平成14(ワ)497 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成16年7月6日 甲府地方裁判所
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判決文本文8,851 文字)

平成16年7月6日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成14年(ワ)第497号損害賠償請求事件口頭弁論終結の日平成16年3月9日判決 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,99万2000円及びこれに対する平成14年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,被告から英会話教室の講師を依頼されていた原告が,被告に対し,講師を行う旨の準委任契約(以下「本件契約」という。)を不利な時期に解除されたことについて,本件契約の解除についてやむを得ない事由はなかったとして,上記契約の解除に基づく将来の講師料及び月謝相当額等の損害賠償の支払を求めるとともに,被告が,同教室の受講生らに対し,原告が国外移送目的略取罪によって有罪判決を受けた事実を公表したことにより名誉を毀損されたなどとして,不法行為に基づく損害賠償の支払を併せて求めている事案である。 2 争いのない事実等(末尾に証拠を掲げた事実以外は当事者間に争いがない。)・原告は,オランダ国籍を有し,平成14年当時,日本国内において英会話教室の講師等をしていた者である(甲7,乙1)。 ・被告は,原告に対し,平成14年4月2日付けで,Y町教育委員会生涯学習課の主催する平成14年度の英会話教室(以下,「本件教室」という。)の講師を依頼し,原告はこれを承諾した。本件契約は,下記アないしウの内容であり(甲 平成14年4月2日付けで,Y町教育委員会生涯学習課の主催する平成14年度の英会話教室(以下,「本件教室」という。)の講師を依頼し,原告はこれを承諾した。本件契約は,下記アないしウの内容であり(甲1,2),準委任契約である。 ア本件教室は,平成14年4月9日以降毎週火曜日の午後7時から午後9時までの間,Y町のBセンター2階において行う。 イ被告は,原告に対し,講師料として月額5000円を支払うものとし,平成14年10月と平成15年3月に各6か月分ずつ支払う。 ウ各受講生は,原告に対し,教材費等として毎月5000円を支払う。 ・本件教室の受講生は,開講時に14名であった。 ・被告は,原告に対し,平成14年5月29日付けで「平成14年度Y町公民館外国語会話教室(はじめての英会話教室)の閉講について」と題する書面(甲3)を送付し,同月31日をもって,本件教室を閉講とする旨通知し,本件契約を解除する旨の意思表示をした。(甲3,乙7,証人A)・原告は,平成13年7月12日,甲府地方裁判所において,国外移送目的略取の罪により,懲役2年,執行猶予3年の判決を受けた(以下「本件刑事事件」という。乙5)。 第3 争点 1 本件契約の解除について,やむを得ない事由はあったか。 (被告の主張)本件契約を行うに当たっての交渉及び本件教室の運営などに関して,原告には,以下の・ないし・の各事実があったため,被告は,Y町教育委員会生涯学習課の主催する教室の講師としての適格性を欠くと判断した。 したがって,本件契約を原告に不利な時期に解除したことについてやむを得ない事由があったというべきである。 ・被告は,原告に対し,平成14年2月から同年3月ころ,本件教室の講師 。 したがって,本件契約を原告に不利な時期に解除したことについてやむを得ない事由があったというべきである。 ・被告は,原告に対し,平成14年2月から同年3月ころ,本件教室の講師を依頼するに先立ち,7,8回にわたって履歴書,外国人登録証明書及びパスポートの写しの提出を求めたが,提出されなかった。 ・原告は,平成14年4月9日の第1回目の授業について,授業開始時間の約30分前に被告に対し,突然休講を申し入れ,休講にした上,同月16日の第2回目の授業についても無断で約45分遅刻し,しかも受講生に対し,遅刻の理由を説明しなかった。 ・原告は,平成14年4月当時,甲府市内の英会話学校に講師として雇用され,本件教室の授業時間帯と重複する時間帯(午後1時30分から午後9時まで)に勤務すべきものとされていた。上記・の休講及び遅刻の原因は,そのためであった。 また,原告は,本件契約に当たり,被告に対し,本件教室の授業時間帯と重複する時間帯に英会話学校の講師として雇用されている事実を申告しなかった。 ・原告は,平成13年7月12日,甲府地方裁判所において,本件刑事事件について有罪判決を受けたが,本件契約に当たり,被告に対し,上記有罪判決を受けた事実を申告しなかった。 ・被告の担当者は,平成14年4月17日,上記・の事件を知るに至り,原告はY町教育委員会生涯学習課の主催する本件教室の講師としてふさわしくないと判断し,同月19日,原告に対し,その旨説明して,講師を辞任するよう申し入れた。 その後,被告担当者は,数回にわたって原告と話合いの機会を設けたが,原告は弁護士に対して説明するよう述べるのみで,自ら事情を説明しようとしなかった。 ・原告は,平成14年5月28日,被 その後,被告担当者は,数回にわたって原告と話合いの機会を設けたが,原告は弁護士に対して説明するよう述べるのみで,自ら事情を説明しようとしなかった。 ・原告は,平成14年5月28日,被告の担当者であるAが,同日限りで本件教室を休講とする旨告げたところ,同人をラジオカセットデッキで殴った。 (原告の主張)被告の主張する・ないし・の事実については,それぞれ以下のような事情があったものであり,本件契約を原告に不利な時期に解除したことについてやむを得ない事由があったとはいえない。 ・・について原告は,被告に対し,平成14年2月に本件教室の講師に応募するに当たり,履歴書(甲7)を提出した。外国人登録証明書及びパスポートの写しの提出を求められ,これらを提出しなかったことは認めるが,提出を求められたのは2,3回であった。 ・・について原告が,被告に対し,平成14年4月9日の授業についての休講を申し入れ,休講としたことは認めるが,授業開始の約30分前に休講を申し入れたというのは事実に反する。 原告は,同日午後,被告の担当者に休講としたい旨申し入れ,同人から指示を受けて,受講生名簿に記載された各連絡先に電話をし,休講とする旨伝えた。 ただし,受講生の中には,同日午後6時ないし6時30分ころになって連絡がついた者もあった。なお,原告は,翌週の授業の際,受講生に対し,平成14年4月9日分の授業について代替授業を行う予定である旨説明した。 原告が,同月16日の授業に遅刻したことは認めるが,遅れたのは約20分であったし,受講生に対して,渋滞のため遅れた旨説明を行った。 ・・について原告が,平成14年4月当時,甲府市内の英会話学校に講師と 遅刻したことは認めるが,遅れたのは約20分であったし,受講生に対して,渋滞のため遅れた旨説明を行った。 ・・について原告が,平成14年4月当時,甲府市内の英会話学校に講師として雇用されていたことは認める。 しかし,原告は,同校における同年4月から5月までの間の臨時講師として雇用されたに過ぎず,勤務は週4日,1日4時間とされており,本件教室の授業に支障はなかった。 ・・について被告が,原告の本件刑事事件を知るに至った平成14年4月17日当時,本件教室において,上記事件については何ら問題とされていなかったし,同年5月28日までの間に問題とされたこともなかった。 ・・について被告は,原告に対し,一方的に講師を辞任するよう申し入れ,刑事事件に関する弁解の機会を与えなかった。 被告は,原告との話合いの機会を設けた旨主張するが,本件教室を休講とするに至った説明を行ったに過ぎず,原告に対し,弁解の機会を与えたとは言えない。また,原告が知人である弁護士に対して説明するよう求めたのは,外国人であるため,本件契約の解除を申し入れられたのに対し,いかなる対応をとるべきか判断しかねたためである。 ・・について原告が,故意にAを殴ったことはない。 原告が,平成14年5月28日の授業開始前に授業用のラジオカセットデッキを取りに,Bセンター内の事務所に行ったところ,Aがラジオカセットデッキの取っ手を掴んだため,原告と引っ張り合いになった。その際,原告が力を抜いた拍子にラジオカセットデッキがAの体に当たったことはあった。 