- 1 -平成25年12月11日判決言渡平成24年(行ウ)第250号認可処分義務付け請求事件平成25年(行ウ)第121号認可申請一部却下処分取消請求事件平成25年(行ウ)第140号認可地位確認請求事件 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求(1) 近畿運輸局長が,平成25年4月16日付け近運自二第15号通知書(以下「本件通知書」という。)ないし同年5月7日付け近運自二第94号認可書(以下「本件認可書」という。)で原告に対してした一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更認可申請を一部却下する旨の処分を取り消す(以下「請求1」という。)。 (2) 近畿運輸局長は,原告に対し,別紙記載のとおり一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金を別紙記載のとおり変更することを認可する旨の処分をせよ(以下「請求2」という。)。 (3) 原告は,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金における下限割れ運賃の認可申請につき,平成22年6月1日近運自二公示第13号による改正後の平成14年1月18日近運旅二公示第11号「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請の審査基準について」(甲12)の22頁及び別表2に示された審査基準(以下「原告指摘審査基準」という。)を適用されることなく,道路運送法(以下「法」という。)9条の3第2項1号の原則に従い,原告が申請した個別の原価(ただし,運転者人件費については原告の申請額が原価計算対象事業者の人件費の額より高いときは後者によ - 2 -る。)に基づいて運賃の査定を受けて,認可を受けることができる地位(以下「本件法的地位」とい 転者人件費については原告の申請額が原価計算対象事業者の人件費の額より高いときは後者によ - 2 -る。)に基づいて運賃の査定を受けて,認可を受けることができる地位(以下「本件法的地位」という。)を有することを確認する(以下「請求3」という。)。 2 請求1及び請求2の予備的請求上記1(3)と同旨(以下「請求4」という。)第2 事案の概要 1 タクシー業(一般乗用旅客自動車運送事業)を営む原告が,近畿運輸局長に対し,中型車の2㎞までの初乗運賃(以下「本件運賃」という。)について500円に変更することなどを内容とする変更認可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,近畿運輸局長は,原告に対し,本件通知書により,審査基準に従って算定された本件運賃の査定額が550円であり,この査定額に沿って上記申請額を変更しない場合には本件申請を却下することとなる旨の通知(以下「本件通知」という。)をした。これを受けて,原告は,本件運賃の申請額を上記査定額どおり550円とする申請をし,その後,近畿運輸局長は,本件認可書により同申請を認可した(以下「本件認可」という。)。 本件は,原告が,本件通知が行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条2項にいう処分としての一部認可に当たり,しからずとも,上記一連の行政過程を全体としてみれば,本件認可は本件通知と併せて一部認可に当たることを前提とし,本件通知ないし本件認可による一部認可が違法であるとして,その取消しを求める(請求1)とともに,近畿運輸局長が原告に対して本件運賃の500円への変更を含む別紙記載内容の運賃等への変更を認可することの義務付けを求める(請求2)ほか,行訴法4条にいう当事者訴訟として,本件法的地位を有することの確認を求め(請求3),上記取消請求及び上記義務付け請求の予備的 記載内容の運賃等への変更を認可することの義務付けを求める(請求2)ほか,行訴法4条にいう当事者訴訟として,本件法的地位を有することの確認を求め(請求3),上記取消請求及び上記義務付け請求の予備的請求として,本件法的地位を有することの確認を求める(請求4)事案である。 なお,原告は,平成24年11月28日,請求2を求めて本件訴訟を提起し - 3 -たが,平成25年5月31日受付の「訴えの追加的併合の申立て」と題する書面により,請求1を追加的併合(行訴法19条1項)し,同年7月5日受付の「予備的請求の申立て」と題する書面により,請求4を追加的併合し,その後,同年8月30日受付の「訴え変更申立書」により,請求3を追加する訴えの変更(行訴法7条,民訴法143条)をしたものである。 2 関係法令の定め法及び道路運送法施行規則(以下「規則」という。)等の関係法令は,一般乗用旅客自動車運送事業(1個の契約により国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業をいう〔法3条1号ハ〕。)