令和6(行ケ)10013 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月27日 知的財産高等裁判所 2部 判決 審決取消
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判決文本文40,179 文字)

令和7年2月27日判決言渡 令和6年(行ケ)第10013号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年12月18日判決 原告 中国金網工業株式会社 同訴訟代理人弁護士 小栗久典 永島太郎 同訴訟代理人弁理士 井上浩 被告 株式会社ノブハラ 同訴訟代理人弁護士 角野佑子 榎本辰則 佐々木孝 同訴訟代理人弁理士 新田研太 木村豊 主文 1 特許庁が無効2020-800043号事件について令和6年1月9日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、特許請求の範囲の訂正請求を認め、特許無効審判請求を不成立とするなどした審決に対する取消訴訟である。争点は、審決における訂正要件適合性、記載要件(サポート要件、明確性要件)及び進歩性についての認定判断の誤りの有無である。 2 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は、発明の名称を「多角形断面線材 決における訂正要件適合性、記載要件(サポート要件、明確性要件)及び進歩性についての認定判断の誤りの有無である。 2 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は、発明の名称を「多角形断面線材用ダイス」とする発明について、平成27年9月6日、特許出願(優先権主張・平成26年9月7日)をし、平成28年11月4日、設定登録(特許第6031654号、請求項数16。 以下「本件特許」という。甲28)を受けた。 ⑵ 原告は、平成29年5月12日、本件特許について特許異議の申立て(異議2017-700464号事件)をし、被告は、平成30年5月1日付け訂正請求書に基づき、特許請求の範囲請求項〔1~6〕〔7~12〕〔13~16〕の訂正請求(甲24、25)をするなどした。 特許庁は、平成31年1月30日付けで、請求項13の削除を含む訂正を 認めた上、特許請求の範囲請求項14から16までに係る特許を取り消し、請求項1から12までに係る特許を維持し、請求項13に係る特許についての特許異議の申立てを却下するとの決定(甲30)をし、同決定は確定した(これにより、本件特許の請求項数は12となった。)。 ⑶ 原告は、令和2年4月21日、本件特許について特許無効審判(以下「本 件無効審判」という。)を請求し、訂正要件、記載要件(サポート要件、明確性要件)、新規性及び進歩性に関する無効理由を主張した。 特許庁は、これを無効2020-800043号事件として審理した上、令和4年1月20日付けで、本件無効審判の請求は成り立たないとする審決(以下「1次審決」という。)をした。 原告は、令和4年2月28日、1次審決の取消しを求めて訴訟を提起した ところ、知財高裁は、同年11月16日、1次審決には明確性要件についての判断の 審決」という。)をした。 原告は、令和4年2月28日、1次審決の取消しを求めて訴訟を提起した ところ、知財高裁は、同年11月16日、1次審決には明確性要件についての判断の誤りがあるなどとして、1次審決を取り消す判決(令和4年〔行ケ〕第10019号。甲41)をした。 ⑷ 特許庁は、令和5年1月11日付けで、本件無効審判の審理を再開し、被告は、同月30日付け訂正請求書に基づき、特許請求の範囲請求項〔1~ 6〕〔7~12〕の訂正請求(以下「本件訂正」という。なお、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面であって本件訂正直前のものを、以下「本件明細書」という。甲28、乙2の2及び3)をした。 特許庁は、令和6年1月9日付けで、本件訂正を認めた上、特許請求の範囲請求項1~4、6~12に係る特許についての本件無効審判の請求は成り 立たない、請求項5に係る特許についての本件審判の請求は却下するとの審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月19日に原告に送達された。 ⑸ 原告は、令和6年2月19日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 3 特許請求の範囲の記載等⑴ 本件訂正前における本件特許の特許請求の範囲請求項〔1~6〕〔7~12〕は、別紙「審理再開時の特許請求の範囲の記載」のとおりである(以下、同特許請求の範囲に係る発明を、請求項の番号を付して「本件発明1」などといい、併せて「本件各発明」という。)。 ⑵ 本件訂正後における本件特許の特許請求の範囲請求項1~4、6~12は、別紙「本件訂正後の特許請求の範囲の記載」のとおりである(下線部が訂正部分であり、分説は本件審決による。以下、同特許請求の範囲に係る発明を、請求項の番号を付して「本件訂正発明1」 ~4、6~12は、別紙「本件訂正後の特許請求の範囲の記載」のとおりである(下線部が訂正部分であり、分説は本件審決による。以下、同特許請求の範囲に係る発明を、請求項の番号を付して「本件訂正発明1」などといい、併せて「本件各訂正発明」という。)。 4 本件各発明の概要 本件明細書によれば、本件訂正前の本件各発明の技術分野は、ダイス、特に引抜加工で用いるものに関するものであるところ(本件明細書の段落【0001】。以下、特にことわらない限り、【 】内の数字は本件明細書の段落を示す。)、引抜加工機900は、引抜加工用ダイス901、ダイスホルダー902、ドローイングマシン903、ガイドレール904を含んで構成され、この うち、引抜加工用ダイス901は、略円筒形の形状を持つ塑性変形加工用のダイスであり、この略円筒形の中心軸に引抜加工の対象となる線材Aを通す貫通孔が設けられる。もっとも狭いベアリング部901bは成形後の完成線材A-2の形状寸法を決める。ベアリング部901bを挟んでアプローチ部901a及びバックリリーフ部901c、勘合穴901dが存在する(【0004】 【0005】)。そして、棒状材、線材等の鋼材をダイスによって引抜き加工するに際しては、一般にダイスの前側に設けられたボックス905内に粉状固形の潤滑剤を収容し、この潤滑剤が線材Aに付着する。ドローイングマシン903の引抜き時におけるアプローチ部901aでの加工発熱によりこの粉状の潤滑剤が油膜となるが、この油膜に粉状の潤滑剤が付着することで、塊ができ、 この塊は引抜加工を連続するごとに肥大化し、材料線材A-1の表面への潤滑剤の供給が阻害されるため、結果として完成線材A-2の表面に傷が発生することが考えられた(【0015】)。本件各発明は、潤滑剤の この塊は引抜加工を連続するごとに肥大化し、材料線材A-1の表面への潤滑剤の供給が阻害されるため、結果として完成線材A-2の表面に傷が発生することが考えられた(【0015】)。本件各発明は、潤滑剤の塊の発生を極力防ぐことなどの課題を解決することを目的とするものである(【0020】)。 本件各発明に関わる引抜加工用ダイスは、アプローチ部と、ベアリング部と、 を含むものであって、該ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有することを特徴とする(【0023】)。そして、この引抜加工用ダイスの略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を円弧でつないだものに置き換えたものであること、又は、基礎となる多角形のすべての角を曲線でつないだものに置き換えたものであること、などを特徴としても良いものである (【0024】【0025】)。 なお、【図1】は引抜加工機の全体の構造を表す模式図、【図2】は使用時における引抜加工機のダイス周辺の構造を表す断面図、【図3】は従来の引抜加工用ダイスの正面図、【図4】は従来の引抜加工用ダイスの斜視図、【図6】は図3の範囲xにあたる個所の、従来の引抜加工用ダイスの「角」の部分を拡大した拡大図であり、【図7】は本件各発明に関わる引抜加工用ダイスの正面 図、【図8】は本件各発明に関わる引抜加工用ダイスの斜視図、【図10】は図7の範囲Xにあたる個所の、本件各発明に関わる引抜加工用ダイスの「角」の部分を拡大した拡大図である。 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図6】 【図7】 【図8】 【図10】 【図3】 【図4】 【図6】 【図7】 【図8】 【図10】 5 本件審決の理由の要旨審理再開後の本件無効審判で主張された無効理由のうち、本件訴訟で取消事由として主張されているものは、無効理由1(訂正要件違反)、無効理由2(明確性要件違反)、無効理由3(サポート要件違反)、無効理由4-1(公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如)、無効理由4-2(甲2記載の発明に 基づく進歩性欠如)である。このうち、無効理由1に対する本件審決の判断の理由の要旨は、以下のとおりであり、無効理由2から無効理由4-2までに対する本件審決の判断の理由の要旨は、別紙「本件審決の理由の要旨」記載のとおりである。 (無効理由1(訂正要件違反)について) ⑴ 本件訂正の訂正事項は、別紙「本件訂正の訂正事項」に記載のとおりである。また、本件訂正後の請求項〔1~6〕、本件訂正後の請求項〔7~12〕は、それぞれ一群の請求項である。 ⑵ 一群の請求項〔1~6〕についてア(ア) 訂正事項1は、本件訂正後の請求項1についてC-2「前記略多角 形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」(以下「C-2事項」ともいう。)を付加し引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部が有する略多角形の断面形状を具体的に特定し限定しているから、特許請求の範囲の減縮(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とする。 (イ) C-2事項は、特許請求の範囲請求項5の記載及び【0055】の「…本発明に関わる引抜加工用ダイス101のベアリング部101b (特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とする。 (イ) C-2事項は、特許請求の範囲請求項5の記載及び【0055】の「…本発明に関わる引抜加工用ダイス101のベアリング部101bを表す。本発明に関わるこのベアリング部101bの断面形状は、図6で表した「基礎となる多角形断面」の「角」にあたる部分を円弧、すなわち曲線、で結ぶように置き換えた点に特徴がある。具体的には、1辺が 4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベ アリング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶ。」との記載等に基づくと認められ、「0.8㎜程度」の記載につき、本件明細書全体を参酌しても、特に「0.8㎜」の値を含まないと解釈すべき特段の事情は見当たらない。 また、訂正事項1で、少なくとも1の角に置き換える「円弧」を「少 なくとも半径0.8㎜程度の曲率の円弧」とした点は、本件明細書の「引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶ。」(【0055】)、「これにより、潤滑剤がたまる「角」がなくなる。結果として、このダイス101では円断面のダイスと同じような潤滑剤の挙動になり、 潤滑剤の塊ができにくくなる。」(【0059】)との記載から、従来は角が直角だったベアリング部の断面形状(【0054】、図6等)を円断面に近づけることにより、角に潤滑剤の塊ができにくくなることが示唆されている。そして、曲率半径が大きくなるほど「角」がなくなり潤滑剤の塊が溜まりづらくなることは明らかであるから、基礎となる多 角形の少なくとも1の角を、円断面に近づけるように曲率半径0.8㎜以上の円弧、すなわち少なくとも半径0.8㎜の曲率 がなくなり潤滑剤の塊が溜まりづらくなることは明らかであるから、基礎となる多 角形の少なくとも1の角を、円断面に近づけるように曲率半径0.8㎜以上の円弧、すなわち少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧とすることは、本件明細書等に実質的に記載されていたといえる。 