平成24年5月31日判決言渡平成23年(行ケ)第10379号審決取消請求事件平成24年2月28日口頭弁論終結判決原告 X被告特許庁長官指定代理人安井寿儀同小谷一郎同金澤俊郎同新海岳同芦葉松美 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2010-17317号事件について平成23年9月27日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 当事者間において争いのない事実等原告は,発明の名称を「真円ロータリーエンジンのシール」とする発明について,平成18年7月31日に特許出願(特願2006-242142号。以下「本願」という。)をし,同年11月20日付けで明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正をしたが,平成22年6月4日付けで拒絶査定を受けた。これに対し,原告は,平成22年7月14日付けで,上記拒絶査定に対する不服審判請求(不服2010-17317号)をした。特許庁は,平成23年9月27日,「本件審判の請 求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年10月19日に原告に送達された(乙4,5,8,10,11,弁論の全趣旨)。 2 特許請求の範囲の記載平成18年11月20日付け手続補正による補正後の特許請求の範囲(請求項の数5)の請求項1ないし3の記載は,次のとおりである(以下,これらの請求項に 弁論の全趣旨)。 2 特許請求の範囲の記載平成18年11月20日付け手続補正による補正後の特許請求の範囲(請求項の数5)の請求項1ないし3の記載は,次のとおりである(以下,これらの請求項に係る発明を項番号に対応して,「本願発明1」などといい,これらをまとめて「本願発明」という。なお,本願の願書に添付された図1ないし4は,別紙のとおりである。)。 「【請求項1】真円ロータリーエンジンのロータの先端部の角部の角の方に欠けた穴を設け,穴に微回転(63).(53)を設け,微回転(63).(53).の中に内部からバネで押された微出入(52).(64)を設け,前記穴に微出入(52).(64)入れの微回転(63). (53)を設ける事を特徴とした真円ロータリーエンジンのシール。 【請求項2】吸入弁(31)でロータ後部(16)に接する方の角部で角の方に欠けた円状の空部を設け空部に微出入(72)を設けた微回転(71)を設ける事を特徴とした吸入弁のシール。 【請求項3】排気弁(32)でロータ前部(8)と接する方の角部で角の方に欠けた円状の空部を設け,空部に微出入(83)を設けた微回転(81)を設ける事を特徴とした排気弁のシール。」 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願発明は,いずれも,特開2006-52721号公報(以下「刊行物1」という。)に記載された発明及び特開昭56-6002号公報(以下「刊行物2」という。)に記載された発明に基づき,容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項によ り特許を受けることができないというものである。 審決は,上記結論を導くに当たり,刊行物1に記載された発明の内容,同発明と本願発明との一致点,相違点について,次のとおり認 許法29条2項によ り特許を受けることができないというものである。 審決は,上記結論を導くに当たり,刊行物1に記載された発明の内容,同発明と本願発明との一致点,相違点について,次のとおり認定した。 (1) 刊行物1に記載された発明の内容ア刊行物1に記載された発明1「真円ロータリーエンジンのロータの先端部の角状となっているロータ前端部2及びロータ後端部22の角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける真円ロータリーエンジンのシール」イ刊行物1に記載された発明2「吸入弁31でロータ後部16に接っする吸入角部18で角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける吸入弁のシール。」ウ刊行物1に記載された発明3「排気弁32でロータ前部32に接っする排気角部3で角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける排気弁のシール。」