令和4(ワ)18393 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月1日 東京地方裁判所
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判決文本文24,034 文字)

令和6年11月1日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第18393号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6年9月6日判 決 原告ミライラボバイオサイエンス株式会社 同訴訟代理人弁護士石 井 藤次郎 被告Y 同訴訟代理人弁護士小野直樹 中井有唯主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は、原告に対し、150万円及びこれに対する令和4年9月11日から 支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、原告が、被告に対し、以下の請求権に基づき、損害金150万円及びこれに対する令和4年9月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで 民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める(一部請求)事案である。 (1) 被告による次の各任務懈怠を理由とする会社法429条1項所定の責任に基づく損害賠償請求権ア株式会社ソニックホールディングス(以下「ソニック社」という。)によ る商標権侵害に係る任務懈怠 イソニック社による不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項20号所定の不正競争に係る任務懈怠(2) 被告による次の各不法行為に基づく損害賠償請求権ア令和4年1月1日付け代理店証明書発行を理由とする不法行為イ偽造品、模倣品製造を理由とする不法行為 ウ原告と未來實驗室生物科學有限公司との間で締結された平成30年10月1日付け商品取引基本契約所定の地域外での販売を理由とする不法行為エソ イ偽造品、模倣品製造を理由とする不法行為 ウ原告と未來實驗室生物科學有限公司との間で締結された平成30年10月1日付け商品取引基本契約所定の地域外での販売を理由とする不法行為エソニック社作成のウェブページでの別紙標章目録記載の各標章を含む画像の掲載を理由とする不法行為なお、上記(1)ア及び(2)エの各請求権は選択的併合であり、これらの各請求 権と(1)イ、(2)ア、(2)イ及び(2)ウの各請求権とは単純併合である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(特記しない限り、枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告は、健康食品及びそれらの原材料の輸出入及び販売等を業とする株 式会社である。原告のかつての商号は「新興和製薬株式会社」であったが、令和2年12月28日、現商号に変更された(弁論の全趣旨)。 原告の主な取扱商品は、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が配合されたサプリメント等である。 イ未來實驗室生物科學有限公司(英語表記は、MIRAILABBio scienceLimited。以下、後記の商号変更の前後を問わず「未来公司」という。)は、健康食品等の販売及び輸出入等を業とする香港法人である。同社のかつての商号は、「香港領航國際貿易投資有限公司」であったが、「香港新興和生物科技有限公司」との商号を経て、令和3年1月27日、現商号に変更された。(乙1、弁論の全趣旨) ウ被告は、未来公司の代表者であり、かつ、ソニック社(平成31年1月 30日付け変更前の商号は「株式会社ロボステップジャパン」。以下、商号変更の前後を問わず「ソニック社」という。)の代表取締役である(甲7、乙5)。 (2) 原告と未来 平成31年1月 30日付け変更前の商号は「株式会社ロボステップジャパン」。以下、商号変更の前後を問わず「ソニック社」という。)の代表取締役である(甲7、乙5)。 (2) 原告と未来公司との間の商品取引基本契約(以下「本件基本契約」という。)原告と未来公司は、平成30年10月1日、契約期間を5年間として、要 旨、以下の約定(ただし、「甲」は原告を、「乙」は未来公司を、それぞれ指す。)により本件基本契約を締結した(以下、本件基本契約の対象となっていた原告の商品を「原告商品」という。甲1)。 ア 9条「本契約が解除または期間満了後により終了した場合においても、甲、 乙いずれからも別段の意思表示が無い限り、本契約の各条項がなおその効力を有する。」イ 17条後段「甲の保持するブランド訴求の為の販促物については都度協議し甲から乙に提供するものとし、その際に実費がかかるものについては都度協議・ 見積もりを行うものとする。」ウ 19条1項「乙及び乙の卸先は甲に対し、乙及び乙の卸先の担当する地域であるかどうかを問わず、商品の偽物・模倣品を見つけた場合…、いち早く甲に報告しなければならない。」 エ 20条1項「乙及び乙の卸先は甲の許諾なく甲の所持する商標・特許を侵害する一切の行為を行ってはならない。」オ 20条2項「乙及び乙の卸先は甲の許諾なく本契約および商品および成分に関する 一切の事項に関する商標及びそれに付随する一切の権利や法人格などを取 得してはならない。」カ 23条「本契約に関して訴訟が生じた場合は、その第一審裁判所は甲の本店所在地を管轄とする裁判所とする。」キ 24条1項 「乙の独占販売権のエリアは、中国(香港、マカオを含む)及び カ 23条「本契約に関して訴訟が生じた場合は、その第一審裁判所は甲の本店所在地を管轄とする裁判所とする。」キ 24条1項 「乙の独占販売権のエリアは、中国(香港、マカオを含む)及び台湾を対象とする。」ク 24条7項「乙は甲の提供する商品より購入する商品を選択し、…毎月商品を発注、入金(前金)することを原則とする…。」 ケ 24条10項1文「乙は甲の商品の代金支払い・商品の受領を行うために、乙の日本国内の関連会社である株式会社ロボステップジャパンを乙の取次会社に指定することを甲は予め了承する。」(3) 本件基本契約の解除 原告は、令和3年9月2日、未来公司に対し、同年8月26日をもって本件基本契約を解除する旨を通知した。これにより、本件基本契約は終了した。 (4) 未来公司による代理店証明書の発行未来公司は、令和4年1月1日、冒頭に別紙図形目録記載の図形(以下「本件図形」という。)と「MIRAILABBIOSCIENCEIn c.」との文言が、本文に別紙代理店証明書文言目録記載の文言が、それぞれ記載された代理店証明書(以下「本件代理店証明書」という。)を作成し、「淘宝店補:全球吋尚捩朕」に交付した(甲3)。 (5) 原告の商標権及び独占的通常使用権原告は、別紙商標権目録記載の各商標権(以下、項番号に従って「本件商 標権1」、「本件商標権2」などと、その登録商標を「本件商標1」、「本件商 標2」などといい、「本件商標権1」、「本件商標権2」などを総称して「本件各商標権」と、「本件商標1」、「本件商標2」などを総称して「本件各商標」ということがある。)のうち、本件商標権1について独占的通常使用権の許諾を受けている(甲27、28)。 また、原告は、本件商標権 標権」と、「本件商標1」、「本件商標2」などを総称して「本件各商標」ということがある。)のうち、本件商標権1について独占的通常使用権の許諾を受けている(甲27、28)。 また、原告は、本件商標権2及び3を保有している。 (6) ソニック社のウェブサイトにおける表示アソニック社は、少なくとも令和5年3月1日から同月14日までの間(具体的な期間については争いがある。)、同社のウェブサイト(以下「本件サイト」という。)において、次の表示があるページ(以下「本件ウェブページ」という。)を作成し、公開した。 最上段に「株式会社ソニックホールディングス」、「SONICHOLDINGSCO.,LTD」、「ホーム」、「会社概要」、「事業内容」、「求人情報」、「お問い合わせ」との記載次段に本件図形及び「MIRAILABBIOSCIENCEInc.」の記載 以下、原告商品が写った写真、「NMNのみを配合した世界初の商品をNo.1シェアで販売」、「某大手ショッピングモール新商品サプリメント売上第1位No.1シェアで販売」などの文言に加え、少なくとも5商品について各商品の容器の写真、品名、説明及び価格(日本円)(以上、甲11) イ本件ウェブページには、別紙標章目録記載の各標章(以下、項番号に従って「本件標章1」、「本件標章2」などといい、これらを総称して「本件各標章」ということがある。)を含む画像が掲載されていたところ、本件各標章は、本件各商標のいずれかと同一であるか又は類似するものである。 また、本件ウェブページに掲載されている本件各標章に関連する画像に 係る商品は、いずれもサプリメントである。 3 争点(1) 会社法429条1項所定の責任の成否(争点1)アソニック社 ページに掲載されている本件各標章に関連する画像に 係る商品は、いずれもサプリメントである。 3 争点(1) 会社法429条1項所定の責任の成否(争点1)アソニック社による商標権侵害の成否(争点1-1)(ア) 本件各商標と同一又は類似する標章の使用の有無(争点1-1-1)(イ) 原告による本件各商標の使用許諾の有無(争点1-1-2) (ウ) 商標法26条1項2号及び6号該当性(争点1-1-3)イソニック社による不競法2条1項20号所定の不正競争の成否(争点1-2)ウ被告の悪意による任務懈怠の有無(争点1-3)(2) 不法行為の成否(争点2) ア本件代理店証明書発行を理由とする不法行為の成否(争点2-1)イ偽造品、模倣品製造を理由とする不法行為の成否(争点2-2)ウ未来公司による本件基本契約所定の地域外での販売を理由とする不法行為の成否(争点2-3)エ本件ウェブページでの本件各標章を含む画像の掲載を理由とする不法行 為の成否(争点2-4)(3) 原告に生じた損害の有無及びその額(争点3) 4 当事者の主張(1) 争点1-1-1(本件各商標と同一又は類似する標章の使用の有無)について (原告の主張)アソニック社が本件ウェブページにおいて、本件各標章を付して原告の商品の広告を掲載していた行為は、本件各商標についての商標法2条3項8号所定の使用に当たる。 イ本件ウェブページに表示されている商品は、いずれも本件各商標の指定 商品である「サプリメント」に含まれる。また、本件ウェブページにおけ る広告はオンラインによる広告であるから、本件商標3の第35類に係る指定役務に含まれる。このように、ソニック社が、本件各標章を使用し プリメント」に含まれる。また、本件ウェブページにおけ る広告はオンラインによる広告であるから、本件商標3の第35類に係る指定役務に含まれる。このように、ソニック社が、本件各標章を使用している商品及び役務は、本件各商標の指定商品又は指定役務と同一のものである。 ウ以上によれば、ソニック社による前記アの広告の掲載行為は、本件各商 標権を侵害するものである。 (被告の主張)否認ないし争う。 (2) 争点1-1-2(原告による本件各商標の使用許諾の有無)について(被告の主張) 未来公司は、本件基本契約に基づいて原告から受領した商品の容器、外箱等に付された本件各商標を販売することができるとされたことから明らかなように、本件各商標権の通常使用権を有していた。そして、未来公司は、本件基本契約に基づいて原告から仕入れた商品の在庫を保有しているところ、同契約が終了した後も、同契約9条の規定により、これらの商品の販売をす ることができ、そのために必要な範囲で、原告の商号や登録商標を使用することができる。 このように、未来公司は、本件基本契約に基づき、本件各商標権の通常使用権を有しているところ、ソニック社はその委託を受けて、同契約の履行のために本件ウェブページに本件各標章を掲載したにすぎず、これは、本件各 商標の使用許諾の範囲内での使用であるから、本件各商標権を侵害するものではない。 (原告の主張)未来公司は、本件基本契約に基づいて既に原告から受領した商品の容器、外箱等に付された本件各商標を販売することができるものの、ソニック社が 本件ウェブページに本件各標章を掲載した行為は、許容される範囲を超える ものである。 (3) 争点1-1-3(商標法26条1項2号及び6号該当性)につ できるものの、ソニック社が 本件ウェブページに本件各標章を掲載した行為は、許容される範囲を超える ものである。 (3) 争点1-1-3(商標法26条1項2号及び6号該当性)について(被告の主張)ア商標法26条1項2号に当たること本件標章3ないし6のうち、「NMN」という表示は、NMNという成分 が含まれていることを示すための表示であって、需要者においても、商品の成分を表示するものと認識するにすぎないから、商標法26条1項2号により、本件商標権1の効力は及ばない。 イ商標法26条1項6号に当たること本件ウェブページは、ソニック社が、中国の販売先や関係者に閲覧して もらうことを想定して、本件基本契約の契約期間中に、原告商品を紹介する目的で作成したものであって、本件ウェブページに掲載していた商品はいずれも原告の真正な商品である。 そして、本件標章1は、原告の商品にもともと付されていたラベルであり、原告商品を紹介するため、その商品に付されたラベルとともに当該商 品の画像を掲載したものである。 また、本件標章2は、原告の名称の英語表記であり、原告商品を紹介するために掲載したものである。 さらに、本件標章3ないし6は、原告商品のブランド名を表示したものであり、原告のブランドが付された商品を紹介するために掲載したもので ある。 このように、本件各標章は、いずれも原告商品を原告の商品として紹介しているにすぎず、ソニック社の商品として表示しているものではない。 