主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役2年6月に処する。 原審における未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 検察官の控訴の趣意は,検察官見越正秋提出(検察官関隆男作成)の控訴趣意書に,弁護人の控訴の趣意は,弁護人新井照雄作成の控訴趣意書にそれぞれ記載されているとおりであるから,これらを引用する。 第1 弁護人の控訴趣意に対する判断論旨は,要するに,原判決は,被告人とAが乗車していた自動車がB運転の自動車と衝突し,同人に傷害を負わせた交通事故(以下,「本件事故」という。)に関し,被告人がAと共謀のうえ,平成15年2月6日午後1時30分ころ,Bに対し,原判示第1記載の脅迫文言をそれぞれ語気鋭く申し向けた上,Aが暴力団組織に属するものであることを示唆して,人身事故の届出を取り下げるよう要求しつつ脅迫し,Bをしてこれに応じなければ同人の身体財産等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨畏怖させ,C警察署に人身事故の届出の際に提出していた診断書の返却を受けさせ,もって,同人を脅迫して義務なきことを行わせ,さらに,同日午後5時20分ころ,B及び同席していた同人の父Dから補償金名下に金員を喝取しようと企て,原判示第2記載の脅迫文言をそれぞれ語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,Bらを前同様畏怖させたが,同人らが警察に届け出たため,その目的を遂げなかったと認定したが,被告人は,Aとの間で,上記強要及び恐喝未遂の共謀を遂げたことも,Bらを脅迫したこともないから,原判決には事実の誤認があり,その誤認は判決に影響を及ぼすことが明らかである,というのである。 が,被告人は,Aとの間で,上記強要及び恐喝未遂の共謀を遂げたことも,Bらを脅迫したこともないから,原判決には事実の誤認があり,その誤認は判決に影響を及ぼすことが明らかである,というのである。 そこで,検討すると,関係証拠によれば,原判決の認定事実及び(事実認定の補足説明)の項における説示は,証人及び被告人の供述の信用性に関する判断を含めて,当裁判所も概ね正当なものとしてこれを是認することができるから,原判決には所論のいう事実誤認はない。以下,所論にかんがみ付言する。 所論は,本件事故について,Bと被告人が警察官の取調べを受け,警察官からお互いに話し合うように言われていたところ,交通事故の当事者がその処理を巡って話し合いをする際,激しく言い争うことはよくあるし,被告人の言動には,身体財産等に対する害悪の告知や診断書の取下げ要求,現金の交付要求はないのであって,被害状況に関するBらの供述には著しい誇張や歪曲があるから,その信用性を肯定して,強要及び恐喝未遂の事実を認定した原判決は不当である,というのである。 しかしながら,強要及び恐喝未遂の被害状況に関するB及びDの各供述は,具体的かつ詳細であって,相互にほぼ一致している上,原判示第1の応接室に同席していたいわゆる自動車保険の担当者や原判示第2のホテルのロビーにおける被告人らの言動に関するホテル従業員の供述ともよく符合していること,本件事故について,Bには全く過失がなかったことが明らかであるのに,既に警察に提出していたBの本件事故による受傷を裏付ける診断書の返却を受け,いわゆる人身事故の届出を取下げたり,被害者側のDが加害者側のAに対して補償金名下に30万円の支払いを約束するに至ったことなど,その後の経過にも照応しており,虚偽を述べて,いわゆる暴力団関係者とうかがわれる被 身事故の届出を取下げたり,被害者側のDが加害者側のAに対して補償金名下に30万円の支払いを約束するに至ったことなど,その後の経過にも照応しており,虚偽を述べて,いわゆる暴力団関係者とうかがわれる被告人を陥れなければならないような事情もないのであるから,十分に信用することができ,被告人らが原判示の強要及び恐喝未遂の犯行に及んだことは明白である。 その他,所論が種々指摘している点を全て検討してみても,原判決の認定事実に所論のいう事実誤認はない。 論旨は理由がない。 