主文 被告は,別紙認容金額等一覧表1及び同表2の「原告」欄記載の各原告に対し,上記各表の「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表1記載の各原告については平成15年6月26日から,同表2記載の各原告については平成16年5月7日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 上記原告らのその余の請求及び上記原告ら以外の原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,別紙認容金額等一覧表1及び同表2の「原告」欄記載の原告らと被告との間に生じた部分はこれを5分し,その2を上記原告らの負担とし,その余を被告の負担とし,上記原告ら以外の原告らと被告との間に生じた部分は全部当該原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告らに対し,別紙被害一覧表損害額合計欄記載の各金額及びこれらに対する平成15年(ワ)第5830号事件原告らについては平成15年6月26日から,平成16年(ワ)第4420号事件原告らについては平成16年5月7日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,平成13年4月に営業を停止した大和都市管財株式会社(以下「大和都市管財」という。)から平成10年1月以降に抵当証券を購入した原告らが,同社は,平成9年12月当時,既に抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を欠いている状態にあり,かつ,貸借対照表の重要事項について虚偽の記載をしていたから,抵当証券業の規制等に関する法律(昭 和62年法律第114号。以下「抵当証券業規制法」という。)に基づき同社に対する監督権限を有していた大蔵省近畿財務局長(以下,省庁名及び官職名は,いずれも当時のものである。以下「近畿財務局長」という。)には,大和都市管財の抵当証券業者としての登録の更新を拒否すべき 社に対する監督権限を有していた大蔵省近畿財務局長(以下,省庁名及び官職名は,いずれも当時のものである。以下「近畿財務局長」という。)には,大和都市管財の抵当証券業者としての登録の更新を拒否すべき義務があったにもかかわらず(同法8条2項,6条1項7号,同項柱書),この義務に反して平成9年12月21日付けで違法に更新の登録(同法8条1項)を行い(以下「本件更新登録」という。),原告らは上記違法行為によりそれ以降に同社から購入した抵当証券相当額の損害等を被った等と主張して,国家賠償法1条1項の規定に基づき,近畿財務局長の属する行政主体である被告にその賠償を請求した事案である。 抵当証券業規制法の制定に至る経緯(本判決第2において記載する事実はすべて当事者間に争いがないか,掲記の書証によって容易に認定することができる。以下,書証は特に断らない限り枝番を含む。)(1)抵当証券の概要抵当証券とは,抵当証券法(昭和6年法律第15号。平成11年法律第43号による改正前のもの。以下同じ。)に基づき,抵当権と被担保債権とを一枚の証書に表章した,法務局が発行する講学上の有価証券であり,抵当権付き債権の譲渡は裏書交付により行われ,その行使には証券の所持を要する。 すなわち,抵当証券法は,土地,建物又は地上権を目的とする抵当権を有する者は,申請書に当該抵当権が債権の全部の弁済を担保するに足りることを証明する書面を添付して(同法施行細則(昭和6年司法省令第22号)21条の2。なお,実務上は,抵当証券交付申請の日に近接した時点を価格時点とする不動産鑑定士作成の鑑定評価書又は固定資産評価証明書によっている。この規定は,昭和26年から28年ころにかけて,不当に過大評価した不動産に抵当権を設定して抵当証券の交付を受けて販売した詐欺事件が続発したことに伴い,昭 定評価書又は固定資産評価証明書によっている。この規定は,昭和26年から28年ころにかけて,不当に過大評価した不動産に抵当権を設定して抵当証券の交付を受けて販売した詐欺事件が続発したことに伴い,昭和29年法務省令第17号によって追加されたものであ る。),その登記を管轄する登記所に抵当証券の交付を申請することができるものとし(同法1条1項),抵当証券は,抵当証券発行の特約がないときなど一定の事由がある場合には発行することができず(2条),登記官は,同法2条所定の事由があったり,申請書が方式に適合しない場合などには申請を却下するが(5条1項),申請を受理した場合には,抵当権設定者,第三取得者及び債務者等に抵当証券の交付につき異議があれば一定期間内に申し立てるべき旨を催告し(6条1項),期間内に異議の申立てがなかったり,異議を理由なしとする裁判が確定した場合には直ちに抵当証券を交付することを要する(11条)ものとされている。異議申立て制度は,抵当証券がその作成前に既に存在する権利を証券に化体させる有因・非設権証券であって,本来,原因となった債権又は抵当権に付着する瑕疵がそのまま証券の効力に影響を及ぼすことから,その瑕疵の存在の主張を制限することにより,抵当証券の流通性を確保するために設けられた制度と解されている。 そして,同法によれば,抵当証券が発行された場合には,抵当権及び債権の処分は抵当証券をもってしなければその効力を有さず(14条),抵当証券の譲渡は被裏書人の氏名又は商号,裏書人の署名,住所及び年月日の記載のある裏書によって行い(15条,手形法13条1項),抵当証券の所持人は元本の弁済期後1か月以内に債務者に対して支払の請求をしなければならず,支払がされなかった場合には公証人又は執行官にその証明を求めた(27条)上,弁済期より3 手形法13条1項),抵当証券の所持人は元本の弁済期後1か月以内に債務者に対して支払の請求をしなければならず,支払がされなかった場合には公証人又は執行官にその証明を求めた(27条)上,弁済期より3か月以内に抵当権の目的である不動産等の競売を申し立てなければならない(30条)。また,抵当証券法は,抵当証券の記載事項として,証券の番号,登記所の表示,証券作成の年月日のほか,抵当権の目的物である不動産等,抵当権設定者及び第三取得者の住所及び氏名,抵当権の順位及び登記の年月日,債権額等,並びに債務者の氏名及び住所等を定める(12条,4条)。 同法は,いわゆる昭和恐慌で資金繰りに行き詰まった地方銀行を救済する ため,その不動産担保債権を証券化し,日本勧業銀行等で買い取らせることを主に想定して立法されたものである。 しかし,①債務を完済した場合でも抵当証券がないと抵当権の抹消登記手続ができないことや債務者の氏名・住所・債権額等が券面に記載されていることから,抵当証券の流通を債務者が望まない,②抵当証券記載事項に変更があった場合には抵当権の変更登記手続が必要であるが,抵当証券が多数の投資家に散逸していると事務処理上極めて煩瑣である,③抵当証券を分割して小口化すると発行手数料が高額となる,などの理由から,抵当証券法施行後も,数十年にわたって抵当証券の取引量はわずかであった(なお,抵当証券は,証券取引法に列挙されている有価証券には該当しない。)。 他方,抵当証券業者が,抵当証券の共有持分を被担保債権元本額に持分率を乗じた金額で販売するため,抵当証券(原券)の預かり証として購入者に発行する一種の証拠証券をモーゲージ証書といい,抵当証券(原券)とは額面のみならず金利や償還期限が異なっているが,これは,抵当証券(原券)を分割したり,多数の小口購入者に )の預かり証として購入者に発行する一種の証拠証券をモーゲージ証書といい,抵当証券(原券)とは額面のみならず金利や償還期限が異なっているが,これは,抵当証券(原券)を分割したり,多数の小口購入者にこれを逐一裏書譲渡することなく抵当証券を販売するための方策として昭和50年代ころから普及し始めたものである。すなわち,抵当証券業者は,抵当証券(原券)を顧客に販売するに際し,その共有持分権を譲渡しているとの法律構成を採用することにより,原券を分割することも,現実に顧客に引渡すこともなく自ら保管しつつ,一定期間後に買い戻す旨の約款の下で小口のモーゲージ証書を原券の代わりに顧客に発行するという販売方法を主流とするようになっていった。この方法により,①顧客は,抵当権付き債権を行使する手間を抵当証券業者に代行させた上,抵当証券上の弁済期にかかわらず1年から5年の期間経過後に償還を受けることが可能となり,かつ小口であっても他の金融商品に比べて高めの金利を享受することができ(なお,抵当証券は当初からいわゆる自由金利,かつ,確定利回りの金融商品であった。),②抵当証券業者は元利金取立てをす るごとに抵当証券を回収する必要がないなど小口販売の取引コストや事務負担の縮減が可能になり,③債務者も多数の債権者から権利を行使される事態を防ぎつつ,超長期の融資を受けることができる,というメリットがあったため,昭和58年以降抵当証券会社が次々に設立され,昭和60年には計3878億円余りの抵当証券が発行されるまでになった(よって,顧客は,原則として抵当証券(原券)を所持せず,記名式裏書によるその譲渡も受けておらず,白地式裏書がされていると解する余地があるにすぎない(抵当証券業者は,抵当証券は占有改定により顧客に譲渡されている上,いつでも裏書が可能なように顧客を せず,記名式裏書によるその譲渡も受けておらず,白地式裏書がされていると解する余地があるにすぎない(抵当証券業者は,抵当証券は占有改定により顧客に譲渡されている上,いつでも裏書が可能なように顧客を管理しているので,その譲渡に際しても原券への記名式裏書は不要である旨説明するのが通常であった。)が,本判決では,特に断りのない限り,このような顧客をも「抵当証券購入者」又は「購入者」と呼称することとする。)。 【甲16,22,23,32,33,35,41,244,乙79】(2)抵当証券業規制法の制定までの議論等抵当証券がモーゲージ証書の方式で活発に取引されるようになると,悪質な抵当証券業者が出現し,抵当証券が存在しないにもかかわらず抵当証券の販売と称して金銭の受入れを行う行為(以下「カラ売り」という。)や,抵当証券上の債権額を上回る額の抵当証券の販売を約して金銭の受入れを行う行為(以下「二重売り」という。)といった詐欺的商法を行うようになり,それによる被害も度々発生するようになった。こうした状況を受け,法務省と大蔵省とは,昭和61年10月,学識経験者等を構成員とする抵当証券研究会(座長・Y5学習院大学教授)を設置し,抵当証券取引の経済的意義や購入者保護の問題等,抵当証券をめぐる諸問題の検討を行った。同研究会は,その当時行われていた抵当証券取引の性格について,抵当証券会社が元利金の支払保証や買戻し約定を行っている現状を踏まえ,投資家は,債務者の弁済能力や抵当物件の換価価値に加え,抵当証券会社の信頼性や財務基盤を相 当程度重視して取引を行っていること,抵当証券取引は制度的には直接金融を前提としているが,上記のような取引方法や販売した抵当証券を貸借対照表上負債とする会計処理が行われていることを勘案すれば間接金融的な実態もみられること等を指摘 と,抵当証券取引は制度的には直接金融を前提としているが,上記のような取引方法や販売した抵当証券を貸借対照表上負債とする会計処理が行われていることを勘案すれば間接金融的な実態もみられること等を指摘した上,購入者保護を図る上での問題点は,①販売した抵当証券について抵当証券会社が自ら保護預かりを行い,その代わりに購入者にモーゲージ証書を交付するという当時の販売方法が悪質業者によるカラ売りや二重売りの温床となっていること,②不動産鑑定評価の際に担保が過大評価される危険性があること,③実際の取引では抵当証券法が予定している被裏書人の記載が省略され,抵当証券の現実の引渡しも行われていないことが多いため,抵当証券上の権利が購入者に移転しているのか否かについて疑義があること,④抵当証券会社が債務者の返済能力等について十分に審査せずに融資を行い,抵当証券会社と債務者とが共に倒産する可能性があること等にあるとの認識の下に,あるべき方策を論議した。 同研究会は,昭和62年6月に「抵当証券取引について」と題する報告書をとりまとめた。上記報告書は,当時の抵当証券取引の問題点として上記①ないし④と同様の認識を示した上,大口取引の拡大を始めとした今後の抵当証券取引の発展の可能性を阻害しないよう留意しつつ,当面は当時主流となっていた個人投資家向けの小口取引を念頭に,できるだけ早く購入者保護のための方策を具体化することが必要であり,その内容としては,抵当証券取引の改善を図り,抵当証券の購入者の保護を図るために,抵当証券業者に対する何らかの開業規制の導入,抵当証券の保管を行う信頼ある第三者機関の設置,抵当証券業者に対する一定の行為規制の導入が適当であるとしつつ,①開業規制について,適正かつ誠実に抵当証券業を営もうとする者に対して営業の自由をできる限り尊重し 管を行う信頼ある第三者機関の設置,抵当証券業者に対する一定の行為規制の導入が適当であるとしつつ,①開業規制について,適正かつ誠実に抵当証券業を営もうとする者に対して営業の自由をできる限り尊重し,必要最小限の規制とすべきであることを勘案すれば登録制の採用が望ましく,登録拒否要件としては,抵当証券業者を法人に限定するほか,抵当証券購入者が抵当証券業者の行う貸付けや抵当 物件に関する審査能力に依存していることやほとんどの抵当証券業者が元利金の支払保証や元利金の買戻し約定を付していることに照らし,悪質業者のみならず財務基盤や人的構成等の面で抵当証券業務を適確に遂行する能力を有しない業者の参入を規制することが必要である,②抵当証券の保管機関について,購入者名義によって適正に抵当証券の保管を行うとともに,保管を依頼された抵当証券とモーゲージ証書とを照合し,カラ売りや二重売りが行われていないことを確認の上で購入者に保管証を交付し,かつ,抵当証券業者がその正常な業務運営に支障を来した場合には,元利金返済の受領の代行等をするといった役割を果たすことを検討すべきである,③行為規制について,事実に相違する表示,登録業者であることにより政府が当該抵当証券業者を推薦し,又はその業務について保証をしているかのように人を誤認させるような表示,及び抵当証券が登記所から発行されていること又は抵当証券が保管機関に保管されることにより,抵当証券の価値や債務の弁済が政府や保管機関によって保証されているかのように人を誤認させるような表示を禁止するような規制を行うとともに,購入者の自己責任を問う前提として抵当証券業者の情報開示を行わせるべく,抵当証券業者に対し,購入者の求めに応じ,その業務や財産の状況を記載した書類及び販売した抵当証券等を縦覧させることを義務付け, 購入者の自己責任を問う前提として抵当証券業者の情報開示を行わせるべく,抵当証券業者に対し,購入者の求めに応じ,その業務や財産の状況を記載した書類及び販売した抵当証券等を縦覧させることを義務付け,また,抵当証券業者が登録後も適正な業務運営を行っていることを確認し,購入者保護の実効を期すため,抵当証券業者に対し,業務に関する帳簿書類の作成及び保存,毎営業年度の営業報告書の作成及び提出を義務付けるとともに,行政当局に報告や資料の提出を命じたり,立入検査を行う権限を付与し,抵当証券業者の業務の運営に購入者の利益を害するような事実があるときは,業務改善命令,業務停止,登録取消しといった措置を講じられるようにすることが適当である,と指摘した上,これらの措置を盛り込んだ抵当証券業を規制する法律が速やかに制定されるべきである,と結論した。上記報告書を基に,行政当局は抵当証券業規制法の立案 作業を行った。 【甲16,22】 抵当証券業規制法の規定等抵当証券業規制法は,抵当証券業の規制等に関する法律施行令(昭和63年政令第196号。以下「法施行令」という。),抵当証券業の規制等に関する法律施行規則(昭和63年大蔵省令第35号。以下「法施行規則」という。)とともに昭和63年11月1日から施行された。 抵当証券業規制法(平成9年法律第102号による改正前のもの。以下同じ。)は,抵当証券業を営む者について登録制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営を確保し,もって抵当証券の購入者の保護を図ることをその目的として規定している(1条)。 抵当証券業規制法は,抵当証券業(抵当証券の販売で業として行うものをいう(2条1項)。)は,大蔵大臣の登録を受けた法人でなければ営んではならないとし(3条),当該法人の登録及び監督に関する 1条)。 抵当証券業規制法は,抵当証券業(抵当証券の販売で業として行うものをいう(2条1項)。)は,大蔵大臣の登録を受けた法人でなければ営んではならないとし(3条),当該法人の登録及び監督に関する大蔵大臣の権限は,当該法人の主たる営業所を管轄する財務局長又は財務支局長(以下「財務局長等」という。)に委任されている(45条,法施行令5条)。 抵当証券業規制法は,登録申請は,財務局長等に対し,商号又は名称,営業所又は事務所の名称及び所在地,資本又は出資の額,役員等の氏名及び住所並びに業務の種類及び方法等の記載された登録申請書を,役員等の履歴書,前事業年度の貸借対照表等,抵当証券業務に関する組織図,融資業務経験者の業務経歴書及び同法6条1項各号の登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面等とともに提出して行うものとし(4条,法施行規則(平成9年大蔵省令第83号による改正前のもの。特に断らない限り以下同じ。)4条1項),財務局長等は,6条1項所定の登録拒否事由がない限り,その商号又は名称等を抵当証券業者登録簿に登録しなければならないとしている(5条)。また,同法は,登録の有効期間は登録の日から起算して3年とし(7条),登録の有効期間の 満了後引き続き当該登録に係る抵当証券業を営もうとする者は,有効期間の更新の登録(以下「更新登録」という。)を受けなければならないとしている(8条1項)。更新登録を受けようとする者が提出すべき更新登録申請書及び添付書類の内容は,登録時と同様である(8条2項,4条1項,2項,法施行規則4条1項)が,その申請書は,申請者が現に受けている登録の有効期間満了の日の2か月前までに財務局長等に提出しなければならない(法施行規則6条1項)。 抵当証券業規制法は,登録申請者が登録拒否事由のいずれかに該当するとき,又は登録申請 現に受けている登録の有効期間満了の日の2か月前までに財務局長等に提出しなければならない(法施行規則6条1項)。 抵当証券業規制法は,登録申請者が登録拒否事由のいずれかに該当するとき,又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならないと規定し(6条1項柱書),登録拒否事由には,資本又は出資の額が抵当証券の購入者を保護するため必要かつ適当と認められる金額として政令で定める金額(法施行令3条により1億円とされている。)に満たない法人であること(同項2号),役員又は営業所若しくは事務所の業務を統括する使用人等のうちに同法,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)又は貸金業の規制等に関する法律等に違反した者がある法人であること(同項6号ニ),抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人であること(同項7号)等を挙げている。これらの規定は,更新登録についても準用されている(8条2項)。 さらに,昭和63年8月31日付け蔵銀第1760号「抵当証券業者の業務運営に関する基本事項について」と題する大蔵省銀行局長通達(以下「基本事項通達」という。)第1の1.,(3),イ,(ロ)は,抵当証券業規制法6条1項7号にいう「財産的基礎」について,A.貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額以上であること,又はB.貸借対照表等に記載された売渡抵当証券又はこれに相当する勘定科目の金額の支払を金融機関が保証することを内容とする契約書の写しの提出があることのいずれかの 要件を満たせば財産的基礎を有する法人として取り扱うものとしており,同号にいう「人的構成」については,A.役 の支払を金融機関が保証することを内容とする契約書の写しの提出があることのいずれかの 要件を満たせば財産的基礎を有する法人として取り扱うものとしており,同号にいう「人的構成」については,A.役員又は重要な使用人のうちに,抵当証券業に関し相応の知識を有する者がおり,かつ,B.融資業務を担当する組織において融資業務経験者(融資業務に3年以上従事した者をいう。以下同じ。)が2名以上在籍していれば人的構成を有する法人として取り扱うものと定め,更新登録に当たっての審査も登録に準じた取扱いをするものとしていた(なお,平成10年6月,基本事項通達が廃止されたことに伴い,同年大蔵省令第89号によって法施行規則5条の2が新設され,財産的基礎や人的構成につき,基本事項通達と同様の審査基準が定められた。すなわち,同条1項1号は,財産的基礎につき,イ4条1項5号に規定する貸借対照表又はこれに代わる書面(以下「貸借対照表等」という。)において,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額以上であること,ロ貸借対照表等に記載された売渡抵当証券又はこれに相当する勘定科目の金額についてその支払を金融機関が保証することを内容とする契約書の写しの提出があること,のいずれかに該当するかどうかを審査し,いずれにも該当しない場合に財産的基礎を欠くものと,同項2号は,人的構成につき,イ抵当証券業に関し十分な知識を有する役員又は重要な使用人が2名以上(うち1名は常勤の役員とする。)在籍していること,ロ融資業務を行う部署に融資業務に3年以上従事した者が2名以上在籍していること,のいずれにも該当するかどうかを審査し(抵当証券発行特約付き融資(以下「特約付き融資」という。)を行わない法人にあってはイに限る。),いずれかに該当しない場合に人的構成を欠くものと 籍していること,のいずれにも該当するかどうかを審査し(抵当証券発行特約付き融資(以下「特約付き融資」という。)を行わない法人にあってはイに限る。),いずれかに該当しない場合に人的構成を欠くものと各定められた。)。 抵当証券業規制法は,抵当証券業者は,その行う抵当証券業に関して広告をするときは,抵当証券業者の資力及び信用に関する事項,抵当証券に記載された債権の元本及び利息の支払の確実性又は保証に関する事項,抵当証券業者に対する推薦に関する事項等について,著しく事実に相違する表示をし,又は著 しく人を誤認させるような表示をしてはならないこと(14条,法施行規則10条),抵当証券の販売に係る契約締結の前に抵当証券の販売に係る契約の内容及び履行に関する事項(抵当証券の販売に係る元本及び利息の支払保証に関する定めの内容,抵当証券の買戻しの定めに関する内容等)等を記載した書面を顧客に交付すること(15条,法施行規則11条及び12条)や,契約締結後にも遅滞なく抵当証券の番号,登記所の表示,証券作成の年月日,債権の元本及びその弁済期その他当該契約の内容を明らかにする書面を購入者に交付すること(16条),抵当証券業者の業務及び財産の状況を記載した書面(事業報告書(21条))並びに販売を行った抵当証券に関する書類(当該販売を行った抵当証券の写し)を営業所又は事務所ごとに(事業報告書については財務局長等に提出した日から起算して3年を経過するまでの間,抵当証券の写しについては当該抵当証券に記載された弁済期までの間)備え置き,顧客の求めに応じて閲覧させることを抵当証券業者に義務付け(17条,平成10年大蔵省令第89号による改正前の法施行規則14条1項),抵当証券業者に対し,原則として販売を行った抵当証券を自ら保管することを禁止するとともに(18条1項) 当証券業者に義務付け(17条,平成10年大蔵省令第89号による改正前の法施行規則14条1項),抵当証券業者に対し,原則として販売を行った抵当証券を自ら保管することを禁止するとともに(18条1項),抵当証券業者又はその代表者若しくは代理人,使用人その他の従業者に対し,その行う抵当証券業に関し,抵当証券の販売に係る契約の締結又は解除に関し,偽計を用い,又は暴行若しくは脅迫をすること等をしてはならない(19条1号)旨規定する。 また,抵当証券業規制法は,抵当証券業者に対し,その業務に関する帳簿書類(特約付き融資に関する状況を記録した書面,抵当証券の販売に係る元本及び利息の支払の状況を記録した書面を含む。)を作成し,これを抵当証券の販売又は買戻しの日から少なくとも5年間保存すること(20条,法施行規則16条),事業年度ごとに事業報告書を作成しこれを財務局長等へ提出すること(21条)をそれぞれ義務付けた上,財務局長等は,抵当証券業者に対し,その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ,又は職員に抵当 証券業者の営業所若しくは事務所に立入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる(22条1項)が,立入検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならないとされている(同条3項)。さらに,財務局長等は,抵当証券業者の業務の運営に関し,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めるときは,購入者の保護のために必要な限度において,当該抵当証券業者に対し,業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずる(業務改善命令)ことができるとされ(23条),抵当証券業者が不正の手段により登録又は更新の登録を受けたり,業務改善命令等に違反した場合等 更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずる(業務改善命令)ことができるとされ(23条),抵当証券業者が不正の手段により登録又は更新の登録を受けたり,業務改善命令等に違反した場合等には,財務局長等は当該抵当証券業者の登録の取消し又は6か月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずる(業務停止命令)ことができ(24条),登録の取消し又は業務停止命令については,その旨を公告することとされている(26条)。 加えて,抵当証券業規制法は,大蔵大臣は,一定の要件を満たす法人が28条1項各号に規定する業務(抵当証券業者の販売に係る抵当証券の保管に関すること,その保管に係る抵当証券に記載された債権の元本及び利息の弁済の受領に関すること並びに抵当証券に関する取引の健全な発展を図るための調査及び研究を行うこと)の全部(以下「保管等事業」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるときは,当該法人を保管等事業を行う者として指定することができるとし(27条1項),当該法人は,抵当証券の保管をするときは,当該抵当証券の保管を証する書面(保管証)を発行しなければならず,これに購入者の商号,名称若しくは氏名,抵当証券業者の商号若しくは名称及び住所,抵当証券に記載された事項のうち証券の番号,登記所の表示,並びに債権の元本及びその弁済期等を記載しなければならないとしている(30条,法施行規則23条1項)。そして,大蔵大臣は,昭和63年8月13日,保管等事業を行う者として,財団法人抵当証券保管機構(以下「抵当証券保管 機構」という。)を指定した(昭和63年大蔵省告示第117号)。抵当証券保管機構は,抵当証券業者から抵当証券を保管する際,同機構名義の記名式裏書を受ける取扱いとしている。 また,抵当証券業規制法は,抵当証券業者は )を指定した(昭和63年大蔵省告示第117号)。抵当証券保管機構は,抵当証券業者から抵当証券を保管する際,同機構名義の記名式裏書を受ける取扱いとしている。 また,抵当証券業規制法は,抵当証券業者は,抵当証券の購入者の保護を図るとともに,抵当証券業の健全な発展に資することを目的として,抵当証券業者を会員とし,その名称中に抵当証券業協会という文字を用いる民法34条の規定による法人を設立することができるとし(38条1項。この規定により設立された社団法人抵当証券業協会を,以下単に「抵当証券業協会」という。),抵当証券業協会は,その目的を達成するため,①抵当証券業を営むに当たり,法令の規定を遵守させるための会員に対する指導,勧告その他の業務,②会員の営む抵当証券業に関し,契約の内容の適正化その他抵当証券の購入者の保護を図るため必要な指導,勧告その他の業務,③会員の営む抵当証券業の業務に対する抵当証券の購入者等からの苦情の解決,及び④抵当証券の購入者に対する広報その他抵当証券業協会の目的を達成するため必要な業務を行うものとし(40条),大蔵大臣は,同法第2章(登録),第3章(業務)及び第4章(監督)の規定の円滑な実施を図るため,大蔵省令で定めるところにより,これらの規定に基づく資料の提出,届出その他必要な事項について,抵当証券業協会に協力させることができるとしている(42条)。 そして,抵当証券業規制法は,3条の登録を受けないで抵当証券業を営んだ者,不正の手段により同条の登録又は8条1項の更新登録を受けた者及び19条の規定に違反して同条1号の行為をした者等は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科するとし(48条各号),(更新)登録申請書(4条1項,8条2項)又はその添付書類(4条2項,8条2項)に虚偽の記載をし をした者等は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科するとし(48条各号),(更新)登録申請書(4条1項,8条2項)又はその添付書類(4条2項,8条2項)に虚偽の記載をして提出した者,17条の規定に違反して書類を備え置かず,若しくは顧客の求めに応じて閲覧させず,又は虚偽の記載のある書類を備え置き,若しくは顧客に閲覧させた者,22条1項等の規定による報告若しくは資 料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし,これらの規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をした者,及び業務改善命令に違反した者等は30万円以下の罰金に処するとしている(52条各号)。 なお,抵当証券業規制法が予定する典型的な抵当証券業とは,抵当証券業者が,事業会社に対し特約付き融資を行うとともにその事業会社が保有する不動産に抵当権を設定し,その抵当権について法務局から抵当証券の交付を受けてこれを顧客に販売する一方,事業を行うことにより収益を得た事業会社が抵当証券業者に利息と元金とを返済し,抵当証券業者が,その利息の一部を顧客に支払うと同時に,返済された元金によって抵当証券購入代金を償還するというものである。そして,前記のように,抵当証券業者は,モーゲージ証書の方式で顧客に小口化された抵当証券の共有持分権を販売し,その際,裏書人としての立場で元利金の支払を顧客に保証するのが一般的であり,融資先から受領する利息額と顧客に支払う利息額との差額が保証料に当たることになる。 【甲37,205,乙8】 抵当証券業規制法の国会審議における議論等抵当証券業の規制等に関する法律案(第109回国会内閣提出第9号)を国会に提出するに当たり,内閣は,「最近における抵当証券業の状 【甲37,205,乙8】 抵当証券業規制法の国会審議における議論等抵当証券業の規制等に関する法律案(第109回国会内閣提出第9号)を国会に提出するに当たり,内閣は,「最近における抵当証券業の状況にかんがみ,抵当証券の購入者の保護を図るため,抵当証券業を営む者について登録制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営を確保する必要がある。」との理由を付した。 上記国会(昭和62年)における同法案の提案理由,目的及び背景等について,大蔵大臣は,近年,国民の金融資産の増大や金利自由化の進展に伴う金利選好の高まり等を背景として抵当証券取引が急速に発展している一方,悪質業者による抵当証券のカラ売り,二重売り等によって多数の購入者に被害が生じてきている実情を踏まえ,悪質業者の参入を防ぎ,業務が適正に運営されるよ うに最小限度の規制を加えて抵当証券の購入者の保護を図ることにある旨説明していた。衆参両院の大蔵委員会では,①抵当証券取引の現状(大蔵省銀行局長より,取扱業者が100社程度,販売残高は1兆円程度であり,他の投資物件に比べてリスクがあるものの小口でかつ金利がやや高めであるために普及し,個人事業主や中小企業にとって銀行融資を保管する形の新たな長期の資金調達手段を提供するものとしても役に立っているが,一部悪徳業者による被害が昭和61年春ころから目立ち始めている旨,警察庁刑事局保安部経済調査官より,これまでに抵当証券に係る詐欺事案として日証抵当証券事件等6事件を検挙し,被害者数は約2000人,被害総額は約26億円に上った旨各答弁),②投資家の自己責任の問題(大蔵省銀行局長より,自己責任の問題は非常に重要な課題であり,今回の法案にも,購入者の抵当証券に対する知識を充実させるべく,抵当証券業協会を設立して購入 った旨各答弁),②投資家の自己責任の問題(大蔵省銀行局長より,自己責任の問題は非常に重要な課題であり,今回の法案にも,購入者の抵当証券に対する知識を充実させるべく,抵当証券業協会を設立して購入者等に対する広報を担わせることが盛り込まれている旨,大蔵大臣より,抵当証券のような金利の高い商品については多少のリスクがあることは当然であり,市場経済の中から取引が自然に生まれること自体は肯定的に捉えられるが,今回の法案は自由経済の中で起こってきた不正や詐欺について規制を行い,十分な知識を有していない購入者の保護を与える趣旨のものである旨各答弁),③モーゲージ証書による販売方法と法案との関連(大蔵省銀行局長より,モーゲージ証書による販売方式は,契約自由の原則から違法性はないと考えられ,今回の法案は,モーゲージ証書を用いた販売方式をそのまま受け入れて投資家保護の観点から法整備を行ったものであるが,今後は抵当証券保管機構で抵当証券を預かって保管証により対応関係を明らかにしていくことから投資家保護の点で欠けるところはないと考える旨,内閣法制局第三部長より,モーゲージ証書の法的性質は抵当証券の売買の事実,元利金の取立委任を受けている事実及び買戻特約等の存在を明らかにする証拠証券であって有価証券ではなく,抵当証券業規制法の施行後は同法16条所定の契約時交付書面がこれを兼ねることが多いと思われる旨各答弁), ④登録制を導入した趣旨(大蔵省銀行局長より,営業の自由をできるだけ尊重し,制度の効率性を維持しつつ立法目的を達成するために必要最小限の規制をする趣旨であるが,開業規制,行為規制や抵当証券保管機構の設置によるカラ売り,二重売りの防止等により十分に購入者の保護を図り得る旨答弁),⑤登録の有効期間(大蔵省銀行局長より,登録を更新させて一定期間ごと 旨であるが,開業規制,行為規制や抵当証券保管機構の設置によるカラ売り,二重売りの防止等により十分に購入者の保護を図り得る旨答弁),⑤登録の有効期間(大蔵省銀行局長より,登録を更新させて一定期間ごとに定期的に登録拒否要件に該当するか否かの確認を行うために設けたものであり,その期間については,有効期間の安定性,行政側の事務負担等,確認を受ける事業者の立場等を総合勘案して3年とした旨答弁),⑥不動産鑑定士による鑑定の過大評価の問題(国土庁土地局地価調査課長より,社団法人日本不動産鑑定協会と緊密に連絡を取りつつ,抵当証券に係る不動産鑑定評価に遺漏のないように不動産鑑定士に対する更なる指導の徹底を図っていきたい旨,法務省民事局第三課長より,登記官は鑑定の内容について実質審査はできないが,国土庁や不動産鑑定協会等と十分協議して,できるだけ正確な鑑定が出るようにその手続を検討していきたい旨各答弁),⑦登録業者であるという安心感により購入者保護がかえって後退する可能性(大蔵大臣より,登録拒否や立入検査権限等により対応するが,抵当証券発行額決定時の鑑定評価のあり方等については抵当証券法による規制が維持されるのみで,今回の法案の対象ではない旨答弁),⑧登録拒否事由のうち「財産的基礎及び人的構成を有しない法人」の意義(大蔵省銀行局長より,その趣旨は,抵当証券業者が抵当証券を投資家に販売する際に多くの場合保証をしていることから,その保証の基礎には十分な財産的基盤がなければならないこと,多くの場合抵当証券は3年ないし5年という期間で投資家が所有しており,その間に抵当証券業者について経営上問題が起こるということがあると投資家保護の上で問題が生じること,抵当証券業者が投資家に販売する抵当権付き債権が非常に信用のない債権である場合には仮に抵当権がついていて に抵当証券業者について経営上問題が起こるということがあると投資家保護の上で問題が生じること,抵当証券業者が投資家に販売する抵当権付き債権が非常に信用のない債権である場合には仮に抵当権がついていても投資家保護の上で問題が生ずるおそれがあることなどを考慮して定められたものであり,その具体的な中身については今後 詰めるべき問題であるが,財産的基礎については開業の際の自己資本額及び純資産額(開業の際に資本金が十分あっても3年後に純資産額が減っていた場合は問題である),人的構成については債務者の返済能力や担保評価を適正に判断することができる人材が何人いるか等の基準を考えており,後者の審査については役員等の履歴書,住民票等を添付書類として提出させ,これらを参考に,対象者の人権や行政権限の範囲にも留意しつつ,問題のある人物が抵当証券業者に入り込まないよう監視していく旨答弁),⑨登録を拒否される業者が出た場合における購入者保護の方策(大蔵省銀行局長より,今回の法案が成立した後も半年間は登録がなくても抵当証券業者は営業可能とされているが,仮に抵当証券業者が登録を拒否されても当該業者との間においては抵当証券は私法上有効である上,業者が倒産した場合にも抵当証券保管機構に取立て等を委任したり,場合によっては他の業者が当該抵当証券を引き受けることもあり得るところであり,これらの措置を念頭に置きながら投資家の保護を図っていく旨答弁)等の点が議論され,委員からは,抵当証券保管機構が発行した保管証と抵当証券業者の発行するモーゲージ証書とが時間的間隔を置かずに購入者に交付されることが事件,事故の防止のために重要である,倒産した抵当証券会社から白地式裏書による抵当証券の譲渡を受けていた者は破産実務上一般債権者としかみなされておらず,当局としても抵当証券業者に対 交付されることが事件,事故の防止のために重要である,倒産した抵当証券会社から白地式裏書による抵当証券の譲渡を受けていた者は破産実務上一般債権者としかみなされておらず,当局としても抵当証券業者に対し,抵当証券の記名式裏書を行うよう強く指導すべきである等の指摘がされた。上記法案は第109回国会において衆議院で,第111回国会において参議院でそれぞれ審議の上全会一致で可決され,同国会において成立した。 【乙7】 本件の経緯(当事者間に争いがないか,掲記の書証等によって容易に認定することができる。)以下,本判決においては,次の略語を用いる。 国家賠償法:国賠法 宅地建物取引業法:宅建業法ナイス・ミドル・スポーツ倶楽部株式会社:ナイスミドルナイス函館カントリークラブ株式会社:ナイス函館株式会社美祢カントリークラブ:美祢カントリークラブベストライフ通商株式会社:ベストライフ通商北海道泊別観光株式会社:北海道泊別観光株式会社リステム化学研究所:リステム化学研究所北海道函館観光株式会社(ナイス函館の前身):北海道函館観光(1)大和都市管財の概要大和都市管財は,Y1(昭和11年9月に大分県で出生し,昭和33年4月から大分,福岡両県庁で勤務し,昭和45年9月に退職。昭和46年10月に相互住宅開発株式会社に入社し,それ以降不動産の仲介・販売業に従事していた。)が昭和55年12月,休眠状態であった株式会社伏見屋の株式全部をY6から買い取ってその代表取締役に就任し,「新都市計画株式会社」に商号変更して不動産の仲介・販売業を手がけ,昭和60年2月にはその商号を「大和都市抵当証券株式会社」に変更して同年4月から抵当証券の取扱いを開始し,昭和62年7月に現商号に変更した会社であって,大阪市に本店を有していた。同社は,全11社で構成される大和都市 その商号を「大和都市抵当証券株式会社」に変更して同年4月から抵当証券の取扱いを開始し,昭和62年7月に現商号に変更した会社であって,大阪市に本店を有していた。同社は,全11社で構成される大和都市管財グループの中核を成していた(その内訳は別紙1のとおりである。以下,大和都市管財を除く前記グループ所属会社の全部又は一部を指して「グループ会社」と総称することがある。)。Y1は,同グループにおける経営の中心人物であり,平成13年まで一貫して大和都市管財の代表取締役の地位にあったほか,平成9年12月までに,以下のとおりグループ会社の役員を歴任していた。 昭和56年3月新都市住宅株式会社(ベストライフ通商の前身)代表取締役(同年9月退任) 昭和58年11月大和フード株式会社(ベストライフ通商の前身)代表取締役(昭和62年9月退任)昭和62年8月ナイスミドル取締役(平成6年10月退任)昭和63年9月ベストライフ通商代表取締役(平成元年10月退任)平成4年4月リステム化学研究所取締役(平成6年6月退任)平成5年9月北海道函館観光取締役(平成6年6月退任)平成5年10月北海道泊別観光取締役(同年12月退任)また,大和都市管財及び主要なグループ会社の平成9年4月ころにおける役員構成は別紙2のとおりであり,同じく平成13年3月26日時点における株主構成及び役員構成等は別紙3のとおりである。なお,大和都市管財及びグループ会社は,いずれも株式を譲渡するについてその取締役会の承認を受けなければならない,いわゆる閉鎖会社であった。 【甲1,10,90の2,106,110,乙6,45】(2)大和都市管財の経営状態等大和都市管財は,近畿財務局長に対して抵当証券業の登録を申請し,近畿財務局長は,昭和63 ゆる閉鎖会社であった。 【甲1,10,90の2,106,110,乙6,45】(2)大和都市管財の経営状態等大和都市管財は,近畿財務局長に対して抵当証券業の登録を申請し,近畿財務局長は,昭和63年12月,大和都市管財を抵当証券業者登録簿に登録した。同社は,グループ各社に対してのみ特約付き融資を行い(別表1。これらの貸付先各社に,かつて特約付き融資がされていたが平成13年4月までに全額が償還されていた北海道泊別観光を加えて,以下「グループ6社」と総称する。),グループ6社が所有する物件について,法務局から抵当証 券(原券)の発行を受け,その共有持分権をモーゲージ証書の形式で顧客に販売していた(平成9年4月30日現在における大和都市管財の特約付き融資の概要は,別表2のとおりであり,いずれも,弁済期までは利払のみがされ,元本は弁済期に一括して返済する約定となっていた。以下,担保物件の名称については省略されたもの(括弧内)を用いる。)。 グループ6社の経営状態は,その決算書上,平成7年以降は一貫して債務超過の状態にあったが,同一期間において大和都市管財が販売していたこれら各社を債務者とするモーゲージ証書の利率は,四半期末販売平均約定利率がおおむね4パーセント台となっていて,定期預金その他の金融商品の利率はもとより,全抵当証券業者の四半期末顧客向け平均約定利率を上回っていた。平成6年3月期から平成12年3月期までにおける大和都市管財の貸借対照表及び損益計算書は,別紙4のとおりである。なお,同社は,金融機関等の親会社のない,いわゆる独立系の抵当証券業者であった。 【甲90,186,乙3,13,80,141,弁論の全趣旨】(3)近畿財務局による検査(平成6年)近畿財務局は,平成6年9月9日から,大和都市管財に対する立入検査を実施した(以下 業者であった。 【甲90,186,乙3,13,80,141,弁論の全趣旨】(3)近畿財務局による検査(平成6年)近畿財務局は,平成6年9月9日から,大和都市管財に対する立入検査を実施した(以下「平成6年検査」という。なお,近畿財務局における検査事務年度は,7月から翌年6月までである。)。 平成6年検査において,近畿財務局は,大和都市管財が顧客に年6ないし8パーセントの割引率で1年後に買い戻す約定で行っていた金融商品(大和都市管財を貸主,ナイスミドルを借主とする極度額25億円の金銭消費貸借契約(限度貸付契約書)を締結し,元利金弁済のためナイスミドルが大和都市管財に対して約束手形を振り出し,大和都市管財が裏書保証するとともにナイスミドルがバンクオブアメリカに有する譲渡性預金債権に担保権を設定し,限度貸付契約書に定められた事項が確実に実行されることを目的にY7弁護士との間で業務委託契約を締結した上,大和都市管財,Y7弁護士及び 購入者の三者間において手形の売買及び保管に関する確認証(公正証書)を交わして約束手形自体は弁護士が保管し,手形保管証を購入者に交付するというもの。以下「手形商品」という。)の販売が出資法に違反するおそれがある旨指摘してその中止を口頭で指導したが,同社は,弁護士等と相談し,違法性はないことを十分検討した上で販売している旨回答した。 また,近畿財務局は,大和都市管財とグループ会社との間において,特約付き融資の利率を年9.0パーセントないし10.0パーセントから年6. 5パーセントに減少させる旨の抵当証券発行特約付金銭消費貸借利率変更合意書(以下「本件合意書」という。)が作成されているものの,その作成日付が当初の融資契約書の作成日付より以前となっているものがあることを突き止め,同社総務部長のY8に対しその説明を求めた 利率変更合意書(以下「本件合意書」という。)が作成されているものの,その作成日付が当初の融資契約書の作成日付より以前となっているものがあることを突き止め,同社総務部長のY8に対しその説明を求めた。 加えて,近畿財務局は,大和都市管財が融資審査体制を確立していないことについて,同社に対しその改善を指導した。これに対し,同社は,文書による審査経過は残していないが,不動産鑑定士の鑑定を基にして幹部会議を開き,融資の審査を行っている旨弁解した。 【甲5,7,乙22,弁論の全趣旨】(4)大和都市管財に対する更新登録(平成6年)近畿財務局長(Y9。(5)及び(8)において同じ。)は,平成6年検査の最中である平成6年12月21日,大和都市管財の更新登録を認めた。 (5)検査結果通知の発出(平成6年)近畿財務局長は,平成7年5月26日,大和都市管財に対して検査結果の通知(近財金3秘第22号。以下「平成6年検査結果通知」という。)を発出し,同通知書において概要下記のような指摘をするとともに,グループ会社の経営見通しの正確な把握,少なくとも今後5か年度分の大和都市管財の収支見込等を踏まえた経営健全化計画及び財源計画の策定,融資審査体制の整備等を求め,その回答期限を同年6月26日と定めた。【甲5,6】 記①特約付き融資は,すべて大和都市管財グループの5社に対して行われているが,その経営状況はいずれも多額の累積赤字を抱えるなど極めて悪化している状況にある。このようなグループ各社の経営状況にもかかわらず,その状況を追認した上で更なる特約付き融資を繰り返し,当該融資に係る抵当証券を積極的に販売している結果,大和都市管財の資産内容は著しく不健全となるなど,その経営状況は誠に憂慮すべきである。 現状では,大和都市管財の経営そのものが立ちゆかなくなる危険 ,当該融資に係る抵当証券を積極的に販売している結果,大和都市管財の資産内容は著しく不健全となるなど,その経営状況は誠に憂慮すべきである。 現状では,大和都市管財の経営そのものが立ちゆかなくなる危険性が極めて高く,抵当証券購入者の保護の観点から問題がある。 ②大和都市管財は,その融資について,申込者の返済能力や事業計画を判断するための資料や担保価値を調査するための資料等,審査に必要な資料の収集・検討を行っておらず,審査をほとんど行わないままこれを実行しており,これまでの当局からの指摘にもかかわらず,あらかじめ定めた審査手続等に基づき審査を行った後に融資を実行するという融資の審査方法や審査体制に関するルールが依然として確立されていない。 ③大和都市管財においては,抵当証券購入代金受入口座が専用口座になっていないために,抵当証券購入者から受け入れた購入代金が他の資金と混同して取り扱われており,募金途上において抵当証券購入者から受け入れた購入代金が払込期日前にもかかわらず事務管理費等の諸経費の支払のために払い出されているなど,抵当証券購入者の保護の上で不適切な資金管理が行われている。 (6)平成6年検査結果通知に対する大和都市管財の回答大和都市管財は,平成7年7月7日,近畿財務局に対し,同社の責務はグループ各社の救済にあるとし,「景気回復の政策は,必ず大きな成果をもたらすものであると信ずる。従って,今こそ関連会社に対する,活性化の為の事業融資を行い,その事業の完遂を,全力を挙げて当社が支援を行っていく とすれば,赤字は黒字に転化し,経営は好転をし,更に当社の経営も,盤石の体制を確立することが出来ると確信している。」などと述べるとともに,融資の審査については,「当社は常に公示価格,路線価格,周辺の実勢価格を充分審査の上,事前に鑑定士 転をし,更に当社の経営も,盤石の体制を確立することが出来ると確信している。」などと述べるとともに,融資の審査については,「当社は常に公示価格,路線価格,周辺の実勢価格を充分審査の上,事前に鑑定士の鑑定を基にして幹部会議を開き,融資の審査を行っている。」,「鑑定士の鑑定評価証明が,当社の審査内容とほぼ一致した場合のみ,融資の実行を行っている。いわば審査の事跡は鑑定評価証明書そのものであると考える。」などとする内容の回答書,及び担保物件ごとの利用方針を示した表(以下「本件物件明細表」という。)を提出した。 近畿財務局は,同日,大和都市管財に対し,経営健全化計画及び財源計画の具体的な回答を提出するよう重ねて指示したが,大和都市管財は,その最終的な回答期限である同月28日までに回答を提出しなかった。【甲5】(7)近畿財務局の行政処分方針案(平成7年)近畿財務局は,平成7年8月1日,大和都市管財に対する,概要下記のような行政処分方針案をまとめた。【乙12】記①経緯等大和都市管財の融資先は同族会社であるベストライフ通商外の計5社であるが,役員の状況等から融資先と経営,財務は一体となっており,融資先の資金はすべて大和都市管財により賄われている。また,同業他社が事業を縮小・撤退している状況の下,同社は高金利により顧客を勧誘し,積極的な抵当証券の販売を行っており,同社の抵当証券販売残高は平成5年以降においても2.7倍に急増していた。ところが,平成6年8月下旬,同社が多数の大口顧客の抵当証券モーゲージを中途解約させ,詐欺まがい商品に乗り換えさせている旨の情報が入ったことから,同年9月,投資家保護のため急きょ同社に対する立入検査を実施した。 立入検査では,同社自身の財務状況のほか,手形商品を乗換え用に売買 していることを契機として,グループ 旨の情報が入ったことから,同年9月,投資家保護のため急きょ同社に対する立入検査を実施した。 立入検査では,同社自身の財務状況のほか,手形商品を乗換え用に売買 していることを契機として,グループ会社の財務状況等に関しても資料提出を命じ,ヒアリングや資料徴求等を行った。 ②検査により把握した問題点等大和都市管財は,抵当証券販売により調達した資金のほぼ全額をグループ会社5社の運営資金として融資しているが,各社とも経営内容は悪く,赤字決算を余儀なくされており,累積欠損金はグループ全体で約72億円に達している。また,グループ会社は銀行取引等を有しないため,その資金繰りは,大和都市管財を通じて抵当証券販売代金等を充当するほかないが,同社の抵当証券発行額が限度一杯に達したことから,平成6年8月以降,同社は手形売買の形式をとりつつ米国銀行に対する預金債権で元本保証を行っているように見せかけた手形商品の発売を開始し,抵当証券の購入者を同商品に乗り換えさせた(平成7年3月末現在 24億円)。 ③当局のこれまでの対応大和都市管財本体の財務状況は表面上悪くないが,グループ会社の財務状況が深刻である上,大和都市管財は独立系の抵当証券会社で金融機関からの支援を期待することができないことから,グループ会社が倒産等の事態となれば,大和都市管財の倒産等の事態をも招きかねないため,検査結果の示達に当たってグループ会社を含めた経営健全化計画の策定等を厳しく指導したが,同社からは具体的な改善計画についての回答はされず,平成7年7月24日,同社の公認会計士から,具体的な計画の作成は難しい旨の内々の連絡があった。 ④今後の対応大和都市管財の経営状況は,グループ会社の経営悪化から時間の経過とともに累積欠損金が拡大しているにもかかわらず,検査結果通知書を通じた改 計画の作成は難しい旨の内々の連絡があった。 ④今後の対応大和都市管財の経営状況は,グループ会社の経営悪化から時間の経過とともに累積欠損金が拡大しているにもかかわらず,検査結果通知書を通じた改善指導によっては同社の経営改善を期待することができないこ となどから,以下のとおり,同社に対して行政処分を進めることとする。 8月1日業務改善命令についての弁明の機会の付与の通知8月17日弁明書の提出期限8月21日業務改善命令発出9月4日業務改善命令に対する回答期限〔それでもなお,経営改善化計画の提出等が行われない場合〕9月6日業務停止命令(6か月)についての弁明の機会の付与の通知9月22日弁明書の提出期限9月26日業務停止命令,官報掲載(8)近畿財務局長による弁明の機会付与通知(平成7年)近畿財務局長は,前記方針に基づき,平成7年8月1日,大和都市管財に対し,その経営状況からみて抵当証券購入者が被害を被る蓋然性が高く,購入者の利益を害する事実があるとして,業務改善命令発出のための弁明の機会付与に係る通知(近財金3秘第95号)をし,その中で,予定する処分の内容は,①グループ各社の今後の経営見通しを正確に把握し,大和都市管財の経営健全化計画(少なくとも5か年度分)を作成,提出した上で,その内容を確実に実施すること,②毎月の収入及び支出を算出し,今後の毎月の買戻しに対する財源計画(少なくとも5か年度分)を作成,提出した上で,その内容を確実に実施すること,③融資決定前に行うべき審査の方法や手続等に関するルールを確立し,当該ルールに基づく審査を経て融資決定を行うという融資審査体制を確立すること,などであり,①及び②の実施に当たっては,ア新たに施設整備を行うことにより収入を得ることを予定しているグループ会社に ,当該ルールに基づく審査を経て融資決定を行うという融資審査体制を確立すること,などであり,①及び②の実施に当たっては,ア新たに施設整備を行うことにより収入を得ることを予定しているグループ会社については,当該施設に係る整備予定地の位置,現況,都市計画法上の区域の区分等及び開発許可状況について分かる資料を提出するとともに,地方自治体等の許可が必要な施設整備については,現時点で許可が されている場合に限り当該施設に係る収入を見込むこと,イ不動産の売却や賃貸による収入を見込む場合には,過年度の実績や近隣の複数の類似物件の価格,賃料や需要の実態等客観的な資料に基づき算出すること,ウ飲食物や製品等の売上収入を見込む場合には,過年度の実績等客観的な資料に基づき算出すること,エゴルフ場の利用収入を見込む場合には,過年度の実績や近隣又は競合関係にある複数の類似のゴルフ場の料金や利用者数の実態等客観的な資料に基づき算出すること,オゴルフ場の会員権収入の見込みについては,近隣や競合関係にある複数の類似ゴルフ場の価格や販売件数の実態や最近のゴルフ会員権の相場の状況等客観的な資料に基づき算出すること,といった指示に基づくべきことを示した。 これに対し,大和都市管財は,同月15日,近畿財務局に対し,業務改善命令発出に関する弁明書を提出し,①抵当証券購入者の利益を害する事実はないが,業務の改善について不備があれば当局の指導を得たい,②満期が到来する抵当証券はすべて再販売していく方針であり,業容を縮小する意向はなく,グループ会社についてもゴルフ会員権の販売等によって収支改善を図っていく,③グループ会社から貸付金の回収等を図ることは更にその経営内容を悪化させるおそれがあり,むしろ景気の回復を待って所有不動産の事業化による積極的な事業展開を図りた 売等によって収支改善を図っていく,③グループ会社から貸付金の回収等を図ることは更にその経営内容を悪化させるおそれがあり,むしろ景気の回復を待って所有不動産の事業化による積極的な事業展開を図りたい旨述べるとともに,平成8年度から平成10年度までに特約付き融資先であるグループ会社の事業としてゴルフ場3コースの会員権を合計430億円相当で販売することなどを内容とする収支計画(以下「平成7年収支計画」という。)を提出した。 【乙18】(9)近畿財務局長による業務改善命令(平成7年)近畿財務局は,平成7年8月21日,Y1が反発を強め,行政不服審査請求の申立てや弁護士等からの働きかけがあることを予測しつつも,既定方針どおり,大和都市管財に対する業務改善命令(近財金3秘第99号)を発出 する方針を固めた(通常,業務改善命令の発出は,非公表の形で行われていた。原告らは,同日発出された業務改善命令が,Y1の恫喝に屈する形で即時撤回された旨,被告は,Y1から資金繰りについての弁明があったため,同命令の発出は見合わされた旨各主張する。このときに撤回されたか又は留保された業務改善命令を,以下「平成7年業務改善命令」という。)。【乙18,弁論の全趣旨】(10)那須グリーンコースに係る抵当証券の追加発行等大和都市管財は,平成7年10月,那須ゴルフ場を担保とする130億円の抵当証券交付申請をしたが,宇都宮地方法務局那須出張所の登記官は,同申請に添付された鑑定書を社団法人日本不動産鑑定協会に諮った上,鑑定評価が高すぎるとして,同年11月8日,100億円に減額して交付した。 大和都市管財は,平成8年4月,近畿財務局に対し,那須グリーンコースのゴルフ会員権を,ナイスミドルの事業として平成8年度から平成10年度までに324億円(登録料及び預託金の合計額。以 して交付した。 大和都市管財は,平成8年4月,近畿財務局に対し,那須グリーンコースのゴルフ会員権を,ナイスミドルの事業として平成8年度から平成10年度までに324億円(登録料及び預託金の合計額。以下同じ。)で販売することなどを内容とする経営健全化計画(以下「平成8年経営健全化計画」という。)を提出した。 ところが,同出張所の登記官は,同年6月6日,大和都市管財の申請に応じ,那須ゴルフ場を担保とする55億円の抵当証券の追加発行を許可した。 その後,法務本省は,抵当証券等に係る鑑定評価の適正化のために社団法人日本不動産鑑定協会が自主的に定めた民間機構である法務鑑定委員会を開催し,那須ゴルフ場には55億円もの担保余力がないことを指摘したため,近畿財務局は,大和都市管財に対し,追加発行分の抵当証券の販売を自粛するよう指導したところ,同社はこれに反発して執拗に抗議したが,最終的には自粛指導に応じた。 大和都市管財は,同年12月20日,近畿財務局に対し,那須グリーンコースのゴルフ会員権販売計画の実行予定時期を遅らせ,平成8年度の販売予 定額については6億4000万円とした上で,平成9年度から平成11年度までに合計315億4000万円相当で販売する旨の経営健全化計画の修正案を提出した。 【甲7,乙9,37】(11)大蔵本省における内部検討資料大蔵省銀行局中小金融課金融会社室(以下「本省金融会社室」という。)の担当官は,平成8年8月ころ,大和都市管財に関する監督の経緯をまとめた資料(4枚紙のものであり,1枚目の左肩に「大和都市管財㈱について」との表題が枠で囲まれて記載されている。以下「本件内部資料」という。なお,その趣旨,使用目的等については争いがある。)を作成した。本件内部資料の概要は,下記のとおりである。【甲7】記大和都市管財㈱につい が枠で囲まれて記載されている。以下「本件内部資料」という。なお,その趣旨,使用目的等については争いがある。)を作成した。本件内部資料の概要は,下記のとおりである。【甲7】記大和都市管財㈱について①会社の概要大和都市管財は,昭和63年12月に近畿財務局で登録を受けた独立系の抵当証券会社であり,その融資先は同族会社であるベストライフ通商外5社であるが,役員の状況等からみて,融資先と抵当証券会社とが一体となった極めて特異な状況(実質上の自己融資)となっている。また,大和都市管財は,バブル経済崩壊後低迷を続ける抵当証券業界(平成8年7月末現在の全業者の抵当証券販売残高は3兆5505億円であり,前年比20パーセント減である。)にあって年々抵当証券の販売残高を伸ばしており(かなりの高利率を付けて販売している。),業界においても上位(133社中15位)にランクされている。 ②グループ全体の経営状況大和都市管財は,金融機関等との取引はなく,抵当証券販売による調達資金のほぼ全額をグループ会社の運営資金として融資している。しか し,グループ会社の経営内容は悪く,各社とも赤字決算を余儀なくされており,多額の累積赤字を抱えている。大和都市管財グループの連結決算状況は,約63億円の欠損の状態にあり,同グループ全体の経営状態は極めて厳しい。 また,資金繰りについては,大和都市管財が,抵当証券や新商品(乗換え商品)の販売によって調達した資金によって手当てする以外には,Y1からの個人借入金しかなく,長期借入金勘定に91億円(平成7年3月期)が計上されている。この借入れの資金源は,Y1が17名のスポンサーから調達しているものとしているが,詳細は不明である。今のところ大和都市管財を中心に,グループ会社間でどうにか資金を回転させてはいるが,特約付き融資 。この借入れの資金源は,Y1が17名のスポンサーから調達しているものとしているが,詳細は不明である。今のところ大和都市管財を中心に,グループ会社間でどうにか資金を回転させてはいるが,特約付き融資の元本償還を迎える平成9年以降,資金繰りが厳しくなることが予想される。 ③出資法違反の疑いのある金融商品の販売について大和都市管財は,平成6年8月下旬以降,多数の抵当証券購入者に対し,中途解約を勧めるとともに,手形商品の購入を勧めていたことが判明した(中途解約された抵当証券については,新たに別の顧客に販売されている。)。手形商品についてY1から聴取したところによれば,大和都市管財を貸主,ナイスミドルを借主とする極度額25億円の金銭消費貸借契約を締結し,ナイスミドルが大和都市管財に対して25億円以内で約束手形を振り出し交付するとともに,大和都市管財は,ナイスミドルがバンクオブアメリカに有する譲渡性預金債権に担保権を設定し,これらの事項が確実に実行されることを目的にY7弁護士(元社民党代議士)との間に業務委託契約を締結し,大和都市管財が約束手形を投資家に裏書譲渡するが,当該約束手形は弁護士名義の金融機関貸金庫に保管し,投資家に対しては弁護士が手形保管証を交付するというものである。手形商品に対しては,不特定多数の者に対して販売が行われ,かつ, 販売の際あたかも元本保証しているかのように購入者に説明してきていることから,出資法違反の疑いもある旨大和都市管財に対し口頭で指摘してきたほか,平成7年4月,法務省刑事局及び大阪地方検察庁(以下「大阪地検」という。)に対し,出資法違反等の観点から早急に検討するよう要請した。Y1によれば,上記新商品の販売残高は124億円,購入者数約500人とのことであった。 なお,大阪地検は,アメリカ司法当局に対して預 いう。)に対し,出資法違反等の観点から早急に検討するよう要請した。Y1によれば,上記新商品の販売残高は124億円,購入者数約500人とのことであった。 なお,大阪地検は,アメリカ司法当局に対して預金債権の有無につき照会を行った結果,平成8年4月18日,バンクオブアメリカに平成7年6月末現在で約80億円の残高があったことが確認されたとして,被害届の出ていない現段階において詐欺罪で直ちに捜査に入ることは考えていない旨回答してきた。 ④抵当証券販売の状況について大和都市管財の経営状況は,抵当証券購入者が被害を被る蓋然性が高く,購入者の利益を害する事実があると認められたことから,平成7年8月1日付けをもって業務改善命令(経営健全化計画の作成・実施,抵当証券買戻しについての財源計画の作成・実施等)発出のための弁明の機会の付与通知を行い,同月21日付けで業務改善命令書を交付しようとしたが,同社はその受領を拒否するとともに,同和関連団体に属している旨を告げたため,近畿財務局長は業務改善命令を撤回してしまった(その後,近畿財務局では業務改善命令を交付していない。)。 ⑤那須ゴルフ場を担保とした抵当証券の発行について平成7年11月,大和都市管財は,新たに那須ゴルフ場に抵当権を設定し,ナイスミドルへ新たに130億円の特約付き融資を実行し,法務局へは当初130億円の抵当証券の発行を申請したが,法務局は法務鑑定委員会に諮った上,鑑定評価が高すぎるとして申請を受理しなかった。 その後,同社は100億円の発行を再度申請し,同額の抵当証券が交付 された。法務局における審査の過程で,法務省民事局に対してY10衆議院議員(旧福岡2区・社民党)より,早期の交付要請があった。 平成8年6月,大和都市管財は,那須ゴルフ場について,200億円の価値があるとして再度抵 おける審査の過程で,法務省民事局に対してY10衆議院議員(旧福岡2区・社民党)より,早期の交付要請があった。 平成8年6月,大和都市管財は,那須ゴルフ場について,200億円の価値があるとして再度抵当証券の発行を申請したところ,法務局の担当者が交代し,過去の経緯を承知しないことから,申請された55億円満額の抵当証券を発行してしまった。これが,当該抵当証券のモーゲージ証書を販売しようとした同年8月になって法務本省の確認するところとなり,同月7日に当局に対して第一報があった。法務省は,法務鑑定委員会に対し,那須ゴルフ場の再評価を行わせることにし,当局に対して「不動産担保評価に疑義がある。」との連絡をするとともに,再評価が出るまで当該抵当証券のモーゲージ証書の販売を差し控えさせるよう協力依頼があった。同月22日に再鑑定の結果が判明し,法務省より那須ゴルフ場の評価額は120億円であったとの口頭による連絡があった。 これを受け,近畿財務局は,大蔵本省から指示があったとした上で,購入者に不利益となる抵当証券モーゲージ証書の販売を自粛するよう指導したところである。 ⑥那須ゴルフ場を担保とした抵当証券の抵当証券業規制法における問題点130億円の価値しかない土地を200億円の価値があるものとして抵当証券の発行を受けたもの(平成8年8月15日,民主党・Y11氏からY12参事官に,「何故,大蔵省が止めているのか」と圧力があった。)。元本割れの抵当証券を販売することは,「購入者の利益を害する事実があると認められ」(抵当証券業規制法23条),業務改善命令を出すことができる。 業務改善命令に従わないときは登録取消し(同法24条)及び罰則規定の適用がある。元本割れの抵当証券を故意に「安全確実」などと銘打 って販売したとき(偽計による販売(同法19条))も同 ができる。 業務改善命令に従わないときは登録取消し(同法24条)及び罰則規定の適用がある。元本割れの抵当証券を故意に「安全確実」などと銘打 って販売したとき(偽計による販売(同法19条))も同様である。 (12)本省金融会社室に対する通報本省金融会社室は,平成8年8月2日,不可解な販売をしている抵当証券会社がある,として善処を求める一般人(リース会社の法人調査関係者)からの通報に接した。それによると,①D社という会社が顧客に対して,当社の1000万円の手形を1年預かってくれたら1070万円で買い取る,といったような商売をしている,②自分の父親がこの商品を勧められ,抵当証券から乗り換えさせられた,③同社の抵当証券については,原債権が子会社しかなく,解約しないよう一筆入れるとただでさえ高い金利を1パーセント上乗せし,社員がグループ会社と兼職していてそのゴルフ会員権を販売するなど,金融機関としておかしいとしか考えられない営業内容である,④同社では1週間に3回も帝国ホテルで会議との名目で会食したこともあるそうであり,金遣いが荒いが,儲からなくても次々抵当証券を発行すれば金が入るので,それを使っているのではないかとさえ考えられる,ということであった。【甲12】(13)近畿財務局に対する警察からの照会大阪府警察本部(以下「大阪府警」という。)の生活経済課Y13課長補佐(以下「Y13補佐」という。)は,平成8年9月24日,近畿財務局で抵当証券を管轄する理財部金融第3課(以下「金融第3課」という。)を訪問し,大和都市管財の顧客が抵当証券の満期時に手形商品に切替えてくれと勧誘され困っているというクレームが警察庁生活安全局に入っているため,手形商品に違法性がないか捜査するよう文書で指示があった,上司が指示を受けた内容では,当局が改善 満期時に手形商品に切替えてくれと勧誘され困っているというクレームが警察庁生活安全局に入っているため,手形商品に違法性がないか捜査するよう文書で指示があった,上司が指示を受けた内容では,当局が改善命令を出したと聞いているとした上,近畿財務局にも顧客からの同様のクレームがあるか,行政の方で困っていることはないか,との問い合わせをしたが,同課のY14上席調査官(以下「Y14検査官」という。)らは,登録の有無,信用等の照会は時々あるが,クレーム といったものは特にない旨の回答をした。なお,この会話の要旨は連絡記録表に記載され,大蔵本省にファックスで送信されたが,本省金融会社室の担当官は,当該ファックスの,クレームといったものは特にない,との回答が記載された箇所に「明らかに嘘」との書き込みをした。【甲12】(14)平成8年経営健全化計画の初年度実績大和都市管財は,平成9年4月,近畿財務局に対し,平成8年12月31日時点のグループ全体の決算書類(グループ全体で約147億6282万円の債務超過となっているもの)を提出した。近畿財務局は,平成9年4月から同年6月までの間に,平成8年経営健全化計画の初年度実績を確認するための業況ヒアリングを数回行ったが,前記計画の初年度実績は大幅な未達であった。【乙37ないし40】(15)近畿財務局による検査(平成9年)近畿財務局は,平成9年6月19日から,大和都市管財に対する立入検査(以下「平成9年検査」という。)を実施した。 平成9年検査において,近畿財務局は,Y8を通じて任意で融資先であるグループ会社の総勘定元帳の提出を受け,ナイスミドルの総勘定元帳に,大和都市管財からの55億円の特約付き融資((10)記載のもの。)を受け入れた旨の記載がないことを発見したが,その後,大和都市管財及び融資先グループ 定元帳の提出を受け,ナイスミドルの総勘定元帳に,大和都市管財からの55億円の特約付き融資((10)記載のもの。)を受け入れた旨の記載がないことを発見したが,その後,大和都市管財及び融資先グループ会社から,融資先グループ会社の総勘定元帳を検証することは了解していないなどの抗議を受けたことから,それらの帳簿を返還した。また,大和都市管財側は,上記記載漏れは会計士の過誤であり,55億円の貸付けは小切手によって現に行われている旨弁明した。 (16)近畿財務局長による弁明の機会付与通知(平成9年)近畿財務局長(Y12。(18)において同じ。)は,平成9年10月21日,大和都市管財に対し,①前回検査で指摘したところであるが,融資審査体制は依然として未整備で,融資決定前に行うべき審査の方法や手続を定め, 当該手続等に基づき融資決定を行うなど特約付き融資に関する審査体制の確立を図る必要がある,②グループ6社はいずれも経営状況が極めて悪く,結果的に大和都市管財の経営が困難となる可能性があるから,グループ各社の今後の経営見通しを正確に把握し,大和都市管財の経営健全化計画を作成するとともに,今後の抵当証券買戻しに係る資金の確保を図る必要がある,③ナイスミドルの総勘定元帳には抵当証券借入金55億円の計上がないことから融資の実行が疑われる内容となっており,銀行の預金口座を通して資金の授受を行うなど,今後は経理処理の明確化を図る必要がある,などと記載した平成9年検査に係る検査結果の通知(近財金3秘第40号。以下「平成9年検査結果通知」という。)を発出するとともに,①融資審査体制の確立,②経営状況改善のための経営健全化計画(平成9年度から13年度までの5か年度。ただし,9年度は9年11月,10年度から13年度までは各年度の5月末までに裏付け資料 ともに,①融資審査体制の確立,②経営状況改善のための経営健全化計画(平成9年度から13年度までの5か年度。ただし,9年度は9年11月,10年度から13年度までは各年度の5月末までに裏付け資料を添付して提出する。)の作成・実施,③抵当証券買戻し資金の確保を求める業務改善命令の発出のための弁明の機会付与に係る通知(近財金3秘第39号)をした。 大和都市管財は,近畿財務局に対し,平成9年10月28日付けでその代表取締役Y1名義の弁明書を提出した。その概要は,①融資審査体制の確立につき,大和都市管財は,特約付き融資については従来より極めて厳重な審査を行ってきており,特に不動産鑑定士による鑑定評価を中心として取締役会において徹底議論を行い融資の可否を決めてきたが,今後は融資手続や体制についても成文化していく,②経営状況の改善につき,ナイスミドル,ナイス函館,北海道泊別観光及び美祢カントリークラブについては,それぞれゴルフ会員権販売を行うことにより十分な資金の確保と経営の健全化を確実に実施し,ベストライフ通商及びリステム化学研究所には,近々遊休地の最適利用や売却なども念頭に置きながら改善措置を講じるよう申し入れる,③抵当証券買戻し資金の確保につき,大和都市管財の最も重要な課題であ り,今後予定される買戻しについても逐次万全に遂行できるものと確信している,との趣旨のものであった。 【甲13,15】(17)業務改善命令(平成9年)の決裁近畿財務局は,平成9年10月29日,概要下記のような検討の下に,大和都市管財に対する業務改善命令の発令を決裁した。【乙22】記1.大和都市管財の状況①概要大和都市管財は,低迷を続ける抵当証券業界にあって年々販売残高を伸ばしており,平成9年3月末現在の抵当証券販売残高479億円(業界127 を決裁した。【乙22】記1.大和都市管財の状況①概要大和都市管財は,低迷を続ける抵当証券業界にあって年々販売残高を伸ばしており,平成9年3月末現在の抵当証券販売残高479億円(業界127社中15位),販売件数約2万件,購入者数約1万人となっている。 ②グループ会社への融資大和都市管財の融資先はグループ6社(5社の社長はY1の長男,1社はY1の友人)であり,融資先と融資している抵当証券業者とが一体となった極めて特異な状況(実質上の自己融資)となっている。大和都市管財自体は利益を計上(平成9年3月期当期利益1700万円)しているものの,グループ6社はいずれも多額の債務超過となっており,グループ全体の経営は極めて厳しい状況(平成8年12月末グループ連結債務超過額105億円)にある。なお,大和都市管財には,Y1個人からの長期借入金81億円(平成9年3月末)があるが,その資金源は不明である。 ③手形商品大和都市管財は,平成6年8月以降,多数の抵当証券購入者に対し,中途解約を進めるとともに,手形商品の購入を勧めている(平成9年3 月末の販売残高約150億円,購入者800から900人)。この商品は不特定多数の者に販売が行われ,かつ,元本保証しているかのように説明している模様であり,出資法違反の疑いがある。 ④那須ゴルフ場を担保とした抵当証券の発行大和都市管財は,平成7年11月,ナイスミドルの保有する那須ゴルフ場に抵当権を設定したが,130億円の抵当証券の発行申請に対して100億円の抵当証券しか交付されなかったものの,平成8年6月に同じゴルフ場を担保に55億円の抵当証券の追加発行を申請したところ,法務局は担当者が代わったこともあって申請どおりの抵当証券を発行してしまい,近畿財務局が大和都市管財に対して追加分の販売を自粛する じゴルフ場を担保に55億円の抵当証券の追加発行を申請したところ,法務局は担当者が代わったこともあって申請どおりの抵当証券を発行してしまい,近畿財務局が大和都市管財に対して追加分の販売を自粛するよう指導している。また,この55億円の追加融資については,ナイスミドル側の帳簿に記載がないことから,架空融資の疑いもある。 2.行政対応の経緯①近畿財務局は,平成7年4月13日,手形商品について大阪地検に情報提供を行うなどし,同年8月21日には業務改善命令書を交付しようとしたが,大和都市管財はその受取りを拒否した。 ②近畿財務局は,平成7年12月以降,大和都市管財の経営状況について逐次ヒアリングを実施しており(平成9年5月までに7回実施),平成8年4月には同社から経営健全化計画が提出されている。 ③近畿財務局は,平成9年6月19日,平成9年検査に着手し,グループ6社の預金残高証明書,大和都市管財グループ全体の平成9年3月末の連結決算書を大和都市管財に対して提出するよう求めており,預金残高証明書については提出されたものの,連結決算書については公認会計士の病気を理由に提出されなかった。 3.業務改善命令の発出①発出の必要性 グループ6社が破綻した場合,大和都市管財も破綻することが予想され,また担保となっている不動産からの回収も一部にとどまると予想されることから,抵当証券の購入者に多大の被害が発生することが予想される。したがって,その被害を最小限に抑えるとともに,被害の拡大を防止することが,購入者保護の観点から極めて重要と考えられる。また,大和都市管財が破綻した場合,国会でこれまでの監督の経緯について厳しく追及されるほか,被害者から国家賠償請求訴訟を提起される可能性は否定することができないことから,行政当局としてできる限りの措置を行 和都市管財が破綻した場合,国会でこれまでの監督の経緯について厳しく追及されるほか,被害者から国家賠償請求訴訟を提起される可能性は否定することができないことから,行政当局としてできる限りの措置を行っておくことが必要である。 ②抵当証券業者に対する検査・監督のあり方基本的には,抵当証券業規制法は,営業の自由をできる限り尊重し,規制を必要最小限にとどめるとの観点から登録制を採用し,主として二重売り・カラ売り等不適切な販売等を規制し,抵当証券の購入者保護を図ろうとするものである。したがって,立入検査においても,業務上の行為規制(広告規制,情報開示等)が遵守されているかどうかを検査することに主眼がある。こうした法令の趣旨及び検査体制の現状(限られた人員)を踏まえれば,一般的に各抵当証券業者について,免許制をとる銀行等と同様の経営の実態把握を行うことは,今後においても適当とは考えられないが,行政当局として個別に購入者保護を損なう恐れのある経営状況を把握した場合には,法令に照らして適切な対応を行うことは当然である。 ③大和都市管財の状況平成9年検査の結果等によれば,以下の点が指摘できる。 ア大和都市管財は,グループ6社に対する融資に当たり,従前からの指摘にもかかわらず借入申込書,財務内容,資金使途等を示す書面を徴求しておらず,役員会議議事録にも融資に係る記載がないなど,融 資審査体制が未整備である。 イ平成8年12月末の大和都市管財グループ全体の連結決算では,グループ6社はいずれも債務超過となっており,かつ,平成8年経営健全化計画の達成状況は,初年度(平成8年度)が大幅な未達となっており,結果的に同社の経営が行き詰まる可能性がある。 ④購入者利益との関係業務改善命令は,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めるときに発出す は,初年度(平成8年度)が大幅な未達となっており,結果的に同社の経営が行き詰まる可能性がある。 ④購入者利益との関係業務改善命令は,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めるときに発出することができるとされており,大和都市管財の状況がこれに該当するか検討する必要がある。 まず,融資の審査体制が不備であることについては,抵当証券は基本的に債務者から元利の弁済が確実に行われること及び担保価値が十分にあることが期待されている商品であり,抵当証券業者において,担保を含めた融資の審査体制が不備であることは抵当証券の購入者の利益を害する事実に該当するおそれがあると認められる。また,グループ6社の経営状況が極めて悪いことから,大和都市管財の経営が行き詰まる可能性が極めて高い状況にあるところ,抵当証券については融資先が元利の負担者であり,抵当権が設定されている不動産により元利が回収されるべきものであることから,抵当証券業者の破綻は購入者保護の観点から問題とならないとの考え方もできるが,抵当証券業者は融資先から元利を受領し,抵当証券の購入者に支払をするという業務を適確に遂行する役割を担っており,抵当証券業者が破綻した場合には,抵当証券保管機構はあるものの,円滑な元利金の受領弁済が受けられなくなることから,購入者の利益を害することになると考えられる。 なお,抵当証券業者は,購入者に対し抵当証券の元利を保証し,さらに一定期間(1ないし5年)後に買い戻すという約定で販売するのが通常であるが,抵当証券保管機構が元利の弁済受領等業務を行う場合には, 元金の弁済は抵当証券原券の弁済期日(通常1ないし30年後)となってしまうことからも,抵当証券業者の経営破綻は購入者利益を害することとなる。また,同社に対し平成7年業務改善命令を発出しようとした際には の弁済は抵当証券原券の弁済期日(通常1ないし30年後)となってしまうことからも,抵当証券業者の経営破綻は購入者利益を害することとなる。また,同社に対し平成7年業務改善命令を発出しようとした際には,融資先の関連企業が資金繰りが窮しかねないほど経営状況が悪化しており,かつ,好転する要素が現状では見いだせない状況にあることから,結果的に抵当証券業者の経営が行き詰まる危険性が極めて高い場合には,購入者に被害が生じる蓋然性が高いから,「購入者の利益を害する事実」があると認められ,業務改善命令を発出することができる,との考え方で(内閣)法制局の了解を得ている。 また,「2年前には業務改善命令の発出を見合わせたにもかかわらず,今回はなぜ発出することとしたのか」と問われた場合,「当時は大和都市管財の自主的な経営改善努力に期待する余地があったが,現状をみると,業務運営体制の不備は何ら改善されておらず,また,自主的な経営健全化計画も初年度より大幅未達となっており,もはや同社自身による積極的な対応を期待することができないことから,法令に基づく命令により同社の対応を求めることとした。」と説明してはどうかと考える。 ⑤業務改善命令の内容業務改善命令の内容については,その根拠条文で与えられている裁量の範囲や,抵当証券業規制法上,業務改善命令に違反した場合には,登録の取消し又は業務停止命令の対象となることから,命令先が具体的に何をすべきか不明確であり,また,明らかに実行不可能なものは,業務改善命令として不適切である。 なお,大和都市管財の融資先はいずれも債務超過であり抵当証券の元利弁済が滞る危険性が高いことから,直接的に債務超過先に対する抵当証券の販売自粛又は買戻し等を求めることも考えられるが,直ちに経営破綻又は命令違反となりかねないという問題がある。 抵当証券の元利弁済が滞る危険性が高いことから,直接的に債務超過先に対する抵当証券の販売自粛又は買戻し等を求めることも考えられるが,直ちに経営破綻又は命令違反となりかねないという問題がある。 また,大和都市管財の抵当証券の担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいことから,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が高い。したがって,購入者保護の観点から,同社に対し,各融資の担保物件について処分価格で再評価を行わせ,それぞれの担保価値に見合った額まで抵当証券の販売額を抑制するよう求めることも考えられる。 しかしながら,地価下落等による担保割れは全抵当証券業者に共通の問題であり,本来抵当証券とはこうしたリスクを内在しているとも考えられることのほか,この場合も直ちに経営破綻又は命令違反となる可能性がある。 ⑥弁明書の検討大和都市管財は,平成9年10月28日に弁明書を提出してきたが,その内容は不十分であり,既定方針どおり業務改善命令を発出することとする。なお,業務改善命令の発出がマスコミ報道のきっかけとならないよう非公表とするとともに,行政内部における情報管理の徹底を図ることとしたい。 4.業務改善命令のスケジュール平成9年10月21日業務改善命令についての弁明の機会の付与同月28日弁明書の提出期限同月31日業務改善命令発出同年11月14日業務改善命令に対する回答期限なお,相手方が来局できないときは,郵便により送付することとし,その場合の回答期限は同年11月18日とする。 (18)近畿財務局長による業務改善命令(平成9年)近畿財務局長は,平成9年10月31日,近財金3第49号をもって,同社に対し,概要下記のような業務改善命令を発した(以下「平成 1月18日とする。 (18)近畿財務局長による業務改善命令(平成9年)近畿財務局長は,平成9年10月31日,近財金3第49号をもって,同社に対し,概要下記のような業務改善命令を発した(以下「平成9年業務改 善命令」という。)。 記1.命令事項①融資審査体制の確立特約付き融資に関する審査体制の確立を図ること。このため,融資決定前に行うべき審査の方法や手続を定め,当該手続等に基づき融資を行うこと。 ②経営状況の改善大和都市管財の経営状況の改善を図ること。このため,特約付き融資先のグループ6社の今後の経営見通しを正確に把握した上,平成9年度から平成13年度までの5か年度について,各年度ごとの大和都市管財の経営健全化計画を作成,実施し,その内容を確実に実施するとともに,平成10年度から平成13年度までについては,各年度の5月末までに計画の見直しを行うこと。 ③抵当証券買戻し資金の確保今後の抵当証券の買戻しに係る資金の確保を図ること。 ④②記載の経営健全化計画については,平成9年度については同年11月18日までに,平成10年度から平成13年度までは各年度の5月末までに,裏付けとなる資料を添付して書面で提出すること(注:なお,いかなる資料が必要かについての具体的な指示はない。)。 2.処分の理由平成9年検査の結果によれば,大和都市管財の特約付き融資に係る審査体制が不備であり,グループ各社はいずれも経営状況が極めて悪い上,グループ各社を含む大和都市管財の経営健全化計画は,初年度(平成8年度)より大幅未達となっていることから,結果的に同社の経営が困難となる可能性がある。このような同社の業務運営体制及び経営状況により,同 社の抵当証券の購入者は被害を被る蓋然性が高く,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認められるため。 社の経営が困難となる可能性がある。このような同社の業務運営体制及び経営状況により,同 社の抵当証券の購入者は被害を被る蓋然性が高く,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認められるため。 【甲17,乙22】(19)告発文書の送付大和都市管財の営業社員を名乗る人物は,平成9年秋,「近畿財務局の反社会的行為と罪について」と題する書面(以下「本件告発文書」という。)を,大蔵本省等に送付した。同書面には,①同年10月31日付けの朝日新聞に大和都市管財による手形商品の販売を問題視する記事が出されたため,その後同社はチケット制会員権をより有利な商品として販売しているが,年12枚配布されるプレー券を換金すると実質的には年6.41パーセントの利息が付く金融商品にほかならず,出資法違反の疑いがあること,②このままでは抵当証券等を購入していた顧客が皆ゴルフ会員権に乗り換えさせられてしまい,担保不動産による支払も不可能になるおそれがあること,③近畿財務局による大和都市管財への処分を期待していたが,同社が上記のようなゴルフ会員権販売による経営立て直しを目指しているにもかかわらず,12月に予定されている更新登録が認められそうであるため,マスコミや大蔵本省による近畿財務局への指導を期待していることなどが記載されていた。 【甲14】(20)本件更新登録に至る経緯大和都市管財は,平成9年10月20日,近畿財務局長に対し,抵当証券業の更新の登録を申請した。提出された申請書には,代表取締役であるY1及び取締役であるY16が,いずれも昭和60年3月12日より一般融資業務及び特約付き融資を担当している融資業務経験者として記載され,抵当証券業務に関する組織図として,代表者及び役員の下に,庶務・支払を担当する総務部門(9名),特約付き融資・一般融資を担当 一般融資業務及び特約付き融資を担当している融資業務経験者として記載され,抵当証券業務に関する組織図として,代表者及び役員の下に,庶務・支払を担当する総務部門(9名),特約付き融資・一般融資を担当する融資部門(16名),並びに,いずれも抵当証券の販売を担当する,販売部門(12名), 東京支社(13名),名古屋支社(6名)及び横浜支店(5名)が並列的に置かれている旨の組織図が添付されていた。また,上記申請書に添付された平成9年3月末日決算(直前の事業年度)に係る同社の貸借対照表(以下「本件貸借対照表」という。)上は,資産の合計額が約57,338,903千円,負債の合計額が約56,759,423千円となっており,その差額である純資産額は約579,480千円で,資本金額450,000千円を上回っていた(上記申請書とその添付書類を併せて,以下「本件申請書等」という。)。 同社は,同年11月18日,近畿財務局に対し,改めて那須グリーンコースのチケット制会員権を販売することなどを柱とする経営健全化計画(以下「平成9年経営健全化計画」という。)を提出した。近畿財務局長は,同年12月11日,同計画を受理し,同月22日付けで,大和都市管財に対し,近財金3第507号をもって登録番号:近畿財務局長(4)第16号,登録年月日:同月21日,有効期間:同月21日から平成12年12月20日までとする更新登録をした旨通知した(本件更新登録)。金融第3課Y17課長(以下「Y17課長」という。)は,平成9年12月22日,大和都市管財に対し,平成9年業務改善命令に係る各事項の確実な実施を求めるとする「抵当証券業務の適正な運営の確保について」と題する通知(事務連絡金3第260号)を発した。【甲18,19,乙45,46】(21)大和都市管財における抵当証券取引約款等 の確実な実施を求めるとする「抵当証券業務の適正な運営の確保について」と題する通知(事務連絡金3第260号)を発した。【甲18,19,乙45,46】(21)大和都市管財における抵当証券取引約款等本件更新登録後における大和都市管財の「抵当証券取引約款」は,おおむね下記のとおりであり,その内容は,抵当証券業協会が平成6年4月28日付けでまとめた「標準的販売約款」と主要部分において共通である。 記1条(約款の趣旨)この約款は,大和都市管財から購入する抵当証券の売買,元金及び利 息の支払並びに保管方法等について取り決めたものであり,顧客は,この約款及び抵当証券保管機構の業務規定に従って取引を行う。 2条(買戻特約付売買)顧客は,抵当証券を,あらかじめ定めた一定期日(買戻日)に一定の条件で大和都市管財に買い戻す条件で買い付けるものとする。 3条(買付方法)抵当証券の買付けは,顧客が所定の申込書に必要事項を記入,捺印し大和都市管財に提出するとともに,当該抵当証券の買付代金を同社に払い込むことにより行う。 顧客は,買い付けた抵当証券について,単独でこれを取得する場合と他の顧客と抵当証券を共有し買付金額の割合に応じた共有持分を取得する場合とがある。顧客が抵当証券の共有持分を買い付けた場合には,顧客相互間で共有関係が成立するものとし,大和都市管財がその代理人となる。顧客は,抵当証券の共有持分に基づいてその買付けに係る抵当証券の分割を請求することはできない。 4条(取引を証する書面)大和都市管財は,顧客の買付けに係る抵当証券の取引を証する書面として,抵当証券取引証書を交付する。 5条(抵当証券の保管)顧客の買付けに係る抵当証券は,大和都市管財を通じて必ず抵当証券保管機構に預託される。同社は,抵当証券保管機構から発行された抵当証券保管証を,前 抵当証券取引証書を交付する。 5条(抵当証券の保管)顧客の買付けに係る抵当証券は,大和都市管財を通じて必ず抵当証券保管機構に預託される。同社は,抵当証券保管機構から発行された抵当証券保管証を,前条の抵当証券取引証書とともに顧客に交付する。抵当証券保管機構に保管された抵当証券は,顧客との取引の継続中は引出しができない。 6条(事務の委任)顧客が買い付けた抵当証券に係る以下の事務は,顧客から大和都市管 財に対し委任されたものとする。 ①債務者から元金及び利息を取り立て,受領し,抵当証券取引証書に記載された約定に従って顧客に支払うこと。 ②債務者から元金及び利息を受領した事実を記録し,管理すること。 ③債権の保全上必要とされる追加担保の設定,債権の保全されている範囲内での担保の変更,又は債務者若しくは担保提供者の変更,及びこれらに伴う登記その他の手続をすること。 ④③記載の手続をとるため,法令の定める場合に抵当証券を抵当証券保管機構から一時引き出すこと。 ⑤抵当証券の裏面の被裏書人欄に顧客の氏名を記載することに代え,抵当証券保管機構宛てに記名式裏書をすること。 ⑥その他取引上の必要に応じて顧客の大和都市管財に対する権利を害しない範囲内で顧客に属する権利を行使し,義務を履行すること。 7条(元利金の支払保証)顧客の買付けに係る抵当証券について,債務者が債務を履行しなかった場合でも,大和都市管財は,抵当証券取引証書に記載された約定の元金及び利息を顧客に支払う。 8条(利息の計算)略9条(満期買戻)顧客の買付けに係る抵当証券は,抵当証券取引証に記載された買戻日(満期日)に,大和都市管財が元金及び約定の利息を顧客に支払って買い戻す。 顧客が取引の継続を希望する場合には,顧客に支払うべき元金をもって,新たに抵当証券を買い付けて取引 取引証に記載された買戻日(満期日)に,大和都市管財が元金及び約定の利息を顧客に支払って買い戻す。 顧客が取引の継続を希望する場合には,顧客に支払うべき元金をもって,新たに抵当証券を買い付けて取引を継続することができる。 10条(満期前買戻し) 略11条(解約による買戻し)顧客は,大和都市管財に事前に連絡することにより,抵当証券取引証に記載された満期日より前に抵当証券の解約を行うことができる。この場合において,顧客は,やむを得ない事情に基づく正当な解約理由を証する書面のコピーの提出又は当該書面の呈示をしなければならない。 中途解約の場合,大和都市管財はその解約日に当該抵当証券を買い戻すこととし,同社が定める解約手数料(元金に対し年2.0パーセント)を元金及び約定の利息から控除して顧客に支払う。 12条(譲渡,質入の禁止)この取引によって顧客が取得する抵当証券その他一切の権利及び抵当証券取引証書並びに抵当証券保管証は,第三者に譲渡し又は質入等の担保に供することができない。 13条(抵当証券の閲覧)顧客は,あらかじめ申し出ることにより,買付けに係る抵当証券の写しを大和都市管財の営業所で閲覧することができる。 14条以下略また,大和都市管財が本件更新登録後に配布していた「信頼のDTK抵当証券のご案内」と題するパンフレットには,同社の社名,本社所在地,抵当証券業者登録番号に加え,抵当証券保管機構の業者登録番号(第147号),抵当証券業協会会員番号(第02-016号),資本金(4億5千万円),主な株主(代表取締役Y1,取締役Y8外),業務内容(抵当証券に関連する金銭の貸付け及びその他の金銭の貸付け並びに抵当証券の管理,保有,販売及び売買の仲介)等が記載され,抵当証券の仕組みが図解され,上記抵当証券取引約款が添付されていたほか,以 内容(抵当証券に関連する金銭の貸付け及びその他の金銭の貸付け並びに抵当証券の管理,保有,販売及び売買の仲介)等が記載され,抵当証券の仕組みが図解され,上記抵当証券取引約款が添付されていたほか,以下の説明が付されていた。 「抵当証券とは,抵当証券法に基づいて土地,建物,地上権を担保として法 務局(登記所)が交付する有価証券です。土地建物などの評価は不動産鑑定士による厳正な鑑定を受けております。 当社は投資家の皆様に元利金支払いの保証をいたします。 お客様は予め申し出ることにより,ご購入された抵当証券の写及び当社の業務,財産の状況を記載した書類を当社の営業所で閲覧することができます。 抵当証券業者登録簿は,近畿財務局にてご覧になれます。 抵当証券業協会の会員の名簿は,抵当証券業協会にてご覧になれます。 グンと有利な確定利付の貯蓄商品です。 ■期間は「1年満期」「2年満期」「3年満期」「5年満期」■お申込単位は30万円または50万円の整数倍又は,その組み合わせ(例えば30+50=80万円)■お申込は抵当証券申込書に必要事項をご記入の上,当社にご提出いただき,抵当証券買付日当日までに買付代金を払込んでいただきます。 ■抵当証券はお客様がご購入される抵当証券の原券は,法律に基づき財団法人抵当証券保管機構が同機構の業務規定にしたがって保管します。お客様には当社の発行する「抵当証券取引証」と(財)抵当証券保管機構の発行する「保管証」をお渡しします。 ■利息のお支払いは6か月ごとに年利息額の半額から税金を差し引いてご指定の口座にお振り込みいたします。 ■元本の償還は償還日に元本と最終利息をご指定の口座へ振込みますのでお手許の「抵当証券取引証・保管証」を当社へご返却いただきます。 ■中途解約はご希望の場合はいつでも当社が 込みいたします。 ■元本の償還は償還日に元本と最終利息をご指定の口座へ振込みますのでお手許の「抵当証券取引証・保管証」を当社へご返却いただきます。 ■中途解約はご希望の場合はいつでも当社が買取りいたします。 その場合は一定の買取手数料を申し受けます。(別紙明細)■税金はお利息に対する税金は一律20%(国税15%,地方税5%)の源泉分離課税です。お支払いの都度,お利息金額の20%を源泉徴収させていただきます。 したがって,確定申告の必要はございません。 ※当社とのお取引にかかわる振込料はお客様にご負担いただきます。 」【甲39,40】(22)近畿財務局による検査(平成12年)等近畿財務局は,平成12年10月12日から,大和都市管財への立入検査を実施し(以下「平成12年検査」という。),近畿財務局長(Y18)は,同年12月20日付け近財金1第1038号をもって,引き続き審査を継続することを理由に,大和都市管財の申請に係る更新登録を非公開のまま保留した。 近畿財務局長は,平成13年4月16日,近財金1秘第5号をもって,大和都市管財には抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号に該当する事由があるとして同社に対する更新登録を拒否するとともに,同日,近財金1第89号をもって,大和都市管財は債務超過の状況にあり,会社整理開始原因が存在するとして,商法381条2項に基づいて大阪地方裁判所に対し概要下記のとおりの会社整理通告を行った。 記①大和都市管財の特約付き融資先は,同社と経営・財務面で一体となり,同社社長の実質支配会社であるグループの5社のみであるが,同5社はいずれも債務超過の状態にあり,融資実行以降の地価の下落等を勘案すれば,担保となっているゴルフ場,レジャー施設,商業ビル等も大幅な担保割れの状態にあると推察される。 ープの5社のみであるが,同5社はいずれも債務超過の状態にあり,融資実行以降の地価の下落等を勘案すれば,担保となっているゴルフ場,レジャー施設,商業ビル等も大幅な担保割れの状態にあると推察される。 ②大和都市管財は,平成12年3月期の貸借対照表において,少なくともグループ会社2社に対する51億2500万円の貸付けが資金の交付を伴っていないにもかかわらず同額の負債が計上されておらず,実質的に破綻しているグループ会社1社に対する債務保証についても少なくとも5億2000万円の債務保証損失引当金の計上が必要と認められるにもかかわらずその計上がされていないところ,これらを計上すると,大和都市管財の資産の合計額から負債の合計額を控除した額は,その資本の額を大幅に下回ることになる。 ③大和都市管財の平成12年3月末における総資産486億円のうちグループの5社に対する特約付き融資が473億円に上り,大和都市管財の唯一の収入源もグループ各社からの受取利息であるが,平成9年経営健全化計画の実施状況は,地価の下落や景気の低迷によりグループ各社の事業展開がいずれも頓挫したために大幅な未達にとどまっており,大和都市管財は,抵当権付き債権一部譲渡(抵当証券の発行を受けることなく,抵当権付き債権を細分化して顧客に販売するという,大和都市管財が独自に開発した金融商品。以下同じ。)等の販売を通じて辛うじて資金調達を行っている。 ④大和都市管財の資産内容はこのように極めて憂慮すべき状況にあったところ,近畿財務局長が平成13年4月16日付けで財産的基礎の欠如を理由に同社の更新登録を拒否したため,同社は信用力の低下により破綻する可能性が極めて高く,同社の近畿財務局の検査・監督に対する対応が一貫して非協力的であったことなどに照らすと,抵当証券購入者の保護を図る 同社の更新登録を拒否したため,同社は信用力の低下により破綻する可能性が極めて高く,同社の近畿財務局の検査・監督に対する対応が一貫して非協力的であったことなどに照らすと,抵当証券購入者の保護を図る観点から同社の財産を極力保全しておくことが望ましい。 なお,上記通告書における「大和都市管財㈱と関係会社の一体性」との項目には,概要以下のような記載がある。 平成9年経営健全化計画について近畿財務局がヒアリングする過程や 平成12年検査の過程において,大和都市管財を通じて特約付き融資先であるグループ会社の内容を検証したところ,①グループ会社の株主構成は,Y1とその親族等で占められており,グループ会社各社の役員についてもY1の家族や大和都市管財の職員,元役職員が就任しているなど,資本的,人的関係が極めて強いものとなっており,グループ会社各社はY1による実質支配会社であると認められる。 大和都市管財及びそのグループ会社は,ともに金融機関からの借入れがなく,その資金繰りについては,大和都市管財が抵当証券の販売や抵当権付き債権の一部譲渡等により調達した資金で賄っているほか,グループ会社においては,自らが行う事業収入(ゴルフ会員権販売,飲食店,不動産賃貸など)及び大和都市管財からの資金供給により賄っている。 グループ会社の資産・負債の大部分は大和都市管財を含むグループ会社各社間の貸借となっており,日常的にも頻繁に資金貸借が行われている。 大和都市管財の会計とグループ各社との会計は「関係会社勘定」により密接に関連している。 また,平成12年検査において,①特約付き融資及び抵当権付き融資のすべての事案について,融資先であるグループ会社から借入申込書が徴求されておらず,融資禀議書すら作成されないまま巨額の融資が実行されていること,②特約付き融資の約定金 付き融資及び抵当権付き融資のすべての事案について,融資先であるグループ会社から借入申込書が徴求されておらず,融資禀議書すら作成されないまま巨額の融資が実行されていること,②特約付き融資の約定金利の変更に際して作成された「抵当証券発行特約付金銭消費貸借利率変更合意書」の一部や抵当権付き融資に係る「弁済期日延長合意書」の一部には,債務者であるグループ会社の会社名や印章が混同して使用されていることが認められる。 同じく,上記通告書「大和都市管財㈱及び関係会社に対する財産保全等の必要性」との項目には,以下のような記載がある。 抵当証券購入者は,抵当証券業者に対する元利金保証履行の請求権を有しているが,本来的には,原債務者に対する債権,抵当権を有してい る。したがって,抵当証券業者が破綻したとしても,原債務者に対する債権の担保が十分であれば抵当証券購入者の利益は保護されることになるが,大和都市管財の特約付き融資の担保物件は,バブル崩壊による地価の下落のため大幅に目減りしていると推察されることから,抵当証券購入者の保護を図る観点から大和都市管財の財産を極力保全しておくことが強く求められる。 仮に,本通告に基づく会社整理の開始が認められない場合には,大和都市管財の経営危機の表面化から,抵当証券購入者等会社債権者自身による破産申立て等の法的な手続が行われることになろうが,大和都市管財はY1によるワンマン経営で,同人の指示で資金をグループ会社やY1との間で自由に動かすことが可能であることや,近畿財務局の検査・監督に対する姿勢も終始非協力的であるという同社の属性,特質を勘案すると,それまでの間に会社財産の不当な処分等や同社関係者間のみの偏頗な弁済等が行われる可能性が高く,抵当証券購入者の被害が一層拡大するという極めて深刻な問題が生ずるおそれがあ 社の属性,特質を勘案すると,それまでの間に会社財産の不当な処分等や同社関係者間のみの偏頗な弁済等が行われる可能性が高く,抵当証券購入者の被害が一層拡大するという極めて深刻な問題が生ずるおそれがある。 また,大和都市管財の整理の実効性は,グループ会社の財産状況及び業務状況に大きく依存しているが,グループ会社は大和都市管財と資本的,人的さらには経営の実態からみて一体の会社であり,Y1の実質的支配会社であることから,同人によるグループ会社財産の不当な処分等がされる可能性が高いため,グループ会社の財産保全を行わなければ,結果として大和都市管財の整理が困難になることが考えられる。 【甲1,2,乙57,58,弁論の全趣旨】(23)大和都市管財に対する会社整理手続開始決定大阪地方裁判所は,上記会社整理通告を受け,平成13年4月16日,大和都市管財について会社整理手続開始決定(同裁判所平成13年(ヒ)第3039号会社整理事件)及び管理人による管理命令を発し,管理人にY19 弁護士を選任したため,大和都市管財は営業を停止した。同日現在における同社からの抵当証券の購入者は約9300人,同販売残高は約434億円であった。同管理人が把握した,平成13年3月現在における大和都市管財のグループ会社に対する貸付残高は以下のとおりである。 ナイスミドル約280億円ナイス函館約80億円美祢カントリークラブ約110億円ベストライフ通商約108億円北海道泊別観光約10億円リステム化学研究所約32億円その他約10億円【甲63,乙2】(24)Y1に対する破産宣告Y1は,平成13年7月25日,大和都市管財から破産の申立てを受け,同年8月21日午後5時,大阪地方裁判所において破産宣告を受けた(同裁判所平成13年(フ)第6252号破産事件)。平成 する破産宣告Y1は,平成13年7月25日,大和都市管財から破産の申立てを受け,同年8月21日午後5時,大阪地方裁判所において破産宣告を受けた(同裁判所平成13年(フ)第6252号破産事件)。平成14年1月22日時点において,破産管財人が把握し回収した同人の資産は不動産,預金等で,その評価額の合計は約1192万円であった。【甲110】(25)大和都市管財に対する民事再生手続大阪地方裁判所は,平成14年4月1日,大和都市管財に対する民事再生手続開始決定を行い(同裁判所平成14年(再)第29号民事再生事件。同事件に係る手続を以下「本件再生手続」という。),同社の管理人は,本件再生手続における同社の管財人(以下「Y19管財人」という。)へとその地位が移行した。Y19管財人が平成14年7月25日現在でまとめた再生会社大和都市管財の非常貸借対照表は別紙5のとおりであり,その資産額が約31億円であるのに対し,資本欠損額は約893億円である。 Y19管財人は,①大和都市管財グループ全体では多数かつ多様な金融商品購入者が混在していること,②大和都市管財からの抵当証券や抵当権付き債権一部譲渡の購入者は,自ら担保不動産の内容を確認選択したわけではなく,殊にモーゲージ証書の場合,購入後に大和都市管財の従業員が機械的な割付作業を行って各購入者ごとの担保物件を決定していたこと,③グループ会社が販売していた「GFPシュアーファンド」「那須グリーンチケット」等の金融商品についても,実際に販売を担当していたのは大和都市管財の従業員であり,購入者の多くも大和都市管財から商品を購入したと認識していたこと,などを踏まえ,その所持する金融商品が債務者とするグループ会社の資力や担保権の有無・内容によって各債権者が大和都市管財以外から受ける弁済ないし配当に格差 市管財から商品を購入したと認識していたこと,などを踏まえ,その所持する金融商品が債務者とするグループ会社の資力や担保権の有無・内容によって各債権者が大和都市管財以外から受ける弁済ないし配当に格差が生じることは法的に是認せざるを得ないとしても,可能な限り債権者間の衡平を図るとともに,大和都市管財グループの資産はできる限り大和都市管財(本体)に集中させた上で同社から一元的に配当を実施することが適当と判断し,具体的な処理方針としては,①抵当証券の担保不動産については,抵当証券保管機構において抵当権の実行及び抵当証券購入者への支払を実施するとともに,グループ会社が運営するゴルフ場は営業譲渡し,それに伴う担保権消滅請求手続による配当等の抵当証券購入者への支払も抵当証券保管機構が行う,②大和都市管財については,弁済原資の拡充を図るとともに,債権者間の衡平が図られるような再生計画を立案し,それに従った弁済の完了後に清算する,③抵当証券購入者は,抵当証券保管機構から,担保物件についての抵当権の実行又は担保権消滅に伴う配当等を原資とした支払を受けるとともに,大和都市管財の再生手続に参加して弁済を受ける,などと定めた。このような方針に基づき,Y19管財人は,平成14年8月1日,一般条項を概要下記のとおりとする再生計画案を本件再生手続において提出し,同計画案はそのころ可決・認可された。 記 ①権利の変更(1)本再生計画認可決定確定時において,一般再生債権のうち,利息,遅延損害金,再生手続参加費用の各請求権については,その権利者から全額免除を受ける。 (2)後記②(1)ア及び同(2)アの債権については,その各再生債権者が後記②(1)ア及び同(2)ア所定の弁済を受けたとき,一般再生債権の残元本につき,その権利者から免除を受ける。 (3) る。 (2)後記②(1)ア及び同(2)アの債権については,その各再生債権者が後記②(1)ア及び同(2)ア所定の弁済を受けたとき,一般再生債権の残元本につき,その権利者から免除を受ける。 (3)後記②(1)イ及び同ウの債権並びに後記②(2)イの債権については,その各再生債権者が後記②(3)により残余財産の換価金につき按分弁済を受けたとき,一般再生債権の残元本につき,その権利者から免除を受ける。ただし,後記②(1)イただし書及び同(2)イただし書に該当する各債権については,その各再生債権者が後記②(1)イただし書及び同(2)イただし書に定める弁済を受けたとき,一般再生債権の残元本につき,その権利者から免除を受ける。 ②弁済の方法(1)再生会社は,一般再生債権につき,本再生計画案認可決定確定の日から1か月以内に,各確定再生債権元本に対する次の割合(以下「弁済率」という。)による金員を,その権利者に対して支払う。ただし,平成14年8月31日が経過するまでに本件各抵当証券に基づく競売(民事再生法に基づく担保権消滅の場合を含む。以下同じ。)が実施されたことにより当該抵当証券により受ける配当額(弁済金の交付を含む。額は,抵当証券保管機構が受ける額とする。以下同じ。)が確定しなかったモーゲージ証書に係る債権を除く。 アモーゲージ証書に係る債権のうち,当該抵当証券に基づく競売により受けることが確定した配当額の当該抵当権の被担保債権の元本額に占める割合(以下「競売配当率」という。)が7パーセント以 上のものにつき弁済率1パーセントイモーゲージ証書に係る債権のうち,競売配当率が7パーセント未満のものにつき弁済率2パーセントただし,競売配当率が6パーセントを超えるときは,8パーセントからその競売配当率を控除した率をもって弁済率と ージ証書に係る債権のうち,競売配当率が7パーセント未満のものにつき弁済率2パーセントただし,競売配当率が6パーセントを超えるときは,8パーセントからその競売配当率を控除した率をもって弁済率とする。 ウ上記以外の一般再生債権につき弁済率2パーセント(2)再生会社は,平成14年8月31日が経過するまでに当該抵当証券に基づく競売により受ける配当額が確定しなかったモーゲージ証書に係る債権につき,当該抵当証券に基づく競売により受ける配当額が確定した日から4か月以内に,次の弁済率による金員を,その権利者に対し支払う。ただし,本再生計画認可決定確定の日から3年を経過した日において,当該抵当証券に基づく競売により受ける配当額が確定しないものについては,本再生計画における弁済との関係では,その日に競売配当率が0パーセントと確定したものとみなす。 アモーゲージ証書に係る債権のうち,競売配当率が7パーセント以上のものにつき弁済率1パーセントイモーゲージ証書に係る債権のうち,競売配当率が7パーセント未満のものにつき弁済率2パーセントただし,競売配当率が6パーセントを超えるときは,8パーセントからその競売配当率を控除した率をもって弁済率とする。 (3)再生会社は,解散後速やかに清算手続を行い,残余財産の換価金を,上記(1)イ及びウ並びに(2)イの各債権(ただし,上記①(3)ただし書により残元本の免除を受けた債権を除く。)につき,その権利者に対し,本再生計画認可決定確定の日から10年以内に,確定再生債権元本額に応じて按分弁済する。ただし,本文に規定する按分弁済率が6パーセントを超える場合を除き,上記(1)イ及び(2)イの各債権については, 8パーセントから競売配当率及び上記(1)又は(2)による弁済率を控除した率をもって限度と 文に規定する按分弁済率が6パーセントを超える場合を除き,上記(1)イ及び(2)イの各債権については, 8パーセントから競売配当率及び上記(1)又は(2)による弁済率を控除した率をもって限度とする。 【甲62,63】(26)担保物件の処分価格等抵当証券の担保物件は,抵当証券保管機構の申立てによる不動産競売等によって売却された。各物件ごとの処分価格等は別表3のとおりである。【甲111,262ないし264,弁論の全趣旨】(27)本件再生手続における配当結果本件再生手続においては,最終的に同社に対する一般再生債権者数は約1万1900名,確定一般再生債権総額は約918億9800万円となった。 これに対し,債権者に対する配当原資はおおむね次のとおりであり,その合計は約59億3400万円にとどまった。 不動産処分代金19億7200万円グループ会社からの配当金24億4900万円Y1ほか個人破産事件等からの配当金等1億9000万円抵当証券保管機構からの交付金1億4100万円その他11億8200万円Y19管財人は,平成18年7月19日,上記手続において一般再生債権に対する最終弁済を行い,モーゲージ証書に係る債権のうち競売配当率が7パーセント未満のもの及びモーゲージ証書に係る債権以外の一般再生債権に対し,各債権額の2.856パーセントの配当をした。よって,同管財人による一般再生債権者に対する最終的な弁済率は,上記最終弁済を受領した者について4.856パーセント,その他の者については1パーセントであった。【甲63,265】 大和都市管財事件管財人グループによる資産状況に係る報告Y19管財人及びグループ会社の管財人らは,平成14年8月,本件再生手 続の第1回債権者集会において,同社に対する債権者に報告書を提出した。そのうち, 事件管財人グループによる資産状況に係る報告Y19管財人及びグループ会社の管財人らは,平成14年8月,本件再生手 続の第1回債権者集会において,同社に対する債権者に報告書を提出した。そのうち,第2章「管理命令の発令」第6節「資産状況の解明」と題する部分の概要は下記のとおりである。【甲63,弁論の全趣旨】記①不明朗な会計処理大和都市管財グループは,金融商品購入者に対する利払を怠ることはなく,利払に関する限り完璧なまでに処理がされていたが(そのため,大和都市管財に対する会社整理開始決定は,債権者にとっては正に寝耳に水であった。),それ以外の経理処理はずさん極まりないものであった。 大和都市管財グループ内部における貸借は多数存在しているが,金融商品と無関係な融資については,資金移動はされているものの,取締役会議事録はおろか,金銭消費貸借契約書すら作成されておらず,貸借関係のある会社間で帳簿の突き合わせを行っても数字が合わない状態であった。また,大和都市管財グループは,多くのグループ会社を用いて,会社によって決算時期をずらせるなどして,複雑かつ不明朗な会計処理を行っていた。 ②資料の解析このような不明朗な経理処理を解明するため,監査法人のスタッフ,近畿財務局からの職員の全面的な協力を得ることにより資料の解析作業を進め,200を超える預貯金口座のすべてについて一つ一つ突き合わせを行うといった地道な作業の積み重ねによって,約10か月のうちに使途不明金が約30億円となるところまで資金の流れを解明することができた。 ③関係人からの事情聴取Y1を始めとする大和都市管財グループの中枢を担っていた人物は,当初から調査に非協力的であり,資料によって解明された事実以外は説明しなかったため,これらの者からの事情聴取によって得られた新たな有力情報は 始めとする大和都市管財グループの中枢を担っていた人物は,当初から調査に非協力的であり,資料によって解明された事実以外は説明しなかったため,これらの者からの事情聴取によって得られた新たな有力情報はほとんどなかった。 ④不動産鑑定不動産鑑定は平成13年11月には完了したが,これにより,大和都市管財グループが保有していた不動産の価格は,設定された抵当権の被担保債権額を軒並み大幅に下回り,しかも,物件によってその評価額が被担保債権額を下回る割合に大幅な差異が生じることが判明した。 刑事判決の認定(1)Y2に対する刑事判決Y1の長男であるY2は,昭和63年1月以降,ナイスミドル,ベストライフ通商,ナイス函館,北海道泊別観光,リステム化学研究所,美祢カントリークラブ等の代表取締役に順次就任していたが,Y1,Y8,Y16らと共に,大和都市管財の信用状態を偽って顧客に抵当証券等の金融商品を販売したとして詐欺罪で起訴され,平成14年12月16日,大阪地方裁判所において懲役2年4月の実刑判決を受けた(同人らに係る詐欺被告事件を,以下「本件刑事事件」という。)。同裁判所は,上記判決の中で,概要以下のとおり認定した。 ①大和都市管財の前身である大和都市抵当証券株式会社には元手となる資金が乏しかったことから,Y1は,かねて新都市計画株式会社の債権者であった大二産業株式会社の経営者に依頼し,同社に対して大和都市抵当証券株式会社が融資を行った形を装うとともに,更に別の知人に依頼し,同人が所有する不動産に抵当権を設定してもらうことにより,昭和60年4月15日,奈良地方法務局生駒出張所において,同不動産に係る2億2440万円の抵当証券の交付を受けてその抵当証券の販売を開始した。このように,Y1が行った抵当証券商法は,その開始時点において,抵当証券 15日,奈良地方法務局生駒出張所において,同不動産に係る2億2440万円の抵当証券の交付を受けてその抵当証券の販売を開始した。このように,Y1が行った抵当証券商法は,その開始時点において,抵当証券の交付を受ける基礎となる融資が仮装のものであり,実際には債務者からの受取利息が生じないものであった。 ②このような抵当証券商法は,昭和62年7月に同社の商号が大和都市管 財に変更された後も変わらず,Y1は,自己が経営していた会社所有の物件等について抵当証券の交付を受けることとし,せいぜい親子会社間における名目的な資金移動にすぎず,受取利息等の収益を上げるに足りる融資の実体がないにもかかわらず,専ら抵当証券の交付を受けてこれを販売する目的で,債権者を大和都市管財,債務者をそのグループ会社とする融資の外形を整え,付加価値を見込むなどして高額の鑑定評価を得て抵当証券の交付を受け,これを継続的に顧客に販売した。このため,抵当証券販売主体である大和都市管財において,抵当証券顧客に対する利払資金等の原資となるべき受取利息収入が現実に発生しないまま,抵当証券販売残高が増大し,これに伴って利払負担も拡大していった。 ③Y1は,平成7年1月,ナイスミドル名義で,美祢カントリークラブを約27億円で買収し,美祢ゴルフ場について,積算価格を基調とする不動産鑑定評価を得て,同年3月,大和都市管財の美祢カントリークラブに対する融資を仮装して,取得価格を超える110億円の抵当証券の交付を受けてその販売を開始した。 ④大和都市管財は,近畿財務局から担保の十分性に関する疑義を示されるなどして,不動産取得価格を上回る高額な抵当証券の交付を受けることも困難となり,かつ,抵当権の設定対象にする不動産を取得する資金的余裕もなくなったこともあって,平成8年11月に東京味わい を示されるなどして,不動産取得価格を上回る高額な抵当証券の交付を受けることも困難となり,かつ,抵当権の設定対象にする不動産を取得する資金的余裕もなくなったこともあって,平成8年11月に東京味わいビル敷地について7億8000万円の抵当証券の交付を受けたのを最後に抵当証券の交付を受けられなくなった。そこで,同社は,グループ会社が所有し,既に抵当証券の交付を受けていた不動産等を利用して,抵当証券のように法務局の審査がない方法で金融商品を作り出すことを考え,これらの不動産を担保とする大和都市管財からグループ会社への融資の外形を整え,大和都市管財がグループ会社に対して有する抵当権付き債権を,大和都市管財の保証を付けて,顧客に対して一部譲渡するという仕組みの抵当権付き債権一 部譲渡と称する金融商品を考案し,平成9年12月ころからその販売を開始した。しかし,その融資は仮装であって融資金の現実的運用を伴うものではなく,顧客から受け入れた資金の多くを既存の顧客に対する利払や販売管理費その他の経費等の支払に充当している状況にあった。 ⑤この結果,大和都市管財グループ全11社の連結ベースでの財政状態は,有形固定資産等を簿価で評価しても,平成10年度で約263億円,平成11年度で約305億円の債務超過の状態であった。また,平成10年度末には,大和都市管財グループの現金預金残高が年間の利払額を下回る状況に陥っていた。 ⑥Y2は,「DTK抵当証券」の販売と称し,大和都市管財が買戻し特約付きで販売する抵当証券の共有持分権の買付代金名下に金員を詐取しようと企て,Y1らと共謀の上,平成11年11月25日ころから平成12年3月28日ころまでの間,前後82回にわたり,68名の顧客に対し,真実は,大和都市管財グループはかねてより経営が悪化して顧客から金融商品の Y1らと共謀の上,平成11年11月25日ころから平成12年3月28日ころまでの間,前後82回にわたり,68名の顧客に対し,真実は,大和都市管財グループはかねてより経営が悪化して顧客から金融商品の代金等として受け入れた資金の多くを大和都市管財グループの経費等の支払に充当しており,顧客から新たな資金の受入れが得られないときは直ちに資金繰りができなくなって破綻を余儀なくされる状況にあった上,前記買付代金名下に受け入れた金員についても,その多くを大和都市管財グループの経費等に充てるつもりであって,約定どおりの利息の支払及び買戻しに応じられる目処がないにもかかわらず,このような情を秘匿し,「DTK抵当証券は,大和都市管財が約定どおりの元利金を保証する,有利な安全・確実・高利回りの金融商品です。大和都市管財は,顧客から預かったお金を優良な企業等に融資して利益を上げています。」などと虚構の事実を申し向け,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同人らから合計4億4469万8525円を詐取した。 【甲3】 (2)Y1に対する刑事判決Y1は,本件刑事事件において,大和都市管財には,原油輸入の貿易事業や奈良市a町の霊園事業など,巨額の収益を上げる計画があり,顧客らに対する利払・償還の見込みはあったとして,公判において無罪を主張した。しかし,大阪地方裁判所は,平成16年3月25日,上記計画には具体性がなく,監督官庁に繰り返し提出された経営健全化計画にもかかわらず何ら経営状態が改善されていなかったことなどに照らしてY1の主張を排斥し,(1)とほぼ同様の認定の下に(ただし,抵当証券に係る詐取金額は,平成11年11月25日ころから平成13年4月上旬ころまでの前後406回にわたる207名に対する総額18億0509万8370円と認定された。)懲役12年の有 下に(ただし,抵当証券に係る詐取金額は,平成11年11月25日ころから平成13年4月上旬ころまでの前後406回にわたる207名に対する総額18億0509万8370円と認定された。)懲役12年の有罪判決をしたため,Y1は大阪高等裁判所に控訴した。大阪高等裁判所も,大和都市管財は平成11年3月末日の時点において単体でもグループ全体としても支払不能の状態にあり,かつ,Y1は大和都市管財グループ全体の実質的経営者としてそのことを熟知していたのであるから,同人が,前記時点以降もY8らと共謀の上,情を知らない営業担当者らに指示して,大和都市管財グループに約定の利息を支払う能力がなく,また,大和都市管財に約定期日に抵当証券を買い戻す能力がないのに,これらがあるように装い,顧客らをしてそのように誤信させ,抵当証券を買い取らせたことは詐欺に当たるなどとして,平成17年1月29日,Y1の控訴を棄却する判決をした。 【甲106,186】 その他本件の経緯に関するその余の事実,及びこれらに対応する当事者双方の主張の要旨は,別表4のとおりである。 第3争点に関する当事者の主張 争点 本件における主要な争点は,以下のとおりである。 (1)争点1原告らは,近畿財務局長の大和都市管財に対する本件更新登録について国賠法上の違法をおよそ問い得るか。問い得るとする場合,その判断基準は何か。 (2)争点2本件更新登録時において,大和都市管財は更新登録拒否事由である財産的基礎の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。 (3)争点3本件更新登録時において,大和都市管財は更新登録拒否事由である人的構成の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。 (4)争点4本件申請書等の重要事項に虚偽記載(抵当証券業規制法6条1項柱 録時において,大和都市管財は更新登録拒否事由である人的構成の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。 (4)争点4本件申請書等の重要事項に虚偽記載(抵当証券業規制法6条1項柱書)があったか。 (5)争点5本件更新登録時において,近畿財務局長は大和都市管財に更新登録拒否事由があるとしてこれを拒否すべき職務上の注意義務を原告らに負っていたか。 (6)争点6近畿財務局長には本件更新登録を行うについて故意又は過失があったか。 (7)争点7遅くとも平成9年12月までに近畿財務局長が大和都市管財に対して業務停止命令又は登録抹消を行わなかったことは国賠法上違法か。 (8)争点8近畿財務局長は平成7年8月21日に大和都市管財への平成7年業務改善命令を違法に撤回することで原告らに損害を与えたか。 (9)争点9近畿財務局長による違法行為によって原告らはいかなる損害を被ったか。 争点1(原告らは,近畿財務局長の大和都市管財に対する本件更新登録について国賠法上の違法をおよそ問い得るか。問い得るとする場合,その判断基準は何か。)(原告ら)(1)概要裁判例から抽出した国賠法上の違法性が認められるための4要素(①立法が保護しようとする法益が侵害される危険の存在,②行政庁の予見可能性,③行政庁の権限行使による回避可能性,④行政庁の権限行使以外に結果回避手段を持たないという意味での補充性)に照らせば,近畿財務局長が大和都市管財の平成9年における更新登録申請を拒否しなかったことは違法である(相関関係説)。また,抵当証券業規制法の立法趣旨には個別の抵当証券購入者の利益保護が含まれる(1条参照)こと等にかんがみれば,抵当証券業者に対しては銀行に対する監督に準じた監督が必要であるから,近畿財務局長には個別の国民に対し 規制法の立法趣旨には個別の抵当証券購入者の利益保護が含まれる(1条参照)こと等にかんがみれば,抵当証券業者に対しては銀行に対する監督に準じた監督が必要であるから,近畿財務局長には個別の国民に対しても規制権限の違法な不行使を行わないようにすべき職務上の注意義務があり,これに違反した場合,被告は国賠法1条1項に基づく責任を負う。以下詳述する。 (2)総論国賠法の要件の解釈は,憲法の趣旨や国家賠償制度の歴史的意義を踏まえたものでなければならない。国賠法1条1項は,国が賠償責任を負う要件として,その公務員の故意又は過失による違法行為の存在を挙げている。ここにいう違法とは,個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背することであり,権利又は法益を侵害された当該個別国民に対する関係において,その損害につき国に賠償責任を負わせるのが妥当か否かという観点から,①公権力の行使の根拠となる行為規範たる法条の立法趣旨,及び②侵害行為の態様・程度・原因,被侵害利益の種類・性質・程度その他の事情の総合によって違法の有無が判断されるべきである。 これを本件についていえば,財務局長等は,(更新)登録申請者が抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人に該当するとき,又は(更新)登録申請書等のうちに重要な事項について虚偽の記載があるときなど所定の場合には,(更新)登録を拒否すべき抵当証券業規制法上の作為義務を負い,(更新)登録を拒否しない場合(すなわち,このような所定のときに該当しない場合)には,(更新)登録をしなければならない。これは,財務局長等の義務である以前に,報告若しくは資料の徴収又は立入検査若しくは質問,そして,業務改善命令,業務停止命令,登録取消し・抹消等の抵当証券業者に対する監督と並んで,財務局長等に委任された は,財務局長等の義務である以前に,報告若しくは資料の徴収又は立入検査若しくは質問,そして,業務改善命令,業務停止命令,登録取消し・抹消等の抵当証券業者に対する監督と並んで,財務局長等に委任された,抵当証券業規制法による権限である(同法5条,6条1項,8条2項,45条,法施行令6条)。そして,同法の目的(1条)にかんがみれば,同法による権限とは,抵当証券購入者の保護を図るための,抵当証券業者の事業に対する必要な規制についてのものである。そうすると,本件において,抵当証券購入者である原告らとの関係で違法の評価を受ける契機は,近畿財務局長の規制権限不行使の点にある。 ところで,具体的な事例において公務員が職務上の法的義務に違反して規制権限を行使しなかったことが国賠法上も違法となる要件は,判例上,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときとされているが,これは,具体的には,職務上の法的義務の根拠法令が,専ら公益や,国家賠償を請求する者が主張する利益と全く異なる利益を目的とするものではないことを前提に,①立法が保護しようとする法益が侵害される危険の存在,②行政庁の予見可能性,③行政庁の権限行使による回避可能性,及び④行政庁の権限行使以外に結果回避手段がないという補充性が認められる場合である(最高裁平成元年(オ)第1260号平成7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁ほか 参照)。そして,(3)及び(4)で詳述するように,本件更新登録の根拠法令である抵当証券業規制法の趣旨は,抵当証券購入者の保護にある。 よって,近畿財務局長による本件更新登録が原告らに対する関係で国賠法上も違法となるのは,①抵当証券業規制 ように,本件更新登録の根拠法令である抵当証券業規制法の趣旨は,抵当証券購入者の保護にある。 よって,近畿財務局長による本件更新登録が原告らに対する関係で国賠法上も違法となるのは,①抵当証券業規制法の保護法益への顕著な侵害として多額の抵当証券につき償還不能が発生する危険性,②大和都市管財の破綻についての予見可能性及び③平成9年12月に近畿財務局長が大和都市管財の更新登録を拒否することによって①の危険性が容易に阻止できる可能性がそれぞれ存在し,かつ,④原告らが大和都市管財の財務状況やモーゲージ証書取引の危険性について事前に知り得ず,近畿財務局長の権限行使がないまま民事裁判その他の手段によったのでは危険を十分に防止することができない場合であり,争点2以下で主張するとおり,本件では上記いずれの要件も優に満たされていた。 これに対し,被告は,原告らが主張するような4要件は法令に定められておらず,こうした要件を問題にすることは公務員の職務上の法的義務の内容を不明確にするし,上記4要件が前提とするいわゆる裁量権収縮論は最高裁判所の採用するものではないなどと主張する。しかしながら,本件更新登録(又はこれを拒否しなかったこと)は,それだけで抵当証券業規制法違反の行為であり,近畿財務局長の職務上の法的義務違背であるが,これにとどまらず,上記4要件が存在することによって,近畿財務局長は原告らに対して負う職務上の法的義務に違背することにもなり,国賠法1条1項所定の違法の評価を受けると解すべきであるし,行政庁の規制権限の不行使を違法とした判例は,具体的事情の考慮により,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは国賠法の違法を肯定するところ,そこで検討されている具体的事情は,上記4要件に収れんされるか,少なくともこれらと 考慮により,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは国賠法の違法を肯定するところ,そこで検討されている具体的事情は,上記4要件に収れんされるか,少なくともこれらと大差ないものであるから,被告の上記主張は失当である。 また,本件更新登録を作為と構成したとしても,前記のとおり,抵当証券 業規制法が抵当証券購入者の保護を直接その目的としていることからすれば,本件更新登録が著しく合理性を欠く場合には国賠法1条1項の適用上違法となるが,ここにいう「著しく合理性を欠く場合」とは,規制権限不行使が個々の国民に対する関係でも違法となるための上記4要件が満たされた場合に等しい。よって,本件更新登録を作為と考えるにせよ,不作為と考えるにせよ,それが著しく合理性を欠いていたことは明らかというべきである。 (3)抵当証券業規制法の趣旨及び保護法益抵当証券業規制法は,抵当証券業者によるカラ売り(抵当証券原券の発行さえない場合のほか,抵当証券の発行こそしているが融資が架空である場合,融資も抵当証券の発行もあるが債務や抵当権が消滅した後も抵当証券原券の有効な存在を仮装している場合がある。)や二重売り,自己融資及びこれらの帰結としての当該業者の経済的破綻により,大量かつ多額の消費者被害が発生したことを受けて,抵当証券購入者等の利益保護のために制定されたものであり(1条),上記利益は一般的抽象的な公益ではなく,当該抵当証券業者からの不特定多数の抵当証券購入者の個別利益の集積とみるべきものである。また,同法は,適正かつ誠実に抵当証券業を営もうとする者に対しては営業の自由をできるかぎり尊重し,必要最小限の開業規制として登録制を採用しつつ,悪質業者に対しては,適切な行為規制と不正な行為に対する行政当局の速やかな対応によって対処し,購入 うとする者に対しては営業の自由をできるかぎり尊重し,必要最小限の開業規制として登録制を採用しつつ,悪質業者に対しては,適切な行為規制と不正な行為に対する行政当局の速やかな対応によって対処し,購入者保護を図ることを立法趣旨としている。そして,抵当証券法が抵当証券原券の裏書・交付のない譲渡の効力を否定しているにもかかわらず,抵当証券業規制法がこれに触れることなく預かり証(モーゲージ証書)形式による販売商法(ペーパー商法)を容認した結果,構造的に譲渡の実体を伴っておらず,抵当証券原券の内容を表章せず,担保不動産の価値も債務者の信用状況も事実上全く開示されないままでの抵当証券取引が広く行われることになったのであるから,抵当証券会社の信用性は購入者の保護にとって最も重要な要素となったのであって,監督 官庁は,同法によって与えられた規制・監督権限を厳格に行使すべき義務が生じていたものというべきである。 これに対し,被告は,抵当証券業規制法が規定する登録制度や更新登録拒否制度は,抵当証券購入者保護に資するものではあるが,それを超え,登録又は更新登録を受けた抵当証券業者の信頼性を一般的に保証し,ひいては当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止,救済を直接の目的としているわけではないから,更新登録が同法所定の基準に適合しない場合であっても,当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国賠法1条1項にいう違法の問題は生じない旨主張する。 しかしながら,公務員の規制権限を定めた行政法規が,規制対象となる業者の信頼性を一般的に保証し,ひいては,当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止,救済を直接的な目的とすることなど字義通りにはあり得ないはずであるのに,規制権限の不行使の違法が争点となった に保証し,ひいては,当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止,救済を直接的な目的とすることなど字義通りにはあり得ないはずであるのに,規制権限の不行使の違法が争点となった多くの裁判例は,それぞれ具体的事情を考慮して国賠法1条1項の違法,過失の有無を判断しているから,被告の上記主張は失当である。 そして,抵当証券取引においては情報開示が不十分であり,監督官庁による監督が抵当証券購入者の利益保護のため重要であること,抵当証券が間接金融的機能を有していること等に照らせば,抵当証券業規制法が規定する抵当証券業者への監督行政,更新登録行政は抵当証券購入者の命運を制するほどの影響力があるから,その行使が個別国民とは無関係であるとすることは,現行憲法下の国家賠償の制度趣旨に反する。また,元来,金融業者間における流通を予定していた抵当証券法下において,抵当証券を小口化・細分化するモーゲージ証書形式による抵当証券業者の消費者向け営業は,抵当証券業規制法による登録を経ることで初めて出資法に反しなくなるのであるから,被告のように抵当証券業者の営業の自由を所与の前提にして抵当証券業規制法を解釈するのは誤りである。 これに対し,被告は,抵当証券業規制法は,抵当証券原券につき,証券の番号や登記所の表示,債権の元本と弁済期を開示すること,抵当証券業者の財務状況記載書面を閲覧させることを各業者に義務付けているから,情報開示はされている旨主張する。しかしながら,抵当証券原券や抵当証券業者の財務状況に係る情報開示はモーゲージ証書の購入後に行われても意味がない上,債務者名や物件の固有の土地の地番等は開示されず,財務状況の閲覧についても制裁や監視はないため,同法による情報開示義務は骨抜きにされたものでしかないから,被告の主張は失当である。 ( 意味がない上,債務者名や物件の固有の土地の地番等は開示されず,財務状況の閲覧についても制裁や監視はないため,同法による情報開示義務は骨抜きにされたものでしかないから,被告の主張は失当である。 (4)宅建業法との比較上述のとおり,抵当証券業規制法の規制の対象は抵当証券業者であるが,その目的は個々の抵当証券購入者の保護にある。この点は,同法と宅建業法を比較することで一層明らかになる。 すなわち,第1に,抵当証券業規制法は,その成立時における国会質疑でも明らかなとおり,これまでの抵当証券業者の破綻を契機に,一挙に,突然,多数かつ多額の被害者が生じたという事実を受け,このような被害を防止し,直接に抵当証券購入者を保護する趣旨で立法された。同法の目的は,1条において,業務の適正な運用を確保するのは抵当証券購入者の保護を図るためである旨宣明されており,現実にもモーゲージ証書が購入者から転売されることはない(取引約款上処分できないことになっている上,そのための市場も存在しない。)から,その保護対象は抵当証券の流通促進などではあり得ず,個々の購入者の権利(モーゲージ証書の経済的価値)の集合そのものである。これに対し,宅建業法は不動産の流通促進を図る業界の主導で作られた法律であって,宅建業者は不動産の売買と仲介を業とし,取引関係者の被害は不動産売買などの個別取引の相手方のみに生じる。宅建業法は,1条で,同法は,宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営と宅地及び建物の取 引の公正とを確保するとともに,宅地建物取引業の健全な発達を促進し,もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする,としている。よって,同法は,登記に公信力がないことを前提に, 確保するとともに,宅地建物取引業の健全な発達を促進し,もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする,としている。よって,同法は,登記に公信力がないことを前提に,内容が不明確のまま契約が締結されることを避け,法律行為の無効や取消の主張などを防止することによって,宅地建物の円滑な流通を図ることを規制の直接の目的とし(最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁(以下「最高裁平成元年判決」という。)はこのことを強調する。),もって抵当証券購入者等の利益の保護を図るとしているのであるから,購入者の保護は反射的な利益であることが明示されている。 この点,被告は,抵当証券業規制法の目的を,参入規制により,抵当証券業者の業務の適正な運営を確保し,それを通じて抵当証券購入者一般を保護するという点にある旨主張する。しかし,宅建業法においては,宅地建物業者の業務の適正な運営の確保は,宅地建物の円滑な流通実現のための手段であるのに対し,被告による抵当証券業規制法の解釈では,抵当証券業者の業務の適正な運営の確保自体が行政の規制の自己目的となってしまい,妥当ではない。 第2に,抵当証券業規制法23条は,業務改善命令の要件として,抵当証券購入者の利益を害する事実があると認めるときを挙げ,登録の要件として,法人であること及び資本金額の下限を定め,さらに,一般的な前科のほか出資法関係の前科に関しては特別に罰金刑についても登録拒否事由にするばかりでなく,抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない場合を拒否事由とする一般的要件まで定めているのに対し,宅建業法における免許基準は,過去に宅建業法に違反して免許取消しがされたことなどのほか,暴力団員を排除し,また, 産的基礎及び人的構成を有しない場合を拒否事由とする一般的要件まで定めているのに対し,宅建業法における免許基準は,過去に宅建業法に違反して免許取消しがされたことなどのほか,暴力団員を排除し,また,免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者,宅地建物取引業に関し不正 又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者等を除外するのみであって,抵当証券業における規制の方が一般的かつ包括的といえ,それだけ抵当証券購入者の保護を意識しているものというべきである。 これに対し,被告は,抵当証券業規制法における登録制と宅建業法における免許制の違いを主張するが,上記のとおり,両法における開業規制の強度を具体的に検討すると登録制が免許制より緩やかとはいえず,国会審議においても,大蔵省の担当者は,登録制下でも不適当な抵当証券業者の行為については抵当証券業規制法により十分な規制を行っている旨の答弁をしていたのであるから,被告の主張は失当である。 第3に,抵当証券業規制法がモーゲージ証書による抵当証券業を認めたことにより,特約付き融資の債権者と債務者とが分離され,抵当証券の信用問題は抵当証券業者の信用問題に転化している。また,抵当証券購入者への利払や元本の償還は,正に抵当証券業者の財務及び債権管理能力に依存している。これらのことから,抵当証券購入者の権利の内容は,抵当証券業者の行う貸付けに関する審査能力や抵当物件の価値を判断する能力等に依存している。これに対し,宅建業法では,問題は取引対象物たる不動産の所有権に関連するものであり,当該不動産業者からの取引関係者の権利全体が一律に問題となることはない。 第4に,抵当証券業規制法は,抵当証券購入者を保護するための規定を置いていない。これに対し,宅建業法は,免許の基準(5条)において宅建 産業者からの取引関係者の権利全体が一律に問題となることはない。 第4に,抵当証券業規制法は,抵当証券購入者を保護するための規定を置いていない。これに対し,宅建業法は,免許の基準(5条)において宅建業者の資力そのものに関連する事項は要件としていないなど,業者の財産的基盤の欠如等に関する直接の規定はなく,営業保証金及び弁済業務補償金の供託や手付金等保証事業などに関するシステムをおくことで,取引者を保護している。これは,前記のとおり,宅建業法により保護されるべきは,不動産取引の取引者の保護という一律のものではなく,当該宅建業者から,それぞれ別個の不動産に関して,それぞれ異なる法律関係に入る者につき,当該個 々の取引関係が保護されれば足りるからである。 第5に,抵当証券業者が破綻した場合,抵当証券購入者は一律に大幅な権利侵害を受けるのであり,抵当証券購入者の権利の内容は,本件でいえば,近畿財務局が,大和都市管財の財産的基礎と融資審査能力を十分に審査し,行政上の措置を執るか否かにより決まる。すなわち,いったん抵当証券業者と取引関係に入った者は,償還期までの長期間,自らは何らの行動もし得ず,近畿財務局の行政的取り締まりによりその権利内容が決まる。これに対し,宅建業法は,基本的には,不動産業の不適格者を排除して,将来の被害を防止するとの意味しかない。 このように,抵当証券業規制法は,抵当証券購入者の多数・多額の被害を防止するために,抵当証券購入者等の利益の保護を直接の目的として制定されているというべきである。また,そもそも,最高裁平成元年判決は,宅建業者と取引をした個別国民が損害賠償請求を行ったことに対する個別判断であって,本件のように,抵当証券業者の存立自体で集団的に生じた被害を救済するか否かの問題とは質的にも異なるものである。したがって, 業者と取引をした個別国民が損害賠償請求を行ったことに対する個別判断であって,本件のように,抵当証券業者の存立自体で集団的に生じた被害を救済するか否かの問題とは質的にも異なるものである。したがって,最高裁平成元年判決の趣旨は本件には妥当しない。 (被告)(1)概要公権力の行使に当たる公務員の行為が国賠法1条1項の適用上違法と評価されるためには,その公務員が,損害賠償を求めている当該国民に対する関係で個別具体的な職務上の法的義務を負担し,かつ,当該行為が上記義務に違反してされた場合でなければならず,その法的義務の発生根拠となるべき保護利益は,その法規によって保護が予定されているものでなければならない(職務行為基準説)。そして,抵当証券業規制法の立法経緯,宅建業法及び最高裁平成元年判決との比較,銀行法との比較(免許制か登録制か,監督官庁の検査権限の相違等)等からみて,抵当証券業規制法が規定する更新登 録制度は,抵当証券業者の個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止,救済を直接の目的とするものではないから,更新登録が同法所定の基準に適合しない場合であっても,当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国賠法1条1項にいう違法な行為に当たるものではない。そして,本件においても,近畿財務局長は,本件更新登録時において,個々の国民に対して抵当証券業規制法に基づき抵当証券業者に対する違法な更新登録を行わない法的義務を負っていたとはいえない。以下詳述する。 (2)総論国賠法1条1項は,公権力の行使を前提として,その違法を要件とするものであるところ,同項にいう違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が,個別の国民に対して負担する職務上の注意義務に違反して当該行為を行うことである(最高裁昭和53年(オ)第1240号昭和6 あるところ,同項にいう違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が,個別の国民に対して負担する職務上の注意義務に違反して当該行為を行うことである(最高裁昭和53年(オ)第1240号昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁参照)。よって,同項の違法の要件を満たすかどうかは,このような行為規範としての法的義務の内容を特定した上,その義務違反の有無について判断されなければならない。 すなわち,公権力の行使に当たる公務員の行為が国賠法1条1項の適用上違法と評価されるためには,その公務員が,損害賠償を求めている当該国民に対する関係で個別具体的な職務上の法的義務を負担し,かつ,当該行為が上記義務に違反してされた場合でなければならず,その法的義務の発生根拠となるべき保護利益は,当該法規によって保護が予定されているものでなければならない(最高裁平成元年(オ)第931号平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁,同平成7年(行ツ)第116号平成11年1月21日第一小法廷判決・裁判集民事191号127頁参照)。したがって,公務員の規制権限を定める行政法規が単なる内部的な職務上の義務を定めているなど,直接個別の国民の権利・利益の保護を目的としていな い場合には,その規制権限を有する公務員が個別の国民との関係で権限行使の義務を負うことはなく,その法規に基づく行政権限等の行使・不行使が違法となる余地はない(最高裁平成元年(オ)第825号平成2年2月20日第三小法廷判決・判例時報1380号94頁参照)。 そして,ある行為をする公務員が,個別の国民に対して,いかなる職務上の法的義務を負担しているのか,あるいは職務上の義務が個別の国民に対する関係で職務上の法的義務となるかどうかの判断は,その基礎となる法律の制度 行為をする公務員が,個別の国民に対して,いかなる職務上の法的義務を負担しているのか,あるいは職務上の義務が個別の国民に対する関係で職務上の法的義務となるかどうかの判断は,その基礎となる法律の制度趣旨,目的を検討した上でされるべきものである(最高裁平成元年判決参照)。そうすると,同項の違法が認められるためには,当該公務員に与えられた規制権限を定めた法規の趣旨・目的を検討し,同規制権限の目的が個別の国民の利益を保護する趣旨であることが確定された上で,当該規制権限の行使又は不行使の時点において,当該法規によって課せられた当該個別の国民に対する職務上の法的義務に違背して当該行為が行われたことを要するというべきである。 これに対し,原告らは,本件は近畿財務局長の規制権限の不行使に当たるとして,その違法性の判断基準につき,①危険の存在,②予見可能性,③回避可能性,④補充性といった要件を定立し,本件ではこれらを満たしているとして,近畿財務局長には更新登録を拒否すべき義務があったとも主張する。しかし,更新登録は作為であるから規制権限の不行使とは別の問題である上,上記のような見解は,法令に定められていない要件を行政処分の要件とするものであり,公務員の職務上の法的義務の内容を不明確にするものであって,採り得ない。また,原告らの挙げる4要件は,行政庁の規制権限不行使の違法に関するいわゆる裁量権収縮論の要件とされていたものであるが,裁量権収縮論は最高裁判所の採用するところではない(最高裁平成元年(オ)第1260号平成7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁参照)。 (3)抵当証券業規制法の趣旨及び保護法益抵当証券業は,元来,何らの規制もなく自由に行われていたが,悪質業者による抵当証券の裏付けのないカラ売りや二重売り等の被害が 号1600頁参照)。 (3)抵当証券業規制法の趣旨及び保護法益抵当証券業は,元来,何らの規制もなく自由に行われていたが,悪質業者による抵当証券の裏付けのないカラ売りや二重売り等の被害が発生し,昭和61年秋以降,抵当証券業者が詐欺罪等で検挙される事態が生じたため,悪質業者の参入を防止するとともに,業として行われる抵当証券取引の改善を図り,抵当証券購入者の保護の実効を期するべく抵当証券業規制法が成立し,昭和63年11月に施行された。 抵当証券業規制法は,登録制を採用し(3条),一定の事由がある業者についてのみ登録を拒否して抵当証券業への参入を排除し,それ以外の者については登録を行うことを条件に参入を自由に認めることとしている。これは,元来何らの開業規制もなかった抵当証券業について,営業の自由をできる限り尊重しつつ,必要最小限の開業規制を設けて抵当証券の購入者一般の保護を図る趣旨で定められたものであり,原告らが主張するように,抵当証券法の裏書交付や開示による取引安全システムを後退させる代償として採用されたものではない。 また,抵当証券は,抵当証券法に基づき発行される債権と抵当権とを表章した有価証券であり,その取引においては,一般的に抵当証券業者が1通の抵当証券の権利を分割して小口化し,購入者に対しては抵当証券の代わりにモーゲージ証書を交付することによって,多数の購入者にその共有持分権を販売するという方法が採られており,抵当証券業者は,抵当証券法上の制度としては債務者の元利金支払の代行及び購入者に対する裏書人としての償還義務を負っているにすぎないが,そのビジネスモデルの上では購入者に対して元利金の支払を保証しており,直接金融と間接金融の中間領域に位置する金融取引であるといえる。しかしながら,担保物件の価値が低下すれば,担保物件 にすぎないが,そのビジネスモデルの上では購入者に対して元利金の支払を保証しており,直接金融と間接金融の中間領域に位置する金融取引であるといえる。しかしながら,担保物件の価値が低下すれば,担保物件の競売代金によって返済される金額は減少することになるし,元利金の支払を保証している抵当証券業者からの返済についても,その経営状態や 財務状況に左右されるから,抵当証券は,特約付き融資先の返済能力に係るリスク,抵当権の目的たる不動産等の価値の下落に係るリスク,一般にモーゲージ証書の買戻しを約定し,元利金の返済を保証している抵当証券業者の支払能力に係るリスクを有し,預金保険法のようなセーフティネットも存在しない商品である一方,一般に,元本保証された安全なものとの国民的なコンセンサスがある銀行預金と比較して高めの金利が設定されている。抵当証券業規制法は,このような抵当証券の商品としての性格を前提に規制を行っているのであって,抵当証券に係るリスクをなくし,抵当証券購入者が必ず元利金の全額の支払を受けることができるような規制を行うことまで予定しているものでもない。 さらに,抵当証券業規制法は,抵当証券業者が登録後も適正な業務運営を行っていることを確認し,抵当証券購入者保護の実効を期するとの観点から,行政当局の報告徴求及び立入検査,業務改善命令,登録の取消し及び業務停止命令といった監督処分権限の規定も設けている。しかし,これらの権限も,免許制が採用されている銀行等に対する規制権限と比較して,限定的なものとなっている。すなわち,抵当証券業規制法においては,報告徴求権限及び立入検査権限は,子会社等に対するものも認める銀行法と異なり,抵当証券業者それ自体に対するものしか認められていない(22条1項)。また,業務改善命令,業務停止命令等についても,比較的広 徴求権限及び立入検査権限は,子会社等に対するものも認める銀行法と異なり,抵当証券業者それ自体に対するものしか認められていない(22条1項)。また,業務改善命令,業務停止命令等についても,比較的広範な要件裁量を認める銀行法と異なり,業務改善命令を発出し得るのは抵当証券購入者の利益を害する事実があると認めるときに,業務停止命令を発出し得るのは24条1項各号の事由に該当するときにそれぞれ限られている(23条,24条)。 抵当証券業規制法の上記のような仕組みを前提とすると,同法上の登録制度を始めとする開業規制の目的は,どのような業者がどこにどれだけ存在しているのかを的確に把握し,また,悪質業者のみならず財務基盤や人的構成等の面で抵当証券業務を適確に遂行する能力を有しない業者の参入を規制す ることによって,抵当証券業者に対する行為規制(第3章),行政当局による監督権限(第4章)の規定と相まって,抵当証券業者の業務の適正な運営を確保し,それを通じて抵当証券購入者保護の実効性を高めるためのものにすぎず,これを超えて,登録を受けた抵当証券業者の信頼性等を一般的に保証し,ひいては当該業者の不正な行為により個々の抵当証券購入者が被る具体的な損害の防止,救済を図ることを制度の直接的な目的とするものではないと解すべきである(最高裁平成元年判決参照)。このことは,抵当証券業規制法の条文全体をみても,そのほとんどが業者に対する規制内容についての定めであり,購入者保護に関する規定は,わずかに抵当証券業協会による苦情処理の定め(40条3号,41条)に限られていることからも明らかである。このように,抵当証券業規制法上は,抵当証券業協会による自主的な購入者保護の活動を期待しながらも,被告が行うべきは,抵当証券業者についての規制であり,そのような規制を通じた購入者 らも明らかである。このように,抵当証券業規制法上は,抵当証券業協会による自主的な購入者保護の活動を期待しながらも,被告が行うべきは,抵当証券業者についての規制であり,そのような規制を通じた購入者保護一般とされているものと解されるのである。 これに対し,原告らは,抵当証券取引においては情報開示が不十分であって,購入者は専ら抵当証券業者の信用に依存していることや,抵当証券取引が間接金融としての機能を営んでいること等を根拠に,抵当証券業者に対する監督は銀行に対する監督に準ずるものと解すべきである旨主張する。しかしながら,抵当証券業規制法は,抵当証券購入者の保護と自己責任原則との調和の観点から,抵当証券取引の前後において顧客に契約の内容等を明らかにする書面を交付すること(15条,16条),顧客の求めに応じて抵当証券業者の財産状況等及び抵当証券に関する書類を閲覧させること(17条,法施行規則14条2項)等を義務付けているものである上,抵当証券購入者が元利金の全額の返済を受けられるかどうかは債務者の弁済能力や担保権の価値等にもよることが明らかである。また,銀行業は,預金の受入れにより,金銭の保管,利殖,決済,資金の仲介等の役割を担い,国民が経済活動を営 む上で必要な基本サービスを提供しているために,銀行法においては,資本金20億円以上,3営業年度を経過するまでの間に当期利益が見込まれることなど,極めて厳格な要件に基づく営業免許制度(講学上の許可),兼業規制や自己資本比率規制等の行為・財務規制,子会社をも対象とした広範な報告徴求権や立入検査権といった強力な監督規制などが規定されているのに対し,抵当証券業は,抵当証券の販売(販売の代理又は媒介)を業とするものにすぎず,銀行業に比肩し得るような高い公共性を有するものではないために,営業の自由を た強力な監督規制などが規定されているのに対し,抵当証券業は,抵当証券の販売(販売の代理又は媒介)を業とするものにすぎず,銀行業に比肩し得るような高い公共性を有するものではないために,営業の自由をできる限り尊重し,必要最小限の規制とすべく登録制が採用され,経営の全般にわたる監督の規定は設けられておらず,規制の対象も専ら抵当証券業者本体であるなど抵当証券業規制法上の監督権限は限定的なものである上,預金と抵当証券とではリスクを異にすることも前記のとおりである。したがって,原告らの前記主張はいずれも失当である。 また,原告らは,抵当証券業規制法23条が,業務改善命令を発する要件において「抵当証券の購入者の利益」を害する事実がある場合とされていることをもって,同法の行為規制及び監督に係る規定が直接に個別の抵当証券購入者の利益保護を目的としているかのように主張する。しかし,業務改善命令によって保護されるべき「抵当証券の購入者の利益」が,購入者一般の利益であるのか,個別具体的な購入者の利益であるのかは,同法の趣旨・目的や構造,保護法益の性質等を考慮して決定されるべきものであるところ,被侵害利益が財産の場合には,当事者が注意を払うことにより防止し得る余地が大きく,本来その守備範囲に属し,行政庁の権限行使に対する期待可能性はより厳しく吟味されるべきものと解されているから,上記文言は購入者一般の利益と解釈されるべきである。 (4)宅建業法との比較原告らは,最高裁平成元年判決は,宅建業法の主目的が宅地建物取引業の健全な発達の促進であり,購入者の保護は反射的利益であることを前提とし ていたのに対し,抵当証券業規制法は抵当証券購入者の保護を直接の目的としているから,本件に最高裁平成元年判決の趣旨は及ばない旨主張する。しかしながら,同判決の前提となる事 であることを前提とし ていたのに対し,抵当証券業規制法は抵当証券購入者の保護を直接の目的としているから,本件に最高裁平成元年判決の趣旨は及ばない旨主張する。しかしながら,同判決の前提となる事実関係当時の宅建業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの。)1条は,「この法律は,宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営と宅地及び建物との取引の公正とを確保し,もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする。」と規定しており,抵当証券業規制法1条とほぼ同一の構造を有しているところ,同判決は,上記規定を前提にしつつ,免許制度が免許を付与した業者の人格・資質を一般的に保証したり,個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止,救済を制度の直接的な目的とするものではないことを根拠に,知事による免許の更新等が宅建業法所定の免許基準に適合しない場合であっても,個々の取引関係者に対する関係で直ちに国賠法1条1項にいう違法な行為とはいえない旨の判示をしたのである。そして,更新登録制度を含む抵当証券業規制法による開業規制の目的は,悪質業者等の参入を規制することにより抵当証券業者の業務の適正な運営を確保し,それを通じて抵当証券購入者一般を保護する点にあり,この点で宅建業法3条の免許制度と異ならないから,本件にも上記判決の趣旨は妥当する。 