平成25(ワ)12788 商標権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年6月26日 大阪地方裁判所
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判決文本文15,641 文字)

-1-平成26年6月26日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成25年(ワ)第12788号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成26年4月18日判決 原告 P1同訴訟代理人弁護士井上正人同福島敏夫同訴訟復代理人弁護士小幡靖弥同訴訟代理人弁理士前田健一 被告特定非営利活動法人ライフサポートネッ トワークいけだ同訴訟代理人弁護士春名一典同田中賢一同細川敦史同細川歓子同金井周一郎同平田啓基主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を,別紙被告ウェブサイト目録1記載のインターネット上のウェブサイトに表示してはならない。 -2- 2 被告は,株式会社日本レジストリサービス登録の別紙被告ウェブサイト目録2記載の被告登録ドメインを使用してはならない。 3 被告は,原告に対し,881万2463円及びこれに対する平成25年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,後記原告商標の商標権者である原告が,被告による後記被告標章及び本件ドメイン名の使用により原告の商標権を侵害されたと主張して,商標法36条に基づき,それらの使用行為の差止めを求めるとともに,民法709条及び商標法38条3項に基づき,それらの使用によって原告に生じた損害の賠償を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者原告は,後記原告商標の商標権者である。 被告は,肩書地において,障害者・高齢者市民の 案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者原告は,後記原告商標の商標権者である。 被告は,肩書地において,障害者・高齢者市民の生活及び心豊かな生活を目指しての活動をあらゆる面で支援・協力し,且つ,障害者・高齢者市民事業所・作業所・団体への支援を多くの市民及び市民団体と共に連携しながら実践することを目的とし,ホームヘルパー派遣・育成・研修及びコーディネートに関する事業等を行う,特定非営利活動法人である。 (2) 原告の商標権原告は,次の商標(以下「原告商標」という。)の商標権者である。 ア登録番号第4616832号イ出願日平成13年10月15日ウ登録日平成14年11月1日エ指定役務第39類車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く)の代理・媒介又は取次ぎ,自動車の貸与,駐車場の提供,車椅子の貸与-3-第42類老人の養護,高齢者の介護又は看護,身障者の介護又は看護,疾病疾患者の介護又は看護及び救護,福祉機器の貸与,医業,健康診断,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,施設の警備,身辺の警備,入浴の介助又は看護,車両・船舶・航空機の乗降の介助オ登録商標 (3) 被告の行為ア被告のNPO法人としての活動内容被告は,平成15年10月から,大阪府池田市内において,「ライフサポートネットワークいけだ」の名称の事業所(以下「被告事業所」という。)を開設し,障害(児)者の居宅介護事業及び移動支援事業等を行っている。 イウェブサイト等の運営被告は,次のURLで示されるインター ワークいけだ」の名称の事業所(以下「被告事業所」という。)を開設し,障害(児)者の居宅介護事業及び移動支援事業等を行っている。 イウェブサイト等の運営被告は,次のURLで示されるインターネットのウェブページを含むウェブサイトを開設していた(以下,(ア)から(キ)までのウェブページを「本件ページ1」ないし「本件ページ7」等といい,別紙被告ウェブサイト目録2記載のURL「http://lispo-ikeda.jp」をURLに含む本件ページ1ないし4を「本件ウェブサイト1」といい,本件ウェブサイト1のドメイン名「lispo-ikeda.jp」を「本件ドメイン名」という。また,別紙被告ウェブサイト目録1記載のURL「http://ameblo.jp/lispo-ikeda/」をURLに含む本件ページ5ないし7を「本件ウェブサイト2」といい,本件ウェブサイト1及び2を併せ「本件ウェブサイト」という。)