平成23年4月28日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第8024号実用新案権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年3月10日判決原告株式会社タダプラ同訴訟代理人弁護士石井義人同岡田健一同石田大輔同訴訟復代理人弁護士白井一成同訴訟代理人弁理士内山邦彦同岡田充浩同補佐人弁理士杉本勝徳被告株式会社伸晃同訴訟代理人弁護士白波瀬文夫同訴訟代理人弁理士濱田俊明 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 被告は,別紙被告商品目録記載の各商品を製造し,販売し,若しくは輸入し,又は販売のために展示してはならない。 (2) 被告は,前項記載の商品及び同商品製造のための金型を廃棄せよ。 (3) 被告は,原告に対し,1050万円及びこれに対する平 し,若しくは輸入 し,又は販売のために展示してはならない。 (2) 被告は,前項記載の商品及び同商品製造のための金型を廃棄せよ。 (3) 被告は,原告に対し,1050万円及びこれに対する平成22年6月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (4) 訴訟費用は被告の負担とする。 (5) 仮執行宣言 2 被告主文同旨第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告は,プラスティックを主体とする家庭用品の企画製造販売を行う株式会社である。 被告は,樹脂製品及び金属製品の製造販売等を行う株式会社である。 (2) 本件実用新案権ア原告は,次の実用新案登録(以下「本件実用新案登録」といい,その登録に係る下記請求項3の考案〔ただし,請求項1を引用するもの〕を「本件考案」という。また,本件実用新案登録に係る明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。)に係る実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)を有している。 登録番号第3136656号出願日平成19年8月24日登録日平成19年10月10日考案の名称靴収納庫用棚板及び靴収納庫実用新案登録請求の範囲 「【請求項1】上面に靴載せ部が形成された板状部材の一端に靴収納庫に設けられた横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部と,他端に靴止め部とを形成し,靴載せ部の上面と靴載せ部の下方とに靴を収納した収納姿勢と,掛合部を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能で且つ掛合部で横桟部材の長手方向に摺動可能に構成したことを特徴とする靴載置用棚板。」「【請求項3】靴載せ 部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能で且つ掛合部で横桟部材の長手方向に摺動可能に構成したことを特徴とする靴載置用棚板。」「【請求項3】靴載せ部の靴止め部側端部の両隅部に下方に延びる脚部を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の靴載置用棚板。」イ本件考案は,以下の構成要件に分説される(以下,下記で付した符号を付して,単に「構成要件①」などともいう。)。 ① 上面に靴載せ部が形成された板状部材の一端に靴収納庫に設けられた横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部と,② 他端に靴止め部を形成し,③ 靴載せ部の上面と靴載せ部の下方とに靴を収納した収納姿勢と,掛合部を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能で,④ 且つ掛合部で横桟部材の長手方向に摺動可能に構成し,⑤ 靴載せ部の靴止め部側端部の両隅部に下方に延びる脚部を形成したことを特徴とする,靴載置用棚板。 (3) 被告の行為被告は,遅くとも平成21年3月ころから,別紙被告商品目録記載1の商品(以下「被告商品1」という。)及び同目録記載2の商品(以下「被告商品2」といい,被告商品1と併せて「被告各商品」という。)を,業として製造販売している。 (4) 原告は,平成21年10月28日,被告に対し,本件考案に係る実用新案技術評価書を提示して警告を行った。 2 原告の請求原告は,被告各商品を製造販売する被告の行為が本件実用新案権を侵害すると主張して,実用新案法27条1項に基づく被告各商品の製造販売等の差止め及び同条2項に基づく被告各商品の廃棄並びに民法709条の不法行為に基づく損害賠償として1050万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日であ 用新案法27条1項に基づく被告各商品の製造販売等の差止め及び同条2項に基づく被告各商品の廃棄並びに民法709条の不法行為に基づく損害賠償として1050万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成22年6月11日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払いを求めている。 