なお、潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、角の形状を曲線で置き換えることにより改善するものであり、作成される棒材の断面に合わせて、ベ アリング部の開口部の形状を四角形以外とした場合であっても、また、ベアリング部の開口部の1辺の長さを4㎜以外とした場合であっても基礎となる多角形の少なくとも1の角を、円断面に近づけるように曲率半径0.8㎜以上の円弧(少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧)とすることにより従来に比して潤滑剤の塊ができにくくなることは明らかであ るから、本件訂正により、1辺の長さが4㎜の四角形以外のベアリング 部の開口部の一つの角を曲率半径0.8㎜以上の弧とすることを含むものとなっていることが、新たな技術的事項を導入するものであって新規事項を追加するものであるとまではいえない。 よって、訂正事項1は、本件明細書の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当しない(特許法134条の2第9項、126条5項)。 (ウ) 訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、特許請求の範囲の拡張・変更に該当しない(特許法134条の2第9項、126条6項)。 イ訂正事項2は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とする。 訂正事項2は、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更に該当しない(特許法134条の2第9項、126条5項、6項)。 ウ訂正事項3は、本件訂 条の2第1項ただし書1号)を目的とする。 訂正事項2は、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更に該当しない(特許法134条の2第9項、126条5項、6項)。 ウ訂正事項3は、本件訂正後の請求項6について、本件訂正前の請求項6の「曲線」を下位概念の「円弧」に特定限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とする。 訂正事項3は、本件訂正前の請求項6の「曲線」を下位概念の「円弧」に特定するものであり、本件明細書の前記記載等(【0055】)に基づいてなされたものであるから、新規事項の追加に該当せず(特許法134条の2第9項、126条5項)、特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない(特許法134条の2第9項、126条6項)。 ⑶ 一群の請求項〔7~12〕について訂正事項4及び5は、本件訂正前の請求項7及び8についてC-2事項を付加して訂正するものであるから、訂正事項1と同様の訂正である。したがって、訂正事項4及び5は、訂正事項1と同様に、特許請求の範囲の減縮(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とするものであり、新規 事項の追加に該当せず(特許法134条の2第9項、126条5項)、特許 請求の範囲の拡張・変更にも該当しない(特許法134条の2第9項、126条6項)。 ⑷ 本件では、特許無効審判請求がされているから、独立特許要件は課されない(特許法134条の2第9項、126条7項)。 ⑸ よって、本件訂正1から本件訂正5までは、特許法134条の2第1項た だし書1号に掲げる事項を目的とし、同条9項、126条5項及び6項に適合する。 第3 取消事由についての当事者の主張 1 本件訴訟で主張された本件審決に対する取消事由は、取消事由 2第1項た だし書1号に掲げる事項を目的とし、同条9項、126条5項及び6項に適合する。 第3 取消事由についての当事者の主張 1 本件訴訟で主張された本件審決に対する取消事由は、取消事由1(無効理由1〔訂正要件違反〕の判断の誤り)、取消事由2(無効理由3〔サポート要件 違反〕の判断の誤り)、取消事由3(無効理由2〔明確性要件違反〕の判断の誤り)、取消事由4(無効理由4-1〔公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)、取消事由5(無効理由4-2〔甲2記載の発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)である。このうち、取消事由1についての当事者の主張は、以下のとおりであり、取消事由2から取消事由5までについての当 事者の主張は、別紙「取消事由についての当事者の主張」記載のとおりである。 2 取消事由1(無効理由1〔訂正要件違反〕の判断の誤り)⑴ 原告の主張ア本件訂正の訂正事項のうち、訂正事項1及び訂正事項3から5まで(以下「本件訂正1等」という。)は、本件訂正前の本件発明1、6から8ま での「略多角形」又は「曲線」との記載にC-2事項「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」を追加又は置換又は「円弧」に置換するものである。 イ本件訂正1等は「半径0.8㎜」という特定の数値を下限とする点で新 たな技術的事項を導入するものである。すなわち、本件各発明の特許請求 の範囲の記載には「略多角形」との記載はあるが、具体的内容を述べる記載はなく、本件明細書の記載(【0055】)における「具体的には、1辺が4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部 記載はあるが、具体的内容を述べる記載はなく、本件明細書の記載(【0055】)における「具体的には、1辺が4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶ。」以外に本件明細書の段落や図面にベアリング部 の開口部の角に係る曲率の具体的数値について述べる記載はない。本件明細書には、①引抜加工対象が棒材であり、②線材の断面が四角形であり、③四角形の1辺の長さが4㎜であることを前提に、ダイスのベアリング部の開口部の角の1つを半径0.8㎜程度の曲率の円弧で結ぶとの技術思想が開示されるにすぎず、「半径0.8㎜」という具体的な特定の数値が有 する技術的意義も開示されていない。そして、前記①から③までの前提条件を捨象して「半径0.8㎜」との特定の数値のみを取り上げ、当該数値をダイスのベアリング部の開口部の角の1つの曲率半径の下限値とすることは、本件明細書に開示されている技術的思想の範囲外の事項を追加するものである。 また、本件訂正1等は、棒材の断面形状及びその1辺の長さについて新たな技術的事項を導入したものである。すなわち、ベアリング部の開口部の角部に潤滑剤の塊が生じるのは、棒材に塗られた潤滑剤が棒材の接する開口部の辺の部分で削られることによるから(【0015】)、開口部全体の形状が、潤滑剤の塊の多寡に影響するのであり、角部の形状、特に曲 率半径のみで多寡が決まるものではなく、本件明細書にその説明があるものでもない。本件明細書では、前記①から③までを前提とした場合の説明しかなく、それ以上の技術的思想の開示はないから、棒材の断面形状及び断面の1辺の長さについて何ら限定しない本件訂正は、本件明細書に開示された技術的思 細書では、前記①から③までを前提とした場合の説明しかなく、それ以上の技術的思想の開示はないから、棒材の断面形状及び断面の1辺の長さについて何ら限定しない本件訂正は、本件明細書に開示された技術的思想の範囲外の事項を追加するものである。 ウ本件では、本件訂正1等のC-2事項の記載が、本件明細書の記載から 導かれる技術的事項に新たな技術的事項を導入するものか否かが問題となる。 本件明細書の【0059】は、【0057】【0058】の角を丸めるとの記載を受けて、単に「これにより、潤滑剤がたまる「角」がなくなる。 結果として、このダイス101では円断面のダイスと同じような潤滑剤の 挙動になり、潤滑剤の塊ができにくくなる。」と記載するのみであり、また、【0057】~【0059】は、【0055】の記載を前提とするものであるから、本件明細書の各段落及び図6、10から導かれる事項は、1辺の長さ4㎜の四角形のベアリング部の直角の角を曲率半径0.8㎜ほどの円弧に置き換えた形状としたところ、直角のものと比較して、潤滑剤 の塊ができにくいものができたということのみである。 一方、曲率半径がより大きい円弧は、曲率半径の小さい円弧と比べて、置き換えた円弧部分がより直線的となる場合があるから、前者の方が後者で置き換えたものよりも円断面に近いとはいえないし、曲率半径が大きくなることで角がなくなることにもならない。このように、「ベアリング部 の開口部の角における曲率半径が大きくなるほど、円断面に近づいて「角」がなくなり、潤滑剤の塊が溜まりづらくなる」関係性はないから、「基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換える」ことにより従来に比して潤滑剤の塊ができにくくなると 剤の塊が溜まりづらくなる」関係性はないから、「基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換える」ことにより従来に比して潤滑剤の塊ができにくくなるということを本件明細書に開示された技術的事項として導き出 すことはできない。 エ被告の主張する「角部の曲がり度合い」も、本件明細書には、その概念や、その程度によって潤滑剤の塊の溜まりやすさが変わることの記載も示唆もない。「角部の曲がり度合い」が、「曲率半径の大きさ」を「置き換えた円弧部分の緩やかさという別の観点」により説明するものなのであれ ば、曲率半径の大小とは異なる概念であり、前記別の観点についても、本 件明細書には記載も示唆もない。よって、新たな技術的事項である。 そして、ベアリング部の開口部の角を曲線で結び、円弧で置き換える場合、置換え方は複数あり、曲率半径がより大きい方が、曲率半径が小さいものよりも置き換えた円弧部分がより直線的となる場合が生じ得る。したがって、曲率半径が大きいほど「角部の曲がり度合い」が緩やかになって 円断面に近づき、また、「角の曲がり度合い」が、曲率半径の絶対値によって決せられるとする被告の主張は誤りである。一つの角を曲線で結び、円弧と置き換えるだけでは、直線と曲線とつなぐ場所に、潤滑剤の塊ができやすい「角」が生じるのであり、曲率半径が大きくなることで角がなくなることもない。 オ原告の主張する加工方法(角部を、当該角部を構成する隣り合う2辺を横切る円弧で置き換える方法。甲19、20、53)は、本件特許の優先日以前から現実に実施されており、ダイス製造業者には常識であったから、「角に当たる部分を円弧で結ぶ」という説明だけから、当業者が、ダイスのベアリング部の開 法。甲19、20、53)は、本件特許の優先日以前から現実に実施されており、ダイス製造業者には常識であったから、「角に当たる部分を円弧で結ぶ」という説明だけから、当業者が、ダイスのベアリング部の開口部の角を円弧で置き換える方法として、特定の方法 を導き出せたことはない。「円弧」を「曲線」とする本件明細書の記載(【0055】)からも、角を構成する隣り合う2辺に内接する内接円の接点間の円弧には限定されない。被告の主張する切削工具による加工方法は、実際に使用されるものでもない。 カ潤滑剤のたまりやすさは、潤滑剤の挙動に基づき定まるから(【005 9】)、角部の円弧の曲率半径だけでなく、対象物の挙動に影響を与え得るダイス断面形状、潤滑剤の粘性、密度、量(【0038】【0039】)など、線材の種類、潤滑剤の種類、加工発熱の度合い等、様々な要素を総合的に考慮する必要がある。被告は、線材の径の長さが影響しないことしか主張しておらず、その他の要素については主張立証していない。また、 線材の径の長さに関しても、潤滑剤の挙動(【0015】)からすると、 時間の経過に伴い、開口部の直線部分の線材表面で発生した潤滑剤の塊は順次角部に移動するから、角部の円弧の曲率半径が同一の場合、開口部の1辺が長いほど、また線材の断面半径が大きいほど、角部に移動する潤滑剤の塊は増え、角部で溜まる塊の量も増えることになり、被告の主張は論理に反する。 キしたがって、本件訂正は、新たな技術的事項を導入するものであるから、訂正要件(特許法134条の2第9項、126条5項)に違反し、これに適合するとした本件審決の判断には誤りがある。 ⑵ 被告の主張ア 「半径0.8㎜」という特定の数値を下限とすることは、新たな技術的 134条の2第9項、126条5項)に違反し、これに適合するとした本件審決の判断には誤りがある。 ⑵ 被告の主張ア 「半径0.8㎜」という特定の数値を下限とすることは、新たな技術的 事項を導入するものではない。 本件明細書における「半径0.8㎜程度」の「程度」の文言は「物事の高低・強弱・優劣などがどのくらいかという度合い」(広辞苑)と解釈されるから、0.8㎜及びその近傍の値も含むことは明らかである。 また、【0055】の記載(「引抜加工用ダイス101のベアリング部 101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶ。」「これにより、当該「角」に溜まっていた潤滑剤の塊が1か所に固まりづらくなる。」)からすると、少なくとも開口部の角部を0.8㎜の曲率半径の円弧とすることにより本件各訂正発明の効果が得られることが記載されている。そして、特許請求の範囲において、ダイスのベアリ ング部の開口部の一つの角を曲率半径「0.8㎜」の円弧とすることを含まないと解すべき事情はない。 加えて、【0055】の前記記載からすると「半径0.8㎜」の円弧だけでなく「半径0.8㎜近傍」の円弧であっても、角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題を解消できることは明らかである。 そして、角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、曲率半径が大きくなれば なるほど角部の曲がり度合いが緩やかになり、円断面に近づく結果、潤滑剤の塊が溜まりにくくなって改善されることは明らかであり、このことは、当業者の技術常識に照らして容易に理解できるから、「半径0.8㎜以上」の円弧であれば、本件各訂正発明の効果が得られることは、本件明細書の記載から自明である。なお、本件各訂正発明の作用効果では、角の曲がり の技術常識に照らして容易に理解できるから、「半径0.8㎜以上」の円弧であれば、本件各訂正発明の効果が得られることは、本件明細書の記載から自明である。なお、本件各訂正発明の作用効果では、角の曲がり 度合いの緩急が重要であり、角の曲がり度合いは、曲率半径の絶対値によって決せられ、各多角形の1辺の長さは影響しない。 したがって、本件明細書の「半径0.8㎜程度」は「少なくとも半径0. 8㎜」を含むから、本件訂正が新たな技術的事項の追加に当たらないことは明らかであり、本件審決に判断の誤りはない。 イ本件訂正は、棒材の断面形状及び当該断面の1辺の長さについて新たな技術的事項を導入するものではない。 角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、角の形状を曲線で置き換えることにより改善するのであるから、ベアリング部の開口部を1辺4㎜の四角形以外の多角形とした場合であっても、当該多角形の少なくとも1の角を、 曲率半径0.8㎜以上の円弧として、円断面に近づけることにより、従来に比して潤滑剤の塊が溜まりにくくなることは明らかである。また、本件各訂正発明の潤滑剤の塊の溜まりやすさは、丸みの曲率半径に依拠するものであって、1辺の長さは影響しない。 ウ当業者において「基礎となる多角形の…角を…円弧でつないだものに置 き換え」るとは、当該円弧に係る円が開口部の角部を形成する二つの辺に内接するように置き換えることを意味しており、曲率半径が大きいほど角部の曲がり度合いが緩やかになり、角部が円断面に近づき、角がなくなることは明らかである。曲がり度合いは、曲率半径の大きさを置き換えた円弧部分の緩やかさという別の観点から表現するものであり、新たな概念を 導入するものではない。 また、潤滑剤が 明らかである。曲がり度合いは、曲率半径の大きさを置き換えた円弧部分の緩やかさという別の観点から表現するものであり、新たな概念を 導入するものではない。 また、潤滑剤が残存しないようにするには、ダイスの回転による遠心力で潤滑剤が1か所に集中しないようにする、つまり開口部の角部を緩やかな曲線にすることが必要であり、角部をなるべく大きな曲率半径の円弧に置き換えることにより達成される。他方、角部の曲率半径の大きさが同じであれば、1辺の長さや線材の断面半径が変化しても、角部の曲がり度合 いは同じである以上、潤滑剤の溜まり易さに差異は生じない。よって、ベアリング部の開口部の角部を置き換える円弧の曲率半径が大きくなればなるほど、他の要素の数値の大小にかかわらず潤滑剤は溜まりづらくなる。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(無効理由1〔訂正要件違反〕の判断の誤り)について ⑴ 本件訂正1等(訂正事項1及び訂正事項3から5まで)は、本件訂正前の本件発明1、7及び8の「略多角形」につきC-2事項「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」を追加し、本件発明6の「曲線」につき「円弧」に置換するものであるところ、原告は、本件訂正1等は、新たな 技術的事項を導入するものであるから、訂正要件(特許法134条の2第9項、126条5項)に適合しないと主張する。 ⑵ そこで検討すると、特許無効審判における願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正の請求は、まず、特許法134条の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものである必要がある。本件訂正1等は、 本件訂正前の本件発明1、7及び8の「略多角形」を、前記の内容を追加す の訂正の請求は、まず、特許法134条の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものである必要がある。本件訂正1等は、 本件訂正前の本件発明1、7及び8の「略多角形」を、前記の内容を追加することにより限定し、かつ、本件発明6の「曲線」を「円弧」に限定するものであるから、同項ただし書1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものということができる。 ⑶ 次に、この場合における訂正の請求は、「願書に添付した明細書、特許請 求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」においてしなければならない (特許法134条の2第9項、126条5項)。これは、出願当初から発明の開示が十分に行われるようにして、迅速な権利付与を担保するとともに、出願時に開示された発明の範囲を前提として行動した第三者が不測の不利益を被ることのないようにしたものと解される。「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書、特 許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項(以下、単に「当初技術的事項」という。)を意味すると解するのが相当であり、訂正が、当初技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該訂正は「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」においてするものということが できる。 ⑷ 本件について検討すると、本件明細書には、以下の記載がある。 【0015】棒状材、線材等の鋼材をダイスによって引抜き加工するに際しては、一般にダイスの前側に設けられたボックス905内に粉状固形の潤滑剤を収容し、 この潤滑剤が線材Aに付着する。ドローイングマシン903の引抜き時におけるアプローチ部901aでの加工発 際しては、一般にダイスの前側に設けられたボックス905内に粉状固形の潤滑剤を収容し、 この潤滑剤が線材Aに付着する。ドローイングマシン903の引抜き時におけるアプローチ部901aでの加工発熱によりこの粉状の潤滑剤が油膜となる。この油膜に粉状の潤滑剤が付着することで、塊ができる。この塊は引抜加工を連続するごとに肥大化し、材料線材A-1の表面への潤滑剤の供給が阻害される。結果として完成線材A-2の表面に傷が発生することが考えら れた。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0020】本発明の目的は、潤滑剤の塊の発生を極力防ぐこと及びそのメンテナンスに 要する時間を極力低減させ、結果多角形断面の線材の製造コストの低減を図 る手段を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0023】本発明に関わる引抜加工用ダイスは、アプローチ部と、ベアリング部と、を含むものであって、該ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状 を有することを特徴とする。 【0024】この引抜加工用ダイスの略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を円弧でつないだものに置き換えたものであることを特徴としても良い。 【0025】 この引抜加工用ダイスの略多角形は、基礎となる多角形のすべての角を曲線でつないだものに置き換えたものであることを特徴としても良い。 【0028】本発明に関わる引抜加工機は、略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスと、この引抜加工用のダイスを保持するダイスホルダーと、を含み、この引抜加工 用ダイスは、略多角形形状を有することを特徴とする。 【0038】本発明に関わる別の引抜加工機は、略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスと、引抜加工 イスホルダーと、を含み、この引抜加工 用ダイスは、略多角形形状を有することを特徴とする。 【0038】本発明に関わる別の引抜加工機は、略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスと、引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、引抜加工用ダイスに引き込まれる材料線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含み、ダイスホルダーは 引抜加工用ダイスの略円筒形形状の中心軸を中心として引抜加工用ダイスを回転させ、引抜加工用ダイスの回転によって溜まった潤滑剤の塊が引抜加工用ダイスと材料線材の間の空間から脱落することを特徴としても良い。 【0039】本発明に関わる別の引抜加工機は、略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスと、 引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、引抜加工用ダイスに引き込 まれる材料線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含み、ダイスホルダーは引抜加工用ダイスの略円筒形形状の中心軸を中心として引抜加工用ダイスを回転させ、引抜加工用ダイスの回転によって引抜加工用ダイスと材料線材の間の空間に溜まる潤滑剤の塊が一定以上の大きさになることを抑止することを特徴としても良い。 【発明を実施するための形態】【0047】本発明は、潤滑剤の塊の発生を極力防ぎ、かつそのメンテナンスに工数を取らせないことを目的とする。すなわち、粉状の潤滑剤を1か所に留まることを防ぎ、また、塊が発生した場合には、塊を脱落させやすくすることで、多 角形断面線材生産数を増大する。 【0054】従来の引抜加工用ダイス901では、棒材の角を直角にする目的で、ベアリング部901bの断面の二辺を加工することなくそのまま突き当てていた。 従って、図3及び図6のようにベアリング部901bの断面形状が四角形断 面の場合、各辺は直 材の角を直角にする目的で、ベアリング部901bの断面の二辺を加工することなくそのまま突き当てていた。 従って、図3及び図6のようにベアリング部901bの断面形状が四角形断 面の場合、各辺は直角に交わることとなる。 ここで、図6で表したダイス901のベアリング部901bの開口部の断面形状は、多角形の一種である四角形である。これを「基礎となる多角形断面」と称呼する。 【0055】 一方、図7及び図10は、本発明に関わる引抜加工用ダイス101のベアリング部101bを表す。本発明に関わるこのベアリング部101bの断面形状は、図6で表した「基礎となる多角形断面」の「角」にあたる部分を円弧、すなわち曲線、で結ぶように置き換えた点に特徴がある。