響等 係規則の整備等に関する規則」(令和2年原子力規制委員会規則第3号)火災防護基準実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準(原規技発第1306195号)(乙B6)火山影響等発生時火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(令和2年改正実用炉規則83条1項1号ロ(1))火山影響評価に係る安全研究平成25年度から平成30年度にわたる産総研による「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究。各年度のものを「平成25年度安全研究」などという。 火山ガイド原子力発電所の火山影響評価ガイド(原規技発第13061910号)。平成25年火山ガイド(乙B117)、平成29年火山ガイド(乙B118)及び令和元年火山ガイド(乙B141)の総称。 柏崎刈羽発電所東京電力柏崎刈羽原子力発電所加藤ほか(2004)加藤研一ほか「震源を事前に特定できない内陸地殻内地震による地震動レベル―地質学的調査による地震の分類と強震観測記録に基づく上限レベルの検討―」日本地震工学会論文集第4巻、第4号、46-86頁J3J3J3意見書①J3の令和5年5月16日付け意見書(乙D146)J3意見書②J3の令和6年4月8日付け意見書(乙D177)J4J4 J4意見書J4の令和6年4月18日付け意見書(乙D178)関西電力関西電力株式会社規格及び基準等規格及び基準の規定並びに既往の研究成果等既許可申請令和2年12月23日付け原規規発第2012235号をもって許可された本件原子炉に係る設置変更許可処分に係る許可申請技術基準規則実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(平成25年6月28日原子力規制委員会規則第6号)技術 もって許可された本件原子炉に係る設置変更許可処分に係る許可申請技術基準規則実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(平成25年6月28日原子力規制委員会規則第6号)技術基準規則解釈実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則の解釈(原規技発第1306194号)(乙B9)技術情報検討会原子力規制庁が、原子力規制委員会委員及び原子力規制庁の関係課長等をメンバーとして、国内外の原子力施設の事故・トラブルに係る情報に加え、最新の科学的知見・技術的知見を規制に反映させる必要性の有無について、整理し認識を共有すること等を目的として行っている会議技術評価検討チーム原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靭性の確認方法等の技術評価に関する検討チーム基準地震動最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとして策定する地震動(設置許可基準規則解釈の別記2の5) 基準地震動による地震力耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(設置許可基準規則4条3項)基準津波最新の科学的・技術的知見を踏まえ、波源海域から敷地周辺までの海底地形、地質構造及び地震活動性等の地震学的見地から想定することが適切なものとして策定する津波(設置許可基準規則解釈の別記3の1)貴堂ほか(2020)貴堂峻至ほか「薄層法に基づく断層面分割の違いによる断層極近傍の理論地震動計算の精度検証」(甲美D39)基本設計等基本設計又は基本的設計方針基本モデル式国内脆化予測法におけるΔRTNDT計算値を算出するための式の元となるモデル式キャスク 理論地震動計算の精度検証」(甲美D39)基本設計等基本設計又は基本的設計方針基本モデル式国内脆化予測法におけるΔRTNDT計算値を算出するための式の元となるモデル式キャスク使用済燃料を工場等内に貯蔵する乾式キャスク旧耐震指針「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(昭和56年7月20日原子力安全委員会決定、平成13年3月29日一部改訂)」J10J10J10意見書J10の意見書(乙E90)クラッド腐食防止のために原子炉圧力容器内側の表面にコーティングされた金属層。クラッドコーティング。 玄海発電所九州電力株式会社玄海原子力発電所原子力規制庁原子力規制委員会原子力規制庁原子力利用原子力の研究、開発及び利用原子炉施設等基準検討チ発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム ーム(第21回より、発電用軽水型原子炉の新規制基準に関する検討チームと改称)原データ原子炉圧力容器の中性子照射脆化におけるPTS評価に関し、監視試験により得られる実測データ検討用地震敷地に大きな影響を与えると予想される地震降下火砕物検討チーム降下火砕物の影響評価に関する検討チーム高経年化技術評価実用炉規則82条1~3項に規定する、機器及び構造物の経年劣化に関する技術的な評価高経年化技術評価書(30年目)実用炉規則82条1項に基づく高浜発電所1号炉の高経年化技術評価書(30年目)高経年化技術評価書(40年目)実用炉規則82条2項に基づく高浜発電所1号炉高経年化技術評価書(40年目)高経年化技術評価に関する意見聴取会原子力安全・保安院が、中性子照射脆化に係る健全性評価の手法の適切性を改めて検討することを目的として、平成23年 電所1号炉高経年化技術評価書(40年目)高経年化技術評価に関する意見聴取会原子力安全・保安院が、中性子照射脆化に係る健全性評価の手法の適切性を改めて検討することを目的として、平成23年11月29日から平成24年7月27日までの間に開催した、高経年化技術評価に関する意見聴取会高経年化対策実施ガイド実用発電用原子炉施設における高経年化対策実施ガイド(原管P発第1306198号)(乙B56)高経年化対策審査ガイド実用発電用原子炉施設における高経年化対策審査ガイド(乙B57)高経年化報告書原子力安全・保安院が作成した平成24年8月付け「原子炉圧力容器の中性子照射脆化について」(乙E16)J5J5 工事計画認可等平成29年法律第15号による改正前炉規法43条の3の9第1項の工事計画認可及び同改正後同項の設計又は工事の計画の認可後段規制実用発電用原子炉施設に係る設置(変更)許可処分(これによる規制が前段規制)に後続する工事計画認可処分、使用前検査、保安規定(変更)認可処分、定期事業者検査の義務付けなどによる規制国内脆化予測法JEAC4201-2007 シリーズにおいて用いられる基本モデル式を基にした脆化予測式を用いた脆化予測法越畑地点Yamamoto(2017)において層厚30㎝の降下火砕物の分布が確認されているとされた京都府越畑盆地の地点K3静岡大学防災総合センターKH1H1「さ行」最終処分法特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年法律第117号)再処理等拠出金法原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(平成17年法律第48号。令和5年法律第44号による改正前のもの。)産総研国立研究開発法人産業技 第117号)再処理等拠出金法原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(平成17年法律第48号。令和5年法律第44号による改正前のもの。)産総研国立研究開発法人産業技術総合研究所産総研・福井大学(2013)産総研及び福井大学の「沿岸海域における活断層調査柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部/北部(海域部)成果報告書」(乙D132)産総研報告書K2らによる「吸気フィルタの火山灰目詰試験」(地質調査総合センター研究資料論文、no.629,2016)(乙 E46)四国電力四国電力株式会社地震ガイド基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド(原管地発第1306192号)(乙B21)地震・津波に関する意見聴取会原子力・安全保安院が平成23年9月に設置した「地震・津波の解析結果の評価に関する意見聴取会」。第2回から「地震・津波に関する意見聴取会」に改称。 地震等検討小委員会原子力安全委員会の原子力安全基準・指針専門部会に設置された地震・津波関連指針等検討小委員会地震等基準検討チーム原子力規制委員会に設置された発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に係る検討チーム地震動予測地図2017年版「震源断層を特定した地震動予測地図2017年版」(乙D18)実用炉規則実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令第77号)地盤ガイド基礎地盤及び周辺斜面の安全性評価に係る審査ガイド(原管地発第1306194号)J6J6重大事故等重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。)又は重大事故(設置許可基準規則2条2項11号)重大事故等対処施設重大事故等に対処するた J6重大事故等重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。)又は重大事故(設置許可基準規則2条2項11号)重大事故等対処施設重大事故等に対処するための機能を有する施設(設置許可基準規則2条2項11号)重大事故等対処設備重大事故等に対処するための機能を有する設備(設置 許可基準規則2条2項14号)周辺監視区域管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超えるおそれのないもの(実用炉規則2条2項6号)手法①観測値の外挿(ある既知のデータを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めること)による手法手法②降灰継続時間を仮定(想定する噴火と同程度の噴火規模での噴火継続時間を参照して設定)し、原子力発電所の敷地における堆積量等から気中降下火砕物濃度を推定する(敷地における堆積料等から降灰継続時間中の平均濃度を算出する)手法手法③電中研報告書のとおり、FALL3D による数値シミュレーションを用いて原子力発電所の敷地における気中降下火砕物濃度を推定する手法小破断LOCA破断が小規模で1 次冷却水の喪失が比較的緩やかに生ずることが想定される事故使用前事業者検査等使用前事業者検査及び確認昭和45年告示通商産業省「発電用原子力設備に関する構造等の技術基準(昭和45年通商産業省告示第501号)」昭和56年耐震設計審査指針「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」( 昭和56年7月20日原子力安全委員会決定)新規制基準平成24年改正後の炉規法施行後に策定又は改正された規制基準の総称 新規制基準の考え方原 関する耐震設計審査指針」( 昭和56年7月20日原子力安全委員会決定)新規制基準平成24年改正後の炉規法施行後に策定又は改正された規制基準の総称 新規制基準の考え方原子力規制委員会が平成28年6月29日に策定した「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」(平成28年8月24日改訂、平成29年11月8日改訂、平成30年12月19日改訂、令和4年12月14日改訂)(乙B1、13、104、172)震源極近傍規定設置許可基準規則解釈の別記2の5項二⑥の規定震源極近傍に係る平成26年度安全研究「福島第一事故を踏まえた震源極近傍の地震動評価の高度化」(甲美D9、乙D126)浸水防止設備浸水防止機能を有する設備審査会合原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合推定手法平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドの添付1「気中降下火砕物濃度の推定手法について」(乙B118)推本地震調査研究推進本部推本報告書地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価部会「「活断層の長期評価手法」報告書(暫定版)」(平成22年11月25日)(甲D98、乙D8)L3L3L3意見書①L3の意見書(乙E60)L3意見書②L3の意見書(乙E136)数土(1989)数土幸夫ほか「狭い両面加熱垂直矩形流路の熱伝達特性」(日本機械学会論文集(B編)55巻512号)(甲E94)H2H2H2シミュレーション元京都大学原子炉実験所助手H2による高浜発電所1 号機が過酷事故を起こした場合の放射性物質拡散シミュレーション(甲F45の1及び2)設計基準事故発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって、当該状態が発生した場合には 号機が過酷事故を起こした場合の放射性物質拡散シミュレーション(甲F45の1及び2)設計基準事故発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって、当該状態が発生した場合には発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれがあるものとして安全設計上想定すべきもの(設置許可基準規則2条2項4号)設計基準対象施設発電用原子炉施設のうち、運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となるもの(実用炉規則2条2項7号)設計・建設規格2005一般社団法人日本機械学会作成の「発電用原子力設備規格設計・建設規格<第1編軽水炉規格>JSMESNC1-2005」設置許可基準規則実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成25年原子力規制委員会規則第5号)設置許可基準規則解釈実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈(原規技発第1306193号。平成26年4月16日、同年7月9日一部改正。)(乙B5)設置法原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号)川内発電所九州電力株式会社川内原子力発電所前段規制実用発電用原子炉施設に係る設置(変更)許可処分による規制 線量限度告示核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示(原子力規制委員会告示第8号)「た行」耐震重要施設設計基準対象施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(設置許可基準規則3条1項)。設置許可基準規則解釈の別記2の耐震重要度分類のSクラスに の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(設置許可基準規則3条1項)。設置許可基準規則解釈の別記2の耐震重要度分類のSクラスに属する施設(設置許可基準規則解釈の別記1の1)。 耐震手引き「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き(平成22年12月20日原子力安全委員会了承)」耐専式日本電気協会原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601-2015)に規定されているNodaetal.(2002)による応答スペクトル距離減衰式(乙D123)代替材料不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの大規模損壊大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる発電用原子炉施設の大規模な損壊耐震工認審査ガイド耐震設計に係る工認審査ガイド(原管地発第1306195号)(乙B60)耐震重要度地震により発生するおそれがある設計基準対象施設の 安全機能の喪失(地震に伴って発生するおそれがある津波及び周辺斜面の崩壊等による安全機能の喪失を含む。)及びそれに続く放射線による公衆への影響を防止する観点から、各施設の安全機能が喪失した場合の影響の相対的な程度耐震重要度分類施設の耐震重要度に応じた分類大破断LOCA 1 次冷却水系の配管のうち主冷却材管が破断し、1 次冷却水が系外に流出することを想定した事故L4L4L4共同意見書L2らの共同意見書(甲E67)のL4執筆部分L4意見書①L4の意見書(甲E61)L4意見書②L4の意見書(甲E66)L4意見書③L4の意見書(甲E103)高浜発電所1号機高浜発電所1号炉及びその附属施設高浜発電所 L4意見書①L4の意見書(甲E61)L4意見書②L4の意見書(甲E66)L4意見書③L4の意見書(甲E103)高浜発電所1号機高浜発電所1号炉及びその附属施設高浜発電所2号機高浜発電所2号炉及びその附属施設高浜発電所3号機高浜発電所3号炉及びその附属施設高浜発電所4号機高浜発電所4号炉及びその附則施設高浜発電所1号炉関西電力高浜発電所1号炉高浜発電所2号炉関西電力高浜発電所2号炉高浜発電所3号炉関西電力高浜発電所3号炉高浜発電所4号炉関西電力高浜発電所4号炉武村(1990)武村雅之「日本列島およびその周辺地域に起こる浅発地震のマグニチュードと地震モーメントの関係」武村(1990)の式武村(1990)で提案されている、長期評価による地震規模と地震モーメントの関係式 K10K10L9L9田中信也ほか(2018)田中信也ほか「地表地震断層近傍における永久変位を含む長周期成分の地震動評価のための震源モデルの設定方法」(甲美D41)樽前山噴火(Ta-a)1739年の樽前山噴火(乙D139)短周期レベル強震動予測に直接影響を与える短周期領域における加速度震源スペクトルのレベル壇ほか(2001)壇一男ほか「断層の非一様すべり破壊モデルから算定される短周期レベルと反経験的波形合成法による強振動予測のための震源断層のモデル化」日本建築学会構造系論文集第545号、51~62頁壇ほか式壇ほか(2001)で提案されている地震モーメント(M0)と短周期レベル(A)との関係式「A=2.46×1010×(M0×107)1/3)」地質ガイド敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(原管地発第130 地震モーメント(M0)と短周期レベル(A)との関係式「A=2.46×1010×(M0×107)1/3)」地質ガイド敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(原管地発第1306191号)(乙B20)中間貯蔵施設炉規法43条の4第2項2号に規定する「使用済燃料貯蔵設備及びその附属施設」チョルノービリ事故旧ソビエト社会主義共和国連邦のチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所における事故長期評価推本の地震調査委員会による長期評価結果長期評価(2002)2002年の布田川・日奈久断層帯北東部の長期評価長期評価(2013)2013年の布田川断層帯布田川区間の長期評価長期保守管理方針高経年化技術評価の結果に基づき、10年間に実施す べき当該発電用原子炉施設についての保守管理に関する方針中間報告地震調査研究推進本部がまとめた「2016年熊本地震(Mj7.3)の観測記録に基づく強震動評価手法の検証について(中間報告)」(甲D237)津波監視設備敷地における津波監視機能を有する施設津波防護施設津波防護機能を有する設備積立金法原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律(平成17年法律第48号。平成28年法律第40号による改正前のもの。)敦賀発電所日本原子力発電株式会社敦賀発電所定期事業者検査特定発電用原子炉施設(発電の用に供する原子炉、その原子炉を格納するための容器その他の発電用原子炉施設であって原子炉本体や原子炉冷却系統施設など原子力規制委員会規則で定めるものをいう。)について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、定期に、事業者自らが行う検査(炉規法43条の3の16第1項)電事連 本体や原子炉冷却系統施設など原子力規制委員会規則で定めるものをいう。)について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、定期に、事業者自らが行う検査(炉規法43条の3の16第1項)電事連電気事業連合会電事連回答平成24年6月20日付け「原子炉圧力容器の中性子照射脆化についての委員コメントに対する回答(電事連)」(乙B109)電中研電力中央研究所電中研報告書電中研の平成28年4月付け「数値シミュレーション による降下火山灰の輸送・堆積特性評価法の開発(その2)-気象条件の選定法およびその関東地方での堆積量・気中濃度に対する影響評価-」(研究報告:O15004)(乙E45)東海第二発電所日本原子力発電株式会社東海第二原子力発電所東京電力東京電力ホールディングス株式会社(商号変更前は東京電力株式会社)東北地方太平洋沖地震等平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震と同年4月7日の宮城県沖地震東北電力東北電力株式会社東宮(2016)東宮昭彦「マグマ溜まり:噴火準備過程と噴火開始条件」火山第61巻(2016)第2号281~294頁(甲D240)特別点検申請に至るまでの間の運転に伴い生じた発電用原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検「な行」内陸補正係数耐専式の内陸地殻内地震に対する補正係数K7K7L5L5L5意見書①L5の意見書(乙E62)L5意見書②L5の意見書(乙E137)新潟県中越沖地震平成19年7月16日の新潟県中越沖地震日本機械学会一般社団法人日本機械学会(JSME)日本原子力学会一般社団法人日本原子力学会日本原燃日本原燃株式会社 日本電気協会一般社団 6日の新潟県中越沖地震日本機械学会一般社団法人日本機械学会(JSME)日本原子力学会一般社団法人日本原子力学会日本原燃日本原燃株式会社 日本電気協会一般社団法人日本電気協会(JEA)日本電気協会回答日本電気協会原子力企画委員会構造分科会の令和4年9月8日付け「電気協会企画(JEAC4206-2007)」に関するご質問への回答について」(乙E65)日本溶接協会一般社団法人日本溶接協会燃料体発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質燃料体等燃料体及び使用済燃料濃度考え方降下火砕物の影響評価に関する検討チーム(降下火砕物検討チーム)の平成29年7月19日付け「気中降下火砕物濃度等の設定、規制上の位置付け及び要求に関する基本的考え方」(乙B132・添付1)J9J9J9意見書J9の意見書(甲美D42)「は行」背景領域震源断層内のアスペリティ部分以外の部分はぎとり解析地上で得られた地震観測記録、地中で得られた地震観測記録について、観測サイトにおける解放基盤面に相当する地盤の地震動(解放基盤波)を評価する解析方法発電設備技術検査協会一般財団法人発電設備技術検査協会バックフィット命令原子力規制委員会が、発電用原子炉施設が炉規法の基準等に適合していないと認めるときに、炉規法43条の3の23第1項に基づき、当該発電用原子炉の使用の停止、改造、修理又は移転、発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずるこ と非常用DG非常用ディーゼル発電機評価手法(荷重による評価)設計時長期荷重を1.5倍した評価上の基準値を、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和が超えないことを確認 非常用DG非常用ディーゼル発電機評価手法(荷重による評価)設計時長期荷重を1.5倍した評価上の基準値を、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和が超えないことを確認する評価手法評価手法(応力度による評価)長期許容応力度を1.5倍した短期許容応力度(許容限界)を、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和により発生する応力度が超えないことを確認する評価手法広島高裁令和2年決定広島高等裁判所令和2年1月17日決定(甲F128)廣田(2020)廣田貴俊「原子炉圧力容器の脆性破壊に対する破壊力学的健全性評価に関する研究」(乙E177)廣田・吉本論文廣田貴俊、吉本賢太郎「マスターカーブの考え方を取り入れた原子炉圧力容器のPTS評価用の破壊靭性遷移曲線の設定について」(日本機械学会論文集Vo.85,No.863,pp1-9,2019)(乙E111)品質管理基準規則実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織の技術基準に関する規則(平成25年原子力規制委員会規則第8号)J1J1福島第一発電所東京電力福島第一原子力発電所福島第二発電所東京電力福島第二原子力発電所福島第一原発事故平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地 震に伴う福島第一発電所の事故K4K4J8J8藤原啓太ほか(2023)藤原啓太ほか「繰り返し地震荷重を受ける配管要素試験体の疲労損傷裕度に係る検討」(乙E134)J7J7J7意見書J7の意見書(乙E103)平成13年度高経年化事業報告書「平成13年度高経年化対策関連技術調査等事業報告書〔高経年化関連安全対策技 係る検討」(乙E134)J7J7J7意見書J7の意見書(乙E103)平成13年度高経年化事業報告書「平成13年度高経年化対策関連技術調査等事業報告書〔高経年化関連安全対策技術高度化調査に関するもの〕」(甲E4)平成18年耐震指針平成18年改訂後の耐震設計審査指針(平成18年原子力安全委員会決定)平成24年改正平成24年法律第47号による炉規法等の改正平成25年火山ガイド平成25年6月19日に制定された火山ガイド(乙B117)平成27年度研究原子力規制庁が産総研に対し平成27年度に委託した「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(乙D113)平成28年各処分本件運転期間延長認可処分、本件設置変更許可処分、本件工事計画認可処分及び本件保安規定変更認可処分平成28年度研究原子力規制庁が産総研に対し平成28年度に委託した「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(乙D114)平成29年改正実用炉規則平成29年原子力規制委員会規則第16号により改正(同年12月14日施行)後の実用炉規則 平成29年火山ガイド平成29年11月29日原規技第17112910号による改正後の火山ガイド(乙B118)平成29年度研究原子力規制庁が産総研に対し平成29年度に委託した「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(乙D115)ヘイマランド観測値2010年(平成22年)にエイヤヒャトラ氷河で発生した噴火のヘイマランド地区における観測値保安規定審査基準実用発電用原子炉及びその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査基準(原規技発第1306198号)(乙B11)防護対象施設降下火砕物によって安全施設の安全機能が 保安規定審査基準実用発電用原子炉及びその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査基準(原規技発第1306198号)(乙B11)防護対象施設降下火砕物によって安全施設の安全機能が損なわれないようにするために必要な設備を設計上防護すべき施設放射線障害防止法「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(平成29年法律第15号による改正後の法律名は「放射性同位元素等の規制に関する法律」)保守管理方針延長しようとする期間における発電用原子炉その他の設備についての保守管理に関する方針本件運転期間延長認可処分原子力規制委員会が平成28年11月16日付けでした、本件原子炉の運転期間延長認可処分本件運転期間延長認可申請参加人が平成27年11月26日付けで原子力規制委員会に対してした、炉規法43条の3の32第4項の規定に基づき、本件原子炉を運転することができる期間の延長(20年0日(2036年11月30日まで))についての認可の申請(平成28年3月10日 付け、同年5月31日付け、同年8月26日付け、同年10月28日付けで申請内容の一部を補正したもの)。 本件各施設耐震重要施設(設置許可基準規則4条3項)、兼用キャスク貯蔵施設(同規則3条1項、同条の解釈、同規則4条6項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)、同条の解釈)、常設重大事故防止設備であって常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(同規則38条1項1号)、常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(同項3号)、特定重大事故等対処施設(同条4号、同規則39条1項4号)、常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(同規則39条1項1号)、常設重大 設置される重大事故等対処施設(同項3号)、特定重大事故等対処施設(同条4号、同規則39条1項4号)、常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(同規則39条1項1号)、常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(同項3号)及び緊急時対策所(設置許可基準規則61条の解釈)本件各施設敷地等本件各施設の敷地並びに耐震重要施設及び重大事故等対処施設にかかわる斜面本件各処分平成28年各処分、令和3年設置変更許可処分及び令和2年保安規定変更認可処分本件各断層白木-丹生断層及びC断層本件加振試験参加人が実施した本件原子炉施設の実機を用いた加振試験本件活断層群①安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~山中断層~柳ヶ瀬断層~鍛冶屋断層~関ヶ原断層 本件活断層群②安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~柳ヶ瀬山断層~柳ヶ瀬断層南部~鍜冶屋断層~関ヶ原断層本件関係図耐専式の適用性を判断するために用いている等価震源距離と地震規模の関係図(乙C97・57頁)本件原子炉美浜発電所3号炉本件原子炉敷地本件原子炉施設の敷地本件原子炉施設本件原子炉及びその附属施設本件工事計画認可処分原子力規制委員会が平成28年10月26日付けでした、本件工事計画認可申請に対する本件原子炉施設の工事計画認可処分本件工事計画認可申請参加人が、平成27年11月26日付けで原子力規制委員会に対してした本件原子炉施設工事計画認可申請本件資料H1が作成した平成23年3月25日付け「福島第一発電所の不測事態シナリオの素描」(甲F10)本件新知見越畑地点のDNPの降灰層厚は25㎝程度であり、DNPの噴出規模は1 申請本件資料H1が作成した平成23年3月25日付け「福島第一発電所の不測事態シナリオの素描」(甲F10)本件新知見越畑地点のDNPの降灰層厚は25㎝程度であり、DNPの噴出規模は10㎦以上と考えられること本件新認定事実DNPの噴出規模は11㎦程度と見込まれること及び大山火山のDKPとDNPが一連の巨大噴火であるとは認められず、DNPは本件原子炉施設の火山影響評価において想定すべき自然現象であること本件設置変更許可処分原子力規制委員会が平成28年10月5日付けでした、本件設置変更許可申請に対する設置変更許可処分本件設置変更許可申請参加人が平成27年3月17日付けで原子力規制委員会に対してした、炉規法43条の3の8第1項の規定 に基づき、同法43条の3の5第2項5、8~10号に掲げる事項の変更についての許可の申請(平成28年5月31日付け及び同年6月23日付けで申請内容の一部を補正したもの)本件適合性審査本件設置変更許可処分に係る適合性審査本件等価の仮定ΔTKIc(破壊靭性値の移行量)=ΔRTNDT(関連温度移行量)という仮定本件特定指導文書原子力規制委員会が平成27年10月19日付けで日本電気協会に対し発出した特定指導文書(乙E138・別紙1)本件破壊靭性検討原子力規制庁長官官房技術基盤グループが令和5年7月27日の第60回技術情報検討会において発表した「実プラントのデータによる破壊靭性に関する検討」(乙E112)本件破壊靭性検討(その2)原子力規制庁長官官房技術基盤グループが令和6年3月27日の第64回技術情報検討会において発表した「実プラントのデータによる破壊靭性に関する検討(その2)」(乙E170)本件バックフィット命令原子力規制委 官官房技術基盤グループが令和6年3月27日の第64回技術情報検討会において発表した「実プラントのデータによる破壊靭性に関する検討(その2)」(乙E170)本件バックフィット命令原子力規制委員会の参加人に対する令和元年6月19日付けバックフィット命令本件ばらつき条項地震ガイド3.2.3(2)及び地質ガイド4.4.2(5)に記載された「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」という条項本件反応速度式基本モデル式に含まれる、電中研論文に記載された、 a、bを比例係数、CCuを銅原子の数、Dを銅原子の拡散係数、溶質原子クラスター (SC)の数密度をCSC、マトリックス損傷 (MD)の数密度をCMDとして、簡略化するとdCSC/dt=aCCu・D・CMD+b(CCu・D)2と表せる式本件保安規定変更認可処分本件原子炉の平成28年11月16日付け保安規定変更認可処分本件保安規定変更認可申請参加人が、平成27年11月26日付けで、原子力規制委員会に対してした本件原子炉施設に係る保安規定変更認可申請本件報告書参加人が、平成31年3月29日に原子力規制委員会に対して提出した、本件報告徴収命令に対する報告書(乙C71)本件報告徴収命令原子力規制委員会の参加人に対する平成30年12月12日付け報告徴収命令(乙C70)本件補足説明資料(平成28年)美浜発電所3号炉劣化状況評価(原子炉容器の中性子照射脆化)補足説明資料(丙C2)本件補足説明資料(令和5年)令和5年11月2日付け高浜発電所1号炉高経年化技術評価(中性子照射脆化)補足説明資料(乙E167、丙C25)本件保守性条項運転期間延長認可申 (丙C2)本件補足説明資料(令和5年)令和5年11月2日付け高浜発電所1号炉高経年化技術評価(中性子照射脆化)補足説明資料(乙E167、丙C25)本件保守性条項運転期間延長認可申請審査ガイド3.2(1)③の「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」という条項本件劣化状況評価書参加人が作成した本件原子炉の劣化状況評価書(丙C1) 「ま行」K5K5町田・新井(2011)町田洋・新井房夫「新編火山灰アトラス-日本列島とその周辺」(2011年発行の第2刷)(乙D106)松田(1975)松田時彦「活断層から発生する地震の規模と周期について」松田(1990)松田時彦「最大地震規模による日本列島の地震分帯図」(地震研究所彙報65巻289~319頁)(乙D133)松田式松田(1975)で提案されている、地表の活断層長さ(L)と長期評価による地震規模(M)の関係式萬年論文萬年一剛「降下火山灰シミュレーションコードTephra2 の理論と現状-第四紀学での利用を視野に」第四紀研究52(4)173-187頁(甲D214、乙D103)三菱の実験的研究「等温加熱垂直二平行平板上の強制自然複合対流伝熱に関する実験的研究」(乙B105)により報告された三菱重工業による実験的研究三菱重工業三菱重工業株式会社美浜発電所2号機関西電力美浜発電所2号炉及びその附属施設美浜発電所3号機関西電力美浜発電所3号炉及びその附属施設美浜発電所2号炉関西電力美浜発電所2号炉美浜発電所3号炉関西電力美浜発電所3号炉L1L1モニタリング検討チーム平成26年から平成27年にかけて行われた、原子力 施設における火山活動 関西電力美浜発電所2号炉美浜発電所3号炉関西電力美浜発電所3号炉L1L1モニタリング検討チーム平成26年から平成27年にかけて行われた、原子力 施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームもんじゅ最高裁平成4年判決最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁もんじゅ最高裁平成17年判決最高裁平成15年(行ヒ)第108号同17年5月30日第一小法廷判決・民集59巻4号671頁「や行」柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価推本地震調査委員会の平成16年1月14日付け「柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価について」(甲美D5)山田ほか(2015)山田雅行、羽田浩二、今井隆太、藤原広行「断層極近傍のための理論地震動シミュレーション法を用いた断層表面領域破壊時の地震動推定」日本地震工学会論文集第15巻第2号2015年(甲D116)K2K2山元(2016)山元孝広「大山倉吉テフラの降灰シミュレーション」地質調査総合センター研究資料集、No.635,2016(甲D61)容器の技術評価書本件劣化状況評価書の別冊「容器の技術評価書」(丙C1)要求事項(運転延長)実用炉規則第113条2項2号に掲げる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果、延長しようとする期間において、同評価の対象となる機器・構造物が同基準の表に掲げる要求事項要求事項(火山)火山現象による影響について、要求事項(火山)①~ ③に定める事項を含む発電用原子炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに、当該計画の実行に必要な要員を配置し、当該計画に従って必要な活動を行わせること。 要求事項(火 ③に定める事項を含む発電用原子炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに、当該計画の実行に必要な要員を配置し、当該計画に従って必要な活動を行わせること。 要求事項(火山)①火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(火山影響等発生時)における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること。(平成29年改正実用炉規則84条の2第5号イ、令和2年改正実用炉規則83条1項1号ロ(1))要求事項(火山)②要求事項(火山)①に掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること。(平成29年改正実用炉規則84条の2第5号ロ、令和2年改正実用炉規則83条1項1号ロ(2))要求事項(火山)③要求事項(火山)②に掲げるもののほか、火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること。(平成29年改正実用炉規則84条の2第5号ハ、令和2年改正実用炉規則83条1項1号ロ(3))溶質原子原子炉容器の材料に含まれる合金元素のマンガン、ニッケル及び不純物元素の銅「ら行」令和元年火山ガイド令和元年12月18日に改正された火山ガイド(乙B141) 令和2年改正実用炉規則令和2年原子力規制委員会規則第3号により改正(同年4月1日施行)後の実用炉規則令和2年保安規定変更認可処分原子力規制委員会が令和2年2月27日付けで参加人に対してした本件原子炉の保安規定変更認可処分令和2年保安規定変更認可申請令和2年保安規定変更認可処分に係る保安規定変更認可申請令和3年設置変更許可処分等本件設置変更許可処分及び令和 対してした本件原子炉の保安規定変更認可処分令和2年保安規定変更認可申請令和2年保安規定変更認可処分に係る保安規定変更認可申請令和3年設置変更許可処分等本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分令和3年設置変更許可処分原子力規制委員会が令和3年5月19日付けで参加人に対した本件原子炉の設置変更許可処分(乙C52、53)令和3年設置変更許可申請参加人による本件原子炉に係る令和元年9月26日付け設置変更許可申請レシピ推本の地震調査委員会が作成した「震源断層を特定した地震の強振動予測手法」(甲D153、乙D1、90)の総称レシピ(平成21年版) 推本の地震調査委員会が作成した「震源断層を特定した地震の強振動予測手法」平成21年12月21日改訂版(甲D153、乙D90)レシピ(平成29年版) 推本の地震調査委員会が作成した「震源断層を特定した地震の強振動予測手法」平成29年4月27日改訂版(乙D1)劣化状況評価実用炉規則113条2項2号が規定する、延長しようとする期間における運転に伴い生ずる発電用原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価 劣化状況評価書劣化状況評価の結果が記載された書類ロシア等ロシア、ウクライナ及びベラルーシ炉規法核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(特記しないものは、平成29年法律第15号による改正前のもの)炉規令核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令以上 (別紙6)関係法令の定め 第1 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)(特記しない限り、平成29年法律第15号による改正前のもの) 1 1条(目的) (別紙6)関係法令の定め 第1 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)(特記しない限り、平成29年法律第15号による改正前のもの) 1 1条(目的)この法律は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)の精神にのっとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに、原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されるこ とその他の核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制 物資の使用等に関する必要な規制を行い、もつて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 43条の3の5(設置の許可)(1) 1項発電用原子炉を設置しようとする者は、政令で定めるところにより、原子 力規制委員会の許可を受けなければならない。 (2) 2項前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を原子力規制委員会に提出しなければならない。 ア 1号氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 イ 2号使用の目的 ウ 3号発電用原子炉の型式、熱出力及び基数エ 4号発電用原子炉を設置する工場又は事業所の名称及び所在地オ 5号発電用原子炉及びその附属施設(以下「発電用原子炉施設」とい ウ 3号発電用原子炉の型式、熱出力及び基数エ 4号発電用原子炉を設置する工場又は事業所の名称及び所在地オ 5号発電用原子炉及びその附属施設(以下「発電用原子炉施設」という。)の位置、構造及び設備カ 6号発電用原子炉施設の工事計画 キ 7号発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類及びその年間予定使用量ク 8号使用済燃料の処分の方法ケ 9号発電用原子炉施設における放射線の管理に関する事項コ 10号発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の事故が発生した場合 における当該事故に対処するために必要な施設及び体制の整備に関する事項サ 11号(平成29年法律第15号による改正後のもの) 発電用原子炉施設の保安のための業務に係る品質管理に必要な体制の整備に関する事項 3 43条の3の6(許可の基準) (1) 1項原子力規制委員会は、前条1項の許可の申請があった場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。 ア 1号発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。 イ 2号その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。 ウ 3号その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故をいう。中略)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子 炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。 エ 4号発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規 術的能力があること。 エ 4号発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。 オ 5号(平成29年法律第15号による改正後のもの) 前条2項11号 の体制が原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。 (2) 2項略(3) 3項原子力規制委員会は、前条1項の許可をする場合においては、あらかじめ、1項1号に規定する基準の適用について、原子力委員会の意見を聴かなけれ ばならない。 4 43条の3の8(変更の許可及び届出等)(1) 1項(平成29年法律第15号による改正後のもの)43条の3の5第1項の許可を受けた者(以下「発電用原子炉設置者」という。)は、同条2項2号から5号まで又は8号から11号までに掲げる事項 を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない。(ただし書き略)(2) 2項43条の3の6の規定は、前項本文の許可に準用する。 (3) 3~8項略 5 43条の3の9(工事の計画の認可)(平成29年法律第15号による改正前のもの)(1) 1項発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がない ものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発 電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、発電用原子炉施設の一部 電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、発電用原子炉施設の一部が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。 (2) 2項前項の認可を受けた者は、当該認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、当該変更が原子力規制委員会規則で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (3) 3項原子力規制委員会は、前2項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、前2項の認可をしなければならない。 ア 1号その工事の計画が43条の3の5第1項若しくは前条1項の許可を受け たところ又は同条3項若しくは4項前段の規定により届け出たところによるものであること。 イ 2号発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 ウ 3号その者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであること。 (4) 4~6項略 6 43条の3の9(設計及び工事の計画の認可)(平成29年法律第15号によ る改正後のもの)(1) 1項発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発 電用原子炉設置者は、原子 核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発 電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該工事に着手する前に、その設計及び工事の方法その他の工事の計画(以下この節において「設計及び工事の計画」という。)について原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、発電用原子炉施設の一部が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時 的な工事としてするときは、この限りでない。 (2) 2~6項略 7 43条の3の10(工事の計画の届出)(1) 1項発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(前条1項の原子力規制委員会規 則で定めるものに限る。)であって、原子力規制委員会規則で定めるものをしようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その工事の計画を原子力規制委員会に届け出なければならない。その工事の計画の変更(原子力規制委員会規則で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。 (2) 2項前項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から30日を経過した後でなければ、その届出に係る工事を開始してはならない。 (3) 3項原子力規制委員会は、1項の規定による届出のあった工事の計画が前条3 項各号のいずれにも適合していると認めるときは、前項に規定する期間を短 縮することができる。 (4) 4項原子力規制委員会は、1項の規定による届出のあった工事の計画が前条3項各号のいずれかに適合していないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出を受理した日から ことができる。 (4) 4項原子力規制委員会は、1項の規定による届出のあった工事の計画が前条3項各号のいずれかに適合していないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出を受理した日から30日(次項の規定により2項に規定する期 間が延長された場合にあっては、当該延長後の期間)以内に限り、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。 (5) 5項原子力規制委員会は、1項の規定による届出のあった工事の計画が前条3項各号に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、当該審 査が2項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。この場合において、原子力規制委員会は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、当該延長後の期間及び当該延長の理由を通知しなければならない。 (6) 6項 前3項の場合において、43条の3の31第1項の規定により指定を受けた型式の同項に規定する型式設計特定機器は、前条3項2号の技術上の基準に適合しているものとみなす。 8 43条の3の11(使用前検査)(1) 1項 43条の3の9第1項若しくは2項の認可を受けて設置若しくは変更の工事をする発電用原子炉施設又は前条1項の規定による届出をして設置若しくは変更の工事をする発電用原子炉施設(その工事の計画について、同条4項の規定による命令があった場合において同条1項の規定による届出をしていないものを除く。)は、その工事について原子力規制委員会規則で定めるとこ ろにより原子力規制委員会の検査を受け、これに合格した後でなければ、こ れを使用してはならない。ただし、原子力規制委員会規則で定める場合は、この限りでない。 (2) 2項 とこ ろにより原子力規制委員会の検査を受け、これに合格した後でなければ、こ れを使用してはならない。ただし、原子力規制委員会規則で定める場合は、この限りでない。 (2) 2項前項の検査においては、その発電用原子炉施設が次の各号のいずれにも適合しているときは、合格とする。 ア 1号その工事が43条の3の9第1項若しくは2項の認可を受けた工事の計画(同項ただし書の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)又は前条1項の規定による届出をした工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号 43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 9 43条の3の11(使用前事業者検査等)(平成29年法律第15号による改正後のもの)(1) 1項発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、設 置又は変更の工事をする発電用原子炉施設について検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。 (2) 2項前項の検査(次項及び43条の3の24第1項において「使用前事業者検査」という。)においては、その発電用原子炉施設が次の各号のいずれにも適 合していることを確認しなければならない。 ア 1号その工事が43条の3の9第1項若しくは2項の認可を受けた設計及び工事の計画(同項ただし書の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)又は前条1項の規定による届出をした設計及び工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたも のを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号 43条の3の14の技術上の基準に適合するも 計及び工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたも のを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号 43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 (3) 3項発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、使用前事業者検査についての原子力規制検査により発電用原子炉施設が前項各号のいずれにも適合していることについて原子力規制委員会の確認を受けた 後でなければ、その発電用原子炉施設を使用してはならない。ただし、43条の3の9第1項ただし書の工事を行った場合その他原子力規制委員会規則で定める場合は、この限りでない。 10 43条の3の14(発電用原子炉施設の維持)(平成29年法律第15号による改正前のもの) 発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。ただし、第43条の3の33第2項の認可を受けた発電用原子炉については、原子力規制委員会規則で定める場合を除き、この限りでない。 11 43条の3の16(定期安全管理検査) (1) 1項特定発電用原子炉施設(発電の用に供する原子炉、その原子炉を格納するための容器その他の発電用原子炉施設であって原子力規制委員会規則で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を設置する者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、定期に、当該特定発電用原子炉施設について 事業者検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。ただし、43条の3の32第2項の認可を受けた発電用原子炉については、原子力規制委員会規則で定める場合を除き、この限りでない。 (2) 2項前項の検査(以下この条及び43条の3の24 ならない。ただし、43条の3の32第2項の認可を受けた発電用原子炉については、原子力規制委員会規則で定める場合を除き、この限りでない。 (2) 2項前項の検査(以下この条及び43条の3の24において「定期事業者検査」 という。)においては、その特定発電用原子炉施設が43条の3の14の技術 上の基準に適合していることを確認しなければならない。 (3) 3項定期事業者検査を行う特定発電用原子炉施設を設置する者は、当該定期事業者検査の際、特定発電用原子炉施設であって原子力規制委員会規則で定めるものに関し、一定の期間が経過した後に43条の3の14の技術上の基準 に適合しなくなるおそれがある部分があると認めるときは、当該部分が同条の技術上の基準に適合しなくなると見込まれる時期その他の原子力規制委員会規則で定める事項について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、評価を行い、その結果を記録し、これを保存するとともに、原子力規制委員会規則で定める事項については、これを原子力規制委員会に報告しなければ ならない。 (4) 4項定期事業者検査を行う特定発電用原子炉施設を設置する者は、定期事業者検査の実施に係る体制について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会規則で定める時期に、原子力規制委員会が行う審査を 受けなければならない。ただし、43条の3の33第2項の認可を受けた発電用原子炉については、原子力規制委員会規則で定める場合を除き、この限りでない。 (5) 5項前項の審査は、発電用原子炉施設の安全管理を旨として、定期事業者検査 の実施に係る組織、検査の方法、工程管理その他原子力規制委員会規則で定める事項について行う。 (6) 6項43条の3の13第5項及び6 電用原子炉施設の安全管理を旨として、定期事業者検査 の実施に係る組織、検査の方法、工程管理その他原子力規制委員会規則で定める事項について行う。 (6) 6項43条の3の13第5項及び6項の規定は、4項の審査について準用する。 この場合において、同条5項及び6項中「3項」とあるのは、「43条の3の 16第4項」と読み替えるものとする。 12 43条の3の20(許可の取消し等)(平成29年法律第15号による改正後のもの)(1) 1項略(2) 2項原子力規制委員会は、発電用原子炉設置者が次の各号のいずれかに該当す るときは、43条の3の5第1項の許可を取り消し、又は1年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずることができる。 ア 1~4号略イ 5号 43条の3の24第1項若しくは4項の規定に違反し、又は同条3項の規定による命令に違反したとき。 ウ 6~22号略 13 43条の3の22(保安及び特定核燃料物質の防護のために講ずべき措置)(1) 1項発電用原子炉設置者は、次の事項について、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保安のために必要な措置(重大事故が生じた場合における 措置に関する事項を含む。)を講じなければならない。 ア 1号発電用原子炉施設の保全イ 2号発電用原子炉の運転ウ 3号核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄(運搬及び廃棄にあっては、発電用原子炉施設を設置した工場又は 事業所において行われる運搬又は廃棄に限る。次条1項において同じ。)(2) 2項発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において特定核燃料物質を取り扱う場合で政令で定める場合には、原子力規制委員会規 廃棄に限る。次条1項において同じ。)(2) 2項発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において特定核燃料物質を取り扱う場合で政令で定める場合には、原子力規制委員会規則で定めるところにより、防護措置を講じなければならない。 14 43条の3の23(施設の使用の停止等) (1) 1項原子力規制委員会は、発電用原子炉施設の位置、構造若しくは設備が43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと認めるとき、発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は発電用原子炉施設の保全、発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しく は核燃料物質によって汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条1項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは、その発電用原子炉設置者に対し、当該発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。 (2) 2項原子力規制委員会は、防護措置が前条2項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは、発電用原子炉設置者に対し、是正措置等を命ずることができる。 15 43条の3の24(保安規定)(平成29年法律第15号による改正前のも の)(1) 1項発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保安規定(発電用原子炉の運転に関する保安教育、溶接事業者検査及び定期事業者検査についての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め、発電用 原子炉の運転開始前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 (2) 者検査についての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め、発電用 原子炉の運転開始前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 (2) 2項原子力規制委員会は、保安規定が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないと認めるとき は、前項の認可をしてはならない。 (3) 3項原子力規制委員会は、核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止のため必要があると認めるときは、発電用原子炉設置者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。 (4) 4項 発電用原子炉設置者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。 (5) 5項発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、前項の規定の遵守の状況(溶接事業者検査の実施に係る体制その他原子力規制委員会規則で定める事項及び定期事業者検査の実施に係る体制その他原子力 規制委員会規則で定める事項を除く。)について、原子力規制委員会が定期に行う検査を受けなければならない。 (6) 6項12条6項から8項までの規定は、前項の検査について準用する。この場合において、同条6項中「前項」とあるのは、「第43条の3の24第5項」 と読み替えるものとする。 16 43条の3の24(保安規定)(平成29年法律第15号による改正後のもの)(1) 1項発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、保 安規定(発電用原子炉の運転に関する保安教育、使用前事業者検査及び定期事業者検査についての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め、発電用原子炉施設の設置の工事に着手す ところにより、保 安規定(発電用原子炉の運転に関する保安教育、使用前事業者検査及び定期事業者検査についての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め、発電用原子炉施設の設置の工事に着手する前に、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 (2) 2項 原子力規制委員会は、保安規定が次の各号のいずれかに該当すると認める ときは、前項の認可をしてはならない。 ア 1号43条の3の5第1項若しくは43条の3の8第1項の許可を受けたところ又は同条3項若しくは4項前段の規定により届け出たところによるものでないこと。 イ 2号核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないものであること。 (3) 3項原子力規制委員会は、核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された 物又は発電用原子炉による災害の防止のため必要があると認めるときは、発電用原子炉設置者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。 (4) 4項発電用原子炉設置者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。 17 43条の3の32(運転の期間等) (1) 1項発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に43条の3の11第1項の検査に合格した日から起算して40年とする。 (2) 2項 前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り延長することができる。 (3) 3項前項の規定により延長する期間は、20年を超えない期間であって政令で定める期間を超えることができない。 (4) 4項 1回に限り延長することができる。 (3) 3項前項の規定により延長する期間は、20年を超えない期間であって政令で定める期間を超えることができない。 (4) 4項 2項の認可を受けようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会に認可の申請をしなければならない。 (5) 5項原子力規制委員会は、前項の認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の 運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、その2項の規定により延長しようとする期間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合していると認めるときに限り、同項の認可をすることができる。 18 43条の3の32(運転の期間等)(平成29年法律第15号による改正後、 令和5年法律第44号による改正前のもの)(1) 1項発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉について最初に43条の3の11第3項の確認を受けた日から起算して40年とする。 (2) 2項前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り延長することができる。 (3) 3項前項の規定により延長する期間は、20年を超えない期間であって政令で 定める期間を超えることができない。 (4) 4項2項の認可を受けようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会に認可の申請をしなければならない。 (5) 5項 原子力規制委員会は、前項の認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、その2項の規定に ればならない。 (5) 5項 原子力規制委員会は、前項の認可の申請に係る発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、その2項の規定により延長しようとする期間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合していると認めるときに限り、同項の認可をすることができる。 19 57条の8(平成29年法律第15号による改正後のもの)(前略)発電用原子炉設置者(中略)は、この法律の規定に基づき、原子力の研究、開発及び利用(括弧内省略)における安全に関する最新の知見を踏まえつつ、核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害の防止又は特定核燃料物質の防護に関し、原子力施設若しくは核原料物質の使用に係る施設(以下「原 子力施設等」という。)の安全性の向上又は特定核燃料物質の防護の強化に資する設備又は機器の設置、原子力施設等についての検査の適正かつ確実な実施、保安教育の充実その他の必要な措置を講ずる責務を有する。 20 57条の9(前略)発電用原子炉設置者(中略)は、この法律の規定に基づき、原子力 施設における安全に関する最新の知見を踏まえつつ、核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害の防止に関し、原子力施設の安全性の向上に資する設備又は機器の設置、保安教育の充実その他必要な措置を講ずる責務を有する。 21 67条(報告徴収)(1) 1項 原子力規制委員会、国土交通大臣又は都道府県公安委員会は、この法律(括弧内省略)の施行に必要な限度において、原子力事業者等(核原料物質使用者、国際規制物資を使用している者及び国際特定活動実施者を含む。)に対し、64条3項各号に掲げる原子力事業者等の区分(同項各号の当該区分にかかわらず、核原 度において、原子力事業者等(核原料物質使用者、国際規制物資を使用している者及び国際特定活動実施者を含む。)に対し、64条3項各号に掲げる原子力事業者等の区分(同項各号の当該区分にかかわらず、核原料物質使用者、国際規制物資を使用している者及び国際特定活 動実施者については原子力規制委員会とし、59条5項に規定する届出をし た場合については都道府県公安委員会とする。)に応じ、その業務に関し報告をさせることができる。 (2) 2~5項略 22 71条(許可等についての意見等)(1) 1項 原子力規制委員会は、23条1項、23条の2第1項、26条1項、26条の2第1項、39条1項若しくは2項、43条の3の5第1項、43条の3の8第1項若しくは43条の3の25第1項の規定による許可をし、又は第31条1項若しくは43条の3の18第1項の規定による認可をする場合(以下この項において「許可等をする場合」という。)においては、次の各号 に掲げる場合の区分に応じ、あらかじめ、当該各号に定める大臣の意見を聴かなければならない。 ア 1号発電用原子炉に係る許可等をする場合経済産業大臣(試験研究の用に供する原子炉に係る場合にあっては文部科学大臣及び経済産業大臣)イ 2、3号略 (2) 2~6項略 第2 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(炉規令)(令和元年政令第155号による改正前のもの)20条の6 炉規法43条の3の32第3項に規定する政令で定める期間は、20年とする。ただし、設置法附則25条2項の規定の適用を受ける既設発電用原子炉(同条1項に規定する既設発電用原子炉をいう。以下この条において同じ。)については、57年から当該既設発電用原子炉の設置の工事につ る。ただし、設置法附則25条2項の規定の適用を受ける既設発電用原子炉(同条1項に規定する既設発電用原子炉をいう。以下この条において同じ。)については、57年から当該既設発電用原子炉の設置の工事について最初に設置法附則41条の規定による改正前の電気事業法(昭和39年法律第170号)49 条1項の検査に合格した日から起算して設置法附則1条4号に掲げる規定の施 行の日の前日までの期間を控除した期間とする。 第3 原子力規制委員会設置法(設置法)(平成29年法律第15号による改正前のもの) 1 1条(目的) この法律は、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究、開発及び利用(原子力利用)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善か つ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを 含む。)を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 2条(設置) 国家行政組織法(昭和23年法律第120 する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 2条(設置) 国家行政組織法(昭和23年法律第120号)3条2項の規定に基づいて、環境省の外局として、原子力規制委員会を設置する。 3 3条(任務)原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(原 子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規 制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を任務とする。 4 5条(職権の行使)原子力規制委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。 5 6条(組織) (1) 1項原子力規制委員会は、委員長及び委員4人をもって組織する。 (2) 2項委員長は、会務を総理し、原子力規制委員会を代表する。 (3) 3項 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。 6 7条(委員長及び委員の任命)(1) 1項委員長及び委員は、人格が高潔であって、原子力利用における安全の確保 に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。 (2) 2~7項略 7 13条(審議会等)(1) 1項 原子力規制委員会に、次の審議会等を置く。 原子炉安全専門審査会核燃料安全専門審査会(2) 2項前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより原子力規制委員 会に置かれる審議会等 力規制委員会に、次の審議会等を置く。 原子炉安全専門審査会核燃料安全専門審査会(2) 2項前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより原子力規制委員 会に置かれる審議会等は、放射線審議会とする。 8 14条(原子炉安全専門審査会)原子炉安全専門審査会は、原子力規制委員会の指示があった場合において、原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議する。 9 15条(1) 1項 原子炉安全専門審査会は、政令で定める員数以内の審査委員をもって組織する。 (2) 2項審査委員は、学識経験のある者のうちから、原子力規制委員会が任命する。 (3) 3~5項略 10 26条(規則の制定)原子力規制委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、原子力規制委員会規則を制定することができる。 11 27条(原子力規制庁) (1) 1項原子力規制委員会の事務を処理させるため、原子力規制委員会に事務局を置く。 (2) 2項前項の事務局は、原子力規制庁と称する。 (3) 3項原子力規制庁に、事務局長その他の職員を置く。 (4) 4~6項略 12 制定附則6条(政府の措置等)(1) 1項略 (2) 2項 原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととする。ただし、この法律の施行後5年を経過するまでの間において、当該職員の意欲、適性等を勘案して特にやむを得ない 事由があると認められる場合は 事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととする。ただし、この法律の施行後5年を経過するまでの間において、当該職員の意欲、適性等を勘案して特にやむを得ない 事由があると認められる場合は、この限りでない。 (3) 3~8項略(4) 9項原子力事業者は、原子力施設の安全性の確保及び事故の収束につき第一義的責任を有することを深く自覚し、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規 制に関する法律等の規定により講ずることとされる措置のほか、その原子力施設ごとに、当該原子力施設における事故の発生及び当該事故による災害の拡大の防止に関し、万全の危機管理に係る体制を整備するため、一層の自主的な対策を講ずるよう努めるものとする。 第4 実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(設置許可基準規則)(特記しない限り、平成29年原子力規制委員会規則第6号による改正前のもの) 1 3条(設計基準対象施設の地盤)(1) 1項 設計基準対象施設は、次条2項の規定により算定する地震力(設計基準対象施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(以下「耐震重要施設」という。)にあっては、同条3項に規定する基準地震動による地震力を含む。)が作用した場合においても当該設計基準対象施設を十分に支持 することができる地盤に設けなければならない。 (2) 2項耐震重要施設は、変形した場合においてもその安全機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。 (3) 3項耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。 2 4条(地震による損傷の防止)(1) 1項 損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。 (3) 3項耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。 2 4条(地震による損傷の防止)(1) 1項設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。 (2) 2項 前項の地震力は、地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。 (3) 3項耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすお それがある地震による加速度によって作用する地震力(以下「基準地震動による地震力」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。 (4) 4項耐震重要施設は、前項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩 壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。 (5) 5項(平成29年原子力規制委員会規則第13号による改正後のもの)炉心内の燃料被覆材は、基準地震動による地震力に対して放射性物質の閉じ込めの機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。 (6) 6項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの) 兼用キャスクは、次のいずれかの地震力に対して安全機能が損なわれるお それがないものでなければならない。 ア 1号兼用キャスクが地震力により安全機能を損なうかどうかをその設置される位置のいかんにかかわらず判断するために用いる合理的な地震力として原子力規制委員会が別に定めるものイ 2号基準地震動による地震力 (7) 7項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)兼用キ 判断するために用いる合理的な地震力として原子力規制委員会が別に定めるものイ 2号基準地震動による地震力 (7) 7項(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)兼用キャスクは、地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。 3 6条(外部からの衝撃による損傷の防止)(1) 1項 安全施設(兼用キャスクを除く。)は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。 (2) 2項重要安全施設は、当該重要安全施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると 想定される自然現象により当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。 (3) 3~7項略 4 8条(火災による損傷の防止)(1) 1項 設計基準対象施設は、火災により発電用原子炉施設の安全性が損なわれないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)及び消火を行う設備(以下「消火設備」といい、安全施設に属するものに限る。)並びに火災の影響を軽減する機能を有するものでなければならない。 (2) 2項 消火設備(安全施設に属するものに限る。)は、破損、誤作動又は誤操作が起きた場合においても発電用原子炉を安全に停止させるための機能を損なわないものでなければならない。 5 16条(燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設)(1) 1項 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、通常運転時に使用する燃料体又は使用済燃料(以下この条において「燃料体等」という 5 16条(燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設)(1) 1項 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、通常運転時に使用する燃料体又は使用済燃料(以下この条において「燃料体等」という。)の取扱施設(安全施設に係るものに限る。)を設けなければならない。 1~5号略(2) 2項 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、燃料体等の貯蔵施設(安全施設に属するものに限る。以下この項において同じ。)を設けなければならない。 ア 1号(ア) イ燃料体等の落下により燃料体等が破損して放射性物質の放出に より公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合において、放射性物質の放出による公衆への影響を低減するため、燃料貯蔵設備を格納するもの及び放射性物質の放出を低減するものとすること。 (イ) ロ燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものとすること。 (ウ) ハ燃料体等が臨界に達するおそれがないものとすること。 イ 2号使用済燃料の貯蔵施設(使用済燃料を工場等内に貯蔵する乾式キャスク(以下「キャスク」という。)を除く。)にあっては、前号に掲げるもののほか、次に掲げるものであること。 (ア) イ使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するもの とすること。 (イ) ロ貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであって、最終ヒートシンクへ熱を輸送できる設備及びその浄化系を有するものとすること。 (ウ) ハ使用済燃料貯蔵槽(安全施設に属するものに限る。以下この項及び次項において同じ。)から放射性物質を含む水があふれ、又は漏れない ものであって、使用済燃料貯蔵槽から水が漏えいした場合において水の漏えいを検知することができるものとすること る。以下この項及び次項において同じ。)から放射性物質を含む水があふれ、又は漏れない ものであって、使用済燃料貯蔵槽から水が漏えいした場合において水の漏えいを検知することができるものとすること。 (エ) ニ燃料体等の取扱中に想定される燃料体等の落下時及び重量物の落下時においてもその機能が損なわれないものとすること。 (3) 3項 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、使用済燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の放射線量を測定できる設備を設けなければならない。 ア 1号使用済燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の放射線量の異常を検知し、それを原子炉制御室に伝え、又は異常が生じた水位及び 水温を自動的に制御し、並びに放射線量を自動的に抑制することができるものとすること。 イ 2号外部電源が利用できない場合においても温度、水位その他の発電用原子炉施設の状態を示す事項(以下「パラメータ」という。)を監視することができるものとすること。 (4) 4項キャスクを設ける場合には、そのキャスクは、2項1号に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。 ア 1号使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものとすること。 イ 2号使用済燃料の崩壊熱を適切に除去することができるものとするこ と。 ウ 3号使用済燃料が内包する放射性物質を閉じ込めることができ、かつ、その機能を適切に監視することができるものとすること。 6 37条(重大事故等の拡大の防止等)(1) 1項 発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、炉心の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。 (2) 2項発 (1) 1項 発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、炉心の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。 (2) 2項発電用原子炉施設は、重大事故が発生した場合において、原子炉格納容器 の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。 (3) 3項発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、使用済燃料貯蔵槽内の燃料体又は使用済燃料(以下「貯蔵槽内燃料 体等」という。)の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。 (4) 4項発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、運転停止中における発電用原子炉内の燃料体(以下「運転停止中原 子炉内燃料体」という。)の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。 7 38条(重大事故等対処施設の地盤)(1) 1項重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定め る地盤に設けなければならない。 ア 1号重大事故防止設備のうち常設のもの(以下「常設重大事故防止設備」という。)であって、耐震重要施設に属する設計基準事故対処設備が有する機能を代替するもの(以下「常設耐震重要重大事故防止設備」という。)が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設 を十分に支持することができる地盤イ 2号常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を 合においても当該重大事故等対処施設 を十分に支持することができる地盤イ 2号常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 4条2項の規定により算定する地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤 ウ 3号重大事故緩和設備のうち常設のもの(以下「常設重大事故緩和設備」という。)が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤エ 4号特定重大事故等対処施設 4条2項の規定により算定する地震力 が作用した場合及び基準地震動による地震力が作用した場合においても当該特定重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤(2) 2項重大事故等対処施設(前項2号の重大事故等対処施設を除く。次項及び次条2項において同じ。)は、変形した場合においても重大事故等に対処するた めに必要な機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。 (3) 3項重大事故等対処施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。 8 39条(地震による損傷の防止) (1) 1項 重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める要件を満たすものでなければならない。 ア 1号常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能が損なわれる おそれがないものであること。 イ 2号常設耐震重要重大事故防止設 故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能が損なわれる おそれがないものであること。 イ 2号常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 4条2項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができるものであること。 ウ 3号常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。 エ 4号特定重大事故等対処施設第4条第2項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができ、かつ、基準地震動による地震力に対して 重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。 (2) 2項重大事故等対処施設は、4条3項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれる おそれがないものでなければならない。 9 43条(重大事故等対処設備)(1) 1項重大事故等対処設備は、次に掲げるものでなければならない。 ア 1号想定される重大事故等が発生した場合における温度、放射線、荷 重その他の使用条件において、重大事故等に対処するために必要な機能を 有効に発揮するものであること。 イ 2号想定される重大事故等が発生した場合において確実に操作できるものであること。 ウ 3号健全性及び能力を確認するため、発電用原子炉の運転中又は停止中に試験又は検査ができるものであること。 エ 4号本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するた ものであること。 ウ 3号健全性及び能力を確認するため、発電用原子炉の運転中又は停止中に試験又は検査ができるものであること。 エ 4号本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えられる機能を備えるものであること。 オ 5号工場等内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないものであること。 カ 6号想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設 備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。 (2) 2項重大事故等対処設備のうち常設のもの(重大事故等対処設備のうち可搬型 のもの(以下「可搬型重大事故等対処設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要な発電用原子炉施設内の常設の配管、弁、ケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)は、前項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。 ア 1号想定される重大事故等の収束に必要な容量を有するものであること。 イ 2号 2以上の発電用原子炉施設において共用するものでないこと。ただし、2以上の発電用原子炉施設と共用することによって当該2以上の発電用原子炉施設の安全性が向上する場合であって、同一の工場等内の他の 発電用原子炉施設に対して悪影響を及ぼさない場合は、この限りでない。 ウ 3号常設重大事故防止設備は、共通要因によって設計基準事故対処設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。 (3) 3項可搬型重 ウ 3号常設重大事故防止設備は、共通要因によって設計基準事故対処設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。 (3) 3項可搬型重大事故等対処設備に関しては、1項に定めるもののほか、次に掲 げるものでなければならない。 ア 1号想定される重大事故等の収束に必要な容量に加え、十分に余裕のある容量を有するものであること。 イ 2号常設設備(発電用原子炉施設と接続されている設備又は短時間に発電用原子炉施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。) と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、2以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講じたものであること。 ウ 3号常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続する ことができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(原子炉建屋の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けるものであること。 エ 4号想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよ う、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。 オ 5号地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故対処設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる 保管場所に保管すること。 カ 6号想定される重大事故等が発生した 、設計基準事故対処設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる 保管場所に保管すること。 カ 6号想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講じたものであること。 キ 7号重大事故防止設備のうち可搬型のものは、共通要因によって、設計基準事故対処設備の安全機能、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若しくは注 水機能又は常設重大事故防止設備の重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。 10 54条(使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備)(1) 1項 発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能又は注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が低下した場合において貯蔵槽内燃料体等を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。 (2) 2項 発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽からの大量の水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が異常に低下した場合において貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷の進行を緩和し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。 11 55条(工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備) 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損又は貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷に至った場合において工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない。 12 子炉施設には、炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損又は貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷に至った場合において工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない。 12 61条(緊急時対策所)(1) 1項 34条の規定により設置される緊急時対策所は、重大事故等が発生した場 合においても当該重大事故等に対処するための適切な措置が講じられるよう、次に掲げるものでなければならない。 ア 1号重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができるよう、適切な措置を講じたものであること。 イ 2号重大事故等に対処するために必要な指示ができるよう、重大事故 等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けたものであること。 ウ 3号発電用原子炉施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けたものであること。 (2) 2項緊急時対策所は、重大事故等に対処するために必要な数の要員を収容する ことができるものでなければならない。 第5 実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(技術基準規則)(特記しない限り、平成29年原子力規制委員会規則第6号による改正前のもの) 1 4条(設計基準対象施設の地盤) 設計基準対象施設は、設置許可基準規則3条1項の地震力が作用した場合においても当該設計基準対象施設を十分に支持することができる地盤に施設しなければならない。 2 5条(地震による損傷の防止)(1) 1項 設計基準対象施設は、これに作用する地震力(設置許可基準規則4条2項の規定により算定する地震力をいう。)による損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設しなければならない。 (2) 2項耐震 基準対象施設は、これに作用する地震力(設置許可基準規則4条2項の規定により算定する地震力をいう。)による損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設しなければならない。 (2) 2項耐震重要施設(設置許可基準規則3条1項に規定する耐震重要施設をいう。 以下同じ。)は、基準地震動による地震力(設置許可基準規則4条3項に規定 する基準地震動による地震力をいう。以下同じ。)に対してその安全性が損なわれるおそれがないように施設しなければならない。 (3) 3項耐震重要施設が設置許可基準規則4条3項の地震により生ずる斜面の崩壊によりその安全性が損なわれるおそれがないよう、防護措置その他の適切な 措置を講じなければならない。 3 7条(外部からの衝撃による損傷の防止)(平成31年原子力規制委員会規則第4号による改正後のもの)(1) 1項設計基準対象施設(兼用キャスクを除く。)が想定される自然現象(地震及 び津波を除く。)によりその安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。 (2) 2項周辺監視区域に隣接する地域に事業所、鉄道、道路その他の外部からの衝撃が発生するおそれがある要因がある場合には、事業所における火災又は爆 発事故、危険物を搭載した車両、船舶又は航空機の事故その他の敷地及び敷地周辺の状況から想定される事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。以下「人為による事象」という。)により発電用原子炉施設(兼用キャスクを除く。)の安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。 (3) 3項航空機の墜落により発電用原子炉施設(兼用キャスクを除く。)の安全性を損なうおそれがある場合は 安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。 (3) 3項航空機の墜落により発電用原子炉施設(兼用キャスクを除く。)の安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。 (4) 4項 兼用キャスクが設置許可基準規則6条4項又は5項の規定により定める自 然現象によりその安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。 (5) 5項兼用キャスクが設置許可基準規則6条6項又は7項の規定により定める人為による事象によりその安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切 な措置を講じなければならない。 4 11条(火災による損傷の防止)設計基準対象施設が火災によりその安全性が損なわれないよう、次に掲げる措置を講じなければならない。 ア 1号火災の発生を防止するため、次の措置を講ずること。 (ア) イ発火性又は引火性の物質を内包する系統の漏えい防止その他の措置を講ずること。 (イ) ロ安全施設(設置許可基準規則第二条第二項第八号に規定する安全施設をいう。以下同じ。)には、不燃性材料又は難燃性材料を使用すること。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。 a (1) 安全施設に使用する材料が、不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの(以下「代替材料」という。)である場合b (2) 安全施設の機能を確保するために必要な代替材料の使用が技術上困難な場合であって、安全施設における火災に起因して他の安全施設において火災が発生することを防止するための措置が講じられてい る場合(ウ) ハ避雷設備その他の自然現象による火災発生を防止するための設 って、安全施設における火災に起因して他の安全施設において火災が発生することを防止するための措置が講じられてい る場合(ウ) ハ避雷設備その他の自然現象による火災発生を防止するための設備を施設すること。 (エ) ニ水素の供給設備その他の水素が内部に存在する可能性がある設備にあっては、水素の燃焼が起きた場合においても発電用原子炉施設の 安全性を損なわないよう施設すること。 (オ) ホ放射線分解により発生し、蓄積した水素の急速な燃焼によって、発電用原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合には、水素の蓄積を防止する措置を講ずること。 イ 2号火災の感知及び消火のため、次に掲げるところにより、早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)及び早期に消火を 行う設備(以下「消火設備」という。)を施設すること。 (ア) イ火災と同時に発生すると想定される自然現象により、その機能が損なわれることがないこと。 (イ) ロ消火設備にあっては、その損壊、誤作動又は誤操作が起きた場合においても発電用原子炉施設の安全性が損なわれることがないこと。 ウ 3号火災の影響を軽減するため、耐火性能を有する壁の設置その他の延焼を防止するための措置その他の発電用原子炉施設の火災により発電用原子炉を停止する機能が損なわれることがないようにするための措置を講ずること。 5 14条(安全設備) (1) 1項2条2項9号ハ及びホに掲げる安全設備は、当該安全設備を構成する機械又は器具の単一故障(設置許可基準規則12条2項に規定する単一故障をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を 考 置許可基準規則12条2項に規定する単一故障をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を 考慮して、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保するよう、施設しなければならない。 (2) 2項安全設備は、設計基準事故時及び当該事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その機能を発揮することができるよう、施設しなけ ればならない。 6 22条(監視試験片)設計基準対象施設に属する容器であって、1メガ電子ボルト以上の中性子の照射を受けその材料が著しく劣化するおそれがあるものの内部には、当該容器が想定される運転状態において脆性破壊を引き起こさないようにするために、照射の影響を確認できるよう次に定める監視試験片を備えなければならない。 ア 1号監視試験片の材料は、中性子の照射領域にある容器の材料と同等の製造履歴を有するものであること。 イ 2号監視試験片は、容器の使用開始後に取り出して試験を実施することにより、容器の材料の機械的強度及び破壊じん性の変化を確認できる個数とすること。 ウ 3号監視試験片は、中性子の照射領域にある容器の材料が受ける中性子スペクトル、中性子照射量及び温度履歴の条件と同等の条件になるように配置すること。 7 26条(燃料取扱設備及び燃料貯蔵設備)(1) 1項 通常運転時に使用する燃料体又は使用済燃料(以下この条において「燃料体等」という。)を取り扱う設備は、次に定めるところにより施設しなければならない。 ア 1号燃料体等を取り扱う能力を有するものであること。 イ 2号燃料体等が臨界に達するおそれがない構造であること。 ウ 3号 設備は、次に定めるところにより施設しなければならない。 ア 1号燃料体等を取り扱う能力を有するものであること。 イ 2号燃料体等が臨界に達するおそれがない構造であること。 ウ 3号崩壊熱により燃料体等が溶融しないものであること。 エ 4号取扱中に燃料体等が破損しないこと。 オ 5号燃料体等を封入する容器は、取扱中における衝撃、熱その他の容器に加わる負荷に耐え、かつ、容易に破損しないものであること。 カ 6号前号の容器は、内部に燃料体等を入れた場合に、放射線障害を防 止するため、その表面の線量当量率及びその表面から1メートルの距離に おける線量当量率がそれぞれ原子力規制委員会の定める線量当量率を超えないように遮蔽できるものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。 キ燃料体等の取扱中に燃料体等を取り扱うための動力源がなくなった場合に、燃料体等を保持する構造を有する機器を設けることにより燃料体等の 落下を防止できること。 (2) 2項燃料体等を貯蔵する設備は、次に定めるところにより施設しなければならない。 ア 1号燃料体等が臨界に達するおそれがない構造であること。 イ 2号崩壊熱により燃料体等が溶融しないものであること。 ウ 3号燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものであること。 エ 4号使用済燃料その他高放射性の燃料体を貯蔵する水槽(以下「使用済燃料貯蔵槽」という。)は、次に定めるところによること。 (ア) イ放射性物質を含む水があふれ、又は漏れない構造であること。 (イ) ロ使用済燃料その他高放射性の燃料体の放射線を遮蔽するために必要な量の水があること。 (ウ) ハ使用済燃料その他高 (ア) イ放射性物質を含む水があふれ、又は漏れない構造であること。 (イ) ロ使用済燃料その他高放射性の燃料体の放射線を遮蔽するために必要な量の水があること。 (ウ) ハ使用済燃料その他高放射性の燃料体の被覆が著しく腐食するおそれがある場合は、これを防止すること。 (エ) ニ燃料体等の取扱中に想定される燃料体等の落下時及び重量物の落下時においてもその機能が損なわれないこと。 オ 5号燃料体等の落下により燃料体等が破損して放射性物質が放出されることに伴い公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合、放射性物質による敷地外への影響を低減するため、燃料貯蔵設備の格納施設及び放射性 物質の放出を低減する発電用原子炉施設を施設すること。 カ 6号使用済燃料を工場等内に貯蔵する乾式キャスク(以下「キャスク」という。)は、次に定めるところによること。 (ア) イ使用済燃料が内包する放射性物質を閉じ込めることができ、かつ、その機能を適切に監視できること。 (イ) ロ使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有すること。 (ウ) ハ使用済燃料の被覆材の著しい腐食又は変形を防止できること。 (エ) ニキャスク本体その他のキャスクを構成する部材は、使用される温度、放射線、荷重その他の条件に対し、適切な材料及び構造であること。 キ 7号取扱者以外の者がみだりに立ち入らないようにすること。 8 34条(計測装置) (1) 1項発電用原子炉施設には、次に掲げる事項を計測する装置を施設しなければならない。ただし、直接計測することが困難な場合は、当該事項を間接的に測定する装置を施設することをもって、これに代えることができる。 ア 1~13号略 イ 14号使用済燃料その他高放射性 らない。ただし、直接計測することが困難な場合は、当該事項を間接的に測定する装置を施設することをもって、これに代えることができる。 ア 1~13号略 イ 14号使用済燃料その他高放射性の燃料体を貯蔵する水槽の水温及び水位ウ 15号略(2) 2~4項略 9 47条(警報装置等) (1) 1項略(2) 2項発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽の水温の著しい上昇又は使用済燃料貯蔵槽の水位の著しい低下を確実に検知し、自動的に警報する装置を施設しなければならない。ただし、発電用原子炉施設が、使用済燃料貯蔵槽の 水温の著しい上昇又は使用済燃料貯蔵槽の水位の著しい低下に自動的に対処 する機能を有している場合は、この限りでない。 (3) 3~5項略 10 54条(重大事故等対処設備)(1) 1項重大事故等対処設備は、次に定めるところによらなければならない。 ア 1号想定される重大事故等が発生した場合における温度、放射線、荷重その他の使用条件において、重大事故等に対処するために必要な機能を有効に発揮すること。 イ 2号想定される重大事故等が発生した場合において確実に操作できること。 ウ 3号健全性及び能力を確認するため、発電用原子炉の運転中又は停止中に必要な箇所の保守点検(試験及び検査を含む。)ができること。 エ 4号本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えられる機能を備えること。 オ 5号工場等内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないこと。 カ 6号想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、放射線量が高くな オ 5号工場等内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないこと。 カ 6号想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講ずること。 (2) 2項常設重大事故等対処設備は、前項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。 ア 1号想定される重大事故等の収束に必要な容量を有すること。 イ 2号 2以上の発電用原子炉施設において共用しないこと。ただし、2 以上の発電用原子炉施設と共用することによって当該2以上の発電用原子 炉施設の安全性が向上する場合であって、同一の工場等内の他の発電用原子炉施設に対して悪影響を及ぼさない場合は、この限りでない。 ウ 3号常設重大事故防止設備には、共通要因(設置許可基準規則2条2項18号に規定する共通要因をいう。以下同じ。)によって設計基準事故対処設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切 な措置を講ずること。 (3) 3項可搬型重大事故等対処設備に関しては、1項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。 ア 1号想定される重大事故等の収束に必要な容量に加え、十分に余裕の ある容量を有すること。 イ 2号常設設備(発電用原子炉施設と接続されている設備又は短時間に発電用原子炉施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、2以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用すること ができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講ずること。 ウ 3号常設設 該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、2以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用すること ができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講ずること。 ウ 3号常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(原子炉建屋の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けること。 エ 4号想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講ずること。 オ 5号地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突そ の他のテロリズムによる影響、設計基準事故対処設備及び重大事故等対処 設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。 カ 6号想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講ずること。 キ 7号重大事故防止設備のうち可搬型のものには、共通要因によって、設計基準事故対処設備の安全機能、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若しくは注水機能又は常設重大事故防止設備の重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講ずること。 11 69条(使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備)(1) 1項発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能又は注水機能が喪 なわれるおそれがないよう、適切な措置を講ずること。 11 69条(使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備)(1) 1項発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能又は注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が低下した場合において使用済燃料貯蔵槽内の燃料体又は 使用済燃料(以下「貯蔵槽内燃料体等」という。)を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備を施設しなければならない。 (2) 2項発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽からの大量の水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が異常に低下した場合において貯 蔵槽内燃料体等の著しい損傷の進行を緩和し、及び臨界を防止するために必要な設備を施設しなければならない。 第6 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(実用炉規則)(特記しない限り、平成28年原子力規制委員会規則第8号による改正前のもの) 1 3条(発電用原子炉の設置の許可の申請) (1) 1項炉規法43条の3の5第2項の発電用原子炉の設置の許可の申請書の記載については、次の各号によるものとする。(各号略)(2) 2、3項略 2 4条(重大事故) 炉規法43条の3の6第1項3号の原子力規制委員会規則で定める重大な事故は、次に掲げるものとする。 ア 1号炉心の著しい損傷イ 2号核燃料物質貯蔵設備に貯蔵する燃料体又は使用済燃料の著しい損傷 3 69条(品質保証)炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、保安規定に基づき品質保証計画を定め、これに基づき保安活動(78条から90条までに規定する措置を含む。)の計画、実施、評価及び改 )炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、保安規定に基づき品質保証計画を定め、これに基づき保安活動(78条から90条までに規定する措置を含む。)の計画、実施、評価及び改善を行うとともに、品質保証計画の改善を継続して行わなければならない。 4 69条(品質マネジメントシステム)(令和2年原子力規制委員会規則第3号による改正後のもの)炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、炉規法43条の3の5第1項又は43条の3の8第1項の許可を受けたところにより、品質マネジメントシステムに基づき保安活動(78条から90条までに規 定する措置を含む。)の計画、実施、評価及び改善を行うとともに、品質マネジメントシステムの改善を継続して行わなければならない。 5 82条(発電用原子炉施設の経年劣化に関する技術的な評価)(1) 1項炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、運 転を開始した日以後30年を経過していない発電用原子炉に係る発電用原子 炉施設について、発電用原子炉の運転を開始した日以後30年を経過する日までに、原子力規制委員会が定める発電用原子炉施設の安全を確保する上で重要な機器及び構造物(以下「安全上重要な機器等」という。)並びに次に掲げる機器及び構造物の経年劣化に関する技術的な評価を行い、この評価の結果に基づき、10年間に実施すべき当該発電用原子炉施設についての保守管 理に関する方針を策定しなければならない。ただし、動作する機能を有する機器及び構造物に関し、発電用原子炉施設の供用に伴う劣化の状況が的確に把握される箇所については、この限りでない。(各号略)(2) 2項炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設 機器及び構造物に関し、発電用原子炉施設の供用に伴う劣化の状況が的確に把握される箇所については、この限りでない。(各号略)(2) 2項炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、運 転を開始した日以後30年を経過した発電用原子炉(炉規法43条の3の32第2項の規定による認可を受けたものに限る。)に係る発電用原子炉施設について、発電用原子炉の運転を開始した日以後40年を経過する日までに、安全上重要な機器等並びに前項各号に掲げる機器及び構造物の経年劣化に関する技術的な評価を行い、この評価の結果に基づき、炉規法43条の3の3 2第2項の規定による認可を受けた延長する期間が満了する日までの期間において実施すべき当該発電用原子炉施設についての保守管理に関する方針を策定しなければならない。 (3) 3項炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、運 転を開始した日以後40年を経過した発電用原子炉(炉規法43条の3の32第2項の規定による認可を受けたもの(当該認可を受けた延長する期間が10年を超える場合に限る。)に限る。)に係る発電用原子炉施設について、発電用原子炉の運転を開始した日以後50年を経過する日までに、安全上重要な機器等並びに1項各号に掲げる機器及び構造物の経年劣化に関する技術 的な評価を行い、この評価の結果に基づき、炉規法43条の3の32第2項 の規定による認可を受けた延長する期間が満了する日までの期間において実施すべき当該発電用原子炉施設についての保守管理に関する方針を策定しなければならない。 (4) 4項発電用原子炉設置者は、92条1項8号ニの発電用原子炉の運転期間を変 更する場合その他前3項の評価を行うために設定した条件又は評価方法を に関する方針を策定しなければならない。 (4) 4項発電用原子炉設置者は、92条1項8号ニの発電用原子炉の運転期間を変 更する場合その他前3項の評価を行うために設定した条件又は評価方法を変更する場合は、当該評価の見直しを行い、その結果に基づき、前3項の施設管理に関する方針(92条1項18号及び2項2号において「長期施設管理方針」という。)を変更しなければならない。 (5) 5項略 6 83条(設計想定事象、重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子炉施設の保全に関する措置)(令和2年原子力規制委員会規則第3号による改正後のもの)炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、設計想定事象、重大事故等又は大規模損壊に関して、炉規法43条の3の5第1項 又は43条の3の8第1項の許可を受けたところ(炉規法43条の3の34第2項の認可を受けたものにあっては、当該認可を受けたところ)により、次に掲げる発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならない。 (1) 1号次に掲げる事象の区分に応じてそれぞれ次に定める事項を含む発電用原子 炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに、当該計画の実行に必要な要員を配置し、当該計画に従って必要な活動を行わせること。 アイ略イロ火山現象による影響 (ア) (1) 火山現象による影響が発生し、又は発生するおそれがある場合(以 下この号において「火山影響等発生時」という。)における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること。 (イ) (2) (1)に掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関す 設備の機能を維持するための対策に関すること。 (イ) (2) (1)に掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること。 (ウ) (3) (2)に掲げるもののほか、火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること。 ウハ、ニ略(2) 2~4号略 7 84条の2(火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備)(平成29年原子力規制委員会規則第16号による改正後、令和元年原子力規制委員会規則第3号による改正前のもの)炉規法43条の3の22第1項の規定により、発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において、火山現象による影響が発生 し、又は発生するおそれがある場合(以下「火山影響等発生時」という。)における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関し、次に掲げる措置を講じなければならない。 ア 1号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うために必要な計画を策定すること。 イ 2号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うために必要な要員を配置すること。 ウ 3号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う要員に対する訓練に関する措置を講じること。 エ 4号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動 を行うために必要なフィルターその他の資機材を備え付けること。 オ 5号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うために必要な次に掲げる事項を定め、これを要員に守らせるこ に必要なフィルターその他の資機材を備え付けること。 オ 5号火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行うために必要な次に掲げる事項を定め、これを要員に守らせること。 (ア) イ火山影響等発生時における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること。 (イ) ロイに掲げるもののほか、火山影響等発生時における代替電源設備 その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること。 (ウ) ハロに掲げるもののほか、火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること。 カ 6号前各号に掲げるもののほか、火山影響等発生時における発電用原 子炉施設の保全のための活動を行うために必要な体制を整備すること。 キ 7号前各号の措置について定期的に評価を行うとともに、評価の結果に基づき必要な措置を講じること。 8 92条(保安規定)(1) 1項 炉規法43条の3の24第1項の規定による保安規定の認可を受けようとする者は、認可を受けようとする工場又は事業所ごとに、次に掲げる事項について保安規定を定め、これを記載した申請書を提出しなければならない。 ア 1、2号略イ 3号発電用原子炉施設の品質保証に関すること(根本原因分析の方法 及びこれを実施するための体制並びに作業手順書等の保安規定上の位置付けに関することを含む。)ウ 4~16号略エ 17号火災発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること(廃止措置対象施設内に核燃料物質が存在しな い場合を除く。)。 オ 18~24号略カ 25号発電用原子炉施設の保守管理に関すること めの活動を行う体制の整備に関すること(廃止措置対象施設内に核燃料物質が存在しな い場合を除く。)。 オ 18~24号略カ 25号発電用原子炉施設の保守管理に関すること(溶接事業者検査及び定期事業者検査の実施に関すること並びに経年劣化に係る技術的な評価に関すること及び長期保守管理方針を含む。)。 キ 26、27号略 (2) 2項炉規法43条の3の24第1項の規定により保安規定の認可又はその変更の認可を受けようとする者は、次に掲げる場合にあっては、当該各号に定める書類を添えて、申請しなければならない。(各号略)(3) 3~5項略 9 92条(保安規定)(平成29年原子力規制委員会規則第16号による改正後のもの)(1) 1項炉規法43条の3の24第1項の規定による保安規定の認可を受けようとする者は、認可を受けようとする工場又は事業所ごとに、次に掲げる事項に ついて保安規定を定め、これを記載した申請書を提出しなければならない。 ア 1~15号略イ 16号設計想定事象、重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子炉施設の保全に関する措置に関すること。 ウ 21号の2 火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること。 エ 22~28号略(2) 2項本文炉規法43条の3の24第1項の規定により保安規定の認可又はその変更 の認可を受けようとする者は、次に掲げる場合にあっては、当該各号に定め る書類を添えて、申請しなければならない。(各号略)(3) 3項炉規法43条の3の33第2項の認可を受けようとする者は、当該認可の日までに、当該認可を受けようとする廃止措置計画に定められている廃止措置を実施 申請しなければならない。(各号略)(3) 3項炉規法43条の3の33第2項の認可を受けようとする者は、当該認可の日までに、当該認可を受けようとする廃止措置計画に定められている廃止措置を実施するため、炉規法43条の3の24第1項の規定により認可を受け た保安規定について次に掲げる事項を追加し、又は変更した保安規定の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。 ア 1~18号略イ 18号の2 火山影響等発生時における発電用原子炉施設の保全のための活動を行う体制の整備に関すること(廃止措置対象施設内に核燃料物質 が存在しない場合を除く。)。 ウ 19~27号略(4) 4、5項略 10 113条(発電用原子炉の運転の期間の延長に係る認可の申請)(1) 1項 炉規法43条の3の32第4項の規定により同条1項の発電用原子炉を運転することができる期間の延長について認可を受けようとする者は、当該期間の満了前1年以上1年3月以内に次に掲げる事項を記載した申請書を原子力規制委員会に提出しなければならない。(各号略)(2) 2項 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 ア 1号申請に至るまでの間の運転に伴い生じた原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検の結果を記載した書類イ 2号延長しようとする期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を記載した書類 ウ 3号延長しようとする期間における原子炉その他の設備についての保 守管理に関する方針を記載した書類(3) 3項略 11 114条(発電用原子炉の運転の期間の延長に係る認可の基準)炉規法43条の3の32第5項の原子力規制委 の設備についての保 守管理に関する方針を記載した書類(3) 3項略 11 114条(発電用原子炉の運転の期間の延長に係る認可の基準)炉規法43条の3の32第5項の原子力規制委員会規則で定める基準は、延長しようとする期間において、原子炉その他の設備が延長しようとする期間の 運転に伴う劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合するものとする。 