3 争点(1) 被告各商品が本件考案の構成要件を文言上充足するか(争点1)(2) 被告各商品が本件考案と均等なものとしてその技術的範囲に属するか(争点2)(3) 本件考案が実用新案登録無効審判により無効とされるべきものか(争点3)(4) 損害の額(争点4)第2 争点に係る当事者の主張 1 争点1(被告各商品が本件考案の構成要件を文言上充足するか)【原告の主張】(1) 被告各商品の構成被告各商品は,以下の構成を備える。 ① 上面に靴載せ部が形成された板状の棚板の一端に円形の穴が形成されている。 ② 棚板は,伸縮パイプ大と伸縮パイプ小を同軸に重ね合わせる方法で容易に伸縮および分離可能な状態で連続させた伸縮パイプに,円形の穴を貫通させてぶら下げる方法で取り付け,取り外すことができる。 ③ 棚板の他端には靴止め用の突出部が形成されている。 ④ 棚板は,棚板の上面と棚板の下方とに靴を収納した収納姿勢と,円形の穴を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ棚板の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能である。 ⑤ 伸縮パイプは,伸縮自在であり,棚板を伸縮パイプに取り付けた状態で伸縮パイプの長手方向に移動することができる。 ⑥ 棚板の突出部側の端部の両隅部に下方に延びる脚部が形成されていることを特徴とする,靴載置用棚板。 (2) 本件考案に係る各構成要件の充足ア被告各商品の構成①及び②は,構成要件①を充足する ⑥ 棚板の突出部側の端部の両隅部に下方に延びる脚部が形成されていることを特徴とする,靴載置用棚板。 (2) 本件考案に係る各構成要件の充足ア被告各商品の構成①及び②は,構成要件①を充足する。 すなわち,被告各商品の棚板(以下「被告棚板」という。)は,構成要件①の「上面に靴載せ部が形成された板状部材」に該当し,被告各商品の伸縮パイプ(以下「被告伸縮パイプ」という。)は,構成要件①の「横桟部材」に該当する。被告棚板は,円形の穴を伸縮パイプに貫通させてぶらさげる方法で取り付けられており,被告伸縮パイプは,何らの工具等を要することなく両フレーム部分を左右に引くことで簡単に分離でき,棚板を自由に着脱することができるので,構成要件①の「横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部」を充足する。 イ被告各商品の構成③は構成要件②を,被告各商品の構成④は本件考案の構成要件③を,被告各商品の構成⑤は本件考案の構成要件④を,被告各商品の構成⑥は本件考案の構成要件⑤を,それぞれ充足する。 (3) よって,被告各商品は本件考案の技術的範囲に属する。 【被告の主張】(1) 被告各商品の構成について被告各商品が,原告の主張する①及び③~⑥の構成を有することは認めるが,②の構成を有することは否認する。②の構成としては,次のように表現すべきである。 ② 伸縮パイプ大と伸縮パイプ小は,同軸に挿し込んで一体とすることができる構造となっており,靴収納具として使用する際は伸縮パイプ大と伸縮パイプ小を組み立てて一体として使用する。棚板は,伸縮パイプに取り付ける際には,組み立てて一体とする前の伸縮パイプに円形の穴を貫通させるが,伸縮パイプを組み立てて一体とした状態においては,取り付け,取り外すことができない。 (2) 本件考案との対比について以下のと には,組み立てて一体とする前の伸縮パイプに円形の穴を貫通させるが,伸縮パイプを組み立てて一体とした状態においては,取り付け,取り外すことができない。 (2) 本件考案との対比について以下のとおり,被告各商品の構成①及び②は,構成要件①の「靴収納庫に設けられた横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部」を充足しない。 ア被告伸縮パイプは「靴収納庫に設けられた横桟部材」でない本件明細書の【考案の効果】【0010】によれば,本件考案にいう「靴収納庫に設けられた横桟部材」とは,既存の靴収納庫に当初より設けてある横桟部材又は既存の靴収納庫に後発的に設けた横桟部材を意味する。 他方,被告各商品は,フレームと伸縮パイプと棚板(及びメネジ)とで構成されており,棚板は他の部品(伸縮パイプやフレーム)と組み立てて全体を一つの「靴収納具」として使用するもので,本件考案のいう既存の「靴収納庫」に使用するものでない。 すなわち,被告伸縮パイプは「靴収納庫に設けられた横桟部材」でない。 イ被告棚板は「着脱可能」でない被告棚板は一端に形成した円形の穴に横桟部材を挿通する構造であるから,既存の靴収納庫の横桟にそのまま取り付けることはできず,いったん横桟部材を既存の靴収納庫から分離して取り外さなければならない。また,円形の穴をパイプに貫通させて取り付けるから,横桟部材を靴収納庫に設置した状態においては,棚板は着脱可能でない。 