平成15(行ケ)451 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年10月27日 東京高等裁判所
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判決文本文25,307 文字)

平成15年(行ケ)第451号審決取消請求事件平成16年10月27日判決言渡,平成16年9月8日口頭弁論終結判決原告ファミリー株式会社訴訟代理人弁理士角田嘉宏,高石郷,西谷俊男,幅慶司,古川安航,内山泉被告特許庁長官小川洋指定代理人平上悦司,田中秀夫,高木進,大橋信彦,井出英一郎 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判「特許庁が不服2000-13665号事件について平成15年8月8日にした審決を取り消す。」との判決。 第2 事案の概要本件は,特許出願をした原告が,拒絶査定を受けたので,上記査定に対する審判を請求して,請求は成り立たないとの審決(第1次審決)がされたことから,同審決の取消しを求める訴訟を提起したところ,同審決を取り消す旨の判決があり,確定したため,特許庁は更に審理した上,請求は成り立たないとの審決(第2次審決。単に「審決」という。)をしたので,同審決の取消を求めた事案である。 1 特許庁等における手続の経緯(1) 原告は,平成11年4月14日,発明の名称を「椅子型マッサージ機」とする特許出願をした。 (2) 原告は,平成12年7月18日に拒絶査定を受けたので,同年8月29日,拒絶査定に対する審判を請求し(不服2000-13665号事件),同年9月26日,願書に添付した明細書を補正(以下「本件補正」という。)した。 (3) 特許庁は,平成14年7月8日,本件補正を却下する決定をするとともに,本件補正前の発明は,刊行物1及び2(後記刊行物1及び2と同じ。)に記載された発明及び周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたから,特許法29条2項の規定 する決定をするとともに,本件補正前の発明は,刊行物1及び2(後記刊行物1及び2と同じ。)に記載された発明及び周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとして,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(第1次審決,甲26)をした。 (4) 原告は,平成14年8月26日,東京高等裁判所に上記審決の取消を求める訴訟を提起したところ(同年(行ケ)第441号事件),同裁判所は,特許庁が,本件補正後の発明と引用発明1(後記引用発明1と同じ。)との相違点を看過し,当該相違点に係る構成について想到容易性の判断をしないで本件補正を却下する決定をしたことについて,結論に至るために必要な認定判断を欠くものとして違法な決定であり,このような決定を前提とした第1次審決も結論に至るために必要な認定判断を欠くものとして違法であるとして,平成15年2月12日,第1次審決を取り消す旨の判決(甲27)を言い渡し,同判決は確定した。 (5) 特許庁は,審判請求事件について更に審理し,平成15年8月8日,本件補正を却下するとともに,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,平成15年9月9日,その謄本を原告に送達した。 2 本件発明の要旨(1) 本件補正前のもの(以下「本願発明」という。)「座部(3)と背凭れ部(4)とを有し,背凭れ部(4)に背,肩,腰等をマッサージするマッサージ具(8)が設けられた椅子型マッサージ機であって,背凭れ部(4)のマッサージ具(8)は,マッサージ用モータ(10)とマッサージ用モータ(10)の回転動力によって揉み玉(9)をマッサージ動作させる伝動機構(11)とを備え,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の伝動機構(11)は,前方側に突出した左右一対 0)とマッサージ用モータ(10)の回転動力によって揉み玉(9)をマッサージ動作させる伝動機構(11)とを備え,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の伝動機構(11)は,前方側に突出した左右一対の支持アーム(26)を有し,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の揉み玉(9)は,左右に対をなすように,左右一対の支持アーム(26)の端部にそれぞれ取り付けられ,前記伝動機構(11)は,マッサージ用モータ(10)の動力を左右一対の支持アーム(26)に伝達して,左右に対をなす揉み玉(9)を互いに接離するように動かして揉み動作をさせるように構成され,前記座部(3)は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置され,この前上がりに傾斜した座部(3)に尻や太もも等をマッサージするマッサージ具(45,46)が設けられこのマッサージ具(45,46)は,空気圧によって膨張収縮動作するエアセル(47,49)を備えかつ該エアセル(47,49)に空気を給排することにより尻や太もも等を,下側から押圧するように構成され,前記背凭れ部(4)は,垂直状態よりも後傾斜するように配置されると共に,リクライニング装置(7)により座部(3)後端部側を支点としてリクライニング可能に構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。」(2) 本件補正後のもの(下線部分が補正に係る箇所である。以下「補正発明」という。)「座部(3)と背凭れ部(4)とを有し,背凭れ部(4)に背,肩,腰等をマッサージするマッサージ具(8)が設けられた椅子型マッサージ機であって,背凭れ部(4)のマッサージ具(8)は,マッサージ用モータ(10)とマッサージ用モータ(10)の回転動力によって揉み玉(9)をマッサージ動作させる伝動機構(11)とを備え,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の伝動機 サージ具(8)は,マッサージ用モータ(10)とマッサージ用モータ(10)の回転動力によって揉み玉(9)をマッサージ動作させる伝動機構(11)とを備え,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の伝動機構(11)は,前方側に突出した左右一対の支持アーム(26)を有し,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)の揉み玉(9)は,左右に対をなすように,左右一対の支持アーム(26)の端部にそれぞれ取り付けられ,前記伝動機構(11)は,マッサージ用モータ(10)の動力を左右一対の支持アーム(26)に伝達して,左右に対をなす揉み玉(9)を互いに接離するように動かして揉み動作をさせるように構成され,前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)は,背凭れ部(4)を昇降するように構成され,前記座部(3)は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置され,この前上がりに傾斜した座部(3)に尻や太もも等をマッサージするマッサージ具(45,46)が設けられこのマッサージ具(45,46)は,空気圧によって膨張収縮動作するエアセル(47,49)を備えかつ該エアセル(47,49)に空気を給排することにより尻や太もも等を,下側から押圧するように構成され,前記背凭れ部(4)は,垂直状態よりも後傾斜するように配置されると共に,リクライニング装置(7)により座部(3)後端部側を支点としてリクライニング可能に構成され,座部(3)の下方にフットレスト(5)が設けられ,フットレスト(5)に,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部(51,51)が設けられ,フットレスト(5)に足をマッサージするマッサージ具(53,58)が設けられ,前記フットレスト(5)のマッサージ具(53,58)は,空気圧によって膨張収縮動作するエアセル(54,59)を備えかつ該エアセル(54,5 足をマッサージするマッサージ具(53,58)が設けられ,前記フットレスト(5)のマッサージ具(53,58)は,空気圧によって膨張収縮動作するエアセル(54,59)を備えかつ該エアセル(54,59)に空気を給排することにより前記足保持部(51,51)に挟持した左右の足をマッサージするように構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。」 