主文 一甲事件原告・乙事件被告Aは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,金546万3069円及びこれに対する平成7年4月28日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。 二甲事件原告・乙事件被告Cは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し金273万1534円,甲事件原告・乙事件被告D,同E,同Fは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,各金91万0511円及び上記各金員に対する平成7年4月28日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。 三甲・丙事件被告・乙事件原告Bのその余の請求及び甲事件原告・乙事件被告らの請求及び丙事件原告の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は,甲・乙・丙事件を通じてこれを10分し,その1を甲・丙事件被告・乙事件原告Bの負担とし,その余を甲事件原告・乙事件被告ら及び丙事件原告の連帯負担とする。 五この判決は,第一項及び第二項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第一請求一甲事件 甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,連帯して,甲事件原告・乙事件被告Cに対し金1155万7198円,同D,同E及び同Fに対し各金385万2400円,甲事件原告・乙事件被告Aに対し金1650万円及び各金員に対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bの負担とする。 仮執行宣言二乙事件 甲事件原告・乙事件被告Aは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,金612万1428円及びこれに対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 甲事件原告・乙事件被告Cは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,金306万0714円及びこれに対する平成7年4月28日から る平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 甲事件原告・乙事件被告Cは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,金306万0714円及びこれに対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 甲事件原告・乙事件被告D,同E,同Fは,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対し,各金102万0238円及びこれに対する平成7年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は甲事件原告・乙事件被告らの負担とする。 仮執行宣言三丙事件 甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,丙事件原告に対し,連帯して金317万5349円及び平成8年6月28日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bの負担とする。 仮執行宣言第二事案の概要本件は,H運転のトラック(以下「H車」という)と対向してきた甲・丙事。 件被告G運転のトラック(以下「G車」という)が衝突し,さらにH車が対向。 車線の訴外I運転のトラック(以下「I車」という)と衝突して亡Hが死亡し。 た交通事故(以下「本件事故」という)に関して,甲事件・乙事件の本訴反訴。 と丙事件の合計3件の訴訟が提訴された事案である。 