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昭和41(ネ)2415 室明渡請求事件

裁判所

昭和42年10月19日 東京高等裁判所

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12,262 文字

主文 原判決を左のとおり変更する。控訴人は被控訴人に対し別紙目録記載の建物を明渡すべし控訴人は被控訴人に対し金三三万二一五一円を支払うべし被控訴人その余の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。この判決は被控訴人の勝訴部分に限り、被控訴人において金一〇万円の担保を供したときは、仮に執行することができる。事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」旨の判決を求め、かつ、被控訴人の本件建物明渡請求が認容される場合について予備的に「控訴人は被控訴人に対し、金一〇〇万円と引換えに、別紙目録記載の建物を明渡せ」との判決を求める旨述べ、被控訴代理人は、本訴中の金員請求部分につきその請求金額を「昭和四一年三月一日以降同年一〇月一二日迄一ケ月金五万二〇〇〇円の割合による金員」に減縮した上、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に記載するほかは、原判決事実摘示と同じであるから、これを引用する。一、 控訴代理人は、従前の主張の訂正及び附加として、(一) 訴外Aは被控訴人から、昭和四〇年七月二〇日に本件建物を営業に使用する目的で、賃貸期間は同年七月二五日から二ケ年間で、右期間満了後は右契約期間を更新することができること、賃料は月額金五万二〇〇〇円で前月二五日に前払すること、保証金は金一〇〇万円という約束で賃借した。そしてAは、本件建物で、飲食店営業の許可を受けて飲食店「カズ」を経営していたが、同年一二月頃本件建物の賃借権を他に譲渡するについて被控訴人の承諾を求め、その承諾を得たので、昭和四一年二月二一日、控訴人との間で、右飲食店の営業と本件賃借 可を受けて飲食店「カズ」を経営していたが、同年一二月頃本件建物の賃借権を他に譲渡するについて被控訴人の承諾を求め、その承諾を得たので、昭和四一年二月二一日、控訴人との間で、右飲食店の営業と本件賃借権とを、金三二〇万円で控訴人に譲渡する契約をした。 年一二月頃本件建物の賃借権を他に譲渡するについて被控訴人の承諾を求め、その承諾を得たので、昭和四一年二月二一日、控訴人との間で、右飲食店の営業と本件賃借 可を受けて飲食店「カズ」を経営していたが、同年一二月頃本件建物の賃借権を他に譲渡するについて被控訴人の承諾を求め、その承諾を得たので、昭和四一年二月二一日、控訴人との間で、右飲食店の営業と本件賃借権とを、金三二〇万円で控訴人に譲渡する契約をした。そこで、控訴人及び前記Aは、右賃借権譲渡につき契約書を作成するため、同四一年二月末頃、被控訴人の代理人伏見某らと会合したところ、被控訴人側は、賃借権譲渡は承諾したが、保証金を二〇〇万円に増額することと賃料を月額七万円とすることを新たに申入れ、これに対し控訴人は、保証金の点は認めるが、賃料の点は従前どおり月額五万二〇〇〇円にして貰い度いと要求し、被控訴人側は後日の回答を約した。しかしてAは、既に賃借権譲渡について被控訴人の承諾があつたので、控訴人との間の前記営業及び賃借権譲渡の代金のうち金二四〇万円を同年三月一〇日迄に控訴人から受取り、控訴人を右飲食店の支配人として控訴人にその経営を委任し、よつて控訴人は、本件建物を、同年三月一日から占有するに至つたが、それは、右飲食店の支配人として占有していたもので、Aから控訴人に占有が移転したものではなかつた。ところが被控訴人は、その後、前記の回答をなさず、却つて同年四月になつてから、突然、甲第三号証の一、二のとおり、Aに対し本件賃貸借契約の解除を通告して来、次いで控訴人に対し本訴を提起して来た。右のように、Aには何等契約違反はないのであるから、被控訴人のした前記契約解除は無効であり、Aの前記賃借権は消滅しなかつたのである。