令和7(わ)249 社会福祉法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月11日 静岡地方裁判所 浜松支部
ファイル
hanrei-pdf-95086.txt

判決文本文2,248 文字)

- 1 -令和7年第249号判決 主文 被告人Aを懲役1年6月に、被告人Bを懲役10月にそれぞれ処する。 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその刑 の執行を猶予する。 被告人Aから275万円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは、社会福祉法人C(以下「C」という。)の業務執行理事として、同 法人本部及び同法人に属する各事業所の事務執行の管理監督に関する業務等を執行する職務に従事していたもの、被告人Bは、建築・設備工事の企画、設計、監理及び施工等を目的とするD(以下「D」という。)の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、第1 被告人Aは、法令及び定款等を遵守し、Cのため忠実にその職務を行い、C が指名競争入札により契約を締結しようとする場合には、不公正な入札によりCの利益が害されないようにしなければならないにもかかわらず、令和5年9月下旬頃、浜松市内又はその周辺において、Cが発注するE設置工事の指名競争入札に関し、被告人Bから、D及び同被告人が指定する業者のみを入札参加者として入札手続を執り行うとともに、Dが事前に提出していた見積書記載の 見積金額を入札価格として入札すれば同工事を落札できるように予定価格を定めてもらいたい旨の不正の請託を受け、その趣旨に従い入札参加者及び予定価格を決定してDに同工事を落札させたことへの謝礼として供与されるものであることを知りながら、同年12月4日、F信用金庫G支店に開設されたD名義の普通預金口座からH銀行I支店に開設された被告人A名義の普通預金口座に 前記謝礼としての275万円を含む現金307万円の振込送金を受け、もって - 2 -自己の職務に関し、不正の請託を の普通預金口座からH銀行I支店に開設された被告人A名義の普通預金口座に 前記謝礼としての275万円を含む現金307万円の振込送金を受け、もって - 2 -自己の職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受した第2 被告人Bは、同日、浜松市(住所省略)D事務所において、インターネットバンキングサービスを利用して、前記第1記載のとおり、前記被告人A名義の普通預金口座に前記謝礼としての275万円を含む現金307万円を振込送金し、もって同被告人の職務に関し、財産上の利益を供与した ものである。 (量刑の理由)本件は、社会福祉法人の業務執行理事であった被告人Aが、同法人発注の工事に関し、建設会社の代表者である被告人Bから、不正の請託を受け、その趣旨に従い、入札参加者及び入札予定価格を決定して同工事を落札させたことへの謝礼として現 金の振込送金を受け、自己の職務に関して275万円の供与を受けたという事案である。 本件犯行は、県からの補助金交付を前提として発注した工事の指名競争入札に関するもので、供与された利益も比較的高額である。数年前から繰り返されていた同種行為の一環として常習性もうかがわれる。社会福祉法人の職務の公正さ及びこれ に対する社会の信頼を害した程度は大きい。 被告人Aは、社会福祉法人の業務執行理事として、同法人の発注する工事の入札等を適正に行うべき立場にありながら、見返りを求めて犯行を主導した。円滑な工事を図る意図もあった旨の弁解を踏まえても、規範意識の鈍麻は顕著であって、その意思決定は厳しい非難を免れない。被告人Bも、被告人Aから話を持ち掛けられ たとはいえ、自らも確実な落札に向けて別の業者に協力を依頼するなど、犯行の実現に当たり相応の役割を果たしているのであるから、その経緯 い非難を免れない。被告人Bも、被告人Aから話を持ち掛けられ たとはいえ、自らも確実な落札に向けて別の業者に協力を依頼するなど、犯行の実現に当たり相応の役割を果たしているのであるから、その経緯や態様に大きく酌むべき事情があるとまではいえず、規範意識の希薄さも看過できない。 そうすると、被告人Aの刑事責任が重いことはいうまでもない。また、被告人Bについても、後記の酌むべき事情を十分に考慮しても、既にみた犯情の重さからす ると、その刑事責任は、同弁護人が求めるような罰金刑を選択できるほど軽いもの - 3 -とみることはできない。本件は被告人両名に対して懲役刑をもって臨むべき事案である。 しかしながら、被告人Aについては、事実を認めて反省の態度を示し、固く更生を誓っていること、罪を償う趣旨で供与額を上回る407万円を社会福祉事業のために寄付していること、前科がないことなどの酌むべき事情が認められる。また、 被告人Bについても、事実を認めて反省の態度と更生の意欲を示していること、妻が情状証人として出廷して更生を支援する意向を示していること、前科がないこと、弁護人を通じて供与額につき是正を図るべく弁護人に供与額と同額を預けていること、今後の会社経営への影響等の酌むべき事情が認められる。 そこで、被告人両名に対しては、その刑事責任の程度に見合った刑期の懲役刑を 科すものの、社会内で更生する機会を与えるのが相当であると判断し、主文のとおり量定した。 (求刑被告人A 懲役1年6月及び主文同旨の追徴、被告人B 懲役10月)令和7年11月11日静岡地方裁判所浜松支部刑事部 裁判官肥田薫 令和7年11月11日 静岡地方裁判所浜松支部刑事部 裁判官肥田薫

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る