令和3(ネ)10081 債務不存在確認請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年3月28日 知的財産高等裁判所 4部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成31(ワ)647
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判決文本文18,888 文字)

1令和4年3月28日判決言渡令和3年(ネ)第10081号債務不存在確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成31年(ワ)第647号)口頭弁論終結日 令和4年1月31日判決5 控 訴 人 ファーストフェイス カンパニーリミテッド 10 同訴訟代理人弁護士 城 山 康 文同 後 藤 未 来同訴訟代理人弁理士 金 山 賢 教同 市 川 祐 輔15 被控訴人 Apple Japan合同会社 20同訴訟代理人弁護士 北 原 潤 一同 米 山 朋 宏同 梶 並 彰 一 郎主文1 本件控訴を棄却する。 252 控訴費用は控訴人の負担とする。 23 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 52 被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要等1 事案の概要(以下において略称を用いるときは、別途定めるほか、原判決に同じ。)本件は、被控訴人が、被控訴人による原判決別紙物件目録記載の各製品の譲10渡等は、控訴人が有する特許権(特許第6353363号(本件特許権1)及び特許第6386646号(本件特許権2))を侵害するものではない旨主張し、控訴人に対し、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権を 訴人が有する特許権(特許第6353363号(本件特許権1)及び特許第6386646号(本件特許権2))を侵害するものではない旨主張し、控訴人に対し、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権を有しないことの確認を求める事案である。 原判決は、本件各特許には、進歩性欠如の無効理由があり、同無効理由は、15控訴人が無効審判手続(本件特許1につき無効2019-800006号〔本件無効審判請求1〕、本件特許2につき無効2019-800007号〔本件無効審判請求2〕)においてした訂正請求による訂正事項によっても解消しないとして、被控訴人の請求を認容した。これを不服として、控訴人が控訴を提起した。 202 「前提事実」、「争点」及び「争点に対する当事者の主張」は、原判決11頁1行目から2行目の「特願2010-525891」を「特表2010-541046号公報」に改め、後記3のとおり、当審における当事者の補充主張を加えるほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の1ないし3に記載するとおりであるから、これを引用する。 253 当審における当事者の補充主張3⑴ 争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明に基づく進歩性の欠如)の有無)についてア 控訴人の主張(ア) 本件発明1-1についてa 甲5文献が、相違点1に係る本件発明1-1の構成を開示しないこ5とについて⒜ 甲5文献において、原判決認定の相違点1に係る「・・・活性化ボタンに対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使用者識別機能が実行され」る構成は開示されていない。同構成は、単に①使用者による追加操作なしに使用者の指紋を「検出」するだ10けではなく、②使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・ され」る構成は開示されていない。同構成は、単に①使用者による追加操作なしに使用者の指紋を「検出」するだ10けではなく、②使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・不適合の判定を行う処理をも含み、両者はデバイスの処理として異なるのであるが、甲5文献には、少なくとも上記②の構成については開示されていない。 ⒝ また、原判決は相違点1に係る「非活性状態から活性状態への切15り替えのための活性化ボタンに対する操作」との構成に対応する甲5文献の構成として、「デバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する」等の操作を認定したが、このような甲5文献の操作は、相違点1に係る上記の構成を開示するものではない。「起動」するという処理がスリープ状態(既に「起動」された状態)を20解除することを指すものでないことは明らかである。 b 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に想到できないことについて公然実施発明1のパスコード認証においては、パスコードの入力に先立つスライダのドラッグが必須の構成とされている。また、甲5文25献についても、ディスプレイが活性化された後の状態において、更に4スライドをドラッグする操作が行われることによって初めてロック解除するためのユーザ認証を行う構成しか具体的には開示されていない。 そうすると、甲5文献の開示内容を原判決どおりに認定したとしても、公然実施発明1と甲5-1発明の組み合わせにより想到され得る構成は、別紙1の1図の構成であり、ディスプレイが活性化された後にス5ライダのドラッグという追加の操作を要することになるから、本件発明1-1の構成とはならない。 (イ) 本件発明1-2について本件発明 、ディスプレイが活性化された後にス5ライダのドラッグという追加の操作を要することになるから、本件発明1-1の構成とはならない。 (イ) 本件発明1-2について本件発明1-2は、本件発明1-1の構成を含むものであるところ、本件発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りがあるから、10本件発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも誤りがある。 (ウ) 小括以上によれば、無効理由1の有無に関する原判決の判断は誤りである。 イ 被控訴人の主張(ア) 本件発明1-1について15a 甲5文献に相違点1に係る構成が開示されていないとする点について⒜ 控訴人は、前記ア(ア)a⒜のとおり、甲5文献には、原判決認定の相違点1に係る構成のうち、少なくとも、使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・不適合の判定20を行う処理が開示されていないと主張する。しかし、甲5文献の【0004】には「電子デバイスは、検出した識別情報を、デバイスのライブラリに格納されている識別情報と比較することによって、ユーザを認証してよい。」との記載があり、また、甲5文献の請求項15の記載に鑑みても、控訴人の主張は失当である。 25⒝ また、控訴人は、前記ア(ア)a⒝のとおり、「起動」は「スリープ5状態を解除すること」とは異なるから、甲5文献における「デバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する」等の構成は、相違点1に係る「非活性状態から活性状態への切り替えのための活性化ボタンに対する操作」に対応するものではないと主張する。しかし、甲5文献の【0003】は、「デバイスをオンにする」、「(デ5バイスを)ロック解除する」及 態から活性状態への切り替えのための活性化ボタンに対する操作」に対応するものではないと主張する。しかし、甲5文献の【0003】は、「デバイスをオンにする」、「(デ5バイスを)ロック解除する」及び「(デバイスを)起動する」を並列的に記載していることから、スリープ状態からスリープ解除状態に移行するという意味を含むものであると当業者は理解する。 b 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に想到できないとする点について10控訴人は、前記ア(ア)bのとおり、甲5文献の開示内容を原判決どおりに認定したとしても、公然実施発明1と甲5-1発明の組み合わせにより想到され得る構成は、別紙1の1図にとどまると主張する。 しかし、甲5文献には、電子デバイスに組み込まれた認証システムに関し、控訴人が指摘するスライダをドラッグする部分にセンサを備15えた構成以外にも、「ホームボタンにセンサを備えた構成」等、様々な構成が開示されているから、控訴人の主張は前提を誤っている。 (イ) 本件発明1-2について本件発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りはないから、本件発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも誤りはな20い。 (ウ) 小括以上によれば、無効理由1の有無に関する原判決の判断に誤りはない。 ⑵ 争点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠如)の有無)について25ア 控訴人の主張6(ア) 本件発明2-1についてa 甲5文献に相違点3に係る構成が開示されていないことについて甲5文献には、原判決認定の相違点3に係る「・・・活性化ボタンに対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使用者識別機能が実行され」る構成、「非活性状 る構成が開示されていないことについて甲5文献には、原判決認定の相違点3に係る「・・・活性化ボタンに対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使用者識別機能が実行され」る構成、「非活性状態から活性状態への切り替えの5ための活性化ボタンに対する操作入力」が開示されていないことは、本件発明1-1に関して前記⑴ア(ア)aで主張したのと同様である。 b 公然実施発明2と甲5-1発明を組み合わせても本件発明2-1に想到できないことについて公然実施発明2と甲5-1発明を組み合わせることができたとし10ても、当業者が本件発明2-1には容易に想到しないことは、本件発明1-1に関して前記⑴ア(ア)bで主張したのと同様である。 (イ) 本件発明2-2ないし本件発明2-5について本件発明2-2ないし本件発明2-5は、本件発明2-1の構成を含むものであるところ、本件発明2-1の容易想到性についての原判決の15判断に誤りがあるから、本件発明2-2ないし本件発明2-5の容易想到性についての原判決の判断にも誤りがある。 (ウ) 本件発明2-6についてa 本件発明2-6は、本件発明2-1の構成を含むものであるところ、本件発明2-1の容易想到性の判断に誤りがあるから、同様の点にお20いて、本件発明2-6のうち、本件発明2-1と共通する構成についての容易想到性に関する原判決の判断にも誤りがある。 b 甲5文献の記載において、顔の特徴を検出するのは、「ユーザの顔がセンサと向かい合うように配置された時」のみであり(【0056】)、検出した顔の特徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミング(特25に、本件発明2-6のように、非活性状態の際になされた前記活性化7ボタンに対する使用者の た時」のみであり(【0056】)、検出した顔の特徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミング(特25に、本件発明2-6のように、非活性状態の際になされた前記活性化7ボタンに対する使用者の操作に基づいて、追加の操作なしに、顔認識による使用者識別機能を実行すること)については、一切開示されていない。 したがって、甲5文献は、相違点2-6に係る本件発明2-6の構成を開示しない。 