3 審決の理由審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,補正発明は,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により,特許出願の際に独立して特許を受けることができないから,本件補正は同法17条の2第5項で準用する同法126条4項に違反し,同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきであり,また,本願発明の構成要件を全て含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,本願発明も,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができず,したがって,本願発明は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである,というのである。 (1) 本件補正についての補正却下の決定ア引用した刊行物刊行物1:特開平9-122193号公報(本訴甲2)刊行物2:特開平6-245968号公報(本訴甲3)イ引用刊行物記載の発明(ア) 刊行物1a 刊行物1には,図面とともに次の事項が記載されている。 「この発明は,主として坐位における人体の背筋・脊髄まわりのマッサージ,按ま,指圧 甲3)イ引用刊行物記載の発明(ア) 刊行物1a 刊行物1には,図面とともに次の事項が記載されている。 「この発明は,主として坐位における人体の背筋・脊髄まわりのマッサージ,按ま,指圧等の効果を複合的に得る目的で,圧気並びに機械的動作を組み合わせたことを特徴とする複合マッサージ機に関するものである。」(段落【0001】)「而して,前者,即ち機械的動作によるものは,その圧迫に硬直感が強く,婦女子や高齢者には使用上の抵抗が多く,又,圧気式のものは,その収縮性と適度な面刺激によって,利用者に柔和感が得られるものの,摺擦効果の面で劣るという課題があった。」(段落【0003】)「図1において,1は坐台1a及び背板1bを備えた椅子型基体,2は背板1bの中央部を後述するような摺擦機構によって上下に移動可能なロール等からなる摺擦体,また3は,上記背板1bの上記摺擦機構の左右に対設された複数の気嚢である。上記背板1bの気嚢3は,摺擦体2の軌道を挟んで左右の列に分設されるものであるが,最上段に配設された左右の気嚢3a・3aは,首筋を挟圧する位置に設けられる他,最上段のものを含めて左右各列は,上下複数個の独立した気嚢3a・3b・3c・・・・から構成されていて,それぞれにコンプレッサー(図示せず)に通ずる圧気ホース4を備え,コンプレッサーから分配器等を介して各気嚢に通じ,各列に圧気の給排を可能としたものである。即ち各列の気嚢は,例えば最上段の左右の気嚢3a,3aに同時に給気して膨張させた後,内部圧気を排出して収縮可能とし,次いで,次段の気嚢3b,3bに圧気を給排して,この段の気嚢を同時に膨縮させるというように順次下段の気嚢へと移行させるものである。尚,本発明における上記気嚢3は,上述した基体1の背板1b面に埋設されることに止まらず,その坐台 に圧気を給排して,この段の気嚢を同時に膨縮させるというように順次下段の気嚢へと移行させるものである。尚,本発明における上記気嚢3は,上述した基体1の背板1b面に埋設されることに止まらず,その坐台1a面に複数の気嚢3’を横(水平)方向に設けることによって,同時に臀部と上肢(太もも)に揉捏などの効果を付与することもできるし,更に坐台1aの前面1cに気嚢5aを対設した揉捏機構5を二基取り付け,これらをホース4を介して前記のコンプレッサーに接続して下肢背側(ふくらはぎ)の揉みほぐしを行うことも自由である。」(段落【0008】~【0011】)「一方,機筺6の両側内折縁6aの下方には,上記軸端ローラー2cを転動自在に案内するレール板6cが設けられており,該レール板6cの適宜な箇所に山形部6dを隆成し,レール板6c上を転動する軸端ローラー2cを介して軸2a及び摺擦体2を一定高さ突入可能としたものである。但し,この場合,上記山形部6dの直上に位置する内折縁6aには,軸端ローラー2cの突出口6eを形成しておく必要がある。」(段落【0016】)「本発明は,このような構成を採用することにより,坐位における利用者の脊髄を挟んで,上下に転動する摺擦体によってマッサージ効果を与え,背骨まわりの血行を促進させる機能を発揮するだけでなく,該摺擦体が一定量突出可能としたことで上記機能に加えて按捏効果,すなわち指圧の心地よさを齎らし得るものである。 一方,上記摺擦体を挟んで左右に気嚢を縦設したことにより,上下に独立して配設された各気嚢が,同列同時に行われる圧気の給排を受けて順次膨張・収縮を繰り返す間にその広い面による按捏効果を発揮し,快適に背筋を揉みほぐして,上述した摺擦体による軽擦又は按捏機能と相俟って,背中全面の筋肉疲労を回復させる上で格別の効果を奏するのであ 順次膨張・収縮を繰り返す間にその広い面による按捏効果を発揮し,快適に背筋を揉みほぐして,上述した摺擦体による軽擦又は按捏機能と相俟って,背中全面の筋肉疲労を回復させる上で格別の効果を奏するのである。尚,この場合,気嚢の膨縮動作を摺擦体の走行速度(位置)と同期させることにより,摺擦体の肌への当接力を強弱任意に調整する機能が得られるのである。更に,坐台または/および坐台前面に気嚢を対設してなる揉捏機構を併用したものは,臀部や上・下肢背側を同時に揉みほぐす全身マッサージ乃至は全身按ま効果が得られるのである。」(段落【0018】~【0020】)また,第1図の記載からみて,「坐台1aの前面1cに」「二基取り付け」られた「揉捏機構5」には,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部が設けられているものと認められる。 b したがって,これらの記載事項及び図面の図示内容によれば,刊行物1には,「坐台1a及び背板1bとを有し,背板1bに,中央部に摺擦機構によって上下に移動可能な摺擦体2,及び摺擦機構の左右に対設された複数の気嚢3が設けられた複合マッサージ機であって,背板1bの複数の気嚢3は上下独立して設け(3a,3b,3c),順次下段の気嚢に対して圧気を給排することで収縮動作を行い,背筋を揉みほぐすように構成され,摺擦体2は軽擦又は按捏機能を有するとともに不使用時には摺擦体2の突出を防止し,坐台1a面に,収縮動作を行う複数の気嚢3’を設け臀部と上肢に下側から按捏効果をもたらすように構成され,坐台1aの前面に,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部が設けられた揉捏機構5を設け,さらに収縮動作を行う気嚢5aを対設することによって,下肢背側の揉みほぐしを行うように構成された,複合マッサージ機」の発明(以下「引用発明1」という。)