昭和52(行コ)48 一般乗用旅客自動車運送事業免許申請却下処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和53年3月30日 東京高等裁判所 その他
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【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は、控訴人の負担とする。 ○ 事実及び理由 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五〇年八月二九日付でした控訴人 の一般乗用旅客自動車運送事業免許申請を却

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○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は、控訴人の負担とする。 ○ 事実及び理由控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五〇年八月二九日付でした控訴人の一般乗用旅客自動車運送事業免許申請を却下する旨の処分を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文と同旨の判決を求めた。 当事者双方の事実上・法律上の主張及び証拠の関係並びに当裁判所が控訴人の本訴請求を棄却すべきものとする理由は、原判決の事実及び理由欄に記載するところと同一であるから、ここにこれを引用する。 よつて、控訴人の本訴請求を排斥した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないので棄却を免がれず、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官渡部吉隆渡辺忠之柳澤千昭)(原裁判等の表示)○ 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告が昭和五〇年八月二九日付で原告に対してした原告の一般乗用旅客自動車運送事業免許申請を却下する旨の処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決二被告主文と同旨の判決第二原告の請求原因一原告は、昭和五〇年六月五日付で被告に対し、一般乗用旅客自動車運送事業(一人一車制個人タクシー事業)の免許の申請をしたところ、被告は、同年八月二九日付で原告に対し、原告の右申請を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)をした。 二しかしながら、本件処分は、以下に述べるとおり違法であるから、その取消しを求める。 1 道路運送法(以下「法」という。)第六条第一項の免許基準について被告が具体的に定めて公示した「個人タクシーの免許に関する資格要件」によれば、年齢について「申請 であるから、その取消しを求める。 1 道路運送法(以下「法」という。)第六条第一項の免許基準について被告が具体的に定めて公示した「個人タクシーの免許に関する資格要件」によれば、年齢について「申請日現在で三五才以上六五才未満であること。ただし、三五才以上四〇才未満の者にあつては、次のいずれかに該当する場合に限る。(1)優良運転者の表彰又はこれと同程度以上の要件による官公庁の表彰を受けた者(2)申請する事業区域において一〇年以上運転を職業とした者」という基準(以下「本件年齢基準」という。)が設けられていたところ、原告は、申請日現在で三九歳一〇か月であり、申請に係る事業区域において運転を職業とした期間が五年三か月で、かつ優良運転者等の表彰を受けていなかつたので、被告は、原告の前記申請が本件年齢基準に適合しないものとして本件処分をした。 2 しかしながら、申請時の原告の年齢が三九歳一〇か月であること及び申請事業区域外における原告のタクシー運転手の経験が八年一〇か月(申請事業区域内のそれを加えると一四年一か月)であることを合わせて考察すれば、原告の年齢と運転経歴は、本件年齢基準を定めた精神にも沿うものであり、法第六条第一項第四号所定の能力を有するものといわなければならない。