平成13(ワ)134 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年5月27日 大津地方裁判所
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判決文本文8,929 文字)

要旨:県道から自転車で転落したのは県の道路の管理に瑕疵があったためとして,損害賠償を求めた事案(認容)平成14年5月27日判決言渡平成13年(ワ)第134号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成14年2月18日判決 主文 1 被告は,原告に対し,金218万円及び内金198万円に対する平成11年11月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決の1項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 被告は,原告に対し,金2937万9259円及び内金2787万9259円に対する平成11年11月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 被告(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求の原因(1) 事故の発生下記のとおりの事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 日時平成11年11月21日午前零時30分場所滋賀県甲賀郡A町BC番地のD先県道(以下「本件道路」という。)態様原告が,上記日時,本件道路を自転車に乗って走行中,別紙図面のとおり,幅約3.75メートル幅の路側帯が,上記場所付近において幅約56センチメートルと狭まっており,その幅が狭まった箇所(本件道路の突き当たり箇所)に設置されていた反射鏡付き支柱が破損倒 紙図面のとおり,幅約3.75メートル幅の路側帯が,上記場所付近において幅約56センチメートルと狭まっており,その幅が狭まった箇所(本件道路の突き当たり箇所)に設置されていた反射鏡付き支柱が破損倒壊していたため,北から南へ直進して走行中の原告が同所から路外逸脱(転落)した。 (2) 被告の責任ア被告は,本件道路を管理している。 イ上記路側帯が狭まった箇所(以下「本件事故現場」という。)には,反射鏡付き支柱(以下「デリネーター」という。)が3本設置されていたが,本件事故当時には,いずれも破損倒壊していたのであって,営造物の管理の瑕疵があった。 また,デリネーターでは,本件事故現場付近における転落防止策としては不十分であったので,設置の瑕疵もあった。 (3) 原告の受傷,治療経過,後遺障害ア本件事故により,原告は,下顎骨骨折(下顎骨体部,両側関節突起),オトガイ部裂創(開放骨折),右第6上歯,左第4・6上歯,右第6下歯各歯牙破折(開放骨折)による歯髄炎,右第3下歯髄壊死,左第6下歯冠一部破折,左膝蓋骨骨折の傷害を負った。 イ治療経過(いずれもE病院)(ア) 歯科関係平成11年11月21日から同年12月28日まで入院平成11年12月30日から平成12年12月1日まで通院(実数7日)平成12年12月17日から同月28日まで入院(イ) 左膝蓋骨骨折関係平成11年11月24日左膝蓋骨骨折に対する観血的整復固定術施行後リハビリ平成12年12月19日(歯科関係で入院中)抜釘術施行ウ症状固定日 成11年11月24日左膝蓋骨骨折に対する観血的整復固定術施行後リハビリ平成12年12月19日(歯科関係で入院中)抜釘術施行ウ症状固定日平成12年7月3日エ後遺障害歯牙補綴(予定)3歯,抜歯1歯,男子の外貌に著しい醜状,顎関節機能障害(4) 原告の損害ア入・通院慰謝料 100万円イ後遺障害に対する慰謝料 640万円歯牙補綴(予定)3歯(自賠法施行令別表後遺障害等級表14級2号〔以下,級号は同表のそれによる。〕),抜歯1歯を合わせて14級に該当し,これに,男子の外貌に著しい醜状(12級13号),顎関節機能障害(10級2号相当)を併せて併合9級に該当する。 ウ後遺障害による逸失利益 2744万9074円原告は,昭和56年10月30日生まれで,本件事故当時18歳(留年によりF高等学校2年に在学中。その後,本件事故の翌年4月にG高等学校に編入。