が 形の足保持部が設けられた揉捏機構5を設け,さらに収縮動作を行う気嚢5aを対設することによって,下肢背側の揉みほぐしを行うように構成された,複合マッサージ機」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 (イ) 刊行物2a 刊行物2には,図面とともに次の事項が記載されている。 「本発明は,使用者の背中が当てられる椅子やベッド等における背当て部に組込まれ,一対のマッサージローラの動作により使用者の背中等を叩いたり揉んだりしてマッサージするマッサージ機に関する。」(段落【0001】)「本発明は,揉み運動と叩き運動とができる一対のマッサージローラと・・・正逆回転可能なモータを有するとともに,このモータの正逆回転により前記マッサージローラに揉み運動と叩き運動の動作を選択的に付与する駆動ユニットとを備えるマッサージ機に適用される。」(段落【0010】)「機枠21内にはその幅方向略中央部に位置して駆動ユニット31が配置されている。このユニット31は,ギアボックスをなすハウジング32と,このハウジング32の外面に連結された正逆回転可能な第1モータ33とを備えている。ハウジング32は横架材24,25の中央部内面に当接支持されているとともに,横架材27にボルト止めされている。図7等に示されるように第1モータ33の回転軸33aは,その外周部には全周にわたる歯を有して歯車状に形成されているとともに,ハウジング32内に挿入されている。 ハウジング32には駆動装置34が内蔵されている。駆動装置34の構成は図7および図8等に示されている。これらの図中41は左右方向に延びて,その両端部を軸受42で回転自在に支持された入力軸で,この外周に嵌合して一体に回転されるように固定された入力歯車43は,第1モータ33の回転軸33aに噛み合わさ 。これらの図中41は左右方向に延びて,その両端部を軸受42で回転自在に支持された入力軸で,この外周に嵌合して一体に回転されるように固定された入力歯車43は,第1モータ33の回転軸33aに噛み合わされている。入力軸41の外周には,第1の一方向クラッチ44を介して揉み系伝動歯車45と,第2の一方向クラッチ46を介して叩き系伝動歯車47が夫々取付けられている。」(段落【0013】及び【0014】)「図7に示されるようにハウジング32内には入力軸41と平行に横架される支持軸48がナット49で止められている。この軸48に回転自在に支持された第1減速歯車50の大径歯車部50aは,揉み系伝動歯車45に噛み合わされている。 さらに,ハウジング32には揉み系出力歯車としての第2減速歯車51が内蔵され,この歯車51は第1減速歯車50の小径歯車部50bに噛み合わされている。 ハウジング32には,左右方向に延びてハウジング32の両側面から突出される揉みマッサージ軸52が,一対の軸受53により回転自在に支持されている。この軸52の軸方向中央部は,第2減速歯車51のボス部51aを貫通して,このボス部51aの内周面にスプライン係合されている。」(段落【0016】及び【0017】)「揉みマッサージ軸52の前記両側部分には夫々可動スリーブ65が取付けられている。これら一対のスリーブ65は前記両側部分に対し揉みマッサージ軸52の軸方向に摺動可能に嵌合されている。可動スリーブ65は図7に示されるように偏心カム部65aと連結部65bとを有している。偏心カム部65aは,可動スリーブ65の軸線に対して偏心しかつ傾斜した軸線を持つ短軸状の部分である。両可動スリーブ65の偏心カム部65aの軸線の傾斜は互いに逆になっている。連結部65bは可動スリーブ65の軸線と同心的に設けられて ブ65の軸線に対して偏心しかつ傾斜した軸線を持つ短軸状の部分である。両可動スリーブ65の偏心カム部65aの軸線の傾斜は互いに逆になっている。連結部65bは可動スリーブ65の軸線と同心的に設けられている。偏心カム部65aの外周面には軸受66を介してハブ67が取付けられている。したがって,一対のハブ67は揉みマッサージ軸52の前記両側部分に,この軸52に対して互いに反対方向に傾斜して支持されている。図1,図2,および図9に示されるようにハブ67にはアーム68が連結され,このアーム68の先端部にはマッサージローラ69が回転自在に取付けられている。」(段落【0023】~【0025】)「前記第1モータ33の回転軸33aが逆転されて揉みマッサージ軸52が低速度で適正に回転された場合には,この軸52と一緒にキー62を介して一対の可動スリーブ65が回転される。そのため,偏心カム部65aが,その軸線の傾斜に応じ揉みマッサージ軸52の軸線を支点として揺動するように見掛け上変位する。ところで,偏心カム部65aに軸受66を介して嵌合されているハブ67は,連結棒74を介して継手73に連結されて,回転を拘束されている。したがって,このハブ67は偏心カム部65aの前記見掛け上の変位に同期して,揉みマッサージ軸52の軸線を支点とする揺動運動を行う。このとき,ハブ67と連結棒74との自在継手状の連結部では滑りを生じるとともに,連結棒74は継手73に対してピン75の軸回りに回動されて,前記揺動運動を可能にしている。このようにして動作される一対のハブ67の揺動運動に伴いアーム68が同様に揺動されるから,一対のマッサージローラ69が同期して互いに接離される方向に動かされ,それによって,マッサージローラ69が揉み運動をする。」(段落【0032】~【0035】)「図14 8が同様に揺動されるから,一対のマッサージローラ69が同期して互いに接離される方向に動かされ,それによって,マッサージローラ69が揉み運動をする。」(段落【0032】~【0035】)「図14に示されるようにマッサージ機Mが組み込まれる椅子の背当て部(背凭れ)Bの背面には,その幅方向両側に背当て部Bの長手方向に延びるレールCが設けられている。マッサージ機Mは,そのローラ116,120を左右一対のレールCに夫々転接させて,背当て部Bの形状に合わせてその長手方向に直線的または非直線的に移動されるように設けられる。」(段落【0054】)また,第1,2,6及び9図の記載からみて,アーム68は,前方側に突出するものと認められる。 b したがって,これらの記載事項及び図面の図示内容によれば,刊行物2には,「椅子における背当て部(背凭れ)Bに組込まれ,一対のマッサージローラ69の動作により使用者の背中等を叩いたり揉んだりしてマッサージするマッサージ機であって,第1モータ33と,第1モータ33の回転軸33aの逆転によってマッサージローラ69を揉み運動させる,第1モータ33とともにモータ駆動装置34と第1減速歯車50と第2減速歯車51等を備える駆動ユニット31,揉みマッサージ軸52,可動スリーブ65,ハブ67及びアーム68等を備え,前記アーム68は,前方側に突出し左右一対のものであり,マッサージローラ69は,左右に対をなすように,アーム68の先端部にそれぞれ取り付けられ,第1モータ33の回転軸33aの逆転を,駆動ユニット31,揉みマッサージ軸52,可動スリーブ65,ハブ67を介してアーム68に伝達して,一対のマッサージローラ69を互いに接離される方向に動かし,それによって,マッサージローラ69が揉み運動をさせるように構成され,背当て部(背凭れ) リーブ65,ハブ67を介してアーム68に伝達して,一対のマッサージローラ69を互いに接離される方向に動かし,それによって,マッサージローラ69が揉み運動をさせるように構成され,背当て部(背凭れ)Bのマッサージ機は,背当て部Bの長手方向に移動されるマッサージ機」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 ウ対比・判断補正発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「坐台1a」は補正発明の「座部」に相当する。