- 1 -(被告番号1、2、5、8、12~15、18、26、28、29、31、33、36、37、39の被告らを「在寮被告ら」といい、その余の被告らを「退寮被告ら」という。) 主文 1 退寮被告らは、原告に対し、各自、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。 2 被告番号31、被告番号37及び被告番号39は、各自、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。 3 原告のその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、原告に生じたものの40分の26及び第1項及び第2項記載の被告らに生じたものは同被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは、原告に対し、各自、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。 第2 事案の概要 本件は、原告が、京都大学の学生寄宿舎である別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)に居住し又は居住していた被告らに対し、被告らは占有権原を有せず、有していたとしても喪失したなどと主張して、所有権に基づく返還請求権として、本件建物を明け渡すよう求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容 易に認められる事実。証拠番号は特記しない限り第1事件の証拠番号である。)⑴ 当事者等ア原告原告は、京都大学の設置者として、本件建物を所有している。京都大学は、国立学校設置法に基づき国により管理・運営がされてきたが、国立学 校設置法の廃止と国立大学法人法の施行に伴い、平成16年4月1日に設- 2 -立された原告が京都大学の学生寄宿舎に関する権利義務も国から承継した(国立大学法人法(平成15年法律第112号)附則9条1項、同法2 止と国立大学法人法の施行に伴い、平成16年4月1日に設- 2 -立された原告が京都大学の学生寄宿舎に関する権利義務も国から承継した(国立大学法人法(平成15年法律第112号)附則9条1項、同法22条1項7号。以下、原告が京都大学に関する権利義務を国から承継したことを「国立大学法人化」ということがある。)。 イ被告ら 在寮被告らは、本件建物に居住する者であり、京都大学の在学生である。 退寮被告らは、京都大学在学中に本件建物に居住した後、学籍を喪失した者である。 ⑵ 吉田寮について(甲4)吉田寮は、京都大学の在学生のために京都大学吉田南構内に設置された学 生寄宿舎であり、大正2年に建築された本件建物と、平成27年に建築された新棟(旧西寮)の2棟で構成されている。 本件建物は、木造の建物で、食堂、管理部、北寮、中寮、南寮で構成されている。別紙2配置図のとおり、これらはすべて廊下で繋がっており、一体として本件建物を構成している。 吉田寮の在寮生は、吉田寮自治会(以下「本件自治会」という。)を構成している。 ⑶ 本件訴訟に至る経緯ア原告は、平成29年12月19日、本件建物の耐震性に問題があるとして、「吉田寮の安全確保についての基本方針」(甲14、以下「本件基本 方針」という。)を策定、公表し、本件自治会に対して平成30年1月以降の吉田寮への新規入寮を停止するよう要請し、本件建物の在寮生に対しては同年9月末日までに退寮するよう通告した。 イ原告は、平成30年12月20日、被告番号1~30ほか12名を相手方として、本件建物について占有移転禁止の仮処分命令を申し立て、平成 31年1月8日付けで、同仮処分決定がされた(甲28、以下「本件仮処- 3 -分決定1」という。)。そして、同月17日、本 方として、本件建物について占有移転禁止の仮処分命令を申し立て、平成 31年1月8日付けで、同仮処分決定がされた(甲28、以下「本件仮処- 3 -分決定1」という。)。そして、同月17日、本件仮処分決定1に基づく執行が行われた。 ウ原告は、同年2月13日、本件建物について占有者不特定型の占有移転禁止仮処分命令を申し立て、同月21日付けで同仮処分決定がされ(甲32、以下「本件仮処分決定2」という。)。同年3月4日、本件仮処分決 定2に基づく執行が行われた。 エ原告は、同年4月26日、第1事件の訴えを提起し、令和2年3月31日、第2事件の訴えを提起した。 2 争点⑴ 本案前の争点 不起訴合意が存在するか(争点1)⑵ 本案の争点ア原告と退寮被告らとの間の争点退寮被告らが本件建物を占有しているか(争点2)イ原告と在寮被告らとの間の争点 原告と在寮被告らとの間で在寮契約が成立したか(在寮被告らの占有権原の発生、争点3)原告と在寮被告らとの間の在寮契約が終了しているか(在寮被告らの占有権原の消滅、争点4)ウ退寮被告ら及び在寮被告らに共通する争点 原告が本件建物の明渡しを求めることが権利の濫用といえるか(争点5) 3 争点に関する当事者の主張⑴ 不起訴合意が存在するか(争点1)(被告らの主張)原告と本件自治会との間には、吉田寮に関する事項について不起訴合意が 存在する。 - 4 -ア国立大学の学生寄宿舎は、国立大学法人法施行前は国有財産であり行政財産(国有財産法3条)であったが、文部大臣(文部科学大臣)により学生寄宿舎の事務は学長に分掌されていた(国有財産法5条、9条1項)。 また、国立大学法人法施行後は、学長が原告の代表者となった。そして、国立大学 産法3条)であったが、文部大臣(文部科学大臣)により学生寄宿舎の事務は学長に分掌されていた(国有財産法5条、9条1項)。 また、国立大学法人法施行後は、学長が原告の代表者となった。そして、国立大学法人法施行前後において、学生部長又は副学長が学長から学生寄 宿舎に関する事務の権限を与えられていた。下記ウの本件確約書等は、学生部長又は副学長が本件自治会との間で締結したものであり、その効力は原告に及ぶ。 イ本件自治会は権利能力なき社団であり、下記ウの本件確約書等の効力は本件自治会の構成員である被告らに及ぶ。 ウ本件自治会は、遅くとも昭和63年頃から、学生部長又は副学長との間で、吉田寮に関する事項について話し合いによって解決し、原告が一方的に決定しない旨合意し、確認書又は確約書を作成してきた。平成21年10月9日及び平成22年7月23日に作成された確約書では、吉田寮の建替えに関する紛争の解決方法として上記の合意内容が明文化され、原告と 本件自治会との間で、本件建物の老朽化による建替えに関する事項について、訴訟によることなく、話し合いに基づいて解決する旨の不起訴合意が成立した。(以下、本件自治会と学生部長又は副学長との間で締結された確認書又は確約書について、まとめて「本件確約書等」という。)(原告の主張) 原告と被告らとの間に不起訴合意は存在しない。 ア本件確約書等の効力が原告に及ばないこと本件確約書等は、当時の学生部長や副学長が京都大学を代表・代理して締結したものではなく、個人として締結した文書であるから、原告を拘束するものではない。 さらに、平成28年3月当時の副学長は、前任の副学長作成の確約書を- 5 -承認することを拒否し、確約書を作成しなかったため、現時点において本件確約書等に法 告を拘束するものではない。 