昭和24(れ)2339 昭和二二年勅令第一号違反

裁判年月日・裁判所
昭和24年11月17日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-56663.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  東京高等検察庁検事長佐藤博上告趣意について。  所論は、原判決にはその認定した事実に対して法令を正しく適用しなかつた違法

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文3,508 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 東京高等検察庁検事長佐藤博上告趣意について。 所論は、原判決にはその認定した事実に対して法令を正しく適用しなかつた違法があると言うのである。すなわち、『原審の認定した被告人AとBとの間に行われた会談の事実とその内容、その行われた具体的環境と事情とを尠しく分けて考察すると、(一)Aの過去における行政官として又政治家としての経歴は、原審認定の通りであつて、そこにうかがわれるAの実力と勢威と聡明とはなみなみならぬものがあり、(二)そのAが他に廻る心算ではあつても、税金を納めるべく彼自身運転手の動かす自家用車に乗つて滝野川区役所へ行くというその道すがら、記録に見られるようなCという人物の邸宅を訪れたのであり、(三)C邸にはCはaへ静養に行つて不在ではあつたが、Dが居り、(四)そのBはCの秘書格といわれているが、記録に示されたような政治的経歴を持つていて、唯の所謂鞄持以上の人物であり、(五)このBは又遠からず必ずaのCを訪れて留守中の出来事を報告する者であり、(六)このBを相手にして被告人Aは原審裁判所認定のように「E君等はあのまゝでは遂に行くところがなくなつて仕舞う」という感慨を述べたのである。……このAの述懐の内容は、Aが意図すると否とに関係なく、Bを通じてその儘の形でか又は変つた形をとつてか、必ずCに伝わり、場合によつては問題となつたE一派の代議士等が民自党への復帰という純粋の形ではなくとも、「何等か現実の政治に影響を与える」動力となり得るものであるから、……昭和二二年勅令第一号特にその第一五条の立法趣旨と経過から観て、覚書該当者としてのAには禁止された「政治上の活動」の意義を持つものであつて、該法条を適用して処罰すべきであつたのに、その挙に出でなかつたのは擬 勅令第一号特にその第一五条の立法趣旨と経過から観て、覚書該当者としてのAには禁止された「政治上の活動」の意義を持つものであつて、該法条を適用して処罰すべきであつたのに、その挙に出でなかつたのは擬律において錯誤あり』と主張するのである。 - 1 -しかしながら、原審は自ら直接的に審理した結果と全記録に存する数多くの証拠とにつき、極めて細心の注意をもつて互に比較考量し、証言内容の虚々実々を丁寧に吟味し、実体的真実の発見に努め終始誠実な態度をもつて慎重に事実の認定をしているのである。そして、論旨主張の前に揚げた(一)ないし(六)の事実中、「そこにうかがわれる被告人の実力と勢威と聡明とはなみなみならぬものがある」との点及び「このBは又遠からず必ずaのCを訪れて留守中の出来事を報告する者である」との点は原判決の明らかに認定していないところであるが、その余の点は被告人とBとの間に行われた会談の具体的環境と事情として原判決も大体において認定している。しかしながら、原判決はそればかりではなくもつと突込んで当時の情勢として、(イ)「昭和二三年三月一五日日本自由党が解散し、新に民主自由党が結成せられたが其の際E外約七名の代議士等が之に参加せずに新に日本自由党を結成したこと」、「E一派の日本自由党は、保守大合同を目標とし併せて旧日本自由党幹部の刷新と民主的運営を期する所謂反幹部的気運に基いて結成せられたものであつて、政界の情勢に急激な変化のない限り、新日本自由党結成後未だ一箇月も経過しない昭和二三年四月二日頃の本件行為当時においては、同人等において民自党に復帰する意思があつたものとは認められない」こと、(ロ)「C一人の意見によつて容易すぐその去就を決するものとは認め難い」こと、(ハ)「Cにおいても新日本自由党結成に当り所謂残留組の行動に賛意を表していた