平成13(わ)814 覚せい剤取締法違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年8月23日 岡山地方裁判所
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判決文本文17,574 文字)

主文 被告人を懲役5年6月及び罰金100万円に処する。 未決勾留日数中190日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1Aと共謀の上,平成13年7月13日午前10時ころ,岡山県倉敷市a町b丁目c番d号所在の甲病院e号室において,みだりに,営利の目的で,フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶粉末83.679グラム(平成13年押第110号の1ないし18は,その鑑定残量)を所持し。 第2法定の除外事由がないのに,同年7月初めころから同月14日までの間,岡山県若しくはその周辺において,フェニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤若干量を自己の身体に摂取し,もって,覚せい剤を使用したものである。 (証拠の標目)略(事実認定の補足説明)第1判示第1の事実について 弁護人は,本件起訴に係る83.679グラムの覚せい剤(以下「本件覚せい剤」という)は,被告人がAを介して密売させるため所持させていたもの。 ではなく,Aが独自に営利の目的で,東京方面の密売人から仕入れて所持,所有していたものであって,被告人は,当初,その仕入先をAに紹介したという意味において,共謀共同正犯の地位から離脱できないが,その行為は実質的には譲り受けの仲介行為に過ぎず,幇助行為にとどまるから,その点は量刑上考慮されるべきである旨主張し,被告人は,公判廷において,公訴事実記載の日時場所において,Aが営利の目的で本件覚せい剤を所持していたことに間違いはないが,自己が所持していたわけではなく,共謀もしていない旨供述するので,以下判断する。 前掲関係各証拠に加えて,被告人の警察官調書謄本(59,証人Bの公判)供述, 所持していたことに間違いはないが,自己が所持していたわけではなく,共謀もしていない旨供述するので,以下判断する。 前掲関係各証拠に加えて,被告人の警察官調書謄本(59,証人Bの公判)供述,捜査関係事項照会書謄本(82,84,86,88,90,捜査関係)事項回答書(83,85,87,89,91)によれば,被告人及び弁護人にも特に争いがない事実として,以下の事実が認められる。 (1)被告人は,平成6年ころ,C組系D組の組員となったが,恐喝罪で実刑判,,,,決を受けf刑務所に服役し平成12年10月仮出獄して同組に復帰し平成13年4月,若頭補佐となった。C組系の暴力団では,覚せい剤に手を出すことは禁止されており,違反者は即破門されることとなっていて,D組もその例外ではなかった。 (2)Aは,平成12年秋ころ,被告人と知り合い,同年12月ころ,被告人の舎弟となって,パチンコ玉を不正に出させるいわゆる「ゴト師」の仕事を紹介してもらい,パチンコ店でゴトを行い,稼ぎの一部を給料として受け取っていた。Aは,被告人から大阪の西成にあるいわゆる「バッタ屋」を紹介してもらい,ブランド物のコピー商品を仕入れて売るなどもしていたが,平成13年12月,本件覚せい剤の所持により実刑判決を受けて,g刑務所に服役中である。 (3)Bは,暴走族をしていたときに被告人と知り合い,被告人からの誘いで組,,,。 ,員となったがその後f刑務所に服役しそこで被告人と再会した当時同刑務所には,E,F,Gも服役していた。出所後,B,E,Fは被告人の舎弟となりAHIJらと共に岡山市h町所在の乙i号室以下乙,,,,,(「i号室」という)を拠点として集まり,被告人の指示で行動していたが,。 B,E,H,Jは,平成13年4月25 りAHIJらと共に岡山市h町所在の乙i号室以下乙,,,,,(「i号室」という)を拠点として集まり,被告人の指示で行動していたが,。 B,E,H,Jは,平成13年4月25日,恐喝未遂事件を起こし,同年5月14日にHが,同年6月30日にBとEが逮捕された。Bは,さらに,覚せい剤取締法違反で再逮捕され,平成14年3月5日,実刑判決を受け,控訴中(証言時)であった。 (4)Aは,平成13年3月30日,被告人の車を誘導して車道に出た際に,走行中の車にはねられ,胸椎圧迫骨折等の重傷を負って,甲病院に入院し,約1か月間は寝たきり状態であった。被告人は,ほぼ毎日のようにAの病室であるe号室を訪れ,交通事故の相手方との示談交渉も行っていた。 (5)被告人は,平成13年5月14日,前記恐喝未遂事件で,Hが逮捕された,「」,,ためBやEを倉敷市内のホテル丙に呼び寄せ今後の対応を話し合い最終的に,被告人が警察に対して,1週間以内にBとEを出頭させることで話を付け,Bらには,しばらく同所に泊まって身辺整理をした後,警察に出頭するよう命じたが,Bらは逃亡し,その後,前記のとおり逮捕された。 (6)被告人は,f刑務所に服役中,名古屋市内に住むKと知り合い,出所後,Kに頻繁に電話を掛けるなどしていたが,同人は,覚せい剤の譲渡及び自己使用の疑いのある人物として警察に把握されていた。平成13年6月13日と同月26日,Kから,宛先を「L,依頼人を「同上」とする宅配便と,」宛先を「M方N,依頼人を「同上)本人」とする宅配便が被告人方に届」(いており,被告人は,各前日「アイカワショウ」という偽名を使って,K,の妻名義の銀行口座に各30万円を振り込んだ。さらに,被告人は,同年3月7日から同年7月18日までの間,7回にわたって, 」(いており,被告人は,各前日「アイカワショウ」という偽名を使って,K,の妻名義の銀行口座に各30万円を振り込んだ。さらに,被告人は,同年3月7日から同年7月18日までの間,7回にわたって,Kの妻名義の銀行口座に合計177万円を「アイカワショウ「フクヤママサハル」という偽,」名を使って振り込んだ。 (7)平成13年7月13日午前10時から,覚せい剤取締法違反の容疑でAの,,病室が捜索され合成樹脂袋に入った本件覚せい剤と現金29万1000円注射器,電子秤等が発見,押収され,Aは,間もなく,本件覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕された。 (8)Bは,平成14年3月22日の第3回公判において,後記のとおり証言したが,それに先立つ同月2日と同月5日の計2回,被告人の知人であり,C組系暴力団N組の幹部でもあるNから「22日,見に行きます」という,。 電報を受け取った。他方,Fは,勾留中のB及びEとはj署で,平成13年7月24日と27日の計2回ずつ接見し,Bとはg拘置所でも,同年10月29日,11月5日,同月8日,同月27日の計4回接見しているが,Eとは接見はしていない。 以上のとおり認められる。 被告人について,Aとの共謀による本件覚せい剤所持の事実を認めるべき証拠としては,A証言とそれを補完するB及びEの検察官に対する各供述が重要であるから,これらの信用性について,以下検討する。 (1)まず,Aは,被告人と共謀の上,本件覚せい剤を所持するに至った経緯,その状況等について,要旨,次のように証言する。 被告人が覚せい剤に関係していることに気付いたのは,平成13年1,2月ころに,被告人方に行ったときのことで,被告人が,黒色のかばんの中から覚せい剤を取り出し,私に,後々,小分けをすることがあるだろうから作り方を覚えておけと言いながら,小 いたのは,平成13年1,2月ころに,被告人方に行ったときのことで,被告人が,黒色のかばんの中から覚せい剤を取り出し,私に,後々,小分けをすることがあるだろうから作り方を覚えておけと言いながら,小分けしているのを見た。被告人は,覚せい剤でも売らないと今の世の中シノギがないとか,見つかったら破門になるかもしれないというような話もしていた。 また,入院する前,被告人から少なくとも2,3回,覚せい剤を預かったことがある。一番最初は,被告人の連れている子が逮捕され,覚せい剤を持っていたらやばいということで,預かり,その後も,何度か同様に預かったり,返したりした。 ,,,同年4月ころ被告人が覚せい剤を黒色のNTTドコモの紙袋に入れて病室に持ってきて,預かるよう言った。後で,中身を見たら覚せい剤が10グラム前後入っていた。被告人は,当時,週2,3回の割合で覚せい剤を取りに来ていたので,覚せい剤の取引をしていると思った。その時の覚せい剤は,5月前後にはなくなっていたと思う。 被告人は,同年6月中旬ころの午後10時ころ,以前,被告人の家で見たことがある電子秤や,注射器30本くらい,小分け用の袋などと一緒に,覚せい剤を白っぽい色の紙袋に入れて,病室に持ってきた。覚せい剤は,チャック式のビニール袋に入った状態で白色の封筒に入っていた。被告人から,預かって小分けするように言われたが,水滴が付いて濡れたような感じであったことから,その理由を聞いたところ,売る量を増やすため水滴で重さを。 。 ごまかすためにやったのだろうと言われた重さは大体100グラムあった被告人には仕事のことなどで義理があり,また,当時は人間的に好きであったし,暴力団に逆らうこともできないので,被告人の話を承諾した。被告人からは,被告人の決めた値段よりも高く売れば差額はやるから,うまく 人には仕事のことなどで義理があり,また,当時は人間的に好きであったし,暴力団に逆らうこともできないので,被告人の話を承諾した。被告人からは,被告人の決めた値段よりも高く売れば差額はやるから,うまくやれと言われた。当日,ちゃんとパケが作れるかどうか確認するため,被告人の面前で作って見せた。被告人からは,当日やその後,パケは3種類くらいに分けて作っておくようにとか,結晶の塊は別に取っておくようにとか,西の方に持って行くから20グラムを用意しておくようにとか指示された。 同年6月中旬ころ,被告人に話を通して覚せい剤を取りに来た男性に,覚せい剤を渡し,同年7月初めには,被告人の指示により,男性からの依頼で代理で取りに来た女性に覚せい剤を渡した。代金は,いずれの場合も最終的には被告人に渡っている。どちらも被告人と関係のある現役のやくざの男性だが,名前は言えない。被告人自らが,病室から覚せい剤のパケを持ち出したこともある。本件覚せい剤は,これらの残りである。 