- 1 -平成26年12月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(行ケ)第10083号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年11月26日判決 原告 X訴訟代理人弁護士佐 々 木猛也同平田かおり訴訟代理人弁理士前田弘同齋藤克也同竹内宏 被告特許庁長官指定代理人吉野公夫同黒瀬雅一同藤本義仁同窪田治彦同根岸克弘 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2012-24609号事件について平成26年2月14日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要- 2 - 1 特許庁における手続の経緯等原告は,平成20年11月26日,平成12年4月3日にされた特許出願(特願2000-100955号。以下「原出願」という。)の分割出願である特許出願(特願2008-193699 ける手続の経緯等原告は,平成20年11月26日,平成12年4月3日にされた特許出願(特願2000-100955号。以下「原出願」という。)の分割出願である特許出願(特願2008-193699号)の一部を分割して,新たな特許出願(特願2008-301037号。発明の名称「遺体用体液漏出防止剤の供給管」。請求項数1。以下「本願」という。)をした(甲4)。 原告は,平成23年10月24日付け手続補正及び平成24年6月11日付け手続補正をしたが,特許庁は,平成24年9月3日付けで,平成24年6月11日付け手続補正を却下するとともに拒絶査定をしたため(甲5),原告は,平成24年12月11日,これに対する不服の審判を請求するとともに,平成24年12月11日付け手続補正書により特許請求の範囲及び明細書の補正をした(以下「本件補正」という。請求項数1。甲6)。 特許庁は,これを不服2012-24609号事件として審理し,平成26年2月14日,本件補正を却下した上で,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,平成26年3月4日,原告に送達された。 原告は,平成26年4月3日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載 本件補正前(平成23年10月24日付け手続補正による補正後のもの。 以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである。 以下,本件補正前の請求項1に記載された発明を「本願発明」という。 「【請求項1】遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,先端部は咽喉部に達する長さとされ,- 3 -挿入方向基端部に は口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,先端部は咽喉部に達する長さとされ,- 3 -挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器に接続可能な接続部が形成され,挿入方向先端部には,上記体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するための注入孔が形成されていることを特徴とする遺体用体液漏出防止剤の供給管。」 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(下線部は補正箇所である。甲6)。以下,本件補正後の請求項1に記載された発明を「本願補正発明」といい,その明細書(甲4,6)を,図面を含めて「本願明細書」という。 「【請求項1】遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,先端部は咽喉部に達する長さとされ,挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部を差し込むことによって該容器に接続可能な接続部が形成され,挿入方向先端部には,上記体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するための注入孔が形成されていることを特徴とする遺体用体液漏出防止剤の供給管。」 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,①本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するが,本願補正発明は,原出願の出願日前に頒布された刊行物である実用新案登録第3064506号公報 成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するが,本願補正発明は,原出願の出願日前に頒布された刊行物である実用新案登録第3064506号公報(以下「刊行物1」という。甲1)に記載された発明,特開平7-265367号公報(以下「刊行物2」- 4 -という。甲2)に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであり,②本願発明は,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本願は拒絶すべきものである,というものである。 本件審決が認定した刊行物1に記載された発明(以下「引用発明1」という。),本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点,本願発明と引用発明1との相違点は,以下のとおりである。 ア引用発明1「一端が体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)の連通口(1b)に連結され,他端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み,体液凝固剤(2)を遺体内に圧入する供給管(4)。」イ本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点一致点「遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止 点及び相違点一致点「遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部に接続可能な接続部が形成され,挿入方向先端部には,上記体液漏出防止剤を注入するための注入孔が形成されている遺体用体液漏出防止剤の供給管。」 相違点- 5 -(相違点1)本願補正発明は,供給管の先端部が咽喉部に達する長さとされているのに対し,引用発明1は,その点につき明らかでない点。 (相違点2)本願補正発明は,供給管の挿入方向基端部には,内部に体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部を差し込むことによって該容器に接続可能な接続部が形成されているのに対し,引用発明1は,その点につき明らかでない点。 (相違点3)供給管の挿入方向先端部の注入孔につき,本願補正発明は,体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するよう形成されているのに対し,引用発明1は,その点につき明らかでない点。 ウ本願発明と引用発明1の相違点本願発明と引用発明1は,前記イの相違点1及び3の点で相違する。 第3 当事者の主張 1 原告の主張取消事由1(本件補正の適否についての判断の誤り)ア本件補正の却下本件審決は,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するが,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は不適法であるとして,これを却下した。 イ 当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は不適法であるとして,これを却下した。 イ本願補正発明と引用発明1との相違点の看過(取消事由1-1)本件審決は,「引用発明1の「供給管(4)」は,一端が体液凝固剤- 6 -(2)を内蔵した容器(1)の連通口(1b)に連結され,他端が遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み,体液凝固剤(2)を遺体内に圧入するものであるから,本願補正発明の「供給管」とは,遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入し,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部に接続可能な接続部が形成され,挿入方向先端部には,上記体液漏出防止剤を注入するための注入孔が形成されている限度において共通する。」として,本願補正発明と引用発明1は,の点で一致する旨認定した。 しかしながら,刊行物1には,供給管を鼻や口から挿入することが記載されているに留まっており,供給管を鼻又は口から挿入した状態で供給管の挿入方向基端部が鼻又は口から突出していることについては何ら開示も示唆もされていない。 刊行物1に記載されているようなエーロゾル及び供給管を使用して体液凝固剤を遺体の鼻や口に注入する際には,エーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器から勢いよくガスが噴出されるので,当業者であれば,そのガスの噴出によって体液凝固剤が鼻や口から遺体の外に出ないようにするため,供給管をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込み,その状態で容器を接続すると考えるから,むしろ,刊行物1には,引用発明1の供給管を,その挿入方向基端 出ないようにするため,供給管をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込み,その状態で容器を接続すると考えるから,むしろ,刊行物1には,引用発明1の供給管を,その挿入方向基端部が鼻又は口から突出しない態様で使用することが記載されているというべきである。 したがって,本件審決が,引用発明1の「供給管(4)」は「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し」ていると認定したのは誤りである。 以上のとおり,本願補正発明と引用発明1とが「鼻または口から挿入- 7 -されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,」との点で一致するとした本件審決の認定は誤りであり,本件審決は,一致点の認定を誤った結果,本願補正発明と引用発明1とが,本願補正発明の「供給管」が「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出している」のに対し,引用発明1の「供給管」は「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出していない」点(相違点4)で相違することを看過した。 本願補正発明と引用発明1とは,相違点4においても相違し,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ相違点1及び3に係る容易想到性判断の誤り(取消事由1-2)本件審決は,「刊行物2には「最も多量に体液が戻るのは咽喉からであり,この部位を乾燥粉末である封止剤で抑えれば鼻孔および耳孔は,脱脂綿やガーゼなどを詰める処置であっても構わないこと。」