また,原告らは,宅建業による被害は,個々の取引において発生するのに対し,抵当証券業による被害は,抵当証券業者の破綻を契機に,一挙に,突然,多数かつ多額の被害者を生じさせるから,両者は異なると主張する。しかし,抵当証券業者の行う取引も個々の抵当証券購入者との個々の取引であるし,大規模な宅建業者により,多数かつ多額の被害者が生 ,突然,多数かつ多額の被害者を生じさせるから,両者は異なると主張する。しかし,抵当証券業者の行う取引も個々の抵当証券購入者との個々の取引であるし,大規模な宅建業者により,多数かつ多額の被害者が生じる事態も起こり得るのであって,両者の相違は本質的なものではない。 さらに,原告らは,宅建業法における監督権限が抵当証券業規制法のそれよりも弱いから,同法は抵当証券購入者(取引関係者)をより厚く保護して いる旨主張するようである。しかし,最高裁平成元年判決は,免許の付与又は更新の制度と業務停止処分又は免許取消処分の制度とを区別した上で異なる判断方法を採っているから,監督に関する制度を比較することでは,開業規制が個々の抵当証券購入者(取引関係者)を直接保護する制度であるか否かについて異なった結論を導き出すことはできない。 争点2(本件更新登録時において,大和都市管財は更新登録拒否事由である財産的基礎の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)(原告ら)(1)概要抵当証券業規制法がモーゲージ証書形式の抵当証券販売を容認していることから,抵当証券業者は,抵当証券原券とは異なる期限を定めているモーゲージ証書の償還期限内に抵当証券購入者に確実に償還すべき義務を負っており,しかも,購入者は中途解約も可能とされているのが一般であるから,抵当証券業者は,いつでも償還に応ずる資金準備又は資金調達が可能でなければならず,そのためには財産的基礎の確立が必要である。こうしたことから,同法8条2項,6条1項7号において,財産的基礎の欠如が(更新)登録拒否事由とされているところ,財産的基礎の欠如とは,基本事項通達第1の1,(3),イ,(ロ),Aにおいて,「資本欠損」とされている。 「資本欠損」は会計上の概念であり,企業をみる者によって判 新)登録拒否事由とされているところ,財産的基礎の欠如とは,基本事項通達第1の1,(3),イ,(ロ),Aにおいて,「資本欠損」とされている。 「資本欠損」は会計上の概念であり,企業をみる者によって判断が異なる場合もあろうが,大和都市管財に限ってみれば,以下に述べるように,平成9年当時の公正な会計慣行に従った会計処理を行ったとき,その時点で資本欠損状態に陥っていたことはだれの目にも明らかであった。 (2)財産的基礎の欠如の意義上述のように,基本事項通達第1の1,(3),イ,(ロ),Aにおいて,大和都市管財が抵当証券業規制法6条1項7号にいう「抵当証券業を適確に遂行 するに足りる財産的基礎・・・を有しない法人」でないとするためには,同社が資本欠損でないこと,すなわち貸借対照表上資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額以上であることが必要である(大和都市管財が金融機関の保証を受けておらず,同第1の1,(3),イ,(ロ),Bの適用を受けないことは明らかである。)。そして,資本欠損か否かは,まず,更新登録申請書に添付された貸借対照表等の資産の部の合計額が負債の部の合計額と資本金額を控除した金額を下回るか否かにより判断されるが,その判断においては,貸借対照表が公正妥当な会計慣行に従って作成され,会社の財務状況を正確に反映していることが当然の前提となるから,貸借対照表が会社の実態を正確に反映しているか否かを審査することが必要となる。 (3)大和都市管財の概括的な財務状況大和都市管財は,本件貸借対照表上において,その財務状況を自己資本額約5億7900万円うち資本金約4億5000万円剰余金約1億2900万円と表示していた。 他方,平成9年12月時点で近畿財務局が入手していた大和都市管財の財産的基礎に関する資料(その内訳は別表 5億7900万円うち資本金約4億5000万円剰余金約1億2900万円と表示していた。 他方,平成9年12月時点で近畿財務局が入手していた大和都市管財の財産的基礎に関する資料(その内訳は別表5のとおり。以下「本件基礎資料」と総称する。)を概括的に検討しただけでも,平成9年3月期において,①グループ6社に対する特約付き融資額のうち担保割れの部分が総額で少なくとも約344億6800万円に上ること,②グループ6社の財務状況が著しい債務超過の状況にあり,帳簿価額ベースでの債務の合計額が平成9年3月時点で約149億円に達していたこと,③グループ6社の財務状況が時間の経過とともに悪化し続ける傾向にあったこと,が明らかであり,加えて,大和都市管財が近畿財務局に提出していた経営健全化計画の実績も大幅未達であることが確認されていた。 そして,実際にも近畿財務局は,①グループ6社がいずれも債務超過に陥っており,さしたる実業もなく,大和都市管財に対する利払の可能性がないことを認識し,②平成8年12月末時点における連結財務諸表を入手しており,③Y1からそのスポンサーに関する合理的な説明を受けることができず,④大和都市管財が現金預金の交付を伴わない形でグループ会社に対する貸付金及びグループ会社からの利息を計上していたことを把握していたのである。 (4)平成9年3月時点における貸倒引当金の設定の不可欠性このような財務状況を踏まえ,平成9年3月期における大和都市管財の資産(約573億円)のうち98.29パーセント(約563億円)を占める特約付き融資額をいかに評価するかがまず問題となる。 ア特約付き融資に対する貸倒引当金の設定の不可欠性貸借対照表に計上される貸付債権の評価に関する一般に公正妥当と認められる会計慣行上,債権の貸借対照表価額 融資額をいかに評価するかがまず問題となる。 ア特約付き融資に対する貸倒引当金の設定の不可欠性貸借対照表に計上される貸付債権の評価に関する一般に公正妥当と認められる会計慣行上,債権の貸借対照表価額は,債権金額又は取得価額から正常な貸倒見積額(回収不能見込額)を控除した金額とされており(企業会計原則・貸借対照表項目C,商法285条の2第2項参照),この回収不能見込額は,貸借対照表上「貸倒引当金」として表示される。 そして,平成9年当時にも通用力のあった企業会計原則・注解18は,貸倒引当金を設定すべき基準として,①将来の特定の費用又は損失であること,②その発生が当期以前の事象に起因すること,③発生の可能性が高いこと,④金額を合理的に見積もることができること,を挙げていた。しかるところ,本件では,①将来において貸付債権の貸倒損失という費用又は損失が発生する可能性がある,という意味で費用又は損失の特定がされており,②貸倒損失の発生原因(財務状況の悪化)が過去から始まり評価時点においても存在しており,③債務者が著しい債務超過状態にあること,時間の経過とともに財政状態が一層悪化し,経営健全化 計画に実現可能性が認められないこと,担保資産の価値下落が著しく回復の可能性が認められないことなどから勘案すると,債務者がいずれ財務的に破綻する可能性は高いと考えられ,④債務超過に陥った債務者が所有する資産をすべて換金して債務の弁済に充て,弁済し切れない部分について貸倒損失が発生すると考えれば,合理的な費用又は損失の見積計算は可能であるから,平成9年当時の大和都市管財の貸付金については,上記①ないし④の要件のすべてを満たしていた。 ところで,一般に,貸倒見積額は合理的かつ客観的基準に基づいて算出されなければならず(日本公認会計士協会監査委 9年当時の大和都市管財の貸付金については,上記①ないし④の要件のすべてを満たしていた。 ところで,一般に,貸倒見積額は合理的かつ客観的基準に基づいて算出されなければならず(日本公認会計士協会監査委員会報告(以下「監査委員会報告」という。)第5号参照),その具体的な方法としては,①期末残高に一定率を乗じ,又は個々の勘定ごとに主として年齢調べをして,貸倒見積額を総括的に見積もる方法,②債務者ごとに個別的に債権の取立見込みを実地に調査して算出する方法などがあり,実務上はこれらのうちいくつかを組み合わせた方法を採用している企業が多いが,大和都市管財は,上記①のうち期末の債権残高に平成10年政令第105号による改正前の法人税法施行令97条1項3号が定める繰入率(以下「法定繰入率」という。)である1000分の3を乗ずるという算定基準(以下「本件基準」という。)を採用し,平成9年3月期の貸借対照表上,貸倒引当金として2億1000万円(抵当証券貸付金563億5960万円に手形割引高150億0700万円を加えた714億2960万円の1000分の3)のみを計上していた。 しかしながら,監査委員会報告第5号が定める方法(以下「5号取扱い」という。)も,税法基準(法人税法・同法施行令やこれに関連する通達等の定める無税引当のための規定等を参照して貸倒引当金の額を算出する基準をいう。以下同じ。)で算出し計上した貸倒引当金が適正な貸倒見込額に照らして明らかに不足している場合には除外事項としなければなら ない,としているとおり,法定繰入率は,通常の事業環境下での社会的な経験率として一定の繰入率を債権残高に乗ずる方法を採用しており,その繰入率は,公平な税負担のため貸倒引当金の設定による費用計上を容易には認めないという趣旨から,現実の貸倒率よりも低めに設定さ 会的な経験率として一定の繰入率を債権残高に乗ずる方法を採用しており,その繰入率は,公平な税負担のため貸倒引当金の設定による費用計上を容易には認めないという趣旨から,現実の貸倒率よりも低めに設定されている。 しかるところ,グループ6社は,平成6年3月期約73億円の資本欠損平成7年3月期約105億円の資本欠損平成8年3月期約112億円の資本欠損平成9年3月期約158億円の資本欠損というように,その債務超過額が年を追うごとに加速度的に増えていくような会社である上,担保物件の著しい価値下落を招いていたから,その貸倒引当金の設定を本件基準によって行うことはできず,こうした債務者に対する債権額については,その財務状況を踏まえ,前記のとおり,これら各社が回収不能見込額算定時点(通常は決算期末)において清算したと仮定した場合にいくら回収可能かという観点から回収不能見込額を個別に積み上げる方法で算定するのが通常である(監査委員会報告第22号参照。 以下この方法を「22号取扱い」という。)。なお,実際の延滞額によって算定する方法もあるが,本件のように利息の支払以上に借入金が増加し続けている場合には,いわゆる「追い貸し」の状態になっており,期日までに利息の支払がなかったかどうかという観点から貸倒引当金を設定する方法では,債権の適正な回収不能額を算定することはできない。 この点につき,被告は,平成9年当時には,銀行等の金融機関についてさえ貸倒引当金についての明確な基準はなかったから,グループ6社が著しい債務超過状況にあったとしても,それらに対する大和都市管財の債権について貸倒引当金の設定は必要でなかった旨主張する。しかし,基本事項通達が基準として定める「資本欠損」は会計学上明確に定義された概念 であるし,平成9年当時も現在も変わらない企業会 管財の債権について貸倒引当金の設定は必要でなかった旨主張する。しかし,基本事項通達が基準として定める「資本欠損」は会計学上明確に定義された概念 であるし,平成9年当時も現在も変わらない企業会計原則・注解18の示す貸倒引当金を設定すべき基準に照らしても,グループ6社に対する大和都市管財の特約付き融資については貸倒引当金の設定が必要であったことは前記のとおりであり,平成9年当時は22号取扱いも参照することができたのであって,より具体的な基準が本件更新登録後に公表されたからといって,それまでは本件の場合に貸倒引当金を計上することが一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に照らし不必要であったと解する余地はない。また,金融機関と一般事業会社との間においても,貸倒引当金の設定についての企業会計原則上の基準は何ら異なるところはなく,金融機関について資産の健全性が要求されるからといって,貸倒引当金の設定がこれに直接寄与するわけではないから,金融機関における貸倒引当金の設定がより厳密であるべきということにはならない。そもそも,被告主張のように,融資先が破綻する可能性が高い状態というのでは足りず,破綻が断定することができる状態(貸倒損失)になるまで貸倒引当金を設定することができないというのでは,利害関係人を保護するという公正な会計慣行の目的が全く達成することができない上,「資本欠損」の有無という優れて会計的な判断とは別に,行政庁が不利益処分を課すほどの客観的かつ明確な根拠が必要であるとの規範を定立するのは二重の基準を持ち込むもので不当というべきである。加えて,平成11年に制定された「金融商品に係る会計基準」等もその明確さの程度は22号取扱いと大差なく,その実際の運用に当たり,会計慣行を勘案してその時の状況に応じて最も合理的な方法で回収不能見 。加えて,平成11年に制定された「金融商品に係る会計基準」等もその明確さの程度は22号取扱いと大差なく,その実際の運用に当たり,会計慣行を勘案してその時の状況に応じて最も合理的な方法で回収不能見込額の見積りを行う必要がある点では同様である(両基準の相異は,債権の分類方法が設けられたことや,キャッシュ・フロー見積法が新たに規定化されたこと,一般債権について貸倒実績率によるべきことを明確化したこと等にあるのであって,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資については,金融商品会計基準においても貸倒懸 念債権又は破産更生債権に区分され,財務内容評価法,すなわち債権額から担保の処分見込額及び清算配当等により回収が可能と認められる金額を減額する方法が採られることになる。)。よって,被告の前記主張は失当である。 また,被告は,22号取扱いは,議決権比率に照らすと本件には直接適用することができない旨主張する。しかしながら,22号取扱いが子会社・関係会社での取扱いを問題とするのは株式の評価をも問題とするからであり,本件のような債権評価においては資本関係は本質的な問題ではない。 のみならず,当時から近畿財務局も認識していたとおり,主要株主がY1及びその親族であること,経理担当者が同一であったことなど,大和都市管財はグループ6社と実質的に一体の会社であったから,本件で22号取扱いをしんしゃくすることはむしろ非常に有意義かつ実態に即しているというべきである。また,被告は,融資先が事業を継続しながら借入金を返済する可能性も考慮すべきとも主張するが,本件においてグループ6社の事業継続は債務超過を悪化させる要因にしかならないことは明白であったから,被告の前記主張もまた失当である。 さらに,被告は,22号取扱いのうち個別的方法によれば本件において貸倒 おいてグループ6社の事業継続は債務超過を悪化させる要因にしかならないことは明白であったから,被告の前記主張もまた失当である。 さらに,被告は,22号取扱いのうち個別的方法によれば本件において貸倒引当金の設定は不要とも主張する。しかしながら,個別的方法は返済期限未到来部分の回収可能性を考慮しない欠陥を有する補充的な方法であって,大和都市管財の総資産の95パーセントを占めるグループ6社への貸付金の評価に用いるには適切でないし,グループ6社は大和都市管財に対する利息を払っていないか,同社からの「追い貸し」によって払っていたことにかんがみれば,これら融資先に対する債権は実質的に滞留していたとみるべきであるから,仮に個別的方法によるとしても本件基準によることは許されず,更なる貸倒引当金の設定が必要であったというべきである。 加えて,被告は,平成12年3月期の決算において多額の貸倒引当金の積み増しをしている上場企業があることは,同年に一斉に適用された金融商品会計基準が平成9年当時における会計基準と異なることの証左である旨主張するが,2千社を超える上場企業の中でそのような企業が数社存在するからといって,上記会計基準の適用前には貸倒引当金の設定が会計慣行として成熟していなかったことの根拠とはなり得ないから,被告の上記主張もまた失当である。 したがって,本件でも,グループ6社の資産負債の状況に基づいてその資産の換金可能額を算定し,これを抵当権設定による債務の弁済順位を考慮しながら各債務の弁済に充てたと仮定し,その際の弁済不能額をもって回収不能見込額とする方法で貸倒引当金を算定すべきである。この方法による場合には,①融資先企業の評価時点における貸借対照表,②融資先企業の所有資産の換金可能額,③融資先企業に帰属する債務の網羅的情報,④担 する方法で貸倒引当金を算定すべきである。この方法による場合には,①融資先企業の評価時点における貸借対照表,②融資先企業の所有資産の換金可能額,③融資先企業に帰属する債務の網羅的情報,④担保の設定状況等債務の弁済順位の把握及び⑤債務保証の有無等の情報が必要となる。回収不能見込額の算定方法を算式に示せば,1-(資産合計/負債合計)=回収不能見込率貸付額×回収不能見込率=回収不能見込額となり,上記算式にいう資産合計及び負債合計は,貸借対照表上の金額から,担保物件の処分により回収可能と見込まれる金額をそれぞれ控除したものを使用する。 イ平成9年3月時点におけるグループ6社からの回収不能見込額グループ6社の決算書については,以下の決算期のものを用いて回収不能見込額を試算することとする。 北海道泊別観光平成8年9月期ベストライフ通商平成8年6月期ナイス函館平成8年8月期 ナイスミドル平成9年6月期リステム化学研究所平成9年3月期美祢カントリークラブ平成9年3月期なお,近畿財務局は平成9年検査において大和都市管財だけでなく融資先の総勘定元帳まで入手して調査しているから,ナイスミドルについても平成8年3月28日にされた同社に対する大和都市管財による特約付き融資額55億円(以下「本件貸付金」という。)が修正計上された平成9年6月期の決算書や,税務申告書の添付資料として外部に提出している勘定科目内訳明細書(主に大和都市管財及びグループ会社間の貸借の分析に必要である。)の任意提出を受けることは可能であったと解される。 グループ6社の決算書のうち,①ナイスミドルは,創業費として計上した繰延資産8億7000万円を,②ナイス函館及び美祢カントリークラブは,ゴルフ場の取得に伴って計上した営業権(前者につき1億円,後者につ 6社の決算書のうち,①ナイスミドルは,創業費として計上した繰延資産8億7000万円を,②ナイス函館及び美祢カントリークラブは,ゴルフ場の取得に伴って計上した営業権(前者につき1億円,後者につき7億2700万円)をいずれも一切償却していなかったため,これらを商法の規定に従い5年で償却したものとして修正する必要がある。 次いで,グループ6社の換金可能価値を計算するため,①ナイスミドルが100パーセント保有している北海道泊別観光,美祢カントリークラブ(平成8年度,9年度において,ナイスミドルに対する貸倒引当金繰入を行わない前提でようやく約1億円の利益を計上していたにすぎない。)及びナイス函館の株式を,これら各社が債務超過を悪化させている状況にあることに照らして全額評価減し,②ナイスミドルがゴルフ会員募集権等として計上した繰延資産52億7100万円を,当該ゴルフ場の収益力や鑑定評価に照らし換金性がないものとして全額償却し,③グループ6社が別紙6のとおり又貸しした貸付金について,貸付けの各段階において,抵当権が設定されている債務は担保資産の換金額で弁済され,弁済し切れない債務は残存資産により同順位で弁済されるという仮定のもとに,換金 可能価額でみた債務超過額を劣後負債の各債務額の金額で按分する方法に基づき回収不能見込額を算定する。また,担保物件については,原則として帳簿価額(ただし,支払利息配賦額については原則として除いた価額)により評価し,抵当証券保管機構が「保管抵当証券明細表」(甲90)において平成9年4月ころ時点で時価評価を行ったデータがあるものについてのみ,これによって評価することとする。 以上に従って算定された大和都市管財のグループ6社に対する貸付金のうちの回収不能見込額は,別紙7のとおり87億7400万円となる。 こ データがあるものについてのみ,これによって評価することとする。 以上に従って算定された大和都市管財のグループ6社に対する貸付金のうちの回収不能見込額は,別紙7のとおり87億7400万円となる。 これに対し,被告は,グループ6社は平成9年当時営業を継続していたから,これを一律に清算する前提で資産評価することは実態にそぐわない旨主張するが,グループ6社の過去の業績から判断して,その後の事業継続による追加的な資産獲得は到底見込める状態ではなかったから,被告の上記主張は失当である。 また,被告は,特約付き融資先に係る担保物件については不動産鑑定士による鑑定評価が行われていたから,これによらずに一方的に取得価格を用いて評価することにはおよそ合理性がない旨主張するが,貸倒引当金設定に際して必要なのは,その計算基準時点で物件を処分した場合の換価可能額であって抵当証券発行時の評価額とは別であるし,大和都市管財の破綻後に管理人団によって処分された担保物件の現実の処分価額は総額で42億7000万円にすぎず,被告の主張する不動産鑑定評価額の総額である919億1800万円を大幅に下回っていることなどに照らすと,被告の主張こそ不合理である。 加えて,被告は,グループ6社の貸借対照表に記載された土地勘定及び建物勘定に特約付き融資の担保物件以外のものが含まれていた場合,貸倒引当金の要設定額は原告らの計算よりも縮小する旨の主張もするが,原告らの計算では一般債権に対する弁済額は考慮に入れられていないし,一般 債権への弁済に充てられる金額が増えれば,結果として特約付き融資に対する弁済額が減少し,回収不能額が増えることになるから,被告の上記主張は誤解に基づくものというほかはない。 さらに,被告は,原告らが大和都市管財のY1からの借入金をナイス函館からの借入金として計 対する弁済額が減少し,回収不能額が増えることになるから,被告の上記主張は誤解に基づくものというほかはない。 さらに,被告は,原告らが大和都市管財のY1からの借入金をナイス函館からの借入金として計算していることを論難するが,大和都市管財が平成7年ころからグループ会社との間で資金移動を行う際にいったんY1に資金移動する仕訳を始めたのは,大和都市管財が集めた資金がグループ内を循環している事実を隠ぺいするための仮装工作にすぎないことは,借入先等に係るY1の弁解の不自然さからみて明らかであり,近畿財務局もY1のこのような弁解を信用していなかったものである上,仮に,Y1が外部のスポンサーから借入れを行っていたと想定した場合,原告らの試算(Y1を経由して大和都市管財からナイス函館に返済されることを想定している。)よりもナイス函館に返済することのできる額が減少することになり,かえって貸倒引当金要設定額が増大することになるから,被告の上記主張もまた失当である。 ウ平成9年3月時点におけるグループ6社に対する貸倒引当金要設定額以上のとおり,①時価が不明な不動産について,会計基準を逸脱しないものとして帳簿価額(不動産市況が悪化していく経済状況の下では時価を上回る可能性が高い。)をそのまま換金可能額とし,②ナイスミドル及びナイス函館の資産に計上されている「コース勘定」の内容が不明であるために帳簿価額(経験則からいってゴルフコースが取得原価で売却できる可能性はほとんどない。)をそのまま換金可能額とし,③グループ6社の償却資産(建物,建物付属設備,構築物等)について,ほとんど減価償却が行われていないにもかかわらず,取得価額で売却できるとの前提でこれをそのまま換金可能額とし,④グループ6社に対する特約付き融資とその担保不動産との結びつきが不明である について,ほとんど減価償却が行われていないにもかかわらず,取得価額で売却できるとの前提でこれをそのまま換金可能額とし,④グループ6社に対する特約付き融資とその担保不動産との結びつきが不明であるため,勘定内訳不明の不動産 についてはその貸借対照表計上額すべてを担保資産と仮定した上で優先弁済額を算定したにもかかわらず,別紙8【ケースA】のとおり,大和都市管財は平成9年3月の時点で計上済みの2億1000万円に加えて更に85億6400万円の貸倒引当金を設定する必要があったものと算定される。 よって,同社は当時,少なくとも84億円以上の資本欠損であり,かつ,少なくとも80億円の債務超過という財務状況にあったものというべきである。 仮に,勘定科目内訳明細書を用いない場合,不動産の内訳が分からないので,貸付先の不動産すべてが特約付き融資の担保に供されていると仮定して計算することになり,貸倒引当金要設定額を減額する方向で働くことになるが,その場合でも,別紙8【ケースB】のとおり,貸倒引当金要設定額はなお47億5200万円存在し,平成9年3月における大和都市管財の財務状況は,46億2300万円の資本欠損ということになる。 さらに,仮に近畿財務局がグループ会社間の貸借を分析することができなかったとしても,本件貸借対照表上,少なくとも約6億5358万円が回収不能と見込まれ,その全額につき追加して貸倒引当金の個別引当が必要であり,少なくとも約5億2410万円の資本欠損となる(甲164)。 エ担保の十分性の欠如抵当証券保管機構作成の「保管抵当証券明細表」(甲90・同機構が平成9年4月30日付けで大蔵本省に送付したもの。)には,担保物件の一部について,①抵当証券交付申請書添付の鑑定評価額(又は交付額から予想される評価額),②抵当証券保管機構が行った 0・同機構が平成9年4月30日付けで大蔵本省に送付したもの。)には,担保物件の一部について,①抵当証券交付申請書添付の鑑定評価額(又は交付額から予想される評価額),②抵当証券保管機構が行った評価額,及び両者のかい離額(①-②)が明記されている。 かい離額,減額割合を列挙すると,下記のとおりとなる。 記索引No.9四条畷市山林▲332百万円▲50.3%同 a区駐車場▲235百万円▲31.3%同 新高駐車場▲503百万円▲40.9%同 a町駐車場▲736百万円▲61.3%同 a区共同住宅▲947百万円▲61.0%同 上野西共同住宅▲262百万円▲32.7%同 寺内共同住宅▲333百万円▲51.2%同 西宮市共同住宅▲639百万円▲62.3%同 大阪味わいビル敷地▲120百万円▲53.3%▲4107百万円(▲49.0%)このように,抵当証券保管機構が再評価した全物件について,再評価額(②)が鑑定評価額(①)を下回り,そのかい離額合計は41億0700万円,平均減額割合はほぼ5割に達することが明らかとなっている。また,本件更新登録当時(平成9年12月)においては,地価の大幅な下落傾向は公知の事実であった。現に,近畿財務局は,平成7年ころ,大和都市管財に対し,担保不動産の鑑定価格を見直して抵当証券の販売高を抑制することを指導しており(乙16),平成9年検査時において,「D社の抵当証券の担保不動産は,・・・最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が極めて高い。」(乙44)とまで認識していたのである。 これに対し,被告は「保管抵当証券明細表」は時価評価の根拠としては不十分である旨主張するが,情報に制約のある原告らとは異なり,監督権限 る可能性が極めて高い。」(乙44)とまで認識していたのである。 これに対し,被告は「保管抵当証券明細表」は時価評価の根拠としては不十分である旨主張するが,情報に制約のある原告らとは異なり,監督権限を有する近畿財務局は上記明細表に限らず容易に時価評価を行い得たはずであるから,被告の前記主張は失当である。 また,被告は,平成9年当時における評価額が担保不動産の取得価格を下回っているなどとは断定することができないし,抵当証券発行時におけ る不動産鑑定評価額を明確な根拠なく排除することはできない旨の主張もするが,担保不動産の取得時期はほとんどが平成3年以降であること,地価の下落傾向は遅くとも平成6年の段階では社会的常識となっていたこと,不動産鑑定評価額は抵当証券発行後の地価変動を制度上織り込んでおらず,収益還元法を採用していないなど鑑定評価に大きな疑問があること(例えば,那須ゴルフ場については,修正後の鑑定評価額が192億1900万円,交付された抵当証券が100億円であったが,収益還元法では評価額は約10数億円程度にしかならない。近畿財務局自身,平成12年検査ではゴルフ場につき収益還元法による検討を行う必要に言及している(甲135の2)。)は一見して明らかであることに照らし,失当である。 以上の資料・事実からだけでも,担保不動産の時価が抵当証券交付申請書添付の鑑定評価額(又は交付額から予想される評価額)と大きくかい離しており,約563億円の特約付き融資の回収が危ぶまれることは明らかであったから,これにつき貸倒引当金を設定すべきであった。 オリステム化学研究所に対する貸倒引当金設定の必要性リステム化学研究所は,大和都市管財の資金運用会社として,産業廃棄物関連事業を行うために平成4年に設立されたが,実際の収益は上がらず,失敗に終わっていたこ ム化学研究所に対する貸倒引当金設定の必要性リステム化学研究所は,大和都市管財の資金運用会社として,産業廃棄物関連事業を行うために平成4年に設立されたが,実際の収益は上がらず,失敗に終わっていたことが既に明らかになっていた。リステム化学研究所は大和都市管財からの借入れで物件を取得して不動産賃貸等による収益を上げるのみであり,この唯一の収益も平成9年3月期で1億6231万円にとどまっている一方,支払利息だけでも損益計算書上は年間2億0937万円(平成9年3月期)を費やしていた。通常であれば,このような会社経営が健全なはずはなく,完全に破綻しているといえる状態であることは平成9年度には明らかであった。 そして,リステム化学研究所への抵当証券貸付額と対応する担保資産の評価額及び帳簿価額は以下の表のとおりであり,担保資産からは債権額の 6割程度しか回収することができない状態にあることが,既に明確になっていた。 (単位:百万円)抵当証券担保資産帳簿価額B評価額評価損劣後弁済貸付額A(=優先弁済額)CB-CA-C1,240a区共同住宅 上野西共同住宅 寺内共同住宅 西宮市共同住宅 3,220合計2,2681,844 1,376また,平成9年度におけるリステム化学研究所の帳簿上の純資産額は163百万円の債務超過であったが,上記のとおり資産価値(C)が帳簿価額(B)を下回っているため,担保資産について評価損(B-C)を考慮した上で純資産を把握すると,587百万円(=163百万円+424百万円)の債務超過となる。平成9年度のリステム化学研究所の負債総額は3,372百万円であり,これは大和都市管財からの借入金3,329百万円とその を把握すると,587百万円(=163百万円+424百万円)の債務超過となる。平成9年度のリステム化学研究所の負債総額は3,372百万円であり,これは大和都市管財からの借入金3,329百万円とその他負債43百万円から構成されるが,大和都市管財からの借入金のうち1,844百万円は担保資産から優先的に弁済されるとしても,残りの1,485百万円及びその他負債43百万円には一部債務超過額相当が弁済不能となる。これを同順位で振り分けるとすれば,大和都市管財からの借入金は9億6400万円の弁済不能となり,これについて貸倒引当金を設定する必要があった。 これに対し,被告は,平成9年当時はリステム化学研究所には利払の延滞がなく,その賃料収入も堅調であったことなどから,実質的に破綻していたとまでは認定することができない旨主張するが,同社に対する特約付 き融資の利率は年6.5パーセントから数次にわたって最終的に年4.875パーセントへと大幅に減免されていた上,その賃料収入も巨額の資金を投入した結果ようやく得られたものであって,かつ,リステム化学研究所は据え置かれた元本を10年後に一括返済すればよい状況であったにもかかわらず,追加借入れを行わなければ利息も満足に支払えない状況にあったから,被告の上記主張は失当である。 さらに,被告は,平成9年3月期においてリステム化学研究所はグループ会社に対する長期貸付金からの受取利息7100万円を計上していた旨主張する。しかしながら,上記受取利息の実態は大和都市管財が顧客から集めた資金が同社グループ内を環流していたものにすぎず,融資・利息の実在性は疑わしいし,その存在を前提としても4000万円の販管費によってリステム化学研究所は平成9年3月期も引き続き1800万円の経常損失を計上しているのであるから,いずれにせよ被 ず,融資・利息の実在性は疑わしいし,その存在を前提としても4000万円の販管費によってリステム化学研究所は平成9年3月期も引き続き1800万円の経常損失を計上しているのであるから,いずれにせよ被告の上記主張は失当である。 また,被告は,原告らが担保物件の評価額を帳簿価額としていることを非難するが,バブル崩壊による時価の下落傾向にかんがみれば,帳簿価額すなわち取得原価による評価が時価を下回ることはおよそあり得ないから,被告の前記主張もまた失当である。 (5)本件貸付金の架空計上本件貸借対照表には,本件貸付金が資産として記載されていた。しかしながら,①平成9年検査の時点で,那須ゴルフ場を担保とする本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳に記帳されていなかったこと,②55億円もの融資を行って,経理上の記載漏れがあるなどとは常識に反する上,本件貸付金は,そもそも大和都市管財が,法務局に対し,同社とナイスミドルとの平成8年3月28日付け55億円の特約付き融資に基づき抵当証券の追加交付を申請し,法務局からこれをいったん交付されたものの,近畿財務局の行政 指導によりその販売の自粛に追い込まれた案件に係るものであったこと(真実本件貸付金が存在したならば,大和都市管財は55億円を融資したにもかかわらず顧客から資金を集めることができないという窮地に陥っていたことになるが,そうだとすれば,たとい仕訳漏れがあったとしても,大和都市管財の経理を担当していたY3公認会計士(以下「Y3会計士」という。)を始め,大和都市管財関係者がこれを見落とすはずがない。),③本件貸付金は平成8年3月28日に実行されたことになっているにもかかわらず,大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表にも,平成8年経営健全化計画中の「抵当証券貸付残高及び支払利息の内訳」の表にも 本件貸付金は平成8年3月28日に実行されたことになっているにもかかわらず,大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表にも,平成8年経営健全化計画中の「抵当証券貸付残高及び支払利息の内訳」の表にも,ナイスミドルの平成8年6月期の貸借対照表にも計上されていないこと(大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表においては,特約付き融資額が前年度比155億円増加すべきところ100億円しか増加しておらず,大和都市管財の決算書自体にも55億円が記帳されていない。また,ナイスミドルの平成8年6月期の貸借対照表の長期借入金も,前年度比100億円しか増加しておらず,同月期の貸借対照表増減比較表には,長期借入金の増減理由として那須グリーンコース抵当証券借入金の増加と明記されている。),④本件貸付金に係る利息(初回は平成8年3月末日の316万円余である。)が実際に支払われていたとも思われないこと,⑤大和都市管財が,借方を抵当証券貸付金,貸方を同額の長期借入金とする仕訳(以下「本件仕訳」という。)を行っていたところ,これは資金移動を伴うとは認められないような極めて不自然な仕訳であること,⑥大和都市管財に55億円もの資金余力があるはずがなく,むしろ抵当証券発行による資金集めを疑うべき財務状況であったこと,⑦平成8年経営健全化計画にもナイスミドルにそのような資金需要があることは何ら触れられていなかったことからみて,本件貸付金は架空のものであったことが明らかであり,これを資産から除外する必要があった。そして,本件貸付金を資産から除外すれば,それだけで大和都市管財が本件更新登録 時において債務超過の状態となっていた。 なお,大和都市管財は,本件貸付金に係る融資実行日は平成8年4月1日であったと弁明していたが,そうであれば,通常は契約書の差し替えか日付記 本件更新登録 時において債務超過の状態となっていた。 なお,大和都市管財は,本件貸付金に係る融資実行日は平成8年4月1日であったと弁明していたが,そうであれば,通常は契約書の差し替えか日付記載の変更が必要となり,少なくとも借入日から同年3月末日までの日割計算による初回利息を支払う約定が削除されるはずであるのに,本件貸付金に係る契約書には何らの訂正も削除もなかったから,同社の上記説明は信用し難いものであった。 これに対し,被告は,本件貸付金が架空であると認定されたとしても,相手勘定の長期借入金も架空となるため財産的基礎には影響を及ぼさないが,平成12年検査においては同時に約56億9300万円の未収利息の計上を否定したために簿外債務が顕在化したのであって,両者は事情が異なる旨主張する。しかしながら,簿外債務(貸す債務)と架空融資とは,いずれも計上されている債権について資金の交付を伴っていないという同一の事象を表と裏から説明したにすぎないものであり,そのいずれと呼称するかによって結論が異なるものではない。そもそも,近畿財務局は,平成13年4月16日の会社整理通告書においては,「6社に対する当社の抵当証券発行特約付融資などの利息支払いが確認できない状況」(甲2)と記載しており,その趣旨につき,被告は,本訴においても当初は「文字どおり,利息の支払いが「確認できない状況」というにとどまり,同期において利息の支払いが一切なかったということまでを積極的に認定したものではない」(被告第5準備書面)などと反論していたにもかかわらず,本訴の後半に至って平成12年検査において近畿財務局は大和都市管財の抵当証券受取利息に係る売上げ計上を否定した(すなわち,利息の支払が一切なかったということを積極的に認定した)旨の主張に変更したものであり,極めて不合理で 2年検査において近畿財務局は大和都市管財の抵当証券受取利息に係る売上げ計上を否定した(すなわち,利息の支払が一切なかったということを積極的に認定した)旨の主張に変更したものであり,極めて不合理である(なお,被告が調書(乙58)を証拠として提出した際に添付資料から除外したため,原告らが独自に入手した平成12年検査に係る検査結果通知書には,被告の 当初主張とは矛盾する,大和都市管財の受取利息は収益として認識することができない旨の記載がある。)。したがって,被告の上記主張は失当である。 (6)美祢カントリークラブ,ナイスミドル及びベストライフ通商に対する計217億8000万円の各特約付き融資の架空計上本件貸付金と同様に,以下の特約付き融資(以下併せて「本件3融資」という。)についても,融資時の会計処理が「(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金」とされており,大和都市管財からの資金の交付が伴っておらず,大和都市管財からも交付を裏付ける客観的資料の提出や合理的な説明はなかった。 平成7年2月7日美祢カントリークラブに対する110億円同年9月28日ナイスミドルに対する100億円平成8年11月1日ベストライフ通商に対する7億8000万円そのため,平成12年検査において,近畿財務局のY20主任検査官(以下「Y20検査官」という。)は,「今回検査における指摘事項の要約について」及び「三段表の指摘事項」(以下,両者を併せて「Y20要約」という。)の中で,本件3融資につき,「その原因となる関連会社に対する当社からの資金の交付が確認できないことから,金銭消費貸借契約書の記載内容が事実と異なることとなり,当該契約は無効の疑いであり,法第19条違反の疑いがある。この場合,同契約を成因として発行された抵当証券(原券)及び売渡抵当証券 ないことから,金銭消費貸借契約書の記載内容が事実と異なることとなり,当該契約は無効の疑いであり,法第19条違反の疑いがある。この場合,同契約を成因として発行された抵当証券(原券)及び売渡抵当証券については効力を有しないものとなる。」と指摘した(甲135の2)。これに対し,大和都市管財は,「融資実行は,現金,振込,手形保証にて行っている。金銭消費貸借契約における金銭の貸付は,手形を含めて行える。従って,原契約は有効であり,存在している。」(甲135の2)と回答したが,これを裏付けるための客観的資料を何ら提出していないから,上記回答が合理的説明たり得ないことは明らかである。 そして,本件3融資を資産から除外(又は同額の貸す債務を認定)すれば, それだけで大和都市管財は本件更新登録時において債務超過の状態となっていたのである。 (7)抵当証券受取利息の架空計上平成9年において,既にグループ6社はすべて3又は4期以上連続して大幅な債務超過で,回復の傾向は全く見られず,その営業もさしたる実業を伴っていなかった上,利払に見合う収益を上げようともしていなかった。また,平成6年10月以降,平成9年検査の直前まで,大和都市管財が抵当証券受取利息を計上する際の会計処理の相手勘定は現金預金ではなく,資金的裏付けのない長期借入金勘定であった。現に,大阪府警の捜査でも,平成8年3月期の同社の抵当証券受取利息・割引料収入約47億円のうち実際に確認することができたのは約3億円,同じく平成9年3月期には同収入約50億円のうち実際に確認することができたのは約3億円にとどまった(甲106)。 さらに,ナイスミドルの総勘定元帳上も,大和都市管財に対する利息(平成7年9月30日に約3億円,平成8年3月31日に約6億円)の支払は,これと相前後してされたナイス函館からの どまった(甲106)。 さらに,ナイスミドルの総勘定元帳上も,大和都市管財に対する利息(平成7年9月30日に約3億円,平成8年3月31日に約6億円)の支払は,これと相前後してされたナイス函館からの同額の短期借入金を充てたことになっていたが,ナイス函館が約9億円のキャッシュインフローをたった半年で稼ぎ出す事業を行っていないことは明らかであった。そして,大和都市管財の融資先がいずれも同社と一体の会社であってY1の統轄下にあること,リステム化学研究所に対する貸付利率が減免されたこと等にかんがみれば,このようなグループ会社からの大和都市管財の抵当証券貸付利息の授受はいずれも会計帳簿上の仮装にすぎないことが明らかである。 よって,少なくとも,大和都市管財の平成8年3月期及び平成9年3月期に長期借入金勘定を相手方として計上された特約付き融資に係る受取利息合計69億5962万3529円については,これを否認すべきであったから,同社は平成9年3月期において優に資本欠損に陥っていたものというべきである。 (被告)(1)基本事項通達の内容抵当証券業規制法6条1項7号にいう「財産的基礎」の意味内容については,本件更新登録時において同法自体にも法施行令・法施行規則にも規定は設けられておらず,解釈にゆだねられており,これを明らかにするために基本事項通達第1の1,(3),イ,(ロ),Aが定められた。すなわち,基本事項通達は,抵当証券業規制法6条1項7号の「抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎」を有する法人として取り扱われるのは,A.法施行規則4条1項5号に規定する貸借対照表等において,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額以上であること,B.貸借対照表等に記載された売渡抵当証券又はこれに相当する勘定科目の金額の支払を金融機 5号に規定する貸借対照表等において,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額以上であること,B.貸借対照表等に記載された売渡抵当証券又はこれに相当する勘定科目の金額の支払を金融機関が保証することを内容とする契約書の写しの提出があることのいずれかの要件に該当する場合をいうものとしていた。これは,財産的基礎という要件は,多義的・抽象的なものであり,その要件該当性については,専門的判断を要するものであるから,抵当証券業規制法は,その判断を財務局長等にゆだねているというべきところ,前記要件に関する財務局長等の認定・判断が,当該判断の時期や地域ごとに異なっているのでは,決定に恣意が介入するおそれがあり,業者の予測可能性にも反することになるから,あらかじめ,財務局長等の裁量権行使の基準(審査基準)を定めたものと解すべきである。 (2)基本事項通達所定要件の充足大和都市管財は,平成9年10月に,近畿財務局に対して更新登録の申請をしたが,本件貸借対照表において,その資産の部の合計額が573億3890万3336円,負債の部の合計額が567億5942万3307円であり,前者から後者を控除した純資産額(5億7948万0029円)が資本の額である4億5000万円を上回っており,検査の結果等によってもこれを否定すべき事情は認められなかったから,大和都市管財は基本事項通達に 定める財産的基礎の基準を充足していた。 (3)貸倒引当金の計上が不可能であったこと原告らは,本件更新登録時において,グループ各社は債務超過状態にあったから,大和都市管財は企業会計原則に照らして相当額の貸倒引当処理が不可避であり,その財産的基礎がなかったと主張する。 しかし,平成9年当時の会計実務の実情等に照らせば,以下のとおり,近畿財務局長が,本件更新登録に当た は企業会計原則に照らして相当額の貸倒引当処理が不可避であり,その財産的基礎がなかったと主張する。 しかし,平成9年当時の会計実務の実情等に照らせば,以下のとおり,近畿財務局長が,本件更新登録に当たり,大和都市管財の決算について,客観的かつ明確な根拠をもって貸倒引当金を算定することができなかったのは明らかである。 ア平成9年当時の会計実務の実情等貸倒引当金については,平成9年当時,商法285条の4第2項が「金銭債権ニ付キ取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハサル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス」と規定していた(ただし,平成15年4月に同条は削除され,同法施行規則30条に同様の定めが設けられた。)ものの,どのような場合に取立不能のおそれがあるのか,取立不能の見込額をどのように算定するのか等に関して法令上直接の定めはなく,同法32条2項において「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スヘシ」とされ,「公正ナル会計慣行」にゆだねられていた。また,一般に公正妥当と認められる会計慣行とされている企業会計原則・注解18においても,「将来の特定の費用又は損失であって,その発生が当期以前の事象に起因し,発生の可能性が高く,かつ,その金額を合理的に見積ることができる場合には,当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ」るとされているにとどまり,日本公認会計士協会監査委員会が作成した5号取扱いに係る解説においても,a総括的に見積もる方法イ期末残高に一定率を乗ずる方法 ロ個々の勘定ごとに主として年齢調べによって算出する方法(注)税法規定による貸倒引当金は,上記イの方法に属するものと考えられるb個別的に見積もる方法個別的に債務者ごとに債権の取立見込を実地に調査して貸倒見積額を算出し,かつ個別的に て算出する方法(注)税法規定による貸倒引当金は,上記イの方法に属するものと考えられるb個別的に見積もる方法個別的に債務者ごとに債権の取立見込を実地に調査して貸倒見積額を算出し,かつ個別的に管理する方法(注)税法の債権償却特別勘定はこの方法に属するものであるなどと,本件基準を含む種々の算定方法が概括的に例示された上,「貸倒見積残高算出の方法として示されているところは単なる例示にすぎず,このいずれかによるべきものであることを要求しているものではない。重要なのは,期末における債権に対する将来の貸倒見積額をいかに適正に算出するかにあるのであり,種々の方法が考えられよう。」などと記載され,いかなる場合にどの算定方法を用いるのかについては定められておらず,具体的な算定基準も明示されていなかった。すなわち,平成9年3月当時は,それぞれの企業が,本件基準を含めさまざまな方法により貸倒引当金を計上している実情にあり,いかなる算定基準を採用するかについては,それぞれの企業に任されており,貸倒引当金を算定する統一的な基準は存在していなかった。 このように,公正なる会計慣行といっても多義的であるところ,平成9年当時は貸倒引当金について行政当局が公権的にこれを算定して私企業に対し不利益処分をするに足るだけの明確な基準は熟成されておらず,抵当証券業者のみならず,預金者保護等の観点からより資産の健全性が強く要請される銀行等の金融機関を含めた検査一般において,行政当局が個々の企業の作成した貸借対照表について企業会計原則等に基づく引当の適切性を検証し要追加引当額を見積もるという運用はされていなかった。 この状況は抵当証券業者についても同様であって,平成9年3月当時, 抵当証券業協会が定め,抵当証券業者の経理処理の実務指針となっていた統一経理基準(平成 見積もるという運用はされていなかった。 この状況は抵当証券業者についても同様であって,平成9年3月当時, 抵当証券業協会が定め,抵当証券業者の経理処理の実務指針となっていた統一経理基準(平成7年2月に日本公認会計士協会抵当証券部会の協力を得て,抵当証券業協会の税務・会計委員会幹事会,専門部会等で検討を重ね,平成6年12月21日の第65回理事会で決議された内容に基づき編集されたものであり,企業会計原則及び法人税法等を参考にした各抵当証券会社の社内における会計処理基準であるとされている。)は,貸倒引当金について,前記の企業会計原則・注解18の文言を引用した上,具体的な基準については,「各社の所定の社内処理基準(計上基準)に基づいて,個々の債権の回収可能性を吟味し,適正な貸倒引当金を設定する」と規定するのみで,貸倒引当金の具体的な算定基準は定められていなかった(乙61)。 しかるところ,それまで我が国が資産を計上する基準として採用していた取得原価主義の下では,バブル崩壊に伴い発生した株式等の含み損や,デリバティブ取引の普及に伴って発生した含み損益等を財務諸表上適切に反映することはできず,企業の実態と財務諸表との間にかい離が生じるに至ったため,国内外の投資家に対し,企業の実態に関する情報を提供し,投資参加を促すとともに,企業経営者に対しても企業の実態に即した経営判断を可能とするべく,時価主義に基づく新たな会計基準が求められるようになり,平成8年7月以降,企業会計審議会特別部会金融商品委員会において,貸倒引当金額の算定方法を含むさまざまな問題について議論がされるようになって,貸倒引当金額の算定方法についても,「破綻する前でも問題のある債権には貸倒引当金を設定すべき」である(乙115の1・同年11月15日第3回委員会),「貸出金の償却・ ついて議論がされるようになって,貸倒引当金額の算定方法についても,「破綻する前でも問題のある債権には貸倒引当金を設定すべき」である(乙115の1・同年11月15日第3回委員会),「貸出金の償却・引当金の基準については,貸出金の減損を早期に認識できる基準が必要である」(乙115の2)との議論がされたが,銀行等の金融機関の場合でさえ,行政当局において企業会計原則等に基づく引当の適切性を検証する環境が整備され,こ のような検証をする運用がされるようになったのは,自己資本比率という客観的な基準を用い,自己資本比率に係る区分に応じて行政当局が業務改善命令等の措置を適時に講じていくという早期是正措置制度(銀行法26条2項)が導入された平成10年4月以降である(乙62)。また,早期是正措置制度の導入に先立って,貸倒償却及び貸倒引当金の計上基準について検討していた日本公認会計士協会が,銀行等監査特別委員会報告第4号「銀行等金融機関の資産の自己査定に係る内部統制の検証並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(以下「4号実務指針」という。)を公表し,その中で,貸倒引当金の算定について,債務者の財政状態及び経営成績を考慮して,債権の区分を正常先債権,要注意先債権,破綻懸念先債権,実質破綻先債権及び破綻先債権の5区分とし,それぞれについて過去の貸倒実績率,担保の処分見込額,保証による回収見込額等を基礎として貸倒見積高を算出する考え方を示した(乙65)のも平成9年4月である。さらに,金融監督庁が,検査官による銀行等の金融機関の検査の手引書である「金融検査マニュアル」を策定すべく,法律家,公認会計士,金融実務家らをメンバーとする「金融検査マニュアル検討会」を設置したのは平成10年8月であり,金融監督庁検査部長が,同検討会のまとめた「最終 「金融検査マニュアル」を策定すべく,法律家,公認会計士,金融実務家らをメンバーとする「金融検査マニュアル検討会」を設置したのは平成10年8月であり,金融監督庁検査部長が,同検討会のまとめた「最終とりまとめ」(平成11年4月)を踏まえ,「預金等受入金融機関に係る検査マニュアルについて」と題する通達により,検査官による銀行等の金融機関の検査の手引書である「金融検査マニュアル」を発出し,引当の適切性に関する検査の手法を示したのは同年7月である。 抵当証券業者を含む一般企業等については,銀行等の金融機関に対する4号実務指針を受けて,一般事業会社にも適用することができるものとして平成11年1月に企業会計審議会が「金融商品に係る会計基準・同注解(金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書)」(乙70)を公表し,「金融機関の貸付金については,債務者の財政状態及び経営成績の悪化に 対し適切な貸倒引当金の設定を行う観点から,平成9年4月1日以降開始する事業年度以降,会計実務上,債務者の財政状態及び経営成績を考慮した分類に基づき,過去の貸倒実績率,担保の処分見込額,保証による回収見込額等を基礎として貸倒見積高が算定されているところである。このような状況の下において,債権一般に関して,債務者の財政状態及び経営成績が悪化し,当初の契約条件に従って元本の回収又は利息の受取りができない等債務者に問題が生じている場合に,貸倒見積高を適切に算定するための会計基準を整備する必要がある。本基準では,債務者の財政状態及び経営成績等に応じて,債権を,①経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権(一般債権),②経営破綻の状態には至っていないが,債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権(貸倒懸念先債権)及び③経営破綻 が生じていない債務者に対する債権(一般債権),②経営破綻の状態には至っていないが,債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権(貸倒懸念先債権)及び③経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権(破産更生債権等)とに区分し,その区分ごとに貸倒見積高の算定方法を示すこととした」との考え方が示された。これを受け,日本公認会計士協会は,平成12年1月31日,会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」(乙71)を公表し,その中で,債務者の財政状態及び経営成績を考慮した分類に基づき貸倒見積高を算定する具体的な基準が示されたのであり,これらが適用されるようになったのは同年4月1日以後開始する事業年度からである。これにより,監査委員会報告第5号は廃止され,統一経理基準も改正されて,個別の債権の元本の回収可能性を重視して貸倒見積高を算定していた旧来の基準に代わり,債務者の財政状態及び経営成績の悪化を考慮してより適切な貸倒引当金の設定を行う観点から債権の分類方法が設けられ,一般債権において本件基準ではなく貸倒実績率等合理的な基準によるべきことが明確になったほか,貸倒懸念債権については個々の債権の実態に最も適する算定方法としてキャッシュ・フロー見積法が新たに規 定されたのである。ここに至り,破綻懸念がある融資先に対する債権について通常債権よりも多額の貸倒引当金を必要的に計上すべきものとする「金融商品に係る会計基準・同注解」及び「金融商品会計に関する実務指針」が抵当証券業者が用いるべき唯一の公正なる会計慣行として貸倒引当金を算定する客観的かつ明確な統一的基準となり,税法基準は公正なる会計慣行ではなくなったのである。 そして,新旧両基準の間には,異なる結論を導くほどの差 用いるべき唯一の公正なる会計慣行として貸倒引当金を算定する客観的かつ明確な統一的基準となり,税法基準は公正なる会計慣行ではなくなったのである。 そして,新旧両基準の間には,異なる結論を導くほどの差異があった。 現に,例えば日本長期信用銀行は,平成9年当時,多額の破綻懸念先債権を抱えていたにもかかわらず,税法基準に基づく貸倒引当金の計上が容認されていたが,平成10年3月期決算において,4号実務指針が公正なる会計慣行となった結果,多額の引当,償却の必要性が生じ,最終的に破綻に至っている(乙153)。また,株式会社アプラス(平成12年3月期の財務諸表について,監査法人の監査を受けて適正意見を得ていた。)は,平成13年3月期の有価証券報告書において,同連結会計年度から「金融商品に係る会計基準」を適用する旨記載し,当該年度から数百億円の単位で貸倒引当金の積増しを行っている。また,ダイヤモンド抵当証券株式会社(平成11年3月期の財務諸表について,同様に監査法人の監査を受けて適正意見を得ていた。)も,平成12年3月期の有価証券報告書において,貸倒引当金については,「金融商品に係る会計基準(中間報告)」の公表に伴い,同期から上記報告における資産の自己査定基準に基づき計上する方法に変更した旨記載し,やはり数百億円の単位で貸倒引当金の積み増しを行っていたが,平成11年3月期においては,貸借対照表の流動資産の部に計上されている債権(抵当証券特約付貸付金,営業貸付金(その他),その他貸付金,未収益金)の額約211,077百万円に対する貸倒引当金は894百万円であり,貸倒引当金の債権に対する比率は約0. 42パーセントであって,法定繰入率(金融保険業0.3パーセント)と 大差のない水準であったのである。 以上の経緯からも明らかなように,平成9年当時は,貸 ,貸倒引当金の債権に対する比率は約0. 42パーセントであって,法定繰入率(金融保険業0.3パーセント)と 大差のない水準であったのである。 以上の経緯からも明らかなように,平成9年当時は,貸倒引当金について,行政当局が公権的にこれを算定して不利益処分,まして,営業の資格そのものを剥奪するような不利益処分をするに足るだけの明確かつ客観的な基準がいまだ熟しておらず,監査委員会報告第5号が,「我国における会計慣行とりわけ税法基準を採用している会社が大多数である」と指摘しているとおり(甲89の2,乙60),税法基準が,公正なる会計慣行に合致するものとして広く採用されていた。このことは,財務の健全性が一般企業よりも強く要請される預金取扱金融機関においてすら,平成9年3月当時は,貸出債権の償却,引当が税法基準に基づいて行われており,税法基準を超える引当計上は各金融機関の自主的判断にゆだねられ,例外的にしか行われていなかったこと(乙151)からも明らかである。しかるところ,税法基準は,法人税法基本通達に基づいて貸倒引当金額を算定するものであって基準として明確であり,破綻懸念がある融資先に対する債権についても通常債権より多額の貸倒引当金を必要的に計上することを求めておらず,本件更新登録当時,大和都市管財は,後記のとおり少なくとも本件基準による貸倒引当金の設定によれば資本欠損に至らなかった。 しかも,平成9年当時,ナイスミドル,美祢カントリークラブ,ナイス函館はそれぞれゴルフコースを営業し,ベストライフ通商は「サンクス」「あじわい」などの飲食店や不動産賃貸業を営み,リステム化学研究所は,産業廃棄物関連事業や不動産賃貸業を営んで,それぞれ事業収入を得ていた。このように,大和都市管財の融資先グループ会社のうち5社は,いずれも営業を継続し,事業収入 賃貸業を営み,リステム化学研究所は,産業廃棄物関連事業や不動産賃貸業を営んで,それぞれ事業収入を得ていた。このように,大和都市管財の融資先グループ会社のうち5社は,いずれも営業を継続し,事業収入を得ていたのであり,廃業の予定はなかった。 また,これら各社は平成9年3月期に直近する決算期においていずれも当期損失を計上し,累積損失も合計約108億円にのぼっていた上,そのような経営状況が続けば将来的に破綻する懸念はあったものの,大和都市管 財に支払う利息の延滞も認められず,平成9年11月18日のヒアリングにおいても,Y3会計士が中心となって,ナイスミドル等の経営するゴルフ場の会員権販売の拡充,那須グリーンコースのホテル建設等による各ゴルフ場の収益の向上,那須グリーンリゾート計画,ナイス大原カントリーリゾート計画,ファッションホテル購入による融資先グループ会社所有不動産の利用向上など,債務超過解消に向けた新たな事業計画を説明していたのであって,経営の改善の見込みがないと断定することができる状況ではなかった。 以上の次第であるから,仮に,大和都市管財の平成9年3月期決算において,融資先に係るグループ会社5社に対する特約付き融資につき本件基準を超える貸倒引当金を計上していないことが公正なる会計慣行に合致していないとしても,近畿財務局が,本件更新登録に当たり,大和都市管財が行っていた本件基準に基づく貸倒引当金額を否定し,別の算定基準を一方的に採用して,貸倒引当金の追加計上額を算定することはできなかったのである。 これに対し,原告らは,22号取扱い(なお,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」の公表に伴い,現在ではこの取扱いは廃止されている。)によって大和都市管財の回収不能見込額を算定すべきであった旨主張する。 しかしながら,22号取 なお,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」の公表に伴い,現在ではこの取扱いは廃止されている。)によって大和都市管財の回収不能見込額を算定すべきであった旨主張する。 しかしながら,22号取扱いは会計上の子会社(ある会社が他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合の当該他の会社をいう。)又は関係会社(会社が他の会社の議決権の100分の20以上,100分の50以下を実質的に所有し,かつ,当該会社が人事,資金,技術,取引等の関係を通じて当該他の会社の財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。)における株式及び債権の評価に適用されるものであるところ,グループ6社は大和都市管 財にとって上記のような意味での子会社や関係会社には該当しないし,近畿財務局が,大和都市管財の主要株主がY1及びその親族であるといった程度の理由で,本件に本来適用されない22号取扱いを参考にして一方的に事実上営業活動を停止させる効果を持つ更新登録拒否をすることができないことは明らかである。加えて,22号取扱いにおいては綜合的方法と並んで個別的方法(債権のうち取引条件,契約条件等に違反し,かつ,現実に回収されていない額について貸倒引当金を設定する方法)も認められており,両方法の間に特段の優劣はないところ,本件更新登録時において大和都市管財には上記いずれの観点からみても債権の滞留はなく,このような意味での回収不能額は存在しなかった(少なくとも,近畿財務局は現実に債権の滞留があったと認識してはいなかった。)から,個別的方法によれば大和都市管財の場合は貸倒引当金は不要とも解し得た(原告らは,個別的方法は金額的に必ずしも重要性がない場合等に用いられる補充的な方法であると主張するが,何らの根拠もない。)。さらに,2 方法によれば大和都市管財の場合は貸倒引当金は不要とも解し得た(原告らは,個別的方法は金額的に必ずしも重要性がない場合等に用いられる補充的な方法であると主張するが,何らの根拠もない。)。さらに,22号取扱いは,別の算定基準に基づく貸倒引当金を排除する趣旨であるとも考えられなかった。また,平成9年当時,大和都市管財の融資先であるグループ会社はいずれも債務超過の状況にはあったものの,過去に大和都市管財への利払を延滞したことはなく,現に事業を継続していたのであって,破綻懸念があるとはいえても,実質的に破綻しているとか,経営改善の見込みがないと直ちに断定することができる状況にはなかったことは上述のとおりであり,事業を継続しながら自助努力により借入金を返済する可能性や,今後業況が好転する可能性を考慮することなく,その即時清算を仮定して貸倒引当金を算定することは不可能であった。 したがって,原告らの前記主張は失当であるから,原告らが22号取扱いを本件に直接適用した上で行った数々の試算は,その前提を欠き,無意味である。 さらに,原告らは,財産的基礎の有無に係るメルクマールである「資本欠損」の有無は極めて会計的な判断であるのに,これとは別に,行政庁が「不利益処分を課すほどの客観的かつ明確な根拠」との規範を新たに定立するのは二重の基準を持ち込むもので不当であるとの旨の主張をする。しかしながら,「資本欠損」か否かは「公正ナル会計慣行」に従って判断されるとしても,例えば貸倒見積残高算出一つをとっても種々の算定方法が考えられるように,いずれの算定方法も「公正ナル会計慣行」として評価され得る場合に,行政当局がこれらのうちのいずれか一つの算定方法を一方的に採用して不利益処分を課すには,当該方法によることに客観的かつ明確な根拠が必要であり,貸倒引当金に 正ナル会計慣行」として評価され得る場合に,行政当局がこれらのうちのいずれか一つの算定方法を一方的に採用して不利益処分を課すには,当該方法によることに客観的かつ明確な根拠が必要であり,貸倒引当金について複数の考え方が成り立ち得る場合には,結局,申請者の採用する算定方法を採用せざるを得ないものというべきであるから,原告らの上記主張は失当である。 また,原告らは,被告が上記のとおり平成9年当時大和都市管財の融資先が実質的に破綻しているなどの状況になかったと指摘したのに対し,貸倒引当金は融資先の破綻が確定するまで設定することができないというものではないし,融資先が債務超過に陥っているような場合には,貸倒れを回避することができる具体的かつ明らかな要因が存在しない限り貸倒引当金の設定が求められる旨反論する。しかしながら,被告は,融資先の破綻等がなければ貸倒引当金を計上し得ないと主張しているのではなく,そうした事情がなければ融資先の清算を前提とする原告らのような貸倒引当金の算定方法を採り得ないと主張しているにすぎないから,原告らの上記反論は被告の主張を正解しないものというほかない。 加えて,原告らは,会計原則は一般性を備えた根本原則であるから,算式のような明確な基準を要求することは的はずれである旨主張する。しかしながら,前記のとおり,平成9年当時は,企業会計原則・注解18が存在していたとはいえ,貸倒引当金の算定方法について「金融商品に係る会 計基準」のように統一的な基準がなく,それぞれの企業が税法基準を含めさまざまな方法により貸倒引当金を計上していたのであり,そもそもどのような場合に「(費用又は損失の)発生の可能性が高く」といえるのか,どのような場合に「その金額を合理的に見積もることができる」といえるのか明らかでなかったばかりか,具体的な たのであり,そもそもどのような場合に「(費用又は損失の)発生の可能性が高く」といえるのか,どのような場合に「その金額を合理的に見積もることができる」といえるのか明らかでなかったばかりか,具体的な引当金額をどのように算定するのかについて,行政当局が客観的かつ明確な根拠をもって採用することができる特定の算定方法が存在しなかったことは上述のとおりであり,まして事業を継続しており破綻状態にあるとまで断定することができない大和都市管財の融資先グループ会社について,同社が個別に貸倒引当金を計上しなければならないと断定することはできなかったから,原告らの上記主張は失当である。 さらに,原告らは,金融商品会計基準は22号取扱いと比較してそれほど明確とはなっておらず,本件における貸倒引当金の計算方法に具体的な影響を与える規定上の差異はない旨主張する。しかしながら,原告らの上記主張もまた以下のとおり失当である。すなわち,金融商品会計基準は,債権を債務者の財政状態及び経営成績等に応じて一般債権,貸倒懸念債権及び破産更生債権等に区分した上,①一般債権については,債権全体又は同種・同類の債権ごとに,債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により算定する方法を用いることとし,②貸倒懸念債権については,債権の状況に応じて,債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し,その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法か,債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュフローを合理的に見積もることができる債権にあってはDCF法(債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれる時から当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方 あってはDCF法(債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれる時から当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法) を用いることとし,③破産更生債権等については,債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し,その残高を貸倒見込額とする方法を用いると規定しており,上記にいう貸倒懸念債権(経営破綻の状態には至っていないが,債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権)について,会計制度委員会報告第14号(金融商品会計に関する実務指針(中間報告))は,「債務の弁済に重大な問題が生じているとは,現に債務の弁済がおおむね1年以上延滞している場合のほか,弁済期間の延長又は弁済の一時棚上げ及び元金又は利息の一部を免除するなど債務者に対し弁済条件の大幅な緩和を行っている場合が含まれる。」,「債務の弁済に重大な問題が生じる可能性が高いとは,業況が低調ないし不安定,又は財務内容に問題があり,過去の経営成績又は経営改善計画の実現可能性を考慮しても債務の一部を条件どおりに弁済できない可能性の高いことをいう。」,「財務内容に問題があるとは,現に債務超過である場合のみならず,債務者が有する債権の回収可能性や資産の含み損を考慮すると実質的に債務超過の状態に陥っている状況を含む。」として,どのような場合に貸倒懸念債権に該当するのか具体的かつ詳細に規定している。他方,5号取扱いは,債務者の財政状態,経営成績等に応じて債権を区分することなく,考え得る数種の貸倒見積高算出方法を例示するとして,総括的方法,個別的方法などを掲げるにすぎず,債務者の経営内容に重大な問題が生じているか否かにより債権を区分するような明確な規定も存在しなか なく,考え得る数種の貸倒見積高算出方法を例示するとして,総括的方法,個別的方法などを掲げるにすぎず,債務者の経営内容に重大な問題が生じているか否かにより債権を区分するような明確な規定も存在しなかったし,本件基準など「種々の方法」を容認していた。以上のとおり,金融商品に係る会計基準は,5号取扱いよりも詳細,具体的かつ明確である。また,金融商品に係る会計基準は,貸倒懸念債権は,債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し,その残高について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して債権額の何割かを貸倒見積高として算定するものとしており,精算を前提とした回収不 能見込額をすべて貸倒引当金額とするわけではないから,原告らが主張するような融資先の清算を前提とする算定基準とは異なるのである。 また,原告らは,大和都市管財の担保不動産の時価が本件更新登録時において鑑定評価額を下回っていたことからも貸倒引当金の設定が必要であったとし,具体的には,抵当証券保管機構が作成した保管抵当証券明細表(甲81の6)における時価評価額及び帳簿価格を基礎とした上で,帳簿価格を採用したものについては,バブル崩壊後の不動産価格の下落傾向の下では平成9年当時の時価が帳簿価格を上回ることはないとの前提に立って各担保物件の換価可能価値を算定する。しかしながら,不動産取引においては相場より低い価格で取引が行われることもあり得ること,地価は平成3年ころまでは上昇傾向にあったところ,担保物件の中には昭和60年代のバブル期以前に購入した物件もあること,個々の不動産にはその種類,所在地の実情,収益状況,地理的要因等の固有の事情があることなどから,これら担保不動産の平成9年当時の評価額がその取得価格を下回っているとは断定することができない上,保管抵当証券明細表は路線価, ,所在地の実情,収益状況,地理的要因等の固有の事情があることなどから,これら担保不動産の平成9年当時の評価額がその取得価格を下回っているとは断定することができない上,保管抵当証券明細表は路線価,公示価格等による机上の時価評価にすぎないから,上記明細表や一般的な地価の下落傾向のみを根拠に,抵当証券を発行する際に添付された不動産鑑定士による(いずれも被担保債権額を上回る)鑑定評価書を近畿財務局が否定するのは不可能であった。よって,仮に融資先の清算を前提とする貸倒引当金の算定基準を採用したとしても,近畿財務局が不動産鑑定士による当該鑑定額を覆し,別の評価額を用いて回収不能見込額を認定することはできなかったから,原告らの前記主張も失当である。 イ税法基準平成9年当時は,法人税法52条1項により税務上損金に算入することができる貸倒引当金の限度額は,大和都市管財のような金融業者については,同法施行令97条1項3号により,貸金の帳簿価額の合計額に100 0分の3の法定繰入率を乗じた金額とされていた。 これに対し,原告らは,法定繰入率は現実の貸倒率より低く設定されており,大和都市管財の自己融資に対する貸倒引当金の水準としては実態を反映していないことが明らかである旨主張する。しかしながら,5号取扱いの解説にもあるとおり,税法基準により算出される貸倒引当金は,実際に発生する貸倒損失よりも過大に設定される傾向にあるが,一種の社会的に認められた経験率として合理性を有するものとされ,企業会計の基準に準拠する取扱いとされていたことが明らかであるから,原告らの上記主張は失当である。 しかるところ,大和都市管財は,同年3月期の貸借対照表において,少なくとも,貸金の帳簿価額の合計額714億2960万円(受取手形割引高150億7000万円を含む。)に100 上記主張は失当である。 しかるところ,大和都市管財は,同年3月期の貸借対照表において,少なくとも,貸金の帳簿価額の合計額714億2960万円(受取手形割引高150億7000万円を含む。)に1000分の3の法定繰入率を乗じた金額である2億1000万円(1000万円未満切捨て)を貸倒引当金として計上していたから(乙3の7),同社の貸借対照表には企業会計の基準に反する点はなかった。 ウ原告らによる貸倒引当金の計算の不当性原告らは,本件更新登録時に大和都市管財が見積もるべきであったとする貸倒引当金の額の算定に当たり,営業を継続中の融資先について,営業譲渡等の可能性を考慮することなくその営業権(商号又は商標の浸透,有利な立地条件,経営者の資質,従業員の熟練度,取引先との有利な関係,金融機関との緊密な関係など他企業にみられない特殊な利点によって得られる超過収益力としての経済的事実)を無価値として全額償却したり,グループ6社の保有する不動産の評価額を,抵当証券発行時における不動産鑑定士による鑑定評価額を無視し,不動産市況全体が下落傾向にあることのみをもって抵当証券保管機構による評価額や各不動産の取得価格に一方的に依拠して算出したり(前記のとおり,グループ会社が保有する担保物 件の中には,昭和60年代等のバブル期以前に購入したものも含まれており,個々の不動産の中には,その種類や所在地の実情等,それぞれに固有の事情があるから,行政当局が単なる一般的な傾向を根拠に不動産鑑定士の鑑定評価を否定することは到底不可能であった。),ベストライフ通商が平成8年10月に新たに土地を取得した事実を無視していたり(財産的基礎の有無を判断するに当たり審査される計算書類は,更新登録申請の日を含む事業年度の前事業年度の計算書類である。),ナイスミドルが所有する 年10月に新たに土地を取得した事実を無視していたり(財産的基礎の有無を判断するに当たり審査される計算書類は,更新登録申請の日を含む事業年度の前事業年度の計算書類である。),ナイスミドルが所有する株式(平成8年3月期以降に当期利益を計上し,同社が27億5000万円で取得した美祢カントリークラブのものも含まれる。)を安易に無価値と評価したり,大和都市管財のY1からの81億4700万円の借入金の出所についてナイス函館である旨根拠なく断定するなど,その計算には不合理な点が多く,少なくとも,近畿財務局長において,原告らの主張するような貸倒引当金を算定して,大和都市管財の財産的基礎に関する審査を行うことは不可能であったというべきである。 加えて,別紙8【ケースA】の計算については,平成9年検査において大和都市管財を通じて近畿財務局が融資先各社の決算書の提出を受けたのが同年7月8日であり,その時点ではナイスミドルの同年6月期の決算作業は終了しておらず,同期の貸借対照表の提出を受けることは不可能であることを看過している点においても失当というべきである。同様に,【ケースB】の計算については,原告らが①大和都市管財の融資先の保有不動産すべてが特約付き融資の担保に供されていることを所与の前提としていること(融資先が担保に供されていない不動産を所有している場合,それらの物件については一般債権の弁済の対象となる財産となるために回収見込額が大きくなり,貸倒引当金要設定額は小さくなる。),②担保物件の帳簿価額の合計額がそれらの評価額の合計額を上回ることを前提としていること(含み益のある資産であった場合,原告らの計算はその根拠を 失う。)などの点でも失当というほかはない。 エリステム化学研究所に対する貸倒引当金の設定が不要であること原告らは,リステム いること(含み益のある資産であった場合,原告らの計算はその根拠を 失う。)などの点でも失当というほかはない。 エリステム化学研究所に対する貸倒引当金の設定が不要であること原告らは,リステム化学研究所は平成9年度には完全に破綻していた旨主張する。しかし,同社は,平成9年3月期に収益としてグループ会社に対する長期貸付金8億2600万円に対する受取利息約7132万円も計上しており,不動産賃貸等による収益約1億6231万円と受取利息約7132万円との合計額2億3363万円は支払利息約2億0937万円を上回っていた(甲77の5)。さらに,近畿財務局が,平成9年5月20日に大和都市管財に対しヒアリングを実施したところでも,リステム化学研究所について,産業廃棄物のリサイクル事業も本格化する見込みである旨の説明があり,平成9年経営健全化計画(最終提出は同年12月1日)及びこれに伴うヒアリングにおいても,賃貸収入が堅調であることに加え,産業廃棄物セラミック化処理事業も本格化する見込みで有望であるとされていた。また,同社の売上高の推移をみても,設立当初の平成5年3月期には約1621万円,平成6年3月期には約1944万円にすぎなかったが,平成7年3月期にはこれが約1億6291万円と飛躍的な伸びを見せ,その後も平成8年3月期,平成9年3月期と同水準を維持していた(甲77)。さらに,同社の当期損失の推移をみても,平成5年3月期に当期利益を計上した後,平成6年3月期には約3318万円,平成7年3月期には約7088万円の当期損失をいずれも計上したものの,その後,当期損失額は,平成8年3月期には約5082万円,平成9年3月期には約1860万円と大幅に縮小し,改善傾向を示していた。よって,リステム化学研究所は,本件更新登録当時,完全に破綻しているなどと断定 当期損失額は,平成8年3月期には約5082万円,平成9年3月期には約1860万円と大幅に縮小し,改善傾向を示していた。よって,リステム化学研究所は,本件更新登録当時,完全に破綻しているなどと断定することができる状況にはおよそなかった。さらに,リステム化学研究所に係る担保物件の不動産鑑定評価額は,いずれも被担保債権額を上回っていた。したがって,平成9年当時,リステム化学研究所に係る貸倒引当金を算定する ことはおよそ不可能であったことは明らかである。 これに対し,原告らは,大和都市管財のリステム化学研究所に対する特約付き融資の貸付利率が年6.5パーセントから最終的に年4.875パーセントに減免されたことをもって,同研究所の利払が延滞していた根拠であると主張する。しかしながら,貸付利率の減免は,融資先企業の業況に応じ,取引関係等を考慮してされるもので,直ちに融資先の利払が延滞していることを意味しないし,年4.875パーセントへの減免というのは平成8年経営健全化計画上の数値であって,平成10年3月期及び平成11年3月期において,実際に大和都市管財に支払われている利息の利率は年6パーセントであって,上記減免は実施されていない。よって,原告らの上記主張は失当である。 (4)本件貸付金の計上が財産的基礎と無関係であること仮に本件貸付金が仮装のものであるとしても,そのことは直ちに大和都市管財の財産的基礎に影響を与えるものではない。すなわち,大和都市管財においては,本件貸付金について,大和都市管財がY1から55億円を借り入れ,これをそのままナイスミドルに貸し付けたことを示す本件仕訳がされていたところ,仮に,大和都市管財がY1から55億円を借り入れ,これをそのままナイスミドルに貸し付けたという事実がなかった場合,本件仕訳を消去すべきこととな ドルに貸し付けたことを示す本件仕訳がされていたところ,仮に,大和都市管財がY1から55億円を借り入れ,これをそのままナイスミドルに貸し付けたという事実がなかった場合,本件仕訳を消去すべきこととなるが,それは,本件貸借対照表から55億円の特約付き融資という資産を控除するとともに,長期借入金という負債も同額控除すべきことを意味するから,結局,大和都市管財の資産の合計額から負債の合計額を控除した額には変動がないことに帰する。仮に,本件貸付金が架空であるために本件貸付金から発生する抵当証券受取利息の計上も否定すべきとする場合には,55億円の長期借入金から発生する支払利息の計上も否定すべきこととなるが,本件貸付金から発生する抵当証券受取利息が年7パーセントであるのに対し(甲51,乙82),55億円の長期借入金から発生する支 払利息は年8パーセントであるから(乙84),大和都市管財の資産は,むしろ増加することになる。 他方,近畿財務局は,平成12年検査において,会社整理通告書記載のとおり,大和都市管財の抵当権付き債権約51億2500万円(その内訳は,別表6から平成11年4月1日付けで計上された合計20億1890万円,平成11年4月13日付けで計上された12億円,及び,平成11年5月28日付けで計上された20億円の総計から,平成12年3月31日付けで消去された9370万円を控除した額。以下同じ。)につき資金の交付が伴っていないことを認定したが,同社がこれを(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社という仕訳で計上した上で顧客に売却していたことなどのため,上記仕訳を消去することができなかったことから,大和都市管財がグループ会社に対する抵当権付き債権を取得すると同時にグループ会社に対しては資金を交付する義務(簿外負債)を負ったと解したものである め,上記仕訳を消去することができなかったことから,大和都市管財がグループ会社に対する抵当権付き債権を取得すると同時にグループ会社に対しては資金を交付する義務(簿外負債)を負ったと解したものである。さらに,金融商品に係る会計基準注解(注9)及び金融商品会計に関する実務指針119によれば,契約上の利払日を6か月から1年程度経過しても支払を受けていない未収利息については当期損失として処理し,それ以後の未払利息についても計上してはならないことが明確に定められていることを根拠に,大和都市管財側の説明や特別上申書(乙138,以下「本件上申書」という。)の記載などから,同社の受取利息の未収は少なくとも平成10年8月(総勘定元帳において関係会社を相手方勘定として抵当権付き債権が最初に計上された時期)から平成12年10月の検査時点まで継続していたものと認定し,同社の融資先が赤字決算の連続で大幅に債務超過になっていた点を捉え,上記期間における未収利息計約56億9300万円(その内訳は別表7のとおり。)の借方(資産)への計上を否定し,これによって上記簿外負債が顕在化したものとして大和都市管財の財産的基礎を否定したのであって,平成9年検査にお ける判断とは事情が異なる(原告らは,簿外負債の認定と架空融資の認定とは全く同一の事象を表と裏から表現したにすぎない旨主張するが,前記のとおり,貸す債務を負担している以上,諾成的消費貸借としては成立しているため債権の計上を架空とは認定することができないのであって,原告らの主張は根本的に誤っている。)。 (5)本件3融資の存否について検査に係る財務局等としての最終結論は,検査当局における十分な審査を経た上で,財務局長等名の検査結果通知の形式で被検査金融機関に通知されるものであり,主任検査官の認識がそのまま財務 資の存否について検査に係る財務局等としての最終結論は,検査当局における十分な審査を経た上で,財務局長等名の検査結果通知の形式で被検査金融機関に通知されるものであり,主任検査官の認識がそのまま財務局等としての最終結論になるものではない。Y20要約は,大和都市管財側の説明が二転三転していた平成12年検査の中途段階である同年11月14日付けで作成されたものであって,検査過程の一時点における主任検査官の認識を示したものにすぎないのに対し,平成12年検査に係る検査結果の通知(以下「平成12年検査結果通知」という。)は平成13年4月9日付けであって,近畿財務局は,Y20要約の後,約5か月もの慎重な検討を経て最終的な結論に至っているのである。そして,平成12年検査結果通知には,本件3融資を架空と認定したとは全く記載されていない。したがって,Y20要約の記載内容をもって近畿財務局が最終的に本件3融資を架空と認定したかのような原告らの主張は,その前提において失当である。 (6)抵当証券受取利息の存否についてグループ6社がすべて大幅かつ継続した債務超過に陥っており,その営業もさしたる実業をしていない状況であること,平成8年3月期及び平成9年3月期における大和都市管財の抵当証券受取利息計上時の会計処理の際,その相手方勘定が現金預金ではなく長期借入金であったことのみから,更新登録拒否という重大な結果を伴う受取利息の仮装の認定を行うことはできないというべきである。 争点3(本件更新登録時において,大和都市管財は更新登録拒否事由である人的構成の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)(原告ら)(1)総論抵当証券業者が収益性のある融資をして収益を上げるためには,反社会的企業への融資をせず(融資の公共性),返済能力ある 当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)(原告ら)(1)総論抵当証券業者が収益性のある融資をして収益を上げるためには,反社会的企業への融資をせず(融資の公共性),返済能力ある先へ融資をし(融資の安全性),十分な担保を徴求する(担保の十分性)ことが必要であり,このような融資を実現するためには,これらの条件を備えているか否かを見抜く能力のある融資審査担当者を確保して融資審査に当たらせる枠組みが必要である。抵当証券業規制法制定時における国会審議においても,政府委員は,人的構成は,財産的基礎と並んで,抵当証券購入者の権利を保護するために非常に重要である旨答弁していた。 基本事項通達は,抵当証券業規制法6条1項7号にいう「抵当証券業を適確に遂行するに足りる・・・人的構成を有しない法人」でないとするためには,①役員又は重要な使用人のうちに,抵当証券業に関し相応の知識を有する者がいること,及び②融資業務を担当する組織において融資業務経験者が2名以上在籍していること,が必要としているが,以下のとおり,大和都市管財は本件更新登録当時,このいずれの要件をも充足していなかった。 したがって,本件更新登録時において,大和都市管財には,同法6条1項7号にいう「人的構成」が欠如していたことは明らかである。 これに対し,被告は,営業の自由をできる限り尊重するために,審査基準は明確で客観的かつ画一的であるべきであると主張する。しかしながら,営業の自由は絶対不可侵ではなく,公共の福祉の観点から制約を受けるものであり,抵当証券業は過去に大量被害の出ている業種であるから,抵当証券業規制法による購入者保護を目的とした規制は合理的なものとして憲法上許容 されることは明らかである上,抵当証券業者は100社程度しかなかったから,大量処理の必要から画 業種であるから,抵当証券業規制法による購入者保護を目的とした規制は合理的なものとして憲法上許容 されることは明らかである上,抵当証券業者は100社程度しかなかったから,大量処理の必要から画一的基準が必要な場合にも当たらず,むしろ実質的な調査等が要請されるものというべきである。したがって,被告の上記主張は失当である。 (2)抵当証券に関し相応の知識を有する者の在籍抵当証券業に関する相応の知識を有するといえるためには,購入者保護のために遵守すべき抵当証券業者としての法的義務等に関する知識や,こうした知識を適切に実用する能力を有することが条件となり,具体的には,①モーゲージ証書による取引約款において抵当証券業者側に課される償還義務の履行確保,②貸出先の返済能力や担保価値等につき適切な評価をした上での融資,③貸出債権と償還債務の適切な管理等,及び④関係法令・通達・契約についての知識が不可欠である。しかし,大和都市管財の融資は,期間中は金利のみの支払を受け,元本は全額10年後に一括して返済を受ける形式で行われており,抵当証券購入者の償還資金の財源が返済金にほとんど頼ることのできないハイリスクなものであったこと,リスクの分散を顧慮せず,同社グループに属する赤字企業にのみ巨額融資をし,返還請求や督促を全く行わず,担保評価も極めて甘かったことなどに照らし,同社には,抵当証券業の新規登録以来,このような意味での知識を有する者が在籍した事実がなかったことは明らかである。 これに対し,被告は,大和都市管財においては,Y1とY8とが1年以上の業務経験者及び抵当証券業協会の研修修了者という内部基準をいずれも満たしていた旨主張する。しかしながら,上記内部基準のうち1年以上の業務経験に係る部分は,「抵当証券業に1年程度以上適正に従事した者がいるこ 験者及び抵当証券業協会の研修修了者という内部基準をいずれも満たしていた旨主張する。しかしながら,上記内部基準のうち1年以上の業務経験に係る部分は,「抵当証券業に1年程度以上適正に従事した者がいること」から「抵当証券業に関し相応の知識を有する」者の存在の要件が推認されるとするのみであるところ,Y1は,平成7年業務改善命令を撤回させたことを始め,近畿財務局とのやり取りにおけるその無知・無理解・乱暴な発 言からもうかがわれるとおり,監督官庁の指導に全く従わず,かえってこれを恫喝するような人物であって,抵当証券業に関する相応の知識や経験が欠けていたことは明らかであった上,上記のような同社の融資方法に照らせば,Y8を始めとした同社の役員や主な従業員のすべてが失格であったというべきであるから,上記のような推認が働く余地はなかった。また,抵当証券業協会の研修についても,貸金業と抵当証券販売業を兼ねる抵当証券業者の業務の難易度からすると,研修を受けたことは上記と同様に相応の知識保有者たることを推認ないし推定させるにすぎないというべきである。さらに,審査基準は抵当証券業規制法の立法目的である購入者保護を実現するためのものであり,抵当証券業者についても抵当証券についても何も知らされていない購入者にとって,頼りなのは情報が集中していて近畿財務局長が任務を遂行している被告だけであることに照らすと,具体的事情に基づいて実質的な審査をすることが審査基準上も予定されていると解すべきである上,審査基準の形式的充足のみを要求することは,審査基準によって立法目的を書き換えるに等しく,不当というべきである。しかも,被告によれば,近畿財務局は相応の知識を有する者の在籍要件については「役員等の履歴書」の記載,研修の修了については何の裏付けもないヒアリング調書の記載に えるに等しく,不当というべきである。しかも,被告によれば,近畿財務局は相応の知識を有する者の在籍要件については「役員等の履歴書」の記載,研修の修了については何の裏付けもないヒアリング調書の記載によって判断したというのであるから,その監督が安直にすぎたことは明白である。 また,被告は,大和都市管財の融資態様やY1の言動は「抵当証券業に関し相応の知識」を有しているか否かとは無関係である上,赤字会社への融資も経営判断の範ちゅうであるなどと主張する。しかしながら,経済的に一体でかつ慢性的な赤字会社6社に融資を集中させたり,全貸出先の全融資案件が10年後元金一括返済のものであったり,監督官庁を恫喝したりすることは,明らかに抵当証券業者として相応の知識を有している者のすることではなく,本件のような特別背任罪同様の違法融資についていわゆる経営判断の法理を適用する余地もない。 (3)融資業務担当組織における融資業務経験者の在籍融資業務経験者の在籍が必要とされる理由は,抵当証券業者の経営陣にいかに抵当証券業務に係る知識等についての自覚があっても,融資の現場において経験者により抵当証券購入者への償還を確実にする貸出が選別・実行されていなければ,償還を不安にするおそれがあることに求められる。 そして,抵当証券業務が実質的には間接金融に近似するものである以上,ここにいう融資業務とは,融資先の業況,財務内容,収益見込み等の審査を行った上で金銭消費貸借契約を締結する業務を意味し(この点は,本件更新登録後に制定された内閣府令及びこれを具体化するガイドラインにも明示された。),抵当証券業規制法制定時の国会審議において,政府委員も,「人的な構成の方は,債務者の例えば返済能力あるいは担保評価,こういうものを十分にやれる,適正に判断できる人材,抵当証券業者がそ 示された。),抵当証券業規制法制定時の国会審議において,政府委員も,「人的な構成の方は,債務者の例えば返済能力あるいは担保評価,こういうものを十分にやれる,適正に判断できる人材,抵当証券業者がそういう人たちを持っているということが重要な課題でございます」と述べ,融資審査の重要性を説明していた。 また,融資業務を担当する組織があるとは,融資をすべきか否か,どの程度の金額であれば返済可能かといった判断を行うことのできる融資審査体制の存在を意味しているものと解すべきである。すなわち,人的構成は,それ自体では融資の安全性を実現することにはならず,この人的構成を活かした融資審査体制が確立・機能して初めて実現するものであり,融資審査体制として,融資稟議・融資審査手続,融資審査基準及び融資決裁権限の明確化等が確立していることが必要なのである。この点につき,通常の金融機関であれば,融資先ごと,融資案件ごとにファイルされた資料が存在し,融資目的に関する調査書,資金の必要性を記載した融資経過,融資額,担保物件の謄本,担保評価書,融資先の決算書,納税証明書,禀議書などがまとめられているはずである。 しかるところ,大和都市管財においては,このような書面が形式面で整っ ていなかったことは明白である。加えて,同社は,Y1らが,多額の抵当証券の発行が可能な不動産を取得し,これをグループ会社に保有させ,当該グループ会社に当該不動産を過大に評価させて多額の融資をした形式をとってモーゲージ証書を発行し,これを売りさばいてきた詐欺会社であったから,融資を担当する部署も持たず,まともな融資審査体制もあり得なかった。現に,近畿財務局も,遅くとも平成7年8月の段階で,大和都市管財には融資基準や融資についてのルールがないことを把握しており,同社に対して繰り返し融資審査 たず,まともな融資審査体制もあり得なかった。現に,近畿財務局も,遅くとも平成7年8月の段階で,大和都市管財には融資基準や融資についてのルールがないことを把握しており,同社に対して繰り返し融資審査体制の確立を求めていた。また,このような会社に何年在籍したとしても,普通の金融会社における融資業務・抵当証券業務で得られる実務経験は得ることができないのも明らかであって,大和都市管財が本件更新登録に際して融資業務経験者として挙げていた2名のうち,上記のとおりY1が適正な融資を行ってこなかったことは明白である上,Y16に至ってはいかなる意味においても融資業務を担当していたことはなかったから,そのいずれもが適格性を欠いていたのである。 これに対し,被告は,Y1らは大和都市管財の業務に3年以上従事していたから審査基準を満たしていた旨主張するが,同社に融資審査体制が欠如していた以上,大和都市管財が審査基準を形式的にも充足していたとはいえない上,融資に関する能力がどの程度のものか調査判断しないというような形骸化した審査基準は,購入者の保護という立法趣旨を没却するもので不当というべきである。しかも,被告によれば,近畿財務局は,融資業務経験者の在籍要件については,同社が提出した「抵当証券業務に関する組織図」や「融資業務経験者の業務経歴書」等の記載によって判断したというのであるから,その監督が安直にすぎたことは明白である。 また,被告は,融資審査体制の確立は人的構成の要件ではない旨主張する。 しかしながら,融資の安全性・収益性を見極めることのできる人材が融資審査の過程において能力を発揮するためには,融資審査体制の整備が不可欠で あるというべきである。 (被告)(1)総論本件更新登録時において,抵当証券業規制法6条1項7号の「抵当証券業を適確に遂行す において能力を発揮するためには,融資審査体制の整備が不可欠で あるというべきである。 (被告)(1)総論本件更新登録時において,抵当証券業規制法6条1項7号の「抵当証券業を適確に遂行するに足りる・・・人的構成を有しない法人」に該当するかどうかの具体的な審査基準は,基本事項通達において定められていた。そして,登録に当たっての審査に関し,基本事項通達は,人的基礎に関し,A.役員又は重要な使用人のうちに,抵当証券業に関し相応の知識を有するものがいること,B.融資業務を担当する組織において融資業務経験者が2名以上在籍していること,のいずれの要件にも該当する場合(なお,特約付き融資を行わない法人にあっては,上記Bの要件を要しない。)は,人的構成を有する法人として取り扱うものと定め,更新登録に当たっての審査に関しても,登録に準じた取扱いをするものとしていた。しかるところ,大蔵省銀行局は,上記Aの要件の審査に当たって,「抵当証券業に1年以上適正に従事した者がいること」又は「抵当証券業協会が実施する抵当証券業に関する研修を修了した者がいること」のいずれかに該当する法人は,上記Aの基準を満たすものとして取り扱うこととし,役員又は重要な使用人が抵当証券業に関しどの程度の知識を有するかを調査判断しないという考え方を,上記Bの要件の審査に当たっては,「法人としての融資に係る最終的な意思決定に至る一連の過程の中で融資業務に3年以上従事した者が2名以上在籍する」ことに該当する法人は上記Bの基準を満たすものとして取り扱うこととし,融資業務経験者の融資に関する能力が具体的にどの程度のものかを調査判断しないとの考え方を審査実務を行う各財務局に示し,近畿財務局も,これらを審査の内部的な基準としていた。 これは,人的構成という要件は,多義的・抽象的なものであ 能力が具体的にどの程度のものかを調査判断しないとの考え方を審査実務を行う各財務局に示し,近畿財務局も,これらを審査の内部的な基準としていた。 これは,人的構成という要件は,多義的・抽象的なものであり,その要件該当性については専門的判断を要するものであるから,抵当証券業規制法は, その判断を財務局長等にゆだねているものというべきところ,前記要件に関する財務局長等の認定・判断が,当該判断の時期や地域ごとの判断にゆだねられたのでは,決定に恣意が介入するおそれがあり,業者の予測可能性にも反することになるから,あらかじめ,財務局長等の裁量権行使の基準(審査基準)を定めたものと解すべきである。 なお,抵当証券業規制法が国会で審議された際,政府委員の答弁において,融資審査等の業務を適正に行うに足りる人材の在籍の有無,人数の観点から審査基準を設けることを検討している旨が述べられていたことなどに照らすと,上記のような審査基準は,抵当証券業規制法の立法趣旨を適正に具体化したものということができる。 (2)基本事項通達所定要件の充足本件更新登録の申請に際して大和都市管財が提出した「役員等の履歴書」によれば,同社には抵当証券業に関し相応の知識を有する者として代表取締役のY1及び取締役総務部長のY8がおり,近畿財務局は,平成9年10月下旬ころに行われた同社からのヒアリングにおいて,これら両名が抵当証券業協会の実施する抵当証券業に関する研修を修了したとの報告を受けていた(なお,この点は,抵当証券業協会基礎研修終了者名簿(乙111)により裏付けられる。)。同様に,大和都市管財が提出した「抵当証券業務に関する組織図」によれば,同社には16名の従業員を擁する融資部門が設けられており,「融資業務経験者の業務経歴書」によれば,昭和60年3月以降,Y1及びY16 ,大和都市管財が提出した「抵当証券業務に関する組織図」によれば,同社には16名の従業員を擁する融資部門が設けられており,「融資業務経験者の業務経歴書」によれば,昭和60年3月以降,Y1及びY16が融資業務を担当している旨の記載があった。そして,平成9年検査の結果及びそれまでに近畿財務局が把握していた事実に照らしても,大和都市管財から提出された本件申請書等の記載を覆すような事情は認められなかった。よって,大和都市管財は,基本事項通達に定める人的構成の基準を充足していた。 これに対し,原告らは,近畿財務局とのやり取りから看取されるY1の無 知・無理解な発言,大和都市管財の融資商品の異常性やグループ会社への無謀融資・空融資にかんがみれば,同社は人的構成の基準を満たしていなかった旨主張するが,前記のとおり,基本事項通達は,担当者の理解力等まで含めて人的構成の有無を実質的に審査すべきものとはしていない上,原告らが主張する大和都市管財の融資態様等は,同社が「抵当証券業に関し相応の知識」を有していたか否かとは無関係であるから,原告らの前記主張はいずれも失当である。 また,原告らは,大和都市管財にはその新規登録以降継続して融資審査体制が確立されていなかった旨主張するが,前記のとおり,抵当証券業規制法及び基本事項通達は,このような融資審査体制の確立を人的構成の要件とはしていないから,原告らの主張は独自の見解に基づくものというほかはない。 争点4(本件申請書等の重要事項に虚偽記載(抵当証券業規制法6条1項柱書)があったか。)(原告ら)(1)総論抵当証券業規制法は,申請書及び申請書添付書類の重要な事項に虚偽の記載があった場合,更新登録拒否事由になると規定する(8条2項で引用する6条1項柱書)が,この規定は,独立の更新登録拒否事由を明らかに 抵当証券業規制法は,申請書及び申請書添付書類の重要な事項に虚偽の記載があった場合,更新登録拒否事由になると規定する(8条2項で引用する6条1項柱書)が,この規定は,独立の更新登録拒否事由を明らかにしたものである。近畿財務局が使用していたチェックシート(乙46の2)においても,更新登録の審査において,財産的基礎及び人的構成の存在と,提出書類に虚偽のものがないこととが並列に記載されて調査事項となっているから,近畿財務局も,虚偽記載は法律上も独立の登録拒否事由であると解していたことが明らかである。そして,ここにいう虚偽記載とは,基本的には,記載された書面の内容とそれに対応する実体が異なることであり,その概念は書面の種類によって異なる。すなわち,例えば人的構成に関する添付書類に虚偽の記載があるとは,履歴書の内容が異なるなど,単純に記載内容と対応す る客観的事実とが異なることであるのに対し,財務諸表については,その記載内容は必然的に一定の会計概念により評価された結果が含まれるものであるから(会計事象を適正に記録し,会社の状況について真実な報告をする財務諸表とするための基準が企業会計原則である。),その記載から読み取れる企業の財務内容と実際の財務内容とが異なる場合をいう。 抵当証券業規制法が虚偽記載を独立の更新登録拒否事由としたのは,抵当証券業の登録又は更新登録を得ようとする者がこの登録(更新)を取得するために,実態は(更新)登録要件を欠くにもかかわらず,虚偽の資料を添付して,(更新)登録申請をする可能性があることを同法自体が懸念し,同法の趣旨である購入者保護の観点から,虚偽資料を提出して不正に登録を得ようとするような業者は,それ自体で,抵当証券をもって広く一般から金員を集める事業にふさわしくないと判断したためである。この手続面の違法性に ある購入者保護の観点から,虚偽資料を提出して不正に登録を得ようとするような業者は,それ自体で,抵当証券をもって広く一般から金員を集める事業にふさわしくないと判断したためである。この手続面の違法性に着目し,重要性を確認したのが,虚偽記載,虚偽文書の(更新)登録拒否規定である。 さらに,同法24条1項2号は,不正の手段により更新登録を受けたときには登録の取消事由に当たるとしており,虚偽記載の書類による更新登録が仮にされてしまった場合,正にこの規定で取り消されることになる。したがって,(更新)登録審査時に,虚偽記載及び記載欠落(以下「虚偽記載等」と総称する。)が発覚せずに登録がされたとしても,これらの者に対し「不正の手段を用いた」との手続的,形式的な要件で,登録を取り消さなければならないこととなるのであり,いわば,これらの規定は,監督官庁の監督権限の行使を前提として,事後的に不適格業者を排除し,業務の適確遂行・健全遂行を図るための規定であるということができる。 事業を営むに当たって許認可等を受けることが義務付けられ,事業主体の財産的基礎の充足等を要件とする各種事業における規制の仕組み及びその内容を通覧すると,許認可等の要件として,抵当証券業規制法と同様に,「財 産的基礎」の充足を明記しているものとして銀行法,保険業法,投資信託及び投資法人に関する法律,証券取引法,商品取引所法,割賦販売法がある。 これらの法律においては,財産的基礎の欠如のみならず,虚偽記載等が,いずれも許認可等拒否事由として定められ,これらの拒否事由が存在する場合における拒否義務の規定が置かれている。また,各業法において報告書・資料の提出命令や,立入検査等の監督権限規定が置かれ,監督官庁の監督権限行使に実効を期すための手段が担保されている。そして,検査の実効性を更に 義務の規定が置かれている。また,各業法において報告書・資料の提出命令や,立入検査等の監督権限規定が置かれ,監督官庁の監督権限行使に実効を期すための手段が担保されている。そして,検査の実効性を更に担保するため,いわゆる検査忌避に関する規定が置かれ,虚偽記載等に対する制裁として上記各法においては刑事罰(懲役や罰金)で臨むとされている。抵当証券業規制法においても,虚偽記載等に対しては刑事罰(52条)のみならず,更新登録拒否(8条2項,6条)及び登録取消し(24条1項2号)が予定されている。 こうした規制の仕組み,規制の内容からすれば,監督官庁において,登録申請等の書類につき単に形式的なもののみならず,許認可等拒否事由の有無につき実質的な審査権限の行使が期待されていることは明らかである。国会においても,申請書添付の資料である融資業務経験などの経歴書の内容に虚偽があることが更新登録拒否の事由となることを前提にする議論がされている。 この点につき,被告は,虚偽記載等に対する罰則の存在により申請書類の真正が担保されることから,(更新)登録においては提出された資料のみを審査する形式的審査で足りるかのごとき主張をする。しかしながら,前記のとおり,(更新)登録申請書又はその添付書類における「虚偽」とは書類の記載と実際上の事実とがそごすることをいうのであって,その有無を書面上の記載だけから形式的に審査するのは論理矛盾である上,形式的審査にとどまるのであれば,監督官庁による虚偽記載の事実の発見はほとんど不可能であって,発見される可能性の低い虚偽記載についての罰則の存在は形骸化し, 申請書類の真正を担保する効果は期待することができないことになる。そもそも,抵当証券業規制法が虚偽記載を独立の更新登録拒否事由としていることから,提出された財務諸表などの表 存在は形骸化し, 申請書類の真正を担保する効果は期待することができないことになる。そもそも,抵当証券業規制法が虚偽記載を独立の更新登録拒否事由としていることから,提出された財務諸表などの表面的な記載のみならず,その内容の真実性の確認が財務局長等に要求されていることが明らかになる,というのが同法の正しい解釈であって,(更新)登録の審査が形式的審査であることを前提に虚偽記載の形式的審査を導く被告の主張は本末転倒というべきである。 したがって,被告の前記主張は失当である。 ところで,抵当証券業規制法においては,「抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎が存在しない」ことを更新登録拒否事由として規定するとともに,「登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項についての虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けている」ときも更新登録拒否事由に該当する旨規定しているが,これらの規定の相互の関係については,以下のとおり解すべきである。すなわち,同法において,「財産的基礎」は,他の業法においてと同様,業務の適確遂行,健全遂行の充足条件として課せられているものであり,これらの条件は許認可等の基準条件であって,申請者は,これらの条件を積極的に充足することを適式・真正に申請することが求められる。一方,申請者の中には,表面上,業務適確遂行条件,業務健全遂行条件を充足しているかのごとく装い,典型的には粉飾決算等の虚偽の申請書類を提出し,不正に許認可等を得ようとする者が現れることが想定される。このため,(更新)登録申請に対する調査・検査の結果,虚偽記載等の事実が判明すれば(更新)登録拒否事由となる(6条1項柱書,8条2項)のである。 また,同法においては,こうした虚偽記載等の申請書類を提出した者につき,たまたま申請時においてはこうした虚偽記 記載等の事実が判明すれば(更新)登録拒否事由となる(6条1項柱書,8条2項)のである。 また,同法においては,こうした虚偽記載等の申請書類を提出した者につき,たまたま申請時においてはこうした虚偽記載等が発覚せずに既に登録がされたとしても,調査の結果,虚偽記載等の事実が判明すれば,これらの者に対し,「不正の手段により,第3条の登録又は第8条1項の有効期間の更 新の登録を受けたとき。」に該当し,登録の取消事由となる(24条1項2号)。このように「虚偽記載」の規定は監督官庁の監督権限の行使を前提として,実体的にも手続的にもまた事前事後においても,不適格業者を排除し,業務の適確遂行,健全遂行を図るための要となる重要な規定である。 上記のとおり,虚偽記載とは,財務諸表については,企業会計原則を基準として読み取れる財務諸表の内容と実体とが異なることをいうものと解されるが,以下のとおり,本件更新登録に係る申請に際し大和都市管財が提出した財務諸表には実体と異なる記載がされていた。また,同じく同社が提出した添付書類である「抵当証券業務に関する組織図」にも事実と異なる記載があった。よって,同社には抵当証券業規制法6条1項柱書所定の登録拒否事由があったことが明らかである。 (2)特約付き融資額の過大計上本件貸借対照表には,平成8年3月28日におけるナイスミドルに対する55億円の特約付き融資(本件貸付金)や本件3融資が記載されていたほか,その他の特約付き融資額についても,回収不能見込額をほとんど織り込まない額が記載されていた。そして,貸借対照表は財産的基礎の判断基準である資本欠損の有無を判定する最も重要な添付書類であるから,存在しない特約付き融資を存在するものとして貸借対照表に記載していれば,添付書類のうちの重要な事項に虚偽があった場合に該当する。 判断基準である資本欠損の有無を判定する最も重要な添付書類であるから,存在しない特約付き融資を存在するものとして貸借対照表に記載していれば,添付書類のうちの重要な事項に虚偽があった場合に該当する。なお,大和都市管財は,本件更新登録時までに本件貸付金は返却されたとの会計処理をしているが,本件申請書等として提出されたのは平成9年3月時点での同社の決算資料であるから,その後の出納は虚偽性の存否とは無関係である上,架空融資を資産として計上した貸借対照表を提出すること自体が抵当証券業者としての不適格性を裏付けるものであり,かつ,55億円の返済も虚偽であるから,上記のような経緯は虚偽性についての認定を左右しない。 しかるところ,争点2で詳述したとおり,本件貸付金や本件3融資は架空 のものであり,また,真実大和都市管財が有する特約付き融資額は,約100億円存在する回収不能見込額を控除した金額とすべきであったから,本件更新登録時における貸借対照表の債権額は過大計上であったことが明らかである。 (3)特約付き融資先からの収受利息の架空計上本件申請書等の一部である平成9年3月期の損益計算書(以下「本件損益計算書」という。)には,特約付き融資の債務者からの利息を収受した旨が記載されていた。 しかるところ,現在判明している限り,大和都市管財の平成8年3月期の抵当証券受取利息・割引料収入約47億円のうち収入を確認することができるのはわずか約3億円にすぎず,平成9年3月期もおおむね同様であったから,本件損益計算書に記載された受取利息額は過大計上であったことが明らかである。 (4)抵当証券業務に関する組織図についての虚偽記載被告によれば,本件更新登録に際して大和都市管財が提出した「抵当証券業務に関する組織図」には,「融資を担当する組織」として同社に「融 かである。 (4)抵当証券業務に関する組織図についての虚偽記載被告によれば,本件更新登録に際して大和都市管財が提出した「抵当証券業務に関する組織図」には,「融資を担当する組織」として同社に「融資部門」が設けられ,特約付き融資等を担当する16名の従業員が配置されている旨の記載があったとのことであるが,近畿財務局は大和都市管財に融資審査体制がないことを再三指摘していたのであるから,これが虚偽記載であることは明らかである。 (被告)抵当証券業規制法は,登録申請の際に当該申請者に対する報告徴求や立入検査を認める規定を置いていないことからも明らかなように,登録申請書やその添付書類について実質的審査を前提としていない。むしろ,同法は,4条2項,8条2項では,6条1項各号の(更新)登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面の提出を義務付けるとともに,(更新)登録申請書又はその添付書類 のうち重要な事項について虚偽の記載があった場合等につき,登録の取消し等(24条1項2号)や刑事罰(52条1号,53条)の規定を設けており,これによって,登録申請者が提出した貸借対照表等の記載の真実性を担保しようとしているのである。 そもそも,争点5で後述するとおり,抵当証券業規制法が財産的基礎について形式的に審査することで足りるとしていると解される以上,同法が,財産的基礎を含む虚偽記載・記載欠落の判断においては実体的な審査を要求していると解することは論理的な一貫性を欠く。なぜなら,同法6条1項柱書の趣旨は,一般的に(更新)登録申請書又はその添付書類の記載の真実性を担保し,もって(更新)登録の審査の実効性を確保することにあるのに対し,同項各号は,これが認められれば直ちに(更新)登録の拒否が義務付けられるという強力な効果を発生させる特定の事由を挙げているとこ 担保し,もって(更新)登録の審査の実効性を確保することにあるのに対し,同項各号は,これが認められれば直ちに(更新)登録の拒否が義務付けられるという強力な効果を発生させる特定の事由を挙げているところ,このような抵当証券業規制法の趣旨や審査対象の性質からすれば,前者について後者以上の審査を要求しているとは解されない上,仮に前者につき実体的な審査を要求しているとすれば,後者につき形式的な審査で足りるとしたことが無意味となるからである。 このように解したとしても,虚偽記載等の対象は(更新)登録拒否事由に限定されているわけではないから,同法が虚偽記載等を独立の(更新)登録拒否事由としている点にはなお独自の意義を認め得る。むしろ,同法6条1項柱書の主な目的は,虚偽記載等に対する制裁を定めることによって,誓約書面の義務付け(4条2項,8条2項),刑事罰(52条1号,53条)と相まって(更新)登録申請書又はその添付書類の記載の真実性を担保し,もって(更新)登録の審査の実効性を確保することにあると解すべきである。 また,基本事項通達も,「財産的基礎」の有無については,同通達の定める資料に依拠して審査すれば足りるとしており,登録申請者が提出した貸借対照表に係る経理処理の適切性等を逐一調査することまでは求めていない。 このような判断の枠組みは,更新登録申請書や添付書類に虚偽記載があるか 否かの判断にも妥当し,財務局長等は,貸借対照表等の記載によって貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていることが判明した場合や,立入検査等により,公正な会計慣行に明らかに反していると認めるに足りる事情を別途把握している場合であって,貸借対照表等の記載又は立入検査等により別途把握した事実をもって,当該貸借対照表の記載を公正な会計慣行に適合する記載に修正する 明らかに反していると認めるに足りる事情を別途把握している場合であって,貸借対照表等の記載又は立入検査等により別途把握した事実をもって,当該貸借対照表の記載を公正な会計慣行に適合する記載に修正することができるときは,その修正を行うべきであり,公正な会計慣行に適合する記載に修正した貸借対照表と提出された貸借対照表とを比較対照し,両者の記載が異なっているときは「虚偽の記載」に該当し,前者に存在する記載が後者に存在しないときは「記載が欠けている」に該当すると解すべきである。また,抵当証券業規制法6条1項が,(更新)「登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項についての虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならない」旨定めている趣旨は,(更新)登録申請書及びその添付書類が,登録拒否要件該当性を判断する資料となるものであり,虚偽記載等によって更新登録要件の有無を適正に判断することができなくなることを防止することにあるから,ここにいう「重要な事項」及び「重要な事実」とは,同項各号所定の(更新)登録拒否要件該当性の判断に影響を与えるような事項,事実をいうものと解される。 これを本件についてみると,近畿財務局長は,本件更新登録の審査時までに把握していた事実に照らして,大和都市管財の本件貸付金や抵当証券受取利息が仮装であるとは認定し得なかった上,争点2で主張したとおり,平成9年当時,行政当局が本件基準に基づく貸倒引当金を否定して,貸倒引当金の追加計上を認定することはできなかったのである。加えて,近畿財務局が大和都市管財に指摘していた融資審査体制の未整備とは,融資に当たっての審査方法や手続に関する不備であり,同社の融資部門に人員が何人配置されているのかを問題にしていたわけではない(逆に言えば,融資部 大和都市管財に指摘していた融資審査体制の未整備とは,融資に当たっての審査方法や手続に関する不備であり,同社の融資部門に人員が何人配置されているのかを問題にしていたわけではない(逆に言えば,融資部門が設けられ,特約付き融資 等を担当する16名の従業員が配置されているとの記載は,必ずしも融資審査体制が整備されていることを意味するものではない。)から,上記指摘をもって大和都市管財の提出した「抵当証券業務に関する組織図」の虚偽記載を認識していた証とすることもできない。 これに対し,原告らは,抵当証券業規制法6条1項柱書の趣旨は,虚偽資料を提出するような申請者を抵当証券業者としてふさわしくないとして排除する点にある旨主張する。しかしながら,仮に虚偽記載が適格性の問題であるならば,同項柱書ではなく,最低資本金や役員の適格性等と同様,同項各号の一つとして規定されるのが条文の構造に合致するものというべきである。加えて,同項柱書は,虚偽記載とともに,登録申請書等についての重要事実の記載欠落をも登録拒否事由として規定しているところ,記載欠落については,その文言(「重要な事実の記載が欠けているときは」)や罰則の定めがないことからみて過失によるものも含まれると解されるから,同項柱書は,抵当証券業者の適格性という人的要素よりは,登録申請書類の正確性・真実性という物的要素に主眼があるものと解するのが相当である。よって,原告らの主張は失当である。 仮に,原告らが主張するような実体的審査義務が例外的に生ずる場合があるとしても,本件更新登録時において,近畿財務局が本件更新登録の際の添付書類に虚偽記載又は記載欠落があることを認識し,又は認識し得べき特段の事情はなかったから,本件更新登録時はこのような場合には当たらなかった。 したがって,本件申請書等の重要事項に虚偽 新登録の際の添付書類に虚偽記載又は記載欠落があることを認識し,又は認識し得べき特段の事情はなかったから,本件更新登録時はこのような場合には当たらなかった。 したがって,本件申請書等の重要事項に虚偽記載があったとは認められない。 争点5(本件更新登録時において,近畿財務局長は大和都市管財に更新登録拒否事由があるとしてこれを拒否すべき職務上の注意義務を原告らに負っていたか。)(原告ら)(1)概要前記のとおり,本件更新登録時において,大和都市管財の更新登録を拒否 すべき事由があった。そして,近畿財務局長には同社の財務状況等について実質的審査権限があったから,①大和都市管財に原告ら抵当証券購入者を害する危険が現在していた以上,②その権限を適切に行使することを通じてこのような危険を予見すべきであり,③近畿財務局長が同社の更新登録を拒否すればその危険は容易に回避することができ,④近畿財務局長が更新登録を拒否することによってしか被害は防ぎ得なかったから,近畿財務局長が大和都市管財の更新登録を拒否せずに本件更新登録を行ったことは,原告らに対する職務上の義務違反を構成する。また,近畿財務局長が安易に本件更新登録を行った背景には,ともかく更新登録せざるを得なかった実質的理由があったものと推察される。以下詳述する。 (2)近畿財務局長の実質的審査権限の存在(更新)登録拒否に当たっては,資本欠損等の拒否事由の有無について審査・認定することが当然の前提となる。もっとも,抵当証券業規制法も基本事項通達も,上記審査・認定の方法に関しては明文の規定を置いていないことから,同法の趣旨・目的,行政法全体としての統一性・整合性,及び条理にかんがみて,その審査権限及び審査義務の範囲を決すべきこととなる。そして,①財務局長等には,報告若しくは資料 を置いていないことから,同法の趣旨・目的,行政法全体としての統一性・整合性,及び条理にかんがみて,その審査権限及び審査義務の範囲を決すべきこととなる。そして,①財務局長等には,報告若しくは資料の徴収又は立入検査若しくは質問等に係る権限が委任されていること(抵当証券業規制法45条,法施行令6条),②抵当証券業規制法が,(更新)登録申請書又はその添付書類のうちの重要事項・重要事実についての虚偽記載・不記載を(更新)登録拒否事由としていること,③(更新)登録申請書添付書類の記載を確認する形式的審査だけでは虚偽記載・不記載はおよそ判明せず,同法1条の目的は達せられないこと,④更新登録の申請は更新期限の2か月以上前に行わなければならないこと(法施行規則6条1項),⑤近畿財務局自身,平成9年業務改善命令発出の可否の検討において,一般的に各抵当証券業者について銀行等と同様の経営の実態把握を行うことは今後とも適当ではないとしつ つ,大和都市管財については,行政当局として個別に購入者保護を損なうおそれのある経営状況を把握した場合には,法令に照らして適切な対応を行うべきものと判断していること(乙22),⑥実際に行われている抵当証券業(モーゲージ証書形式の抵当証券販売)は預金取引に類似しており(間接金融機能),不特定多数の購入者への償還の問題が事業継続中連続(抵当証券業者が預金返還・利息支払義務と同様の義務を負担)し,他方で抵当証券についての情報開示がされておらず,証券取引法上の「有価証券」に比して情報開示において拙劣であるから,預金業務を行う金融機関に対する監督に準ずる規制・監督が必要であること,⑦我が国の抵当証券についての保護法制が他の金融商品や海外におけるモーゲージに比して著しく脆弱であり,財務局長等による監督にはより一層の う金融機関に対する監督に準ずる規制・監督が必要であること,⑦我が国の抵当証券についての保護法制が他の金融商品や海外におけるモーゲージに比して著しく脆弱であり,財務局長等による監督にはより一層の厳格性が求められること,などに徴すれば,財務局長等は,抵当証券業規制法又は基本事項通達に基づいて,(更新)登録申請書添付書類の記載の適切性等を調査する実質的審査権限を有することは明らかというべきである。 そして,その一環として貸借対照表における抵当証券発行特約付き貸付金の計上の正確性を検証することは,当然に,担保不動産の実勢価値の調査を包含するものというべきである(モーゲージ証書形式による抵当証券購入者には担保不動産の内容が開示されず,抵当証券原券(その弁済期は発行の10年ないし20年後である場合が通常である。)についてさえ担保不動産の評価の適正が制度的に確保されるのはその発行時のみであることからすると,この理は一層明らかである。)。 また,財務局長等は,このような審査に際して,抵当証券保管機構や抵当証券業協会等に任意で協力を求めることができる上,抵当証券購入者の保護を損なうようなおそれのある経営状況を認識し,又は認識し得べき特段の事情があった場合には,このような協力要請をすべき義務を負うのである。この点,被告は,抵当証券業協会からの協力は,抵当証券業規制法22条1項 の規定による抵当証券業者の監督の一環として行われる報告又は資料の提出の場合に限られる旨主張するが,更新登録に際しての審査では,それまでの監督の事跡が考慮されるべきことは当然である。さらに,被告は,抵当証券業協会以外の関係機関に協力を求めるについては同法に明文の規定がない旨主張するが,抵当証券購入者の保護を損なうようなおそれのある経営状況を認識したような場合には,近畿財務 。さらに,被告は,抵当証券業協会以外の関係機関に協力を求めるについては同法に明文の規定がない旨主張するが,抵当証券購入者の保護を損なうようなおそれのある経営状況を認識したような場合には,近畿財務局にはこうした機関に対する任意的な協力要請をすべき義務を負うというべきである。 そして,財産的基礎,すなわち資本欠損の有無は,まず,(更新)登録申請書に添付された貸借対照表等の資産の部の合計額から負債の部の合計額を控除した額が資本金額を下回るか否かにより判断されるが,その判断は貸借対照表が一般に公正妥当と認められる会計慣行に従って作成され,申請者の財務状況を正確に反映していることが当然の前提である(実質的審査)。もっとも,ヒアリングやサンプリング調査等によって会計帳簿の正確性等を検証し,対象となる抵当証券業者の実態が財務諸表に一応正確に反映されているとの心証が財務局長等において得られるならば,それで審査を終えてよい。 しかしながら,立入検査の結果や内部告発等によって,財務局長等が,抵当証券購入者の保護を損なうおそれのある経営状況を認識し,又は認識し得べき特段の事情があった場合には,財務局長等は,財産的基礎の判断において,(更新)登録申請書又はその添付書類によって形式的に審査を行い,判断するだけでは足りず,当該事業の内容,取引態様,事業主体の組織構成,資産構成等に踏み込み,独自に,又は抵当証券保管機構,抵当証券業協会,法務局等の関係機関に協力させて,(更新)登録拒否事由に係る事実・資料を収集し,さらに,当該業者に(更新)登録拒否事由がないことを基礎付ける資料の提出や説明を求めてこれらを審査すべき義務が生ずるものというべきである。そして,抵当証券業者の法令違反の程度が大きいほど,また,抵当証券購入者の利益を害する危険性の程度が大きいほど,実質的審 資料の提出や説明を求めてこれらを審査すべき義務が生ずるものというべきである。そして,抵当証券業者の法令違反の程度が大きいほど,また,抵当証券購入者の利益を害する危険性の程度が大きいほど,実質的審査権限を行使 する必要性は増大するものといわなければならない(比例原則)。 そして,財務局長等による実質的審査権限の不行使は,当該権限を定めた法令の趣旨,目的や,当該権限の性質等に照らし,具体的事情の下において当該権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,国賠法1条1項の適用上も,個別の国民に対して負う職務上の法的義務の違反になるものというべきである(最高裁平成13年(受)第1759号平成16年4月27日第三小法廷判決,最高裁平成元年判決参照)。 また,上記実質的審査権限の行使によっても,当該業者の非協力等により財産的基礎及び人的構成の有無を基礎付ける客観的かつ明確な根拠資料が収集できない場合,財務局長等は(更新)登録拒否事由の有無を判断しなければならないのであって,裁判におけると同様,経験則,論理則の適用を通じて更新登録要件の合理的認定を行うべきであるが,なおその有無が不明な場合は,当該(更新)登録拒否事由があるとの判断・認定をすべきである。なぜなら,①抵当証券業規制法の趣旨,目的は抵当証券購入者の保護を図ることにあり,②(更新)登録はこれを求める当該抵当証券業者の申請に係る法律効果であり,③(更新)登録は抵当証券業規制法による抵当証券業を営むことの一般的な禁止を特定の場合((更新)登録拒否事由に該当しない場合)に解除し,適法に抵当証券業を営むことができるようにする行政行為(講学上の許可)であると解され,④(更新)登録申請に当たって申請者に(更新)登録拒否事由に該当しないことを基礎付ける書類・ い場合)に解除し,適法に抵当証券業を営むことができるようにする行政行為(講学上の許可)であると解され,④(更新)登録申請に当たって申請者に(更新)登録拒否事由に該当しないことを基礎付ける書類・資料の添付が要求されている(同法4条2項,8条2項,法施行規則4条)のは,(更新)登録拒否事由に該当しない場合であることを(更新)登録申請者たる抵当証券業者に証明させる趣旨である,からである。現に,近畿財務局も,そのY20要約において,「本日に至るまで検査官は合理的な説明や客観的資料の提出を受けていない。」「今回提出を求めている回答の中で,・・・②貴社が検査官の主張に対し認めなかったもののうち,合理的な説明や客観 的資料の提出がなかったことにより,検査官の了解が得られなかったもの。 ③回答のなかったもの。以上の事項については,後日,局長名による「検査結果通知書」において正式な文書による指摘を行うこととなるので留意されたい。」といった指摘をした上,大和都市管財の回答を踏まえ,同社の「平成12年3月期における貸借対照表において,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額を下回ることになると見込まれる」(甲136)などとして,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号該当を理由としてその更新登録を拒否するに至っているのであり,これは,上記のような合理的認定を前提とした対応である。 これに対し,被告は,客観的かつ明確な根拠がなければ財産的基礎,人的構成を有しないとは判断することができない旨主張する。しかしながら,行政権の行使の恣意専断を防止するためには,法律に基づくべきこと(法治行政原理),裁量権の濫用が許されないこと(行政事件訴訟法30条)によれば十分であり,これとは別に客観的かつ明確な根拠が必要とされる理由はないから,被告の前記主張 めには,法律に基づくべきこと(法治行政原理),裁量権の濫用が許されないこと(行政事件訴訟法30条)によれば十分であり,これとは別に客観的かつ明確な根拠が必要とされる理由はないから,被告の前記主張は失当である。 また,被告は,抵当証券業規制法が定める更新登録時の審査は,財務局長等が把握していた事実に照らして,虚偽記載又は記載欠落があることを認識していたなどの特段の事情のない限り形式的審査で足りると主張し,その根拠として,①実質的審査をすべき場合は,免許制・許可制等,登録制より強度の規制をしている場合であること,②抵当証券業規制法の制定過程において,財産的基礎について実体的にみていくことを予定している旨の議論がされていないこと,③支払不能という,資本欠損より実質的判断を要する概念が規定されている著作権等管理事業法ですら形式的審査で足りるとされていることなどを挙げる。 しかしながら,そもそも,財務局長等が,申請者が財産的基礎を欠くこと,申請書に虚偽記載又は記載欠落があることを認識し,又は認識し得る場合に は,実態を等閑して形式的審査にとどまったのでは職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたとはいえない。また,①については,例えば証券会社に対する法規制は,登録制から免許制へ,再び登録制へと推移しているにもかかわらず,その間,証券会社の財産的基礎の審査の重要性につき何らの変動もないことからすれば,単に許可制・免許制を採用している場合は実質的審査を要する,それ以外は形式的審査で足りる,と断ずることはできないし,抵当証券業協会が平成17年6月24日に解散するなど,抵当証券自体が重大な問題を有し,市場から見放されるに至った金融商品であったことにかんがみれば,その取引について尊重すべき営業の自由などあり得ない。また,②については,抵当証券 4日に解散するなど,抵当証券自体が重大な問題を有し,市場から見放されるに至った金融商品であったことにかんがみれば,その取引について尊重すべき営業の自由などあり得ない。また,②については,抵当証券業規制法は登録制を採用したものの,モーゲージ証書による抵当証券販売によって多数の抵当証券購入者被害が発生したこと,有価証券等の元利保証や買戻しの約定を行っている特殊性を考慮して,財産的基礎の要件として証券会社と同じく100パーセントの資産比率を採用していること,抵当証券業規制法の制定時(昭和62年)に,既に他の法令において「財産的基礎」の語が財産的基礎の有無について実質的な判断を伴うものとして使用されていることからすれば,被告の主張は失当である。さらに,③についても,業務の適正な運営,抵当証券購入者の保護を図るという抵当証券業規制法の趣旨からすれば,抵当証券業者の財産的基礎の有無は著作権の管理を遂行する法人の財務状況の適否と同列に論じられないし,著作権等管理事業法においても,報告徴収及び立入検査,業務改善命令の規定(同法19条,20条)が存在することからすれば,同法における財産的基礎の審査が形式的審査で足りるとする被告の主張自体が首肯し難い。したがって,被告の前記主張はいずれも失当である。 さらに,被告は,近畿財務局長には大和都市管財の融資先に対する調査権限は抵当証券業規制法によっては与えられていなかった旨主張する。しかしながら,近畿財務局長が調査対象である大和都市管財に対し,その融資先か ら決算書等の提出を受けるよう要求することは十分に可能なはずであるし,本件では,グループ6社の株式の主要部分がY1の一族によって保有され,これら各社が大和都市管財から極めて多額の借入れを行っていた上,経理担当者や顧問税理士も大和都市管財と同一であると はずであるし,本件では,グループ6社の株式の主要部分がY1の一族によって保有され,これら各社が大和都市管財から極めて多額の借入れを行っていた上,経理担当者や顧問税理士も大和都市管財と同一であるといった事情があったから,大和都市管財に対してこれら資料の提出を要求することは一層容易なはずであった。そもそも,近畿財務局の上級官庁である本省金融会社室は,大和都市管財グループの場合,大和都市管財単体のみならずその全体に対して調査権限が及ぶとの見解を有し,その権限を行使するよう近畿財務局に指示していたのであるから,近畿財務局において権限がないとの判断はできなかったはずである上,平成6年検査ではグループ会社の帳簿をすべて提出させて業務停止を前提とした業務改善命令を発出することができるほどの資料を揃え,平成12年検査でもナイスミドルに対する100億円の融資に関して資金交付を確認することができないなどと指摘している以上,これらの機会にもグループ会社の帳簿を提出させていたことは明らかであり,平成9年検査においてのみ同様の検査が行えないはずはない。したがって,被告の前記主張もまた失当である。 しかるところ,本件更新登録に際しては,①本件貸付金についてナイスミドルの帳簿に記載されていないとか,グループ会社に対する貸付けのほとんどが相手勘定を現金預金勘定とせず,長期借入金として処理するという極めて特異な会計処理をしているなど,その決算書や会計帳簿に信用性が乏しく,合計272億8000万円の特約付き融資について資金の交付を伴っていないことが疑われ,②計563億円の特約付き融資につき,平成8年12月31日を基準日とする大和都市管財グループの連結決算書において,グループ全体で約112億円の当期未処理損失,約147億円の債務超過となっている上,「グループ各社 の特約付き融資につき,平成8年12月31日を基準日とする大和都市管財グループの連結決算書において,グループ全体で約112億円の当期未処理損失,約147億円の債務超過となっている上,「グループ各社とも,銀行取引がほとんどなく,D社が抵当証券及び手形商品によって調達した資金等によって,資金繰りを行っている」 (乙22)と近畿財務局が認識しているとおり,大和都市管財に対する利息の支払が仮にあるとしてもこれに同社からの資金を充てており実質上の延滞状況であるなど,その回収可能性が危ぶまれ,③抵当証券受取利息の相手勘定さえもが長期借入金であり,大和都市管財の受取利息の受領も疑われる,という状況が認められていた。したがって,近畿財務局長は,財務諸表の正確性を更に検証すべく,大和都市管財に対し,上記①ないし③をそれぞれ裏付ける合理的な説明や資料の提出を求める義務があったというべきである。 そして,客観的事実に照らすと,大和都市管財がこれに対して合理的な説明や資料を提出することはあり得なかったから,近畿財務局長は,大和都市管財に対して,①資産として計上されているグループ会社に対する合計272億8000万円の特約付き融資が実在しないこと,②563億円の特約付き融資について回収可能性がなく,したがって担保不動産の時価を調査した上で貸倒引当金を設定すべきこと,又は③受取利息が実在しないことを認定し,同社を資本欠損と判断・認定すべきであったのである。 (3)大和都市管財による抵当証券購入者の利益に対する現実的危険性抵当証券には,預金や保険と異なり,取扱業者が破綻した際に顧客保護を図るべき保護基金や補償制度は何ら設けられていない。しかるところ,大和都市管財は,開始時点より一貫して収益を上げるに足る融資の実体がないにもかかわらず,融資の外形を整え 業者が破綻した際に顧客保護を図るべき保護基金や補償制度は何ら設けられていない。しかるところ,大和都市管財は,開始時点より一貫して収益を上げるに足る融資の実体がないにもかかわらず,融資の外形を整えて抵当証券の交付を受け,これを資金集めの手段とし,同資金を用いて大和都市管財と密接不可分又は実質的一体であるグループ会社において取得した物件について,付加価値を見込むなどした高額の不動産鑑定評価を得て,これを前提に当該物件を担保とした抵当証券の交付が見込まれる金額相当額を大和都市管財からグループ会社に対して融資した外形を整えて更に抵当証券の交付を受け,これを販売するという,融資実体欠缺・過大鑑定評価の連鎖による抵当証券商法を行っていた。そして,この商法は,付加価値を見込むなどした不動産鑑定評価と実体価格との著しいかい離から,ゴルフ場等の取得物件 が抵当証券の利払に見合う収益を上げることができないままに推移し,結局,抵当証券販売主体である大和都市管財において,抵当証券顧客に対する利払資金等の原資となるべき受取利息収入が現実に発生しないまま(受取利息の欠缺),抵当証券販売残高,したがって大和都市管財グループ全体の負債又は債務超過額が拡大し,これに伴って利払負担も拡大し(債務超過の拡大),利払や元本償還等の負債や経費の支払を,融資先の収益によってではなく,新たな利子負担を伴う抵当証券や手形商品等の新たな金融商品の販売によって流入する金員を利払等の名目で大和都市管財に環流することによって賄うという状況(自転車操業状態)を結果し,雪だるま式に拡大する負債の利払に,いずれ金融商品の販売が追いつかなくなることは必定という構造を有していた。 本件更新登録当時には,大和都市管財の抵当証券販売残高は479億円に達していたところ,グループ会社の経営状態,財務 の利払に,いずれ金融商品の販売が追いつかなくなることは必定という構造を有していた。 本件更新登録当時には,大和都市管財の抵当証券販売残高は479億円に達していたところ,グループ会社の経営状態,財務状態は深刻であり,大和都市管財グループ全体としての債務超過額は少なくとも約150億円に達していた。一方,抵当証券等の金融商品の年間利払額は40億円近くに達し,現金預金残高(手元資金)が年間の利払額を下回る状況となるのも目前であった。それにもかかわらず,大半の事業が計画のみで実行に至らず,ゴルフ会員権販売等のように一応実行された事業も見るべき収益がなく,有効な資金運用方法は全く確立されず,経営改善の目処もなかった。 加えて,抵当証券の元利金を担保すべき不動産も,抵当証券発行の前提となった不動産鑑定価格と,競売などの換価を前提とした管財人委託鑑定価格との間の大きな格差に顕れているとおり,元利金のごく一部しか賄えない状況にあった。 すなわち,大和都市管財は,その抵当証券商法及び存立を維持するためには,利払や元本償還等の負債や経費の支払を,収益によってではなく,新たな利子負担を伴う抵当証券や手形商品等の新たな金融商品の販売によって賄うしかなかったのであり,本件更新登録当時も,既に抵当証券の取引があり,利払等を遅滞なく約定どおりにすることを通じて大和都市管財を信用していた顧客を抵当証券か ら手形商品等の新たな金融商品に乗り換えさせ,これによって完売状態であった抵当証券の販売枠を空け,その空き枠を利用して新規顧客に対し,各営業担当者に対して周知徹底されていた「DTK抵当証券は,大和都市管財が約定どおりの元利金を保証する,有利な安全・確実・好利率の金融商品です。大和都市管財は,顧客から預かったお金を収益性のある企業等に融資して利益を上げています。」と 「DTK抵当証券は,大和都市管財が約定どおりの元利金を保証する,有利な安全・確実・好利率の金融商品です。大和都市管財は,顧客から預かったお金を収益性のある企業等に融資して利益を上げています。」という旨の宣伝又は勧誘により,抵当証券等の販売を行っていた。 このように,大和都市管財は,本件更新登録時において,顧客から新たな資金の受入れが得られないときには直ちに資金繰りができなくなって破綻を余儀なくされる状況にあり,したがって,その販売に係る抵当証券について,約定どおりの利息の支払及び買戻しに応じられる目処がないのに,このような事情を秘匿し,抵当証券が安全かつ高利回りであるとの虚構の事実を申し向け,顧客からの新たな資金を獲得するため,更なる「DTK抵当証券」販売に邁進し,大和都市管財が買戻特約付きで販売するモーゲージ証書の買付代金名下に金員を詐取する被害を大量かつ広範に拡大するであろうことは明確であって,抵当証券購入者に対する喫緊の危険を生じさせていた。 (4)大和都市管財が抵当証券購入者を害する危険の予見可能性以下に詳述するとおり,近畿財務局長は,本件更新登録当時において,大和都市管財に前記(3)記載のような危険性が現に存していることを予見していたか,又は予見可能であったことが明らかである。 ア本件の経緯本件更新登録に至る経緯は,別表4(原告らの主張)記載のとおりである。これによれば,近畿財務局長は,①平成元年の段階で,大和都市管財に抵当証券業者として多くの不備不適事項があることを把握し,②平成3年にも,a町土地の担保価値過大評価その他の不備不適事項についてその改善を指導し(大和都市管財はこれに従わなかった。),③平成4年には,融資先のグループ会社からの返済が滞っていることを明瞭に把握 し,④平成6年には,抵当証券保管 不備不適事項についてその改善を指導し(大和都市管財はこれに従わなかった。),③平成4年には,融資先のグループ会社からの返済が滞っていることを明瞭に把握 し,④平成6年には,抵当証券保管機構より,大和都市管財による抵当証券の過大発行や,同社の抵当証券について高額中途解約申出がある等の事実につき報告を受けるとともに,71億2000万円もの抵当証券の交付を受けて資金をつぎ込んだナイス大原カントリークラブが6億8980万円もの営業損失を計上しており,その収益を特約付き融資の返済原資とすることなど到底不可能な事実,a区土地が遊休地であって将来的にも相応の利益を生ずる可能性が低い事実,ナイス函館カントリークラブの売上げが2億1630万円にすぎず,支払利息にも遠く及ばない事実,グループ会社に対する貸付金の金利が年8ないし12パーセントに上る事実,本件合意書に矛盾点のある事実(エ(ウ)で後述する。),グループ会社の売上高合計が6億3662万5000円しかなく,大和都市管財の抵当証券受取利息17億5415万円の支払は到底賄えない事実,ゴルフ場はすべて営業損失を計上している事実,平成6年に大和都市管財が特約付き融資で貸し付けた166億1000万円のうち80億円余りが収益事業に利用されずに大和都市管財グループ内で貸付金として環流され,その利息が帳簿上は営業外収益として計上されるとともに,その元利金が特約付き融資の支払原資となっている事実,等を立入検査により把握し,⑤平成7年には,グループ会社の今後5か年度分の経営健全化計画や財源計画の策定,審査体制の整備等を指示するとともに,これに対する回答が不十分であるとして平成7年業務改善命令を発出し(9で後述する。),その際,「役員の状況等から融資先と抵当証券会社の経営,財務が一体となっている」こ 制の整備等を指示するとともに,これに対する回答が不十分であるとして平成7年業務改善命令を発出し(9で後述する。),その際,「役員の状況等から融資先と抵当証券会社の経営,財務が一体となっている」こと,グループ会社の経営悪化によって大和都市管財の経営が行き詰まる危険性が極めて高いこと,大和都市管財に特約付き融資の合理性を担保する融資審査体制が全く欠如していること,担保不動産の価値が著しく下落していること,を認識しており,⑥平成9年には,グループ会社が遊休地を抱え,毎期支払利息とほぼ同額の損失を計上するなどさしたる実業が ないまま多額の債務超過に陥っているにもかかわらず,大和都市管財が,融資審査体制が未整備なために事業計画の採算を度外視し,資金源も明らかにしないまま資金使途や返済可能性も考慮せずに融資を続けていること,したがって,同社は,利ざやではなく資金集めを目的とした抵当証券販売を行うために融資の外形を整えているにすぎず,その黒字も表面上のものであって,担保不動産も地価下落の影響を受けるとともにゴルフ場・墓地公園予定地等が含まれ流動性に乏しいため大幅な元本割れを生じさせる可能性が高いこと,等の認識に基づいて平成9年業務改善命令を発出し,⑦平成9年経営健全化計画にも大幅な未達が繰り返されるなどその実現性が乏しく,実際にはグループ会社の利払は仮装であるか又は新たな利子負担を伴う金融商品の販売により顧客から集めた資金の環流によって行っていること,したがってグループ会社からの利息には架空計上の部分があることを認識していた。また,平成7年8月28日には木津信抵当証券株式会社(以下「木津信抵当証券」という。)外1社が,同年11月13日には不動産抵当證券株式会社(以下「不動産抵当證券」という。)がそれぞれ業務改善命令を出された後に相次い 28日には木津信抵当証券株式会社(以下「木津信抵当証券」という。)外1社が,同年11月13日には不動産抵当證券株式会社(以下「不動産抵当證券」という。)がそれぞれ業務改善命令を出された後に相次いで破綻しており,その都度一挙に大量の被害が発生していた上,本件更新登録直前の平成9年11月21日には山一抵当証券株式会社が破綻していた。 以上によれば,近畿財務局長は,本件更新登録時において,大和都市管財につき,業務全般をY1が統括しているグループ会社に対する実質上の自己融資であることに基づく帳簿上の操作の可能性や超大口集中融資の病理性,その抵当証券商法の構造的危険性(融資実体・受取利息の欠缺,専ら資金集めを目的とする抵当証券販売),自転車操業状態(膨大な債務超過,利払額の手元資金超過,経営改善の目処の欠如),担保の不十分性等をいずれも認識していたものというほかはなく,独立系の大和都市管財が新たな資金の受入れが得られなくなれば直ちに破綻する可能性,及び破綻 した場合に予想される損害が大量かつ広範なものとなることは容易に予見できたはずである。 これに対し,被告は,近畿財務局が,平成6年検査以降,大和都市管財グループの財務情報を徴求していたのは,購入者保護の観点から,同社の経営健全化計画や,毎月の資金繰りの見直し等を踏まえた財源計画の策定を求めたことに基づくものであって,グループ会社間の資金移動や帳簿操作に疑問を持ったからではない旨主張する。しかしながら,仮にそうであれば,近畿財務局は,抵当証券受取利息の相手勘定や特約付き融資の相手勘定がいずれも「長期借入金」であることについて何ら疑問を持たなかったことになるから,不自然というべきである。 仮に,特段の事情がある場合に限り近畿財務局長に実質的審査義務が生ずるという被告の主張を前提としても, 「長期借入金」であることについて何ら疑問を持たなかったことになるから,不自然というべきである。 仮に,特段の事情がある場合に限り近畿財務局長に実質的審査義務が生ずるという被告の主張を前提としても,近畿財務局長は,平成9年検査の時点で,大和都市管財が破綻した場合,国会でこれまでの監督の経緯について厳しく追及されるほか,被害者から国家賠償請求訴訟を提起される可能性もあるため,できる限りの措置を行っておく必要があるとして平成9年業務改善命令の発出に踏み切ったのであるから,大和都市管財の財産的基礎等について実質的審査義務を負っていたことは明らかである。 さらに,被告は,近畿財務局は平成9年当時,大和都市管財の決算書類の作成や帳簿処理はY3会計士の指導を受けて行われていたから,同社の会計処理が実際にはY1の意のままであるとの認識はなかった旨主張するが,日常的な帳簿処理は格別,破綻か粉飾かという極限的な状況下においては,近畿財務局としてもY3会計士の指導が適正か否かにも当然注意したであろうから,被告の前記主張は失当である。 イ貸倒引当金設定の必要性の認識が容易であったこと近畿財務局は金融検査の専門家集団であるところ,金融検査の中心的課題は受検金融機関の資産(通常,その5割以上が貸出金であり,大和都市 管財においては約98パーセントを占めていた。)がどのくらい痛んでいるかを正確に把握することであり,検査官は資産査定に関する経験も能力も有している上,公認会計士等の「専門検査官」との緊密な連携が可能である(甲269)。よって,近畿財務局長は,本件更新登録時点において,争点2記載の原告らの主張(3)のような判断過程を経て,本件基礎資料に基づき,大和都市管財が貸倒引当金設定の必要から単体で多額の資本欠損を抱え,かつ,債務超過の状態にあったことを容 録時点において,争点2記載の原告らの主張(3)のような判断過程を経て,本件基礎資料に基づき,大和都市管財が貸倒引当金設定の必要から単体で多額の資本欠損を抱え,かつ,債務超過の状態にあったことを容易に分析することができた。 この点につき,被告は,近畿財務局は本件基礎資料のうち多くを本件更新登録時までに入手していなかった旨主張するが,グループ6社の株主や経営陣はいずれもY1の関係者で占められており,経理担当者も共通であったから,近畿財務局にとって大和都市管財を通して融資先から情報提供を受けることは容易なはずであったし,近畿財務局としては平成9年当時積極的に大和都市管財の財務状況について資料を収集すべきであったから,自ら資料収集を怠ったという事実を基に原告らの貸倒引当金計算を論難するのは本末転倒である。 また,被告は,近畿財務局が担保物件についてその時価情報を収集することはできなかったし,その義務もなかった旨主張する。しかしながら,近畿財務局のY20検査官が,平成12年検査において,「担保不動産の評価見直しを行い,担保時価の正確な把握を行う必要がある。」「美祢カントリークラブについては,不動産鑑定士による鑑定書を徴取しているが,原価法による鑑定手法のみとなっており,評価の正確性を確保する面から,収益還元法による検証を行う必要がある。」などと指摘しているとおり,不動産鑑定士の鑑定書にまで疑問を呈して積極的に時価評価すべき旨述べているのである。 仮に,近畿財務局長が本件更新登録時点において本件基礎資料の全部を入手できなかったことがやむを得なかったとしても,少なくともグループ 6社の決算書さえ揃うならば,別紙9のような大和都市管財の財産的基礎のトレンド分析を行うことは極めて容易であり,これに基づいて勘定明細の提出を受ければ,平成9年以前 ても,少なくともグループ 6社の決算書さえ揃うならば,別紙9のような大和都市管財の財産的基礎のトレンド分析を行うことは極めて容易であり,これに基づいて勘定明細の提出を受ければ,平成9年以前から大和都市管財が資本欠損であったことは十分に認識可能であった。例えば,ナイスミドルの財務状況は,その貸借対照表・損益計算書(甲73)によれば,売上げ支払利息割引料債務超過額平成7年6月期約3億7000万円約19億円約29億円平成8年6月期約4億8000万円約27億円約56億円であり,倒産状態にあることはだれの目から見ても明らかであって,これらの決算書類は,当時の近畿財務局が入手済みであった。そして,売上げ以上の支払利息割引料を数期にわたり負担しているということは,その原資は大和都市管財からの借入れしかあり得ず,しかも会計処理の外形からして資金移動が伴っていないことが推知される「長期借入金」勘定による処理がされているから,実質的には延滞債権であることを優に認定することができるところ,近畿財務局自身が作成した平成12年検査結果通知(甲136)や会社整理通告書(甲2)において,グループ6社の債務超過が拡大し,利払を確認することができない実質的な延滞状況にあることを根拠に,各社に対する債権について貸倒引当金を設定すべきと主張していることからも明らかなとおり,平成9年当時においても貸倒引当金の設定は必要不可欠であった。 現に,平成9年9月5日を基準日とする検査において,関東財務局は,不動産抵当證券を債務超過と認定するに当たり(クで詳述する。),①同社の融資先で関連会社であるソーケン開発株式会社(以下「ソーケン開発」という。)に対する債権は,全貸付金の92パーセントを占める重要な資産であるが,②ソーケン開発は債務超過で経営不振に 。),①同社の融資先で関連会社であるソーケン開発株式会社(以下「ソーケン開発」という。)に対する債権は,全貸付金の92パーセントを占める重要な資産であるが,②ソーケン開発は債務超過で経営不振に陥っていたところ(ただし,休眠会社ではない。),③ソーケン開発から不動産抵当 證券に対しては資金移動を伴った利息の支払があったが,その支払原資は不動産抵当證券からの貸付金によって賄われていたから,表面的な延滞回避であって実質的には延滞債権であり,その回収には重大な懸念が生じているとした上,④多額の担保不足も認定した上で回収不能見込額を算定して貸倒引当金を独自に設定し,不動産抵当證券を債務超過と認定したものである。このように,金融商品会計基準が導入されていない平成9年当時であっても,破綻懸念先の貸付金について個別引当により貸倒引当金を設定すべきとする会計処理は一般に公正妥当な会計基準として認められており,しかも,公権力が私企業に不利益を課するに十分な明確な基準として存在していたことは明白である。そして,①大口貸付先が関連会社であり,②同社が債務超過で経営不振に陥っており,③利払が実質的に延滞しており,かつ,④担保不動産のみでは回収することができないという,関東財務局が貸倒引当金設定の前提として挙げた要件は,平成9年当時の大和都市管財もすべて満たしていたことは既に述べたところから明らかである。 さらに,近畿財務局が大和都市管財の顧問税理士から提出を受けていた平成8年12月現在の連結貸借対照表(乙39及び40。グループ全体での当期未処理損失額が約112億円,債務超過額が約147億円に上っていた。)に加えて大和都市管財の決算書及び勘定科目内訳明細書から分析しただけでも(この場合,大和都市管財からの貸付金が又貸しされている部分に 理損失額が約112億円,債務超過額が約147億円に上っていた。)に加えて大和都市管財の決算書及び勘定科目内訳明細書から分析しただけでも(この場合,大和都市管財からの貸付金が又貸しされている部分についての回収可能性を考慮することができず,資産の償却未計上も修正することができないなど,回収不能見込額の算定が甘くなる。),別紙10のとおり少なくとも大和都市管財に平成8年12月現在で11億3400万円以上の資本欠損があり,6億8400万円以上の債務超過があるものと推定することができたはずである。 また,近畿財務局は,リステム化学研究所に対する特約付き融資の利率 が当初の9パーセントから6.5パーセント,次いで4.875パーセントに減免された物件(a区共同住宅)があったことを把握していたから,このような金利減免から同社に利払の延滞があったであろうことは容易に認識し得たものというべきであり,こうした事情から,リステム化学研究所が実質的に破綻していたことは容易に想定し得たはずである。 そして,上記各試算に基づく債務超過額は,大和都市管財の資本金額4億5000万円と比較しても莫大であることにかんがみると,仮に近畿財務局長がこのような事実を看過して漫然と本件更新登録を行ったのであれば,その職務上の義務違反の程度は甚だしいものというほかはない。 ウ本件貸付金の架空性を容易に認識することができたこと平成9年までに,近畿財務局も大蔵本省も大和都市管財をいわゆる「個別事案」として問題視しており,平成9年検査においては特にグループ会社まで含めた財務状況を把握することが最重要課題とされていた。中でも,特約付き融資に架空のものがあるのではないかということが検査前から問題となっており,そのような疑いがあることが近畿財務局と大蔵本省のそれぞれの担当者の間で共通 ことが最重要課題とされていた。中でも,特約付き融資に架空のものがあるのではないかということが検査前から問題となっており,そのような疑いがあることが近畿財務局と大蔵本省のそれぞれの担当者の間で共通の認識となっていた。そこで,平成9年検査では,グループ会社の帳簿等まで抵当証券業規制法に基づいて徴求することができるか否かについて,近畿財務局から事前に大蔵本省に問い合わせがあり,本省金融会社室のY4課長補佐(以下「Y4補佐」という。)が,同室のY21室長(以下「Y21室長」という。)の了解も受けて論点整理ペーパーを作成し,①大和都市管財及びグループ会社はY1がコントロールしている一体の会社であること,②平成7年業務改善命令の指示事項中でもその徴求をしていたこと,の2点を,Y17課長に対してこれが可能であることの論拠として示していた(なお,平成12年検査においてもグループ会社の資料をも対象とした報告徴求命令が大和都市管財に対して発せられている。)。殊に,本件貸付金については,Y4補佐の部下 の係長も架空融資ではないかとの疑いを有していた。このような事前準備のもとに平成9年検査が行われ,任意に提出されたナイスミドルの総勘定元帳を調査した結果,那須ゴルフ場を担保とする本件貸付金に係る特約付き融資の記載がないこと,大和都市管財においても本件貸付金の相手勘定が長期借入金勘定となっており,資金移動を確認することができない会計処理であること,が近畿財務局に把握されたのである。この点につき,Y3会計士は,大和都市管財がナイスミドルに小切手で55億円を渡していたが知らなかった旨の弁明をしていたが,そうであればナイスミドルの当座預金口座には55億円が入金されるのであるから,それが記帳漏れになるのは余りに不自然というべきであり,他にはY3会計士及び していたが知らなかった旨の弁明をしていたが,そうであればナイスミドルの当座預金口座には55億円が入金されるのであるから,それが記帳漏れになるのは余りに不自然というべきであり,他にはY3会計士及びナイスミドルから,本件貸付金は記入漏れであった旨の弁明書が提出されただけである。しかも,本件貸付金は,ナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳に計上されていないだけでなく,同社の同月期決算書「貸借対照表増減比較」(甲4)の中にも,「那須グリーンコース抵当証券借入金の増加 0,000,000千円」(本件貸付金が含まれていない金額)との記載があったのであるから,本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳に計上されていなかった理由は単なる計上漏れとは考えられない。