具体的には、1辺が4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベア リング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧 (曲線)で結ぶ。 これにより、当該「角」に溜まっていた潤滑剤の塊が1か所に固まりづらくなる。 【0056】本発明に関わる引抜加工用ダイス101では「基礎となる多角形断面」であ る四角形断面の4か所の「角」すべてをこのように処理する。この結果、ダイスのすべての位置で潤滑剤が溜まりづらくなる。 【0057】なお、本明細書では「四角形」の角を少なくとも1つ丸めた形状、すなわち1の「角」乃至すべての「角」を丸めたものも「略四角形」と呼ぶ。同様に、 四角形を含む多角形の1の「角」乃至すべての「角」を丸めた形状を「略多角形」と称呼する。 【0058】同様に三角形の角を丸めたものは「略三角形」、六角形の角を丸めた形状は「略六角形」と呼ぶ。以下、多角形に角が増えても同様に称呼する。 めた形状を「略多角形」と称呼する。 【0058】同様に三角形の角を丸めたものは「略三角形」、六角形の角を丸めた形状は「略六角形」と呼ぶ。以下、多角形に角が増えても同様に称呼する。 【0059】これにより、潤滑剤がたまる「角」がなくなる。結果として、このダイス101では円断面のダイスと同じような潤滑剤の挙動になり、潤滑剤の塊ができにくくなる。 【0065】 図11は、上記の引抜加工用ダイス101で作成した棒材を表す斜視図である。本図にもみられるように、棒材の角は丸くなった形で形成される。 【0069】既に述べたように引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部に角がないことから、引抜加工用ダイス101を回転させても1か所に潤滑 剤がたまることなく、結果として潤滑剤の塊ができづらい。またアプローチ の角度及びバックリリーフの角度を広くとることで、塊が形成されても自然に脱落しやすくなる。これらは当然ツイストバーの製造の際にも効果を有する。 【0074】また、本願の製造方法で製造されたツイストバーにおいてもダイスの「角」 を丸めることで、完成したツイストバーの角も丸くなる。結果として、多角形断面を有する鋼製棒材同様に、ユーザーがツイストバーを素手で持った時に手を切ることがなくなり、安全性の向上を図ることができる。 【0077】また、状況によっては角を一または二のみを丸めたものであっても使用に耐 える場合がある。棒材を作る場合、ダイスの一番「下」に来る角のみを丸めておけば、潤滑剤が溜まらない場合もあるためである。 【図11】 【図12】 ⑸ 検討ア以上の本件明細書の記載によれば、本件各発明 のみを丸めておけば、潤滑剤が溜まらない場合もあるためである。 【図11】 【図12】 ⑸ 検討ア以上の本件明細書の記載によれば、本件各発明の内容は、次のとおりである。すなわち、棒状材、線材等の鋼材をダイスによって引抜き加工する 際、線材Aに付着した粉状固形の潤滑剤が引抜き時におけるアプローチ部901aでの加工発熱により油膜となり、この油膜に粉状の潤滑剤が付着することで塊ができるが、この塊は引抜加工を連続するごとに肥大化し、材料線材A-1の表面への潤滑剤の供給が阻害され、結果として完成線材A-2の表面に傷を発生させることがある(【0015】)。そこで、本 件各発明は、潤滑剤の塊の発生を極力防ぐことなどを目的とし(【002 0】)、具体的には、引抜加工用ダイスと材料線材との間の空間において、粉状の潤滑剤が1か所に留まることを防ぎ、また、塊が発生した場合には、塊を脱落させやすくするため(【0038】【0039】【0047】)、従来の引抜加工用ダイス901では、棒材の角を直角にする目的で、ベアリング部901bの断面の2辺を加工することなくそのまま突き当ててい たのに対し(【0054】【図3】【図6】)、本件各発明に関わる引抜加工用ダイス101のベアリング部101bでは、当該ベアリング部の開口部の断面形状(以下、単に「断面形状」という。)につき、図6で表した「基礎となる多角形断面」の「角」にあたる部分を円弧、すなわち曲線で結ぶように置き換えたものである。 具体的な実施例(以下「本件実施例」という。)では、1辺が4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線) 体的な実施例(以下「本件実施例」という。)では、1辺が4㎜の四角形断面の棒材を作成する場合、引抜加工用ダイス101のベアリング部101bの開口部の一つの「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶものとし、これにより、当該「角」に溜まっていた潤滑剤の塊が1か所に固まりづらくなり(【0055】【図7】【図10】)、「基礎と なる多角形断面」である四角形断面の4か所の「角」すべてを同様に処理すれば、すべての位置で潤滑剤が溜まりづらくなること(【0056】。 なお、本件実施例においては、基礎となる多角形である四角形の「角」をつなぐ円弧は、曲率半径0.8㎜程度の円の円弧であり、かつ、当該円が開口部の角部を形成する二つの辺に内接するように角にあたる部分が円弧 に置き換えられていることがうかがわれる(弁論の全趣旨)。)、四角形を含む多角形の全ての「角」をこのように丸めた形状とすれば、潤滑剤がたまる「角」がなくなり、結果として、このダイス101では円断面のダイスと同じような潤滑剤の挙動になり、潤滑剤の塊ができにくくなること(【0057】~【0059】、【0069】)が本件明細書に記載され ている。 しかし、本件実施例における1辺の長さや曲率半径の各数値及びその組合せの技術的意義に係る記載又は示唆はなく、本件実施例の構成のみから、他の「略多角形」において具体的にどのように構成することになるのかを理解するに足りる記載や示唆も本件明細書には見当たらない。 そうすると、本件明細書においては、引抜加工用ダイスの断面形状の略 多角形の一つ以上の「角」を円弧に置き換えることにより、引抜加工用ダイスと材料線材との間の空間において、粉状の潤滑剤が1か所に留まることを防ぎ、また、塊が発生した場合には、塊を脱落させやすくす 多角形の一つ以上の「角」を円弧に置き換えることにより、引抜加工用ダイスと材料線材との間の空間において、粉状の潤滑剤が1か所に留まることを防ぎ、また、塊が発生した場合には、塊を脱落させやすくするという技術思想(以下「本件技術思想」という。)が開示されているが、効果の発生機序・原理についての説明はなく、実施例としては、①引抜加工によ る完成線材が棒材であり、②棒材は四角形断面であり、③作成される棒材は1辺が4㎜である場合において、④ダイスの開口部の角を曲率半径0. 8㎜程度の円弧で結ぶことにより「丸めた」形状としたときは、潤滑剤の塊ができにくくなることが開示されているにとどまる。本件実施例における「曲率半径0.8㎜程度の円弧」は、前記のとおり、角部を形成する二 つの辺に内接する円の円弧であることがうかがわれるから、当該円弧に係る円の中心の位置は、内接円の中心の位置にあるものと考えられるが、本件実施例で採用された1辺の長さの数値(4mm)、円弧の曲率半径の数値(0.8mm 程度)及びこれらの組合せの技術的意義の有無及び効果の程度は不明である。 イしかるところ、本件訂正前の本件発明1、7及び8の「略多角形」につき「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」を追加するC-2事項は、断面形状である多角形の形状の種類や、その1辺の長さの程度にかかわらず、当該多角形の「角」を「少なくとも半径0.8㎜の曲 率の円弧」に置換するとして、当該円弧の曲率半径を「最低0.8㎜」と するもので、かつ、当該円弧は内接円のものに限定されていない。しかし、前記のとおり、本件実施例で採用された円弧の曲率半径「0.8㎜程度」(0.8㎜及びその近傍の値 径を「最低0.8㎜」と するもので、かつ、当該円弧は内接円のものに限定されていない。しかし、前記のとおり、本件実施例で採用された円弧の曲率半径「0.8㎜程度」(0.8㎜及びその近傍の値を意味する。)という数値の技術的意義については、本件明細書には何ら記載されておらず、これを示唆するような記載もない。本件実施例は1辺の長さ4mm の略四角形で内接円の円弧で角 を置き換えるものにすぎず、多角形の形状の種類や、その1辺の長さの程度、円弧の中心の位置にかかわらず、角を置き換える円弧の曲率半径の最低値を「0.8mm」とすることの技術的意義は、本件明細書には記載されていなかった事項である。また、C-2事項は、断面形状である基礎となる多角形の形状やその1辺の長さ、円弧の中心の位置について何ら特定・ 限定していないところ、本件実施例は、引抜加工対象の棒材が四角形断面であり、作成される棒材の1辺が4㎜であることを前提とするものであって、本件明細書には、本件実施例以外の実施例は掲げられておらず、本件実施例の各数値の組合せの技術的意義又は本件発明における効果の発生機序・原理についての一般的な説明もないのであるから、本件明細書には、 本件技術思想は開示されていても、具体的な技術的事項として、本件実施例に開示された事項の範囲を超える事項は記載されていないというべきである。 そうすると、C-2事項は、本件明細書の当初記載事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものといわざるを得ない。 ウそうすると、本件訂正1等を含む本件訂正は、本件明細書に記載した事項の範囲内における訂正ということはできないというべきである。 ⑹ 被告の主張についてア被告は、本件明細書の「半径0.8㎜程度」の記載(【0055】)等からすると 、本件明細書に記載した事項の範囲内における訂正ということはできないというべきである。 ⑹ 被告の主張についてア被告は、本件明細書の「半径0.8㎜程度」の記載(【0055】)等からすると、曲率「半径0.8㎜の円弧」及び曲率「半径0.8㎜近傍の 円弧」については、本件明細書に開示されており、加えて、角に潤滑剤の 塊が溜まるという課題は、曲率半径が大きいほど角部の曲がり度合いが緩やかになり、円断面に近づく結果、潤滑剤の塊が溜まりにくくなって改善されることは明らかであるから、本件訂正1等の曲率「半径0.8㎜以上の円弧」であれば、発明の効果が得られることは本件明細書の記載から自明であるなどと主張する。 しかしながら、本件実施例に開示された「半径0.8mm」又は「半径0. 8mm 近傍」の円弧は、1辺の長さ4mm の略四角形において角を置き換える内接円の円弧についてのものであって、多角形の形状や1辺の長さがこれと異なったり、内接円以外の円弧であったりした場合にも、発明の効果が得られることが本件明細書の記載から自明であるということはできない。 確かに、基礎となる多角形の「角」を「円弧」に置換する場合、曲率半径が大きいほど、円弧の曲がり度合いは緩やかになるものということはできる。しかし、例えば、曲率半径の大小にかかわらず、円弧に係る円の中心の位置によっては、円弧が角部を形成する隣り合う2辺に接するのではなく、2辺を横切る場合もあり得る。後者の場合のように、円弧が2辺を横 切る場合には、同部分において新たに直線と曲線による角が形成されるため、前者の場合の方がより円断面に近づくといい得る場合も考えられるところであり、そうすると、曲率半径の大小によって円断面に近づくか否かが直ちに定まるものではなく、曲 直線と曲線による角が形成されるため、前者の場合の方がより円断面に近づくといい得る場合も考えられるところであり、そうすると、曲率半径の大小によって円断面に近づくか否かが直ちに定まるものではなく、曲率半径が大きくなればなるほど円断面に近づくということはできないというべきである。 なお、被告は、当該多角形の「角」を「円弧」で置換する場合、当業者は、角部を形成する二つの辺に内接する円の円弧により置換することとなると主張するが、「角」を「円弧」で置き換える方法は、角部を形成する二つの辺に内接する円の円弧により置き換えることにより「角を丸める」方法に限られるわけではない。当業者においてベアリング部の開口部の角 部を円弧で置換する場合、角部を形成する隣り合う2辺に円が内接するよ うにして当該円が2辺と接する接点間の円弧で置換する方法(内接型)だけでなく、多角形の中心から各辺までの最短距離よりも半径の長さが大きい円が角部を形成する隣り合う2辺を横切る円弧で置換する方法(非内接型)もあるものと認められ(甲19、20、51、53)、内接型(角を丸める方法)が技術常識であるということはできないからである。 よって、本件明細書の記載から「角」に置換される円弧につき、1辺の長さや円弧の中心の位置にかかわらず、最低曲率「半径0.8㎜以上の円弧」であれば発明の効果が得られる構成が開示されていると認めることはできない。