また、本件のような営業使用目的でなされた建物賃貸借にあつては、造作設備等について相当の資本を投下し、営業上の顧客や暖簾が発生するものであるから、賃貸人は、賃借権譲渡について、正当な理由なく拒絶することができないのであり、従つて、賃借権 た建物賃貸借にあつては、造作設備等について相当の資本を投下し、営業上の顧客や暖簾が発生するものであるから、賃貸人は、賃借権譲渡について、正当な理由なく拒絶することができないのであり、従つて、賃借権の無断譲渡を理由とする前記解除は、この点からしても、効力がない。控訴人としては、被控訴人のした前記解除権行使や訴の提起が違法、無効なものと考えたが、これに対して強行に対抗しても仕方がないので、Aと話合つて前記営業及び賃借権の譲渡契約を解除しようとしたが、話合いがつかないため、乙第一号証のとおり、同年七月一八日、右譲渡契約をAの債務不履行を理由に解除し、同日Aに本件建物の占有を返還した。 つて、賃借権の無断譲渡を理由とする前記解除は、この点からしても、効力がない。控訴人としては、被控訴人のした前記解除権行使や訴の提起が違法、無効なものと考えたが、これに対して強行に対抗しても仕方がないので、Aと話合つて前記営業及び賃借権の譲渡契約を解除しようとしたが、話合いがつかないため、乙第一号証のとおり、同年七月一八日、右譲渡契約をAの債務不履行を理由に解除し、同日Aに本件建物の占有を返還した。右占有返還は、控訴人が支配人として持つていた占有を返還したものであつて、内部的なものにすぎない。以上の事実関係によれば、被控訴人の本件明渡請求は理由がない。占有移転禁止の仮処分に、当事者恒定の効力が仮にあるとしても、その効力は、本件のように、賃借権譲渡契約の解除による原状回復として、占有が従前の賃借人に復帰する場合についてまで及ぶものはない。また、現実に占有していない控訴人に対する本件明渡請求は、何らの意味もない。従つて本件明渡請求は棄却さるべきである。(二) 本件建物の占有関係は前記のとおりであり、賃借人であるAは、昭和四一年三月分の賃料を被控訴人に支払い、同年四月分以降の賃料については、Aが被控訴人に提供したに拘らず被控訴人が受領を拒絶したので、右四月一日より同年一〇月末迄の賃料を弁済供託しているのであるが、被控訴人は、昭和四一年七月一八日以降のAの本件建物に対する占有について、Aが占有移転禁止の仮処分に違反したものであるとして、Aを債務者として、東京地方裁判所に対し同庁昭和四一年(ヨ)第七九九八号をもつて不動産仮処分申請をなし、同年一〇月七日に、 物に対する占有について、Aが占有移転禁止の仮処分に違反したものであるとして、Aを債務者として、東京地方裁判所に対し同庁昭和四一年(ヨ)第七九九八号をもつて不動産仮処分申請をなし、同年一〇月七日に、本件建物を執行吏の保管に付し、債権者に使用を許す旨の仮の地位を定める明渡断行の仮処分決定を得、同月一二日その執行をなし、よつて同日以降は被控訴人が本件建物を占有使用している。従つて、控訴人が本件建物を不法に占有していた事実はなく、しかも賃借人であるAにおいて賃料を弁済又は供託しているのであるから、控訴人の本件建物の占有により、被控訴人について、賃料相当の損害が発生する筈はないから、被控訴人の本件損害賠償請求は理由がない。(三) Aは、被控訴人から本件建物を賃借するに当り、保証金として金一〇〇万円を被控訴人に支払つた。 つて同日以降は被控訴人が本件建物を占有使用している。従つて、控訴人が本件建物を不法に占有していた事実はなく、しかも賃借人であるAにおいて賃料を弁済又は供託しているのであるから、控訴人の本件建物の占有により、被控訴人について、賃料相当の損害が発生する筈はないから、被控訴人の本件損害賠償請求は理由がない。(三) Aは、被控訴人から本件建物を賃借するに当り、保証金として金一〇〇万円を被控訴人に支払つた。被控訴人との契約では、途中解約明渡のとき、被控訴人が、賃料の二ケ月分を償却として差引いた上、残額をAに返還するものとされているから、Aは、右契約に基づき、被控訴人に対し、右保証金一〇〇万円の返還請求を有する。