ウ被告棚板は「掛合する掛合部」を備えない特許技術用語集第3版(乙6)によれば,「掛合」は「掛け合わせるこ と」を意味するとされているところ,被告棚板では,一端に形成した円形の穴をパイプに貫通させて「挿通」しているのであるから「掛合」ではない。 したがって,被告棚板は構成要件①の「掛合する掛合部」を備えていない。 2 争 るところ,被告棚板では,一端に形成した円形の穴をパイプに貫通させて「挿通」しているのであるから「掛合」ではない。 したがって,被告棚板は構成要件①の「掛合する掛合部」を備えていない。 2 争点2(被告各商品が本件考案と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)【原告の主張】(1) 横桟部材に係る均等仮に,被告各商品の伸縮パイプが本件考案の「横桟部材」に文言上該当しないとしても,以下のとおり均等なものといえる。 ア本件考案の本質的部分は,棚板が靴収納庫内の横桟を回転中心として跳ね上げ姿勢をとれること及び同棚板を横桟の長手方向に摺動可能としたことにある。したがって,本件考案における「横桟部材」は,靴収納庫内に棚板を設置する横桟を指すものであり,本件明細書においても,段落【0019】に記載された「突っ張り棒」等の他に,横桟部材の設置方法を何ら排除していない。 そして,被告各商品のように横桟を両脚に固定して設置する方法によっても,棚板と接合する部分を回転中心として跳ね上げ姿勢に回動させたり,横桟の長手方向に摺動させ,棚板下部に収納させた靴の容易な出し入れを実現するという作用効果を生み出すことができる。 イまた,靴収納庫内に横桟を設ける方法として,被告各商品のように,靴収納庫内に両脚を設置し,同両脚に横桟を固定して設置する方法は,乙第1号証のように既に両脚を設けて横桟を固定する技術が存在したことからも窺えるように,当業者であれば被告各商品の製造時点において本件考案から容易に想到することができたといえる。 ウしたがって,被告伸縮パイプが文言上「横桟部材」に該当しないとしても,これと均等の範囲内のものとして,その技術的範囲に属する。 (2) 掛合部に係る均等仮に,被告棚板の一端に設けられた穴が,本件考案 がって,被告伸縮パイプが文言上「横桟部材」に該当しないとしても,これと均等の範囲内のものとして,その技術的範囲に属する。 (2) 掛合部に係る均等仮に,被告棚板の一端に設けられた穴が,本件考案における「掛合部」に該当しないとしても,以下のとおり均等なものといえる。 ア本件考案の本質的部分は,前記(1)アのとおりであり,「掛合する掛合部」の形状については,本件考案の本質的部分には当たらない。 イまた,本件考案における「掛合部」を,被告棚板のように横桟部材に貫通させる穴に置換しても,棚板が靴収納庫内の横桟を回転中心として跳ね上げ姿勢をとれること及び同棚板を横桟の長手方向に摺動可能な状態とすることが可能であり,置換が可能であるといえる。 ウさらに,本件明細書によれば,棚板の一方を横桟に接合させて,同接合部を回転中心として跳ね上げ姿勢をとれるように,かつ,長手方向に摺動可能な状態にするために,棚板の一方に設置された「掛合部」を横桟部材に貫通させる穴に置換することは,本件考案の属する技術の分野における当業者にとって,被告各商品の製造時点において容易に想到することが可能であった。 エ以上のとおり,被告棚板の一端に設けられた穴が,文言上,構成要件①の「掛合部」に該当しないとしても,これと均等の範囲内のものとして,本件考案の技術的範囲に属する。 【被告の主張】(1) 横桟部材に係る均等について被告は,被告各商品の伸縮パイプが横桟部材に相当することを認めた上で,かかる伸縮パイプが靴収納庫に設けられていないことを主張するものであり,構成要件①にいう「靴収納庫に設けられた」という文言の解釈に係る議論である。 したがって,「横桟部材」について均等論を主張すること自体,当を得ない。 (2) 掛合部に係る均等について本件 要件①にいう「靴収納庫に設けられた」という文言の解釈に係る議論である。 したがって,「横桟部材」について均等論を主張すること自体,当を得ない。 (2) 掛合部に係る均等について本件明細書の段落【0010】の記載によれば,本件考案の効果を達成するためには,掛合部は既存の靴収納庫の所望する箇所に取り付けられる構成であることが必要であり,被告棚板のように,円形の穴にパイプを「挿通」して取り外せないようにする構成では,本件考案の効果を達成できない。 したがって,本件考案における「掛合する掛合部」を被告各商品のような構成に置き換えることは,置換することにより考案の目的を達し所期の作用効果を奏することができない点で,均等の要件のうち,少なくとも置換可能性の第2要件を充足しない(必然的に,置換容易性の第3要件も充足しないこととなる。)。 よって,被告棚板の穴は,構成要件①の「掛合部」と均等なものとはいえない。 3 争点3(本件考案が実用新案登録無効審判により無効とされるべきものか)【被告の主張】(1) 本件実用新案登録の請求項1に係る考案について本件考案は,本件実用新案登録の請求項1に係る考案(以下「請求項1の考案」という。)を引用した従属項であるから,同考案の無効理由を主張した上,本件考案に係る無効理由を主張する。 