第7 実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織の技術基準に関する規則(品質管理基準規則) (平成30年原子力規制委員会規則第6号による改正前のもの)3条(品質管理監督システムに係る要求事項)1項発電用原子炉設置者は、この規則の規定に従って、品質管理監督システムを確立し、実施するとともに、その実効性を維持しなければならない。 第8 原子力基本法 1 1条(目的)この法律は、原子力の研究、開発及び利用(原子力利用)を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、並びに学術の進歩、産業の振興及び地球温暖化の防止を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上 とに寄与することを目的とする。 2 2条(基本方針)(1) 1項原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力 に資するものとする。 (2) 2項前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。 3 2条の2条(国の責務) (1) 1項国は、エネルギーとしての原子 まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。 3 2条の2条(国の責務) (1) 1項国は、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、原子力発電を電源の選択肢の1つとして活用することによる電気の安定供給の確保、我が国における脱炭素社会(括弧内省略)の実現に向けた発電事業における非化石エネルギー源(括弧内省略)の利用の促進及びエネルギーの供給に係る自律性の 向上に資することができるよう、必要な措置を講ずる責務を有する。 (2) 2項国は、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、原子力施設(炉規法2条7項に規定する原子力施設をいう。)の安全性の向上に不断に取り組むこと等によりその安全性を確保することを前提として、原子力事故による災 害の防止に関し万全の措置を講じつつ、原子力施設が立地する地域及び電力の大消費地である都市の住民をはじめとする国民の原子力発電に対する信頼を確保し、その理解と協力を得るために必要な取組並びに地域振興その他の原子力施設が立地する地域の課題の解決に向けた取組を推進する責務を有する。 4 14条(原子炉の建設等の規制)原子炉を建設しようとする者は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。これを改造し、又は移動しようとする者も、同様とする。 第9 核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量 限度等を定める告示(線量限度告示) 1 2条(周辺監視区域外の線量限度)(1) 1項(略)実用炉規則2条2項6号、技術基準規則42条1項(略)の原子力規制委員会の定める線量限度は、次のとおりとする。 ア 1号実効線量については、1 監視区域外の線量限度)(1) 1項(略)実用炉規則2条2項6号、技術基準規則42条1項(略)の原子力規制委員会の定める線量限度は、次のとおりとする。 ア 1号実効線量については、1年間(4月1日を始期とする1年間をいう。以下同じ。)につき1ミリシーベルトイ 2、3号略(2) 2項略 2 8条(周辺監視区域外の濃度限度等) (1) 1項(略)実用炉規則90条4号及び7号、技術基準規則39条1項1号(略)の原子力規制委員会の定める濃度限度(略)は、3月間についての平均濃度について次のとおりとする。 ア 1~5号略 イ 6号外部放射線に被ばくするおそれがあり、かつ、空気中又は水中の放射性物質を吸入摂取又は経口摂取するおそれがある場合にあっては、外部被ばくによる1年間の実効線量の1ミリシーベルトに対する割合と空気中又は水中の放射性物質の濃度のその放射性物質についての空気中又は水中の放射性物質の前各号の濃度に対する割合との和が1となるようなそれ らの放射性物質の濃度(2) 2~4項略 第10 環境基本法 1 1条(目的) この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団 体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 2 2条(定義)3項 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(括弧内省略)、土壌の汚染、騒音、振動、地 (定義)3項 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(括弧内省略)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(括弧内省略)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が 生ずることをいう。 3 8条(事業者の責務)1項事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。 第11 原子力災害対策特別措置法 1 1条(目的)この法律は、原子力災害の特殊性にかんがみ、原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務等、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設 置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特別の措置を定めることにより、炉規法、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)その他原子力災害の防止に関する法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。 2 2条(定義) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 ア 1号原子力災害原子力緊急事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害をいう。 イ 2~12号略 3 15条(原子力緊急事態宣言等)(1) 1項原子力規制委員会は、次のいずれかに該当する場合において、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣 う。 イ 2~12号略 3 15条(原子力緊急事態宣言等)(1) 1項原子力規制委員会は、次のいずれかに該当する場合において、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、その状況に関する必要な情報の報告を行うとともに、次項の規定による公示及び3項の 規定による指示の案を提出しなければならない。 ア 1号 10条1項前段の規定により内閣総理大臣及び原子力規制委員会が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量が、異常な水準の放射線量の基準として政令で定めるもの以上である場合 イ 2号前号に掲げるもののほか、原子力緊急事態の発生を示す事象として政令で定めるものが生じた場合(2) 2項内閣総理大臣は、前項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、原子力緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原子力緊急 事態宣言」という。)をするものとする。 ア 1号緊急事態応急対策を実施すべき区域イ 2号原子力緊急事態の概要ウ 3号前2号に掲げるもののほか、1号に掲げる区域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体(以下「居住者等」という。)に対し周知させ るべき事項 (3) 3項内閣総理大臣は、1項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、前項1号に掲げる区域を管轄する市町村長及び都道府県知事に対し、28条2項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法60条1項及び6項の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の指示を行うべきことそ の他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。 (4) 4項内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言をした後、原子 の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の指示を行うべきことそ の他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。 (4) 4項内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言をした後、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、原子力緊急事態の解除を行う旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原 子力緊急事態解除宣言」という。)をするものとする。 ア 1号原子力災害事後対策を実施すべき区域イ 2号前号に掲げるもののほか、同号に掲げる区域内の居住者等に対し周知させるべき事項 第12 災害対策基本法 1 1条(目的)この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、 災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。 2 3条(国の責務)1項 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国土並びに 国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。 3 4条(都道府県の責務)1項都道府県は、基本理念にのっとり、当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方 公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令 、当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方 公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有する。 4 5条(市町村の責務)1項 市町村は、基本理念にのっとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。 5 63条(市町村長の警戒区域設定権等) (1) 1項災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命 ずることができる。 (2) 2~4項略 第13 原子力の安全に関する条約9条許可を受けた者の責任 締約国は、原子力施設の安全のための主要な責任は関係する許可を受けた 者が負うことを確保するものとし、また、許可を受けた者がその責任を果たすことを確保するため適当な措置をとる。 第14 建築基準法39条(災害危険区域) (1) 1項地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。 (2) 2項災害危険区域内における住居の用に供する 険区域) (1) 1項地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。 (2) 2項災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築 物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。 第15 活動火山対策特別措置法9条(警戒地域以外の地域における警戒避難体制の整備)1項火山の爆発により住民等の生命又は身体に被害が生ずるおそれがあると認 められる地域(警戒地域に該当する地域を除く。以下この条において「準警戒地域」という。)をその区域に含む都道府県の都道府県防災会議及び準警戒地域をその区域に含む市町村の市町村防災会議は、それぞれ都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画において、火山現象の発生及び推移に関する情報の収集及び伝達、避難、救助その他準警戒地域における火山の爆発によ る人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項について定めなければならない。 第16 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律(積立金法)(平成28年法律第40号による改正前のもの) 3条(使用済燃料再処理等積立金) (1) 1項特定実用発電用原子炉設置者は、特定実用発電用原子炉の運転に伴って生ずる使用済燃料の再処理等を適正に実施するため、毎年度、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣が第四項の規定により通知する額(5項の変更の通知があった場合は、その変更後の額)の金銭を使用済燃料再処理 等積立金として積み立てなければならない。 (2) 2項使用済燃料再処理等積立金の積立ては、経済産業省令で定めるところにより、10条1項に規定する資 の変更後の額)の金銭を使用済燃料再処理 等積立金として積み立てなければならない。 (2) 2項使用済燃料再処理等積立金の積立ては、経済産業省令で定めるところにより、10条1項に規定する資金管理法人(次項及び6条において単に「資金管理法人」という。)にしなければならない。 (3) 3項使用済燃料再処理等積立金は、資金管理法人が管理する。 (4) 4~7項略 第17 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(再処理等 拠出金法)(令和5年法律第44号による改正前のもの)4条(拠出金)1項特定実用発電用原子炉設置者は、特定実用発電用原子炉の運転に伴って生ずる使用済燃料の再処理等業務(41条各号に掲げる使用済燃料再処理機構(以下この章において「機構」という。)の業務をいう。)に必要な費用に充てるた め、各年度(毎年4月1日から翌年3月31日までをいう。)、一の機構に対し、拠出金を納付しなければならない。 第18 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法) 1 3条(基本方針) (1) 1項 経済産業大臣は、特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるため、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、これを公表しなければならない。 (2) 2項基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 ア 1号特定放射性廃棄物の最終処分の基本的方向イ 2号概要調査地区、精密調査地区及び最終処分施設建設地(以下「概要調査地区等」という。)の選定に関する事項ウ 3号前号の選定に係る関係住民の理解の増進のための施策に関する事項 エ 4号特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関する 設建設地(以下「概要調査地区等」という。)の選定に関する事項ウ 3号前号の選定に係る関係住民の理解の増進のための施策に関する事項 エ 4号特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関する事項オ 5号特定放射性廃棄物の最終処分に係る技術の開発に関する事項カ 6号特定放射性廃棄物の最終処分に関する国民の理解の増進のための施策に関する事項キ 7号その他特定放射性廃棄物の最終処分に関する重要事項 (3) 3~6項略 2 4条(最終処分計画)(1) 1項経済産業大臣は、基本方針に即して、経済産業省令で定めるところにより、5年ごとに、10年を1期とする特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画 (以下「最終処分計画」という。)を定め、これを公表しなければならない。 (2) 2項最終処分計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 ア 1号発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の量及びその見込み イ 2号前号の特定放射性廃棄物の最終処分を行う時期及びその量並びに これに必要な最終処分施設の規模及び能力に関する事項ウ 3号概要調査地区等の選定及び最終処分施設の設置に関する事項エ 4号特定放射性廃棄物の最終処分の実施の方法に関する事項オ 5号その他特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関し必要な事項(3) 3~7項略 3 6条(概要調査地区の選定)(1) 1項機構は、概要調査地区を選定しようとするときは、最終処分計画及び当該機構の承認実施計画(前条1項前段の規定による承認を受けた実施計画をいい、同項後段の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。 以下同じ。)に従い、次に掲げる事 終処分計画及び当該機構の承認実施計画(前条1項前段の規定による承認を受けた実施計画をいい、同項後段の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。 以下同じ。)に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、文献その他の資料による調査(次項において「文献調査」という。)を行わなければならない。 ア 1号概要調査地区として選定しようとする地区及びその周辺の地域において過去に発生した地震等の自然現象に関する事項イ 2号前号の地区及び地域内に活断層があるときは、その概要に関する 事項ウ 3号その他経済産業省令で定める事項(2) 2、3項略 4 11条(拠出金)1項発電用原子炉設置者は、使用済燃料の再処理(その発電用原子炉の運転に伴 って生じた使用済燃料に係るものに限る。)を行った後に生ずる第一種特定放射性廃棄物及びその輸入した第一種特定放射性廃棄物(2条8項2号に掲げるものに限る。)の第一種最終処分業務(56条1項1号に掲げる機構の業務をいう。以下同じ。)に必要な費用に充てるため、毎年、一の機構に対し、拠出金を納付しなければならない。 5 16条(最終処分の実施) 機構は、発電用原子炉設置者等が11条1項の拠出金(前条1項の規定による督促がされたときは、11条1項の拠出金及び前条5項の延滞金。以下この条及び58条1項において同じ。)又は11条の2第1項の拠出金(前条1項の規定による督促がされたときは、11条の2第1項の拠出金及び前条5項の延滞金。以下この条及び58条1項において同じ。)を納付したときは、最終処分 計画及び当該機構の承認実施計画に従い、5条2項3号の最終処分施設において、11条1項の拠出金又は11条の2第1項の拠出金に係る特定放射性廃棄物の最終処分を行 じ。)を納付したときは、最終処分 計画及び当該機構の承認実施計画に従い、5条2項3号の最終処分施設において、11条1項の拠出金又は11条の2第1項の拠出金に係る特定放射性廃棄物の最終処分を行わなければならない。 以上 (別紙7)当事者の主張の要旨 1 原告適格(争点1)(原告らの主張)(1) 炉規法の目的や、関連法令である原子力基本法の基本方針及び設置法の目 的からすれば、原告らの「生命、健康及び財産」並びに生活する「環境」は法律上保護された利益といえる。原子力災害は、不可逆・甚大という特殊性を有しており、生命、健康の損害は、事後的に回復することは不可能であり、財産の損害は、一般的には事後的な回復も困難とまではいえないものの、原子力災害の場合には、これが根こそぎ奪われる可能性があるという特殊性が あり、環境についても、放射能に汚染されない環境で生活する利益は、地域コミュニティへの帰属意識など人のアイデンティティにも関わるものであり、生命、健康及び財産に解消し尽くせない、人がアイデンティティを保ちながら放射能の不安に脅えずに生活を送るという重要な利益である。そして、原子力災害の場合、利益が害される態様及び程度は、①不可逆・甚大、②広範 囲、③長期継続及び④コミュニティの破壊という極めて特殊で甚だしいものとなる。 (2) チョルノービリ事故後、ロシア等の3国はそれぞれ自国の法律により放射性物質による汚染から国民を守ることとし、被曝線量が年間1mSv(ミリシーベルト)以上と考えられる地域は、被曝線量に応じて移住義務ゾーン又は移 住権利ゾーンとし、また、セシウム137が3万7000ベクレル/㎡を超える地域を汚染地域と定義し、社会経済的な特典を付与した。移住義務ゾーン れる地域は、被曝線量に応じて移住義務ゾーン又は移 住権利ゾーンとし、また、セシウム137が3万7000ベクレル/㎡を超える地域を汚染地域と定義し、社会経済的な特典を付与した。移住義務ゾーンで原子力発電所から最も遠い地点は約300㎞であり、移住権利ゾーンで原子力発電所から最も遠い地点は約600㎞であり、社会経済的な特典が付与される汚染地域(4万ベクレル/㎡以上)は原子力発電所から約1800㎞ (4万ベクレル/㎡以上の汚染地域)の地点である。 福島第一原発事故による汚染状況を見ると、空間線量率年間1mSv を超えた最も遠い地点は原子力発電所から約250㎞、セシウム137汚染が3万7000ベクレル/㎡以上となったのは原子力発電所から約240㎞の地点であり、セシウム134も含むとその距離は約250㎞を超える。幸運にも汚染状況はこの範囲に留まったが、さらに広がる可能性もあった。 (3) ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告は、公衆被ばくの実効線量について年間1mSv を限度とする勧告をしており、炉規法の委任を受けた実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度も、「核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示」(線量限度告示)2条1項1号により、年間1mSv 以下とし ている。この数値は、原子炉設置許可の申請時から、稼働中、汚染された物の廃棄時までを通じて求められるものであり、周辺監視区域においては、居住を禁止され、公衆の立入りが制限されているところ、これは線量限度を超える被ばくから公衆を保護する措置であり、発電用原子炉設置者は、原子炉設置許可取消、運転停止命令、刑罰等により、これを守ることが求められて いる。さらに、放射線障害防止法 、これは線量限度を超える被ばくから公衆を保護する措置であり、発電用原子炉設置者は、原子炉設置許可取消、運転停止命令、刑罰等により、これを守ることが求められて いる。さらに、放射線障害防止法も、公衆の被ばく限度を実効線量年間1mSvとしている。これらの線量限度告示や放射線障害防止法の定めは、1990年勧告を取り入れるべきであるとする放射線審議会の平成10年の意見具申を反映したものである。 なお、ICRPの2007年勧告は、緊急時被ばく状況として年間20~ 100mSv、計画被ばく状況として年間1~20mSv という数値を参考レベルとして提示しているが、参考レベルとは防護活動に関する指標であり、被ばく限度を示す数値ではなく、国内法にも取り入れられていないから、年間1mSv を基準とすべきであることに変わりはない。そして、現時点においては、年間100mSv を下回る線量の被ばくであっても、白血病を含むがんの発症 リスクが科学的に明白に存在し、統計的にも有意な増加が報告されている。 (4) 原告らの居住地は本件原子炉から直線距離で約11㎞~約369㎞の地点にあり、高浜発電所1号機及び2号機において過酷事故が起きた場合の汚染状況に関するH2シミュレーションによれば、高浜発電所1号機及び2号機のうち1機が過酷事故を起こした場合であっても、年間1mSv の地点は高浜発電所1号機及び2号機から3265㎞にも及び、本件原子炉施設から直線 距離で最も遠い原告の居住地であっても年間50mSv の被曝をする可能性があるから、原告らは全て原告適格を有する。 (被告の主張)(1) もんじゅ最高裁平成4年判決は、原子炉施設周辺に居住し、重大な原子炉事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定され 告らは全て原告適格を有する。 (被告の主張)(1) もんじゅ最高裁平成4年判決は、原子炉施設周辺に居住し、重大な原子炉事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定され る範囲の住民の生命、身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当であり、その範囲について、当該原子炉の種類、構造、規模等の当該原子炉に関する具体的な諸条件を考慮に入れた上で、当該住民の居住する地域と原子炉の位置との距離関係を中心として、社会通念に照らし、合理的に判断すべきものとした。この理は、炉規 法の平成24年改正によって変更されるべきものではない。 原告らの中には、東京都や福岡県等の本件原子炉施設から遠方に居住する者が少なからず含まれているところ、原告らの主張は抽象的なものにとどまり、個々の原告らについて、その原告適格を基礎付ける具体的な事実等が何ら主張立証されていない。 (2) 実用炉規則や線量限度告示の定める線量限度年間1mSv や、ロシア等が国内法で安全基準値に採用した年間1mSv は、ICRPの勧告を踏まえたものであるところ、ICRPの勧告は、あらゆる状況で適用されるべき被ばく線量を定めたものではないし、生命、身体等への直接的かつ重大な被害が生じる具体的な基準として定められたものではないから、原告適格を基礎付ける 事情とはなり得ない。我が国の人々は、自然界から受ける放射線により年間 2.1mSv 被ばくしているとされ、世界では年間約10mSv 被ばくしている地域もある。ICRPの2007年勧告は、放射線被ばくによる有害な健康への影響を確定的影響と確率的影響とに分類し、確定的影響については臓器ごとにしきい値が示されているが、いずれも100mSv を超え、 域もある。ICRPの2007年勧告は、放射線被ばくによる有害な健康への影響を確定的影響と確率的影響とに分類し、確定的影響については臓器ごとにしきい値が示されているが、いずれも100mSv を超え、5000mSv から6000mSv に達するものもあるとする。また、がん発生の確率的影響に ついても、少なくとも100mSv を超えない限り、がん発症のリスクが高まるとの確立した知見は得られていない。 (3) 原告らは、H2シミュレーションに基づき高浜発電所1号機又は2号機が過酷事故を起こした場合の被ばく線量を主張するが、原子炉1機からヨウ素131が218京ベクレル、セシウム137が10.7京ベクレル放出され るという現実離れした放出量の根拠は認められず、変換係数を独自に計算したり、独自の近似関数を使うなど、その算出方法には根拠不明な点があり、科学的正当性が認められない。 2 判断枠組み(争点2)(原告らの主張) (1) 原子力発電所の事故は、①万が一の際の事故が、事態の進展とともに収束せずにむしろ拡大していくものであり、②科学技術による知見に限界があり、③事故によって生じる被害が、ⅰ不可逆・甚大性、ⅱ広範囲性、ⅲ長期継続性、ⅳコミュニティ全体の破壊という点で、他の科学技術の利用に伴う事故とは質的に異なる特殊性を有する。 このような特殊性に照らし、本件各処分の取消事由及び無効事由を判断するにあたっては、本件各処分に係る新規制基準の内容に、原告らの指摘するような不合理な点がないこと(基準合理性審査)、及び原子力規制委員会による新規制基準適合性の審査及び判断の過程において、原告らの指摘するような過誤、欠落の存在するおそれがないこと(基準適合性審査)の各点につい て、被告が相当の資料に基づいて立証を尽くさな 会による新規制基準適合性の審査及び判断の過程において、原告らの指摘するような過誤、欠落の存在するおそれがないこと(基準適合性審査)の各点につい て、被告が相当の資料に基づいて立証を尽くさなければならず、これが尽く されない場合には、本件各処分は違法であるとして取消し又は無効確認を認めるべきである。仮にこのような判断枠組みが採用されないとしても、基準適合性審査について、原子力規制委員会の審査及び判断の過程において、看過し難い過誤、欠落が存在するおそれがないことについて被告が立証を尽くす必要があると考えるべきである。この場合、福島第一原発事故後に改正等 された原子力関連法規の趣旨に鑑み、本件原子炉施設において、同事故のような深刻な災害が万が一にも起こらないようにするという観点に照らして十分なものといえない場合には、看過し難い過誤、欠落があるものと考えるべきである。 伊方最高裁判決は、「裁量」という文言は用いないものの、「看過し難い過 誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合」に限って違法と判断すべきと判示し、行政庁の裁量の範囲が広汎であるかのような判断をしているが、福島第一原発事故のような深刻な災害を万が一にも起こさないようにするという原子力関連法規の改正の趣旨からすれば、専門技術的裁量の範囲について極めて限定的に解すべきである。具体的には、 原告らが指摘する科学的に見て一応合理的な知見又は主張について、被告が①合理的でないということを説明するか、又は、②これを考慮してもなお安全性に合理的疑いは残らないということを説明できなければ、行政庁の判断は裁量を濫用・逸脱したものとして違法性を帯びる。そして、原子力発電の持つ潜在的な危険性、事故が起きた場合の被害の特殊性や福島第一 全性に合理的疑いは残らないということを説明できなければ、行政庁の判断は裁量を濫用・逸脱したものとして違法性を帯びる。そして、原子力発電の持つ潜在的な危険性、事故が起きた場合の被害の特殊性や福島第一原発事故 後の法改正の趣旨に照らせば、原子力発電の規制に係る法解釈においては、「疑わしきは安全のために」という基本方針が採用されなければならず、科学に不確実性が存在する場合に、行政庁の判断に「過誤、欠落がな」く、行政庁の判断が不合理とはいえないと評価されるためには、①その時点において利用可能で、信頼されるデータ・情報の全てが検討されていること、②採 用された調査・分析及び予測方法の適切性・信頼性が認められること、③法 の仕組みや趣旨などに照らして必要な権利・法益の全てを比較衡量していること、④その選択・判断のプロセスが意思決定の理由と共に明確に示されていること、⑤全体を通じて判断に恣意性・不合理な契機が認められないこと、⑥事後的に、必要に応じて当初の決定内容を修正・変更する義務が尽くされていることについて、被告はこれら全てを満たしていることを立証すべきで あり、いずれか1つでも満たさない場合には、行政庁の判断の過程に過誤、欠落があると推認すべきである。 さらに、運転期間延長認可処分の司法審査に当たっては、運転期間延長認可処分は原則的に40年に限り稼働が許可される発電用原子炉の例外的な処分行為であり、最長20年という将来的な事項を審査するため不確実性が増 大するとともに、40年前の古い設計に基づく原子炉の運転を延長するものである上、保安規定変更認可における高経年化対策の制度に更に追加された制度であるから、より安全性に妥協を許さない判断がなされなければならない。 (2) 司法審査の対象について 被 るものである上、保安規定変更認可における高経年化対策の制度に更に追加された制度であるから、より安全性に妥協を許さない判断がなされなければならない。 (2) 司法審査の対象について 被告は、設置変更許可処分の取消訴訟における司法審査の対象について、伊方最高裁判決を踏襲し、原子炉の基本設計等の安全性に関わる事項のみが審理の対象となると主張する。しかし、原告らは、本件において、設置変更許可処分のほか、工事計画認可処分等についても取消しを求めており、段階的規制を根拠として審理の対象から外れる部分は存在しない。また、基本設 計と詳細設計の区別は不明確であり、両者は密接に関連し、詳細設計を検討しなければ基本設計について十分な司法審査を行えないものも含まれる上、福島第一原発事故後の新規制基準の下での「再稼働」に関わる審査・検査に関しては、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時期に受け付け、ハード・ソフト両面から一体的に審査を実施することと し、検査は審査後に実施するとされ、さらに、運転期間延長に関わる審査・ 検査においては、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定認可に関連する申請を同時に受け付け、一体的な審査の実施が求められているなど、基本設計と詳細設計の区別は希薄化している。したがって、本件は、再稼働かつ運転期間延長に関わる平成28年各処分の取消しを求めるものであるから、基本設計等に密接に関連した詳細設計部分については、司法審査の対象となる べきである。 (3) 令和2年保安規定変更認可処分の無効確認について原子炉に重大事故が起これば付近住民と環境に深刻かつ甚大な影響及び被害をもたらすから、保安規定変更認可処分の無効確認の訴えについては、原子炉の潜在的危険性の重大さゆえに、違 処分の無効確認について原子炉に重大事故が起これば付近住民と環境に深刻かつ甚大な影響及び被害をもたらすから、保安規定変更認可処分の無効確認の訴えについては、原子炉の潜在的危険性の重大さゆえに、違法の重大性をもって足り、明白性の 要件は不要とすべきである。伊方最高裁判決が、原子炉施設の安全に関する行政庁判断の適否に対する裁判所の審理・判断について、「現在の科学技術水準」に照らして行うべき旨判示していることからしても、処分後の科学技術の進展による新知見によって重大な違法が認められるときに、明白性の要件を要求することは極めて不当である。 (被告の主張)(1) 平成28年各処分の取消訴訟が認容されるためには、当該処分が違法であると認められることが必要である。設置変更許可処分については、炉規法43条の3の8第2項が同法43条の3の6を準用していることから、原子力規制委員会は、設置許可の場合と同様に、同条1項各号の定める基準に適合 していると認めるときに限り、同変更を許可することとなる。そのため、平成28年各処分のうち、本件設置変更許可処分の違法の有無の判断は、設置許可処分の取消訴訟における審理・判断の方法等について判示した伊方最高裁判決が参照されるべきである。また、平成28年各処分のうち、本件工事計画認可処分、本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分の 違法の有無の判断については、その審理対象の点を除き、伊方最高裁判決が 参照されるべきである。 伊方最高裁判決は、原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会又は原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学 ける裁判所の審理、判断は、原子力委員会又は原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、上記調査審 議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が具体的審査基準に適合するとした原子力委員会又は原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁のかかる判断に不合理な点があるものとして、かかる判断に基づく原子炉設置許 可処分は違法になると判示した。伊方最高裁判決の判示は、炉規法等の平成24年改正後も引き続き妥当する。 (2) 発電用原子炉施設に関する炉規法による安全規制は、発電用原子炉施設の設計から運転に至るまでの過程を段階的に区分し、それぞれの段階に応じて規制を設けており、発電用原子炉の設置(変更)許可に係る安全審査は、段 階的安全規制の冒頭に位置付けられ、基本設計等の妥当性を審査、判断するものであるから、原子炉設置(変更)許可処分の取消訴訟の審理、判断の対象となる事項は、基本設計等に関わる事項に限られる。 次に、工事計画認可処分の段階の安全審査においては、当該発電用原子炉施設の具体的な設計や工事方法といった詳細設計の妥当性を審査するもので あって、工事計画認可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となる事項は、詳細設計に関わる事項に限られる。 また、本件保安規定変更認可処分は、発電用原子炉の運転開始前に規制の対象となる一般の保安規定(変更)認可処分とは異なり、運転開始後、長期間が経過して初めて規制対象となる高経年化対策制度の中に位置付けられる 保安規定変 処分は、発電用原子炉の運転開始前に規制の対象となる一般の保安規定(変更)認可処分とは異なり、運転開始後、長期間が経過して初めて規制対象となる高経年化対策制度の中に位置付けられる 保安規定変更認可処分であるところ、高経年化対策に係る保安規定変更認可 処分の審査においては、高経年化技術評価の技術的妥当性や同結果を踏まえて長期保守管理方針が策定されているかを確認することで、保安規定変更認可申請が炉規法43条の3の24第2項に規定する「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上十分でないと認めるとき」に該当するかどうかを審査するものであるから、高経年 化技術評価に係る保安規定変更認可処分に係る取消訴訟において審理、判断の対象となるのは、高経年化技術評価及び長期保守管理方針の妥当性に関わる事項に限られる。 さらに、運転期間延長認可処分の審査は、申請に至るまでの間の運転に伴い生じた発電用原子炉その他の設備の劣化の状況の把握のための点検(特別 点検)が適切に実施され、それを踏まえ、延長しようとする期間における運転に伴い生ずる発電用原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価(劣化状況評価)及び運転しようとする期間における発電用原子炉その他の設備についての保守管理に関する方針(保守管理方針)の策定が適切に実施されていること等を確認することで、実用炉規則114条の規定する認可 の基準への適合性を審査するものであるから、運転期間延長認可処分に係る取消訴訟において審理、判断の対象となるのは、特別点検の結果、劣化状況評価及び保守管理方針の妥当性に関わる事項に限られる。 (3) 平成28年各処分は、いずれも専門技術的判断を要するものであることは明らかであり、司法審査に当たって なるのは、特別点検の結果、劣化状況評価及び保守管理方針の妥当性に関わる事項に限られる。 (3) 平成28年各処分は、いずれも専門技術的判断を要するものであることは明らかであり、司法審査に当たっては、裁判所が白紙の状態から当該原子炉 が安全か否かを審理、判断する実体的判断代置方式によるべきではなく、原子力規制委員会が当該原子炉施設の位置、構造及び設備が原子炉等による災害の防止上支障がないものであること等を認めた専門技術的判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきである。 そして、伊方最高裁判決の「調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、 欠落があ」る場合とは、原子力規制委員会の審査及び判断の過程に、認定評 価の誤りがあったり、考慮すべき事項が考慮されなかったりした結果、当該原子炉施設の基本設計等において、深刻な災害を引き起こす事態を防止するために必要な防護措置、安全対策が講じられていないにもかかわらず、これが見過ごされ、その基本設計どおりの発電用原子炉施設を将来設置し、運転させた場合には、重大な原子炉事故等が起こる可能性が高いと認定判断され る場合をいうと解すべきである。 伊方最高裁判決の「現在の科学技術水準に照らし」の意味について、処分後、事実審の口頭弁論終結時までの間に、新たな科学的経験則が明らかとなり、裁判所がそれを認識するに至った場合は、事実認定やその評価に当たり、それを基準に判断することも許されるというべきであるが、ある科学的知見 が単なる仮説を超えた科学的経験則と認識されるには、当該科学的知見が事実の存在を高度の蓋然性をもって証明するに足りる程度の確立した内容のものであることが必要である。設置法1条も、「確立された国際的な基準」を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るた 科学的知見が事実の存在を高度の蓋然性をもって証明するに足りる程度の確立した内容のものであることが必要である。設置法1条も、「確立された国際的な基準」を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定することを目的とする旨規定しているから、裁判において用いることができる科学的 経験則は、当該科学的知見が確立された国際的な基準となり得るだけの確実性、普遍性を持った科学的知見と認められることが必要である。 以上のことは、平成28年各処分の取消訴訟はもとより、令和3年設置変更許可処分の取消訴訟についても同様である。 (4) 令和2年保安規定変更認可処分の無効確認については、いわば時機に後れ た取消訴訟であり、出訴期間内に取消訴訟を提起すべきであった者について取消訴訟の排他的管轄に服さずに訴えを提起できるという特権を享受しうる地位を与えるかどうかが問題となるから、重大かつ明白な違法であることが要件となる。そして、重大性については、行為に内在する瑕疵が重要な法律違反であることをいい、処分の瑕疵によりもたらされる結果の重大性とは区 別されなければならない。また、明白性については、処分によって侵害され た国民の権利保護の要請と、行政の安定及び行政処分の存在に対する第三者の信頼の保護との利益衡量の見地から必要とされるものであるところ、保安規定変更認可は、これを受けた者に対する授益処分であり、原子炉施設を運営管理するために必要な人員の配置や管理方針を策定した当該処分の名宛人自身はもとより、原子炉施設の運営に関わる多数の利害関係人の利害が関わ るから、明白性を不要とすべき事情は認められず、明白性の要件が必要である。 3 地震に関する争点(争点3)(1) 地震規模を示す経験式のばらつきの考慮のなさ(本 数の利害関係人の利害が関わ るから、明白性を不要とすべき事情は認められず、明白性の要件が必要である。 3 地震に関する争点(争点3)(1) 地震規模を示す経験式のばらつきの考慮のなさ(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(1)) (原告らの主張)ア地震規模を設定するに当たって用いられる「地震規模を設定する経験式」に当たる松田式及び入倉・三宅式等は、断層の長さ又は面積と地震規模を関連付ける経験式であるが、各基礎となった観測データにばらつきがあり、また、これらの経験式はあくまで断層から発生する地震の平均像を示すも のにすぎないから、各式によって地震規模を予測する場合には誤差が生じる。地震ガイドⅠ.3.2.3(2)の第2文及び地質ガイドⅠ.4.4.2(5)の第2文が規定する「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」との条項(本件ばらつき条項)は、これらのばらつき(誤差)を考慮し、予 測値(平均値)にばらつきを定量的に上乗せすることを要求しているものと解されるところ、本件適合性審査において、そのようなことはされていないから、明らかに必要な考慮を怠っており、本件適合性審査には過誤、欠落がある。 イ東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波等に係る知見並びに福島第一 原発事故の教訓を踏まえ、原子力安全基準・指針専門部会の下に設置され た地震等検討小委員会において、合計20回の会合における地震や地質等の専門家の審議による取りまとめを踏まえた上、原子力規制委員会に設置された地震等基準検討チームにおいて、合計13回の会合における地震や地質等の専門家の審議の結果が結実したのは、地震ガイドや地質ガイドの方であり、設置許可基準規則解釈 まえた上、原子力規制委員会に設置された地震等基準検討チームにおいて、合計13回の会合における地震や地質等の専門家の審議の結果が結実したのは、地震ガイドや地質ガイドの方であり、設置許可基準規則解釈の別記2はこれらガイドの規定を原子力 規制委員会(又は原子力規制庁)において要約又は抜粋したものと解される。かかる策定過程を踏まえても、地震ガイド等は設置許可基準規則解釈の別記2と同等の重みを持つべきものであり、特段の合理的な理由がない限り、地震ガイドの規定に反する審査には過誤、欠落があることが推認されるというべきである。 そして、本件ばらつき条項は、原子力安全委員会の「発電用原子炉施設の耐震安全性に対する安全審査の手引き」を改訂して新たに設けられた規定であり、当該規定の原案を作成する過程において、J4委員が同じ想定域からマグニチュードがより大きな地震が発生する可能性があると指摘していること、J2主査が経験式と経験式の不確かさを考慮することが必 要であると指摘していること、これらの意見について特段異論は出ていないこと等を踏まえると、本件ばらつき条項には、経験式の適用範囲の妥当性を確認するのではなく、経験式によって算出される平均値よりも大きい方向にかい離する可能性を考慮して地震規模を設定することを求めるという積極的な意味が込められていたことは明らかである。 ウ万が一にも深刻な事故を起こしてはいけない原子力発電所の基準地震動の設定においては、想定される最大規模の地震を考慮すべきであり、経験式から導かれる平均的な値をそのまま用いるのでは不足していることは明らかである。ばらつきを定量的に上乗せすることは、法的な価値判断の観点から保守的に地震規模を設定することになり、経験式の科学的意義を失 わせることにはならない 用いるのでは不足していることは明らかである。ばらつきを定量的に上乗せすることは、法的な価値判断の観点から保守的に地震規模を設定することになり、経験式の科学的意義を失 わせることにはならない。専門家等も、経験式が有するばらつきを考慮す る必要性や最大の地震動を想定して基準地震動を策定すべきであると指摘している。 (被告の主張)ア原子力規制委員会が行う原子炉設置(変更)許可の適合性審査は、炉規法が委任する設置許可基準規則及び同規則を具体化した設置許可基準規則解 釈との整合性を判断することによって行われるべきであるところ、経験式におけるばらつきの考慮については、設置許可基準規則4条3項所定の「耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないもの」及び当該部分の設置許可基準規則解釈との整 合性が問題となる。 イ設置許可基準規則及び同規則解釈は、基準地震動の策定過程において、各種の不確かさを考慮することは要求しているが、経験式のばらつきの考慮は一切要求しておらず、これを地震ガイドが特段の理由なく要求しているとは解されない。本件ばらつき条項は、経験式を用いて地震規模を設定 する場合に、当該地域の地質調査の結果等を踏まえて設定される震源断層に当該経験式を適用することの適否(適用範囲)を確認する際の留意点として、当該経験式とその前提とされた観測データ(データセット)との間のかい離の度合いを踏まえる必要があることを意味するものであり、いわば当然のことを確認的に規定したものである。地震ガイドを作成した原子 力規制委員会も、本件ばらつき条項について、地震ガイドの経験式の適用に係る規定としては初出と ことを意味するものであり、いわば当然のことを確認的に規定したものである。地震ガイドを作成した原子 力規制委員会も、本件ばらつき条項について、地震ガイドの経験式の適用に係る規定としては初出となるから、確認的に、当該経験式の適用範囲を確認する際の留意点を記載したものである旨を示している。 加えて、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動の評価においては、保守的な基本震源モデルが設定されていることから、地震規模の設定に際 して経験式で求めた値をそのまま用いたとしても、全くの平均的な値が評 価されるものではなく、保守的な値が評価されることとなる。 ウ地震ガイドは、審査官が基準地震動の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的として定められた内規であるから、法令である設置許可基準規則等とは異なり、審査官を拘束するものではない。基準地震動策定に関する本件適合性審査においては、設置許可基準規則解釈の別記2の規 定への適合性を確認しているのであり、地震ガイドの規定への適合性を確認しているのではない。仮に、地震ガイドの形式的な定めを原告らの主張どおりに解釈すべきとの前提に立ったとしても、その解釈を前提とした地震ガイドは本件適合性審査で用いられていないことになるので、伊方最高裁判決のいう「調査審議において用いられた具体的審査基準」には当たら ないから、具体的審査基準の合理性としては、司法審査の対象とはならない。そして、そのような上乗せをしなければ基準地震動の策定が過小になるといった合理性のある科学的、専門技術的知見は見当たらない以上、経験式が有するばらつきを定量的に考慮すべきとの主張は、本件適合性審査自体の合理性を左右するものではない。 (2) レシピの(ア)法のみならず(イ)法を用いるべきこと(本件設 たらない以上、経験式が有するばらつきを定量的に考慮すべきとの主張は、本件適合性審査自体の合理性を左右するものではない。 (2) レシピの(ア)法のみならず(イ)法を用いるべきこと(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(2))(原告らの主張)ア地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①1)には、「断層モデルを用いた手法」につき、震源断層のパラメータは、推本の地震調査委員会によるレシピ等 の最新の研究成果を考慮し設定されていることを確認すると規定されているところ、レシピは、平成20年4月11日付けの改訂版から、入倉・三宅式によって地震規模を推定する「(ア) 過去の地震記録などに基づき震源断層を推定する場合や詳細な調査結果に基づき震源断層を推定する場合」((ア)法)に加え、松田式等によって地震規模を推定し、それに入倉・三宅 式を適用して震源断層面積を推定する「(イ) 地表の活断層の情報をもとに 簡便化した方法で震源断層を推定する場合」((イ)法)という、2つの手法の併記という形となっていた。地表の活断層よりも長い震源断層モデルが過去の地震記録などによって明らかになっている場合や、低角の断層である等の理由により震源断層幅の設定が特に広くなっている場合を除けば、基本的に(ア)法よりも(イ)法の方が地震規模や震源断層を大きく設定するこ とになる。レシピ1.1の冒頭部分には、「活断層で発生する地震を想定する場合には、変動地形調査や地表トレンチ調査による過去の活動の痕跡のみから特性化震源モデルを設定しなければならないため、海溝型地震の場合と比較してモデルの不確定性が大きくなる傾向がある。このため、そうした不確定性を考慮して、複数の特性化震源モデルを想定することが望ま しい」と記載されている。 2016年 、海溝型地震の場合と比較してモデルの不確定性が大きくなる傾向がある。このため、そうした不確定性を考慮して、複数の特性化震源モデルを想定することが望ま しい」と記載されている。 2016年熊本地震等の知見を踏まえて、推本の地震調査委員会の強震動評価部会及び同部会強震動予測手法検討分科会において、同部会長兼同分科会主査のJ5から、(ア)法よりも(イ)法の方が安定的である可能性が高い等の問題提起があり、レシピの修正へ向けた議論が行われ、平成28年 12月9日付けでレシピは修正された。このレシピの修正は、詳細な活断層調査をすれば(ア)法だけを用いればよいということではなく、特に現象のばらつきや不確定性の考慮が必要な場合には、その点に十分留意して、(ア)法だけでなく併せて(イ)法についても計算結果を吟味・判断した上で震源断層を設定すべきという点を注意喚起する趣旨である。 本件適合性審査においては、かかるレシピの趣旨を誤解し、「断層モデルを用いた手法」では、単に(ア)法に依拠するだけで、(イ)法による計算結果を吟味・判断していないから、本件適合性審査に過誤、欠落がある。 イ入倉・三宅式は余震分布等に基づく断層パラメータに整合することを意識して作られた経験式であり、震源インバージョン解析の手法に基づく震 源断層面積Sもデータベースに入っているようであるが、非常に少ない。 現在の知見では活断層調査を尽くしたとしても、地震発生後に震源インバージョンによって求められるような震源断層を、地震発生前に的確に推定する手法が存在しないため、過小評価となるおそれがあり、地震の専門家等もこれを指摘している。震源断層を保守的に評価したはずであっても後に過小評価となることは、2016年熊本地震の実例からもわかる。 さ 存在しないため、過小評価となるおそれがあり、地震の専門家等もこれを指摘している。震源断層を保守的に評価したはずであっても後に過小評価となることは、2016年熊本地震の実例からもわかる。 さらに、推本の中間報告は、2016年熊本地震について、その発生後の調査で確認された地表地震断層の長さや一連の地震活動の分布等に基づいて震源断層モデルの長さや幅を決め、レシピの(ア)法に従って初期震源断層モデルを設定したが、長さ約34㎞、幅約17㎞とされ、震源インバージョンにおける震源断層の長さ約47㎞、震源断層の幅19.8㎞よ りも過小評価となっている。この結果からしても、(ア)法には地震動を過小評価するおそれがあり、ばらつきを考慮する(イ)法を用いる等の方法により、地震モーメントが過小評価にならないようにすべきである。 (被告の主張)アレシピは、もともと(ア)法のみから構成されていたところ、全国の断層帯 を評価対象とすることとなり、必ずしも情報が十分ではない断層帯も評価する必要が生じたこと等から、後に(イ)法が新設されたものであるが、レシピの改訂に係る議論をした推本の地震調査委員会強振動評価部会強振動予測手法検討分科会の委員であったJ3は、作業効率の観点等から(イ)法が付け加えられたにすぎないので、レシピにおける(ア)法の評価手法や位置 付けは現在も変わっていないとレシピの解説書(乙D61)において明確に述べている。レシピ冒頭の「不確定性を考慮して、複数の特性化震源モデルを想定することが望ましい」という記載は、それに続いてアスペリティ位置や破壊開始点を変えて設定することにより複数ケースを想定して評価することが具体的な例として紹介されている一方、(ア)法や(イ)法の適用 に関する説明はなく、(ア)法や(イ)法が記 ペリティ位置や破壊開始点を変えて設定することにより複数ケースを想定して評価することが具体的な例として紹介されている一方、(ア)法や(イ)法の適用 に関する説明はなく、(ア)法や(イ)法が記載されている巨視的震源特性につ いて複数モデルの設定を求めているものではないから、(ア)法及び(イ)法の併用を要求する趣旨ではない。 イ入倉・三宅式は、余震分布や活断層情報、一部は測地学的データから求められたWellsandCoppersmith(1994)の断層パラメータのうちの地下の震源断層面積Sのデータも多く用いて、これと地震モーメントM0との関 係を示した式であり、震源インバージョンの手法を前提としているものではないが、2016年熊本地震を始めとする近年の地震の震源インバージョンのデータと概ね一致している。また、原告らは、活断層調査を尽くしたとしても、地震発生後に震源インバージョンによって求められるような震源断層を的確に推定し得ないと主張するが、基準地震動の策定において は原子炉施設のある地域の地質状況等を踏まえた保守的な震源断層モデルが設定されていれば十分であり、設定した震源断層面積が将来起きる地震の震源断層面積と一致している必要はない。 ウ中間報告は、2016年熊本地震について、同地震後に得られた知見である地表地震断層の長さ34㎞を地中の震源断層の長さと設定し、(ア)法 による強震動評価をしたところ、地震モーメントが観測値の半分程度となり、最大速度(PGV)の計算値は全体的に過小評価となったが、観測記録を基にした震源インバージョンの結果を参考に震源断層長さを46~52㎞と変更し、(ア)法による強震動評価をしたところ、観測値の再現性が向上したと報告する。したがって、強震動評価において過小評価と 録を基にした震源インバージョンの結果を参考に震源断層長さを46~52㎞と変更し、(ア)法による強震動評価をしたところ、観測値の再現性が向上したと報告する。したがって、強震動評価において過小評価となる原因 は、震源断層長さの設定にあり、(ア)法を用いたことにあるわけではない。 また、中間報告は、レシピの高度化にあたって飽くまで2016年熊本地震の事例解析である点を考慮し、標準的な強震動予測手法としての妥当性は改めて検討する必要がある旨を指摘するにとどめており、(ア)法を用いたために過小評価になったことや(イ)法等を用いるべきであるという指摘 は一切していない。 (3) アスペリティ応力降下量(短周期の地震動レベル)の設定(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(3))(原告らの主張)ア設置許可基準規則(別記2)4条5項2号⑤及び地震ガイドⅠ.3.3. 3(2)は、アスペリティ応力降下量のような支配的パラメータについて の不確かさの適切な評価を規定している上、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2)は、「アスペリティの応力降下量(短周期レベル) については、新潟県中越沖地震を踏まえて設定されていることを確認する」と規定するところ、原子力安全・保安院における地震・津波に関する意見聴取会では、従来のようにアスペリティ応力降下量(短周期レベル)1.5倍でよいの かという問題が度々話題に上った。その際、J8委員は、新潟県中越沖地震の25MPa が意味を持つとして、応力降下量を25MPa の絶対値とする問題提起をし、原子力安全・保安院も20MPa か25MPa かについて引き続き検討する旨述べていたが、本件適合性審査では、新潟県中越沖地震のアスペリティ応力降下量25MPa が検討された形跡がない。 原子力安全・保安院も20MPa か25MPa かについて引き続き検討する旨述べていたが、本件適合性審査では、新潟県中越沖地震のアスペリティ応力降下量25MPa が検討された形跡がない。 また、東京電力が平成20年5月22日付けで提出した報告書によると、新潟県中越沖地震の際の短周期レベルは、壇ほか(2001)の経験式(壇ほか式)の1.56倍~1.78倍とされている。本件原子炉施設周辺においては、新潟県中越沖地震よりも短周期レベルが低くなることを明確に示すデータは得られていないのであり、壇ほか式のデータセットの中でも、短 周期レベルが2倍の線を越えてばらついているものはいくつもあるから、少なくとも上記のモデルのうち最大値である1.8倍、できれば余裕を上乗せして2倍程度を要求すべきである。しかし、本件適合性審査においては、原子力安全・保安院のときと同じく1.5倍の適用で据え置かれており、何ら再検討された形跡がない。 イまた、上記東京電力の報告書では、新潟県中越沖地震のアスペリティ応 力降下量は19.91~25.47MPa とされているところ、参加人が採用しているアスペリティ応力降下量12.2~14.1MPa という数値は、レシピ及び入倉(2004)で検証が必要とされつつも、レシピでは既往の調査・研究成果とおおよそ対応する数値とされた約14.4MPa より小さく、平均値としても地震学的な根拠が不十分である。これを1.5倍しても2 1.15MPa にとどまり、これでは、新潟県中越沖地震を踏まえたアスペリティ応力降下量の設定とは到底いえないよって、本件適合性審査は上記審査基準(地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2))を適切に踏まえたものとはいえない。 (被告の主張) ア参加人は、短周期レベ 力降下量の設定とは到底いえないよって、本件適合性審査は上記審査基準(地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2))を適切に踏まえたものとはいえない。 (被告の主張) ア参加人は、短周期レベルについては、レシピに示された壇ほか式で求められる短周期レベルを基本ケースとし、新潟県中越沖地震の知見を反映してこれを1.5倍した値を不確かさ考慮ケースとして設定しているところ(乙D20・52、83頁)、本件原子炉施設周辺においては、壇ほか式で求められる平均的・標準的な数値よりも短周期レベルが大きくなる地域性 が存する可能性を示すデータは特段得られていないのであるから、同式による短周期レベルを基本ケースとすることは妥当であり、さらに不確かさ考慮として新潟県中越沖地震の知見を反映して1.5倍した評価は、妥当である。 イ原告らが指摘する報告書(甲D171)は、新潟県中越沖地震後の平成 20年5月22日に東京電力が同地震の評価結果をまとめたものであるところ、同月29日に開催された原子力安全委員会耐震安全性評価特別委員会第4回において旧原子力安全・保安院が示した資料では、上記東京電力がまとめた評価結果、同月22日に独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)がまとめた評価結果のいずれも、短周期レベル(応力降下量)は 壇ほか式の「約1.5倍」であるとされている(乙D62の添付資料1・ 3頁、添付資料2・1頁)。 また、東京電力は、平成28年9月30日に開催された東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉についての新規制基準適合性審査の中で、新潟県中越沖地震の短周期レベルについて、後の知見も踏まえるなどして検討した結果からすれば、ばらつきは認められるものの、その平均は 壇ほか式の1.3倍程度であり、不確かさの考慮 合性審査の中で、新潟県中越沖地震の短周期レベルについて、後の知見も踏まえるなどして検討した結果からすれば、ばらつきは認められるものの、その平均は 壇ほか式の1.3倍程度であり、不確かさの考慮として1.5倍を見込むことは妥当であると考えられる旨を説明し(乙C26・133頁)、この点を踏まえて基準地震動の策定をしており、これを前提として、原子力規制委員会は、平成29年12月27日に同発電所の設置変更許可処分をしている。 したがって、参加人が短周期の地震動レベルを壇ほか式の1.5倍としたことについては、平成20年5月当時の東京電力及びJNESの評価結果並びにその後の柏崎刈羽発電所6号炉及び7号炉についての新規制基準適合性審査の中で示された別の評価結果を踏まえても妥当なものであり、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)①2)の記載に照らして不十分であ るとはいえない。 ウまた、新潟県中越沖地震から得られた知見は、前述したとおり、壇ほか式で求められる短周期レベルの値につき、不確かさの考慮として1.5倍とすべきであるということであって、この知見を反映させれば新潟県中越沖地震を踏まえているといえるのであり、さらに、当該知見を踏まえて算出 される値は個々の原子力発電所の敷地ごとの事情によって当然異なるものであるから、必ずしも新潟県中越沖地震における25.47MPa を上回らなければならないというものでもない。 エ以上のとおり、アスペリティ応力降下量(短周期レベル)に係る参加人の評価を妥当とした原子力規制委員会の判断の過程に看過し難い過誤、欠 落があるとはいえない。 (4) 繰り返しの揺れの想定が欠如していること(争点3-(4))ア繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性(平成28 難い過誤、欠 落があるとはいえない。 (4) 繰り返しの揺れの想定が欠如していること(争点3-(4))ア繰り返しの揺れの想定が欠如した具体的審査基準の不合理性(平成28年各処分関係)(争点3-(4)-ア)(原告らの主張)(ア) 設置許可基準規則4条1項は、「設計基準対象施設は、地震力に十分耐 えることができるものでなければならない。」とし、設置許可基準規則解釈の別記2の1項は、「1 第4条第1項に規定する「地震力に十分に耐える」とは、ある地震力に対して施設全体としておおむね弾性範囲の設計がなされていることをいう。この場合、上記の「弾性範囲の設計」とは、施設を弾性体とみなして応力解析を行い、施設各部の応力を許容限 界以下に留めることをいう。また、この場合、上記の「許容限界」とは、必ずしも厳密な許容限界ではなく、局部的に弾性限界を超える場合を容認しつつも施設全体としておおむね弾性範囲に留まり得ることをいう。」としており、設置許可基準規則及び同規則解釈は、弾性限界を超え、塑性ひずみが生じ得る場合を容認している。 また、設置許可基準規則4条3項は、「耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(基準地震動による地震力)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」とし、設置許可基準規則解釈の別記2の6項は、基準地震動に対する設計基準対象施設の 設計に当たっては、「機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること。なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみ 時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること。なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に 十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。」 と規定し、基準地震動による地震力のみが考慮されており、基準地震動に匹敵する強い前震や余震が発生した場合についての考慮はされていない。 (イ) 東北地方太平洋沖地震の発生後、東日本を中心に多くの誘発地震や余震が発生し、特に平成23年4月7日に発生した宮城県沖地震(震源の 深さ61㎞、M7.1 )の際には、女川発電所で基準地震動を超過する揺れが観測され、同発電所では1か月足らずの間に2度も基準地震動を超過した。