法第六条第二項は、免許基準を適用するに当たつて形式的画一的に流れることを戒めているが、被告は、本件年齢基準を形式的画一的に適用して本件処分をしたものであり、本件処分は、法第六条第一項第四号の趣旨に沿わない不合理な判断に基づくものであつて裁量を誤つた違法な処分である。 第三請求原因に対する被告の認否及び主張一請求原因に対する認否請求原因一及び二の1の事実は認めるが、同二の2の主張は争う。 二被告の主張本件処分は、以下に述べるとおり適法である。 1 個人タクシー事業の制度 対する被告の認否及び主張一請求原因に対する認否請求原因一及び二の1の事実は認めるが、同二の2の主張は争う。 二被告の主張本件処分は、以下に述べるとおり適法である。 1 個人タクシー事業の制度が創設された趣旨は、自動車の運転に従事してきた者に将来の夢と希望を与えることにあつた。被告は、この基本方針に則り、個人タクシー事業者として認めるには、(1)多年にわたり自動車の運転に従事してきた者であること、(2)運転技術が卓越しており安全な運転を行ない得る者であること、(3)健全な心身を有し法令遵守の強固な意志を有する者であることなどの諸点に重点を置くこととし、これらの点に関し具体的には自動車運転資格、表彰の有無、法令遵守状況、運転歴、年齢、健康状況等に分類した審査基準を設けて審査をしていたのであるが、これは、多数申請者のうちから何人が法第六条第一項第四号所定の能力を有するかを比較判定するためのものである。 2 そして、被告は、個人タクシー制度創設の趣旨及び昭和三四年一二月二日付運輸省自動車局長通達「タクシー個人営業(一人一車制)の取扱いについて」に基づき、個人タクシーの免許年齢の下限を四〇歳としてきたが、これは、経済的、家庭的にみた個人タクシー事業の安定性、他業への転業の蓋然性、精神的円熟度、年齢別にみた交通法規の遵守状況及び交通事故の発生頻度等を検討、勘案し設定されたものである。 その後、昭和四二年度通常国会の運輸委員会における審議を通じ、「最近、ハイヤー、タクシー運転者以外の者に対する免許が少なくないように見受けられるが、個人タクシー制度創設の趣旨に照らし、自動車運転者に希望を与えるための配慮が薄れつつあるのではないか。」との指摘等もあり、被告は、昭和四三年七月一〇日付同局長通達「個人タクシーの免許に関する基準(年令制限)の緩和について 趣旨に照らし、自動車運転者に希望を与えるための配慮が薄れつつあるのではないか。」との指摘等もあり、被告は、昭和四三年七月一〇日付同局長通達「個人タクシーの免許に関する基準(年令制限)の緩和について」に基づき、恩典として特に優秀な運転者及び長年にわたり当該事業区域においてハイヤー、タクシーの運転に従事してきた者については、免許年齢の下限を三五歳とし、その緩和を図つてきたものである。 更に、被告は、ハイヤー、タクシー需要の増大に即応し、良質な旅客サービスを確保するための対策の一環として、昭和四五年二月一九日付同局長通達「個人タクシーの免許に関する基準の緩和等について」に基づき、免許年齢の上限を六五歳に、三五歳以上四〇歳未満の者の要件の基準については、「申請に係る事業区域において一〇年以上運転の業務に従事した者」に改め、昭和四五年一一月二八日付同局長通達「ハイヤー、タクシー関係事務処理の改善について」に基づき、法第六条第一項の基準を具体化した本件年齢基準等を内容とする「個人タクシーの免許に関する資格要件」を昭和四五年一二月三日付で公示し、これを一般に知らしめ、公平な審査を行なつてきたものである。 3 ところで、三五歳以上四〇歳未満の者について要件を加重しているのは、以下のような事情による。 法人タクシー事業の運転者の年齢構成をみると三一歳から四〇歳までの者が最も大きい比率を占めている。他方、法人タクシー業界における従業員の定着率は極めて低く、経験の浅い従業員が多い。また、法人タクシー事業にあつては、乗務員の勤務状況を管理者において直接観察し掌握することができないことや勤務時間が早朝から深夜に及ぶという厳しい労働条件にあることなど他の業種には見られない特殊な事情があることからすると、三一歳から四〇歳までの年齢層は、数の上でも大きな比率を占める とができないことや勤務時間が早朝から深夜に及ぶという厳しい労働条件にあることなど他の業種には見られない特殊な事情があることからすると、三一歳から四〇歳までの年齢層は、数の上でも大きな比率を占めるばかりでなく、肉体的にも精神的にも安定した年代であり、経験も豊かであつて、法人タクシー事業にとつて極めて貴重な存在であるということができる。