したがって、本件各標章は、自他商品識別機能を果たす態様で使用されているものではなく、また、原告商品がソニック社の業務に係る商品であ るとは認識されず、ソニック社が原告商品の出所であるとは認識されない から、商標 識別機能を果たす態様で使用されているものではなく、また、原告商品がソニック社の業務に係る商品であ るとは認識されず、ソニック社が原告商品の出所であるとは認識されない から、商標法26条1項6号に当たる。 (原告の主張)否認ないし争う。 (4) 争点1-2(不競法2条1項20号所定の不正競争の成否)について(原告の主張) ソニック社が本件ウェブページにおいて原告商品の真正品に係る広告を掲載していた場合には、以下のとおり、ソニック社の行為は、不競法2条1項20号所定の不正競争に当たる。 ソニック社は、本件ウェブページに掲載した広告において、上部に本件標章2を掲載し、原告が販売している「NMNPURE 9000」の真正品 の容器正面の写真を大きく表示するとともに、同写真の下に、「…No.1シェアで販売」などと表示していた。 しかし、原告は、日本国内において、原告商品を自社ウェブサイト又はアマゾン、楽天等の原告が指定した著名なオンラインショッピングサイトでのみで販売しており、代理店でもないソニック社は、原告商品を販売できない。 そして、本件標章2が原告の商号の英語表記からなる本件商標3と同一のものであることからすると、本件ウェブページの上記表示は、ソニック社において原告商品を正当に販売する権原があるかのような誤認を生じさせるおそれのあるものである。すなわち、本件ウェブページの上記表示は、ソニック社が、原告から販売代理権を付与されて原告商品を販売するという役務を提 供できないにもかかわらず、そのような役務を提供していると誤認させるような表示に当たる。 以上によれば、ソニック社による前記広告の掲載行為は、不競法2条1項20号所定の「役務」「の広告…に」原告「の役務の…内容…について誤認さ ような役務を提供していると誤認させるような表示に当たる。 以上によれば、ソニック社による前記広告の掲載行為は、不競法2条1項20号所定の「役務」「の広告…に」原告「の役務の…内容…について誤認させるような表示…をする行為」に当たる。 (被告の主張) ソニック社は、本件基本契約に係る取引において、取次会社のような地位にあったところ、未来公司と取引関係にある原告商品の販売先は、ソニック社が正規の商品を取り扱っているかどうかを確認するため、日本語で作成されたウェブページを閲覧するのが通例であり、その際に商品を紹介しているページがあった方が信用されることから、本件ウェブページを作成したもの である。 したがって、本件ウェブページの表示は、ソニック社が原告の代理店であると表示しているものでもなく、代理店であるとの役務を広告するものでもないから、不競法2条1項20号所定の「役務の…内容…について誤認させるような表示」に当たらない。 (5) 争点1-3(被告の悪意による任務懈怠の有無)について(原告の主張)前記(1)ないし(3)の各(原告の主張)のとおり、ソニック社による前記広告の掲載行為は、本件各商標権を侵害するものである。 また、前記(4)の(原告の主張)のとおり、ソニック社による前記広告の掲 載行為は、不競法2条1項20号所定の不正競争に当たる。 したがって、被告は、ソニック社における職務を行うに当たり、悪意により、その任務を懈怠したといえる。 (被告の主張)前記(1)ないし(3)の各(被告の主張)のとおり、ソニック社による前記広 告の掲載行為は、本件各商標権を侵害するものではない。 また、前記(4)の(被告の主張)のとおり、ソニック社による前記広告の掲載行為は、不競法2条 告の主張)のとおり、ソニック社による前記広 告の掲載行為は、本件各商標権を侵害するものではない。 また、前記(4)の(被告の主張)のとおり、ソニック社による前記広告の掲載行為は、不競法2条1項20号所定の不正競争に当たらない。 したがって、被告には、ソニック社における職務を行うに当たり、悪意の任務懈怠はない。 (6) 争点2-1(本件代理店証明書発行を理由とする不法行為の成否)につい て(原告の主張)ア本件代理店証明書について、次の点を指摘することができる。 (ア) 本件基本契約が解除され、未来公司が代理店たる地位を喪失して4か月以上も経った後に作成されたものである。 (イ) 本件基本契約において、未来公司が独占販売権を有する地域は、中国圏に限定されていたにもかかわらず、年号として、中国圏では意味がない「令和4年」との表記が用いられている。 (ウ) 未来公司は、既に原告の代理店としての地位を喪失しているにもかかわらず、本件代理店証明書を代理店の管理、運営するウェブサイトに掲 載させている。 (エ) 本件代理店証明書の冒頭に、原告の登録商標である本件商標3と類似する「MIRAILABBIOSCIENCEInc.」との標章が冒用されている。 イ前記アの各事情に照らせば、未来公司の代表者である被告は、被告自身 の行為として、故意に、本件代理店証明書により、日本に所在する原告が令和4年1月1日時点でも未来公司に販売権を授権し続けているとの虚偽の事実を告知しているというべきである。 この被告の行為は、不法行為に当たる。 ウ前記イの被告の不法行為は、本件基本契約に関連して行われているもの である。そして、本件基本契約は、日本国内で取引される商品に関する契約であるこ この被告の行為は、不法行為に当たる。 ウ前記イの被告の不法行為は、本件基本契約に関連して行われているもの である。そして、本件基本契約は、日本国内で取引される商品に関する契約であること、使用されている言語は日本語であること、日本法人である原告が契約当事者であること、合意管轄裁判所は東京地方裁判所であることに照らせば、本件基本契約の準拠法は日本法であると考えられる。そうすると、法の適用に関する通則法20条所定の「当事者間の契約に基づく 義務に違反して不法行為が行われたことその他の事情」に照らし、上記不 法行為の準拠法も日本法である。 また、前記イの被告の不法行為により、日本法人である原告に損害が発生するという結果が生じているから、同法17条に基づき、日本法が準拠法となる。 (被告の主張) ア被告が中国で行った行為について、日本の民法は適用されないから、被告は、本件代理店証明書の発行に関し、同法709条所定の責任を負わない。 イ仮に、本件代理店証明書の発行に関し、日本の民法が適用されるとしても、未来公司は、本件基本契約に基づいて原告から仕入れた商品の在庫を 保有しているところ、本件基本契約が終了した後も、本件基本契約9条の規定により、これらの商品の販売をすることができ、そのために必要な範囲で、従前と同じ内容の代理店証明書を発行することが許容されている。 そうすると、未来公司が発行した本件代理店証明書は、原告が未来公司に販売権を授権しているとの事実を告知するものであるものの、それはまさ に真実であるから、何ら違法性はない。 そして、本件代理店証明書の発行は、本件基本契約の当事者である未来公司が会社として行ったものであって、被告個人が不法行為責任を負うべき事情は何ら存在しない。 に真実であるから、何ら違法性はない。 