以下,「背板1b」は「背凭れ部」に,「気嚢」は「エアセル」に,「複合マッサージ機」は「椅子型マッサージ機」に,「按捏」は「マッサージ」に,「圧気」は「空気圧」に,「背筋」は「背」に,「臀部と上肢」は「尻や太もも」に,「下肢背側」は「左右の足」に,それぞれ相当する。さらに,引用発明1に設けられた「気嚢3」および「摺擦体2」はいずれも按捏機能をもち,「マッサージ具」と言うことができるから,引用発明1において,背板に設けられた「気嚢3」又は「摺擦体2」は,「背等をマッサージするマッサージ具」に相当する。 したがって,両者は,「座部と背凭れ部とを有し,背凭れ部に背等をマッサージするマッサージ具が設けられた椅子型マッサージ機であって,座部に,尻や太もも等をマッサージするマッサージ具が設けられ,このマッサージ具は,空気圧によって収縮動作するエアセルを備えかつ該エアセルに空気を給排することにより尻や太もも等を,下側から押圧するように構成され,座部の下方にフットレストが設けられ,フットレストに,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部が設けられ,フットレストに足をマッサージするマッサージ具が設けられ,前記フットレストのマッサージ具は,空気圧によって収縮動作するエアセルを備えかつ該エアセルに空気 することができる溝形の足保持部が設けられ,フットレストに足をマッサージするマッサージ具が設けられ,前記フットレストのマッサージ具は,空気圧によって収縮動作するエアセルを備えかつ該エアセルに空気を給排することにより前記足保持部に挟持した左右の足をマッサージするように構成されている椅子型マッサージ機。」である点で一致し,次の点で相違する。 (ア) 補正発明の背凭れ部のマッサージ具は,「マッサージ用モータとマッサージ用モータの回転動力によって揉み玉をマッサージ動作させる伝動機構とを備え,前記背凭れ部のマッサージ具の伝動機構は,前方側に突出した左右一対の支持アームを有し,前記背凭れ部のマッサージ具の揉み玉は,左右に対をなすように,左右一対の支持アームの端部にそれぞれ取り付けられ,前記伝動機構は,マッサージ用モータの動力を左右一対の支持アームに伝達して,左右に対をなす揉み玉を互いに接離するように動かして揉み動作をさせるように構成され,前記背凭れ部のマッサージ具は,背凭れ部を昇降するように構成され」ているのに対し,引用発明1では,背凭れ部の中央部に摺擦機構によって上下に移動可能な摺擦体及び摺擦機構の左右に対設された複数のエアセルで構成されている点。 (イ) 補正発明の座部は,「座部(3)は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置され」ているのに対し,引用発明1ではかかる構成を備えていない点。 (ウ) 補正発明の背凭れ部は,「垂直状態よりも後傾斜するように配置されると共に,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成され」ているのに対し,引用発明1ではかかる構成を備えていない点。 上記相違点(ア)について検討する。 補正発明の相違点(ア)に係る背凭れ部のマッサージ具は,マッサージ椅子の背凭れ部におけるマッサー れ」ているのに対し,引用発明1ではかかる構成を備えていない点。 上記相違点(ア)について検討する。 補正発明の相違点(ア)に係る背凭れ部のマッサージ具は,マッサージ椅子の背凭れ部におけるマッサージ具として出願前周知のものにすぎない。例えば,引用発明2における,「マッサージローラ69」,「第1モータ33」,「アーム68」,「背当て部(背凭れ)B」,「モータ駆動装置34と第1減速歯車50と第2減速歯車51等を備える駆動ユニット31,揉みマッサージ軸52,可動スリーブ65,ハブ67及びアーム68等」,「背当て部Bの長手方向に移動される」,「マッサージ機」は,機能・構造からみて,それぞれ,補正発明の「揉み玉」,「マッサージ用モータ」,「支持アーム」,「背凭れ部」,「伝動機構」,「背凭れ部を昇降するように構成され」,「マッサージ具」に相当するから,引用発明2は上記相違点(ア)に係る構成を実質的に具備している。 そして,上記周知の背凭れ部のマッサージ具を採用することに,当業者が格別の創意を要するとは言えない。 よって,引用発明1の椅子型マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引用発明2のような周知のマッサージ具を採用して,相違点(ア)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことであると認められる。 上記相違点(イ)及び(ウ)については,本願出願前周知の技術であり(前者については,例えば,特開平8-336565号公報(本訴甲5)には,背凭れ部3及び座部2にマッサージ用の空気袋14,22,23,24,25を有する椅子式エアーマッサージ機において,座部3は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置すること,特開昭63-135170号公報(本訴甲6)には,座部10及び背部12に設けた突出部14上にそれぞれ長形空気袋体16を配置した空 において,座部3は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置すること,特開昭63-135170号公報(本訴甲6)には,座部10及び背部12に設けた突出部14上にそれぞれ長形空気袋体16を配置した空気マッサージ椅子において,座部10は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置することが示されている。後者については,例えば,特開平8-336564号公報(本訴甲7)には,背凭れ部3及び座部2にマッサージ用の空気袋14,22,23,24,25を有する椅子式エアーマッサージ機において,背凭れ部3は垂直状態よりも後傾斜するように配置されると共に,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成すること,特開昭61-280862号公報(本訴甲8)には,座部10及び背部12に設けた長形空気袋体14を配置した空気マッサージ椅子において,背部12は垂直状態よりも後傾斜するように配置されると共に,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成することが示されている。),引用発明1の椅子型マッサージ機にこれら周知技術を採用する点に,格別の困難性を見いだすことはできない。 また,補正発明によってもたらされる効果も,引用発明1及び2並びに周知の技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。 以上によれば,補正発明は,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 エむすびしたがって,補正発明は,特許法29条2項の規定により,特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから,この補正は同法17条の2第5項で準用する同法126条4項に違反するものであり,同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項 ,特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから,この補正は同法17条の2第5項で準用する同法126条4項に違反するものであり,同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 (2) 本願発明についてア引用した刊行物及びこれに記載の発明上記(1)ア,イに記載したとおりである。 