ア公知技術本件実用新案登録に係る出願前である平成14年1月21日に発行された意匠登録第1131915号公報(乙1:以下「乙1公報」という。)には,以下の構成を有する靴整理棚に係る考案(以下「乙1考案」という。)が開示されている。 (ア) 上面に靴載せ部が形成されたパレット状棚部材があること(イ) 棚パイプが懸架されていること (ウ) パレット状棚部材の一端が棚パイプに掛けられて という。)が開示されている。 (ア) 上面に靴載せ部が形成されたパレット状棚部材があること(イ) 棚パイプが懸架されていること (ウ) パレット状棚部材の一端が棚パイプに掛けられていること(エ) パレット状棚部材の他端に靴止め部が形成されていること(オ) 靴載せ部の上面と,靴載せ部の下方に靴を収納できること(カ) パレット状棚部材は,棚パイプを伸ばして幅を広げることによって,棚パイプの長手方向に摺動可能であることイ請求項1の考案との対比請求項1の考案の構成要件のうち構成要件②と構成要件④は,乙1考案の構成(エ)と構成(カ)に対応しており,本件考案の対象たる靴載置用棚板は乙1考案の靴整理棚の一部として記載されている。 両者の相違点は,構成要件①において「掛合部」が記載されているのに対して乙1考案では直接的な記載がないこと(相違点1)及び構成要件③における「掛合部を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能」であることが明示されていないこと(相違点2)にある。 ウ相違点1について乙1公報の意匠に係る物品の説明の欄では,パレット状棚部材が掛け渡されるという説明があり,また,その斜視図,背面図,底面図及び左右方向に伸ばした状態の斜視図をみると,パレット状棚部材の一端側の下方には,棚パイプに着脱可能に引っ掛けるためのフックが存在する。しかも,当該構成のフックは,上側から棚パイプに掛け渡すことができる構成である。したがって,乙1考案は,請求項1の考案の効果である「既存の靴収納庫にも必要に応じて所望する箇所に取り付けて使用することができる」という効果を有している。 そうすると,乙1考案の構成及び効果は,請求項1の考案と同じであり,乙1考案のフックは本件考 既存の靴収納庫にも必要に応じて所望する箇所に取り付けて使用することができる」という効果を有している。 そうすると,乙1考案の構成及び効果は,請求項1の考案と同じであり,乙1考案のフックは本件考案の「掛合部」に相当するものである。 エ相違点2について 乙1考案のパレット状部材の下側他端は別の棚パイプにフック状の構成で引っ掛けられているが,乙1考案においてパレット状部材が容易に着脱できる構成であることは明らかであり,パレット状部材の他端のフック状の構成も容易に外すことができる構成である。そうすると,乙1考案においても,パレット状部材の一端側のフックを回転中心として,他端側を持ち上げることによって,本件考案にいう「跳ね上げ姿勢」が実現できることは自明である。 オ他の公知技術原告は,本件実用新案登録の出願前である平成14年8月5日に発行された意匠登録第1149152号公報(乙2:以下「乙2公報」という。)に係る意匠登録を有しており,その構成は,技術的思想の創作という観点からみた場合には乙1考案と同様である。 カよって,請求項1の考案は,当業者が上記各公知技術からきわめて容易に考案することができたものである。 (2) 本件考案(請求項3)についてア公知技術本件実用新案登録の出願前の平成12年11月2日に発行された実用新案登録第3072740号公報(乙3:以下「乙3公報」という。)の図4(B)には,靴受け板2の他端側に設けられたストッパ13の側端部に固定脚32,33を備えた構成が記載されている。また,図3には,靴受け板2の上面だけでなく,その下面にも靴を収納する形態が記載されており,「下駄箱等の棚板上に設置して棚板間の上下2段に靴を収納可能とした靴受け台に関するものである。」と明細書に記載されている(【00 け板2の上面だけでなく,その下面にも靴を収納する形態が記載されており,「下駄箱等の棚板上に設置して棚板間の上下2段に靴を収納可能とした靴受け台に関するものである。」と明細書に記載されている(【0001】)。 乙3公報に記載された構成のうち,靴受け板2は本件考案の靴載せ部に相当し,ストッパ13は靴止め部に相当し,固定脚32,33は脚部に相 当する。そして,固定脚32,33が存在することによって靴受け板2の下側端部には隙間が出現しており,この隙間に手を入れることが可能である。 そうすると,本件考案における構成要件⑤は,乙3公報にすべて記載されている。 よって,本件考案は,乙1考案における靴止め部の両側隅部に,乙3公報に記載された固定脚を適用することにより,当業者がきわめて容易に想到し得るものである。 イ他の公知技術原告は,本件実用新案登録の出願前である平成15年2月4日に発行された意匠登録第1164550号公報(乙4)に係る意匠登録を有しており,これに記載された棚板の下側には靴止め部が形成されており,その両側隅部には脚部が形成されている。 