。 なお,本件ウェブサイト1は,被告が,株式会社アルバイトナビに対しドメインの登録及び管理を含むホームページの製作及び管理を委託したものであり,本件ウェブサイト2は,株式会社サイバーエージェントが提供する「amebaブログ」のサービスを利用したものである。 -4-(ア) http://lispo-ikeda.jp/index.php(甲4の1,トップページ,本件ページ1)(イ) http://lispo-ikeda.jp/index04.php(甲4の2の1枚目,事業所概要,本件ページ2)(ウ) http://lispo-ikeda.jp/jinzai.php(甲4の2の2枚目,求人情報,本件ページ3)(エ) http://lispo-ikeda.jp/raispo05.php(甲4の2の3枚目,活動内容,本件ページ4) .jp/jinzai.php(甲4の2の2枚目,求人情報,本件ページ3)(エ) http://lispo-ikeda.jp/raispo05.php(甲4の2の3枚目,活動内容,本件ページ4)(オ) http://ameblo.jp/lispo-ikeda/entry-10237549390.html(甲5の1枚目,スタッフブログ1,本件ページ5)(カ) http://ameblo.jp/lispo-ikeda/page-15.html(甲5の2枚目,スタッフブログ2,本件ページ6)(キ) http://ameblo.jp/lispo-ikeda/theme1-10012149096.html(甲5の3枚目,スタッフブログ3,本件ページ7)(4) 本件ウェブサイトの開始及び廃止被告は,平成21年3月11日,本件ウェブサイト1を開設し,平成21年4月6日,本件ウェブサイト2におけるブログ記事の掲載を開始した(甲4の1,甲5)。 被告は,平成26年2月3日,株式会社アルバイトナビに対して,本件ウェブサイト1の削除を依頼したことにより,本件ウェブサイト1は閉鎖され,本件ドメイン名は解約された(乙6ないし8)。被告は,同日,ameba ブログを退会したことにより,本件ウェブサイト2内の全てのデータが削除され,本件ウェブサイト2を閲覧することはできなくなった(乙4)。 (5) 本件ウェブサイトにおける被告標章の使用被告は,「ライサポいけだ」の語句(以下「被告標章」という。)を,別紙被告標章使用一覧表記載のとおり,本件ウェブサイトにおいて使用した(以下一覧表-5-の番号により,「使用態様1」などという。)。なお,原告は,訴状において被告標章を「ライサポいけだ」として特定し,その使用が商標権侵害にあたるとして ウェブサイトにおいて使用した(以下一覧表-5-の番号により,「使用態様1」などという。)。なお,原告は,訴状において被告標章を「ライサポいけだ」として特定し,その使用が商標権侵害にあたるとして使用の差止め及び損害賠償を求めている。被告は,答弁書において,「ライサポブログ」,「ライサポの活動」についても言及したが,原告が本件口頭弁論の終結までに訴えの追加変更または請求原因の追加をしなかった以上,「ライサポブログ」,「ライサポの活動」は,いずれも本件で問題とすべき標章にはあたらない。 2 争点(1) 被告標章が原告商標に類似するか(2) 被告標章が商標として使用されているか(3) 本件ドメイン名が,原告商標に類似するか(4) 原告の被った損害額 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1) (被告標章は,原告商標に類似するか)について(原告の主張)ア構成及び要部原告商標は,横書き黒色のゴシック体の「ライサポ」の文字で構成され,被告標章は「ライサポいけだ」の文字から構成されている。被告標章のうち「いけだ」の部分は地名であるから識別力がなく,識別力を有する部分は「ライサポ」の部分である。 イ外観,称呼,観念の類否原告商標と被告標章の要部はいずれも「ライサポ」であり,「ライフサポート」すなわち生活を援助するとの観念を生じ,外観,称呼及び観念のいずれにおいても同一であり,原告商標と被告標章は類似する。 ウ指定役務の同一性被告の提供する役務である障害(児)者の居宅介護事業及び移動支援事業は,本件商標の指定役務(42類の身障者の介護又は看護等)に該当する。 -6-エ取引の実情(被告の主張に対する反論)原告は,有限会社ヤマキ代務サービス(以下「ヤマキ社」という。) 援事業は,本件商標の指定役務(42類の身障者の介護又は看護等)に該当する。 -6-エ取引の実情(被告の主張に対する反論)原告は,有限会社ヤマキ代務サービス(以下「ヤマキ社」という。)に対し,原告商標を1か月当たり10万円の使用料により,使用許諾をしている。 