したがって、本件実施例に限定する訂正を行う場合は別として、本件訂正に関する限り、それが新規事項の追加に当たらないとする被告の 主張を採用することはできない。 イ被告は、角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、角の形状を曲線で置換することで改善するから、開口部を1辺4㎜の四角形以外の多角形とした場合であっても 主張を採用することはできない。 イ被告は、角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、角の形状を曲線で置換することで改善するから、開口部を1辺4㎜の四角形以外の多角形とした場合であっても、その少なくとも1の角を、曲率半径0.8㎜以上の円弧とし円断面に近づければ、潤滑剤の塊が溜まりにくくなることは明らかであ るし、潤滑剤の塊の溜まりやすさは、曲率半径に依拠するから、1辺の長さは影響しないなどと主張する。 しかしながら、前記アのとおり、発明の効果の発生機序・原理についての説明がなく、実施例が本件実施例一つしか掲げられておらず、本件実施例で採用された数値の技術的意義についての説明もない本件明細書に記載 された内容からは、置換する円弧の曲率半径が大きくなればなるほど、開口部の角部が緩やかな曲線になるとか、円断面に近づくとは必ずしもいうことはできず、これによれば、置換する円弧の曲率半径が大きいほど、潤滑剤の塊が溜まりにくくなることが明らかであるともいい難い。 そもそも、潤滑剤の塊の形成に関しては、引抜加工の加工発熱により粉 末から油膜となった潤滑剤に、粉状の潤滑剤が付着することによって塊と なり、引抜加工を連続することで塊が肥大化するものであるが、引抜加工用ダイスの回転により溜まった潤滑剤の塊が脱落したり肥大化が抑止されたりし、潤滑剤の挙動も、円断面のダイスと同じような挙動になると塊ができにくくなることは、本件明細書にも記載されている(【0015】【0038】【0039】【0059】)。このような引抜加工の工程に おける潤滑剤の挙動を踏まえると、潤滑剤の溜まりやすさの要因においては、角部に置換する円弧の曲率半径だけでなく、多角形の断面形状、円弧に置換される角の数、線材の種類、潤滑剤の種類( 工の工程に おける潤滑剤の挙動を踏まえると、潤滑剤の溜まりやすさの要因においては、角部に置換する円弧の曲率半径だけでなく、多角形の断面形状、円弧に置換される角の数、線材の種類、潤滑剤の種類(粘性、密度、量)、加工時の回転の有無、加工発熱の度合いなど種々のものが考慮されるべきものといえる。そうすると、本件明細書において、曲率半径のみにより潤滑 剤の溜まりやすさが定まることが開示されているものともいい難い。 よって、本件明細書の記載から、開口部の角部に置換する円弧の曲率半径が0.8mm 以上であれば、潤滑剤が溜まりにくくなることが開示されていると認めることはできず、新規事項の追加に当たらないとする被告の主張を採用することはできない。 ⑺ 以上によれば、本件訂正1等を含む本件訂正は、新たな技術的事項を導入するものであるから、訂正要件(特許法134条の2第9項、126条5項)に違反し、これに適合するとした本件審決の判断には誤りがある。 2 したがって、その余の取消事由等について判断するまでもなく、本件審決の判断には誤りがあるから、これを取り消すのが相当である。 第5 結論よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 菊池絵理 裁判官頼晋一 (別紙)審理再開時の特許請求の範囲の記載【請求項1】略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、 内部に収納された潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有し、前記開口部の断面形状が前記材料線材の引抜方向に沿って同じであることを特徴とする引抜加工機 【請求項2】請求項1記載の引抜加工機において、加工開始時間からの経過時間に応じて、前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機【請求項3】 請求項2記載の引抜加工機において、更にドローイングマシンと、前記ドローイングマシンの進行方向を規定するガイドレールと、を含み、前記ドローイングマシンが前記ガイドレール上のいずれの位置に存在するかに応じて前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機 【請求項4】請求項2記載の引抜加工機において、更にドローイングマシンと、前記ドローイングマシンの進行方向を規定するガイドレールと、を含み、加工開始後に前記ドローイングマシンがガイドレール上のどれだけ進んだかに応じて 前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項記載の引 に前記ドローイングマシンがガイドレール上のどれだけ進んだかに応じて 前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項記載の引抜加工機において、前記略多角形は基礎となる多角形の少なくとも1の角を円弧でつないだものに置き換えたものであることを特徴とする引抜加工機 【請求項6】請求項1乃至4のいずれか1項記載の引抜加工機において、前記略多角形は、基礎となる多角形のすべての角を曲線でつないだものに置き換えたものであることを特徴とする引抜加工機【請求項7】 略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイスと、前記引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、前記引抜加工用ダイスに引き込まれる線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含む引抜加工機であって、 前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させ、前記引抜加工用ダイスの回転によって溜まった潤滑剤の塊が前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間から脱落することを特徴とする引抜加工機 【請求項8】略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイスと、前記引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、前記引抜加工用ダイスに引き込まれる材料線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含 む引抜加工機であって、前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイス む引抜加工機であって、前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させ、前記引抜加工用ダイスの回転によって前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間に 溜まる潤滑剤の塊が一定以上の大きさになることを抑止することを特徴とする引抜加工機【請求項9】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間は、前記引抜加工用ダイスのアプローチ 部にできるものであることを特徴とする引抜加工機【請求項10】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間は、前記引抜加工用ダイスのバックリリーフ部にできるものであることを特徴とする引抜加工機 【請求項11】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、更にドローイングマシンを含み、前記ドローイングマシンが前記引抜加工用ダイスに引き込まれた線材を引き抜くことを特徴とする引抜加工機 【請求項12】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、更にドラムと、前記ドラムを回転させる電動機を含む線引き器を含み、前記線引き器が前記引抜加工用ダイスに引き込まれた線材を引き抜くことを特徴とする引抜加工機 以上 (別紙)本件訂正後の特許請求の範囲の記載【請求項1】A 略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、 B 内部に収納された潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれ スの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、 B 内部に収納された潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、C-1 前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有し、C-2 前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、 D 前記開口部の断面形状は前記材料線材の引抜方向に沿って同じであることを特徴とする引抜加工機【請求項2】請求項1記載の引抜加工機において、E 加工開始時間からの経過時間に応じて、前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させ ることを特徴とする引抜加工機【請求項3】請求項2記載の引抜加工機において、F 更にドローイングマシンと、G 前記ドローイングマシンの進行方向を規定するガイドレールと、を含み、 H 前記ドローイングマシンが前記ガイドレール上のいずれの位置に存在するかに応じて前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機【請求項4】請求項2記載の引抜加工機において、F 更にドローイングマシンと、 G 前記ドローイングマシンの進行方向を規定するガイドレールと、を含み、I 加工開始後に前記ドローイングマシンがガイドレール上のどれだけ進んだかに応じて前記ダイスホルダーが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機【請求項5】(削除)【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか1項記載の引抜加工機において、K 前記略多角形は、基礎となる多角形のすべての角を前記円弧でつないだものに置き換えたもので 【請求項5】(削除)【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか1項記載の引抜加工機において、K 前記略多角形は、基礎となる多角形のすべての角を前記円弧でつないだものに置き換えたものであることを特徴とする引抜加工機【請求項7】A、C-1 略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工 用ダイスと、A 前記引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、B 前記引抜加工用ダイスに引き込まれる線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含む引抜加工機であって、 C-2 前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、D 前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、A 前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させ、 L 前記引抜加工用ダイスの回転によって溜まった潤滑剤の塊が前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間から脱落することを特徴とする引抜加工機【請求項8】A、C-1 略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイスと、 A 前記引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、B 前記引抜加工用ダイスに引き込まれる材料線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含む引抜加工機であって、C-2 