平成26年2月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第46996号損害賠償請求事件口頭弁論の終結の日平成25年11月21日判決東京都文京区<以下略>原告レスコハウス株式会社同訴訟代理人弁護士小島将利浦田数利浦田長史静岡市<以下略>旧商号静岡レスコハウス株式会社被告百年リフォーム株式会社静岡市<以下略>被告乙静岡市<以下略>被告百年住宅株式会社上記三名訴訟代理人弁護士大石康智河島多恵丹羽崇史主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して1億2889万6315円及びうち9819万6571円に対する平成22年2月18日から,うち244万4466円に対する同年3月16日から,うち275万8110円に対する同年5月21日から,うち164万3243円に対する同年6月10日から,うち227万7505円に対する同月11日から,うち245万8242円に対する同月22日から,うち252万48 95円に対する同年7月5日から,うち231万0523円に対する同月9日から,うち332万8267円に対する同月16日から,うち290万6024円に対する同月31日から,うち293万5986円に対する同年9月13日から,うち337万5333円に対する平成23年6月30日から,うち173万7150円に対する平成24年8月11日から各支 24円に対する同月31日から,うち293万5986円に対する同年9月13日から,うち337万5333円に対する平成23年6月30日から,うち173万7150円に対する平成24年8月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その7を原告の負担とし,その余は被告らの負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して4億1695万0750円及びうち4億1521万3600円に対する平成22年2月18日から,うち173万7150円に対する平成24年8月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,その製造販売する住宅の販売及び施工に関し,原告との間で代理店契約を締結していた被告百年リフォーム株式会社が他の被告らと共謀して, 顧客との間で締結した原告の上記住宅の工事請負契約を被告百年住宅株式会社と顧客との間の同被告の開発した住宅の工事請負契約に切り替えさせた, 原告の上記住宅の販売を中止して被告百年住宅株式会社の開発した住宅の販売に専従したとして,被告らに対し,被告百年リフォーム株式会社については代理店契約の債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき,被告百年住宅株式会社については不法行為による損害賠償請求権に基づき,被告乙については代理店契約に係る保証契約による保証債務履行請求権又は不法 行為若しくは会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき,損害金合計4億1695万0750円及びうち4億1521万3600円に対する被告らへの訴状送達の最も遅い日の翌日である平成22年2月18日から,う くは会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき,損害金合計4億1695万0750円及びうち4億1521万3600円に対する被告らへの訴状送達の最も遅い日の翌日である平成22年2月18日から,うち173万7150円に対する平成24年8月8日付け「請求減縮の申立」送達の日の翌日である平成24年8月11日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)ア原告(旧商号日本プレス建築株式会社)は,プレハブ建築工事及び建築工事の設計,施工を目的とする株式会社であり,新日鐵住金株式会社の企業グループに属するジオスター株式会社(以下「ジオスター」という。)の完全子会社である。 イ被告百年リフォーム株式会社(旧商号は静岡レスコハウス株式会社,旧々商号は中嶋建設株式会社,以下「被告静レス」という。)は,建築工事の設計,施工を主たる目的として被告乙(以下「被告乙」という。)が昭和52年4月28日に設立した株式会社であり,被告乙は,被告静レス設立以降平成22年12月までその代表取締役を務めていた。 被告百年住宅株式会社(以下「被告百年住宅」という。)は,建築工事の設計,施工を主たる目的として被告乙が平成16年6月30日に設立した株式会社であり,被告静レスと企業グループを形成している。 原告は,鉄筋コンクリート製の壁板の組合せによって構成されるWPC(WallPrecastConcrete)工法によるプレハブ住宅(以下「WPC住宅」という。)を「レスコハウス」との名称で製造販売しているところ,昭和55年12月2日,被告静レスとの間で,原告が製造販売するWPC住宅であるレス rete)工法によるプレハブ住宅(以下「WPC住宅」という。)を「レスコハウス」との名称で製造販売しているところ,昭和55年12月2日,被告静レスとの間で,原告が製造販売するWPC住宅であるレスコハウス住宅及びこれに準ずる躯体部品を使用する建物(以下「本件住宅」という。)の販売及び施工業務に関し,原告が被告静レスを代理店に 指定し,原告が有する本件住宅販売権の一部を被告静レスに授権するとの内容の代理店契約(以下「本件代理店契約」という。)を締結し,被告乙は,原告に対し,本件代理店契約において被告静レスが負担する債務を連帯保証した。 被告静レスは,昭和57年3月12日,原告から,「レスコハウス」の文字を商号や商標として使用することの許諾(以下「本件使用許諾」という。)を受け,その商号を静岡レスコハウス株式会社に変更した。 被告百年住宅は,平成18年ころから,WPC住宅の新ブランドを立ち上げてハウスメーカーとして独立することを計画して開発を進め,平成20年8月にはWPC住宅メーカーで民事再生手続中であったウベハウス株式会社及びウベパネル工業株式会社(以下,両社を併せて「ウベハウス」という。)の事業を買収し,また,その頃,ヨシコン株式会社(以下「ヨシコン」という。)の工場の一部を借り受け,約3億円の設備投資をして建築部材の製産体制を整えた。 (甲6,7) 被告静レスは,平成21年3月頃から被告百年住宅が開発したNWPC百年住宅(以下「NWPC住宅」という。)