甲事件は,本件事故により死亡した亡Hの相続人である甲事件原告・乙事件被告C,同D,同E,同Fが,甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対して自賠法3条に基づく損害賠償を,甲・丙事件被告Gについては予備的に不法行為責任に基づく損害賠償を求め,H車を所有していた甲事件原告・乙事件被告Aは,甲・丙事件被告Gに対しては不法行為に基づき,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対しては使用者責任に基づき,車両損害1500万円及び に基づく損害賠償を求め,H車を所有していた甲事件原告・乙事件被告Aは,甲・丙事件被告Gに対しては不法行為に基づき,甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対しては使用者責任に基づき,車両損害1500万円及び休車損害270万円の一部1500万円と弁護士費用の賠償を求めた本訴請求事案である。 乙事件は,G車の所有者である甲・丙事件被告・乙事件原告Bが,亡Hの相続人である甲事件原告・乙事件被告C,同D,同E,同Fに対して,民法709条に基づき,甲事件原告・乙事件被告Aに対しては,民法715条に基づき,車両の修理費用と休車損害及び弁護士費用の損害賠償を求めた反訴請求事案である。 丙事件は,甲事件原告・乙事件被告Aとの間で自動車保険契約を締結していた保険会社である丙事件原告が,G車が衝突したI車の所有者Jに対する損害180万円,国に対するガードレール修理費用91万8540円,関西電力株式会社に対する電柱の修理費用17万6809円を立替払して求償債権を取得したとして,甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bに対して,求償債権合計289万5349円と弁護士費用28万円の合計317万5349円の支払いを求めた事案である。 一争いのない事実等 本件事故(一)日時平成7年4月28日午前11時20分ころ(二)場所兵庫県赤穂市a番地先国道2号線(以下「本件事故現場」という)。 (三)東進車亡H運転の大型貨物自動車(岡山・・-・・・・)(四)西進車G運転の大型貨物自動車(広島・・-・・・・)(五)死亡者亡H(六)態様岡山方面から姫路方面に向け東進中のH車の右前角部と姫路方面から岡山方面に向け西進中のG車の右側面後部が衝突(以下「第1衝突」という)し,その後H車はさらに対向車線を。 西進中のI車と衝突(以下「第2衝突」とい 路方面に向け東進中のH車の右前角部と姫路方面から岡山方面に向け西進中のG車の右側面後部が衝突(以下「第1衝突」という)し,その後H車はさらに対向車線を。 西進中のI車と衝突(以下「第2衝突」という)した。 。 亡Hの死亡と相続(甲35,36,弁論の全趣旨)亡Hは,事故直後救急搬送されたが死亡した。 甲事件原告・乙事件被告Cは,亡Hの妻であり,甲事件原告・乙事件被告D,同Eは亡Hの実子であり,甲事件原告・乙事件被告Fは本件事故当時亡Hの養子であった。 甲事件原告・乙事件被告Cの相続分は2分の1,同D,同E,同Fの相続分は各6分の1である。 責任原因甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,G車の所有者でGの雇主であり,甲・丙事件被告G及び甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,G車を自己のために運行の用に供するものである。 甲事件原告・乙事件被告Aは,亡Hの雇主で運送業を営んでおり,本件事故は亡Hが甲事件原告・乙事件被告Aの業務に従事中に発生した。 本件事故現場は,国道2号線の兵庫県と岡山県の県境近くの鯰峠の頂上付近で堀割の峠道となっており,上り車線・下り車線とも走行車線の外側に登坂車線が設けられ片側2車線になっている。 二 争点 第1衝突の態様は,H車がセンターラインを超え対向車線にはみ出してG車と衝突したものか,それともG車の後部がセンターラインを超え対向車線にはみ出してH車と衝突したものか。衝突地点は,H車が走行していた東行車線上か,G車が走行していた西行車線上か。 (甲事件原告・乙事件被告らの主張)G車は,時速100キロメートル以上の高速度で走行車線を進行中,左前方の登坂車線を走行中のトラックが走行車線に進路変更しG車の前方に割り込んだので,急ブレーキをかけたところスリップしてG車の後部が対向車線にはみ出しH車と衝突したものである で走行車線を進行中,左前方の登坂車線を走行中のトラックが走行車線に進路変更しG車の前方に割り込んだので,急ブレーキをかけたところスリップしてG車の後部が対向車線にはみ出しH車と衝突したものである。 (甲事件被告・乙事件原告らの主張)H車は,登坂車線を走行していたが,本件事故現場はH車の進行方向からは左カーブになっているにもかかわらず直進して対向車線に進入しG車の後部と衝突したもので,H車の積み荷のチップが対向車線に散乱していることがその証拠であり,Gの刑事処分は不起訴処分となった。本件事故は,亡Hの前方不注視または運転操作上の過失等安全運転義務違反の過失により生じたものである。