平成24年10月11日判決言渡平成20年(行ウ)第599号文書一部不開示決定処分取消等請求事件【目次】 主文 事実及び理由 第1 請求第2 事案の概要 1 前提事実 2 争点 3 争点に関する当事者の主張の要旨第3 当裁判所の判断 1 争点 (1)ア(情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び主張立証責任の所在等)について 2 争点 (1)イ(本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分の不開示情報該当性)について 3 争点 (2)(本件義務付けの訴えの適法性)について 4 争点 (3)(本件義務付け請求に係る請求認容(本案)要件(行政事件訴訟法37条の3第5項)該当性)について 5 結論別紙1 当事者目録別紙2 凡例別紙3 処分目録別紙3の2 別紙3処分目録の注記別紙4 請求文書目録別紙5 不開示理由1関係不開示理由2関係 不開示理由3関係不開示理由4,5,6,8関係別紙6 追加開示部分の一覧表別紙7 本件各文書の一部開示部分又は韓国側開示文書で既に公にされている当該試算・査定の額の前提とされた実測的又は統計的な金額・数値等以上 主文 1 外務大臣が原告らに対してした別紙3処分目録の「不開示決定」欄記載の各行政文書の全部又は一部を開示しない旨の決定のうち,同目録の「⑦取消部分」欄記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。 2 外務大臣は,原告らに対し,別紙3処分目録の「⑦取消部分」欄記載の各部分の開示決定をせよ。 3 本件訴えのうち,外務大臣が原告らに対して別紙3処分目録の の各部分を不開示とした部分を取り消す。 2 外務大臣は,原告らに対し,別紙3処分目録の「⑦取消部分」欄記載の各部分の開示決定をせよ。 3 本件訴えのうち,外務大臣が原告らに対して別紙3処分目録の「⑧適法部分」欄記載の各部分の開示決定をすることの義務付けを求める部分を却下する。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 本判決中の略称・略語,表記等については,別紙2(凡例)によるものとする。 第1 請求 1 外務大臣が原告らに対してした別紙3処分目録の「不開示決定」欄記載の各行政文書(本件各文書)の全部又は一部を開示しない旨の決定(本件各処分)を取り消す。 2 外務大臣は,原告らに対し,別紙3処分目録の「不開示文書の題名」欄記載の各行政文書(本件各文書)につき,同「不開示部分」欄記載の各不開示部分を開示せよ。 第2 事案の概要本件は,原告らが,外務大臣に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)に基づき,日本政府と大韓民国(韓国)政府との間において両国間の外交関係の開設等の関係の正常化を目的として実施されたいわゆ る日韓会談に関する行政文書の開示を請求したところ,外務大臣から,上記行政文書の全部又は一部につき,情報公開法5条3号,4号又は6号等に規定する不開示情報が記録されているとして,その全部又は一部を開示しない旨の決定を受け,その後その一部について追加開示決定を受けるなどしたことから,本件各処分(なお,上記一部追加開示決定があった不開示決定については,その一部追加開示決定後のものである。)の取消しを求めるとともに,当該不開示文書又は不開示部分を開示することの義務付けを求めて ,本件各処分(なお,上記一部追加開示決定があった不開示決定については,その一部追加開示決定後のものである。)の取消しを求めるとともに,当該不開示文書又は不開示部分を開示することの義務付けを求めている事案である。 1 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 日韓会談の経緯等ア日韓会談韓国は,明治43年(1910年)8月,韓国併合条約に基づき日本に併合され,以来日本による植民地統治下に置かれたが,昭和20年(1945年)8月15日の日本の敗戦により,日本による植民地統治の終焉を迎え,同年9月20日,米軍政庁が設置され,「朝鮮内ニアル日本人財産権取得ニ関スル件」(米軍令第33号)により,日本の公共財産のみならず私有財産も朝鮮軍政府(米軍政庁)が取得し,全部所有することとされた。他方,日本は,昭和26年(1951年)9月8日,連合国との間において,日本国と連合国との間の戦争状態を終了させ,また,戦争状態の存在の結果,存在していた問題を解決するため,日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)に調印した(このサンフランシスコ平和条約は,2条(a)において,「日本国は,朝鮮の独立を承認して,済州島,巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対する全ての権利,権原及び請求権を放棄する。」と規定し,4条(a)において,「この条の(b)の規定を留保して,日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行って いる当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権 地域の施政を行って いる当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は,日本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。」とした上,4条(b)において,「日本国は,・・・合衆国軍事当局により,又はその指令に従ってなされた日本国及びその国民の財産処理の効力を承認する。」と規定していた。)。 その後,旧植民地である韓国と旧宗主国である日本との間において,昭和26年(1951年)から昭和40年(1965年)までの14年間にわたり,次のとおり国交正常化を目的とする7次にわたる会談(なお,国交正常化交渉中における日韓会談は,複数の委員会を設置し,各委員会において各懸案事項を議論するという方式が採られた。)が行われた。 (ア) 第一次日韓会談日本政府は,昭和27年(1952年)4月28日のサンフランシスコ平和条約の発効に先立って,昭和26年(1951年)10月20日,韓国政府との予備会談(日韓会談の予備会談)を開始し,国籍処遇委員会及び船舶委員会が設置された。 第一次日韓会談は,平和条約発効までに交渉を妥結することを共通の目標として,昭和27年(1952年)2月15日に東京で開始され,追加的に財産請求権委員会,漁業委員会及び基本関係委員会が設置されたが,第一次日韓会談直前に,韓国の李承晩大統領(李大統領)が,一方的に韓国の主権が及ぶ範囲を示した境界線(李ライン)を設定し,以後,李ライン水域での日本漁船の拿捕や銃撃に関する問題が発生し,また,第一次日韓会談においては,韓国政府から請求権問題を始めとする多くの問題について日本政府の立場と相容れない主張がされ を設定し,以後,李ライン水域での日本漁船の拿捕や銃撃に関する問題が発生し,また,第一次日韓会談においては,韓国政府から請求権問題を始めとする多くの問題について日本政府の立場と相容れない主張がされるに至ったため,同年4月24日に終了した。 (イ) 第二次日韓会談第二次日韓会談は,昭和28年(1953年)4月15日に東京で開始され,基本関係委員会,財産請求権委員会,「在日韓人」の国籍処遇委員会,漁業委員会及び船舶委員会が設置された後,同年7月23日に終了した。 (ウ) 第三次日韓会談第三次日韓会談は,昭和28年(1953年)10月6日に東京で開始され,基本関係委員会,財産請求権委員会,「在日韓人」の国籍処遇委員会,漁業委員会及び船舶委員会が設置されたところ,財産請求権委員会第2回会議における日本側首席参与Z221(Z221参与)の発言に対して韓国政府及び韓国政府関係者(韓国側)が反発するなどし,同月21日に終了した。 (エ) 第三次日韓会談から第四次日韓会談までの中断期昭和32年(1957年)12月31日,日本の藤山愛一郎外務大臣(藤山外務大臣)と在日本韓国代表部代表Z222大使との間で会談が行われ,日本政府が,第二次世界大戦の終了前から日本に引き続き居住している韓国人で日本の入国者収容所に収容されているものを釈放すること及び韓国が,韓国の外国人収容所に収容されている日本人漁夫を日本に送還し,かつ,第二次世界大戦後の韓国人不法入国者の送還を韓国に受け入れることが合意され,同時に,日本政府が,韓国政府に対し,日本政府が昭和28年10月15日にZ221代表が行った発言を撤回し,かつ,昭和32年12月31日付けの合衆国政府の見解の表明を基礎として,昭和27年 合意され,同時に,日本政府が,韓国政府に対し,日本政府が昭和28年10月15日にZ221代表が行った発言を撤回し,かつ,昭和32年12月31日付けの合衆国政府の見解の表明を基礎として,昭和27年3月6日に日本と韓国との間の会談において日本側代表が行った在韓財産に対する請求権主張を撤回することを通告し,昭和32年12月31日,日韓全面会談再開発表に関する共同発表(その内容は要旨上記のとおりである。)が行われた。 (オ) 第四次日韓会談第四次日韓会談は,昭和33年(1958年)4月15日に東京で開始され,基本関係委員会,韓国請求権委員会,「在日韓人」の法的地位に関する委員会(「在日韓人」の国籍処遇委員会),漁業及び「平和ライン」委員会が設置されたところ,昭和35年(1960年)4月19日に韓国においていわゆる4・19革命が起こるなどしたたため,同月25日に終了した。 (カ) 第五次日韓会談の予備会談第五次日韓会談のための予備会談は,昭和35年(1960年)10月25日に東京で開始され,基本関係委員会,請求権委員会,在日韓国人の法的地位に関する委員会(「在日韓人」の国籍処遇委員会),漁業及び「平和ライン」委員会が設置され,昭和36年(1961年)5月6日に自由民主党代表団が訪韓したが,同月16日,韓国において朴正熙らによって政権が倒され,当該予備会談が終了した。 (キ) 第六次日韓会談第六次日韓会談は,昭和36年(1961年)10月20日に東京で開始され,委員会の構成は第五次日韓会談のための予備会談と同じものとされ,同年11月12日に日本の大平正芳外務大臣(大平外務大臣)と韓国のZ223中央情報部長(Z223中央情報部長)との会談が開かれていわゆる「Z22 成は第五次日韓会談のための予備会談と同じものとされ,同年11月12日に日本の大平正芳外務大臣(大平外務大臣)と韓国のZ223中央情報部長(Z223中央情報部長)との会談が開かれていわゆる「Z223・大平」メモが作成され,昭和39年(1964年)4月6日に終了した。 (ク) 第七次日韓会談第七次日韓会談は,昭和39年(1964年)12月3日に東京で開始され,昭和40年(1965年)2月20日,日本と韓国との間で,「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)」が仮調印され,同年4月3日には,両国間で関連三協定が仮調印された。 イ日韓基本条約の調印等その結果,日本と韓国は,昭和40年(1965年)6月22日,日韓基本条約のほか,「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本と韓国との間の協定(請求権協定)」,「日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(漁業協定)」,「在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定(法的地位協定)」,「文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(文化協力協定)」の4協定及び1交換公文を締結し,各種の取決め関係文書を作成した。 (2) 本件各文書の保有等ア外務省は,上記(1)の日韓会談の議事録,添付資料及び内部検討文書等の公文書として,本件各文書を保有している。 イ韓国政府は,2005年(平成17年),その保有に係る日韓会談に関する韓国側文書を公開した。 (3) 本件開示請求から本件訴えに至る経緯等ア本件開示請求等(ア) 原告らは,平成18年4月25日,外務大臣に対し,情報公開法に基づき,別紙4請求文書目録記載の文書についての開示請求(本件開示請求。甲1)をした。 等ア本件開示請求等(ア) 原告らは,平成18年4月25日,外務大臣に対し,情報公開法に基づき,別紙4請求文書目録記載の文書についての開示請求(本件開示請求。甲1)をした。 (イ) 外務大臣は,本件開示請求について対象文書を特定したところ,その分量は,行政文書ファイルにして約183冊になると見込まれ,最終的には文書数にして1916通,総開示実施頁数は5万2696ページに及ぶことが判明した。 (ウ) 外務大臣は,平成18年5月25日,原告らに対し,本件開示請求について,情報公開法11条に基づき開示決定等の期限の特例を適用し,同年6月24日までに可能な部分について開示決定等を行い,残りの部分については平成20年5月26日までに開示決定等をする予定である 旨の通知(乙A10)をした。 なお,当該通知には,「上記条項を適用する理由」として,「開示対象となる行政文書が著しく大量であり,かつ,担当課において他に処理すべき開示請求案件が著しく多く,また,他の事務が著しく繁忙であり,開示請求日から60日以内にその全てについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるため」との記載がある。 イ本件訴えに係る不開示決定等に至る経緯(ア) 外務大臣は,平成18年8月17日,情報公開法11条に基づき,本件開示請求に係る行政文書の一部(13文書)につき,同法5条3号を不開示理由としてそれぞれの一部を不開示とし,それを除いた部分を開示する部分開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知をした。 (イ) 原告らは,平成18年10月2日,行政不服審査法(行審法)6条に基づき,上記(ア)の部分開示決定に対し異議申立てをするとともに,同年12月18日,東京地 対し,その旨の通知をした。 (イ) 原告らは,平成18年10月2日,行政不服審査法(行審法)6条に基づき,上記(ア)の部分開示決定に対し異議申立てをするとともに,同年12月18日,東京地方裁判所に対し,<ア> 上記(ア)の部分開示決定のうち上記(ア)の行政文書(13文書)の不開示部分に係る決定の取消し及び同部分の開示の義務付けを求めるとともに,<イ> 外務大臣がその余の文書に係る開示決定等をしないことの違法確認及びその開示の義務付けを求める訴え(東京地裁平成○年(行ウ)第○号。別件訴訟①)を提起した。 (ウ) 外務大臣は,上記(イ)の異議申立てを受理し,平成19年3月28日,上記(ア)の部分開示決定を取り消し,改めて上記(ア)の行政文書(13文書)につき全部開示するとの決定をした。 (エ) 外務大臣は,平成19年4月27日,本件開示請求に係る行政文書の一部(25文書)につき各開示決定等をし,原告らに対し,その旨の通知をした。 (オ) 外務大臣は,平成19年11月16日,本件開示請求に係る行政文書の一部(141文書)につき各開示決定等(このうち26文書については全部又は一部不開示)を行い,原告らに対し,その旨の通知をした。 (カ) 東京地方裁判所は,平成19年12月26日,別件訴訟①において,外務大臣が未開示の行政文書について開示決定等を行わないことが違法であることを確認する旨の判決(乙A19)を言い渡した(同判決については,被告が控訴したが,平成20年5月28日,原告らが,後記ウ(ア)~(ウ)のとおり同月9日までに本件開示請求に係る行政文書の全部につき開示決定等が行われたことを受け,別件訴訟①について訴えの取下げをし,その後被告がこれに同意した。)。 (キ) 原告らは ~(ウ)のとおり同月9日までに本件開示請求に係る行政文書の全部につき開示決定等が行われたことを受け,別件訴訟①について訴えの取下げをし,その後被告がこれに同意した。)。 (キ) 原告らは,平成20年4月23日付けで,東京地方裁判所に対し,上記(オ)記載の全部又は一部不開示に係る行政文書(26文書)のうち,13文書(全部不開示文書1及び一部不開示文書12)について不開示決定の取消しを求める訴え(東京地裁平成○年(行ウ)第○号。別件訴訟②)を提起した。 別件訴訟②については,<ア> 平成21年12月16日,東京地方裁判所が請求棄却の判決を言い渡し,これに対して原告らが控訴をしたが,<イ> 平成22年6月23日,東京高等裁判所が控訴棄却の判決を言い渡し,これに対して原告らが上告及び上告受理の申立てをしたものの,<ウ> 同年10月6日付けで,原告らが上告を取り下げ,平成23年5月9日,最高裁判所が上告受理の申立てにつき不受理決定をし,上記<ア>の東京地方裁判所の判決が確定した。 ウ本件訴えに係る不開示決定等(ア) 外務大臣は,平成20年4月18日,本件開示請求に係る行政文書の一部(130文書)につき各開示決定等を行い,このうち5文書(別紙3処分目録の通し番号1-1,1-2,1-3,2-1及び2-2記載 の各行政文書)については,それぞれ情報公開法5条3号又は6号に規定する不開示情報が記録されているとして,その一部を開示しない旨の決定をし,原告らに対し,その旨の通知(甲2~4)をした。 (イ) 外務大臣は,平成20年5月2日,本件開示請求に係る行政文書の一部(584文書)につき各開示決定等を行い,このうち76文書(別紙3処分目録の通し番号1-4~1-58,2-3~2-21,3-1~ ) 外務大臣は,平成20年5月2日,本件開示請求に係る行政文書の一部(584文書)につき各開示決定等を行い,このうち76文書(別紙3処分目録の通し番号1-4~1-58,2-3~2-21,3-1~3-8,4-1,4-2,4-6-2及び5-1の各行政文書)については,それぞれ情報公開法5条3号,4号又は6号に規定する不開示情報が記録されているとして,その全部又は一部を開示しない旨の決定をし,原告らに対し,その旨の通知(甲5~24)をした。 (ウ) 外務大臣は,平成20年5月9日,本件開示請求に係る残り全ての行政文書(1023文書)につき各開示決定等をし,このうち288文書(別紙3処分目録の通し番号1-59~1-259,2-22~2-109,3-9~3-48,4-3~4-6,4-7~4-11,6-1~6-3,8-1及び8-2の各行政文書。以下,上記(ア)記載の5文書及び(イ)記載の76文書も合わせたこれらの行政文書を「本件369文書」という。)については,それぞれ情報公開法5条3号,4号又は6号に規定する不開示情報が記録されているとして,その全部又は一部を開示しない旨の決定をし,原告らに対し,その旨の通知(甲25~97)をした。 (エ) 外務大臣は,平成20年5月26日,別紙3処分目録の通し番号1-15(乙A274),1-94(乙A249),1-96(乙A250),1-154(乙A298),1-170(乙A311)の各行政文書につき追加開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知(乙A1の2,A2の2,A3の2,A4の2,A5の2)をした。 (オ) 原告らは,平成20年6月10日,上記(ア)~(ウ)の各不開示決定(た だし,その対象となる行政文書は,本件369文書の外,本件訴訟対象外の行政文書を含む合 の2)をした。 (オ) 原告らは,平成20年6月10日,上記(ア)~(ウ)の各不開示決定(た だし,その対象となる行政文書は,本件369文書の外,本件訴訟対象外の行政文書を含む合計520文書である。)に対して異議申立てをした。なお,原告らは,外務省から,異議申立書に行審法上の不備があるとして累次の補正命令を受けたが,補正命令に対する回答は必要ない旨の「回答及び申入書」と題する書面を提出した。 (カ) 原告らは,平成20年10月14日,上記(ア)~(ウ)の各不開示決定(ただし,その対象となる行政文書は,本件369文書である。)の取消しを求め,本件訴えを提起した。 エ本件訴えの提起後における追加開示決定(ア) 外務大臣は,平成22年6月23日,別紙3処分目録の通し番号1-15,1-65,1-66,1-94,1-96,1-154及び1-170の各行政文書につき一部追加開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知(乙A269)をした。 (イ) 外務大臣は,平成22年8月23日,別紙3処分目録の通し番号1-171,1-172,1-174及び1-186の各行政文書につき一部追加開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知(乙A326)をした。 (ウ) 外務大臣は,平成23年8月29日,本件369文書のうち,21文書については全部の追加開示決定を,42文書(このうち,本件訴えにおいて不開示部分の取消しを求めるものは,別紙3処分目録の通し番号1-30,1-125,1-144,1-178,1-182,1-184,1-195,1-229,1-231,1-232,1-239,1-240,2-34,2-70,2-96,2-109,3-18,3-30,3-36,3-38,3-43及び3-45の各行政文 -184,1-195,1-229,1-231,1-232,1-239,1-240,2-34,2-70,2-96,2-109,3-18,3-30,3-36,3-38,3-43及び3-45の各行政文書である。)については一部の追加開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知(乙A414)をした。 (エ) 外務大臣は,平成23年12月21日,別紙3処分目録の通し番号3-41の行政文書につき一部追加開示決定をし,原告らに対し,その旨の通知(乙A490)をした。 (4) 本件各文書及びその不開示部分の内容本件各文書及びその不開示部分の内容は,別紙5の「前提事実(各論)」欄記載のとおりである(なお,本件各文書の不開示部分の内容は,いずれも,被告主張に係る不開示部分の内容のほか,当該文書の表題及びその前後の開示部分等の間接事実から推認されるものである。)。 (5) 日本と韓国等との間の一般的情勢ア日本と韓国との間の懸案事項等(ア) 竹島問題a 概要竹島は,隠岐諸島の北西約157㎞,北緯37度14分,東経131度52分の日本海上に位置する群島であり,日本政府は,遅くとも江戸時代初期に当たる17世紀半ばには,その領有権を確立していたとして,島根県知事等の意見を聴取した上,明治38年(1905年)の閣議決定をもって竹島を島根県に編入し,竹島を領有する意思を再確認した。また,サンフランシスコ平和条約の起草過程において,韓国がアメリカ合衆国(米国)に対し日本が権利,権限及び請求権を放棄する地域の一つに竹島を加えるように要望したのに対し,米国が韓国側の主張を明確に否定しており,さらに,日米行政協定に基づき同協定の実施に関する日米間の協議機関として設立された合同委員会 求権を放棄する地域の一つに竹島を加えるように要望したのに対し,米国が韓国側の主張を明確に否定しており,さらに,日米行政協定に基づき同協定の実施に関する日米間の協議機関として設立された合同委員会においては,竹島について協議され,かつ,竹島が在日米軍の使用する区域としての決定を受けた。 他方,昭和27年(1952年)1月,李大統領は,「海洋主権宣言」を行い,国際法に反する李ラインを一方的に設定し,李ラインの 内側の水域(李ライン水域)における漁業管轄権を一方的に主張するとともに,李ライン内に竹島を取り込み,昭和28年(1953年)7月には,海上保安庁の巡視船が,韓国漁船を援護していた韓国官憲から銃撃を受ける事件が発生し,昭和29年(1954年)6月には,韓国内務部は,韓国沿岸警備隊が駐留部隊を竹島に派遣した旨発表した。さらに,同年8月,竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船が竹島から銃撃され,これにより韓国の警備隊が竹島に駐留していることが確認された。韓国は,上記駐留部隊の派遣後も,竹島に引き続き警備隊員を常駐させるとともに,宿舎や監視所,灯台,接岸施設等を構築している。 これに対し,日本政府は,韓国による竹島の占拠は,国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり,竹島の領有権を日本国が有するとする日本政府の立場からは決して容認できるものではないとして,韓国政府が竹島をめぐり何らかの措置等を行うたびに厳重な抗議を重ねるとともに,その撤回を求めている。 以上のように,竹島については,① 日本政府は,竹島が,歴史的事実に照らしても,かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土であり,韓国による竹島の占拠は,国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であって,韓国がこのような不 ,① 日本政府は,竹島が,歴史的事実に照らしても,かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土であり,韓国による竹島の占拠は,国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であって,韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものでないなどと主張しているのに対し,② 韓国政府は,歴史的に韓国の領土であるなどと主張しており,いわゆる竹島問題は,日韓関係における最大の懸案事項の一つとなっている。 竹島問題については,日本の国会審議でも恒常的に議論されているほか,韓国においても,韓国駐在の日本国大使館に対して抗議行動が行われるなど,日本及び韓国の政府及び国民がそれぞれの立場から高 い関心を寄せている。 (乙A11~14)b 竹島問題についての日韓両政府の交渉等の経緯(a) 日本政府は,昭和27年(1952年)1月,韓国政府に対し,韓国政府が李ライン内に竹島を含めたことに対する抗議をするとともに竹島に対する韓国の領有権を認めない旨の口上書を送った。しかし,昭和28年(1953年)5月,島根県の水産試験船が竹島に上陸した韓国人漁夫を発見したことから,日本政府は,同年6月,関係省庁による対策協議の結果,竹島問題対策要綱を決定し,韓国政府に対する口上書による抗議や巡視船による竹島周辺の巡視警戒を実施するなどした。 昭和29年(1954年)6月,韓国内務部は,竹島に沿岸警備船を派遣することを発表し,同年7月には,それに代わって警備隊を常駐させる旨を発表したところ,日本政府は,同年8月,韓国公務員が竹島に駐在していることを確認し,また,韓国竹島警備隊の海上保安庁巡視船に対する銃撃事件が起きたことから,関係省庁で協議の結果,同年9月以降,洋上巡 表したところ,日本政府は,同年8月,韓国公務員が竹島に駐在していることを確認し,また,韓国竹島警備隊の海上保安庁巡視船に対する銃撃事件が起きたことから,関係省庁で協議の結果,同年9月以降,洋上巡視を実施することとした。 (b) また,日本政府は,竹島問題を平和的手段により解決するべく,昭和29年(1954年)9月,閣議で竹島問題を国際司法裁判所に提訴する方針を決定し,駐日韓国公使に対し,竹島の領有権問題を国際司法裁判所に付託することについて韓国政府の同意を求める旨の口上書を渡すとともに,外務省情報文化局長談等を発表したが,同年10月,韓国政府は,日本政府に対し,上記提案を拒否する旨の口上書を送付した。 (c) 日韓両政府は,昭和30年(1955年)1月29日のZ224・Z225会談において,日韓問題全体の空気を改善する立場か ら,竹島問題が他の懸案解決に累を及ぼさないようにするため,竹島問題を日韓会談とは別とすることを合意した。 もっとも,昭和37年(1962年)3月に開催された日韓外相会談において,小坂善太郎外務大臣(小坂外務大臣)は,崔徳新韓国外務部長官(崔長官)に対し,竹島問題を国際司法裁判所に付託することを提案したが,崔長官は,竹島は韓国の領土であり,この問題を取り上げることは今次の政治折衝の進展に支障を来すとして,これを受け入れなかった。 (d) 昭和37年(1962年)9月の日韓会談予備交渉において,日本政府は,韓国政府に対し,「日韓国交正常化と同時に(又は,正常化後直ちに)竹島問題を国際司法裁判所に提訴することを韓国側が約束してくれればよい。」と述べ,また,同年11月12日の大平外務大臣・Z223中央情報部長会談において,大平外務大臣は,Z223中央 常化後直ちに)竹島問題を国際司法裁判所に提訴することを韓国側が約束してくれればよい。」と述べ,また,同年11月12日の大平外務大臣・Z223中央情報部長会談において,大平外務大臣は,Z223中央情報部長に対し,「国交正常化後に本件の国際司法裁判所への提訴に応ずることだけはぜひ予約してほしい(提訴及び応訴は国交正常化後となる。)。なお,領土紛争等に関するこの種裁判の先例でも明らかなとおり,提訴から判決まで少なくとも2年内外はかかるので,竹島に関する判決が下るのも国交正常化後,相当期間経過してからとなるわけであり,さしあたり双方の国民感情を刺激するおそれはないという事実を了解されたい」旨の文書を提示してその旨述べたところ,韓国政府(Z223中央情報部長)から「第三国(米国を念頭においているようであった。)の調停に任すことを希望する。第三国が日韓関係を考慮しつつ調停のタイミング及び内容を弾力的に取りはからうことができよう」との回答があった。 さらに,日本政府は,同年12月中旬,韓国政府に対し,①両国 の主張を折衷した妥協案としての方策と,②①により問題が解決しない場合には竹島問題を国際司法裁判所に付託することを提案する旨の文書を提示したが,これに対し,韓国政府は,同月21日に開催された日韓予備交渉第20回会合において,日本政府に対し,「第三国による居中調停(mediation)以外に適当な方法は考えられない」と主張した。 (e) その後,日韓会談の諸問題の解決が進展し,昭和40年(1965年)3月24日,佐藤榮作内閣総理大臣(佐藤総理)は,李東元韓国外務部長官(李長官)との会談の際,「竹島問題は現在決まらないとしてもいかなる方向に持っていくかさえはっきりすればよいと考える」と述べ,また,椎名悦 ,佐藤榮作内閣総理大臣(佐藤総理)は,李東元韓国外務部長官(李長官)との会談の際,「竹島問題は現在決まらないとしてもいかなる方向に持っていくかさえはっきりすればよいと考える」と述べ,また,椎名悦三郎外務大臣(椎名外務大臣)も,李長官との会談の際,「3案件(裁判所注:漁業・法的地位・請求権問題)の案文が固まった頃,政治的見地に立って,竹島問題解決の目途をつけ,その上で全てのものを一括調印したい」と述べた。 しかし,同年4月13日に開催された首席代表会談において,韓国のZ226代表は,「今後の最大難関は竹島問題である。日本側の国際司法裁判所付託はもちろんZ223案の居中調停すら韓国では受け入れられない」と述べた。 (f) 日韓両政府は,日韓条約諸協定案の条文化交渉が最終段階に入った昭和40年(1965年)6月17日から,竹島問題解決のための条文化交渉を開始したが,①対象となる「紛争」の表現方法,②当該紛争を外交上の経路を通じて解決できなかった場合の解決方法(仲裁又は調停)等をめぐって対立し,2回にわたる日韓外相会談と佐藤総理・李長官会談を経た上,同月22日,両国間の紛争について外交上の経路を通じて解決できない場合には両国政府が合意する手続に従い調停によって解決を図る旨の紛争の解決に関する交換 公文を調印することとなった。 しかしながら,竹島問題については,上記aのとおり,現在もなお日韓間で解決に至っていない。 (g) なお,竹島問題に関して,昭和27年(1952年)1月から昭和40年(1965年)末までに,日本政府は韓国政府宛てに口上書を33回送付し,韓国政府は日本政府宛てに口上書を26回送付した。 (乙A40,A50,A83)(イ) 日本と韓国との間 和40年(1965年)末までに,日本政府は韓国政府宛てに口上書を33回送付し,韓国政府は日本政府宛てに口上書を26回送付した。 (乙A40,A50,A83)(イ) 日本と韓国との間の国交正常化交渉における重要な懸案事項a 請求権問題(a) 請求権問題の概要と交渉経緯ⅰ 請求権問題(以下,財産請求権問題,財産・請求権問題という場合もある。)は,前記のサンフランシスコ平和条約4条(a)の規定に関し,韓国の「対日請求要綱八項目」(乙A279[2~17ページ]参照)をめぐって議論された問題であり,日韓両国が国交を正常化するに当たって解決すべき諸懸案のうちで最も重要かつ困難な交渉案件であった。 ⅱ 韓国政府は,第一次日韓会談から,請求権問題を提起し,その交渉の中で「対日請求要綱八項目」を提案していた。この「対日請求要綱八項目」とは,具体的には,①「朝鮮銀行を通じて搬出された地金と地銀の返還請求」,②「日本政府の対朝鮮総督府債務の弁済の請求」(これは,郵便貯金,国債,朝鮮簡易生命保険といった朝鮮総督府の外局である朝鮮総督府逓信局に関係するものも含まれる。),③「1945年8月9日以後韓国から振替又は送金された金員の返還請求」,④「1945年8月9日現在韓国に本社,本店又は主たる事務所があった法人の在日財産の返還 請求」,⑤「韓国法人又は韓国自然人の日本国又は日本国民に対する日本国債,公債,日本銀行券,被徴用韓人の未収金,補償金及びその他の請求権の弁済の請求」(これには,「韓国人の対日本政府請求恩給関係その他」として,朝鮮人公務員に対しての未払恩給が含まれる。),⑥「韓国法人又は韓国自然人所有の日本法人の株又はその他の証券についての法的認定の請求」,⑦「前記 ,「韓国人の対日本政府請求恩給関係その他」として,朝鮮人公務員に対しての未払恩給が含まれる。),⑥「韓国法人又は韓国自然人所有の日本法人の株又はその他の証券についての法的認定の請求」,⑦「前記諸財産又は請求権から生じた諸果実の返還の請求」,⑧「前記の返還及び決済は協定成立後即時開始し,遅くとも6か月以内に終了すること」である。 これに対し,日本政府は,韓国政府との間で,財産請求権の法的根拠や事実関係についての交渉を継続したところ(当該交渉の間に「相互放棄案(日韓両国及びその国民の全ての財産及び請求権を相手方への請求権と相互に放棄することによって,日韓間における請求権問題の解決を図る方法)」が示されたこともあった。),財産請求権の法的根拠についての理解の対立,証拠資料の散逸等の事情から,個々の問題の積み上げ方式による解決はほぼ不可能な状態となった。 しかし,日本政府としては,請求権問題のために日韓両国間の友好関係の確立を遅らせることは,大局的見地からみて適当でなく,また,将来における両国間の友好関係の発展という見地から,韓国の政治の安定,経済の発展に貢献することが必要であるとの考慮から,我が国の財政事情や韓国の経済開発計画のための資金の必要性をも勘案した上,韓国政府に対し,3億ドルの無償供与及び2億ドルの長期低利の貸付けという膨大な金額の資金供与を行うこととし(以下,当該無償供与等を「対韓経済協力」という。),これと並行して請求権問題を最終的に解決することとし て請求権協定を締結した。 この全体的な問題解決の方法の一つとして,請求権協定2条1において,「両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に この全体的な問題解決の方法の一つとして,請求権協定2条1において,「両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,昭和26年(1951年)9月8日にサン・フランシスコ市で署名された平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」との規定が盛り込まれた(以上に関する日韓交渉の具体的交渉経緯の概要のうち,第一次日韓会談以前(昭和26年頃)から第六次日韓会談中の昭和38年7月頃までのものは,通し番号1-18の文書(昭和37年7月1日付け「日韓会談問題別経緯(4)(一般請求権問題)」と題する文書及び昭和38年10月1日付け「日韓会談問題別経緯(4)(一般請求権問題)その2」と題する文書。乙A188)を,第六次日韓会談以降のものは,日韓国交正常化交渉の記録総説8~12(通し番号1-69の文書(乙A108),通し番号1-252の文書(乙A83),通し番号2-34の文書(乙A113),通し番号3-18の文書(乙B56),通し番号1-109の文書(乙A37))をそれぞれ参照のこと。)。 (乙A279)(b) 請求権問題に関連するその他の問題① 「船舶引き渡し問題」とは,第二次世界大戦終戦当時に日本沿岸に存在していた韓国籍船舶の所有権をめぐる問題である。 「日本国沿岸に置き去られた船舶の措置に関する法律(昭和22年法律第116号)」は,戦争終結直後,日本沿岸に置き去りにされたと認定された船舶につき,一定期間内に所有者が返還を 要求しない場合の売却処分の方法等について定めた法律であり(なお,同法律は,昭和29年(1954年)に廃止された。), 置き去りにされたと認定された船舶につき,一定期間内に所有者が返還を 要求しない場合の売却処分の方法等について定めた法律であり(なお,同法律は,昭和29年(1954年)に廃止された。),司法省と海運総局の間の取決めにより,密航,密貿易事件等の船舶で地方検察庁が捜査・訴訟手続中の船舶であっても適当と認められる場合には,同法により処分することとされ,そのため不法入国に使用された朝鮮籍船舶についても同法により処分されることになった。なお,その後,韓国側から要求のある抑留船については返還することとされた。 また,韓国籍Z1は,諸事情により,昭和20年(1945年)8月から昭和22年(1947年)4月までの間,日本に残留していたところ,近畿海運局の指示により,海運業者が代理保管を請け負った。そのため,同年7月,当該業者が保管費用の支払を日本政府に求めたが,日本政府は,支払には連合国軍の指示が必要であるなどと主張したため,当該業者は,連合国軍総司令部民間財産管理部にもその斡旋を要請した。 (乙A246)② 「朝鮮半島への帰還者に対する補償金問題」とは,韓国へ帰還する在日朝鮮人に対する「補償金」に係る問題である。 ③ 「韓国に円系通貨及び日銀券が流通していたことと同国内におけるインフレ発生責任あるいは所持者に対する責任の存否又は関連性の有無という問題」とは,大蔵省により類型化された円系通貨の発行に関連する責任を日本政府が負担する必要があるかという問題である。 ④ 「国内補償問題」とは,請求権協定の締結によって,我が国が日本国民の在外私有財産を放棄する場合にも憲法29条に定める補償を行わなければならないか否かという問題である。 ⑤ 「日銀券焼 題」とは,請求権協定の締結によって,我が国が日本国民の在外私有財産を放棄する場合にも憲法29条に定める補償を行わなければならないか否かという問題である。 ⑤ 「日銀券焼却問題」とは,戦前,朝鮮においては日本銀行券(日銀券)が流通していたところ,戦後の米軍占領下において,韓国内にあった日銀券が回収され,昭和21年(1946年)4月及び昭和22年(1947年)1月の2回にわたって焼却されたことから,日本銀行が焼却された日銀券の原所有者に対し補償する責任を負うか否かについて,日本政府部内で議論された問題のことである。 (乙A212)⑥ 日本と韓国は,サンフランシスコ平和条約の4条(c)の規定(日本国とこの条約に従って日本国の支配から除かれる領域とを結ぶ日本所有の海底電線は,二等分され,日本国は,日本の終点施設及びこれに連なる電線の半分を保有し,分離される領域は,残りの電線及びその終点施設を保有する。)に基づき,日韓間の海底ケーブル(電線)が日韓間で二等分されることになり,具体的な分割点についての技術的細目を別途の取極めにより確定することとなった。 そこで,日本と韓国は,昭和40年(1965年)以降,当該取極めに向けた非公式な協議を行ったが,昭和43年の時点において,分割点の決め方について依然として日韓間で認識の隔たりがあった。 「日本の在外財産の一部をなす海底電線」とは,韓国との間で上記のとおり協議された海底電線である。 (乙A369)⑦ 「在外本店会社の在日財産の帰属問題」とは,韓国に本店を設置していた法人の在日財産の帰属をめぐり,韓国側が同財産の引渡しを要求したことに端を発する問題のことである。 ⑧ 日 「在外本店会社の在日財産の帰属問題」とは,韓国に本店を設置していた法人の在日財産の帰属をめぐり,韓国側が同財産の引渡しを要求したことに端を発する問題のことである。 ⑧ 日本政府は,昭和26年(1951年)9月に署名されたサンフランシスコ平和条約の規定により,請求権問題の処理につき日韓間で取り決めるに当たって,昭和39年(1964年)4月,外務省において,38度線及び休戦ライン付近に存在する日本の在外財産(具体的には,北緯38度以北で,かつ,朝鮮戦争後の休戦ライン以南であるいわゆる「三角地帯」と呼ばれる地域に存在していた日本の財産)の処理について検討した。 b 漁業権問題(a) 日韓会談においては,日本海における日韓間の漁業管轄権(一般的には,自国が漁業に関して排他的管轄権を行使することができる水域を意味する漁業専管水域)をめぐる問題が議論され,日韓基本条約とともに締結された漁業協定1条1項に,「それぞれの締約国が自国の沿岸の基線から測定して十二海里までの水域を自国が漁業に関して排他的管轄権を行使する水域(以下「漁業に関する水域」という。)として設定する権利を有することを相互に認める。」との規定が盛り込まれた。 その後,日本政府は,平成8年(1996年)に批准した国連海洋法条約の趣旨を踏まえ,沿岸国が自国の排他的経済水域(EEZ)において,海洋生物資源の管理や新たな漁業秩序を確立するため,平成11年(1999年),韓国政府との間で「漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定(新漁業協定)」を締結した。同協定においては,相互入会い(2条ないし6条),漁業暫定水域の設定(8条から10条まで及び附属書Ⅰ),日韓漁業共同委員会の設置(12条)等の事項が定められている。 (新漁業協定)」を締結した。同協定においては,相互入会い(2条ないし6条),漁業暫定水域の設定(8条から10条まで及び附属書Ⅰ),日韓漁業共同委員会の設置(12条)等の事項が定められている。 (b) 日韓会談においては,日韓漁業借款問題(日韓間の漁業の借款に係る問題)も議論され,日本政府は,日韓経済協力の一環として, 韓国政府の要望に応じて両国間の漁業協力を積極的に推進するという観点から,請求権協定に関する交換公文において,「1 三億合衆国ドル(三〇〇,〇〇〇,〇〇〇ドル)の額を超える商業上の基礎による通常の民間信用供与が,日本国の国民により締結されることがある適当な契約に基づいて,大韓民国の政府又は国民に対し行なわれることが期待され,これらの信用供与は関係法令の範囲内で容易にされ,かつ,促進されるものとする。」と規定した上で,「21の供与には,九千万合衆国ドル(九〇,〇〇〇,〇〇〇ドル)の額に達することが期待される漁業協力のための民間信用供与及び三千万合衆国ドル(三〇,〇〇〇,〇〇〇ドル)の額に達することが期待される船舶輸出のための民間信用供与が含まれ,これらの信用供与が日本国政府により承認されるに当たっては,できる限り好意的に配慮されるものとする。」と規定した。 (c) 日本政府は,第一次日韓会談が開催された昭和27年(1952年)当時,公海上で操業していた日本漁船が韓国政府官憲等に拿捕され,日本漁船船員が韓国政府に抑留されるという事案が多発したことから,政府部内において日本漁船の警備態勢等の対策を議論し,また,その後の日韓会談においても,このような事案の多発を憂慮し,日本漁船船員抑留問題(在韓抑留漁夫問題)を人道上の問題として早急に解決する方針の下,韓国政府と交渉を進め,その結果,韓 を議論し,また,その後の日韓会談においても,このような事案の多発を憂慮し,日本漁船船員抑留問題(在韓抑留漁夫問題)を人道上の問題として早急に解決する方針の下,韓国政府と交渉を進め,その結果,韓国政府に抑留された日本漁船船員と長崎県大村市に所在した外国人収容所(大村収容所)に収容された韓国人刑余者とを相互に釈放することで韓国政府と合意し,昭和32年(1957年)12月,藤山外務大臣と在京韓国代表部Z222大使との間で,相互釈放及び全面会談再開に関する取極文書が調印された(当該取極文書には,日本政府は,第二次世界大戦の終了前から我が国に引き続き居住し ている韓国人で,大村収容所に収容されている者を釈放し,韓国政府は在韓抑留日本人漁夫を送還し,かつ第二次世界大戦後の韓国人不法入国者の送還を受け入れる旨の了解覚書が含まれていた。)。 そこで,日本政府は,当該了解覚書に基づき,韓国政府との間で,韓国に抑留された日本漁船船員と大村収容所に収容された韓国人刑余者との相互釈放を実施する計画に関する協議が行われた上,昭和33年(1958年)2月,在日韓人刑余者474名全員の国内釈放を完了し,韓国側は,同年5月,取極めの対象となっていた日本人漁夫922名全員の釈放送還を完了した。 なお,その後も,昭和34年(1959年)には,合計10隻,乗組漁夫は101名が拿捕されたとされ,同年7月,在日韓国代表部Z227大使は,藤山外務大臣を来訪し,日韓全面会談をできるだけ速やかに無条件再開したいという韓国政府の提案を伝えるとともに,併せて釜山に収容されている日本人漁夫と大村収容所にいる不法入国韓人との「相互送還」をこの際できるだけ速やかに実施することとしたい旨を口頭で申し出た。 c 文化財問題 もに,併せて釜山に収容されている日本人漁夫と大村収容所にいる不法入国韓人との「相互送還」をこの際できるだけ速やかに実施することとしたい旨を口頭で申し出た。 c 文化財問題(a) 文化財問題の概要とその交渉経緯① 韓国側は,昭和26年(1951年)末の日韓予備会談の際から日本に所在する朝鮮文化財(古書籍,美術骨董品,考古学資料)の返還に関心を有しており,第一次日韓会談以来,日本に返還を要求する品目を提示し(特に,昭和28年(1953年)5月には「日本所在韓国国宝美術工芸品目録」と題する書面を提示した。),第六次日韓会談においては,昭和37年(1962年)2月28日,「返還請求韓国文化財目録」を改めて提示するなどした。 これに対し,日本政府及び日本政府関係者(日本側)は,日本に所在する韓国関係の文化財は違法不当な手段により入手されたものと立証し難い等として,これを返還する義務はないことを主張し,請求権問題とは全く別個の観点から,文化交流の一環としてある程度の国有文化財を寄贈するという意思を表明し(なお,昭和32年(1957年)12月30日には,日本政府として日韓交渉を円滑に行うため,「なるべく早い時期に,日本政府は,現在その所有に係る韓国美術品で直ちに引き渡すことが可能なものを韓国に渡すこととしたく,その他の韓国美術品の後日の引渡しについては,全面会談において討議及び処理することとする」旨の閣議決定も行っていた。),昭和37年(1962年)12月26日の日韓予備交渉第21回会合において,「日韓間の文化上の協力に関する議定書要綱案」を提示し,その中で「この議定書の効力発生後,できる限りすみやかに,付属書に掲げる日本国政府所有の文化財を大韓民国政府に対し寄贈す 第21回会合において,「日韓間の文化上の協力に関する議定書要綱案」を提示し,その中で「この議定書の効力発生後,できる限りすみやかに,付属書に掲げる日本国政府所有の文化財を大韓民国政府に対し寄贈するものとする」としたが,具体的にどの品目を引き渡すかを明らかにしなかった。 なお,昭和33年(1958年)4月16日,日本は,上記の昭和32年12月30日付け閣議決定に基づくものとして,韓国に対し,東京国立博物館所蔵の慶尚南道昌寧郡昌寧面校洞出土の文化財106点を引き渡した。 ② 日韓両政府は,昭和40年(1965年)4月3日,「日韓間の請求権問題解決及び経済協力に関する合意事項」に署名し,その中で要旨「日韓間の文化財問題の解決及び文化協力の増進に関連し,品目その他に付き協議の上,日本より韓国に対し,韓国文化財を引き渡す」とされた。 ③ 昭和40年(1965年)4月24日,第七次日韓会談におけ る文化財委員会第1回会合において,韓国側は,昭和37年2月28日に提示した「返還請求韓国文化財目録」につき,改訂意見を提出する意思のないことを表明したのに対し,昭和40年(1965年)4月28日の第2回会合において,日本側は,次回に引渡文化財品目案を提出することを約束した(なお,その後同年5月17日に開催された文化財専門家会合において,日本側は,引渡文化財品目のリストにつき,韓国側提出のリストのうち東京博物館所蔵のものについては,戦前の台帳に基づいていることから今の名称に改める作業を要するなどと説明したのに対し,韓国側は,引渡品目は量より質を,瓦や土器より金属製品を希望し,また,Z2コレクション(Z2所蔵品)のものは欲しいと述べ,更にZ228文庫の書籍,Z3所蔵品,Z4所蔵品,Z229の したのに対し,韓国側は,引渡品目は量より質を,瓦や土器より金属製品を希望し,また,Z2コレクション(Z2所蔵品)のものは欲しいと述べ,更にZ228文庫の書籍,Z3所蔵品,Z4所蔵品,Z229の石仏,石塔,多宝塔の獅子等についての調査成果を求めた。)。 そして,同年6月11日の第3回会合において,日本側は,韓国側に対し,陶磁器(伊藤博文高麗陶磁器103点のうち27点),考古資料(1括1連を1点として291点),石造美術品3,図書163部852冊(統監府蔵書11部90冊,Z230献上本152部762冊)及び逓信関係品目35点につき具体的な品名を明らかにした「日韓間の文化協力に関する議定書付属書」を手交し,韓国側は,これを持ち帰って検討することとなった。 ④ ところが,昭和40年(1965年)6月12日,韓国側は,日本側に対し,上記引渡文化財品目案を不満として抗議し,<ア>δ塚出土品,ε×番地古墳出土品,ζ×古墳出土品,伊藤博文搬出の高麗陶磁器全部のほか,<イ>Z2所蔵品,<ウ>日本に搬出された古典籍のマイクロフィルム等の引渡しに加え,<エ>η発掘の出 土品及びZ4・Z3所蔵品,石造美術品,Z229仏像,石塔,多宝塔石獅子,Z228典籍,書画,仏像をも要望し,さらに,「朝鮮総督府によって搬出されたもの,特に先に日本側が引渡しを約束したδ塚出土品を除外したことは文化財一切をもらえないのと同じである。θ出土や高麗時代墳墓出土のものは出土経緯等不明であり,学術的価値が低い。東洋館に陳列することを理由とするのは,納得されない。日本には立派な高麗焼きが多く残っているのだから,伊藤博文高麗陶器は全部欲しい。議定書の中に『私有のものでも政府が管掌して出させることを努力する』旨記入し,その摘要としてリス るのは,納得されない。日本には立派な高麗焼きが多く残っているのだから,伊藤博文高麗陶器は全部欲しい。議定書の中に『私有のものでも政府が管掌して出させることを努力する』旨記入し,その摘要としてリストに私有のものを入れてほしい」と述べた。 そして,同月15日の第4回会合において,韓国側は,「日本案に記載された引渡品目には当然に含まれなければならない,また,これまで韓国側が要望してきた重要品目が引かれていることは遺憾に耐えないものであり,この点日本側の再検討を強く要望する」旨を述べた。 また,同月16日の第5回会合において,日本側は,引渡品目録について説明し,韓国にあって日本にないものを最小限度残したこと,特に目前に開館が迫っている東洋館に韓国に由来する優秀なものを入れることにした結果であることを説明したが,韓国側は,「日本案に記載された引渡品目には当然に含まれなければならない,また,これまで韓国側が要望してきた重要品目が引かれていることは遺憾に耐えないものであり,この点日本側の再検討を強く要望する」旨を述べ,上記と同様の要望を繰り返すなどした。 ⑤ 昭和40年(1965年)6月17日,日韓両政府は,Z5ホ テルで文化財引渡品目についての交渉を行ったが,韓国側の強い要望が繰り返されるなどし,Z231アジア局長が出て新しい展開を計った結果,ε・ζの出土品全部,伊藤博文陶磁器は日本側に6点を残してその余の全部97点,ι所在墳墓その他遺跡から出土したものは6点を日本側に残してその余の全部を韓国側に引き渡すことになり,その代わりにδ塚出土品は日本側に残すこととなった。 その際,日本側は,韓国側から要望されていた日本に伝来の韓国本のマイクロフィルムを引き渡すこ 部を韓国側に引き渡すことになり,その代わりにδ塚出土品は日本側に残すこととなった。 その際,日本側は,韓国側から要望されていた日本に伝来の韓国本のマイクロフィルムを引き渡すことを考慮している旨を伝え,同月19日,韓国側に対し,宮内庁書陵部及び内閣文庫にある書籍243部2319冊を選んだリストを提示し,文化協力協定とは別に日本側が韓国側にマイクロフィルムを贈与することになった。 ⑥ 日韓両政府は,以上の引渡品目に関する交渉と並行して協定案に関する交渉も行い,具体的には,昭和40年(1965年)6月15日,日本側は,韓国側に「文化上の協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」案を手交したところ,同日の第4回会合において,韓国側から「大韓民国と日本国間の文化財問題解決及び文化協力に関する議定書要綱案」(韓国語及び日本語訳文)を手交されたことから,同月17日,上記韓国側の要綱案を修正して「日本国と大韓民国との間の文化協定(案)」を作成し,これを韓国側に提示して韓国側と交渉し,また,私有文化財の引渡しに関する点についても韓国側と交渉を行い,いずれの点についても同月19日までに合意に至った。 (以上につき,乙A37,A108,A123,A254,A298)(b) 文化協力協定の締結とこれに基づく文化財の引渡し等 日本政府は,昭和40年(1965年)6月22日,文化協力協定を締結して文化協力協定附属書記載の一部の文化財を韓国政府に引き渡すことを合意し,その後,文化協力協定に基づく当該文化財の引渡しを全て完了した。 日韓政府は,文化協力協定の締結に際し,上記(a)のとおり私有の文化財についても議論したところ,当該議論を踏まえて合意された議事録に「韓 基づく当該文化財の引渡しを全て完了した。 日韓政府は,文化協力協定の締結に際し,上記(a)のとおり私有の文化財についても議論したところ,当該議論を踏まえて合意された議事録に「韓国側代表は,日本国民の私有の韓国に由来する文化財が韓国側に寄贈されることになることを希望する旨を述べた。日本側代表は,日本国民がその所有するこれらの文化財を自発的に韓国側に寄贈することは日韓両国間の文化協力の増進に寄与することにもなるので,政府としてはこれを勧奨するものであると述べた。」と記録された。 (c) 文化協力協定締結後の事情韓国においては,文化協力協定の締結後も,日本に所在する朝鮮半島由来の文化財に対する関心が高かったところ,日本は,平成22年8月,菅直人内閣総理大臣談話として,未来志向の日韓関係を強化する観点から,朝鮮半島由来の図書の引渡しを行う旨を発表し,同年11月,当該談話に基づき日韓図書協定に署名し,平成23年6月,日韓図書協定が発効した。 韓国国内においては,日韓図書協定を契機として,文化財問題についての関心が高まっており,様々な議論がされているが,日本国内に存在する朝鮮半島由来の文化財の種類・数量については意見が分かれている。 (乙A385~A408)d 在日韓国人の法的地位に関する問題(a) 「在日韓国人の法的地位問題」は,多年にわたり日本に居住して いる韓国国民(在日韓国人)が日本の社会と特別な関係を有するに至っていることを考慮し,在日韓国人が日本の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにするため,「在日韓国人の法的地位に関する委員会」において協議されていた問題である(この在日韓国人の法的地位に関する委員会では,永住 韓国人が日本の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにするため,「在日韓国人の法的地位に関する委員会」において協議されていた問題である(この在日韓国人の法的地位に関する委員会では,永住権を付与する者の範囲,永住目的で韓国に帰還する者の持ち帰り財産の問題等,法的地位問題全般にわたって討議が行われた。)。 日韓会談においては,第4次会談以降,「在日韓国人の法的地位に関する委員会」が設置され,「在日韓国人の法的地位に関する問題」について議論され,日本政府は,昭和40年(1965年)6月,韓国政府との国交正常化交渉に伴い,在日韓国人が日本の社会と特別な関係を有するに至っていることを考慮し,在日韓国人が日本の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにするため,韓国政府との間で,「在日韓国人の法的地位及び待遇に関する日韓協定」を締結した。 上記協定に基づき,昭和63年以降,日韓両国政府間で協議が重ねられ,平成3年1月,日韓両国外相は,「在日韓国人の法的地位及び待遇に関する方針を定めた覚書」に署名した。 上記覚書の実施状況を確認するため,平成3年以降ほぼ毎年,日韓両国の外交当局間(局長レベル)において,在日韓国人の地位に関する協議が実施されている。 (b) 「国籍処遇問題」は,「在日韓国人の法的地位問題」に関連する問題であって日韓間における懸案の一つであり,昭和27年(1952年)2月に開催された第一次日韓会談において議題として提起された。 昭和28年(1953年)4月の第二次日韓会談開催に先立ち, 日本側政府部内での打合せにおいて,国籍処遇問題について意見交換が行われ,韓国系と北朝鮮系からなる在日朝鮮人の国籍について,韓国籍の付与, (1953年)4月の第二次日韓会談開催に先立ち, 日本側政府部内での打合せにおいて,国籍処遇問題について意見交換が行われ,韓国系と北朝鮮系からなる在日朝鮮人の国籍について,韓国籍の付与,北朝鮮籍の付与又は我が国への帰化の選択肢等につき議論が交わされた。 (c) 日本政府は,韓国に帰国を希望する在日韓国人が韓国に定住することを促進するため,日本政府が韓国政府に援助を行うことを提案すること(韓国への帰還を希望している在日韓国人等に対する財政支援等補償問題)についても政府部内で議論しており,昭和34年(1959年)9月から10月にかけて,韓国政府の要求を踏まえ,米国政府との間で,韓国への帰還を希望している在日韓国人に一定額の財政支援を行うことについて,具体的な金額を挙げて協議を行った。 (乙A143)(ウ) 日韓間で交渉中の排他的経済水域の境界確定日韓間においては,かねてから排他的経済水域(EEZ)の境界画定がされていなかったことなどから,日本政府は,国連海洋法条約締結のための作業を進める中,平成8年3月に開催された日韓首脳会談の際,両国首脳間において領有権問題と切り離してEEZの境界画定を促進することで一致し,現在に至るまで11回の交渉が行われた。 イ日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間の国交正常化交渉等(ア) 北朝鮮帰還問題北朝鮮帰還問題とは,在日朝鮮人の北朝鮮への帰還に関する日本政府の対応に関する問題であり,朝鮮戦争休戦協定が成立した昭和28年(1953年)前後から,一部在日朝鮮人から北朝鮮への帰還の要望が聞かれるようになり,その後,昭和33年(1958年)にかけてZ6を中心に集団帰国運動が台頭する中,同年2月,日本政府は,閣議で, 953年)前後から,一部在日朝鮮人から北朝鮮への帰還の要望が聞かれるようになり,その後,昭和33年(1958年)にかけてZ6を中心に集団帰国運動が台頭する中,同年2月,日本政府は,閣議で, 在日朝鮮人の北朝鮮帰還問題が専ら基本的人権に基づく居住地選択の自由という国際通念に従って処理されるべきものであるという原則を確認し,これを受け,昭和34年(1959年)8月,北朝鮮に帰還する希望を有する朝鮮人を大量かつ短期に帰還させるための臨時措置として,日朝両赤十字代表において,「日本赤十字社と朝鮮民主主義人民共和国赤十字会との間における在日朝鮮人の帰還に関する協定」を調印した。 同年12月,当該協定に基づいて,帰還第1船が出港し,同年末までに前後3回にわたって帰還が実施された。なお,当該協定は,昭和42年(1967年)11月まで存続した。 (イ) 日朝平壌宣言日本は,北朝鮮との間で,平成3年(1991年),日朝国交正常化交渉本会談を開始したが,平成14年(2002年)9月17日には,日朝平壌宣言(これには,日本及び北朝鮮は,①この宣言に示された精神及び基本原則に従い,国交正常化を早期に実現するため,平成14年(2002年)10月中に日朝国交正常化交渉を再開すること,②国交正常化交渉において,日本側が北朝鮮側に行う経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議すること,③国交正常化を実現するに当たっては,昭和20年(1945年)8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民の全ての財産及び財産権を相互に放棄するとの基本原則に従い,国交正常化交渉においてこれを具体的に協議すること,④在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については,国交正常化交渉において誠実に協議すること,⑤核問題及びミサイル問 るとの基本原則に従い,国交正常化交渉においてこれを具体的に協議すること,④在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については,国交正常化交渉において誠実に協議すること,⑤核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し,関係諸国間の対話を促進し,問題解決を図ることの必要性を確認するとともに,安全保障に関わる問題について協議を行っていくこと等が規定されている。)を行った。 (乙A15) ウ日米関係(ア) 小笠原諸島問題小笠原諸島の島民は,第二次世界大戦中,内地疎開を命じられ,軍属として小笠原諸島に残留した島民も,第二次世界大戦終戦後,米軍によって小笠原諸島から引き揚げさせられた。その後,昭和21年(1946年)に,欧米人系を祖先とする一部の島民は,小笠原諸島に帰島することが許されたが,それ以外の旧島民は,小笠原諸島が昭和27年(1952年)4月のサンフランシスコ平和条約の発効後米国海軍の管轄下にあったため,安全保障上の必要を理由として帰島を許されなかった(この小笠原諸島の島民の帰島に係る問題が小笠原帰島問題である。)。 小笠原諸島旧住民に対する補償問題とは,疎開を命じられた旧小笠原諸島島民に対する補償に係る問題であり,日米交渉(昭和31年(1956年)3月のダレス米国国務長官の来日,昭和32年(1957年)12月の藤山外務大臣とZ232駐日米国大使との会談を含む。)の結果,昭和36年(1961年),旧島民の請求権の解決として,米国側より600万ドルが支払われ,小笠原諸島は,昭和43年(1968年)6月に米国から日本に返還された。 (イ) 沖縄軍用基地問題沖縄軍用基地問題とは,サンフランシスコ平和条約発効後における沖縄の米軍軍用地の新たな使用 昭和43年(1968年)6月に米国から日本に返還された。 (イ) 沖縄軍用基地問題沖縄軍用基地問題とは,サンフランシスコ平和条約発効後における沖縄の米軍軍用地の新たな使用権原をめぐる問題であり,昭和20年(1945年)8月から昭和27年(1952年)4月のサンフランシスコ平和条約の発効後も米軍の占領下に置かれた沖縄においては,民有地の米軍軍用地への接収のほか,接収した土地の対価の支払方法等が問題となり,昭和32年(1957年)6月の岸信介内閣総理大臣(岸総理)の訪米,同年12月の藤山外務大臣とZ232駐日米国大使との会談,昭和33年(1958年)3月のZ233米国国務次官補の訪日,同年 6月から7月にかけての沖縄軍用地問題に関する日米間協議が行われたほか,沖縄から代表団が訪米するなど,米国との間で協議が行われており,現在もなお日米間における懸案事項になっている。 エ日ソ(現在の日ロ)関係北方領土問題とは,先の大戦末期の昭和20年(1945年)8月9日,ソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)が,当時まだ有効であった大日本帝国及ソヴィエト社会主義共和国連邦間中立条約に違反して対日参戦し,今日に至るまでソ連及びロシア連邦(ロシア)による北方四島の不法占拠が続いている問題である。 現在,日本政府は,北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的方針に基づいて,ロシア政府との間で交渉を行っている。 2 争点(1) 本件各処分の適法性について(本案の争点)ア情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び主張立証責任の所在等イ本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分の不開示情報該当性(2) 本件義務付けの訴えの適法性について ア情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び主張立証責任の所在等イ本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分の不開示情報該当性(2) 本件義務付けの訴えの適法性について(本案前の争点)(3) 本件義務付け請求に係る請求認容(本案)要件(行政事件訴訟法37条の3第5項)該当性について(本案の争点) 3 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)ア(情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び主張立証責任の所在等)について(被告の主張の要旨)ア情報公開法5条3号該当性について(ア) 情報公開法5条3号は,不開示情報として「公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわ れるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(国の安全等に関する情報)を規定している。 これは,我が国の安全,他国との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保することが国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これらの利益を十分に保護する必要があることから定められたものであり,① 要綱案の段階においては「開示することにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある情報」という表現が用いられていたが,このような情報については,その性質上,開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴い,また,対外関係上の将来予測としての専門的・技術的判断を要するといった特殊性があり,諸外国においても他の情報と異なる特別の な情報については,その性質上,開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴い,また,対外関係上の将来予測としての専門的・技術的判断を要するといった特殊性があり,諸外国においても他の情報と異なる特別の考慮が払われている場合が少なくないし,上記の文言による表現では,行政機関の長の裁量を尊重する趣旨であるかが必ずしも明らかでないという疑義が生じたことから,上記規定のとおりの文言に改められたこと,② 同号の規定が同条1号,2号,5号及び6号とは異なる文言で規定されたこと,③ 以上の点についての国会における審議内容(特に,平成10年5月27日第142回国会衆議院内閣委員会〔第10号7ページ〕Z7参考人,同月15日第142回国会衆議院内閣委員会〔第9号10ページ〕Z8総務庁行政管理局長,平成11年3月11日第145回国会参議院総務委員会(甲102)Z8総務庁行政管理局長)等に照らすと,同条は,不開示情報の開示禁止を規定したものであり,同条3号に定める国の安全等に関する情報の該当性の判断には,行政機関の長に広範な裁量権が付与されていると解すべきである。 そうすると,同号該当性の司法審査においては,裁判所は,同号に規定する情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうか,すなわち,行政機関の長が当該処分を行うにつき裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認められるかどうかを判断するという審査方法によるべきであり,同号該当性については,不開示決定の取消しを請求する原告らにおいて,上記のような裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証しなければならないと解すべきである。 (イ) また,情報公開法が開示請求権 消しを請求する原告らにおいて,上記のような裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証しなければならないと解すべきである。 (イ) また,情報公開法が開示請求権の主体を「何人も」と規定していること(3条)等に照らすと,行政機関の長としては,情報公開法5条各号所定の「おそれ」が生じるか否かを判断するため,ある行政文書を開示した場合に生じ得る支障につき,あらゆる事態を想定し,あらゆる角度から検討を加えることは当然であるから,ある情報を公にすると支障が生じるかどうか,いかなる支障が生じるかの判断は,当該情報が不特定者に開示され,利用されることを想定した一般的なものとならざるを得ない。 情報公開法5条は,① その文理上,不開示情報該当性の判断要素として,「行政事務の種類等の事項的要素」及び「開示することによる支障を個別具体的に判断するための定性的要素」を組み合わせることを基本としており,原告ら指摘に係る時間的要素を考慮要素に含めておらず,また,同条の立法過程において一定年数後は開示するという規定を設ける必要もないし適切でもないとされたことのほか,<ア>外務省が平成13年4月に制定し,平成18年3月に改正した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示決定等に関する審査基準」(外務省情報公開法審査基準)は,20年を経過した公文書を歴史的文書とみな して原則として自動的に公開の対象とする旨の規定を有していない上,そもそも行政庁内部の準則にすぎず,また,<イ>外務省が制定した「外交記録公開に関する規則」も,保存期間を満了した行政文書を外交史料館に移管するに当たっての手続を定めたものにすぎないから,いずれも同条各号の解釈に影響を与えるものではないことを併せ考慮すれば,同条3号の 公開に関する規則」も,保存期間を満了した行政文書を外交史料館に移管するに当たっての手続を定めたものにすぎないから,いずれも同条各号の解釈に影響を与えるものではないことを併せ考慮すれば,同条3号の該当性の判断に当たり,長時間が経過した文書であることを考慮することは,同条の文理及び立法趣旨に反するというべきであり,②開示請求に対して行政機関の長が採るべき措置を定めた情報公開法9条の文理も併せ考慮すれば,被告において,長期間の時間を経てもなお現在及び将来の外交上の信頼関係を損ない又は外交事務に支障を与えると判断した理由を主張立証する必要はないというべきである。 イ情報公開法5条4号該当性について(ア) 情報公開法5条4号は,不開示情報として「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(公共安全秩序維持情報)を規定している。 これは,同条3号所定の情報と同様,公共の安全と秩序を維持することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,刑事法の執行を中心とした公共の安全と秩序の維持という利益を十分に保護する必要があることから定められたものである。 そうすると,同条4号該当性の司法審査においては,上記アと同様,同号に規定する情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるか否かについて審理・判断するのが適当であり,同号該当性については,同号の該当性を否定する原告らが,上記のような裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証する責任を負う とい 審理・判断するのが適当であり,同号該当性については,同号の該当性を否定する原告らが,上記のような裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証する責任を負う というべきである。 (イ) 情報公開法5条4号の該当性の判断に当たり,ある情報を公にすると支障が生じるかどうか,いかなる支障が生じるかの判断は,当該情報が不特定者に開示され,利用されることを想定した一般的なものとならざるを得ないこと及び長時間が経過した文書であることを考慮することが同条の文理及び立法趣旨に反することは,同条3号の場合と同様である(前記ア(イ)参照)。 ウ情報公開法5条6号該当性について(ア) 情報公開法5条6号は,不開示情報として「国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」(事務事業情報)を規定し,「次に掲げるおそれ」として「監査,検査,取締り,試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれ」(同号イ),「契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,国,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(同号ロ),「調査研究に係る事務に関し,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(同号ハ),「人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(同号ニ),「国若しくは地方公共団体が経営する企業,独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る 阻害するおそれ」(同号ハ),「人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(同号ニ),「国若しくは地方公共団体が経営する企業,独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を害するおそれ」(同号ホ)を規定している。 これは,国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業は広範かつ多種多様であり,公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそ れがある事務又は事業の情報を事項的に全て列挙することは技術的に困難であり,実益も乏しいため,各機関に共通して見られる事務又は事業に関する情報であって,公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが容易に想定されるものを例示的に掲げた上で(同号イからホまで),これらのおそれ以外については,「その他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」として包括的に規定したものである。 そして,情報公開法が開示請求権の主体を「何人も」と規定していること(3条)等に照らすと,行政機関の長としては,同法5条6号所定の「おそれ」が生じるか否かを判断するため,ある行政文書を開示した場合に生じ得る支障につき,あらゆる事態を想定し,あらゆる角度から検討を加えることは当然であるから,ある情報を公にすると支障が生じるかどうか,いかなる支障が生じるかの判断は,当該情報が不特定者に開示され,利用されることを想定した一般的なものとならざるを得ない。 以上を踏まえ,同号の該当性については,被告において,当該行政文書に情報が記録されていること,当該情報が同号所定の不開示情報に該当することを主張立証すれば足りるものと解される。 (イ) 開示請求に対して 同号の該当性については,被告において,当該行政文書に情報が記録されていること,当該情報が同号所定の不開示情報に該当することを主張立証すれば足りるものと解される。 (イ) 開示請求に対して行政機関の長が採るべき措置を定めた情報公開法9条の文理等に照らすと,被告において,不開示とされた情報が,開示された情報と比較して,どのような点で公共の安全又は秩序の維持及び事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかを具体的に特定すべきことは必要ないというべきである。 (原告らの主張の要旨)ア情報公開法5条の解釈について情報公開法は,5条本文から明らかなように,開示請求に係る行政文書の「原則開示,例外不開示」を基本理念としているところ,開示請求に係 る行政文書の全部又は一部を不開示とする理由があるか否かは,上記基本理念に照らし,「開示することにより得られる利益」と「不開示とすることにより得られる利益」とを比較衡量し,前者が大きければ開示し,後者が大きければ不開示とすべきであり,同条各号に規定する不開示情報は,その利益衡量のメルクマールとして着目すべき点を規定したものである。 そして,情報公開法が定める情報公開請求権は,憲法21条で国民に保障されている「知る権利」を具体的権利として保障したものであり,情報公開法の基本理念からしても,優越的価値を有することに照らすと,上記各利益の比較衡量においては,情報公開請求権を具体的に実現する方向に導く「開示することにより得られる利益」は,「不開示とすることにより得られる利益」に比べて優越することになる。 そこで,情報公開法5条各号所定の不開示情報の該当性については,その該当性を主張する被告において,「不開示とすることにより得られる利益」が「開示す れる利益」に比べて優越することになる。 そこで,情報公開法5条各号所定の不開示情報の該当性については,その該当性を主張する被告において,「不開示とすることにより得られる利益」が「開示することにより得られる利益」を上回ることを具体的かつ詳細な事実を主張し,具体的に立証しなければならないと解すべきである。 イ情報公開法5条3号該当性について(ア) ①情報公開法の成立過程(行政改革委員会行政情報公開部会において,諸外国及び地方公共団体の情報公開制度の運用状況や判例等の状況を調査し,行政機関や多数の関係団体等の幅広い意見聴取を経て策定され,行政改革委員会において,更に調査審議を行った結果,内閣総理大臣に対し「情報公開法制の確立に関する意見」(甲100)として意見具申された「情報公開法要綱案の考え方」(乙A378)及び「情報公開法要綱案」で指摘された見解,総務省が保有する「情報公開法案検討用素案からの変更点について」(甲101の4)及び「説明結果概要」(甲101の2)に残された情報公開法案(素案)をめぐっての総務省の立法担当官と内閣法制局担当官とのやりとりを含む。)にみられる開示・ 不開示の基本的枠組み,②情報公開法の条文の構造及び規定の仕方を踏まえれば,情報公開法5条各号所定の不開示情報には,その規定の表現に多少の差異があったとしても,公開の原則と非公開とすべき例外とを逆転するような意図は含まれていないから,同条各号の規定は,開示禁止規定ではなく,開示義務の免除規定にすぎないと解すべきであり,また,行政機関の長の判断について,特段の裁量権の行使を前提としたり,その裁量権の範囲を区別したりする目的はない(特に行政機関の長に広範な裁量権を与えるものでないことについては,「行政透明化チームとりまとめ」(甲 長の判断について,特段の裁量権の行使を前提としたり,その裁量権の範囲を区別したりする目的はない(特に行政機関の長に広範な裁量権を与えるものでないことについては,「行政透明化チームとりまとめ」(甲155)及びその前提となった「『情報公開制度の改正の方向性について』に関する論点整理(三訂版)」(甲158)中の意見や今般の情報公開法の改正内容等に照らして明らかである。)。また,原告らは,開示請求を拒否された行政文書を見ることができない以上,行政機関の長が不開示決定を行うにつき裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証することは,不可能を強いるに等しい。むしろ情報公開法によって情報公開請求権が認められている以上,一般論として,同法5条3号に関して行政機関の長の第一次な判断を尊重することとされているとしても,情報公開請求権者の開示請求を拒否するための同号の不開示情報に該当することの主張立証責任は,行政機関の長(被告)にあるというべきである。 そして,情報公開法5条3号該当性の司法審査においては,行政機関の長の第一次的な判断が合理性を有するかどうかを被告の具体的事実の主張立証に基づいて判断するべきであり,具体的には,行政機関の長において,まず,その前提とした事実関係及び判断の過程等,その判断に不合理な点のないことを相当の根拠に基づいて主張立証する必要があり,これを尽くさない場合には,行政機関の長のした判断が裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものであることが事実上推認されるというべきであ る。 (イ) 被告が行うべき上記(ア)の主張立証においては,不開示処分に係る行政文書に記録された情報が情報公開法5条3号所定の事項に関するものであることをその種類や内容を具体的に特定すべきであり,ま (イ) 被告が行うべき上記(ア)の主張立証においては,不開示処分に係る行政文書に記録された情報が情報公開法5条3号所定の事項に関するものであることをその種類や内容を具体的に特定すべきであり,また,同号の「おそれ」については,単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が求められるというべきであるから,当該情報を公にすることにより,どのような同号所定のおそれがあるかを具体的に示した上,それが深刻かつ確実なものであることを明らかにすべきである。 また,①国際文書館評議会(InternationalCouncilonArchives(ICA)。日本の国立公文書館も昭和47年(1972年)に加入している。)の第6回大会の決議・勧告・要望において言及されている「外交文書は,原則としてそれが発生してから30年以内に公開しよう」といういわゆるICA30年公開原則が公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告でも確認されていること,②外務省情報公開法審査基準は,時の経過及び社会情勢の変化を考慮する旨,すなわち,ICA30年公開原則を踏まえなければならないことを自ら定めていること,③日本の外交文書記録公開制度は,ICA30年公開原則を基礎として,戦後の我が国外交の足跡について国民の理解を求め,それを深めるという趣旨に基づき,原則として30年を経たものは一部の例外を除いて一般的に公開することとしていること等を踏まえると,情報公開法5条3号該当性の判断に当たっては,同号の「おそれ」又は「相当の理由」の解釈の際に,長期間の時間経過を当然にしんしゃくすべきであり,時の経過があってもなお不開示とすることにより得られる利益が開示することにより得られる利益を上回ることを基礎付ける事実を具体的に明らかにすべきである。 ウ 過を当然にしんしゃくすべきであり,時の経過があってもなお不開示とすることにより得られる利益が開示することにより得られる利益を上回ることを基礎付ける事実を具体的に明らかにすべきである。 ウ情報公開法5条4号該当性について (ア) 情報公開法5条4号の「公共の安全と秩序の維持」とは,既に終了した過去の公共の安全と秩序の維持ではなく,現在又は将来の公共の安全と秩序の維持を意味し,また,「支障を及ぼすおそれ」は,その有無を客観的に判断するため,具体的に特定されなければならない。 (イ) 情報公開法5条4号該当性については,同条3号該当性で述べたところと同様の理由から,一般論として,同条4号に関して行政機関の長の第一次な判断を尊重することとされているとしても,情報公開請求権者の開示請求を拒否するための同号の不開示情報に該当することの主張立証責任は,行政機関の長(被告)にあるというべきであり,その司法審査においても,行政機関の長の第一次的な判断が合理性を有するかどうかを被告の具体的事実の主張立証に基づいて判断されるべきであり,行政機関の長において,まず,その前提とした事実関係及び判断の過程等,その判断に不合理な点のないことを相当の根拠に基づいて主張立証する必要があり,これを尽くさない場合には,行政機関の長のした判断が裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものであることが事実上推認されるというべきである。 (ウ) 被告が行うべき上記(イ)の主張立証においては,不開示処分に係る行政文書に記録された情報が情報公開法5条4号所定の事項に関するものであることをその種類や内容を具体的に特定すべきであり,また,同号の「おそれ」については,単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が求められるというべきであ 条4号所定の事項に関するものであることをその種類や内容を具体的に特定すべきであり,また,同号の「おそれ」については,単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が求められるというべきであるから,当該情報を公にすることにより,どのような同号所定のおそれがあるかを具体的に示した上,それが深刻かつ確実なものであることを明らかにすべきである。 また,同号の該当性判断に当たっても,同条3号の場合と同様の理由から,「おそれ」又は「相当の理由」の解釈の際に,長期間の時間経過を当然にしんしゃくすべきであり,時の経過があってもなお不開示とす ることにより得られる利益が開示することにより得られる利益を上回ることを基礎付ける事実を具体的に明らかにすべきである。 そして,同号の「公共の安全と秩序の維持」とは,前記(ア)のとおり,現在又は将来の公共の安全と秩序の維持を意味するから,被告において,約半世紀前の情報がどのような意味で現在又は将来の公共の安全の維持に支障を及ぼすかという関連性を具体的に主張立証すべきである。 エ情報公開法5条6号該当性について情報公開法5条6号の①「当該事務又は事業の性質上」とは,当該事務又は事業の本質的な性格,具体的には,当該事務又は事業の目的,その目的達成のための手法等に照らして,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれを判断すべきとする趣旨であり,②「当該事務又は事業の適正な遂行」とは,既に終了した過去の当該事務又は事業の適正な遂行ではなく,現在又は将来の当該事務又は事業の適正な遂行を意味し,③「支障を及ぼすおそれ」は,行政機関の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく,各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり,また,当該事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に な遂行を意味し,③「支障を及ぼすおそれ」は,行政機関の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく,各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり,また,当該事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照らし,公益的な開示の必要性等の種々の利益を考慮した上での「当該事務又は事業の適正な遂行」といえるものである必要がある。また,「支障」は,名目的なものでは足りず,実質的なものであることが必要であり,「おそれ」の程度も,単なる確率的な可能性では足りず,法的保護に値する程度の蓋然性が必要であるから,「支障のおそれ」は,その有無を客観的に判断するため,具体的に特定されなければならない。 (2) 争点(1)イ(本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分の不開示情報該当性)について被告は,本件各文書がいずれも外務省が作成した韓国及び北朝鮮をめぐる外交問題に関係する文書であり,外交問題については,一般的に,外交交渉 を円滑に推進するため,いわゆる水面下での交渉や事前準備のための内部における多角的かつ多面的な分析,検討及び協議が実施されているのが通常であり,これらの交渉や協議等は秘密裡に進めなければ,外交交渉が成功しないことが多く,必然的に,これらの交渉や協議等の内容を記録した文書は外交機密を含む内容になるとした上,本件各処分の理由を7種類に分類し(なお,当初はこれを8種類に分類していたが,公文書に記録された情報が,個人の情報であって,特定の個人を識別することができるものであり,また,公にすることにより,外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,情報公開法5条1号,6号に該当するとの理由(不開示理由7)による不開示決定の取消しの訴えは,既に取り下げられたため,当該理由を除いている。),各種類ごとに不開示理由を次のとおり主 それがあるから,情報公開法5条1号,6号に該当するとの理由(不開示理由7)による不開示決定の取消しの訴えは,既に取り下げられたため,当該理由を除いている。),各種類ごとに不開示理由を次のとおり主張する。すなわち,本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分につき,① 韓国との間での交渉の様子や政府部内での検討の様子が子細に記されており,公にすることにより,今後想定される北朝鮮との交渉における我が国の立場を不利にするおそれがあるから,同条3号に該当する(不開示理由1),② 政府部内での検討の様子等が子細に記されており,公にすることにより,他国等との信頼関係を損ねるおそれがあるほか,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,同条3号,6号に該当する(不開示理由2),③ 現在においても日韓間で立場の異なる問題に関する交渉の様子や政府部内での検討の様子が子細に記されており,公にすることにより,我が国の今後の交渉上の立場を不利にするおそれがあるから,同条3号に該当する(不開示理由3),④公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,同条4号,6号に該当する(不開示理由4),⑤ 公表の慣行のない国の機関の連絡先であって,公にすることにより国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,同条6号に該当する(不開示理由5),⑥ 政府部内での検討の様子が子細に記されており,公にすることにより,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ,国の安全を害するおそれがあり,また,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,同条3号,4号,6号に該当する(不開示理由 害するおそれがあり,また,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,同条3号,4号,6号に該当する(不開示理由6),⑦ 公にする慣行のない個人の情報であり,また,公にすることにより,他国等との信頼関係が損なわれるおそれがあるから,同条1号,3号に該当する(不開示理由8)と主張する。 そこで,本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分につき,総論として,上記不開示理由ごとに,特に当該不開示理由に共通する事項又は複数の行政文書にまたがる事項についての当事者の主張の要旨を摘示した上,個々の行政文書ごとに固有の当事者の主張の要旨を摘示することとする。 ア総論(ア) 不開示理由1について(被告の主張の要旨)a 本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報は,日韓国交正常化交渉に関連し,文化財問題,法的地位問題,請求権問題等について行った韓国側との交渉の様子やその評価,政府内部での検討の様子,日本政府の具体的見解等を含むから,これを公にすれば,今後想定される北朝鮮との日朝国交正常化交渉等において,北朝鮮側に日本政府の立場の交渉上の戦術等の「手の内」を明かすことにつながり,日本政府の交渉上の立場を不利にする蓋然性が極めて高いというべきであり,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあり,情報公開法5条3号の不開示情報に該当する。 b 手の内論について(a) 北朝鮮は,サンフランシスコ平和条約の発効に伴い日本国から分離した地域であるという歴史的経緯及び法的地位において韓国と同 じであり,いまだ国交関係が樹立されていなかった日韓会談当時の日韓両国間に存在していた法律関係 平和条約の発効に伴い日本国から分離した地域であるという歴史的経緯及び法的地位において韓国と同 じであり,いまだ国交関係が樹立されていなかった日韓会談当時の日韓両国間に存在していた法律関係は,現在の日朝両国間における法律関係と極めて類似している。 実際,将来,日朝間で実施されることになる日朝国交正常化交渉において取り扱われる問題は,請求権問題,経済協力問題,在日朝鮮人問題及び文化財問題等であり,日韓国交正常化交渉に関係する問題とほとんど同一である。 そうであるとすれば,本件各文書に記録されている情報のうち,日韓国交正常化交渉の当時に日本政府部内で検討した事項及びその内容や収集した具体的なデータ並びに当時の韓国政府との外交交渉のやり取りの詳細な内容等が公になれば,北朝鮮側がその内容を知り得ることになり,今後の対北朝鮮外交において,日本政府が不利な立場に立つ蓋然性は高いことが明らかである。 (b) これに対し,原告らは,「半世紀以上も前」という時間的経過のみを理由として又は日韓会談当時と現在の日朝関係をめぐる国際情勢や日本政府の歴史認識とを比較するという独自の視点から,日韓会談当時に検討された内容は将来における日本政府の日朝正常化交渉等北朝鮮との外交関係に何の影響を及ぼさない旨主張する。 しかし,上記(a)のとおり,原告らの上記主張は,当時の日韓関係と現在の日朝関係との類似性を無視しており,また,日韓国交正常化交渉後の独自の視点に基づく状況の変化をもって,請求権問題に関する検討内容の「手の内」としての有効性が失われていると一面的に主張するものであり,合理的な理由に基づくものではない。 したがって,原告らの上記主張は,本件各処分のうち不開示理由1に る検討内容の「手の内」としての有効性が失われていると一面的に主張するものであり,合理的な理由に基づくものではない。 したがって,原告らの上記主張は,本件各処分のうち不開示理由1に係るものに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的な事実を主張立証したものとはいえないことは明ら かである。 c 韓国政府による日韓会談に関する文書の公開について本件各文書は,韓国政府が認識し得ない日本政府部内で検討,協議された資料等を含んでいるから,韓国政府によりその保有に係る日韓会談に関する文書が公開されているとしても,本件各文書の情報公開法5条3号の不開示情報該当性は否定されない。 d 日朝平壌宣言について請求権問題と経済協力問題は,いずれも,日本政府の予算が関係する問題であるという点で共通しており,今後の日朝国交正常化交渉において,日本政府が北朝鮮との間で個別具体的な事項について協議等を要することになる問題であるから,既に解決済みの問題などといえるものではない。 したがって,財産・請求権を相互放棄するとの日朝平壌宣言を前提としても,日朝間の経済協力問題に関する外交交渉においては,日本政府部内で検討した日韓会談当時における請求権問題についての試算及び検討内容が重要な資料となり得るのであり,北朝鮮にとっては,日朝国交正常化交渉において,日本政府に対し,経済協力資金等として要求する金額の「相場」を把握するための材料となる。 e 試算方法について外交交渉におけるこの種の試算に当たっては,種々様々な考慮要素を勘案した上,政治情勢や今後の両国間の関係等をも踏まえて行われるから,過去に,日本が e 試算方法について外交交渉におけるこの種の試算に当たっては,種々様々な考慮要素を勘案した上,政治情勢や今後の両国間の関係等をも踏まえて行われるから,過去に,日本がいずれの試算方法を韓国との間で検討したかが明らかとなれば,日本の外交当局が北朝鮮との関係で用い得る試算方法が限局されたものにならざるを得ず,日本の交渉材料はそれだけ失われ,ひいては国益を損なうことにすらなりかねない。 また,半世紀前の日韓国交正常化交渉当時の検討内容は,請求権問 題の歴史的な性格上,依然として重要な価値を持つことが明らかである。 f 請求権問題に係る金額等の交渉経緯と米国の影響について原告らは,請求権問題に係る金額等の交渉経緯に関する不開示部分について,米国の意向・影響力で決まった金額及び試算方法等であることを理由として情報公開法5条3号の不開示情報に該当しない旨を主張する。 しかし,上記事情は,これにより同号の不開示情報該当性が失われる根拠が明らかでなく,また,これは請求権問題の交渉過程における米国の意向・影響力に関する原告らの認識にすぎないから,当該不開示部分を不開示とした外務大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用を基礎付ける具体的事実にも当たらない。 g 在日韓国人問題について現在においても,日韓間においては在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協議が継続的に行われており,平成23年(2011年)6月には「第19回在日韓国人の法的地位及び待遇に関する日韓局長級協議」が開催され,特別永住者に当たる在日韓国人の待遇(外国人登録法関係の問題,地方公務員採用の問題,公立学校の教員採用の問題,教育問題等)について議論が行われた(乙A45 び待遇に関する日韓局長級協議」が開催され,特別永住者に当たる在日韓国人の待遇(外国人登録法関係の問題,地方公務員採用の問題,公立学校の教員採用の問題,教育問題等)について議論が行われた(乙A451)。 北朝鮮についても,同様に,平成14年(2002年)の日朝平壌宣言において,在日朝鮮人の地位に関する問題については,国交正常化交渉において誠実に協議することされている。 このように,在日韓国人を「特別永住者」として処遇することとされた現在においてもなお,日韓国交正常化交渉中に検討された在日韓国人の法的地位に関する日本政府の見解は,韓国側と協議を行う上でも,また,北朝鮮との国交正常化交渉において在日朝鮮人の地位を議 論する上でも,日本政府が方針を決定するに当たっての重要な前提となり得るから,これらの情報を公にすれば,日本政府が韓国及び北朝鮮と交渉するに当たって不利益を被るおそれがある。 (原告らの主張の要旨)a 情報公開法5条3号の「他国との交渉上不利益を被るおそれ」の有無を判断するに当たっては,①「交渉」の相手方が問題となっている会談の相手国又はそれ以外の第三国のいずれであるか,②問題となっている事項が,現在も交渉が継続している事項又は解決済みの事項のいずれであるかを区別すべきである。 これを本件各文書についてみると,北朝鮮との関係では,将来,日韓会談と類似の交渉が行われる可能性があるとしても,日韓会談とでは交渉の相手方及び交渉の行われる時期(時代)が異なるし,これまでの交渉経緯等も異なる以上,日本政府は,韓国との関係で示した評価又は分析等に縛られることなく,北朝鮮と自由に交渉することができるから,韓国との関係で韓国に伝達されていない事項を公にしたからといって の交渉経緯等も異なる以上,日本政府は,韓国との関係で示した評価又は分析等に縛られることなく,北朝鮮と自由に交渉することができるから,韓国との関係で韓国に伝達されていない事項を公にしたからといって,北朝鮮との交渉上の不利益を被るおそれがあるとはいえない。 b 手の内論について(a) 被告は,日韓国交正常化交渉当時の外交戦術や日韓会談の内容を北朝鮮側が知ることになれば,北朝鮮との交渉上日本政府が不利益を被る旨主張する。 (b) しかし,例えば,日韓会談において日本側が請求権問題に関して採った外交戦術は,韓国側の請求に対してその細目や裏付けとなる資料を要求したり日本側の財産返還請求権を対峙させたりすることによって韓国側を疲弊させ,一括の経済協力方式による解決に誘導していくといった手法であるところ,このような外交戦術は,日韓 会談当時においても,その後においても広く知られていた。 (c) また,外交交渉において,交渉時の国際政治状況や国際政治力学の影響が極めて大きいことは周知の事実であり,ある「手の内」も特定の国際政治状況や特定の国際政治力学の中では有効かもしれないが,それと大きく異なる国際政治状況や国際政治力学の中では無意味となる場合がある。 この観点から日韓国交正常化交渉と日朝国交正常化交渉を比較してみると,日朝国交正常化交渉は,平成3年(1991年)に開始されて冷戦後の国際政治構造の中で行われている(甲126〔33~35ページ〕参照)のに対し,日韓国交正常化交渉は,半世紀以上も前の東西冷戦の真っ直中で行われていたから,両者の間では外交関係及び国際政治状況が異なっている。 そうであれば,日韓国交正常化交渉に際して日本政府が検討した内容は, ,半世紀以上も前の東西冷戦の真っ直中で行われていたから,両者の間では外交関係及び国際政治状況が異なっている。 そうであれば,日韓国交正常化交渉に際して日本政府が検討した内容は,日朝国交正常化交渉においてそのまま用いられるものではなく,日本政府が日朝国交正常化交渉に当たりこれに拘束される理由もないから,被告において対北朝鮮に対する「手の内」と主張する不開示理由1に係る情報は,その程度のもの(無意味なもの)であるといわざるを得ない。 更にいえば,日韓会談後半世紀の間に日本の「歴史認識」及び植民地支配に関する考え方は大きく変化しているから,日朝国交正常化交渉は,「村山談話」並びに,それを踏襲した「日韓共同宣言」,「日朝平壌宣言」及び「菅談話」における「歴史認識」や植民地支配不当論に立脚して交渉が進められなければならず,このような観点からも日韓会談当時の検討内容は有効性を失っているというべきである。 (d) したがって,北朝鮮側が日韓会談における外交戦術やその内容を 知ったとしても,北朝鮮側に手の内を予測させることにはならず,被告の上記主張は余りにも誇張を重ねたものであるといわざるを得ない。 c 韓国政府による日韓会談に関する文書の公開について日韓会談の内容は,韓国側がその文書を全面公開することによって既に公にされており,現在においては,日本側が日韓国交正常化交渉において採った対応に関する情報の全ては,北朝鮮において入手可能である。 したがって,北朝鮮が当該情報を知り得ることは,情報公開法5条3号の不開示情報を基礎付ける事情にはならない。 d 日朝平壌宣言について日朝国交正常化交渉については,日朝平壌宣言(乙A 北朝鮮が当該情報を知り得ることは,情報公開法5条3号の不開示情報を基礎付ける事情にはならない。 d 日朝平壌宣言について日朝国交正常化交渉については,日朝平壌宣言(乙A15)において,日韓基本条約締結時とは異なる日本政府の歴史認識の表明が反映された上(日韓会談当時,日本政府は,旧植民地が国際法に基づき正当に取得され,日本の植民地統治が搾取政治でなく,各地域の経済的,社会的,文化的向上と近代化に貢献したという植民地正当化論を堅持したことから,日韓基本条約は,日本の植民地支配処理についての条文が設けられず,植民地支配についても一切言及されなかった。),財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い,経済協力の枠組みができている(甲126[33~35ページ],甲142[159~160ページ]参照)。さらには,日韓会談当時には発生していなかった核問題,拉致問題という解決困難な問題が存在しており,しかも日朝二国間のみで到底処理できる問題ではなく,六者協議の当事国も含めた多角的外交交渉を駆使して臨まなければならないものである(特に北朝鮮は,米国,中国の動向を気にしており,日朝国交正常化交渉は,米国,中国の動きを踏まえて取り組まなければならないこ とは明らかである)。 そうすると,日朝国交正常化交渉は,その進展を図る上で,日韓会談及び日韓基本条約の締結の際とは異なる状況を踏まえた交渉を行うことが必要であり,半世紀前における,請求権問題を中心とする日韓会談において検討された問題につき,解決に向けて日本政府部内で具体的に検討した内容や具体的なデータに基づく具体的数値,検討経過,検討結果,試算等は,ほとんど意味を失っているといわざるを得ない。 e 試算方法について本件 政府部内で具体的に検討した内容や具体的なデータに基づく具体的数値,検討経過,検討結果,試算等は,ほとんど意味を失っているといわざるを得ない。 e 試算方法について本件各文書中の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報のうち試算方法に係るものについては,当該試算方法が合理的なものであれば,これをもって堂々と交渉すればよいし,当該試算方法に合理性がなければ,日朝国交正常化交渉上有用でないから,結局,いずれにしても,北朝鮮がこれを知ることにより日朝国交正常化交渉において何らの支障はない。 f 請求権問題に係る金額等の交渉経緯と米国の影響について請求権問題に係る金額等の交渉経緯は,既に明らかにされているから(甲137[10~20ページ],甲145参照),北朝鮮において知り得るものである。 また,請求権問題については,いわゆるZ223・大平会談に至るまでに日韓の間で様々な金額等の交渉があったが,米国の意向・影響力が大きく反映されて,経済協力方式に基づく「無償供与3億ドル,有償援助2億ドル」の合意に至ったのであるから,日本側の金額及び試算方法等のみを「手の内」情報として不開示とする理由はないといわざるを得ない(また,そもそも日朝国交正常化交渉においては,「核問題」等の存在から,日韓会談のとき以上に米国の影響力は大きい。さらに中国の影響力も大きい。)。 g 在日韓国人問題について法的地位協定によって生じた問題は,その後の立法措置等によって解決されているから,本件各文書中の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報のうち在日朝鮮人の法的地位・処遇に係るものは,情報公開法5条3号の不開示情報に該当しない。 (イ) 不 解決されているから,本件各文書中の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報のうち在日朝鮮人の法的地位・処遇に係るものは,情報公開法5条3号の不開示情報に該当しない。 (イ) 不開示理由2について(被告の主張の要旨)a 本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分に記録されている情報は,日韓会談及びその準備段階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であり,政府の非公式見解,韓国側担当者に対しての率直な評価,第三国政府の情報や論評等,公開されることが想定されていない内容をも含むことから,これを公にすれば,現在良好な二国間関係を維持している韓国との間の信頼関係が損なわれ,かつ,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,情報公開法5条3号及び6号の不開示情報に該当する。 被告は,当該各情報の内容を可能な限り特定した上で,その開示に伴う弊害等を明らかにするなど,外務大臣がこれらの情報を不開示とした個別的かつ具体的理由を主張立証しているから,情報公開法5条3号の不開示情報該当性については,これを否定する原告らにおいて,外務大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したことを基礎付ける具体的な事実を主張立証する責任を負っているというべきである。 これに対し,原告らは,被告において,当該不開示部分を不開示とした判断を正当化する識別に関する情報を主張立証すべきであり,また,情報公開法5条3号の不開示情報該当性と同条6号の不開示情報 該当性を区別して個別に主張すべき旨を主張する。 しかし,情報公開法は,9条において,開示請求に対して行政機関の長が執るべき措置を規定しているが,原告ら主張の点を明らかに 報 該当性を区別して個別に主張すべき旨を主張する。 しかし,情報公開法は,9条において,開示請求に対して行政機関の長が執るべき措置を規定しているが,原告ら主張の点を明らかにすべきことは要求しておらず,また,5条においても,一つの情報が複数の不開示情報に該当することを予定していながら,そのような場合において当該不開示情報ごとに区別して不開示理由を明らかにすべき旨を規定していない。他に原告らの上記主張を基礎付ける法的根拠は見当たらない。 b 原告らは,文書作成後の時間の経過を考慮して情報公開法5条3号又は6号の不開示情報該当性を主張立証すべき旨を主張する。 しかし,そもそも情報公開法5条は,不開示情報該当性の判断要素として,原告らが指摘するような時間的要素は考慮要素に含めていないし,被告が不開示情報該当性として主張する他国との信頼関係を損なうおそれは,時間の経過によってその現在性が消滅又は減少するとは言い難く,原告らが主張する韓国及び関係国の政治体制の変化や日韓関係の変化は,原告ら独自の視点に基づくものであり,本件各文書のうち不開示理由2に係るものの不開示情報該当性を否定する根拠となるものではない。 c 原告らは,40年以上も前の外国の政府高官又は公務員が行った発言,評価,見解については,これらを不開示とするために日本政府関係者の発言,評価,見解に比較してより強い理由が必要である旨を主張する。 しかし,① 当該発言等が歴史的価値を有すること等は,情報公開法5条各号の不開示情報該当性と関係しないこと,② 外国が同じ会議についての議事録等を公開しているとしても,日本側は日本側の立場から当該会議の内容を記録するから,当該外国側の記録とは当然異 なり得るこ 不開示情報該当性と関係しないこと,② 外国が同じ会議についての議事録等を公開しているとしても,日本側は日本側の立場から当該会議の内容を記録するから,当該外国側の記録とは当然異 なり得ること,③ 第三国政府の情報や論評であっても,我が国と当該国との信頼関係の維持又は外交事務の適正な遂行の確保に負の影響をもたらすものについては,日本政府が保有する文書からは公にしないことが適当であり,当該第三国との信頼関係を損なうおそれは,時間の経過によってその現在性が消滅又は減少するとはいい難いこと,④ 当該発言等がいわゆる「内話」であるか否か,守秘義務が有効か否かにかかわらず,このような非公式な見解を現時点で開示すれば,当該国との信頼関係の維持又は外交事務の適正な遂行の確保に負の影響をもたらす可能性があることから,原告らの上記主張は理由がないというべきである。 d 外務大臣は,平成23年8月29日に追加開示決定をする際,不開示理由2に係る文書のうち外国政府関係者の発言又は見解を記録した文書については開示するといった概括的な枠組みの下で追加開示の当否を決定しておらず,各文書の不開示部分に記録されている情報ごとに情報公開法5条各号該当性の有無を判断しているから,原告らの主張は,独自の見解に基づくものにすぎない。 (原告らの主張の要旨)a 被告は,① 本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分の内容として,対象文書全般又は開示部分を含めた文書の内容を説明するにとどまり,当該不開示部分を不開示とした判断を正当化する識別に関する情報を主張していないし,② 情報公開法5条3号と同条6号とでは,その条文構造が全く異なるにもかかわらず,同条3号の不開示情報に該当する理由と同条6号の不開示情報に該当する理由とを区別した個別 る情報を主張していないし,② 情報公開法5条3号と同条6号とでは,その条文構造が全く異なるにもかかわらず,同条3号の不開示情報に該当する理由と同条6号の不開示情報に該当する理由とを区別した個別の主張立証をしていない。 b 本件各文書のうち不開示理由2に係るものは,その作成から約半世紀経過しているから,現在又は将来について情報公開法5条3号及び 6号のおそれがあるとの判断に合理性はない。 特に,上記各文書の作成後の事情をみても,日韓間では,昭和40年に日韓基本条約等が締結され,請求権相互放棄の原則の下に国交正常化が実現し,韓国においては,日韓会談当時の李承晩政権,その後昭和36年(1961年)のクーデターを経て成立した朴正煕政権等の軍事独裁政権は崩壊し,民主化が実現されて久しく,日韓関係や韓国政府内の体制は大きな変化を遂げている。また,その他の諸国との関係においても,中国との関係では,日中共同声明(昭和47年(1972年))の下に日中国交正常化が実現し,ソ連との関係では,上記各文書作成当時の社会主義政権であったソ連が平成2年(1991年)に崩壊し,既に新しい政治体制が確立している。 このように上記各文書の作成から約半世紀が経過する中で,国際情勢も著しく変化しているのであるから,既に退任し又は死去している日本,米国,韓国の政府高官や公務員が行った発言であって上記各文書に記録されているものが,今日の韓国その他の諸国との信頼関係や外交事務に支障を生じさせることは,通常想定することができない。 そうすると,被告は,上記各文書に記録されている情報が,上記のとおり,その作成から長期間を経ているにもかかわらず,殊に外交関係においては国際情勢等の具体的な変化があるにもかかわらず,なお そうすると,被告は,上記各文書に記録されている情報が,上記のとおり,その作成から長期間を経ているにもかかわらず,殊に外交関係においては国際情勢等の具体的な変化があるにもかかわらず,なお現在及び将来の外交上の信頼関係が損なわれ又は外交事務に支障を及ぼすと判断した理由を主張立証すべきであるが,被告の上記主張はこれらの点を何ら明らかにしていない。 c 40年以上も前の外国の政府高官又は公務員が行った発言,評価,見解は,① それ自体が歴史的価値を有するものであり,当時の各国政府の政府高官や公務員の認識や行動を確認するための重要な資料となること,② それが日本と当該外国の了解の下で議事録等に記録さ れ,当該外国が既に公開している場合には,これらの公開により信頼関係が損なわれたり外交事務の支障を生じたりすることはないこと,③ 当該発言等の内容が第三国政府の情報や論評である場合,これらの公開により当該第三国との信頼関係を損なったり外交事務の支障を生じたりするかどうかは,現在性の観点から検討すべきであること,④ 当該発言等が当該文書上で「内話」とされていたとしても,そのことから公開を予定していない機密情報又は極秘情報であるとはいえないし,当該発言等をした者が,当該発言等の際,日本政府関係者に将来にわたる守秘を誓約させ又はその発言を聴取した日本政府関係者がその守秘を確約したなどの事情も認められないことに照らすと,これらを不開示とするためには,日本政府関係者の発言,評価,見解に比較してより強い理由が必要であるというべきであるが,被告は,そのような理由を主張立証していない。 d 外務大臣は,本件訴えにおいて,「政府部内での検討の様子等が子細に記されており,公にすることにより,他国等との信頼関係を損ねるおそれ ,被告は,そのような理由を主張立証していない。 d 外務大臣は,本件訴えにおいて,「政府部内での検討の様子等が子細に記されており,公にすることにより,他国等との信頼関係を損ねるおそれがあるほか,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること」を不開示理由として主張していた行政文書(29文書)について,平成23年8月29日付けで追加開示を行っている(その開示に際しては,日本政府関係者との会談に関するものである場合には,日本政府関係者の発言や見解も開示の対象となっている。)ところ,外国政府関係者の発言や見解及びそれと同じ機会にされた日本政府関係者の発言や見解が,もはや不開示情報に該当しないのであれば,同様に同じような発言や見解が記録されている文書(通し番号2-26,2-59,2-80,2-92,2-107の文書)についても,不開示情報に該当しないというべきである。 (ウ) 不開示理由3について (被告の主張の要旨)a 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分には,現在においても日韓間で立場の異なる竹島問題に関する日韓間の交渉や政府内部での検討の様子等が子細に記録されているから,これを公にすれば,現在でも日韓間において未解決の問題として存在する竹島問題に関する日本政府の関心事項や韓国側の主張に対する日本側の対応方針及びその検討状況が公になる。 竹島問題は,現在においても過去と比して日韓両国政府の基本的立場に変更はなく,依然として日韓間における最も重要な懸案事項の一つであって,今後の日韓関係に影響を与える問題であり,政治家,市民団体,国民,マスコミ等からの関心がますます高まっているところ(乙A415~450,452~486),現在及び将来の日韓関係は,かねてからの て,今後の日韓関係に影響を与える問題であり,政治家,市民団体,国民,マスコミ等からの関心がますます高まっているところ(乙A415~450,452~486),現在及び将来の日韓関係は,かねてからの政府部内での検討と実際の外交交渉の積み重ねの上に成り立つものであることからすれば,本件各文書の作成当時に日本政府部内で竹島問題に関して検討するなどした内容は,今後,韓国政府との間で竹島問題について交渉する際における日本政府の方針となり得るものであり,また,日本政府が把握している情報は,韓国政府が日本政府の方針を把握し又は推測する材料となり得るから,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報を公にすれば,日本政府が交渉上不利な立場に立つ蓋然性が高いというべきであり,情報公開法5条3号の不開示情報に該当する。 また,原告らの主張(後記(原告らの主張の要旨)a参照)については,一般に,政府部内で検討された内容であっても,政府として公にすることが可能であると判断したもののみが,政府の広報活動や国会審議における政府答弁を通じて公になるにすぎず,政府部内での検討結果の全てがこれらの広報活動や国会審議によって公になるわけで はないから,広報活動や国会審議から得られる断片的な情報のみに基づいて開示の可否を論じることはできない。 b 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報には,日韓両政府において公表を前提としないで行われた政府当局者による率直な会談の記録又は具体的提案が含まれており,韓国側においてこれらが公にされることは想定されていない以上,これを公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれ,韓国との間で忌憚のない意見交換が期待できなくなるから,情報公開法5条3号の不開示情報に該 いてこれらが公にされることは想定されていない以上,これを公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれ,韓国との間で忌憚のない意見交換が期待できなくなるから,情報公開法5条3号の不開示情報に該当する。 c 被告は,原告ら主張の態様による主張立証(後記(原告らの主張の要旨)c参照)を行う義務を負っておらず,全部不開示文書についても,竹島問題という機微な性質を踏まえて,合理的な範囲で主張立証しており,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分にこれ以上の説明を加えれば,当該部分を開示するのと同等の効果を生じさせることになるから,原告らの主張(後記(原告らの主張の要旨)c)は理由がない。 また,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分のうち,電信文の全文を不開示としたものについては,電信に記録されている番号,日付,時間,送信者,宛先等は,電信文の内容部分と結合して初めて,いつ,誰から,誰にどのような内容の電信が送付されたかが明らかになるものであって,内容部分とは別に独立した社会生活上の意味を有するものではないから,部分開示をすべき理由はない。 d 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報の不開示情報該当性は,最近の竹島問題をめぐる動きを見ても明らかなように,上記aのとおり,竹島問題が引き続き未解決であり,両国間最大の懸案の一つである状況下においては,時間の経過によって何 ら減少していない。 e 不開示理由3に係る本件文書の不開示部分のうち,韓国側の発言に係るものについては,現世代の政府関係者及び国民が約半世紀前に行われた当該発言の内容を知らない蓋然性が高い状況の下,改めてこれを公にすれば,新たに発表されたことと同じように受け止められるから,他国との信頼関係を ては,現世代の政府関係者及び国民が約半世紀前に行われた当該発言の内容を知らない蓋然性が高い状況の下,改めてこれを公にすれば,新たに発表されたことと同じように受け止められるから,他国との信頼関係を損ない,又は交渉上不利益を被るおそれが当然存在しており,当該発言の内容は,日本側の立場から記録されたものである以上,韓国側の記録内容とはおのずと異なるものである。 また,米国等の第三国の関係者の発言に係るものについても,当該国との率直な意見交換の内容が公にされれば,当該国との信頼関係を損ない,当該国との間で忌憚のない意見交換や協議が困難になるおそれが常時存在している。 なお,我が国と韓国との二国間における交渉の記録であっても,交渉記録には,相手側との交渉における双方の具体的な発言内容だけでなく,個々の発言内容に対する評価,分析及び判断なども記載され得るから,韓国政府が保有している交渉記録の記載内容と外務省が保有している日本国政府の交渉記録の記載内容とは完全に一致するものではないと合理的に推認される。そして,各国政府が保有する情報の公開についても,それぞれの国が公開を決定するに当たって,専門的,政策的な判断により,自国の国益を害するおそれの有無,あるいは公開することによる利益の有無等について慎重に検討し,少なくとも自国の国益を損なうことのないように独自に判断を下しているものと考えられるから,我が国が国の安全等に関わる秘密を含む情報を内包する行政文書を公開しようとする場合には,我が国の国益や立場を総合的に検討し独自に判断した上で決定する必要があり,単に相手国が我が国との二国間交渉に係る文書を公開したことをもって,我が国が当 該交渉に係る文書を公開したとしても,我が国の外交にとって不利益を生ずるおそれはな した上で決定する必要があり,単に相手国が我が国との二国間交渉に係る文書を公開したことをもって,我が国が当 該交渉に係る文書を公開したとしても,我が国の外交にとって不利益を生ずるおそれはないと断定し得ない。 f 他国政府関係者の見解又は発言に関する情報であっても,我が国が他国との信頼関係を損ない,又は交渉上不利益を被り得るものについては,少なくとも日本政府が保有する行政文書からは公にしないことが相当である。また,竹島問題を含め,一般に領土問題については,紛争当事国以外の第三国の見解が「客観的意見」として交渉上援用されることもあり,第三国政府から日本政府のみに示された竹島問題に関する見解は,当該問題に係る交渉における日本政府の方針や戦略に大きく関わるものといえ,公にされることにより,交渉上の日本の立場を不利にするおそれがある。 (原告らの主張の要旨)a 竹島問題が日韓関係で未解決の問題として存在するとしても,竹島問題に関する日本政府の具体的な考え方や分析法,立論等の多くは,日韓両政府の広報活動や国会審議における政府答弁等を通じて,既に公となっており,竹島問題に関して日韓両国の論拠とする内容やそれぞれの主張と矛盾する内容が明らかにされているから,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報は,約半世紀も前の日本政府の検討内容等であるから,これが韓国との外交交渉に特段の具体的な影響を及ぼすことは想定できない。 b 被告の主張に係る公開の予定や忌憚のない意見交換といった事情は,それ自体は情報公開法5条3号の不開示情報該当性を基礎付けるものではなく,被告の主張(前記(被告の主張の要旨)b)は,そのような事情が現在又は将来にわたる信頼関係や外交交渉上の不利益をどのように損な れ自体は情報公開法5条3号の不開示情報該当性を基礎付けるものではなく,被告の主張(前記(被告の主張の要旨)b)は,そのような事情が現在又は将来にわたる信頼関係や外交交渉上の不利益をどのように損なうのかを具体的に主張するものではないから,これをもって同号の不開示情報に該当するとはいえない。 c 情報公開法5条3号の「交渉上の不利益を被るおそれ」があるというためには,問題とする事項を具体的に特定した上,当該事項が現在も交渉継続中の事項に関するものであり,かつ,開示請求に係る行政文書が当該事項に関連するものであるから,これを公にすれば今後の交渉に影響を与えるという今日的意義が存在することが必要であるところ,被告の主張(前記(被告の主張の要旨)a)は,「信頼関係が損なわれるおそれ」と「交渉上不利益を被るおそれ」を特段に区別しておらず,また,当該行政文書の全文を不開示としつつ,その理由を竹島問題に関する具体的見解であるというにとどまっており,上記の各点について具体的な主張立証を行っていない。 また,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分には,電信文の全文とするものがあるが,その体裁からすれば,これを公にすることに何ら支障のない箇所も存在するはずである。 