さらに、平成28年3月当時の副学長は、前任の副学長作成の確約書を- 5 -承認することを拒否し、確約書を作成しなかったため、現時点において本件確約書等に法的拘束力はない。 仮に、本件確約書等が原告に効果が帰属しうる文書であったとしても、不起訴合意は大学の管理運営に関する重要事項等(京都大学本部事務決裁等規程3条1項1、2、6、8号のいずれか)に当たるため、少なくとも 総長(国立大学法人法上の学長は、京都大学では総長と呼ばれる。)の決裁が必要である上、国立大学法人法11条3項5号及び国立大学法人京都大学役員会規程3条6号により重要事項として役員会において審議・決議すべき事項であるところ、本件確約書等はいずれもこれらを欠くため、原告にはその効力は及ばない。 イ本件確約書等の効力が被告らに及ばないこと本件自治会は権利能力なき社団には当たらないから、本件確約書等の効力が吉田寮の在寮生にすぎない被告らに及ぶことはない。 仮に本件自治会が権利能力なき社団であったとしても、不起訴合意は総有の対象にはならないし、構成員個人を拘束するものではない。構成員個 人にその効果が帰属するというためには、本件自治会の代表者が構成員個人を代理したことが必要であるが、そのような事実はない。 ウ本件確約書等の内容に不起訴合意の趣旨を読み取れないこと不起訴合意は、憲法上保障される裁判を受ける権利を放棄するという重要な効果を有することに照らすと、その成立には明確な合意が必要である と解するべきところ、本件確約書等には、訴訟提起をしない旨を定めた文言は存在しない。吉田寮運営や老朽化対策等について京都大学当局が在寮生側と話し合うことなく一方的な決定を下さないという程度の記載しかなく、協議や合意が 本件確約書等には、訴訟提起をしない旨を定めた文言は存在しない。吉田寮運営や老朽化対策等について京都大学当局が在寮生側と話し合うことなく一方的な決定を下さないという程度の記載しかなく、協議や合意が妥結しなければ本件建物の明渡請求をすることができないということではないから、本件確約書等が不起訴合意であるとはいえ ない。 - 6 -⑵ 退寮被告らが本件建物を占有しているか(争点2)(原告の主張)退寮被告らは、本件建物を占有している。 ア退寮被告らは、その在学中に本件建物を占有していた。原告は、第1事件の訴訟提起後、退寮被告らに対し、すでに本件建物を退去している場合 は直ちに連絡するように伝えるとともに、退去報告書の提出を求めた。退去報告書には、退去したことの報告のほか、残置物がないことを確認したこと、残置物の所有権を放棄すること及び本件建物に今後立ち入らないことを約束する旨が記載されており、原告は、退去報告書の提出をもって提出者が本件建物の占有を喪失したものと扱った。しかし、退寮被告らは、 原告に対し、退去報告書を提出しなかったか、不完全な退去報告書を提出した(残置物や今後の立入り等について言及せず転居の報告のみを行ったもの、本件建物から食堂を除外する形で退去報告を行ったものなど)。原告が退去報告書を送付したにもかかわらず、退寮被告らがあえてこれを提出しないことからすれば、私物等を残置していたり、今後も本件建物に立 ち入る意思を有していたりすると言わざるを得ず、退寮被告らが本件建物の占有を喪失したとはいえず、現時点でも占有しているものといえる。 イまた、本件仮処分決定1及び同2により、退寮被告らは本件建物の占有を喪失したことを主張することができない。 占有移転禁止の仮処分執行後に目的物である建物の占 時点でも占有しているものといえる。 イまた、本件仮処分決定1及び同2により、退寮被告らは本件建物の占有を喪失したことを主張することができない。 占有移転禁止の仮処分執行後に目的物である建物の占有が第三者に移転 された事案において、仮処分債権者は、仮処分債務者の占有喪失につき何ら顧慮することなく、仮処分債務者を被告としたままで本案訴訟を追行することができるのであり、仮処分債務者は仮処分債権者に対しその占有を喪失したことを主張することは許されない(最高裁昭和46年1月21日第一小法廷判決・民集25巻1号25頁、以下「昭和46年判決」という。)。 (退寮被告らの主張)- 7 -退寮被告らは、本件建物をもはや占有していない。 ア退寮被告らは、退寮の意思を明確に示して本件建物から退去しているから、占有の意思を放棄し、本件建物の占有を喪失している。 イ退寮被告らは、本件建物を退去する際、在寮生に自己の占有を引き渡す意思を有しておらず、その占有を第三者に移転していない。昭和46年判 決の判断は妥当せず、退寮被告らは占有の喪失を主張することができる。 原告は、退寮被告らの学籍の有無を知り得る立場にある上、訴状には退寮被告らの一部について住所地を本件建物以外と明示しているのであるから、占有状態をあずかり知らない仮処分債権者には当たらず、当事者恒定効を肯定すべきとはいえない。 ⑶ 原告と在寮被告らとの間で在寮契約が成立したか(争点3)(在寮被告らの主張)原告と在寮被告らとの間には、本件建物に居住するという内容の在寮契約が成立しており、在寮被告らは本件建物に関する占有権原を有している。 ア京都大学当局と本件自治会は、昭和46年、本件自治会が吉田寮の入寮 選考手続を行う旨を合意し、昭和47年には京都 寮契約が成立しており、在寮被告らは本件建物に関する占有権原を有している。 ア京都大学当局と本件自治会は、昭和46年、本件自治会が吉田寮の入寮 選考手続を行う旨を合意し、昭和47年には京都大学当局が本件自治会による吉田寮の自主管理を認める旨を合意した。それ以降、平成10年、平成11年、平成16年及び平成27年にも同様の合意がされ、本件確約書等が作成された。 平成16年以降の在寮生の占有態様及びこれに対して一連の本件確約書 等を作成した原告及び京都大学当局の対応からすれば、原告は、本件自治会に対して吉田寮の入寮選考手続を行う権限を与え、選考を合格して吉田寮に入寮した者との間で、吉田寮に居住するという内容の在寮契約を締結又はこれを追認していたといえる。 イ在寮被告らは、本件自治会が行った入寮選考手続によって吉田寮に入寮 しており、その時点で在寮契約が成立した。 - 8 -(原告の主張)原告と在寮被告らとの間に在寮契約は成立しておらず、在寮被告らには本件建物に関する占有権原はない。 ア本件建物の性質上、契約関係は存在しないこと京都大学が平成16年に国立大学法人化される以前については、本件建 物は国有財産であり、京都大学当局(国)により自治的に管理される施設であったため、本件建物に私権の設定をすることはできず(国有財産法3条2項、18条1項)、入寮者は、京都大学当局により自治的に管理される施設の利用を容認されていたにすぎなかった。京都大学が国立大学法人化した後は、原告が本件建物の施設管理権を有し、入寮者は、原告の自治 的管理に服する福利厚生施設である本件建物の利用を容認されているにすぎないことは変わらない。 イ本件自治会に原告を拘束する在寮契約を締結する権限はないこと本件建物の入寮手続は 告の自治 的管理に服する福利厚生施設である本件建物の利用を容認されているにすぎないことは変わらない。 イ本件自治会に原告を拘束する在寮契約を締結する権限はないこと本件建物の入寮手続は本件自治会が行っているが、原告は、本件自治会に入寮に関する法的権限を与えたことはなく、本件自治会の入寮選考手続 によって入寮した在寮被告らに本件建物の占有権原はない。 ⑷ 原告と在寮被告らとの間の在寮契約が終了しているか(争点4)(原告の主張)原告と在寮被告らとの間に在寮契約が成立したとしても、同契約は終了しており、在寮被告らは占有権原を喪失している。 ア在寮契約の性質は使用貸借契約に類似した無名契約であること吉田寮の寄宿料は月額400円と極めて低額であるから、在寮契約が使用貸借契約に類似した無名契約であることは明らかである。 イ在寮契約が終了していること原告は、本件基本方針を公表し、これに基づく退寮通告により在寮契約 を解除したから、同方針に定めた本件建物の退去完了期限である平成30- 9 -年9月末日の経過をもって在寮契約は終了した。 本件建物が原告の所有する福利厚生施設であることからすれば、契約解除には福利厚生の観点から原告に広範な裁量が認められるところ、原告は次の2つの解除原因によって在寮契約を解除した。 在寮被告らが使用目的に従った使用を終えたこと 在寮契約における在寮被告らの本件建物の使用目的は、低廉な寄宿料で大学周辺に居住することにより在学目的を達成することにある。 原告は、在寮被告らに対し、本件建物の退去にあたり同額の寄宿料での代替宿舎の提供及び転居費用の負担さえ申し出ており、在寮被告らは追加の経済的負担なく、大学周辺の居住場所で在学目的を達成すること ができる。そう に対し、本件建物の退去にあたり同額の寄宿料での代替宿舎の提供及び転居費用の負担さえ申し出ており、在寮被告らは追加の経済的負担なく、大学周辺の居住場所で在学目的を達成すること ができる。そうすると、在寮被告らが本件建物自体を使用する必要性は失われており、その使用目的に従った使用を終えたものといえる。 やむを得ない事由があること原告は、本件建物を管理すべき立場にあり、在寮生との関係では在学契約に基づく安全配慮義務を負うから、老朽化によって倒壊する危険性 がある本件建物から、在寮生を退去させその安全を守る必要性がある。 そこで、原告は、平成27年3月に吉田寮新棟を建て、本件建物の入寮募集を停止し、順次、在寮生が新棟に転居することで本件建物からの完全な退去を完了させることを計画した。しかし、本件自治会が原告の求めに応じず、入寮募集を停止しなかったため、新棟への転居による本件 建物の退去が不可能となった。 また、在寮被告らを含む本件自治会は、原告の要請に反して収容定員を上回る入寮募集を強行した上、学外者を無断で入居させたり、新棟内の設備を損壊したり、食堂に多数の落書きを加えたりした。さらに、原告の職員による点検を妨害して同職員を取り囲んだり、同職員の自転車 のタイヤをパンクさせたりした。 - 10 -このような事情に加え、上記のとおり、在寮被告らが本件建物自体に居住する必要性が高くないことからすれば、在寮契約を終了させることについて「やむを得ない事由」があるといえるから、原告が在寮契約を解除することは許されるべきである。 (在寮被告らの主張) 原告と在寮被告らとの間の在寮契約は終了していない。 ア在寮契約の性質は使用貸借契約ではなく、賃貸借契約であること使用貸借契約と賃貸借契約の区別は、貸借 である。 (在寮被告らの主張) 原告と在寮被告らとの間の在寮契約は終了していない。 ア在寮契約の性質は使用貸借契約ではなく、賃貸借契約であること使用貸借契約と賃貸借契約の区別は、貸借に対価を伴うか否かによるが、対価性は客観的な事情に加えて当事者の主観的認識も踏まえて判断するべきである。 客観的事情在寮契約の性質は、京都大学における学生納付金に関する規程が定める吉田寮を含むすべての寮の寄宿料の性質を踏まえて、統一的に解釈されるべきである。同規程上、吉田寮の寄宿料は月額400円と低額であるが、女子寮の寄宿料は月額2万5000円と定められていることから すると、寄宿料に対価性がないということはできない。さらに、吉田寮の寄宿料が低廉に設定されている理由の一つは、本来京都大学が行うべき本件建物の修繕を在寮生が行っているためであるから、寄宿料には対価性があるものといえる。 原告及び在寮被告らの主観的認識 「学寮における経費の負担区分について」と題する文部省通達には、寄宿料を在寮生が負担し、施設・設備の修繕補修費を大学側が負担する旨規定されており、規定ぶりが賃貸借契約における借主の義務(民法601条)、貸主の義務(民法606条)と同一である。また、京都大学が、同文部省通達の内容を踏襲し、寄宿料について「施設・設備の使用 料」と定めていることからすれば、原告及び在寮被告ら双方が在寮契約- 11 -は賃貸借契約であると認識していたというべきである。 イ在寮契約が使用貸借契約だとしても終了していないこと使用目的に従った使用を終えていないこと在寮被告らは、在寮契約における本件建物の使用目的に従った使用を終えていない。使用目的には、低廉な寄宿料で大学周辺に居住すること のみではなく、 と使用目的に従った使用を終えていないこと在寮被告らは、在寮契約における本件建物の使用目的に従った使用を終えていない。使用目的には、低廉な寄宿料で大学周辺に居住すること のみではなく、共同生活を通じた人格的成長という教育目的もあり、それは原告が提供する代替宿舎のワンルームマンションでは達成できない。 「やむを得ない事由」による解除は認められないこと民法上、使用貸借契約において「やむを得ない事由」による解除を認 める条文はない。解釈上も認めるべき根拠はない。 仮に解釈上認められるとしても、本件で「やむを得ない事由」はない。 原告は、本件建物が老朽化によって倒壊する危険性があることをもって「やむを得ない事由」にあたると主張するが、そもそも本件建物は倒壊の危険性があるほどに老朽化していない。また、老朽化が「やむを得 ない事由」にあたることの根拠は全く示されていない。京都大学学生寄宿舎規程16条には退寮事由が定められているところ、同条は退寮事由を学生寄宿舎の秩序を乱した場合、健康上集団生活に不適当と認められた場合及び所定の期日までに寄宿料及び光熱水料を納付しない場合とのみ規定する。退寮事由として建物の老朽化は定められておらず、包括規 定も存在しない。 ⑸ 原告が本件建物の明渡しを求めることが権利の濫用といえるか(争点5)(被告らの主張)ア吉田寮は、その運営について在寮生の総意によって定めた規則によるべきとして、舎生規約及び一部の慣習を成文化した自治憲章に基づいて運営 され、京都大学学生寄宿舎規程が成立した昭和34年以降も、本件自治会- 12 -と大学当局の話し合いによる合意形成に基づく運営体制が継続していた。 その合意内容を明らかにしたものが本件確約書等である。本件確約書等は、長年に が成立した昭和34年以降も、本件自治会- 12 -と大学当局の話し合いによる合意形成に基づく運営体制が継続していた。 その合意内容を明らかにしたものが本件確約書等である。本件確約書等は、長年にわたり、本件自治会及び京都大学との間で、吉田寮の自治運営内容の基礎となっており、単なる合意を超えた慣習として両当事者を拘束してきたものである。そうであるにもかかわらず、原告は一方的に本件確約書 等を破棄して本件訴訟提起を行ったのであり、慣習によって生じた一方当事者の法的な期待(話し合いによる解決を図り、国家権力に属する司法権力の下での紛争としないこと)を無視する自己矛盾行動であって、その違法性の程度は甚だしく、権利の濫用に当たる。 