平成3(ネ)353 釧路市非常勤職員雇用打切

裁判年月日・裁判所
平成7年8月9日 札幌高等裁判所
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判決文本文4,318 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 一当事者の求めた裁判 1 控訴人(一) 原判決を取り消す。 (二) 主位的請求控訴人が被控訴人の職員たる地位を有することを確認する。 (三) 予備的請求被控訴人は、控訴人に対し、五五三万八七八〇円及びこれに対する昭和六一年三月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 (四) 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 (五) (三)につき仮執行の宣言 2 被控訴人主文と同旨二事案の概要当審における主張を次のとおり付加するほか、原判決「事実及び理由」中の「第二事案の概要」(ただし、原判決書四枚目表末行「してる」を「している」に改める。)に記載するとおりであるから、これを引用する。 1 控訴人(一) 控訴人は、被控訴人の特別職の公務員として任用されたことはなく、一般職の公務員、より具体的には、釧路市労働相談室規程及び釧路市雇用労働相談所規程にはいずれも労働相談員あるいは相談員のほかにその他必要な職員を置くと定められているところ、右にいう職員として任用されたと解される。したがって、控訴人の任用につき期限が付着していたことはない。非専務職の特別職である非常勤の労働相談員と相違して、控訴人の職務内容は労働者性を有し、上司の指揮監督の下に事務を処理し、任用の当初から月額報酬が支払われており、非常勤の労働相談員に対する辞令では委嘱するという文言が用いられているのに、常勤の労働相談員である控訴人と他の一名に対する辞令では嘱託するとなっている。 (二) 右のように、控訴人は被控訴人に対し、使用従属関係の下で労働の提供自体を行ってきたのであり、一般職の職員として、労働者としての利益保護がはかられるべきであるが、これが認められない場 ている。 (二) 右のように、控訴人は被控訴人に対し、使用従属関係の下で労働の提供自体を行ってきたのであり、一般職の職員として、労働者としての利益保護がはかられるべきであるが、これが認められない場合には、雇止における解雇の法理が適用されるべきである。控訴人の任用が地方公務員法三条三項三号の非常勤の嘱託員の任用であるとすれば、地方公務員法の適用を受けず、法令上の規定を欠くことになるから、控訴人の任用は行政行為に当たらず、一般私法の適用を受けることになるからである。 2 被控訴人(一) 控訴人は一般職の成績主義及び一般職の選考手続によって任用されたものではなく、被控訴人の市長は控訴人を地方公務員法上の特別職の公務員として任用したものである。控訴人が特別法たる地方公務員法に基づく一般職か特別職であるかが問題であるところ、これは任命権者が決定することであり、その後の控訴人の職務内容や勤務実態によって、その任用が変更されることは許されない。 (二) 控訴人は地方自治法一七二条に基づき任用された。地方公共団体の長は特別職についても任命権を有する。公務員の任用行為が行政行為であることは、最高裁判例(昭和二九年八月二四日刑集八巻八号一三七二頁)の判示するところである。 三証拠関係(省略)四当裁判所の判断 1 次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決「事実及び理由」中の「第三判断」に記載するとおりであるから、これを引用する。 (一) 原判決書八枚目表一行目「公務員の任用は」の次に「、相手方の同意を要するものの、」を加える。 (二) 同七、八行目「実態を具体的に検討することによってのみ即断されるものではない。」を「実態のみによって、任命権者の右意思が確定されるものではない。」に改める。 (三) 同裏八行目「行政機関の職員や学識経験者等」を「労働基準 体的に検討することによってのみ即断されるものではない。」を「実態のみによって、任命権者の右意思が確定されるものではない。」に改める。 (三) 同裏八行目「行政機関の職員や学識経験者等」を「労働基準監督署、公共職業安定所、釧路支庁労政課等の市内労働行政機関の職員、釧路地方労働組合協議会、釧路商工会議所等の労働問題関係機関の役員又は職員及び学識経験者」に改める。 (四) 同九枚目表七行目「職員」を「正規の職員」に改める。 (五) 同一〇枚目表五行目「原告は」の前に「被控訴人の市長は、控訴人とともに常勤の労働相談員として釧路地方労働組合協議会議長の経歴を有していたAを任用したが、」を加え、同行「任用された男性」を「任用されたA」に改め、同八行目「9丁以下」の次に「、弁論の全趣旨」を加える。 (六) 同裏五、六行目「国の行政機関の職員や学識経験者等」を「関係行政機関の職員、労働団体及び商工会議所等の役員又は職員、学識経験者」に改め、同八行目を次のとおり改める。 「任期間とすることの定めがあった。なお、右訓令の基礎となった被控訴人の内部文書である回議書には、「主な改正点」と題して四項目が記述されているが、その一項目には「予定している労働相談員は次のとおりである。