主文 一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は、原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求一被告が原告P1に対して平成13年8月28日付けでした、原告P1の平成12年分の所得税について還付金の額に相当する税額684万3796円を納付すべき税額600万8300円とする更正処分及び同年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定を取り消す。 二被告が原告P2に対して平成13年8月28日付けでした、原告P2の平成12年分の所得税について還付金の額に相当する税額312万9943円を還付金の額に相当する税額4万1567円とする更正処分及び同年分の所得税に係る過少申告加算税賦課決定を取り消す。 第二事案の概要一事案の骨子本件は、原告らが、外国法人から他の外国法人の株式の分配を受けたことに関して、当該株式の分配が配当所得に当たることを前提として被告がした原告らの平成12年分の所得税についての各更正処分は、配当所得に該当しないものをこれに該当するとして行った違法なものである旨主張して、当該各更正処分の取消しをそれぞれ求めるとともに、原告らに対する同年分の所得税に係る各過少申告加算税賦課決定の取消しを求める事案である。 二法令の定め 1 所得税法の規定2条(定義)1項この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1、2号(省略)3号居住者国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。 (以下省略)2項(省略)3項この法律(第92条(配当控除)を除く。) 内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。 (以下省略)2項(省略)3項この法律(第92条(配当控除)を除く。)において、「利益の配当」には、利息の配当及び商法(明治32年法律第48号)第293条ノ5第1項(中間配当)又は資産の流動化に関する法律第102条第1項(中間配当)に規定する金銭の分配その他これに類する金銭の分配として政令で定めるものを含むものとする。 5条(納税義務者)1項居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。 (以下省略)7条(課税所得の範囲)1項所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。 1号非永住者以外の居住者すべての所得2号非永住者第161条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(以下この条において「国内源泉所得」という。)及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの(以下省略)24条(配当所得)1項配当所得とは、法人(法人税法第2条第6号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける利益の配当、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、基金利息(保険業法(平成7年法律第105号)第55条第1項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定目的信託の収益の分配(以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。 2項配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金 投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定目的信託の収益の分配(以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。 2項配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。(以下省略)25条(配当等の額とみなす金額)1項法人(法人税法第2条第6号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の同条第14号に規定する株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同条第16号に規定する資本等の金額又は同条第16号の2に規定する連結個別資本等の金額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、利益の配当又は剰余金の分配の額とみなす。 1号当該法人の合併(法人税法第2条第12号の8に規定する適格合併を除く。)2号当該法人の法人税法第2条第12号の9に規定する分割型分割(同条第12号の12に規定する適格分割型分割を除く。)3号当該法人の資本若しくは出資の減少(株式が消却されたものを除く。)又は当該法人の解散による残余財産の分配4号当該法人の株式の消却(取得した株式について行うものを除く。)5号当該法人の自己の株式の取得(証券取引法第2条第16項(定義)に規定する証券取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得を除く。)6号当該法人からの社員の退社又は脱退による持分の払戻し 引法第2条第16項(定義)に規定する証券取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得を除く。)6号当該法人からの社員の退社又は脱退による持分の払戻し(以下省略)36条(収入金額)1項その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。 2項前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。 (以下省略)95条(外国税額控除)1項居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を納付することとなる場合(居住者が通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対する外国所得税を納付することとなる場合を除く。)には、第89条から第92条まで(税率及び配当控除)の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額をその年分の所得税の額から控除する。 2ないし7項(省略)8項第1項から第3項までの規定による控除は、外国税額控除という。 2 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び の額から控除する。 2ないし7項(省略)8項第1項から第3項までの規定による控除は、外国税額控除という。 2 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約(以下「日加租税条約」という。)の規定2条1項この条約の対象である租税は、次のものとする。 (a) カナダにおいては、カナダ政府によつて課される各種の所得税(以下「カナダの租税」という。)(b) 日本国においては、(ⅰ) 所得税(ⅱ) 法人税(以下「日本国の租税」という。)(以下省略)10条1項一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。 2項 1の配当に対しては、これを支払う法人が居住者とされる締約国においても、当該締約国の法令に従つて租税を課することができる。その租税の額は、当該配当の受領者が当該配当の受益者である場合には、次の額を超えないものとする。(以下省略)3項この条において、「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であつて分配を行う法人が居住者とされる締約国の税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。 (以下省略)18条1項(a) 政府の職務の遂行として一方の締約国又は当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体に対し提 に取り扱われるものをいう。 (以下省略)18条1項(a) 政府の職務の遂行として一方の締約国又は当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体に対し提供される役務につき、個人に対し当該一方の締約国又は当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体によつて支払われる報酬(退職年金を除く。)に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。 (以下省略)19条専ら教育又は訓練を受けるため一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であつて、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であつたものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付については、当該一方の締約国の租税を免除する。(以下省略)21条1項(省略)2項日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従い、(a) 日本国の居住者がこの条約の規定に従つてカナダにおいて租税を課される所得をカナダにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるカナダの租税の額は、当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する。ただし、控除の額は、日本国の租税の額のうち当該所得に対応する部分を超えないものとする。 (以下省略)22条1項一方の締約国の国民は、他方の締約国において、同様の状況にある当該他方の締約国の国民に課されており若しくは課されることがある租税若しくはこれに関連する要件以外の租税若しくはこれに関連する要件又はより重い租税若しくはこれに関連する要件を課されることはない。この1の 他方の締約国の国民に課されており若しくは課されることがある租税若しくはこれに関連する要件以外の租税若しくはこれに関連する要件又はより重い租税若しくはこれに関連する要件を課されることはない。この1の規定は、第1条の規定にかかわらず、締約国の居住者でない個人にも、適用する。 (以下省略)23条1項いずれか一方の又は双方の締約国の措置によりこの条約の規定に適合しない課税を受けたと又は受けることになると認める者は、当該事案について、当該いずれか一方の又は双方の締約国の法令に定める救済手段とは別に、自己が居住者である締約国の権限のある当局に対して又は当該事案が前条1の規定の適用に関するものである場合には自己が国民である締約国の権限のある当局に対して、書面により申立てをすることができる。当該申立ては、この条約の規定に適合しない課税に係る当該措置の最初の通知の日から2年以内に、しなければならない。 (以下省略)25条1項(省略)2項この条約は、3に規定する場合を除くほか、一方の締約国の居住者に対する当該一方の締約国の課税に影響を及ぼすものではない。 3項 2の規定は、第18条、第19条及び第21条から第23条までに定める特典に影響を及ぼすものではない。 三前提となる事実証拠等により容易に認められる事実は、その旨記載した。それ以外の事実は、当事者間に争いがない。 1 原告らは、日本国内に住所を有する居住者である。(弁論の全趣旨) 2 ビーシーイーインク社による株式分配の実施(一) カナダ所在の外国法人ビーシーイーインク社(以下「BCE社」という。)は、平成12年5月5日を基準日として、 (弁論の全趣旨) 2 ビーシーイーインク社による株式分配の実施(一) カナダ所在の外国法人ビーシーイーインク社(以下「BCE社」という。)は、平成12年5月5日を基準日として、BCE社の株主に対し、BCE社の株式1株につき0.785193株の割合で、BCE社が保有するカナダ所在の外国法人ノーテルネットワークスコーポレーション社(以下「NN社」という。)の株式を分配した。(甲9、乙1、2)(二) NN社は、同年5月5日を基準日として、NN社の株式1株を2株に分割した。この結果、BCE社の株主は、基準日に保有するBCE社の株式1株につき、1.570386株のNN社の株式を取得することとなった(以下、当該株式分割と上記(一)の株式分配とを併せて「本件株式分配」という。)。(甲9、乙1、2)(三) BCE社は、同年5月8日、BCE社の株主に対し、本件株式分配により分配されることとなったNN社の株券を発送した。(甲9、乙1) 3 原告らに対するNN社の株券の交付と所得税の源泉徴収(一) 公共証券株式会社(現みずほインベスターズ証券株式会社。以下「公共証券」という。)は、本件株式分配に先立ち、平成12年4月18日付けで、顧客に対し、BCE社が発表した本件株式分配に関する計画を書面により通知した。 この通知においては、BCE社の株主は、源泉徴収税相当額を支払うことによりNN社の株式を受領するか、分配されたNN社の株式を公共証券において売却し、売却代金から源泉徴収税額を控除した後の金額を現金で受領するか、いずれかを選択することができる旨説明されていた。(乙1)(二) 原告らは、いずれもBCE社の株主であり、同年5月5日当時、原告P1は4200株、原告P2は1500株のBCE社 するか、いずれかを選択することができる旨説明されていた。(乙1)(二) 原告らは、いずれもBCE社の株主であり、同年5月5日当時、原告P1は4200株、原告P2は1500株のBCE社の株式をそれぞれ保有していた。このため、本件株式分配により、原告P1は6595株を、原告P2は2355株のNN社の株式をそれぞれ取得し、その際、原告らは、分配されたNN社の株式について、いずれも源泉徴収税相当額を支払うことにより株式を受領することを選択した。(甲3、4、弁論の全趣旨)(三) 公共証券は、本件株式分配により原告らが取得したNN社の株式について、以下のとおり所得税の源泉徴収をした。(甲3、4、乙1、2)(1) 原告P1についてア課税対象額6595株×87.75カナダドル(権利確定日である同年5月5日のNN社株価終値)×71.52円(株券発送日である同年5月8日の外国為替レート)=4138万9428円(1円未満切捨て)イ源泉徴収税額4138万9428円×20パーセント(申告税率)=827万7885円(1円未満切捨て)(2) 原告P2についてア課税対象額2355株×87.75カナダドル×71.52円=1477万9697円(1円未満切捨て)イ源泉徴収税額1477万9697円×20パーセント=295万5939円(1円未満切捨て) 4 カナダにおける課税原告らは、本件株式分配につき、カナダから所得税の 1477万9697円×20パーセント=295万5939円(1円未満切捨て) 4 カナダにおける課税原告らは、本件株式分配につき、カナダから所得税の課税をされなかった。(弁論の全趣旨) 5 本件株式分配により原告らが取得したNN社の株式に関する課税処分の経緯等(一) 原告らは、平成13年2月19日、平成12年中の本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当することを前提として、別表1及び2の各「確定申告」欄記載のとおり、平成12年分の所得税の確定申告をした。(甲5、6)(二) 原告らは、平成13年5月ころ、平成12年分の所得税の還付金として、原告P1については684万3796円、原告P2については312万9943円の各支払を受けた。 (三) 被告は、原告らに対し、確定申告書に記載された「配当控除の額」及び「外国税額控除の額」に誤りがあるとして、平成13年8月28日付けで、別表1及び2の各「更正処分」欄記載のとおり、平成12年分の所得税について、更正処分(以下、原告P1に対する更正処分を「本件P1分更正処分」と、原告P2に対する更正処分を「本件P2分更正処分」といい、これらを併せて「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下、原告P1に対する賦課決定を「本件P1分賦課決定」と、原告P2に対する賦課決定を「本件P2分賦課決定」といい、これらを併せて「本件各賦課決定」という。)をした。 (四) 原告らは、平成13年9月17日、本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当しないことなどを理由に、被告がした本件各更正処分及び本件各賦課決定を不服として、別表1及び2の各「異議申立て」欄記載のとおり、被告に異議 7日、本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当しないことなどを理由に、被告がした本件各更正処分及び本件各賦課決定を不服として、別表1及び2の各「異議申立て」欄記載のとおり、被告に異議申立てをした。これに対し、被告は、同年12月17日付けで、別表1及び2の各「異議決定」欄記載のとおり、異議申立てをいずれも棄却する旨の決定をした。(甲7、8、乙4)(五) 原告らは、平成14年1月15日、被告がした上記棄却決定を不服として、国税不服審判所長に審査請求をした。これに対し、国税不服審判所長は、平成15年4月9日付けで、別表1及び2の「審査裁決」欄記載のとおり、審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。(甲9、10、弁論の全趣旨)(六) 原告らは、平成15年4月8日、本件各更正処分及び本件各賦課決定について、本訴を提起した。(当裁判所に顕著な事実)四被告が主張する原告らの所得税額等被告が本訴において主張する原告らの所得税額及び過少申告加算税額の算出過程、算出根拠等は、以下のとおりである。原告らは、このうち、本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当することを前提とする部分について争うものであり、その余の算出根拠となる数額、計算関係については争っていない。 1 原告P1の所得税(一) 総所得金額 5171万9432円上記金額は、次の(1)、(2)及び(3)の各金額の合計額である。 (1) 配当所得の金額 4376万6338円上記金額は、原告P1が平成12年分所得税の確定申告書(以下「本件P1分確定申告書」という。)に記載した配当所得の金額4364万6367円から、エイテ 4376万6338円上記金額は、原告P1が平成12年分所得税の確定申告書(以下「本件P1分確定申告書」という。)に記載した配当所得の金額4364万6367円から、エイテイアンドテイからの利益の配当の金額の計上誤り19円及びドイツテレコム・アーゲーからの利益の配当の金額の計上誤り10円の合計額29円を減算し、株式会社新川からの利益の配当の金額12万円を加算した金額である。 (2) 給与所得の金額 603万9600円(3) 雑所得の金額 191万3494円(二) 所得控除の合計額 280万3826円上記金額は、次の(1)及び(2)の各金額の合計額である。 (1) 扶養控除の額 93万円上記金額は、原告P1が本件P1分確定申告書に記載した同居の特別障害者である原告らの母P3の扶養控除の額に平成13年法律第7号による改正前の租税特別措置法41条の14第1項及び2項により、45万円を加算して算定した金額である。 (2) その他の所得控除の額 187万3826円(三) 課税総所得金額 4891万5000円上記金額は、前記(一)の総所得金額から前記(二)の所得控除の合計額を控除した後の金額(ただし、国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (四) 納付すべき税額 601万2000円上記金額は、次の(1)の金額から(2)ないし(5)の合計額を差 満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (四) 納付すべき税額 601万2000円上記金額は、次の(1)の金額から(2)ないし(5)の合計額を差し引いた後の金額(ただし、通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。この金額は、本件P1分更正処分における納付すべき税額600万8300円を上回るから、本件P1分更正処分は適法である。 (1) 課税総所得金額に対する税額 1560万8550円上記金額は、前記(三)の課税総所得金額に所得税法89条1項の税率(経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。以下「負担軽減措置法」という。)4条の特例を適用したもの)を適用して算出した金額である。 (2) 配当控除の額 6000円上記金額は、株式会社新川からの利益の配当の金額12万円に所得税法92条1項3号のイにより5パーセントを乗じて算出した金額である。 なお、外国法人から受ける利益の配当の金額には、同法92条1項本文かっこ書により、配当控除の適用はない。 (3) 外国税額控除の額 29万8112円上記金額は、別表3の「外国所得税の額」欄の合計額であり、所得税法95条1項に基づきそれぞれ算出した金額の合計額である。 (4) 定率減税額 25万円上記金額は、負担軽減措置法6条2項かっこ書に規定する金額である。 (5) 源泉徴収税額 904万23 25万円上記金額は、負担軽減措置法6条2項かっこ書に規定する金額である。 (5) 源泉徴収税額 904万2382円上記金額は、原告P1が本件P1分確定申告書に記載した源泉徴収税額901万8382円に、前記(一)(1)に記載した株式会社新川からの配当所得12万円に係る源泉徴収税額2万4000円を加算した金額である。 2 原告P1の過少申告加算税本件P1分賦課決定に係る過少申告加算税の額は、通則法65条1項により、本件P1分更正処分における納付すべき税額600万8300円に、本件P1分確定申告書に記載された還付金の額に相当する税額684万3796円を加算した金額1285万円(ただし、通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の10の割合を乗じて算出した金額128万5000円である。この金額は、本件P1分賦課決定における過少申告加算税の金額と同額であるから、本件P1分賦課決定は適法である。 3 原告P2の所得税(一) 総所得金額 1631万9912円上記金額は、次の(1)及び(2)の各金額の合計額で、これらの金額は、原告P2が平成12年分所得税の確定申告書(以下「本件P2分確定申告書」という。)に記載した額と同額である。 (1) 配当所得の金額 1585万4801円(2) 雑所得の金額 46万5111円(二) 所得控除の合計額 38万円(三) 課税総所得金額 1593万9 の金額 46万5111円(二) 所得控除の合計額 38万円(三) 課税総所得金額 1593万9000円上記金額は、前記(一)の総所得金額から前記(二)の所得控除の合計額を控除した後の金額(ただし、通則法118条1項により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (四) 還付金の額に相当する税額 4万1567円上記金額は、次の(1)の金額から(2)及び(3)の合計額を差し引いた残額を、(4)の金額から控除した金額である。この金額は、本件P2分更正処分における還付金の額に相当する税額と同額であるから、本件P2分更正処分は適法である。 (1) 課税総所得金額に対する税額 355万1700円上記金額は、前記(三)の課税総所得金額に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を適用して算出した金額である。 (2) 外国税額控除の額 13万2346円上記金額は、別表4の「外国所得税の額」欄の合計額であり、所得税法95条1項に基づきそれぞれ算出した金額の合計額である。 (3) 定率減税額 25万円上記金額は、負担軽減措置法6条2項かっこ書に規定する金額である。 (4) 源泉徴収税額 321万0921円 4 原告P2の過少申告加算税本件P2分賦課決定に係る過少申告加算税の額は、通則法65条1項により、本件P2分更正処分における還付金の 321万0921円 4 原告P2の過少申告加算税本件P2分賦課決定に係る過少申告加算税の額は、通則法65条1項により、本件P2分更正処分における還付金の額に相当する税額4万1567円と本件P2分確定申告書に記載された還付金の額に相当する税額312万9944円との差額308万円(ただし、通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に、100分の10の割合を乗じて算出した金額30万8000円である。この金額は、本件P2分賦課決定における過少申告加算税の金額と同額であるから、本件P2分賦課決定は適法である。 