イ対比・判断本願発明は,補正発明から「背凭れ部(4)のマッサージ具(8)」の限定事項である「前記背凭れ部(4)のマッサージ具(8)は,背凭れ部(4)を昇降するように構成され」との構成を省き,さらに「座部(3)の下方にフットレスト(5)が設けられ,フットレスト(5)に,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部(51,51)が設けられ,フットレスト(5)に足をマッサージするマッサージ具(53,58)が設けられ,前記フットレスト(5)のマッサージ具(53,58)は,空気圧によって膨張収縮動作するエアセル(54,59)を備えかつ該エアセル(54,59)に空気を給排することにより前記足保持部(51,51)に挟持した左右の足をマッサージするように構成されていること」との構成を省いたものである。 そうすると,本願発明の構成要件を全て含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が,(1)ウに記載したとおり,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウむすび以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受け できたものである。 ウむすび以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び2並びに周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 当事者の主張 1 原告主張の審決取消事由(1) 取消事由1(引用発明1における適用阻害事由の看過)審決は,「引用発明1の椅子型マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引用発明2のような周知のマッサージ具を採用して,相違点(ア)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことである」と判断したが,誤りである。 引用発明1の目的は,従来技術が,「機械的動作によるものは,その圧迫に硬直感が強く,婦女子や高齢者には使用上の抵抗が多く,又,圧気式のものは,その収縮性と適度な面刺激によって,利用者に柔和感が得られるものの,摺擦効果の面で劣るという課題があった。」(甲2の発明の詳細な説明の段落【0003】)ので,摺擦体による機械的動作と気嚢による圧気動作とを複合化させた装置を背凭れ部に組み込み,「機械的機構の持つ特質と,圧気式の優越性を合成して一台のマッサージ機を構成したことにより,それぞれの特性が複合された按ま乃至マッサージ効果を高める」(同【0004】)ということにある。そうすると,このような引用発明1の目的課題を前提とする限り,単にマッサージ具であるという点で一致するからといって,引用発明1の「気嚢」や「摺擦体」を引用発明2のようなマッサージ具に置き換えることはできず,引用発明1に引用発明2を適用することには阻害要因がある。 したがって,適用阻害要因がある以上,たとえ引用発明2が相違点(ア)に係る構成を実質的に具備しているとしても,引用発明1の椅子式マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引 要因がある。 したがって,適用阻害要因がある以上,たとえ引用発明2が相違点(ア)に係る構成を実質的に具備しているとしても,引用発明1の椅子式マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引用発明2のような周知のマッサージ具を採用して,相違点(ア)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たということはできない。なお,この点に関しては,「引用例1記載の考案のターミナルピンに引用例2記載の考案の・・・構成を適用すれば,・・・考案の目的に反する方向に変更することになるから,・・・これを当業者が極めて容易に想到することができたものと認めることはできない。」とした裁判例(東京高等裁判所平成8年(行ケ)第91号平成10年5月28日判決,甲4)がある。 (2) 取消事由2(各構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働して顕著な作用効果を発揮することの看過)審決は,「相違点(イ)及び(ウ)については,本願出願前周知の技術であり・・・,引用発明1の椅子型マッサージ機にこれら周知技術を採用する点に,格別の困難性を見いだすことはできない。また,補正発明によってもたらされる効果も,引用発明1及び2並びに周知の技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。」と判断したが,誤りである。 ア補正発明は,「背凭れ部に設けた人体側に突出せる一対の揉み玉」,「座部のエアセル」,「座部3は水平状態よりも前上がりに傾斜」,「背凭れ部4は,垂直状態よりも後傾斜するように配置され,かつ,リクライニング装置7により座部3後端部側を支点としてリクライニング可能」及び「坐部にエアセルを備えたフットレスト」の各構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働し,引用発明1及び2並びに周知技術では得ることのできない,以下のような顕著な作用 点としてリクライニング可能」及び「坐部にエアセルを備えたフットレスト」の各構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働し,引用発明1及び2並びに周知技術では得ることのできない,以下のような顕著な作用効果を奏するものであり,このような構成要件を全て有機的に一体化した発明は,引用発明1及び2並びに周知技術には見出すことができないから,引用発明1に引用発明2や周知技術を適用することの起因ないし動機付けが存在しない。そして,審決が周知技術として摘示したものは,背凭れ部及び座部ともにエアセル(空気袋)によるマッサージ具が配設されているものばかりであって,上記のような構成要件の協働作用による補正発明に特有な作用効果は奏し得ないことが明らかであり,しかも,これを示唆するものでもない。 (ア) 左右に対をなす揉み玉9は,前方側に突出した左右一対の支持アーム26の端部にそれぞれ取り付けられているので,左右一対の支持アーム26によって,左右に対をなす揉み玉9を背凭れ部4から人体側に比較的大きく突出させることが可能になり,しかも座部3のエアセル47,49を膨張収縮動作させて,エアセル47,49により尻や太もも等を下側から押圧するので,背凭れ部4の揉み玉9側と座部3のエアセル47,49側との間で,使用者の身体を上下に挟むような状態になり,座部3のエアセル47,49の膨張動作が,背凭れ部4の揉み玉9を,身体に対して下方に向けて押し付けるような作用をする。特に,背凭れ部4のマッサージ具8を昇降させて,揉み玉9で肩をマッサージをする際には,左右に対をなす揉み玉9側と座部3のエアセル47,49側との間で,使用者の身体を肩から尻や太ももに亘って,上下に深く挟持した状態になり,座部3のエアセル47,49の膨張動作によって,左右に対をなす揉み玉9で肩を上側から下方に向けて のエアセル47,49側との間で,使用者の身体を肩から尻や太ももに亘って,上下に深く挟持した状態になり,座部3のエアセル47,49の膨張動作によって,左右に対をなす揉み玉9で肩を上側から下方に向けて押し付けることができる。 したがって,左右に対をなす揉み玉9によって揉み動作によるマッサージをする際に,座部3のエアセル47,49の膨張収縮動作によって,使用者の肩,腰,背等に対して揉み玉9の下方押圧を繰り返させることができる。