被告人から,直接,覚せい剤の入手先を聞いたことはないが「k」とい,う人物と何度も電話で,覚せい剤の代金の支払いを待ってくれという趣旨の話をしていた「k」はf刑務所で知り合いになった暴力団幹部だった人だ。 と聞いている。 自分には覚せい剤を注文できるような付き合いをしている人はいないし,金もない。覚せい剤についての知識は,全部被告人やそのグループの中で聞いた。被告人から,捕まったときには妻の面倒を見てやるし,借金の支払い,,も止めてやると言われていたことや被告人が人間的に好きだったことから逮捕された当初,被告人の名前を出さず「ヤスダ」という架空の人物の名,前を出していた。被告人からは,覚せい剤1グラム持つのも100グラム持,,つのも罪は一緒だと聞かされていたし弁護人から被告人の手紙 れた当初,被告人の名前を出さず「ヤスダ」という架空の人物の名,前を出していた。被告人からは,覚せい剤1グラム持つのも100グラム持,,つのも罪は一緒だと聞かされていたし弁護人から被告人の手紙を見せられつながりを信じてそういうことは言わずに頑張ろうというメッセージが届いていたが,その後,被告人が全く約束を履行していないことや,自分がゴトの仕事をしていたことまで取調べでしゃべっていたことが分かって,信用できなくなったので,正直に話そうと思った。 (2)また,Bは,検察官調書(54,55)において,要旨「平成13年2,月下旬ころの午後5時ころ,被告人について倉敷市内の雑貨屋に買い物に行ったとき,被告人は,ナイロン袋とストローを束で買い『買った袋でパケ,を作り,ストローは切ってシャブを入れるのに使う』と言っていた「乙。 。」i号室でEらがナイロン袋をはさみで切ってパケを作っているのを見たことがあり,Eからはシャブを小分けしていると教えてもらった。同室には,シャブを計るのに必要な電子秤があり,それは,私が被告人の指示で被告人の家から持っていったものである「同年3月下旬ころ,同室を管理してい。」たJが再逮捕されたことから,同室に置いてあった密売用のシャブパケが入ったバッグなどを,被告人の指示で,Aが使っていた車に小分け道具と一緒に隠した。同月30日,Aが交通事故にあった際には,それらが見つかると困るので,私が被告人の指示で,Aの車を事故現場から移動させた「同。」年4月初めころ,被告人は,Aの車に積んでいたバッグに入れていた密売用のパケ,電子秤,空パケなどの小分け道具一式を,Jの舎弟の小銭に預けたらしく,被告人が電話で小銭に指示して,乙i号室に巾着袋のような袋を持ってこさせていた「同じころ,被告人から丁ホテルに呼び出され, パケ,電子秤,空パケなどの小分け道具一式を,Jの舎弟の小銭に預けたらしく,被告人が電話で小銭に指示して,乙i号室に巾着袋のような袋を持ってこさせていた「同じころ,被告人から丁ホテルに呼び出され,Gと。」会った際,被告人がバッグの中から茶封筒を1つ取り出して,Gに渡し,Gからは現金8万円を受け取っており,シャブの取引だと分かった。その2,3日後,被告人から『大口でモノを出すときは,グラム8000円で出し,てやっている。だから,お前達も上乗せして売って儲けたらどうか』とシ。 ャブを売ることを勧められたが断った「同年4月中旬ころの午後6時こ。」ろ,被告人から電話で『EがFにモノを預けているが,Fは信用できない,から,マンションへ取りに行き,山口から帰るまで預かっといてくれ』と。 言われて承諾し,1,2時間後,乙i号室でIからNTTドコモの紙袋に入。 ,,ったバッグを預かった被告人からは数を確認しておくよう言われたので,,,中に入っていたシャブパケの数を数えて被告人に報告し預かっていたがその後,バッグはHに返した「恐喝未遂事件を起こした直後に,Aの病。」室で,被告人のバッグを見つけたので,覚せい剤を預かっているのか尋ねると,Aは『モノを預かっている』と答えた。その後,被告人から『モノ,。 ,が要るなら,病院にあるから,電話してくれればいつでも渡してやる』と。 言われた「被告人は,シャブは名古屋の方から引いていると言っており,。」送ってくれるとも言っていた。また,Fが大阪にあるD組の事務所当番に行く機会を利用して,被告人がFに大阪から名古屋に取りに行かせたこともあることは,被告人やFから聞いている」などと供述する。 。 (3)また,Eは,検察官調書(57)において,要旨「平成13年2月中旬,ころから3月まで 告人がFに大阪から名古屋に取りに行かせたこともあることは,被告人やFから聞いている」などと供述する。 。 (3)また,Eは,検察官調書(57)において,要旨「平成13年2月中旬,ころから3月までの間,乙i号室で生活していたが,被告人は,NTTドコモの紙袋に入れて,シャブを持ってきていた。同室に来ていたAと被告人との会話から,Aがパチンコ店に行った際にシャブを客に売っていることが分かった。被告人がAに携帯で,A方から持ってくるシャブパケの数などを指示しているのを聞いたことがある「被告人は,同年3月ころ,名古屋に。」住んでいる『k』からの電話に居留守を使い,Fに『kさんに銭をツケて,いるので,電話に出れない』などと話していた。その後『k』がシャブ。 ,屋であることなどが分かり,被告人が『k』からシャブを仕入れていると分かった「同年4月中旬の午後9時ころ,2回にわたり,被告人の指示で。」封筒に入ったシャブパケを客に渡した。同月下旬には,被告人から,乙i号室にあるシャブパケを甲病院まで持ってくるように言われて,Bと一緒に持っていった「同月中旬頃,被告人がBに,岩国に行くから乙i号室に置。」いているモノを預かっておいてくれと指示し,Bはシャブを預かったが,私とBは,そのようなやばいものを預かっているわけにはいかず,それをAの車に隠し,車を移動させた「被告人は『k』からシャブを仕入れるのに。」,最初は名古屋まで出向いていたが,私が逮捕される少し前に,Fから,被告人がモノを引いたばかりなのにまたモノを仕入れて大分儲けていると聞いたので,被告人が同年6月13日と26日に送ってもらったのはシャブに違いないと思う「被告人からは,関東の方で組同士の抗争があってシャブの。」値段が高騰しており,1グラム5000円くらいするという話 ので,被告人が同年6月13日と26日に送ってもらったのはシャブに違いないと思う「被告人からは,関東の方で組同士の抗争があってシャブの。」値段が高騰しており,1グラム5000円くらいするという話を聞いたし,被告人とFがシャブの値段を値切る話をしていたのも聞いた」などと供述。 する。 そこで,検討するに,以下の理由から,A証言とそれを補完するB及びEの検察官に対する各供述は信用できる。 (1)まず,Aは,被告人から覚せい剤の密売を指示されて行っていた経緯及び状況について,全般にわたって詳細かつ具体的に証言し,反対尋問に対しても動揺していない上,実体験に基づくものというべき臨場感ある証言をしている。 (2)また,暴力団組織においては,地位の下の者が,上の者の犯罪事実を捜査機関に申告すれば,申告者やその家族に対して様々な危害が加えられる危険性が伴うことは容易に理解できるところ,Aは,そのような危険を省みず,被告人の在廷する場で臆することなく証言している。そして,Aが,当初,被告人をかばっていたものの,その後,すべて証言するに至った動機として述べるところは理解できるものであるし,Aは,既に,本件覚せい剤の所持で実刑判決を受けて服役中であるから,自己の刑責の軽減を図るため虚偽の供述をする動機もない。 (3)次に,B及びEの検察官に対する各供述は,被告人が覚せい剤の密売に深く関与していたことを示す特徴的な出来事について,実例を挙げつつ個別,具体的に述べるものである。その上,B及びEも,上の地位にある被告人の犯罪事実を捜査機関に申告することに危険が伴うことを理解しながらも,上記供述をしているものと認められる。 (4)ましてや,暴力団組織において,地位の下の者が殊更虚偽の供述をして地位の上の者を罪に陥れるなどした場合は,手ひどい制裁を受けるであ うことを理解しながらも,上記供述をしているものと認められる。 (4)ましてや,暴力団組織において,地位の下の者が殊更虚偽の供述をして地位の上の者を罪に陥れるなどした場合は,手ひどい制裁を受けるであろうことは明らかであるところ,本件覚せい剤の所持とは直接関係せず,別事件で身柄拘束されていたに過ぎないBやEが,そのような危険を冒してまで,自分たちより地位の低い舎弟に過ぎないAと口裏を合わせて,被告人を罪に陥。 ,,,,れるとは考え難い実際にもAB及びEはいずれも証言や供述の当時身柄を拘束されていたことから,互いに口裏を合わせることのできる状況下にはなかったことが認められる。 (5)そして,A証言並びにB及びEの各供述は,被告人が覚せい剤の密売に深く関与していた経緯及び状況について,例えば,被告人が覚せい剤を入れていたのがNTTドコモの紙袋であることや,被告人が「k」に対する覚せい剤代金の支払いをつけにしていたことなど,その主要な部分がほぼ合致しており,相互に信用性を補強し合っている。 (6)もっとも,Bは公判廷において,前記供述内容を全面的に否定した上,前記のように検察官に供述した理由について,勾留中に,Fが何度か接見に訪れ,その際,被告人が警察との間で,被告人は恐喝未遂事件と無関係としてもらう代わりに,関係者を出頭させるということで勝手に話を付け,自分らのことを警察に売ったということを聞かされ,調書で話したような嘘の話をするように言われ,Fからは逃走中に金銭面や逃走場所等について面倒を見てもらっていたこともあって,被告人が自分らを警察に売ったという話を信じてしまったと証言し,さらに,証言後,被告人に,平成14年3月25日付け及び同年6月25日付けで,Fに騙され,検察官に対して,被告人に不利な虚偽の供述をしたことをわびる を警察に売ったという話を信じてしまったと証言し,さらに,証言後,被告人に,平成14年3月25日付け及び同年6月25日付けで,Fに騙され,検察官に対して,被告人に不利な虚偽の供述をしたことをわびる趣旨の手紙(弁護人請求証拠4,10)を送付している。また,被告人は,公判廷において,Fは,元々,組の代紋が欲しくて自分に近づいてきた人物で,地位が上の自分がいなくなれば組内で役職に就くことができる可能性がある上,シノギの関係で方針の違いから衝突していたので,邪魔な存在の自分を罪に陥れる動機があるし,Bらも,逮捕を逃れて逃げていたときに追い込みをかけたりしたので,そのことを恨みに思っていたのではないかなどと供述する。 