しかるところ,近畿財務局は,事前に抵当証券業規制法上の調査権限の根拠を大蔵本省との間で確認していたにもかかわらず,大和都市管財側から猛烈な抗議を受けたため,グループ会社の会計帳簿をコピーも含めて大和都市管財に返却してしまい,その結果としてナイスミドルに55億円の入金がなかった事実を確認する機会を逸している。しかしながら,本来近畿財務局に会計帳簿を返却すべき義務がなかったことは前記のとおりであり,むしろ,後記(7)のような事情に照らすと,近畿財務局は大和都市管財の更新登録拒否事由を知りながらあえて隠ぺいしたものとしか考えられない。 仮に,グループ会社の会計帳簿にまで法的に調査権限が及ぶか否かの議 論を措くとしても,平成9年検査で近畿財務局が返却した会計帳簿は任意に提出されたものであり,その入手は適法に行われたのであるから,仮に返却するにしてもコピーを取ることは何ら問題がなかったはずであるし,コピーを含めて返却するにしても,近畿財務局には更に本件貸付金の実在性について調査する義務が生じる 適法に行われたのであるから,仮に返却するにしてもコピーを取ることは何ら問題がなかったはずであるし,コピーを含めて返却するにしても,近畿財務局には更に本件貸付金の実在性について調査する義務が生じることは明らかというべきである。そして,大和都市管財もナイスミドルもY1が支配する会社であるから,契約書や担保設定などの形式を整えることは容易であり,これらが揃っていることのみことをもってはその実在性は確認することができない。その上,ナイスミドルには55億円もの資金需要はないはずであり,直前に提出された平成8年経営健全化計画でも,そのような融資は計画されていなかったのである。これらの事情に照らすと,大和都市管財からの合理的な反対の証明がない限り,架空融資の認定は当然であった。現実には,近畿財務局は平成9年検査結果通知において,本件貸付金には「架空融資の疑い」がある旨の記載しかされていないが,公文書にそのような記載をすることは,これを記載した行政側に余程の確信がなければ不可能と解されるから,架空融資は事実上認定することができるが,ナイスミドルの会計帳簿を返却したことなどのために,なお証明まではできない状況に自ら身を置いたものと捉えざるを得ない。 これに対し,被告は,55億円を大和都市管財がY1から小切手で借り入れ,これをそのままナイスミドルに渡したものと事後的に推認され,そうであれば大和都市管財の当座預金口座を調査しなかったことは結論に影響しないなどと主張するが,そもそも本件貸付金が架空であるとの疑いは,ナイスミドル側に55億円の借入金の計上がないことに端を発したことであるから,被告の上記主張は議論のすり替えにすぎない。 さらに,被告は,ナイスミドルの貸借対照表等は総勘定元帳に基づいて作成されるから,総勘定元帳に本件貸付金の仕訳の記載がない以上 に端を発したことであるから,被告の上記主張は議論のすり替えにすぎない。 さらに,被告は,ナイスミドルの貸借対照表等は総勘定元帳に基づいて作成されるから,総勘定元帳に本件貸付金の仕訳の記載がない以上,貸借 対照表に記載がされないのは当然である旨の主張もする。しかしながら,仮にナイスミドルに対する55億円の資金交付が存在したのであれば,同社の決算書を作成する段階で必ずその出所が不明であることが明るみになり,決算が合わなくなるはずであるから,55億円の資金交付がなかったからこそ,この点のそごが発生せず,本件貸付金の総勘定元帳への記帳漏れが発覚しないまま,本件貸付金が反映されていない貸借対照表等が作成されたものと解すべきであって,被告の主張は失当である。 また,以下のとおり,近畿財務局は,平成12年の更新登録拒否時の判断経過を平成9年に当てはめれば,同様に本件貸付金が仮装であること,ひいては大和都市管財が資本欠損である事実を認定することができたものというべきである。 すなわち,平成12年検査において,近畿財務局は,大和都市管財の関係会社勘定(その趣旨は必ずしも明らかではないが,グループ会社及びY1との貸借関係を管理する仮の勘定である。)において,前期末に残高が全くないにもかかわらず期首に巨額のマイナス残高が理由不明のまま計上され,期末にはこれがすべて振替処理により理由不明のまま消去されるという,一般的な会計処理と著しくかい離した処理が行われていることを把握した。そこで,近畿財務局は,大和都市管財に対し,原始帳簿,通帳,当座預金照合表,手形の耳などの提出を命じて調査した上で,ナイスミドル及びベストライフ通商に対する融資合計51億2500万円(平成11年4月1日付けで計上された合計20億1890万円,平成11年4月13日付けで計上された などの提出を命じて調査した上で,ナイスミドル及びベストライフ通商に対する融資合計51億2500万円(平成11年4月1日付けで計上された合計20億1890万円,平成11年4月13日付けで計上された12億円,及び,平成11年5月28日付けで計上された20億円の総計から,平成12年3月31日付けで消去された9370万円を控除した額)について,貸付けに当たり資金の交付を伴っておらず,融資先に対し資金を交付すべき同額の簿外負債があるものと認定したのである。 他方,平成9年検査において,近畿財務局は,前記のとおり,本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳及び大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表のいずれにも記載がなく,「(借方)抵当証券貸付金55億円/(貸方)長期借入金55億円」という不自然な仕訳(本件仕訳)がされていることを把握した。本来であれば,貸付けは,「(借方)抵当証券貸付金/(貸方)現金預金」と仕訳され,資金移動があることが見て取れる現金預金勘定が用いられるのが通常であり,関係会社勘定と長期借入金勘定とは,両者とも相手勘定を現金預金としておらず,資金の交付を伴わない特異な会計処理を行って帳簿上貸付金を発生させるものとして同質のものである。 そうすると,平成12年検査における架空融資との指摘は,平成9年検査で判明した本件仕訳に対してもそのまま妥当するというべきであり,近畿財務局は,本件仕訳につき,大和都市管財がナイスミドルに55億円の小切手を渡していた旨のY3会計士の弁解を踏まえ,大和都市管財の当座預金からの55億円の払出しの有無を確認すべきであった。しかるところ,近畿財務局は,前記のとおり,大和都市管財の総勘定元帳の調査,ナイスミドルの総勘定元帳の調査,大和都市管財及びナイスミドルからの聞き取り調査,Y3会計事務所及びナ 確認すべきであった。しかるところ,近畿財務局は,前記のとおり,大和都市管財の総勘定元帳の調査,ナイスミドルの総勘定元帳の調査,大和都市管財及びナイスミドルからの聞き取り調査,Y3会計事務所及びナイスミドル作成に係る報告書の調査しか行わず,資金の移動を示す原始帳簿である預金通帳等の調査(平成12年検査では実施された。)や,大和都市管財の当座取引の内容を示す当座預金照合表等との突き合わせ作業(抵当証券業規制法22条に基づく権限によれば可能である。)などを怠り,必要もないのにナイスミドル等の会計帳簿を返却してしまった上,大和都市管財からの合理的な説明がないにもかかわらず,本件貸付金の交付がないという事実を認定することをしなかったのである。 これに対し,被告は,近畿財務局が平成12年度の更新登録拒否の際, 少なくともナイスミドル及びベストライフ通商に対する51億2500万円の貸付けに資金の交付を伴っていない旨認定した論拠は,①大和都市管財の平成12年3月期の総勘定元帳における関係会社勘定の記載,②大和都市管財から合理的な説明がなかったこと,③ナイスミドルに対する平成11年4月13日付け融資額12億円及び同年5月28日付け融資額20億円について大和都市管財の預貯金口座からの出金は認められなかったこと,④平成12年検査において大和都市管財の真実の現金出納を記した現金出納簿が発見されたことなどであると主張する。 しかしながら,もし第三者による貸付けを考慮するのであれば(平成12年検査に係る文書の提出がないため,同年検査において大和都市管財がいかなる抗弁をしたかは明らかではないが,常識的には,平成9年検査の時と同様,中間省略的な資金移動があった旨主張したはずである。),上記①ないし④の事実のみによっては,なお融資の架空性を認定すること いかなる抗弁をしたかは明らかではないが,常識的には,平成9年検査の時と同様,中間省略的な資金移動があった旨主張したはずである。),上記①ないし④の事実のみによっては,なお融資の架空性を認定することができないから,被告の主張を前提にしても,近畿財務局は,平成12年度の更新登録拒否の際には,本件更新登録時と異なり,大和都市管財以外の第三者(具体的にはY1)からの資金により貸付けがされた可能性を考慮していない(すなわち,Y1にスポンサーがいるという大和都市管財の弁解を信用できない旨断じていた。)はずである。そして,近畿財務局は,平成9年当時においても,Y1に対するスポンサーの存在など信用していなかったのである(乙28)。また,①は,相手勘定を現金預金等の資金を伴う勘定としていない点で架空融資性(資金の交付がないこと)を推認させるものの,それ自体が架空融資性を認定する根拠となるものではないし,②は,大和都市管財以外の第三者振出しの小切手を直接グループ会社に渡した可能性があれば,51億2500万円はすべて「(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社」と会計処理されるため,第三者から小切手を振り出してもらって,それをグループ会社に貸し付けた可能性を否定し切 れず,④については,通常,億を超える資金を現金でやりとりすることは考えられず,銀行送金又は小切手の振出しで行うものであるから,現金勘定ではなく預金勘定が問題となるべきものである。このように,被告の主張する①,②及び④の理由はいずれも後付けにすぎず,決定的に重要なのは③の点のみであったことが明らかである。そして,平成9年検査でも,大和都市管財の預貯金口座からの出金を示す証拠は示されなかったのであるから,近畿財務局は,平成9年当時も平成12年当時と同様の認定が可能であったはずである。 また である。そして,平成9年検査でも,大和都市管財の預貯金口座からの出金を示す証拠は示されなかったのであるから,近畿財務局は,平成9年当時も平成12年当時と同様の認定が可能であったはずである。 また,被告は,長期借入金勘定と関係会社勘定とは同一の勘定ではないとも主張する。しかし,被告自身,少なくとも関係会社勘定が長期借入金を包含する性質を持つ勘定であることは認めている。また,長期借入金勘定は相手勘定が現金預金勘定であるのが本来の姿であるところ,平成10年3月期ないし平成12年3月期の各長期借入金勘定は,その相手方勘定がおおむね現金預金勘定となっているのに対し,平成9年3月期の長期借入金勘定は,その相手勘定として特約付き融資額が計上され,抵当証券受取利息が毎月計上されるなど,異常な中間省略的処理がされている。そして,関係会社勘定も,平成11年3月期及び平成12年3月期ともに,抵当権付債権や抵当証券受取利息を相手勘定として計上されるという特異な中間省略的内容となっており,これが平成9年3月期の長期借入金勘定と同様であるのは前記のとおりである。このように,平成9年3月期の長期借入金勘定の特異な性質は,平成11年3月期及び平成12年3月期の関係会社勘定に引き継がれており,関係会社勘定においても,大和都市管財の預貯金口座や現金勘定に資金移動がなくても,同社がグループ会社から債務者たるグループ会社への資金移動について合理的に説明することができるのであれば大和都市管財への資金交付も認められることは,平成9年検査と同様のはずである。また,近畿財務局のY20検査官も,平成12 年検査において,「総勘定元帳における長期借入金勘定及び関係会社勘定については,その勘定の存在理由が不明となっているほか,現金及び預金の実際の動きとは不符合となっている。」 査官も,平成12 年検査において,「総勘定元帳における長期借入金勘定及び関係会社勘定については,その勘定の存在理由が不明となっているほか,現金及び預金の実際の動きとは不符合となっている。」と指摘しており,両勘定に特段の差異を認めていない。したがって,両勘定が同質ではないとする被告の主張は失当である。 エ受取利息の計上が容易に否認できたこと近畿財務局は,平成12年検査において,①大和都市管財の受取利息の未収が平成10年8月から平成12年にわたっていたこと,②グループ会社の平成12年当時の状況が赤字決算の連続による大幅債務超過にあったことから,未収利息を借方(資産)に計上することはできないものと判断していた。これは,裏を返せば売上げとしての受取利息の計上を否認することであるが,平成9年検査当時も状況は同様であった。すなわち,近畿財務局長は,以下の(ア)ないし(キ)の事実を本件更新登録前に認識し又は認識し得たから,①グループ会社からの受取利息が未収であるか,又は②大和都市管財の融資が融資先の資金需要とは無関係に行われており,抵当証券購入者から集めた資金がそのままそれら購入者に対する利息の支払に充てられているとの疑いを持つのが当然であって,大和都市管財に対して預貯金口座の写しを徴求するなどして客観的な裏付けを取りさえすれば,少なくとも平成8年3月期以降において大和都市管財に対するグループ会社の支払利息が上記①又は②のような実態にあることを把握するのは容易であった。しかも,平成9年検査では,正にグループ会社から大和都市管財に対して利払が現実にされているか否かが重要な検査項目とされていた。そして,グループ会社は,いずれも本件更新登録時までに3ないし4期以上連続して大幅な債務超過,資本欠損で回復の傾向は全くみられない状況であ 利払が現実にされているか否かが重要な検査項目とされていた。そして,グループ会社は,いずれも本件更新登録時までに3ないし4期以上連続して大幅な債務超過,資本欠損で回復の傾向は全くみられない状況であったから,近畿財務局は,大和都市管財のそれらグループ会社からの平成8年3月期,同9年3月期の受取利息を計上することがで きないと判断するに足りる事実を優に認識していたというべきである。 (ア)自己融資であったこと大和都市管財の融資先はグループ会社のみであり,実質的に自己融資である上,大和都市管財グループの業務全般をY1が一体として統括していたが,このような場合にはリスクを分散することができないために融資先の財務状況の悪化が大和都市管財の財務状況の悪化に直結しやすく,帳簿上の操作も行われやすいという弊害があり,抵当証券業規制法が制定された契機の一つも,このような自己融資の事案が抵当証券購入者に多大な被害をもたらした点にあった。 そして,近畿財務局は,平成6年検査結果通知や同年8月1日付け弁明の機会付与通知等にも明らかなとおり,大和都市管財が正にこのようなケースに該当し,グループ各社の債務超過額が平成3年以降増加する一途であることや,大和都市管財グループに親会社やメインバンクが存在しなかったことなどから,グループ各社からの大和都市管財への返済も帳簿上の仮装であったり,(実際に返済があったとしても)単に顧客から新たな利子負担を伴う金融商品の販売によって集められ,大和都市管財を通じてグループ会社に融資された資金が環流されているにすぎない可能性があることを本件更新登録に先立って認識していた。しかるところ,大和都市管財グループ全体では,主要事業である4カ所のゴルフ場すら営業損失を出すなど毎期損失が計上され,融資先であるグループ会社に債務超過額 ことを本件更新登録に先立って認識していた。しかるところ,大和都市管財グループ全体では,主要事業である4カ所のゴルフ場すら営業損失を出すなど毎期損失が計上され,融資先であるグループ会社に債務超過額が累積する状態であるにもかかわらず,大和都市管財のみは各融資先から毎期合計数十億円の受取利息を計上して資産超過である,という不自然な状況が続いていた。しかも,多少会計の心得があれば,大和都市管財単体の黒字を会計書類上作り出すために,グループ会社に赤字を計上する経理操作はだれしも考えつくことである。 よって,近畿財務局長には,大和都市管財の帳簿だけからグループ会 社からの利息返済を安易に認定することなく,帳簿に対応する現金の移動を確認することができるか,その返済原資がどこから調達されたのか等を厳正に検査すべきであった。 (イ)遊休地が存在したこと大和都市管財は,昭和62年から63年にかけて,ベストライフ通商に対し,a町土地を担保に30億円もの融資を実行したとして同額の抵当証券を販売したが(鑑定評価額60億0300万円),平成3年検査時点においても,いまだ同土地が遊休地のままで何らの利益を生んでいないことが明らかになったため,担保不動産の再鑑定が実施され,その結果,a町土地の再評価額は21億円しかなかったことが判明していた。 このことから,大和都市管財のベストライフ通商に対する融資は,一般的な融資において当然されるべき,収益性と担保の十分性,回収可能性の査定が実施されておらず,貸付先が利払に見合う収益を上げていないのみならず上げようともしていないという,およそ経済的合理性に即した金銭貸借といえるものではなかったこと,ひいては,大和都市管財のグループ会社に対する融資が,資金集めのための形式にすぎないという実態を認識し得た。 これに対し,被 という,およそ経済的合理性に即した金銭貸借といえるものではなかったこと,ひいては,大和都市管財のグループ会社に対する融資が,資金集めのための形式にすぎないという実態を認識し得た。 これに対し,被告は,a町土地等が順次事業の用に供され,又は売却により含み損を解消する予定であるとの報告を受けていたのであるから,これら物件が将来にわたって収益を生まないものと認識していたわけではない旨反論する。しかしながら,近畿財務局は,大和都市管財の提出する経営健全化計画が過去の実績を無視したものであることを認識していたから,被告の主張は失当である。 (ウ)本件合意書に矛盾があること本件合意書は,平成6年検査への対策として,グループ各社の赤字を見かけ上減らすために後日作成されたものであるが,大和都市管財が近 畿財務局に提出した「平成6年8月末現在の大和都市管財の貸付金の概要」(乙13)における金利(年利9ないし10パーセント)と明白に矛盾し,明らかに不合理である。近畿財務局は,その作成日付の矛盾についてのY8の説明を端緒として,本件合意書が虚偽の内容を記載した文書であること,ひいては大和都市管財とグループ会社間の融資及び返済自体が名目上のもので実体を伴わないものであることを認識し得たのであるから,大和都市管財の資金移動の実態について一層疑いをもって調査すべき義務があった。 これに対し,被告は,経済取引上,貸付金利を過去にさかのぼって減免することは珍しくないと主張するが,本件合意書による利率変更の規模(年8パーセントから12パーセントの金利を軒並み6.5パーセントに減免し,抵当証券販売利率との利ざやを1パーセント程度に縮減するもの)は常識的な範囲を超えており,むしろ,特約付き融資しか収入のない大和都市管財がその金利をこのように大幅かつ一律に減額 パーセントに減免し,抵当証券販売利率との利ざやを1パーセント程度に縮減するもの)は常識的な範囲を超えており,むしろ,特約付き融資しか収入のない大和都市管財がその金利をこのように大幅かつ一律に減額したことを把握すれば,大和都市管財とグループ会社との間の融資が実在せず,大和都市管財が顧客から集めた資金がグループ会社から環流しているだけではないかとの疑いを持つのが当然である。 また,被告は,過去にさかのぼって金利を引き下げるとは,平成6年3月末日の利息の支払に当たり,毎月末日払いの貸付金については当月初日にさかのぼって,半期末払いの貸付金については初日にさかのぼって利率を引き下げたものと理解できる旨主張するが,上記のとおり,大和都市管財は平成6年8月末時点の金利としては変更前のものを記載していたのであるから,金利の変更は同年9月以降の事実であると解するほかはなく,被告の主張は誤りである。 (エ)異常な会計処理がされていたこと大和都市管財においては,遅くとも平成6年10月以降,抵当証券会 社の収益の根幹であるべき受取利息が,同社に支払われずに,直接Y1への長期借入金の返済のためであるとして長期借入金勘定にて処理されており,一見して資金的裏付けのない受取利息の計上であることが判明していた。この異常な会計処理は,グループ会社から大和都市管財への資金移動のチェックを攪乱するためにろうした大和都市管財の工作と考えられるが,結局,仮勘定ないし未収利息として計上している趣旨と解すべきであり,貸付先である各グループ会社に対する未収利息債権の計上と考えるべきであるから,その資産計上が認められないことは平成12年検査におけると同様である。百歩譲ってこの会計処理を前提に,受取利息を長期借入金の返済に充てたという意味に解したとしても,大和都市管財に るべきであるから,その資産計上が認められないことは平成12年検査におけると同様である。百歩譲ってこの会計処理を前提に,受取利息を長期借入金の返済に充てたという意味に解したとしても,大和都市管財には,グループ各社から大和都市管財への資金移動の代わりに,大和都市管財の方でグループ各社からY1への資金移動について合理的客観的な資料提出や説明をする責任が生じ(抵当証券会社にとって抵当証券受取利息は収入の源泉のはずであるから,これを右から左へ長期借入金の返済に充てることは不自然である。),これらの説明がない限り,受取利息の仮装を認定するのが合理的である。 (オ)受取利息が実質延滞状態であったこと近畿財務局は,グループ会社にいずれも銀行取引がほとんどなく,大和都市管財が抵当証券及び手形商品によって調達した資金等によって資金繰りを行っていたことは認識していたところ(乙22),例えばナイスミドルは平成7年6月期において約3億7000万円の売上げしかないのに約19億円の支払利息割引料の支払を強いられており,現実の資金移動を伴う利払を行うためには大和都市管財からの借入れで賄うほかないような状況であることは認識していたのであって,そのような債権は実質的には延滞債権というほかはない。また,ナイスミドルの総勘定元帳上,大和都市管財に対する利息(平成7年9月30日に約3億円, 平成8年3月31日に約6億円)の支払はこれと相前後してされたナイス函館からの同額の短期借入金を充てたことになっていたものの,ナイス函館が約9億円のキャッシュインフローをたった半年で稼ぎ出す事業を行っていなかったのは前記のとおりである。そして,平成12年検査では同様の債権について資金移動についての調査が行われ,大和都市管財はその弁明ができなかったために受取利息の架空性を認定され 出す事業を行っていなかったのは前記のとおりである。そして,平成12年検査では同様の債権について資金移動についての調査が行われ,大和都市管財はその弁明ができなかったために受取利息の架空性を認定されていたのであるから,平成9年検査においても当然に受取利息についてその資金移動を確認すべきであった。加えて,本件貸付金が架空融資と認定されれば,それが虚偽記載により更新登録拒否事由に該当することになるのみならず,ナイスミドルに55億円の資金が渡っていなければ,営業利益のないナイスミドルには抵当証券受取利息の支払原資がないはずであるから,ナイスミドルに対する大和都市管財の債権が延滞状態であることも優に認定することができたものである。 (カ)Y1の資金調達力に疑問があったこと①平成7年2月7日付け美祢カントリークラブへの110億円,②同年9月28日付けナイスミドルへの100億円,③平成8年4月1日付けナイスミドルへの55億円,④同年11月1日付けベストライフ通商への7億8000万円の各特約付き融資の原資については,近畿財務局が平成9年7月8日に入手していた大和都市管財の抵当証券貸付金勘定2枚分,長期借入金勘定9枚分(甲152)によればY1からの長期借入金であることは会計帳簿上明らかであるが(甲137,138,乙91),このような規模の融資(わずか2年の間に合計272億8000万円)を同人が行うことができるという点についての裏付けはなく,スポンサーについての同人の説明も,永年の不動産取引で培った人脈であるとしか申し上げられない(平成7年12月6日のヒアリング)という曖昧なものであって,利息についても,大和都市管財からは 利息を収受していないが,借入先には利息を支払っている(巨額の利息をY1が個人として負担していることになる。)と述 のヒアリング)という曖昧なものであって,利息についても,大和都市管財からは 利息を収受していないが,借入先には利息を支払っている(巨額の利息をY1が個人として負担していることになる。)と述べたり(同月26日のヒアリング),一転して年8パーセントの利息を大和都市管財から受け取っている旨述べる(平成9年7月30日の調査)など,むしろ帳簿の信ぴょう性自体に強い疑問を生じさせるはずのものである。 そもそも,近畿財務局は,平成7年8月1日の業務改善命令に係る弁明の機会付与の通知においても,大和都市管財が抵当証券販売代金で大部分の資金繰りをしていることを指摘していることから明らかなように,それまではY1から大和都市管財へ多額の融資があるとは認識していなかったのである。 (キ)審査の形跡がないこと一般に,借入申込みをする事業会社が事業計画を立てたり,資金使途目的の実行予定を策定したりし,そのための資金需要額を決定し,融資申込書に事業計画の妥当性,返済能力を証する資料を添付して抵当証券業者に融資申込みをするが,大和都市管財の場合,資金申込業者となるべき者からの事業計画はおろか資金使途についての計画文書や返済可能性を明らかにする資料が何ら提出されていないし,求められもしていない。近畿財務局長は,大和都市管財が,融資先からの借入申込書も,返済能力や事業計画の妥当性を判断するための必要資料も徴求せず,取締役会の議事録にも審査した事実の記載がないことを把握し,同社に対し,融資審査体制を確立する必要があることを検査の都度指摘してきたが,大和都市管財が平成7年7月7日に行った回答は,「審査の事跡は鑑定評価書そのものであると考える。」というものであった(すなわち,物件購入の目的は,抵当証券販売による資金集めにあり,事業計画の採算は度外視されていた。 7年7月7日に行った回答は,「審査の事跡は鑑定評価書そのものであると考える。」というものであった(すなわち,物件購入の目的は,抵当証券販売による資金集めにあり,事業計画の採算は度外視されていた。)。 オ本件3融資の架空性を容易に認識することができたこと 前記のように,ナイスミドルに対する本件貸付金が架空である(との疑いがある)ことが判明したのであるから,平成9年検査において,特約付き融資の他の貸付金についても架空融資である疑いが濃厚になっていた。 このため,近畿財務局は,他の特約付き融資についても資金の交付を伴っているのか否かについて,大和都市管財側に合理的説明を求め,客観的資料の提出を求めるべきであった。 しかるところ,本件3融資は,本件貸付金と同様,いずれもその融資時の会計処理が「(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金」となっており,一見して資金の交付を伴っていないことが分かる極めて特異な会計処理であることから,この時点で架空融資である疑いが極めて濃厚であった。 そして,平成12年検査において,近畿財務局は,本件3融資について,大和都市管財から融資先グループ会社に対する資金の交付を確認することができない状況にあることを把握,指摘していたことは前記のとおりである。これに対し,大和都市管財からは手形等によって貸付けを実行した旨の回答があったものの,同社からは裏付け資料として要求した手形の耳が提出されなかった上,同様の指摘・回答の過程を辿った約51億円の抵当権付き債権一部譲渡について,同社の回答は合理的でないと判断した近畿財務局が,更に進んで架空融資と認定し,これが平成13年4月16日の更新登録拒否事由となっていることに照らすと,平成12年検査において,近畿財務局が本件3融資を架空であると認定しないはずがない。本件3融 局が,更に進んで架空融資と認定し,これが平成13年4月16日の更新登録拒否事由となっていることに照らすと,平成12年検査において,近畿財務局が本件3融資を架空であると認定しないはずがない。本件3融資の架空融資性の認定が平成12年検査結果通知(甲136)の記載から漏れ,同月16日の更新登録拒否事由となっていないのは,本件更新登録の違法性を近畿財務局自らが認めることになることを回避し,平成10年以降に発生した抵当権付き債権一部譲渡のみを問題にすることとしたため である。 よって,平成9年検査時においても,近畿財務局は,平成12年検査時におけると同じく,本件3融資に関し,資金の交付を伴っているかについて原資帳票類で確認するために大和都市管財に対して合理的説明を求め,客観的資料の提出を求めるべきであった。このような過程を辿りさえすれば,近畿財務局は,平成12年検査時と同様に,平成9年検査において本件3融資の架空性を容易に認定することができたものというべきである。 カ人的構成の欠如を近畿財務局が把握していたこと近畿財務局は,既に平成6年検査において,大和都市管財が融資審査体制を確立していないことを把握した上でその改善を重ねて指導し,平成7年5月26日には特約付き融資について融資基準がないことを指摘した(乙14)のに対し,大和都市管財側が審査基準がないからルールに欠けているとはいえない,融資の審査については不動産鑑定士の鑑定を基にして幹部会議を開いて行っているなどと主張したため,同年8月1日付けの弁明の機会の付与に係る通知書(乙12)においても,審査体制の確立の具体的内容と実施時期を書面で提出するよう命じているが,これに対する大和都市管財からの回答はなかった。そうすると,平成7年8月の段階において,近畿財務局は少なくとも大和都市管財に ,審査体制の確立の具体的内容と実施時期を書面で提出するよう命じているが,これに対する大和都市管財からの回答はなかった。そうすると,平成7年8月の段階において,近畿財務局は少なくとも大和都市管財には融資基準がないことを把握していたにもかかわらず,大和都市管財が主張する幹部会議なるものが融資業務を担当する組織といえるか否か,そこで行われているとされる融資審査の内容等について確認をしていなかったことになる。また,平成7年業務改善命令においても融資審査体制の確立を求める旨の内容が記載されているところ,その発出がされたか否かの問題を措くとしても,この点についての回答自体が大和都市管財側からされないままになっていることは記録上明らかである。さらに,近畿財務局は,平成9年10月の段階においても,大和都市管財が依然として融資先から借入申込書,財務内容, 資金使途などを示す書面を徴取しておらず,役員会議事録にも融資に係る記載がないなど,融資審査体制が未整備でその是正が必要であると判断していた(乙22)が,平成9年経営健全化計画にも,融資審査体制については「融資審査体制の確立命令に従い,万全の体制を確立します。」とあるだけで,具体的な記載は一切なかったにもかかわらず,近畿財務局が同年12月11日に平成9年経営健全化計画の受理を決裁した際には,融資審査体制の確立について検討された形跡すらない。 これに対し,被告は,大和都市管財は基本事項通達が定めた人的構成に関する審査基準に適合していた旨主張する。しかしながら,近畿財務局は,①業務経験に関しては「役員等の履歴書」,②研修修了者の有無については大和都市管財からの裏付けのないヒアリング調書,③融資実務経験に関しては「抵当証券業務に関する組織図」や「融資業務経験者の業務経歴書」等を調査するだけで の履歴書」,②研修修了者の有無については大和都市管財からの裏付けのないヒアリング調書,③融資実務経験に関しては「抵当証券業務に関する組織図」や「融資業務経験者の業務経歴書」等を調査するだけで審査基準適合性を判断している上,近畿財務局自体が融資審査体制の不備をそれまでにも再三指摘していたことなどにかんがみれば,いずれにせよ大和都市管財に対しては実質的審査が必要であったから,被告の前記主張は失当である。 したがって,近畿財務局は,本件更新登録時において大和都市管財には人的構成が欠如していることを認識していたか,容易に認識し得たものと解するほかはない。 キ危険及び予見可能性の存在を裏付けるその他の事情下記の事情に照らしても,大和都市管財が原告ら抵当証券購入者の利益を害する危険が現在し,かつ,これを近畿財務局長が予見し,又は予見し得べきことは裏付けられる。 (ア)平成7年8月以降の各経営健全化計画の非現実性ナイスミドル(ナイス大原カントリークラブ),美祢カントリークラブ及びナイス函館のいずれについても,平成7年収支計画の提出時点で 多額のゴルフ会員権を販売済みであったから,その販売は完全に頭打ちの状況にあり,上記各ゴルフ場に係る会員権の販売を骨子とする経営健全化計画の実現可能性が極めて低いことは明白であった。現に,同年12月の段階で,本来同年4月から予定していたナイス大原カントリークラブ及び美祢カントリークラブのゴルフ会員権販売が不景気の影響で行われなかったことを大和都市管財自身が認めていた。 さらに,平成8年経営健全化計画も,以前の計画の単なる焼き直しであって,上記各ゴルフ場に那須グリーンコースを加えた4ゴルフ場の会員権を814億9500万円で販売するとしていたが,低迷していた当時のゴルフ会員権相場からみて,これが無謀なこ 計画の単なる焼き直しであって,上記各ゴルフ場に那須グリーンコースを加えた4ゴルフ場の会員権を814億9500万円で販売するとしていたが,低迷していた当時のゴルフ会員権相場からみて,これが無謀なことは明白であった上,想定しているゴルフ会員権価格が高すぎるなど空想的であって,合理性,実現可能性を疎明するための資料も全く提出されていないことなどに照らすと,その実現可能性は極めて低かった。現に,平成8年12月のヒアリングで,大和都市管財側は,那須グリーンコースの販売実績は「390万円で80名,500万円で15名程度にとどまって」おり,ゴルフ場の経営についても「トータルでは収支トントン,といった状況である」との説明しかできなかった。 また,大和都市管財が平成8年12月のヒアリング(乙37)において提出した那須グリーンコース会員権販売に係る修正計画は,平成8年度にわずか6億4000万円(計画の7パーセント)しか販売することができなかった同ゴルフ場のゴルフ会員権を,その後の3年間で315億円も販売するという,当時の経済状況から考え難いものであった。 このように,平成8年末までの段階で,ゴルフ会員権の販売計画が何度も繰り返し,若干形を変えただけで経営改善の柱としてY1から説明され,しかも惨めな結果に終わっていることが近畿財務局にも明白になっていたにもかかわらず,平成9年経営健全化計画は,相変わらずゴル フ会員権販売を中核としており,従前のゴルフ会員権の販売時期を繰り延べたり,実質は3年後又は6年後に元本の償還義務を負い(入会金部分はない。),それまで年6パーセントの利払までして資金を集めるための金融商品にすぎないチケット制会員権の販売を柱とするものであって,このような方法による経営改善が不可能であることは,近畿財務局には容易に把握すること で年6パーセントの利払までして資金を集めるための金融商品にすぎないチケット制会員権の販売を柱とするものであって,このような方法による経営改善が不可能であることは,近畿財務局には容易に把握することができたはずである。 また,平成7年収支計画は,抵当証券は買い戻して同額を販売することが前提となっており,金利負担も販売経費も減らない計算であること,顧客に対する利払金額だけで平成8年度に29億円,平成9年度に38億円を要するというものであり,グループ会社の営業活動からは賄えないことが明白であること,手形商法の引当となっていたはずの海外預金が解約されていたことが判明していたことに照らしても,その実現可能性は疑問であった。 さらに,平成8年12月のヒアリングにおいて,大和都市管財が新規事業として準備中としていたファッションホテル経営,パチンコチェーン経営についても,現実に事業展開できる状況か否かに加えて実現したときの収益性に審査が集中することになるはずであるにもかかわらず,例えば後者については全国50店舗のチェーンを30億円で買収予定で締結寸前と言われていながら,その後立ち消えになっており,近畿財務局からも何らの追及もない。しかも,上記ヒアリングでは,ゴルフ練習場として予定し,平成6年検査結果通知に対する回答においても平成9年度からの収益予想をしていたa町土地について,奈良市に公園墓地として20億円で売却する予定となっていたが,その後平成9年11月を目処とした奈良市との第3セクター方式による霊園墓地開発に変更となり,100億円もの利益が上がる計画になり,平成9年経営健全化計画では地方自治体の許可が下りないまま,利益の見込額が30億円程度に 縮小している(乙41)など,大和都市管財の説明はその場しのぎで一貫しておらず,近畿財務局としては り,平成9年経営健全化計画では地方自治体の許可が下りないまま,利益の見込額が30億円程度に 縮小している(乙41)など,大和都市管財の説明はその場しのぎで一貫しておらず,近畿財務局としては計画の実現性を確認することができる契約書・協定書などの提出などを求めるのが当然であり,平成9年検査中の同年8月27日には,抵当証券保管機構も,近畿財務局に申入書(甲93の1)を送付して,a町土地につき「担保物件は,墓地予定地(一部産業廃棄物処理場?)ということではあるが,現況がどうなっているのか実態を把握する必要がある。」と申し入れていたが,近畿財務局は,この申入れを無視したのである。Y17課長は,那須グリーンコースのリゾートホテルの建築状況について現地に確認に行っている程であるから,地理的により近いa町土地の開発状況を確認していないはずがないのであって,抵当証券保管機構の上記申入れを拒否したのは,Y1の説明が虚偽であることを知っていたからと考えられる。 リステム化学研究所の廃棄物リサイクル事業についても,平成9年5月のヒアリングにおいて,大和都市管財は奈良市との間で独占的契約を結んでいる旨述べている(乙40)が,公共団体が私企業と独占的契約を結ぶとの話自体信じ難いから,その計画を知らされた時点で近畿財務局はその真実性を否定すべきであった上,同年11月のヒアリングでは,Y1の回答は「奈良市との間にゴミのリサイクル事業の話は進んでおり,現在奈良市と協議中」と後退しており(乙41),計画の虚偽性は一層明白であった。 加えて,近畿財務局は,平成8年1月の段階で,大和都市管財のグループ会社の赤字が毎年約40億円ずつ増加していくものと予想していた(乙30)。殊に,近畿財務局は,平成9年7月8日には大和都市管財の総勘定元帳(甲137,138,乙91) 段階で,大和都市管財のグループ会社の赤字が毎年約40億円ずつ増加していくものと予想していた(乙30)。殊に,近畿財務局は,平成9年7月8日には大和都市管財の総勘定元帳(甲137,138,乙91)を入手しており,これによって同社の資金の流れが,Y1がグループ会社に融資し,グループ会社から同人が抵当証券受取利息を受領するという,大和都市管財が単なる 資金の通過点にすぎない異常なものであることを認識したはずであるのに,その後に受理した平成9年経営健全化計画においても,資金移動の実在性の検証がされておらず,従来は付されていた大和都市管財グループの資金収支予測までが抜け落ちていた。 よって,近畿財務局は,大和都市管財が提出した各経営健全化計画等の達成状況について厳正な姿勢で監視する必要があった。しかるところ,近畿財務局は,平成9年経営健全化計画が上記のとおり極めて非現実的なものであることを認識していたにもかかわらず,改めてわざわざ修正の機会を与えて計画の再提出を求め,しかも修正された計画は平成13年度までに大和都市管財グループの債務超過を解消することができないものであったにもかかわらず,客観的合理的裏付け資料が存在せず,その裏付けの要請すら行わないまま,「当否を予測できない」(乙44)というだけの理由付けで当該計画を受理しており,平成6年度検査や平成12年度検査における近畿財務局の認識ともかけ離れている。この点につき,近畿財務局は,前回の計画と異なる点として①ナイス大原のゴルフ会員権及びチケット制会員権の販売計画への盛込み,②那須グリーンコースとナイス大原ゴルフコースにつき,リゾートマンションやコテージを中心としたレジャースポーツ施設を建設,③北海道泊別観光の売却,④ベストライフ通商による高収益物件購入の促進,の4つを上げ ンコースとナイス大原ゴルフコースにつき,リゾートマンションやコテージを中心としたレジャースポーツ施設を建設,③北海道泊別観光の売却,④ベストライフ通商による高収益物件購入の促進,の4つを上げているが(乙44),①は上述のとおりこれまで完全に失敗してきたゴルフ会員権の販売計画の焼き直しであり,その主力となるチケット制会員権は預託金に加えて金利の負担を伴うものであること,②は①のゴルフ会員権販売計画が成功することを前提としてその一部を建設費に充てるなどの点で根拠はないことは明白であり,③については売却先,金額の算定根拠,担保権抹消のための資金の調達などが考慮された形跡がなく,④は裏付けとなる資金や前提となる地方公共団体の許可の有無 が不明である上,年利15パーセントという好利回り物件の資料,仲介業者,利回りの根拠等は何ら揃っておらず,全く意味のない評価である。 また,上記計画では,新規事業に収益のほとんどを依存している上,新規の抵当証券を発行しない限り資金繰りを維持することができず,これまでの繰り返しにすぎないこととなる。さらに,近畿財務局は,上記計画の裏付け資料としては,平成9年業務改善命令の内容を根拠なく縮小して,「グループ6社を含む貸借対照表と説明書面」(乙44)のみしか要求していないが,これは大和都市管財が提出できない資料を無視しようとした意図的な処理と解するほかはない。 (イ)会計監査人の不選任又は会計監査の不実施大和都市管財は,遅くとも平成6年3月末には負債総額が200億円を超えていたから,遅くとも平成7年3月末からは監査法人又は公認会計士を会計監査人に選任して会計監査を受けなければならなかった(商法特例法2条,3条)。ところが,大和都市管財は,その破綻まで一度も会計監査人による会計監査を受けたことがなかった。 査法人又は公認会計士を会計監査人に選任して会計監査を受けなければならなかった(商法特例法2条,3条)。ところが,大和都市管財は,その破綻まで一度も会計監査人による会計監査を受けたことがなかった。 よって,近畿財務局は,このように商法上の義務に違反して会計監査を受けていない大和都市管財の提出する決算書,特に財産的基礎の判断資料となる貸借対照表の適正性及び表示の正確性に疑問があることを当然に認識していたか,認識し得べきであった。 これに対し,被告は,抵当証券業規制法による監督は商法特例法上の会計監査とは別個の制度であり,大和都市管財には監査報告書の近畿財務局への提出義務がなかった旨主張する。しかしながら,監査報告書が株主以外の第三者に必ず開示されるというわけではないにしても,大和都市管財が会計監査を受けているか否かといった程度の事実は近畿財務局において通常把握可能と思われるし,被告が主張するように,近畿財務局は大和都市管財から提出される財務諸表の正確性を逐一検証する権 限がなく,かつ同社に対する会計監査の結果も利用しないというのでは,財産的基礎の欠如や財務諸表の虚偽記載を更新登録拒否事由とした基本事項通達の実効性は失われるから,このような解釈は誤りである。 (ウ)大和都市管財及びグループ会社の一体性大和都市管財及びグループ会社の法人格・代表者・資本構成は形式的なもので,実質的にはY1のワンマン経営であり,いわば「Y1商店」ともいうべき実態であった。すなわち,グループ会社は,すべてY1が新規に設立し,又は買収した会社であり,Y1の長男Y2のほか,大和都市管財の従業員等が役員に就き,資本構成上も,Y1,Y2又はその両者によって株式の大部分が所有され,譲渡制限が付されているか,Y2の所有する会社の子会社となっているが,実質的にはすべ のほか,大和都市管財の従業員等が役員に就き,資本構成上も,Y1,Y2又はその両者によって株式の大部分が所有され,譲渡制限が付されているか,Y2の所有する会社の子会社となっているが,実質的にはすべてY1が資金面の手当てをしており,これら会社間の資金移動はすべてY1が取り仕切っていた。いずれの会社においても取締役会は開かれたことがなく,いずれの代表者もY1の指示で各社の代表者に就任し,経営判断等もY1の指示に従い,最終的意思決定も同人によって行われていたのである。 このような設立等の経緯や資金的・人的関係等からみて,グループ会社は実質的にはY1によって経営され,その業務全般を統括されていたものであって,大和都市管財を中心とする密接不可分な企業グループを形成していたのである。もっとも,特約付き融資の債務者会社の代表者にY1自らが就任すると債権者である大和都市管財の代表者と債務者会社の代表者とが同一になり,実質的な自己取引になることが明らかになるなどの不都合があるから,Y1はY2等をグループ会社の代表者として就任させていた。 このように,大和都市管財のグループ会社が別個の法人格を得ているのは,Y1が資金集めをしやすくするためであり,Y1,大和都市管財及びグループ会社間で利害の対立はなかったから,近畿財務局が大和都 市管財に対しグループ会社から帳簿等関係書類を徴求して提出するよう求めた場合,グループ会社が大和都市管財に対して固有の利害を主張して書類の提出を拒むことはないのであり,グループ会社が書類の提出を拒むとすれば,それは大和都市管財が困るからであって,グループ会社の利害が原因なのではない。そして,平成4年にa町土地の過大評価が問題となった際,Y1が近畿財務局とのヒアリングを重ね,乗換え用として仙台市の遊休地(a区土地)を担保とし からであって,グループ会社の利害が原因なのではない。そして,平成4年にa町土地の過大評価が問題となった際,Y1が近畿財務局とのヒアリングを重ね,乗換え用として仙台市の遊休地(a区土地)を担保とした抵当証券の交付を認めさせるまでa町土地に係る担保割れ特約付き融資の償還に応じなかったという一件があったが,この過程で,近畿財務局としても,大和都市管財とグループ会社との利害が一致していることなどを認識し,大和都市管財グループがY1のワンマン企業であることを認識したと考えられる。 現に,その後近畿財務局が大和都市管財グループの経営改善を指導する際は,終始,同グループがY1のワンマン企業であることを前提にヒアリングが実施されており,例えば,近畿財務局はY1自身から,本来はグループ会社の業務であるゴルフ会員権の販売計画やその見込みを聴取しているのである。 (エ)抵当証券保管機構による情報提供等抵当証券保管機構は,抵当証券会社の親会社である銀行から出向している職員で構成され,悪質業者による抵当証券業界の信用失墜を防ぐべく,継続的に真剣な取組みをしており,抵当証券業者に関し業者状況表(甲81の2),原券持込状況一覧表(甲81の4),保管抵当証券明細表(甲81の6)等を作成していた。そして,抵当証券保管機構は,抵当証券業者の監督官庁である大蔵本省及び近畿財務局に対し,平成元年以降,大和都市管財に関する最新の情報をおおむね1年に1回程度情報提供し,面談し,あるいは行政指導を促す等していた。とりわけ,同機構は,平成8年の時点で,抵当証券業協会とともに,大和都市管財に 対し「非常に問題のある会社」との認識を持つに至ったが,平成7年8月21日以降,Y17課長が逃げ腰でやる気のない対応をしていたため,大蔵本省に対して積極的に情報提供をするようになった 管財に 対し「非常に問題のある会社」との認識を持つに至ったが,平成7年8月21日以降,Y17課長が逃げ腰でやる気のない対応をしていたため,大蔵本省に対して積極的に情報提供をするようになった。 すなわち,平成5年のうちに,抵当証券保管機構は大和都市管財の特約付き融資の相手方がそのグループ会社であることを把握し,バブル崩壊後,同業他社が事業を縮小・撤退している状況の中で大和都市管財が高金利で顧客を勧誘し積極的な抵当証券販売を行っており,平成元年から倍々ゲームで販売残高を急増させてきた経緯を注視し,平成6年2月,函館ゴルフ場について再鑑定評価書が提出されたことで10億円の抵当証券が追加発行されたことについては「常識的に考えてもおかしい。」と特記し,こうした情報を近畿財務局に報告した。殊に,平成6年8月26日には,不自然な中途解約の申出に敏感に反応し,その後,抵当証券業協会からの情報で手形商品(甲12の1によれば,大和都市管財はこれを元本保証商品として販売していたものであることが明らかである。)が原因であることを把握して,大和都市管財が出資法違反の資金集めを行っている旨近畿財務局に報告し,これが平成6年検査の端緒となった。 近畿財務局は,平成7年8月に平成7年業務改善命令を撤回してからは大和都市管財に対して完全に腰砕けになったが,抵当証券保管機構にとっては,何故近畿財務局が大和都市管財に対する監督権限行使を後退させるのか理解できず,平成8年5月1日に本省金融会社室にY4補佐が着任した後,同補佐に同月31日現在の業者状況表を交付した上,同補佐から大和都市管財の担保不動産の簡易鑑定を依頼され,争点2(3)ウで主張したとおり,合計9口の担保不動産に対する特約付き融資の合計額が63億9200万円であるのに対し,簡易鑑定評価額合計が39億 佐から大和都市管財の担保不動産の簡易鑑定を依頼され,争点2(3)ウで主張したとおり,合計9口の担保不動産に対する特約付き融資の合計額が63億9200万円であるのに対し,簡易鑑定評価額合計が39億8000万円しかないとの結果をY4補佐に交付した。同補佐は,この 結果を近畿財務局に伝え,Y17課長に対し,抵当証券保管機構が簡易鑑定で協力すると言っているので,大和都市管財の財務状況を把握するに当たって是非担保の状況も調べるように指示したが,Y17課長が抵当証券保管機構に対して他の物件の簡易鑑定を依頼することはなかった。 さらに,抵当証券保管機構は,平成8年7月に大和都市管財から本件貸付金に係る抵当証券の保管依頼があった際にも,評価額に疑問があるとして大蔵本省と協議の上で主体的に保管依頼を取り下げさせており,大和都市管財の抵当証券販売が資金集め目的であって購入者を害するとの危機感を持つに至ったこと,及び近畿財務局が頼りにならなくなったことを示している。 また,抵当証券保管機構は,平成9年11月に大和都市管財の抵当証券20億円の原券弁済期が,翌年2月には10億円の原券弁済期が到来することなどから,①弁済期に抵当証券原券を返還するよう念のため近畿財務局から大和都市管財に指導してもらうとともに,②墓地予定地のまま放置され何ら収益を生んでいないa町土地については,一部産業廃棄物処理場との疑念もあるので現況を調査した上,再鑑定が必要となる場合には現行の21億円の評価額を前提とした16.8億円の販売枠管理を修正する必要性について,平成9年8月に近畿財務局と協議する予定であったものの,Y17課長は,①につき,平成8年経営健全化計画で,貸付元本の返済期日が来たものは貸付金の回収を図り,新たな抵当証券発行は行わない旨大和都市管財に約束させていたに 務局と協議する予定であったものの,Y17課長は,①につき,平成8年経営健全化計画で,貸付元本の返済期日が来たものは貸付金の回収を図り,新たな抵当証券発行は行わない旨大和都市管財に約束させていたにもかかわらず,それすら指導できないという腰砕けの対応であり,②についても,個別の業者の販売枠についてまで近畿財務局が立ち入る立場ではないが,抵当証券保管機構が言うように過去に販売枠について指導したというのであれば,現状は16.8億円の販売枠管理で良いのではないか,と前例すら無視して完全に後退した内容しか述べなかった。このため,梯子 を外されかねないという危機感と怒りとを覚えた抵当証券保管機構は,当日の近畿財務局の対応をそのまま書面化して,販売枠管理の言質を取った覚書(甲92の6の2)を作成し,平成9年9月30日,大蔵本省に直接送りつけたのである。この一連の経緯には,大和都市管財に係る問題を隠ぺいすることに汲々とするだけの近畿財務局と,同社による購入者被害の発生による抵当証券業界の信用失墜を慮る抵当証券保管機構との姿勢の違いが鮮明に現れている。 (オ)内部告発等の存在平成9年秋,「近畿財務局の反社会的行為と罪について」と題する本件告発文書(甲14)が大蔵本省に送付された。その内容は,大和都市管財が新たにチケット制会員権という金融商品を販売しているという内容もさることながら,大和都市管財の一社員として,社員しか知り得ないような生々しい内情を暴露しつつ,以下のとおり,監督官庁である近畿財務局が見て見ぬふりをしていることに対する失望感に満ちたショッキングな内容が含まれていた。すなわち,「・・・期待していたのが財務局の処罰ですが,改善計画も受け取ったそうです。金融に詳しい知人からは『12月20日に登録の更新があるから,あれだけ問題になった ッキングな内容が含まれていた。すなわち,「・・・期待していたのが財務局の処罰ですが,改善計画も受け取ったそうです。金融に詳しい知人からは『12月20日に登録の更新があるから,あれだけ問題になったら更新されないやろ。そうすれば,自主廃業かな。社長もぱくられるやろ。』と言っていましたので,それに少し期待していたのですが,まだ財務局は何も言ってこないようなので,このままいくような気がします。 社長が弁護士に電話していたのや,財務局に電話をしているのを聞くと,改善計画のポイントは『ゴルフ会員権をどんどん売って経営を立て直す』ということです。つまり,あくどいことをやると宣言しているのです。それでも財務局が何も処罰をしないのはどうしてでしょうか。見て見ぬふりをしているのでしょうか。山一証券問題でも大蔵の責任が問われていますが,これはもっとひどいように思えます。マスコミや大蔵省 の人たちの力で近財をしっかりと指導していただけないでしょうか。」というものであり,大和都市管財の社員の目からみても同社とその監督官庁である近畿財務局が共犯関係にあると思えるまでに近畿財務局が何もしないことで被害が拡大しているのである。 また,平成6年当時から,近畿財務局には大和都市管財の販売する手形商品等について購入者から同社が解約に応じない等の苦情相談が寄せられており,当然,近畿財務局もそのような相談があることを認識していたはずである。 ク平成9年における不動産抵当證券に対する立入検査の結果及びその後の対応との異同不動産抵当證券は,大和都市管財と並んで大蔵省銀行局幹部への報告事項となっており(大蔵本省では当時前者がF社,後者がD社と暗号で呼ばれ,報告事項であることは近畿財務局も認識していた。),ソーケン開発(代表者の妻が経営していた。)に融資をして抵当証券を への報告事項となっており(大蔵本省では当時前者がF社,後者がD社と暗号で呼ばれ,報告事項であることは近畿財務局も認識していた。),ソーケン開発(代表者の妻が経営していた。)に融資をして抵当証券を発行している独立系の抵当証券業者であって,財務状況が悪化していたため,平成7年には関東財務局が業務改善命令を発出していた。もっとも,担保割れの貸付金があるという点では両社とも共通していたが,不動産抵当證券における抵当証券の発行規模は数十億円であり,購入者も大和都市管財より少ない上,関東財務局の調査によってその財務状況はよく把握されていた。また,不動産抵当證券は,抵当証券以外の金融商品は販売していなかった。 大蔵本省は,登録が取り消された後に悪質な業者が財産隠しをするおそれがあるので,商法の会社整理の規定を行使することができないか検討するため,平成8年末ころ,Y4補佐や関東財務局の担当官らを東京地方裁判所民事第8部に相談に行かせていた。同部は,こうした条項は適用したことがないので少し勉強させてくれという対応であり,Y4補佐らは,関東財務局で調べ直した不動産抵当證券の融資先である関係会社全体の財務 状況の資料を持参するなどした。 平成9年10月31日付けの関東財務局の不動産抵当證券に対する検査結果通知(甲207)の「1財務内容について」の項には,「大口融資先であるソーケン開発㈱が債務超過となっていること及び同社の事業が不振であることから貸付金の利払いが実質的に延滞となっており,さらに,多額の担保不足が認められるため,同社への貸付金及び仮払金等の債権回収には重大な懸念が生じている。このため,回収不能見込額を考慮した貴社の財務内容は,実質的に債務超過となっているものと認められ,規制法に定められる財産的基礎を欠いている状態にある。」「貸出先ソ 権回収には重大な懸念が生じている。このため,回収不能見込額を考慮した貴社の財務内容は,実質的に債務超過となっているものと認められ,規制法に定められる財産的基礎を欠いている状態にある。」「貸出先ソーケン開発㈱の経営不振から,・・・2回に渡りソーケン開発㈱への支払い利息の資金として仮払金処理し,表面的な延滞回避と認められ,実質的な延滞貸付金となっている。」「直前決算(9年9月期)における純資産額(資産計-負債計)は516,098千円,純資産比率103.2パーセントと法第6条第1項第7号に定める財産的基礎を表面上は満たしているが,次のとおり回収に懸念のある資産が認められるため,実質的には財産的基礎を欠いている。・・・8年9月30日現在におけるソーケン開発㈱への貸付金4853百万円について担保不足が約14億円認められる。」などと記載されていた。すなわち,抵当証券は,抵当権付き債権の売買を仲介するのではなく,抵当証券会社がこれを保証すること,すなわち,抵当証券会社の信用を前提に,これを店頭に備え付けの財務諸表を購入者にみてもらって買うものであるという建前で抵当証券業規制法は作られており,抵当証券会社を監督する側は,購入者保護の観点から,業者から提出される決算書を鵜呑みにするのではなく,実質的にチェックしなければならないものであるところ,現にそうした観点で関東財務局は不動産抵当證券の監督を行い,同社グループ全体の財務内容に関して貸倒引当金(回収不能見込額)を認定し,同社が実質的に債務超過となっているから,抵当証券業 規制法に定める財産的基礎を欠いていると判断したものである。 しかも,不動産抵当證券の貸付金残高が約50億円であったのに対して,大和都市管財はその10倍の約563億円であったこと,不動産抵当證券と異なり,大和都市管財は手形商 欠いていると判断したものである。 しかも,不動産抵当證券の貸付金残高が約50億円であったのに対して,大和都市管財はその10倍の約563億円であったこと,不動産抵当證券と異なり,大和都市管財は手形商品など出資法違反の商品を扱っていたことなどに照らすと,不動産抵当證券以上に大和都市管財の財務状況は悪化しており,その購入者保護には重大な懸念が生じていたのである。 (5)回避可能性抵当証券業規制法によれば,財務局長等による(更新)登録拒否によって,当該抵当証券業者は抵当証券業を営むことができなくなり,それ以降の抵当証券販売及びこれによる被害は適切かつ容易に封じられるし,(更新)登録拒否は拒否事由があるか否かについての認定・判断だけの問題であって,その行使にはさしたる障碍もない(回避可能性)。この理は,大和都市管財においても異なるところはなかった。 (6)補充性抵当証券の商品構造上,抵当証券購入者は,当該抵当証券が表章する抵当権付き債権の資産価値又は安全性や,支払を保証する抵当証券業者の信用性についての情報を把握することができないか又は著しく困難である一方,このような情報が集中し,監督規制権限を有しているのは財務局長等を措いて他にはないこと(補充性)が明らかである。 すなわち,①抵当証券業規制法が抵当証券購入者保護をその目的として掲げていること,②現実の抵当証券取引が,抵当証券法の予定する取引態様とは異なり,実質的には預かり証にすぎないモーゲージ証書による販売という形式で行われ,顧客も抵当証券が表章する抵当権付き債権ではなく抵当証券業者による償還を当てにしており,抵当証券業規制法や標準的販売約款もこのような実態を前提としているため,抵当証券購入者が抵当証券原券の記載内容を事前に閲覧する動機付けに乏しいこと,③このような実態から, 償還を当てにしており,抵当証券業規制法や標準的販売約款もこのような実態を前提としているため,抵当証券購入者が抵当証券原券の記載内容を事前に閲覧する動機付けに乏しいこと,③このような実態から, 抵当証券業自体が,抵当証券業者が不特定多数の一般国民から返還約束の上で抵当証券購入代金名下で金を預かり,これを企業等に貸し出すという金融仲介機能を営む間接金融に近い存在となっていることに照らすと,抵当証券業規制法による監督官庁の監督権限の範囲と程度は,銀行に対するそれに準じるものと解すべきであり,現に,抵当証券業者の監督部署も,旧大蔵省証券局ではなく銀行局(本省金融会社室)内に置かれていた。 また,モーゲージ証書形式による抵当証券業者の業務及び財産の状況は一般の顧客に対する情報開示が不十分であり(モーゲージ証書(抵当証券取引証)には抵当権設定物件の表示はない。),商品の安全性(債務者・担保の内容・抵当証券会社と債務者との関係等)について調べる方法は事実上なかった上,特に大和都市管財については,そのグループ全体の財務状況を把握することができたのは近畿財務局を措いて他にはなかった。 その上,登記官には抵当証券発行に際して債権の健全性や担保の充分性を審査する権限はなく(抵当証券法5ないし11条),抵当証券保管機構や法務局が過剰発行部分や価格下落部分について補償などをすることもないから,抵当証券の分別保管を徹底したとしてもそれだけでは顧客保護は図り得ないにもかかわらず,抵当証券業者が破綻した場合にもその顧客には保険制度・保護基金等のセーフティネットは何ら用意されておらず,顧客が保有する抵当証券が偶々表章していた担保物件の価値によってその損失幅が大きく左右されるなどの危険性があったから,大和都市管財に対する登録,監督行政を通じて財務局長等が果たす 用意されておらず,顧客が保有する抵当証券が偶々表章していた担保物件の価値によってその損失幅が大きく左右されるなどの危険性があったから,大和都市管財に対する登録,監督行政を通じて財務局長等が果たすべき役割には大なるものがあった。 ところで,消費者行政の場面では,行政の補充性(悪質業者に対しては,まず第一に取引相手が十分に注意して対処すべきであり,その不十分な点を行政が補充すれば足りるという原則)は基本的に否定されるべきであるが,仮に行政の補充性が妥当するとしても,原告らの被った被害に関して規制権限を行使し得るのが被告以外になかった以上は,権限行使の果断性が一層強 く要請されるべきである。 すなわち,各種の消費者保護規定が,消費者が十分に注意して取引を行うことができないことを前提としていることからも明らかなとおり,行政の補充性は消費者問題では意味がない(抵当証券業規制法1条の目的規定も,国及び地方公共団体に対して消費者保護のための施策を行うべき義務を明定している消費者保護基本法(昭和43年法律第78号,ただし,平成16年法律第70号による改正前のもの。)2条,3条との関連の下に解釈されるべきことはいうまでもない。)。しかも,本件においては,原告らの大半が,国・財務局・法務局の監督等が厳格かつ適切にされていることを信頼し,したがって近畿財務局登録業者の商品であるDTK抵当証券が安全確実な元金保証商品であると捉えつつ,老後の生活資金等の安全な運用を志向して被害を被ったのであり,原告らは正に行政の監督・規制権限が適切に行使されているものと信頼して行動していたのであるから,行政の補充性を根拠として被告が責任を免れようとすることは,明らかな矛盾挙動であり許されない。 仮に補充性をいうとしても,悪質業者により違法な営業状態が継続している場合に て行動していたのであるから,行政の補充性を根拠として被告が責任を免れようとすることは,明らかな矛盾挙動であり許されない。 仮に補充性をいうとしても,悪質業者により違法な営業状態が継続している場合には,既発生の被害者に対する弁済が専ら新規被害者の獲得によって行われる蓋然性があることは,消費者問題領域におけるいわば古典的な手口ですらある。また,行政指導によって違反是正が可能で行政目的を達成することができることを理由に規制権限行使の慎重さを過度に強調することは,逆に安易な行政指導でお茶を濁し,実際には被害拡大を促進するにすぎないおそれもあり,端的に果断な規制権限行使が要請されるというべきである。 (7)本件更新登録をせざるを得なかった実質的理由争点8で詳述するとおり,近畿財務局長は,平成7年8月21日,大和都市管財に対して業務改善命令を発出したが,その命令交付の場でY1が断固とした受取拒否の姿勢を示した上,同和団体の背景をちらつかせて恫喝したために,近畿財務局長は当該命令の発出を事実上撤回してしまった(以下 「本件命令撤回事件」という。)。このことは,近畿財務局が大和都市管財に対する規制監督官庁としての責任を放棄し,大和都市管財の抵当証券業規制法違反の事実を自ら黙認したに等しく,前代未聞ともいうべき著しい不正事件である。しかも,この不祥事は近畿財務局長の判断で行われたことであるから,近畿財務局,及びこの事実上の撤回を黙認した大蔵本省においては,徹底的に隠ぺいし,もみ消しにしなければならない秘密事となった。しかるところ,仮に,平成9年12月の段階で更新登録を拒否して会社整理通告をするとすれば,当時のY12近畿財務局長(平成6年7月から平成7年6月まで大蔵省銀行局総務課長の任にあり,その当時,大和都市管財については「潰してもいい。」な 段階で更新登録を拒否して会社整理通告をするとすれば,当時のY12近畿財務局長(平成6年7月から平成7年6月まで大蔵省銀行局総務課長の任にあり,その当時,大和都市管財については「潰してもいい。」などと発言していた。)は,行政の汚点である本件命令撤回事件を明らかにせざるを得なくなる。よって,本件更新登録の背景には,大和都市管財の破綻を先送りして,本件命令撤回事件の失態を隠ぺいし,近畿財務局と大蔵省幹部の保身を図らなければならない事情があったのである。 近畿財務局が,本件命令撤回事件以降,大和都市管財に対するそれまでの厳しい監督方針を一変させて,何とかしてその破綻の表面化の先送りを図るようになり,近畿財務局自ら大和都市管財の資金繰り表(乙26。以下「本件資金繰り表」という。)を作成したり,同社が平成8年4月12日に提出した平成8年経営健全化計画(その内容に新味がないことは,平成7年8月15日に同社から提出された平成7年収支計画を被告が書証として提出していないことからも容易に推認することができる。)を,同社から自主的に提出されたものであるなどとして高く評価し,同時に従前の計画の進捗状況については不問に付したこと,平成9年検査実施の直前になって,グループ会社についても調査対象とすべきであるなどと近畿財務局に強く指示していた本省金融会社室のY4補佐を理由も告げずに大和都市管財の担当から外した上,本件訴訟を提起した後に,当時の金融庁金融会社室長が3度もY4補佐の職場を訪れ,大蔵本省に残された本件命令撤回事件の理由と経緯が記録さ れている唯一の公文書である本件内部資料について,個人的な手控えということにしておいてくれと要請していたこと,近畿財務局が平成13年4月16日に大阪地方裁判所に対してした会社整理通告書でも本件命令撤回事件の存在は触れ である本件内部資料について,個人的な手控えということにしておいてくれと要請していたこと,近畿財務局が平成13年4月16日に大阪地方裁判所に対してした会社整理通告書でも本件命令撤回事件の存在は触れておらず,平成14年の国会審議において金融庁が野党国会議員の質問に対し本件命令撤回事件の存在を否認し,徹底的に隠ぺいしようとしていたこと,平成7年業務改善命令発出の大きな理由の一つとされていた手形商品について,平成8年3月期の決算書でその残高が前年度に比べて30億円も増加して154億2300万円となっているにもかかわらず,違法性の指摘や発行をやめさせるための指導を平成7年8月以降は一切行わず,かえって大阪府警からの問い合わせに対して手形商品に関するクレームはない旨虚偽の報告をして捜査を妨害していること,近畿財務局が平成12年検査結果通知では大和都市管財に対して貸倒引当金の問題を指摘しながら,同様の状態であった平成9年にも貸倒引当金を認定することができたはずである旨非難されるのをおそれ,平成13年4月16日付け更新登録拒否事由においては個別引当による貸倒損の計上を見送ったことなども,このような事情をうかがわせるに足りるものである。 さらに,Y1は,平成9年ころ,当時のY22大蔵大臣の紹介で,大蔵省出身,当時当選4回のY23国会議員(以下「Y23議員」という。)の知遇を得ており,Y23議員に対して,近畿財務局の大和都市管財に対する検査について,同局幹部からの情報収集等を依頼していた。Y23議員は,平成9年6月に近畿財務局の大和都市管財に対する立入検査等が始まった直後から,近畿財務局長を始めとする同局幹部に電話で10回近くにわたり接触をしていた。なお,Y23議員は,ヤミ献金を受領しては,献金者のために役所等に国会議員の地位を利用して圧力を掛けるこ 始まった直後から,近畿財務局長を始めとする同局幹部に電話で10回近くにわたり接触をしていた。なお,Y23議員は,ヤミ献金を受領しては,献金者のために役所等に国会議員の地位を利用して圧力を掛けることを常習としていたが,平成12年11月から平成13年3月まで,大和都市管財のグループ会社から同議員に対して合計98万円がヤミ献金されていることが判明している (刑事立件されたが不起訴となり,Y23議員はその後立件された同様のヤミ献金事案である日本マンパワー事件で実刑判決を受けた。)。 近畿財務局が,平成9年10月31日に大和都市管財に対する平成9年業務改善命令が発出されていたにもかかわらず,平成9年経営健全化計画の合理性や実現可能性,これまでの計画が大幅未達であることの原因分析とその克服の方法,具体的な資金繰りの計算等を具体的な資料によって疎明することを求めないまま,平成9年業務改善命令に付された回答期限である11月18日を大幅に経過した12月12日になって最終的に提出された計画について,①チケット制会員権(元本償還義務に加えて高利の利息を支払う約定になっている。)等を販売計画に盛り込んでいる点,②リゾートマンションやコテージを中心としたレジャースポーツ施設を建設するとしている点(既に挫折が明らかとなっていたゴルフ会員権の販売が好調となり,それによって得た資金を充てることが計画の前提となっている。),③北海道泊別観光を売却するとしている点(売却先や担保抹消の方法について何らの記載もない。)及び④ベストライフ通商が高収益物件購入を促進するとしている点(具体的物件名は不明であり,資金繰りも明らかではない。)を,前回までの計画と異なり累積損失の解消を図る姿勢がうかがわれるとして安易に高く評価するなど,近畿財務局の対応が平成12年検査 としている点(具体的物件名は不明であり,資金繰りも明らかではない。)を,前回までの計画と異なり累積損失の解消を図る姿勢がうかがわれるとして安易に高く評価するなど,近畿財務局の対応が平成12年検査における同社の経営健全化計画に対する対応(計画の合理性・実現可能性が具体的な資料によって疎明されていることを要求していた。)やそれ以前の計画に対する対応(平成7年業務改善命令のように,積算方法等の根拠を具体的資料によって示すことを求めていた。)と比較して余りに肯定的なものとなり,たやすく平成9年経営健全化計画を受理し,本件更新登録を行ったことも,上記のような事情によるものである。 これに対し,被告は,平成8年経営健全化計画が大和都市管財から自主的に提出されたことを評価の理由としているが,Y1のそれまでの対応から, 同人が自主的にこのような計画を提出することはあり得ない。むしろ,同年5月2日付けの調書(乙31)にはその内容を当局が指示した旨の記載があり,大和都市管財側が「時間を掛ければ作れるが時間的な余裕がない」と述べていること,同年3月6日付けヒアリングメモ(甲161)において,近畿財務局が大和都市管財に対し,「資金調達と資金運用を具体的に数字にまとめていただき」たいとの依頼をしていることからみて,近畿財務局の指導を受けて作成されたものであることが明らかである。そもそも,平成8年経営健全化計画の内容は,キ(ア)で述べたとおりの非現実的なものであって,本来受理すべきようなものではなかった。それにもかかわらず受理した目的は,再度業務改善命令を発出せよとの大蔵本省からの指示を回避するために,経営健全化計画を提出させたという明確な指導の外形を作出することにあったのである。 また,被告は,平成9年経営健全化計画は前向きな内容となっており,そ 出せよとの大蔵本省からの指示を回避するために,経営健全化計画を提出させたという明確な指導の外形を作出することにあったのである。 また,被告は,平成9年経営健全化計画は前向きな内容となっており,それが実現不可能であるとは断定することができないから受理した旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,合理性と実現可能性について疎明があったと認められない限り,近畿財務局としても計画そのものの受理が不可能であったはずであり,現に平成9年業務改善命令でも不完全ながら資料による裏付けが求められていたにもかかわらず,近畿財務局はこの点を殊更無視して受理しているから,まず結論ありきであったことは明白である。 (被告)(1)概要財務局長等は,(更新)登録申請者が財産的基礎を欠いていることを認識しながら漫然と(更新)登録をしたなどの特段の事情がない限り,その(更新)登録が国賠法上違法との評価を受ける余地はない。そして,仮に,本件更新登録時において大和都市管財に更新登録拒否事由が客観的には存在していたとしても,近畿財務局長にはその実質的な審査権限はなかった上,近畿 財務局長が当時有していた資料から合理的に判断して,大和都市管財に更新登録拒否事由があったことまでは認識することができなかった。また,近畿財務局長は,平成9年当時の会計実務に照らし,貸倒引当金の算出等を明確な基準によって行うこともできなかった。したがって,近畿財務局長は,本件更新登録当時,原告らの主張するような手法で更新登録拒否を行うことは不可能であった(抵当証券業規制法5条1項柱書参照)から,本件において上記のような特段の事情があったとはいえず,本件更新登録には国賠法上の違法はない。また,原告らのいう,とにかく本件更新登録をしなければならなかった実質的理由など存在しない。以下詳述する。 において上記のような特段の事情があったとはいえず,本件更新登録には国賠法上の違法はない。また,原告らのいう,とにかく本件更新登録をしなければならなかった実質的理由など存在しない。以下詳述する。 (2)基本事項通達の合理性ア近畿財務局長に実質的審査権限がないこと抵当証券業規制法6条1項7号にいう「財産的基礎」については,当該事業の内容,取引態様,事業主体の組織構成,資産構成等に踏み込んで,その有無を逐一調査することは要求されていない。すなわち,抵当証券業規制法は,財産的基礎の審査に当たり,貸借対照表が公正な会計慣行にのっとり作成されたものであるか否か,すなわち貸借対照表に係る経理処理の適切性を逐一調査することまでは求めておらず,むしろ,商人の作成する貸借対照表が公正な会計慣行にのっとって作成されるべきことは商法(32条2項等)に規定され,それが同法の罰則(498条1項19号)によって担保されているほか,抵当証券業規制法においても,(更新)登録申請書の添付書類の一つとして同法6条1項各号の(更新)登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面の提出を義務付け(4条2項,8条2項),(更新)登録申請書又はその添付書類に虚偽の記載をして提出した場合につき罰金刑を定め(52条1号,53条),同法により罰金刑に処せられた者及び不正の手段により(更新)登録を受けたことが判明し登録を取り消された者は3年を経過しなければ抵当証券業者の登録が拒否され ること(6条1項4,5号)等の規定によって,(更新)登録申請書及びその添付書類の真実性を担保していることにかんがみると,貸借対照表等それ自体の記載に基づいて,貸借対照表上の計数である資産の合計額から負債の合計額を控除した額と資本の額を比較することにより,資本欠損の有無を判断すれば足りるものと解 ことにかんがみると,貸借対照表等それ自体の記載に基づいて,貸借対照表上の計数である資産の合計額から負債の合計額を控除した額と資本の額を比較することにより,資本欠損の有無を判断すれば足りるものと解される。 この点,原告らは,(更新)登録申請の方法については抵当証券業規制法の明文はないが,条理に基づきこれを実質的審査と解すべきである旨主張する。しかしながら,行政作用に関する法,特に国民の権利を制限したり義務を課する内容のものについては,国民の予測可能性を担保したり,行政権力の発動について国民代表議会で定立された法律の根拠が要求されることなどから,成文法中心主義が採用されており,行政法の規律対象の絶え間ない変遷に伴って法律相互間に矛盾・不統一が生じたような例外的な場合に条理が補足的に用いられているにすぎず,国民の権利や自由に対する法益侵害的な行政権力を成文法に根拠なく安易に発動することは許されないから,原告らの主張は失当である。 もっとも,通常考え難い極めて例外的な事例であろうと思われるが,仮に,貸借対照表等の記載によって貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていることが判明した場合において(例えば,貸倒引当金については,一般的に,提出された貸借対照表等の記載だけでは,公正な会計慣行に反する計上がされているか否かを判断することは極めて困難である。),貸借対照表等の記載により行政当局が公権的に貸借対照表の記載を修正することが可能であるときは,すなわち,客観的かつ明確な根拠をもって置き換えるべき内容を特定することができるのであれば,財産的基礎の有無を逐一調査するまでもなくその有無を判断することができる上,上記商法総則規定ないし抵当証券業規制法の各規定が遵守されていないことが明らかであることから,当該記載を公正な会計慣行に適合す 的基礎の有無を逐一調査するまでもなくその有無を判断することができる上,上記商法総則規定ないし抵当証券業規制法の各規定が遵守されていないことが明らかであることから,当該記載を公正な会計慣行に適合する記 載に修正した上で,資本欠損の有無を判断することが必要かつ合理的である。 また,財務局長等が,立入検査等により別途把握した事実に照らして,貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていることを認識した場合において,当該立入検査等により把握した事実をもって行政当局が公権的に貸借対照表の記載を修正することが可能であるときは,すなわち,客観的かつ明確な根拠をもって置き換えるべき内容を特定することができるのであれば,上記と同様の理由で,当該記載を公正な会計慣行に適合する記載に修正した上で,資本欠損の有無を判断することが必要かつ合理的である。 加えて,仮に立入検査等で把握した事実関係から,(更新)登録拒否事由に該当するか否か真偽不明である場合であっても,抵当証券業規制法5条が「大蔵大臣は,第3条の登録の申請があったときは,次条第1項の規定によりその登録を拒否する場合を除くほか,次に掲げる事項を抵当証券業者登録簿に登録しなければならない」と規定している以上,財務局長等が(更新)登録拒否事由に該当すると認定することができなければ,(更新)登録拒否をすることができないことは法文上からも明らかである(他方,例えば,タクシー業務適正化特別措置法7条1項は,「申請者が次の各号の一に該当していると認められるとき,又は該当していないことが明らかでないときは,その登録を拒否しなければならない。」と規定している。)。 これに対し,原告らは,更新登録申請は現に受けている登録の有効期間満了の日の2月前までに申請しなければならない旨規定されていること( きは,その登録を拒否しなければならない。」と規定している。)。 これに対し,原告らは,更新登録申請は現に受けている登録の有効期間満了の日の2月前までに申請しなければならない旨規定されていること(抵当証券業規制法8条1項,法施行規則6条1項)を根拠に,財務局長等には実質的審査義務がある旨主張する。しかしながら,この規定が定められたのは,①更新登録を受けようとする抵当証券業者が申請書類を提 出する場合において,当該抵当証券業者の主たる営業所等の所在地を管轄する財務事務所等があるときには,当該財務事務所等を経由して提出しなければならないこと(法施行規則25条),②抵当証券業規制法の施行に際して,現に抵当証券業を営んでいる法人は,同法施行後6月間は登録を受けずに引き続き抵当証券業を行うことができるとの経過措置規定が置かれ(附則(昭和62年12月15日法律第114号)2条1項),経過措置期間後も引き続き抵当証券業を行いたい場合はその間に登録を受けなければならないとされたが,相当多数の抵当証券業者が一時期に集中して登録申請をすることが予想され,これらの登録業者の更新登録申請についても一時期に集中することが予想されたことから,行政処理を円滑に実施するため2月前に更新登録の申請をさせる必要があること,などが勘案されたものである。したがって,原告らの主張は単なる憶測にすぎず失当である。 さらに,原告らは,大和都市管財の財務状況を把握するためには,融資先であるグループ会社まで調査対象として,大和都市管財の資産のほとんどを占める特約付き融資の実態を把握する必要がある旨主張する。しかしながら,抵当証券業規制法上,近畿財務局は,抵当証券業者に対して報告徴求権限や検査権限を行使し得るのみであり,債務者や関連会社に対する同様の権限はないから,原告ら 握する必要がある旨主張する。しかしながら,抵当証券業規制法上,近畿財務局は,抵当証券業者に対して報告徴求権限や検査権限を行使し得るのみであり,債務者や関連会社に対する同様の権限はないから,原告らの上記主張は立法論にすぎないというべきである。 本件更新登録に際しては,そもそも,提出された貸借対照表等の表示上,貸借対照表に公正な会計慣行に反することが明らかな記載がされているとは認められず,また,近畿財務局が,立入検査等により,提出された貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていると認めるに足りる事情を別途把握していたということもなかった。そして,本件更新登録が,基本事項通達に照らし,財産的基礎及び人的構成のいずれの要件を も満たしていたことは既に述べたとおりである。 ところで,行政行為に裁量が認められている場合には,当該行政庁が行為に当たり,付与された裁量を逸脱・濫用したと認められる場合にのみ違法と判断されるが(行政事件訴訟法30条参照),行政庁がいわゆる要件裁量を行使するについては,統一的な取扱いの確保と同時に,国民に対する処分の予測可能性を提供するという見地から,上級行政機関において,通達などによってあらかじめ裁量権行使の内部基準を設定することがある(行政手続法5条参照)。この場合,下部行政機関の公務員がこれにのっとって行政行為を行った場合には,当該通達が明白に不合理なものでない限り,当該公務員はこれに従う職務上の義務があるから,当該通達等の基準に適合しているとの判断を職務上の義務に反して漫然と誤った場合でない限り,当該決定が違法となることはないと解すべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第133号平成4年10月29日第一小法廷判決・民集46巻7号1174頁参照)。この場合の裁判所の審査は,まず当該通達等の審査 該決定が違法となることはないと解すべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第133号平成4年10月29日第一小法廷判決・民集46巻7号1174頁参照)。この場合の裁判所の審査は,まず当該通達等の審査基準に明白に不合理な点があるか否かについて,次いで基準適合性の判断に際し漫然と職務上の義務に反した誤りがあるか否かについてされるべきであり,そのいずれもが積極と解されない限り,当該処分は違法にはならない。そこで,以下,基本事項通達の審査基準の合理性について検討する。 イ基本事項通達の合理性・財産的基礎抵当証券業規制法において,(更新)登録拒否事由としての財産的基礎の規定が置かれたのは,抵当証券取引においては,証券会社や割賦販売業者と異なり,ほとんどの業者が元利金の支払保証を行っているほか,1年から5年の期間経過後に買戻しを行う約定の下に抵当証券の販売を行っているという実態にかんがみ,抵当証券業者の販売業務が継続的・安定的に遂行されるべく,抵当証券業者の財務基盤の面から抵当証券業への参入を 規制する必要があると考えられたことによる。基本事項通達は,同法のこのような趣旨を踏まえつつ,営業の自由をできる限り尊重し必要最小限の開業規制とすべく登録制が採用されたこと,業者の純資産比率の観点から規制を設けている他の法令との均衡などを勘案して,原則として純資産比率が100パーセント以上であることを要するという審査基準(基本事項通達第1の(3),イ,(ロ),A)を定めたものである。抵当証券業規制法の法案審議がされた第111回国会参議院大蔵委員会においても,財産的基礎の具体的な審査基準を行政当局が定めることを前提に,抵当証券業者の純資産の観点から審査基準を設けることを検討している旨の答弁がされており,上記Aの基準は,このような国会における論議にも沿 財産的基礎の具体的な審査基準を行政当局が定めることを前提に,抵当証券業者の純資産の観点から審査基準を設けることを検討している旨の答弁がされており,上記Aの基準は,このような国会における論議にも沿うものである。 そして,基本事項通達は,上記基準該当性は(更新)登録申請者単体について審査判断するものとしていた。すなわち,抵当証券業規制法4条2項,8条2項,法施行規則4条1項5号が提出を義務付けているのは(更新)登録申請者の単体の貸借対照表等であるところ,基本事項通達の上記Aの基準は,同号を引用し,(更新)登録申請者単体について,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額以上であるかどうか審査するとしていた。これは,抵当証券業規制法6条1項柱書が,「登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき・・・」とした上,同項7号が「抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎・・・を有しない法人」と定めていることに照らしてもごく自然なことであって,合理性がある。 また,基本事項通達は,上記基準について,資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額以上であるかどうかは,同法4条,法施行規則4条によって提出が義務付けられた(更新)登録申請書及びその添付書類である貸借対照表その他の書類の記載により審査することとしていた。 これは,法施行規則4条1項5号の貸借対照表等に,(更新)登録申請者 の資産の合計額,負債の合計額,資本の額等が表示されることに根拠を有するもので,合理性がある。また,いずれも財産的基礎を実体的に判断するものとされている証券取引法(同法28条1項,31条1号)及び割賦販売法(同法11条,15条1項4号)の各関連規定と比較しても,①抵当証券業規制法は,抵当証券業について,登録制という弱い規制をするにとどめている る証券取引法(同法28条1項,31条1号)及び割賦販売法(同法11条,15条1項4号)の各関連規定と比較しても,①抵当証券業規制法は,抵当証券業について,登録制という弱い規制をするにとどめていること(証券取引法は証券業につき免許制,割賦販売法は前払式割賦販売業につき許可制を採用している。),②抵当証券業規制法の制定時の審議において,財産的基礎について実体的に審査することを予定しているなどの議論は一切されていないこと(免許制を導入した証券取引法の昭和40年改正,許可制を導入した割賦販売法の昭和43年改正における国会審議では,政府委員が免許又は許可の要件となる業者の財産的基礎については実体的に審査する旨説明している。),③抵当証券業規制法及び法施行規則は,財産的基礎の審査に用いる貸借対照表の数値の真実性を確認するに足りる資料の提出を何ら要求していないこと(証券取引法においては「証券業の免許に当り検討する事項について」(昭和42年3月23日付け蔵証第685号大蔵省証券局長通達)及び予備審査制度について定める証券会社に関する省令1条の2第2項で,割賦販売法においては同法施行規則で,いずれも申請に当たり実体審査に必要な説明資料を提出すべきことが定められている。),④著作権等管理事業法施行規則5条2号は,著作権等管理事業を行う法人の財産的基礎に関する基準の1つとして「支払不能に陥っていないこと」という実体的審査になじむ文言を用いているが,実務上はなお登録申請書に添付された貸借対照表や誓約書等に対する形式的審査で足りるとされていることからしても,抵当証券業規制法は,当該事業の内容,取引態様,事業主体の組織構成,資産構成等に踏み込んで財産的基礎の有無を実体的に審査することを予定していないと解すべきである。ただし,極めて例外的に,貸借対照表 抵当証券業規制法は,当該事業の内容,取引態様,事業主体の組織構成,資産構成等に踏み込んで財産的基礎の有無を実体的に審査することを予定していないと解すべきである。ただし,極めて例外的に,貸借対照表等の記載又は 財務局長等が実施した立入検査等により別途把握した事実をもって,貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていることが判明した場合において,財務局長等が客観的かつ明確な根拠をもって貸借対照表の記載を修正することが可能であるときは,当該記載を公正な会計慣行に適合する記載に修正した上で,資本欠損の有無を判断することが必要かつ合理的である。このような登録審査のあり方こそ,一定の欠格事由に該当する場合を除くほかは登録をしなければならない旨規定する抵当証券業規制法5条1項及び平等な処分を確保するために明確性・客観性を重視して審査基準を設定した基本事項通達の合理的解釈というべきである。 この点,原告らは,(更新)登録申請者のみならず他の法人の財務状況を含めた連結財務諸表等についても審査の対象とすべきである旨主張する。 しかし,前記のとおり,財産的基礎が(更新)登録拒否事由とされたのは,抵当証券業者のほとんどが元利金の支払保証を行っているほか,1年から5年の期間経過後に買戻しを行う約定の下に抵当証券の販売を行っている実態にかんがみ,抵当証券業者の財務基盤の面から抵当証券業への参入を規制する必要があると考えられたことによるが,このような保証債務を履行して買戻しを行うのは抵当証券業者自体であるし,抵当証券業規制法6条1項等の規定の文理や同法制定時の国会における審議に照らしても,原告らの主張には根拠がない。 また,原告らは,財務局長等は,預金や保険と比べて契約者保護制度の設けられていない抵当証券購入者の保護を図る見地から,財産的基礎の 制定時の国会における審議に照らしても,原告らの主張には根拠がない。 また,原告らは,財務局長等は,預金や保険と比べて契約者保護制度の設けられていない抵当証券購入者の保護を図る見地から,財産的基礎の審査について,(更新)登録申請書の添付書類として提出された貸借対照表等だけでなく,当該貸借対照表等の経理処理の適切性等までを逐一調査すべき法的義務を負うかのように主張している。しかし,預金・保険と抵当証券とは商品の特性及び経済的機能等が異なっていること,抵当証券は販売済みのものについては自社保管が禁止される(抵当証券業規制法18条 1項)など,抵当証券業者が破綻した場合にも購入者資産が毀損されない制度となっていること,前記のように,同法が定める更新登録制度は,個々の購入者の保護を直接の目的とするものではなく,抵当証券業者の営業の自由をできるだけ尊重する趣旨から設けられたことに照らすと,抵当証券購入者の利益保護のみを強調する原告らの主張は一面的である。また,同法は,財産的基礎の審査に当たり,貸借対照表が公正な会計慣行にのっとり作成されたものであるか否かを逐一調査することまでは求めておらず(前記のように,同法4条2項,8条2項,法施行規則4条1項も,貸借対照表等の経理処理や担保不動産時価の適切性を裏付ける資料の提出は要求していない。),むしろ,商人の作成する貸借対照表が公正な会計慣行にのっとって作成されるべきことは商法(32条2項等)に規定され,それが同法の罰則(498条1項19号)によって担保されているほか,抵当証券業規制法も,(更新)登録申請書の添付書類の一つとして同法6条1項各号の(更新)登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面の提出を義務付けた上(4条2項,8条2項),(更新)登録申請書又はその添付書類のうち重要な事項につい 請書の添付書類の一つとして同法6条1項各号の(更新)登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面の提出を義務付けた上(4条2項,8条2項),(更新)登録申請書又はその添付書類のうち重要な事項についての虚偽の記載がある場合に(更新)登録拒否事由に該当するものとし(6条1項柱書,8条2項),(更新)登録申請書又はその添付書類に虚偽の記載をして提出した場合につき罰金刑を定める(52条1号,53条)こと等によって提出書類の記載の真実性を担保しようとしているのである。よって,財務局長等は,立入検査等により,別途,提出された貸借対照表等の表示が事実と異なると認めるに足りる事情を把握しているなどの場合は格別,基本的には,当該貸借対照表等を資料として,その記載に基づいて審査を行い,財産的基礎の有無を判断すれば,職務上要求される注意義務は尽くしたものというべきである。なお,同法22条は立入検査等の権限を定めているが,同条の規定が同法の登録の章(第2章)ではなく監督の章(第4章)に置かれていることから も明らかなように,立入検査等の権限は,(更新)登録に関する審査権限とは別個の権限であり,いかなる場合にいかなる事項について立入検査権限を行使するかなどについては,財務局長等の専門的な裁量にゆだねられている。また,新規に抵当証券業の登録を受けようとする者は,いまだ抵当証券業者ではないから,「抵当証券業者に対し」て認められた立入検査等の権限の対象外とされている(同法2条2項,22条)。以上にかんがみれば,財務局長等は,立入検査等によって把握した事実を更新登録拒否事由の審査に活用することはできるが,更新登録拒否事由の審査に当たり,必ず立入検査等の権限を行使し,更新登録申請者が作成した貸借対照表等につき,その経理処理の適切性等を逐一調査すべき法的義務はな 否事由の審査に活用することはできるが,更新登録拒否事由の審査に当たり,必ず立入検査等の権限を行使し,更新登録申請者が作成した貸借対照表等につき,その経理処理の適切性等を逐一調査すべき法的義務はないことが明らかである。このように,財務局長等に立入検査や報告徴求命令等の権限が定められていることは,実質的審査義務の根拠となり得ないものというべきである。また,抵当証券業規制法6条1項は,虚偽記載等に対する制裁を定めることによって,登録申請書又はその添付書類のすべての記載事項について真実性を担保した上で,同項各号に掲記された事由の有無を審査することとしているのであり,法施行規則4条1項5号は,(更新)登録申請書の添付書類として提出された貸借対照表等における経理処理の適切性等を裏付ける資料の提出までは何ら要求していないから,法令自体,当該貸借対照表等の経理処理の適正性等までを逐一調査することは予定していないことが明らかである。 さらに,原告らは,抵当証券購入者の保護を損なうおそれのある経営状況を認識し,又は認識し得べき特段の事情があった場合(業務改善命令とほぼ同様の要件である。)には実質的審査義務が発生するとも主張するが,このような解釈には法文上の根拠を欠き,いかなる場合に行政当局に実質的審査義務が発生するのか不明確である上,抵当証券購入者の保護を損なうおそれがある抵当証券業者に対しては本来業務改善命令を発出すべきも のであるから,原告らの主張は参入規制と監督・検査とを混同するものであって採り得ない。 なお,近畿財務局は,平成12年検査において,「金融商品に係る会計基準」,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」の適用開始前ではあったが,既に銀行等の金融機関について引当の適切性を検証する運用が開始されており,「金融商品に係る会計基 ,「金融商品に係る会計基準」,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」の適用開始前ではあったが,既に銀行等の金融機関について引当の適切性を検証する運用が開始されており,「金融商品に係る会計基準」,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」が公表済みであったなど引当の適切性についての認識の高まりを背景に,大和都市管財の特約付き融資先の経営が平成9年当時にも増して一層悪化していたこと等も踏まえ,大和都市管財の平成12年3月期の財務状況につき,貸倒引当金の追加計上額を試算し,その適切性を検証することを試みた。しかしながら,同社の特約付き融資の額は,いずれも抵当証券の交付を受ける際に徴された担保物件の鑑定評価額の範囲内であり(抵当証券法施行細則21条の2参照),担保物件の評価の見直しを求めたものの大和都市管財及びグループ会社の協力が得られず,担保物件の時価を合理的に見積ることができなかったこと,「金融商品に係る会計基準」等の強制適用が開始される前であり,仮に担保物件の評価の見直しをし得たとしても,債権額のうち担保物件の評価額を超過する部分についていくらを引き当てるかの明確な算定基準がなかったことなどから,結局,同検査においても,貸倒引当金の追加計上を認定することはできなかった(他方,大和都市管財が保証人となっていた北海道泊別観光については,平成5年にナイスミドルが買収して以降,いずれの期も売上げが皆無であった上,大和都市管財が提出していた累次の経営健全化計画においても,ゴルフ場の開発に着手すらしないまま売却する予定であるとされ,事業計画自体策定されておらず,大和都市管財においても事業を休止していることを認めていたことから,実質的に破綻している状態にあると認められ,事業の継続を前提とした返済可能額を考慮するまでもなく抵当 権 体策定されておらず,大和都市管財においても事業を休止していることを認めていたことから,実質的に破綻している状態にあると認められ,事業の継続を前提とした返済可能額を考慮するまでもなく抵当 権付き債権の担保物件の処分見込額を超える部分について支払可能性がなかった。そのため,抵当権付き債権一部譲渡として販売した債権額のうち担保物件の鑑定評価額を超過する金額すべてについて,保証人である大和都市管財が保証債務を履行しなければならなくなり,その履行に伴う北海道泊別観光に対する求償権も回収不能になることが明らかであるとして,その超過額(抵当権付債権額10億円から,抵当権の設定された不動産鑑定士による鑑定評価額4億8000万円を控除した5億2000万円)を債務保証損失引当金として計上する必要がある旨認定することができたのである。)。このように,平成12年当時でさえ,近畿財務局において貸倒引当金を算定し得なかったことにかんがみれば,仮に,平成9年当時,近畿財務局が本件更新登録時において大和都市管財の財産的基礎について実質的審査を行い,かつ,同社の抵当証券発行特約付き債権について貸倒引当金を算定しようとしたとしても,これが困難であったことは明らかである。 ウ基本事項通達の合理性・人的構成抵当証券業規制法において,(更新)登録拒否事由として抵当証券業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない法人が規定されたのは,抵当証券購入者の権利の内容は,最終的には抵当証券上の債権や抵当権の内容にかかっており,これは,結局は,抵当証券業者の行う貸付けに関する審査能力や抵当証券の対象となる物件の価値を判断する能力等に依存していることにかんがみ,抵当証券業者の人的構成の面から抵当証券業への参入を規制する必要があると考えられたことによるものである。 基本事項通達 力や抵当証券の対象となる物件の価値を判断する能力等に依存していることにかんがみ,抵当証券業者の人的構成の面から抵当証券業への参入を規制する必要があると考えられたことによるものである。 基本事項通達は,上記のような抵当証券業規制法の趣旨を踏まえつつ,他方で,営業の自由をできるだけ尊重しながら必要最小限の開業規制を設ける趣旨で登録制が採用された経緯や,同法が(更新)登録申請書の添付書類として担当者が具体的にどの程度の知識等を有しているのかを裏付け る資料の提出を義務付けていないことも勘案して,A.役員又は重要な使用人のうちに,抵当証券業に関し相応の知識を有する者がいること,B. 融資業務を担当する組織において融資業務経験者が2名以上在籍していることを求めるという明確かつ客観的な審査基準を設けたものであり,上記Bの基準は,政府委員が,抵当証券業規制法の法案審議がされた第111回国会参議院大蔵委員会において,人的構成の具体的な審査基準を行政当局が定めることを前提に,融資審査業務等を適正に行うに足る人材の在籍の有無,人数の観点から審査基準を設けることを検討している旨答弁していた経緯にも沿うものである。これらにかんがみれば,基本事項通達の審査基準には合理性があるものというべきであり,平成10年6月の基本事項通達廃止以降,法施行規則において,同通達と同様の審査基準が設けられていることからも,そのことが裏付けられる。 そして,大蔵省銀行局は,上記Aの審査に当たっては,「抵当証券業に1年以上適正に従事した者がいること」又は「抵当証券業協会が実施する抵当証券業に関する研修を修了した者がいること」のいずれかに該当する法人は上記Aの基準を満たすものとして取り扱うこととし,役員又は重要な使用人が抵当証券業に関しどの程度の知識を有するかを調査判断しないと 券業に関する研修を修了した者がいること」のいずれかに該当する法人は上記Aの基準を満たすものとして取り扱うこととし,役員又は重要な使用人が抵当証券業に関しどの程度の知識を有するかを調査判断しないという考え方を,上記Bの審査に当たっては,「法人としての融資に係る最終的な意思決定に至る一連の過程の中で融資業務に3年以上従事した者が2名以上在籍する」ことに該当する法人は上記Bの基準を満たすものとして取り扱うこととし,融資業務経験者の融資に関する能力が具体的にどの程度のものかを調査判断しないとの考え方を審査実務を行う各財務局に示し,近畿財務局もこれを審査の内部的な基準としていた。上記の考え方が,上記Aの基準について「抵当証券業に1年程度以上適正に従事した者がいること」と定めているのは,1年程度以上抵当証券業に従事した者であれば,相応の知識を有すると推認されることによるものである。また, 「抵当証券業協会が実施する抵当証券業に関する研修を修了した者がいること」と定めているのは,同協会が,抵当証券業規制法その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導,勧告等を一つの業務としている(同法40条1号)など抵当証券業に関し専門的知識を有していることにかんがみ,同協会が行う研修には十分な効果を期待することができることによるものである。また,同じく上記Bの基準について「融資業務に3年以上従事した者(融資業務経験者)」と定められているのは,公認会計士試験が,2次試験(専門科目)合格後3次試験(財務監査,分析その他の実務試験)を受験するまでの間,最低3年(実務補習1年+実務従事2年)を必要としていることなどの例を参考にしたものである。 この点,原告らは,上記Bの基準に関し,融資審査担当者の能力・資質や融資審査そのものの質などにわたり実質的な審査を (実務補習1年+実務従事2年)を必要としていることなどの例を参考にしたものである。 この点,原告らは,上記Bの基準に関し,融資審査担当者の能力・資質や融資審査そのものの質などにわたり実質的な審査をすべきである旨主張する。しかし,そもそも,融資審査担当者の能力・資質や融資審査そのものの質などを開業の拒否を一義的に決し得るほど明確かつ客観的に評価することは困難であるし,抵当証券業規制法4条2項,8条2項,法施行規則4条1項7号は,抵当証券業者の融資業務経験者の状況を確認するための資料として(更新)登録申請書に組織図,業務経歴書を添付することを義務付けているものの,担当者が具体的にどの程度の知識等を有しているのかを裏付ける資料の提出は義務付けていない。むしろ,抵当証券業規制法は,(更新)登録申請書に,同法6条1項各号の(更新)登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面の添付を義務付ける(同法4条2項,8条2項)とともに,(更新)登録申請書又はその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があるときは(更新)登録拒否事由に該当するとし(同法6条1項柱書,8条2項),(更新)登録申請書又はその添付書類に虚偽の記載をして提出した者に対して刑事罰を科して(同法52条1号,53条),(更新)登録の申請における提出書類の記載の真実性を担 保することとしているのである。さらに,上記のとおり,抵当証券は各種のリスクを本来的に内在させる商品であることや抵当証券業規制法が登録制を採用した趣旨にかんがみれば,立入検査等,抵当証券業規制法で定める権限の範囲内で行い得る行為により,提出書類に記載された内容が事実に反することを認識していたというような特段の事情がない限り,提出書類の記載が真実であることを前提として,当該記載を基礎に,融資業務に従事した経験 行い得る行為により,提出書類に記載された内容が事実に反することを認識していたというような特段の事情がない限り,提出書類の記載が真実であることを前提として,当該記載を基礎に,融資業務に従事した経験を有する人材の在籍の有無,人数という要素に着目し,融資業務を担当する組織に融資業務経験者が全く在籍しなかったり,1名しか在籍しない業者についてのみ参入を排除するような審査基準を設けることにも合理性があるというべきである。 なお,近畿財務局は,平成6年及び平成9年の各検査結果通知において大和都市管財の融資審査体制の不備を指摘したが,近畿財務局は,当該指摘によって融資決定前に行うべき審査や手続等に関するルールを確立し,当該ルールに基づく審査を経て融資決定を行うこと,また,融資審査手続の記録を保存しておくこと等を求めたのであって,同社の融資審査の内容が不適切であるとの趣旨で当該指摘を行ったものでないことはもちろん,同社の融資業務に従事する者の融資業務経験を否定する趣旨で行ったものでないことも明らかである。 (3)大和都市管財が抵当証券購入者を害する危険の予見可能性ア本件の経緯本件更新登録に至る経緯は,別表4(被告の主張)記載のとおりである。 近畿財務局は,平成9年検査の結果,大和都市管財グループ全体の経営状況が極めて厳しいこと(平成8年12月末グループ連結債務超過額105億円,平成8年グループ合計売上高67億円),平成8年経営健全化計画の計画初年度(平成8年度)の実績も大幅未達となっており,将来的に大和都市管財の経営が行き詰まる可能性があること,大和都市管財の特約付 き融資に係る担保不動産についても,一般論として全般的な地価下落傾向の影響や,ゴルフ場や墓地公園予定地等の流動性の乏しい物件が含まれることからして,最終的に換価処分した場合に 市管財の特約付 き融資に係る担保不動産についても,一般論として全般的な地価下落傾向の影響や,ゴルフ場や墓地公園予定地等の流動性の乏しい物件が含まれることからして,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が高いことを把握していたものの,同時に,同グループが約64億円の預金残高を有していた事実も明らかにしており,したがって,大和都市管財について直ちに資金繰りに窮するような状態にあるとは認識していなかった。また,平成9年当時,大和都市管財の決算書類の作成や帳簿処理は顧問を務めるY3会計士の指導下で行われており,近畿財務局に対する説明も同会計士が担当していたところ,本件更新登録時までに,近畿財務局にはY1が同会計士に不正な会計処理を指示しているとの情報はなかった上,同社の会計処理がY1の意のままであるとの認識も,グループ会社が大和都市管財に利払をする可能性がないことの認識もなかった。加えて,近畿財務局は,スポンサーに関するY1の説明に疑問を持って対応していたが,同人個人に対しては検査権限が及ばず,任意にその預金通帳等を確認して裏付けを取ることも,同人の非協力的な対応から極めて困難であった。 こうしたことから,近畿財務局は,本件更新登録当時,大和都市管財が,顧客から新たな資金の受入れが得られなければ直ちに資金繰りができなくなり,破綻を余儀なくされる状況にあるとは予見し得なかった。 イ貸倒引当金設定の必要性の認識が容易ではなかったこと近畿財務局は,平成9年検査において大和都市管財から任意に協力を得てグループ6社関係の資料の入手に努めていたが,抵当証券業規制法において抵当証券業者の融資先には行政当局の検査権限が及ばないという権限の限界や,そもそもこの時点では存在していないなどの理由から,平成9年12月時点に保有していた資 努めていたが,抵当証券業規制法において抵当証券業者の融資先には行政当局の検査権限が及ばないという権限の限界や,そもそもこの時点では存在していないなどの理由から,平成9年12月時点に保有していた資料は別表5に○で記載したものにとどまり,本件基礎資料のうちとりわけ重要な①ナイスミドルの平成9年6月期の 貸借対照表,②保管抵当証券明細表,③抵当権設定に係る担保物件購入価格一覧表,④グループ6社の決算書の勘定科目内訳明細書を保有していなかった。また,原券持込状況一覧表(甲90の4)も入手していなかった。 近畿財務局は,当時手持ちの資料に基づき,本件更新登録の時点において,大和都市管財グループ全体では債務超過額が拡大していたこと,抵当証券の担保物件中に遊休地があること,融資先の経営するゴルフ場の営業損益の状況,那須ゴルフ場の鑑定評価額が担保価値上限を上回る可能性が極めて高いこと等は認識していた。 しかし同時に,平成9年経営健全化計画は累積損失の解消に前向きな計画となっており,これが実行されればグループ会社の収益が改善されることも予想されたため,近畿財務局は,本件更新登録時,大和都市管財の抵当証券について,利息の支払及び買戻しに応じる目処がないとは予見し得なかった。 よって,近畿財務局は,本件更新登録当時において,グループ6社が即時に清算することを仮定して貸倒引当金を算定し,大和都市管財の財産的基礎がないと認定することは到底できなかった。 これに対し,原告らは,本件刑事事件の判決が,大和都市管財の会社整理通告後の犯罪捜査に基づく検察官の立証等によって認定した事実を基に,大和都市管財の抵当証券販売の勧誘実態について主張する。しかし,原告らは,近畿財務局が本件更新登録当時,上記判決が認定した事実を認識し得たとする具体的根拠を何ら明ら 証等によって認定した事実を基に,大和都市管財の抵当証券販売の勧誘実態について主張する。しかし,原告らは,近畿財務局が本件更新登録当時,上記判決が認定した事実を認識し得たとする具体的根拠を何ら明らかにしていないから,原告らの主張は失当である。 また,原告らは,当時,大和都市管財は,抵当証券の元利金を担保すべき不動産も,元利金のごく一部しか賄えない状況にあったとも主張するが,同社の会社整理通告後における担保物件の競売を前提とした鑑定価格をも って,本件更新登録時,近畿財務局が担保の不十分性を認識していたと主張するのであれば,時点及び処分方法の相違を全く無視しており,その前提を欠くというべきである。加えて,近畿財務局は,平成9年当時においては,那須ゴルフ場について,鑑定評価額が担保価値上限を上回る可能性が極めて高いことは連絡を受けていたが,抵当証券保管機構から保管抵当証券明細表等の資料を入手してはいなかった上,そもそも,前述のとおり,財務局長等には,抵当証券業者の更新登録に当たり貸借対照表の前提となる経理処理の適切性を逐一調査すべき法的義務はなく,抵当証券の担保となっている物件の時価評価額についても適正であるかどうかを調査する義務はなく,仮に調査しようとしてもそのために必要なグループ会社からの任意の協力は期待することができなかったのであるから,原告らの上記主張は失当である。 ウ本件貸付金の架空性は容易に認識することができなかったこと以下のとおり,近畿財務局は,大和都市管財側の説明を覆した上,それを理由に不利益処分を課す程度に客観的かつ明確な根拠をもって本件貸付金を仮装であると認定することはできなかった。 本来,抵当証券業規制法22条に基づく検査権限の対象は抵当証券業者に限られる。しかしながら,近畿財務局は,平成8年4月12日に大 確な根拠をもって本件貸付金を仮装であると認定することはできなかった。 本来,抵当証券業規制法22条に基づく検査権限の対象は抵当証券業者に限られる。しかしながら,近畿財務局は,平成8年4月12日に大和都市管財からゴルフ会員権販売を中心とする事業によってグループ会社の累積損失を減少させることを内容とする平成8年経営健全化計画の提出を受け,その後ヒアリング等を通じてその進捗状況を注視していたものの,グループ会社の財務状況が悪化の一途をたどっており,ゴルフ会員権販売計画も初年度から大幅な未達であったことから,業務改善命令を発出することも視野に入れ,大和都市管財グループ全体の財務状況,資金繰りの状況を確認するため,平成9年6月19日から同年9月29日までの間,大和都市管財に対して立入検査を実施した(平成9年検査)。平成9年検査の 初日において,近畿財務局の検査官は,大和都市管財に対し,大和都市管財及び融資先グループ会社の決算書及び総勘定元帳を提出するよう求めたところ,同社総務部長であるY8を通じて,ナイスミドルを含む融資先の決算書及び総勘定元帳の任意提出を受けることができた。そこで,検査官がこれらを検証した結果,本件貸付金は,大和都市管財の仕訳伝票及び平成9年3月期の総勘定元帳には計上されており,同社及びナイスミドルの双方が記名押印した金銭消費貸借契約証書も確認されたが,ナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳にはこれに対応する長期借入金が計上されていないことが判明した。ここにおいて,本件貸付金の実行が疑われる状況となったのである。近畿財務局のY14検査官が同年7月1日か2日ころに大和都市管財及びナイスミドルの経理を担当していたY3会計士にこの点を指摘したところ,同月8日,Y1は,近畿財務局において,本件貸付金は「経理上の計上ミスで のY14検査官が同年7月1日か2日ころに大和都市管財及びナイスミドルの経理を担当していたY3会計士にこの点を指摘したところ,同月8日,Y1は,近畿財務局において,本件貸付金は「経理上の計上ミスである。」などと弁明し,同席したY3会計士も,「大和都市管財がナイスミドルに55億円の小切手を渡していたが,この件に関しては私は知らなかった。」などと発言した。 Y14検査官は,これらの弁明は,本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳に記載されていない理由や55億円の支払方法の説明として不合理なものとはいえなかった上,本件貸付金に係る金銭消費貸借契約書が確認されていたこと等から,本件貸付金が実行されなかったと認めることはできないと判断したのである。 なお,Y14検査官は,公認会計士が55億円の本件貸付金の存在を知らないということがあり得るのか疑問を有していたが,特にこの点を重ねてY3会計士に確認することはしていない。しかしながら,Y14検査官は,ナイスミドルの総勘定元帳を実際に作成していたのはY3会計事務所の女性職員であると認識していたことから,Y3会計士自身が計上漏れについて知らないとしてもそれ以上の疑念を持ち得なかったのであり,その こと自体は何ら不合理とはいえない。また,仮にこの点についてY3会計士を追及したとしても,Y3会計士が,(本件貸付金の存在については知っていたが)ナイスミドルの総勘定元帳に計上されていなかったことを知らなかったとの旨の弁明をされる可能性が高く,そのような弁明がっされれば,これを不合理として虚偽と認定することは困難といわざるを得ない上,そもそも,Y3会計士の認識を追及することで本件貸付金の実行がなかったとの認定につながったともいい難いから,上記の点をY14検査官の職務上の義務違反とすることはできない。 また,ナ ざるを得ない上,そもそも,Y3会計士の認識を追及することで本件貸付金の実行がなかったとの認定につながったともいい難いから,上記の点をY14検査官の職務上の義務違反とすることはできない。 また,ナイスミドルの総勘定元帳については,7月8日,Y1から検証については了解していないなどの抗議があり,近畿財務局は,融資先に対する検査権限がないため,その返還を余儀なくされた。その後,大和都市管財から近畿財務局に対し,改めて,本件貸付金には実体があり,Y3会計事務所の過誤によるナイスミドル側の計上漏れであって,その計上漏れは平成9年検査(同年6月19日着手)に先立つ平成8年9月1日の時点で判明し,ナイスミドルにおいても記帳済みである旨の同会計事務所及びナイスミドル作成の報告書が提出された(ナイスミドルの平成8年6月期における勘定科目内訳明細書では大和都市管財からの長期借入金が約179億円であったのに対し,平成9年6月期における勘定科目内訳明細書では55億円増加して約234億円となっていたが,この間,大和都市管財からナイスミドルに対してはいかなる融資も実行されていない。)。そして,平成9年4月15日に大和都市管財から提出されていた平成8年12月31日現在の連結決算と題する書面にも本件貸付金が計上されていた(上記書面には,ナイスミドルの長期借入金として234億8680円が計上されていたところ,大和都市管財は,平成9年6月10日に提出した近畿財務局の質問に対する回答において,ナイスミドルの支払利息の内訳を説明する中で,上記の長期借入金のうち,大和都市管財からの抵当証券 借入金は234億3400万円であるとしていたが,この金額は,平成8年12月31日現在の同社からナイスミドルに対する本件貸付金を含めた貸付金の合計額と一致する。)。 このように, の抵当証券 借入金は234億3400万円であるとしていたが,この金額は,平成8年12月31日現在の同社からナイスミドルに対する本件貸付金を含めた貸付金の合計額と一致する。)。 このように,本件貸付金は,大和都市管財の決算書類には計上されていた上,その資金の移動方法についても,小切手というあり得る方法であったことに加え,ナイスミドルの総勘定元帳に計上がなかったのは経理上のミスであるとの説明を覆すこともできず,また,このような判断をしたことが不合理であるともいえない。このことは,平成9年検査結果通知(甲13)において,「55億円の融資の実行が疑われる内容となっており」との表現にとどめられていることなどからも明らかである。 これに対し,原告らは,本件貸付金が,ナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳に計上されていないだけでなく,ナイスミドルの同月期決算書の「貸借対照表増減比較」(甲4)の中にも,「那須グリーンコース抵当証券借入金の増加10,000,000千円」(本件貸付金が含まれていない金額)との記載があったのであるから,本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳に計上されていなかった理由は単なる計上漏れとは考えられず,当該融資の架空性は認定することができた旨主張する。しかしながら,貸借対照表は総勘定元帳に基づいて作成されるのであるから,本件貸付金の総勘定元帳への計上漏れがあれば,貸借対照表においても当該融資が計上されないのは会計処理上当然であって,このことは本件貸付金の架空性を認定する根拠とはなり得ない。 また,原告らは,本件貸付金に係る金銭消費貸借契約書(甲51)記載の契約締結日は平成8年3月28日であったが,大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表には当該融資に係る抵当証券貸付金が計上されておらず(乙3の5,6),近畿財務局の検 消費貸借契約書(甲51)記載の契約締結日は平成8年3月28日であったが,大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表には当該融資に係る抵当証券貸付金が計上されておらず(乙3の5,6),近畿財務局の検査官も平成9年検査においてこのことを把握していたから,近畿財務局は本件貸付金の架空性を認識すること ができた旨主張する。この点について,Y14検査官は当時はその矛盾に気付いておらず,大和都市管財に対して説明を求めたこともない。しかしながら,仮に同検査官がこの点を追及していたとしても,本件貸付金が大和都市管財の平成8年3月期の貸借対照表に計上されていないのは,大和都市管財におけるその経理処理が同年4月1日に行われた(乙90,91)からにすぎず,実際に,本件貸借対照表や本件損益計算書には,本件貸付金や,それから発生する受取利息が計上されており(乙3の7),大和都市管財が同年6月18日現在で作成した特約付融資明細表にも当該融資の記載があること(乙75),本件貸付金に係る金銭消費貸借契約書に記載された契約締結日・融資実行日と経理処理との間に認められる4日程度の差異は,経理処理が現実の融資実行日について行われることからみればそれほど不自然ではないこと,に照らすと,いずれも本件貸付金の実在性を否定する根拠としては薄弱というべきである。なお,原告らは,本件貸付金の実行日が平成8年4月1日になったのであれば,金銭消費貸借契約書の差替え,日付記載の変更,借入日から平成8年3月末日までの日割計算による利息支払約定文言の削除等が行われるはずであり,このような変更,訂正を行わないまま本件貸付金を実行するとは信じ難いと主張するが,金銭消費貸借契約書は,融資の金額や利息の約定に関する証拠書面にすぎず,当事者間の合意があり,後に利息の支払金額を巡って紛争が生じ ,訂正を行わないまま本件貸付金を実行するとは信じ難いと主張するが,金銭消費貸借契約書は,融資の金額や利息の約定に関する証拠書面にすぎず,当事者間の合意があり,後に利息の支払金額を巡って紛争が生じる可能性がないのであれば,わずか4日間の差異のために契約書自体を差し替えたり,日付の記載を変更したり,日割計算による利息支払約定文言を削除しないことも十分考えられるから,原告らの上記主張は失当である。 加えて,原告らは,平成8年経営健全化計画中の「抵当証券貸付残高及び支払利息の内訳」表においては本件貸付金が計上されていなかった(乙9)ところ,近畿財務局の検査官は平成9年検査において,本件貸付金が平成8年4月1日付けで計上されているのを確認していたから,近畿財務 局は本件貸付金の架空性を認識することができたはずである旨主張する。 しかしながら,平成8年経営健全化計画は,同年1月1日から平成12年12月31日までの大和都市管財グループの財務状況等の改善を図る計画を示したものであり,大和都市管財によれば,平成8年1月時点での残高をベースにしたものであるから(乙31),本件貸付金の実行日とされる平成8年4月1日以前に作成されたと考えるのが合理的である上,近畿財務局が大和都市管財から平成9年4月15日に提出を受けた「平成8年12月31日時点連結決算」と題する書面(乙39),同じく同年6月10日に提出を受けた個別質問事項に対する回答書(乙84)には,本件貸付金を含むナイスミドルの長期借入金残高約234億円が記載されていた(乙75,82)から,平成8年経営健全化計画中に本件貸付金についての記載がないのは,単にその作成時点において当該融資が計画されていなかったことを示すにすぎないと考えるのが自然であり,やはり本件貸付金の実在性を否定する根拠とはなり得な 化計画中に本件貸付金についての記載がないのは,単にその作成時点において当該融資が計画されていなかったことを示すにすぎないと考えるのが自然であり,やはり本件貸付金の実在性を否定する根拠とはなり得ない。 さらに,原告らは,近畿財務局が,平成12年検査において,ナイスミドル及びベストライフ通商に対する合計51億2500万円(100万円以下切捨て。)の抵当権付き債権(抵当権付債権一部譲渡商品に係る貸付債権)について,貸付けに当たり資金の交付を伴っていないと認定したことを捉えて,平成9年当時,本件貸付金についても,同様に,融資が実行されていないと認定し得たはずである,本件仕訳は不自然なものであって,真に資金移動を伴った貸付けであるかを検証しない限り,資金移動を伴わないものと認定せざるを得ないなどと主張する。 しかし,平成9年3月期においては,大和都市管財は,本件貸付金について,外形上,融資が実行されたことを示す仕訳,すなわち,大和都市管財が,Y1から55億円を借り入れ,これをそのままナイスミドルに貸し付けたことを示す本件仕訳(現金預金勘定を省略したいわゆる中間省略仕 訳であり,大和都市管財がY1から借入れを行ったことを示す長期借入金勘定が使用されていた。)を行っていた(なお,乙90及び乙91の記載を形式的に見ると,大和都市管財がナイスミドルから長期借入金として55億円を借り入れ,これを大和都市管財がナイスミドルに特約付き融資として貸し付けたことになるが,このような取引は不自然である上,大和都市管財の借入先は同社の平成9年3月期の決算書添附の「借入金及び支払利子の内訳書」と題する勘定科目内訳明細書(乙93)に記載されているとおりY1のみであったこと,平成9年6月10日に近畿財務局が大和都市管財から提出を受けた個別質問事項に対する回答書( 入金及び支払利子の内訳書」と題する勘定科目内訳明細書(乙93)に記載されているとおりY1のみであったこと,平成9年6月10日に近畿財務局が大和都市管財から提出を受けた個別質問事項に対する回答書(乙84)にも,大和都市管財の借入金の借入先はY1のみであることが記載されていたことなどから,乙91の摘要欄の「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」の記載は,Y1の誤りであると合理的に推認することが可能であった。)。そして,中間省略仕訳は,資金の移動がないことを意味するものではない上,会計実務上もこうした中間省略仕訳は散見されるのであって,一般的な会計処理と著しくかい離した処理であるということはできない(仮に中間省略仕訳が架空融資を強く疑わせるのであれば,架空融資が露見しないよう,中間省略仕訳を避けるのが合理的であり,Y3会計士がそのような判断をしなかったこと自体,中間省略仕訳から架空融資を認定することができないことを意味している。)。加えて,平成9年検査においては,Y3会計士から同社がナイスミドルに55億円の小切手を交付して貸し付けた旨の現実的な説明があったのみならず,ナイスミドルも融資が実行されている旨自認していたのであり,このような状況下において,これらを否定して融資が実行されていないとまで認定し得るような資料はなかった。 他方,主任検査官をY20検査官とする平成12年検査においては,検査官が大和都市管財本社ビル10階事務室のキャビネット上に,処分されずに放置されていた現金出納帳の一部のコピーを偶然発見し,これをきっ かけに,同社から過去分までさかのぼって現金出納帳の提出を受けることができた(同社はそれまで,現金出納帳は存在しない旨回答していた。)。 そして,同社のY16は,当該現金出納帳が真実の資金移動を記載した帳簿であると説明した上 さかのぼって現金出納帳の提出を受けることができた(同社はそれまで,現金出納帳は存在しない旨回答していた。)。 そして,同社のY16は,当該現金出納帳が真実の資金移動を記載した帳簿であると説明した上,その記載が,小口現金の有高や既に提出を受けていた預金通帳の記載と合致していたことから,当該現金出納帳は,真実の資金移動を記載した帳簿であると認められた。そこで,検査官は,既に提出を受けていた総勘定元帳,預金通帳と上記現金出納帳の記載の突き合わせ作業を開始したところ,大和都市管財が平成9年12月以降,抵当権付き債権一部譲渡という新たな金融商品を販売していたこと,「関係会社」という趣旨不明の勘定で,前期末に残高が全くないにもかかわらず,期首に巨額のマイナス残高が理由不明のまま計上され,期末にはこれがすべて振替処理により理由不明のまま消去されるといった,一般的な会計処理と著しくかい離した処理を行っていたこと,抵当証券受取利息,特約付き融資の一部及び抵当権付き債権の一部について,それぞれ(借方)関係会社/(貸方)抵当証券受取利息(借方)抵当証券貸付金/(貸方)関係会社(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社という仕訳によって経理処理を行っており,いずれも資金の移動を確認することができなかったこと(例えば,資金を現金で交付したのであれば現金勘定を,預貯金口座から出金して交付したのであれば預金勘定を相手勘定として計上されるのが本来である。)が判明した。そこで,検査官は,平成12年10月20日ころから,Y1,Y16らを近畿財務局に呼んでヒアリングを実施し,事実関係や指摘事項についての認識を整理,確認し,その中で,Y1らに対し,関係会社勘定の趣旨を尋ねたり,資金の移動を証明する資料の提出を求めたが,関係会社勘定の趣旨については合理的な説明が得ら し,事実関係や指摘事項についての認識を整理,確認し,その中で,Y1らに対し,関係会社勘定の趣旨を尋ねたり,資金の移動を証明する資料の提出を求めたが,関係会社勘定の趣旨については合理的な説明が得られず,資金の移動を証明する資料の提出も受けることができな かった(なお,大和都市管財を中間省略してY1からグループ会社への融資が行われた旨の説明もなく,他にこれをうかがわせるような事情もなかった。)。そのため,Y20検査官は,同年11月14日,Y1らに対し,Y20要約を手交し,その回答を求めた(甲135の2,乙146)。検査官は,Y20要約の中で,特約付き融資の実行,抵当権付き債権一部譲渡の融資の実行,特約付き融資から発生する受取利息の受領に際し資金の交付が伴っていない疑いを指摘し,大和都市管財に対し回答を求めた。これに対し,大和都市管財は,同月24日,「融資実行は,現金,振込み,手形保証にて行っている。金銭消費貸借契約における金銭の貸付は,手形を含めて行える。」「金銭消費貸借契約に記載されている金銭の貸渡と借受は,現金,小切手,振込,手形で行われる。」などと回答し,手形の交付による融資実行を主張した。大和都市管財からは,これ以上合理的な説明はなく,手形の交付を裏付ける客観的な資料が提出されることもなかったが,手形交付による融資実行はあり得ることであった上,手形の受取人であるグループ会社に対しては調査権限が及ばず,大和都市管財グループの非協力的な検査対応からは,グループ会社の会計帳簿や預貯金口座を任意で調査することも期待することができなかったため,近畿財務局は,手形交付による融資実行との主張を覆して,資金の移動がないことを認定することはできなかった。一方,大和都市管財は,受取利息について,当初利息はすべて受け取っていると回答していた ため,近畿財務局は,手形交付による融資実行との主張を覆して,資金の移動がないことを認定することはできなかった。一方,大和都市管財は,受取利息について,当初利息はすべて受け取っていると回答していたが,検査官から,現金出納帳や預金通帳の記載上資金移動を確認することができないことを追及されると回答を二転三転させ,最終的に,現金,預金,貸付金の相殺によって受領している旨主張し,受取利息の一部及び貸付金の一部について,資金の交付がないことを自認した。しかし,貸付金の貸付債務と受取利息とを相殺したのであれば資金の交付がなかったとしても利息の受領を必ずしも否定することができない上,どの貸付金をどの利息との相殺に供したのか不 明であったことから,Y20検査官は,大和都市管財に対し,利息との相殺に供された貸付金明細の提出を求めた。その結果,大和都市管財は,平成13年3月21日,本件上申書のとおり,平成7年4月以降に入金予定であった利息(総額約153億円)が未収となっており,抵当権付き債権約118億円と未収利息債権とが相殺されている旨主張した。以上のように,平成12年検査においては,現金出納帳の発見があったからこそ,大和都市管財は,現金で利息を受け取ったとの従前の説明を維持することができず,苦し紛れに相殺の弁解を出し,その結果,受取利息及び貸付金の双方について資金の移動がないことを自認することとなったのである。 また,原告らは,当座預金により55億円の払出しがされたか否かをチェックすべきであり,それがない限りは資金移動を伴わないものと認定するほかないし,近畿財務局がそうした調査を行わなかったのは,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしておらず,違法である旨主張する。しかしながら,立入検査においては高度の専門性が要求されるため,調査対象,調査範囲 ,近畿財務局がそうした調査を行わなかったのは,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしておらず,違法である旨主張する。しかしながら,立入検査においては高度の専門性が要求されるため,調査対象,調査範囲,調査方法が広範な裁量にゆだねられており,当座預金口座を調査すべきかどうかも裁量の範囲内であって,当座預金口座を調査すべき法的義務が発生するわけではないから,近畿財務局が大和都市管財に対し,当座預金照合表や預金通帳の提出を求めなかったとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていないとして違法となる余地はない。この点を措くとしても,そもそも本件仕訳に使用されている貸方が借方の抵当証券貸付金につき同社が小切手を振り出したことを示す当座預金勘定ではなく長期借入金勘定であったことやY3会計士の上記説明に照らせば,当該小切手の振出人はY1個人であり,これを借り入れた大和都市管財がそのままナイスミドルに貸し付けたものであって,大和都市管財の当座預金の口座を介してはいないものと推認されるから,たとい同社の預金通帳等を検証したとしても,当該貸付けが資金移動を伴うものか否かを確認するこ とは不可能であった。もとより,抵当証券業規制法に基づく検査権限は,大和都市管財と法人格を異にするY1やナイスミドルに対しては及ばない上,Y1の非協力的な対応に照らすと,同人らの預金通帳等を任意で検証することはいずれにせよ極めて困難であったから,そのような検証をしようとしていないことは何ら問題とはならない。したがって,原告らの上記主張は失当である。 加えて,原告らは,Y1の資金源に関する説明や長期借入金の金利に関する説明には何らの具体性も合理性もないから,これを大和都市管財の資金源と認めることはできない旨の主張もする。この点につき,前記のとおり,本件貸付金の原資は 資金源に関する説明や長期借入金の金利に関する説明には何らの具体性も合理性もないから,これを大和都市管財の資金源と認めることはできない旨の主張もする。この点につき,前記のとおり,本件貸付金の原資はY1からの長期借入金であったが,同人が55億円をどのように調達したかについて同人は明らかにせず,また同人に対しては抵当証券業規制法の調査権限が及ばないことから,近畿財務局にとっても明らかではなかった。しかしながら,このことから長期借入金が存在せず,本件貸付金の実行がなかったと認定することは,客観的かつ明確な根拠のないまま営業の資格そのものを剥奪するという重大な不利益処分を課すことになるのであって,予測可能性・法的安定性を害し,相手方に無用の不利益を及ぼすとともに,取付け騒ぎ等を誘発するなどして抵当証券購入者等の関係者にも不利益を及ぼすおそれがあるから,そのような認定は不可能であった。 さらに,原告らは,関係会社勘定と長期借入金勘定とは同質のものであることを前提に,平成12年検査における指摘は,平成9年検査で判明した,特約付き融資の計上を長期借入金勘定を相手勘定として処理している点にも当てはまるとも主張する。しかし,(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金という仕訳における長期借入金勘定は大和都市管財が借入れを行ったという根拠があって初めて用いることができる勘定であるのに対し, (借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社という仕訳における関係会社勘定は,長期借入金に限らず,広く関係会社に対する債権債務を表す勘定であるから,両者は性格を異にしている。そして,平成9年検査においては,長期借入金がそのまま特約付き融資になっているとの仕訳に関しては,Y3会計士から上記貸付金は大和都市管財からナイスミドルに小切手を交付して貸し付けたものである旨 る。そして,平成9年検査においては,長期借入金がそのまま特約付き融資になっているとの仕訳に関しては,Y3会計士から上記貸付金は大和都市管財からナイスミドルに小切手を交付して貸し付けたものである旨の説明があり,上記小切手の振出人はY1と推認されたのに対し,平成12年検査の場合は,一般的な会計処理と著しくかい離した処理が行われていた上,この仕訳の趣旨につき大和都市管財が合理的な説明をしなかった(相手勘定が関係会社であったため,Y1からの借入による資金交付を主張することが困難であった)という違いがあった。また,平成12年検査で判明した「(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社」との仕訳における抵当権付き債権の債務者(融資先)と「関係会社」とは,総勘定元帳の関係会社勘定と抵当権付債権勘定とを併せ考えると,平成11年4月13日付け抵当権付債権12億円及び同年5月28日付け抵当権付債権20億円の相手科目の欄に「120関係会社1ナイスミドル」と記載されていることに照らし,いずれもナイスミドルを意味するものと認められるから,仮に上記仕訳を本件仕訳と同様に理解すれば,上記仕訳は,ナイスミドル(関係会社)から借り入れた資金をそのままナイスミドル(融資先)に渡したという不合理な取引を意味することになり,このような理解が不当であることは論をまたない(「1ナイスミドル」との部分は内訳を示すもの(内訳小科目)と認められる。)また,原告らは,(借方)関係会社/(貸方)抵当証券受取利息という処理における「関係会社」が利息を収受すべき当該貸付先だとしても,もし大和都市管財が当該貸付先に債務を負っているなら,当該債務を 利息の返済に充てることもできる(代物弁済)から,このような可能性がないということを検証しなければ,「関係会社」の借方計上をもって「未 都市管財が当該貸付先に債務を負っているなら,当該債務を 利息の返済に充てることもできる(代物弁済)から,このような可能性がないということを検証しなければ,「関係会社」の借方計上をもって「未収利息を計上した」と即断することはできない旨主張する。 しかしながら,まず,借方に「関係会社」を,貸方に「抵当券証券受取利息」を計上した会計処理が行われているのであるから,大和都市管財においては,文字どおり「関係会社」に対する未収の受取利息を認識し,これを収益に計上する会計処理を行ったものと判断するのが通常の合理的な見方であって,原告らの主張は根拠のない論難にすぎない。また,本件上申書に記載されているとおり,平成12年検査において,大和都市管財は,抵当権付き債権と同時に発生したグループ会社に資金を交付する債務と未収利息債権との相殺を主張していたが,別表6のとおり,平成10年8月31日以降の大和都市管財の未収利息債権は,ナイスミドルに対して21億4343万9601円美祢カントリークラブに対して13億1999万9999円ナイス函館に対して9億5999万9999円ベストライフ通商に対して8億7249万3069円リステム化学研究所に対して3億8639万9999円北海道泊別観光に対して1139万9999円の合計56億9373万2666円であったのに対し,大和都市管財が関係会社に対して負担していた未払金債務(関係会社勘定の貸方に計上されていた債務)は,別表7のとおりナイスミドルに対して44億円ベストライフ通商に対して10億8000万円の合計54億8000万円であって,美祢カントリークラブ,ナイス函館,リステム化学研究所,北海道泊別観光の4社に対する未収利息債権26億7779万9996円については,相殺すべき債務が存せず,相殺(代物 計54億8000万円であって,美祢カントリークラブ,ナイス函館,リステム化学研究所,北海道泊別観光の4社に対する未収利息債権26億7779万9996円については,相殺すべき債務が存せず,相殺(代物 弁済)は不可能であったし,本件上申書においても,未収利息債権がグループ6社に対するものであったのに対し,関係会社に対する債務は,NMSC(ナイスミドルのことと認められる。)BL(ベストライフ通商のことと認められる。)HTK(北海道泊別観光のことと認められる。)の3社にとどまっており,リステム化学研究所,美祢カントリークラブ,ナイス函館に対する未収利息債権については,相殺すべき債務が存せず,相殺(代物弁済)は不可能であった。このように,大和都市管財側の「相殺」(代物弁済)の主張は,相殺しようとする債権・債務を有する相手方会社が一致しておらず,相殺適状になかった上,そもそも平成8年3月期から平成10年3月期の総勘定元帳において,受取利息は長期借入金勘定の中で処理されており,平成12年3月期の決算書上は消滅していたから,大和都市管財の相殺(代物弁済)の主張は,このような決算書上存在しない受取利息(未収利息)を自働債権とする点でも不合理であった。さらに,抵当権付債権と同時に発生した,グループ会社に資金を交付する債務(関係会社勘定の貸方に計上)は平成9年12月以降のものであるところ,大和都市管財側が主張するように,平成8年3月期や同9年3月期の受取利息(未収利息)を自働債権として相殺するということになると,こうした受取利息(未収利息)を期を越して留保していたことになるが,実際には両期とも決算書上未収利息金は確認することができなかった。このように,大和都市管財の相殺の主張は明らかに不合理であり,到底是認することができるものではなかった。加 留保していたことになるが,実際には両期とも決算書上未収利息金は確認することができなかった。このように,大和都市管財の相殺の主張は明らかに不合理であり,到底是認することができるものではなかった。加えて,大和都市管財は,平成12年検査の開始当初は,利息をすべて収受していたと述べ,相殺の主張をしていなかったものであり,また,どの未収利息債権とどの債務をいつ相殺処理したのかといった具体的な説明も一切なかったことから,近畿財務局は,相殺の主張を否定するに至ったのである。したがって,原告らの上記主張は当た らない。 以上要するに,平成12年検査において近畿財務局は,①大和都市管財の平成12年3月期の総勘定元帳の関係会社勘定の記載,②同社から合理的な説明がなかったこと,から直ちに資金交付を否認したわけではなく,③平成12年検査の初期段階において,大和都市管財の真実の現金出納を記した現金出納簿が発見されたこと,④ナイスミドルに対する平成11年4月13日付け抵当権付き債権12億円及び同年5月28日付け抵当権付き債権20億円の各貸付けについて大和都市管財の預貯金口座や現金出納簿からの出金が認められず,同社も本件上申書において資金の交付がなかったことを自認していたこと,及び⑤平成11年4月1日付けでナイスミドル及びベストライフ通商に対する抵当権付き債権合計20億1890万円(ナイスミドルに対する抵当権付き債権14億円,2億円,10億円及び7億3900万円並びにベストライフ通商に対する抵当権付き債権5億2290万円の合計額から,「会長」と付記されて処理されている1000万円,100万円,3200万円及び18億円を控除した同日現在の残高)が,(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社(未払金の意味)という仕訳により理由不明のまま期初振替されて て処理されている1000万円,100万円,3200万円及び18億円を控除した同日現在の残高)が,(借方)抵当権付債権/(貸方)関係会社(未払金の意味)という仕訳により理由不明のまま期初振替されていたこと,の諸事情に照らし,上記ナイスミドル及びベストライフ通商に対する抵当権付き債権合計51億2520万円(12億円,20億円,20億1890万円の合計額から,平成12年3月31日付けで消去されていた9370万円を控除した残額)について,貸付けに当たり資金の交付を伴っておらず,融資先に対し資金を交付すべき同額の簿外負債があると認定し得たのである(なお,大和都市管財は,契約日以降の随時融資を行っている旨主張していたから,資金の交付を伴っていないとしても諾成的消費貸借が成立する余地があった上,金銭消費貸借契約自体を無効とすれば,既に顧客に販売している抵当権付き債権や,これに附従する抵当権も無効になってしま い,顧客の保護にならないため,金銭消費貸借契約自体を無効であるとまでは認定することができなかった。)。 これに対し,原告らは,平成12年検査においても大和都市管財以外の第三者(具体的にはY1)の資金による貸付けを考慮すれば,融資の架空性を認定することができなかったはずである旨主張する。しかしながら,本件貸付金については,大和都市管財からナイスミドルに小切手を交付して貸付けを行った旨の説明があったこと,大和都市管財が自ら小切手を振り出した場合には長期借入金勘定が用いられることはないのに実際にはこれが使用されていたことから,第三者からの資金貸付けを考慮する必要が出てくるが,平成12年検査においては,大和都市管財を中間省略してY1から関係会社への融資が行われたことを推察させるような事実はなかったから(平成12年3月期の関係会社勘定の記載で を考慮する必要が出てくるが,平成12年検査においては,大和都市管財を中間省略してY1から関係会社への融資が行われたことを推察させるような事実はなかったから(平成12年3月期の関係会社勘定の記載でも,Y1を意味する勘定科目が用いられていたわけではなく,大和都市管財からもその旨の説明はなかった。),そのことを客観的証拠をもって否定する必要性は認められなかった上,他方で上記①ないし⑤の事情があったから,第三者からの資金交付の可能性を考慮するまでもなく資金交付自体がなかったものと認定することができたのであって,原告らの上記主張は失当である。 エ受取利息の計上が容易には否認できなかったこと近畿財務局は,個々の貸付けの原資を特定するには至らなかったものの,以下に詳述するとおり,大和都市管財には抵当証券の販売代金以外にも融資先からの受取利息,Y1からの借入金,顧客に対する商品の販売代金等の形で貸付けの原資はあると認識しており,同社において顧客の抵当証券購入資金がそのまま利息等として顧客に環流しているだけとの認識はなかったし,平成9年当時,大和都市管財の受取利息が仮装であるとも認識していなかった(なお,仮に近畿財務局が,大和都市管財の受取利息に疑義を抱き,同社の預金通帳を検証したとしても,その受取利息の入金等がす べて預貯金口座を通じてされているとの前提がなければ,受取利息が仮装かどうかは直ちには判断することができない。)。 これに対し,原告らは,本件合意書の記載に矛盾があったことをもって利息の仮装性の根拠として主張する。この点につき,近畿財務局は,Y24検査官(以下「Y24検査官」という。)を主任検査官とする平成6年検査において,大和都市管財の平成6年3月期の損益計算書(乙3の4)を調査した結果,同計算書において計上されている抵当証券受 ,Y24検査官(以下「Y24検査官」という。)を主任検査官とする平成6年検査において,大和都市管財の平成6年3月期の損益計算書(乙3の4)を調査した結果,同計算書において計上されている抵当証券受取利息(17億5414万9579円)と抵当証券貸付金の金額及び約定利率から概算した同期に同社が受領すべき利息(約20億円)との間にそごがあったために同社のY8に対して説明を求めたところ,Y8は,融資先のグループ会社との合意により利率を引き下げた旨説明し,その資料として本件合意書を提出したが,うち1通については利率変更の日付が特約付き融資の融資日付よりも前であり,1通については利率変更の日付が融資日付と同一であり,1通については融資日付のわずか4日後であって,本件合意書の日付に疑問が生じたことから,平成7年4月14日,大和都市管財に対してヒアリングを実施し,Y8から,特約付き融資の相手方が弁済困難なために日付を過去にさかのぼって利率を変更した旨の説明を受け,本件合意書のうち1通の利率変更日が契約日よりも前の日付になっていた点についても,後日,大和都市管財から合理的な説明を受けた(Y24検査官はその内容について記憶していないが,近畿財務局が平成9年に作成した同社の特約付き融資明細(乙82)では,日付に矛盾が生じていた同明細No.18の融資については正しい変更日(平成5年10月14日)が記載されていることを確認することができる。)というのが本件合意書に係る検査に関する経緯である。そして,経済取引上一般に,融資先企業の業況,融資先との取引関係,市中金利の変動等の事情に応じて貸付金利を減免するのは珍しいことではなく,むしろグループ会社である融資先の財務状況の改 善に協力していた証左とみることができる上(本件合意書によって貸付利率が当初の半分 変動等の事情に応じて貸付金利を減免するのは珍しいことではなく,むしろグループ会社である融資先の財務状況の改 善に協力していた証左とみることができる上(本件合意書によって貸付利率が当初の半分程度に減免されたとしても,大和都市管財の平成6年3月期決算において当期利益は赤字とはなっていない。),近畿財務局が提出を受けた本件合意書の記載内容を総合すると,大和都市管財は平成6年3月末日の利息の受取りに当たり,毎月末日払いの貸付金については当月初日(平成6年3月1日)付けで,9月末日,3月末日の半期末払いの貸付金については下半期初日(平成5年10月1日)付けで利率を引き下げたものと認められ,Y8の説明とも矛盾しない。また,本件合意書のうち利率変更の日付が特約付き融資の融資日付と同一であるものは,金銭消費貸借契約の融資日付(平成5年12月21日)が下半期の途中であったために利率変更日と融資日付が同一となり,利率変更の日付が融資日付よりも前であるものは,過去にさかのぼって利率変更日を記載するに当たり,当該融資が下半期の途中(平成5年10月14日)で行われたことを看過し,誤って下半期の初日にさかのぼって利率変更日を記載してしまったものと合理的に推測することができる。したがって,本件合意書の記載から直ちに,大和都市管財の損益計算書に現に計上されている抵当証券受取利息が仮装と疑うべきであるとする原告らの主張は,その論理に飛躍がある。 また,原告らは,大和都市管財が特約付き融資の貸付利率を年8ないし12パーセントから年6.5パーセントに引き下げたことをもって,近畿財務局は同社の抵当証券受取利息が架空であると認定すべきであった旨主張する。しかしながら,上記のとおり,一般的に,経済取引上,融資先との取引関係等に照らし,経営判断から貸付金利を減免すること ,近畿財務局は同社の抵当証券受取利息が架空であると認定すべきであった旨主張する。しかしながら,上記のとおり,一般的に,経済取引上,融資先との取引関係等に照らし,経営判断から貸付金利を減免することは珍しいことではない上,貸付利率を変更した特約付き融資は,融資実行日が古いものほど元の貸付利率が高いのであり,バブル期以降の金利下落傾向に合わせて貸付利率を変更することはそれなりの合理的判断であると考えられる。 また,大和都市管財が利ざやを年1パーセント程度に縮小するような貸付 利率の変更を行った点についても,その融資先がグループ会社であることや,大和都市管財が貸付利率の変更を行った平成6年3月期以降も黒字を計上していたことに照らせば,同社が自らの利益を大幅に削って融資先の財務状態の改善に協力したとしても,通常の経営判断を逸脱した常識的に考えられないほどのものであったとまでは認められない。したがって,原告らの主張は失当である。 加えて,原告らは,Y1がわずか2年足らずの間に大和都市管財に貸し付けたという272億8000万円もの長期借入金は出所不明であり認められるものではないから,これを原資とする特約付き融資を,グループ会社の大和都市管財に対する支払利息の原資と考えることはできなかったはずである旨主張する。しかしながら,ウで述べたとおり,大和都市管財がY1から借り入れた長期借入金は,同社の総勘定元帳上(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金と記帳され,本件貸付金を除けば融資先の総勘定元帳においてもこれに対応する記帳を確認することができたこと,本件貸付金に関するY3会計士の説明に照らせば,他の特約付き融資についてもY1が振り出した小切手を融資先に交付しているものと考えられたこと,貸付金が多額であるからといって帳簿の信用性に疑問が生ずる 本件貸付金に関するY3会計士の説明に照らせば,他の特約付き融資についてもY1が振り出した小切手を融資先に交付しているものと考えられたこと,貸付金が多額であるからといって帳簿の信用性に疑問が生ずることにはならない上,272億8000万円という金額は累計であって,一時点の金額としては最大で平成7年2月の145億円であり,本件更新登録直前には47億円まで減少していること,近畿財務局は,資金調達先についてのY1の説明に疑問をもって対応してはいたが,同人個人に対して検査権限が及ばないことなどから,近畿財務局は,大和都市管財がY1から借り入れた長期借入金を架空であるとは認定することができなかったのである。なお,本件貸付金を架空と認定することができなかったことはウで述べたとおりであるが,仮にこれを架空と認定することができたとしても,近畿財務局はナイスミドルの資 金繰りを含めた財務状況のすべてを把握していたものではなく,同社に対しては抵当証券業規制法上の調査権限が及ばなかったから,55億円の資金が欠けることによってどのような影響が出ているのか検証することもできなかったのであって,本件貸付金が架空であるという事実だけから,ナイスミドルから大和都市管財が収受した他の貸付けに対する利息の架空性を認定することも困難であった。 また,原告らは,平成9年検査において判明した抵当証券受取利息の仕訳が不自然であること自体から,受取利息が架空であることを認定することができたはずである旨の主張もする。この点につき,近畿財務局は,大和都市管財の平成7年3月期,平成8年3月期,平成9年3月期の総勘定元帳を検証し,融資先のグループ会社からの抵当証券受取利息が(借方)長期借入金/(貸方)抵当証券受取利息という仕訳によって処理されていることを確認した(甲137,138 月期,平成9年3月期の総勘定元帳を検証し,融資先のグループ会社からの抵当証券受取利息が(借方)長期借入金/(貸方)抵当証券受取利息という仕訳によって処理されていることを確認した(甲137,138,148の8,乙108)。この仕訳は,本来(借方)現金又は預金/(貸方)抵当証券受取利息(借方)長期借入金/(貸方)現金又は預金という2つの仕訳から成り立っているが,借方と貸方の現金勘定又は預金勘定を相殺して,上記のような1つの仕訳にまとめた中間省略仕訳と考えられるのであり,融資先のグループ会社が大和都市管財に抵当証券受取利息を支払うとともに,大和都市管財が当該受取利息を長期借入金の返済に充てたことを意味するところ,大和都市管財の借入先はY1だけであったこと(乙27,28,84,93),抵当証券受取利息は,平成6年8月まで現金勘定を介してY1に対する長期借入金の返済に充てられていたこと(甲137,148の7),中間省略仕訳によって会計処理がされていた本件貸付金に関してY3会計士が小切手による資金交付を主張していたことから,抵当証券受取利息は,現金又は小切手により,Y1に資金交付 され,長期借入金の返済に充てられていたと合理的に推認することができたのである。また,この場合,大和都市管財の当座預金口座には入金がないのであるから,近畿財務局が当該口座を調査しても,抵当証券受取利息の架空性を認定することはできない上,グループ会社やY1個人に対して抵当証券業規制法上の調査権限が及ばないことも既に述べたとおりである。 加えて,グループ会社からの抵当証券受取利息がそのままY1の長期借入金の返済に充てられたとしても,抵当証券業者がその収益の根幹である抵当証券受取利息をどのように使用するかは資金繰りの問題にすぎず,大和都市管財が抵当証券受取利息を 券受取利息がそのままY1の長期借入金の返済に充てられたとしても,抵当証券業者がその収益の根幹である抵当証券受取利息をどのように使用するかは資金繰りの問題にすぎず,大和都市管財が抵当証券受取利息を長期借入金の返済に充てていたとしても不自然ではないし,同社の場合,特約付き融資の原資以外にもY1からの長期借入金が存在し,それらは大和都市管財が抵当証券に係る利息を融資先から収受するまでに抵当証券購入者に対して元利金を支払うためのつなぎ融資と考えられるから,Y1への長期借入金の返済に充てられた抵当証券受取利息は,若干の時間差はあるものの,実質的にみれば抵当証券購入者に対する元利金の支払に充てられるものと評価することができる。したがって,近畿財務局は,抵当証券受取利息の仕訳自体からその架空性を認定することは到底できなかったのである。 さらに,原告らは,大和都市管財が毎期受取利息を計上し,貸借対照表上黒字である反面,グループ会社は,主力事業であるゴルフ場で営業損失を出し,奈良市a町や仙台市a区に事業化されていない遊休地を抱え,融資の利息額がほとんどそのままグループ会社の当期の損失に計上されて損失が累積している状態にあり,だれがみても不自然な状況であった旨主張する。この点につき,近畿財務局は,平成6年検査以降継続して行ってきたヒアリング結果や平成9年検査の際に収集した資料等から,大和都市管財グループ全体の累積損失額が平成6年検査の時点で約73億円であったのに対し,平成8年12月31日時点では約113億円に拡大しているこ と(乙40),グループ会社が保有する4ゴルフ場が平成8年内に合計で約3050万円の営業損失を計上していること,グループ会社が利益を上げておらず,その財務状況が悪化していること(例えば,平成8年6月期のベストライフ通商は,営 保有する4ゴルフ場が平成8年内に合計で約3050万円の営業損失を計上していること,グループ会社が利益を上げておらず,その財務状況が悪化していること(例えば,平成8年6月期のベストライフ通商は,営業損失を約3375万円出している上,約2億7803万円の利息を支払っており,最終的には約2億7782万円の当期損失を計上していた(甲72の12)。)を認識していた。しかしながら,同時に,近畿財務局は,平成7年12月末日時点の大和都市管財の手元資金が約113億円であること(乙26の2),平成8年1月末日時点の大和都市管財グループ全体の現預金残高が約96億円であり(乙30),平成8年12月31日時点で約78億円である(乙39)との報告を受けており,平成9年検査においては,平成9年6月18日時点の大和都市管財グループの現預金残高が約64億円であることを把握していた。これらのことから,近畿財務局は,大和都市管財グループ全体では現預金を潤沢に有しており,中途解約の急激な増加がない限り,当面,抵当証券の買戻しに対応することができる資金を有しているとの認識を有していたものである。また,会社の資金繰り方法は,事業活動に伴う収益にのみよるものではなく,借入金や預貯金等などによるものも多く,本件の場合,グループ会社が大和都市管財に支払う利息の原資は,事業活動に伴う収益に限らず,他のグループ会社に対する貸付金からの受取利息,事業活動によって得た預託金(ゴルフ会員権等の販売代金収入),大和都市管財や他のグループ会社からの借入金,手形商品販売による借入金,現預金の取崩しなど,利息の原資となる収入源は多数あったのである。特に,ゴルフ場の預託金は,一般的には最終的に会員に返還するものであるが,通常は預託期間中の返還請求は認められずその期間も10年以上とされることが多い ,利息の原資となる収入源は多数あったのである。特に,ゴルフ場の預託金は,一般的には最終的に会員に返還するものであるが,通常は預託期間中の返還請求は認められずその期間も10年以上とされることが多い上,返還も各会員の返還請求に応じて行われ,全額を一時期に返還するものでもないから,その資金を借入金の返済や運転資金に流用することは一般的に 行われているものであるところ,近畿財務局は,平成9年経営健全化計画によって,那須グリーンコースの平成9年8月及び9月の会員権販売実績が約83億円あること(乙44)等を把握していた。また,ベストライフ通商は,飲食店経営,ビル賃貸業などの事業を展開しており,事業収入もあったから,a町土地やa区土地が事業化されていなかったとしても,大和都市管財に対して利息を支払えなかった根拠には全くなり得ない。他方で,近畿財務局は,グループ会社に対しては抵当証券業規制法の権限が及ばないことから,グループ会社の資金繰りを含めた資金の流れの全容を把握することはできなかった。このような理由で,近畿財務局は,たといグループ会社が利息支払額に見合う収益を上げていなくても,帳簿上利息の支払が記載されている以上,資金繰りには窮しておらず,大和都市管財に対して利息を支払っていると認識していた。また,近畿財務局が,仮に本件更新登録時点において大和都市管財のグループ会社が利息を支払えるほど収益を上げていないことを把握し,受取利息の架空性に疑いを持ったとしても,グループ会社やY1に対しては抵当証券業規制法上の調査権限が及ばないことなどに照らすと,近畿財務局において,どの受取利息が架空であり,どの受取利息が架空でないのか,客観的かつ明確な根拠を示して特定することは困難だったのであり,受取利息の架空性を認定することは到底できなかった。