d 外交文書に関する30年公開原則は,今日,世界の多くの国々で受け入れられているから(甲103),その公開が予測外の事態であるとはいえないし,約半世紀前に作成された行政文書に記録されている情報を公にすることにより,なお現在又は将来の交渉に具体的な不利益をもたらし又は他国との信頼関係を損なうことは,特別な事情がない限り,あり得ないところ,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報につき,上記の特別な事情は存在しない。 益をもたらし又は他国との信頼関係を損なうことは,特別な事情がない限り,あり得ないところ,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報につき,上記の特別な事情は存在しない。 e 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分のうち,韓国側代表や第三国の者による発言又は見解を理由とする部分については,交渉の相手方である韓国又は第三国の発言又は見解によって今後の交渉において日本側の手足が縛られるといった事情は一切なく,これを公にすることにより,日本側にとって外交交渉上の不利益が生じることはおよそ考えられない。 f 被告は,本件訴えにおいて,不開示理由として「現在において日韓間で異なる立場の問題に関する交渉の様子や政府部内での検討の様子が子細に記載されており,公にすることにより,我が国の今後の交渉上の立場を不利にするおそれがある」と主張していた文書(文書番号1879。乙B81)について,その不開示部分の内容は竹島問題について国際司法裁判所に付託するという日本側の提案の内容とそれに最終的には従うべきだとする韓国側の見解であったにもかかわらず,平成23年8月29日付けで追加開示決定をしているから,このような韓国側の見解が日本の交渉上の立場を不利にする事情はおよそ考えられないことも併せ考慮すると,その他の不開示理由3に係る本件各文書の不開示部分のうち外国政府関係者の発言や見解を内容とする行政文書(通し番号3-6,3-8,3-15,3-18,3-27,3-32,3-33,3-34,3-36,3-37,3-43)についても,不開示情報に該当しない蓋然性が高いというべきである。 (エ) 不開示理由4について(被告の主張の要旨)a 本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録 ついても,不開示情報に該当しない蓋然性が高いというべきである。 (エ) 不開示理由4について(被告の主張の要旨)a 本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報は,①韓国要人一行等が訪日する際の警備計画に関するもの,②特定の場所における警備体制,警備対策に係る政府内部での具体的な検討状況,③海上保安庁の韓国周辺水域での警備体制についての検討状況,④日本政府が情報収集に至った経緯,犯罪容疑者に対する捜査に関する情報収集の方法や捜査手法自体等であり,情報公開法5条4号及び6号の不開示情報に該当する。 被告は,上記のとおり,外務大臣がこれらの不開示部分を不開示とした具体的な理由を主張立証しているから,上記各不開示部分に関する同条4号の不開示情報該当性については,これを否定する原告らに おいて,外務大臣の判断が裁量権の範囲を超え,又はその濫用があったことを基礎付ける具体的な事実を主張立証する責任を負っているというべきである。 これに対し,原告らは,40年又は50年前の海上警備情報や捜査情報が,通常は,現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行に影響を与えるものではないと主張する。 しかし,「40年又は50年」という時間の経過のみによって,現在における警備や情報収集の在り方の性質が過去のものとの関連性が失われるほどに変化するとは限らず,これらの不開示部分の開示が現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行に影響を与えるものではないなどと断定できる理由はなく,原告らの上記主張は何ら合理的な根拠に基づくものではない。 b 原告らは,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報につき,公にすることによる どと断定できる理由はなく,原告らの上記主張は何ら合理的な根拠に基づくものではない。 b 原告らは,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報につき,公にすることによる「支障」の内容を具体的に特定し,開示された情報と比較して,不開示とされた情報がどのような点で「支障を及ぼすおそれ」があるかを具体的に明らかにすべきである旨主張する。 しかし,開示請求に対して行政機関の長が執るべき措置を明確にした情報公開法9条は,原告ら主張の点を明らかにすべきことを要求しておらず,他に原告らの上記主張を基礎付ける法的根拠は見当たらない。 また,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報が,40年又は50年前の警備情報であったとしても,現在及び将来においても共通する部分があり,依然として今日的意義を有しているから,これを公にすれば,我が国の警備体制や警備手法に係る手の内をさらすことになり,他国との信頼関係が損なわれ るおそれ,国の安全を害するおそれが生じるとともに,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあり,かつ,同様の警備方法を使用できなくなるという意味において,事務の適正な遂行に支障を来すことになる(情報公開法5条4号,6号)。 c 外務大臣は,平成23年8月29日付けで追加開示決定をする際に,外国政府関係者の発言若しくは見解又はそれに対する日本政府関係者の発言であるか否かという見地から開示の当否を決定しておらず,従来不開示とされた情報ごとに,情報公開法5条各号の解釈及び当てはめを行い,それに基づき開示・不開示の判断を行ったものである。 たとえ外国政府関係者の発言又は見解を開示したとしても,会談相手の日本政府関係者の発言又は見解を開示するか 解釈及び当てはめを行い,それに基づき開示・不開示の判断を行ったものである。 たとえ外国政府関係者の発言又は見解を開示したとしても,会談相手の日本政府関係者の発言又は見解を開示するか否かの判断は,別個に情報公開法5条各号の文理・解釈に基づき開示・不開示の判断を行うべきものであって,同一機会にされた発言・見解の表明であれば,不開示情報該当性が一義的に認められないことにはならない(なお,原告ら主張に係る文書①(文書番号692)について,被告は,その不開示理由として不開示理由3を主張していた。)。 (原告らの主張の要旨)a 「原則開示,例外不開示」を基本理念とする情報公開法の下においては,情報公開法5条にいう「公共の安全と秩序の維持」又は「事務の適正な遂行」とは,既に終了した過去の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行ではなく,現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行を意味するところ,本件各文書のうち不開示理由4に係る不開示部分は,全て40年又は50年前の情報であるから,被告は,これらがどのような意味で現在又は将来の公共の安全と秩序の維持や事務の適正な遂行に支障を及ぼす可能性があるのかという関連性を具体的に主張立証しなければならない。 特に,本件各文書のうち不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報は,40年又は50年前の韓国との間の海上警備情報や領海侵犯に関する捜査情報であるところ,それらの警備や捜査を取り巻く状況や環境は,その年月の経過の中で大きな変化を重ねており,例えば,日本と韓国との関係においても,当時両国間で問題とされていた「李ライン」は撤廃され,両国間には国交を正常化する条約や協定も締結され,経済水域に関する国際情勢も変化しているし,その実施 おり,例えば,日本と韓国との関係においても,当時両国間で問題とされていた「李ライン」は撤廃され,両国間には国交を正常化する条約や協定も締結され,経済水域に関する国際情勢も変化しているし,その実施方法等も,情報通信技術やレーダー技術の発展などにより,40年又は50年前とは全く異なってきている。このような時の経過による変化の中では,40年又は50年前の海上警備情報や捜査情報は,通常は現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行に影響を与えるものではないから,被告は,どのような具体的な理由によって,それらが現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行に影響を与えるかを具体的に主張すべきであるが,そのような具体的な主張立証はされていない。 b さらに,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報が「公共の安全と秩序の維持」や「事務の適正な遂行」に関係するものであったとしても,「公共の安全と秩序の維持」又は「事務の適正な遂行」に「支障を及ぼすおそれ」があることが必要であるところ,本件各文書に記録されている海上警備や捜査に関する情報の大半が開示されていることも併せ考慮すると,被告は,その「支障」の有無を客観的に判断できるようにするとともに,外務大臣による開示・不開示の選別が恣意的なものではないことを明らかにするため,当該「支障」の内容を具体的に特定し,開示された情報と比較して,不開示とされた情報がどのような点で「支障を及ぼすおそれ」があるかを具体的に明らかにすべきであるが,被告の主張は,具体的に明ら かにすべき事情を,警備情報の入手方法,警備の具体的方法及び内容,具体的かつ詳細な内容又は「手の内」などと言い換えているにすぎず,不開示とされた情報が開示された情報と比較してどのような点で かにすべき事情を,警備情報の入手方法,警備の具体的方法及び内容,具体的かつ詳細な内容又は「手の内」などと言い換えているにすぎず,不開示とされた情報が開示された情報と比較してどのような点で区別されるのかを何ら主張していない。 したがって,被告の主張によっても,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に情報公開法5条4号及び6号の適用を正当化するような事情は存在しないというべきである。 c 被告は,本件訴えにおいて,不開示理由として「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」と主張してきた文書(①文書番号692(乙B53),②文書番号714(乙B28))について,その内容が,①は韓国のZ9法務局長(当時)の「中共が間島を北鮮に与えるという情報」などの観測であり,②は韓国の親善使節が両国の共産勢力について情報や調査員の交換をしたいと述べる提案などである(ただし,日本側がそれに同意したという事情はない。)にもかかわらず,平成23年8月29日付けで開示決定をしているから,その他の不開示理由4による不開示文書のうち上記と同様の理由を主張するものについても,上記と同様に不開示情報に該当する実質を伴うものではないというべきである。 イ個別の行政文書について別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄記載のとおりである。 (3) 争点(2)(本件義務付けの訴えの適法性)について(原告らの主張の要旨)本件各処分は,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「2 原告らの主張の要旨」のとおり,いずれも取り消されるべきであり,行政事件訴訟法37条の3第1項2号所定の「当該法令に基づく申請 本件各処分は,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「2 原告らの主張の要旨」のとおり,いずれも取り消されるべきであり,行政事件訴訟法37条の3第1項2号所定の「当該法令に基づく申請を棄却する旨の処 分がされた場合において,当該処分が取り消されるべきものであるとき」に該当する。したがって,本件義務付けの訴えは,適法である。 (被告の主張の要旨)本件各処分は,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「1 被告の主張の要旨」のとおり,いずれも適法であって取り消されるべきものに当たらない。したがって,本件義務付けの訴えは,行政事件訴訟法37条の3第1項2号の要件を欠いており,不適法である。 (4) 争点(3)(本件義務付け請求に係る請求認容(本案)要件(行政事件訴訟法37条の3第5項)該当性)について(原告らの主張の要旨)情報公開法5条は,行政機関の長に対し,当該行政機関が保有する行政文書の開示の請求があったときは,当該行政文書に不開示情報が記録されている場合を除き,当該行政文書の開示を義務付けているところ,本件においては,本件開示請求で本件各文書に不開示情報が記録されていないことは,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「2 原告らの主張の要旨」のとおりであるから,処分行政庁が本件各文書の開示決定をすべきであることが情報公開法の規定から明らかであると認められる。 したがって,本件義務付け請求は,行政事件訴訟法37条の3第5項所定の請求認容(本案)要件に該当する。 (被告の主張の要旨)本件各文書の開示決定をすべきであることが情報公開法の規定から明らかであると認められないことは,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「1 被告の主張の要旨」のとお 被告の主張の要旨)本件各文書の開示決定をすべきであることが情報公開法の規定から明らかであると認められないことは,別紙5の「第2 当事者の主張の要旨」欄中の「1 被告の主張の要旨」のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)ア(情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び主張立証責任の所在等)について (1) 関係法令の定めア情報公開法(ア) 情報公開法は,① 国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする旨を規定した上(1条),② 何人も,情報公開法の定めるところにより,行政機関の長に対し,当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができ(3条),③ 行政機関の長は,開示請求があったときは,<ア> 開示請求に係る行政文書に同法5条各号に掲げる情報(不開示情報)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならず(5条柱書き),<イ> 開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合においても,<a> 不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときを除き,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならず(6条1項),また,<b> 公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該行政文書を開示することができる旨(7条)を規定している。 そして,情報公開法 示しなければならず(6条1項),また,<b> 公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該行政文書を開示することができる旨(7条)を規定している。 そして,情報公開法5条は,不開示情報として,①個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害す るおそれがあるものであって,同条1号イ,ロ又はハに掲げる情報以外のもの(個人情報。1号),②公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報(国の安全等に関する情報。3号),③公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報(公共安全秩序維持情報。4号),④国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの(事務事業情報。6号)等を規定している。 (イ) また,情報公開法は,開示請求に係る行政文書の開示,一部開示又は不開示の決定は開示請求者に書面により通知しなければならない(9条)としているが,開示請求に係る行政文書の全部又は一部につ (イ) また,情報公開法は,開示請求に係る行政文書の開示,一部開示又は不開示の決定は開示請求者に書面により通知しなければならない(9条)としているが,開示請求に係る行政文書の全部又は一部について同法5条各号所定の不開示情報が記録されていることを理由に不開示とする旨の決定(不開示処分)をする場合の理由の提示に関し,開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる旨(8条)のみを規定し,行政手続法の規定の適用を除外する旨の規定は設けていないところ,行政手続法は,行政庁は,申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は,申請者に対し,同時に,当該処分の理由を示さなければならず,当該処分を書面でするときは,その理由は書面により示さなければならない旨(8条)を規定している。 (ウ) さらに,情報公開法は,行政機関の長は,開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう,公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)7条2項に規定するもののほか,当該行政機関が保有する行政文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする旨(公文書管理法附則5条による改正前の23条(同改正後の22条)1項)を規定している。 (エ) なお,公文書管理法附則5条による改正前の情報公開法22条(旧情報公開法22条)は,① 行政機関の長は,この法律の適正かつ円滑な運用に資するため,行政文書を適正に管理するものとするとし(1項),② 政令で定めるところにより行政文書の管理に関する定めを設けるとともに,これ 条)は,① 行政機関の長は,この法律の適正かつ円滑な運用に資するため,行政文書を適正に管理するものとするとし(1項),② 政令で定めるところにより行政文書の管理に関する定めを設けるとともに,これを一般の閲覧に供しなければならず(2項),③ ②の政令においては,行政文書の分類,作成,保存及び廃棄に関する基準その他の行政文書の管理に関する必要な事項について定めるものとする旨(3項)を規定し,公文書等の管理に関する法律施行令(公文書管理法施行令)附則6条による改正前の行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令16条(旧情報公開法施行令16条)1項において,上記②の行政文書の管理に関する定めは,<ア> <a>当該行政機関の事務及び事業の性質,内容等に応じた行政文書の保存期間の基準を定めるものであること(4号前段),<b>この場合において,法律又は政令の制定,改正又は廃止その他の案件を閣議にかけるための決裁文書,国政上の重要な事項に係る意思決定を行うための決裁文書,行政機関の長がこれらの行政文書と同程度の保存期間が必要であると認めるものの保存期間の基準は,それぞれその作成又は取得の日から起算して30年以上の期間とし,その他当該行政文書の保存期間の基準は,別表第二の上欄に行政処分の区分に応じて,それぞれその作成又は取得の日から起算して1年 未満の期間から30年までの期間以上の期間とすること(同号後段,別表第二の1の項),<イ> 行政文書を作成し,又は取得したときは,<ア>の行政文書の保存期間の基準に従い,当該行政文書について保存期間の満了する日を設定するとともに,当該行政文書を当該保存期間の満了する日までの間保存することとするものであること(5号前段),<ウ>保存期間が満了した行政文書について,職務の遂行上必要があると認める 了する日を設定するとともに,当該行政文書を当該保存期間の満了する日までの間保存することとするものであること(5号前段),<ウ>保存期間が満了した行政文書について,職務の遂行上必要があると認めるときは,一定の期間を定めて当該保存期間を延長することとするものであること(7号前段),<エ> 保存期間が満了した行政文書については,公文書管理法附則4条による改正前の国立公文書館法(旧国立公文書館法)15条2項の規定により内閣総理大臣に移管することとするもの等を除き,廃棄することとするものであること(8号)等の要件を満たすものでなければならない旨を規定していた(なお,旧国立公文書館法15条は,① 国の機関は,内閣総理大臣と当該国の機関とが協議して定めるところにより,当該国の機関の保管に係る歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとした上(1項),内閣総理大臣は,② ①の協議による定めに基づき,歴史資料として重要な公文書等について,国立公文書館において保存する必要があると認めるときは,当該公文書等を保存する国の機関との合意により,その移管を受けることができ(2項),③ ②の規定により移管を受けた公文書等を国立公文書館に移管するものとする旨を規定し(4項),また,同法16条は,国立公文書館において保存する公文書等は,個人の秘密の保持その他の合理的な理由により一般の利用に供することが適当でないものを除き,一般の利用に供するものとする旨を規定していた。)。 しかし,公文書管理法は,後記イのとおり,行政文書(なお,公文書管理法2条4項は,「行政文書」につき,情報公開法2条2項と同一の 定義をしている。)の管理に関する詳細かつ網羅的な規定を設けたことから,公文書管理法附則5条により旧情報公開法22条 公文書管理法2条4項は,「行政文書」につき,情報公開法2条2項と同一の 定義をしている。)の管理に関する詳細かつ網羅的な規定を設けたことから,公文書管理法附則5条により旧情報公開法22条が,公文書管理法施行令附則6条により旧情報公開法施行令16条が,それぞれ削除された(旧国立公文書館法15条及び16条も,公文書管理法附則4条により削除された。)。 イ公文書管理法公文書管理法(平成23年4月1日施行)は,情報公開法に基づく開示請求の対象となる行政文書を含む公文書等の管理に関する基本的事項等を定めること等により,行政文書等の適正な管理,歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り,情報公開法と同様,国の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること等を目的とする旨(1条)を規定しているところ,(ア) 行政機関の長は,<ア> 当該行政機関の職員が行政文書を作成し,又は取得したときは,政令で定めるところにより,当該行政文書について分類し,名称を付するとともに,保存期間及び保存期間の満了する日を設定し(5条1項。なお,同項の委任を受けて制定された公文書管理法施行令8条2項1号及び別表の2の項は,条約その他の国際約束に関する文書であって<a>外国との交渉に関する文書,<b>他の行政機関の質問若しくは意見又はこれらに対する回答に関する文書その他の他の行政機関への連絡及び当該行政機関との調整に関する文書,<c>条約案その他の国際約束の案の検討に関する調査研究文書の保存期間を原則として30年とする旨を規定している。また,行政機関の長は,この保存期間等を延長することができる(公文書管理法5条4項)が,延長する期間及び延長理由を内閣総理大臣に報告しなければならない(公文書管理法施行令9条2項) を規定している。また,行政機関の長は,この保存期間等を延長することができる(公文書管理法5条4項)が,延長する期間及び延長理由を内閣総理大臣に報告しなければならない(公文書管理法施行令9条2項)。),<イ> 行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(行政文書ファイル等)について,保存期間の満了前のできる限り早い時期に,保存期間が満了したときの措置として,歴史公文書 等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等への移管の措置を,それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならず(5条5項),<ウ> 保存期間が満了した行政文書ファイル等については,上記<イ>の定めに基づき,国立公文書館等に移管し,又は廃棄しなければならない(8条1項)とした上,(イ) 国立公文書館等の長は,<エ> 当該国立公文書館等において保存されている特定歴史公文書等について,利用請求があった場合には,公文書管理法16条1項各号に掲げる場合(同項1号に掲げる場合としては,情報公開法5条3号又は4号と同趣旨の情報が記録されている場合が含まれている。)を除き,これを利用させなければならない(16条1項本文)が,<オ> 利用請求に係る特定歴史公文書が公文書管理法16条1項1号に該当するか否かについて判断するに当たっては,当該特定歴史公文書等が行政文書として作成又は取得されてからの時の経過を考慮するとともに,当該特定歴史公文書等に付されている同法8条3項の規定による行政機関の長の意見を参酌しなければならない旨(16条2項)を規定している。 (2) 情報公開法5条3号,4号及び6号の該当性の判断枠組みア上記(1)アの情報公開法等の各規定に照らすと,情報公開法は,国民主権の理念にのっとり,① 何人に対しても,行 ている。 (2) 情報公開法5条3号,4号及び6号の該当性の判断枠組みア上記(1)アの情報公開法等の各規定に照らすと,情報公開法は,国民主権の理念にのっとり,① 何人に対しても,行政文書の開示を請求することができる権利(3条)を認めた上,② 行政機関の長において,開示請求をしようとする者に対する情報の提供等の適切な措置を講ずるものとした上,適法な開示請求があった場合には,一定の合理的な理由に基づき不開示とする必要がある5条各号所定の不開示情報が記録されているときを除き,開示請求者に当該行政文書を開示すべき義務を負わせるという原則開示の基本的枠組みを採用し,さらに,③ 行政機関の長は,当該行政文書に不開示情報が記録されているため,不開示処分をするときであっても,開示請求者に対し,当該不開示処分の理由を書面により示さなければなら ないものとし(9条,行政手続法8),もって,政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを趣旨とするものであると解される。 また,情報公開法の各規定の文理及び上記趣旨に照らすと,行政機関の長の開示請求者に対する不開示処分については,当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が同法5条各号所定の不開示情報に該当することが処分の適法性を基礎付ける事項となるものと解される。 イ(ア) 情報公開法5条6号の解釈そして,上記アで説示した<ア>情報公開法の趣旨及び目的に加え,<イ>同法が原則開示の基本的枠組みを採用していることのほか,<ウ>同法5条6号柱書が,事務事業情報につき,「当該事務又は事業の性質上」,当該事務又は事業の「適正な」遂行に支障を及ぼすおそれがあ ,<イ>同法が原則開示の基本的枠組みを採用していることのほか,<ウ>同法5条6号柱書が,事務事業情報につき,「当該事務又は事業の性質上」,当該事務又は事業の「適正な」遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと規定し,また,同条1号ロとは異なり,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」等を事務事業情報から除外していないこと等に照らすと,同条6号柱書きにいう「その他当該事務又は又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは,① 単に当該事務又は事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるというだけでは足りず,当該事務又は事業の根拠規定や趣旨,その目的や種類,目的達成のための手法等に照らし,一般的又は類型的な意味における公益的な開示の必要性等も比較衡量して,当該事務又は事業の「適正な」遂行に支障を及ぼすおそれがあることが必要であると解すべきであり,そうである以上,② ここでいう「支障」は,名目的なものでは足りず,実質的なものでなければならず,また,③ 「おそれ」も,単なる確率的な可能性では足りず,法的保護に値する蓋然性が必要で あると解すべきである。 (イ) 情報公開法5条6号の該当性についての裁判所の審理・判断の在り方そうすると,事務事業情報(情報公開法5条6号)に関する判断の適否が争われる不開示処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,①当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が国の機関が行う事務又は事業に関する情報に当たり,かつ,② これを公にすることにより,当該事務又は事業(これには,同種のものが反復されるような性質の事務又は事業や将来の事務又は事業も含まれる。)の適切な遂行に実質的支障を及ぼす蓋然性があるかどう かつ,② これを公にすることにより,当該事務又は事業(これには,同種のものが反復されるような性質の事務又は事業や将来の事務又は事業も含まれる。)の適切な遂行に実質的支障を及ぼす蓋然性があるかどうかにつき,当該事務又は事業の根拠規定や趣旨,その目的や種類,その目的達成のための手法等に照らし,一般的又は類型的な意味における公益的な開示の必要性等も比較衡量して客観的に検討し,これが認められない限り,当該不開示処分が違法であると判断するという審査方法によることになる。 ウ(ア) 情報公開法5条3号及び4号の解釈a これに対し,① 国の安全等に関する情報をもって不開示情報とする情報公開法5条3号は,我が国の安全,他国等との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保すること(国の安全等の確保)が,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これらの利益等を十分に保護する必要があることから設けられた規定であると解され,② 同号に掲げる国の安全等に関する情報は,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,開示又は不開示の判断に高度の政策的判断を伴うものであり,我が国の安全保障上又は対外関係上の将来予測等についての専門的,技術的判断をも要するものであること,③ 同号の立法経緯をみても,行政改革委員会行政情報公開部会の「情報公開法要綱案(中間報告)」(平成8年4月)においては「おそれがあると認められる相当の理由がある情報」 とされていたものが,同部会の「情報公開法要綱案(同年11月)において「おそれがあると認めるに足りる相当の理由がある情報」とされ,さらに,法案立案時に文言が一部修正されて現行法のとおり規定されるに至ったが,これは,上記①・②の点等から,司法審査の場においては,裁判所が行政 があると認めるに足りる相当の理由がある情報」とされ,さらに,法案立案時に文言が一部修正されて現行法のとおり規定されるに至ったが,これは,上記①・②の点等から,司法審査の場においては,裁判所が行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかを審理・判断することとするのが適当であると考えられたためであり(甲100参照),情報公開法に係る法案の国会審議においてもその旨の答弁がされていること(甲102参照)等に照らすと,同号が「おそれがある情報」(同条6号等参照)と規定せず,「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定しているのは,上記のような国の安全等に関する情報の特質を考慮し,開示請求に係る行政文書に記録された情報が国の安全等に関する情報に該当するか否かの認定について,行政機関の長の合理的な判断に委ねる趣旨に出たものであると解するのが相当である。 b また,① 公共安全秩序維持情報をもって不開示情報とする情報公開法5条4号は,公共の安全と秩序を維持すること(公共安全秩序維持)が,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これを十分に保護する必要があることから設けられた規定と解され,② 公共安全秩序維持情報は,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,犯罪等に関する将来予測等についての専門的,技術的判断を要するものであり,開示又は不開示の判断に高度の政策的判断を伴う場合もあるとの特殊性があること,③ 同号の立法経緯をみても,同条3号につき上記a③で説示したところと同様の趣旨で同様の経過により現行法のとおり規定されるに至っており(甲100参照),情報公開法に係る法案の国会審議においてその旨 の答 経緯をみても,同条3号につき上記a③で説示したところと同様の趣旨で同様の経過により現行法のとおり規定されるに至っており(甲100参照),情報公開法に係る法案の国会審議においてその旨 の答弁がされていること(甲102参照)等に照らすと,同条4号が「おそれがある情報」(同条6号等参照)と規定せず「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定しているのも,上記のような公共安全秩序維持情報の特質を考慮し,開示請求に係る行政文書に記録された情報が公共安全秩序維持情報に該当するか否かの認定について行政機関の長の合理的な判断に委ねる趣旨によるものであると解するのが相当である。 (イ) 情報公開法5条3号及び4号の該当性についての裁判所の審理・判断の在り方そうすると,国の安全等に関する情報(情報公開法5条3号)又は公共安全秩序維持情報(同条4号)に関する判断の適否が争われる不開示処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が国の安全等に関する情報又は公共安全秩序維持情報に該当する(これは,分析的にいえば,① 開示請求に係る行政文書に記録されている情報が国の安全等の確保に関するもの(同条3号)又は公共安全秩序維持に関するもの(同条4号)に当たり,かつ,② 当該情報に同条3号又は4号所定の「おそれ」があると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があることを意味する。)との行政機関の長の判断が当該事項に責任を有する行政機関の長の裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうかを審理,判断すべきである。具体的には,① 当該不開示処分に係る行政文書に記 たことを前提とした上で,その第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうかを審理,判断すべきである。具体的には,① 当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が国の安全等の確保又は公共安全秩序維持に関する情報に当たり,かつ,② 当該情報に同条3号又は4号所定の「おそれ」があると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があるかにつき,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところが ないかを検討し,当該行政機関の長の判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には,当該行政機関の長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したとして,当該不開示処分を違法であると判断すべきこととなる。 (3) 情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の主張立証責任の所在等ア以上のような情報公開法の目的,趣旨,各規定の文理及び解釈等に加え,行政機関の長は,不開示処分に係る行政文書を保有し,その内容を把握している上,特に国の安全等の確保や公共安全秩序維持に関する正確かつ詳細な情報については,専ら行政機関の長の側に属しており,開示請求者及び裁判所は,不開示処分に係る行政文書に記録されている情報の内容等を直接には把握することができないことを併せ考慮すれば,① 不開示処分の取消し等を求める訴えにおいて,当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が情報公開法5条各号に定めるものに該当するか否かの主張立証責任は,原則として,当該処分をした行政庁の所属する行政主体である被告が負うべきものと解すべきであり,したがって,事務事業情報(同条6号)に関しては,被告において,上記(2)イ(イ)の点を認めるに足りる事情について主張立証することを 政庁の所属する行政主体である被告が負うべきものと解すべきであり,したがって,事務事業情報(同条6号)に関しては,被告において,上記(2)イ(イ)の点を認めるに足りる事情について主張立証することを要するというべきである。もっとも,被告において主張立証すべき事情として,行政機関の長が,当該情報の具体的な内容まで明らかにすることを求められるとすれば,その開示を強いられるのと同じ結果となるから,第三者機関である裁判所において当該情報が事務事業情報に該当するか否かを判断するのに支障がない程度の具体性をもって当該情報の内容を特定した上,これを公にすることにより当該事務又は事業の適正な遂行に実質的支障を及ぼす蓋然性があると認めるに足りる事情を主張立証すれば足りるというべきである。 他方,② 国の安全等に関する情報(同条3号)及び公共安全秩序維持情報(同条4号)に関しては,上記(2)ウ(イ)のとおり,裁判所の審理,判 断が,行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうかを検討するという観点から行われるべきものであることから,<ア> まず,被告において,当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報に係る事柄,当該情報の性質,当該処分をするに当たって前提とした事実関係その他の当該不開示処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するもの(同条3号)又は公共安全秩序維持に関するもの(同条4号)に当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきであり,<イ>被告がした上記主張立証により,当該情報を開示することにより,不開示の理由とされた同条3号又は4号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定される場合には,同条3号又は4号に基づ イ>被告がした上記主張立証により,当該情報を開示することにより,不開示の理由とされた同条3号又は4号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定される場合には,同条3号又は4号に基づき開示をしないことを争う原告らが,当該不開示情報に該当すると認めることにつき行政機関の長の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張立証することを要すると解すべきである。 イさらに,上記ア②<ア>の被告において主張立証すべき事情について検討する。 この点,① 情報公開法5条3号及び4号にいう「おそれ」としては,前示のような上記各号の趣旨に鑑み,単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が必要であると解され,また,② 同条3号及び4号の文理及び趣旨に照らすと,同条3号又は4号を理由として不開示処分を行うには,当該不開示処分に係る行政文書の作成時点ではなく,行政機関の長が当該不開示処分をした時点において,当該不開示処分に係る行政文書に記録された情報が同条3号又は4号にいう「おそれ」があると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があることが必要であると解される上,当該「おそれ」の有無の判断は,前記のとおり政策的又は専門的・技術的判断を伴うものであり,当該情報の内容や当該不開示処分当時の状 況等の諸般の事情を踏まえて行われるのであるから,当該行政文書が作成された後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化についても,その考慮すべき要素になるものと解さざるを得ない(この点,外務省情報公開審査基準は,行政手続法5条1項の審査基準に該当するものと解されるから,そのⅠ.6において「不開示情報該当性は,時の経過,社会情勢の変化,当該情報に係る事務・事業の進行の状況等の事情の変化に 報公開審査基準は,行政手続法5条1項の審査基準に該当するものと解されるから,そのⅠ.6において「不開示情報該当性は,時の経過,社会情勢の変化,当該情報に係る事務・事業の進行の状況等の事情の変化に伴って変化するものであり,開示請求があった都度判断しなければならない。このような変化は,「おそれ」が要件となっている不開示情報の場合に顕著であると考えられる。