イ原告は、本件訴訟において既に吉田寮を退寮した退寮被告らをも被告と しており、法的に無意味であることを知りながら訴訟を提起している。その目的は、退寮被告らに対する嫌がらせ目的以外に考えられず、原告の行為は勝訴を得て被告らから占有を回収することを目的としていないことは明白であり、このような不当な目的による原告の訴えは、権利の濫用として却下されるべきである。 (原告の主張)本件確約書等の効力が原告に及ばないことについて、上記⑴(争点1)(原告の主張)に同じ。 仮に本件確約書等の効力が原告に及ぶとしても、本件訴訟を提起することについて原告に不当な目的はなく、権利の濫用と評価されるはずがない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実後掲証拠(枝番号を含む。人証については姓のみで挙示する。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 京都大学学生寄宿舎規程の定め、吉田寮自治会自治憲章の定めと吉田寮に おける実際の管理運営- 13 -ア昭和34年4月1日施行の京 論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 京都大学学生寄宿舎規程の定め、吉田寮自治会自治憲章の定めと吉田寮に おける実際の管理運営- 13 -ア昭和34年4月1日施行の京都大学学生寄宿舎規程(甲21)上記規程(以下「本件規程」という。)の主な定めは次のとおりである。 1条本学の学生寄宿舎は、次の各寮とし、厚生補導担当の副学長が管理する(なお、「厚生補導担当の副学長」の部分は、後記⑵アのとおり、平成10年4月までは「学生部長」と定められていたと解される。)。 京都大学学生寄宿舎吉田寮(以下略)3条1項学生寄宿舎は、学部学生に限り入舎させる。 2項入舎を希望する者は、所定の書類を副学長に提出しなければならない。 4条入舎する者の選考は、寮生代表の意見をきいて、副学長が行う。 9条1項寄宿料の月額は、京都大学における学生納付金に関する規程の定めるところによる。 なお、同規程では、吉田寮の寄宿料は月額400円、女子寮の寄宿料は月額2万5000円と定められている(乙57)。 13条在舎期間は、入学年から起算して、正規の卒業年までとする。 15条学籍を失ったとき及び休学を許可され、又は命ぜられたときは、退舎しなければならない。 16条1項次の各号の一に該当するときは、退舎させることがある。 1号学生寄宿舎の秩序を乱した場合2号健康上集団生活に不適当と認められた場合 3号所定の期日までに寄宿料及び光熱水料を納付しない場合イ吉田寮自治会自治憲章(乙59)本件自治会は、吉田寮自治会自治憲章に基づき運営されている。吉田寮自治会自治憲章の主な定めは次のとおりである。 2条本寮の寮生全員は吉田寮自治会を構成する。 5条1 )本件自治会は、吉田寮自治会自治憲章に基づき運営されている。吉田寮自治会自治憲章の主な定めは次のとおりである。 2条本寮の寮生全員は吉田寮自治会を構成する。 5条1項寮生とは京都大学学生及び京都大学学生との同居の切実な必要- 14 -性を入寮選考委員会が認めた者のうち、入寮選考委員会細則に定める正規の手続きを経て入寮を許された者をいう。 11条寮生大会の決議は本自治会の最高の意志を決定する。 12条1項寮生大会は全寮生でこれを構成する。 13条1項寮生大会の議事は棄権を除く出席数の過半数の賛成で決す る。 59条入寮選考委員会は本寮への入寮希望者の選考及び選考事務一般、退寮者に対する事務一般にあたる機関である。 63条入寮選考委員会は、入寮選考委員会細則に基づきその職務を行う。 65条5項庶務部は、主として共同会計の管理・宿泊者管理等の庶務を 行う専門部である。 ウ吉田寮における実際の管理運営吉田寮は、全面的に本件自治会による管理・運営が行われており、京都大学当局が本件建物に立ち入るのは、本件自治会が設備の点検や修繕を要望した場合に限られていた(証人甲・3、4頁)。本件規程1条は、 実際には相当程度限定されて適用されていた。 昭和46年から、吉田寮の入寮希望者の募集や選考は、本件自治会入寮選考委員会によって行われており、京都大学当局は入寮者の選考に関わっていなかった(後記⑵イ、被告番号9・3、4頁)。本件規程3条2項、4条は、実際には適用されていなかった。なお、入寮者名簿は 本件自治会から京都大学当局に提出されていたが、部屋割りは報告されていなかった(証人甲・2頁)。 入寮資格は、本件自治会と京都 条は、実際には適用されていなかった。なお、入寮者名簿は 本件自治会から京都大学当局に提出されていたが、部屋割りは報告されていなかった(証人甲・2頁)。 入寮資格は、本件自治会と京都大学当局との協議を経て、京都大学の学籍を持つ者とされており(乙81・4頁)、在寮生には、正規の卒業年に達していない学部学生のほかに、大学院生、休学中の者、留年をし た者が含まれている(乙78・2頁、80・1頁、81・2頁、83・- 15 -1頁)。本件規程3条1項、13条及び15条(休学に関する部分。)は、実際には適用されていなかった。 ⑵ 本件確約書等ア本件確約書等に署名した京都大学の担当者副学長は、総長を補佐し、総長が定める事項を処理することがその職 務とされている(京都大学副学長に関する規程2条)。京都大学においては、平成10年4月に副学長の役職が創設された。厚生補導担当の副学長が、吉田寮の管理権者であり(前記⑴ア)、学生の寄宿舎に関して重要なものについて決裁を行うこととされており(京都大学本部事務決裁等規程3条2項、別表第2、京都大学本部事務分掌規程22条3号)、 後記イ~のとおり、同月以降に作成された本件確約書等には厚生補導担当の副学長が署名していた。(乙53~55、弁論の全趣旨)学生部長は、副学長の役職創設前に、本件確約書等に署名していた役職者である。副学長の役職創設直前に作成された平成10年3月3日付け確認書(後記イ)において、最終項に「吉田寮自治会と確認した以 上の点に関して、今までの学生部長の役割を担う次期以降の教官に責任をもって引き継ぐ。」と記載され、上記の「今までの学生部長の役割を担う次期以降の教官」とは副学長と解されること、副学長の地位創設後に初めて作成された同年7月 学生部長の役割を担う次期以降の教官に責任をもって引き継ぐ。」と記載され、上記の「今までの学生部長の役割を担う次期以降の教官」とは副学長と解されること、副学長の地位創設後に初めて作成された同年7月2日付け確認書において、副学長が同年3月3日付け確認書と基本的に同様の内容を確認していること(後記イ) からすれば、学生部長は、副学長の役職創設前は、学生寄宿舎に関して副学長と同じ権限を有していたと認められる。 学生生活委員会は、学生の補導に関する事項を協議処理する組織で、同委員会第三小委員会(以下、単に「第三小委員会」という。)は学生寄宿舎に関する問題を担当している。下記イの本件確約書等(同を除 く。)は、第三小委員会における内容の検討を経て学生部長又は副学長- 16 -が署名していた(乙76・2、3頁)。 イ本件確約書等の内容昭和46年2月22日付け確認書(乙3)学生部長及び吉田寮執行委員会の代表者名義で作成されている。