ア労働行政機関の職員労働基準監督署第一課長、イ労働団体及び商工会議所等の役員又は職員釧労協事務局長・釧路商工会議所専務、ウ学識経験者 A・B(以上相談所常駐)・C」との記載がある(乙二、乙四一、証人D①9丁以下)。」(七) 同一二枚裏九行目「超勤務」を「超過勤務」に改める。 (八) 同一四枚目表三行目から同裏五行目までを次のとおり改める。 「3 以上の事実によれば、被控訴人の市長は控訴人を地方公務員法三条三項三号所定の特別職の地方公務員として任用し、かつ、控訴人をそのように処遇してきたこ 三行目から同裏五行目までを次のとおり改める。 「3 以上の事実によれば、被控訴人の市長は控訴人を地方公務員法三条三項三号所定の特別職の地方公務員として任用し、かつ、控訴人をそのように処遇してきたことが優に認められる。」(九) 同一五枚目裏三行目「でき、」から同四行目までを次のとおり改める。 「できる。そして、控訴人が「臨時又は非常勤」の特別職として任用されたこと、被控訴人の市長が控訴人を労働相談員に任用したのは、控訴人のこれまでの女性労働問題に関する活動に着目したからであり、そのような控訴人の学識経験を生かして広範な相談業務を処理することを期待していたものであること、労働相談員の任用は必ずしもある特定の人物に固定させておくことは相当ではなく、その時々の労働相談の内容によってその問題の解決に相応しい適宜の相談員を任用する必要性があり、労働相談員を恒常的に任用することを回避する必要性があるというべきであることなどの事情を考えると労働相談員の任期を一年間と定めて任用することを違法であると断定することはできないというべきである。」(一〇) 同一六枚目裏一行目「異思表示」を「意思表示」に、同一七枚目表七行目「そもそも地方公務員」から同九行目「広範なものというべきであり、」までを「そもそも特別職の地方公務員の任用には厳格な成績主義の適用がないから、法令によって当然に特別職の地方公務員とされる場合を除いて、特別職の地方公務員を任用するについては任命権者に広範な裁量権が与えられているというべきであって、右裁量は特別職の地方公務員を再任する場合においても同様であると解すべきであり、」にそれぞれ改める。 (一一) 同一九枚目裏九行目「しかしながら、」の次に「被控訴人の市長の右のような激励は自己が任命権者である場合の希望を述べたものに過ぎず、後の任命権者が ると解すべきであり、」にそれぞれ改める。 (一一) 同一九枚目裏九行目「しかしながら、」の次に「被控訴人の市長の右のような激励は自己が任命権者である場合の希望を述べたものに過ぎず、後の任命権者がする控訴人の再任を拘束する性質のものでないことは明らかであり、」を加える。 2 当審における主張に対する判断(一) 控訴人は、控訴人が特別職の公務員として任用されことはなく、一般職の公務員、より具体的には、釧路市労働相談室規程及び釧路市雇用労働相談所規程にはいずれも労働相談員あるいは相談員のほかにその他必要な職員を置くと定められているところ、右にいう職員として任用されたものであり、したがって、控訴人の任用につき期限が付着していたことはないと主張し、その根拠として、非専務職の特別職である非常勤の労働相談員と相違して、控訴人の職務内容が労働者性を有し、上司の指揮監督の下に事務を処理し、任用の当初から月額報酬が支払われてきたこと、非常勤の労働相談員に対する辞令では委嘱するという文言が用いられているのに、常勤の労働相談員である控訴人と他の一名に対する辞令では嘱託するとなっている事実を指摘する。 しかし、控訴人に交付された辞令においていずれも相談員に嘱託すると記載されていたことは前認定のとおりであるから、控訴人が釧路市労働相談室規程及び釧路市雇用労働相談所規程に定める職員として任用されたものでないことは明らかである。また、控訴人の職務内容が非専務職の特別職である非常勤の労働相談員と相違して労働者性を有し、上司の指揮監督の下に事務を処理し、月額報酬を支給されてきたという控訴人の職務の実態については、これによって任命権者である市長の任用意思が確定されるものでないことは既に説示したとおりであり(なお、控訴人には、「釧路市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び きたという控訴人の職務の実態については、これによって任命権者である市長の任用意思が確定されるものでないことは既に説示したとおりであり(なお、控訴人には、「釧路市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」により月額の報酬等が支給されてきたことは前認定のとおりである。)、非常勤の労働相談員に対する辞令では委嘱するとなっているのに、常勤の労働相談員である控訴人と他の一名に対する辞令は嘱託するとなっている事実も右認定を何ら左右するものではない。 (二) 控訴人は、控訴人が特別職であるとすれば、控訴人の任用は行政行為に当たらず、一般私法の適用を受けるべきであるから、雇止における解雇の法理が適用されるべきであると主張するが、公務員の任用は行政処分と解すべきであるから、右主張も理由がない。 五よって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、民訴法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官清水悠爾安齋隆持本健司)

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