ヤマキ社は,その業務のひとつとして,訪問介護事業,介護タクシー事業を行っており,奈良市内に事務所を置き,主として奈良市及びその隣接市町村に所在する病院及び介護施設等まで高齢者や障害者を送迎している。同社は,介護タクシーの老舗企業として,奈良県を中心とする近畿圏で幅広く周知されている。同社は,名刺,車両等に「ライサポタクシー」,「ライサポ」の標章を付して使用している。 したがって,誤認混同のおそれがないということはない。 オまとめよって,被告標章は,原告商標に類似するから,商標法36条に基づきその使用の差止めを求める。 (被告の主張)ア原告の主張を争う。 イ取引の実情商標の類否判断において,外観,称呼及び観念に類似する要素があるとしても,取引の実情等によって商品又は役務の出所を誤認混同するおそれのないものは,類似とは言えない。 被告が提供する介護事業というサービスの性質上,需要者は役務提供者の所在する地域及びその周辺に居住している者に限られるし,このような性質から,地名も重要な識別要素となる。 また,需要者においては,当該需要者にとって遠方の介護サービス等の役務提供者のウェブサイトの一部に役務提供者の略称が記載されていたとしても,需要者は,当然ウェブサイト内の記載(役務提供者の正式名称・所在地・サービス提供地域等)を閲覧するのであるから,需要者が,その役務提供者を,自-7-らの居住地域周辺に所在する介護サービ しても,需要者は,当然ウェブサイト内の記載(役務提供者の正式名称・所在地・サービス提供地域等)を閲覧するのであるから,需要者が,その役務提供者を,自-7-らの居住地域周辺に所在する介護サービス等の役務提供者と誤認混同するおそれは皆無である。 したがって,原告商標と被告標章が類似するものとはいえない。 (2) 争点(2) (被告標章が商標として使用されているか)について(原告の主張)ア被告標章が商標的に使用されていること被告は,少なくとも平成19年10月13日から,被告標章を被告事業所のハウスマークとして使用するとともに,平成21年3月ころから,前提事実(5)記載のとおり,本件ウェブサイトにおいて商標として使用している。 イバナー・リンクテキスト(使用態様1,2)についてバナーは,本件ウェブサイト1において,各ページ,ブログ,SNSなどへ誘導させる機能を有するサイドメニュー広告に該当し,これをクリックすると,役務に関する宣伝広告情報が表示されるようになっていることから,バナーは宣伝広告情報の見出し表示として使用され,もって商標的に使用されている。 リンクテキストも同様である。 ウイラスト(使用態様3,4)について本件ウェブサイト1のイラストは,役務に関する求人広告であったり,被告のサービスについての良好なイメージを持ってもらい,被告の介護サービスを多くの人に利用してもらおうとする集客目的の宣伝広告であったりするものであるから,やはり商標的に使用されている。 エ文章(使用態様5ないし11)について本件ウェブサイトの文章もまた,被告の介護サービスについて良好なイメージを需要者に持ってもらい,多くの人に利用してもらおうとする集客目的の被告の役務に関する宣伝広告である。 ついて本件ウェブサイトの文章もまた,被告の介護サービスについて良好なイメージを需要者に持ってもらい,多くの人に利用してもらおうとする集客目的の被告の役務に関する宣伝広告である。 (被告の主張)ア被告標章の使用が商標的使用に当たらないこと(総論)-8-次に述べるとおり,本件ウェブサイトにおいて,バナー・リンクテキスト・イラスト・文章に「ライサポいけだ」の語句が使用されてはいても,それらは,商標法2条3項各号,とりわけ8号の「役務に関する広告・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」には該当しない。 また,需要者は,本件ページ1及び5(本件ウェブサイトの各トップページ)に明瞭に付された被告の正式名称を認識するのであり,本件ウェブサイトにおいて出所識別機能を果たすのは,被告標章ではない。 イバナー(使用態様1)について本件ウェブサイト1において,「ライサポいけだ」の語句が含まれるバナーが使用されているが,これは本件ウェブサイト1のトップページに誘導する機能,すなわち,本件ウェブサイトの内部でウェブページをジャンプする機能しか果たしておらず,いわゆるバナー広告ではない。 ウリンクテキスト(使用態様2)について本件ウェブサイト1において,「ライサポいけだ」のテキストにリンクが設定されている箇所があるが,これらも,前記イのバナーと同様,被告が開設している本件ウェブサイト1のページ間をジャンプするための機能しか果たしていないのであるから,これに「ライサポいけだ」との被告標章を付しても,「役務に関する広告」には該当しない。 