ところで控訴人は、前記のように、Aとの間の前記営業及び賃借権譲渡契約の解除に基づき、Aに対し既払い代金二四〇万円の返還請求権を有するに至つたものであるから、控訴人は、Aに代位して、被控訴人に対し前記保証金の返還を求めるため、その支払がある迄、同時履行の抗弁として本件建物の明渡を拒否する。と述べ、立証として新たに、乙第二ないし第六号証、第七号証の一ないし四を提出した。二、 被控訴代理人は、右控訴人の主張に対する答弁等として、(一) 本件賃借権譲渡について被控訴人の承諾があつた旨の控訴人の主張は、時機に後れた攻撃防禦方法であるから、却下を求める。また、控訴人の右主張は、自白の撤回に当るから、異議がある。(二) 、(一) 本件賃借権譲渡について被控訴人の承諾があつた旨の控訴人の主張は、時機に後れた攻撃防禦方法であるから、却下を求める。また、控訴人の右主張は、自白の撤回に当るから、異議がある。(二) 控訴人の当審における新たな主張事実のうち、Aが被控訴人との間で本件建物の賃貸借契約を結び、本件建物で飲食店「カズ」を経営していたこと、被控訴人がAに対し右賃貸借契約解除の通知をしたこと、Aが昭和四一年三月分の賃料を被控訴人に支払い、同年四月一日より同年一〇月末の賃料として賃料相当額を供託していること、被控訴人がAに対して本件建物明渡断行の仮処分を執行し、昭和四一年一〇月一二日より本件建物を占有していることは認める。しかし、右供託は弁済の効力がない。また被控訴人が本件賃借権譲渡を承諾したことはなく、昭和四一年二月末の話合いの事実内容は否認する。控訴人は昭和四一年三月一日より本件建物を不法に占有していたものであり、その占有が独立のものでないように云う控訴人主張は否認する。 相当額を供託していること、被控訴人がAに対して本件建物明渡断行の仮処分を執行し、昭和四一年一〇月一二日より本件建物を占有していることは認める。しかし、右供託は弁済の効力がない。また被控訴人が本件賃借権譲渡を承諾したことはなく、昭和四一年二月末の話合いの事実内容は否認する。控訴人は昭和四一年三月一日より本件建物を不法に占有していたものであり、その占有が独立のものでないように云う控訴人主張は否認する。そして占有移転禁止の仮処分は現実に当時占有していた控訴人に対してなしたものであつて、これにより、本件明渡請求訴訟の当事者は控訴人であることに恒定されたのである。控訴人主張のように、占有移転の態様如何によつて、すなわち、被控訴人と賃貸借関係のあつたAの如き者に占有を移転することによつて、右当事者恒定の効力が失われるとすれば、当事者恒定の意味がなくなる。のみならず、従来主張のとおり、Aは、被控訴人のした賃貸借契約解除により、当時既に賃借権を失つていたものである。従つて、控訴人が昭和四一年七月一八日本件建物をAに引渡したことは、占有移転禁止の仮処分に違反するものであつて、その占有移転をもつて被控訴人に対抗できないから、法律上なお控訴人が占有しているものと看做される。それ故に亦、控訴 七月一八日本件建物をAに引渡したことは、占有移転禁止の仮処分に違反するものであつて、その占有移転をもつて被控訴人に対抗できないから、法律上なお控訴人が占有しているものと看做される。それ故に亦、控訴人は、右昭和四一年七月一八日以降も、同年三月一日以降と同様、賃料相当の損害金の支払義務がある。仮に昭和四一年七月一八日以降の損害賠償義務について右と異る見解に立つとしても、控訴人は、Aに対して本件建物の占有を移転したことにより、Aと共同して被控訴人の所有権を侵害したものであるから、共同不法行為者として、右同様の損害賠償義務がある。なお、本件損害賠償請求は昭和四一年三月一日より同年一〇月一二日迄一ヶ月金五万二〇〇〇円の割合による金員を求める範囲に減縮する。被控訴人が控訴人主張のようにAから保証金一〇〇万円を受取つていることは認めるが、右保証金は賃貸借終了を停止条件として返還されるものであり、かつ、被控訴人のしたAに対する契約解除は、告知の性質を有し、原状回復義務を生じないから、建物明渡と保証金返還とは同時履行の関係に立たないし、しからずとするも、同時履行の抗弁権は双務契約の当事者のみについて認められるものであつて、控訴人が既に係属中の本訴において代位権を行使して訴訟上の抗弁とすることは許されず、また仮にそれが許されるとしても、賃料二ケ月分を償却として控除するほか、昭和四一年三月一日以降同年一〇月一二日迄の一ケ月五万二〇〇〇円の割合による金員の請求債権と相殺する。 