一般的には,ある時点において不開示情報に該当する情報が,別の時点においても当然に不開示情報に該当するわけではない。 なお,個々の開示請求における不開示情報該当性の判断の時点は,開示決定等の時点である。」とあるのは,上記の趣旨をいうものと解すべきである。)。さらに,③ <ア> 旧情報公開法22条が,前記(1)ア(エ)のとおり,行政機関の長は,情報公開法の適正かつ円滑な運用に資するため,行政文書を適正に管理するものとし,政令で定めるところにより行政文書の管理に関する定めを設けなければならないとした上,<イ> 旧情報公開法施行令16条が,上記の行政文書の管理に関する定めの要件として,<a>当該行政機関の事務及び事業の性質,内容等に応じた行政文書の保存期間の基準(この行政文書の保存期間の基準については,行政文書の内容・性質等に応じて,その作成又は取得の日から起算して1年未満の期間から30年までの期間以上の期間とするとされていた。)を定めるものであること,<b> 保存期間が満了した行政文書については,国立公文書館法の所定の規定により内閣総理大臣に移管することとするもの等を除き,廃棄することとするものであること等を規定して,行政文書が原則として一定の期間に限って保存され,このうち歴史資料として重要な公文書等については廃棄せずに国立公文書館等で公開することを予定していた(この点, 旧情報 あること等を規定して,行政文書が原則として一定の期間に限って保存され,このうち歴史資料として重要な公文書等については廃棄せずに国立公文書館等で公開することを予定していた(この点, 旧情報公開法22条及び旧情報公開法施行令16条の規定に代わり,行政文書の管理に関して詳細かつ網羅的な規定を設けた公文書管理法及び公文書管理法施行令は,前記(1)ア(エ)のとおり,情報公開法と同様,国の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること等を目的として(公文書管理法1条参照),<ウ> 行政機関の長による行政文書の管理方法として,行政文書の保存期間等の設定を義務付けた上(公文書管理法5条1項),特に,条約その他の国際約束に関する文書であって<a>外国との交渉に関する文書,<b>他の行政機関の質問若しくは意見又はこれらに対する回答に関する文書その他の他の行政機関への連絡及び当該行政機関との調整に関する文書,<c>条約案その他の国際約束の案の検討に関する調査研究文書については,その保存期間を原則として30年とする旨を明示的に規定するとともに(公文書管理法施行令8条2項1号,別表の2の項参照),その保存期間を延長するには延長期間及び延長の理由を内閣総理大臣に報告すべきこととし(公文書管理法5条4項,公文書管理法施行令9条2項参照),さらに,<エ> 国立公文書館等に移管された特定歴史公文書等についても,これを利用させることを原則とした上(公文書管理法8条1項,16条1項参照),特定歴史公文書等を情報公開法5条3号又は4号と同趣旨の情報が記録されていることを理由に制限するかどうかの判断に当たっては,当該特定歴史公文書等が行政文書として作成又は取得されてからの時の経過を考慮すべき旨(公文書管理法16条2項)を規定している 旨の情報が記録されていることを理由に制限するかどうかの判断に当たっては,当該特定歴史公文書等が行政文書として作成又は取得されてからの時の経過を考慮すべき旨(公文書管理法16条2項)を規定している。)が,これらの点は,情報公開法5条各号の解釈に当たっても参酌されるべきである。 そこで,以上の諸点を併せ考慮すると,当該不開示処分に係る行政文書が,上記③<ウ>に掲げた条約その他の国際約束に関する文書又はこれに準ずる文書等であって,その作成から当該不開示処分が行われるまでに少なくとも30年以上経過している場合には,被告は,一般的又は類型的にみ て当該行政文書に記録されている情報が国の安全等の確保に関するもの(情報公開法5条3号)又は公共安全秩序維持に関するもの(同条4号)に当たることを推認するに足りる事情として,同条3号又は4号の不開示情報に該当するとされる当該情報につき,当該行政文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお当該不開示処分の時点において同条3号又は4号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在することを推認するに足りる事情をも主張立証する必要があると解するのが相当である。 (4) これに対し,被告は,① 情報公開法5条3号又は4号該当を理由とする不開示処分については,他の理由による不開示処分と異なり,同条3号又は4号に基づき開示をしないことを争う原告らにおいて,行政機関の長が不開示処分を行うにつき裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける主張立証しなければならない,② 当該不開示処分に係る行政文書の作成から長期間の時間を経てもなお同条3号又は4号の不開示情報に該当すると判断した理由を主張立証する必要はない旨を主張する。 しかし,①の点に ばならない,② 当該不開示処分に係る行政文書の作成から長期間の時間を経てもなお同条3号又は4号の不開示情報に該当すると判断した理由を主張立証する必要はない旨を主張する。 しかし,①の点については,上記(3)アで説示したとおり,原告らが被告主張の点について主張立証する前提として,まずは,被告において当該不開示処分に係る行政文書に記録されている情報が国の安全等の確保に関するもの(同条3号)又は公共安全秩序維持に関するもの(同条4号)に当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきであるから,被告の上記主張は,被告において上記の主張立証を行うことを要しない旨をいう限度において採用することができない。また,②の点については,上記(3)イで説示したところに照らし,被告の上記主張を採用することはできない。 (5) 他方,原告らは,情報公開法5条の「原則開示,例外不開示」の基本理念や情報公開法が定める情報公開請求権が憲法21条で国民に保障されている「知る権利」を具体的権利として保障したものであること等から,情報公開 法5条各号所定の不開示情報の該当性については,その該当性を主張する被告において,「不開示とすることにより得られる利益」が「開示することにより得られる利益」を上回ることを具体的かつ詳細な事実を主張し,具体的に立証しなければならない旨を主張する。 確かに,憲法21条1項の規定は,表現の自由を保障しているところ,各人が自由に様々な意見,知識,情報に接し,これを摂取する機会を持つことは,その者が個人として自己の思想及び人格を形成,発展させ,社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり,民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達,交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめ 人格を形成,発展させ,社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり,民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達,交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって,このような情報等に接し,これを摂取する自由は,上記規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれるところである(最高裁昭和52年(オ)第927号同58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁,最高裁昭和63年(オ)第436号平成元年3月8日大法廷判決・民集43巻2号89頁参照)。 しかし,上記のような情報等に接し,これを摂取する自由が,憲法21条1項の趣旨,目的から,いわばその派生原理として導かれることにとどまることからすると,同項は,公文書を保有する行政機関に対して積極的に当該公文書の開示を求める具体的請求権としての知る権利までを直接保障するものではなく,国が情報公開法を制定するに当たり,どのような請求権を認め,その要件や手続をどのようなものとするかは,基本的には国の立法政策に委ねられていると解すべきである。 そうであるとすれば,情報公開法の定める開示請求権の内容,範囲等については,当該開示請求権が情報公開法によって初めて実体法上の根拠が与えられたものというべきであるから,情報公開法の趣旨及び目的を踏まえながら,その文言に即して解釈され,判断されるべきである。 そして,情報公開法5条3号,4号又は6号の趣旨及び目的を踏まえ,その文言に即して解釈した場合において,当該各号の該当性につき被告において主張立証すべき事情は,前記(3)で説示したとおりであるから,原告らの上記主張が,被告において主張立証すべき事情をもって,当該各号の文言を離れ,一般的に「不開示とすること の該当性につき被告において主張立証すべき事情は,前記(3)で説示したとおりであるから,原告らの上記主張が,被告において主張立証すべき事情をもって,当該各号の文言を離れ,一般的に「不開示とすることにより得られる利益」が「開示することにより得られる利益」を上回ることの具体的かつ詳細な事実とする趣旨であるとすれば,原告らの上記主張を採用することはできないというべきである。 2 争点(1)イ(本件各処分に係る不開示文書又は不開示部分の不開示情報該当性)について(1) 本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分についてア被告は,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報につき,要旨,日韓国交正常化交渉に関連し,文化財問題,法的地位問題,請求権問題等について行った韓国側との交渉の様子やその評価,政府内部での検討の様子,日本政府の具体的見解等を含むから,これを公にすれば,今後想定される北朝鮮との日朝国交正常化交渉等において,北朝鮮側に日本政府の立場の交渉上の戦術等の「手の内」を明かすことにつながり,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるとして,情報公開法5条3号の不開示情報に該当する旨を主張するとともに,更に上記の点について個別の文書ごとに敷衍して主張し,関係する一部開示文書等には,不開示部分が被告主張に係る国の安全等の確保に関するものに当たることを推認させるに足りるものもある。 イ被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無(ア) この点,前提事実によれば,本件各文書は,いずれも日韓会談の議事録,その添付資料又は日韓会談に関する内部検討文書等であり,条約その他の国際約束に関する文書であって,①外国との交渉に関する文書,②他の行政機関の質問若しくは意見又はこれに対する回答に関す 談の議事録,その添付資料又は日韓会談に関する内部検討文書等であり,条約その他の国際約束に関する文書であって,①外国との交渉に関する文書,②他の行政機関の質問若しくは意見又はこれに対する回答に関する文書 その他の他の行政機関への連絡及び当該行政機関との調整に関する文書又は③条約案その他の国際約束の案の検討に関する調査研究文書のいずれかに該当すると認められる。 そうすると,前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条3号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきところ,特に,上記のような本件各文書については,当該事情として,当該情報につき,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお本件各処分の時点において同号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在することを推認するに足りる事情をも主張立証しなければならないものと解される。 そこで,上記の観点から,上記アの被告の主張立証を検討する。 (イ)a 被告は,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報には,日韓国交正常化交渉に関連し,文化財問題,法的地位問題,請求権問題等について行った韓国側との交渉の様子やその評価,政府内部での検討の様子,日本政府の具体的見解等が含まれる旨を主張する。 b 前提事実(総論)(5)の事実及び証拠(乙A55)によれば,①日本及び北朝鮮は 側との交渉の様子やその評価,政府内部での検討の様子,日本政府の具体的見解等が含まれる旨を主張する。 b 前提事実(総論)(5)の事実及び証拠(乙A55)によれば,①日本及び北朝鮮は,2002年(平成14年)9月,日朝両首脳の議論の結果として,同年10月以降,日朝平壌宣言に基づいて日朝国交正常化交渉を再開することを合意し,日朝国交正常化交渉の中で,<ア>日本側が北朝鮮側に行う経済協力の具体的な規模と内容,<イ>昭和2 0年(1945年)8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民の全ての財産及び財産権につき相互放棄を基本原則とする具体的な取扱い,<ウ>在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題を協議するとともに,<エ>核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題についても,関係諸国間の対話を促進しつつ,安全保障に関わる問題を協議することとしているところ,② 日本による植民地統治下に置かれていた朝鮮が,第二次世界大戦後,いわゆる38度線によって韓国と北朝鮮に分断されたこととの関係上,日本と北朝鮮との関係は,その歴史的経緯や法的地位等につき,日本と韓国との関係に類似しているから,上記<ア>~<ウ>に掲げた諸問題については,日韓国交正常化交渉(日韓会談)で採り上げられた請求権問題(対韓経済協力の点も含む。),在日韓国人の地位に関する問題及び文化財の問題と類似する部分が多いものと推認することができる。 そうであるとすれば,③ 日韓国交正常化交渉(日韓会談)における請求権問題(対韓経済協力の点も含む。),在日韓国人の地位に関する問題及び文化財の問題につき,日本側がいかなる検討をした上で日韓国交正常化交渉に臨んだか又は当時の日本側の見解がいかなるデータに基づいて形成されたのかなどについては,日朝 ,在日韓国人の地位に関する問題及び文化財の問題につき,日本側がいかなる検討をした上で日韓国交正常化交渉に臨んだか又は当時の日本側の見解がいかなるデータに基づいて形成されたのかなどについては,日朝国交正常化交渉においても,そこで採り上げられる上記<ア>~<ウ>に掲げた諸問題に対する日本側の対処方針又は見解等を把握するための重要な資料になり得るところ,④ 北朝鮮は,日朝国交正常化交渉において上記<ア>~<ウ>に掲げた諸問題を協議するに当たり,当該協議を自らに有利に進展させるため,上記③で指摘したところの日本政府の見解及びその検討内容等に高い関心を有し,可能な限りの情報収集を図ろうとするであろうと推認することができる。 c しかしながら,前提事実及び掲記の証拠並びに弁論の全趣旨によれ ば,次のような事情も指摘することができる。すなわち,⑤ 日韓国交正常化交渉(日韓会談)は,昭和26年(1951年)から昭和40年(1965年)までの14年間にわたり行われたものであり,その交渉経緯等については,日本及び韓国の政府及び国民がそれぞれの立場から高い関心を寄せられていたから,当時の国会審議や一般報道で大きく取り上げられていたし,また,日韓会談終了後本件各処分に至るまでの間には,日本政府によっても本件各文書の開示部分のように日韓会談に関する文書の開示が行われているから,日韓国交正常化交渉(日韓会談)の交渉経緯やそこで採り上げられた諸問題についての日韓両政府の主張の各概要は,既に公知の事実であるといえる。さらに,⑥ 韓国においては,2004年(平成16年)2月のソウル行政法院の判決を契機として,2005年(平成17年)に韓国政府が保有する日韓会談に関する韓国側の文書(韓国側開示文書。これらの文書が,日韓会談の予備会談の頃(昭和 04年(平成16年)2月のソウル行政法院の判決を契機として,2005年(平成17年)に韓国政府が保有する日韓会談に関する韓国側の文書(韓国側開示文書。これらの文書が,日韓会談の予備会談の頃(昭和25年頃)からの日韓会談全般にわたるものであることは,インターネット上でも明らかにされており,公知の事実であるといえる。また,原告らの主張によれば,これらの文書は,全体で156件,約3万6000ページにも及ぶとされている。)が公開されるに至っているところ(甲99,130,137,144),後に別紙5の「第3 当裁判所の判断」でも説示するとおり,韓国側開示文書には,韓国側が作成した文書だけでなく,<a>日韓会談の際に日本側が韓国側に手交するなどした文書や<b>日本側が提示した請求権問題等に係る具体的データ等が正確に記録された文書が現に含まれているから(この点につき,甲144参照),本件各文書中の日韓会談の際に提示された日本側の提案の具体的内容や日韓両政府間で協議された諸問題に係る具体的データのうち相当程度のものが韓国側開示文書によって既に公にされている可能性が高い。ま た,⑦ 日韓国交正常化交渉(日韓会談)が行われた昭和26年から昭和40年までの間に日本政府が上記<ア>~<ウ>に掲げた諸問題に関して検討した内容や試算の中には,その当時の日本の財政事情,経済情勢又は貨幣価値等を前提にしたものがあり得るところ,これらの事情については,既にそれから30年以上経過していることから,日韓国交正常化交渉(日韓会談)の当時と(日朝国交正常化交渉が行われている)本件各処分の当時とでは著しく変化しているものといわざるを得ない。 (ウ) 以上の諸事情を総合考慮すれば,被告が主張する本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報 いる)本件各処分の当時とでは著しく変化しているものといわざるを得ない。 (ウ) 以上の諸事情を総合考慮すれば,被告が主張する本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報が,一般的又は類型的にみて,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるかどうかについては,次の点を指摘することができる。 a 本件各文書中の開示部分に記録されている情報と同一の内容のもの等まず,本件各文書に記録されている情報であってこれを開示する旨の決定がされたものについては,処分行政庁である外務大臣において,当該情報が情報公開法5条3号所定の国の安全等の確保に関するものに当たるかどうかについて,諸般の事情を総合考慮して慎重に検討し,必要に応じて専門的・技術的判断又は高度に政策的な判断をも行った上で,これに当たらないと判断したものである(この点については,本件の審理において,被告が,外務大臣において,情報公開制度の意義や情報公開によりもたらされる公益について深く認識した上,外務省所管の事務を国民に説明する責務をより一層全うすべく,情報公開法所定の不開示情報該当性につき,政策的・専門的・技術的見地から総合的に検討した上で該当性の有無を判断した旨を繰り返し主張していることから明らかである。)。 すなわち,本件各文書の開示決定部分に記録されている情報は,たとえその内容が一見北朝鮮当局が日朝国交正常化交渉の協議事項又は協議され得る事項に対する日本側の対処方針又は見解等を把握するための重要な資料になり得るものであったとしても,日本国政府を代表して行う外国政府との交渉及び協力その他外国に関する政務の処理に係る事務等をつかさどり,これらの事務に対する高度の政策的・専門的・技術的 の重要な資料になり得るものであったとしても,日本国政府を代表して行う外国政府との交渉及び協力その他外国に関する政務の処理に係る事務等をつかさどり,これらの事務に対する高度の政策的・専門的・技術的判断に優れる外務省の長である外務大臣において,これを公にして北朝鮮当局がこれを知り得ることになったとしても,日朝国交正常化交渉その他の北朝鮮との交渉において,日本政府の交渉上の立場を不利にするおそれがなく,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがないと判断したものであるといわざるを得ない。 そうであるとすれば,本件各文書のうち処分行政庁の開示決定がされた部分に記録されている情報と同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものは,たとえ当該開示決定がされた行政文書以外のものに記録されている場合であっても,これらの情報の内容の同一性や開示の判断時期の同時性若しくは近接性等に照らし,特段の事情がない限り,当該情報が国の安全の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が本件各文書の開示部分に記録されているものと同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものである場合には,被告において上記特段の事情を主張立証しない限り,一般的又は類型的にみて,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである(なお,本件各文書の開示部分に記録されている当該情報が開示請求に応じて常に開示されることになるであろうことからすれば,当該情報は北朝鮮当局にとっても容易に入手し得るもの であると評価せざるを得ないから,後記bに説示するような,<a>当該情報を記録した係争行政文書の開示決定を になるであろうことからすれば,当該情報は北朝鮮当局にとっても容易に入手し得るもの であると評価せざるを得ないから,後記bに説示するような,<a>当該情報を記録した係争行政文書の開示決定をすることによって初めて<b>当該情報が北朝鮮当局にとって日本政府の検討内容等を事前に把握し又は推測する材料となり得るという意味での因果関係を欠くことにもなる。)。 なお,この点については,情報公開法5条4号の公共安全秩序維持情報及び同条6号の事務事業情報の該当性判断においても,上記と同様のことが指摘することができるから,被告主張の不開示理由1以外の不開示理由に係る不開示部分に記録されている情報についても,結論において同様である。 b 次に,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報が,被告主張のとおり,日韓会談における請求権問題(対韓経済協力の点を含む。),在日朝鮮人の地位に関する問題又は文化財の問題について,その当時,日本側が検討した内容若しくはその検討の前提となったデータ又は当時の日韓会談に臨むに当たっての対処方針若しくは交渉戦術等であったとしても,これを公にすることにより,北朝鮮当局が当該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料となり,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるというためには,<a>当該情報を記録した行政文書の開示決定をすることによって初めて<b>当該情報が北朝鮮当局にとって日本政府の検討内容等を事前に把握し又は推測する材料となり得るという意味での因果関係が必要である。 このような観点から見ると,当該情報が,被告が主張するような情報であったとしても,次の場合については,一般的又は類型的にみて,国の安全 となり得るという意味での因果関係が必要である。 このような観点から見ると,当該情報が,被告が主張するような情報であったとしても,次の場合については,一般的又は類型的にみて,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである。 (a) 当該情報が,日韓会談において日本側が韓国側に提供した文書又は韓国側から提供された文書に記録されているものである場合上記(イ)c⑥で説示したところによれば,日韓会談において日本側が韓国側に提供した文書又は韓国側から提供された文書は,特段の事情がない限り,上記各文書自体が韓国側開示文書として開示されているものと推認することができ,しかも,本件各文書に関しては,韓国側開示文書が昭和26年(1951年)頃の日韓会談の予備会談以降昭和40年(1965年)頃の日韓会談の妥結に至るまでの全般にわたるものであることが公知の事実となっている。 そうであるとすれば,上記各文書に記録されている情報は,もはや北朝鮮当局が韓国側開示文書によって当該情報を入手し得る以上,たとえ本件各文書中の当該情報を記録している部分の不開示決定をしたとしても,北朝鮮当局が当該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料にできなくなるわけではないから,<a>当該情報を記録した行政文書の開示決定をすることによって初めて(新たに)<b>当該情報が北朝鮮当局にとって日本政府の検討内容等を事前に把握し又は推測する材料となり得るという意味での因果関係を欠くことが明らかである。 そして,韓国側開示文書として開示されているものと推認される上記各文書に当たるかどうかは,処分行政庁である外務 測する材料となり得るという意味での因果関係を欠くことが明らかである。 そして,韓国側開示文書として開示されているものと推認される上記各文書に当たるかどうかは,処分行政庁である外務大臣において,上記のような公知の事実を踏まえて,当該文書自体又は当該文書の作成・入手等の経緯から容易に判断できる事項であることも併せ考慮すると,当該情報が日韓会談において日本側が韓国側に提供した文書又は韓国側から提供された文書に記録されているものである場合には,一般的又は類型的にみて,これを公にすることにより, 北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるとはいえず,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである。 (b) 当該情報が,<ア>当時の官公庁においてその当時又は将来的に一般国民に公開することも予定して一般的又は網羅的に調査するなどして得ていた情報であって現在において一般に入手可能なもの又は<イ>一般に入手可能な他の書籍等から引用されたものである場合当該情報が,日韓会談当時,前記の各問題を検討する前提とされた金額・数値等のデータに当たるものであったとしても,例えば,官公庁が発表する白書に登載される統計的情報等,<ア>当該日韓会談における前記の各問題を検討する目的で独自に調査して得られた情報ではなく,当時の官公庁においてその当時又は将来的に一般国民に公開することも予定して一般的又は網羅的に調査するなどして得ていた情報であって現在において一般に入手可能なもの又は<イ>一般に入手可能な他の書籍等から引用されたものである場合には,当該情報が一般に入手し得るものである以上,たとえ本件各文書中の当該情報を記録した部分の不開示決定をしたとしても,北朝鮮当局が当該情報に係 般に入手可能な他の書籍等から引用されたものである場合には,当該情報が一般に入手し得るものである以上,たとえ本件各文書中の当該情報を記録した部分の不開示決定をしたとしても,北朝鮮当局が当該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料とできなくなるものではないから,<a>当該情報を記録した行政文書の開示決定をすることによって初めて<b>当該情報が北朝鮮当局にとって日本政府の検討内容等を事前に把握し又は推測する材料となり得るという意味での因果関係を欠くことが明らかである。 したがって,当該情報が,<ア>当時の官公庁においてその当時又は将来的に一般国民に公開することも予定して一般的又は網羅的に調査するなどして得ていた情報であって現在において一般に入手可 能なもの又は<イ>一般に入手可能な他の書籍等から引用されたものである場合には,一般的又は類型的にみて,これを公にすることにより,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるとはいえず,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである。 もっとも,当該情報が,<ア>当時の官公庁においてその当時又は将来的に一般国民に公開することも予定して一般的又は網羅的に調査するなどして得ていた情報であって現在において一般に入手可能なもの又は<イ>一般に入手可能な他の書籍等から引用されたものであるかどうかについては,当該情報の内容等を特定するに当たり,それが上記のようなものに該当することが認められるならば,一般的又は類型的にみて当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというものであるから,裁判所の審査方法としては,当該情報の内容又は当該情報が記録され られるならば,一般的又は類型的にみて当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというものであるから,裁判所の審査方法としては,当該情報の内容又は当該情報が記録されている文書の他の記載内容等からこれに該当することが明らかであるかどうかという観点から検討すれば足りるというべきである(なお,仮にこの点について原告らが個別的・具体的に主張立証した場合には,当該情報を不開示とした外務大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける事実になり得るものというべきである。)。 (c) 当該情報が,専ら当時の財政事情,経済情勢又は貨幣価値等に基づく検討内容又は計算金額等である場合当該情報が,例えば,その当時の物資の価格や民間会社の見積りに依拠して計算された金額である場合には,日韓会談当時と現在とでは経済情勢や貨幣価値等が著しく変化しており,当該計算金額の情報価値はもやは陳腐化しているものといわざるを得ないから,当 該計算金額をもって当該計算金額に係る前記の各問題に関する現在の日本政府の検討内容等を把握し又は推測することができないことは明らかである。また,当該情報が,例えば,専ら当時の日本の財政事情等を前提として行われた国の事業等に関するものである場合についても,やはり日韓会談当時と現在とでは財政事情等が著しく変化しているから,上記と同様である。 したがって,当該情報が,専ら当時の財政事情,経済情勢又は貨幣価値等に基づく検討内容又は計算金額等である場合には,一般的又は類型的にみて,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである。 c さらに,被告が主張する本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分 合には,一般的又は類型的にみて,国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができないというべきである。 c さらに,被告が主張する本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報は,日韓会談で協議の対象となった事項の内容・性質に着目すれば,<ア>請求権問題(対韓経済協力の点も含む。)に関するもの,<イ>在日韓国人の地位に関する問題に関するもの,<ウ>文化財問題に関するものに分類することができる。 以下,これらについて更に検討する。 (a) 請求権問題(対韓経済協力の点も含む。)に関する情報請求権問題(対韓経済協力の点を含む。)に関する情報には,<a>日韓会談の具体的交渉の際の請求権問題に関する対処方針・交渉戦略に係るもの,<b>韓国側の日本側に対する請求項目・金額又は対韓経済協力の金額・方式等について日本側が検討した具体的な解決策又は試算・査定の額等に係るもの,<c>請求権問題に関する諸問題について日本側が検討した具体的見解等に係るもの等がある。 このような請求権問題(対韓経済協力の点を含む。)に関する情報は,前記のとおり請求権問題及び経済協力が日朝国交正常化交渉で協議の対象となるものであるから,当該情報が専ら日本政府部内 で検討されたものである以上,上記a及びbで説示した場合に当たるものでない限り,一般的又は類型的にみて,これを公にすれば,北朝鮮当局が当該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料となり,北朝鮮との交渉上不利益を生ずるおそれがあるということができる。 なお,<b>韓国側の日本側に対する請求項目・金額又は対韓経済協力の金額・方式等について 握し又は推測する材料となり,北朝鮮との交渉上不利益を生ずるおそれがあるということができる。 なお,<b>韓国側の日本側に対する請求項目・金額又は対韓経済協力の金額・方式等について日本側が検討した具体的な解決策又は試算・査定の額等に係る情報については,当該試算・査定の額の前提とされた実測的又は統計的な金額・数値等を含め,本件各文書の開示部分その他の行政文書の開示部分又は韓国側開示文書で既に公にされたものがあるところ,その概要は,別紙7のとおりである(なお,その認定に供した証拠は,別紙7に記載したとおりである。)。 (b) 在日韓国人の地位に関する問題に係る情報本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報であって在日韓国人の地位に関する問題に関するものは,①日韓会談の具体的交渉の際の在日韓国人の地位に関する問題に関する対処方針・交渉戦略に係るもの,②当時の在日韓国人の法的地位に関する問題について日本側が検討した具体的見解等がある。 このうち,①日韓会談の具体的交渉の際の在日韓国人の地位に関する問題に関する対処方針・交渉戦略に係るものについては,前記のとおり在日韓国人の地位に関する問題が日朝国交正常化交渉で協議の対象となるものであるから,当該情報が専ら日本政府部内で検討されたものである以上,上記a及びbで説示した場合に当たるものでない限り,一般的又は類型的にみて,これを公にすれば,北朝鮮当局が当該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容, 見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料となり,北朝鮮との交渉上不利益を生ずるおそれがあるということができる。 しかし,②当時の在日韓国人の法的地位に関する問題について日本側が は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料となり,北朝鮮との交渉上不利益を生ずるおそれがあるということができる。 しかし,②当時の在日韓国人の法的地位に関する問題について日本側が検討した具体的見解等については,日韓会談当時の国籍法及び入国管理関係法令等を前提として議論されたものであり,前提事実のとおり,その後40年余り経過する間に日本国内で在日朝鮮人の法的地位に関する法整備が行われたこと等も併せ考慮すると,前記のとおり在日韓国人の地位に関する問題が日朝国交正常化交渉で協議の対象となるとしても,当該具体的見解等が現在の関係法令等を前提としてもなお意義を有するものであることが被告によって具体的に主張立証されない限り,当該情報に係る上記の各問題に関する現在の日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料とはなり得るものであると推認することはできず,北朝鮮との交渉上不利益を生ずるおそれがあるということはできないものといわざるを得ない。 (c) 文化財問題に関する情報本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報であって文化財問題に関するものは,文化財問題の性質及び前提事実(総論)(5)で説示した日韓会談における文化財問題に関する交渉経緯等に鑑みると,①日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実(品名,数量等)又は当時の評価額等,②日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等,③その他のものに分類することができる。 ① 日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実等 このうち,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する できる。 ① 日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実等 このうち,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実等に関するものは,日韓会談当時における日本側の見解を形成するに当たりその前提とされたこと自体は否定し得ない。 しかしながら,日本は,<ア> 前提事実(総論)(5)の事実によれば,日韓会談において,韓国による韓国文化財の返還請求に対し,文化交流の一環としてある程度の国有文化財を寄贈するという立場を一貫して示していたから,<イ> この観点からは,日朝国交正常化交渉において文化財問題が協議されることになっても,上記同様の立場を示すことが容易に想定されるところ,<ウ> そうであるとすれば,北朝鮮当局は,日韓会談当時における日本側の調査結果としての日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実等を知り得たとしても,これによって上記の立場にある日本の対処方針等をより詳細に把握し得るとはいい難い(なお,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報で言及されているとされる個別具体的な書籍や文化財等との関係でみても,日韓会談においては,日本は,韓国側の請求に係る文化財のうち韓国側に寄贈するものの品目及び数量等は,日本側が選択し,決定するという観点から,韓国側との交渉を行っていたから,当該情報が公にされたとしても,北朝鮮当局は,これらのうち韓国に寄贈するとの意思決定がされて既に引き渡されたもの又はその当時韓国に寄贈しないとの意思決定がされていたものに関する客観的事実等を把握し得るにすぎず,この点のみから後記②のような日本側が韓国側に寄贈することとしたものの選別基準等を推測することは相当困難で 当時韓国に寄贈しないとの意思決定がされていたものに関する客観的事実等を把握し得るにすぎず,この点のみから後記②のような日本側が韓国側に寄贈することとしたものの選別基準等を推測することは相当困難であるといわざるを得ない。)。この点をおくとしても,少なくとも日本に所在 する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する客観的事実については,日韓会談の当時から,日韓両政府間でやり取りされており,例えば,証拠(乙A186,A222,A231,A258,A274)及び弁論の全趣旨によれば,韓国側が日本側に対して「日本所在韓国国宝美術工芸品目録」(昭和28年5月14日提出のもの),「返還請求韓国文化財目録」(昭和37年2月28日提出のもの)等を送付し,他方,日本側も韓国側に対して「韓国出土品美術リスト(東京博物館所蔵)」(昭和33年4月15日提出のもの),宮内庁所蔵統監府本・Z248本目録(昭和38年4月3日及び同月13日提出のもの),引渡品目に関する日本側リスト(昭和40年6月11日提出のもの)等を送付していることが認められるが,前記(イ)cのとおり,韓国において韓国政府の保有する日韓会談に関する文書が公開されていることをも併せ考慮すれば,これらの目録等が韓国において公開されているものと考えられるから,これらの目録等に記録されている情報は,北朝鮮との関係においても,北朝鮮当局が容易に入手し得るものであるということができる。 以上の点に加え,本件各文書の開示部分には,日本に所在する朝鮮半島に由来する文化財の品名等を明らかにしているものが多数存在すること(例えば,乙A222,A245参照)等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を併せ考慮すると,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文 しているものが多数存在すること(例えば,乙A222,A245参照)等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を併せ考慮すると,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等に関する情報(当該書籍や文化財等に関する客観的事実等)は,これらの情報が公にされたとしても,新たに北朝鮮当局が日朝国交正常化交渉における文化財問題に関する日本側の対処方針等を把握し又は推測する材料となり得るものでなく,北朝鮮 との交渉上不利益を被るおそれがあるとまではいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 なお,被告は,北朝鮮当局が日本に所在する朝鮮半島由来の文化財の具体的なリストを知れば,今後想定される北朝鮮との交渉における日本政府の立場を不利にするおそれがあると主張するが,上記で説示したところによれば,北朝鮮当局が日本に所在する朝鮮半島由来の文化財の具体的なリストを知ることとなったとしても,そのことから直ちに日朝国交正常化交渉における文化財問題の協議の際の日本政府の検討内容等(手の内)を把握できるわけでないから,日本政府が北朝鮮との交渉上不利益を被るということはできず,被告の上記主張は合理的な根拠を欠いているものといわざるを得ない。 ② 日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等以上に対し,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等(当該書籍や文化財等の当時の評価額を含む。