の販売を手がけるようになり,既に本件住宅の工事請負契約を締結した顧客に対してもNWPC住宅を勧め,そうした顧客のうちの別紙「百年住宅へ変更全物件49棟の一覧表」記載の49組(49棟分。ただし,記載45の「邸名」欄中,「w」を「W」と改める。) 負契約を締結した顧客に対してもNWPC住宅を勧め,そうした顧客のうちの別紙「百年住宅へ変更全物件49棟の一覧表」記載の49組(49棟分。ただし,記載45の「邸名」欄中,「w」を「W」と改める。)が,被告静レスとの間の上記契約を解約して新たに被告百年住宅との間でNWPC住宅の工事請負契約を締結した(以下,被告静レスによるこの一連の行為を「本件契約切替行為」という。)。 (乙15) 原告は,被告静レスに対し,平成21年10月21日到達の書面により,同年12月2日以降は本件代理店契約を延長せずに終了させることを申し入 れ,本件代理店契約は,同年12月1日をもって,契約期間満了により終了した。 2 争点 本件契約切替行為についてア本件契約切替行為が本件代理店契約の債務不履行又は原告に対する不法行為等を構成するか否か(争点1-1)イ原告に生じた損害の額(争点1-2) 被告静レスによる本件住宅の販売の中止とNWPC住宅の販売への専従(以下「本件住宅販売中止行為」という。)についてア本件住宅販売中止行為の有無(争点2-1)イ本件住宅販売中止行為が本件代理店契約の債務不履行又は原告に対する不法行為等を構成するか否か(争点2-2)ウ原告に生じた損害の額(争点2-3) 3 争点に関する当事者の主張 本件契約切替行為についてア争点1-1(本件契約切替行為が本件代理店契約の債務不履行又は原告に対する不法行為等を構成するか否か)について(原告) 被告静レスは,原告と本件代理店契約を締結して,原告から静岡地区における大臣認定の使用権限を含む本件住宅の一手販売権を付与され,その後,原告から本件使用許諾を受け,商号を静岡レス 告) 被告静レスは,原告と本件代理店契約を締結して,原告から静岡地区における大臣認定の使用権限を含む本件住宅の一手販売権を付与され,その後,原告から本件使用許諾を受け,商号を静岡レスコハウス株式会社に変更して静岡地区における本件住宅の専門販売店になり,また,平成16年頃に,原告との間で静レスは本件住宅以外の他社のWPC住宅を取り扱わず,これを取り扱う場合は別会社を設立してその会社が取り扱う旨の合意をしたから,原告に対し,WPC住宅としては本件住宅のみを取り扱い,原告から継続的に本件住宅の建築部材を購入して本件住 宅を販売,建築するという内容の本件代理店契約上の義務(以下「本件専売義務」という。)を負っていたのであり,実際にも,本件住宅販売一筋で事業を展開し,本件住宅の建築部材(平成15年以降は年間170ないし180棟分)を継続して原告から購入してきたのである。 本件契約切替行為は,本件専売義務に反するから,債務不履行を構成する。 また,本件契約切替行為は,被告らが,共謀して原告と被告静レスとの長年に及ぶ極めて濃密かつ一体性の強い取引関係の継続により形成された協力関係を破壊して原告が有する営業上の利益を故意に侵害するものであるから,原告に対する不法行為を構成する。 (被告ら) 本件専売義務は,本件代理店契約の契約書等にその旨の記載がなく,平成16年にその旨の合意をしたこともないから,被告静レスは,原告に対して本件専売義務を負っていない。 そして,本件住宅ではなくNWPC住宅を選択したのは顧客であり,被告静レスは,本件契約切替行為に当たり,原告への建築部材発注前の物件であることといった条件を明示して,原告に対する配慮をしているのであって,被告静レスに本件代 WPC住宅を選択したのは顧客であり,被告静レスは,本件契約切替行為に当たり,原告への建築部材発注前の物件であることといった条件を明示して,原告に対する配慮をしているのであって,被告静レスに本件代理店契約の債務不履行はない。 また,被告らの行為は,何ら不当なものではないから,不法行為を構成することもない。 イ争点1-2(原告に生じた損害の額)について(原告)原告は,本件契約切替行為により,49棟分の利益を得ることができなかったところ,原告が得べかりし1棟当たりの限界利益の額は,別紙「新逸失利益算定総括表」に基づきこれを算出すると,259万5085円(円未満切捨て)となるから,49棟分の原告の逸失利益の額は,1億2 715万9165円(=259万5085円×49棟)になる。 また,原告は,被告静レスから本件住宅の工事請負契約が成立した旨の報告を受け,このうちの一部の建築部材について加工に着手したところ,被告静レスの本件契約切替行為により,転用不能の不良在庫が生じ,これを廃棄したのであるから,これに要した費用173万7150円も原告に生じた損害となる。 (被告ら)被告静レスは,工事請負契約締結後,顧客との間で綿密な打ち合わせを繰り返した上,ようやく最終図面を完成して原告に建築部材の発注を行うのであるから,本件契約切替行為により原告に損害が生じるのは,被告静レスが建築部材の発注をした段階である。49棟は未だ建築確認申請がされていなかったのであり,原告は,工事請負契約書に添付した図面の写しを保存もせず,単に上記契約書の完成保証人欄に記名押印したにとどまるのであって,未だ建築部材の発注をすべき時期に至っておらず,被告静レスはその発注をしていないから,原告に損害は に添付した図面の写しを保存もせず,単に上記契約書の完成保証人欄に記名押印したにとどまるのであって,未だ建築部材の発注をすべき時期に至っておらず,被告静レスはその発注をしていないから,原告に損害は生じていない。 本件住宅販売中止行為についてア争点2-1(本件住宅販売中止行為の有無)について(原告)被告らは,共謀の上,平成21年11月末頃までの間,被告静レスにおいて,本件住宅の住宅展示場を利用し,「レスコハウス㈱静岡地区代理店静岡レスコハウス㈱」と表示した名刺を使用して,NWPC住宅は本件住宅を改良,パワーアップさせた新製品であるとしてNWPC住宅の勧誘販売をする,阪神淡路大震災で損傷を免れたレスコハウス住宅であったA邸の写真を「百年住宅」であるとする虚偽の表示をし,被告静レスの名刺,パンフレットその他の広告媒体に「レスコハウス」と「百年住宅」を連記表示してNWPC住宅の宣伝広告を行う,被告静レスの営業用名刺の表に 被告静レスの商号を,裏に被告百年住宅の商号を表示するといった方法を用い,本件住宅の販売を中止してNWPC住宅の販売に専従し,同年末までに170棟相当のNWPC住宅を販売した。 (被告ら)被告静レスは,平成21年3月20日以降も本件住宅の販売業務を継続していたのであって,NWPC住宅の販売に専従したものではない。 