との技術的事項が記載されているから,引用発明1において,体液漏出防止剤を注入する供給管を設計するに際し,上記技術的事項に照らして,供給管の先端部が咽喉部に達する長さと 置であっても構わないこと。」との技術的事項が記載されているから,引用発明1において,体液漏出防止剤を注入する供給管を設計するに際し,上記技術的事項に照らして,供給管の先端部が咽喉部に達する長さとすることに何ら困難性はない。」,「供給管の先端部が咽喉部に達する長さであるならば,供給管の先端の注入孔から注入される体液漏出防止剤は咽喉部に集中的に注入されることとなることは明らかである。」などとして,引用発明1において,刊行物2に記載された技術的事項に照らして,相違点1及び3に係る構成を備えるようにすることは,当業者が容易になし得ることである旨判断した。 しかしながら,引用発明1の供給管は殺菌液を内蔵するが故に中間部分が円を描くようにループ状に形成されている(刊行物1の図1~3,- 8 -段落【0009】)。一般に,鼻や口に挿入する管としては直管や緩やかに湾曲した管が想定されるにもかかわらず,刊行物1ではあえて供給管をループ状に形成しており,しかも,刊行物1には供給管をループ状以外の形状にしてもよいことを示唆する記載はないのであるから,このループ形状は,外に流出しないように殺菌剤を内蔵するのに必要な形状,すなわち,引用発明1の発明特定事項であるというべきである。 そうすると,引用発明1の供給管は,中間部分が円を描くようにループ状に形成されているから,これを鼻や口に挿入しようとしても,ループ状の部分が鼻や口の中に留まることになり,供給管の先端部を鼻や口よりもさらに奥の咽喉部に達するまで差し込むことは不可能な構成である。 加えて,刊行物1は,段落【0012】に「供給管の他端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み」との記載があるのみで,供給管を咽喉部にまで挿入することを開示も示唆もしていない。 したがって,当 ,刊行物1は,段落【0012】に「供給管の他端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み」との記載があるのみで,供給管を咽喉部にまで挿入することを開示も示唆もしていない。 したがって,当業者において,刊行物2の技術的事項を参照したとしても,引用発明1の供給管の先端部を咽喉部に達するように構成することには容易に想到し得ないし,円を描くようにループ状に形成した供給管の長さをその先端部が咽喉部に達するような長さに設計することも想定し得ない。引用発明1の供給管は,その先端部が咽喉部に達するような形状になっておらず,しかも,供給管の長さも咽喉部に達するような長さとなっていないので,体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入することはできないものである。 刊行物2は段落【0014】に記載されているように,ペットシュガー類似の紙袋に包装された乾燥粉末の封止剤を,紙袋を破ってそのまま咽喉に注ぎ込むようにしている。ところが,刊行物2に記載された方法で乾燥粉末を口から注ぎ込んだとしても,遺体の状態によっては口腔内- 9 -で舌が落ち込んでいて咽喉部が舌によって塞がれていることが多くあり,封止剤を咽喉部まで達するように注入するのは困難である。また,乾燥粉末を鼻から注ぐ場合を考えてみても,鼻から咽喉部までの腔の形状は複雑なので,封止剤を咽喉部まで達するように注ぎ込むのは困難である。 しかも,封止剤が乾燥粉末であるため,鼻や口から注ぎ込んだ際,封止剤の大部分が鼻や口の粘膜に付着してしまい,奥の方まで届きにくく,鼻や口の奥にある咽喉部に集中的に注入することはできない。加えて,刊行物2に「咽喉部を乾燥粉末で抑えれば鼻等にはガーゼなどを詰める処置であっても構わない」旨記載されている(段落【0015】)ということは,刊行物2の注入方法で乾燥粉末を注入した できない。加えて,刊行物2に「咽喉部を乾燥粉末で抑えれば鼻等にはガーゼなどを詰める処置であっても構わない」旨記載されている(段落【0015】)ということは,刊行物2の注入方法で乾燥粉末を注入しただけでは,咽喉部を乾燥粉末で確実に抑えることができず,鼻や口から体液等が漏出するので,少なくともガーゼなどを詰める処置が必要であることを示唆しているといえる。 したがって,刊行物2は,封止剤を単に鼻や口から注入することを開示するにすぎず,封止剤を咽喉部のみに集中的に注入すること及びその具体的な構成を何ら開示又は示唆するものではない。 なお,被告は,乙1を挙げて,体内の特定部位にめがけて,管を用いて剤もしくは液を投入するために,その管の長さを特定部位に達する長さとすることは,一般に慣用されていることである旨主張するが,乙1は,人の口腔内を外部から消毒したり,治療したりする際に使用する薬液塗布器に関するものであって,生体に対して使用されるものであるから,嘔吐反射が起こらないように,管を咽喉部に触れない手前の位置まで挿入するようにして使用するものであり,咽喉部に達する長さの管を開示するものでも,液を咽喉部に集中的に注入することを開示するものでもない。 以上のとおり,刊行物1,刊行物2及び乙1のいずれにも,先端部が- 10 -咽喉部に達する長さとされた供給管を用いて体液漏出防止剤を咽喉部に確実に集中的に注入するという思想は開示も示唆もされていないから,引用発明1において,供給管を,その先端部が咽喉部に達するような長さとし,体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ることではない。 以上によれば,本件審決における相違点1及び3に係る容易想到性の判断は誤りである。 エ相違点2に係る容易想 に集中的に注入するようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ることではない。 以上によれば,本件審決における相違点1及び3に係る容易想到性の判断は誤りである。 エ相違点2に係る容易想到性判断の誤り(取消事由1-3)本件審決は,「管同士の連結に際し,一方の管を他方の管へ差し込むよう連結部をすることは,一般に慣用手段である。」として,引用発明1において,特表平10-513085号公報(甲3。以下「刊行物3」という。)に開示された慣用手段に照らして,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者が容易になし得ることである旨判断した。 しかしながら,刊行物3はガイドワイヤを案内するカテーテル,乙2は体内に埋め込まれる中空器官接続用器具,乙3は留置尿カテーテル,乙4は血管バイパスチューブに関するものであり,いずれも生体に使用される技術であって,本願補正発明のように容器の体液漏出防止剤を供給管を介して遺体に注入するためのものとは,前提とする技術や構成が全く異なっている。 したがって,当業者において,これら生体用の技術を遺体用の体液漏出防止剤の供給管の接続構造に適用することは容易に想到し得ないし,刊行物3,乙2~4に開示された慣用手段を体液漏出防止剤の供給管の接続構造に適用することには阻害要因がある。 また,本願補正発明は,相違点2に係る構成を採用することにより,容器の出口部を覆うように供給管の挿入方向基端部が位置するようにし,- 11 -容器内の体液漏出防止剤を供給管に圧送する際に,容器の出口部と供給管の挿入方向基端部との間から体液漏出防止剤が漏れるのを十分に抑制して遺体処置作業を確実に行うことができるという効果を奏するものであるから,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者とい との間から体液漏出防止剤が漏れるのを十分に抑制して遺体処置作業を確実に行うことができるという効果を奏するものであるから,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ないというべきである。 以上のとおり,本件審決における相違点2に係る容易想到性の判断は誤りである。 オ小括以上によれば,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず,独立特許要件を備えるものであるから,本願補正発明が独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した本件審決の判断は誤りである。 取消事由2(本願発明の容易想到性判断の誤り)ア本件審決は,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである旨判断した。 イしかしながら,取消事由1と同様の理由により,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウしたがって,本願発明が,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとの本件審決の判断は誤りである。 まとめ以上によれば,①本願補正発明が,刊行物1に記載された発明,刊行物2- 12 -に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した本件審決の判断は誤りであり,ま 物2- 12 -に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した本件審決の判断は誤りであり,また,仮に,本件補正が却下されるべきものであるとしても,②本願発明が,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとの本件審決の判断は誤りであり,本件審決は違法であるから,取り消されるべきものである。 2 被告の主張取消事由1(本件補正の適否についての判断の誤り)についてア本願補正発明と引用発明1との相違点の看過(取消事由1-1)について原告は,刊行物1に記載されているようなエーロゾル及び供給管を使用して体液凝固剤を遺体の鼻や口に注入する際には,エーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器から勢いよくガスが噴出されるので,当業者であれば,そのガスの噴出によって体液凝固剤が鼻や口から遺体の外に出ないようにするため,供給管をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込み,その状態で容器を接続すると考えるから,刊行物1には,引用発明1の供給管を,その挿入方向基端部が鼻又は口から突出しない態様で使用することが記載されているというべきである旨主張する。 しかしながら,刊行物1には,供給管(4)をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込み,その状態で容器(1)を接続するといったことに関する記載はなく,引用発明1の「供給管(4)」は,「容器(1)」との接続のし易さなどに照らしても,その「容器(1)の連通口(1b)との連結部(挿入方向基端部)」が「鼻または口から突出し」た状態で使用されると解するのが自然である。 - 13 -した (1)」との接続のし易さなどに照らしても,その「容器(1)の連通口(1b)との連結部(挿入方向基端部)」が「鼻または口から突出し」た状態で使用されると解するのが自然である。 - 13 -したがって,本件審決の認定に誤りはない。 刊行物1の記載(段落【0008】,【0009】,【0011】)によれば,刊行物1に示された「体液漏出防止器」は,「両端に連通口(1a)(1b)を有し,内部に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と,内部に,ブタン,プロパン,窒素,二酸化炭素などの圧縮ガスであるエーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器(3)と,前記容器(1)の一方の連通口(1a)に蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)を遺体内に挿入する」ものである。 本願明細書の記載(段落【0016】,【0032】,【0033】,【0034】,【0037】,【0049】,【0051】)によれば,本願明細書に記載された「体液漏出防止装置」は,「両端に入口部11と出口部12を備え,体液漏出防止粉末9を内蔵した容器8の入口部11と,内部にジメチルエーテル,ブタン,プロパン,窒素,二酸化炭素等の噴出ガスと液体とを含有した蓄圧体1の噴出口2とを接続し,容器8の出口部12に挿入管16を差し込み,蓄圧体1のガスと液体が体液漏出防止剤9を内蔵する容器8に送られるとともに,これらの混在物が挿入管16を通って先端の注入孔18から咽喉部に注入される」ものである。 したがって,引用発明1の「供給管(4)」は,本願補正発明の「供給管」と同様,容器及び供給管を通じて,ブタン,プロパン等の圧縮ガス(噴出ガス)を圧入し,体液凝固剤(体液漏出防止粉末)を遺体内に注入するものであるといえる。 給管(4)」は,本願補正発明の「供給管」と同様,容器及び供給管を通じて,ブタン,プロパン等の圧縮ガス(噴出ガス)を圧入し,体液凝固剤(体液漏出防止粉末)を遺体内に注入するものであるといえる。 そうすると,原告が主張するように,引用発明1が,ガスの噴出によって体液凝固剤が鼻や口から遺体の外に出ないようにするため,供給管をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込- 14 -み,その状態で容器を接続するものであるというのであれば,本願補正発明も同様に,供給管はその挿入方向基端部が鼻や口から突出しない態様で使用される体液漏出防止装置であるはずである。 この点に照らしても,原告の上記主張は失当であるというべきである。 仮に,引用発明1において「挿入方向基端部は鼻または口から突出し」との点が明らかでないとしても,引用発明1において,体液漏出防止剤(体液凝固剤(2))が内蔵された容器の一部を鼻孔又は口腔に差し込むことは不自然であって,(供給管の)挿入方向基端部(容器(1)の連通口(1b)との連結部)は鼻又は口から突出するようにすることが自然であるから,「挿入方向基端部は鼻または口から突出し」との点は,実質的な相違点とはいえない。 以上のとおり,原告の取消事由1-1に係る主張は理由がない。 イ相違点1及び3に係る容易想到性判断の誤り(取消事由1-2)について 刊行物1の図面には供給管(4)がループ状に描かれてはいるが,刊行物1の実用新案登録請求の範囲,考案の詳細な説明には,供給管(4)をループ状とすることは何ら記載されていないから,供給管(4)を「中間部分が円を描くようにループ状に形成されているもの」に限定して理解する理由はない。 本件審決は,刊行物1に記載された発明(引用発明1 ープ状とすることは何ら記載されていないから,供給管(4)を「中間部分が円を描くようにループ状に形成されているもの」に限定して理解する理由はない。 本件審決は,刊行物1に記載された発明(引用発明1)を「一端が体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)の連通口(1b)に連結され,他端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み,体液凝固剤(2)を遺体内に圧入する供給管(4)。」と認定しているのであって,原告が主張するような「中間部分が円を描くようにループ状に形成されているもの」として認定したわけではない。 また,本件審決は,刊行物2から「最も多量に体液が戻るのは咽喉か- 15 -らであり,この部位を乾燥粉末である封止剤で抑えれば鼻孔および耳孔は,脱脂綿やガーゼなどを詰める処置であっても構わないこと。」という技術的事項を認定したのであって,封止剤を咽喉部のみに集中的に注入することまでを認定したわけではない。 刊行物2の記載(特に,段落【0015】)から,上記技術的事項が認定できることは明らかであって,当業者であれば,咽喉部を封止することが重要であることは容易に理解することができる。 そして,体内の特定部位にめがけて,管を用いて剤もしくは液を投入するために,その管の長さを特定部位に達する長さとすることは,一般に慣用されていることである(乙1)。 したがって,引用発明1の供給管の先端部が咽喉部に達する長さとされているのか否か定かではないものの,引用発明1の供給管を,その先端部が咽喉部に達する長さとすることに何ら困難性はない。 供給管の先端部が咽喉部に達する長さであるならば,必然的に供給管の先端の注入孔から注入される体液漏出防止剤は咽喉部に集中的に注入されることになることは明らかである。 以上のとおり,原告の取消事由 端部が咽喉部に達する長さであるならば,必然的に供給管の先端の注入孔から注入される体液漏出防止剤は咽喉部に集中的に注入されることになることは明らかである。 以上のとおり,原告の取消事由1-2に係る主張は理由がない。 ウ相違点2に係る容易想到性判断の誤り(取消事由1-3)について流体を流す管同士を連結する手段として,一方の管を他方の管へ差し込む連結部自体は,広く慣用されている手段である(例えば,刊行物3以外にも,乙2~4)。 そして,引用発明1の「供給管(4)」と「容器(1)の連通口(1b)」とを具体的にどのように連結するかは,当業者が適宜に決定し得る程度のことであって,この連結部を,上記慣用手段を参酌し,一方の管を他方の管へ差し込む連結部構造とし,相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。 - 16 -以上のとおり,原告の取消事由1-3に係る主張は理由がない。 エ小括以上によれば,本願補正発明が,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した本件審決の判断に誤りはなく,原告の取消事由1に係る主張は理由がない。 取消事由2(本願発明の容易想到性判断の誤り)について 本願発明が,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとした本件審決の判断に誤りはないから,原告の取消事由2に係る主張は理由がない。 まとめ以上によれば,原告の主張する取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 第4 当裁判所の 断に誤りはないから,原告の取消事由2に係る主張は理由がない。 まとめ以上によれば,原告の主張する取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件補正の適否についての判断の誤り)について原告は,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず,独立特許要件を備えるものであるから,本願補正発明が独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した本件審決の判断は誤りである旨主張するので,以下において判断する。 取消事由1-1(本願補正発明と引用発明1との相違点の看過)についてア原告は,本件審決は,本願補正発明と引用発明1との対比において,引用発明1の「供給管(4)」が,「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し」ているとしたが,刊行物1には,供給管を- 17 -鼻又は口から挿入した状態で供給管の挿入方向基端部が鼻又は口から突出していることについては何ら開示も示唆もされておらず,むしろ,刊行物1には,引用発明1の供給管を,その挿入方向基端部が鼻又は口から突出しない態様で使用することが記載されているというべきであるから,本願補正発明と引用発明1とが「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,」との点で一致するとした本件審決の認定は誤りであり,本願補正発明と引用発明1とは,本願補正発明の「供給管」が「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出している」のに対し,引用発明1の「供給管」は「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出していない」点(相違点4)で相違するにもかかわらず されて挿入方向基端部が鼻または口から突出している」のに対し,引用発明1の「供給管」は「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出していない」点(相違点4)で相違するにもかかわらず,本件審決は相違点4を看過した旨主張する。 イ本願明細書の記載事項等 本願補正発明の特許請求の範囲の請求項1の記載は,前記記載のとおりである。 本願明細書(甲4,6)の「発明の詳細な説明」には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図面については,別紙1の本願図面目録を参照。)。 a 技術分野「本発明は,遺体用体液漏出防止剤の供給管に関する。」(段落【0001】)b 背景技術「人体は,死亡後に胃液,肺液,腹水などの体液を漏出させることがある。このため,例えば病院では,死亡確認後,遺体の口,鼻等にガーゼ,脱脂綿等を装填し,体液の漏出を防ぐことが行なわれている。」(段落【0002】)「また,高吸水性の樹脂粉末を口,鼻,耳,咽喉などに装填するこ- 18 -とが知られている。」(段落【0003】)「例えば,特許文献1(判決注・特開平7-265367号公報,甲2)では,安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を咽喉には粉末のまま,耳孔,鼻孔には水溶性シートに包んで使用することが知られている。」(段落【0004】)「また,特許文献2(判決注・特開平10-298001号公報)のように,注射器を使って口,鼻,耳に高吸水性樹脂粉末を装填することが知られている。」(段落【0005】)「一般的に行なわれている遺体の口,鼻等にガーゼ,脱脂綿等を装填する方法では,漏出体液が多い場合には,ガーゼ,脱脂綿等では不十分であって,対外に漏れ出たりしている 。」(段落【0005】)「一般的に行なわれている遺体の口,鼻等にガーゼ,脱脂綿等を装填する方法では,漏出体液が多い場合には,ガーゼ,脱脂綿等では不十分であって,対外に漏れ出たりしている。また新しいガーゼ,脱脂綿等と交換する必要があり,煩わしいだけでなく,遺体体液を介して病原菌が感染する危険性があり,交換時にはその周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題がある。」(段落【0006】)「特許文献1のように咽喉部に上記樹脂粉末を装填しようとしても,装填するための手段がなくては,咽喉部までに装填することが困難である。」