20歳で同校を卒業するものとして,逸失利益を算出する。)であった。 上記イの後遺障害に対して顎関節機能障害(10級2号相当)を逸失利益に関係するものとして計算すれば,原告の逸失利益は下記のとおりとなる。 5,623,900円(平成11年度賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計)×0.27(10級相当の労働能力喪失率)×18.077(67歳まで48年間稼働可能としてのライプニッツ係数)=27,449,074エ以上アないしウの合計は3484万9074円となるところ,原告には無灯火で自転車を走行していた過失があ 67歳まで48年間稼働可能としてのライプニッツ係数)=27,449,074エ以上アないしウの合計は3484万9074円となるところ,原告には無灯火で自転車を走行していた過失があるので,上記金員から過失相殺として2割を控除すると,2787万9259円が損害額となる。 オ弁護士費用 150万円(5) よって,原告は,被告に対し,国家賠償法2条1項に基づき,上記(4)エ,オの合計金員2937万9259円及び弁護士費用を除く内金2787万9259円に対する本件事故の翌日である平成11年11月22日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 2 請求の原因に対する認否(1) 請求の原因(1)のうち,本件事故が発生した日時,場所は認め,態様のうち,原告が直進走行したことは不知,その余は認める。ただし,デリネーターには反射鏡ではなく,反射板が付けられていた。 (2)ア請求の原因(2)アは認める。 イ同イのうち,デリネーターが破損倒壊していたことは認めるが,その余は争う。 本件事故は,原告が無灯火かつ時速20キロメートルという自転車としては高速度で路側帯を進行した過失により惹起されたものであって,デリネーターの破損倒壊とは因果関係はない。 (3)ア請求の原因(3)ア及びイは,左膝蓋骨骨折に関する部分を除いて認める。 イ同ウ及びエは争う。 (4) 請求の原因(4)は争う。 3 抗弁(過失相殺)原告は,本件事故現場付近をしばしば通行し,路側帯の状況が広くなったり,狭くなったりしており,特に本件事故現場においては,転落防止のためのデリネーターが倒れた状態となっていたことを知り,又は知り得べき状況にあったの 現場付近をしばしば通行し,路側帯の状況が広くなったり,狭くなったりしており,特に本件事故現場においては,転落防止のためのデリネーターが倒れた状態となっていたことを知り,又は知り得べき状況にあったのであるから,前方を十分注視し,車道を通行するなど転落しないように通行すべき注意義務があるのにこれを怠り,灯火をつけることなく時速約20キロメートルという自転車としては高速度で路側帯を進行した過失があるから,原告の損害額から過失相殺されるべきである。 4 抗弁に対する認否本件事故当時,原告が無灯火で自転車を走行していた点において,原告に過失があったことは認める。 第3 当裁判所の判断 1 請求の原因(1)(本件事故の発生)について(1) 請求の原因(1)のうち,本件事故が発生した日時,場所は当事者間に争いがない。 (2)ア当事者間に争いがない事実及び証拠(甲1,6ないし11,16ないし19,21,乙1)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 本件事故現場は,主要地方道(県道)HI線(本件道路)を,国道一号線との交差点からI方面へ約200メートル進入した地点である。 本件道路は,本件事故現場付近では,南北に通じる幅員約5.5メートルの片側1車線の道路となっていて,車道西側には幅員2メートルの歩道が,東側には路側帯が設けられている。 本件道路は,アスファルト舗装された平坦な道路で,本件事故当時,交通は閑散であり,本件事故現場付近には照明がなく暗かった。 (イ) 本件事故は,路側帯が地下横断通路と交差する部分で発生した。本件道路は,地下横断通路の北約40メートル先から同通路北端までの間は幅約3.8メートルの路側帯となっている。本件道路が地下横断 (イ) 本件事故は,路側帯が地下横断通路と交差する部分で発生した。本件道路は,地下横断通路の北約40メートル先から同通路北端までの間は幅約3.8メートルの路側帯となっている。