イ争点2-2(本件住宅販売中止行為が本件代理店契約の債務不履行又は原告に対する不法行為を構成するか否か)について(原告) 本件住宅販売中止行為は,本件専売義務に反するから,本件代理店契約の債務不履行を構成する。 また,本件住宅販売中止行為は,原告が得られたはずの本件住宅の販売利益を喪失させて,その利益相当 件住宅販売中止行為は,本件専売義務に反するから,本件代理店契約の債務不履行を構成する。 また,本件住宅販売中止行為は,原告が得られたはずの本件住宅の販売利益を喪失させて,その利益相当分を被告百年住宅にもたらすものであって,原告の営業利益の侵奪であるから,被告らの不法行為を構成する。 (被告ら) 被告静レスは,本件専売義務を負っていない。 原告は,かねてから,被告百年住宅において行うのであれば,本件住宅以外の住宅の販売をすることを了解していたが,被告百年住宅がヨシコンでNWPC住宅の建築部材を作り始めたことや,ウベハウスを支援したり大臣認定のための申請をしたりしていることを聞いて,被告らがNWPC住宅を販売するのもやむを得ないと考えるように至っていたのであり,そうであるからこそ,原告は,被告百年住宅が新たに販売するNWPC住宅の建築部材の製造をさせてほしいと被告らに申し入れたのである。被告らの行為は,何ら不当なものではないから,不法行為を構成することもない。 ウ争点2-3(原告に生じた損害の額)について(原告)被告静レスは,平成18年度から平成20年度までの3年間に本件住宅を534棟受注したが,解約されたものなどを控除すると513棟になり,1年間の平均受注件数は171棟になる。これを平成21年4月から同年11月までの8か月分に換算すると114棟となるが,被告静レスは上記期間中に本件住宅3棟分の建築部材を原告に発注しているから,これを控除すると111棟となる。そうであるから,原告は,本件住宅販売中止行為により,111棟分の利益を得ることができなかったところ,原告が得べかりし1棟当たりの限界利益の額は259万5085円であるから,111棟分の原告の逸 。そうであるから,原告は,本件住宅販売中止行為により,111棟分の利益を得ることができなかったところ,原告が得べかりし1棟当たりの限界利益の額は259万5085円であるから,111棟分の原告の逸失利益の額は,2億8805万4435円(=259万5085円×111棟)になる。 (被告ら)本件住宅販売中止行為により原告に損害が生じるとしても,それは,被告静レスが建築部材の発注をした段階であるところ,被告静レスはその発注をしていないから,原告に損害は生じていない。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に,後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を認めることができる。 本件代理店契約の内容は,大要次のアないしカのとおりであり,原告が,被告静レスに対し,静岡県内における唯一の販売代理店として本件住宅の販売権を付与し,また,本件住宅の建築部材を継続的に供給するものである。 そして,本件代理店契約につき契約書や覚書が作成されたが,これに,被告静レスが本件住宅の販売及び施工業務に専念して,これ以外の業務をしてはならないことや,原告から継続的に建築部材を購入することを記載した規定はなかった。 ア本件住宅の販売及び同販売に伴う工事の施工に関し,原告は,被告静レスを代理店に指定し,原告が有する本件住宅販売権の一部を被告静レスに授権する。(契約書1条)イ 被告静レスは,原告から本件住宅の建築部材の供給を受け,被告静レスの責任において,施主との間で,本件住宅の販売及び同販売に伴う施工を行う。(契約書2条1項) 住宅の販売,施工に関して発生する第三者に対する責任は,一次的に被告静レスが負担し,原告は二次的にこれを負う。(契約書2条2項)本件住宅の販売に関し施主 契約書2条1項) 住宅の販売,施工に関して発生する第三者に対する責任は,一次的に被告静レスが負担し,原告は二次的にこれを負う。(契約書2条2項)本件住宅の販売に関し施主と契約を締結する場合は,被告静レスは,原告を工事完成保証人としなければならない。(覚書2条)ウ 被告静レスは,販売担当員を専任し,施主との間に契約を締結し,代金の請求及び回収までの責任ある販売を行う。なお,販売価格の設定は,自主管理基準に準拠したものでなければならない。(契約書3条1項) 本件住宅の設計及び工事については,被告静レスの担当建築士,工事管理者及び現場責任者が,諸法令その他原告の定めた基準によりこれを行う。ただし,原告の指定する規格プラン以外のフリープランについては,特別に原告の承認を要するものとする。(契約書3条2項) 被告静レスの施工中の本件住宅又は施工した本件住宅についての自主管理基準による諸検査は,原告自らがこれを行い,若しくは原告立会いの上,被告静レスがこれを実施する。(契約書3条3項) 被告静レスは,本件住宅の販売,設計,工事,検査,改善,改修及びアフターサービス等に関し,定められた報告書を原告に提出する。(契約書3条7項)被告静レスは,フリープランの伺書,契約報告書,工事検査願書,改善・改修処理報告書及び工事完了報告書をその都度原告に提出する。 (覚書7条) 本件住宅の施工について,被告静レスが直接これに当たらない場合は,被告静レスは,下請として起用する施工業者につき,予め原告の承認を受けるものとする。(覚書3条) 本件住宅の工事が完了して,これを施主に引き渡す場合には,被告静レスは,原告の保証書を相手方に提出しなけれ として起用する施工業者につき,予め原告の承認を受けるものとする。(覚書3条) 本件住宅の工事が完了して,これを施主に引き渡す場合には,被告静レスは,原告の保証書を相手方に提出しなければならない。この保証書に記載された瑕疵担保については,被告静レスは,原告に代わって,所定の有効期間中,その責に任ずるものとする。(覚書5条)エ 本件住宅の販売,施工に関して発生した代金その他の収入は,被告静レスが一括してこれを受領し,別に定める規定に従って,被告静レスはその一部を原告に支払う。(契約書4条) 本件住宅の販売に関し,被告静レスは,原告に設計管理料を支払う。 ただし,その方法は,双方協議の上決定する。(覚書6条)オ被告静レスは,原告が供給し又は指定する建築部材に代えて,他の建築部材を使用してはならない。(契約書5条)カ本件代理店契約の有効期間は,契約締結の日から起算して1か年とする。 ただし,期間満了の1か月前までに原告又は被告静レスのいずれからも別段の意思表示がないときは,同一条件の下にさらに1か年有効とし,その後もこの例による。