(段落【0007】)「特許文献2では,出来るだけ流動性を確保するために,高吸水ポリマの微粉末を使用することを述べている。しかし,鼻孔や耳孔の入口部分に入れるのであれば,この公報のように微粉末を注射器のようなシリンダで投入しても充填できるが,奥までは充填できない。特に,奥まで充填するために,急速にシリンダを動かすと,先端から出る微粉末が飛び散るだけで,かえって遺体周辺を汚すだけである。」(段落【0008】)「即ち,特許文献1や特許文献2のように粉末をそのまま遺体に充填する方法では,粉末を押圧しても粉末自体の密度が上がるだけで,- 19 -充填器内をスムーズに流れないので,シリンダを使用しても充填することが困難である。また,飛び出る粉末が拡散するので,粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難であり,場合によっては,遺体外に出て遺体周辺を汚す恐れがある。さらに,粉末をそのまま遺体に装填する場合には,体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出るか又はゲルが溶けて漏れ出る可能性がある。」(段落【0009】)「粉末をそのまま遺体に装填するだけではうまくいかないので,実際 する場合には,体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出るか又はゲルが溶けて漏れ出る可能性がある。」(段落【0009】)「粉末をそのまま遺体に装填するだけではうまくいかないので,実際の現場では,相変わらずガーゼや脱脂綿で応急処置しているだけであり,ガーゼや脱脂綿に代わる体液漏出技術の実現が強く望まれている。」(段落【0010】)c 発明が解決しようとする課題「本発明の課題は,体液漏出防止剤を遺体内に鼻または口から注入できるようにすることにある。」(段落【0011】)d 課題を解決するための手段「上記課題を解決する請求項1記載の発明は,遺体内に鼻または口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し,先端部は咽喉部に達する長さとされ,挿入方向基端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部を差し込むことによって該容器に接続可能な接続部が形成され,挿入方向他端部には,上記体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するための注入孔が形成されていることを特徴とする。」(段落【0012】)「従って,上記容器に上記供給管を接続した状態で,供給管をその- 20 -他端部から鼻または口に差し込むことで,容器内の体液漏出防止剤を供給管を介して遺体内に注入することが可能になる。」(段落【0013】)e 発明の効果「本発明に係る遺体用体液漏出防止剤の供給管によれば,一端部には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器に接続可能な接続部が形成され,他端部には,注入孔が形成されているから,上記容器に上記供給管を接続した状態で,供給管をその他端部から鼻または口に差し には,内部に上記体液漏出防止剤が内蔵された容器に接続可能な接続部が形成され,他端部には,注入孔が形成されているから,上記容器に上記供給管を接続した状態で,供給管をその他端部から鼻または口に差し込むことで,容器内の体液漏出防止剤を遺体内に注入することができる。」(段落【0030】)f 発明を実施するための最良の形態「図1は,本発明にかかわる体液漏出防止装置を遺体の鼻から挿入し,咽喉部で体液漏出を防止する場合の実施例である。蓄圧体1は,内部に噴出ガスと液体とを含有し,上部に噴出口2を備えている。押圧部材3は,噴出口2を押圧する押圧部4,一端が噴出口2に接続され,他端が外部に接続される連通ダクト5及び蓄圧体上部に嵌合する嵌合部6を有する。押圧部材3には,不用意に押圧部4が押圧されるのを防止するために,蓋部材7が被されている。」(段落【0032】)「容器8は,体液漏出防止粉末9を内蔵した本体10とこの本体10の両端に入口部11と出口部12を備えた細長いカプセル形状からなっている。容器の入口部11には,第1仮封止機構としてのスポンジ状の栓13が配置されており,連通ダクト5の他端に接続されている。スポンジ状の栓13は,容器8の入口部11を下に向けた時に,体液漏出防止粉末9が連通ダクト5,噴出口2に流れ出るのを防止し,かつ蓄圧体1のガスが通過できる多孔体となっている。この栓13は- 21 -蓄圧体1のガスが通過する時には,外れて容器本体10内に持ち込まれるようになっていても良い。この実施例では,扱いやすいのでスポンジ状の栓としたが,スポンジの栓に限らず,上記機能を果たせば良いものである。例えば,薄膜,ワンウエイ弁でも良い。」(段落【0033】)「容器8の入口部12と連通ダクト5との間には。蓄 ンジ状の栓としたが,スポンジの栓に限らず,上記機能を果たせば良いものである。例えば,薄膜,ワンウエイ弁でも良い。」(段落【0033】)「容器8の入口部12と連通ダクト5との間には。蓄圧体1に対して容器8の向きの自由度を確保するために,蛇腹管14が設けられている。」(段落【0034】)「容器8の出口部12は先細に形成され,その先細部には,容器8の出口部12を下に向けた時に,体液漏出防止粉末9が流れ出るのを防ぐために,ゴム製の保護キャップ15が被せられている。」(段落【0035】)「供給管は鼻に挿入される細長いパイプ状の挿入管16からなり,中間部分16a が1回転している。その一端には容器の出口部12との接続部17が形成され,他端には注入孔18が形成されている。接続部17には,容器8の出口部12に外挿される外挿管部19が形成され,外挿管部19の段部にパッキン20が配置され,外挿管部19の先端には接続時の嵌合をしやすくするために溝19a が設けられている。 この溝19a は,容器8の出口部12に設けても良い。」(段落【0036】)「使用時には,容器8の出口部12の保護キャップ15をはずし,挿入管16の外挿管部19に出口部12をその先端がパッキン20に当たるまで差し込む。これにより,容器8と挿入管16が接続される。 保護キャップ15が外されるので,容器8の出口部12を下に向けた時に,容器12内の体液漏出防止粉末9が挿入管16内に流れ込むが,中間部分16a が1 回転しているので,挿入管16から外部に体液漏出- 22 -防止粉末9が流れ出ることはない。」(段落【0037】)「この実施例では,容器8と挿入管16を接続してない時は保護キャップ15により,接続した時は挿入管16の1 体液漏出- 22 -防止粉末9が流れ出ることはない。」(段落【0037】)「この実施例では,容器8と挿入管16を接続してない時は保護キャップ15により,接続した時は挿入管16の1回転した部分16a により第2仮封止機構を構成している。第2仮封止機構の構成は,この実施例に限られるものではなく,例えば,入口部11と同様にスポンジ状の栓13を設けたり,薄膜,ワンウエイ弁を設けても良い。このような栓を設けた場合には,不用意に体液漏出防止粉末9が流れ出ることはないので,敢えて挿入管16の中間部に1 回転した部分16a を設けなくても良い。また,この実施例のように容器8と挿入管16を使用時に接続するのではなく,容器8と挿入管16を一体的に構成したものを用意してあっても良い。」(段落【0038】)「図2に示すように,挿入管16の他端に形成された注入孔18は,鼻穴の内壁を傷つけないように先細に形成されている。この注入孔18は,先端に形成した第1注入孔18a と側部に形成した4つの第2封入孔18b からなる。第2注入孔18b は向き合った2つの孔を90°ずつ位相をずらして設けた円形の孔である。第1注入孔18a と第2注入孔18b は,どれかの注入孔が塞がれても,他の注入孔から体液漏出防止粉末9が咽喉部に導入されるように設けられている。」(段落【0039】)「挿入管16の途中にはマーク21が設けられている。このマーク21は,挿入管16の注入孔18が咽喉部に達したか否かの目印である。」(段落【0041】) の特徴は以下のとおりであると認められる。 a 本願補正発明は,遺体用体液漏出防止剤の供給管に関する。 人体は,死亡後に胃液,肺液,腹水などの体液を漏出させることが- 23 -ある。 の特徴は以下のとおりであると認められる。 a 本願補正発明は,遺体用体液漏出防止剤の供給管に関する。 人体は,死亡後に胃液,肺液,腹水などの体液を漏出させることが- 23 -ある。そのため,例えば,病院では,死亡確認後,遺体の口,鼻等にガーゼ,脱脂綿等を装填し,体液の漏出を防ぐことが行われており,高吸水性の樹脂粉末を口,鼻,耳,咽喉などに装填することも知られている。 一般的に行われている遺体の口,鼻等にガーゼ,脱脂綿等を装填する方法では,漏出体液が多い場合に,ガーゼ,脱脂綿等では不十分であり,遺体体液が体外に漏れ出たりする,新しいガーゼ,脱脂綿等と交換する際に,遺体体液を介して病原菌に感染する危険性がある,ガーゼ,脱脂綿等の交換時に周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題がある。 粉末をそのまま遺体に充填する方法では,粉末を押圧しても粉末自体の密度が上がるだけで,充填器内をスムーズに流れず,シリンダを使用しても充填が困難である,飛び出る粉末が拡散するため,粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難であり,場合によっては,遺体外に出て遺体周辺を汚すおそれがある,粉末をそのまま遺体に装填する場合には,体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出るか又はゲルが溶けて漏れ出る可能性があるなどの問題があり,粉末をそのまま遺体に装填するだけではうまくいかないので,実際の現場では,相変わらずガーゼや脱脂綿で応急処置しているだけであった。 そのため,ガーゼや脱脂綿に代わる体液漏出防止技術の実現が強く望まれていた。 b 本願補正発明は,前記aの従来技術に存する課題を解決し,体液漏出防止剤を遺体内に鼻又は口から注入できるようにすることを目的とするものであり,その解決手段として,遺体内に鼻又は口から体液漏出防止剤を注入する供給管 ,前記aの従来技術に存する課題を解決し,体液漏出防止剤を遺体内に鼻又は口から注入できるようにすることを目的とするものであり,その解決手段として,遺体内に鼻又は口から体液漏出防止剤を注入する供給管であって,鼻又は口から挿入されて挿入方向基端部は鼻又は口から突出し,先端部は咽喉部に達する長さとされ,- 24 -挿入方向基端部には,内部に体液漏出防止剤が内蔵された容器の出口部を差し込むことによって該容器に接続可能な接続部が形成され,挿入方向先端部には,体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するための注入孔が形成されているという構成を採用したものである。 c 本願補正発明によれば,一端部には,内部に体液漏出防止剤が内蔵された容器に接続可能な接続部が形成され,他端部には,注入孔が形成されているから,上記容器に上記供給管を接続した状態で,供給管をその他端部から鼻又は口に差し込むことで,容器内の体液漏出防止剤を遺体内に注入することができるという効果を奏するものである。 