本件道路が地下横断通路と交差する部分では,路側帯の幅が幅約1メートル(現実に通行可能なのは約56センチメートル)になっている。 なお,国道一号線から本件道路に入ると進行方向左側が路側帯になっていて,本件事故現場に至るまでの間,フェンス,地下横断水路,ゴミ集積庫があって,路側帯の幅員が部分的に狭くなっている箇所があり,路側帯の幅や状況は一様ではない。 (ウ) 地下横断通路は,本件道路の地下を横断する形で設けられた通路であり,幅約4.3メートルで,両側はコンクリート擁壁で構築され,路側帯から約2.25メートル低いところにあって,路側帯からは垂直に落ち込む形になっている。 幅約3.8メートルの路側帯が途切れて地下横断通路と接する部分には,転落防止用のデリネーター(反射板付き支柱)が東西に並んで3本設置され,各デリネーター間の距離は,最も車道に近いもの(車道側線から約1.55メートルの地点)と真ん中のものとの間が約85センチメートル,真ん中のものと車道から最も遠いものとの間が約70センチメートルであった。しかし,本件事故当時には,最も車道寄りの1本は根元からなくなり,残りの2本はいずれも倒れた状態で,反射機能を有していなかった。なお,局損部には砂等が付着し汚れていた。 (エ) 原告は,本件事故現場付近の路側帯を無灯火の自転車で北から南へ走行し,別紙図面矢印のように進行して,路側帯から地下横断通路に転落した。 (オ) 本件事故の約1時間20分後から行われた司法警察員による実況見分時には,原告の自 火の自転車で北から南へ走行し,別紙図面矢印のように進行して,路側帯から地下横断通路に転落した。 (オ) 本件事故の約1時間20分後から行われた司法警察員による実況見分時には,原告の自転車は,地下横断通路の南側,本件道路の車道東端から東側約1.1メートルの地点に転倒していて,その上部のコンクリート擁壁(本件道路から約1メートル下がったところ)に血痕が見られた。 イ上記ア認定にかかる本件事故現場付近の路側帯の幅とその状況,地下横断通路に転落した自転車の位置,同通路南側擁壁に付着した血痕の位置,地下横断通路の幅等の事実に照らせば,原告は,夜間,無灯火の自転車で,路側帯の車道東端から約1.1メートル東側付近を,北から南に向けて,相当程度の速度で走行し,本件事故現場付近において,自転車に乗ったまま,路側帯から地下横断通路に転落したものと認めるのが相当である。 2 請求の原因(2)(被告の責任)について(1) 請求の原因(2)アは当事者間に争いがない。 (2) そこで,本件道路について設置管理上の瑕疵があったかどうかについて判断する。 路側帯は,歩行者の通行の用に供し,又は車道の効用を保つためのものであるが(道路交通法2条3号の4,10条),著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き,自転車等の軽車両もこれを通行することができるのであるから(同法17条の2),道路のうち,歩行者及び自転車等の通行が予定されている部分であるということができる。 前記1(2)ア認定の事実によれば,約40メートルにわたって設けられた幅約3.8メートルの広い路側帯が,本件事故現場付近において,地下横断通路のために,その幅が急に約1メートル(現実に通行可能な幅は約56センチメートル)に狭まり,残りの部分に ルにわたって設けられた幅約3.8メートルの広い路側帯が,本件事故現場付近において,地下横断通路のために,その幅が急に約1メートル(現実に通行可能な幅は約56センチメートル)に狭まり,残りの部分については,深さ約2.25メートルの地下横断通路に落ち込む状態になっているのであり,かつ,本件事故現場付近には夜間照明がなく周辺は暗くて,見通しが悪い状況にあったから,少なくとも夜間には,路側帯を通行する歩行者や自転車等にとっては,急に路側帯の幅が狭くなる本件事故現場において,地下横断通路に転落する危険がある状況であったと認められる。 そうすると,管理者である被告において,本件事故現場が上記のような道路状況であることを通行者にあらかじめ認識させ,その注意を促すための設備を設置するなど,転落を防止するに必要な措置をとるべきであったものということができる。