(2) 一致点及び相違点ア本願発明1と刊行物1に記載された発明1との一致点及び相違点(ア) 一致点「真円ロータリーエンジンのロータの先端部の角部の角の方に欠けた穴を設け,穴にシール部材を設ける真円ロータリーエンジンのシール」(イ) 相違点「穴にシール部材を設ける構成に関し,本願発明1は,『穴に微回転を設け,微回転の中に内部からバネで押された微出入を設け,前記穴に微出入入れの微回転を設ける』構成としているのに対し,刊行物1に記載された発明1は溝(本願発明1における『穴』に相当)に微回転を設け,微回転の中に内部からバネで押された微出入を設け,前記溝(本願発明1における『穴』に相当)に微出入入れの微回転を設ける構成とはなっていない点」 イ本願発明2と刊行物1に記載された発明2との一致点及び相違点(ア) 一致点「吸入弁でロータ後部に接する方の角部で角の方に欠けた空 出入入れの微回転を設ける構成とはなっていない点」 イ本願発明2と刊行物1に記載された発明2との一致点及び相違点(ア) 一致点「吸入弁でロータ後部に接する方の角部で角の方に欠けた空部を設け空部にシール部材を設ける吸入弁のシール。」(イ) 相違点「空部にシール部材を設ける構成に関し,本願発明2は,『円状』の空部を設け,空部に『微出入を設けた微回転』を設けるのに対し,刊行物1に記載された発明2は,空部が円状ではなく,空部に微出入を設けた微回転を設ける構成とはなっていない点」ウ本願発明3と刊行物1に記載された発明3との一致点及び相違点(ア) 一致点「排気弁でロータ前部と接する方の角部で角の方に欠けた空部を設け,空部にシール部材を設ける排気弁のシール。」(イ) 相違点「空部にシール部材を設ける構成に関し,本願発明3は,『円状』の空部を設け,空部に『微出入を設けた微回転』を設けるのに対し,刊行物1に記載された発明3は,空部が円状ではなく,空部に微出入を設けた微回転を設ける構成とはなっていない点」第3 取消事由に関する当事者の主張 1 原告の主張審決が,本願発明は,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の発明を適用することにより容易に想到することができるとしたことには,次のとおり誤りがある。 すなわち,刊行物1記載の発明は,本願発明と同様に,ロータが自然な運動をする真円ロータリーエンジンであるのに対し,刊行物2記載の発明は,ピストンが自然界にはない往復運動をするものであって,刊行物1記載の発明と刊行物2記載の発明とは,その属する技術分野において相違する。 また,本願発明は,微出入を押す係合部材が接したり,離れたりするため,微出入が一定の位置以上に出るのを防止するため,微回転の奥側を広くした空 発明とは,その属する技術分野において相違する。 また,本願発明は,微出入を押す係合部材が接したり,離れたりするため,微出入が一定の位置以上に出るのを防止するため,微回転の奥側を広くした空部を設け,同空部に引っかかり,その位置以上に出ない微出入を設けるのに対し,刊行物2記載の発明は,角部を介した平面上の壁をシールの頂点が押しながら往復するので,嵌装部に頂点シールがその位置以上に出ない空部を設ける必要がなく,本願発明と刊行物2記載の発明とは,その構成において相違する。 さらに,本願発明は,シールの振動方向の漏れを防止するのに対し,刊行物2記載の発明は,多角形ピストンの角部に使用し,角部の両側のシリンダー壁に角部を介して挟まれているので,振動をせず,振動方向にも漏れないので,本願発明と刊行物2記載の発明とは,シールの技術的意義において相違する。 以上のとおり,審決には刊行物2記載の発明の認定に誤りがあり,これを前提とした本願発明の容易想到性判断には誤りがある。 2 被告の反論原告は,刊行物1記載の発明と刊行物2記載の発明とでは,属する技術的分野が異なると主張する。しかし,刊行物1記載の発明と刊行物2記載の発明は,共にロータリーエンジンという同一の技術的分野に属するものである。 また,原告は,本願発明は,微回転に奥側を広くした空部を設け,同空部に微出入が引っかかることにより微出入がその位置以上に出ないのに対し,刊行物2記載の発明はそのような空部を有しないと主張する。しかし,本願の特許請求の範囲には,微回転に微出入を設けることについて,微回転に奥側を広くした空部を設け,微出入が前記空部に引っかかりその位置以上に出ないこととする旨の記載はない。 原告の上記主張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり,失当である。 