したがつて、かかる中堅乗務員が大量に法人タクシー事業から流出するようなことがあれば、同事業に与える打撃は極めて大きく、安定した事業経営は不可能となつて、法の目的とする道路運送の総合的発達を阻害するに至ることは明らかである。 そして、法人タクシーが個人タクシーに比して特に優れている点は、二四時間サービスが可能であるという恒常性と時間的大量需要の要請に応じられるという点においてである。個人タクシーは、事業者が同時に運転者であるという特殊性から、営業時間の決定については恣意性が強く、更に保有車両が一両であることから需要動向に応じた計画的、機動的な配車は期待できず、終日にわたる輸送力の提供は不可能である。これに反し法人タクシーは、運転者の勤務時間を調整することによつて需要動向に応じた恒常的な輸送力の提供が可能となるばかりでなく、時間的な需要動向に応じた計画的、機動的な配車が可能であつて、これらの点において法人タクシーが個人タクシーに比して交通機関として優れていることは疑問の余地がない。 右のような実情を考慮すれば、個人タクシーの免許に当たり、年齢による段階的制限を設け、四〇歳に満たない者について要件を加重することにより法人タクシー業界に混乱を生ずることのないよう配慮することは、免許権者の裁量の範囲内に属するものとして当然許容されるべきものであつて、このことが法人タクシー事業と個人タクシー事業との調和的な共存を図り正 クシー業界に混乱を生ずることのないよう配慮することは、免許権者の裁量の範囲内に属するものとして当然許容されるべきものであつて、このことが法人タクシー事業と個人タクシー事業との調和的な共存を図り正常な道路運送秩序の確立を期するゆえんでもある。 被告が三五歳以上四〇歳未満の者について「申請する事業区域において一〇年以上運転を職業とした者」という基準(以下「本件運転歴基準」という。)を設けたのは、右のような配慮に基づくものであつて、申請に係る事業区域において長年にわたり運送役務を提供し当該地域との結びつきの深い者に対し優先的に免許を与えることは常識にも合い、地域的な輸送力の確保を目的とする一般乗用旅客自動車運送事業の性格から見ても妥当であると考えられたからである。 4 以上のとおり、被告は、個人タクシー制度創設の趣旨及び公共の福祉を積極的に増進しようとする法の目的を達成するため、過去における運輸行政の経験に照らして諸般の事情を科酌検討し、被告に委ねられた裁量の範囲内において免許申請者の年齢基準及び運転歴基準を設定したものであつて、本件年齢基準は、法第六条第一項第四号の基準を具体化するものであるとともに、その中の本件運転歴基準は、前述のように法人タクシー事業と個人タクシー事業との調和的共在を図ることにより道路運送の総合的発達を図ることにもそのねらいがあるのであるから、同項第五号の基準の具体化でもあるというべく、同基準に合理性に欠ける点は何ら存しないものである。 そして、免許申請者の適格性を判定するに当たり、年齢基準、運転歴基準のような基準を設け画一的な審査を行なうことは他の諸法令においても実施されているところであり、多数の免許申請者に対し免許基準に適合するかどうかを適正かつ公平に判断するため、これをより具体化した審査基準を設ける必要があること な審査を行なうことは他の諸法令においても実施されているところであり、多数の免許申請者に対し免許基準に適合するかどうかを適正かつ公平に判断するため、これをより具体化した審査基準を設ける必要があることは法の要請するところであり、同基準に合理性に欠けるところがない以上、被告の公示した前記基準に適合しないとして原告の申請を却下した本件処分には違法は存しないというべきである。 第四被告の主張に対する原告の認否及び反論一被告の主張に対する認否被告の主張1は不知。同2のうち、被告が法第六条第一項の基準を具体化した本件年齢基準等を内容とする「個人タクシーの免許に関する資格要件」を定めて公示したことは認め、その余は不知。同3及び4の主張は争う。 二原告の反論 1 本件年齢基準は、三五歳以上四〇歳未満の者について四〇歳以上六五歳未満の者に比し要件を加重しており、また、申請に係る事業区域内の運転歴と右区域外の運転歴とで差を設けているが、右の点には合理性が認められない。 2 被告が三五歳以上四〇歳未満の者に附加した要件は、法人タクシー事業のみを配慮したものであり、昭和四二年度通常国会の運輸委員会における審議の趣旨に沿わないし、ハイヤー、タクシー運転者以外の自動車運転者との関係では合理性が認められない。 