繰り返しの地震動による影響については、それまで想定されていなかったことから、原子力安全委員会に設けられた地震等検討小委員会でも議論となったが、今後の検討課題とされたまま、具体的審査基 準に反映されることはなかった。内陸地殻内地震である2016年熊本地震においても、同じ地域で立て続けに震度7の激しい揺れが観測された。本件原子炉施設の敷地浅部には、S波速度0.5㎞/s と評価される軟弱地盤がある可能性があり、2016年熊本地震の例が参考にならないということはない。 (ウ) したがって、本件原子炉施設において、基準地震動を超過する地震動が発生した場合に、それと間を置かず同等の揺れが襲う可能性は否定できない。原子力発電所に求められる安全性のレベルからすれば、そのような繰り返しの揺れは基準地震動として想定して然るべきである。しかしながら、この点を想定した具体的審査基準は 揺れが襲う可能性は否定できない。原子力発電所に求められる安全性のレベルからすれば、そのような繰り返しの揺れは基準地震動として想定して然るべきである。しかしながら、この点を想定した具体的審査基準はなく、その内容には欠落 があり不合理である。 (被告の主張)(ア) 発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震設計に当たっては、基準地震動と弾性設計用地震動という2つの地震動を策定した上で、基準地震動による地震力に対して安全機能を保持できるものであることを求め るとともに、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力のいずれか 大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態にとどまる範囲で耐えることなどを求めている。これらの耐震設計上求められる地震力の算定方法を総合すると、基準地震動は、合理性を有する地震学等の科学的根拠に基づくことを前提としつつも、安全確保の見地から十分な保守性をもって策定されるものであり、その結果、想定し得る最大規模の地震動が策 定されることとなる。しかも、現行の新規制基準は、東北地方太平洋沖地震の知見等を踏まえて平成18年耐震指針を更に改訂したものであり、発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震安全性を確保する上での基準となる地震動である基準地震動の策定に当たっては、当該発電用原子炉施設の敷地及び敷地周辺の調査を徹底的に行い、最新の科学的・技術 的知見を踏まえ、各種不確実さも考慮した上で、複数の手法を用いて評価した地震動を多角的に検討した結果、当該発電用原子炉施設の敷地において発生を想定し得る最大規模の地震動の策定を要求するものとなっている。 東北地方太平洋沖地震後の地震等検討小委員会における議論は、東北 地方太平洋沖地震(プレート間地震)のような大規模な地震が発生した後、その影 規模の地震動の策定を要求するものとなっている。 東北地方太平洋沖地震後の地震等検討小委員会における議論は、東北 地方太平洋沖地震(プレート間地震)のような大規模な地震が発生した後、その影響により、異なる発生様式である海洋プレート内地震や内陸地殻内地震が誘発される可能性等を議論しているものであって、同種の発生様式の地震について、基準地震動に匹敵する規模の地震動が複数回発生することを考慮するよう述べているのではない。 (イ) 東北地方太平洋沖地震等の際、女川発電所において観測された地震動は、平成23年3月11日のものはプレート間地震、同年4月7日のものは海洋プレート内地震(スラブ内地震)であり、これらの地震のタイプは本件原子炉施設に大きな影響を与えると予想される内陸地殻内地震とは地震発生様式が全く異なる。東北地方太平洋沖地震等のタイプの地 震は本件原子炉施設の敷地とは離れた場所で発生するため、影響は大き いものではない。また、東北地方太平洋沖地震等による女川発電所の観測記録は、東北電力が示した同発電所の基準地震動Ssの応答スペクトル(平成18年耐震指針を踏まえたもの)を一部の周期帯で超過したが、その他の周期帯では概ね同程度以下であった。そして、現に女川発電所においてはこれらの地震動により事故や原子力災害は起きていない。こ れは、平成18年耐震指針に取り入れられていた基準地震動の策定手法が保守性を有していたことを示す。加えて、現行の基準である新規制基準は、東北地方太平洋沖地震の知見等を踏まえてさらに改訂している。 したがって、女川発電所に係る上記2つの地震は、基準地震動を複数回超過することを具体的に示す事例とはならない。 また、2016年熊本地震の際に2度の震度7が観測されたのは、軟弱地盤 いる。 したがって、女川発電所に係る上記2つの地震は、基準地震動を複数回超過することを具体的に示す事例とはならない。 また、2016年熊本地震の際に2度の震度7が観測されたのは、軟弱地盤(S波速度約0.1~0.2㎞/s)で増幅された観測点のものである。その観測点の地下-252mの地震基盤相当の硬質な岩盤(S波速度約2.7㎞/s)に設定された地震計では、上下方向で最大127gal、水平方向でも南北方向に最大237gal、東西方向に最大178gal しか ない。本件原子炉施設は硬質地盤に設置されており、2016年熊本地震の経験をもって、原子炉施設において基準地震動に匹敵する繰り返しの揺れを考慮する必要があるという根拠とはならない。 (ウ) 基準地震動が十分な保守性をもって策定される結果、基準地震動との応答スペクトルの比率の値が、目安として0.5を下回らないような値 で、工学的判断に基づいて設定することとされている弾性設計用地震動についても十分な保守性をもって策定されることとなり、弾性設計用地震動それ自体も相当程度強い地震動となる。また、実際に地震動が建物・構築物や機器・配管系等に伝わった際に、それらの構造物がどの程度地震応答するかを解析し(応答解析)、その解析結果に耐えられるようにそ れらの構造物を設計する段階、つまり耐震設計の段階においても、保守 的で余裕を持つことが求められている。 基準地震動による地震力の方が、弾性範囲を超える地震動による地震力よりも大きいことを踏まえれば、弾性範囲を超える地震動が複数回繰り返して発生したとしても、直ちに耐震重要施設の安全機能が喪失するものではない。 (エ) したがって、繰り返しの揺れを想定していないことをもって、発電用原子炉施設の耐震安全評価に係る 数回繰り返して発生したとしても、直ちに耐震重要施設の安全機能が喪失するものではない。 (エ) したがって、繰り返しの揺れを想定していないことをもって、発電用原子炉施設の耐震安全評価に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 イ蒸気発生器伝熱管の耐震性(本件工事計画認可処分関係)(争点3-(4)―イ) (原告らの主張)(ア) 本件原子炉施設の蒸気発生器伝熱管の基準地震動における1次応力(膜応力+曲げ応力)の発生値と評価基準値(許容値)及び弾性設計用評価基準値について、基準地震動による1次応力発生値(527MPa)は、弾性設計範囲内にあることを要求する弾性設計用地震動に対して設定さ れた評価基準値(許容値)(295MPa)を上回っており、基準地震動に対しては塑性ひずみの発生を容認している。そのため、本件原子炉施設が、基準地震動に匹敵する地震動により、塑性変形を引き起こす可能性が否定できない。 1度目の揺れによる塑性ひずみにより強度が低下し、時間的に近接し た2度目の揺れの際には、基準地震動に対する評価基準値(許容値)がより小さい値となっているおそれがあり、2度目の揺れによる1次応力の発生値がそれを上回る可能性が否定できないが、審査の中で、このような確認は全く行われていない。 (イ) このような繰り返しの荷重についての考慮を要求しない本件工事計 画認可処分は、原子力規制委員会の審査及び判断の過程において用いら れた具体的審査基準に不合理な点があり違法である。 (被告の主張)(ア) 上記アの被告の主張のとおり、現行の新規制基準に基づく基準地震動が、十分な保守性をもって策定されており、当該発電用原子炉施設の敷地において発生を想定し得る最大規模の地震動として策定されること (ア) 上記アの被告の主張のとおり、現行の新規制基準に基づく基準地震動が、十分な保守性をもって策定されており、当該発電用原子炉施設の敷地において発生を想定し得る最大規模の地震動として策定されることと なることなどに照らせば、発電用原子炉施設のうち耐震重要施設の耐震設計において基準地震動に匹敵する地震動が繰り返し発生する場合を想定すべき合理的理由があるとはいえない。 また、基準地震動が十分な保守性をもって策定される結果、弾性設計用地震動についても十分な保守性をもって策定されることになる上、耐 震重要施設の耐震設計の段階においても、保守的に策定された想定し得る最大規模の地震動である基準地震動クラスの地震による建物・構造物や機器・配管系の地震応答に対して大きく余裕を持った設計がされることになっている。そして、当然のことながら、基準地震動による地震力の方が、弾性範囲を超える地震動による地震力よりも大きいことを踏ま えれば、弾性範囲を超える地震動が複数回繰り返し発生したとしても、直ちに耐震重要施設の安全機能が喪失するものではないといえる。 (イ) 以上からすれば、繰り返しの揺れを想定していないことをもって蒸気発生器伝熱管の耐震評価(応力評価)に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 ウ主給水系配管の疲労割れを想定した耐震評価(本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(4)―ウ)(原告らの主張)(ア) 主給水系配管の疲労割れ(疲労破壊)を想定した耐震評価として、疲労累積係数を通常運転時0.209、基準地震動時0.725、合計0. 934と評価しており、基準地震動1回の揺れに対し、残り7%程度し か余裕がない。続けて強い余震に襲われた場合には、それだけで 常運転時0.209、基準地震動時0.725、合計0. 934と評価しており、基準地震動1回の揺れに対し、残り7%程度し か余裕がない。続けて強い余震に襲われた場合には、それだけで許容値の1を超えてしまうことは明らかである。本件運転期間延長認可申請に当たり、保安規定変更認可申請時の資料も提出されているから(甲C27・5枚目の「件名」参照)、上記の点は、本件運転期間延長認可申請だけではなく、本件保安規定変更認可申請の審査にも関係し、本件保安規 定変更認可処分の違法事由ともなる。 (イ) このような繰り返しの荷重についての考慮を要求しない本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分は、原子力規制委員会の審査及び判断の過程において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり違法である。 (被告の主張)(ア)主給水系配管の耐震性についても、上記アの被告の主張と同様、基準地震動は十分な保守性をもって策定されており、そもそも基準地震動に匹敵する地震荷重を繰り返し受ける場合を想定すべきとはいえず、繰り返しの揺れを想定していないことをもって耐震安全性評価に係る具体的審 査基準である主給水系配管の耐震評価(疲労評価)に関する具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 (イ) 原子力規制委員会は、本件原子炉施設における主給水系配管の耐震評価(疲労評価)について、参加人が疲労累積係数を算出するに当たり、実際に生ずる過渡の発生回数や地震時の繰り返し回数よりも多くの回数 を想定していること、その結果、疲労累積係数が保守的な値となっていることを確認している。例えば、起動に係る過渡回数(温度や圧力の変化が発生する回数)については、評価時である平成23年3月までの実績回数が46回であり、この実績から延長さ 係数が保守的な値となっていることを確認している。例えば、起動に係る過渡回数(温度や圧力の変化が発生する回数)については、評価時である平成23年3月までの実績回数が46回であり、この実績から延長された運転期間に相当する60年間の回数を推計すると66回となるのに対し、設計上の想定繰り返 し回数は78回とされている(乙C21・4頁)。また、地震時の繰り返 し回数についても、JEAG4601-1987 に記載のピーク応力法にて水平方向と鉛直方向それぞれの繰り返し回数を算定した上で大きい方を採用し、更にその回数を安全側に丸めることなどにより、保守的な値として200回を設定している(乙C47・30、31頁)。 さらに、疲労破損に関し、設計疲労線図自体も、最適疲労曲線に対し て繰り返し回数方向(横軸)に1/20、応力振幅方向(縦軸)に1/2の安全率を乗じて設定されたものであり、実際の疲労試験データに対して適切な余裕を持つよう設定された合理的なものである。 このように、主給水系配管の耐震評価(疲労評価)において、各種の保守性が確保されていることからしても、弾性範囲を超える地震動が複 数回繰り返して発生したとしても、直ちに1次冷却設備配管の安全機能が喪失するものではないといえる。 エ格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性等(本件保安規定変更認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(4)-エ)(原告らの主張) (ア) 原子炉格納容器の伸縮式配管貫通部は、放射性物質を原子炉格納容器内に閉じ込めるためのバウンダリを形成するものであり、これが破損すると、大気中への放射性物質の拡散を防ぐことができなくなる。しかし、この疲労割れを想定した耐震評価は、本件原子炉施設の高経年化技術評価書(30年目)によると本件原 を形成するものであり、これが破損すると、大気中への放射性物質の拡散を防ぐことができなくなる。しかし、この疲労割れを想定した耐震評価は、本件原子炉施設の高経年化技術評価書(30年目)によると本件原子炉施設につき通常運転時と基準地震 動時を合計すると疲労累積係数0.746となっており、余震等により基準地震動の3割程度の影響があれば許容値を超えることになる。不可解なことに、同部位について本件運転期間延長認可申請の審査において提出した資料では、疲労累積係数が0.589と逆転している。運転期間延長認可の審査において、強い余震等繰り返しの揺れを想定していな い具体的審査基準は不合理である。そして、高浜発電所2号炉の運転期 間延長認可申請の審査において、高浜発電所2号炉の保安規定変更認可申請(高経年化技術評価書等)に関する事業者ヒアリングの資料(甲C27・5枚目)も提出しているから、保安規定変更認可の違法性にも関係する。 (イ) 参加人は、本件運転期間延長認可申請の審査において、保守管理に関 する方針書(甲C24)を提出し、実施時期を長期(20年間)とした上で、「疲労評価における実績過渡回数の確認を継続的に実施し、運転開始後60年時点の推定過渡回数を上回らないことを確認する。」との方針を記載している。原子炉の停止はすぐにできても冷却には時間がかかり、基準地震動に続けて間をおかずに繰り返し強い揺れが発生した場合、「実 績過渡回数の確認」をする間もなく、機器の破損や配管の破断に至り、原子炉の冷却機能が失われ、重大事故に至るおそれも出てくる。地震が発生した後に実績過渡回数を確認するのでは遅く、疲労評価は繰り返しの揺れの影響を予め見込んだ評価を実施しなければならない。 (被告の主張) (ア) 参加人は、 至るおそれも出てくる。地震が発生した後に実績過渡回数を確認するのでは遅く、疲労評価は繰り返しの揺れの影響を予め見込んだ評価を実施しなければならない。 (被告の主張) (ア) 参加人は、平成18年1月の高経年化技術評価(30年目)の後、平成28年10月26日付けで本件工事計画認可処分を、同年11月16日付けで本件運転期間延長認可処分を受けている。参加人は、新規制基準の下で設備の耐震裕度を向上させるため、最新の知見を取り入れ主蒸気系伸縮式配管貫通部の伸縮継ぎ手について、耐震補強工事として取替 えを実施することとした本件工事計画認可申請の内容を踏まえ、本件運転期間延長認可申請を行っている。他方で、平成18年1月の高経年化技術評価は、新規制基準の適用以前にされたものであり、上記の取替えを前提としない本件原子炉について行われたものである。したがって、伸縮継ぎ手の耐震補強工事を踏まえた評価が行われているのであるから、 本件運転期間延長認可申請の補正申請書に記載された主蒸気系伸縮式配 管貫通部の基準地震動時の疲労累積係数が、平成18年1月の高経年化技術評価に係る報告書に記載された同部の基準地震動時の疲労累積係数よりも小さいことは、何ら不合理ではない。 (イ) 格納容器伸縮式配管貫通部の耐震性についても、上記アの被告の主張と同様、基準地震動は十分な保守性をもって策定されており、そもそも 基準地震動に匹敵する地震荷重を繰り返し受ける場合を想定すべきとはいえず、さらに、機器・配管系の構造強度に関する耐震設計に係る規制は合理的であり、当該規制に基づく本件運転期間延長認可処分もまた合理的である。 (5) 減衰定数に関する争点(争点3-(5)) ア 1次冷却設備の減衰定数を3%としたこと(本件工事計画認可処 合理的であり、当該規制に基づく本件運転期間延長認可処分もまた合理的である。 (5) 減衰定数に関する争点(争点3-(5)) ア 1次冷却設備の減衰定数を3%としたこと(本件工事計画認可処分及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(5)-ア)(原告らの主張)(ア) 参加人は、高浜発電所3号機及び高浜発電所4号機の工事計画認可処分においては1次冷却設備の減衰定数を1%としていたが、これでは高 浜発電所1号機及び2号機については耐震性を満たせなくなるとして、高浜発電所1号機及び2号機の実機での加振試験を行い減衰定数3%の適用性を検証する旨報告し、原子力規制委員会は、高浜発電所1号機及び2号機の蒸気発生器等の1次冷却設備の減衰定数3%の適用性を確認するため、実機試験での確認が必要であるとしていた。しかし、参加人 は、美浜発電所2号機及び本件原子炉施設による試験をもって足りると判断し、また、本件原子炉施設の加振試験及び打撃試験の両方を実施すると説明していたにもかかわらず、打撃試験を行わず、実施した本件加振試験も後記イのとおり不十分な試験であった。そして、原子力規制委員会は、高浜発電所1号機及び2号機における加振試験等による妥当性 を確認しないまま、平成28年7月7日に期限を迎える運転期間延長認 可の審査期限に間に合わせることを優先し、高浜発電所1号機及び2号機に係る工事計画認可処分をした。 上記のとおり、本件工事計画認可処分は、機器・配管系である1次冷却設備の減衰定数を3%に設定したことについて、3%という設定の妥当性が確認されていないことから、耐震工認審査ガイドの既往の研究等 により妥当性が確認されている設定等を用いるとの基準に明確に違反しており、本件工事計画認可処分の判断過程には、 %という設定の妥当性が確認されていないことから、耐震工認審査ガイドの既往の研究等 により妥当性が確認されている設定等を用いるとの基準に明確に違反しており、本件工事計画認可処分の判断過程には、単なる過誤・欠落を超えて安全上看過し難い過誤・欠落がある。 (イ) 工事計画認可処分は工事が行われる前に設計に係る審査をするものであり、耐震工認審査ガイドの減衰定数も設計用減衰定数であるから、 工事計画認可処分までに高浜発電所1号機及び2号機の実機による試験をすることなく、使用前検査までに減衰定数を確認するというのは不合理である。高浜発電所1号機及び2号機の実機を用いた加振試験を使用前検査段階で実施し、その妥当性を確認するとしても、減衰定数を3%とするのが確定するのは使用前検査段階ということになり、高浜発電所 1号機及び2号機に係る工事計画認可処分は、「使用前検査で妥当性が確認されること」が条件とされた条件付きの工事計画認可ということができる。そのような工事計画認可をして良いかとの問題に加え、「既往の研究等において試験等により妥当性が確認されている設計等」とする耐震工認審査ガイドに反する。 (ウ) 本件加振試験の問題について本件加振試験は、以下のとおり、その内容及び結果に問題がある。 a 本件加振試験の内容の問題点について(a) 本件加振試験は、蒸気発生器の上部からの加振入力という実際の振動入力とは全く逆側からの振動入力となっているところ、1次冷 却設備は複数の機器が複数の配管によって繋がれており、地震時の 振動の入力部位も2点支持であれば少なくとも3か所(支持脚、2つのサポート)からなる複雑な構造であるから、振動入力が逆側で固定部位でもない蒸気発生器上部からの加振入力は、減衰状況を再現し 振動の入力部位も2点支持であれば少なくとも3か所(支持脚、2つのサポート)からなる複雑な構造であるから、振動入力が逆側で固定部位でもない蒸気発生器上部からの加振入力は、減衰状況を再現しているとは考え難い。 (b) 本件加振試験は加振機を蒸気発生器の一部に押し当てて加振し続 ける「反力型加振機」を用いて行われたところ、本来固定されていない蒸気発生器の一部に加振機を押し当てることでその部分があたかも固定されるような状態となり、そうでなくても振動を相当程度制限することになるから、3点支持に近い条件での試験となっている可能性があり、2点支持を前提とする加振試験と同等に評価する ことは困難である。 (c) 本件加振試験は反力型加振機を用いているが、工事完了後に高浜発電所1号機及び2号機の使用前検査の段階で実施する実機試験では、機器を固有振動数にて機器の応答が安定するまで加振し、加振を停止した後の自由減衰振動の加速度を連続的に測定する「慣性型 加振機」を用いた加振方法を行うこととしている。加振試験による減衰定数を比較するのであれば、同じ試験方法としなければ正確な確認はできないはずである。また、参加人は反力型加振機を用いた本件加振試験に改善の余地があると述べているが、従前の高浜発電所4号機の加振試験では慣性型加振機を用いており、既に実績・デ ータの蓄積があったのであるから、本件加振試験において反力型加振機を用いたのは3点支持に近い条件として、減衰定数を大きくすることを目的とした可能性がある。 (d) 本件加振試験においては、蒸気発生器の上部を単一振動数の一定状態の加振入力しかしていないが、実際の地震波は単一方向の揺れ ではなく前後左右上下の振動が含まれ、振動数(周波数)も様々な 周波数帯 おいては、蒸気発生器の上部を単一振動数の一定状態の加振入力しかしていないが、実際の地震波は単一方向の揺れ ではなく前後左右上下の振動が含まれ、振動数(周波数)も様々な 周波数帯域の波が含まれているから、特定の一方向からの単一振動数の振動を入力条件とする反力型加振機を用いた方法の妥当性には疑問がある。この点、慣性型加振機を用いれば、一定の振動を与え続けるわけではなく、自由減衰振動の加速度を連続的に測定することになり、より振幅の減少する割合を直接的に測定する方法といえ る。 (e) 本件加振試験は、加振力又は加振レベル(変位量)について、「小レベル」、「中レベル」及び「大レベル」の加振条件としているが、1次冷却設備のAループ、Bループ共に「小レベル」と「中レベル」を1回ずつ、「大レベル」を3回ずつしか行っていない。これでは回 数が少なすぎて実験回次ごとの誤差の把握が困難であり、「小レベル」と「中レベル」についての誤差範囲は全くわからず、単に下限値を採用することが保守的であるか判断することはできない。工事完了後に実施する振動試験では「計6回以上取得されたデータの下限値を評価に用いる減衰定数とする」(乙C116・14頁)とされてい ることと比較しても、その半分である3回は明らかに少ない。 b 本件加振試験の結果の問題点について(a) 本件加振試験の結果、「小レベル」と「中レベル」では減衰定数が3%未満である。1次冷却設備Aループの「小レベル」は減衰定数1.7%、「中レベル」では減衰定数2.8%であり、減衰定数3% を満たさない。「小レベル」、「中レベル」及び「大レベル」という違いは相対的なものにすぎず、一定のレベル以上が評価対象になるという基準があるわけではない。 (b) 本件加振試験で 定数3% を満たさない。「小レベル」、「中レベル」及び「大レベル」という違いは相対的なものにすぎず、一定のレベル以上が評価対象になるという基準があるわけではない。 (b) 本件加振試験では、「大レベル」について各3回しか行われていないが、減衰定数は、1次冷却設備Aループで3.2%~4.0%、 Bループで3.2%~4.1%とかなりのばらつきがある。3回の 試験で0.8%ものばらつきがあるのであるから、試験回数を増やせば3.0%未満の数値が得られる蓋然性が非常に高い。 c したがって、本件加振試験の結果に基づいて第1次冷却設備の減衰定数を3%としたことは、「既往の研究等において試験等により妥当性が確認されている設定等」(耐震工認審査ガイド4.4.1.(4)②及 び③後段)を用いたものとはいえず、同ガイドに明確に違反する。 (エ) 以上によれば、本件工事計画認可処分について、「その安全性が損なわれるおそれがないように施設しなければならない」(技術基準規則5条2項、炉規法43条の3の9第3項2項)との要件を満たしていたとはいえず、その審査及び判断の過程に過誤、欠落が存在するため、本件工事 計画認可処分は違法であり、これを前提とする本件運転期間延長認可処分も違法である。 (被告の主張)(ア) 本件工事計画認可申請において、参加人は、本件原子炉施設の1次冷却設備の設計用減衰定数を新規制基準施行以前の工事計画認可時の1% から3%に変更して申請した(乙C104・264頁)。これに対し、原子力規制委員会は、本件原子炉施設のように1次冷却設備を構成する蒸気発生器が2点支持蒸気発生器の場合は、3点支持蒸気発生器を用いた実機振動試験の結果等を踏まえて設定されたJEAG4601-1991 追補版の記載 は、本件原子炉施設のように1次冷却設備を構成する蒸気発生器が2点支持蒸気発生器の場合は、3点支持蒸気発生器を用いた実機振動試験の結果等を踏まえて設定されたJEAG4601-1991 追補版の記載を根拠に設計用減衰定数3%を適用するのは適切ではなく、耐震工認 審査ガイド4.4.1(4)②及び③の後段の「既往の研究等において試験等により妥当性が確認されている設定等を用いる場合は、適用条件、適用範囲に留意する。」との記載にのっとる必要があるとして、2点支持蒸気発生器の場合に1次冷却設備の設計用減衰定数3%を適用することの妥当性やその適用可能性の説明が必要不可欠であると整理した(乙C1 05・12、13頁)。そして、参加人が2点支持蒸気発生器の減衰定数 に関する国内外のデータを集積し、本件原子炉施設への設計用減衰定数3%の適用性を説明することを試みたのに対し、原子力規制委員会は、参加人による説明では必ずしも十分ではないと判断し、本件原子炉施設又はそれと同等の蒸気発生器支持構造の構造的特性を有する実機による試験が必須であるとして、その実施を促した(乙C107・25頁)。そ の上で、原子力規制委員会は、参加人が本件原子炉施設の実機を用いて行った加振試験(本件加振試験)によって得られた減衰定数の値が、同試験に用いられた油圧加振機の性能及び加振方法、減衰定数の算定方法に照らせば信頼性が高く、かつ、複数回行った加振試験から得られた減衰定数のうち下限値が適用されており保守的であることを確認した。原 子力規制委員会は、このような本件加振試験の内容及び結果を踏まえて、本件原子炉施設において、1次冷却設備に3%の設計用減衰定数を適用することができると判断するに至ったものである。 (イ) 原子力規制庁は、第323回審査会合 な本件加振試験の内容及び結果を踏まえて、本件原子炉施設において、1次冷却設備に3%の設計用減衰定数を適用することができると判断するに至ったものである。 (イ) 原子力規制庁は、第323回審査会合(平成28年1月26日)において、参加人に対し、本件工事計画審査において「実機による加振試験」 が必須であるとの見解を示している(乙C107・25頁)が、それは、既存の国内外のデータの分析により設計用減衰定数3%の妥当性を説明するのではなく、工事計画認可処分の対象である高浜発電所1号機及び2号機又はこれと同等の蒸気発生器支持構造の構造的特性を有する実機による試験を実施した上で、当該試験から得られるデータを踏まえた設 計用減衰定数3%の妥当性の説明を参加人に求めたものであり、高浜発電所1号機及び2号機での実機試験の実施を必須としたものではない。 また、炉規法によれば、発電用原子炉施設の設置又は変更の工事をしようとする発電用原子炉設置者は、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならず(平成2 9年法律第15号による改正前の炉規法43条の3の9第1項、2項)、 一方で、工事計画認可を受けて、設置又は変更の工事をする発電用原子炉施設等は、その工事について原子力規制委員会の検査を受け、これに合格した後でなければ使用してはならないとされ(炉規法43条の3の11第1項)、原子力規制委員会は、使用前検査において、上記工事が既に認可を受けた工事の計画に従って行われたものであるか否か及び技術 基準規則で定める技術上の基準に適合するものであるか否かを確認し、その発電用原子炉施設が炉規法43条の3の11第2項各号のいずれにも適合しているときは、合格とすることとされている(炉規法43条の 基準規則で定める技術上の基準に適合するものであるか否かを確認し、その発電用原子炉施設が炉規法43条の3の11第2項各号のいずれにも適合しているときは、合格とすることとされている(炉規法43条の3の11第2項)。このような段階的安全規制の仕組み上、原子力規制委員会は、工事計画認可の段階においては、工事がされる前の詳細設計に 係る審査をし、使用前検査の段階で、認可を受けた工事計画どおりの工事が実際にされているか否かを確認することとなっており、炉規法は、工事計画認可の段階で現物を用いた試験を一般的に求めるものではない。 さらに、打撃試験は、加振試験と比較して、実機試験の精度面で劣るため、本件加振試験に加えて打撃試験を実施しなかったことが、本件工 事計画審査の合理性を左右するものではない。 (ウ) 本件加振試験についてa 原子力規制委員会は、参加人が本件原子炉施設の実機を用いた本件加振試験について、同試験によって得られた減衰定数の値は、試験に用いられた油圧加振機の性能及び加振方法、減衰定数の算定方法に照 らせば信頼性が高く、かつ、複数回行った加振試験から得られた減衰定数のうち下限値が適用されており保守的であること、更に、本件加振試験を実施した本件原子炉施設と高浜発電所1号機及び2号機の蒸気発生器のサポート構造を比較した結果、スナバの個数やリングフレームとの接触範囲等、地震の際に蒸気発生器そのものの振動(固有振 動数)やその振動の減衰(減衰定数)に直接影響を与える項目につい て両者に相違はないことを確認した。 参加人は、その後の本件原子炉施設の使用前検査において、改めて1次冷却設備の加振試験を実施して、実機のモーダル減衰定数(機器・配管系等の振動現象を様々な揺れ方、すなわち振動モードごとに分解 た。 参加人は、その後の本件原子炉施設の使用前検査において、改めて1次冷却設備の加振試験を実施して、実機のモーダル減衰定数(機器・配管系等の振動現象を様々な揺れ方、すなわち振動モードごとに分解したときに、各振動モードに発生する減衰の効果の大きさを個別に表 現したもの)が3%以上となる結果(ホットレグ軸直方向について減衰定数3.3%~3.4%、ホットレグ軸方向について減衰定数8. 6%~9.0%)を示している。かかる本件原子炉施設の使用前検査における加振試験の結果も、2点支持蒸気発生器において1次冷却設備の設計用減衰定数を3%と設定することの科学的合理性を裏付ける ものといえる。 b 本件加振試験の内容の問題点について(a) 減衰定数の値は、ある揺れ方(動的挙動)をする場合において、構造物の揺れの大きさ(振幅)が減少する割合を表す指標であるところ、この値は、当該構造物の具体的な大きさ(重さ)、形状、構造 (硬さ)により決定づけられるのであって、当該構造物に対する加振入力の位置や方向等の影響は受けないものである。 また、本件加振試験の結果に基づき減衰定数の値を求めるに当たっては、本件加振試験により得られた実測データの絶対値を用いず、入力に当たる「加振位置の加振力(入力荷重)」と出力に当たる「蒸 気発生器等の応答(応答加速度)」の振幅比(応答/加振力)を算出し、これを用いている。このように、基準化された相対値(入力に対する出力の相対値)に基づき、減衰定数の値を求めることにより、振幅比の分母に当たる加振力(加振源)の入力特性(入力振幅の大きさ、位置及び方向など)と、振幅比の分子に当たる応答の出力特 性(応答振幅の大きさ及び方向など)が実測データから相殺(キャ ンセルアウト)されて、加振入力の 力特性(入力振幅の大きさ、位置及び方向など)と、振幅比の分子に当たる応答の出力特 性(応答振幅の大きさ及び方向など)が実測データから相殺(キャ ンセルアウト)されて、加振入力の位置や方向が影響を及ぼすことがない減衰定数の値を求めることができる。 さらに、実際の地震動を蒸気発生器に入力した場合には、複数の振動モードが重ね合わされることで、振動モードとセットとなる減衰定数は、本件加振試験によって評価される減衰定数よりも大きな 値になると考えられるから、本件加振試験による減衰定数の値は、実際の地震動を蒸気発生器に入力した場合における減衰定数と比較して保守性を有している。 (b) 本件加振試験は、反力型加振機である油圧加振機を蒸気発生器の2次側マンホールと周囲構造物との間に設置し、加振ポイントとし て蒸気発生器の2次側マンホール部を選定して加振を行ったものである。本件加振試験における加振ポイントは、飽くまで油圧加振機の振動源としての機能しか有しておらず、同加振ポイントを介して油圧加振機と蒸気発生器は同一の振動状態となることから、油圧加振機の一部を蒸気発生器に「押し当てた」ことにより振動を制限・ 抑制する効果が生じるものではない。 (c) 反力型加振機を用いた加振方法と慣性型加振機を用いた加振方法は、加振の態様こそ異なるものの、そもそも減衰定数の値は、ある揺れ方(動的挙動)をする場合において、構造物の揺れの大きさ(振幅)が減少する割合を示す定数(一定の値で示される指標)であり、 振動入力の位置や方向等に左右されるような性質のものではないこと、また、本件加振試験により得られた実測データを用いて減衰定数の値を求めるに当たっては、基準化された相対値を用いることで、減衰定数の値に入力特性である振動入力 左右されるような性質のものではないこと、また、本件加振試験により得られた実測データを用いて減衰定数の値を求めるに当たっては、基準化された相対値を用いることで、減衰定数の値に入力特性である振動入力の位置や方向などが影響を及ぼさない方法を用いていることからすれば、加振方法の違いが減 衰定数の値に大きな差異を生じさせるものではない。 (d) 実際の地震波との比較について、加振入力の方向が影響しないこと、単一振動数の加振による減衰定数は実際の地震動よりも保守的となることは上記(a)のとおりである。また、本件加振試験においては、減衰定数の算出に必要となる適切な振動数範囲を試験で事前に確認し、確認した固有振動数を中心に、加振振動数を1Hz、2H z、3Hzと段階(ステップ)的に変化させる複数振動数に基づく正弦波ステップ加振が行われているから、単一振動数に基づく加振試験が行われているということではない。 (e) 実験回数について、本件加振試験によって得られた減衰定数の値は、用いられた油圧加振機の性能や加振方法、減衰定数の算定方法 に照らせば、信頼性の高いものであり、これら本件加振試験における計測状況を勘案すると、算出される減衰定数は自ずと不確かさが小さなものとなり、信頼性のある値となる。 「計6回以上取得されたデータの下限値を評価に用いる減衰定数とする」(乙C116・14頁)という記載は、ホットレグ(コール ドレグ)軸方向、軸直方向について、それぞれ3回以上振動試験を実施し、計6回以上のデータを取得するというものであり、試験回数としては3回以上の加振試験を実施するという方針を述べたものであり、本件加振試験の3回という回数と変わらない。 c 本件加振試験の結果の問題点について (a) 技術基準規 であり、試験回数としては3回以上の加振試験を実施するという方針を述べたものであり、本件加振試験の3回という回数と変わらない。 c 本件加振試験の結果の問題点について (a) 技術基準規則5条2項及び同項に係る技術基準規則解釈の趣旨に照らせば、基準地震動による地震力に至らない「小レベル」及び「中レベル」の加振による揺れ(振幅)の大きさに基づく試験結果を基礎として、基準地震動による地震力が作用した際の耐震設計上考慮すべき減衰定数を設定することは適切でなく、基準地震動による地 震力に至る「大レベル」の加振による揺れの大きさ(振幅)に基づ く試験結果を基礎として、耐震設計上考慮すべき減衰定数を設定することが適切である。 本件加振試験における「小レベル」及び「中レベル」の加振による揺れ(振幅)の大きさによる加振試験は、振幅依存性の傾向を把握して減衰定数の値に信頼性があることを確認するために実施され たものであり、「小レベル」及び「中レベル」においても減衰定数3%以上であることが求められるものではない。 (b) 本件加振試験の加振条件や計測データの評価方法からすれば、本件加振試験により得られた減衰定数の値は精度良く算出されたものであるといえる。また、本件加振試験では、Aループ蒸気発生器及 びBループ蒸気発生器において、それぞれ3回ずつ試験が実施され、同一値のモーダル減衰定数(下限値3.2%)が評価されている。 さらに、本件加振試験実施後に行われた、本件原子炉施設の使用前検査における加振試験の結果、本件原子炉施設の実機のモーダル減衰定数が、本件工事計画認可申請において設定している各機器の設 計用減衰定数に基づく解析により算出されるモーダル減衰定数2. 99%より大きいことが確認されている。J7意見 設の実機のモーダル減衰定数が、本件工事計画認可申請において設定している各機器の設 計用減衰定数に基づく解析により算出されるモーダル減衰定数2. 99%より大きいことが確認されている。J7意見書においても、最小3.2~最大4.1%のばらつき幅で、平均値の高々±10%程度の間に収まっているため、十分小さなばらつきで信頼性の高い減衰定数が得られているものと判断されている。したがって、試験 回数を増やせば減衰定数が3.0%未満の数値が得られる蓋然性が高いということはない。 (エ) 以上のとおり、本件工事計画認可処分において本件原子炉施設の1次冷却設備の設計用減衰定数を3%と設定した点に係る原子力規制委員会の判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 イ燃料集合体の減衰定数を10%に変更したこと(本件工事計画認可処分 及び本件運転期間延長認可処分関係)(争点3-(5)-イ)(原告らの主張)本件原子炉施設に係る本件工事計画認可処分に係る審査においては、燃料集合体の減衰定数が従前の工事計画認可時の1%から10%へと大幅に変更されている。このような変更をすることについては全く合理性がな く、その妥当性が判断されているとはいえず、耐震工認審査ガイドの基準に明確に違反していることから、本件工事計画認可処分に係る審査及び判断の過程に安全上看過し難い過誤、欠落がある。 (被告の主張)(ア) JEAG4601-1991 追補版において、燃料集合体(PWR)の設計用減衰 定数は、振動試験結果に基づいて、振幅依存性を持つものとして定めるとされている。燃料集合体は、数百本の燃料棒が支持格子に対して摩擦のみで拘束される構造となっており、燃料棒自体の揺れが小さい場合は燃料棒が単体としての減衰特性を有す 振幅依存性を持つものとして定めるとされている。燃料集合体は、数百本の燃料棒が支持格子に対して摩擦のみで拘束される構造となっており、燃料棒自体の揺れが小さい場合は燃料棒が単体としての減衰特性を有することになる一方、基準地震動のような大きな揺れにより燃料棒の揺れが大きくなる場合は支持格子の摩 擦力、すなわち支持格子による拘束力が増大して、いわゆるエネルギー消散(消散エネルギー)が大きくなる結果、燃料棒自体が揺れにくくなり、燃料集合体の全体としての減衰特性が大きくなる。このような構造上の理由から、燃料集合体の減衰定数は振幅依存性を呈するようになる。 (イ) 参加人は、本件原子炉の燃料集合体の設計用減衰定数について、新規 制基準施行前の工事計画認可では1%と設定していたが、本件工事計画認可申請においては、燃料集合体(PWR)の減衰定数は振幅依存性を有するものとして、各基準地震動(基準地震動Ss-1~Ss-24 の24波の地震動)による本件原子炉の燃料集合体の応答変位レベルを確認し、地震動ごとに振幅依存性を踏まえた減衰定数を設定していると説明した。 具体的には、各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における 応答変位が10%の減衰定数を適用可能なレベルであることが確認できた場合には、10%の設計用減衰定数を適用し、それ以外は1%を適用するとの方針を示した上で、本件原子炉における全ての基準地震動について、設計用減衰定数10%が適用可能であることを確認した旨を説明した。これに対し、原子力規制委員会は、上記の燃料集合体に係る設計 用減衰定数の設定方針は、JEAG4601-1991 追補版の記載によるものであり、かつ、参加人の説明を踏まえ、各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位が減衰定 に係る設計 用減衰定数の設定方針は、JEAG4601-1991 追補版の記載によるものであり、かつ、参加人の説明を踏まえ、各基準地震動について、燃料集合体の群振動解析における応答変位が減衰定数10%を適用可能なレベルか否かを確認する手法は合理的であると判断し、参加人による本件原子炉の燃料集合体の設計用減衰定数10%の設定は妥当であるとして、本件 工事計画認可処分を行ったものである。 (ウ) したがって、燃料集合体の減衰定数が10%とされたこともって、本件工事計画認可処分に係る審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (6) 本件活断層群①の連動の考慮の欠如(本件設置変更許可処分関係)(争点3 -(6))(原告らの主張)参加人は、安島岬沖~和布-干飯崎沖~甲楽城断層については連動を認定し、検討対象地震として短周期の地震動レベル等の不確かさ考慮を実施している。しかし、参加人は、山中断層を「震源として考慮する活断層ではない 断層」としているが、山中断層は柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価(甲美D5)では柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部の北部の一部、産総研の断層帯データベース(甲美D8)では甲楽城活動セグメントの一部として扱われており、「震源として考慮する活断層ではない断層」という評価は疑問である。また、山中断層が震源として考慮する活断層ではないとしても、甲楽城断層の南端と 柳ヶ瀬断層の北端は3㎞程度しか離れていないため、松田(1990)のいわゆる 5㎞ルールに基づけば、本件活断層群①(安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~山中断層~柳ヶ瀬断層~鍛冶屋断層~関ヶ原断層。全体で143.25㎞)の連動を考慮すべきである。推本の柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価において、柳ヶ瀬・関ヶ 岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層~山中断層~柳ヶ瀬断層~鍛冶屋断層~関ヶ原断層。全体で143.25㎞)の連動を考慮すべきである。推本の柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価において、柳ヶ瀬・関ヶ原断層主部を1つの起震断層として断層評価対象とし、北部の鮎川断層群から南部の門前断層まで、断層全体約10 0㎞が連動する可能性は当然認められている。 参加人は、FO-A~FO-B~熊川断層について、適合性審査における議論を踏まえ、敢えて3連動の評価をし、短周期の地震動レベル等の不確かさ考慮を実施している。また、四国電力は、伊方発電所において、適合性審査における議論を踏まえ、中央構造線断層帯から別府-万年山断層帯までの約480 ㎞区間について、アスペリティ応力降下量1.5倍又は20MPa といった不確かさの考慮も含めた評価を実施している。それにもかかわらず、本件活断層群①について、同様の不確かさの考慮を実施しなかった原子力規制委員会の審査及び判断の過程には過誤、欠落がある。 本件活断層群①の連動する可能性について、生物遺骸群集を用いた検討に より和布~干飯崎断層の最新活動年代は西暦1600年頃であることが分かったり、甲楽城断層の北部と南部とで活動履歴が異なったりしたとしても、山中断層の部分で連動が途切れる根拠とはならず、本件活断層群①が連動する可能性が低いとはいえない。 (被告の主張) ア参加人は、本件活断層群①の一部である安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層については連動を考慮し、本件活断層群①及び本件活断層群②については連動する可能性が極めて低いとしたところ、本件活断層群①の連動性評価において、産総研・福井大学(2013)が示す地震セグメントの長さ(75~100㎞)は、参加人が実施した離水生物遺骸群集 ②については連動する可能性が極めて低いとしたところ、本件活断層群①の連動性評価において、産総研・福井大学(2013)が示す地震セグメントの長さ(75~100㎞)は、参加人が実施した離水生物遺骸群集を 対象とする詳細な地質調査に基づく隆起量の検討結果からは確認できず、 「柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部/北部」が同時に活動した根拠は乏しいこと、和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層の段丘面調査の結果からは、本件活断層群①が全体で動くのではなく、和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層のセグメント又は起震断層の単位で活動していることがうかがわれること、和布-干飯崎沖断層の最新活動時期は西暦1600年頃であり、地震発生からの 経過時間が短いことから断層の応力蓄積は小さく、甲楽城断層以南まで連動させるほどの応力を有しないと解されること、甲楽城断層と甲楽城沖断層についても、少なくとも甲楽城断層と甲楽城沖断層南部セグメントとの活動履歴は異なること等の事情から、安島岬沖断層~和布-干飯崎沖断層~甲楽城断層の断層帯の連動を超える規模の活断層の連動を考慮する必要 はないと評価した。 また、参加人は、本件活断層群①の甲楽城断層以南の連動性について、航空レーザー測量による数値標高モデル(DEM)を用いた変動地形学的調査及び同調査結果を踏まえた露頭調査や剥ぎ取り調査等の地質調査の結果、山中断層(文献断層)については、小規模な破砕帯に起因する岩質 の差による差別侵食及び古い断層によって生じた組織地形であると判断し、「震源として考慮する活断層」とは認められないと評価した(乙C100・20頁)。さらに、参加人は、本件活断層群①のうち柳ヶ瀬断層以南については、柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の地質図や柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の反射法地震探査結果から いと評価した(乙C100・20頁)。さらに、参加人は、本件活断層群①のうち柳ヶ瀬断層以南については、柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の地質図や柳ヶ瀬南部セグメント南端部付近の反射法地震探査結果から、柳ヶ瀬断層と鍛冶屋断層を連 続させるような明瞭な断層構造は認められないとし(乙C97・85頁、乙C98・261、262頁)、また、トレンチ調査の結果、柳ヶ瀬断層の最新活動が1325年の地震(正中地震)に対応する可能性が示されており、地震発生からの経過時間が短く断層の応力蓄積は小さく(乙C97・85頁、乙C98・263頁)、鍜冶屋断層や関ヶ原断層まで連動させるよ うな応力は有しないとして、柳ヶ瀬断層と鍛冶屋断層の連動は認められな いとした(乙C97・85頁)。 イ原子力規制委員会は、参加人による本件活断層群①の連動性評価に関する説明内容については、十分な検討がなされており妥当なものであると判断したが、本件活断層群①及び本件活断層群②については、参加人が相当程度の根拠をもって、これらが連動する可能性が極めて低いことを示して いるものの、連動の可能性に対する不確かさが残るとして、地震動評価において検討用地震の基本ケースとしてではなく、不確かさケースとして考慮する必要性を示唆し、地震動評価上、より厳しくなる連動ケースを検討するよう指摘した(乙C97・91~93頁)。そして、参加人は、地震動評価に際して、検討用地震のうち甲楽城沖断層~浦底断層~池河内断層~ 柳ヶ瀬山断層による地震の不確かさケースとして、本件活断層群②の連動による基準地震動への影響を評価した(乙C102・93~103頁)。 原子力規制委員会は、参加人による本件活断層群①は連動しないとの評価が妥当であると判断しているところ、かかる判断は、活断層の連 動による基準地震動への影響を評価した(乙C102・93~103頁)。 原子力規制委員会は、参加人による本件活断層群①は連動しないとの評価が妥当であると判断しているところ、かかる判断は、活断層の連動の仕組み及び性質に照らした、参加人による十分な調査結果を踏まえたもので あり合理的である。 (7) 震源が敷地に極めて近い場合の考慮の欠如(本件設置変更許可処分関係)(争点3-(7))(原告らの主張)ア設置許可基準規則解釈の別記2の4条5項二⑥は、内陸地殻内地震の震 源が敷地に極めて近い場合は、地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当性について詳細に検討するとともに、これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、各種の不確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極 近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、 さらに十分な余裕を考慮して基準地震動を策定することを規定し(震源極近傍規定)、地震ガイドⅠ.3.3.2(4)④は、地表に変位を伴う断層全体(地表地震断層から震源断層までの断層全体)を考慮すること等、更に詳細な規定を設けている。 これは、J8委員が地震等基準検討チーム第3回会合等において、例え ば1㎞や2㎞以内のサイトについては、物理モデルとして波動論的な計算手法が破綻する領域になっているため、不確実性を定量的に上乗せする必要がある等の提言を続けた結果設けられた規定と解される。震源極近傍の議論は、敦賀発電所の敷地内において原子炉から約250mという至近距離に浦底断層の露頭が存在することを契機としているが、具体的審査基準 においては た結果設けられた規定と解される。震源極近傍の議論は、敦賀発電所の敷地内において原子炉から約250mという至近距離に浦底断層の露頭が存在することを契機としているが、具体的審査基準 においては、そのような極端な例に限らず、「震源断層(ただし地表に変位を伴う断層全体)から数㎞以内に敷地がある場合(断層最短距離が数㎞以内)」という意味に解するべきである。 震源極近傍地震動に関する科学的知見(甲D116、237、甲美D39~41)をみても、震源極近傍とは地表最短距離で数㎞以内や、活断層 から数㎞以内等という認識が示されている。 広島高裁令和2年決定は、設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの「震源が敷地に極めて近い場合」を、表層地盤の震源域から2㎞以内とし、震源極近傍の地震動評価を行っていないことを問題なしとした原子力規制委員会の判断の過程に過誤、欠落があったとする。 2016年熊本地震についての中間報告(甲D237)は、震源断層モデル面と地表との交点や、地表地震断層から数㎞離れた地点における観測値を断層極近傍とし、レシピに従って設定した数値は、観測値と比べて過小評価となっているとし、観測された永久変位を伴った波形も表現できなかったとしている。 J8は、第3回地震等基準検討チームにおいて、2008年岩手・宮城 内陸地震の一関西観測点の観測記録を例として挙げて、「断層に本当に近いサイト」において不確実さを十分考慮して上乗せするべきと述べており(乙B145・50頁)、断層最短距離が約5㎞ある岩手・宮城内陸地震における一関西観測点は、震源極近傍規定が適用される具体例として参照されるべきである。 J9意見書(甲美D42)は、本件原子炉施設の浅部断層の岩盤の密度は2.6g/㎤であり、4㎞以深の2.7g/ ける一関西観測点は、震源極近傍規定が適用される具体例として参照されるべきである。 J9意見書(甲美D42)は、本件原子炉施設の浅部断層の岩盤の密度は2.6g/㎤であり、4㎞以深の2.7g/㎤と比較して4%しか異ならないなどひずみエネルギーをため込むことのできる硬い岩盤となっており、白木-丹生断層及びC断層(本件各断層)が3㎞より浅い浅部断層からも地震波を出す可能性を指摘している。地震ガイドⅠ.3.3.2(4)④ 3)が「浅部における断層のずれの進展の不均質性が地震動評価へ及ぼす影響を検討する」と規定しているのも、浅部断層が短周期地震動を出す可能性を考慮することを求めたものといえる。 イ本件原子炉施設において、敷地に極めて近いと評価し得る震源は、白木-丹生断層とC断層である。白木-丹生断層は、参加人の評価では、敷地 から水平距離1㎞未満(最短距離は約500m)に地表に露頭した断層があり、これが活動した場合には3㎞以浅の領域の地震動も本件原子炉施設に影響を与えることが懸念される。C断層は、参加人の評価では、敷地からの水平距離が2㎞程度(最短距離は1.7㎞程度)ありそうであるが、断層の傾きのために敷地直下(傾斜60度とすると震源断層から敷地まで 最短1.5㎞程度)にアスペリティが位置する可能性があり、さらに、C断層は逆断層とみられており、上盤効果によって非常に大きな地震動が生じる懸念もある。 参加人は、本件設置変更許可申請において、申請書にも適合性審査の資料にも、「震源が敷地に極めて近い場合」に要する特別な検討内容を一切示 していないため、参加人が本件各断層について「震源が敷地に極めて近い 場合」に該当しないという前提で申請をしていたことは間違いない。しかし、参加人は、本件各断層について、 一切示 していないため、参加人が本件各断層について「震源が敷地に極めて近い 場合」に該当しないという前提で申請をしていたことは間違いない。しかし、参加人は、本件各断層について、「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しない理由を一切示しておらず、本件適合性審査の過程で原子力規制委員会は震源極近傍該当性についての検討をしていない。 ウ被告は、永久変位の影響の観点から、地表最短距離と地震規模の関係を 確認したと主張する。しかしながら、2014年に発生した長野県北部の地震はM6.7の地震であったが、地表地震断層が出現し、地表断層から1~2㎞西方で観測された観測記録から永久変位を含んだ変位波形が求められている(甲美D34)。2004年中越地震はM6.8の地震であったが、14地点で10㎝以上の永久変位が観測され、そのほとんどの観測地 点が断層から数㎞以上離れている(甲美D35・59、62頁)。したがって、本件各断層による地震規模が各M6.9と評価されているからといって、永久変位の影響を無視できるものではない。 被告は、本件関係図(耐専式の適用性を判断するために用いている等価震源距離と地震規模の関係図)を用いて「震源が敷地に極めて近い場合」 に顕著に現れる震源断層面の不均質性の影響の有無を考慮したと主張する。しかしながら、耐専式に用いられる等価震源距離は地震波エネルギーが等価な仮想的な点震源までの距離を意味するものであって、断層面の不均質性の影響を考慮するための概念ではなく、アスペリティの影響を端的に示したいのであれば、アスペリティと評価地点との距離を考えればいい のであり、わざわざ断層面全体の広がりを考える必要はない。耐専式による地震動評価における「極近距離」という概念は、コントロールポイントを設定 ば、アスペリティと評価地点との距離を考えればいい のであり、わざわざ断層面全体の広がりを考える必要はない。耐専式による地震動評価における「極近距離」という概念は、コントロールポイントを設定するために便宜的に作られた概念であり、策定経緯において、耐専スペクトルの適用範囲の目安となり得る旨の意見は出されたが、これと震源断層面の不均質の影響との関連性についてはまったく言及はなく、「極 近距離」の折れ線からの乖離の程度によって震源断層面の不均質の影響の 大小を評価できるという専門家の意見はない。 エ以上のとおり、本件適合性審査においては、本件各断層が「震源が敷地に極めて近い場合」に該当し得るにもかかわらず、原子力規制委員会はこれを一切検討していないから、本件設置変更許可処分の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるというべきである。 (被告の主張)ア震源極近傍規定は、敦賀発電所において原子炉(1号炉及び2号炉)から約250mという至近距離に活断層である浦底断層が存在したことから、敦賀発電所における浦底断層による地震の地震動評価の検討を念頭に導入されたものであり、具体的には、震源の極近傍の場合に地震動評価に顕著 に現れる影響である①断層のずれによる永久変位の影響及び②震源断層面の不均質性の影響を地震動評価に反映させるべく設けられたものである。 このような趣旨からすれば、同規定にいう「震源が敷地に極めて近い場合」に該当するか否かは、同規定が設けられる契機となった敦賀発電所と浦底断層との間の距離が約250mであることを念頭に置いて、震源と敷地と の位置関係を中心としつつ、当該断層の大きさや地震規模も踏まえ、上記の①断層のずれによる永久変位の影響と②震源断層面の不均質性の影響の程度を考慮する mであることを念頭に置いて、震源と敷地と の位置関係を中心としつつ、当該断層の大きさや地震規模も踏まえ、上記の①断層のずれによる永久変位の影響と②震源断層面の不均質性の影響の程度を考慮することにより判断するのが合理的である。 そして、ここでいう①断層のずれによる永久変位の影響については、地震発生層上端以深の深部断層の断層運動に浅部断層(表層地盤)が引きず られることにより発生することから、永久変位の影響の程度は、浅部断層と評価地点の位置関係に大きく影響を受けることになり、その検討に当たっては、評価地点(敷地)と地表に現れている断層との最短距離を意味する「地表最短距離」が重要な考慮要素となる。 また、②震源断層面の不均質性の影響については、特にアスペリティの 影響を強く受けるものであり、アスペリティの影響の程度を検討するに当 たっては、震源が点ではなく、面形状であることから、地下深部の震源断層面(深部断層)が敷地の方向に向かって傾斜しているか、それとも敷地とは逆方向に向かって傾斜しているかなどの断層形状や断層の傾斜角が重要な考慮要素となる。 さらに、そもそも震源断層の長さや面積が小さければ、地震のスケーリ ング則(相似則)に従って地震規模が小さくなる結果、震源断層面上のすべり量も小さくなり、自ずと①断層のずれによる永久変位の影響及び②震源断層面の不均質性の影響も小さくなることから、これらの影響を検討するに当たっては、震源断層の大きさや地震規模も重要な考慮要素となる。 実際の審査実務においても、①断層のずれによる永久変位の影響につい ては、主として地表最短距離と地震規模の関係性を確認し、また、②震源断層面の不均質性の影響については、断層の位置、断層形状、断層の傾斜角、アスペリティの位置等を考 による永久変位の影響につい ては、主として地表最短距離と地震規模の関係性を確認し、また、②震源断層面の不均質性の影響については、断層の位置、断層形状、断層の傾斜角、アスペリティの位置等を考慮した距離の概念であり、評価地点に対するアスペリティの影響の程度を示す指標となる等価震源距離と地震規模の関係性を確認した上で、これらを総合的に考慮して、「震源が敷地に極め て近い場合」に該当するか否かを個別のサイトごとに判断している。 検討用地震が耐専式の適用範囲内にあるということは、当該地震の「震源断層面の不均質性」の程度が、耐専式の策定に用いられた観測記録や耐専式を適用できることが確認された観測記録と同程度であることを意味する。これに対し、本件関係図の極近距離を示す折れ線からの乖離の程度 が大きい場合、同一の地震規模(M)に対して等価震源距離が相当に短いか、同一の等価震源距離に対して地震規模(M)が相当に大きく、「震源断層面の不均質性」の影響が大きいことを意味する。J3意見書①においても、震源極近傍規定の適用を判断するに当たり、検討用地震が耐専式の適用範囲内である場合には、地震動評価において「震源断層面の不均質性」 を原因とする不確かさのより詳細な評価は不要であるとして、震源極近傍 規定の適用を否定する一事情として考慮することは合理的である旨が示されている。 イ白木-丹生断層について、原子力規制委員会は、①断層のずれによる永久変位の影響の観点からは、本件原子炉敷地と白木-丹生断層との間の地表最短距離が読図で1㎞強あり、250mほどの至近距離にあるものでは ないこと、白木-丹生断層の断層長さは20㎞、M6.9とされており、地震の規模が比較的小規模であることを確認し、また、②震源断層面の不均質性の観点 強あり、250mほどの至近距離にあるものでは ないこと、白木-丹生断層の断層長さは20㎞、M6.9とされており、地震の規模が比較的小規模であることを確認し、また、②震源断層面の不均質性の観点からは、「応答スペクトルに基づく地震動評価」で用いられる耐専式の適用性を判断するために用いている本件関係図において白木-丹生断層による等価震源距離と地震規模を示すプロットと「極近距離」を示 す折れ線との乖離が大きくないことを確認して、これらを総合的に考慮して「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないと判断した。、C断層について、原子力規制委員会は、白木-丹生断層と同様に、本件原子炉敷地とC断層との間の地表最短距離が読図で2㎞以上あり、250mほどの至近距離にあるものではないこと、C断層の断層長さは18㎞、 M6.9とされており、地震規模が比較的小規模であること、本件関係図においてC断層による等価震源距離と地震規模を示すプロットと「極近距離」を示す折れ線との乖離が大きくないことを確認して、総合的に考慮して「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないことを確認した。 そして、参加人は、本件各断層について、断層長さ、断層傾斜角、上端 深さ及び下端深さについて保守的に基本ケースを設定し、不確かさの考慮として短周期地震動レベルを1.5倍とした考慮をし、C断層については不確かさの考慮として震源断層面がより本件原子炉敷地に近づくよう断層傾斜角を55度とする考慮もした。 本件設置変更許可申請に係る申請書には、本件各断層が震源極近傍規定 の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当することを前提とした記載が一 切なく、参加人において、本件各断層が上記の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないことを前提に本件設置変更許可申請を 「震源が敷地に極めて近い場合」に該当することを前提とした記載が一 切なく、参加人において、本件各断層が上記の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないことを前提に本件設置変更許可申請を行っていることは明らかであった。これに対し、原子力規制委員会は、本件原子炉敷地と本件各断層との間の各地表最短距離が敦賀発電所における浦底断層のような敷地と断層の位置関係にないことや、本件各断層による地震がいずれ も耐専式の「等価震源距離と地震規模の関係図」の適用範囲内であること等の事情が、それぞれ参加人から提出された申請書の記載及び審査会合資料から確認できたことから、本件設置変更許可申請のうち、本件各断層がいずれも震源極近傍規定の「震源が敷地に極めて近い場合」に該当しないことを前提とする部分については特段問題がないと判断していたもので ある。 ウ原告らは、「震源が敷地に極めて近い場合」とは、断層最短距離が数㎞以内の場合であると主張する。しかしながら、J8委員が、地震等基準検討チームにおいて数㎞以内を震源極近傍と想定した発言をしていたとしても、極近傍規程の適用範囲に焦点を当てた議論はされておらず、震源が原子力 発電所の至近距離にある場合の評価手法の在り方を検討事項として行われたものであるから、震源極近傍を数㎞以内とすることが想定されていたということはできない。 さらに、原告らは、震源極近傍地震動に関する科学的知見(甲D116、247、甲美D39~41)を指摘するが、これらは「震源が敷地に極め て近い場合」とは異なる意味で極近傍を用いていたり、「震源極近傍」の定量的な定義を定めることは困難であるなどから正式に規制に取り入れられるものではなかったりするものであり、これらを根拠に本件各断層が「震源が敷地に極めて近い場 極近傍を用いていたり、「震源極近傍」の定量的な定義を定めることは困難であるなどから正式に規制に取り入れられるものではなかったりするものであり、これらを根拠に本件各断層が「震源が敷地に極めて近い場合」に当たるということはできない。 エ以上のとおり、原子力規制委員会において、本件各断層がいずれも「震 源が敷地に極めて近い場合」に該当しないと判断したことは、科学的に合 理的なものであるから、同判断に係る原子力規制委員会の判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (8) 蒸気発生器の耐震評価の不正(本件工事計画認可処分関係)(争点3-(8))(原告らの主張)ア本件原子炉の蒸気発生器伝熱管の基準地震動Ssによる1次応力評価基 準値(許容応力値)は、近接した時期に工事計画認可申請がされており、伝熱管材料にいずれもインコネル690合金を用いている川内発電所1号機、伊方発電所3号機、高浜発電所1号機及び2号機がいずれも481MPaであることと比べ、539MPa と突出して大きい。許容応力値は、原子力発電所の耐震設計の規格及び基準値等で規定されている定め方に即して、 使用温度に対する材料データから決められるものである。そのため、同一時期に工事計画の審査を受ける原子力発電所の間で、同じ材料の伝熱管について、このような相違があるのは極めて不自然である。他方で、1次応力発生値(計算値)は、各原子力発電所の基準地震動の大きさと建物の床応答特性等に依存して決まるため、Ssの最大加速度が993gal と最も 大きい本件原子炉の値が他の原子力発電所での発生値を上回っている。本件原子炉に他の原子力発電所の許容応力値(481MPa)を適用すると、527MPa という1次応力発生値がその基準を超える。 