に係る旅客の運賃及び料金に関して,要旨,次のように定める。 (1) 一般乗用旅客自動車運送事業者は,旅客の運賃及び料金(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く。)を定め,国土交通大臣の認可を受けなければならず,これを変更しようとするときも同様とする(法9条の3第1項)。なお,国土交通大臣の上記認可の権限は地方運輸局長に委任する(法88条2項,道路運送法施行令1条2項)。 (2) 国土交通大臣は,上記アの認可をしようとするときは,次の基準によって,これをしなければならない(法9条の3第2項)。 ア能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること(1号 国土交通大臣は,上記アの認可をしようとするときは,次の基準によって,これをしなければならない(法9条の3第2項)。 ア能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること(1号,法制定附則2項)。 イ特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと(2号)。 ウ他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがないものであること(3号)。 エ運賃及び料金が対距離制による場合であって,国土交通大臣がその算定の基礎となる距離を定めたときは,これによるものであること(4号)。 (3) 法9条の3第1項の規定により,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の設定又は変更の認可を申請しようとする者は,所定の事項を記載した - 4 -運賃及び料金設定(変更)認可申請書を提出するものとする(規則10条の3第1項)。 3 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告は,大阪市内等において一般乗用旅客自動車運送事業を営む会社である。(甲26)イ近畿運輸局長は,国土交通大臣から近畿地区における一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金を認可する権限の委任を受けた,被告に所属する行政庁である。(弁論の全趣旨)(2) 一般乗用旅客自動車運送事業の運賃等の認可申請の審査基準等の定め近畿運輸局長は,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃等の認可申請があった場合の手続や法9条の3第2項に基づく審査基準等について,平成22年6月1日近運自二公示第13号による改正後の平成14年1月18日近運旅二公示第11号「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請の審査基準について」(以下「本件審査基準公示」という。)を定めている。 本件審査基準公示にお 改正後の平成14年1月18日近運旅二公示第11号「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請の審査基準について」(以下「本件審査基準公示」という。)を定めている。 本件審査基準公示においては,所定の計算方法に従い算出される上限額と下限額との間の一定幅の運賃額を自動認可運賃として設定し,これを事前に公示するとともに,自動認可運賃に該当する運賃の認可申請については,申請手続を簡略化し,標準処理期間として設定された期間(原則として申請の受付から6か月)によることなく速やかに処理を行うものとされている(本件審査基準公示の4(1))。また,自動認可運賃に該当しない運賃の申請については,所定の方法,審査基準に従い運賃査定額を算出し,申請額が運賃査定額に満たない場合は運賃査定額を申請者に通知し(以下,この通知を「運賃査定額通知」という。),申請者は通知後2週間以内に申請額を運賃査定額に変更することができ,変更申請がない場合は,当該申請を却下するものとされている(本件審査基準公示の別紙4の第3の3(1))。 - 5 -(甲12)(3) 原告による運賃及び料金の設定又は変更の認可の申請等ア近畿運輸局長は,原告から申請のあった一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の設定について,平成24年6月29日付けで,実施期間を同年7月30日から平成25年7月29日までとすることなどの条件を付して,中型車の2km までの初乗運賃(本件運賃)を590円とすることなどの内容で認可した。(甲11)イ原告は,平成24年9月25日,近畿運輸局長に対し,本件運賃を500円に変更することなどを内容とする,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金変更認可申請書を提出した(本件申請)。