五争点及び争点に関する当事者の主張の要旨本件の争点は、(1)本件株式分配によるNN社の株式の取得は配当所得に該当するか否か、(2)本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当するとして課税することは日加租税条約10条に違反するか否か、の2点である。 1 本件株式分配によるNN社の株式の取得は配当所得に該当するか否かについて(被告の主張)(一) 配当所得の意義平成12年法律第97号による改正前の所得税法24条1項は、配当所得について、法人から受ける利益の配当、剰余金の分配、基金利息及び公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配に係る所得をいう旨規定している。 一般的には、配当とは、企業活動によって生じる一定期間の利益の処分として株主等出資者に対してされる利益分配の意味に用いられているが、税法上の配当所得の概念は、これよりかなり広く拡張されている。すなわち、税法上の配当所得には、本来は利益の配分の性格を持たない建設利息、基金利息や利益の前払いの性格を持つ中間配当を含み、さらに、配当、利子、証券の 得の概念は、これよりかなり広く拡張されている。すなわち、税法上の配当所得には、本来は利益の配分の性格を持たない建設利息、基金利息や利益の前払いの性格を持つ中間配当を含み、さらに、配当、利子、証券の売却益など各種収益の混合からなる証券投資信託の収益の分配等まで取り込まれており、会社の正式の決算手続に基づき利益の配当として分配されたものでなくとも、実質的に見てそれが出資者が出資者の立場で受ける利益の配分と見られる限りにおいて、配当所得として取り扱うこととされているのである。 また、裁判例においても、配当所得たる利益の配当について、東京地方裁判所昭和52年4月25日判決(訟務月報23巻6号1136頁)は、「法人がその株主等に対し株主等たる地位に基づいて供与した利益は、その名目にかかわらずこれを利益の配当たる配当所得に含まれると解することが許されるものというべきである。」、「株主等たる地位に基づく法人からの所得をすべて配当所得とすることが法の趣旨とするところとも解するのが相当である」旨判示している。 (二) 配当所得の収入金額所得税法36条1項は、「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする」旨定めており、同条2項においては、上記金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額について、「当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする」旨定めている。 したがって、本件株式分配のように、法人が自己の保有する株式をもって利益の配当をした場合については、 若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする」旨定めている。 したがって、本件株式分配のように、法人が自己の保有する株式をもって利益の配当をした場合については、所得税法36条2項の規定により、当該株式の価額によって配当等に係る収入金額を計算することとなる。 (三) 本件株式分配への当てはめ本件株式分配は、原告らが保有するBCE社の株式数に応じて、BCE社の利益剰余金を原資として行われたものであるから、原告らが本件株式分配によって取得したNN社の株式は、「法人がその株主等に対し株主等たる地位に基づいて供与した利益」に該当するものであり、所得税法24条1項に規定する「法人から受ける利益の配当」として、配当所得として課税されることとなる。 また、本件株式分配に係る配当は、金銭ではなくNN社の株式の分配により行われたものであるから、その収入金額とすべき金額は、上記のとおり、所得税法36条2項により、NN社の株式を取得した時における価額によって評価することになる。 原告らが分配を受けたNN社の株式の株数は、平成12年5月5日において原告らが保有するBCE社の株式数に応じて決定されているから、同日において、原告らが取得するNN社の株式が具体的に確定したものと認められる。このことから、同日における価額をもってNN社の株式を取得した時における価額とすべきところ、公共証券は、前記のとおり、平成12年5月5日を確定日として、同日におけるNN社の株式の終値に基づいて収入金額とすべき金額を算定しているものと認められるので、当該金額をもって配当所得の収入金額を算定することは、適法である。 したがって、本件株式分配に係る収入金額とすべき金額は、原告P1に とすべき金額を算定しているものと認められるので、当該金額をもって配当所得の収入金額を算定することは、適法である。 したがって、本件株式分配に係る収入金額とすべき金額は、原告P1においては4138万9428円、原告P2においては1477万9697円となる。 (原告らの主張)(一) BCE社が行った同社の株主に対するNN社の株式の分配は、所得税法24条にいう「法人が決定した決算におけるもの」ではなく、BCE社とNN社が経営上の独立性を確保するという経営戦略上の理由によるものであるから、本件株式分配は、所得税法24条に規定する配当その他の金銭や経済的利益の供与には該当しない。 (二) 本件株式分配について、カナダのオンタリオ最高裁判所は、「BCE社の株主に対する、投資した水準を維持する措置であり、BCE社の株主に何ら所得又は経済的利益をもたらすものではないため、カナダ所得税の課税対象にしてはならない」旨の判決を出したと、BCE社及びNN社は平成12年4月28日に発表した。すなわち、BCE社が元々保有していたNN社の株式を経営戦略上の理由でBCE社の株主に(分配)返還したにすぎないため、これら株式の分配(返還)を受けたBCE社の株主には、何らの所得や配当、経済的利益が発生していないことを同裁判所は確認したのである。 (三) 米国の内国歳入庁(以下「IRS」という。)も、明らかに同様な理由から、米国連邦所得税を適用しないことを決定したと、平成12年5月1日付けのBCENEWSRELEASESは発表している。 (四) オンタリオ最高裁判所及びIRSのこれらの判断は、本件株式分配が、所得税法24条に該当しないことを示している。すなわち、同条は、何らかの金銭又は経済的利益の供 Sは発表している。 (四) オンタリオ最高裁判所及びIRSのこれらの判断は、本件株式分配が、所得税法24条に該当しないことを示している。すなわち、同条は、何らかの金銭又は経済的利益の供与等があった者に対し課税することを定めているが、本件株式分配は、原告両名に対し何らの金銭又は経済的利益をもたらしていない。 (五) BCE社も、BCE社の株主宛の文書等において、NN社の株式の分配がBCE社の株主に経済的利得をもたらさない旨を周知している。また、このような非課税を条件に、BCE社とNN社との経営上の独立性を確保するため、BCE社が保有していたNN社の株式(全株式の37パーセント)をほぼすべてBCE社の株主に分配したものである。カナダ内及び諸外国で課税するのであれば、本件株式分配は実施されなかったと推測される。被告がこれらの事実を全く把握せずに、安易に「みなし配当」に該当するとして課税したことは、重大な過ちである。 (六) 本件株式分配に伴い、BCE社の資産は分配されたNN社の株式の分だけ減少した。BCE社の株価はこれを反映して、平成12年5月2日の175カナダドルから同年5月5日には41.00カナダドルに値下がりした。この事実も、本件株式分配から原告両名に金銭及び経済的利益が全く生じないことを明示している。 (七) 被告の主張する「みなし配当」が仮に認められるとすると、この種の経営上の戦略による株式分配やスピンオフを行うことが著しく困難になり、企業活動及び投資に対する重大な障壁になる。現に、日本においても、この種の企業活動に対しみなし配当として課税した事例はないと原告らは承知している。また、他の諸外国でも、この種の経営戦略上の措置に対し、通常課税していないと把握している。さらに、原告らは、本件株 、この種の企業活動に対しみなし配当として課税した事例はないと原告らは承知している。また、他の諸外国でも、この種の経営戦略上の措置に対し、通常課税していないと把握している。さらに、原告らは、本件株式分配から何らの経済的利益を受けていないにもかかわらず、莫大な所得税が課され、生活に困窮している。 