平成20(行コ)73 所得税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第333号)

裁判年月日・裁判所
平成20年12月10日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文35,391 文字)

-- 主文 原判決中,渋谷税務署長が控訴人に対して平成17年6月21日付けでした控訴人の平成11年1月から平成15年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求める請求に関する部分を次のとおり変更する。 (1)渋谷税務署長が控訴人に対して平成17年6月21日付けでした控訴人の平成11年1月から平成15年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1714万6258円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。 (2)控訴人のその余の請求を棄却する。 第1項の部分に係る訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決中,渋谷税務署長が控訴人に対して平成17年6月21日付けでした控訴人の平成11年1月から平成15年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求める請求に関する部分を取り消す。 渋谷税務署長が控訴人に対して平成17年6月21日付けでした控訴人の平-- 成11年1月から平成15年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消され での各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。 第2事案の概要 控訴人の内縁の妻である医師など3名の医師の名義でそれぞれ開設された医療提供施設に係る事業所得につき,開設名義人である各医師の名義で確定申告がされ,上記各医療提供施設において雇用された従業員の給与等から源泉徴収された源泉所得税が上記各医師の名義で納付されてきたところ,課税庁は,①,,控訴人に対し上記各医療提供施設に係る事業所得は控訴人に帰属するとして平成17年3月30日付けで,控訴人の平成14年分及び平成15年分の所得税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という)並びに重加算税の各賦課。 (「」。),,決定処分以下申告所得税に係る各賦課決定処分というを行いまた②上記各医師の名義で納付された源泉徴収に係る源泉所得税を誤納金として上,,,記各医師に対して還付した上で控訴人に対し平成17年6月21日付けで平成11年1月から平成15年8月までの分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分(以下「本件各納税告知処分」という)及び重加算税の各賦課決定。 処分(以下「源泉所得税に係る各賦課決定処分」といい,本件各納税告知処分と併せて「本件各納税告知処分等」という)をしたため,控訴人が,①本件。 各更正処分のうち納付すべき本税の額2776万5400円を超える部分及び申告所得税に係る各賦課決定処分のうち263万9000円を超える部分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しと,②本件各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円(本 のうち263万9000円を超える部分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しと,②本件各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円(本件各納税告知処分に基づき納付すべきものとされた本税の額から上記各医師の名義で納付された源泉所得税の額を控除した金額)を超える部分及び源泉所得税に係る各賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月-- 8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求めたのが本件訴訟である。 原判決は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,控訴人が原判決中,上記②の請求を棄却した部分を不服として,控訴をした。 したがって,当審における審理の対象は,控訴人の上記②の請求の当否である。 事案の概要の詳細は,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「1前提事実」及び「3争点に関する当事者の主張」のうち本件各納税告知処分等の根拠についての被控訴人の主張部分(原判決27頁5行目冒頭から29頁9行目末尾まで)を次のとおり改めて引用するほかは,3項及び4項に記載するとおりである。 (1)原判決4頁4,5行目の「源泉徴収義務者として」の次に「別紙記載,,のとおり」を加え,6行目に「源泉所得税をそれぞれ納付した」とあるの,を「源泉所得税合計622万4558円(以下「本件納付済源泉所得税」,という)をそれぞれ納付した」と改め,同行の「ただし」から7行目の。 (,「主張している」までを削除する。 。)(2)同4頁8行目冒頭から7頁4行目末尾までを削除する。 (3)同7頁5行目の「(5)」を「(3)」と,6行目の「前記(2)の源泉所得税」を「本件納付済源泉所得税」と,それぞれ改める。 (4)同7頁10行目冒頭から16行目末尾までを削除する 削除する。 (3)同7頁5行目の「(5)」を「(3)」と,6行目の「前記(2)の源泉所得税」を「本件納付済源泉所得税」と,それぞれ改める。 (4)同7頁10行目冒頭から16行目末尾までを削除する。 (5)同7頁17行目の「(7)」を「(4)」と,同行の「本件各院長ら」を「本件各院長,本件各医院の従業員」と,19行目の「源泉所得税の」を「源泉所得税につき,納付すべき本税の額を2355万7316円,重加算税の額を809万9000円とする」と,それぞれ改め,21行目の「再度」の,次に「これと同じ内容の」を加える。 (6)同8頁1行目の「(8)」を「(5)」と改め,同行の「原告は」から4行,-- 目の「また」までを削除する。 ,(7)同8頁7行目の「(9)」を「(6)」と,同行の「原告は」から9行目の,「それぞれ」までを「控訴人は,上記異議決定を不服として,同年12月,15日付けで」と,10行目の「これらの各審査請求を」を「上記審査請,求を本件各更正処分等に係る審査請求ととそれぞれ改め13行目の裁」,,「決による」の次に「本件各納税告知処分等の」を加え,14行目の「別表,1-1」から同行末尾までを「原判決添付別表2のとおりであり,納付す,べき本税の額は2337万0816円,重加算税の額は803万6000円とされた」と改める。 。 (8)同8頁15行目の「(10)」を「(7)」と改める。 控訴人の主張(「」。)(1)本件各医院の従業員に支給された給与及び賞与以下給与等という並びに税理士報酬に係る源泉徴収義務者は本件各院長である。 ア所得税法183条に基づき源泉徴収義務を負う者は,従業員との関係でいえば従業員の使用者であり,それは,従業員と雇用契約を締結し,従業員をして,指揮命令に服させて 泉徴収義務者は本件各院長である。 ア所得税法183条に基づき源泉徴収義務を負う者は,従業員との関係でいえば従業員の使用者であり,それは,従業員と雇用契約を締結し,従業員をして,指揮命令に服させて労務を提供させ,その対価を支払う者である。 イ本件各医院の看護師等の従業員との間の雇用契約の当事者は,本件各医院の開設者であり管理者である本件各院長であって,控訴人ではない。控訴人が本件各医院における事業活動によって生ずる所得の帰属主体であるからといって,看護師等の従業員との雇用契約の当事者が控訴人であることが論理必然的に導かれるものではない。 すなわち,①医師の資格を有しない控訴人は,形式的にも,実質的にも本件各医院の開設者兼管理者とはなり得ない上,本件各医院の従業員である看護師等は,医師の指示に従い,医師の執務を補助するものであることからすると,本件各医院の看護師等の従業員の雇用主は,本件各医院の開-- 設者兼管理者である本件各院長であるとみるべきこと,②個人病院の従業員に対する給与等の支払が診療報酬による収入の中からされることから,個人病院にあっては,例外なく,診療報酬請求の主体が従業員との雇用契約の当事者となっているところ,本件各医院における診療報酬請求の主体は本件各院長であり,控訴人ではないことは明らかであること,③本件各医院を経営していく上で不可欠な本件各医院の所在する建物の賃借人が本件各院長であることは,看護師等の従業員との間の雇用契約の当事者が本件各院長であることを推認させる重要な間接事実ということができること,④控訴人を被告人とする所得税法違反及び医師法違反被告事件(以下「本件刑事事件」という)において有罪判決が確定し,控訴人が本件各。 医院の経営に関与することがなくなった後も,本件各医院の看護師等の従業員の勤務 告人とする所得税法違反及び医師法違反被告事件(以下「本件刑事事件」という)において有罪判決が確定し,控訴人が本件各。 医院の経営に関与することがなくなった後も,本件各医院の看護師等の従業員の勤務形態に変化はなく,本件各医院の開設者兼管理者である本件各院長の下で,勤務を続けていることも,雇用契約の当事者が控訴人ではなく,本件各院長であることを裏付けるものであること,これらのことからすれば,本件各医院の看護師等の従業員との間で雇用契約を締結し,源泉徴収義務を負う者が本件各院長であることが明らかというべきであって,このことは,本件各医院における事業活動によって生ずる所得が控訴人に帰属することと,何ら矛盾するものではないのである。 ウ被控訴人が,控訴人が看護師等の従業員の雇用主であることを推認させる事実であるとして主張する事実は,控訴人が本件各医院の実質的経営者であること(経営を支配していたこと)を推認させる間接事実にすぎず,控訴人が実質的経営者であるということと本件各院長が従業員との雇用契約の当事者であるということとは,両立し得る事実である。 (2)仮に,(1)の主張が認められず,控訴人に源泉徴収義務があるとしたならば,本件納付済源泉所得税は,控訴人が本件各院長の名義を借りて納付したものとみるべきである。 -- すなわち,本件各医院の実質的経営者である控訴人に源泉徴収義務があると解するならば,本件各院長の名義による本件納付済源泉所得税の納付は,実質的には控訴人に帰属する収入の中からされたものであり,上記納付は控訴人がしたものとみるのが当然である。 (3)仮に,(1)及び(2)の主張がいずれも認められないとしても,国税通則法(以下「通則法」という)56条に従えば,本件納付済源泉所得税の還付。 の相手方は本件各院長ではなく,控訴人と である。 (3)仮に,(1)及び(2)の主張がいずれも認められないとしても,国税通則法(以下「通則法」という)56条に従えば,本件納付済源泉所得税の還付。 の相手方は本件各院長ではなく,控訴人と解すべきであり,被控訴人は,これを同法57条1項に基づき,控訴人が納付すべき源泉所得税に充当すべきであった。 ,,,ア通則法は過誤納金の還付の相手方について明文で規定していないが通則法56条所定の過誤納金は,一種の不当利得の性質を有する(昭和37年7月31日付け内閣法制局一発第9号調達庁総務部長宛「源泉徴収税額の還付請求権者に関する内閣法制局意見,同意見で引用される昭和2」7年10月6日法制局一発第22号国税庁長官宛「租税の過誤納にかかる国税の返還請求権についての法制局長官回答」参照。かかる観点から本)件をみると,控訴人が本件各医院の実質的経営者であり,控訴人が,自らに帰属する収入の中から,本件各院長の名義で本件納付済源泉所得税を納付したものであり,本件納付済源泉所得税を負担しているのは控訴人である。被控訴人は,このことを知悉しながら,本件各院長から還付の申出もないにもかかわらず,これを本件各院長に還付したものであって,通則法56条の趣旨に反することは明らかである。 イしかも,所得税基本通達181~223共-6において,源泉所得税に過誤納金がある場合には,源泉徴収義務者に対して還付すべきものとされているのであって,被控訴人が,本件各院長が源泉徴収義務者であることを否定しながら,本件納付済源泉所得税を本件各院長に還付したことは,明らかに矛盾した処理といわなければならない。 -- ウ実際上も,本件納付済源泉所得税を本件各院長に還付することによって著しく不都合な事態が生ずる。すなわち,仮に,本件納付済源泉所得税をもって,本件 矛盾した処理といわなければならない。 -- ウ実際上も,本件納付済源泉所得税を本件各院長に還付することによって著しく不都合な事態が生ずる。すなわち,仮に,本件納付済源泉所得税をもって,本件各院長が従業員又は税理士(以下「従業員等」という)か。 ら徴収した税金であると解したならば,控訴人が,本件納税告知処分に従って,源泉所得税を納付した場合には,所得税法222条に基づき,従業員等から改めて源泉所得税相当額を徴収できるということになるはずであるが,かかる結論は,従業員等に二重に源泉徴収を受忍させることになり不当であることはいうまでもない。仮に,控訴人は,既に従業員等に対する給与等又は報酬の支払に当たって,源泉徴収義務者として,源泉所得税を徴収していると解したならば,源泉徴収義務者でもない本件各院長が本件納付済源泉所得税の還付を受けているという事実と矛盾する。以上に述べたところからすると,本件各院長は,源泉徴収義務者ではないとしながら,従業員等から源泉徴収された本件納付済源泉所得税を本件各院長に還付し,これを受領させることが著しく不都合な事態を招来するものであることは明らかというほかはない。 エしたがって,通則法56条により本件納付済源泉所得税の還付請求権を有するのは控訴人と認めるべきであり,被控訴人は,控訴人の還付すべき本件納付済源泉所得税を通則法57条1項に基づき,控訴人が納付すべき源泉所得税に充当すべきであった。 (4)本件納付済源泉所得税を第三者の代位納付として処理する可能性仮に,(1)及び(2)の主張がいずれも認められないとしても,本件各院長がした本件納付済源泉所得税の納付を,通則法41条に基づく第三者の代位納付とみる余地があるのであるから,課税庁としては,少なくとも,本件各院長に対し,第三者の代位納付として取り扱う ても,本件各院長がした本件納付済源泉所得税の納付を,通則法41条に基づく第三者の代位納付とみる余地があるのであるから,課税庁としては,少なくとも,本件各院長に対し,第三者の代位納付として取り扱うことの可否を確認すべきであった。第三者の代位納付という扱いをすれば,国家財政に対して本件納付済源泉所得税相当分が納付されないことによる損害が生ずることはないのに対し-- (本件各院長がこれに不服を述べることは考え難い,本件各院長から還。)付の請求もないのに,本件納付済源泉所得税を還付する措置は,国家財政に損害を与える行為というべきである。 そして,本件納付済源泉所得税については,控訴人は,本件各院長をしてこれを納付させているのであるから,これを基礎として重加算税を賦課すべき懲罰的違法性は認められない。 (5)課税権の濫用仮に,本件各院長が架空の人物であった場合には,課税庁は,架空の人物に本件納付済源泉所得税を還付する余地はなく,その場合には,所得が実質,,的に帰属する者を認定した上源泉所得税の納付名義を変更したはずでありかかる手続は内部的に可能である。したがって,控訴人による還付,充当の申請に基づき,通則法57条を適用して本件納付済源泉所得税を控訴人が納付すべき源泉所得税に充当したとしても,税法上の手続違背は生じないのであるから,充当を認めずに行った本件納税告知処分等は,課税権の濫用に当たる。 被控訴人の主張(1)本件各医院の従業員に支給された給与等及び税理士報酬に係る源泉徴収義務者は控訴人である。 ア所得税法上,源泉徴収による所得税について徴収・納付の義務を負う者は,源泉徴収の対象となるべき一定の所得又は報酬,料金等の「支払をする者」とされているところ,所得税法が,一定の所得又は報酬,料金等について,その「支払を よる所得税について徴収・納付の義務を負う者は,源泉徴収の対象となるべき一定の所得又は報酬,料金等の「支払をする者」とされているところ,所得税法が,一定の所得又は報酬,料金等について,その「支払をする者」に源泉徴収義務を課すことにした趣旨は,「支払をする者」は,その支払によって支払を受ける者に経済的利益を移転する際に,所得税として,その利益の一部を天引してこれを徴収し,国に納付することができ,かつ,当該税額の算定が容易であるからである。 そうであるとすれば「支払をする者」とは,当該支払に係る経済的出捐,-- の効果の帰属主体をいうと解すべきである。 イ本件各医院から生ずる所得が控訴人に帰属することについては争いがないところ,本件各医院の従業員に対して支払われた給与等及び税理士報酬は,上記所得金額の計算に当たり,必要経費に算入されているのであるから,本件各医院の従業員に対して支払われた給与等及び税理士報酬の経済的出捐の効果の帰属主体は,控訴人であり,控訴人が源泉徴収義務者であるというべきである。 ウ控訴人は,本件各院長と従業員との間に雇用関係が成立しており,本件各院長が源泉徴収義務を負うと主張するが,①本件各医院の医師や看護師の雇用,解雇,給与の額の決定は控訴人が行っており,控訴人がその権限を有していたこと,②控訴人が本件各医院に係る診療報酬を受領する銀行口座を管理し,その資金の中から本件各医院の従業員に支払う給与等を捻出し,これを支払っており,控訴人が本件各医院の財政に関する権限も有していたこと,③本件各医院で勤務していた看護師は,本件各医院のいずれに勤務するのかの明確な区別なく漠然とした状態で勤務していたことからすれば,本件各院長のいずれの者も看護師等の従業員の雇用主たる実態を有していなかったこと,④控訴人に医師資格がな 本件各医院のいずれに勤務するのかの明確な区別なく漠然とした状態で勤務していたことからすれば,本件各院長のいずれの者も看護師等の従業員の雇用主たる実態を有していなかったこと,④控訴人に医師資格がないことは,控訴人の経営者性を否定しないことなどからすれば,控訴人が本件各医院の従業員を雇用し,給与の支払義務を負っていることは明らかである。 ,。 (2)本件納付済源泉所得税を控訴人が納付したものとみることはできないア所得税法は,源泉徴収義務者が第三者名義で源泉所得税を徴収し,納付することを予定しておらず,外観上一見して源泉徴収義務者本人の通称ないし別名と判断できるような例外的な場合でない限り,第三者名義による徴収・納付は,源泉徴収義務者本人の徴収・納付としての法的効果は生じない。 すなわち,租税法は,正当な納税義務者が正当な手続で納税することを-- 期待し要求しているのであって,だれがどのような形で納税しようと納税に見合う金員の支払があれば,それで納税義務の履行があったとか,国の財政権の侵害がないなどといえる筋合いのものではない。また,他人の名前で納税するのは,通常脱税目的以外の何者でもなく,これを承認して公法上の法的効果を付与する合理的理由も全くない。このことは,所得の支払の時に成立し,成立と同時に特別の手続を要しないで確定する性質を有する源泉所得税の納税義務においても,何ら異なるところはない。 イこれを本件についてみると,本件各院長の名義による本件納付済源泉所得税の納付が,外観上一見して控訴人の通称ないし別名によるものと判断できるというような事情は認められないから,これを控訴人による納付とみることはできない。むしろ,控訴人がほ脱の目的を有していたことは明らかであり,これを承認して公法上の法的効果を付与すべき合理的理由も きるというような事情は認められないから,これを控訴人による納付とみることはできない。むしろ,控訴人がほ脱の目的を有していたことは明らかであり,これを承認して公法上の法的効果を付与すべき合理的理由もない。 したがって,本件各院長による本件納付済源泉所得税の納付について,控訴人本人の納付義務の履行としての公法上の効果は生じない。 (3)本件納付済源泉所得税の還付の相手方は控訴人ではなく,これを控訴人が納付すべき源泉所得税に充当することはできない。 ア通則法56条所定の過誤納金は,私人間の経済的利害の調整を目的とする民法の不当利得の性質を有するものではなく,公法上の不当利得たる性質を有するものであり,国税の徴収権者は,過誤納金の納付名義人から納付された金員がどのような資金源から調達されたかについては一切関知せず,これを調査すべき義務も権限もないのであるから,国税の徴収権者としては,画一的に過誤納金の納付名義人に対して還付せざるを得ない。実際上も,課税庁が,当該納付に係る国の利得が実質的に何人の損失に基づいているかを探求してその還付請求権者を決しなければならないと解することは,大量かつ回帰的に発生する同種事案の画一的処理が要請される国-- 税関係諸法の体系にそぐわない。 