なお,本件申請の内容は,請求2で義務付けを求めている認可の内容 し,本件運賃を500円に変更することなどを内容とする,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金変更認可申請書を提出した(本件申請)。なお,本件申請の内容は,請求2で義務付けを求めている認可の内容と同じである。(甲14の1)ウ近畿運輸局長は,本件申請について,本件審査基準公示の別紙4の第3の3(1)に基づき,本件通知書により,本件運賃の査定額(550円)を含む運賃査定額を通知した(本件通知)。なお,本件通知には,平成25年4月30日までに運賃申請額を大阪地区の上限運賃額から上記運賃査定額までの間の額に変更することができるが,変更申請がない場合は,本件申請を却下することとなる旨記載されていた。(甲24)エ原告は,平成25年4月22日,近畿運輸局長に対し,本件通知の内容に従い,本件運賃を550円に変更することなどを内容とする,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金変更認可申請書を提出した(以下「本件通知後申請」という。)。(甲26)オ近畿運輸局長は,本件通知後申請のあった一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更について,本件認可書により,平成25年5月7日付けで,実施期間を同月20日から平成26年5月19日までとすることなどの条件を付して,本件通知後申請のとおりの内容で認可した(本件認 - 6 -可)。(甲27,弁論の全趣旨) 4 争点及びこれに対する当事者の主張本件の争点のうち,本案前の争点は,①本件通知が抗告訴訟の対象となる処分としての一部認可に当たるか(請求1に係る争点),②本件認可が本件通知と併せて一部認可に当たるか(請求1に係る争点),③本件訴えのうち請求2に係る部分が義務付けの訴えとして適法か(請求2に係る争点)及び④本件訴えのうち請求3,4に係る部分が公法上の法律関係に関する確認の訴えと 部認可に当たるか(請求1に係る争点),③本件訴えのうち請求2に係る部分が義務付けの訴えとして適法か(請求2に係る争点)及び④本件訴えのうち請求3,4に係る部分が公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法か(確認の利益の有無。請求3,4に係る争点)であり,本案の争点は,本件通知ないし本件認可の違法性(請求1~4に係る争点)であって,各当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 本件通知が抗告訴訟の対象となる処分としての一部認可に当たるか(争点1)(原告の主張)原告は,本件通知に示された運賃査定額のとおりの認可申請をしないと本件申請を却下され,認可を欠く状態となって営業不能となるのであり,本件通知は,原告に本件申請の取下げと査定額のとおりの認可申請を事実上不可避的に強制するものであり,その実質は本件申請を一部却下(一部認可)する処分であって,抗告訴訟の対象となる。 (被告の主張)ア一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請手続における申請者に対する運賃査定額の通知(運賃査定額通知)は,本件審査基準公示において定められた運用上の取扱いに従って行われたものにすぎず,法において,その実施を要求されているものではない。運賃査定額通知は,申請者が何の目安もなく複数回の新規申請とこれに対する処分を繰り返すことは非効率であることから,申請者の便宜のために,変更申請の最低限度の目安として提示するものであって,助言的な行政指導にすぎず,公権力 - 7 -性はない。 イまた,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請手続において,国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することとなるのは,申請を認容あるいは拒否する処分の段階であり,具体的には,認可処分又は却下処分によるのであって,運賃査定額通知によっては, 手続において,国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することとなるのは,申請を認容あるいは拒否する処分の段階であり,具体的には,認可処分又は却下処分によるのであって,運賃査定額通知によっては,申請者の法律上の地位に影響を及ぼさない。 ウしたがって,運賃査定額通知である本件通知は抗告訴訟の対象となる処分には当たらない。 (2) 本件認可が本件通知と併せて一部認可に当たるか(争点2)(原告の主張)本件認可は,形式的には,本件運賃を550円に変更することなどを内容とする本件通知後申請に対する全部認可であるが,本件申請の取下げ及び本件通知後申請は,原告が,本件通知により,本件通知後申請をしなければ本件申請が却下されると警告されたことから,事実上不可避的に強制されてしたものであって,無効であり,この一連の行政過程を全体としてみれば,本件認可は,本件通知と併せて,本件申請に対する一部認可にほかならず(そもそも,近畿運輸局長は,本件通知をせず,本件申請に対して本件運賃を550円に変更することを認可する旨の一部認可をすべきであった。),原告には本件認可の取消しを求める訴えの利益がある。なお,自動認可運賃(本件審査基準公示の4(1))は,本件認可に係る運賃と比べても高額であり,「ワンコイン」という看板で営業している原告の選択肢には入らないのであって,自動認可運賃が存在するからといって,本件申請の取下げ及び本件通知後申請が事実上不可避的に強制されていないとはいえない。 (被告の主張)ア本件申請は,本件通知後申請により変更され,もはや維持されていないのであるから,本件認可は,申請のとおりの運賃額で認可されたものであ - 8 -って,原告には本件認可の取消しを求める訴えの利益はない。 イ仮に,原告が主張するように,原告は 持されていないのであるから,本件認可は,申請のとおりの運賃額で認可されたものであ - 8 -って,原告には本件認可の取消しを求める訴えの利益はない。 イ仮に,原告が主張するように,原告は本件申請の取下げ及び本件通知後申請を事実上不可避的に強制されたとしても,その取下げや再申請が無効である根拠は明らかでない。 また,原告が本件通知記載の運賃査定額のとおりに当初の申請額を変更せず,本件申請を維持してこれが却下されたとしても,自動認可運賃(本件審査基準公示の4(1))を申請すれば,営業を継続することができるのであり,実際,自動認可運賃による営業を継続しながら,却下処分の取消しを求め,訴訟を提起して運賃査定額の適否を争う事業者は存在するのであるから,本件通知が,原告に対し,本件申請の取下げ及び本件通知後申請を事実上不可避的に強制するものとはいえず,本件通知後申請が無効となる事情はないし,本件通知は公権力の行使には当たらない。 したがって,本件申請から本件認可に至る一連の行政過程において,処分性があるのは,本件認可のみであり,上記行政過程を全体としてみても,本件認可が本件通知と併せて一部拒否処分としての処分性を有するものとはいえない。 (3) 本件訴えのうち請求2に係る部分が義務付けの訴えとして適法か(争点3)(原告の主張)ア上記(1),(2)の各(原告の主張)記載のとおり,本件通知ないし本件認可は,実質的には本件申請に対する一部認可にほかならず,下記(5)の(原告の主張)記載のとおり,一部認可としての本件通知ないし本件認可は違法であって取り消されるべきものであるから,本件訴えのうち請求2に係る部分は申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)として適法である。 イ仮に,本件訴えのうち請求2に係る部分が申請型義 認可は違法であって取り消されるべきものであるから,本件訴えのうち請求2に係る部分は申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)として適法である。 イ仮に,本件訴えのうち請求2に係る部分が申請型義務付けの訴えとしては不適法となるとしても,原告は,上記部分を非申請型義務付けの訴えと - 9 -して提起するものである。そして,原告は,被告が請求2で求める認可を行わないことにより,本件認可に係る550円の運賃を強制され,ワンコインブランドによる集客力の著しい低下の結果営業利益を大幅に喪失しており,経営破綻という重大な損害が原告に発生するおそれがある。原告は,これまで,本件運賃を500円に設定することなどを内容とする本件申請と同趣旨の申請を放置された後,運賃査定額通知によりその申請を取り下げさせられることを繰り返しているのであるから,上記損害を避けるため他に適当な方法はない。したがって,本件訴えのうち請求2に係る部分は非申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項1号)として適法である。なお,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃の設定又は変更についての認可権限は,申請の有無にかかわらず存在するのであって,本件でも近畿運輸局長に認可権限はある。 (被告の主張)ア本件訴えのうち請求2に係る部分は,申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)であるが,上記(1),(2)の各(被告の主張)記載のとおり,本件においては,併合提起に係る取消訴訟が不適法なものであることから,本件訴えのうち請求2に係る部分は不適法である。 