-- 平成18年(行ケ)第10105号審決取消請求事件平成18年8月9日判決言渡,平成18年6月19日口頭弁論終結判決原告トップツアー株式会社(旧商号東急観光株式会社)訴訟代理人弁理士員見正文被告Y訴訟代理人弁理士中島淳,加藤和詳,西元勝一,福田浩志,樋熊美智子主文特許庁が取消2005-30291号事件について平成18年1月31日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1原告の求めた裁判主文第1項と同旨の判決。 第2事案の概要本件は,商標登録を不使用取消しとした審決の取消しを求める事件であり,原告は取り消すとされた商標の商標権者,被告は取消審判の請求人である。 特許庁における手続の経緯(1)原告は,「TEAMS」の欧文字を標準文字で横書きしてなり,指定役務を商標法施行令別表の区分による第39類「鉄道による輸送に関する情報の提供,車両による輸送に関する情報の提供,船舶による輸送に関する情報の提供,航空機による輸送に関する情報の提供,道路情報の提供,主催旅行の実施,旅行者の案-- 内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,スーツケースの貸与」及び第42類「宿泊施設の提供の媒介又は取次ぎ,宿泊施設に関する情報の提供,飲食物の提供に関する契約の媒介又は取次ぎ,電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,通訳,翻訳,会議室の貸与又は展示施設の貸与に関する契約の媒介又は取次ぎ」とする登録第4514557号商標(平成12年4月14日出願,平成13年10月19日設定登録,以下「本件商標」という。)の商標権者である。 (2)被告は,平成17年3月17日,商標法50条1項に基づき,本件商標の指定役 57号商標(平成12年4月14日出願,平成13年10月19日設定登録,以下「本件商標」という。)の商標権者である。 (2)被告は,平成17年3月17日,商標法50条1項に基づき,本件商標の指定役務のうち,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に係る部分について商標登録の取消審判を請求し(取消2005-30291号事件として係属),その登録(予告登録)が同年4月7日にされた。 (3)特許庁は,平成18年1月31日,「登録第4514557号商標の指定役務中,第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」については,その登録は取り消す。」との審決をし,同年2月10日にその謄本を原告に送達した。 審決の理由審決の理由は,以下のとおりであり,要するに,商標権者(原告)が,本件審判の請求の登録(平成17年4月7日)前3年以内に日本国内において,本件商標の指定役務中,「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について本件商標を使用しているとは認めることができないから,本件商標の登録は,商標法50条1項の規定により,その指定役務中,上記役務について取り消すべきである,というのである。 ( )商標法50条1項に規定する商標登録の取消審判の請求があったときは,同条2項の規定に より,審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか,又は,使用していないことについて正当な理由があることを被請求人が明-- らかにしない限り,その指定商品に係る商標登録の取消を免れない。 ( )これを本件についてみるに,審判乙1(「取引形態」,「トラベルマネージメント業務に関 する契約書」,「ビジネ が明-- らかにしない限り,その指定商品に係る商標登録の取消を免れない。 ( )これを本件についてみるに,審判乙1(「取引形態」,「トラベルマネージメント業務に関 する契約書」,「ビジネスモデルの通常実施権許諾協定書」及び「ソフトウェアのサポートに関する覚書」)は,取引形態と書された作成年月日の不明な1枚の被請求人(会社)の取引フローと認められる書面であり,他に添付の3通の書面は,いずれも前記の本件商標の使用を証明する証拠としていかなる関係にあるのかが不明である。 審判乙2(「機密保持契約書」)は,前記の本件商標の使用を証明する証拠としていかなる関係にあるのかが不明な書面である。 審判乙3(「旅費計算・管理システムTEAMSご提案書」)は,被請求人が作成したと認められる作成年月日の記載のない書面である。 審判乙4(「サービスのご案内」)は,被請求人が作成した作成年月日の記TokyuStreamlines載のない書面である。 ( )そうとすれば,被請求人は,審判乙1ないし4を提出したのみであり,かつ,提出に係る審 判乙1ないし4によって,本件商標が「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用しているとは認められないこと,作成年月日の記載のない書証からは使用の時期が明らかでないこと,及び商標権者又は通常使用権者のいずれかが使用しているか明らかでないことから,いずれも前述のとおり不十分な証明であって,これらの証拠をもっては,本件商標が,被請求人により本件請求に係る指定役務(「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」)について使用しているものとは認めることができない。 他に,上記の認定・判断を覆す証拠は見当たらない。 ( )してみれば,答弁の理由及び審判乙1ないし4を総合的に判断しても,被請求人(商標権 者) ついて使用しているものとは認めることができない。 他に,上記の認定・判断を覆す証拠は見当たらない。 ( )してみれば,答弁の理由及び審判乙1ないし4を総合的に判断しても,被請求人(商標権 者)が,本件審判の請求の登録(平成17年4月7日)前3年以内に日本国内において,本件商標の指定役務中,「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について本件商標を使用しているものとは認めることができない。 したがって,本件商標の登録は,商標法50条の規定により,指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について取り消すべきものである。 第3当事者の主張-- 原告主張の審決取消事由審決は,「被請求人(商標権者)が,本件審判の請求の登録(平成17年4月7日)前3年以内に日本国内において,本件商標の指定役務中,「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について本件商標を使用しているものとは認めることができない。」とした。 (1)商標権者(原告)による使用原告は,平成16年7月1日以降,「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「本件役務」という。)に係るプログラムを「旅費精算・管理システム」と称して,これに関する広告を内容とする情報に本件標章を付して,原告のウェブページに掲載し,また,本件商標の審判の請求の登録前3年以内に,「旅費精算システム」,「海外旅費精算システム」の提案書(甲17,19)やその提供時の情報セキュリティに関する説明書(甲18)に本件標章を付して,顧客に頒布した。 (2)通常使用権者による使用ア東急ストリームライン株式会社(以下「東急ストリームライン」という。)は,平成15年1月1日,原告(平成18年1月31日変更前の商号は,東急観光株式会社である。)から,会社分割により国際旅行事業及 東急ストリームライン株式会社(以下「東急ストリームライン」という。)は,平成15年1月1日,原告(平成18年1月31日変更前の商号は,東急観光株式会社である。)から,会社分割により国際旅行事業及びビジネストラベル事業(本件役務を含む。)に関して有する権利義務を承継し,平成16年7月1日,原告に合併し解散した会社であるが,原告は,その間,本件商標について,東急ストリームラインに通常使用権を許諾していた。 また,原告は,本件商標について,日本ケイデンス・デザイン・システムズ社(以下「日本ケイデンス」という。)及び三井情報開発株式会社(以下「三井情報開発」という。)に通常使用権を許諾した。 イ東急ストリームラインは,平成15年1月1日から平成16年6月31日までの間に,「旅費精算・管理システム」に関する広告を内容とする情報に本件標章を付して,同社のウェブページに掲載し,また,「旅費精算・管理システム」,-- 「旅費精算システム」の提案書(甲23ないし25,29)に本件標章を付して,顧客に頒布した。また,本件商標の審判の請求の登録前3年以内に,日本ケイデンスは,「旅費精算システム」に本件商標を付した使用許諾契約書(甲26)を顧客と取り交わし,三井情報開発は,要件定義書(甲27)に本件標章を付して顧客に頒布した。 (3)以上のとおり,原告又は上記通常使用権者は,本件商標の審判の請求の登録前3年以内に,被告の請求に係る指定役務について,本件商標を使用しているから,審決の認定判断は,誤りである。 被告の反論(1)東急ストリームライン,日本ケイデンス及び三井情報開発については,通常使用権の許諾契約の存在を示す証拠方法が全く提出されていないから,通常使用権者とは認められない。 (2)システムは,商品に当たるとしても,役務には当たるもの イデンス及び三井情報開発については,通常使用権の許諾契約の存在を示す証拠方法が全く提出されていないから,通常使用権者とは認められない。 (2)システムは,商品に当たるとしても,役務には当たるものではない。また,原告や東急ストリームラインのウェブページでは,「旅費精算・管理システム」の名称として本件商標を使用しているにすぎないし,提案書(甲17,19,23ないし25,29),情報セキュリティに関する説明書(甲18),使用許諾契約書(甲26)及び要件定義書(甲27)は,商標法2条3項8号の「取引書類」に当たらない上,特定の一企業に提示されただけであるから,同号の「頒布」に当たらない。 