【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 弁護人田中廉吉が陳述した控訴の趣意は同人提出の同趣意書に記載の通りである から茲に之を引用する。 同趣意書第一点に付い
主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人田中廉吉が陳述した控訴の趣意は同人提出の同趣意書に記載の通りであるから茲に之を引用する。 同趣意書第一点に付いて。 論旨は起訴状の公訴事実の記載中に将来公判に提出すべき証拠を(証第何号)の形式で現わしているのは裁判官をして審理に先ち証拠存在の予断(犯罪成立の予断)を生ぜしめるもので刑訴第二五六条第六項に違反し公訴自体無効であると云うのである。 刑訴第二五六条第六項が禁止しているのは裁判官に事件の予断を生ぜしめる虞ある書類その他の物の添附、又はその内容の引用であつて本件起訴状には右法条に云う書類又は物の添なきは勿論その内容の引用もないのであるから同法条に牴触するものでない。勿論検祭官においてもその必要がないのに起訴状の公訴事実の記載の内に将来証拠として提出すべき証拠を仮令(証第何号)なる形式を以てするに過ぎないにせよ表示するのは避くべきことではあろうけれども凡そ公訴の提起があつた以⊥起訴状に前示の如き記載の有無を問わず裁判官としては当然検察官側に何等かの訓拠の準備あるべきは当然予測しているところであり、この予測は素より犯罪成立の予断とは何等の関係のないところであるから右の記載を捉えて前記刑訴第二五六条第六項の禁止に該当するものとなす論旨は右法条の精神を正常に理解せず且証拠存在の予測と犯罪成立の予断とを混淆するものであつて採用に由ない。 同第二点に付いて。 <要旨>宝くじ券の番号を改さんする行為が有価証券の偽造に該当するか変造に該当するかは該行為が行われた時期</要旨>が抽せんの前であるか後であるかによつて決すべきものと信ずる。抽せん前においてその番号を改さんする場合(素より当せん番号を知るに由ない)は単法る変造であるが抽せん後何等にも当せんしなかつ 期</要旨>が抽せんの前であるか後であるかによつて決すべきものと信ずる。抽せん前においてその番号を改さんする場合(素より当せん番号を知るに由ない)は単法る変造であるが抽せん後何等にも当せんしなかつた所謂空くじの番号を当せん番号に改さんする場合においては既に廃紙に帰した宝くじ券を利用し発行名義を冒用して有価証券を新しく作成するものであるから当然有価証券偽造に該当するものと云わねばならない。従つて本論旨もまた理由がない。 第三点について。 論旨の通り有価証券偽造、同行使、詐欺の間には順次に手段結果の関係がある。 従つて刑法第五十四条第一項後段第十条により最も重い右の内一罪の刑により処断すべきである。 原判決事実摘示によれば(一)有価証券偽造、同行使、詐欺と(二)偽造有価証券行使、詐欺と(三)の有価証券偽造、同行使、詐欺末遂とが存する訳であるから、各刑法第五十四条第一項後段第十条により各犯情の重いと認むる偽造有価証券行使罪(三個)の刑を以て処断すべく右三個の行使罪は刑法第四十五条前段の併合罪であるから第四十七条第十条により犯情の最も重いと認められる(三)の偽造有価証券行使罪の刑に併合罪の加重をした刑期(処断刑)範囲内において処罰すべきである。 然るに原判決は之に反し偽造有価証券行使と詐欺(同末遂)との間にのみ牽連関係を認め有価証券偽造と同行使の間に牽連関係を認めなかつたのは確かに法令の適用に誤りがあつたものと云わねばならない。併しながら原判決の擬律においても結局前示(三)の偽造有価証券行使罪の刑に併合罪の加重をした刑期を以て処断刑としその内より主文の刑を宣告しているのであるから右の法令適用の誤りは結局判決には影響なきものと云わねばならない。従つて本論旨も結局理由なきに帰する。 同第四点付いて。 記録を精査してみても原判決の刑が重きに失 主文の刑を宣告しているのであるから右の法令適用の誤りは結局判決には影響なきものと云わねばならない。従つて本論旨も結局理由なきに帰する。 同第四点付いて。 記録を精査してみても原判決の刑が重きに失するとは思われない。従つて本論旨もまた理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に則り主文の通り判決する。 (裁判長裁判官仲地唯旺裁判官青木亮忠裁判官藤田哲夫)
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