イ仮に,本件訴えのうち請求2に係る部分が,非申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項1号)であるとしても,原告は,本件運賃を500円に変更することなどを内容とする本件申請と同趣旨の申請をすることができるのであるから,損害を避けるため他に が,非申請型義務付けの訴え(行訴法3条6項1号)であるとしても,原告は,本件運賃を500円に変更することなどを内容とする本件申請と同趣旨の申請をすることができるのであるから,損害を避けるため他に適当な方法がある。 また,原告の主張を前提としても,原告の被る損害は,金銭賠償により補填が可能な経済的な損失にとどまっており,重大な損害とはいえない。 さらに,非申請型義務付けの訴えにおいては,処分権限の存在が訴訟要件であるところ,近畿運輸局長が一般乗用旅客自動車運送事業の運賃の設定又は変更について認可を行うことができるのは,事業者による申請がさ - 10 -れ(法9条の3第1項,規則10条の3第1項),これが法9条の3第2項各号に適合すると判断したときに限られるのであって,本件では,原告は,申請行為がないことを前提としているのであるから,近畿運輸局長には,上記認可の権限がない。 したがって,本件訴えのうち請求2に係る部分は,非申請型義務付けの訴えとしても不適法である。 (4) 本件訴えのうち請求3,4に係る部分が公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法か(確認の利益の有無。争点4)(原告の主張)ア原告は,請求3,4において,法的地位の確認を求めているので,対象選択の適否という観点からの適法性に問題はない。 また,本件訴えのうち請求4に係る部分は,請求2に係る部分が義務付けの訴えとして不適法である場合の予備的な請求であることから,方法選択の適否という観点からの適法性にも問題はない。 そして,原告と被告との間で争われているのは,運賃等の認可申請に対する認可の判断の際に運賃査定額を算定する上で適用される本件審査基準公示に示された原告指摘審査基準の当否であるが,本件審査基準公示は行政処分ではないので,その取消 れているのは,運賃等の認可申請に対する認可の判断の際に運賃査定額を算定する上で適用される本件審査基準公示に示された原告指摘審査基準の当否であるが,本件審査基準公示は行政処分ではないので,その取消しを求めることはできない。また,このままでは,原告は,違法な審査基準を適用されて,運賃査定額通知をされ,認可処分を受けて,それに対する抗告訴訟を提起することを繰り返さなければならず,紛争は解決されない。したがって,原告が,運賃等の認可申請に当たって,違法な審査基準の適用を受けることなく,審査を受ける権利があるはずであって,請求3,4について即時確定の利益はある。 イしたがって,原告は,本件訴えのうち請求3,4に係る部分につき,確認の利益を有するというべきである。 なお,原告は,平成25年7月17日,近畿運輸局長に対し,本件運賃 - 11 -を500円に変更することなどを内容とする,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金変更認可申請書を提出した。 (被告の主張)アそもそも,原告が確認を求める対象は,運賃等の認可申請に当たり,原告指摘審査基準の適用を受けることなく審査される地位という抽象的なものであり,このような地位が原告のいかなる具体的な法的権利に関するもので,それが重要な法的権利として確立されたものか否かが明らかでない上,原告が現在申請中の運賃認可申請に関するものかすら特定されていないのであるから,確認を求める対象として不適切である。 イ仮に,本件訴えのうち請求3,4に係る部分が,原告が現在申請中の運賃認可申請において原告指摘審査基準の適用を受けることなく審査される地位の確認を求めるものであったとしても,当該申請につき,本件審査基準公示に示された審査基準の適用を受けて審査され,却下処分を受けた後に,事後的に当該 告指摘審査基準の適用を受けることなく審査される地位の確認を求めるものであったとしても,当該申請につき,本件審査基準公示に示された審査基準の適用を受けて審査され,却下処分を受けた後に,事後的に当該処分の取消訴訟等を提起することにより原告の法的地位を回復することが可能であり,事後的に争ったのでは回復し難い重大な損害を被るおそれがあるなど,事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情があるとはいえないことから,即時確定の現実的利益を欠く。 (5) 本件通知ないし本件認可の違法性等(争点5)(原告の主張)ア本件通知ないし本件認可は,その根拠となる法9条の3第2項の規定に反する審査基準に基づいて行われたものであって,違法である。 イそして,義務付けの訴え(請求2)に係る処分については,近畿運輸局長が本件申請のとおりの認可をすべきであることがその認可の根拠となる法9条の3第2項の規定から明らかであるし,近畿運輸局長がその処分をしないことは裁量権の濫用となるというべきである。また,原告は,本件 - 12 -法的地位を有している。