本件事故現場のセンターライン付近に残っていたタイヤ痕は,G車のタイヤによるものではない。 損害額(甲事件原告・乙事件被告C,同D,同E,同Fが相続した亡Hの損害)(一)葬祭費用等(請求額154万9625円)(二)逸失利益(請求額5146万4773円)平均月収50万7308円,生活費控除3割,17年の新ホフマン係数12.077(三)慰謝料(請求額2800万円)(四)損益相殺H車及びI車の加入していた自賠責保険から各3000万円の支払いを受けた。 (五)小計(請求額合計2101万4398円)(六)弁護士費用(請求額210万円)(甲事件原告・乙事件被告Aの損害)(一)H車の車両損害(請求額1500万円)(二)休車損害(請求額270万円)休車期間は新車に二次架装するために要する期間3ヶ月間,1日当たりの休車損害がトン当たり3000円で,H車のような10トン車では3万円(三)小計(請求額合計1770万円)(四)弁護士費用(請求額150万円)(甲・丙事件被告・乙事件原告Bの損害)(一)G車の修理費(請求額397万0900円)( うな10トン車では3万円(三)小計(請求額合計1770万円)(四)弁護士費用(請求額150万円)(甲・丙事件被告・乙事件原告Bの損害)(一)G車の修理費(請求額397万0900円)(二)休車損害(請求額160万0528円)1日当たり2万4614円の休車損害が発生しその64日分(三)小計(請求額合計557万1428円)(四)弁護士費用(請求額55万円)(丙事件原告の損害)(一)I車の修理費(請求額180万円)(二)建設省近畿地方建設局姫路工事事務所のガードレール修理費(請求額91万8540円)(三)関西電力株式会社の電柱修理費(請求額17万6809円)(四)小計(請求額合計289万5349円)(五)弁護士費用(請求額28万円)第三争点に対する判断一争点1第1衝突が生じた地点はセンターラインのどちら側か。 甲第1及び第2号証の各1ないし4,第3号証の1及び2,第10号証の1ないし6,第12号証の1ないし5,第16ないし18号証,第19号証の1ないし7,第20号証,第21号証,第24号証,第25号証,第28号証,第30号証,第31号証,第37号証,第47ないし49号証,第54号証の1及び2,第55号証の1ないし3,乙第1ないし第4号証,第10号証,第13号証の1及び2,第14号証,第15号証の1,2,第16ないし20号証,第22号証,丙第1号証の1ないし4,証人Kの証言,同A代表者,甲・丙事件被告G,甲・丙事件被告・乙事件原告B代表者各本人尋問の結果,調査嘱託の結果,鑑定人Lの鑑定の結果(以下「L鑑定」という)及び弁論の全。 趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。 1(一)第1衝突の現場は,G車の進行方向である下り車線からは左カーブの上り坂を上り終えて坂の頂上をわずかに過ぎた辺りになり いう)及び弁論の全。 趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。 1(一)第1衝突の現場は,G車の進行方向である下り車線からは左カーブの上り坂を上り終えて坂の頂上をわずかに過ぎた辺りになり,H車の進行方向である上り車線からは上り坂の左カーブを曲がったところで坂の頂上のわずかに手前となる。 本件事故当時,G車は,走行車線を時速約80キロメートルで登坂車線の車両を追い抜きながら西進しており,H車は,荷台にチップを積載して登坂車線を時速約50キロメートルで東進していた。 Gは,下り車線前方の登坂車線を走行中のトラックが,登坂車線がなくなるのに伴い方向指示器も出さずに進路変更して走行車線を走行中のG車の直前に割り込んできたので,追突の危険を感じ急ブレーキをかけている最中に第1衝突が起きた。Gは,第1衝突後割り込み車両に対して立腹して追跡したが下り坂となり相手がスピードを上げたので追いつけなかった。 Gは,急ブレーキでなくポンピングブレーキをかけた旨供述するが,割り込み車両との距離が近く追突の危険を強く感じていて第1衝突直前のH車の存在にも気づいておらず,第1衝突後ドーンという大きな音がして車体が大きく左に振られたのに停車せず,立腹して割り込み車両を追いかけたGの行動に照らすと,Gにはポンピングブレーキをかける余裕はなくかかる供述は採用できない。 (二)第1衝突では,H車の右前角部とG車の右側面後部がすれ違いざまに衝突してドーンという大きな音をたて,H車は,G車の荷台後部右扉と扉が固定された枠の柱を引きちぎり,第1衝突後G車の荷台後部右扉を引っかけたまま対向車線の登坂車線にまで進入して登坂車線を走行中のI車の右側面後輪付近にH車の右前角部が衝突して第2衝突を起こした。