そして、本件代理店証明書の発行は、本件基本契約の当事者である未来公司が会社として行ったものであって、被告個人が不法行為責任を負うべき事情は何ら存在しない。 したがって、被告は、この点について不法行為責任を負わない。 (7) 争点2-2(偽造品、模倣品製造を理由とする不法行為の成否)について(原告の主張)被告は、令和5年1月、ソニック社名義で、原告の登録商標である本件商標2を付した紙袋や箱を大量に作成した。 本件基本契約19条1項は、未来公司に対し、偽造品、模倣品を発見した 場合に、未来公司から原告へ報告する義務を課している。そして、被告が、 未来公司の代表者であり、かつ、本件基本契約において未来公司のために原告から商品購入を義務付けられているソニック社の代表取締役であるという二重の地位を有する者であることにかんがみると、被告は、信義則上、本件基本契約に違反する行為をしてはならないとの義務を負っているといえる。 それにもかかわらず、被告は、ソニック社名義で上記の紙袋や箱を製造し、 これを原告に報告していないから、信義則上負っている報告義務に違反したものである。 したがって、被告の上記行為は、故意に、原告の権利を侵害する行為であるから、不法行為に当たる。 (被告の主張) 原告が指摘する紙袋等は、未来公司が、本件基本契約の契約期間中に、本件基本契約に基づいて、中国で真正な原告商品を販売するに当たって使用するために製造したものであるから、本件基本契約19条1項所定の「偽物・模倣品」に当たらない。 また、ソニック社は、取次会社のような地位で本件基本契約の取引に関与 していたにすぎず、紙袋等の製造をしていない。 そもそも、本件基本契約の当事者では 所定の「偽物・模倣品」に当たらない。 また、ソニック社は、取次会社のような地位で本件基本契約の取引に関与 していたにすぎず、紙袋等の製造をしていない。 そもそも、本件基本契約の当事者ではない被告個人が当該契約に規定されている義務を負うことはない。 したがって、被告において、未来公司やソニック社の上記行為に関し、原告に対する報告義務はないし、報告義務違反もない。 (8) 争点2-3(本件基本契約所定の地域外での販売を理由とする不法行為の成否)について(原告の主張)被告は、原告商品を通信販売するための本件ウェブページを開設して、原告商品を販売している。本件ウェブページは日本語で作成されており、かつ、 販売価格には消費税が表示されているから、日本国内に向けて原告商品を販 売していることは明らかである。 そして、被告は、未来公司の代表者であり、かつ、本件基本契約において未来公司のために原告から商品購入を義務付けられているソニック社の代表取締役であるという二重の地位を有する者であることにかんがみると、被告は、信義則上、本件基本契約に違反する行為をしてはならないとの義務を負 っている。 そうすると、被告の上記行為は、本件基本契約24条1項に違反するものであるのみならず、故意に、原告の権利を侵害する行為であるといえるから、不法行為に当たる。 (被告の主張) 本件ウェブページは、ソニック社が、本件基本契約の契約期間中に、中国の販売先や関係者が閲覧することを想定して、原告商品を紹介する目的で作成したものであって、商品を購入する機能を備えていない。したがって、ソニック社は、日本国内に向けて原告商品を販売しておらず、原告の主張はその前提を欠く。 そもそも、本件ウェブページの作成は、 したものであって、商品を購入する機能を備えていない。したがって、ソニック社は、日本国内に向けて原告商品を販売しておらず、原告の主張はその前提を欠く。 そもそも、本件ウェブページの作成は、本件基本契約において取次会社とされていたソニック社が会社として行ったものであって、被告個人が不法行為責任を負うべき事情は何ら存在しない。 (9) 争点2-4(本件ウェブページでの本件各標章を含む画像の掲載を理由とする不法行為の成否)について (原告の主張)被告は、自身が代表取締役を務めるソニック社が管理する本件ウェブページに、本件各商標のいずれかと同一であるか又は類似する本件各標章を掲載した。 この被告の行為により、原告は、需要者から、原告がソニック社との間で 代理店契約を締結しているかのような誤解を受けることとなり、我が国にお ける原告商品の円滑な商流が阻害されるおそれが生じた。 そして、被告は、本件各商標を使用する権原がないことを知っていたか、少なくとも過失によりその確認を怠った。 したがって、被告の上記行為は、故意又は過失により、我が国における原告商品の円滑な商流という権利ないし法的利益を侵害したものであるから、 不法行為に当たる。 (被告の主張)本件ウェブページには、ソニック社が原告の代理店である旨の表示はなく、そのような誤解を与えるような表示もないから、原告が主張する被告の行為は、我が国における原告商品の円滑な商流を阻害するものではなく、不法行 為にも該当しない。 そもそも、本件ウェブページの作成は、ソニック社が会社として行ったものであって、被告個人が不法行為責任を負うべき事情は何ら存在しない。 (10) 争点3(原告に生じた損害の有無及びその額)について(原告の主張) ージの作成は、ソニック社が会社として行ったものであって、被告個人が不法行為責任を負うべき事情は何ら存在しない。 (10) 争点3(原告に生じた損害の有無及びその額)について(原告の主張) 原告は、被告の違法行為により、原告の商号及び登録商標を冒用され、原告商品の販売代理店でない会社に販売代理店と名乗り続けられることとなって、信用毀損等の無形損害を被った。 また、原告は、被告による違法な行為が判明した後、調査を余儀なくされ、担当者が中国に出張するなどして莫大な費用を要した。 さらに、原告は、本件訴訟を提起するために代理人に委任せざるを得ず、そのための弁護士費用なども負担している。 したがって、被告の違法行為によって生じた原告の損害は、150万円を下らない。 (被告の主張) 否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実及び後掲の各証拠によれば、次の事実が認められる。 (1) 未来公司による販売先向け代理店証明書の発行ア未来公司は、本件基本契約の契約期間中、原告から仕入れた原告商品の 8ないし9割程度を、「淘宝」という名称の中国のオンラインショッピングサイトに開設されている店舗の事業者に卸売していた。「淘宝」において商品を販売する場合には、サイト運営者から、当該サイトで販売される商品が正規品であることを証明する文書の提出を求められるため、未来公司は、原告商品を販売するに当たり、次の①ないし④の体裁及び内容のひな型に、 日付及び販売先の名称を記入して作成した代理店証明書を販売先に交付していた。 ① 冒頭に本件図形② 「SHINKOWA」及び「NOWMAKENEXT」との文言③ 「代理店証明書」及び「授権書」との文言 ④ 作成した代理店証明書を販売先に交付していた。 ① 冒頭に本件図形② 「SHINKOWA」及び「NOWMAKENEXT」との文言③ 「代理店証明書」及び「授権書」との文言 ④ 「TheSHINKOWAHONGKONGBIO-TECHNOLOGYCO.,LIMITEDherebyconfers淘宝店補:全球吋尚捩朕 theresellerrights, authorizingthesaleandpromotionofSHINKOWAPHARMACEUTICALCOMPANY'sproducts(includesMIRAILAB, MIRAIDA, ANIMIRA).」(以上、乙2、被告本人) イ原告は、中国市場における商品販売の実情に明るくなかったことなどから、原告商品の具体的な販売先や販売手法は未来公司の裁量に委ねていた。 また、原告は、本件基本契約の契約期間中、未来公司が販売先に原告商品を販売する際に付属させる書類等を逐一確認することまではしていなかったものの、未来公司が販売先に代理店証明書を発行していたことを把握し ていた。(証人A) (2) 本件ウェブページの作成及び公開の経緯被告は、原告商品の販売先などの顧客から、実際に原告商品の取扱いがあることを確認したいとの要望に応えるため、在庫が保管されている我が国所在の倉庫に当該顧客を案内するなどしていた。また、被告が代表取締役を務め、かつ、原告商品の取次会社であったソニック社は、本件基本契約の契約 期間中のいずれかの時点において、未来公司の委託を受けて、原告商品を取り扱っていることを当該顧客に示すため、ソニック社が管理する本件サイト上に本件ウェブページを作成し、遅くとも令和5年3月14 期間中のいずれかの時点において、未来公司の委託を受けて、原告商品を取り扱っていることを当該顧客に示すため、ソニック社が管理する本件サイト上に本件ウェブページを作成し、遅くとも令和5年3月14日までこれを公開した。(前提事実(6)、甲11、被告本人)(3) 本件ウェブページの体裁及び本件サイトの機能 本件ウェブページには、以下のアないしカの表示がある原告商品の写真、説明、価格等が記載されている(前提事実(6)、甲11)。 なお、本件サイトは、原告商品を購入する機能を備えていない(証人A)。 ア最上段に「株式会社ソニックホールディングス」、「SONICHOLDINGSCO.,LTD」、「ホーム」、「会社概要」、「事業内容」、「求人 情報」、「お問い合わせ」との記載イ次段に本件図形及び「MIRAILABBIOSCIENCEInc.」(本件標章2と色合いの異なるもの)の記載ウ原告商品である「NMN ピュア VIP 9000」の容器(本件標章1と色合いの異なるラベルが貼付されているもの)が写った写真 エ 「NMNのみを配合した世界初の商品をNo.1シェアで販売」、「某大手ショッピングモール新商品サプリメント売上第1位No.1シェアで販売」などの文言オ 「NMNPURE シリーズ」の文言(本件標章4)及び「MIRAILABのNMN」の文言(本件標章3) カ原告商品である「<MIRAILAB>NMN ピュア VIP 000」、「<MIRAILAB>NMNPUREPREMIUM6000」、「<MIRAIDA>FACERICHSKINCREAM」、「<MIRAIDA>ミライダカラフェイシャルソープ」などの少なくとも5商品について、それぞれ容器の写真 REMIUM6000」、「<MIRAIDA>FACERICHSKINCREAM」、「<MIRAIDA>ミライダカラフェイシャルソープ」などの少なくとも5商品について、それぞれ容器の写真、品名(本件標章5及び6と同様の体裁のもの)、説明及び価格(日本円。「<税込>」との文言が 付記されている。) 2 会社法429条1項所定の責任に基づく損害賠償請求について(1) 争点1-1-1(本件各商標と同一又は類似する標章の使用の有無)についてア前提事実(6)イのとおり、本件ウェブページには、本件各商標のいずれか と同一であるか又は類似する本件各標章を含む画像が掲載されていたものであり、また、当該画像に係る商品は、いずれもサプリメントであった。 この点について、原告は、ソニック社が本件ウェブページにおいて本件各標章を付して原告の商品の広告を掲載していた行為は、本件各商標についての商標法2条3項所定の「使用」のうちの同項8号の行為に当たると 主張する。 イそこで、本件ウェブページにおける本件各標章の具体的な掲載態様について検討する。 (ア) 本件標章1は、前記1(3)ウのとおり、原告商品である「NMN ピュア VIP 9000」の容器に貼付されているラベルそのものが当該 商品を撮影した写真に写り込んでいるものである。 (イ) 本件標章2についてみると、本件ウェブページの最上段には、ソニック社の名称及びその英語表記が記載されており(前記1(3)ア)、次段に本件図形及び原告の名称の英語表記である本件標章2が掲載されていること(前記1(3)イ)、その余の部分には原告商品を紹介する写真、文言 等が掲載されていること(前記1(3)ウないしカ)からすると、本件標章 2は、本件ウェブペ が掲載されていること(前記1(3)イ)、その余の部分には原告商品を紹介する写真、文言 等が掲載されていること(前記1(3)ウないしカ)からすると、本件標章 2は、本件ウェブページに掲げられている商品が原告の商品であることを示すためのものとして掲載されていると認めるのが相当である。 (ウ) 本件標章3についてみると、「MIRAILAB」は原告の名称の英語表記の一部であること、「NMN」は原告商品に含まれる成分名又は原告商品の名称の一部と考えられることからすると、本件標章3は、本件ウ ェブページで紹介されている商品がNMNを含有する商品又は「NMN」との名称を有する原告の商品であることを示すためのものとして掲載されていると認めるのが相当である。 (エ) 本件標章4についてみると、原告商品には「NMNPUREPREMIUM 6000」、「NMN ピュア VIP 9000」(英語表 記では「NMNPUREVIP 9000」。甲11の1)との名称の商品が存在することからすると(前記1(3)カ参照)、本件標章4は、原告商品に「NMNPURE」とのシリーズ名の商品が存在することを示すものとして使用されていると認められる。 (オ) 本件標章5及び6についてみると、それらは、いずれも原告商品のブ ランド名又はシリーズ名及び原告商品の名称そのものとして使用されているものであるといえる(前記1(3)カ)。 ウ証人B及び証人Aは、未来公司が原告商品の偽造品を製造していた旨を証言するが(証人B及び証人A)、これを裏付ける客観的な証拠はなく、当該証言部分を直ちに採用することはできない。 このほか、本件ウェブページで紹介されている商品が、原告商品の偽造品等すなわち原告商品ではないものであるとうかがわせ 付ける客観的な証拠はなく、当該証言部分を直ちに採用することはできない。 このほか、本件ウェブページで紹介されている商品が、原告商品の偽造品等すなわち原告商品ではないものであるとうかがわせる証拠はない。 エ前記イ及びウにかんがみれば、本件各標章は、いずれも原告商品を真正な原告の商品として紹介するために掲載されているものであって、ソニック社が本件ウェブページにおいて紹介されている商品の出所であることを 示す態様で使用されているものとはいえないから、商標法2条3項所定の 「使用」に当たると認めることはできない。 (2) 争点1-2(ソニック社による不競法2条1項20号所定の不正競争の成否)について原告は、本件ウェブページの表示について、ソニック社が原告から販売代理権を付与されて原告商品を販売するという役務を提供できないにもかかわ らず、そのような役務を提供していると誤認させるような表示であるから、不競法2条1項20号所定の不正競争に当たると主張する。 しかし、本件ウェブページ自体には、ソニック社が原告の販売代理店であることをうかがわせる記載はない上、本件全証拠によっても、本件ウェブページの表示が、ソニック社が原告から販売代理権を付与されて原告商品を販 売するとの役務を提供しているとの誤認を需要者に生じさせるような事情を認めることはできない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 (3) 争点1-1-2(原告による本件各商標の使用許諾の有無)及び争点1-3(被告の悪意による任務懈怠の有無)について 仮に、ソニック社による本件各標章の使用が商標法2条3項所定の「使用」に当たるとしても、被告がソニック社における取締役の任務を悪意により懈怠したと認めることはできない。その理 無)について 仮に、ソニック社による本件各標章の使用が商標法2条3項所定の「使用」に当たるとしても、被告がソニック社における取締役の任務を悪意により懈怠したと認めることはできない。その理由は、以下のアないしウのとおりである。 アソニック社に対する本件各商標の使用許諾の有無について 前提事実(2)エのとおり、本件基本契約において、未来公司は原告の許諾なく原告が保有する商標権を侵害する一切の行為を行ってはならない(20条1項)とされているところ、ソニック社が、自ら又は未来公司を通じ、本件ウェブページで本件各商標と同一であるか又は類似する本件各標章を使用することについて、原告から明示的に許諾を得ていたことを認めるに 足りる証拠はない。 また、前記1(2)のとおり、ソニック社は、本件基本契約の契約期間中のいずれかの時点において、本件ウェブページを作成したことが認められるものの、原告が、本件ウェブページを撮影した写真(甲11)が作成された令和5年3月頃以前に、本件ウェブページの存在を認識していたと認めるに足りる証拠がないことに照らすと、原告が、ソニック社に対し、本件 ウェブページで本件各商標と同一であるか又は類似する本件各標章を使用することを黙示的に許諾していたと認めることもできない。 イ本件基本契約の契約期間中の本件各標章の使用が悪意による任務懈怠に当たるか否かについてもっとも、商品の販促物、資料等に当該商品の出所である製造者、販売 者等の名称や当該商品自体の名称を記載したり、商品写真を掲載したりすることは、商取引上よく行われていることと考えられる。また、未来公司は、本件基本契約に基づいて原告商品を販売するに当たり、中国における原告商品の具体的な販売先や販売手法のみならず、販売先 載したりすることは、商取引上よく行われていることと考えられる。また、未来公司は、本件基本契約に基づいて原告商品を販売するに当たり、中国における原告商品の具体的な販売先や販売手法のみならず、販売先にいかなる書類を交付するかについても、広範な裁量を有していたこと(前記1(1))から すると、中国における原告商品の販促物、資料等としてどのようなものを作成するかについても、原告から一任されていたと認めるのが相当である。 そして、本件基本契約においては、未来公司の関連会社であって日本法人であるソニック社が商品受領を行う取次会社とされている(24条10項1文。前提事実(2)ケ)から、原告商品の商流を明らかにするなどの目的 で、ソニック社が、中国の販売先向けの販促物や資料を日本国内において作成する必要が生ずる場合もあり得る。しかし、本件商標1は、原告商品の商品名の一部を、本件商標2の文字部分及び本件商標3は、原告の名称の英語表記の一部(未来公司の名称の英語表記の一部でもある。)を、それぞれ構成するものであるから、ソニック社が、日本国内において原告商品 の出所を示す原告の名称や原告商品の名称を販促物、資料等に掲載すると、 本件各商標権を侵害することとなる可能性を否定できない。 このように、未来公司は、原告商品の販促物、資料等としてどのようなものを作成するかについても一任されていた上、取次会社であるソニック社が日本国内において原告商品の販促物、資料等に原告の名称や原告商品の名称を使用する可能性が当然に予想でき、かつ、これらを適法に使用で きる外延が不明確であったということができる。それにもかかわらず、原告と未来公司又はソニック社との間で、販促物、資料等における原告の名称や原告商品の名称の使用態様等についての具体 適法に使用で きる外延が不明確であったということができる。それにもかかわらず、原告と未来公司又はソニック社との間で、販促物、資料等における原告の名称や原告商品の名称の使用態様等についての具体的な協議がされていたと認めるに足りる証拠はない。 また、前提事実(2)及び(3)並びに前記1(1)アのとおり、本件基本契約の 継続期間は、締結日である平成30年10月1日から解除日である令和3年8月26日までの約3年間に及び、その間に未来公司が発行していた代理店証明書には原告の名称や原告商品の名称と解し得る文言が記載されていたところ、前記1(1)イのとおり、原告は、未来公司が代理店証明書を発行していたことを把握していたにもかかわらず、本件訴訟提起以前に、未 来公司又はソニック社に対し、販促物、資料等における原告の名称や原告商品の名称の使用態様等について異議を述べていたと認めるに足りる証拠もない。 そして、前記(1)のとおり、本件各標章は、本件ウェブページで紹介されている商品が真正な原告の商品であることを示す目的で使用されているも のと認められる。 これらの事情にかんがみれば、被告が、本件基本契約において、ソニック社が原告商品の販促物、資料等に本件各商標と同一であるか又は類似する本件各標章を使用することが黙示的に許諾されていると考えたとしてもやむを得ないといえるから、本件基本契約の契約期間中にソニック社が本 件ウェブページにおいて本件各標章を使用したことについて、被告がソニ ック社における取締役の任務を悪意により懈怠したと認めることはできず、他に被告の悪意を認めるに足りる証拠はない。 ウ本件基本契約終了後の本件各標章の使用が悪意による任務懈怠に当たるか否かについて証拠(甲1、5、35)によれば より懈怠したと認めることはできず、他に被告の悪意を認めるに足りる証拠はない。 ウ本件基本契約終了後の本件各標章の使用が悪意による任務懈怠に当たるか否かについて証拠(甲1、5、35)によれば、本件基本契約においては、当初、1 年間の最低取引額が3億円(消費税込み)以上、令和2年3月1日以降は1年間の最低取引額が24億円(消費税込み)以上と規定されていたものと認められる。