ウ刊行物1の記載事項等 刊行物1(甲1)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図面については,別紙2の刊行物1図面目録を参照。)。 a 実用新案登録請求の範囲「【請求項2】両端に連通口(1a)(1b)を有し,内部に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と, 内部に,エーロゾル噴霧体を充填し,必要に応じて殺菌液,若しくは水を内蔵した蓄圧容器(3)と,殺菌液を内蔵した供給管(4)からなり,前記容器(1)の一方の連通口(1a)に蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に殺菌液を入れた供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)や殺菌液,若しくは水を遺体内に挿入することを特徴とする体液漏出防止器 ル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に殺菌液を入れた供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)や殺菌液,若しくは水を遺体内に挿入することを特徴とする体液漏出防止器。」b 考案の属する技術分野「この考案は,体液漏出防止器に関するものである。」(段落【0001】)c 従来の技術「従来,遺体の腐敗を防止するには,ドライアイスを使用して遺体- 25 -を冷却していた。しかし,ドライアイスには殺菌効果や消臭効果がなく,遺体を取り扱う人が,遺体に付着している細菌に感染する恐れや悪臭で困ったりすることがあった。」(段落【0002】)「そのため,ドライアイスに替わって,二酸化塩素をアルカリ性水溶液に溶解した,所謂,安定化二酸化塩素を,粒子状の除放材に吸着させて袋に収容し,これを遺体と共に柩に詰めている。その結果,二酸化塩素により遺体の腐敗防止だけでなく,殺菌消臭も行えるという効果はあるものの,ドライアイスと異なり,遺体が冷却されないため,体液が凝固せず,尿道,口腔,鼻孔,耳孔,肛門などにより排出されるという欠点があった。」(段落【0003】)「この体液の柩外への漏出を防ぐために,柩の内底に高吸水性ポリマを内蔵する可燃性シートを敷設して,体液を吸収保持するものが考案されていたり,また,遺体の頭部に位置する口腔,鼻孔,耳孔から排出される体液により,折角,死に化粧を施した顔面が汚れるのを防止するため,これらの各孔に粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を挿入する挿入器が開発されている。」(段落【0004】)「しかし,この挿入器は,エアポンプにより挿入するものであり,該エアポンプは手動によるものであり,場合によっては,折角,遺体内に挿入した高吸水性ポリマや殺菌 開発されている。」(段落【0004】)「しかし,この挿入器は,エアポンプにより挿入するものであり,該エアポンプは手動によるものであり,場合によっては,折角,遺体内に挿入した高吸水性ポリマや殺菌液が逆流することもあり,大変煩雑であり,かつ不便であるという欠点があった。」(段落【0005】)d 考案が解決しようとする課題「そこでこの考案は,上記の欠点を除去し,確実に体液凝固剤や殺菌液等を遺体内に挿入でき,しかも,その操作も極めて簡単な体液漏出防止器を開発をすることにある。」(段落【0006】)e 課題を解決するための手段- 26 -「この考案は,従来のエアポンプに代えて,エーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器を用いて,簡単・確実に,体液凝固剤等を遺体内に挿入できるよう改良した体液漏出防止器である。」(段落【0007】)f 考案の実施の形態「次に,この考案の他の実施例を図面に基づいて説明すると,両端に連通口(1a)(1b)を有し,内部に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と, 内部に,エーロゾル噴霧体を充填し,必要に応じて殺菌液,若しくは水を内蔵した蓄圧容器(3)と,殺菌液を内蔵した供給管(4)からなり,前記容器(1)の一方の連通口(1a)に蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に殺菌液を入れた供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)や殺菌液,若しくは水を遺体内に挿入することを特徴とする体液漏出防止器から構成されるものである。」(段落【0009】)「尚,体液凝固剤(2)は,通常,高吸水ポリマの粉末状のものを用いるが,粒状あるいは,場合によってはゲル状のものであってもよい。また,他の素材 るものである。」(段落【0009】)「尚,体液凝固剤(2)は,通常,高吸水ポリマの粉末状のものを用いるが,粒状あるいは,場合によってはゲル状のものであってもよい。また,他の素材であってもよく,さらに,エーロゾル噴霧体とは,圧縮ガスをいい,ノズル口を通じてガスを放出する際に,殺菌液や水などを随伴させる目的で用いる気体であり,例えば,ブタン,プロパン,窒素,二酸化炭素などである。」(段落【0011】)「この考案の使用方法の一例を述べると,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)の両端に設けた連通口(1a)(1b)に装着されたキャップを外し,一の連通口(1a)に,蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を,直接,あるいは,供給管を介して連通し,他の連通口(1b)には,殺菌液を入れた供給管(4)を連通し,該供給管の他- 27 -端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み,蓄圧容器(3)のバルブ開放ボタンを押すことにより,内部のエーロゾル噴霧体の開放により,体液凝固剤(2),殺菌液,あるいは水を遺体内に圧入するものである。」(段落【0012】)g 考案の効果「この考案によると,体液凝固剤の挿入手段として,エーロゾル噴霧体を使用することにより,簡単,かつ,確実に遺体内に挿入できる等極めて有益なる効果を奏するものである。」(段落【0013】) されていることが認められる。 a 刊行物1に係る発明(考案)は,体液漏出防止器に関する。 従来,遺体の腐敗を防止するには,ドライアイスを使用して遺体を冷却していたが,ドライアイスには殺菌効果や消臭効果がなく,遺体を取り扱う人が,遺体に付着している細菌に感染する恐れや悪臭で困ったりすることがあった。ま を防止するには,ドライアイスを使用して遺体を冷却していたが,ドライアイスには殺菌効果や消臭効果がなく,遺体を取り扱う人が,遺体に付着している細菌に感染する恐れや悪臭で困ったりすることがあった。また,ドライアイスに替わって,安定化二酸化塩素を粒子状の除放材に吸着させて袋に収容し,これを遺体と共に柩に詰めていたが,ドライアイスと異なり,遺体が冷却されないため,体液が凝固せず,尿道,口腔,鼻孔,耳孔,肛門などにより排出されるという欠点があった。 遺体の頭部に位置する口腔,鼻孔,耳孔から排出される体液により,死に化粧を施した顔面が汚れるのを防止するため,これらの各孔に粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を挿入する挿入器が開発されている。 しかし,この挿入器は,手動のエアポンプを用いて挿入するものであり,場合によっては,遺体内に挿入した高吸水性ポリマや殺菌液が逆流することがあり,煩雑,かつ不便であるという欠点があった。 - 28 -b 刊行物1に係る発明(考案)は,従来の技術に存する前記aの課題を解決し,確実に体液凝固剤や殺菌液等を遺体内に挿入でき,しかも,その操作も極めて簡単な体液漏出防止器を開発することを目的とするものであり,その解決手段として,体液漏出防止器において,従来のエアポンプに代えて,エーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器を用いて,簡単・確実に,体液凝固剤等を遺体内に挿入できるように改良したものである。 そして,請求項2に係る考案は,体液漏出防止器において,両端に連通口(1a)(1b)を有し,内部に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と, 内部に,エーロゾル噴霧体を充填し,必要に応じて殺菌液,若しくは水を内蔵した蓄圧容器(3)と,殺菌液を内蔵した供給管(4)からなり,容器(1)の一方の に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と, 内部に,エーロゾル噴霧体を充填し,必要に応じて殺菌液,若しくは水を内蔵した蓄圧容器(3)と,殺菌液を内蔵した供給管(4)からなり,容器(1)の一方の連通口(1a)に蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に殺菌液を入れた供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)や殺菌液,若しくは水を遺体内に挿入するという構成を採用した。 c 刊行物1に係る発明(考案)によれば,体液凝固剤の挿入手段として,エーロゾル噴霧体を使用することにより,簡単,かつ,確実に遺体内に挿入できる等の効果を奏する。 エ刊「一端が体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)の連通口(1b)に連結され,他端を遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道,肛門などに差し込み,体液凝固剤(2)を遺体内に圧入する供給管(4)。」が記載されていることは,当事者間に争いがない。 引用発明1は,る体液漏出防止器に用いられる供給管であり,供給管の一端(本願補正発明- 29 -における「基端部」に相当する。)は,体液凝固剤を内蔵した容器の連通口に連結され,供給管の他端(本願補正発明における「先端部」に相当する。)は,遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに差し込まれるものである。 ところで,引用発明1の供給管は,供給管の他端が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに差し込まれるものであるが,刊行物1には,供給管を口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに挿入した状態で供給管の一端(挿入方向基端部)が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などから突出していることについては明記されていない。 しかしながら,刊行物1には,供給管の全体が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに深く差し込まれる 入方向基端部)が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などから突出していることについては明記されていない。 