したが 近畿財務局において,どの受取利息が架空であり,どの受取利息が架空でないのか,客観的かつ明確な根拠を示して特定することは困難だったのであり,受取利息の架空性を認定することは到底できなかった。したがって,原告らの上記主張は失当である。 この点につき,原告らは,仮にグループ会社が大和都市管財に利息を支払っていたとしても,近畿財務局は,それが抵当証券や手形商品の販売によって購入者から得た資金が大和都市管財に環流しているにすぎないことを認識していたから,受取利息の仮装を認定すべきであったとも主張する。 しかしながら,グループ会社が資金繰りをする中で,特約付き融資や手形商品から得た資金の一部を大和都市管財に対する支払利息の原資にしていたとしても,実際に利息が支払われているのであれば架空ということには ならない上,グループ会社にはそれぞれ事業収入があり,大和都市管財に対する支払利息のすべてが購入者から得た資金で賄われていると認定することはできなかったから,グループ会社が利息額に見合う収益を上げておらず,銀行からの借入金もほとんどなかったからといって,近畿財務局は,大和都市管財が購入者から得た資金が同社に環流しているにすぎないと判断することはできないのであって,原告らの上記主張は失当である。 加えて,原告らは,大和都市管財によるグループ会社に対する貸付けが自己融資であったことも利息収入が仮装であったことの根拠とする。原告らが主張する「自己融資」の意義は必ずしも明らかではないが,確かに,近畿財務局は,本件更新登録時までに,大和都市管財の特約付き融資の対象がグループ6社に限られていたこと,うちベストライフ通商の社長はY1の友人であるY6であり,それ以外の5社の社長は長男であるY2であること,グループ6社の株主構成の大部分をY1やY2が占めていたこと がグループ6社に限られていたこと,うちベストライフ通商の社長はY1の友人であるY6であり,それ以外の5社の社長は長男であるY2であること,グループ6社の株主構成の大部分をY1やY2が占めていたこと,グループ6社には銀行取引がほとんどなく,大和都市管財からの融資で資金繰りをしていたこと,Y1の大和都市管財に対する貸付金がグループ会社に対する融資に充てられていたこと,大和都市管財が本件合意書によってグループ会社に対する貸付利率を引き下げ,その財務状況の改善に協力していたこと,ヒアリングにおいてY1が融資先のゴルフ会員権販売計画やその代金の運用方針,新規事業計画等を説明していたことを把握しており,これらのことから,大和都市管財の役員とグループ会社の役員との間に人的つながりがあること,大和都市管財とグループ会社との間に資金的な協力関係があること,Y1がグループ会社に対してある程度影響力を有していることを認識していた(平成7年業務改善命令発出のために作成した調書(乙18)や,平成9年業務改善命令発出のために作成した調書(乙22)に,大和都市管財と融資先のグループ会社とが「一体」となっている旨の表現が用いられているのも,このような意味においてであ る。)。しかしながら,大和都市管財とグループ会社とはお互いに株式を保有しておらず,資本的なつながりは全くなかった上,役員構成も一致しておらず,Y1は本件更新登録ころにはグループ会社の取締役にもなっていなかったこと,大和都市管財とその融資先のグループ会社とは業種,本店所在地,事務所等も異なること,債権者企業の社長が債務者の業況や経営方針を熟知していることは特に不思議ではないこと,平成9年7月8日,近畿財務局がY1,Y2及びY6からグループ会社の総勘定元帳の返還を求められた際,Y2が「融資の際に 企業の社長が債務者の業況や経営方針を熟知していることは特に不思議ではないこと,平成9年7月8日,近畿財務局がY1,Y2及びY6からグループ会社の総勘定元帳の返還を求められた際,Y2が「融資の際にも見せたことのない元帳を持っていった。」などと,Y6が「財務局に言う筋合いではないことは判っている。 私が文句を言いたいのは,D社のY1社長に対してである。社長がたとえ了解のうえ見せたとしても,私は,社長を怒りたい。当社にとっては,当社の資料が対外的に出ても,これはマイナスになることはあってもプラスになることはない。自分は自分で商売をしている。」などと,それぞれがY1の言いなりにはならず,大和都市管財から独立した経営判断を行っている企業であることをうかがわせる発言をしていた。このようなことから,そもそも,近畿財務局は,Y1がグループ会社を意のままに支配しているとか,グループ会社がY1の意向に逆らうことがないなどと認定・判断することはできなかった。したがって,近畿財務局が大和都市管財とグループ会社との一体性を認識することができたことを前提に,帳簿操作が容易であると判断することができたはずであるとする原告らの主張は,その前提において失当である。加えて,大和都市管財やグループ会社はそれぞれ相当数の従業員を雇用し,大阪のみならず東京,名古屋等においても営業活動を行っていた企業であるから,いかに両者が一体であっても,帳簿作成担当者が帳簿操作に荷担しなければ帳簿操作は不可能であり,そのような事実を近畿財務局が認識していたとする根拠も全く不明である。特に,大和都市管財グループ各社は,Y3会計士の指導を受けて決算書類の作成 や帳簿処理を行っていたのであり,公認会計士が監査及び会計の専門家として公正かつ誠実に業務を行うものとされ(公認会計士法1条,1条 市管財グループ各社は,Y3会計士の指導を受けて決算書類の作成 や帳簿処理を行っていたのであり,公認会計士が監査及び会計の専門家として公正かつ誠実に業務を行うものとされ(公認会計士法1条,1条の2),そのチェックを経た帳簿や決算書類は正確かつ適正なものと信頼するのが通常であることに照らせば,近畿財務局が,Y3会計士が帳簿操作に荷担していると想定することができなかったことには無理からぬ点があったというべきである。 また,原告らは,平成9年検査において,近畿財務局が大和都市管財から提出を受けたナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳に,ナイス函館からの短期借入金が平成7年9月30日付けで約3億円,平成8年3月31日付けで約6億円それぞれ計上され(相手勘定は現金勘定),それぞれ同日付で同額の大和都市管財に対する支払利息割引料が借方に計上され(相手勘定は現金勘定)ていたこと(甲149,150),ナイス函館が半年間で約9億円のキャッシュインフローを稼ぎ出す事業をしていないことから,近畿財務局は,大和都市管財に対する支払利息が帳簿操作によって仮装されていることを容易に認定することができた旨主張する。しかしながら,ナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳から認められる事実は,ナイスミドルがナイス函館から借り入れた現金を大和都市管財への利息支払に充てたということであり,ナイスミドルとナイス函館はいずれも大和都市管財のグループ会社であるから資金を融通し合うことも自然であるし,ナイス函館の資金源も事業収入だけではないから,同社が約9億円のキャッシュインフローを半年間で稼ぎ出していないこと自体が帳簿操作を疑わせるものともいえない。したがって,原告らの上記主張も失当である。 オ本件3融資の架空性は容易には認定することができなかったこと原告らは,相 ローを半年間で稼ぎ出していないこと自体が帳簿操作を疑わせるものともいえない。したがって,原告らの上記主張も失当である。 オ本件3融資の架空性は容易には認定することができなかったこと原告らは,相手勘定が長期借入金である本件3融資について,これらについても資金の交付を確認することができなかったのであるから,平成1 2年検査の時と同様,本件更新登録時において近畿財務局はこれらを架空のものと認識することができたはずである旨主張する。しかしながら,ウで述べたとおり,単に架空融資を認定するだけでは何ら大和都市管財の財産的基礎に影響しない上,本件3融資に係る抵当証券貸付金については,本件貸付金と異なり,融資先の総勘定元帳に計上されていなかったという事情もなく,Y1が振り出した小切手による融資が行われたと合理的に推認することができることも同様であるから,本件貸付金以上にその架空性を認定することは困難であった。のみならず,平成12年検査の中途においてY20検査官が本件3融資について架空ではないかとの指摘をY20要約において大和都市管財にした事実はあったものの,これは「疑い」のレベルのものも含んだ主任検査官の認識を示したものであって近畿財務局の最終結論ではなく,実際,近畿財務局は,大和都市管財から手形による貸付けである旨弁解され,検査権限の限界からその弁解を否定するに至らず,最終的に平成12年検査結果通知では本件3融資を架空のものとまでは認定していない。よって,原告らの主張はその前提において失当である。 カ危険及び予見可能性の存在を裏付けるその他の事情の不存在(ア)各経営健全化計画が非現実的とまでは断定することができなかったこと平成9年検査において大和都市管財グループが全体で約64億円の預金残高を有している事実が明らかになったこと,遊休 情の不存在(ア)各経営健全化計画が非現実的とまでは断定することができなかったこと平成9年検査において大和都市管財グループが全体で約64億円の預金残高を有している事実が明らかになったこと,遊休地も順次事業の用に供され,又は売却により含み損を解消する予定であり,またゴルフ場の施設整備による売上増加やチケット制会員権販売による収入の増加が見込まれるとの説明を大和都市管財から受けていたことなどもあって,近畿財務局は,大和都市管財グループの事業計画の実現可能性がないとか,グループ6社が実質的に破綻しているなどと断定することができる状況にはなく,大和都市管財グループが延命のためにひたすら資金集め に奔走するような自転車操業状態にあるとも認識していなかった。現に,平成9年経営健全化計画によれば,那須グリーンコースの同年8月及び9月のチケット制会員権の販売実績は約83億円あったし,北海道泊別観光の売却やベストライフ通商による高収益物件購入の促進等,収益の確保や含み損の解消を図る計画へ転換されていたから,これら計画の実現可能性が極めて低いことは明白であったとまではいえない。 (イ)会計監査人の不選任又は会計検査の不実施本件更新登録当時,商法特例法の会計監査制度と財務局長等による抵当証券業規制法に基づく抵当証券業者の監督とは別個の法制度とされ,抵当証券業規制法には抵当証券業者の会計監査についての規定は何ら置かれておらず,平成10年3月31日付け大蔵省大臣官房金融検査部長通達により,銀行法等に基づく検査において商法特例法に基づく会計監査人等の外部監査人の監査結果を活用するとの運用方針が示され,こうした流れを受けて平成14年2月,法施行規則が同年内閣府令第5号によって改正されて初めて,抵当証券業者の監督行政においても商法特例法の会計監査制 監査人の監査結果を活用するとの運用方針が示され,こうした流れを受けて平成14年2月,法施行規則が同年内閣府令第5号によって改正されて初めて,抵当証券業者の監督行政においても商法特例法の会計監査制度等を活用する観点から,(更新)登録申請書の添付書類として,同法13条1項に基づく会計監査人の監査報告書等の写しを提出することなどが新たに義務付けられたものである(前記改正後の法施行規則4条1項6号イないしハ)。加えて,近畿財務局において大和都市管財グループ各社がいずれも商法特例法に基づく会計監査を受けていないことを把握したのは平成12年9月であるから,近畿財務局長がこれを知りながら放置していたかのように論難する原告らの主張は失当である。また,一般的に,公認会計士等は,融資先の再建計画や担保の状況等も勘案するなど,融資先の債務超過のみをもって貸倒引当金の計上を求めるかどうか判断することはない上,前述のとおり,大和都市管財が,平成9年3月期決算において,本件基準により貸倒引当金を計上 したことは「公正ナル会計慣行」に合致したものであったから,当時仮に公認会計士等が大和都市管財の会計監査を行ったとしても,必ずしも貸倒引当金を計上させるとか,貸倒引当金の計上を拒んだとして不適法意見を表明するとは限らない。 キ平成9年における不動産抵当證券に対する立入検査の結果及びその後の対応との異同平成9年6月当時,大和都市管財と同様に独立系の抵当証券業者である不動産抵当證券は,経営状態が悪く,資金ショートのおそれがあったことから,既に平成7年11月13日付けで業務改善命令を受けており,破綻懸念のある状態であった。同社は,関東財務局の監督を受けており,関東財務局は,平成9年9月5日から同社に対して立入検査を実施した。その結果,同社の貸付先は7社で,総 で業務改善命令を受けており,破綻懸念のある状態であった。同社は,関東財務局の監督を受けており,関東財務局は,平成9年9月5日から同社に対して立入検査を実施した。その結果,同社の貸付先は7社で,総貸付残高50億8400万円のうち,関連会社であるソーケン開発に対するものが46億9600万円を占めていることが判明した。そして,ソーケン開発の業務内容は宅地分譲が主体であったが,宅地分譲等の開発及び販売が事業計画どおり進捗しておらず業況が悪化しており,平成8年9月期の決算において5億円を超える累積損失を計上し,4億円を超える債務超過となっていた。また,関東財務局の検査官が不動産抵当證券の総勘定元帳を確認したところ,不動産抵当證券が,ソーケン開発からの受取利息相当額を仮払金としてあらかじめソーケン開発に支払い,利息の支払約定日に同社から利息の支払を受けることにより,利息支払の延滞を回避する処理が行われていることが認められ,不動産抵当證券においても,仮払金の支払目的がソーケン開発の利息支払資金の捻出であることを認めており,ソーケン開発の利息の支払は実質的に延滞していると認められた。さらに,ソーケン開発は,資金繰りの目途がついておらず,今後の経営計画も立っていない状況にあり,不動産抵当證券においても,ソーケン開発の経営改善見込みがないことを認めていた。 以上により,関東財務局は,ソーケン開発の業況が悪く,ソーケン開発が,赤字経営,債務超過に陥っていた上,利息の支払も実質的に延滞しており,経営改善の見込みもないと認定して,実質的に破綻していると認定することができたのである。 さらに,関東財務局は,ソーケン開発に対する債権に係る回収不能見込額を算定することとした。回収不能見込額は,同社に対する債権額から担保物件の処分可能見込額を差し引くことで ることができたのである。 さらに,関東財務局は,ソーケン開発に対する債権に係る回収不能見込額を算定することとした。回収不能見込額は,同社に対する債権額から担保物件の処分可能見込額を差し引くことで算定することとなるところ,関東財務局は,とりあえず,路線価のある地域については直近の路線価に単純に面積を乗じて算出し,路線価のない地域や建物については,抵当証券発行時の不動産鑑定士による鑑定価格等を用いて概算した。その結果,平成9年8月31日時点の回収不能見込額は14億3200万円と算定され,不動産抵当證券においてもこの回収不能見込額を認めたため,同額を回収不能見込額として認定した。以上の立入検査の結果を受けて,関東財務局は,不動産抵当證券に対する検査結果の通知(甲207)において,「回収不能見込額を考慮した貴社の財務内容は,実質的に債務超過となっているものと認められ,抵当証券業規制法に定める財産的基礎を欠いている状態にある」と指摘したのである。 他方,大和都市管財の場合も,融資先のグループ会社が債務超過に陥っていることは平成9年当時のソーケン開発と同様であったが,大和都市管財の場合は,仮払金処理による資金移動はなく,受取利息の資金をあらかじめ支払っているという状況は認められなかった。また,大和都市管財の場合,融資先グループ会社からの個々の受取利息の原資は明らかではなく,大和都市管財からの特約付き融資の一部が受取利息の原資となっていたとしても,受取利息の実質的延滞を認定することは困難であった。しかも,大和都市管財は,同グループ全体の現預金残高が約64億円存在した上,平成9年経営健全化計画を作成して融資先であるグループ会社の業務改善 を志向していたのであり,業務改善の見込みがある旨強く主張していた。 したがって,関東財務局が平成9年に不 4億円存在した上,平成9年経営健全化計画を作成して融資先であるグループ会社の業務改善 を志向していたのであり,業務改善の見込みがある旨強く主張していた。 したがって,関東財務局が平成9年に不動産抵当證券に対する立入検査の結果回収不能見込額を認定していることは,近畿財務局が大和都市管財に対する平成9年検査において貸倒引当金を追加計上することができたことを示すものではない。 (4)補充性原告らが主張するような下記の理由は,財務局長等による抵当証券業者に対する規制権限行使の必要性を基礎付ける理由とはいえない。 ア抵当証券業と間接金融とが類似するとの点について預金と抵当証券とは,その経済的機能,リスクや監督のあり方等を異にしており,両者を同列に論じて抵当証券会社に対して銀行等に準じた監督をすべきとの原告らの主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,預金は,①金銭の保管,利殖,決済,資金の仲介等の役割を担い,国民が経済活動を営む上で必要な基本サービスを提供しているのみならず,銀行預金の取扱残高はおおむね抵当証券の販売残高の100倍を優に超える規模で推移しているなど,経済社会において果たしている役割は抵当証券と比べて格段の差があり,②預金保険制度等のセーフティネットがある一方で利率が低く抑えられている等,抵当証券等他の金融商品に比してローリスク・ローリターンであるのに対し,抵当証券は,①昭和50年代の金利部分自由化を背景として確定・高利回りの金融商品として脚光を浴びるようになり,個人事業主や中小企業に対して,社債類似の新しい長期資金の調達手段を提供するようになってはいるが,その取扱残高は預金に比して格段に少なく,②支払がされない場合には抵当証券に化体された抵当権を実行して担保物件を競売に付し,不足部分についてのみ抵当証券の裏 達手段を提供するようになってはいるが,その取扱残高は預金に比して格段に少なく,②支払がされない場合には抵当証券に化体された抵当権を実行して担保物件を競売に付し,不足部分についてのみ抵当証券の裏書人に対して償還請求することができるにすぎず,抵当証券業者による元利金の支払保証や抵当証券の買戻しの定めも任意的であ る一方,自由金利商品であって金融債や貸付信託に比して高めに金利設定される等ハイリスク・ハイリターンであり,金融商品としての性質自体に大きな差異がある。 また,銀行法が,資本金が20億円以上であること,3営業年度を経過するまでの間に当期利益が見込まれることなど,開業規制につき厳格な要件の下での免許制を採用し(同法4条,同法施行令3条,同法施行規則1条の8第3項),銀行に対し兼業禁止(同法12条)・大口信用供与等規制(同法13条)・自己資本比率規制(同法14条の2)・利益準備金の積立て(同法18条)等の行為・財務規制を課し,監督官庁に子会社をも対象とした広範な報告徴求権(同法24条),立入検査権(同法25条),業務停止命令権(同法26条)及び免許取消権限(同法27条)などの強力な監督権限を付与しているのに対し,抵当証券業規制法は開業規制に登録制(3条)を採用し,行為規制についても広告規制(14条),書面交付(15条・16条),抵当証券の保管の禁止(18条1項),一定の禁止行為(19条)など主として抵当証券の販売に係る規制が設けられているのみで,財務規制については登録又は更新登録の際の財産的基礎及び最低資本金制度以外には存在せず,監督官庁の監督権限も財産的基礎や人的構成の欠如を理由とする登録取消しの制度がないなど,銀行法に比べてより限定的である。 イ抵当証券取引における情報開示について抵当証券業規制法は,それが基礎とした 督官庁の監督権限も財産的基礎や人的構成の欠如を理由とする登録取消しの制度がないなど,銀行法に比べてより限定的である。 イ抵当証券取引における情報開示について抵当証券業規制法は,それが基礎とした抵当証券研究会の報告書「抵当証券取引について」にあるとおり,抵当証券には預金その他の金融商品と比べてある程度のリスクがあり,高めの金利設定がされているという点を勘案して,購入者の自己責任の原則をより重視すべきとの観点から立法されており,自己責任の基礎を形成するため,情報開示についても書面交付義務(15条,16条)や抵当証券業者の業務及び財務状況等並びに抵当 証券に関する書類の閲覧請求権(16条,17条)を規定しているから,監督官庁に対し情報不開示を理由に抵当証券業者への銀行等に準ずる監督を求める原告らの主張は失当である。そもそも,いかなる情報に基づき,いかなる抵当証券業者から,いついかなる金融商品を購入するか(購入しないか)は,個々の投資家の判断で行われるべきものであり,抵当証券がハイリスク・ハイリターンの金融商品であることや,平成7年から平成9年にかけて抵当証券業者の破綻が続いていたことなどからすると,購入者の自己責任の原則を無視することは許されない。 (5)本件更新登録をせざるを得なかった実質的理由の不存在政治的圧力の存在等に関する原告らの主張は,すべて否認する。これらの点に関する原告らの主張は,何らの根拠に基づかない邪推にすぎない。平成9年経営健全化計画については,近畿財務局のヒアリングに対し同社が顧問であるY3会計士による説明や追加資料の提出に応じるなど協力的であったのに対し,平成7年及び平成12年に同社が提出した同様の計画については,同社からその内容について十分な説明がされる見込みがなかったことから,近畿財務局は,それら 資料の提出に応じるなど協力的であったのに対し,平成7年及び平成12年に同社が提出した同様の計画については,同社からその内容について十分な説明がされる見込みがなかったことから,近畿財務局は,それらの計画の作成に当たって具体的な資料を提出するよう同社に求めたのである。また,平成9年経営健全化計画では,従来のゴルフ会員権販売のみに依存した計画から,チケット制会員権販売やゴルフ場関連施設の整備のほか,北海道泊別観光の売却やベストライフ通商による高収益物件購入の促進など収益の確保や含み損の解消を図る計画へ転換されていたから,上記計画の破綻が明白になっていたともいえない。したがって,平成9年における近畿財務局の判断がその前後と比較して極端に異なるとか,手心を加えたという事実がないことは明らかである。 争点6(近畿財務局長には本件更新登録を行うについて故意又は過失があったか。)(原告ら) 国賠法1条1項でいう過失とは,担当者の交代や経験の長短・深浅及びその他の個別事情に左右される個別公務員の個々の具体的な心理面におけるいわゆる具体的過失ではなく,公務員が職務上要求される標準的な注意義務に違反したといういわゆる抽象的過失である。そして,規制権限の不行使が国賠法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合には,既に,同権限を行使しない公務員において,少なくともその不行使により個別の国民が損害を受けることについての予見可能性及び回避可能性が認められているのであり,過失が上記のように公務員が職務上要求される標準的な注意義務の違反であることからすれば,規制権限の不行使において,過失判断は違法性判断に包摂されているものと解すべきである。 しかるところ,本件において,近畿財務局長は,前記のとおり,立入検査等によって大和都市管財グループ全体の財務内容が債 権限の不行使において,過失判断は違法性判断に包摂されているものと解すべきである。 しかるところ,本件において,近畿財務局長は,前記のとおり,立入検査等によって大和都市管財グループ全体の財務内容が債務超過であり,その営業内容が自己に融資する構造であっておよそ収益を期待することができるものでないことについて詳細に知悉しており,平成9年10月31日には,大和都市管財に対し,このままではその経営が困難になり抵当証券購入者が損害を被る蓋然性が高いとして平成9年業務改善命令を発出していた。よって,近畿財務局長は,本件更新登録時,大和都市管財が,財産的基礎も人的構成も欠き,また,更新登録申請書又はその添付書類のうちに重要な事項についての虚偽記載が認められ,抵当証券業者としての適格性を備えていない事実を明確に知り,その結果,不特定多数の抵当証券購入者に対する大規模な消費者被害発生の蓋然性を予見していたものというべきであり,それにもかかわらず漫然と本件更新登録を行ったことについて少なくとも過失があったものというべきである。 (被告)そもそも,権利侵害があれば原則として違法性が肯定される一般の不法行為の場合と異なり,権利侵害を予定している場合が多い公権力の行使については,権利侵害があっても直ちに違法とされることはなく職務上の義務違反が問題と されるところ,そのような公権力行使の特殊性は,故意・過失についても妥当する。すなわち,国賠法1条1項に基づく国家賠償の要件としての故意・過失は,単なる権利侵害の予見ないし予見可能性を問題にするのではなく,「違法に他人に損害を生ぜしめるという結果」について予見ないし予見可能性が問題とされるべきである。そして,国賠法1条1項の違法は,公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務違反であるから,国賠法1条1項の故 に損害を生ぜしめるという結果」について予見ないし予見可能性が問題とされるべきである。そして,国賠法1条1項の違法は,公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務違反であるから,国賠法1条1項の故意・過失は,むしろそのような違法性の認識ないし認識可能性というべきである。 したがって,行政処分の根拠となった政令・省令等が違法であったとしても,それが明白でない限り,当該公務員の過失は否定されるべきであり(最高裁昭和63年(行ツ)第41号平成3年7月9日第三小法廷判決・民集45巻6号1049頁参照),この理は通達に従った処分についても同様に当てはまるが(同平成14年(受)第687号平成16年1月15日第一小法廷判決・民集58巻1号226頁参照),本件更新登録は抵当証券業規制法の規定及びこれを具体化した基本事項通達にのっとって行われたものであり,前記のとおり,基本事項通達に明白に不合理な点があったとはいえないから,仮に同通達が違法であったとしても,近畿財務局長には過失はなかった。 また,本件更新登録時においても,大和都市管財は単体では資産超過の状態にあり,利益も計上していたこと(なお,近畿財務局長は大和都市管財の特約付き融資先がグループ会社であることは把握していたが,抵当証券業規制法はこのような融資を禁じるものではない。),平成9年経営健全化計画においては,新事業の展開等による新たな利益計上や含み損失の解消に前向きな計画が策定されており,本件更新登録時において,近畿財務局には,大和都市管財の融資先が実質的に破綻しているとか,経営改善の見込みがないなどと断定することはできず,上記融資先が即時に清算されることを仮定して貸倒引当金を算定することもできなかったこと,抵当証券業規制法は,行政当局に対し,抵当証券業者の融資先に対する検査権限を付与していな 断定することはできず,上記融資先が即時に清算されることを仮定して貸倒引当金を算定することもできなかったこと,抵当証券業規制法は,行政当局に対し,抵当証券業者の融資先に対する検査権限を付与していないから,近畿財務局に大和 都市管財の融資先が保有する書類や資料等に依拠して貸倒引当金を計上すべき義務はなかったし,担保不動産の評価額についても,大和都市管財による不動産鑑定評価額の信用性を否定すべき根拠を有してはいなかったこと,近畿財務局は,平成9年以前からY1に対するヒアリングを度々実施するなどして実態把握に努めていたものの,スポンサーからの資金援助を得て大和都市管財に多額の貸付けを行っている旨の同人の説明が虚偽であると認定することはできなかったことなどに照らすと,本件更新登録の時点で,近畿財務局は,具体的に大和都市管財が破綻して購入者に損害を与えることまでは認識し得ず,むしろ平成9年経営健全化計画が軌道に乗って購入者の利益を害さないことを期待し,そのための監督を行っていたのであって,近畿財務局長が原告らの損害発生を予見していなかったこともまた明らかであり,この点においても近畿財務局長に故意・過失が認められないことは明らかである。 争点7(遅くとも平成9年12月までに近畿財務局長が大和都市管財に対して業務停止命令又は登録抹消を行わなかったことは国賠法上違法か。)(原告ら)(1)規制権限の存在近畿財務局長は,抵当証券業規制法及び法施行令に基づき,大阪市に本店を有する抵当証券業者である大和都市管財に対して,登録と拒否,更新登録と拒否のほか,業務若しくは財産に関して報告若しくは資料提出を命じること,職員をして立入検査・質問をさせること,業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置を執るべきことを命ずること(業務改善命令),業 か,業務若しくは財産に関して報告若しくは資料提出を命じること,職員をして立入検査・質問をさせること,業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置を執るべきことを命ずること(業務改善命令),業務の全部若しくは一部の停止を命ずること(業務停止命令),登録を取り消し若しくは抹消すること(登録取消し,登録抹消)又は業務停止命令・登録取消しの公告といった監督・規制権限を有していた(同法20ないし26条,法施行令6条)。 (2)規制権限不行使の違法近畿財務局長が,遅くとも平成9年12月までに,大和都市管財に対して,業 務の全部若しくは一部の停止を命じるとともにこれを公告(業務停止命令とその公告)するか,登録を取り消してこれを公告し登録を抹消(登録取消しとその公告,登録抹消)しなかったことが,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くのであれば,このような権限不行使は,原告らとの関係において,国賠法1条1項の適用上違法となる。 しかるところ,遅くとも平成9年12月までには,大和都市管財による抵当証券購入者への危険が発生しており,近畿財務局長がこのような危険について予見可能であったこと,及び,同月までに近畿財務局長が本件更新登録を拒否しないのであれば,業務停止命令とその公告か,登録取消しとその公告又は登録抹消を待たなければ購入者の被害発生を防止することができなかったことは,いずれも争点5で詳述したとおりである。また,近畿財務局長は,平成9年業務改善命令を発出しながら,これに対する大和都市管財の回答が不十分であったことにかんがみ,遅くとも同年12月には上記命令違反を原因事実として,業務停止命令とその公告,登録取消しとその公告又は登録抹消をすることができ,これによって容易に同社の営業を止め,購入者の被害発生を有効適切かつ容易に防止すること 月には上記命令違反を原因事実として,業務停止命令とその公告,登録取消しとその公告又は登録抹消をすることができ,これによって容易に同社の営業を止め,購入者の被害発生を有効適切かつ容易に防止することができた。 したがって,近畿財務局長が,遅くとも平成9年12月までに,大和都市管財に対して業務停止命令及びその公告,登録取消し及びその公告,又は登録抹消を行わなかったことは違法というべきである。 (被告)原告らが主張する登録の取消し及び業務停止の各処分の要件は,抵当証券業規制法24条1項が定めているところ,原告らの主張は,大和都市管財が平成9年12月までに同項各号のいずれに該当したかの主張を欠いており,主張自体失当である(なお,同法6条1項7号(抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人)に該当することとなったときは,上記各規制権限行使の要件とはなっていない。)。 加えて,平成9年経営健全化計画の実効性について,近畿財務局が本件更新登録時においてその当否を予測することは困難であり,近畿財務局は経営健全化計画の見直し時期にその進捗状況をその都度把握していく前提でこれを受理したのであるから,上記命令違反を原因事実として大和都市管財の登録取消し又は業務停止命令に及ぶことは想定することができなかった。 したがって,近畿財務局長が原告ら主張に係る処分を大和都市管財に対して行わなかったことは違法とはいえない。 争点8(近畿財務局長は平成7年8月21日に大和都市管財への平成7年業務改善命令を違法に撤回することで原告らに損害を与えたか。)(原告ら)近畿財務局長は,大和都市管財がグループ会社と財布を一つにしている一体会社であるという内情,収益を生まない赤字グループ会社の実情,担保物件の実情,ゴルフ会員権の実情などを詳しく たか。)(原告ら)近畿財務局長は,大和都市管財がグループ会社と財布を一つにしている一体会社であるという内情,収益を生まない赤字グループ会社の実情,担保物件の実情,ゴルフ会員権の実情などを詳しく調査し,大和都市管財が抵当証券業規制法における業務改善命令の要件を満たしていることを内閣法制局に確認し,大蔵本省の了解を取り付け,業務停止命令などその後のスケジュールも具体的に確定した上で,平成7年8月21日付けで,同社に対する業務改善命令書を作成し,同日,来局したY1に対して担当官からこれを交付することによって同命令を発出した。しかし,目前に那須ゴルフ場の購入とこれによる大量のモーゲージ証書販売を控えていたY1が,近畿財務局とのそれまでのやり取り,特に同月1日の弁明の機会付与の通知に現実的な内容を要求する別紙が付けられていた事実から,これに答えられる経営健全化計画の提出が不可能であることを認識していたため,Y3会計士やY8を伴わずに同日単身近畿財務局を訪れ(Y8ですら,後になって平成7年業務改善命令は撤回された旨Y1から聞いたと供述しており,最後までY1から真相を伝えられていなかった。),同和団体役員の名刺を示した上で,「組織をあげてたたかう」「団体を使って行動する」「局長に会わせろ」等と脅迫的な言動をもって恫喝したところ,近畿 財務局長は,Y1が属する同和団体から差別者の烙印を押しつけられ,組織を挙げて糾弾されることを恐れ,直後に事実上平成7年業務改善命令を撤回した(本件命令撤回事件)。このことは,当日近畿財務局の担当官が作成した連絡記録票(乙20)の記載から明らかである。なお,Y1は,上記のとおり,平成7年業務改善命令の内容については事前に告知されている弁明の機会付与の通知書によって認識していたから,上記命令は同人に了知可能な状 票(乙20)の記載から明らかである。なお,Y1は,上記のとおり,平成7年業務改善命令の内容については事前に告知されている弁明の機会付与の通知書によって認識していたから,上記命令は同人に了知可能な状態で交付されているものと解すべきであって,少なくともY1の面前で読み上げ始められた時点で既に発出され,効力を生じていたものと解すべきである。 これに対し,被告は,上記命令発出当日,Y1が「金はある」,「必要なら資料は出す」,「行政指導には従う」などと発言したことから,大和都市管財の資金繰りについてより調査する必要が生じたために上記命令の発出を留保する必要が生じたのであって,同和団体を恐れたわけではない旨主張する。しかしながら,歴史的にみて同和団体は,被差別部落の代表者として活動してきた一面を有しつつ,他面で行政と癒着し,あるいは行政に対して組織的な圧力を掛けて利権を得てきたものであって,平成7年当時は,まだ個々の国家公務員も,同和団体による組織的な恫喝・糾弾・攻撃を恐れていた上,Y1も,昭和36年から昭和45年まで福岡県庁に勤務していた元公務員であったから,同和団体の実態や影響力,そして行政がこれを極度に恐れていたことを熟知していた。また,大蔵本省に対しては,大和都市管財に関連して,旧社会党のY10議員や民主党のY11議員から電話による圧力が掛かっていたが,同様の電話は近畿財務局にもあったものと推測されるところ,両名とも部落解放同盟と関連を有する国会議員であったから,近畿財務局がY1の背後に同和団体があるのではないかと恐怖心から警戒していたものと思われる。加えて,それまでにも大和都市管財に対する行政指導が繰り返されていたにもかかわらず同社による抵当証券商法の拡大を防止することができなかったからこそ平成7年業務改善命令という行政処分に至ったと れる。加えて,それまでにも大和都市管財に対する行政指導が繰り返されていたにもかかわらず同社による抵当証券商法の拡大を防止することができなかったからこそ平成7年業務改善命令という行政処分に至ったという経緯に加え,Y1が当日その発言を裏 付けるに足りる資料を何ら提出しなかったこと,上記命令を交付する任に当たった金融第3課Y26課長(以下「Y26課長」という。)も発令を留保する可能性は事前に想定していなかったこと,上記命令は大和都市管財の財産的基礎の確保を主眼とし,融資先の収益性向上に重点が置かれていた一方で,手元資金の額などの資金繰りは何ら考慮していなかったこと,近畿財務局が本件命令撤回事件後に作成したという本件資金繰り表(乙26)は,その具体的な作成経過が不明である上,営業利益のない融資先からの受取利息についてその実在性を所与のものとしている点や,手形商品の償還金,固定経費・利払等の経費,人件費・広告費等,那須ゴルフ場の購入資金(130億円)等を考慮に入れていない点などで不合理というほかなく,明らかにY1による「50億円の金がある」との発言に合わせた試算結果として作出されたものであること,本件命令撤回事件の真相が詳述された本件内部資料(大和都市管財が申請した那須ゴルフ場を担保とする55億円相当の抵当証券の追加発行分について,法務鑑定委員会による再鑑定を受けて,その販売を同社に自粛させるよう近畿財務局に対して指導した際,大蔵本省幹部にその経緯を説明するため,本省金融会社室のY27係長(抵当証券担当)がY4補佐の下で平成8年8月ころに作成した公文書である。)について,平成15年8月に当時の金融庁金融会社室長が「単なる手控えということにしておいてくれ」とY4補佐に要請に来たことに照らすと,被告の主張は本件命令撤回事件を隠ぺいする意図 した公文書である。)について,平成15年8月に当時の金融庁金融会社室長が「単なる手控えということにしておいてくれ」とY4補佐に要請に来たことに照らすと,被告の主張は本件命令撤回事件を隠ぺいする意図に出たものでしかなく,失当である。 仮に,上記命令が執行されていれば,このころ同様に業務改善命令を受けた木津信抵当証券等と同じく,大和都市管財も早晩破綻した蓋然性が高い。また,近畿財務局長は,本件命令撤回事件以降,グループ会社の経営悪化の問題を,資金繰りの問題に矮小化してその後の対応を後退させた。したがって,本件命令撤回事件がなければ,少なくとも本件更新登録は行われなかったはずであるから,原告らが被害を受けることもなかったのは明らかである。 (被告)一般に行政処分は,相手方に告知されたときにその効力を発生するものと解されており(最高裁昭和45年(行ツ)第93号昭和50年6月27日第二小法廷判決・民集29巻6号867頁参照),その方法には書面の手交,口頭による伝達,公告等があり得る。しかるところ,近畿財務局は,平成7年8月21日付け業務改善命令書を準備してはいたが,同日,Y1に対してその内容を最後まで読み上げてもいなければ,同命令書を交付もしていないのであるから,業務改善命令の告知があったとはいえず,同命令の効力が生じていない。なぜなら,同日,Y26課長が業務改善命令書を読み上げ始めたところ,Y1から,近畿財務局の行政指導には従う,必要な資料も提出する,利息が払えないような状況ではない旨の強い弁明を受けたため,最後まで読み上げることができず,提出された資料を受けて再度命令発出の当否を検討することとしたからである。 また,業務改善命令の内容は,一般的に弁明の機会付与の通知後の事態の変化等を反映させるため,必ずしも弁明の機会付与の通知書にお 提出された資料を受けて再度命令発出の当否を検討することとしたからである。 また,業務改善命令の内容は,一般的に弁明の機会付与の通知後の事態の変化等を反映させるため,必ずしも弁明の機会付与の通知書における命令内容と同一のものとは限らないから,Y1が弁明の機会付与の通知の内容を認識していたからといって,平成7年業務改善命令の内容を了知していたことにはならない。そして,平成7年当時,近畿財務局が大和都市管財の業務の運営について抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めたのは,融資先であるグループ会社の財務状況が悪化していたことのみによるのではなく,大和都市管財に後ろ盾となる金融機関が存在しない中で,同社から何ら具体的な収支見込みが示されなかったこと等を勘案し,いつ大和都市管財本体の資金繰りが窮することにもなりかねないとの認識を有していたからであるところ,そのような認識は客観的に十分な資料・根拠に基づくものではなかったため,Y1から資金繰り等についての弁明がされたことにより,抵当証券購入者の利益を害する事実の前提が否定される可能性があると考え,再度,上司にその判断を仰いだY26課長の対応はやむを得ないものというべきである。また,業務改善命令は 抵当証券業者にとって不利益処分であるから,その前提となる事実が明確に認められない限り不利益処分を科すべきではなく,仮に処分の前提となる事実がない抵当証券業者に対して業務改善命令を発出すれば,当該業者を破綻の危険にさらし,結果的に抵当証券購入者の利益を害することにもなりかねないのである。 なお,同日,近畿財務局長はこの方針を了承したが,その後の資金繰り調査で大和都市管財の資金繰りに問題があるとは認められず,業務改善命令の前提となる抵当証券購入者の利益を害する事実があると直ちに認めることは困難で 畿財務局長はこの方針を了承したが,その後の資金繰り調査で大和都市管財の資金繰りに問題があるとは認められず,業務改善命令の前提となる抵当証券購入者の利益を害する事実があると直ちに認めることは困難であると判断されたことから,同年11月,近畿財務局は,同社の資金繰り,融資先グループ会社の経営状況等につき更なる実態把握に努めるとともに経営健全化について指導するという対応に変更することとし,上記命令は内部的に廃案決裁に準じた取扱いをされた。 これに対し,原告らは,Y1が同和関連団体に属していると告げられたことが,業務改善命令発出を見合わせた理由であると主張する。しかしながら,原告らが依拠する本件内部資料は,近畿財務局でのやり取りを直接経験していない本省金融会社室の係長が作成したものであって,大蔵本省の認識を公式に確認するものではない。実際問題として,行政機関において,金融機関の代表者が同和団体に属することを示されたというだけで業務改善命令の発出を差し控えるということは考え難く,それを大蔵本省が認識していながら放置するということはなおさら考え難い。仮に,Y1が同和団体に属するという話をしたことが理由で平成7年業務改善命令を発出しなかったとすれば,その後も監督処分ができないのが自然であろうと思われるし,Y1も味を占めて,ことあるごとに同和団体に属することを持ち出すというのが自然であるところ,平成7年業務改善命令の発出を見合わせた後では,かなり強い抗議がされたような場合でも同和団体の話が持ち出された形跡はない。また,同和団体に関する記載が本件内部資料にしかなく,かつ,調査の結果Y1が同和団体に属していると名 乗っただけであると判明した事実を記載した書類が見当たらないという事実は,近畿財務局及び大蔵本省にとってY1が同和団体に属するかどうかは重 なく,かつ,調査の結果Y1が同和団体に属していると名 乗っただけであると判明した事実を記載した書類が見当たらないという事実は,近畿財務局及び大蔵本省にとってY1が同和団体に属するかどうかは重要な問題ではなかったことを示しているのであり,このことは,同和団体に属すると告げた事実と平成7年業務改善命令の発出を見合わせた事実とが無関係であることを示している。したがって,原告らの主張は失当である。 さらに,原告らは,本件資金繰り表は利息の実在性を検証せず,手形商品の償還について考慮に入れていないなどの点で問題である旨主張する。しかしながら,前記のとおり,近畿財務局は平成7年9月ころの段階で,特約付き融資やその利息の支払が仮装されているものであるとか,資金が環流しているというような事実は把握していなかった上,現金で授受しているとされていた利息についてもその実在性を検証する客観的な資料はなく,本件資金繰り表はその段階で得ている資料でとりあえず試算したものにすぎない。また,手形商品にせよ抵当証券にせよ,償還時期に全額を払い戻すとは限らないし,手形商品については,近畿財務局は,ナイスミドルがバンクオブアメリカに有する譲渡性預金が大和都市管財のナイスミドルに対する融資の担保とされているとの説明を受けていたものであるから,手形商品に対する償還を考慮に入れなくても,抵当証券の販売に関する大和都市管財の資金繰りを試算するに当たっては問題がなかったのである。 争点9(近畿財務局長による違法行為によって原告らはいかなる損害を被ったか。)(原告ら)近畿財務局長の違法な職務執行の結果,原告らは別紙被害一覧表記載のとおり,以下のような損害を被った。 (1)財産的損害原告らは,平成10年1月以降,別紙被害一覧表記載のとおり,大和都市管財の販売するモー 局長の違法な職務執行の結果,原告らは別紙被害一覧表記載のとおり,以下のような損害を被った。 (1)財産的損害原告らは,平成10年1月以降,別紙被害一覧表記載のとおり,大和都市管財の販売するモーゲージ証書を購入し,その購入額相当の損害を被った。原告ら は,上記購入額相当損害額のうち一律に5割を請求する(別紙被害一覧表②欄)。 原告番号A番台の原告ら(以下「大阪原告団」と総称する。)は,原告A2を除いて,平成10年1月以降に新規資金を投入して抵当証券を購入した者である。 原告番号C番台の原告ら(以下「名古屋原告団」と総称する。)は,全員が同月以降に新規資金を投入したことによる抵当証券購入者である。これに対し,原告番号B番台の原告ら(以下「東京原告団」と総称する。)は,新規資金の投入による購入者と一部又は全部の投入資金が大和都市管財の他の金融商品からの乗換えにより調達された購入者とが混在しており,前者の内訳は別表8-1(平成15年(ワ)第5830号事件)及び同8-2(平成16年(ワ)第4420号事件)各記載のとおりである。 他の金融商品からの乗換えにより抵当証券を購入した者であっても,抵当証券の保有によって現実に損害を生じていることは明らかである上,本件更新登録がなければ平成10年1月以降に抵当証券を購入することもなく,その場合,基本的には償還を受けているはずである(大和都市管財の営業方針としては,償還を防いで乗換えを勧める営業が行われていたが,これが奏功するか否かは不明である。)。もっとも,本件更新登録がされなければ大和都市管財は破綻していたことが予想され,その場合にも損害が生じていたであろう可能性は抽象的には否定することができないが,平成9年12月に同社に対する更新登録を拒否しておけば現在よりもはるかに少ない被害で済んだであろうこ ことが予想され,その場合にも損害が生じていたであろう可能性は抽象的には否定することができないが,平成9年12月に同社に対する更新登録を拒否しておけば現在よりもはるかに少ない被害で済んだであろうことは明白であり,いずれにせよ,そのような事情は現実に生じている損害の発生を阻害する要因として被告において主張立証すべきである。 また,大和都市管財においては,顧客が抵当証券の購入代金を支払った後に,特定の抵当証券を各顧客に適当に割り付ける作業をその事務員が行っていたが,破綻前後の混乱が原因で,名古屋原告団の一部について上記作業が未了となっている。しかしながら,弁済金領収書内訳一覧(甲A389号証)のとおり,このような原告らも既に抵当証券の購入代金を支出済みである以上,当該出資額が損 害額である。 ところで,原告らは,原告ら訴訟代理人を含む大和都市管財被害者弁護団との間で委任契約(以下「本件委任契約」という。)を締結した者らである。大和都市管財は,抵当証券以外に,抵当権付き一部債権譲渡,那須グリーンチケット,GFPシュアーファンドなど複数の金融商品を,グループ会社の名義を用いて詐欺的に販売していたが,モーゲージ証書取引の実質は買戻し約束を付した預かり証取引にすぎず,GFPシュアーファンド等の金融商品と本質的には同じであるから,本件委任契約においては,原告らを含む被害者に対し,大和都市管財,グループ会社,抵当証券保管機構,役員その他からの配当金や損害賠償による回収金について,購入時期の前後,担保物件の有無,金融商品の差異にかかわらず,被害額に応じた一律の按分配当を行った。本件のようなモーゲージ証書形式の抵当証券売買では,抵当証券上の権利が移転しないのに移転するかのような取引約款が存在し,現在も取引の根拠にされているところ,このような抵当証券 一律の按分配当を行った。本件のようなモーゲージ証書形式の抵当証券売買では,抵当証券上の権利が移転しないのに移転するかのような取引約款が存在し,現在も取引の根拠にされているところ,このような抵当証券取引は,抵当証券会社・抵当証券保管機構・購入者の関係では,抵当証券が債務者や不動産の明細が開示されないまま移転したものとみなされ(購入者は,このような関係者以外からは抵当権付き債権者とはみなされない。),抵当証券会社の破綻後,債務者や物件の明細との関連が強調され,抵当証券保管機構の弁済受領業務が始まってから初めて,購入者が抵当証券上の権利者として取り扱われる関係になっているが,購入者は,購入時に対象不動産が何かは分からないのが通常であることから,これまでの十数件の抵当証券被害においては,抵当証券業規制法の施行の前後を問わず,破産裁判所の判断によって,抵当証券ごとの競売等による解決を拒否し,購入者を一般債権者と解釈した上,一団の土地又は全物件を処分して均一配当を可能にしてきた経緯があり,本件再生手続もほぼこれに近い解決方法がとられたのである。 そのうち,抵当証券に係る担保物件からの回収についても,東京都に所在する一部物件についてこそ被担保債権額の50パーセントを超える配当を得たものの, それ以外はすべて50パーセント以下であり,最も購入者・購入額の多いゴルフ場では約0.45パーセントから約4.61パーセントという極めて低率な配当にとどまっており,平均で6.5749パーセントの配当にしかすぎない。また,大和都市管財被害者弁護団が,同社役員の責任追及又は配当で受領した金額は1億1625万円,同社従業員の責任追及で受領した金額は5215万円,元弁護士・鑑定士の責任追及で受領した金額は4124万円であり,同弁護団の被害額全体からすると,役員・従 又は配当で受領した金額は1億1625万円,同社従業員の責任追及で受領した金額は5215万円,元弁護士・鑑定士の責任追及で受領した金額は4124万円であり,同弁護団の被害額全体からすると,役員・従業員からの回収で0.27957パーセント,元弁護士・鑑定士からの回収で0.06889パーセントにすぎない。 その結果として,原告らを含む被害者は,大和都市管財被害者弁護団から,平成15年1月の第1回配当で被害額の1.9848パーセント,平成16年6月の第2回配当で被害額の3.85049パーセント,平成18年10月の第3回(最終)配当で被害額の2.90110パーセント,合計でも8.73639パーセントの支払を受けたにとどまる。そして,本訴請求債権は別紙被害一覧表記載の金額の半額を基本にして弁護士費用を加算したものであるから,上記各配当の存在によっても請求金額が影響を受けることはない。 精神的損害(2)原告らは,大和都市管財が近畿財務局長の適正かつ厳格な監督を受け,同社が販売する抵当証券が適正かつ安全なものであると信用して,老後資金,生活資金の貯えとして同社から抵当証券を購入したにもかかわらず,近畿財務局長は平成6年ころから大和都市管財グループが大幅な債務超過にあり,抵当証券購入者が被害を受ける蓋然性が高いことを認識しながら,十分な指導監督を行わなかっただけでなく,平成7年業務改善命令を撤回し,平成9年12月22日には抵当証券業の更新登録を拒否すべきであったのに,これを怠って本件更新登録を行い,大和都市管財の抵当証券被害を放置し,原告らの命の次に大切な老後資金・生活資金の大半を喪失させてしまったものである。また,被害者の多くが高齢者であり,大和都市管財の金融商品を購入するために投入した資金が水泡に帰し,年金 以外に今後収入を得るのが困難な 後資金・生活資金の大半を喪失させてしまったものである。また,被害者の多くが高齢者であり,大和都市管財の金融商品を購入するために投入した資金が水泡に帰し,年金 以外に今後収入を得るのが困難なことからすれば,被害者の悲嘆は図り知れず,精神的うつ状態となって健康を損なった者,自殺を図った者もおり,その訴えは切実である。また,被害者は単に大和都市管財の詐欺により財産的被害を被っただけでなく,「欲をかいて損をした」「自己責任」などの第三者,傍観者からの心ない批判,視線にもさらされ,二重の被害を受けている。さらに,本訴に先立つ調停において,被告は何ら救済案を提示しないばかりでなく,大和都市管財に対する監督内容についても一切説明をせず,本訴においても責任逃れの応答に終始し,被告の監督行政を信用して大和都市管財の抵当証券を購入した原告らは,三度目の被害を受ける結果となった。 このように,原告らの精神的な苦痛は極めて甚大であり,原告各人につき金10万円の慰謝料を請求する(別紙被害一覧表③欄)。 (3)弁護士費用原告らは,包括的な被害救済を求めて民事調停を提起したが,被告は誠実な対応を行わず,民事調停は不成立に終わった。そのため,原告らは,代理人弁護士に委任して本件訴訟を提起せざるを得なかった。弁護士費用として,(1)及び(2)記載に係る各損害の合計額の1割相当も,相当因果関係のある損害に含まれる(別紙被害一覧表④欄)。 (4)原告らの被害実態及びその特徴東京原告団のうち,大学(中退を含む)以上の学歴を有する者は全体の25パーセント,大和都市管財から抵当証券を購入した時の年齢は40歳以上が約91パーセント,60歳以上が約48パーセントであり,預貯金など元利金が保証されているもの以外の金融商品を購入した経験のある者は全体の51パーセントである 抵当証券を購入した時の年齢は40歳以上が約91パーセント,60歳以上が約48パーセントであり,預貯金など元利金が保証されているもの以外の金融商品を購入した経験のある者は全体の51パーセントである。また,購入動機について,国・財務局・法務局の監督を信頼したことを明示するのは全体の約24パーセントであるが,老後資金や元本保証を挙げる者も,抵当証券を安全確実と考えたこと,ひいては国の監督を信頼していたものと考えれば,抵当証券の制度に対する信頼を挙げ た者は全体の約73パーセントに及ぶ。また,平成10年以降に初めて大和都市管財から抵当証券を購入したとする者が全体の約71パーセントを占めている。大和都市管財を知ったきっかけは,新聞広告等の媒体によるものが約84パーセントである。 大阪原告団のうち,大学(中退を含む)以上の学歴を有する者は全体の21パーセント,大和都市管財から抵当証券を購入した時の年齢は40歳以上が約95パーセント,60歳以上が約51パーセントであり,預貯金など元利金が保証されているもの以外の金融商品を購入した経験のある者は全体の約51パーセントである。また,購入目的については,預金と同様のものと勧誘され,そのように信用して購入した者が圧倒的多数である。また,平成10年以降に初めて大和都市管財から抵当証券を購入したとする者が全体の約85パーセントを占めている。大和都市管財を知ったきっかけは,新聞広告等の媒体によるものが約66パーセントである。 名古屋原告団のうち,大学(中退を含む)以上の学歴を有する者は全体の26パーセント,大和都市管財から抵当証券を購入した時の年齢は40歳以上が約75パーセント,60歳以上が約37パーセントであり,預貯金など元利金が保証されているもの以外の金融商品を購入した経験のある者は全体の56パーセ 市管財から抵当証券を購入した時の年齢は40歳以上が約75パーセント,60歳以上が約37パーセントであり,預貯金など元利金が保証されているもの以外の金融商品を購入した経験のある者は全体の56パーセントである。また,購入動機について,国・財務局・法務局の監督を信頼したことを明示するのは全体の31パーセントであるが,老後資金や元本保証を挙げる者も,抵当証券を安全確実と考えたこと,ひいては国の監督を信頼していたものと考えれば,抵当証券の制度に対する信頼を挙げた者は全体の約72パーセントに及ぶ。また,平成10年以降に初めて大和都市管財から抵当証券を購入したとする者が全体の94パーセントを占めている。大和都市管財を知ったきっかけは,新聞広告等の媒体によるものが約85パーセントである。 このように,大和都市管財を知ったきっかけは,大多数が新聞広告等(財 務局・法務局の信用を全面に押し出した内容となっている。)を目にしたことによるものであり,抵当証券の購入に当たっては,広告に掲載された大和都市管財の事務所宛てに電話又は資料取寄せの請求をしたところ,営業社員の訪問により勧誘を受け購入に至っている。勧誘に当たっては,財務局の監督,法務局による抵当証券発行が強調され,購入者のほぼ全員が,財務局・法務局の監督・関与が大和都市管財が販売する抵当証券に対する信頼につながったと述べている。また,大和都市管財の販売する抵当証券は当時の預貯金の金利等と比較すれば高金利ではあったが,年3ないし5パーセント程度であり,投機的取引と思われるものではなかった上,高齢の購入者の大多数は,低金利時代において,自らの老後生活を自らの力で乗り切るため,少しでも有利な貯蓄方法を選択しようとした結果として大和都市管財の抵当証券を購入したものであり,何ら批判されるような落ち度はな 大多数は,低金利時代において,自らの老後生活を自らの力で乗り切るため,少しでも有利な貯蓄方法を選択しようとした結果として大和都市管財の抵当証券を購入したものであり,何ら批判されるような落ち度はない。 (被告)仮に被告に損害賠償責任が生じるとしても,以下のとおり,原告らが主張する損害額を認定することはできない。 (1)財産的損害ア本件更新登録がされなかった場合における原告らの予想損害額を原告らにおいて控除すべきことについて多くの原告らは,本件更新登録以前から大和都市管財の抵当証券を購入し,その償還期限が平成10年以降に到来したのを機に,再度抵当証券を購入している(いわゆる乗換え)ところ,このような原告らは,仮に本件更新登録がされなかったとしても,その時点で保有していた抵当証券について,満額の償還を受けられないという損失を被ったはずである。また,乗換えによる購入はしていなくとも本件更新登録の時点で抵当証券を保有していたと認められる原告らは,仮に本件更新登録がされなかったとしても,当該抵当証券について同様に相当程度の財産的損失を被ったと考えら れる。そして,上記のような原告らは,本件更新登録が拒否されたとしても,本件におけると同様の精神的苦痛を受け,本件とそれほど変わらない弁護士費用の支出を余儀なくされたであろうと推測することができる。したがって,原告らの損害額の算定に当たっては,まず,本件更新登録時点で抵当証券を保有していた原告らとそうでない原告らとに区分し,保有していた原告らについては,平成9年12月に本件更新登録を拒絶した場合に回収可能であったと見込まれる額と,平成13年の更新登録拒否により現実に回収可能であった額との差額のみを本件更新登録と相当因果関係のある損害額とすべきであり,弁護士費用及び慰謝料については相当因 に回収可能であったと見込まれる額と,平成13年の更新登録拒否により現実に回収可能であった額との差額のみを本件更新登録と相当因果関係のある損害額とすべきであり,弁護士費用及び慰謝料については相当因果関係が認められないというべきである。しかるところ,原告らは,原告らが本件更新登録時において保有していた抵当証券の購入額を明らかにしていないから,損害認定に必要な主張立証を尽くしていたとはいえないというべきである。 この点,原告らは,大阪原告団については,原告A2を除き,本件更新登録以後に新規に投入した資金で大和都市管財から抵当証券を購入した旨主張する。しかしながら,甲A218号証の2によれば,同号証添付の別紙一覧表に「新規」「追加」と記載がある原告らについても,過去に大和都市管財と取引があるにもかかわらず「新規」に区分されている場合や,「追加」に該当する抵当証券購入時に過去の満期償還金と新規資金とを併せて出捐している場合があるため,それらの原告らが本件更新登録後に新たに全額について金銭を出捐して抵当証券を取得した者である(すなわち,乗換購入に係る取得金額はない)旨100パーセント保証することはできないというのであり,現に,東京原告団は,甲A637号証の2添付の別紙一覧表に「追加」とある者についても乗換えを行った者がいることを自認しているのである。同様に,甲A388号証の2の別紙一覧表の区分からも,名古屋原告団の主張する抵当証券取得額のうちに乗換えに係る部分 がないとの立証もされていない。また,原告らのいう乗換えと「新規」ないし「追加」との区分の基準が「新たな抵当証券の購入がそれまでに購入していた金融商品の償還と同時にされたものか否か」によるものであるとすれば,本件更新登録時に購入済みであった抵当証券の償還を受けた後,しばらく期間 区分の基準が「新たな抵当証券の購入がそれまでに購入していた金融商品の償還と同時にされたものか否か」によるものであるとすれば,本件更新登録時に購入済みであった抵当証券の償還を受けた後,しばらく期間を置いてから再度抵当証券を購入した場合も「新規」ないし「追加」に区分されることになってしまい,本件更新登録との間に相当因果関係を欠く損害が含まれることになるから,上記のような基準は失当である。 加えて,原告らは,乗換えによる購入をした者であっても,抵当証券を保有していたことにより現実に損害を生じた旨主張するが,不法行為における損害は,不法行為がなかったとした場合の利益状態と,不法行為の結果としての利益状態との差額であって,抵当証券を保有していたという事実から直ちに損害が肯定されるものではない。 さらに,原告らは,乗換えによる購入をした者であっても,本件更新登録がなければ購入はしておらず,その場合,基本的には償還を受けているはずであって,本件更新登録がされなかった場合に生じたであろう損害については被告に立証責任がある旨主張する。しかしながら,本件更新登録がなければ,原告らの主張によればその時点で大和都市管財が破綻していたことは明らかであり,償還を受けているはずとの想定は成り立たない上,損害の発生や金額,行為と損害との因果関係は賠償を求める権利の発生原因事実であるから,賠償を求める者において主張立証すべきであり,本件においては,平成9年12月時点で大和都市管財に係る抵当証券業規制法上の更新登録が拒否されていれば損害額が少なくて済んだという事情が認められて初めて相当因果関係のある損害の存在が肯定されるのであり,そのような事情は原告らが主張立証責任を負うべきものである。 また,原告らは,平成9年以降の被害の急拡大に照らせば,平成9年1 2月に て初めて相当因果関係のある損害の存在が肯定されるのであり,そのような事情は原告らが主張立証責任を負うべきものである。 また,原告らは,平成9年以降の被害の急拡大に照らせば,平成9年1 2月に更新登録を拒否しておけば,現在より損害額は大幅に少額であったことは明白である旨主張する。しかしながら,平成9年3月期における大和都市管財の貸借対照表によれば,同期における売渡抵当証券額は約479億円であるのに対し,平成12年3月期における同社の貸借対照表によれば,同期における売渡抵当証券額は約470億円とむしろ減少しているのであって,少なくとも抵当目的物からの優先弁済による回収額という点では平成9年当時と平成13年当時とで大きな違いがあるとは考え難い。 結局,平成9年以降の被害の急拡大とは抵当証券以外の商品に係るものであり,その多寡は抵当証券購入者にとっては一般債権者として弁済を受け得る額に影響を与えるにすぎないのであって,大和都市管財グループの資産のほとんどが不動産であることにかんがみればその影響は極めて小さいと推測されるから,原告らの上記主張は失当である。 イ担保不動産の換価により配当されるべきであった金額及び倒産処理手続によって配当されるべき金額(回収可能額)を控除すべきことについて原告らの財産的損害額は,抵当証券の購入金額から担保不動産の換価により優先的に弁済を受け得る金額を控除し,更にその残額について一般債権者として倒産手続において配当されるべき金額を控除した金額になることは明らかである。しかるところ,本件においては,各原告について,その保有していた抵当証券の抵当不動産から優先弁済を受け得た金額を明らかにする必要があると解されるにもかかわらず,原告らがこの点に係る主張立証を尽くしているとはいえない。 この点,原告らは,合計でも8. 保有していた抵当証券の抵当不動産から優先弁済を受け得た金額を明らかにする必要があると解されるにもかかわらず,原告らがこの点に係る主張立証を尽くしているとはいえない。 この点,原告らは,合計でも8.73639パーセントの被害回復しかされていないところ,本件委任契約に基づけば,これだけが控除すべき回復額である旨主張する。しかしながら,本件委任契約は,原告らに現実に生じた損害の填補を行うというより,大和都市管財グループからの配当及び関係者に対する責任追及を通じて基本的に平等に救済を受けることを前 提としている上,実際の大和都市管財の再生手続においても,抵当証券保有者が優先弁済を受け得る融資先のグループ各社が所有していたと思われる不動産の処分代金19億7200万円が主要な配当原資の一つとされ,金融商品の性格を問わず平等に弁済がされているようである。そうすると,原告らが主張する回復率は,抵当証券購入者が担保不動産の換価により優先的に弁済を受け得たにもかかわらず,それを放棄して他の商品の購入者に弁済額を分配した結果というべきであるから,原告らが換価により本来弁済を受けられたはずの金額と実際の配当により得た利益との差額を被告が賠償する法的根拠はないというべきである。現に,大和都市管財が販売した抵当証券の中には,担保不動産の換価代金から57パーセントを超える回収ができたものも存するのである(甲262号証の1)。また,原告らは,本件委任契約に基づいて,回収額の中から原告代理人らに対して手数料及び報酬を支払っているが,原告らは本件訴訟において別途弁護士費用を請求しているから,手数料及び報酬を回収額から控除することも相当ではない。 ウ本件更新登録以降に受領した利息を控除すべきことについて原告らは,本件更新登録以降も,購入した抵当証券に係る高利の 用を請求しているから,手数料及び報酬を回収額から控除することも相当ではない。 ウ本件更新登録以降に受領した利息を控除すべきことについて原告らは,本件更新登録以降も,購入した抵当証券に係る高利の利息を受領しているところ,本件更新登録がされなければ,それ以降の利息を受領することはできなかったはずであるから,本件の損害額を算定するに当たっては,本件更新登録以降に受領した利息は,損益相殺として損害額から控除されるべきである。なお,損益相殺は,過失相殺後にされるべきであることは当然である。 (2)精神的損害財産権が侵害された場合には,その財産的損害が賠償されれば,特段の事情のない限り精神的損害も回復すると解されるところ,本件において特段の事情は認められないから,原告らが求めている慰謝料の請求は失当である。 (3)弁護士費用原告らは,請求額の1割の弁護士費用を請求しているが,原告らは,原告ら代理人との委任契約において,報酬については回収額の3パーセントとすることについて合意しているから,本件と相当因果関係のある弁護士費用は認定損害額の3パーセントとすべきである。 (4)過失相殺抵当証券は,特約付き融資先の返済能力に係るリスク,抵当権の目的である不動産等の価値下落に係るリスク,一般に抵当証券の買戻しを約定し,元利金の返済を保証している抵当証券業者の支払能力に係るリスクを有する一方,銀行預金等と比較して高めの金利が設定されているという,いわゆるハイリスク・ハイリターンの商品である。しかも,本件更新登録以前において,既に抵当証券業者を含めた金融機関が複数破綻している状況であった上,抵当証券業規制法では抵当証券業者及び購入した抵当証券に係る情報開示についての定めがあり,これに基づいて顧客は抵当証券業者の財務状況等を閲覧することがで た金融機関が複数破綻している状況であった上,抵当証券業規制法では抵当証券業者及び購入した抵当証券に係る情報開示についての定めがあり,これに基づいて顧客は抵当証券業者の財務状況等を閲覧することができ,抵当証券の購入者も担保物件の明細及び債務者の住所氏名を知ることができた。加えて,抵当証券取引証・保管証の裏面をみれば,抵当証券業協会の苦情相談窓口の電話番号が明記してあり,抵当証券の購入者は,抵当証券について疑義があれば,そこに電話することによって回答を得られることも容易に知ることができた。したがって,大和都市管財の抵当証券についても,原告らが大和都市管財の社員の説明を鵜呑みにすることなく,自ら慎重に検討した上で高リスクを考慮してその購入を控え,又は購入した抵当証券の中途解約を行うか若しくは(購入時期によっては)満期償還を受けたとすれば,損害を回避することができたのである(現に,平成7年8月末の木津信抵当証券等の破綻以降,大和都市管財に対する中途解約や満期償還の件数が急増していたことがうかがわれる。)。 しかるところ,リスクのある金融商品に関しては,たといそれを販売した 業者が購入者に対して不法行為責任を負うとされる場合にも,リスクを確認しなかった,又はリスクがあることを承知で取引に入ったことを理由に購入者側に4割から5割の過失相殺を認めた下級審の判決があることに照らせば,本件において被告は自ら違法な勧誘等を行って抵当証券を販売したものではなく,抵当証券業者の監督をしていたにすぎないことにかんがみ,そのような監督者と購入者の過失割合の判断に当たっては購入者の過失をより大きく考慮するのが相当であるから,少なくとも5割以上の過失相殺がされるべきである。 第4争点に対する判断 争点1(原告らは,近畿財務局長の大和都市管財に対する本件 当たっては購入者の過失をより大きく考慮するのが相当であるから,少なくとも5割以上の過失相殺がされるべきである。 第4争点に対する判断 争点1(原告らは,近畿財務局長の大和都市管財に対する本件更新登録について国賠法上の違法をおよそ問い得るか。問い得るとする場合,その判断基準は何か。)について(1)いわゆる職務行為基準説について国賠法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについて故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは国又は公共団体が賠償責任を負う旨定めるが,上記の違法性は,公権力の行使に当たる公務員の行為(不作為を含む。)によって国民が被ったとする損害を填補する責任をだれに負わせるのが公平かという見地に立って総合判断した上で決すべきものである。したがって,違法な行政処分を理由とする国家賠償請求における違法性の存否も,当該行政処分に係る法的要件の存否に限らず,条理を含むそれ以外の諸種の要素をも考慮の対象とした上で,究極的には,公務員が当該行政処分を行ったことによって国民に損害を加えたことが法の許容するところであるかどうか,という見地からする行為規範違反性の判断に帰着すると解される。具体的には,当該行政処分の法的要件が充足されていなかったことのみならず,当該行政処分に係る権限を定めた法令の趣旨,目的やその権限の性質,当該行政処分自体及びそれに至る過程において 行政庁の有する裁量の有無及びその広狭,侵害行為の態様及びその原因,並びに侵害されたとする利益の種類,性質(殊に,被侵害者において当該不利益を回避することができたであろう可能性の高低)及びその侵害の程度等に照らし,当該行政処分を行う公務員が,それによって損害を受けたと主張する個別の国民との関係で,当該行政処分を行ってはならないとい 益を回避することができたであろう可能性の高低)及びその侵害の程度等に照らし,当該行政処分を行う公務員が,それによって損害を受けたと主張する個別の国民との関係で,当該行政処分を行ってはならないという職務上の注意義務を負っていたにもかかわらず,その義務に違反して当該行政処分を行ったと評価することができる場合に,初めて当該行政処分の国賠法上の違法性が肯定できるというべきである。 (2)更新登録の国賠法上の位置付け本件において,原告らは,平成9年当時,大和都市管財は,抵当証券業規制法6条1項7号所定の財産的基礎及び人的構成を欠き,かつ,本件貸借対照表等に虚偽の記載をしていたから,近畿財務局長は同社の申請に係る更新登録を拒否しなければならなかったにもかかわらず,違法に本件更新登録を行った旨主張している。しかるところ,抵当証券業規制法は,抵当証券業は大蔵大臣の登録を受けた法人でなければ営んではならないとする(3条)一方で,同条の登録を受けようとする者が登録申請書等を大蔵大臣から委任を受けた財務局長等に提出(4条)した場合においては,財務局長等は,同法6条1項柱書及び各号の規定による登録拒否事由があると認められるのであれば当該申請者の登録を拒否しなければならないが,そうでない限り当該登録申請者を抵当証券業者登録簿に登録しなければならないとしており(5条1項),これらの規定は,更新登録にも準用されている(8条2項)。同法の上記のような定めに照らせば,財務局長等による更新登録及びその拒否は,当該抵当証券業者が引き続き適法に抵当証券業を営むことができるか否かを決することになるから,これらが行政処分に当たることは明らかであり,この処分を通じて,財務局長等は,抵当証券業者及び抵当証券業の登録申請者に対し,抵当証券業への参入の許否を決する規制権限を行使 かを決することになるから,これらが行政処分に当たることは明らかであり,この処分を通じて,財務局長等は,抵当証券業者及び抵当証券業の登録申請者に対し,抵当証券業への参入の許否を決する規制権限を行使しているもので ある。そして,更新登録及びその拒否は,いずれも抵当証券業者の更新登録申請に対する応答としてされるものであり,財務局長等は当該申請に対して更新登録をするかこれを拒否するかを選択した上でいずれかの処分をするほかないのであるから,両者は表裏一体の関係にあるが,更新登録を行うという財務局長等の判断は,当該登録申請者には更新登録拒否事由がないとの判断を当然に包含するのであって,抵当証券業への参入を拒否する方向での規制権限を行使しないという実質を有するものであるから,これを財務局長等の作為(更新登録)と捉えるにせよ不作為(更新登録拒否の拒絶)と捉えるにせよ,抵当証券業への参入に対する規制権限の不行使という性格を有することは否定することができない。しかるところ,国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となるものと解される(最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成元年(オ)第1260号同7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁,最高裁平成13年(オ)第1194号,第1196号,同年(受)第1172号,第1174号同16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁参照)。したがって,更新登録に係る財務局長等 頁,最高裁平成13年(オ)第1194号,第1196号,同年(受)第1172号,第1174号同16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁参照)。したがって,更新登録に係る財務局長等の規制権限の不行使についても,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使(更新登録を行うこと)が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更新登録をしたものとして,これにより被害を受けた者との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となると解すべきである。そこで,以下において,本件更新登録が上記のような意味 における国賠法上の違法性を備えているか否かを具体的にいかなる枠組みで判断すべきか検討することとする。 (3)本件更新登録に係る近畿財務局長の職務上の注意義務違反の判断基準ア抵当証券業規制法の趣旨及び目的並びに更新登録の性質前記のとおり,抵当証券業規制法は,抵当証券業を営む者について登録制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営を確保し,もって抵当証券の購入者の保護を図ることを目的とし(1条),悪質業者や抵当証券業務を適確に遂行する能力を有していない業者の参入を規制するために登録制度を設けている(第2章)。そして,(更新)登録拒否事由は6条1項各号に列挙されているところ,いずれも原則として登録申請書及び添付書類のみから客観的に判断し得る事由であるから,これらは,財務局長等による参入規制権限の行使に対する抵当証券業者や抵当証券業を営もうとする者の予測可能性を担保しつつ,悪質業者や財務基盤等の十分ではない企業の抵当証券業への参入を可及的に排除しようとする趣旨のものと解される。 規制権限の行使に対する抵当証券業者や抵当証券業を営もうとする者の予測可能性を担保しつつ,悪質業者や財務基盤等の十分ではない企業の抵当証券業への参入を可及的に排除しようとする趣旨のものと解される。殊に,同法が定める監督権限は,既に登録されている抵当証券業者のみを対象としていることが規定上明らかである点に照らすと,財務局長等が最初に申請者の登録を認めるか否かを判断するに当たっては,当該申請者の登録申請書及び添付書類のみをその資料とせざるを得ないことが明らかである。以上に加えて抵当証券業の規制等に関する法律案の国会における審議経過を併せ考えると,前記のとおり,抵当証券業規制法は,モーゲージ証書を用いた販売方式を含む抵当証券の販売業(抵当証券業)が営業の自由の保障の下にあることを前提に,抵当証券業者の営業の自由を可能な限り尊重し,制度の効率性を維持しつつ,その業務の適正な運営を確保し,もって抵当証券の購入者の保護を図るという立法目的を達成するために必要最小限の規制を行う趣旨から,開業規制として登録制を採用したものであると解される。そして,同法6条 1項7号の登録拒否事由(抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人)は,抵当証券業者が抵当証券を投資家に販売する際に多くの場合保証をしている実情にかんがみ,抵当証券の購入者の保護の観点から,抵当証券業者の財産的及び人的基盤を確保する趣旨に出たものであり,当該事由の該当性の有無については,会計学上の概念である資本欠損の有無等という客観的,外形的な基準によりみていくことを予定しているものと解される。 また,同法は,登録を受けた抵当証券業者に対し,一定の類型の行為を禁止するとともに,抵当証券業者の情報開示を行わせるべく行為規制を定め(第3章),上記のような開業規制・ 予定しているものと解される。 また,同法は,登録を受けた抵当証券業者に対し,一定の類型の行為を禁止するとともに,抵当証券業者の情報開示を行わせるべく行為規制を定め(第3章),上記のような開業規制・行為規制を実効あるものとするために財務局長等に対して立入検査,業務改善命令,業務停止命令及び登録取消し等の権限を付与し(第4章),これらの規制権限をさらに罰則によって担保している(第8章)。しかるところ,同法第3章が定める行為規制は,登録制度の潜脱を防止するためのものとみられる規定(12条(標識の表示),13条(名義貸しの禁止)),カラ売りや二重売り等,同法施行前に典型的にみられ,同法制定の契機となった詐欺的商法を直接防止するための規定(18条(抵当証券の保管の禁止等))のほかは,抵当証券を購入し,又は購入しようとする者に対する情報開示のための規定(15条(契約締結前の書面の交付),16条(契約締結時の書面の交付),17条(書類の閲覧))及び抵当証券を購入し,又は解除しようとする者が瑕疵のない意思に基づいてこれを行うことを確保するための規定(14条(広告の規制),19条(禁止行為))で占められている。これらの規定内容等に加え,既に摘示したとおり,同法の制定に向けた議論の中で購入者の自己責任を問う前提として情報開示に関する規定を整備すべきである旨の見解が主流となっていたことも併せ考えると,同法が定める抵当証券業者に対する行為規制は,抵当証券業者から交付されるモーゲージ証書 に法務局から発行された抵当証券の裏付けが存在することを最低限確保し,実効ある登録制度によって問題のある業者を可及的に排除した上で,個々の顧客が抵当証券を購入するか否かを自己の自由な判断と責任において決する機会を保障することを通じてこれを保護することを目指したものであ 効ある登録制度によって問題のある業者を可及的に排除した上で,個々の顧客が抵当証券を購入するか否かを自己の自由な判断と責任において決する機会を保障することを通じてこれを保護することを目指したものであって,金融商品としての抵当証券が本来的に内包するリスクを財務局長等による行為規制を通じて減少させることをその直接の目的としているとまでは解し難い。また,同法第4章が定める監督権限は,財務局長等が,抵当証券業者の業務に関する資料を収集し(20条(業務に関する帳簿書類),21条(事業報告書の提出),22条(立入検査等)),抵当証券業者の更新登録申請書及びその添付書類がある場合にはこれも参考にしつつ,更に可能であれば任意に当該業者から資料の提出を受けた上で,当該抵当証券業者が①事後的に6条1項各号に列記された登録拒否事由の一部,すなわち,資本若しくは出資の額が1億円を下回るとき(2号),他の抵当証券業者と誤認されるおそれのある商号若しくは名称等を用いようとしているとき(3号),抵当証券業規制法若しくは出資法により罰金の刑に処せられたとき(5号)若しくは役員や重要な使用人のうちに破産者で復権を得ないもの,禁錮以上の刑に処せられた者その他一定の要件に該当する者がいるとき(6号),に該当することとなったとき,②不正の手段により登録若しくは登録更新を受けたとき,又は③抵当証券業規制法若しくは同法に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反したときは,登録取消し又は6月以内の業務停止を命ずることができるとしている(24条1項)。他方,同法は,6条1項7号の登録拒否事由(抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人)について,24条1項の登録の取消し又は業務の全部若しくは一部停止の要件として規定していない。その趣旨について 登録拒否事由(抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人)について,24条1項の登録の取消し又は業務の全部若しくは一部停止の要件として規定していない。その趣旨については,抵当証券業者の財務内容や人的構成は業務の遂行過程で常時変動し得るものであることにかんがみ, 行政側の事務負担や確認を受ける事業者の立場等をもしんしゃくして,登録の有効期間を通じて抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成が確保されていることまで要求せず,原則として更新の登録の際にその具備の有無を審査すれば足りるものとし,ただ,登録の有効期間中であっても,財産的基礎又は人的構成を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っていると認められるときは,23条の規定に基づく業務改善命令をすることができるものとし,もって抵当証券の購入者の保護を図ろうとしたものであると解される(実質的にみても,財産的基礎や人的構成が欠けたときに直ちに業務停止等の措置を講じるべきこととすれば,当該業者がその時点で破綻することにより,それまでに当該業者から抵当証券を購入した者の利益をかえって害することになりかねない。)。 このような抵当証券業規制法による規制の仕組みに照らすと,同法の定める登録制度は,その目的は抵当証券の購入者の保護にあるものの,そのために抵当証券業者や抵当証券業を営もうとする者の営業の自由を過度に犠牲にすることまでは志向していないものと解されるから,登録主体である財務局長等が,抵当証券の購入者に対し,当該抵当証券を販売すべき抵当証券業者の財務基盤や企業としての誠実性・廉潔性につき,その欠如が外形的に明らかでない場合にまでその存在を一般的に保証するとの趣旨は有していないものと解される。そして,抵当証券業者の財産的基礎及び人的 業者の財務基盤や企業としての誠実性・廉潔性につき,その欠如が外形的に明らかでない場合にまでその存在を一般的に保証するとの趣旨は有していないものと解される。そして,抵当証券業者の財産的基礎及び人的構成については,同法は,抵当証券業者が抵当証券を投資家に販売する際に多くの場合保証をしている実情にかんがみ,抵当証券業者の財産的及び人的基盤を確保することによって抵当証券の購入者の保護を図る趣旨から,その欠缺を抵当証券業の登録及び更新登録の拒否事由として規定しているものの,その該当性の有無については会計学上の概念である資本欠損の有無等という客観的,外形的な基準によりみていくことを予定している上,登録の有効期間中を通じて抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産 的基礎及び人的構成が確保されていることまで要求せず,ただ,登録の有効期間中であっても,財産的基礎又は人的構成を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っていると認められるときは,購入者の保護のため必要な限度において監督処分としての業務改善命令をすることができるものとするにとどめていることが明らかであり,財務局長等がその指導,監督等により抵当証券業者についてその抵当証券業を営んでいる全期間を通じて抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成の確保を図っていくことは,同法のおよそ想定するところではないというべきである。 イ更新登録自体及びそれに至る過程において近畿財務局長の有する裁量の有無及びその広狭前記のとおり,抵当証券業規制法8条1項,6条1項が定める更新登録拒否事由は,いずれも客観的かつ外形的な基準によって判定することが可能である。しかしながら,基準自体がいかに明確であっても,これに当てはめるべき事実の認定が常に容易であるとは限らず,例えば,財産的基礎の 由は,いずれも客観的かつ外形的な基準によって判定することが可能である。しかしながら,基準自体がいかに明確であっても,これに当てはめるべき事実の認定が常に容易であるとは限らず,例えば,財産的基礎の要件の判断については,これを基本事項通達の定めるように会計学上の概念である資本欠損の有無でみるとしても,資産の合計額から負債の合計額を控除して純資産額を算出する過程において必然的に会計学的な判断が必要となることに照らし,その認定(後記のように「公正ナル会計慣行」に照らして判断すべきであるが,その内容は必ずしも一義的に明確ではない。),並びにその認定に当たって必要とされる資料の範囲の確定及びその調査方法については財務局長等の専門技術的判断に基づく合理的裁量にゆだねざるを得ないものと考えられる(もっとも,基本事項通達は,財産的基礎を具備しているとは,当該業者が「貸借対照表において」資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額以上であることを指すとしており,これが常に登録申請者の提出する貸借対照表上の計算で足りると いう趣旨であればその内容は常に一義的に明確であることになるが,被告も財務局長等が立入検査等により別途把握した事実をもって更新登録申請者から提出された貸借対照表の記載を否認する可能性を認めており,後述のとおり,被告の上記解釈はこの限度で正当と認められる。)。現に,抵当証券業規制法は,抵当証券業者に対し,その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ,又は当該職員に,抵当証券業者の営業所若しくは事務所に立ち入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる(22条1項)とするものの,その具体的な方法については同法はもとより法施行令・法施行規則にも規定がない くは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる(22条1項)とするものの,その具体的な方法については同法はもとより法施行令・法施行規則にも規定がないし,財務局長等がこれとは別に,任意に上記規定の対象とならない資料の提出を受けることも当然適法と解される。また,財務局長等による監督権限の行使は,その対象となる抵当証券業者にとっては不利益処分となり得る上,その内容によっては既存の一般取引者の利害にも必然的に影響を与えるから,行政法の一般原則に従い,必要かつ合理的と認められる限度で行使される必要があり,その適合性についての判断も,第一次的には財務局長等によって行われる必要がある。加えて,証拠(乙142ないし145,証人Y26,同Y28,同Y17,同Y14,同Y4)によれば,近畿財務局において,平成9年ころ,大和都市管財を含む管轄下の抵当証券業者に対する日常的な監督業務を担当していた金融第3課では,課長,上席調査官,担当調査官及び課員の4名が,他のいわゆるノンバンク等の監督と掛け持ちでその任に当たっており,同課を大蔵本省において指導していた本省金融会社室では,主に,抵当証券業を担当する係長と自治省からの出向者である課長補佐の2名が,必要に応じて上司に相談・報告しつつ,近畿財務局に対して主に法的な観点から助言を与えたり,時に個別の指示を出すなどの体制で臨んでいたものと認められるところ,そのような限られた人的体制をその所管事務の一 つにすぎない大和都市管財の監督のみに当てることは到底不可能であるから,同社に対する監督権限行使の適切性は,このような人的・物的制約という文脈の中で検討される必要があるというべきである。 したがって,登録拒否事由については,その要件を具備しているか否かに係る財務局長 ,同社に対する監督権限行使の適切性は,このような人的・物的制約という文脈の中で検討される必要があるというべきである。 したがって,登録拒否事由については,その要件を具備しているか否かに係る財務局長等の判断それ自体について裁量が認められる余地はほとんどないといえるものの,更新登録時までに財務局長等がその認定の用に供するために収集した資料の範囲や資料の収集方法が相当であったか否かについては,裁判所は,財務局長等がその選択や時期等について専門技術的判断に基づく裁量権を有することを前提に,監督対象である抵当証券業者の正当な利益をも考慮に入れ,かつ,財務局長等による監督権限の行使に人的・物的制約等が伴うことをも念頭に置いて判断することが必要というべきである。 ウ侵害行為の態様及びその原因本件更新登録は,更新登録申請者である大和都市管財に対してされたものであるが,原告らは,それによって同社が抵当証券業を登録業者として適法に業務を継続することを許されたために,同社から抵当証券を購入したところ,同社がその後に破綻した結果,購入額相当の損害等を被った旨主張している。このように,原告らが主張する近畿財務局長による侵害行為とは,大和都市管財による抵当証券の販売行為を介していわば間接的に財産的損害を発生させたというものであって,原告らの主張によっても,原告らに財産的損害をもたらした第一次的な責任が大和都市管財にあることは明らかであり,このような財産的損害は,現行法秩序の下においては,債務不履行,不法行為などといった民事的方法により填補されるべきことが予定されているものというべきである。このことに加えて,既に説示した抵当証券業者の財産的基礎及び人的構成に係る抵当証券業規制法の規制の趣旨,内容,性質をも併せ考えると,近畿財務局長は,購入者の利益を いるものというべきである。このことに加えて,既に説示した抵当証券業者の財産的基礎及び人的構成に係る抵当証券業規制法の規制の趣旨,内容,性質をも併せ考えると,近畿財務局長は,購入者の利益を 保護する目的を有する同法の下で与えられた監督権限や登録制度等の適正な運用を通じ,大和都市管財から抵当証券を購入する者が負担するリスクを同法の許容する範囲内にとどめるように努力すべき責務を有していたと解されるものの,上記のような責務を果たすに際して近畿財務局長が大和都市管財から抵当証券を購入する個々の国民との関係において負っていた職務上の注意義務の程度を高度なものと観念することができないのは明らかというべきである。 しかしながら,仮に,当該抵当証券業者が架空融資に係る抵当証券の発行を繰り返した上,後の抵当証券の販売代金でもってそれに先行する抵当証券の利息ないし償還金の支払を行うなどの詐欺的商法を組織的かつ継続的に行っている場合など,近い将来においてそうした商法が行き詰まって破綻する危険性が切迫しているような場合には,今後当該業者から抵当証券を購入する者は中途解約等によってその危険性を回避する間もなく損害を被る可能性が非常に高く,その保護を図る必要性が飛躍的に高まるということができるから,財務局長等において上記のような具体的危険性を示す有力な徴表の存在を把握し,又は把握し得たような場合には,財務局長等に更新登録に係る規制権限を付与した抵当証券業規制法の趣旨,目的に照らしても,財務局長等には,更新登録後に抵当証券を購入すべき個々の国民との関係において,更新登録申請の適否を所与の人的,物的制約の下において同法によって与えられた権限を適切に行使して審査し,その結果として当該業者に更新登録拒否事由を認定することができる場合には,当該業者の更新登録を拒 新登録申請の適否を所与の人的,物的制約の下において同法によって与えられた権限を適切に行使して審査し,その結果として当該業者に更新登録拒否事由を認定することができる場合には,当該業者の更新登録を拒否すべき職務上の注意義務が発生するというべきである。 エ原告らが侵害されたとする利益の種類,性質(殊に,原告らにおいて当該不利益を回避することができたであろう可能性の高低)及びその侵害の程度 原告らは,本訴において,主に平成10年以降に大和都市管財から購入した抵当証券の購入相当額を損害として主張しているところ,これが財産的利益に対する侵害であることは明らかである(原告らは,上記購入相当額に加えて慰謝料各10万円をも請求しているが,原告らが受けたとする精神的苦痛は,被告の大和都市管財に対する監督が不十分であったために証券被害にあったことに起因するものと解されるから,少なくとも財産的利益に密接に関連するものと評価することができる。)。そして,本件のように行政庁の権限の行使ないし不行使が問題となる場合において,一般的には,行政庁の権限行使(又はその不行使)によって被った損害が財産的利益に対するものであれば,生命や健康といった利益と異なり,その利益の帰属主体が十分な注意を払うことによってその危険の発現を防止し得る余地が大きいものと解され,これを行う第一次的な責任はその帰属主体が負担するものというべきであるから,財産的利益の帰属主体が有する行政庁に対する適切な権限行使への期待については,それが正当なものといえるか否かを慎重に検討することが必要となるというべきである。 もっとも,抵当証券業規制法は,抵当証券業者が破綻した場合には,その債権の元本及び利息の弁済の受領を抵当証券保管機構に行わせることによって抵当証券購入者を事務的負担から解放しよう というべきである。 もっとも,抵当証券業規制法は,抵当証券業者が破綻した場合には,その債権の元本及び利息の弁済の受領を抵当証券保管機構に行わせることによって抵当証券購入者を事務的負担から解放しようとしている(28条1項2号)ものの,その他に購入者を保護するための基金等の制度は何ら設けていない上,抵当証券は預金保険制度の対象とならないことはもとより,証券取引法に定める有価証券にも当たらないことから,投資者保護基金の支払対象ともならない。また,抵当証券が表章する抵当権の担保としての安全性の確保は,事実上抵当証券発行時において法務局に提出される不動産鑑定士による鑑定評価書に依存しており(抵当証券法施行細則21条の2),抵当目的物の担保価値をその後に再審査することにつき,抵当証券法にも抵当証券業規制法にも特段の規定はない。加えて,同法が「顧客」 と「購入者」とを書き分けていることから推して,同法17条,平成10年大蔵省令第89号による改正前の法施行規則14条1項によって事業報告書の閲覧の機会を与えられている「顧客」には抵当証券をこれから購入しようとする者も含まれることが明らかであるが,同法17条に規定する「販売を行った抵当証券に関する書類」とは,法施行規則14条2項によって「当該販売を行った抵当証券の写し」とされているところ,両規定に共通の「販売を行った」との文言(証拠(乙10)によれば,基本事項通達第2,3.(3)は,「販売を行った」時期は,抵当証券の販売に係る購入者が受け取る初回の利息の計算の始期をいうものとして取り扱う,としていることが認められる。)に加え,抵当証券の券面に記載された前記各事項には債務者等のプライバシーに関わるものがあること(既に説示したように,抵当証券法の施行後も抵当証券が長期にわたりほとんど流通しなかった が認められる。)に加え,抵当証券の券面に記載された前記各事項には債務者等のプライバシーに関わるものがあること(既に説示したように,抵当証券法の施行後も抵当証券が長期にわたりほとんど流通しなかったことの一因は,債務者のプライバシーに対する懸念にあったのである。)からみて,これを閲覧することができるのは購入者に限られているものと解されるから,抵当証券が表章する抵当権付き債権の債務者や抵当目的物については,その購入に先立って知る機会は制度的に保障されていないものと解するほかはない(甲41,195の7)。また,抵当証券の購入者が,抵当証券(原券)の写しをその購入後に実際に閲覧したとしても,それによって判明するのは債務者の住所及び氏名,抵当目的物の所在等にすぎず,これらの記載のみから,小口の債権者を含む個々の購入者が実際に被担保債権の収益性や回収可能性を確認するよう期待することは,その手間や費用の点で非現実的というべきである。よって,抵当証券購入者は,その償還財源としては,いずれもその購入前には知る機会が制度上与えられておらず,購入後も抵当証券の券面の記載を通じてこれを推知する手掛かりが与えられるにすぎない①抵当証券が表章する債権に係る債務者の資力及び②抵当証券が表章する抵当権の現時点における価値のほ かは,③抵当証券の裏書人として担保責任を負う抵当証券業者の資力を専らあてにするほかはなく,そのようなリスクを取る反面として比較的高利の利息を享受することができるというのが,抵当証券業規制法の予定するリスクとリターンのバランスということができる。そうであるとすれば,抵当証券を購入しようとする者は,一般的に,抵当証券業者が特約付き融資を審査する十分な能力を持っており,万一融資先による債務不履行が生じ,抵当権の目的物にも担保割れが発生 きる。そうであるとすれば,抵当証券を購入しようとする者は,一般的に,抵当証券業者が特約付き融資を審査する十分な能力を持っており,万一融資先による債務不履行が生じ,抵当権の目的物にも担保割れが発生した場合であっても,当該抵当証券業者が元利金の支払を保証すると約束していることに対する高い期待を有しているものと推認することができる。また,抵当証券業規制法も,広告の規制(14条)を通じて抵当証券業者の資力及び信用に関する事項,抵当証券に記載された債権の元本及び利息の支払の確実性又は保証に関する事項,抵当証券業者に対する推薦に関する事項等について,著しく事実に相違する表示をし,又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならないとすることにより,一般公衆が抵当証券の安全性について誤った期待を持つ可能性は排除しつつ,抵当証券の表章する抵当権付き債権自体の確実性については,債務者や抵当権設定者のプライバシーに配慮し,ひいては抵当証券業者の営業の自由を過度に阻害しないようにするため,その開示について慎重な姿勢をとる一方,抵当証券業者の資力や信用性については,登録制度に加えて情報開示の体制を整えることで,抵当証券の購入予定者が抵当証券業者の資力や能力に対して有する前記のような強い期待を前提にして,これに可及的に法的な裏付けを与えようとしているものと解される。 加えて,モーゲージ証書の形式による抵当証券の販売を行っていた抵当証券業者の大部分(大和都市管財を含む。)は,その購入者に対して元利金の支払を保証しており(証拠(甲39,47,205)によれば,抵当証券業協会は,抵当証券業者による元本保証及びその旨の表示が許容され ることは抵当証券業者の営業政策上非常に重要であると認識していたこと,同協会が定めた標準的販売約款7条にも元利金保証の条項がある 業協会は,抵当証券業者による元本保証及びその旨の表示が許容され ることは抵当証券業者の営業政策上非常に重要であると認識していたこと,同協会が定めた標準的販売約款7条にも元利金保証の条項があることが認められる。),また多くの場合は中途解約にも応じていたのであって(前掲標準的販売約款13条にもその旨の規定がある。),顧客にとっては抵当証券の債務者の信用や抵当不動産の担保価値と並んで,又はそれ以上に抵当証券業者自身の財産的信用や融資審査能力が重視されていると解すべきである。 そうすると,抵当証券業規制法の定める購入者保護制度の中でも,顧客に対して事業報告書(その様式は法施行規則別紙様式第10号のとおりであり,①業務開始年月日,②当期の業務概要,③株主総会等の決議事項の要旨,④役員及び使用人の状況,⑤営業所又は事務所の状況,⑥抵当証券業の現況,⑦貸借対照表,⑧損益計算書,⑨利益金処分及び⑩損失金処理の各事項について各期ごとに記載すべきものと定められている。)の閲覧の機会を保障する仕組み(同法17条,平成10年大蔵省令第89号による改正前の法施行規則14条1項)は重要な地位を占めるものというべく,この保障が不十分である場合には,同法が購入者の自己責任を問う前提として整備している情報開示制度の根幹が揺らぐことになるというべきである。なぜなら,仮に抵当証券業者が備え置いている事業報告書の内容に,当該業者の財産的基礎や人的構成等をその実体以上に良く見せるような記載がされていた場合,当該事業報告書を事前に閲覧した上で抵当証券の購入を決断した慎重な顧客が,そうでない顧客よりも将来において財産を失う危険をより大きく負いかねないという背理を生じ,これは,同法が許容する以上のリスクを顧客の側に負担させるとともに,同法が予定するリ を決断した慎重な顧客が,そうでない顧客よりも将来において財産を失う危険をより大きく負いかねないという背理を生じ,これは,同法が許容する以上のリスクを顧客の側に負担させるとともに,同法が予定するリスクとリターンのバランスを破綻させるというべきだからである。もとより,財務局長等は,登録業者の財務基盤等を顧客に対して一般的に保証する立場にないのと同じく,その事業報告書の正確性 についても保証するものではないし,通常はその内容に不備がないものと解してよいものと思われるから,抵当証券業者に不正確な事業報告書を備え付けさせていたことのみをもって直ちにその職務上の注意義務違反を認めることができないのは明らかである。しかしながら,事業報告書の閲覧の機会の保障が購入者保護制度に占める重要性に照らすと,事業報告書に上記のような虚偽記載等が含まれていた場合には,顧客に自己責任を問うために抵当証券業規制法が予定している制度的前提は既に崩れているのであるから,当該抵当証券業者から抵当証券を購入し,その後に当該抵当証券業者が破綻したことによって損害を被った個々の購入者は,当該抵当証券業者の事業報告書を現実に閲覧したか否かにかかわらず,具体的事情の下ではなお救済の対象となり得るものと解される。実質的にみても,顧客が,自分より専門的知識があると目される他の顧客による商品購入行動に触発されて同様の商品を購入することはしばしば経験されるのであって(甲215参照),抵当証券についても,そうした購入行動の連鎖を通じて当該抵当証券業者の信用が形成されていくものと解されることにかんがみれば,個々の購入者が抵当証券の購入に先立って事業報告書を現実には閲覧していなかったとしても,それをもってその購入と事業報告書上の記載との因果関係が直ちに切断されると解することはできない にかんがみれば,個々の購入者が抵当証券の購入に先立って事業報告書を現実には閲覧していなかったとしても,それをもってその購入と事業報告書上の記載との因果関係が直ちに切断されると解することはできない。 したがって,抵当証券業規制法の下では,抵当証券を購入し,又は購入しようとした者に対し,同法が予定している情報開示がされている場合には,抵当証券の自由金利による利得と,抵当証券業者がその後に破綻することによって損失が生じる可能性とを勘案する機会を与えられた上で当該抵当証券を購入するか否かの判断を行った顧客自身が,その最終的な結果に対して責任を負うべきであるということができるが,情報開示の程度が同法が予定する水準にまで達しておらず,上記のような判断を顧客に求めるための制度的前提が欠けていると解される場合には,単に当該顧客の受 けた被害が財産的損害にとどまることのみをもってしては,財務局長等はその権限行使の結果につき責任を免れるものではないと解すべきである。 殊に,証拠(乙22)によれば,遅くとも平成9年10月の段階で,近畿財務局においても,抵当証券業規制法の下において,債務者及び担保について抵当証券の購入前に情報開示が保証されていないことが,クーリングオフ制度が存在しないことや,債務者の経営が悪化し又は担保割れが生じている抵当証券が販売されていることと並んで制度上の問題として意識されていたことが認められ,近畿財務局のこうした認識を背景とすれば,少なくとも,抵当証券の潜在的な購入者を同法が制度的に許容している範囲を超えるリスクにさらすことに対しては,近畿財務局長は,その監督権限を適時かつ適切に行使することが期待されていたというべきである。 オ小括以上によれば,財務局長等は,更新登録の可否を決するに当たっては,原則として更新登録申請書及 は,近畿財務局長は,その監督権限を適時かつ適切に行使することが期待されていたというべきである。 オ小括以上によれば,財務局長等は,更新登録の可否を決するに当たっては,原則として更新登録申請書及びその添付書類の記載に照らして登録拒否事由の有無を判断すれば,結果的にその判断が誤っていたとしても,直ちに個々の抵当証券購入者との関係で職務上の注意義務違反に問われることはないというべきである。しかしながら,財務局長等が慎重な審査を怠って安易に更新登録を行い,それが更新登録に係る財務局長等の権限を定めた抵当証券業規制法の趣旨,目的や当該権限の性質等に照らし,具体的事情の下で許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと判断される場合には,当該更新登録は財務局長等の職務上の注意義務違反の結果と捉えられるから,これによって抵当証券業の継続を認められた抵当証券業者から抵当証券を購入した者が,後に当該抵当証券業者に係る登録拒否事由が顕在化したことによって損害を被ったときは,財務局長等の帰属主体である被告は,当該損害を賠償すべき国賠法上の義務を負うものと解すべきである。 そして,財務局長等による当該更新登録が著しく合理性を欠くといえる場 合とは,例えば,①当該抵当証券業者が破綻する危険性が切迫していることを示す具体的な徴表を財務局長等において把握し,②当該抵当証券業者が提出していた事業報告書の内容も真実と異なるために潜在的購入者においてその危険性を認識することができる現実的可能性がなく,③抵当証券業規制法において与えられた権限をその人的物的制約の下で適切に行使すれば更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたにもかかわらず,④財務局長等が当該事由の存在を看過して漫然と更新登録を行ったような場合をいうものと解すべきである。 (4)被 適切に行使すれば更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたにもかかわらず,④財務局長等が当該事由の存在を看過して漫然と更新登録を行ったような場合をいうものと解すべきである。 (4)被告の主張についてこれに対し,被告は,抵当証券業規制法は,免許制が採用されている銀行等に対するものと比較すると,抵当証券業者の営業の自由を可及的に尊重するため,登録制を始めとする必要最小限の規制しか認めておらず,その目的もあくまで抵当証券業者の業務の適正な運営を確保することにあるのであって,登録を受けた抵当証券業者の不正な行為により個々の抵当証券購入者が被る具体的な損害の防止,救済を図ることを制度の直接的な目的とするものではない旨主張する。 しかしながら,仮に被告の前記主張が,抵当証券業規制法上,個々の抵当証券購入者の利益は抵当証券業者の業務の適正な運営が確保される結果としてもたらされる反射的利益にとどまり,同法により財務局長等に認められた権限の行使ないし不行使については,それら個々の国民に対する関係において職務上の義務違反を問われる余地はないとの趣旨であれば,既に説示したとおり,同法は,抵当証券の購入者の保護を図ることをも目的として明記している上(1条),抵当証券の購入者の保護の観点から,同法6条1項7号の登録拒否事由(抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人)を定めたものと解されるのであって,登録更新に係る財務局長等の規制権限を付与した同法の趣旨及び目的が抵当証券の購入者の 保護を図ることにあることは明らかであり,当該規制権限の行使によって保護される抵当証券の購入者の利益が被告の主張するような反射的利益にとどまるものでないことはいうまでもないから,被告の上記主張は,その前提において失当というほかない。 り,当該規制権限の行使によって保護される抵当証券の購入者の利益が被告の主張するような反射的利益にとどまるものでないことはいうまでもないから,被告の上記主張は,その前提において失当というほかない。 もっとも,前記のとおり,抵当証券業規制法は,モーゲージ証書を用いた販売方式を含む抵当証券の販売業(抵当証券業)が営業の自由の保障の下にあることを前提に,抵当証券業者の営業の自由を可能な限り尊重し,制度の効率性を維持しつつ,その業務の適正な運営を確保し,もって抵当証券の購入者の保護を図るという立法目的を達成するために必要最小限の規制を行う趣旨から,開業規制として登録制を採用したものであり,同法6条1項7号の登録拒否事由についても,その該当性の有無を会計学上の概念である資本欠損の有無等という客観的,外形的な基準によりみていくことを予定しているものと解されるのであって,同法の定める規制権限が,銀行経営の健全性及び適切性を確保する見地から,大蔵大臣に対して銀行経営に対する広範な監督・規制権限を認め,取締役の兼職制限(24条1項),取締役又は監査役の解任権限(27条)等まで定める平成10年法律第131号による改正前の銀行法等におけるよりも限定的であることは被告の主張するとおりである。そして,このような規制権限の内容及び性質等からすれば,抵当証券業規制法は,更新登録に係る規制権限の行使によって保護される抵当証券の購入者の利益については,これを当該抵当証券業者から抵当証券を購入し又は購入するであろう者個々人の個別具体的利益として保護しているものと解するのは困難であり,これを専ら一般的公益の中に吸収解消させて保護する趣旨のものであると解するのが素直である。 しかしながら,前記のとおり,国賠法の定める損害賠償制度は,公権力の行使に当たる公務員の行為によって であり,これを専ら一般的公益の中に吸収解消させて保護する趣旨のものであると解するのが素直である。 しかしながら,前記のとおり,国賠法の定める損害賠償制度は,公権力の行使に当たる公務員の行為によって国民が被った損害の公平な分担という理念に立脚する制度として規定されているのであって,当該公務員の行為が法 令に基づく規制権限の不行使である場合において,その権限を定めた法令の趣旨,目的が国民の利益を一般的公益の中に吸収解消させて保護するものにすぎず,また,当該権限の内容,性質が規制の客体の有する営業の自由を可能な限り尊重する観点からの必要最小限度の客観的,外形的な規制にとどまるものであるとしても,具体的事情の下において,当該規制権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められ,その不行使により国民の受けた被害を当該国民のみに負担させるのが損害賠償制度の根幹を成す損害の公平な分担の見地からもはや許容し得ないようなときには,当該規制権限の不作為は,当該損害を受けた者との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となるものと解すべきである。 したがって,被告の前記主張は,採用することができない。 また,被告は,預金等と異なり,抵当証券は特約付き融資先の返済能力に係るリスク,抵当権の目的たる不動産等の価値の下落に係るリスク,一般的に元利金の返済を保証している抵当証券業者の支払能力に係るリスクを有し,元本保証された安全なものとの国民的なコンセンサスがある銀行預金とは異なるのであって,抵当証券業規制法の規制が抵当証券の有するこのようなリスクを織り込んでいると解されることも,個々の抵当証券購入者の具体的な損害の防止が同法の保護法益でないことの根拠として主張する。しかしながら,抵当証券が上記のようなリスクを内包する商品であることを抵当証 を織り込んでいると解されることも,個々の抵当証券購入者の具体的な損害の防止が同法の保護法益でないことの根拠として主張する。しかしながら,抵当証券が上記のようなリスクを内包する商品であることを抵当証券業規制法が当然の前提としているからといって,抵当証券の購入によって個々の国民が損害を被る可能性につき,同法上の権限を行使する公務員の帰属主体である被告が一切関知しないことまでが前提とされているとはいえず,現に,同法は,登録制度や情報開示制度,監督権限等を通じ,主に抵当証券業者に対して規制を及ぼすことで,被告が挙示するリスクのうち抵当証券業者の支払能力に係るものについては,最低資本金に関する規制や,基本事項通達と相まって,(更新)登録時において純資産比率が100パーセントを下 回る抵当証券業者を排除するという限度で制御しようとしているものと解される上,同法が織り込んでいるリスク以上のリスクに顧客がさらされている場合には,同法上の規制権限を有する財務局長等には可能な範囲でその権限を適切に行使することによりその解消を図ることが期待されているというべきである。現に,証拠(乙22,32ないし36,92)によれば,近畿財務局も,抵当証券が本来的に有するリスク以上のリスクを購入者に負わせるのは妥当ではないとの認識を背景として,平成8年から平成9年にかけて,ナイスミドルが那須ゴルフ場を担保にして追加発行を受けた55億円分の抵当証券が,法務鑑定委員会の評価によりその発行時から担保不足となることが判明したことを理由に,当該抵当証券の販売自粛を求める行政指導を大和都市管財に対して繰り返し行っていたことが認められるところである。 もっとも,抵当証券の内包するリスクが当該抵当証券を販売する抵当証券業者の詐欺的商法に起因するものである場合など同法が織り込んでい 和都市管財に対して繰り返し行っていたことが認められるところである。 もっとも,抵当証券の内包するリスクが当該抵当証券を販売する抵当証券業者の詐欺的商法に起因するものである場合など同法が織り込んでいるリスクを超えたリスクに顧客がさらされ,当該リスクが顕在化した結果,当該抵当証券の購入者が損害を被ったような場合であっても,前記のとおり,このような損害は,現行法秩序の下においては,本来的に債務不履行,不法行為などといった民事的方法により填補されるべきことが予定されているものというべきである。 しかしながら,このようなリスクを内包した商品の取引について営業の自由ないし取引の自由を尊重しつつ取引の相手方を一定の限度で当該リスクから保護することを目的として公権力に対し規制権限を付与することも,もとより憲法の許容するところであって,法令によりこのような規制の仕組みが設けられた以上は,当該規制権限の行使の任に当たる公務員は,当該権限を法令の趣旨,目的に照らして適切に行使する責務を負うのであり,公務員による当該規制権限の不行使が,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,許容される限度を逸脱し て著しく合理性を欠くに至った場合には,その不行使により被害を受けた者との関係において,その者の被った損害の全部又は一部を国又は公共団体において填補する責めに任ずるのが,損害の公平な分担の理念に立脚する国賠法1条1項の趣旨に沿うものというべきである。 以上のとおりであるから,被告の前記主張は,採用することができない。 さらに,被告は,知事による宅建業法の免許の更新等が同法所定の免許基準に適合しない場合であっても,個々の取引関係者に対する関係で直ちに国賠法1条1項にいう違法な行為とはいえない旨判示した最高裁平成元年判 に,被告は,知事による宅建業法の免許の更新等が同法所定の免許基準に適合しない場合であっても,個々の取引関係者に対する関係で直ちに国賠法1条1項にいう違法な行為とはいえない旨判示した最高裁平成元年判決の趣旨は本件にも妥当する旨主張する。しかしながら,前記判決も,宅建業法の免許の更新が一切国賠法上の違法の問題を生じ得ないと断定しているわけではないことはその判示から明らかである上,同判決で問題となった他人物売買によるリスクは不動産登記簿を閲覧することによって顧客の側で比較的容易に回避することができるのに対し,既にみたところから明らかなように,抵当証券の購入者にとって,抵当証券に係るリスクの大小を正確に判断することは,抵当証券業規制法の予定する情報開示制度が正常に機能している場合においてすら相当の困難が伴うこと,宅建業法が免許制を導入した当時においては同法の目的には購入者の利益保護は掲げられておらず,免許制の導入当初の目的は宅地建物の取引の公正を確保することなどにあったとみざるを得ないのに対し,抵当証券業規制法の採用した登録制がその当初から抵当証券の購入者の保護を最終的な目的としていることは疑いようがないことなどに照らすと,本件は,いずれにせよ,最高裁平成元年判決とは事案を異にすると解すべきである。 (5)争点1のまとめ以上によれば,本件更新登録の国賠法上の違法性については,前記で説示した枠組みに照らしてみていく必要があることになるから,以下,争点2ないし4に対する判断において,本件更新登録がその法的要件を充足していた か否かをまず検討することとする。 争点2(本件更新登録時において,大和都市管財には更新登録拒否事由である財産的基礎の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)について(1)財産的基礎の意 ることとする。 争点2(本件更新登録時において,大和都市管財には更新登録拒否事由である財産的基礎の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)について(1)財産的基礎の意義既に説示したように,抵当証券業規制法6条1項7号にいう「財産的基礎」の意義について,基本事項通達は,A.貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額以上であること,又はB.貸借対照表等に記載された売渡抵当証券又はこれに相当する勘定科目の金額の支払を金融機関が保証することを内容とする契約書の写しの提出があることのいずれかの要件を満たすことをいうとしている。そして,抵当証券業の規制等に関する法律案の国会における審議経過及び証拠(乙11)によれば,基本事項通達における上記A.の定めは,割賦販売法における割賦販売業者の拒否要件等として,純資産額が資本又は出資の額の100分の90に相当する額に満たない法人との定めがあるところ,抵当証券業者の場合は割賦販売業者等と異なり,そのほとんどが元利金の支払保証を行っているほか,1年から5年の期間経過後に買戻しを行う約定の下に抵当証券の販売を行っている実態や,それまでに多数の抵当証券購入者が被害に遭ってきた事実にかんがみれば累積欠損の状態を容認することはできないが,他方,不必要な参入制限とならないよう登録制を採用した経緯からは免許制等を採用した他の法制におけるより厳しい基準を設けることには無理があると解されることから,免許制である証券会社において純資産額が資本の額に満たない場合には監督上必要な事項を命ずることができるとされていることを参考に,これと同じく純資産比率100パーセントという基準を採用したものと認められる。そして,抵当証券業規制法が,抵当証券業を営み又は営もうとする者に対して 事項を命ずることができるとされていることを参考に,これと同じく純資産比率100パーセントという基準を採用したものと認められる。そして,抵当証券業規制法が,抵当証券業を営み又は営もうとする者に対して営業の自由をできる限り尊重しつつ,抵当証券の購入者の保護の観点からす る警察目的による必要最小限の規制を行うべきことを勘案して登録制を採用した前述のような趣旨に加え,同法6条1項各号列記事由のうち7号以外に掲げる事由がいずれも形式的判断になじむものばかりであることとの均衡等に照らしても,同法は,6条1項7号の事由についても,会計学上の概念である資本欠損の有無等という客観的,外形的な基準によりみていくことを予定しているものと解され,財産的基礎について上記のような外形的基準によって判断することには一般的な合理性があるというべきである。 そして,争点1に対する判断において説示したとおり,本件更新登録が国賠法上違法であるか否かを検討するには,その前提として,まず本件更新登録が作用法上の根拠を有していたか否かを判断する必要があるが,この判断は,本件更新登録が抵当証券業規制法上の処分要件を満たすか否かを,当時客観的に存在したすべての事情を基礎として行う必要があるというべきである。 なお,証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば,大和都市管財が本件更新登録時において基本事項通達における上記B.の要件を満たしていないことは明らかであるから,以下においては,同社がA.の要件に該当するか否かのみを検討することとする。 (2)平成9年3月末時点における「公正ナル会計慣行」ア総論前記のとおり,本件申請書等の一部である本件貸借対照表は,資産の部の合計額を573億3890万3336円,負債の部の合計額を567億5942万3307円と各記載していた。しかしなが 慣行」ア総論前記のとおり,本件申請書等の一部である本件貸借対照表は,資産の部の合計額を573億3890万3336円,負債の部の合計額を567億5942万3307円と各記載していた。しかしながら,本件において原告らは,大和都市管財の資産の大部分はグループ会社に対する抵当証券発行特約付き債権であって,グループ会社が債務超過の状態にあったことなどに照らすと企業会計原則の上で相当額の貸倒引当金の設定が必要であったにもかかわらず,同社は本件基準によって貸金の帳簿価額の合計額に1 000分の3の法定繰入率を乗じた額のみを貸倒引当金として計上していたものであるところ,本来必要な貸倒引当金設定額を前提に計算すれば,同社は現実には資本欠損の状態にあり,基本事項通達A.の要件を満たしていなかった旨主張している。しかるところ,貸倒引当金については,平成14年法律第44号による改正前の商法が,その285条の4第2項において,金銭債権については取立不能見込額を控除しなければならないと定めるのみで,その具体的な算定方法については明文の規定を置かず,ただ平成17年法律第87号による改正前の同法32条2項(昭和49年法律第21号により新設)において,商業帳簿の作成に関する規定の解釈については「公正ナル会計慣行」をしんしゃくすべき旨定めていた。そして,同項は,公認会計士監査を会計監査人の制度として商法に導入するに当たり,その監査基準が証券取引法と商法とで一致していない場合には,一方において適法であることが他方において違法となるなどの不都合が生じるため,監査基準の準拠となる商業帳簿に関する規定の解釈を両法の間で一致させる必要があるために置かれた規定と解されており,このような趣旨からすれば,「斟酌スヘシ」とは,「公正ナル会計慣行」が存在する場合には,特段 の準拠となる商業帳簿に関する規定の解釈を両法の間で一致させる必要があるために置かれた規定と解されており,このような趣旨からすれば,「斟酌スヘシ」とは,「公正ナル会計慣行」が存在する場合には,特段の事情のない限り,必ずこれに従わなければならないとの意に解すべきである。したがって,本件でも,平成9年3月末当時における大和都市管財の抵当証券発行特約付き債権に係る貸倒引当金の要設定額に関する基準として,何が「公正ナル会計慣行」に当たるのかがまず問題となる。 そこで検討するに,前記のとおり,大和都市管財は株式の譲渡について取締役会の承認を要する,いわゆる閉鎖会社であったが,証拠(乙3の4ないし10)によれば,同社は,平成6年3月期以降継続的にその貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上であったから,平成13年法律第128号による改正前の株式会社の監査等に関する商法 の特例に関する法律2条柱書,2号に基づき会計監査人の監査を受けなければならない立場にあった。そして,平成15年法律第67号による改正前の同法4条1項によれば,上記監査に係る会計監査人は公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならないところ,証拠(乙59)のとおり,公認会計士が公認会計士法に基づいて財務諸表の監査を行う場合においては企業会計原則に従わなければならないとされていることなどに照らすと,同社に適用すべきであった「公正ナル会計慣行」は,一般的には企業会計原則・同注解に準拠したものであることを要したものというべきである(なお,同社が公認会計士による会計監査を受けていなかったことは当事者間に争いがないが,その事実は,同社に本来適用されるべき「公正ナル会計慣行」の内容を左右するものではない。)。 しかるところ,証拠(甲89,乙59ないし6 による会計監査を受けていなかったことは当事者間に争いがないが,その事実は,同社に本来適用されるべき「公正ナル会計慣行」の内容を左右するものではない。)。 しかるところ,証拠(甲89,乙59ないし61,64,65,68ないし71)及び弁論の全趣旨によれば,①平成9年3月末当時における企業会計原則を中心とした「公正ナル会計慣行」の内容,及び②その後の「公正ナル会計慣行」の展開に関し,それぞれ以下の事実が認められる。 イ平成9年3月末当時の「公正ナル会計慣行」企業会計原則の第三「貸借対照表原則」の四(貸借対照表科目の分類),(一)「資産」,Dは,「受取手形,売掛金その他の債権に対する貸倒引当金は,原則として,その債権が属する科目ごとに債権金額又は取得価額から控除する形式で記載する。」とし,同原則・注解18は,「将来の特定の費用又は損失であって,その発生が当期以前の事象に起因し,発生の可能性が高く,かつ,その金額を合理的に見積ることができる場合には,当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ,当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金,売上割戻引当金,返品調整引当金,賞与引当金,工事補償引当金,退職給与引当金,修繕引当金,特別修繕引当金,債務保証損失 引当金,損害補償損失引当金,貸倒引当金等がこれに該当する。発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については,引当金を計上することはできない。」としていた。 そして,5号取扱いは,企業が貸倒引当金を計上していないときは,貸倒見積高がないと明らかに認められる場合を除き除外事項(不適正意見)とする,企業が一定の算定基準を有していない場合,又は不明確な場合には,一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に従って処理され 倒見積高がないと明らかに認められる場合を除き除外事項(不適正意見)とする,企業が一定の算定基準を有していない場合,又は不明確な場合には,一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に従って処理されているとは認められないので除外事項(不適正意見)とする,企業が一定の算定基準を有していたとしても,その基準が合理的かつ客観的でないと認められるとき,又は明らかに不足あるいは超過していると認められるときは,除外事項(不適正意見)とする,ただし,企業が貸倒見積高の算定基準として税法基準を採用しているときは,これによって計上した貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合を除いては除外事項(不適正意見)としないことができるとしていた。また,5号取扱いの解説は,貸倒見積高算出の方法として示されているところは単なる例示にすぎず,このいずれかによるべきものであることを要求しているものではなく,重要なのは,期末における債権に対する将来の貸倒見積額をいかに適正に算出するかの点であり,種々の方法が考えられるところ,税法基準を採用している場合にはこれを継続して適用すべきとの要請は,我が国の会計慣行とりわけ税法基準を多くの企業が採用しているという実情を踏まえたものであり,一般的にいえば貸倒見積高算定の基準として税法基準を採用している場合には,この基準によって算出した金額は適正な見積高を超過する傾向にあるが,税の確定決算主義の立場等を考慮して,税法基準によって算出した貸倒見積高を計上している場合でも一定の条件の下に一般に認められた企業会計の基準に準拠しているものとして取り扱うことができる旨を定めたものであるとし, また,考え得る数種の貸倒見積高算出方法を,「a総括的に見積る方法イ期末残高に一定率を乗 認められた企業会計の基準に準拠しているものとして取り扱うことができる旨を定めたものであるとし, また,考え得る数種の貸倒見積高算出方法を,「a総括的に見積る方法イ期末残高に一定率を乗ずる方法ロ個々の勘定ごとに主として年齢調べによって算出する方法(注)税法規定による貸倒引当金は右記イの方法に属するものと考えられる。 b個別的に見積る方法個別的に債務者ごとに債権の取立見込を実地に調査して貸倒見積額を算出しかつ個別的に管理する方法(注)税法の債権償却特別勘定はこの方法に属するものである。 実務上は,右記の方法のうちいくつかを組合せた方法を採用している企業が多く見られるようである。」と例示していた。ところで,上記にいう債権償却特別勘定とは,平成10年法律第24号による法人税法の改正に伴って廃止される前の法人税法基本通達9-6-4(その内容は当裁判所に顕著である。以下単に「通達9-6-4」という。)以下において定められていたところ,通達9-6-4は,概要,①債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,当該債務者が天災事故,経済事情の急変等により多大の損失を被ったことその他これらに類する事由が生じたため,当該貸金等の額の相当部分(おおむね50パーセント以上)の金額につき回収の見込みがないと認められるに至った場合,②貸金等の額のうち担保物の処分によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収することができないことが明らかとなった場合において,その担保物の処分に日時を要すると認められるとき等について,それぞれその回収の見込みがないと認められる部分の金額又は回収することができないことが明らかになった金額以下の金額を,当該事実の発生した日を含む事業年度の終了の日まで に所轄税務署長に対し ,それぞれその回収の見込みがないと認められる部分の金額又は回収することができないことが明らかになった金額以下の金額を,当該事実の発生した日を含む事業年度の終了の日まで に所轄税務署長に対して認定申請を行うことなどを条件に,当該事業年度において損金経理により債権償却特別勘定に繰り入れることができるとするものであった(なお,法人税法基本通達9-6-5及び同9-6-6は,法的整理が行われたなど一定の事実が発生した場合には,所轄税務署長に対する認定申請を経ることなく,損金経理のみで当該事実の発生した日を含む事業年度の終了の日までに債権償却特別勘定への繰入れを認めるというものであった。)。法人税法33条2項かっこ書が金銭債権について評価損の計上を禁止していることから,この規定と企業の実態との間で現実的な調整を図り,一定の場合に部分貸倒れによる無税引当の余地を認めるために,このような通達が策定されたものと解される。 なお,統一経理基準は,貸倒引当金について,「各社の所定の社内処理基準(計上基準)に基づいて,個々の債権の回収可能性を吟味し,適正な貸倒引当金を設定する。」と定めていた。 他方,22号取扱いは,子会社(ある会社が他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合の当該他の会社をいう。)又は関係会社(会社が他の会社の議決権の100分の20以上,100分の50以下を実質的に所有し,かつ,当該会社が人事,資金,技術,取引等の関係を通じて当該他の会社の財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社をいう。)に対する債権の評価の取扱いに係る処理基準として,子会社又は関係会社の資産状態が著しく悪化し,これらに対する債権について回収不能のおそれがある場合には,通常の貸倒引当金のほか回収不能と見込まれる部分に する債権の評価の取扱いに係る処理基準として,子会社又は関係会社の資産状態が著しく悪化し,これらに対する債権について回収不能のおそれがある場合には,通常の貸倒引当金のほか回収不能と見込まれる部分に対し貸倒引当金を設定しなければならない旨定め,監査上の取扱いとしては,債務超過の場合には,回収不能のおそれがあるか否かの検討を行わなければならないこと,回収不能見込額の検討に当たっては財務の流動性,担保資産,債務保証等の有無及び資金事情等を十分に考慮しなければならないことを定めており,その解 説において,回収見込額の計算方法としては,当該債務者の換価可能総資産額を同じく総負債額で除したものを1から減じて得られた数値を債権金額に乗じて求める方法(綜合的方法),②債権のうち取引条件,契約条件等に違反して現実に回収されていない債権をもって回収不能額とみる方法(個別的方法)の2つが考えられるとしていた。 ウその後の「公正ナル会計慣行」の展開いわゆるバブル崩壊後に相次いで金融機関が破綻した事態を受けて金融機関経営の健全性を確保するため,金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律(平成8年法律第94号)に基づく銀行法等の改正が行われ,平成10年4月から,自己資本の充実の状況に応じて,経営改善計画の作成・実施命令,個別措置の実施命令,業務の停止命令等の必要な措置(早期是正措置)が導入されることになった。それに先立ち,まず金融機関が自らの責任において企業会計原則に基づいて適正な償却・引当を行うことにより資産内容の実態をできる限り客観的に反映した財務諸表を作成することが必要とされ,平成8年9月30日,大蔵省銀行局長の私的研究会として「早期是正措置に関する検討会」が発足した。同検討会は,早期是正措置の具体的内容の骨格と,適正な財 に反映した財務諸表を作成することが必要とされ,平成8年9月30日,大蔵省銀行局長の私的研究会として「早期是正措置に関する検討会」が発足した。同検討会は,早期是正措置の具体的内容の骨格と,適正な財務諸表の作成に当たっての基本的考え方や実務指針等について検討を重ね,同年12月26日に「中間とりまとめ」を公表した。その中で,適正な償却・引当を行うための資産の自己査定のガイドラインの原案が示されていたところ,これによれば,検査実務における資産査定の手法を基に,原則として,「正常先債権」については従来のⅠ分類,「要注意先債権」については従来のⅡ分類,「破綻懸念先債権」については担保等で保全されている部分を除き従来のⅢ分類,「実質破綻先債権」については担保等で保全されている部分を除き従来のⅣ分類とすることとなっていた。そして,ここにいう従来のⅠないしⅣ分類とは,Ⅰ分類をⅡ,Ⅲ及びⅣ分類以外の資産,Ⅱ分類を債 権確保の諸条件が満足に充たされないため,あるいは信用上疑義が存する等の理由により,その回収について通常の度合を超える危険を含むと認められる債権その他の資産,Ⅲ分類を最終の回収又は価値について重大な懸念が存し,したがって損失の発生が見込まれるが,その損失額を確定し得ない資産,Ⅳ分類を回収不可能又は無価値と判定される資産,とするものであるが,このような分類方法自体は,大蔵省大臣官房金融検査部管理課長の昭和56年6月30日付け事務連絡「資産査定上の調整事項について」において示されていた資産査定に係る分類と同一のものであった。なお,「中間取りまとめ」においては,各金融機関が適正な償却・引当の実施を行っていくためには,有税償却・引当を円滑に進めていく環境整備も必要であり,有税償却・引当を行った場合の前払税金等の取扱いを定める税効果会計につ め」においては,各金融機関が適正な償却・引当の実施を行っていくためには,有税償却・引当を円滑に進めていく環境整備も必要であり,有税償却・引当を行った場合の前払税金等の取扱いを定める税効果会計について今後検討することが望ましい,とされていた。 そして,日本公認会計士協会は,平成9年4月25日に4号実務指針(平成9年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用する,とされていた。)を公表したが,その中で,銀行及び信用金庫等の金融機関に係る貸倒償却又は貸倒引当金の計上については,①正常先債権(業況が良好であり,かつ財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者に対する債権)債権額で貸借対照表に計上し,貸倒実績率に基づき貸倒引当金を計上する。貸倒実績率は,正常先債権や要注意先債権という分類ごとに算定し,その方法は種々考えられるが,例えば,ある期間の期首の該当する分類の債権残高を分母とし,その分母の額のうち期間内に毀損した額を分子として計算する方法がある。 ②要注意先債権(貸出条件に問題のある債務者,履行状況に問題のある債務者,赤字決算等で業況が低調ないし不安定な債務者に対する債権)債権額で貸借対照表に計上し,貸倒実績率に基づき貸倒引当金を計上 する。 ③破綻懸念先債権(現状,経営破綻の状況にはないが,経営難の状態にあり,今後,経営破綻に陥る危険性が大きいと認められる債務者に対する債権)債権額から担保の処分見込額及び保証による回収が可能と認められる額を減算し,残額のうち必要額を貸借対照表に貸倒引当金として計上する。破綻懸念先債権の回収見込額を検討するに当たっては,債務者の支払能力を総合的に判断する必要があり,債務者の経営状態,担保・保証の有無と担保価値,債務超過の程度,延滞の期間,事業活動の状況,完成途上のプロジェクトの完 収見込額を検討するに当たっては,債務者の支払能力を総合的に判断する必要があり,債務者の経営状態,担保・保証の有無と担保価値,債務超過の程度,延滞の期間,事業活動の状況,完成途上のプロジェクトの完成見通し,金融機関及び親会社の支援状況,再建計画の実現可能性,今後の収益及び資金繰りの見通しその他債権回収に関係のある一切の定量的・定性的要因を検討しているか確かめる必要がある。金融機関は,これらの要因を勘案した具体的な回収見込額の算出方法を定めておく必要があり,その方法としては,例えば,売却可能な市場を有する債権については売却可能額を回収可能額とする方法や,債権額から清算価値を差し引いた差額に倒産確率を乗じて回収不能額を算出する方法等が考えられる。 ④実質破綻先債権(法的,形式的な経営破綻の事実は発生していないものの,深刻な経営難の状態にあり,再建の見込みが立たない状況にあると認められるなど,実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権)債権額から担保の処分可能見込額及び保証による回収が可能と認められる額を減算し,残額を貸倒償却するか又は貸倒引当金として貸借対照表に計上する。 ⑤破綻先債権(破産,清算,会社整理,会社更生,和議,手形交換所における取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対す る債権)債権額から担保の処分可能見込額及び保証による回収が可能と認められる額を減算し,残額を貸倒償却するか又は貸倒引当金として貸借対照表に計上する。 という監査上の取扱いに準拠している場合には,監査上妥当なものとして取り扱うものとされていた。 さらに,金融監督庁は,検査官が金融機関を検査する際のマニュアルを整備するため,検査部のプロジェクトチームとして,平成10年8月25日に法律家,公認会計士,金融実務家からなる金融検査マ されていた。 さらに,金融監督庁は,検査官が金融機関を検査する際のマニュアルを整備するため,検査部のプロジェクトチームとして,平成10年8月25日に法律家,公認会計士,金融実務家からなる金融検査マニュアル検討会を設置し,平成11年4月8日,①従来の当局指導型から自己管理型への転換を進めるため,検査を金融機関自身の内部管理と会計監査人による厳正な外部監査を前提として,内部管理・外部監査体制の適切性を検証するプロセス・チェックを中心とすること,②従来の資産査定中心の検査から,リスク管理重視の検査への転換を図ることを軸とした「最終取りまとめ」を公表した。その中で,信用リスク(信用供与先の財務状態の悪化等により,資産(オフバランス資産を含む。)の価値が減少ないし消滅し,金融機関が損失を被るリスク)に関しては,自己査定に係る検査につき,旧大蔵省大臣官房金融検査部の「資産査定について」の通達をベースとしつつ,債務者区分を判定する場合の判断基準の明確化(特に関連ノンバンクを含む金融支援先の査定方法の明確化)等を図るとともに,償却・引当てに係る検査についても,償却・引当基準の一層の明確化を図るとともに,貸倒引当率等の算定方法の適切性,償却・引当額の水準の適切性について検査を行うことなどを柱とする「最終取りまとめ」を示した。 これを受けて,「金融検査マニュアル」が,金検第177号平成11年7月1日付け金融監督庁検査部長通達「預金等受入金融機関に係る検査マニュアルについて」において示され,同日以降を検査実施日とする検査に ついて適用された。同マニュアル(平成15年2月時点のもの。以下同じ。)は,「破綻懸念先」とは,現状,事業を継続しているが,実質債務超過の状態に陥っており,業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収 ル(平成15年2月時点のもの。以下同じ。)は,「破綻懸念先」とは,現状,事業を継続しているが,実質債務超過の状態に陥っており,業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり,したがって損失の発生の可能性が高い状況で,今後,経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者をいうが,金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者については,①経営改善計画等の計画期間が原則としておおむね5年以内であり,かつ,計画の実現可能性が高いこと,②計画期間終了後の当該債務者の債務者区分が原則として正常先となる計画であること,③金融機関等の支援の内容が金利減免,融資残高維持等にとどまり,債権放棄,現金贈与等の債務者に対する資金提供を伴うものではないこと,等の要件をすべて満たしている場合には,経営改善計画等が合理的でその実現可能性が高いものとして,当該債務者を要注意先と判断して差し支えないこと,「実質破綻先」とは,事業を形式的には継続しているが,財務内容において多額の不良資産を内包し,あるいは債務者の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し,実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており,事業好転の見通しがない状況で,元金又は利息等について実質的に長期間延滞している債務者をいい,金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者のうち,同計画等の進捗状況が計画を大幅に下回っており,今後も急激な業績の回復が見込めず,経営改善計画等の見直しが行われていない場合で,今後,経営破綻に陥る可能性が確実と認められる債務者については実質破綻先と判断して差し支えないこと,実質的に長期間延滞しているとは,原則として実質的に6か月以上延滞しており,一過性の延滞とは認められないものと 破綻に陥る可能性が確実と認められる債務者については実質破綻先と判断して差し支えないこと,実質的に長期間延滞しているとは,原則として実質的に6か月以上延滞しており,一過性の延滞とは認められないものということ,等を定めていた。また,同マニュアルは,貸倒引当金については,発生の可能性が高い将来の損失額を合理的に見積もって計上するもの とし,正常先及び要注意先に対する債権について計上する「一般貸倒引当金」と破綻懸念先,実質破綻先及び破綻先に対する債権について計上する「個別貸倒引当金」とに分けた上で,一般貸倒引当金については債権額に予想損失率(貸倒償却等毀損額を債権額で除して得られた貸倒実績率等によることとされている。)を乗じて予想損失額を算定するが,要管理先の大口債務者については,債権の元本の回収及び利息の受取に係るキャッシュ・フローを合理的に見積もり,これを当初の約定利子率で割り引いた金額と債権の帳簿価額との差額を貸倒引当金とする方法(DCF法)によるのが望ましいこと,個別貸倒引当金については個別債務者ごとに破綻懸念先に対する債権の合理的と認められる今後の一定期間における予想損失額(破綻懸念先)又はⅢ分類若しくはⅣ分類とされた債権額全額(実質破綻先又は破綻先)を貸倒引当金とすること,等を定めていた。 しかるところ,金融機関等以外の企業(抵当証券会社を含む。)については,企業会計審議会が,平成11年1月22日,金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書を公表し,金融商品に係る資産の評価基準として企業会計原則に優先して適用される基準と位置付けられる「金融商品に係る会計基準」を示した。同会計基準は,貸倒見積高の算定について,債務者の財政状態及び経営成績等に応じて,債権を①一般債権(経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権) れる「金融商品に係る会計基準」を示した。同会計基準は,貸倒見積高の算定について,債務者の財政状態及び経営成績等に応じて,債権を①一般債権(経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権),②貸倒懸念債権(経営破綻の状態には至っていないが,債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権)及び③破綻更生債権等(経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権)に区分した上,①一般債権については,債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等の合理的な基準により,②貸倒懸念債権については,債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し,その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮する方法又はDCF法により, ③破綻更生債権等については債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額することにより,それぞれ貸倒見積額を算定する,としていた。 そして,日本公認会計士協会は,平成12年1月31日,「金融商品に係る会計基準」を実務に適用する場合の具体的な指針として,「金融商品に関する実務指針(中間報告)」を公表した。同中間報告は,債権の区分に関しては,一般事業会社がすべての取引先の財務状況を把握することは困難であるため債権区分を厳密に行うことは難しく,また,その必要度が低い場合も多いことから,必ずしも一般債権,貸倒懸念債権,破産更生債権等の区分を,金融機関の資産の自己査定における債権区分と厳密に対応させる必要はないが,貸金業においては,金融機関に準じた債権管理が要求されるため,ある程度厳密な債権区分を行わなければならないこと,一般事業会社の連結子会社並びに持分法適用の子会社及び関連会社については,まず当該会社が保有する債権を区分してその貸倒見積高の算定をした されるため,ある程度厳密な債権区分を行わなければならないこと,一般事業会社の連結子会社並びに持分法適用の子会社及び関連会社については,まず当該会社が保有する債権を区分してその貸倒見積高の算定をした上で,その財務状況の把握と債務弁済能力の検討を行い,その上で当該子会社又は関連会社に対する債権の区分の判定を行うべきことなどを定めている。 エ小括したがって,平成9年3月末ころにおいては,貸倒見積高の具体的な算定方法は会計慣行にゆだねられており,企業会計原則・注解18以上に明確かつ具体的な基準が一般的に通用力のある文書等の形式で存在していたとはいえないが,その会計慣行は,一般的にいえば,所定の基準に従い個別の債権の元本の回収可能性を吟味して貸倒見積高を算定する,というものであり,その具体的現れとしては,我が国の税法が商法上の計算書類を課税所得の算定の基礎とするいわゆる確定決算主義を採用し,その課税所得算定のために通達を含め比較的詳細な規定を置いている一方で,他に詳 細な基準が存在しなかったこともあり,多くの企業が税法基準を採用していたものと認められる。これは,決算内容に負担を及ぼすことになる有税償却・引当を企業に強制する結果となるのは妥当でないから,原則として無税償却・引当が可能な場合にのみ,決算経理としてもその範囲で貸倒引当金を設定すれば足りるという観点から,当時において「公正ナル会計慣行」として広く許容されていたものと解される。もっとも,税法基準によって算定した貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合には,個別的にその回収可能性を評価した上で貸倒見積額を設定することが要請され(5号取扱い参照),また,22号取扱いは,少なくとも子会社や関係会社に対する債権について回収不能 ていると認められる場合には,個別的にその回収可能性を評価した上で貸倒見積額を設定することが要請され(5号取扱い参照),また,22号取扱いは,少なくとも子会社や関係会社に対する債権について回収不能のおそれがある場合には,各企業が自ら回収不能見込額を計算して貸倒引当金に計上すべきことが「公正ナル会計慣行」の一内容として特に要請されていたことを示すものと考えられる。 そして,ウで認定したところに照らすと,税法基準と「金融商品に係る会計基準」等による基準(以下「新基準」という。)との主要な差異は,①債権額に一定の率を乗じて貸倒引当金を算定する場合,税法基準が法定繰入率を用いるのに対し,新基準が貸倒実績率を用いる点,②新基準が,貸倒懸念先債権という中間的区分を創設した上,この場合に債務者の財政状態や経営成績を個別に考慮する方法のほかDCF法によることを認めた点,③新基準が回収不能見込額をそのまま貸倒引当金額に反映するのに対し,通達9-6-4に従った場合には回収不能見込額が当該債権のおおむね50パーセント以上に達しない限り貸倒引当金の設定を必要としない点,④新基準が,担保や保証からの回収見込額を貸倒引当金の計算に当たって考慮することを明確にした点,⑤新基準が,一般事業会社の連結子会社並びに持分法適用の子会社及び関連会社について,まず当該子会社等が保有する債権を区分してその貸倒見積高の算定をした上で,その 財務状況の把握と債務弁済能力の検討を行い,その上で当該子会社等に対する債権の区分の判定を行うべきことを明確にした点,にあるものというべきである。また,税法基準において設定が要求される貸倒引当金の額は,「中間とりまとめ」が税効果会計(貸倒引当金について有税での引当を行うが,現実に貸倒損失が生じた場合に発生すべき払戻し税額を繰延資 べきである。また,税法基準において設定が要求される貸倒引当金の額は,「中間とりまとめ」が税効果会計(貸倒引当金について有税での引当を行うが,現実に貸倒損失が生じた場合に発生すべき払戻し税額を繰延資産として別途計上するという会計方法であることは当裁判所に顕著である。)を導入する必要性について述べているところなどから推して,いわゆる不良債権に関しては,一般に,4号実務指針等が債権の区分に応じて設定を求める貸倒引当金よりもその範囲が狭かったことは明らかである。 これに対し,原告らは,大和都市管財の貸倒引当金を算定するに当たっては,22号取扱いに基づき,グループ6社が平成9年3月期末時点で清算したと仮定して,その時点における大和都市管財の回収不能見込額を貸倒引当金額とすべき旨主張する。確かに,22号取扱いの趣旨は,債務者が子会社や関係会社であればその財務内容の把握が比較的容易であることを重視し,このような場合には回収不能見込額を個別に計算すべきとする点にあると解され,こうした観点からすれば,グループ会社を実質的に統括するY1が代表取締役を務める大和都市管財の各グループ会社に対する債権について,22号取扱いに準じてその貸倒引当金を回収不能見込額に応じて可能な限り正確に積み上げて算定していくことには一定の合理性があると考えられる。しかしながら,22号取扱いがあくまで税法基準の例外として位置付けられることなどに照らすと,たといグループ会社がいずれも大和都市管財と人的資本的に密接な関連性を有するにせよ,平成9年当時の企業会計基準において子会社や関係会社に該当しない以上,これを大和都市管財の特約付き融資に係る貸倒引当金の判断にそのまま当てはめなければ「公正ナル会計慣行」に該当しないとまで解するのは困難というべきである。 したがって,平成9年 当しない以上,これを大和都市管財の特約付き融資に係る貸倒引当金の判断にそのまま当てはめなければ「公正ナル会計慣行」に該当しないとまで解するのは困難というべきである。 したがって,平成9年3月末ころの時点においては,①税法基準による貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合,及び②子会社や関係会社に対する債権の場合を除き,税法基準によって貸倒引当金を算定していれば「公正ナル会計慣行」に合致している旨評価されていたと解される。 (3)5号取扱い等にいう税法基準の意義そこで次に,平成9年3月末ころに金融機関以外の企業(抵当証券会社を含む。)による貸倒引当金の設定基準として妥当していた税法基準の具体的内容が問題となる。既に説示したところに照らすと,税法基準の下では,法人税法で損金算入が認められる限度額において企業会計の費用又は損失を経理処理すれば足り,法人税法上容認される損金算入限度額を超えてまで費用として処理する必要がないとするものであることは明らかであるが,更に進んで,証拠(乙153)によれば,少なくとも金融機関については,税法基準とは,貸付金のうち,通達9-6-4等によって税法上無税引当の要件を満たす部分についてはその全額に対して貸倒引当金を設定する義務があるものとして理解する考え方(以下「義務的税法基準」という。)も存在していたことがうかがわれる。しかしながら,金融機関においてすら,「公正ナル会計慣行」に合致する税法基準とは義務的税法基準のみであるとする考え方が平成9年当時において唯一のものであったとまで認めるに足りる証拠はない(大阪高裁平成15年(ネ)第3332号平成16年5月25日判決・判例時報1863号115頁以下参照)。まして,金融機関以外の企業についても において唯一のものであったとまで認めるに足りる証拠はない(大阪高裁平成15年(ネ)第3332号平成16年5月25日判決・判例時報1863号115頁以下参照)。まして,金融機関以外の企業についてもこれと同様の会計慣行が成立していたと解することは直ちにはできず,例えば,既に説示したように,法定繰入率が一般的には実際の貸倒実績率を超過する傾向にあったことに照らすと,少なくとも,正常先又は要注意先に該当するような債務者に対する債権について,法定繰入率の全額を常に決算経理上引当を行うべき義務が「公正ナル会計慣行」として排他的な通用力を有 していたとは解し難い。 そして,既にみたように,5号取扱いが,貸倒引当金について総括的に見積もる方法と個別的に見積もる方法とを併記し,実務上はこれらを併用する例が多いとしていることに照らすと,少なくとも一般事業会社については,義務的税法基準だけが「公正ナル会計慣行」として認められていたとまではいえず,本件基準も,それによることが明らかに不合理と認められるような特段の事情がない限り,税法基準の一類型として許容されていたものというべきである。 なお,証拠(甲154)によれば,近畿財務局が平成9年7月当時用いていた事業報告書補足資料に係る書式は,「貸倒引当金明細」の欄において,貸倒引当金の内訳が,「うち税法基準」と「うち債特勘定」とに分けられていることが認められるところ,ここにいう「債特勘定」が通達9-6-4にいう債権償却特別勘定を指すことは優に推認することができるから,近畿財務局も,貸倒引当金のうちに債権償却特別勘定に係る部分が含まれていることは予定していたものと解されるが,この事実だけから,近畿財務局が,通達9-6-4に該当する債権にはすべて貸倒引当金を設定すべきであると解していたとまで読み取ることはで 定に係る部分が含まれていることは予定していたものと解されるが,この事実だけから,近畿財務局が,通達9-6-4に該当する債権にはすべて貸倒引当金を設定すべきであると解していたとまで読み取ることはできず,かえって,近畿財務局が,当時から税法基準を本件基準と同視しており,債権償却特別勘定についてはこれとは別個の貸倒引当金制度とみていたことがうかがわれるところである。また,証拠(乙116の2)によれば,ダイヤモンド抵当証券株式会社(株式会社三菱銀行等を母体として昭和58年6月に設立された抵当証券会社で,平成9年3月末現在の資本金は15億4000万円である。)は,平成12年3月31日に終了する事業年度(第17期)に係る有価証券報告書の「重要な会計方針」の「3.引当金の計上基準」において,第16期の貸倒引当金について「債権の貸倒れによる損失に備えるため,過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率に基づき計算された額に加えて,個別の債権 について回収不能見込額を計上しております。(追加情報)平成10年度の税制改正に伴い,当期から法人税法に規定する法定繰入率に変えて,当社の過去の一定期間に於ける貸倒実績から算出した実績繰入率による繰入限度額に変更いたしました。この変更による営業利益,経常利益及び税引前当期純損失への影響は軽微です。」と記載していたことが認められ,この記載等から,第15期(平成10年3月31日に終了する事業年度)まで,同社は,法定繰入率に加え,個別の債権についても必要な場合には回収不能見込額を計算し,これを貸倒引当金として計上するとの会計方針を採用していたことがうかがわれるが,このことも,上記のような会計方針でなければ「公正ナル会計慣行」に合致しないとまで認定することができる根拠とはならない。 したがって,本件基準に 上するとの会計方針を採用していたことがうかがわれるが,このことも,上記のような会計方針でなければ「公正ナル会計慣行」に合致しないとまで認定することができる根拠とはならない。 したがって,本件基準によることが明らかに不合理といえるような特段の事情がない限り,本件基準によって貸倒引当金を算定することが「公正ナル会計慣行」に反するとはいえないというべきである。 もっとも,前記のとおり,平成9年3月末ころの時点においても,税法基準によって算定した貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合には,個別的にその回収可能性を評価した上で貸倒見積額を設定することが「公正ナル会計慣行」として要請されていたところ,原告らは,平成9年3月当時において,グループ6社はいずれも債務超過であった上,収益が改善する見込みがなく,実質的に破綻状態にあったから,本件基準による貸倒引当金が大和都市管財の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合に該当していたのであり,関東財務局が不動産抵当證券のソーケン開発に対する特約付き融資について設定したと同様に,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資についても貸倒引当金を個別に設定すべきであった旨主張する。 