また,本件実用新案登録の出願前である平成19年6月11日に発行された意匠登録第1303260号公報(乙5)には,靴載せ部の下側端部に靴止め部が形成され,その両側隅部に支脚が形成され,物品の上下に靴を収納する形態が示されている。 ウしたがって,本件考案は,上記各公知技術により,当業者がきわめて容易に考案できたものであるから,本件実用新案登録は,実用新案法3条2項に違反して登録されたものであり,実用新案登録無効審判により無効にされるべきものである。 【原告の主張】(1) 請求項1の考案について乙1公報及び乙2公報に記載された意匠は,棚板を二本の横桟に接合する方法で設置し であり,実用新案登録無効審判により無効にされるべきものである。 【原告の主張】(1) 請求項1の考案について乙1公報及び乙2公報に記載された意匠は,棚板を二本の横桟に接合する方法で設置し,その上部及び下部に靴を収納する方法で収納量を向上させることを意図した意匠である。棚板を二本の横桟で接合する方法をとっている ため,棚板の一方のみを横桟に掛合させる本件考案と異なり,棚板の一方が横桟に対してぶら下がる形で接合するものではなく,掛合するものではない。 また,下部に収納した靴を取り出すためには棚板を二本の横桟から外して取り出す必要があり,棚板を跳ね上げ姿勢に回動させることはできない。また仮に棚板を無理矢理に跳ね上げ姿勢に回動したとしても,手前の横桟が存在するために下部に収納した靴を,跳ね上げ姿勢で取り出すことができない。 そのため,被告の引用する意匠に係る考案は,いずれも本件考案の構成要件である「掛合部を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能」を開示するものではなく,また容易に下部に収納した靴の取り出しを可能とするという技術的思想及び作用効果を有していない。 したがって,本件考案を被告の主張する引用例からきわめて容易に考案できたとはいえない。 (2) 本件考案(請求項3)について被告が本件考案との関係で引用する考案及び意匠は,靴の収納性の向上のため一定の高度を確保する必要により脚部が構成されたものであり,いずれも棚板の一方が横桟に掛合していないため跳ね上げ操作自体を観念することができない。したがって,本件考案の技術的思想である「脚部間の隙間から手を入れて靴収納用棚板の跳ね上げ操作を楽にする」(【0012】)ことを目的として脚部が設置されたものではなく,本件考案 することができない。したがって,本件考案の技術的思想である「脚部間の隙間から手を入れて靴収納用棚板の跳ね上げ操作を楽にする」(【0012】)ことを目的として脚部が設置されたものではなく,本件考案の技術的構造を有していない。 したがって,本件考案を被告の主張する引用例からきわめて容易に考案することができたとはいえない。 4 争点4(損害の額)【原告の主張】(1) 被告は,製造販売の開始から現時点までの間に,被告各商品を少なくとも 各2万5000個,製造・販売し,1個当たりの利益額は被告商品1につき200円,被告商品2につき180円を下回らない。 したがって,実用新案法29条2項により,被告が被告各商品の製造販売により取得した950万円が原告の損害と推定される。 (2) 原告は,被告による本件実用新案権の侵害行為への対処として,被告への通告及び本訴の提起を余儀なくされ,弁護士費用及び弁理士費用の支払による損害額は100万円を下らない。 【被告の主張】否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告各商品が本件考案の構成要件を文言上充足するか)について(1) 被告各商品の構成被告各商品が次の構成のうち,②の構成を備えることについては,証拠(甲3)及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができ,その余の構成を備えることについては,争いがない。 ① 上面に靴載せ部が形成された板状の棚板の一端に円形の穴が形成されている。 ② 伸縮パイプ大と伸縮パイプ小は,同軸に挿し込んで一体とすることができる構造となっており,靴収納具として使用する際は伸縮パイプ大と伸縮パイプ小を組み立てて一体として使用する。棚板は,伸縮パイプに取り付ける際には,組み立てて一体とする前の伸縮パイプに円形の穴を貫通させるが,伸 っており,靴収納具として使用する際は伸縮パイプ大と伸縮パイプ小を組み立てて一体として使用する。棚板は,伸縮パイプに取り付ける際には,組み立てて一体とする前の伸縮パイプに円形の穴を貫通させるが,伸縮パイプを組み立てて一体とした状態においては,取り付け取り外すことができない。 ③ 棚板の他端には靴止め用の突出部が形成されている。 ④ 棚板は,棚板の上面と棚板の下方とに靴を収納した収納姿勢と,円形穴を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ棚板の下方に靴を出し入れす る跳ね上げ姿勢とに回動可能である。 ⑤ 伸縮パイプは,伸縮自在であり,棚板を伸縮パイプに取り付けた状態で伸縮パイプの長手方向に移動することができる。 ⑥ 棚板の突出部側の端部の両隅部に下方に延びる脚部が形成されている。 (2) 構成要件①の解釈ア実用新案登録請求の範囲の記載本件考案に係る実用新案登録請求の範囲を分説したものは,前記前提事実(2)イにおいて示したとおりであり,再掲すると以下のとおりである。 ① 上面に靴載せ部が形成された板状部材の一端に靴収納庫に設けられた横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部と,② 他端に靴止め部を形成し,③ 靴載せ部の上面と靴載せ部の下方とに靴を収納した収納姿勢と,掛合部を回転中心として靴止め部側端部を跳ね上げ靴載せ部の下方に靴を出し入れする跳ね上げ姿勢とに回動可能で,④ 且つ掛合部で横桟部材の長手方向に摺動可能に構成し,⑤ 靴載せ部の靴止め部側端部の両隅部に下方に延びる脚部を形成したことを特徴とする,靴載置用棚板。 イ本件明細書の記載証拠(甲2)によれば,本件明細書の考案の詳細な説明欄には,本件考案に関し,以下の記載があることが認められる。 (ア) 考案が解決しようとする課題「【0005】 イ本件明細書の記載証拠(甲2)によれば,本件明細書の考案の詳細な説明欄には,本件考案に関し,以下の記載があることが認められる。 (ア) 考案が解決しようとする課題「【0005】本考案は…ブーツのような丈の長い靴を収納した場合でも丈の短い靴の上部空間を有効に利用することができるとともに,上下に収納された所望する靴を簡単に取り出すことができる靴収納庫用棚板及び靴収納庫用棚板を設けてなる靴収納庫を提供できるようにすることを目 的とするものである。」(イ) 考案の効果「【0010】本考案にかかる靴収納庫用棚板では,上面に靴載せ部が形成された板状部材の一端に靴収納庫に設けられた横桟部材に着脱可能に掛合する掛合部と,他端に靴止め部とを形成して構成してあるので,既存の靴収納庫にも必要に応じて所望する箇所に取り付けて使用することができる利点がある。」「【0012】加えて,靴載せ部の靴止め部側端部の両隅部に下方に延びる脚部を形成したものでは,脚部間の隙間から手を入れて靴収納用棚板の跳ね上げ操作を楽に行うことができる利点がある。」(ウ) 考案を実施するための最良の形態「【0015】以下,本考案にかかる靴収納庫用棚板及び靴収納庫用棚板を設けてなる靴収納庫を図面に基づいて説明する。 図1は本考案にかかる靴収納庫用棚板を設けてなる靴収納庫の概略を示す縦断側面図であって,図中符号1は靴収納庫用棚板(以下単に棚板という)2を設置した部分の靴収納庫を示す。…」「【0016】上記棚板2は,図2乃至図6に示すように形成されている。 すなわち,棚板2は図2及び図3に示すように,…当該板状部材7の一端(図2及び図3上,右端)側に,靴収納庫に設けられた後述する横桟部材10に着脱可能に掛合する掛合部11が形成 うに形成されている。 すなわち,棚板2は図2及び図3に示すように,…当該板状部材7の一端(図2及び図3上,右端)側に,靴収納庫に設けられた後述する横桟部材10に着脱可能に掛合する掛合部11が形成されるとともに,板状部材7の他端(図2及び図3上,左端)側には当該辺の円弧状の部分に沿って靴止め部12が上方に突出させてあり,靴止め部1 2の下方に脚部13が形成されている。」「【0018】そして,板状部材7の一端(図2及び図3上,右端)側に形成される上記掛合部11は,図1及び図4に示すように,板状部材7の両側縁部分に下向きに開口するU字形に形成された嵌合用切込み部17と,この嵌合用切り込み部17に嵌合された横桟部材10を保持するために板状部材7の裏面に側面視において先端が鍵状をした押さえ部材18とで形成されている(図6参照)。 このように掛合部11を形成すると,押さえ部材18が横桟部材10の側面部分を外れ止め状に押圧しているだけなので,棚板2は横桟部材10をガイドにしてこの横桟部材10の長手方向に摺動並びに回動可能になっている。」「【0019】一方,掛合部11が嵌合する横桟部材10は,図7に示すように,内外二重の円筒19・20で伸縮可能に形成され,端部には滑り止め部21材が取り付けられるともに,外筒20内に圧縮スプリング(図示せず)を組み込み,この圧縮スプリングで内筒19が突出する方向に常時付勢するように構成した,いわゆる『突っ張り棒』の構造にしてある。 また,靴収納庫1に既に設けてある筒状もしくは忠実の横柱状の横桟を本考案の横桟部材10に使用することもできるし,内外二重の円筒19・20で伸縮可能に形成し円筒19・20が内外に嵌合する部分の外筒20の端部には横桟部材10の伸縮姿勢を固定する螺子式固定具(図示 を本考案の横桟部材10に使用することもできるし,内外二重の円筒19・20で伸縮可能に形成し円筒19・20が内外に嵌合する部分の外筒20の端部には横桟部材10の伸縮姿勢を固定する螺子式固定具(図示せず)を設けた構造にすることもできる。」「【0023】尚,本考案では所望する位置に棚板2を設けるようにしてあるので, 棚板2を横桟部材10に取り付けたまま横にスライドさせたり,棚板2を横桟部材10に付け替えたりすることにより,棚板2を設置する場所を,ブーツのような丈の長いものを避けた場所に設けることができ,丈の異なる靴が混在して収納される場合でも,丈の短い靴の上方の空間を無駄なく利用することができるのである。」