主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求山形税務署長が平成20年11月25日付けで原告に対してした平成18年4月1日から平成19年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税の更正のうち所得金額零円,納付すべき税額につきマイナス(還付金の額に相当する税額)471万5204円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。 第2 事案の概要本件は,国等からの収用事業に係る資産の買取りの申出に応じて事業用資産を譲渡しこれにより取得した補償金をもって別紙1-1記載の資産(以下「本件取得資産」という。)を取得した原告が,租税特別措置法(以下「措置法」という。)64条1項(平成19年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)の規定に基づく課税の特例(圧縮記帳)を適用して本件事業年度の法人税の確定申告をしたところ,山形税務署長(処分行政庁)から平成20年11月25日付けで上記課税の特例の圧縮限度額の計算に誤りがあることを理由として法人税の更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件賦課決定」といい,本件更正と併せて「本件更正等」という。)を受けたため,本件更正は措置法64条1項が定める圧縮限度額の計算を誤った違法なものであると主張して,処分行政庁の所属する国を被告として,本件更正等の一部取消し等を求める事案である。 1 法令の定め等本件に関係する法令の定め等は別紙2のとおりである。なお,別紙2での定義は以下の本文及び別紙3以下でも使用する。 本件更正等の一部取消し等を求める事案である。 1 法令の定め等本件に関係する法令の定め等は別紙2のとおりである。なお,別紙2での定義は以下の本文及び別紙3以下でも使用する。 2 前提事実(顕著な事実,争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,号証番号の枝番は,特に必要がない限り省略する。以下同じ。)(1)原告は,山形市に本店を有し,放送法による一般放送事業等を目的とする株式会社である。 (2)原告の事業用資産の譲渡と代替資産の取得ア原告は,国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所長の代行買収者である山形県土地開発公社及び山形県知事からの「A改良事業」並びに「B改築事業」及び「C整備事業」に係る資産の買取りの申出に応じて,平成19年3月20日,所有していた山形市α×所在の土地,建物,建物付属設備,造作,構築物,工具器具備品,機械装置等の一般放送事業等の事業の用に供していた資産を譲渡し,平成15年4月から平成19年3月までの間に,合計38億7087万7073円の対価補償金を取得した。 イ原告は,一般放送事業等の事業の用に供するため,平成15年4月から平成19年3月までの間に,75億4653万2134円をもって本件取得資産を取得した。 (3)本件事業年度の法人税の確定申告原告は,平成19年6月28日,山形税務署長に対し,租税特別措置法施行令(以下「措置令」という。)39条4項(平成19年政令第92号による改正前のもの。以下同じ。)の規定の適用により,本件取得資産をもって前記(2)アの譲渡に係る事業用資産の代替資産とするものとして,① 本件取得資産のうち別紙1-2記載のもの(以下「本件代替資産」といい,それぞれの資産を別紙1-2の順号 により,本件取得資産をもって前記(2)アの譲渡に係る事業用資産の代替資産とするものとして,① 本件取得資産のうち別紙1-2記載のもの(以下「本件代替資産」といい,それぞれの資産を別紙1-2の順号欄に記載された順号に従い「本件代替資産 1」などという。)につき,その帳簿価額を損金経理により減額した金額に相当する31億9479万5093円を固定資産圧縮損として計上し,②本件取得資産の全ての取得価額の合計(ただし,取得価額の合計が差引補償金の額を超える金額を控除した金額)が39億1019万1163円であるとし,これに差益割合を乗じて計算した35億3294万3871円を圧縮限度額として,本件代替資産の圧縮損計上額の合計である上記31億9479万5093円がこれを超えていないことから,圧縮限度超過額を零円とし,本件事業年度の所得の金額の計算上,上記固定資産圧縮損計上額31億9479万5093円を全て損金の額に算入して,本件事業年度の法人税の確定申告をした。(甲1,乙1ないし3)(4)本件更正等山形税務署長は,平成20年11月25日,原告に対し,所得金額3億8041万5831円,納付すべき税額1億0940万9200円,過少申告加算税の額1709万3000円とする本件更正等をした。本件における課税処分の経緯は別紙3に記載のとおりである。 本件更正は,① 圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額は帳簿価額を損金経理により減額する方法により圧縮した資産の取得価額であるから,本件取得資産の全ての取得価額ではなく,本件代替資産の取得価額を基礎として圧縮限度額を計算すべきであるし,また,② 圧縮限度超過額は,個々の代替資産の取得価額の合計に差益割合を乗じて計算した圧縮限度額を個々の代替資産の圧縮損計上額の合計が超え 資産の取得価額を基礎として圧縮限度額を計算すべきであるし,また,② 圧縮限度超過額は,個々の代替資産の取得価額の合計に差益割合を乗じて計算した圧縮限度額を個々の代替資産の圧縮損計上額の合計が超えた金額ではなく,個々の代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額を当該代替資産の圧縮損計上額が超えた金額の合計であると解することを前提として,③ 原告は,本件代替資産1587の土地につき,その帳簿価額を損金経理により減額した金額に相当する1億5999万6000円を固定資産圧縮損として計上しているが,本件代替資産1587の土地の圧縮 限度額は,その取得価額1億5999万6000円に差益割合を乗じて計算した1億4377万0485円であるから,圧縮限度超過額1622万5515円は損金の額に算入されないとし,さらに,④ 原告は,本件代替資産1ないし1586の減価償却資産につき,その帳簿価額を損金経理により減額した金額に相当する30億3479万9093円を固定資産圧縮損として計上しているが,本件代替資産1ないし1586の減価償却資産の圧縮限度額は,差引補償金37億1994万8846円から既に本件代替資産1587の取得に充てられた額である1億5999万6000円を控除した35億5995万2846円に達するまでの範囲内で取得された代替資産である本件代替資産1ないし1378及び1506ないし1586(本件代替資産1379ないし1505の機械装置については,その取得価額が上記差引補償金の残余額を超えるため,措置法64条1項の課税の特例の適用対象とならない。)のうち,(ア) 原告が本件事業年度前の各事業年度において取得した本件代替資産1,24ないし38,55ないし1075,1535ないし1577の減価償却資産につい 課税の特例の適用対象とならない。)