第2 検察官の控訴趣意中,事実誤認の論旨について論旨は,要するに,原判決は,「被告人は,平成15年2月3日午後8時ころ,業務として普通乗用自動車を運転し,広島県御調郡a町(以下省略)先の緩やかに右にカーブした道路を国道方面からb市方面に向かい時速約50キロメートルで進行するに当たり,ハンドルを的確に操作して進路の安全を確認しつつ進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,ハンドルを的確に操作しなかった過失により,自車を道路左側の縁石に衝突させて対向車線上に逸走させ,折からb市方面から対向してきたB(当時31年)運転の普通乗用自動車右前部に自車右前部を衝突させ,よって,同人に加療約1週間を要する頚椎捻挫等の傷害を負わせた」との公訴事実に対し,「被告人が本件事故の際に本件自動車を運転していたことを認めるに足る的確な証拠がない。」と判示して,被告人に無罪を言い渡したが,原判決は,証拠の取捨選択及びその評価を誤ったことにより事実を誤認したもので,その誤りは,判決に影響を及ぼすことが明らかである,というのである。 当審における事実取調べの結果を加えて,原審記録を精査して検討すると,被告人が本件事故の際に本件自動車を運転していたことに合理的な疑いが残るとした原判 すことが明らかである,というのである。 当審における事実取調べの結果を加えて,原審記録を精査して検討すると,被告人が本件事故の際に本件自動車を運転していたことに合理的な疑いが残るとした原判決の証拠評価には賛同し難く,所論は概ね正当であるから,原判決には所論指摘の事実誤認があり,その誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである。 所論にかんがみ検討する。 1 関係証拠によれば,被告人及びAの関係,本件事故に至った経緯,事故後の状況等について,次の事実が認められ,この認定を左右する証拠はない。 (1) Aは,広島県c市の出身であるが,大阪に本拠がある暴力団に所属しており,本件当時31歳であり,平成15年2月初めころ,大阪からc市へ来て,暴力団の元幹部で入れ墨の彫り師をしている本件当時54歳であった被告人に入れ墨の色づけをしてもらった。 (2) 被告人とAは,同月3日夜,被告人が日頃から使用している本件自動車に乗車して,c市からd市方面に赴き,その帰途,同日午後8時ころ,国道方面からb市方面へ向けて進行中,本件事故現場付近で道路左側縁石に本件自動車が衝突した後,対向車線上に逸走させ,b市方面から対向直進してきたB運転の自動車と衝突し,Bに加療約1週間を要する頚椎捻挫等の傷害を負わせた。 (3) 本件事故の衝撃により,本件自動車の運転席エアバッグが作動したが,助手席にはエアバッグが装着されていなかった。また,本件自動車は,右側面部等を大破しており,運転席側からは降車することが不能の状態になったほか,フロントガラスの助手席側上部にクモの巣状のひび割れを生じていた。 (4) 被告人とAは,本件事故時,いずれもシートベルトを締めていなかったところ,Aは,本件事故により,掛けていたメガネが壊れ,右眼の目尻付近に切創を負い出血したが,被 状のひび割れを生じていた。 (4) 被告人とAは,本件事故時,いずれもシートベルトを締めていなかったところ,Aは,本件事故により,掛けていたメガネが壊れ,右眼の目尻付近に切創を負い出血したが,被告人は全く傷を負わなかった。そして,本件事故後,本件自動車の助手席側のドアから,先にAが降車し,その後,被告人も助手席側のドアから降車した。 (5) 被告人は,同日午後9時20分ころから,本件事故現場において,警察官により実施された実況見分に立会い,本件自動車を運転中,対向車のライトに気を取られたこと,道路左の縁石に衝突し,ハンドルを右に切って対向車線上に進出して,被害車両と衝突したことなど事故の状況について指示説明したほか,同月6日午後1時ころから,C警察署において,業務上過失傷害罪の被疑者として取調べを受けた際,警察官からBの診断書を示されるや,「診断書を出すんか。 しゃくりあげたらにゃいけんのー。」と発言したものの,本件自動車を被告人が運転していたことを前提として,前方不注視があり,対向車のライトに気を取られたことが本件事故の原因であり,相手方の不注意として,とっさの場合に避けられる速度ではなかったことなどを供述し,その供述調書(原審検50)に署名指印した。 (6) さらに,当審で取り調べた証人Bの供述によれば,本件事故の際,自動車が停止した後,すぐ相手車両の助手席からAが降車してきたこと,その状況を検察庁で再現して時間を計測したところ,自動車の停止後約3秒であった。 2 上記認定の諸事実に照らすと,本件事故時,被告人が運転する本件自動車の助手席に座っていたというAの原審及び検察官調書謄本(原審検49)における供述並びに自分が本件自動車を運転していたという被告人の警察官調書(原審検50)における供述は,基本的に信用することができる。 手席に座っていたというAの原審及び検察官調書謄本(原審検49)における供述並びに自分が本件自動車を運転していたという被告人の警察官調書(原審検50)における供述は,基本的に信用することができる。 3 これに対し,原判決は,本件業務上過失傷害を無罪にした理由として,本件事故の際,本件自動車を運転していたのは,被告人とAのいずれかであり,この両名は互いに相手が本件自動車を運転していたと述べて対立し,他にこれを明確にしうる的確な状況証拠が存在しない状態にあり,したがって,被告人が本件自動車を運転中に本件事故を惹起したという業務上過失傷害の事実を認定できるか否かは,A及び被告人の各供述の信用性にかかっているとした上,A供述について,次のように評価している。すなわち,①本件事故現場に至るまでの経過について,Aは明らかに虚偽を述べており,自己の都合次第で虚偽を述べることも躊躇しないという傾向をうかがうことができる,②本件事故の際,自分は助手席で居眠りしていたので事故状況は全く知らないという供述について,本件事故当日の午後8時前後のAの携帯電話の通話状況に照らすと,虚偽が含まれていることが明白であり,その内容からみて,単なる記憶違いとか記憶の変容等の過誤によるものとは考え難く,意図的になされた疑いが濃く,本件事故発生時におけるAの行為如何は,本件自動車の運転者が誰であったかという正に核心部分であるから,これに関する供述に意図的な疑いの濃厚な虚偽が含まれている以上,その信用性は大きく減殺される,③Aの顔面の負傷,メガネの壊れについて,それらが本件自動車の助手席のフロントガラスに顔面等をぶつけたことによって生じたものであることを認めるに足る的確な証拠がないから,この負傷や壊れの事実をもってしても,本件事故の際に助手席にいた旨のAの供述を裏付けることは 手席のフロントガラスに顔面等をぶつけたことによって生じたものであることを認めるに足る的確な証拠がないから,この負傷や壊れの事実をもってしても,本件事故の際に助手席にいた旨のAの供述を裏付けることはできない,④その他,Aの供述は,全般にあいまいである上,供述を回避しようとする傾向が顕著であり,また同人の検察官調書謄本でも,本件事故までの経過やその後の状況につき,余りに簡略な内容となっており,いずれも事実をありのまま述べたものとは考えがたく,被告人が本件自動車を運転中に本件事故を起こした旨の核心部分について,証人Aの供述及び検察官調書謄本の供述は,いずれも措信し難いと説示している。また,原判決は,被告人の供述について,⑤被告人は,本件事故直後から,Bや現場に臨場した警察官に対し,本件自動車を運転中に本件事故を起こしたと自認し,さらに,平成15年2月6日にC警察署で行われた被疑者の取調べの際にも,同様の供述を続けて,その旨記載された警察官調書(原審検50)に署名指印しており,また,原判示の強要,恐喝未遂の各犯行の際も,本件自動車の運転者であることを前提として行動していたものの,この警察官調書は,実際に運転していた者でなければ述べることのできない内容を含むものではなく,そもそも,客観的証拠による裏付けがあって初めて信用性を肯定できる程度,性質,内容の供述というべきであり,被告人の上記言動も同様に考えるべきものである,⑥本件自動車の運転席のエアバッグが開いており,助手席にエアバッグがなかったことが認められ,被告人は本件事故による負傷がなかったが,被告人が負傷しなかった原因をその一点に絞るべき合理的な事情の存在をうかがわせる証拠はないから,被告人が負傷しなかったことによっても本件事故の際に運転席にいたことが裏付けられるものとはいえない,⑦Aのた 人が負傷しなかった原因をその一点に絞るべき合理的な事情の存在をうかがわせる証拠はないから,被告人が負傷しなかったことによっても本件事故の際に運転席にいたことが裏付けられるものとはいえない,⑦Aのためにその身代わりになったという被告人の弁解には不自然,不合理な側面があることは否定できないものの,これを一概に排斥することは難しく,それ故,被告人の警察官調書は,被告人において,Aの身代わりであることを秘し,本件自動車を運転中に本件事故を起こしたなどと事実に反する内容を述べた疑いが残ると説示している。 