(エ) 図面 【図1】 【図4】 ウ検討本件では,構成要件①における「掛合部」の解釈が争点の一つとなっているところ,前記本件考案に係る実用新案登録請求の範囲の記載によれば,構成要件①の「掛合部」は,「横桟部材に着脱可能に掛合する」ものであるとともに(構成要件①),「掛合」の状態として,「収納姿勢」と「跳ね上げ姿勢」とに回動可能であり(構成要件③),かつ横桟部材の長手方向に摺動 可能であること(構成要件④)が必要である。 そして,構成要件①における「靴収納庫に設けられた横桟部材」との記載からすれば,「横桟部材」は,あらかじめ靴収納庫に設けられていることが前提となっているといえる。また,本件明細書(段落【0019】)においても,掛合部が嵌合する横桟部材として,いわゆる「突っ張り棒」や,靴収納庫に既に設けてある筒状又は横柱状の横桟,「螺子式固定具」が,横桟部材の例として掲げられており,かかる記載からすると,本件考案では,横桟部材は,あらか 桟部材として,いわゆる「突っ張り棒」や,靴収納庫に既に設けてある筒状又は横柱状の横桟,「螺子式固定具」が,横桟部材の例として掲げられており,かかる記載からすると,本件考案では,横桟部材は,あらかじめ靴収納庫に設けられていることが前提となっていると理解することができる。 また,「掛合」という文言について,かかる文言は一般的に用いられる語彙ではないものの,漢字の意味からして,部材同士を引っ掛けることによって接合するものと理解できるし,「特許技術用語集」(乙6)においても,「tohook(latch) 掛け合わせること」と記載されていることからすれば,「掛合」との文言に接した当業者は,同文言について,引っ掛けるという比較的簡易な態様で接合させることと理解するものと考えられる。なお,原告は,「掛」の漢字には,「上が固定された状態で,高いところからぶらさがる」という意味も有すると主張する。しかし,「掛」という漢字の意味について,「新選漢和辞典」(甲4)では「ぶらさげる。ひっかける。」等と記載されており,「角川漢和中辞典」(甲5)でも,「かける。ぶらさげる。ひっかける。かかる。ひっかかる。ぶらさがる。」等と記載されていることからすれば,「掛」という漢字における「ぶらさげる」というのは,あくまでぶらさがる対象をそのままにした状態で,着脱の可能な態様で接合することと解するのが相当であり,このような態様以外のぶらさげる接合態様を広く含むものとは解し難い(原告が主張の根拠とする「大辞泉」〔甲8〕は,「かかる」〔掛ける・懸かる・係る〕という言葉一般の意味を解説したものであり,「掛」という漢字の意味よりも広いものと解さ れる。)。 さらに,作用効果の観点からしても,本件明細書(段落【0010】)には,「本考案にかかる靴収納庫用棚板では,…既 解説したものであり,「掛」という漢字の意味よりも広いものと解さ れる。)。 さらに,作用効果の観点からしても,本件明細書(段落【0010】)には,「本考案にかかる靴収納庫用棚板では,…既存の靴収納庫にも必要に応じて所望する箇所に取り付けて使用することができる利点がある」と記載されており,かかる記載からすれば,本件考案の棚板は,横桟部材を靴収納庫に設置したままの状態で,着脱が可能となる態様をもって棚板を横桟部材に接合させるが故に,既存の様々な靴収納庫や横桟部材にも対応することができるという点に,その利点があると解することができる。 以上からすれば,構成要件①における「掛合部」は,横桟部材を靴収納庫に設置したままの状態で,横桟部材に棚板を着脱可能に接合することができる部分であり,かつ,これにより回動及び摺動が可能となるものと解するのが相当である。 エ請求項2との関係なお,原告は,本件実用新案登録に係る請求項2の考案として,「横桟部材に掛合する掛合部が,靴収納用棚板の側面視においてフックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴載置用棚板」が掲げられており,これからすると,請求項1における「掛合部」は,請求項2の掛合部以外の態様を広く含むものと理解することができるとも主張する。しかし,本件明細書の考案の詳細な説明欄に記載された掛合部は,前記ウのとおりであり,それ以外の掛合部の構成は記載されていない。請求項1における「掛合部」が,請求項2の「掛合部」以外の態様を含むものであるとしても,請求項2の考案は,掛合部の具体的な構成として,「フックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていること」との構成を開示したにすぎず,請求項1における「掛合部」の解釈を,前記ウの解釈より広げる根拠とはならな 考案は,掛合部の具体的な構成として,「フックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていること」との構成を開示したにすぎず,請求項1における「掛合部」の解釈を,前記ウの解釈より広げる根拠とはならない。 (3) 被告各商品との対比 アところで,本件考案の構成要件⑤の記載によれば,本件考案の対象は「靴載置用棚板」である旨明示されており,本件明細書の記載においても,「棚板」と「横桟部材」とは別の部材として説明されていることからすれば,本件考案の対象は,あくまで「棚板」部分のみであり,「横桟部材」自体は,考案の対象とされていないものと解される。