H車は,第2衝突後,さらに東進して右前角部が対向車線の路外にある 引っかけたまま対向車線の登坂車線にまで進入して登坂車線を走行中のI車の右側面後輪付近にH車の右前角部が衝突して第2衝突を起こした。H車は,第2衝突後,さらに東進して右前角部が対向車線の路外にあるコンクリート製電柱と衝突して(以下「電柱衝突」という)電柱。 上部が折れて倒れ,電柱付近にG車の引きちぎられた荷台後部右扉を落下させた。H車は,電柱衝突後進行方向を変え,東行車線に戻って左前部をガードレールに衝突させてガードレールを外に押し倒して損壊し(以下「ガードレール衝突」という,さらに進行方向を変えて対向。)車線に再び進入して右前部を対向車線の路外にあるガードレールと衝突させてガードレールを外に押し出しガードレールに乗り上げて停止(以下「停止場所」という)した。 。 このように,H車が第1衝突後東行車線と西行車線を行ったり来たりしたのは,本件事故現場がちょうどS字状にカーブしていてH車の進行方向が少し変わるだけで容易にセンターラインを超えて反対車線に進入する構造となっているためである。 G車は,第1衝突時に車体後部を大きく左に振られ,Gは左後輪が登坂車線の縁石に当たったかと思った。 (三)本件事故当時の天候は断続的に雨が降っていて路面は濡れていた。 第1衝突の現場近くには,センターライン付近に2種類のタイヤ痕が存在するが,いずれもH車の装着していたタイヤとは模様が異なる。 第2衝突場所から電柱衝突場所まで,電柱衝突場所からガードレール衝突場所まで,ガードレール衝突場所から停止場所まで,それぞれまっすぐな薄いタイヤ痕がある。 本件事故現場のG車が走行していた西行車線には,H車の積荷のチップが散乱しており,第1衝突の現場近くには,センターライン側を中心として走行車線から登坂車線にかけて円弧を描くようにチップが散乱し,電柱衝突の現場近くに が走行していた西行車線には,H車の積荷のチップが散乱しており,第1衝突の現場近くには,センターライン側を中心として走行車線から登坂車線にかけて円弧を描くようにチップが散乱し,電柱衝突の現場近くにも,電柱の後方(東側)からガードレール衝突の現場に向けて先ほどよりも長さは短いがタイヤ痕と並行してチップが散乱していた。 (四)H車の運転台がある前部右側部分は大破して,人が乗車するキャビンも屋根がつぶれて大きく変形し,右前輪が脱落しかけて横倒しになりH車の右側面からはみ出しており,左前輪も横向きに変形している。H車の右側面には,電柱衝突の際に生じた電柱との擦過により生じた損傷が残されている。 G車は第1衝突により荷台の右後輪付近より後ろの右側面ウイング上,(に持ち上がって荷台の横が開き横が完全に開口する部分)後部が引きちぎられ,荷台後部の右扉と扉を固定する枠の右側柱部分も引きちぎられたが,右後輪よりも後ろにある右側面荷台下に取り付けられた道具箱はいくらか変形した程度の損傷で済んだ。 I車は,地上165センチメートルの高さまで損傷があり荷台の右側面が凹損し,右後輪の前軸輪が後方に曲がる損傷を受けた。 H車が衝突した電柱は,地上約2メートルの高さで折損した。 (五)H車のタコグラフは,一連の衝突により飛散し回収できなかった。G車のタコグラフは,Gが記録紙の交換を怠っていたため同一の記録紙に平成7年4月26日から28日までの3日分のタコグラフが記録された。 なお,G車のタコグラフチャート紙の原本は,本件事故当日にGが兵庫県赤穂警察署に任意提出していて,送付嘱託に応じて赤穂警察署から当裁判所にはそのコピーが送付されたが,原本の送付嘱託に対しては,赤穂警察署は任意提出書,領置調書,還付請書を作成することなく原本はGに返還した旨回答し,神戸地方 て,送付嘱託に応じて赤穂警察署から当裁判所にはそのコピーが送付されたが,原本の送付嘱託に対しては,赤穂警察署は任意提出書,領置調書,還付請書を作成することなく原本はGに返還した旨回答し,神戸地方検察庁姫路支部も原本は保管していない。しかし,赤穂警察署の回答については,被疑者Gに関する業務上過失致死事件の重要な証拠であるタコグラフチャート紙を,還付の必要性が不明であるにもかかわらず警察署では任意提出を受けて謄本を作成したらすぐに返還する扱いが実際になされていたのか多大な疑問が残り,Gが返還を受けて所持しているとは認定できない。 (六)亡Hは,生前狭心症の診断で月1回通院していた。 (七)Gは,第1衝突後も止まることなく西進を続け,県境を超えてから荷台の右側面が膨らんでいるのに気づき停車させたところ,初めてG車の右側面後部がひどい損傷を受けていることに気づいた。