5(エ) 小括以上によれば、無効理由2の有無に関する原判決の判断には誤りがある。 イ 被控訴人の主張(ア) 本件発明2-1ないし本件発明2-5について10控訴人の主張が失当であることは、本件発明1-1に関して前記⑴イ(ア)で主張したのと同様である。 (イ) 本件発明2-6についてa 本件発明2-6のうち、本件発明2-1と共通する構成についての控訴人の主張が失当であることは、本件発明1-1に関して前記⑴イ15(ア)で主張したのと同様である。 b 控訴人は、甲5文献には、検出した顔の特徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミングについて開示されていないと主張する。 しかし、甲5文献の請求項15には、「ユーザから入力を受信する入力メカニズムと、前記入力が受信される時に、前記ユーザの識別特20徴を検出する検知素子」を備える「ユーザをシームレスに認証するための電子デバイス」が記載されており、甲5文献の請求項18、【0020】、【0049】及び【0050】の記載も参酌すれば、請求項15における「入力メカニズム」が、「ホームボタン」を含むものであり、入力メカニズムにおいて、ユーザからの「入力が受信される25時」が、ユーザがホームボタンを押下したことを受信する時を含むも8のと理解する 力メカニズム」が、「ホームボタン」を含むものであり、入力メカニズムにおいて、ユーザからの「入力が受信される25時」が、ユーザがホームボタンを押下したことを受信する時を含むも8のと理解することができる 。また、甲5文献の請求項15にいう「前記ユーザの識別特徴を検出する検知素子」は、請求項17、【0058】及び【0078】の記載を参酌すると、ユーザの顔の特徴を検出するセンサを含むものである。したがって、甲5文献の記載に触れた当業者は、ユーザがホームボタンを押下したことを受信した時に、シ5ームレスにユーザの顔の特徴を検出して認証を行う電子デバイスを含むものと理解することができる。 よって、甲5-2発明について、「デバイスの機能を有効にするときに、電子デバイスに備えられた検知素子(センサ)によって顔の特徴を検出」する構成を認定した原判決の判断に誤りはない。 10(ウ) 小括以上によれば、無効理由2の有無に関する原判決の判断に誤りはない。 ⑶ 争点3-2(無効理由1の解消の有無)ア 控訴人の主張(ア) 本件訂正発明1-1について15a 本件訂正発明1-1は、「前記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付けると、前記ディスプレイ部にロック画面が表示された前記活性状態へ切り替え、前記使用者による追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、前記非活性状態から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り替えのための前記操20作入力により行われ、」との構成を有し、公然実施発明1とは、本件発明1-1との相違点のほか、ロック画面が表示されるという点でも相違する。 b⒜ 仮に、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせる際、公然実施発明1の使用 との構成を有し、公然実施発明1とは、本件発明1-1との相違点のほか、ロック画面が表示されるという点でも相違する。 b⒜ 仮に、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせる際、公然実施発明1の使用者識別機能に係る手順のうち、ロック状態の画面上25でのスライダをドラッグする処理を排除することができたと仮定9しても、想到され得るものは、別紙1の2図の構成であり、そこでは、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロック画面が表示されることはない。 また、公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせて、仮に、「ス5ライダのドラッグ」を経ずに「指紋認証」を実行する構成を想定するのだとしても、公然実施発明1においても、甲5文献においても、ロック画面は、あくまでも、当該画面上で「スライダのドラッグ」を行う構成としてのみ開示されており、「スライダのドラッグ」を行わないロック画面は開示されていないから、「指紋認証」と併せ10て「ロック画面」を残す構成を容易に想到できたとはいえない。 ⒝ 被控訴人は、後記イ(ア)bのとおり、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせることで、公然実施発明1のホームボタンの背後にセンサを設け、ホームボタンを押下すると、ロック画面が表示されるとともに、指紋認証を行うという構成を得ることができ(別紙152のA図)、この構成において、指紋認証に成功した場合には、認証成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図1)又は認証成功後にスライダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図2)を得ることができる旨主張する。 しかし、被控訴人が主張する認証成功後の構成である別紙2のB20図1については、スライダが表示され ム画面に遷移する構成(別紙2のB図2)を得ることができる旨主張する。 しかし、被控訴人が主張する認証成功後の構成である別紙2のB20図1については、スライダが表示されているところ、指紋認証に成功した場合に「当該成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」であるとされる以上、スライダをドラッグすることによって次の画面に遷移するという、スライダの機能は利用されない。公然実施発明1や甲5文献において、そのように「利用されないスライダを表示25する」という技術思想は何ら開示されておらず、当業者がそのよう10に何ら機能を発揮しないスライダをあえて表示させる構成に容易に想到し得たとはいえない。