2 被告が,本件教室の受講生らに対し,原告が国外移送目的略取罪によって有罪判決を受けた事実を公表したことによ その際,原告が力を抜いた拍子にラジオカセットデッキがAの体に当たったことはあった。 2 被告が,本件教室の受講生らに対し,原告が国外移送目的略取罪によって有罪判決を受けた事実を公表したことにより同人の名誉を毀損したか。 (原告の主張)被告は,平成14年6月18日,本件教室の受講生らに対し,原告が国外移送目的略取罪によって有罪判決を受けたことを公表した。 これにより,原告の名誉は毀損された。 (被告の主張)被告の担当者は,同日,本件教室の受講生であった者6名と原告を交えて,Bセンターにおいて話合いを行った際,本件教室を休講とする理由について,「新聞に懲役2年,執行猶予3年と出ているので,町としては非常に残念ですが,やめてもらわざるを得ない」と説明したのみである。 このように,被告の担当者は,具体的な犯罪行為について詳細な説明を行ったものでないし,被告の担当者は,本件教室を休講とする事情を説明する必要上,既に新聞等において報道された事実を本件教室の受講生という特定少数の者に対して告げたに過ぎないから,仮に,上記説明が原告に対する名誉毀損に当たるとしても,本件教室の主催者としての説明責任を果たす上での相当な行為であって,違法性を阻却するというべきである。 3 損害(原告の主張)原告は,被告の本件契約の解除及び名誉毀損行為により,下記の損害を被った。 ・平成14年6月から平成15年3月までの10月分の月謝相当額及び講師料相当額 75万円内訳はア及びイのとおりである。 ア月謝相当額受講生14名から月額5000円を支払われるべきであったので,合計70万 75万円内訳はア及びイのとおりである。 ア月謝相当額受講生14名から月額5000円を支払われるべきであったので,合計70万円となる。 イ講師料相当額月額5000円であったので,合計5万円となる。 ・教科書購入代金  4万2000円原告は,自己の負担で1冊3000円の教科書を受講生14名分購入した。 ・慰謝料 20万円原告は,被告の名誉毀損行為及び本件契約の不当な解除により,精神的苦痛を被ったが,これに対する慰謝料としては20万円が相当である。 ・よって,原告は,被告に対し,契約解除による損害賠償として79万2000円及び名誉毀損等の不法行為による損害賠償として20万円並びにこれらに対する平成14年5月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告の主張)否認する。 なお,原告が損害である旨主張する教科書購入代金は,本件契約において,被告から支払われる講師料に含まれるとされていたし,教科書は本件教室の受講生らに対して配布されていない。 第4 当裁判所の判断 1 本件契約の解除について,やむを得ない事由はあったか(争点1)について・上記第2の2の争いのない事実等に,証拠(甲5,9の1ないし3,乙1ないし9,10の1ないし3,乙11ないし14,15の1ないし2,証人A。ただし,甲9については,下記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア被告は,原告に対し,平成14年2月から同年3月ころ,本件教室の講師を ただし,甲9については,下記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア被告は,原告に対し,平成14年2月から同年3月ころ,本件教室の講師を依頼するに先立ち,7,8回にわたって履歴書,外国人登録証明書及びパスポートの写しの提出を求めたが,提出されなかった。 イ被告は,原告に対し,平成14年4月2日付けで,本件教室の講師を下記・ないし・の内容で依頼し,原告はこれを承諾した。 ・本件教室は,平成14年4月9日以降毎週火曜日の午後7時から午後9時までの間,Y町のBセンター2階において行う。 ・被告は,原告に対し,講師料として月額5000円を支払うものとし,平成14年10月と平成15年3月に各6か月分ずつ支払う。 ・各受講生は,原告に対し,教材費等として毎月5000円を支払う。 ウ原告は,平成14年4月9日の第1回目の授業について,授業開始時間の約30分前である午後6時30分ころ,被告の担当者であったAに対し,突然休講を申し入れた。 