そうすると、未来公司が相当な数量の原告商品を仕入れることが予定されていたものであり、本件基本契約が終了した場合、その時点で未来公司が多数の在庫を抱える可能性があったということができる。 その反面、証人Bの証言によれば、原告商品の消費期限は2年間であったと認められ、その消費期限を超えて原告商品を販売することができないため、遅くとも本件基本契約の終了後2年以内には、未来公司による在庫の販売が終了することが予定されていたといえる。このような事情にかんがみれば、本件基本契約9条は、本件基本契約の終了後も2年間は未来公司 が在庫を販売することを許容する規定と解するのが合理的である。 また、本件基本契約が終了したことに伴って、未来公司が販売先向けに作成した原告商品の販促物、資料等を変更しなければならないとすると、在庫の円滑な販売に支障が生ずる可能性があることは明らかである。そうすると、本件基本契約9条の規定は、本件基本契約終了後も、未来公司が 在庫を販売するために必要な限度で、未来公司及びその取次会社であるソニック社が、従前と同様の販促物、資料等を使用することを許容するものというべきである。 そして、原告又は未来公司から、本件各標章について、同条に規定された上記と異なる取扱いをすべきであるとの「別段の意思表示」がされたと 認めるに足りる証拠は を許容するものというべきである。 そして、原告又は未来公司から、本件各標章について、同条に規定された上記と異なる取扱いをすべきであるとの「別段の意思表示」がされたと 認めるに足りる証拠はない。 これらの事情にかんがみれば、ソニック社が、本件基本契約終了後に、本件ウェブページにおいて本件各標章を使用したことについても、被告がソニック社における取締役の任務を悪意により懈怠したとまで認めることはできないというべきであり、他に被告の悪意を認めるに足りる証拠はない。 (4) 争点1に係る小括以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告に対する会社法429条1項所定の責任に基づく損害賠償請求は理由がない。 3 不法行為に基づく損害賠償請求について(1) 争点2-1(本件代理店証明書発行を理由とする不法行為の成否)につい てア準拠法についてこの争点2-1に係る原告の請求は、未来公司が中国国内で本件代理店証明書を発行したことにより日本法人である原告の権利又は法律上保護される利益が侵害されたことを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求で あるから、法の適用に関する通則法17条本文により、加害行為の結果が発生した地である日本法を適用すべきである。 イ不法行為の成否について(ア) 原告は、被告が、故意に、本件代理店証明書により、原告が令和4年1月1日時点でも未来公司に販売権を授権し続けているとの虚偽の事実 を告知しているところ、この行為は不法行為に当たると主張する。 これに対し、被告は、本件基本契約9条の規定により、未来公司は、本件基本契約が終了した後も、原告から仕入れた在庫を販売することができ、そのために必要な範囲で、従前と同じ内容の代理店証明書を発行すること に対し、被告は、本件基本契約9条の規定により、未来公司は、本件基本契約が終了した後も、原告から仕入れた在庫を販売することができ、そのために必要な範囲で、従前と同じ内容の代理店証明書を発行することが許容されていると反論する。 (イ) そこで検討すると、未来公司は、本件基本契約に基づいて原告から仕 入れた商品の在庫を保有していると認められるところ(被告本人)、前記2(3)ウのとおり、本件基本契約9条の趣旨に照らせば、未来公司は、本件基本契約終了後も2年間は、これらの在庫の販売をすることができる。 そして、未来公司は、本件基本契約の契約期間中、本件代理店証明書と同様の体裁及び内容のひな型に日付及び販売先の名称を記入して代理 店証明書を作成し、これを販売先に交付していたことが認められる(前記1の認定事実(1)ア)。加えて、本件基本契約が終了したことに伴って販売先自体や取引条件、販売先に発行する書類等を変更すると、在庫の販売に支障が生ずる可能性が高いと考えられること、当該代理店証明書は、その文言に照らし、未来公司が販売先に対して原告商品の販売権を 授権したことを証明する趣旨のものにとどまると認められることを考慮すると、本件基本契約9条は、在庫の販売に必要な限度で、未来公司が販売先に対して従前と同じ体裁及び内容の代理店証明書を発行することも許容していると解するのが相当である。 (ウ) 前提事実(4)及び前記1の認定事実(1)アによれば、本件代理店証明書 は、従前の代理店証明書と同じ体裁及び内容のものであると認められる。 また、未来公司は、本件基本契約の終了直前まで原告から多数の原告商品を仕入れていたと認められるから(甲6、被告本人)、本件基本契約が終了してから約4か月しか経過していない令和4年1月1日時点 れる。 また、未来公司は、本件基本契約の終了直前まで原告から多数の原告商品を仕入れていたと認められるから(甲6、被告本人)、本件基本契約が終了してから約4か月しか経過していない令和4年1月1日時点においても、相当数の在庫を保有していたと考えられる。そして、未来公司が 本件代理店証明書を発行した日が、同社が在庫の販売を許容されていた本件基本契約終了後から2年間という期間内にあることは明らかである。 以上によれば、未来公司が本件代理店証明書を発行することは、本件基本契約により許容されており、違法な行為であるとはいえないから、その余の点について判断するまでもなく、前記(ア)の原告の主張を採用す ることはできない。 (2) 争点2-2(偽造品、模倣品製造を理由とする不法行為の成否)についてア原告は、被告が、本件基本契約終了後である令和5年1月に作成した本件商標2を付した紙袋や箱は、本件基本契約19条1項所定の「偽造・模倣品」に当たるのに、これを原告に報告しなかった被告の行為は不法行為に当たると主張する。 イ(ア) 証拠(甲9、10、被告本人)によれば、被告が経営する上海市所在の現地法人「ソニックホールディングス社」の事務所内に、本件商標2が付された紙袋及び箱が多数残置されていることが認められるところ、これらの紙袋及び箱について、証人Bは、被告が偽造したものであるという趣旨の証言をする。 これに対し、被告は、当該紙袋等について、未来公司が、本件基本契約の契約期間中に、同契約に基づいて、中国で真正な原告商品を販売する際に使用するために製造したものであると主張し、同旨の供述をする。 (イ) そこで検討すると、被告の前記供述以外に、当該紙袋等が作成された具体的な時期を認めるに足りる直接証拠はない 告商品を販売する際に使用するために製造したものであると主張し、同旨の供述をする。 (イ) そこで検討すると、被告の前記供述以外に、当該紙袋等が作成された具体的な時期を認めるに足りる直接証拠はない。 もっとも、一般に、商品を販売する際には、箱や袋などの資材を利用して当該商品を梱包することが多く、梱包されている内容物が分かるように、梱包資材に当該商品の名称や商品に係るロゴ等を印刷することもよく行われていると考えられるところ、前記2(3)イにおいて検討した事実関係に照らせば、未来公司及びソニック社には原告商品の梱包資材と してどのようなものを作成するのかについても一定の裁量があったというべきである。