第五証拠関係(省略)○ 理由一請求原因一及び二の1の事実は、当事者間に争いがない。 二そこで、本件処分に原告主張の違法があるかどうかについて判断する。 1 成立に争いのない乙第一、第二号証、第一〇号証、第一五号証及び第一九ないし第二一号証、原本の存在及び成立に争いのない乙第一四号証、証人A及び同Bの各証言並びに原告本人尋問の結果を合わせると、次の事実を認めることができる。 戦後において一般乗用旅客自動車運送事業のうちに一人一車制個人タクシー事業の制度 に争いのない乙第一四号証、証人A及び同Bの各証言並びに原告本人尋問の結果を合わせると、次の事実を認めることができる。 戦後において一般乗用旅客自動車運送事業のうちに一人一車制個人タクシー事業の制度が創設されたのは、昭和三四年であり、被告は、当初個人タクシーの免許に関する年齢の基準を「おおむね、四〇歳から五五歳まで」としてきたが、昭和四三年七月一〇日付運輸省自動車局長通達「個人タクシーの免許に関する基準(年令制限)の緩和について」に基づき、同年八月一日以降一定の要件により官公庁から優良運転者として表彰を受けている者又は申請に係る事業区域においてハイヤー、タクシーの運転者として一〇年以上業務に従事した者については免許年齢の下限を三五歳とした。その後被告は、昭和四五年二月一九日付同局長通達「個人タクシーの免許に関する基準の緩和等について」に基づき、同年三月一二日免許年齢の上限を六五歳とし、三五歳以上四〇歳未満の者について付されていた「ハイヤー、タクシーの運転者として」という要件を削除し、更にハイヤー、タクシー関係の免許事務の処理を簡素化、迅速化し、合わせて公平かつ画一的に処理するために、免許の資格要件を明確かつ具体的に定めて公開することになり、被告は、同年一一月二八日付同局長通達「ハイヤー、タクシー関係事務処理の改善について」に基づき、同年一二月三日法第六条第一項所定の免許基準を具体化した本件年齢基準等を内容とする詳細な個人タクシーの免許に関する資格要件を定め、同日付で公示し(被告が法第六条第一項の基準を具体化した本件年齢基準等を内容ととする個人タクシーの免許に関する資格要件を定めて公示したことは、当事者間に争いがない。)、同月四日から公示した右資格要件のすべてを充足する者に対してのみ個人タクシーの免許を付与してきた。なお被告は、昭和四九年 シーの免許に関する資格要件を定めて公示したことは、当事者間に争いがない。)、同月四日から公示した右資格要件のすべてを充足する者に対してのみ個人タクシーの免許を付与してきた。なお被告は、昭和四九年一二月九日個人タクシーの免許等に関する資格要件を一部変更したが、昭和五〇年一月九日以前の予備申請に係るものについては従前の例によることとされ、原告は昭和四九年七月一六日に予備申請をしていたので、原告の申請については右変更前の資格要件により審査された。 以上の事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 2 ところで、法第六条第一項に定める免許基準は極めて抽象的であり、しかも同項にいう一般自動車運送事業には法第三条第二項所定の各種自動車運送事業を含むから、法第一二二条第一号、法施行令第四条第二項により委任を受けた被告が、多数の個人タクシーの免許申請を受理して、これを公正妥当に処理していくためには、被告においてその所管する地域の当時のタクシー業界の実情に照らし、かつ個人タクシー制度の趣旨に即して法第六条第一項所定の免許基準を具体化した詳細な審査基準を設定して公示し、すべての申請者に対しこれを公正かつ一律に適用し処理することはひとつの合理的方法であり、また被告が右審査基準を設定するに際しては運輸行政上の政策的又は専門技術的観点からの裁量判断を伴うことは明らかである。 被告が法第六条第一項所定の免許基準を具体化した本件年齢基準等を内容とする詳細な個人タクシーの免許に関する資格要件(審査基準)を定めて公示し、原告の個人タクシー事業の免許の申請が右公示に係る本件年齢基準に適合しないとして本件処分がされたことは前記のとおりであり、かつ原告が申請日現在において本件年齢基準に適合していなかつたことは当事者間に争いがなく、また当時被告が右審査基準を 示に係る本件年齢基準に適合しないとして本件処分がされたことは前記のとおりであり、かつ原告が申請日現在において本件年齢基準に適合していなかつたことは当事者間に争いがなく、また当時被告が右審査基準を公正かつ一律に適用せず恣意的な運用を行なつていたことを認めるべき証拠はないから、本件年齢基準が法第六条第一項所定の免許基準と被告の所管する地域の当時のタクシー業界の実情その他に照らし被告の有する裁量の範囲を逸脱していたと認められない限り、本件処分は適法なものというべきである。 