イ控訴人は,所得税法基本通達181~223共-6が,過誤納金を「源泉徴収義務者」に還付すべきものとしている点を捉えて,課税庁が源泉徴収義務者でない本件各院長に本件納付済源泉所得税を還付した行為を論難する。しかし,租税法は,正当な納税義務者が正当な手続で納税することを期待しており,他人名義で納税がされることは全く予定されていないのであるから,上記基本通達も,他人名義で納税がされた場合を予定するものでないことはいうまでもない。 ウ控訴人は,本件納付済源泉所得税が本 しており,他人名義で納税がされることは全く予定されていないのであるから,上記基本通達も,他人名義で納税がされた場合を予定するものでないことはいうまでもない。 ウ控訴人は,本件納付済源泉所得税が本件各院長に還付されたことによって,著しく不合理な事態が生ずるというが,源泉所得税の徴収・納付に不足がある場合には,不足分について,税務署長は源泉徴収義務者たる支払者から徴収し(所得税法221条,支払者は源泉納税義務者たる受給者)に対して求償すべきものとされている(同法222条)一方,源泉所得税の徴収・納付に誤りがある場合には,支払者は,国に対し,過誤納金の還付を請求することができ(通則法56条,受給者は,支払者に対し,誤)って源泉徴収された金額につき,本来の債務の一部不履行を理由として,その支払を請求することができるのである。したがって,本件各医院の従業員等は,本件各院長に対し,誤って徴収された金額を直接請求することができるから,控訴人が従業員等から所得税法222条に基づき求償をしたとしても,従業員等が二重に源泉徴収義務を負担することにはならず,本件納付済源泉所得税が本件各院長に還付されたことによって著しく不合理な事態が生ずることはない。 (4)本件納付済源泉所得税を第三者納付として取り扱う余地はない。 通則法41条により,第三者が国税を納付する場合,納付書の納税者の納税地及び氏名又は名称欄に当該第三者の住所及び氏名又は名称を記載し,余白に納税者の納税地及び氏名又は名称を付記することになっており(平成1-- 9年3月財務省令第17号による改正前の国税通則法施行規則別紙第1号書式備考7,第三者が,ただ漫然と国税を納付しても第三者納付の効果は生)じない。 本件納付済源泉所得税は,本件各院長の名義で納付されており,控訴人が源泉徴収 る改正前の国税通則法施行規則別紙第1号書式備考7,第三者が,ただ漫然と国税を納付しても第三者納付の効果は生)じない。 本件納付済源泉所得税は,本件各院長の名義で納付されており,控訴人が源泉徴収義務者であることを示すような記載は一切ないのであるから,通則法41条の解釈上,これを本件各院長による第三者納付と取り扱う余地はない。 そして,控訴人は,自らが本件各医院の従業員等に対する給与等又は報酬の支払義務者であるにもかかわらず,本件各院長がその支払義務者であるかのような事実を作出し,支払義務者である控訴人が納付すべき源泉所得税を法定納期限までに納付しなかったのであるから,本件納付済源泉所得税の額を基礎として,重加算税の賦課決定をすることに何らの違法もない。 (5)本件納税告知処分等に課税権の濫用はない。 本件納付済源泉所得税の還付を受けるべき者は,本件各院長であることは上記(3)に述べたとおりであり,しかも,本件各院長は実在の人物であるから,これを控訴人が納付すべき源泉所得税に充当することができないことは明らかである。本件各院長が架空の人物である場合と仮定した上での控訴人の主張は,その前提において失当である。 第3当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の請求は,本件各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1714万6258円を超える部分及び源泉所得税に係る各賦課決定処分(ただし,いずれも平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求める限度で理由があるからこれ認容すべきであり,その余は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,以下に説示するとおりである。 所得税法183条又は204条によれば,居住者に対し国内において同法2-- 8条所定の給与等又は同法204条1項各号所定の報酬,料金等の支払をす その理由は,以下に説示するとおりである。 所得税法183条又は204条によれば,居住者に対し国内において同法2-- 8条所定の給与等又は同法204条1項各号所定の報酬,料金等の支払をする者は,給与等又は報酬,料金等について,所得税を徴収し,これを納付する源泉徴収義務を負うものとされているのであって,上記の給与等又は報酬,料金等の支払義務を負う者が,同法183条又は204条に基づき,源泉徴収義務を負うものと解される。 そこで,本件各医院において勤務していた看護師等の従業員に対する給与等及び本件各医院の税務処理を担当していた税理士に対する報酬の支払義務者について検討するに,前提事実に加え,証拠(甲3,4,6,7)及び弁論の全趣旨によれば,本件各医院は,本件各院長を開設名義人兼管理者として開設されたものであるが,本件各院長は,本件各医院における事業活動(診療行為)から生ずる所得について,控訴人を代表者とする有限会社a,有限会社b及び有限会社cに対する架空のコンサルタント料を計上するなどしてこれを圧縮した上,本件各院長の名義で事業所得を確定申告していたが,本件各医院の保険診療報酬の受取口座の通帳やキャッシュカードは控訴人が管理し,経費は,控訴人が上記のように管理する収入の中から支出されていたことが認められるのであって,所得税法12条の規定する実質課税の原則によれば,本件各医院における事業活動から生ずる所得は,本件各医院の開設名義人である本件各院長ではなく,控訴人に帰属するものと認めるべきことは明らかであり,この点については,控訴人も争うものではない。 しかし,実質課税の原則に従い,本件各医院における事業活動から生ずる所得が控訴人に帰属すると認められるということから,論理必然的に,本件各医院の事業活動をめぐる法律関係の当事者な 争うものではない。 しかし,実質課税の原則に従い,本件各医院における事業活動から生ずる所得が控訴人に帰属すると認められるということから,論理必然的に,本件各医院の事業活動をめぐる法律関係の当事者ないし主体が控訴人であるということが導かれるものではない。本件各医院が本件各院長を開設名義人として開設されている以上,本件各医院の開設者は,名実共に本件各院長であることは明らかであって,本件各医院における診療行為の対価として支払われる診療報酬請求権が,私法上,本件各院長に帰属することは否定する余地がないものという-- べきである。そうであれば,このこととの対比において,本件各医院で勤務する看護師等の従業員との間の雇用契約の当事者は,開設者である本件各院長であり,本件各院長が,従業員に対する給与等の支払義務を負うものと認めるのが相当である。なぜならば,一般に,個人が開設する診療所における雇用関係は,開設者を雇用主として成立するものと解されていることに加え,仮に,本件各医院における診療行為の対価として支払われる診療報酬請求権が本件各院長に帰属するにもかかわらず,本件各医院において勤務する従業員の給与等の支払義務者は,本件各院長ではないとしたならば,従業員に対する給与等の支払が滞った場合に,従業員は,本件各院長に帰属する診療報酬請求権を差し押さえて,給与等を回収することはできないということになりかねず,かかる事態が著しく不合理なものであることは明らかであるからである。そして,弁論の全趣旨によれば,控訴人が本件各医院の経営に関与することがなくなった後も,本件各医院は,開設者である本件各院長によって存続し,看護師等の従業員も勤務を継続していると認められること(この事実は,被控訴人は争うことを明らかにしていない)は,本件各医院で勤務する看護師等の も,本件各医院は,開設者である本件各院長によって存続し,看護師等の従業員も勤務を継続していると認められること(この事実は,被控訴人は争うことを明らかにしていない)は,本件各医院で勤務する看護師等の従業員との間。 の雇用契約の当事者が,本件各院長であることを裏付けるものいうことができる。 本件各医院の税務処理を担当してきた税理士に対する報酬支払義務についても,以上に説示したところと別異に解すべき理由はなく,その報酬の支払義務者もまた,本件各院長であると認めるのが相当である。 3(1)以上の認定判断に対し,被控訴人は,本件各医院の看護師等の従業員に対する給与等は,控訴人に帰属する本件各医院における事業活動から生ずる所得の計算上,必要経費に算入されているのであるから,その経済的出捐の効果の帰属主体は,控訴人とみるべきであると主張する。 ,,しかし本件各医院における診療行為の対価として支払われる診療報酬は上記所得の計算上,収入の額に算入されるものではあるが,その支払請求権-- が本件各院長に帰属することは明らかなのであって,その収入金額から必要経費の額を控除した額の収益を控訴人が最終的に享受しているということと,上記収益の額を計算する前提となる収入や支出の原因となる法律関係の主体ないし当事者が控訴人であるということとが当然に一致すると解することはできない。所得税法12条に基づき,上記収益を控訴人に帰属する所得と認め,同法を適用することができるからといって,上記所得の計算上必要経費の額に算入されることを根拠として,本件各医院の看護師等の従業員に対する給与等の支払義務者を控訴人とみるべきであるとする被控訴人の上記主張は,独自の見解というほかはない。 (2)さらに,被控訴人は,控訴人が本件各医院の従業員の採否の決定を含む人事権も給与 員に対する給与等の支払義務者を控訴人とみるべきであるとする被控訴人の上記主張は,独自の見解というほかはない。 (2)さらに,被控訴人は,控訴人が本件各医院の従業員の採否の決定を含む人事権も給与等の支払の権限も有しており,本件各医院で勤務していた看護師等の従業員は,本件各医院のいずれに勤務するのかの区別もなく,漠然とした状態で勤務していたなどの事実を指摘し,控訴人と上記従業員との間に指揮命令関係があるとの主張をする。 被控訴人の主張する上記の事実関係は,控訴人が,本件各医院に係る収入や支出を管理し,その経営を支配していたことを推認させるものであり,それ故に,所得税法12条に基づき,その名義のいかんにかかわらず,上記収入から支出を控除した結果である収益の帰属主体が,控訴人であると認められるといえるものの,それ以上に,上記の各事実から,従業員との間の雇用契約の当事者が控訴人であり,控訴人が給与等の支払義務を負うとまで推認するには足りないものというほかはない。 (3)更に,被控訴人が主張するとおりに,控訴人が源泉徴収義務者であると解する一方で,本件各院長が本件納付済源泉所得税の還付請求権者であると解した場合(被控訴人の主張を採用した場合)における,本件納付済源泉所得税をめぐる控訴人,本件各院長及び従業員等の3者間の法律関係に関する問題点についてみてみる。 -- 被控訴人の主張するところによれば,本件納付済源泉所得税は,源泉徴収義務者ではない本件各院長が本件各医院の従業員等に支払われるべき給与等,,,又は報酬から徴収しこれを納付したものであり本件各医院の従業員等は本件各院長に対し,本来の債務の履行請求として徴収された源泉所得税相当額の支払を請求できる一方,控訴人は,源泉所得税を納付した上で,源泉納税義務者である従業員等に対し のであり本件各医院の従業員等は本件各院長に対し,本来の債務の履行請求として徴収された源泉所得税相当額の支払を請求できる一方,控訴人は,源泉所得税を納付した上で,源泉納税義務者である従業員等に対して求償することができる(同法222条)というのであるが,この主張は,本件各院長は,従業員等に対する給与等又は報酬の支払義務者でないことを前提とする本件各納税告知処分と整合するものとはいえないのであって,このことは,本件各納税告知処分をめぐる被控訴人の主張が,全体としての整合性に欠けるものであることを示すものであるというほかはない。 仮に,本件各納税告知処分が,本件各院長における事業活動により生ずる所得の計算の前提となる収入の原因となる法律関係も,支出の原因となる法律関係も,すべて本件各医院の経営を支配していた控訴人をその主体ないし当事者とするものであるとみるべきことを前提とするのであれば,従業員等に対する給与等又は報酬の支払義務者は控訴人であって,控訴人が給与等又は報酬の支払に当たって,源泉所得税を徴収したことになるはずであり,それにもかかわらず,その納付についてのみ,名義人である本件各院長が行ったものとみて,これを本件各院長に還付し,改めて,控訴人にこれを納付させようとする本件各納税告知処分は,著しく均衡を欠く法解釈に立つものというほかはない。 以上に説示したところによれば,本件各医院における事業活動をめぐる法律関係は,本件各院長を主体ないし当事者として行われたことを前提としつつ,所得税法12条に基づき,その結果生じた収益が控訴人に帰属するものとして,同法を適用すれば足りるにもかかわらず,本件各納税告知処分は,本件納付済源泉所得税の納付の場面に限って,上記と異なる前提の下に,本-- 件納付済源泉所得税を本件各院長に還付した上で,改 して,同法を適用すれば足りるにもかかわらず,本件各納税告知処分は,本件納付済源泉所得税の納付の場面に限って,上記と異なる前提の下に,本-- 件納付済源泉所得税を本件各院長に還付した上で,改めて,これを控訴人に納付させようとするものであるといわざるを得ないのであって,かかる法解釈に合理性を認めることはできない。 (4)なお,本件各納税告知処分のうち納付すべき本税の額のうち本件納付済(「」。),源泉所得税相当額を控除した部分以下残余部分というについては控訴人もその適法性を争うものではなく,残余部分につき,控訴人に源泉徴収義務があることが確定しているところ,残余部分につき控訴人が源泉徴収義務者であると解されることと,上記2の判断が矛盾抵触するところはないかどうかについて,念のため検討する。 甲3号証及び弁論の全趣旨によれば,残余部分は,控訴人が本件各院長に支払ったものと認定された給与等及び本件各院長名義の所得税の確定申告に当たり架空のコンサルタント料の支払が計上されていた有限会社b名義で支払われていた給与等に係る源泉所得税に相当するものであることがうかがわれるところ,上記給与等は,控訴人が,本件各医院における事業活動によって生じた収益を自己に帰属させるために,本件各院長にその支払を約したものとみられる金員であって,いわば,上記収益を控訴人に帰属させるための経費の性質を有するものということができる。そうであれば,上記給与等については,控訴人がその支払義務を負うことは明らかであって,控訴人が上記給与等に係る源泉所得税の徴収義務を負うと解されるのである。本件各医院における事業活動によって収益を上げるための経費の性質を有する本件各医院の従業員等に対する給与等又は報酬と上記収益を控訴人に帰属させるための経費の性質を有する 務を負うと解されるのである。本件各医院における事業活動によって収益を上げるための経費の性質を有する本件各医院の従業員等に対する給与等又は報酬と上記収益を控訴人に帰属させるための経費の性質を有する本件各院長に対する給与等とでは,その支払義務者が異なるとしても,論理的には,何ら矛盾するところはないものといえる。 (5)以上に認定説示したほか,本件記録を精査しても,上記2の判断を左右するに足りる事情は見出すことはできない。 したがって,本件納付済源泉所得税は,その源泉徴収義務者である本件各院-- 長によって正当に納付されたものであり,本件納付済源泉所得税相当額を,控訴人が納付すべきものと解することはできないのであって,本件各納税告知処(,)分ただし平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもののうち納付すべき本税の額(2337万0816円)から本件納付済源泉所得税額622万4558円を控除した1714万6258円を超える部分な()(お,控訴人が,本件各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分の取消しを求めるのは,違算によるものと認められる)。 は,違法として,取消しを免れない。そして,被控訴人は,源泉所得税に係る各賦課決定処分(ただし,平成18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)の根拠として,控訴人が給与等の支払義務者であるにもかかわらず,本件各医院の従業員に対する給与等及び税理士報酬の源泉所得税,すなわち本件納付済源泉所得税を,本件各院長名義で納付することにより,本件納付済源泉所得税の源泉徴収義務者が本件各院長であるかのような事実を作出したことを主張するにとどまり,それ以外には,源泉所得税に係る各賦課決定処分の根拠となる事実関係については主張しないので,本件 納付済源泉所得税の源泉徴収義務者が本件各院長であるかのような事実を作出したことを主張するにとどまり,それ以外には,源泉所得税に係る各賦課決定処分の根拠となる事実関係については主張しないので,本件納付済源泉所得税の源泉徴収義務者が本件各院長であると認められる以上,これと異なる前提に立つ源泉所得税に係る各賦課決定処分もまた,違法として取消しを免れない。 なお,控訴人は,原審において,本件各医院の従業員等に対する給与等又は報酬に係る源泉徴収義務者が控訴人であることを前提に,本件納付済源泉所得税を徴収・納付したのは控訴人であると主張して,本件納税告知処分等の効力を争っていたことは,被控訴人の指摘するとおりであるが,既に認定,判断した本件各医院の経営実態に照らすならば,控訴人が,その経営実態を踏まえた関連当事者間の法律関係についての見方ないし解釈を改め,控訴人はその源泉徴収義務者ではないと主張するに至ったことをもって,矛盾した主張をするものとして信用し難いとみる余地はない。 以上によれば,原判決中,本件各納税告知処分等に係る部分は,上記と異な-- る限度で失当であるから,同部分を上記の趣旨にこれを変更する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官小林克已裁判官綿引万里子裁判官日置朋弘(原裁判等の表示)主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 兵庫税務署長が原告に対して平成17年3月30日付けでした原告の同14年分及び同15年分の各所得税に係る更正処分のうち納付すべき本税の額2776万5400円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち263万9000円を超える部分(ただし,いずれも同18年12月8日付け裁決により一部取り消された後 る更正処分のうち納付すべき本税の額2776万5400円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち263万9000円を超える部分(ただし,いずれも同18年12月8日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。 渋谷税務署長が原告に対して平成17年6月21日付けでした原告の同11年1月から同15年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分のうち納付すべき本税の額1627万6800円を超える部分及び重加算税賦課決定処分(ただし,いずれも同18年12月8日付け裁決により一部取り-- 消された後のもの)を取り消す。 第2事案の概要本件は,①兵庫税務署長が原告に対して平成17年3月30日付けでした同14年分及び同15年分(以下「本件係争年分」という)の所得税の各更正。 処分以下本件各更正処分という並びに重加算税の各賦課決定処分以(「」。)(下「申告所得税に係る各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という,②渋谷税務署長が原告に対して同17年6月2。)1日付けでした同11年1月から同15年8月までの分(以下「本件各月分」という)の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分(以下「本件各納税告知。 処分」という)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「源泉所得税に係る各。 」,「」賦課決定処分といい本件各納税告知処分と併せて本件各納税告知処分等という)について,これらに違法事由があると主張する原告が,被告に対し,。 それらの全部又は一部の取消しを求める事案である。 なお,本件各更正処分等及び本件各納税告知処分等(以下「本件各処分」という)は,国税不服審判所長の平成18年12月8日付け裁決により一部取。 り消された後のものである。 前提事実本件の前提となる事実 本件各更正処分等及び本件各納税告知処分等(以下「本件各処分」という)は,国税不服審判所長の平成18年12月8日付け裁決により一部取。 り消された後のものである。 