しかるに,前記1(2)ア認定のとおり,本件事故現場では,被告によって3本のデリネーターが設置されていたものの,本件事故当時には,最も車道寄りの1本は根本からなくなり,残りの2本はいずれも倒れた状態にあって,反射機能を有していなかったのであり,他に上記道路状況を示す措置はとられていなかったのであるから,この点において,本件道路路側帯部分は,道路として通常有すべき安全性を欠いており,管理の瑕疵があったというのが相当である。 (3) 次に,上記(2)の瑕疵と本件事故の因果関係について検討する。 前記1(2)ア認定にかかる本件事故現場に設置されていた3本のデリネーターのうち,最も車道よりのものは,車道東端から約1.55メートルの位置にあったこと,原告が走行していたのは車道東端から約1.1メートル東側の位置付近であったことに照らせば,原告が当時無灯火の自転車で路側帯を走行していたとし ものは,車道東端から約1.55メートルの位置にあったこと,原告が走行していたのは車道東端から約1.1メートル東側の位置付近であったことに照らせば,原告が当時無灯火の自転車で路側帯を走行していたとしても,本件事故現場に設置されていたデリネーターがなくなったり倒れたりすることなく,正常に機能しておれば,デリネーターの反射板が本件道路を通行する車両の照明に反射して,原告がその存在を知ることができたものと推認され,また,通行車両がなくても,無灯火で自転車を走行させることができる程度の明るさのもとでは(上記認定1(2)イに照らせば,本件事故現場付近は,少なくとも,夜間無灯火で自転車を走行させられる程度の明るさはあったと認めることができる。),原告は,ほぼ正面に位置する最も車道よりのデリネーターの存在をその手前から認識することができたと認められる。 そうすると,本件事故現場において,デリネーターが設置されていて正常に機能しておれば,原告は,その存在に気付き,そのまま直進することを避ける等の措置を取り得たのであって,路側帯から地下横断通路に転落することもなかったということができるから,上記(2)認定にかかる被告の本件道路の管理の瑕疵と本件事故との間には相当因果関係があるというのが相当である。 (4) 以上によれば,被告は,国家賠償法2条1項に基づき,原告が本件事故によって被った損害を賠償する義務がある。 3 請求の原因(3)(原告の受傷,治療経過,後遺障害)について(1) 請求の原因(3)ア及びイは,左膝蓋骨骨折に関する部分を除いて当事者間に争いがなく,左膝蓋骨骨折に関する部分については,甲15,20によって認める。 (2) 請求の原因(3)ウ及びエについてア証拠(甲2ないし5,12ないし15,20,証人J 者間に争いがなく,左膝蓋骨骨折に関する部分については,甲15,20によって認める。 (2) 請求の原因(3)ウ及びエについてア証拠(甲2ないし5,12ないし15,20,証人Jの供述書)によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア) 原告は,本件事故による受傷により,下顎骨骨折の治療として観血的整復固定術を受けたが,これは,顎下部より切開を加え,骨折線まで組織を剥離し,骨折線で整復したのち,チタンミニプレート及びラグスクリューで固定するものであって,その結果,原告の顎下部の右側に約10センチメートル,左側に約3センチメートルの手術痕が残った。 (イ) 歯髄壊死部及び破折部分は,3歯につき補綴治療,1歯につき抜歯がが必要な状態となった。 (ウ) 原告の顎関節の関節突起は,術中に骨折の状況から完全な位置への整復が困難であったため,完全に正常な位置には整復できておらず,下顎頭がやや内側に偏位した状態で骨折は治癒している状態となっている。そのため,原告の顎関節は,解剖学的に正常な状態とはいえないが,機能的には問題がなく,現在は,充分な開口運動ができているし,咬合にも問題がない。ただし,高齢になると,最大開口時や固いものを摂食することにより,違和感,倦怠感,疼痛を生じるおそれがあり,そのような場合,投薬やプレート治療が必要となる可能性もある。 (エ) 左膝蓋骨骨折は,手術及び治療が終了し,特に後遺障害は生じていない。 イ以上の事実に照らせば,原告には,以下のとおりの後遺障害が生じているものと認められる。 (ア) 顎下部の手術痕上記ア(ア)認定の手術痕の位置や程度に照らせば,原告の顎下部の手術痕は,男子の外貌に著しい醜状を残 おりの後遺障害が生じているものと認められる。 (ア) 顎下部の手術痕上記ア(ア)認定の手術痕の位置や程度に照らせば,原告の顎下部の手術痕は,男子の外貌に著しい醜状を残すものとまでは認めることができず,男子の外貌に醜状を残すものと認めるのが相当である。もっとも,これが存在することにより,原告の労働能力に影響が生じるものと認めることはできない。 (イ) 3歯の歯科補綴及び1歯の抜歯(ウ) 開口障害上記ア(ウ)のとおり,原告の顎関節の関節突起は,下顎頭がやや内側に偏位した状態で骨折は治癒していて,完全に正常な位置には整復できていないが,現在,開口運動や咬合に問題がなく,咀嚼機能に支障を来しているとは認められない。また,高齢になると,最大開口時や固いものを摂食することにより,違和感,倦怠感,疼痛を生じるおそれがあり,その場合には治療が必要となる可能性はあるものの,それに伴って,咀嚼機能に著しい障害が生じると認めるに足りる証拠はない。以上の事情を考慮すると,原告に生じた開口障害は,原告の労働能力に影響をもたらす程度のものとは認められない。 ウ甲3の2によれば,上記イの原告の症状は,平成12年7月3日に固定したものと認められる。 4 請求の原因(4)(原告の損害)について(1) 入通院慰謝料 80万円前記のとおりの原告の受傷の部位,治療経過に照らせば,入通院慰謝料として,80万円をもって相当と認める。 (2) 後遺障害に対する慰謝料 250万円前記3(2)のとおり,原告は,後遺障害として,3歯以上の歯科補綴と男子の外貌の醜状を残し,また,顎関節の関節突起が完全に正常な位置には整復できて 害に対する慰謝料 250万円前記3(2)のとおり,原告は,後遺障害として,3歯以上の歯科補綴と男子の外貌の醜状を残し,また,顎関節の関節突起が完全に正常な位置には整復できておらず,高齢時には下顎にある程度の障害が生じるおそれがあるものであって,これらを考慮すると,後遺障害に対する慰謝料としては,250万円をもって相当と認める。 (3) 後遺障害による逸失利益 0円上記3(2)イ説示のとおり,原告の後遺障害は,その労働能力に影響をもたらすものであるということができないから,原告には,後遺障害による逸失利益を認めることができない。 5 抗弁(過失相殺)について原告が,夜間,無灯火で自転車を走行させて本件事故を惹起したこと(当事者間に争いがない。),原告は,相当程度の速度で自転車を走行していたこと(前記1(2)イ),原告は,本件事故現場と同じ町内に居住しており(甲1),本件道路は初めて通行する道路であったとは考え難いこと,以上に照らせば,本件事故の発生につき,原告にも過失があったことが認められる。 そして,前記2(2)のとおりの被告の本件道路の管理の瑕疵とを対比すれば,原告の過失割合は4割とするのが相当である。 したがって,被告が原告に対して賠償すべき損害額は,上記4(1)及び(2)の合計金員の6割である198万円となる。 6 弁護士費用弁論の全趣旨によれば,原告は,原告訴訟代理人弁護士に本訴の提起・追行を委任し,相当額の報酬を支払うことを約したものと認められるところ,本件事案の内容,審理経過,認容額等に照らせば,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害は,20万円をもって相当と認める。 7 結論以上の次第で,原告の請求 のと認められるところ,本件事案の内容,審理経過,認容額等に照らせば,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害は,20万円をもって相当と認める。 7 結論以上の次第で,原告の請求は,被告に対し,上記5及び6の合計218万円及び弁護士費用を除く内金198万円に対する本件事故の発生の翌日である平成11年11月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,64条を適用し,仮執行宣言について同法259条を適用して,主文のとおり判決する。 大津地方裁判所裁判長裁判官神吉正則裁判官澤村智子裁判官村中玲子は転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官神吉正則

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