Gは,警察に通報し,G車の停止場所で警察官と会い,その後本件事故の約30分後に本件事故現場に戻り,実況見分に立ち会った。 Gの刑事処分は,不起訴処分となった。 上記認定によれば,次のとおり判断できる。 (一)H車が第1衝突後,停止場所に至るまで4回に渡り衝突を繰り返しその間ハンドルやブレーキ操作がなされた形跡がないことに照らすと,亡Hは,第1衝突により意識を失う等H車をコントロールできない状態に陥ったと解するのが相当である。 (二)H車と2回にわたるガードレールとの衝突による損傷は,H車の下部に限られ運転台付近に損傷が及ぶことはない。しかし,第2衝突においても,I車の損傷が高さ165センチメートルの場所まで生じて凹損していることからH車の右前輪とI車の右後輪だけが接触し車体同士の接触がなかったと認めることはできず,I車には車軸が曲がるなど損傷が生じていることを考慮すると 65センチメートルの場所まで生じて凹損していることからH車の右前輪とI車の右後輪だけが接触し車体同士の接触がなかったと認めることはできず,I車には車軸が曲がるなど損傷が生じていることを考慮すると相当の衝撃が加わったことを示しており,H車とI車の車体同士が衝突しH車に第1衝突による損壊に加えてさらに相当の損壊が生じたと認めるのが相当である。電柱衝突においても,コンクリート製の電柱が地上約2メートルの高さから折れていることは衝突の衝撃の大きさ,ひいてはH車が電柱衝突により更に損傷を受けたことを示している。 第1衝突によってH車の右前角部運転台付近がある程度損壊されたことにより構造上弱くなり,第1衝突前よりも弱い衝撃によって容易に損壊が進む状況になったと解されることを考慮すると,第1衝突に引き続いて第2衝突と電柱衝突が繰り返されたことにより,H車の右前角部運転台付近は,第1衝突による損傷に加えて第2衝突と電柱衝突によってさらに相当の損傷を受けたことが推認できる。 そうすると,H車の右前角部は,第1衝突,第2衝突,電柱衝突の3回にわたり衝突を繰り返しており,どの衝突によりH車の右前角部にどのような損壊が生じたかを証拠上明らかにすることはできないと言わざるを得ない。 証人Kは,第1衝突の大きな音がしたのでH車の方を見るとH車の運転席部分が潰れて大破したまま進行してきているのを見た旨証言するが,第1衝突の瞬間を目撃したのではなく,H車を見たのは第1衝突後のほんの一瞬であるうえ停止後のH車と同じ損壊状況であったか明言できず,H車は第1衝突の際に引きちぎったG車の荷台後部右扉を引っかけたまま走行しているにもかかわらず荷台後部右扉の記憶がないことに照らすと,G車の右扉がH車の運転台付近のフロントガラスを覆っていたのを見て大破という印象を受けた可能 ったG車の荷台後部右扉を引っかけたまま走行しているにもかかわらず荷台後部右扉の記憶がないことに照らすと,G車の右扉がH車の運転台付近のフロントガラスを覆っていたのを見て大破という印象を受けた可能性も高く,同証人のH車が第1衝突によって大破した旨の証言は採用できない。 (三)第2衝突後停止場所まで続く薄いタイヤ痕は,H車の右前輪が第2衝突によって破損し脱落しかけて横を向いたためにその後タイヤ痕が生じることとなったものである。 (四)H車とG車の衝突角度については,衝突角度が大きければG車の最後部荷台下の右側面から約30センチメートル奥まった場所に取り付けられた道具箱に対しても損傷が及び大きく変形することが避けられないところ,実際には軽度の変形しかないことに照らすと,H車とG車の衝突角度は小さかったと推認できる。 (五)交通事故における衝突の際には物理学の慣性の法則が当てはまることに照らすと,積荷のチップの散乱方向は衝突前及び衝突によって進行方向を変え始めた時点におけるH車の進行方向を示していると解するのが相当である。そうすると,第1衝突後のH車の積荷のチップの散乱状況と散乱場所が対向車線であることを考慮すれば,H車は第1衝突の際には対向車線に向かって進行していたと認定でき,センターラインを超えたのはH車であり,G車が走行していた西行車線上で第1衝突が発生したと認めるのが相当である。 G車が,本件事故直前の時点では,自車の直前に割り込んだトラックに気を取られH車を第1衝突が生じるまで認識していないことや第1衝突後も停止せず本件事故現場に戻ってくるのに約30分要したこと,路面が濡れていて急ブレーキをかけるとスリップする危険があったこと等の事実を考慮すると,G車がスリップして荷台後部がH車が進行する東行車線にはみ出したという甲事件原 ってくるのに約30分要したこと,路面が濡れていて急ブレーキをかけるとスリップする危険があったこと等の事実を考慮すると,G車がスリップして荷台後部がH車が進行する東行車線にはみ出したという甲事件原告・乙事件被告,丙事件原告らの主張に沿う本件事故の発生原因が考えられないわけではないが,かかる見解はG車の進行する西行車線に散乱したH車の積荷のチップの説明がつかないし,本件事故現場のタイヤ痕がG車のタイヤによるものであると認めるに足りる証拠がなく採用できない。 