さ ついて,微回転に奥側を広くした空部を設け,微出入が前記空部に引っかかりその位置以上に出ないこととする旨の記載はない。 原告の上記主張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり,失当である。 さらに,原告は,本願発明と刊行物2に記載された発明とが,シールの振動方向の漏れ防止の点で相違すると主張する。しかし,原告の上記主張は,失当である。 すなわち,本願に係る明細書及び図面によっても,シールの振動方向の漏れが何を意味するか不明である。のみならず,刊行物2に記載された発明は,回動する多角 形状ピストンの頂部とそれに接する部材(センターケーシング)との間の気密性(シール)を保つものであり,このような機構は,回動するロータとそれに接する吸入弁や排気弁等の部材との間のシールを保つ本願発明及び刊行物1に記載された発明と機能的に相違しない。 以上のとおり,審決には刊行物2記載の発明の認定に誤りはなく,これを前提とした容易想到性判断にも誤りはない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,原告の取消事由の主張には理由がなく,本願発明は,いずれも刊行物1,2に記載された発明に基づき,容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項により特許を受けることができないとした審決に誤りはないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 事実認定(1) 本願発明に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2記載のとおりである。 すなわち,本願発明は,真円ロータリーエンジンのロータの先端部の角部の角の方に欠けた穴を設け,穴に微回転を設け,微回転の中に内部からバネで押された微出入を設け,前記穴に微出入入れの微回転を設ける事を特徴とした真円ロータリーエンジンのシール(本願発明1),吸入弁でロータ後部に接する方の角部で角の方に欠けた円状の空部を設け 部からバネで押された微出入を設け,前記穴に微出入入れの微回転を設ける事を特徴とした真円ロータリーエンジンのシール(本願発明1),吸入弁でロータ後部に接する方の角部で角の方に欠けた円状の空部を設け空部に微出入を設けた微回転を設ける事を特徴とした吸入弁のシール(本願発明2),排気弁でロータ前部と接する方の角部で角の方に欠けた円状の空部を設け,空部に微出入を設けた微回転を設ける事を特徴とした排気弁のシール(本願発明3)に係る発明である。 (2) 刊行物1の記載刊行物1(乙1)には,次の記載がある(なお,刊行物1の図1ないし4は,別紙のとおりである。)。 「【0002】私は,以前に出願したものであるが特願平9-176262と特願平9-176 261のロータの先端部が丸みおびているため吸入弦部とロータ先端部が等角回転で同方向に接っしながら回転して出来た形である。 【0003】ロータ先端部が丸みおびているため排気弦部とロータ先端部が等角回転で同方向に接っしながら回転して出来た形である。」「【発明が解決しようとする課題】【0004】ロータの先端部が弧状で両側が角形なので吸入弦部が当ったり離れたりする。 【0005】ロータの先端部が弧状で両側が角形なので排気弦部が当ったり離れたりする。」「【0007】吸入弁とロータの間の漏れをなくす。 【0008】排気弁とロータの間の漏れをなくす。」「【発明の効果】【0015】ロータと吸入弁の間から混合ガス及び燃焼ガスが漏れない。 【0016】ロータと排気弁の間から混合ガス及び燃焼ガスが漏れない。」(3) 刊行物2の記載刊行物2(乙2)には,以下の記載がある(なお,刊行物2の第1図,第3図,第6図は,別紙のとおりである。)。 ロータと排気弁の間から混合ガス及び燃焼ガスが漏れない。」(3) 刊行物2の記載刊行物2(乙2)には,以下の記載がある(なお,刊行物2の第1図,第3図,第6図は,別紙のとおりである。)。 「2.特許請求の範囲 1 エピトロコイド曲線,トロコイド曲線ハイポトロコイド曲線等の内,任意の曲線を有したセンターケーシングの内壁を,多角形状ピストンが回動する構成の回転機関及び回転内燃機関に於いて,多角形状ピストンの各頂部或いは各頂部の近 辺え,回動可能に嵌装されている所の頂点シールの嵌装部材には,單数或いは複数の頂点シールが嵌装されており,そして,回動可能である頂点シールの嵌装部材は,クランク軸機構の適宜の部材に設けたカム,及び,それに対応して動作する從節と連絡して動作する構成の気密装置。」