平成30(行コ)152 裁決取消,処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成30年10月24日 東京高等裁判所
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判決文本文12,017 文字)

平成30年10月24日判決言渡平成30年(行コ)第152号裁決取消,処分取消請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成28年(行ウ)第96号(甲事件),同第162号(乙事件)) 主文 本件訴訟を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 (前注)略称は,原判決の例による。 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 文部科学大臣が平成27年9月7日付けでした控訴人らの審査請求を棄却する旨の裁決を取り消す。 3 岐阜県知事が平成27年2月13日付けでしたAに対する規則変更認証処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 Aは,宗教法人法(以下「法」ともいう。)27条に基づき,法5条所定の所轄庁である岐阜県知事に対し,宗教法人「A」規則(A規則)の変更(本件規則変更)についての認証を申請し(本件認証申請)たところ,岐阜県知事は,これを認証する処分をした(本件処分)。控訴人らは,文部科学大臣に対し,本件処分の取消しを求める審査請求(本件審査請求)をしたところ,文部科学大臣は,これを棄却する旨の裁決をした(本件裁決)。 本件は,控訴人らが,自らはAの門徒であり,Aの責任役員又は総代の地位にあるとし,本件規則変更に関与したAの総代及び責任役員並びに本件認証申請をした代表役員の地位がいずれも無効であると主張して,被控訴人県に対し,本件処分の取消しを求め(原審乙事件),また,被控訴人国に対し,本件裁決には裁決固有の 瑕疵があると主張して,本件裁決の取消しを求める(原審甲事件)事案である。 2 原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らが控訴した 3 関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点についての当事者の主張は,次のとおり補正し,後記4のとおり当審における控 。 2 原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らが控訴した 3 関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点についての当事者の主張は,次のとおり補正し,後記4のとおり当審における控訴人らの追加主張を付加するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2ないし4及び同第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 19頁3行目の「責任役員が」を「責任役員に」に改める。 (2) 21頁1行目の「先行諸判決」を「先行する諸々の訴訟」に改める。 (3) 22頁12行目の「掲げており」を「掲げ」に改める。 (4) 24頁18行目の「衆望」の次に「を」を加える。 (5) 28頁11行目の「適法な総代である」を「総代ではなかったということはできない」に改める。 (6) 30頁12行目の「判断がされ,岐阜県知事は」を「判断が示されたことから」に改める。 (7) 32頁16行目の「適法な総代」を「総代」に改める。 (8) 34頁16行目の「住職の任命後」を「住職に任命された後」に改める。 4 当審における控訴人らの追加主張について(控訴人らの主張)本件処分は,Aが門徒らを欺罔して取得した総代会議事録や,Aが2号2人の認証規則を前提とした矛盾挙動をしたことにより騙取されたもので,Aにおいて1号2号各1人の規定は運用の根拠ないし正当性がなかったこと,Aによる本件規則変更の動機は,控訴人らを排除することにほかならないことによれば,Aによる本件認証申請は権利の濫用に当たり,無効である。 この点について判断をしない原判決は審問請求権を侵害するものであり,憲法32条に違反する。 (被控訴人らの主張) 争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却するのが相当であると判断する。 るものであり,憲法32条に違反する。 (被控訴人らの主張) 争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却するのが相当であると判断する。その理由は,次のとおり補正し,次項以下の判断を付加するほかは,原判決の事実及び理由の第4の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 45頁10行目の「丁15の1,2」を「丁15の1及び4」に改める。 (2) 47頁3行目の「法は,」の次に「憲法で保障された」を加える。 (3) 50頁16行目の「Bを名乗るなどして,独自に宗教活動を行うようになり」を次のとおり改める。 「それまでBを名乗って行っていた宗教活動について埼玉県に対して報告をする等更に独自性を強めるようになり」(4) 51頁18行目,52頁16行目及び同24行目の各「第1審」をいずれも「さいたま地方裁判所」に改める。 (5) 55頁5行目の「第1審」を「京都地方裁判所」に改める。 2 争点2(本件処分の適法性)について(1) 法は,憲法で保障された信教の自由は,すべての国政において尊重されなければならず,法のいかなる規定も,個人,集団又は団体が,その保障された自由に基づいて,宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならないとし(1条2項),宗教団体は法により宗教法人となることができ(4条),宗教法人は,法令の規定に従い,規則で定める目的の範囲内において,権利を有し,義務を負う(10条)旨を定めている。 法は,12条1項で,宗教法人を設立しようとする者は,規則について所轄庁の認証を受けなければならないとし,14条1項で,所轄庁は,規則認証の申請を受理した場合,同項各号の要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を ,規則について所轄庁の認証を受けなければならないとし,14条1項で,所轄庁は,規則認証の申請を受理した場合,同項各号の要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びそ の添付書類の記載によってはこれらの要件を備えているかどうか確認することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない旨を定め,13条で,申請に当たって提出すべき書類を具体的に列挙し,認証を受けようとする規則のほか,添付書類として,信者その他の利害関係人に対し規則の案の要旨を示して公告したことを証する書類等を提出すべきこととしている。 さらに,法は,26条1項で,宗教法人は,規則を変更しようとするときは,規則で定めるところによりその変更のための手続をし,その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならないとし,27条で,宗教法人は,認証を受けようとするときは,認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類2通に書類(変更しようとする事項を示す書類(規則)及び添付書類(規則の変更の決定について認証規則で定める手続を経たことを証する書面等))を添えて,これを所轄庁に提出し,その認証を申請しなければならないとし,28条1項で,所轄庁は,前条の規定による認証の申請を受理した場合においては,当該申請に係る事案が要件(1号は「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。」,2号は「その変更の手続が第26条の規定に従ってなされていること。」)を備えているかどうかを審査し,14条1項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない旨を規定する。 上記の各規程の定めによれば,所轄庁による規則(変更)認証に関する審査は,宗教 備えているかどうかを審査し,14条1項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない旨を規定する。 上記の各規程の定めによれば,所轄庁による規則(変更)認証に関する審査は,宗教法人の規則(変更)を認証するか否かという観点から,法その他の法令の規定に適合しているものであることを公に確認するという性格を有するものであり,規則(変更)認証がされなければ当該規則(変更)が当該宗教団体において実体的な効力が生じないとされているわけではないと考えられる。 そして,以上のような規則(変更)認証の審査方法を定めた上記の規定の文言及び規則認証の性格に,法の解釈原則を併せ考慮すると,規則(変更)の認証の申請があった場合,所轄庁は,受理した規則及びその添付書類の記載によって,当該申請が法14条1項各号又は26条1項各号に掲げる要件を備えているかどうかの審 査をすることが原則とされていると解される。 もとより,その審査事項を証するために提出を要する添付書類は,証明事実の真実の存在を首肯させるに足りる適切な文書であることを必要とし,単に形式的に証明文言の記載のある文書が整っているだけでは足りるものではなく,また,証明書類は存するにしても,証明事実が虚偽であることが所轄庁に知れているときはもちろん,所轄庁において証明事実の存否に理由ある疑いを持つ場合に,その疑いを解明するためにその事実の存否につき審査したからといって,これをその権限の逸脱であるとは考え難く,その証明事実の存否を他の証拠によって認定することは妨げられない。 