甲事件原告・乙事件被告らは,チップについては,舞い上がってから路面に落ちるまでの風の影響や路面に落ちたチップが実況見分開始までの間に本件事故現場を通過した車両によって踏まれ位置が変化した可能性を指摘するが,本件事故当日の天候は雨であり積荷のチップも雨を吸って重くなり風の影響を受けにくくなっていたことが推認できるうえ,東行車線上で舞い上がったチップが風に流されて西行車線上に落ちたとすると,電柱衝突の際に舞い上がったチップも同じ方向に風で流されることが予想されるが,電柱衝突の際に舞い上がったチップは第1衝突の時と同じ方向に風で流されるとガードレールの外の路外に落下するはずのところ,逆にH車の進行方向であるガードレール衝突場所方向に向け登坂車線上に落下している。積荷のチップがいったんH車が走行していた東行車線に落下し通過車両に踏まれて西行車線に移動したとすると,センターラインを超えて移動したことになるが,0.8メートルの間隔を置いてセンターラインが2本引かれその間にゼブラ模様に白線が引かれている本件事故現場においては,通過車両に踏まれることも少ないセンターライン付近に白線に阻まれてチップが一部残っていることが予想されるが,実況見分調書にはかかる記載はなく,通過車両にチップが踏まれたの る本件事故現場においては,通過車両に踏まれることも少ないセンターライン付近に白線に阻まれてチップが一部残っていることが予想されるが,実況見分調書にはかかる記載はなく,通過車両にチップが踏まれたのであれば通過車両の進行方向である東あるいは西にチップが移動するのは説明がつくが,本件のように対向車線に向けて移動することの説明はつかない。従って,風の影響や通過車両に踏まれてチップが移動したとの甲事件原告・乙事件被告らの主張は採用できない。 ,,(六)L鑑定はH車の速度を時速94キロメートル前後と鑑定しているがその算定根拠は,第1衝突,第2衝突,電柱衝突,ガードレール衝突,停止場所におけるガードレール衝突の5回にわたる衝突について,それぞれ有効衝突速度を推定し,第1衝突後の平均摩擦係数も推定したうえで計算している。しかしながら,各衝突でH車がどの程度損壊したかが明らかでなく各回の有効衝突速度の推定には困難を伴うし,第2衝突でH車の右前輪のタイヤが破損して脱落しかけて以降の摩擦係数には変化,,が生じており計算の前提となる数字の正確性が確保されたとはいえずH車の速度に関する部分の鑑定は採用できない。実際上も,H車は上り坂を進行中で積載したチップが雨に濡れて重量が増加していることを考慮すると,前記認定したとおりH車の速度は時速約50キロメートルと認定するのが相当である。 乙第26号証の鑑定書(M鑑定)は,第1衝突におけるH車の損傷の程度を,キャビン内部まで変形するようなものではなく軽いもので運転操作に影響を与えるようなものではないと結論づけているが,前記認定したようにH車がG車の荷台後部右扉と扉の枠を引きちぎり亡Hがその後H車を制御できない状態に陥ったことに照らすと,H車の運転台付近には第1衝突によってある程度の損傷が生じていることが認 が,前記認定したようにH車がG車の荷台後部右扉と扉の枠を引きちぎり亡Hがその後H車を制御できない状態に陥ったことに照らすと,H車の運転台付近には第1衝突によってある程度の損傷が生じていることが認定でき,かかる認定に照らして採用できない。 丙第2号証の鑑定書(N鑑定)は,H車の運転台付近の変形は第1衝突によって生じたものであることを前提として判断しているが,前記認定したとおりH車の運転台付近は第1衝突,第2衝突,電柱衝突の3回にわたる衝突で破壊されたもので,どの衝突によってどの程度破壊されたかは明らかにできないことに照らすとやはり採用できない。 丙第3号証の1の鑑定書(O鑑定)は,G車が急ブレーキをかけたことにより左旋回状態となって荷台後部を対向車線に大きくはみ出させ登坂車線を走行中のH車と衝突したと判断しているが,そうすると衝突角度が大きくなりG車の横からH車は衝突したことになり,G車の右後部荷台下の道具箱が損壊していないことやチップの散乱状況と矛盾するし,ドーンという大きな音で本件事故に気づいた目撃者はG車が第1衝突により今度は逆に後部が右旋回して西行車線に戻るところを目撃するはずであるが,K証人はかかる状況を目撃していないことに照らすと採用できない。 