のうち,(ア) 原告が本件事業年度前の各事業年度において取得した本件代替資産1,24ないし38,55ないし1075,1535ないし1577の減価償却資産については,既往の事業年度に減価償却をしているものには租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6の算式に基づく帳簿価額の調整をし,各代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額の合計16億0719万8386円となり,(イ) 原告が本件事業年度において取得した本件代替資産2ないし23,39ないし54,1076ないし1378,1506ないし1534,1578ないし1586の減価償却資産については,各代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額の合計8億8815万3211円となるのであって,これらの金額の合計は24億9535万1597円であるから,上記圧縮損計上額の圧縮限度超過額は5億3944万7496円となり,そのうちの当該代替資産の償却限度額を超える部分の金額である3億8753万8908円は減価償却超過額として損金の額に 算入されないとするものである。(甲2) 3 課税処分の根拠被告が主張する課税処分の根拠は別紙4に記載のとおりである。 4 争点本件の争点は,次の3点である。 (1)措置法64条1項所定の圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額(争点1)措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合において,帳簿価額を損金経理により減額していない資産の取得価額は,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額となるかどうか。 (2)措置法64条1項所定の圧縮限度額の計算方法(争点2) て,帳簿価額を損金経理により減額していない資産の取得価額は,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額となるかどうか。 (2)措置法64条1項所定の圧縮限度額の計算方法(争点2)措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合の圧縮限度額は個々の資産の取得価額を合計して計算する方法により求められるべきものであり,圧縮限度超過額は個々の代替資産の取得価額の合計に差益割合を乗じて計算した圧縮限度額を個々の代替資産の圧縮損計上額の合計が超えた金額となるのか,それとも,上記場合の圧縮限度額は個々の資産ごとに計算する方法により求められるべきものであり,圧縮限度超過額は個々の代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額を当該代替資産の圧縮損計上額が超えた金額の合計となるのか。 (3)先行取得資産の圧縮限度額の調整(争点3)当期取得資産のみでもその取得価額が差引補償金の額を上回る本件において租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6による圧縮限度額の調整をする必要はないかどうか。 5 当事者の主張の要旨(1)圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額(争点1)について (原告)措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,帳簿価額を損金経理により減額した資産の取得価額だけではなく,帳簿価額を損金経理により減額していない資産の取得価額も,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額となる。 ア措置法64条1項は,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について,帳簿価額を損金経理により減額した資産の取得価額に限定していない。同項が定める課税の特例の制度趣旨及び課税の公 ア措置法64条1項は,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について,帳簿価額を損金経理により減額した資産の取得価額に限定していない。同項が定める課税の特例の制度趣旨及び課税の公平の観点からすれば,圧縮限度額は一義的に計算されるべきものであるところ,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について上記のとおり限定すると,個々の資産につき損金経理をしたかどうかにより圧縮限度額が変動するという不都合を生ずる。 イ措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,複数の取得資産は全体として一つの「代替資産」となるものと解するのが相当である。すなわち,租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-1「種類を同じくする2以上の資産について収用等をされた場合等の差益割合」は,代替資産につき同項の規定の適用を受けるときの差益割合は対価補償金の額の合計額と譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額の合計額とにより計算することとしているところ,これは,上記場合における措置法64条1項の各文言の解釈として,「譲渡した資産」の意義を当該複数の譲渡資産の資産群全体をいうものとし,「補償金,対価若しくは清算金の額」の意義を譲渡資産群全体に対する対価補償金の合計額をいうものとするものであり,差益割合の計算について,このように解する以上,圧縮限度額の計算についても,上記場合における「代替資産」の意義を当該複数の代替資産の資産群全体をいうものとするのが自然である。 そうすると,上記場合には,譲渡資産群及び代替資産群をそれぞれ一体 と捉えて,譲渡資産群全体について差益割合を計算した上,代替資産群全体の圧縮限度額を計算することになるから,法人は,代替資産群全体に対する圧縮限度額の範囲内で任意の方法によ 群をそれぞれ一体 と捉えて,譲渡資産群全体について差益割合を計算した上,代替資産群全体の圧縮限度額を計算することになるから,法人は,代替資産群全体に対する圧縮限度額の範囲内で任意の方法により圧縮記帳をすることができるのであって,上記場合には,帳簿価額を損金経理により減額した資産の取得価額だけではなく,帳簿価額を損金経理により減額していない資産の取得価額も,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額となる。 ウ本件代替資産533ないし640及び1448ないし1458は,テレビ番組等のデジタルデータを保存した上,放送時間帯に合わせて再生,送出し,テレビ番組等の一括管理を行う「統合バンク」という一組の装置である。原告は,固定資産台帳において,この装置を各部分に細分化し管理しているが,これは,各部分の将来の更新時期の相違等に対応するためでしかない。