そして,上記のような審査を経て,規則(変更)認証申請を認証する決定がされたのであれば,規則変更の認証の適否に係る司法審査において,後に証明文書等の不実の記載が判明するに至った場合(例えば,審査事項に関し添付書類の記 な審査を経て,規則(変更)認証申請を認証する決定がされたのであれば,規則変更の認証の適否に係る司法審査において,後に証明文書等の不実の記載が判明するに至った場合(例えば,審査事項に関し添付書類の記載と異なる事実が存在することが関係当事者間において争いがないとか,添付書類の記載と異なる事実が存在することが公権的な作用によって認定されたなどの事情が生じた場合)を除き,当該認証決定が違法とされることはないと解するのが相当である。 以下,以上の観点から,争点2について判断する。 (2) 本件規則変更に同意したCら3名はAの総代であると岐阜県知事が認めたことは適法か(争点2の1)ア岐阜県知事は,本件認証申請書に添えられた①平成26年10月12日付け総代の同意書及び同月11日付け総代であることの証明書に,本件認証申請後に追加提出された平成24年3月6日付け「責任役員・総代選定届」を加えて,本件規則変更にCら3名が総代として同意したことを確認したことは前記認定のとおりである。このうち,上記の「責任役員・総代選定届」の記載内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらないし,また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,岐阜県知事が,上記の各書面を総合して,Cら3名がAの総代であると認 めた上で,これら総代から本件規則変更に同意を得る手続がされたと認めたことに違法はないというべきである。 イ控訴人らは,Cら3名は本件規則変更に同意した平成26年10月12日当時,総代ではなかったと主張し,その根拠として,①Cら3名は,地区総代として選定手続を経ていないばかりか,届出総代に選定されたとされる平成24年2月役員会では選定手続が行われていないこと,仮に総代に選 総代ではなかったと主張し,その根拠として,①Cら3名は,地区総代として選定手続を経ていないばかりか,届出総代に選定されたとされる平成24年2月役員会では選定手続が行われていないこと,仮に総代に選定されたとしても,Cら3名は「衆望」(A規則16条)を欠くから,その選定は無効であること,Cら3名が総代として選定されたとしても,総代の解任権者は門徒であり,平成24年9月2日の門徒総会において総代を解任されていることを挙げる。 しかし,A規則16条2項は,「総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰するもののうちから選定する。」と定めており,真宗大谷派門徒条例6条は,「門徒は,その責務を完うし衆望の帰するものに就いて総代を選定しなければならない。」と定めているが,これ以上に総代の具体的な選定手続の定めは存しない。また,法,A規則及び真宗大谷派の規則等には,総代に選定され,住職から宗務総長に就任の届出(真宗大谷派門徒条例8条)がされた総代(届出総代)について,その者の解任に関する規定は見当たらない。そうすると,Aにおいて総代が正当な手続により選定されたか否か,又は総代が正当な手続により解任されたかどうかは,規則に照らして判断することができない事柄であるから,岐阜県知事の審査義務の範囲に含まれないと解される。したがって,岐阜県知事においてA及び真宗大谷派の規則等に定められていないA内部における選定方法や任免の実体的正当性について審査しなかったことをもって違法とされることはない。 (3) 本件規則変更に同意したDはAの責任役員であると岐阜県知事が認めたことは適法か(争点2の2)ア岐阜県知事は,本件認証申請書に添えられた①平成26年10月11日付け責任役員会議事録及び同日付け責任役員であることの証明書に,本件認証申請後 に追加提出 ことは適法か(争点2の2)ア岐阜県知事は,本件認証申請書に添えられた①平成26年10月11日付け責任役員会議事録及び同日付け責任役員であることの証明書に,本件認証申請後 に追加提出された平成26年10月8日付け「責任役員・総代選定届」を加えて,本件規則変更にDが責任役員として同意したことを確認したことは前記認定のとおりである。このうち,上記の「責任役員・総代選定届」の記載内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらないし,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,岐阜県知事が,上記の各書面を総合して,責任役員であるDの同意を得る手続がされたと認めたことに違法はないというべきである。 イ控訴人らは,Dが責任役員に選定されたのは無効であると主張し,その根拠として,①Dが責任役員に選定されたとされる平成26年10月役員会では選定手続が行われていないこと,②Dの選定は,違法な1号2号各1人の規定に基づくもので無効であること,総代ではないCら3名が選定したから無効であることを挙げる。 