イ原 きい本件原子炉の値が他の原子力発電所での発生値を上回っている。本件原子炉に他の原子力発電所の許容応力値(481MPa)を適用すると、527MPa という1次応力発生値がその基準を超える。 イ原子力発電所の耐震設計用の耐震荷重とその他の荷重との組み合わせ及び許容応力は、日本電気協会と日本機械学会による民間規格(学協会規格) によって定められている。そして、その内容は、技術の進歩と新しい知見を反映させるために専門家らの検討により適宜改訂が繰り返されている。 本件では、蒸気発生器伝熱管のうち、蒸気発生器がクラス1容器(原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器)に属し、伝熱管材料のインコネル690合金が高ニッケル合金に属するので、「クラス1容器の基準地震動に 対する許容応力の定め方(高ニッケル合金について)」が問題となる。高浜 発電所1号機及び2号機については、「左欄」(1次膜応力の許容応力を指す。)「のα倍の値」として、平成17年から平成25年までの間に定められた設計・建設規格2005 等が定める基準を用いているが、本件原子炉については、「左欄の1.5倍の値」と記載されており、昭和59年に定められたJEAG4601・補-1984 が定める基準を用いている。上記係数αは、約1. 35となり、1.5倍の方が大きい。本件原子炉の基準地震動が、本件設置変更許可申請時の審査の過程で、最大加速度で建設時の約2.5倍に引き上げられたため、伝熱管の耐震評価における1次応力発生値が設計・建設規格2005 等が定める基準に基づく許容値を満たすことができなくなったため、あえてJEAG4601・補-1984 が定める緩やかな許容値を採用した強 い疑いがある。 JEAG4601・補-1984 の「左欄の1.5倍」という数値は、 満たすことができなくなったため、あえてJEAG4601・補-1984 が定める緩やかな許容値を採用した強 い疑いがある。 JEAG4601・補-1984 の「左欄の1.5倍」という数値は、矩形中実断面での計測値を円形中空断面にもそのまま流用するものであり、力学的にも不適切である。曲げ応力の場合、外表面での引張応力が降伏応力に達しても塑性崩壊(内部での全面崩壊)を起こさず、矩形断面では、その1.5倍 の応力ではじめて塑性崩壊となる。しかし、伝熱管のような薄い肉厚の中空断面の場合には、断面の中心部が欠けているために、1.5倍よりも小さな応力で塑性崩壊に至る。そのことを考慮したのがαという形状係数である。伝熱管の応力解析には、当然ながらこのような厳密な計算値を使わなければならない。 ウ以上より、本件工事計画認可処分に係る審査の過程に過誤、欠落があるといえる。 (被告の主張)ア本件原子炉の蒸気発生器伝熱管の「1次応力評価基準値(許容応力値)」539MPa とは、運転状態I~運転状態Ⅲと基準地震動を組み合わせた場 合(ⅣAS)における1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の値であり、 JEAG4601・補-1984 の許容応力の算定方法によるものである。 JEAG4601・補-1984 における算定方法は、米国機械学会(ASME)が1963年に策定した規格において採用されたものであるところ、その規模や体制から、ASMEの作成する規格は世界的にも高い信頼性を有し、世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)としての地位を確立してい る。ASMEにおいては、1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の算定に用いられる1.5倍という形状係数が矩形断面の場合の数値であることを前提としつつも、許容応力を算定す としての地位を確立してい る。ASMEにおいては、1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の算定に用いられる1.5倍という形状係数が矩形断面の場合の数値であることを前提としつつも、許容応力を算定する対象物の形状ごとに異なる形状係数を用いるのではなく、工学的な観点から、保守性が考慮された単純化したモデルを用いることにより、1.5倍という形状係数を矩形断面以外の断 面を持つ対象物に対しても適用することができると判断したものであり、この規格は、現在においても、米国やフランス、韓国、カナダといった原子力発電主要国の規制において用いられていることからすれば、科学的見地から国際的に認められている算定方法であり、現在の科学技術水準に照らし、合理性を有するものである。JEAG4601・補-1984 の規定も、ASME の規定を参考に、国内専門家の意見を集約して作成されたものであり、ASME 規格が科学的合理性を有する規定と評価することができるのと同様、科学的合理性を有する規定と評価することができる。 したがって、JEAG4601・補-1984 における許容応力の算定方法に不合理な点はなく、このような算定方法に従って算出された本件原子炉の蒸気発 生器伝熱管の許容応力を前提に機能保持要件を満たすと判断した原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 イ ASMEは、1978年の追補版において、矩形断面以外の断面形状のものについて、1次膜応力+1次曲げ応力の許容値を算定する際に、形状 係数が1.5を超えない場合に限り、1次一般膜応力の許容応力の値に形 状係数α(純曲げによる全断面降伏荷重と初期降伏荷重の比であり、断面の形状によって異なる)を乗じる算定方法を用いることができる旨が追記 ない場合に限り、1次一般膜応力の許容応力の値に形 状係数α(純曲げによる全断面降伏荷重と初期降伏荷重の比であり、断面の形状によって異なる)を乗じる算定方法を用いることができる旨が追記されたが、矩形断面以外の断面形状のものに対して、1次一般膜応力の許容応力の値の1.5倍とする算定方法、つまりJEAG4601・補-1984 の算定方法の適用を否定するものではなく、同算定方法と形状係数をαとする新 たな算定方法との選択を認めたものである。そして、ASME 規格におけるこのような1次膜応力+1次曲げ応力の許容応力の値の算定方法は、最新の 2021 年版のASME 規格においても採用されている。 ここで、1.5倍という数値は、弾完全塑性体、つまり降伏点を超える応力増加がないとする単純化したモデルを用いた矩形断面における形状 係数となる。ASME 規格では、これを「工学的判断」と「保守的な簡略化」により、基本的な応力制限の場面で適用できるとしている。「保守的な簡略化」とは、弾完全塑性体を前提としたひずみ硬化特性を考慮していないことを意味し、ひずみ硬化特性とは、材料において弾性範囲を超えたひずみを与えた場合に、降伏点を超えた応力が発生することでより大きな負荷能 力、すなわち抵抗を生ずる特性をいう。実際の材料よりもひずみ硬化特性の分だけ許容応力に余裕が生ずる、つまり保守的となることを意味する。 蒸気発生器伝熱管に用いられるインコネル690(ニッケル・クロム・鉄合金)は、ひずみ硬化特性が大きいことが知られている。また、「工学的判断」とは、経験的専門的知見による総合的な判断により一定の線引きや決 定を行うものである。設計・建設規格2005 等は形状係数α倍を採用しているが、JEAG4601・補-1984 において策定され とは、経験的専門的知見による総合的な判断により一定の線引きや決 定を行うものである。設計・建設規格2005 等は形状係数α倍を採用しているが、JEAG4601・補-1984 において策定された1.5倍の値を用いることについて、技術的に否定されてはおらず、科学的合理性が失われたものではない。 4 火山に関する争点(争点4) (1) 層厚想定に関する基準の不合理性(本件設置変更許可処分及び令和3年設 置変更許可処分関係)(争点4-(1))(原告らの主張)ア火山ガイドは、火山事象の影響に関して、立地評価と影響評価の2段階で評価することとしており、立地評価については、原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出、原子力発電所の運用期間における火山活動に関す る個別評価を行うこととしている。また、影響評価については、個別評価の結果を受けて、原子力発電所への火山事象の影響評価を行うこととしている。 平成29年火山ガイドまでは、過去に発生した噴火については考慮することを原則とし、「その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合」に 限って考慮対象から外すこととしていた。ここでいう「噴出源」とは、火口等の場所あるいは火山そのものを指す言葉であり、火山自体の将来の噴火可能性を問題としていると読むのが自然である。個別の、ある特定の噴火規模の噴火について、その発生可能性を問題としているようには読めない。これに対し、令和元年火山ガイドは、特定の噴出規模の噴火ごとに、 運用期間中の発生可能性だけを問題として、考慮対象から除外できる噴火の範囲を広げた。 しかし、現在の火山学の水準では、噴火の時期や規模について、噴火の相当前の時点で的確に予測することは困難であり、特定の規模の噴火が発生する可能性が十分小さいと から除外できる噴火の範囲を広げた。 しかし、現在の火山学の水準では、噴火の時期や規模について、噴火の相当前の時点で的確に予測することは困難であり、特定の規模の噴火が発生する可能性が十分小さいといえる水準にはなく、そのようなリスクを社 会として受容することも許されない。令和元年火山ガイドは、火山事象が発生する時期及び規模を的確に予測することができることを前提とするものではなく、現在の火山学の知見に照らして現在の火山の状態を評価するという解説をしているが、これによりなぜ運用期間中の活動可能性が十分小さいという評価につながるか全く明らかではない。 また、火山の噴火規模に関する指標は、それ自体に不確実性が大きいと いう問題がある。原子力発電所の安全規制においては、噴火規模は火山噴出物の体積に着目した考え方が採用されており、その求め方は、堆積層中において火砕物(テフラ)が実際に確認できる地点をつないで等層厚線を引き、降灰面積と厚さを積分して計算するものであり、大きな誤差・不定性を含みうる。 以上のような問題があるにもかかわらず、令和元年火山ガイドは、特定の噴出規模の噴火ごとの運用期間中の発生可能性を判断することが可能であるという前提に立った規定となっており、平成29年火山ガイドまでの要件を緩和し、噴火の時期や規模について、噴火の相当前の時点で的確に予測できることを前提としている点で不合理である。 イまた、令和元年火山ガイドの規定に従えば、例えば大山のように、最も大きい噴火が大山倉吉テフラ(DKP)噴火(参加人は噴出量約20.74㎦と評価)であるが、その次の規模の噴火が大幅に小さい(大山生竹テフラ(DNP)噴火(噴出量約11㎦))場合に、万が一、DKPについて活動可能性が十分小さいと評価された場 参加人は噴出量約20.74㎦と評価)であるが、その次の規模の噴火が大幅に小さい(大山生竹テフラ(DNP)噴火(噴出量約11㎦))場合に、万が一、DKPについて活動可能性が十分小さいと評価された場合には、DNPを考慮すればよい (DKP未満、DNP以上の噴火を考慮しなくてよい)ことになるが、このような推論は論理の飛躍であり、科学的にも論理的にも誤りというほかない。 したがって、令和元年火山ガイドは、特定の噴火規模の噴火可能性を否定することにより、それより小さい噴火の可能性まで否定する枠組みとな っている点で不合理である。 ウ令和元年火山ガイドは、影響評価に関して、運用期間中の活動可能性をどのように評価するか規定がないものの、立地評価に関する「火山活動に関する個別評価」を参照するものと考えられる。そして、巨大噴火については緩やかに解釈し、非切迫性及び具体的根拠の欠缺が認められれば、活 動可能性が十分小さいものとみなすこととしている。 平成25年火山ガイドの作成に当たり、原子炉施設等基準検討チームにおいて、火山の活動可能性及びその規模の評価には不確実性があることから、これを補うものとしてモニタリングを実施することとしたが、モニタリングの能力を過剰に期待するものであった。また、噴火の前兆がどの程度事前に現れるかをうやむやにしたまま、モニタリングによって前兆現象 が把握できることを前提として平成25年火山ガイドは作成された。さらに、平成25年火山ガイド作成に当たって、当初は大規模な火山活動に着目して立地評価を行うことを考えていたが、大規模ではない噴火についても影響を評価するのは難しいという指摘を受け、大規模噴火であるか否かを区別することなく立地評価をすることとした。しかし、その後、モニタ リ を行うことを考えていたが、大規模ではない噴火についても影響を評価するのは難しいという指摘を受け、大規模噴火であるか否かを区別することなく立地評価をすることとした。しかし、その後、モニタ リング検討チームにおける専門家の指摘等によって、モニタリング等によって噴火の時期や規模を予測することは困難であることが明らかとなった。そうであれば、予測の不確実性を踏まえ、火山ガイドをモニタリングに頼らない形に保守的に変更し、当初考えていた安全を確保できるように改正すべきであったにもかかわらず、令和元年火山ガイドは、モニタリン グを立地評価の外側に位置付け、いわゆる社会通念論により巨大噴火とそれ以外の噴火を区別し、巨大噴火は活動性評価を緩やかに行うこととし、従前の不確実な予測だけで足りると開き直る方向に改正(改悪)した。 立地評価の不確実性を保守的に考慮することをせず、モニタリングを立地評価の外側に位置付けたことが、実質的に平成25年火山ガイドの要件 の緩和するものであることは明らかであり、令和元年火山ガイドは不合理というほかない。 エ以上のとおり、不合理な具体的審査基準である令和元年火山ガイドは、設置許可基準規則6条1項の「安全機能を損なわない」に違反し、炉規法43条の3の6第1項第4号の「災害の防止上支障がないものとして原子 力規制委員会が定める規則に適合する」に違反する。 (被告の主張)ア火山ガイドは、審査官が許認可の審査を行うに当たり、具体的に何を確認すればよいか、どのようなことに留意する必要があるかを取りまとめた手引として位置付けられ、申請内容の妥当性を確認するための方法の一例を示した手引にすぎないから、一般的に伊方最高裁判決にいう「具体的審 査基準」に当たるものではなく、適合性審査にお 取りまとめた手引として位置付けられ、申請内容の妥当性を確認するための方法の一例を示した手引にすぎないから、一般的に伊方最高裁判決にいう「具体的審 査基準」に当たるものではなく、適合性審査において具体的な審査基準として用いられた限度において、上記「具体的審査基準」に当たる。 本件設置変更許可処分と令和3年設置変更許可処分においては、いずれも降下火砕物の最大層厚の設定について審査されているものの、両処分は別個の行政処分であり、それぞれの申請に対し要件適合性を認めた行政庁 の認定判断の内容も異なる以上、それぞれの処分に関する取消訴訟の審理判断の対象も、当然別個のものとなる。したがって、令和3年設置変更許可処分の違法性が本件設置変更許可処分の取消事由となると解する余地はない。 イ火山事象が原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい か否かの評価に当たっては、まず、文献調査、地形・地質調査及び火山学的調査等を行い、これらの調査結果を基に、当該火山の噴火時期、噴火規模、活動休止期間を示す階段ダイヤグラムを作成し、対象とする火山の過去から現在までの火山活動に焦点を当てて調査するとともに、さらに、必要に応じて地球物理学的調査及び地球化学的調査を行い、マグマ溜まりの 位置や規模、火山噴出物等について分析することにより、現在の火山の状態を分析し、現在の活動状況を確認した上で、原子力発電所の運用期間中における火山の活動の可能性を総合的に評価するものである。このような評価手法は、将来の火山活動に不確実性があることを前提としつつ、火山学における最新の知見を参照して、火山の過去から現在までの火山の活動 履歴のほか、現在の火山の状態ないし活動状況を確認することにより、上 記の不確実性の程度をできる限り減 つ、火山学における最新の知見を参照して、火山の過去から現在までの火山の活動 履歴のほか、現在の火山の状態ないし活動状況を確認することにより、上 記の不確実性の程度をできる限り減じた上で、原子力発電所の運用期間中という火山活動の歴史から見れば非常に限られた期間に焦点を当てて、その活動可能性が十分に小さいか否かを評価するものである。したがって、原子力発電所の運用期間中の噴火を相当前の段階で十分予測できることを前提とするものではない。 ウ設置変更許可処分の要件として準用される炉規法43条の3の6第1項4号は、設置許可処分における発電用原子炉施設の安全性の要件として、「発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が(中略)災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること」を定めているが、どのような異常事態が生じても、発電用原子炉施 設内の放射性物質が外部の環境に放出されることは絶対にないといった達成不可能なレベルの高度の安全性(絶対的安全性)を備えていることをいうものではなく、発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が、相対的安全性を前提とした安全性を備えていることをいうものである。この相対的安全性とは、発電用原子炉施設を含む科学技術を利用した各種の機械、装置 等は、絶対に安全というものではなく、常に何らかの程度の事故発生等の危険性を伴っているものであるが、その危険性が社会通念上容認できる水準以下であると考えられる場合等に、その危険性の程度と科学技術の利用により得られる利益の大きさとの比較衡量の上で、これを一応安全なものであるとして利用することを許容するというものである。炉規法43条の 3の6第1項4号の規定を受けて火山の影響を含む「想定される自然現象」への安全対 さとの比較衡量の上で、これを一応安全なものであるとして利用することを許容するというものである。炉規法43条の 3の6第1項4号の規定を受けて火山の影響を含む「想定される自然現象」への安全対策を求める設置許可基準規則6条及び同条についての設置許可基準規則解釈も、最新の科学的技術的知見から合理的に想定される自然現象の危険性を想定した安全対策を求めるものと解される。このことは、設置許可基準規則解釈が、設置許可基準規則6条2項の「大きな影響を及ぼ すおそれがあると想定される自然現象」とは、対象となる自然現象に対応 して、最新の科学的技術的知見を踏まえて適切に予想されるものという。」として、ありとあらゆる種類及び規模の自然現象を想定した安全対策が求められているものではないことからも明らかである。 一般論として、ある自然現象に関して想定する水準(ハザードレベル)を設定する際には、①既往最大の観測値等に基づきハザードレベルを設定 する手法、②理論的評価に基づきハザードレベルを設定する手法があり、②の手法には、ある現象をモデル化するなどして、科学的に合理的な範囲で最大のハザードレベルを予測して設定する、決定論的手法を用いたハザードレベルの設定方法と、観測された複数の事例等からハザードカーブを作成し、ある確率以下のハザードをスクリーニングしてハザードレベルを 設定する、確率論的手法を用いたハザードレベルの設定方法があり、これらのいずれか又は複数の手法を用いるのが合理的である。火山事象については、他の自然現象に比べて、発生メカニズム解明や過去の観測記録のデータが不十分であり、②のいずれの手法も確立されていないから、①の手法を用いるのが最も合理的である。 令和3年設置変更許可処分についてみると、DNP以上DK カニズム解明や過去の観測記録のデータが不十分であり、②のいずれの手法も確立されていないから、①の手法を用いるのが最も合理的である。 令和3年設置変更許可処分についてみると、DNP以上DKP未満の噴火については、当該噴火があったことをうかがわせるような降下火砕物の堆積が本件原子炉施設の敷地及びその周辺調査により認められていない以上、これと同規模の噴火を考慮して火山の影響評価を行うべきとする合理的な根拠は存しない。 エ令和元年火山ガイドは、火山ガイドの各記載の趣旨及び火山ガイドに基づく審査実務の考え方を正確に表現し、かつ、文章としてより分かりやすいものとなるよう改正したものであって、原子力規制委員会の考え方及びそれに基づく火山ガイドの運用に変化はない。従前の審査実務においても、噴出源である火山事象が同定でき、これと同様の火山事象が原子力発電所 の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合は、「その噴出源が将来 噴火する可能性が否定できる」場合に当たるとして考慮対象から除外していたところである。 また、令和3年設置変更許可処分においては、本件原子炉施設から半径160㎞の範囲の地理的領域の外にある大山火山に関する本件バックフィット命令を受けて、影響評価が審査の対象となったものであり、巨大噴 火の発生可能性やモニタリングについては審査の対象とはなっていない。 そのため、令和元年火山ガイドにおける巨大噴火やモニタリングの位置付けは、令和3年設置変更許可処分において審査されていない事項に関するものというほかなく、令和3年設置変更許可処分の適法性に何ら影響するものではない。 本件設置変更許可処分との関係でみても、本件設置変更許可処分に係る立地評価においては、火山と敷地の位置関係や距離から本件 なく、令和3年設置変更許可処分の適法性に何ら影響するものではない。 本件設置変更許可処分との関係でみても、本件設置変更許可処分に係る立地評価においては、火山と敷地の位置関係や距離から本件原子炉施設に設計対応不可能な火山事象が影響を及ぼす可能性は十分に小さいとする参加人の申請に関して審査が行われているところ、その際、巨大噴火の発生可能性が評価されている火山はなく、巨大噴火の発生可能性は審査対象 となっておらず、また、モニタリングの対象となる設計対応不可能な火山事象が発電所に到達したと考えられる火山(監視対象火山)も存在せず、火山活動のモニタリングについても審査対象とはなっていない。そのため、火山ガイドにおける巨大噴火及びモニタリングの位置付けは、本件設置変更許可処分の審査対象となっていない。 オ以上によれば、降下火砕物の最大層厚の設定に係る具体的審査基準(火山ガイド)に不合理な点はあるとはいえない。 (2) 噴火規模に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(2))(原告らの主張) ア令和3年設置変更許可処分等において検討されたのは、鳥取県の大山か らの噴出物であり、大山の過去最大規模の噴火は約5万5000年前の大山倉吉(DKP)噴火である。その噴出量は40㎦程度といわれ、大山生竹(DNP)噴火の4倍近いとされ、本件原子炉がある若狭湾周辺で20㎝程度の厚さがあり、風向次第では層厚50㎝を超えた可能性も高いとされており、山元(2016)ではほとんど100㎝に近いシミュレーション結果 が得られている。 令和3年設置変更許可処分においては、DNPが考慮され、DKPは考慮されず、DKPよりは規模が小さいもののDNPを超える規模 )ではほとんど100㎝に近いシミュレーション結果 が得られている。 令和3年設置変更許可処分においては、DNPが考慮され、DKPは考慮されず、DKPよりは規模が小さいもののDNPを超える規模の噴火も考慮されていない。これに当たり、DKPとそれ以外の噴火との噴出率期の違い、大山地下のマグマ溜まりの位置と浮力中立点との関係などが理由 とされているが、下記ウ及びエのとおり、いずれも確度の高いものではなく、現在の火山学の水準によって火山規模の推定を精度よく行うことは困難であるから、DKP規模の噴火(50~100㎝の層厚)を考慮した対策をすべきである。しかし、参加人及び原子力規制委員会は、本件原子炉敷地における最大層厚を22㎝と評価しており、令和3年設置変更許可処 分の基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落がある。 イ火山ガイドは、運用期間中の活動可能性を評価することとしており、運用期間とは、「原子力発電所に核燃料物質が存在する期間」と定義されている。使用済燃料は原子力発電所の運転停止後も相当長期間にわたって敷地内で冷却する必要があるほか、最終的な処分方法や搬出先も決まっていな いから、運用期間は数百年単位の相当長期に及ぶ可能性がある。運用期間が明らかではない以上、運用期間中の活動可能性を評価することは理論上不可能であるにもかかわらず、運用期間を定量的に明らかにしないまま、運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性は十分小さいと評価した令和3年設置変更許可処分の基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落 がある。 ウ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査おいて、DKP噴火は高噴出率期に発生しているのに対し、DNP噴火を含む数㎦以下の噴火については低噴出率期に発生し ウ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査おいて、DKP噴火は高噴出率期に発生しているのに対し、DNP噴火を含む数㎦以下の噴火については低噴出率期に発生していることから、DKP噴火とDNP噴火とは一連の噴火ではないという参加人の評価を是としている。しかし、DKP噴火とDNP噴火が一連の噴火ではないというだ けで、DKP規模の噴火の可能性が否定されるわけではなく、高噴出率期にあるから大規模な噴火が発生し、低噴出率期にあるから大規模な噴火が発生しないという関係性が例外なく認められるという知見も存在せず、データ数も少なすぎて傾向を読み取れるレベルにない。また、大山においては、40~60万年前に溝口凝灰角礫岩の存在が確認されており、この時 期には、「高噴出期」とされる時期と同程度の噴出率となっている。岩石に含まれるNb/Y 比やSr/Y 比の違いをみても、有意な違いといえるか疑問があり、その違いが何に由来するかも仮説の域を出ない。このように、高噴出率期及び低噴出率期という区別自体が恣意的で、到底確度の高いものとはいえない。 エ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査において、現在の大山のマグマ溜まりの状態について、地震波トモグラフィ法を用いて調査した結果、大山の地下20㎞以深に低速度層の存在が認められ、マグマ溜まりの存在が示唆されるが、これは爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点(7㎞)に比して深い位置にあるから、噴 火が差し迫った状態にあることを示していないと評価している。しかし、地震波トモグラフィは、水やメルトといった流体を含む岩石の地震波速度が、流体を含まない岩石と比較して遅くなることを利用して地下の構造を把握するものであるところ、 示していないと評価している。しかし、地震波トモグラフィは、水やメルトといった流体を含む岩石の地震波速度が、流体を含まない岩石と比較して遅くなることを利用して地下の構造を把握するものであるところ、これは、マグマ溜まりにおけるマグマが水に近いような流体であり、水を含まない部分と明瞭に区別できることを前提 としているが、実際のマグマ溜まりは、その大部分がマッシュ状(結晶含 有量が40~50%以上でほとんど流動できない状態)であるというのが近時の共通理解になってきており(東宮(2016)、甲D240・281頁)、マグマ溜まりを正確に把握できない可能性が高い。さらに、東宮(2016)によれば、マグマ溜まりの位置について、浮力のみではなく、地殻内のレオロジーや剛性のコントラスト、応力場などがマグマの定置深度を支配する らしいとされており、必ず浮力中立点付近にマグマ溜まりが位置するとは限らない。 (被告の主張)ア参加人は、DNPの噴出規模を見直した大山火山の噴火履歴について整理した上で、階段ダイヤグラムを作成して、DKP噴火に至る活動間隔か ら、DKP規模の噴火までには十分な時間的余裕があることが考えられる旨説明した。DKPは、その噴出量が20.74㎦程度と巨大噴火並に大きな規模の噴火であるところ、このような巨大噴火並に大きな規模の噴火の発生前には、これに見合う相当量のマグマ溜まりが地下に存在することを要すると解されるため、階段ダイヤグラムを作成して、DKP規模の噴 火が起こるまでの活動間隔や火山の活動性が高い時期等を検討することは有用である。大山火山は、約100万年前頃に火山活動を開始し、少なくとも、40万年前以降の最も規模の大きな噴火が約5.5万年前に発生したDKPであり、DKP噴火に至る活動間隔( 期等を検討することは有用である。大山火山は、約100万年前頃に火山活動を開始し、少なくとも、40万年前以降の最も規模の大きな噴火が約5.5万年前に発生したDKPであり、DKP噴火に至る活動間隔(約30万年以上)は、DKP噴火以降の経過時間(約5.5万年)に比べて十分に長いことから、次 のDKP規模の噴火までには、十分な時間的余裕があると考えられた。 したがって、このような大山火山の噴火履歴は、「原子力発電所の運用期間中におけるDKP規模の噴火が発生する可能性は十分に小さい」ことを根拠付けるものと評価することができた。 イ原子力発電所の運用期間とは、火山ガイドにおいて「原子力発電所に核 燃料物質が存在する期間とする」(火山ガイド1.4(4))と定義されてい るとおりであり、原子力規制委員会においては、一般的かつ常識的な理解として、原子力発電所の運用期間は数十年オーダーであるとの想定の下で審査を行っている。そして、この数十年オーダーという期間の幅は、火山活動の歴史から見れば非常に限られた期間にとどまるものであるため、それ以上に運用期間を「定量的」に評価することは、火山の活動可能性を評 価するに当たって特段意味を有するものではない。したがって、運用期間を定量的に明らかにしていないことをもって、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性判断に、看過し難い過誤、欠落がある旨の原告らの主張は理由がない。 ウ参加人は、地球化学的調査の観点から、火山影響評価に係る安全研究を 踏まえ、大山火山は、高噴出率期と低噴出率期では噴出物が異なる組成トレンドを持つことが明瞭であり、DKPは高噴出率期のトレンドと一致し、約2万年前の最終噴火では低噴出率期のトレンドに戻っている旨説明した。 この点、火山影 噴出率期と低噴出率期では噴出物が異なる組成トレンドを持つことが明瞭であり、DKPは高噴出率期のトレンドと一致し、約2万年前の最終噴火では低噴出率期のトレンドに戻っている旨説明した。 この点、火山影響評価に係る安全研究では、大山火山起源の各噴火による降下火砕物の堆積物の分布が調査され、大山火山の過去約20万年間の噴 火層序の見直しとマグマ噴出量の再計測が行われ、新たに積算マグマ噴出量の階段図が作成された上、この階段図を基にマグマ組成の時系列変化についての検討が行われたところ、傾斜が比較的緩やかな約16万年前の低噴出率期の噴火における噴出物の化学組成と、DNPやDKPといった大規模な噴火が続いた約10万年前から約2万8000年前の高噴出率期の 噴火におけるそれとを比較した結果、両者が異なっており、さらに最末期に当たる約2万1000年前の噴火における噴出物の化学組成が再び低噴出率期のそれに近いものとなっていることが判明した。 また、参加人は、上記研究結果を基にマグマ組成の変化に着目した研究成果として発表されたYamamotoandHoang(2019)を踏まえ、大山火山のア ダカイトはK2O量の高いグループと低いグループに分類できるとし、K2 O量の低いグループのアダカイトは約10万年前から約2万年前までの高噴出率期に発生し、高いグループのアダカイトはその高噴出率期の前後に発生したこと、DKPは高噴出率期に発生しており、K2O量の低いグループのアダカイトに属していることを説明した。この点、YamamotoandHoang(2019)では、DKP噴火は高噴出率期に発生したこと、高噴出率期中 に噴出したアダカイトはK2O量の低いグループの組成を持っており、これは下部地殻同化作用の影響の度合いが高かった Hoang(2019)では、DKP噴火は高噴出率期に発生したこと、高噴出率期中 に噴出したアダカイトはK2O量の低いグループの組成を持っており、これは下部地殻同化作用の影響の度合いが高かったことを示唆するものであること、K2O量の低いグループの噴出には、下部地殻同化作用を起こす新たなマグマの大量貫入による下部地殻の再加熱が必要であるが、大山火山直下ではそのようなマグマ活動は検知されていないことが指摘されて おり、これらの事情は、現在の大山火山の活動可能性が低下していることを示すものということができた。 このような地球化学的調査の結果は、「原子力発電所の運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性は十分小さい」ことを根拠付けるものと評価することができた。 エ地球物理学調査の観点からは、巨大噴火を引き起こすマグマ溜まり(浮力中立点)は地下10㎞以浅に蓄積されるという考え方が岩石学的、火山地質学的に広く肯定されており、火山影響評価に係る安全研究においても、噴火直前のマグマの温度・圧力条件からマグマの定置深さを推定した結果、概ね10㎞以浅に定置していることが示されているところ、参加人は、大 山火山周辺の地下構造について地球物理学的調査手法の1つである地震波トモグラフィ法による調査を行った結果を見ると、低速度領域の存在と大山火山の西方で生じている低周波地震の存在から、同領域にマグマ溜まりが存在する可能性が示唆されるものの、仮にこれがマグマ溜まりであると仮定しても、これらの低速度領域は20㎞以深に位置している旨説明した。 この点、DKP噴火は、大量の火砕流となるような噴火ではないため、 巨大噴火そのものには該当しないが、噴出量が数10㎦程度を超えるという点において巨大噴火並に大きな規模の噴火 この点、DKP噴火は、大量の火砕流となるような噴火ではないため、 巨大噴火そのものには該当しないが、噴出量が数10㎦程度を超えるという点において巨大噴火並に大きな規模の噴火であることから、DKP規模の噴火の発生前には、これに見合う相当量のマグマ溜まりが地下に存在することを要すると解することができる。 したがって、上記地球物理学的調査の結果(大山火山の地下構造)は、 「原子力発電所の運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性は十分に小さい」ことを根拠付けるものと評価することができた。 オ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分に当たり、参加人による上記階段ダイヤグラム、地球物理学的調査、地球化学的調査の結果を基に原子力発電所の運用期間中にDKP規模の噴火が発生する可能性は十分 に小さいとしてDKP規模の噴火を考慮すべき噴火から除外した参加人の評価を妥当と判断したものであり、その審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (3) 層厚に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(3)) (原告らの主張)ア令和元年火山ガイドは、降下火砕物の層厚の想定に関し、「浸食等で厚さが小さく見積もられるケースがあるので、文献等も参考にして」堆積量を評価するものとする。テフラ層は浸食・風化されやすく、堆積直後には再移動しやすい上、ふるい分けが良いテフラほど粒間の隙間が大きく圧密(上 層の荷重等によって降下火砕物の層の間隙に存在する水や空気を排出し、堆積が減少する現象)作用でも厚さがかなり減少するから、現在の地層の厚さは、堆積当時の3分の2から半分程度になるともいわれており、令和元年火山ガイドは、浸食、風化、再移動、 在する水や空気を排出し、堆積が減少する現象)作用でも厚さがかなり減少するから、現在の地層の厚さは、堆積当時の3分の2から半分程度になるともいわれており、令和元年火山ガイドは、浸食、風化、再移動、圧密等の考慮を求めているというべきである。 また、Legros 法は、噴出物の最小限の体積を求める算出式とされており、 真の体積値は計算値の数倍になり得る。このような不確実性を考慮せず、Legros 法によって求められたDNPの噴出物量11㎦を最大値であるかのように層厚の想定を行うのは、考慮不尽の違法がある。 イしかしながら、令和3年設置変更許可処分においては、越畑地点におけるDNPの実績降灰層厚25㎝を基に、大山から越畑地点までの距離を踏 まえ、大山から敷地までの距離に応じて算出したところ、敷地における最大層厚は21.4㎝となったとして、DNP噴火から約8万年という長期間が経過した現在の層厚を前提に最大層厚を想定しており、浸食、風化、再移動、圧密等を考慮した形跡はない。これらを考慮すると、堆積当時の越畑地点におけるDNPの層厚は37.5~50㎝の可能性があり、本件 原子炉敷地における最大層厚も大幅に上方修正され得るが、令和3年設置変更許可処分に係る基準適合性審査においては、これを考慮せずに最大層厚を27㎝と設定しており、著しい過誤、欠落がある。 (被告の主張)ア原子力発電所の敷地における降灰層厚の推定は、文献調査や現地調査に よって明らかになった各地に堆積している降下火砕物(火山灰)の堆積物の層厚の実測値に基づいて行っているところ、この各地に堆積している降下火砕物(火山灰)の堆積物は、何千年、何万年も前の噴火による降下火砕物(火山灰)が堆積したものであるから、当然に圧密作用を受けた後のものと 測値に基づいて行っているところ、この各地に堆積している降下火砕物(火山灰)の堆積物は、何千年、何万年も前の噴火による降下火砕物(火山灰)が堆積したものであるから、当然に圧密作用を受けた後のものということになる。また、圧密作用によって堆積物の粒子と粒子との 間隙が減少したり、粒子が摩耗したりして、堆積当時よりも堆積物層厚が薄くなることはあっても、それに相関して堆積物の単位体積当たりの質量は大きくなる(すなわち、密度が大きくなる)のであるから、圧密作用を受ける前後で、降下火砕物の単位面積当たりの質量に有意な変化は生じない。そして、降下火砕物の降灰層厚と密度のいずれについても圧密作用後 の数値を基に設定することにより、単位面積当たりの質量(荷重)を適切 に算定することができるといえる。 そうだとすれば、原子力発電所の敷地における降下火砕物の最大層厚の設定に当たっては、降下火砕物の降灰層厚と密度のいずれについても圧密作用後の数値を基にすれば足り、それ以上に、圧密の影響を考慮して降下火砕物の降灰層厚を実測値よりも厚く設定する必要はない。 イ原子力規制委員会は、令和3年設置変更許可処分において、DNPの噴出規模を見直した上で、降下火砕物のシミュレーション結果及び実績層厚を用いた降灰層厚の検討から、大山火山の噴火により想定される本件原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚をDNPの噴出規模の噴火に基づく22㎝と設定したものであり、このような原子力規制委員会の審査 及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (4) 降下火砕物の荷重に対する健全性に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(4))(原告らの主張)ア火山ガイド えない。 (4) 降下火砕物の荷重に対する健全性に関する基準適合性判断の過誤、欠落(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(4))(原告らの主張)ア火山ガイドは、降下火砕物の直接的影響として、「原子力発電所の構造物 への静的負荷」を挙げ、この点の確認事項として、「①降下火砕物堆積荷重に対して、安全機能を有する構築物、系統及び機器の健全性が維持されること」を挙げている。 令和3年設置変更許可処分において、本件原子炉の最大層厚は22㎝とされたところ、降下火砕物の静的荷重の影響について、荷重又は応力によ る簡易評価を行ったところ、発生値が許容限界を下回ることから、構造健全性は維持されるとの評価結果が得られたと判断された(乙C53・6、7頁)。しかし、荷重に関して比較されるべきは発生値と許容値であり、「許容限界」が何を指すか不明である。本件設置変更許可処分時、本件原子炉施設の原子炉補助建屋、燃料取扱建屋、ディーゼル建屋及び制御建屋の許 容値が20㎝と、いずれも22㎝を下回っていた。許容値とは、機械や構 造物の材料に応力が加えられても変形・破壊せずに安全に使用できる範囲にある応力の限界値を意味し、許容値と実際の部材強度の間には、一定のズレ(裕度)があるのが一般的であるが、この裕度は、不必要な「余裕」ではなく、科学の不定性、科学技術に内在している不確実性に対処するために必要不可欠なものである。一般的な施設・設備では、この不確実性に 対する備えを「安全率」又は「安全係数」という形で見込んでいる。令和3年設置変更許可処分において、定量的な安全率という考え方は採用されていないが、許容値を上回るにもかかわらず、安全率を食い潰して設置変更許可をすることは許されない。 イ参加人 見込んでいる。令和3年設置変更許可処分において、定量的な安全率という考え方は採用されていないが、許容値を上回るにもかかわらず、安全率を食い潰して設置変更許可をすることは許されない。 イ参加人は、荷重に関して、本件設置変更許可処分においては、設計時長 期荷重PAを1.5倍したものを評価上の基準値とし、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和PBとを比較して、PBがPAを超えないことを確認していた。しかし、この評価方法によってはPBがPAを上回ってしまうこととなったため、設計時長期荷重PAではなく、長期許容応力度に達する荷重に対応する長期許容応力度を1.5倍したもの(短期 許容応力度(許容限界)と一致)と、常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和PBにより発生する応力度とを比較し、後者が前者を超えないことを確認するとしている。参加人は、大きな保守性があったものを保守性があるものに変更するように説明しているが、保守性の食い潰しであり、安全を切り下げることにほかならず、令和3年設置変更許 可処分に係る基準適合性判断には、看過し難い過誤、欠落がある。 (被告の主張)上記2(2)で主張したとおり、炉規法は段階的安全規制の体系を採用しており、原子炉施設の設置(変更)許可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となる事項は、基本設計等に係る事項に限られるというべきである。 降下火砕物の荷重の影響に関していえば、設置(変更)許可処分において は、原子炉施設の基本設計等として、設計荷重の設定(降下火砕物の堆積荷重に加えて考慮する荷重の組み合わせの設定)及び安全機能を有する構築物等の健全性の維持(荷重)に対する設計方針の妥当性について審査するものである。これに対して、具体的に、原子 定(降下火砕物の堆積荷重に加えて考慮する荷重の組み合わせの設定)及び安全機能を有する構築物等の健全性の維持(荷重)に対する設計方針の妥当性について審査するものである。これに対して、具体的に、原子炉施設の構造強度評価を行い、安全機能を損なうおそれがないよう構造健全性を維持する設計となっているかな ど、原子炉施設の具体的な設計及び工事方法といった詳細設計の妥当性については、設計及び工事計画認可処分において審査するものである。また、設計及び工事計画認可を受けた設計及び工事計画に従って、工事が行われているか(具体的部材・設備の強度、機能に問題がないか)については、事業者において使用前事業者検査を行い、原子力規制委員会はこれを確認するもの である。なお、令和3年設置変更許可処分においては、施設を内包する建屋、屋外タンク等に対する降下火砕物の堆積荷重(積雪による荷重の組合せを含む。)の影響について、荷重又は応力による簡易評価を行ったところ、構造健全性は維持されるとの評価結果が得られたと判断されているが(乙C53・6、7頁)、これは、審査において、簡易的に事実上確認されたものにすぎず、 当該事項が原子炉設置(変更)許可処分における審査事項であったことを意味するものではない。 したがって、原告らの建屋等の荷重に対する健全性に関する主張は、令和3年設置変更許可処分における審査事項でない事柄に対する違法性を主張するものであり、失当である。 (5) 気中降下火砕物濃度を想定しないことの不合理性(本件設置変更許可処分及び令和3年設置変更許可処分関係)(争点4-(5))(原告らの主張)ア令和3年設置変更許可処分に係る審査においては、気中降下火砕物濃度を設定しておらず、保安規定(変更)認可において審査すべき事項である 許可処分関係)(争点4-(5))(原告らの主張)ア令和3年設置変更許可処分に係る審査においては、気中降下火砕物濃度を設定しておらず、保安規定(変更)認可において審査すべき事項である かのように捉える一方、参加人は、本件原子炉施設について、降下火砕物 の最大層厚の変更後においても原子力発電所の保全に関する措置に技術的成立性があるため、令和3年設置変更許可後に保安規定の変更はしないとし、原子力規制委員会もそれを妥当と判断した。 しかし、原子力発電所の安全審査についてはいわゆる段階的安全規制が採用されており、設置(変更)許可の段階では、後の具体的な工事計画認 可や保安規定認可のための基本となる基本設計等の安全性に関わる事項の妥当性等が判断されることとなっている。そして、設置許可基準規則6条1項は、「安全施設(中略)は、想定される自然現象(地震及び津波を除く(中略))が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない」と定めており、上記自然現象に火山の影響も含まれる(設置 許可基準規則解釈6条2項)から、少なくとも自然現象に関する評価・想定(敷地に到来する降下火砕物の濃度がどの程度になり得るか)は運用ではなく基本設計として設置変更許可の中で審査されるべきものである。 他方、保安規定(変更)認可の中で審査されるのは、想定される濃度の降下火砕物が敷地に到来することを前提として、これに対して、運用面(人 的対応)においてどのように安全を確保するかという点である。前提となる想定(基本設計)が誤っていれば、運用面での対応は奏功しない可能性が大きく、そのような場合には安全と評価してはならないというべきである。平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドをみても、気中降下火砕物濃度は、「設計及び いれば、運用面での対応は奏功しない可能性が大きく、そのような場合には安全と評価してはならないというべきである。平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドをみても、気中降下火砕物濃度は、「設計及び運用等による安全施設の機能維持が可能かどうか を評価するための基準として用いる」とされている。保安規定(変更)認可段階の審査事項として、不確実性が大きい人的対応中心の考え方によることも不合理である。 したがって、仮に段階的安全規制として、気中降下火砕物濃度について設置(変更)許可の段階で審査する必要がないというのであれば、そのよ うな基準自体不合理であるし、そうでないならば、設置変更許可の段階で 濃度を想定していない令和3年設置変更許可処分に係る審査には、看過し難い過誤、欠落が存在することになる。 イ令和元年火山ガイドは、降下火砕物に関する影響評価において、一応設計基準が設定されているようにみえながら、実際には設計基準とは別に参考濃度を設定することとしており、令和3年設置変更許可処分時において も、セントヘレンズ噴火のヤキマ観測値33㎎/㎥が基準降下火砕物濃度とされているようであるが、これはあまりにも過小な数値(想定される参考濃度の100分の1程度)で、設計上、これを上回る自然現象が敷地に到来することはない(無視し得るほどに低頻度)と考えられる数値では全くない。 したがって、令和元年火山ガイドは、実質的に設計基準を設定しなくてよい規定となっており、基準として不合理である。 (被告の主張)炉規法の段階的安全規制の体系に照らし、原子炉施設の設置(変更)許可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となる事項は、基本設計等に係る 事項に限られるというべきである。 原子力規制委員会は、気中降下火砕物 全規制の体系に照らし、原子炉施設の設置(変更)許可処分の取消訴訟において審理、判断の対象となる事項は、基本設計等に係る 事項に限られるというべきである。 原子力規制委員会は、気中降下火砕物濃度については、原子炉の基本設計の安全性には影響せず、当該原子炉の運転管理体制の問題として保安規定(変更)認可の段階における審査対象とすることとし、そのための実用炉規則等の改正を行っているところ、これは、専門家や事業者を交えた降下火砕物検 討チームにおける十分な検討に基づき、フィルタ交換などの保安活動の体制整備を行うことによって対応可能なものであると判断したことによるものであって、原子力規制委員会の科学的、専門技術的知見に基づく合理的な判断として尊重されるべきである。 降下火砕物への対応を人的対応も含めて規定している平成29年改正実用 炉規則は、法規命令である原子力規制委員会規則であるから、具体的審査基 準として内容の不合理性が司法審査の対象となるものではない。また、設置変更許可段階における気中降下火砕物に対する方針としては、フィルタが閉塞することも想定し、全交流動力電源喪失等を想定するとの前提の上で、非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策、代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策、全交流動力 電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策を要求し、保安規定における規制要求として、事業者に保安活動を行う体制の整備を求めているから、深層防護の観点から二重三重の対策を求めており、人的対応に過度に期待しているということはない。 したがって、気中降下火砕物濃度は、保安規定(変更)認可における審査 事項であり、原子炉設置(変更)許可の段階における安全審査 策を求めており、人的対応に過度に期待しているということはない。 したがって、気中降下火砕物濃度は、保安規定(変更)認可における審査 事項であり、原子炉設置(変更)許可の段階における安全審査の対象ではないから、これを想定していないことをもって令和3年設置変更許可処分に係る審査に過誤、欠落がある旨の原告らの主張は主張自体失当である。 (6) 気中降下火砕物濃度の推定手法に関する基準の不合理性(令和2年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(6)) (原告らの主張)降下火砕物検討チームの会合における専門家(K2及びK11)の発言内容を見ても、手法②及び手法③のいずれの手法も不確実性が大きいため、両方の手法を用いるなど保守的な評価を行うべきと述べていたにもかかわらず、令和2年保安規定変更認可処分の具体的審査基準である令和元年火山ガイ ド・添付1の気中降下火砕物濃度の推定手法によれば、降下火砕物の大気中の濃度は、降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法(3.1の手法)と数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法(3.2の手法)のいずれかの手法によって行えばよいこととされており、平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドは専門家の意 見を正しく反映していない。 しかし、推定に用いる降下火砕物の粒径分布が不正確であるおそれがあること、シミュレーションソフトであるTephra2 は重力流モデルや傘型噴煙が考慮されていないなどの問題があること、再飛散や凝集という現象を考慮していないことなどから、3.1の手法及び3.2の手法のいずれも不確実性を包含するほどの保守性があるとはいえず、選択的に利用すれば足りるとす る令和元年火山ガイドは、法の求める十分な安全を確保でき ていないことなどから、3.1の手法及び3.2の手法のいずれも不確実性を包含するほどの保守性があるとはいえず、選択的に利用すれば足りるとす る令和元年火山ガイドは、法の求める十分な安全を確保できる規定となっていないから、具体的審査基準として不合理である。 (被告の主張)ア気中降下火砕物濃度の評価について、現在得られている科学的知見では、①観測値の外挿により推定する手法、②降灰継続時間を仮定し、原子力発 電所の敷地における堆積量等から気中降下火砕物濃度を推定する手法(3. 1の手法)、③FALL3D による数値シミュレーションを用いて原子力発電所の敷地における気中降下火砕物濃度を推定する手法(3.2の手法)を用いることが考えられるが、いずれも大きな不確実さを含んでおり、理論的評価に基づくハザードレベルの設定は困難である。そのため、気中降下火 砕物に関する規制要求として、降下火砕物の気中降下火砕物濃度との関係では、まず、上記の手法②により降灰継続時間を24時間と仮定した平均濃度(火山ガイドの3.1の手法を用いて求めた気中降下火砕物濃度)、又は、手法③により噴火継続時間を24時間とした場合の最大濃度(火山ガイドの3.2の手法を用いて求めた気中降下火砕物濃度)を参考濃度とし た上で、この参考濃度において、非常用DG等の非常用交流動力電源設備(設計基準事故対処設備)の24時間、2系統の機能維持を求めることとし、また、この非常用交流動力電源設備2系統が偶発的に多重故障を起こし、いずれの機能も喪失した場合をあえて想定し、そのような場合でも電源車等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求めることとし、 さらに、上記の参考濃度よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉 塞等に起因して代替電源設備が 場合でも電源車等の代替電源設備(重大事故防止設備)の機能維持を求めることとし、 さらに、上記の参考濃度よりも更に高濃度の降下火砕物によるフィルタ閉 塞等に起因して代替電源設備が機能喪失し、全交流電源喪失に至った場合まで想定し、その場合における原子炉の炉心損傷の防止を求めることまで要求している(実用炉規則83条1号ロ参照)。 このように、火山ガイドの3.1の手法又は3.2の手法は、いずれも、気中降下火砕物濃度に係る規制要求との関係で用いられる、上記各手法を 用いて推定された気中降下火砕物濃度の参考濃度の位置付けからして、当該参考濃度が、これを超えると、設計及び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものでない。 イそうだとすれば、平成29年火山ガイド及び令和元年火山ガイドの3. 1の手法及び3.2の手法が不確実性を有することは、保安規定(変更) 認可を受けた原子炉施設の安全性を何ら左右するものではなく、その両方を考慮することとしていなくても、具体的審査基準として不合理であるとはいえない。 (7) 気中降下火砕物濃度の推定に関する基準適合性判断の過誤、欠落(令和2年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(7)) (原告らの主張)ア参加人は、高浜発電所1号機及び2号機における気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥と算定しているが、より遠方にある本件原子炉施設の気中降下火砕物濃度3.91g/㎥よりも小さく、一般的又は初歩的な科学的経験則に反している。このような結果となったのは、参加人がシミュレーショ ンソフトであるTephra2 による計算値を粒径分布として用い、粒径の大きな火山灰の割合が大きくなるように恣意的で非保守的な計算方法を用いているからである。Tep 、参加人がシミュレーショ ンソフトであるTephra2 による計算値を粒径分布として用い、粒径の大きな火山灰の割合が大きくなるように恣意的で非保守的な計算方法を用いているからである。Tephra2 の適用範囲を検討すると、Tephra2 マニュアル(甲D259)によれば、規模の大きい噴火や風の変化が激しい場合には現実をうまく表現できない可能性が高いとされており、萬年論文(甲D2 14、乙D103)によれば、Tephra2 は2次元的な移流拡散モデルを用 いている点や標準的な噴煙モデルである重力流モデルの肝である傘型領域を表現できない点等に問題があるなどというから、Tephra2 を大規模な噴火のシミュレーションに適用するのは誤りである。原子力規制委員会は、Tephra2 と同様の移流拡散モデルに基づくSPEEDI について、信頼度が不十分として緊急時における住民避難のための情報として利用しない方針を示 しているにもかかわらず、Tephra2 を信頼するのは矛盾する。 イ参加人が計算に用いた粒径分布は、実現象と比べて不当に大きな粒径が多い分布となっており、これにより気中降下火砕物濃度を小さく見積もっている。大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループが作成した平成30年12月7日付け「火山灰の特徴について」という資料(甲D2 00・2頁)によれば、一般的な粒径分布としては、およそ200㎛(概ね2~3φ)付近にピークがあるものの、100㎛以下でも相当の降灰があり得ることを示す分布図が示されており、125μ㎎(3φ)未満の降灰が相当あり得ることを示す知見であるが、参加人は本件原子炉施設で4%程度しかないという粒径分布を用いている。また、類似火山の噴火と 比較すると、1739年の樽前山噴火(T ㎎(3φ)未満の降灰が相当あり得ることを示す知見であるが、参加人は本件原子炉施設で4%程度しかないという粒径分布を用いている。また、類似火山の噴火と 比較すると、1739年の樽前山噴火(Ta-a)における、100㎞離れた占冠地点における粒径を用いて計算をすると、気中降下火砕物濃度は6. 42g/㎥となり、61.2㎞離れた地点における粒径分布の実測値を用いて計算すると、22.63g/㎥となる。さらに、有珠山2000年噴火における複数の観測点における降下火砕物の粒径分布の実測値を用いて計算 すると、気中降下火砕物濃度は、49.62g/㎥となり、浅間山2009年噴火における粒径分布を基に試算すると、気中降下火砕物濃度は34. 83g/㎥となる。 また、令和元年火山ガイドは、降下火砕物の層厚の想定に関し、浸食等の影響を考慮することを定めているところ、一般に降下火砕物は、100 0年に0.003~0.02㎜ほど浸食が進むとされており、DNP噴火 は約8~9万年前の噴火であるから、0.24~1.6㎜もの浸食があり得ることになり、このような浸食、風化、溶解等の影響により、3φ未満の粒子はほとんど検出できなくなっている可能性が十分に存在する。古いテフラの粒径分布について、ほとんど研究が進んでいないのが現在の火山学の水準である。 ウ令和元年火山ガイドは、3.1の手法について、粒子の凝集を考慮しないことを保守的としている。凝集とは、散らばっていた粒子が水分を媒介に凝り固まることをいうところ、この粒子の凝集により、単独では地表に到達し得ない微細火砕物が凝集によって地表に到達し、地上付近で脱水して再び分離して細粒火山灰となり、濃度が増加するという要因にもつなが り得るのであり、凝集によってどの程度濃度が小さくな 表に到達し得ない微細火砕物が凝集によって地表に到達し、地上付近で脱水して再び分離して細粒火山灰となり、濃度が増加するという要因にもつなが り得るのであり、凝集によってどの程度濃度が小さくなるのかが定量化されない限り、保守的とみるべきではない。 エ令和元年火山ガイドは、3.2の手法について、原子力発電所への影響が大きい観測値に基づく気象条件を設定していることから、実際の降灰現象と比較して保守的としている。しかし、3.2の手法における「原子力 発電所への影響が大きい観測値に基づく気象条件」の意味は明確ではなく、具体的シミュレーションに当たり詳細なパラメータの設定が必要であれば、敷地への影響が大きい観測値に基づく気象条件を設定すれば保守的な評価ができるとは限らず、また、Tephra2 を用いた層厚のシミュレーションに当たり、基本ケースとして風速又は風向を平均値又は最頻値と設定したと しても、敷地への影響が最悪となる気象条件を設定したことにはならず、保守的な評価となるとは限らない。 オこのように、参加人は、恣意的に、信頼性の乏しいTephra2 の計算結果のみを用いて、粒径の大きい火山灰ばかりが降下することとし、一般的な知見や他の類似火山における実測値とかけ離れた計算を行っており、令和 2年保安規定変更認可処分には著しい過誤、欠落があり、重大かつ明白な 違法がある。 (被告の主張)ア Tephra2 を用いたシミュレーションは、最初に火口地点におけるパラメータ等の各種パラメータを入力した上で起動させ、その結果として自動的に降下火砕物の分布等がシミュレーションされるものであるため、ある特 定地点の粒径分布を個別に操作することなどはできない仕様となっている。 降下火砕物の粒径についての入力パラ その結果として自動的に降下火砕物の分布等がシミュレーションされるものであるため、ある特 定地点の粒径分布を個別に操作することなどはできない仕様となっている。 降下火砕物の粒径についての入力パラメータとしては、「最大粒径」、「最小粒径」、「中央粒径」及び「標準偏差」の4つが存在している。 参加人は、令和2年保安規定変更認可申請において、最大粒径は1024㎜(-10φ)、最小粒径は約0.001㎜(10φ)、中央粒径は約0. 044㎜(4.5φ)、標準偏差は0.125㎜(3φ)と設定しているところ、これは対象となる大山におけるDNP相当規模の噴火については珪長質のプリニー式噴火が想定されることから、これに最も適合するパラメータを選択したものであり、合理性を有する。参加人は、高浜発電所1号機及び2号機と本件原子炉施設とで大山火口地点において同じ入力パラ メータを設定しており、それらの粒径分布が異なるのはシミュレーションの結果にすぎず、恣意的に粒径分布を設定したものではない。一般的に、火口から近い場所の方が降下する火砕物の総量が大きくなるから、気中火砕物濃度が高くなる傾向にあるとはいえるものの、気中降下火砕物濃度は、空気中にどの程度降下火砕物の粒子が存在するかを意味するものであり、 単に降下した火砕物の量のみで決定されるものではなく、噴火継続時間における平均的な濃度として考えた場合には、空気抵抗を受けて長時間空気中を漂う小さい粒子の方が濃度を高くする要因となる。したがって、大山から遠方にある本件原子炉施設の方が粒子の小さい降下火砕物の割合が多いため、高浜発電所1号機及び2号機よりも気中降下火砕物濃度が高く なることが直ちに不自然であるとはいえない。 イ気中降下火砕物濃度は、噴火の規模や噴火様式、粒 砕物の割合が多いため、高浜発電所1号機及び2号機よりも気中降下火砕物濃度が高く なることが直ちに不自然であるとはいえない。 イ気中降下火砕物濃度は、噴火の規模や噴火様式、粒径分布等のほか、風向風速その他の気象条件、対象地点の火口からの距離や方角などにより異なる。原告らが指摘する樽前山噴火(Ta-a)は、総噴出物量4㎦のVEI5相当の大山(DNP相当規模)よりも小規模な噴火であり、有珠山2000年噴火は、マグマ水蒸気噴火という爆発的な噴火であり、降下火砕物 の粉砕度が大きくなり、より細かい粒子が飛散する噴火様式である上、噴火の規模も、総噴出物量0.0009㎦のVEI1相当のDNPよりも極めて小規模な噴火である。さらに、大山と樽前山及び有珠山とでは、これらの火山が存在する場所や位置等からして、風向風速その他の気象条件、対象地点の火口からの距離や方角なども異なるものである。浅間山200 9年噴火についてみても、ほぼ水蒸気爆発に近いマグマ水蒸気噴火と考えられている上、平成21年2月から5月にかけての一連の噴火におけるマグマ噴出量が0.00001DRE ㎦のVEI1とされており、極めて小規模な噴火であるそうだとすれば、参加人が本件原子炉施設の敷地において推定する降下 火砕物の粒径分布がこれら火山の噴火に係る粒径分布と相違していることをもって、参加人の上記推定が非保守的かどうかを評価できるものではない。 ウ原告らは、降下火砕物について風化、浸食の影響を考慮しないことは不合理であると主張するが、上記(6)のとおり、気中降下火砕物濃度に関する 規制要求は、火山ガイドが示す気中降下火砕物濃度の推定手法である3. 1の手法及び3.2の手法がいずれも不確実性等を有していることや、理論的評価に基づくハザ とおり、気中降下火砕物濃度に関する 規制要求は、火山ガイドが示す気中降下火砕物濃度の推定手法である3. 1の手法及び3.2の手法がいずれも不確実性等を有していることや、理論的評価に基づくハザードレベルを設定することは困難であることを前提に、上記3.1の手法又は3.2の手法を用いて求めた気中降下火砕物濃度を参考濃度とした上で設定されたものである。すなわち、上記推定手法 を用いて求めた気中降下火砕物濃度の参考濃度が、これを超えると設計及 び運用等による安全施設の機能維持が不可能になる限界値として位置付けられているものではないのである。 そうだとすれば、気中降下火砕物濃度の推定値を上記3.1の手法又は3.2の手法を用いて求めるに当たり、微細粒子の風化・溶解等を考慮していないことをもって、看過し難い過誤、欠落があるとする原告らの主張 には理由がない。 (8) 非常用DGの機能喪失(フィルタ交換の実効性)に関する基準適合性判断の過誤、欠落(令和2年保安規定変更認可処分関係)(争点4-(8))(原告らの主張)ア令和2年保安規定変更認可処分に係る審査においては、火山影響等発生 時における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること(実用炉規則83条1号ロ(1))について、原子力発電所の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定め、当該計画の実行に必要な要員を配置し、計画に従って必要な活動を行わせることが確認されるところ、参加人及び被告は、非常用DGのフィルタの基準捕集容量到達までの時間 の計算根拠についてすべてを明らかにしておらず、その評価の妥当性について判断することができない。また、非常用DGの吸気フィルタについてはフィルタ交換で対応するとしているが、大規模な降灰環境下で実行 の計算根拠についてすべてを明らかにしておらず、その評価の妥当性について判断することができない。また、非常用DGの吸気フィルタについてはフィルタ交換で対応するとしているが、大規模な降灰環境下で実行可能かという評価、検証がされておらず、フィルタのメッシュよりも細かい粒子がフィルタに捕捉されずに侵入した場合にどのような機器がどのような 条件でどのように故障するのか、何ら実験、実証されていない。