(1頁左下欄4行~右下欄4行)「3 発明の詳細な説明エピトロコイド曲線を有したセンターケーシングの内壁を,多角形状ピストンが回動する構成の回転内燃機関,又は,回転機関の気密装置と,それに関連する周辺部材等を含むこの発明の内容は,トロコイド或いは,ハイポトロコイド曲線を有したセンターケーシングの内壁を,多角形状ピストン或いは多辺形状ピストンが回動する構成の回転機関,回転機械にも適用出来る。」(2頁左下欄1~12行)「多角形状ピストンの頂部え,回動自在に遊嵌してある所の,頂点シールの嵌装部材(2)には,バネを有した頂点シール(3)が嵌装されている。」(2頁右下欄14~17行)「第3図で示すように,頂点シールの嵌装部材(23)には,複数の頂点シールの為の,複数の嵌装溝が設けてある。そして,相隣る頂点シールの間には,壁(24)が設られる構成であり又,図面第6図は,相隣る複数の,バネを有した頂点シール(26,27)の間え,壁(2 数の頂点シールの為の,複数の嵌装溝が設けてある。そして,相隣る頂点シールの間には,壁(24)が設られる構成であり又,図面第6図は,相隣る複数の,バネを有した頂点シール(26,27)の間え,壁(24,25)を介在させた構成の,断面を含む斜視図の図例であって,第3図で示す壁(24)については,第6図で示す壁(24,25)の様に,構成されている。 頂点シールは,それぞれのバネ(28,29)によって押圧される。」(4頁左下欄1~15行)「エピトロコイド曲線によるセンターケーシング内を回動する多角形状ピストンの首振り角が,30度に近づくと,從来の様な,多角形状ピストンに直接嵌装してある頂点シールでは,シール限界に至るが,この構成によると,多角形状ピストンに対して角度可変の頂点シールの嵌装部材は,揺動角度を大きくすることが出来て,多角形状ピストンの首振り角が大きい場合に適用出来,そしてシール限界に至らず, 良好なシール性能を保持する。」(5頁右下欄5~16行) 2 判断(1) 前記第2の3(1)のとおり,刊行物1に記載された発明は,①真円ロータリーエンジンのロータの先端部の角状となっているロータ前端部及びロータ後端部の角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける真円ロータリーエンジンのシール,②吸入弁でロータ後部に接する吸入角部で角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける吸入弁のシール,③排気弁でロータ前部に接する排気角部で角の方に欠けた溝を設け,溝にシール部材を設ける排気弁のシールに係る発明である。また,刊行物1の上記記載によれば,刊行物1に記載された発明は,従来の真円ロータリーエンジンのロータの先端部が弧状で両側が角形なので吸入弁の吸入弦部又は排気弁の排気弦部が当ったり離れたりするという点に鑑み,吸入弁又は排気弁とロ れば,刊行物1に記載された発明は,従来の真円ロータリーエンジンのロータの先端部が弧状で両側が角形なので吸入弁の吸入弦部又は排気弁の排気弦部が当ったり離れたりするという点に鑑み,吸入弁又は排気弁とロータの間の漏れをなくすことを課題としてなされたものであり,ロータと吸入弁又は排気弁の間から混合ガス及び燃料ガスが漏れないといった効果を奏するものである。 他方,刊行物2の上記記載によれば,刊行物2に記載された発明は,エピトロコイド曲線などの曲線を有するセンターケーシング内を多角形状のピストンが回動する形式の回転機関又は回転内燃機関の気密装置に係る発明,すなわち,ロータリーエンジンのロータ先端のシールに係る発明である。また,刊行物2に記載された発明においては,エピトロコイド曲線によるセンターケーシング内を回動する多角形状ピストンの首振り角が30度に近づくと,多角形状ピストンに直接嵌装してある頂点シールがシール限界に至るところ,回転内燃機関の多角形状ピストンの頂部の角部の角の方に欠けた穴を設け,穴に嵌装部材を設け,嵌装部材の中に内部からバネで押された頂点シールを設けることにより,揺動角度を大きくすることができ,多角形状ピストンの首振り角が大きい場合にもシール限界に至らず,良好なシール性能を保持するとの作用効果を奏するものと解される。