前提事実本件の前提となる事実は,以下のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実又は証拠等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。 (1)原告は,東京都渋谷区α×番7号βビル(以下「本件ビル」という)。 において,平成8年4月に医師であるd(以下「d医師」という)を開設。 名義人及び院長としてeクリニックを同10年7月に医師であるf以「」,(下「f医師」という)を開設名義人及び院長として「g」を,同13年3。 月に医師であるh(以下「h医師」という)を開設名義人及び院長として。 「iクリニック」をそれぞれ開設した(以下,これらの医療提供施設を併せ-- て「本件各医院」といい,これらの医師を併せて「本件各院長」という。 。)(2)本件各院長は,原告の指示により,本件各医院から生じた事業所得について,原告を代表者とする有限会社a,有限会社b及び有限会社cに対する架空のコンサルタント料等を計上するなどして所得金額を圧縮した上,当該各事業所得がそれぞれ自己に帰属するものとして所得税の確定申告をするとともに,源泉徴収義務者として,本件各医院の従業員に対する給与及び賞与並びに税理士に対する報酬に係る源泉所得税をそれぞれ納付した(ただし,後記3(3)のとおり,原告は,この源泉所得税の納付は,原告がしたものであると主張している。 。)(3)一方,原告は,前記(2)の各会社からの給与所得等について,平成11年分から同13年分までは渋谷税務署長に対し,また,同14年分及び同15年分(本件係争年分)は兵庫税務署長に対し,所得 。)(3)一方,原告は,前記(2)の各会社からの給与所得等について,平成11年分から同13年分までは渋谷税務署長に対し,また,同14年分及び同15年分(本件係争年分)は兵庫税務署長に対し,所得税の各確定申告書をそれぞれ法定申告期限までに提出した。 (4)東京国税局査察部は,平成14年11月28日,原告に対する査察調査に着手し,その調査結果等を踏まえ,同16年11月17日,本件各医院の同11年分から同13年分まで(iクリニックについては同13年分)の事業所得は原告に帰属するものであるにもかかわらず,前記(2)及び(3)のとおり本件各院長にそれぞれ所得税の確定申告をさせることにより,原告において,正規の所得税額と申告税額との差額相当額の納税義務を免れたとして,東京地方検察庁検察官に対し,所得税法違反嫌疑で原告を告発し,同庁検察官は,同日,原告を東京地方裁判所に起訴した(以下「本件刑事事件」という。 。),,,原告は本件刑事事件の公判において公訴事実を認め東京地方裁判所は平成17年4月25日,原告に対し,下記の所得税法違反及び医師法違反被告事件に係る「罪となるべき事実(ただし,同記中の別紙の記載はいずれ」も省略する)につき,○の有罪判決の宣告をし,同判決は自然確定した。 。 -- (甲4,7)記(罪となるべき事実)被告人は,第1平成14年12月27日まで東京都渋谷区γ×番17号δを住所地と定め「eクリニック」等の屋号で診療所3店舗を実質的に,経営していたものであるが,架空のコンサルタント料等を計上するとともに,各診療所の開設届に記載された名目上の院長名義で所得税の確定申告をさせるなどの方法により,その所得を秘匿した上, 平成11年分の実際総所得金額が6649万2015円,分離課税による株式等の譲渡所 診療所の開設届に記載された名目上の院長名義で所得税の確定申告をさせるなどの方法により,その所得を秘匿した上, 平成11年分の実際総所得金額が6649万2015円,分離課税による株式等の譲渡所得金額が255万4064円(別紙1-1の所得金額総括表,同1-2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず,平成▲年▲月▲日,東京都渋谷区ε×番10号所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,総所得金額が474万円で,源泉徴収税額等を控除すると4万8400円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書(平成17年押第83号の1)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって,不正の行為により,同年分の正規の所得税額871万8600円と上記還付所得税額との合計876万7000円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ, 平成12年分の実際総所得金額が1億1768万4327円別(紙2-1の所得金額総括表,同2-2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず,平成▲年▲月▲日,前記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,総所得金額が636万円で,これに対する所得税額が13万0600円である旨の虚偽の所得税確-- 定申告書(同押号の2)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって,不正の行為により,同年分の正規の所得税額2646万2000円と上記申告税額との差額2633万1400円別(紙5のほ脱税額計算書参照)を免れ, 平成13年分の実際総所得金額が1億5416万5379円別(紙3-1の所得金額総括表,同3-2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず,平成▲年▲月▲日,前記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,総所得金額が753万円で,これに対する所得税額が11万3300円である旨の虚偽の所得税確定申告書 書参照)であったにもかかわらず,平成▲年▲月▲日,前記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,総所得金額が753万円で,これに対する所得税額が11万3300円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の3)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって,不正の行為により,同年分の正規の所得税額3510万8100円と上記申告税額との差額3499万4800円別(紙6のほ脱税額計算書参照)を免れ,第2医師でないのに,別紙7記載のとおり,平成▲年▲月▲日ころから同年▲月▲日ころまでの間,東京都渋谷区α×番7号βビル「」,「」「」○ないし○階所在のeクリニックg及びiクリニックにおいて,前後35回にわたり,jほか3名に対し,問診,薬剤処方,薬剤注射等の医行為を行い,もって,医業をなした。 (5)渋谷税務署長,長野税務署長,板橋税務署長及び大宮税務署長は,本件各院長がそれぞれ納付した前記(2)の源泉所得税は,支払者である原告の納付義務の履行としての法的効果を持たず,本件各院長による国税通則法56条所定の誤納金に該当するとして,平成17年2月24日から同18年5月29日までの間,本件各院長に対してそれぞれ納付相当額を還付した。 (6)兵庫税務署長は,平成17年3月30日,本件係争年分において本件各医院から生じた事業所得は原告に帰属するとして,本件係争年分に係る本件各更正処分等をした。 -- なお,本件各更正処分は,d医師の給与を960万円(平成14年分)及び500万円(同15年分,f医師の給与を540万円(同14年分)及)び315万円(同15年分,h医師の給与を68万円(同14年分)及び)零円(同15年分)と認定してされたものである。 (7)渋谷税務署長は,平成17年3月31日,原告が支給した本件各院長ら )び315万円(同15年分,h医師の給与を68万円(同14年分)及び)零円(同15年分)と認定してされたものである。 (7)渋谷税務署長は,平成17年3月31日,原告が支給した本件各院長らに対する給与又は賞与及び税理士報酬に係る源泉所得税が納付されていないため,本件各月分についての源泉所得税の各納税告知処分及び重加算税の各賦課決定処分をしたが,当該通知書に税務署名の記載漏れがあったため,当該各処分を取り消した上で,同年6月21日に再度,本件各月分に係る本件各納税告知処分等をした。 (8)原告は,本件各更正処分等の一部取消しを求め,平成17年5月30日付けで兵庫税務署長に対し異議申立てをしたところ,兵庫税務署長は,同年11月25日付けでこれを棄却した(甲3)。 また,原告は,本件各納税告知処分等の全部取消しを求め,同年7月2,,5日付けで渋谷税務署長に対し異議申立てをしたところ渋谷税務署長は同年11月30日付けでこれを棄却した(甲6)。 (9)原告は,前記(8)の各異議決定を不服として,本件各納税告知処分等につき同年12月15日付けで,また,本件各更正処分等につき同月21日付けで,それぞれ国税不服審判所長に対し審査請求をした。 国税不服審判所長は,これらの各審査請求を併合した上,平成18年12月8日付けで,原告の主張を全部排斥しつつ,原処分庁の集計誤り等を理由に,各処分の一部を取り消す裁決をした(甲4)。 なお,平成18年12月8日付け裁決による一部取消しに至る課税等の経過については,別表1-1,同1-2及び同2のとおりである。 (10)原告は,平成19年5月25日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕。 著な事実)-- 争点 原告が本件各医院の実質的経営者であったこと及び本件各医院の収入の実質的帰属者であ 。 (10)原告は,平成19年5月25日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕。 著な事実)-- 争点 原告が本件各医院の実質的経営者であったこと及び本件各医院の収入の実質的帰属者であったことについては,当事者間に争いがないところ,本件における争点は,①推計課税の方法によりh医師に対する給与の額を認定し,事業所得の金額の計算上必要経費として算入すべきであるにもかかわらず,これがされていないとして,本件各更正処分が違法であるか,②原告が本人以外の名義で本件各医院の経営を行っていたことについて正当な事由があるとして,申告所得税に係る各賦課決定処分が違法であるか,③本件各院長による納付(前記前提事実(2))により既に源泉所得税が納付済みであるなどとして,本件各納税告知処分等が違法であるか,である。 争点に関する当事者の主張争点に関する当事者の主張は,次のとおりである。