このように、そもそも基準捕集容量について信用性に乏しいものの、それでも、気中降下火砕物濃度が仮に26.89g/㎡であれば16分、58.97g/㎡であれば7分で基準捕集容量に達する計算となり、フィルタ交換が間に合わなくなる可能性が極めて高い。 イ参加人は、フィルタ性能試験の結果を踏まえ、フィルタの基準捕集容量 を保守的に5万g/㎡として計算し、基準捕集容量到達までの時間を137分としているが、フィルタ性能試験はTephra2 による粒径分布の計算結果となるよう粒径調整をした火山灰を用いて行われており、Tephra2 による数値シミュレーションには不確実性が大きく、実際の火山灰とは異なるから、様々な粒径分布の火山灰を用いて保守的な数値を採用すべきである。 ウ参加人は、フィルタの取替及び清掃に要する時間として、1ユニット当たり要員5名で取替作業時間を20分、清掃時間を60分と想定し、作業の成立性を踏まえて想定時間内に取替及び清掃が可能であるとする。しかし、フィルタの取替及び清掃に要する時間は、全く検証等のされていないいい加減な数値が用いられている可能性が高い。また、大量の降灰があり、 原子力発電所の様々な場所に同時多発的に問題が生じる中で、訓練時と同様の作業ができるか疑わしく、時間的に余裕がない状態で人的な対応 な数値が用いられている可能性が高い。また、大量の降灰があり、 原子力発電所の様々な場所に同時多発的に問題が生じる中で、訓練時と同様の作業ができるか疑わしく、時間的に余裕がない状態で人的な対応に頼ることを、法的に安全と評価することはできず、かかる人的対応ができなくても、少なくとも20~30時間非常用DGが機能喪失しないような設計がなされなければならない。 エしたがって、参加人の保安規定は、実用炉規則83条1号ロ(1)を満たしておらず、これを看過してされた令和2年保安規定変更認可処分に係る原子力規制委員会の判断には、看過し難い過誤、欠落がある。 (被告の主張)ア本件原子炉施設の非常用DGのフィルタ取替の目安となる基準捕集容量 は、5万g/㎡とされているところ、この数値は、参加人によって実施されたフィルタ性能試験の結果等に基づき算出されたものである。この試験は、非常用DG改良型フィルタの吸気口を模擬した試験装置を用いて、フィルタ通過風速が非常用DG運転時と同じになるように設定し、上流から火山灰を供給し、フィルタ内外の圧力を測定し、その圧力差が許容数値に達し た時点を閉塞時間としたものであり、基準捕集容量は、試験濃度、試験風 速及び閉塞時間の積を保守的に計算して求められている。火山灰の粒径分布はTephra2 によるシミュレーションの結果から算出された粒径分布を用い、試験濃度は、3.1の手法により計算された2.63g/㎡を使用している。 イ人的対応の不確実性については、人的対応をしなくても20~30時間 非常用DGが機能喪失しないような設計が規制要求として求められるものではない。また、令和2年保安規定変更認可申請において、参加人から、高濃度の降下火砕物環境下での作業時は、作業着を着用の 時間 非常用DGが機能喪失しないような設計が規制要求として求められるものではない。また、令和2年保安規定変更認可申請において、参加人から、高濃度の降下火砕物環境下での作業時は、作業着を着用の上、ヘルメット、ゴーグル、マスク、手袋を着用し、降灰環境下でも作業が行えるようにするとともに、高濃度の降下火砕物環境下における視界についても実験の上 確認し、目視での作業が可能なことが示されており、これらの点について、原子力規制委員会は、令和2年保安規定変更認可処分に係る審査において確認している。 5 中性子照射脆化に関する争点(いずれも本件運転期間延長認可処分関係)(争点5) (1) 破壊靭性遷移曲線に関する争点(争点5-(1))ア破壊靭性遷移曲線の導出に係る基準の不合理性(争点5-(1)―ア)(原告らの主張)(ア) JEAC4201-2007 シリーズの不合理性a JEAC4201-2007[2013]は、脆化予測法の基礎となる数式(本件反応速 度式)自体に「物理現象を支配する方程式の各項の次元は同じでなければならない」という次元一致の原理に反するという根本的誤りがあることを複数の専門家から指摘されており、この数式の元になった論文の共著者の一人であるL7も同論文が複雑な現象を簡略化した荒い近似式にもとづくもので物理的な厳密性はもともとないと指摘しな がら、反応速度が拡散係数の2乗に比例するとしたことについて、「(電 中研論文の共著者である)L10君の勇み足だった」と述べ実質的に数式の誤りを認めている(甲E43)など、理論的に問題のあるものである。 また、同数式を経験式(経験的に得られている結果と矛盾がないように調整されただけの式)であると考えても、同数式は、統計の専門 家で 認めている(甲E43)など、理論的に問題のあるものである。 また、同数式を経験式(経験的に得られている結果と矛盾がないように調整されただけの式)であると考えても、同数式は、統計の専門 家であるL8から「19個という未知のパラメータ数は常識をはるかに超えて多い」と指摘され、原子力規制委員会のL9委員長(当時)も「19のパラメータの物理的意味とか、私にもとても理解できないような式になっている。」と発言するなど、原子力規制委員会の委員長にも妥当性が判断できないような式となっており、結果的に後述する ように十分な保守性も保たれておらず、適切な式となっていない。 b これらの指摘は従前からなされていたにもかかわらず、原子力規制委員の技術評価は、JEAC4201-2007 からの変更点(4項目)のみを対象とし(乙B58・5~7頁)、上記のような理論式としての誤り・経験式としての合理性について、何ら検証をしなかったのであって「そ の技術的妥当性が証明されること、あるいはその根拠が記載されている」(乙B58・3頁)とはいえない。 c そして、玄海発電所1号機について予測を上回る数値が観測され、予測式の係数を変更するなどしたJEAC4201-2007[2013]の技術評価では、高い中性子積算照射量においては精度が十分高いとはいえない可 能性があることや、最新知見に基づき現行脆化予測法の信頼性改善の検討や予測法の見直し等の継続的取り組みを求める等の指摘がされ、原子力規制委員会は、日本電気協会に対し、抜本的な再検討を要求する本件特定指導文書を発出し、その後も高浜発電所1号機において予測式の結果的妥当性を疑わせる観測結果が出現しているなどしている にもかかわらず、改訂作業は長引き、現在もJEAC4201-2007[2013 導文書を発出し、その後も高浜発電所1号機において予測式の結果的妥当性を疑わせる観測結果が出現しているなどしている にもかかわらず、改訂作業は長引き、現在もJEAC4201-2007[2013]を 用いているのは不合理である。 d 高浜発電所1号炉の第4回監視試験のデータによる照射脆化予測曲線は、第3回監視試験のデータによる照射脆化予測曲線と比較して約22℃上方へシフトし、大幅に予測が変化した。また、高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)は、同(30年目)と比較し て、破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線との差が、破壊靭性値で約5分の1、温度で約3分の1まで余裕が減少している。これらの変化の原因として、高経年化技術評価書(30年目)JEAC4201-2000 と同(40年目)に用いられたJEAC4201-2007[2013]とでは計算式自体が異なるものになっているとしても、特に銅含有量が0.16%を超 えるような圧力容器鋼材では、JEAC4201-2000 の方がJEAC4201-2007より厳しい結果を与える傾向があることが指摘されているから、決してマージンの設定値が保守的に変更されたものとは評価できない。 e JEAC4201-2007[2013]は、関連温度の上昇量について、ΔRTNDT計算値をマージンMCによって修正した上でマージンMRを加えてΔ RTNDT予測値を算出することとしているが、例外として、仮に実測値が予測値を超えるような場合には、実測値を包含するようにマージンMRを定め直すこととしている。本来正しいはずのΔRTNDT計算値にマージンを加えた予測値を超える実測値となったときは、それだけで基準の合理性が疑われるが、実測値より悪い結果(予測値より更に 離れた結果)が ととしている。本来正しいはずのΔRTNDT計算値にマージンを加えた予測値を超える実測値となったときは、それだけで基準の合理性が疑われるが、実測値より悪い結果(予測値より更に 離れた結果)が実際には生じ得ることを考えて、実測値から更にマージンを持たせるべきであるにもかかわらず、実測値を包含すればよいとしているから、基準として不合理である。 (イ) JEAC4206-2007 の不合理性a JEAC4206-2007 の附属書Cは、破壊靭性遷移曲線の求め方として、 ΔTKⅠC(破壊靭性値の移行量)=ΔRTNDT(関連温度移行量)とい う関係(本件等価の仮定)を当然の前提として、関連温度移行量と同じだけ破壊靭性値を移行(シフト)させ、シフト後の破壊靭性値を下限包絡するように破壊靭性遷移曲線を描くこととしている。しかし、本件等価の仮定は理論的に説明できるものではなく、多くの原子力発電所における破壊靱性値の移行量と関連温度(脆性遷移温度)移行量 との関係を示したNRC(米国の原子力規制委員会)のデータベースでは、破壊靭性値の移行量が関連温度移行量を上回る関係となっている。また、玄海発電所1号機を含め、過去の監視試験の結果による破壊靭性値を関連温度移行量に応じてシフトさせて下限包絡する破壊靭性遷移曲線を描くと、下限包絡線を決めるデータは放射線の照射量が 大きくシフト量が最も小さい最新の監視試験の結果となる。さらに、Hure 論文、廣田・吉本論文及び本件破壊靭性検討等をみても、本件等価の仮定の誤りが裏付けられ、本件破壊靭性検討によれば、ΔTKⅠC(破壊靭性値の温度移行量)はΔRTNDT(関連温度移行量)よりも20~50℃ほど高く、本件等価の誤りが裏付けられ、最小二乗法に より勾配を求めるとΔTKⅠC 破壊靭性検討によれば、ΔTKⅠC(破壊靭性値の温度移行量)はΔRTNDT(関連温度移行量)よりも20~50℃ほど高く、本件等価の誤りが裏付けられ、最小二乗法に より勾配を求めるとΔTKⅠCはΔRTNDTの1.42倍となり、鋼種ごとに分けても、母材につき1.32倍、溶接金属につき1.44倍という関係であった。 これらによれば、本件等価の仮定が誤りであり、ΔTKⅠC(破壊靭性値の移行量)>ΔRTNDT(関連温度移行量)であることは明らか であるから、本件等価の仮定を前提とするJEAC4206-2007 は不合理である。 b JEAC4206-2007 は、監視試験により得られた破壊靭性値をシフトさせて破壊靭性曲線を導くことを定めているが、破壊靭性値には本来的にばらつきがあるにもかかわらず、破壊靭性値のデータが少なすぎる。 過去の試験回次による破壊靭性値のデータがあるとしても、シフト量 を求めるために用いられるJEAC4201-2007 シリーズ等には過小評価の問題があるため、直近の試験回次の破壊靭性値が下限値を決めることとなり、データの少なさを補うものではない。さらに、試験に用いられた試験片の材質が限定されており、母材(原子炉容器そのもの)の脆化の度合いが適切に把握されているとはいい難い。 c JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線の問題点は、高経年化技術評価に関する意見聴取会において専門家から指摘され、原子力安全・保安院も高経年化報告書のまとめにおいて、「高い中性子積算照射量においては精度が十分高いとは言えない可能性がある」ことから、最新知見に基づく改定検討を求めることとした。これを受けて、日本電気協会 は、JEAC4206-2016 において統計的観点によるマスターカーブ法を 十分高いとは言えない可能性がある」ことから、最新知見に基づく改定検討を求めることとした。これを受けて、日本電気協会 は、JEAC4206-2016 において統計的観点によるマスターカーブ法を取り入れる改定を行い、かつ現行の下限包絡曲線を削除した。そして、改定後のJEAC4206-2016 について、原子力規制委員会による技術評価を行う会合において、日本電気協会は、下限包絡曲線の方法はマスターカーブと比べて精度が低いこと等から、下限包絡の方法は削除をし た旨を述べている。同会合の資料によれば、JEAC4206-2007 はJEAC4206-2016 と比べて非保守的な結果が出る(現実の危険な状態より安全かのような結果となってしまう)ことがわかる。 d したがって、JEAC4206-2007 の規定は、最新の知見に基づけば脆化の将来予測について十分な保守性を持つとは到底いえず、基準として 不合理である。 (被告の主張)(ア) JEAC4201-2007 シリーズについてa 平成23年11月29日から平成24年7月27日に行われた高経年化技術評価に関する意見聴取会において、国内脆化予測法の基とな った基本モデル式に含まれる本件反応速度式の拡散係数Dに対して、 一部の外部有識者から拡散係数Dを1乗にすべきであるとの指摘がされ、これに対して学術的な観点から議論がされたものの、意見は分かれ、結論としては、更なる検討を要するものの、安全性に直ちに影響を及ぼすものではないことから、本件反応速度式については直ちに見直す必要がないという結論が出された。JEAC4201-2007 における関連 温度の予測方法は、脆化の複雑な物理現象の基礎過程を正確に模擬することを目的とするものではなく、この複雑な過程を簡 直す必要がないという結論が出された。JEAC4201-2007 における関連 温度の予測方法は、脆化の複雑な物理現象の基礎過程を正確に模擬することを目的とするものではなく、この複雑な過程を簡単な項に近似した方法であり、監視試験結果からその妥当性が確認されたものである。 b 現在用いられているJEAC4201-2007[2013]の予測式は、JEAC4201- 2007 から国内脆化予測法の基となる基本モデル式を変更したものでなく、300点を超える監視試験片等の充実を基に、基本モデル式から導かれる国内脆化予測法の係数を最適化したものであるところ、原子力規制委員会は、平成27年に行われた技術評価において、基本モデル式については、工学的な多項近似式と捉えても差し支えないとの 認識の下、ニッケルや銅の含有量、中性子束、中性子照射量等をパラメータとして、計算結果と実測値の相関ができるだけ高くなるように係数を割り当てた式であると捉えて評価することとし、国内脆化予測法の係数の算出に用いたデータの信頼性、国内脆化予測法の係数最適化の方法、国内脆化予測法から得られる関連温度移行量の値の信頼性、 ΔRTNDT計算値と実測値の相関、基本モデル式に係る新知見等について検討を行い、その結果、JEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法の技術的妥当性(基本モデル式に基づいて計算される国内脆化予測法の係数の技術的妥当性を含む。)が確認され、規制に当たって用いることが可能であると評価されたものである。 国内脆化予測法を多項近似式と捉えたことは、その適用範囲は当該 データの範囲内となるということを意味するが、原子力規制委員会は、各原子炉施設の原子炉容器内表面が受ける中性子照射量が、これまでに取り出された監視 式と捉えたことは、その適用範囲は当該 データの範囲内となるということを意味するが、原子力規制委員会は、各原子炉施設の原子炉容器内表面が受ける中性子照射量が、これまでに取り出された監視試験片の中性子照射量を超えない時期に、新たな監視試験片を取り出して関連温度移行量を予測することとしており、これまでに取り出された監視試験片の中性子照射量を超えない範囲で、 健全性の再確認が確実に行われることとなっている。 したがって、JEAC4201-2007[2013]の国内脆化予測法に不合理な点があるとはいえない。 c JEAC4201-2007[2013]のフィッティング係数の数(パラメータ数)は19個であるのに対し、同時期に策定された米国の予測式は、国内 脆化予測法と同じような因子を考慮しているが、フィッティング係数の数は31又は32個であり、その他の諸外国の予測式と比較しても、JEAC4201-2007[2013]の式のフィッティング係数の数が特に多いものとはいえない。 d JEAC4201-2007[2013]は、平成23年11月から平成24年7月ま での意見聴取会での議論や、平成27年に行った技術評価においてその妥当性が確認されており、さらに、近年、日本電気協会が行った比較検討によれば、海外の脆化予測法と比較しても予測性が最も高いとの結果が得られ(乙E121・14、15頁)、米国において、各国の脆化予測法の比較検討が行われた際に、銅の含有量が比較的低いデー タ群(0.075%以下)を用いた場合には、すべての鋼種について予測性が最も高いとされるなど、国内外においてその予測性について高い評価を受けている。したがって、玄海発電所1号炉について予測を上回る数値が観測されたことやJEAC4201-2007[20 について予測性が最も高いとされるなど、国内外においてその予測性について高い評価を受けている。したがって、玄海発電所1号炉について予測を上回る数値が観測されたことやJEAC4201-2007[2013]の技術評価の際に特定指導文書が発出されたこと等の原告らが指摘する事情は、 JEAC4201-2007[2013]の合理性を左右するものとはいえない。 (イ) JEAC4206-2007 についてa JEAC4206-2007 においてはΔTKⅠC(破壊靭性値の移行量)=ΔRTNDT関連温度移行量)を仮定する(本件等価の仮定)という考え方を前提としているところ、その考え方は、国の委託により行った、高い専門的知見を有する発電設備技術検査協会による調査・研究に基づい ており、平成23年11月29日から平成24年7月27日に行われた高経年化技術評価に関する意見聴取会において、外部有識者との間で検証された結果、一定の信頼性を確保していると評価されている。 高経年化技術評価に関する意見聴取会において、一部の外部有識者から、試験結果の下限値から得られた遷移曲線ではなく、マスターカ ーブ法のように中央値をベースにしてデータ全体を見ながら遷移曲線を設定することにより、破壊靭性遷移曲線が更にPTS状態遷移曲線に近づくことから、そのような設定を用いることでより安全側の評価になるとする趣旨の意見が出された。この意見は、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線の設定方法自体を否定するものではないが、本件等 価の仮定ではない方法の提案であった。この方法について、外部有識者も含めた参加者で議論したところ、データに基づく定量的な検証が不足しているなど十分な学術的議論を経ていないことから、結論としては、JEAC4206 い方法の提案であった。この方法について、外部有識者も含めた参加者で議論したところ、データに基づく定量的な検証が不足しているなど十分な学術的議論を経ていないことから、結論としては、JEAC4206-2007 によるPTS評価自体は直ちに見直しを要しないが、今後の課題として検討することとされた。以上のように、本件 等価の仮定は現時点においても妥当性が確認されており、直ちに見直しを要するものとは位置付けられていない。 本件等価の仮定の是非については、IAEA国際共同研究において長年にわたり議論されている事項であり、現時点においても、既往の研究では諸説があり、両者の関係について統一的な見解は得られてい ないものの、米国、フランス及びドイツの破壊靭性評価においても、 本件等価の仮定を前提に破壊靭性遷移曲線が設定されている。 したがって、JEAC4206-2007 による破壊靭性遷移曲線の設定方法に、現在の科学技術水準に照らして不合理な点があるとはいえない。 b プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線を設定する際には、未照射材及び取出し時期が異なる照射材の破壊靭性試験片を用いて得ら れた破壊靭性値も含め、当該プラントに係る破壊靭性試験で得られた全ての破壊靭性値を用いて、プラント評価時期までの関連温度移行量を国内脆化予測法によって予測して重ね合わせる、つまり、当該プラントに係る破壊靭性試験によって得られたデータ点を全て集めて評価することとしている。これにより、1回の破壊靭性試験で得られる破 壊靭性値が少なくても、試験の回数を重ねることにより、プラント評価時期における健全性評価に用いるデータ点数を増加させることができる。 また、破壊靭性値の変化量として、国内脆化予測法の関連温度の移行量のマージンMR(ΔR 験の回数を重ねることにより、プラント評価時期における健全性評価に用いるデータ点数を増加させることができる。 また、破壊靭性値の変化量として、国内脆化予測法の関連温度の移行量のマージンMR(ΔRTNDT予測値に保守性を持たせるため、ΔR TNDT計算値とΔRTNDT実測値との差分(予測誤差)の標準偏差σを2倍した値)を加えている。 さらに、温度軸に平行に高温側へ移行させた全ての破壊靭性値のうち、0℃未満を除く最も厳しい値を下限包絡するように破壊靭性遷移曲線を設定することで、保守的な破壊靭性遷移曲線を設定することが 可能となる。 c 技術評価検討チームにおいて、令和元年7月から令和2年7月にかけて、JEAC4206-2016 の技術評価が行われた際、JEAC4206-2007 の破壊靭性評価式について、現時点においてこれを否定する技術的根拠は見いだされていないことから、今後引き続き使用することは問題ないと いえる、と評価されており(乙E66・47頁)、この技術評価の結果 については、同年9月9日の原子力規制委員会において了承されている(乙E67)。 したがって、JEAC4206-2016 の保守性に関する評価をもって、JEAC4206-2007 の合理性が否定されることはない。 イ破壊靭性遷移曲線の導出に係る適合性審査の過誤、欠落(争点5-(1)- イ)(原告らの主張)(ア) 高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が同(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていること高浜発電所1号機について、本件運転期間延長認可申請において前提 とされている高経年化技術評価書(40年目)は、高経年化技術評価書(30年目)と比較すると同じ60年目の予測をしたもので こと高浜発電所1号機について、本件運転期間延長認可申請において前提 とされている高経年化技術評価書(40年目)は、高経年化技術評価書(30年目)と比較すると同じ60年目の予測をしたものであるにもかかわらず大幅に余裕がなくなっている(要因は、①予測を超える高い脆性遷移温度及び②想定外に低い破壊靭性値)などの問題が発生している。 また、本件原子炉の破壊靭性試験の回数が少ないという問題がある上、 各試験回次において、母材又は溶接金属のどちらかしか破壊靭性試験が行われていない(本件原子炉においては、母材は第1回と第3回のみ、溶接金属は第2回と第4回のみ)。鋼種によって脆化の度合いは異なる可能性が高いのであるから、母材及び溶接金属の両方について適時に破壊靱性試験を行わせ、その結果を分析すべきであった。なお、JEAC4206-2016 は、破壊靭性遷移曲線を、鋼種ごと(圧延材、鍛鋼品、溶接金属)に設定することとされている(甲B92の2・5頁)。 このように、特に高浜発電所1号機について結果が従前予測と大きく異なっているなど問題があるのに、参加人は毎回の試験で鋼種ごとの破壊靭性試験を行っておらず、特に直近の値について母材のデータがない のに、原子力規制委員会はこれを参加人に補充させることもないなど、 これらの問題を十分精査せず適合性審査を行っており、本件運転期間延長認可処分の審査過程には、看過し難い過誤、欠落がある。 (イ) 原データの確認をしていないこと実用炉規則第113条2項第2号は、運転期間延長認可申請の際に「技術的な評価の結果を記載した書類」の提出を求めており、運転期間延長 認可申請運用ガイドも、同号の「技術的な評価」の記載内容として「監視試験片の試験結果」を挙げているから、試験結果(原デ 際に「技術的な評価の結果を記載した書類」の提出を求めており、運転期間延長 認可申請運用ガイドも、同号の「技術的な評価」の記載内容として「監視試験片の試験結果」を挙げているから、試験結果(原データ)は、運用ガイド3.2(1)②として、その結果の申請書への記載が求められると考えるのが、運用ガイドのごく自然な解釈である。 よって、実用炉規則及び運用ガイド上、試験結果(原データ)を申請 書に記載することが要求されているにもかかわらず、原子力規制委員会は、参加人から監視試験片の原データを受け取らず、原データから当該最終結果が導き出される過程を確認せずに申請書に記載された結果だけをみて審査を行い、認可の判断をしており、このような被告の審査過程は、上記運用ガイドに違反する。 また、原子炉容器の脆化が極めて重大な事故に繋がりうることや、監視試験片の数は極めて少数に限られており、場所や部材ごとの脆化のばらつきを十分考慮しているとはいい難いこと、かつ中性子照射脆化に関する将来予測は少なからず不確実性を含んでいることから、規制サイドは常に当該原子力発電所について脆化の度合いが想定よりも進んでいな いか、慎重の上にも慎重を期して審査を行わなければならないこと、原データの確認にさほどの人的物的資源を要しないこと、少なくとも本件原子炉施設については、その高経年化技術評価書(30年目)と高経年化技術評価書(40年目)を比較すると、同じ「60年時点」での評価をしたものであるにもかかわらず、大幅に余裕がなくなっていることや、 直近で母材についての試験が行われていないことなどの問題があり、各 試験データ等の正確性に疑義が生じている場合に当たることからすれば、原データの確認は必須であったというべきであったのであって、当該確 ついての試験が行われていないことなどの問題があり、各 試験データ等の正確性に疑義が生じている場合に当たることからすれば、原データの確認は必須であったというべきであったのであって、当該確認を行わなかった審査には重大な過誤、欠落がある。 (ウ) 破壊靭性値の試験結果数本件原子炉施設において、4回の破壊靭性試験が行われているが、各 回とも「母材」か「溶接金属」のどちらかしか行われておらず、最も重要となる直近の第4回試験回次については、「溶接金属」の測定しか行われず、原子炉圧力容器本体の状態を把握するための「母材」の測定が行われていない。また、試験回次ごとに得られる破壊靭性試験の結果は4つにとどまり、その中には延性破壊や試験装置の故障により適切なデー タを得られないものがあり、第4回試験回次についてみても、1つが延性破壊し、溶接金属の3データしか得られなかった。 一般的に破壊靭性試験の結果は、大きなばらつきがあり、脆性遷移温度領域においてそのばらつきは特に大きいことが知られている。また、鋼種によって脆化の度合いは異なる可能性が高い。 したがって、上記のようなわずかなデータに基づいて導出された破壊靭性遷移曲線は、下限を決める曲線とはいえず、むしろ値が下がる蓋然性が高いというべきであるから、これを看過した本件運転期間延長認可処分に係る審査には、看過し難い過誤、欠落がある。 (エ) CT 試験片ではなくWOL 試験片を用いたこと JEAC4206-2007 は、破壊靭性遷移曲線設定にかかる破壊靭性試験片について、附属書D-1000-1において、いずれも「B(T)」試験片と「CompactSpecimen(C(T))」(CT 試験片)が記載されている。その他の形状の記載もあるが、WOL 試験片は記載さ て、附属書D-1000-1において、いずれも「B(T)」試験片と「CompactSpecimen(C(T))」(CT 試験片)が記載されている。その他の形状の記載もあるが、WOL 試験片は記載されていない(乙E23・附D-2)。このような記載からすれば、JEAC4206-2007 の附属書Dが定め る「破壊靭性試験の方法」としては、WOL 試験片を使用することは許容 されていないと考えられる。 しかし、本件原子炉について実際に行われた破壊靭性試験においては、CT 試験片ではなく、WOL 試験片(試験片の引っ張る片方にねじ穴が開けられていて、ねじを差し込んで引っ張るようにして試験を行うための試験片)による試験が行われていた。WOL 試験片は、大きな破壊靱性値を もつ試験片に対して余分な曲げが負荷されて塑性変形が起こり、破壊靱性値を正しく測定することができない、曲げによる塑性変形に使われた力も破壊靭性値として計測されてしまい、本来の値より破壊靭性値が大きく測定されて非保守的な評価となるという問題が指摘されている。 原子力規制委員会は、参加人がWOL 試験片を利用して破壊靭性試験を 行ったことを認識していなかったと考えられ、具体的審査基準であるJEAC4206-2007 に適合しない試験方法を行った参加人の申請の問題点を看過したということであり、本件運転期間延長認可処分の審査の過程には重大な過誤、欠落がある。 (オ) 「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」 を行っていないことa 実用炉規則113条2項2号は、「技術的な評価の結果を記載した書類」の提出を求めており、運転期間延長認可申請審査ガイドは、この書類に記載すべき事項について、「照射脆化の将来予測を保守的に行うこと 用炉規則113条2項2号は、「技術的な評価の結果を記載した書類」の提出を求めており、運転期間延長認可申請審査ガイドは、この書類に記載すべき事項について、「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」(本件保守性条項)として、実測データ による現時点の健全性評価だけではなく、将来予測の場合には別途保守性を求めている。これは、現時点の脆化の状況であっても正確に把握することはできないのであり、更に20年といった長期間稼働を続けた場合の予測は一層困難となり、原子炉の健全性が保たれない場合のリスクは極めて大きいことからして、合理的な規定といえる。 他方、発電用原子炉の運転期間延長認可に当たっては、運転期間延 長審査基準の下表要求事項である「加圧熱衝撃評価の結果、原子炉圧力容器の評価対象部位において静的平面ひずみ破壊靭性値が応力拡大係数を上回ること」を満たす必要があるところ、その前提として申請書に添付すべき「延長しようとする期間における運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況に関する技術的な評価の結果を記載し た書類」(実用炉規則113条2項2号)には、監視試験片の試験結果を基にした照射脆化の将来予測を伴わない実測データに基づく評価及び本件保守性条項に基づく評価の記載が求められている。しかし、JEAC4206-2007 の破壊靭性遷移曲線は、それまでに得られた破壊靭性値(実測値)を前提として、JEAC4201の予測式が用いる関連 温度の移行量(ΔRTNDT)を算出し、これを破壊靭性値の温度移行量(ΔTKIc)と等価とみなして(本件等価の仮定)破壊靭性値をシフトさせて設定されるものであり、このシフトの際、マージンMRとして18℃が加えられるが、この18℃は実測値とΔRTNDT計算値 移行量(ΔTKIc)と等価とみなして(本件等価の仮定)破壊靭性値をシフトさせて設定されるものであり、このシフトの際、マージンMRとして18℃が加えられるが、この18℃は実測値とΔRTNDT計算値+MCの「予測誤差」であり、標準偏差2σを基礎として定められたもので あるから、現時点の原子炉の脆化の度合いを把握するに当たってもマージンMRは加えられるのであって、将来予測における独自の保守性としての要素ではない。したがって、申請者は、マージンMRを加えてJEAC4206-2007 の規定による破壊靭性曲線を作図した上で、本件保守性条項に基づいて相当程度の安全余裕度(例えば50℃程度)を加え る等の対応が求められるというべきである。 b 参加人は、将来予測についての破壊靭性値の温度移行量ΔTKIcについて、本件保守性条項に基づく保守的な評価を何らしておらず、原子力規制委員会はこれを看過しており、その審査過程には重大な過誤、欠落がある。 (被告の主張) (ア) 高浜発電所1号機の高経年化技術評価書(40年目)が同(30年目)と比較して60年目予測について大幅に余裕がなくなっていることa 30年目の脆化予測より40年目の脆化予測の方が、破壊靭性遷移曲線がよりPTS状態遷移曲線に近づき、余裕が減少しているのは、30年目の脆化予測に係る破壊靭性遷移曲線が、第2回までの監視試験 結果を用いてJEAC4201-2000 による照射脆化予測曲線を基に作成されたものであるのに対し、40年目の脆化予測に係る破壊靭性遷移曲線が、第4回までの監視試験結果を用いてJEAC4201-2007[2013]による照射脆化予測曲線を基に作成されたものであることによるためである。JEAC4201-2000 とJEAC4201- 線が、第4回までの監視試験結果を用いてJEAC4201-2007[2013]による照射脆化予測曲線を基に作成されたものであることによるためである。JEAC4201-2000 とJEAC4201-2007[2013]の関連温度移行量の予測 方法を比較すると、JEAC4201-2007[2013]は、3次元アトムプローブ法により得られた最新の知見を反映して中性子照射脆化のメカニズムに踏み込んだものであるという点で、JEAC4201-2000 よりも予測精度を向上させた方法となっている上、JEAC4201-2007 の監視試験片に対して実測データを拡充するとともに、よりマージンを大きく加えるこ とにより、関連温度移行量の予測方法に対して適切に保守性を持たせた方法となっていることから、JEAC4201-2000 からJEAC4201-2007[2013]への予測方法の見直しは、脆化の予測精度を向上させるものであって、それ自体合理性を増すものである。したがって、30年目の脆化予測より40年目の脆化予測の方が余裕が減少しているのは、 JEAC4201-2000 からJEAC4201-2007[2013]への予測方法の見直しに伴うものである。 b 中性子の照射を多く受けた破壊靭性試験片により得られた破壊靭性値(実測値)を用いて破壊靭性遷移曲線を設定することは、より精度よく当該原子炉の実態に近い予測を行うことを可能とするものである。 そのため、中性子の照射をより多く受けた破壊靭性試験片を用いた破 壊靭性試験の結果、プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線がそれ以前の試験に基づく破壊靭性遷移曲線よりも右側に移行したとしても、それは、より精度よく実態に近い予測を行った結果にすぎず、不合理なものではない。 高浜発 ント評価時期における破壊靭性遷移曲線がそれ以前の試験に基づく破壊靭性遷移曲線よりも右側に移行したとしても、それは、より精度よく実態に近い予測を行った結果にすぎず、不合理なものではない。 高浜発電所1号炉について具体的にみると、30年目脆化予測の基 になった第2回監視試験に用いられたシャルピー衝撃試験片及び破壊靭性試験片は、1984年(昭和59年)2月に取り出された、運転開始後約10年を経過したものにとどまる。これに対し、40年目脆化予測の基になった第4回監視試験に用いられた監視試験片等は、2009年(平成21年)9月に取り出された、運転開始後約35年時 点のものであって、シャルピー衝撃試験片及び破壊靭性試験片の設置位置を踏まえると、運転開始後約54年時点相当の照射量のある監視試験片等である。そのため、40年目脆化予測においては、プラント評価時期(運転開始から60年時点)に近い、運転開始後約54年時点相当の高照射領域の破壊靭性値(実測値)を基に、国内脆化予測法 を用いてプラント評価時期(運転開始から60年時点)までの照射分(関連温度移行量の計算値)を予測し、更に一律にマージン18℃を加えて、破壊靭性遷移曲線が設定されている。このように、30年目の脆化予測では、プラント評価時期の破壊靭性遷移曲線を設定するに当たり、国内脆化予測法による予測の占める割合が大きいのに対し、 40年目の脆化予測では、運転開始後約54年時点に相当する破壊靭性値の実測値が得られているため、国内脆化予測法による予測は約6年分にとどまっている。したがって、40年目の脆化予測における破壊靭性遷移曲線が、30年目の脆化予測における破壊靭性遷移曲線よりも右側に移行したとしても、それは、中性子の高照射領域における 監視試験結果が拡充したこと がって、40年目の脆化予測における破壊靭性遷移曲線が、30年目の脆化予測における破壊靭性遷移曲線よりも右側に移行したとしても、それは、中性子の高照射領域における 監視試験結果が拡充したことにより、より精度よく実態に近い予測を 行うことができた結果にほかならず、不合理なものではない上、国内脆化予測法(JEAC4201-2007[2013])を含む破壊靭性遷移曲線の設定方法を全体としてみれば、プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線を適切に設定することができることに変わりはない。 (イ) 原データの確認をしていないこと 規制機関である原子力規制委員会は、原子炉設置及び運転等に関し必要な規制を行うなど、事業者の活動が安全確保の観点から適切になされていることを監視、監督、指導する責任を有しているところ(設置法3、4条参照)、その一環として許認可に係る申請内容を審査するに際しては、法令で定められた申請書の記載事項及び必要な添付書類に基づき審査を することが予定されており(例えば、炉規法43条の3の32、実用炉規則113条等参照)、逐一それを導く試験データ等を参照する法的義務まで負うものではなく、例外的に申請内容の正確性に疑義がある場合など専門的技術的知見に基づき試験データ等の確認が必要であるなどの必要性に応じ、その確認を行えば足りるものである。また、炉規法及びそ の委任を受けて原子力規制委員会が定めた規則上、事業者は、設計・工事段階、供用後の段階の各段階において、照査、検証、妥当性確認を適時適切に実施すること、許認可の申請をするに際しては、その申請書にこれらの事項を記載することが求められていることからしても、原子力規制委員会が上記の法的義務を負わなくても、申請内容の信頼性は担保 されているといえ 許認可の申請をするに際しては、その申請書にこれらの事項を記載することが求められていることからしても、原子力規制委員会が上記の法的義務を負わなくても、申請内容の信頼性は担保 されているといえる。 この点、原告らが指摘する運転期間延長認可申請運用ガイドの「監視試験片の試験結果」とは、あくまで、関連温度移行量の予測が成立しているかを確認するという技術的観点から記載を求められるものであり、シャルピー衝撃試験で測定されたデータを基に算出された原子炉容器の 鋼材の関連温度(Tr30)等の値を指すものであって、シャルピー衝撃試 験や破壊靭性試験により得られた実測データ(原告らのいう「原データ」を含む。)が示す値そのものを意味するものではない。 なお、原告らは、本件原子炉については、直近で母材についての試験が行われていないことなどから、各試験データ等の正確性に疑義が生じている場合に当たり、原データの確認は必須であったというべきであっ たとも主張するが、本件原子炉の第4回の監視試験において母材について破壊靭性試験が行われていないとしても、そのことは当該破壊靭性試験のデータ(破壊靭性値)の正確性と何ら関連するものではないから、これによって当該データの正確性に疑義が生じるとはいえない。 (ウ) 破壊靭性値の試験結果数 プラント評価時期における破壊靭性遷移曲線の設定に当たっては、それまでに実施した破壊靭性試験において得られた破壊靭性値KIcの実測値を全て用いて評価すること、破壊靭性遷移曲線の設定に当たっては、最も厳しい予測値を下限包絡するよう評価すること、破壊靭性遷移曲線のシフト量(関連温度移行量)を設定するに当たっては、保守的なマー ジンを設定することのいずれもが要求されていることからすれば、高浜発電所1 値を下限包絡するよう評価すること、破壊靭性遷移曲線のシフト量(関連温度移行量)を設定するに当たっては、保守的なマー ジンを設定することのいずれもが要求されていることからすれば、高浜発電所1号炉の破壊靭性値のデータが9点に留まるとしても、破壊靭性遷移曲線の設定は十分保守的にされるものである。 本件原子炉においてこれまでに実施した破壊靭性試験により得られた全ての破壊靭性値KIcの実測値は、正規分布から大きく外れるような特 異な値は含まれていない旨指摘されているところであり、これらの実測値を用いて最も厳しい予測値を下限包絡するよう破壊靭性遷移曲線を設定することに看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 破壊靭性試験の各試験回次に母材又は溶接金属のいずれかの破壊靭性試験しか行われなかったとしても、プラント評価時期における破壊靭性 遷移曲線の設定に当たっては、直近の破壊靭性試験によって得られた破 壊靭性値KIcの実測値に限らず、それまでに実施された破壊靭性試験によって得られた破壊靭性値KIcの実測値を全て用いて評価することとなる以上、本件原子炉においても、「母材」及び「溶接金属」の両方の破壊靭性値(KIc)の実測値を用いて評価することとなり、さらに、試験の回数が重ねられることにより、その実測値が積み重ねられることとな る。したがって、破壊靭性試験の各試験回次に母材又は溶接金属のいずれかの破壊靭性試験しか行われなかったとしても、母材(原子炉容器そのもの)の脆化の度合いが適切に把握できないものではない。 (エ) CT 試験片ではなくWOL 試験片を用いたこと(参加人の主張を含む。)JEAC4206-2007 の附属書Dは、技術基準規則解釈の別記-1の別表(乙 B9・別記-1・1、2頁)に掲げられていな 試験片ではなくWOL 試験片を用いたこと(参加人の主張を含む。)JEAC4206-2007 の附属書Dは、技術基準規則解釈の別記-1の別表(乙 B9・別記-1・1、2頁)に掲げられていないことからも明らかなとおり、本件運転期間延長認可処分において用いられた具体的審査基準に当たらない。これは、JEAC4201-2007 の解説において記載されているとおり、JEAC4206-2007 の附属書Dは各国で適用されている規格の概要を記載したものであり、これを「参照する」ことが求められているにすぎ ないことによる。 WOL 試験片は、1960年代後半に米国で開発され、1970年代初頭までに多くの監視試験カプセルに格納されるようになったものであり、米国のASME 規格に規定されている破壊靭性遷移曲線の式の制定の際に用いられた破壊靭性データベースにも、WOL 試験片で得られた破壊靭性 データが含まれている。他方、WOL 試験片を用いた試験については、試験方法の改良に関する研究も行われており、例えば、1997年には、WOL 試験片の後部を切り落とした上で側溝を加工することで、CT 試験片と同等の値が得られることが公表されている。また、2006年には、WOL 試験片に同様の加工を施すことで、破壊靭性評価が標準型のCT 試験 片と同等の高温域まで使用可能であることが確認されている。参加人に おいても、本件原子炉の破壊靭性試験を行う際に塑性変形が生じないようにするため、WOL 試験片に上記のような加工を施したり、破壊靭性試験装置に回転性アダプタを取り付けたりするなどしており、WOL 試験片によって破壊靭性値を正しく測定することができている。 したがって、JEAC4206-2007 の附属書Dは、本件運転期間延長認 験装置に回転性アダプタを取り付けたりするなどしており、WOL 試験片によって破壊靭性値を正しく測定することができている。 したがって、JEAC4206-2007 の附属書Dは、本件運転期間延長認可処 分において用いられた具体的審査基準に当たらず、WOL 試験片を使用することが許容されていないということはない。 (オ) 「照射脆化の将来予測を保守的に行うことができる方法による評価」を行っていないとの主張について原子力規制委員会が行う運転期間延長認可申請に対する審査は、炉規 法が委任する実用炉規則及び技術基準規則並びにそれらの行政手続法上の審査基準である技術基準規則解釈及び運転期間延長審査基準との適合性を判断することによって行われるべきであるところ、原告ら指摘に係る運転期間延長認可申請運用ガイドに記載されている各事項が、運転期間延長審査基準に適合することを確認するための記載事項の一例として 示されたものであることからすれば、同ガイドで示された本件保守性条項による評価とは、JEAC4206-2007 に基づき、脆化予測をしたい時点における破壊靭性値の移行量ΔTKIcを計算した上で(この際、JEAC4201- 2007 シリーズの国内脆化予測法により算出した関連温度の移行量ΔRTNDT等を用いる。)、この破壊靭性値の移行量ΔTKIcだけ破壊靭性値 を高温側(右方向)に平行移動し、それらの点の下限包絡線を描くことで、破壊靭性遷移曲線を設定することを意味するのであって、このような方法による破壊靭性遷移曲線の設定に加えて、別途、破壊靭性値や破壊靭性値の移行量の上乗せやその要否の検討まで求めるものでないことは明らかである。 世界的にみても十分に保守的なJEAC4206-2007 及びJEAC4201-2007 破壊靭性値や破壊靭性値の移行量の上乗せやその要否の検討まで求めるものでないことは明らかである。 世界的にみても十分に保守的なJEAC4206-2007 及びJEAC4201-2007 [2013]を用いて設定される破壊靭性遷移曲線を本件保守性条項に基づく評価とすることに何ら問題はなく、参加人は運転期間延長認可申請運用ガイドに基づく評価を行い、原子力規制委員会も適切に審査を行っているから、審査に重大な過誤、欠落があるとはいえない。 (2) PTS状態遷移曲線に関する争点(争点5-(2)) ア PTS状態遷移曲線の導出に係る基準の不合理性(争点5-(2)―ア)(原告らの主張)(ア) 熱伝達率の評価式(JF式)の不合理性運転期間延長認可のための要求事項を満たすかを判断するにあたっては、「加圧熱衝撃評価」を行い、その結果、「原子炉圧力容器の評価対象 部位において静的平面ひずみ破壊靭性値が応力拡大係数を上回ること」が求められているところ、「加圧衝撃評価」においては、JEAC4206-2007によってPTS状態遷移曲線を導出することとされているが、JEAC4206- 2007 には、PTS状態遷移曲線を導出するにあたって考慮される熱伝達率の評価計算において、以下の不合理な点が存在する。 a JEAC4206-2007 は、PTS状態遷移曲線計算に用いる熱伝達率の求め方について、別紙16数式目録9のJF式で評価することとしているが、JF式は「上向きの自然対流と下向きの強制対流が共存するケース」しか設定されていない。伝熱工学において、自然対流と強制対流が共存する場合、自然対流の影響を考慮しなければいけないのは、 下降流又は上向きの強制対流に対して浮力による上昇流が無視できなくなる範囲であるの ていない。伝熱工学において、自然対流と強制対流が共存する場合、自然対流の影響を考慮しなければいけないのは、 下降流又は上向きの強制対流に対して浮力による上昇流が無視できなくなる範囲であるのが通常である。自然対流と強制対流が共存する場合に加えて、強制対流だけの場合の計算式(強制対流伝熱式)も設定しなければ、適切な熱伝達率の評価をすることができない。それにもかかわらず、JEAC4206-2007 は自然対流と強制対流が共存するケース の熱伝達率を設定しているのみであり、明らかに不十分である。 bJF式にはヌッセルト数、平均グラスホフ数、レイノルズ数という無次元数が含まれているが、これらの「代表長さ」は設定されていない。ヌッセルト数とは、自然対流による熱移動を考慮した無次元数であり、平均グラスホフ数とは、自然対流の激しさを表す無次元数であり、レイノルズ数とは、流動の激しさを表す無次元数である。設定さ れる代表長さによって熱伝達率を導く式は異なるから、適切な熱伝達率を導くためには代表長さの設定は不可欠である。 cJF式は、内径98.4㎜及び全長7000㎜の細長い垂直加熱円管を用いた熱伝達実験結果によるものであるが、原子炉圧力容器は内径4m程度、流路の長さ7m程度であり、流動状態が全く異なるから、 JF式で原子炉圧力容器の熱伝達率を評価するのは不合理である。また、三菱の実験的研究は、原子炉容器ダウンカマー部を模擬したスライスモデルとなっているとしても、流体として水ではなく空気を用いた実験であり、流体の流動特性や熱伝達特性を特徴付ける無次元数が一致する流動・熱伝達には相似性が成り立つという法則があるとして も、相似則を安易に用いることの危険性や限界がある点については留意しなければならない。大破 性や熱伝達特性を特徴付ける無次元数が一致する流動・熱伝達には相似性が成り立つという法則があるとして も、相似則を安易に用いることの危険性や限界がある点については留意しなければならない。大破断LOCA時には、必ず沸騰が生じ、水が蒸発することにより気液2相流(水と水蒸気が入り交じった状態)となることが想定されるのであり、極低温時以外は相変化(物質の状態が気体、液体、固体の間を変化する過程のこと)のない空気ではこ の間の現象を再現することはできない。 d JEAC4206-2007 がJF式を使うこととした根拠は、PTS調査報告書であり、PTS調査報告書は米国のNRCがPTS解析にJF式を用いているというNUREG/CR-4183 を根拠としているが、NUREG/CR-4183と同一の著者による翌年の文献(NUREG/CR-3702)によると、これに記 載されているパデュー大学の実験は、水と塩水により、塩水濃度の相 違による密度差によって自然対流を再現して、高温液(真水)が残っているところに低温冷却水(濃度を変えた塩水)が流入するときの流動状態を塩分濃度の測定によって定量化した実験にすぎず、熱伝達率の増加について測定したものではない。また、大破断LOCAのようにプルームが生じない場合の流動状態についての言及はない。 さらに、PTS調査報告書における実験は、試験装置を水平下向きに設置して水平方向に冷却水を流して冷却を行っており、共存対流場にすらなっておらず、ダウンカマー部の共存対流熱伝達は再現できていない。 e 数土(1989)は、水を用いた実験により、代表長さとして流路入口か らの距離を採用した無次元数による実験式によって熱伝導率が整理できるとしており、等価直径を代表長さとしたJF式は用いら e 数土(1989)は、水を用いた実験により、代表長さとして流路入口か らの距離を採用した無次元数による実験式によって熱伝導率が整理できるとしており、等価直径を代表長さとしたJF式は用いられておらず、JF式がそのまま適用できないことを示唆している。被告は、上記実験が狭い流路における共存対流場の熱伝導率の評価式に関する検討結果を報告するもので、JF式の原子炉圧力容器のダウンカマーに おける適用性に疑問を生じさせるものではないと主張するが、数土(1989)における実験に用いられた流路幅は2.5~18㎜であり、三菱の実験的研究の実験に用いられた流路幅は狭いもので20㎜とそれほど変わらず、サイズの問題については相似則が適用できるのであるから、数土(1989)がJF式の適用性について疑義を挟むものであるこ とに変わりはない。 f したがって、JF式をPTS状態遷移曲線導出に係る熱伝達率の計算に用いることができるという根拠に合理性はなく、JEAC4206-2007は具体的審査基準として不合理である。 (イ) 核沸騰の想定をしていないこと a JEAC4206-2007 においては、核沸騰現象が生じた場合の熱伝達率は 想定されていない。しかし、原子炉圧力容器内に冷却水が注入されると初期の段階で必ず核沸騰が生じることとなり、核沸騰時の原子炉圧力容器の内側表面の熱伝達率は、「Kutateladze の式」によれば、2. 5~102kW/㎡K 以上となる。これは核沸騰が生じていない場合よりも1~2桁以上大きいものであり、熱伝達率が大きくなると、原子炉 圧力容器の内表面温度は冷却水により大きく低下し、大きい熱応力を生じさせ、応力拡大係数も大きくなる結果、PTS状態遷移曲線がより上方へ突き出す形状となることか 、熱伝達率が大きくなると、原子炉 圧力容器の内表面温度は冷却水により大きく低下し、大きい熱応力を生じさせ、応力拡大係数も大きくなる結果、PTS状態遷移曲線がより上方へ突き出す形状となることから、PTS状態遷移曲線が破壊靭性遷移曲線と重なる可能性を否定することができなくなる。そうであるにもかかわらず、JEAC4206-2007 は核沸騰が生じることによる熱伝 達率の値を考慮しておらず、基準として不合理である。 b 被告は、電事連回答を根拠として、大破断LOCAにおいて冷却材が沸騰する時間帯は短時間であり、破壊靭性遷移曲線がPTS状態遷移曲線に接近する時間帯と異なるので、デッドクロスするか否かの判定に沸騰熱伝達率は関係ない旨を主張する。しかし、電事連回答は、 クラッド(原子炉圧力容器内側の表面のコーティング)を考慮した上で沸騰熱伝達率を考慮しても問題ないとするが、JEAC4206-2007 は沸騰熱伝達率やクラッドを考慮して作成されたものではなく、電事連回答は沸騰熱伝達率の算出において、回答に窮した電事連がクラッドを勝手に考慮して沸騰熱伝達率の問題点をごまかすために作成した後付 けの資料にすぎず、JEAC4206-2007 の不合理性を正当化するものではない。 なお、L4意見書①(甲E61)のとおり、クラッドを考慮せず、沸騰熱伝達率を考慮して計算すると、高浜発電所1 号炉の60年予測においてデッドクロスが生じる可能性が示された。 (ウ) 冷却期間中における熱伝達率の変動を考慮していないこと 冷却期間中、時間の経過により原子炉圧力容器の熱伝達率は変動する。 NUREG(米国原子力規制委員会の規制)が1999年に行ったシミュレーションによると、熱伝達率は0~1600秒(約27分)までの長時間 期間中、時間の経過により原子炉圧力容器の熱伝達率は変動する。 NUREG(米国原子力規制委員会の規制)が1999年に行ったシミュレーションによると、熱伝達率は0~1600秒(約27分)までの長時間にわたって5kW/㎡K 以上、2500秒(約42分)までの間では4kW/㎡K 程度の大きい値になっている。このように熱伝達率は、時間の 経過とともに激しく変動するものであり、その変動を考慮した上でPTS評価をした場合、PTS曲線がより上方へ突き出す形状となることになり、破壊靭性遷移曲線と重なる可能性を否定することができなくなる。 そうであるにもかかわらず、JEAC4206-2007 は、冷却期間中の時間変化による熱伝達率の変動を考慮しておらず、基準として不合理である。 (エ) プルームを考慮していないことJEAC4206-2007 は、熱伝達率の評価においてプルーム(冷却時に生じる冷却温度の不均一さ)を考慮していない。2018年に報告されたQian 論文によると、破断面積の程度にもよるが、プルームを考慮した熱伝達率は、5~10kW/㎡K 程度の高い値が一定時間持続することが示 されており、プルームを考慮しない場合よりも熱伝達率が高く、応力拡大係数は大きくなるとともに、PTS状態遷移曲線がより上方に突き出す形状となり、破壊靭性曲線と重なる可能性が否定できないことがわかる。そうであるにもかかわらず、JEAC4206-2007 は、熱伝達率の評価に当たってプルームを一切考慮していないから、基準として不合理である。 (被告の主張)(ア) 熱伝達率の評価式(JF式)についてaPTS事象発生時には、ECCSから非常用冷却水が原子炉容器内のダウンカマーを垂直に流下し、下向きの強制対流が発生するとともに、原子炉容器内表面 (ア) 熱伝達率の評価式(JF式)についてaPTS事象発生時には、ECCSから非常用冷却水が原子炉容器内のダウンカマーを垂直に流下し、下向きの強制対流が発生するとともに、原子炉容器内表面と非常用冷却水の温度差から上向きの自然対流 も発生することとなるため、PTS事象の評価の際は、JEAC4206-2007 の附属書Cが記載するように「上向きの自然対流と下向きの強制対流」の「共存」が発生することとなる。そのため、JEAC4206-2007 が「自然対流と強制対流が共存する場合」の熱伝達率のみを設定し、「強制対流だけの場合」の熱伝達率を設定していないことが不合理であるとはいえない。 また、JF式では、JEAC4206-2007 の附属書Cのとおり、強制乱流場でのヌッセルト数にJF式の右辺で表される自然対流のヌッセルト数に対する効果を表す項を掛け合わせて、自然対流と強制対流の共存場(複合対流)でのヌッセルト数を計算することになる。そのため、JF式を用いた場合、複合対流熱伝達に重要な無次元数がゼロに近づ けば、共存場でのヌッセルト数が、強制乱流場でのヌッセルト数に一致することが分かる。つまり、JF式は、強制対流熱伝達が支配的となり自然対流熱伝達の寄与が無視できる場合でも使用可能な式である。 bJF式に含まれている無次元数は代表長さを含むものであるが、JF式では水平方向(y方向)距離(流路断面方向距離)を代表長さと して用いることが規定されている。ここで留意すべきなのは、JF式において、代表長さとして用いることとされているのは、水平方向(y方向)距離(流路断面方向距離)であり、鉛直方向距離(下降流強制対流方向距離)ではないということである。JF式の適合性について二平行平板を基に確認した三菱の 用いることとされているのは、水平方向(y方向)距離(流路断面方向距離)であり、鉛直方向距離(下降流強制対流方向距離)ではないということである。JF式の適合性について二平行平板を基に確認した三菱の実験的研究においては、水平方向の 相当直径を用いてその適合性を判断している。つまり、JF式は、代表長さを水平方向にとることが前提とされている評価式であり、JEAC4206-2007 においてJF式を用いることとされている以上、その代表長さは水平方向でとることが当然に予定されているのであって、JEAC4206-2007 において殊更に代表長さの設定がされていないことは 何ら不合理なものではない。 c JEAC4206-2007 の附属書Cが熱水力解析と熱伝達率の算出を分けて記載しているとおり、PTS状態遷移曲線の設定に当たり、評価事象の熱水力解析と熱伝達率の算出とは全く別項目として扱われている。 NUREG/CR-3702 に記載されているパデュー大学の実験は、熱水力解析に関するものであるから、この実験結果は熱伝達率の算出に当たって JF式を用いることができるかどうかとは関係がない。 また、PTS調査報告書におけるPTS実証試験は、破壊力学試験とモデル試験から成り、これらの試験結果から、原子炉圧力容器の予測供用期間末相当及びそれ以上の中性子照射を受けたときのPTS事象に対する健全性を評価するものである。PTS調査報告書は、PT S状態遷移曲線と破壊靭性遷移曲線とを同一のグラフ上で比較し、両者が交差しなければ、保守的な形状(サイズ)の想定欠陥からき裂が進展せず、原子炉容器は破損しないという判定基準を設定し、その妥当性を実証試験で確認したものである。そのため、ここでいう「実証試験」とは、設定された条件そのもの な形状(サイズ)の想定欠陥からき裂が進展せず、原子炉容器は破損しないという判定基準を設定し、その妥当性を実証試験で確認したものである。そのため、ここでいう「実証試験」とは、設定された条件そのものは妥当な条件が設定されている との前提を置いた上で、PTS状態遷移曲線と破壊靭性遷移曲線が交差しなければ原子炉容器の健全性に問題はないという判定条件の妥当性を確認したものであって、熱的条件等の設定された条件の妥当性そのものを検証したものではない。したがって、PTS調査報告書のPTS実証試験が、熱伝達率の評価に当たりJF式を用いる根拠となっ ているというものではない。また、PTS実証試験が平板試験体を用いた理由は、PTS調査報告書に記載されているとおり、実機の巨大なサイズを考慮した場合、容器及び円筒型試験より平板試験体のほうが、実機をより良く模擬できるという合理的な根拠に基づくものである。 さらに、JF式は気体又は液体だけから成る単相流を想定した評価 式であり、相似則は単相流に限って適用できるものであるところ、JEAC4206-2007 では、PTS評価において沸騰を想定していないのであるから、注入された冷却水が原子炉容器内表面を覆うようにして冷却される事態、すなわち、水の単相流による冷却を想定すればよく、気液2相流となることを前提とする必要はない。 d したがって、JEAC4206-2007 が熱伝達率の評価式としてJF式を用いていることが不合理であるとはいえない。 (イ) 核沸騰の想定をしていないことa JEAC4206-2007 に基づくPTS評価は、安全側に評価する目的で、原子炉容器に発生する応力が最も激しく作用する大破断LOCAを想 定している。したがって、PTS事象発生後に1次冷 a JEAC4206-2007 に基づくPTS評価は、安全側に評価する目的で、原子炉容器に発生する応力が最も激しく作用する大破断LOCAを想 定している。したがって、PTS事象発生後に1次冷却材圧力が瞬時に大気圧まで減圧するとともに、原子炉容器内表面温度(例として、玄海発電所1号機の場合、約290℃)が瞬時に冷却水(同じく、約27℃)にさらされるという原子炉圧力容器に対して最も厳しい条件を仮想的に想定している。大破断LOCAでは、PWRの運転中にお いて沸騰しないように加圧されている1次冷却材の圧力が瞬時に大気圧まで減圧し、原子炉容器内の冷却材は沸騰することになるところ、その際の原子炉圧力容器内表面の温度はPTS事象発生から数十秒程度という比較的短い時間で飽和温度(100℃)以下となり、冷却開始初期に沸騰が停止するため、沸騰熱伝達の影響がある時間帯は、P TS事象発生後約200秒である。他方、破壊靭性遷移曲線がPTS状態遷移曲線に近接する時間帯は、事象発生から約600秒から約3600秒の時間帯と評価されているため、沸騰した場合の熱伝達率の変化は、破壊靭性遷移曲線とPTS状態遷移曲線の交差の判定に全く影響しない。 b 原告らは、L4意見書①(甲E61)に基づき、クラッドを考慮せ ず、沸騰熱伝達率を考慮して計算すると、デッドクロスが生じると主張するが、熱水力解析においてクラッドの影響を考慮することは、現実にクラッドが存在するのであるから当然のことであり、クラッドがない想定の計算に熱工学的な意味を見出すことはできない。 (ウ) 冷却期間中の熱伝達率の変動を考慮していないとの主張について JEAC4206-2007 の附属書C(C-3120)には、PTS状態遷移曲線を設定する際に「最大仮想欠 とはできない。 (ウ) 冷却期間中の熱伝達率の変動を考慮していないとの主張について JEAC4206-2007 の附属書C(C-3120)には、PTS状態遷移曲線を設定する際に「最大仮想欠陥最深部での温度と時間、応力拡大係数と時間の関係に基づき、PTS事象の応力拡大係数と温度の時間推移を示すPTS状態遷移曲線を設定する」と記載されていることから明らかなとおり、JEAC4206-2007 は、時間推移に伴う温度変化に関係した熱伝達率を設定 した上で応力拡大係数を求めており、熱伝達率を一定としておらず、時刻歴で評価されている。 (エ) プルームを考慮していないこと原告らが主張の根拠とするQian 論文でプルームと称されている水温の不均一さは、中破断LOCAのように、原子炉圧力容器内の冷却材が 瞬時に漏洩せず残っている状態において、冷却水を注入すると、残存している高温水と注入した冷却水とが混合しにくくなることから発生するものである。JEAC4206-2007 においては、PTS評価上最も厳しいとされる急激な温度変化を伴う大破断LOCAを想定しており、大破断LOCAでは、原子炉容器内の冷却材が急激に喪失した後に冷却材を注入す るため、そもそも水温の不均一さ(プルーム)は発生しない。JEAC4206- 2007 の附属書Cの基となったPTS調査報告書においても、大破断LOCAの発生と同時にダウンカマー部の高温の1次冷却水が全て27℃の非常用冷却水に置き換わると仮定し、その後もしばらく同じ温度で推移するという条件設定をしているところ、このような条件設定の下では、 ダウンカマー部は27℃の非常用冷却水で満たされていることとなるか ら、プルームを考慮する必要はない。 イ PTS状態遷移曲線導出に係る適 るところ、このような条件設定の下では、 ダウンカマー部は27℃の非常用冷却水で満たされていることとなるか ら、プルームを考慮する必要はない。 イ PTS状態遷移曲線導出に係る適合性審査の過誤、欠落(争点5-(2)―イ)(原告らの主張)(ア) 熱伝達率が適切に評価されていないこと 上記アの原告らの主張のとおり、JEAC4206-2007 には、過渡条件として核沸騰を考慮していないこと、冷却期間中における熱伝達率の変動が考慮されていないこと、熱伝達率の評価において、プルームを考慮していないことなどの不合理性があり、これらを考慮すればデッドクロスの可能性があるにもかかわらず、これらを看過しているから、本件運転期 間延長認可処分に係る適合性審査の過程に看過し難い過誤、欠落がある。 (イ) クラッドの考慮a JEAC4206-2007 は、最大仮想欠陥について、「半楕円表面欠陥」(乙E23・附C-4)として、概念図にはクラッドを記載していない。 これに対し、JEAC4206-2007 の改定版であるJEAC4206-2016 は、応力 解析において、クラッドと母材(又は溶接金属)の熱膨張差により生じる応力を考慮すること、原子炉圧力容器炉心領域内のクラッド下に深さ10㎜、長さ60㎜の半楕円欠陥を想定する(甲B86・116、117頁)などと、クラッドを考慮して、その安全性を評価するものと明記している。したがって、JEAC4206-2016 の文言と比較しても JEAC4206-2007 の文理上、クラッドを前提とした解析を許容していないことは明らかである。 また、原子力規制委員会の主催により令和元年7月29日から令和2年7月9日まで行われた技術評価検討チームでは、クラッドを考慮することは、母 ドを前提とした解析を許容していないことは明らかである。 また、原子力規制委員会の主催により令和元年7月29日から令和2年7月9日まで行われた技術評価検討チームでは、クラッドを考慮することは、母材とクラッドの残留応力の評価法、機械的特性やその 厚さが与える影響を考慮した安全性評価の検討が未だ不十分であると して、クラッドを考慮することを明記するJEAC4206-2016 は、技術基準規則の解釈として引用できないと結論付けられた。 高浜発電所1号機の破壊靭性遷移曲線KⅠCに対して、応力拡大係数KⅠに及ぼすクラッドの有無の影響及び参加人の結果を数値計算によって求めた結果をプロットすると、クラッドがない場合で熱伝達率を 2kW/㎡K としたときには、沸騰熱伝達率を考慮するまでもなくPTS状態遷移曲線は破壊靭性曲線とデッドクロスする。 b 電事連回答は、温度分布の解析まではクラッドを考慮し、熱応力の解析ではクラッドを考慮しないとする。しかし、PTS解析は温度分布だけでなく、応力分布の算出から応力拡大係数を計算するという一 連の過程を示すものであり、一連の解析の途中でモデルを変更するのは合理的とはいえない。そして、クラッド加工をするに当たっては、その原料となる金属を溶融して肉盛りをする過程で残留応力が生じるから、残留応力を考慮せずにクラッドを含めた温度分布から得られる応力分布を基に応力拡大係数を求めることは、仮想欠陥に生じる応力 を過小評価することになる。残留応力を評価するためには、その評価方法、物性値(クラッドのヤング率、熱膨張係数、熱伝導率の温度依存性、比熱、密度等)を考慮する必要があるが、JEAC4206-2007 に規定はない。