いから、建物明渡と保証金返還とは同時履行の関係に立たないし、しからずとするも、同時履行の抗弁権は双務契約の当事者のみについて認められるものであつて、控訴人が既に係属中の本訴において代位権を行使して訴訟上の抗弁とすることは許されず、また仮にそれが許されるとしても、賃料二ケ月分を償却として控除するほか、昭和四一年三月一日以降同年一〇月一二日迄の一ケ月五万二〇〇〇円の割合による金員の請求債権と相殺する。と述べ、乙第二ないし第六号証の成立を認め、同第七号証の一ないし四の成立は不知と述べた。理由 一、 別紙目録記載の本件建物が被控訴人の所有に属し、昭和四〇年七月被控訴人がこれを訴外Aに対して賃料一ヶ月五万二〇〇〇円の約で賃貸し、以来Aが同建物で飲食店「 。理由 一、 別紙目録記載の本件建物が被控訴人の所有に属し、昭和四〇年七月被控訴人がこれを訴外Aに対して賃料一ヶ月五万二〇〇〇円の約で賃貸し、以来Aが同建物で飲食店「カズ」を経営していたが、昭和四一年三月一日以降控訴人が右建物を占有するに至つたことは当事者間に争いがない。控訴人は、当審になつて、右控訴人の占有が独立の占有でないもののように主張するが、成立に争いのない甲第一、二号証、弁論の全趣旨とこれによつて成立を認める乙第一号証の一によれば、控訴人の右占有は、控訴人が昭和四一年二月二一日右Aから前記飲食店の営業及び本件建物の賃借権を譲受けたことに基づいて、Aからその占有の移転を受けたものであつて、独立の占有であつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。控訴人はまた、当審に至り、右賃借権譲渡について被控訴人の承諾があつた旨を新たに主張する。原審及び当審の弁論の経過と本件事実とに徴すれば、右主張の提出が故意又は重大な過失により時機に後れてなされたものであると見るのは困難である。従つて時機に後れたものとして右主張の却下を求める被控訴人の申立は採用しない。また、右賃借権譲渡承諾の点は、控訴人において立証責任を負うところであるから、右主張が自白の撤回に当るとする被控訴人の異議は採用しない。よつて右承諾の有無について検討するに、前掲乙第一号証の一並びに弁論の全趣旨とこれによつて成立を認める甲第三号証の一とによれば、却つて、右賃借権譲渡についてはついに被控訴人の承諾が得られなかつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。従つて、控訴人の右主張は採用できない。 右賃借権譲渡承諾の点は、控訴人において立証責任を負うところであるから、右主張が自白の撤回に当るとする被控訴人の異議は採用しない。よつて右承諾の有無について検討するに、前掲乙第一号証の一並びに弁論の全趣旨とこれによつて成立を認める甲第三号証の一とによれば、却つて、右賃借権譲渡についてはついに被控訴人の承諾が得られなかつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。従つて、控訴人の右主張は採用できない。二、 右によれば、控訴人は、昭和四一年三月一日以降、所有者である被控訴人に対抗できる権原なくして、本件建物を占有するに至つたものである。従つて、被控訴人 。従つて、控訴人の右主張は採用できない。二、 右によれば、控訴人は、昭和四一年三月一日以降、所有者である被控訴人に対抗できる権原なくして、本件建物を占有するに至つたものである。従つて、被控訴人は、所有権に基づき、控訴人に対し、直接本件建物の明渡を求め得るものであるところ、被控訴人が、その主張のとおり、本件建物につき、控訴人を債権者として、東京地方裁判所昭和四一年(ヨ)第四七二八号をもつて占有移転禁止の仮処分決定を得、同年六月九日これを執行したことは当事者間に争いがない。<要旨>右のような占有移転禁止の仮処分は、不動産引渡請求訴訟の勝訴判決の執行を保全するため、被告適格を恒</要旨>定する目的によるものであることは明らかであるから、仮処分債務者が、仮処分に違反して、目的物の占有を第三者に移転しても、これをもつて仮処分債権者に対抗できず、本案である引渡請求訴訟においては、依然として、仮処分債務者が目的物を占有しているものとして取扱われるべきものと解するのが相当である。