それを考え付くとすれば、本件訂正発明1-1を見た上での後知恵である。 また、別紙2のB図2のような、「認証の成功後に、さらにスライダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する」という構成は、5公然実施発明1にも、甲5文献にも何ら開示がない。 (イ) 本件訂正発明1-2について本件訂正発明1-2は、本件訂正発明1-1の構成を含むものであるところ、本件訂正発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りがあるから、本件訂正発明1-2の容易想到性についての原判決の判10断にも誤りがある。 (ウ) 小括以上によれば、原判決の無効理由1の解消の有無についての判断には誤りがある。 イ 被控訴人の主張15(ア) 本件訂正発明1-1についてa 控訴人は、前記ア(ア)b⒜のとおり、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせたとしても、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロック画面が表示されることはない旨主張する。 2 とおり、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせたとしても、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロック画面が表示されることはない旨主張する。 20b しかし、仮に、「スライダのドラッグ操作を排除」したとしても、当該排除によって「ロック画面の表示」を残してはならないということにはならない。公然実施発明1における「ロック画面の表示」には、控訴人が主張する誤操作防止の技術的意義・機能以外にも、例えば、ホーム画面に入らないで日時や電波状態、電池残量を確認することが25できるといった技術的意義・機能がある。 11また、公然実施発明1においては、パスコード認証の設定がされない場合があり、その場合でも、ホームボタンの押下により、スリープ状態からスリープ解除状態に切り替わった時に、ロック画面は表示され、スライダのドラッグ操作により、ホーム画面に遷移する。したがって、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせることで、公然実5施発明1のホームボタンの背後にセンサを設け、ホームボタンを押下すると、スライダを備えたロック画面が表示されるとともに、指紋認証を行うという構成を得ることができる(別紙2のA図)。そして、この構成において、指紋認証に成功した場合には、認証成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図1)及び認証成功後にス10ライダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図2)を得ることができる。控訴人の主張は失当である。 (イ) 本件訂正発明1-2について本件訂正発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りはないから、本件訂正発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも15誤りはない。 (ウ) 小括以上によれ 本件訂正発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りはないから、本件訂正発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも15誤りはない。 (ウ) 小括以上によれば、原判決の無効理由1の解消の有無に関する判断に誤りはない。 ⑷ 争点3-3(無効理由2の解消の有無)20ア 控訴人の主張(ア) 本件訂正発明2-1について本件訂正発明2-1は、「前記非活性状態の際になされた前記活性化ボタンに対する使用者の操作に基づいて前記非活性状態から前記ロック画面が表示された前記活性状態に切り替えるとともに、」との構成を有25しており、公然実施発明2とは、本件発明2-1との相違点のほか、ロ12ック画面が表示されるという点でも相違する。 公然実施発明2に甲5-1発明を組み合わせたとしても、ロック画面が表示される構成に至ることがないことは、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合に関して前記⑶ア(ア)に主張した通りである。 (イ) 本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6について5本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6は、本件訂正発明2-1の構成を含むものであるところ、ロック画面の表示に関する本件訂正発明2-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りがあるから、本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6の容易想到性についての原判決の判断にも誤りがある。 10(ウ) 小括以上によれば、無効理由2の解消の有無に関する原判決の判断には誤りがある。 イ 被控訴人の主張ロック画面を表示するものである本件訂正発明2-1ないし本件訂正15発明2-6の容易想到性に関する控訴人の主張は、本件訂正発明1-1の容易想到性に関する控訴人の主 イ 被控訴人の主張ロック画面を表示するものである本件訂正発明2-1ないし本件訂正15発明2-6の容易想到性に関する控訴人の主張は、本件訂正発明1-1の容易想到性に関する控訴人の主張と同様のものであり、失当である。 