- 1 -平成30年10月26日判決言渡平成30年(行コ)第12号行政財産使用不許可決定取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成27年(行ウ)第37号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人の当審における追加的請求に係る訴えのうち,原判決別紙物件目録記載1から5までの各不動産につき地方自治法238条の4第7項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分を却下する。 3 控訴人のその余の当審における追加的請求を棄却する。 4 当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 高槻市長が原判決別紙物件目録記載1から5までの各不動産につき平成28年10月27日付けで控訴人に対してした地方自治法238条の4第7項に基づく使用を許可しない旨の処分(高産農第796号-2)を取り消す。 3 高槻市長は,控訴人に対し,原判決別紙物件目録記載1から5までの各不動産について地方自治法238条の4第7項に基づき平成28年12月1日から平成29年11月30日まで使用を許可するとの処分をせよ。 4 高槻市長が原判決別紙物件目録記載1から5までの各不動産につき平成29年10月19日付けで控訴人に対してした地方自治法238条の4第7項に基づく使用を許可しない旨の処分(高産農第780号)を取り消す(当審における追加的請求)。 5 高槻市長は,控訴人に対し,原判決別紙物件目録記載1から5までの各不動産について地方自治法238条の4第7項に基づき平成29年12月1日から平成30年11月30日まで使用を許可するとの処分をせよ(当審における追 - 2 -加的請求)。 第2 事案の概要 1 本件各不許可処分控訴人は,原判決 き平成29年12月1日から平成30年11月30日まで使用を許可するとの処分をせよ(当審における追 - 2 -加的請求)。 第2 事案の概要 1 本件各不許可処分控訴人は,原判決別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同土地上の同目録記載2から5までの各建物(以下「本件各建物」といい,本件土地と併せて「本件各不動産」という。)について,以下の処分を受けた(争いがない)。 (1) 控訴人は,高槻市長に対し,平成26年10月8日付けで地方自治法(以下「法」という。)238条の4第7項(平成18年法律第53号による改正前の法238条の4第4項と同じである。以下「本件条項」ともいう。)に基づく使用許可の申請をしたところ,同市長から平成26年10月31日付けで使用を許可しない旨の処分(以下「平成26年不許可処分」という。)を受けた。 (2) 控訴人は,高槻市長に対し,平成27年10月13日付けで本件条項に基づく使用許可の申請をしたところ,同市長から同年11月11日付けで使用を許可しない旨の処分(以下「平成27年不許可処分」という。)を受けた。 (3) 控訴人は,高槻市長に対し,平成28年10月6日付けで本件条項に基づく使用許可の申請(以下「平成28年申請」という。)をしたところ,同市長から同月27日付けで使用を許可しない旨の処分(以下「平成28年不許可処分」という。)を受けた。 (4) 控訴人が,高槻市長に対し,平成29年10月3日付けで本件条項に基づく使用許可の申請(以下「平成29年申請」という。)をしたところ,高槻市長から同月19日付けで使用を許可しない旨の処分(以下「平成29年不許可処分」という。そして,平成26年不許可処分ないし平成29年不許可処分を「本件不許可処分」ともいう。)を )をしたところ,高槻市長から同月19日付けで使用を許可しない旨の処分(以下「平成29年不許可処分」という。そして,平成26年不許可処分ないし平成29年不許可処分を「本件不許可処分」ともいう。)を受けた。 2 本件について - 3 -(1) 本件の原審は,控訴人が,被控訴人に対し,平成26年不許可処分ないし平成28年不許可処分の各取消し及び各申請に基づいて本件条項に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求めた事案である。 (2) 原判決は,本件各訴えのうち,本件各不動産につき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分を却下し,控訴人のその余の請求をいずれも棄却した。 (3) 控訴人は,原判決のうち,平成28年申請に基づいて本件条項に基づく本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求める訴えを却下し,平成28年不許可処分の取消請求を棄却した部分を不服として,本件控訴を提起し,前記第1の2及び3のとおり,平成28年不許可処分の取消し及び平成28年申請に基づいて本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求め,当審において,同4及び5のとおり,平成29年不許可処分の取消し及び平成29年申請に基づいて本件条項に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求める訴えを追加した。 