以下同じ)については,上記①で説示した日韓会談において文化財問題に関して一貫して示してきた日本の立場等に照らしても,日朝国交正 に寄贈するものの選別基準等(当該書籍や文化財等の当時の評価額を含む。以下同じ)については,上記①で説示した日韓会談において文化財問題に関して一貫して示してきた日本の立場等に照らしても,日朝国交正常化交渉において文化財問題が協議された場合には,北朝鮮の請求に対して日本側が対応を検討するに当たり参考にされるであろうものであるし,また,それが日本政府部内(外務省等の行政機関内部若しくはその他の省庁等も含めた行政機関相互の間又は他の法人・機関等との間)の審議,検討又は協議に関するものであり,かつ,これまでに韓国側に提示されたことがないものである限り,既に公開されている韓国政 府が保有する日韓会談に関する文書に含まれる余地のないものである。 そうであるとすれば,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等に関する情報は,今後行われる日朝国交正常化交渉において文化財問題が取り上げられる余地がある以上,本件各文書の作成後相当期間が経過していること,本件各処分の当時,それらの審議,検討又は協議において発言をした者のほとんどがその年齢等に照らして当時の公務員としての地位等を喪失していたものと推認することができること等を考慮しても,これらの情報が公にされれば,北朝鮮当局が文化財問題に関する日本政府の対処方針等を把握し又は推測する材料となり得ないとまではいえず,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがないとはいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるというべきである。 もっとも,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等に関するものであっても,日本において開示さ を推認することができるというべきである。 もっとも,日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等に関するものであっても,日本において開示された他の行政文書に含まれており,既に公にされているものについては,北朝鮮当局が容易に入手し得る以上,これを公にしたとしても,新たに北朝鮮当局が日朝国交正常化交渉における文化財問題に関する日本側の対処方針等を把握し又は推測する材料となり得るものでなく,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるとまではいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 ③ その他のもの 上記①及び②以外の情報については,当該情報が日本に所在する朝鮮半島に由来する書籍や文化財等で韓国側に寄贈するものの選別基準等に準じるものであるかどうかを精査すべきであり,これが肯定される場合には,上記②と同様の判断をすることができるが,これが否定される以上,北朝鮮当局が日朝国交正常化交渉における文化財問題に関する日本側の対処方針等を把握し又は推測する材料となり得るものとはいい難く,北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるとまではいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 (エ) 上記(ウ)で説示したところを踏まえ,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分について,被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由1に係る不開示情報該当性について」で説示するとおりであ おいて主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由1に係る不開示情報該当性について」で説示するとおりである。 なお,上記のうち,当裁判所において,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報が本件各文書の開示部分に記録されているものと同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものに当たると判断したものについて,被告は,上記(ウ)aで説示した特段の事情を具体的に主張立証しておらず,上記(ウ)aで説示した原則どおり,当該情報が国の安全の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を欠くと認められるから,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由1に係る不開示情報該当性について」においては,上記特段の事情に関する説示を省略している。また,「第3当裁判所の判断」においては,当該情報が本件各文書の一部開示部分と同趣旨又は類似のものである可能性を指摘したものがあるが,これは, 情報公開法に基づく不開示情報についての裁判所の審理の制約上,当該情報の内容と本件各文書の一部開示部分の内容とを直接比較対照することができないため,これらが同一のものであると認定するに至らなかったことを意味するものであるから,外務大臣においては,上記指摘のある不開示部分に記録されている情報については,これが当裁判所の指摘に係る本件各文書の一部開示部分と同一のものであるか否かを確認した上,当該情報の不開示情報該当性を再検討すべきである(以上のなお書きの点は,不開示理由2以下の不開示情報該当性の判断においても同様であるから,以下では,その説示を省略する。)。 ウ裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について きである(以上のなお書きの点は,不開示理由2以下の不開示情報該当性の判断においても同様であるから,以下では,その説示を省略する。)。 ウ裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について(ア) 本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報のうち,上記イで被告において主張立証すべき事情が認められたものについては,更に本件各処分のうち上記情報に係るものにつき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する。 (イ) この点については,前記1で説示したとおり,① 当該情報が国の安全等の確保に関する情報に当たり,かつ,② 当該情報に情報公開法5条3号所定の「おそれ」があると外務大臣が認めることにつき相当の理由があるかにつき,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,当該外務大臣の判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるかを判断すべきところ,被告において,当該情報を開示することにより,同号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定されることから,原告らにおいて,その「おそれ」があるとして当該不開示部分を不開示とした処分につき外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張立証しなければならな いこととなる。 (ウ) 上記(イ)で説示したところを踏まえ,上記(ア)で指摘した本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分を検討すると,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由1に係る不開示情報該当性について」の項の「(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 ついての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由1に係る不開示情報該当性について」の項の「(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 なお,上記各不開示部分に共通する事項に係る当裁判所の判断の詳細は,次のとおりである。 a 韓国側開示文書によって既に公にされている情報(前記(1)イ(ウ)b(a)以外のもの)と同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものである場合と裁量権の範囲の逸脱及びその濫用の有無前記イ(イ)c⑥で説示した事実並びに前提事実(総論)(5)及び別紙5の各「第3 当裁判所の判断」欄で認定した事実を総合すれば,日韓会談においては,日本側が,韓国側に対し,口頭により,前記イ(ウ)cの各問題に関する具体的解決策を提案・提示し又は前記の各問題を検討する前提となった各種のデータ等を提供するなどしたことが明らかであるところ,例えば,請求権問題を検討する前提となったデータに関し,日本側が韓国側に口頭で伝えた内容が韓国側開示文書で正確に記録されて公にされていることが認められる(なお,甲144参照)。 以上の事実によれば,本件各文書に記録されている情報のうち,韓国側開示文書によって既に公にされている情報と同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものについては,もはや北朝鮮当局が韓国側開示文書によって当該情報を入手し得る以上,当該情報について,たとえ不開示決定をしたとしても,北朝鮮当局が当 該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料にできなくなるわけではなく,<a>当該情報を記録した行政文書の開示決定をすることによっ 該情報に係る上記の各問題に関する日本政府の検討内容,見解又は対処方針等を事前に把握し又は推測する材料にできなくなるわけではなく,<a>当該情報を記録した行政文書の開示決定をすることによって初めて<b>当該情報が北朝鮮当局にとって日本政府の検討内容等を事前に把握し又は推測する材料となり得るという意味での因果関係を欠くことになる。 そうであるとすれば,当該情報を情報公開法の不開示情報に該当するとして不開示とした外務大臣の判断は,当該情報の内容が北朝鮮との交渉上不利益を被るおそれがあるものでないことについて重大な事実誤認等があり,又は,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものといわざるを得ない。 したがって,原告らにおいて,外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用を基礎付ける事情として,当該情報が韓国側開示文書によって既に公にされている情報と同一の内容のもの又はその情報の性質上同一のものと評価し得るものであることを主張立証した場合には,当該情報を不開示情報に当たるとした外務大臣の判断は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用により違法であるというべきである。 これに対し,被告は,本件各文書は,韓国政府が認識し得ない日本政府部内で検討,協議された資料等を含んでいるから,韓国政府によりその保有に係る日韓会談に関する文書が公開されているとしても,本件各文書の情報公開法5条3号の不開示情報該当性は否定されない旨主張するが,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報の全てが韓国政府が認識し得ないものであるわけではなく,上記のような情報に関しては,被告の上記主張を採用することはできない。 b 裁量権の範囲の逸脱及びその濫用の有無に関する原告らの主張に対 する当裁判 いものであるわけではなく,上記のような情報に関しては,被告の上記主張を採用することはできない。 b 裁量権の範囲の逸脱及びその濫用の有無に関する原告らの主張に対 する当裁判所の判断の詳細(a) 原告らは,① 日韓会談において日本側がとった外交戦術は,当時から広く知られていたこと,② 日韓会談当時に日本政府が検討した内容は,その当時と現在とでは外交関係及び国際政治状況等(例えば,現在では,東西冷戦が終わり,日本の歴史認識や植民地支配に関する考え方も大きく変わった上,日朝国交正常化交渉においては,日韓会談当時には存在しなかった核問題や拉致問題といった解決困難な問題も存在しており,日本と北朝鮮以外の米国や中国等の動向も考慮しなければならない状況にある。)が異なっており,全く無意味なものとなっていることから,これを公にしたとしても,北朝鮮当局に日本政府の手の内を知られることにはならない旨を主張する。 しかしながら,①の点については,本件各文書の不開示部分に記録されている日本側の交渉戦術は,原告らが主張するような広く一般に知られているものとは異なり,韓国との個々具体的な交渉状況を踏まえて検討された個別的・具体的なものであるから,原告ら指摘の点をもって,これを公にしたとしても,日朝国交正常化交渉において日本が交渉上の不利益を受けるおそれがないということはできない。また,②の点についても,例えば,請求権問題についてみれば,日韓会談において日韓両政府間で協議された事項は,韓国側の対日請求権の存否及び金額,日本側の韓国に対する請求権の存否及び金額並びにこれと韓国側の対日請求権との関係等であるところ,これらの点は,日朝平壌宣言においても,昭和20年(1945年)8月15日以前に生じた事由に基 び金額,日本側の韓国に対する請求権の存否及び金額並びにこれと韓国側の対日請求権との関係等であるところ,これらの点は,日朝平壌宣言においても,昭和20年(1945年)8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民の全ての財産及び財産権を相互に放棄するとの基本原則に従い,国交正常化交渉においてこれを具体的に協議するとされている以上,日朝国 交正常化交渉で上記各事項等も協議される余地があり,原告ら主張の事情から上記各事項等に関する情報が当該事項等に対する日本側の対処方針又は見解等を把握するための重要な資料になり得ることは直ちに否定されるものではない(以上の点は,<ア>請求権問題(対韓経済協力の点も含む。)以外の<イ>在日韓国人の地位に関する問題,<ウ>文化財問題についても,これらの問題に関する当時の日本側の検討内容が専ら当時の外交関係及び国際政治状況等(日本の歴史認識等も含む。)に基づいて検討されたものとまではいえず,他方,これらの問題が日朝平壌宣言において日朝国交正常化交渉における協議事項とされていることから,同様である。)。 したがって,以上に説示したところに反する原告らの上記主張を採用することはできない。 (b) 原告らは,本件各文書中の不開示理由1に係る不開示部分に記録されている情報のうち試算方法に係るものについては,それが合理的なものであればこれをもって堂々と交渉すれば足り,それが不合理なものであれば有用なものではないから,これを公にしたとしても,北朝鮮当局に日本政府の手の内を知られることにはならない旨を主張する。 しかしながら,前記(a)でも指摘したとおり,請求権問題は,平壌宣言により,日朝国交正常化交渉において協議されることとされており,現時点では,請求権問 にはならない旨を主張する。 しかしながら,前記(a)でも指摘したとおり,請求権問題は,平壌宣言により,日朝国交正常化交渉において協議されることとされており,現時点では,請求権問題としてどのような内容をどこまで協議するかの見通しが明らかではない以上,日韓会談当時日本政府が検討した試算方法については,それに合理性があるかどうかを問わず,当該事項等に対する日本側の対処方針又は見解等を把握するための重要な資料になり得ることが直ちに否定されないから,日本側が日韓会談当時の試算方法でいまだ対外的に明らかになっていな いものに関する情報を公にすれば,日朝国交正常化交渉において日本政府が北朝鮮との交渉上不利益を受けるおそれがあるといわざるを得ない。 したがって,以上に説示したところに反する原告らの上記主張を採用することはできない。 エ小括以上によれば,本件各文書の不開示理由1に係る不開示部分のうち,<ア>情報公開法5条3号の不開示情報に該当する部分は,別紙3処分目録の通し番号1-1~1-259に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑧適法部分」欄に記載するとおりであり,<イ>同号の不開示情報に該当しない部分は,別紙3処分目録の通し番号1-1~1-259に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑦取消部分」欄に記載するとおりである。 (2) 本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分についてア被告は,本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分に記録されている情報につき,要旨,これは,日韓会談及びその準備段階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であり,政府の非公式見解,韓国側担当者に対しての率直な評価,第三国政府の情報や論評等,公開される その準備段階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であり,政府の非公式見解,韓国側担当者に対しての率直な評価,第三国政府の情報や論評等,公開されることが想定されていない内容をも含むものであるところ,これを公にすることにより,現在良好な二国間関係を維持している韓国との間の信頼関係を損ねるおそれがあり,かつ,国の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,情報公開法5条3号及び6号の不開示情報に該当する旨を主張するとともに,更に上記の点について個別の文書ごとに敷衍して主張し,関係する一部開示文書等には,不開示部分が被告主張に係る国の安全等の確保に関するものに当たることを推認させるに足りるものもある。 イ情報公開法5条3号の該当性について (ア) 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無a この点,前提事実によれば,本件各文書は,いずれも日韓会談の議事録,その添付資料又は日韓会談に関する内部検討文書等であるから,条約その他の国際約束に関する文書であって,①外国との交渉に関する文書,②他の行政機関の質問若しくは意見又はこれに対する回答に関する文書その他の他の行政機関への連絡及び当該行政機関との調整に関する文書又は③条約案その他の国際約束の案の検討に関する調査研究文書のいずれかに該当すると認められる。 そうすると,前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条3号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて, について裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきところ,特に,上記のような本件各文書については,当該事情として,当該情報につき,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお本件各処分の時点において同号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在することを推認するに足りる事情をも主張立証しなければならないものと解される。 そこで,上記の観点から,前記アの被告の主張立証を検討する。 b 被告は,本件各文書のうち不開示理由2に係る不開示部分が存するものに記録されている情報は,日韓会談及びその準備段階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であり,政府の非公式見解,韓国側担当者についての率直な評価,第三国政府の情報や論評等,公開されることが想定され ていない内容をも含むものであると主張するところ,一般論としては,このような情報は,それが日本政府部内の意思決定をするのに未熟な時点で公開され,又は一定の意思決定の前提となったものが尚早な時期に公開されれば,外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれたり,誤解や憶測に基づき他国又は日本国民の間に混乱等を生じさせたり,また,韓国の国民一般に反日感情を呼び起こしたりするなどして,他国等との信頼関係が損なわれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあることは否定し難い。 し に混乱等を生じさせたり,また,韓国の国民一般に反日感情を呼び起こしたりするなどして,他国等との信頼関係が損なわれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあることは否定し難い。 しかしながら,前提事実によれば,これらの情報は,いずれも昭和25年(1950年)頃から昭和40年(1965年)頃までの間に政府部内でされた審議,検討又は協議に関するものであるところ,当該審議等がされてから本件各処分に至るまでの間に既に30年以上の期間が経過しており,当該審議等の対象となった日韓会談自体が昭和40年(1965年)の日韓基本条約等の締結により所期の目的を達するに至っていると認められる。また,上記のように当該審議等がされてから本件各処分に至るまでの間に30年以上の期間が経過したことに鑑みれば,本件各処分の当時,当該審議等において発言をした者のほとんどが当時の公務員としての地位等を喪失しており,他方,日本政府又は日本政府関係者から当該審議等で評価の対象とされた事項のうち,韓国の政治体制は上記の間に大きく変化しているし,日韓会談当時の政府高官その他の韓国側担当官も,上述した日本政府関係者と同様,当時の地位等を喪失していたことを容易に推認することができる。 これらの諸点を総合すれば,被告が主張する本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分に記録されている情報は,これらの情報が公に されたとしても,一般的又は類型的にみて,本件各処分の当時,日韓会談に関して,韓国その他の外国や日本政府部外からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれたり,誤解や憶測に基づき韓国又は日本国民の間に混乱等を生じさせたり,また,韓国の国民一般に反日感情を呼び起こしたりするなどして,韓国との などにより,率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれたり,誤解や憶測に基づき韓国又は日本国民の間に混乱等を生じさせたり,また,韓国の国民一般に反日感情を呼び起こしたりするなどして,韓国との信頼関係が損なわれ又は韓国との交渉上不利益を被るおそれがあるということはできない。 もっとも,これらの情報が,本件各処分当時において,なお日本と韓国その他の外国(韓国等)との間で交渉の対象となっている事項についての日本側の対処方針等であるなどの事情がある場合には,事柄の性質上,これらの情報を公にすることにより,一般的又は類型的にみて,誤解や憶測に基づき韓国等又は日本国民の間に混乱等を生じさせたり,韓国等がこれらの情報を利用して自国に有利な立場で日本国政府と交渉したりすることになる可能性を否定することができないし,また,これらの情報が,当時の韓国政府若しくは政府高官その他の日韓会談担当者又はその対応等に対する否定的な評価にとどまらず,これらの情報が記録されている文書全体の趣旨・目的やその当時と本件各処分時の日韓情勢の相違等も参酌して客観的にみた場合に,現在においてもなお一般的に韓国国民が日本政府から蔑視され又は日本政府によりその自尊心を害されたなどと感じ得るものであるときも,現在の韓国国民の反日感情を呼び起こし,韓国との信頼関係や交渉に影響を及ぼす可能性を否定できないから,韓国等との信頼関係が損なわれ又は韓国等との交渉上不利益を被るおそれがないとまではいえない。 c そうであるとすれば,これらの情報は,日韓会談及びその準備段階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であることのみをもって,直ちに,一般的 又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するもの 階の政府部内における議論の内容やそれに対する評価,政府部内での検討の様子等の内部機密情報であることのみをもって,直ちに,一般的 又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないといわざるを得ないが,これらの情報が本件各処分当時においてなお日本と韓国等との間で交渉の対象となっている事項についての日本側の対処方針等であったり,現在においてもなお一般的に韓国国民が日本政府から蔑視され又は日本政府によりその自尊心を害されたなどと感じ得るものであったりするなどの事情がある場合には,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認する余地があるということができる。 d したがって,被告が主張する本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分に記録されている情報が,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるかどうかについては,これらの情報が本件各処分当時においてなお日本と韓国等との間で交渉の対象となっている事項についての日本側の対処方針等であったり,現在においてもなお一般的に韓国国民が日本政府から蔑視され又は日本政府によりその自尊心を害されたなどと感じ得るものであったりするなどの事情があるかどうかを踏まえて個別的・具体的に検討すべきところ,このような観点から本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分につき被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討した結果は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由2に係る不開示情報該当性について」の項の「(1) 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無」で説示するとおりである。 (イ) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の の「不開示理由2に係る不開示情報該当性について」の項の「(1) 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無」で説示するとおりである。 (イ) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無についてa 本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分に記録されている情報のうち,前記(ア)で被告において主張立証すべき事情が認められたも のについては,更に本件各処分のうち上記情報に係るものにつき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する。 b この点については,前記1で説示したとおり,① 当該情報が国の安全等の確保に関する情報に当たり,かつ,② 当該情報に情報公開法5条3号所定の「おそれ」があると外務大臣が認めることにつき相当の理由があるかにつき,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,当該外務大臣の判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるかを判断すべきところ,被告において,当該情報を開示することにより,同号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定されることから,原告らにおいて,当該不開示部分を不開示情報に当たるとした外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張立証しなければならないこととなる。 c(a) 上記bで説示したところを踏まえ,上記aで指摘した本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分を検討すると,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由2に係る不開示情報該当性について」の項の「(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由2に係る不開示情報該当性について」の項の「(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 (b) これに対し,原告らは,被告において,本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分の内容として,対象文書全般又は開示部分を含めた文書の内容を説明するにとどまり,当該不開示部分を不開示とした判断を正当化する識別に関する情報を主張していない旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,前記aで指摘した本件各文書の不 開示理由2に係る不開示部分(被告において主張立証すべき事情が認められたもの)については,一般的又は類型的にみて,当該不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条3号所定の国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるのであり,これを超えて不開示部分の内容等について被告が具体的に主張立証しなければならないとすれば,実質的に同号の不開示情報に該当する情報を開示させることと同一の結果を招くことになるから,外務大臣(又は被告)が原告ら主張の点を明らかにしないことをもって外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける具体的事実であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ情報公開法5条6号の該当性について(ア) 情報公開法5条6号該当性の判断枠組み前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条6号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,被告において,① 当該情報が国の機関が行う事務又は事業に関する情報に当たり,かつ,② 当該事務又は事業の根拠 が情報公開法5条6号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,被告において,① 当該情報が国の機関が行う事務又は事業に関する情報に当たり,かつ,② 当該事務又は事業の根拠規定や趣旨,その目的や種類,その目的達成のための手法等に照らし,一般的・類型的な意味における公益的な開示の必要性等も比較考量して客観的に検討したとしても,これを公にすることにより,当該事務又は事業の適切な遂行に実質的支障を及ぼす蓋然性があることを認めるに足りる事情を主張立証すべきである。 (イ) 情報公開法5条6号該当性の当てはめそこで,上記の観点から,前記アの被告の主張立証を検討すると,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由2に係る不開示情報該当性について」のうち,「(情報公 開法5条6号の該当性について)」の項の「(1) 情報公開法5条6号該当性の当てはめ」で説示するとおりである。 エ小活以上によれば,本件各文書の不開示理由2に係る不開示部分のうち,<ア>情報公開法5条3号の不開示情報に該当する部分は,別紙3処分目録の通し番号2-1~2-109に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑧適法部分」欄に記載するとおりであり,<イ>同条3号及び6号のいずれの不開示情報にも該当しない部分は,別紙3処分目録の通し番号2-1~2-109に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑦取消部分」欄に記載するとおりである。 (3) 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分についてア被告は,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分につき,要旨,これには,<ア>現在においても日韓間で立場の異なる竹島問題に関する交渉の様子や政府部内での検討の様子の子細,<イ>日韓両政 ア被告は,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分につき,要旨,これには,<ア>現在においても日韓間で立場の異なる竹島問題に関する交渉の様子や政府部内での検討の様子の子細,<イ>日韓両政府において公表を前提としないで行われた政府当局者による率直な会談の記録又は具体的提案,<ウ>日本の外務省職員等が取得した竹島問題に関する他国政府関係者の見解又は発言に関する情報が記録されているところ,これを公にすることにより,韓国等の他国との信頼関係を損ない,又は我が国の今後の交渉上の立場を不利にするおそれがあるから,情報公開法5条3号に該当する旨を主張し,さらに,上記の点について個別の文書ごとに敷衍して主張するとともに,関係する一部開示文書等には,不開示部分が被告主張に係る国の安全等の確保に関するものに当たることを推認させるに足りるものもある。 イ被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無(ア) この点,前提事実によれば,本件各文書は,いずれも日韓会談の議事録,その添付資料又は日韓会談に関する内部検討文書等であるから,条 約その他の国際約束に関する文書であって,①外国との交渉に関する文書,②他の行政機関の質問若しくは意見又はこれに対する回答に関する文書その他の他の行政機関への連絡及び当該行政機関との調整に関する文書又は③条約案その他の国際約束の案の検討に関する調査研究文書のいずれかに該当すると認められる。 そうすると,前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条3号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処 開法5条3号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきところ,特に,上記のような本件各文書については,当該事情として,当該情報につき,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお本件各処分の時点において同号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在することを推認するに足りる事情をも主張立証しなければならないものと解される。 そこで,上記の観点から,前記アの被告の主張立証を検討する。 (イ) 被告は,本件各文書のうち不開示部分3に係る不開示部分が存するものに記録されている情報は,いずれも竹島問題に関するものであると主張するところ,前提事実(総論)(5)ア(ア)の事実によれば,竹島の領有権の帰属をめぐっては,日本と韓国との間で,法的問題も関わる紛争があり,現在においてもその紛争が継続していることから,韓国政府において,竹島問題に関する自己の立場をより有利にするため,竹島問題に関する日本政府の見解及びその検討内容並びに日本政府が取得した他国政府関係者の見解又は発言に関する情報等に高い関心を有し,これらの 情報を可能な限り収集しようとすることは,容易に予想されるところである。 しかしながら,前提事実及び掲記の証拠並びに弁論の全趣旨によれば,次のような事情も指摘することができる。すなわち,竹島問題については,日韓会談が開始された昭和27年以降に限ってみても,日韓関係における最大の懸案 前提事実及び掲記の証拠並びに弁論の全趣旨によれば,次のような事情も指摘することができる。すなわち,竹島問題については,日韓会談が開始された昭和27年以降に限ってみても,日韓関係における最大の懸案事項として,日韓両政府間の交渉が日韓会談の際も含めて行われてきたが,昭和27年当時から日韓両政府の主張が鋭く対立し,昭和40年の日韓基本条約の締結により日韓国交正常化が図られてから40年余り経過した現在に至っても,いまだに解決の方向性が定まっておらず,むしろ日韓両政府の主張が大筋において固定化していることもうかがわれるところである。そして,そのような交渉過程における日韓両政府の主張や日本政府が提示した具体的解決策等については,日本及び韓国の政府及び国民がそれぞれの立場から高い関心を寄せていることもあり,恒常的に国会審議で取り上げられたり,一般報道で大きく取り上げられることがあるほか,日本政府自身も,竹島問題に関する広報活動を積極的に行い(乙A11,12),本件各文書の一部開示部分等に見られる竹島問題に関する情報を記録した行政文書を多数公開していることから,竹島問題に関する日韓両政府の主張や上記交渉経緯の概要は,既に公知の事実であるといえる。また,韓国においては,2004年(平成16年)2月のソウル行政法院の判決を契機として,2005年(平成17年)に韓国政府が保有する日韓会談に関する韓国側の文書(原告らの主張によれば,全体で156件,約3万6000ページにも及ぶ。)が公開されるに至っている(甲99,130,137,144)。そして,公文書の公開に関する国際的動向・慣行としては,昭和43年(1968年),ICA(国際公文書館会議)マドリッド大会において,利用制限は原則として30年を超えないものとすべきとする3 0年原則が決議され 関する国際的動向・慣行としては,昭和43年(1968年),ICA(国際公文書館会議)マドリッド大会において,利用制限は原則として30年を超えないものとすべきとする3 0年原則が決議されており(甲103,104),特に外交文書の情報公開についてみても,例えば,米国では,大統領命令による秘密指定制度において,一定の例外を認めつつも,自動的な秘密指定解除の仕組みが採用されていること(甲105)等に照らすと,外交文書に記録されている情報であっても一定の期間の経過によりそれが公開される余地があることは,国際的にも承認されているというべきであるし,また,本件各文書の一部開示部分には外務省職員等が他国の政府関係者等から聴取するなどした情報が含まれていること(例えば,乙A64参照)をも併せ考慮すれば,日本政府が30年以上前に聴取するなどした当該情報を公開することにより直ちに当該他国の信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえないことは明らかである。 (ウ) 以上の諸事情を総合考慮すれば,被告が主張する本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報が,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるかどうかについては,次の点を指摘することができるa 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報は,当該情報に含まれる提案・見解等の主体に着目すれば,①竹島問題に関する日本政府又は日本政府関係者(日本側)の提案・見解・対処方針等に関するもの,②竹島問題に関して韓国政府又は韓国政府関係者(韓国側)から示された提案・見解等に関するもの,③竹島問題に関する韓国以外の他国政府関係者(第三国)の見解等に関するものに分類することができる。 b ま して韓国政府又は韓国政府関係者(韓国側)から示された提案・見解等に関するもの,③竹島問題に関する韓国以外の他国政府関係者(第三国)の見解等に関するものに分類することができる。 b まず,①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等に関するものをみるに,これは,更に本件各文書に記録された経緯等に着目すれば,<ア>日本側が韓国側に対して文書で提示したもの,<イ>日韓両政府間で現に行われた交渉時に発言されたもの,<ウ>日本政府部内で 検討・協議等がされたものであって韓国側に提示されていないもの,<エ>日本政府関係者(外務省職員等)の個人的見解に係るものに分類することができる。以下,これらについて検討する。 (a) ①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<ア>日本側が韓国側に対して文書で提示したものについては,前記(イ)で指摘した事情,特に当該文書が既に公開されている韓国政府が保有する日韓会談に関する文書中に含まれている可能性が高いこと等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化に照らすと,これらの情報が公になったとしても,韓国政府が日本政府の現在の方針を把握し又は推測する材料となり得るとは限らず,また,韓国との信頼関係を損なうことも考えられないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 (b) ①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<イ>日韓両政府間で現に行われた交渉時に発言されたものについては,日本側の当該発言が韓国側によって直接認識されている以上,これらの情報が公になったとしても,新たに韓国政府が日本政府の現在の方針を把握し又は推測する材料と 行われた交渉時に発言されたものについては,日本側の当該発言が韓国側によって直接認識されている以上,これらの情報が公になったとしても,新たに韓国政府が日本政府の現在の方針を把握し又は推測する材料となり得るものとはいえない。 