前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、 D 前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、A 前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心と いだものに置き換えたものであり、 D 前記ベアリング部開口部断面形状が前記線材の引抜方向に沿って同じであり、A 前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させ、M 前記引抜加工用ダイスの回転によって前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間に溜まる潤滑剤の塊が一定以上の大きさになることを抑止することを特徴とする引抜加工機 【請求項9】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、N 前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間は、前記引抜加工用ダイスのアプローチ部にできるものであることを特徴とする引抜加工機【請求項10】 請求項7又は8に記載の引抜加工機において、O 前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間は、前記引抜加工用ダイスのバックリリーフ部にできるものであることを特徴とする引抜加工機【請求項11】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、 F 更にドローイングマシンを含み、P 前記ドローイングマシンが前記引抜加工用ダイスに引き込まれた線材を引き抜くことを特徴とする引抜加工機【請求項12】請求項7又は8に記載の引抜加工機において、 Q 更にドラムと、R 前記ドラムを回転させる電動機を含む線引き器を含み、S 前記線引き器が前記引抜加工用ダイスに引き込まれた線材を引き抜くことを特徴とする引抜加工機以上 (別紙)本件審決の理由の要旨審理再開後の本件無効審判で主張された無効理由のうち、本件訴訟で取消事由として主張されているものは、無効理由1(訂正要件違反)、無効理由2(明確性要件違反)、無効理由3(サポート要件違反)、無効理由4-1(公知・公然実施発明に基づく進歩性 理由のうち、本件訴訟で取消事由として主張されているものは、無効理由1(訂正要件違反)、無効理由2(明確性要件違反)、無効理由3(サポート要件違反)、無効理由4-1(公知・公然実施発明に基づく進歩性欠 如)、無効理由4-2(甲2記載の発明に基づく進歩性欠如)である。このうち、無効理由2から無効理由4-2までに対する本件審決の判断の理由の要旨は、以下のとおりである。 1 無効理由2(明確性要件違反)について⑴ 本件訂正発明1、7、8は、引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の略多角形 につき、基礎となる多角形の「少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだもの」と特定しているところ、引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の少なくとも1つの角部の円弧について、その曲率半径が0.8㎜以上であれば本件訂正発明1、7、8の技術的範囲に含まれ、0.8㎜未満であれば技術的範囲に含まれないことは明らかであるから、本件訂正発明1、7、8の技術的範囲に不明確 なところはない。 ⑵ また、「少なくとも半径0.8㎜」との記載は、「半径0.8㎜」が最小値となる「半径0.8㎜以上」と解釈でき、被告も本件訂正の訂正請求書において同旨の解釈を述べていることからすると、上記記載が第三者の利益が不当に害されるほど不明確であるとはいえない。「少なくとも」は副詞であるが「いくら少なく見積もっても、 最小にしても」等の意味を有する用語であることに鑑みれば、同用語により記載が不明確ということはできない。 ⑶ したがって、本件訂正後の特許請求の範囲請求項1、7、8及びこれらの従属項に係る本件各訂正発明は、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反しない。 2 無効理由3(サポート要件違反)について ⑴ 本件訂正発明1、7 請求の範囲請求項1、7、8及びこれらの従属項に係る本件各訂正発明は、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反しない。 2 無効理由3(サポート要件違反)について ⑴ 本件訂正発明1、7、8の「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」との構成は、本件明細書(【0055】)に記載されている。また、本件各訂正発明が、半径0.8㎜超の曲率を含むものであることは、本件明細書(【0055】【0059】)の記載から、角の円弧の曲率半径が0.8㎜より大きくなるほど円断面に近づ くことから、基礎となる多角形の少なくとも1の角を、円断面に近づけるように曲率半径0.8㎜以上の円弧とすること、すなわち、少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧とすることは、本件明細書にサポートされている。 ⑵ 本件明細書(【0015】【0020】【0055】【0069】)の記載からは、引抜加工用ダイスのべアリング部の断面形状において、開口部の「角」に当たる部分 には、材料線材との間に、加工発熱(ドローイングマシンの引抜き時におけるアプローチ部での加工発熱)が及ばない空間(隙間)が生じ、潤滑剤が油膜とならずに塊となり、さらに回転に伴う遠心力によって「角」の空間に集中的に溜まってしまうという課題に対し、開口部の「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧で結ぶことで、加工発熱が及ばない空間(隙間)をなくし、アプローチ部で発生した加工発熱がベアリン グ部の当該「角」の円弧に伝熱しやすくなるとともに、材料線材との間での摩擦熱が生じやすくなることで、潤滑剤の塊の発生を抑制し、仮に、潤滑剤の塊が生じて遠心力が作用しても、当該「角」が円弧であることで一ゕ所に潤滑剤が溜まることなく分散し るとともに、材料線材との間での摩擦熱が生じやすくなることで、潤滑剤の塊の発生を抑制し、仮に、潤滑剤の塊が生じて遠心力が作用しても、当該「角」が円弧であることで一ゕ所に潤滑剤が溜まることなく分散し、潤滑剤の塊の肥大化が抑制されることで、塊ができたとしても「角」に溜まることがないことが理解できる。 そして、本件訂正発明1、7、8のC-2の特定事項によれば、潤滑剤の塊の発生を防ぐとの課題を解決できることは明らかである。また、加工発熱の及ばない空間(隙間)は、ベアリング部の断面形状が「略多角形」であれば生じるものであるが(【0055】)、当該空間を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えることで潤滑剤の塊の発生が防げることは明らかであるから、本件各訂正 発明が、多角形の具体的な形状や1辺の長さを特定していないとしても課題は解決できる。さらに、本件明細書を参酌しても、課題を解決するために基礎となる多角形の角に形成する円弧の曲率半径が、多角形の具体的な形状や1辺の長さとの関係で設計されるべきことも記載されていない。 よって、開口部の角部の丸みの曲率半径を0.8㎜以上とするだけで開口部の角部 における潤滑剤を溜まりにくくすることができると当業者は理解することができないとはいえない。 ⑶ したがって、本件訂正後の特許請求の範囲請求項1、7、8及びこれらの従属項に係る本件各訂正発明は、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反しない。 3 無効理由4-1(公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如)について ⑴ 審理再開後の本件無効審判手続における原告の令和5年3月27日付け弁駁書及び同年6月20日付け回答書による主張や証拠(甲1、34、35)によれば、次のとおりの公知・公然実施発明が認められ、これと本件訂 理再開後の本件無効審判手続における原告の令和5年3月27日付け弁駁書及び同年6月20日付け回答書による主張や証拠(甲1、34、35)によれば、次のとおりの公知・公然実施発明が認められ、これと本件訂正発明1を対比すると、次のとおりの一致点、相違点が認められる。 (公知・公然実施発明) A′略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、B′潤滑剤が材料線材に塗布された後、前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、 C′前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部が四角形であり、その四隅の角が曲率半径0.4㎜の円弧となっている断面形状を有し、D′前記開口部の断面形状は前記材料線材の引抜方向に沿って同じである引抜加工機(一致点)略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒 形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有し、前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を円弧でつないだものに置き換えたものであり、前記開口部の断面形状は前 記材料線材の引抜方向に沿って同じである引抜加工機(相違点A)潤滑剤について、本件訂正発明1は「内部に収納された」ものであるのに対し、公知・公然実施発明では内部に収納されているか不明である点(相違点B) 引抜加工用ダイスのベアリング部の開口 潤滑剤について、本件訂正発明1は「内部に収納された」ものであるのに対し、公知・公然実施発明では内部に収納されているか不明である点(相違点B) 引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の略多角形の断面形状が、本件訂正発明1は「基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」であるのに対し、公知・公然実施発明は、四隅の角が曲率半径0.4㎜の円弧となっている断面形状である点⑵ 相違点Bについて、公知・公然実施発明のように、引抜加工用ダイスのベアリング 部の開口部の略多角形の断面形状として、四角形(基礎となる多角形)の四隅(少なくとも1の角)を曲率半径0.4㎜の円弧でつないだものが公知又は公然実施であったとしても、相違点Bの構成とするには、円弧の曲率半径を0.4㎜から0.8㎜以上に改変する必要がある。しかし、多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの課題を解決するために、引抜加工用ダイスのベアリング部の断面形状において 「基礎となる多角形断面」の「角」に当たる部分を円弧で結ぶように置き換えるとの技術思想や、開口部の多角形の角における潤滑剤の塊の発生を防ぐために円弧の曲率半径を大きくして円断面に近づけるという技術思想が、いずれも公知又は周知であったとはいえないから、四隅の角が曲率半径0.4㎜の円弧となっている公知・公然実施発明において、四隅の角を曲率半径0.8㎜以上の円弧とすることの動機付けはな い。また、書証(甲36)においても、0.8㎜以上の曲率は、当業者の通常の設計の範囲外であったと解されるし、本件訂正発明1は、相違点Bの構成により多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの予測し得ない作用効果を奏するので、設計事項の範疇ともいえない。した の通常の設計の範囲外であったと解されるし、本件訂正発明1は、相違点Bの構成により多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの予測し得ない作用効果を奏するので、設計事項の範疇ともいえない。したがって、本件訂正発明1は、公知・公然実施発明に基づき、当業者が容易になし得たとはいえない。 