ところが,被告は,法人が差引補償金の額に達するまでの範囲内で代替資産として選択した資産の取得価額のみが圧縮限度額の計算の基礎となるという観点から,上記装置のうち,本件代替資産533ないし640の取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となるとし,本件代替資産1448ないし1458の取得価額は差引補償金の額を超えた資産の取得価額として圧縮限度額の計算の基礎とはならないとしているのであって,一組の装置の部分ごとに取扱いを異にするものであり,極めて不合理というべきである。 (被告)帳簿価額を損金経理により減額していない資産は代替資産として選択されているものではなく,その取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額とならない。 ア措置法64条1項は,法人の有する資産が収用されるなどし,当該法人が差引補償金の額(補償金,対価又は清算金の額で,当該資産の譲 圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額とならない。 ア措置法64条1項は,法人の有する資産が収用されるなどし,当該法人が差引補償金の額(補償金,対価又は清算金の額で,当該資産の譲渡に要した経費がある場合には,当該補償金等の額のうちから支出したものとし て政令で定める金額を控除した金額。別紙2参照)の全部又は一部に相当する金額をもって当該収用等により譲渡した資産と同種の資産その他これに代わるべき複数の資産の取得をした場合について,法人が差引補償金の額に達するまでの範囲内で代替資産として選択した資産の取得価額に差益割合を乗じて計算した金額をもって圧縮限度額とするものである。 イそして,法人がどの資産を代替資産として選択したかは,どの資産の帳簿価額を損金経理により減額したかによって明らかになるのであって,帳簿価額を損金経理により減額していない資産は代替資産として選択されているものではなく,その取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額とならない。 (2)圧縮限度額の計算方法(争点2)について(原告)ア措置法64条1項は,圧縮限度額について,個々の資産ごとに計算する方法により求められるべきものとはしていない。そして,前記(1)の原告の主張イのとおり,措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,複数の取得資産は全体として一つの「代替資産」となるものと解するのが相当であることからすると,上記場合の圧縮限度額は個々の資産の取得価額を合計して計算する方法により求められるべきものであり,圧縮限度超過額は個々の代替資産の取得価額の合計に差益割合を乗じて計算した圧縮限度額を個々の代替資産の圧縮損計上額の合計が超えた金額となる。 イ被告は,措 により求められるべきものであり,圧縮限度超過額は個々の代替資産の取得価額の合計に差益割合を乗じて計算した圧縮限度額を個々の代替資産の圧縮損計上額の合計が超えた金額となる。 イ被告は,措置法64条1項柱書きに「既に代替資産の取得に充てられた額があるときは,その額を控除した額」という括弧書きがあることを根拠に,措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合の圧縮限度額は個々の資産ごとに計算する方法により求められるべきものであると主張するが,この括弧書きは,全体として一つの 「代替資産」が複数ある場合には,差引補償金の額から既に他の「代替資産」の取得に充てられた額を控除するものとするものにすぎず,前記アのとおり解することを否定する根拠にはならない。 (被告)措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合の圧縮限度額は個々の資産ごとに計算する方法により求められるべきものであり,圧縮限度超過額は,個々の代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額を当該代替資産の圧縮損計上額が超えた金額の合計となる。すなわち,措置法64条1項柱書きが,圧縮限度額の意義について,代替資産の取得価額に差益割合を乗じて計算した金額と定めた上,代替資産の取得価額について,「その額が当該補償金,対価又は清算金の額(既に代替資産の取得に充てられた額があるときは,その額を控除した額)を超える場合には,その超える金額を控除した金額」と定めて,既に圧縮限度額の計算の基礎とされた代替資産が存在し得ることを前提とする規定を置いていること,圧縮限度額は個々の代替資産についての損金経理の限度額になるものであり,取得価額及び帳簿価額はいずれも個々の資産ごとに付され の基礎とされた代替資産が存在し得ることを前提とする規定を置いていること,圧縮限度額は個々の代替資産についての損金経理の限度額になるものであり,取得価額及び帳簿価額はいずれも個々の資産ごとに付されるものであって,これを減額するためには個々の資産について個別に処理する必要があることからすれば,措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合の圧縮限度額は個々の資産ごとに計算する方法により求められるべきものであると解するのが相当である。 (3)先行取得資産の圧縮限度額の調整(争点3)について(原告)租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6「代替資産の先行取得期間」は,収用等のあった日を含む事業年度の開始の日前に取得をした資産(以下「先行取得資産」という。)につき既往の事業年度において減価償却 をしている場合について,当該代替資産の帳簿価額として付けることができる金額に下限を設け,圧縮限度額の調整をすることとしているところ,本件取得資産の一部には先行取得資産が含まれるが,本件取得資産のうちの当期取得資産のみでもその取得価額は差引補償金の額である37億1994万8846円を上回るから,本件においては,上記通達による圧縮限度額の調整をする必要はない。 また,通達は,行政機関の内部において上級行政庁がする下級行政機関の権限の行使についての指揮にすぎず,国民に対して効力を有する法規範ではないから,上記通達に基づいて先行取得資産につき圧縮限度額の調整をするのは租税法律主義に違反する。 (被告)措置法64条1項の規定に基づく課税の特例は,本来,収用等があった日以後に代替資産を取得した場合に適用されるものであるが,事業所等の移転を円滑に行うためには収用等に先立って (被告)措置法64条1項の規定に基づく課税の特例は,本来,収用等があった日以後に代替資産を取得した場合に適用されるものであるが,事業所等の移転を円滑に行うためには収用等に先立って土地,建物等を取得するなどしておく必要があることから,租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6は,収用等があることをあらかじめ了知することができるような場合には,先行取得資産であっても,一定の要件に該当するものについては代替資産として圧縮記帳をすることができるとするとともに,既往の事業年度において圧縮前の取得価額を基礎として減価償却が行われている資産については調整のための算式を用意しているところ,原告は,本件取得資産の一部には先行取得資産が含まれるが,本件取得資産のうちの当期取得資産のみでもその取得価額は差引補償金の額を上回るから,本件においては,上記通達による圧縮限度額の調整をする必要はないと主張する。