第4当裁判所の判断 甲1ないし9,14,16,17,19ないし26,28,29及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)原告は,本件審判の請求の登録(平成17年4月7日)前3年から後記(2)の吸収分割をした平成15年1月6日までの間に,少なくとも,①平成14年5月28日,株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントに対し,「旅費精算-- システムTEAMS手配プロセス」と題する提案書(甲17)を交付して,チケット発注と原告への支払いプロセスの概要を説明し,②同年12月16日,川崎重工業株式会社に対し,「海外旅費精算システムその構築に関するご提案」と題する提案書(甲19)を交付して,海外旅費精算システムであるTEAMSの概要を説明している(なお,川崎重工業株式会社の子会社であるケイライントラベル株式会社による提案とする必要があったため,上記提案書の作成者はケイライントラベル株式会社とされている。)。 日本ケイデンスは,原告との間で平成12年6月20日付け「出張申請経費精算アウトソーシング事業に関する覚書」(甲14)を取り交 ため,上記提案書の作成者はケイライントラベル株式会社とされている。)。 日本ケイデンスは,原告との間で平成12年6月20日付け「出張申請経費精算アウトソーシング事業に関する覚書」(甲14)を取り交わし,出張申請経費精算システムの運営上必要となるソフトウェア,ハードウェア等の開発を行っていたが,平成15年12月1日,ケイライントラベル株式会社とともに,川崎重工業株式会社との間で,「旅費精算システム(TEAMS)」に関するソフトウェア使用許諾契約(甲26)を締結した。 (2)原告と東急ストリームライン(平成14年9月9日設立)は,原告の国際旅行事業及びビジネストラベル事業を東急ストリームラインに承継させるために吸収分割を行い,平成15年1月6日にその旨の登記を経由した。原告は,吸収分割に先立ち,「全国を網羅する東急観光。・・・平成15年1月,個性的な3つの顔が新たに誕生いたします。」として,東急ストリームラインを含む3社を紹介するチラシ(甲6)を作成,配布したが,これには,東急ストリームラインについて,「・・・幅広いサービスを提供する国際旅行と,ご出張の手配から精算までをシステム管理することにより,トータルな旅費出張費削減を実現するビジネストラベルマネジメント。このふたつの仕事を両輪として,グローバルな視点で活躍されている国内外のお客様に質の高い旅行サービスをお届けします。」と説明している。 東急ストリームラインは,平成15年にウェブページを開設したが,少なくとも同年10月17日の時点のウェブページ(甲22)において,BTM事業(BusinessTravelManagement)について,「当社では,お客様の多様なニーズにお応えする-- 為,各システム構成を機能ごとにユニット化しております。」との案内文のもとに,「ユニット構成」の TravelManagement)について,「当社では,お客様の多様なニーズにお応えする-- 為,各システム構成を機能ごとにユニット化しております。」との案内文のもとに,「ユニット構成」の1つとして,「●旅費精算ユニットTEAMSWeb対応「旅費精算・管理システム」」を掲げ,さらに,TEAMS(TravelExpenseAccounting & ManagementSystem)につき,「出張に関わる従来の出張申請→手配→精算→支払等の業務で重複していたプロセスを見直し,Web上で電子的に処理・管理する旅費精算・管理システムです。(有料)」と説明している。 東急ストリームラインは,少なくとも,①平成15年2月27日,富士ゼロックスゼネラルビジネス株式会社FXトラベルに対し,「TOKYUBUSINESSTRAVELMANAGEMENTPLAN」と題する提案書(甲23)を交付して,TEAMSにつき,「出張申請→手配→精算→支払等の業務で重複していたプロセスを見直し,Web上で電子的に処理・管理する旅費精算・管理システム」として,その内容を説明し,②同年3月25日,株式会社オギハラに対し,「ビジネストラベル・マネジメントに関するご提案書」と題する提案書(甲24)を交付して,TEAMSにつき,上記①と同様の説明をし,③同月26日,経済産業省に対し,「旅費法に基づく精算業務の受託提案」と題する提案書(甲25)を交付して,「旅費精算・管理システム」であるTEAMSの内容を説明し(なお,見積りの前提として,「本件で提案する弊社システム「TEAMS」は,一般企業向けに開発した旅費精算・管理システムであり,現時点では官公庁の業務フロートと異なる部分があるため,旅費法令等のすべてをシステムでカバーするまでには至っておりません・・・ ム「TEAMS」は,一般企業向けに開発した旅費精算・管理システムであり,現時点では官公庁の業務フロートと異なる部分があるため,旅費法令等のすべてをシステムでカバーするまでには至っておりません・・・将来的に弊社システムのバージョンアップに伴い,・・・人件費がメインとなる受託料が引き下げられる可能性があります。」