(契約書11条)(甲1,2) 本件代理店契約に基づく原告と被告の具体的な取引態様の概要は,次のとおりである。 ア被告静レスは,営業活動の結果,顧客との間で本件住宅の工事請負契約を締結すると,平面図や立面図等の設計図書(以下「契約図面」という。)を添付した契約書原本を原告に送付する。原告は,上記契約書原本の工事完成保証人欄に押印した上,契約書の本体部分(約款や契約図面を除いた部分。建築する住宅の型式,総面積,工事場所,工期,引渡時期,請負代 金及びその支払方法等が記載されている。)の写し1通を取って原本を被告静レスに返還する。 本体部分(約款や契約図面を除いた部分。建築する住宅の型式,総面積,工事場所,工期,引渡時期,請負代 金及びその支払方法等が記載されている。)の写し1通を取って原本を被告静レスに返還する。 イ被告静レスは,顧客との間で基本設計が確定すると,最終図面を送付して部材割付図(躯体図)の作成,構造計算のチェック,現場調査等を依頼し,原告は,部材割付図を作成し,壁量計算や構造計算等が認定基準に適合しているかをチェックするなどした上,部材割付図,構造計算シート及び見積書を被告静レスに送付する。 ウ被告静レスは,原告から交付された建築基準法68条の10の定める国土交通大臣による型式適合認定等(以下「大臣認定」という。)に係る認定書及び指定書の写しを添付して建築確認申請手続を行い,建築確認の取得後,所定の様式の注文書に押印し,注文請書及び請求書とともに原告に送付して,建築部材の発注をする。原告は,注文請書及び請求書に押印して被告静レスに返送するとともに,着工の2か月前までに,製産した建築部材を被告静レスに納品する。 エ被告静レスは,建物を完成すると,原告に保証書の発行を依頼し,原告は,これを受けて被告静レスに顧客宛の10年間保証書を交付する。 オ原告は,顧客からの請負代金が入金される引渡日頃までに,被告静レスから建築部材の価格の精算を受ける。 カただし,被告静レスが平成21年1月以降に受注した分については,原告の工事完成保証人欄への押印や保証書の発行の手続はなくなった。 (甲38,49,乙15及び,証人B,同C) 被告静レスは,本件代理店契約締結当時,年商2億円程度で,本件住宅の販売,施工以外に在来工法による施工も少し行っていて,原告もこれを認識していたが,原告は,これに対し特 ,証人B,同C) 被告静レスは,本件代理店契約締結当時,年商2億円程度で,本件住宅の販売,施工以外に在来工法による施工も少し行っていて,原告もこれを認識していたが,原告は,これに対し特に異議を述べるようなことはなかった。 (甲46) 被告静レスは,昭和57年3月12日,原告から本件使用許諾を受けて, その商号を静岡レスコハウス株式会社に変更したが,原告と被告静レスは,同年11月10日,「レスコハウス」の文字の使用に関し,本件代理店契約の解除又は事業の廃止に至ったときは,その商号を直ちに変更する旨の合意をした。 被告静レスは,静岡県内の各所の住宅展示場に出展したが,原告は,昭和57年4月から平成9年頃までの間,被告静レスが住宅販売の営業政策上重要な住宅展示場に本件住宅のモデルハウスを出展するに際して,建築部材等の無償供与や大幅減額をしたほか,被告静レスのためにテレビやラジオのコマーシャルを出し,被告静レスが販売拡張のために行う各種キャンペーンに際して供給する建築部材等の価格を減額し,原告の従業員を技術指導のため被告静レスに出向させるなどして,被告静レスの営業を支援した。 (甲42の1の1ないし42の5の4) 被告静レスは,原告が取得した大臣認定を利用して本件住宅の販売,施工をしており,商号を変更してから平成15年に入る頃までは,本件住宅の販売,施工にほぼ専従していた。被告静レスの売上高は,昭和61年に10億円,平成元年に20億円,平成8年に30億円,平成9年に40億円となり,平成12年には50億円を超えた。 原告は,平成15年1月ころ,静岡県内における建築部材の製産という被告静レスの要望に応えるべく,同県内の企業であるヨシコンに対し,静岡地区の建築部材製産の一部の委 年には50億円を超えた。 原告は,平成15年1月ころ,静岡県内における建築部材の製産という被告静レスの要望に応えるべく,同県内の企業であるヨシコンに対し,静岡地区の建築部材製産の一部の委託を開始した。 (甲47) 被告静レスは,平成15年2月頃,原告に対し,豊田総建株式会社と提携してWPC賃貸住宅を販売したいと申し入れたが,原告は,本件住宅以外のWPC住宅を販売するならば別会社で行うべきであるとしてその申入れを承諾しなかったので,上記提携を断念した。 また,被告静レスは,同年8月頃,工事現場にヨシコンから直接購入した 建築部材が搬入されているのを原告に見とがめられ,原告から厳重注意を受けた。 (甲46) 被告乙は,平成16年6月30日,本件住宅以外の住宅の販売,施工を受注するための会社として被告百年住宅を設立し,被告乙の長男で被告静レスの専務取締役であるDがその代表取締役に就任した。被告乙は,平成18年7月18日,原告に対し,被告百年住宅が上記のための会社であるとの趣旨を記載したメモとともに同社の現在事項全部証明書をファックス送信した。 (甲19,乙21) 被告静レスは,従業員の名刺に「新日本製鐵グループレスコハウス」と表示し,新聞等の広告に「新日鐵グループレスコハウス㈱静岡地区代理店」と表示するなどしていたが,被告百年住宅の設立後は,従業員の名刺や広告等に「百年住宅レスコハウス」と表示するようになった。「百年住宅」という語は,被告乙が使用していたもので,平成9年に「日本が誇る「百年住宅」」と題するWPC工法による住宅や本件住宅に関する書籍を著し,被告静レスも,平成11年に同書の写真とともに「経済低成長時代の生活防衛は”百年住宅”だ」との見出しを付した 年に「日本が誇る「百年住宅」」と題するWPC工法による住宅や本件住宅に関する書籍を著し,被告静レスも,平成11年に同書の写真とともに「経済低成長時代の生活防衛は”百年住宅”だ」との見出しを付した新聞広告を掲載するなどしていた。 (甲4,8の1及び2,9の1ないし5,18) 被告静レスは,平成18年7月頃,WPC工法のハウスメーカーである大洋ヨーコン建設株式会社から建築部材を購入して3階建てアパートの建築をしていることを原告に見とがめられ,原告から事情の説明を求められたので,被告乙がこれを謝罪した。 (甲20) 被告静レスは,年商百億円突破を目指して業容の拡大を指向し,平成18年7月31日,原告に対し,被告静レスがWPC住宅,RC造,鉄骨造,木造等の住宅建築,リフォーム,造成,外構工事,不動産業務,官公庁工事や 被告静レスが「中嶋建設株式会社」の商号の時に受注,施工した本件住宅以外のWPC住宅の増改築等の営業活動を行うことについて,本件代理店契約上支障があるかどうかを問い合わせたところ,原告は,同年10月18日,原則として,本件住宅の建築やリフォーム工事,これらに伴う外構工事のみを認めるが,物件単位では相談に応ずる旨を回答した。