しかし,前記(1)の被告の主張イのとおり,帳簿価額を損金経理により減額していない資産の取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額とならないから,損金経理をした資産のうち既往の事業年度において減価償却をした先行取得資産につい ては圧縮限度額の調整をすべきである。 (4)本件更正等の適否について(原告)前記(1)ないし(3)の原告の主張を前提として,原告の本件事業年度の法人税の税額の計算をすると,本件事業年度の法人税の確定申告のとおり,所得金額零円,納付すべき税額につきマイナス(還付金の額に相当する税額)471万5204円となるから,本件更正のうちこれらの金額を超える部分及び本件賦課決定は違法である。 (被告)ア本件更正の適法性について原告は,本件取得資産のうち本 )471万5204円となるから,本件更正のうちこれらの金額を超える部分及び本件賦課決定は違法である。 (被告)ア本件更正の適法性について原告は,本件取得資産のうち本件代替資産以外のものに係る帳簿価額については損金経理により減額しておらず,前記(1)ないし(3)の被告の主張を前提として,原告の本件事業年度の法人税の税額の計算をすると,別紙4のとおり,所得金額3億8041万5719円,納付すべき税額1億0940万9200円となる。そして,本件更正における所得金額は,3億8041万5831円であり,上記所得金額を112円上回っているが,本件更正における納付すべき税額は上記納付すべき税額と同額であるから,本件更正は適法である。 イ本件賦課決定の適法性について前記アのとおり本件更正は適法であるところ,原告が本件更正により新たに納付すべき税額については,原告がその計算の基礎となった事実を確定申告における税額の計算の基礎としなかったことについて国税通則法65条4項(平成19年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)の正当な理由があるとは認められないから,原告は,別紙4のとおり,1709万3000円の過少申告加算税を納付すべき義務を負う。そして,この金額は本件賦課決定における過少申告加算税の額と同額であるから,本件 賦課決定は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例について(1)措置法64条1項は,法人の有する資産が土地収用法等の規定に基づいて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって代替資産の取得をし,当該代替資産につき,その取得価額(その額が差引補償金の額を超える いて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって代替資産の取得をし,当該代替資産につき,その取得価額(その額が差引補償金の額を超える場合には,その超える金額を控除した金額)に差益割合(差引補償金の額から当該譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額を控除した残額の当該差引補償金の額に対する割合)を乗じて計算した金額(圧縮限度額)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し,又はその帳簿価額を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法により経理したときは,その減額し,又は経理した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨を規定している。 法人が収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(圧縮記帳)についての上記規定は,法人の有する資産が土地収用法等の規定に基づいて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合には,本来,差引補償金の額と収用等により譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額との差額は,資産の譲渡益として益金の額に算入され,法人税の課税対象となるが,収用等による資産の譲渡は土地収用法等の規定に基づき公共の用に供するなどの目的のため当該法人の意思のいかんにかかわらず行われるものであるから,その譲渡益に対して直ちに法人税を課税することは相当ではないし,また,直ちに法人税を課税するとすれば,当該法人は納税した分だけ資金不足を来して収用された資産と同様の新たな資産の取得をすることができなくなり,その事業の継続を困難にするおそれがあることに鑑みて,当該法人が差引補償金 の額に相当する金額をもって代替資産の取得をしたときは,当該代替資産につきその帳簿価額を損金経理に ができなくなり,その事業の継続を困難にするおそれがあることに鑑みて,当該法人が差引補償金 の額に相当する金額をもって代替資産の取得をしたときは,当該代替資産につきその帳簿価額を損金経理により減額し又はその帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理することを要件として,その減額し又は経理した金額に相当する金額を損金の額に算入するものとし,収用等による資産の譲渡益について圧縮記帳による課税の繰延べを認めたものである。圧縮記帳をすることにより,収用等のあった日を含む事業年度においては収用等による資産の譲渡益に対する法人税の課税が行われないこととなるが,圧縮記帳の規定の適用を受けた代替資産について法人税に関する法令の規定を適用する場合には,圧縮記帳の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は当該代替資産の取得価額に算入されない(措置法64条7項)ため,代替資産が減価償却資産(法人税法2条23号)である場合には,翌期以降の所得の金額の計算上,減価償却費が減額され,法人税の税額が増額されることとなり,また,代替資産が土地又は土地の上に存する権利(同条22号)である場合には,当該代替資産が翌期以降に譲渡されたときに課税の繰延べを受けていた収用等による資産の譲渡益が実現することとなる。 (2)措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合における圧縮限度額の計算について法人の有する資産が土地収用法等の規定に基づいて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって複数の資産の取得をし,措置令39条4項の規定の適用により当該複数の資産をもって代替資産としたときは,措置法64条1項所定の圧縮限度額 た場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって複数の資産の取得をし,措置令39条4項の規定の適用により当該複数の資産をもって代替資産としたときは,措置法64条1項所定の圧縮限度額は,その帳簿価額を損金経理により減額し又はその帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理した代替資産につき(取得した資産のいずれを代替資産とするかは,その取得価額が差引補償金の額に達するまで,法人が任意に選択することができる。),各資 産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて個別的に計算されるべきものであると解するのが相当である。 