もっとも,<a>当該交渉が日韓両政府間で秘密裡に行われたものであり,かつ,当該交渉時にされた発言等の内容を一般に公開しないことを約束していたなどの事情がある場合には,<b>当該発言等の内容が既に公開されている韓国政府が保有する日韓会談に関する文書で明らかにされているときを除き,これを公にすれば,なお韓国との信頼関係を損なうおそれがないとまではいえず,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるというべきである。 他方,上記<a>の事情が認められない場合には,当該交渉の事実(特に日韓両政府の首脳・高官間で行われた交渉に係るもの)が,当該交渉が行われてから既に30年以上経過していることから,もはや歴史的事実というべきものであり,また,上記提案等は,日韓基本条約の締結等により日韓国交正常化が図れている現在とは異なり,現に日韓国交正常化に向けての交渉が行われていた日韓会談当時のものであること等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化に照らすと,これらの情報が公になったとしても,韓国との信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 (c) ①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<ウ>日本政府部内で検討・協議等がされたもので韓国側に提示されていない とを推認することはできないというべきである。 (c) ①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<ウ>日本政府部内で検討・協議等がされたもので韓国側に提示されていないものについては,日本政府部内(外務省等の行政機関内部又はその他の省庁等も含めた行政機関相互の間)の審議,検討又は協議に関するものであり,既に公開されている韓国政府が保有する日韓会談に関する文書に含まれる余地のないものであるから,竹島問題が現在に至ってもなお日韓間で未解決の紛争に関するものである以上,本件各文書の作成後相当期間が経過していること,本件各処分の当時,それらの審議,検討又は協議において発言をした者のほとんどがその年齢等に照らして当時の公務員としての地位等を喪失していたものと推認することができること等を考慮しても,これらの情報が公にされれば,韓国政府が日本政府の現在の方針を把握し又は推測する材料となり得ないとまではいえず,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを 推認することができるというべきである。 (d) ①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<エ>日本政府関係者(外務省職員等)の個人的見解に係るものについては,<a>当該日本政府関係者が日韓会談の担当者として高い地位にあり,<b>当該提案等の内容が日本政府の公式見解とは異なるもので韓国側にとって有利なものである場合には,これらの情報が公になれば,当該提案等がたとえ30年以上前のものであったとしても,韓国側が日本側との交渉を有利に進めるために当該提案等を利用する可能性を否定することができないというべきであるから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認すること 日本側との交渉を有利に進めるために当該提案等を利用する可能性を否定することができないというべきであるから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるというべきである。他方,<a>当該日本政府関係者が日韓会談に影響を与え得る地位になく,<b>当該提案等の内容が日本政府の公式見解とは異なるものであっても韓国側にとって有利とはいえない場合には,これらの情報が公になったとしても,韓国側が当該提案等を利用することは考えられないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできない。 そうすると,①竹島問題に関する日本側の提案・見解・対処方針等であって<エ>日本政府関係者(外務省職員等)の個人的見解に係るものが,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるかどうかについては,当該日本政府関係者の地位及び当該提案等の内容等を総合して,個別的・具体的に検討する必要がある。 c 次に,②竹島問題に関して韓国側から示された提案・見解等に関するものをみるに,これは,そもそも韓国政府が新たに日本政府の現在の方針を把握し又は推測する材料となり得るものとはいえない上,<ア >韓国側から当該提案等を示された交渉等が日韓両政府間で秘密裡に行われたものであり,かつ,当該交渉時にされた発言等の内容を一般に公開しないことを約束していたなどの事情がない限り,既に韓国政府が保有する日韓会談に関する文書が韓国政府によって公開されていること等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化に照らすと,これらの情報が公になったとしても,韓国との信頼関係が損なわれるお 談に関する文書が韓国政府によって公開されていること等,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化に照らすと,これらの情報が公になったとしても,韓国との信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 そして,仮に上記<ア>の事情が認められる場合においても,<b>韓国側の当該提案等の内容が既に公開されている韓国政府が保有する日韓会談に関する文書で明らかにされているときは,これらの情報が公になったとしても,やはり韓国との信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえないから,一般的又は類型的にみて,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 d 最後に,③竹島問題に関する第三国の見解等に関するものをみるに,一般論としては,被告主張のとおり,領土問題については紛争当事国以外の第三国の見解が「客観的意見」として交渉上援用され得ることからすれば,第三国から日本側のみに示された竹島問題に関する具体的見解等は,竹島問題についての交渉において日本政府の方針や戦略に大きく関わり得るものといえる。 しかしながら,弁論の全趣旨によれば,第三国が日本側に当該具体的見解を示してから本件各処分に至るまでに既に30年以上経過しており,その間に日韓両国を含む国際情勢は刻々と変化を続け,当該具体的見解が示された当時と本件各処分時とではその前提となった状況 等が著しく変化しており,第三国の見解自体も変化している可能性が否定できないこと,前記(イ)で説示したとおり,本件各文書の一部開示部分には外務省職員等が米国の政府関係者等から聴取 た状況 等が著しく変化しており,第三国の見解自体も変化している可能性が否定できないこと,前記(イ)で説示したとおり,本件各文書の一部開示部分には外務省職員等が米国の政府関係者等から聴取するなどした情報が含まれていること等に照らすと,第三国と日本側との間で当該見解等の内容を一般に公開しないことを約束していたなどの事情がない限り,これらの情報を公にしたことにより,一般的又は類型的にみて,直ちに第三国との信頼関係を損なうものとは考えられず,また,日本政府が竹島問題についての韓国政府との交渉上不利益を被るものともいえないから,当該情報が国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することはできないというべきである。 e 以上に説示したところに反する原告ら及び被告の各主張は,いずれも採用することができない。 (エ) 上記(ウ)で説示したところを踏まえ,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分について,被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由3に係る不開示情報該当性について」の項の「(1) 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無」で説示するとおりである。 ウ裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について(ア) 本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報のうち,上記イで被告において主張立証すべき事情が認められたものについては,更に本件各処分のうち上記情報に係るものにつき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する。 (イ) この点については,前記1で説示したとおり,① 当該情報が国の安全等の確保に関す つき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する。 (イ) この点については,前記1で説示したとおり,① 当該情報が国の安全等の確保に関する情報に当たり,かつ,② 当該情報に情報公開法5 条3号所定の「おそれ」があると外務大臣が認めることにつき相当の理由があるかにつき,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,当該外務大臣の判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるかを判断すべきところ,被告において,当該情報を開示することにより,同号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定されることから,原告らにおいて,当該不開示部分を不開示情報に当たるとした外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張立証しなければならないこととなる。 (ウ) 上記(イ)で説示したところを踏まえ,前記(ア)で指摘した本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分を検討すると,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由3に係る不開示情報該当性について」の項の「(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 なお,原告らの主張に対する当裁判所の判断の詳細は,次のとおりである。 a 原告らは,竹島問題が日韓関係で未解決の問題として存在するとしても,竹島問題に関する日本政府の具体的な考え方や分析法,立論等の多くは,日韓両政府の広報活動や国会審議における政府答弁等を通じて,既に公となっており,竹島問題に関して日韓両国の論拠とする内容やそれぞれの主張と矛盾する内容が明らかにされているところ, ,立論等の多くは,日韓両政府の広報活動や国会審議における政府答弁等を通じて,既に公となっており,竹島問題に関して日韓両国の論拠とする内容やそれぞれの主張と矛盾する内容が明らかにされているところ,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報は,約半世紀も前の日本政府の検討内容等であるから,これが韓国との外交交渉に特段の具体的な影響を及ぼすことは想定できず,また,現在又は将来の交渉に具体的な不利益をもたらし又は他国との信頼関係を損なうと認められる特別の事情も存在しない旨主張する。 しかし,一般に,領有権の帰属をめぐる紛争に係る外国政府との交渉については,高度な政策的判断が求められるものであり,上記交渉の方法を一定のものに制限する法令上の規定も存在しないことからすると,外務省の長である外務大臣の広範な裁量に委ねられていると解されるところ,日本政府が当該政策的判断のために収集した情報や当該情報に基づいて検討した内容を開示する時期,順序又は方法等によっては,上記交渉が日本政府にとってより有利に進展するか否かに影響を与えることが否定し難い。 そうであるとすれば,原告ら主張のとおり,竹島問題に関する日本政府の具体的な考え方や分析法,立論等の多くが,日韓両政府の広報活動や国会審議における政府答弁等を通じて既に公になっているとしても,いまだ公にされていない竹島問題に関する日本政府の見解又は検討内容については,たとえそれが約半世紀前のものであったとしても,外務大臣がこれを公にすべきではないと判断している時点でこれが公になれば,韓国側においてこれを利用され,韓国にとってより有利な主張をされ,又はその主張に沿った広報活動等を行われるなどして,日本政府が竹島問題に関する韓国との交渉上の不利益を被 いる時点でこれが公になれば,韓国側においてこれを利用され,韓国にとってより有利な主張をされ,又はその主張に沿った広報活動等を行われるなどして,日本政府が竹島問題に関する韓国との交渉上の不利益を被るおそれがあるといわざるを得ない。 そうすると,原告らの主張に係る上記事情は,直ちに外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける具体的事実であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は,以上に説示したところに反するから,採用することができない。 b 原告らは,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分につき,被告が問題とする事項を具体的に特定した上,当該事項が現在も交渉継続中の事項に関するものであり,かつ,上記不開示部分が当該事項に 関連するものであるから,これを公にすれば今後の交渉に影響を与えるという今日的意義があることを被告において具体的な主張立証をしていない旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,前記(ア)で指摘した本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分(被告において主張立証すべき事情が認められたもの)については,一般的又は類型的にみて,当該不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条3号所定の国の安全等の確保に関するものに当たることを推認することができるのであり,これを超えて不開示部分の内容等について被告が具体的に主張立証しなければならないとすれば,実質的に同号の不開示情報に該当する情報を開示させることと同一の結果を招くことになるから,外務大臣(又は被告)が原告ら主張の点を明らかにしないことをもって外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける具体的事実であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできな )が原告ら主張の点を明らかにしないことをもって外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける具体的事実であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 c 原告らは,本件訴えにおいて,情報公開法5条3号の不開示情報に該当すると主張していた不開示部分に記録されている情報につき,本件訴えの提起後に追加開示決定をしており,その中には明らかに不開示情報に該当しないと考えられるものも含まれていたから,外務大臣の判断は,場当たり的であり,さじ加減によって変わり得るものとなっている旨主張する。 この点,別紙6の「証拠」欄掲記の証拠によれば,本件各文書の不開示部分であって本件訴えの提起後に追加開示決定がされたものは,別紙6(追加開示部分の一覧表)のとおりであると認められるところ,確かに,この中には,そもそも情報公開法5条3号該当性を認められないと考えられるものも含まれている。 しかしながら,前記(ア)で指摘した本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分に記録されている情報については,本件全証拠によっても,これが上記追加開示決定がされた情報と同一であると認めるに足りる証拠はないから,上記の事実のみをもって,前記(ア)で指摘した本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分を不開示とした外務大臣の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける具体的事実があるとすることはできない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 エ小括以上によれば,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分のうち,<ア>情報公開法5条3号の不開示情報に該当する部分は,別紙3処分目録の通し番号3-1~3-48に係る「当裁判所の判 小括以上によれば,本件各文書の不開示理由3に係る不開示部分のうち,<ア>情報公開法5条3号の不開示情報に該当する部分は,別紙3処分目録の通し番号3-1~3-48に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑧適法部分」欄に記載するとおりであり,<イ>同号の不開示情報に該当しない部分は,別紙3処分目録の通し番号3-1~3-48に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑦取消部分」欄に記載するとおりである。 (4) 本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分についてア被告は,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分につき,要旨,これには,①韓国要人一行等が訪日する際の警備計画に関するもの,②特定の場所における警備体制,警備対策に係る政府内部での具体的な検討状況,③海上保安庁の韓国周辺水域での警備体制についての検討状況,④日本政府が情報収集に至った経緯,犯罪容疑者に対する捜査に関する情報収集の方法や捜査手法自体等が記録されているところ,これを公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,情報公開法5条4号,6号の不開示情報に該当する旨を主張する(ただし,通し番号4-5の文書については,同条3号にも該当する旨を主張する。)と ともに,上記の点について個別の文書ごとに敷衍して主張し,関係する一部開示文書等には,不開示部分が被告主張に係る公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認させるに足りるものもある。 イ通し番号4-5の文書以外のものについてまず,上記のうち通し番号4-5の文書以外のものについて,情報公開法5条4号及び6号の不開示情報該当性を検討する。 (ア) 情報公開法5条4号の該当性について 外のものについてまず,上記のうち通し番号4-5の文書以外のものについて,情報公開法5条4号及び6号の不開示情報該当性を検討する。 (ア) 情報公開法5条4号の該当性についてa 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無(a) この点,前提事実によれば,本件各文書のうち不開示理由4に係るものは,いずれも日韓会談の議事録,その添付資料又は日韓会談に関する内部検討文書等であり,①条約その他の国際約束に関する文書であって外国との交渉に関する文書又は当該交渉に関する調査研究文書若しくはこれに準ずる文書,②特定の行政機関が所管する一定の事務を実施するための複数の行政機関による意思決定等の内容が記録された文書又は当該意思決定等に係る案の検討に関する調査研究文書若しくは行政機関協議文書等に当たるものであり,いずれもその作成からその不開示処分が行われるまでに少なくとも30年以上経過しているものであると認められる。 そうすると,前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条4号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,まず,被告において,当該情報に係る事項,当該情報の性質,本件各処分をするに当たって前提とした事実関係その他の本件各処分当時の状況等,一般的又は類型的にみて,当該情報が公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認するに足りる事情を主張立証すべきところ,特に,上記のような本件各文書については,当該事情として,当該情 報につき,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお本件各処分の時点において同号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在するこ 該情 報につき,本件各文書の作成後における時の経過,社会情勢の変化等の事情の変化を考慮しても,なお本件各処分の時点において同号にいう「おそれ」が法的保護に値する蓋然性をもって存在することを推認するに足りる事情を主張立証しなければならないものと解される。 そこで,上記の観点から,前記アの被告の主張立証を検討する。 (b) 被告は,本件各文書のうち不開示理由4に係る不開示部分が存するものに記録されている情報は,①韓国要人一行等が訪日する際の警備計画に関するもの,②特定の場所における警備体制,警備対策に係る政府内部での具体的な検討状況,③海上保安庁の韓国周辺水域での警備体制についての検討状況,④日本政府が情報収集に至った経緯,犯罪容疑者に対する捜査に関する情報収集の方法や捜査手法自体等である旨主張するところ,これらが,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認することができるかどうかについては,次のとおりである。 <ア> 要人警護の具体的方法等に係るもの不開示部分に記録されている情報が,①韓国要人一行等が訪日する際の警備計画に関するもの又は②特定の場所における警備体制及び警備対策に係る政府内部での具体的な検討状況であり,特にこれらに含まれる要人警護の具体的方法等に現在及び将来におけるそれと共通する点がある場合(例えば,<ア>当時から現在までの間に地理的条件等に極めて顕著な変更等があるとまではいえない霞が関周辺等の特定の場所における要人警護の体制・方法又は<イ>徒歩や車両により移動する際の要人警護の体制・方法)には,要人警護の対象者に対する殺傷や誘拐等の犯罪を企てている者がこれを知ったときは,現在又は将来における要人警護の具体 体制・方法又は<イ>徒歩や車両により移動する際の要人警護の体制・方法)には,要人警護の対象者に対する殺傷や誘拐等の犯罪を企てている者がこれを知ったときは,現在又は将来における要人警護の具体 的方法を推測することが可能となるため,より周到に犯罪を計画し,より細心の注意を払ってそれを実行する可能性を否定することができず,また,このような警備の体制・方法の裏をかくような対策に出る可能性があることも否めない。 そうすると,不開示部分に記録されている情報が上記のようなものであれば,特段の事情がない限り,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認することができるものというべきである。 <イ> 海上警備の方法等に係るもの不開示部分に記録されている情報が,③海上保安庁の韓国周辺水域での警備体制についての検討状況であり,海上警備の方法等を含むものであり,特に海上警備の方法等に現在及び将来におけるそれと共通する部分がある場合(例えば,一定の水域に他国船籍の船舶が侵入した場合には,海上保安庁の巡視艇等が特定の対応・措置を講ずるといったもの)には,日本の領海への侵入等を企てている者がこれを知ったときは,現在又は将来における海上保安庁の海上警備の具体的方法を推測することが可能となるため,より周到に日本の領海への侵入等を計画し,より細心の注意を払ってそれを実行する可能性を否定することができず,このような海上警備の方法の裏をかくような対策に出る可能性があることも否めない。 そうすると,不開示部分に記録されている情報が上記のようなものであれば,特段の事情がない限り,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認することがで そうすると,不開示部分に記録されている情報が上記のようなものであれば,特段の事情がない限り,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認することができるものというべきである。 <ウ> 犯罪の捜査手法等に係るもの 不開示部分に記録されている情報が,④犯罪容疑者に対する捜査に関する情報収集の方法又は犯罪の捜査手法等であり,現在及び将来におけるそれと共通する部分がある場合(例えば,特定の組織・機関等から,特定の犯罪に係る捜査に関する情報の提供を受けたり,当該犯罪に関する情報の提供を受けたりするといったもの)には,当該犯罪を企てている者がこれを知ったときは,現在又は将来の捜査に関する情報収集の方法又は捜査手法等を推測することが可能となるため,より周到に当該犯罪を計画し,より細心の注意を払ってそれを実行したり,当該情報収集又は捜査に協力する組織・機関等に対して圧力や危害を加えるなどの妨害工作を行い,このような妨害工作を恐れる当該組織・機関等に協力を渋らせるなどの萎縮効果を生じさせたりする可能性を否定することができないし,また,それらの捜査手法等の裏をかくような対策に出る可能性があることも否めない。 そうすると,不開示部分に記録されている情報が上記のようなものであれば,特段の事情がない限り,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認することができるものというべきである。 (c) 上記(b)で説示したところを踏まえ,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分について,被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の たところを踏まえ,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分について,被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由4に係る不開示情報該当性について」のうち,「(情報公開法5条4号の該当性について)」の項の「 (1) 被告において主張立証すべき事情についての主張立証の有無」で説示するとおりである。 b 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について (a) 本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分に記録されている情報のうち,上記aで被告において主張立証すべき事情が認められたものについては,更にこれらを不開示とする処分をした外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する。 (b) この点については,前記1で説示したとおり,① 当該情報が公共安全秩序維持に関する情報に当たり,かつ,② 当該情報に情報公開法5条4号所定の「おそれ」があると外務大臣が認めることにつき相当の理由があるかにつき,当該外務大臣の判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるかを判断すべきところ,被告の主張立証により,当該情報を開示することにより同号所定の「おそれ」があることが一般的又は類型的にみて肯定されることから,原告らにおいて,当該不開示部分を不開示情報に当たるとした外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張立証しなければならないこととなる。 (c)ⅰ 上記(b)で説示したところを踏まえ,上記(a)で指摘した本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分を検討すると,これについて について主張立証しなければならないこととなる。 (c)ⅰ 上記(b)で説示したところを踏まえ,上記(a)で指摘した本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分を検討すると,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由4に係る不開示情報該当性について」のうち,「(情報公開法5条4号の該当性について)」の項の「 (2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について」で説示するとおりである。 ⅱ なお,原告らは,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分につき,被告(外務大臣)において,① 40年前又は50年前の海上警備情報や捜査情報が,どのような具体的な理由によって 現在又は将来の公共の安全・秩序の維持や事務の適正な遂行に影響を与えるかを具体的に主張立証しておらず,また,② 当該「支障」の内容を具体的に特定し,不開示とされた情報が開示された情報と比較してどのような点で「支障を及ぼすおそれ」があるかを具体的に明らかにしていない旨主張する。 しかしながら,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分につき,被告において,前記a(c)のとおり,一般的又は類型的にみて,公共安全秩序維持に関するものに当たることを推認するに足りる事情を主張立証した以上,更にこれを超えて原告ら主張の観点から当該情報の具体的な内容を明らかにしなければならないとすれば,その開示を強いられるのと同一の結果となるから,そのような主張立証は要しないというべきであり,原告ら主張の点は,外務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける事情になるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (イ) 情報公開法5条6号の該当性について 権の範囲の逸脱又はその濫用を基礎付ける事情になるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (イ) 情報公開法5条6号の該当性についてa 前記1で説示したとおり,本件各文書の不開示部分に記録されている情報が情報公開法5条6号に定めるものに該当するか否かについて裁判所が審理するに当たっては,被告において,① 当該情報が国の機関が行う事務又は事業に関する情報に当たり,かつ,② 当該事務又は事業の根拠規定や趣旨,その目的や種類,その目的達成のための手法等に照らし,一般的・類型的な意味における公益的な開示の必要性等も比較考量して客観的に検討したとしても,これを公にすることにより,当該事務又は事業の適切な遂行に実質的支障を及ぼす蓋然性があることを認めるに足りる事情を主張立証すべきである。 b そこで,上記の観点から,前記アの被告の主張立証を検討すると, これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由4に係る不開示情報該当性について」のうち,「(情報公開法5条6号の該当性について)」の項の「(1) 情報公開法5条6号該当性の当てはめ」で説示するとおりである。 ウ通し番号4-5の文書について被告は,通し番号4-5の文書の不開示部分に記録されている情報が,事故情報の収集の具体的手法等に関するものであるから,これを公にすることにより,現在及び将来の犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあり,また,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして,情報公開法5条4号及び6号の不開示情報該当性のほか,韓国との信頼関係を損なうおそれがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由があるとして また,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして,情報公開法5条4号及び6号の不開示情報該当性のほか,韓国との信頼関係を損なうおそれがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由があるとして,同条3号の不開示情報該当性を主張する。 そこで,まず同条3号の不開示情報該当性を検討するに,これについての当裁判所の判断は,別紙5の「第3 当裁判所の判断」の「不開示理由4に係る不開示情報該当性について」のうち,「(情報公開法5条3号の該当性について)」の項で説示するとおりである。 エ小括以上によれば,本件各文書の不開示理由4に係る不開示部分のうち,<ア>情報公開法5条4号の不開示情報(ただし,通し番号4-5の文書の不開示部分については,同条3号の不開示情報)に該当する部分は,別紙3処分目録の通し番号4-1~4-11に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑧適法部分」欄に記載するとおりであり,<イ>同条4号及び6号の不開示情報のいずれにも該当しない部分は,別紙3処分目録の通し番号4-1~4-11に係る「当裁判所の判断」欄中の「⑦取消部分」欄に記載するとおりである。 (5) 本件各文書の不開示理由5に係る不開示部分について この点については,別紙5の通し番号5-1に係る部分に説示するとおりである。 (6) 本件各文書の不開示理由6に係る不開示部分についてこの点については,別紙5の通し番号6-1,6-2及び6-3に係る部分に説示するとおりである。 (7) 本件各文書の不開示理由8に係る不開示部分についてこの点については,別紙5の通し番号8-1及び8-2に係る部分に説示するとおりである。 3 争点(2)(本件義務付けの訴えの適法性)について(1) 本件義 係る不開示部分についてこの点については,別紙5の通し番号8-1及び8-2に係る部分に説示するとおりである。 3 争点(2)(本件義務付けの訴えの適法性)について(1) 本件義務付けの訴えは,いわゆる申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項2号)に該当するから,本件各処分が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であるときに限り,提起することができる(同法37条の3第1項)。 (2) これを本件についてみるに,本件各処分のうち別紙3処分目録の「⑧適法部分」欄記載の部分に係るものは,前記2で説示したとおり,いずれも適法であって取り消されるべきものに当たらないから,当該部分の開示の義務付けの訴えは,行政事件訴訟法37条の3第1項の要件を欠き,不適法な訴えというべきである。 他方,本件各処分のうち別紙3処分目録の「⑦取消部分」欄記載の部分に係るものは,前記2で説示したとおり,違法であって取り消されるべきものであるから,当該部分の開示の義務付けの訴えは,適法である。 4 争点(3)(本件義務付け請求に係る請求認容(本案)要件(行政事件訴訟法37条の3第5項)該当性)について本件各処分のうち別紙3処分目録の「⑦取消部分」欄記載の部分に係るものは,上記3(2)で説示したとおり,取り消されるべきものであるところ,他の不開示情報該当性もうかがえない以上,外務大臣が当該部分の開示決定をすべ きであることは情報公開法5条の規定(当該部分が本件各文書の一部であるときは,同条及び6条1項の規定)から明らかであると認められる(行政事件訴訟法37条の3第5項)。 したがって,当該部分に係る本件義務付け請求は,いずれも理由がある。 なお,前記2(1)イ(ウ),(2)イ(ア),(3)イ 明らかであると認められる(行政事件訴訟法37条の3第5項)。 したがって,当該部分に係る本件義務付け請求は,いずれも理由がある。 なお,前記2(1)イ(ウ),(2)イ(ア),(3)イ(ウ)で説示した本件各処分の問題点に鑑みて付言するに,本件各処分のうち前記2で適法とされたものの中には,処分行政庁である外務大臣において,情報公開法に基づく不開示情報についての裁判所の審理の制約(当該情報の内容と本件各文書の一部開示部分の内容とを直接比較対照することができないこと)を超えて,当裁判所が前記2(1)イ(ウ),(2)イ(ア),(3)イ(ウ)で説示した観点,特に本件各文書の開示部分に記録されているものと同一の内容のもの等や前記2(1)イ(ウ)bで指摘した類型のものに当たるかどうかという観点から再度検討すれば,更にその全部又は一部を開示する余地のあるものもあり得ると考えられる。したがって,外務大臣においては,本件各文書中の不開示部分について,上記の観点からの再検討を真摯かつ速やかに尽くしていくことが切に望まれるというべきである。 5 結論よって,本件訴えのうち,別紙3処分目録の「⑧適法部分」欄記載の部分の開示の義務付けの訴えは,いずれも不適法であるから却下し,その余の訴えに係る原告らの請求は,本件各処分のうち別紙3処分目録の「⑦取消部分」欄記載の部分に係るものの取消し及び当該部分の開示の義務付けを求める限度で理由があるから認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官 訟法61条,64条本文,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官林史高 裁判官菅野昌彦 (別紙2)凡例 第1 略称・略語本判決で使用する略称・略語の一部は以下のとおりであり,ここに一括して掲記する。 1 法令等関係 略称用語情報公開法 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)旧情報公開法22条公文書管理法附則5条による改正前の情報公開法22条 旧情報公開法施行令16条公文書管理法施行令附則6条による改正前の行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令16条行審法行政不服審査法(昭和37年法律第160号)公文書管理法 公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)公文書管理法施行令公文書等の管理に関する法律施行令(平成22年政令第250号)旧国立公文書館法公文書管理法附則4条による改正前の国立公文書館法外務省情報公開法審査基準 外務省が平成13年4月に制定し,平成18年3月に改正した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示決定等に関する審査基準」 2 法令上の用語及びこれに関連する用語 略語用語個人情報 「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることと 業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。 )又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(情報公開法5条1号)国の安全等に関する情報 「公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(情報公開法5条3号)国の安全等の確保 我が国の安全,他国等との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保すること(情報公開法5条3号関係)公共安全秩序維持情報 「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(情報公開法5条4号)公共安全秩序維持 公共の安全と秩序を維持すること(情報公開法5条4号関係)事務事業情報 「国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務 又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」(情報公開法5条6号)不開示情報情報公開法5条各号に掲げる情報不開示処分 開示請求に係る行政文書の全部又は一部について情報公開法5条各号所定の不開示情報が記録されていることを理由に不開示とする旨の処分 示情報情報公開法5条各号に掲げる情報不開示処分 開示請求に係る行政文書の全部又は一部について情報公開法5条各号所定の不開示情報が記録されていることを理由に不開示とする旨の処分行政文書ファイル等行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(公文書管理法5条5項参照) 3 国名等 略称用語韓国大韓民国北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国米国アメリカ合衆国ソ連ソヴィエト社会主義共和国連邦ロシアロシア連邦韓国等韓国その他の外国 4 本件開示請求等 略語用語本件開示請求 原告らが,外務大臣に対し,平成18年4月25日付けでした情報公開法に基づく別紙4請求文書目録記載の文書についての開示請求本件各文書別紙3処分目録の「不開示決定」欄記載の各行政文書 本件369文書 本件開示請求に係る行政文書のうち,外務大臣が,原告らに対し,平成20年4月18日付け,同年5月2日付け及び同月9日付けでその全部又は一部を開示しない旨の決定をした合計369文書通し番号○-○の文書別紙3処分目録の通し番号○-○の行政文書 本件各処分 外務大臣が原告らに対してした本件各文書の全部又は一部を開示しない旨の決定本件義務付け請求 原告らが外務大臣に対し本件各文書の各不開示部分の開示の義務付けを求める請求(請求第2項)本件義務付けの訴え本件義務付け請求に係る訴え 韓国側開示文書 韓国において公開された韓国政府が保有する日韓会談に関する文書別件訴訟① 原告らが,平成18年12月18日に提訴した本件開示請求に係る行政文書の一部(13文書)の不開示部分に係る決 公開された韓国政府が保有する日韓会談に関する文書別件訴訟① 原告らが,平成18年12月18日に提訴した本件開示請求に係る行政文書の一部(13文書)の不開示部分に係る決定の取消し及び同部分の開示の義務付けを求めるとともに,<イ> 外務大臣がその余の文書に係る開示決定等をしないことの違法確認及びその開示の義務付けを求める訴え(東京地裁平成○年(行ウ)第○号)別件訴訟② 原告らが平成20年4月23日付けで提訴した本件開示請求に係る行政文書の一部(全部不開示文書1及び一部不開示文書12)について不開示決定の取消しを求める訴え(東京地裁平成○年(行ウ)第○号。