しかし,県知事認証規則9条1項2号は,代表役員以外の責任役員について「総代が選定した者」と定めているにとどまり,これ以上に総代による責任役員の具体的な選定手続の定めは存しない。そうすると,Aにおいて責任役員が正当な手続に従って選定されたかどうかという点は,規則に照らして判断することができない事柄であるから,岐阜県知事の審査義務の範囲に含まれない。したがって,岐阜県知事においてCら3名が総代に選定されたと認めたことに違法はない。 (4) 本件規則変更に同意したEはAの責任役員であると岐阜県知事が認めたことは適法か(争点2の3)ア岐阜県知事は,本件 県知事においてCら3名が総代に選定されたと認めたことに違法はない。 (4) 本件規則変更に同意したEはAの責任役員であると岐阜県知事が認めたことは適法か(争点2の3)ア岐阜県知事は,本件認証申請に先立ち,A関係者からの照会や訪問を受け,それらの機会を通じて,Aの責任役員の選任方法が裁判で争いとなっており,Aでは,県知事認証規則とは異なり,規則9条1項1号に基づいて責任役員1人を選定する運用をしているとの情報(以下「事前情報」という。)を得ていたところ,本件認証申請書に添えられた①平成26年10月11日付け責任役員会議事録及び②同日付け責任役員であることの証明書に加え,③本件認証申請後に追 加提出された平成24年3月13日付けA責任役員会議事録によっては,Eが県知事認証規則9条1項2号に基づき選定されたことが確認できないとして,一旦は本件規則変更を認証しないとの方針を固め,Aに対し意見陳述の機会を付与したところ,さらに,同月14日付け「責任役員・総代選定届」が追加提出されるとともに,⑤平成27年1月31日付け総代会議事録が追加提出され,上記⑤の書面をもって本件規則変更にEが責任役員として同意したことを確認したことは前記認定のとおりである。 このうち,上記③と④の書面は,Eが規則9条1項1号に基づいて責任役員に選定された旨が記載されたものであるから,事前情報に加えてこれらの書面に接した岐阜県知事が,要証事実につき理由のある疑いを持ち,その疑いを解明するため更に調査することは,正当な審査権限の行使である。 そして,その後提出された上記⑤の平成27年1月31日付け総代会議事録には,「総代会において,Eが責任役員として事務の決定をしてきたことを追認し,追認の効力が認められない場合に備え,予備的に る。 そして,その後提出された上記⑤の平成27年1月31日付け総代会議事録には,「総代会において,Eが責任役員として事務の決定をしてきたことを追認し,追認の効力が認められない場合に備え,予備的に,A規則9条1項2号に基づきEを責任役員に選定する」旨が記載され,Cら3名の署名押印があるものであるところ,上記記載内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらず,これにより県知事認証規則9条1項2号に従った選定の存在を確認することができる。 したがって,岐阜県知事が,上記の各書面を総合して,本件認証申請に関し,責任役員であるEの同意を得る手続がされたと認めたことに違法はないというべきである。 イ控訴人らは,Eの責任役員の地位が本件規則変更への同意の時点に遡って有効となることはないと主張し,その根拠として,①Eが責任役員に選定されたとされる平成24年3月役員会では選定手続が行われていないこと,②Cら3名は総代ではないから,本件追認決議等は無効であること,③平成24年3月にされたとされる規則9条1項1号に基づくEの責任役員選定は,公益的無効であり,本件追認決議等により有効とする余地はないこと,④本件追認決議等は遡及効を有するもの ではないことを挙げる。 しかし,控訴人らの上記①及び②の主張が上記アの判断を左右するものではないことは,上記(2),(3)における判断と同様である。 また,上記③について,本件追認決議等は,予備的に,平成27年1月31日に県知事認証規則9条1項2号に基づきEを責任役員に選定する旨の内容を含むものである。この予備的な選定行為は,その経緯に照らすと,本件認証申請に係る規則変更に関する同意をすべき責任役員を選定するという趣旨で行われたといえるから,これにより本件認証申請が県知事認証規則が定める手続 る。この予備的な選定行為は,その経緯に照らすと,本件認証申請に係る規則変更に関する同意をすべき責任役員を選定するという趣旨で行われたといえるから,これにより本件認証申請が県知事認証規則が定める手続を経たことが証されたと岐阜県知事は認定することができる。 上記④について,予備的な選定行為は効力の遡及が生ずるものでないから,同主張は,予備的な選定行為の趣旨を正解しないものである。 したがって,控訴人らの上記主張はいずれも採用することができない。 (5) 本件認証申請をしたFはAの代表役員であると岐阜県知事が認めたことは適法か(争点2の4)ア規則の変更の認証の申請(法27条)は,宗教法人を代表する権限を有する者が行うべきものであり,また,当該申請の前提として,宗教法人の内部において,規則で定めるところによりその変更のための手続をすることが必要である(法26条1項)。