2 本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当するとして課税することが日加租税条約10条に違反するか否かについて(被告の主張)(一) 我が国の所得税法は、日本における住所又は居所の有無に基づいて、納税者を「居住者」と「非居住者」の二つに区分し、さらに、「居住者」については、居住期間と永住の意思の有無に基づいて「非永住者以外の居住者」(以下「永住者」という。)と非永住者の二つに区分している。 そして、課税所得の範囲についても、「永住者」、「非永住者」、「非居住者」ごとに異なる範囲を定めており(所得税法7条1項)、納税者の区分が確定すれば、国内・国外の源泉所得を問わずすべての所得に課税されるのか、あるいは限られた所得についてのみ課税されるのかが決定される仕組みとなっている。 永住者の場合には、国内及び国外のすべての所得がその居住する国(居住地国)の課税の対象となり、非居住者の場合はその所得の発生した国(源泉地国)の源泉所得のみが課税の対象になるとされている。 したがって、永住者は、自分の居住地国において、源泉地国で源泉徴収等によって既に課税された所得(国外源泉所得)についても、再度課税されることになる。かかる二重課税に対し、所得税法では、これを排除するため外国税額控除制度を設けているところであるが(所得税法95条)、我が国と外国との二国間でいわゆる租税条約を締結して二 再度課税されることになる。かかる二重課税に対し、所得税法では、これを排除するため外国税額控除制度を設けているところであるが(所得税法95条)、我が国と外国との二国間でいわゆる租税条約を締結して二重課税を排除することも行われている。租税条約は、締結国相互間の資本及び人的交流を促進するために、このような二重課税の排除を目的として双方の国が租税に関して条約を締結したものであり、源泉地国で発生した所得に対する課税の軽減及び免除等が定められている。 (二) 租税条約は、国際二重課税という税の障害を可能な限り排除し、経済の国際化に即応して、資本、技術、人その他の国際交流の円滑化に資すること、少なくともそのための基盤を整えることを目的とした二国間の条約であり、元来相互に相手国の居住者又は法人に対する課税をしんしゃくし、経済取引の円滑化を図ろうとするものであって、原則として、自国の居住者や自国の法人(内国法人)に適用される国内租税法を修正し、特定の減免税の特典を付与しようとするものではない(これを確認する条項をセービング・クローズと呼ぶ。)と解される。 そして、いわゆるセービング・クローズは、条約上の具体的な規定の有無にかかわらず、条約解釈にあたり当然に考慮される考え方であり、自国の居住者(法人も含む。)に対する課税は、租税条約上の規定の影響を受けない旨を明記する規定であって、日米租税条約4条や日加租税条約25条がその規定の例である。 (三) 日加租税条約10条は、配当所得に係る当事国間の取扱いを定めている。同条1項において、カナダの居住者である法人が我が国の居住者である個人に対して支払う配当に対しては、居住地国である我が国において租税を課することができるとの原則を規定するとともに、同条2項において源泉地国であるカ て、カナダの居住者である法人が我が国の居住者である個人に対して支払う配当に対しては、居住地国である我が国において租税を課することができるとの原則を規定するとともに、同条2項において源泉地国であるカナダにおいても配当に対して課税はできるものの、その課税の額について、一定の上限を設けることとしているのである。また、同条3項においては、配当の意義について定め、同条の適用を受ける配当とは、カナダの税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいうとしている。このように規定される同条の意義は、カナダの税法において配当に当たる所得の受益者が日本の居住者である場合には、日本において課税されるが、カナダは同条2項に定める限度において課税することができるとする規定である。 日加租税条約は、我が国の居住者に係る二重課税の回避について、その21条2項において、「日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従」うこととして、同項(a)において、「日本国の居住者がこの条約の規定に従ってカナダにおいて租税を課される所得をカナダにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるカナダの租税の額は、当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する」と規定している。ここでいう「日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令」とは、所得税法においては同法95条に規定する外国税額控除の規定を意味するものと解される。そうすると、日加租税条約21条2項(a)の規定は、我が国の居住者等について、カナダにおいて租税を課される所得をカナダにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるカナダの租税の額について所得税法95条の外国税額控除の規定を適用する旨を確認したも の居住者等について、カナダにおいて租税を課される所得をカナダにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるカナダの租税の額について所得税法95条の外国税額控除の規定を適用する旨を確認したものである。 (四) 原告らは、平成12年において5年を超えて日本国内に住所を有することから、我が国の所得税法上、永住者に該当する。我が国の税法は、永住者の所得について、国内及び国外で生じたすべての所得について所得税を課することとしているのであり、原告らがカナダの法人から取得した本件株式分配については、我が国の所得税法の規定に従って配当所得として課税されることとなる。 上記のとおり、原告らの居住地国は我が国であるところ、日加租税条約10条の規定は、上記のとおり配当所得については居住地国で課税することができる旨を確認するとともに、源泉地国における課税の額について、一定の上限を設けることとしているものであって、居住地国である我が国における本件課税処分については、何らの制限を加えるものではない。 なお、同規定によると、本件株式分配がカナダの税法において配当とされる場合にカナダにおいて課税の制限が行われ、我が国においては我が国の所得税法により当該所得について課税が行われることとなるが、本件株式分配がカナダの税法において配当とされていない場合においても、我が国の所得税法に基づき、本件株式分配に対する課税が行われることとなる。 また、前記のとおり、日加租税条約21条2項は二重課税の回避について規定しているが、本件株式分配について原告らはカナダにおいて租税を納付していないため、本件株式分配に関しては外国税額控除の適用はない。 (五) 租税条約とは、自国の居住者等が相手国で受ける課税関係について当 件株式分配について原告らはカナダにおいて租税を納付していないため、本件株式分配に関しては外国税額控除の適用はない。 (五) 租税条約とは、自国の居住者等が相手国で受ける課税関係について当該二か国間で定めた一定のルールであって、前記のとおり、日加租税条約においても、配当所得については、自国の居住者に対する課税権を確認しつつ、源泉地国での課税に一定の上限を相互に定めている。また、日加租税条約18条等に定める特典については、セービング・クローズに対する「別段の定め」として、相互にセービング・クローズに優越して適用するものと定められている。したがって、セービング・クローズについて、別段の規定がない限り、自国の居住者に対する課税権を留保するものと解することは、何ら条約の存在を否定することにはならない。 原告らの「セービング・クローズが働く場合とは、源泉が自国にある場合に限られる」などの主張も、セービング・クローズが自国の居住者の国外源泉所得に関するルールであることを理解していない主張である。 (六) 本件各課税処分については、我が国の国内法である所得税法に基づいて、永住者である原告らに対し、国外源泉所得である本件株式分配を配当所得として課税したものである。 そして、租税条約においては、別段の規定がない限り、自国の居住者等に対し国内法に従って課税する権利を留保するものとされているところ、日加租税条約においては、本件株式分配に係る我が国の課税を制限するような別段の規定はない。 よって、本件各課税処分は適法に行われたものである。 (原告らの主張)(一) 国際課税を論ずるに当たっては、納税者が居住者又は内国法人であるか、あるいは非居住者又は外国法人であるかという要素の 課税処分は適法に行われたものである。 (原告らの主張)(一) 国際課税を論ずるに当たっては、納税者が居住者又は内国法人であるか、あるいは非居住者又は外国法人であるかという要素のほかに、所得の源泉地が国内であるか、あるいは国外であるかについても検討を加えなければならない。その上、対象事項を日本から見ているのか、あるいは外国から見ているのかについても検討しなければならない。したがって、国際課税を論ずるためには、都合8通りの検討を加えなければならない。 そして、八つの要素が、国際的互譲、つまり国際的相互主義の観点から構成されているのである。これに対して、セービング・クローズは、国内課税権の確認条項でもあるから、国家間の条約の観点からは異質であり、国際的相互主義に反する性質のものである。 このため、租税条約の中にセービング・クローズが置かれるときは、当該所得の源泉は国内にあることを前提にしているか、あるいは当該租税条約に「別段の定めがない限り」という制限条項が置かれているものとして理解しなければならない。 仮に、セービング・クローズが被告主張のごとく、所得の源泉国がどこであるかにかかわらず自国の居住者に対する自国の課税権を留保することを意味するものであるとすれば、セービング・クローズは正に国際的相互主義に基づく条約の存在そのものを否定する根拠となってしまう。しかし、日加租税条約に相互に矛盾する原則が含まれていると解することはできない。そして、「別段の定めがない限り」という限定が付されていると解すれば、日加租税条約における国際的相互主義とセービング・クローズが相互に抵触することはない。 このようにセービング・クローズは、自国に源泉がある場合か、あるいは条約中に別段の規定がある場 、日加租税条約における国際的相互主義とセービング・クローズが相互に抵触することはない。 このようにセービング・クローズは、自国に源泉がある場合か、あるいは条約中に別段の規定がある場合には劣後する規定であるから、これが置かれているからといって、租税条約に特別な法的問題が持ち込まれるわけではなく、逆にセービング・クローズが置かれていないとしても、当該租税条約はセービング・クローズが置かれている場合と同じ意味になる。 日加租税条約の各規定中の最も枢要な位置を占めるのは、二重課税の排除方法を定める21条である。同条約の締結の趣旨は、締約国が相互に源泉国のいかんにかかわらず、自国居住者に対する課税権を主張し、かつ同時に自国が源泉国である場合には非居住者に対しても自国の課税権を主張する以上は、二重課税が不可避であること、二重課税を放置するときは相互の投資活動を制限しかねないことから、相互に相手国に対する投資等経済活動の促進のため、二重課税を回避する方法を国家間で約束しようとすることにある。 したがって、二重課税回避方法を規定している21条は、論理上、国家間の経済取引により二重課税関係が発生することを前提としているということができる。10条1項では、配当の支払に関し配当受領国が課税権を有すると規定し、同2項は配当支払国もまた課税権を有するとするのであるから、正に二重課税関係が発生する場合に関する規定である。11条、12条についても同様に二重課税関係が発生する。 仮に、セービング・クローズを定める日加租税条約25条2項が被告の主張のとおり、日加租税条約の締結にもかかわらず、一方の締約国の課税権は当該一方の締約国の居住者に及ぶのであり、その例外は同条3項に明記されている場合のみであるとしても 加租税条約25条2項が被告の主張のとおり、日加租税条約の締結にもかかわらず、一方の締約国の課税権は当該一方の締約国の居住者に及ぶのであり、その例外は同条3項に明記されている場合のみであるとしても、前記21条の存在は、少なくとも二重課税関係が発生する10条、11条、12条をその前提としているのであるから、25条2項は10条、11条、12条を排除しているとすることはできないのである。よって、本件においても、10条3項の適用がある。 我が国における株式の配当に対する現実の課税上も、日加租税条約10条で定められた源泉地国の源泉徴収税率等に基づいて行われており、この段階では二重課税が発生している。本件においても、原告らが仮に1年以内にNN社の株式を他に売却している場合には、NN社の株式は、10条3項により本条約上の配当に該当することとなり、10条1項と2項の適用の結果、カナダでも課税が行われ、他方我が国においても、所得税法上、非永住者以外の居住者の無制限納税義務(所得税法7条1項1号)の適用の結果、課税が行われ、二重課税が発生することとなる。 この事実に対して十分な注意が払われなければならない。つまり、日加租税条約21条の適用を論ずべき事実が発生していたのである。このことは、論理上、本件においても潜在的には同条の適用があり得たことを意味している。これは25条2項、3項により21条の適用が排除されていない結果、理論上、21条の適用の前提として10条の適用があることを証明していることを意味している。すなわち、課税権が衝突する場合の調整方法に関する21条は、6条、7条、10条、11条、12条等の課税権の発生に関する諸規定を内包していると解すべきである。 このような条約の規定方法は、カナダと日本との間だけ 場合の調整方法に関する21条は、6条、7条、10条、11条、12条等の課税権の発生に関する諸規定を内包していると解すべきである。 このような条約の規定方法は、カナダと日本との間だけの特殊事例ではない。OECDモデル条約10条3項、平成15年11月に締結されたいわゆる新日米租税条約10条6項においても、同様に、「支払法人居住地国の法令により課税されないこととされている株式からの所得については、配当とは扱わない」旨規定されている。このような規定のされ方が一般的である理由は、前述したとおり、相互投資促進と二重課税回避にあることは明らかである。被告の主張に従い本件課税を許せば、対内投資促進の観点から本件株式分配には配当課税しないという租税政策を採用しているカナダ政府の意図に反し、日本国内で一方的に課税することとなり、その結果、原告らのごとく日本からカナダに対する投資をする者は、本件同様の株式分配を受けた場合、納税のための資金を確保するためもあって、直ちに株式を売却する道を選択せざるを得なくなるであろう。 このため、日本からカナダに対する投資活動は著しく抑制されることとなり、かくては、日加租税条約10条3項はその存在意味を失うこととなる。 (二) 日加租税条約10条1項は、「一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に対して支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。」と定めており、本件株式分配がこの「配当」に該当するときは、日本における本件課税が肯定されるかもしれない。しかし、同条3項は、「配当」を定義し、「この条において「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住 かし、同条3項は、「配当」を定義し、「この条において「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住者とされる締約国の税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。」と定めている。 つまり、分配を行った法人を居住者とする国において本件株式分配を同国における配当と同等に扱っているか否かが鍵である。 原告らが分配を受けた株式は、締約国たるカナダの居住者たる法人であるBCE社が分配したのであるから、本件株式分配がカナダにおいて日加租税条約10条3項に定義される「配当」として取り扱われているか否かを検討しなければならない。 カナダ所得税法39条(4)は、「納税者がカナダの有価証券を受領した後、それを処分しないで、受領した年あるいは翌課税年に引き続き所持している場合は、当該カナダの有価証券は、その納税者が所有している資本的資産とみなす。」と定めている。そして、同法上、「資本的資産」とは、処分すればキャピタルゲイン又はキャピタルロスが発生することとなる資産のことであるから、当該納税者が株式を受領した後に、処分しないで引き続き所持している場合は、課税を(処分の時点まで)猶予し、受領した事実だけでは課税しないのである。 原告らは、本件株式分配を受けた時点において、株式を売却せず、株式を受領することを選択した。したがって、原告らが本件株式分配により受領したNN社の株式について、課税することはできない。 