第3 当裁判所の判断本件の事案に鑑み、争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明に基づく進歩性の欠如)の有無)、争点3-2(無効理由1の解消の有無)、争20点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠如)の有無)、争点3-3(無効理由2の解消の有無)の順で判断する。 1 争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明に基づく進歩性の欠如)の有無)について⑴のとおり原判決の補正をし、⑵のとおり当審における控訴人の補充主張に25対する判断を加えるほか、原判決の第3の4の説示のとおりであるから、これ13を引用する。 ⑴ 原判決の補正ア 原判決58頁22行目の「…」を、「例えば、電子デバイスは、デバイスのホームスクリーン(例えば、スプリングボード)またはメニューを表示する前に、4つの数字または4つの文字のPINを入力するよう、ユーザ5に要求してよい。別の例として、ユーザの指紋を検出するためまたはユーザの網膜を走査するための付属デバイスをデバイスに接続することによって、ユーザが、デバイスへのアクセス権を受ける前に、承認された指紋または網膜を最初に示さなければいけないようにしてもよい。」に改める。 イ 原判決58頁24行目の「…」から同ページ26行目の「…」までを、10「これらの方法は両方とも有効でありうるが、パスワードまたはパスコードに基づくアクセス制限は、パスワードまたはパスコードを知っている他のユーザがいない限りは、効果的である。パ 「…」までを、10「これらの方法は両方とも有効でありうるが、パスワードまたはパスコードに基づくアクセス制限は、パスワードまたはパスコードを知っている他のユーザがいない限りは、効果的である。パスワードまたはパスコードが知られると、制限メカニズムは、効果がなくなりうる。また、パスワードまたはパスコードを忘れて、許可ユーザがデバイスにアクセスできなくな15る場合もある。さらに、ユーザに指紋を提供するまたは網膜スキャンを受けるよう要求することは、ユーザがデバイスにアクセスできるまでに求めるステップを増やすため、時間がかかり、ユーザにとって煩わしい場合がある。この方法は、パスワードまたはパスコードの入力よりも安全であるが、ハードウェア(例えば、必要なスキャナ、検出器、または、リーダ)20のコストと時間がかかる。したがって、例えば、ユーザがデバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズムを実装した電子デバイスを提供することが望ましい。」に改める。 ウ 原判決60頁6行目末尾に改行して次のように加える。 25「リソースへの安全なアクセスを提供するために、電子デバイス70014は、ユーザを特定するためにユーザの指紋の特徴を検出する少なくとも1つのセンサ720を備えてよい。シームレスなユーザ体験を提供するために、センサ720は、入力メカニズム710および712の少なくとも一方の中または下に組み込まれてよい。一部の実施形態において、入力メカニズム710は、ユーザが電子デバイス700に入力を提供するために押5下しうる複数の別個のキーを備えうるため、1または複数のキーに内蔵されたセンサ720を備えてよい。例えば、光学または容 力メカニズム710は、ユーザが電子デバイス700に入力を提供するために押5下しうる複数の別個のキーを備えうるため、1または複数のキーに内蔵されたセンサ720を備えてよい。例えば、光学または容量センサは、ユーザが指をキーに置いた(例えば、ユーザの人差し指を「F」または「J」キーに置いた)時に、センサがユーザを認証するためにユーザの指先の特徴を検出できるように、キーの上面に配置されてよい。ユーザの指がキー10の上に置かれている間にユーザを認証するために、二次元すなわち移動センサが、用いられ得る。」(【0049】)エ 原判決63頁20行目末尾に改行して次のように加える。 「また、甲5文献に接した当業者は、公然実施発明1には、スリープ状態においてホームボタンを押してから認証を経てデバイスにアクセスでき15るまでの一連の動作に関して、甲5-1発明と共通の技術課題(デバイスのホームスクリーン又はメニューを表示する前に、本人認証のためにパスコードの入力を要求することは、パスコードが知られたり、パスワードを忘れたりする。)が存在することを認識するものということができる。」オ 原判決63頁21行目の「技術分野の」から22行目の「共通性」まで20を「技術分野の関連性、作用機能の共通性及び課題の共通性」に改める。 ⑵ 当審における控訴人の補充主張に対する判断ア 本件発明1-1について(ア) 甲5文献に相違点1に係る構成が開示されていないとする点について25a 控訴人は、前記第2の3⑴ア(ア)a⒜のとおり、甲5文献には、相違15点1に係る構成のうち、使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・不適合の判定を行う処理は含まれていないと主張する。 しかし、甲5-1発明 文献には、相違15点1に係る構成のうち、使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・不適合の判定を行う処理は含まれていないと主張する。 しかし、甲5-1発明は、指紋による認証を行う上で「ユーザがデバイスにアクセスできるまでに求めるステップを増やすため、時間が5かかり、ユーザにとって煩わしい場合があ」ることを課題とするものであり(【0003】)、この点からすれば、ホームボタンへの操作入力が、指紋の特徴を検出するための使用者識別機能を兼ねることは当然に想定され、その場合には、ホームボタンの背後に配置されたセンサにより検出した指紋を、登録された指紋と照合して適合・不適合を判10定する処理を使用者による追加操作なしに行うことになる。これに加え、甲5文献の請求項1の「前記入力メカニズムに隣接したセンサを用いて、前記入力を受信する時に前記ユーザの識別情報を検出する工程と、前記検出した情報に基づいて前記ユーザを認証する工程」との記載と、請求項7の「請求項1に記載の方法であって、前記識別情報15は、指紋、掌紋、・・・の内の少なくとも1つを含む、方法。」