なぜならば,前記(1)のとおり,措置法64条1項が,「当該代替資産」につきその帳簿価額を損金経理により減額し又はその帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理することを,その減額し又は経理した金額に相当する金額を損金の額に算入する要件として定めていることによれば,圧縮限度額は,その帳簿価額を損金経理により減額し又はその帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理した代替資産の取得価額を基礎として計算されるべきものであると解されるからである。 また,措置法64条1項は,圧縮限度額の意義について,「その取得価額」すなわち「当該代替資産の取得価額」に差益割合を乗じて計算した金額と定めた上,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について,「その額が当該補償金,対価又は清算金の額(既に代替資産の取得に充てられた額があるときは,その額を控除した額)を超える場合には,その超える金額を控除した金額」と定め,圧縮限度額の計算においては既に代替資産の取得に充てられた補償金等の額がある場合があり,その場合には補償金等の額からその額を 額を控除した額)を超える場合には,その超える金額を控除した金額」と定め,圧縮限度額の計算においては既に代替資産の取得に充てられた補償金等の額がある場合があり,その場合には補償金等の額からその額を控除した額が当該圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額の限度額となるとしているのであって,この定めは,圧縮限度額の計算が代替資産の取得ないし当該取得に係る代替資産ごとに行われるものであることを前提とするものであるということができる。そして,圧縮限度額は,代替資産につきその帳簿価額を損金経理により減額する上での限度となるものであり,帳簿価額は,代替資産の取得ごとに付せられるべきものではなく,代替資産ごとに付せられるべきものであることからすると,上記定めは,結局,圧縮限度額の計算が代替資産ごとに行われるものであることを前提とするものであるということができるのであって,圧縮限度額は,その計 算の基礎となる各代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて個別的に計算されるべきものであると解される。 2 圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額(争点1)について(1)前記1(2)のとおり,法人の有する資産が土地収用法等の規定に基づいて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって複数の資産の取得をし,措置令39条4項の規定の適用により当該複数の資産をもって代替資産としたときは,措置法64条1項所定の圧縮限度額は,その帳簿価額を損金経理により減額し又はその帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理した代替資産の取得価額を基礎として計算されるべきものであると解されるのであって,そのような減額又は経理をしていない資産の取得価額は圧縮限度額の計算の とに代えて積立金として積み立てる方法により経理した代替資産の取得価額を基礎として計算されるべきものであると解されるのであって,そのような減額又は経理をしていない資産の取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額とはならない。 (2)原告の主張について原告は,措置法64条1項は圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について帳簿価額を損金経理により減額した資産の取得価額に限定しておらず,同項が定める課税の特例の制度趣旨及び課税の公平の観点からすれば圧縮限度額は一義的に計算されるべきものであるところ,圧縮限度額の計算の基礎となる代替資産の取得価額について上記のとおり限定すると,個々の資産につき損金経理をしたかどうかにより圧縮限度額が変動するという不都合を生ずると主張する。しかし,圧縮限度額は,その帳簿価額を損金経理により減額するなどした代替資産の取得価額を基礎として計算されるべきものであると解されることは,前記1(2)のとおりであり,そのように解することは措置法64条1項が定める課税の特例の制度趣旨や課税の公平に反するものではなく,法人は,代替資産につきその帳簿価額を損金経理により減額するなどするかどうかを自由に選択することができるのであるから,個々の資産につき損金経理をしたかどうかにより圧縮限度額が変動しても何 ら不都合は生じないというべきである。 また,原告は,租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-1が代替資産につき措置令39条4項の規定の適用を受けるときの差益割合は対価補償金の額の合計額と譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額の合計額とにより計算することとしていることを根拠として,同項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,複数の取得資産は全体として一つの「代 合計額と譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額の合計額とにより計算することとしていることを根拠として,同項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,複数の取得資産は全体として一つの「代替資産」となるものと解するのが相当であると主張する。しかし,上記通達は,複数の資産についてそれぞれ差益割合を個別的に計算することによる煩瑣を避けるための取扱いを定めたものにすぎないのであって,上記通達の取扱いや措置令39条4項の規定が上記場合に複数の取得資産が全体として一つの「代替資産」となると解する根拠となるものではなく,措置法及び措置令その他の関係法令の規定を精査しても,そのような解釈の根拠となり得るものは見当たらない。上記場合に複数の取得資産が全体として一つの「代替資産」となると解することはできないというべきである。 さらに,原告は,本件代替資産533ないし640及び1448ないし1458は「統合バンク」という一組の装置であるのに,被告が,その一部の取得価額は圧縮限度額の計算の基礎となるとし,残部の取得価額は差引補償金の額を超えた資産の取得価額として圧縮限度額の計算の基礎とはならないとしているのであって,一組の装置の部分ごとに取扱いを異にするものであり,極めて不合理というべきであると主張する。しかし,一個の資産であっても,その取得価額が差引補償金の額を超える場合には,その取得価額の一部が圧縮限度額の計算の基礎となり,残部は圧縮限度額の計算の基礎とはならないのであるし,前記のとおり,取得した資産のうちどの資産につき帳簿価額を損金経理により減額するなどして代替資産とするかは,法人が任意に選択することができるのであるから,原告の上記主張に係る事態は格別不合理ではないというべきである。 