本件の場合、控訴人は昭和四一年七月一八日本件建物を前記Aに返還した旨主張し、右七月一八日に控訴人がAに対して本件建物を引渡し、同日以後控訴人が本件建物の現実の占有をしていないことは当事者間に争いがないが、それは、控訴人が前記仮処分に違反して本件建物に対する占有をAに移転したことによるものと認むべきであるから、控訴人は右占有移転をもつて被控訴人に対抗できず、本件明渡請求訴訟においては、依然、控訴人が本件建物を占有しているものとなすべきである。控訴人は、控訴人のした右占有移転は前記賃借権譲渡契約の解除に基づいて従前の賃借人に対する原状回復としてなされたものであり、これによつて適法な占有状態に復帰させたものであるから、かかる占有移転は前記仮処分によつても阻止し得ない旨 たことによるものと認むべきであるから、控訴人は右占有移転をもつて被控訴人に対抗できず、本件明渡請求訴訟においては、依然、控訴人が本件建物を占有しているものとなすべきである。控訴人は、控訴人のした右占有移転は前記賃借権譲渡契約の解除に基づいて従前の賃借人に対する原状回復としてなされたものであり、これによつて適法な占有状態に復帰させたものであるから、かかる占有移転は前記仮処分によつても阻止し得ない旨 は前記賃借権譲渡契約の解除に基づいて従前の賃借人に対する原状回復としてなされたものであり、これによつて適法な占有状態に復帰させたものであるから、かかる占有移転は前記仮処分によつても阻止し得ない旨主張する。控訴人が昭和四一年七月一八日Aに対し前記賃借権譲渡契約を解除したことは当事者間に争いがなく、右解除により控訴人は、Aに対して、本件建物の占有を返還すべき義務を負うものであるにしても、右Aのような者に対する占有移転も亦、前記仮処分によつて禁止されているところであつて、仮処分に違反する点においては、一般の第三者に対する占有移転と選ぶところがないものというべく、しかも、被控訴人がAに対し同年四月一四日到達書面で無断賃借権譲渡を理由として、本件建物の賃貸借契約解除の意思表示をしたことは当事者間に争いがないから、これによつて被控訴人とAとの間の賃貸借契約は解除されたものと認むべく、従つて控訴人のした前記占有移転がその主張のように適法な占有状態に復帰させたものということはできない。従つて控訴人の前記主張は採用しない。右解除の意思表示の効力について、控訴人は、本件のような営業使用目的による建物賃貸借にあつては、賃貸人は正当の理由なく賃借権譲渡に対する承諾を拒絶できないから、前記解除の意思表示は効力がない旨主張するが、一般論としても、また、成立に争いのない乙第二号証によつて認められるように賃借権譲渡について賃貸人の承諾を要する旨特に契約されている本件事実に則しても、控訴人の右主張は採用できない。更に控訴人は、被控訴人が控訴人を相手方とする本件訴訟で勝訴しても、既に控訴人は本件建物を現実に占有していないのであるから、何らの意味もない旨主張する。しかし前記のように不動産引渡請求訴訟を本案とする占有移転禁止の仮処分は、被告適格を恒定することを目的とす ても、既に控訴人は本件建物を現実に占有していないのであるから、何らの意味もない旨主張する。 いる本件事実に則しても、控訴人の右主張は採用できない。更に控訴人は、被控訴人が控訴人を相手方とする本件訴訟で勝訴しても、既に控訴人は本件建物を現実に占有していないのであるから、何らの意味もない旨主張する。しかし前記のように不動産引渡請求訴訟を本案とする占有移転禁止の仮処分は、被告適格を恒定することを目的とす ても、既に控訴人は本件建物を現実に占有していないのであるから、何らの意味もない旨主張する。しかし前記のように不動産引渡請求訴訟を本案とする占有移転禁止の仮処分は、被告適格を恒定することを目的とするものであるから、仮処分債務者が仮処分に違反して目的物の占有を第三者に移転し、債務者自身は現実にその占有をしなくなつた場合でも、本案訴訟では債務者が依然目的物を占有しているものとして取扱うのである。