なお,本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張は,別紙記載のとおりである。 (1)争点①(h医師に対する給与の認定)について(原告の主張)ア本件各更正処分は,h医師に対する給与を68万円(平成14年分)及び零円(同15年分)と認定してされたものであるが,h医師は,本件各院長の中でも最も医師としての経験年数が長く,他の医師に対する指導監督的立場にあったことからすれば,d医師に対する給与を960万円(同14年分)及び500万円(同15年分,f医師に対する給与を540)万円(同14年分)及び315万円(同15年分)と認めながら,h医師について,このような低額の給与又は無給で原告に雇用されていたという認定は非常識であり,合理性がない。 イ原告は,本件各医院を本件各院長の名義で経営していたため,形式的には本件各院長が本件各医院の経営者であったことから,原告と 又は無給で原告に雇用されていたという認定は非常識であり,合理性がない。 イ原告は,本件各医院を本件各院長の名義で経営していたため,形式的には本件各院長が本件各医院の経営者であったことから,原告と本件各院長とが雇用関係にあることを前提とする契約書又は会計帳簿等の証拠は存在-- しない。 そこで,このような場合に前記アのような不合理極まりない認定を避けるには,所得税法156条所定の推計課税の方法によるべきである。 本件各医院の事業主貸勘定のうち支出先が特定できない使途不明金が2億1780万5354円存在すること,原告とh医師は,約13年にもわたって夫婦同様の関係にあり,生計を一にしていたという特殊事情があること,そして,原告とh医師は,平成10年ころから同15年7月まで月額家賃が90万円もするマンションに同居し,頻繁に海外及び国内旅行に出掛け,毎日のように2人で外食していたこと,h医師はいわゆるブランド物など数多くの高級品を購入していたことなどからすれば,上記2億1780万5354円から事業主借勘定で受け入れた金額を差し引いた1億4044万2093円の使途不明金は,原告とh医師が少なくとも等分に費消したと見るのが相当である(上記高級品購入状況等からすれば,むしろh医師の費消額の方が多いはずである。したがって,少なくとも約。)7000万円はh医師が費消したものと認められるところ,h医師に対する給与の額は,上記金額を平成14年1月から同15年7月までの19箇月で除した月額368万円(1万円未満は切捨て)を加算して認定すべきである。 なお,h医師の本件刑事事件の捜査における供述は,信用性がない。 ウ本件各更正処分をするに当たり,処分行政庁は,前記イのような認定をした上で,h医師に対する給与の額を原告の事業所得の金額の計算上必要 お,h医師の本件刑事事件の捜査における供述は,信用性がない。 ウ本件各更正処分をするに当たり,処分行政庁は,前記イのような認定をした上で,h医師に対する給与の額を原告の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきであったのであり,これをしなかった本件各更正処分は違法である。 (被告の主張)ア原告も自認するとおり,h医師に対する給与支払の事実を認めるに足りる客観的な証拠は見当たらない。その一方で,h医師は,本件刑事事件の-- 捜査において,原告から受け取った報酬の額が平成14年分につき68万,,円同15年分につき零円であることを供述していることなどからすれば本件各更正処分について原告の主張する違法はない。 イまた,原告が主張するh医師との海外渡航等が事実であったとしても,それは原告に帰属した所得を,事業所得の必要経費に算入される余地のない食費,住居費及び娯楽費などの家事上の経費(所得税法45条)として費消したことをいうものにすぎず,これをもってh医師に対する給与の額として認定すべきものとする主張は,それ自体失当というほかない。 (2)争点②(本件各院長名義での経営に正当な事由があるか)について(原告の主張)ア申告所得税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図った国税庁長官の平成12年7月3日付け通達「申告所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針(以下「本件通達」という)は,その「第1賦)」。 課基準」1(3)において「事業の経営,売買,賃貸借,消費貸借,資産,の譲渡又はその他の取引(以下「事業の経営又は取引等」という)につ。 いて,本人以外の名義又は架空名義で行っていること」を国税通則法68条1項の隠ぺい又は仮装行為の例として掲げた上,その例外として,①配,,偶者その他同居親族の名義により事業 等」という)につ。 いて,本人以外の名義又は架空名義で行っていること」を国税通則法68条1項の隠ぺい又は仮装行為の例として掲げた上,その例外として,①配,,偶者その他同居親族の名義により事業の経営又は取引等を行っているが当該名義人が実際の住所地等において申告等をしているなど,税のほ脱を目的としていないことが明らかな場合,②本人以外の名義(配偶者,その他同居親族の名義を除く)で事業の経営又は取引等を行っていることに。 ついて正当な事由がある場合を挙げている。 イ原告は,本件各院長の名義で本件各医院を経営していたが,これは社会保健診療報酬等の受取人になるためには,医師でない原告の名義でその経営ができなかったためであり,税のほ脱を目的としたものではない。 実際,本件各係争年分の確定申告は,本件各院長の名義で当該名義人の-- それぞれの住所地等においてされていたのであり,これを原告が単独で確定申告した場合と比べても税額にほとんど差はなく,本件においては,原告が本人以外の名義で本件各医院の経営を行っていたことについて正当な事由がある。 ウしたがって,申告所得税に係る各賦課決定処分は違法である。 (被告の主張)ア原告は,本件刑事事件の公判において,所得の帰属を偽り,また,所得を分散させることなどによって納税額を減少させようとしたことを明確に認めており,原告が税のほ脱目的を有していたことは明らかである。 したがって,本件通達上の「正当な事由がある場合」に該当する旨の原告の主張は失当である。 イなお,本件各医院の事業所得について,原告が自己の所得として申告した場合における所得税額は,累進税率(所得税法89条1項)の適用により,本件各院長にそれぞれ確定申告させた場合の所得税額の合計額を通常上回ることになるから,税額にほとんど差がない の所得として申告した場合における所得税額は,累進税率(所得税法89条1項)の適用により,本件各院長にそれぞれ確定申告させた場合の所得税額の合計額を通常上回ることになるから,税額にほとんど差がないからほ脱が目的ではないとする原告の主張も,前提を誤っており失当である。 (3)争点③(源泉所得税は納付済みであったか)について(原告の主張)ア原告は,本件各医院の実質的な経営者であり,本件各医院の収入の帰属者であったところ,本件各院長の名義による源泉所得税の納付は,原告の収入の中からされたものであり,上記納付は原告がしたものと見るのが当然である。すなわち,上記納付は,原告が本件各院長の名義を借りてしたものとして有効である。 イ仮に,本件各院長の名義による納付が原告による納付義務の履行としての効果を生じないとしても,この場合の誤納金の還付は原告にされるべきであって,処分行政庁としては,その還付金をもって原告が納付すべき源-- 泉所得税に充当すべきであった。 ウ原告は,源泉所得税をほ脱する目的をもって本件各院長の名義により源泉所得税を納付したものではなく,実際,原告は,本件各医院の従業員から源泉徴収をし,これを納付していたのであり,その納付額に何ら偽りはなく,税のほ脱の事実はない。 エしたがって,本件各納税告知処分等は違法である。 (被告の主張)ア法は,源泉徴収義務者本人が第三者名義で源泉所得税を徴収納付することを予定しておらず,外観上一見して源泉徴収義務者本人の通称ないし別名と判断できるような例外的な場合でない限り,第三者名義による徴収納付は,源泉徴収義務者本人の徴収納付としての法的効果は生じない。 すなわち,租税法は,正当な納税義務者が正当な手続で納税することを期待し要求しているのであって,だれがどのような形で納税しようと 徴収納付は,源泉徴収義務者本人の徴収納付としての法的効果は生じない。 すなわち,租税法は,正当な納税義務者が正当な手続で納税することを期待し要求しているのであって,だれがどのような形で納税しようと納税に見合うものがあれば,それで納税義務の履行があったとか,国の財政権の侵害がないなどと言える筋合いのものではない。また,他人の名前で納税するのは,通常脱税目的以外の何者でもなく,これを承認して公法上の法的効果を付与する合理的理由も全くない。このことは,所得の支払の時に成立し,成立と同時に特別の手続を要しないで確定する性質を有する源泉所得税の納税義務においても,何ら異なるところはない。 イこれを本件についてみると,本件各院長の名義による源泉所得税の納付が,外観上一見して原告の通称ないし別名と判断できるというような事情は認められないから,これを原告による納付とみることはできない。むしろ,原告がほ脱の目的を有していたことは明らかであり,これを承認して公法上の法的効果を付与すべき合理的理由もない。 したがって,本件各院長による源泉所得税の納付について,原告本人の納付義務の履行としての公法上の効果は生じないものと解するのが相当で-- あり,原告の主張はいずれも失当である。 第3争点に対する判断 争点①(h医師に対する給与の認定)について(1)本件において,h医師に対する給与支払の事実を認めるに足りる契約書又は会計帳簿等の客観的な証拠が存在しないことについては,原,被告双方の認識が一致しているところ,h医師は,本件刑事事件の捜査において,検察官に対し,要旨次のとおりの供述をしている(甲4)。 アeクリニックで勤務するようになってからは,同クリニックから報酬をもらった。私に対する報酬は,私個人ではなく,kに支払ってもらった。 ,, 官に対し,要旨次のとおりの供述をしている(甲4)。 アeクリニックで勤務するようになってからは,同クリニックから報酬をもらった。私に対する報酬は,私個人ではなく,kに支払ってもらった。 ,,,,イeクリニックからは当初毎月65万円を報酬としてもらいその後平成10年から月額55万円となり,さらに,同12年には,1月から3月までは毎月15万円もらい,同13年には,5月に35万円しかもらっておらず,同14年には,3月に65万円(68万円の誤りであると認められる)しかもらっておらず,報酬額が年々少なくなっているが,これ。 