甲第56号証の鑑定書(P鑑定)は,証拠として提出された4月26日から同月28日までのタコグラフチャート紙とGの当裁判所における本人尋問での供述内容,乙第16号証の事故前運行状況とが整合しない旨判断するが,同鑑定でも指摘しているように3日分の走行記録が1枚のチャート紙上に記録され,しかもコピーであるため正確な判読ができないことが大きな要因となっており,上記判断を左右するものではない。 上記認定によれば,第1衝突は,H車がセンターラインを超えてG車と衝,。 突したもので以後の衝 ピーであるため正確な判読ができないことが大きな要因となっており,上記判断を左右するものではない。 上記認定によれば,第1衝突は,H車がセンターラインを超えてG車と衝,。 突したもので以後の衝突は全て第1衝突が原因となって起きたものである従って,亡Hには過失が存在し不法行為責任を負い,亡Hの使用者である甲事件原告・乙事件被告Aも使用者責任を免れない。他方,甲・丙事件被告Gには,速度違反の事実があるものの第1衝突との間に相当因果関係がなく信頼の原則が適用されることから違法性は認められず不法行為は成立しないし,自賠法3条但書の免責が認められるので損害賠償責任を負わない。甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,被用者であるGに不法行為が成立しないので使用者責任を負わない。 よって,甲事件及び丙事件に関しては,その余の請求原因について判断するまでもなく原告の請求には理由がなく棄却を免れない。 二争点2甲・丙事件被告・乙事件原告Bの損害 前掲各証拠に加えて甲第46号証,乙第7号証ないし第9号証,第11号証及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (一)G車の修理費用(請求額397万0900円)338万7773円甲・丙事件被告・乙事件原告Bは,G車の修理をQに依頼して338万7773円を支払ったことが認められる。 (二)休車損害(請求額160万0528円)157万5296円G車は,平成7年2月1日から同年4月27日までの86日間に合計409万8000円の運賃収入があり,経費として人件費が合計109万7567円,燃料代実費が走行距離合計3万3876キロメートルに対して66万7640円,修理代は前年度1年分の修理費用の合計を12か月で割ると1ヶ月当たり2万6825円,タイヤの損耗料がタイヤ1本が9万キロメートル走行できるとして 計3万3876キロメートルに対して66万7640円,修理代は前年度1年分の修理費用の合計を12か月で割ると1ヶ月当たり2万6825円,タイヤの損耗料がタイヤ1本が9万キロメートル走行できるとして前記走行距離に対してタイヤ10本分合計で13万5504円かかり,経費合計で198万1186円となる。従って,1日当たりのG車の収入は,2万4614円となる。 (409万8000円-198万1186円)÷86日=2万4614円G車の修理が完了し甲・丙事件被告・乙事件原告Bの下に納車されたの,,は保険会社による修理工場への2度の立会を経て同年6月30日であり休車期間は64日間となるから,休車損害は157万5296円である。 2万4614円×64日=157万5296円(三)小計(請求額合計557万1428円)496万3069円(四)弁護士費用(請求額55万円)50万円本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,50万円と認めるのが相当である。 従って,甲・丙事件被告・乙事件原告Bの損害額は,546万3069円となる。 三よって,甲・丙事件被告・乙事件原告Bの請求は,甲事件原告・乙事件被告Aに対して546万3069円,亡Hの相続人である同Cに対しその2分の1相当額である273万1534円,同D,同E,同Fに対してその6分の1相当額である91万0511円の各支払いと不法行為の日である平成7年4月28日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余の請求には理由がないから棄却することとし,甲事件原告・乙事件被告らの請求及び丙事件原告の請求にはいずれも理由がないから棄却することとして主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判官金光秀明 却することとし,甲事件原告・乙事件被告らの請求及び丙事件原告の請求にはいずれも理由がないから棄却することとして主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判官金光秀明
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