令和1(行コ)197 道路占用許可処分取消及び裁決取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和元年11月14日 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-92256.txt

判決文本文4,448 文字)

令和元年11月14日判決言渡令和元年(行コ)第197号道路占用許可処分取消及び裁決取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(行ウ)第48号) 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 主位的請求被控訴人が平成26年9月26日付けで練馬区長に対してした関越自動車道新潟線(練馬区区間)高架下の各道路占用許可処分(総管第7868号,第7869号,第7870号,第7871号及び第7872号。ただし,平成28年3月31日付け各道路占用許可処分〔総管第16407号,第16408号,第16409号,第16410号及び第16411号〕により一部変更された後のもの。)を取り消す。 予備的請求被控訴人が平成28年3月31日付けで練馬区長に対してした関越自動車道新潟線(練馬区区間)高架下の各道路占用許可処分(総管第16407号,第16408号,第16409号,第16410号及び第16411号)を取り消す。 3 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ12万5000円及びこれに対する平成28年3月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,その一部が東京都練馬区内に存する高速自動車国道である関越自動車 道新潟線の周辺に居住する控訴人らを含む8名が,国土交通大臣に代わって高速自動車国道について道路法32条1項所定の道路の占用を許可する権限を有する被控訴人に対し,①主位的に,被控訴人が練馬区長に対して平成26年9月26日付けでした関越自動車道の高架下施設整備事業に係る道路占用許可処分(ただし,平成28年3月31日付け道路占用許可処分により一部変更された後 ①主位的に,被控訴人が練馬区長に対して平成26年9月26日付けでした関越自動車道の高架下施設整備事業に係る道路占用許可処分(ただし,平成28年3月31日付け道路占用許可処分により一部変更された後のもの。)の取消しを求め,②予備的に,上記平成28年3月31日付け道路占用許可処分の取消しを求め,併せて,上記各処分により精神的苦痛を受けたなどと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,一審原告ら1名につき12万5000円の慰謝料及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成28年3月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は,一審原告らのうち2名による道路占用許可処分の取消しを求める訴えを却下し,その余の一審原告ら(控訴人らを含む。)による同処分取消請求をいずれも棄却し,一審原告ら全員について損害賠償請求を全て棄却したところ,控訴人らがこれを不服として控訴をした。 2 関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次項のとおり当審における控訴人らの主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし4のうち控訴人ら関係部分(ただし,原告適格の有無(争点)に関する主張を除く。)に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,略称は原判決の例による。 3 当審における控訴人らの主張(行政事件訴訟法10条1項について)道路法32条5項は道路管理権と交通警察権との調整規定であり,交通警察権は交通に関して国民の生命,身体等を保護する趣旨を含んでいるから,上記道路法の定めは控訴人らの原告適格を基礎付ける規定そのものである。したがって,警察署長との協議をせずに行われた本件各処分を瑕疵ある行政処分として取り消すべきであるとの主張は,行政事件訴訟法10条1 道路法の定めは控訴人らの原告適格を基礎付ける規定そのものである。したがって,警察署長との協議をせずに行われた本件各処分を瑕疵ある行政処分として取り消すべきであるとの主張は,行政事件訴訟法10条1項による主張制限を受けな い。 また,行政事件訴訟法9条2項は,行政処分の相手方以外の者が処分の取消しを求める場合の法律上の利益の有無を判断するに当たり,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,また,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌することなどを求めており,その趣旨に照らし,災害時,緊急時における国民の生命,身体等の安全という権利利益が問題とされている本件において,交通に関して国民の生命,身体等を保護する趣旨を含む道路法32条5項に関する主張をすることは許されなければならない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,原判決19頁25行目の「店舗,」の次に「倉庫,」と,22頁23行目の「身体の安全等」の次に「の個別的権利利益」と各加え,次項のとおり,当審における控訴人らの主張に即した補足判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 補足判断行政事件訴訟法10条1項に関する主張について控訴人らは,道路法32条5項が控訴人らの原告適格を基礎付ける法令上の根拠に含まれると主張する。