3 圧縮限度額の計算方法(争点2 より減額するなどして代替資産とするかは,法人が任意に選択することができるのであるから,原告の上記主張に係る事態は格別不合理ではないというべきである。 3 圧縮限度額の計算方法(争点2)について(1)前記1(2)のとおり,法人の有する資産が土地収用法等の規定に基づいて収用されるなどし,当該法人が補償金等を取得した場合において,当該法人が差引補償金の額に相当する金額をもって複数の資産の取得をし,措置令39条4項の規定の適用により当該複数の資産をもって代替資産としたときは,措置法64条1項所定の圧縮限度額は,その計算の基礎となる各代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて個別的に計算されるべきものであると解されるのであって,このときの圧縮限度超過額は,個々の代替資産の取得価額にそれぞれ差益割合を乗じて計算した個々の代替資産の圧縮限度額を当該代替資産の圧縮損計上額が超えた金額の合計となる。 (2)原告の主張について原告は,措置令39条4項の規定の適用により複数の取得資産をもって代替資産とした場合には,複数の取得資産は全体として一つの「代替資産」となるものと解するのが相当であることからすると,上記場合の圧縮限度額は個々の資産の取得価額を合計して計算する方法により求められるべきものであると主張するが,上記場合に複数の取得資産が全体として一つの「代替資産」となると解することはできないことは,前記2(2)のとおりであり,原告の上記主張はその前提を欠くものである。 4 先行取得資産の圧縮限度額の調整(争点3)について原告は,本件取得資産の一部には先行取得資産が含まれるが,本件取得資産のうちの当期取得資産のみでもその取得価額は差引補償金の額を上回るから,本件においては,租税特別措置法関係通達(法人税編)6 原告は,本件取得資産の一部には先行取得資産が含まれるが,本件取得資産のうちの当期取得資産のみでもその取得価額は差引補償金の額を上回るから,本件においては,租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6による圧縮限度額の調整をする必要はないと主張する。しかし,圧縮限度額は,その帳簿価額を損金経理により減額するなどした代替資産の取得価額を基礎として計算されるべきものであると解されることは,前記1(2)及び2(1)のとおりであり,本件取得資産のうちの当期取得資産の中でその取得価額が圧縮限度額の計 算の基礎となるのは本件代替資産として挙示したものに限られるところ,弁論の全趣旨によれば,その取得価額の合計は9億8838万7757円であると認めることができるのであって,差引補償金の額を上回るものではなく,差引補償金の額に達するまで措置法64条1項の規定の適用を受けるためには,本件代替資産のうちの先行取得資産についても措置法64条1項の規定の適用を受けるものとするほかないから,本件において上記通達による圧縮限度額の調整をする必要はないということはできない。 また,原告は,上記通達に基づいて先行取得資産につき圧縮限度額の調整をするのは租税法律主義に違反すると主張するが,そもそも上記通達に基づいて先行取得資産につき措置法64条1項の規定に基づく課税の特例(圧縮記帳)を認めていることそのものが同特例の適用対象を拡張する取扱いにほかならず,上記圧縮限度の調整は同取扱いによる課税の繰延べの範囲を合理的なものとするためのものであること(措置法64条1項の文言によれば,同規定に基づく課税の特例(圧縮記帳)を認められる代替資産は,本来,収用等があった日以後に取得されたものに限られるが,代替資産への切替えを円滑に行うためには,代替資産となる 4条1項の文言によれば,同規定に基づく課税の特例(圧縮記帳)を認められる代替資産は,本来,収用等があった日以後に取得されたものに限られるが,代替資産への切替えを円滑に行うためには,代替資産となるべき資産をあらかじめ取得しておく必要があることが少なくないことから,上記通達は,土地収用法の規定による事業認定又は起業者からの買取りの申出があったこと等により法人の有する資産について収用等をされることが明らかであるため,当該法人が当該事業認定又は買取りの申出等があった日以後にその代替資産となるべき資産をあらかじめ取得した場合において,当該取得した資産(先行取得資産)が収用等のあった日を含む事業年度開始前の一定の期間内に取得されたものであるときは,上記事業年度において,先行取得資産を代替資産として,圧縮記帳をすることができることに取り扱うものとしている。しかし,先行取得資産について既往の事業年度において圧縮前の取得価額を基礎として減価償却をしている場合に,当該先行取得資産について措置法が定めるとおりの圧縮記帳を認めると,当該先行取得資産を取得した事 業年度において圧縮記帳をした場合に比べて記帳後の帳簿価額が過少となり,不適切な早期償却を認める結果となる。そこで,上記通達は,先行取得資産について既に減価償却をしているときは,当該先行取得資産の帳簿価額として付けることができる金額は,当該先行取得資産を取得した事業年度において圧縮記帳をしたものと仮定した場合の帳簿価額を,当該先行取得資産の取得価額で除し,当該先行取得資産について圧縮記帳をする時の直前の帳簿価額を乗じた金額を下らない金額とするものとして,先行取得資産の圧縮限度額の計算においては,既往の事業年度において減価償却費として損金の額に算入された金額に対応する部分の金額が除かれるように の帳簿価額を乗じた金額を下らない金額とするものとして,先行取得資産の圧縮限度額の計算においては,既往の事業年度において減価償却費として損金の額に算入された金額に対応する部分の金額が除かれるようにし,上記取扱いによる課税の繰延べの範囲を合理的なものとしている。)によれば,上記圧縮限度額の調整は租税法律主義に違反するものではないというべきである。 5 本件更正等の適法性について(1)前記1ないし4により,原告の本件事業年度の法人税の税額の計算をすると,別紙4のとおり,所得金額3億8041万5719円,納付すべき税額1億0940万9200円となる(なお,弁論の全趣旨によれば,原告は,本件取得資産のうち本件代替資産以外のものについては,その帳簿価額を損金経理により減額していないし,また,その帳簿価額を減額することに代えて積立金として積み立てる方法により経理してもいないと認めることができる。)ところ,本件更正における所得金額は,3億8041万5831円であり,上記所得金額を112円上回っているが,本件更正における納付すべき税額は上記納付すべき税額と同額であるから,本件更正にこれを取り消すべき違法はない。 (2)前記(1)によれば,原告は,本件事業年度の法人税について納付すべき税額を過少に申告したものであることになるところ,本件更正に基づき新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに本件更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法65条4項に規定する正 当な理由があると認められるものはない(原告も,この点に関して特段の主張はしていない。)