そこで検討するに,証拠(甲207,乙154,証人Y4,同Y21)に よれば,関東財務局は,平成9年10月31日,不動産抵当證券に対する検査結果通知において,同社に対するソーケン開発(不動産抵当證券の代表者の妻が経営する宅地分譲等を行う開発業者で,同社による特約付き融資残高の約92パーセントを占めていた。)からの利払が,平成8年11月以降,あらかじめ不動産抵当證券から仮払金として支払われた受取利息相当額を払い戻す形で行われていた事 業者で,同社による特約付き融資残高の約92パーセントを占めていた。)からの利払が,平成8年11月以降,あらかじめ不動産抵当證券から仮払金として支払われた受取利息相当額を払い戻す形で行われていた事実を捉え,実質的に利払を延滞している状態であると判断した上,ソーケン開発が4億円超の債務超過に陥っており,不動産市況の低迷により宅地分譲等の開発及び販売が事業計画どおり進捗していない(もっとも,休眠状態とまではいえない)状態にあることなどに照らして,同社が実質的な破綻状態であると認定し,同社に対する特約付き融資について,抵当物件によって担保されていない部分の価額を路線価又は不動産鑑定評価書の数値を用いて算定した上で,これと同額の貸倒引当金を設定し,これによって不動産抵当證券の資本欠損を認定したことが認められる(関東財務局が用いた上記のような方法は,事業報告書補足資料(甲154)において近畿財務局も財産的基礎の状況を判断するに当たって重視していたものと認められる実質純資産比率(〔(資産-回収不能見込額+貸倒引当金)-負債〕/資本金)をみていくものであって,新基準と類似するものと解される。)。そして,被告によれば,財務局長等名の検査結果通知の形式で被検査金融機関に通知されるのは,検査当局における十分な審査を経た上でされた,検査に係る財務局等としての最終結論である。そうすると,大口を占める特約付き融資先の実質的な破綻を認定することができる場合には,本件基準による貸倒引当金が抵当証券会社の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合に該当するとして,上記融資先に対する債権のうち抵当物件によって担保されていない部分の価額を個別に評価した上,これについて貸倒引当金を設定することが,平成9年10月当時,関東財務局が想定し れる場合に該当するとして,上記融資先に対する債権のうち抵当物件によって担保されていない部分の価額を個別に評価した上,これについて貸倒引当金を設定することが,平成9年10月当時,関東財務局が想定していた「公正ナル会計慣行」であったと推認する ことができる。そして,このような評価方法は,5号取扱いにいう「個別的に見積る方法」に該当するものとしてももとより適法なものと解される上,近畿財務局管轄下の地域において,これと異なる会計慣行が存在したと認めるに足りる証拠もない。 したがって,大和都市管財の特約付き融資の融資先は平成9年当時においてはグループ6社に限られていたから,少なくとも,これらのうちの相当数が実質的に破綻していたと認定すべきなのであれば,税法基準によって算定した貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合に該当し,本件基準によることが明らかに不合理と認められる特段の事情があるものとして,そうした実質破綻先各社に対する特約付き融資のうち抵当目的物によって担保されていない部分の価額を評価した上,これについて貸倒引当金の設定を考慮すべきこととなる。 そこで,以下においては,平成9年3月末当時において,大和都市管財の特約付き融資の債務者であったグループ6社の経営状態をその帳簿上の記載を前提にして検討し,これら各社が実質的に破綻していたといえるか否かをまず検討した上で,これを基に,本件基準によって設定された貸倒引当金の合理性を検証することとする。 (4)平成9年3月末時点までにおけるグループ6社の経営状態証拠(甲4,8,48,51,54ないし58,63,72ないし77,90,91,106,107,118,149ないし151,164,乙9,12,16,28,30,37,38,41ない 6社の経営状態証拠(甲4,8,48,51,54ないし58,63,72ないし77,90,91,106,107,118,149ないし151,164,乙9,12,16,28,30,37,38,41ないし44,47)によれば,平成9年3月末当時におけるグループ6社の経営状況に関し,以下のような事実を認めることができる。なお,〔〕内は,平成9年4月以降に生起した事実に係る部分であるが,便宜上併せて認定することとする。 アナイスミドル(資本金1億5000万円)ナイスミドルの第5期(平成3年7月1日から平成4年6月30日まで の事業年度)ないし第9期(平成7年7月1日から平成8年6月30日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第5期売上総利益2790万0000円販売費・一般管理費3億5412万8073円営業損失▲3億2622万8073円営業外収益3億3384万3564円経常利益761万5491円当期利益206万9291円当期未処理利益2099万4031円第6期売上総利益1780万0000円販売費・一般管理費3億3553万3263円営業損失▲3億1773万3263円営業外収益3億4244万1392円営業外費用1659万6666円経常利益811万1463円当期利益241万0963円当期未処理利益2340万4994円第7期売上総利益5112万1911円販売費・一般管理費7億4091万9565円営業損失▲6億8979万7654円営業外収益2億1082万0742円営業外費用5億2151万8254円 経常損失▲10億0049万5166円当期損失▲10億0131万5166円当期未処理損失▲9億7791万0172円第8期売上総利益3億 2円営業外費用5億2151万8254円 経常損失▲10億0049万5166円当期損失▲10億0131万5166円当期未処理損失▲9億7791万0172円第8期売上総利益3億2032万0339円販売費・一般管理費7億9445万5127円営業損失▲4億7413万4788円営業外収益2億9553万1346円営業外費用19億1639万1013円経常損失▲20億9499万4455円当期損失▲21億0443万0155円当期未処理損失▲30億8234万0327円第9期売上総利益4億2965万0088円販売費・一般管理費11億6221万0211円営業損失▲7億3256万0123円営業外収益8億3173万1612円営業外費用28億0057万5405円経常損失▲27億0140万3916円当期損失▲27億0262万9516円当期未処理損失▲57億8496万9843円以上のように,ナイスミドルは,第5期から第9期まで一貫して営業損失を計上していた(同社が多額の営業損失を計上していた理由は販売費・一般管理費の割合の高さにあるが,これは,同社がゴルフ場運営のスタッフだけでなく,手形商品を始めとする金融商品の営業員等多数の本社スタ ッフを抱え,その給与等の固定費が多額であったという構造的要因によるものである。)。加えて,第7期以降は,大和都市管財からの特約付き融資に対する利息の支払等のために営業外費用も急増し,同社に対する毎期の利払額だけで同一期における売上高を超えるなど,経常収支の上でも巨額の赤字を計上するに至っており,第9期における累積債務は,同期におけるナイスミドルの売上総利益の13倍以上にも達していた。また,同社の営業外収益は,累積債務を抱えるグループ会社に対する融資に係る受取 赤字を計上するに至っており,第9期における累積債務は,同期におけるナイスミドルの売上総利益の13倍以上にも達していた。また,同社の営業外収益は,累積債務を抱えるグループ会社に対する融資に係る受取利息によるものが過半を占めており,これは安定的な収入を期待することができるようなものではなかった。 ナイスミドルは,独自に開発したナイス大原カントリークラブ(平成6年4月仮オープン,同年7月正式オープン)に加え,平成7年9月に買収した那須グリーンコースの2つのゴルフ場の経営を営業の柱としていた。 このうちナイス大原カントリークラブについては,その買収費用・造成費用に約130億円を要していたものの,平成2年6月期までに約67億円強のゴルフ会員権預託金を集めて以降,会員権販売の頭打ち傾向が顕著となっており,平成6年6月期においても預託金の額は約71億円強にとどまっていた。他方,那須グリーンコースは,買収当時の会員数が80名程度(預託金額合計約2億5000万円)であったためにゴルフ会員権販売の余地があるものと期待され,大和都市管財も平成7年12月6日のヒアリングにおいて平成8年4月から同ゴルフ場とナイス函館カントリークラブの会員権をタイアップした共通会員権として東京地区で大々的に販売し,同年6月までの3か月で約100億円を売り上げるとの構想を説明していたが,実際には,大和都市管財本体の営業員も投入して販売に当たらせたにもかかわらず,同年12月までに販売した会員権は390万円(那須グリーンコース単独分)のもの80口,500万円(上記タイアップ分)のもの15口程度にとどまっていた。大和都市管財は,ゴルフ会員権業界の 低迷に加え,営業社員がゴルフ会員権販売に慣れていなかったことが理由であるとして,平成8年12月20日に従来の会員権販売計画の修正版を 程度にとどまっていた。大和都市管財は,ゴルフ会員権業界の 低迷に加え,営業社員がゴルフ会員権販売に慣れていなかったことが理由であるとして,平成8年12月20日に従来の会員権販売計画の修正版を近畿財務局に提出したが,これによると,平成8年度内に販売するゴルフ会員権の売上目標額は当初の90億円から6億4000万円へと大幅に縮小される一方で,平成10年度までとしていた販売計画期間を平成11年度まで延長し,総額ではほぼ従前と同様,会員権登録料と預託金とで販売口数5400口・計321億8000万円を売り上げるとしていた。しかしながら,その後も那須グリーンコースのゴルフ会員権の販売は低調に推移したため,ナイスミドルは,会員権の金額を1口300万円に下げる等の措置を講じたが,売上げはほとんど伸びていなかった。〔そこで,当時ナイスミドルの代表取締役であったY2が中心となり,平成9年8月ころ,登録料部分を無料とした那須グリーンコースの会員権に年間24枚の利用券を付した上,顧客が希望すれば,グループ会社の一つでそれまで休眠会社であったグレート・ジャーニィ株式会社を窓口に,大和都市管財グループが利用券を額面の70パーセントで買い取る(これは,ナイスミドルが直接顧客から買い取ることにすると,出資法違反となるおそれがあるためである。)という実質的に金融商品の性格を有するチケット制会員権「那須グリーンチケット」の販売を開始し,同年9月までに約83億円の販売実績を上げた(ただし,相当部分が手形商品からの乗換えによるものであった。)。大和都市管財は,チケット制会員権をその後の売上げの柱とすることにし,平成9年経営健全化計画においては,那須グリーンコースについては平成9年10月以降,平成10年3月までに約2000口(登録料計約3400万円,預託金計約82億 権をその後の売上げの柱とすることにし,平成9年経営健全化計画においては,那須グリーンコースについては平成9年10月以降,平成10年3月までに約2000口(登録料計約3400万円,預託金計約82億6000万円),ナイス大原カントリークラブについては平成10年1月から3月までに900口(登録料計4億6000万円,預託金計36億9000万円)の各売上げを見込み,これによって集めた資金を年10パーセント程度の収益が上がるとする外 債投資や,平成10年5月に完成予定の那須グリーンコースのリゾートホテル建設資金15億円等に充てることになっていた。しかしながら,チケット制会員権は,実質的には顧客からの高利による借入れにほかならないものであって収益面での寄与は乏しい上,その金融商品としての複雑な性格からみても,乗換え勧誘の対象となるような,確実な利払を受けたことで大和都市管財を信頼している既存の顧客以外には販売することができる現実的可能性が少ないものであった。加えて,那須グリーンコースのリゾートホテルは,その経営自体で利益が出る見込みはなく,それによって那須グリーンコースの集客力を高めようとするものにすぎなかった上,余資運用の計画にも具体性がなかった。なお,平成9年経営健全化計画では,那須グリーンコースやナイス大原カントリークラブの各隣接地に平成10年度にリゾートマンションやコテージ,レジャー施設等を着工(総工費計109億円程度)し,その利用権としてのリゾート会員権を販売するという計画を盛り込んでおり,平成11年度から平成13年度までに那須グリーンリゾート計画で販売利益約64億円,平成11年度にナイス大原カントリークラブリゾート計画で同約11億円を見込んでいたが,その工費の原資は基本的にチケット制会員権の売上げに依拠していたところ,その販 ンリゾート計画で販売利益約64億円,平成11年度にナイス大原カントリークラブリゾート計画で同約11億円を見込んでいたが,その工費の原資は基本的にチケット制会員権の売上げに依拠していたところ,その販売見通しが明るくないことは前記のとおりであった。〕したがって,ナイスミドルは,平成9年3月末の時点において,その事業を形式的には継続しているが,その返済能力に比して明らかに過大な借入金を残存させており,大幅な債務超過の状態に相当期間陥っている上,容易に事業が好転する見込みもなく,独力では特約付き融資の元本を返済することができる可能性がなかったというべきである。 イナイス函館(資本金2000万円)ナイス函館の第5期(平成4年9月1日から平成5年8月31日までの事業年度)ないし第8期(平成7年9月1日から平成8年8月31日まで の事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第5期売上総利益2億2284万6057円販売費・一般管理費8億2480万6897円営業損失▲6億0196万0840円営業外収益1850万6870円営業外費用3億0719万1604円経常損失▲8億9064万5574円当期損失▲8億9116万4296円当期未処理損失▲25億9938万3421円第6期売上総利益1億9001万2499円販売費・一般管理費4億3949万2541円営業損失▲2億4948万0042円営業外収益3億6000万9383円営業外費用3億0335万6993円経常損失▲1億9282万7652円当期損失▲24億6798万9539円当期未処理損失▲50億6737万2960円第7期売上総利益2億1047万8691円販売費・一般管理費3億6032万3023円営業損失▲1億4984万4 失▲24億6798万9539円当期未処理損失▲50億6737万2960円第7期売上総利益2億1047万8691円販売費・一般管理費3億6032万3023円営業損失▲1億4984万4332円営業外収益3億1665万6998円営業外費用5億6408万4157円経常損失▲3億9727万1491円 当期損失▲3億9749万4258円当期未処理損失▲54億6486万7218円第8期売上総利益1億9704万3400円販売費・一般管理費3億5209万6432円営業損失▲1億5505万3032円営業外収益34億6955万2196円営業外費用9億9658万1406円経常利益23億1791万7758円当期利益23億1768万7758円当期未処理損失▲31億4717万9460円以上のように,ナイス函館は,第5期から第8期までに4期連続して営業損失を計上しており,この間,一貫して売上総利益の約11.7倍から約26.6倍に上る累積債務を抱えている状態にあった。また,営業外収支も,大和都市管財に対する特約付き融資計80億円に対する利息の支払(いずれの期においても,その金額だけで同期における売上高を上回っている。)等のため第8期を除いて大幅な赤字であった。また,第8期に同社が計上している約35億円の営業外収入は,同期に同社が28億円余の雑収入を計上したことに起因するものであるところ,これは,ベストライフ通商が保有していたナイス函館に対する債権(大和都市管財が北海道函館観光を買収する際,同社に対してその親会社が有していた債権をベストライフ通商が買取った形とし,事実上行使しない扱いをしていたものである。)を放棄する処理をし,これによる計算上の利益を雑収入として計上したものにすぎず,実質的な収益面に変化が 有していた債権をベストライフ通商が買取った形とし,事実上行使しない扱いをしていたものである。)を放棄する処理をし,これによる計算上の利益を雑収入として計上したものにすぎず,実質的な収益面に変化が生じたことによるものではなかった。なお,ナイス函館が営業外収入として計上していた受取利息は, 同社が大和都市管財から受けた特約付き融資額をナイスミドルやベストライフ通商等のグループ会社(いずれも債務超過の状態にあった。)へと更に融資したことによるものであり,今後ともその収受を期待することができるようなものではなかった。 ナイス函館は,平成5年9月に大和都市管財に約22億円で買収された際,既に65億円余りのゴルフ会員権預託金を会員から集めており,更にゴルフ会員権を販売する余地に乏しかった。また,ナイス函館のゴルフコースは,積雪のため11月末ころから翌年4月始めころまでの間はゴルフ場として営業することができず,敷地内にあるスキー場及びペアリフト1台も平成6年以降は休止していた(なお,同社は,平成8年冬季にスノーボード専用ゲレンデとして再オープンさせたが,大幅な赤字のため,1期のみで営業を休止した。)。 大和都市管財は,平成8年2月29日の近畿財務局によるヒアリングにおいては,ナイス函館は平成10年度に単年度黒字に転換する見込みであると述べていたが,これを裏付けるに足りる根拠はなかった。 〔現に,平成9年経営健全化計画は,ナイス函館について,北海道における厳しい経済環境を踏まえ,収益面では依然として苦しい状況にあるとしており,会員権の販売計画も策定できておらず,ただ旅行会社とのタイアップによる来場客の増加や,航空運賃の自由化による北海道外からの集客に期待するとしているのみであった。結果として,平成9年経営健全化計画においてすら,ナイス函館の きておらず,ただ旅行会社とのタイアップによる来場客の増加や,航空運賃の自由化による北海道外からの集客に期待するとしているのみであった。結果として,平成9年経営健全化計画においてすら,ナイス函館の収益予想は,平成13年度までに営業損失は解消することができず,平成10年度から平成13年度までの経常損失は3億円から4億円と予想されており,債務超過額も平成13年度までに約48億円に拡大するとされていた。〕したがって,ナイス函館は,平成9年3月末の時点において,その事業を形式的には継続しているが,その返済能力に比して明らかに過大な借入 金を残存させており,大幅な債務超過の状態に相当期間陥っている上,容易に事業が好転する見込みもなく,独力では特約付き融資の元本を返済することができる可能性がなかったというべきである。 ウ美祢カントリークラブ(資本金5000万円)美祢カントリークラブの第7期(平成6年4月1日から平成7年3月31日までの事業年度)ないし第9期(平成8年4月1日から平成9年3月31日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第7期売上総利益7億8870万7456円販売費・一般管理費7億9316万4502円営業損失▲445万7046円営業外収益1億3952万2430円営業外費用1億3680万5209円経常損失▲173万9825円特別利益2578万6784円当期利益2257万8973円当期未処理損失▲4億2437万6030円第8期売上総利益6億8318万1662円販売費・一般管理費6億9625万1193円営業損失▲1306万9531円営業外収益8億4328万6006円営業外費用8億0001万4845円経常利益3020万1630円特別損失29万30 一般管理費6億9625万1193円営業損失▲1306万9531円営業外収益8億4328万6006円営業外費用8億0001万4845円経常利益3020万1630円特別損失29万3001円 当期利益2960万7048円当期未処理損失▲3億9476万8982円第9期売上総利益7億0616万6507円販売費・一般管理費7億0376万5937円営業利益240万0570円営業外収益8億3874万5553円営業外費用7億1572万2044円経常利益1億2542万4079円特別損失257万7487円当期利益1億2269万6592円当期未処理損失▲2億7207万2390円以上のように,美祢カントリークラブは,第7期から第9期まで3期連続して当期利益を計上しているものの,営業利益は第7期及び第8期が赤字,第9期が約240万円の黒字にとどまっており,その当期利益は,第7期が退職給与引当金戻入による2578万円(特別利益),第8期が累積債務を抱えるグループ会社及びY1に対する貸付金からの受取利息と為替差益による雑収入の合計約8億円(営業外収益),第9期が同じくグループ会社及びY1に対する貸付金からの受取利息約8億3200万円(営業外収益)に負うところが大きく,安定的な収入を期待することができるようなものではなかった。これに対し,特約付き融資110億円については,利息が減免されない限り毎期1年当たり7億円以上の利息が確実に発生することが予想され,その額は,同社が現実的に期待することができる営業利益の規模を確実に凌駕していた。 美祢カントリークラブは,昭和52年4月に開場した山口県下では名門 とされるゴルフ場であるが,不況や山口県西部地区でのゴルフ場乱立等の影響で,入場者数も平成4年を境に減少傾 実に凌駕していた。 美祢カントリークラブは,昭和52年4月に開場した山口県下では名門 とされるゴルフ場であるが,不況や山口県西部地区でのゴルフ場乱立等の影響で,入場者数も平成4年を境に減少傾向にあった。 また,美祢カントリークラブは,平成7年1月にナイスミドルに約27億5000万円で買収された際,既に63億円余りのゴルフ会員権預託金を旧来の会員から集めており,更にゴルフ会員権を販売する余地に乏しかった。実際にも,当初は平成7年4月からゴルフ会員権を販売する予定となっていたものの,不景気等を理由に販売開始が延期され,平成7年収支計画では平成8年度からゴルフ会員権販売を行い,同年度において会員権登録料7億7500万円,会員権預託金47億5000万円の収入を得るとの計画になっていたが,平成8年経営健全化計画では平成9年度から500万円の会員権を1000名,350万円の会員権を150名に販売し,会員権登録料13億2000万円,会員権預託金42億0500万円の売上げを見込む旨再度変更が行われるなど,販売開始予定時期が特段の合理的理由なく順次繰り下げられていた。 〔平成9年5月20日の近畿財務局からのヒアリングでは,大和都市管財自身,早くとも平成10年又は平成11年からの販売開始を予想する旨説明している状況であり,平成8年度に4億円を投じてクラブハウス改修等の環境整備を行ったとするにもかかわらず,その効果が客観的に表われているとは到底いえなかった。平成9年経営健全化計画では,平成10年1月から3月までに900口,平成10年4月以降の1年間で500口のゴルフ会員権を販売し,この1年3か月間に会員権登録料6億2580万円,会員権預託金51億5000万円の売上げを予定し,余資運用益の計上も見込むことで,平成9年度には債務超過額が解消される予定と のゴルフ会員権を販売し,この1年3か月間に会員権登録料6億2580万円,会員権預託金51億5000万円の売上げを予定し,余資運用益の計上も見込むことで,平成9年度には債務超過額が解消される予定とされていたが,大和都市管財が平成10年6月5日に近畿財務局に提出した平成9年経営健全化計画の見直し案によれば,平成10年1月からの会員権販売は結局実施されなかったことが明らかになっており,グループ会社に対する 融資からの受取利息による営業外収益を除くと,平成9年度の美祢カントリークラブの経常収支は2億6100万円強の赤字となっていた。〕したがって,美祢カントリークラブは,平成9年3月末の時点において,その事業を形式的には継続しているが,その返済能力に比して明らかに過大な借入金を残存させており,大幅な債務超過の状態に相当期間陥っている上,容易に事業が好転する見込みもなく,独力では特約付き融資の元本を返済することができる可能性がなかったというべきである。 エベストライフ通商(資本金2000万円)ベストライフ通商の第9期(平成3年7月1日から平成4年6月30日までの事業年度)ないし第13期(平成7年7月1日から平成8年6月30日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第9期売上総利益1億0519万9050円販売費・一般管理費1億3453万4169円営業損失▲2933万5119円営業外収益864万9522円営業外費用5万3695円当期損失▲2073万9292円当期未処理損失▲8億0802万2434円第10期売上総利益1億1025万7677円販売費・一般管理費1億0774万5976円営業利益251万1701円営業外収益497万4383円営業外費用146万6999円 34円第10期売上総利益1億1025万7677円販売費・一般管理費1億0774万5976円営業利益251万1701円営業外収益497万4383円営業外費用146万6999円 経常利益601万9085円特別利益16万7500円当期利益618万6585円当期未処理損失▲8億0183万5849円第11期売上総利益1億8249万6614円販売費・一般管理費1億6540万6181円営業利益1709万0433円営業外収益3005万2149円営業外費用2億4675万2846円当期損失▲1億9961万0264円当期未処理損失▲10億0144万6113円第12期売上総利益1億8532万7368円販売費・一般管理費1億5902万3546円営業利益2630万3822円営業外収益2459万3201円営業外費用2億2573万8570円当期損失▲1億7484万1547円当期未処理損失▲11億7628万7660円第13期売上総利益1億4868万6006円販売費・一般管理費1億8243万5859円営業損失▲3374万9853円営業外収益3409万3990円営業外費用2億7815万9729円 当期損失▲2億7781万5592円当期未処理損失▲14億5410万3252円以上のように,ベストライフ通商は,第9期から第13期までの間に3期において営業利益を計上しているものの,既に第9期において累積債務が同期の売上高の約2.5倍に達していた上,第11期以降は営業外費用として多額の支払利息を計上するようになったため,3期連続して売上総利益を超える当期損失を計上しており,第13期における累積債務は,同期における同社の売上総利益の約10倍に達していた。また,平成7年収支 多額の支払利息を計上するようになったため,3期連続して売上総利益を超える当期損失を計上しており,第13期における累積債務は,同期における同社の売上総利益の約10倍に達していた。また,平成7年収支計画によれば,同社は平成7年度以降,継続して美祢カントリークラブから多額の借入れを行い,これによってようやく特約付き融資の元本返済を含む資金繰りを行い得ることになっているなど,その財務体質は著しく脆弱であった。そして,大和都市管財も,平成7年7月7日のヒアリングでは,ベストライフ通商が地を這うような状況であるため,貸付金利をぎりぎりまで引き下げている旨近畿財務局に説明していた。 平成7年収支計画に記載されていたベストライフ通商の事業のうち,その時点で実現していたものは賃貸及び既設店舗からの収入のみであり,その他は構想段階にすぎなかった。まず,賃貸収入のうち,大和都市管財やナイスミドルに対してその本社事務所を賃貸したり,ナイス函館に什器備品をリースするものについては,実質的にはグループ内で計算書類上収益を移転するにすぎないものであり,唯一グループ外からの賃料収入がある大阪駅前第1ビルも,特約付き融資の担保物件となっており,その利払だけで賃料収入を上回ることがあらかじめ前提とされていた。また,既設店舗である「あじわい」及び「サンクス」(なお,後者はベストライフ通商が独自に営業する食料品等のスーパーマーケットであったが,売上げは伸びていなかった。)については,両店併せて年間800万円弱の収益を見 込んでいたものの,特約付き融資の利払だけで年間2200万円強の負担が生じることになっており,大阪駅前第1ビルと同様,経常収支の段階で赤字になることは必至であった。加えて,ゴルフ練習場事業計画は,a町土地で平成9年度から事業化することにより毎期3億円 万円強の負担が生じることになっており,大阪駅前第1ビルと同様,経常収支の段階で赤字になることは必至であった。加えて,ゴルフ練習場事業計画は,a町土地で平成9年度から事業化することにより毎期3億円余りの営業利益が出る予定となっていたが,開発許可が取得された後も未利用地のまま放置され,計画の具体化に向けた動きはなかった。また,四条畷市山林・a区土地・a町駐車場・新高駐車場の各不動産については,特約付き融資の担保物件となっていたものの,平成7年収支計画ではその利用計画が具体化されておらず,利払負担(及び公租公課)が生じるだけの土地として取り扱われていた。他方,計画店舗である「あじわいビル」等については数年内に事業化する方向で具体的な取組みがあったものの,平成7年収支計画どおりに特約付き融資の利払を超える収益を上げられるだけの具体的な根拠はなかった(平成8年に「大阪味わいビル」(地上5階地下1階建て・営業店舗数6軒)が建設されたが,営業収支は赤字であった。)。 さらに,平成8年経営健全化計画では,平成11年度からa町土地上のゴルフ練習場が事業を開始し,初年度から3億1000万円以上の営業利益を上げることを前提に,ベストライフ通商が平成12年度から経常黒字に転ずるものとされていたが,平成8年12月20日のヒアリングでは,リストラ策としてa町土地を奈良市に公園墓地として20億円で売却するとの予定が大和都市管財から示されるなど,その方針は一定せず,ひいてはその計画の真摯さに疑問を生じさせるような状況であった。さらに,同日のヒアリングでは,a区土地等を売却する予定や,他方で東京の新橋駅前付近の更地(東京味わいビル敷地)を新たな特約付き融資により取得し,ビルを建設した上で消費者金融等のテナントを募集する予定などが示されたが,前者は大和都市管財の説 却する予定や,他方で東京の新橋駅前付近の更地(東京味わいビル敷地)を新たな特約付き融資により取得し,ビルを建設した上で消費者金融等のテナントを募集する予定などが示されたが,前者は大和都市管財の説明によっても特約付き融資の返済原資に充てることで支払利息軽減につながるものの売却損の発生によって収支への 影響は中立というものにすぎず,後者は特約付き融資の残高を漸次減らしていくというそれまでの方針に反するものである上,ベストライフ通商が新ビルの建設により新たな支払負担(元本7億8000万円・年利6パーセント・15年償還)を賄うに足りる収益を上げることができるという具体的な根拠は示されなかった。 〔大和都市管財は,平成9年5月20日のヒアリングにおいて,a町土地をナイスミドルと奈良市との第3セクター方式で開発する方針を示し,1聖地(4分の1坪)当たり30万円前後での売却を見込むことにより130億円強の収入を期待することができ,平成9年11月を目処に奈良市から開発許可の正式な決定が出る旨説明したが,平成9年経営健全化計画でもなお予定にとどまっており,その実行可能性を裏付ける資料は提出されていなかった。現実には,Y1がA寺の住職とa町土地を同寺の境内としてそこに境内墓地としての霊園を建設するための覚書を交わしたのは平成11年12月30日であり,それも,同所にレストランとして建築確認を取得した建物を一部改装の上,その和室部分にA寺を事実上移転させるという脱法行為によって,周辺住民への十分な説明のないまま既成事実を先行させて霊園開発を進めていくという計画であり,しかも,前記住職にはa町土地が廃棄物投棄場跡地である事実(道路工事で発生するアスファルトのガラ等が埋め立てられていた。)を知らせてはいなかったというものであって,その実現可能性は極め 計画であり,しかも,前記住職にはa町土地が廃棄物投棄場跡地である事実(道路工事で発生するアスファルトのガラ等が埋め立てられていた。)を知らせてはいなかったというものであって,その実現可能性は極めて乏しいものであったことが認められる。〕こうした経緯から推して,平成9年の時点では,a町土地の利用計画は,なお単なる構想の域を出ないものであったことが推認される。〔なお,「サンクス」は,平成11年ころ以降はベストライフ通商の倉庫兼食材の集配業務のみを行っていたにすぎなかった。〕〔大和都市管財は,平成9年経営健全化計画提出の最終段階において,ベストライフ通商に対して160億円の特約付き融資を新たに行うなどして 200億円相当の中古ファッションホテルを順次購入し,平成10年度中に7億円,平成11年度中に18億円,平成12年度以降20億円の収益を見込むとの内容を盛り込んだが,これは同社の債務超過を平成13年度までに計画上解消させる必要上,Y1がY3会計士の持論であった高収益物件の購入というアイディアを一時的に借用したものにすぎず,現実にはそれ以降新規の特約付き融資も,中古ファッションホテルの購入も実行されなかった。〕したがって,ベストライフ通商は,平成9年3月末の時点において,その事業を形式的には継続しているが,その返済能力に比して明らかに過大な借入金を残存させており,大幅な債務超過の状態に相当期間陥っている上,容易に事業が好転する見込みもなく,独力では特約付き融資の元本を返済することができる可能性がなかったというべきである。 オリステム化学研究所(資本金1000万円)リステム化学研究所の第1期(平成4年4月16日から平成5年3月31日までの事業年度)ないし第5期(平成8年4月1日から平成9年3月31日までの事業年度)における決算報告 究所(資本金1000万円)リステム化学研究所の第1期(平成4年4月16日から平成5年3月31日までの事業年度)ないし第5期(平成8年4月1日から平成9年3月31日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第1期売上総利益1621万3160円販売費・一般管理費1603万9925円営業利益17万3235円営業外収益5517円当期利益17万8752円次期繰越利益17万8752円第2期売上総利益1944万4791円 販売費・一般管理費3021万0463円営業損失▲1076万5672円営業外収益12万2693円営業外費用2243万2282円経常損失▲3307万5261円当期損失▲3318万2561円当期未処理損失▲3300万3809円第3期売上総利益1億6291万5222円販売費・一般管理費4950万5304円営業利益1億1340万9918円営業外収益5358万2572円営業外費用2億3783万6457円経常損失▲7084万3967円当期損失▲7088万6685円当期未処理損失▲1億0389万0494円第4期売上総利益1億6762万4506円販売費・一般管理費4268万3544円営業利益1億2494万0962円営業外収益4915万8574円営業外費用2億2485万8836円経常損失▲5075万9300円当期損失▲5082万9300円当期未処理損失▲1億5471万9794円 第5期売上総利益1億6016万9069円販売費・一般管理費4066万3686円営業利益1億1950万5383円営業外収益7132万5201円営業外費用2億0937万0795円経常損失▲1854万0211円当期損失 69円販売費・一般管理費4066万3686円営業利益1億1950万5383円営業外収益7132万5201円営業外費用2億0937万0795円経常損失▲1854万0211円当期損失▲1860万7568円当期未処理損失▲1億7332万7362円以上のように,リステム化学研究所は,第1期から第5期までの間に,第2期を除いて営業利益を計上しているものの,第2期以降,大和都市管財に対する特約付き融資計27億円に対する利息の支払(同期以降のいずれの期においても,その金額だけで各期の売上高を上回っている。)のために第5期まで4期連続して経常損失を計上しており,第5期においては,累積債務が同期の売上総利益を超えている状態であった。また,その営業利益は,大部分が不動産賃貸収入によるもので,その収益は将来的にもほぼ一定と見込まれていた(現に,平成9年経営健全化計画においても,平成13年度までその収益水準に増減がないことが前提とされていた。)。 よって,リステム化学研究所の累積債務を解消することができるか否かは,同社が本来の業務としていた産業廃棄物処理事業の成否にかかっていたところ,平成7年収支計画では,これによって平成7年度から年5000万円の収入を得る計画となっており,平成8年経営健全化計画においても平成7年収支計画と同じく平成8年度から年5000万円の収入を得る計画となっていたものの,この計画には具体的な裏付けがなく,その後も現実化しなかった。現実には,リステム化学研究所の産業廃棄物事業とは,主として焼却灰等をブロック加工するためのトーマスセラミックと称する 薬品を奈良市に販売することなどでわずかな収入を得ているというにすぎないものであった。 〔大和都市管財は,平成9年5月20日のヒアリングにおいて,奈良市との間で廃棄 ーマスセラミックと称する 薬品を奈良市に販売することなどでわずかな収入を得ているというにすぎないものであった。 〔大和都市管財は,平成9年5月20日のヒアリングにおいて,奈良市との間で廃棄物リサイクル事業に係る独占的契約を締結しており,今後2年の間に10億円の利益が見込める旨の説明をしていたにもかかわらず,平成9年経営健全化計画の提出に際しても,廃棄物リサイクル事業についてはなお奈良市と協議中であり,平成10年2月に同市と契約し,同年度以降は有望な事業となる旨の説明をするにとどまっており,同計画上で平成12年度以降毎期2億円の利益を計上する予定となっていたことについても,奈良市との間にそのような契約が可能であることについての裏付けを何ら提出しなかった。結局,本件全証拠によっても,そのような契約が存在していたものと認めるには足りない。〕なお,リステム化学研究所は,第5期において7100万円余りの営業外収入を上げているが,これはいずれも債務超過の状態にあるグループ会社に対する長期貸付金8億2600万円に係る受取利息であり,将来において確実にその収受を期待することができるようなものではなかった。 したがって,リステム化学研究所は,平成9年3月末の時点において,その事業を形式的には継続しているが,その返済能力に比して明らかに過大な借入金を残存させており,大幅な債務超過の状態に相当期間陥っている上,容易に事業が好転する見込みもなく,独力では特約付き融資の元本を返済することができる可能性がなかったというべきである。 カ北海道泊別観光(資本金2000万円)北海道泊別観光の第5期(平成4年10月1日から平成5年9月30日までの事業年度)ないし第8期(平成7年10月1日から平成8年9月30日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は 00万円)北海道泊別観光の第5期(平成4年10月1日から平成5年9月30日までの事業年度)ないし第8期(平成7年10月1日から平成8年9月30日までの事業年度)における決算報告書上の金額の推移は,以下のとおりである。 第5期売上総利益0円販売費・一般管理費301万7086円営業損失▲301万7086円営業外収益2万8119円営業外費用6060万6646円経常損失▲6359万5613円当期損失▲6359万5613円当期未処理損失▲2億1605万5384円第6期売上総利益0円販売費・一般管理費589万0623円営業損失▲589万0623円営業外収益19万2497円営業外費用3162万5507円経常損失▲3732万3633円当期損失▲3747万3526円当期未処理損失▲2億5352万8910円第7期売上総利益0円販売費・一般管理費237万2381円営業損失▲237万2381円営業外収益479万8735円営業外費用4184万5291円経常損失▲3941万8937円当期損失▲3961万3181円 当期未処理損失▲2億9314万2091円第8期売上総利益0円販売費・一般管理費240万4777円営業損失▲240万4777円営業外収益679万8207円営業外費用4895万5286円経常損失▲4456万1856円当期損失▲4497万3656円当期未処理損失▲3億3811万5747円以上のように,北海道泊別観光は,第5期から第8期の間に何らの営業利益を上げていない休眠会社であって,大和都市管財からの特約付き融資(1億9000万円)を始めとする長期借入金の支払利息は,北海道泊別観光の営業外収益(債務超過のグループ会社に対する貸付金から 営業利益を上げていない休眠会社であって,大和都市管財からの特約付き融資(1億9000万円)を始めとする長期借入金の支払利息は,北海道泊別観光の営業外収益(債務超過のグループ会社に対する貸付金からの受取利息)を大きく上回っており,その累積債務は毎期拡大していった。そもそも,同社は,大和都市管財がナイス函館を買収した際に併せて取得した会社で,a町ゴルフ場用地を保有していたものの,何らの開発も行わないまま放置していたものであり,大和都市管財は,平成7年7月7日に近畿財務局に提出した計画においては,「クシロカントリー」の名称でゴルフ場及びレジャー・スポーツ施設の開発を行う予定を示していたが,実際には,毎年開発工事の着手時期及び完了時期の変更(延期)届を北海道知事に提出し続けている状況で,計画が実現に向けて動き出すことはなく,平成7年収支計画によれば,同社は各期ごとに1300万円をナイスミドルから継続的に借り入れることなどを通じて,租税を中心とする販売費・一般管理費及び抵当証券支払利息を賄うものとされており,平成8年経営健全化 計画でも,平成12年末まで北海道泊別観光には営業利益・営業外収益ともに一切生じないものとされていた。 〔なお,平成9年経営健全化計画では,平成12年度を目処に同社を10億円で売却するべく売却先を物色中とされ,北海道泊別観光については自力再建の方針は完全に放棄されていた。〕したがって,北海道泊別観光は,平成9年3月末の時点において事実上事業を行っておらず,利息についても実質的に長期間延滞しているなど,事実上休眠状態にあったというべきである。 キ大阪府警による大和都市管財グループに係るキャッシュフロー調査大阪府警は,Y1らに対する詐欺被疑事件の捜査の過程において,公認会計士の協力を得て,大和都市管財グループの平 ったというべきである。 キ大阪府警による大和都市管財グループに係るキャッシュフロー調査大阪府警は,Y1らに対する詐欺被疑事件の捜査の過程において,公認会計士の協力を得て,大和都市管財グループの平成8年3月期から平成13年3月期までの連結キャッシュフロー計算書を作成又は入手して分析した(根拠資料は,大和都市管財及びグループ各社の総勘定元帳及び確定申告書であり,これらの資料から,実際の取引に基づいた資金の収入,支出をそのまま表す直接法を用いた。この分析の結果を,以下「本件キャッシュフロー調査」という。)。 このうち,平成8年3月期及び平成9年3月期における連結キャッシュフロー計算書(別表9)の概要は以下のとおりである(なお,営業活動によるキャッシュフローとはゴルフ場の売上げ,預金利息等の大和都市管財グループ外からの収入から売上原価・人件費・顧客に対する抵当証券支払利息・手形割引料等を控除したもの,投資活動によるキャッシュフローとは不動産や設備に対する投資,財務活動によるキャッシュフローとは抵当証券等の金融商品の販売額から償還額等を控除したもの,関係会社との取引によるキャッシュフローとはグループ会社間の貸借の不一致や決算期の相違による貸借の不一致によるものである。)。 すなわち,平成8年3月期においては, 営業活動によるキャッシュフロー▲4,490百万円投資活動によるキャッシュフロー▲10,551百万円財務活動によるキャッシュフロー14,630百万円関係会社との取引によるキャッシュフロー▲1,912百万円同じく平成9年3月期においては,営業活動によるキャッシュフロー▲5,214百万円投資活動によるキャッシュフロー▲1,557百万円財務活動によるキャッシュフロー3,653百万円関係会社との取引によるキャッシュフロ いては,営業活動によるキャッシュフロー▲5,214百万円投資活動によるキャッシュフロー▲1,557百万円財務活動によるキャッシュフロー3,653百万円関係会社との取引によるキャッシュフロー▲1,741百万円であり,同グループが保有していた現預金は,平成8年3月期首に約132億円であったものが,平成9年3月期首には約109億円,同期末には約60億円に減少していた。 クグループ6社の経営状態以上によれば,グループ6社は,その帳簿上の記載を前提とした場合,平成9年3月末の時点において,いずれも累積債務を抱えていた上,その事業の継続によって独力でこれを解消させる見込みもなかったこと,特に北海道泊別観光は既に事実上休眠状態にあったことが認められる。そして,グループ6社は,いずれも営業利益を上回る抵当証券支払利息を負担していた上,銀行取引がほとんどなかったことから,利息の支払原資は,グループ会社間において融通し合うほか,最終的には大和都市管財からの融資を仰ぐ以外にその調達先がなく,証拠(証人Y14)によれば,平成9年検査の当時において,近畿財務局も同様の認識であったことが認められる。 もっとも,キ記載のとおり,大和都市管財は,平成9年3月期末において,その財務活動によって顧客からのキャッシュインフローを得ていた上,グループ全体ではなお約60億円の現預金を所持していたから,これらの資金をグループ会社に融資することによって,既に事実上休眠状態にあった北海道泊別観光を除く各社については,その営業活動を当分の間継続させること自体はなお可能であったといわざるを得ない。そして,既に説示したところに照らせば,大和都市管財がグループ各社に対する融資を停止すればそれら各社が即座に破綻することは確実であったから,このことを考慮して,回収可能 であったといわざるを得ない。そして,既に説示したところに照らせば,大和都市管財がグループ各社に対する融資を停止すればそれら各社が即座に破綻することは確実であったから,このことを考慮して,回収可能性をかえりみることなく更なる追加融資を行うか否かは,最終的に大和都市管財グループを統括するY1の経営判断に属することであったということもできる。 しかしながら,既に説示したように,関東財務局は,平成9年10月,ソーケン開発が不動産抵当證券からあらかじめ収受した仮払金を払い戻す形で利払を行っていた事実を基に,事実上の利払の延滞であるとした上でソーケン開発の破綻を認定していたところ,証拠(証人Y4,同Y21)によれば,不動産抵当證券と大和都市管財とが抵当証券会社のうちに2社しかない大蔵省銀行局長に対する報告案件であって,本省金融会社室においても特に関心を払い,法律上の問題等について財務局からの相談に逐次応じていたと認められることからすると,両社の融資先の破綻を認定するに当たり,異なる基準が採用されたとは解し難いから,大和都市管財の融資先についても,追加融資によってその事業に当分の間延命する可能性が存在したというだけでは,当該融資先会社の破綻を認定する妨げとはならなかったと推認することができる。 そして,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資の元本及びその弁済期は,①ナイスミドル(合計179億3400万円)が,平成13年4月10日に5億2400万円,平成14年に計42億8000万 円,平成15年に計28億4000万円,平成16年4月21日に2億9000万円,平成22年9月28日に100億円であり,②ナイス函館(合計80億円)が,平成15年9月27日に70億円,平成16年1月10日に10億円であり,③美祢カントリークラブ(110 2億9000万円,平成22年9月28日に100億円であり,②ナイス函館(合計80億円)が,平成15年9月27日に70億円,平成16年1月10日に10億円であり,③美祢カントリークラブ(110億円)が,平成22年2月7日であり,④ベストライフ通商(合計105億1730万円)が,平成9年11月2日に20億円,平成10年2月17日に10億円,平成11年2月28日に計3億4660万円,平成13年4月10日に8億9070万円,平成15年中に計53億2000万円,平成16年5月6日に1億8000万円,平成23年10月31日に7億8000万円であり,⑤リステム化学研究所(合計32億2000万円)が,平成15年12月21日に12億4000万円,平成16年4月4日に19億8000万円であり,⑥北海道泊別観光(1億9000万円)が,平成15年12月24日であったところ(甲53,別表2),その金額や弁済期からみても,平成9年3月の段階におけるグループ6社の上記のような経営状態に照らし,その貸倒引当金を本件基準で見積もることはもはや明らかに不合理というほかない。 したがって,グループ6社については,平成9年3月の段階において,いずれも実質的な破綻状態にあったと認定することができ,これら各社に対する特約付き融資について,税法基準の下においても税法基準によって算定した貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合に該当し,個別にその回収可能性を評価した上で貸倒引当金を設定する必要があったというべきである。 ケ特約付き融資に係る貸倒引当金の要設定額(ア)担保物件に係る不動産鑑定評価の合理性そこで,次に,グループ6社に対する特約付き融資の回収可能性を債権ごとに個別に検討することとする。回収可能性を検 特約付き融資に係る貸倒引当金の要設定額(ア)担保物件に係る不動産鑑定評価の合理性そこで,次に,グループ6社に対する特約付き融資の回収可能性を債権ごとに個別に検討することとする。回収可能性を検討するには,その 前提として,特約付き融資の担保となっている物件の評価を行うことが必要であるところ,証拠(乙88)によれば,グループ6社に対する特約付き融資は,いずれも大和都市管財が各法務局に対して抵当証券の発行申請を行った直近の時期において,その融資額を2割以上程度上回る額の不動産鑑定評価書が存在していたことが明らかである(こうした鑑定書は,前記のとおり,いずれも抵当証券法施行細則21条の2によって発行申請に際しての必要書類として要求されていたものである。)。 よって,平成9年3月ころの時点における各担保物件に対する不動産鑑定評価の合理性を検証する必要があることになるところ,証拠(乙88の11,13,14及び20)によれば,このうち,ナイス函館,美祢カントリークラブに対する特約付き融資の担保物件のすべて,ナイスミドルに対する特約付き融資の担保物件の大部分を占めるゴルフ場については,大和都市管財が抵当証券の発行申請に際して法務局に提出した不動産鑑定評価書は,美祢ゴルフ場に係るものを除き,現実に当該ゴルフ場を建設した際に要した費用を積算してその評価額とするいわゆる原価法を採用していたこと(これは,那須ゴルフ場に係る不動産鑑定評価書(乙88の13)によれば,取引事例比較法は,同一需給圏内にゴルフ場の取引事例が乏しいために適用することができず,収益還元法については,預託金会員制ゴルフ場の場合,新設費用の大半を会員からの預託金で賄い,株式会社としての自己資本は少額で済ますのが一般的であるため自己資本に対する収益性が低くなる結果,原価法による 還元法については,預託金会員制ゴルフ場の場合,新設費用の大半を会員からの預託金で賄い,株式会社としての自己資本は少額で済ますのが一般的であるため自己資本に対する収益性が低くなる結果,原価法による積算価格とのかい離が極めて大きく調整が困難となるからであるとされている。),これに対し,収益還元法を適切に適用すれば評価額が大幅に下落する可能性があったことが認められ,現に,別表3のとおり,平成13年の大和都市管財グループの破綻以降に各ゴルフ場を処分した際の処分額は被担保債権総額の約13パーセント(大原ゴルフ場の一部)ないし約0. 5パーセント(函館ゴルフ場のうち一番抵当権の部分)にすぎなかったものである。しかしながら,同時に,証拠(乙146,証人Y20)及び弁論の全趣旨によれば,平成12年検査において近畿財務局は,大和都市管財の特約付き融資に係る担保物件の大部分を占める各ゴルフ場について予算を確保した上で独自に不動産鑑定評価を行うことも検討したものの,ゴルフ場の収益還元価格を把握するには入場客数や売上収益等の情報を大和都市管財から入手する必要がある一方で,同社の任意の協力はおよそ望めない状況であったことなどから,最終的にこれを断念したことが認められ,大和都市管財によるこのような対応は,平成9年検査当時においても変わるところがなかったであろう事実は優に推認することができる。もっとも,原告らは,原告らが依頼した不動産鑑定士の作成に係る各ゴルフ場の不動産調査報告書(甲165ないし167,169)を提出するが,これらはいずれも大和都市管財が抵当証券発行申請に添付した不動産鑑定評価書と価格時点を共通にしているため,平成9年当時の評価ではない上,実際にはいずれのゴルフ場も前記時点においては預託金会員制を採用していたのに,美祢ゴルフ場に係るも 券発行申請に添付した不動産鑑定評価書と価格時点を共通にしているため,平成9年当時の評価ではない上,実際にはいずれのゴルフ場も前記時点においては預託金会員制を採用していたのに,美祢ゴルフ場に係るものを除き,算定の便宜上これをパブリック制と仮定した上で,当該ゴルフ場の過去の入場者実績やそのビジター料金等を参考にして仮定上の収益を計算してそれらの収益価格を算出しているものであって,大和都市管財が提出した上記不動産鑑定評価書の評価額が結果的に高額に過ぎたことを推認させるものであるとはいえても,上記調査報告書の評価額に依拠してその平成9年3月時点における担保価値を判断することは困難というべきである。そして,原告らも,別紙8の計算では各ゴルフ場の担保価値を上記各不動産調査報告書ではなくナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブの平成9年3月期又はその直近の時期における貸借対照表上に記載された各ゴルフ場の帳簿価額を基礎に算出しているが, 遊休地であれば格別,現に営業を行っているゴルフ場について,その帳簿価額を根拠に評価額を割り出すことは適当とは解されず,他に証拠上各ゴルフ場の平成9年3月時点における価値を合理的に算出する方法は見いだせない。そうすると,企業会計原則・注解18にいう「金額を合理的に見積もることができること」の要件を欠くことに帰するから,ゴルフ場を担保物件とする特約付き融資については,その貸倒引当金の要設定額を個別に判断することは困難といわざるを得ない。また,原告らによる別紙8の計算によっても,ナイスミドルに対するそのゴルフ場を担保物件としない2件の特約付き融資のうち,広尾ガーデンヒルズに係るものについては担保割れが生じておらず,a区駐車場に係るものについても約1000万円の無担保部分が生じているだけであって,この程 を担保物件としない2件の特約付き融資のうち,広尾ガーデンヒルズに係るものについては担保割れが生じておらず,a区駐車場に係るものについても約1000万円の無担保部分が生じているだけであって,この程度のかい離は誤差の範囲にとどまる可能性もあるから,結局,ナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブに対する特約付き融資については,その債権額のうち抵当物件によって担保されていない部分を検証する実益を認めることができない。 これに対し,北海道泊別観光,ベストライフ通商及びリステム化学研究所については,その担保物件の中にゴルフ場が含まれておらず,平成9年3月ころにおけるその価額をより合理的に算定することが可能であると考えられる。そこで,以下,北海道泊別観光に対する1億9000万円の債権,ベストライフ通商に対する総額105億1730万円の各債権及びリステム化学研究所に対する総額32億2000万円の各債権について,個別に回収不能見込額を判断する。 (イ)北海道泊別観光に対する特約付き融資の回収不能見込額しかるところ,まず,原告らによる別紙8及び同10の各計算によっても,大和都市管財の北海道泊別観光に対する特約付き融資については回収不能見込額が存在せず(これは,特約付き融資の額が1億9000 万円であるのに対し,原告らがその担保であるa町ゴルフ場用地の価格として,平成8年9月期における北海道泊別観光の貸借対照表に記載された土地の価額である約8億7300万円(甲75の4)を用いたためである。),これによって同社に対する特約付き融資に係る貸倒引当金の要設定額を認定することはできない。なお,証拠(甲63)によれば,同社が平成13年4月に民事再生法に基づく保全管理命令を受けた後,上記担保土地について大和都市管財管理人グループが不動産鑑定評価を の要設定額を認定することはできない。なお,証拠(甲63)によれば,同社が平成13年4月に民事再生法に基づく保全管理命令を受けた後,上記担保土地について大和都市管財管理人グループが不動産鑑定評価を改めて依頼したところ,正常価格1200万円,特定価格720万円との結果であったことが認められるが,同時に,証拠(甲63,乙88の19)によれば,北海道泊別観光は,a町ゴルフ場用地について平成3年2月5日に北海道知事より北海道自然環境等保全条例に基づく特定開発行為(ゴルフ場,スキー場,テニス場の建設及び宅地の造成)の許可を得ていたところ,平成12年5月に施行された改正都市計画法により,上記土地について開発のために新たに同法による許可が必要になったこと,大和都市管財は,上記土地に係る抵当証券交付申請書に添付する目的で平成5年12月16日を価格時点とする評価額4億8010万円との不動産鑑定評価書を得ていたところ,上記評価額は,総合レジャー施設予定地としての適性,特定開発行為の許認可の取得,地方公共団体による水利施設や道路整備の進行等を付加価値として考慮し,標準価格の2倍とする評価手法が取られていたこと,が認められる。以上によれば,平成5年12月ころに2億4000万円程度であったa町ゴルフ場用地の適正価格は,平成12年5月の都市計画法改正により開発許可が新たに必要となったことなどからその後大幅に下落し,平成13年ころにおいては1200万円程度となったことが認められるものの,これだけでは,平成9年当時の上記土地の価格が融資額1億9000万円を下回っていたと断定することはできず,仮にそのように推認したとしても,上 記土地の評価額と1億9000万円との差額を合理的に算定することはできない。 これに対し,原告らは,ベストライフ通商及びリステム化学 と断定することはできず,仮にそのように推認したとしても,上 記土地の評価額と1億9000万円との差額を合理的に算定することはできない。 これに対し,原告らは,ベストライフ通商及びリステム化学研究所については,別紙8記載のとおり,それぞれ回収不能見込額が生じるとしているので,以下その合理性を検証する。 (ウ)ベストライフ通商に対する特約付き融資の回収不能見込額まず,ベストライフ通商については,別紙8において原告らが同社の純資産額に施している修正のうち,少なくとも,同社が他のグループ会社に対して有している債権の回収可能割合を債務者の清算価値によって計算し,これによって得られたとする回収不能額約3億6900万円を帳簿上の資産額から控除するとしている点については,22号取扱いによれば許容される可能性があるが,税法基準が一般的であった平成9年当時において,22号取扱いが同取扱いにいう子会社又は関係会社に該当しない融資先の回収不能見込金額を計算するに当たって一般的に用いるべき方法であったと認めるに足りる証拠はないから,本件においては,上記方法のような帳簿価額の修正を行うことはできない(すなわち,グループ会社に対する債権も簿価で評価すべきこととなる。)。 そして,原告らが別紙7及び同8【ケースA】の計算においてベストライフ通商の純資産額に対して行った,同社が保有する不動産の帳簿価格の評価減に伴う修正は,平成9年までに抵当証券保管機構による再評価が行われていた各土地(四条畷市山林,新高駐車場,a町駐車場及び大阪味わいビル敷地)については,帳簿価額に代えて同機構による再評価額を採用し(これにより,同社の債務超過額は計約10億5300万円増加することになる。),その余の不動産のうち,遊休資産として帳簿価額に支払利息配賦額が含まれている土地でa 代えて同機構による再評価額を採用し(これにより,同社の債務超過額は計約10億5300万円増加することになる。),その余の不動産のうち,遊休資産として帳簿価額に支払利息配賦額が含まれている土地でa町土地以外のもの(a区土地並びに神戸市a区b町c,上野市a及び京都府相楽郡a町bに各 所在の土地)については,帳簿価額から支払利息配賦額を控除した(したがって,取得価額に近接する)価額を採用し(これにより,同社の債務超過額は計約14億9100万円増加することになる。),a町土地及び大阪駅前第1ビルについては帳簿価額をそのまま採用し,個別のたな卸不動産の平成8年6月期末における帳簿価額は,平成10年6月期(第15期)における勘定科目内訳明細書添付の「たな卸不動産明細書」(甲72の14)の内訳比率から推定する,というものであるところ,証拠(甲54,72の14,90の6,111,263,264,乙88の4,133,149,証人Y4)によれば,ベストライフ通商が上記各不動産を取得した時期は昭和60年7月から平成6年4月にかけてであったこと,抵当証券保管機構が行った再評価(Y4補佐がその内容をY17課長に伝え,他の不動産についても簡易鑑定による再評価をするよう促したことが認められること,甲90の6右肩に(H.9. 4.30分に添付)との記載があることから推して,その価格時点は平成9年4月ころと推認される。)は路線価や公示地価を基にしたいわゆる簡易鑑定であるが,銀行からの出向者がその職員の多くを占める同機構の不動産担保評価の手法には一般的に信頼性があると推認することができるところ,同機構の再評価によって帳簿価額より価格が下落していたとされた4筆の土地はいずれも大阪圏の市街地に所在しており(四条畷市山林も,住宅都市整備公団(当時)によって田原ニュ 推認することができるところ,同機構の再評価によって帳簿価額より価格が下落していたとされた4筆の土地はいずれも大阪圏の市街地に所在しており(四条畷市山林も,住宅都市整備公団(当時)によって田原ニュータウンとして開発され,平成6年ころまでに順次換地を受けており,平成13年ころの現状は6区画約500坪の宅地であった。),大阪圏の商業地における公示地価は,これらの土地のうち3筆が購入された平成5年度から平成8年度までの間に約5割,残り1筆が購入された平成6年度から平成8年度までの間に約3割下落しているから,このことからも上記再評価の結果には不合理な点はないと解されること,いかに法的整理手続中 の売却という特殊事情や約5年の時期の違いがあるとはいえ,原告らによって帳簿価額から減額修正された上記各不動産のうち,大和都市管財グループの破綻以降に抵当証券保管機構を通じて処分がされたものの処分価格は,別表3のとおり新高駐車場が2億0010万円,a町駐車場が1億4100万円,大阪味わいビル敷地が約2453万円であったと認められ,a区土地の処分価格は1235万円程度と推認されるところ,これらはいずれも原告らによる前記修正後の各土地の評価額を最小でも約70パーセント(a町駐車場),最大で約99パーセント(a区土地)下回っていることなどに照らすと,原告らの行った上記各修正がベストライフ通商の平成8年6月末当時の総資産額を不当に低く評価していると認めることはできず,むしろその減価は控えめですらあったと解することができる。 もっとも,大阪駅前第1ビルについては,証拠上遊休地であるとは認められず,かつ,抵当証券保管機構による簡易鑑定の対象ともなっていないことから,ここでは,関東財務局の例にならい,帳簿価額ではなく,証拠(乙88の7)上認められる平成5年 ,証拠上遊休地であるとは認められず,かつ,抵当証券保管機構による簡易鑑定の対象ともなっていないことから,ここでは,関東財務局の例にならい,帳簿価額ではなく,証拠(乙88の7)上認められる平成5年6月15日を価格時点とする鑑定評価額である23億1152万3200円(24億5000万円から敷金債務1億3847万6800円を控除した残額)を採用することとする。 これらの数値を基に別紙7及び同8に準拠して計算すれば,平成8年6月期における同社の弁済不能見込額は約36億8600万円(債務超過額約14億3400万円と所有不動産の価値下落に伴う修正額約22億5200万円(約25億4400万円(原告らの計算による不動産価値下落分の総額)-約2億9200万円(原告らの計算による大阪駅前第1ビルに係る価値下落分))の和)となる。 なお,上記計算は,平成8年6月期のベストライフ通商の決算書を用 いているため,同年10月に同社が取得した東京味わいビル敷地が考慮に入れられていないが,平成9年3月の時点では,同年6月期の同社の貸借対照表の内容は判明していないから,平成8年7月以降に生起した事実のうち上記土地を取得した事実のみを考慮に入れるのは妥当ではない。もっとも,証拠(甲72の14)によれば,東京味わいビル敷地の取得価格は9億円を超えていたことが認められ,これと上記土地を担保とする特約付き融資7億8000万円との差額が一般財産の引当になった可能性はあるが,他方で,平成9年6月期末においてベストライフ通商の債務が期首よりも22億円以上増加していることを併せ考えると,平成9年3月末の時点におけるベストライフ通商に対する特約付き融資の貸倒引当金を仮に試算し得たとしても,平成8年6月期の決算書を基礎として計算した場合よりも増加するであろうことは優に推認する ると,平成9年3月末の時点におけるベストライフ通商に対する特約付き融資の貸倒引当金を仮に試算し得たとしても,平成8年6月期の決算書を基礎として計算した場合よりも増加するであろうことは優に推認することができる。 したがって,大和都市管財のベストライフ通商に対する特約付き融資に係る債権105億1730万円のうち,平成8年11月に実行された7億8000万円を除く約97億3730万円について,抵当物件によって担保されていたと評価し得るのは,以下のとおり,別紙7の同社に係る「優先弁済額」欄に記載された約86億2100万円に大阪駅前第1ビルに係る債権が全額担保されていたと仮定することによる修正額約2億9200万円を加えた約89億1300万円にとどまることになるから,その差額である約8億2430万円が無担保というべきこととなる。 9,737,300,000-(8,621,000,000+292,000,000)=824,300,000そして,仮に,原告らのように,上記債権について一般債権としての回収可能見込額を考慮するとしても,別紙7の3頁記載の方法を参照して計算すれば(ただし,上記のとおり,ベストライフ通商の借入金額等 のうち「換価可能純資産」を「-3,686」,「DTK劣後弁済額」を「824」にそれぞれ修正するとともに,「DTK劣後弁済額」が原告らの計算より約4億3200万円(1,254百万円-824百万円=430百万円)減少することに伴い,「劣後負債合計」を「4,629」(5,059百万円-430百万円=4,629百万円)に修正する必要が生じる。),以下のとおり,上記無担保部分のうち約79.6パーセントに該当する約6億5614万円が回収不能見込額となるから,これと同額の貸倒引当金を設定すべきこととなる。 3,686÷4,629≒0 じる。),以下のとおり,上記無担保部分のうち約79.6パーセントに該当する約6億5614万円が回収不能見込額となるから,これと同額の貸倒引当金を設定すべきこととなる。 3,686÷4,629≒0.796824,300,000×0.796=656,142,800≒656,140,000他方,証拠(甲2,75の8,207,乙146,154)によれば,近畿財務局が平成13年4月に大和都市管財の財産的基礎を否認した際には,北海道泊別観光の実質的破綻を認定した上,同社に対する大和都市管財の抵当権付き債権10億円のうち,担保物件の鑑定評価額である4億8000万円を超える5億8000万円については,平成12年9月期の貸借対照表上北海道泊別観光は他に一般財産(長期貸付金約9億円,現金・預金約15万円)を保有していたにもかかわらず,そこからの返済可能性を考慮することなく,その全額について債務保証損失引当金の計上が必要であるとしていたこと,関東財務局が平成9年10月に不動産抵当證券のソーケン開発に対する債権につき貸倒引当金を算定した際にも,担保物件のうち簡易鑑定の行える不動産についてはこれを行い,これが行えない不動産については不動産鑑定評価をそのまま用いた上,一般債権としての回収可能見込額は考慮しなかったこと,が認められるところ,ここでもそうした手法にならうとすれば,平成9年までに抵当証券保管機構による再評価が行われていた各土地(四条畷市山林,新高駐車場,a町駐車場及び大阪味わいビル敷地)についてその評価額 を採用し(別紙7の1頁の上記各土地に係る評価額(Aの符号が付されているもの)を合計すると約16億2200万円となる。),これらの土地を担保とする特約付き融資の債権額合計26億4000万円との差額である10億1800万円が無担保となり,こ 価額(Aの符号が付されているもの)を合計すると約16億2200万円となる。),これらの土地を担保とする特約付き融資の債権額合計26億4000万円との差額である10億1800万円が無担保となり,これと同額の貸倒引当金を設定すべきこととなる。 以上によれば,ベストライフ通商に対する特約付き融資については,平成9年3月末の時点において,少なくとも6億5600万円程度の貸倒引当金を追加的に設定すべきであったと認めることができる。 (エ)リステム化学研究所に対する特約付き融資の回収不能見込額次いで,リステム化学研究所についても,原告らが別紙8において行っている帳簿価額の修正のうち,貸付金回収不能見込額については前記と同様の理由で認めることができないので,この点を除いて別紙7及び同8の計算に従い,平成9年3月期における同社の弁済不能見込額は約5億8700万円(債務超過額約1億6300万円と所有不動産の価値下落に伴う修正額約4億2400万円の和)となる。そして,原告らが別紙7及び同8【ケースA】の計算においてリステム化学研究所の純資産額に対して行った,同社が保有する不動産の帳簿価格の評価減に伴う修正は,平成9年までに抵当証券保管機構による再評価が行われていた物件(リステム化学研究所に対する特約付き融資に係る担保物件のすべてである。)について,帳簿価額に代えて同機構による再評価額を採用したものであって,抵当証券保管機構による簡易鑑定が一般的に信頼可能であると推認することができること,これらの担保物件がいずれも大阪圏の市街地にあることはいずれもベストライフ通商の場合と同様である上,別表3のとおり,大和都市管財グループの破綻以降に抵当証券保管機構を通じて処分がされたものの処分価格は,a区共同住宅が2億3560万円,上野西共同住宅が1億8100万円 フ通商の場合と同様である上,別表3のとおり,大和都市管財グループの破綻以降に抵当証券保管機構を通じて処分がされたものの処分価格は,a区共同住宅が2億3560万円,上野西共同住宅が1億8100万円,寺内共同住宅が1億 7680万円,西宮市共同住宅が2億2008万円であったところ,これらはいずれも原告らによる前記修正後の各物件の評価額を最小でも約43パーセント(西宮市共同住宅),最大で約66パーセント(上野西共同住宅)下回っていることなどに照らすと,この点に関しても,原告らの行った上記各修正がリステム化学研究所の平成9年3月末当時の担保物件の価格を不当に低く評価していると認めることはできない。 したがって,大和都市管財のリステム化学研究所に対する債権額計32億2000万円については,別紙7の同社に係る「優先弁済額」欄に記載されたとおり,抵当物件によって担保されていたと評価し得るのは約18億4400万円にとどまることになるから,その差額である約13億7600万円が無担保というべきこととなる。そして,仮に原告らのように,上記債権について一般債権としての回収可能見込額を考慮するとしても,別紙7の3頁記載の方法を参照して計算すれば(ただし,上記のとおり,リステム化学研究所の借入金額等のうち「換価可能純資産」を「-587]と修正する。),以下のとおり,上記無担保部分のうち約38.4パーセントに該当する約5億2838万円が回収不能見込額となるから,これと同額の貸倒引当金を設定すべきこととなる。 587÷1,528≒0.3841,376,000,000×0.384=528,380,000他方,ソーケン開発の場合と同様に,担保物件のうち簡易鑑定の行える不動産についてはこれを行い,一般債権としての回収可能見込額は考慮しないという,新基準に準拠し 0×0.384=528,380,000他方,ソーケン開発の場合と同様に,担保物件のうち簡易鑑定の行える不動産についてはこれを行い,一般債権としての回収可能見込額は考慮しないという,新基準に準拠した手法にここでもならうとすれば,リステム化学研究所に対する特約付き融資に係る無担保部分である約13億7600万円について,そのままこれと同額の貸倒引当金を設定すべきこととなる。 そうすると,リステム化学研究所に対する特約付き融資については, 平成9年3月末の時点において,少なくとも5億2800万円程度の貸倒引当金を追加的に設定すべきであったと認めることができる。 (オ)貸倒引当金要設定額の計算原告らは,別紙8の計算において,個別の貸倒引当金を積み増すに当たり,大和都市管財が本件貸借対照表において既に計上していた2億1000万円の貸倒引当金全額を積み増し分から控除しているが,ベストライフ通商及びリステム化学研究所に対する特約付き融資についてのみ個別に回収不能見込額を評価するのであれば,大和都市管財がグループ各社に対して有するその他の債権については依然として本件基準に基づく貸倒引当金の設定が必要と解されるから,積み増し分から控除する必要がある金額は,上記両社に対する法定繰入率に係る貸倒引当金に限られると解されるところ,その額は以下の計算のとおり,4121万1900円である。 (10,517,300,000+3,220,000,000)×0.003=41,211,900以上によれば,税法基準の下においても,大和都市管財は,設定済みの2億1000万円の貸倒引当金に加えて,以下のとおり,少なくとも更に11億4200万円程度の貸倒引当金を設定すべきであったことが認められる。 (656,000,000+528,000,000)-41,211,90 円の貸倒引当金に加えて,以下のとおり,少なくとも更に11億4200万円程度の貸倒引当金を設定すべきであったことが認められる。 (656,000,000+528,000,000)-41,211,900=1,142,788,100そして,上記金額を本件貸借対照表における大和都市管財の資産の部に記載のある貸倒引当金2億1000万円に加算すると,同社の貸倒引当金は合計で13億5200万円となり,資産合計は以下の計算のとおり559億9190万3336円となる。 57,338,903,336-1,352,000,000=55,986,903,336しかるところ,上記資産合計から同社の負債合計567億5942万3307円を控除して得られる同社の純資産額は,以下の計算のとおり -7億7251万9971円となる。 55,861,903,336-56,759,423,307=-772,519,971(カ)小括したがって,同社は平成9年3月末時点の貸借対照表において,以下のとおり,3億2250万円以上の債務超過となるから,同社は,同時点で優に資本欠損に陥っていたことが認められるというべきである。 -772,519,971+450,000,000=-322,519,971コ被告の主張について被告は,グループ会社が保有する不動産の評価額は,抵当証券発行申請時に不動産鑑定士が提出した不動産鑑定評価額を無視すべきではないと主張する。しかしながら,不動産鑑定評価額に一般的な合理性を肯定するとしても,それらの評価時点はいずれも抵当証券発行申請時に近接する時点であって,平成8年6月末ないし平成9年3月末の時点ではその後の地価下落の影響を受けざるを得ない。特に,証拠(甲49,50,54,乙22,88の1)によれば,ベストライフ通商の有する不動産のうち,a町土 て,平成8年6月末ないし平成9年3月末の時点ではその後の地価下落の影響を受けざるを得ない。特に,証拠(甲49,50,54,乙22,88の1)によれば,ベストライフ通商の有する不動産のうち,a町土地については,同社が昭和62年9月に約6ないし8億円程度で購入したものであり,大和都市管財は当初昭和62年8月26日を価格時点とする60億0300万円との不動産鑑定評価書(「熟成度の高い墓地見込地」としての評価を行い,他に特段の条件はないとするもの)を基に同物件につき30億円の抵当証券の発行を受けてこれを販売していたが,後に平成5年12月17日を価格時点とする21億円との不動産鑑定評価書が新たに提出され,この金額は前記計算における同物件の帳簿価格30億5000万円を9億5000万円も下回っていること(しかも,新鑑定評価書(乙88の1)によっても,修正後の不動産鑑定価格がa町土地が産業廃棄物処理場跡地であるとの事実を織り込んだ評価であると認めるには足りず,現実にも,証拠(甲63)によって認められるとおり,a町土地は ベストライフ通商の破産手続において評価額を上回る産業廃棄物の除去費用が見込まれ換価性がないことを理由に破産財団から放棄されたのであって,このことに照らすと,21億円という上記修正後の評価ですら,平成8年6月末当時のa町土地の時価を著しく上回る蓋然性が高いものというべきである。),近畿財務局も,平成5年ころ,a町土地には30億円の価値があるとは思われないとして,これを担保とした抵当証券の販売額を15億円程度まで減額するよう大和都市管財に指導していた上,平成9年10月の段階では,大和都市管財の各担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいため,最終的に換価処分した場合に大幅 に指導していた上,平成9年10月の段階では,大和都市管財の各担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいため,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が高いものと危惧していたことがそれぞれ認められるから,被告の前記主張は採用することができない。 加えて,被告は,グループ会社の保有する不動産の時価が帳簿価額を超える(すなわち,含み益がある)可能性を考慮していない点で原告らの計算方法は妥当ではないとも主張するが,帳簿価額を時価として採用した担保物件の評価についてそのような可能性が存在することを裏付けるに足りる証拠は被告からは何ら提出されていない上,前記認定に照らすと,かえって,ベストライフ通商やリステム化学研究所を含むグループ会社がその保有不動産について平成8年6月又は平成9年3月の時点で既に含み損を有していたと推認することが可能というべきである。 また,被告は,原告らの計算方法は会計上の子会社及び関係会社における株式及び債権の評価にのみ適用される22号取扱いに基づいており,大和都市管財グループの主要株主がY1及びその親族で占められているといった程度の理由でこのような取扱いを本件でも適用するのは妥当ではない旨主張する。しかしながら,新基準のように実質破綻先債権について一般財産からの回収可能性を考慮しないのであれば,債務者が清算したと仮定 して計算を行う必要はなく,現に関東財務局は不動産抵当證券に対する貸倒引当金を算定するに当たって,近畿財務局は大和都市管財に対する債務保証損失引当金を算定するに当たって,それぞれ無担保債権額をそのまま引当金額としているところ,原告らは無担保部分について更に一般財産からの回収可能性を考慮しているからこそ,融資先の清算を仮定した上での 証損失引当金を算定するに当たって,それぞれ無担保債権額をそのまま引当金額としているところ,原告らは無担保部分について更に一般財産からの回収可能性を考慮しているからこそ,融資先の清算を仮定した上での計算の必要が生じるのであって,本件において融資先グループ会社の清算を仮定することは,貸倒引当金額を増額する方向には何ら作用していない。 また,そもそも,既に説示したところから明らかなように,22号取扱いに独自性があるとすれば,会計上の子会社や関係会社に対する債権の評価について,債権者と債務者との間に緊密な関係があることなどを考慮し,場合によっては税法基準以上の貸倒引当金の設定を要求する点に認められるのであって,債務者が評価時点で清算したものと仮定し,当該債務者の総資産額を総負債額で除したものを1から減じて得られた数値を当該債務者に対する債権の回収不能見込割合として用いるという方法自体には特段目新しい点はなく,債務者が子会社等に該当するか否かにかかわらず,通達9-6-4(債権償却特別勘定)の下で債権回収不能見込額を算定する際にも同様の方法によって行うのが通常と解される上,ベストライフ通商やリステム化学研究所を始めとするグループ各社が平成9年3月末時点において事業継続による独力での債務超過解消の見込みがなかったこと(したがって,これら各社が清算せずに事業を継続したと考えた場合,むしろ回収不能見込割合の拡大が懸念されること)も既に説示したとおりである。 さらに,被告は,ベストライフ通商の清算価値を計算するに当たり,同社が平成8年10月に新たに土地を取得した事実を無視してはならない旨主張する。しかしながら,ベストライフ通商の経営状態に照らすと,前記のとおり,原告らが主張するように,同社の清算基準時を遅らせれば遅らせるほど同社に対する債権の回収不能見 事実を無視してはならない旨主張する。しかしながら,ベストライフ通商の経営状態に照らすと,前記のとおり,原告らが主張するように,同社の清算基準時を遅らせれば遅らせるほど同社に対する債権の回収不能見込割合は増大するものと推認する ことができるから,この点に関する被告の主張も採用しない。 加えて,被告は,大和都市管財の融資先の保有不動産すべてが特約付き融資の担保に供されていることを前提としていることについて,融資先が担保に供されていない不動産を所有している場合,それらの物件については一般債権の弁済の対象となる財産となるために回収見込額が大きくなり,貸倒引当金要設定額は小さくなるから,不合理であると批判する。この点につき,ベストライフ通商に関してみると,原告らは,別紙7の1頁記載とおり,附属設備及び構築物(平成8年6月期の貸借対照表における資産としての計上額は約4億4500万円)が担保物件か否か不明確であったために帳簿価額で担保物件の評価額に加えていたものであるところ,仮にこれが担保物件でないとすれば,原告らの主張するとおり,大和都市管財に対する優先弁済額が減少する結果,回収不能見込額が増額され,貸倒引当金の要設定額もむしろ増加することが予想される。他方,リステム化学研究所に関しては,同じく別紙7の1頁における計算上,仮に同社が特約付き融資の担保物件以外の不動産を所有していたとすれば,大和都市管財に対する優先弁済額には変化がない一方で,一般債権への引当となる財産が増加することから,回収不能見込額が減少する結果,貸倒引当金の要設定額が減少ないし消滅する可能性が生じる。しかしながら,証拠(甲56,63,77)によれば,リステム化学研究所の貸借対照表上の建物勘定,土地勘定は,平成5年3月期においては計上されていなかったものが,平成6年3 し消滅する可能性が生じる。しかしながら,証拠(甲56,63,77)によれば,リステム化学研究所の貸借対照表上の建物勘定,土地勘定は,平成5年3月期においては計上されていなかったものが,平成6年3月期に建物勘定が約2億4300万円,土地勘定が約6億7700万円それぞれ計上され,平成7年3月期には建物勘定が約6億3600万円,土地勘定が約16億3200万円に増額され,以後はその破綻に至るまで両勘定の数値に変化がないところ,平成6年3月期と平成7年3月期は,同社がその帳簿上大和都市管財からの特約付き融資を受けて4件の共同住宅を順次取得した時期に当たること,大和都市管財事件管財人グル ープが平成14年8月に提出した報告書にも,リステム化学研究所が所有していた不動産としては上記4件の共同住宅に係る記載しかないこと,本件刑事事件に際して大阪府警が作成した「抵当権設定にかかる担保物件購入価格一覧表」によれば,リステム化学研究所が平成7年3月期に購入した上野西共同住宅,寺内共同住宅及び西宮市共同住宅の購入価格はその売買契約書によればそれぞれ4億0150万円,4億5690万円及び4億0150万円の合計12億5990万円であって,同期における同社の土地勘定及び建物勘定の増額分の合計13億4800万円とほぼ見合うこと(帳簿価額は,売主に支払った売買代金に登記手数料や仲介手数料等が加算された金額となるはずであるから,売買契約書上の金額との間に9000万円弱のかい離額があること自体は何ら不自然ではない。),がそれぞれ認められ,これらの事実及び弁論の全趣旨を総合すれば,リステム化学研究所は,特約付き融資の担保物件である4件の共同住宅のほかに不動産を所有していなかったことは優に推認することができる。したがって,この点に関する被告の主張も結局は失当という 合すれば,リステム化学研究所は,特約付き融資の担保物件である4件の共同住宅のほかに不動産を所有していなかったことは優に推認することができる。したがって,この点に関する被告の主張も結局は失当というべきである。 また,被告は,平成12年検査において,「金融商品会計に関する実務指針(中間報告)」中の「個別引当法」を参考に大和都市管財の貸倒見積高を合理的に算定しようと試みたが,担保不動産の大半を占めるゴルフ場の正確な時価の把握が困難であり,また債権額のうち担保時価を超過する部分についていくらを引き当てるのかについて明確な算定基準がなかったから,休眠会社であるとの断定が可能であった北海道泊別観光を除いて,貸倒引当金を算定することができなかった旨の主張もする。しかしながら,既に説示したように,平成12年検査において近畿財務局は大和都市管財の抵当証券受取利息を否認することなどを通じて同社に50億円を超える簿外債務があると確実に認定することができ,それだけで同社が財産的基礎を欠くものと優に判断することができた上,ゴルフ場の収益還元価格を 把握するには入場客数や売上収益等の情報を大和都市管財から入手する必要があるものの,同社の任意の協力はおよそ望めなかったところ,こうした状況下で予算を確保して同社が抱える膨大な担保不動産につき不動産鑑定評価を行う理由も必要も乏しかったことは明らかであるから,平成12年検査で近畿財務局が貸倒引当金の追加設定を行わなかったことから,直ちに平成12年の時点においてすら貸倒引当金の設定基準が明確ではなかったと推認することはできない(ゴルフ場の評価が困難であるのは被告の主張するとおりであるが,担保物件のうちにゴルフ場を保有しないベストライフ通商やリステム化学研究所に対する貸倒見積高は上記のとおり算定することが可能であ きない(ゴルフ場の評価が困難であるのは被告の主張するとおりであるが,担保物件のうちにゴルフ場を保有しないベストライフ通商やリステム化学研究所に対する貸倒見積高は上記のとおり算定することが可能であり,特に後者については,簡易鑑定によることも容易であった。)。また,既に説示したとおり,既に平成9年10月において,関東財務局長はなお休眠会社とはいえなかったソーケン開発についてその破綻を認定した上で貸倒引当金を現に算定しているのであるから,このことからしても,被告の主張はその事実的前提を欠くといわざるを得ない。 なお,更新登録申請者に係る財産的基礎の判断に当たって財務局長等が貸倒引当金を検証する目的は,追加設定すべき貸倒引当金額が,単独で,又は他の要因と相まって申請者の資本欠損を生じさせ得る程度に達するか否かを判断する点にあると解されるところ,被告が主張するように,平成9年当時に妥当していた税法基準を中心とする貸倒引当金の算定方法は必ずしも一義的に明確とはいえなかったが,近畿財務局長が算定すべきであった貸倒引当金の積み増し額は,それが「公正ナル会計慣行」の範囲内にあるといえれば足りるのであって,上記慣行に準拠して算定される貸倒引当金の上限額と一致しているとの確証が得られない限りその算定が不可能であると解するまでの必要はなかったというべきであり,現に関東財務局長が不動産抵当證券に対して貸倒引当金の算定を行った際の手法(簡易鑑定ができる物件についてはそれにより,これが不可能な物件については不動 産抵当證券が提出した不動産鑑定評価書の評価額をそのまま採用する,というもの)に照らしても,そのことは明らかというべきである。 なお,被告は,約14億円という回収不能見込額に係る関東財務局長の計算結果については不動産抵当證券も認めていた点が本件とは異 ま採用する,というもの)に照らしても,そのことは明らかというべきである。 なお,被告は,約14億円という回収不能見込額に係る関東財務局長の計算結果については不動産抵当證券も認めていた点が本件とは異なる旨主張するが,それを裏付けるに足りる客観的証拠は存在しない上,そもそも,被検査者が回収不能見込額,ひいては貸倒引当金の要追加設定額を認めていたことと,その算定が「公正ナル会計慣行」に従って行われたこととは一応別個の問題であることからすると(被検査者が同意していたとしても,不公正な会計手法により計算した貸倒引当金に基づいて行った処分はなお違法の問題を生じ得る。),被検査者による同意の存否は検査結果の通知の適否に直接的には影響を与えないものというべきである。 サ原告らの主張について原告らは,ナイスミドルが創業費として計上した繰延資産やナイス函館・美祢カントリークラブが計上した営業権を全額償却したり,ナイスミドルの子会社である北海道泊別観光・美祢カントリークラブ・ナイス函館の株式を全額評価減するなどの措置を講じるべきである旨主張するが,ナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブに対する特約付き融資に係る担保物件の全部又は大部分を占めるゴルフ場の担保価値については,その合理的評価が困難であることは既に説示したとおりである上,平成9年3月ころに妥当していた「公正ナル会計慣行」に照らし,貸倒引当金の設定に当たり一般的に原告らが主張するような詳細な認定を行う必要があったと認めるに足りる証拠はない(22号取扱いによれば許容された余地はあるが,既に説示したとおり,本件において,22号取扱いを必ず適用又は準用しなければ「公正ナル会計慣行」に反したとはいえない。)から,原告らの上記主張は採用しない。 シ小括 以上によれば,本件貸借対照表上 したとおり,本件において,22号取扱いを必ず適用又は準用しなければ「公正ナル会計慣行」に反したとはいえない。)から,原告らの上記主張は採用しない。 シ小括 以上によれば,本件貸借対照表上,平成9年3月末ころに「公正ナル会計慣行」として妥当していたと解される税法基準の下においても,少なくとも約11億4200万円以上の貸倒引当金を追加して設定することが要求されていたものと解され,これによれば大和都市管財には資本欠損が生じることになるから,同社は平成9年12月の本件更新登録時点において,客観的には抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を欠いていたことが明らかである。 (5)本件貸付金の資産計上ア本件貸付金に関する事実関係証拠(甲7,13,51,68,118,135,151,乙3,9,22,32ないし36,88の13,乙90ないし92,145,証人Y14,同Y20)によれば,本件貸付金に関し,以下の事実を認めることができる。 (ア)本件貸付金に関し発行された抵当証券の帰すう本件貸付金については,平成8年3月28日付け金銭消費貸借抵当証券発行特約付抵当権設定契約証書(以下「本件貸付金証書」という。)が存在し,これによれば,債務者兼抵当権設定者ナイスミドルが,債権者兼抵当権者大和都市管財から,同日付けで元本の一括弁済期を平成22年9月28日等と定めて55億円を借り入れ,その担保として那須ゴルフ場に抵当権を設定するとともに,これにつき抵当証券の発行を承諾するとされていた。そして,これに基づき,平成8年5月24日受付第4558号をもって上記ゴルフ場に本件貸付金に係る抵当権が設定され,大和都市管財は,同年6月6日,宇都宮法務局那須出張所の登記官から抵当証券55億円相当分の追加発行を受けた。しかしながら,那須ゴル 4558号をもって上記ゴルフ場に本件貸付金に係る抵当権が設定され,大和都市管財は,同年6月6日,宇都宮法務局那須出張所の登記官から抵当証券55億円相当分の追加発行を受けた。しかしながら,那須ゴルフ場については,従前に大和都市管財が192億9190万円の不動産鑑定評価を得た上で130億円分の抵当証券の交付申請を行っていたも のの,宇都宮地方法務局那須出張所において法務鑑定委員会に諮った上で平成7年11月にこれを100億円に減額させて交付した経緯があった。法務本省は,大和都市管財が追加発行分の前記抵当証券を販売しようとした平成8年8月に至って上記追加発行の事実を把握し,法務鑑定委員会に対して再度担保評価についての意見を求めるとともに,同月7日,大蔵本省に通報し,再評価が出るまで当該抵当証券に係るモーゲージ証書の販売を自粛させるよう協力依頼を行った。これを受け,近畿財務局が同月13日,大和都市管財に対して抵当証券原券の抵当証券保管機構への持込みを自粛するよう行政指導を行ったところ,同社は同日中に原券を同機構に持ち込んだ上で,販売自体は当面自粛すると述べた。 同月22日,法務鑑定委員会において上記ゴルフ場の担保価値が120億円と評価されたことを受けて,近畿財務局は,本省金融会社室の指示で,同月23日,担保掛け目を8割としても追加発行分の抵当証券55億円は担保割れとなるとして改めてその原券を抵当証券保管機構から任意に取下げるよう大和都市管財に指導した。Y1はこれに強く反発したものの,最終的にその販売自粛の継続には応じた。 (イ)本件貸付金に係るその後の経緯大和都市管財の総勘定元帳には,平成8年4月1日の欄に,摘要欄をいずれも「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」として,(借方)抵当証券貸付金5,500,000/(貸方)長期借入金5,500 るその後の経緯大和都市管財の総勘定元帳には,平成8年4月1日の欄に,摘要欄をいずれも「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」として,(借方)抵当証券貸付金5,500,000/(貸方)長期借入金5,500,000との仕訳(本件仕訳)が記載され,他にも「長期借入金/受取利息」等,本件仕訳と同様,現金預金勘定を相手方としないために資金の移動を確認することができない仕訳が多く認められた。 そこで,Y14検査官は,Y8に対し,任意でグループ会社の会計帳簿の提出をするようしょうようし,Y8は,Y1らに諮った上でこれを提出した。しかるところ,近畿財務局は,このようにして提出を受けた 会計帳簿を用いて上記のような仕訳を更に調査したところ,本件貸付金がナイスミドルの平成8年6月期の総勘定元帳には計上されていなかったため,平成9年7月1日ころ,この点をY3会計士に確認した。これに対し,Y1,Y6,Y2,Y7弁護士,Y3会計士らは,同月8日,近畿財務局はグループ会社の帳簿を調査した際,グループ会社側の承諾を得ておらず,抵当証券業規制法に根拠を有しない違法な調査に当たるとして抗議するとともに,本件貸付金についてはナイスミドルの側における経理上のミスにすぎない旨弁明し,Y3会計士は,本件貸付金については大和都市管財がナイスミドルに55億円の小切手を渡していたが自分は知らなかった,ナイスミドルで臨時株主総会を開いてでも確定決算を変更しようと思っている旨説明した(近畿財務局は,その前日,グループ会社の会計帳簿をコピーを含めて返還していた。)。 その後,大和都市管財側から近畿財務局に対し,同年10月22日付けY3会計士のナイスミドルに対する報告書(ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金の計上がないとの指摘を受けていることに関して,自身の会計事務所の不注意による仕訳 近畿財務局に対し,同年10月22日付けY3会計士のナイスミドルに対する報告書(ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金の計上がないとの指摘を受けていることに関して,自身の会計事務所の不注意による仕訳漏れが生じ,記帳漏れになったことを詫びるとともに,計上漏れについては平成8年9月1日の時点で判明し,ナイスミドルにおいても記帳済みであるとの趣旨のもの)及び平成9年10月28日付けナイスミドルの大和都市管財に対する報告書(本件貸付金の計上がないとの指摘を受けていることに関して,経理事務処理をY3会計事務所に一任していたために記帳漏れに気づくのが遅れたことを詫びる趣旨のもの)が提出された。 本件貸付金証書に基づく抵当権については,平成9年12月12日受付第12931号をもって,同年11月28日弁済を原因としてその抹消登記がされた。しかしながら,Y20検査官は,平成12年検査の過程で大和都市管財の預貯金通帳や現金出納簿等を調査した上,平成12 年11月14日,大和都市管財に対して交付したY20要約の中において,本件貸付金の弁済については弁済を確認することができる資料の提示がなく,当該弁済が行われていない疑いがあると指摘していた。 (ウ)大和都市管財関係者の認識等本件貸付金証書は,55億円分の抵当証券を大和都市管財が販売することができるように便宜的に作成されたものであり,これに見合った資金をこのころ大和都市管財からナイスミドルに移動した事実はなかった。 当時,ナイスミドルの代表取締役であったY2は,同社が55億円の資金を必要とした事情は全くなかったことから,本件貸付金証書は仮装のものであって,単に抵当証券を追加発行するための形式を整えるにすぎないものであると認識していたが,Y8がナイスミドルの代表取締役印を本件貸付金証書に押印することを許 ことから,本件貸付金証書は仮装のものであって,単に抵当証券を追加発行するための形式を整えるにすぎないものであると認識していたが,Y8がナイスミドルの代表取締役印を本件貸付金証書に押印することを許した。 また,平成9年検査において,近畿財務局から,ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金に関する記載がないことを指摘された後,Y1は,大和都市管財の社長室にY2,Y6,Y3会計士,Y8らを集めて対策を協議した。その際,Y6がY1に対し,「何で金を移動させんのや。 形だけでも移動させんとあかんやろう。」などと注意したのに対し,Y1は「別にかまへんやないか。」などと答えていた。 イ本件貸付金に係る資金移動の有無が本件貸借対照表に与える影響前記アの認定に照らすと,本件貸付金は,大和都市管財が抵当証券の発行を受けてこれを顧客に販売し,資金集めを行うためにその存在を仮装されたものにすぎず,同社からナイスミドルに対する資金の移動を伴っていないことは明らかであるから,大和都市管財のナイスミドルに対する消費貸借債権としては客観的に存在していなかったというべきである。 しかしながら,たとい本件貸付金が資金の移動を伴っていないとしても,いわゆる諾成的消費貸借契約に基づく債権であると構成することはなお可 能であり,この場合,その相手方である長期借入金もまた資金の移動を伴わない諾成的消費貸借契約に基づく債務と解することが可能であるから,結果的に総勘定元帳の帳尻は合い,本件貸借対照表の記載には直接影響を与えないこととなる(すなわち,大和都市管財がナイスミドルに対し「55億円を貸す債務」があると認定するにしても,大和都市管財は同時に長期借入金の貸付先に対して「55億円の交付を請求する債権」を取得するものと解される。)。また,資金移動の裏付けがないことを捉えて,原告 億円を貸す債務」があると認定するにしても,大和都市管財は同時に長期借入金の貸付先に対して「55億円の交付を請求する債権」を取得するものと解される。)。また,資金移動の裏付けがないことを捉えて,原告らが主張するとおり本件貸付金が架空であると解するにしても,本件仕訳ごと,本件貸付金に対応する長期借入金についても消去される結果(けだし,本件貸付金が存在しないのであれば,その調達のために大和都市管財が他からこれに対応する長期借入れを行うこともない。),本件貸借対照表に係る資産の部と負債の部のそれぞれから55億円が減額されるだけであって,いずれにせよ,同社の純資産額には影響がないものというべきである(なお,被告が主張するように本件仕訳が①(借方)現金預金/(貸方)長期借入金及び②(借方)抵当証券貸付金/(貸方)現金預金の2つの仕訳のうち,現金預金の部分を省いた中間省略仕訳であると解し,かつ,②の仕訳のみを消去したとしても,55億円の抵当証券発行特約付き債権に代えて同額の現金預金が資産の部に計上される結果となるから,やはり大和都市管財の純資産額は影響を受けないものと解される。)。 ウ小括したがって,本件貸付金につき資金の移動がないと認められる点は原告らの主張するとおりであるが,この事実そのものは,本件申請書等に係る虚偽記載(抵当証券業規制法6条1項柱書)の有無等の判断に影響を与えるか否かは格別,それ自体で平成9年3月末時点における大和都市管財の財産的基礎に影響を及ぼすことはないというべきである。 (6)本件3融資の資産計上 ア本件3融資に係る資金移動の有無と本件貸借対照表との関係本件3融資につき資金移動がないと認められても,本件貸付金におけるように,そのことが本件貸借対照表上の純資産額に影響しないのであれば,この点を判断する 資に係る資金移動の有無と本件貸借対照表との関係本件3融資につき資金移動がないと認められても,本件貸付金におけるように,そのことが本件貸借対照表上の純資産額に影響しないのであれば,この点を判断する実益はないことになる(現に,被告はそのように主張する。)。しかしながら,本件貸付金を表章した抵当証券の販売が近畿財務局からの行政指導によって断念させられたのと異なり,大和都市管財は,本件3融資に係る抵当証券の発行を受けて顧客に販売している。そうすると,平成12年検査における抵当権付き債権一部譲渡に係る仕訳と同じく,本件3融資に関しては貸付けに係る仕訳とそれに対応する長期借入金に係る仕訳の双方を単純に消去することはもはやできないというべきであるから,仮に本件3融資のいずれかについて対応する資金移動がないのであれば,同額の簿外債務が大和都市管財に生じることにより本件貸借対照表が影響を受け,大和都市管財の純資産額が縮減することになると解される。 イ本件3融資に関する事実関係そこで検討するに,証拠(甲12,52,53,55,56,63,68,73,76,90の6,109,118,135の2,136ないし138,148,乙27,89,91,93,146,証人Y20)及び弁論の全趣旨によれば,本件3融資に関し,以下の事実を認めることができる。 (ア)帳簿上の記載等大和都市管財の総勘定元帳には,平成7年2月7日の欄に,摘要欄を「美祢カントリークラブ」として,(借方)抵当貸付11,000,000/(貸方)長期借入金11,000,000同じく同年9月28日の欄に,摘要欄を「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」として,(借方)抵当貸付10,000,000/(貸方)長期借入金10,000,000 同じく平成8年11月1日の欄に,摘要欄を「ベストライフ通商 に,摘要欄を「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」として,(借方)抵当貸付10,000,000/(貸方)長期借入金10,000,000 同じく平成8年11月1日の欄に,摘要欄を「ベストライフ通商」として,(借方)抵当貸付780,000/(貸方)長期借入金780,000との仕訳(本件仕訳)がそれぞれ記載され,大和都市管財による長期借入金の調達先としては総勘定元帳(及び平成9年3月期の決算書)にはY1のみが記載されていた。前記のように,こうした仕訳からは現金の移動は帳簿上確認することができず,帳簿上は,大和都市管財がY1から特約付き融資の原資を借り入れ,それをそのままグループ会社に貸し付けたと理解するほかはないが,Y1は,その資金の調達先につき,永年の不動産取引で培った17名のスポンサーであるとする以外にその詳細を近畿財務局に明かそうとしなかった。実際には,Y1にそのような巨額の資金調達力はなかった。 (イ)本件3融資に係る事実経緯ナイスミドルは,平成7年1月24日,国際グリーン株式会社から,同社が保有していた美祢カントリークラブの株式1000株を27億5000万円で買収し,同社を子会社とした。大和都市管財は,同年2月7日付けで,美祢カントリークラブに対して弁済期を平成22年2月7日として110億円を貸し付ける旨の「(抵当証券発行特約付)金銭消費貸借抵当権設定契約書」を作成し,これを基に,美祢ゴルフ場に同月8日山口地方法務局美祢出張所受付第830号をもって債務者を美祢カントリークラブ,抵当権者を大和都市管財とする上記金銭消費貸借契約に係る抵当権設定登記をし,同年3月6日には上記抵当権付き債権について抵当証券の発行を受けた。しかしながら,美祢カントリークラブには特段の資金需要はなく,他方,Y1は,ナイスミドルに他のゴルフ場を買 係る抵当権設定登記をし,同年3月6日には上記抵当権付き債権について抵当証券の発行を受けた。しかしながら,美祢カントリークラブには特段の資金需要はなく,他方,Y1は,ナイスミドルに他のゴルフ場を買収するとともに海外向けに投資するための資金(後述するファンド購入等のためのものと推認される。)を集めることを企図していたため, 上記消費貸借契約に関連して大和都市管財から流出した資金の大部分は,帳簿上は最終的にナイスミドルに移動した(美祢カントリークラブの平成8年3月期の決算書には,ナイスミドルに対する約78億2000万円の貸付金が,ナイスミドルの平成7年6月期の決算書には,美祢カントリークラブからの約16億5000万円の短期借入金が,同じく平成8年6月期の決算書には美祢カントリークラブからの約79億3000万円の短期借入金がそれぞれ記載されている。)。 ところで,Y1は,平成6年夏ころ,Y29から,いずれも国際金融ブローカーを自称する「Y30」「Y31」と名乗る人物の紹介を受け,同人らから,バンクオブアメリカを窓口として譲渡性預金やファンドを購入することにより,年20ないし40パーセントの利益を上げることができるという投資案件の説明を受けてこれを実行に移すこととし,そのための資金を数十億円単位で調達するため,ゴルフ場の修理やホテルの建設など外注需要が発生するナイスミドルを振出人とする手形商品を考案し,同年8月ころからその販売を開始した。ナイスミドルは,それによって得られた資金75億円を3回(平成6年8月,同年9月及び同年11月)に分けて各25億円ずつ,バンクオブアメリカの同社名義の口座にドル建てで送金していたが,Y1は,平成7年夏ころ,上記ブローカーらに騙されているのではないかと考えるようになり,自ら渡米するとともにニューヨーク在 5億円ずつ,バンクオブアメリカの同社名義の口座にドル建てで送金していたが,Y1は,平成7年夏ころ,上記ブローカーらに騙されているのではないかと考えるようになり,自ら渡米するとともにニューヨーク在住の弁護士に依頼し,上記75億円を回収した。 Y1は,平成7年9月,上記回収資金等を利用して,ナイスミドルの名義で,株式会社西洋環境開発(以下「西洋環境開発」という。)が子会社である株式会社那須グリーンコース倶楽部(以下「那須グリーンコース倶楽部」という。)を通じて当時所有していた那須ゴルフ場を130億円で買収する商談を進め,同月28日,債権者兼抵当権者を大和都 市管財,債務者をナイスミドルとし,前者が後者に130億円を貸し付けるとともに,那須ゴルフ場に那須グリーンコース倶楽部が抵当権を設定する旨の「金銭消費貸借抵当証券発行特約付抵当権設定契約証書」を作成した。上記証書に基づき,同年10月2日宇都宮地方法務局那須出張所受付第9633号をもって上記債権に係る抵当権が設定されたが,前記のとおり,宇都宮地方法務局那須出張所が法務鑑定委員会に諮った上で抵当証券の発行を100億円までに制限したため,同年11月2日受付第10731号をもって錯誤を原因として債権額が100億円に訂正され,同年11月8日に上記抵当権に係る抵当証券が発行された。その間,西洋環境開発との間で細部についても詰めが済んだことから,同年10月26日,那須グリーンコース倶楽部とナイスミドルとの間で,前者のゴルフ事業に属する営業の一切を後者に譲渡する旨の営業譲渡契約が締結された。同年11月10日宇都宮地方法務局那須出張所受付第10946号,同第10947号をもって那須ゴルフ場についてナイスミドルに対する所有権移転登記がされ,そのころ,Y2は,Y1の指示で額面130億円の銀行保証 月10日宇都宮地方法務局那須出張所受付第10946号,同第10947号をもって那須ゴルフ場についてナイスミドルに対する所有権移転登記がされ,そのころ,Y2は,Y1の指示で額面130億円の銀行保証小切手の交付を受け,西洋環境開発の担当者にこれを手交した。 ベストライフ通商は,平成8年10月22日,コスモリアルエステート株式会社から東京味わいビル敷地を9億0070万5000円で購入した。大和都市管財は,ベストライフ通商に対し,上記土地を担保にして7億8000万円を弁済期を平成23年10月31日として貸し付ける旨の平成8年11月1日付け金銭消費貸借契約書を作成し,これを基に,上記土地に平成8年11月1日東京法務局港出張所受付第25293号をもって上記債権に係る抵当権を設定し,同月26日に上記抵当権に係る抵当証券の発行を受けた。ベストライフ通商は,平成11年8月にその隣接地を買収し,これらの土地の上に地上8階地下1階の「東京 味わいビル」を建設し,平成12年末ころに営業店舗数7軒で飲食店営業を開始した。 なお,本件3融資については,本件貸付金と異なり,融資先各社の総勘定元帳においてもこれに対応する記帳が存在しなかったと認めるに足りる証拠はない。 (ウ)平成12年検査における指摘とそれに対する回答Y20検査官は,平成12年検査の過程で大和都市管財の預貯金通帳や現金出納簿等を調査した上,平成12年11月14日,大和都市管財に対して交付したY20要約の中において,本件3融資については資金の交付を証する資料の提示がなく,本件3融資は無効の疑いがあると指摘していた。これに対し,大和都市管財は回答書を提出し,Y20検査官の上記指摘を否認した上,「融資実行は,現金,振込,手形保証にて行っている。金銭消費貸借契約における金銭の貸付は,手形を含め ると指摘していた。これに対し,大和都市管財は回答書を提出し,Y20検査官の上記指摘を否認した上,「融資実行は,現金,振込,手形保証にて行っている。金銭消費貸借契約における金銭の貸付は,手形を含めて行える。従って,原契約は有効であり,存在している。」と主張した。大和都市管財からは手形の耳は提出されなかったが,近畿財務局は,大和都市管財が販売していたグループ会社に対する抵当権付き債権一部譲渡という金融商品についても資金移動がないことが確認され,これに伴って約50億円の簿外負債の存在を認定することができたことなどから,本件3融資についてはそれ以上の追及はせず,平成12年検査結果通知にも本件3融資に係る具体的な記載は含まれていなかった。 ウ小括以上によれば,本件3融資が帳簿上Y1からの長期借入金を原資としている旨記載されていた点は真実とは異なること,本件3融資が帳簿上実行されたとされる時日に実際に大和都市管財から融資先に対する資金の移動が実施されていなかったことが明らかである。そして,前記イの認定に照らせば,少なくとも平成7年に行われた2件の融資については,①いず れもこれに対応するグループ会社に対する資金移動がされていないか,又はせいぜい抵当証券が販売された後にこれによって集められた資金の全部又は一部が移動したにすぎない可能性や,②実際に資金の移動があったとしても,それが融資先の資金需要とは無関係に,専ら又は主として融資元である大和都市管財が抵当証券を発行する目的で行われ,担保余力に着目して選定された融資先への資金の移動後に,直ちに当該融資先から真の資金需要先へと資金の又貸しがされるか,又は資金が大和都市管財に還流した可能性,はそれぞれ否定することができない(特に,那須ゴルフ場の買収原資については,海外からの回収資金と美 に当該融資先から真の資金需要先へと資金の又貸しがされるか,又は資金が大和都市管財に還流した可能性,はそれぞれ否定することができない(特に,那須ゴルフ場の買収原資については,海外からの回収資金と美祢カントリークラブを利用した迂回融資のみで賄われ,ナイスミドルに対する融資が完全に架空であった可能性もある。これに対し,平成8年に行われたベストライフ通商に対する融資については,同社に資金需要の存在がうかがわれるところでもあり,当該融資が完全に架空であったことをうかがわせるような事情は見当たらない。)。しかしながら,①については,既に説示したように,諾成的消費貸借による債権債務も一応有効なものと解する以上,本件3融資が行われたとされる日時以降,平成9年3月末までに現実の資金移動が行われたのであれば,結果的に大和都市管財の融資先に対する債務は履行されたことになり,本件貸借対照表上の純資産額には影響が及ばないことになるところ,このような事後的な資金移動がなかったとまで認めるに足りる証拠はない(前記のとおり,Y20検査官としては,大和都市管財の更新登録を拒否するとの結論を導くに当たり,本件3融資の架空性を認定する必要はなかった。)。加えて,前掲証拠によれば,本件3融資のうち,Y1は美祢カントリークラブに対する融資について,Y2はナイスミドルに対する融資について,いずれも大和都市管財から各グループ会社への資金移動自体は存在していた旨捜査機関に対して供述していることが認められ,この供述を覆すに足りる証拠もない(なお,証拠(甲106)によれ ば,Y1らに対する本件刑事事件の第1審判決は,本件3融資のうち美祢カントリークラブに対する融資を仮装と認定しているが,同判決の判示全体からは,そこにいう仮装とは上記②の趣旨をいうものとも解される。)。 また に対する本件刑事事件の第1審判決は,本件3融資のうち美祢カントリークラブに対する融資を仮装と認定しているが,同判決の判示全体からは,そこにいう仮装とは上記②の趣旨をいうものとも解される。)。 また,②についても,法的には特約付き融資の相手方が融資された資金を更に別の債務者に貸し付けることが許されないわけではないと解されるから,これをもって直ちに大和都市管財から特約付き融資先への資金移動の事実自体を否認することはできないものと解される。 したがって,本件3融資については,これらがいずれも資金の事後的な移動までも全く伴わないものであると認めるに足りる証拠はないことに帰するから,これと同額の簿外債務を認定することもできず,本件貸借対照表には影響が生じないというべきである。 (7)抵当証券受取利息の資産計上ア抵当証券受取利息の未収が本件貸借対照表に与える影響特約付き融資に対する利息が未収であったとしても,いわゆる発生主義の下では,このような利息といえども未収収益として当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならないのが原則である(企業会計原則・注解5(4)(乙59))。この原則を貫くのであれば,抵当証券受取利息が未収であるか否かは,当該事業年度における貸借対照表上の純資産額には影響を及ぼさないことになるが,証拠(乙61)によれば,平成13年2月に改定される前の統一経理基準は,当該事業年度の未収収益の計上・不計上基準については,「各社が社内処理基準(計上基準)を作成した上で,適切に対応する。例えば,「法人税法基本通達2-1-25(相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子の帰属時期の特例)」などを参考にする。」と定めており,法人税法基本通達2-1-25(以下「通達2-1-25」という。)の概要は,下記のとおりであ -1-25(相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子の帰属時期の特例)」などを参考にする。」と定めており,法人税法基本通達2-1-25(以下「通達2-1-25」という。)の概要は,下記のとおりであったことが認められる。 記法人の有する貸付金について次のいずれかの事実が生じた場合には,当該貸付金から生ずる利子の額のうち,当該事業年度に係るものは当該事業年度の益金額に算入しないことができる。 ①債務者が債務超過に陥っていること,その他相当の理由により,その支払を督促したにもかかわらず,直近1年以内において利子の支払が全額未収となっており,かつ直近1年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた額が零又は極めて少額であること。 ②債務者につき会社更生法の規定による更生手続又は商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始されたこと。 ③貸付金の元本自体の回収が危ぶまれること。 ④当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされることとなったこと。 なお,この取扱いにより益金の額に算入しなかった利子の額については,その後これにつき実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する。 しかるところ,平成9年3月末の時点において,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資について元本自体の回収が危ぶまれる状態であることは既に(4)で説示したところから明らかであるから,通達2-1-25によれば,少なくとも平成9年3月期における大和都市管財の抵当証券受取利息については,法人税法上は当該事業年度の益金額に算入しないことが可能と解される。そして,前掲証拠によれば,上記改定前の計上基準は平成12年3月31日以前に開始される決算期において適用すべきものとされているところ,証拠(甲 当該事業年度の益金額に算入しないことが可能と解される。そして,前掲証拠によれば,上記改定前の計上基準は平成12年3月31日以前に開始される決算期において適用すべきものとされているところ,証拠(甲136,乙146,証人Y20)によれば,近畿財務局長は,平成12年検査において,平成10年8月以降平成12年3月までにおける大和都市管財の受取利息について,「税法上の基 準」を適用し(通達2-1-25のうち上記①の趣旨と思われる。),収益として認識することができないことを理由に,その計上を否認したものと認められる(なお,証拠(乙61)によれば,平成13年2月に改訂された後の統一経理基準のうち未収収益の計上・不計上基準に係る部分は,「金融商品に係る会計基準注解(注9)及び金融商品会計に関する実務指針(中間報告)第119項に基づき,各社が社内処理基準(計上基準)を作成した上で,適切に対応する。」というものであって,通達2-1-25を始めとする税法関連規定への言及は削除されていることが認められる。)から,近畿財務局としても,平成9年3月末の時点においては,当然,通達2-1-25の適用があるべき未収収益を不計上とすることが「公正ナル会計慣行」に合致していると解していたものと推認することができ,近畿財務局による上記解釈は正当と考えられる。なお,被告は,平成12年検査における未収利息債権の借方計上否認は,「金融商品に係る会計基準」における未収利息の処理の考え方等ともおおむね整合するものであったと主張するが,被告が自認するように平成12年検査当時もなお「金融商品に係る会計基準」の強制適用前の時期であり,近畿財務局が未収利息債権の否認について適用すべき「公正ナル会計慣行」としては通達2-1-25を用いるほかなかったと解されることは,平成9年検査と平 金融商品に係る会計基準」の強制適用前の時期であり,近畿財務局が未収利息債権の否認について適用すべき「公正ナル会計慣行」としては通達2-1-25を用いるほかなかったと解されることは,平成9年検査と平成12年検査との間で差異はない。 したがって,大和都市管財の平成9年3月期における抵当証券受取利息については,現金又は預金による同事業年度内における収受が認められない場合には,その総勘定元帳における(借方)長期借入金/(貸方)抵当証券受取利息との仕訳が一括して消去されることになる結果,同額の長期借入金の消滅が否認され,本件貸借対照表の純資産額が影響を受けることになると解される。 そこで,以下においては,平成9年3月期において,大和都市管財が,グループ6社に対する特約付き融資につき,その利息を現に収受していたと認められるか否かを検討することとする。 イ平成9年3月期における大和都市管財の抵当証券受取利息収受に関する事実関係について証拠(甲2,5,50,52,57,58,107,109,135,137,138,148ないし152,乙9,18,22,27,28,30,39,40,44,84,90,91,93,106,108,141,145,146,証人Y24,同Y14,同Y20)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア)抵当証券受取利息に係る大和都市管財グループの会計処理大和都市管財の平成4年3月期から平成9年3月期までの総勘定元帳上の抵当証券受取利息に係る会計処理は,下記のとおりである。 記平成4年3月期ベストライフ通商,ナイスミドルからの抵当証券受取利息合計4億6353万2547円は,すべて現金を相手科目として計上されている。 平成5年3月期ベストライフ通商,ナイスミドルからの抵当証券受取利息合計7 イフ通商,ナイスミドルからの抵当証券受取利息合計4億6353万2547円は,すべて現金を相手科目として計上されている。 平成5年3月期ベストライフ通商,ナイスミドルからの抵当証券受取利息合計7億2612万9506円のうち,ベストライフ通商からの1781万4000円及びナイスミドルからの4007万5040円が未収入金を相手方として計上されているほかは,すべて現金又は普通預金を相手科目として計上されている。 平成6年3月期ベストライフ通商,ナイスミドル,北海道函館観光,北海道泊別 観光,リステム化学研究所からの抵当証券受取利息合計17億5414万9579円は,すべて現金又は普通預金を相手科目として計上されている。 平成7年3月期グループ6社からの抵当証券受取利息合計23億7887万8788円のうち,平成6年4月から7月までのベストライフ通商からの受取利息の一部合計8461万5176円については現金を相手科目としているが,同年8月におけるベストライフ通商からの受取利息の一部2150万0577円は長期借入金を相手科目として計上されている。また,平成6年4月から8月までのグループ6社からのその余の受取利息合計8億5058万8173円は,いったん未収入金を相手科目として計上された後,平成7年3月に相手科目が長期借入金へと一括して振り替えられている。また,グループ6社からの受取利息のうち平成6年9月以降に発生した合計14億2217万4862円については,すべて長期借入金を相手科目として計上されている。 平成8年3月期グループ6社からの抵当証券受取利息合計32億3925万1078円のうち,ベストライフ通商からの受取利息の一部を除く平成7年4月から同年8月までのグループ6社からの受取利息12億0802万9267円は,いったん未収入金 証券受取利息合計32億3925万1078円のうち,ベストライフ通商からの受取利息の一部を除く平成7年4月から同年8月までのグループ6社からの受取利息12億0802万9267円は,いったん未収入金を相手科目として計上された後,相手科目が長期借入金へと一括して振り替えられている。 また,同期におけるその余の受取利息は,当初から長期借入金を相手科目として計上されている。 平成9年3月期グループ6社からの抵当証券受取利息合計37億2037万24 51円は,各社について当初から長期借入金を相手科目として計上されているものと,平成8年12月末に未収入金を相手科目として計上されているものとに大別されるが,後者についても平成9年3月に相手科目が長期借入金へと一括して振り替えられている。 (イ)近畿財務局の立入検査と大和都市管財側の説明平成6年検査(同年9月9日開始)において,Y24検査官らは,検査基準日における大和都市管財の本店及び東京支店における現金の帳簿残高と実際の現金残高の照合,確認を行おうとしたが,大和都市管財からは,税理士が定期的に伝票から帳簿を整理しており,現金の入出金については日次では把握・管理しておらず,正確な残高を証明することができる資料もない旨の説明があり,実際に伝票が積み重なっている状態であった。そのため,Y24検査官らは,手元の小口現金残高・伝票・預金通帳について,これらと総勘定元帳の記載とを照合する方法での確認は行ったものの,現金の入出金を帳簿残高と照合・確認することはできなかった。そして,当時,大和都市管財は,その帳簿上,前記のようなグループ6社からの抵当証券受取利息の支払に加え,Y1個人からの借入れ,グループ会社に対する特約付き融資の多くは預金勘定ではなく現金勘定で処理していたところ,現金による資金授受につ 上,前記のようなグループ6社からの抵当証券受取利息の支払に加え,Y1個人からの借入れ,グループ会社に対する特約付き融資の多くは預金勘定ではなく現金勘定で処理していたところ,現金による資金授受については伝票以外に客観的な資料がないので,これを実際に確認することができなかった。 次いで,平成9年検査(同年6月19日開始)において,Y14検査官らは,大和都市管財の総勘定元帳を調査し,前記のように,借方に長期借入金,貸方に抵当証券受取利息が記載されているというような,資金移動の確認ができない仕訳を多数発見した。しかしながら,上記の資金移動について,預貯金口座を通してこれが行われているとの確証はなく,平成6年検査の際にも資金移動については主に現金勘定が用いられ ていた事実が判明しているとして,Y14検査官らは,大和都市管財の当座預金口座における資金の移動状況について,当座預金照合表等を通じて検証することはしなかった。 これに対し,平成12年検査(同年10月12日開始)において,Y20検査官らは,初日の現物検査で大和都市管財の本社屋内において現金出納簿のコピーを発見したところ,その残高と手元小口現金有高とが一致し,通帳の記載ともそごがなかった上,Y16からもこれが真実の出納簿であることの確認を得られた。そこで,Y20検査官らは,同出納簿につき平成4年度以降分の提出を求めた。そして,同検査官らが,総勘定元帳と預金通帳・現金出納簿との照合を進めたところ,抵当証券受取利息については,平成10年3月期から平成12年3月期までの3期合計で決算書上は約91億5700万円が計上されていたものの,当座預金の記載等から実際に確認された受入額は約8億2700万円にとどまっていた(例えば,平成10年3月期におけるナイスミドルからの抵当証券受取利息の合計額 1億5700万円が計上されていたものの,当座預金の記載等から実際に確認された受入額は約8億2700万円にとどまっていた(例えば,平成10年3月期におけるナイスミドルからの抵当証券受取利息の合計額は約12億9000万円であったが,大和都市管財から提出された当座預金照合表には約6億2593万円分の入金の記載しかなく,平成11年3月期以降の分については預金通帳自体が提出されなかった。)。Y20検査官が,Y20要約においてこの点を指摘したところ,大和都市管財は,抵当証券受取利息はすべて収受していたとの当初の説明を翻し,一部を現金・預金で受領し,残りは貸付金との相殺で処理している旨主張するに至った。 (ウ)本件キャッシュフロー調査本件キャッシュフロー調査の過程において,大和都市管財の損益計算書上の平成8年3月期における抵当証券受取利息・割引料収入合計約47億円のうち収入を確認することができたのは約3億円,同じく平成9年3月期における抵当証券受取利息・割引料収入合計約50億円のうち 収入を確認することができたのは約3億円であった。 (エ)Y3会計士らの捜査機関に対する供述等から認められる事実Y3会計士は,平成元年にナイスミドルの顧問税理士に就任したのを皮切りに,平成5年ころから平成12年ころまで,大和都市管財グループの顧問税理士を務めた。同会計士の捜査機関に対する供述等によれば,大和都市管財グループの会計処理は以下のとおりであった。 大和都市管財グループは,実質的に大和都市管財の社長でありグループ内で「会長」と呼称されていたY1が実質的に統括しており,グループ会社の代表者は,いずれもY1の指示に従って行動していた。大和都市管財から抵当証券購入者に対する利息やグループ会社に発生する経費は,Y1の指示により,大和都市管財やグループ会社名 しており,グループ会社の代表者は,いずれもY1の指示に従って行動していた。大和都市管財から抵当証券購入者に対する利息やグループ会社に発生する経費は,Y1の指示により,大和都市管財やグループ会社名義の預貯金口座等に一時的にプールしている資金から支払われており,これによって生じた資金不足は別の金融商品を販売して得られた資金等によって穴埋めされていた。もっとも,抵当証券の発行を受けるためには,大和都市管財がグループ会社に融資をした形式をとる必要があった上,大和都市管財が抵当証券業者として登録を受け続けられるようにするには,同社だけは常に黒字の形にしておく必要があったことから,同社は,グループ会社から融資に対する利払を受け,これと顧客らに対する支払利息との差額を収益としているとの外形を整えていた。このため,大和都市管財が抵当証券購入者に対して行う過大な利払は,帳簿上はそのままグループ会社の負担に付け替えられ,グループ会社の財務内容を圧迫していた。 しかるところ,Y1は,資金集めには手腕を発揮するものの,集めた資金によって地道に収益を上げることには余り関心を示さなかったため,グループ会社が取得した資産の中には,a町土地のように放置されたり,大和都市管財グループの事務所や駐車場として利用され,グループ外からの収入をもたらさないものが多くあった。結果的に,平成6年9月こ ろ,大和都市管財グループ全体で70億円以上の債務超過に陥っていることが確認された。グループ各社の資金繰りは一層苦しくなっていき,大和都市管財に対する抵当証券の利払や償還のため資金が必要となったグループ会社に対し,大和都市管財が金融商品の販売を通じて集めた資金等が適宜融通されていたが,会計処理上の整合性を保つため,グループ会社の1社に対して大和都市管財が特約付き融資を行い が必要となったグループ会社に対し,大和都市管財が金融商品の販売を通じて集めた資金等が適宜融通されていたが,会計処理上の整合性を保つため,グループ会社の1社に対して大和都市管財が特約付き融資を行い,同社から更に真の資金需要先へと融資する方法をとることがあった。ナイス函館に対する特約付き融資はその典型であり,同社から,特に資金繰りの苦しかったナイスミドルやベストライフ通商に順次融資が行われ,帳簿上,ナイス函館は大和都市管財に抵当証券に係る利息を支払い,他方で融資先のグループ各社から利息を受け取っていることになっていた。 また,大和都市管財の取締役として昭和60年ころから同グループの資金管理を担当し,大和都市管財の預貯金通帳や社印(一時期まではこれらに加えてグループ各社の代表取締役印)を管理し,大和都市管財が顧客から集めた資金について,Y1の指示を受けて,同社従業員の人件費,業者への支払経費,顧客に対する利息及び償還金等の支払に充てたほか,グループ会社が従業員の人件費,ゴルフ場の管理費用等の支払を行うための資金の手当ても行っていたY16の捜査機関に対する供述等によれば,大和都市管財とグループ会社との資金のやり取りは,概要以下のとおりであった。 平成7年ころから,グループ会社からの利払が滞っているにもかかわらず更に大和都市管財からこれらの会社に資金援助を行っている実態を隠すため,Y3会計士から助言を受け,Y16は,大和都市管財とグループ会社の間で資金を移動させる際に仲立ちとしてY1勘定を入れるようにし,大和都市管財の銀行別入出金台帳にも,資金の移動先としてグループ会社名に代えてY1と記載し,グループ会社から資金を大和都市 管財に移動する際にも,同様にY1勘定を通して行うようになった。グループ会社は,いずれもさして収益の上がる事業を 動先としてグループ会社名に代えてY1と記載し,グループ会社から資金を大和都市 管財に移動する際にも,同様にY1勘定を通して行うようになった。グループ会社は,いずれもさして収益の上がる事業をしていなかったため,大和都市管財に対して特約付き融資に係る利息が現実に支払われることはほとんどなく,グループ会社にゴルフ会員権の販売収入等,グループ外部に対する売上げがあった場合に,Y1勘定を通じて適宜大和都市管財に環流させるとの形式をとっていた。 なお,Y1は,捜査機関に対し,大和都市管財からナイスミドルに対してナイス大原カントリークラブの造成費用に充てるために抵当証券の販売代金を移動させる際,ナイスミドルの代表者であった実子Y2に特段知らせることなくこれを行ったこと,並びに,特約付き融資のうちナイス函館に対する平成6年の10億円,及び北海道泊別観光に対する1億9000万円については,いずれも各融資先からナイスミドルへ資金を移動させたことをそれぞれ認めている。 ウ抵当証券受取利息の存否前記イで認定した事実に,既に認定した事実を総合すると,①大和都市管財は,担保を有するグループ会社に対する融資について抵当証券の発行を受けて外部に販売し,顧客に対して約定どおりの利払を現に行い,その主要な原資は同社が融資先から受ける抵当証券受取利息であるとの外形を帳簿上整えていたが,実際には,抵当証券上の記載どおりの融資の実体はなく,これに対する大和都市管財からの資金交付が約定どおり行われることもなく,大和都市管財グループの資金はグループ会社のものも含めてY1が一元的に管理し,顧客に対する利払やグループ会社を通じた不動産購入等により資金が必要な場合には,その都度グループ内の余剰資金をもってこれに充てる体制をとっていたこと,②大和都市管財グループは全体 一元的に管理し,顧客に対する利払やグループ会社を通じた不動産購入等により資金が必要な場合には,その都度グループ内の余剰資金をもってこれに充てる体制をとっていたこと,②大和都市管財グループは全体として恒常的にグループ外への支出がグループ外からの収入を上回っており,市場金利を超える高利の金融商品の販売等を通じて資金の獲得に努 めていたものの,その保有する現預金の額も次第に減少していったため,担保余力があると見込まれるグループ会社に対してその資金需要とは無関係に名目的な融資を行って顧客に抵当証券を販売した上,上記融資先から真の需要先に対して当該資金を転貸するという方法を用いたり,又はグループ各社間で必要な資金を融通し合うか若しくは少なくとも帳簿上融通し合ったことにして資金繰りがついている旨の外形を取り繕っていたこと,③大和都市管財は,平成6年検査のころまでは,総勘定元帳の記載上で現金勘定を多用し,かつ,実際には作成されていた現金出納帳の存在を近畿財務局に対して秘匿することで上記のような詐欺的な運営の発覚を免れていたこと,④同社は,遅くとも平成7年ころ以降,現金勘定による上記のような隠ぺい方法に加えて,グループ会社に対して不動産購入等の資金を移動する際,実際には大和都市管財又は他のグループ会社名義の預貯金口座からの資金を移し替えているにもかかわらず,帳簿上,Y1からの長期借入金を示すY1勘定を介在させることで,あたかもY1が外部のスポンサーから調達した長期資金を大和都市管財に貸し付け,これを同社がグループ会社に更に貸し付けるとともに,グループ会社から大和都市管財に対して支払われる抵当証券受取利息等も直接Y1に対する借入金の返済に充てられているとの外形を作出し,債務超過に陥っている融資先に手元資金で追い貸しする不自然さを緩和す グループ会社から大和都市管財に対して支払われる抵当証券受取利息等も直接Y1に対する借入金の返済に充てられているとの外形を作出し,債務超過に陥っている融資先に手元資金で追い貸しする不自然さを緩和すると同時に,帳簿上容易に資金の移動の存否を確認することができないように工作していたこと,⑤グループ会社から大和都市管財に対する資金移動には口座振替が使用されることが多かったが,グループ会社の営業活動によるキャッシュフローは構造的に赤字であったため,平成10年3月期以降でみれば,現実にグループ会社から大和都市管財に資金が環流された額は抵当証券受取利息として帳簿上記載されていた額の1割以下であったこと,⑥大阪府警が公認会計士の協力を得て大和都市管財グループの決算書・確定申告書を精査した結果 でも,平成9年3月期に大和都市管財が収受すべき抵当証券受取利息・割引料収入約50億円のうち,現に確認することができたのは約3億円にとどまったこと,が認められる。 したがって,グループ会社から大和都市管財に対して約定どおり利払がされていた旨の大和都市管財の総勘定元帳の記載は仮装のものであって,実際には,大和都市管財グループの資金は,その名目上の所在がどの会社の名義の預貯金口座であるにせよ,Y1が一元的に管理し,個々の会社の資金需要に応じて使用していたところ,大和都市管財グループにおいて,グループ外からの収入としては抵当証券等の販売を行っている大和都市管財本体の財務収入が突出しており,軒並み営業赤字か,わずかな営業黒字を出していたにすぎないグループ会社にはグループ外からの収入が乏しかったため,抵当証券購入者に対する利払等に充てるためにグループ会社から大和都市管財本体に実際に還流したと認められる資金は,帳簿上の抵当証券支払利息相当額の1割以下であったこ ープ外からの収入が乏しかったため,抵当証券購入者に対する利払等に充てるためにグループ会社から大和都市管財本体に実際に還流したと認められる資金は,帳簿上の抵当証券支払利息相当額の1割以下であったことが明らかである。 以上によれば,どのように保守的に見積もったとしても,大和都市管財が本件損益計算書において収受したと記載する抵当証券受取利息合計37億2037万2451円のうち,少なくとも30億円については,同事業年度内におけるその現実の収受がないものと推認され,これを覆すに足りる証拠はないというべきである。 エ被告の主張について被告は,グループ6社がすべて大幅かつ継続した債務超過に陥っており,その営業もさしたる実業をしていない状況であること,平成9年3月期における大和都市管財の抵当証券受取利息計上時の会計処理の際,その相手方勘定が現金預金ではなく長期借入金であったことのみから,抵当証券受取利息の収益としての計上が仮装であることを認定することはできない旨主張する。しかしながら,被告が指摘する理由に加えて,上記①ないし⑥ に列記した点を総合すれば,Y1勘定を始めとする大和都市管財グループの会計帳簿の記載に信ぴょう性は認められず,グループ会社から大和都市管財への実際の資金移動は帳簿上の記載に比して著しく少額であったこと自体は明らかである(もっとも,本件更新登録の時点において,近畿財務局が上記①ないし⑥のような事情を認識し得たか否かは別論であり,この問題は争点5に対する判断で検討する。)。 オ小括以上によれば,本件貸借対照表上,負債の部において少なくとも30億円以上の長期借入金を増加させることが,平成9年3月当時の「公正ナル会計慣行」として要求されていたものというべきであり,上記修正を行うと,大和都市管財は優に債務超過となって資本欠 て少なくとも30億円以上の長期借入金を増加させることが,平成9年3月当時の「公正ナル会計慣行」として要求されていたものというべきであり,上記修正を行うと,大和都市管財は優に債務超過となって資本欠損に陥ることになるから,同社は平成9年12月の本件更新登録時点において,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を欠いていたと解するのが相当である。 (8)争点2のまとめ以上みたところに照らすと,本件貸借対照表については,①大和都市管財における帳簿の正確性を前提とした場合,その資産の部において,貸倒引当金を最も少なく見積もっても約11億4200万円追加して設定する必要があり,②帳簿の仮装を認定するのであれば,その負債の部において,長期借入金を最も少なく見積もっても30億円増加させる旨の修正を行う必要があった。これらを前提とすれば,本件貸借対照表上,同社が債務超過に陥っていたことは明らかである。 したがって,本件更新登録時において,大和都市管財には,抵当証券業規制法8条2項,6条1項所定の更新登録に係る要件のうち,同項7号にいう財産的基礎の要件を欠いていたというべきである(前記(2)において説示したとおり,同号にいう財産的基礎の有無については,同法は,会計学上の概念 である資本欠損の有無等という客観的,外形的な基準によりみていくことを予定していると解されることからすれば,前記認定のとおり,大和都市管財は,本件更新登録時の直近の事業年度における貸借対照表において大幅な債務超過に陥っていたと認められる以上,基本事項通達の定めが財産的基礎の唯一の客観的規範内容であると解することができるか否かにかかわらず,財産的基礎の要件を欠くことが明らかというべきである。)。 争点3(本件更新登録時において,大和都市管財には更新登録 財産的基礎の唯一の客観的規範内容であると解することができるか否かにかかわらず,財産的基礎の要件を欠くことが明らかというべきである。)。 争点3(本件更新登録時において,大和都市管財には更新登録拒否事由である人的構成の欠如(抵当証券業規制法6条1項7号)の要件を満たしていたか。)について(1)人的構成の意義既に説示したように,抵当証券業規制法6条1項7号にいう「抵当証券業を適確に遂行するに足りる・・・人的構成」の意義について,基本事項通達は,A.役員又は重要な使用人のうちに,抵当証券業に関し相応の知識を有する者がいること,及びB.融資業務を担当する組織において融資業務経験者が2名以上在籍していること,の要件を満たす(ただし,特約付き融資を行わない法人にあっては,B.の要件を要しない。)ことをいうとしている。 そして,証拠(乙11)によれば,基本事項通達における上記A.の定めは,具体的には,①抵当証券業に1年程度以上適正に従事した者がいること,又は②抵当証券業協会が実施する抵当証券業に関する研修を修了した者がいること,のいずれかの基準を満たすことをいうとされ,これは,1年程度以上抵当証券業に従事した者であれば抵当証券業に関し相応の知識を有すると推認されることに加え,抵当証券業協会で研修を実施させ,その修了者を相応の知識を有する者と認定することは,抵当証券業規制法における抵当証券業協会設立の趣旨にも沿うことなどを理由とするものであること,上記B. の定めは,具体的には,法人としての融資に係る最終的な意思決定に至る一連の過程の中で融資業務に3年以上従事した者(融資業務経験者)が2名以 上在籍するか否かにより判断することとされ,これは,公認会計士試験や不動産鑑定士試験において,2次試験(専門科目)合格後,3次試験(実務試験) に3年以上従事した者(融資業務経験者)が2名以 上在籍するか否かにより判断することとされ,これは,公認会計士試験や不動産鑑定士試験において,2次試験(専門科目)合格後,3次試験(実務試験)を受験するまでの間に最低3年を必要としていることを参考にした結果であること,がいずれも認められる。 そして,抵当証券業規制法が,適正かつ誠実に抵当証券業を営もうとする者に対して営業の自由をできる限り尊重しつつ,購入者一般の保護のために必要最小限の規制を行うべきことを勘案して登録制を採用したと解されることに加え,同法において,抵当証券業協会は,抵当証券の購入者の保護を図るとともに,抵当証券業の健全な発展に資することを目的とし,抵当証券業者を会員として設立される民法上の公益法人とされ(38条1項),抵当証券業を営むに当たり,抵当証券業規制法その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導,勧告その他の業務を行うものと規定されていること(40条1号),同法6条1項各号列記事由のうち7号以外が掲げる事由がいずれも形式的判断になじむものばかりであること,同号にいう財産的基礎についても客観的,外形的基準により判断することが予定されているのも既に説示したとおりであること,に照らし,人的構成を上記のような外形的基準によって判断することには一般的な合理性があるというべきである(証拠(乙7)によれば,抵当証券業の規制等に関する法律案の参議院大蔵委員会における審議過程で,委員からの質問に対し,大蔵省銀行局長が,人的構成の意義について,「債務者の例えば返済能力あるいは担保評価,こういうものを充分にやれる,適正に判断できる人材,抵当証券業者がそういう人たちを持っているということが重要な課題でございますので,そういう人たちを一定の考え方のもとに何人いるかというよう 保評価,こういうものを充分にやれる,適正に判断できる人材,抵当証券業者がそういう人たちを持っているということが重要な課題でございますので,そういう人たちを一定の考え方のもとに何人いるかというような判断も具体的には必要であろうかというふうに考えておる次第でございます。」と答弁し,人的構成の有無については一定の外形基準を定める意向を表明しているものと認められることも,このような解釈に沿うものである。)。なお,大和都市管財が特約 付き融資を行わない法人でないことは明らかであるから,以下においては,同社が本件更新登録時において上記A.及び同B.の双方の要件に該当するか否かを検討することとする。 (2)本件更新登録時における大和都市管財の人的構成の有無証拠(甲10,54,56,109,乙45,46,111)によれば,抵当証券業協会の基礎研修終了者名簿にY1及びY8(同人は,宅地建物取引主任の資格も有していた。)の名があり,それぞれ平成元年4月28日付けで研修証書が発行されているほか,本件更新登録の段階で同社の従業員の中に同様の基礎研修を履修した者が29名程度いたこと,Y1は,平成7年ころから大和都市管財が顧客に配布していた「抵当証券Q&A」なる小冊子を自ら主体的に作成したものであるところ,その内容は,少なくとも抵当証券(Q1),抵当証券業規制法の下での登録制度(Q2),抵当証券保管機構(Q3),抵当証券の発行手続(Q4)その他の抵当証券に係る一般的な事項自体についてはおおむね誤りがないこと,Y8は,昭和59年ころ,Y1に命じられて大阪法務局や司法書士の下を訪れ,抵当証券の発行手続等について教示を受けたのを皮切りに,昭和60年から抵当証券業務に実際に携わってきたこと,本件申請書等に添付された「融資業務経験者の業務経歴書」には,Y1が や司法書士の下を訪れ,抵当証券の発行手続等について教示を受けたのを皮切りに,昭和60年から抵当証券業務に実際に携わってきたこと,本件申請書等に添付された「融資業務経験者の業務経歴書」には,Y1が昭和60年3月12日から大和都市管財の代表取締役として,Y16が平成元年5月30日から同社の監査役,同年9月25日から同社の取締役として,それぞれ一般融資業務及び特約付き融資を担当している旨が,同じく「抵当証券業務に関する組織図」には,融資部門に16名の職員が配置されている旨が各記載されていたこと,Y16は,大和都市管財グループが顧客から集めた資金の出納業務を昭和60年ころから担当しており,平成7年ころ以降は大和都市管財だけでも14の金融機関の口座を管理し,Y1の指示を受けてグループ会社と大和都市管財との資金移動や必要経費の支払を行い,これを銀行別入出金台帳に記帳するなどの業務を行っていたこ とが認められる。 したがって,大和都市管財は,本件更新登録の時点において,A.抵当証券業について相応の知識を有する者として少なくとも同社役員であるY1及びY8がおり,B.融資部門を統括する役員であり,かつ,3年以上融資業務の経験のある者としてY1及びY16がいたものと認められるから,基本事項通達上の人的構成の要件を満たしていたのは明らかである。 (3)原告らの主張についてこれに対し,原告らは,大和都市管財の融資は元本10年後一括返済の約定でグループに属する赤字企業のみを対象にした巨額のものであるなどハイリスクであり,担保評価も極めて甘かったことなどからみて,同社には抵当証券業について相応の知識を有する者がいなかったことは明らかである旨主張する。しかしながら,抵当証券業者が「抵当証券業を適確に遂行するに足りる・・・人的構成」を有しているか否かは, て,同社には抵当証券業について相応の知識を有する者がいなかったことは明らかである旨主張する。しかしながら,抵当証券業者が「抵当証券業を適確に遂行するに足りる・・・人的構成」を有しているか否かは,当該業者が現に抵当証券業を適確に遂行しているか否かとは別個に判断すべきであって,後者については原則として業務改善命令等を始めとする行為規制ないし監督権限の行使によって対処すべきとするのが抵当証券業規制法の趣旨と解される。 また,原告らは,Y1は近畿財務局の指導に全く従わず,かえってこれを恫喝するような人物であったことから,抵当証券業について相応の知識を有していたとは考えられない旨主張する。しかしながら,前記のとおり,相応の知識を有していたか否かという外形的基準に照らすと,Y1が抵当証券について相応の知識を有していたこと自体は認められるのであり,同人がこれを悪用していたことは,前記のとおり,それが行為規制等の対象になることは格別,大和都市管財についてその人的構成を否定する直接的な根拠とはならないというほかない。 さらに,原告らは,抵当証券業務が間接金融に近似するものである以上,その融資業務も融資先の財務内容や担保評価等の審査を行った上で行う必要 があり,そういった判断を適切に行うことができる融資審査体制が確立しているべきところ,近畿財務局自身,同社に対して繰り返し融資審査体制の確立を求めていた旨主張する。しかしながら,既にみたような人的構成の意義や趣旨等に照らすと,原告らの主張するような融資審査体制を確立することが,登録要件である人的構成の規範的内容を成しているとまで認めることはできず,このような体制が整っていない抵当証券業者に対して,財務局長等がより慎重にその更新登録要件を審査すべき契機とはなり得ても,その欠落という事実のみをもって更 内容を成しているとまで認めることはできず,このような体制が整っていない抵当証券業者に対して,財務局長等がより慎重にその更新登録要件を審査すべき契機とはなり得ても,その欠落という事実のみをもって更新登録を拒否することは,購入者の保護のために必要最小限の規制を行う趣旨で登録制を採用した上,外形的基準を基調として更新登録要件を判断すべきものとした抵当証券業規制法の趣旨に反するといわざるを得ない。 もっとも,大和都市管財グループは実質的にY1が1人で統括していたことは既に説示したとおりであり(証拠(甲2,証人Y26)によれば,近畿財務局も平成7年当時から一貫してそのような認識を有していたものと認められる。),融資業務についても,Y1が自ら融資先や融資額を決定し,Y16はその指示の下に実際の出納業務を行っていたにすぎないことは優に推認することができる。しかしながら,平成17年法律第87号による改正前の商法254条の3は,取締役に対し,法令等を遵守して会社のために忠実にその職務を遂行すべきとするいわゆる忠実義務を課し,同じく260条は,取締役会に対し,代表取締役の職務を監督し,重要な業務執行事項を決定する権限を与えているところ,Y16は大和都市管財において融資業務を担当する取締役であったのであるから,Y1が違法又は著しく不当な融資を専行しようとする際には,これを制止すべき法的義務を前記各規定によって負っていたのであって,そうであるからこそ,その従属的地位にもかかわらず,本件刑事事件において懲役3年の実刑判決を受けたことが認められるのである(甲106)。そうすると,本件更新登録時において,大和都市管財に, 同社の融資業務に係る意思決定に少なくとも法令上影響を及ぼし得る役員として2名以上の者が存在していた事実自体は否定することができないので 。そうすると,本件更新登録時において,大和都市管財に, 同社の融資業務に係る意思決定に少なくとも法令上影響を及ぼし得る役員として2名以上の者が存在していた事実自体は否定することができないのであって,既に説示したような人的構成要件の趣旨に照らすと,融資業務に係る意思決定に2名以上の者が実質的に関与し,相互に牽制し合っていたと認め得ることまでがその要件となっていたとまでは解し難い。 (4)争点3のまとめ以上によれば,本件更新登録時点において,大和都市管財に抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号に規定する人的構成が欠けていたとまで認めるに足りる証拠はないというべきである。 争点4(本件申請書等の重要事項に虚偽記載(抵当証券業規制法6条1項柱書)があったか。)について(1)抵当証券業規制法6条1項柱書後段の趣旨について抵当証券業規制法6条1項柱書は,大蔵大臣(前記のとおり,法施行令5条1項によって財務局長等に権限が委任されている。以下同じ。)は,登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき,又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならないと規定し,同項各号列記事由は,法人でない者(1号),資本又は出資の額が抵当証券の購入者を保護するため必要かつ適当と認められる金額として政令で定める金額に満たない法人(2号),他の抵当証券業者が現に用いている商号若しくは名称と同一の商号若しくは名称又は他の抵当証券業者と誤認されるおそれのある商号若しくは名称を用いようとする法人(3号),24条1項の規定により3条の登録を取り消され,その取消しの日から3年を経過しない法人(4号),抵当証券業規制法,出資法又は貸金業の規制等に関する法律の規定 しくは名称を用いようとする法人(3号),24条1項の規定により3条の登録を取り消され,その取消しの日から3年を経過しない法人(4号),抵当証券業規制法,出資法又は貸金業の規制等に関する法律の規定により罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない法人(5号),役員又は政令で定 める使用人のうちに①禁治産者若しくは準禁治産者(イ),②破産者で復権を経ない者(ロ),③禁錮以上の刑に処せられ,その刑の執行を受け終わり,若しくはその執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者(ハ),④抵当証券業規制法,出資法若しくは貸金業の規制等に関する法律の規定に違反し,若しくは刑法204条,206条,208条,平成13年法律第138号による改正前の208条の2,222条若しくは247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し,罰金の刑に処せられ,その刑の執行を受け終わり,若しくはその刑の執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者(ニ),又は⑤抵当証券業者が抵当証券業規制法24条1項の規定により同法3条の登録を取り消された場合において,その処分のあった日前30日以内にその抵当証券業者の役員であった者で,その処分の日から3年を経過しないもの,のいずれかに該当する者のある法人(6号),及び,抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人(7号)をそれぞれ登録拒否事由として定めている。そして,同法8条2項は,6条の規定を更新登録について準用している。 また,同法24条1項は,大蔵大臣は,抵当証券業者が①6条1項2号,3号,5号若しくは6号に該当することとなったとき,②不正の手段により3条の登録若しくは8条1項の更新登録を受けたとき,又は③ また,同法24条1項は,大蔵大臣は,抵当証券業者が①6条1項2号,3号,5号若しくは6号に該当することとなったとき,②不正の手段により3条の登録若しくは8条1項の更新登録を受けたとき,又は③抵当証券業規制法若しくは同法に基づく命令,若しくはこれらに基づく処分に違反したとき,のいずれかに該当するときは,3条の登録を取り消し,又は6か月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる旨規定している。 さらに,同法48条は,①3条の登録を受けないで抵当証券業を営んだ者(1号),②不正の手段により3条の登録若しくは8条1項の更新登録を受けた者(2号)又は③13条の規定に違反して,他人に抵当証券業を 営ませた者(3号)等は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科するとし,52条は,①4条1項(8条2項において準用する場合を含む。)の登録申請書又は4条2項(8条2項において準用する場合を含む。)の書類に虚偽の記載をして提出した者(1号),② 条1項の規定による届出をせず,若しくは虚偽の届出をした者(2号),③12条1項の規定に違反して,法施行規則で定める様式の標識を掲示しなかった者(3号)等は30万円以下の罰金に処するとしている。 上記のように,抵当証券業規制法6条1項が,各号列記事由とは別に,同項柱書において「登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があ・・・るとき」を独立した登録拒否事由として掲げていること,上記規定への違反と不正の手段による登録とで刑事罰に格段の差異を設け,後者については無登録営業等と同列の違法性を認めているのに対し,前者についての罰則は同法に規定する各種の行為規制に係る規定に形式的に違反した場合と同じである上,前者は後者と異なり 格段の差異を設け,後者については無登録営業等と同列の違法性を認めているのに対し,前者についての罰則は同法に規定する各種の行為規制に係る規定に形式的に違反した場合と同じである上,前者は後者と異なり登録取消事由ともなっていないことからすると,抵当証券業規制法6条1項柱書後段の趣旨が,被告の主張するように,登録拒否事由があるにもかかわらずこれを秘して登録を得ようとする行為を禁圧することによって同項各号列記事由の審査の正確性を担保することのみにあるとは解し難い。けだし,(更新)登録を申請する者に同項各号列記事由が存在するのであれば,それだけで(更新)登録を拒否すべきものであり,それに加えて虚偽記載による登録拒否事由を重ねて規定する理由はなく,罰則のみを規定すれば足りるはずである上,仮に,当該申請に係る業者が虚偽記載によって(更新)登録を受けた(すなわち,虚偽記載がない真実に即した登録申請書や添付書類であれば当然に同項各号列記事由の存在が明らかとなり,(更新)登録を受ける余地がなかった)といえる場合には,当該業者による営業は実質的に無登録営業と同視し得るために不正の手段による(更新)登録を受けた場合に該当し,登録取消しの対象に なるとともに単純な虚偽記載に対するよりもはるかに重い罰則規定が適用されるのであるから,同項各号列記事由の審査の適正を確保するという目的にとどまるのであれば,あえて登録申請書又はその添付書類に虚偽記載があることをこれらと別個の登録拒否事由として規定したり,不正の手段による登録と区別した上で,より軽微な形式犯として処罰する規定を置く意義には乏しいからである。 他方,抵当証券業規制法6条1項柱書は,虚偽記載と並んで「重要な事実の記載が欠けているとき」(以下「記載欠落」ということがある。)をも登録拒否事由としていると 規定を置く意義には乏しいからである。 他方,抵当証券業規制法6条1項柱書は,虚偽記載と並んで「重要な事実の記載が欠けているとき」(以下「記載欠落」ということがある。)をも登録拒否事由としているところ,このような記載欠落については同法52条1号所定の処罰規定の適用もないことは,同法の文言上明らかであることからすると,虚偽記載に係る登録拒否事由の趣旨が,原告らの主張するように,虚偽資料を提出して不正に登録を得ようとするような業者はそれ自体で抵当証券をもって広く一般から金員を集める事業にふさわしくないとした点にあると解することも困難である。 しかるところ,同法52条1号の形式犯としての性格を重視すれば,登録拒否事由としての虚偽記載及び記載欠落(虚偽記載等)を規定した同法の目的は,登録申請書及びその添付資料の記載の正確性・十分性を確保することそれ自体にあると解すべきである。すなわち,抵当証券業規制法6条1項柱書後段の趣旨は,上記のように,登録申請書及びその添付書類の記載の正確性を確保することにあり,このことを通じて,登録審査の実効性を担保するのみならず,当該申請業者に関する資料を可及的に充実させ,その潜在的な問題点を事前に財務局長等が知ることにより,登録後における当該業者に対する行為規制ないし監督権限の行使を実効あるものとすることにもその主眼があるものと解される。 そうであるとすれば,同法6条1項柱書にいう「重要な事項」及び「重要な事実」とは,登録審査のみならず,登録後の監督権限の行使に影響があっ たり,当該抵当証券業者に係る財務の健全性について顧客を誤信させるおそれがある事項を広く含むと解すべきであり,他方,そのようなおそれもないような軽微な虚偽記載ないし記載欠落は,52条1号による処罰の対象とはなり得ても,登録拒否事由にまではな いて顧客を誤信させるおそれがある事項を広く含むと解すべきであり,他方,そのようなおそれもないような軽微な虚偽記載ないし記載欠落は,52条1号による処罰の対象とはなり得ても,登録拒否事由にまではならないと解される。 (2)虚偽記載の意義抵当証券業規制法6条1項柱書後段の前記のような趣旨に照らすと,「登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があ・・・るとき」とは,(更新)登録拒否事由の有無に影響を与える場合のみならず,(更新)登録申請者が(更新)登録申請書又はその添付書類に事実と異なる記載をすることによって,(更新)登録後の当該業者に対する財務局長等による監督の態様に影響を与え得るような場合を含むと解すべきである。このように解することで,財務局長等は,(更新)登録申請者が提出した(更新)登録申請書及びその添付書類の記載内容を一応前提として,そこからうかがわれる当該業者の潜在的な問題点の有無を適確に把握し,問題点がある業者に対しては当該分野に係る監督を重点的に行うことを通じ,限られた人的物的体制をより一層効率的に活用することのできる可能性が高まる上,(更新)登録申請書及びその添付書類の記載が不十分である場合には,同項柱書の存在がその補正を財務局長等において当該申請者に促す事実上の契機ともなると考えられる(同法,法施行令及び法施行規則には,(更新)登録申請書の補正等に関する手続的な規定は見当たらない。)。もっとも,虚偽記載が,同時に同項各号列記の(更新)登録拒否事由を隠ぺいする目的でされた場合(すなわち,「不正の手段」に当たる場合)についても,これが同時に(更新)登録拒否事由としての虚偽記載にも当たることは当然である。また,以上述べた同項柱書後段の趣旨からすれば,虚偽記載であるか否かは,その記載自体から客観的 に当たる場合)についても,これが同時に(更新)登録拒否事由としての虚偽記載にも当たることは当然である。また,以上述べた同項柱書後段の趣旨からすれば,虚偽記載であるか否かは,その記載自体から客観的に判断することを要し,かつ,それで足りるものと解すべきであり,これを貸借対照表等の計算書類についていえば, 「重要な事項」についての記載が「公正ナル会計慣行」に従って記載すべき内容と客観的に異なっていれば虚偽記載に該当するものと解すべきである。 (3)本件申請書等における虚偽記載の存否本件についてこれをみるに,争点2に対する判断において既に説示したとおり,少なくとも本件貸借対照表及び本件損益計算書は,特約付き融資に係る受取利息を過大に計上し,このことによって長期借入金を実際よりも少なく表示している点において事実と異なっており,これはそれだけで大和都市管財の財産的基礎の欠如を結果として招来するものである。しかも,証拠(甲55)によれば,大和都市管財の経営陣は,遅くとも平成9年末の時点において,既に同グループが自転車操業状態に陥っており,累積債務解消の見込みがないことを知っていたものと認められ,これと争点2で摘示したY3会計士やY16の供述とを総合すれば,大和都市管財が組織的に行った故意による抵当証券受取利息の過大計上であることは明らかである。 また,争点2で検討したとおり,本件貸借対照表は,実際には存在しないナイスミドルに対する本件貸付金を故意に資産として計上しているところ,これは既にみたように純資産額に影響を与えるものではないが,その計上によって大和都市管財の抵当証券貸付金が約508億円から約563億円へと約1割,同じく同社の長期借入金が約26億円から約81億円へと3倍近くそれぞれ増加しているから,損益計算書上,本件貸付金に基づく抵当 って大和都市管財の抵当証券貸付金が約508億円から約563億円へと約1割,同じく同社の長期借入金が約26億円から約81億円へと3倍近くそれぞれ増加しているから,損益計算書上,本件貸付金に基づく抵当証券受取利息が今後とも安定的に発生し,同社の収益の改善又は同社に対するキャッシュフローの増加に対する誤った期待を抱かせる可能性,同社(ひいてはY1)が,独立系であるにもかかわらず,その長期資金の調達能力にも特段の問題がないという誤った評価を受ける可能性をいずれも否定することができないから,本件申請書等における本件貸付金の計上は,客観的にみて,近畿財務局長による監督権限の行使の態様に影響を及ぼす事項に係る虚偽記載に該当すると解される。 さらに,貸倒引当金についても,争点2に対する判断において説示したとおり,本件貸借対照表の資産の部において少なくとも11億円以上の追加設定が必要であったことが明らかであるから,客観的にみて,平成9年3月の時点における「公正ナル会計慣行」に従って計上すべきであった貸倒引当金の額と比較して本件貸借対照表における貸倒引当金の計上は過少であったということができる。そして,その額にもかんがみると,大和都市管財による本件貸借対照表への貸倒引当金の過少計上は,重要な事項についての虚偽記載に該当すると解される。 したがって,少なくとも上記の3点において,本件申請書等には重要な事項に関し虚偽記載が含まれていたものと解すべきである。 (4)被告の主張についてこれに対し,被告は,(更新)登録申請書等に虚偽記載等があるか否かは,当該申請書等の記載自体,又は立入検査等によって別途に財務局長等が把握した事実によって,その存在が明らかといえるか否かによって判断すべきである旨主張する。しかしながら,仮にその趣旨が,(更新)登録申請書等 請書等の記載自体,又は立入検査等によって別途に財務局長等が把握した事実によって,その存在が明らかといえるか否かによって判断すべきである旨主張する。しかしながら,仮にその趣旨が,(更新)登録申請書等に虚偽記載等があるか否か自体については財務局長等が(更新)登録時に把握していた事実のみを基礎資料として判断すべきということであれば,前記のとおり,(更新)登録申請書等に虚偽記載等があるか否かは,(更新)登録申請書等の記載を含め,客観的に存在する全事情を基礎として判断するとするのが,抵当証券業規制法6条1項柱書の前記のような趣旨からも,「重要な事項について虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならない」というその文言にかんがみても自然であるから,採用することができない。 また,被告は,同項柱書の主な目的は,虚偽記載による制裁を定めることによって(更新)登録申請書又はその添付書類の記載の真実性を担保し,もって(更新)登録の審査の実効性を確保する点にあるとし,「重要な事項」 及び「重要な事実」とは,同項各号所定の(更新)登録拒否要件該当性の判断に影響を与えるような事項,事実をいうと主張する。確かに,同項柱書の趣旨が(更新)登録申請書等の記載の真実性や充分性を担保する点にもあるのは既に説示したとおりであるが,その目的が(更新)登録審査の正確性を担保するにとどまるとの見地から,同項各号所定の(更新)登録拒否要件該当性の判断に影響が及ばないような事項に係る虚偽記載は同項柱書の登録拒否事由に当たらないと解するのであれば,あえて独立の登録拒否事由として同項柱書を定める実益に乏しいこと,虚偽記載による制裁を規定するためにこれを登録拒否事由とする必然性はないことは,いずれも既に説示したとおりである。 (5 のであれば,あえて独立の登録拒否事由として同項柱書を定める実益に乏しいこと,虚偽記載による制裁を規定するためにこれを登録拒否事由とする必然性はないことは,いずれも既に説示したとおりである。 (5)原告らの主張について他方,原告らは,大和都市管財に融資審査体制が確立していなかったことが明らかであるにもかかわらず,本件更新登録に際して大和都市管財が提出した「抵当証券業務に関する組織図」に存在した,同社の「融資部門」に特約付き融資等を担当する16名の従業員が配置されている旨の記載が虚偽記載に当たる旨主張する。しかしながら,大和都市管財に融資審査体制が確立していなかったといういわば規範的な問題と,特約付き融資等を担当する従業員が配置されていたか否かという事実上の問題とは別個の問題であって,前者が証明されれば後者が証明されるという関係にはなく,現に,本件全証拠によっても,事実として大和都市管財の融資部門に従業員が配置されていなかったと認めるに足りる証拠はない。 (6)争点4のまとめ以上によれば,本件申請書等には,①本件貸借対照表及びこれに対応する損益計算書において抵当証券受取利息を過大に計上している点,②本件貸借対照表において本件貸付金を資産の部に,これと同額の長期借入金を負債の部にそれぞれ計上している点,及び③本件貸借対照表の資産の部にお いて貸倒引当金を少なくとも11億円以上過少に計上している点で,その添付書類のうちの重要な事実について虚偽の記載があるというべきである。 争点5(本件更新登録時において,近畿財務局長は大和都市管財に更新登録拒否事由があるとしてこれを拒否すべき職務上の注意義務を原告らに負っていたか。)について(1)本件更新登録の抵当証券業規制法6条1項適合性争点2ないし4で検討したところに照らすと, 財に更新登録拒否事由があるとしてこれを拒否すべき職務上の注意義務を原告らに負っていたか。)について(1)本件更新登録の抵当証券業規制法6条1項適合性争点2ないし4で検討したところに照らすと,本件更新登録は,抵当証券業規制法6条1項7号所定の財産的基礎,及び同項柱書所定の虚偽記載,の各点で処分要件を欠いていたものというべきこととなる。 しかしながら,既に争点1で説示したとおり,財務局長等による違法な更新登録が,これによって損害を受けたとする国民との関係で国賠法上も違法となるのは,財務局長等が個々の国民に対して負う職務上の注意義務に違反して更新登録を行った場合,すなわち,財務局長等が当該更新登録を行ったことが,更新登録に係る財務局長等の権限を定めた抵当証券業規制法の趣旨,目的に照らし,具体的事情の下で著しく合理性を欠くと認められる場合であり,具体的には,それまでに監督権限の行使等を通じて収集した資料を勘案すると,抵当証券業者が破綻する危険性が切迫している合理的な疑いが生じていると容易に判断することができる状況の下において,財務局長等が,抵当証券業規制法により認められた立入検査等の監督権限を,その合理的裁量に基づいて当該抵当証券業者に対して適時にかつ適切に行使せず,又は登録更新の許否の判断に当たり通常必要とされている程度の審査を怠るなどして,当該人的物的制約の下で容易に認定することのできた更新登録拒否事由の存在を看過し,漫然と更新登録を行ったような場合に限られる。 もっとも,抵当証券業規制法が虚偽記載を登録拒否事由とする趣旨が,争点4で説示したような財務局長等による十全な登録審査や監督権限の行使等を確保するという点にある以上,仮に,虚偽記載のみが登録拒否事由であっ た場合には,財務局長等がその存在を看過して更新登録を行ったとして たような財務局長等による十全な登録審査や監督権限の行使等を確保するという点にある以上,仮に,虚偽記載のみが登録拒否事由であっ た場合には,財務局長等がその存在を看過して更新登録を行ったとしても,そのことが直ちに個々の国民との関係で財務局長等の職務上の注意義務違反を構成するとは考え難い。なぜなら,(更新)登録申請書等に虚偽記載がある場合に(更新)登録を拒否するのは,第一義的には登録審査権限及び監督権限の十全な行使を担保するためであるとすれば,たとい虚偽記載を理由として更新登録拒否がされていれば当該抵当証券業者から抵当証券を購入することなく損害を免れたはずの者があったとしても,当該抵当証券業者に他の更新登録拒否事由が存在しない以上,損害不発生という結果は抵当証券業規制法が購入者保護のために予定する制度によるものではないと解されるからである。これに対し,財産的基礎という登録拒否事由は,最低資本金制度と並び,抵当証券業者が一定の財産を保有することを確保することを通じて,直接的に購入者の保護を図ることを目的とした規定であることは明らかであり,既に説示したように,基本事項通達が「財産的基礎」の具体的内容として純資産比率100分の100という基準を採用した理由も,割賦販売法における割賦販売業者の拒否要件等として純資産額が資本又は出資の額の100分の90に相当する額に満たない法人との定めがあるところ,抵当証券業者の場合はそのほとんどが元利金の支払保証を行っているほか,1年から5年の期間経過後に買戻しを行う約定の下に抵当証券の販売を行っている実態や,それまでに多数の抵当証券購入者が被害に遭ってきた事実にかんがみれば,資本欠損の状態を容認することはできない,という点にあったのである。 そこで,以下においては,本件貸付金の架空性等に係る点は,それが それまでに多数の抵当証券購入者が被害に遭ってきた事実にかんがみれば,資本欠損の状態を容認することはできない,という点にあったのである。 そこで,以下においては,本件貸付金の架空性等に係る点は,それが財産的基礎の判断に影響を与えるか否かという観点から検討していくこととする。 (2)実質的審査権限の有無ところで,財務局長等が更新登録に係る申請を審査する際に要求される慎重さの程度については,財務局長等が有する審査権限の範囲とも関連するところ,原告らは,財務局長等は更新登録申請について実質的審査権限を有し, 立入検査や内部告発等によって,抵当証券購入者の利益を損なうおそれのある経営状況を認識したような場合には,財産的基礎の判断において,更新登録申請書及びその添付書類のみならず,申請者の事業内容,取引態様,事業主体の組織構成,資産構成等に踏み込み,独自に,又は抵当証券保管機構等の関係機関に協力させて,更新登録拒否事由に係る事実・資料を収集し,さらに,当該申請者に更新登録拒否事由がないことを基礎付ける資料の提出を求めてこれらを審査すべき義務が生じる旨主張するのに対し,被告は,財務局長等は原則として更新登録申請書及びその添付書類の記載のみから更新登録拒否事由の有無を判断すれば足り,例外的に,立入検査等により別途把握した事実に照らして添付書類等に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていることを認識し,かつ,公権的にその記載を修正することが可能な場合等にのみ,当該記載を公正な会計慣行に適合する記載に修正した上で更新登録拒否事由の有無を判断することが可能となるにすぎない旨主張する。 そこで検討するに,既に摘示したとおり,抵当証券業規制法は,営業の自由を可及的に尊重するとの見地から登録制を採用した上,6条1項で登録拒否事由を限定的に列挙し,これ 可能となるにすぎない旨主張する。 そこで検討するに,既に摘示したとおり,抵当証券業規制法は,営業の自由を可及的に尊重するとの見地から登録制を採用した上,6条1項で登録拒否事由を限定的に列挙し,これらの事由がない場合には登録を義務付けている(5条)。このような開業規制は,例えば,免許制を採用する銀行法が,免許を付与する上で,その申請者が「銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し,かつ,申請者の当該業務に係る収支の見込みが良好であること」(同法4条2号1号)等の基準に適合するかどうかを審査しなければならないとしているのと比較して,営業を許可するか否かについての監督官庁の裁量を狭く捉えていることは明らかである。加えて,既に説示したように,抵当証券業規制法が列挙する登録拒否事由はいずれも外形的な判断になじむ事項であるから,登録許否の審査において財務局長等が考慮すべき事項の範囲は自ずから限定され,その用に供すべき資料が登録申請書及びその添付書類のみで十分であることも多いと考えられる(特に,最初 の登録申請時においてはそのように解するほかないことは既に説示したとおりである。)。しかしながら,これも既に説示したとおり,外形的判断になじむ事項であるからといって,これに当てはめるべき事実の認定自体も申請書等のみから常に形式的に行い得るとは限らず,争点2でみたとおり,殊に,会計的事象に係る判断が必要となる財産的基礎(6条1項7号)については,これを基本事項通達の定めるように会計学上の概念である資本欠損の有無という客観的外形的基準でみるとしても,その認定に困難が伴う場合があることは同法も当然に予定していると解される。また,抵当証券業規制法の定める監督権限(第4章)が,開業規制(第2章)及び行為規制(第3章)の双方の実効性を担保 としても,その認定に困難が伴う場合があることは同法も当然に予定していると解される。また,抵当証券業規制法の定める監督権限(第4章)が,開業規制(第2章)及び行為規制(第3章)の双方の実効性を担保するためのものであって,その業務又は財産に関する抵当証券業者への立入検査・報告徴求・資料提出要求・検査・質問等の各権限(22条1項)が登録審査の充実をもその目的としていること,抵当証券業者の業務の運営に関し抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めて発する業務改善命令(23条)の対象が行為規制違反の点に限られないことは,いずれも明らかというべきである(立入検査等の権限を定めた同法22条の規定が同法の登録の章ではなく監督の章に置かれているからといって,当該権限が登録に関する権限の適切な行使を担保することを目的とするものでないと解するのは困難であり,当該規定が登録の章及び業務の章に続いて監督の章に置かれていること及び「この法律の施行に必要な限度において,抵当証券業者に対し,その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ,」という規定の文理からしても,当該権限が抵当証券業者の開業及び業務に関する同法の規制の実効性を担保することを目的として規定されたものと解するのが素直というべきである。また,抵当証券業者が財産的基礎を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っていると認められるときに業務改善命令をすることができると解されることは既に説示したとおりであり,証拠(甲206)によれば,関東財務局長は,不動産抵当證 券に対し,抵当証券の買戻しに係る資金の確保のみを命ずる業務改善命令を発出していたことが認められる。)。 もとより,抵当証券業規制法が財務局長等に付与している監督権限は,例えば銀行法が子会社への立入検査権限(25条2項 買戻しに係る資金の確保のみを命ずる業務改善命令を発出していたことが認められる。)。 もとより,抵当証券業規制法が財務局長等に付与している監督権限は,例えば銀行法が子会社への立入検査権限(25条2項)まで規定していることと比較すれば狭いものであることは明らかであるが,このことは,財務局長等が,具体的事情の下で登録許否の判断を行うに当たり,上記のように限定された監督権限すら行使する必要がないと解する根拠とはなり得ず,抵当証券業規制法にも,その更新登録に当たり,財務局長等は,更新登録申請書及びその添付書類の記載に加え,監督権限の行使により入手した資料を基礎にした審査を行いさえすれば,当該監督権限の行使がいかに不十分,不適切なものであったとしても,国賠法上免責されるとの結論を正当化するような規定は見当たらない。かえって,財団法人大蔵財務協会が発行している抵当証券業規制法の手引き書においては,登録制であっても,適切な行為規制と不正な行為に対する監督官庁の速やかな対応によって,悪質業者に対する対処は十分可能であり,購入者保護を図ることができる旨解説されており(甲16),抵当証券業の規制等に関する法律案の国会審議においても同様の説明が政府委員からされていた経緯が存することは,既に摘示したとおりである。 確かに,財務局長等の監督権限の内容が限定されていることから,更新登録拒否事由の存否に係る判断に必要な資料が収集し切れない場合が生じることは容易に想定されるが,そのような事案においては,財務局長等は,その専門的技術的知識に基づき,経験則や論理法則を駆使するなど合理的な手法を用いて可能な範囲で事実を認定した上,それに基づいて更新登録拒否事由の有無を判断することが求められるというべきであり,抵当証券業規制法が抵当証券業者の営業の自由を尊重する観点から開業 合理的な手法を用いて可能な範囲で事実を認定した上,それに基づいて更新登録拒否事由の有無を判断することが求められるというべきであり,抵当証券業規制法が抵当証券業者の営業の自由を尊重する観点から開業規制につき登録制を採用した上でその登録拒否要件を客観的,外形的基準を基調とするものにとどめ,また,財務局長等の監督権限を限定的に規定しているとしても,そのことか ら財務局長等の更新登録の許否に当たっての上記のような判断を不要とする趣旨を読み取ることは困難であり,抵当証券業の規制等に関する法律案の国会における審議経過からもそのような立法政策を看取することはできない。 現に,証拠(甲135,乙138,146,証人Y20)及び弁論の全趣旨によれば,平成12年検査において,近畿財務局長は,①現金出納帳及び預金通帳等の記載からは,大和都市管財が販売した抵当権付き債権一部譲渡のうち,グループ会社から大和都市管財への利息の支払も,大和都市管財からグループ会社への融資の実行も確認することができないものがあること,②大和都市管財は,その総勘定元帳の記載上,グループ会社への融資やグループ会社からの利息収受について,趣旨が不明である「関係会社」という勘定を用いて処理しており,仕訳の外形自体も資金の交付があったことを示すものではなく,同社からも上記仕訳について合理的な説明がなかったこと,③大和都市管財は,当初は利息は現実に収受し,融資も手形等で行っている旨主張していたものの,その後は主張を二転三転させ,平成13年に至り,利息に未収のものがある事実を自認した上で未収利息債権と貸付債務との相殺処理を主張する本件上申書を提出したこと,等の事情を総合して,抵当権付き債権一部譲渡に係る資金交付を否認し,未収利息についても資産性を否定することで簿外債務の存在を認定 収利息債権と貸付債務との相殺処理を主張する本件上申書を提出したこと,等の事情を総合して,抵当権付き債権一部譲渡に係る資金交付を否認し,未収利息についても資産性を否定することで簿外債務の存在を認定したが,同社が手形貸付等の形式により融資を行った可能性を否定することのできる客観的な証拠は保持していなかったことが認められるところ,大和都市管財が従前の主張と同様,本件上申書についても撤回する可能性は否定することができず,その場合には,手形や小切手等による融資の可能性を否定し切れなかったはずであるから,近畿財務局長が上記判断に至ったのは,大和都市管財が融資の実在性や利息の収受の存否につき追及を受け,その説明を不自然に変遷させた事実や,同社の説明が不十分であった事実自体から,その主張が全体として信用することができないと合理的に判断したことに負う部分も大きいと解されるのである。 これに対し,被告は,①実質的審査をすべき場合は,免許制・許可制等,登録制より強度の規制をしている場合である,②抵当証券業規制法の制定過程において,財産的基礎について実体的にみていくことを予定している旨の議論がされていない,③支払不能という,資本欠損より実質的判断を要する概念が規定されている著作権等管理事業法ですら形式的審査で足りるとされている,などとして,抵当証券業規制法の下における更新登録に際しては財務局長等には実質的審査を行う義務はない旨主張する。 しかしながら,①につき,確かに,通常,開業規制としての免許制は,一般的に当該業務を行うことを禁止した上で,厳格な免許基準をすべて備えた者の申請があった場合にのみ,個別にその禁止を解除するという,事前規制としては強度のものに当たり,開業規制としての登録制はより緩やかな事前審査要件を採用するのが通例であるといえる 基準をすべて備えた者の申請があった場合にのみ,個別にその禁止を解除するという,事前規制としては強度のものに当たり,開業規制としての登録制はより緩やかな事前審査要件を採用するのが通例であるといえるが,そのことから,更新登録においても同様に緩やかな審査要件で足りるということには当然にはならない。 すなわち,登録制と免許制との主要な差異は,前者が後者よりも開業規制が緩やかであるという点よりも,前者が,厳格な開業規制への適合を事前にかつ一律に求めるのではなく,事後的にその具備がないことが明らかになった者を業務から排除することで足りるとするなど,いわば規制を後倒しにする点にあるともいえるのであって,抵当証券業規制法において,当初の登録時には登録申請書及びその添付書類から形式的に判断するほかなかった財産的基礎について,更新登録時には当該業者に対する監督処分から得られた情報等も適宜しんしゃくして審査することができることは,正に登録制のそうした作用の表れにほかならないということもできる。加えて,平成10年法律第107号による改正前の証券取引法28条1項,31条1号が,証券業を免許制とし,その審査基準の一つとして財産的基礎の具備を挙げていたこと,その判断に際しては資産の額面のみならずその内容も検討すべきとされていたことは被告の主張するとおりであるが,登録制を復活させた前記改正後の 証券取引法28条の4も,登録拒否事由の柱として,証券会社が負担している各種のリスクが現実化した場合でも,これに起因する損失に耐えられるだけの流動性のある自己資本の保持を義務付ける趣旨で自己資本規制比率を採用しており(同条1項4号,52条1項,証券会社の自己資本規制に関する内閣府令),その内容は,資本金,準備金その他の前記内閣府令で定めるものの合計額から固定資産その他 ける趣旨で自己資本規制比率を採用しており(同条1項4号,52条1項,証券会社の自己資本規制に関する内閣府令),その内容は,資本金,準備金その他の前記内閣府令で定めるものの合計額から固定資産その他の前記内閣府令で定めるものの額の合計額を控除した額の,保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として前記内閣府令で定めるものの合計額に対する比率(自己資本規制比率)が120パーセント以上でなければならないとするものであって,上記の「保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額」とは,市場リスク相当額,取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額(上記内閣府令4条1項)を指すところ,市場リスク相当額を算定するだけでも,証券会社は極めて詳細な計算を行った上,その計算方式を選択するに際してまで金融庁長官の個別の承認(例えば,上記内閣府令9条所定の金利感応度の分析の承認)が必要とされ,自己資本規制比率が140パーセントを下回った場合には,営業日ごとに,市場リスク相当額及び取引先リスク相当額の内訳を記載した書類並びに当日の日計表を添付した自己資本規制比率に関する届出書を作成し,遅滞なく金融庁長官に提出しなければならない(証券取引法52条1項,証券会社の自己資本規制に関する内閣府令19条)など,個別具体的な審査が予定されているのであって,こうした規制をみれば,かえって,登録制であるからといって当然に形式的審査が予定されているなどとはいい得ないことが明らかである。また,そもそも,法文上は免許制を採用していても,宅建業法のように,その開業規制が抵当証券業規制法よりも更に形式的審査になじむと解されるものもある。こうしたことからすると,抵当証券業規制法が開業規制の手段として登録制を採用しているということ も,宅建業法のように,その開業規制が抵当証券業規制法よりも更に形式的審査になじむと解されるものもある。こうしたことからすると,抵当証券業規制法が開業規制の手段として登録制を採用しているということだけから,更新登録拒否事由の有無は更新登 録申請書及びその添付書類のみを審査すれば足りるとの結論が導き出せるわけではない。そして,既に説示したところから明らかなように,個々の登録拒否事由に係るその該当性判断の難易や,同法が財務局長等に監督権限を付与した趣旨等も参しゃくし,具体的事情の下で登録拒否事由の存在を合理的に疑わせるに足りる事情があり,かつ,その有無についての判断を(更新)登録申請書及びその添付書類のみで行うことが著しく困難である場合には,財務局長等には報告徴求命令等の監督権限を適時かつ適切に行使する職務上の法的義務が生じ得るというべきである。 次に,②についても,財産的基礎の判断に当たっては,前述のとおり,原則として財務局長等は(更新)登録申請書及びその添付書類を審査すれば足りると考えられ,それを超えた審査を行う義務が生じるのは例外的な場合に限定されることからすると,抵当証券業規制法の制定時において財産的基礎を実体的にみていくことを予定した議論がされていないとしても特段異とするには足りず,このことをもって,常に上記の程度を越えた審査が不要であることの証左であるとみることもできない。 さらに,③についても,著作権等管理事業法(平成12年法律第131号)は,著作権及び著作隣接権を管理する事業を行う者について登録制度を実施し,管理委託契約約款及び使用料規程の届出及び公示を義務付ける等その業務の適正な運営を確保するための措置を講ずることにより,著作権及び著作隣接権の管理を委託する者を保護するとともに,著作物,実演,レコード,放送及び有 及び使用料規程の届出及び公示を義務付ける等その業務の適正な運営を確保するための措置を講ずることにより,著作権及び著作隣接権の管理を委託する者を保護するとともに,著作物,実演,レコード,放送及び有線放送の利用を円滑にし,もって文化の発展に寄与することを目的とする(1条)法律であって,抵当証券業規制法とはその目的や規制対象,監督権限の所在等が全く異なる上,同法における登録を受けることなく著作権等管理事業を行った者に対する罰則も100万円以下の罰金にすぎない(同法29条1号)など,抵当証券業規制法における登録制度に比してその違法性が格段に小さいと解されることに照らすと,著作権等管理事業法 において登録拒否事由である財産的基礎(同法6条1項6号,同法施行規則5条)の有無の判断は常に形式的審査によれば足りると解釈されているとしても(もっとも,これを裏付けるべき客観的な証拠はない。),抵当証券業規制法における登録拒否事由の有無に係る審査基準を,これと同一に解すべき必然性はない。 他方,原告らは,更新登録拒否事由の存否が不明である場合には,その存在を認定すべきである旨主張する。しかしながら,抵当証券業規制法は,もともと規制がなく自由に行われていた抵当証券業について開業規制を及ぼすために導入され,営業の自由を可及的に尊重すべく登録制が採用されたという経緯や,「その登録を拒否する場合を除くほか,次に掲げる事項を抵当証券業者登録簿に登録しなければならない。」(5条柱書)という法文上の文言に照らし,登録拒否事由が存在することの立証責任自体は,登録申請者に対する関係では,財務局長等にあると解するのが自然である。 したがって,財務局長等は,更新登録申請書及びその添付書類の記載,並びに立入検査等によって別途把握した事実に照らし,当該抵当証券業者の更新登 対する関係では,財務局長等にあると解するのが自然である。 したがって,財務局長等は,更新登録申請書及びその添付書類の記載,並びに立入検査等によって別途把握した事実に照らし,当該抵当証券業者の更新登録を拒否すべきことが明らかである場合はもちろん,そうでない場合にも,財務局長等がそれまでに監督権限の行使等を通じて収集した資料に基づき,当該抵当証券業者が破綻する危険性が切迫している徴候を把握した場合には,抵当証券業規制法の下で認められた立入検査等の監督権限を,その合理的裁量に基づいて当該抵当証券業者に対して適時にかつ適切に行使し,必要に応じてその専門的知見に基づく合理的推認等の手法をも用いて事実を認定した上,通常必要とされる程度の慎重さをもって更新登録の可否を判断すべき職務上の注意義務を,当該抵当証券業者からその更新登録後に抵当証券を購入した個々の国民に対して負っていると解されるのであって,財務局長等がその人的物的制約の下で適時にかつ適切に監督権限を行使しさえすれば,更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたにもかかわらず,漫 然と更新登録を認めた場合には,その権限行使の態様が著しく合理性を欠くものと判断され,国賠法上も違法の評価を受けるというべきである。 そして,争点1で概観したような登録更新に係る財務局長等の規制権限を定めた抵当証券業規制法の趣旨,目的及びその権限の性質等に照らすと,財務局長等が看過した更新登録拒否事由が抵当証券業規制法6条1項7号所定の財産的基礎の欠如である場合には,財務局長等による更新登録が著しく合理性を欠くか否かは,①財務局長等が更新登録に先立って知り,又は監督権限の適時かつ適切な行使によれば容易に知り得た情報に照らして,当該抵当業者が破綻する危険性がどの程度切迫していたといえるか,②財務局長等 否かは,①財務局長等が更新登録に先立って知り,又は監督権限の適時かつ適切な行使によれば容易に知り得た情報に照らして,当該抵当業者が破綻する危険性がどの程度切迫していたといえるか,②財務局長等による監督権限の行使に係る方法・時期等の選択における合理性の有無及びその逸脱の程度,③更新登録によって惹起された損害の規模及び性質(特に,被害者においてその回避を図ることを合理的に期待することができたか否か),並びに④財務局長等による監督権限等の適切な行使と更新登録拒否事由の存在の認識可能性を,更新登録の前後の経緯等に照らして総合的に判断して決すべきものと解される。 (3)本件更新登録前後の事実関係そこで,本件更新登録がされた前後ころの具体的事情について検討することとする。掲記の証拠等によれば,本件更新登録前後の事実関係は以下のとおりと認めることができる(既に認定済みのものも含む。)。なお,〔〕内は,本件更新登録時までに被告が把握し,又は当然容易に把握し得たとまでは証拠上認められない事実関係である。 ア平成6年検査まで(ア)大和都市管財の前身の発足Y1は,「新都市計画株式会社」の代表取締役として不動産の仲介・販売業を営んでいた〔が,経営規模を拡大すべく,高校の後輩を通じて知り合った行政書士で,不動産全般について知識が豊富なため知恵袋と していたY6に資金調達の方法を相談したところ,同人から,他人に資金を貸し付けて,他人の不動産に抵当権を設定すれば,それに基づいて抵当証券の発行を受け,これを販売して資金を集めることができるとの助言を受けた。そこで,Y1は,昭和50年ころからY1の下で働いていたY8に対し抵当証券について研究するよう命じ,同人は,大阪法務局や司法書士の下を訪れ,その発行手続について教示を受けるなどした〕。Y1 受けた。そこで,Y1は,昭和50年ころからY1の下で働いていたY8に対し抵当証券について研究するよう命じ,同人は,大阪法務局や司法書士の下を訪れ,その発行手続について教示を受けるなどした〕。Y1は,昭和60年2月には前記会社の商号を「大和都市抵当証券株式会社」へと変更し,抵当証券業に乗り出すことを決めた。【甲48,49,54】(イ)Y1による抵当証券業の開始大和都市抵当証券株式会社は,昭和60年3月15日付けで,自らを債権者,大二産業株式会社を債務者とした約2億円の金銭消費貸借契約書を作成した上,これを被担保債権としてY32の所有する奈良県生駒市a町所在の山林に抵当権を設定し,同年4月15日に総額2億2440万円の抵当証券の発行を受け,これを販売した。〔しかしながら,大二産業株式会社は金融会社として新都市計画株式会社が物件を押さえるための手付金数千万円を貸し付けていた債権者であり,Y32も同社の取引先であった。Y1は,融資金を返済するためであるなどとして取引先の協力を取り付けた上,自己資金を用いることなく実体のない抵当証券の発行を受け,これをすべて販売して資金を調達し,その償還債務を負担することとなったものの,当初からの計画どおり,大二産業株式会社に対し,旧商号時代の融資金を返済することができたのである。〕【甲49,54】(ウ)グループ会社に対する特約付き融資の開始Y1は,昭和60年7月6日付けで,大和都市抵当証券株式会社が,自らが実権を握っていた「総合都市開発株式会社」に対して金銭を貸し 付けたとして,同人と,これも同人が統括していた「大和フード株式会社」が共有していた四條畷市山林に抵当権を設定し,同年8月1日に総額1億5420万円の抵当証券の発行を受けた。〔しかしながら,当時既に総合都市開発株式会社は不動産売 が統括していた「大和フード株式会社」が共有していた四條畷市山林に抵当権を設定し,同年8月1日に総額1億5420万円の抵当証券の発行を受けた。〔しかしながら,当時既に総合都市開発株式会社は不動産売買業をほとんど行っていない休眠会社となっており,資金需要はなかった。〕Y1は,同年9月,大和フード株式会社をベストライフ通商へと商号変更した上,Y6をその代表取締役に就任させ,同社が所有する物件を担保とした抵当証券の発行を受けて販売することを繰り返したが,四条畷市山林にしても,同年12月に1590万円の抵当証券の発行を受けた神戸市a区b町cの土地にしても,大和都市管財グループが破綻する平成13年まで全く運用されずにそのままの状態で放置されて〔おり,毎年Y8が草刈りに出向いて〕いた。また,サンクス外は,店舗付きマンションの1階部分にあったスーパーマーケット(同名のコンビニエンス・ストアのフランチャイズ店ではない。)を買い取って営業を継続していたもので〔その売上げは伸びず〕,本社ビルは,大和都市管財及びナイスミドルの本社事務所等として利用していただけで,直接収益を上げるための物件ではなかった。【甲49,54,63,乙1の5】(エ)カラ融資の横行と抵当証券業規制法制定の機運の高まり昭和61年10月から昭和62年3月にかけて,債権債務がないのにあったようにみせかけて金銭消費貸借証書を作成し,抵当証券の交付を受けた(カラ融資)という公正証書原本等不実記載や,抵当権の裏付けのないモーゲージ証書を販売した(カラ売り)という詐欺等の被疑事実で警察の摘発を受ける抵当証券業者(純金ペーパー商法で摘発された豊田商事事件の残党が多いとされている。)が続出するようになり,抵当証券に対する法規制を行う必要性が広く認識されるようになった。なお,抵当証券業規制法施 る抵当証券業者(純金ペーパー商法で摘発された豊田商事事件の残党が多いとされている。)が続出するようになり,抵当証券に対する法規制を行う必要性が広く認識されるようになった。なお,抵当証券業規制法施行以前にみられた悪質な抵当証券業者の行為として, カラ売り,二重売りと並んでカラ融資があり,その典型的な手法は,ダミーの別会社を作り,融資を実行した外形を整えるというものであったことは,平成3年5月に日本経済新聞社から発行された「抵当証券の実際」と題する書籍(その著者であるY33は,大蔵省理財局次長等を経て,日本抵当証券株式会社の社長や会長を歴任した人物であり,同人は,抵当証券業規制法の制定作業にも主体的に関与していた。)の中でも紹介されていた。こうした中で,抵当証券の購入者保護策等を検討してきた大蔵・法務両省の抵当証券研究会は,昭和62年6月11日に「抵当証券取引について」と題する報告書を発表し,抵当証券業を規制するための法律を早期に制定するよう提言した。【甲22,34,205,証人Y4】(オ)ナイスミドルの設立〔Y1は,昭和62年ころ,知人から,ゴルフ場を造成してゴルフ会員権を販売し,150億円前後の資金を得たが,ゴルフ会員権は,その時価が上がる限り,償還期日に預託金の返還を要求する会員はいないため,これを返還する必要が事実上なくなるという話を聞き,自らもゴルフ場の経営に参画しようと思い立った。そこで,〕Y1は,昭和62年7月,大和都市抵当証券株式会社の商号を大和都市管財に変更するとともに,実際にゴルフ場の経営を行う会社として,昭和62年8月にナイスミドルを設立した。Y1は,同社の代表取締役に長男であるY2(昭和37年3月に出生し,昭和60年3月に関西大学工学部を卒業し,一時アルバイトなどをしていたが,同年5月に大和都市抵 62年8月にナイスミドルを設立した。Y1は,同社の代表取締役に長男であるY2(昭和37年3月に出生し,昭和60年3月に関西大学工学部を卒業し,一時アルバイトなどをしていたが,同年5月に大和都市抵当証券株式会社に就職した。〔就職時の月収は約20万円,ナイスミドルの代表取締役に就任したころの月収は約30万円で,後者の原資は大和都市管財からの融資金であった。〕),監査役にY2の妻Y34を昭和63年1月から就任させた。【甲49,116,乙1の1,1の2】 (カ)a町土地の購入Y1は,昭和62年9月,かつて雇い主であったY29から紹介を受け,1万8700坪の面積を有する平坦な雑種地であるa町土地を,個人経営の産業廃棄物業者である松谷建材から〔約8億円で〕ベストライフ通商に購入させた。〔Y1は,a町土地を購入するに当たり,6ホールのミニゴルフ場にすることを念頭に置いていたが,購入後にミニゴルフ場の建設費用を建設業者に見積もらせたところ,約10億円を要するとのことであったため,その建設を断念した。〕Y1は,a町土地の購入に先立ち,当該物件につき,その地目が山林であるにもかかわらず,境内地及び墓地に転換可能な熟成度の高い墓地見込地としての不動産鑑定評価を依頼し,60億0300万円(価格時点:同年8月26日)との評価額を得て,これを基に,大和都市管財からベストライフ通商に対して同年11月2日に弁済期を昭和72年(平成9年)11月2日,利率を年12パーセントとして20億円を貸し付けたとしてa町土地に抵当権を設定し,昭和62年12月10日に同額の抵当証券の発行を受け,さらに,昭和63年2月17日にも弁済期を昭和73年(平成10年)2月17日,利率を年12パーセントとして10億円を貸し付けたとして,同様に昭和63年3月18日に同額の抵当証券 当証券の発行を受け,さらに,昭和63年2月17日にも弁済期を昭和73年(平成10年)2月17日,利率を年12パーセントとして10億円を貸し付けたとして,同様に昭和63年3月18日に同額の抵当証券の発行を受けた。もっとも,〔大和都市管財グループが破綻する平成13年まで,〕a町土地について墓地開発の許可が下りることはなく,ほとんど利用されないまま放置されていた。近畿財務局は,遅くとも平成7年ころまでに,a町土地を含む大和都市管財の複数の担保物件が未利用の状態にあることを実地調査によって把握し,本省金融会社室にも報告していた。【甲49,53,54,65,106,証人Y4】(キ)大和都市管財の抵当証券業者登録簿への登録大和都市管財は,昭和63年11月1日の抵当証券業規制法の施行に 伴い,同年12月21日,近畿財務局長によって抵当証券業者登録簿に登録された。 (ク)ゴルフ場建設への着手Y1は,a町土地を担保に発行した抵当証券で集めた資金等を元手に平成元年ころからゴルフ場建設を希望していた市町村を探し,岡山県英田郡a町をゴルフ場建設予定地と定めてその用地取得に乗り出し,〔平成2年までに約20億円を費やし,〕ナイスミドル名義でその買収を終えた。また,同人は,同じころ,ベストライフ通商名義によりa区土地を〔約20億円で〕買収するとともに,「杜の都株式会社」を設立し〔て,同土地に係るゴルフ場開発の許可申請業者に擬し〕た。〔しかしながら,a区土地については,緑地保全地域に指定されていたために宮城県からゴルフ場の開発許可が下りず,Y1は保守系の複数の仙台市議会議員に働きかけを依頼したものの,結局状況は打開できなかった。〕【甲48,50,53】(ケ)信用照会電話の多発抵当証券保管機構に対し,平成3年10月以降,大和都市管財の信用状況 数の仙台市議会議員に働きかけを依頼したものの,結局状況は打開できなかった。〕【甲48,50,53】(ケ)信用照会電話の多発抵当証券保管機構に対し,平成3年10月以降,大和都市管財の信用状況についての照会の電話が多発するようになった。【甲81の2】(コ)ナイス大原カントリークラブのオープンナイスミドルは,ナイス大原カントリークラブのオープンに先立ってそのゴルフ会員権を販売し,平成3年6月期までに70億円余りの預託金を集めたが,それ以降は,バブル崩壊の影響でゴルフ会員権はほとんど売れない状態となった。〔そのため,ナイスミドルではナイス大原カントリークラブの造成費用の調達に苦慮するようになった。〕しかしながら,抵当証券法施行令(平成3年政令第340号)が平成4年4月1日から施行され,その附則により,郡部の不動産を担保にして抵当証券を交付申請することも可能になったことから,大和都市管財は,〔ナイ スミドルに資金を融資した外形をとり,〕工事(平成6年6月までに造成費用として約100億円以上を要した。)の進捗状況に応じて,大原ゴルフ場を担保に,平成4年11月16日付けで18億円,平成5年2月19日付けで24億8000万円,同年6月17日付けで9億円(利率はいずれも年10パーセント),同年11月4日付けで19億4000万円(利率は年9パーセント)の各抵当証券の発行を受け,順次これを販売した(なお,上記ゴルフ場については,平成5年10月1日付けの不動産鑑定評価書で,101億9500万円との評価(価格時点:同年9月30日)がされていた。)。その結果,ナイスミドルは,平成6年6月期までに貸借対照表上において80億円以上の長期借入金を負担するに至ったが,抵当証券の販売を通じて獲得した資金を投入してナイス大原カントリークラブの造成工事を その結果,ナイスミドルは,平成6年6月期までに貸借対照表上において80億円以上の長期借入金を負担するに至ったが,抵当証券の販売を通じて獲得した資金を投入してナイス大原カントリークラブの造成工事を続け,平成6年4月に仮オープン,同年7月に正式オープンにこぎ着けた。【甲50,53,54,57,乙88の11】(サ)a町土地に係る評価書の不備の指摘近畿財務局は,平成4年度に実施した大和都市管財に対する立入検査(検査基準日:平成4年12月3日。以下「平成4年検査」という。)の結果,a町土地に係る不動産鑑定評価書は,適正価格把握参考のための墓地見込地としての評価(墓地とすることについて行政の許可を得たことを前提とする評価)であり,抵当証券交付申請書添付のための鑑定評価としては到底約60億円には及ばないとみられるとして,平成5年初めころ,当該評価書の不備を指摘した。この指摘を受けて,大和都市管財が宅地見込地(ゴルフ練習場敷地)としての適正価格について上記物件の再鑑定を依頼した結果,平成5年12月20日,21億円との評価(価格時点:同月17日)が出された。これを受けて,抵当証券保管機構と近畿財務局,大蔵本省とが協議し,大和都市管財によるa町土地 を担保とするモーゲージ証書の販売総額が21億円の8割に当たる16億8000万円を超える場合には,抵当証券保管機構が保管証の交付を拒否するとともに,大蔵省側にもその旨を連絡するとの手順が確認された。近畿財務局も,上記金額を超える部分のモーゲージ証書の販売中止を大和都市管財に指導した。Y1は,近畿財務局の担当者に掛け合い,a区土地について乗換え用の抵当証券を発行すればよい旨の言質を得て,上記土地(一部は地上権)の評価(価格時点:同年3月18日)を22億1353万円とする平成5年3月23日付け不動 担当者に掛け合い,a区土地について乗換え用の抵当証券を発行すればよい旨の言質を得て,上記土地(一部は地上権)の評価(価格時点:同年3月18日)を22億1353万円とする平成5年3月23日付け不動産鑑定評価書と,同年4月23日付けの大和都市管財からベストライフ通商に対する弁済期を平成15年4月23日,利率を年10パーセントとする15億4000万円の金銭消費貸借抵当権設定契約書とを作成した上,平成5年5月27日付けで同額の抵当証券の発行を受けて販売した。〔このころ,大和都市管財からベストライフ通商に上記金額が移動した事実はなかった。〕なお,a区土地は虫食い状態となっており,〔大和都市管財グループには更に用地買収を進める資金的余裕もなかったことから,〕結局そのまま放置された。【甲5,50,58,90,93の1,乙17,88の1,88の6,141,144,証人Y24,同Y17,弁論の全趣旨】(シ)北海道函館観光等の買収大和都市管財グループは,平成5年9月,〔Y16の実兄の仲介で,〕ナイスミドルを通じて,京都東山観光株式会社から,函館市内のトモエカントリークラブ(函館ゴルフ場。後にナイス函館カントリークラブと改称した。)を所有する北海道函館観光と,釧路市郊外にa町ゴルフ場用地(平成3年2月5日付けで北海道知事による特定開発行為(ゴルフ場,スキー場,テニス場の建設及び宅地の造成)の許可が下りていた。)を所有する北海道泊別観光とを各法人ごと〔計約27億円 で〕買収した(北海道函館観光は,平成6年1月にナイス函館へと商号を変更した。)。買収の時点で,ナイス函館は65億円余りの預託金を会員から集めており,第5期(平成5年8月期)の決算報告書において,既に当期損失約9億円,債務超過額約25億8000万円という経営状態であった。しかると の時点で,ナイス函館は65億円余りの預託金を会員から集めており,第5期(平成5年8月期)の決算報告書において,既に当期損失約9億円,債務超過額約25億8000万円という経営状態であった。しかるところ,大和都市管財は,函館ゴルフ場について,その評価額(価格時点:平成5年9月15日)を101億4820万円とする不動産鑑定評価を得た上,同年9月27日付けで北海道函館観光に対し,弁済期を平成15年9月27日,利率を年10パーセントとして70億円を貸し付ける旨の金銭消費貸借抵当権設定契約書を作成し,これを基に,函館ゴルフ場を担保として,平成5年10月18日付けで同額の抵当証券の発行を受け,さらに,再鑑定評価書を得た上で,平成6年1月10日付けで同社に対し,弁済期を平成16年1月10日,利率を年9パーセントとして10億円を貸し付ける旨の金銭消費貸借抵当権設定契約書を作成し,同様に平成6年2月1日付けで同額の抵当証券の発行を受けてそれぞれ販売した。〔抵当証券の販売によって得られた資金は,Y1の指示により,適宜資金を必要とするグループ会社へと回されていたが,帳簿上の整合性を保つため,大和都市管財から北海道函館観光へ,同社からベストライフ通商やナイスミドルへと転貸された形式を装っていた。〕また,大和都市管財は,北海道泊別観光が保有するa町ゴルフ場用地につき,その評価額(価格時点:平成5年12月16日)を4億8010万円とする不動産鑑定評価(ゴルフ場予定地であることを付加価値として評価に見込んだもの。)を得た上,同年12月24日付けで,同社に対し,弁済期を平成15年12月24日,利率を年9パーセントとして3億8000万円を貸し付ける旨の金銭消費貸借抵当権設定契約書を作成して同額の抵当証券の交付申請をしたが,釧路地方法務局から,開発許可を得た事実を 平成15年12月24日,利率を年9パーセントとして3億8000万円を貸し付ける旨の金銭消費貸借抵当権設定契約書を作成して同額の抵当証券の交付申請をしたが,釧路地方法務局から,開発許可を得た事実を評価の要素とすることはできない 旨告げられたため,抵当証券の申請額を1億9000万円に減額することを余儀なくされ,平成6年3月2日釧路地方法務局受付第4849号をもって錯誤を原因とする債権額1億9000万円の更正登記を経た上,同月28日,これと同額の抵当証券の発行を受けて販売した。〔Y1が北海道函館観光を買収したのは,手元資金から買収額約27億円さえ支払えば,預託金の償還時期まではまだ間があり,償還時期が来ても金額にして3分の1程度しか返還を求められないであろうと予測し,その間に函館ゴルフ場を担保に抵当証券を発行して集めた資金を消費者金融事業で運用して収益を上げることを目論んだからであったが,金融事業への進出は準備不足のために結局実現しなかった。〕【甲48,50,52,58,71,90の1,乙1の3,88の14,88の19】(ス)手形商品の販売開始〔Y1は,平成6年夏ころ,Y29から,いずれも国際金融ブローカーを自称する「Y30」「Y31」と名乗る人物の紹介を受け,同人らより,バンクオブアメリカを窓口として譲渡性預金やファンドを購入することで,年20ないし40パーセントの利益を上げることができるという投資案件の説明を受けた。Y1は,Y29やY30を大和都市管財の会議室に呼び寄せるとともに,Y2,Y8,Y6,Y3会計士らを集めて意見を求めた。Y3会計士は,そんなうまい話があるはずがないなどと反対したが,他の幹部らが特に異を唱えなかったため,Y1はこの投資案件を実行に移すこととした。上記投資案件用の資金を数十億円単位で調達するため た。Y3会計士は,そんなうまい話があるはずがないなどと反対したが,他の幹部らが特に異を唱えなかったため,Y1はこの投資案件を実行に移すこととした。上記投資案件用の資金を数十億円単位で調達するため,〕Y1は,Y29を通じて知り合ったY7弁護士の助言を受けて,ゴルフ場の修理やホテルの建設など外注需要が発生するナイスミドルを振出人とする約束手形を大和都市管財が裏書保証し,利息分(当初は年利8パーセント)を割引いた形式で顧客に販売するという手形商品を考案し,同年8月からその販売を開始した。手形商品は,既 に大和都市管財からモーゲージ証書を購入している顧客に対して乗換え用商品として売り込まれ,中途解約されたモーゲージ証書は,更に別の顧客へと販売された(抵当証券保管機構は,同月26日には約25億円分に相当する大和都市管財発行に係るモーゲージ証書の中途解約申出を受けた。)。ナイスミドルは,手形商品の販売によって得た資金を3回(平成6年8月,同年9月及び同年11月)に分けて各25億円ずつ,合計75億円をバンクオブアメリカの同社名義の口座に米ドル建てで送金した。なお,大蔵省国際金融局金融業務課は,平成8年10月3日,大和都市管財がナイスミドルの名義でアメリカ国内において7500万米ドル(1米ドル115円換算で86億2500万円)の預金をする旨申請している事実を把握したとして,これを本省金融会社室に連絡した。 【甲5,12の4,48,52,58,90の1,106,153,乙141,証人Y24,同Y4】(セ)特約付き融資の急増大和都市管財は,平成5年4月から平成6年6月までの間に,上記記載のものに加え,以下の物件についてそれぞれ抵当証券の発行を受けて販売した(債権金額の単位は百万円)。 証券作成日債務者名債権金額年利担保物件概要5年 4月から平成6年6月までの間に,上記記載のものに加え,以下の物件についてそれぞれ抵当証券の発行を受けて販売した(債権金額の単位は百万円)。 証券作成日債務者名債権金額年利担保物件概要5年4月15日ベストライフ 新高駐車場5年7月7日同上1840 大阪駅前第1ビル5年8月27日同上 a町駐車場6年1月13日リステム化学1240 a区共同住宅6年4月28日同上 上野西共同住宅同同上 寺内共同住宅 6年5月11日同上 西宮市共同住宅6年5月30日ベストライフ 大阪味わいビル敷地6年6月1日ナイスミドル 広尾ガーデンヒルズうち,a町駐車場は大和都市管財グループの駐車場として使用されていたもの,広尾ガーデンヒルズは同グループで福利厚生施設として使用されていたものであって,いずれも収益を期待することができる物件ではなかった。【甲8,81の4,81の6,乙16】(ソ)平成6年検査の端緒近畿財務局は,抵当証券業界全体が伸び悩む中で,大和都市管財が,上記のように高金利による抵当証券の販売残高を急増させている上(抵当証券保管機構が記録していた同社に対する抵当証券保管証の発行残高は,平成5年3月には89億3500万円であったのに対し,平成6年3月には248億7900万円に達していた。),平成6年8月11日,抵当証券業協会から,大和都市管財が詐欺まがいの商品を販売して大口のモーゲージ証書購入者に乗換えを勧めている旨の情報を入手したことから,同年10ないし12月に実施を予定していた検査日程を前倒しして,同年9月9日から同社の立入検査に着手した。【甲90の1,乙12,22,141,証人Y24】イ平成 いる旨の情報を入手したことから,同年10ないし12月に実施を予定していた検査日程を前倒しして,同年9月9日から同社の立入検査に着手した。【甲90の1,乙12,22,141,証人Y24】イ平成6年検査(ア)平成6年検査の着眼点近畿財務局は,平成6年検査の着眼点を,①モーゲージ証書の中途解約手続等の検証を通じた手形商品の実態把握,②大和都市管財の資金繰り状況の把握,③融資先であるグループ会社を含めた財務状況の把握,④前回検査(検査基準日:平成4年12月3日)における指摘事項の改善状況の把握,に置いた(他方,それ以前の検査は,行為規制 や融資審査体制に関するものが中心であり,融資先の経営状況までは特段関心が払われていなかった。)。【甲5,乙141,証人Y24】(イ)平成6年検査の着手Y24検査官外4名は,平成6年9月9日,大和都市管財に対する立入検査を開始した(Y24検査官を含む3名が本店に,2名が東京支店に赴いた。)。Y24検査官らは,同日冒頭より現物調査を実施し,通常の手順に従い,検査基準日(立入検査開始日の前日であるため,平成6年検査においては同月8日。以下同じ。)における大和都市管財の資産と負債の帳簿上の金額を確認するとともに,大和都市管財の本店及び東京支店における現物(小口現金,小切手等)の帳簿残高と実際の残高とを照合して確認しようとした。しかしながら,大和都市管財側は,同社では税理士が定期的に伝票から帳簿を整理しており,現金の入出金については日次では管理しておらず,正確な残高を証明することができる資料もない旨の説明があり,実際に,伝票が積み重なっている状況が現認された。そのため,Y24検査官らは,手元の小口現金残高についての確認は行ったものの,帳簿残高との照合までは行うことができなかった。もっと い旨の説明があり,実際に,伝票が積み重なっている状況が現認された。そのため,Y24検査官らは,手元の小口現金残高についての確認は行ったものの,帳簿残高との照合までは行うことができなかった。もっとも,Y24検査官らは,現物検査において,金庫から手形商品のスキーム図を発見して入手したほか,登録標識が店内に掲示されていること(抵当証券業規制法12条1項によれば,抵当証券業者は,これを「公衆の見やすい場所」に掲示しなければならない。),パンフレットに同封されている「抵当証券の御案内」と題する書面に,「法務局による厳正な鑑定評価に基づいた確実な担保」との不適切な表現があること(同法14条,法施行規則10条6号によれば,抵当証券業者は,その行う抵当証券業に係る広告に際し,抵当証券に記載された抵当権の目的等に関する事項について著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。),などを把握した。Y24検査官らが立入検査で大和都市 管財の本店に入ったのは9月9日(現物検査),13日及び14日(一般検査)の3日間であり,その後は確保した資料の分析,同社役員からのヒアリング,関係資料の追加徴求等により検証を進めた。【甲12の1,乙141,145,証人Y24】(ウ)Y1による抗議Y1は,手形商品についてY7弁護士から話を聞こうとしたY24検査官に対して,「何の権限があって弁護士に話を聞くんだ。」と電話で抗議したほか,東京支店で行った現物検査についても,女性社員の机を開けたなどとして抗議を行った。【乙141,証人Y24】(エ)手形商品についての検査Y24検査官らは,平成6年検査の着眼点の1つである手形商品について,Y1からヒアリングを行うとともに,その契約関係書類のひな形を入手した。Y1は,手形商品について説明した上,手形商品は,弁護士等 Y24検査官らは,平成6年検査の着眼点の1つである手形商品について,Y1からヒアリングを行うとともに,その契約関係書類のひな形を入手した。Y1は,手形商品について説明した上,手形商品は,弁護士等専門家の意見を踏まえて検討した結果,出資法には抵触しないと判断している旨主張した。近畿財務局では,大和都市管財が手形商品の購入者に元本が保証されているかのように思わせていたことから,出資法2条(預り金の禁止)に違反する疑いがあるとの認識を深め,当時の金融第3課Y35課長(以下「Y35課長」という。)が手形商品に関するヒアリング結果をファックス送信して本省金融会社室に意見照会したところ,同室でも,手形商品が出資法2条に違反するとの見解であった。 もっとも,出資法に関する大蔵省の権限に関しては,大蔵省設置法4条に「預り金となるべき金銭の受入れについての情報の収集に関すること」と規定されているのみであり,現に行われている出資法違反の疑いのある個別,具体的事実の解明あるいは取締りは捜査当局の所掌と解されていたことなどから,Y24検査官は,平成6年10月11日,大和都市管財に対し,手形商品は出資法に違反する疑いがある旨の注意喚起 を行った。Y24検査官は,同月21日にもY1,Y7弁護士等に対するヒアリングを行って同様の注意喚起をしたところ,Y7弁護士は,手形商品の合法性を主張し,疑いというだけで規制するのは妥当ではないなどと反論した(同日のヒアリング内容について近畿財務局が作成した連絡記録票は,後に朝日新聞の記者が入手するところとなった。)。結局,大和都市管財が手形商品の販売を直ちに中止することはなく,抵当証券保管機構は,同年12月7日,大和都市管財の営業員から勧められて抵当証券から手形商品に全額乗り換えたものの心配になったという顧客からの相 都市管財が手形商品の販売を直ちに中止することはなく,抵当証券保管機構は,同年12月7日,大和都市管財の営業員から勧められて抵当証券から手形商品に全額乗り換えたものの心配になったという顧客からの相談の電話を受けたほか,平成7年2月13日には,同社のモーゲージ証書に関し約9億円の中途解約の申出を受け,「不自然な大口の中途解約は合計で100億円を突破した。」と業者状況表に記録していた。同年3月末における大和都市管財の貸借対照表上の受取手形割引高(簿外保証債務)は,約125億円に達していた。 本省金融会社室は,同年4月7日,法務省刑事局に対し,近畿財務局は,同月13日,大阪地検に対し,それぞれ手形商品についての情報提供を行い,出資法違反か否かの検討を依頼した(大阪地検は,アメリカ司法当局に対し,大和都市管財が手形商品の担保としている預金債権の有無について照会を行い,その結果を踏まえ,平成8年4月18日,大蔵省側に対し,「バンクオブアメリカに平成7年6月末現在で約80億円の残高があったことが確認された。被害届の出ていない段階で詐欺を被疑事実として直ちに捜査に入ることは考えていない。」旨の回答を行った。)。 なお,Y24検査官らは,手形商品に関連して,モーゲージ証書の解約手続を検証したが,乗換えに際して解約手数料を徴求するなどの購入者に不利益を与える行為を大和都市管財が行っていた事実は確認することができなかった。 【甲5,7,12の5,90の1,153,171の2,乙3の5,4,12,22,141,証人Y24】(オ)資金繰りについての検査Y24検査官らは,平成6年検査の着眼点の1つである大和都市管財の資金繰りを検証するため,手元の小口現金・伝票・預金通帳と総勘定元帳の記載とを照合する作業を行ったものの,前記のとおり,現金の入出金 Y24検査官らは,平成6年検査の着眼点の1つである大和都市管財の資金繰りを検証するため,手元の小口現金・伝票・預金通帳と総勘定元帳の記載とを照合する作業を行ったものの,前記のとおり,現金の入出金を帳簿残高と照合・確認することはできなかった。そして,当時,大和都市管財においては,前記のようなグループ6社からの抵当証券受取利息に加え,後述するY1個人からの借入れ,グループ会社に対する特約付き融資の多くは預金勘定ではなく現金勘定で処理されていたところ(その詳細は2(7)イ(ア)記載のとおり。),現金による資金授受については伝票以外に客観的な資料がなかったため,これを実際に確認することができず,大和都市管財の帳簿上は,グループ会社からの利払にも延滞は認められなかった(大和都市管財の総勘定元帳のうち平成6年4月から同年8月までの間において,抵当証券受取利息の相手科目の大半が未収入金となっているが,これは,ベストライフ通商以外のグループ会社からの抵当証券受取利息が半期ごとの一括受領とされていたことに起因するものであり,本来的には未収入金勘定で毎月処理する必要がないものと推認することができた。)。〔実際には,大和都市管財は,グループ会社から融資に対する利払を受け,これと顧客らに対する支払利息との差額を収益としているとの外形を帳簿上整えていただけで,グループ会社は,いずれもさして収益の上がる事業をしていなかったため,大和都市管財に対して特約付き融資に係る利息に相当する金員が現実に支払われることはほとんどなかった。大和都市管財から抵当証券購入者に対する利息やグループ会社に発生する経費は,Y1の指示により,大和都市管財やグループ会社名義の預貯金口座等に一時的にプールしてい る資金からその都度支払われており,これによって生じた資金不足は別の 利息やグループ会社に発生する経費は,Y1の指示により,大和都市管財やグループ会社名義の預貯金口座等に一時的にプールしてい る資金からその都度支払われており,これによって生じた資金不足は別の金融商品を販売して得られた資金等によって穴埋めされていた。もっとも,抵当証券の発行を受けるためには,大和都市管財がグループ会社に融資をした形式をとる必要があった上,大和都市管財が抵当証券業者として登録を受け続けられるようにするには,同社だけは常に黒字の形にしておく必要があったことから,同社は,グループ会社から融資に対する利払を受け,これと顧客らに対する支払利息との差額を収益としているとの外形を整えていた。このため,大和都市管財が抵当証券購入者に対して行う過大な利払は,帳簿上はそのままグループ会社の負担に付け替えられ,グループ会社の財務内容を圧迫していた。もっとも,Y3会計士は,グループ会社の収益を水増しする等の帳簿操作は特段行っていなかったため,大和都市管財グループ全体としてみた場合の収支や資産状態は,ほぼ現実に合致していた。〕また,大和都市管財は,Y1からの借入れによって資金調達を行っている旨説明し,総勘定元帳においてもその旨の記載がされていたが,Y24検査官らがその原資についてY1に問いただしても,同人は,不動産業で培ってきた人脈を活かして,何人ものスポンサーから資金を調達している旨述べるだけで,Y1は,それに対する詳細な説明を一切拒否した。近畿財務局は,資金調達先に関するY1の主張に対しては強い疑義を抱いていた。〔Y1のスポンサーに係る主張は虚偽であった。Y16は,平成7年ころから,グループ会社からの利払が滞っているにもかかわらず更に大和都市管財からこれらの会社に資金援助を行っている実態を隠すため,Y3会計士から助言を受け,大和都 は虚偽であった。Y16は,平成7年ころから,グループ会社からの利払が滞っているにもかかわらず更に大和都市管財からこれらの会社に資金援助を行っている実態を隠すため,Y3会計士から助言を受け,大和都市管財とグループ会社の間で資金を移動させる際に仲立ちとしてY1勘定を入れるようにし,大和都市管財の銀行別入出金台帳にも,資金の移動先としてグループ会社名に代えてY1と記載し,グループ会社から資金を大和都市管財に移 動する際にも,同様にY1勘定を通して行うようになっていた。〕もっとも,当時,大和都市管財のグループ会社に対する特約付き融資が合計292億2000万円に上っていた一方で,融資先であるグループ会社の累積損失が後述のとおり合計約73億円に達していたことから,近畿財務局は,このままグループ会社の経営状況に改善がみられなければ,特約付き融資の元本償還期日を迎える平成8年7月以降,特に大口の元本償還が始まる平成9年以降は,大和都市管財の資金繰りは非常に厳しくなるものと予想した。 【甲4,5,7,8,57,58,109,乙22,141,証人Y24】(カ)大和都市管財グループ全体の財務状況についての検査Y24検査官らは,平成6年検査の着眼点の1つである大和都市管財グループ全体の財務状況を把握するため,融資審査用の書類を大和都市管財から入手しようとしたが,同社には,他の抵当証券業者と異なり,特約付き融資先の経営状況に係る資料が何ら収集・保管されておらず,Y1は,これがうちのやり方である,などと説明していた。そこで,Y24検査官らは,立入検査時に,大和都市管財に対し,同社は,表面上グループ会社からの抵当証券受取利息で収益を上げ黒字を保っているが,大和都市管財の融資先はグループ会社に限られ,そのグループ会社はどこも赤字決算となっており,大 ,大和都市管財に対し,同社は,表面上グループ会社からの抵当証券受取利息で収益を上げ黒字を保っているが,大和都市管財の融資先はグループ会社に限られ,そのグループ会社はどこも赤字決算となっており,大和都市管財の財務状況の実態が分からないとして,融資先であるグループ会社の決算書等を任意に提出させるよう求めた。Y1は,当初は融資先に関する一切の資料提出を拒否したため,近畿財務局は,Y3会計士に要請して平成6年9月時点での大和都市管財グループ全体の累積損失を算出させる一方〔(Y3会計士は,これを受けて改めて同グループの財務状況を調査した結果,同グループが全体で70億円を超える債務超過の状態であり,年間約30億円の当期 損失を発生させている事実を把握し,Y1やY8にもその旨説明した。)〕,Y1からグループ会社の業況等の概略についてヒアリングすることができたのみであったが,Y24検査官が更に説得した結果,融資先であるグループ会社の直近の貸借対照表・損益計算書等の提出を受けることができた。近畿財務局がこれらの資料を分析した結果,ベストライフ通商,ナイスミドル,ナイス函館,北海道泊別観光及びリステム化学研究所の累積損失の合計が約73億円に達しており,上記グループ各社のこれに対応する期の売上高の合計が約4億円強にすぎない一方,同期の営業収支の合計が約9億円超の赤字,営業外収支(そのほとんどはグループ会社間の貸付から得られる受取利息と,これに対応する支払利息及び抵当証券支払利息の差額)の合計が約5億円超の赤字であることが明らかとなった。そこで,Y24検査官は,平成7年2月3日,大和都市管財の今後5年間の収支計画・資金繰り表,グループ会社の収支計画,グループ会社への金利減免措置の確認資料の提出を求めたが,後に述べる金利減免措置関連の資料を除けば 査官は,平成7年2月3日,大和都市管財の今後5年間の収支計画・資金繰り表,グループ会社の収支計画,グループ会社への金利減免措置の確認資料の提出を求めたが,後に述べる金利減免措置関連の資料を除けば,平成6年検査の期間中に十分な資料の提出を受けることができなかった。また,大和都市管財における融資審査体制について,Y24検査官がその不備を指摘したところ,Y1は,「融資決定については役員会に諮って決定している。そもそも貸付先の業況は自分が一番良く知っており,何も問題はない。書類審査をするかどうかは単なる形式の話であって,書類を残せばよいというものではない。」などと反論した。【甲4,8,58,72の10,73の4,74の2,75の2,77の2,乙141,証人Y24】(キ)大和都市管財に対する更新登録平成6年検査が継続中の平成6年12月21日,近畿財務局は,大和都市管財について,①平成6年3月期の決算において,特約付き融資額267億6960万円の約0.2988パーセントに当たる8000 万円の貸倒引当金を計上しており,同期の純資産額である約5億2000万円が資本金額4億5000万円を上回っていること,②当時取締役であったY36(昭和60年ころ大和都市抵当証券株式会社に入社した。)が9年余りの抵当証券販売実績を有し,融資業務経験者としてもY1及びY16がいること,等を確認することができたため,同社には更新登録拒否事由はないとして,その更新登録を行った。【甲116,乙3の4,141,証人Y24,弁論の全趣旨】(ク)本件合意書に関するやり取り〔Y3会計士は,大和都市管財グループの決算書類を近畿財務局に提出する際,グループ会社の赤字を帳簿上減らすために,特約付き融資の利率を2年程度さかのぼって一律年6.5パーセントへ引き下げ,近畿 取り〔Y3会計士は,大和都市管財グループの決算書類を近畿財務局に提出する際,グループ会社の赤字を帳簿上減らすために,特約付き融資の利率を2年程度さかのぼって一律年6.5パーセントへ引き下げ,近畿財務局に対しては,グループ会社による弁済が困難なために過去にさかのぼって利率変更契約を締結した旨説明するようY1に助言し,これに基づく計算に従って決算書を作成した。〕Y24検査官らは,大和都市管財の平成6年3月期の損益計算書に抵当証券受取利息として17億5414万9579円が計上されていたのに対し,特約付き融資の額や約定利率から概算すればこれが約20億円になっているべきことから,損益計算書に計上漏れがあると考え,大和都市管財に説明を求めたところ,同社からは,グループ会社との合意により利率を引き下げたため,損益計算書における抵当証券受取利息の計上額が当初の約定利率による計算よりも少なくなっている旨の説明があった。そこで,近畿財務局が,平成7年2月3日にグループ会社に対する金利減免措置の確認資料の提出を求めたところ,大和都市管財は,複数の特約付き融資について,利率変更合意書(本件合意書)を提出した。しかしながら,うちナイスミドルに対する19億4000万円の融資(変更前の利率年9.0パーセント)については,利率変更日(平成5年10月1日)が融資の日(同月 14日)よりも前に,リステム化学研究所に対する12億4000万円の融資(変更前の利率年9.0パーセント)については,利率変更日(平成5年12月21日)が融資の日と同日に,北海道函館観光に対する70億円の融資(変更前の利率年10.0パーセント)については,利率変更日(平成5年10月1日)が融資の日(同年9月27日)の4日後となっていた。そこで,Y24検査官が,平成7年4月14日,Y8に 70億円の融資(変更前の利率年10.0パーセント)については,利率変更日(平成5年10月1日)が融資の日(同年9月27日)の4日後となっていた。そこで,Y24検査官が,平成7年4月14日,Y8に対してヒアリングを行い,上記各合意書について,通常では考えられないので説明ありたいとただしたところ,Y8は,〔Y1やY3会計士の指示どおり〕融資先の弁済が困難であるために,過去にさかのぼって利率変更契約を締結したものである旨回答したものの,〔利率変更日と融資日との日付が前後することは事前に知らされていなかったため,〕詳細は再度確認する旨述べた。【甲5,乙3の4,82,83,141,証人Y24】(ケ)美祢カントリークラブの買収Y1は,平成6年検査がなお途上であった平成7年1月24日,国際グリーン株式会社から,美祢カントリークラブを,法人ごと〔27億5000万円(ただし,ゴルフ会員権預託金約63億円も承継するとの約定)で〕ナイスミドルに購入させた。〔Y1は,美祢ゴルフ場について約140億円の鑑定評価が出ると見込んでいたため,110億円程度の抵当証券を販売することができ,しかも,預託金のうち実際に償還を求められるのは3分の1程度であると計算したことから,美祢カントリークラブの購入を決断した。〕そして,大和都市管財は,美祢ゴルフ場について,その評価額(価格時点:同年1月18日)を140億円とする同年2月1日付け不動産鑑定評価書を得た上,同月7日,美祢ゴルフ場を担保に,弁済期を平成22年2月7日,利率を年8パーセントとする約定で110億円を美祢カントリークラブに貸し付けた旨の金銭消費貸 借抵当権設定契約書を作成し,これを基に平成7年3月6日,山口地方法務局美祢出張所から抵当証券の発行を受けて,その販売を開始した。 〔もっとも,美祢カントリ ークラブに貸し付けた旨の金銭消費貸 借抵当権設定契約書を作成し,これを基に平成7年3月6日,山口地方法務局美祢出張所から抵当証券の発行を受けて,その販売を開始した。 〔もっとも,美祢カントリークラブには資金需要はなく,決算書上も,平成8年3月末までに同社に対して貸し付けられた資金の大部分(約78億円)はそのままナイスミドルに転貸されていた。〕【甲52,69,76の2,乙88の20】(コ)平成6年検査の終了平成6年検査の終了は,大和都市管財の非協力的な対応や,阪神・淡路大震災の影響により,平成7年3月31日までずれこんだ。その後も,Y24検査官は,引き続き大和都市管財からのヒアリングを行うなどして,事実関係の確認に努めた。【乙141,証人Y24】(サ)平成6年検査結果通知の発出近畿財務局長は,平成7年5月26日,大和都市管財に対して平成6年検査結果通知を発出し,概要下記のような指摘をするとともに,グループ会社の経営見通しを正確に把握し,少なくとも今後5か年度分の大和都市管財の収支見込等を踏まえた経営健全化計画及び財源計画の策定,融資審査体制の整備等を求め,その文書による回答期限を同年6月26日と定めた。 記①特約付き融資は,すべて大和都市管財グループの5社に対して行われているが,その経営状況はいずれも多額の累積赤字を抱えるなど極めて悪化している状況にある。このようなグループ各社の経営状況にもかかわらず,その状況を追認した上で更なる特約付き融資を繰り返し,当該融資に係る抵当証券を積極的に販売している結果,大和都市管財の資産内容は著しく不健全となるなど,その経営状況は誠に憂慮すべきである。現状では,大和都市管財の経営そのもの が立ちゆかなくなる危険性が極めて高く,抵当証券購入者の保護の観点から問題がある。 ② 容は著しく不健全となるなど,その経営状況は誠に憂慮すべきである。現状では,大和都市管財の経営そのもの が立ちゆかなくなる危険性が極めて高く,抵当証券購入者の保護の観点から問題がある。 ②大和都市管財は,その融資について,申込者の返済能力や事業計画を判断するための資料や担保価値を調査するための資料等,審査に必要な資料の収集・検討を行っておらず,審査をほとんど行わないまま融資を実行しており,これまでの当局からの指摘にもかかわらず,あらかじめ定めた審査手続等に基づき審査を行った後に融資を実行するという融資の審査方法や審査体制に関するルールが依然として確立されていない。 ③大和都市管財においては,抵当証券購入代金受入口座が専用口座になっていないために,抵当証券購入者から受け入れた購入代金が他の資金と混同して取り扱われており,募金途上において抵当証券購入者から受け入れた購入代金が払込期日前にもかかわらず事務管理費等の諸経費の支払のために払い出されているなど,抵当証券購入者の保護の上で不適切な資金管理が行われている。 また,Y35課長は,同日,大和都市管財(Y1,Y8)に対して上記検査結果を示達する際,手形商品について,出資法に違反する疑いがあるとの認識を重ねて表明した。また,Y35課長は,抵当証券の販売残高が担保物件の処分相当額の範囲に収まらない懸念があるとして,大和都市管財に対し,担保物件の処分相当額を試算した上で,処分相当額を販売残高の上限とする前提で経営健全化計画を策定するよう,平成6年検査結果通知に対する回答書を作成するに当たっての留意事項として伝達した。 これに対し,大和都市管財は,平成6年検査結果通知の指摘①につき,グループ会社の表面上の累積赤字のみを取り上げ,裏に隠れている経営事情(税金対策など)を反映していないな の留意事項として伝達した。 これに対し,大和都市管財は,平成6年検査結果通知の指摘①につき,グループ会社の表面上の累積赤字のみを取り上げ,裏に隠れている経営事情(税金対策など)を反映していないなどとして不満を表明した上, 併せて伝達された留意事項に対しても,今これを行おうとすれば,不動産を処分するか買戻しのための資金調達を他に求めるほかなくなり,土地の有効活用による事業収益をもって財源を確保しようとする当社の経営方針にそぐわない,販売額を抑制するとなると,融資先に貸付金の返済を求めることになるが,融資先の経営状態からして無理であるなどとして難色を示した(なお,ナイスミドルの譲渡性預金について,3つの銀行に分散して計約120億円が預託されているが,年利30から40パーセントを予定していた運用益については,現状では5.8パーセントの複利で約8パーセントの年利しか見込めない旨の説明があった。)。 また,大和都市管財は,同通知の指摘②についても,審査の重要性については十分認識している,当社は,不動産について,単に処分を目的とするのではなく,将来事業活用を図っていく上で価値あるものかどうか等を基準に検討し,融資対象としての是非を判断しているのであり,単純に融資基準がないからルールに欠けているとの指摘は心外である,平成7年8月からの手形商品の償還期や平成8年8月からの特約付き融資の返済についても,回収したモーゲージ証書の再販売でつないだ上,今秋からの景気回復を見越して平成8年3月からゴルフ会員権を売り出す予定であるとし,ナイス大原カントリークラブは300万円から400万円で売り出せば2000から2500名程度,美祢カントリークラブは500万円で売り出せば3000名程度,ナイス函館カントリークラブは300万円で売り出せば2000名程度は ブは300万円から400万円で売り出せば2000から2500名程度,美祢カントリークラブは500万円で売り出せば3000名程度,ナイス函館カントリークラブは300万円で売り出せば2000名程度はすぐに売却できるとの認識を示した。Y35課長は,グループ会社の経営実態は,多額の累積欠損金を抱えていることから債権保全等が十分ではなく,抵当証券購入者の保護の点で問題があるとの認識を示した上で,(事前に調査していた周辺ゴルフ場の会員権相場を基に)Y1の認識は甘すぎる,近畿財務局で内々に調査したところ,ナイス大原カントリークラブの会員権相場は 130万円程度,ナイス函館カントリークラブと美祢カントリークラブのそれは100万円程度である,実態を御社で再調査し検討されたい旨述べ,既に提出されていたグループ会社の収支5か年計画を再度見直すよう指示した。 【甲5,6,8,64,乙14,141,証人Y24】ウ平成6年検査から平成8年5月まで(ア)平成7年5月29日のヒアリングY1らは,平成7年5月29日,近畿財務局を訪れ,①抵当証券販売残高の抑制を指示されているが,不動産価格の下落が続いている今こそグループ会社に不動産を買わせてその有効活用を図っていきたい,ついては,税理士や公認会計士の意見も聞いて今後の収支見通し等を立てたいので,平成6年検査結果通知への回答を検討する期間として2か月ほど頂きたい,②手形商品に出資法違反の疑いがある旨の指摘があるが,我々も事前に研究し,法律家の意見も聞いた上で販売しているところであり,約10億円の経費を費やしていることから,中止するのであれば弁護士に費用を返還してもらわねばならない,などと述べた。近畿財務局は,①について,経営健全化計画については,購入者保護の見地から早急に策定して頂く必要があるが, ていることから,中止するのであれば弁護士に費用を返還してもらわねばならない,などと述べた。近畿財務局は,①について,経営健全化計画については,購入者保護の見地から早急に策定して頂く必要があるが,内容を精査したいというのであれば回答期限は弾力的に考えたい,②について,出資法は法務省との共管であるが,大蔵省としては手形商品は同法違反の疑いがあると考えていることは,過去に伝達したとおりである,などと応じた。なお,大和都市管財は,同年6月26日の回答期限を徒過し,近畿財務局からはY8に対して何度も催促の電話があった〔が,Y1は軽い問題としか考えていなかった〕。【甲5,8,乙15,141】(イ)本件物件明細表等の提出Y1,Y8及びY3会計士は,平成7年7月7日,平成6年検査結果 通知に対する回答書及び本件物件明細表を提出した。しかしながら,同日提出された回答書は,平成6年検査結果通知における指摘①について,「関連会社の経営状況が悪化しつつあるのであれば,その立て直しに救済の手を差し出すのが,当社としての責務であると考える。」などとし,政府や日本銀行の政策によって近い将来に景気が回復し,不動産市況も改善することに期待するとの内容にとどまっており,同じく②について,「当社は常に公示価格,路線価格,周辺の実勢価格を充分審査の上,事前に鑑定士の鑑定を基にして幹部会議を開き,融資の審査を行っている。 しかし,文書において,それまでの審査経過をのこしていないが,鑑定士の鑑定評価証明書にそれら総て,網羅されていると判断している。」などとするのみで,いずれも何ら具体性がなかった。〔もとより,大和都市管財グループにおける資金運用はY1が独断で行うものであり,融資に当たって幹部会議が開かれることはなかった。〕本件物件明細表にしても,例えばナイス大原 れも何ら具体性がなかった。〔もとより,大和都市管財グループにおける資金運用はY1が独断で行うものであり,融資に当たって幹部会議が開かれることはなかった。〕本件物件明細表にしても,例えばナイス大原カントリークラブについては「持続する。 経済情勢を的確に判断し会員権を販売する。 会員権販売予定総額は●奇数会員権1,000名×500万=50億円●偶数会員権1,000名×500万=50億円●婦人会員権1,000名×350万=35億円合計135億円以上の会員権価格は今後新設されるホテル・スポーツ施設の建設を行い,ゴルフ場としてのグレードアップを計り,経済情勢の好転を考えれば十分に達成されるものである。」などとするのみで,融資先グループ会社の財務状況の詳細については全く触れられていなかった。同日,Y1が口頭で説明した内容も,不動産 市況の回復によってグループ会社の状況は良くなる,地価下落によって収入の減少が見込まれるが,不動産事業は先行き見通しの上でやっていく業界である,特にベストライフ通商が地を這うような状況で貸付金利の引き下げを余儀なくされているため,大和都市管財の利ざやも1パーセント程度しかなく厳しい状況である,ゴルフ会員権については今でも売って売れないことはないが,タイミングを計って来年の今ころから販売すれば120億円以上は見込まれる,ゴルフ場の価値は年数が経てば上がってくるのが一般であるが,鑑定価格の見直しは売買実例もほとんどなく困難である,などというものにとどまった。このとき着任したばかりであったY26課長は,大和都市管財に抵当証券購入者保護のための措置を講じさせるには,前提としてグループ会社を含めた経営状況や大和都市管財の資金繰りなどの詳細について十分な資料を揃えることが必要であり,これらをいかにし 大和都市管財に抵当証券購入者保護のための措置を講じさせるには,前提としてグループ会社を含めた経営状況や大和都市管財の資金繰りなどの詳細について十分な資料を揃えることが必要であり,これらをいかにして把握するかが課題である,との認識の下に,現状のままグループ会社の財務状況が改善されなかったらどうなるのか,不動産鑑定士が判断しているのだから大丈夫というのはいかがなものか,などと指摘した上,本日提出のあった回答書は総論部分のみで各論については述べられていないので,抵当証券及び手形商品の販売抑制という近畿財務局の方針に沿って経営改善計画及び財源計画を策定し,早急に提出されたい旨指示した。【甲5,乙16,141,142,証人Y24,同Y26】(ウ)近畿財務局における業務改善命令発出へ向けた検討Y26課長らは,独立系の抵当証券業者である大和都市管財には金融機関からの資金繰りの支援を期待することができないことから,融資先であるグループ会社の経営見通しを正確に把握した上で大和都市管財の経営健全化計画を作成,提出することを内容とする業務改善命令を発出することにより,何とかグループ会社を含めた経営状況や大和都市管財 の資金繰りなどの詳細を把握するとともに,抵当証券購入者保護のための措置を講じさせることができないか,上司であるY37理財部次長(以下「Y37次長」という。)や本省金融会社室とも相談の上,検討を進めていた。その際には,抵当証券業規制法23条が,業務改善命令の処分要件について「抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めるとき」と定める一方,大和都市管財の本体は黒字で,購入者に対する利払も滞りなく行われていることから,抵当証券購入者が(将来的に)被害を被る蓋然性がどこまであれば業務改善命令を発出することができるのかが,特に検討の 方,大和都市管財の本体は黒字で,購入者に対する利払も滞りなく行われていることから,抵当証券購入者が(将来的に)被害を被る蓋然性がどこまであれば業務改善命令を発出することができるのかが,特に検討の課題とされた。そこで,大蔵省は,内閣法制局に対し,抵当証券会社の融資先関連企業が資金繰りに窮しかねないほど経営状況が悪化しており,かつ,好転する要素が現状では見いだせない状況にあるため,結果的に当該抵当証券会社の経営が行き詰まる可能性が極めて高い場合には,その経営が危機的状況にあり,購入者に被害が生じる蓋然性が高いことをもって,抵当証券業規制法23条にいう「購入者の利益を害する事実」に該当する,との見解について意見照会を行ったところ,その適法性について了解が得られた。また,大和都市管財が業務改善命令に従わず,業務停止命令が発出された場合,いわゆる取付け騒ぎが起き,これが引き金となって同社が破綻し,結果的に抵当証券購入者に被害が及ぶことも懸念されたが,Y26課長は,大和都市管財グループ全体の経営状況等を確認することができない現状を放置しておくべきではないとの考えから,大和都市管財が非協力的な姿勢をとり続ける以上,業務改善命令を発出し,強制的に資料を提出させることは避けられないと認識していた。【甲171の3,乙22,141,142,証人Y24,同Y26,同Y4】(エ)平成7年7月20日のヒアリングY8は,平成7年7月20日,大和都市管財に係る平成7年から同1 2年までの年別収支予想と,平成7年2月から同年7月までの月別の収支予想(ただし,後者については,同年6月までの販売額及び抵当証券買戻し額は実績と思われる。)とを近畿財務局に提出した。しかしながら,平成6年検査結果通知において近畿財務局が求めた収支の内訳の詳細等は依然示されてい 者については,同年6月までの販売額及び抵当証券買戻し額は実績と思われる。)とを近畿財務局に提出した。しかしながら,平成6年検査結果通知において近畿財務局が求めた収支の内訳の詳細等は依然示されていなかったことから,Y26課長は,同年7月28日を目処に経営健全化計画及び財源計画等を1日でも早く提出してもらいたいと述べるとともに,仮にこれらが提出されない場合には,抵当証券業規制法にのっとって対応せざるを得なくなる旨告げた。Y8は,Y3会計士を中心に現在作業を進めており,何とか28日までには提出したい旨述べた。なお,この時行ったヒアリングにおいて,Y8は,グループ会社の中で現在事業着手中なのはベストライフ通商が大阪味わいビル敷地に直営の「あじわい」店を建設している程度であり,直近の抵当証券販売額も多くはない旨述べ,Y26課長は,期中の買戻抵当証券残高等からみると,大和都市管財は新規の抵当証券販売や手形商品への乗換えは考えておらず,今のところ資金繰りはついているようである,との認識を持った。【乙17,141,142,証人Y24,同Y26】(オ)大和都市管財に対する行政処分方針案の作成大和都市管財からは,その後,平成7年7月28日までには経営健全化計画等の提出が間に合わないため更に提出期限を延ばして欲しい旨の連絡があったが,Y26課長は,その時点で平成6年検査結果通知から2か月が経過し,それまでも近畿財務局が求めるような具体的な回答がされなかったことから,このころには,検査結果に対する回答書という手段を通じては,具体的な経営健全化計画及び財源計画による融資先グループ会社の経営状況の把握や経営改善指導は現実的ではないと認識するに至っていた。そこで,Y26課長は,Y37次長や本省金融会社室とも協議し,その了承を得た上,同年7月31日までに, による融資先グループ会社の経営状況の把握や経営改善指導は現実的ではないと認識するに至っていた。そこで,Y26課長は,Y37次長や本省金融会社室とも協議し,その了承を得た上,同年7月31日までに,近畿財務局か ら大和都市管財に対し,行政手続法30条に基づき業務改善命令に係る弁明の機会の付与を通知する方針を決め,Y28調査官(以下「Y28調査官」という。)に命じてその旨の決裁文書を作成させ(もっとも,Y28調査官は同月16日に着任したばかりであったため,決裁文書のうち,【大和都市管財㈱行政処分方針案】の「1.会社概要」「2.経緯等」「3.検査により把握した問題点等」及び「4.当局のこれまでの対応」についてはY24検査官が,「5.今後の対応」についてはY26課長とY37次長とが本省金融会社室と協議の上で作成した。),同年8月1日,近畿財務局長から委任を受けたY38理財部長(以下「Y38部長」という。)の決裁を得た。 上記行政処分方針案の概要は,以下のとおりである。 ①経緯等大和都市管財の融資先は同族会社であるベストライフ通商外の計5社であるが,役員の状況等から融資先と経営,財務は一体となっており,融資先の資金はすべて大和都市管財により賄われている。 また,同業他社が事業を縮小・撤退している状況の下,同社は高金利により顧客を勧誘し,積極的な抵当証券の販売を行っており,同社の抵当証券販売残高は平成5年以降においても2.7倍に急増していた。ところが,平成6年8月下旬,同社が多数の大口顧客の抵当証券モーゲージを中途解約させ,詐欺まがい商品に乗り換えさせている旨の情報が入ったことから,同年9月,投資家保護のため急きょ同社に対する立入検査を実施した。立入検査では,同社自身の財務状況のほか,手形商品を乗換え用に売買していることを契機として 換えさせている旨の情報が入ったことから,同年9月,投資家保護のため急きょ同社に対する立入検査を実施した。立入検査では,同社自身の財務状況のほか,手形商品を乗換え用に売買していることを契機として,グループ会社の財務状況等に関しても資料提出を命じ,ヒアリングや資料徴求等を行った。 ②検査により把握した問題点等 大和都市管財は,抵当証券販売により調達した資金のほぼ全額をグループ会社5社の運営資金として融資しているが,各社とも経営内容は悪く,赤字決算を余儀なくされており,累積欠損金はグループ全体で約72億円に達している。また,グループ会社は銀行取引等を有しないため,その資金繰りは大和都市管財を通じて抵当証券販売代金等を充当するほかないが,同社の抵当証券発行額が限度一杯に達したことから,平成6年8月以降,同社は手形売買の形式をとりつつ米国銀行に対する預金債権で元本保証を行っているように見せかけた手形商品の発売を開始し,抵当証券の購入者を同商品に乗り換えさせた(平成7年3月末現在124億円)。 ③当局のこれまでの対応大和都市管財本体の財務状況は表面上悪くないが,グループ会社の財務状況が深刻である上,大和都市管財は独立系の抵当證券会社で金融機関からの支援を期待することができないため,グループ会社が倒産等の事態となれば,大和都市管財の倒産等の事態も招きかねないため,検査結果の示達に当たってグループ会社を含めた経営健全化計画の策定等を厳しく指導したが,同社からは具体的な改善計画についての回答はされず,平成7年7月24日,同社の公認会計士から,具体的な計画の作成は難しい旨の内々の連絡があった。 ④今後の対応大和都市管財の経営状況は,グループ会社の経営悪化から時間の経過とともに累積欠損金が拡大しているにもかかわらず,検査結果通知書 ら,具体的な計画の作成は難しい旨の内々の連絡があった。 ④今後の対応大和都市管財の経営状況は,グループ会社の経営悪化から時間の経過とともに累積欠損金が拡大しているにもかかわらず,検査結果通知書を通じた改善指導によっては同社の経営改善を期待することができない。また,大阪地検の違法性についての検討は遅れており,強制捜査に近々着手することは見込めない状況にあり,強制捜査まで同社を放置することはできない。したがって,以下のとおり,同 社に対して行政処分を進めることとする。 8月1日業務改善命令についての弁明の機会の付与の通知8月17日弁明書の提出期限8月21日業務改善命令発出9月4日業務改善命令に対する回答期限〔それでもなお,経営改善化計画の提出等が行われない場合〕9月6日業務停止命令(6か月)についての弁明の機会の付与の通知9月22日弁明書の提出期限9月26日業務停止命令,官報掲載また,これと同時に決裁された8月1日付け弁明の機会の付与に係る通知書(近財金3秘第95号)の概要は,以下のとおりである。 1.予定する処分の内容抵当証券業規制法23条に基づき,別紙1及び2のとおり,業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずること。 2.処分の原因となる事実平成6年検査の結果によれば,貴社の貸付先は,いずれも経営状況が極めて悪く,結果的に貴社の経営が行き詰まる危険性が極めて高い。このような貴社の経営状況により,貴社の抵当証券の購入者は被害を被る蓋然性が高く,抵当証券購入者の利益を害する事実があると認められる。 3.弁明書の提出先及び提出期限提出先:金融第3課提出期限:平成7年8月17日(木)別紙1①別紙2の指示に基づき,グループ各社の今後の経営見通しを正 確に把握し,貴社の経営健全化計画( 3.弁明書の提出先及び提出期限提出先:金融第3課提出期限:平成7年8月17日(木)別紙1①別紙2の指示に基づき,グループ各社の今後の経営見通しを正 確に把握し,貴社の経営健全化計画(少なくとも5か年度分)を作成,提出した上で,その内容を確実に実施すること②別紙2の指示に基づき,毎月の収入及び支出を算出し,今後の毎月の買戻しに対する財源計画(少なくとも5か年度分)を作成,提出した上で,その内容を確実に実施すること③融資決定前に行うべき審査の方法や手続等に関するルールを確立し,当該ルールに基づく審査を経て融資決定を行うという融資審査体制を確立するため,その具体的内容及び実施時期について書面で提出すること④顧客に対し,国が保証を行っている等の誤解を与えるような勧誘行為を行わないこと(以下略)別紙2A.グループ会社の今後の経営見通しの把握に当たっては,以下の点に従い,各グループ会社の今年度を含めた今後少なくとも5か年度分の収支見込みを作成し,提出することア. 新たに施設整備を行うことにより収入を得ることを予定しているグループ会社については,当該施設に係る整備予定地の位置,現況,都市計画法上の区域の区分等及び開発許可状況について分かる資料を提出するとともに,地方自治体等の許可が必要な施設整備については,現時点で許可がされている場合に限り当該施設に係る収入を見込むことイ. 不動産の売却や賃貸による収入を見込む場合には,過年度の実績や近隣の複数の類似物件の価格,賃料や需要の実態等客観的な資料に基づき算出することウ. 飲食物や製品等の売上収入を見込む場合には,過年度の実績等客観的な資料に基づき算出すること エ. ゴルフ場の利用収入を見込む場合には,過年度の実績や近隣又は競合関係にある複数の類似のゴルフ場の料 物や製品等の売上収入を見込む場合には,過年度の実績等客観的な資料に基づき算出すること エ. ゴルフ場の利用収入を見込む場合には,過年度の実績や近隣又は競合関係にある複数の類似のゴルフ場の料金や利用者数の実態等客観的な資料に基づき算出することオ. ゴルフ場の会員権収入の見込みについては,近隣や競合関係にある複数の類似ゴルフ場の価格や販売件数の実態や最近のゴルフ会員権の相場の状況等客観的な資料に基づき算出することカ.その他の収入や経費の見込みについても,過年度の実績等の客観的な資料に基づき算出すること。 なお,イないしカの積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することB.別紙1の①及び②に係る計画は,過去3か年度分の貴社の収支状況等客観的資料に基づくとともに,上記A.に基づき作成されたグループ会社の収支見込みと整合性を図り,今年度分を含め少なくとも今後5か年度分のものを作成し,提出すること別紙1の②の財源計画については,少なくとも今後5か年度分のものを各月ごとに作成することとし,貴社の収入及び支出の各月ごとの内訳を明記したものとすることC.毎月15日までに,別紙1の命令事項に関し前月に実施した具体的内容及び別紙1の①及び②に係る計画等の前月の進捗状況について書面で報告すること【甲171の3,乙12,141,142,証人Y24,同Y26】(カ)平成7年収支計画の提出他方,大和都市管財側では,Y3会計士が中心となって,平成7年収支計画の策定作業を行っていた。平成7年収支計画は,大和都市管財及びグループ6社の平成7年度から平成11年度までの資金収支に係る予測を,グループ6社の事業計画等を踏まえて資料化したものであった。 それによると,①ゴルフ場経営3社(ナイスミドル,ナイス函館,美祢カン 社の平成7年度から平成11年度までの資金収支に係る予測を,グループ6社の事業計画等を踏まえて資料化したものであった。 それによると,①ゴルフ場経営3社(ナイスミドル,ナイス函館,美祢カントリークラブ)については,売上高が前年比5パーセントから20パーセントの割合で定期的に増加すること,ゴルフ会員権の販売により,平成8年度から平成10年度までの3年間で既に発行済みの会員権の総額を大きく上回る計430億円(登録料65億円,預託金365億円)の収入があること(ゴルフ会員権を販売することができる見込みがあるのであれば,利払を伴う抵当証券を販売する代わりに,無利子でかつ登録料収入を伴うゴルフ会員権の販売を行う方が合理的であるから,大和都市管財グループがゴルフ場を担保にした抵当証券を販売して資金を集めてきたこと自体,このような大々的なゴルフ会員権販売計画の合理性を疑わせるものであった。),余裕資金が年1割の運用益を生むこと,を前提に,近い将来大幅な黒字に転化することとされ,②その他の事業も,実現可能性がない収入を見込んだ新規計画(a町土地におけるゴルフ練習場経営,a区駐車場における立体駐車場と飲食店の経営,大阪味わいビル敷地における味わいビルの経営,リステム化学研究所による産業廃棄物処理事業等)か,抵当証券の支払利息額に及ばない若干の収入が得られるにすぎないもの(リステム化学研究所の各共同住宅,大阪駅前第1ビル,サンクス外等)であり,③大和都市管財の収支計画は,このような予測上の収益を計上したグループ会社(美祢カントリークラブは平成7年度から,ナイスミドル及びナイス函館は平成8年度から,ベストライフ通商は平成10年度からそれぞれ黒字に転換する予定となっていた。)から順調に抵当証券受取利息を得て安定的な事業収支を維持するとの仮定 度から,ナイスミドル及びナイス函館は平成8年度から,ベストライフ通商は平成10年度からそれぞれ黒字に転換する予定となっていた。)から順調に抵当証券受取利息を得て安定的な事業収支を維持するとの仮定の上に成り立っており,特約付き融資の弁済期到来により見込まれた平成7年度で51億円余り,平成8年度以降は120億円ないし170億円程度のグループ会社の償還財源も,そのほとんどを新たな抵当証券の販売によって賄うことが予定されていた。〔総じ て,平成7年収支計画は,Y1が専ら更新登録を得る目的で策定させた机上の計画にすぎず,過年度の実績等からみてその実現可能性は極めて乏しいものであることは,大和都市管財の経営陣やY3会計士にとって共通の認識であった。〕Y1は,Y8及びY3会計士を伴って,平成7年8月1日,修正前の平成7年収支計画を提出した上,その内容を近畿財務局に説明したが,近畿財務局は,計画自体は非常に立派であるが,実現性には疑問がある旨の指摘をするとともに,既に回答書の提出期限を徒過していたことから,上記弁明の機会の付与の通知をするとともに,弁明書の提出期限である同月17日までに計画の見直しを行い,近畿財務局が求めるような計画を再度策定した上で提出するよう指示した。 大和都市管財は,同月15日,弁明書及び平成7年収支計画を近畿財務局に提出したが,平成7年収支計画の内容は同月1日に提出されたものから実質的な変更がなく,弁明書の内容も,①担保となるべき物件(不動産)の価値については,不動産鑑定士の評価はもとより当社として20年に及ぶ宅地建物取引業者としての経験と実績により,厳選した物件(特に将来性に重点)のみに貸付けを行い,抵当証券の発行と販売を行ってきたところである,②現状は,一般的な見方としては融資先のグループ会社の経営状況は 引業者としての経験と実績により,厳選した物件(特に将来性に重点)のみに貸付けを行い,抵当証券の発行と販売を行ってきたところである,②現状は,一般的な見方としては融資先のグループ会社の経営状況は悪いといえようが,平成7年収支計画にみられるとおり,今後の経済情勢の好転と相まって,前途が洋々たるものであることは確信できる,などとするものにすぎず,依然として具体性の乏しいものであった(なお,平成7年収支計画の中で大和都市管財グループが平成7年度中に現実に着手したのは,大阪味わいビル敷地における同ビルの建設と,a区駐車場における立体駐車場及び鉄板焼き店の建設のみであった。〔鉄板焼き店は建設したのみで営業は開始されず,立体駐車場も7割程度の契約数にすぎなかった。〕)。このため,近畿 財務局は,既定の方針どおり,平成7年業務改善命令を発出すべきとの結論に至った。 【甲5,8,13,55,乙142,証人Y26,弁論の全趣旨】(キ)平成7年業務改善命令のてん末近畿財務局は,平成7年8月21日,Y1が反発を強め,行政不服審査請求の申立てや弁護士等による働きかけを行ってくることを予測しつつも,大和都市管財がこれに従わないとして業務停止命令を発出するかどうかは,回答書の提出を待って大蔵本省と協議する,との方針の下に,同社に対し平成7年業務改善命令(その内容は,平成7年業務改善命令に係る弁明の機会の付与の通知書記載の別紙1を命令本文,別紙2をその別紙とするほか,ほぼこれと同一である。同命令の別紙は,融資先のグループ会社に対する詳細な資料の添付やこれに基づく分析を求めるものであるが,これらの資料は融資を業とする法人であれば通常当然に借入申込書や事業計画書の形式で融資審査に必要な資料として取得しているべきものであること,前記認定のとおり,Y26課 づく分析を求めるものであるが,これらの資料は融資を業とする法人であれば通常当然に借入申込書や事業計画書の形式で融資審査に必要な資料として取得しているべきものであること,前記認定のとおり,Y26課長も,大和都市管財が非協力的な姿勢をとり続ける以上,業務改善命令を発出し,強制的にグループ会社に関する資料を提出させることは避けられないと認識していたこと,大和都市管財とその融資先とが人的・資本的に密接な関係にあり,前記認定のとおり,Y26課長も同グループが実質的にY1一人の統括下にあると認識していたこと,などに照らせば,平成7年業務改善命令の内容にはその別紙も含まれると解すべきである。)を発出する決裁を終えた。 Y26課長は,平成7年業務改善命令を発出するためにY1を近畿財務局に招致したところ,同人は,同日夕刻,単身来訪してきた。近畿財務局側は,Y24検査官とY28調査官とが同席していた。Y26課長が,Y1の目前に上記命令に係る命令書を置き,同命令書を読み上げて 告知したところ,同人は,「今回の命令は行政処分であるが,当社が処分を受ける理由はない。命令書を受け取る必要はない。行政指導ということであれば受け取る。」「当局の検査によって不備が指摘された事項についてはこれまでも改善を図っており,弁明書等で回答しているにもかかわらず,既に回答済みの内容まで命令書に記載されていることには納得がいかない。特に,命令書本文の④(顧客に対し,国が保証を行っている等の誤解を与えるような勧誘行為を行わないこと)はいまだ顧客を騙して商売をしているかのような表現であり,当社の名誉を傷つけるものである。書き直すか削除すべきだ。命令書の別紙で指示されている資料も,既に提出されているはずだ。」「当社が顧客に対する利息を支払えない,償還に応じられないといった状 であり,当社の名誉を傷つけるものである。書き直すか削除すべきだ。命令書の別紙で指示されている資料も,既に提出されているはずだ。」「当社が顧客に対する利息を支払えない,償還に応じられないといった状況であればともかく,そのような状況にない中での処分は,つぶれなくてもよい会社を当局がつぶすことと同じである。」「独立系で業務改善命令を出されている会社はないはずだ。当社を狙い打ちしているのか。」などと声高に述べるとともに,同和団体とおぼしき団体名を記載した名刺を見せ,「こういう者や。」など,自分が当該団体に属しているかのように示した上,「当局があくまで,当社の業務改善命令にこだわるのであれば,訴訟を始め,組織を挙げて徹底的に闘う覚悟である。」などと告げると,興奮状態で席を立ち,Y26課長らが制止する間もなく,命令書をその場に置いたまま退去した。 Y26課長らは,Y1が平成7年業務改善命令の受入れを拒否するような事態は事前に全く想定していなかったので,当日のうちにY37次長に経過を報告し,両名は,一両日中にY38部長,Y9近畿財務局長及び本省金融会社室に報告して,その後の対応について協議した(本省金融会社室は,その時点では,Y1から資金がある旨の弁明が出されたために平成7年業務改善命令の発出を見合わせた旨の報告を受けてい た。)。内容証明郵便で改めて平成7年業務改善命令に係る命令書を送付する案も検討されたが,結局,Y1が平成7年業務改善命令を交付された席上において,行政指導であれば従う,顧客への利払等には問題がないなどと強弁していた点を捉えて,「大和都市管財から資金繰りについての新たな弁明が出たため,資金繰りに問題があることが確認されるまで,平成7年業務改善命令の発出を暫時留保した」との扱いにする方針が決定された(既にみたとおり,同 ,「大和都市管財から資金繰りについての新たな弁明が出たため,資金繰りに問題があることが確認されるまで,平成7年業務改善命令の発出を暫時留保した」との扱いにする方針が決定された(既にみたとおり,同年7月20日の時点で,Y26課長は大和都市管財の当面の資金繰りには問題がないとの認識を有しており,それにもかかわらず平成7年業務改善命令の発令に向けた部内の意思形成を図っていたこと,同社が今後非協力的な態度を改めると期待することのできる根拠や資金繰りについての資料は同年8月21日までの時点で何も示されていなかったことからみて,上記方針決定の実際の理由は,同和団体との関係まで示したY1の気勢に気圧されたこと,後述する木津信用組合関連業務に忙殺されるようになったことなどから,近畿財務局内において,郵送で平成7年業務改善命令を改めて送りつけるというような手段を執ってY1をこれ以上刺激するのを避け,本件の処理をしばらく先送りしようとの意見が大勢を占めるようになったことにあったと推認することができる。)。 Y1が平成7年業務改善命令の撤回に係る経緯を特段説明しなかったため,Y8ら大和都市管財の経営陣にとっては,同命令がなぜ発出されないこととなったのか,その理由は不明のままであった。 【甲5,7,乙18ないし21,54,141,142,証人Y24,同Y26,同Y14,同Y4,同Y21】(ク)木津信用組合等の破綻と本件資金繰り表の作成大阪市に本店を置く木津信用組合は,平成7年7月末には業務停止命令の発出が検討されるなど破綻寸前の状態にあったが,同年8月10日 ころになって,本省金融会社室及び金融第3課は,木津信用組合の破綻処理スキームから系列の木津信抵当証券を切り離すことを決めた。このため,木津信抵当証券からの抵当証券購入者は木津信用組合の預金 ころになって,本省金融会社室及び金融第3課は,木津信用組合の破綻処理スキームから系列の木津信抵当証券を切り離すことを決めた。このため,木津信抵当証券からの抵当証券購入者は木津信用組合の預金者等と同様の保護を受けることを期待することができなくなったが,抵当証券保管機構は,抵当証券会社が法的に破綻する事態の発生をそれまで具体的には予期していなかったため,抵当証券業規制法28条1項2号に規定されている弁済受領業務に関する処理体制をほとんど整備しておらず,ようやく同月25日になって,同機構の理事会において,その初動段階のルール(①大蔵大臣の指示があって初めて弁済受領業務に係る手続を開始,②金額ベースで購入者の過半数の同意が必要,③融資先の同意は不要)を定めたものの,人員面や資金面の手当てが付かないままであった。そうした中で,木津信用組合及び兵庫銀行の破綻が同月30日に表面化したことから,本省金融会社室のY39室長は,同日,抵当証券保管機構を訪れ,木津信抵当証券及び兵庫銀行系の抵当証券会社2社について,弁済受領業務を開始するようにとの大蔵大臣の指示書を手交した。抵当証券保管機構は,翌31日,急きょ入居している建物の空きフロアを借りて弁済受領等業務室を新設するなど,その対応に追われた。また,金融第3課も,木津信抵当証券の破綻に先立つ同月28日,同社に対して業務改善命令を発出するなどし,同社等が同月末に破綻してからは,個別事案としてその処理問題を抱えることになった。 Y37次長は,木津信抵当証券等が破綻したことを受けて,大和都市管財の抵当証券購入者にも中途解約を求める動きが広がるのではないかと懸念し,同社の業況を特に注視するようY26課長に指示した。そこで,Y26課長は,大和都市管財に対し,抵当証券の満期買戻し状況と中途解約への 証券購入者にも中途解約を求める動きが広がるのではないかと懸念し,同社の業況を特に注視するようY26課長に指示した。そこで,Y26課長は,大和都市管財に対し,抵当証券の満期買戻し状況と中途解約への対応状況を随時報告させる方針を決めた。 他方,Y1も,同年9月に入り,木津信抵当証券等の破綻で抵当証券 に対する顧客の信用が揺らいだことに危機感を覚え,営業員より顧客からよく受ける質問を聞き取った上,これに対する回答という形式で,自らが主体となって「抵当証券Q&A」を作成するとともに,抵当証券購入者全員に手紙を出すなどしてその信用のつなぎ止めを図った。前記のとおり,上記小冊子は,抵当証券に係る一般的な記述の部分はおおむね誤りはないが,大和都市管財の販売するモーゲージ証書に関しては,「当社抵当証券3年満期年利3.5%は,決して高利率ではなく,企業努力,合理化を積み重ね,将来を充分に見通した,自信の有る好利率であります。」「当社の抵当証券は,バブル崩壊後に販売(発行)されたものであり,しかも収益性を伴っているものがほとんどです。」「抵当証券の担保物件の市場性,収益性,将来的換金性について,充分すぎる日数をかけ,長いものは一年以上もかけて調査の後,抵当証券発行に至っていますので,何ヶ月も販売の予約期間を設けざるを得なかった事も有るのです。即ち,それだけ充分な担保の裏付けを持った,DTK抵当証券と申し上げることが出来ます。」「最も,申し上げたいのは,今日,銀行系の抵当証券会社数社が,破綻を生じても,当社は,健全に発展的に抵当証券事業を行っていることです。」「万一の場合でも,元本割れのないことを,堅く誓約するものです。」などと,極めて正確性を欠く記述が随所にみられるものであった(なお,上記小冊子は,後にその使用の中止を指導された。)。 Y1は す。」「万一の場合でも,元本割れのないことを,堅く誓約するものです。」などと,極めて正確性を欠く記述が随所にみられるものであった(なお,上記小冊子は,後にその使用の中止を指導された。)。 Y1は,同月13日,近畿財務局を訪れ,Y26課長らに対し,中途解約は5,60件,約10億円に達しているが,当社には50億円程度の資金がある旨申し立て,同月22日には,同月1日以降直近までの間に,満期償還分として61件・2億5540万円,中途解約分として269件・8億5240万円の払出しが生じた旨報告した。 そこで,Y37次長,Y26課長らは,同月27日,本省金融会社室 とも協議の上,大和都市管財の平成7年3月期の貸借対照表における現金預金残高(約11億7400万円)を基に,同年4月ないし6月までの抵当証券の販売額,償還額については同年7月20日にY8から提出のあった資料の数値を用い,抵当証券受取利息及び顧客に対する支払利息は約定どおり存在すると措定し,平成7年収支計画における平成7年度末の財務収支予測に係る数値(買戻抵当証券約51億4700万円,借入金返済50億円,売渡抵当証券約101億4700万円,期末資金残高約14億1400万円)をそのまま採用し,同年9月22日までに同社から報告を受けた満期買戻し・中途解約実績を加味するとの条件で同社の資金繰りを試算したところ,平成7年9月末時点で手元資金が約58億円あるとの結果が出た(本件資金繰り表においては,同様に平成7年収支計画からそのまま採用した人件費・広告宣伝費・その他支出計約7億1200万円及び法人税等約2億4000万円の支出は欄外に記載され,近畿財務局が残高解消を指導していた手形商品の償還は織り込まれていなかった。)。さらに,大和都市管財が,同年10月20日,同年9月23日以降同年10月 税等約2億4000万円の支出は欄外に記載され,近畿財務局が残高解消を指導していた手形商品の償還は織り込まれていなかった。)。さらに,大和都市管財が,同年10月20日,同年9月23日以降同年10月17日までの間に,満期償還分として43件・8360万円,中途解約分として70件・1億8040万円の払出しが生じた旨に加えて,同年9月28日にナイスミドルに対し那須ゴルフ場を担保にした特約付き融資を実行した旨を報告したことから,Y37次長とY26課長とは,同年10月末ころ,①大和都市管財には中途解約に問題なく応じることのできる支払余力がある,②平成7年9月末現在で約58億円の手元資金がある,③特約付き融資を行うことのできる資金調達力がある,などの観点からすれば,大和都市管財の資金繰りには問題はないとの結論も正当付けられ得るとして,同年11月初めころ,Y9局長及びY38部長へも報告し,上記結論について了承を得た。その結果,このころ,平成7年業務改善命令については,近 畿財務局において廃案処理に準じた手続が執られた(なお,大和都市管財の手元資金残高を確認したいのであれば,後述する平成9年検査の際のように同社の預金残高証明書を提出させれば済む(大和都市管財の平成7年3月末期の貸借対照表においても,同社の現金残高は預金残高の0.5パーセント程度にすぎない。)ことに加え,前記のように,本件資金繰り表の基礎とした平成7年度末における数値には近畿財務局が平成7年業務改善命令の発出の直前まで実現可能性が乏しいとして批判していた平成7年収支計画のものがそのまま採用されていること,人件費等の経費や手形商品の償還が本件資金繰り表の計算から除外されていること,大和都市管財から報告のあった中途解約額・満期償還額について裏付けが取られた形跡がないこと,証 のまま採用されていること,人件費等の経費や手形商品の償還が本件資金繰り表の計算から除外されていること,大和都市管財から報告のあった中途解約額・満期償還額について裏付けが取られた形跡がないこと,証人Y24,同Y26及び同Y28のいずれもが本件資金繰り表の計算根拠を十分に説明することができないことなどから推して,本件資金繰り表は,Y1による「大和都市管財には約50億円の手元資金がある」との言明の裏付けを近畿財務局が自ら作り出すことで,大和都市管財の資金繰りには当面問題がなく,ひいては平成7年業務改善命令を当面発出する必要がないとの結論を正当化する目的を持って作成されたと推認することができるというべきである。)。 【甲8,41,43,56,88,171の2,267の2,甲A187,乙3の5,17,21ないし25,26の1,141ないし143,証人Y24,同Y26,同Y28,同Y4,弁論の全趣旨】(ケ)那須グリーンコースの買収Y1は,〔平成7年夏ころ,Y30らに指示されて送金した75億円の所在が一時不明になったことから,同人らに騙されているのではないかと考えるようになり,自ら渡米するとともにニューヨーク在住の弁護士に依頼し,〕アメリカにある銀行口座から上記75億円を回収した。 〔こうして,同国における投資案件は失敗に終わり,Y1は一時期非常に落胆した。〕【甲52,118】〔一方,Y1は,平成7年夏ころ,知人から,いわゆる西武グループに属する西洋環境開発が資金に困ってゴルフ場を手放すことを考えている旨告げられ,同社の担当者を紹介された。Y1は,同社のゴルフ場のうち,子会社である那須グリーンコース倶楽部が保有する那須ゴルフ場について,名門とされている上,敷地内に借地がほとんど含まれておらず高額の鑑定評価(平成7年9月1日付け不動 Y1は,同社のゴルフ場のうち,子会社である那須グリーンコース倶楽部が保有する那須ゴルフ場について,名門とされている上,敷地内に借地がほとんど含まれておらず高額の鑑定評価(平成7年9月1日付け不動産鑑定評価書で約202億円(価格時点:同年8月20日))が得られたこと,西武系列の管理下から離れることを知った会員の多くが西洋環境開発に預託金の償還を求め,大和都市管財グループが承継すべき預託金の額が約2億5000万円にすぎなかったことなどから,160億円程度の抵当証券に加え,ゴルフ会員権も販売することができ,財務収支の面で魅力があると見込み,当該ゴルフ場の買収に乗り出した。Y3会計士は,収益面から採算が取れる可能性が少ないなどとして反対したが,ゴルフ場の買収にステータスをも感じていたY1に容れられることはなく,同年9月28日,西洋環境開発とナイスミドルとの間で,那須ゴルフ場の買収価格を130億円とすることが合意された。〕同日,那須グリーンコース倶楽部が抵当権設定者となり,那須ゴルフ場を担保として大和都市管財がナイスミドルに対し弁済期を平成22年9月28日,年利7パーセントの約定で130億円を貸し付ける旨の同日付け金銭消費貸借抵当証券発行特約付抵当権設定契約証書が作成された〔が,西洋環境開発は,那須グリーンコース倶楽部が抵当証券販売と関連付けられることを避けるため,同社を含む法人ごとではなく那須ゴルフ場のみを売却することとした上,那須グリーンコース倶楽部,大和都市管財及びナイスミドルの三者による合意書を準備し,抵当証券の販売について那須グリーンコース倶楽部が責 任を負わないことなどを取り決めた〕。上記設定契約証書を基に,平成7年10月2日宇都宮地方法務局那須出張所受付第9633号をもって那須ゴルフ場に抵当権者大和都市管財,債務者ナ ース倶楽部が責 任を負わないことなどを取り決めた〕。上記設定契約証書を基に,平成7年10月2日宇都宮地方法務局那須出張所受付第9633号をもって那須ゴルフ場に抵当権者大和都市管財,債務者ナイスミドルとする債権額130億円の抵当権が設定され,〔そのころ同額が大和都市管財グループから西洋環境開発に支払われたが,〕大和都市管財が同額の抵当証券の発行を申請したところ,同出張所の登記官は,法務鑑定委員会に諮った上,鑑定価格が高額すぎるとして申請を受理しなかった。その後,同社は,同年11月2日受付第10713号をもって錯誤を原因として上記抵当権の債権額を100億円に更正する旨の登記を経て,同月8日,同額の抵当証券の発行を受けた。【甲4,51,68,118,乙88の13】(コ)ベストモーゲージの販売開始大和都市管財は,平成7年11月1日から,年利を上げる代わりに中途解約ができないベストモーゲージという名称の抵当証券の販売を新たに開始した。この抵当証券は,木津信抵当証券の破綻等による金融不安から中途解約が増えたことに対処するためのものであった。【甲10,117】(サ)平成7年12月6日のヒアリングY26課長らは,平成7年12月6日,Y1から大和都市管財の業況等についてヒアリングを行った。Y26課長らが,木津信抵当証券等の破綻に伴う影響について改めてただしたところ,Y1は,当社の中途解約はほぼ止まった状態であり,満期買戻しについても継続率は落ちたが,新規販売による穴埋めにより若干のマイナスにとどまっており,「抵当証券Q&A」によって顧客からの照会に当たっているなどと説明した。 また,Y26課長らが同社の直近の資金繰りについて質問したところ,Y1は,前回報告した50億円の手元資金に加え,那須ゴルフ場を担保 とした新たな抵当証券 らの照会に当たっているなどと説明した。 また,Y26課長らが同社の直近の資金繰りについて質問したところ,Y1は,前回報告した50億円の手元資金に加え,那須ゴルフ場を担保 とした新たな抵当証券の販売開始による資金を併せると,当社の資金繰りには全く問題がない旨強調するとともに,詳しくは毎月の資金繰り表を持参すると言明した。さらに,Y26課長らが,大和都市管財の借入金(平成7年収支計画では,平成8年3月末に50億円を返済することとなっていた。)についてただすと,Y1は,借入先は同人個人で,借入残高は91億円まで膨らんでいるが,返済期限付きではなく利息さえ支払えば足りるとしつつ,その資金の調達先は17名のスポンサーであり,永年の不動産取引で培った人脈であるとするだけで,それ以上詳細な説明は避けた(近畿財務局は,その資金調達内容,特にその利息や収支計画との関係について後日の説明を求めた。)。次いで,Y26課長らは,大和都市管財グループの財務内容について,融資先は実質的に債務超過にあるなど,グループ全体としては危機的状態にあるとして懸念を表明したところ,Y1は,これまでは投資の期間であり赤字覚悟でやってきたが,これからはゴルフ会員権を販売して早期に黒字転換するとした上,今後の経営見通しについて,平成8年4月から那須グリーンコースの会員権をナイス函館カントリークラブの会員権とタイアップした共通会員権として東京地区で500万円(うち登録料70万円)で5400名に販売し,販売経費を控除しても250億円の収入を見込み,その後も様々な共通会員権を販売し,5年間で合計600億円の収入を得て,これを消費者金融で運用する予定であるなどと述べるとともに,これらが実現すれば抵当証券業は今後縮小し,消費者金融を開業して方向転換を図っていきたい旨説明した。Y 5年間で合計600億円の収入を得て,これを消費者金融で運用する予定であるなどと述べるとともに,これらが実現すれば抵当証券業は今後縮小し,消費者金融を開業して方向転換を図っていきたい旨説明した。Y26課長らは,平成7年12月11日付けで,大和都市管財に対し,「抵当証券Q&A」,大和都市管財の毎月の資金繰り表,グループ会社の直近決算書等の提出を要請した。 【甲160,乙27,142,証人Y26】(シ)平成7年12月26日のヒアリング Y26課長らは,平成7年12月26日,Y1及びY8から,大和都市管財の業況等についてヒアリングを実施した。同社は,当面の資金繰り表(大和都市管財の同月末における手元資金は約113億円)を提出した上,モーゲージ証書の継続率を6,7割で見積もると,平成8年3月末における手元資金は159億円となり,借入金50億円の返済も行わないので,先行きも資金の心配はないなどと説明したが,Y1からの借入金91億円については,大和都市管財から年3パーセント前後の利息の支払を受ける予定で調整している旨述べたものの,資金調達先については依然として相手方との信頼関係を理由に説明しなかった。また,那須グリーンコースの会員権販売について,同社は,既存会員が地元関係者80名のみであることから5320名に対する会員権の販売計画は実現可能であり,第1次販売の1000名は500万円での販売を予定しているが,状況を見ながら200万円ずつ価格を上げていくことも視野に入れており,平成8年4月から同年6月までの3か月で約100億円を売る予定であるとしたが,ナイス大原カントリークラブや美祢カントリークラブのゴルフ会員権の販売を開始しなかった理由については,平成7年4月からの販売を予定していたが,景気が今ひとつであったことや,那須グリーンコース たが,ナイス大原カントリークラブや美祢カントリークラブのゴルフ会員権の販売を開始しなかった理由については,平成7年4月からの販売を予定していたが,景気が今ひとつであったことや,那須グリーンコースを手に入れることで頭が一杯であったことから開始することができず,平成8年4月から販売していくことで現在その準備を行っている旨述べた。また,大和都市管財は,ゴルフ会員権販売による資金で平成8年4月から消費者金融業を始める考えを示すとともに,融資先であるグループ会社の決算書(グループ会社全体の赤字が単年度で約40億円,累計で110億円に達しているもの。)を提出したが,内容についてはY3会計士に後日説明させると述べた。【乙26の2,28,142,証人Y26】(ス)平成8年1月8日の営業会議 〔Y1は,平成8年1月8日の営業会議で,大和都市管財は集めた資金の9割を4つのゴルフ場に融資しているため,那須グリーンコースのゴルフ会員権を何としてでも売り,融資資金を回収して消費者金融事業に転用することを当社の戦略とするなどと述べ,大和都市管財グループを挙げてゴルフ会員権販売に取り組む姿勢を示した。〕しかしながら,ゴルフ会員権の販売は引き続き低調であった。【甲117】(セ)平成8年1月19日のヒアリングY26課長らは,平成8年1月19日,Y1,Y8及びY3会計士から,グループ会社の決算内容についてヒアリングを行った。Y26課長らは,グループ会社全体の赤字が40億円増加して110億円となっていることを指摘した上,ナイスミドルの赤字拡大要因についてただしたところ,Y3会計士らは,ナイスミドルの赤字拡大要因は支払利息割引料の増加が主であるが,外貨預金の取崩しによる受取利息約10億円の計上等が見込まれるので赤字幅は大幅に縮小するなど,決算書の計数は ところ,Y3会計士らは,ナイスミドルの赤字拡大要因は支払利息割引料の増加が主であるが,外貨預金の取崩しによる受取利息約10億円の計上等が見込まれるので赤字幅は大幅に縮小するなど,決算書の計数は必ずしも実態を反映していない,ついては実態を反映した計数をまとめて後日提出する旨述べるとともに,ゴルフ会員権の販売によって資金繰りが,その運用によってグループ会社の収支がそれぞれ好転するとの考えを示した。Y26課長は,大和都市管財に対して同月24日付け「ご連絡文書」を送付し,次回のヒアリングではグループ6社の平成7年度の決算数字を基礎にして,平成7年12月末現在でどの会社のどの勘定科目がどのように改善し,更に平成8年度に向けてどのように経営改善を図るのかを聴取するため,大和都市管財グループ各社の主要勘定科目の対前年比較,赤字増加要因の現状把握及び分析表,連結決算一覧表,今後の具体的な赤字改善策の一覧表等を作成するとともに,手元資金の具体的な運用先等についても説明するよう依頼した。【甲161,乙29,142,証人Y26】 (ソ)平成8年2月29日のヒアリングY26課長らは,平成8年2月29日,Y1,Y8,Y3会計士及びY6から,グループ会社の赤字改善策等についてヒアリングを行った。 Y26課長らは,グループ会社全体の赤字が毎年40億円程度増えると考えられることになるとした上で,その解消策についてただしたところ,Y3会計士らは,グループ会社の連結資金繰り表(平成8年1月末現在の現金預金残高:96億円),連結貸借対照表(平成7年6月末現在の累積欠損:107億円),連結損益計算書(平成6年7月1日から平成7年6月30日までの年間経常損失額:34億円),4ゴルフ場の平成8年から平成10年までの収支予測等を提出した上(なお,「連結決算書類」 欠損:107億円),連結損益計算書(平成6年7月1日から平成7年6月30日までの年間経常損失額:34億円),4ゴルフ場の平成8年から平成10年までの収支予測等を提出した上(なお,「連結決算書類」と総称されていたものの,連結財務諸表等規則に基づいて作成されたものではなく,各グループ会社の決算を単純に合算し計上したものを便宜的にそのように称していたにすぎない。),①平成8年1月末現在の現金預金残高96億円に加え,抵当証券の販売玉もまだ約50億円分残っており,那須グリーンコースのゴルフ会員権も4月10日から月間10億円程度販売していく予定であるので,現状のまま推移しても3年分の損失をカバーできる,②グループ会社間の相互取引を修正し,ナイス函館のスキー施設の売却損等22億円を考慮すると,大和都市管財グループ全体の累積欠損金の実態は37億円となる,③グループ会社はリストラ等によって収支改善に努力しており,美祢カントリークラブ及び那須グリーンコースは平成9年に,ナイス大原及びナイス函館は平成10年に,それぞれ単年度黒字に転換する見込みである上,ゴルフ会員権の販売資金を海外資産,貸金業,不動産等で運用することで20から30パーセントの利益を見込んでいる旨主張した。Y26課長は,大和都市管財に対して同年3月6日付け「事務連絡文書」を送付し,同月中に,平成7年6月30日を作成基準日とした平成11年度までの5 年間における大和都市管財グループの赤字解消計画(資金調達や資金運用の予測を具体的に数値化し,累積赤字がどのように解消し,いつ黒字に転換するのか試算したもの。)を提出するよう求めた。【甲161,乙30,142,143,証人Y26,同Y28】(タ)平成8年経営健全化計画の提出大和都市管財は,平成8年4月12日,平成8年1月1日から るのか試算したもの。)を提出するよう求めた。【甲161,乙30,142,143,証人Y26,同Y28】(タ)平成8年経営健全化計画の提出大和都市管財は,平成8年4月12日,平成8年1月1日から平成12年12月31日までの期間を対象とした平成8年経営健全化計画を近畿財務局に提出した。この計画では,大和都市管財グループ全体で平成8年末には約70億円ある当期未処分損失が平成12年末には約5億円に縮減するとしており,その主たる要因を,ゴルフ会員権販売(①那須グリーンコースにつき,平成8年度から平成10年度まで毎年1800口ずつ,1口500万円ないし700万円で販売し,3年間で総額324億円の売上げ,②ナイス大原カントリークラブにつき,平成10年度から平成12年度まで800口ないし1200口ずつ,1口350万円ないし600万円で販売し,3年間で総額146億3000万円の売上げ,③ナイス函館カントリークラブにつき,平成10年度から平成12年度まで毎年1500口ずつ,1口250万円ないし400万円で販売し,3年間で総額146億円の売上げ)に求めていた。また,上記計画は,平成8年1月1日以降に満期が到来するモーゲージ証書については買戻し分と同額を販売し,同日現在でモーゲージ証書が未販売である分については新たな販売をしない,特約付き融資の元本について返済期日が到来したものは融資金の回収を図り,新たな抵当証券の発行は行わない,としていた。 Y26課長らは,同年5月2日,Y1,Y8及びY3会計士から平成8年経営健全化計画についてヒアリングを行った。Y3会計士は,①ゴルフ会員権販売計画が主であり,他の事業の推移は大勢に影響がない, ②平成12年末までに元本返済期日の到来する34億円余りの特約付き融資については融資額を回収し,新たな抵当 3会計士は,①ゴルフ会員権販売計画が主であり,他の事業の推移は大勢に影響がない, ②平成12年末までに元本返済期日の到来する34億円余りの特約付き融資については融資額を回収し,新たな抵当証券の発行は行わない,③設備投資としては,会員権販売促進のための環境整備として平成8年に美祢カントリークラブのクラブハウスの改修に4億円,平成9年にナイス大原カントリークラブのホテル新築に5億円を投じるのみである,④ゴルフ会員権の販売によって得た資金から平成9年に手形商品によるナイスミドルの借入金125億円を返済する,⑤ゴルフ会員権の販売計画が達成されれば資金残高が借入金残高を上回ることになり,要は会員権の販売いかんである,などと説明した。これに対し,Y26課長らが,ゴルフ会員権の預託金部分をどのように運用して年利20から30パーセントの資金運用益を上げるのかただしたところ,Y1は,消費者金融等をやりたいが現段階で収益を見込むのは時期尚早である,ただ年利20から30パーセントの収益を計上することができることは間違いない,外国預金は年利60パーセント程度を見込めるが,元本保証を確保する方法で苦慮しており,来週初めころ結論が出る予定である,余資運用の具体的な内容や収支予測は時間がなくて作成できなかった,などと述べた。また,Y26課長らが,Y1が個人的に調達している借入資金のレートを尋ねたところ,銀行レートにプラスアルファ程度である旨述べた。さらに,Y26課長らが,ゴルフ会員権の販売時期は4月からではなかったかと尋ねたところ,大和都市管財側は,5月7日から東京地区で開始する,そのために当社のスタッフも派遣した旨述べた。現に,大和都市管財本社の営業員は同月から東京に赴いてゴルフ会員権の販売を行ったが,結局,ほとんど売れなかった。 【甲13 月7日から東京地区で開始する,そのために当社のスタッフも派遣した旨述べた。現に,大和都市管財本社の営業員は同月から東京に赴いてゴルフ会員権の販売を行ったが,結局,ほとんど売れなかった。 【甲13,乙9,31,142,証人Y26】エ平成8年5月から平成9年検査まで(ア)Y4補佐の着任 近畿財務局は,平成8年5月2日のヒアリング結果等を踏まえ,平成8年経営健全化計画につき,直ちにその合理性がないと判断する材料は持ち合わせていないとして,大和都市管財から継続的にヒアリングを行いつつその進捗状況を注視するとの方針を取ることとし,本省金融会社室にも上記計画の写しを送付したが,同室からは上記計画の再提出を求められなかったため,大蔵本省も近畿財務局の上記方針に納得しているものと解釈していた。 ところで,本省金融会社室には,平成8年5月に抵当証券業等を担当する課長補佐としてY4補佐が自治省からの交流人事で着任したが,当時,同室は,いわゆる住専国会への対応で多忙を極めている状態であった。Y4補佐は,やはり自治省からの出向者であった前任の課長補佐から,抵当証券業に関し,①個別個社の監督は財務局長等の担当であるが,近畿財務局監督下の大和都市管財及び関東財務局監督下の不動産抵当證券の2社(大蔵省内では,前者をD社,後者をF社との符牒で呼ぶことがあった。)は独立系の業者でかつ自分が支配している会社へ融資している上に経営状況が極めて悪化しているという共通の問題を抱えていることから,特に本省金融会社室と各財務局との間で相談しながら対応することとされており,銀行局長への報告事項ともなっているので,何か動きがあれば直ちに報告する必要があること,②近畿財務局は,大和都市管財に対して平成7年業務改善命令を一度は発出しようとしたが,Y1が同和団体との り,銀行局長への報告事項ともなっているので,何か動きがあれば直ちに報告する必要があること,②近畿財務局は,大和都市管財に対して平成7年業務改善命令を一度は発出しようとしたが,Y1が同和団体との関連を示して騒ぐなどしたためにこれを撤回してしまい,その後,同人には同和団体との関連が実際には存在しないことが判明したにもかかわらず,再度同社に業務改善命令を発出するよう近畿財務局に指示しても,担当者が同人の特異な性格を畏怖してこれに従わないこと,などの説明を受け(なお,②に関し,一般に,行政官庁において本省と出先とで意見が食い違ったとしても,前者が後者に正式 な職務命令を発してまでその意向に従わせるようなことはかなり例外的である。),犯罪者まがいの所に関わって気の毒である旨のコメントとともに,大和都市管財に関するファイル5冊程度(その中には,近畿財務局が同社の担保物件の状態を撮影した写真や,抵当証券保管機構が作成した同社に関する業者状況表,原券持込状況一覧表等の資料が含まれていた。)と,不動産抵当證券に関するファイル2冊程度とを引き継いだ。 【甲7,81,171の3,203,208,268,乙142,147,証人Y26,同Y4,同Y21】(イ)平成9年検査までの本省金融会社室及び金融第3課の陣容Y4補佐は,着任後1,2か月の間は,住専問題に関して国会に提出する資料の準備に追われた。同人が本省金融会社室で所掌した分野は,抵当証券のほか,プリペイドカード,商品投資事業,特定債権譲渡,消費者金融,信用情報等に及んでおり,このうち平成9年7月までは主として抵当証券,信用情報,プリペイドカードを,同月以降は抵当証券に代えて商品投資事業,特定債権譲渡等を担当するようになった。Y4補佐の下には,平成8年7月以降,Y27抵当証券業係長(以下「 では主として抵当証券,信用情報,プリペイドカードを,同月以降は抵当証券に代えて商品投資事業,特定債権譲渡等を担当するようになった。Y4補佐の下には,平成8年7月以降,Y27抵当証券業係長(以下「Y27係長」という。)及びY40商品投資事業係長等がおり,後者は,平成9年7月以降,抵当証券業係長となった。また,平成8年7月19日には,Y4補佐の上司としてY21室長が着任した(Y4補佐及びY27係長は,着任したY21室長に業務内容を説明するに際し,大和都市管財に対する平成7年業務改善命令について,Y1が同和団体との関連を示したので,近畿財務局がこれを撤回してしまった旨説明した。)。 金融第3課においても,同月1日,Y26課長の後任としてY17課長が,同月16日,Y24検査官(上席調査官)の後任としてY14検査官(同)がそれぞれ着任した。 抵当証券に関しては,日常的な業務は抵当証券業係長が金融第3課の調査官と,重要な案件に関しては抵当証券業担当の課長補佐が金融第3課長とそれぞれ連絡を取り合うのが一般的であった。なお,同様に,本省金融会社室長の近畿財務局におけるカウンターパートは理財部長であった。 【甲171,乙144,145,147,証人Y4,同Y17,同Y14,同Y21】(ウ)一般人からの通報本省金融会社室は,平成8年8月2日,不可解な販売をしている抵当証券会社がある,として善処を求める一般人(リース会社の法人調査関係者)からの通報に接した。それによると,①大和都市管財が顧客に対して,当社の1000万円の手形を1年預かってくれたら1070万円で買い取る,といったような商売をしている,②自分の父親がこの商品を勧められ,抵当証券から乗り換えさせられた,③同社の抵当証券については,融資先が子会社しかなく,解約しないよう一筆 1070万円で買い取る,といったような商売をしている,②自分の父親がこの商品を勧められ,抵当証券から乗り換えさせられた,③同社の抵当証券については,融資先が子会社しかなく,解約しないよう一筆入れるとただでさえ高い金利を1パーセント上乗せし,社員がグループ会社と兼職していてそのゴルフ会員権を販売するなど,金融機関としておかしいとしか考えられない営業内容である,④同社では1週間に3回も帝国ホテルで会議との名目で会食したこともあるそうであり,金遣いが荒いが,儲からなくても次々抵当証券を発行すれば金が入るので,それを使っているのではないかとさえ考えられる,ということであった。Y4補佐は,Y17課長にこの情報を伝えるとともに,大和都市管財はまだ手形商品を売っているようであるが,とただしたところ,同課長は,指導はしている旨述べた。なお,この時の応接録は本省銀行局内や近畿財務局に広く配布されたが,銀行局Y12参事官は,Y21室長の指示で配布先から外された(その理由について,Y4補佐は,銀行局総務課長等 を歴任し,従来から大和都市管財の問題性について認識していた同参事官には,面倒な案件について関与を避けようとする傾向が特に顕著であるとの認識が同局内で広く共有されていたため,と考えていた。)。 【甲12の2,証人Y4】(エ)55億円の抵当証券販売自粛問題〔那須グリーンコースのゴルフ会員権が思うように販売することができないことから,那須ゴルフ場を担保とする抵当証券の発行額が買収価格を下回る100億円に押さえられたことに改めて不満を募らせた〕Y1は,債務者兼抵当権設定者ナイスミドルが,債権者兼抵当権者大和都市管財から,元本の一括弁済期を平成22年9月28日等と定めて55億円を借り入れ,その担保として那須ゴルフ場に抵当権を設定するととも は,債務者兼抵当権設定者ナイスミドルが,債権者兼抵当権者大和都市管財から,元本の一括弁済期を平成22年9月28日等と定めて55億円を借り入れ,その担保として那須ゴルフ場に抵当権を設定するとともに,これにつき抵当証券の発行を承諾するとした平成8年3月28日付けの本件貸付金証書を作成させ,これに基づき,同年5月14日受付第4558号をもって上記ゴルフ場に本件貸付金に係る抵当権を設定した。 〔本件貸付金証書は,55億円分の抵当証券を大和都市管財が販売することができるように便宜的に作成されたものであり,これに見合った資金をこのころ大和都市管財からナイスミドルに移動した事実はなかった。 当時,ナイスミドルの代表取締役であったY2は,同社が55億円の資金を必要とした事情は全くなかったことから,本件貸付金証書は仮装のものであって,単に抵当証券を追加発行するための形式を整えるにすぎないものであると認識していたが,Y8がナイスミドルの代表取締役印を本件貸付金証書に押印することを許した。〕そして,大和都市管財は,同年5月14日,宇都宮法務局那須出張所に抵当証券55億円相当分の追加発行を申請したところ,同出張所では人事異動があり,平成7年11月に法務鑑定委員会に諮った上で同社に対する抵当証券の発行を減額させた経緯が十分に引き継がれていなかったため,平成8年6月6日, 同社の申請どおりの発行が認められてしまった。しかしながら,法務本省は,大和都市管財が追加発行分の前記抵当証券を販売しようとした同年8月に至って上記追加発行の事実を把握し,法務鑑定委員会に対して再度担保評価についての意見を求めるとともに,同月7日,大蔵本省に通報し,再評価が出るまで当該抵当証券に係るモーゲージ証書の販売を自粛させるよう協力依頼を行った(Y27係長は,この時点で,本件貸 て再度担保評価についての意見を求めるとともに,同月7日,大蔵本省に通報し,再評価が出るまで当該抵当証券に係るモーゲージ証書の販売を自粛させるよう協力依頼を行った(Y27係長は,この時点で,本件貸付金については,そもそも架空融資である可能性が高いとの強い疑いを持った。)。 これを受け,Y14検査官が同月13日,Y1及びY8に対し,電話で抵当証券原券の抵当証券保管機構への持込みを自粛するよう行政指導を行ったところ,同社は,追加発行を受けた抵当証券の原券を同日同機構に持込んだが,販売は当面自粛すると述べた。Y1は,同月16日,Y14検査官に対し,200億円の評価に自信を持っており,法務鑑定委員会が不当な評価を行った場合には,法務省を追及するつもりであるなどと述べた(Y1からは販売を自粛しても資金繰りに当面問題はない旨の発言があったため,金融第3課は,55億円相当のキャッシュフローをどのように穴埋めするつもりかという点についてそれ以上確認しなかった。)。法務本省は,同月22日,法務鑑定委員会において那須ゴルフ場の担保価値が120億円と評価されたことを受け,本省金融会社室に対し,今回の追加発行によって抵当証券発行総額が担保評価額の8割を超えることになる旨口頭で伝達した。同室は,近畿財務局に対し,購入者の保護が図られていない担保不足のモーゲージ証書を販売してはならない旨大和都市管財を指導するよう指示した。そこで,近畿財務局は,本省金融会社室からの指示であると述べた上で,同月23日,Y8に対し,追加発行分の抵当証券原券に係る抵当証券保管機構に対する保管要請を任意に取下げるよう大和都市管財に要請した。 これに対し,Y1は,同月26日,Y17課長に電話し,那須ゴルフ場については大和都市管財の依頼した不動産鑑定士から約200億円という評価 管要請を任意に取下げるよう大和都市管財に要請した。 これに対し,Y1は,同月26日,Y17課長に電話し,那須ゴルフ場については大和都市管財の依頼した不動産鑑定士から約200億円という評価を得ていることを強調し,評価が過大であるという根拠を示すよう求めた上で,「抵当証券原券の返還とは何事だ。」「前回は工事中(改修)であり面積も確定していないこともあったが,今回,これらが完了しており,改めて第2次抵当証券を発行してもらった。」「宇都宮(地方)法務局にも確認したが,抵当証券発行後,2,3か月何も法務省から言われなかった。このような再評価の例もないとのことである。 当社は狙われているとしか言いようがない。」「腹わたが煮えかえる思いである。」「Y4補佐に8月23日に6回電話したが,会議中であるとかで1回もつながらなかった。」「法務鑑定委員会から評価の根拠を示した文書をもらいたい。」「そのようなことで,行政指導は受けられない。」などと述べ,強く反発した。Y17課長は,当局としては,今回法務鑑定委員会から評価が示されたので,これに基づき販売する必要があると申し上げている,評価の件については法務省に言って頂きたい旨応じた。これに対し,Y1は,さらに本省金融会社室に直接抗議の電話をしてきたところ,同室は,販売につながらないのであれば,原券を返却するか否かは貴社の判断である旨回答した(Y1は,このころ,Y4補佐の名前を近畿財務局から聞き出し,本件等に関し,本省金融会社室まで,強い調子による苦情や,これを認めてもらえないと困るというようなクレームの電話を長々と掛けてくることがあった。)。 本省金融会社室からの回答を受けて,大和都市管財は,追加発行分に係る抵当証券の販売自粛は続けつつ,その原券の取下げを行わないでいたところ,同年12月16日,大蔵 を長々と掛けてくることがあった。)。 本省金融会社室からの回答を受けて,大和都市管財は,追加発行分に係る抵当証券の販売自粛は続けつつ,その原券の取下げを行わないでいたところ,同年12月16日,大蔵省出身のY41参議院議員からの紹介であるとして,「豊明会中小企業政治連盟本部事務局事務総長」を名乗るY15(後に,いわゆるKSD事件で贈賄罪により有罪判決を受け た。)がY4補佐を訪れ,大和都市管財からの依頼であると前置きした上で,那須ゴルフ場に関し再度不動産鑑定評価をとったが190億円以上の評価が出ている,なぜ販売が認められないのか,10億円程度減額して発行するというような政治的な解決ができないか,などと述べた。 しかしながら,Y4補佐は,これは土地鑑定の問題であり,クレームは日本土地鑑定協会に言うように,などとして応じなかった。 【甲7,12の6,13,51,68,90の1,118,173,乙32ないし36,144,145,証人Y14,同Y4】(オ)本件内部資料の作成平成8年8月末ころ,Y4補佐は,Y25銀行局長(以下「Y25局長」という。)に対して那須ゴルフ場を担保とする大和都市管財に対する追加発行分抵当証券55億円分に係る販売自粛指導の件を報告するため,Y27係長に命じて本件内部資料(着任後間がなく,大和都市管財について予備知識をほとんど持っていないと思われるY25局長の頭作りのため,前半部分は前任者の引継書をそのまま用い,大和都市管財の概要やこれまでの経過等も盛り込んだ上で,那須ゴルフ場に係る抵当証券の追加発行分についての説明を書き加えた報告用の文書であって,何らかの対処方針を決定するためのいわゆる「局議ペーパー」ではない。)を作成させ,自ら加筆修正した上,これをY25局長に交付して同人に直接経緯を報告した。その概要を再 き加えた報告用の文書であって,何らかの対処方針を決定するためのいわゆる「局議ペーパー」ではない。)を作成させ,自ら加筆修正した上,これをY25局長に交付して同人に直接経緯を報告した。その概要を再掲すると,以下のとおりである。 大和都市管財㈱について①会社の概要大和都市管財は,昭和63年12月に近畿財務局で登録を受けた独立系の抵当証券会社であり,その融資先は同族会社であるベストライフ通商外5社であるが,役員の状況等からみて,融資先と抵当証券会 社とが一体となった極めて特異な状況(実質上の自己融資)となっている。また,大和都市管財は,バブル経済崩壊後低迷を続ける抵当証券業界(平成8年7月末現在の全業者の抵当証券販売残高は3兆5505億円であり,前年比20パーセント減である。)にあって年々抵当証券の販売残高を伸ばしており(かなりの高利率をつけて販売している。),業界においても上位(133社中15位)にランクされている。 ②グループ全体の経営状況大和都市管財は,金融機関等との取引はなく,抵当証券販売による調達資金のほぼ全額をグループ会社の運営資金として融資している。 しかし,グループ会社の経営内容は悪く,各社とも赤字決算を余儀なくされており,多額の累積赤字を抱えている。大和都市管財グループの連結決算状況は,約63億円の欠損の状態にあり,同グループ全体の経営状態は極めて厳しい。 また,資金繰りについては,大和都市管財が,抵当証券や新商品(乗換え商品)の販売によって調達した資金によって手当てする以外には,Y1からの個人借入金しかなく,長期借入金勘定に91億円(平成7年3月期)が計上されている。この借入れの資金源は,Y1が17名のスポンサーから調達しているものとしているが,詳細は不明である。今のところ大和都市管財を中心に,グルー 期借入金勘定に91億円(平成7年3月期)が計上されている。この借入れの資金源は,Y1が17名のスポンサーから調達しているものとしているが,詳細は不明である。今のところ大和都市管財を中心に,グループ会社間でどうにか資金を回転させてはいるが,特約付き融資の元本償還を迎える平成9年以降,資金繰りが厳しくなることが予想される。 ③出資法違反の疑いのある金融商品の販売について大和都市管財は,平成6年8月下旬以降,多数の抵当証券購入者に対し,中途解約を勧めるとともに,手形商品の購入を勧めていたことが判明した(中途解約された抵当証券については,新たに別の顧客に 販売されている。)。手形商品についてY1から聴取したところによれば,大和都市管財を貸主,ナイスミドルを借主とする極度額25億円の金銭消費貸借契約を締結し,ナイスミドルが大和都市管財に対して25億円以内で約束手形を振り出し交付するとともに,大和都市管財は,ナイスミドルがバンクオブアメリカに有する譲渡性預金債権に担保権を設定し,これらの事項が確実に実行されることを目的にY7弁護士(元社民党代議士)との間に業務委託契約を締結し,大和都市管財が約束手形を投資家に裏書譲渡するが,当該約束手形は弁護士名義の金融機関貸金庫に保管し,投資家に対しては弁護士が手形保管証を交付するというものである。手形商品に対しては,不特定多数の者に対して販売が行われ,かつ,販売の際あたかも元本保証しているかのように購入者に説明してきていることから,出資法違反の疑いもある旨大和都市管財に対し口頭で指摘してきたほか,平成7年4月,法務省刑事局及び大阪地検に対し,出資法違反等の観点から早急に検討するよう要請した。Y1によれば,上記新商品の販売残高は124億円,購入者数約500人とのことであった。 なお,大阪地検は, 年4月,法務省刑事局及び大阪地検に対し,出資法違反等の観点から早急に検討するよう要請した。Y1によれば,上記新商品の販売残高は124億円,購入者数約500人とのことであった。 なお,大阪地検は,アメリカ司法当局に対して預金債権の有無につき照会を行った結果,平成8年4月18日,バンクオブアメリカに平成7年6月末現在で約80億円の残高があったことが確認されたとして,被害届の出ていない現段階において詐欺罪で直ちに捜査に入ることは考えていない旨回答してきた。 ④抵当証券販売の状況について大和都市管財の経営状況は,抵当証券購入者が被害を被る蓋然性が高く,購入者の利益を害する事実があると認められたことから,平成7年8月1日付けをもって業務改善命令(経営健全化計画の作成・実施,抵当証券買戻しについての財源計画の作成・実施等)発出のため の弁明の機会の付与通知を行い,同月21日付けで業務改善命令書を交付しようとしたが,同社はその受領を拒否するとともに,同和関連団体に属している旨を告げたため,近畿財務局長は業務改善命令を撤回してしまった(その後,近畿財務局では業務改善命令を交付していない。)。 ⑤那須ゴルフ場を担保とした抵当証券の発行について平成7年11月,大和都市管財は,新たに那須ゴルフ場に抵当権を設定し,ナイスミドルへ新たに130億円の特約付き融資を実行し,法務局へは当初130億円の抵当証券の発行を申請したが,法務局は法務鑑定委員会に諮った上,鑑定評価が高すぎるとして申請を受理しなかった。その後,同社は100億円の発行を再度申請し,同額の抵当証券が交付された。法務局における審査の過程で,法務省民事局に対してY10衆議院議員(旧福岡2区・社民党)より,早期の交付要請があった。 平成8年6月,大和都市管財は,那須ゴルフ場について,20 当証券が交付された。法務局における審査の過程で,法務省民事局に対してY10衆議院議員(旧福岡2区・社民党)より,早期の交付要請があった。 平成8年6月,大和都市管財は,那須ゴルフ場について,200億円の価値があるとして再度抵当証券の発行を申請したところ,法務局の担当者が交代し,過去の経緯を承知しないことから,申請された55億円満額の抵当証券を発行してしまった。これが,当該抵当証券のモーゲージ証書を販売しようとした同年8月になって法務本省の確認するところとなり,同月7日に当局に対して第一報があった。法務省は,法務鑑定委員会に対し,那須ゴルフ場の再評価を行わせることにし,当局に対して「不動産担保評価に疑義がある。」との連絡をするとともに,再評価が出るまで当該抵当証券のモーゲージ証書の販売を差し控えさせるよう協力依頼があった。同月22日に再鑑定の結果が判明し,法務省より那須ゴルフ場の評価額は120億円であったとの口頭による連絡があった。これを受け,近畿財務局は,大蔵本省から 指示があったとした上で,購入者に不利益となる抵当証券モーゲージ証書の販売を自粛するよう指導したところである。 ⑥那須ゴルフ場を担保とした抵当証券の抵当証券業規制法における問題点130億円の価値しかない土地を200億円の価値があるものとして抵当証券の発行を受けたもの(平成8年8月15日,民主党・Y11氏からY12参事官に,「何故,大蔵省が止めているのか」と圧力があった。)。元本割れの抵当証券を販売することは,「購入者の利益を害する事実があると認められ」(抵当証券業規制法23条),業務改善命令を出すことができる。 業務改善命令に従わないときは登録取消し(同法24条)及び罰則規定の適用がある。元本割れの抵当証券を故意に「安全確実」などと銘打って販売したとき( 規制法23条),業務改善命令を出すことができる。 業務改善命令に従わないときは登録取消し(同法24条)及び罰則規定の適用がある。元本割れの抵当証券を故意に「安全確実」などと銘打って販売したとき(偽計による販売(同法19条))も同様である。 【甲7,171,乙147,証人Y4,同Y21】(カ)手形商品に係る警察に対する協力依頼Y4補佐は,Y25局長に本件内部資料によって経緯を報告した際,同局長より,手形商品については,法務省のみならず警察庁に対しても通報するようにとの指示を受けたことから,Y4補佐は,その直後,大和都市管財についての資料を持参して警察庁生活安全局に自ら赴き,平成7年業務改善命令を発令した際の経緯を含め一切の経過を説明するとともに,Y17課長に対しても,Y25局長からの指示があるのでこの件に関して警察には最大限協力するよう連絡した。 Y13補佐は,平成8年9月24日,金融第3課を訪れ,大和都市管財の顧客から,抵当証券の満期時に手形商品に切り替えてくれと勧誘され,困っているとのクレームが警察庁生活安全局に入っているほか,当 局が業務改善命令を出したようにも聞いており,手形商品に違法性がないか捜査するようにとの指示が8月に文書であった,現在は手形商品に違法性があるかどうか基礎調査に着手する段階である,ついては,抵当証券業者登録簿の内容について照会したい旨述べた。これに対し,Y14検査官らは,Y13補佐に対し,あたかも平成7年業務改善命令は発令されていないかのような反問をした上,大和都市管財の登録の有無,信用等の照会は時々あるが,クレームといったものは特にない,抵当証券業者登録簿の登録内容は,ある程度法人登記簿で確認することができると思う,と応じるなど,総じて非協力的と取れるような姿勢を見せた。 そのためもあって, あるが,クレームといったものは特にない,抵当証券業者登録簿の登録内容は,ある程度法人登記簿で確認することができると思う,と応じるなど,総じて非協力的と取れるような姿勢を見せた。 そのためもあって,Y13補佐は,今回の照会は取りやめ,今後お願いすることがあればよろしく頼む,と述べて同局を辞去した。上記のような会話内容を記載した連絡記録票は,同日夜,金融第3課から本省金融会社室にファックスで送信され(Y4補佐は,金融第3課の中で,同課の大和都市管財に対する対応方針に不満を持つ何者かがあえて大蔵本省に送信した可能性が高いと認識していた。),Y4補佐は,同課の担当者が本省金融会社室からの協力要請を無視するような態度を取ったことに憤慨し,「クレームといったものは特にない」との部分に「明らかに嘘」と書き込んだ上(同人がそのように判断したのは,元本保証といわれて手形商品を購入したが安全性は大丈夫か,抵当証券から無理矢理手形商品に乗り換えさせられてしまった,といった大和都市管財の顧客からの相談が本省金融会社室に寄せられたことがあり,そうした相談は原則として近畿財務局に回送する扱いにしていたためである。),上記連絡記録票に簡単な経緯を記した頭書を付けて銀行局内の回覧に付すとともに,金融第3課に(自ら又はY27係長を通して)連絡して,手形商品に関する警察の捜査に協力するよう再度釘を刺した。その後も,Y4補佐は,Y17課長に対し,大和都市管財の経営状況を把握するために も,手形商品の新規販売高,販売残高の推移,その解消の方法等について大和都市管財に確認するよう度々指示したが,同課長は,手形商品は所管外である,指導はしているなどとして消極的な姿勢を示し続けた(平成9年2月にも,市原市消費生活センターの相談員から本省金融会社室に対し,大和都市管財が るよう度々指示したが,同課長は,手形商品は所管外である,指導はしているなどとして消極的な姿勢を示し続けた(平成9年2月にも,市原市消費生活センターの相談員から本省金融会社室に対し,大和都市管財が元本保証,確定利回りということで手形商品を販売しており,解約にも応じないとの相談が寄せられた。)。結局,大和都市管財は,平成9年8月ころまで手形商品の販売を続けた。 Y38部長は,平成8年9月末ころ,本省金融会社室を訪れ,Y21室長に対し,大阪府警が平成7年業務改善命令を撤回した経緯を知っているようであるが,近畿財務局としては非常に困る旨述べた。その後,Y21室長は,Y4補佐及びY27係長に対し,平成7年業務改善命令は撤回したわけではなく,資金繰りが付いているために留保したというのが大蔵省としての公式見解である旨念を押した。 【甲12の3,同7,118,乙147,証人Y4,同Y21】(キ)会社整理手続の調査Y4補佐は,平成8年末ころ,既に平成7年11月13日付けで抵当証券の買戻し資金の確保を命ずる業務改善命令が関東財務局長から発出済みであり,業務停止命令又は登録取消しの可能性があった不動産抵当證券について,そうした措置を講じる際には同社が財産の隠匿を行う危険性があるため,同時に商法上の会社整理通告を行うことでそうした危険を未然に防ぐことができないか相談する目的で,関東財務局の担当者らとともに東京地方裁判所民事第8部を数回訪れた。その際,関東財務局は,不動産抵当證券の融資先など,その関係会社全体の最新の財務状況に関する資料を持参していた。【甲206,証人Y4】(ク)平成8年12月20日のヒアリングY17課長は,平成8年11月29日付け大和都市管財宛て文書にお いて,①平成8年経営健全化計画初年の実行見通し(特に,ゴルフ会員権の ,証人Y4】(ク)平成8年12月20日のヒアリングY17課長は,平成8年11月29日付け大和都市管財宛て文書にお いて,①平成8年経営健全化計画初年の実行見通し(特に,ゴルフ会員権の販売状況,グループ会社の直近決算状況,経営健全化計画変更及び新規の発行特約付き融資の有無等),及び②抵当証券の販売状況(手形商品についての記載はない。)についてヒアリングを行う旨予告した上,同年12月20日,約7か月ぶりに,Y1,Y8及びY3会計士から業況一般についてヒアリングを行った。