第三当裁判所の判断一本件株式分配によるNN社の株式の取得は配当所得に該当するか否かについて(争点1) 1 配当所得の意義について配当とは、企業活動によって生じる一 。 第三当裁判所の判断一本件株式分配によるNN社の株式の取得は配当所得に該当するか否かについて(争点1) 1 配当所得の意義について配当とは、企業活動によって生じる一定期間の利益の処分として、決算手続に基づき、株主等の出資者に対してされる利益分配の意味に用いられるのが一般的であり、商法290条1項の規定する利益の配当は、このような利益分配の中で最も代表的なものである。このような利益の配当が、所得税法24条1項にいう配当所得に該当することはいうまでもない。 しかし、同項は、配当所得について、剰余金の分配、基金利息及び公社債投資信託以外の投資信託の収益の分配に係る所得をも含むものと規定しているほか、同法2条3項では、建設利息の配当(商法291条)や中間配当(同法293条ノ5)等が利益の配当に含まれる旨規定されており、所得税法中にこのような規定が置かれていることからも、所得税法上の配当所得が決算手続に基づいてされる利益の配当に限られないことは、明らかというべきである。 そして、これらの規定において、利益の配分の性格を持たない建設利息や基金利息、利益の前払いの性格を持つ中間配当、さらには、各種収益の混合体ともいうべき投資信託の収益の分配等がいずれも配当所得に含まれるとされていることを考慮すると、所得税法上の配当所得の概念は、相当に広範なものと考えるべきであって、法人が、その株主等の出資者に対し、出資者としての地位に基づいて分配した利益は、その名目のいかんや決算手続の有無にかかわらず、所得税法上の配当所得に該当すると解するのが相当である。 2 原告らによるNN社の株式の取得が配当所得に該当するか否かについて(一) 前記前提となる事実のとおり、本件株式分配は、BCE社の株主に対 所得に該当すると解するのが相当である。 2 原告らによるNN社の株式の取得が配当所得に該当するか否かについて(一) 前記前提となる事実のとおり、本件株式分配は、BCE社の株主に対して、当該株主が保有するBCE社の株式数に応じて、NN社の株式が分配されたものである。また、証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によると、その原資には、BCE社の利益剰余金が充てられていることが認められる。そうすると、原告らが本件株式分配によって取得したNN社の株式は、法人がその株主等の出資者に対し出資者としての地位に基づいて分配した利益に当たるから、所得税法24条1項に規定する法人から受ける利益の配当として、配当所得に該当するというべきである。 (二) これに対し、原告らは、前記第二の五1の(原告らの主張)のとおり、①本件株式分配の実施がBCE社の経営戦略上の理由によるものであること、②仮に被告の主張が認められるとすると、この種の経営上の戦略による株式分配やスピンオフを行うことが著しく困難になり、企業活動及び投資に対する重大な障壁となること、③カナダのオンタリオ最高裁判所やIRSが、本件株式分配はBCE社の株主に何らの経済的利益をもたらさないため、課税対象にしてはならない旨の判断を示していること、④本件株式分配に伴い、BCE社の株価は大幅に値を下げており、原告らには経済的利益が全くないこと、⑤原告らは、何らの経済的利益を受けていないにもかかわらず、莫大な所得税が課され、生活に困窮していることなどを挙げて、本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当しない旨主張する。 (三) しかし、BCE社が、その利益剰余金を原資として本件株式分配を実施し、その結果、原告らがNN社の株式を取得したものである以上、本件株式分配の実施の 当所得に該当しない旨主張する。 (三) しかし、BCE社が、その利益剰余金を原資として本件株式分配を実施し、その結果、原告らがNN社の株式を取得したものである以上、本件株式分配の実施の動機のいかんは、NN社の株式の分配が配当所得に該当するか否かの判断に何ら影響を及ぼさないというべきである。また、この種の経営上の戦略による株式分配等に対する課税が行われた場合には企業活動等に対する障壁となり得ることや、カナダのオンタリオ最高裁判所等が課税対象にしてはならない旨の判断を示しているなどの点も、我が国の税法の解釈について何らの影響を及ぼすものではないから、前記判示を左右するものではない。 さらに、原告らの主張のとおり、本件株式分配の実施に伴って、BCE社の資産が大きく減少し、その株価が大幅に下落しているとしても、利益配当等の基準日の経過後に株価が当該利益配当等の額に見合った額だけ下落すること(いわゆる「権利落ち」)は、利益配当等の実施に伴い一般的に発生し得る現象である。 仮に、留保利益の大半が利益配当として株主に分配されたような場合には、これにより会社の資産が大きく減少し、株価の大幅な下落が生ずることになるはずであるが、そのような場合であっても、当該利益配当が配当所得に該当することに何ら変わりがないことは明らかである。このように、利益配当等の実施に伴い株価が下落したことを根拠として、当該利益配当等による経済的利益が存しないと見ることはできないのであって、本件株式分配により原告らが何らの経済的利益を受けていないことを理由とする原告らの主張は、失当というべきである。 加えて、原告らは、分配を受けたNN社の株式がその後大きく値を下げたこと(甲9によれば、平成14年1月時点で1株5ドル程度まで下落したことが認め 告らの主張は、失当というべきである。 加えて、原告らは、分配を受けたNN社の株式がその後大きく値を下げたこと(甲9によれば、平成14年1月時点で1株5ドル程度まで下落したことが認められる。)などから、原告らには本件株式分配による経済的利益が存しないとも主張するようである。しかし、このような結果が生じたのは、本件株式分配に際して、原告らが、分配されたNN社の株式を売却し、その代金から源泉徴収税額を控除した残額を現金で受領する方法を選択せずに、源泉徴収税相当額を支払うことにより株式を受領する方法を選択し、これを保持し続けたところ、その後いわゆるIT不況の影響等からNN社の株式の株価が大幅に下落したためであって、原告らの主張は、当を得ないものというほかない。 (四) 以上によれば、原告らの前記第二の五1の主張はいずれも採用することができず、本件株式分配によるNN社の株式の取得は、所得税法上の配当所得に該当する。 二本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当するとして課税することが日加租税条約10条に違反するか否かについて(争点2) 1 租税条約は、国際二重課税という税の障壁を可能な限り回避し、経済の国際化に即応して、資本、技術、人その他の国際交流の円滑化に資することなどを主な目的とした二国間の条約であり、国際二重課税を回避するため、各国がそれぞれ固有のものとして保持する課税権の行使について、調整を行い、国際課税の分野に一定の課税ルールを創設するものである。 国際二重課税が発生する主要な原因は、国際的な取引が行われ所得が発生する場合に、居住地国による課税(無制限納税義務が課せられていることが多い。)と源泉地国による課税(制限納税義務が課せられていることが多い。)が競合する点にある。我 、国際的な取引が行われ所得が発生する場合に、居住地国による課税(無制限納税義務が課せられていることが多い。)と源泉地国による課税(制限納税義務が課せられていることが多い。)が競合する点にある。我が国の所得税法においても、居住者については無制限納税義務(5条1項)が、非居住者については国内源泉所得に限定した制限納税義務(5条2項)が定められており、同様の税制を採る国との間で国際的な取引が行われ所得が発生する場合には、国際二重課税が発生する結果となる。 国際二重課税を回避するための方策としては、一般に、①居住地国のみに課税権を与える方法、②双方に課税権を認めるが、源泉地国は条約上明定された課税権の範囲内で課税権を行使し、居住地国はその所得に対し外国税額控除を認める方法のいずれかが採用されるのが通例であり、我が国が諸外国と締結している二国間条約においても、事案に応じて、これらのいずれかの方法が採用されている。このように、租税条約は、国際二重課税回避の方策として、源泉地国の課税権を制限するとともに、源泉地国が課した税額につき居住地国における外国税額控除を認めることとするものであって、居住地国の課税権自体を制限する方法は採用されていない。