は原告からeクリニックが赤字続きで,いつも「お金が足りない」と言。 われていたことから報酬が少なくなっていたのである。 ウ私には,kから毎月150万円の報酬があったので,eクリニックから報酬をもらえなくても,生活に困ることは全くなかった。こうした報酬額は,すべて原告が決めたことである。 エkから毎月報酬として約150万円の収入があり,平成15年8月からは,毎月約250万円の報酬をもらっている。 オeクリニックにしても,gにしても,お金の管理をしていたのは,すべて原告である。原告が診療報酬が入る預金口座を管理し,各医院の薬代など必要な経費の支払についても原告の了解を取らなければならなかった。 私には,各医院のお金を扱う権限もなかったし,その内容すら知らされていなかった。 -- カ平成10年7月にf医師名義でgが開設された。gが開設されたとはいえ,f医師は,飽くまで名義上の開設者兼管理者にすぎず,実際に診療を行うのはd医師と私,それにアルバイトの医師だった。 キiクリニックは,平成13年3月に私名義で開設されたものであるが,その実質的経営者は原告だった。そして,私は,同クリニックの収入や各種経費の 行うのはd医師と私,それにアルバイトの医師だった。 キiクリニックは,平成13年3月に私名義で開設されたものであるが,その実質的経営者は原告だった。そして,私は,同クリニックの収入や各種経費の支出など,経費の具体的内容については,全くと言っていいほど知らなかった。 ク私は,iクリニックの保険診療報酬の受取口座として,iクリニックh名義でl銀行m支店に預金口座を開設していたが,原告が,この口座の通帳やキャッシュカードを管理し,原告の会社である有限会社bの従業員ということになっていたnが,原告の指示の下に日々の経理事務を行っていた。 ケ本件各医院は,本件ビルの○階,○階及び○階にあって,原告が本件各医院を一体的に経営していたことから,本件各医院で使う薬についても,原告がgにおいて一括して仕入れていた。つまり,gで一括して仕入れた薬を,eクリニックやiクリニックが適宜必要に応じて使用していた。 コ本件各医院が一体として経営されていたことから,働いていた看護師たちも各医院の区別なく,混然とした状態で勤務しており,それぞれの看護師がどの医院の看護師であるか明確に区分されていたわけではない。 サgは,私の弟のf医師が開設者兼管理者となっていたが,実質の経営者は原告であり,gの資金については,私は一切かかわっていないし,管理もしておらず,内容も全くと言っていいほど知らなかった。gの保険診療報酬が振り込まれる預金口座のキャッシュカードの暗証番号も全く知らなかった。 シ私は,iクリニックの開設者兼管理者となっており,診療行為は行っていたが,経営についてはすべて原告がやっていた。したがって,同クリニ-- ックの保険診療報酬の内容やその使途についてもすべて原告が管理しており,私が内容を知ったのは,確定申告の時期だった。確定申告をするため いてはすべて原告がやっていた。したがって,同クリニ-- ックの保険診療報酬の内容やその使途についてもすべて原告が管理しており,私が内容を知ったのは,確定申告の時期だった。確定申告をするために同クリニックの保険診療報酬が振り込まれている預金口座の通帳を見て,初めて使途不明の多額のお金があることを知った。これらのお金は,私が勝手に口座から抜いたものではない。すべて原告が当該口座から引き出していたものである。 ス私は,本件各医院でアルバイトとして勤務する医師や看護師の採用にもほとんど関与しておらず,最終的に採用を決定していたのは原告であり,本件各医院で使う薬を一括して仕入れ,更に患者についてもeクリニックとgで振り分けるなどしていたのも原告だった。 セ原告は,本件各院長をだまし,本件各院長を本件各医院の開設者兼管理者とさせて本件各医院を開設し,原告の思うように本件各医院を経営し,その利益を吸い上げていた。 ,,(2)前記(1)におけるh医師の供述はh医師が原告から得た報酬の額につき当時の状況と関連させながら具体的かつ明確にされているものであり,他方において,h医師に報酬又は給与を支払う立場にあった原告が具体的にその報酬等の額を主張していないこと(実際に原告がh医師に上記供述と異なる報酬等を支払った事実があるのであれば,それが契約書又は会計帳簿等の客観的な証拠により明らかでなくとも,支払者である原告においてその全部又は一部につき具体的に主張できるはずである)に照らすと,原告が本件各。 医院を実質的に経営するに当たり,h医師に対して支払った報酬又は給与の実額は,平成14年分として68万円,同15年分として零円と認めることが相当である。 なお,原告が主張する原告及びh医師の金員の費消状況等が事実であったとしても,それは原告に帰 払った報酬又は給与の実額は,平成14年分として68万円,同15年分として零円と認めることが相当である。 なお,原告が主張する原告及びh医師の金員の費消状況等が事実であったとしても,それは原告に帰属した所得を,事業所得の必要経費に算入される余地のない衣服費,食費,住居費及び娯楽費等の個人の消費生活上の費用で-- ある家事上の経費(所得税法45条1項1号)として費消したことをいうものにすぎず,また,原告とh医師とが約13年にわたって夫婦同様の関係にあり,生計を一にしていたというのであれば,そもそも所得税法56条により,h医師に対して支払われた報酬等はすべて必要経費に算入されないこととなる余地すらあるのであって,いずれにせよ,h医師に対する報酬等の額を推計課税の方法により認定すべきものとする原告の主張には理由がない。 (3)したがって,本件各更正処分には原告の主張する違法はなく,弁論の全趣旨によれば,これを適法であると認めることができる。 争点②(本件各院長名義での経営に正当な事由があるか)について(1)原告は,本件刑事事件の公判において「本件各医院の経営による所得,が自分に帰属し,自分が納税義務者であると分かっていたが,納税が嫌で,名義を分散したり,架空のコンサルタント料を計上するなどして利益を圧縮し,少しでも納める税金を減らそうとした」などと供述しているところ(甲4,原告は,本件各院長に確定申告させることにより,本件各医院から生),,じた事業所得が自己に帰属することを隠ぺいし又は仮装していたばかりか本件各医院から生じた事業所得について,原告が自己の所得として申告した場合における所得税額は,累進税率(所得税法89条1項)の適用により,本件各院長にそれぞれ確定申告させた場合の所得税額の合計額を通常上回ることにもなる 業所得について,原告が自己の所得として申告した場合における所得税額は,累進税率(所得税法89条1項)の適用により,本件各院長にそれぞれ確定申告させた場合の所得税額の合計額を通常上回ることにもなるのであって,このような工作をした上で正規の所得税額よりも過小な税額を納付すべきものとして申告した原告の行為が「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき(国税通則法68条1項)に該当することは明らかである。原告」が本件各院長名義で本件各医院の経営を行っていたことについて本件通達の「」「」。 第1賦課基準1(3)②にいう正当な事由を認めることはできない(2)したがって,申告所得税に係る各賦課決定処分には原告の主張する違法-- はなく,弁論の全趣旨によれば,これを適法であると認めることができる。 争点③(源泉所得税は納付済みであったか)について(1)前記前提事実(2)に係る源泉所得税の納付は,本件各医院の経営者として本件各院長がしたことになっているところ,本件各院長はいずれも実在の人物で,本件各医院以外において医療に従事するなどの社会的活動を行っており(甲4,弁論の全趣旨,本件各院長の名義をもって外観上一見して原告)のの通称ないし別名と判断できるような事実が存在したことを認めるに足りる証拠はない。 そして,私法関係と異なり,法的安定性及び法律関係の明確性の要請が強く支配する租税法の下において,本件各院長の名義をもってされた源泉所得税の納付は,上記のとおり,これを原告の通称ないし別名と解する余地がない以上,原告に係る源泉所得税の納付義務の履行としてされたものと認めることはできない。 なお,このように 義をもってされた源泉所得税の納付は,上記のとおり,これを原告の通称ないし別名と解する余地がない以上,原告に係る源泉所得税の納付義務の履行としてされたものと認めることはできない。 なお,このように前記前提事実(2)に係る源泉所得税の納付が原告によりされたものではなく,本件各院長によりされたものであると認めざるを得ない以上,本件各院長がその誤納金の還付の相手方となるのは当然であり,本件各院長が還付を受けた後の本件各院長と原告の内部関係等は私法関係の問題である。 (2)したがって,本件各納税告知処分等には原告の主張する違法はなく,弁論の全趣旨によれば,これを適法であると認めることができる。 結論 ,,,よって原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部-- 杉原則彦裁判長裁判官小田靖子裁判官島村典男裁判官-- (別紙)本件各処分の根拠及び適法性第1本件各更正処分の根拠及び適法性 本件各更正処分の根拠について被告が主張する本件係争年分の納付すべき所得税額の計算根拠は,以下のとおりである。 (1)平成14年分についてア総所得金額1億7958万1452円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の合計額である。 (ア)事業所得の金額1億7826万4039円上記金額は,本件各医院の収入金額から当該収入に係る必要経費を控除した金額である。 なお,必要経費のうちh医師に対する給与の額は68万円である。 (イ)不動産所得の金額131万7413円上記金額は,原告が,有限会社a名義で取得した不動産を賃貸することにより得た収入金額から当該収入に係る必要経費を控除し に対する給与の額は68万円である。 (イ)不動産所得の金額131万7413円上記金額は,原告が,有限会社a名義で取得した不動産を賃貸することにより得た収入金額から当該収入に係る必要経費を控除した金額である。 イ所得控除の合計額48万8000円上記金額は,原告の平成14年分の所得税の確定申告書に記載された所得控除の合計額と同額である。 ウ課税総所得金額1億7909万3000円上記金額は,前記アの総所得金額から前記イの所得控除の合計額を控除した金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ)である。 。 