もつとも原告は、本件年齢基準をすべての申請者に形式的画一的に適用して許否を決することは、法第六条第二項に照らし同条第一項第四号の趣旨に沿わない不合理な判断であると主張するが、右のように所管地域の当時のタクシー業界の実情等に沿つた詳細な審査基準を設定し、これを一律に適用して許否を決することは、法第六条第一項所定の免許基準を実情に沿つて運用することに帰着し、右免許基準自体を単に形式的画一的に適用するものではないから、同条第二項の命ずるところに合致こそすれ、決して背馳するものではない。 3 そこで、本件年齢基準が被告の有する右裁量の範囲を逸脱していたかどうかにつき検討する。 前記1の認定の事実に、証人Bの証言により成立の真正を認められる乙第三号証、弁論の全趣旨により成立の真正を認められる乙第四号証の一及び四並びに証人A及び同Bの各証言を合わせると、次の事実を認めることができる。 他の交通機関に比してタクシーの最大の利点は、その機動性(どこででも乗れ、どこにでも行ける。)及び恒常性(一日中サービスを提供できる。)にあり、法人タクシーが個人タクシーに比して特に優れている点は、右の恒常性及び計画的、機動的な配車が可能な点にあるのにかかわらず、個人タクシー制度が創設された趣旨は、ハイヤー ービスを提供できる。)にあり、法人タクシーが個人タクシーに比して特に優れている点は、右の恒常性及び計画的、機動的な配車が可能な点にあるのにかかわらず、個人タクシー制度が創設された趣旨は、ハイヤー、タクシー業界に新風を吹き込み、タクシー業界全体のサービスの向上を図ること及び自動者の運転に長期間従事してきた者、特にハイヤー、タクシーの運転者に事業経営者となり得る道を開いて将来の夢と希望を与えることにあつたから、個人タクシー事業の免許に当たつては、このような者に対して免許を与えるようにすると同時に、他方法人タクシー事業の運転者が大量に個人タクシー事業に流出し、法人タクシー事業のサービスが低下することを防止し、その調和的共存を図るべき運輸行政上の要請がある。個人タクシー事業の免許年齢の下限は、個人タクシー制度創設当初から一貫して四〇歳を原則としてきたが、その理由は、一般的に四〇歳以上であれば、運転経験が豊かで交通事故や交通違反の少ない優秀な運転者が多いこと、もはや転業の可能性、蓋然性が少ないこと、精神的、経済的に安定して、自己管理能力が期待できることなどから、個人タクシー事業を安定的かつ継続的にしかも適確に遂行するに足る能力を有するものと考えられたためであつた。 そして、前記1に認定の経緯を経て昭和四五年三月一二日以降は例外的に個人タクシー事業の免許年齢の下限を三五歳とし、三五歳以上四〇歳未満の者については要件を加重して免許を付与することとなり、本件年齢基準では「優良運転者の表彰又はこれと同程度以上の要件による官公庁の表彰を受けた者」又は本件運転歴基準に該当する者に限ることとしたが、前者は、特に優秀な運転者を優遇する趣旨で設けられ、後者は、個人タクシー制度がサービス向上をその目的の一つとする制度であることにかんがみ、当該事業区域の地理に精通し に該当する者に限ることとしたが、前者は、特に優秀な運転者を優遇する趣旨で設けられ、後者は、個人タクシー制度がサービス向上をその目的の一つとする制度であることにかんがみ、当該事業区域の地理に精通していると推認されるところの長年当該事業区域で運転に従事してきた者を優遇するとともに、このような者を優遇することにより法人タクシーの運転者の定着率(ハイヤー、タクシー運転者の定着率は低く、運輸省自動車局業務部旅客課作成の昭和四九年度版旅客自動車輸送指標によれば、東京陸運局管内の個人を除いたハイヤー、タクシー運転者の平均勤続年数は、四・一年である。)を高めることもそのねらいとして設けられた。またこのように四〇歳未満の者には要件を加重し、四〇歳未満への一般的な年齢引下げを行なわなかつたのは、三〇歳代の者が法人タクシー事業の運転者の主流になつており(昭和五一年二月二〇日現在の社団法人東京乗用旅客自動車協会会員会社三三八社在籍のハイヤー、タクシー運転者の年齢別構成比は、三一歳から四〇歳までの者が全体の四六・二二パーセントであり、前記旅客自動車輸送指標によれば、東京陸運局管内の個人を除いたハイヤー、タクシー運転者の平力年齢は、三六・二歳である。)