そのため,Aは,原告に対し,自ら全受講生に休講とする旨連絡をするよう伝えたところ,原告から受講生らに対して,同日午後6時30分ころ,休講とする旨の連絡が行われた。 エ原告は,同月16日の第2回目の授業について,事前の連絡なく約45分間遅刻した。 オ原告は,平成14年3月末ころ,甲府市内の英会話学校を経営する株式会社Cとの間で,同学校の常勤講師として勤務する旨の雇用契約を結んだ。 上記雇用契約の内容は要旨次のとおりであった。 ・雇用期間平成14年4月1日から平成17年3月31日まで・勤務時間 する旨の雇用契約を結んだ。 上記雇用契約の内容は要旨次のとおりであった。 ・雇用期間平成14年4月1日から平成17年3月31日まで・勤務時間午後1時30分から午後9時まで(うち休憩時間30分)・休日日曜日,月曜日,祝日・原告は,上記学校の常勤講師として就業する期間,副業をもたない。 カ原告は,本件契約に当たり,被告に対し,オのとおり,他の英会話学校の講師として雇用され,本件教室の授業時間帯と重複する日時に勤務すべきものとされている事実を申告しなかった。 キ原告は,平成13年7月12日,甲府地方裁判所において,国外移送目的略取の罪により,懲役2年,執行猶予3年の判決を受けた(本件刑事事件)。 原告は,本件契約に当たり,被告に対し,上記有罪判決を受けた事実を申告しなかった。 なお,平成14年4月当時,本件刑事事件について,上訴審における審理が係属していた。 ク本件刑事事件については,D新聞において,原告が国外移送目的略取の被疑事実で逮捕され,同罪で甲府地方裁判所に起訴され,同裁判所で判決を受けるまでの経緯について,平成12年9月27日から平成13年7月13日までの間,5回にわたり報道された。 ケ被告の担当者らは,平成14年4月17日,本件刑事事件のことを知るに至り,同月19日,原告に対し,Y町教育委員会生涯学習課の主催する本件教室の講師としてふさわしくないと判断した旨説明して,講師を辞任するよう申し入れた。 コ被告は,原告に対し,平成14年5月29日付けで「平成14年度Y町公民館外国語会話教室(はじめての英会話教室)の閉講について」と題する書面 説明して,講師を辞任するよう申し入れた。 コ被告は,原告に対し,平成14年5月29日付けで「平成14年度Y町公民館外国語会話教室(はじめての英会話教室)の閉講について」と題する書面(甲3)を送付し,同月31日をもって,本件教室を閉講とする旨通知し,本件契約を解除する旨の意思表示をした。 サケ及びコの後,被告担当者は,数回にわたって原告と話合いの機会を設けたが,原告はその知人の弁護士に尋ねるよう述べるのみで,自ら事情を説明しようとしなかった。 シ原告は,平成14年5月28日,被告の担当者であるAが,同日限りで本件教室を休講とする旨告げた際,同人に対し,ラジオカセットデッキを振り回した。 ・上記・オの事実によれば,原告は,本件契約に基づいて本件教室の講師として授業を行うべき時間帯に,甲府市内の英会話学校において常勤講師として勤務すべきものとされていたのであって,社会通念上,本件教室の講師として授業を行う債務につき,履行不能の状態にあったというべきである。 そして,原告は,上記・カのとおり,被告に対し,本件教室の授業時間帯と重複する日時に,上記英会話学校において常勤講師として勤務すべきものとされている事実を申告していなかったところ,仮に,原告が,被告の担当者に対し,本件契約に際し,上記事実について申告していたならば,被告は,原告との間で本件契約を締結しなかったことは明らかである。 また,上記・キ及びクのとおり,原告は,平成13年7月12日,本件刑事事件につき,甲府地方裁判所において有罪判決を受けた後,上訴しており,平成14年4月当時,本件刑事事件は上訴審において審理中であったことが認められる。 地方公務員法が「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあっ において有罪判決を受けた後,上訴しており,平成14年4月当時,本件刑事事件は上訴審において審理中であったことが認められる。 