しかしながら,①FとBの接見時間は,長くて20分であり,留置担当者の立会もある状況下で,FがBに対し,Bが検察官調書で供述するような具体的な内容を供述するように指示し得たとは考え難く,実際にも,Bの検察官調書が作成された直前,直後の接見時に,FとBとの間で,被告人に関わる会話がなされた形跡はないこと,②Bの供述は,A証言ばかりかEの供述とも相互に符合しているが,Eの検察官調書が作成された時期にFがEと接,,,見した事実はなくFからEに対して働きかけがなされた形跡はないこと③BがFから具体的にどのような内容を供述するように指示されたかについ,,,てBは検察官調書で供述したような感じのことであると供述するのみで極めて曖昧である上,前記のとおり,Bは,Fが被告人の指示で名古屋まで覚せい剤の仕入れに赴いていたことまで供述しているところ,これはFから供述内容の指示を受けたことと明らかに矛盾すること,④Bに対しては,Hが逮捕された時点で,既に恐喝未遂の容疑で逮捕状が発付されており,被告人の言により初めて警察にBの関与が判明したわ ,これはFから供述内容の指示を受けたことと明らかに矛盾すること,④Bに対しては,Hが逮捕された時点で,既に恐喝未遂の容疑で逮捕状が発付されており,被告人の言により初めて警察にBの関与が判明したわけではない上,Bは,検察官調書において,被告人が,自己の関与を逃れるためBらだけを出頭させようとしたので,その汚いやり方に愛想がつきて逃げていた旨を明らかにした上で,だからといって,被告人に不利な話をでっち上げているわけではないと断っていることなどの事情が認められる。 以上の事情に加え,被告人とBの長年にわたる主従の関係,暴力団幹部でもある被告人の知人から,Bの証言する法廷を傍聴しに行く旨の電報が届いたことなどに照らせば,Bが被告人や傍聴人をはばかって,被告人に不利な証言をできなかったことは明らかであって,B証言は信用できない。 (7)また,被告人方には,前記のとおり,2回にわたってKから宅配便が届いているところ,①宅配便の届いた前日にKの妻名義の口座に振込入金されていることから,これらは宅配便により送られてきた物の対価とみるのが自然であるが,その額は各30万円と多額であること,②宅配便の宛先や依頼人の記載は,実際のものとは異なっており,送り主等を殊更に隠そうとする意図がみてとれること,③被告人は,Kに対して,被告人がAに覚せい剤を預けたり,その小分けなどを指示していたとされる同時期に,頻繁に電話連絡を取ったり,あえて偽名を使用して複数回にわたり多額の現金を送金しているところ,Kは,覚せい剤と関わりのある人物として警察に把握されていたこと,④被告人は,公判廷において,宅配便の中身は縫いぐるみやかばんだったなどと供述するが,Kが被告人にそのような物を送る理由はない上,被告人はKに関することについては具体的な供述を頑として拒否し,送り主であるK ,公判廷において,宅配便の中身は縫いぐるみやかばんだったなどと供述するが,Kが被告人にそのような物を送る理由はない上,被告人はKに関することについては具体的な供述を頑として拒否し,送り主であるKに対する追及を殊更に避けようとしていることなどの事情が認められる。これらの諸事情に照らせば,被告人が,当時,Kから覚せい剤を継続的に仕入れており,宅配便も覚せい剤を送付してきたものであることが強く推認され,これはA証言並びにB及びEの各供述を裏付ける事実でもある。 (8)弁護人は,Aは,本件覚せい剤の入手経路について,捜査段階から供述を変遷させ,当初は黙秘しあるいは架空人を作出し,最終的に被告人を名指したのであり,変遷の理由として,被告人を恐れていたためであると弁解するが,これは,Aが,当初から現役の暴力団であることを知悉して被告人に意識的に近づき,ゴト師の仕事を紹介してもらったり,交通事故の示談交渉を委任して休業補償の支払いを得てもらうなどして,被告人を積極的に利用していたことと矛盾しており,証言は信用できない旨主張する。 しかしながら,Aは,供述の変遷の理由として,被告人を恐れていたためとは述べておらず,前記のとおり,合理的で説得力のある説明を加えているのであるから,弁護人の主張には理由がない。 また,弁護人は,Aが逮捕時に所持していた30万円弱の現金は覚せい剤の密売による売上金である旨主張し,被告人もこれに沿う供述をするが,Aは,現金は休業補償金を引き出したものであると証言しており,実際にも当時,Aが休業補償金を受給していることが認められるから,その証言を疑うべき事情はなく,弁護人の主張には理由がない。 (9)以上検討した諸事情に照らせば,A証言並びにそれを補完するB及びEの各供述は十分信用できる。 これに対して,被告人は,公判廷におい の証言を疑うべき事情はなく,弁護人の主張には理由がない。 (9)以上検討した諸事情に照らせば,A証言並びにそれを補完するB及びEの各供述は十分信用できる。 これに対して,被告人は,公判廷において「Aからは,私が紹介した西成,のコピー屋でコピー商品を仕入れに行く際,シャブも買って帰ったと聞いており,平成12年12月か平成13年1月には,買って帰った10グラムくらいのシャブを見た。