しかしながら,刊行物1には,供給管の全体が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに深く差し込まれることや,供給管の一端に連結された体液凝固剤を内蔵した容器が,口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに差し込まれることについては何ら記載されていないから,口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに差し込まれた他端の反対側の端である一端については,口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などから遺体外に突出していると解するのが自然である。すなわち,引用発明1においては,供給管の長さは,他端を口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などに差し込んだ状態で,体液凝固剤を内蔵した容器の連通口に連結された一端が口腔,鼻孔,耳孔,尿道及び肛門などから突出するような長さとされていると認められ,当業者においても,そのように理解するものと認められる。 そうすると,本願補正発明と引用発明1とは,「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部は鼻または口から突出し」ている供給管である点においても一致するものと認められる。 したがって,本願補正発明と引用発明1とが,本願補正発明の「供給管」が「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出している」のに対し,引用発明1の「供給管」は「鼻または口から挿入さ- 30 -れて挿入方向基端部が鼻または口から突出していない」点(相違点4)で相違するということはできない。 オ原告の主張について原告は,刊行物1に記載されているようなエーロゾル及び供給管を使用して体液凝固剤を遺体の鼻や口に注入する際には,エーロゾルから勢いよくガスが噴出されるので,当業者であれば,そのガスの噴出によって体液凝固剤が鼻や口から遺体の外に出ないようにするため,供給 管を使用して体液凝固剤を遺体の鼻や口に注入する際には,エーロゾルから勢いよくガスが噴出されるので,当業者であれば,そのガスの噴出によって体液凝固剤が鼻や口から遺体の外に出ないようにするため,供給管をその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまでしっかりと深く差し込み,その状態で容器を接続すると考えるから,むしろ,刊行物1には,引用発明1の供給管を,その挿入方向基端部が鼻又は口から突出しない態様で使用することが記載されているというべきである旨主張する。 しかしながら,引用発明1が,体液凝固剤を内蔵した容器の一方の連通口に,エーロゾル噴霧体を充填した蓄圧容器のノズル口を連通し,他方の連通口に供給管の「一端」を連結し,供給管の「他端」は,遺体の口腔,鼻孔,耳孔,尿道又は肛門などに差し込まれ,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤等を遺体内に挿入するものであって,エーロゾルから勢いよくガスが噴出されるとしても,ガスの噴出口である供給管の「他端」が,遺体の口腔や鼻孔などに一定程度深く差し込まれていれば,体液凝固剤が口腔や鼻孔などから遺体の外に出るのを防止できることは明らかであり,供給管の全体を,すなわちその挿入方向基端部が鼻や口の中に埋まるまで,口腔や鼻孔などに深く差し込まれていなければ,体液凝固剤が遺体の外に出るのを防止できないというものではない。 また,引用発明1の供給管の「一端」は,体液凝固剤を内蔵した容器の連通口に連結されているから,仮に,供給管の全体を口腔,鼻孔,耳孔,尿道又は肛門などに深く差し込み,その挿入方向基端部が口腔,鼻孔,耳孔,尿道又は肛門から突出しない態様で使用するものであるとすると,体- 31 -液凝固剤を内蔵した容器との連結が外れた場合などに供給管の取扱いが困難となるから,引用発明1の供給管が,容器と連結され ,尿道又は肛門から突出しない態様で使用するものであるとすると,体- 31 -液凝固剤を内蔵した容器との連結が外れた場合などに供給管の取扱いが困難となるから,引用発明1の供給管が,容器と連結された「一端」が口腔や鼻孔などから突出しない態様で使用することを前提とするものであるとは認められないし,当業者において,そのように使用されるものであると理解するともいい難い。 よって,原告の上記主張は理由がない。 カ小括以上によれば,本件審決に原告の主張する相違点の看過は認められず,原告主張の取消事由1-1は理由がない。 取消事由1-2(相違点1及び3に係る容易想到性判断の誤り)についてア原告は,本件審決は,引用発明1において,刊行物2に記載された技術的事項に照らして,相違点1及び3に係る構成を備えるようにすることは,当業者が容易になし得ることであるとするが,刊行物1及び刊行物2,並びに被告が挙げる乙1のいずれにも,先端部が咽喉部に達する長さとされた供給管を用いて体液漏出防止剤を咽喉部に確実に集中的に注入するという思想は開示も示唆もされていないから,引用発明1において,供給管を,その先端部が咽喉部に達するような長さとし,体液漏出防止剤を咽喉部に集中的に注入するようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ることではない旨主張する。 イ刊行物2の記載事項等刊行物2(甲2)には,次のような記載がある。 特許請求の範囲「【請求項1】安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末であることを特徴とする遺体の体液封止剤。」「【請求項2】安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を,咽喉に所定量注ぎ込んで装填する一方,水溶性シートによって包装した所定量の- 32 -凝集剤粉末を鼻孔および耳孔に装填する 体液封止剤。」「【請求項2】安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を,咽喉に所定量注ぎ込んで装填する一方,水溶性シートによって包装した所定量の- 32 -凝集剤粉末を鼻孔および耳孔に装填することを特徴とする遺体の体液防止方法。」 産業上の利用分野「本発明は,遺体から漏出することのある体液の封止剤およびその封止方法に関する。」(段落【0001】) 従来の技術「人体は死亡後,胃液,肺水,腹水などの体液を漏出させることがある。このため,例えば病院では死亡確認後,遺体の口,鼻などにガーゼなどを装填し,漏出体液を封じる応急処置を行っている。」(段落【0002】) 発明が解決しようとする課題「ところで,従来の体液封止では,漏出体液が多い場合には新しい封止材(脱脂綿など)と交換する必要があり,煩わしいばかりでなく,遺体体液を介して病原菌が感染する危険性があり,また封止材の交換後にはその周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題があった。このような問題は,消毒液を用いて手を洗うことや芳香剤を用いて悪臭を消すなどの方法もあるが,封止材を交換する煩わしさは解消されない。」(段落【0004】)「そこで本発明の目的は,遺体から漏出する体液を完全に封止可能とする点にある。」(段落【0005】) 課題を解決するための手段「前記目的を達成して課題を達成するため本発明に係る遺体の体液防止剤は,安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を使用する。また,かかる封止剤を用いた体液封止方法は,安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を,咽喉に所定量装填するとともに,可溶性シートによって包装した所定量の凝集剤粉末を鼻孔および耳孔に装填することを特徴とす- 33 -る いた体液封止方法は,安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を,咽喉に所定量装填するとともに,可溶性シートによって包装した所定量の凝集剤粉末を鼻孔および耳孔に装填することを特徴とす- 33 -る。」(段落【0006】) 作用「乾燥粉末状の吸水性樹脂は,体液を吸収することによって水溶性から水不溶の膨潤性に変化し,さらに体液を吸収するとゲル状へと変化する。このため体液吸収によってゲルとなって膨潤し,人体孔部を塞いで漏出する体液を確実に封止する。一方,この乾燥粉末は安定化二酸化塩素を含むため,胃液,肺水などの逆流体液に含まれる悪臭成分を分解し,体液に残留する病原細菌を,感染の危険が薄れる程度に低下させる。」(段落【0007】)「このような封止剤は,咽喉に対しては粉末のまま注ぎ込んで使用できる。鼻孔および耳孔に対しては,水溶性シートに包んで使用し,包装体を各孔部に装填して封止する。」(段落【0008】) 実施例「次に,遺体の体液封止について具体的に説明する。前記吸水ポリマーを主とする封止剤は乾燥粉末のままでも使用可能であるが,使用量の誤りを防止するため一定量を包装しておくことが望ましい。例えば,咽喉に対して使用する5gと,鼻孔及び耳孔に対して使用する5gとを,それぞれ縦長の紙袋(所謂ペットシュガー類似の包装状態)に分けて包装しておく等である。そして咽喉に対しては,包装を破ってそのまま咽喉に注ぎ込む。一方の鼻孔および耳孔に対しては,水溶性のシート,例えば繊維の粗い(短い)紙,或いはオブラートに適当量を包み,遺体の各孔部に装填する。」(段落【0014】)「乾燥粉末である封止剤の使用量は,例えば,咽喉奥部に対して5g,鼻孔および耳孔に対してそれぞれ2.5g程度である。こ ートに適当量を包み,遺体の各孔部に装填する。」(段落【0014】)「乾燥粉末である封止剤の使用量は,例えば,咽喉奥部に対して5g,鼻孔および耳孔に対してそれぞれ2.5g程度である。この処置は,死亡確認後,医療スタッフが直ちに行っても良い。最も多量に体液が戻るのは咽喉からであり,この部位を抑えれば鼻孔および耳孔は,脱脂綿や- 34 -ガーゼなどを詰める処置であっても構わない。」(段落【0015】)「尚,この高吸水性粉末を遺体に装填する際には,できるだけ遺体に手を触れない状態で装填可能とすることが望ましい。感染を防止するためである。このため吸水性樹脂粉末を封入させるペットシュガー状の細袋には,その先端部に注入ガイドを設け,粉末が当該ガイドに沿って目的箇所に正確に達するようにしておくことが望ましい。ガイドは,例えば先端部を細く突出させ,その突出部を破って(または鋏で切断して)ガイドから粉末を細流として注ぎ込むよう構成することが出来る。また,吸水性粉末の封入容器は紙に限らず,樹脂シートに入れても良い。また注射類似のケース(例えば灌注シリンジ)に入れ,ピストン押圧によって先端ガイド部(例えば太針類似の注出口)から粉粒を射出出来るようにしても良い。また鼻孔や耳孔に装填する粉体は,予め可溶シートで被覆しておき,適当な器具(例えばピンセット)を用いて所定位置に配置させることも出来る。」