エイラスト(使用態様3,4)について本件ウェブサイト1において,イラストに被告標章が付された箇所があるが,これらは求人情報や,被告のスタッフ ても,「役務に関する広告」には該当しない。 エイラスト(使用態様3,4)について本件ウェブサイト1において,イラストに被告標章が付された箇所があるが,これらは求人情報や,被告のスタッフが講習会で講師をした事実を閲覧者に伝達するためのものであり,需要者に向けて被告のサービスを宣伝するイラストではないから,これも「役務に関する広告」に該当しない。 オ文章中の表記(使用態様5ないし11)について本件ウェブサイトにおいて,文章中に被告標章が使用されているとしても,被告の紹介記事が池田市の広報に掲載されたことを紹介したり,ブログの更新-9-がされたことを宣言する記事の一部であったりするものであり,「役務に関する広告・・を提供する行為」ではないし,単に被告の略称を示すものであって,出所識別機能を果たすような態様で用いられていない。 (3) 争点(3) (本件ドメイン名が,原告商標に類似するか)について(原告の主張)ア本件ドメイン名は「lispo-ikeda.jp」であり,欧文字を通常の形態で一連に記載したもので,登録者の組織属性を示す「.jp」の部分及び単なる地名の「-ikeda」の部分は識別力がなく,識別力を有する要部は,「lispo」の部分である。 イ原告商標と本件ドメイン名の要部を対比すると,外観は異なるものの,被告ドメインの要部である「lispo」の部分は「ライサポ」の称呼を生ずることを意図して被告が使用し,「ライサポ」は,「ライフサポート」の略であり,「生活を援助する」との観念を生じることから,原告商標と被告標章は,称呼及び観念において類似する。 ウ被告の提供する役務が原告商標の指定役務に該当することは前記(1)(原告の主張)ウのとおりであり,またインターネットを通じて標章に関する役務を提供す 告標章は,称呼及び観念において類似する。 ウ被告の提供する役務が原告商標の指定役務に該当することは前記(1)(原告の主張)ウのとおりであり,またインターネットを通じて標章に関する役務を提供するにあたっては,商標をドメイン名として用いることは多くあることから,本件ドメイン名の使用は商標としての使用に当たる。 エよって,原告は,被告に対し,商標法36条1項に基づき,本件ドメイン名の使用の差止めを求める。 (被告の主張)ア本件ドメイン名の要部について介護事業というサービスの性質上,需要者は役務提供者の所在する地域及びその周辺に居住する者に限られるところ,名称又は通称に使用される地名も重要な識別要素になるから,そもそも,本件ドメイン名の要部が「lispo」の部分になるということはできず,本件ドメイン名全体を観察すべきである。 -10-イ称呼について「lispo-ikeda」としてみたときには,「ライサポ」の称呼は生じないし,仮に「lispo」の部分が要部であるとしても,この部分から生ずる称呼は「エルアイエスピーオー」,「リスポ」,「リ・スポ」,あるいは「リス・ポ」であり,「ライサポ」との称呼は生じない。 したがって,原告商標と本件ドメイン名は,外観のみならず,称呼において同一でも類似でもない。 ウ観念について原告は,「ライサポ」は,ライフサポートの略であり,生活を援助するとの観念を生じることから,観念は同一であると主張するが,「ライサポ」も「lispo」も独立した語句として特定の観念を生じることはない。仮に「ライサポ」や「lispo」の語句を見る者が,これが何等かの結合語句の略称(例えば,「li-」と「spo-」で始まる語句を結合した語句の略称や,「ライ」と「サポ」で始まる語句を結合した語 い。仮に「ライサポ」や「lispo」の語句を見る者が,これが何等かの結合語句の略称(例えば,「li-」と「spo-」で始まる語句を結合した語句の略称や,「ライ」と「サポ」で始まる語句を結合した語句の略称)であると考えたとしても,それらで始まる語句は多数あり,一義的に「生活を援助する」との観念を生じることはない。 エまとめ以上のとおり,原告商標と,本件ドメイン名は,類似しない。 (4) 争点(4) (原告の被った損害額)について(原告の主張)ア原告のライセンス料率原告は,ヤマキ社に対し,年間120万円の使用料により,同社に本件商標の使用を許諾していたところ,この使用料は,ヤマキ社の平成14年度の収入の1.86パーセントに相当する。 イ被告の収入被告は,4月1日から3月31日までの会計年度であるところ,各年度において次のとおりの収入を得ている。 -11-平成21年度 5923万2950円平成22年度 7103万0380円平成23年度 6573万8320円平成24年度 6192万6501円また,上記の収入状況から,毎年度5000万円を下らない収入を得ていると考えられるところ,平成19年10月13日から平成21年3月31日まで,及び平成25年4月1日から平成25年12月12日まで,少なくとも合計1億0833万3333円の収入を得ていると考えられる。 したがって,侵害期間に対応する被告の合計の収入は,3億6626万1484円となる。 ウ商標法38条3項に基づく請求原告は,商標法38条3項に基づく使用料相当の損害として,3億6626万1484円に,1.86パーセントを乗じた681万2463円の損害を被っている。 エ弁護士 標法38条3項に基づく請求原告は,商標法38条3項に基づく使用料相当の損害として,3億6626万1484円に,1.86パーセントを乗じた681万2463円の損害を被っている。 エ弁護士等費用原告は,本訴の提起,追行を本件訴訟代理人に委任し,その手数料として200万円の負担をしたところ,同費用は,被告による商標権侵害と相当因果関係のある損害である。 オまとめよって,原告は,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,ウとエの合計881万2463円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成25年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める。 (被告の主張)各年度の被告の収支計算書の経常収入が原告の主張どおりである限度で認め,その余は争う。 第3 判断-12- 1 被告標章の使用について本件においては,別紙被告標章使用一覧表記載のとおり,被告が,被告標章を本件ウェブサイトにおいて使用したこと自体は争いがない。これ以外の態様について,原告は,少なくとも平成19年10月13日から,被告標章を被告事業所のハウスマークとして使用したと主張するが,甲3(被告以外の第三者のウェブサイト)はこれに沿う証拠ということはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない(本件ウェブサイトにおける「ライサポブログ」,「ライサポの活動」の記載が,本件の請求原因にあたらないことも,既に述べたとおりである。)。 したがって,被告標章使用一覧表記載の被告標章の使用が,商標権侵害を構成するかどうかを判断すべきことになるが,本件ウェブサイトにおける被告標章の使用の実際については,以下のとおりと認められる。 (1) 本件ウェブサイト1の内容について証拠(甲3,4の1及び2)及び弁論の全趣旨による ことになるが,本件ウェブサイトにおける被告標章の使用の実際については,以下のとおりと認められる。 (1) 本件ウェブサイト1の内容について証拠(甲3,4の1及び2)及び弁論の全趣旨によると,本件ウェブサイト1の内容は次のとおりと認められる。 ア本件ウェブサイト1は,被告の法人としての概要(本件ページ1),事業内容(本件ページ2),求人情報(本件ページ3),活動内容の紹介(本件ページ4)等から構成される。 イ本件ページ1ないし4には,冒頭に使用態様1のバナーが,横に「NPO 法人ライフサポートネットワークいけだ|障がい(児)者の自立と生活をサポートする」との文言と共に配されている。バナーは,本件ページ1へのリンクとなっている。また,サイドメニューとして,「Contents」の表示の下に「インフルエンザ情報」,「「ライサポいけだ」とは」,「いろいろなお知らせ」,「求人を募集しています」,「事業所報酬」,「ライサポの活動」等の語句が配され,それぞれの語句にリンクが設定されている。 また,サイドメニュー内にも被告の正式名称である「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」の表示及び被告の郵便番号,住所,電話,-13-ファクシミリ番号が掲記され,その下に,本件ウェブサイト2へのリンクが設定されたバナーが配されている。 ウ本件ページ1は,上記イの共通部分のほか,ページの幅で,ページの4分の1程度の高さの「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」のイラスト入りタイトルが配され,「事業内容」として「障がい(児)者の居宅介護事業・移動支援事業」,事業所の住所,地図へのリンク,TOPICS が配され,TOPICS 中の記事の一つに,使用態様5のとおり,「いけだ広報に「ライサポいけだ」の記事が載りました」 )者の居宅介護事業・移動支援事業」,事業所の住所,地図へのリンク,TOPICS が配され,TOPICS 中の記事の一つに,使用態様5のとおり,「いけだ広報に「ライサポいけだ」の記事が載りました」との記載がされている。 