被告静レスは,同日,原告に対し,そのような制限には応じかねるとして,商号変更も検討する旨を通知した。原告は,同年11月8日,本件住宅に関連するものであれば,造成,土地の売買,官公庁工事等を認め,また,被告静レスが「中嶋建設株式会社」の商号の時に受注,施工した本件住宅以外のWPC住宅の増改築等の営業活動も認めるとの回答をした。 (甲21ないし24,50) 原告と被告静レスは,これと並行して,平成18年8月頃から平成19年1月頃にかけて本件代理店契約の改定に 宅の増改築等の営業活動も認めるとの回答をした。 (甲21ないし24,50) 原告と被告静レスは,これと並行して,平成18年8月頃から平成19年1月頃にかけて本件代理店契約の改定について検討し,原告は,被告静レスが原告以外のハウスメーカーの工業化住宅を販売,施工しないこと,被告静レスが本件住宅に関係する工事以外の業務を行う場合には事前に原告の承諾を得ることなど,被告静レスを原告の特約店とする旨を定めた契約書案を提示するなどしたが,結局,契約内容を改訂するには至らなかった。なお,その検討の際,当時の原告代表取締役が,被告静レスに対し被告静レスは原告の代理店に過ぎない旨を記載した書面を送付したことがあった。 (甲25,26,乙7,15⑤) 原告は,平成18年10月,同年1月から12月までに原告が被告静レスに納入する建築部材価格の算定方法の変更を打診したが,被告静レスは値上げに当たるとしてこれを拒絶した。 (乙10,11) 原告は,平成18年12月,静岡県内における建築部材の製産という被告静レスのかねてからの要望に応えるべく,設備投資をして,ジオスターの金 谷工場に被告静レス向けの部材生産ラインを新設した。 (甲46,証人E) ヨシコンは,原告に対し,原告がヨシコンに建築部材製産を委託する関係の解消を申し入れ,平成19年12月には両社の委託関係は終了した。 (甲47) 原告代表者と被告乙は,平成20年6月12日に会談し,今後も協力して拡販,発展に努める旨を互いに確認した。原告代表者は,その際,本件代理店契約を前記のような特約店契約に変更することや建築部材価格の値上げなどを求め,以後,原告と被告静レス間でこれらの点について継続的に交渉が持たれるようにな 確認した。原告代表者は,その際,本件代理店契約を前記のような特約店契約に変更することや建築部材価格の値上げなどを求め,以後,原告と被告静レス間でこれらの点について継続的に交渉が持たれるようになった。 (甲5,乙15⑬ないし) 被告乙は,本件住宅の改善等のための振動台実験を実施することに原告が協力的でなかったことや原告の建築部材の供給態勢が十分でなかったこと等に不満を募らせており,被告百年住宅において,平成18年頃から,WPC住宅の新ブランドを立ち上げてハウスメーカーとして独立することを計画し,開発を進めた。被告乙は,平成20年6月2日,営業譲受けの受け皿会社として百年住宅西日本株式会社及び百年住宅パネル工業株式会社を設立してその代表取締役に就任し,同月16日,民事再生手続を開始したWPC住宅メーカーのウベハウスを支援する旨を表明し,被告百年住宅は,同年8月にウベハウスの事業を買収し,その頃,ヨシコンの工場の一部を借り受けて約3億円の設備投資をし,開発したNWPC住宅について,建築部材の製産態勢を整え,また,大臣認定に係る申請を行った。 なお,原告と被告静レスは,同年9月29日,上記のとおりヨシコンで建築部材製産を開始したことなどについて協議を行った。 (甲7,12,13,乙15⑳,22) 原告と被告静レスは,本件代理店契約の更新時期に当たる平成20年12 月1日及び同月10日に打ち合わせを行い。その際,原告が被告らによるウベハウスの支援等により被告静レスの倒産リスクが高まったことを理由に,原告が本件住宅について顧客に対する工事完成保証を行わず,瑕疵担保責任も負わないものとすることを要望し,両社は,平成21年1月以降の新規契約についてその旨の合意をした。また,原告と被告静レスは,建 原告が本件住宅について顧客に対する工事完成保証を行わず,瑕疵担保責任も負わないものとすることを要望し,両社は,平成21年1月以降の新規契約についてその旨の合意をした。また,原告と被告静レスは,建築部材値上げ等や本件代理店契約の内容改定,翌年度の被告静レスの原告に対する本件住宅用建築部材の発注見込みについて協議を行い,その際,被告静レスは,契約内容の改定について,前記のような特約店契約ではなく建築部材取引契約に改定することを主張し,原告への発注見込みについて,NWPC住宅について大臣認定に係る申請を行っていることを告げ,平成21年6月までは従前どおり全量を原告に発注するが,被告百年住宅のNWPC住宅に移行するので7月頃から半減し,平成22年度にはなくなる見通しである旨を告げた。原告は,当時の被告静レスに対する建築部材の売上高が約11億円(原告の全売上高の約2割)程度あったことから,被告静レスの本件住宅からの全面撤退は影響が大きいなどとして,NWPC住宅用の建築部材の製産を原告に発注することの可否の検討を依頼するなどした。両社の協議は,平成21年1月頃まで続けられ,建築部材価格の値上げについては合意をしたものの, 本件代理店契約については,原告の顧客に対する上記保証等をなくすことのほかには合意が成立しなかった。 (甲35の1ないし3,乙15ないし及び,22,証人E,同C) 被告百年住宅は,平成21年3月19日,NWPC住宅について,大臣認定を取得した。 (乙15) 被告静レスは,平成21年3月20日,被告百年住宅のNWPC住宅について大臣認定を取得することができ,ヨシコンでの建築部材製作も進んである程度の在庫も確保することができたとして,その従業員に対し,被告静レ スとの間で本件住宅 被告百年住宅のNWPC住宅について大臣認定を取得することができ,ヨシコンでの建築部材製作も進んである程度の在庫も確保することができたとして,その従業員に対し,被告静レ スとの間で本件住宅の工事請負契約を締結した顧客について,被告百年住宅との間でのNWPC住宅の工事請負契約に切り替えるべく,顧客からその旨の承諾を得るために,説明リーフレット等を用い,メリットを挙げて働きかけるよう指示をする「既契約物件のNWPC移行について」と題する文書(以下「本件指示文書」という。)を発出した。