前記のとおり法人タクシーが個人タクシーに比して優れた交通機関であることから、法人タクシー事業の運転者の大量の流出を防止して、法人タクシー事業に混乱が生ずることがないようにするためであつた。また本件年齢基準においてその基準時を申請日現在としたのは、免許申請の事務処理期間が各申請によつて種々の条件により異なり得るので、行政庁側の恣意を排除し、大量の申請を公平かつ画一的に処理するためであつた。 以上の事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 右認定によれば、本件年齢基準は、被告においてその運輸行政上の 側の恣意を排除し、大量の申請を公平かつ画一的に処理するためであつた。 以上の事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 右認定によれば、本件年齢基準は、被告においてその運輸行政上の政策的判断に基づき法第六条第一項所定の免許基準を具体化して設定したもので、同項第四号及び第五号の趣旨に沿い、合理性を欠くとは認められないから、被告の前記裁量の範囲を逸脱したものということはできない。 原告は、本件年齢基準が三五歳以上四〇歳未満の者について四〇歳以上六五歳未満の者に比し要件を加重していること及び申請に係る事業区域内の運転歴と右区域外の運転歴とで差を設けていることには合理性が認められないと主張するが、その理由のないことは右に判示したところから明らかである。 また原告は、被告が三五歳以上四〇歳未満の者に附加した要件は、法人タクシー事業のみを配慮したもので昭和四二年度通常国会の運輸委員会における審議の趣旨に沿わず、ハイヤー、タクシー運転者以外の自動車運転者との関係では合理性が認められないと主張する。 証人Aの証言と前記1に認定の事実によれば、当初タクシー事業の免許は、タクシー需要に応じてあらかじめ免許すべき台数を定め、多数の競願者の中から右台数に見合う人数の者を選んでこれに免許を与えるといういわゆる需給調整を行なつてきたが、昭和三八年に至りタクシー需要の増加により右需給調整をやめ、個人タクシーについても申請順に審査し一定の基準に達する者に対してはすべて免許することとしたこと、しかしこれにより個人タクシー事業におけるハイヤー、タクシー運転者出身の者の比率が下がる結果となり、昭和四二年ころ国会等で右の事態は前記個人タクシー制度創設の趣旨に沿わないのではないかとの指摘がされたこと、そこで被告は、昭和四三年八月一日以降免許年齢の下限を三五歳とし 者の比率が下がる結果となり、昭和四二年ころ国会等で右の事態は前記個人タクシー制度創設の趣旨に沿わないのではないかとの指摘がされたこと、そこで被告は、昭和四三年八月一日以降免許年齢の下限を三五歳とし、三五歳以上四〇歳未満の者に対する加重要件のひとつである運転歴としては「申請に係る事業区域においてハイヤー、タクシーの運転者として一〇年以上業務に従事したもの」としたこと、その後昭和四五年三月一二日以降は右運転歴をハイヤー、タクシーの運転者としての運転歴に限らないこととし、本件運転歴基準のように改めたが、その理由は、その後のタクシー需要の増加に伴い、個人タクシー事業者の増加を求める世論が高まり、これを増加すべき運輸政策上の必要が生じたので、法人タクシー事業に従事する運転者の個人タクシー事業への大量の流出を防止しつつ、個人タクシー事業者の増加を図るためであつたことが認められるから、昭和四二年ころの国会等での指摘の趣旨と異なる運転歴基準を設定するに至つたことをもつて、その基準が合理性を欠き、被告の裁量の範囲を逸脱したものということはできない。また本件年齢基準において三五歳以上四〇歳未満の者に附加された要件は、ハイヤー、タクシー運転者とそれ以外の自動車運転者とを別異に取り扱うものではないから、ハイヤー、タクシー運転者以外の自動車運転者との関係で不合理なものと認めることもできない。 以上のとおり、本件処分に原告主張の違法はない。 三よつて、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 主文 用して、主文のとおり判決する。

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