そうすると,刊行物2に記載された発明は,ロータの先端におけるシール性能を向上させるとの課題を有する ものであり,多角形状ピストンがセンターケーシングの内壁に接する際,穴に頂点シール入れの嵌装部材を設けることで,揺動角度を大きくすることができ,シール性能を向上させるものといえる。 以上によれば,刊行物1に記載された発明に,上記刊行物2に記載された技術事項を適用することにより,本願発明と刊行物1に記載された発明 度を大きくすることができ,シール性能を向上させるものといえる。 以上によれば,刊行物1に記載された発明に,上記刊行物2に記載された技術事項を適用することにより,本願発明と刊行物1に記載された発明との相違点(前記第2の3(2))に係る構成に至ることは容易であったといえる。 (2) 原告の主張について原告は,①刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された発明とでは,属する技術的分野において相違する,②本願発明は,微回転に奥側を広くした空部を設け,同空部に微出入が引っかかることにより微出入がその位置以上に出ないのに対し,刊行物2に記載された発明はそのような空部を有しないから,本願発明と刊行物2に記載された発明とは,構成において相違する,③本願発明は,シールの振動方向の漏れを防止するものであって,刊行物2に記載された発明とは,シールの技術的意義において相違すると主張する。 しかし,原告の上記主張は,失当である。すなわち,乙2の上記記載によれば,刊行物2に記載された発明は,「回転機関,回転内燃機関の気密装置」に関するものであり,エピトロコイド曲線などの曲線を有したセンターケーシング内を多角形状のピストンが回動する構成の回転機関又は回転内燃機関のシールに係る発明である。 そうすると,刊行物2に記載された発明は,刊行物1に記載された発明及び本願発明と同様に,ロータリーエンジンという同一の技術的分野に属するものである。 また,本願の特許請求の範囲には,微回転に微出入を設けることについて,微回転に奥側を広くした空部を設け,微出入が前記空部に引っかかりその位置以上に出ないとの構成に関する記載はなく,原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり,刊行物2記載の発明における「嵌装部材」及び「頂点シール」に係る構成が,本願発明の「微回転」 の位置以上に出ないとの構成に関する記載はなく,原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であり,刊行物2記載の発明における「嵌装部材」及び「頂点シール」に係る構成が,本願発明の「微回転」及び「微出入」に係る構成と相違するとはいえない。 さらに,原告主張に係る「シールの振動方向の漏れ防止」との技術的意義は判然としないが,乙2の上記記載によれば,刊行物2に記載された発明は,回転機関又は回転内燃機関の気密装置の多角形状ピストンの頂部におけるシール性能を向上させるものであって,頂点シール及び嵌装部材の動作や機能に照らし,本願発明や引用例1に記載された発明とシールの技術的意義において相違するとはいえない。 (3) 小括以上のとおり,審決には刊行物2記載の発明の認定に誤りはなく,これを前提とした容易想到性判断にも誤りはない。 なお,原告は,本願と刊行物1の発明者が同一であるとして,特許法29条の2の適用に関し縷々主張するが,刊行物1は,本願の特許出願よりも前の平成18年2月23日に出願公開されたものであり(乙1),本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物(29条1項3号)に該当し,刊行物1と本願とは,特許法29条の2に規定された先願・後願の関係にはないから,原告の上記主張は,主張自体失当である。 3 結論以上のとおり,原告の主張する取消事由には理由がなく,他に審決にはこれを取り消すべき違法は認められない。その他,原告は,縷々主張するが,いずれも,理由がない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官知野明 (別紙) 本願の願書に添付された図1 本願の願書に添付された図2 本願の願書に添付された図3 本願の願書に添付された図4 刊行物1(乙1)の図1 刊行物1(乙1)の図2 刊行物1(乙1)の図3 刊行物1(乙1)の図4 刊行物2(乙2)の第1図 刊行物2(乙2)の第3図 刊行物2(乙2)の第6図
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