これには,契約の切替えを促す案件の条件として,①NWPC住宅の構造規定に適合していること,②被告静レスから被告百年住宅への契約の切替えを顧客が承諾すること,③建築確認申請が未提出であること,④原告への建築部材発注前であることが挙げられていたが,④については建築部材発注済みであっても検討の余地はある旨のただし書も付されていた。また,本件指示文書には,顧客が契約を切り替えるメリットとして,少額の負担で外観のグレードアップが可能であることなどが記載されていた。なお,契約の切替えの打診をする対象物件には,原告に最終図面を提出したものも多かった。 (乙15,証人C) 被告静レスの営業担当者は,その頃からNWPC住宅の販売も手がけるようになり,被告静レスの住宅展示場において,NWPC住宅の広告を掲示してNWPC住宅建築の勧誘をするなどした。 また,既に本件住宅の工事請負契約を締結済みの顧客に対し,説明リーフレット等を用い,NWPC住宅は従来の本件住宅の強度をさらに増大させた新商品であり,コンクリートパネルの寿命が延びたほか,耐圧,耐火及び防音性能が向上した,契約切替えにより少額の負担で外観のグレードアップが可能であるなどとして勧め,そ 件住宅の強度をさらに増大させた新商品であり,コンクリートパネルの寿命が延びたほか,耐圧,耐火及び防音性能が向上した,契約切替えにより少額の負担で外観のグレードアップが可能であるなどとして勧め,そのような勧誘を受けた49棟の本件契約切替物件(被告静レスとの工事請負契約締結日は,別紙「百年住宅へ変更全物件49棟の一覧表」の「請負年月日」欄に各記載のとおりであり,うち23棟が平成20年末までに,うち26棟が平成21年1月以降に被告静レスと顧客との間で契約されたものである。)の顧客について,本件契約切替行為を した。被告静レスは,契約の切替えに応じた顧客に対して,顧客都合の解約であることを理由に手付金を没収したり,損害賠償を請求したりする等の措置を執ることはなかった。なお,従前,被告静レスが顧客と本件住宅の工事請負契約の締結をするに至った場合に,顧客の都合により解約されることはほとんどなかった。また,被告静レスは,本件契約切替行為をする前に,本件契約切替物件についての工事請負契約書を原告に送付していた。 (甲9の5,28の1・2,37,47,乙15,証人C) 原告は,平成21年4月8日,被告静レスに対し,NWPC住宅について被告百年住宅が大臣認定を受けたことを踏まえ,同月から同年末までの間の本件住宅の建築部材の発注棟数の確認を求める文書を送付した。被告静レスは,同年4月9日,同年7月から同年末までの建築部材の発注棟数は約35棟である旨を回答したが,実際の発注棟数は,同年7月から同年12月までが29棟,平成22年1月から同年9月までが7棟程度であった。また,被告静レスは,平成21年4月以降も顧客との間で新たに本件住宅の建築請負工事を何件か受注している。 (乙15及び,証人C) 原告は,平成21年 9月までが7棟程度であった。また,被告静レスは,平成21年4月以降も顧客との間で新たに本件住宅の建築請負工事を何件か受注している。 (乙15及び,証人C) 原告は,平成21年7月,本件契約切替行為を知り,同月10日,同月31日と同年8月21日の3度にわたり,被告静レスに対し,本件契約切替行為は本件代理店契約の本旨に反するから直ちに中止して原告に建築部材の発注を行うべきである旨等を記載した文書を送付し,また,その前後を通じて被告静レスと話合いの機会を持ったが,協議はまとまらなかった。 (甲34の1及び2,乙15ないし) 原告は,被告静レスに対し,平成21年10月21日到達の書面により,同年12月2日以降は本件代理店契約を延長せずに終了させることを申し入れたため,本件代理店契約は,同年12月1日をもって,契約期間満了により終了した。 2 前記認定事実に基づき検討する。 本件契約切替行為についてア争点1-1(本件契約切替行為が本件代理店契約の債務不履行又は原告に対する不法行為等を構成するか否か)について 本件代理店契約につき作成された契約書や覚書に,被告静レスが本件住宅の販売及び施工業務に専念して,これ以外の業務をしてはならないことや,原告から継続的に建築部材を購入すべきことを記載した規定はなく,原告と被告静レスとの間で,被告静レスがWPC住宅としては本件住宅のみを取り扱う旨の合意がされたことを認めるに足りる証拠もない。また,原告は,被告静レスに対し,被告静レスを特約店とする旨を定めた契約書を提示するなどして,本件代理店契約の改定を求めたが,このこと自体,被告静レスとの間で被告静レスが本件専売義務を負う旨の合意が成立していなかったことの証左であるし,被 を特約店とする旨を定めた契約書を提示するなどして,本件代理店契約の改定を求めたが,このこと自体,被告静レスとの間で被告静レスが本件専売義務を負う旨の合意が成立していなかったことの証左であるし,被告静レスとの間に上記改定の合意は結局成立していないのである。そして,原告は,平成18年7月の被告静レスからの業務範囲に関する問合せに対し,最終的には被告静レスが以前に受注,施工した本件住宅以外のWPC住宅の増改築等の営業活動も認めるとの回答をし,また,平成20年12月初旬頃の被告静レスとの協議において,被告百年住宅がヨシコンで建築部材製産を開始したことやNWPC住宅について大臣認定に係る申請を行っていたことを認識し,被告静レスの発注量がNWPC住宅への移行により平成21年7月頃からは半減し,平成22年にはなくなる見通しであることをも知らされたが,これを契約違反であるとして被告静レスを責めるわけでもなく,かえってNWPC住宅用の建築部材の製産を原告に発注することの可否の検討を依頼したりするなど,原告は,被告静レスが原告に対する本件専売義務を負っていたとすればこれにそぐわないような行動を取っているのである。そうすると,本件専売義務が被告静レ スの営業に対する重大かつ強固な制限を課する結果を招来するものであることをも併せ考えると,その旨の明文上の規定のない本件代理店契約において,被告静レスが原告に対し本件専売義務を負っていたとは認め難い。 被告静レスは,本件住宅の販売,施工に当たり,原告が供給し又は指定するもの以外の建築部材を使用することができなかったから,本件住宅の建築部材の購入先としては原告のみが予定されていたのであり,本件契約切替行為前において,被告静レスが顧客と本件住宅の工事請負契約を締結するに至った場合にこれが することができなかったから,本件住宅の建築部材の購入先としては原告のみが予定されていたのであり,本件契約切替行為前において,被告静レスが顧客と本件住宅の工事請負契約を締結するに至った場合にこれが顧客の都合により解約されることはほとんどなかったというのであるから,被告静レスが顧客との間で工事請負契約を締結しさえすれば,原告は,ほぼ間違いなく被告静レスから本件住宅の建築部材の発注を受けることができたものと認められる。