A規則7条は,代表役員が法人を代表し,その事務を総理する旨を定める。 宗教法人において代表権を有する者の氏名,住所及び資格は登記事項であり(法52条2項6号),当該事項について変更が生じた場合には変更登記をしなければならないとされ(法53条),これらの登記がされたときは,遅滞なく登記事項証明書を添えてその旨を所轄庁に届け出なければならないとされていること(法9条)に照らせば,所轄庁が,規則変更申請が正当に選出された代表役員により行われたものかどうかを審査するに当たっては,まず,上記の登記に関する届出に係る書面によりこれを確認すべきであると解される。 本件において,A規則6条(平成24年8月3日の一部改正前のもの)には,代表役員の資格と任命に関し,代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる旨(1項),真宗大谷派宗憲により,G姓を名乗る男子たる教師に A規則6条(平成24年8月3日の一部改正前のもの)には,代表役員の資格と任命に関し,代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる旨(1項),真宗大谷派宗憲により,G姓を名乗る男子たる教師について,真宗大谷派の管長が任命する旨(2項)の定めがあり,また,住職の任命を申請する手続に関する定め(3項)がある。そうすると,岐阜県知事は,真宗大谷派管長によって任命された住職が誰であるかという事実につき,それを証するものとして提出された書面があれば,その内容に基づいて,本件認証申請が正当な代表役員により行われたかどうかを審査することになる。 イ Aは,岐阜県知事に対し,法9条に基づき,Fが平成24年4月28日に代表役員に就任した旨の登記事項証明書を添えて,同年5月17日付けで本件役員変更届を提出したこと,岐阜県知事は,本件認証申請に当たり,これにより本件認証申請をしたFがAの代表役員の地位にあることを確認したことは前記認定のとおりである。そして,本件役員変更届の内容に理由ある疑いを生じさせるような記載は見当たらず,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,岐阜県知事が,上記書面により本件認証申請を行う代表役員がFであると認めたことに違法はないというべきである。 ウ控訴人らは,本件住職任命申請は無効であると主張し,その理由として,①総代として署名したCら3名は当時総代ではなかったこと,②責任役員として署名押印したFやHは当時責任役員ではなかったこと,③Fは代表役員を解任されていることなどを挙げる。 しかしながら,本件役員変更届の内容に理由ある疑いを生じさせるような事情があるとはいえないし,また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる などを挙げる。 しかしながら,本件役員変更届の内容に理由ある疑いを生じさせるような事情があるとはいえないし,また,上記の記載に係る事実が虚偽であることが岐阜県知事に知れていたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (6) Fの本件認証申請は申請権の濫用に当たるか(争点2の5)控訴人らは,当審において,①本件処分は門徒らを欺罔して取得した総代会議事 録により騙取されたこと,②Aが2号2人の認証規則を前提とした矛盾挙動により本件処分を騙取したこと,③1号2号各1人の規定はAにおいて運用の根拠ないし正当性がなかったこと,④Aによる本件規則変更の動機は,控訴人らを排除することにほかならないことなどを指摘して,これらによれば,Aによる本件認証申請は申請権の濫用に当たり,無効であると主張する。 しかし,規則変更申請に対する所轄庁の審査は,法28条1項各号に掲げる要件を備えているかどうかを,法27条の規定により提出すべきものとされる書面の記載によって審査することが原則とされることは上記(1)のとおりである。しかるところ,上記①ないし④の事項は,法28条1項の要件を審査するに当たって,提出された法27条の書面から推知することができるものではないから,本件認証申請が申請権の濫用であるか否かは,岐阜県知事による審査の対象とならなかったものである。そうすると,裁判所が岐阜県知事のした本件処分の適法性を判断する際にも,原則として,本件認証申請が申請権の濫用であるか否かは審理判断の対象にならないと解される。 なお,念のため付言すると,本件認証申請における添付書類等を総合しても,上記①ないし④の事実を認めることができないことは上記のとおりであり,本件処分後に証明文書等の不実の記載が判明するに至っ る。 なお,念のため付言すると,本件認証申請における添付書類等を総合しても,上記①ないし④の事実を認めることができないことは上記のとおりであり,本件処分後に証明文書等の不実の記載が判明するに至った場合にも当たらないから,本件認証申請が申請権の濫用に当たるということもできない。 