エ本件ページ2には,同様に上記イの共通部分のほか,冒頭にページ横幅分の「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」のイラスト入りタイトルが配され,被告の事業の紹介として,「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだとは」とのタイトルの下に,被告設立の経緯についての説明が記載され,「「ライサポいけだ」ってどんなことをしているの」(使用態様6)とのタイトルの下に,障害者自立支援法による障害福祉サービス居宅介護及び地域支援生活事業による移動支援に基づくヘルパー派遣事業をしていること,障害者スタッフが,小中高での講演のほか,バス会社等の交通機関で,車椅子による乗降の際の留意点の指導をしていること等の記載がある。 また,「「障害福祉サービス居宅介護」とは?」とのタイトルの下に,介護の具体的内容についての説明が記載されている。 オ本件ページ3には,同様に上記イの共通部分のほか,ページ冒頭に,ライサポいけだ,求人募集のイラスト入りタイトル(使用態様3)がページ幅に配され,その下に,介護の仕事についてのQ&Aが記載されている。 カ本件ページ4には,同様に上記イの共通部分のほか,冒頭に使用態様4のイラストが配され,「阪急バス猪名川営業所での講習会に講師として「ライサポいけだ」がよばれました」(使用態様7)とのタイトルの下に,被告の職員等が講習会に参加して,障害者への対応の仕方について講習が行われ,「ライサ-14-ポいけだ」としても有意義であったとの記事(使用態様8)や,「こどもたちが,誰に対しても優しくで 下に,被告の職員等が講習会に参加して,障害者への対応の仕方について講習が行われ,「ライサ-14-ポいけだ」としても有意義であったとの記事(使用態様8)や,「こどもたちが,誰に対しても優しくできるようになってもらいたい」とのタイトルの下に,被告が池田市内の小中学校において講師活動をしている旨の記事が掲載されている。 (2) 本件ウェブサイト2の内容について証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によると,以下のとおりと認められる。 すなわち,本件ウェブサイト2は,「ライフサポートネットワークいけだのブログ」とのタイトルのブログであり,ブログの主体として,「ニックネーム:ライフサポートネットワークいけだ」が示されている。 各記事は,地元の祭り,震災に関するカンパ活動,車椅子に関する内容等で構成され,使用態様9の記事は,被告のスタッフが本件ウェブサイト2において,ライラポ(ライサポの誤記)いけだのブログを始める旨を伝達する内容,使用態様10の記事は,被告の事務所の休息スペースが物置状態となっていたことを伝達する内容,使用態様11の記事は,高校生が小学生に対し,車椅子の扱い方を教えるに際し,被告のスタッフが講師を担当したことを伝達する内容となっている。 (3) 被告標章の商標的使用の有無(争点(2))について上記(1)及び(2)で認定したところを前提に,本件ウェブサイトにおける被告標章の使用態様について検討すると,まず,本件ウェブサイト1には,被告が,障害者のための居宅介護事業等を行っている旨の記載はあるものの,当該事業の具体的内容についての記載や料金の開示等は一切なく,同事業を利用するよう勧誘する文言も,同事業の利用を申し込むための手順や方法等も開示されていない。全体として,本件ウェブサイト1は,営利を目的としない特 的内容についての記載や料金の開示等は一切なく,同事業を利用するよう勧誘する文言も,同事業の利用を申し込むための手順や方法等も開示されていない。全体として,本件ウェブサイト1は,営利を目的としない特定非営利活動法人である被告において,その事業内容等を,障害者への対応等についての啓発活動等を含め,社会全般に広く紹介することを目的としたウェブサイトであると評価することができる。 -15-また,被告標章の実際の使用態様としても,トップページの最も目立つ場所に,「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」と大きく記載した上で,本件ウェブサイト内の相互リンクのためのバナー,リンクテキスト,イラストないし記述的文章の中で,被告の名称全体を記載する代わりの略語として,「ライサポいけだ」と記載しているにすぎない。 以上によれば,本件ウェブサイト1において,被告標章が,被告の提供する役務の出所を識別するものとして使用されているということはできず,被告標章の使用は,商標法2条3項8号が定める商標としての使用にはあたらないというべきである。 