また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~4、6は、公知・公然実施発明と対比すると、少なくとも相違点Bで相違し、本件訂正発明1と同様の発明特定事項を有する本件訂正発明7及び8並びに本件訂正発明7又は8を引用する本件訂正発明9~12も、公知・公然実施発明と対比すると、少なくとも相違点Bで相違する。よって、これらの発明は、公知・公然実施発明に基づき、当業者が容易になし得たとは いえない。 ⑶ したがって、本件各訂正発明に、公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由は認められない。 4 無効理由4-2(甲2記載の発明に基づく進歩性欠如)について⑴ア本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲2(特公昭32-3856号公 報)によれば、次のとおりの発明(以下「甲2発明」ともいう。)が認められ、これと本件訂正発明1を対比すると、次のとおりの一致点、相違点が認められる。 (甲2発明)略円筒形形状をもつ型9を保持し前記型9の前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記型9を廻転し得る支持材5と、内部に収納された石鹸が線に塗布された後 前記型9に前記線が引き込まれる石鹸箱8と、を含む冷間引抜方法を実施する装置であって、前記型9の通路の断面が隅に円味を附する多角形であり、前記通路の断面形状が線の長手方向に沿って向き及び面積が異なっており、前記型9の通路は型9の外方に向けて拡径され 引抜方法を実施する装置であって、前記型9の通路の断面が隅に円味を附する多角形であり、前記通路の断面形状が線の長手方向に沿って向き及び面積が異なっており、前記型9の通路は型9の外方に向けて拡径されている冷間引抜方法を実施する装置(一致点) 略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、内部に収納された潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、前記引抜加工用ダイスの開口部は略多角形の断面形状を有する引抜加工機 (相違点a)略多角形の断面形状を有しているものが、本件訂正発明1の引抜加工用ダイスでは、「前記開口部の断面形状は前記材料線材の引抜方向に沿って同じである」「ベアリング部」であるのに対し、甲2発明の型9では、断面形状が線の長手方向に沿って向き及び面積が異なっている通路であり、つまり、通路の断面積が最小になる 点22(甲2の第3図)には線の長手方向に幅がないため、本件訂正発明1の「開口部の断面形状は材料線材の引抜方向に沿って同じである」「ベアリング部」に相当する部分を有していない点(相違点b)引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の略多角形の断面形状が、本件訂正発 明1では、「基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」であるのに対し、甲2発明は型9の通路の断面が隅に円味を附する多角形である点イ相違点aについて、引抜加工用ダイスのベアリン 少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」であるのに対し、甲2発明は型9の通路の断面が隅に円味を附する多角形である点イ相違点aについて、引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の断面形状が、「材料線材の引抜方向に沿って同じであること」という周知技術が存在するとして も、仮に、甲2発明の「略多角形の断面形状を有している」「開口部の断面形状」に対して、当該周知技術を適用し、「ベアリング部」の「開口部の断面形状」を「材料線材の引抜方向に沿って同じ」にすれば、型内の線を引いても、型はこれに連動して回転することはなくなり、単一動作で螺状線を得ることができないから、甲2発明の非円形断面の螺状線を、単一動作で得るという課題に反することになる。 よって、甲2発明に対する周知技術の適用には阻害要因があり、甲2発明に周知技術を適用し、相違点aの構成とする動機が存在するとはいえない。 相違点bについて、甲2には、多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの課題認識がなく、当該課題を解決するために、引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の断面形状において「基礎となる多角形断面」の「角」にあたる部分を 円弧で結ぶように置き換えるとの技術思想の記載もない。その他の証拠を参酌しても、当該課題を解決するために、前記技術思想が公知又は周知であったとか、開口部の多角形の角における潤滑剤の塊の発生を防ぐために、円弧の曲率半径を大きくして円断面に近づけるという技術思想が公知又は周知であったとはいえない。よって、甲2発明を相違点bの構成に改変することの動機付けは見いだせない。加えて、 本件訂正発明1は、相違点bの構成を備えることで、多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの予測し得ない作用効 相違点bの構成に改変することの動機付けは見いだせない。加えて、 本件訂正発明1は、相違点bの構成を備えることで、多角形の角における潤滑剤の塊の発生を極力防ぐとの予測し得ない作用効果を奏するから、単なる設計事項の範疇でもない。 ウよって、本件訂正発明1は、甲2発明等に基づいて当業者が容易に発明することができたものではなく、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~4、6も、甲 2発明等に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 ⑵ア甲2発明と本件訂正発明7を対比すると、次のとおりの一致点、相違点が認められる。 (一致点)略多角形の開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイスと、前記 引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーと、前記引抜加工用ダイスに引き込まれる線材に潤滑剤を塗布するボックスと、を含む引抜加工機であって、前記ダイスホルダーは前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させ、前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間を有する引抜加工機 (相違点d)略多角形の断面形状を有しているものが、本件訂正発明7の引抜加工用ダイスでは、「開口部断面形状が前記材料線材の引抜方向に沿って同じであ」る「ベアリング部」であるのに対し、甲2発明の型9では、断面形状が線の長手方向に沿って向き及び面積が異なっている通路であり、つまり、通路の断面積が最小になる点22 (甲2の第3図)には線の長手方向に幅がないため、本件訂正発明7の「開口部断面形状が材料線材の引抜方向に沿って同じであ」る「ベアリング部」に相当する部分を有していない点(相違点e)本件訂正発明7が「前記引抜加工用ダイスの回転によって溜ま 明7の「開口部断面形状が材料線材の引抜方向に沿って同じであ」る「ベアリング部」に相当する部分を有していない点(相違点e)本件訂正発明7が「前記引抜加工用ダイスの回転によって溜まった潤滑剤の塊が 前記引抜加工用ダイスと前記線材の間の空間から脱落する」ものであるのに対し、甲2発明は空間を有していることは認められるが、潤滑剤の塊が脱落することについては不明である点(相違点f)引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部の略多角形の断面形状が、本件訂正発 明7では、「基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」であるのに対し、甲2発明は型9の通路の断面が隅に円味を附する多角形である点イ相違点dは、本件訂正発明1の相違点aと実質的差異はないから、甲2発明に周知技術を適用し、相違点dに係る本件訂正発明7の構成とする動機が存在しない。 また、相違点fは、本件訂正発明1の相違点bと実質的差異はないから、甲2発明等に基づいて容易になし得たとはいえない。 ウよって、本件訂正発明7は、甲2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 エ甲2発明と本件訂正発明8を対比すると、本件訂正発明7における相違点d、f と同じ内容であるから、前記のとおり、甲2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたとはいえない。 オよって、本件訂正発明7、8は、甲2発明等に基づいて当業者が容易に発明することができたものではなく、本件訂正発明7、8を引用する本件訂正発明9~12も、甲2発明等に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 ⑶ したがって、本件各訂正発明に、甲2発 ことができたものではなく、本件訂正発明7、8を引用する本件訂正発明9~12も、甲2発明等に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 ⑶ したがって、本件各訂正発明に、甲2発明に基づく進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由は認められない。 以上 (別紙)本件訂正の訂正事項 1 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有」するとの事項の「略多角形」につき、本件訂正後の請求項1のC-2「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも 半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、」の事項を付加する訂正である。また、請求項1を引用する請求項2から4まで、請求項6についても同様に訂正する。 2 訂正事項2は、請求項5を削除する訂正である。 3 訂正事項3は、本件訂正前の請求項6の「前記略多角形は、基礎となる多角形のすべ ての角を曲線でつないだものに置き換えたものである」を「前記略多角形は、基礎となる多角形のすべての角を前記円弧でつないだものに置き換えたものである」とする訂正である。 4 訂正事項4は、本件訂正前の請求項7の「略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイス」につき本件訂正後の請求項7のC-2「前 記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、」の事項を付加する訂正である。また、請求項7を引用する請求項9から12までについても同様に訂正する。 5 訂正事項5は、本件訂正前の請求項8の「略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイス」につき本件訂 求項7を引用する請求項9から12までについても同様に訂正する。 5 訂正事項5は、本件訂正前の請求項8の「略多角形のベアリング部開口部断面形状を持ち略円筒形形状をした引抜加工用ダイス」につき本件訂正後の請求項8のC-2「前 記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたものであり、」の事項を付加する訂正である。また、請求項8を引用する請求項9から12までについても同様に訂正する。 以上 (別紙)取消事由についての当事者の主張本件訴訟で主張された本件審決に対する取消事由は、取消事由1(無効理由1〔訂正要件違反〕の判断の誤り)、取消事由2(無効理由3〔サポート要件違反〕の判断の誤り)、取消事由3(無効理由2〔明確性要件違反〕の判断の誤り)、取消事由4(無効理由4- 1〔公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)、取消事由5(無効理由4-2〔甲2記載の発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)である。このうち、取消事由2から取消事由5までについての当事者の主張は、以下のとおりである。 