控訴人らは,この点について,原審が本件認証申請の申請権の濫用について判断しなかったのは審問請求権の侵害であり憲法違反であると主張する。しかし,原審は,上記追加前の控訴人らの主張について争点2の5として整理し,岐阜県知事が錯誤に陥って本件処分をしたことを認めるに足りる証拠はないとして本件処分が騙取されたものとはいえないと判断しているから,控訴人らの上記主張はその前提を欠き,採用することができない。 (7) 本件処分当時,岐阜県知事がAの所轄庁であったといえるか(争点2の6)ア控訴人らは,Aは他の都道府県である埼玉県で墓地経営許可を取得している から,法5条2項1号により所轄庁を国(文部科学大臣)としなければ,所轄庁は当該墓地の違法経営等の監督ができないとして,岐阜県知事が本件処分を行うに当たり自らを所轄庁としたことは法令解釈を誤っていると主張する。 イそこで検討するに,法5条は,1項で,宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とすると定め,2項柱書きで,次に掲げる宗教法人にあっては,その所轄庁は,前項の規定にかかわらず,文部科学大臣とすると定め,「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」(1号)等を掲げている。 ここでいう「境内建物」とは,法3条1号に掲げるような宗教法人の法2条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい(法3条柱書き),法2条に規定する目的とは,宗教の教義をひろめ,儀式行事を 内建物」とは,法3条1号に掲げるような宗教法人の法2条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい(法3条柱書き),法2条に規定する目的とは,宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することをいう。そして,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とは,境内建物が供用される状態にあることを必要とし,これに該当するかどうかはその実態によると解するのが相当であり,当該境内建物の全部又は一部が他者に占有されるなどして,その本来の目的に使用されていないような場合には,「境内建物を備える」(法5条2項1号)とはいえない。 ウ本件認証申請及び本件処分の当時,本件土地建物を巡る上記争いは,各種裁判を経て,Aが本件土地建物を所有し占有する方向で固まりつつあったが,最終的な決着までには至っておらず,Aがその後も継続して本件土地建物を安定的に宗教活動に供することが確実であったと認め難いことは前示のとおりである。そうすると,Aは,本件認証申請及び本件処分の当時,埼玉県内の本件土地建物の関係で,「他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人」(法5条2項1号)に当たるとはいえない。 したがって,岐阜県知事が本件処分を行うに当たり自らをAの所轄庁(法5条1項)としたことは正当であり,控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 控訴人らのその他の主張について(1) 控訴人らは,A内部の代表役員の解任権の存否など,控訴人らが本件におい て争点ないし論点として指摘した点について,裁判所は実質的判断をすべきであり,判断をしないのは控訴人らの審問請求権を侵害し,憲法32条に違反すると主張する。 しかし,本件は本件処分の取消訴訟であるところ,裁判所は,本件処分の適法性について,原判決の事実及び理由の第4の2(1),及 ないのは控訴人らの審問請求権を侵害し,憲法32条に違反すると主張する。 しかし,本件は本件処分の取消訴訟であるところ,裁判所は,本件処分の適法性について,原判決の事実及び理由の第4の2(1),及び上記2(1)に述べた判断枠組みで判断すべきものである。当事者が争点とするよう希望する事項であっても,審理判断の対象外の事項は判断するのは相当でないし,また,このような審理判断の仕方は憲法32条に違反するものでもない。したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (2) 控訴人らは,本件裁決に裁決固有の瑕疵があるとして種々の主張をするけれども,いずれも採用することができない。 控訴人らは,そのほかにも種々の主張をして原判決の判断を論難するけれども,いずれも採用の限りでない。 4 結論以上によれば,控訴人らの請求は,いずれも理由がないから棄却すべきであるところ,これと同旨の原判決は相当である。 よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部 裁判長裁判官畠山稔 裁判官野口忠彦 裁判官板野俊哉

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