来年度以降の入寮者募集・選考・決定・入寮確認を委員会が行い、学生部は 選考行為に対しいかなる妨害も類似行為も行わない旨が記載されている。 昭和47年7月1日付け確約書(乙5)学生部長及び吉田寮委員長名義で作成されている。「寮自治会の行う寮の自主管理、自主選考についてその内容の如何にかかわらずこれを認 める。入退寮権は寮自治会が一切行使することを認める。」と記載されている。 昭和63年8月4日付け書面(乙6)本件自治会に宛てて第三小委員会委員長名義で作成されている。「これまでの吉田寮への補修を行ってこなかったことを認める。」「今後吉 田寮の補修を行うよう努力する。」「話し合いの議題も含めて、寮に関することはすべて寮自治会と話し合い合意の上で決定する。」 これまでの吉田寮への補修を行ってこなかったことを認める。」「今後吉 田寮の補修を行うよう努力する。」「話し合いの議題も含めて、寮に関することはすべて寮自治会と話し合い合意の上で決定する。」と記載されている。 平成4年11月18日付け確認書(乙11)本件自治会に宛てて学生部長名義で作成されている。「1.吉田寮の 補修を、食堂をはじめとする共通部分も含め、今後も継続して行う。」「2.吉田寮の運営については、今後も寮生と話し合い、寮生の自治によるものとする。」「4.その抜本的解決策として、新寮の建設に向けて努力する。」「5.学生部長が担当する施設に関しても、当事者と話し合うことなく一方的な決定を下さない。なお、話し合いは公開の場で 行う。」と記載されている。 - 17 -平成9年6月24日付け確認書(乙12)学生部長名義で作成されている。「今後、学生に関わることについては、いかなることも可能な限り早く学生に周知し、学生との合意なしに決定を下さない。」「今後もこの問題に関して、公開の場で学生と話し合いを継続する。」と記載されている。 平成10年3月3日付け確認書(乙14)学生部長及び本件自治会名義で作成されている。「吉田寮の運営については、今後とも寮生と話し合い、寮生の自治によるものとする。」「吉田寮に補修が必要な箇所がある。食堂をはじめとする共通部分も含め、今後も補修を継続して行う。」「その抜本的解決策として、新寮の建設 に向けて努力する。」「学生などに関わることについては、いかなる事も可能な限り早く学生など当事者に周知し、当事者との合意なしに決定を下さない。」と記載されている。 平成10年7月2日付け、平成11年10月20日付け、平成13年6月27日付けの各確認書(乙15、18 な限り早く学生など当事者に周知し、当事者との合意なしに決定を下さない。」と記載されている。 平成10年7月2日付け、平成11年10月20日付け、平成13年6月27日付けの各確認書(乙15、18、19) 副学長及び本件自治会名義で作成されている。その内容は、平成10年3月3日付け確認書(上記)と基本的に同様である。 平成16年4月6日付け確認書(乙21、弁論の全趣旨)国立大学法人化を控えた平成15年11月、総長と本件自治会を含む京都大学の学生団体との間で協議がされ、その結果を踏まえて総長が同 年12月に表明した内容を、国立大学法人化後に副学長が文書化したものである。 学生寄宿舎に関する記載として、次のものがある。「これまで大学と学生など当事者との間でなされてきた話し合いの内容や交わされた確約については、法人化後も責任を持って引き継ぐ。」「福利厚生・自主活 動の場(寮、(省略)など)において行われてきた学生など当事者によ- 18 -る自主管理の意義を認め、その慣行を尊重する。」「法人化後、福利厚生・自主活動の場に対して、評価による制裁を通じた間接的なものを含め、政府による介入は絶対にない。」平成16年4月28日付け確約書(乙22)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「1.吉田寮の運営 については今後とも寮生と団体交渉を行い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が自治・自主管理により吉田寮を運営するものとする。」と記載されているほか、その他の内容は平成10年3月3日付け確認書(上記)と同様である。 平成21年10月9日付け、平成23年3月8日付けの各確約書(乙 25、27)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行な 様である。 平成21年10月9日付け、平成23年3月8日付けの各確約書(乙 25、27)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行なわず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。」「大学当局と吉田寮自治会は、吉田寮の新寮・新規寮の建設と現吉田寮の老朽化対策について、誠意を持って合意を形成す る努力を行う。」旨記載されている。 平成24年4月24日付け確約書(乙28)副学長名義で作成されている。「今後、吉田寮食堂の存廃・A棟の条件・現寮の老朽化対策などの事柄に関して吉田寮自治会との団体交渉を含む話し合いを継続することを、ここに責任ある担当副学長として確約 する。」「また、教職員、警察または警備員を導入した吉田寮食堂の強制的な撤去を行わない。」と記載されている。 平成24年9月18日付け確約書(乙29)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「吉田寮の耐震強度を十分なものとし、寮生の生命・財産を速やかに守るために、吉田寮現 棟を補修することが有効な手段であることを認める。」「大学当局は、- 19 -本確約末尾に示す『吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義』を認め、その意義をできうるかぎり損なわない補修の実現に向けて、今後も協議を続けていく。」「吉田寮食堂には現存地において現在の姿を最大限残した形での耐震補修を行う。補修方法の詳細については今後も継続して協議を行う。」と記載されている。 なお、平成27年3月、吉田寮新棟の建築とともに、食堂に対する全面的な改修工事がされた(争いがない)。 平成27年2月12日付け確約書(乙35)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「学生などに関わることについては学生など当事者と話し 堂に対する全面的な改修工事がされた(争いがない)。 平成27年2月12日付け確約書(乙35)副学長及び本件自治会の名義で作成されている。「学生などに関わることについては学生など当事者と話し合うことなく一方的な決定を行わ ない。」と記載されているほか、その他の内容は平成21年10月9日付け、平成23年3月8日付け及び平成24年9月18日付け確約書の内容(前記、)と同様である。 ⑶ 吉田寮の入寮・退去に関わる原告と本件自治会との間の折衝ア原告は、本件自治会に対し、平成27年7月28日、「吉田寮の入寮者 募集について」と題する通知を発して、吉田寮の新規入寮募集を行わないように要請した。(乙61)イ副学長は、平成27年7月30日付け確約書において、本件自治会に対し、「『吉田寮の入寮者募集について』はあくまで理事・副学長会議としての提案にすぎず、決定ではない。