と記載されている。),④同年9月10日,独立行政法人産業技術総合研究所に対し,「出張旅費に関する事務処理システムの構築,運用及びに導入準備業務に関するご提案」と題する提案書(甲29)を交付して,出張旅費精算システム(TEAMS)の内容を説明している。 (3)原告は,平成16年7月1日,東急ストリームラインを合併した(これに伴い,東急ストリームラインは解散した。)。 -- 原告は,少なくとも,平成16年11月9日,日本ミクロコーティング株式会社に対し,「TokyuStreamlines サービスのご案内」と題する提案書(甲8)を交付しているが,その中で,InformationTechnology(受発注・旅費精算システム)の1つとして,「旅費精算ユニットTEAMSWeb対応「旅費精算・管理システム」」を掲げている。 上記の事実によれば,原告の旅費精算・管理システムとは,従来の出張申請,手配,精算及び支払等の業務で重複していたプロセスを見直して,Web上で電子的に処理・管理しようとするプログラムで,顧客の需要に応じて適宜カスタマイズされる(例えば,原告と日本ケイデンスとの間の平成12年6月20日付け「出張申請経費精算アウトソーシング事業に関する覚書」(甲14)には,「ユーザーの依頼によりカスタマイズされたソフトウェア」(2条3項)との記載があることに照らして明らかである。)ものであるから,このようなシステムの提供は, ーシング事業に関する覚書」(甲14)には,「ユーザーの依頼によりカスタマイズされたソフトウェア」(2条3項)との記載があることに照らして明らかである。)ものであるから,このようなシステムの提供は,本件役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に当たるということができる。そして,本件商標の審判の請求の登録前3年以内に,原告は,この旅費精算・管理システムをTEAMS(TravelExpenseAccounting & ManagementSystem)と称して,これを記載した提案書を顧客に交付し,また,東急ストリームラインも,原告から通常使用権の許諾を得て,TEAMSに関する広告を内容とする情報を原告のウェブページに掲載したり,これを記載した提案書を顧客に交付したりしている。 そうであれば,原告は,被告による商標登録の不使用取消審判請求の登録前3年以内において,本件商標を使用したものということができる。 被告は,通常使用権の許諾契約の存在を示す証拠方法が全く提出されていないから,東急ストリームラインは通常使用権者でないと主張する。しかしながら,契約書などの書面によらなければ,通常使用権を許諾することができないというわけではなく,また,契約書などの書面が証拠として提出されない場合であっても,上記1の事実によれば,原告が本件商標について東急ストリームラインに通常使用-- 権を許諾した事実は優に推認されるのである。被告の主張及びこの点に関する審決の事実認定に関する手法は,あたかも,実体法的には要式行為性を要求し,手続法的には法定証拠力を想定するものであって,誤りである。 また,被告は,システムは,商品に当たるとしても,役務には当たるものではないと主張するが,上記2のとおり,原告の旅費精算・管理システムは,Web上で電子 定証拠力を想定するものであって,誤りである。 また,被告は,システムは,商品に当たるとしても,役務には当たるものではないと主張するが,上記2のとおり,原告の旅費精算・管理システムは,Web上で電子的に処理・管理しようとするプログラムであるから,これをもって,有体物を観念することはできない。 さらに,被告は,ウェブページでは,「旅費精算・管理システム」の名称として本件商標を使用しているにすぎないし,提案書等は,商標法2条3項8号の「取引書類」に当たらない上,特定の一企業に提示されただけであるから,同号の「頒布」に当たらないと主張する。しかしながら,上記1の事実によれば,東急ストリームラインのウェブページの掲載は,商標法2条3項8号にいうところの,本件役務に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供する行為に当たるものである。また,提案書は取引上必要な書類であるから,本件役務に関する取引書類に当たるところ,通常,このような提案書は提供を求める特定の顧客に交付されるものであるから,現実に提供を求める顧客に交付されている以上,これを頒布したということができる。 第5結論,以上によれば,本件商標の使用を認めることができないとした審決は誤りであり,原告主張の審決取消事由は理由があるから,審決は取り消されるべきである。 知的財産高等裁判所第4部-- 裁判長裁判官塚原朋一裁判官高野輝久裁判官佐藤達文
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