Y3会計士らは,那須グリーンコースの会員権について,平成8年度内に500万円で1800口,合計90億円を売り上げるとの当初計画を,同年度内に390万円(ナイス函館カントリークラブとのタイアップを外したもの)で100口(12月時点の実績:80口),500万円で50口(同:15口)の合計6億4000万円を売り上げるとの内容に修正した上,計画達成時期を平成10年度から平成11年度にずれこませた「那須グリーンコース会員権販売実績及び修正計画」を提出し,平成8年中の会員権販売の低調さについて,①コースの改修工事により販売の開始が4月から9月になったこと(同年4月に提出されていた平成8年経営健全化計画になぜ上記改修工事が織り込まれていなかったのかについて,Y17課長らは特段追及しなかった。),②会員権業界が低迷していたこと,及び③当社営業社員がゴルフ会員権販売に習熟していなかったこと,が原因と説明するとともに,完売には自信を持っている旨強調した。 〔もっとも,Y3会計士からみて,平成9年度からゴルフ会員権が大きく売れるようになる要素は特になかった。〕なお,大和都市管財からは,会員権販売代金の運用は特に考えておらず,7500万米ドルの外貨預金は米国弁護士の意見で からみて,平成9年度からゴルフ会員権が大きく売れるようになる要素は特になかった。〕なお,大和都市管財からは,会員権販売代金の運用は特に考えておらず,7500万米ドルの外貨預金は米国弁護士の意見で止めている旨の発言があった。 また,Y1らは,当面の新規事業として,①全国展開中のパチンコチェーン(約50店舗)を買収するべく契約締結の段階まで行っている(総年間売上約1500億円,税引き後利益率約3パーセント),② ファッションホテル事業への進出を計画中である(利益率15から20パーセント),③ベストライフ通商が東京味わいビル敷地を買収し,消費者金融等をテナントとするビルの建設を計画中である,などと説明した上,リストラの進展状況について,①a区土地の売却を20億円程度で折衝中,②a町土地を奈良市に公園墓地として20億円で売却予定,③a区駐車場を10億円で売却予定,などと述べた。さらに,Y1らは,各ゴルフ場の売上げについてはトータルとして収支トントンといった状況であるが,美祢カントリークラブのクラブハウス改修が終わり,那須グリーンコースのクラブハウス改修も予定していることから,今後は入場者数や会員権販売の増加を期待することができるなどと説明した。加えて,東京味わいビル敷地に係る特約付き融資は一時的なものであり,抵当証券の販売残高を減らしていく方針に変更はないと述べた。 また,手形商品について,大和都市管財は,当初平成9年中に全額回収を予定していたものの,ゴルフ会員権の販売状況からみて計画どおりの回収は困難であると述べた。なお,同日,大和都市管財グループの実績ベースでの連結損益計算書(仮締めのもの)が提出され,グループ合計での赤字幅が拡大していたが,Y3会計士がこれはあくまで仮締めの数字であるなどとしたため,近畿財務局は,大和 和都市管財グループの実績ベースでの連結損益計算書(仮締めのもの)が提出され,グループ合計での赤字幅が拡大していたが,Y3会計士がこれはあくまで仮締めの数字であるなどとしたため,近畿財務局は,大和都市管財グループ全体の貸借対照表及び損益計算書の提出を求めた上,本年末に実績が確定するので,遅くとも来年2月ころには再度ヒアリングを実施したい旨申し入れ,同会計士も協力を約した。最後に,大和都市管財側からは,現在も手持ち資金は約100億円あり,資金繰り表が必要であれば何時でも提出する,当社は絶対に倒れないなどの発言があった。 Y4補佐やY27係長は,大和都市管財が依然として手形商品の販売を継続していることに加え,抵当証券発行額を漸次縮小させるとしていた方針に反して新たにベストライフ通商に対する新規の特約付き融資を 行ったこと,那須ゴルフ場に係る追加発行分の抵当証券の販売自粛指導を撤回するよう政治家を使って圧力を掛けてきたことなどから,大和都市管財の資金が尽きかけているのではないかとの危機感を持ち,金融第3課に対し,同社の財務状況を実地に確認するとともに,その収益計画についても裏付けを取るよう何度も指示した。特に,Y4補佐は,Y17課長に対し,関東財務局は不動産抵当證券の財務状況を関係会社に至るまで的確に把握し,会社整理通告の準備まで行っている段階であるのに,なぜ近畿財務局では同様の調査ができないのかなどと再三にわたりただすとともに,抵当証券保管機構(本省金融会社室に2週間に1度程度担当者が出入りしており,大和都市管財について非常に問題のある業者とみなしていた。)が同社の抵当証券に係る担保物件の一部を簡易鑑定した結果(おおむね,抵当証券発行時に同社が提出した不動産鑑定評価額の半分程度の価格しかなかった。)を知らせ,近畿財務局において 者とみなしていた。)が同社の抵当証券に係る担保物件の一部を簡易鑑定した結果(おおむね,抵当証券発行時に同社が提出した不動産鑑定評価額の半分程度の価格しかなかった。)を知らせ,近畿財務局においても必要であれば同機構の協力も得て同様の方法で同社の担保物件の状況を調べるよう指示したが,金融第3課は積極的に動こうとはしなかった。 また,同課は,大和都市管財からのヒアリング結果等に係る連絡記録票について,本省金融会社室の側からの督促がないと迅速に送付してこないことがあった。 その後,大和都市管財は,Y3会計士の都合などを理由に速やかに資料を提出せず,平成9年4月15日になって,ようやく平成8年12月31日時点における大和都市管財グループの貸借対照表(平成8年1月1日から同年12月31日までの1年間で各社合計44億0213万円余の当期損失を出し,同年12月31日時点での債務超過額が147億6282万円余となっているもの。なお,同日時点における現金・預金は約77億5700万円となっている。)及び平成9年上期の資金繰り表(平成9年6月末時点で約75億円の資金残高があるとするもの。) を提出した。資金繰り表の脚注欄には,同年11月前後にベストライフ通商のa町土地に霊園事業用地としての許可が下りる予定であること(販売予想総額89億2800万円),ナイスミドルの系列会社において同年6月以降消費者金融を開業する準備を完了しており,年利30パーセントで貸し出して利益を得ること,同年7月以降リステム化学研究所のメイン事業であるごみ焼却灰のリサイクル事業が奈良市との提携により本格化すること,などの記載があった〔が,これらは,Y3会計士が,Y1の言った内容をそのまま資料化したものにすぎず,同会計士からみて,これらの計画が実現する具体的な見通しはなかった〕 との提携により本格化すること,などの記載があった〔が,これらは,Y3会計士が,Y1の言った内容をそのまま資料化したものにすぎず,同会計士からみて,これらの計画が実現する具体的な見通しはなかった〕。しかしながら,平成8年経営健全化計画に対する損益計算書ベース,資金収支ベースの実績資料は提出されなかったことなどから,Y14検査官らは,早急にこれらの資料を提出するよう指示した。 その後,大和都市管財は,近畿財務局に対し,マスコミに同社の情報を流出させているのではないかという趣旨の抗議をするようになるとともに,グループ会社に係る資料の提出要請に対しても強い警戒感を示すようになった。 【甲11,81,90,162,乙37,39,40,144,145,証人Y17,同Y14,同Y4,同Y21】(ケ)平成8年経営健全化計画の初年度実績の報告Y1,Y8及びY3会計士は,平成9年5月20日,近畿財務局に対し,大和都市管財グループ全体の損益計算書(平成8年経営健全化計画の初年度実績が,全社合計で約4億3181万円の当期損失,約112億5848万円の累積損失となったとするもの。なお,上記計画上では,初年度末の累積損失は70億円にとどまるとされていた。)を提出した。 Y17課長らは,同日,Y1らから大和都市管財の業況についてヒアリングを行い,大和都市管財グループの経営改善方策についてただしたと ころ,①那須カントリークラブのゴルフ会員権販売(平成9年中に41億円の販売見込み),②a町土地におけるナイスミドルと奈良市との第3セクター方式による霊園墓地販売(同年11月に正式決定される予定で,総額130億円強の収入見込み),③消費者金融業への参入(同年6月に新橋に店舗を設置するのを手始めに,年間10億円の運用利ざや見込み)及び④リステム化学研究 (同年11月に正式決定される予定で,総額130億円強の収入見込み),③消費者金融業への参入(同年6月に新橋に店舗を設置するのを手始めに,年間10億円の運用利ざや見込み)及び④リステム化学研究所のリサイクル事業の本格化(奈良市との間で独占的契約を結んでおり,今後2年間で10億円の利益見込み)の4点に注力して収益を確保していきたい,累積損失の発生は今後につながる先行投資である旨の説明があった。加えて,Y1は,資金繰りに関し,現預金残高がグループ全体で77億5700万円存在することから,2年程度は問題ない旨説明した。また,大和都市管財からは,新聞記者が主に手形商品について取材に来たが,金にしようとしているのではないか,業務改善命令が発出されればマスコミが知るところとなり,当社は倒産してしまう,との旨の発言,及び,抵当証券及び手形商品の販売はいずれ止めたい,との旨の発言があった。近畿財務局は,同年5月26日付けで大和都市管財に対し前記大和都市管財グループ全体の損益計算書等に関する個別質問事項を交付し,Y8は,同年6月10日,近畿財務局に対しその回答を持参したが,同回答書においては,大和都市管財の借入先はY1で借入金は91億9100万円,利率年8パーセントなどと記載されていた。【乙40,84,144,145,証人Y17,同Y14】(コ)手形商品等に対する捜査大和都市管財の営業社員らは,平成9年5月ころから,顧客を通じ,近畿財務局や大阪府警が,手形商品等に関する事情を顧客から聞き出していることを把握し,これを経営陣に伝えていた。【甲13,118】オ平成9年検査 (ア)平成9年検査に向けた検討平成8年経営健全化計画の初年度実績が大幅な未達であったことを受けて,平成9年6月ころには,本省金融会社室及び近畿財務局の間では, 18】オ平成9年検査 (ア)平成9年検査に向けた検討平成8年経営健全化計画の初年度実績が大幅な未達であったことを受けて,平成9年6月ころには,本省金融会社室及び近畿財務局の間では,現状のまま大和都市管財の自主的な経営改善努力に期待することは困難であり,何らかの手だてを講じる必要があるとの限度で共通の認識が醸成された。Y4補佐は,平成7年業務改善命令の時点よりも財務状況が悪化していることが明らかとなっている以上,直ちに大和都市管財に対して業務改善命令を発出するよう主張したが,Y17課長は,大和都市管財の財務状況が明確に悪化しているか否かはなお不明であるなどとしてこれに反対した。そこで,Y4補佐が,そうであれば直ちに大和都市管財に対する立入検査に入るべきである旨主張したところ,Y17課長は,更新登録(同年12月に予定されていた。)まではまだ時間があり,現在の時点で同社に対する立入検査を開始するのは不自然であるなどとしてこれにも抵抗した。最終的に,Y21室長が,同社に対する立入検査を速やかに実施する方針を決定した。 Y4補佐及びY27係長は,事前通報なく現物検査を開始してグループ会社を含めた総勘定元帳,現金出納簿等の帳簿の記載を確認した上,これらを相互に突合するなどして大和都市管財グループ全体の財務状況を正確に把握し,粉飾決算や架空融資の疑いがないかどうか,特に同社が実際にグループ会社から利払を受けているか否かをまず確認するよう指示した。これに対し,金融第3課は,グループ会社の帳簿の提出を求める権限は抵当証券業規制法上認められていないなどとして難色を示したが,Y4補佐は,平成7年業務改善命令の発出の際の検討資料等も参考にした上,①大和都市管財グループが実質的にY1の統轄下にあること,②平成7年業務改善命令においてもグ ないなどとして難色を示したが,Y4補佐は,平成7年業務改善命令の発出の際の検討資料等も参考にした上,①大和都市管財グループが実質的にY1の統轄下にあること,②平成7年業務改善命令においてもグループ会社の資料を提出するよう求めていたこと,などの観点から,少なくとも大和都市管財グ ループについては大和都市管財に対する立入検査においてグループ会社の帳簿類の提出を求めることも同法上の権限に含まれるとする旨の1枚紙程度の検討ペーパーを作成した上,Y21室長にもその内容を説明して了解を得た。そこで,Y4補佐がその旨を口頭でY17課長に説明するとともに,Y27係長が近畿財務局に対し,大和都市管財に対する立入検査の際の着眼点をまとめた「D社の検査に当たって特に注意していただきたい点」とのペーパーをファックス送信し,何度かファックス等でやり取りした後,近畿財務局側も最終的にこの方針を了承した。 その結果,近畿財務局は,平成9年検査の着眼点を,①大和都市管財グループ全体の財務状況の実態及び資金繰り状況の確認,②手形商品への乗換え時における中途解約手続等の検証,③法令遵守状況,並びに④前回検査(検査基準日:平成6年9月8日)における指摘事項の改善状況の把握等に置いた。 なお,平成9年検査開始の直前になって,Y4補佐は,大和都市管財の担当を外れるようY21室長から指示された。 【乙92,144,145,147,証人Y14,同Y4,同Y21,弁論の全趣旨】(イ)平成9年検査の着手Y14検査官ら6名の検査官は,平成9年6月19日,大和都市管財に対する立入検査に着手した(Y14検査官を含む3名が本店に,残り3名が東京支社に赴いた。)。平成9年検査は,平成6年検査が終了まで長期化したことにかんがみ,現物検査に2日間,現物検査から本店への一 対する立入検査に着手した(Y14検査官を含む3名が本店に,残り3名が東京支社に赴いた。)。平成9年検査は,平成6年検査が終了まで長期化したことにかんがみ,現物検査に2日間,現物検査から本店への一般検査までの準備期間(作成・提出要求資料の作成等のための期間)を10日間,本店への一般検査を4日間実施することを当初から予定していた。 Y14検査官は,立入検査初日の午前9時すぎ,大和都市管財本店に おいて,Y8に対して検査命令書を提示するとともにその写しを交付して立入検査に着手しようとした。しかしながら,Y8は,Y14検査官に対し,責任者が不在であり,検査に対応するにはY1の了解が必要である,などと主張し,その後,Y1も「いつも不在時に検査に来る。」「オフィスに入られると社員が不安がるし,お客さんに無用の心配を掛けるので応接室でやってくれ。」などと電話で抗議してきた。結局,Y14検査官らは,融資実務等の責任者であるY16が出勤するまで待つことにし,実際に本店における現物検査に着手することができたのは午前11時すぎとなった。Y14検査官らは,午後1時ころから,大和都市管財に対し,同社及びグループ6社の検査基準日(平成9年6月18日)現在における預金の残高証明書,同じく直近2ないし3期分の決算書及び総勘定元帳,平成9年3月末時点における連結決算書などの提出を求めた。しかしながら,Y1が,午後2時ころにY14検査官に再度電話し,「社員から聞いたが,『財務局が検査に来ているだろう。』とマスコミが確認に来たようだ。なぜ財務局検査がマスコミに漏れるのだ。 事の真相が明確になるまで中断してくれ。」などと強硬に抗議してきたため,Y14検査官らは一時的に立入検査の中断を余儀なくされた。Y1は,Y17課長や,本省金融会社室にも同様な抗議の電話を執拗に繰 。 事の真相が明確になるまで中断してくれ。」などと強硬に抗議してきたため,Y14検査官らは一時的に立入検査の中断を余儀なくされた。Y1は,Y17課長や,本省金融会社室にも同様な抗議の電話を執拗に繰り返して立入検査を中止するよう迫ったが,大蔵省側はこれに応じず(Y4補佐は,ここで止めればつけ込まれる,と後任の課長補佐に助言した。),結局,午後4時すぎになってY1が立入検査の継続を容認する姿勢を示したことから,Y14検査官らは現物検査を再開し,午後6時すぎまで継続した。同様に,東京支社に赴いた検査官らも,Y1の抗議で2時間以上立入検査を中断し待機することを余儀なくされた(なお,東京支社に現物検査に赴いた検査官らは,翌20日は名古屋支社で現物検査を行った。)。 以上のような経緯で,本店の現物検査に着手した時期が午前11時をすぎており,当日の入出金により現金残高に異動の可能性があったこと,手元の小口現金が一見して少額であったことなどを理由として,Y14検査官らは,小口現金,小切手等の残高と帳簿上の金額との照合までは行わなかった(なお,大和都市管財側も,平成6年検査の際と同様,税理士が定期的に伝票から帳簿を整理しており,現金の入出金については日次では把握,管理しておらず,正確な残高を証明することができる資料はない旨説明していた。)。もっとも,現物検査では,融資先からの借入申込書,申込者の返済能力や事業計画の妥当性を判断するための必要資料が存在しないこと,取締役会の議事録にも審査した事実の記載がないことが判明し,不備不適事項となるべきその余の事項(モーゲージ証書に係る保証料率が広告と実態とで異なること,東京支社及び名古屋支社において抵当証券原券の写しの一部が閲覧可能な状態で備え付けられていなかったことなど)も発見された。 【甲13, 事項(モーゲージ証書に係る保証料率が広告と実態とで異なること,東京支社及び名古屋支社において抵当証券原券の写しの一部が閲覧可能な状態で備え付けられていなかったことなど)も発見された。 【甲13,152,乙22,144,145,証人Y17,同Y14,同Y4】(ウ)国家公務員法違反の指摘大和都市管財側は,平成9年6月25日,Y7弁護士らを伴って近畿財務局を訪れ,同月3日に朝日新聞記者が手形商品について同社関係者に取材を行った際,同記者が平成6年10月21日に行われた近畿財務局のY7弁護士らに対する手形商品に関するヒアリングに係る連絡記録票の記載を引用していたこと,これは近畿財務局の担当者から取材した結果である旨上記記者が認めていたこと,などを告げ,これらの事実から近畿財務局の担当者が国家公務員法100条(守秘義務)に違反したことは明らかである旨主張するとともに,上記取材の際の録音テープを提出する用意があるとした。大和都市管財は,後日,実際に上記録音テ ープを反訳書付きで近畿財務局に提出するとともに,同局内部において情報漏洩の有無について調査の上,必要な処置を執るよう申し入れた。 【甲153】(エ)グループ6社の総勘定元帳の提出と回収Y8は,Y14検査官らから大和都市管財及びグループ6社の決算書や総勘定元帳等の提出を求められ,不在であったY1に確認して了解を得た後,グループ6社の直近数期分の総勘定元帳等の帳簿類を任意に提出した。そこで,Y14検査官らがこれらを検証したところ,「(借方)長期借入金/(貸方)受取利息」等,それ自体では資金の移動を確認することができない仕訳が多数認められた。また,Y14検査官らは,グループ6社が債務超過であり,その営業も振るわないことなどから推して,グループ各社の利払の原資のうち大和都市管財か 資金の移動を確認することができない仕訳が多数認められた。また,Y14検査官らは,グループ6社が債務超過であり,その営業も振るわないことなどから推して,グループ各社の利払の原資のうち大和都市管財からの特約付き融資によるものが主要な割合を占めているであろうことは認識していた。 しかしながら,Y14検査官らは,大和都市管財が従来から借入れ,融資,利息受取りの多くを現金勘定で処理している旨説明していたため,預貯金口座の検証をしても余り意味がないと考えられること,Y1の資金調達先についても同人が以前から明言を避けており,任意の協力を望むべくもないこと,グループ6社の経営状況は極めて悪化しているが,現に事業を継続している旨の説明があり,いずれも実質的に破綻しているとか経営改善の見込みがないなどと断定することができる状況ではないと考えられること,過去においてグループ6社が利払を延滞した事実もないと認められること,などを理由として,グループ会社はもとより,大和都市管財の預貯金口座の検証も行わず,同社グループ間における資金移動の実態も調査しないまま,同社に対するグループ6社の利払に延滞の事実は認められない旨の結論を下した。 もっとも,Y14検査官は,平成9年7月1日ころ,補佐官の1人か ら,本件貸付金について,ナイスミドルの総勘定元帳には記載されていない旨の報告を受けた(大和都市管財の総勘定元帳には,平成8年4月1日の欄に,摘要欄をいずれも「ナイスミドルスポーツ倶楽部㈱」として,(借方)抵当証券貸付金5,500,000/(貸方)長期借入金5,500,000との仕訳(本件仕訳)が記載されていた。)。そこで,Y14検査官が,Y3会計士に事実関係をただしたところ,Y3会計士はしばらく事実関係を確認する時間が欲しい旨申し出た。その後間もなく,大和都 との仕訳(本件仕訳)が記載されていた。)。そこで,Y14検査官が,Y3会計士に事実関係をただしたところ,Y3会計士はしばらく事実関係を確認する時間が欲しい旨申し出た。その後間もなく,大和都市管財から,グループ会社の帳簿類を調査したことについての抗議があったため,近畿財務局は,本省金融会社室に特段諮ることなく,平成9年7月7日,コピーを含めてグループ会社の帳簿類を大和都市管財に返還した(近畿財務局は,大和都市管財の総務部長であるY8(平成9年検査当時は,グループ会社の役員を兼務してはいなかった。)からこれら帳簿類の提出を受けたものであるところ,抵当証券業規制法22条1項により,近畿財務局長には大和都市管財に対してその所持する帳簿類の提出を命じる権限があったことは明らかであるから,同局長は適法にこれらの帳簿類を保持していたのであり,大和都市管財から抗議されたからといって,同法上これを返還するまでの必要はなかった。なお,金融第3課は,同月8日,大和都市管財の平成7年3月期,平成8年3月期及び平成9年3月期の3期分の決算書,グループ6社の直近数期分の決算書等については,大和都市管財から任意に提出を受けた。)。 しかしながら,〔帳簿類の調査を通じてグループ会社の財務状況を近畿財務局に把握されることを恐れた〕Y1,Y8,Y3会計士,Y7弁護士,Y2及びY6は,平成7年7月8日,近畿財務局を訪れ,Y1において,「今回の検査では,今までの検査ではないことをしている。グループ会社の帳簿まで持って来させて調査した。法人にも個人と同じよ うに犯してはならないプライバシーというものがある。」「帳簿を見せられたことによって人格,法人格が踏みにじられたことになる。」「私は今回の検査は捜査だと思っている。私の承諾なしにグループ会社の資料まで持っ てはならないプライバシーというものがある。」「帳簿を見せられたことによって人格,法人格が踏みにじられたことになる。」「私は今回の検査は捜査だと思っている。私の承諾なしにグループ会社の資料まで持って帰られた。」などと強く抗議した。〔抗議は近畿財務局に対する牽制の趣旨であり,Y2やY6をあえて同行し,グループ会社としての立場を主張させたのはY1の指示によるものであった。〕これに対し,近畿財務局は,「グループ会社の了解を得たかどうかは内部の問題ではないのか。当方は当然得ていると考えていた。」「商法上の子会社ではないにしろ,人的な繋がりや取引関係,資金供給等から実質ベースでは関連会社であるとみている。これまでの社長の発言も関連会社として資金繰りに問題はないなど関連会社であると明言されている。検査の立場からはあくまで任意に見せてもらっている。」と主張したが,Y1は,さらに「グループ会社の社長からも了解をとったか,と駄目を押すべきではないか。グループ会社の帳簿まで見ることについて抵当証券業規制法でできるのか。例えば大蔵本省には確認しているのか。」などと抗議を続けた。近畿財務局は,「当方はグループ会社を含めた資金繰りを見ているのであり,本省にも確認している。」「通常,融資先については稟議書類等の決算書類で融資先の内容は判るが,大和都市管財の場合,融資先で関連会社でもあるが一切資料として徴求していないことから,大和都市管財グループ全体の資金繰りの確認のためにお願いした。」旨説明するとともに,「今回のお話があったので,コピーはすでに昨日お返ししている。」とも述べたが,Y1は,「グループ会社の帳簿は公的には検査対象としないということに願いたい。」と念を押し,近畿財務局は,趣旨は分かった旨応じた。 また,Y3会計士は,本件貸付金について,「大和都市管 とも述べたが,Y1は,「グループ会社の帳簿は公的には検査対象としないということに願いたい。」と念を押し,近畿財務局は,趣旨は分かった旨応じた。 また,Y3会計士は,本件貸付金について,「大和都市管財がナイスミドルに55億円の小切手を渡していたが,この件に関しては私は知ら なかった。臨時株主総会を開いてでも,確定決算を変えようかと考えている。」などと釈明した(その後,大和都市管財から近畿財務局に対し,同年10月22日付けY3会計士のナイスミドルに対する報告書(同社の総勘定元帳に本件貸付金の計上がないとの指摘を受けていることに関し,自身の会計事務所の不注意による仕訳漏れが生じ,記帳漏れになったことを詫びるとともに,計上漏れについては平成8年9月1日の時点で判明し,同社においても記帳済みであるとの趣旨のもの)及び平成9年10月28日付け同社の大和都市管財に対する報告書(本件貸付金の計上がないとの指摘を受けていることに関して,経理事務処理をY3会計事務所に一任していたために記帳漏れに気づくのが遅れたことを詫びる趣旨のもの)が提出された。)。Y14検査官は,小切手であれば55億円の資金移動の方法としてあり得ること,ナイスミドルと大和都市管財との間には双方が記名押印した本件貸付金証書が存在すること,本件仕訳も,現金預金勘定を省略した中間省略仕訳として理解できないではない旨の補佐官の説明があったことなどを理由に,本件貸付金の存在については疑義があるとしつつも,ナイスミドルの当座預金口座の入金状況についてはもとより,当該小切手の振出人がだれであるか,大和都市管財の当座預金口座に対応する出金状況が記録されているか等の点についても,それ以上調査しようとはしなかった。なお,平成8年経営健全化計画の連結資金収支予測においては,ナイスミドルの抵当証 ,大和都市管財の当座預金口座に対応する出金状況が記録されているか等の点についても,それ以上調査しようとはしなかった。なお,平成8年経営健全化計画の連結資金収支予測においては,ナイスミドルの抵当証券借入金は平成8年中には存在しないものとされていた。 Y1らに同道したY2は,なぜナイスミドルの帳簿まで調べるのか,当社にとって大事な書類をメモ1枚で持っていくことに疑問を感じる,資料を押収されたような感じだ,近畿財務局から当社に融資するななどと言われれば死活問題となる,などと近畿財務局に抗議し,同じくY6は,近畿財務局にいう筋合いではないことは分かっているが,自分が文 句を言いたいのはY1であるなどとした上,「社長がたとえ了解のうえ見せたとしても,私は社長を怒りたい。」「自分は自分で商売をしている。(ベストライフ通商は)赤字決算であるが,決して赤字といって商売をしているわけではない。」などと述べた。 【甲13,51,118,152,乙45の3の3,90ないし92,145,147,証人Y17,同Y14,同Y4,同Y21】(オ)抵当証券販売自粛行政指導に係る文書の交付Y1は,平成9年7月8日の抗議の場で,那須ゴルフ場に係る追加発行分抵当証券の販売自粛指導につき,抵当証券業規制法で指導することができる根拠について改めて疑義を示したため,近畿財務局より,「大蔵本省から,専門家が集まっている法務鑑定委員会から過大であるとの鑑定結果が出たので,販売を自粛させるよう指示があり,当局から社長に対し販売自粛等の要請を行ったものである。」と応じたところ,大和都市管財側は,「『55億円を販売してはならない,との指導の時期,その内容及び根拠』を文書をもって回答をするよう,口頭ではあるが正式に要請する。行政指導である限り,行政手続法上,文書要求できるは 都市管財側は,「『55億円を販売してはならない,との指導の時期,その内容及び根拠』を文書をもって回答をするよう,口頭ではあるが正式に要請する。行政指導である限り,行政手続法上,文書要求できるはずである。55億円のものが死金になっており,一刻も早く出していただきたい。訴訟の検討にも入っている。」「55億円あれば,資金繰りは永久に大丈夫である。なければ正直言って苦しい。」などと述べた。 そこで,近畿財務局は,本省金融会社室とも協議の上,販売自粛要請は抵当証券業規制法上に明確な根拠を持つものではなく,大和都市管財から抵当証券の販売を妨害されたとして訴訟提起される可能性も考えられるが,行政手続法35条2項の文言上,自粛指導を継続するのであれば文書を出さざるを得ないし,自粛指導を撤回すれば,大和都市管財が破綻した場合に厳しい批判が寄せられるとして,文書で自粛指導を発出することを決め,同年8月8日付けで下記のような行政指導を大和都市管 財に対して文書で行った。 記趣旨:平成7年11月8日第70号をもって宇都宮地方法務局那須出張所から交付を受けた100億円の抵当証券に係る物件とほぼ同じ物件に関し,平成8年6月6日第71号をもって同出張所から追加交付を受けた55億円分の抵当証券について,当該交付申請に添付された不動産鑑定評価書の評価額としては120億円が妥当であり,抵当証券発行手続上の担保物件の価値の上限を上回る可能性が極めて高い旨,法務省民事局第3課から連絡を受けており,このような抵当証券を販売することは,抵当証券業規制法23条に規定する抵当証券の購入者の利益を害する事実に該当するおそれがある。 内容:平成8年6月6日第71号で宇都宮地方法務局那須出張所から交付を受けた55億円の抵当証券の販売を行わないこと。 その間も,大和都市管財は, 証券の購入者の利益を害する事実に該当するおそれがある。 内容:平成8年6月6日第71号で宇都宮地方法務局那須出張所から交付を受けた55億円の抵当証券の販売を行わないこと。 その間も,大和都市管財は,Y7弁護士も伴って,手形商品に係る情報漏洩の問題や,那須ゴルフ場に係る追加発行分の抵当証券の販売自粛を求められていることなどを持ち出し,繰り返し近畿財務局に対する抗議を行った。 【甲13,乙36,92】(カ)融資審査体制に対するやり取りY14検査官が,平成9年検査における現物検査の結果,大和都市管財の融資審査体制が依然として未整備であると認められたことについて指摘したところ,Y1は,融資先はグループ会社であり,すべて把握しているから問題はない,融資に当たっては自分が自ら担保物件を調査して判断している,書類審査をするか否かは単なる形式の話であって,書類を残せばよいというものではないなどと反論した。 【乙145,証人Y14】 (キ)平成9年検査の終了平成9年検査で提出を求められたその余の書類のうち,大和都市管財からは大和都市管財及びグループ6社の検査基準日現在における各預金残高証明書(グループ全体で約64億円。なお,平成9年度中に弁済期を迎える特約付き融資は2口計30億円であり,これに対する検査基準日現在のモーゲージ証書販売額は計約7億9800万円であった。)は提出されたが,当初同年8月末までに提出するとされていた連結決算書は,Y3会計士の病気を理由として提出されず,その後,大和都市管財からは,マスコミに財務内容等が漏洩するおそれがあるなどとして,グループ各社の平成9年3月末における決算書の試算表(貸借対照表及び損益計算書)が同年9月29日に提出されたのみであった。近畿財務局は,同日に上記試算表が提出されたことを受けて,平成9年 どとして,グループ各社の平成9年3月末における決算書の試算表(貸借対照表及び損益計算書)が同年9月29日に提出されたのみであった。近畿財務局は,同日に上記試算表が提出されたことを受けて,平成9年検査を終了した。 なお,平成9年検査においては,大和都市管財による貸倒引当金の適切性の検証,商法特例法に基づく会計監査を受けているか否かの確認,不動産鑑定評価額の適否についての検証などはいずれも行われなかった。 【乙22,145,147,証人Y14,同Y21】(ク)チケット制会員権の販売開始等Y1は,〔平成9年8月ころ,ようやく手形商品の回収を決意し,償還による資金の流出を可及的に避けるべく,〕ナイスミドルにおいて,登録料部分を無料とした那須グリーンコースの会員権に年間24枚の利用券を付した上,顧客が希望すれば,グループ会社の一つでそれまで休眠会社であったグレート・ジャーニィ株式会社を窓口に〔(これは,ナイスミドルが直接顧客から買い取ることにすると,出資法違反となるおそれがあるためである。)〕,大和都市管財グループが利用券を額面の70パーセントで買い取るという,実質的に年利約6.4パーセントの 金融商品の性格を有する「那須グリーンチケット」と称するチケット制会員権の販売を開始し,同年9月までに約83億円の販売実績を上げた〔ただし,販売実績の相当部分が手形商品からの乗換えによるものであった。また,Y1自身,当初から,上記会員権の販売は収益面では大和都市管財グループにとりむしろマイナスになると覚悟していた。〕。 なお,抵当証券保管機構は,同年8月に入ってから大和都市管財の販売抵当証券の中途解約が急増している(同月のみで約8億3000万円)事実を把握し,また,a町土地に係る特約付き融資(原券)の弁済期が同年11月(第1順位。20億円)及 月に入ってから大和都市管財の販売抵当証券の中途解約が急増している(同月のみで約8億3000万円)事実を把握し,また,a町土地に係る特約付き融資(原券)の弁済期が同年11月(第1順位。20億円)及び平成10年2月(第2順位。10億円)に迫ってきたことから,同社の資金繰りが懸念されるとして,平成9年8月28日,業務部長らが抵当証券保管機構理事長の近畿財務局長宛て同月27日付け「大和都市管財(株)の奈良県a町物件の最近の動向並びに販売枠管理の現状と今後の対応検討事項について」と題する文書等を持参して近畿財務局を訪れ,Y17課長らと面談し,同月に入って抵当証券の中途解約が急増し大和都市管財の資金繰りが懸念される旨伝えた。Y17課長は,a町土地に係る抵当証券の販売枠管理について,個別の業者の販売枠についてまで財務局が立ち入る立場ではないが,抵当証券保管機構がいうように過去に販売枠について指導したというならば,現状は第1順位,第2順位と合算で16億8000万円の販売枠管理でよいのではないか,上記20億円(第1順位)の特約付き融資が弁済期日に完済された場合の販売枠管理については,評価額が16億8000万円で債権額が10億円であることから,上限を10億円としてよいのではないか,財務局がそう指導したというのではなく,自然にそのように考えられるのではないか,財務局に再評価(再鑑定)の権限はなく,特段問題がなければ,大和都市管財に対し再評価(再鑑定)を要請することもできないから,再評価(再鑑定)をした上で新たに販 売枠を設定し直すこともできない,などと回答した。これに対し,抵当証券保管機構側は,a町物件の抵当証券の販売については従来から近畿財務局の販売枠指導を受けていたものであり,今回も近畿財務局から同年10月末までは第1順位,第2順位合計で 回答した。これに対し,抵当証券保管機構側は,a町物件の抵当証券の販売については従来から近畿財務局の販売枠指導を受けていたものであり,今回も近畿財務局から同年10月末までは第1順位,第2順位合計で16億8000万円,第1順位に係る原券の期日完済(同年11月1日)後は10億円の販売枠指導を受けたことをY17課長に再確認した。また,a町土地に係る上記特約付き融資(原券)の弁済期ごとの完済要請の依頼について,Y17課長は,期限延長が認められている以上,両原券の弁済期ごとの完済を大和都市管財に強制することはできないし,その都度個別具体的に完済要請をすることもできないなどと述べたため,抵当証券保管機構側は,完済となっても,その代わり以前拒絶した那須グリーンコースに係る抵当証券が持ち込まれる懸念がなくはなく,弁済期限を延長して再度保管の申出があった場合は,これを拒絶することができないので,事前に弁済期に完済するよう指導して欲しい,それが無理であれば,資金繰りを聴取することで情報収集に努め大和都市管財を誘導して欲しい旨重ねて依頼したが,Y17課長は,完済指導はできないが資金繰りは聴取してみると答えるにとどまった。抵当証券保管機構は,同日の面談の経過を覚書にまとめた上,同年9月30日付けで本省金融会社室に送付した。 【甲14,92の6の1,2,117,118,証人Y4】(ケ)本件申請書等の提出大和都市管財は,平成9年10月20日,近畿財務局長に対し,更新登録を申請した。本件申請書等の一部として,Y1及びY16が,いずれも昭和60年3月12日より一般融資業務及び特約付き融資を担当していた融資業務経験者として記載され,抵当証券業務に関する組織図として,代表者及び役員の下に,庶務・支払を担当する総務部門(9名),特約付き融資・一般融資を担当する融資 業務及び特約付き融資を担当していた融資業務経験者として記載され,抵当証券業務に関する組織図として,代表者及び役員の下に,庶務・支払を担当する総務部門(9名),特約付き融資・一般融資を担当する融資部門(16名),並びに,いず れも抵当証券の販売を担当する,販売部門(12名),東京支社(13名),名古屋支社(6名)及び横浜支店(5名)が並列的に置かれている旨の組織図が添付されていた。また,本件貸借対照表上,資産の合計額が約57,338,903千円,負債の合計額が約56,759,423千円で,その差額である純資産約579,480千円は,資本金額450,000千円を上回っていた。【乙3の7,45の5】(コ)平成9年検査結果通知等の発出近畿財務局長は,平成9年10月21日,平成9年検査結果通知を発出し,①前回検査で指摘したとおり,今回検査においても融資審査体制が未整備であることが認められたため,特約付き融資に関する審査体制の確立を図る必要がある,②平成8年経営健全化計画は初年度から大幅未達となっていることから,融資先グループ会社の今後の経営見通しを正確に把握し,大和都市管財の経営健全化計画を作成するとともに,今後の抵当証券買戻しに係る資金の確保を図る必要がある,③本件貸付金についてはナイスミドルの総勘定元帳にその計上が認められないなど,融資が疑われる内容となっており,経理処理の明確化を図る必要がある,④保証料の利率が広告と実態とで異なっている例がみられるなど,その他の不備不適事項がある,とした上で,「速やかに適切な対応を図られたい。」と示達した。また,近畿財務局長は,同日付けで弁明の機会の付与に係る通知書(近財金3秘第39号)を発した。その概要は,以下のとおりである。 1.予定する処分の内容抵当証券業規制法23条に基づ い。」と示達した。また,近畿財務局長は,同日付けで弁明の機会の付与に係る通知書(近財金3秘第39号)を発した。その概要は,以下のとおりである。 1.予定する処分の内容抵当証券業規制法23条に基づき,別紙のとおり,業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずること。 2.処分の原因となる事実平成9年検査の結果によれば,貴社の特約付き融資に係る審査体 制が不備であり,また,融資先であるグループ会社は,いずれも経営状況が極めて悪く,かつ,平成8年経営健全化計画は初年度から大幅未達となっていることから,結果的に貴社の経営が行き詰まる危険性が極めて高い。このような貴社の経営状況により,貴社の抵当証券の購入者は被害を被る蓋然性が高く,抵当証券購入者の利益を害する事実があると認められる。 3.弁明書の提出先及び提出期限提出先:金融第3課提出期限:平成9年10月28日(火)別紙①融資審査体制の確立特約付き融資に関する審査体制の確立を図ること。このため,融資決定前に行うべき審査の方法や手続を定め,当該手続等に基づき融資を行うこと。 ②経営状況の改善貴社の経営状況の改善を図ること。このため,グループ6社の今後の経営見通しを正確に把握した上,平成9年度から平成13年度までの5か年度について各年度ごとの貴社の経営健全化計画を作成し(ただし,平成9年度については同年10月から平成10年3月までの間の計画とする。),その内容を確実に実施すること。なお,平成10年度から平成13年度までの各年度ごとの計画については,各年度の5月末までに当該年度と残存年度についての経営健全化計画の見直しを行うこととする。 ③抵当証券買戻し資金の確保今後の抵当証券の買戻しに係る資金の確保を図ること。 ④上記②の経営健全化計画については,平成9年度は平成9 残存年度についての経営健全化計画の見直しを行うこととする。 ③抵当証券買戻し資金の確保今後の抵当証券の買戻しに係る資金の確保を図ること。 ④上記②の経営健全化計画については,平成9年度は平成9年1 1月の指定する日までに提出し,平成10年度から平成13年度までの各年度は各年度の5月末までに提出することとなる。なお,提出は裏付けとなる資料を添付して書面で行うこととする。 【甲13,15】(サ)大和都市管財による弁明書の提出等Y1は,前記通知書を受け,Y3会計士に依頼して,平成13年度までに大和都市管財グループの経営状況を大幅に改善させる経営健全化計画の策定を急がせた。〔Y1は,更新登録の時期が平成9年12月に迫っていることから,「どうしても登録を更新せんといかん。登録さえ受けられたらええんや。そのためにも健全化計画を出さんといかんのや。」などと述べ,更新登録を受けるために,形だけでも経営状態が大幅に改善することを見込めるような経営健全化計画を作成するようY3会計士に指示した。〕また,大和都市管財は,平成9年10月28日,①融資審査体制の確立について,特約付き融資については従来より極めて厳重な審査を行い,特に不動産鑑定士による鑑定評価を中心として取締役会において徹底議論を行い,融資の可否を決定してきたが,今後審査手段や体制についても早急に成文化する,②経営状況の改善について,ゴルフ場を経営しているナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブ,並びにゴルフ場未開発の北海道泊別観光は,順次ゴルフ会員権を販売することにより,十分な資金の確保と経営の健全化を確実に実施する,ベストライフ通商及びリステム化学研究所にも,遊休地の活用や売却なども念頭に置きながら改善措置を講じるよう申し入れる,③抵当証券買戻し資金の確保につ 分な資金の確保と経営の健全化を確実に実施する,ベストライフ通商及びリステム化学研究所にも,遊休地の活用や売却なども念頭に置きながら改善措置を講じるよう申し入れる,③抵当証券買戻し資金の確保について,「逐次万全に遂行できるものと確信しております。」などとする弁明書を近畿財務局長に提出した。 【甲11,13】(シ)平成9年業務改善命令の決裁 近畿財務局は,平成9年10月29日,概要下記のような検討を経た上で,大和都市管財に対する業務改善命令(平成9年業務改善命令)の発令を決裁した。【乙22】記1.大和都市管財の状況(略)2.行政対応の経緯(略)3.業務改善命令の発出①発出の必要性グループ6社が破綻した場合,大和都市管財も破綻することが予想され,また担保となっている不動産からの回収も一部にとどまると予想されることから,抵当証券の購入者に多大の被害が発生することが予想される。したがって,その被害を最小限に抑えるとともに,被害の拡大を防止することが,購入者保護の観点から極めて重要と考えられる。また,大和都市管財が破綻した場合,国会でこれまでの監督の経緯について厳しく追及されるほか,被害者から国家賠償請求訴訟を提起される可能性は否定することができないことから,行政当局としてできる限りの措置を行っておくことが必要である。 ②抵当証券業者に対する検査・監督のあり方基本的には,抵当証券業規制法は,営業の自由をできる限り尊重し,規制を必要最小限にとどめるとの観点から登録制を採用し,主として二重売り・カラ売り等不適切な販売等を規制し,抵当証券の購入者保護を図ろうとするものである。したがって,立入検査においても,業務上の行為規制(広告規制,情報開示等)が遵守されているかどうかを検査することに主眼がある。こうした法令の趣旨及び 抵当証券の購入者保護を図ろうとするものである。したがって,立入検査においても,業務上の行為規制(広告規制,情報開示等)が遵守されているかどうかを検査することに主眼がある。こうした法令の趣旨及び検査体制の現状(限られた人員)を踏まえれば,一般的に各抵当 証券業者について,免許制をとる銀行等と同様の経営の実態把握を行うことは,今後においても適当とは考えられないが,行政当局として個別に購入者保護を損なう恐れのある経営状況を把握した場合には,法令に照らして適切な対応を行うことは当然である。 ③大和都市管財の状況平成9年検査の結果等によれば,以下の点が指摘できる。 ア大和都市管財は,グループ6社に対する融資に当たり,従前からの指摘にもかかわらず借入申込書,財務内容,資金使途等を示す書面を徴求しておらず,役員会議議事録にも融資に係る記載がないなど,融資審査体制が未整備である。 イ平成8年12月末の大和都市管財グループ全体の連結決算では,グループ6社はいずれも債務超過となっており,かつ,平成8年経営健全化計画の達成状況は,初年度(平成8年度)が大幅な未達となっており,結果的に同社の経営が行き詰まる可能性がある。 ④購入者利益との関係業務改善命令は,抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認めるときに発出することができるとされており,大和都市管財の状況がこれに該当するか検討する必要がある。 まず,融資の審査体制が不備であることについては,抵当証券は基本的に債務者から元利の弁済が確実に行われること及び担保価値が十分にあることが期待されている商品であり,抵当証券業者において,担保を含めた融資の審査体制が不備であることは抵当証券の購入者の利益を害する事実に該当するおそれがあると認められる。 また,グループ6社の経営状況が極めて悪いことか 商品であり,抵当証券業者において,担保を含めた融資の審査体制が不備であることは抵当証券の購入者の利益を害する事実に該当するおそれがあると認められる。 また,グループ6社の経営状況が極めて悪いことから,大和都市管財の経営が行き詰まる可能性が極めて高い状況にあるところ,抵当証券については融資先が元利の負担者であり,抵当権が設定されて いる不動産により元利が回収されるべきものであることから,抵当証券業者の破綻は購入者保護の観点から問題とならないとの考え方もできるが,抵当証券業者は融資先から元利を受領し,抵当証券の購入者に支払をするという業務を的確に遂行する役割を担っており,抵当証券業者が破綻した場合には,抵当証券保管機構はあるものの,円滑な元利金の受領弁済が受けられなくなることから,購入者の利益を害することになると考えられる。 なお,抵当証券業者は,購入者に対し抵当証券の元利を保証し,さらに一定期間(1ないし5年)後に買戻すという約定で販売するのが通常であるが,抵当証券保管機構が元利の弁済受領等業務を行う場合には,元金の弁済は抵当証券原券の弁済期日(通常1ないし30年後)となってしまうことからも,抵当証券業者の経営破綻は購入者利益を害することとなる。また,同社に対し平成7年業務改善命令を発出しようとした際には,融資先の関連企業が資金繰りが窮しかねないほど経営状況が悪化しており,かつ,好転する要素が現状では見いだせない状況にあることから,結果的に抵当証券業者の経営が行き詰まる危険性が極めて高い場合には,購入者に被害が生じる蓋然性が高いから,「購入者の利益を害する事実」があると認められ,業務改善命令を発出することができる,との考え方で内閣法制局の了解を得ている。 また,「2年前には業務改善命令の発出を見合わせたにもかかわらず,今回 ,「購入者の利益を害する事実」があると認められ,業務改善命令を発出することができる,との考え方で内閣法制局の了解を得ている。 また,「2年前には業務改善命令の発出を見合わせたにもかかわらず,今回はなぜ発出することとしたのか」と問われた場合,「当時は大和都市管財の自主的な経営改善努力に期待する余地があったが,現状をみると,業務運営体制の不備は何ら改善されておらず,また,自主的な経営健全化計画も初年度より大幅未達となっており,もはや同社自身による積極的な対応を期待することができないこと から,法令に基づく命令により同社の対応を求めることとした。」と説明してはどうかと考える。 ⑤業務改善命令の内容業務改善命令の内容については,その根拠条文で与えられている裁量の範囲や,抵当証券業規制法上,業務改善命令に違反した場合には,登録の取消し又は業務停止命令の対象となることから,命令先が具体的に何をすべきか不明確であり,また,明らかに実行不可能なものは,業務改善命令として不適切である。 なお,大和都市管財の融資先はいずれも債務超過であり抵当証券の元利弁済が滞る危険性が高いことから,直接的に債務超過先に対する抵当証券の販売自粛又は買戻し等を求めることも考えられるが,直ちに経営破綻又は命令違反となりかねないという問題がある。 また,大和都市管財の抵当証券の担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいことから,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が高い。したがって,購入者保護の観点から,同社に対し,各融資の担保物件について処分価格で再評価を行わせ,それぞれの担保価値に見合った額まで抵当証券の販売額を抑制するよう求めることも考えられる。しかしながら,地価下落等による担保割れ ら,同社に対し,各融資の担保物件について処分価格で再評価を行わせ,それぞれの担保価値に見合った額まで抵当証券の販売額を抑制するよう求めることも考えられる。しかしながら,地価下落等による担保割れは全抵当証券業者に共通の問題であり,本来抵当証券とはこうしたリスクを内在しているとも考えられることのほか,この場合も直ちに経営破綻又は命令違反となる可能性がある。 ⑥弁明書の検討大和都市管財は,平成9年10月28日に弁明書を提出してきたが,その内容は不十分であり,既定方針どおり業務改善命令を発出することとする。なお,業務改善命令の発出がマスコミ報道のきっ かけとならないよう非公表とするとともに,行政内部における情報管理の徹底を図ることとしたい。 4.業務改善命令のスケジュール平成9年10月21日業務改善命令についての弁明の機会の付与同月28日弁明書の提出期限同月31日業務改善命令発出同年11月14日業務改善命令に対する回答期限なお,相手方が来局できないときは,郵便により送付することとし,その場合の回答期限は同年11月18日とする。 (ス)平成9年業務改善命令の発出近畿財務局長は,平成9年10月31日,大和都市管財に対し,同日付け内容証明郵便で平成9年業務改善命令(非公表)を送付した(その内容は,同月21日付け弁明の機会の付与に係る通知書に記載されたものと同様である。)。なお,大和都市管財に提出を求める経営健全化計画の裏付けとなる資料については,近畿財務局と本省金融会社室との間で協議の上,最低限,平成9年度から平成13年度までの大和都市管財の貸借対照表及び損益計算書並びに同社の経営状況の改善が可能であることを具体的に説明した書面が必要であり,もし,大和都市管財が提出に応じるのであれば,グループ6社の今後の経営見通 までの大和都市管財の貸借対照表及び損益計算書並びに同社の経営状況の改善が可能であることを具体的に説明した書面が必要であり,もし,大和都市管財が提出に応じるのであれば,グループ6社の今後の経営見通しを正確に把握した上で大和都市管財の貸借対照表及び損益計算書が作成されたことの裏付け資料として,この期間に対応するグループ6社の貸借対照表及び損益計算書が提出されれば更に望ましい,との了解が得られていたが,グループ6社の上記期間の収支見込みを過年度の実績等客観的な資料に基づき算出した上,当該積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど,平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項は,業務改善命令の内容として盛り込まれなかった。平 成9年業務改善命令がY1の下に届いた数日後,同人は,郵送されてきた業務改善命令書の封も切らない状態で,Y7弁護士らを伴って,近畿財務局に抗議に赴いた。【甲11,13,乙44,証人Y21】(セ)朝日新聞の報道朝日新聞は,平成9年10月31日,1面で,大阪の金融会社が,高利を約束した手形商品の販売で多数から百数十億円集めており,出資法に抵触しているおそれがある旨報道した。同新聞は,翌11月1日も,手形商法を行っていた金融会社が,抵当証券業規制法に基づく業務改善命令を近畿財務局から受けた旨報道した。【甲14,61,117】(ソ)平成9年経営健全化計画の策定〔Y3会計士,Y2らは,ナイスミドルの事務所に集まり,平成9年経営健全化計画の策定作業に取り組んだ。作業は,おおむね,Y1が計画に盛り込む事業の内容,金額,時期を,「ゴルフ場の売上げは毎年1割増しでいく。」「那須グリーンコース及びナイス大原カントリークラブにはリゾート施設を建設し,リゾート会員権を平成11年度から平成1 に盛り込む事業の内容,金額,時期を,「ゴルフ場の売上げは毎年1割増しでいく。」「那須グリーンコース及びナイス大原カントリークラブにはリゾート施設を建設し,リゾート会員権を平成11年度から平成13年度までの間にこれだけ売る。」「北海道泊別観光は平成12年度を目処に10億円で売却する。」のように実現可能性を特段考慮することなく口頭で告げ,これを各社の事業計画・予想財務諸表・新規事業の詳細資料という構成に落とし込んでいくというものであった。グループ6社はほとんど実績がなかったため,計画の策定は困難を極めたが,収益等の上昇率を高めにするため,例えば主に手形商品からの乗換え需要により平成9年夏からの数か月で約120億円を売上げたチケット制会員権が,その後も同様に販売することができることを前提にするなどし,ゴルフ会員権だけで販売経費を差し引いても約243億円以上の資金を調達して,これらをリゾート施設建設など他の計画の資金にするとともに,余剰資金を外債投資に充てて年利10パーセント以上の資金運用益 を生むことなどを前提に,主に平成11年度以降に大幅な利益を出し,平成13年度に大和都市管財グループの債務超過を解消するという結論になるよう調整を行っていった。上記計画の中には,四条畷市山林の建売分譲事業,新高駐車場における賃貸マンション事業,a区土地の土砂採取事業など,実際には事業化が具体的に検討されていなかったものも多く盛り込まれていた。Y1やY2,Y3会計士らは,いずれも上記経営健全化計画の達成は極めて困難であろうとの認識を有していた。〕【甲11,51,118,120】(タ)平成9年経営健全化計画の提出Y1及びY3会計士は,平成9年11月18日,近畿財務局に平成9年経営健全化計画(後述の修正前のもの。)を提出した上,Y3会計士から, ,51,118,120】(タ)平成9年経営健全化計画の提出Y1及びY3会計士は,平成9年11月18日,近畿財務局に平成9年経営健全化計画(後述の修正前のもの。)を提出した上,Y3会計士から,那須グリーンコースの会員権販売について,平成9年8月から10月までの実績が118億円であり,同年11月から平成10年3月までで48億円の予定であるなどとその内容を説明し,Y1も,余資運用益の実現可能性に疑問を示す近畿財務局に対し,100億円の原資で10パーセント以上の運用益が上げられなければ経営者として失格である,消費者金融で運用すれば10パーセントは十分達成可能である,などとして,その合理性を主張した。これに対し,近畿財務局は,事業計画が示されているにもかかわらず収支見込みに計上されていないものがあることなどを指摘し,収支見込みに計上する方向での修正を指示したため,Y1らは,平成9年11月25日,これらの修正を盛り込んだ平成9年経営健全化計画を再度提出した(その際,Y1は,平成9年8月以降ゴルフ会員権販売が好調となった理由は,転売可能なチケット制会員権の販売を始めたからである旨説明した。)。しかしながら,この時点での計画では,平成13年度末においても債務超過を完全には解消することができない内容となっており,近畿財務局がその旨を指摘したところ, Y1は,Y3会計士との意見調整が取れていなかったためであるとして,持ち帰って最終確認をするなどと申し出たため,近畿財務局は,明日提出するよう申し向けた。Y1は,その2日後である同月27日,平成10年4月から平成11年11月までの間に200億円規模のファッションホテル購入事業を盛り込むことで平成13年度までに65億円の収益を上乗せするなどの修正を施した上,大和都市管財グループが平成9年9月末 4月から平成11年11月までの間に200億円規模のファッションホテル購入事業を盛り込むことで平成13年度までに65億円の収益を上乗せするなどの修正を施した上,大和都市管財グループが平成9年9月末時点において全体で約144億円ある債務超過額を解消し,平成13年度末には約22億円の黒字に転ずるとした平成9年経営健全化計画の最終版を提出した(ファッションホテル事業に係る参考資料については同年12月1日に提出された。)。近畿財務局は,平成9年経営健全化計画に係るヒアリングの過程で,上記計画と,同年5月までに大和都市管財が行っていた平成8年経営健全化計画に係る説明(全国展開中のパチンコチェーン(約50店舗)の買収計画,平成9年11月に奈良市において正式決定されるはずであったa町土地におけるナイスミドルと奈良市との第3セクター方式による霊園墓地化計画,a区土地の20億円での売却計画,a区駐車場の10億円での売却計画等)との整合性や,それが頓挫している理由等についてただすことはせず,a町土地を霊園墓地化する計画に係る奈良市との協議経過や,奈良市とリステム化学研究所との間でのリサイクル事業計画の進展状況等についてY1から口頭による説明を受けたのみで,その裏付けとして奈良市に対し必要な問い合わせをすることもしなかった(なお,近畿財務局は,a町土地について,抵当証券保管機構から,前記同年8月27日付け「大和都市管財(株)の奈良県a町物件の最近の動向並びに販売枠管理の現状と今後の対応検討事項について」と題する文書により,「担保物件は,墓地予定地(一部,産業廃棄物処理場?)とのことではあるが,現況がどうなっているのか,実態を把握しておく必要があるのではないかと思料す る。」旨の指摘を受けていた。)。【甲11,93の1,118,乙41,42,証人 棄物処理場?)とのことではあるが,現況がどうなっているのか,実態を把握しておく必要があるのではないかと思料す る。」旨の指摘を受けていた。)。【甲11,93の1,118,乙41,42,証人Y17,同Y14】(チ)本件告発文書の送付大和都市管財の社員を名乗る人物は,平成9年11月ころ,大蔵本省や報道機関に対し,本件告発文書(「近畿財務局の反社会的行為と罪について」)を送付した(その内容に照らし,当該人物が大和都市管財グループの内情に詳しい者であることは明らかである。)。その抜粋は以下のとおりである。 「私は大阪市a区b町cに本社がある大和都市管財の社員です。あまり知られていない会社ですが,10月31日の朝日新聞の一面でスクープされた『手形販売の金融会社』とはうちのことです。あの記事はもちろん,翌日,翌々日と大々的に取り上げられましたが,すべて本当のことです。いえ,実態はもっと最悪です。」「しかし,今は手形は販売していません。お客様には『もっと得な商品ができた。』とか,『税制面で得な商品がある。』と言っていますが,本当は手形を出していたみどり銀行船場支店が手形を出さなくなったため,チケット制のゴルフ会員権を販売しているのです。社長は,利息さえつければ客は買うものだと言っています。410万の預託金を払ってチケット制の会員になると,1年間に12枚のプレー券がついてきて,これを系列のチケットショップ(今まで存在を知らなかった)で換金すれば,376,000円になるという計算です。預託金が410万で,年会費が12000円ですから,同封の試算表のように6.41パーセントの利息が入るようになっています。年会費などをとっているのは,『金融商品ではない』と言い訳するためですが,客には,前よりお得な商品と言ってかわせているので同じことです。 表のように6.41パーセントの利息が入るようになっています。年会費などをとっているのは,『金融商品ではない』と言い訳するためですが,客には,前よりお得な商品と言ってかわせているので同じことです。 登録料も,とったりすればだれも買うはずがないので,今なら無料と 言っています。しかも70歳の人たちにゴルフ会員権を売るなんてばかげた話です。」「朝日新聞の記事が出たとき,これで大阪府警や近畿財務局が何らかの処罰をするだろうと思っていました。そうすれば,担保に押さえている不動産で少しはお客さんに返せると思っていました。(全額は無理だと思いますが,無いよりましです)しかし,一向に動きがありません。このままでは,抵当証券や手形を買っていたお客さんがみんなゴルフ会員権を買ってしまいます。うちのY1社長は,『会員権で利息さえしっかり出していれば,再交付,再交付でつなげられる。そのうち死ぬだろう』という考え方です。抵当証券も出来るだけ5年間,解約ができない商品を売るように言われています。」「こんな営業をしなくてすむために,期待していたのが財務局の処罰ですが,改善計画も受け取ったそうです。金融に詳しい知人からは『12月20日に登録の更新があるから,あれだけ問題になったら更新されないやろ。そうすれば,自主廃業かな。社長はぱくられるやろ。』と言っていましたので,それに少し期待していたのですが,まだ財務局は何も言ってこないようなので,このままいくような気がします。社長が弁護士に電話していたのや,財務局に電話をしているのを聞くと,改善計画のポイントは『ゴルフ会員権をどんどん売って経営を立て直す』ということです。つまり,あくどいことをやると宣言しているのです。」「だから,私は東京(お客さんは東京が圧倒的に多いのです)や大阪のマスコミ,大蔵省の幹部に 会員権をどんどん売って経営を立て直す』ということです。つまり,あくどいことをやると宣言しているのです。」「だから,私は東京(お客さんは東京が圧倒的に多いのです)や大阪のマスコミ,大蔵省の幹部にこの手紙を書くことにしました。何か起きたときに,お客さんのお年寄りたちに恨まれたくありません。一人の力ない社員の声です。何とかして下さい。」【甲14,61,117,証人Y4】 (ツ)抵当権付き債権一部譲渡の販売開始大和都市管財は,抵当証券の発行に関する法務局の関与を回避すべく,平成9年12月12日付けで,那須ゴルフ場にナイスミドルを債務者とする10億円単位で計8個の抵当権仮登記を設定した上,これを担保にした債権を細分化した抵当権付き債権一部譲渡という新たな金融商品を開発してその販売を開始し,その後も,大和都市管財を債権者,グループ会社を債務者とし,グループ会社が所有する不動産を担保にした抵当権付き債権を次々と販売していった。〔もっとも,80億円が現実にナイスミドルに貸し付けられた事実はなかった。Y8は,近畿財務局等から担保価値に疑問があるため追加の抵当証券を販売しないよう指導を受けていた那須ゴルフ場を担保に大和都市管財が新たな金融商品の販売を開始したことなどに照らし,このころには,同社グループがいよいよ自転車操業の状態になっており,顧客からの資金が途絶えれば,確実に破綻に追い込まれるであろうと考えるようになっていた。〕【甲51,53,55,59】(テ)平成9年経営健全化計画の受理近畿財務局は,平成9年12月1日までに大和都市管財から提出された平成9年経営健全化計画について検討した上,①平成8年経営健全化計画と比較して,通常のゴルフ会員権に加えて大量のチケット制会員権の販売を行うこととしたほか,新たな事業計画として,ナイス 提出された平成9年経営健全化計画について検討した上,①平成8年経営健全化計画と比較して,通常のゴルフ会員権に加えて大量のチケット制会員権の販売を行うこととしたほか,新たな事業計画として,ナイス大原カントリークラブのゴルフ会員権販売,リゾートマンションやレジャースポーツ施設を建設するリゾート計画,北海道泊別観光の売却やベストライフ通商による高収益物件購入の促進等により収益の確保や含み損の解消を図るとしており,より累積損失の解消に前向きな計画が策定されている,②平成8年経営健全化計画の実績が初年度から大幅未達であったことから,その実効性について懸念もあるが,平成9年経営健全化計 画の実効性について,当局がその当否を予測することは困難であり,当局としては経営健全化計画の見直し時期に計画の進捗状況をフォローしていくこととしたい,③大和都市管財及びグループ6社の平成9年度から平成13年度までの貸借対照表及び損益計算書はすべて提出されているほか,グループ6社の経営状況の改善計画について具体的に説明した書面が提出されている,として,同月11日,これを受理する旨の決裁を了した。【乙44】(ト)本件更新登録近畿財務局長は,平成9年12月16日,大和都市管財につき,財産的基礎・人的構成等の要件をすべて満たすとして,更新登録をする旨の決裁をし,同月21日,本件更新登録をした。【乙46】(ナ)Y3会計士による説明〔Y3会計士は,このころ,Y1,Y2,Y8,Y6,Y29,Y7弁護士らを一同に集め,大和都市管財グループが全体で約150億円の債務超過に陥っていること,顧客に対する利払その他の経費で年間50ないし60億円が必要であるが,みるべき収益がないために,経費がほぼそのまま累積損失として積み上がっていく状態であることを説明した上, 務超過に陥っていること,顧客に対する利払その他の経費で年間50ないし60億円が必要であるが,みるべき収益がないために,経費がほぼそのまま累積損失として積み上がっていく状態であることを説明した上,資金集めばかり重視するのではなく,現実に収益を上げていかなければ近い将来に経営破綻が表面化するおそれがある旨述べた。〕【甲59】カ平成9年検査以降(以後,〔〕の記載は省略する。)(ア)平成9年経営健全化計画の初年度実績の報告大和都市管財は,平成10年6月8日,平成9年経営健全化計画の平成9年度実績と,平成10年度以降の計画見直しに係る追加書類等を近畿財務局に提出したが,それによると,当期利益(半期)は大和都市管財グループ全体で計画を8億円下回り,平成9年度末の資本合計も計画から27億円債務超過が拡大し,大和都市管財グループ全体の債務超過 額は約180億7000万円となっていた。Y1,Y8及びY3会計士は,同月9日のヒアリングにおいて,①ナイスミドルについて,平成9年度の利益(半期)は計画を4.5億円下回った,従来のゴルフ会員権販売は中止し,ゴルフ場に加えてレジャー施設を共通利用できる「ナイスリゾート倶楽部会員権」の販売に変更するが,平成12年度までに8000口,169億円の会員権を販売する計画は十分に達成可能である,②ベストライフ通商について,平成9年度事業はほぼ計画どおりの実績を計上し,好利回り物件投資は物件を慎重に選定しているところである,③美祢カントリークラブについて,計画していたゴルフ会員権販売を見合わせたことなどから,平成9年度の利益(半期)は計画を5億円下回った,④ナイス函館について,スノーボード場を休止したことにより売上げは減少したが,経費も不要となったために平成9年度の実績はほぼ計画どおりである,⑤リ 成9年度の利益(半期)は計画を5億円下回った,④ナイス函館について,スノーボード場を休止したことにより売上げは減少したが,経費も不要となったために平成9年度の実績はほぼ計画どおりである,⑤リステム化学研究所について,産業廃棄物処理事業において,決算期の関係から平成9年度下期内の売上げを計上することができなかったことから,平成9年度の利益(半期)は計画を少し下回ったなどと説明した。【甲51,乙48】(イ)平成9年経営健全化計画の2年度実績の報告大和都市管財は,平成11年5月31日,大和都市管財グループの平成10年度実績と,平成11年度に係る見直し計画を近畿財務局に提出した。それによると,平成10年度の当期利益は計画を約13億円下回り,債務超過額は計画より約16億円拡大して,同年度末において平成9年度末の約180億7000万円から約203億6000万円へと悪化し,平成11年3月末時点における同グループの現金預金額は約14億5000万円まで減少していた。Y1及びY8は,同日に行われたヒアリングにおいて,美祢カントリークラブ,ナイス函館,リステム化学研究所,北海道泊別観光では経費節減等によって当期利益が計画を上回 ったものの,ナイスミドルの当期利益がナイスリゾート倶楽部会員権から名称変更した「ナイスオーナーズ倶楽部会員権」の販売不振等によって計画を約12億円下回り,ベストライフ通商も四条畷市山林に係る建売分譲等の新規事業をすべて平成11年度に先送りした上,a区土地の土砂採石事業は平成11年度からの着工は困難である,a町土地の公園墓地事業は一般霊園として平成12年度よりの分譲を計画している,好利回り物件への投資については平成11年度から実行予定である,などとしていた。【甲51,乙50,52】(ウ)GFPシュアーファンドの 地事業は一般霊園として平成12年度よりの分譲を計画している,好利回り物件への投資については平成11年度から実行予定である,などとしていた。【甲51,乙50,52】(ウ)GFPシュアーファンドの販売開始大和都市管財グループは,平成11年12月から,GFPシュアーファンドという金融商品の販売を開始した。これは,グループ会社でY2が代表取締役を務めていた株式会社ゼネラルファイナンスパートナーを営業者とする匿名組合への出資名目で顧客から資金を集めるもので,大和都市管財によるコンサルタントや公認会計士による監査等による信用力を背景に集められた資金のほとんどは,投資事業ではなく抵当証券等の既存金融商品を購入した顧客に対する利払その他の経費に流用されていた。【甲51,53】(エ)平成9年経営健全化計画の3年度実績の報告Y1及びY8は,平成12年6月8日,平成11年度実績及び見直し計画資料を持参して近畿財務局を訪れ,①ナイスミドルにつき,ナイスオーナーズ倶楽部会員権は,計画3000口に対し実績650口にとどまった上,那須グリーンリゾート計画及びナイス大原カントリーリゾート計画は当面凍結するが,新規に日本の企業に対する石油,天然ガス等の貿易の仲介等を行ってコンサルタント料を得る事業の計画があるなどとし,②ベストライフ通商につき,四条畷市山林の建売分譲やa区土地の土砂採石事業は停止しているが,a町土地についてはある宗教法 人と既に契約を交わして境内墓地として開発する,好利回り物件投資は,不動産不況を無視できず,納得できるような物件もないので凍結せざるを得ないなどと説明し,③リステム化学研究所は,産業廃棄物収入は奈良市からの下請けのみで計画を大きく下回り,本格稼働は先行投資が大きすぎて難しいとし,④美祢カントリークラブにつき,抵 凍結せざるを得ないなどと説明し,③リステム化学研究所は,産業廃棄物収入は奈良市からの下請けのみで計画を大きく下回り,本格稼働は先行投資が大きすぎて難しいとし,④美祢カントリークラブにつき,抵当証券支払利息に苦しんでいる,などと現状を説明した。なお,Y3会計士は,平成12年4月ころ,大和都市管財グループとの関係を絶っていた。 【甲13,59,乙97,100】(オ)グループ社員を名乗る者の告発「大和都市管財㈱のグループ社員として,ごく最近まで勤めていた者」と名乗る人物は,平成12年6月18日付けで,金融庁や近畿財務局等に文書を送付した。同文書には,①大和都市管財グループに属する各社は形式上別法人であるが,実態はY1の個人商店であり,大和都市管財が傘下の会社(息子が社長をしている。)に融資したかのように装って抵当証券を発行し,一般投資家に販売している,②10億円で購入した不動産を70億円に鑑定してもらって50億円の抵当証券を発行し,その50億円で購入した不動産には200億円の抵当証券を発行するなどしてその発行残高を飛躍的に伸ばしている,③集めた資金から利息を支払っているので出金より入金が多いうちは被害が出ないが,このような自転車操業では早晩行き詰まり,大変な被害が出ることが予想される,④この会社は資金を運用せずに経費や利息を賄い,毎晩何十人もの社員が豪遊しており,全く返済する意思がないように見受けられる,⑤こんな会社を大蔵省や財務局はなぜ放置しておくのか,といった内容が記載されていた。 同月20日付けで,「内部告発者元社員」と名乗る人物は,「告発第二弾」と題した文書を関係先に送付した。同文書には,①大和都市 管財グループの社員はほとんど全員が,債権者である大和都市管財の仕事も,債務者であるベストライフ通商, と名乗る人物は,「告発第二弾」と題した文書を関係先に送付した。同文書には,①大和都市 管財グループの社員はほとんど全員が,債権者である大和都市管財の仕事も,債務者であるベストライフ通商,ナイスミドル,ナイス函館,美祢カントリークラブなどの仕事も兼務しており,大和都市管財グループに属する各社の印鑑や預金通帳はすべてY1が管理し,グループ各社の社長で息子であるY2や知人は元来名目のみの存在で何の権限もなかったが,Y2は解任され,現在は行方不明である,②各ゴルフ場に架空や水増しの抵当権を付けているため倒産すれば抵当証券の購入者にはほとんど配当がないことが明らかである,③公認会計士や税理士等顧問も手を引いたようであり,経理担当社員や有能な社員も一斉に辞めつつある,といった内容が記載されていた。 【甲20,21】(カ)中近東におけるコンサルタント事業等に係る説明Y1は,平成12年6月22日,近畿財務局に対し,ナイスミドルによる新規事業の概要につき,中近東に会社を2社設立し,うち1社では石油,天然ガスに関して日本企業と中近東の会社との貿易を仲介(コンサルタント事業),残り1社ではナイスミドル等が販売した会員権預り金を中近東の銀行に定期預金するというものである(余資運用事業)などと説明し,「既に中近東のある国(後に,アラブ首長国連邦(UAE)を指すことが判明した。)の王族と懇意にしてもらっており,会社設立も認められている。ただし,余計な話をするとアラブから排斥される可能性があり,口頭でしか説明できない。信じてもらえないかもしれないが,予約の金額だけでも1兆円近い話があちこちから来ている。」などと主張するようになり,その後のヒアリングでも同様の説明を繰り返した。これに対し,近畿財務局は,大和都市管財から上記新規事業についての具 予約の金額だけでも1兆円近い話があちこちから来ている。」などと主張するようになり,その後のヒアリングでも同様の説明を繰り返した。これに対し,近畿財務局は,大和都市管財から上記新規事業についての具体的な資料が提出されないことから,とりあえずお伺いしておくが,まだまだ不明な点が数多くあり,十分な疎明がされていない旨 応じていた。【乙53,99,101】(キ)報告徴求命令の発出近畿財務局長は,平成12年3月末時点での決算を踏まえたものとして大和都市管財から同年6月に提出された経営健全化計画は,内容について不明な部分が多々存在し,継続的なヒアリングによっても明確な回答がなく,計画数値を説明する資料等の提出もないとして,同年9月26日,大和都市管財に対し,抵当証券業規制法22条1項に基づいて報告を求めるので,具体的な資料や説明を付して,①ナイスミドルにおいて計上している「コンサルタント料」利益の内容について,②余資運用益について,③大和都市管財及びグループ6社の計画内容について,④大和都市管財及びグループ6社の会計処理について,⑤大和都市管財及びグループ6社の決算処理について,及び⑥大和都市管財及びグループ6社における経営健全化5か年計画と決算報告書との相違について,同年10月10日までに報告されたい旨の報告徴求命令(近財金1第134号)を発出した。うち,①については,「「コンサルタント料」は,UAEからの石油・天然ガス・ジュエリー等の輸入に伴う仲介・マネジメントに対する収益としているが,当該仲介・マネジメントの具体的内容(スキーム並びに今後の取引見込み)」を報告するとともに,大和都市管財が同年8月28日付けで提出した「報告書」において「100%大和都市管財の関連企業が持株会社となっています。」と記載されている現地 スキーム並びに今後の取引見込み)」を報告するとともに,大和都市管財が同年8月28日付けで提出した「報告書」において「100%大和都市管財の関連企業が持株会社となっています。」と記載されている現地法人に係る当該関連企業の企業名並びに資本金の調達手段及びこれを証明する書類を添付するよう要求し,②については,「ナイス・ミドル・スポーツ倶楽部(株),ナイス函館カントリークラブ(株),(株)美祢カントリークラブ,ベストライフ通商(株)において計上している「余資運用益」は,「UAEにおいてファイナンスカンパニーを設立し,・・・預金並びに投資で運用を図ることとしている が,預金並びに投資による運用で当該「余資運用益」を確保する具体的内容及びこれを証明する書類」を添付するよう要求していた。しかしながら,大和都市管財が同年10月10日に提出した報告書は,収益額の試算表が付されていたものの,その具体的な根拠(石油や天然ガスの輸出入事業に係る取引量や取引額,それに対する手数料額の根拠等)までは説明されておらず,近畿財務局は,現在提出されている資料のみでは計画に合理性があるとは判断することができないとした。【乙54,55】(ク)平成12年検査の開始等近畿財務局は,平成12年10月12日,理財部上席金融証券検査官であったY20検査官を主任検査官として,大和都市管財に対する平成12年検査を開始した。 Y20検査官らは,初日の現物検査で大和都市管財の本社屋内において現金出納帳のコピーを発見したところ(なお,被告は,それが偶然発見されたものである旨主張するが,その主張を裏付ける客観的な証拠はなく,前記のとおり平成12年検査の直前には大和都市管財から顧問税理士等が離反したり,社内から内部告発とみられる動きが相次いでいたことなどに照らすと,その発見が偶 ,その主張を裏付ける客観的な証拠はなく,前記のとおり平成12年検査の直前には大和都市管財から顧問税理士等が離反したり,社内から内部告発とみられる動きが相次いでいたことなどに照らすと,その発見が偶然によるものか,何者かの協力によるものかはいずれとも確定することができない。),その残高と手元小口現金有高とが一致し,通帳の記載ともそごがなかった上,Y16からもこれが真実の出納帳であることの確認を得られた。そこで,Y20検査官らは,同出納帳につき平成4年度以降分の提出を求めた。そして,同検査官らが,総勘定元帳と預貯金通帳・現金出納帳との照合を進めたところ,抵当証券受取利息については,平成10年3月期から平成12年3月期までの3期合計で決算書上は約91億5700万円が計上されていたものの,当座預金の記載等から実際に確認された受入額は約8億 2700万円にとどまっていたほか,本件3融資及び抵当権付き債権一部譲渡の大半につき,資金の交付を確認することができなかった。また,本件貸付金については,平成9年11月28日に弁済を受けたとされていたものの,やはり預貯金通帳の記載等からはその事実を確認することができなかった。 Y20検査官が,Y20要約においてこれらの点を指摘したところ,大和都市管財は,本件3融資については,「融資実行は,現金,振込,手形保証にて行っている。金銭消費貸借契約における金銭の貸付は,手形を含めて行える。」などと主張したが,抵当権付き債権一部譲渡に係る貸付け総額118億円余(平成12年3月末現在)については,平成13年3月21日,本件上申書を提出し,平成7年4月以降の融資先であるグループ会社からの抵当証券受取利息153億円余(同上)が未収であり,これらを関係会社勘定で処理しているとして,抵当証券受取利息はすべて収受してい 本件上申書を提出し,平成7年4月以降の融資先であるグループ会社からの抵当証券受取利息153億円余(同上)が未収であり,これらを関係会社勘定で処理しているとして,抵当証券受取利息はすべて収受していたとの当初の説明を翻し,その一部を上記貸付けとの相殺で処理している旨主張するに至った。また,大和都市管財は,本件貸付金についても,「取消」を理由として平成9年11月28日に返済を受けている旨主張した。 【甲2,135の2,乙96,138,146,証人Y20】(ケ)平成12年検査結果通知の発出近畿財務局長は,平成12年12月20日付けで大和都市管財に対し,更新登録を保留する旨の通知をした上,平成13年4月9日,概要以下のとおりの平成12年検査結果通知を示達した。 大和都市管財の販売した抵当権付き債権に係る金銭消費貸借契約のうち,少なくともナイスミドル及びベストライフ通商に対する51億2500万円の貸付けについては,資金の交付を伴っていないことから,同額の負債が発生することとなる。これに対して,大和都市管財 は,受取利息等があったとして当該負債を減少させる会計処理をしているものの,当該受取利息は,収益として認識することができないものであるなど,会計処理に合理性を欠いており,同額の負債が残存するものと認められるにもかかわらず,貸借対照表に計上されていない。 また,実質的に破綻している北海道泊別観光に対する債務保証については,少なくとも5億2000万円の債務保証損失引当金の計上が必要と認められるにもかかわらず,計上されていない。一般に公正・妥当と認められる会計処理に基づき,少なくとも検査上判明している当該負債及び債務保証損失引当金のみを計上した場合においても,大和都市管財の平成12年3月期における貸借対照表において資産の合計額から負債の合 められる会計処理に基づき,少なくとも検査上判明している当該負債及び債務保証損失引当金のみを計上した場合においても,大和都市管財の平成12年3月期における貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本の額を下回ることになると見込まれ,抵当証券業規制法8条2項において準用する同法6条1項7号に該当するものと見込まれる。 グループ6社については,少なくとも2ないし6期にわたり赤字決算を繰り返しており,債務超過額を拡大させているなど財務内容が著しく悪化し,実質的な延滞状態にある。こうした中,これら6社に対する大和都市管財の特約付き融資などの利息支払を確認することができない状況にあり,これらに対する債権については,最終の回収又は価値に重大な懸念が存在し,損失の発生の可能性が極めて高いと認められる。しかしながら,大和都市管財は,当該債権に係る貸倒引当金などの計上を全く行っていないほか,担保不動産の評価の見直しを適切に行っていないことから,一般に公正・妥当と認められる会計処理に基づき貸倒引当金などを計上した場合,同社の財務内容は,さらに悪化するものと見込まれる。 【甲136,乙57,146,証人Y20,弁論の全趣旨】(コ)大和都市管財に対する更新登録拒否等 近畿財務局長は,平成13年4月16日,抵当証券業規制法8条2項で準用する6条1項7号該当(財産的基礎の欠如)を理由として,近財金1秘第5号をもって,大和都市管財に対し,その更新登録を拒否する旨の通知をするとともに,同日,近財金1第89号をもって,大阪地方裁判所に対し,会社整理通告をした。【甲1,2】キ被告の主張について(ア)a町土地に係る販売枠指導(前記ア(サ))被告は,近畿財務局がa町土地について抵当証券の販売中止を求める行政指導を行ったことはなく,した 整理通告をした。【甲1,2】キ被告の主張について(ア)a町土地に係る販売枠指導(前記ア(サ))被告は,近畿財務局がa町土地について抵当証券の販売中止を求める行政指導を行ったことはなく,したがってこれとa区土地に係る抵当証券の発行とを交換条件とした事実もない旨主張する。 しかしながら,Y17課長も,当法廷において,平成9年8月28日の抵当証券保管機構との協議の場で,a町土地について販売枠管理がされていたことを知った旨証言していること(抵当証券保管機構がこのような管理を独自に行う権限を本来有しないことは,前記認定のとおり,同日の協議において,同機構がY17課長に対し,大和都市管財がa町土地に係る抵当権につき弁済期の変更を行うなどして再度抵当証券原券を同機構に持込んできた場合,同機構はこれを「謝絶できないので,事前に,弁済期に完済する様,指導して欲しい。」と要請していたと認められること(甲92の6の2)からも明らかである。),前記抵当証券保管機構理事長の近畿財務局長宛て同月27日付け書簡においても,a町土地に係る抵当証券原券の販売枠管理については,「大蔵省/近畿財務局/抵当証券保管機構と間で,既に,確認ずみ。(平成7年以前)」との記載があること(甲93の1)からみて,近畿財務局が,平成4年検査の結果を受けてa町土地に係る当初の不動産鑑定評価につき問題視し,平成5年ころ,上記土地に係る新鑑定評価額21億円の8割に当たる16億8000万円までしかモーゲージ証書の販売を行わないよう大 和都市管財を行政指導した事実は優に認めることができる。そして,既に認定したところからすれば,当時の大和都市管財にとって,a町土地を担保とするモーゲージ証書の額は他の担保物件に比して抜きんでて多かったことが明らかであることに加えて,Y1が,自己の刑事 そして,既に認定したところからすれば,当時の大和都市管財にとって,a町土地を担保とするモーゲージ証書の額は他の担保物件に比して抜きんでて多かったことが明らかであることに加えて,Y1が,自己の刑事責任を特段軽減するとも思われないような上記のような事情について捜査段階で進んで供述していること(甲50。その性質上,捜査機関において容易には知り得ない事実と認められる。)からみると,近畿財務局の担当者が,大和都市管財に対するa町土地に係るモーゲージ証書の販売自粛指導を円滑に行う目的を持って,a区土地(前記認定のとおり,いわゆる虫食い状態にあった上,ゴルフ場としての開発の見通しが立たない状態であった。)に係る抵当証券の発行を申請するよう何らかの方法で示唆した事実を推認することができるというべきである。こうした経緯に照らすと,平成5年ころから,近畿財務局は,その被監督業者である大和都市管財に対し,時に馴れ合い的ともいえるような態様での監督を行っていた様子がうかがわれないでもない。 (イ)平成7年業務改善命令の内容(前記ウ(オ),(キ))被告は,平成7年業務改善命令の別紙における詳細な指示事項は,それまでに大和都市管財から具体的な回答が一切されなかったことにかんがみ,同社に対して経営健全化計画の作成要領を示す観点からあえて付したものであり,仮にこの指示事項に沿わない計画が提出されたとしても,直ちに命令違反を問うことができるような位置付けのものではない旨主張する。 しかしながら,仮に平成7年業務改善命令がその本文のみであれば,大和都市管財は,後に近畿財務局に提出した平成8年経営健全化計画のような,何らの具体的裏付けのない予測に満ちた経営改善案を提出するだけで命令違反に問われないことになるのであり,こうした結果は,検 査結果通知書を通じた 務局に提出した平成8年経営健全化計画のような,何らの具体的裏付けのない予測に満ちた経営改善案を提出するだけで命令違反に問われないことになるのであり,こうした結果は,検 査結果通知書を通じた改善指導によっては大和都市管財の経営改善が期待できないとして,同社が命令に従わない場合における業務停止命令(6か月)の発令及びその日程まで決めた上で業務改善命令の発令手続を進めようとした近畿財務局の方針(乙12)や,大和都市管財が破綻する可能性をも視野に入れつつ,それでも強制的に同社から資料を提出させようとしていた,同命令発令前におけるY26課長の意図(乙142)とはかけ離れたものというほかはない。のみならず,近畿財務局長は,平成12年9月26日に大和都市管財に対して発出した報告徴求命令において,ナイスミドルが行う仲介業務等の具体的内容や,グループ会社の余資運用益の具体的内容及びこれを証明する書類等について報告ないし提出を求めているところ(前記カ(キ)),報告徴求命令も業務改善命令も,これに違反することが業務停止等の処分要件となることにおいて差異はなく,上記報告徴求命令において,グループ会社に関する資料の提出を求める部分が同命令の内容に含まれていないものと解する余地はない。なお,平成12年検査結果通知において,大和都市管財が上記報告徴求命令に違反した事実が法令違反事項として指摘されていないことは被告の主張するとおりであるが,前記カ(ケ)のとおり,平成12年検査結果通知においては,検査の結果判明した大和都市管財の過去における抵当証券受取利息が一部未収であることや,抵当権付き債権一部譲渡に係る資金交付がないことのみで同社の財産的基礎の欠如を認定するに十分であったことに照らすと,上記の判断に影響しない,いわば傍論にすぎない上記報告徴求命令違反 収であることや,抵当権付き債権一部譲渡に係る資金交付がないことのみで同社の財産的基礎の欠如を認定するに十分であったことに照らすと,上記の判断に影響しない,いわば傍論にすぎない上記報告徴求命令違反の事実の有無を検討していないとしても特段不自然ではないから,このことは,前記認定を覆すに足りるものではない。したがって,被告の前記主張は,採用することができない。 (ウ)平成7年業務改善命令撤回の有無(前記ウ(キ))被告は,平成7年業務改善命令は,大和都市管財から資金繰りに問題 がない旨の強い弁明があり,また,必要な資料は提出するとの申出があったことから,同社の資金繰りを含めて慎重に検討する必要が生じるとともに,更に指導を行って資料の提出を受け,これらを踏まえて業務改善命令の是非を改めて検討するのが妥当と認められたため,その発出を見合わせることにしたのであって,発令したものを撤回をしたわけではない旨主張する。 しかしながら,既に認定したように,平成7年8月21日以前において,大和都市管財は,近畿財務局も実現性に疑問があるとみていた平成7年収支計画や,抽象的,主観的な意気込みを示すにすぎない弁明書等を提出するのみであって,融資先であるグループ会社の経営見通しについて具体的な根拠のある資料を何ら提出しなかったために,行政指導では限界があり,取付け騒ぎ等により同社が破綻するリスクをあえて冒してでもこれらの資料を強制的に提出させることが平成7年業務改善命令発出の目的であった上,命令に従わない場合には業務停止処分まで予定されていたこと,同日の命令交付の席でもY1は資料を提出する期限,提出すべき資料の内容等について何ら言及せず,「必要な資料は提出する」とした同人の主張を信じるに足りる客観的,具体的根拠も全く付されていないこと,同日の連絡記録票 の席でもY1は資料を提出する期限,提出すべき資料の内容等について何ら言及せず,「必要な資料は提出する」とした同人の主張を信じるに足りる客観的,具体的根拠も全く付されていないこと,同日の連絡記録票(乙20)においても,Y1が上記命令の受取りを拒否した事実やその経緯は詳細に記載されているものの,近畿財務局がこれを留保する扱いとした事実やその理由等には何ら言及がないこと,平成9年業務改善命令の決裁文書(乙22)においても,平成7年業務改善命令については,「その後,D社から経営健全化計画,財源計画の提出が行われないことから,8月21日,当局は業務改善命令書を交付しようとしたが,D社は受取を拒否した。」とのみ記載され,その文面からは近畿財務局がその意思に基づいて業務改善命令の発令を留保したとは理解できないこと,被告主張に沿う証人Y21の供述(そ の内容は,Y4補佐からはY1に同和団体との関連を誇示された近畿財務局が平成7年業務改善命令を撤回したと聞かされていたが,後にY38部長に電話で確認したところ,大和都市管財から資金繰りについての強い弁明があったために発令を留保しただけであると聞かされ,後者の説明を信じた,というものである。)も,平成7年業務改善命令の撤回についてのY4補佐の説明ではなく前記のとおりその内容自体一見して不自然,不合理なY38部長の説明を信用した理由が必ずしも明らかではないことなどにかんがみると,その信用性が認め難いこと,前記ウ(ク)において認定した本件資金繰り表の作成経過及びその内容などに照らし,前記認定に反する被告の主張は採用することができない。そして,平成7年業務改善命令の発令に係る前記認定の事実経過からすれば,近畿財務局においてY1の気勢に気圧されたため同命令の発令を撤回したと評価されてもやむを得ないとい 張は採用することができない。そして,平成7年業務改善命令の発令に係る前記認定の事実経過からすれば,近畿財務局においてY1の気勢に気圧されたため同命令の発令を撤回したと評価されてもやむを得ないというべきであり,本件内部資料における「近畿財務局長は業務改善命令を撤回してしまった」との記述は,前記認定の事実経過を踏まえた近畿財務局及び大蔵本省の認識を率直に表現したものということができる。なお,被告は,Y1が同和団体との関連を示したことは上記命令の撤回(被告の主張によれば留保)とは無関係であるとし,その根拠として,仮にそうであるとすれば,同人はその後も折に触れて同和団体との関連を持ち出すはずであるところ,以降の連絡記録票にはその旨の記載はないとも主張する。しかしながら,平成7年8月21日にY1が同和団体との関連を持ち出したことは被告も争っていないにもかかわらず,同日の連絡記録票には同和団体に関する直接的な記述はなく,ただY1が組織をあげて闘う旨の発言をしたことを示す記載があるのみであることに照らすと,その後の連絡記録票等に同人が同和団体との関連を示した旨の記載がないことは,同人がそのような言及を行わなかったと認定すべき根拠とはならない。もっとも,前記認 定のとおり,近畿財務局が同人に対していわば苦手意識を有するに至ったのは,同人が同和団体に属している旨信じたからというよりは,同人らがしばしば行っていた,近畿財務局等に対する業務妨害にもなりかねないような執拗な抗議や,同人がいわば子飼いにしていた専門家の威を借り,国家公務員法違反や行政手続法違反の疑いを指摘したり,時には政治家まで動員して近畿財務局を揺さぶる手法,折に触れて示す気勢等に影響された面が大きいと認められるのであり,平成7年業務改善命令の発令を撤回するに至ったのも,Y1の 違反の疑いを指摘したり,時には政治家まで動員して近畿財務局を揺さぶる手法,折に触れて示す気勢等に影響された面が大きいと認められるのであり,平成7年業務改善命令の発令を撤回するに至ったのも,Y1のこのような気勢に気圧されたことによるところが大きいと推認されることは,前記ウ(キ)において説示したとおりである。したがって,被告の上記主張もまた採用することができない。 (エ)平成9年検査に対する近畿財務局の態度(前記オ(ア))被告は,平成9年6月ころの本省金融会社室との協議において,近畿財務局は,大和都市管財が提出した資料のみによって平成8年経営健全化計画の未達を認定して業務改善命令を発出した場合,大和都市管財が後になって別の資料を提出して反論してくるおそれがあると考え,そのような事態が生じることを避けるために,正式に立入検査を行って,大和都市管財の有している資料,グループ会社の業況等を正確に把握した上で行政処分を検討したいという意見を述べ,Y21室長がこれを採用したのであって,平成9年検査に対しては積極的な態度で臨んでいた旨主張する。 しかしながら,大和都市管財が提出した資料によって平成8年経営健全化計画の未達を認定して業務改善命令を発出した後,同社が仮に「購入者の利益を害する事実」がないことを基礎付けるような資料を提出して反論してくる事態が想定されるとして,そのような事態をなぜ回避しなければならないのかについて,被告が具体的な主張をしないこと(本 来非公表である業務改善命令発出の事実が何らかの理由で表面化した場合に取付け騒ぎが起こる可能性は当時の状況からして否定することができなかったものと思われるが,同社が近畿財務局の指導に従わない以上はやむを得ないというのが平成7年8月時点における近畿財務局の認識であったことは前記認定の 可能性は当時の状況からして否定することができなかったものと思われるが,同社が近畿財務局の指導に従わない以上はやむを得ないというのが平成7年8月時点における近畿財務局の認識であったことは前記認定のとおりであり,平成8年経営健全化計画の初年度実績が大幅な未達であることが明らかとなっていた当時においては,同社の経営状況はその時点より更に悪化していたのであるから,上記のような認識を変更する必要性,合理性は基本的に存在しないと認められ,他にこれを覆すに足りる証拠もない。また,業務改善命令を発出した後,仮にその前提となる事実認定に誤りがあったことが判明したとしても,そのような資料を提出させることもまた業務改善命令を発出する目的の一つということができる上,争点8で検討するとおり,被命令者がこれに違反したからといって財務局長等が必ず業務停止命令等の追加措置を講じる必要が生じるわけでもない。),既に認定したような平成9年検査の経緯に照らすと,同検査において,近畿財務局がグループ会社の財務状況を把握しようとして積極的な姿勢で調査を遂行したとは到底認めることができない。かえって,近畿財務局が,本省金融会社室から具体的な指示を受けて一度は適法に入手したグループ会社に係る帳簿類を,大和都市管財グループからの抗議を受けてその必要もないまま独断で返却してしまった上,平成6年検査や平成12年検査では行い,争いなく抵当証券業規制法による調査権限の範囲内である大和都市管財の預貯金通帳と同社の総勘定元帳との照合すら行わなかったことなどに照らすと,むしろ,立入検査の早期実施は,業務改善命令の発出に難色を示す近畿財務局に対し,本省金融会社室が次善の策として指示したと解する方がはるかに自然である。したがって,被告の主張は採用することができない。 (オ)平成9年 ,業務改善命令の発出に難色を示す近畿財務局に対し,本省金融会社室が次善の策として指示したと解する方がはるかに自然である。したがって,被告の主張は採用することができない。 (オ)平成9年検査で近畿財務局がグループ会社の帳簿類を返還した経緯等(前記オ(エ))被告は,近畿財務局は,平成9年検査においてY8から任意に提出を受けたグループ会社の帳簿類について,グループ会社からその検証については了解していないなどとの抗議があり,融資先グループ会社に対する検査権限のない近畿財務局はその返還を余儀なくされた旨主張する。 しかしながら,既に説示したとおり,グループ会社の帳簿類等であっても,大和都市管財が所持しているものについては近畿財務局長に抵当証券業規制法22条1項に基づく検査権が及ぶことは明らかであり,その際に帳簿類又はその写しを被検査者に提出した第三者の承諾を必要とするような規定は見当たらない(前記のとおり,近畿財務局も,同局の権限の範囲に関するY1らの抗議に対し,グループ会社の帳簿類に対する検査を行う権限を有することについては大蔵本省にも確認している旨返答している。)上,実務として被告主張のように運用されていることを認めるに足りる証拠もない。かえって,Y26課長及びY21室長がともに,当法廷において,大和都市管財が所持している資料であれば特段その作成名義人を問うことなく近畿財務局の検査権限は及ぶ旨の証言をしていること,前記認定のとおり,グループ会社の帳簿類を検査の対象に含めることについては本省金融会社室がY17課長の消極姿勢を押し切って進めさせた経緯があること,Y14検査官及びY17課長が,帳簿類を返還するについては近畿財務局の上層部が大蔵本省とも協議したと思う旨証言しながら,その具体的な協議先等についてはあいまいにしか供述す 進めさせた経緯があること,Y14検査官及びY17課長が,帳簿類を返還するについては近畿財務局の上層部が大蔵本省とも協議したと思う旨証言しながら,その具体的な協議先等についてはあいまいにしか供述することができず,他方,Y21室長の証言及び陳述書のいずれからも,グループ会社の帳簿類を返還することについて了解したという事実はもとより,近畿財務局とその点を協議した事実もうかがわれないこと,に照らすと,近畿財務局が大和都市管財側からの抗議にあって 独断でグループ会社の帳簿類を返却したことが優に推認されるというべきである。 なお,前記認定事実によれば,Y2やY6が近畿財務局に抗議に赴いたのは,Y8がグループ会社の帳簿を近畿財務局に提出した際,同局がグループ会社の同意を得ていなかった事実を強調してみせるためであり,その目的は,本件貸付金がナイスミドルの総勘定元帳に記載されていない事実について指摘を受けたことを契機として,グループ会社の帳簿の検査を通じて本件貸付金を含めた架空融資の実態ひいてはそれら各社の事実上の破綻が白日の下にさらされ,大和都市管財が苦況に陥ることを防ぐことにあったにすぎないのは明らかであるから,Y6らが抗議に赴いた事実やその際の発言をもって,グループ会社がその帳簿類について大和都市管財を離れた独自の利害を有する証拠と解することはできない。 この点につき,被告は,Y2やY6の上記のような抗議内容から,Y14検査官らがグループ会社はY1の支配から相当程度自由な状態で経営を行っていると認識したことには一定の合理性がある旨主張し,証人Y14も当法廷においてこれに沿う証言をする。しかしながら,そのような認識は,平成9年検査を受けて発出された平成9年業務改善命令に係る決裁文書における「融資先と融資している抵当証券業者とが一体となっ 14も当法廷においてこれに沿う証言をする。しかしながら,そのような認識は,平成9年検査を受けて発出された平成9年業務改善命令に係る決裁文書における「融資先と融資している抵当証券業者とが一体となった極めて特異な状況(実質上の自己融資)となっている」との記載はもとより,大和都市管財グループはY1の統括下にあったという平成7年当時におけるY26課長の認識や,既に摘示した平成13年の会社整理通告書(甲2)における,グループ会社各社はY1による実質支配会社であるとする旨の近畿財務局長自身の指摘(前記第2の4(22))とも異なっている上,証拠(甲118)によっても,ナイスミドルの社長としての立場で抗議を行っていたY2自身,これに対する近畿財務局側の対応について,「会長や私達の抗議・主張が全く取るに足らないものだ として,さりげなく聞き流すような対応しかされなかったように思います。」と捜査機関に供述していたものと認められること,その他前記認定のような本件の経緯に照らすと,グループ会社の独立性を殊更強調したY6らの主張が真意に基づくものであると信じたとする同証人の供述自体信用するに足りず,したがって,これに依拠する被告の主張も採用することができない。 そして,前記認定のとおり,平成9年検査においては大和都市管財グループ全体の財務状況の実態及び資金繰り状況の確認が主要な着眼点の一つとされていたのであり,グループ6社の総勘定元帳等の帳簿類はその確認のため必要不可欠な資料であったということができる上,特約付き融資に係る融資先であるグループ6社のこれらの帳簿類はその融資元である大和都市管財において融資審査の過程等で取得していたとしても一般的には何ら不自然でないものということができることにもかんがみると,近畿財務局は,平成9年検査の目的を達成するた 簿類はその融資元である大和都市管財において融資審査の過程等で取得していたとしても一般的には何ら不自然でないものということができることにもかんがみると,近畿財務局は,平成9年検査の目的を達成するために不可欠な資料として適法に取得していたグループ会社の帳簿類を大和都市管財側からの抗議を受けて合理的な理由なしに返却しその検証を不可能にしたものといわざるを得ない。 以上のとおりであるから,被告の前記主張は採用することができない。 (カ)平成9年検査で大和都市管財の預貯金通帳を調査しなかった理由(前記オ(エ))被告は,立入検査の方法については主任検査官の専門技術的な裁量にゆだねられるというべきところ,大和都市管財がグループ会社との資金移動を預貯金口座を通して行っているとの前提がなければ,預貯金口座を調査しても実益がない上,Y1やグループ会社の預貯金口座を調査する権限は抵当証券業規制法によって与えられていなかったから,Y14検査官が大和都市管財の預貯金口座を調査しなかったことは特段不合理 ではない旨主張する。 しかしながら,平成12年検査の結果等からみて,少なくとも大和都市管財の預貯金口座を調査すれば,グループ会社からの入金は抵当証券受取利息相当額を大きく下回るものでしかない事実,その入金の時期や金額が帳簿上の記載と符合していない事実等は最低限確認することができたと優に推認することができる上,特約付き融資に係る利息額の規模からみて,現金でその出入金が行われていたとみるのも通常は不自然というべきである。また,前記認定のとおり,本件貸付金についても,Y3会計士は,大和都市管財からナイスミドルに対して55億円相当の小切手を交付した旨供述していたのであるから,その供述どおりとすれば,大和都市管財の当座預金口座に55億円の出金についての痕跡が も,Y3会計士は,大和都市管財からナイスミドルに対して55億円相当の小切手を交付した旨供述していたのであるから,その供述どおりとすれば,大和都市管財の当座預金口座に55億円の出金についての痕跡が残るのが通常であり,ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金の記載がなかったためにY14検査官がその実在性について疑義を持ったというのであれば(しかも,カラ融資が悪質な抵当証券業者が行う典型的な詐欺行為の一つであるという事実は,遅くとも平成3年から公知の事実であったことは既にみたとおりである。),少なくとも上記の点を確認するため大和都市管財の当座預金口座を調査するのがむしろ当然であるにもかかわらず,同検査官は,あえてこれをしなかった積極的な理由について何ら証言又は陳述するところがない。被告は,大和都市管財の総勘定元帳に本件仕訳が記載されていたことを根拠に,直接Y1から55億円が小切手でナイスミドルに交付されたと考えるのが自然である旨主張するが,そもそも,そのような可能性は,大和都市管財の当座預金口座に55億円の出金についての痕跡が存在しないことが確認されて初めて検討の対象となるべきものである。この点を措くとしても,前記認定事実によれば,Y1は,平成6年検査当時から一貫して,近畿財務局に対し,大和都市管財の同人からの借入れに係る同人の資金調達先(スポンサー)に ついて,その氏名ないし名称を始めその詳細を明らかにしない態度をとり続けていた上,個人が数十億円ないしそれ以上の資金をその調達先を明らかにすることができないスポンサーから相当な金利(前記ウ(タ)のとおり,Y1は,近畿財務局が平成8年5月2日に実施したヒアリングにおいて,同人が個人的に調達している借入資金のレートは銀行レートにプラスアルファ程度である旨述べていた。)で借り受けるといっ タ)のとおり,Y1は,近畿財務局が平成8年5月2日に実施したヒアリングにおいて,同人が個人的に調達している借入資金のレートは銀行レートにプラスアルファ程度である旨述べていた。)で借り受けるといった事態は通常考え難いことである上,借入条件にかかわるY1の説明も一貫していないのであり(平成7年12月26日のヒアリングにおいて,Y1からの借入金91億円については大和都市管財から年3パーセント前後の利息の支払を受ける予定で調整しており,金利の支払については約定どおりきちんと支払っている旨述べ(乙28),平成9年5月26日付け個別質問事項に対する回答においては大和都市管財のY1からの借入金91億9100万円の利率は年8パーセントであるなどと記載していた。),近畿財務局においてもスポンサーがいるとのY1の主張については平成6年検査当時から一貫して疑問を持って対応していたというのであるから,Y14検査官らにおいてY3会計士の上記供述内容からY1から直接ナイスミドルに55億円が交付されたと合理的に推認し得たということもできない。しかも,平成9年検査は,平成6年検査より1名多い6名の検査官を投入し,立入検査期間も倍の6日間を予定して行われたのであって,被検査金融機関に係る預貯金通帳の調査という基本的な調査につき人的手当てが困難であったと解すべき合理的な理由も特段見いだせない。そうすると,Y14検査官らが平成9年検査において大和都市管財の預貯金通帳を調査しなかったことには,何ら合理的な理由は認められないというほかない。 (キ)平成9年業務改善命令の内容(前記オ(シ)(ス))被告は,業務改善命令の対象は抵当証券業者であって,その融資先は 対象となり得ないから,抵当証券業規制法の権限に基づいてグループ会社の事業に係る客観的資料の提出を求めるこ 前記オ(シ)(ス))被告は,業務改善命令の対象は抵当証券業者であって,その融資先は 対象となり得ないから,抵当証券業規制法の権限に基づいてグループ会社の事業に係る客観的資料の提出を求めることはできないと判断し,大蔵本省及び内閣法制局とも協議の上,平成9年業務改善命令においては,平成7年業務改善命令の別紙のような詳細な指示事項を付さなかったものである旨主張する。 しかしながら,近畿財務局が,平成12年にはナイスミドルが行う仲介業務等の具体的内容や,グループ会社の余資運用益の具体的内容及びこれを証明する書類等について報告ないし提出を求める報告徴求命令を発出したことについては既に認定したとおりであり,これと平成9年業務改善命令に係る被告の上記説明との整合性は何ら明らかにされていない(被告は,提出を求めるグループ会社に係る資料に関する説明を付した業務改善命令を発出すること自体が不適切であると主張しているが,仮にそうであれば,それら資料の提出を端的に要求している報告徴求命令の発出がより不適切であるのは明らかである。)。のみならず,平成9年業務改善命令の決裁文書(乙22)においても,平成7年業務改善命令において,融資先であるグループ会社の経営状態が危機的であることをもって融資元である抵当証券業者が「購入者の利益を害する」と認定することのできる根拠について内閣法制局と協議した事実は記載されているものの,平成7年業務改善命令において付した別紙を平成9年業務改善命令において付さなかったことについて内閣法制局と協議した事実については何ら記載されておらず,そのような協議が存在したことを裏付けるに足りる客観的証拠も存在しない(しかも,同じ大和都市管財に対しておおむね同一の理由で発令する平成7年業務改善命令と平成9年業務改善命令とでその精密さの度 ず,そのような協議が存在したことを裏付けるに足りる客観的証拠も存在しない(しかも,同じ大和都市管財に対しておおむね同一の理由で発令する平成7年業務改善命令と平成9年業務改善命令とでその精密さの度合いに大きく差異があることは,通常であれば決裁文書の中で説明を行うべき事項と考えられるところ,その理由が内閣法制局の意見にあるとすれば,これを決裁文書において一 切引用しないことはにわかに考え難い。)。 また,被告は,「業務改善命令に基づく経営健全化計画の受理について」と題する決裁文書(乙44)において,「もし,D社が提出に応じるのであればD社の関連会社6社の今後の経営見通しを正確に把握した上でD社のB/S,P/Lが作成されたことの裏付け資料として関連会社6社のD社と同じ期間のB/S,P/Lが提出されれば更に望ましいと考えていたところである。(本省金融会社室と協議済)」との記載があることをもって,大和都市管財に対してグループ6社の決算書等の資料の提出を強制的に求めることができないとの判断について本省金融会社室と近畿財務局との間で共通の理解が存した根拠である旨主張しているが,上記記載からも明らかなとおり,上記決裁文書が「提出されれば更に望ましい」としているのはグループ6社の将来の収益見込みを反映した予想貸借対照表・予想損益計算書のことであって,既に作成され,現に大和都市管財が所持している過去のグループ6社の決算書等のことではない。したがって,被告の上記主張も採用することができない。 加えて,被告は,平成9年以前に抵当証券業者に対して業務改善命令を発出した事案は,いずれも資金繰りの破綻が認められた事案であることからすると,平成9年業務改善命令のように融資先の経営悪化をもって業務改善命令を発出するということ自体,相当踏み込んだ判断をした結 を発出した事案は,いずれも資金繰りの破綻が認められた事案であることからすると,平成9年業務改善命令のように融資先の経営悪化をもって業務改善命令を発出するということ自体,相当踏み込んだ判断をした結果である旨主張する。しかしながら,平成7年業務改善命令については措くとしても,証拠(甲206,207,証人Y4)によれば,平成7年に不動産抵当證券に対して発出された業務改善命令は,同社がなお資金繰りとしては破綻しておらず,現にその後約2年にわたって新規抵当証券の販売等が可能であった段階で出されていたことが明らかであるから,被告の上記主張はその事実的前提を欠くというべきである。 以上のとおり,平成9年業務改善命令においては抵当証券業規制法に 基づく財務局長等の権限についての法的検討を踏まえた上で平成7年業務改善命令の別紙のような詳細な指示事項を付さなかった旨の被告の前記主張を採用することはできず,前記認定事実を併せ考えると,近畿財務局は,平成9年業務改善命令においては,大和都市管財に対し経営健全化計画の提出を求めるに当たり,グループ会社6社の将来の収益見込を反映した予想貸借対照表,予想損益計算書が提出されれば望ましいとするにとどめ,グループ会社6社の収支見込みを過年度の実績等客観的な資料に基づき算出した上当該積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項をあえて命令の内容として盛り込まなかったものと認めざるを得ない。 ク原告らの主張について(ア)Y20要約と平成12年検査結果通知とのそご(前記ク(ク)(ケ))原告らは,Y20要約が本件3融資の架空性について指摘していたのに対し,平成12年検査結果通知ではこの点が抜け落ち,平成10年以降に発生した抵当権付き債権 検査結果通知とのそご(前記ク(ク)(ケ))原告らは,Y20要約が本件3融資の架空性について指摘していたのに対し,平成12年検査結果通知ではこの点が抜け落ち,平成10年以降に発生した抵当権付き債権一部譲渡の架空性のみを問題点として示達したのは,本件更新登録の違法性を近畿財務局が隠匿するためであった旨主張する。しかしながら,本件3融資については,事後的にも大和都市管財から融資先のグループ会社(美祢カントリークラブ,ナイスミドル,ベストライフ通商)に対して資金移動が存在しなかったと断定するに足りる証拠はないのは争点2において既に説示したとおりであることに加え,本件上申書において大和都市管財が抵当証券受取利息との相殺を主張していたのが抵当権付き債権一部譲渡に係る貸付債務のみであったことからすると,平成12年検査結果通知で本件3融資についての指摘が脱落していたことのみから,その理由が本件更新登録の違法性の隠匿にあったと推認することはできないというべきである。 (イ)本件更新登録の「真の理由」原告らは,近畿財務局長が本件更新登録を行ったのは,①Y23議員からの圧力があったこと,②非常な不祥事である本件命令撤回事件を隠ぺいする必要があったこと,から,平成9年業務改善命令を発出する代わりに更新登録は認めるという旨の裏取引が大和都市管財との間に成立したからである旨主張する。 そこで検討するに,証拠(甲63,96ないし99,131)によれば,旧大蔵省出身のY23議員は,平成13年11月20日に行った記者会見において,①平成9年ころ当時のY22大蔵大臣の紹介でY1と知り合ったこと,②大和都市管財に対する調査の進捗状況を知りたいとして近畿財務局長に数回電話をしたこと,③平成12年11月から平成13年3月まで,ナイスミドルから事務員の 大蔵大臣の紹介でY1と知り合ったこと,②大和都市管財に対する調査の進捗状況を知りたいとして近畿財務局長に数回電話をしたこと,③平成12年11月から平成13年3月まで,ナイスミドルから事務員の給与名目で政治献金約97万円の振込みを受け,この事実を政治資金収支報告書に記載しなかったこと,を認めたこと,同議員は,平成15年3月28日,大手職業訓練会社や建設会社から政治献金を受け取りながら,自身の資金管理団体の収支報告書に上記政治献金による1億6800万円の収入を記載しなかった政治資金規制法違反の罪で起訴され,平成16年12月24日,東京地方裁判所で同法違反及び詐欺により懲役2年8月の実刑判決を受けたこと,が認められる。しかしながら,同時に,上記証拠によれば,Y23議員が平成12年検査に際しても近畿財務局長に数回電話をしたと記者会見で述べたことが認められるところ,平成12年検査結果通知において大和都市管財の財産的基礎が否定されたことは前記のとおりであること,既に説示したように,那須ゴルフ場に係る抵当証券追加発行分の販売自粛問題についても本省金融会社室等に対して政治家からの圧力ともとれる介入が数回あったものの,販売自粛の行政指導自体は継続して行われていたことなどを考慮すると,上記認定事実によっても, Y23議員による近畿財務局長に対する問い合わせがあった事実自体が本件更新登録の主要な理由であったとまでは解し難い。 また,本件命令撤回事件についても,前記認定によれば,Y4補佐が警察庁生活安全局に対して手形商品に係る捜査を依頼し,その際に本件命令撤回事件について言及した平成8年8月末ころの時点では,少なくとも本省金融会社室にとっては,一般の問い合わせ等に対してはともかく,官庁間の情報共有等の過程でも本件命令撤回事件の存在そのものを 命令撤回事件について言及した平成8年8月末ころの時点では,少なくとも本省金融会社室にとっては,一般の問い合わせ等に対してはともかく,官庁間の情報共有等の過程でも本件命令撤回事件の存在そのものを絶対的な秘匿事項としていたとまでは認められず,その後,大阪府警からこの件についての問い合わせを受けた近畿財務局Y38部長の依頼で,Y21室長がY4補佐とY27係長に大蔵省としての平成7年業務改善命令についての公式見解を念押しした経緯があったとしても,その態様からみてそのことが直ちに上記事件が大蔵省を挙げて秘匿すべきような重大な秘密事項であったとまで推認することはできない上,平成9年12月の段階で大和都市管財の更新登録を拒絶したとしても,必然的に本件命令撤回事件の存在が明らかになるというわけではないから,原告らが主張するように,本件命令撤回事件を秘匿するために本件更新登録を行ったと判断するのは証拠上無理があるといわざるを得ない。 ケ小括以上によれば,大和都市管財については,遅くとも平成4年ころから近畿財務局がその本体の抵当証券商法の問題性(不動産鑑定の過大評価等)を認識し,当初は検査と指導を通じてその監督を図っていたものの,グループ会社の一社が出資法違反の疑いが強い手形商品の販売を開始したことで,平成6年検査以降,グループ会社全体を含めた収益状況を監視する姿勢を強め,それが大和都市管財の非協力的な姿勢によって拒絶されたことを受けて業務改善命令を含めた強い措置を執る方針を一度は決定したが,同和団体との関連をも示して威迫するY1の気勢に気圧され,また木津信 抵当証券の処理や住専国会等の他案件に忙殺されたこともあって近畿財務局,本省金融会社室ともに十分に監督ができない状態が続いたところ,大蔵本省は手形商品に対する出資法違反による捜査を行う 津信 抵当証券の処理や住専国会等の他案件に忙殺されたこともあって近畿財務局,本省金融会社室ともに十分に監督ができない状態が続いたところ,大蔵本省は手形商品に対する出資法違反による捜査を行うよう司法当局に情報提供することで突破口を開こうとしたが捜査機関が迅速に動かず,Y1への対応の矢面に立つ近畿財務局の担当者も同社に対する監督にいよいよ及び腰となり,単体としての大和都市管財の当面の資金繰りを検証することへと監督の範囲をわい小化させ,平成9年検査では,国家公務員法(守秘義務)違反等を理由とする大和都市管財側の揺さぶりもあってこのような消極姿勢が頂点に達し,手続的な違反事由を認定したのみで財務状況の把握はほとんど行わなかったが,その後,大和都市管財グループの経営状態がますます悪化し,資金繰りの不安が顕在化するとともに,将来の経営立て直しに向けてY1が示す青写真が荒唐無稽の度合いを増すにつれ,遂に同社を放置することができなくなり,更に大和都市管財が抵当権付き債権一部譲渡など抵当証券業規制法上の規制が直接及ばない抵当証券まがい商法まで行うようになったことから,平成12年検査においてグループ内の資金の不自然な動きを追及していった結果,最終的に,大和都市管財側の釈明を逆手に取る形で抵当証券受取利息の資産性を否認するとともに簿外債務を認定し,平成13年4月に同社の更新登録拒否に踏み切った,というのが本件の大まかな経緯ということができる。 (4)近畿財務局長が本件更新登録に先立って知り,又は監督権限の適時かつ適切な行使によれば容易に知り得た情報に照らして,当該抵当証券業者が破綻する危険性が切迫していることを示す徴表を財務局長等において把握していたといえるか否かア大和都市管財が破綻する危険性が切迫していることを示す徴表前記(3)において らして,当該抵当証券業者が破綻する危険性が切迫していることを示す徴表を財務局長等において把握していたといえるか否かア大和都市管財が破綻する危険性が切迫していることを示す徴表前記(3)において認定した事実及び既に争点2に対する判断において認定した事実,並びにこれらの事実から容易に推認することができる事実に照 らし,近畿財務局長が本件更新登録に先立って知り,又は監督権限の適時かつ適切な行使によれば容易に知り得た情報のうち,本件更新登録直前までの時期において,大和都市管財が破綻する危険性が切迫していることを示す徴表としてあげられる事情を挙げれば,以下のとおりである。 (ア)大和都市管財グループの一体性とY1の役割平成9年当時,グループ6社の代表取締役はY2又はY6が務めていた。Y2はY1の長男であり,本件更新登録時は35歳であったが,昭和60年3月に関西大学工学部を卒業して以降の職歴のほとんどは大和都市管財グループにおけるものであって,就職後約2年でグループ6社の中核であるナイスミドルの代表取締役に就任し,同社が他のグループ会社を子会社化するにつれ,順次その代表取締役に就任した。Y6は,遅くとも昭和55年からY1の知己であり,同人の知恵袋となっていた。 また,ナイス函館,美祢カントリークラブ及び北海道泊別観光はナイスミドルの100パーセント子会社であり,Y1とY2の両名で,大和都市管財の90パーセント,ベストライフ通商の95パーセント,ナイスミドルとリステム化学研究所のそれぞれ100パーセントの株式を各保有していた。このような人的物的関係を通じて,大和都市管財の代表取締役であるY1は,同社グループに属する全企業を完全に掌握下に置いており,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資は,事実上,大和都市管財グループにおける資 関係を通じて,大和都市管財の代表取締役であるY1は,同社グループに属する全企業を完全に掌握下に置いており,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資は,事実上,大和都市管財グループにおける資金調達部門としての大和都市管財が,事業部門であるグループ6社に対して,抵当証券の販売によって集めた資金を移動させたという構図と同視することができ,正に自己融資であった。 また,大和都市管財グループ全体の顧問税理士は,平成9年当時,Y3会計士が務めており,同会計士は,平成7年収支計画,平成8年経営健全化計画及び平成9年経営健全化計画の策定に主導的に携わっていた。 (イ)大和都市管財における融資審査体制の不備大和都市管財は,平成6年検査の以前から,特約付き融資に当たって融資先の事業計画書,返済能力や担保に関する資料等を一切徴求しておらず,近畿財務局からもその不備を度々指摘されていた(したがって,グループ各社に特約付き融資を必要とするいかなる資金需要があるのかは近畿財務局にも判然としていなかったことが明らかである。)。Y1は,近畿財務局からの上記指摘に対し,これがうちのやり方である,書類さえ徴求すればよいというものではないなどと反論し,融資審査体制を容易に改めようとしなかった。 (ウ)大和都市管財の近畿財務局に対する非協力的な態度大和都市管財は,①平成6年検査において,手形商品についてY7弁護士から話を聞こうとしたY24検査官に対し,「何の権限があって弁護士に話を聞くんだ。」と電話で抗議し,東京支店で行った現物検査についても,女性社員の机を開けたなどとして抗議を行ったほか,当初は融資先に関する一切の資料提出を拒否するなどし,②平成7年業務改善命令の発令に対して,「(同和団体の)組織をあげて闘う」などと猛然と抗議した上で命令書の受 開けたなどとして抗議を行ったほか,当初は融資先に関する一切の資料提出を拒否するなどし,②平成7年業務改善命令の発令に対して,「(同和団体の)組織をあげて闘う」などと猛然と抗議した上で命令書の受取りすら拒否してその撤回に追い込み,③那須ゴルフ場を担保として追加発行された抵当証券の販売自粛指導に対しても近畿財務局や本省金融会社室,法務省民事局等に繰り返し抗議の電話を掛けるなどして抵抗し,④平成9年検査においても,「なぜ財務局検査がマスコミに漏れるのだ。」などと抗議して立入検査の開始を遅らせたり,近畿財務局がY8から任意に提出を受けたグループ会社の帳簿を検査したことに対して強く抗議してその返還を受けたり,当初は提出するとしていた連結決算書をY3会計士の病気やマスコミに財務内容等が漏洩するおそれがあることを口実に提出しないなど,近畿財務局による監督権限の行使に対して総じて非協力的な態度を取っていた のみならず,威力を示して牽制するなどの行動に出ることもしばしばであった。 (エ)大和都市管財における預貯金通帳の記載平成9年検査において,近畿財務局は大和都市管財の預貯金通帳を調査していないが,当時,預貯金通帳の記載上,グループ各社からの入金額は,大和都市管財の総勘定元帳に記載された抵当証券受取利息の額を大幅に下回っていたことは明らかである。また,本件貸付金は,大和都市管財の帳簿上は平成9年11月28日に返済されたことになっているが,同社の預貯金通帳の記載上からは上記返済は確認することができなかった。 (オ)大和都市管財における総勘定元帳の記載平成9年3月期における大和都市管財の総勘定元帳には,(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金(借方)長期借入金/(貸方)抵当証券受取利息といった,それ自体では資金の移動の有無を確認 元帳の記載平成9年3月期における大和都市管財の総勘定元帳には,(借方)抵当証券貸付金/(貸方)長期借入金(借方)長期借入金/(貸方)抵当証券受取利息といった,それ自体では資金の移動の有無を確認することができない仕訳が多用されていた。また,グループ会社の総勘定元帳においても,大和都市管財に対する特約付き融資に係る利息の支払は,その多寡を問わずに現金勘定で処理されていたのが通例であったところ,大和都市管財は,近畿財務局に対し,現金の入出金については日次では把握,管理しておらず,税理士が定期的に伝票から帳簿を整理しており,正確な残高を証明することができる資料はない旨説明していた。 (カ)大和都市管財グループによる資金集め大和都市管財は,バブル経済の崩壊後は低迷を続けていた抵当証券業界(平成8年7月末現在の全業者の抵当証券販売残高は前年と比較して約20パーセント減少していた。)にあって,平成9年3月期まで年々抵当証券の販売残高を伸ばしていた。のみならず,その販売利率も,お おむね4パーセント台という定期預金その他の金融商品はもとより抵当証券業者の中でも高い方であった(本件内部資料においても「当社の抵当証券の販売については,バブル経済崩壊後低迷を続ける抵当証券業界にあって,年々残高を伸ばしており(かなりの高利率をつけて販売している),業界においても上位にランクされるに至っている。」旨記載されている。)。 また,大和都市管財グループは,同社の抵当証券発行額が限度一杯に達したことから,平成6年8月から手形商品の販売を開始し,抵当証券の購入者を同商品に乗り換えさせ,近畿財務局から度々出資法違反の疑いがある旨指摘されたにもかかわらず,それから約2年間にわたってその販売を継続し,平成9年3月末現在でその販売高は約150億円に達していた。 を同商品に乗り換えさせ,近畿財務局から度々出資法違反の疑いがある旨指摘されたにもかかわらず,それから約2年間にわたってその販売を継続し,平成9年3月末現在でその販売高は約150億円に達していた。同グループは,手形商品の販売中止とほぼ軌を一にして,その乗換え商品の性格をも有するチケット制会員権の販売を開始したが,これは,チケットがグループ会社で換金可能となっており,実質的には金融商品であって,本件更新登録時ころのその実質年利は6.41パーセントであったため,やはり出資法違反の疑いが濃いものであった。そのほか,大和都市管財は,平成7年11月から,年利を上げる代わりに中途解約ができないベストモーゲージという名称の抵当証券の販売を新たに開始していた(ベストモーゲージという名称の抵当証券の販売については,平成8年8月2日の一般人からの本省金融会社室に対する通報で触れられており,また,チケット制会員券の販売については,本件告発文書に記載されていたほか,平成9年11月25日に大和都市管財が平成9年経営健全化計画(修正版)を近畿財務局に提出した際にY1が同局側にその事実を説明していた。)。 (キ)大和都市管財の特約付き融資に係る担保評価の実態等近畿財務局は,平成4年検査において,墓地見込地であることを前提 に約60億円として評価されていたa町土地につき,抵当証券交付申請書添付のための鑑定評価としては不適当である旨指摘した。そこで,大和都市管財において宅地見込地としての適正価格について改めて鑑定を行ったところ,21億円との評価が出された。これを受けて,抵当証券保管機構と近畿財務局及び大蔵本省とが協議の上,近畿財務局において大和都市管財に対しその8割に相当する16億8000万円を超える部分のモーゲージ証書の販売中止を指導した。 また,大和都 て,抵当証券保管機構と近畿財務局及び大蔵本省とが協議の上,近畿財務局において大和都市管財に対しその8割に相当する16億8000万円を超える部分のモーゲージ証書の販売中止を指導した。 また,大和都市管財は,平成5年12月,a町ゴルフ場用地につき,ゴルフ場予定地であることを付加価値として見込んだ上で4億8010万円とする不動産鑑定評価を得て,3億8000万円の抵当証券について交付申請をしたが,釧路地方法務局から評価の前提に誤りがある旨の指摘を受けたため,抵当証券の申請額を1億9000万円に減額することを余儀なくされた。 さらに,大和都市管財は,平成7年10月,那須ゴルフ場につき約202億円の不動産鑑定評価を得て130億円の抵当証券の発行を申請したところ,宇都宮地方法務局那須出張所から鑑定価格が高すぎるとされたため,同年11月,抵当証券の申請額を100億円に減額することを余儀なくされたが,平成8年5月,改めて55億円の抵当証券の追加発行を申請し,同年6月,上記経緯の引き継ぎが十分にされていなかった同出張所から55億円の抵当証券の発行を受け,その後事情を知った法務本省からの通報を受けた大蔵省(近畿財務局)の指導を受けて当該抵当証券に係るモーゲージ証書の販売を自粛した。 そのほか,抵当証券保管機構が,本省金融会社室からの依頼で平成9年4月ころに大和都市管財による特約付き融資の担保物件の一部について簡易鑑定を実施したところ,その価格はおおむね同社が抵当証券の発行に際して法務局に提出していた不動産鑑定評価額の半額程度しかない との結果が出ていた。 そして,近畿財務局も,大和都市管財の抵当証券の担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいことから,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割 そして,近畿財務局も,大和都市管財の抵当証券の担保不動産は,地価下落の影響を受けるとともに,ゴルフ場のほか墓地公園予定地等も含まれ流動性に乏しいことから,最終的に換価処分した場合に大幅な元本割れを生じる可能性が高いことは認識していた。 (ク)大和都市管財グループの経営状態本件更新登録直前の数期分のグループ6社の決算書によれば,グループ6社がいずれも債務超過の状態にあり,平成8年12月末時点における大和都市管財グループ全体の債務超過額は約105億円に達していた上,その額は一貫して増加傾向にあった。また,本件更新登録直前の期におけるグループ各社の営業外費用(その大部分が大和都市管財に対する抵当証券支払利息である。)は,いずれも各社の売上総利益(販売費・一般管理費を控除する前の営業利益)をも上回っており,特に主力のナイスミドルでは前者(約28億円)が後者(約4.3億円)の6倍以上に達していた。 また,大和都市管財グループは銀行等の支援先を持たない独立系の企業群であって銀行取引自体もほとんどなく,グループ各社の資金は,会計帳簿上,同グループ所属の各社(特に大和都市管財本体)からの融資でその大部分が賄われていた。また,グループ会社に対する特約付き融資はすべて元本を弁済期に一括して返済する方式であり,平成9年中には20億円(ベストライフ通商),平成10年中には10億円(同上),平成11年中には計3億4460万円(同上)をそれぞれ大和都市管財に返済する予定となっていた。 (ケ)平成9年経営健全化計画の実現可能性平成8年12月に行われたヒアリングにおいて,大和都市管財グループの平成8年経営健全化計画の初年度実績は大幅な未達であったことが 明らかとなり,平成9年5月には,初年度実績はグループ全体の累積損失が計画を約43億円上回ったこと おいて,大和都市管財グループの平成8年経営健全化計画の初年度実績は大幅な未達であったことが 明らかとなり,平成9年5月には,初年度実績はグループ全体の累積損失が計画を約43億円上回ったことが明らかとなっていた。大和都市管財は,平成9年12月までに平成9年経営健全化計画を提出したが,その内容は,実質的にみて顧客からの高利による借入れにほかならない大量のチケット制会員権の販売と具体性を欠いた年10パーセント程度の余資運用,那須グリーンコース等既設ゴルフ場隣接地のリゾート計画,北海道泊別観光の売却,ベストライフ通商による高収益物件購入等によって収益を確保し,平成13年度末までに大和都市管財グループ全体で約22億円の黒字に転ずるという内容であって,近畿財務局も本件更新登録時までにその実現可能性を認定することはできなかった。また,大和都市管財が平成9年5月までに間もなく実現する見込みであるとして説明していた,極めて収益性の高いとされる事業計画(全国展開中のパチンコチェーン(約50店舗)の買収計画,同年11月に奈良市が正式決定するはずであった同市とナイスミドルとのa町土地における第3セクター方式による霊園墓地化計画等)は平成9年経営健全化計画でもなお計画のままであるか又は放棄されており,それについて大和都市管財から特段合理的な説明はなかった。 (コ)本件告発文書等の存在大蔵本省には,平成9年11月ころ,大和都市管財グループの事情を良く知る者の手による本件告発文書が寄せられ,同グループにおいて売り出し中のチケット制会員権の実質は高利の金融商品であること,現状のままではいずれ購入者に多額の被害が出る可能性があること等を警告していた。また,本省金融会社室は,平成8年8月,手形商品を購入した父親を持つリース会社の法人調査関係者から,大和都 であること,現状のままではいずれ購入者に多額の被害が出る可能性があること等を警告していた。また,本省金融会社室は,平成8年8月,手形商品を購入した父親を持つリース会社の法人調査関係者から,大和都市管財の社員が融資先の業務を兼職していること,採算を度外視して経費を使用していることなどから推して,抵当証券を次々に販売してそのまま経費に充て ている可能性があるので善処して欲しい旨の通報を受けていた。 (サ)カラ融資の摘発例抵当証券業者が,債権債務がないのにあったようにみせかけて金銭消費貸借証書を作成し,抵当証券の交付を受けて販売したというカラ融資の事案は,公正証書原本等不実記載罪等の被疑事実で昭和61年ころから度々摘発されており,その典型的な手法は,ダミーの別会社を作ってこれに対する融資の外形を整えるというものであった。 (シ)Y1勘定の実在性大和都市管財は,平成6年検査以降,Y1が不動産業で培ってきた人脈を活かして何人ものスポンサーから調達してきた多額の資金を借り入れ,これを特約付き融資等の原資としている旨近畿財務局に説明していたが,スポンサーの詳細については度重なるヒアリングに対しても説明を拒否しており,近畿財務局は,スポンサーの存在に強い疑念を抱いていた。 (ス)担保物件の収益性特約付き融資に係る担保物件のうち,a町土地,四条畷市山林,a区土地及びa町ゴルフ場用地は平成9年当時において遊休地となっており,実質的には抵当証券の販売による資金集めのために用いられていたにすぎなかった。また,a町駐車場,広尾ガーデンヒルズ及び本社ビルは,いずれも大和都市管財グループ内において利用されていただけで,直接同グループ外からの収入を生むものではなかった。 (セ)本件合意書の矛盾平成6年検査において,大和都市管財は,近畿財務局に対 ルは,いずれも大和都市管財グループ内において利用されていただけで,直接同グループ外からの収入を生むものではなかった。 (セ)本件合意書の矛盾平成6年検査において,大和都市管財は,近畿財務局に対し,複数の特約付き融資について利率変更合意書(本件合意書)を提出したが,うちナイスミドルに対する19億4000万円の融資について,利率変更日(平成5年10月1日)が融資の日(同月14日)よりも前に,リス テム化学研究所に対する12億4000万円の融資については,利率変更日(平成5年12月21日)が融資の日と同日に,北海道函館観光に対する70億円の融資については,利率変更日(平成5年10月1日)が融資の日(同年9月27日)の4日後となっていた。 (ソ)ナイスミドルの総勘定元帳の記載等ナイスミドルの総勘定元帳には本件貸付金に係る記載はなかった(一般的に,本件貸付金が実際に交付されていたのであれば,決算書を作成する過程で帳尻が合わなくなり,総勘定元帳の記載は遅くともその時点で修正されるのが通常と思われる。)。この点について,Y3会計士は,大和都市管財がナイスミドルに小切手で55億円を渡していたが,自分はこの件に関しては知らなかった旨の弁明をした(同会計士は大和都市管財グループの顧問税理士であり,平成8年経営健全化計画の策定作業等にも主体的に関わっていたのであって,仮に大和都市管財からナイスミドルへの55億円の特約付き融資が実行されていたにもかかわらずそれを知らないとすれば,極めて不自然である。)。大和都市管財からは,小切手による上記の資金移動を裏付けるに足りる客観的証拠は何ら提出されなかった上,融資目的や返済原資についての合理的な説明があったことをうかがわせる証拠もない。 イ大和都市管財が破綻する危険性が切迫していることの認識可能性 裏付けるに足りる客観的証拠は何ら提出されなかった上,融資目的や返済原資についての合理的な説明があったことをうかがわせる証拠もない。 イ大和都市管財が破綻する危険性が切迫していることの認識可能性以上のように,本件更新登録時点において,①グループ6社は大和都市管財の代表取締役であるY1の完全掌握下に置かれ,大和都市管財と一体性を有していたこと,②大和都市管財グループは銀行等の支援先を持たない独立系の企業群であって,グループ会社の資金はその大部分が最終的に大和都市管財からの融資金で賄われており,大和都市管財のグループ6社に対する特約付き融資は,事実上,大和都市管財グループにおける資金調達部門としての大和都市管財が事業部門であるグループ6社の事業資 金を抵当証券の販売によって調達するに等しいものとなっていたこと,③大和都市管財グループの事業部門であるグループ6社は,全体として売上総利益を大きく上回る累積損失を計上していた上,大和都市管財グループ全体の債務超過額も一貫して増加傾向にあり,平成8年12月末時点における大和都市管財グループ全体の債務超過額は約105億円に達していたにもかかわらず,大和都市管財のみが資産の合計額が負債の合計額を上回り,かつ,その差額である純資産額が資本金額を上回る状態にあったこと,③グループ6社の事業内容は,ゴルフ場の経営を除けば,飲食店等営業,賃貸,産業廃棄物処理などといったものにすぎず,その規模からしても借入額に見合うだけの資金需要が存するような状況にはなかった上,遊休資産も相当数抱えており,近畿財務局の指導や業務改善命令を受けて提出した経営健全化計画においても客観的な裏付けのある具体的な事業計画を示すことができなかったこと,④そのような状況の下において,大和都市管財は,定期預金その他の金融商 指導や業務改善命令を受けて提出した経営健全化計画においても客観的な裏付けのある具体的な事業計画を示すことができなかったこと,④そのような状況の下において,大和都市管財は,定期預金その他の金融商品よりも高い金利を設定した抵当証券の販売を継続し,年々その販売残高を伸ばしていたのみならず,抵当証券の発行額が限度一杯に達すると,出資法違反の疑いのある手形商品の販売を開始して抵当証券の購入者を手形商品に乗り換えさせ,近畿財務局から度々指導を受けたにもかかわらずその販売を継続し,さらに,金融商品の実質を有する高利のチケット制会員権の販売を開始したこと,⑤大和都市管財は,平成4年検査においてa町土地を担保とする特約付き融資に係る抵当物件の鑑定評価額が過大であるとして過大部分に係るモーゲージ証書の販売中止の指導を受け,平成5年にはa町ゴルフ場用地を担保とする特約付き融資に係る抵当物件の鑑定評価の前提に誤りがあるとして抵当証券の申請額の減額を余儀なくされ,平成7年にも那須ゴルフ場を担保とする特約付き融資に係る抵当物件の鑑定評価(202億円)が過大であるとして抵当証券の申請額の減額(130億円から100億円への減額) を余儀なくされ,平成8年には同じ那須ゴルフ場を担保とする新たな特約付き融資を行ったとして55億円の抵当証券の追加発行を申請してその発行を受けたが,その経緯を知った近畿財務局の指導により当該抵当証券に係るモーゲージ証書の販売の自粛を余儀なくされたこと,⑥那須ゴルフ場を担保とする上記55億円の抵当証券に係る特約付き融資(本件貸付金)について,融資先であるナイスミドルの総勘定元帳に計上されておらず,平成9年検査においてその事実が発覚するや,Y1らにおいて近畿財務局に対する猛烈な抗議を行って,ナイスミドルを含むグループ会社の帳簿 ついて,融資先であるナイスミドルの総勘定元帳に計上されておらず,平成9年検査においてその事実が発覚するや,Y1らにおいて近畿財務局に対する猛烈な抗議を行って,ナイスミドルを含むグループ会社の帳簿類の返却を余儀なくさせ,更なる調査を不能にさせたこと,⑦平成6年検査においても,複数の特約付き融資に係る利率変更合意書(本件合意書)の日付が融資日より前又は融資日と同日という不可解な記載になっていることが判明したこと,⑧大和都市管財は,総勘定元帳においてそれ自体では資金の移動の有無を確認することができない仕訳を多用していた上,グループ会社も含めて特約付き融資の受取利息は現金勘定で処理するのを通例とし,現金の入出金については日次で把握,管理していないと説明し,また,独立系抵当証券業者としての大和都市管財の抵当証券販売以外の資金調達方法であるY1からの借入れについて,帳簿上その額が数十億円ないしそれ以上に及んでいた上,Y1は,一貫して,その資金調達先(スポンサー)について,その氏名ないし名称を始めその詳細を明らかにしない態度をとり続けていたこと,などといった事実を把握していたものと認められる。 上記の事実関係からは,大和都市管財の特約付き融資先であるグループ会社が高額の金利負担に耐え得るだけの収益力や経営基盤を有していないのみならず,(借入金ないしその利息の返済資金を除いて)借入額に見合った具体的な資金需要の存在がうかがわれないにもかかわらず,大和都市管財において抵当物件の担保価値に見合わない高額の抵当証券の発行を重 ねてモーゲージ証書を販売し,抵当証券の発行額が限度一杯に達すると出資法違反の疑いのある手形商品の販売を開始して抵当証券の購入者を手形商品に乗り換えさせ,さらに,金融商品の実質を有するチケット制会員権を高利で販売するなど し,抵当証券の発行額が限度一杯に達すると出資法違反の疑いのある手形商品の販売を開始して抵当証券の購入者を手形商品に乗り換えさせ,さらに,金融商品の実質を有するチケット制会員権を高利で販売するなどして,巨額の資金獲得に奔走していた状況が明らかに看取し得るのであり,このような状況に加えて後記(7)アにおいて認定説示するところをも併せ考えると,少なくとも,本件更新登録時において,大和都市管財が,巨額の債務超過を抱えるグループ会社の経営を維持するために,グループ会社から支払われるべき利払の相当部分を追加融資等の形で環流させなければならない結果,抵当証券購入者に対する利払を賄うためのキャッシュインフローが不足し,抵当証券を始めとする金融商品の販売代金をこれに充てざるを得ない自転車操業状態にあることが容易に推認し得た。 のみならず,これらグループ会社が決算書類上巨額の累積損失を計上し,グループ会社を含めた大和都市管財グループ全体の債務超過額は約105億円に達していた中で,大和都市管財のみが純資産額が資本金額を上回る状態にあったこと,近畿財務局は,平成6年検査及び平成9年検査を通じて,那須ゴルフ場を担保とする55億円の融資(本件貸付金)について融資先の総勘定元帳に記載されておらず,特約付き融資に係る利率変更合意書の日付が整合しないといった,グループ会社に対する融資の実行や利息の支払の少なくとも一部が仮装されているのではないかとの疑念を裏付ける客観的な徴表を入手していたこと,大和都市管財グループが資金の流れを正確に把握することが困難な透明性を欠いた会計処理を行っていた上,近畿財務局による検査等に対し資金の流れの解明を妨げる方向での言動を繰り返していたことなどをも併せ考えると,本件更新登録時において,大和都市管財が資金集めのためにその統括下にある 理を行っていた上,近畿財務局による検査等に対し資金の流れの解明を妨げる方向での言動を繰り返していたことなどをも併せ考えると,本件更新登録時において,大和都市管財が資金集めのためにその統括下にあるグループ会社に対する融資の外形を作出して抵当証券の発行を受けた上モーゲージ証書を販売し, その利払ないし償還資金を調達するために同様の方法による更なる抵当証券の発行とモーゲージ証書の販売を繰り返すという詐欺的商法を行っているのではないかとの合理的な疑いが存したものというべきである。 そうであるとすれば,近畿財務局は,本件更新登録時において,その時点で把握していた事実関係のみに基づいても,短期間のうちに大和都市管財グループの上記のような資金繰りが行き詰まり,全体として破綻する危険,ないし場合によってはそれ以前に大和都市管財による金融商品の販売がその詐欺的商法の発覚など何らかの外的要因で停滞し中途解約要求が殺到するなどして同社が破綻する危険が切迫している事態を容易に認識し得たということができる。のみならず,平成9年検査当時においてもそのような事態を合理的に疑うべき事実関係を把握していたというべきである。 ウ被告の主張についてこれに対し,被告は,抵当証券業者がその関連会社に融資することは抵当証券業規制法によって禁じられていたわけではなく,それ自体は何ら不自然ではない旨主張する。 確かに,抵当証券業者が抵当証券の販売によって外部からの資金調達を担い,これを関連する事業会社に融資して収益を上げさせ,その利払の一部を抵当証券購入者に還元するというビジネスモデルには何ら違法な点はなく,むしろ,いわゆる独立系の抵当証券業者の多くは,多かれ少なかれこれと類似する業務形態を採用していたものと思われる。そして,このような場合においては,関連会社で構成する モデルには何ら違法な点はなく,むしろ,いわゆる独立系の抵当証券業者の多くは,多かれ少なかれこれと類似する業務形態を採用していたものと思われる。そして,このような場合においては,関連会社で構成するグループ全体を一つの企業体とみることができ,グループ内の取引も同一企業における本支店間の取引などと実質的には同じと考えられるから,融資先である関連会社が一時的に困窮しているのであれば,利払の減免等によってグループ内において利益を付け替えることも経済的合理性に適う商行為と解する余地は十分にあり,これが形式的には帳簿操作に当たるとしても,それだけをもって融資先, ひいては当該グループ全体の破綻が切迫していると認定することは不合理ということができる。しかしながら,融資先である関連会社の収益が更に悪化し,かつ,これが容易に改善する見込みがないにもかかわらず,抵当証券業者が関連会社に対し利払による収受分を超える追加融資を繰り返し,実質的に資金の流れがほぼ抵当証券業者から融資先に対する一方通行となっている状態が相当期間継続しているような場合には,こうした商取引はもはや経済的合理性では説明をすることができないというべきであり,特段の事情がない限り,融資先は関連会社であるがゆえに経済的に不合理な形でその延命が図られていると解するのが通常と解される。のみならず,融資先の大部分がこのような関連会社である抵当証券業者の場合であれば,融資先と融資元である抵当証券業者との関係が,そのまま抵当証券業者と抵当証券購入者との関係に投影され,当該抵当証券業者,及びそのグループ全体が,抵当証券の販売という形式による顧客からの借入れによって先行する借入金の返済原資を調達することによりかろうじて延命しているにすぎないとみるのが自然である(そして,近畿財務局が把握していた事 プ全体が,抵当証券の販売という形式による顧客からの借入れによって先行する借入金の返済原資を調達することによりかろうじて延命しているにすぎないとみるのが自然である(そして,近畿財務局が把握していた事実関係のみによっても,大和都市管財グループが平成9年当時において上記のような図式に当てはまっていたと推認し得ることは明らかである。)。 エ小括したがって,上記のような具体的事情の下では,本件更新登録に先立ち,近畿財務局長には,大和都市管財に係る更新登録拒否事由の有無について,法令の許容する範囲内で,かつ,与えられた人的物的制約の下でその権限を適切に行使して調査し,それによって収集された資料等を基にこれを慎重に審査すべき職務上の注意義務が,本件更新登録後に大和都市管財から抵当証券を購入すべき者に対する関係で,具体的に生じていたと解すべきである。 (5)近畿財務局長による監督権限の行使に係る方法・時期等の選択における合 理性の有無及びその逸脱の程度前記(4)において認定説示したところによれば,本件更新登録時において,大和都市管財は,少なくとも,巨額の債務超過を抱えるグループ会社の経営を維持するために,グループ会社から支払われるべき利払の相当部分を追加融資等の形で環流させなければならない結果,抵当証券購入者に対する利払を賄うためのキャッシュインフローが不足し,抵当証券を始めとする金融商品の販売代金をこれに充てざるを得ない自転車操業状態にあることが容易に推認し得たのみならず,大和都市管財が資金集めのためにその掌握下にあるグループ会社に対する融資の外形を作出して抵当証券の発行を受けた上でモーゲージ証書を販売し,その利払ないし償還資金を調達するために同様の方法による更なる抵当証券の発行とモーゲージ証書の販売を繰り返すという詐欺的商法を行っ の外形を作出して抵当証券の発行を受けた上でモーゲージ証書を販売し,その利払ないし償還資金を調達するために同様の方法による更なる抵当証券の発行とモーゲージ証書の販売を繰り返すという詐欺的商法を行っているのではないかとの合理的な疑いが存したものというべきであり,平成9年検査時点においても,上記のような疑いを抱かせるに足りる状況を近畿財務局ないし大藏本省(金融会社室)において把握していたことは,既に認定説示したところから明らかである。そうであるとすれば,大和都市管財は,本件更新登録時において,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を欠いている高度の蓋然性が存したものというべきであり,また,平成9年検査当時においても,大和都市管財が財産的基礎を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っているとの合理的な疑いが存したものというべきである。このような状況の下においては,近畿財務局長は,本件更新登録の許否を判断するに当たり,大和都市管財が財産的基礎の要件を満たしているか否か,すなわち,いわゆる資本欠損の状態に陥っていないか否かについて,同法により付与された権限を所与の人的,物的制約の下で適切に行使して,大和都市管財の直近の貸借対照表等の決算書類が「公正ナル会計慣行」に従って作成されているか否かを検証等することにより,慎重に審査すべき職務上の注意義務を負っていたものというべき であり,また,それに先立つ平成9年検査時においては,登録更新時期を控えていることにもかんがみ,同法22条の権限を適切に行使して,大和都市管財の直近の貸借対照表等の決算書類が「公正ナル会計慣行」に従って作成されているか否か,具体的には,大和都市管財及びグループ会社の総勘定元帳,現金出納簿,預貯金通帳等の帳簿書類の記載内容を確認し,これらを相互 貸借対照表等の決算書類が「公正ナル会計慣行」に従って作成されているか否か,具体的には,大和都市管財及びグループ会社の総勘定元帳,現金出納簿,預貯金通帳等の帳簿書類の記載内容を確認し,これらを相互に突合するなどして,大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れを可能な限り解明し,グループ会社に対する特約付き融資に係る貸倒引当金が適切に計上されているか否か,大和都市管財がグループ会社から特約付き融資に係る利息の支払を現実に受けているか否か,さらには,そもそもこれらの特約付き融資について架空融資の疑いがないか否かについて,慎重に検査すべき職務上の注意義務を負っていたというべきであり,実際にも,既に説示したとおり,平成9年検査において,近畿財務局は,本省金融会社室から,事前に,グループ会社を含めた総勘定元帳,現金出納簿等の帳簿の記載を確認した上,これらを相互に突合するなどして大和都市管財グループ全体の財務状況を正確に把握し,粉飾決算や架空融資の疑いがないかどうか,特に同社が実際にグループ会社から利払を受けているか否かをまず確認するよう指示されていたものである。しかるに,前記のとおり,近畿財務局は,Y8から提出を受けて適法に取得していたグループ会社の総勘定元帳を独断で返還した上,グループ会社の帳簿を公的には検査対象としない旨の言質を大和都市管財から取られたというのであり,近畿財務局は,平成9年検査の目的である大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れの解明にとって不可欠な資料として適法に取得していたグループ会社の上記帳簿類の検査を合理的な理由なしに放棄しこれを不可能にしたものといわざるを得ない(なお,法人税法74条2項,同法施行規則35条2号によれば,内国法人が税務署長に提出すべき確定申告書には,当該事業年度の貸借対照表及び損益 理由なしに放棄しこれを不可能にしたものといわざるを得ない(なお,法人税法74条2項,同法施行規則35条2号によれば,内国法人が税務署長に提出すべき確定申告書には,当該事業年度の貸借対照表及び損益計算書に係る勘定科目内訳明細書を添付しなければならないところ,証拠 (甲107の2)によれば,大和都市管財及びグループ会社については毎期ごとに確定申告書が作成されていたことが認められるから,グループ会社の顧問税理士であったY3会計士が平成9年当時においてグループ会社の勘定科目内訳明細書を作成していないはずがない上,グループ会社の総勘定元帳を保持していた大和都市管財は,その勘定科目内訳明細書についても所持していたものと推認することができ,したがって,大和都市管財に対し上記勘定科目内訳明細書の提出を求めることもできたというべきである。)。 また,近畿財務局は,平成9年検査において,グループ会社はもとより大和都市管財についてもその預貯金通帳や当座預金照合表等の記載内容を確認し総勘定元帳等の帳簿と突合するなどの検査をしていない。この点,大和都市管財側は,総勘定元帳においてそれ自体では資金の移動の有無を確認することができない仕訳を多用していた上,グループ会社も含めて特約付き融資の受取利息は現金勘定で処理するのを通例とし,現金の入出金については日次で把握,管理していないと説明していたが,そもそも,特約付き融資に係る利息額の規模からみてその入出金が現金で行われるということは通常あり得ないことであり,大和都市管財の上記のような帳簿処理や説明自体が同社が真実の資金の流れを隠ぺいしていることの証左というべきであって,それゆえにこそ,前記のとおり,近畿財務局は,本省金融会社室から,同社が実際にグループ会社から利払を受けているか否かをまず確認するように指示さ 金の流れを隠ぺいしていることの証左というべきであって,それゆえにこそ,前記のとおり,近畿財務局は,本省金融会社室から,同社が実際にグループ会社から利払を受けているか否かをまず確認するように指示されていたのである。そして,前記のとおり,平成12年検査の結果等からみて,少なくとも大和都市管財の預貯金口座を調査すれば,最低限,グループ会社からの入金は抵当証券受取利息相当額を大きく下回るものでしかない事実及びその入金の時期や金額が帳簿上の記載と符合していない事実等を確認することができたと推認されるのであり,近畿財務局は,帳簿上利払があるとされているにもかかわらず預貯金通帳に入金の記載がないものについては,更に,帳簿の記載の正確性を裏付ける資料の提出や説明を求めてその合理性 を検証すべきであったということができる。 また,既に説示したとおり,近畿財務局は,平成9年検査において,ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金55億円についての記載がないことが判明したにもかかわらず,Y3会計士の説明は,Y1がナイスミドルに55億円の小切手を交付した趣旨と理解することができ,そうであれば大和都市管財の当座預金口座を本件貸付金が通過していないこともあり得ること,ナイスミドルと大和都市管財との間には双方が記名押印した本件貸付金証書が存在すること,本件仕訳も,現金預金勘定を省略した中間省略仕訳として理解できないではない旨の補佐官の説明があったことなどを理由に,本件貸付金の存在については疑義があるとしつつも,ナイスミドルの当座預金口座の入金状況についてはもとより,当該小切手の振出人がだれであるかや大和都市管財の当座預金口座に対応する出金状況が記録されているか等の点についても,それ以上調査していない。 しかしながら,前記のとおり55億円もの資金の移動が誤って移動 小切手の振出人がだれであるかや大和都市管財の当座預金口座に対応する出金状況が記録されているか等の点についても,それ以上調査していない。 しかしながら,前記のとおり55億円もの資金の移動が誤って移動先会社の総勘定元帳に記載されていないということは通常考え難い事態であることに加えて,本件貸付金に係る特約付き融資が,大和都市管財において過去に抵当物件の鑑定評価額が過大であるとして抵当証券の申請額の減額を余儀なくされた那須ゴルフ場用地について抵当証券の追加発行を受けてモーゲージ証書を販売しようとしたところ法務本省の知るところとなって近畿財務局から販売自粛の行政指導を受けていたものであること,本件貸付金の原資がY1からの借入金であるとの説明についても,Y1は,近畿財務局に対し,同人自身の資金調達先(スポンサー)の詳細を明らかにしない態度を一貫してとり続けていた上,そもそも個人が数十億円ないしそれ以上の資金をその調達先を明らかにすることができないスポンサーから相当な金利で借り受けるといったこと自体が通常考え難いこと,大和都市管財とグループ会社との関係からみて融資の外形を作出する目的で実体を欠く契約書類を作成すること は容易と考えられることをも併せ考えると,平成9年検査当時近畿財務局が把握するに至った事実関係のみからしても,本件貸付金が資金の移動を欠いた架空融資であるとの強度の疑いが存したものというべきである。そうであるとすれば,前記のとおり,近畿財務局は,少なくとも,大和都市管財の当座預金口座を調査し,本件貸付金に係る出入金が記録されていないことを確認した上,本件貸付金の原資について,大和都市管財に対し,Y1と同社との間の消費貸借契約書等の契約書類の提出を求めたり,通常であれば融資審査の過程で取得しているはずのナイスミドルの本件貸付金に を確認した上,本件貸付金の原資について,大和都市管財に対し,Y1と同社との間の消費貸借契約書等の契約書類の提出を求めたり,通常であれば融資審査の過程で取得しているはずのナイスミドルの本件貸付金に対する資金需要等を裏付ける資料の提出を求めるなどして調査を尽くすべきであったということができる。 以上のとおり,近畿財務局は,平成9年検査の目的である大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れの解明のために必要不可欠でかつ基本というべき預貯金口座の検証を合理的な理由なく怠った上,それを手掛りとする更なる検査のみちを自ら封じてしまったものということができる。 さらに,前記のような平成9年検査の目的からすれば,近畿財務局は,本件貸付金にとどまらず,その他のグループ会社に対する特約付き融資について,大和都市管財に対し,通常であれば融資審査の過程で取得しているはずのグループ会社の資金需要を裏付ける事業計画書その他の資料の提出を求めたり,大和都市管財において把握している資金需要についての説明を受け,その説明内容についての裏付け調査をするなどすべきであったにもかかわらず,これをしていない。 のみならず,近畿財務局は,平成9年検査の結果を受けた平成9年業務改善命令の発令において,前記のとおり,大和都市管財に対し経営健全化計画の提出を求めるに当たり,グループ会社6社の将来の収益見込を反映した予想貸借対照表,予想損益計算書が提出されれば望ましいとするにとどめ,グループ会社6社の収支見込みを過年度の実績等客観的な資料に基づき算出し た上当該積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項をあえて命令の内容として盛り込まなかった上,平成9年経営健全化計画について,大量のチケット制 程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項をあえて命令の内容として盛り込まなかった上,平成9年経営健全化計画について,大量のチケット制会員権(その実質が出資法違反の疑いのある高利の金融商品であることは容易に認識することができたことが明らかである。)の販売,ナイス大原カントリークラブのゴルフ会員権販売,リゾートマンションやレジャースポーツ施設を建設するリゾート計画,北海道泊別観光の売却やベストライフ通商による高収益物件購入の促進等により収益の確保や含み損の解消を図る累積損失の解消に前向きな計画であり,その実効性について当否を予測することは困難であるなどとして,実現の見込みについて必要な裏付け調査を行うなどその合理性についての判断を行うことのないまま受理している。