提案は撤回することが可能である。今 後文書の撤回に向けた吉田寮自治会との団体交渉を行う。」旨表明した。 (乙33)ウ原告は、本件自治会に対し、平成28年2月、同年8月、平成29年2月及び同年8月の4回にわたり、「吉田寮の入寮者募集について」と題する通知を発して、吉田寮の新規入寮募集を行わないように要請した。(甲 53~55)- 20 -エ副学長は、平成28年3月7日、「吉田寮自治会との話し合いのあり方等について」と題する文書を本件自治会に送付した。同文書には、前任副学長が署名した確約書を自動的に承認することが「引継」であるとは考えていない、副学長が提示する話し合いの形をもって本件自治会との間で話し合いをしたい旨記載されている。(甲49) オ原告は、平成29年12月19日、本件基本方針を策定し、原告のホームページに掲載し い、副学長が提示する話し合いの形をもって本件自治会との間で話し合いをしたい旨記載されている。(甲49) オ原告は、平成29年12月19日、本件基本方針を策定し、原告のホームページに掲載して公表した。その内容は次のとおりである。(甲14)① 平成30年1月以降、吉田寮への新規入寮は認めない。これは平成29年12月19日時点までに吉田寮に入寮した者についてはその入寮を認めつつ、同日以降は入寮を認めない趣旨である。 ② 平成30年9月末日までに、吉田寮の在寮生は全員退寮しなければならない。 ③ 退寮にあたり、平成30年4月時点で京都大学の正規学生の学籍を有する在寮生については、希望者に原告が代替宿舎を用意し、代替宿舎には現行の寄宿料である月額400円で居住させる。 原告は、平成29年12月19日、本件基本方針に基づき、吉田寮の在寮生及びその保護者に宛てて、平成30年9月末日までに吉田寮の退寮を要請する文書を送付した。(甲15~18)カ本件自治会は、平成30年3月まで吉田寮の新規入寮募集を行った(甲25)。本件自治会が作成した在寮生名簿には、平成30年9月28日時 点で、吉田寮の在寮生数は180名(そのうち名前を公表しない在寮生が15名)であること、名前が判明している在寮生165名各人の入寮日、そのうち115名が本件建物に居住していること、本件建物に居住する在寮生の中には被告ら(被告番号24、31、32、37~40を除く。)が含まれていることが記載されている(甲6)。 キ原告は、平成30年10月1日及び同月15日に、本件建物の玄関に、- 21 -退去していない在寮生は直ちに退去するよう通告書を掲示した(甲19の1、19の2)。その際、京都大学の職員が吉田寮の敷地内に立ち入り、吉田寮の 日及び同月15日に、本件建物の玄関に、- 21 -退去していない在寮生は直ちに退去するよう通告書を掲示した(甲19の1、19の2)。その際、京都大学の職員が吉田寮の敷地内に立ち入り、吉田寮の施設内点検を行おうとしたところ、本件自治会の構成員である被告番号2、8及び29に進路を阻まれ、施設内点検をすることができないまま吉田寮敷地内から離れざるをえなかった(甲26、証人甲)。 ク原告は、同年12月3日、本件建物の玄関に、退去していない在寮生は直ちに退去するよう通告書を改めて掲示した。(甲19の3)⑷ 占有移転禁止の仮処分執行時における本件建物の占有状況(甲29、33)ア執行官は、平成31年1月17日、本件仮処分決定1に基づく執行を行った。 執行官が、本件建物に臨場すると、在寮生と思われる者が20名以上集まった。その者ら(以下「立会者」という。)は、執行官に対し、本件仮処分決定1の債務者ら以外の在寮生もいるため、同債務者らの居室と認定できない居室には立ち入らないよう求めた。執行官は、立会者のうち2名が被告番号1及び訴外乙(本件仮処分決定1の債務者ではないし、本件訴 訟の被告でもない者)であることを確認したが、他の立会者は氏名を答えなかった。執行官は、立会者に対し、本件仮処分決定1の債務者の氏名を読み上げ、同人らの居住の有無の確認を行ったが、「分からない。」という回答を受けた。また、執行官は、入寮者の募集、選考、決定、居室の部屋割り等について質問したり、在寮生名簿の提出を求めたりしたが、いず れに対しても「分からない。」との回答を受けた。 債権者代理人(本件訴訟の原告代理人)が、①本件自治会から提出された名簿をもとに本件仮処分決定1の債務者らが本件建物に居住していることを確認した、②吉田寮の入寮手 分からない。」との回答を受けた。 債権者代理人(本件訴訟の原告代理人)が、①本件自治会から提出された名簿をもとに本件仮処分決定1の債務者らが本件建物に居住していることを確認した、②吉田寮の入寮手続は本件自治会が行っており、原告は在寮生を把握できないと陳述したので、執行官は、本件仮処分決定1の債 務者ら(被告番号1~30を含む)が本件建物を占有しているものと認め- 22 -た。 イ執行官は、平成31年3月4日、本件仮処分決定2に基づく執行を行った。 執行官が、本件建物に臨場すると、在寮生と思われる者が20名以上立会した。執行官は、立会者から本件自治会が作成した本件建物の部屋割り 一覧表の提示を受け、その案内で、本件建物内の占有状況を確認した。その際、立会者から次の説明を受けた。 ① 北寮、中寮及び南寮においては、防火扉より東側の各部屋を居室として在寮生に部屋割りをしており、防火扉より西側の各部屋及び食堂は在寮生が共用部分として使用している。 ② 吉田寮の部屋割りは、本件自治会が行ったものであり、執行官に提示した部屋割り一覧表は本件自治会が作成したものである。 ③ 本件建物の各居室の部屋割りを受けている者は、全員が本件自治会に所属している。 ④ 部屋割りをされていない居室(空き部屋)にも荷物が置かれているが、 これは退寮生が残置したものであったり、在寮生が置いている荷物であったりする。本件自治会から部屋割りを受けている者以外は本件建物に居住していない。 ⑤ 部屋割りをされていない部屋(空き部屋)の中には、鍵がかけられた居室があるが、鍵は本件自治会が管理している。 執行官は、被告番号1~24、31~40が本件建物を占有しているものと認めた。 2 争点に対する判断⑴ 不起訴合意が存在す 鍵がかけられた居室があるが、鍵は本件自治会が管理している。 執行官は、被告番号1~24、31~40が本件建物を占有しているものと認めた。 2 争点に対する判断⑴ 不起訴合意が存在するか(争点1)ア本件確約書等の効力が原告に及ぶか 認定事実⑵アのとおり、副学長は、学生寄宿舎に関する決裁権を有して- 23 -おり、学生部長も同様であったのであるから、副学長又は学生部長が署名して作成された本件確約書等は、原告に効力が及ぶものと認められる。 原告は、平成28年当時の副学長が前任の副学長作成の確約書を承認することを拒んだため、現時点において本件確約書等の効力は原告に及ばないと主張するが、副学長は、前任者の署名した確約書のすべてを承認する ことが引継ぎとは考えていないと表明したにすぎず(認定事実⑶エ)、副学長が上記の引継ぎを拒んだとまでは認められないので、本件確約書等の効力が原告に及ばないということはできない。 