そこで検討するに,まず,道路は,道路管理者によって一般交通の用に供され(道路法2条1項),一般の自由な通行が認められているところ,公共用地として一定の空間を画する道路 の根拠に含まれると主張する。そこで検討するに,まず,道路は,道路管理者によって一般交通の用に供され(道路法2条1項),一般の自由な通行が認められているところ,公共用地として一定の空間を画する道路の性質上,公共事業や営利事業のため,道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物等を設置する必要が生じ得ることから,道路の占用の制度を設けてその許否を道路管理者の判断に委ねることとされ(道路法32条1項),他方,道路の工事 又は作業,広告板やアーチその他これに類する工作物の設置など道路の交通の妨害となり又は交通に危険を生じさせるおそれのある道路の一時使用も社会的な価値を有する場合があるとはいえ,これを無制限に行わせるときは道路交通の安全と円滑を図る上で少なからぬ支障を生ずるため,一般にはこれを禁止した上で交通警察権を行使する警察署長の判断に基づき禁止を解除することとされており(道路交通法77条1項),これら道路管理者による道路の占用の許可と警察署長による道路の使用の許可とはその権限の根拠及び作用を異にするものの,競合する場合があるため,競合が生ずる場合には相互に協議して調整を図ることが求められている(道路法32条5項,道路交通法79条)。 そして,控訴人らは,交通警察権が交通に関して国民の生命,身体等を保護する趣旨を含むことから,道路管理権と交通警察権の行使の調整を定めた道路法32条5項は控訴人らの原告適格を基礎付けており,同規定に関する主張は行政事件訴訟法10条1項による主張制限を受けないと主張する。 しかしながら,控訴人らの主張は,本件各施設が道路交通法77条1項2号所定の工作物に当たり,その設置工事が「工作物を設けようとすること」,あるいは同条1項1号の「工事若しくは作業」に該当することを前提にしたものと解されるところ ,本件各施設が道路交通法77条1項2号所定の工作物に当たり,その設置工事が「工作物を設けようとすること」,あるいは同条1項1号の「工事若しくは作業」に該当することを前提にしたものと解されるところ,本件高架下区間に高齢者センター,リサイクルセンター,スポーツ関連スペース,地域交流スペース及び倉庫を設けることが,道路に「石碑,銅像,広告板,アーチ」(同条1項2号)などに類する工作物を設けることに当たらず,道路において行われる「工事若しくは作業」に当たるともいえないから,本件高架下区間に本件各施設を設置するために警察署長の許可を要するとは解されず,また,高架下に設置される本件各施設が関越自動車道を通行する車両の交通の安全と円滑を阻害するおそれがあるとも認められず,本件各施設の設置等について道路管理権と交通警察権の行使の調整を要するとは解し難く,このことは,行政事件訴訟法9条2項(平成16年法律第84号により追加された規定)の趣旨を考慮しても左右されない。 控訴人らの主張は,その前提において採用することができない。 なお,控訴人らは,当審においても,①17号通達留意事項及び19号通達許可基準が道路法33条1項にいう「政令で定める基準」に該当し,本件各処分はこれらの基準に違反し,違法であり,②仮にそうではなく,道路の占有許可に関する裁量基準であるとしても,本件各処分は,19号通達許可基準,,及び,17号通達留意事項並びに安全性の原則に違反し,裁量権を逸脱濫用した違法がある旨を重ねて主張するが,①憲法及び法律の規定を実施するために内閣が制定する政令(憲法73条6号参照)と異なり,行政機関がその所掌事務について所管の諸機関及び職員に対して命令又は示達するために発する通達によって定められた基準を道路法33条1項にいう「政令で定 内閣が制定する政令(憲法73条6号参照)と異なり,行政機関がその所掌事務について所管の諸機関及び職員に対して命令又は示達するために発する通達によって定められた基準を道路法33条1項にいう「政令で定める基準」と同視することはできず,②17号通達留意事項及び19号通達許可基準は,いずれも道路管理者による道路の占用の許可という行政裁量における恣意的判断,判断の不統一,平等原則違反等のおそれを予防し,かつ,国民の側からする予測可能性を確保するために裁量権行使の基準を明らかにする,いわゆる裁量基準に当たるものと解され,高架の道路の路面下の占用を許可するか否かの判断に当たり考慮すべき要素として17号通達留意事項及び19号通達許可基準が列挙した各点に特段不合理な点は認められない。そして,本件各処分について,19号通達許可基準が定める裁量判断の考慮要素を考慮しなかったことによる違法は控訴人らの法律上の利益に関係のない違法というべきであり,本件訴訟において主張することはできず,19号通達許可基準,同又は及び17号通達留意事項又は安全性の原則に違反しないとした原判決の認定判断に違法不当なところはない。 第4 結論以上によれば,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,いずれもこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部 裁判長裁判官村田渉 裁判官一木文智 裁判官建石直子

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る