(段落【0018】)ウ相違点1及び3の容易想到性について 遺体の頭部に位置する口腔,鼻孔,耳孔から体液が排出されるのを防止するため,これらの各孔に粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を挿入する挿入器が開発されているが,従来の挿入器は,手動のエアポンプを用いて挿入するものであり,場合によっては,遺体内に挿入 防止するため,これらの各孔に粉末状の高吸水性ポリマからなる遺体用吸液剤を挿入する挿入器が開発されているが,従来の挿入器は,手動のエアポンプを用いて挿入するものであり,場合によっては,遺体内に挿入した高吸水性ポリマや殺菌液が逆流することがあり,煩雑,かつ不便であるという欠点があったことから,このような従来の挿入器に存する課題を解決する,確実に体液凝固剤や殺菌液等を遺体内に挿入でき,しかも,その操作も簡単な体液漏出防止器を提供することを目的とするものであり,「両端に連通口(1a)(1b)を有し,内部に,体液凝固剤(2)を内蔵した容器(1)と, 内部に,エーロゾル噴霧体を充填し,必要に応じて殺菌液,若しく- 35 -は水を内蔵した蓄圧容器(3)と,殺菌液を内蔵した供給管(4)からなり,前記容器(1)の一方の連通口(1a)に蓄圧容器(3)のノズル口(3a)を連通し,他方の連通口(1b)に殺菌液を入れた供給管(4)を連結し,エーロゾル噴霧体の圧入により,体液凝固剤(2)や殺菌液,若しくは水を遺体内に挿入する」ようにした体液漏出防止器の供給管に関するものである。 したがって,引用発明1の供給管は,その「他端」を遺体の口腔や鼻孔などに差し込み,「他端」の反対側の「一端」に連結された容器に内蔵された体液凝固剤を遺体の口腔や鼻孔に圧入することにより,遺体の口腔や鼻孔などから体液が排出され,漏出するのを防止するものである。 刊行物2には,前記イ記載のとおり,人体は,死亡後,胃液,肺水,腹水などの体液を漏出させることがあり,死亡確認後に,遺体の口,鼻などにガーゼなどを装填し,漏出体液を封じる処置が行われているが(段落【0002】),従来の体液封止処置では,漏出体液が多い場合には新しい脱脂綿などの封止材と交換する必要がある 認後に,遺体の口,鼻などにガーゼなどを装填し,漏出体液を封じる処置が行われているが(段落【0002】),従来の体液封止処置では,漏出体液が多い場合には新しい脱脂綿などの封止材と交換する必要がある,遺体体液を介して病原菌に感染する危険がある,封止材の交換後には周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題があったことから(段落【0004】),遺体から漏出する体液を完全に封止するために(段落【0005】),遺体の体液封止剤として,安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を使用し,この吸水性樹脂粉末を咽喉に所定量注ぎ込んで装填するとともに,可溶性シートによって包装した所定量の凝集剤粉末を鼻孔及び耳孔に装填すること(段落【0006】,【0008】),乾燥粉末状の吸水性樹脂は,体液を吸収することによってゲルとなって膨潤し,人体孔部を塞いで漏出する体液を確実に封止すること(段落【0007】),最も多量に体液が戻るのは咽喉からであり,この部位を抑えれば,鼻孔及び耳孔は,脱脂綿やガーゼなどを詰める処置であっても構わないこと(段落- 36 -【0015】),が記載されている。 したがって,刊行物2には,遺体から最も多量に体液が漏出するのは咽喉からであり,この咽喉からの体液の漏出を抑えることが重要であること,咽喉からの体液の漏出を抑えるため,吸水性樹脂粉末を咽喉に所定量注ぎ込んで装填し,それにより,咽喉を塞いで漏出する体液を確実に封止することが開示されており,これらの技術的事項が原出願の出願日前に知られていた。 以上のとおり,引用発明1と刊行物2に記載された事項とは,いずれも,体液凝固剤を遺体内に供給することによって,遺体の孔部を塞いで,体液が漏出するのを防止する技術に関するものである点で共通する。 そうすると,遺体から最も多量に 行物2に記載された事項とは,いずれも,体液凝固剤を遺体内に供給することによって,遺体の孔部を塞いで,体液が漏出するのを防止する技術に関するものである点で共通する。 そうすると,遺体から最も多量に体液が漏出するのは咽喉からであり,この咽喉からの体液の漏出を抑えることが重要であるという刊行物2に記載された事項を踏まえれば,体液凝固剤を遺体内に圧入する供給管に関するものであり,供給管の「他端」を遺体の口腔や鼻孔などに差し込んで体液凝固剤を遺体内に圧入するものである引用発明1において,体液凝固剤を特に咽喉に集中的に圧入することができるようにすることには動機付けがあるといえる。 そして,人体の所定の部位に薬剤等を供給するために,供給管の長さをその所定部位に達する長さとすることは,例えば,乙1(実願昭50-61366号(実開昭51-142791号)のマイクロフィルム)に,「薬液を収容する容器と,該容器の開口部に取り付けられた咽喉内に到達し得る長さを有する細管とから構成された口喉内及び咽喉内消毒及び治療用薬液塗布器」が開示されているように,原出願の出願日当時における技術常識であると認められ,供給管の長さをその所定部位に達する長さとすれば,その所定部位に薬剤等を集中的に供給することができることは,当業者にとって自明のことである。 - 37 -したがって,引用発明1において,咽喉からの体液の漏出を抑えるために,供給管の「他端」を口腔や鼻孔などに差し込んだ状態で,差し込まれた「供給管の先端部が咽喉部に達する長さ」とし,「供給管の挿入方向先端部の注入孔につき,体液凝固剤(体液漏出防止剤)を咽喉部に集中的に注入することができるようにする」ことは,当業者が容易に想到することであると認められる。 エ原告の主張について 端部の注入孔につき,体液凝固剤(体液漏出防止剤)を咽喉部に集中的に注入することができるようにする」ことは,当業者が容易に想到することであると認められる。 エ原告の主張について 原告は,引用発明1の供給管は,中間部分が円を描くようにループ状に形成されているから,これを鼻や口に挿入しようとしても,ループ状の部分が鼻や口の中に留まることになり,供給管の先端部を鼻や口よりもさらに奥の咽喉部に達するまで差し込むことは不可能な構成であること,刊行物1には,供給管を咽喉部にまで挿入することを開示又は示唆する記載はないことから,当業者において,刊行物2の技術的事項を参照したとしても,引用発明1の供給管の先端部を咽喉部に達するように構成することには容易に想到し得ず,供給管の長さを,その先端部が咽喉部に達するような長さに設計することも想定し得ない旨主張する。 しかしながら,引用発明1の供給管の中間部分が円を描くようにループ状に形成されているとしても,ループ状に形成された中間部分から供給管の「他端」側(遺体の口腔や鼻孔に差し込まれる側)に伸びる管の部分を長くすれば,供給管の先端部を咽喉部に達するまで差し込むことは可能である。また,刊行物1には,供給管を咽喉部にまで挿入することを開示又は示唆する記載がないとしても,刊行物2に記載された事項を踏まえれば,引用発明1において,体液凝固剤を特に咽喉に集中的に圧入することができるように構成することには動機付けがあるといえ,人体の所定の部位に薬剤等を供給するために供給管の長さをその所定部位に達する長さとすることも,技術常識に照らせば,当業者において容- 38 - したがって,原告の上記主張は理由がない。 原告は,刊行物2では,ペットシュガー類似の紙袋に包装された乾燥粉末 長さとすることも,技術常識に照らせば,当業者において容- 38 - したがって,原告の上記主張は理由がない。 原告は,刊行物2では,ペットシュガー類似の紙袋に包装された乾燥粉末の封止剤を,紙袋を破ってそのまま咽喉に注ぎ込むようにしているが,咽喉部が舌によって塞がれていることが多く,封止剤を口から注ぎ込んだとしても,咽喉部まで達するように注入するのは困難であり,鼻から注ぐとしても,鼻から咽喉部までの腔の形状は複雑なので,封止剤を咽喉部まで達するように注ぎ込むのは困難であり,また,封止剤が乾燥粉末であるため,鼻や口から注ぎ込んだ際,その大部分が鼻や口の粘膜に付着してしまい,奥の方まで届きにくく,咽喉部に集中的に注入することはできないから,刊行物2は,封止剤を単に鼻や口から注入することを開示するにすぎず,封止剤を咽喉部のみに集中的に注入することを何ら開示又は示唆するものではない旨主張する。 しかしながら,刊行物2には,遺体から最も多量に体液が漏出するのは咽喉からであり,この咽喉からの体液の漏出を抑えることが重要であること,咽喉からの体液の漏出を抑えるため,吸水性樹脂粉末を咽喉に所定量注ぎ込んで装填し,それにより,咽喉を塞いで漏出する体液を確のとおりである。刊行物2に記載された実施例によれば,供給管を用いて封止剤を装填する場合に比べて封止剤を咽喉部まで達するように集中的に装填することに多少の困難が伴うとしても,そのこと故に,刊行物2には,咽喉からの体液の漏出を抑えるために,封止剤を特に咽喉部に集中的に装填することが開示又は示唆されていないということにはならない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 原告は,乙1は,人の口腔内を外部から消毒したり,治療したりする- 39 -際に使用す 開示又は示唆されていないということにはならない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 原告は,乙1は,人の口腔内を外部から消毒したり,治療したりする- 39 -際に使用する薬液塗布器に関するものであって,生体に対して使用されるものであるから,嘔吐反射が起こらないように,管が咽喉部に触れない手前の位置まで挿入するようにして使用するものであり,咽喉部に達する長さの管を開示するものではない旨主張する。 しかしながら,乙1には,「容器の開口部に取り付けられた咽喉内に到達し得る長さを有する細管」と明記されているように(実用新案登録請求の範囲),供給管の長さを,咽喉内に達する長さとすることが開示されていることは明らかである。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 オ以上によれば,本件審決における相違点1及び3に係る容易想到性の判断に誤りはなく,原告の主張する取消事由1-2は理由がない。 取消事由1-3(相違点2に係る容易想到性判断の誤り)についてア原告は,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ない旨主張する。 イ周知例の記載事項等甲3,乙2,4には,以下の点が記載されている(下記記載中に引用する図面については,別紙3の周知例図面目録を参照。)。 刊行物3「本発明は,概略,医療用カテーテル,特に,中央カテーテル器具の両端に2つの機能的なアセンブリを有するカテーテルに関する。本発明のカテーテルはまた,必要ならば再利用できる分離可能な構成要素を有する。」(8頁4行~6行)「図1,2はまた,中央カテーテル本体部分102の末端部近傍に,突起のある着脱自在な接続部材108a,108bを示す はまた,必要ならば再利用できる分離可能な構成要素を有する。」(8頁4行~6行)「図1,2はまた,中央カテーテル本体部分102の末端部近傍に,突起のある着脱自在な接続部材108a,108bを示す。突起のある接続部材108aは実質的には内側ハイポチューブ122の壁の延長部であり,突起のある接続部材108bは外側ハイポチューブ120の壁- 40 -の延長部である。突起のある接続部材108a,108bは内側ハイポチューブ122および外側ハイポチューブ120の壁の一体的な延長部としてそれぞれ示してあるが,これら突起のある接続部材108a,108bを分離した部分として形成して,溶接,接着,または周知の他の方法によって内側ハイポチューブ122および外側ハイポチューブ120に付け足してもよい。 