したがって、租税条約は、基本的には、源泉地国から見て、相手国の居住者であって、自国の非居住者であるものに対する自国の課税権を条約に基づいて制限する形で、締結されるものであるということができる。 日加租税条約10条についても、その1項は、源泉地国から見て、相手国が相手国の居住者に対して配当について課税することができることを確認したものにすぎず、2項は、その場合に源泉地国による配当への課税に一定の制限を課する規定であることは、その文理からも明らかであり、上記一般論と異なる趣旨の規定が設けら 課税することができることを確認したものにすぎず、2項は、その場合に源泉地国による配当への課税に一定の制限を課する規定であることは、その文理からも明らかであり、上記一般論と異なる趣旨の規定が設けられているわけではない。 2 このように、租税条約は、原則として、自国の居住者に対して適用される国内租税法を修正しようとするものではないから、条約に別段の定めがない限り、締約国には、自国の居住者に対し国内租税法に従って課税する権利が留保されることになる。この原則がセービング・クローズであり、前記のような租税条約の制度趣旨に照らすと、条約中に明文の条項がなくとも、当然の原則といわなければならない。 日加租税条約は、25条2項において、「この条約は、3に規定する場合を除くほか、一方の締約国の居住者に対する当該一方の締約国の課税に影響を及ぼすものではない。」と定めて、セービング・クローズについて明文の規定を設けている。この条項は、上記のような租税条約の一般的な制度趣旨のとおり、別段の定めとして3項が規定する場合(すなわち、18条、19条及び21条から23条までに定める場合)を除き、締約国である日本及びカナダが、自国の居住者に対し国内租税法に従って課税する権利を留保していることを確認する規定と解すべきである。 3 このように見てくると、セービング・クローズについて定めた日加租税条約25条2項の規定のとおり、日加租税条約の規定は、同条3項が規定する場合を除くほか、我が国の居住者に対する我が国の課税に影響を及ぼすものではないと解すべきである。そして、同項に規定する場合とは、政府の職務の遂行として提供される役務の報酬に対する課税(日加租税条約18条)、教育又は訓練のために受け取る給付に対する課税(日加租税条約19条)、外国税額控除( る。そして、同項に規定する場合とは、政府の職務の遂行として提供される役務の報酬に対する課税(日加租税条約18条)、教育又は訓練のために受け取る給付に対する課税(日加租税条約19条)、外国税額控除(日加租税条約21条)、差別的課税の禁止(日加租税条約22条)及び救済申立て(日加租税条約23条)をいうから、本件株式分配によるNN社の株式の取得に対する課税が、これらのいずれの場合にも当たらないことは明らかである(原告らがカナダにおいて本件株式分配について課税されていないことは、前記前提となる事実のとおりであるから、外国税額控除の適用もない。)。 4 以上によれば、本件株式分配による原告らのNN社の株式の取得が配当所得に該当するとしてこれに課税することについては、日加租税条約がこれを制限しているものではなく、課税が日加租税条約10条に違反しないことは明らかというべきである。 5 これに対し、原告らは、前記第二の五2の(原告らの主張)のとおり、(1)セービング・クローズは国内課税権の確認条項でもあり、国家間の条約の観点からは異質であって、国際的相互主義に反する性質のものであるから、租税条約の中にセービング・クローズが置かれるときは、当該所得の源泉が国内にあることを前提としている、(2)本件株式分配に対する課税関係については、当該所得の源泉が日本国内にはないから、セービング・クローズの適用がなく、日加租税条約10条1項、3項に従い、カナダの税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるべきである、(3)本件株式分配によるNN社の株式の取得は、カナダの税法上、直ちに課税することはできないから、日本国内において課税することはできないなどと、日加租税条約の解釈につき詳細な主張を展開している。 しかし、前述のとおり、租税条約は 、カナダの税法上、直ちに課税することはできないから、日本国内において課税することはできないなどと、日加租税条約の解釈につき詳細な主張を展開している。 しかし、前述のとおり、租税条約は、国際二重課税という税の障壁を可能な限り回避し、国際交流の円滑化に資することなどを主な目的としたもので、国際二重課税回避の方法として、原則的には、相手国の居住者であって、自国の非居住者であるものに対する自国の課税権を制限する方法を採用しており、このように相手国の居住者に対する課税権を互いに制限する点において、国際的相互主義に沿ったものというべきであり、自国の居住者に対する課税権を留保することによってこの目的を達成しようとしているものではない。自国の居住者に対して適用される国内租税法制のいかんは、それぞれの国家の課税権に関わる事柄であって、国際的相互主義とは関係のない問題といわなければならない。 したがって、原告らの前記主張は、セービング・クローズの解釈に関する独自の見解に立つものであって、日加租税条約25条2項の明文にも反する上、前述した日加租税条約10条の解釈とも異なるものであるから、すべて採用することができない。 三本件株式分配による原告らの所得額について本件株式分配に係る配当は、金銭ではなくNN社の株式の分配により行われたものであるから、その収入金額とすべき金額は、所得税法36条2項により、NN社の株式を取得した時におけるその価額によって評価することになる。 前記前提となる事実のとおり、原告らが分配を受けたNN社の株式の数は、基準日である平成12年5月5日において原告らが保有するBCE社の株式数に応じて決定されているから、同日において、原告らが取得するNN社の株式が具体的に確定したものと認められる。したが 株式の数は、基準日である平成12年5月5日において原告らが保有するBCE社の株式数に応じて決定されているから、同日において、原告らが取得するNN社の株式が具体的に確定したものと認められる。したがって、同日における株価をもってNN社の株式を取得した時におけるその価額とすべきである。そうすると、前記前提となる事実のとおり、公共証券は、平成12年5月5日を確定日として、同日におけるNN社の株式の終値に基づいて収入金額とすべき金額を算定しているものと認められるから、本件株式分配に係る収入金額とすべき金額は、公共証券の算定したとおり、原告P1においては4138万9428円、原告P2においては1477万9697円となる。 四本件各更正処分及び本件各賦課決定の適否について前記前提となる事実に弁論の全趣旨を総合すると、被告は、本件株式分配によるNN社の株式の取得が配当所得に該当することを前提として、原告らの税額を計算した上で本件各更正処分を行ったものであること、上記計算の基となった算出根拠、計算過程等については、被告の主張のとおりであって、原告P1の平成12年分の所得税の納付すべき税額は、本件P1分更正処分における納付すべき税額を上回り、原告P2の平成12年分の所得税の還付金の額に相当する税額は、本件P2分更正処分における還付金の額に相当する税額と同額であることが認められる。 そして、本件各賦課決定に係る各過少申告加算税の額は、いずれも本件各更正処分における納付すべき税額(原告P2にあっては、還付金の額に相当する税額)と原告らが確定申告書に記載した還付金の額に相当する税額との合計額あるいは差額(ただし、通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に法定の割合を乗じて算出した額であることが認められる。 書に記載した還付金の額に相当する税額との合計額あるいは差額(ただし、通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に法定の割合を乗じて算出した額であることが認められる。 そのほか、本件各更正処分及び本件各賦課決定が違法であることをうかがわせる事情は見当たらない。 したがって、本件各更正処分及び本件各賦課決定は、いずれも適法である。 五結論よって、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官菅野博之裁判官市原義孝裁判官本村洋平
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