との記載を併せ読めば、ホームボタンの操作入力による指紋を検出する工程と認証工程との間に操作は不要であるから、甲5文献には、ホームボタンへの操作入力以外の追加の操作なしで、ユーザが認証されることが開示されているということができる。 20b 控訴人は、前記第2の3⑴ア(ア)a⒝のとおり、甲5文献のいう「起動」には、本件発明1が規定する、非活性状態から活性状態に切り替える操作は含まれないから、指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力に応じて行われる点についても、甲5文献には開示されていない旨主張する。 活性状態に切り替える操作は含まれないから、指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力に応じて行われる点についても、甲5文献には開示されていない旨主張する。 25しかし、一般的に「起動する」の意味としては、「コンピューター16などの機器の電源を入れて、操作できる状態にすること」と解されている(乙7)ものの、甲5文献は、「例えば、ユーザがデバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する時に、」として、デバイスをオンにすること、デバイスをロック解除すること、デバイスを起動することを並列して記載している。そして、この記載に対応する5原文(甲33)には、「for example as the user turns on, unlocks or wakes the device.」との記載があり([0004])、「turns on」と「wakes」とが別に例示されているところ、wakeがsleepの対義語であることに鑑みると、甲5文献における「起動する(w10akes)」がスリープ状態であったものを操作できる状態にすることを意味することは明らかであり、甲5文献の「(デバイスを)起動する」との記載は、本件発明1-1の「非活性状態」から「活性状態」への切り替えを意味するものである。 また、公然実施発明1に係る、iPhoneユーザガイド(甲10)15の12頁「iPhoneのロックを解除する」の「ホームボタン、またはスリープ/スリープ解除のオン/オフボタンを押して、スライダをドラッグします。」との記載や、iPhoneパーフェクトガイド(甲14)の22頁「スリープとロックの解除」の「スリープ時に電源ボタンかホームボタンを押すと、スリープから復帰してロックを解20除でき ッグします。」との記載や、iPhoneパーフェクトガイド(甲14)の22頁「スリープとロックの解除」の「スリープ時に電源ボタンかホームボタンを押すと、スリープから復帰してロックを解20除できるようなる」との記載によれば、甲5文献の図8Bに示される一般的なスマートフォンである「携帯電話のホームボタン(図8Bのボタン812)」も、スリープ時の操作入力によりスリープ状態を解除する機能を有することは明らかである。そして、甲5文献には、スリープ時のホームボタンに対する操作入力に基づく指紋によるユーザ25認証を排除する記載はない。 17以上によれば、控訴人の主張は採用できない。 (イ) 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に想到できないとする点について控訴人は、前記第2の3⑴ア(ア)bのとおり、公然実施発明1においても、甲5-1発明においても、スライダのドラッグが必須とされてお5り、公然実施発明と甲5-1発明を組み合わせても、本件発明1-1の構成には至らない旨主張する。しかし、甲5文献からは、ホームボタンの背後に指紋検出センサを配置し、ユーザが当該ホームボタンを押下してデバイスを起動した時に、ユーザからの明示的な入力を要求することなく、指紋による認証を行う構成も、甲5-1発明として認定すること10ができることは、引用に係る原判決の第3の4(4)イにおいて説示するとおりであり、控訴人の主張は採用できない。 イ 本件発明1-2について前記アにおいて判示したとおり、相違点1-1の容易想到性に関する原判決の判断に誤りはないところ、控訴人はこれ以外の相違点の容易想到性15について主張しておらず、また、原判決の判断に誤りがあるとは認められないから、本件発明1-2についての 容易想到性に関する原判決の判断に誤りはないところ、控訴人はこれ以外の相違点の容易想到性15について主張しておらず、また、原判決の判断に誤りがあるとは認められないから、本件発明1-2についての容易想到性に関する原判決の判断に誤りはない。 ⑶ 小括以上のとおりであって、無効理由1を認めた原判決の判断に誤りはない。 202 争点3-2(無効理由1の解消の有無)について⑴のとおり原判決の補正をし、⑵のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を加えるほか、原判決の第3の6の説示のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決の補正25原判決78頁7行目冒頭から11行目末尾までを次のように改める。 18「甲5-1発明において、指紋による認証の結果を得るには一定の時間を要することは、明らかである。また、公然実施発明1に甲5-1発明を適用することで、ホームボタンを押下すると、起動によりディスプレイがオンになり、それと同時に指紋認証を行うことが可能である(別紙2のA図右及びB図1左)。 5そして、本件訂正発明1-1で特定されるロック画面は、本件訂正事項1-1により加えられたものであるが、「前記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付けると,前記ディスプレイに」「表示され」るものであって、ロックが解除されていない状態を表示する機能以外は特定されてない。そうすると、公然実施発明1に甲5-1発明を適用したものにおい10て、ホームボタンの押下後、オンになったディスプレイに、ホーム画面に移行する前に表示される画面も、客観的にロックが解除されていない状態を表示するものであり、これを「ロック画面」に当たるということができる。 