1 取消事由2(無効理由3〔サポート要件違反〕の判断の誤り)⑴ 原告の主張 ア本件明細書の段落【0055】に記載されているのは、判決本文第3の2⑴イ①ないし③を前提条件として、④ダイスのベアリング部の開口部のその角の1つを半径0.8㎜程度の曲率の円弧(曲線)で結ぶとの技術的思想のみであるのに、前記前提条件を捨象し、④も半径0.8㎜を下限とするとの内容が発明の詳細な説明に記載されているとする本件審決の判断は、明らかに誤りである。 イまた、開口部の角部の潤滑剤の溜まり あるのに、前記前提条件を捨象し、④も半径0.8㎜を下限とするとの内容が発明の詳細な説明に記載されているとする本件審決の判断は、明らかに誤りである。 イまた、開口部の角部の潤滑剤の溜まりやすさは、線材の種類、潤滑剤の種類、加工発熱の度合い等の種々の要因により定まるものであり、角部の曲率半径のみによって定まるものではない。このため、段落【0055】【0059】の記載から「少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧とすることは、本件明細書等にサポートされている」とする本件審決は前提に誤りがある。 ウ加えて、本件明細書の段落【0015】【0020】【0055】のいずれにおいても、①「加工発熱…が及ばない空間(隙間)が生じる」こと、②「回転に伴う遠心力によって当該「角」の空間に集中的に溜まってしまうとの課題」があること、③「開口部の「角」を半径0.8㎜程度の曲率の円弧で結ぶことで、加工発熱が及ばない空間(隙間)をなくし、アプローチ部にて発生した加工発熱がベアリング部 の当該「角」の円弧に伝熱しやすくなる」こと、④「材料線材との間での摩擦熱が生じやすくなることにより潤滑剤の塊の発生を抑制し、仮に、潤滑剤の塊が生じて遠心力が作用したとしても、当該「角」が円弧であることにより1か所に潤滑剤がたまることなく分散して、潤滑剤の塊が肥大化することが抑制される」こととの各技術事項は、記載されておらず、本件明細書の記載から、当業者が理解することも 不可能である。本件審決の理由付けについても同様であり、本件審決は、本件明細書に記載のない事項を考慮しているから、本件審決の判断の前提において誤りがある。 エしたがって、本件各訂正発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえず、かつ発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解 慮しているから、本件審決の判断の前提において誤りがある。 エしたがって、本件各訂正発明は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえず、かつ発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識で きる範囲のものではないから、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反する。 よって、本件審決の判断には誤りがある。 ⑵ 被告の主張ア角に潤滑剤の塊が溜まるとの課題は、開口部の角を曲率半径が0.8㎜程度の円弧で置き換えることにより改善するから、原告の主張する前記ア①~③の条件を満 たし、かつ開口部の角の曲率半径が半径0.8㎜程度の円弧の場合にのみ、潤滑剤の塊が溜まりにくくなるわけではなく、1辺の長さや形状がどのようなものであっても、当該多角形の角の曲率半径が0.8㎜程度の円弧であれば、角に潤滑剤の塊が溜まりにくくなり、曲率半径が0.8㎜より大きくなるほど、角部の曲がり度合いはより緩やかになって円断面に近づき、従来に比して塊がたまりにくくなること は、出願時の技術常識から当業者は容易に理解できる。よって、本件明細書の記載から本件訂正1等に係るC-2の構成が発明の詳細な説明に記載されていることは明らかである。 イ原告が本件明細書に記載がないと主張する前記ウ①~④の技術事項は、本件明細書の段落【0015】【0055】の記載から当業者は容易に理解できる。 ウしたがって、本件各訂正発明は、サポート要件(特許法36条6項1号)に違反しない。 2 取消事由3(無効理由2〔明確性要件違反〕の判断の誤り)⑴ 原告の主張ア本件は、当業者がC-2の①「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも 1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」に の判断の誤り)⑴ 原告の主張ア本件は、当業者がC-2の①「前記略多角形は、基礎となる多角形の少なくとも 1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだものに置き換えたもの」に接したときに、ワイヤー放電による通常の加工で生じる円弧をダイスのベアリング部の開口部の角に有する形状と②「1の角を少なくとも半径0.8㎜の曲率の円弧でつないだもの」との形状を、客観的な外観の形状から区別することができない場合には、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確というべきである。また、 特許請求の範囲の記載を見ても、発明の効果が得られるか否かが客観的に明らかではなく、技術的範囲が不明確である。前記C-2の1辺の長さが規定されておらず、棒材の四角形断面の1辺が4㎜よい大きい場合や、1辺が1.6㎜より小さい場合にどうなるのかは客観的に明らかではない。 イしたがって、本件各訂正発明の記載のうちC-2の記載は、当業者において発明 の効果が得られるのかが客観的に明らかではなく、この結果、C-2の記載は第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反する。よって、本件審決の判断には誤りがある。 ⑵ 被告の主張ア原告が不明確と主張する前記ア①、②の記載は、曲率半径が0.8㎜以上かそれ 未満かによって本件各訂正発明の技術的範囲に含まれるか否かが明らかで明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼすことはない。当業者がワイヤー放電による通常の加工で生じる円弧を角にする形状(0.3㎜程度の曲率の円弧)と「1の角を少なくとも0.8㎜の円弧でつないだもの」との形状を客観的に区別できるかの問題は、明確性とは無関係である。 イしたがって、本件各訂正発明は、明確性要件(特許法36条6項2号) 「1の角を少なくとも0.8㎜の円弧でつないだもの」との形状を客観的に区別できるかの問題は、明確性とは無関係である。 イしたがって、本件各訂正発明は、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反しない。 3 取消事由4(無効理由4-1〔公知・公然実施発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)⑴ 原告の主張 ア本件特許の優先日前から訴外株式会社テイビョウにより使用されていた引抜加工機及び回転ダイス(甲1、34、36、38、43等)は、次の構成を有する。よって、本件審決は、公知・公然実施発明の認定につき誤りがある。 (公知・公然実施発明)A′略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略 円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、B′潤滑剤が材料線材に塗布された後、前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、C′ダイスのベアリング部の開口が四隅の角が曲率半径0.827㎜(本件回転ダ イス2)又0.4㎜(本件回転ダイス1)の円弧となっている断面形状を有し、D′前記開口部の断面形状は前記材料線材の引抜方向に沿って同じであることを特徴とし、E′加工開始時間からの経過時間に応じて、前記ダイスボックスが前記ダイスを回転させることを特徴とする引抜加工機 イ本件訂正発明1と公知・公然実施発明を対比すると、本件訂正発明1の構成Bは潤滑剤を内部に収納するのに対し、公知・公然実施発明の構成B′は潤滑剤を内部に収納しない点、また、相違点Bである本件訂正発明1の構成C-1、C-2では角を半径0.8㎜以上の曲率の円弧とするのに対し、構成C′では1の角を半径0. 4㎜(本件回転ダイス1)の曲率の 潤滑剤を内部に収納しない点、また、相違点Bである本件訂正発明1の構成C-1、C-2では角を半径0.8㎜以上の曲率の円弧とするのに対し、構成C′では1の角を半径0. 4㎜(本件回転ダイス1)の曲率の円弧とする点で相違する。 そして、相違点Bの容易想到性については、曲率半径をどの程度にするかは、①鋼線をダイスから引き抜きやすくし、かつ引抜後の銅線の断面形状が開口部の開口形状にできるだけ沿った形となるようにするためには、開口部の角部の曲率半径は大きい方が好ましいという点、②鋼線を取り扱う際の安全性の観点等からは角部はある程度丸まっている方が好ましいという点、③棒材の材料や用途、等の諸事情を 考慮して、当業者が適宜選択する設計事項であり、本件特許の優先日当時、ダイス開口部の角部の曲率半径を0.8㎜以上とすることは、当業者において周知慣用技術であったこと、加えて、ダイスの開口部の角部の曲率半径を0.8㎜以上とすることに予想できないような効果はなく、せいぜい、曲率半径0.8㎜未満とするものと比較すると、相対的に角に潤滑剤の塊が固まりにくくなるという程度の効果で あることからすると、相違点Bは、当業者が容易に想到する事項である。 ウよって、本件訂正発明1及びこれを直接又は間接に引用する本件訂正発明2~4、6~12は、当業者が公知・公然実施発明に基づき容易に発明することができたから、進歩性欠如の無効理由がある。 ⑵ 被告の主張 ア原告が主張する公知・公然実施発明は、不特定多数の者の前で実施したことにより当該発明の内容を知り得る状況になったとはいえず、公然実施に当たらない。 イ仮に公然実施されていたとしても、本件回転ダイス1との関係では、相違点Bが認められ、ダイス開口部の角部の曲率半径0.4㎜程度から0.8㎜ 知り得る状況になったとはいえず、公然実施に当たらない。 イ仮に公然実施されていたとしても、本件回転ダイス1との関係では、相違点Bが認められ、ダイス開口部の角部の曲率半径0.4㎜程度から0.8㎜以上とすることの動機付けは存在しないから、当業者がこれを容易に想到することはできない。 本件訂正発明1は、公知・公然発明に対して、相違点Bの存在により、公知・公然発明からは予測し得ない作用効果を奏する。 ウまた、本件回転ダイス2との関係では、相違点C(略円筒形形状の引抜加工用ダイスを保持するダイスホルダーが、本件訂正発明1は「前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させる」のに対 し、公知・公然実施発明は本件回転ダイス2を回転させるものとなっているか不明である点)が認められるが、ダイスホルダーでダイスを回転させることの動機付けが存在しないから、公知・公然実施発明を本件訂正発明1の構成とすることは当業者にとって容易に想到し得ない。 エよって、本件訂正発明1及びこれを直接又は間接に引用する本件訂正発明2~4、 6~12に進歩性欠如の無効理由はない。 4 取消事由5(無効理由4-2〔甲2記載の発明に基づく進歩性欠如〕の判断の誤り)⑴ 原告の主張本件審決が認定する本件訂正発明1と甲2発明の相違点については、甲2発明において「引抜という単一動作で型を回転させ螺状線を得ること」は本質的な解決課題で はなく、これに周知技術を適用することに関して阻害要因等はないから、本件審決の判断には誤りがある。本件訂正発明2~4、6に係る本件審決の判断も、甲2発明の内容や技術常識の把握に誤りがあるから、前提に誤りがある。本件訂正発明7、8、9~12も同様である。 ⑵ 被告 件審決の判断には誤りがある。本件訂正発明2~4、6に係る本件審決の判断も、甲2発明の内容や技術常識の把握に誤りがあるから、前提に誤りがある。本件訂正発明7、8、9~12も同様である。 ⑵ 被告の主張 ア甲2発明において「引抜という単一動作で型を回転させ螺状線を得ることは」本質的な解決課題であるから、これに周知技術を適用することに関して阻害要因等があり、ベアリング部が四角形で4つの角を半径0.5㎜の曲率円弧でつないだもの及び引抜加工用ダイスのベアリング部の断面形状において「基礎となる多角形断面」の角にあたる部分を円弧で結ぶことは公知、周知技術、技術常識ではなかった。 イよって、本件訂正発明1及びこれを直接又は間接に引用する本件訂正発明2~4、6~12に進歩性欠如の無効理由はない。 以上

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