また、原告は、本件確約書等には総長の決裁がされていないと主張するが、本件確約書等の内容は学生寄宿舎の運営に関する事項であり、原告の 挙げる京都大学本部事務決裁等規程3条1項1号(大学の管理運営又は教育研究に関する重要事項についての方針の決定に関すること)、2号(大学の組織又は制度に関することで重要なこと)、6号(学生の厚生補導に関することで特に重要なこと)、8号(前各号に定めるもののほか、特に重要なこと)のいずれにも該当するとは認められない。 イ本件確約書等の効力は被告らに及ぶか認定事実⑴イのとおり、本件自治会は、京都大学に学籍を置く吉田寮の在寮生で構成される団体で、団体としての組織を備え、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続しており、多数決の原則が行なわれ、その組織に ⑴イのとおり、本件自治会は、京都大学に学籍を置く吉田寮の在寮生で構成される団体で、団体としての組織を備え、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続しており、多数決の原則が行なわれ、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主 要な点が確定している。 したがって、本件自治会は法人格なき社団であり、本件自治会を当事者として作成された本件確約書等の効力は、本件自治会の構成員である被告らに及ぶと認められる。 ウ本件確約書等に不起訴合意が含まれているか 本件確約書等には、吉田寮の運営に関して京都大学と本件自治会が合意- 24 -の上で決定すること、原告が警察等を導入した吉田寮食堂の強制的な撤去を行わないことを約束した旨記載されている(認定事実⑵イ)。もっとも、原告が合意の形成なくして吉田寮の在寮生に対して本件建物の明渡しを求めないと約束したという内容に読み取ることはできないし、本件建物の明渡しを求める手段として訴訟を提起しないことを約束した趣旨のもの であると読み取ることもできない。 したがって、本件確約書等が作成されたことをもって、原告と被告らを含む本件自治会との間で不起訴合意があったと認めることはできない。 ⑵ 退寮被告らが本件建物を占有しているか(争点2)ア本件建物においては、部屋割りはされているものの、複数人で部屋が使 用されていること(甲36・2頁)、本件自治会は、京都大学当局に対して、在寮生の部屋割りを明らかにしていなかったこと(認定事実⑴ウ)、本件建物内には、食堂、茶室等の多くの共用スペースがあること(乙82・15~19頁)、共用スペースにも個室にも退寮生の残した書籍や生活用品が引き継がれていること(認定事実⑷イ④、乙82・8頁)からすれ ば、本件自 茶室等の多くの共用スペースがあること(乙82・15~19頁)、共用スペースにも個室にも退寮生の残した書籍や生活用品が引き継がれていること(認定事実⑷イ④、乙82・8頁)からすれ ば、本件自治会の構成員は、本件建物を共同占有していたと認められる。 そして、原告は、第1事件の訴え提起後、退寮被告らに対し、残置物の撤去を含め、本件建物から完全に退去した旨記載した退去報告書(第2事件甲45)の提出を求めたが、提出されておらず(弁論の全趣旨)、本件訴訟においても、退寮被告らの退去の事実を具体的に立証しないことから すれば、本件建物についての退寮被告らの共同占有が解消されたとは認め難く、退寮被告らも依然として本件建物を占有していると認められる。 イ仮に退寮被告らが本件仮処分決定1又は本件仮処分決定2の執行後に本件建物から退去していたとしても、次のとおり、退寮被告らが原告に対して本件建物の占有を喪失したことを主張することは許されない。 仮処分決定の執行を受けた仮処分債務者が同決定に違反して占有を- 25 -他に移転しても、仮処分債務者は、仮処分債権者に対してその占有喪失を主張することは許されない(昭和46年判決)。 被告番号24、32、38及び40を除く退寮被告らは、本件自治会が作成した在寮生名簿に、平成30年9月28日時点での在寮生として記載されていたから(認定事実⑶カ)、同日時点で本件建物を占有して いたものと認められる。そして、執行官が本件仮処分決定1の執行を行った平成31年1月17日までの間に、その占有状態に変更があったことはうかがわれず、執行官も同執行時に上記被告らが本件建物を占有しているものと認めた(認定事実⑷ア)。 執行官は、本件仮処分決定2の執行時に、本件自治会が作成した本件 状態に変更があったことはうかがわれず、執行官も同執行時に上記被告らが本件建物を占有しているものと認めた(認定事実⑷ア)。 執行官は、本件仮処分決定2の執行時に、本件自治会が作成した本件 建物の部屋割り一覧表に基づいて、被告番号25、27及び30を除く退寮被告らについて、本件建物を占有していると認めた(認定事実⑷イ)。 以上によれば、退寮被告ら全員について、本件仮処分決定1又は本件仮処分決定2の執行時に本件建物を占有していたと認められる。 そうすると、退寮被告らが本件仮処分決定1又は本件仮処分決定2の 執行後に本件建物から退去していたとしても、同人らは、両決定に違反して、その占有を本件自治会の構成員たる他の在寮生に対して移転したにすぎないものと認められる。 ウ以上より、退寮被告らは本件建物を占有しているものと認められるし、仮に本件建物から退去していたとしてもその占有喪失を主張することは許 されない。 ⑶ 原告と在寮被告らとの間で在寮契約が成立したか(争点3)ア吉田寮への入寮者の選考を含む入寮に関する一切の手続は、学生部長と本件自治会との合意に基づき、昭和46年から本件自治会が行っており(認定事実⑵イ)、国立大学法人化後も、副学長と本件自治会との 間で、本件自治会が自治・自主管理により吉田寮を運営することが確認- 26 -されていたのであり(同)、京都大学当局と本件自治会との間では、吉田寮への入寮者の選考を含む入寮に関する一切の手続を本件自治会が行うことについて合意が成立していたと認められる。他方、原告は、本件基本方針を公表した際、平成29年12月19日時点までに吉田寮に入寮した者についてはその入寮を認めつつ、同日以降は入寮を認めない こととしている(認定事実⑶オ)。原告が本件建物の管 原告は、本件基本方針を公表した際、平成29年12月19日時点までに吉田寮に入寮した者についてはその入寮を認めつつ、同日以降は入寮を認めない こととしている(認定事実⑶オ)。原告が本件建物の管理権を有する以上、本件自治会に対して本件建物について認めてきた管理権を原告に回復することができるというべきである。 そうすると、平成29年12月19日までに入寮した在寮被告は、京都大学当局から入寮者の選考権限を委ねられていた本件自治会によって 選考された者であって、原告との間に本件建物に居住するという目的の在寮契約が成立すると認められる。一方で、原告と同日以降の入寮者との間では在寮契約は成立しないというべきである。 原告は、入寮者が原告の自治的管理に服する本件建物の利用を容認されている存在にすぎないと主張するが、本件建物は、学生寄宿舎につい て管理権限を有する副学長又は学生部長と法的主体である本件自治会との間の交渉と京都大学当局内での検討を経て管理の在り方が決定されてきたのであるから(認定事実⑵ア、)、本件自治会による本件建物の管理が京都大学当局による容認による利用にすぎないとみることはできない。