したがって,被告各商品との対比についても,被告棚板との対比のみ検討すれば足りる。 イそこで,被告棚板について検討するに,前記(1)で認定したとおり,被告棚板の一端には,円形の穴が設けられており,被告棚板を靴収納庫の横桟部材に回動及び摺動可能に取り付けるためには,当該円形の穴に横桟部材を挿通させる必要がある。そして,かかる接合態様は,横桟部材を靴収納庫から取り外さない限り,着脱することのできない接合態様であり,本件考案にいう接合態様とは異なるというべきである。 したがって,被告棚板の円形の穴は,横桟部材に着脱可能に接合することができる掛合部には当たらない。 ウ上記のように,被告棚板は,靴収納庫に設けられた横桟部材を取り外すことなく,横桟部材に着脱することができる掛合部を備えていないので,構成要件①を充足するとは認められない。 (4) 以上により,被告棚板は,文言上,本件考案の技術的範囲に属するものとは認められない。 2 争点2(被告各商品が本件考案と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について上記のとおり,被告棚板に設けられた円形の穴は,文言上,本件考案の「掛合部 るものとは認められない。 2 争点2(被告各商品が本件考案と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について上記のとおり,被告棚板に設けられた円形の穴は,文言上,本件考案の「掛合部」に該当するとは認められないところ,原告は,被告棚板の穴と本件考案の「掛合部」は均等なものとして,本件考案の技術的範囲に属すると主張するので以下検討する(前記1(3)アのとおり,「横桟部材」自体は,考案の対象とされていないものと解されるので,横桟部材に関する均等論の主張については 判断しない。)。 (1) 特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,①当該部分が特許発明の本質的部分ではなく,②当該部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③このように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,当該対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁判所第三小法廷平成10年2月24日判決・民集52巻1号113頁参照)。 そして,この理は,実用新案登録請求の範囲に係る技術的範囲についても同様に妥当するものというべきである。 (2) そこで,これを本件について見るに,前記1(2)ウで判示したとおり,本件 照)。 そして,この理は,実用新案登録請求の範囲に係る技術的範囲についても同様に妥当するものというべきである。 (2) そこで,これを本件について見るに,前記1(2)ウで判示したとおり,本件考案の作用効果は,横桟部材を靴収納庫に設置したままの状態で,棚板を着脱可能に接合させることにより,既存の様々な靴収納庫や横桟部材に対応することができる点にあると解される。 これに対し,被告棚板の円形の穴を横桟部材に取り付けるためには,いったん横桟部材を取り外して,上記穴に横桟部材を挿通させた上,棚板の付いた横桟部材を靴収納庫に取り付けなければならず,横桟部材を本来の取付位置にある状態のままで,被告棚板を接合させることはできない。 そうすると,被告棚板の円形の穴では,本件考案の目的を達することができず,同一の作用効果を奏するものとは認められない。 (3) また,前記1(2)ウで判示したところによると,上記接合部は,本件考案の本質的部分ということができる。 (4) したがって,少なくとも,均等侵害を成立させるための前記①,②の要件を具備しないので,被告棚板の円形の穴が本件考案の「掛合部」に均等なものとして,本件考案の技術的範囲に属すると認めることはできない。 3 以上より,被告棚板は本件考案の技術的範囲に属さず,これを含む被告各商品を製造販売する被告の行為が,本件実用新案権を侵害するものとは認められない。 第4 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないので,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 主文 につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 理由 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官達野ゆき 裁判官北岡裕章は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官山田陽三 事実 別紙被告商品目録 1 シューズストッカーL(品番GR-L) 2 シューズストッカーS(品番GR-SP)以上
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