同様に,本件ウェブサイト2についても,その内容は,被告の職員等が日記風に周囲の出来事を読者に伝達するものであって,被告の役務の広告とは認められない上,本件ウェブサイト1と同様に,被告標章は,「ライフサポートネットワークいけだのブログ」のタイトルを示した上で,記述的な文章の中で,被告を示す略語として使用されるにすぎないものにすぎず,これらについても,被告の提供する役務の出所を識別させるものとして使用されているとはいえない。 結局,本件ウェブサイトに使用された被告標章は,いずれも商標として使用されているとは認められないものである。 (4) 被告標章の類似性(争点(1))について 用されているとはいえない。 結局,本件ウェブサイトに使用された被告標章は,いずれも商標として使用されているとは認められないものである。 (4) 被告標章の類似性(争点(1))について前記(3)の商標的使用の有無(争点(2))の点とは別に,被告標章が原告商標に類似するかについても検討する。 この点について,原告は,被告標章のうち,地名である「いけだ」の部分に識別力はなく,「ライサポ」が要部であるから原告商標と類似する旨主張する。しかしながら,この主張は採用できない。 すなわち,原告商標と被告標章の類似の有無については,被告標章の現実的な使用態様を前提に,誤認混同のおそれを判断すべきところ,被告標章の使用態様については,前記(1)及び(2)で認定したとおりであり,本件ウェブサイトを閲覧す-16-る者は,いずれも目立つよう大書された,被告の正式名称である「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」,あるいはブログのタイトルである「ライフサポートネットワークいけだのブログ」をまず認識し,その後に,バナー,イラスト,記述的文章の中に,被告標章である「ライサポいけだ」が使用されていることを認識するものと考えられる。 そうすると,本件ウェブサイトを閲覧する者は,被告の正式名称またはブログのタイトルから,本件ウェブサイトを管理運営しているのは,池田市に本拠を置く,生活(ライフ)を支援(サポート)することを目的とする団体である旨の観念を抱いた後に,被告標章に接することになるから,被告標章が被告の正式名称の略語であることは容易に認識され,被告標章についても,同様に,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体であるとの観念を抱くものと考えられる。 すなわち,被告標章の現実的な利用形態に照らすと, とは容易に認識され,被告標章についても,同様に,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体であるとの観念を抱くものと考えられる。 すなわち,被告標章の現実的な利用形態に照らすと,本件ウェブサイトを閲覧し被告標章に接する者は,被告標章を一体として認識し,「ライサポ」のみを抽出して捉えることはなく,上記のとおり,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体である旨の観念を抱くと考えられるから,単に「ライサポ」の文字からなる原告商標との間に誤認混同のおそれはなく,両者は類似しないというべきである。 (5) まとめしたがって,上記(3)及び(4)いずれの理由によっても,被告が被告標章を本件ウェブサイトに使用したことが,原告商標の商標権侵害に当たるとする原告の主張は,理由がない。 2 争点(3)(本件ドメイン名が,原告商標に類似するか)について(1) 原告商標についてア外観「ライサポ」との文字を,片仮名丸ゴシック調の字体で横一列に表記するも-17-のである。 イ称呼文字どおり発音することにより,「ライサポ」の称呼を生ずる。 ウ観念「ライサポ」との語自体は,辞書の見出し語等としては存在せず,語句として特定の観念を生ずることはない。直ちに原告を想起するほどに原告商標が周知性を獲得したと認めるに足りる証拠もない。もっとも,その指定役務である介護サービス事業の需要者にとって,「ライフ」と「サポート」ないし「サポーター」の頭文字2文字を組み合わせた語であると発想し得た場合には,「生活を支援する(者)」との観念が生ずる余地はある。 (2) 本件ドメイン名についてア本件ドメイン名の要部一般に,ドメインネームにおいて,自他識別機能を有する部分は,「.jp」「. 活を支援する(者)」との観念が生ずる余地はある。 (2) 本件ドメイン名についてア本件ドメイン名の要部一般に,ドメインネームにおいて,自他識別機能を有する部分は,「.jp」「.co.jp」など(トップレベルドメイン等)を除いた部分であるから,本件ドメイン名においては,「lispo-ikeda」がこれに該当する。 