そして,原告と被告静レスとの具体的な取引において,被告静レスが顧客との間で本件住宅の工事請負契約を締結すると原告に契約書原本を送付し,被告静レスが最終図面を作成すると原告が部材割付図や構造計算のチェック等を行うなど,被告静レスが原告に建築部材の発注をする前に,原告と被告静レスとの緊密な連絡や相互協力を要することが予定されていたのであり,このような本件代理店契約に基づく原告と被告静レスとの関係が28年以上の長期間にわたり継続していたのであるから,このことを併せ考えると,これを本件代理店契約に付随する義務であるというか,本件代理店契約上の義務でないというかはともかく,被告静レスは,顧客との間で工事請負契約を締結した物件については,特段の事情がない限り,原告に対し,信義則上,工事請負契約に係る建築部材を発注すべき義務を負っていたと認めるのが相当である。 被告静レスは,この義務に違反して,本件契約切替行為を行った49棟分について,顧客との間で上記工事請負契約の締結をしながら,特段 の事情がないにもかかわらず,原告に対し建築部材を発注せずに,本件契約切替行為に及んだものである。そして,本件契約切替行為により顧客との間の契約主体が被告百年住宅になり,NWPC住宅の建築部材の発注,製産が行われることになるのであっ し建築部材を発注せずに,本件契約切替行為に及んだものである。そして,本件契約切替行為により顧客との間の契約主体が被告百年住宅になり,NWPC住宅の建築部材の発注,製産が行われることになるのであって,本件契約切替行為は,原告が取得し得たはずの建築部材製産に関する利益を,被告静レスと同一の企業グループを形成する被告百年住宅側に付け替えるのと同様の結果を生じるものであるから,原告に対する不法行為を構成する。 また,被告乙は被告静レスの代表者であった一方,本件住宅以外の住宅の販売,施工のために被告百年住宅を設立し,その長男である被告静レスの専務取締役が被告百年住宅の代表者を務めていること等に照らせば,被告乙と被告百年住宅が,被告静レスと通謀して,被告静レスの従業員に本件契約切替行為を行わせ,被告静レスの原告に対する上記義務の履行をさせなかったものと認められるから,被告乙及び被告百年住宅の行為は,原告に対する不法行為を構成するというべきである。 被告らは,NWPC住宅を選択したのは顧客であり,被告静レスは契約切替えを指示するに当たり原告に対する配慮をしていたとして,被告らの行為が不当なものではないと主張するが,被告静レスは,顧客との間で本件住宅の工事請負契約を締結していながら,積極的な勧誘行為により,顧客にNWPC住宅を選択するに至らしめたのであって,被告らの行為は違法であるから,被告らの上記主張を採用する余地はない。 イ争点1-2(原告に生じた損害の額)について 前記認定に係る原告と被告静レスとの間の具体的な取引態様等に照らすと,本件契約切替行為がなければ,被告静レスは,原告に対し本件住宅の建築部材の発注を行い,原告は,これを供給し引渡日頃までにその販売代金を取得していたものであると認められ 具体的な取引態様等に照らすと,本件契約切替行為がなければ,被告静レスは,原告に対し本件住宅の建築部材の発注を行い,原告は,これを供給し引渡日頃までにその販売代金を取得していたものであると認められる。そして,被告静レスが原告に送付する工事請負契約書に添付された契約図面が最終図面とな り,そのとおり最終的な仕様が確定される場合には,それにより既に被告静レスが原告に発注すべき部材が確定していたといえるし,たとえ,最終図面がその後別途作成,送付される場合にあっても,本件住宅がプレハブ住宅であって,被告静レスと顧客との工事請負契約の締結により請負代金や建築する住宅の型式は確定し,最終的なものではないにせよ契約図面も作成されて建築すべき建物の概要も定まっていることからすれば,被告が原告に発注すべき建築部材は概ね確定していて,その後建築部材の種類や数量に多少の変動があるにしても,原告への建築部材全体の発注金額自体は大きく変動することがないと考えられる。そうすると,特段の反証のない本件において,原告は,被告静レスが契約図面に基づいて作成した部材割付図から抽出される必要な数量及び種類の建築部材の発注をした場合の発注金額相当の代金を取得したものであるから,原告は,本件契約切替行為により,代金額から変動費に係る限界原価を控除した限界利益を得ることができなかったと認めるのが相当である。 証拠(甲48の1ないし49,49)及び弁論の全趣旨によれば,被告静レスは,本件契約切替物件について,別紙「百年住宅へ変更全物件49棟の一覧表」の「請負年月日」欄記載の年月日に,「邸名」欄記載の顧客との間で,「面積(㎡)」欄記載の建築面積,「金額(円)消費税抜き」欄記載の金額,「着工年月」欄記載の着工年月(ただし,番号44のN邸の着工月を「11」から 」欄記載の年月日に,「邸名」欄記載の顧客との間で,「面積(㎡)」欄記載の建築面積,「金額(円)消費税抜き」欄記載の金額,「着工年月」欄記載の着工年月(ただし,番号44のN邸の着工月を「11」から「9」に改める。),「引渡」欄記載の引渡年月(ただし,番号49のF邸の「引渡」欄「年」欄に「22」と,「月」欄に「7」とそれぞれ加える。)とする本件住宅の工事請負契約を締結したこと,本件代理店契約に基づく本件契約切替物件それぞれの建築部材の発注金額の内訳は,別紙「新逸失利益算定総括表」(ただし,同表の「件名」欄中,番号2の「g」を「G・H」と,番号4の「I・J」を「J」と,番号6の「kA棟」を「KAP-A棟」と, 番号7の「kB棟」を「KAP-B棟」と,番号23の「L」を「L・M」と,番号24の「O(P)」を「O」とそれぞれ改める。)の「売上」欄「販売価格」欄中の「部材費」,「金物費」,「金物値引き」,「型枠改造費」及び「運搬費」の各欄に記載のとおりであり,その合計額は「(A)」欄に記載のとおりであり,これから「スラブ販売値引(B)」欄記載の金額を控除した「値引後(C)=(A)-(B)」欄に記載の金額が原告への発注金額となること,本件契約切替物件それぞれの限界原価の内訳は,部材費が同表の「限界原価」欄「変動費(D)」欄中の「部材費」欄に,金物費が「金物」欄に,運搬費が「運搬費」欄に,現場調査のためのガソリン代等の諸経費が「諸経費」欄に各記載のとおりであって,その合計額である「変動費計(D)計」欄に記載の金額が上記限界原価額となることが認められる。