そのころ,Aから秤がどこで手に入るか尋ねられ,覚せい剤を分けるのに使うと思い,舎弟のところへ一緒に行って,Aがもらった「A。」が入院する前から,Aからは覚せい剤を安く引っ張れるところを紹介してくれと言われていた。その後,交通事故で大けがを負って,仕事ができなくなり,金に困るようになってしまったAから,覚せい剤を仕入れてほしいと頼まれ,Aに対する同情と,Aが私の車を誘導していて事故に遭ってしまったことに対する責任感から,平成13年4月末,覚せい剤100グラムを仕入れて封筒に入れ,報酬はもらわずに,Aに渡してやった。その時,一緒にいたFに少し小分けをさせたと思う。仕入代金の40万円は立て替えてやったが,1週間か10日もたたないうちに返してもらった。覚せい剤はAが全部売りさばいている「Aには,同年5,6月ころ,Aに頼まれて,覚せい剤の仕入先として。」O会のPの電話番号を教えた。その後,同年7月上旬に,Pから,Aが病院にシャブを送ってほしいと依頼してきたが応じかねるので,場所を変更してくれるよう言ってほしいと電話があり,直接Aに言うように言ったことがあり,Aが中村から覚せい剤を引いていると分かった。同月10日前後に,Aから,Pがベタベタのシャブを送ってきたので,文句を言ってほしいと言われたので,やはり直接言うように言った。Aの言っていたシャブは,本件覚せ 村から覚せい剤を引いていると分かった。同月10日前後に,Aから,Pがベタベタのシャブを送ってきたので,文句を言ってほしいと言われたので,やはり直接言うように言った。Aの言っていたシャブは,本件覚せい剤のことであり,Aが自分の判断で東京方面から引いてきたものに間違いない。Aは,私と知り合う前は,Q組の関係者から少量ずつ買っていたらしい。Aからは,同年5,6月にR会の人間から覚せい剤100グラムと偽造プレートを自宅に送ってもらったとか,Sから注射器を280本送ってもらったと聞いたし,Aには,T,U,Gといった客もいた。私は,平成8年夏ごろ,D組に入ってからは覚せい剤を使用したことや,買ったり所持したことはない」などと供述。 する。 しかしながら,①被告人の前記供述は,A証言並びにB及びEの各供述に矛盾するほか,前記4(7)のとおり,被告人がKから覚せい剤を仕入れていたものと推認されることにも符合しないこと,②被告人の供述によれば,被告人は,平成8年夏以降は覚せい剤とは全く関わっていなかったのに,突然,100グラムもの覚せい剤を仕入れたり,密売人の連絡先をAに教えることができたというのであって,いかにも不自然である上,Aに対する同情や責任感だけで,発覚した際には重刑が予想され,組からも破門される多量の覚せい剤の仕入れを行うとはにわかに信じ難いこと,③被告人は,例えば,乙i号室について,若い子らのたまり場に過ぎなかったとか,偽名を使ってKに現金を送金している理由についても,単に刑務所の受刑者同士で手紙を出すときのやり方で別に意味はなかったとか,宅配便には縫いぐるみやバッグが入っており,直前に送金された30万円はそのお礼ではないと供述するなど,被告人と覚せい剤との関わりを示す重要な事項について,不合理な説明に終始している上,Kと被告人との関 便には縫いぐるみやバッグが入っており,直前に送金された30万円はそのお礼ではないと供述するなど,被告人と覚せい剤との関わりを示す重要な事項について,不合理な説明に終始している上,Kと被告人との関係やKが覚せい剤を扱う人物か否かなどについては頑なに供述を拒否していること,④被告人には,本件犯行を認めたときには,相当厳しい刑事処分が予想され,組員としての活動もできなくなることから,自己の刑責を免れたり,その軽減を図るため虚偽の供述をする動機があることなどの事情が存し,これらに照らせば,被告人の公判供述は信用できない。 以上検討したとおり,A証言並びにこれを裏付けるB及びEの各供述が十分信用できるのに対し,これに反するB証言及び被告人の公判供述は信用できないから,被告人が,Aと共謀の上,本件覚せい剤を営利目的で所持していたことは明らかである。 したがって,被告人及び弁護人の主張には理由がない。 第2判示第2の事実について 弁護人は,被告人はFに陥れられて,覚せい剤成分を含有した錠剤を服用させられたものであって,覚せい剤使用の故意が存在しなかったため無罪であると主張し,被告人は,公判廷において,平成8年夏以降,覚せい剤を一切使用しておらず,公訴事実は全く身に覚えがない旨供述するので,以下判断する。 前掲関係各証拠によれば,平成13年7月14日に被告人から採尿された尿から覚せい剤成分が検出されていることが認められるから,覚せい剤の体内からの排出期間に照らし,被告人が公訴事実記載の時期ころに覚せい剤を体内に摂取したことは明らかである。 自己の尿から覚せい剤成分が検出された理由についての被告人の供述は,以下のとおり,信用できない。 (1)すなわち,被告人は,検察官調書(79)において,要旨「平成8年に,D組に入ってからは,シャブには の尿から覚せい剤成分が検出された理由についての被告人の供述は,以下のとおり,信用できない。 (1)すなわち,被告人は,検察官調書(79)において,要旨「平成8年に,D組に入ってからは,シャブには一切手を出していなかったが,Fからもらった錠剤を飲んで,シャブと同じ効き目があったことがある。その錠剤は,平成13年7月5日ないし7日ころ,D組の総会に行った帰りの車中で,Fから,セックスをするのに効果がある薬と言われてもらったものである。Fは,多分,黒っぽいセカンドバッグの中から錠剤を1個出して,右手の平の上に乗せてくれたので,私は,自分のセカンドバッグからナイロン袋を取り出して,その中にしまった。錠剤は紙に包まれるなどしておらず,裸のままの状態だった。色はピンクではなく,赤色だった。丸い錠剤で,横から見ると,長方形だった。覚せい剤成分が入っているとは全く思わなかった。錠剤はそれから数日後にセックスをする前に,ホテル『丙』の部屋で飲んだ。セックスをしている最中に,シャブを射ったときと同じ感じになったので,覚せい剤成分が入っているのではないかと思い,Fに電話して問い質したところ,Fは『そりゃあ,ねえでしょう』とびっくりした口ぶりで答えてい,。 た」などと供述し,公判廷においても同様に供述する。 。 (2)しかしながら,Fは,検察官調書(74,75。不同意部分を除く)に。 おいて「平成13年7月5日午後4時か5時ころ,D組の総会を終えて大,阪から岡山に被告人を乗せて帰る車中で『ええもんがあるよ『女がイく,。』ときええんよ』といった話をしたら,被告人からくれと言われたので,セ。 カンドバッグに入れてあった名刺入れか小銭入れの中から錠剤を1個取り出し,そのままの状態で被告人に渡した。錠剤は,知人からもらった,いわゆる『エクスタシー』の薬 被告人からくれと言われたので,セ。 カンドバッグに入れてあった名刺入れか小銭入れの中から錠剤を1個取り出し,そのままの状態で被告人に渡した。錠剤は,知人からもらった,いわゆる『エクスタシー』の薬で,市販されていない違法なものであることは分かっていたが,覚せい剤が入っているかどうかは知らなかった。錠剤は,黄土色系のNTTが出しているメモ紙の半分くらいの大きさの紙に包んであり,記憶ではさらにラップか銀紙で包んであった。丸い錠剤で,横から見ると楕。 ,『』。 円形だった色はピンクか赤か赤紫でタオチンと同じような形だった後日,被告人から『あれ,よかった』と言われた記憶があるが,錠剤の中。 に覚せい剤が入っていたのではないかと疑うようなことを言われたことはない」などと供述しており,被告人の供述は,錠剤の形状,包装の有無,使。 用後の被告人の対応などの重要な部分で,Fの供述と齟齬している。 (3)加えて,①前記のとおり,被告人より地位の下のFが危険を冒しつつ,被告人を陥れるような行為に出るとは考え難いこと,②Fは,検察官調書において,被告人が覚せい剤を射っていたのかどうかについて,やくざの世界で生きていく以上,言うわけにはいかない旨供述しているところ,Bが証言するようにFに被告人を陥れる意図があれば,より直裁に被告人と覚せい剤とのつながりを供述するはずであること,③被告人は検察官調書では,錠剤をもらったことは刑事に話していたが,Fが逮捕されて迷惑が掛かるため調書にはしてもらっておらず,その後,身の潔白を晴らすためにやむなくFの名前を出したものの,Fが私を破門なり処分させるために錠剤をくれたということは絶対ないし,Fも錠剤の中に覚せい剤成分が入っていることは知らなかったはずである旨供述していたにもかかわらず,公判廷では,一転してFが私 の,Fが私を破門なり処分させるために錠剤をくれたということは絶対ないし,Fも錠剤の中に覚せい剤成分が入っていることは知らなかったはずである旨供述していたにもかかわらず,公判廷では,一転してFが私を罪に陥れようとしている旨供述を変遷させており,変遷の理由も,FがBらに虚偽の供述をするように指示したことを前提とするもので,これは先に検討したとおり不合理であることなどの事情が存する。 (4)以上の諸事情に照らせば,被告人の前記供述は信用できない。 また,Bは,検察官調書において,平成13年5月中旬ころ,ホテル「Z」の被告人の部屋で,被告人が覚せい剤を注射で射って使用していた旨,Bに対しても覚せい剤の使用を勧めた旨供述し,Aも,入院前,被告人を車で,2,,,,,3回倉敷市内にある戊医院に連れて行ったことがあり入院後被告人から覚せい剤の成分を検査で出なくするような点滴を射ちに行っているという話を聞いた旨,被告人が,平成13年7月初めのD組の総会後くらいに,自分で使いたいからと言って,病室から覚せい剤と注射器1本を持っていったことがある旨,同月11日か12日ころの深夜,被告人が知らない人物を連れて,病室を訪れたことがあり,その時,被告人は,少しおしゃべりだったのと,エアコンが入っているのに多少汗をかいており,後日,被告人から「ホテルで遊ん,どった」と覚せい剤を射って遊んでいた旨聞いたと証言し,Eは,検察官調。 書において,5月14日にHが逮捕された後,被告人から,ホテル「丙」に呼び出されたとき,覚せい剤の使用を勧められた旨供述するところ,前同様の理由により,これらの証言及び供述は信用できる。 さらに,被告人が通院していた戊医院のV医師は,検察官調書(78)において「平成13年5月16日の来院時に点滴をした際,被告人の左腕の肘関 ,前同様の理由により,これらの証言及び供述は信用できる。 