例えば,揉み玉9で肩をマッサージをする際には,左右に対をなす揉み玉9の接離による揉み動作と,左右に対をなす揉み玉9の肩に対する下方への押し付けの繰り返しとにより,肩を広い範囲で効果的に揉みほぐすことが可能になる。 すなわち,背凭れ部に設けた左右に対をなす揉み玉9(互いに接離するように揉み動作)と,座部3のエアセル47,49(膨張収縮動作)との協働動作,つまり,左右に対をなす揉み玉9間による左右の揉み動作と,左右に対をなす揉み玉9の下方への押し付けの繰り返しとにより,使用者の肩,腰,背等に対し広く大きな揉み動作をなすことができ,肩,腰,背等を揉み動作による効果的なマッサージをすることができる。 (イ) また,補正発明の場合,座部3は水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置され,背凭れ部4は,垂直状態よりも後傾斜するように配置されているので,前上がりに傾斜した座部3のエアセル47,49を膨張収縮動作させたとき,エアセル47,49により尻や太もも等を下側から押圧し,この押圧力が,座部3が前上がりに傾斜しかつ背凭れ部4が後傾斜していることと相俟って,使用者の身体を,尻の後部側を支点として後転させるようにも作用する。その結果,肩,腰,背等の使用者の上半身を,前側から揉み玉9に対して,より強く押し付けることが可能になり,こ ていることと相俟って,使用者の身体を,尻の後部側を支点として後転させるようにも作用する。その結果,肩,腰,背等の使用者の上半身を,前側から揉み玉9に対して,より強く押し付けることが可能になり,これにより,左右に対をなす揉み玉9で,使用者の肩,腰,背等の所望箇所を掴むようにしながらうまく揉みほぐすことができるようになる。しかも,座部3のエアセル47,49の膨張収縮動作により,左右に対をなす揉み玉9による揉み動作の強弱等に微妙な変化を付けることができるようになり,この点からも揉み動作による効果的なマッサージをなし得るようになる。 (ウ) また,背凭れ部4は,リクライニング装置7により座部3後端部側を支点としてリクライニング可能に構成されているので,背凭れ部4を,リクライニング装置7でリクライニング調整することにより,背凭れ部4をさらに大きく後傾斜させることができ,上記の如くエアセル47,49の押圧力で,使用者の身体を尻の後部側を支点として後転させるように作用させて,使用者の上半身を前側から揉み玉9に押し付ける際に,この押し付け力を,リクライニング調整によって微妙に可変調整することが可能になり,左右に対をなす揉み玉9の揉み動作によるマッサージを,より変化に富んだ効果的なものにすることができる。 (エ) さらに,補正発明の場合,背凭れ部4のマッサージ具8によって肩,腰,背等を広く大きな動作で効果的なマッサージをしながら,座部3のマッサージ具45,46で,使用者の尻や太ももをエアセル47,49のクッション性を利用してソフトにマッサージすることができるし,フットレスト5のマッサージ具53,58で,足保持部51,51に挟持した左右の足をソフトにマッサージすることができるため,全身をほぐすようにマッサージすることができ,全身をリラックスさせてかっ し,フットレスト5のマッサージ具53,58で,足保持部51,51に挟持した左右の足をソフトにマッサージすることができるため,全身をほぐすようにマッサージすることができ,全身をリラックスさせてかってない心地良さを体感させることができて,そのマッサージ効果は著大なものとなる。 補正発明では局部的なマッサージのみでは得られない全身的なマッサージを行うことができ,しかも,例えば脚から尻,腰,背,肩へと(又はこの逆に)順次マッサージが行えることから,全身のもみほぐし,リラックス感から大きなマッサージ効果を得ることができる。 イ補正発明は,上記のとおり,構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働して,顕著な作用効果を奏するものであるから,(ア) このような構成要件の有機的な結合も進歩性の判断要素の一つとして考慮するのが相当であり,そうであれば,補正発明の進歩性は当然に肯定されるべきである。 (イ) 相違点(イ)及び(ウ)を検討するに当たっては,構成要件相互の関係をも考慮する必要があるところ,審決は,相違点を独立して抽出し,それぞれの相違点について,引用発明1及び2並びに周知例の適用を個別に判断したに止まり,構成要件相互の関係を検討しなかった。なお,この点に関しては,「本件発明の構成要件・・・は互いに関連しているものというべきであり,したがって,各構成要件の比較検討に当っても構成要件相互の関係を考慮すべきであって,この検討を怠った審決の判断は誤りである」とした裁判例(東京高等裁判所平成8年(行ケ)第310号平成9年11月18日判決,甲9)がある。 (ウ) 構成要件を一致点,相違点などと分断して進歩性を判断する一般的な手法は,マッサージ機の特殊性を考えると,マッサージ機の進歩性の判断には不適切であって採用できないものである。 2 被告の (ウ) 構成要件を一致点,相違点などと分断して進歩性を判断する一般的な手法は,マッサージ機の特殊性を考えると,マッサージ機の進歩性の判断には不適切であって採用できないものである。 2 被告の反論(1) 取消事由1(引用発明1における適用阻害事由の看過)に対して引用発明1は,利用者の多様な要求に対応するために,婦女子や高齢者に着目して,機械式の摺擦体と圧気式の気嚢の同時又は圧気式の気嚢のみを選択することができるようにしているものであるが,通常の男性や従来通りの確実な摺擦効果を求める者に着目し,良く知られている背凭れ部のマッサージ具の一つである揉み玉によるマッサージ具を,マッサージ機に適用するものの一つとして考えることに,何の困難もないから,引用発明1に引用発明2を適用することに阻害要因があるということはできない。 (2) 取消事由2(各構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働して顕著な作用効果を発揮することの看過)に対して補正発明において,当業者の予測することができない顕著な作用効果が奏されているということはできない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(引用発明1における適用阻害事由の看過)について(1) 引用発明1は,「坐台1a及び背板1bとを有し,背板1bに,中央部に摺擦機構によって上下に移動可能な摺擦体2,及び摺擦機構の左右に対設された複数の気嚢3が設けられた複合マッサージ機であって,背板1bの複数の気嚢3は上下独立して設け(3a,3b,3c),順次下段の気嚢に対して圧気を給排することで収縮動作を行い,背筋を揉みほぐすように構成され,摺擦体2は軽擦又は按捏機能を有するとともに不使用時には摺擦体2の突出を防止し,坐台1a面に,収縮動作を行う複数の気嚢3’を設け臀部と上肢に下側から按捏効果をもたらすように構成 ぐすように構成され,摺擦体2は軽擦又は按捏機能を有するとともに不使用時には摺擦体2の突出を防止し,坐台1a面に,収縮動作を行う複数の気嚢3’を設け臀部と上肢に下側から按捏効果をもたらすように構成され,坐台1aの前面に,左右の足を別々に挟持することができる溝形の足保持部が設けられた揉捏機構5を設け,さらに収縮動作を行う気嚢5aを対設することによって,下肢背側の揉みほぐしを行うように構成された,複合マッサージ機」であり,引用発明2は,「椅子における背当て部(背凭れ)Bに組込まれ,一対のマッサージローラ69の動作により使用者の背中等を叩いたり揉んだりしてマッサージするマッサージ機であって,第1モータ33と,第1モータ33の回転軸33aの逆転によってマッサージローラ69を揉み運動させる,第1モータ33とともにモータ駆動装置34と第1減速歯車50と第2減速歯車51等を備える駆動ユニット31,揉みマッサージ軸52,可動スリーブ65,ハブ67及びアーム68等を備え,前記アーム68は,前方側に突出し左右一対のものであり,マッサージローラ69は,左右に対をなすように,アーム68の先端部にそれぞれ取り付けられ,第1モータ33の回転軸33aの逆転を,駆動ユニット31,揉みマッサージ軸52,可動スリーブ65,ハブ67を介してアーム68に伝達して,一対のマッサージローラ69を互いに接離される方向に動かし,それによって,マッサージローラ69が揉み運動をさせるように構成され,背当て部(背凭れ)Bのマッサージ機は,背当て部Bの長手方向に移動されるマッサージ機」である(このことは,当事者間に争いがない。)