4 しかしながら,原判決が指摘する①の点について,Aが本件事故現場に至る経過について,行き先を含めて虚偽の事実を述べていることは明らかであるが,Aは,本件事故前の午後6時49分ころと午後7時35分ころの2回,覚せい剤の密売人と電話連絡を取っており(当審検10,原審検75),それに関連する事実を秘匿する必要があったとうかがわれ,これを隠すために,あえて虚偽の供述をした疑いが濃厚である。 次に,原判決が指摘する②及び④の点について,Aが居眠りをしていたため,本件事故の状況を知らないとか覚えていないと供述していることは,Aの携帯電話の通話履歴に照らし,不自然であり,それが記憶違いや記憶の変容等によって生じたものでないこと,その他Aの供述にはあいまいで供述を回避しようとする傾向がみられることなどはそのとおりであるが,Aと被告人との関係に照らし,Aが被告人にとって不利益な事実を率直に供述することを回避しようとすることは考えられるところであり,そのことを理由に,Aの供述のうち客観的事実に符合している部分についてまで,一律に信用性を否定するのは相当でない。 そして,原判決が指摘する③の点について,Aは,本件事故により,助手席側のフロントガラスに 由に,Aの供述のうち客観的事実に符合している部分についてまで,一律に信用性を否定するのは相当でない。 そして,原判決が指摘する③の点について,Aは,本件事故により,助手席側のフロントガラスに顔面をぶつけ,メガネが壊れた上,右眼の目尻あたりを負傷した旨一貫した供述をしているところ,本件自動車の助手席側フロントガラスにクモの巣状のひび割れがあったことやAの顔面の状況が写っている写真の内容,Aから被害の状況を聞いたDの供述ともよく符合しており,このような客観的事実や信用性の高い供述と一致している部分について,その信用性を否定した原判決の評価には到底賛同することができない。なお,原判決は,助手席側フロントガラスにAの毛髪や血液が付着していたとの確証がなく,Aの供述が裏付けられていないというが,Aの毛髪や血液が付着したとの立証がされていないからといって,Aの顔面がフロントガラスと衝突したことを否定する根拠とすることができないことはいうまでもない。 次に,被告人供述の信用性について原判決が指摘する⑤の点について,被告人が本件事故直後から,自分が運転していたと認める言動や供述をしていたところ,本件自動車は被告人が日頃から使用しているものであることや,本件事故直後の間もない時点で助手席側ドアからAが降車し,次に被告人が降車した順序ともよく符合していること,事故を起こした自動車運転手の言動として考えても,ごく自然であって,特に不可解な点は見受けられないこと,実況見分における指示説明や警察官に対する供述内容を子細に検討してみても,不自然で不合理な部分は見当たらないことなどを併せ考慮すると,その信用性を否定しなければならないほどの事情はなく,原判決の上記評価は受け入れることができない。 また,原判決が指摘する⑥の点について,運転席のエアバッ は見当たらないことなどを併せ考慮すると,その信用性を否定しなければならないほどの事情はなく,原判決の上記評価は受け入れることができない。 また,原判決が指摘する⑥の点について,運転席のエアバッグが開いたことと被告人が負傷しなかったことに加えて,Aが負傷したことは,被告人が運転席にいたことをうかがわせる重要な間接事実であるというべきであるから,原判決の上記指摘は相当でない。 最後に,原判決が指摘する⑦の点について,被告人の弁解供述が不自然で不合理であることは,被告人とAの関係,Aが身代わりを頼んできたという理由の不自然さ,助手席から降車した順序との食い違い,供述の不自然な変遷状況など原判決の種々の指摘のとおりであるのに,それにもかかわらず,被告人がAから身代わりを頼まれてこれに応じ,運転席にいたAを先に助手席ドアから降車させる工作を施したことも十分あり得るなどと説示した原判決の判断は不当というほかはない。 