従つて、右のような第三者はその占有取得を本案訴訟について主張することができず、すなわち、右占有移転は本案訴訟の口頭弁論終結前には無かつたものとして取扱われるのであるから、その結果、右第三者による占有承継は、本案訴訟の口頭弁論終結後に生じたものとして取扱われ、本案訴訟における仮処分債権者の勝訴判決の執行力は右第三者すなわち本件におけるAのような者に対しても及ぶものと解するのが相当である。従つて本件の場合において仮処分債務者である控訴人が仮処分中の本件建物の占有を他に移転して現実にその占有をしていないからと云つて、仮処分債権者である被控訴人が本案訴訟である本件明渡請求訴訟において控訴人を相手取つて本件建物の明渡請求をすることが無意味のものといえないこと明らかである。よつて控訴人の右主張も亦採用できない。被控訴人が、その後、控訴人主張のとおり、本件建物を現実に占有するAを債務者として、東京地方裁判所昭和四一年(ヨ)第七九九八号をもつて明渡断行の仮処分決定を得、同年一〇月一二日これを執行し、同日以降被控訴人が本件建物を占有していることは当事者間に争いがないが、右のように仮の満足として被控訴人が明渡を得ていることは、本件訴訟における被控訴人の明渡請求の当否について影響のないこと勿論である。よつて、被控訴人の控訴人に対する本件建物の明渡請求は正当と認むべ のように仮の満足として被控訴人が明渡を得ていることは、本件訴訟における被控訴人の明渡請求の当否について影響のないこと勿論である。よつて、被控訴人の控訴人に対する本件建物の明渡請求は正当と認むべきところ、控訴人は、前記Aが被控訴人に支払つたことに争いのない保証金一〇〇万円について、Aの代位権者としての控訴人においてこれが返還を受ける迄、本件建物明渡を拒否する旨抗弁する。 建物の明渡請求は正当と認むべ のように仮の満足として被控訴人が明渡を得ていることは、本件訴訟における被控訴人の明渡請求の当否について影響のないこと勿論である。よつて、被控訴人の控訴人に対する本件建物の明渡請求は正当と認むべきところ、控訴人は、前記Aが被控訴人に支払つたことに争いのない保証金一〇〇万円について、Aの代位権者としての控訴人においてこれが返還を受ける迄、本件建物明渡を拒否する旨抗弁する。しかし、右抗弁は、Aと被控訴人間において本件建物の明渡と右保証金の返還とが同時履行の関係に立つことを前提とするものであるところ、建物賃貸借契約締結に当り賃借人より賃貸人に保証金として支払われる金員は、通常、賃借人の賃貸借契約上の債務の履行を担保するためのものと認められるから、その返還請求権は賃貸借が終了して賃貸人に対する建物の明渡がなされた後に発生するものと解され、本件の場合についても、右通常の場合と異るものと認むべき特段の事情は存しないから、前記のような同時履行の関係は認められず、従つて、控訴人の右主張は採用できない。三、 前記のように、控訴人は、昭和四一年三月一日以降本件建物を正当な権原なく占有して、被控訴人の所有権を侵害していたものであるが、他に特段の事情も認められないから、右所有権侵害につき少くも過失があつたものと認むべきである。従つて、控訴人は、右所有権侵害の期間につき被控訴人に対し、賃料相当の損害を賠償する義務がある。尤も、前記のように、本件建物については、昭和四一年四月一四日迄、被控訴人と前記Aとの間に賃貸借関係が存し、従つて被控訴人はAに対し賃料請求権を有していたわけであるから、被控訴人がAから賃料の支払を受けた場合は、その賃料に相応する期間については、被控訴人は、控訴人に対し、前記損害賠償の請求をすることができないものと解すべきところ、被控訴人が していたわけであるから、被控訴人がAから賃料の支払を受けた場合は、その賃料に相応する期間については、被控訴人は、控訴人に対し、前記損害賠償の請求をすることができないものと解すべきところ、被控訴人がAから昭和四一年三月分の賃料の支払を受けたことは当事者間に争いがないから、被控訴人の本件損害賠償請求のうち、右三月一日から同月末日迄の期間に対する分は理由がない。