しかしながら,既に説示したところに照らせば,平成9年経営健全化計画の大部分が単なる数字合わせの域を出ず,その実現可能性のみならず実在性すら具体的に疎明されていないことは容易に認識することができたものというべきであるし,上記計画が順調に進捗せず,グループ6社の収益が改善しないのであれば,特約付き融資の元利金の返済が近い将来において極めて困難となることは,本件更新登録の時点で既に自明なことであったということができる。しかるに,前記認定事実によれば,近畿財務局は,計画の内容自体や当時の社会,経済情勢からみて実現の具体的な見込みがあるとは通常考え難い計画について,裏付けとなる資料の追加提出を求めたり官公庁に照会したりするなどの必要な調査を怠ったのみならず,事業計画に示されているものの収支見込みに計上されていないものを計上する方向での修正を指示するなど,実現可能性を度外視して大和都市管財グループが平成13年度末に黒字に転ずる 調査を怠ったのみならず,事業計画に示されているものの収支見込みに計上されていないものを計上する方向での修正を指示するなど,実現可能性を度外視して大和都市管財グループが平成13年度末に黒字に転ずるように数字合わせをするよう誘導した形跡すらうかがわれるのである(のみならず,近畿財務局は,平成9年業務改善命令の検討においても,購入者保護の観点から債務超過の融資先に対する抵当証券の販売自粛 又は買戻し等を求めたり担保物件の担保価値に見合った額まで抵当証券の販売額を抑制するよう求めたりするなどといった直ちに経営破綻又は命令違反となりかねないような命令の内容にすることは適当ではない(平成7年業務改善命令の発出が検討された際に考慮されたとは認められない要素である。)などとしており,業務改善命令違反に対する制裁を背景に抵当証券の購入者の保護の観点から大和都市管財に対する監督を徹底するという選択肢をあらかじめ放棄しているに等しい対応であったということができる。)。 以上検討したところによれば,近畿財務局は,本件更新登録に先立つ平成9年検査において,抵当証券業規制法22条の権限を適切に行使して,大和都市管財及びグループ会社の総勘定元帳,現金出納簿,預貯金通帳等の帳簿書類の記載内容を確認し,これらを相互に突合するなどして,大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れを可能な限り解明し,グループ会社に対する特約付き融資に係る貸倒引当金が適切に計上されているか否か,大和都市管財がグループ会社から特約付き融資に係る利息の支払を現実に受けているか否か,さらには,そもそもこれらの特約付き融資について架空融資の疑いがないか否かについて,抵当証券の購入者保護の観点から慎重に検査すべき職務上の注意義務を負っていたにもかかわらず,適法に取得していたグループ会社 ,そもそもこれらの特約付き融資について架空融資の疑いがないか否かについて,抵当証券の購入者保護の観点から慎重に検査すべき職務上の注意義務を負っていたにもかかわらず,適法に取得していたグループ会社の上記帳簿類の検査を放棄してこれを不可能にし,また,大和都市管財の預貯金口座の検証を怠るなど,平成9年検査の目的を達成するために必要不可欠でかつ基本というべき検査を合理的理由なしに怠ったほか,グループ会社に対する特約付き融資について,大和都市管財に対し,通常であれば融資審査の過程で取得しているはずのグループ会社の資金需要を裏付ける事業計画書その他の資料の提出を求めたり,大和都市管財において把握している資金需要についての説明を受け,その説明内容についての裏付け調査をするなどといったことすらしていない。そして,平成9年検査を受けた平成9年業務改善命令の発令においては,平成7年業務改善命令の際の検討 実績があるにもかかわらず,大和都市管財に対し経営健全化計画の提出を求めるに当たり,グループ会社6社の将来の収益見込を反映した予想貸借対照表,予想損益計算書が提出されれば望ましいとするにとどめ,グループ会社6社の収支見込みを過年度の実績等客観的な資料に基づき算出した上で当該積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど,平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項をあえて命令の内容として盛り込まなかった上,業務改善命令を受けて大和都市管財が提出した,単なる数字合わせの域を出ない,その内容自体や当時の社会,経済情勢からみて実現の具体的な見込みがあるとは通常考え難い平成9年経営健全化計画を必要な裏付け調査を行うことなく受理し,大和都市管財について,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を満たすとして, の具体的な見込みがあるとは通常考え難い平成9年経営健全化計画を必要な裏付け調査を行うことなく受理し,大和都市管財について,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を満たすとして,それ以上特段の調査を行うことなく,本件更新登録を行ったものということができる(のみならず,本件更新登録に至る一連の経過事実にかんがみると,近畿財務局は,大和都市管財に対し本件更新登録を行うために,平成9年検査,平成9年業務改善命令及び平成9年経営健全化計画の提出という手続を形式的に履践するにとどめ,同社の財産的基礎の有無に関する踏み込んだ調査,検討をあえて避けたものと評価されてもやむを得ないというべきである。)。 そうであるとすれば,近畿財務局長は,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と本件更新登録をしたというほかない。 (6)本件更新登録によって惹起された損害の規模及び性質本件更新登録がされていなければ,大和都市管財の抵当証券業者としての登録が失効して以降は,同社は適法に抵当証券を販売することはできなかったことが明らかであるところ,現実には本件更新登録が認められたことから,それ以降に同社から抵当証券を購入した者は,最終的に同社が破綻したことによって,抵当証券購入額の相当部分を回収することができなくなるという 財産的損害を受けたことが明らかである。 ところで,争点1に対する判断において説示したとおり,事業報告書(①業務開始年月日,②当期の業務概要,③株主総会等の決議事項の要旨,④役員及び使用人の状況,⑤営業所又は事務所の状況,⑥抵当証券業の現況,⑦貸借対照表,⑧損益計算書,⑨利益金処分及び⑩損失金処理の各事項について各期ごとに記載すべきものと定められている。)から読み取ることのできる大和都市管財の財産的 況,⑥抵当証券業の現況,⑦貸借対照表,⑧損益計算書,⑨利益金処分及び⑩損失金処理の各事項について各期ごとに記載すべきものと定められている。)から読み取ることのできる大和都市管財の財産的基礎と同社の現実の財産状況との落差が大きいと認められる場合には,抵当証券の購入者保護のために抵当証券業規制法が予定している制度が機能していないことになるから,監督行政庁が積極的に同法により付与された監督権限を行使することが期待されているというべきである。 しかるところ,争点2に対する判断で示したように,本件貸付金が存在しないことは本件貸借対照表上の純資産額には影響を与えないが,平成9年3月末において,大和都市管財は,本件貸借対照表上,少なくとも①約11億3700万円の貸倒引当金を追加的に設定する必要があったか,又は②少なくとも長期借入金を30億円増加させる必要があり,これらのいずれかだけによっても優に債務超過に陥っていたものである。それにもかかわらず,同社は,その事業報告書において,自社の抵当証券が「抵当証券Q&A」で標榜していたような安全性を有していること,すなわち,DTK抵当証券の年利は決して高利率ではなく,企業努力,合理化を積み重ね,将来を十分に見通した自信の有る好利率であること,DTK抵当証券は,バブル崩壊後に販売され,しかも収益性を伴っているものがほとんどであること,大和都市管財が健全かつ発展的に抵当証券事業を行っているというその宣伝文句(上記パンフレットの使用を中止するよう指導された後においても,同社の営業員が類似の勧誘文言で抵当証券の売り込みを図っていたことは証拠(甲126,187ないし189,215,原告A1,同A2,同C167,同B2 33)から推認することができる。)を裏付けるように,平成9年3月期において当期 の売り込みを図っていたことは証拠(甲126,187ないし189,215,原告A1,同A2,同C167,同B2 33)から推認することができる。)を裏付けるように,平成9年3月期において当期利益約1740万円,当期未処分利益約1億2948万円を計上している旨の虚偽の記載を行っていたのである。そして,大和都市管財が債務超過であることが潜在的顧客に広く知られていれば,上記のような営業が奏功する現実的な可能性はほとんどなかったことは優に推認することができる。反対に,原告らが実際に大和都市管財が事業報告書の一部として閲覧させていた本件貸借対照表や本件損益計算書を閲覧したとしても,原告らが同社から抵当証券を購入することを再考するような契機にはなり得ず,むしろその宣伝が正当なものであると信じる方向に作用した可能性が高いものというべきである。 また,抵当証券購入者が,その購入前に抵当証券の債務者や担保物件を知ることは不可能であり,購入後であってもその概要しか知り得ないことは既に争点1に対する判断で説示したとおりである上,大和都市管財が販売していたモーゲージ証書の額面が最低30万円程度にまで分割されていることを併せ考えると,そのような証書を購入した者が債務者や担保物件の詳細を費用を掛けて調査することを期待するのはおよそ現実的ではないことが明らかというべきである(まして,グループ6社が債務超過の状態であり,事実上利払を延滞している可能性があること,大和都市管財が受領しているとする抵当証券受取利息が架空のものである可能性があること,本件貸付金が架空の債権であること等については,モーゲージ証書の購入者が非常な注意を払ったとしても容易に想到することができないのは明白である。)。仮に,モーゲージ証書の購入者が債務者や担保物件を調査したとしても,債務者と であること等については,モーゲージ証書の購入者が非常な注意を払ったとしても容易に想到することができないのは明白である。)。仮に,モーゲージ証書の購入者が債務者や担保物件を調査したとしても,債務者とされるグループ会社は北海道泊別観光を除けば一応実体を伴う形で存在しており,担保物件についてもその大部分を占めるのは営業中のゴルフ場であって,いずれも大和都市管財の協力がなければその財務状況や担保価値の正確な把握は不可能に近いこと,平成12年検査において監督官庁である近畿財務局 からの同様の要請を拒否した同社が,一購入者に対してそのような協力をするはずがないことは,いずれも優に推認することができる。 さらに,大和都市管財からの抵当証券購入者が,購入後にその抵当証券に不安を感じて中途解約をしようとし,又は満期に継続することなく償還を受けようとしたとしても,前記のとおり,大和都市管財の抵当証券には利率が高い代わりに中途解約できないベストモーゲージという商品があり,営業員はなるべくこの商品を販売するよう指示されていたこと,証拠(原告A2,同C167,甲185,188,190,191,230,乙21)によれば,抵当証券業協会には大和都市管財がなかなか中途解約に応じてくれないといった苦情が複数件寄せられており,その都度Y8から事情を聞くなどして対応していたこと,原告らの中にも,満期を迎えた抵当証券について償還を受けようとしたものの,大和都市管財の営業員に説得されて継続させられ,結果的に被害を受けた者がいること,同社の営業員は,顧客ごとに固定しており,折にふれてお中元やお歳暮を持参するなどして個々の顧客と親密となることを目指す営業手法を用いていた上,抵当証券業界への信頼が動揺するような事件が発生した際などにはY1も大和都市管財の健全性を強調する趣 ふれてお中元やお歳暮を持参するなどして個々の顧客と親密となることを目指す営業手法を用いていた上,抵当証券業界への信頼が動揺するような事件が発生した際などにはY1も大和都市管財の健全性を強調する趣旨の自己名義の書簡を個々の顧客に宛てて発送するなどの手段で顧客の信頼をつなぎ止めようとしていたこと,が認められ,これらによれば,中途解約や満期償還によっても,大和都市管財からの抵当証券購入者が損害を回避することは約款上不可能であったか,そうでなくとも心理的に容易ではなかったことが明らかである。 以上によれば,抵当証券業規制法が予定する購入者保護制度,特に事業報告書の閲覧によっては,大和都市管財の顧客が同社の財務内容を正しく認識し,同社の販売する抵当証券を購入するか否かの正確な判断材料を与えることは到底期待することができず,むしろ誤って償還義務等の不履行の危険性の著しく高いモーゲージ証書を購入させられる可能性があったということが できるから,顧客の自助努力によって被害を回避することを期待するのは困難であったというべきである。 (7)近畿財務局長による監督権限等の適切な行使と更新登録拒否事由の存在の認定可能性ア貸倒引当金について(ア)総論前記のとおり,融資先企業が形式的には営業を継続しているとしても,当該企業が事実上破綻の状態にあり,当該企業に対する債権の額に照らして,その債権の回収が著しく困難と認められる場合には,税法基準の下においても例外的に担保価値を算定するなどしてその回収可能性を個別に判断した上,回収不能見込額に応じた貸倒引当金を設定しなければならず,単に本件基準によっただけでは「公正ナル会計慣行」に従ったとはいえない。そして,当該企業が数期連続してその資本金額等に照らして多額の債務超過に陥っており,かつ,その事業の収益 設定しなければならず,単に本件基準によっただけでは「公正ナル会計慣行」に従ったとはいえない。そして,当該企業が数期連続してその資本金額等に照らして多額の債務超過に陥っており,かつ,その事業の収益が好転する現実的可能性がない場合には,当該企業が事実上破綻の状態にあると認定することが可能と考えられ,このような見地から,グループ6社がいずれも客観的には破綻の状態にあったことは,既に争点2に対する判断で説示したとおりである。 しかしながら,休眠会社でない限り,ある企業の収益が好転する現実的可能性があるか否かを第三者の立場で判断することは,一般的には容易とはいえない。しかも,実際には破綻に至っていない融資先について,誤ってその破綻を認定した上,回収不能見込額に対する貸倒引当金を設定した結果,融資した抵当証券会社の財産的基礎が否認され,その更新登録申請が違法に拒否された場合には,当該抵当証券会社のみならず,当該会社から抵当証券を購入していた多数の者がその償還を受けられないなどの結果として多額の損害を被る可能性があるから,財務局長等と しては,安易に融資先の破綻を認定すべきでないことは当然である。 ところで,既に繰り返し説示しているように,関東財務局長は,平成9年10月に不動産抵当證券の融資先であるソーケン開発の事実上の破綻を認定する際には,同社が4億円を超える債務超過の状態にあり,その事業が好転する見込みがないことに加え,同社が不動産抵当證券からの仮払金で利払を行っていたことも併せて考慮していたところ,上記のように,大幅な債務超過でかつ事業に好転の見込みがないと断定することができれば,それだけで事実上の破綻を認定して差し支えないと考えられることからすると,利払を延滞しながらそれを秘して延命を図っていたという事実は,関東財務局長にとって 転の見込みがないと断定することができれば,それだけで事実上の破綻を認定して差し支えないと考えられることからすると,利払を延滞しながらそれを秘して延命を図っていたという事実は,関東財務局長にとって,ソーケン開発の事業が好転する見込みがないという推認を補強する有力な間接事実として評価されていたと考えることができる。すなわち,事業に好転の見込みがないか否かは,あくまでも見込みであって,その認定には慎重であることを要するところ,関連会社による利払の延滞を秘すために,同社に対して抵当証券会社が更なる融資を行い,債務元本をかえって増加させるという,経済的に明らかに不合理な行為をあえて行っているという間接事実を併せて認定することによって,そうまでしなければ救済し得ないような融資先関連会社の破綻を確実に認定することができたと解することができる。そして,大和都市管財の場合にも,近畿財務局長において,本件更新登録に当たり,グループ会社の事業が近い将来好転する見込みがないと合理的に推認し得ることに加えて,当該グループ会社が利払の事実上の延滞によって延命を図っているという間接事実を併せて認定することができるのであれば,本件の具体的事情の下において,当該グループ会社の破綻を確実に認定することができ,したがって,同社に対する特約付き融資について貸倒引当金を設定することにより,財産的基礎に係る更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたというべきであ る。 しかるところ,前記のとおり,グループ6社はいずれもY1の完全掌握下に置かれていたのであるから,グループ会社Aに対する大和都市管財からの特約付き融資の資金が別のグループ会社Bに転貸され,それがグループ会社Bによる大和都市管財に対する元利金返済の原資とされていたという関係が認められるのであれば, ープ会社Aに対する大和都市管財からの特約付き融資の資金が別のグループ会社Bに転貸され,それがグループ会社Bによる大和都市管財に対する元利金返済の原資とされていたという関係が認められるのであれば,これは実質的に同一の会社に対して大和都市管財が融資を行い,かつ当該融資金のうちから利息の返済を受ける関係と同視することができる。そうすると,このような場合にも,グループ会社Bが利払を事実上延滞して延命している状態にあるという事実を認定することができるというべきである。 したがって,本件更新登録の時点において,近畿財務局長が認識していた事実,及び抵当証券業規制法によって付与された監督権限を適切に行使すれば容易に認識し得た事実を基礎として,①グループ会社の大和都市管財に対する特約付き融資に係る利払について,その原資の少なくとも大部分が同社からの融資にほかならないという対応関係を明確に立証することができ,かつ,②近畿財務局が当時において当該グループ会社の収益状況に改善の見込みがないと合理的に推認することができたのであれば,当該グループ会社がたとい形式的には事業を継続していたとしても,当該グループ会社が実質上破綻の状態にあったことは近畿財務局長としても客観的かつ明確な根拠をもって認定することができたというべきであり,そうであれば,近畿財務局長は,当該グループ会社に対する特約付き融資について貸倒引当金を設定することにより財産的基礎に係る更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたというべきである。 (イ)大和都市管財に対する利払の原資についてそこでまず,利払の原資について検討する。 そもそも,既に説示したように,グループ6社はそれぞれ銀行取引等による大和都市管財グループ以外からの資金調達はほとんど行っていなかった上,ほとんどのグ こでまず,利払の原資について検討する。 そもそも,既に説示したように,グループ6社はそれぞれ銀行取引等による大和都市管財グループ以外からの資金調達はほとんど行っていなかった上,ほとんどのグループ会社が決算書類上ほとんどの期において営業赤字を計上しており,例外的に営業黒字を計上していた期においてもその額は抵当証券支払利息に比して僅少なものであったから,グループ会社間で融通される資金の原資の圧倒的大部分は,大和都市管財から特約付き融資等の形式で流入した資金と解するほかはない。 これをナイスミドルについてみると,証拠(甲149ないし151)によれば,ナイスミドルの平成8年6月期における総勘定元帳(近畿財務局が平成9年検査の際にこれをいったん適法に入手していたことは前記認定のとおりである。)には,平成7年9月30日にナイス函館から3億0679万6237円の短期借入れを現金で行い,同日,同額の支払利息を現金で大和都市管財に支払った旨,及び,平成8年3月31日にやはりナイス函館から6億1528万3556円の短期借入れを現金で行い,同日,同額の支払利息を現金で大和都市管財に支払った旨の記載があることが認められる。他方,ナイス函館は第5期(平成4年9月1日から平成5年8月31日までの事業年度)から継続的に営業赤字であって,営業外収支で黒字になることがあっても微々たるものにすぎない(第8期(平成7年9月1日から平成8年8月31日までの事業年度)の営業外収入は巨額であるが,既に説示したようにその大部分は債務免除益という計算上の収入を計上したものにすぎない。)ことなどからすれば,ナイス函館のナイスミドルに対する貸付金も少なくともその大部分は大和都市管財からの特約付き融資等に係る資金を原資とするものと考えざるを得ない。そうすると,大和都市管財の帳 い。)ことなどからすれば,ナイス函館のナイスミドルに対する貸付金も少なくともその大部分は大和都市管財からの特約付き融資等に係る資金を原資とするものと考えざるを得ない。そうすると,大和都市管財の帳簿の記載が正確であり,現実にグループ会社から大和都市管財への利息相当額の資金移動がされていたと仮定した場合,結局,ナイスミドルによる大和都市管 財に対する特約付き融資に係る利払の少なくとも大部分は,ナイス函館に対する大和都市管財からの特約付き融資等に係る資金によって支払われたとしか考えられないのである。そして,上記のとおりグループ会社6社がいずれも営業収支が不振でしかも大和都市管財グループ以外からの資金調達をほとんど行っていなかったことからすれば,同様の処理方法が,他のグループ会社による特約付き融資の元利金返済においても用いられていた蓋然性は高いというべきである。 また,証拠(甲72ないし77,81)によれば,平成3年度以降本件更新登録の直近の時期までにおけるグループ6社に対する融資額の増減の傾向は,別表10のとおりであって,これによると,平成8年9月期以降の北海道泊別観光は,借入額と貸出額の差額がほぼ当期の経常損失に合致しているため,このことからも実質的に破綻していることが看取される上,他のグループ会社も,特に平成6年度以降をみれば,全般的に経常赤字を上回るペースで借入れを行っている傾向が明らかであって,グループ会社が6社ともに大和都市管財からの借入れに対する利払等によって収益を圧迫されている構図が認められるのみならず,全般的に資金が大和都市管財からグループ6社に対してほぼ流入する一方であることが明白である。特に,平成6年6月期以降のベストライフ通商及び平成6年3月期以降のリステム化学研究所については,本件更新登録直近の時期まで 都市管財からグループ6社に対してほぼ流入する一方であることが明白である。特に,平成6年6月期以降のベストライフ通商及び平成6年3月期以降のリステム化学研究所については,本件更新登録直近の時期まで,いずれも4期連続で各期の経常赤字を上回る額の借入れを行っており,このことからも,この期間における両社は,いわゆる「追い貸し」によって事業を維持している実態が明らかである(証拠(甲81の5)に照らすと,ベストライフ通商において,経常赤字を大幅に上回る借入れを行っているのは,同社に対する特約付き融資のうち,いずれもa町土地を担保とする20億円の弁済期が平成9年11月2日に,同じく10億円の弁済期が平成10年2月17日にそれぞれ迫って いたためであると推認することができる。)。なお,別表10のうち☆を除いた部分は,いずれも勘定科目内訳明細書を除いた貸借対照表と損益計算書(これらの決算書類はいずれも本件更新登録時までに近畿財務局が現に入手していたか又は容易に入手することができたものである。)のみから資産及び収益の増減を計算したものであって,減価償却費の計上による収益の減少を修正していない点等において,いわゆるキャッシュフロー計算書とは異なるものであるが,証拠(甲72,77)によれば,リステム化学研究所は,そもそも減価償却費を計上していた形跡が一切なく(その貸借対照表における建物勘定の数値が不動産の売買があった期以外では全く変動していないことはその証左である。),ベストライフ通商においても,平成5年6月期に約350万円が計上されているほか,別表10記載のそれ以前の期においては減価償却費の計上を決算書上確認することができず,平成6年6月期以降の期についてはリステム化学研究所と同様に減価償却費を決算書上計上していないことが認められる。よって, 記載のそれ以前の期においては減価償却費の計上を決算書上確認することができず,平成6年6月期以降の期についてはリステム化学研究所と同様に減価償却費を決算書上計上していないことが認められる。よって,少なくとも両社については,減価償却費の計上があることによってその決算書上キャッシュインフローを確認することができないだけであり,実際にはキャッシュインフローは存在していたのであって,これによって大和都市管財に対する利払を行っていた可能性がある,と論ずる余地もない(むしろ,「公正ナル会計慣行」に従って減価償却費を適切に計上していれば,両社の資産及び収益は,ともにその決算書記載の数値よりも更に減少及び悪化していたことが推認されるというべきである。)。 そして,グループ会社のうち平成6年から本件更新登録直近の時期までの間に経常黒字を計上していたのは美祢カントリークラブだけであるところ(ナイス函館の平成8年8月期の経常黒字については前記のとおり債務免除益を計上したものにすぎない。),前記のとおり,美祢カン トリークラブの営業収支は,平成7年3月期が445万円余の赤字,平成8年3月期が1306万円余の赤字,平成9年3月期が240万円余の黒字にすぎないのであって,同社が大和都市管財グループ以外からの資金調達をほとんど行っていなかったことを併せ考えると,同社のキャッシュフローのほとんどが大和都市管財からの資金によるものと合理的に推認されるのであり,仮に平成6年以降ベストライフ通商及びリステム化学研究所が美祢カントリークラブから貸付けを受けていたとしても,その原資のほとんどは大和都市管財から借り受け又は他のグループ会社を経由して借り受けた資金によるものであったといわざるを得ない。 なお,勘定科目内訳明細書をも含めて検討すれば(近畿財務局は大和都市管 その原資のほとんどは大和都市管財から借り受け又は他のグループ会社を経由して借り受けた資金によるものであったといわざるを得ない。 なお,勘定科目内訳明細書をも含めて検討すれば(近畿財務局は大和都市管財からそのグループ会社の決算書類の提出を受けていることからすれば,グループ会社の勘定科目内訳明細書の提出を求めて取得することも容易であったと考えられる。),リステム化学研究所は美祢カントリークラブからの融資を受けていないことが認められるから(平成7年3月期における美祢カントリークラブの決算書には勘定科目内訳明細書が添付されていないため,同期における同社の融資(計約15億7580万円)の相手方は厳密には不明であるが,証拠(甲73号証の5,76号証の1)に照らせば,そのほとんどはナイスミドルに対して貸し付けられていたと推認することができる。),リステム化学研究所に対する上記期間における融資については,その原資の全部又は少なくとも大部分が大和都市管財からの特約付き融資であったことは,このことからも明らかである。 他方,別表10のとおり,ベストライフ通商は美祢カントリークラブから,平成7年4月から平成9年3月までの間に累計で約3億円の融資を受けているところ,これに対応する期間における同社の経常黒字は約1億5000万円存在していたことから,その一部がベストライフ通商 に対する融資の原資になったとみることは可能である(そして,甲76によれば,美祢カントリークラブは少なくとも平成8年3月期においては約6900万円の減価償却費を計上しているから,これを加えれば同社が独自財源から貸し付けることのできた額の上限は約2億2000万円存在していたとみることもできる。)。しかしながら,別表1及び同10のとおり,上記期間においてベストライフ通商は約4億5000 ば同社が独自財源から貸し付けることのできた額の上限は約2億2000万円存在していたとみることもできる。)。しかしながら,別表1及び同10のとおり,上記期間においてベストライフ通商は約4億5000万円から約8億円の経常赤字を計上し,総額で最低でも約21億円の借り入れを行っていた上,その間に大和都市管財から差し引き6億4000万円の特約付き融資を受けていたことが認められるから,仮に美祢カントリークラブに対するキャッシュフローの全額がベストライフ通商に対する融資の原資になっていたと考えたとしても,その全借入額に占める割合は8パーセント程度にすぎない。 以上によれば,グループ会社による特約付き融資に対する利払のうち,少なくとも平成6年6月期以降のベストライフ通商,及び平成6年3月期以降のリステム化学研究所によるものについては,その原資の全部又は大部分が自社又は他のグループ会社に対して行われた大和都市管財からの特約付き融資等が環流したものと推認するのが自然であり,上記推認を覆すに足りる証拠はない。そうすると,大和都市管財は,債務超過に陥り特約付き融資に係る元利金の支払が恒常的に困難な状態に陥っていたベストライフ通商及びリステム化学研究所による利払を可能にし,両社の延命を図るために,他のグループ会社を通じた融資という帳簿上の簡単な操作を行うことによって,両社に対し更なる資金供与を行い続けていたと評価することができ,独立当事者間の取引としてみればその経済的不合理性は明白であるから,これは両グループ会社が平成9年当時において既に実質的に破綻していたことを示す有力な徴表であると評価することができる。 そして,上記のような推認は,いずれも近畿財務局が平成9年検査において入手していたグループ6社の決算書が正確であることを前提にしてその内容を を示す有力な徴表であると評価することができる。 そして,上記のような推認は,いずれも近畿財務局が平成9年検査において入手していたグループ6社の決算書が正確であることを前提にしてその内容を分析した結果であって,近畿財務局長においても容易に想到し得たものであることは明らかである。なお,平成9年検査においてグループ会社の数期分の総勘定元帳を精査して分析すれば,前記ナイスミドルにおける支払利息の帳簿処理と同様の処理が他にも発見されるなどして上記のような推認はより客観的に裏付けられたと考えられる。 もっとも,証拠(乙9)によれば,平成8年経営健全化計画においては,ゴルフ会員権の販売によって売上げを伸ばすことが想定されていたナイスミドルが,①平成8年にベストライフ通商(同年中の抵当証券支払利息約6億2600万円)に5億6000万円,ナイス函館(同約4億0880万円)に4億5600万円,リステム化学研究所(同約1億7930万円)に3500万円,北海道泊別観光(同約1280万円)に1300万円をそれぞれ貸し付け,②平成9年にベストライフ通商(同年中の抵当証券支払利息約6億1080万円,抵当証券元本返済20億円)に24億円,ナイス函館(同年中の抵当証券支払利息約4億0880万円)に4億円,リステム化学研究所(同1億7930万円)に3600万円,北海道泊別観光(同約1280万円)に1300万円をそれぞれ貸し付け,③平成10年にベストライフ通商(同年中の抵当証券支払利息約4億8080万円,抵当証券元本返済10億円)に12億6000万円,リステム化学研究所(同年中の抵当証券支払利息約1億7930万円)に3500万円,北海道泊別観光(同約1280万円)に1300万円をそれぞれ貸し付け,④平成11年にベストライフ通商(同年中の抵当証券支払利 学研究所(同年中の抵当証券支払利息約1億7930万円)に3500万円,北海道泊別観光(同約1280万円)に1300万円をそれぞれ貸し付け,④平成11年にベストライフ通商(同年中の抵当証券支払利息約4億4680万円,抵当証券元本返済3億4460万円)に9億0300万円,リステム化学研究所(同年中の抵当証券支払利息1億7930万円)に3600万円,北海 道泊別観光(同約1280万円)に1300万円をそれぞれ貸し付けるとしており,グループ会社のうちゴルフ会員権販売による収入を見込んでいた美祢カントリークラブ及び平成10年以降のナイス函館,廃棄物処理による一定の収入があるとしていたリステム化学研究所を除けば,グループ各社の大和都市管財に対する特約付き融資に係る元本及び利息の支払は,すべてナイスミドルからの融資を受けて賄うことを予定していたことが認められる。 しかしながら,前記認定事実によれば,大和都市管財は,平成8年経営健全化計画において,那須グリーンコースのゴルフ会員権につき平成8年度から平成10年度まで毎年1800口ずつ1口500万円ないし700万円で販売し3年間で総額324億円(うち平成8年度内に90億円)を売り上げるなどとしていたにもかかわらず,近畿財務局が平成8年12月20日に実施したヒアリングにおいて,同年12月時点での実績が390万円のもの80口,500万円のもの15口にすぎないことが明らかにされるとともに(各ゴルフ場の「収支はトントン」と説明されている。),同日大和都市管財が提出した「那須グリーンコース会員権販売実績及び修正計画」においては,平成8年度の販売計画が1口390万円のものを100口,1口500万円のものを50口の6億4000万円,平成9年度の販売計画が81億4000万円と大幅に縮小され,近畿財務局が 修正計画」においては,平成8年度の販売計画が1口390万円のものを100口,1口500万円のものを50口の6億4000万円,平成9年度の販売計画が81億4000万円と大幅に縮小され,近畿財務局が平成9年5月20日に実施したヒアリングにおいては,那須グリーンコースのゴルフ会員権の販売計画を平成9年度内に約1000口41億円と更に大幅に縮小されているのであって,以上説示したグループ6社の決算書類の分析結果に加えてこれらの経過及び平成9年経営健全化計画について後記説示するところをも併せ考えると,ナイスミドルが平成9年当時において平成8年経営健全化計画において想定されていたようにその営業利益でもってベストライフ通商やリステム 化学研究所に対する巨額の貸付けを行うに足りる資金を調達することが近い将来可能となるような状況にはおよそなかったことが明らかというべきである。 以上のとおり,本件更新登録時点において近畿財務局が把握していた事実関係のみに基づいても,平成9年当時において,ベストライフ通商及びリステム化学研究所は,少なくとも平成6年ころ以降,大和都市管財に対する特約付き融資に係る利払の少なくとも大部分が大和都市管財からの融資等を原資とせざるを得ない状況,換言すれば,上記2社の大和都市管財に対する特約付き融資に係る利払を可能にしてその延命を図るために上記2社に対して大和都市管財の資金が環流するような帳簿操作が行われている状況にあったことが容易に認定し得たものというべきである。 (ウ)グループ会社の収益改善見込みについて証拠(乙42ないし44)によれば,大和都市管財は,平成9年経営健全化計画において,現にゴルフコースを運営しているナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブについて,那須グリーンコース及びナイス大原カントリーク 4)によれば,大和都市管財は,平成9年経営健全化計画において,現にゴルフコースを運営しているナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブについて,那須グリーンコース及びナイス大原カントリークラブの会員権販売による登録料収入,ナイス大原リゾート計画や那須リゾート計画によるリゾート会員権登録料利益,これらの会員権販売に伴う無利子預託金の余資運用益等で当期利益が平成11年度に黒字化する(ナイスミドル),経費節減や関東地区旅行会社とのタイアップによる売上げの増加で赤字を抑制しつつ,平成14年度以降に会員権を販売していく(ナイス函館),会員権販売による登録料収入や無利子預託金の余資運用益等で平成9年度中に債務超過額を解消する(美祢カントリークラブ)などとしている。 これらのうちゴルフ会員権の販売計画についてみると,前記認定のとおり,那須グリーンコース(ナイスミドル)については,平成9年10 月以降平成10年3月までに約2000口(登録料計約3400万円,預託金計約82億6000万円),ナイス大原カントリークラブ(ナイスミドル)については,平成10年1月から3月までに900口(登録料計4億6000万円,預託金計約36億9000万円)を売り上げ,これによって集めた資金を年10パーセント程度の収益が上がるとする外債投資や那須グリーンコースのリゾートホテル建設資金15億円等に充てるとするものであり,美祢カントリークラブについては,平成10年1月から3月までに900口,同年4月以降の1年間で500口(登録料計6億2580万円,預託金計51億5000万円)を売り上げるとともにその余資運用益を上げるというものであったところ,確かに,那須グリーンコースのゴルフ会員権については,近畿財務局が平成9年11月18日に実施したヒアリングにおいて,大和都 万円)を売り上げるとともにその余資運用益を上げるというものであったところ,確かに,那須グリーンコースのゴルフ会員権については,近畿財務局が平成9年11月18日に実施したヒアリングにおいて,大和都市管財側から,同年8月から10月までの販売実績が118億円に上っているとの説明を受けていたところであるが,近畿財務局が同年11月25日に実施したヒアリングにおいて,Y1は,ゴルフ会員権販売が好調となった理由について,会員権に年間24枚の転売可能なプレー券を付けたからである旨の説明をしていた上,近畿財務局は,同年8月28日の時点で,抵当証券保管機構から,同月に入って大和都市管財の抵当証券の中途解約が急増している事実を知らされていたのであり,同年11月ころ,チケット制会員権の詳細について記載された本件告発文書が大蔵本省等に送付されていたこと,近畿財務局が同社が平成6年にも多数の抵当証券購入者に中途解約させて金融商品としての手形商品を購入させた経緯を承知していたことやゴルフ会員権取引をめぐる当時の客観的経済情勢をも併せ考えると,近畿財務局において当該ゴルフ会員権の実質が手形商品類似の高利率の金融商品であることを容易に想到し得たものというべきであり,ヒアリング等においてY1ら関係者に問いただすことにより当該 ゴルフ会員権の高利金融商品としての実体を正確に把握することが容易にできたはずである。そして,近畿財務局においてそのような調査を遂げていれば,当該ゴルフ会員権の販売が大和都市管財からの高利による借入れにほかならず,収益面での寄与が乏しい上,その販売対象も乗換えの対象となるような抵当証券,手形商品その他の同社の金融商品の購入者を除いては現実的可能性が少ないことを容易に認識し得たものというべきである。また,その余のゴルフ会員権についても,前 売対象も乗換えの対象となるような抵当証券,手形商品その他の同社の金融商品の購入者を除いては現実的可能性が少ないことを容易に認識し得たものというべきである。また,その余のゴルフ会員権についても,前記のとおり,平成8年経営健全化計画における那須グリーンコースのゴルフ会員権の販売計画が大幅未達に終わった経過に加えて,ゴルフ会員権取引をめぐる当時の客観的経済情勢にもかんがみると,これらのゴルフ会員権を登録料を除いて1口350万円(美祢カントリークラブ)ないし410万円(ナイス大原カントリークラブ)の価格(乙41)で上記の計画口数販売することが客観的にみて実現可能性が極めて乏しいことは明らかということができ,近畿財務局においても,これらのゴルフ場の周辺のゴルフ場の会員権相場を調査するなどすればこれら販売計画の非現実性が更に容易に裏付けられたというべきである(前記認定のとおり,平成6年検査においては,近畿財務局は,平成6年検査結果通知の指摘を受けて大和都市管財が示したナイス大原カントリークラブ,美祢カントリークラブ及びナイス函館カントリークラブのゴルフ会員権の販売見通しについて,事前に周辺ゴルフ場の会員権相場を調査した上で,大和都市管財の認識が甘すぎるので実態を再調査しグループ会社の収支5か年計画を再度見直すよう指示していたところである。)。これらに加えて,平成9年経営健全化計画に盛り込まれたナイスミドル及び美祢カントリークラブの前記余資運用益が何ら具体的な裏付けを伴うものではなかったこと並びに平成9年当時におけるナイスミドル及び美祢カントリークラブの累積損失の額の大きさなどにもかんがみると,本件更新登録時点に おいて近畿財務局が把握し及び容易に把握することができた事実関係のみに基づいても,ナイスミドル及び美祢カントリークラブについ ブの累積損失の額の大きさなどにもかんがみると,本件更新登録時点に おいて近畿財務局が把握し及び容易に把握することができた事実関係のみに基づいても,ナイスミドル及び美祢カントリークラブについてその収益が近い将来急激に改善する見込みはないと断定するに足りる合理的な根拠が存したというべきであり,ましてや,これら2社がベストライフ通商及びリステム化学研究所に対してその利払資金の相当部分を貸し付ける等の資金的余裕など生じ得ないことも明らかであったというべきである。なお,前記のとおり,ナイス函館については,平成9年経営健全化計画において,ゴルフ会員権の販売計画すら策定されておらず,旅行会社とのタイアップによる来場客の増加や航空運賃の自由化による北海道外からの集客に期待するといった希望的観測が記載されているにすぎず,その収支予想は平成13年度までに営業損失を解消することができず,債務超過額も同年度までに約48億円に拡大するとされていたのであって,同社がベストライフ通商及びリステム化学研究所に対してその利払資金の相当部分を貸し付ける等の資金的余裕など生じ得ないことも客観的に明らかであった。 もっとも,平成9年経営健全化計画においては,ナイス大原リゾート計画及び那須リゾート計画が新たに盛り込まれていた上,大和都市管財が「融資先会社新規事業計画案詳細資料」として,建設予定であるホテルやコテージ等の概要や建設費,人件費等の概算的な見積書,宿泊施設料金表やリゾート内施設利用料金等が提出されていたが,そもそもこれらのリゾート施設の経営見通しはゴルフ場の営業実績と連動するものであると考えられる上,これらの計画がゴルフ会員権の販売計画が順調に推移することを前提にその一部を建設資金として充てることを内容とするものであることをも併せ考えると,当該計画が実 実績と連動するものであると考えられる上,これらの計画がゴルフ会員権の販売計画が順調に推移することを前提にその一部を建設資金として充てることを内容とするものであることをも併せ考えると,当該計画が実現し予想された収益を上げ得る客観的可能性は極めて乏しいものというほかない。 以上のとおりであるから,本件更新登録時点において,近畿財務局が 把握し及び容易に把握することができた事実関係のみに基づいても,ベストライフ通商及びリステム化学研究所が近い将来収益の改善したナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブから資金援助を受けることによりその収益を改善する見込みはないと断定するに足りる合理的な根拠が存したというべきである。 そこで,次に,ベストライフ通商及びリステム化学研究所が平成9年経営健全化計画において計画された事業を展開することにより近い将来その収益を改善する見込みが存したか否かについて検討する。 上記証拠によれば,大和都市管財は,平成9年11月25日に改訂前の平成9年経営健全化計画を提出した際,同計画が平成13年度までにグループ全体の債務超過がなお解消しない内容となっている旨の指摘を受けたことから,その2日後の同月27日に,平成13年度においてグループ全体で約22億円の資産超過となるとした最終版の平成9年経営健全化計画を提出したこと,その最大の変更点は,ベストライフ通商が平成10年4月から平成11年11月までの間に200億円の資金を投じて中古ファッションホテルを購入する計画を打ち出した点にあり,これによって平成10年度に7億円,平成11年度に18億円,平成12年度と平成13年度に各20億円,計65億円の収益を上げるとしていたこと,この結果,ベストライフ通商の資本勘定は,改訂前の計画では平成13年度末にようやく約3400万円の 1年度に18億円,平成12年度と平成13年度に各20億円,計65億円の収益を上げるとしていたこと,この結果,ベストライフ通商の資本勘定は,改訂前の計画では平成13年度末にようやく約3400万円の資本超過となるはずであったものが,改訂後の計画では同年度末における資本超過額が約20億7800万円へと急増したこと,ファッションホテル投資物件についての参考資料(平成9年11月20日に存在した東海地方における中古ホテルの売却物件1件についての概要と,それを購入した場合において必要な改装工事の概要及び収益計画が仮定の形で記載されたもの)は同年12月1日に提出されたこと,上記200億円の原資の大部分は,新規の 特約付き融資で賄う方針が示されたこと,がそれぞれ認められる。しかしながら,証拠(乙37,39ないし43)によれば,ファッションホテル事業への進出は,平成8年12月20日の業況ヒアリングで言及されていたものの(同日の連絡記録票には,大和都市管財側の発言として,「立地条件や経営効率等を考慮し,優良物件を探している。50億円規模で,利益率15~20%」との記載がある。),その後は特段の進展がなく,平成9年経営健全化計画の当初案にも盛り込まれていなかったものであって,その4倍の投資規模のものがわずか2日の間に改訂された最終案に急きょゴルフ会員権販売と並ぶ経営健全化計画の柱として盛り込まれたという経緯や,その収益性の高さからみて,その計画としての合理性のみならず,実在性自体に強い疑問が生じるものというべきであり,少なくとも,平成10年に購入する予定の中古ファッションホテルの購入希望物件リスト(前記のとおり,平成9年経営健全化計画に参考資料として添付されていたのは,直近の売り物件を例にとってその開業までの費用や収益を計算してみせた試算表にす の中古ファッションホテルの購入希望物件リスト(前記のとおり,平成9年経営健全化計画に参考資料として添付されていたのは,直近の売り物件を例にとってその開業までの費用や収益を計算してみせた試算表にすぎない。)やその不動産鑑定評価書等を提出させることは必要かつ容易であったと考えられ,前記認定の経緯に明らかなように,平成13年に大和都市管財グループが破綻するまで,同グループによるファッションホテルに対する何らの投資も行われた形跡がないことに照らすと,同グループから十分な疎明資料が提出された可能性はないから,これらの事実を総合することによって,ファッションホテル事業への進出計画自体が単なる数字合わせのための架空のものである,と合理的に認定することは容易であったと考えられる。また,ベストライフ通商の経営再建のもう一つの柱は,a町土地の公園墓地化計画であるが,これは,平成8年経営健全化計画では,ゴルフ練習場とすることによって平成11年度から3億1000万円以上の収益を上げる予定となっていた上記土地につき,平成8年12月2 0日のヒアリング(乙37)では,公園墓地として奈良市に20億円で売却予定であるとされ,平成9年5月20日のヒアリング(乙40)では,奈良市とナイスミドルとの第3セクター方式による霊園墓地としての開発を行う予定であり,同年11月を目処に奈良市から開発許可の正式決定が出る予定であるとされ,平成9年経営健全化計画(乙41)では,ベストライフ通商がa町土地を霊園墓地として開発した上,大和都市管財と奈良市とが設立した第3セクターに平成12年度に売却し,墓地経営の利益を同社と奈良市とで収受するとの計画に順次変更されるとともに,その提出に際しての説明では,まだ正式の開発許可は下りていないが,奈良市議会には根回しを行っており,平成1 2年度に売却し,墓地経営の利益を同社と奈良市とで収受するとの計画に順次変更されるとともに,その提出に際しての説明では,まだ正式の開発許可は下りていないが,奈良市議会には根回しを行っており,平成10年秋には実現するとの見通しが述べられていたものである。しかしながら,前記認定に係る本件の経緯及び争点2で認定したところに照らせば,平成9年の段階で大和都市管財と奈良市との間に第3セクターを設立する具体的な協議など実際には存在しなかった事実は優に推認することができるところ,前記認定のとおり,近畿財務局は,本件更新登録に先立ち,抵当証券保管機構から現況がどうなっているのか実態を把握しておく必要があるのではないかとの指摘を受けていたにもかかわらず,奈良市との間の協議の存在を示す証拠(契約書草案や完成予想図等を含むより詳細な事業計画書,奈良市側の担当者の氏名及び連絡先,奈良市議会や地元住民に対する説明資料等)の提出を求めることはもとより,そのような協議が存在するか否かについて奈良市に任意で問い合わせることすらしていなかったのであって,そうした簡単な裏付けを取る最低限の努力を払っていれば,a町土地の利用計画に係る大和都市管財側の説明が変遷し,開発許可の取得予想時期も遷延している事実と相まって,それがせいぜい大和都市管財グループ内における単なる構想の域を出るものでなく,奈良市との協議も具体的な形では存在していなかった事実を容易に認定し得 たことが明らかであったというべきである。 さらに,リステム化学研究所についてみると,証拠(乙41ないし44)のとおり,その不動産賃貸事業は,平成9年経営健全化計画においても平成13年度まで現状を維持するとの見込みであり,それだけでは特約付き融資に係る利払(年間約1億9320万円)に及ばない水準の営業黒字(年 り,その不動産賃貸事業は,平成9年経営健全化計画においても平成13年度まで現状を維持するとの見込みであり,それだけでは特約付き融資に係る利払(年間約1億9320万円)に及ばない水準の営業黒字(年間約1億2040万円)を発生させるだけであって,その経常収支は,平成9年11月以降本格稼働するという産業廃棄物セラミック化処理事業によって初めて好転する計画となっていたところ(同事業は,平成9年10月には月40万円以上の赤字であったものが,同年11月以降は販売経費に変化がないにもかかわらず月43万円以上の黒字になり,その後の月平均黒字額は平成10年度が約534万円,平成11年度が約576万円,平成12年度が約1700万円,平成13年度が約1990万円へと推移するという野心的なものであった。),争点2で認定したとおり,そもそも,上記事業は,平成7年収支計画でも,平成7年度から5000万円の収入を得る計画となっていたものの,この計画には具体的な裏付けがなく,その後も現実化しなかったのであって,平成9年5月20日のヒアリングにおいても,奈良市との間で廃棄物リサイクル事業に係る独占的契約を締結しており,今後2年間の間に10億円の利益が見込める旨の説明をしていたにもかかわらず,平成9年経営健全化計画の提出に際し,廃棄物リサイクル事業についてはなお奈良市と協議中であり,平成10年2月に同市と契約し,同年度以降は有望な事業となる旨の説明をするにとどまっており,同計画上で平成12年度以降毎期2億円の利益を計上する予定となっていたことについても,奈良市との間にそのような契約が可能であることについての裏付けは何ら提出されなかったのであって,その後も何ら事業が進展した形跡がないことに照らすと,そもそも事業が実体として存在せず,奈良市と の契約に関する協 ような契約が可能であることについての裏付けは何ら提出されなかったのであって,その後も何ら事業が進展した形跡がないことに照らすと,そもそも事業が実体として存在せず,奈良市と の契約に関する協議も架空のものであったことは優に推認することができるところ,近畿財務局は,事業計画書(平成9年経営健全化計画においては,上記事業の予想損益計算書のほかには,「産業廃棄物のセラミック化(トーマスセラミック:レンガ,壁材等に利用)事業を中心に,更なる事業の充実・拡大について,現在奈良市と協議中です。」との説明があるにとどまり,その事業の具体的内容は全くといっていいほど明らかとなっていない。)や奈良市との間の協議の存在を示す証拠(契約書草案や奈良市側の担当者の氏名及び連絡先等)を提出するよう大和都市管財に指示したり,そのような協議が存在するか否かについて奈良市に任意で問い合わせることすらしていなかったのであって,そうした簡単な裏付けを取る最低限の努力を払っていれば,廃棄物リサイクル事業に係る説明が変遷し,その本格開始予想時期も遷延している事実と相まって,それがせいぜい大和都市管財グループ内における単なる構想の域を出るものでなく,奈良市との協議も具体的な形では存在していなかった事実は容易に認定し得たことが明らかというべきである。 したがって,平成9年経営健全化計画中,少なくともベストライフ通商及びリステム化学研究所に係る部分については,その再建策の重要部分が架空のものであることは通常必要とされる注意を払えば近畿財務局において容易に認定することができたというべきであり,そうであるとすれば,本件更新登録時点において,近畿財務局が把握し及び容易に把握することができた事実関係のみに基づいても,ベストライフ通商及びリステム化学研究所がその事業を展開すること べきであり,そうであるとすれば,本件更新登録時点において,近畿財務局が把握し及び容易に把握することができた事実関係のみに基づいても,ベストライフ通商及びリステム化学研究所がその事業を展開することにより近い将来その収益を改善する見込みはないと断定するに足りる合理的な根拠が存したというべきである。 以上検討したところによれば,ベストライフ通商及びリステム化学研究所は,本件更新登録時点において,近畿財務局が把握し及び容易に把 握することができた事実関係のみに基づいても,その事業を展開することにより近い将来その収益を改善する見込みはないことはもとより,近い将来収益の改善したナイスミドル,ナイス函館及び美祢カントリークラブから資金援助を受けることによりその収益を改善する見込みもないと断定するに足りる合理的な根拠が存したというべきである。しかるところ,前記のとおり,本件更新登録時点において近畿財務局が把握していた事実関係のみに基づいても,ベストライフ通商及びリステム化学研究所は,少なくとも平成6年ころ以降,大和都市管財に対する特約付き融資に係る利払の少なくとも大部分が大和都市管財からの融資等を原資とせざるを得ない状況,換言すれば,上記2社の大和都市管財に対する特約付き融資に係る利払を可能にしてその延命を図るために上記2社に対して大和都市管財の資金が環流するような帳簿操作が行われている状況にあったことが容易に認定し得たというのであるから,本件更新登録時点において,近畿財務局は,ベストライフ通商及びリステム化学研究所が形式的には事業を継続しているものの実質上破綻の状態にあったことを客観的かつ明確な根拠をもって認定することができたものというべきである。そうであるとすれば,近畿財務局は,平成9年3月末当時の「公正ナル会計慣行」の下においても ものの実質上破綻の状態にあったことを客観的かつ明確な根拠をもって認定することができたものというべきである。そうであるとすれば,近畿財務局は,平成9年3月末当時の「公正ナル会計慣行」の下においても,本件貸借対照表上において,大和都市管財の両社に対する特約付き融資に貸倒引当金を追加的に設定することができ,また,そうすべきであったということができる。 (エ)回収不能見込額について既に争点2において説示したとおり,リステム化学研究所及びベストライフ通商に対する特約付き融資の無担保部分に係る算定は,その担保物件の価格について,①抵当証券保管機構による簡易鑑定の結果が利用できるものはそれにより,②遊休資産として帳簿価額に支払利息配賦額が含まれている土地のうちa町土地以外のもの(a区土地並びに神 戸市a区b町c,上野市a及び京都府相楽郡a町bに各所在の土地)については,平成8年6月期の帳簿価額から支払利息配賦額を控除した(したがって,取得価額に近接する)価額を採用し,③a町土地については平成8年6月期の帳簿価額を,大阪駅前第1ビルについては大和都市管財による抵当証券発行申請時の不動産鑑定評価額をそのまま採用した上,④個別のたな卸不動産の平成8年6月期末における帳簿価格は,平成10年6月期(第15期)決算報告書添付の「たな卸不動産明細書」の内訳比率から推定する,というものである。これらのうち,少なくとも本省金融会社室が平成9年更新登録時点で①の抵当証券保管機構による簡易鑑定の結果が記載された保管抵当証券明細表(甲90の6)を取得し同簡易鑑定の結果を近畿財務局に伝えていた事実は前記認定のとおりであり,同簡易鑑定による評価額は,抵当証券保管機構が路線価や公示価格を基にして行ったものであるところ,前記認定のとおり,関東財務局が不動産 鑑定の結果を近畿財務局に伝えていた事実は前記認定のとおりであり,同簡易鑑定による評価額は,抵当証券保管機構が路線価や公示価格を基にして行ったものであるところ,前記認定のとおり,関東財務局が不動産抵当證券のソーケン開発に対する特約付き融資のうち抵当物件によって担保されていない部分の価額の評価を路線価又は不動産鑑定評価書によって行っていること,保管抵当証券明細表からは同簡易鑑定の評価額が抵当証券発行時に大和都市管財が提出した鑑定評価書の評価額を大きく下回っている状況が容易に理解できたことからすれば,近畿財務局において少なくとも抵当証券保管機構による簡易鑑定がされている物件については当該簡易鑑定の結果を用いることが容易にできたはずであり,また,これを用いるのが合理的な手法であったということができる(リステム化学研究所に対する特約付き融資に係る担保物件についてはすべて上記の簡易鑑定がされている。)。これに対し,抵当証券保管機構による簡易鑑定がされていない物件については,被告の主張するとおり,本件更新登録時点において近畿財務局ないし大蔵本省が抵当権設定に係る担保物件購入価格一覧表又はベストライフ通商及び リステム化学研究所を含むグループ6社の勘定科目内訳明細書を取得していた事実を認めるに足りる証拠はないが,前記認定のとおり,近畿財務局は,平成9年検査に先立って,本省金融会社室から,必要であれば抵当証券保管機構の協力も得た上で特約付き融資に係る担保物件の状況を調べるよう指示されていたことに加えて,平成9年検査において,ベストライフ通商及びリステム化学研究所を含むグループ6社の総勘定元帳をいったん適法に入手していたのであるから,大和都市管財に対し,グループ会社の勘定科目内訳明細書の提出を求めるなどして,これらの物件の帳簿価額ないし取得 テム化学研究所を含むグループ6社の総勘定元帳をいったん適法に入手していたのであるから,大和都市管財に対し,グループ会社の勘定科目内訳明細書の提出を求めるなどして,これらの物件の帳簿価額ないし取得価額を容易に把握することができたはずである。そうでないとしても,少なくとも,ベストライフ通商のa町土地については,前記のとおり,平成5年12月を評価時点とする21億円の鑑定評価が出されていた上,これに基づく抵当証券の販売枠管理が行われてきたのであるから,近畿財務局は,a町土地の評価額としては,当該鑑定評価額(21億円)を用いることが容易にできたはずであり,また,これを用いるのが合理的な手法であったということができる(なお,前記2(4)ケ(ウ)においては,a町土地の評価額について帳簿価格(30億5000万円)を用いているが,これは,原告らの主張の趣旨に沿う形で特約付き融資の客観的な回収不能見込額を控えめに算定したものにすぎない。)。そして,以上説示したところからすれば,ベストライフ通商のa区土地を含むその余の物件についても,少なくともこれを全体としてみれば当時の時価が被担保債務額を相当程度下回っていたことは容易に推認することができたというべきである(なお,a区土地が本件更新登録時点においてなお遊休資産のまま放置されていた事実は,平成9年経営健全化計画の内容及びこれに関する近畿財務局のヒアリング内容からも明らかであった。)。 そうすると,近畿財務局において,仮に抵当証券保管機構による簡易 鑑定がされていない物件について帳簿価額等を把握することができなかったとしても,少なくとも,本件更新登録時までに入手していたリステム化学研究所の平成9年3月期の決算書及び上記保管抵当証券明細表のみに依拠して(なお,リステム化学研究所が特約付き融資に係る担 きなかったとしても,少なくとも,本件更新登録時までに入手していたリステム化学研究所の平成9年3月期の決算書及び上記保管抵当証券明細表のみに依拠して(なお,リステム化学研究所が特約付き融資に係る担保物件以外に資産価値のある不動産を所有していた形跡は平成9年経営健全化計画その他近畿財務局が当時入手していた資料からは全くうかがわれない。),前記2(4)ケにおいて用いた手法を用いて,リステム化学研究所に対する特約付き融資についての回収不能見込額を見積もることにより,平成9年3月末の時点において,少なくとも5億2800万円程度の貸倒引当金を設定すべきであることが容易に判明したものというべきであり,上記のとおり,関東財務局が不動産抵当證券のソーケン開発に対する特約付き融資について類似の手法を用いて貸倒引当金を設定していることにかんがみると,近畿財務局においてより慎重(控えめ)な認定方法というべき上記手法(なお,関東財務局が不動産抵当證券について用いた手法,すなわち,一般債権としての回収可能見込額は考慮しないという手法によった場合には,約13億7600万円の貸倒引当金を設定すべきことになる。)を容易に想到し得たものというべきである。 これに対し,ベストライフ通商については,同社の平成8年6月期の決算書及び上記保管抵当証券明細表のみからは前記2(4)ケにおいて用いた手法を用いてベストライフ通商に対する特約付き融資についての回収不能見込額を見積もることは困難であるが,以上説示したところからすれば,少なくとも相当額の貸倒引当金の追加設定を要することが相応の根拠をもって認定できたはずである。 以上検討したところによれば,近畿財務局において,少なくともリステム化学研究所に対する特約付き融資について5億2800万円程度の貸倒引当金を設定すべきであり,また 拠をもって認定できたはずである。 以上検討したところによれば,近畿財務局において,少なくともリステム化学研究所に対する特約付き融資について5億2800万円程度の貸倒引当金を設定すべきであり,また,ベストライフ通商に対する特約 付き融資についても,本件基準(税法基準)による貸倒引当金を相当程度上回る貸倒引当金を設定すべきことを客観的かつ明確な根拠をもって認定することができたというべきであり,大和都市管財の平成9年3月期の剰余金が1億2948万0029円にすぎないことにかんがみれば,いずれにせよ近畿財務局長によって追加的に設定されることが必要な貸倒引当金の額がこの額を上回り,大和都市管財の資本欠損を認定せざるを得なかったことは確実というべきである。 (オ)被告の主張についてこれに対し,被告は,グループ会社が資金繰りをする中で,特約付き融資や手形商品から得た資金の一部を大和都市管財に対する支払利息の原資にしていたとしても,グループ会社にはそれぞれ事業収入があり,大和都市管財に対する支払利息のすべてが購入者から得た資金で賄われていると認定することはできなかったから,グループ会社が利息額に見合う収益を上げておらず,銀行からの借入金もほとんどなかったからといって,近畿財務局は,大和都市管財が購入者から得た資金が同社に環流しているにすぎないと判断することはできない旨主張する。しかしながら,たとい支払利息の原資の全額を大和都市管財からの融資が占めているとまではいえなくても,継続的にその原資の大部分を大和都市管財からの融資で賄っているとみるほかない事実が認められるのであれば,融資先であるグループ会社を延命させるために経済的に不合理な追加融資を繰り返している状況を推認させるに十分というべきである。そして,グループ会社がその事業収入では到底 い事実が認められるのであれば,融資先であるグループ会社を延命させるために経済的に不合理な追加融資を繰り返している状況を推認させるに十分というべきである。そして,グループ会社がその事業収入では到底利払が行えなかったことは明らかであって,その大部分が大和都市管財からの特約付き融資を原資としているとみざるを得ないこと,少なくともベストライフ通商とリステム化学研究所についてはその状態が4期以上にわたって継続していたとみられることは既に説示したとおりである。しかも,ソーケン開発が平成9 年の段階でなお営業を継続していたのであれば,同社の不動産抵当證券に対する利払の少なくとも一部にはその事業収入が充てられていた可能性はむしろ高いというべきであるが,証拠(甲207,乙154)上,関東財務局長がこの点を考慮してソーケン開発の破綻認定をちゅうちょしたような形跡はない。したがって,被告の主張は失当である。 さらに,被告は,平成9年当時においてソーケン開発が事実上破綻の状態にあると認定することができたのは,①同社が債務超過の状態にあったこと,及び②同社においては利払の原資が貸し手である不動産抵当證券からの仮払金であったことが明確であったことと並んで,③ソーケン開発に経営再建の見通しが立っておらず,不動産抵当證券においてもこの事実を認めていたことが主な理由であるところ,グループ会社については①は共通であったといえても,②につき,グループ会社による利払の原資が明確ではなかったこと,③につき,グループ会社については経営健全化計画が提出されており,その実行が可能であると大和都市管財グループから強く主張されていたこと,などの点が異なるから,両者を同列に論じることはできない旨主張する。しかしながら,②については,グループ6社がいずれもY1の統轄下にあり 可能であると大和都市管財グループから強く主張されていたこと,などの点が異なるから,両者を同列に論じることはできない旨主張する。しかしながら,②については,グループ6社がいずれもY1の統轄下にあり,事実上一体であったこと,平成6年度以降はその大部分が継続的に赤字であったことなどに照らせば,少なくともベストライフ通商とリステム化学研究所については,大和都市管財からの特約付き融資がその利払の大部分の原資となっているとの対応関係が相当程度明確といえたことは既に述べたとおりであり,③についても,少なくとも上記2社の経営健全化計画については明らかに不合理なものであったと容易に認定し得たことも既に説示したとおりであるから,いずれも採用することができない。 また,被告は,リステム化学研究所は,①平成9年3月期に収益としてグループ会社に対する長期貸付金8億2600万円に対する受取利 息約7132万円も計上しており,不動産賃貸等による収益約1億6231万円と受取利息約7132万円との合計額2億3363万円は支払利息約2億0937万円を上回っていたこと,②平成9年5月20日における大和都市管財に対するヒアリングでも,産業廃棄物のリサイクル事業も本格化する見込みである旨の説明があり,平成9年経営健全化計画においても,賃貸収入が堅調であることに加え,産業廃棄物セラミック化処理事業も本格化する見込みで有望であるとされていたこと,③同社の売上高の推移をみても,設立当初の平成5年3月期には約1621万円,平成6年3月期には約1944万円にすぎなかったが,平成7年3月期にはこれが約1億6291万円と飛躍的な伸びを見せ,その後も平成8年3月期,平成9年3月期と同水準を維持していたこと,④同社の当期損失の推移をみても,平成5年3月期に当期利益を計上した後 7年3月期にはこれが約1億6291万円と飛躍的な伸びを見せ,その後も平成8年3月期,平成9年3月期と同水準を維持していたこと,④同社の当期損失の推移をみても,平成5年3月期に当期利益を計上した後,平成6年3月期には約3318万円,平成7年3月期には約7088万円の当期損失をいずれも計上したものの,その後,当期損失額は,平成8年3月期には約5082万円,平成9年3月期には約1860万円と大幅に縮小し,改善傾向を示していたことなどから,リステム化学研究所は,本件更新登録当時,完全に破綻しているなどと断定することができる状況にはおよそなかった旨主張する。しかしながら,①について,継続的に債務超過である他のグループ会社からの利払が今後とも同水準で継続されると期待することができたとはいえなかったであろうこと(本件合意書にみられるように,大和都市管財グループでは,形の上で他のグループ会社を救済するためにこれに対する貸付金の利息を減免したことにすることが行われていた。),②についても,そのような説明が単なる構想の域を出るものではなく,最低限度の監督権限の適切な行使によって容易にその虚構性を看破することができたであろうことは,いずれも既に説示したとおりである。また,③については,平成7年3 月期の売上高の伸びは特約付き融資によって賃貸物件を取得した結果であり,それ以上に利払が増えているため経常赤字はかえって増加していることをあえて看過した主張といわざるを得ない上,④についても,当期損失の縮小は他のグループ会社からの利払を原因とするものであって,①と同様の懸念を払拭することはできないと考えられる。したがって,被告が主張する点は,いずれもリステム化学研究所が事実上破綻状態にあるとの認定を妨げるような事情とはいえないというべきである。 加えて, と同様の懸念を払拭することはできないと考えられる。したがって,被告が主張する点は,いずれもリステム化学研究所が事実上破綻状態にあるとの認定を妨げるような事情とはいえないというべきである。 加えて,被告は,担保物件には不動産鑑定評価書が存在した以上,簡易鑑定等によってその評価額を安易に否認することは近畿財務局には行い得なかった旨主張する。しかしながら,不動産鑑定評価書といえども評価時点が異なる以上担保の回収見込額を判断するに際してはこれを離れて合理的な評価額を再度算定する必要があり,関東財務局も不動産抵当證券に対する貸倒引当金額を算定する際には同様の作業を行っていることは既に説示したとおりである上,前記認定に係る本件の経緯のとおり,平成4年検査において,近畿財務局もa町土地の不動産鑑定評価額が高額にすぎるとして再度の鑑定を行わせ,販売枠管理という形で大和都市管財にも上記土地を担保とするモーゲージ証書の販売高を抑制するよう指導していたこと,Y26課長も,平成7年業務改善命令の撤回前においては,大和都市管財に対し,その担保物件に対する不動産鑑定評価額について疑義を示す場面もあったことからして,被告の上記主張も採用することができない。 さらに,被告は,大和都市管財グループは専門家であるY3会計士が指導していたから,近畿財務局が同グループの会計処理は適正に行われていると信頼していたとしても無理からぬものがある旨主張する。しかしながら,ナイスミドルの総勘定元帳に本件貸付金の記載がなく,同会計士が本件貸付金については知らなかった旨説明していたこと,前記の とおりグループ会社の会計処理のうちに減価償却費の計上を適正に行っていなかったものが散見されること,近畿財務局によるヒアリングの際にも,Y3会計士の説明をY1がその場で覆すなど,Y1が同会 とおりグループ会社の会計処理のうちに減価償却費の計上を適正に行っていなかったものが散見されること,近畿財務局によるヒアリングの際にも,Y3会計士の説明をY1がその場で覆すなど,Y1が同会計士よりも優位な立場にいた事実がうかがわれたであろうこと,などに照らすと,同会計士の存在によっては,大和都市管財グループにおける会計処理の適正が実質的に担保されているとは近畿財務局も到底評価し得なかったと解されるから,被告の上記主張もまた失当である。 (カ)小括以上によれば,近畿財務局長は,本件更新登録に当たり,職務上通常必要とされる注意義務を尽くして審査すれば,当時の「公正ナル会計慣行」に従う限り,本件貸借対照表上において大和都市管財がその剰余金を上回る貸倒引当金を設定すべきことを容易に判断することができたはずであり,これによって同社が資本欠損の状態であった事実を容易に認定することができたというべきである。 イ抵当証券受取利息について次に,近畿財務局が平成9年検査において抵当証券業規制法により付与された監督権限を適切に行使すれば,特約付き融資に係る利払が架空である事実を容易に認定することができたか否かについて検討する。 既に(5)で説示したとおり,平成9年検査における近畿財務局による監督権限の行使は本件の具体的事情の下では極めて不徹底なものであったというべきであり,既に(4)で説示したような各要素に加え,通常尽くすべき調査を尽くしていれば新たに収集し得たと認められる資料(大和都市管財の預貯金通帳に抵当証券受取利息に対応する入金の記載がないこと,グループ会社には特約付き融資に対応するような資金需要を裏付ける事情が認められないこと等)を基に,予想される大和都市管財の非協力的な態度(特約付き融資やこれに対する利払を裏付ける手形や小切手の耳 ,グループ会社には特約付き融資に対応するような資金需要を裏付ける事情が認められないこと等)を基に,予想される大和都市管財の非協力的な態度(特約付き融資やこれに対する利払を裏付ける手形や小切手の耳を提出せず, 又は,上記融資や利払のためのしばしば億を超える金額の移動についても日常的に現金によって行っており,かつその記録はとどめていないとの主張に固執すること等)も勘案して判断すれば,前記のとおり,大和都市管財による特約付き融資及び同社に対する利払のほとんどが架空である疑いは強かったことが明らかである。 しかしながら,他方で,Y1やY2の捜査機関に対する供述や,平成12年検査で得られた知見等を前提に判断しても,本件3融資の存在が架空であるとまで断定することができないのは既に説示したとおりであることなどに照らすと,Y3会計士やY16が捜査機関に対して行ったような供述がない状況下では,平成9年検査の時点において,上記のような間接的な証拠からだけで,近畿財務局が大和都市管財の特約付き融資がその契約書どおりには行われておらず,ひいてはこれに対する利払も大半が資金の移動を欠いた架空のものであったとまで断定することは困難であったと解さざるを得ない。仮に,利払の仮装を一部認定することができたとしても,既に摘示したとおり,大和都市管財の破綻後にY19管財人らが調査した結果においてすら,①大和都市管財グループ内部における貸借は多数存在しているが,金融商品と無関係な融資については,資金移動はされているものの,取締役会議事録はおろか,金銭消費貸借契約書すら作成されておらず,貸借関係のある会社間で帳簿の突き合わせを行っても数字が合わない状態であった,②このような不明朗な経理処理を解明するため,監査法人のスタッフ,近畿財務局からの職員の全面的な協力を 成されておらず,貸借関係のある会社間で帳簿の突き合わせを行っても数字が合わない状態であった,②このような不明朗な経理処理を解明するため,監査法人のスタッフ,近畿財務局からの職員の全面的な協力を得ることにより資料の解析作業を進め,200を超える預貯金口座のすべてについて一つ一つ突き合わせを行うといった地道な作業の積み重ねによっても,約10か月を費やしてようやく使途不明金が約30億円となるところまでしか資金の流れが解明できなかった,③Y1を始めとする大和都市管財グループの中枢を担っていた人物は,Y19管財人らからの調査にも当初から 非協力的であり,資料によって解明された事実以外は説明しなかったため,これらの者からの事情聴取によって得られた新たな有力情報はほとんどなかった,というのであり,その正確な全容の把握はほぼ不可能であったことが明らかである。そして,本件貸付金を除く特約付き融資やこれに対する利払が大和都市管財及びグループ6社の総勘定元帳にもそれぞれ記載され,その整合性を一見しただけで直ちに否定することができないことに照らすと,仮に本件貸付金についてはその架空性を近畿財務局長が断定し得たとしても,それ以外の特約付き融資やその余の利払の仮装を認定することはなお困難であったといわざるを得ない。 ウ小括以上検討したところによれば,近畿財務局長において抵当証券業規制法により付与された監督権限等を適切に行使していれば,本件更新登録に当たり,本件貸借対照表に「公正ナル会計慣行」に従って貸倒引当金を追加設定することにより,大和都市管財が資本欠損の状態にあり,同法8条2項,6条1項7号の登録許否事由(財産的基礎の要件の欠如)が存在することを容易に認定することができたものというべきである。 (8)本件更新登録の国賠法上の違法性の有無 欠損の状態にあり,同法8条2項,6条1項7号の登録許否事由(財産的基礎の要件の欠如)が存在することを容易に認定することができたものというべきである。 (8)本件更新登録の国賠法上の違法性の有無以上によれば,近畿財務局長は,本件更新登録当時において,その時点で把握していた事実関係のみに基づいても,短期間のうちに大和都市管財グループの資金繰りが行き詰まり,全体として破綻する危険ないし場合によってはそれ以前に大和都市管財による金融商品の販売がその詐欺的商法の発覚など何らかの外的要因で停滞し中途解約が殺到するなどして同社が破綻する危険が切迫している事態を容易に認識することができたのであり,かつ,近畿財務局長において抵当証券業規制法により付与された監督権限等を適切に行使していれば,本件更新登録に当たり,本件貸借対照表に「公正ナル会計慣行」に従って貸倒引当金を追加設定することにより,大和都市管財が資本欠 損の状態にあり,同法8条2項,6条1項7号の登録許否事由(財産的基礎の要件の欠如)が存在することを容易に認定することができたにもかかわらず,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と本件更新登録をしたものというべきであって,しかも,抵当証券の顧客には同法が予定していた損害回避のための手段が十分に与えられていなかったことも考慮すれば,近畿財務局長による本件更新登録は,本件の具体的事情の下においては,更新登録に係る財務局長等の権限を定めた同法の趣旨,目的や当該権限の性質等に照らし,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くというほかなく,本件更新登録後に同社から抵当証券を購入することにより被害を受けた個々の国民との関係においても,国賠法1条1項の適用上違法となると解すべきであり,近畿財務局長の帰属主体である被告には,平成10年以 ,本件更新登録後に同社から抵当証券を購入することにより被害を受けた個々の国民との関係においても,国賠法1条1項の適用上違法となると解すべきであり,近畿財務局長の帰属主体である被告には,平成10年以降に同社から新たに抵当証券を購入した原告らに対し,それによって被った損害を賠償すべき国賠法上の責任があるというべきである。 (9)被告の主張について被告は,登録制を採用した抵当証券業規制法の趣旨及び平等な処分を確保するために明確性・客観性を重視して審査基準を設定した基本事項通達の目的に照らすと,財務局長等は,客観的かつ明確な根拠をもって貸借対照表の記載を修正することが可能である場合にのみ,当該記載を修正することができると解すべきところ,本件貸借対照表には,公正な会計慣行に反することが明らかな記載がされているとは認められず,また,近畿財務局が,立入検査等により,本件貸借対照表に公正な会計慣行に明らかに反する記載がされていると認めるに足りる事情を別途把握していたということもなかった旨主張する。しかしながら,グループ6社が長期間にわたり債務超過の状態にあり,かつ,その営業がいずれも不振であったこと,平成8年経営健全化計画が初年度から大幅な未達であったことは,平成9年12月の本件更新登録当時のみならず平成9年検査当時においてもいずれも既に明らかとなっており, 既に認定説示したとおり,大和都市管財は,本件更新登録時において,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を欠いている高度の蓋然性が存したものというべきであり,また,平成9年検査当時においても,大和都市管財が財産的基礎を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っているとの合理的な疑いが存したものというべきである。このような状況の下においては,近畿財務局長は,本件 当時においても,大和都市管財が財産的基礎を欠くことにより抵当証券の購入者の利益を害するに至っているとの合理的な疑いが存したものというべきである。このような状況の下においては,近畿財務局長は,本件更新登録の許否を判断するに当たり,大和都市管財が財産的基礎の要件を満たしているか否か,すなわち,資本欠損の状態に陥っていないか否かについて,同法により付与された権限を所与の人的,物的制約の下で適切に行使して,大和都市管財の直近の貸借対照表等の決算書類が「公正ナル会計慣行」に従って作成されているか否かを検証等することにより,慎重に審査すべき職務上の注意義務を負っていたものというべきであり,また,それに先立つ平成9年検査時においても,更新登録時期を控えていることにもかんがみ,同法22条の権限を適切に行使して,大和都市管財の直近の貸借対照表等の決算書類が「公正ナル会計慣行」に従って作成されているか否か,具体的には,大和都市管財及びグループ会社の総勘定元帳,現金出納簿,預貯金通帳等の帳簿書類の記載内容を確認し,これらを相互に突合するなどして,大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れを可能な限り解明し,グループ会社に対する特約付き融資に係る貸倒引当金が適切に計上されているか否か,大和都市管財がグループ会社から特約付き融資に係る利息の支払を現実に受けているか否か,さらには,そもそもこれらの特約付き融資について架空融資の疑いがないか否かについて,慎重に検査すべき職務上の注意義務を負っていたというべきである。そして,近畿財務局長がそのような権限を適切に行使してさえいれば,少なくとも当時の「公正ナル会計慣行」に従う限り,本件貸借対照表において大和都市管財の財産的基礎に影響を与える程度の貸倒引当金の追加設定が不可避であることが容易に判明し得たことは既 してさえいれば,少なくとも当時の「公正ナル会計慣行」に従う限り,本件貸借対照表において大和都市管財の財産的基礎に影響を与える程度の貸倒引当金の追加設定が不可避であることが容易に判明し得たことは既に説示したとおりである。 なお,被告の主張するように更新登録における財務局長等の審査の範囲を限定的に解した上,抵当証券業者に対する監督権限の行使を殊更謙抑的に行うとすれば,大和都市管財のように,その経理処理や融資審査体制をあえてあいまいにし,関連会社を含めた財務内容に係る財務局長等の調査にも容易に協力しない抵当証券業者が,融資先の財務内容を正確に把握してこれを財務局長等に進んで申告する抵当証券業者よりも更新登録で有利に扱われることになり,かえって不平等な結果を招来するから,この点からしても,被告の上記主張が妥当性を欠くことは明らかというべきである。 また,被告は,抵当証券業規制法4条2項,8条2項,法施行規則4条1項5号は,(更新)登録申請書に添付した貸借対照表等における経理処理の適切性等を裏付ける資料の提出は何ら要求していないから,財務局長等には,立入検査等によって把握していた事実に照らして財産的基礎を欠くことを認識していたなどの特段の事情がない限り,更新登録申請書の添付書類として提出された貸借対照表等における経理処理の適正性等を逐一調査すべき義務はない旨主張する。しかしながら,被告が主張する特段の事情が,財務局長等が更新登録の許否を判断する時点において現に認識していた事情のみを指すというのであれば,そのような解釈は抵当証券業規制法が財務局長等に抵当証券業者に対する監督権限を与えた趣旨を没却するものであって妥当ではないというべきであり,前記のとおり,財務局長等が更新登録の許否を判断する時点までに現に認識していた事情,及び当該時点まで 等に抵当証券業者に対する監督権限を与えた趣旨を没却するものであって妥当ではないというべきであり,前記のとおり,財務局長等が更新登録の許否を判断する時点までに現に認識していた事情,及び当該時点までに同法により付与された監督権限等を同法の趣旨,目的に照らして適切に行使していれば容易に認識し得た事情を基礎にして,提出された貸借対照表等における経理処理の適正性等が合理的に疑われる特段の事情が認められる場合には,これを慎重に調査すべき義務を負うとするのが,抵当証券の購入者の保護を究極の目的とし,そのための手段として(更新)登録制度を採用した上財務局長等に監督権限を付与した同法の趣旨に沿うというべきである。 (10)争点5のまとめ以上によれば,本件更新登録は,平成10年以降に大和都市管財から抵当証券を購入して損害を被った個々の国民との関係で,国賠法上違法の評価を免れないというべきである。 争点6(近畿財務局長には本件更新登録を行うについて故意又は過失があったか。)について(1)総論国賠法にいう過失も,民事法におけるそれと同じく,権利侵害の結果の発生又はその可能性を認識しないで,又は,結果の発生が認容されないのに結果の発生又はその可能性を認識しながら,権利侵害の危険性のある行為をすることであると解される。もっとも,公務員による規制権限の行使又は不行使は,その法的効果として私人の権利利益を制限するのが通常であるから,その任に当たる公務員が権利の侵害を予見しただけでは足りず,規制権限の行使又は不行使が違法であることまで予見し得なければ過失があると認めることはできない。そして,国賠法上の違法とは,既に説示したように,公務員が個々の国民に対して負う職務上の注意義務に違反することであるから,結局,公務員に国賠法上の過失が認められるため があると認めることはできない。そして,国賠法上の違法とは,既に説示したように,公務員が個々の国民に対して負う職務上の注意義務に違反することであるから,結局,公務員に国賠法上の過失が認められるためには,当該公務員には,当該規制権限の行使又は不行使が個々の国民に対して負っている職務上の注意義務に違反するものであること,これを本件更新登録のような規制権限の不行使についていえば,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められることを予見し,これを回避する可能性がなければならないというべきである。 (2)本件における当てはめこれを本件についてみるに,近畿財務局長は,「一般的に各抵当証券業者について,免許制を採っている銀行等の預金受入れ金融機関と同様の経営実 態把握(融資内容の把握等)を行うことは,今後においても適当であるとは考えられない。しかしながら,行政当局として個別に購入者保護を損なうおそれのある経営状況を把握した場合には,法令に照らして適切な対応を行うことは当然である。」(乙22)との認識の下に業務改善命令を発した上,本件更新登録の適否の審査に臨んだものの,既にみたとおり,本件更新登録当時において,近畿財務局長は,その時点で把握していた事実関係のみに基づいても,短期間のうちに大和都市管財グループの資金繰りが行き詰まり,全体として破綻する危険ないし場合によってはそれ以前に大和都市管財による金融商品の販売がその詐欺的商法の発覚など何らかの外的要因で停滞し中途解約が殺到するなどして同社が破綻する危険が切迫している事態を容易に認識することができたのみならず,本件更新登録に先立つ平成9年検査当時においても,近畿財務局長は,上記のよう の外的要因で停滞し中途解約が殺到するなどして同社が破綻する危険が切迫している事態を容易に認識することができたのみならず,本件更新登録に先立つ平成9年検査当時においても,近畿財務局長は,上記のような事態を合理的に疑うべき事実関係を把握していたのであり,近畿財務局長において抵当証券業規制法により付与された監督権限等を適切に行使していれば,本件更新登録に当たり,本件貸借対照表に「公正ナル会計慣行」に従って貸倒引当金を追加設定することにより,大和都市管財が資本欠損の状態にあり,同法8条2項,6条1項7号の登録許否事由(財産的基礎の要件の欠如)が存在することを容易に認定することができたというべきである。しかるに,近畿財務局長は,平成9年検査において,抵当証券業規制法22条の権限を適切に行使して,大和都市管財及びグループ会社の総勘定元帳,現金出納簿,預貯金通帳等の帳簿書類の記載内容を確認し,これらを相互に突合するなどして,大和都市管財グループ全体の財務状況及び資金の流れを可能な限り解明し,グループ会社に対する特約付き融資に係る貸倒引当金が適切に計上されているか否か,大和都市管財がグループ会社から特約付き融資に係る利息の支払を現実に受けているか否か,さらには,そもそもこれらの特約付き融資について架空融資の疑いがないか否かについて,抵当証券の購入者保護の観点から慎重に検査す べき職務上の注意義務を負っていたにもかかわらず,適法に取得していたグループ会社の上記帳簿類の検査を放棄してこれを不可能にし,また,大和都市管財の預貯金口座の検証を怠るなど,平成9年検査の目的を達成するために必要不可欠でかつ基本というべき検査を合理的理由なしに怠ったほか,グループ会社に対する特約付き融資について,大和都市管財に対し,通常であれば融資審査の過程で取得してい 9年検査の目的を達成するために必要不可欠でかつ基本というべき検査を合理的理由なしに怠ったほか,グループ会社に対する特約付き融資について,大和都市管財に対し,通常であれば融資審査の過程で取得しているはずのグループ会社の資金需要を裏付ける事業計画書その他の資料の提出を求めたり,大和都市管財において把握している資金需要についての説明を受け,その説明内容についての裏付け調査をするなどといったことすら行わず,平成9年検査を受けた平成9年業務改善命令の発令においては,平成7年業務改善命令の際の検討実績があるにもかかわらず,大和都市管財に対し経営健全化計画の提出を求めるに当たり,グループ会社6社の将来の収益見込を反映した予想貸借対照表,予想損益計算書が提出されれば望ましいとするにとどめ,グループ会社6社の収支見込みを過年度の実績等客観的な資料に基づき算出した上当該積算方法及び積算過程において用いた基礎数値の根拠を示す資料を添付することなど平成7年業務改善命令の別紙に相当する指示事項をあえて命令の内容として盛り込まなかった上,業務改善命令を受けて大和都市管財が提出した,単なる数字合わせの域を出ない,その内容自体や当時の社会,経済情勢からみて実現の具体的な見込みがあるとは通常考え難い平成9年経営健全化計画を必要な裏付け調査を行うことなく受理し,大和都市管財について,抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号の財産的基礎の要件を満たすとして,それ以上特段の調査を行うことなく,本件更新登録を行ったものということができるのであって,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と本件更新登録をしたものというほかない。そして,既に認定説示したとおり,検査対象の抵当証券業者とは別の法人であるグループ会社の帳簿類であっても当該抵当証券業者が融資審査の過程等で すことなく,漫然と本件更新登録をしたものというほかない。そして,既に認定説示したとおり,検査対象の抵当証券業者とは別の法人であるグループ会社の帳簿類であっても当該抵当証券業者が融資審査の過程等で取得し所持しているものであれば当該法人 の承諾がなくても抵当証券業規制法22条1項に基づく検査の対象とすることができることについての異論は見当たらず,大蔵本省及び近畿財務局においても当時からその旨認識していたこと,また,近畿財務局においては,平成7年業務改善命令の検討段階から一貫して,特約付き融資の融資先である法人(グループ会社)の事業に係る客観的資料の提出を同法23条に基づく業務改善命令の内容とすることができるとの見解を有していたと認められること,本件更新登録当時においては,貸倒引当金の設定につき,税法基準による貸倒引当金が企業の実態に応じて計上すべき貸倒見積高に対して明らかに不足していると認められる場合には個別的にその回収可能性を評価した上で貸倒見積額を設定するものとするのが,「公正ナル会計慣行」であったと解されるところ,本件更新登録に先立って,関東財務局において,その旨の認識に基づき,不動産抵当證券の特約付き融資先会社が実質的な破綻状態であると認定した上,同社に対する債権のうち抵当物件によって担保されていない部分の価額を個別に評価し,これについて貸倒引当金を設定することにより,不動産抵当證券の資本欠損を認定していること,などにかんがみると,近畿財務局長は,本件更新登録が,本件の具体的事情の下において,更新登録に係る財務局長等の権限を定めた同法の趣旨,目的や当該権限の性質等に照らし,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠き,国賠法1条1項の適用上違法となることを予見し,かつ,これを回避する可能性があったことは明らかというべきで た同法の趣旨,目的や当該権限の性質等に照らし,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠き,国賠法1条1項の適用上違法となることを予見し,かつ,これを回避する可能性があったことは明らかというべきであるから,近畿財務局長は,本件更新登録を行うについて,少なくとも過失が存したものというべきである。 (3)被告の主張についてこれに対し,被告は,本件更新登録は抵当証券業規制法の規定及びこれを具体化した基本事項通達にのっとって行われたものであり,前記のとおり,基本事項通達に明白に不合理な点があったとはいえないから,仮に同通達が違法であったとしても,近畿財務局長には過失はなかった旨主張する。しか しながら,既に説示したところから明らかなように,本件更新登録が違法であるのは,財産的基礎の解釈についての基本事項通達の定めに依拠したからではなく,いわばその適用を誤ったためであるから,被告の主張は本件事実関係の下ではそれ自体失当である。 また,被告は,①本件更新登録時においても,大和都市管財は単体では資産超過の状態にあり,利益も計上していたこと,②平成9年経営健全化計画においては,新事業の展開等による新たな利益計上や含み損失の解消に前向きな計画が策定されており,本件更新登録時において,近畿財務局には,大和都市管財の融資先が実質的に破綻しているとか,経営改善の見込みがないなどと断定することはできず,上記融資先が即時に清算されることを仮定して貸倒引当金を算定することもできなかったこと,③抵当証券業規制法は,行政当局に対し,抵当証券業者の融資先に対する検査権限を付与していないから,近畿財務局に大和都市管財の融資先が保有する書類や資料等に依拠して貸倒引当金を計上すべき義務はなかった上,担保不動産の評価額についても,大和都市管財による不動産鑑定評価 査権限を付与していないから,近畿財務局に大和都市管財の融資先が保有する書類や資料等に依拠して貸倒引当金を計上すべき義務はなかった上,担保不動産の評価額についても,大和都市管財による不動産鑑定評価額の信用性を否定すべき根拠を有してはいなかったこと,④近畿財務局は,平成9年以前からY1に対するヒアリングを度々実施するなどして実態把握に努めていたものの,スポンサーからの資金援助を得て大和都市管財に多額の貸付けを行っている旨の同人の説明が虚偽であると認定することはできなかったことなどに照らすと,本件更新登録の時点で,近畿財務局は,具体的に大和都市管財が破綻して購入者に損害を与えることまでは認識し得ず,むしろ平成9年経営健全化計画が軌道に乗って購入者の利益を害さないことを期待し,そのための監督を行っていたのであって,近畿財務局長が原告らの損害発生を予見していなかったことは明らかである旨主張する。しかしながら,①は,将来における貸倒損失の発生を予期して貸倒引当金の設定の要否を検討する場面では無意味な考慮事項であり,②も,平成9年経営健全化計画の少なくとも一部について は虚構であることが容易に認定し得たことは既に説示したとおりであるから,いずれも採用することができない。また,③についても,大和都市管財が融資先から提出を受けて所持している書類,及び当然徴求しているべき書類について近畿財務局長がその提出を求めることは適法であり,現に平成9年検査でも任意にグループ会社の総勘定元帳の提出を受けて適法に所持していたにもかかわらずこれを返却してしまったことや,平成12年検査ではグループ会社が行う業務等の具体的内容やグループ会社の余資運用益の具体的内容及びこれを証明する書類等について報告ないし提出を求める旨の報告徴求命令を発令していることからみて採 や,平成12年検査ではグループ会社が行う業務等の具体的内容やグループ会社の余資運用益の具体的内容及びこれを証明する書類等について報告ないし提出を求める旨の報告徴求命令を発令していることからみて採り得ず,④についても,Y1の説明に係るスポンサーが実在するか否かは貸倒引当金の設定の要否に直接関係する事柄とまでいうことはできないものの,スポンサーに関するY1の説明内容自体が通常考え難い不合理なものであり,同人がそのような説明をしてスポンサーの詳細を明らかにしない態度をとり続けていたことは,むしろ大和都市管財の資産状態の評価において消極的な考慮要素として評価すべきものということができる。したがって,被告の主張はいずれも採用することができない。 (4)争点6のまとめ以上によれば,近畿財務局長には,本件更新登録を行うについて,少なくとも過失があったと解すべきである。 争点7(遅くとも平成9年12月までに,近畿財務局長が大和都市管財に対して業務停止命令又は登録抹消を行わなかったことは国賠法上違法か。)について(1)原告らの主張原告らは,遅くとも平成9年12月までには,近畿財務局長は,大和都市管財が抵当証券購入者に損害を与える危険性を予見することが可能であり,かつ,平成9年業務改善命令に対する大和都市管財の回答も不十分であったから,上記命令違反を原因事実として,業務停止命令とその公告,登録取消 しとその公告又は登録抹消をすることができ,これによって容易に同社の営業を止め,被害の発生を有効適切に防止することができたのであるから,近畿財務局長がこれらの措置を講じなかったことは違法である旨主張する。 (2)検討そこで検討するに,争点5に対する判断で説示したところに照らすと,平成9年12月ころには,大和都市管財グループは,その破綻によっ がこれらの措置を講じなかったことは違法である旨主張する。 (2)検討そこで検討するに,争点5に対する判断で説示したところに照らすと,平成9年12月ころには,大和都市管財グループは,その破綻によって抵当証券購入者に損害を与える危険性が切迫していたというべきであり,かつ,大和都市管財が平成9年業務改善命令に対する回答として提出した平成9年経営健全化計画には,少なくともその一部に同社グループとしても実施する予定すらない虚構のものが含まれており,通常必要とされる注意を払えば近畿財務局においてその事実を容易に認定することができたことは明らかである。 したがって,平成9年経営健全化計画が提出された時点で,近畿財務局長は抵当証券業規制法24条1項3号に基づき,大和都市管財に対する業務停止命令又はその登録取消しを行うための処分要件は存在していたと認められる(これに対し,同法25条によれば,登録の抹消は,登録取消しを行った後に予定される措置であるから,単に登録の取消しの処分要件が存在するにすぎない状態で登録抹消を行うことができないのは明らかである。)。 しかしながら,原告らは,大和都市管財が本件更新登録後の平成10年1月以降抵当証券業を営み続けたことにより原告らが同社から抵当証券を購入し損害を被ったとしてその損害の賠償を求めるものであるところ,争点5で説示したとおり,近畿財務局長は,平成9年12月の時点において,大和都市管財のした更新登録に係る申請を抵当証券業規制法8条2項,6条1項7号に基づいて拒絶すべき職務上の注意義務を負っており,更新登録が拒絶されれば以後は大和都市管財は適法に抵当証券業を営むことができなかったにもかかわらず,近畿財務局長は,上記注意義務を尽くすことなく漫然と本件更新登録をしたものとして,本件更新登録は,原告らを含め本件更新登録 以後は大和都市管財は適法に抵当証券業を営むことができなかったにもかかわらず,近畿財務局長は,上記注意義務を尽くすことなく漫然と本件更新登録をしたものとして,本件更新登録は,原告らを含め本件更新登録後 に同社から抵当証券を購入することにより被害を受けた個々の国民との関係においても国賠法1条1項の適用上違法となり,近畿財務局長は,本件更新登録を行うについて,少なくとも過失が存したものと認められるのであるから,原告らの損害と相当因果関係のある公務員(近畿財務局長)の違法な公権力の行使としては,本件更新登録に係る上記注意義務違反を検討すれば足り,これとは別に,更新登録の拒絶と同じく同社の営業の継続の阻止を目的とした業務の停止ないし登録の取消しに係る近畿財務局長の職務上の注意義務違反を検討する実益はないといわざるを得ない。また,原告らの主張は,平成9年12月よりも前の特定の時期に上記のような監督処分を発令すべきであるとの趣旨とも解し難い。さらに,原告らの損害と相当因果関係のある近畿財務局長の職務上の注意義務違反が本件更新登録に係るものである場合と業務の停止ないし登録の取消しに係るものである場合とで原告らの損害の範囲ないし過失相殺の程度を異なって解すべき根拠も見いだせない。 (3)争点7のまとめ以上によれば,争点7については,これを判断する実益はないというべきである。 争点8(近畿財務局長は平成7年8月21日に大和都市管財への平成7年業務改善命令を違法に撤回することで原告らに損害を与えたか。)について(1)原告らの主張原告らは,近畿財務局長は大和都市管財に対してひとたび発令して効力を生じていた平成7年業務改善命令を合理的な理由なく撤回したところ,上記命令が執行されていれば,このころ同様に業務改善命令を受けた木津信抵当証券等と同 局長は大和都市管財に対してひとたび発令して効力を生じていた平成7年業務改善命令を合理的な理由なく撤回したところ,上記命令が執行されていれば,このころ同様に業務改善命令を受けた木津信抵当証券等と同じく,大和都市管財も早晩破綻した蓋然性が高く,少なくとも本件更新登録は行われなかったはずであるから,原告らが被害を受けることもなかった旨主張する。 (2)検討 そこで検討するに,大和都市管財に対する業務改善命令が発令されても,それだけで直ちに同社が破綻すると推認することはできず(現に,前記のとおり,平成9年業務改善命令が発令され,その事実が朝日新聞によって報道された後も,大和都市管財はその後3年以上にわたって営業を続けていたのである。),争点5に対する判断で摘示したとおり,木津信抵当証券が破綻した直接の原因も,同社に対する業務改善命令の発令ではなく,親会社である木津信用組合が破綻したことにあるというべきであるから,近畿財務局長が平成7年業務改善命令を撤回した理由がいかに不合理であるとしても(近畿財務局においてY1の気勢に気圧されたため同命令の発令を撤回したと評価されてもやむを得ないことは,既に説示したとおりである。),本件命令撤回事件と原告らの損害には,直接的な因果関係は認め難い。 もっとも,大和都市管財について平成7年業務改善命令の法的効果が発生していれば,その内容に照らしても,同社が上記命令を遵守することが困難であったものと推認することができ,早晩同社が上記命令に違反する結果となったであろうことは明らかであるところ,原告らの主張は,そうなれば大和都市管財は業務停止命令又は登録取消しの要件に該当することになったであろうから,遅くとも平成9年12月までには抵当証券業を停止していたはずである,との趣旨に善解することが可能である。 しか れば大和都市管財は業務停止命令又は登録取消しの要件に該当することになったであろうから,遅くとも平成9年12月までには抵当証券業を停止していたはずである,との趣旨に善解することが可能である。 しかるところ,抵当証券業規制法24条1項は,その文言から明らかなように,抵当証券業者が業務改善命令に違反した場合であっても,直ちに業務停止命令又は登録取消しを行わなければならないとするものではなく,こうした監督処分を行うか否か,いつ行うか,行うとしていかなる処分を選択するか等の点を,財務局長等の専門技術的判断にゆだねる趣旨と解される。もとより,抵当証券業規制法に基づく財務局長等による抵当証券業者に対する規制権限の不行使も,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸 脱して著しく不合理である場合には,それによって損害を受けた個々の国民との関係で国賠法上違法となるというべきであるが,更新登録について更新登録拒否事由が列挙され,抵当証券業者からその申請があれば3年ごとに必ず財務局長等が逐一その有無の判断を行わなければならず,しかも更新登録拒否事由が認められれば必ず更新登録を拒否しなければならないのと異なり,業務改善命令や登録の取消し等の監督処分については,同法は,①その行使の是非,②行使の時期,及び③行使する場合のその内容について財務局長等に幅広い裁量を与えていると解さざるを得ず,財務局長等がその裁量を逸脱し又は濫用したというためには,原告らがその旨の具体的主張を行うことを要すると解されるにもかかわらず,原告らは,本件命令撤回事件に至る近畿財務局長の判断の不合理性を主張するのみで,業務改善命令ないしその違反を理由とする業務の停止又は登録の取消し等の監督処分を行わなか 要すると解されるにもかかわらず,原告らは,本件命令撤回事件に至る近畿財務局長の判断の不合理性を主張するのみで,業務改善命令ないしその違反を理由とする業務の停止又は登録の取消し等の監督処分を行わなかったことが著しく不合理であることについての具体的主張を行わない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,平成7年業務改善命令の撤回の違法をいう原告らの前記主張は,採用することができない。 なお,遅くとも平成9年12月の時点では,近畿財務局長が大和都市管財に対して監督処分を行わなかったことが著しく不合理であると解すべき余地はあるが,この点については,争点7に対する判断で既に説示したとおり,本件更新登録とは別個の違法事由として検討する実益はない。 (3)争点8のまとめ以上によれば,争点8に係る原告らの主張を採用することはできないというべきである。 争点9(近畿財務局長による違法行為によって原告らはいかなる損害を被ったか。)について(1)財産的損害ア本件更新登録によって生じた損害 争点1ないし6で検討したところによれば,近畿財務局長は,遅くとも平成9年12月の段階において,大和都市管財からの更新登録の申請を拒否すべき職務上の注意義務を負っていたにもかかわらず,過失により,同注意義務を尽くすことなく漫然と本件更新登録を行った結果,財産的基礎を欠いていた大和都市管財が抵当証券業をその後も適法に営むことを許したものであるところ,近畿財務局長の上記のような注意義務違反により,平成10年1月以降に同社からモーゲージ証書を新たに購入した顧客は,第2「事案の概要」の4「本件の経緯」において摘示したとおり,その後に同社が破綻したことによって,本件再生手続による回収を余儀なくされ,結果的に,抵当証券の券面額の一部についてその償還を受け 客は,第2「事案の概要」の4「本件の経緯」において摘示したとおり,その後に同社が破綻したことによって,本件再生手続による回収を余儀なくされ,結果的に,抵当証券の券面額の一部についてその償還を受けることができなくなるという損害を被ったというべきである。 ところで,国家賠償請求訴訟の審理において損害額の主張立証責任が原告側にあることは明らかであり,具体的には,原告らは,本件更新登録がなかったと仮定した場合のあるべき財産の状態と,現在の財産の状態との差額を主張立証しなければならないと解される。しかるに,これまでに認定した大和都市管財の資金繰り状況及びその資産の状態に照らすと,本件更新登録が行われなかったとすれば,近畿財務局への登録業者というその信用の核心部分を失った大和都市管財の経営は早晩行き詰まり,会社整理通告等の手段を執るまでもなく短期間のうちに破綻したであろうこと,同社の経営状態や担保となる不動産の価格からみて,本件更新登録ころの時点においても,同社から購入していた金融商品についてその顧客が全額の償還を期待することが既に到底不可能な状態であったことは,いずれも優に推認することができるところ,大和都市管財が本件更新登録ころの時点で破綻していたと仮定した場合,当時同社から購入されていた金融商品に係る回収予想額がどの程度であったかについては,本件全証拠によってもこれを確定することができないから,大和都市管財が破綻した平成13年 4月の時点で原告らが保有していた,本件更新登録以前の購入に係る同社からの金融商品については,その購入額の全部又は一部を損害と認めることはできないことが明らかである。のみならず,本件更新登録以降に大和都市管財から購入された抵当証券であっても,その購入原資のうちに本件更新登録以前に同社から購入された金融商品の 一部を損害と認めることはできないことが明らかである。のみならず,本件更新登録以降に大和都市管財から購入された抵当証券であっても,その購入原資のうちに本件更新登録以前に同社から購入された金融商品の満期又は中途解約による償還金が含まれる場合には,当該金額も,本件更新登録によって原告らに生じた損害と認めることはできないというべきである。 これに対し,原告らは,他の金融商品からの乗換えにより大和都市管財から抵当証券を購入した者であっても,抵当証券の保有によって現実に損害を生じているのであって,本件更新登録がなかったとした場合,大和都市管財が破綻したことが予想されるにしても,それによって原告らに生じた損害は現在よりもはるかに少額であったことが明らかである上,本件更新登録がされなかった場合に原告らに生じたであろう損害額は,損害の発生を阻害する要因として被告において主張立証すべきである旨主張する。 しかしながら,社会通念上本件更新登録以前に大和都市管財から購入された金融商品の満期又は中途解約による償還金を原資の全部又は一部として本件更新登録以降に同社から抵当証券を購入したという関係が認められる場合については,前記のとおり,本件更新登録がされなければ上記償還金の全部又は少なくとも一部を受けられなかったことが明らかであるから,当該償還を受けられなかった部分についてはこれを本件更新登録に係る公務員の違法な公権力の行使と相当因果関係のある損害と認めることはできない。そして,上記抵当証券の購入に当たり原告らが上記償還金を超えて出捐を余儀なくされた金員の有無及びその額については通常原告らにおいて容易に立証することができるのに対し,本訴のような原告らの主張する損害に係る直接の加害者(大和都市管財)に対する規制権限の不行使の違法を理由とする損害賠償請求訴訟にお 額については通常原告らにおいて容易に立証することができるのに対し,本訴のような原告らの主張する損害に係る直接の加害者(大和都市管財)に対する規制権限の不行使の違法を理由とする損害賠償請求訴訟においてこれを被告が立証することは著 しく困難であることにもかんがみると,上記の場合において抵当証券の購入額相当額の損害のうち本件更新登録以前に大和都市管財から購入された金融商品の満期又は中途解約による償還金を超えて出捐した金額については原告らにおいて主張,立証すべきものとするのが公平の理念に適うものというべきである(なお,以上説示したところからすれば,社会通念上本件更新登録以前に大和都市管財以外の大和都市管財グループから購入された金融商品の満期又は中途解約による償還金を原資の全部又は一部として本件更新登録以降に同社から抵当証券を購入したという関係が認められる場合についても,当該金融商品を大和都市管財から購入していた場合と同様に解すべきである。)。よって,原告らの前記主張は採用することができない。 また,原告らは,名古屋弁護団については全員が,大阪弁護団については原告A2を除く全員が,東京弁護団については別表8-1及び同8-2記載の原告全員が,平成10年1月以降に新規資金を投入して大和都市管財から抵当証券を購入した者であるから,少なくとも上記抵当証券の額面額が本件更新登録によって原告らが被った損害である旨主張する。そして,証拠(甲260,甲A218,388,637)及び弁論の全趣旨によれば,原告らが上記のように主張する根拠は,大和都市管財被害者弁護団が,平成15年3月から4月にかけて,平成10年以降の抵当証券被害につき現実の出捐を行った被害者及び被害額を調査する目的で,新規に抵当証券を購入した顧客(「従前から抵当証券・その他商品を購入し 護団が,平成15年3月から4月にかけて,平成10年以降の抵当証券被害につき現実の出捐を行った被害者及び被害額を調査する目的で,新規に抵当証券を購入した顧客(「従前から抵当証券・その他商品を購入し,満期もしくは乗り換え購入した顧客ではない,新規の購入者」)について照会したのに対し,Y19管財人が回答のために作成した一覧表(以下「管財人回答書」という。)において,上記各原告らは,いずれも「新規」,すなわち従前取引がない顧客の新規購入か,「追加」,すなわち従前取引のある顧客の新規購入資金による購入のいずれかを行った者として分類されている ことにあると認められる。しかしながら,上記証拠によれば,Y19管財人は,管財人回答書において,過去に取引があるにもかかわらず「新規」に分類されている場合や,追加購入時に過去の満期償還金に新規資金を追加して購入している等の場合があるため,管財人回答書における販売区分の精度を100パーセント保証することはできないとの留保を付していたことが明らかである。かえって,証拠(甲129.187,188,甲A218,原告A1,同A2)及び弁論の全趣旨によれば,原告ら(及びその被相続人)の中には,平成10年1月以降の抵当証券の購入資金の全部又は一部を大和都市管財グループが平成9年12月以前に販売していた抵当証券を始めとする金融商品からの乗換えによって調達した者も少なからず存在したことがうかがわれ,例えば,原告A1は,本件更新登録以前に大和都市管財から購入し,満期において償還されたモーゲージ証書を原資(の一部)として新たに同社のモーゲージ証書を購入していたにもかかわらず,管財人回答書においては,同原告が同社破綻時に保有していた3口のモーゲージ証書は,すべて「追加」に区分されていることが認められる。 そうすると,ある 同社のモーゲージ証書を購入していたにもかかわらず,管財人回答書においては,同原告が同社破綻時に保有していた3口のモーゲージ証書は,すべて「追加」に区分されていることが認められる。 そうすると,ある原告が,管財人回答書において「新規」又は「追加」に分類されているモーゲージ証書を保有しているというだけでは,その購入額を当該原告が本件更新登録によって被った損害額と認めることはできない。したがって,原告らの上記主張も採用することができない。 そうすると,原告らが購入した抵当証券の対価の全額が本件更新登録に係る違法な公権力の行使によって被った損害であると認められるためには,原告らにおいて,①原告らが平成10年1月以降に大和都市管財から購入した抵当証券の対価の額に加えて,②その購入原資が新規資金によるものであること,すなわち,本件更新登録以前に大和都市管財グループから当該原告が購入していた金融商品の償還金が当該原資に含まれていないことまで立証する必要があるというべきである。すなわち,仮に証拠上あ る原告が大和都市管財から抵当証券を購入した事実自体は認められるとしても,上記①又は②のいずれかが証拠上明らかではないときは,当該購入金額を当該原告の損害額と認めることはできないというべきであり,例えば,ある原告が平成10年1月以降に購入した抵当証券の原資のうちに本件更新登録以前に同社から購入された金融商品に係る償還金が含まれる可能性があるものの,その金額の上限を証拠上確定することができない場合には,当該抵当証券の購入代金相当額は当該原告の損害とは認められないものというほかはない(なお,原告らが平成10年1月以降に大和都市管財から購入した抵当証券の対価の額のうち本件更新登録以前に当該原告らが大和都市管財グループから購入していた金融商品の償還金が れないものというほかはない(なお,原告らが平成10年1月以降に大和都市管財から購入した抵当証券の対価の額のうち本件更新登録以前に当該原告らが大和都市管財グループから購入していた金融商品の償還金が含まれている場合についても,当該原告らにおいて本件更新登録が拒否された場合に償還を受けることができた額を立証すれば,当該額の全部又は一部を損害と認める余地があるが,本件更新登録が拒否された場合における大和都市管財グループの金融商品に係る回収予想額を証拠上確定することができないことは,前記のとおりである。)。 これに対し,抵当証券の購入によって原告らが利息相当額の収益を現に得た事実及びその額,並びに原告らの損害のうち本件再生手続における支払等によって補填された部分がある事実及びその額は,いずれも被告において主張立証する必要がある事項というべきである。 以上を前提に,本件更新登録によって発生したと認められる個々の原告らの具体的な損害額について検討することとする。 イ原告らの具体的な損害額(ア)総論前記アで説示したところに照らすと,証拠上,本件更新登録の前後を通じて大和都市管財から金融商品を購入していたと認められる原告らについては,本件更新登録後に同社から購入された抵当証券の原資に,本 件更新登録以前に購入されていた金融商品の満期償還又は中途解約によって当該原告らにいったん払い戻された金員が含まれていないことが証拠上明らかといった例外的事情が認められない限り,本件更新登録後に購入された抵当証券の額をその損害と認めることはできないというべきこととなる。 他方,証拠(甲63,甲A234,238,248,257,299,300,305,313,333,342,343,357,371,375,376,377,389,390)によれば,大和都市 となる。 他方,証拠(甲63,甲A234,238,248,257,299,300,305,313,333,342,343,357,371,375,376,377,389,390)によれば,大和都市管財は,顧客がモーゲージ証書の購入代金を支払った後に,特定の抵当証券の共有持分を各顧客に割り付けていたが,同社の破綻に近接した時期にモーゲージ証書の購入代金を支払った名古屋原告団の原告らのうちに,同社の内部においてなお上記割付作業が終了しておらず,取得すべき抵当証券の共有持分権の内容を確定することができない者が存在していることが認められる。しかしながら,これらの原告も,本件更新登録後にモーゲージ証書の代金を大和都市管財に対して入金していることが証拠上認められれば,単に割り付け未了の一事のみをもって,モーゲージ証書購入相当額と損害との因果関係を否定することはできないというべきである。 そこで,各原告らの陳述書(甲A各号証)及び弁論の全趣旨に照らし,各原告らについて,大和都市管財を初めて知った時期(陳述書第7項)及び同社から初めて抵当証券を購入した時の年齢(同第10項)に係る記載を中心に検討し,平成10年以降に同社から抵当証券を初めて購入したか,又は少なくともこれに対する対価を支払ったと認められる者を選択した上,その余の原告らについても,陳述書の他の記載部分等に照らして上記のような事情があるか否かを個別に検討することとする。 (イ)個別的検討 a.原告A7及び同A8原告A7の陳述書(甲A7)第10項によれば,同原告が大和都市管財から抵当証券を初めて購入したのは平成9年5月以前となるが,同第7項によれば,同原告は平成10年に妻A8に届く郵便物によって大和都市管財のことを知ったとされている。そこで検討するに,原告A8の陳述書(甲A8 券を初めて購入したのは平成9年5月以前となるが,同第7項によれば,同原告は平成10年に妻A8に届く郵便物によって大和都市管財のことを知ったとされている。そこで検討するに,原告A8の陳述書(甲A8)第10項によれば,同原告が大和都市管財から抵当証券を初めて購入したのは平成9年12月以降であると認められること,同原告らがいずれもその陳述書第15項において,本件更新登録がされなければ同原告らが被害に遭うことはなかった旨陳述していること等に照らすと,原告A7の陳述書第10項の記載は誤記であって,同原告は平成10年以降に大和都市管財から抵当証券を初めて購入したと解するのが相当である。 b.原告A116同原告の陳述書(甲A116)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成7年10月ころのことであり,そのきっかけは新聞の広告であったことが認められる一方,実際に同社から抵当証券を購入したのは平成11年9月が最初であるとのことであり,第10項の記載もこれに沿うものである。したがって,同原告は大和都市管財の存在については本件更新登録以前から認識していたものの,同社から抵当証券を初めて購入したのは平成10年以降であると推認することができ,これを覆すに足りる証拠はない。 c.原告A136同原告の陳述書(甲A136)第7項及び第10項には,同原告が大和都市管財を初めて知った時期及び同社から初めて抵当証券を購入した時期に係る記載はないが,同陳述書によれば,平成12年2月に同社から抵当証券を購入したのが初取引であった旨の記載があり,他 にこれに反する証拠はない。したがって,同原告が大和都市管財から抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 d.原告A145同原告の陳述書(甲A145)第7項によれば,同原告 にこれに反する証拠はない。したがって,同原告が大和都市管財から抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 d.原告A145同原告の陳述書(甲A145)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成5年ころに妹を通じてであったことが認められる一方,同陳述書第10項等によれば,同原告が最初に同社から抵当証券を購入したのは平成12年7月であったことが認められ,その動機は,妹が7年前に同社から金融商品を購入していて特段問題がなかったためであったことが認められ,他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。したがって,同原告が大和都市管財から抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 e.原告A159同原告の陳述書(甲A159)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成5年ころに兄を通じてであったことが認められる一方,同陳述書第10項等によれば,同原告が最初に同社から抵当証券を購入したのは平成10年ころであり,その原資は,相続により得た資産であったというのである。以上によれば,同原告は,相続によって得た資産の運用を検討して,兄がかねてより取引をしていた大和都市管財の抵当証券を購入することを選択したものと推認することができ,他に上記推認を覆すに足りる証拠はない。したがって,同原告が大和都市管財から抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 f.原告A184同原告の陳述書(甲A184)第10項によれば,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成6年ころであったことが認められる一方,同陳述書第9項等によれば,同原告は最初に同社 から購入した期間1年・額面100万円の抵当証券が無事に年7パーセントの利息を付して償還された後,平成1 成6年ころであったことが認められる一方,同陳述書第9項等によれば,同原告は最初に同社 から購入した期間1年・額面100万円の抵当証券が無事に年7パーセントの利息を付して償還された後,平成11年6月に再度同社の社員の訪問を受けて再度同社から抵当証券を購入したというのであり,その説明は具体的であって,これを覆すに足りる証拠はない。したがって,本件更新登録と同原告が平成11年以降に抵当証券を購入したことによって被った損害との間には,相当因果関係があるというべきである。 g.原告B57同原告の陳述書(甲A436)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成9年8月ころであったことが認められる一方,同陳述書第10項等によれば,同原告が同社から最初に購入したのはゴルフ会員権であり,これについては同原告はなお解約せずに保持しており,抵当証券については平成10年11月に退職金や株券の売却代金等を原資としてこれとは別に購入したことが認められ,上記認定に反する証拠はない。したがって,本件更新登録と同原告が平成11年以降に抵当証券を購入したことによって被った損害との間には,相当因果関係があるというべきである。 h.原告C51及び同C53同原告らの陳述書(甲A269,271)各第10項によれば,同原告らが大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは昭和55年ころであったということになるが,争点5に対する判断において摘示したとおり,同社が抵当証券の販売を開始したのは昭和60年である。 他方,同原告らの陳述書各第7項によれば,同原告らが同社のことを初めて知ったのが平成10年12月ころであったというのであり,他にこれに反する証拠はない。したがって,同原告らの陳述書各第10項の記載は誤記であって,同原告らが大和都市管財から初めて が同社のことを初めて知ったのが平成10年12月ころであったというのであり,他にこれに反する証拠はない。したがって,同原告らの陳述書各第10項の記載は誤記であって,同原告らが大和都市管財から初めて抵当証 券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 i.原告C111同原告の陳述書(甲A329)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成8年4月ころで,中日新聞の広告を通じてであったことが認められる一方,同陳述書第10項等によれば,同原告が同社から初めて抵当証券を購入したのは平成11年であるというのである。しかるところ,同陳述書第12項によれば,同原告は,相続財産の運用先を考えていた時,数年前から中日新聞の広告で見ていた近畿財務局の公認業者の抵当証券なら安全・安心だと信用して購入したというのであり,その経緯に不自然な点はない。したがって,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 j.原告C126同原告の陳述書(甲A344)第10項によれば,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成9年ころであったというのであるが,同陳述書第7項等によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成11年3月ころで,既に同社から金融商品を購入していた親からの勧めがあったからであることがうかがわれる。しかるところ,同原告の両親の陳述書(甲A345,同346)によれば,同原告と同居しているその両親が大和都市管財から抵当証券を初めて購入したのはそれぞれ平成10年以降であることが認められ,上記認定に反する証拠はない。したがって,同原告の陳述書第10項の記載は誤記であって,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するの 成10年以降であることが認められ,上記認定に反する証拠はない。したがって,同原告の陳述書第10項の記載は誤記であって,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 k.原告B222同原告の陳述書(甲A550)第7項によれば,同原告が大和都市 管財のことを初めて知ったのは平成5年2月ころで,新聞広告を通じてであったことが認められる一方,同陳述書第10項等によれば,同原告が同社から初めて抵当証券を購入したのは平成11年ころであるというのである。しかるところ,同陳述書第9項等によれば,同原告が同社から抵当証券を購入したのは電話や営業マンによって同社の側から売り込みがあったためであり,同原告はその勧誘につられ,預金を取り崩して抵当証券を購入した旨の記載があり,その経緯に不合理な点はない。したがって,同原告が大和都市管財から初めて抵当証券を購入したのは平成10年以降と解するのが相当である。 l.原告B273同原告の陳述書(甲A590)第7項によれば,同原告が大和都市管財のことを初めて知ったのは平成11年3月ころで,新聞広告を通じてであったというのであり,また,同陳述書第10項によれば,同原告が大和都市管財から抵当証券を初めて購入したのもそのころであるというのであるが,他方,証拠(甲A637)によれば,管財人回答書の記載上は,同原告が購入したとされる抵当証券11口のうち少なくとも3口,券面額にして180万円相当分は,以前購入された金融商品からの乗換えであるとされていたことが認められ,また,上記陳述書には抵当証券購入金額630万円と記載されている一方,購入抵当証券の明細としては,平成11年5月20日販売日に係る30万円,平成12年8月31日販売に係る50万円,同年10月31日販売に係 陳述書には抵当証券購入金額630万円と記載されている一方,購入抵当証券の明細としては,平成11年5月20日販売日に係る30万円,平成12年8月31日販売に係る50万円,同年10月31日販売に係る60万円,同月25日に係る50万円及び同年9月25日販売に係る30万円の5口のみが記載されている。これらからすれば,上記陳述書第7項及び第10項の記載を直ちに採用することはできないが,少なくとも,同陳述書に登記所名・証券固定番号・保管証番号等の記載のある上記モーゲージ証書5口(購入価額合計220万円) については,その購入相当額の損害と本件更新登録との間には相当因果関係が認められるというべきである。 (ウ)小括上記原告らに加え,証拠(甲A1ないし637)上,その陳述書第10項の記載等に照らし,平成10年以降に初めて大和都市管財から抵当証券を購入したと容易に認められる者は,大阪原告団が原告A11外74名,東京原告団が平成15年(ワ)第5830号事件について原告B1外26名,同16年(ワ)第4420号事件について原告B163外14名,名古屋弁護団が原告C1外135名であるから,結局,本訴における原告らのうち,平成10年1月以降に大和都市管財から抵当証券を購入し,かつ,証拠上,同社が平成13年に破綻したことによって生じた損害と本件更新登録との間に相当因果関係を肯定することができるのは,別紙損害目録1及び同表2の「原告」欄記載の各原告(合計267名)であり,その抵当証券購入額は,上記各目録の「購入額」欄記載の各金額(合計21億5630万円)であることが認められる。 (2)精神的損害原告らは,近畿財務局長が違法に本件更新登録を行ったことにより,命の次に大切な老後資金・生活資金の大半を喪失させてしまった上,第三者や傍観者からの心ない批判 ることが認められる。 (2)精神的損害原告らは,近畿財務局長が違法に本件更新登録を行ったことにより,命の次に大切な老後資金・生活資金の大半を喪失させてしまった上,第三者や傍観者からの心ない批判,視線にさらされる等の精神的苦痛を被ったとして,原告各人につき10万円の慰謝料をも損害賠償として被告に請求している。 しかしながら,原告らが主張する上記のような精神的苦痛は,大和都市管財の詐欺的商法によりその財産を喪失したことそのものに起因して惹起されたものにほかならないから,特段の事情がない限り,当該財産の喪失に係る損害賠償請求が認められることにより損害がてん補される関係に立つものというべきところ,原告らが主張する事由をもってしては当該財産の喪失に係る直接の加害者である大和都市管財に対する規制権限の不行使の違法を理由と する本件損害賠償請求訴訟において原告らに別途精神的損害の賠償を肯定すべき特段の事情と認めることはできない。また,原告らの主張する精神的苦痛に原告らが被告(近畿財務局長)が抵当証券業規制法により付与された権限を同法の趣旨,目的に照らして適切に行使していることへの信頼が裏切られたことによる精神的苦痛が含まれていると解する余地があるとしても,当該精神的苦痛もまた大和都市管財の破綻により原告らがその財産を喪失したことに起因して生じたものというべきであるから,同様に,本件損害賠償請求訴訟において当該財産の喪失に係る損害賠償請求が認められることによっててん補される関係に立たない特段の事情を認めることはできない。そして,他に被告に対する本件損害賠償請求訴訟において上記財産の喪失に係る損害賠償請求が認められることによってはてん補される関係に立たない精神的損害の発生を認めるべき具体的事情についての主張,立証もない。 したがって,原告らが 損害賠償請求訴訟において上記財産の喪失に係る損害賠償請求が認められることによってはてん補される関係に立たない精神的損害の発生を認めるべき具体的事情についての主張,立証もない。 したがって,原告らが大和都市管財から抵当証券を購入し,その大半を喪失したことに伴って受けた精神的苦痛について,被告にその慰謝料を請求することはできないというほかはない。 (3)過失相殺被告は,①抵当証券は,特約付き融資先の返済能力に係るリスク,抵当権の目的である不動産等の価値下落に係るリスク,一般に抵当証券の買戻しを約定し,元利金の返済を保証している抵当証券業者の支払能力に係るリスクを有する一方,銀行預金等と比較して高めの金利が設定されているという,いわゆるハイリスク・ハイリターンの商品であること,②本件更新登録以前において,既に抵当証券業者を含めた金融機関が複数破綻している状況であったこと,③抵当証券業規制法では抵当証券業者及び購入した抵当証券に係る情報開示についての定めがあり,これに基づいて顧客は抵当証券業者の財務状況等を閲覧することができ,抵当証券の購入者も担保物件の明細及び債務者の住所氏名を知ることができたこと,④抵当証券取引証・保管証 の裏面には抵当証券業協会の苦情相談窓口の電話番号が明記してあり,抵当証券の購入者は,抵当証券についての疑義につき同協会から回答を得ることができたこと,などによれば,相応の過失相殺がされるべきである旨主張する。 確かに,証拠(乙79,80)及び弁論の全趣旨によれば,全抵当証券業の四半期末平均約定利率は,平成10年度が年1.27ないし1.31パーセント程度,平成11年度が年0.85ないし1.11パーセント程度,平成12年度が年0.79ないし0.87パーセント程度であったのに対し,大和都市管財の抵当証券に係 度が年1.27ないし1.31パーセント程度,平成11年度が年0.85ないし1.11パーセント程度,平成12年度が年0.79ないし0.87パーセント程度であったのに対し,大和都市管財の抵当証券に係る販売利率は,平成10年度が年4.44ないし4.73パーセント程度,平成11年度が年4.46ないし4.88パーセント程度,平成12年度が年4.24ないし年4.37パーセント程度と,いずれの時期も業界平均を大幅に上回っていたのみならず,定期預金その他の金融商品の金利をも上回るものであったところ,一般的にいえば,このような高利率の抵当証券を販売する抵当証券業者が顧客に約定どおりの金利を支払ってなお利益を生み出すためには,それを上回る運用益ないし事業収益を上げなければならないが,当時そのような運用益等を容易に上げ得る経済情勢になかったことは定期預金等の一般的な金融商品の利率の低さ等からも容易に認識し得たところであり,当該抵当証券業者の資金繰りがひっ迫しているか又は当該抵当証券業者が詐欺的商法等の正常でない取引方法を行っている疑いを抱いたとしても不合理ではないというべきであって,このような抵当証券を購入しようとする者は,少なくとも当該抵当証券が高利率に見合うだけの高いリスクを内包する可能性を認識すべきであったということができる(なお,代表的な抵当証券会社の利率については,日本経済新聞等にも毎週掲載されていた。)。また,既に争点5に対する判断で摘示したとおり,平成7年8月には木津信抵当証券等が破綻していたのであって,抵当証券会社から抵当証券を購入しようとする者は,当該抵当証券会社が破綻し,当該 会社によって元本保証がうたわれている抵当証券の相当部分が回収不能になるリスクが存在することについては具体的に知り,又は知り得たというべきである。もっと 者は,当該抵当証券会社が破綻し,当該 会社によって元本保証がうたわれている抵当証券の相当部分が回収不能になるリスクが存在することについては具体的に知り,又は知り得たというべきである。もっとも,このような原告らの事情は,原告らの損害に係る直接の加害者である大和都市管財に対する損害賠償請求訴訟においては,これを被害者の過失としてしんしゃくすることが必ずしも損害の公平な分担の観点から適当とはいい難いところもあるが,当該直接の加害者である大和都市管財に対する抵当証券業規制法に基づく規制権限の不行使の違法を理由とする被告に対する本件損害賠償請求訴訟においては損害の公平な分担の見地からこれをしんしゃくせざるを得ないというべきである。すなわち,既に説示したとおり,そもそも,抵当証券の内包するリスクが当該抵当証券を販売する抵当証券業者の詐欺的商法に起因するものである場合など同法が織り込んでいるリスクを超えたリスクに顧客がさらされ,当該リスクが顕在化した結果,当該抵当証券の購入者が損害を被ったような場合であっても,このような損害は,現行法秩序の下においては,本来的に債務不履行,不法行為などといった民事的方法により填補されるべきことが予定されているものというべきである。そして,抵当証券業規制法は,抵当証券業者の営業の自由を可能な限り尊重し,制度の効率性を維持しつつ,その業務の適正な運営を確保し,もって抵当証券の購入者の保護を図るという立法目的を達成するために必要最小限の規制を行う趣旨から,開業規制として登録制を採用したものであって,更新登録に係る規制権限の行使によって保護される抵当証券の購入者の利益については,これを専ら一般的公益の中に吸収解消させて保護する趣旨のものであると解されるのである。このような同法の規制の仕組みの下における規制権限の 限の行使によって保護される抵当証券の購入者の利益については,これを専ら一般的公益の中に吸収解消させて保護する趣旨のものであると解されるのである。このような同法の規制の仕組みの下における規制権限の不行使の違法を理由とする本件損害賠償請求訴訟においては,直接の加害者である大和都市管財に対する損害賠償請求訴訟の場合とは異なり,損害賠償制度の根幹を成す損害の公平な分担の見地からして,上記のような被害者側の事情を相当程度しんしゃくせざるを得ないというべきである。 これに対し,情報開示に係る抵当証券業規制法の定めは,既に争点1に対する判断において説示したとおり,抵当証券を現実に購入するまではその担保物件や債務者について知ることができないなど,抵当証券購入者の保護のための規定としては必ずしも十全とまではいえないことに加えて,本件では顧客の保護のための情報開示規定の中で最も重要と目される大和都市管財の貸借対照表等に虚偽記載がされていたこと(本件貸借対照表のみならず,平成10年度以降の貸借対照表が示す貸倒引当金額も大幅に過小であったことは乙3に照らして明らかである。)にかんがみると,上記のような定めがあるからといって,原告らの過失を肯定する方向に作用するものと直ちにいうことはできない。加えて,証拠(甲A12,624)によれば,原告A12が大和都市管財に対して抵当証券業規制法に基づいて財務諸表の閲覧を請求したものの,同社はその開示を拒絶していたこと,原告B319が同社に対して抵当証券(原券)の閲覧を請求した際にも,同社の担当者は,素人が見ても分からないなどといってその開示を拒絶していたことが認められるから,現実にも,抵当証券業規制法における情報開示の規定は,大和都市管財に関しては必ずしも適切に機能していなかったことがうかがわれるところである。 などといってその開示を拒絶していたことが認められるから,現実にも,抵当証券業規制法における情報開示の規定は,大和都市管財に関しては必ずしも適切に機能していなかったことがうかがわれるところである。 また,証拠(甲185,甲A452)によれば,抵当証券業協会は,顧客から大和都市管財に関する問い合わせがあった場合でも,抵当証券についての一般的な説明や資料の送付を行ったり,同社が抵当証券業協会に加入している事実を告げることはあっても,同社の信用状態等についての回答はしておらず,平成9年10月31日と同年11月1日の朝日新聞に業務改善命令を受けた抵当証券会社として載っている会社はどこか,といった個別具体的な質問については,当方では分からない旨の回答をしていたことが認められる(なお,証拠(甲A6)によれば,近畿財務局も,原告A6が大和都市管財の経営状況について電話で問い合わせたのに対し,プライバシーに関わる問題だから答えられない旨回答していたことが認められる。)。そうすると, 原告らが抵当証券業協会に問い合わせをしたとしても,抵当証券に関する一般的な説明はともかく,大和都市管財の経営状態等について有益な情報が得られた現実的な可能性はなかったとみるべきであるから,この点を過大視することもできないというべきである。 以上のような諸事情を考慮すると,本件事実関係の下では,被告が賠償すべき額は,原告らの損害額のうち,過失相殺の規定(民法722条2項)の趣旨に照らし,その6割を控除した額を限度とするのが相当というべきである。 (4)一部弁済ア総論前記のとおり,損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるところ,第2「事案の概要」の4「本件の経緯」で既に摘示したとおり,原告らは,抵当証券保管機構を通じた担保物件 のとおり,損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるところ,第2「事案の概要」の4「本件の経緯」で既に摘示したとおり,原告らは,抵当証券保管機構を通じた担保物件の売却及び本件再生手続を通じて配当(一部弁済)を得ているから,これらの額をその損害額から控除すべきである。 この点につき,原告らは,本件委任契約においては,購入時期の前後,担保物件の有無,金融商品の差異にかかわらず,被害額に応じた一律の按分配当を行っており,その結果,原告らが大和都市管財被害者弁護団から受けた配当額の合計はそれぞれ被害額の8.73639パーセントにとどまるから,5割の一部請求である本訴請求額がこれによって影響を受けることはない旨主張する。しかしながら,証拠(甲264,265)によれば,抵当証券保管機構は,抵当証券に係る担保物件を売却した上,これによって回収した金額を各モーゲージ証書の券面額に按分して割り付けた額の合計を大和都市管財被害者弁護団に対して一括して振込送金していたこと,Y19管財人も,抵当証券のうち競売配当率が7パーセント以上の者について債権額の1パーセント,競売配当率が7パーセント未満の者につ いて債権額の4.856パーセントとして計算した額の合計を上記弁護団に一括して振込送金していたことがそれぞれ認められる。そうすると,原告らが,抵当証券保管機構やY19管財人から一括して支払を受けた上記各金額をその後どのように内部で配分していたにせよ,原告らが被告に対して損害賠償を求めることのできる額を算定するに当たっては,本件更新登録によって各原告が受けた損害額((1)記載の額)の4割に相当する額から,一部弁済によって各原告がそれぞれ単独でその担保物件の差異に応じて配当されていたはずの額を控除する必要があると解すべきで 新登録によって各原告が受けた損害額((1)記載の額)の4割に相当する額から,一部弁済によって各原告がそれぞれ単独でその担保物件の差異に応じて配当されていたはずの額を控除する必要があると解すべきである。 なお,一部弁済については被告の側にその主張立証責任があると解され,その額はモーゲージ証書が表章している抵当物件によって異なるところ,一部弁済を受けていること自体は明らかであるものの,担保物件が明確ではないことによって一部弁済額の確定が困難である原告についても,少なくとも最低限存在する回収可能額についてはこれを損害額から控除する算定方法を採用すべきである。 そこで,以下,各原告らが抵当証券保管機構及び本件再生手続において配当を受けた額を検討することとする。 イ担保物件からの回収抵当証券保管機構の申立てによる不動産競売等によって売却された各担保物件ごとの処分価格及び回収率は別表3のとおりである。なお,甲A号証の陳述書その他の証拠に照らしても,その保有するモーゲージ証書が表象する担保物件が不明であったり,又は,大原ゴルフ場若しくは函館ゴルフ場であることまでは判明しているもののの,前者につき4種類,後者につき2種類存在する抵当証券(原券)のうちどれについての共有持分権を表象するモーゲージ証書であるかが証拠上不明である者も存在するが,前記のとおり,このようなモーゲージ証書についても,最低限度の回収可能額についてこれを控除するような算定方法を選択すべきであるから,担保 物件が不明なものについては,回収率が最小の0パーセントである担保物件と仮定し,「大原ゴルフ場」又は「函館ゴルフ場」については,それぞれ「大原ゴルフ場3」又は「函館ゴルフ場2」であるとして,それぞれその回収額を算定することとする(この場合,担保物件からの回収額は存在しない ,「大原ゴルフ場」又は「函館ゴルフ場」については,それぞれ「大原ゴルフ場3」又は「函館ゴルフ場2」であるとして,それぞれその回収額を算定することとする(この場合,担保物件からの回収額は存在しないことになるが,後述するとおり本件再生手続からの回収が存在することになる。)。 これに従って計算した,別紙損害目録の「原告」欄記載の原告ごとの担保物件からの回収額は,同表1及び2の「一部弁済(担保実行)」欄記載の各金額(合計1億3355万7287円)である。 ウ本件再生手続からの回収証拠(甲265)によれば,担保物件のうち,本件再生手続において4. 856パーセントの配当を受けることができたのは,担保物件の割付未了とされたもののほか,美祢・函館・那須・大原の各ゴルフ場(ただし,大原ゴルフ場1を除く。)及びa区土地であり,その余の担保物件はいずれも1パーセントの配当のみを受けたものと認められる。また,イにおいて,担保物件が不明であるものについてはいずれも回収率を0パーセントと措定したため,これらに対する本件再生手続における配当率はいずれも4. 856パーセントと解すべきである。 これに従って計算した,別紙損害目録の「原告」欄記載の原告ごとの担保物件からの回収額は,同表1及び2の「一部弁済(本件再生手続)」欄記載の各金額(合計9174万6056円)である。 エ小括したがって,原告らは,近畿財務局長による違法な本件更新登録と相当因果関係にある損害額から,上記一部弁済額の合計額を控除すべきこととなり,その額は,別紙損害目録1及び同表2の各「一部弁済」欄記載の各金額(総計2億2530万3343円)である。そして,過失相殺後の損 害額から一部弁済額を控除するとその額がマイナスとなる者(原告A22外6名)については,結果的に,本訴において損害賠償を受 金額(総計2億2530万3343円)である。そして,過失相殺後の損 害額から一部弁済額を控除するとその額がマイナスとなる者(原告A22外6名)については,結果的に,本訴において損害賠償を受けることはできないと解するほかはない。 (5)弁護士費用本件における原告らのように,違法な公権力の行使によって損害を被った者が当該損害の賠償請求に係る訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は,事案の難易,請求額,認容された額その他諸般の事情をしんしゃくして相当と認められる額に限り,上記違法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。そして,原告らは,その主張する損害額の1割に相当する額を弁護士費用として請求しているところ,本訴の経緯等に照らすと,上記(1)ないし(4)によって算出される損害額の1割程度を弁護士費用として認容することにも理由がないとはいえない。 しかしながら,証拠(甲259,261)によれば,本件委任契約は,費用や報酬の定めについて,各原告が上記弁護団に対し,①委任契約の締結時において,その被害元金(大和都市管財本体及びそのグループ会社に対する商品購入代金合計額)の一定割合(被害元金100万円未満の場合は1万円,同100万円以上1000万円未満の場合は2万円,同1000万円以上5000万円未満の場合は3万円,同5000万円以上の場合は4万円)を委任事務遂行の費用として前払するとともに,②被害回復した金員(配当金を含む。)の3パーセントを報酬として支払うこととされていたこと,現に,平成15年1月ころに上記弁護団から原告らに対して行われた第1回配当においても,Y19管財人及び抵当証券保管機構からの回収額から弁護士報酬相当額の3パーセントを控除した額が配当として原告らの指定口座へ振込送金されたこと,が認められる 告らに対して行われた第1回配当においても,Y19管財人及び抵当証券保管機構からの回収額から弁護士報酬相当額の3パーセントを控除した額が配当として原告らの指定口座へ振込送金されたこと,が認められる。 そうすると,原告らが本件更新登録によって被った損害のうち,弁護士報酬に係る部分は,上記(1)ないし(4)によって算出される損害額の3パーセン ト相当額に限定されると解するほかはない。 もっとも,本件委任契約は,委任事務遂行費用のうち,委任契約締結時に支払われた額を超える部分については何ら規定するところがなく,その文面上も各原告らが上記弁護団に支払うべき委任事務遂行費用が締結時の費用に限定されると解すべき根拠はない。そして,本件の事案にかんがみ,その委任事務遂行費用は,合計で,上記(1)ないし(4)によって算出される損害額の2パーセント相当額とするのが相当である。 したがって,原告らは,被告に対し,近畿財務局長による違法な本件更新登録と相当因果関係にある損害として,上記(1)ないし(4)によって算出される損害額の5パーセントに相当する額を請求することができると解され,その額は,別紙損害目録1及び同表2の「弁護士費用」欄記載の各金額(合計3207万1183円)である。 (6)被告の主張について被告は,原告らが本件更新登録以降も,購入した抵当証券について利息を受領しているところ,本件更新登録がされなければ,原告らがそれ以降の利息を受領することはできなかったはずであることを根拠に,原告らの損害額を算定するに当たっては,本件更新登録以降に受領した利息を損益相殺として損害額から控除すべきである旨主張する。しかしながら,被告はその立証責任に属する損益相殺の額に係る具体的な主張立証を一切行っていない上,原告らが本件更新登録以降に大和都市管財から利 を損益相殺として損害額から控除すべきである旨主張する。しかしながら,被告はその立証責任に属する損益相殺の額に係る具体的な主張立証を一切行っていない上,原告らが本件更新登録以降に大和都市管財から利息を約定どおり収受したことやその正確な金額を裏付けるに足りる客観的な証拠もなく,証拠(甲A561,562)によれば,大和都市管財は,顧客によってはそのパンフレットに表示された利率と異なる利率を適用していた様子がうかがわれることが認められることなどに照らすと,抵当証券に係る利息の額について,証拠上これを具体的に確定することも不可能というべきである。したがって,損害額から利息額を控除すべきであるとする被告の主張は採用することができな い。 (7)争点9のまとめ以上によれば,原告らが本件更新登録によって被ったと証拠上認められる損害の額は,別紙損害目録1及び同表2の「損害」欄記載の各金額(合計6億7443万9087円)である。 これらを原告番号を付して整理したものが別紙請求認容金額等一覧表1及び同表2であり,本訴請求額のうちの認容額は,同表1及び同表2の「認容額」欄記載の各金員,及び,これらに対する同表1記載の各原告につき平成15年(ワ)第5830号事件に係る訴状送達の日の翌日である同年6月26日から,同表2記載の各原告につき同じく平成16年(ワ)第4420号事件に係る訴状送達の日の翌日である同年5月7日から各年5分の割合による遅延損害金である。 なお,本件委任契約によれば,原告らは,本訴を通じて支払を受ける賠償額を大和都市管財被害者弁護団に委任した者全員に均霑するとしているところ,証拠(甲259,260)によれば,これらの者の損害額の合計額は598億7730万円であり,同弁護団がこれまでに本件再生手続や不動産鑑定士に対する訴訟等によって た者全員に均霑するとしているところ,証拠(甲259,260)によれば,これらの者の損害額の合計額は598億7730万円であり,同弁護団がこれまでに本件再生手続や不動産鑑定士に対する訴訟等によって回収・配当したのはその8.73639パーセントにとどまることが認められるところ,本訴によって回収した額は遅延損害金を考慮しなければ約6億7444万円となり,これが上記委任者の総損害額に占める割合は約1.12637パーセント(上記回収・配当済みの額と併せると約9.86276パーセント)となる。 第5 結論 以上のとおりであるから,原告らの請求は主文の限度で理由があるので認容し,その余は理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担について,民訴法65条1項本文,64条本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 なお,事案にかんがみ仮執行宣言は相当ではないので,これを付さない。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮 (認容金額等一覧表1)原告番号原告認容額A7661,059A8661,059A11363,909A142,989,742A165,678,220A18907,914A241,091,727A261,455,636A273,690,120A281,730,610A292,277,324A301,257,133A315,537,952A323,603,621A371,939,245A393,253,320A426,506,640A435,469,187A471,038,366A483,461,220A491,730,610 A563,350,919A583,044,30 A426,506,640A435,469,187A471,038,366A483,461,220A491,730,610 A563,350,919A583,044,308A623,461,220A633,396,645A641,686,604A651,282,627A702,644,236A74803,271A75741,867A761,329,703A773,139,331A782,346,661A791,157,174A85440,044A942,572,500A9610,917,270A97975,996A983,543,225A1031,726,567A1111,102,667A1162,131,384A1211,730,610A1272,927,988A1281,814,378A1292,523,524A1305,522,735 A1321,845,060A134996,786A1361,730,610A1371,647,355A1453,461,220A1493,972,528A154771,750A1561,218,010A1583,453,135A1593,461,220A1601,014,137A1653,104,136A1686,920,382A1711,626,660A1721,774,899A1751,107,036A17813,989,276A1796,922,440A1807,095,950A181990,676A1821,730,610A1833,461,220A1841,526,721A185320,108A193 6,922,440A1807,095,950A181990,676A1821,730,610A1833,461,220A1841,526,721A185320,108A1939,206,610A1948,534,085 A1964,345,047A1983,253,320A2083,357,270A2093,755,001A2102,268,897A2131,730,610A2163,798,448A2171,301,328B13,321,854B33,461,220B6748,263B183,799,183B363,358,687B426,699,525B464,879,980B492,704,254B579,241,428B582,387,438B593,639,090B615,191,830B653,253,320B736,156,062B747,024,857B754,157,433B8610,764,331B9311,010,282 B1104,213,125B11211,178,901B1133,253,320B1183,538,395B1242,473,275B1259,759,960B1311,675,800B1321,845,060B1393,461,220B1432,436,472C11,626,660C21,730,610C41,730,610C52,214,072C83,461,220C91,093,837C122,187,675C132,083,032C142,277,324C151,906,104C161,845,06 4,072C83,461,220C91,093,837C122,187,675C132,083,032C142,277,324C151,906,104C161,845,060C1812,059,460C191,626,660C204,180,554C211,730,610C222,768,976 C241,107,036C251,730,610C26999,621C27975,996C281,038,366C291,038,366C301,107,036C322,926,140C331,730,610C341,035,940C353,253,320C36975,996C391,845,060C402,161,572C41502,740C422,083,586C431,038,366C44975,996C456,298,866C461,107,036C47975,996C50422,822C511,845,060C521,557,549C533,690,120C56594,594 C584,499,586C592,927,988C60975,996C613,253,320C621,029,000C631,568,574C64203,479C654,612,650C663,690,120C673,542,515C681,626,660C69975,996C71996,786C721,091,727C732,532,060C75999,621C761,845,060C781,730,610C791,426,887C811,845,060C C721,091,727C732,532,060C75999,621C761,845,060C781,730,610C791,426,887C811,845,060C821,107,036C831,107,036C841,038,366C85473,130C862,765,322C871,845,060 C88344,620C90513,051C911,211,427C925,535,180C935,535,180C943,321,108C951,732,621C96354,847C971,843,380C981,107,036C993,598,560C1001,236,261C1013,690,120C1021,114,259C103975,996C1041,384,488C107975,996C1081,038,366C1091,212,277C1101,035,940C1111,038,366C112975,996C1133,136,602C114975,996C1152,040,654C116975,996 C1177,942,032C118975,996C1191,157,923C1201,726,567C1221,091,727C123975,996C1245,060,296C1253,690,120C1261,310,072C1271,038,366C1281,038,366C1301,384,488C1325,855,976C1331,038,366C134975,996C1351,450,092C136325,332C 1,038,366C1301,384,488C1325,855,976C1331,038,366C134975,996C1351,450,092C136325,332C1392,145,402C1401,730,610C1411,091,727C1421,093,837C1433,315,690C1443,703,392C145975,996C1462,339,694C147975,996 C1491,730,610C1503,253,320C1511,626,660C1535,502,735C154660,660C1551,091,727C1561,812,615C1571,107,036C1581,107,036C1592,407,220C1603,461,220C1611,285,735C1621,038,366C163837,900C167727,818合計639,160,719 (認容金額等一覧表2)原告番号原告認容額B1631,121,442B1761,626,660B1821,626,660B1935,167,507B2062,060,814B2221,496,071B2252,051,899B2271,894,042B2332,183,454B2691,819,545B273683,171B2751,709,820B2782,478,646B2842,767,199B3155,585,927B3231,005,511総計35,278,368全原告合計674,439,087 B3155,585,927B3231,005,511総計35,278,368全原告合計674,439,087
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