地方公務員法が「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」には懲戒処分をすることができる(同法29条1項3号参照)とすると同時に,「刑事事件に関し起訴された場合」は職員の意に反してこれを休職することができる(同法28条2項)としていることに照らすと,刑事事件に関して第1審裁判所において有罪判決を受けたことは「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」に当たると解するのが相当である。原告は,地方公務員ではないが,町の主催する英会話教室の講師である以上,地方公務員法の上記規定をしん酌することは許されると解すべきであり,上記有罪判決を受けたという事実は,被告にとって本件契約を解除するやむを得ない事情に当たると解される。 その他,本件契約に関し,上記・ア,ウ,エ及びシの各事実があったことを併せ考えると,被告が,本件契約を解除したことについてやむを得ない事由があったと認められる。 2 被告が,本件教室の受講生らに対し,原告が国外移送目的略取罪によって有罪判決を受けた事実を公表したことにより同人の名誉を毀損したか(争点2)について・上記第2の2の争いのない事実等に証拠(甲9の1ないし3,乙7,証人A)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア Y町教育委員会生涯学習課の主催する本件教室の受講生は14名であった。 イ本件教室の受講生らは,原告が本件教室の講師に採用された後,平成14年4月17日までの間,本件刑事事件について認識しておらず,被告に対し,本件刑事事件に関する問い合わせなどを行ったことはなかった。 ウ被告の 原告が本件教室の講師に採用された後,平成14年4月17日までの間,本件刑事事件について認識しておらず,被告に対し,本件刑事事件に関する問い合わせなどを行ったことはなかった。 ウ被告の担当者らは,同日,Y町の住民であるとする者から,原告に関して,なぜ被告は犯罪を犯した人を講師として雇っているのかとの指摘を受け,調査を行うまで,本件刑事事件について認識していなかった。 エ被告の担当者は,本件教室の受講生らに対し,本件教室を休講とするに当たり,休講の理由は町の都合である旨説明した。 オ被告の担当者であったEは,平成14年6月18日,Bセンター内において,本件教室の受講生らに対し,本件教室を閉講するに至った経緯などについて説明を行った際,原告について,新聞に懲役2年,執行猶予3年と出ているので,町としては非常に残念であるが辞めてもらうしかない旨説明した。 ・以上の事実によれば,本件教室の受講生らは,平成14年6月18日に被告の担当者らによる説明が行われるまで,本件教室を休講にした理由について町の都合であるという以上の認識を有さず,また,原告が本件刑事事件によって起訴されていることについては認識していなかったことが認められる。 それゆえ,被告担当者のEが,上記・オのとおり,同日,本件教室の受講生らに対し,原告について新聞に懲役2年,執行猶予3年と出ている旨説明したことは,本件教室の受講生らという複数の者に対し,公然と原告の社会的評価を低下させるに足りる事実を公表したものである。 ・しかしながら,被告は,本件契約によって本件教室の講師として原告を採用した者として,本件教室の受講生らに対し,本件教室を閉講にする理由について説明すべき立場にあった。 被告の担当者であった しながら,被告は,本件契約によって本件教室の講師として原告を採用した者として,本件教室の受講生らに対し,本件教室を閉講にする理由について説明すべき立場にあった。 被告の担当者であったEは,上記・オのとおりの説明をしたところ,これは本件教室の受講生らに対し,閉講とする理由を説明する目的で,かつ,そのために必要最低限の事情を公表したものと認められる。 上記認定事実によれば,被告が行った上記事実の公表については,公共の利害に関し,かつ,公益を図る目的が認められると同時に,本件刑事事件は真実のものであるので,違法性を阻却することが認められ,不法行為とはならない。 3 結論以上の次第であって,損害(争点3)の点について判断するまでもなく原告の請求は理由がないから,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官新堀亮一 裁判官倉地康弘 裁判官川畑薫

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