また、未来公司は、令和2年3月1日以降、原告から、原告商品を年間24億円(消費税込み)以上仕入れることとされており、本件基本契約の終了後も在庫の販売が許容されていたと認められるから(前記2(3)ウ)、未来公司が販売することとなる原告商品の個数も相当 の数に上ることになる。そして、実際に顧客に商品を販売するに先立っ て、予め梱包資材を用意しておくのが通常であるから、上記事務所内に残置されている紙袋等が、本件基本契約の契約期間中に、中国で原告商品を販売する際に使用することを目的として作成されたものであるとしても、不自然であるとはいえない。 (ウ) これに対し、本件全証拠によっても、当該紙袋等が、未来公司の仕入 れた原告商品の販売以外の目的で使用されるものであることをうかがわせる事情は認められない。 ウ以上によれば、当該紙袋等は、未来公司が、本件基本契約の契約期間中に、同契約に基づいて、真正な原告商品を販売する際に使用するために作成したものであることが否定できず、本件基本契約19条1項所定の「偽 ば、当該紙袋等は、未来公司が、本件基本契約の契約期間中に、同契約に基づいて、真正な原告商品を販売する際に使用するために作成したものであることが否定できず、本件基本契約19条1項所定の「偽 造・模倣品」に当たると認めることはできない。 したがって、原告の前記アの主張を採用することはできない。 (3) 争点2-3(本件基本契約所定の地域外での販売を理由とする不法行為の成否)について原告は、被告が、原告商品を通信販売するための本件ウェブページを作成 して、原告商品を販売している行為は、不法行為に当たると主張する。 この点について、証人Bは、本件サイトにおいて商品を購入する機能が備わっていたと認識していると証言する。しかし、本件サイトは、そのような機能を備えていないと認められるから(前記1の認定事実(3))、当該証言部分を採用することはできず、このほかに、被告が、日本国内において、原告 商品を販売していると認めるに足りる証拠はない。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の上記主張を採用することはできない。 (4) 争点2-4(本件ウェブページでの本件各標章を含む画像の掲載を理由とする不法行為の成否)について 原告は、被告が、本件ウェブページに、本件各商標のいずれかと同一であ るか又は類似する本件各標章を掲載したことにより、需要者から原告がソニック社との間で代理店契約を締結しているかのような誤解を受け、原告の我が国における原告商品の円滑な商流が阻害されるおそれが生じたと主張する。 しかし、本件ウェブページには、ソニック社が原告の代理店であることをうかがわせる表示はなく、本件全証拠によっても、本件ウェブページに本件 各標章が掲載されたことによって、原告の我が国における原告商品 し、本件ウェブページには、ソニック社が原告の代理店であることをうかがわせる表示はなく、本件全証拠によっても、本件ウェブページに本件各標章が掲載されたことによって、原告の我が国における原告商品の円滑な商流が阻害されるおそれがあると認めることはできない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の上記主張を採用することはできない。 争点2に係る小括 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 結論 以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 木村洋一 (別紙)標章目録 以上 (別紙)図形目録 以上 (別紙)代理店証明書文言目録 MIRAILABBIOSCIENCELIMITEDherebyconfers淘宝店補:全球吋尚捩朕theresellerrights,authorizingth 書文言目録 MIRAILABBIOSCIENCELIMITEDherebyconfers 淘宝店補:全球吋尚捩朕 theresellerrights, authorizingthesaleandpromotionofMIRAILABBIOSCIENCEInc. products (includesMIRAILAB, MIRAIDA, ANIMIRA). (日本語訳)MIRAILABBIOSCIENCELIMITED は、淘宝店鋪:全球吋尚捩朕に対し、再販業者の権利、すなわち、MIRAILABBIOSCIENCEInc.の製品(MIRAILAB、MIRADA、ANIMIRA を含む。) の販売と販売促進についての権利を与える。 以上 (別紙)商標権目録 1 登録番号第5966592号出願日平成28年12月21日登録日平成29年7月28日商標 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第3類化粧品、せっけん類、歯磨き第5類サプリメント 2 登録番号第5896791号出願日平成28年4月22日登録日平成28年11月18日商標 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第5類サプリメント 3 登録番号第6525675号出願日令和2年11月13日登録日令和4年3月10日商標 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第3類化粧品,乳液,クリーム,洗顔料,洗顔クレンザー,ヘアトリートメント,フェイシャルパック,化粧用マスク,歯磨き用ジェル第5類薬剤,栄養補助食品, 区分並びに指定商品又は指定役務第3類化粧品,乳液,クリーム,洗顔料,洗顔クレンザー,ヘアトリートメント,フェイシャルパック,化粧用マスク,歯磨き用ジェル第5類薬剤,栄養補助食品,サプリメント,乳幼児用粉乳,牛乳抽出精製物を主原料とする粉末状・錠剤状・カプセル状・粒状・顆粒状・ゼリー状・液状の加工食品第29類原材料に乳素材を含む乳飲料のもと,成人用粉ミルク,食用粉乳第31類ペットフード,ペット用ミルク,ペット用飲料第32類飲料水第35類化粧品・薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,栄養補助食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供第41類美容に関するセミナーの企画・運営又は開催,美容に関するセミナーの企画・運営又は開催に関する情報の提供,健康に関するセミナーの企画・運営又は開催,健康に関するセミナーの企画・運営又は開催に関する情報の提供,美容に関する知識の教授,美容に関する知識の教授に関する情報の提供,健康に関する知識の教授,健康に関する知識の教授に関する情報の提供以上

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