する意思があつたものとは認められない」こと、(ロ)「C一人の意見によつて容易すぐその去就を決するものとは認め難い」こと、(ハ)「Cにおいても新日本自由党結成に当り所謂残留組の行動に賛意を表していたのであるから、同人等の民自党への復帰について斡旋の労を執ろうとする意思がなかつたことが認められる」こと、(ニ)「本件当時民自党幹部の間においては、E一派の民自党への復帰不許可の方針は略同党の党是となつていて、E一派の復党は実現困難の情勢にあつたことが窺知せられる」こと、(ホ)「Cの民自党方面に対する発言権も、旧日本自由党F総裁、G幹事長時代に比し著しく弱化し、その発言が民自党幹部等から拒否されている」こと、(へ)「Cの斡旋によつてもその復党は困難と認めざるを得- 2 -ない」こと、(ト)「本件当時被告人においてBの主張するごとき発言又は申出をなす必要ないし事情が存在したと認められる証拠は全く見当らない」こと、(チ)「被告人において覚書該当者は政治的活動を禁止されていることを認識していたこと」「被告人は追放後ポツダム宣言の趣意を体して政界との交渉を絶ち、専ら実業方面において活動していること」を認定しているのである。そして、これ等のすべての環境と事情の下において、被告人がBとの間における僅か三〇分前後に過ぎない四方山の雑談中に談たまたまE一派の消息に及んだので、同人等の行動について「E君等はあのままでは遂に行くところがなくなつて仕舞う」と単なる所感を述べたに過ぎないものと推断せざるを得ないと原判決は認定したのである。そしてさらに、原判決は、「前敍の如き情況の下における被告人のE等の行動に関する所感の発表は、Bとの間における雑談中の一話題に関するものであつて、被告人において何等政治的意図を有したものとは認められないから、仮令その所感が政治上の事項 情況の下における被告人のE等の行動に関する所感の発表は、Bとの間における雑談中の一話題に関するものであつて、被告人において何等政治的意図を有したものとは認められないから、仮令その所感が政治上の事項に関する場合であつても、夫れが旧知の者と相対しての雑談中に表われた一話題に関して政治的の意図なくしてなされたような程度のものは、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令第一五条に規定する所謂政治上の活動に該らざるものと認めるを相当とする」旨をも判示しているのである。そこで、覚書該当者が同条により「政治上の活動」を禁止されているのは勿論であり、同条にいわゆる「政治上の活動」とは、原則として政府、地方公共団体、政党その他の政治団体又は公職に在る者の政治上の主義、綱領、施策又は活動の企画、決定に参与し、これを推進し支持し若しくはこれに反対し、あるいは公職の候補者を推薦し支持し若しくはこれに反対し、あるいは日本国と諸外国との関係に関し論議すること等によつて、現実の政治に影響を与えると認められるような行動を言うものと解するを相当とすることは、すでに当裁判所判例の示すとおりである(昭和二三年(れ)第一八六二号、同二四年六月一三日大法廷判決)。また、覚書該当者の政治上の活動を処罰するには、いわゆ- 3 -る目的犯のように特に政治的目的ないし政治的意図は要件として要求されてはいないものと解すべきことも、前記判例において明示されている。ただ客観的行動の考察だけでは、政治上の活動に該当するかどうかが疑わしい場合においても、被告人の主観的意思の考察によつて、政治的目的ないし政治的意図をもつてなされたときは、政治上の活動と認めるを相当とする事例の存すべきことは当然である。そこで、原判決は、目的犯処罰の場合のように、単に政治的意図がないから政治上の活動に該当しないと し政治的意図をもつてなされたときは、政治上の活動と認めるを相当とする事例の存すべきことは当然である。そこで、原判決は、目的犯処罰の場合のように、単に政治的意図がないから政治上の活動に該当しないと判断したものではなく、本件における諸般の具体的事情と環境の下において、前記のごとく客観的に考察しても、また主観的に考察しても政治上の活動に該当しないと判断したものである。従つて、その判断は、正当であつて前記判例の趣旨に反することもなく、法令に違反するところもない。上告論旨は、結局原審の自由裁量に属する事実の認定を非難するに帰着し、法律審に対する適法の上告理由として認めることはできない。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官長部謹吾関与昭和二四年一一月一七日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官真野毅裁判官沢田竹治郎裁判官斎藤悠輔裁判官岩松三郎- 4 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る