したがって、公然実施発明1に甲5-1発明を適用した場合に 移行する前に表示される画面も、客観的にロックが解除されていない状態を表示するものであり、これを「ロック画面」に当たるということができる。 したがって、公然実施発明1に甲5-1発明を適用した場合に、使用者による追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から15ロック画面が表示された活性状態への切り替えのための操作入力により行われるという、本件訂正発明1の構成に容易に想到するということができる。」⑵ 当審における控訴人の補充主張に対する判断ア 本件訂正発明1-1について(ア) 控訴人は、前記第2の3⑶ア(ア)b⒜のとおり、公然実施発明1に甲205-1発明を組み合わせる際、ロック状態の画面上でのスライダをドラッグする処理を排除することができたと仮定しても、想到され得るものは、別紙1の2図のとおりであり、そこでは、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロック画面が表示されることはない旨、また、公然実施発明1においても、25甲5文献においても、ロック画面は、当該画面上で「スライダのドラッ19グ」を行う構成としてのみ開示されており、「スライダのドラッグ」を行わないロック画面は開示されていないから、「指紋認証」と併せて「ロック画面」を残す構成を容易に想到できたとはいえない旨主張する。 しかし、引用に係る原判決の第3の6⑵アのとおり、「ロック画面」自体は、ロックが解除されていない状態を示す画面であり、スライダのド5ラッグ操作とロック画面の表示を不可分一体のものとして捉えなければならない理由はないから、控訴人の主張は採用できない。 (イ) 控訴人は、前記第2の3⑶ア(ア)b⒝のとおり、別紙2のB図1左にはスライダが表示されているところ、指 可分一体のものとして捉えなければならない理由はないから、控訴人の主張は採用できない。 (イ) 控訴人は、前記第2の3⑶ア(ア)b⒝のとおり、別紙2のB図1左にはスライダが表示されているところ、指紋認証に成功した場合に「当該成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」であるとされる以上、スラ10イダの機能は利用されず、当業者がそのように何ら機能を発揮しないスライダをあえて表示させる構成を考え付くとすれば、本件発訂正明1-1を見た上での後知恵であると主張する。 控訴人の主張の真意は判然としないが、そもそも本件訂正発明1-1においては、ロック画面からホーム画面への移行の仕方については何ら15規定しておらず(したがって、この場面におけるスライダの表示の有無やその利用の有無等についても何も限定はない)、被控訴人の主張如何にかかわらず、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合に、正当な使用者と認証されたときに、スライダを利用しようとしなかろうと、どちらにしてもロック画面からホーム画面へ移行させることが可能20であること自体は明らかであるから、控訴人の主張は失当というほかない。 イ 本件訂正発明1-2について本件訂正事項1-1によって無効理由1を解消できないことは前記アのとおりである。また、控訴人は、本件訂正事項1-2に係る訂正による25無効理由の解消を主張しておらず、原判決の判断に誤りがあるとも認めら20れない。 ⑶ 小括以上によれば、本件訂正によっても無効理由1は解消しないとした原判決の判断に誤りはない。 3 争点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠5如)の有無)について⑴のとおり原判決の補正をし、⑵のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を加 い。 3 争点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠5如)の有無)について⑴のとおり原判決の補正をし、⑵のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を加えるほか、原判決の第3の5の説示のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ア 原判決76頁4行目の「甲5文献には、」の次に「ユーザがデバイスをオ10ンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズムを実装した電子デバイスを提供することが望ましいこと(【0003】)、」を加える。 イ 原判決76頁6行目の「当該センサは、」から8行目の「【0058】)」15までを「当該センサとして、ユーザの顔がセンサと向かい合うように配置された時に、ユーザの顔の特徴を検出するものを採用することができること(【0056】)」と改める。 ウ 原判決76頁15行目の「そして、」から19行目末尾までを、「甲5文献の特許請求の範囲の請求項11には、「電子デバイスのユーザを認証す20るための方法であって、前記デバイスの検知素子に対して位置合わせするよう前記ユーザに案内することなく、前記ユーザが前記検知素子に対して位置合わせされていることを決定する工程と、前記決定工程に応答して、前記検知素子を用いて前記ユーザの生体属性を検出する工程と、前記検出工程に応答して、前記ユーザを認証する工程と、を備える、方法。」との記25載が、請求項13には、「請求項11に記載の方法であって、前記検出工程21は、さらに、前記ユーザの顔の特徴および前記ユーザの眼の特徴の内の少なくとも1つを検出する工程を備える、方法。」との記載がある。」と改める。 エ 原判決76頁22行目 、前記検出工程21は、さらに、前記ユーザの顔の特徴および前記ユーザの眼の特徴の内の少なくとも1つを検出する工程を備える、方法。」