平成24(行ケ)10417 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年6月26日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
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平成25年6月26日判決言渡平成24年(行ケ)第10417号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成25年5月27日判決原告クック・インコーポレイテッド訴訟代理人弁理士深見久郎同森田俊雄同竹内耕三同向口浩二同冨井美希被告特許庁長官指定代理人井出英一郎同大橋信彦同堀内仁子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2012-1736号事件について平成24年7月23日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯等原告は,欧文字「ASCEND」からなり,第10類「医療用機械器具,バルー ン拡張カテーテル」を指定商品とし,平成22年(2010年)5月10日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約4条による優先権を主張して,同年10月28日にされた商標登録出願(商願2010-84259。以下「本願」という。また,本願に係る商標を「本願商標」という。)の出願人 した商標登録出願に基づきパリ条約4条による優先権を主張して,同年10月28日にされた商標登録出願(商願2010-84259。以下「本願」という。また,本願に係る商標を「本願商標」という。)の出願人である。 本願については,平成23年10月25日に,拒絶査定されたことから,原告は,拒絶査定不服審判請求(不服2012―1736)をした。特許庁は,平成24年7月23日,本件審判の請求は成り立たない旨の審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,同年8月6日,原告に送達された。 2 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写に記載のとおりである。審決は,要するに,本願商標は,「ASCENT」(標準文字)からなり,第10類「医療用及び外科用機械器具」を指定商品とする登録5255457号商標(以下「引用商標」という。)と類似の商標で,本願商標と引用商標の指定商品も同一又は類似するから,商標法4条1項11号に該当し,本願は拒絶されるべきであるとするものである。 第3 当事者の主張 1 原告の主張以下のとおり,本願商標「ASCEND」と引用商標「ASCENT」とは,観念が比較できず,外観及び称呼が非類似であるから,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして本願を拒絶した審決の認定判断には誤りがあり,審決は違法として取り消されるべきである。 (1) 観念について審決は,「ASCEND」及び「ASCENT」は「基本的な語として一般的な英語学習用の辞書にも掲載されている」として,一般的な日本人にとって「登る,上ること」といった観念を生ずる英単語であると認定する。 しかし,英語学習用の辞書に掲載されているからといって,一般的な日本人がそれらの単語の意味を把握しているとするのは誤りである。「登る」「上がる」を意味 する英単 る英単語であると認定する。 しかし,英語学習用の辞書に掲載されているからといって,一般的な日本人がそれらの単語の意味を把握しているとするのは誤りである。「登る」「上がる」を意味 する英単語としては,平均的日本人としてすぐに思いつくものは「up(アップ)」であること,インターネット検索によっても,「ASCEND(アセンド)」及び「ASCENT(アセント)」は固有名詞としての用例がほとんどであることからも,「ASCEND」及び「ASCENT」は,一般的日本人には,何らの意味を持たない造語として認識される。本願商標及び引用商標はともに何らの観念を生じない。 (2) 外観について「ASCEND」及び「ASCENT」は,いずれも英文字6文字から構成される比較的短い商標であるところ,そのうちの1文字が相違することによって全体の外観の印象が異なる。特に,「D」は縦の直線と右側に突出する曲線とから構成されているため,商標の右端に位置することによって商標全体に丸みを帯びた印象を持たせるのに対し,「T」は縦の直線と横の直線とが直角に接しており,商標全体を右端から押し詰めたような硬い印象を与える。このように,字形を全く異にする「D」と「T」とが商標の右端に位置することにより,その差異が明瞭に看取される。 (3) 称呼について本願商標から生じる称呼「アセンド」及び引用商標から生じる称呼「アセント」は,共に撥音「ン」を含み,実質的には3音の語として聴取される。3音のうちの1音でも異なれば,称呼全体に与える影響は決して小さいとは言えない。特に,中央の撥音「ン」がそれ自体響きの弱い音であることから,その直後に位置する「ド」及び「ト」の濁音・清音の違いが明瞭となる。 (4) 取引の事情等について本願商標「ASCEND」と引用商標「A 央の撥音「ン」がそれ自体響きの弱い音であることから,その直後に位置する「ド」及び「ト」の濁音・清音の違いが明瞭となる。 (4) 取引の事情等について本願商標「ASCEND」と引用商標「ASCENT」とは,米国,欧州共同体及びスイス連邦共和国において,併存して登録されている。これらの国と地域において両者が医療機械器具関連商品について併存して登録されていることに照らすならば,市場での混同はないと推認される。 