なお、原告は、国立大学法人化以前は、本件建物が国有財産で あったことから私権の設定をすることができず、在寮契約は成立していなかったと主張するが、私権の設定はできなくとも在寮契約を行政財産の管理に関する公法上の契約と捉えることは可能であり、国立大学法人化以前の本件自治会と副学長又は学生部長との合意も法的拘束力を持つ合意と認められる。 イ被告番号31、同37及び同39(以下、この3名を併せて「被告番号- 27 -31ら3名」という。)を除く在寮被告らは、本件自治会が作成した在寮生名簿に平成30年9月28日時点 。 イ被告番号31、同37及び同39(以下、この3名を併せて「被告番号- 27 -31ら3名」という。)を除く在寮被告らは、本件自治会が作成した在寮生名簿に平成30年9月28日時点の在寮生としてその氏名が記載され、その名簿に記載された入寮日が平成29年12月19日以前であることが認められる(甲6)。したがって、被告番号31ら3名を除く在寮被告らについては、原告との間で在寮契約が成立したと認められる。 他方、被告番号31ら3名については、上記名簿に記載がなく、平成29年12月19日までに吉田寮に入寮したと認めるに足る証拠はないから、原告との間で在寮契約が成立したとは認められない。 ⑷ 原告と在寮被告ら(ただし、被告番号31ら3名を除く。)との間の在寮契約が終了しているか(争点4) ア在寮契約の性質が使用貸借契約であること原告と吉田寮の在寮生との間で成立する在寮契約について、その寄宿料がわずか月額400円であり(認定事実⑴ア)、京都大学近郊の風呂トイレ共同の築48~84年の物件の賃料でさえ少なくとも月額1万円であること(甲44)からすれば、吉田寮の寄宿料が賃料としての対価を伴わ ないものであることは明らかであり、在寮契約の性質は使用貸借契約であると認められる。 イ在寮契約が終了したとは認められないこと使用目的に従った使用を終えたとはいえないこと在寮被告らは、本件建物が本件自治会により自主運営されていること に大きな意味を見出して入寮しており(乙79・5頁、80・1頁、83・2頁)、原告としても長年にわたり、本件建物の本件自治会による自主運営を尊重していたのであるから、低廉な寄宿料で居住することのみが在寮契約の目的であったとは認められず、代替宿舎の提供をもって、本件建物について としても長年にわたり、本件建物の本件自治会による自主運営を尊重していたのであるから、低廉な寄宿料で居住することのみが在寮契約の目的であったとは認められず、代替宿舎の提供をもって、本件建物についての在寮契約の目的が達成され終了したとはいえない。 やむを得ない事由による解除が認められないこと- 28 -a 本件規程15条及び16条には、在寮生が吉田寮から退去すべき事由及び原告が在寮生を退去させることができる事由が定められているところ、これらの規定には原告が吉田寮の老朽化等やむを得ない事由により在寮生に対して退去を求めることができる旨の定めは存在しない(認定事実⑴ア)。また、使用貸借契約においてやむを得ない事由 による解除を認める法律上の規定がないことからすれば、原則としてそのような解除を認めるべきではない。 もっとも、貸主と借主との間の信頼関係が破壊された場合など、もはや当該使用貸借契約を継続することが著しく困難であると認められる場合には、平成29年法律第44号による改正前の民法597条2 項ただし書きの類推適用により、同契約を解除することができる(最高裁昭和42年11月24日第2小法廷判決・民集21巻9号2460頁)。 b 本件建物は、原告が依頼した(一般)財団法人建築研究会によって、平成17年12月及び平成24年7月にその耐震性能が不足している との報告書が提出されたものの(甲8、9)、平成17年の報告書においては、補強案策定の前提として耐震診断がされており(甲8「4・補強案」)、平成24年の報告書が提出された後に作成された同年9月18日付け確約書では、副学長により、本件建物を補修することが有効な手段であることが認められており、平成24年の報告書も取 壊しを前提として耐震診断がされたとは 出された後に作成された同年9月18日付け確約書では、副学長により、本件建物を補修することが有効な手段であることが認められており、平成24年の報告書も取 壊しを前提として耐震診断がされたとは認められない。そうすると、本件建物の耐震性能が不足するとしても、これを理由に在寮契約を継続することが著しく困難となったと認めることはできない。 c 本件自治会は、原告が本件基本方針を公表した後も、少なくとも平成30年3月まで新規入寮募集を行ったことが認められる。しかし、 同募集によって入寮し現在まで本件建物を占有している者は、証拠上- 29 -は被告番号31ら3名にとどまること、平成30年9月28日時点で吉田寮の在寮生数は180名であり(認定事実⑶カ)、吉田寮の総収容定員241名(甲14)を下回っていたことからすれば、新規入寮募集によって原告に生じた不利益は大きくない。また、本件自治会が平成30年に作成した在寮生名簿には名前を公表しない15名が含ま れていたし(認定事実(3)オ)、本件自治会が在寮生以外の者を本件建物に宿泊させているが(甲36、37)、京都大学に学籍を持たない者や入寮が認められない者が本件建物に恒常的に居住していると認めるに足りる証拠はない。さらに、落書き等によって本件建物の効用をどの程度滅失したのか明らかでないし(証人甲・14頁)、原告が一 部の被告らによる点検の妨害として主張する行為も、これまで認められてきた管理権を主張する行為にすぎないとみることができ、職員の自転車のタイヤをパンクさせたのが本件自治会の構成員かどうかは明らかでない(証人甲・21頁)。 したがって、これらの本件自治会の行為により、原告と本件自治会 の構成員たる在寮被告らとの間の信頼関係が破壊され、在寮契約を継続することが著 成員かどうかは明らかでない(証人甲・21頁)。 したがって、これらの本件自治会の行為により、原告と本件自治会 の構成員たる在寮被告らとの間の信頼関係が破壊され、在寮契約を継続することが著しく困難になったとまではいえない。 d 以上によれば、原告は在寮契約を解除することはできない。 ⑸ 原告が本件建物の明渡しを求めることが権利の濫用といえるか(争点5)上記⑴のとおり、本件確約書等をもって原告が本件建物に関する問題につ いて訴訟によらずに本件自治会との話し合いのみで解決するという合意がされたものと認めることはできない。そして、退寮被告らに対して本件建物の明渡しを求めることに理由があることは上記⑵のとおりであり、原告が被告らを害する不当な目的をもって本件訴訟を提起したとは認められない。 したがって原告が被告らに対して本件建物の明渡しを求めることが権利の 濫用ということはできない。 - 30 - 3 結論よって、原告の被告らに対する請求のうち、退寮被告ら及び被告番号31ら3名に対する請求は理由があり、その余の被告らに対する請求は理由がないので、主文のとおり判決する。 なお、被告番号31ら3名に対する請求の認容部分については、必要性を認 めないので、仮執行宣言は付さない。 京都地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官松山昇平 裁判官田中いゑ奈 裁判官髙岡寛実 奈 裁判官髙岡寛実
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