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件通知の処分性)について(1) 抗告訴訟の対象は,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為,すなわち,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているもの(行政処分)でなければならない(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。 (2) これを運賃査定額通知についてみると,法令上,運賃査定額通知に関する定めは存在しない。そして,上記第2の3(2)のとおり,近畿運輸局長は,本件審査基準公示を定め,自動認可運賃に該当しない運賃 (2) これを運賃査定額通知についてみると,法令上,運賃査定額通知に関する定めは存在しない。そして,上記第2の3(2)のとおり,近畿運輸局長は,本件審査基準公示を定め,自動認可運賃に該当しない運賃の申請について,申請額が運賃査定額に満たない場合は運賃査定額を申請者に通知し,申請者は,通知後2週間以内に申請額を運賃査定額に変更することができ,変更申請がない場合は,当該申請を却下するとしている。 このように,運賃査定額通知は,法令上の根拠に基づくものではなく,近畿運輸局長が本件審査基準公示に基づき行っているものであって,それによって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものでないことは明らかである。 したがって,本件通知に行政処分該当性を認めることはできない(原告は,本件通知が本件申請の取下げや査定額のとおりの認可申請を事実上不可避的に強制するものである旨主張するが,同主張を採用することができないことは,後記2(2)で説示するとおりである。)。 (3) そうすると,本件通知の取消しを求める訴えは,処分の取消しの訴えの対象とならないものを対象とするものとして不適法である。 2 争点2(本件認可等の一部認可該当性)について(1) 上記第2の3(3)イ~エのとおり,原告は,当初,本件運賃を500円と - 13 -することなどを内容とする本件申請を行ったものの,本件通知を受けて,本件運賃を550円とすることなどを内容とする本件通知後申請を行ったのであるから,本件申請は,本件通知後申請により撤回されたか,本件通知後申請の内容に従い変更されたものというべきである。そして,本件認可は,本件通知後申請ないしこれによって変更された本件申請のとおりの内容でされたものであるから,原告には本件認可の取消 たか,本件通知後申請の内容に従い変更されたものというべきである。そして,本件認可は,本件通知後申請ないしこれによって変更された本件申請のとおりの内容でされたものであるから,原告には本件認可の取消しを求める訴えの利益はない。 (2)アこの点,原告は,本件通知によって本件申請の撤回(取下げ)及び本件通知後申請を事実上不可避的に強制されたものであって,それらが無効であることを前提として,一連の行政過程を全体としてみれば,本件認可は,本件通知と併せて行政処分である一部認可に当たり,その取消しを求める訴えの利益がある旨主張する。 イしかし,本件審査基準公示において,自動認可運賃による運賃の設定又は変更を申請すれば,速やかにこれが認可されるものとされていることは上記のとおりであり,原告が,本件通知記載の運賃査定額のとおりに本件通知後申請をせず,当初の本件申請を維持してこれを却下されたとしても,その後,自動認可運賃の額をもって申請することにより,申請を速やかに認可された上で,営業を継続することができる。この点に関し,原告は,本件申請以前にも,運賃査定額通知を受けたことを契機として,本件運賃を従前の500円から査定額どおりの590円に値上げしたことがあり,その際,売上げが約10%減少しており,ワンコインのブランドを標榜する原告が,上記査定額よりも高額の640円~660円という自動認可運賃の額で営業を継続することは困難である旨主張する。しかし,原告主張のような売上げの減少によって原告が赤字経営を強いられたのかも明らかではないし,大阪運賃地区においては,自動認可運賃より低額の初乗運賃で営業している法人事業者数が34であるのに対し,初乗運賃を自動認可運賃で営業している法人事業者数が172であることを示す乙第4号証 - 14 -や,自動認可 ,自動認可運賃より低額の初乗運賃で営業している法人事業者数が34であるのに対し,初乗運賃を自動認可運賃で営業している法人事業者数が172であることを示す乙第4号証 - 14 -や,自動認可運賃より低額の運賃から自動認可運賃に変更した事業者の実働1日1車当たりの運送収入が変更の前後で直ちに低下していないことを示す乙第3号証にも照らせば,原告の主張する事情をもって,直ちに自動認可運賃での営業に困難を来すものとは認め難い。