これによると,発注金額である「値引後(C)=(A)-(B)」欄に記載の金額から限界原価額である「変動費計(D)」欄に記載の金額を控除して算出された同表の「逸失利益(A)-(B)- とが認められる。これによると,発注金額である「値引後(C)=(A)-(B)」欄に記載の金額から限界原価額である「変動費計(D)」欄に記載の金額を控除して算出された同表の「逸失利益(A)-(B)-(C)」欄(ただし,同欄は,正しくは「逸失利益(C)-(D)」欄と表記されるべきである。)に記載の金額が原告の得ることができなかった利益であり,その総額は1億2715万9202円になる。 そして,原告は,引渡日頃までに被告静レスから建築部材の価格の精算を受けていたから,損害発生日は各引渡日と認めるのが相当である。 証拠(甲37)及び弁論の全趣旨によれば,別紙「新逸失利益算定総括表」記載の本件契約切替物件49件のうち,番号15のⅡ邸(損害額244万4466円,引渡日(契約上の予定日。以下も同じ。)平成22年3月16日),番号24のO邸(損害額164万3243円,引渡日平成22年6月10日),番号25のQ邸(損害額337万5370円,引渡日平成23年6月30日),番号32のR邸(損害額275万81 10円,引渡日平成22年5月21日),番号33のS邸(損害額252万4895円,引渡日平成22年7月5日),番号34のT・U邸(損害額227万7505円,引渡日平成22年6月11日),番号45のV・W邸(損害額245万8242円,引渡日平成22年6月22日),番号46のX邸(損害額332万8267円,引渡日平成22年7月16日),番号47のY邸(損害額231万0523円,引渡日平成22年7月9日),番号48のZ邸(損害額293万5986円,引渡日平成22年9月13日)及び番号49のF邸(損害額290万6024円,引渡日平成22年7月31日)の11件は,引渡日が平成22年2月18日より後であるが,その他の38件(損害額合計9819 ,引渡日平成22年9月13日)及び番号49のF邸(損害額290万6024円,引渡日平成22年7月31日)の11件は,引渡日が平成22年2月18日より後であるが,その他の38件(損害額合計9819万6571円)は,全て引渡日が同日より前である。 前記1認定の事実に,証拠(甲45の1ないし5)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告は,被告から本件契約切替物件について本件住宅の工事請負契約を締結した旨の通知を受けて,被告静レスから発注されるべき建築部材の製産を行ったが,それらの中に不良在庫が生じたため,これを廃棄処分するために173万7150円の費用を支払ったことが認められるが,これも本件契約切替行為により原告に生じた損害であると認められる。 本件住宅販売中止行為についてア争点2-1(本件住宅販売中止行為の有無)について被告静レスは,平成21年4月以降も本件住宅の工事請負契約を締結しているのであり,本件住宅の販売を中止してNWPC住宅の販売に専従したと認めることはできない。 また,原告は,被告静レスにおいて,平成21年11月末頃までの間,本件住宅の住宅展示場を利用し,「レスコハウス㈱静岡地区代理店静岡レスコハウス㈱」と表示した名刺を利用し,NWPC住宅は本件住宅を改良, パワーアップさせた新製品であるとしてNWPC住宅の勧誘販売をする,阪神淡路大震災で損傷を免れたレスコハウス住宅であったA邸の写真を「百年住宅」であるとする虚偽の表示をし,被告静レスの名刺,パンフレットその他の広告媒体に「レスコハウス」と「百年住宅」を連記表示してNWPC住宅の宣伝広告を行う,被告静レスの営業用名刺の表に被告静レスの商号を,裏に被告百年住宅の商号を表示するといった行為をしたと主張するが,たとえ に「レスコハウス」と「百年住宅」を連記表示してNWPC住宅の宣伝広告を行う,被告静レスの営業用名刺の表に被告静レスの商号を,裏に被告百年住宅の商号を表示するといった行為をしたと主張するが,たとえ上記各行為があったとしても,被告静レスは,平成21年4月以降に本件住宅の工事請負契約を締結しているのであるから,これをもって,被告静レスが本件住宅の販売を中止したということも,NWPC住宅の販売に専従したということもできない。原告の上記主張は,採用することができない。 イしたがって,本件住宅販売中止行為に基づく原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 以上によれば,原告の請求は,本件契約切替行為に基づき,被告らに対し,原告に生じた損害1億2889万6352円中損害発生日が最も遅い別紙「新逸失利益算定総括表」の番号25のQ邸に係る損害から37円を控除した1億2889万6315円及びうち9819万6571円に対する不法行為の後の日である平成22年2月18日から,うち244万4466円に対する不法行為の日(損害発生日)である同年3月16日から,うち275万8110円に対する不法行為の日(損害発生日)である同年5月21日から,うち164万3243円に対する不法行為の日(損害発生日)である同年6月10日から,うち227万7505円に対する不法行為の日(損害発生日)である同月11日から,うち245万8242円に対する不法行為の日(損害発生日)である同月22日から,うち252万4895円に対する不法行為の日(損害発生日)である同年7月5日から,うち231万0523円に対する不法行為の日(損害発生日)である同月9日から,うち332万8267円に対する不法行為の 日(損害発生日)である同月16日から,うち290 ある同年7月5日から,うち231万0523円に対する不法行為の日(損害発生日)である同月9日から,うち332万8267円に対する不法行為の 日(損害発生日)である同月16日から,うち290万6024円に対する不法行為の日(損害発生日)である同月31日から,うち293万5986円に対する不法行為の日(損害発生日)である同年9月13日から,うち337万5333円に対する不法行為の日(損害発生日)である平成23年6月30日から,うち173万7150円に対する不法行為の日の後である平成24年8月11日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 4 よって,原告の請求を上記の限度で認容し,その余は失当としてこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官三井大有 裁判官藤田壮
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