他方,ドメインネームは,和文字を使うものもあるが,ほとんどの場合は英文字の標準文字(特定の字体をもたないもの)の組み合わせによる以外の表現はとりえないところ,当該文字列から,直ちに「ikeda」の部分が大阪府内の一市町村を指す地名であると判明するとはいえないから,同部分が識別力を欠き,「lispo-」の部分のみが要部を構成するものということはできない。 したがって,本件ドメイン名の要部は,「lispo-ikeda」である。 イ外観本件ドメイン名の要部は,「lispo-ikeda」との英文字を,標準文字で横一列に表記するものである。 ウ称呼「lispo」の部分は,辞書の見出し語としては存在しないので,アルファベ-18-ットをそのまま発音することにより「エルアイエスピーオー」の称呼を生じる。 また,これを英語風に発音することにより「リスポ」の称呼を生じる。「ikeda」の部分は,特定の日本語のローマ字表記であると想到する余地があるから,「イケダ」の称呼を生ずる。 したがって,本件ドメイン名の要部から生じ得る称呼は,「エルアイエスピーオー・イケダ」又は「リスポ・イケダ」となる。 エ観念上記外観及び称呼を前提とすると,本件ドメイン名の要部からは,特定の観念を生じない。また,「lispo」と「ikeda」に分けた場合,「ikeda」の部分が人名ないし地名であるとの観念を生 念上記外観及び称呼を前提とすると,本件ドメイン名の要部からは,特定の観念を生じない。また,「lispo」と「ikeda」に分けた場合,「ikeda」の部分が人名ないし地名であるとの観念を生じることはありうるが,「lispo」の部分から特定の観念が生じることはない。何らかの単語の先頭の音節を組み合わせるとしても,その組み合わせに唯一のものを見いだすことはできない。 (3) 原告商標と本件ドメイン名の類否判断上記のとおり,原告商標と,本件ドメイン名の要部を外観,称呼及び観念において対比すると,類似する要素がないから,原告商標と本件ドメイン名は類似するものと認められない。 この点,原告は,「lispo」の部分から「ライサポ」の称呼が生ずるとするが,原告商標である「ライサポ」をローマ字表記したものは「RAISAPO」であって,その表記において全く異なる。また原告商標が,「ライフ」と「サポート」の略語であると思い至ったとしても,それらに相当する英単語は,「life」と「support」であって,これを組み合わせて本件ドメイン名の「lispo」の部分に至るためには,「life」の先頭2文字と,「support」の先頭から1文字目,3文字目及び5文字目を組み合わせる必要があり,本件役務の需要者はもとよりそれ以外の一般人において,そのような発想に至るとは通常考えられない。原告の主張は採用できない。 したがって,原告商標と本件ドメイン名が類似するとは認められない。 -19- 3 結論被告が,平成26年2月以降,本件ウェブサイト1の閉鎖,本件ドメイン名の解約,本件ウェブサイト2のデータ削除を行って,差止の対象となる事実が存在しないことは,前記前提事実(4)記載のとおりである。 また,上記閉鎖,解約,削除以前 ブサイト1の閉鎖,本件ドメイン名の解約,本件ウェブサイト2のデータ削除を行って,差止の対象となる事実が存在しないことは,前記前提事実(4)記載のとおりである。 また,上記閉鎖,解約,削除以前の状態についても,前記1及び2で述べたとおり,被告標章の使用及び本件ドメイン名の使用が原告の商標権侵害にあたるとする原告の主張は,すべて失当であるから,争点(4)について判断するまでもなく,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官田原美奈子 裁判官松阿彌隆 -20-(別紙)被告標章目録 ライサポいけだ 被告ウェブサイト目録 1 「http://ameblo.jp/lispo-ikeda」のURLにより特定されるインターネットのウェブページ及び同ドメイン名下において存在する全てのインターネットウェブページ 2 「http://www.lispo-ikeda.jp」のURLにより特定されるインターネットのウェブページ及び同ドメイン名下において存在する全てのインターネットウェブページ -21-(別紙) 被告標章使用一覧表番号使用態様使用箇所 本件ページ1ないし4 同上 本件ページ3 本件ページ4 本件ページ1 被告標章使用一覧表 番号 使用態様 使用箇所 本件ページ1ないし4 同上 本件ページ3 本件ページ4 本件ページ1 本件ページ2 本件ページ4 本件ページ4 本件ページ5 本件ページ6 本件ページ7

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