令和2(ネ)2845 発信者情報開示等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年4月8日 東京高等裁判所 棄却 東京地方裁判所 平成31(ワ)8945
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判決文本文2,712 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 2 前項の部分に係る被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,氏名不詳者が,ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上で,被控訴人に成りすまして,俗悪なユーザ名でアカウントの登録をした上,これを使用して,被控訴人の顔写真を添付して上記アカウント開設に係る投稿をしたことにより,被控訴人の肖像権や名誉感情が侵害されたとして,被控訴人が,上記氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)に対する損害賠償請求権の行使のために必要であると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項にいう開示関係役務提供者に当たる控訴人に対し,同項に基づき,本件発信者の氏名,シンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式(以下「SMTP方式」という。)による電子メールに係る電子メールアドレス及びショートメッセージサービスが用いられる通信方式(以下「SMS方式」という。)による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める事案である。 原審は,被控訴人の請求のうち,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める部分を認容し,その余の部分を棄却したところ,控訴人が控訴した。 2 前提事実は,原判決2頁18行目の「本件口頭弁論終結時」を「平成31年 4月から令和2年3月までの年度」に改め,23行目の「氏名不詳者(本件発信者)は,」の次に「平成 訴人が控訴した。 2 前提事実は,原判決2頁18行目の「本件口頭弁論終結時」を「平成31年 4月から令和2年3月までの年度」に改め,23行目の「氏名不詳者(本件発信者)は,」の次に「平成30年8月頃,」を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1(原判決2頁17行目から3頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点及び当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の2(原判決3頁7行目から6頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人の請求のうち,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める部分は認容すべきであり,その余の部分は棄却すべきものと判断する。 その理由は,原判決14頁19行目の「プロバイダ責任制限法に」を「プロバイダ責任制限法の」に改めるほかは,原判決の「事実及び理由」の「第3争点に対する判断」(原判決6頁7行目から19頁21行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人は,電話番号と同一の数字の列であるSMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスは本省令3号の「電子メールアドレス」に含まれないと解するのが本省令制定当時の解釈論として相当であり,本省令3号の文言が,制定以来改正されていないことなどからすれば,現時点においても,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスは,本省令3号の「電子メールアドレス」に該当しないと解すべきであると主張する。 たしかに,引用に係る原判決(17頁)記載のとおり,本省令制定時において,SMS方式による電子メールが具体的に本省令の「電子メール」に該当することは想定されていなかったということができる。しかし たしかに,引用に係る原判決(17頁)記載のとおり,本省令制定時において,SMS方式による電子メールが具体的に本省令の「電子メール」に該当することは想定されていなかったということができる。しかし,本省令制定に際してのパブリックコメントにおける回答(乙3)その他原判決認定に係る事実によれば,本省令制定の際,立案者は,特定電気通信役務提供者が発信者の電 話番号を保有している場合には通常住所や氏名も保有しているとの認識の下,住所や氏名が開示される場合にそれに加えて電話番号を開示させる必要性は低いとして発信者情報開示請求の対象から電話番号を除外したと解するのが相当であり,本省令の立案者が,特定電気通信役務提供者において,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレス以外に発信者の特定のための情報を保有しておらず,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスが,発信者の特定のための唯一の情報であるような場合(本件のような場合)までを念頭に置いて,これが電話番号と同一の数字の列であることを理由に,これを発信者情報開示請求の対象に含むという解釈を許さないということまで意図していたとはいえない。 そして,特定電子メール法等が制定されて以降,「電子メール」や「電子メールアドレス」という法令用語については,その定義規定を中心とした体系的な構造が構築されており,本省令も特定電子メール法等と整合的に解釈すべきことは引用に係る原判決(17頁)記載のとおりであり,本省令の「電子メール」については,文言上何らの限定が付されていないこと,上記のとおり,本省令の立案者も,本省令の「電子メール」がSMS方式による電子メールを含むという解釈を許さないことまで意図していたとはいえないことに加え,特定電子メール法等は,SMS方式による電子メールの利用の 本省令の立案者も,本省令の「電子メール」がSMS方式による電子メールを含むという解釈を許さないことまで意図していたとはいえないことに加え,特定電子メール法等は,SMS方式による電子メールの利用の実態等を踏まえて,特定電子メール法等の対象として当初含まれていなかったSMS方式による電子メールを加えたものと解され,この趣旨は本省令についても当てはまることからすれば,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスは本省令3号の「電子メールアドレス」に含まれるというべきであり,控訴人の上記主張は採用できない。 3 以上によれば,被控訴人の請求のうち,SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める部分を認容し,その余の部分を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして, 主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官定塚誠 裁判官佐藤重憲 裁判官須賀康太郎

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