。 以上の引用発明1及び2と補正発明とを対比すると,引用発明1の背板(背凭れ部)に設けられた「気嚢3」及び「摺擦体2」は,補正発明の「背等をマッサージするマッサー とは,当事者間に争いがない。)。 以上の引用発明1及び2と補正発明とを対比すると,引用発明1の背板(背凭れ部)に設けられた「気嚢3」及び「摺擦体2」は,補正発明の「背等をマッサージするマッサージ具」に相当し,また,引用発明2の「背当て部Bの長手方向に移動されるマッサージ機」は,補正発明の「マッサージ具」に相当し,かつ,引用発明2のマッサージ機は椅子における背当て部(背凭れ部)に組込まれて,使用者の背中等を叩いたり揉んだりしてマッサージするものであることが認められる。 そうすると,引用発明1の「気嚢3」及び「摺擦体2」と引用発明2の「背当て部Bの長手方向に移動されるマッサージ機」とは,背凭れ部に設けられた「背等をマッサージするマッサージ具」である点で一致するから,引用発明1の椅子形マッサージ機において,背凭れ部に設けられた「背等をマッサージするマッサージ具」として,引用発明2の「背当て部Bの長手方向に移動されるマッサージ機」に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得るものと認められる。 (2) 原告は,引用発明1の目的課題を前提とする限り,単にマッサージ具であるという点で一致するからといって,引用発明1の「気嚢」や「摺擦体」を引用発明2のようなマッサージ具に置き換えることはできず,引用発明1に引用発明2を適用することに阻害要因があると主張する。 しかし,刊行物1に接した当業者であれば,特許請求の範囲の記載に即して審決が引用発明1と補正発明との一致点として認定した程度に抽象化された「椅子型マッサージ機」を理解し,その抽象化された「椅子型マッサージ機」の構成要件として,引用発明2のマッサージ機に係る技術事項の適用を試みるものと考えられ,発明の詳細な説明における目的課題の記載にことさらに意を注ぎ,通常行われる技術事項適用の試みを自 マッサージ機」の構成要件として,引用発明2のマッサージ機に係る技術事項の適用を試みるものと考えられ,発明の詳細な説明における目的課題の記載にことさらに意を注ぎ,通常行われる技術事項適用の試みを自ら限定するものとは考えられない。 そうであれば,引用発明1の目的が,摺擦体による機械的動作と気嚢による圧気動作とを複合化させた装置を背凭れ部に組み込み,「機械的機構の持つ特質と,圧気式の優越性を合成して一台のマッサージ機を構成したことにより,それぞれの特性が複合された按ま乃至マッサージ効果を高める」(甲2の発明の詳細な説明の段落【0004】)ことにあるとしても,引用発明1に引用発明2を適用することに阻害要因があるということはできない。なお,原告の引用する裁判例は,「引用例1記載の考案のターミナルピンに引用例2記載の考案の・・・構成を適用すれば折曲部の高さだけ高くなってしまうのであって,このことは,折角逃がし孔まで設けた上で設け方を工夫して薄型化を図ったターミナルピンを考案の目的に反する方向に変更することになるから,・・・これを当業者が極めて容易に想到することができたものと認めることはできない。」とするものであるが,本件において,引用発明1に引用発明2を適用することが引用発明1の目的に反する方向に変更することになるものであるとしても,このことが引用発明1の構成自体から明らかであるとはいえず,刊行物1に接した当業者において,抽象化して理解された「椅子型マッサージ機」の構成要件を置換することを妨げるものではないと考えられるから,上記裁判例とは事案を異にする。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (3) 以上によれば,審決が,「引用発明1の椅子型マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引用発明2のような周知のマッサー 。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (3) 以上によれば,審決が,「引用発明1の椅子型マッサージ機において,背凭れ部のマッサージ具として,引用発明2のような周知のマッサージ具を採用して,相違点(ア)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことである」と判断したことに,誤りはない。 したがって,取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(各構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働して顕著な作用効果を発揮することの看過)について(1) 甲5ないし8によれば,特開平8-336565号公報(甲5)には,背凭れ部3及び座部2にマッサージ用の空気袋14,22,23,24,25を有する椅子式エアーマッサージ機において,座部3が水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置することが示され,特開昭63-135170号公報(甲6)には,座部10及び背部12に設けた突出部14上にそれぞれ長形空気袋体16を配置した空気マッサージ椅子において,座部10が水平状態よりも前上がりに傾斜するように配置することが示されていること,また,特開平8-336564号公報(甲7)には,背凭れ部3及び座部2にマッサージ用の空気袋14,22,23,24,25を有する椅子式エアーマッサージ機において,背凭れ部3が垂直状態よりも後傾斜するように配置されるとともに,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成することが示され,特開昭61-280862号公報(甲8)には,座部10及び背部12に設けた長形空気袋体14を配置した空気マッサージ椅子において,背部12が垂直状態よりも後傾斜するように配置されるとともに,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成することが示されていることが認められ,以上の サージ椅子において,背部12が垂直状態よりも後傾斜するように配置されるとともに,リクライニング装置により座部後端部側を支点としてリクライニング可能に構成することが示されていることが認められ,以上の事実によると,座部の傾斜についての相違点(イ)及び背凭れ部の傾斜とリクライニング装置の採用についての相違点(ウ)に係る構成は,本件発明に係る特許出願前,既に周知であったと認められる。 そして,引用発明1に係る椅子型マッサージ機は,座部と背凭れ部とを有するから,これに,座部の傾斜や背凭れ部の傾斜とリクライニング装置の採用に係る上記周知技術を適用し,相違点(イ)及び(ウ)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得るものと認められる。 (2) 原告は,補正発明のように構成要件を全て有機的に一体化した発明は,引用発明1及び2並びに周知技術には見出すことができないから,引用発明1に,引用発明2や周知技術を適用することの起因ないし動機付けが存在しないし,また,審決が周知技術として摘示したものは,背凭れ部及び座部ともにエアセル(空気袋)によるマッサージ具が配設されているものばかりであって,各構成要件全ての協働作用による補正発明に特有な作用効果は奏し得ないことが明らかであって,しかも,これを示唆するものでもないとして,(ア)各構成要件の有機的な結合も進歩性の判断要素の一つとして考慮するのが相当である,(イ)相違点を検討するに当たっては,各構成要件の相互関係をも考慮する必要があるのに,審決はこれを検討していない,(ウ)構成要件を一致点,相違点などと分断して進歩性を判断する一般的な手法は,マッサージ機の進歩性の判断には不適切である,などと主張する。 しかしながら,原告が前記第3の1の(2)ア(ア)ないし(エ)において主張するところの,「背凭れ部に設けた左右 判断する一般的な手法は,マッサージ機の進歩性の判断には不適切である,などと主張する。 しかしながら,原告が前記第3の1の(2)ア(ア)ないし(エ)において主張するところの,「背凭れ部に設けた左右に対をなす揉み玉9(互いに接離するように揉み動作)と,座部3のエアセル47,49(膨張収縮動作)との協働動作,つまり,左右に対をなす揉み玉9間による左右の揉み動作と,左右に対をなす揉み玉9の下方への押し付けの繰り返しとにより,使用者の肩,腰,背等に対し広く大きな揉み動作をなすことができ,肩,腰,背等を揉み動作による効果的なマッサージをすることができる。」,「前上がりに傾斜した座部3のエアセル47,49を膨張収縮動作させたとき,エアセル47,49により尻や太もも等を下側から押圧し,この押圧力が,座部3が前上がりに傾斜しかつ背凭れ部4が後傾斜していることと相侯って,使用者の身体を,尻の後部側を支点として後転させるようにも作用する。その結果,肩,腰,背等の使用者の上半身を,前側から揉み玉9に対して,より強く押し付けることが可能になり,これにより,左右に対をなす揉み玉9で,使用者の肩,腰,背等の所望箇所を掴むようにしながらうまく揉みほぐすことができるようになる。」,「座部3のエアセル47,49の膨張収縮動作により,左右に対をなす揉み玉9による揉み動作の強弱等に微妙な変化を付けることができるようになり,この点からも揉み動作による効果的なマッサージをなし得るようになる」,「エアセル47,49の押圧力で,使用者の身体を尻の後部側を支点として後転させるように作用させて,使用者の上半身を前側から揉み玉9に押し付ける際に,この押し付け力を,リクライニング調整によって微妙に可変調整することが可能になり,左右に対をなす揉み玉9の揉み動作によるマッサージを,より変化に て,使用者の上半身を前側から揉み玉9に押し付ける際に,この押し付け力を,リクライニング調整によって微妙に可変調整することが可能になり,左右に対をなす揉み玉9の揉み動作によるマッサージを,より変化に富んだ効果的なものにすることができる。」,肩,腰,背等を広く大きな動作で効果的なマッサージをしながら,使用者の尻や太ももをソフトにマッサージすることができるし,左右の足をソフトにマッサージすることができるため,「全身をほぐすようにマッサージすることができ全身をリラックスさせてかってない心地良さを体感させることができて,そのマッサージ効果は著大なものとなる。」という作用効果は,明細書には記載されていない(なお,上記の作用効果が技術常識に照らして明らかなものであるというのであれば,当業者はそのような技術常識を当然に認識しているはずであるから,上記の作用効果は,補正発明の構成から予測することができる程度のものにすぎない。)。しかも,明細書には,背凭れ部4の揉み玉9による揉み動作,座部3に設けられたエアセル47,49の膨張収縮動作,フットレスト5に設けられたエアセル54,59の膨張収縮動作及び背凭れ部4の昇降動作について,その相互の動作順序を何ら規定せず,かつ,補正発明を理解するに当たり,規定していない上記の動作順序を考慮すべき特段の事情も見当たらないから,補正発明が奏する作用効果は,せいぜい,「局部的なマッサージのみでは得られない全身的なマッサージを行うことができ」るというにとどまり,「脚から尻,腰,背,肩へと(又はこの逆に)順次マッサージが行えることから,全身のもみほぐし,リラックス感から大きなマッサージ効果を得ることができる。」とまでは認めることはできない。そうであれば,補正発明は,構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働するというものでは ,全身のもみほぐし,リラックス感から大きなマッサージ効果を得ることができる。」とまでは認めることはできない。そうであれば,補正発明は,構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働するというものではなく,また,その作用効果も,格別のものではなく,補正発明の構成から予測することができる程度のものにとどまるといわざるを得ない。 したがって,引用発明1に引用発明2や周知技術を適用することが困難であるとはいえないし,審決が周知技術として摘示したものが背凭れ部及び座部ともにエアセル(空気袋)によるマッサージ具が配設されているものばかりであったとしても,引用発明1に係る椅子型マッサージ機の座部と背凭れ部に,座部の傾斜や背凭れ部の傾斜とリクライニング装置に係る上記周知技術を適用し,相違点(イ)及び(ウ)に係る構成とすることは,当業者が容易になし得るものと認められる。 以上のとおりであって,補正発明は,構成要件が相互に有機的かつ一体不可分に協働して,顕著な作用効果を奏するというものではないから,その構成や構成から予測することができる程度の作用効果をもって補正発明の進歩性を根拠付けるとみることはできないし,また,審決が構成要件相互の関係を考慮しなかったとしても,これが誤りであるとはいえず,さらに,構成要件を一致点,相違点などと分断して進歩性を判断するという一般的な手法が,マッサージ機の進歩性判断に不適切であるともいえない。なお,原告の引用する裁判例は,「本願発明において,ストリップ線路部表面の半田被覆と基板材料として四フッ化エチレン樹脂を選択することとは技術的に相互に関連した構成であるから,・・・この構成要件相互の関係を検討する必要がある」とするものであるが,本件において,明細書に,原告の主張する各構成要件が技術的に相互に関連するものであることを示唆する 相互に関連した構成であるから,・・・この構成要件相互の関係を検討する必要がある」とするものであるが,本件において,明細書に,原告の主張する各構成要件が技術的に相互に関連するものであることを示唆するような記載はないから,本件とは事案を異にする。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (3) 以上によれば,審決が,「相違点(イ)及び(ウ)については,本願出願前周知の技術であり・・・,引用発明1の椅子型マッサージ機にこれら周知技術を採用する点に,格別の困難性を見いだすことはできない。また,補正発明によってもたらされる効果も,引用発明1及び2並びに周知の技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。」と判断したことに,誤りはない。 したがって,取消事由2は理由がない。 3 結論以上のとおりであって,補正発明については,原告主張の審決取消事由は理由がなく,本願発明については,原告は審決取消事由として主張するところはないから,原告の請求は棄却されるべきである。 東京高等裁判所知的財産第4部裁判長裁判官塚原朋一裁判官塩月秀平裁判官髙野輝久

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