いずれの場合にも,突起のある接続部材108a,108bは,内側ハイポチューブ122および外側ハイポチューブ120の末端部に開口部62a,62bを形成する接続端部64a,64bをそれぞれ有する。 接続端部64a,64bから内側にずれた位置に先端の突起66a,66bがあり,これら突起66a,66bから内側にずれた位置に内側の突起68a,68bがある。先端の突起66aの頂点から内側の突起68aの頂点までの距離は,例えば,約0.13インチである。これらの突起は,内側ハイポチューブ122および外側ハイポチューブ120のそれぞれ外面にあり,各ハイポチューブによって形成される中央内腔に関して径方向に向けられている。内側の突起68a,68bは先端の突起66a,66bよりも僅かに大きい半径を有することが好ましい。図示される実施例では各ハイポチューブに二つの突起を設けたが,他の突起の配置でも同様に機能し,かつ本発明の範囲内にあることを当業者は認識するであろう。」( も僅かに大きい半径を有することが好ましい。図示される実施例では各ハイポチューブに二つの突起を設けたが,他の突起の配置でも同様に機能し,かつ本発明の範囲内にあることを当業者は認識するであろう。」(22頁18行~23頁10行) 乙2(特開平8-89518号公報)「本発明は,血管,消化管,器官,胆管,尿管,卵管などの体内の中空器官の接続用器具に関する。具体的には,中空器官に形成された腫瘍などを除去するために,中空器官を部分的に切除した後,切除された中空器官を接続するために使用される中空器官治療用器具に関する。」(段落【0001】)- 41 -「第1の筒状部材2および第2の筒状部材の形状について説明する。 第1の筒状部材2は,図1に示すように,全体の内径がほぼ同一であり,外径も接続部2aを除いて,ほぼ同一となっている筒状体である。接続部2aは,後述する第2の筒状体の内径が拡径した接続部3a内に挿入可能な外径を有しており,他の部分に比べて肉薄かつ外径が小径となっている。また,第1の筒状部材2の両端2b,2cは,開口しており,内部に貫通した通路を形成している。筒状部材2の外面には,結紮用の環状溝2dが形成されている。筒状部材2の端部を腸管内に位置させた後,この環状溝2d部分にて,腸管と筒状部材とを結紮糸により縛ることにより,両者は液密に固定される。」(段落【0017】)「第2の筒状部材3は,図1に示すように,全体の内径がほぼ同一であり,外径も接続部3aを除いて,ほぼ同一となっている筒状体である。 接続部3aは,第1の筒状部材の接続部2aを挿入可能な内径を有しており,他の部分に比べて肉薄かつ内径が小径となっている。第2の筒状部材3の両端3b,3cは,開口しており,内部に貫通した通路を形成している。筒状部材3の外面には,結 続部2aを挿入可能な内径を有しており,他の部分に比べて肉薄かつ内径が小径となっている。第2の筒状部材3の両端3b,3cは,開口しており,内部に貫通した通路を形成している。筒状部材3の外面には,結紮用の環状溝3dが形成されている。管状部材3の端部を腸管内に位置させた後に,この環状溝3d部分にて,腸管と筒状部材とを結紮糸により縛ることにより,両者はほぼ液密に固定される。」(段落【0019】)「次に,図3に示す実施例の中空器官接続用器具について説明する。 この実施例の中空器官接続用器具は,冠状動脈バイパス形成術用中空器官接続用器具である。この接続用器具30は,一つの分岐部35を持つ第1の筒状部材31(T字状筒状部材,冠状動脈挿入用部材)と,分岐部35に形成された接続部31aと接続される接続部32bを備えた第2の筒状部材32により構成されている。筒状部材31は,図3に示すように,本体部34はほぼ同一外径および同一内径を有する筒状体であ- 42 -り,両端に開口31b,31cを有している。」(段落【0025】) 乙4(特開昭60-203244号公報)「胸部大動脈瘤,腫瘍や動脈硬化症に起因する血管の閉塞は,無名動脈や頸動脈の分岐点等に多発する。この部位を切除・修復し,治癒することを目的として行われる手術中,術部より先への(例えば,頭部や腹部,下肢上肢等への)血流を維持する為に,人工のバイパスチューブを用いて大動脈の一部をバイパスして血流を流す所謂大動脈バイパスシャントの手法が知られている。これに用いられるバイパスチューブとしては,血流に対する圧力損失が小さく,血栓を生じないものが望ましいが,従来は塩化ビニールを材料とし,第1図にその断面形状を示すようなものが用いられていた。図において,1は長さl3内径D2のチ ブとしては,血流に対する圧力損失が小さく,血栓を生じないものが望ましいが,従来は塩化ビニールを材料とし,第1図にその断面形状を示すようなものが用いられていた。図において,1は長さl3内径D2のチューブ本体,3は術部上流の血管に挿入されて血流が流入する長さl1内径D1の流入接続部,5は同様に術部下流の血管に挿入されて血流が血管へ帰還する長さl5内径D3の帰還接続部である。又,チューブ本体1と流入接続部3あるいは帰還接続部5は各々重なり代長さl2,l4で接続されている。」(1頁右下欄5行~2頁左上欄4行)ウ引用発明1の供給管は,その一端が,体液凝固剤を内蔵した容器の連通口に連結されるものであるが,刊行物1の図2には,容器の連通口が,容器本体よりも径の小さな管状のものであることが記載されていると認められる。 そして,前記イ記載の周知例の記載事項によれば,管同士を連結する際に,一方の管に連結部を形成し,その連結部に他方の管を差し込むことにより連結することは,原出願の出願日当時における周知技術であると認められる。 また,供給管と容器の連通口を連結する際に,いずれに連結部を形成するかは,当業者が適宜決定しうる設計的事項であるといえる。 - 43 -そうすると,引用発明1において,供給管の挿入方向基端部に接続部を形成し,その接続部に体液凝固剤を内蔵した容器の出口部(連通口)を差し込むことにより接続する構成とすることに,何ら困難性はないというべきであり,当業者において容易に想到できると認められる。 エ原告の主張について原告は,刊行物3はガイドワイヤを案内するカテーテル、乙2は体内に埋め込まれる中空器官接続用器具、乙4は血管バイパスチューブに関するものであり、いずれも生体に使用される技術であって,本願補正発明のよ 告は,刊行物3はガイドワイヤを案内するカテーテル、乙2は体内に埋め込まれる中空器官接続用器具、乙4は血管バイパスチューブに関するものであり、いずれも生体に使用される技術であって,本願補正発明のように容器の体液漏出防止剤を供給管を介して遺体に注入するためのものとは,前提とする技術や構成が全く異なっているから,当業者において,これら生体用の技術を遺体用の体液漏出防止剤の供給管の接続構造に適用することは容易に想到し得ないし,このような慣用手段を体液漏出防止剤の接続構造に適用することには阻害要因がある旨主張する。 しかしながら,引用発明1と前記ウ記載の周知技術とは,いずれも管同士を連結するものである点で共通するものであるから,引用発明1において,「管同士を連結する際に,一方の管に連結部を形成し,その連結部に他方の管を差し込むことにより連結する」という周知技術の適用を検討することは,当業者が普通に行うことであるといえる。 また,引用発明1が体液凝固剤を遺体内に圧入する供給管に関するものであるのに対し,周知例(刊行物3,乙2,4)が,生体に用いられ,体液凝固剤を遺体内に圧入する供給管に関するものではないからといって,上記周知技術を引用発明1に適用することが阻害されるものではない。 したがって,原告の主張は理由がない。 原告は,本願補正発明は,相違点2に係る構成を採用することにより,容器の出口部を覆うように供給管の挿入方向基端部が位置するようにし,- 44 -容器内の体液漏出防止剤を供給管に圧送する際に,容器の出口部と供給管の挿入方向基端部との間から体液漏出防止剤が漏れるのを十分に抑制して遺体処置作業を確実に行うことができるという効果を奏するものであるから,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者とい との間から体液漏出防止剤が漏れるのを十分に抑制して遺体処置作業を確実に行うことができるという効果を奏するものであるから,引用発明1において,相違点2に係る構成を備えるようにすることは,当業者といえども容易に想到し得ないというべきである旨主張する。 しかしながら,原告が主張する,容器の出口部を覆うように供給管の挿入方向基端部が位置するようにして,容器内の体液漏出防止剤を供給管に圧送する際に,容器の出口部と供給管の挿入方向基端部との間から体液漏出防止剤が漏れるのを十分に抑制するという効果は,容易想到である相違点2に係る構成から予想し得る範囲内のものにすぎないから,原告の上記主張は失当である。 オ以上によれば,本件審決における相違点2に係る容易想到性の判断に誤りはなく,原告の主張する取消事由1-3は理由がない。 小括以上のとおり,本件審決に原告が主張する相違点4の看過は認められず,本件審決における相違点1ないし3に係る容易想到性の判断についても誤りがあるとは認められない。 したがって,本件審決が,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明,刊行物2に記載された技術的事項及び慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから独立特許要件を備えないとして,本件補正を却下した点に誤りはなく,原告の取消事由1に係る主張は理由がない。 2 取消事由2(本願発明の容易想到性判断の誤り)について原告は,取消事由1と同様の理由により,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明を- 45 -することができたものであるとはいえない旨主張する。 しかしながら,本願発明と引用発明1とが,本願発明の「供給管」が「鼻または口から挿入されて 術的事項に基づいて当業者が容易に発明を- 45 -することができたものであるとはいえない旨主張する。 しかしながら,本願発明と引用発明1とが,本願発明の「供給管」が「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出している」のに対し,引用発明1の「供給管」は「鼻または口から挿入されて挿入方向基端部が鼻または口から突出していない」点(相違点4)で相違するとはいえないこと また,本願発明と引用発明とおり,本願補正発明と引用発明1との相違点1及び3と同じ点において相違するが,引用発明1において,刊行物2に記載された技術的事項に基づいて,咽喉からの体液の漏出を抑えるために,供給管の「他端」を口腔や鼻孔などに差し込んだ状態で,差し込まれた「供給管の先端部が咽喉部に達する長さ」とし,「供給管の挿入方向先端部の注入孔につき,体液凝固剤(体液漏出防止剤)を咽喉部に集中的に注入することができるようにする」ことが,当業者において容易に想到載のとおりである。 したがって,本件審決における本願発明の容易想到性の判断に誤りはなく,原告の取消事由2に係る主張は理由がない。 第5 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 - 46 -裁判官大鷹一郎 裁判官柵木澄子 - 47 -(別紙1) 裁判官柵木澄子 主文 理由 事実 争点 判断 本願図面目録 【図1】 【図2】 刊行物1図面目録 【図1】 【図2】 周知例図面目録 1 刊行物3(甲3)【図1】 【図2】 2 乙2 【図1】 【図3】 3 乙4 第1図
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