2 被告の反論以下のとおり,本願商標と引用商標とは,称呼及び観念において類似し,外観に おいても近似した印象を与えるものであって,かつ,指定商品も同一又は類似するところ,取引者・需要者が本願商標及び引用商標から出所の異同を識別できる実情があるとは認められないから,本願商標と引用商標とが同一又は類似の商品に使用された場合には,当該商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきであって,本願商標は,引用商標と類似する。したがって,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するものであるから,審決の認定,判断に誤りはない。 (1) 外観について本願商標と引用商標は,いずれも欧文字6字からなるものであって,かつ,格別特異な表示態様からなるものではなく,明朝体ないしこれに類する普通に用いられる書体で表されている。両者は,語頭からの5文字「ASCEN」が共通し,語尾の「D」と「T」の文字が相違するにすぎないから,外観上近似した印象を与える。 (2) 称呼について本願商標の「アセンド」の称呼と引用商標の「アセント」の称呼とは,共に4音からなり,称呼の識別上重要な位置を占める語頭からの3音「アセン」を共通にし,語尾の「ド」と「ト」の音のみが相違する。 「ド」と「ト」は,共に調音位置を共通にする破裂音で 」の称呼とは,共に4音からなり,称呼の識別上重要な位置を占める語頭からの3音「アセン」を共通にし,語尾の「ド」と「ト」の音のみが相違する。 「ド」と「ト」は,共に調音位置を共通にする破裂音であり,「ト」の濁音と清音であって,子音が有声音か無声音かの相違があるにすぎない。また,「ド」と「ト」の音は,語尾に位置することから,一連に称呼するときは,近似するものとして聴取される。 (3) 観念について「ASCEND」は,「登る,上る,上昇する」等の意味を有する英語の動詞である。「ASCENT」は,「ASCEND」の派生語であり,「登ること,上昇」等の意味を有する英語の名詞である。本願商標から生ずる「登る,上る,上昇する」の観念と,引用商標から生ずる「登ること,上昇」の観念とは,同様の意味を表す動詞と名詞の関係にあるから,両者の観念は類似する。 (4) 取引の実情等について 本願商標と引用商標は,それぞれの指定商品に含まれる「バルーン拡張カテーテル」について使用されていることが認められる。本願商標は,その指定商品の出所表示標識として使用されたことにより,我が国の需要者間において広く知られ,引用商標と出所の区別がされている等の取引の実情は存在しない。 第4 当裁判所の判断当裁判所も,本願商標と引用商標は類似し,その指定商品も同一又は類似するから,本願商標は商標法4条1項11号に該当するものであって,審決には原告の主張に係る違法はないと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 本願商標と引用商標本願商標は,「ASCEND」の欧文字6からなり,「登る,上る,上昇する」等の意味を有する英語の動詞である(甲9)。本願商標から,「アセンド」の称呼,及び「登る,上る,上昇する」との観念が生じる。 他方,引 「ASCEND」の欧文字6からなり,「登る,上る,上昇する」等の意味を有する英語の動詞である(甲9)。本願商標から,「アセンド」の称呼,及び「登る,上る,上昇する」との観念が生じる。 他方,引用商標は,「ASCENT」の欧文字6字からなり,「ASCEND」の派生語であり,「登ること,上昇」等の意味を有する英語の名詞である(甲9)。引用商標から,「アセント」の称呼,及び「登ること,上昇」との観念が生じる。 2 本願商標と引用商標の類否判断本願商標「ASCEND」と引用商標「ASCENT」は,「ASCEN」の綴りを共通にし,語尾の「D」と「T」の文字において相違するにすぎないから,外観において類似する。本願商標からは,「登る,上る,上昇する」との観念が生じ,引用商標からは,「登ること,上昇」との観念が生じ,観念において類似する。 本願商標からは「アセンド」の称呼が生じ,引用商標からは「アセント」の称呼が生じ,両者は,いずれも4音であり,語頭からの3音「アセン」において共通し,語尾の「ド」と「ト」の音において相違するにすぎないから,称呼において類似する。また,本願商標について,取引者,需要者において,引用商標との間で,その出所を区別することができると解されるような格別の取引の実情が存在したと認めるに足りる証拠はない。 そうすると,本願商標と引用商標とは,同一又は類似の商品に使用された場合には,商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるといえる。 本願商標の指定商品「医療用機械器具,バルーン拡張カテーテル」と引用商標の指定商品「医療用及び外科用機械器具」とは,いずれも「医療用機械器具」の範疇に属する商品であるから,同一又は類似の商品である。 以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。 3 まと 商品「医療用及び外科用機械器具」とは,いずれも「医療用機械器具」の範疇に属する商品であるから,同一又は類似の商品である。 以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。 3 まとめそうすると,上記判断と同趣旨の審決には原告主張に係る違法はない。原告は,その他縷々主張するが,いずれも採用の限りではない。よって,原告の請求を棄却することとして主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官小田真治

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