エ課税総所得金額に対する税額6377万4410円-- 上記金額は,前記ウの課税総所得金額に所得税法89条1項(経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「17年改正前負担軽減法」という)4条の特例を適用し。 たもの。以下同じ)の税率を乗じて算出した金額である。 。 オ定率減税額25万0000円上記金額は,17年改正前負担軽減法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 カ源泉徴収税額1992万2484円上記金額は,社会保険診療報酬の支払を受ける際に控除された源泉所得税の額である。 キ納付すべき税額4360万1900円上記金額は,前記エの課税総所得金額に対する税額から,前記オの定率減税額及び前記カの源泉徴収税額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ)である。 。 (2)平成15年分についてア総所得金額5702万3035円上記金額は,次の(ア)ないし(ウ)の合計 19条1項の規定により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ)である。 。 (2)平成15年分についてア総所得金額5702万3035円上記金額は,次の(ア)ないし(ウ)の合計額である。 (ア)事業所得の金額5225万9117円上記金額は,本件各医院の収入金額から当該収入に係る必要経費を控除した金額である。なお,h医師に対する給与の支払はなかったと認めた。 (イ)給与所得の金額348万8800円上記金額は,原告が,医療法人kから受領した給与収入の金額503万8000円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同-- 条2項の規定に基づき控除した後の金額である。 (ウ)不動産所得の金額127万5118円上記金額は,原告が,有限会社a名義で取得した不動産を賃貸することにより得た収入金額から,当該収入に係る必要経費を控除した金額である。 イ所得控除の合計額102万2191円上記金額は,原告の平成15年分の所得税の確定申告書に記載された所得控除の合計額と同額である。 ウ課税総所得金額5600万0000円上記金額は,前記アの総所得金額から前記イの所得控除の合計額を控除した金額である。 エ課税総所得金額に対する税額1823万0000円上記金額は,前記ウの課税総所得金額に所得税法89条1項の税率を乗じて算出した金額である。 オ定率減税額25万0000円上記金額は,17年改正前負担軽減法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 カ源泉徴収税額794万6020円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の合計額である。 (ア)社会保険診療報酬の支払を受ける際に控除された源泉所得税の額739万8420円(イ)前記ア(イ)の給与所得に係る源泉徴収税額54万7600円キ納付すべき税 及び(イ)の合計額である。 (ア)社会保険診療報酬の支払を受ける際に控除された源泉所得税の額739万8420円(イ)前記ア(イ)の給与所得に係る源泉徴収税額54万7600円キ納付すべき税額1003万3900円上記金額は,前記エの課税総所得金額に対する税額から,前記オの定率減税額及び前記カの源泉徴収税額を控除した金額である。 本件各更正処分の適法性-- 前記1のとおり,被告が主張する本件係争年分の納付すべき所得税額は,前記第1(1)キ及び(2)キのとおり,平成14年分は4360万1900円,同15年分は1003万3900円であるところ,これらは,本件各更正処分にお,。 ける納付すべき税額と同額であるから本件各更正処分はいずれも適法である第2申告所得税に係る各賦課決定処分の根拠及び適法性 申告所得税に係る各賦課決定処分の根拠(1)本件各更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった平成14年分の所得税額は,前記第1の1(1)キの4360万1900円に,当初申告に基づいて発生した還付金の額に相当する111万2020円(別表1-1①欄の順号7)を加算した4471万3900円である。 また,同じく新たに納付すべきこととなった平成15年分の所得税額は,前記第1の1(2)キの1003万3900円に,同じく還付金の額に相当する34万8160円(別表1-2①欄の順号7)を加算した1038万2000円である。 (2)原告は,本件各医院から生じた事業所得が自己に帰属し,原告が納税義務者であるにもかかわらず,本件各院長の名義で各確定申告をさせてその帰属を偽るとともに所得を分散し,更に架空のコンサルタント料を計上するなどして利益を圧縮して,正規の所得税額より過少な税額を申告したものであり,このような行為が,国税通則法6 各確定申告をさせてその帰属を偽るとともに所得を分散し,更に架空のコンサルタント料を計上するなどして利益を圧縮して,正規の所得税額より過少な税額を申告したものであり,このような行為が,国税通則法68条1項(平成17年法律第22号による改正前のもの。以下同じ)に規定する「納税者がその国税の課税標準。 等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当することは明らかである。 (3)したがって,原告の申告所得税に係る重加算税の額は,次のア及びイの各金額の合計額1928万1500円となる。 ア前記(1)の平成14年分の新たに納付すべき所得税額4471万3900-- 円(ただし,国税通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後の金額。以下同じ)に対して100分の35の割合(同法6。 8条1項)を乗じて算出した1564万8500円イ前記(1)の平成15年分の新たに納付すべき所得税額1038万2000円に対して100分の35の割合(前同)を乗じて算出した363万3000円 申告所得税に係る各賦課決定処分の適法性被告が主張する本件係争年分の所得税に係る重加算税の額は,前記1(3)のとおりであり,これは申告所得税に係る各賦課決定処分における重加算税の額と同額であるから,申告所得税に係る各賦課決定処分は,いずれも適法である。 第3本件各納税告知処分の根拠及び適法性 本件各納税告知処分の根拠被告が主張する本件各月分の納付すべき源泉所得税額の計算根拠は,以下のとおりである。 (1)原告の本件各月分における本件各院長及び従業員に対する給与等の支給額,「」「」及び税理士報酬の支払額は別表2本件源泉所得税等 べき源泉所得税額の計算根拠は,以下のとおりである。 (1)原告の本件各月分における本件各院長及び従業員に対する給与等の支給額,「」「」及び税理士報酬の支払額は別表2本件源泉所得税等の明細の支給額及び「支払額」欄のとおりである。 (2)所得税法183条1項は,給与及び賞与の源泉所得税について「居住者,に対し国内において第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(省略)の支払をする者は,その支払の際,その給与等について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない」と規定し,また,同法204条1項柱書きは「居住者に対し国内にお,いて次に掲げる報酬若しくは料金,契約金又は賞金の支払をする者は,その,,,支払の際その報酬若しくは料金契約金又は賞金について所得税を徴収しその徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない」と規定し,同項2号に税理士報酬が挙げられている。 -- (3)したがって,原告は,前記(1)記載の従業員に対する給与等及び税理士報酬の支払のあった日の翌月10日までに,これらの給与等及び報酬に係る源泉所得税を国に納付すべき義務を負うものであるところ,原告は一切納付していない。 原告が納付すべき本件各月分における給与等及び報酬に係る納付すべき源泉所得税額は,別表2「本件源泉所得税等の明細」のA欄の「②税額」の合計2305万2895円と,B欄の「②税額」の合計31万7921円を合算した2337万0816円である。 本件各納税告知処分の適法性被告が主張する本件各月分の納付すべき税額は,前記1(3)のとおりであり,これは,本件各納税告知処分における本件各月分の納付すべき源泉所得税額と同額であるから,本件各納税告知処分はい 知処分の適法性被告が主張する本件各月分の納付すべき税額は,前記1(3)のとおりであり,これは,本件各納税告知処分における本件各月分の納付すべき源泉所得税額と同額であるから,本件各納税告知処分はいずれも適法である。 第4源泉所得税に係る各賦課決定処分の根拠及び適法性 源泉所得税に係る各賦課決定処分の根拠(1)原告は,原告が給与等の支払者であるにもかかわらず,本件各医院の従業員に対する給与等及び税理士報酬の源泉所得税の一部を本件各院長名義で納付することにより,本件各医院における従業員に対する給与等及び税理士報酬の源泉徴収義務者が本件各院長であるかのような事実を作出し,本件各月分の納付すべき源泉所得税額を各法定納期限までにいずれも納付しなかったものであって,これが国税通則法68条3項に規定する「納税者が事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかったとき」に該当することは明らかである。 (2)したがって,本件各納税告知処分に係る重加算税の額は,本件各納税告知処分によって納付すべきこととなった本件各月分の納付すべき源泉所得税額(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数切捨て後-- のもの)に100分の35の割合を乗じて算出した別表2のA及びB欄の各「③重加算税の額」欄記載の額となり,その合計額は,803万6000円である。 源泉所得税に係る各賦課決定処分の適法性被告が主張する本件各月分の源泉所得税に係る各賦課決定処分の重加算税の額は,前記1(2)のとおりであり,これらは,源泉所得税に係る各賦課決定処分,,。 と同額であるから源泉所得税に係る各賦課決定処分はいずれも適法である以上 ,前記1(2)のとおりであり,これらは,源泉所得税に係る各賦課決定処分,,。 と同額であるから源泉所得税に係る各賦課決定処分はいずれも適法である以上

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