控訴人は更に、Aが同年四月一日以降の賃料を適法に供託していると主張し、右四月一日以降同年一〇月末日迄の間の賃料としてその相当額をAが供託を適法ならしめる被控訴人に対する弁済の提供及びこれが受領拒絶等の事実については成立に争いのない乙第三、第四号証によるもこれを認め難く、他にこれを認めうる立証がないから、右供託の事実は控訴人の昭和四一年四月一日以降の損害賠償義務を否定するに足らない。 分は理由がない。控訴人は更に、Aが同年四月一日以降の賃料を適法に供託していると主張し、右四月一日以降同年一〇月末日迄の間の賃料としてその相当額をAが供託を適法ならしめる被控訴人に対する弁済の提供及びこれが受領拒絶等の事実については成立に争いのない乙第三、第四号証によるもこれを認め難く、他にこれを認めうる立証がないから、右供託の事実は控訴人の昭和四一年四月一日以降の損害賠償義務を否定するに足らない。ところで、控訴人が同年七月一八日に本件建物の占有をAに移転し、爾後現実にその占有をなしていないことは前記のとおりであるが、前記のとおり、控訴人は、本件建物を直接被控訴人に明渡すべき義務を負い、被控訴人から、本訴においてその請求を受け、かつ、占有移転禁止の仮処分の執行を受けていたにも拘らず、敢えて右仮処分に違反してAに対し前記の占有移転をなしたものである。そして当時Aは被控訴人のした前記解除により本件建物の賃借権を失つていたのであるから、これら上来認定の事実関係によれば、控訴人はAに対して前記の占有移転をなし、よつて右七月一八日以降前記明渡断行仮処分の執行があつた同年一〇月一二日迄の間被控訴人の所有権行使を侵害したものであつて、その行為は少くとも過失による不法行為であると認めるのが相当である。たとえ控訴人が、Aとの間の前記賃借権譲渡契約を右七月一八日に解除することにより、本件建物の占有をAに対して返還す たものであつて、その行為は少くとも過失による不法行為であると認めるのが相当である。たとえ控訴人が、Aとの間の前記賃借権譲渡契約を右七月一八日に解除することにより、本件建物の占有をAに対して返還すべき義務を負つたものであるとしても、このことは、前記のように控訴人が被控訴人から本訴明渡請求及び占有移転禁止仮処分の執行を受けていた事実に加え、当時Aが本件建物を被控訴人に返還すべき関係にあつた事実に照らせば本件の場合において、控訴人に前記不法行為の責任を認める妨げとなるものとは認められない。従つて、控訴人は、被控訴人に対し、昭和四一年四月一日以降同年一〇月一二日迄の間につき、賃料相当損害金として、一ケ月金五万二〇〇〇円の割合による金員すなわち金三三万二一五一円(円以下切捨)を支払うべき義務があり、被控訴人の本件損害賠償の請求は右の限度で正当として認容すべく、その余は失当として棄却すべきである。 らせば本件の場合において、控訴人に前記不法行為の責任を認める妨げとなるものとは認められない。従つて、控訴人は、被控訴人に対し、昭和四一年四月一日以降同年一〇月一二日迄の間につき、賃料相当損害金として、一ケ月金五万二〇〇〇円の割合による金員すなわち金三三万二一五一円(円以下切捨)を支払うべき義務があり、被控訴人の本件損害賠償の請求は右の限度で正当として認容すべく、その余は失当として棄却すべきである。四、 以上のとおりであるから、原判決は、昭和四一年三月一日から同月三一日迄の間についての損害賠償請求部分をも認容した点において失当であるが、その余は正当と云うべく、これに応じて、本件控訴は、一部理由があり、その余は理由がないものと認める。よつて、右趣旨に従つて原判決を変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条、仮執行宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官岸上康夫裁判官小野沢龍雄裁判官田中永司)物件目録東京都千代田区a町b番地c家屋番号同町b番cのd一、 鉄筋コンクリート造陸屋根四階建店舗兼居宅事務所一棟一階二六・八四平方メートル二・三・四階各二九・五七平方メートルのうち一階二四・八四平方メ 一、 鉄筋コンクリート造陸屋根四階建店舗兼居宅事務所一棟一階二六・八四平方メートル二・三・四階各二九・五七平方メートルのうち一階二四・八四平方メートル

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