これは、残留応力の評価方法等を定めることができなかったから、クラッド のヤング率、熱膨張係数、熱伝導率の温度依存性、比熱、密度等)を考慮する必要があるが、JEAC4206-2007 に規定はない。これは、残留応力の評価方法等を定めることができなかったから、クラッドを考慮せずに解析することとしたというべきである。 c 日本電気協会回答は、本件訴訟で原告らからクラッドに対する違法性の指摘を受けてから、被告が日本電気協会に質問して作成されたものである。また、日本電気協会回答では、最大仮想欠陥に対する応力拡大係数や破壊靱性を評価するに当たって、最大仮想欠陥位置における応力や温度を規格のユーザの判断で適切に評価できればよいとして いるが、JEAC4206-2007 の附属書A及びCの「表面欠陥」との記載か らすれば、内表面にき裂を想定しなければならず、クラッド下の欠陥と解釈するようなユーザの判断が入り込む余地はない。 d 参加人は、PTS評価において、熱伝導解析ではクラッドを考慮し、応力解析ではクラッドを考慮しておらず、これはPTS調査報告書と同様の方法であるという。しかしながら、クラッドの材質であるステ ンレス鋼は熱伝導率が小さく、熱膨張率が高いため、熱伝導解析でクラッドを考慮し、応力解析でクラッドを考慮しないという方法は、不合理に応力拡大係数を小さくする計算結果をもたらす。PTS調査報告書より後に公表されたFekete 論文及びJang 論文によれば、参加人の計算方法が最も応力拡大係数を小さくし、熱伝導率及び熱膨張率を いずれもクラッドの材質であるステンレス鋼の物性値を用いた計算方法が破壊靭性遷移曲線との接近が問題となる領域において最も応力拡大係数を高くすることが確認されている。 e したがって、PTS状態遷移曲線を計算するに当たって、クラッドを考慮することは許容さ 算方法が破壊靭性遷移曲線との接近が問題となる領域において最も応力拡大係数を高くすることが確認されている。 e したがって、PTS状態遷移曲線を計算するに当たって、クラッドを考慮することは許容されていないにもかかわらず、原子力規制委員 会は、クラッドを考慮してその安全性を検討した電事連回答を前提に審査し、本件運転期間延長認可処分を行っており、これは具体的審査基準であるJEAC4206-2007 に反し、これを看過してされた本件運転期間延長認可処分は、その審査過程に看過し難い過誤、欠落がある。 (ウ) 熱伝達率の確認をしていないこと 熱伝達率は、流動様式や流体の種類、速度、伝熱面の形状等によって変わり、その評価によってPTS状態遷移曲線の評価に大きく影響を与える。また、熱伝達率は、冷却期間中、激しく変動して一定ではないと一般的に考えられており、それに伴ってPTS状態遷移曲線の形状も変化する。 平成23年以降行われた高経年化技術評価に関する意見聴取会におけ る電事連回答や平成24年8月の原子力安全・保安院による高経年化報告書における応力拡大係数の試算結果(乙B114・17頁)等からすれば、原子力規制委員会は、同月の時点で、熱伝達率の値によってはデッドクロスの危険性が十分にあることを認識していたといえる。原子力規制委員会は、どのような熱伝達率を想定してPTS状態遷移曲線を導 き出したか、審査会合等において参加人から聴取することは容易であるから、これを聴取すべきであったにもかかわらず、申請書に記載された結果のみを見て審査を行い、本件運転期間延長認可処分をしたから、その審査の過程に看過し難い過誤、欠落がある。 (被告の主張) (ア) 熱伝達率が適切に評価されていないとの主張について上記 果のみを見て審査を行い、本件運転期間延長認可処分をしたから、その審査の過程に看過し難い過誤、欠落がある。 (被告の主張) (ア) 熱伝達率が適切に評価されていないとの主張について上記アの被告の主張のとおり、PTS状態遷移曲線の設定に関する具体的審査基準に不合理な点があるとはいえないから、この点に関する原子力規制委員会の審査及び判断の過程に過誤、欠落があるとはいえない。 (イ) クラッドの考慮 a 参加人は、本件原子炉施設のPTS状態遷移曲線の設定に当たり、PTS調査報告書と同様に、熱伝導解析についてはクラッドを考慮し、応力解析についてはクラッドを考慮せずに解析を実施した。PTS調査報告書は、それ以前に行われた日本、米国等の世界各国で行われた研究の成果を踏まえた上で実施されたプロジェクトといえるものであ り、原子力の専門家等の多数の専門家を含む委員会により取りまとめられたものであって、その信頼性は極めて高いものといえる。また、PTS調査報告書は平成4年に提出されたものであるが、その後にこのような大規模かつ周到なプロジェクトは行われておらず、世界的な観点からみても合理的なものとして現在でも通用するものである。 JEAC4206-2007 自体がPTS調査報告書において実証試験を経て記載 された手法を基準化したものである上、PTS調査報告書が、上記のとおり信頼性が極めて高く、合理的なものとして世界的に通用するものであることからすれば、参加人によるクラッドの考慮(PTS調査報告書におけるクラッドの考慮)は科学的合理性を有するものといえる。 したがって、参加人によるクラッドを考慮したPTS状態遷移曲線の設定に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえな )は科学的合理性を有するものといえる。 したがって、参加人によるクラッドを考慮したPTS状態遷移曲線の設定に係る原子力規制委員会の審査及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 b JEAC4206-2007 においてはクラッドに関する規定はないものの、これは、クラッドの考慮については実施者の適切な判断に委ねる趣旨で あり、クラッドを考慮することを禁止する趣旨ではないことは、日本電気協会回答から明らかである。 また、JEAC4206-2016 の技術評価は、当該規格が一般的な審査基準として日本国内の原子炉に広く適用できる通用性を有しているかという観点から行われたものであり、その結果として、クラッドの材料特 性等を吟味した上で代表性等を設定する方法等について規定がないことを理由に審査基準への引用が見送られたことは、個々の発電用原子炉におけるPTS状態遷移曲線の設定に当たりクラッドを考慮することが一律に許容されないことを意味するものではない。 c Fekete 論文及びJang 論文は、クラッドの存在を前提とした上で、 熱伝導率、熱膨張率の物性値を変更して解析を行っているにすぎないため、応力解析においてクラッドを考慮した場合とこれを考慮しない場合とでどちらが保守的なものとなるかという問題に対して適切な回答を与えるものではない。 (ウ) 熱伝達率の確認をしていないこと 上記(1)イ(イ)で主張したとおり、原子力規制委員会が許認可に係る申 請内容を審査するに際しては、法令で定められた申請書の記載事項及び必要な添付書類に基づき審査をすることが予定されており、逐一それを導く試験データ等を参照する法的義務まで負うものではなく、例外的に申請内容の正確性に疑義がある場合など専門技術的 申請書の記載事項及び必要な添付書類に基づき審査をすることが予定されており、逐一それを導く試験データ等を参照する法的義務まで負うものではなく、例外的に申請内容の正確性に疑義がある場合など専門技術的知見に基づき試験データ等の確認が必要であるなどの必要性に応じ、その確認を行えば足り るものである。 そして、本件運転期間延長認可処分におけるPTS評価の審査においては、設定されたPTS状態遷移曲線について、30年経過時の高経年化技術評価におけるPTS状態遷移曲線との対比という観点からも確認を行っているところ、目立った変化はなかった。そのため、本件運転期 間延長認可処分におけるPTS評価につき、その評価結果等の正確性や信頼性に特段の疑義はなかったといえ、審査において試験データ等にまで遡って正確性を確認する必要があったとは認められない。 6 電気ケーブルに関する争点(争点6)(1) 電気ケーブルの火災防護対策(本件設置変更許可処分及び本件運転期間延 長認可処分関係)(争点6-(1))(原告らの主張)ア設計基準対象施設の火災による損傷の防止を規定した設置許可基準規則8条1項について、設置許可基準規則解釈は、火災防護基準に適合することを規定し、火災防護基準は、「ケーブルは難燃ケーブルを使用すること。」 と規定する。「難燃ケーブル」とは、使用するケーブルについて、「火災により着火し難く、著しい燃焼をせず、また、加熱源を除去した場合はその燃焼部が広がらない性質を有していることが、延焼性及び自己消火性の実証試験により示されているもの」をいうところ、火災防護基準は、「不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの(代替材料)である場 合(中略)はその限りではない。」として、例外を認めている。 いるもの」をいうところ、火災防護基準は、「不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの(代替材料)である場 合(中略)はその限りではない。」として、例外を認めている。 イ原子力規制委員会は、本件適合性審査において、非難燃ケーブルを防火シートでくるんだものを「複合体」であるとした参加人の説明を是として、火災防護基準に適合していると判断した。しかし、「複合体」とは、ケーブルを、それが収納されたケーブルトレイごと防火シートで包んで結束ベルトで固定したというものにすぎず、難燃性能が高いとは到底考え難い。ま た、ケーブルの老朽化による自己発火に際しては、少なくともケーブルトレイ中の非難燃ケーブルについては延焼して複数のケーブルに影響が伝播しかねない構造であり、この意味でも難燃ケーブルと同等以上の性能を有しているとはいえない。 ウよって、本件原子炉施設が設置変更許可に係る火災防護基準に適合する とした調査審議及び判断の過程には看過し難い過誤、欠落があり、本件設置変更許可処分及びこれを前提とした本件運転期間延長認可処分は違法である。 (被告の主張)ア参加人は、本件適合性審査において、本件原子炉施設において安全機能 を有する機器に使用するケーブルは、実証試験により自己消火性及び延焼性を確認した難燃ケーブルを使用する設計とするとしつつ、安全機能を有する機器に使用するケーブルには、実証試験により自己消火性は確認できるが、延焼性が確認できない非難燃ケーブルがあるとし、当該非難燃ケーブルについては、難燃ケーブルに交換する設計とするほか、難燃ケーブル と同等以上の難燃性能を確保するため、①非難燃ケーブル及び(各種ケーブル類を載せる)ケーブルトレイを防火シート、結束バンド及びシート押さえ器具で覆 ブルに交換する設計とするほか、難燃ケーブル と同等以上の難燃性能を確保するため、①非難燃ケーブル及び(各種ケーブル類を載せる)ケーブルトレイを防火シート、結束バンド及びシート押さえ器具で覆い、複合体を形成する設計、又は、②電線管に収納する設計とする措置を講じるとした(丙C9・8-1-110頁)。 イこれに対し、原子力規制委員会は、参加人が非難燃ケーブルについて講 じるとした、複合体を形成する設計(上記①)について、難燃ケーブルと 同等以上の難燃性能を確保する設計目標(保安水準)を定めるとしていること、この設計目標には、外部の火災及び複合体内部からの発火を想定し、燃焼の3要素のうち、熱(火災)及び酸素量の2つを抑制する観点が含まれていること、この設計目標の成立性を確認する実証実験には、難燃性能の確認はもとより、非難燃ケーブルの通電性及び絶縁性並びにケーブルト レイの耐震性の確認が含まれ、さらに施工後の傷等も想定していることから、十分な保安水準が確保されること、また、電線管に収納する設計(上記②)について、核計装用ケーブルをチャンネルごとに専用電線管に収納し、電線管外部からの酸素の供給防止のため、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計とすることにより、十分な保安水準が確保されることを 確認するとともに、複合体から安全機能を有する機器等に接続する非難燃ケーブルを電線管に収納し、両端を難燃性の耐熱シール材で処置する設計とすることにより、十分な保安水準が確保されることを確認した上で、参加人による安全機能を有する機器等における火災の発生防止に係る設計が、火災防護基準に適合していることを確認し、火災防護に係る規制の要求を 満たすものと判断したものであり、かかる原子力規制委員会の判断の過程に看過し難い 機器等における火災の発生防止に係る設計が、火災防護基準に適合していることを確認し、火災防護に係る規制の要求を 満たすものと判断したものであり、かかる原子力規制委員会の判断の過程に看過し難い過誤、欠落があるとはいえない。 (2) 電気ケーブルの老朽化に伴う絶縁低下(本件運転期間延長認可処分関係)(争点6-(2))(原告らの主張) ア基準の不合理性について炉規法43条の3の32第5項に基づく実用炉規則114条は、「延長しようとする期間において、原子炉その他の設備の劣化を考慮した上で技術基準規則に適合する」ことを要求し、実用炉規則114条の要求事項を具体化した運転期間延長審査基準では、「電気・計装設備の絶縁低下」につい て、「環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が 要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと。」と規定されており、電気ケーブルは安全施設及び重大事故等対処施設に含まれるから、設計基準事故環境のみならず、重大事故環境においても有意な絶縁低下が生じないことが求められている。 しかし、そもそも電気ケーブルの老朽化の指標として、「絶縁低下」は極めて把握し難いものであり、実際にはケーブルの経年劣化指標としては、「破断時の伸び」という代替指標が用いられている。JNES-SS レポートでも「絶縁抵抗や破壊電圧は経年劣化指標として捉えがたいパラメータであるため、ケーブルの経年劣化指標として「破断時の伸び」が妥当であると された。」との記述がされている(甲E51・4頁注1)。また、JNESがまとめたACA ガイドによる試験に合格した電気ケーブルでも、米国のIEEEのより厳しい耐電圧試験(交流2600 あると された。」との記述がされている(甲E51・4頁注1)。また、JNESがまとめたACA ガイドによる試験に合格した電気ケーブルでも、米国のIEEEのより厳しい耐電圧試験(交流2600ボルト-5分)で不良を起こすものがあることが報告されており、ACA ガイドで安全と判断されたとしても絶縁低下が生じないということではない。 以上より、そもそも電気ケーブルの老朽化の指標として、「絶縁低下」は把握し難いものであるにもかかわらず、「有意な絶縁低下が生じない」ことを基準としてACA ガイドの環境認定試験による健全性評価を行う運転期間延長審査基準は、基準として不合理である。 イ適合性審査の過誤、欠落について (ア) 仮に、「有意な絶縁低下が生じない」ことを基準とする運転期間延長審査基準において、「絶縁低下」の代替指標として「破断時の伸び」を用いることについて、審査基準自体は不合理であるとまでいえないとしても、実際に本件原子炉施設で行われた評価は、要求されている評価手法を満たしているとはいい難い。 本件原子炉施設において事故時に機能要求されるのは、低圧ケーブル では難燃KKケーブル(シリコン)と難燃PHケーブル(エチレンプロピレン)であるところ、この難燃KKに関して、参加人は、「評価期間」130年後に重大事故が起こっても健全性が保てると判断している。しかし、難燃KKケーブルの「破断時の伸び」は、130年後に初期値から約15分の1にまで落ちており、これをもって健全性が保てるとする のは不合理である。参加人は、JNES-SS レポートが提案する約10%の余裕を持たせた「管理値案」も採用していない。LOCA試験に合格した電気ケーブルは数本にすぎず、製造会社によってもばらつきがあり、年数の評価が 参加人は、JNES-SS レポートが提案する約10%の余裕を持たせた「管理値案」も採用していない。LOCA試験に合格した電気ケーブルは数本にすぎず、製造会社によってもばらつきがあり、年数の評価がある種の平均値で行われていることのばらつきの考慮もする必要があるが、それらのばらつきが考慮されているか不明である。 (イ) 本件運転期間延長認可処分に係る審査において、ACA ガイドの手法に依拠して、運転期間延長審査基準の「設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じない」との要求事項(運転延長)を満たしたとされているが、ACA ガイドは重大事故等環境下を想定したもの とはいえず、過誤がある。 (ウ) 参加人の示す「代表機器以外の評価結果」にも問題があり、たとえば「ケーブル接続部」は事故時に機能要求される部分であるが、このうち「高圧コネクタ接続」については、健全性評価として「長期健全性試験を実施していないため、絶縁低下の可能性は否定できない」と述べてい るにもかかわらず、総合評価では「絶縁低下は絶縁抵抗測定で検知可能であり、点検手法として適切」とし、高経年化への対応として「絶縁抵抗測定を実施していく」としている。事故時の絶縁抵抗は予測困難であると認めながら、ここでは測定して判断できることを前提にしており、説明として矛盾している。 しかし、原子力規制委員会は、参加人の不合理な説明を単に追認する のみであり、その対応は問題である。 (エ) NRA 技術報告2019-1002 の重大事故を模擬した実験において、PWRのシリコーンゴム絶縁体の絶縁抵抗値が初期に100万分の1以下に落ち込み、60時間を過ぎた辺りから105Ω(=0 (エ) NRA 技術報告2019-1002 の重大事故を模擬した実験において、PWRのシリコーンゴム絶縁体の絶縁抵抗値が初期に100万分の1以下に落ち込み、60時間を過ぎた辺りから105Ω(=0.1MΩ)を割り込み(この値は1m長の場合であり、例えば10m長として考えると抵抗値が更 に10分の1になる。)、法令上一般の電気設備の電路が守るべき抵抗値の下限を下回るという結果が存在することなどを踏まえると、重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じるという評価をすべきであるところ、そのような評価がされていない点においても過誤がある。 (オ) したがって、本件原子炉施設が実用炉規則114条に適合するとした判断には過誤、欠落があり、本件運転期間延長認可処分は違法である。 (被告の主張)ア基準の不合理性について(ア) 運転期間延長審査基準においては、電気・計装設備の絶縁低下に関す る要求事項(運転延長)として、①点検検査結果による健全性評価の結果、評価対象の電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと、②環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないことの2つが要求されている。 このような電気・計装設備の絶縁低下に係る規制は、①設計基準事故環境下及び重大事故等環境下で機能が要求されるか否かにかかわらず、点検検査により絶縁低下の状況がどのような傾向にあるかを把握し、有意な絶縁低下と判断する値に達する前に取替え等を行うという保守管理により、通常の使用環境下における健全性を担保するとともに、②設計 基準事故環境下及び重大事故等環境下で機能が要求されるケーブルに な絶縁低下と判断する値に達する前に取替え等を行うという保守管理により、通常の使用環境下における健全性を担保するとともに、②設計 基準事故環境下及び重大事故等環境下で機能が要求されるケーブルにつ いては、上記①に加えて、環境認定試験による健全性評価の結果、設計基準事故環境下で機能が要求される電気・計装設備及び重大事故等環境下で機能が要求される電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないことなどを要求するものであり、適切な規制がされているといえるのであって、ケーブルの絶縁低下に係る具体的審査基準に不合理な点があるとは いえない。 (イ) 原告らは、JNES-SS レポートの記載を根拠に、電気ケーブルの老朽化の指標として、「絶縁低下」は把握しがたいものであるにもかかわらず、「有意な絶縁低下が生じない」ことを基準とする運転期間延長審査基準は、基準として不合理であると主張する。しかしながら、JNES-SS レポ ートにおいて「絶縁抵抗や破壊電圧は経年劣化指標として捉えがたいパラメーターである」と記載されている趣旨は、一般的に絶縁抵抗等の悪化は経年劣化が一定程度進行した時点で急激に生じることが多く、一定時点までは大きな変化が見られないため、経年劣化の指標として「絶縁抵抗」等はふさわしくないということであり、「絶縁低下」そのものが捉 え難いとするものではない。 また、ACA ガイドによる健全性判定試験の判定基準は、劣化処理後のJIS 耐電圧試験において供試ケーブルに絶縁破壊が生じないことであり、原告らが指摘する「破断時の伸び」は、ACA ガイドの評価手法を用いた健全性評価において、供試ケーブルに対してLOCA試験前の検証寿命 相当の経年劣化を付与する際の経年劣化の指標として用いられるものであって(乙E14 伸び」は、ACA ガイドの評価手法を用いた健全性評価において、供試ケーブルに対してLOCA試験前の検証寿命 相当の経年劣化を付与する際の経年劣化の指標として用いられるものであって(乙E14・137~139頁)、絶縁低下の有無を判定する健全性判定(JIS 耐電圧試験)において何らかの指標等として用いられるものではない(乙E14・134~136頁)。 さらに、ACA ガイドにおいて、JNES-SS レポートのJISの耐電圧試験 に合格してもIEEEの耐電圧試験に不合格となった事例は、JNES が研究目的のため、JISの耐電圧試験とIEEEの耐電圧試験を連続で行った試験であり、これをもってACA ガイドの評価手法を用いた健全性評価の方法に問題があるということはできない。 イ適合性審査の過誤、欠落について(ア) 参加人は、設計基準事故環境下で機能要求があるケーブルについて、 60年間の通常運転期間及び設計基準事故環境下の環境条件を考慮した健全性評価を行い、加えて、特に、重大事故等環境下で機能要求があるケーブルについては、60年間の通常運転期間及び重大事故等環境下の環境条件を考慮した健全性評価も併せて行った結果、いずれのケーブルについても運転開始後60年時点においても絶縁機能を維持できるとす るなどし、原子力規制委員会は、その説明内容が要求事項(運転延長)を満足していると認めた。 (イ) ACA ガイドでは、JISで規定される耐電圧試験を実施することとされているところ、実際に参加人がACA ガイドに基づく低圧ケーブルの健全性評価で参照した試験データの耐電圧試験条件(1500V-1分間) は、本件原子炉で使用されている難燃PHケーブル(低圧ケーブル)の実際の使用条件(交流600V以下、直流750 ケーブルの健全性評価で参照した試験データの耐電圧試験条件(1500V-1分間) は、本件原子炉で使用されている難燃PHケーブル(低圧ケーブル)の実際の使用条件(交流600V以下、直流750V以下)と比較しても、十分保守的な条件となっている。さらに、参加人は、IEEEの耐電圧試験と同様の耐電圧試験条件(2600V-5分間)の試験データも参照した健全性評価も行い、低圧ケーブルが運転開始後60年時点におい ても、絶縁機能を維持できることを確認している。 また、ACA ガイドでは、型式試験における不確実性等の影響を考慮し、設計基準事故時の環境条件に裕度を加えることとし、具体的には、JEAG4623-2008 に基づき、最大温度に+8℃、最大圧力に+10%、放射線に+10%(事故時線量)の裕度を加えるとしている。そして、参 加人が本件運転延長認可申請に当たって用いた試験条件においても、上 記の裕度を上回る裕度が設けられており、個々のケーブルについてばらつきが存することを考慮しても、上記健全性評価の妥当性は左右されないといえる。 (ウ) ACA ガイドは、設計基準事故時に事故の拡大を防止し速やかに収束するための安全機能を有するケーブルについて、通常運転時の供用期間を 経た後に設計基準事故の環境下においても期待される機能を遂行できるか検証するための試験等を実施するに当たり考慮すべき事項又は推奨される方法について示したものであり、重大事故等環境下における健全性評価を規定したものではない。参加人は、「ケーブルの技術評価書」のとおり、重大事故等環境下で機能が要求される難燃KKケーブル、難燃P Hケーブル及び難燃三重同軸ケーブルについて、重大事故等時雰囲気内での健全性を合わせて評価し、原子力規制委員会は、その 」のとおり、重大事故等環境下で機能が要求される難燃KKケーブル、難燃P Hケーブル及び難燃三重同軸ケーブルについて、重大事故等時雰囲気内での健全性を合わせて評価し、原子力規制委員会は、そのような参加人の健全性評価結果について確認したものであり、運転期間延長審査基準の要求事項(運転延長)に沿った確認をしている。 (エ) 原告らは、「高圧コネクタ接続」についての参加人の説明に矛盾がある と主張するが、そもそも参加人が電気ケーブルについて事故時の絶縁低下を予測困難と認めたという事実はなく、絶縁低下は把握し難いものとはいえない。参加人の説明は、高圧コネクタは、事故時においても高温水蒸気や高放射線の環境に曝されることはないため、環境認定試験による健全性評価を行う必要はないものの、絶縁低下の可能性は否定できな いことから、絶縁抵抗測定を実施していくこととしたとするものであって、参加人の説明に何ら矛盾するところや不合理な点は見当たらない。 (オ) NRA 技術報告2019-1002 は、実際のPWRプラントのケーブルについて、本件原子炉施設を含む国内のPWRプラントにおける重大事故時の原子炉格納容器内の気相部の温度及び圧力の解析条件を踏まえて設定さ れた蒸気暴露条件(155℃、0.44MPaG で336時間)の下で実施 した試験結果から、ケーブルの長さ1m当たりの絶縁抵抗の最小値は108Ωm 程度にとどまっており、実際のPWRプラントにおける対象ケーブルの最長の長さ(約200m)を踏まえても、ケーブルの実際の絶縁抵抗値は、いずれのケーブルについても5×105Ω以上であることが確認されているから、法令で要求される下限値を下回るとはいえない。 (カ) 以上によれば、本件運転期間延長認可処分について、本件原 抗値は、いずれのケーブルについても5×105Ω以上であることが確認されているから、法令で要求される下限値を下回るとはいえない。 (カ) 以上によれば、本件運転期間延長認可処分について、本件原子炉施設のケーブルについて「有意な絶縁低下が生じない」と評価したことに看過し難い過誤、欠落はない。 7 使用済燃料に関する争点(争点7)(1) 使用済燃料及び使用済燃料貯蔵施設の危険性(本件設置変更許可処分関係) (争点7-(1))(原告らの主張)ア使用済燃料は、なお崩壊熱を発し続けているため、水と電気で冷却を継続しなければならず、その危険性は極めて高い。福島第一原発事故における4号機の使用済燃料貯蔵槽の冷却機能の喪失は、使用済燃料貯蔵槽の冷 却機能が原子炉ないし炉心を冷却する設備と同等に重大事故を引き起こす危険性を有することを明らかにした。 イ使用済燃料による事故を防ぐためには、使用済燃料貯蔵槽も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対し堅固な施設によって防御を固められる必要がある。しかし、本件原子炉施設において、建 屋という極めて脆弱な壁によってしか囲われていない。 ウまた、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽は、使用済燃料を高稠密化ラックに詰め込むという稠密化が行われているが、詰め込む使用済燃料の量が増えると、熱負荷の負担が大きくなり、それぞれの燃料集合体の冷却が難しくなり危険性が増加する。使用済燃料の加熱によるジルコニウム火災 のリスクを軽減するための方法としては、使用済燃料を市松模様状に保管 して使用済燃料ラックに配置する運用方法があるが、新規制基準では、当該運用は要求されていない。 エさらに、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽は、地震時にクレーン本体、移送 様状に保管 して使用済燃料ラックに配置する運用方法があるが、新規制基準では、当該運用は要求されていない。 エさらに、本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽は、地震時にクレーン本体、移送中のキャスク等の重量物が落下し、使用済燃料貯蔵槽又は使用済燃料が破損する危険性がある。 オ設置許可基準規則4条、設置許可基準規則解釈の別記2は、使用済燃料貯蔵槽の冷却設備の耐震クラスをBクラス、使用済燃料貯蔵槽の計測装置の耐震クラスをCクラスとしている。設置許可基準規則4条2項に規定する「地震力」の「算定」に当たっては、Sクラスは3.0、Bクラスは1. 5、Cクラスは1.0の係数とされているため、地震が基準地震動を超え るものであればもちろん、超えるものでなくても、使用済燃料貯蔵槽の冷却設備や計測装置が損壊する具体的危険性がある。 使用済燃料貯蔵槽の冷却設備は、使用済燃料貯蔵槽と同様に基本設計の安全性に関わる重要な施設として安全性審査の対象とされなければならず、深刻な災害が万が一にも怒らないために十分な安全性が確保されてい なければならないところ、この基準は緩やかにすぎ、不合理であり、使用済燃料貯蔵槽の冷却設備をSクラスとして審査しないことは、設置許可基準規則4条3項(地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないものであること)及び16条2項2号ロ(使用済燃料の貯蔵施設は、貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであることを要求している) に違反する。 カまた、使用済燃料貯蔵槽の計測装置が損壊すると、使用済燃料貯蔵槽の水位が低下し温度が上昇した場合に、正確な状況の把握が困難になる。使用済燃料貯蔵槽の計測装置をSクラスとして審査していないことは、設置許可基準規則4条3項(地震力に対して安全機能が損なわれ 貯蔵槽の水位が低下し温度が上昇した場合に、正確な状況の把握が困難になる。使用済燃料貯蔵槽の計測装置をSクラスとして審査していないことは、設置許可基準規則4条3項(地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがな いものであること)及び16条2項2号ハ(使用済燃料の貯蔵施設は、使 用済燃料貯蔵槽から水が漏えいした場合において水の漏えいを検知することができるものとすること。)に違反する。 キ以上のとおり、使用済燃料貯蔵槽について、深刻な災害が万が一にも起こらないというために必要な対策が取られていないことは、炉規法43条の3の6第1項4号「災害の防止上支障がない」に違反し、本件原子炉施 設の新規制基準に係る適合性審査には、過誤、欠落がある。 (被告の主張)ア使用済燃料の有する潜在的危険性を顕在化させないためには、臨界管理や、崩壊熱や放射線の管理を行うことが必要である。そのため、設置許可基準規則(平成29年原子力規制委員会規則第6号による改正前のもの) は、使用済燃料貯蔵施設に対して、燃料体等の臨界防止能力、使用済燃料の冷却能力、使用済燃料からの放射線に対する遮蔽能力を持たせることなどを要求する(同規則16条2項1号ハ、2号イ及びロ)ことに加え、使用済燃料貯蔵施設の機能等を適切に考慮した耐震重要度分類及び安全重要度分類に基づく規制や、福島第一原発事故の教訓を踏まえた重大事故等対 処設備としての規制など、幾重もの規制を加えている(乙B50・193~196頁)。 このように、使用済燃料貯蔵施設に関する規制は、十分に安全に配慮した合理的なものというべきであり、同規制に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 イ使用済燃料貯蔵槽は、耐震重要度Sクラスに分類されており、基準地震動による 分に安全に配慮した合理的なものというべきであり、同規制に係る具体的審査基準に不合理な点があるとはいえない。 イ使用済燃料貯蔵槽は、耐震重要度Sクラスに分類されており、基準地震動による地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないものであることが要求される(設置許可基準規則4条3項)ため、鉄筋コンクリートでできており、使用済燃料の貯蔵施設自体、堅固な施設として設計されている。もっとも、使用済燃料は、原子炉運転中の炉心の燃料のように高温・ 高圧の環境下にないから、大気圧の下、崩壊熱を除去するため、常温程度 以下に保たれた使用済燃料貯蔵槽内の水により冠水状態で貯蔵すれば足り、このような措置を講ずれば、周囲の冷却水が瞬時に蒸発してなくなるということもなく、放射性物質が放出されるような事態は考えられない。そのため、設置許可基準規則は、使用済燃料貯蔵施設に対して、原子炉格納容器のような耐圧性を有する堅固な施設を設置することまでは要求していな いのであり、このような規制には合理性がある。 ウまた、使用済燃料貯蔵槽における使用済燃料の配置方法については、ある特定の設備や方式を指定して要求するのではなく、満たすべき性能を規定して要求する規制の方法を性能要求といい、設置許可基準規則は、使用済燃料貯蔵施設に係る規制だけでなく、あらゆる規制に関して性能要求を 基本としているところ、「貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであ」ることを要求する(設置許可基準規則16条2項2号ロ)にとどめ、市松模様状の保管や乾式貯蔵を要求していないからといって不合理ということはできない。 エさらに、使用済燃料貯蔵槽への重量物の落下については、参加人は、落 下時に使用済燃料ピットの機能に影響を及ぼす重量物として、 貯蔵を要求していないからといって不合理ということはできない。 エさらに、使用済燃料貯蔵槽への重量物の落下については、参加人は、落 下時に使用済燃料ピットの機能に影響を及ぼす重量物として、原子炉補助建屋の構造物、使用済燃料ピットクレーン、補助建屋クレーン及び使用済燃料ピットラック用仮設クレーンを抽出し、原子炉補助建屋の構造物については、基準地震動に対して使用済燃料ピット内への落下を防止できるように設計することとし、使用済燃料ピットクレーンについては、基準地震 動に対して、クレーン本体、転倒防止金具及び走行レールに発生する荷重が許容応力以下となるように、吊荷を考慮し保守的に設計することとし、補助建屋クレーンについては、使用済燃料ピットの上部に一部走行レールを敷設しているが、走行範囲を制限する措置を講ずること及び建屋の構造上、仮に走行レールから脱落したとしても、クレーン本体及び吊荷の使用 済燃料ピットへの落下を防止できる設計とすることとし、さらに、使用済 燃料輸送容器をキャスクピット上で取扱う場合は、落下物とならないよう運用上の措置を講ずることとし、使用済燃料ピットクレーンについては、燃料体等の取扱施設に要求される耐震クラスと同等の耐震性を確保する設計とする走行レールを延長し、使用済燃料ピットから離幅をとった場所に固縛して待機させることとした。 原子力規制委員会は、参加人の上記の設計方針が、設置許可基準規則16条2項2号ニの規定に適合していることを確認しており(乙C5・116頁)、使用済燃料貯蔵槽への重量物の落下対策がされている。 オ使用済燃料の貯蔵施設のうち、使用済燃料貯蔵槽及び使用済燃料貯蔵槽の補給水設備は、耐震需要度分類Sクラスに分類されるのに対し、使用済 燃料貯蔵槽の冷却設備はB 物の落下対策がされている。 オ使用済燃料の貯蔵施設のうち、使用済燃料貯蔵槽及び使用済燃料貯蔵槽の補給水設備は、耐震需要度分類Sクラスに分類されるのに対し、使用済 燃料貯蔵槽の冷却設備はBクラスに分類されるが、これは、補給水設備が機能を維持していれば、冷却設備がその安全機能を喪失したとしても冷却設備の機能を代替することが可能であり、相対的に影響は大きくないからであり、このような分類は、耐震重要度分類の考え方に沿うもので、合理性がある。 カまた、使用済燃料貯蔵槽の計測装置は、Cクラスに分類されるが、計測装置は冠水状態を維持するために必要な装置ではなく、事故等の発生時に放射線量が著しく上昇し、人が近づくことができなくなる事態は想定し難く、使用済燃料貯蔵槽の水位低下には相当程度の時間がかかるから、使用済燃料貯蔵槽の水位の低下等については、使用済燃料貯蔵槽の付近におい て目視等によって確認することが可能である。したがって、使用済燃料貯蔵槽の冷却設備をBクラス、計測装置をCクラスと分類することには合理性がある。 キしたがって、使用済燃料貯蔵施設に関する具体的審査基準に不合理な点はなく、また、同基準に基づく原子力規制委員会の審査に看過し難い過誤、 欠落があるとはいえない。 (2) 使用済燃料の貯蔵施設の審査に関する違法性(本件設置変更許可処分関係)(争点7-(2))(原告らの主張)使用済燃料の貯蔵施設の審査に関しては、設置許可基準規則16条2項1号ロにおいて、「燃料体等の貯蔵施設は(中略)燃料体等を必要に応じて貯蔵 することができる容量を有するもの」であることが要求されている。なお、「発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類及びその年間予定使用量」は、設置許可の申請書の記載事 を必要に応じて貯蔵 することができる容量を有するもの」であることが要求されている。なお、「発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類及びその年間予定使用量」は、設置許可の申請書の記載事項である(炉規法43条の3の5第2項7号)。 この設置許可基準規則16条2項1号ロの審査においては、核燃料サイク ルが実現されない状況を想定した審査が行われていない。同号ロの解釈は、「「燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有する」とは、発電用原子炉に全て燃料が装荷されている状態で使用済燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、1炉心分以上貯蔵することができる容量を確保すること。」とされている。本件設置変更許可処分がされた当時、既に使用済燃料貯蔵槽 の保有割合が、本件原子炉施設は72%に達しており(平成27年9月末時点)、9年程度で貯蔵槽が一杯になる計算であったことからすれば、これまでの40年の運転に加え、さらに今後20年の運転期間延長を前提にするには、容量不足となることは明らかであり、当該基準は不合理である。使用済燃料の危険性からすれば、使用済燃料貯蔵槽の保管容量が不十分であることは看 過し難い問題である。 (被告の主張)設置許可基準規則16条2項1号ロは、運転期間に応じて使用済燃料の貯蔵施設の空き容量を確保することを目的としたものではなく、例えば、原子炉の機能維持のための点検や燃料体の外観の検査を行う際に炉心内に装荷さ れた全燃料の取出しが必要となる場合があることから、一時的にそれらの燃 料を使用済燃料の貯蔵施設に移動させることができるようにするための規定であるところ、原子炉には1炉心分の燃料しか装荷できないため、貯蔵施設に同施設内の使用済燃料及び取替燃料が貯蔵されている状態で、同施設に 用済燃料の貯蔵施設に移動させることができるようにするための規定であるところ、原子炉には1炉心分の燃料しか装荷できないため、貯蔵施設に同施設内の使用済燃料及び取替燃料が貯蔵されている状態で、同施設に1炉心分以上貯蔵することができる空き容量が確保されていれば、上記の目的が十分に達成できることから、設置許可基準規則解釈においては、設置許可 基準規則16条2項1号ロの「燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するもの」を「発電用原子炉に全て燃料が装荷されている状態で、使用済燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、1炉心分以上貯蔵することができる容量を確保すること。」としているものである。 そして、設置許可基準規則16条2項1号ロの規定に適合させるためには、 貯蔵施設で保管できない使用済燃料が発生しないように原子炉を運転することが当然に求められるから、仮に、運転期間を延長したことにより使用済燃料の貯蔵施設の貯蔵容量を完全に使い切り、使用済燃料の貯蔵施設内の使用済燃料及び取替燃料の貯蔵量に1炉心分の燃料の量を加えた場合に使用済燃料の貯蔵施設の容量を超過する状態になるならば、そのような状態は設置許 可基準規則16条2項1号ロに適合せず、ひいては原子炉等規制法43条の3の6第1項4号の基準に適合しないこととなるため、原子力規制委員会は、原子炉等規制法43条の3の23第1項に基づき本件原子炉の使用の停止等その他保安のために必要な措置を命ずることができる。このため、運転期間延長認可処分を受けたからといって、当該処分を受けた発電用原子炉設置者 において原告らが懸念するような状態に至るまで原子炉の運転を継続することは想定し難い。 したがって、使用済燃料の貯蔵施設の貯蔵容量について規定する設置許可基準規則16条2項1号ロに 設置者 において原告らが懸念するような状態に至るまで原子炉の運転を継続することは想定し難い。 したがって、使用済燃料の貯蔵施設の貯蔵容量について規定する設置許可基準規則16条2項1号ロに係る設置許可基準規則解釈の定めに不合理な点はない。 (3) 最終処分問題に関する争点(本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長 認可処分関係)(争点7-(3))(原告らの主張)ア原子力発電所の運転から発生する高レベル放射性廃棄物の処分については、10万年もの長期にわたり人間環境から隔離する必要がある。本件原子炉の運転により不可避的に発生する放射性廃棄物の処分方法については、 新規制基準においても審査基準がなく、本件設置変更許可処分及び本件運転期間延長認可処分の審査における審査対象とされてない。我が国の方針では、使用済燃料を全て再処理した上で再度燃料として使用するという政策が採られているが、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉となり、六ヶ所再処理工場も20年以上稼働できないでいるなど核燃料サイクルが破綻してい る現実からすれば、使用済燃料を放射性廃棄物から除外することは相当ではない。本件原子炉から発生する放射性廃棄物の処分方法については、形式的(法令解釈)にも実質的(使用済燃料による具体的危険の存在)にも、炉規法が原子力規制委員会に審査に関する規則の制定を求めていると解され、規則すら制定せず、審査を行わなかったことに関して、法の委任の趣 旨を逸脱濫用した違法がある。 原子力発電所の運転に伴い、行き場もない使用済燃料が発生する事態を炉規法が許容しているはずはなく、再処理事業や核燃料サイクルが破綻している状況は伊方最高裁判決当時とは大きく状況が異なっているから段階的規制論に基づいた判断をすべきではない上、使 料が発生する事態を炉規法が許容しているはずはなく、再処理事業や核燃料サイクルが破綻している状況は伊方最高裁判決当時とは大きく状況が異なっているから段階的規制論に基づいた判断をすべきではない上、使用済燃料の最終処分に 関する安全審査は基本設計等の安全性に関わる重大な事項であるから、設置変更許可において審査すべきである。 使用済燃料の処分に関する審査が、段階的規制等を理由に設置変更許可の審査事項ではないとすれば、後続の規制のどこかで審査がされなければ不当であるところ、後続規制である運転期間延長認可の審査において審査 されるべきであるにもかかわらず、そのための規則や審査基準はない。運 転期間延長認可においては、申請の時点で当該原子力発電所には使用済燃料貯蔵槽にどれだけの使用済燃料が貯蔵されており、今後どれくらいの割合で発生し、敷地外へ移動の見込があり、いつ頃使用済燃料貯蔵槽の保管容量に達するかなどについて、事業者側は把握しているはずであり、これらについて災害の防止上支障がないかどうか審査をすることは十分可能 である。行き場もない使用済燃料を原子力発電所の敷地内に発生させる危険性に比べれば、運転期間延長認可の審査により災害の防止を図ることが合理的であり、炉規法は運転期間延長に伴い発生することが見込まれる使用済燃料の処分方法について審査を義務付けているというべきである。 それにもかかわらず、使用済燃料の処分方法について審査をしなかった 本件運転期間延長認可処分は、炉規法の趣旨に反した権限逸脱濫用の違法がある。 イ放射性廃棄物の処分方法に関する規則等の制定を義務付ける根拠(法令解釈上の根拠)炉規法は、環境の保全に資するため、43条の3の3第2項8号で「使 用済燃料の処分の方法」を設置許可申請書 イ放射性廃棄物の処分方法に関する規則等の制定を義務付ける根拠(法令解釈上の根拠)炉規法は、環境の保全に資するため、43条の3の3第2項8号で「使 用済燃料の処分の方法」を設置許可申請書に記載することを要求し、43条の3の6第1項4号で「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物(中略)による災害の防止上支障がないもの」として原子力規制委員会規則で定める基準に適合することを要求している。使用済燃料は、「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物」に該当するというべ きである。 また、福島第一原発事故後の改正により環境基本法が放射性物質による環境汚染に適用されるようになり、同法4条は環境の保全につき、「環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境 の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならな い」と規定している。憲法11条は将来世代の国民の基本的人権をも保障しているところ、国家権力が原子力発電所の稼働という一時的な経済的便益のために、これによる廃棄物の負担や危険をほとんど未来永劫将来世代に対し押し付けるのは、憲法11条、13条及び25条に違反する。 さらに、設置法の目的及び任務に関する規定からすれば、防災上の危険 や平和利用の原則そして環境の保全への危惧への対応措置を取ることは、原子力規制委員会に属する事項であることは疑いがない。 以上の各法令等の解釈からすれば、炉規法は、現在はもとより将来の国民の生命、健康及び財産の保護のみならず、生態系全体への長期的な影響をも考えて、本件原子炉から発生する放射性廃棄物の処分方法に関する必 要な規制を行うことを原子力規制委員会に もとより将来の国民の生命、健康及び財産の保護のみならず、生態系全体への長期的な影響をも考えて、本件原子炉から発生する放射性廃棄物の処分方法に関する必 要な規制を行うことを原子力規制委員会に要請しているとみるべきである。 加えて、工事計画認可について、炉規法43条の3の9第3項は、「認可をしなければならない。」と規定するのに対し、運転期間延長認可について、炉規法43条の3の23第5項は、「第2項の規定により延長しようとす る期間において安全性を確保するための基準として原子力規制委員会規則で定める基準に適合していると認めるときに限り、同項の認可をすることができる。」と原子力規制委員会の裁量判断の余地を当然に予定している。そして、運転期間延長認可は、名宛人である発電用原子炉設置者にとっては利益処分であるが、炉規法の目的からすれば、それ以外の国民の権 利利益も考慮する必要があり、炉規法43条の3の23第5項は、白地要件規定であるから、高レベル放射性廃棄物、使用済燃料に関して国民の権利利益も考慮した審査基準を予め制定、公表する義務がある。 ウ使用済燃料が災害を引き起こす具体的危険性があること(実質的根拠)使用済燃料は極めて高い放射能を有し、福島第一原発事故においても、 4号機の使用済燃料貯蔵槽内の使用済燃料により、東日本壊滅をイメージ させるほどの甚大な被害を生じさせる危険性を有するものである。そのような危険な使用済燃料が、本件原子炉の使用済燃料貯蔵槽の保管容量を超えてしまい、本件原子炉から搬出することもできなくなるような場合、本件原子炉において、安全に使用済燃料を管理することができなくなり、行き場を失った使用済燃料により、本件原子炉の安全性を確保することがで きなくなり、本件原子炉の労働者や きなくなるような場合、本件原子炉において、安全に使用済燃料を管理することができなくなり、行き場を失った使用済燃料により、本件原子炉の安全性を確保することがで きなくなり、本件原子炉の労働者や周辺住民、周辺環境に対し、被害をもたらすことになる。 本件原子炉施設における使用済燃料については、核燃料サイクルが破綻し、最終処分場の選定及び建設が行き詰まり、福井県外での中間貯蔵施設の候補地が見つからないから、本件原子炉施設で保管又は貯蔵する以外の 選択肢は実現不可能である。それにもかかわらず、本件原子炉の使用済燃料貯蔵槽の残りの保管容量(貯蔵割合)は、平成27年9月末時点で72%に達し、9年程度で一杯になる計算となるから、運転期間が延長された20年の期間内に保管容量の上限に達することが現実的な切迫した問題である。本件原子炉施設の使用済燃料貯蔵槽の保管容量を超える使用済燃料 が発生するような運転を許容することは、安全に使用済燃料を保管することができなくなり、安全性を確保できない事態に至ることを意味する。設置変更許可及び運転期間延長認可の審査に適合したにもかかわらず、福井県知事と参加人との話合いで本件原子炉の運転を停止しなければならない状況となるのは明らかに不合理であり、原子力規制委員会が審査をしな いのは無責任かつ杜撰である。 (被告の主張)ア炉規法は、いわゆる段階的安全規制を採用しており、設置変更許可申請の段階では原子炉施設の安全設計等の安全性に関わる事項の妥当性のみが審査される。使用済燃料の処分の方法は、原子炉施設の基本設計等の安全 性に関わる事項ではなく、設置変更許可処分の審査の対象に含まれない。 炉規法43条の3の5第2項8号において、使用済燃料の処分の方法について設置許可申請書に記載 基本設計等の安全 性に関わる事項ではなく、設置変更許可処分の審査の対象に含まれない。 炉規法43条の3の5第2項8号において、使用済燃料の処分の方法について設置許可申請書に記載が要求されているのは、同法43条の3の6第1項1号が規定する「発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと」という要件の判断資料とするためであって、原子炉施設の基本設計等の安全性に関わる事項の審査に当たって考慮する趣旨ではない。 イ我が国では、核燃料サイクルの推進を基本的方針とする中で、使用済燃料を再処理し、再処理された後の高レベル放射性廃棄物の最終処分を行うとしているところ、炉規法においては、分野別安全規制を行っており、使用済燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物の最終処分についても、再処理事業者や第一種廃棄物埋設事業者に対する規制などにより必要な規制を行 っている。加えて、積立金法(平成28年法律第40号による改正後は再処理等拠出金法)によって再処理事業に必要な資金の安定的な確保が図られており、また、最終処分法によって特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させることとされている。 その上で、発電用原子炉設置者に対する処分である原子炉設置(変更) 許可処分及び運転期間延長認可処分では、使用済燃料に関してもそれぞれ必要な事項については審査しており、これらの処分において審査すべきとされている事項に放射性廃棄物の処理方法に係る審査基準が含まれていないことには合理性があり、かかる審査基準を定めなかったとしても原子力規制委員会に炉規法の委任の趣旨を逸脱又は濫用した違法があるとは いえない。 ウ原告らは、炉規法43条の3の32第5項は、白地要件規定であると主張するが、同項は、運転期間延長認可処分の要件 規制委員会に炉規法の委任の趣旨を逸脱又は濫用した違法があるとは いえない。 ウ原告らは、炉規法43条の3の32第5項は、白地要件規定であると主張するが、同項は、運転期間延長認可処分の要件について、「発電用原子炉が、長期間の運転に伴い生ずる原子炉その他の設備の劣化の状況を踏まえ、その第2項の規定により延長しようとする期間において安全性を確保する ための基準(中略)に適合していると認めるとき」と明示的に規定してお り、同項は「白地要件規定」に該当しない。 また、認可を受けた保安規定では、「核燃料物質の受払い、運搬、貯蔵その他の取扱いに関すること。」を記載することが求められており(実用炉規則(平成28年原子力規制委員会規則第8号による改正前のもの)92条1項17号)、発電用原子炉設置者及びその従業者は炉規法43条の3の 24第4項においてその保安規定の遵守義務が定められている。 本件原子炉施設についても、保安規定において、使用済燃料を貯蔵する場合の遵守事項として使用済燃料を使用済燃料ピットに貯蔵すること、使用済燃料ピットにおいて燃料が臨界に達しない措置が講じられていることを確認すること等が定められている(乙C137・11頁)。そして、発 電用原子炉設置者が炉規法43条の3の24第4項に違反した場合には、同法43条の3の20第2項5号に該当することとなり、原子力規制委員会は、同項に基づき、発電用原子炉の運転停止命令や設置許可処分の取消しを行うことができる。このように、炉規法においては、保安規定において定められた事項が確実に行われるように担保するための規定も設けら れている。 さらに、上記(2)の被告の主張のとおり、設置許可基準規則16条2項1号ロの規定に適合させるためには、貯蔵施設で保管できな た事項が確実に行われるように担保するための規定も設けら れている。 さらに、上記(2)の被告の主張のとおり、設置許可基準規則16条2項1号ロの規定に適合させるためには、貯蔵施設で保管できない使用済燃料が発生しないように原子炉を運転することが当然に求められるから、使用済燃料の貯蔵施設で「使用済燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、1 炉心分以上貯蔵すること」ができなくなるまで運転を継続をすることはできない。 エ以上のとおり、原告らの主張は、本件原子炉施設において貯蔵させる使用済燃料がその保管容量を超える可能性があるといった誤った前提に基づくものであるから理由がない。 以上 (別紙8)設置許可基準規則解釈の別記2の概要 1 1項4条1項に規定する「地震力に十分に耐える」とは、ある地震力に対して施設全体としておおむね弾性範囲の設計がなされることをいう。「弾性範囲の設 計」とは、施設を弾性体とみなして応力解析を行い、施設各部の応力を許容限界以下に留めることをいう。「許容限界」とは、必ずしも厳密な弾性限界ではなく、局部的に弾性限界を超える場合を容認しつつも施設全体としておおむね弾性範囲に留まり得ることをいう。 2 2項 設計基準対象施設は、耐震重要度に応じて、Sクラス、Bクラス及びCクラスの耐震重要度分類に分類する。Sクラスは、地震により発生するおそれがある事象に対して、原子炉を停止し、炉心を冷却するために必要な機能を持つ施設、自ら放射性物質を内蔵している施設、当該施設に直接関係しておりその機能喪失により放射性物質を外部に拡散する可能性のある施設、これらの施設の 機能喪失により事故に至った場合の影響を緩和し、放射線による公衆への影響を軽減するために必要な機能を持つ施設 おりその機能喪失により放射性物質を外部に拡散する可能性のある施設、これらの施設の 機能喪失により事故に至った場合の影響を緩和し、放射線による公衆への影響を軽減するために必要な機能を持つ施設及びこれらの重要な安全機能を支援するために必要となる施設、並びに地震に伴って発生するおそれがある津波による安全機能の喪失を防止するために必要となる施設であって、その影響が大きいものをいう。Bクラスは、安全機能を有する施設のうち、機能喪失した場合 の影響がSクラス施設と比べ小さい施設をいう。Cクラスは、Sクラスに属する施設及びBクラスに属する施設以外の一般産業施設又は公共施設と同等の安全性が要求される施設をいう。 3 3項4条1項に規定する「地震力に十分に耐えること」を満たすため、Sクラス (津波防護施設、浸水防止設備及び津波監視設備を除く。)は、弾性設計用地震 動による地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること、建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること、機 器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること等、Bクラスは、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること等、Cクラスは、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐 えること等の耐震設計方針による。 4 4項4条 Bクラスは、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること等、Cクラスは、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐 えること等の耐震設計方針による。 4 4項4条2項に規定する「地震力」の「算定」に当たっては、弾性設計用地震動は、基準地震動との応答スペクトルの比率の値が、目安として0.5を下回らないような値で、工学的判断に基づいて設定すること、建物・構築物、機器・ 配管系ともに、静的地震力は、建物・構築物につき、水平地震力について、地震層せん断力係数Cⅰに、Sクラスは3.0、Bクラスは1.5、Cクラスは1.0の係数を乗じること、Sクラスの施設については、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとすることなどの方法による。 5 5項柱書及び一 4条3項に規定する「基準地震動」は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとし、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動としてそれぞれ策定する。 6 5項二 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(検討用地震)を複数選定し、選定した検討用地震ごとに、不確かさを考慮して応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を、解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定す る。 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、検討用地震ごとに、応答スペクトルに基づく地 断層モデルを用いた手法による地震動評価を、解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定す る。 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、検討用地震ごとに、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施して策定する。 ②内陸地殻内地震に関しては、次に示す事項を考慮すること。ⅰ)震源とし て考慮する活断層の評価に当たっては、調査地域の地形・地質条件に応じ、既存文献の調査、変動地形学的調査、地質調査、地球物理学的調査等の特性を活かし、これらを適切に組み合わせた調査を実施した上で、その結果を総合的に評価し活断層の位置・形状・活動性等を明らかにすること。ⅱ)震源モデルの形状及び震源特性パラメータ等の評価に当たっては、孤立した短い活断層の扱 いに留意するとともに、複数の活断層の連動を考慮すること。 ⑤基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると 考えられる支配的なパラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮する。 ⑥内陸地殻内地震について選定した検討用地震のうち、震源が敷地に極めて近い場合は、地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性 パラメータの設定の妥当性について詳細に検討するとともに、これらの検討結 果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、上記の各種の不確かさが地震動評価に与える影響をより詳 に震源特性 パラメータの設定の妥当性について詳細に検討するとともに、これらの検討結 果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、上記の各種の不確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、さらに十分な余裕を考慮して基準地震動を策定する。(震源極近傍規定) 7 5項三 「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に、各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定する。 8 6項柱書及び一 4条3項に規定する「安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」ことを満たすために、基準地震動に対する耐震重要施設(津波防護施設、浸水防止設備及び津波監視設備並びに浸水防止設備が設置された建物・構築物以外のもの)の設計に当たっては、基準地震動による地震力に対して、その安全機能が保持できること、建物・構築物については、常時作用している荷 重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること、機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた 荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること、なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求 に対して、その施設に要求される機能を保持すること、なお、上記により求められる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと等の方針による。 9 7項 4条3項に規定する「基準地震動による地震力」は、基準地震動を用いて、水平2方向及び鉛直方向について適切に組み合わせたものとして算定する。 以上 (別紙9)地質ガイドの概要(番号は地質ガイド(乙B20)の項目を指す。) 1 4.4.2(1)内陸地殻内地震においては、複数の連続する活断層や近接して分岐、並行す る複数の活断層が連動してより規模の大きな地震を引き起こすことを考慮して、既存文献の調査、変動地形学的調査、地質調査及び地球物理学的調査の結果に基づいて起震断層が設定されていることを確認する。 2 4.4.2(3)長大な活断層による地震や孤立した短い活断層による地震の規模は、最新の 知見を十分に考慮して設定されていることを確認する。 3 4.4.2(5)震源断層モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲を十分に検討されていることを確認する。その際、経験式は平均値としての 地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されていることを確認する。 4 4.4.2〔解説〕(3)孤立した短い活断層については、地表で認められる活断層の長さが震源断層の長さを示さないことから、対象地域での地震発生層の厚さ、重力異常や地質 断層を参考とした地下構造、地質構造を十分に考慮して、断層の長さが設 層については、地表で認められる活断層の長さが震源断層の長さを示さないことから、対象地域での地震発生層の厚さ、重力異常や地質 断層を参考とした地下構造、地質構造を十分に考慮して、断層の長さが設定される必要がある。 以上 (別紙10)地震ガイドの概要(番号は地震ガイド(乙B21)の項目を指す。) 1 Ⅰ. 基準地震動(1) 2.(1) 基準地震動は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、それぞれ解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動として策定されていること。 (2) 2.(2)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレ ート間地震及び海洋プレート内地震について、検討用地震を複数選定し、選定した検討用地震ごとに不確かさを考慮して、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価により、それぞれ解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定されていること。不確かさの考慮については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えら れる支配的なパラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなどの適切な手法を用いて評価すること。 (3) 2.(3)「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連づけることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録 を収集し、これらを基に各種の不確かさを考慮して、敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定されていること。 (4) 3.1(1)(2)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の策定においては、検討用地震ごとに「応答スペクトルに基づく地 地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定されていること。 (4) 3.1(1)(2)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の策定においては、検討用地震ごとに「応答スペクトルに基づく地震動評価」及び「断層モデルを用い た手法による地震動評価」に基づき策定されている必要がある。震源が敷地 に近く、その破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると考えられる地震については、断層モデルを用いた手法が重視されている必要がある。 (5) 3.2.3(2)「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の策定において、震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連づけ る経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が十分に検討されていることを確認する。