その他,原判決が指摘する点を全て検討してみても,被告人の弁解は不自然で不合理であるのに対して,上記認定の諸事実を総合すると,本件事故の際,被告人が本件自動車を運転していたことは明らかであるから,原判決には所論のいう事実誤認があり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。 論旨は理由がある。 そして,本件業務上過失傷害は,原判決が認定した強要及び恐喝未遂と刑法45条前段の併合罪の関係にあるので,刑訴法397条1項,382条により原判決を全部破棄し,検察官の控訴趣意中量刑不当の主張に関する判断を省略し,同法400条ただし書に従い,当裁判所において,更に判決する。 第3 自判(原判決が認定した事実のほかに,当裁判所が新たに認定した事実)被告人は,平成15年2月3日午後8時ころ,業務として普通乗用自動車を運転し, 書に従い,当裁判所において,更に判決する。 第3 自判(原判決が認定した事実のほかに,当裁判所が新たに認定した事実)被告人は,平成15年2月3日午後8時ころ,業務として普通乗用自動車を運転し,広島県御調郡a町(以下省略)先の緩やかに右にカーブした道路を国道方面からb市方面に向かい時速約50キロメートルで進行するに当たり,ハンドルを的確に操作して進路を保持しつつ進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,ハンドルを的確に操作しなかった過失により,自車を道路左側の縁石に衝突させて対向車線上に逸走させ,折からb市方面から対向してきたB(当時31歳)運転の普通乗用自動車右前部に自車右前部を衝突させ,よって,同人に加療約1週間を要する頚椎捻挫等の傷害を負わせた。 (上記の新たに認定した事実についての証拠の標目)省略(法令の適用)罰条当裁判所が新たに認定した上記行為刑法211条1項前段原判決が認定した第1の行為刑法60条,223条1項原判決が認定した第2の行為刑法60条,250条,249条1項刑種の選択禁錮刑(当裁判所が新たに認定した上記罪について)併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い原判示第2の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数算入刑法21条(原審における未決勾留日数中150日を刑に算入する。)訴訟費用の負担刑訴法181条1項本文(原審分及び当審分について全部被告人の負担とする。)(量刑の理由)本件は,被告人が自動車を運転中,ハンドル操作を誤り対向車線上に進出させて,対向車両と衝突した結果,被害者に加療約1週間を要する傷害を負わせる事故を起こしたのに,暴力団組員である共犯者と共謀の上, 本件は,被告人が自動車を運転中,ハンドル操作を誤り対向車線上に進出させて,対向車両と衝突した結果,被害者に加療約1週間を要する傷害を負わせる事故を起こしたのに,暴力団組員である共犯者と共謀の上,被害者を脅迫して警察署へ提出した診断書を取り下げさせ,さらに被害者らから現金を喝取しようとしたが未遂に終わったという業務上過失傷害,強要,恐喝未遂の事案である。 本件業務上過失傷害の原因は,被告人の一方的な過失にあるし,強要及び恐喝未遂は,暴力団関係者特有の執拗に脅迫を加えた悪質な犯行であって,いずれも酌量の余地はなく,被害者らが受けた恐怖や不安には大きいものがあるところ,被告人は慰謝の措置を全く講じていない。しかも,被告人は,本件各犯行を否認し,不自然な弁解を続けている。さらに,被告人には,粗暴犯による前科が少なからずあり,規範意識に乏しいといわざるを得ない。 したがって,本件の犯情は芳しくなく,被告人の刑事責任は到底軽視することができない。 そうすると,被害者の負傷の程度,恐喝は未遂に終わっていること,被告人の健康状態などの事情を総合考慮してみても,主文の刑に処するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 平成16年10月12日広島高等裁判所第一部裁判長裁判官大渕敏和裁判官芦高源 裁判官島田一
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