との記載がある。」と改める。 エ 原判決76頁22行目から23行目の「デバイスの機能を有効にするときに、」を、「デバイスを起動する時に、」と改める。 5⑵ 当審における控訴人の主張に対する判断ア 本件発明2-1について控訴人は、前記第2の3⑵ア(ア)aのとおり、甲5文献には、原判決認定の相違点3に係る「・・・活性化ボタンに対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使用者識別機能が実行され」る構成、「非活性状態10から活性状態への切り替えのための活性化ボタンに対する操作入力」が開示されていないと主張するが、同主張が採用できないことは前記1⑵アにおいて説示したとおりである。 控訴人は、前記第2の3⑵ア(ア)bのとおり、公然実施発明2と甲5-1発明を組み合わせることができたとしても、当業者が本件発明2-1に15は容易に想到しないと主張するが、同主張が採用できないことは、本件発明1-1に関して前記1⑵アで説示したとおりである。 イ 本件発明2-2ないし本件発明2-5について引用に係る原判決の第3の5⑶における説示のとおり、相違点3について容易想到性が認められるところ、控訴人はこれ以外の相違点の容易想到20性について主張しておらず、また、原判決の判断に誤りがあるとは認められないから、本件発明2-2ないし本件発明2-5についての容易想到性に関する原判決の判断に誤りはない。 ウ 本件発明2-6について控訴人は、前記第2の3⑵ア(ウ)のとおり、甲5文献は、検出した顔の特25徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミングについて何ら開示して22いな い。 ウ 本件発明2-6について控訴人は、前記第2の3⑵ア(ウ)のとおり、甲5文献は、検出した顔の特25徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミングについて何ら開示して22いないから、相違点2-6に係る本件発明2-6の構成を開示しないと主張する。 しかし、甲5文献には「例えば、認証システムは、ユーザの顔がセンサと向かい合うように配置された時に、ユーザの顔の1または複数の顕著な特徴によって放射または反射される放射線を検出するセンサを備えてよ5い。」(【0056】)と記載されているところ、引用に係る原判決第3の5⑻イ(補正後のもの)のとおり、同文献には、「ユーザがデバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズムを実装した電子デバイスを提供することが望ましい」との記載があることか10らすれば、迅速かつシームレスなユーザ認証のため、顔認証のシステムの機能が、ユーザがホームボタンを押下してデバイスを起動する際に、ユーザの顔がセンサと向かい合うように配置された時に作用することも開示されているものということができる。したがって、控訴人の主張は採用できない。 15⑶ 小括以上のとおりであって、無効理由2を認めた原判決の判断に誤りはない。 4 争点3-3(無効理由2の解消の有無)について⑴のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を加えるほか、原判決の第3の7の説示のとおりであるから、これを引用する。 20⑴ 当審における控訴人の補充主張に対する判断ア 本件訂正発明2-1について控訴人は、前記第2の3⑷ア(ア)のとおり、公然実施発明2に甲5-1発明を組み合わせたとしても、ロッ 20⑴ 当審における控訴人の補充主張に対する判断ア 本件訂正発明2-1について控訴人は、前記第2の3⑷ア(ア)のとおり、公然実施発明2に甲5-1発明を組み合わせたとしても、ロック画面が表示される構成に至ることがないことは、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合と同様で25あると主張する。 23しかし、本件訂正発明2-1におけるロック画面は、「前記非活性状態の際になされた前記活性化ボタンに対する使用者の操作に基づいて」「表示され」るものであって、ロックが解除されていない状態を表示する機能以外は特定されていないから、公然実施発明2に甲5-1発明を適用したものにおいて、ホームボタンの押下後、オンになったディスプレイに、ホー5ム画面に移行する前に表示される画面も、「ロック画面」に当たるということができるのであり、その他、前記2⑵アにおいて公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合について説示したところに鑑みても、控訴人の主張は採用できない。 イ 本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6について10本件訂正事項2-1に係る訂正によって無効理由2を解消できないことは引用に係る原判決第3の7⑴イ及び前記アのとおりである。また、控訴人は、本件訂正事項2-2ないし本件訂正事項2-4に係る訂正による無効理由の解消を主張しておらず、原判決の判断に誤りがあるとも認められない。 15⑵ 小括以上のとおりであって、本件訂正によっても無効理由2は解消しないとした原判決の判断に誤りはない。 第4 結論以上によれば、被控訴人の請求はいずれも理由があるから、これを認容した20原判決は相当である。したがって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 第4 結論以上によれば、被控訴人の請求はいずれも理由があるから、これを認容した20原判決は相当である。したがって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部25 24 裁判長裁判官菅 野 雅 之 5 裁判官本 吉 弘 行 10裁判官岡 山 忠 広 25(別紙1)1図 2図5 10 26(別紙2)A図 5 B図1 1027B図2 5

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