その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある。(本件ばらつき条項)(6) 3.2.3(3) プレート間地震及び海洋プレート内地震の規模の設定においては、特に、スラブ内地震についてはアスペリティの応力降下量(短周期レベル)が適切に設定されていることを確認する。 (7) 3.2.3(4)長大な活断層については、断層の長さ、地震発生層の厚さ、断層傾斜角、 1回の地震の断層変位、断層間相互作用(活断層の連動)等に関する最新の研究成果を十分考慮して、地震規模や震源断層モデルが設定されていることを確認する。 (8) 3.3.2(4)①1)断層モデルを用いた手法による地震動評価の震源モデルの設定において、 震源断層のパラメータは、活断層調査結果等に基づき、地震調査研究推進本部(推本)による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)等 手法による地震動評価の震源モデルの設定において、 震源断層のパラメータは、活断層調査結果等に基づき、地震調査研究推進本部(推本)による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」(レシピ)等の最新の研究成果を考慮し設定されていることを確認する。 (9) 3.3.2(4)①2)アスペリティの位置が活断層調査等によって設定できる場合は、その根拠 が示されていることを確認する。根拠がない場合は、敷地への影響を考慮し て安全側に設定されている必要がある。なお、アスペリティの応力降下量(短周期レベル)については、新潟県中越沖地震を踏まえて設定されていることを確認する。 (10) 3.3.2(4)④断層モデルを用いた手法による地震動評価において、震源が敷地に極めて 近い場合の地震動評価においては、地表に変位を伴う断層全体(地表地震断層から震源断層までの断層全体)を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当性について詳細に検討されていることを確認する。これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、各種の不確かさが 地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、さらに十分な余裕を考慮して地震動が評価されていることを確認する。特に、評価地点近傍に存在する強震動生成領域(アスペリティ)での応力降下量などの強震動の生成強度に関するパラメータ、強震動生成領域同士の破壊開始時間のずれや破壊進 行パターンの設定において、不確かさを考慮し、破壊シナリオが適切に考慮されていることを確認する。なお、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を取り 開始時間のずれや破壊進 行パターンの設定において、不確かさを考慮し、破壊シナリオが適切に考慮されていることを確認する。なお、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を取り込んだ手法により、地表に変位を伴う国内外被害地震の震源極近傍の地震動記録に対して適切な再現解析を行い、震源モデルに基づく短周期地震動、長周期地震動及び永久変位を十分に説明できて いることを確認する。この場合、特に永久変位・変形についても実現象を適切に再現できていることを確認する。さらに、浅部における断層のずれの進展の不均質性が地震動評価へ及ぼす影響を検討するとともに、浅部における断層のずれの不確かさが十分に評価されていることを確認する。震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価においては、破壊伝播効果が地震動へ与える 影響について、十分に精査されていることを確認する。また、水平動成分に 加えて上下動成分の評価が適切に行われていることを確認する。 (11) 3.3.3応答スペクトルに基づく地震動の評価過程に伴う不確かさについて、適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。地震動評価においては、用いる距離減衰式の特徴や適用性、地盤特性が考慮されている必要がある。断 層モデルを用いた手法による地震動の評価過程に伴う不確かさについて、適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。併せて、震源特性パラメータの不確かさについて、その設定の考え方が明確にされていることを確認する。震源モデルの不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始 点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方、解釈の違いによる不確かさ)を考慮する場合には、敷地における地震動評 端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始 点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方、解釈の違いによる不確かさ)を考慮する場合には、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析し、その結果を地震動評価に反映させることが必要である。特に、アスペリティの位置・応力降下量や破壊開始点の設定等が重要であり、震源モデルの不確かさとして適切に評価されてい ることを確認する。地震動の評価過程に伴う不確かさについては、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。 (12) 4.2.1[解説](3)震源を特定せず策定する地震動の評価において、収集対象となる内陸地殻 内の地震の例として、16の地震を示す。 2 Ⅱ.耐震設計方針(1) 1.1 目的本ガイドは、発電用軽水型原子炉施設の設置許可段階の耐震設計方針に関わる審査において、設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈の趣旨を十 分踏まえ、耐震設計方針の妥当性を厳格に確認するために活用することを目 的とする。 (2) 2.1 基本方針の概要原子炉施設の耐震設計の基本方針については、「耐震重要施設(設計基準対象施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがある安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの。)は、その供用中 に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」である。この基本方針に関して、設置許可に係る審査において、以下の要求事項を満たした設計方針であることを確認する。 ア原子炉施設の耐震重 安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」である。この基本方針に関して、設置許可に係る審査において、以下の要求事項を満たした設計方針であることを確認する。 ア原子炉施設の耐震重要度分類を、地震により発生するおそれがある設計 基準対象施設の安全機能の喪失及びそれに続く公衆への放射線による影響を防止する観点から、Sクラス、Bクラス及びCクラスに分類し、それぞれ重要度のクラスに応じた耐震設計を行うこと。 イ Sクラスの各施設は、基準地震動による地震力に対してその安全機能が保持できること。また、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力の いずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること。 ウ Bクラスの各施設は、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること。また、共振のおそれのある施設については、その影響についての検討を行うこと。 エ Cクラスの各施設は、静的地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えること。 オ上記において、耐震重要施設が、下位のクラスに属するものの波及的影響によって、その安全機能を損なわないように設計すること。 (3) 2.2 審査範囲及び事項 設置許可に係る審査においては、基本設計段階における審査として、主に、 耐震重要度分類、弾性設計用地震動の妥当性について確認する。地震力の算定法、荷重の組合せと許容限界、設計における留意事項については、方針、考え方を確認し、その詳細を後段規制(工事計画認可)において確認することとする。それぞれの審査事項ごとの審査内容は以下のとおりである。 ア耐震重要度分類 重要な安全機能を有する施設はSクラス、これと比べて影響が小さいものはBクラス、これら以外の一般産 ることとする。それぞれの審査事項ごとの審査内容は以下のとおりである。 ア耐震重要度分類 重要な安全機能を有する施設はSクラス、これと比べて影響が小さいものはBクラス、これら以外の一般産業施設、公共施設と同等の安全性が要求される施設はCクラスと適切に分類されていることを確認する。 イ弾性設計用地震動弾性設計用地震動が、「地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で 耐える」ように工学的判断に基づいて設定されていることを確認する。また、具体的な設定値及び設定根拠を確認する。 ウ地震力の算定法(ア) 基準地震動及び弾性設計用地震動による地震力は、地震応答解析を行って水平2方向及び鉛直方向について適切に組合せたものとして算定す ることを確認する。 (イ) 建物・構築物の水平方向静的地震力は、地震層せん断力係数に施設の重要度分類に応じた係数を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定する方針であることを確認する。また、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとすることを確認する。機器・配 管系の静的地震力はこれらの水平震度及び鉛直震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めることを確認する。 エ荷重の組合せと許容限界建物・構築物、機器・配管系の各々について、耐震重要度分類毎に地震と組合せるべき荷重及び対応する許容限界についての考え方が適切であ ることを確認する。 オ設計における留意事項耐震重要施設が下位のクラスに属するものの波及的影響によって、その安全機能を損なわない設計となっていることを確認する。 (4) 3. 耐震重要度分類耐震重要度分類の定義が妥当であることを確認する。また、施設の具体的 な耐震重要度分類の妥当性について確認する。 能を損なわない設計となっていることを確認する。 (4) 3. 耐震重要度分類耐震重要度分類の定義が妥当であることを確認する。また、施設の具体的 な耐震重要度分類の妥当性について確認する。 (5) 4. 弾性設計用地震動弾性設計用地震動の策定方針が下記を踏まえ妥当であることを確認する。 なお、基準地震動については、本ガイドの「Ⅰ.基準地震動」にて妥当性を確認する。 ア弾性設計用地震動の具体的な設定値及び設定根拠。 イ弾性設計用地震動は、基準地震動との応答スペクトルの比率が目安として0.5を下回らないような値で工学的判断に基づいて設定すること(6) 5. 地震力の算定法動的地震力及び静的地震力の各々の算定方針が、下記を踏まえ妥当である ことを確認する。 ア 5.1 地震応答解析による地震力(ア) 5.1.1 基準地震動による地震力基準地震動による地震力は、基準地震動を用いて水平2方向及び鉛直方向について適切に組合せたものとして算定すること。なお、建物・構 築物と地盤との相互作用、埋込み効果及び周辺地盤の非線形について必要に応じて考慮すること。 (イ) 5.1.2 弾性設計用地震動による地震力弾性設計用地震動による地震力は、弾性設計用地震動を用いて水平2方向及び鉛直方向について適切に組合せたものとして算定すること。な お、建物・構築物と地盤との相互作用、埋込み効果及び周辺地盤の非線 形について必要に応じて考慮すること。 (ウ) 5.1.3 地震応答解析基準地震動及び弾性設計用地震動による地震力の算定a 対象とする施設の形状、構造特性等(建屋の床柔性、クレーン類の上下特性等)を考慮したモデル化すること。 b 地震応答解析手法の適用性、適用 震動及び弾性設計用地震動による地震力の算定a 対象とする施設の形状、構造特性等(建屋の床柔性、クレーン類の上下特性等)を考慮したモデル化すること。 b 地震応答解析手法の適用性、適用限界等を考慮のうえ、適切な解析法を選定するとともに、十分な調査に基づく適切な解析条件を設定すること。 c 建物・構築物の設置位置等で評価される入力地震動については、解放基盤表面からの地震波の伝播特性を適切に考慮するとともに、必要 に応じて地盤の非線形応答に関する動的変形特性を考慮すること。また、敷地における観測記録に基づくとともに、最新の科学的・技術的知見を踏まえて、その妥当性が示されていること。 イ 5.2 静的地震力(ア) 5.2.1 建物・構築物 a 水平地震力は、地震層せん断力係数に、施設の重要度分類に応じた係数(Sクラス 3.0、Bクラス 1.5、Cクラス 1.0)を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定すること。 b 建物・構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることを確認すること。 cSクラスの施設については、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとすること。 (イ) 5.2.2 機器・配管系a 各耐震クラスの地震力は、上記5.2.1に示す地震層せん断力係数に施設の重要度分類に応じた係数を乗じたものを水平震度とし、当 該水平震度及び上記5.2.1の鉛直震度をそれぞれ20%増しとし た震度より求めること。 b 水平地震力と鉛直地震力は同時に不利な方向の組合せで作用すること。 (7) 6. 荷重の組合せと許容限界荷重の組合せと許容限界の考え方が、下記を踏まえ妥当であることを確認 する。 なお、本項記載の荷重の組合せと は同時に不利な方向の組合せで作用すること。 (7) 6. 荷重の組合せと許容限界荷重の組合せと許容限界の考え方が、下記を踏まえ妥当であることを確認 する。 なお、本項記載の荷重の組合せと許容限界の規定以外の場合であっても、その妥当性が試験等により確認されていれば、これらの適用を妨げない。 ア 6.1.1 Sクラスの建物・構築物(ア) 基準地震動との組合せと許容限界常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による 地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること(イ) 弾性設計用地震動との組合せと許容限界常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震 動による地震力又は静的地震力を組合せ、その結果発生する応力に対して、建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること。 イ 6.2.1 Sクラスの機器・配管系(ア) 基準地震動との組合せと許容限界 a 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組合せた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること。 b 上記により求まる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が微少なレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、 その施設に要求される機能に影響を及ぼすことがないこと c 動的機能等については、基準地震動による応答に対して、その設備に要求される機能を保持すること。具体的には、実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とすること(イ) 弾 c 動的機能等については、基準地震動による応答に対して、その設備に要求される機能を保持すること。具体的には、実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とすること(イ) 弾性設計用地震動との組合せと許容限界通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれ の荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組合せた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。 (8) 7. 設計における留意事項波及的影響に係る設計方針が妥当であることを確認する。 以上 (別紙11)レシピの概要(活断層で発生する地震の特性化震源関係。頁数のみの記載は、レシピ(平成29年版)(乙D1)の頁数を指す。) 1 レシピは、震源断層を特定した地震を想定した場合の強震動を高精度に予測 するための、「誰がやっても同じ答えが得られる標準的な方法論」を確立することを目指しており、今後も強震動評価における検討により、修正を加え、改訂されていくことを前提としている。(1頁) 2 レシピは、①特性化震源モデルの設定、②地下構造モデルの作成、③強震動計算、④予測結果の検証の4つの過程からなる。(1頁) 3 特性化震源モデルの設定では、断層全体の形状や規模を示す巨視的震源特性、主として震源断層の不均質性を示す微視的震源特性、破壊過程を示すその他の震源特性、という3つの震源特性を考慮して、震源特性パラメータを設定する。 (1頁) 4 活断層で発生する地震は、海溝型地震と比較して地震の発生間隔が長いため に、最新活動時の地震観測記録が得られていることは稀である。したがって、活断層で発生する地震を想定する場合には、変動地形調査や地表トレンチ調査による過去 震と比較して地震の発生間隔が長いため に、最新活動時の地震観測記録が得られていることは稀である。したがって、活断層で発生する地震を想定する場合には、変動地形調査や地表トレンチ調査による過去の活動の痕跡のみから特性化震源モデルを設定しなければならないため、海溝型地震の場合と比較してそのモデルの不確定性が大きくなる傾向にある。このため、そうした不確定性を考慮して、複数の特性化震源モデルを想 定することが望ましい。(2頁) 5 活断層で発生する地震における震源断層モデルの巨視的震源特性に関するパラメータとして、震源断層モデルの位置と構造(位置、走向、セグメント)、震源断層モデルの大きさ(長さ・幅)・深さ・傾斜角、地震規模、震源断層モデルの平均すべり量を設定する。震源断層モデルの位置・構造の設定方法として、 震源断層モデルの位置の設定に当たっては、基本的に、推本の地震調査委員会 による長期評価結果(長期評価)で示された活断層位置図を参照する。震源断層モデルの設定方法は、「過去の地震記録や調査結果などの諸知見を吟味・判断して震源断層モデルを設定する場合(レシピ(平成29年版)の記載。レシピ(平成21年版)では、「過去の地震記録などに基づき震源断層を推定する場合や詳細な調査結果に基づき震源断層を推定する場合」。(ア)法)及び「長期評価 された地表の活断層長さ等から地震規模を設定し震源断層モデルを設定する場合」(レシピ(平成29年版)の記載。レシピ(平成21年版)では、「地表の活断層の情報をもとに簡便化した方法で震源断層を推定する場合」。(イ)法)がある。(2~5頁) 6 (ア)法は、震源断層の幅について、入倉・三宅(2001)による断層の幅Wと長さ L(想定した震源断層モデルの形状による長さ)の関係式を を推定する場合」。(イ)法)がある。(2~5頁) 6 (ア)法は、震源断層の幅について、入倉・三宅(2001)による断層の幅Wと長さ L(想定した震源断層モデルの形状による長さ)の関係式を用いる。断層の傾斜角は、逆断層45°、正断層45°、横ずれ断層90°を基本とし、長期評価により低角又は高角とある場合には、それぞれ0°~30°、60°~90°の範囲内で設定する。地震規模(地震モーメントM0)は、M0の範囲により、別紙16数式目録1のSomerville ほか式、別紙16数式目録2の入倉・三宅式 又は別紙16数式目録3のMurotani ほか式を用いる。(3~5頁) 7 (イ)法は、長期評価で評価された地表の活断層長さLから、別紙16数式目録4の松田式により長期評価による地震規模Mを求め、別紙16数式目録5の武村(1990)の式により地震モーメントM0を求める。そして、M0の範囲により、Somerville ほか式、入倉・三宅式又はMurotani ほか式を変形させた式を用い て、M0から震源断層の面積Sを求め、これを活断層の長さLで除して震源断層幅を求める。ここで、震源断層幅と傾斜角を考慮して、断層モデル下端が地震発生層に収まるように震源断層モデルの幅を求め、これにより震源断層モデルの面積を求め、震源断層モデルの面積を震源断層面積と等価とみなす。(5~7頁) 8 (ア)法と(イ)法に共通して、複数のセグメントが同時に動く場合は、セグメン トの面積の総和を震源断層の面積とする。震源断層全体の平均すべり量は、地震モーメント、震源断層の面積(又は震源断層モデルの面積)、剛性率から算出し、剛性率は地震発生層の密度とS波速度から算出する。(8頁) 9 活断層で発生する地震における震源断層モデルの微視的 は、地震モーメント、震源断層の面積(又は震源断層モデルの面積)、剛性率から算出し、剛性率は地震発生層の密度とS波速度から算出する。(8頁) 9 活断層で発生する地震における震源断層モデルの微視的震源特性に関するパラメータとして、アスペリティの位置・個数、アスペリティの面積、アスペリ ティ及び背景領域の平均すべり量、アスペリティ及び背景領域の実効応力、平均破壊伝播速度、すべり角等を設定する。(8頁) 10 アスペリティの総面積Saは、強震動予測に直接影響を与える短周期領域における加速度震源スペクトルのレベル(短周期レベルA)を設定した上で求める。短周期レベルAの算出に当たっては、別紙16数式目録6の壇ほか式を 用いる。アスペリティの総面積は、短周期レベル、断層面積に対する等価半径、アスペリティ応力降下量Δσa(MPa)、震源域における岩盤のS波速度により求める。ここで、最近の研究成果から、内陸地震によるアスペリティ総面積の占める割合は、断層総面積の平均22%、15%~27%などとされていることを参照する。アスペリティ全体の平均すべり量は、震源断層全体の平均すべり 量の倍とする。アスペリティの静的応力降下量Δσa(MPa)は、震源断層全体の静的応力降下量Δσ(MPa)、震源断層全体の面積、アスペリティの総面積から算出する。長大な断層に関しては円形破壊面の仮定が成り立たないため、Somervilleetal.(1999)に基づき震源断層全体の面積とアスペリティの総面積の比率を約22%とし、Fujii&Matsu’ura(2000)の研究成果として、回帰計 算により震源断層全体の静的応力降下量Δσ=3.1(MPa)が導出されており、これによるとアスペリティの静的応力降下量Δσaは約14.4MPa となる。この適用 0)の研究成果として、回帰計 算により震源断層全体の静的応力降下量Δσ=3.1(MPa)が導出されており、これによるとアスペリティの静的応力降下量Δσaは約14.4MPa となる。この適用範囲等については今後十分に検討していく必要があるが、新たな知見が得られるまでは暫定値としてΔσ=3.1(MPa)とする。このような取扱いをする対象となる断層の地震は、Murotani ほか式を用いる断層又はアスペリティ 面積比が大きくなったり背景領域の応力降下量が負になるなど、非現実的なパ ラメータ設定になり、円形クラックの式を用いてアスペリティの大きさを決めることが困難な断層等のいずれかとする。(9~12頁) 11 平均破壊伝播速度は、地震発生層のS波速度との経験式により推定し、係数は0.72とする。(13頁) 12 その他の震源特性に関するパラメータとして、破壊開始点、破壊形態を設 定する。破壊開始点は、分布形態がはっきりしない場合には、必要に応じて複数のケースを設定するのが望ましい。(14、15頁)以上 (別紙12)耐震工認審査ガイドの概要(番号は耐震工認審査ガイド(乙B60)の項目を指す。) 1 1. 総則1.3⑥ 耐震工認審査ガイドにおいては、ガイド作成時点で適用実績のある耐震設計に関わる規格及び基準の規定、並びに既往の研究成果等(規格及び基準等)について適用可能なものを示した。なお、耐震設計に関わる新たな規格及び基準等、並びに新たな知見に常に注視し、審査においてそれらを必要に応じて速やかに考慮することとする。 2 2. 共通基本事項(1) 2.1 耐震設計の基本方針ア原子炉施設の耐震設計の基本方針としては、施設の耐震設計上の重要度を てそれらを必要に応じて速やかに考慮することとする。 2 2. 共通基本事項(1) 2.1 耐震設計の基本方針ア原子炉施設の耐震設計の基本方針としては、施設の耐震設計上の重要度を、地震により発生する可能性のある安全機能の喪失及びそれに続く環境への放射線による影響を防止する観点、並びにこれらの影響の大きさから、 Sクラス、Bクラス、Cクラスの施設に分類し、それぞれの耐震設計上の重要度分類に応じた耐震設計を行っていることを確認する。 イ耐震設計を実施するに当たって、JEAG4601 等を適用する場合は、昭和56年耐震設計審査指針によるAs クラスを含むAクラスの施設をSクラスの施設と、昭和56年耐震設計審査指針による基準地震動S2、S1をそ れぞれ基準地震動Ss、弾性設計用地震動Sdと読み替え、規制基準の要求事項に留意して用いていること。 (2) 2.2 耐震設計上の重要度分類耐震設計上の重要度分類については、施設の耐震設計上の重要度を、地震により発生する可能性のある安全機能の喪失及びそれに続く環境への放射線 による影響を防止する観点、並びにこれらの影響の大きさから、規制基準に 則り施設の機能に応じて適切に分類していること、施設を構成する設備を適切に区分し、その区分ごとに耐震設計上の重要度分類を適用していることを確認する。 (3) 2.3 設計用地震力の算定施設の耐震設計に用いる地震力は、施設の耐震設計上の重要度分類に応じ て算定していることを確認する。 3 3.建物・構築物に関する事項(1) 3.1 使用材料及び材料定数使用材料及び材料定数については、建物・構築物の地震応答解析及び構造設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく材料及び 材料 る事項(1) 3.1 使用材料及び材料定数使用材料及び材料定数については、建物・構築物の地震応答解析及び構造設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく材料及び 材料定数を使用していること、地震応答解析に用いる材料定数は、地盤の諸定数も含めて材料のばらつきによる変動幅を適切に考慮していることを確認する。 (2) 3.2 荷重及び荷重の組合せ建物・構築物の耐震設計においては、施設に作用する地震力と地震力以外の 荷重を適切に組み合わせていることを確認する。 (3) 3.3 許容限界許容限界については、Sクラスの建物・構築物の基準地震動Ssによる地震力に対する耐震設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づき許容限界を設定していること、Sクラスの建物・構築物の弾性設計用地震 動Sdによる地震力、静的地震力に対する耐震設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づき許容限界を設定していること等を確認する。 (4) 3.4 地震応答解析ア 3.4.1 地震応答解析手法及び地震応答解析モデル建物・構築物-地盤連成系の地震応答解析においては、適切な地震応答 解析手法及び地震応答解析モデルを設定していることを確認する。 イ 3.4.2 入力地震動建物・構築物の地震応答解析モデルへの入力地震動を適切に算定していることを確認する。 (5) 3.5 構造設計手法ア 3.5.1 構造解析手法及び構造解析モデル 建物・構築物の耐震設計においては、適切な構造解析手法及び構造解析モデルを設定していることを確認する。 イ 3.5.2 水平方向及び鉛直方向地震力の組合せ水平2方向及び鉛直方向の地震力による応力の組合せを適切に行っていることを確認する 造解析手法及び構造解析モデルを設定していることを確認する。 イ 3.5.2 水平方向及び鉛直方向地震力の組合せ水平2方向及び鉛直方向の地震力による応力の組合せを適切に行っていることを確認する。 (6) 3.6 基準地震動Ssによる地震力に対する耐震設計基準地震動Ssによる地震力に対する耐震設計については、Sクラスの建物・構築物について、基準地震動Ssによる地震力と地震力以外の荷重の組合せに対して、構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有して いること、Sクラスの建物・構築物の基礎地盤の支持性能については、基準地震動Ssにより生じる建物・構築物の基礎地盤の接地圧が、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく限界値に対して妥当な余裕を有していることなどを確認する。 (7) 3.7 弾性設計用地震動Sdによる地震力・静的地震力に対する耐震設 計弾性設計用地震動Sdによる地震力・静的地震力に対する耐震設計については、Sクラスの建物・構築物の構造部材については、基準地震動Ssによる地震力に対する安全機能の保持を確実にするとの観点から、弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力のいずれか大きい方と地震力以外の荷 重を組み合わせ、その結果発生する応力が、安全上適切と認められる規格及 び基準等を参考に設定されている許容限界を超えていないことなどを確認する。 (8) 3.8 保有水平耐力の検討建物・構築物の保有水平耐力は、必要保有水平耐力に対して、施設の耐震設計上の重要度分類に応じた妥当な安全余裕を有していることを確認する。 4 4. 機器・配管系に関する事項(1) 4.1 使用材料及び材料定数使用 、必要保有水平耐力に対して、施設の耐震設計上の重要度分類に応じた妥当な安全余裕を有していることを確認する。 4 4. 機器・配管系に関する事項(1) 4.1 使用材料及び材料定数使用材料及び材料定数については、機器・配管系の地震応答解析及び構造設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく材料及び材料定数を使用していること、地震応答解析に用いる材料定数は、地盤の諸 定数も含めて材料のばらつきによる変動幅を適切に考慮していることを確認する。 (2) 4.2 荷重及び荷重の組合せ機器・配管系の耐震設計においては、施設に作用する地震力と地震力以外の荷重を適切に組み合わせていることを確認する。 (3) 許容限界機器・配管系の耐震設計においては、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づき許容限界を設定していることを確認する。 (4) 4.4 地震応答解析ア 4.4.1 地震応答解析手法及び地震応答解析モデル 機器・配管系の地震応答解析においては、適切な地震応答解析手法及び地震応答解析モデルを設定していることを確認する。 機器・配管系の地震応答解析モデルの諸定数については、以下の点などを確認する。 (ア) 機器・配管系の水平方向の減衰定数は、規制基準の要求事項に留意し て、JEAG4601 の規定を参考に設定していること。既往の研究等において 試験等により妥当性が確認されている設定等を用いる場合は、適用条件、適用範囲に留意する。 (イ) 機器・配管系の鉛直方向の減衰定数は、規制基準の要求事項に留意して、水平方向の減衰定数の設定に係るJEAG4601 の規定を参考に設定していること。既往の研究等において試験等により妥当性が確認されてい る設定等を用いる場合は は、規制基準の要求事項に留意して、水平方向の減衰定数の設定に係るJEAG4601 の規定を参考に設定していること。既往の研究等において試験等により妥当性が確認されてい る設定等を用いる場合は、適用条件、適用範囲に留意する。 イ 4.4.2 入力地震力機器・配管系の地震応答解析モデルへの入力地震力は、地震応答解析の使用目的を考慮し、「3.建物・構築物に関する事項 3.1 使用材料及び材料定数、3.4 地震応答解析」に基づき適切に算定していることを 確認する。 (5) 4.5 構造設計手法ア 4.5.1 構造解析手法及び構造解析モデル機器・配管系の耐震設計においては、適切な構造解析手法及び構造解析モデルを設定していることを確認する。 イ 4.5.2 水平方向及び鉛直方向地震力の組合せ水平2方向及び鉛直方向の地震力による応力の組合せを適切に行っていることを確認する。 (6) 4.6 基準地震動Ssによる地震力に対する耐震設計ア 4.6.1 構造強度 機器・配管系の構造強度に関する耐震設計については、基準地震動Ssによる地震力と施設の運転状態ごとに生じる荷重を適切に組み合わせ、施設に作用する応力等を算定し、それらが許容限界を超えていないこと。なお、上記により求まる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が微小なレベルに留まって破断延性限界に対し十分な余裕を有し、そ の施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。 屋外に設置されるSクラスの機器・配管系の基礎地盤の支持性能については、基準地震動Ssにより生じる機器・配管系を支持する基礎地盤の接地圧が、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく限界値に対して妥当な余裕を有していること。 機器・配管系の構造強度に関す いては、基準地震動Ssにより生じる機器・配管系を支持する基礎地盤の接地圧が、安全上適切と認められる規格及び基準等に基づく限界値に対して妥当な余裕を有していること。 機器・配管系の構造強度に関する耐震設計においては、規制基準の要求 事項に留意して、JEAG4601 等の規定を参考に、評価対象部位の応力評価、疲労評価及び座屈評価を行っていること。評価対象部位として、機器・配管系の耐震性を確認する上で必要な箇所を選定していること。機器・配管系の構造強度に関する耐震設計においては、規制基準の要求事項に留意して、地震力とそれ以外の荷重を組み合わせ、施設に生ずる応力等を算定し、 それがJEAG4601 等の規定を参考に設定された許容限界を超えていないこと。なお、上記の荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が微小なレベルに留まって破断延性限界に対し十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと。 イ 4.6.2 動的機能 Sクラスの施設を構成する主要設備又は補助設備に属する機器のうち、地震時又は地震後に機能保持が要求される動的機器については、基準地震動Ssを用いた地震応答解析結果の応答値が動的機能保持に関する評価基準値を超えていないことを確認する。 (7) 4.7 弾性設計用地震動Sdによる地震力・静的地震力に対する耐震設 計弾性設計用地震動Sdによる地震力・静的地震力に対する耐震設計については、Sクラスの機器・配管系の強度評価について、基準地震動Ssによる地震力に対する安全機能の保持を確実にするとの観点から、弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力のいずれか大きい方と地震力以外の荷重 を組み合わせ、その結果発生する応力等が安全上適切と認められる規格及び 基 にするとの観点から、弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力のいずれか大きい方と地震力以外の荷重 を組み合わせ、その結果発生する応力等が安全上適切と認められる規格及び 基準等を参考に設定されている許容限界を超えていないことなどを確認する。 以上 (別紙13)機器・配管系の工事計画認可に関するJEAG4601 の概要 1 JEAG4601 を含む「原子力発電所耐震設計技術指針」は、日本電気協会が通商産業省(現経済産業省)から、原子力発電所の耐震設計に当たって設計用地震力や地震時の許容応力に係る指針の検討依頼を受けて、学識経験者をはじめ各 界の専門家が継続して検討して取りまとめられたものである。(弁論の全趣旨・被告第14準備書面16頁) 2 JEAG4601-1987 は、機器・配管系の地震応答解析においては、機器・配管系の設置位置の加速度応答波を基に設計用床応答スペクトルを設定するが、建物の地震応答解析モデルの各種物性値の不確かさを考慮するため、床応答スペクト ルを周期軸方向に±10%拡幅した拡幅スペクトルを設定することとしている。 (乙E56・516頁) 3 JEAG4601-1991 追補版は、機器・配管系の設計用減衰定数として、燃料集合体(PWR)について、振動試験結果に基づいて、振幅依存性を持つものとして定めており、振幅が約10mm程度では等価減衰定数は10~15%となる とする。(乙E25) 4 JEAG4601-1991 追補版は、機器・配管系の設計用減衰定数として、1次冷却設備(PWR)について、3.0%とし、これを用いる範囲は、蒸気発生器、1次冷却材ポンプ及び1次冷却材管とする。配管の設計用減衰定数は、振動試験データの下限値にさらに余裕を考慮し 数として、1次冷却設備(PWR)について、3.0%とし、これを用いる範囲は、蒸気発生器、1次冷却材ポンプ及び1次冷却材管とする。配管の設計用減衰定数は、振動試験データの下限値にさらに余裕を考慮して設定したものであり、1次冷却設備 (PWR)の3%という数値は、①実機振動試験データによる減衰特性の検討、②減衰機構を明らかにすることにより設計変位レベルでの減衰定数の推定、③工学的判断に基づく設計用減衰定数の設定の検討結果による安全側の値として設定した。(乙E25) 5 JEAG4601・補-1984 は、基準地震動Ss(耐震工認審査ガイドによる読替え 後。以下同じ。)による地震力と組み合わせる施設の運転状態ごとに生じる荷重 の組合せを示すとともに、それらの応力評価、疲労評価及び座屈評価に係る許容限界として、許容応力を示している。基準地震動と運転状態による荷重の組合せに対する1次一般膜応力の許容応力は、設計引張強さの2/3とされている。(乙E33・48、87、88、94~102頁)。 6 JEAG4601・補-1984 は、延性破壊及び塑性崩壊の防止は1次応力を許容応力 以下に制限することにより、疲労破損の防止は1次+2次+ピーク応力を許容応力以下に制限することにより行っている。このうち、疲労破損の防止に係る1次+2次+ピーク応力の制限は、基準地震動又は弾性設計用地震動のみによる疲労解析を行い疲労累積係数を求め、運転状態Ⅰ、Ⅱにおける疲労累積係数との和が1.0以下であることとしている。(乙E30・24、25、29、3 1頁、乙E33・87、94頁)以上 (別紙14)火山ガイドの概要 1 平成25年火山ガイドの概要(頁数の記載は、平成25年火山ガイド(乙B117)の頁 1頁、乙E33・87、94頁)以上 (別紙14)火山ガイドの概要 1 平成25年火山ガイドの概要(頁数の記載は、平成25年火山ガイド(乙B117)の頁数を指す。)(1) 原子力発電所に影響を及ぼし得る火山として、原子力発電所の地理的領域 (原子力発電所から半径160㎞の範囲)において文献調査等で第四紀(約258万年前から現在までの期間)に活動した火山を抽出し、第四紀に活動した火山について、文献調査、地形・地質調査及び火山学的調査を行い、火山の活動履歴、噴火規模及びその影響範囲等を把握し、その中から完新世(第四紀のうち約1万1700年前から現在までの期間)に活動があった火山及 び完新世に活動を行っていないものの将来の活動可能性が否定できない火山を、原子力発電所に影響を及ぼし得る火山として個別評価の対象とする。このうち、完新世に活動を行っていない火山については、第四紀の噴火時期、噴火規模、活動の休止期間を示す階段ダイヤグラムを作成し、より古い時期の活動を評価し、階段ダイヤグラムにおいて、火山活動が終息する傾向が顕 著であり、最後の活動終了からの期間が、過去の最大休止期間より長い等、将来の活動可能性がないと判断できる場合は個別評価の対象外とし、それ以外は、将来の活動可能性が否定できないとして個別評価の対象とする。(2、6~8頁)(2) 将来の活動可能性があると評価した火山について、運用期間(原子力発電 所に核燃料物質が存在する期間)中において設計対応が不可能な火山事象を伴う火山活動の可能性の評価を行う。この際、過去の火山活動履歴とともに、必要に応じて、地球物理学的及び地球化学的調査を行い、現在の火山の活動の状況も併せて評価する。地球物理学的観点からは、検討対象火山に 火山活動の可能性の評価を行う。この際、過去の火山活動履歴とともに、必要に応じて、地球物理学的及び地球化学的調査を行い、現在の火山の活動の状況も併せて評価する。地球物理学的観点からは、検討対象火山に関連するマグマ溜まりの規模や位置、マグマの供給系に関連する地下構造等につい て、地球化学的観点からは、検討対象火山の火山噴出物等について分析する ことにより、火山の活動状況を把握する。(8頁)原子力発電所の地理的領域外の火山における設計対応不可能な火山事象は、評価の対象外とすることができる。(9頁)原子力発電所の運用期間中における検討対象火山の活動の可能性を総合的に評価した結果、検討対象火山の活動の可能性が十分小さい場合には、過去 の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達したと考えられる火山を抽出し、火山活動のモニタリングを実施し、運用期間中において火山活動を継続的に評価する。検討対象火山の活動の可能性が十分小さいと判断できない場合は、検討対象火山の調査結果から噴火規模を推定し、推定できない場合は過去最大の噴火規模として、設定した噴火規模に おける設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいかを判断し、これが十分小さいと評価できない場合は、原子力発電所は立地不適とし、十分小さいと評価できる場合は、火山活動のモニタリングを実施し、運用期間中に火山活動の継続的な評価を行う。(9頁)(3) 運用期間中の火山活動のモニタリングを行う場合、噴火可能性が十分小さ いことを継続的に確認することを目的として、地震活動の観測、地殻変動の観測、火山ガスの観測等を監視し、モニタリング結果を定期的に評価し、当該火山の活動状況を把握し、状況に変化がないことを確認する。モニタリン 継続的に確認することを目的として、地震活動の観測、地殻変動の観測、火山ガスの観測等を監視し、モニタリング結果を定期的に評価し、当該火山の活動状況を把握し、状況に変化がないことを確認する。モニタリングにより、火山活動の兆候を把握した場合の対処方針等として、対処を講じるための判断条件、対処として原子炉の停止、適切な核燃料の搬出等が実施 される方針等を定める。(10、11頁)(4) 原子力発電所の運用期間中において設計対応不可能な火山事象によって原子力発電所の安全性に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された火山について、それが噴火した場合、原子力発電所の安全性に影響を与える可能性のある火山事象(降下火砕物を含む。降下火砕物は、大きさ、形状、組成若 しくは形成方法に関係なく、火山から噴出されたあらゆる種類の火山砕屑物 で降下する物を指す。)を抽出し、その影響評価を行う。(2、11頁)ただし、降下火砕物に関しては、火山抽出の結果にかかわらず、原子力発電所の敷地及びその周辺調査から求められる単位面積当たりの質量と同等の火砕物が降下するものとし、敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物で、噴出源が同定でき、その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合は考 慮対象から除外する。また、降下火砕物は浸食等で厚さが低く見積もられるケースがあるので、文献等も参考にして、第四紀火山の噴火による降下火砕物の堆積量を評価する。(11頁)抽出された火山事象に対して、原子力発電所への影響評価を行うための、各事象の特性と規模を設定する。(2、11、12頁) (5) 降下火砕物の影響としては、直接的影響として、原子力発電所の構造物への静的負荷、粒子の衝突、水循環系の閉塞及びその内部における磨耗、換気系、電気系及び計装制御系 2、11、12頁) (5) 降下火砕物の影響としては、直接的影響として、原子力発電所の構造物への静的負荷、粒子の衝突、水循環系の閉塞及びその内部における磨耗、換気系、電気系及び計装制御系に対する機械的及び化学的影響、並びに原子力発電所周辺の大気汚染等の影響が挙げられる。降雨・降雪などの自然現象は、火山灰等堆積物の静的負荷を著しく増大させる可能性がある。火山灰粒子に は、化学的腐食や給水の汚染を引き起こす成分(塩素イオン、フッ素イオン、硫化物イオン等)が含まれている。間接的影響として、原子力発電所周辺の社会インフラに影響を及ぼし、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限事象が発生しうることも考慮する必要がある。(12頁) 直接的影響の確認事項としては、①降下火砕物堆積荷重に対して、安全機能を有する構築物、系統及び機器の健全性が維持されること、②降下火砕物により、取水設備、原子炉補機冷却海水系統、格納容器ベント設備等の安全上重要な設備が閉塞等によりその機能を喪失しないこと、③外気取入口からの火山灰の侵入により、換気空調系統のフィルタの目詰まり、非常用DGの 損傷等による系統・機器の機能喪失がなく、加えて中央制御室における居住 環境を維持すること、④必要に応じて、原子力発電所内の構築物、系統及び機器における降下火砕物の除去等の対応が取れることが挙げられており、また、間接的影響の確認事項としては、原子力発電所外での影響(長期間の外部電源の喪失及び交通の途絶)を考慮し、燃料油等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉及び使用済燃料プールの安全性を損なわないように対応 が取れることが挙げられている。(13頁) 2 平成29年火山ガイドの変更点(頁数の記載は、平成2 等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉及び使用済燃料プールの安全性を損なわないように対応 が取れることが挙げられている。(13頁) 2 平成29年火山ガイドの変更点(頁数の記載は、平成29年火山ガイド(乙B118)の頁数を指す。)(1) 原子力発電所への火山事象の影響評価として、降下火砕物による直接的影響における上記1③の外気取入口から侵入する火山灰の想定に当たっては、 推定した気中降下火砕物濃度を用いて、これを原子力発電所への間接的な影響の評価にも用いることとした。(13頁)(2) 気中降下火砕物濃度の推定手法としては、「3.1 降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法」(3.1の手法)又は「3. 2 数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法」(3. 2の手法)により推定する。3.1の手法では、降下火砕物の粒径の大小に関わらず同時に降灰が起こると仮定していること、粒子の凝集を考慮しないこと等から、3.2の手法では、原子力発電所への影響が大きい観測値に基づく気象条件を設定していること等から、いずれの推定値も実際の降灰現象と比較して保守的な値となっているため、いずれかの手法により推定する。 (27~30頁)(3) 3.1の手法においては、原子力発電所の敷地において運用期間中に想定される降下火砕物がある期間(降灰継続時間)に堆積したと仮定して、降下火砕物の粒径の割合から求まる粒径ごとの堆積速度と粒径ごとの終端速度から算出される粒径ごとの気中濃度の総和を、気中降下火砕物濃度として求め る。降下火砕物の終端速度は、実験的に求められている値を参考とする。ま た、降灰継続時間については、同程度の噴火規模での噴火継続時間を参照して設定する。この際、評 濃度として求め る。降下火砕物の終端速度は、実験的に求められている値を参考とする。ま た、降灰継続時間については、同程度の噴火規模での噴火継続時間を参照して設定する。この際、評価対象火山から原子力発電所敷地に向かう一定風を仮定するケースでは、噴火継続時間を降灰継続時間(降灰量に支配的な主要な降灰)とみなすことが可能である。ただし、原子力発電所敷地での降灰継続時間を合理的に説明できない場合は、降灰継続時間を24時間とする。粒 径分布は、実測値を用いることを基本とするが、実測値の使用が困難な場合は、類似火山噴火の降下火砕物のデータを参考に粒径分布を設定する。また、想定される降灰量を数値シミュレーションにより求めた場合は、降灰量と同時に算出される粒径分布を使用する。(28、29頁)(4) 3.2の手法においては、3次元の大気拡散シミュレーションにより設定 座標点で粒径ごとに気中濃度の時間変化を算出し、得られた最大濃度を気中降下火砕物濃度とする。シミュレーションで使用するパラメータは、想定する火山噴火の観測値や実測値、類似火山の噴火パラメータ等に基づいて設定するとともに、その設定根拠を明らかにする。総噴出量、噴煙柱高度、噴出率、噴火継続時間、全粒径分布のパラメータを設定する際には、その不確実 さを考慮して文献等に基づくデータを基にパラメータサーベイを行う。気象データの設定は、高層気象観測を実施している評価対象火山又は原子力発電所敷地に近い観測地におけるデータを基に、1年で最も原子力発電所敷地に対して影響のある月を抽出し、一定風を設定する。(30頁) 3 令和元年火山ガイドの変更点(頁数のみの記載は、令和元年火山ガイド(乙 B141)の頁数を指す。)(1) 令和元年火山ガイドは、平成30年2月2 を抽出し、一定風を設定する。(30頁) 3 令和元年火山ガイドの変更点(頁数のみの記載は、令和元年火山ガイド(乙 B141)の頁数を指す。)(1) 令和元年火山ガイドは、平成30年2月21日に開催された原子力規制委員会会議において、火山の巨大噴火(噴出物の量が数十㎦程度を超えるような噴火)に関する基本的な考え方についてわかりやすくまとめるよう指示を受け、原子力規制庁が同年3月7日付け資料において、巨大噴火によるリス クは社会通念上容認される水準であると判断でき、現在の火山学の知見に照 らした火山学的調査を十分に行った上で、火山の現在の活動状況が巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認でき、かつ、運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるとはいえない場合は、少なくとも運用期間中は、「巨大噴火の可能性が十分に小さい」と判断でき、火山活動のモニタリングは、「運用期間中の巨大噴火の可能性が十分小さ い」と評価して許可を行った場合であっても、この評価とは別に、評価の根拠が継続していることを確認するため、評価時からの状態の変化を検知しようとするものであるなどと考え方を整理したことを踏まえ、令和元年7月3日の原子力規制委員会会議において、火山ガイドの見直しの指示を受けて、火山ガイドの各規定の趣旨及び火山ガイドに基づく審査実務の考え方を正確 に表現し、かつ文章としてより分かりやすいものとなるようにしたものである。(乙B163・78~81頁)(2) 令和元年火山ガイドの改正の概要は、火山影響評価は、火山事象が発生する時期や規模を正確に予測できることを前提とするものではなく、現在の火山学の知見に照らして現在の火山の状態を評価するものであることを明記し たこと、設計対応不可 山影響評価は、火山事象が発生する時期や規模を正確に予測できることを前提とするものではなく、現在の火山学の知見に照らして現在の火山の状態を評価するものであることを明記し たこと、設計対応不可能な火山事象のうち、巨大噴火についての上記(1)の資料の考え方が明確になるように記載したこと、平成29年火山ガイドでは火山影響評価の根拠が維持されていることの確認を目的とした火山活動のモニタリングが火山活動に関する個別評価の一部であると誤解される可能性があること等を踏まえ、モニタリングの位置付けが明確になるようにしたことで ある。(乙B163・78、79頁)(3) 令和元年火山ガイドでは、設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価として、巨大噴火(地下のマグマが一気に地上に噴出し、大量の火砕流となるような噴火であり、その規模として噴出物の量が数十㎦程度を超えるようなもの)の記載を追加し、検討対象火山(過去に巨大噴火が発生したもの に限る。)の活動の可能性の評価に当たり、巨大噴火については、噴火に至る 過程が十分に解明されておらず、また発生すれば広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こす火山活動であるが、低頻度な火山事象であり有史において観測されたことがないこと等を踏まえて評価を行うことが適切であるとして、当該火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないと評価でき、運用期間中における巨大噴火の可能性を示す科学的に合理性のある 具体的な根拠が得られていない場合は、運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断できるとした。そして、火山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価として、過去に巨大噴火が発生した火山であり、運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断したものについては、 いと判断できるとした。そして、火山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価として、過去に巨大噴火が発生した火山であり、運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断したものについては、当該火山の最後の巨大噴火以降の最大の噴火規模とすることとした。こ こで、「巨大噴火が差し迫った状態ではない」ことの評価に当たっては、現在の火山学の知見に照らした調査を尽くした上で、検討対象火山における巨大噴火の活動間隔、最後の巨大噴火からの経過時間、現在のマグマ溜まりの状況、地殻変動の観測データ等から総合的に評価を行うものとした。(9、10頁) (4) 令和元年火山ガイドは、個別評価の結果を受けた原子力発電所への火山事象の影響評価について、降下火砕物に関しては、「敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物で噴出源が同定でき、その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合は考慮対象から除外する。」という定めを、「敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物の噴出源である火山事象が同定でき、これと同様の 火山事象が原子力発電所の運用期間中に発生する可能性が十分に小さい場合は考慮対象から除外する。」へと改正した。(11頁)(5) 令和元年火山ガイドでは、モニタリングの位置付けは、火山影響評価のほか、評価時からの状態の変化の検知により評価の根拠が維持されていることを確認することを目的とするものとされ、原子力発電所の運用期間中におけ る火山活動に関する個別評価には含まれないこととされた。(20頁) 以上 (別紙15)高経年化技術評価(劣化状況評価)審査の概要 1 高経年化対策実施ガイドは、発電用原子炉設置者が実施する高経年化技術評価等の結果を透明性、実効性を確保しつつ審査するため、対象とす (別紙15)高経年化技術評価(劣化状況評価)審査の概要 1 高経年化対策実施ガイドは、発電用原子炉設置者が実施する高経年化技術評価等の結果を透明性、実効性を確保しつつ審査するため、対象とすべき機器及び構造物の範囲を明確にし、高経年化対策の基本的要求事項を定めるものであ る。(乙B56・2頁)また、高経年化対策審査ガイドは、発電用原子炉設置者が実施した高経年化技術評価等に対する個別の視点・着眼点を定めるものである。(乙B57・14頁) 2 高経年化対策実施ガイド(乙B56・1頁)は、高経年化技術評価について、 安全機能を有する機器・構造物に発生しているか、又は発生する可能性のある全ての経年劣化事象の中から、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象を抽出し、これに対する機器・構造物の健全性について評価を行うとともに、現状の保守管理が有効かどうかを確認し、必要に応じ、追加すべき保全策を抽出することとする。 具体的には、高経年化技術評価の機器・構造物に発生するか又は発生が否定できない経年劣化事象を抽出し、その発生・進展について評価(健全性評価)を行い、中性子照射脆化、電気・計装品の絶縁低下等の高経年化対策上着目すべき経年劣化事象を抽出する。その際、日本原子力学会が作成したPLM 基準2008版(乙E12)の「6.3.2評価対象事象」及び「6.3.3.1部位・経 年劣化事象の抽出」を用いることができるとしている。(乙B56・4頁)抽出された高経年化対策上着目すべき経年劣化事象については、運転開始後40年間に運転延長期間を加えた期間の満了日までの期間について機器・構造物の健全性評価を行うとともに、必要に応じ現状の保守管理に追加すべき保全策(保全追加策)を抽出することとする。(乙B56・4、5頁) 期間を加えた期間の満了日までの期間について機器・構造物の健全性評価を行うとともに、必要に応じ現状の保守管理に追加すべき保全策(保全追加策)を抽出することとする。(乙B56・4、5頁) 3 高経年化技術評価においては、機器・構造物の運転実績データに加えて、国 内外の原子力発電プラントにおける事故・トラブルやプラント設計・点検・補修等のプラント運転経験に係る情報、経年劣化に係る安全基盤研究の成果、経年劣化事象やそのメカニズム解明等の学術情報、及び関連する規制・規格・基準等の最新の情報を適切に反映することが要求される。この場合、PLM 基準2008版の「3 最新知見及び運転経験の反映」を用いることができるとしている。 (乙B56・3、4頁)PLM 基準2008 版における最新の知見の調査は、産学界から偏りのないメンバー選定の下に、公衆審査を経るなど公正、公平、公開を重視したものとなっており、その調査範囲は、発行時点における最新の技術的な知見が集約・反映された公共財的な性格を持つものと評価することができる日本機械学会、日本電 気協会、日本原子力学会で策定される規格・基準などの標準類が含まれる。(乙E12・4、85頁)以上 (別紙16)数式目録 1 Somerville ほか式 適用するのは、M0=7.5×1018(N・m)未満の地震 Sは震源断層の面積(㎢) 2 入倉・三宅式 適用するのは、M0=7.5×1018(N・m)以上M0=1.8×1020(N・ m)以下の地震Sは震源断層の面積(㎢) 3 Murotani ほか式M0=S×1017 適用するのは、M0=1.8×1020(N・m)を上回る地震データ分布 (N・ m)以下の地震Sは震源断層の面積(㎢) 3 Murotani ほか式M0=S×1017 適用するのは、M0=1.8×1020(N・m)を上回る地震データ分布の上限値M0=1.1×1021(N・m)に留意する。 Sは震源断層の面積(㎢) 4 松田式 𝑀0 = ( 𝑆2.23 × 1015)3⁄× 10−7𝑀0 = ( 𝑆4.24 × 1011) × 10−7M=(log L+2.9)/0.6 Mは長期評価による地震規模Lは地表の活断層長さ 5 武村(1990)の式 Mは長期評価による地震規模 6 壇ほか式 Aは短周期レベル 7 溶質原子クラスター (SC)の数密度CSCの変化を表す反応速度式(本件反応速度式) 8 溶質原子クラスター (SC)の数密度CSCの変化を表す反応速度式(本件反応速度式)(簡略化)dCSC/dt=aCCu・D・CMD+b(CCu・D)2 9 Jackson-Fewster 式(JF式)log 𝑀0 = 1.17・𝑀+ 10.72A=2.46 × 1010 × (𝑀0 × 107)1⁄ Nu:強制対流と自然対流の共存場でのヌセルト数Nu0:強制対流乱流場でのヌセルト数Re:レイノルズ数𝐺𝑟̅̅̅̅:平均のグラスホフ数 Pr:プラントル数 10-1 JEAC4201-2007 による関連温度の上昇量の予測値(予測式)① ΔRTNDT実測値が2個未満の場合ΔRTNDT予測値=ΔRTNDT計算値+MR ここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、20 る関連温度の上昇量の予測値(予測式)① ΔRTNDT実測値が2個未満の場合ΔRTNDT予測値=ΔRTNDT計算値+MR ここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、20(ΔRTNDT計算値に関する標準偏差の2倍)(℃)。ただし、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合は、実測値を包含するようにMRを定め直す。 ② ΔRTNDT実測値が2個以上の場合ΔRTNDT予測値=[ΔRTNDT計算値+MC]+MR ここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、10(ΔRTNDT計算値に関する標準偏差)(℃)。ただし、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合は、実測値を包含するようにMRを定め直す。MCはΔRTNDT計算値と当該原子炉のΔRTNDT実測値との差を埋めるための補正値であり、③により求める。ただし、[ΔRTNDT計算値+MC]が負とな る場合は、[ΔRTNDT計算値+MC]を0とする。 ③ MCを求める式NuNu0= {1 +4500Gr̅̅̅Re21⁄ Pr0.5}0.31 n:監視試験データ数:第i回監視試験より得られたΔRTNDTの実測値(℃):第i回監視試験での照射条件に対してJ EAC4201シリーズの附属書B-2100-1及び2を用いて求めたΔRTNDTの計算値(℃) 10-2 JEAC4201-2007[2013]による関連温度の上昇量の予測値(予測式) ① ΔRTNDT実測値が2個未満の場合ΔRTNDT予測値=ΔRTNDT計算値+MRここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、22(℃)。 ただし、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合は、実 未満の場合ΔRTNDT予測値=ΔRTNDT計算値+MRここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、22(℃)。 ただし、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合は、実測値を包含するようにMRを定め直す。 ② ΔRTNDT実測値が2個以上の場合ΔRTNDT予測値=[ΔRTNDT計算値+MC]+MRここで、MRは予測値に保守性を持たせるための余裕分であり、18(℃)。 ただし、ΔRTNDT実測値がΔRTNDT予測値を上回った場合は、実測値を包含するようにMRを定め直す。MCはΔRTNDT計算値と当該原子炉のΔRT NDT実測値との差を埋めるための補正値であり、③により求める。ただし、[ΔRTNDT計算値+MC]が負となる場合は、[ΔRTNDT計算値+MC]をMC=∑{(ΔRTNDT実測値)i−(ΔRTNDT計算値)i}ni=1n (ΔRTNDT実測値)i (ΔRTNDT計算値)i 0とする。 ③ MCを求める式MC=∑{(ΔRTNDT実測値)i−(ΔRTNDT計算値)i}ni=1n n:監視試験データ数(ΔRTNDT実測値)i:第i回監視試験より得られたΔRTNDTの実測 値(℃)(ΔRTNDT計算値)i:第i回監視試験での照射条件に対してJEAC4201シリーズの附属書B-2100-1 及び2を用いて求めたΔRTNDTの計算値(℃) 11 破壊靭性遷移曲線を描く式KⅠC=20.16+129.9exp(0.0161(T-Tp)) 12 JEAC4206-2007 による破壊靭性値の移行量ΔTKⅠcを算出する式① 監視試験の回数が1回以下の場合の中性子未照射材のKIcデータ xp(0.0161(T-Tp)) 12 JEAC4206-2007 による破壊靭性値の移行量ΔTKⅠcを算出する式① 監視試験の回数が1回以下の場合の中性子未照射材のKIcデータ ΔTKIc=ΔRTNDT計算値(fe)+2σΔ② 監視試験の回数が1回以下の場合の中性子照射材のKIcデータΔTKIc=ΔRTNDT計算値(fe)-ΔRTNDT計算値(fm)+2σΔ③ 監視試験の回数が2回以上の場合の中性子未照射材のKIcデータΔTKIc=ΔRTNDT計算値(fe)+MC+σΔ ただし、技術基準規則解釈の別記-1(3)により、「σΔ」とあるのは、「2σΔ」と読み替える。 ④ 監視試験の回数が2回以上の場合の中性子照射材のKIcデータΔTKIc=ΔRTNDT計算値(fe)-ΔRTNDT計算値(fm)+σΔただし、技術基準規則解釈の別記-1(3)により、「σΔ」とあるのは、「2σΔ」と読み替える。 ①~④につき、ここで、ΔTKⅠcは破壊靭性値の移行量、ΔRTNDT計算値(f e)は、プラント評価時期の中性子照射量(例えば、プラントの運転開始後60年目のΔTKIcを評価したい場合は、60年目における中性子照射量)における関連温度の上昇値の計算値であり、ΔRTNDT計算値(fm)は、監視試験片の中性子照射量における関連温度の上昇値の計算値、σΔは標準偏差。 13 ニュートンの冷却法則Q=hA(Th-Tc)Q:伝熱量[W]=[J/s]h:熱伝達率[W/(㎡・K)]A:伝熱面積[㎡] Th:高温側温度[K]Tc:低温側温度[K] 14 ヌッセルト数を定義する式Nu=hd/k Nu:ヌッセルト数[無次元]h :熱伝達率[W/(㎡・K)] 主文 ヌッセルト数を定義する式Nu=hd/k 理由 Nu:ヌッセルト数[無次元] h:熱伝達率[W/(㎡・K)] d:代表長さ[m] k:熱伝導率[W/(m・K)] 以上
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