本件において,原告が自動認可運賃では営業を継続することが困難であることを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件通知が,原告に対し,本件申請の撤回及び本件通知後申請を事実上不可避的に強制するものとはいえないのであって,原告の上記アの主張は,前提を欠き,理由がない。 なお,原告は,近畿運輸局長は,本件申請に対し,本件運賃を550円に変更することを認可する旨の一部認可をすべきであったとも主張するが,近畿運輸局長がそのような処分をすべき法的根拠は見出せず,上記主張も採用することができない。 3 争点3(義務付けの訴えとしての適法性)について(1) 原告は,本件訴えのうち請求2に係る部分について,行訴法3条6項2号所定の義務付けの訴えとして,当初の本件申請に応じた認可の義務付けを求めるが,上記2(1)のとおり,本件申請は撤回ないし本件通知後申請による変更をされ,当初の本件申請は存在しないことから,申請を欠くものとして,不適法といわざるを得ない(行訴法37条の3第1項)。 (2) また,原告は,本件訴えのうち請求2に係る部分が行訴法3条6項2号所定の義務付けの訴えとして不適法である場合は,同項1号所定の義務付けの訴えとして提起するものとも主張するが,原告には,運賃の設定又は変更の認可につき,申請権が認められ 係る部分が行訴法3条6項2号所定の義務付けの訴えとして不適法である場合は,同項1号所定の義務付けの訴えとして提起するものとも主張するが,原告には,運賃の設定又は変更の認可につき,申請権が認められているのであるから(法9条の3第1項,規則10条の3第1項),損害を避けるため他に適当な方法がないとはいえず,行訴法3条6項1号所定の義務付けの訴えとしてもやはり不適法といわざるを得ない。 - 15 - 4 争点4(本件訴えのうち請求3,4に係る部分の確認の利益)等について(1) まず,本件訴えのうち請求3に係る部分について,その適法性を検討すると,原告は,平成25年8月30日受付の書面により,請求3を追加する訴えの変更をしたが,それより前の同年7月5日受付の書面により,請求3と同内容の請求4を追加的併合している(上記第2の1参照)。 したがって,本件訴えのうち請求3に係る部分は,重複起訴を禁じた行訴法7条,民訴法142条に反するものであり,確認の利益の有無について判断するまでもなく,不適法なものとして許されない。 (2) 次に,本件訴えのうち請求4に係る部分は,公法上の当事者訴訟の一類型である公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)である。このような確認の訴えについて訴えの利益(確認の利益)があるといえるためには,原告の権利関係や法律的地位に危険・不安定が現存し,かつ,その危険・不安定を除去する方法として,原告・被告間で当該権利関係や法律的地位の存否について判決をすることが有効適切であることが必要であるというべきである。 これを本件についてみると,原告の運賃の設定又は変更の申請について,原告指摘審査基準(本件審査基準公示に示された審査基準)を適用されたからといって,必ずしも上記申請が却下されるとは限らないのであっ これを本件についてみると,原告の運賃の設定又は変更の申請について,原告指摘審査基準(本件審査基準公示に示された審査基準)を適用されたからといって,必ずしも上記申請が却下されるとは限らないのであって,原告の権利関係や法律的地位に危険・不安定が現存するとはいえない。もっとも,上記審査基準を適用された結果,原告の申請額と異なる査定額の運賃査定額通知を受けた場合には,原告が通知後2週間以内に申請額を査定額に変更する旨の申請をしない限り,上記申請は却下されることになることから,原告の権利関係や法律的地位に危険・不安定が現存するという余地もある。しかし,その場合でも,上記2(2)イのとおり,当初の申請が却下された後,自動認可運賃の額をもって申請することにより,これを認可された上で,営業を継続することができ,そのように営業を継続しつつ,当該却下処分の取消し - 16 -等を求める訴えを提起することにより,上記審査基準の適用の有無を含めた上記却下処分の適法性を争うことが可能である。そして,運賃査定額通知後,運賃の申請額の変更を申請すべき期間が2週間と比較的短期間であることからすれば,上記却下処分を受けた後でその取消し等を求める訴えを提起することが,確認の訴えによることに比べて迂遠であるとまではいえない。そうすると,本件で,確認の訴えによることが法的な紛争の解決のために有効適切な手段とはいえない。 したがって,本件訴えのうち請求4に係る部分に確認の利益は認められない。 5 結論以上によれば,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 裁判官斗谷匡志 のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 裁判官斗谷匡志 裁判官栢分宏和
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