さらに,被告人が通院していた戊医院のV医師は,検察官調書(78)において「平成13年5月16日の来院時に点滴をした際,被告人の左腕の肘関,節内側の血管に注射痕らしき痕があった。その後,同年9月11日まで,来院するごとに点滴をしたが,被告人の腕には前回点滴したときの注射痕は消えているのに,肘関節の内側の血管に注射痕らしき痕が残っていた。同年7月12日に来院した際にも,被告人の腕の肘関節内側の血管には注射痕らしきものがあった」旨供述するところ,その内容やVの立場に照らし,同供述は信用で。 き,A証言及びBの供述を裏付けている。 以上のとおり,被告人は,自己の尿から覚せい剤成分が検出された理由について,納得の行く説明をしていないこと,被告人が平成13年5月から7月にかけて,覚せい剤に慣れ親しみ,これを注射使用していたことを示すの種々の事実が存するにもかかわらず,被告人は覚せい剤の使用をすべて否定していることからすると,被告人が公訴事実記載の時期ころに体内に覚せい剤を摂取した際,それが覚せい剤であることを認識していたこと,すなわち,被告人には覚せい剤の自己使用の故意があったことが優に認められる。 したがって,被告人及び弁護人の主張には理由がない。 (累犯前科)被告人は(1)平成9年10月29日広島高等裁判所岡山支部で恐喝罪により,懲役2年に処せられ,平成12年2月13日その刑の執行を受け終わり(2)平,成11年1月21日広島地方裁判所で暴力行為等処罰に関する法律違反,恐喝罪により懲役1年に処せられ,平成13年2月13日その刑の執行を受け終わったものであって,これらの事実は前科調書(61)によって認めることができる。 (法令の適用)略(量刑の理由)本件は,暴力団幹部である被 1年に処せられ,平成13年2月13日その刑の執行を受け終わったものであって,これらの事実は前科調書(61)によって認めることができる。 (法令の適用)略(量刑の理由)本件は,暴力団幹部である被告人が,共犯者と共謀の上,営利の目的で覚せい剤を所持していた事案(判示第1の犯行)及び覚せい剤の自己使用の事案(判示第2の犯行)である。 判示第1の犯行は,Aを含む自己の舎弟を利用して覚せい剤を密売させていた被告人がその一環として,多量の覚せい剤を仕入れてAに所持させていたというもので,利欲的な動機に酌量の余地は微塵もない。被告人は,舎弟らに指示して組織的に密売を行わせていたもので,主導的な役割を果たしていた上,本件覚せい剤については捜査機関への発覚の困難性をも考慮して,入院中のAに指示して多量の覚せい剤を病室に保管させ,小分け等をさせた上,密売を行わせていたもので,犯行態様は巧妙かつ悪質である。また,覚せい剤はそれを使用する者の心身を蝕み,暴力,,団の資金源にもなることから社会に多大な害悪を拡散させる危険性があるところ本件所持にかかる覚せい剤は多量であった上,早晩,Aを介して不特定多数の客に密売されたであろうことは容易に推測されるところであって,その危険性は高かったといえる。 さらに,判示第2の犯行は,被告人がこのようにして仕入れた覚せい剤を自己使用していたものであって,被告人は本件までにも頻繁に覚せい剤を使用していたことが窺われ,被告人の覚せい剤に対する親和性や常習性は顕著である。 被告人には前記の累犯前科を含めた前科3個があり,2度の服役経験もある上,本件各犯行は,前刑の仮出獄期間の満了後,数か月も経ないで犯されたものであっ,。 ,,,て被告人の規範意識の鈍麻は顕著である被告人は長年暴力団組織に所属し判示第1の犯行は, ある上,本件各犯行は,前刑の仮出獄期間の満了後,数か月も経ないで犯されたものであっ,。 ,,,て被告人の規範意識の鈍麻は顕著である被告人は長年暴力団組織に所属し判示第1の犯行は,暴力団幹部としての影響力を行使し,舎弟を利用して行ったもので,犯情は悪質である。 しかるに,被告人は,逮捕当初から本件各犯行を否認し,公判廷においても自己の舎弟をも巻き込んで,不合理な弁解を繰り返して,自己の刑責を免れようとしており,反省の態度は全く認められない。 そうすると,被告人の刑事責任には相当重いものがあるから,他方で,被告人は所属していた組からは既に破門されていること,被告人の母親は,今後は被告人が曾祖父の代から続いた天理教の分教会を継ぎ,堅実な生活を送ることを希望しており,被告人の父親と共に被告人を監督する旨約している上,被告人の妻や姉妹からも嘆願書が提出されていること,被告人には妻と幼児を含めた8人もの養うべき子供がおり,これら家族のために被告人の一日も早い社会復帰が望まれることなど被告人にとって有利に斟酌すべき事情を最大限考慮したとしても,被告人を主文程度の実刑に処することはやむを得ない。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役6年,罰金100万円)平成14年8月23日岡山地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官西田眞基裁判官金子隆雄裁判官太田寅彦

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