別件訴訟②) 5 日韓関係 略称用語サンフランシスコ平和条約又は平和条約昭和26年(1951年)9月に署名された日本国との平和条約(昭和27年条約第5号) 日韓基本条約 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(昭和40年条約第25号)漁業協定 日本と韓国との間で昭和40年6月に締結された「日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定」(昭和40年条約第26号)新漁業協定 日本と韓国との間で平成11年に締結された「漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定」(平成11年条約第3号)請求権協定 日本と韓国との間で昭和40年6月に締結された「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本と大韓民国との間の協定」(昭和40年条約第27号)法的地位協定 日本と韓国との間で昭和40年6月に締結された「在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定」(昭和40年条約第28号)文化協力協定 日本と韓国との間で昭和40年 法的地位協定 日本と韓国との間で昭和40年6月に締結された「在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定」(昭和40年条約第28号)文化協力協定 日本と韓国との間で昭和40年6月に締結された「文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(昭和40年条約第29号)在日韓国人多年にわたり日本に居住している韓国国民李ラインいわゆる「李承晩ライン」 EEZ排他的経済水域ICA 国際文書館評議会(InternationalCouncilonArchives)SCAP 連合国軍総司令官(SupremeCommanderfortheAlliedPowers)SCAPIN 連合軍総司令部訓令(SupremeCommandforAlliedPo-wersInstructionNote)大村収容所長崎県大村市に所在した外国人収容所日本側日本政府又は日本政府関係者韓国側韓国政府又は韓国政府関係者第三国韓国以外の他国政府関係者吉田総理吉田茂内閣総理大臣鳩山総理鳩山一郎内閣総理大臣岸総理岸信介内閣総理大臣池田総理池田勇人内閣総理大臣佐藤総理佐藤榮作内閣総理大臣重光外務大臣重光葵外務大臣岸外務大臣岸信介外務大臣藤山外務大臣藤山愛一郎外務大臣小坂外務大臣小坂善太郎外務大臣大平外務大臣大平正芳外務大臣椎名外務大臣椎名悦三郎外務大臣Z221参与又はZ221代表日本側首席参与又は日本側首席代表であったZ221アジア局外務省アジア局アジア局長又は局外務省アジア局長 長 北東アジア課外務省アジア局北東アジア課 Z221代表日本側首席参与又は日本側首席代表であったZ221アジア局外務省アジア局アジア局長又は局外務省アジア局長 長 北東アジア課外務省アジア局北東アジア課北東アジア課長外務省アジア局北東アジア課長李大統領李承晩韓国大統領崔長官崔徳新韓国外務部(現在の外交通商部)長官李長官李東元韓国外務部(現在の外交通商部)長官Z223中央情報部長Z223中央情報部長 第2 その他の表記方法等 1 行政文書等の特定に当たり処分目録を利用する場合は,次の例による。 (1) 例えば,「通し番号2-1~2-9の各文書」と記載した場合は,別紙3処分目録の通し番号2-1から2-9までに掲げられた各行政文書のうち,欠番である処分目録の通し番号2-4,2-6,2-7,2-8に係る部分を除いたものをいうものとする。 (2) 行政文書等の特定を「別紙3処分目録の「不開示決定」欄記載の各行政文書」というように包括的に行う場合において,例えば,通し番号1-29の行政文書と通し番号2-9の行政文書のように同一の行政文書を意味するものが重複して記載されたとしても,当然一つの行政文書を摘示したものとしてこの点を特に明示しないものとし,他方,行政文書等を個別的具体的に記載する場合は,通し番号の若いもののみ摘示する(上記の例では,「通し番号1-29の文書」とのみ摘示する。)ものとする。 2 本件各文書の不開示部分の特定に当たっては,本件各処分に係る通知書に記載されたページ数と書証(原告らに開示された文書)の各書面下部に打刻されたページ数(「-1-」などと表記されている。)に一致しない部分があることから,まず本件各文書の原本における不開示部分を「○ページ」と表記した 上,書証( れた文書)の各書面下部に打刻されたページ数(「-1-」などと表記されている。)に一致しない部分があることから,まず本件各文書の原本における不開示部分を「○ページ」と表記した 上,書証(原告らに開示された文書)における該当する箇所のページ数を「(-○-)」というように括弧書きで併記している。 なお,上記の書証における該当する箇所のページ数については,追加開示後の書証によるページ数を指すものとする。 3 判決理由の第1の1で認定した前提事実のうち,同(1)~(3),(5)の各認定事実を「前提事実(総論)」,同(4)の認定事実(具体的には別紙5の通し番号の別に応じてそれぞれ第1(前提事実(各論))で認定された各事実)を「前提事実(各論)」といい,これらを総称する場合には,単に「前提事実」という。 4 証拠により開示された行政文書に記録されている情報を認定するに当たっては,原文のうち現在の公用文における漢字使用や用語用字等と異なる部分を現行のそれに適宜書き換えたり,句読点等がないものについて読みやすさの観点から必要な句読点を追記したりした部分がある。 また,原文に手書きで加除訂正されている場合は,特に断らない限り,当該加除訂正を反映させた内容で認定するものとする。 原文の判読不明の部分は,単に「〇」と表記する。 5 証拠により不開示部分を認定するに当たっては,文書の書式上不開示部分の文字数が明らかに認定できる場合には文字数に応じた「■」(ただし,■1つあたり全角1文字を意味する。)を表記するものとし,不開示部分が長文にわたる場合等には「■■■不開示部分■■■」と表記するものとする。 なお,本件訴えの対象外の不開示部分については「●●●」と表記するものとする。 6 「頁」又は「ページ」の表記 が長文にわたる場合等には「■■■不開示部分■■■」と表記するものとする。 なお,本件訴えの対象外の不開示部分については「●●●」と表記するものとする。 6 「頁」又は「ページ」の表記については,裁判例の引用部分を除き,原則として「ページ」と表記する。ただし,別紙3においては,「頁」と表記するものとする。 (別紙3の2)別紙3処分目録の注記 ※1 通し番号1-94の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分ア ②中の下記部分(ただし,不開示部分とされている部分を除く。)記(一) 請求権の相互放棄を方針とするも,特定のものについては支払う用意ある旨提案し,韓国側の要求が過当ならざる場合に平和条約第4条(b)項を再確認し,米軍政府のヴェスティング・デクリーの効力を承認する。 (二) 前記特定のものとして左記を個々の証拠書類を確認の上,■■■不開示部分■■■して提案する。 ■■■不開示部分■■■されまた将来供託されるもの(三) 別に政府所有の朝鮮関係国宝若干の贈与,ほぼ合意に近づいた船舶(24隻約5900トン)の贈与を考慮する。 (注) 左記項目について韓国側より要求ある場合には,韓国側に残置せる財産と相殺すべきものなる趣旨をもって対処する。 ■■■不開示部分■■■イ ③ ※2 通し番号1-118の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分ア ①イ ②ウ ④のうち,下記の不開示部分④―1~④―10,④―17 記(2) 大蔵省の説明によれば,在外財産等報告書によって算出された朝鮮地域関係私有財産は■■■不開示部分④-1■■■で,そのうち個人財産は■■■不開示部分④-2■■■,法人財産は■■■ 記(2) 大蔵省の説明によれば,在外財産等報告書によって算出された朝鮮地域関係私有財産は■■■不開示部分④-1■■■で,そのうち個人財産は■■■不開示部分④-2■■■,法人財産は■■■不開示部分④-3■■■であったとのことである。しかし,同省によれば,右算出の基礎となった報告書は,(イ) 終戦直後の混乱期における報告であってその内容についての審査を経たものではないこと。 (ロ) 証拠資料の添付が皆無に近いこと。 (ハ) 財産額の評価基準がまちまちで明らかに過大評価と認められる者があること。 等の理由で客観度又は信憑度の低いものと認められ,したがて,これを基礎として算出した上述の金額も客観性又は信憑性の点で疑問が多いとのことである。 また,国有財産については,大蔵省において■■■不開示部分④-4■■■という推定金額を算出しているが,これについても私有財産の場合に似た疑問があるとのことである。 なお,上述の在朝鮮日本財産の南北区分については一切不明とのことである。 (3) 米国政府よりは,終戦直後連合国最高司令部が日本側関係当局より資料を提出せしめて集計した在朝鮮日本財産評価額として,次の数字の提示があった。 (イ) 国有財産は,総額■■■不開示部分④-5■■■(以下1頁不開示)(ニ) 個人財産は,■■■不開示部分④-6■■■以上(イ)ないし(ニ)を合計すれば,米側評価による在朝鮮日本財産は,■ ■■不開示部分④-7■■■また,各項目ごとの南北鮮比率の算定方法その他の詳細は,何分終戦当時の混乱期のことでもあり,今になっては必ずしも明確でないが,例えば,法人財産については大企業の場合は約1,500の大企業の地 ■■■また,各項目ごとの南北鮮比率の算定方法その他の詳細は,何分終戦当時の混乱期のことでもあり,今になっては必ずしも明確でないが,例えば,法人財産については大企業の場合は約1,500の大企業の地理的分布等から南鮮に■■■不開示部分④-8■■■北鮮に約3分の2と算定し,他方,中小企業については,南鮮部分に圧倒的に多かったので,■■■不開示部分④-9■■■の比率が算定されたものと見られるとの補足説明があった。 なお,上述の米側提示の数字を当時の1ドル対15円のレートに逆算して上記 (2)の日本側数字と比較すると,法人財産についてはほぼ一致しているのに反し,政府及び個人財産については日本側数字の方が多く,従って総額においても■■■不開示部分④-10■■■余り多くなっている。これは,政府及び個人財産,特に個人財産について連合国最高司令部が日本側当局より資料を収集した後になって,新たに在外財産報告書を提出した者があることもその一員ではないかと推測される反面,何れの数字についても,上述のとおり,客観性ないし信憑性の点でかなりの疑問があるので今になってこれらの数字の食い違いを詮索することは余り意味がないと考える。 問2 1953年11月の「世界の動き」特集号に載った先の数字の日本側の額はどのような根拠によったのか。 記日本が韓国から受け取るべき額 ■■■不開示部分④-17■■■日本が韓国に支払うべき額 ■■■不開示部分④-17■■■差引受取額 ■■■不開示部分④-17■■■ ※3 通し番号1-154の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分ア ①中(ア) 7頁( ■■■不開示部分④-17■■■ ※3 通し番号1-154の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分ア ①中(ア) 7頁(-7-)左から3行目から2行目まで(不開示部分①-3)(イ) 8頁(-8-)の「(二)」の部分(不開示部分①-4)中,下記文言と同一又は同様の部分(ただし,下記で「不開示部分」と記載した部分を除く。)記(二) 前記特定のものとして左記を個々の証拠書類確認の上,■■■不開示部分■■■して提案する。 ■■■不開示部分■■■されまた将来供託されるもの(ウ) 8頁(-8-)の「(三)」の部分(不開示部分①-5)中,下記文言と同一又は同様の部分(ただし,下記で「不開示部分」と記載した部分を除く。)記(三) 別に政府所有の朝鮮関係国宝若干の贈与,ほぼ合意に近づいた船舶(24隻約5900トン)の贈与を考慮する。 (注) 左記項目について韓国側より要求ある場合には,韓国側に残置せる財産と相殺すべきものなる趣旨をもって対処する。 ■■■不開示部分■■■イ ②ウ ③ ※4 通し番号1-174の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分 ア ①のうち,下記の文言と同一の部分記(3) 本試算額は韓国側要求を国際法上の原則に基づいて検討した結果,有効と認められるものを列挙した。したがって,在韓日本資産の喪失も考慮に入れていないし,また,韓国が当然に負うべき地方的債務の額も,計算に入れていない。右を考慮に入れれば韓国側への支払はゼロになる。 (4) 第一次及び第二次日韓会談で韓国側 の喪失も考慮に入れていないし,また,韓国が当然に負うべき地方的債務の額も,計算に入れていない。右を考慮に入れれば韓国側への支払はゼロになる。 (4) 第一次及び第二次日韓会談で韓国側が対日請求権として主張した金額は終戦時価格337億と推定される。(別紙二参照)。 イ ③のうち,通し番号1-157の文書で開示されている別紙二「韓国が主張している対日請求権の内容と金額」と題する文書(全10頁)と同一の部分(ただし,通し番号1-157の文書の不開示部分を除く。) ※5 通し番号1-257の⑦欄⑤欄記載の不開示部分のうち,次の部分ア(ア) ①(イ) ③中のa 19頁の左葉(28)上から7行目b 28頁の右葉(43)上から8行目c 34頁の左葉(48)下から6行目d 56頁の左葉(90)下から11行目から8行目e 56頁の左葉(90)下から3行目f 60頁の右葉(99)下から12行目g 62頁の左葉(102)上から17行目h 71頁の左葉(120)下から10行目i 83頁の右葉(137)上から13行目から14行目までj 83頁の右葉(137)下から10行目から9行目までk 83頁の右葉(137)下から3行目l 98頁の左葉(152)上から17行目m 98頁の左葉(152)上から19行目n 98頁の左葉(152)下から3行目o 99頁の左葉(154)下から7行目p 101頁の右葉(159)上から5行目q 101頁の右葉(159)下から2行目(ウ) ④中の ら3行目o 99頁の左葉(154)下から7行目p 101頁の右葉(159)上から5行目q 101頁の右葉(159)下から2行目(ウ) ④中のa 35頁の左葉(50)上から8行目b 38頁から39頁左葉(58)の上から14行目まで(同頁の左葉(58)上から2行目の不開示部分を含む。)c 44頁の右葉(69)上から1行目 d 44頁の右葉(69)上から10行目から12行目までe 44頁の右葉(69)上から15行目f 44頁の右葉(69)上から17行目g 44頁の右葉(69)上から19行目h 62頁の左葉(102)の上から28行目から右葉(103)の上から21行目までi 64頁から66頁の左葉(110)の下から10行目までまでj 67頁から68頁の左葉(114)の上から7行目まで別紙7の第1の5(4)ア(ア)で認定した「集団移入朝鮮人労務者数」と同一のものk 68頁の左葉(114)の「(第2表)」部分l 70頁の右葉(119)の下から4行目から71頁の左葉(120)までの「引揚援護庁「引揚援護の記録」より」との部分m 72頁の左葉(122)の(イ)に相当する部分n 73頁の左葉(124)の(ホ)Bに相当する部分o 76頁p 82頁の左葉(134)の下から8行目q 84頁の右葉(139)の(a)の一覧表部分r 98頁の右葉(153)の上から16行目から21行目までw 102頁上から1行目イ ④中のa 25頁 84頁の右葉(139)の(a)の一覧表部分r 98頁の右葉(153)の上から16行目から21行目までw 102頁上から1行目イ ④中のa 25頁b 72頁の右葉(123)の(ロ)に相当する部分c 72頁の右葉(123)の(ハ)に相当する部分u 95頁 (別紙4)請求文書目録 1 日韓会談開始(1951 年10 月)前の準備作業に関する全ての公文書 2 第1次会談予備会談(1951 年)本会議会議録 3 第1次会談予備会談(1951 年)在日韓国人国籍処遇問題会議録 4 第1次会談予備会談(1951 年)船舶問題会議録上記以外の,第1 次会談予備会談(1951 年)関連の全ての公文書 6 第1 次会談(1952 年)本会議会議録 7 第1 次会談(1952 年)在日韓国人法的地位委員会会議録 8 第1 次会談(1952 年)請求権委員会会議録 9 第1 次会談(1952 年)船舶委員会会議録第1 次会談(1952 年)漁業委員会会議録 11 第1 次会談(1952 年)基本関係委員会会議録 12 上記以外の,第1 次会談(1952 年)関連の全ての公文書 13 第2 次会談(1953 年)本会議会議録 14 第2 次会談(1953 年)在日韓国人法的地位委員会会議録第2 次会談(1953 年)船舶委員会会議録 16 第2 次会談(1953 年)請求権委員会会議録 17 第2 次会談(1953 年)漁業委員会会議録 18 第2 次会談(1953 年)基本関係委員会会議録 19 上記以外の,第2 次会談(1953 年)関連の全ての公文書第3 次会談(195 次会談(1953 年)漁業委員会会議録 18 第2 次会談(1953 年)基本関係委員会会議録 19 上記以外の,第2 次会談(1953 年)関連の全ての公文書第3 次会談(1953 年)本会議会議録 21 第3 次会談(1953 年)在日韓国人法的地位委員会会議録 22 第3 次会談(1953 年)請求権委員会会議録 23 第3 次会談(1953 年)漁業委員会会議録 24 第3 次会談(1953 年)基本関係委員会会議録上記以外の,第3 次会談(1953 年)関連の全ての公文書 26 休会期(1953 年10 月~1958 年4 月)における日韓会談再開のための外交活動に関連した全ての公文書 27 第4 次会談(1958~1960 年)本会議会議録 28 第4 次会談(1958~1960 年)在日韓国人法的地位委員会会議録 29 第4 次会談(1958~1960 年)請求権委員会会議録第4 次会談(1958~1960 年)漁業委員会会議録 31 第4 次会談(1958~1960 年)基本関係委員会会議録 32 上記以外の,第4 次会談(1958~1960 年)関連の全ての公文書 33 第5 次会談(1960~1961 年)本会議会議録 34 第5 次会談(1960~1961 年)在日韓国人法的地位委員会会議録第5 次会談(1960~1961 年)請求権委員会会議録 36 第5 次会談(1960~1961 年)船舶委員会会議録 37 第5 次会談(1960~1961 年)文化財委員会会議録 38 第5 次会談(1960~1961 年)漁業委員会会議録 39 上記以外の,第5 次会談(1958~1960 年)関連の全ての公文書第6 60~1961 年)文化財委員会会議録 38 第5 次会談(1960~1961 年)漁業委員会会議録 39 上記以外の,第5 次会談(1958~1960 年)関連の全ての公文書第6 次会談(1961~1964 年)本会談会議録 41 第6 次会談(1961~1964 年)在日韓国人法的地位委員会会議録 42 第6 次会談(1961~1964 年)請求権委員会(一般請求権・文化財・船舶)会議録 43 第6 次会談(1961~1964 年)漁業委員会会議録 44 第6 次会談(1961~1964 年)基本関係委員会会議録第6 次会談(1961~1964 年)非公式会談会議録 46 第6 次会談(1961~1964 年)日韓予備交渉会議録 47 第6 次会談(1961~1964 年)開催期間における日・韓・米三国間の外交交渉の記録 48 上記以外の,第6 次会談(1961~1964 年)関連の全ての公文書 49 第7 次会談(1964~1965 年)本会談会議録第7 次会談(1964~1965 年)在日韓国人法的地位委員会会議録 51 第7 次会談(1964~1965 年)請求権及び経済協力委員会会議録 52 第7 次会談(1964~1965 年)漁業委員会会議録 53 第7 次会談(1964~1965 年)基本関係委員会会議録 54 第7 次会談(1964~1965 年)非公式会談会議録第7 次会談(1964~1965 年)時の椎名悦三郎外相訪韓関連の公文書 56 第7 次会談(1964~1965 年)時の李東元外相訪日関連の公文書 57 第7 次会談(1964~1965 年)時の条文作成のための会合関連の公文書 58 上記以外の,第7 次会談(19 次会談(1964~1965 年)時の李東元外相訪日関連の公文書 57 第7 次会談(1964~1965 年)時の条文作成のための会合関連の公文書 58 上記以外の,第7 次会談(1964~1965 年)関連の全ての公文書以上 (別紙7)本件各文書の一部開示部分又は韓国側開示文書で既に公にされている当該試算・査定の額の前提とされた実測的又は統計的な金額・数値等 前注:括弧内の記載は,当該事実を認定した証拠である。 また,韓国の対日請求8項目については,対象項目を網羅的に掲げてあるが,他の対象項目でまとめて議論されるなどしたため,当該項目に具体的記述がされていない部分もある。 第1 韓国の対日請求8項目 1 第1項(朝鮮銀行を通じて搬出された地金と地銀の返還を請求する。)関係ア基礎となる数額(ア) 地金銀の数量(乙A376[-13-])a 地金 249,633,198.61g(約249t)b 地銀 67,541,771.20g(約67t)(イ) 地金銀の価格(乙A376[-13-])a 地金終戦時評価額(1g=3円85銭) 962百万円現在評価額(1g=405円) 101,101百万円b 地銀現在評価額(1kg=11千円) 743百万円(ウ) 鮮銀大阪支店預託の地銀について(乙A82[-38-])約20t(2億円相当)イ日本側の査定0(乙A344) 2 第2項(1945年8月9日現在の日本政府の対朝鮮総督府債務の弁済を請求する。)関係(逓信局関係) (1) 郵便貯金,振替貯金, の査定0(乙A344) 2 第2項(1945年8月9日現在の日本政府の対朝鮮総督府債務の弁済を請求する。)関係(逓信局関係) (1) 郵便貯金,振替貯金,郵便為替ア基礎となる数額(甲144[-11-])金額(千円) 左記金額中日本人に支払われた金額(千円)(ア) 郵便貯金 1,123,183 936,171(イ) 振替貯金 176,809 3,520(ウ) 郵便為替 1,671 12,672(エ) 合計 1,301,663 953,363イ日本側の査定郵便貯金等の総額13億0166万3000円から日本人に対する支払額9億5336万2000円を差し引いた3億4780万円を原則として支払う(甲144[-11-及びその前後])。 (2) 国債及び貯蓄債券等特になし(3) 朝鮮簡易生命保険及び郵便年金関係○ 基礎となる数額及び日本側の査定朝鮮簡易生命保険及び郵便年金関係の1945年11月30日現在総額は124百万円(1億2400万円)である(甲144[-14-及びその前後])。 (4) 海外為替貯金及び債券特になし(5) 太平洋米国陸軍総司令部布告第3号によって凍結された韓国受取金特になし 3 第3項(1945年8月9日以後韓国から振替又は送金された金員の返還を請求する。)関係(1) 8月9日以後朝鮮銀行本店から在日本東京支店へ振替又は送金された金員 3 第3項(1945年8月9日以後韓国から振替又は送金された金員の返還を請求する。)関係(1) 8月9日以後朝鮮銀行本店から在日本東京支店へ振替又は送金された金員 特になし(2) 8月9日以後,在韓金融機関を通じて日本へ送金された金員特になし 4 第4項(1945年8月9日現在韓国に本社,本店又は主たる事務所があった法人の在日財産の返還を請求する。)関係(1) 連合国最高司令部閉鎖機関令によって閉鎖清算された韓国内金融機関の在日支店財産(2) SCAPIN1965号によって閉鎖された韓国内本店保有法人の在日財産○ 基礎となる数額(上記(1)及び(2)につき)これらの具体的な金額は不明であるが,「日本側は,(中略)「旧朝鮮に本店又は主たる事務所を有していた法人の旧朝鮮人株主に対する残余財産の分配留保額」(第9回小委員会に提出)を含む諸種の資料を提出した」とされており(乙A336[「韓国の対日請求要綱」との書き出しの一覧表の6枚目]),当該資料が韓国側開示文書として既に公にされているものと推認することができる。 5 第5項(韓国法人又は韓国自然人の日本国又は日本国民に対する日本国債,公債,日本銀行券,被徴用韓人の未収金,補償金及びその他の請求権の弁済を請求する。)関係(1) 日本有価証券特になし(2) 日本系通貨特になし(3) 被徴用韓国人未収金○ 基礎となる数額及び日本側の査定韓国側が提出した1950年のSCAP書簡に示してある未払金額(2 37百万円)を日本側で精査した結果については,国立公文書館つくば分館において一般に公開されている史料「経済協力・韓国105」(②6 出した1950年のSCAP書簡に示してある未払金額(2 37百万円)を日本側で精査した結果については,国立公文書館つくば分館において一般に公開されている史料「経済協力・韓国105」(②65-0001-12698)において,要旨下記のとおり記録されている(甲144)。 記四司令部渉外局から在日韓国ミッションに通知された237,000,000 円は,司令部からのClaimfromKorea の覚書に基づいて,1949年(昭和24年)12.21C・P・Cに大蔵省より報告された左記のような内容の司令部算出推定調査先件数債務額概算(円)(円)国家地方警察本部運輸省中央気象台郵政省 農林省(林野庁) 宮内庁 運輸省(船員局)法務府 127,1611,708.002,400.00304.73555.67362.461,222.86532.0058.00590.004,780.113,123.757,903.86417,500.0060,047,992,43 8,005.86530,700.00 旧陸軍旧海軍労働省 60,047,992,43 8,005.86530,700.00 旧陸軍旧海軍労働省 供託済み郵便貯金銀行預金有価証券未払金2,075129,236 55,823◎ 総合計 940,150.5060,988,142.939,000,000.0056,301,431.77110,843,254.53(4,582,401.54237,564,153.954,582,401.549,450,428.0313,465.4955,448.5796,741,510.90 在外会社7,397,721.48閉鎖機関240,383.22その他3,908,272.34 (中略)労働省報告は,次のような錯誤があった。 未払金 92,130,4 千円郵便貯金 7,156,4 千円計99,286,9 千円実際は,下記のようになる。 供託済み 4,582,4 千円未払金 4,611,1 千円郵便貯金 229,4 千円銀行預金 13,5 千円有価証券 55,4 千円労働省計11,555,4 千円した 銀行預金 13,5 千円有価証券 55,4 千円労働省計11,555,4 千円したがって,(総)計額は,138,271,8 千円となる。 (4) 戦争による被徴用者の被害に対する補償 ア基礎となる数額(ア) 移入朝鮮人労務者数等○ 1939~45の移入朝鮮人労務者数(甲143の1)厚生省勤労局NumberofKoreanContractWorkersBroughtIntoJapanProperAnnuallybyTypeofWorkAssigned, 1939-45Typeofworkassigned Year 1 Totalnumber CoalMining MetalMining Construc-tionandcivilengineer-ingotherworkincludingfactories 1939・・・38,700 24,2795,042 9,379 1940・・・54,944 35,4318,069 9,8981,5461941・・・53,492 32,0998,988 9,5402,8651942・・・112,007 74,5769,483 14,84813,1001943・・・122,237 65,20813,660 28,28015,08 112,007 74,5769,483 14,84813,1001943・・・122,237 65,20813,660 28,28015,0891944・・・280,304 85,95330,507 33,382130,462 1945 2・・・ 6,000 1,000 2,0003,000total 1939-43667,684 318,546 75,749 107,327 166,062 1-Fiscalyearcommencingon 1 Apr. ofyearindicatedandending 31 Mar. offollowingyear2-Estimatedforfirstquarteroffiscalyear(AprilthroughJune)3-TotalnumberbroughtintoJapan. NumberofKoreansleavingJapanortransferringfrompreviouslyassignedindustrynotavailable Source: DatesubmittedbylaborBureau,WelfareDepartment米国戦略爆撃調査団著”戦時日本の生活水準と人力の活用”P130付属表 ○ WelfareDepartment米国戦略爆撃調査団著”戦時日本の生活水準と人力の活用”P130付属表 ○ 朝鮮人労務者対日本動員数調(甲143の1) 年度 計数 石炭山 金属山 土建 工場その他計 昭和14年 85,000 34,659 5,787 12,67453,120昭和15年 97,300 38,176 9,081 9,249 2,892 59,398昭和16年 100,000 39,819 9,416 10,965 6,898 67,098昭和17年 130,000 77,993 7,632 18,929 15,167 119,821昭和18年 155,000 68,317 13,763 31,615 14,601 128,296昭和19年 290,000 82,859 21,442 24,376 157,795 286,432昭和20年 50,000 797 229 836 8.760 10,622計907,300 342,620 67,350 108,644 206,073 724,787 終戦時現在121,574 22,430 34,584 86,794 365,382備考 1.昭和19年計画数年度中途において326,000 に変更せられたり 2 昭和20年計画は第14半期計画として設定せられたものである。 において326,000 に変更せられたり 2 昭和20年計画は第14半期計画として設定せられたものである。 大蔵省管理局編「日本人の海外活動に関する歴史的調査」の朝鮮編第21章「戦争と朝鮮統治」より。 ○ 移入朝鮮人労務者数(昭和20年3月末)(甲143の1) 項目総数募集徴用あっせん割当認可数711,505195,204516,301移入者数604,429148,549455,880減耗数328,567129,074199,493(期間満了)(52,108)(32,445)(19,663)(不良送還者) (15,801)(7,137)(8,664)(逃走者)(226,497)(78,181)(148,816)所在不明209,75070,438139,312発見送還者4,1212,7601,361復帰者12,6264,9837,643 減 耗 (その他)(46,306)(16,294)(30,012)現在数288,48824,458264,030注計算が少し違うが原文のまま内務省警保局「特高月報」昭和20年5月(?)よ 2)現在数288,48824,458264,030注計算が少し違うが原文のまま内務省警保局「特高月報」昭和20年5月(?)より。 ○ 終戦時集団移入半島人 322,890名(甲143の1)厚生省提出「大東亜戦争下における就労状況」より(昭和20年第88臨時国会配布の政府作成資料) ○「朝鮮人軍人軍属復員及び死亡統計表」(甲143の1,乙A108[-131-])厚生省援護局身分復員死亡計 陸軍人 89,1085,87094,978 軍属 45,4042,99148,395軍計134,5128,861143,373海軍人 21,008 21,316 軍属 64,63913,01377,652軍計85,64713,32198,968合軍人 110,1166,178116,294 軍属 110,04316,004126,047計計220,15922,182242,341 ○ 「朝鮮人関係文官恩給計数」(甲143の1)37.2.9アジア局北東アジア課国庫支弁 恩給局長裁定朝鮮総督道知事裁定 地方費支弁 ○ 「朝鮮人関係文官恩給計数」(甲143の1) 37.2.9 アジア局北東アジア課国庫支弁 恩給局長裁定 朝鮮総督道知事裁定 地方費支弁 合計 既裁定 2,4046,851 9,815年金 8,032 8,381 未裁定 一時金 8,626 10,588 19,214 合計 25,91311,49737,410 ○ 「集団移入朝鮮人労務者数」(乙A264[-41-]) 1 総数 667,684 2 終戦時現在数 322,890 3 集団移入の種類 種類 期間 人員総数 1939年9月-1945年4月頃 667,684 自由募集 1939年9月-1942年2月頃 148,549 官あっせん 1942年2月-1944年8月頃 約32万 国民徴用 1944年9月-1945年4月頃 約20万 4 昭和20年3月末移入労務者現在員数 移入者数 604,429 減耗数 328,567 帰還満了帰鮮者 52,108 不良送還者 15,801 328,567帰還満了帰鮮者 52,108不良送還者 15,801職場離脱者 226,497所在不明者 209,750内訳発見送還者 4,121復帰者 (12,626)その他 46,306現在員数 288,488(イ) 補足説明a 朝鮮人軍人軍属の復員,死亡別人員数上記「朝鮮人軍人軍属復員及び死亡統計表」のとおりである(乙A108[-132-])。 b 徴用労務者数上記各表によれば,「昭和20年2月までの労務者移入総数は大体64万程度となり,同年3月~8月の終戦までの移入数を適当に推定すれば,終戦までの移入総数は65万~70万程度と推定される。上 記移入総数は,前記総督府の資料である送出労務者数72万5000名とも大差のないものである(送出総数が日本の移入総数より多数なのは,輸送途次の逃亡者の多かったこと,及び日本以外の南洋,樺太等に送り出されたものが移入数には入っていないこと等に基因するものと思われる。)。韓国側の提示した移入労務者66万7684名(米国戦略爆撃調査団「戦時日本の生活水準と人力の活用」引用数字)も必ずしも不正確とはいえないもののごとくである。」とされている(乙A108[-133-])。 c 第二次世界大戦中に動員された陸軍のうち傷病軍人として恩給を受けたものの累計 字)も必ずしも不正確とはいえないもののごとくである。」とされている(乙A108[-133-])。 c 第二次世界大戦中に動員された陸軍のうち傷病軍人として恩給を受けたものの累計陸軍の動員数700万のうち昭和37年当時までに傷病軍人として恩給を受けたものの累計は16万(乙A264[-50-])イ日本側の査定(ア) 労務者見舞金(イ) 復員軍人軍属見舞金(ウ) 死亡軍人軍属弔慰金(エ) 死亡軍属年金いずれについても特になし。 (5) 恩給(「韓国人の対日本政府請求恩給関係その他」その1)○ 基礎となる数額及び日本側の査定(ア) 文官恩給○ 韓国人官吏に対する恩給等諸未払金は,日本恩給局によれば約5億円(甲144[-6-])(イ) 軍人恩給特になし(6) 寄託金(「韓国人の対日本政府請求恩給関係その他」その2) ○ 基礎となる数額(ア) 税関に預託された通貨類韓国側提示の数値(1051万0220円)とほとんど同額である(乙A343[-17-])。 (イ) 鮮銀券と交換した日銀券韓国側提示の金額(4871万4960円)と符合する(乙A343[-17-])。 (ウ) 旧在日本朝鮮人連盟所属の財産であった預貯金等法務省民事局第五課長作成の昭和37年2月28日付け「旧在日本朝鮮人連盟に対する帰国朝鮮人の寄託金に関する件」と題する文書には,要旨「① 終戦直後に帰国した韓国人が旧在日本朝鮮人連盟に総額5455万円を寄託した事実は認められないが,② 旧在日本朝鮮人連盟所属の財産であった預貯金は27 の寄託金に関する件」と題する文書には,要旨「① 終戦直後に帰国した韓国人が旧在日本朝鮮人連盟に総額5455万円を寄託した事実は認められないが,② 旧在日本朝鮮人連盟所属の財産であった預貯金は277万1372円21銭,現金は40万7424円1銭であり,合計317万8796円22銭が国庫に帰属し,③ 解散団体に指定された旧Z99同盟の所属財産であった預貯金6932円74銭,現金9501円96銭,合計1万6434円70銭が国庫に帰属した」旨記録されている(乙A182[-3-])。 (エ) 在日朝鮮銀行券の処理状況在日朝鮮銀行券の処理は,次のとおり総司令部の指令に基づいて行った(乙A264[-21-])。 ① 韓国銀行のZ302氏立会で焼却した分昭和21年 3月11日 1499万9200円昭和21年 4月 3億0600万円② 総司令部に返還した分昭和23年 1月23日 101万円③ パルプ化した分 昭和23年11月22日 1億6232万3500円(7) 韓国人の対日本人又は法人請求特になし 6 第6項(韓国人(自然人及び法人)の日本政府又は日本人(自然人又は法人)に対する権利の行使に関する原則)関係特になし 7 第7項(前記所在産又は請求権から生じた諸果実の返還を請求する。)関係特になし 8 第8項(前記の返還及び決済は協定成立後即時開始し,遅くとも6か月以内に終了すること)関係特になし 第2 日本の韓国に対する請求○ 在朝鮮日本財産(乙A108[-238-以下],A183[-56-(原ペー 協定成立後即時開始し,遅くとも6か月以内に終了すること)関係特になし 第2 日本の韓国に対する請求○ 在朝鮮日本財産(乙A108[-238-以下],A183[-56-(原ページでは-109-)])ア昭和30年7月のアジア局第1課の「日本の在外財産状況」(ア) 在朝鮮日本財産の推定額につき,1945年価格により,<ア>国有財産192億6500万円,<イ>法人財産521億0825万4000円(在外財産調査会資料),<ウ>個人財産192億0474万円(昭和20年大蔵省令第95号「在外財産等の報告に関する大蔵省令」に基づく報告の集計)の合計905億7799万4000円としている。 なお,引揚者又は法人等の個人以外企業体からの上記在外財産等の報告に関する大蔵省令に基づく報告は「在外財産等報告書」によって行われたが,「在外財産等報告書」の性格については,<a> 報告書には積極財産のみが記載されており,債務等消極財産の記載はほとんど皆無である,<b> 報告書に記載されている財産額はいずれも報告者自身の一方的な報告 の数字そのままであり,当該財産の所有権についていかなる証拠書類も添付されていない,<c> 価格はおおむね終戦時の評価額であるが,財産の評価時期,評価方法,評価額等は,報告書によりまちまちであり,その評価額の正当性は何ら立証されていない,<d> 現地通貨により表示された報告額については,終戦時の本邦円への推定換算レートで換算してあるとされている。 (イ) 在朝鮮日本人個人財産調査会の調査結果上記のうち,個人財産につき251億1155万3000円としている。 なお,在朝鮮日本人個人財産調査会は,朝鮮引揚者中の有識者によって組織されたものである。 の調査結果上記のうち,個人財産につき251億1155万3000円としている。 なお,在朝鮮日本人個人財産調査会は,朝鮮引揚者中の有識者によって組織されたものである。 イ日本政府が1961年(昭和36年)11月に米国から入手した1945年(昭和20年)8月現在の在韓日本財産目録 総額南朝鮮北朝鮮総額国有法人所有個人所有5,246,495,036998,226,6803,544,068,356704,200,0002,275,535,422449,202,0061,333,393,416492,940,0002,970,959,614549,024,6742,210,674,940211,260,000 以上
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