。そうすると,原告が納付すべき過少申告加算税の額は1709万3000円となり,この金額は本件賦課決定における納付すべき税額と同額であるから,本件賦課決定は適法 点に関して特段の主張はしていない。)。そうすると,原告が納付すべき過少申告加算税の額は1709万3000円となり,この金額は本件賦課決定における納付すべき税額と同額であるから,本件賦課決定は適法である。 第4 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官林史高は異動のため署名押印をすることができない。 裁判長裁判官川神裕 (別紙2)法令の定め等 1 法人税法22条1項の定め内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。 2 措置法64条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)の定め(1)法人の有する資産で次の各号に規定するものが当該各号に掲げる場合に該当することとなった場合において,当該法人が当該各号に規定する補償金,対価又は清算金の額(当該資産の譲渡に要した経費がある場合には,当該補償金,対価又は清算金の額のうちから支出したものとして政令で定める金額を控除した金額。以下,この金額を「差引補償金の額」という。)の全部又は一部に相当する金額を 渡に要した経費がある場合には,当該補償金,対価又は清算金の額のうちから支出したものとして政令で定める金額を控除した金額。以下,この金額を「差引補償金の額」という。)の全部又は一部に相当する金額をもって当該各号に規定する収用,買取り,換地処分,権利変換,買収又は消滅(以下「収用等」という。)のあった日を含む事業年度において当該収用等により譲渡した資産と同種の資産その他のこれに代わるべき資産として政令で定めるもの(以下「代替資産」という。)の取得をし,当該代替資産につき,その取得価額(その額が差引補償金の額(既に代替資産の取得に充てられた額があるときは,その額を控除した額)を超える場合には,その超える金額を控除した金額)に,差引補償金の額から当該譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額を控除した残額の当該差引補償金の額に対する割合(以下「差益割合」という。)を乗じて計算した金額(以下「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し,又はその帳簿価額を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法により経理したときは,その減額し,又は経理した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入 する。(1項)ア資産が土地収用法等の規定に基づいて収用され,補償金を取得する場合(1号)イ資産について買取りの申出を拒むときは土地収用法等の規定に基づいて収用されることとなる場合において,当該資産が買い取られ,対価を取得するとき(2号)ウ (3号ないし8号は省略)(2)4項から7項までのほか,1項の規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める。(12項) 3 租税特別措置法施行令39条(収用等に伴い代替資産を取得した場 ウ (3号ないし8号は省略)(2)4項から7項までのほか,1項の規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める。(12項) 3 租税特別措置法施行令39条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)の定め(1)法64条1項の規定により補償金,対価又は清算金の額から控除する同項に規定する政令で定める金額は,収用等により譲渡をした資産(譲渡資産)の譲渡に要した経費の金額の合計額が,当該収用等に際し譲渡に要する経費に充てるべきものとして交付を受けた金額の合計額をこえる場合におけるそのこえる金額のうち,当該譲渡資産に係るものとして財務省令で定めるところにより計算した金額とする。(1項)(2)法64条1項に規定する代替資産は,同項各号の場合の区分に応じ,次に掲げる資産とする。(2項)ア法64条1項1号,2号,3号の2又は3号の3の場合にあっては,譲渡資産が土地又は土地の上に存する権利,建物(その附属設備を含む。)又は建物に附属する財務省令で定める構築物,当該構築物以外の構築物,その他の資産の区分のいずれに属するかに応じ,それぞれこれらの区分に属する資産(譲渡資産がその他の資産の区分に属するものである場合には,当該資産と種類及び用途を同じくする資産)(1号) イ (2号ないし4号は省略)(3)譲渡資産が前項1号に規定する区分(その他の資産の区分を除く。)の異なる2以上の資産で一の効用を有する一組の資産となっているものである場合には,同号の規定にかかわらず,財務省令で定めるところにより,その効用と同じ効用を有する他の資産をもって当該譲渡資産のすべてに係る代替資産とすることができる。(3項)(4)譲渡資産の譲渡をした法人が,その事業の用に供するため,当該譲渡資産に係る前2項の代替資産に該当する資産 有する他の資産をもって当該譲渡資産のすべてに係る代替資産とすることができる。(3項)(4)譲渡資産の譲渡をした法人が,その事業の用に供するため,当該譲渡資産に係る前2項の代替資産に該当する資産以外の資産(当該事業の用に供する減価償却資産,土地及び土地の上に存する権利に限る。)の取得(製作及び建設を含む。)をする場合には,前2項の規定にかかわらず,当該資産をもって当該譲渡資産の代替資産とすることができる。(4項) 4 租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)(圧縮記帳等の計算)(1)種類を同じくする2以上の資産について収用等をされた場合等の差益割合64(3)-1 種類を同じくする2以上の資産について同時に収用等をされた場合又は代替資産につき措置法令39条3項若しくは4項の規定の適用を受ける場合の措置法64条1項に規定する差益割合は,その収用等に係る対価補償金の額(その額から控除することとなる譲渡経費の額がある場合には,当該金額を控除した金額。以下同じ。)の合計額に対する当該合計額から収用等により譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額の合計額を控除した金額の割合による。 (2)2以上の代替資産の取得をした場合の対価補償金から成る金額の計算64(3)-4 収用等をされた資産の対価補償金をもってその代替資産として2以上の資産の取得をした場合(対価補償金以外の資金とを併せて取得した場合を含む。)において,当該対価補償金がそのいずれの代替資産の取得に充てられたものとするかは法人の計算によるものとする。 (3)代替資産の先行取得期間 64(3)-6 土地収用法16条の規定による事業認定又は起業者からの買取りの申出があったこと等により法人の有する資産について収用等をされることが明らかであるため,当該法人が当該事 64(3)-6 土地収用法16条の規定による事業認定又は起業者からの買取りの申出があったこと等により法人の有する資産について収用等をされることが明らかであるため,当該法人が当該事業認定又は買取りの申出等があった日以後にその代替資産となるべき資産をあらかじめ取得した場合において,当該取得した資産が収用等のあった日を含む事業年度の開始の日前1年(収用等をされることに伴い,工場,事務所,その他の建物,構築物又は機械及び装置の建設又は移転を要することとなる場合において,当該工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情その他これに準ずる事情がある場合には,収用等があった日を含む事業年度の開始の日前3年)以内に取得したものであるときは,その収用等があった日を含む事業年度において,当該取得した資産を代替資産として,措置法64条1項の規定の適用を受けることができることに取り扱う。この場合において,当該代替資産について既に減価償却をしているときは,当該代替資産の帳簿価額として付けることができる金額は,次の算式により計算した金額を下らない金額とする。 当該代替資産を取得した事業年度におい当該代替資産について圧縮記帳をする時て圧縮記帳をしたも × の直前の帳簿価額 / 当該代替資産の取のと仮定した場合の得価額帳簿価額 (別紙4)課税処分の根拠 第1 本件更正の根拠 1 所得金額 (別紙4)課税処分の根拠 第1 本件更正の根拠 1 所得金額 3億8041万5719円上記金額は,次の(1)の金額に(2)及び(3)の金額を加算し,(4)及び(5)の金額を減算した金額である。 (1)確定申告における所得金額 0円上記金額は,原告が平成19年6月28日付けで山形税務署長に提出した原告の本件事業年度の法人税の確定申告書に記載された所得金額である。 (2)土地に係る圧縮限度超過額 1622万5515円上記金額は,原告が本件代替資産1587の土地に係る固定資産圧縮損として損金の額に算入した金額1億5999万6000円のうち措置法64条1項の規定に基づいて計算した圧縮限度額を超える部分の金額1622万5515円であり,本件事業年度の所得金額に加算すべき金額である。 (3)減価償却超過額 3億8753万8794円上記金額は,次のアの金額からイの金額を減算した金額である。 ア圧縮限度超過額 5億3944万7496円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を減算した金額であり,減価償却資産の償却費の計算に当たり,償却費として損金経理をした金額とみなされるものである。 (ア)減価償却資産に係る固定資産圧縮損の金額30億3479万9093円上記金額は,原告が本件代替資産1ないし1586の減価償却資産に係る固定資産圧縮損として損金 産圧縮損の金額30億3479万9093円上記金額は,原告が本件代替資産1ないし1586の減価償却資産に係る固定資産圧縮損として損金の額に算入した金額である。 (イ)減価償却資産に係る圧縮限度額 24億9535万1597円 上記金額は,次のaの金額とbの金額との合計額である。 a 先行取得資産に係る圧縮限度額 16億0719万8386円上記金額は,原告が本件事業年度前の各事業年度において取得した本件代替資産1,24ないし38,55ないし1075,1535ないし1577の減価償却資産に係る圧縮限度額の合計額であり,これらの資産のうち既往の事業年度において減価償却しているものに係る圧縮限度額は,租税特別措置法関係通達(法人税編)64(3)-6に規定される算式に基づいて計算したものである。 b 本件事業年度に取得した減価償却資産に係る圧縮限度額8億8815万3211円上記金額は,原告が本件事業年度において取得した本件代替資産2ないし23,39ないし54,1076ないし1378,1506ないし1534,1578ないし1586の減価償却資産に係る圧縮限度額の合計額である。 イ減価償却限度額 1億5190万8702円上記金額は,本件代替資産1ないし1586の減価償却資産の本件事業年度における減価償却限度額の合計額である。 (4)寄付金の損金不算入額の過大額 1013万3108円上記金額は,原告が本件事業年度の所得金額に加算した寄付金の損金不算入額2700万8150円の の合計額である。 (4)寄付金の損金不算入額の過大額 1013万3108円上記金額は,原告が本件事業年度の所得金額に加算した寄付金の損金不算入額2700万8150円のうち前記(2)及び(3)により所得金額が増加したことに伴って減少した後の損金不算入額1687万5042円との差額であり,本件事業年度の所得金額から減算される金額である。 (5)繰越欠損金の損金算入額の増加額 1321万5482円上記金額は,前記(2)ないし(4)により本件事業年度の所得金額が増加したことに伴って損金の額に算入されることとなった繰越欠損金の額である。 2 課税所得金額に対する法人税額 1億1412万4500円上記金額は,前記1の所得金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)に法人税法66条(平成18年法律第10号による改正前のもの)に規定する税率(ただし,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条1項(平成18年法律第10号による廃止前のもの)による置換え後のもの)を乗じて計算した金額である。 3 法人税額から控除される所得税額等 471万5204円上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のもの)に規定する法人税額から控除される所得税の額であり,原告の本件事業年度の法人税の確定申告書に記載された法人税額から控除される所得税等の金額である。 4 納付すべき法人税額 1億0940万9200円上記金額は,前記2の金額から前記3の金額を差し引いた金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により10 。 4 納付すべき法人税額 1億0940万9200円上記金額は,前記2の金額から前記3の金額を差し引いた金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 5 既に納付の確定した法人税額 △471万5204円上記金額は,原告の本件事業年度の法人税の確定申告書に記載された納付すべき法人税額である。 6 差引納付すべき法人税額 1億1412万4400円上記金額は,前記4の金額から前記5の金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のも の)である。 第2 本件賦課決定の根拠過少申告加算税の額 1709万3000円上記金額は,本件更正により新たに納付すべきこととなった法人税の税額1億1412万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する1141万2000円に,同法65条2項の規定により本件更正により新たに納付すべきこととなった法人税の税額1億1412万4400円のうち50万円を超える部分の金額1億1362万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合を乗じて計算した金額に相当する568万1000円を加算した金額である。
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