3 前提事実(1) 原判決の引用前提事実は,下記(2)のとおり,原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の第2の1(3頁13行目から5頁18行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 原判決の補正ア原判決4頁18行目の「甲8,12」を「甲12,13」と改める。 イ原判決5頁18行目の末尾を改行し,次のとおり付加する。 ら,これを引用する。 (2) 原判決の補正ア原判決4頁18行目の「甲8,12」を「甲12,13」と改める。 イ原判決5頁18行目の末尾を改行し,次のとおり付加する。 「サ控訴人は,平成29年10月3日付けで,被控訴人に対し,使用期間を同年12月1日から平成30年11月30日まで,使用目的を植木圃場として本件各不動産の使用許可の申請をした(甲96)が,被控訴人は,平成29年10月19日付けで同申請を不許可とする旨の - 4 -処分(高産農第780号。以下「平成29年不許可処分」という。)を受けた(甲97)。 シ控訴人は,平成30年2月28日,平成29年不許可処分の取消し及び法238条の4第7項に基づく本件各不動産の使用許可処分の義務付けを求める訴えを追加した。 ス本件の主要な関連条文は,以下のとおりである。 (ア) 地方自治法238条の4(行政財産の管理及び処分)7項行政財産は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。 (イ) 行政手続法5条(審査基準)1項行政庁は,審査基準を定めるものとする。 2項行政庁は,審査基準を定めるに当たっては,許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。 3項行政庁は,行政上特別の支障があるときを除き,法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。 (ウ) 高槻市行政手続条例5条(審査基準)1項行政庁は,申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要 かなければならない。 (ウ) 高槻市行政手続条例5条(審査基準)1項行政庁は,申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下『審査基準』という。)を定めるものとする。 2項行政庁は,審査基準を定めるに当たっては,当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。 3項行政庁は,行政上の支障があるときを除き,条例等により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。 - 5 -(エ) 高槻市公有財産規則(以下「本件規則」ともいう。)16条(行政財産の使用許可)行政財産は,次の各号のいずれかに該当する場合は,法(地方自治法)第238条の4第7項の規定により,その使用の許可(以下『行政財産の使用許可』という。)をすることができる。 (1) 当該行政財産を利用する者のために食堂,売店その他の厚生施設の用に供するとき。 (2) 学術調査,研究,体育活動,行政施策の普及その他の公益目的のために講演会,研究会,運動会等の用に短期間供するとき。 (3) 水道事業,電気事業,ガス事業その他の公益事業の用に供することがやむを得ないと認められるとき。 (4) 災害その他緊急やむを得ない事態の発生により,応急施設の用に極めて短期間供するとき。 (5) 国若しくは他の地方公共団体その他の公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき。 (6) 前各号に掲げるもののほか,市長が 。 (5) 国若しくは他の地方公共団体その他の公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき。 (6) 前各号に掲げるもののほか,市長が特にその必要があると認めるとき。 17条(使用許可の期間)1項行政財産の使用許可の期間は,1年以内とする。ただし,電柱,ガス管,水道管その他これらに類するものを設置するために使用させるときその他使用許可の期間を1年以内とすることが著しく実情に即しないと認めるときは,5年以内とすることができる。」 4 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 原判決の引用争点及び争点に関する当事者の主張は,下記(2)のとおり,原判決を補正し, - 6 -後記(3)のとおり,当審における控訴人の主張を追加するほかは,原判決「事実及び理由」中の第2の2及び3(5頁19行目から18頁17行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 原判決の補正ア原判決6頁10行目の「平成26年10月6日時点」を「控訴人が被控訴人に対して役員名簿を提出した平成26年10月6日の時点」と改める。 イ原判決10頁17・18行目の「消防救護拠点」を「消防救援拠点」と改める。 ウ原判決11頁16行目の「この面積に」に続けて「最大雨量である」を加える。 エ原判決13頁23行目の「イからエまで」を「イ及びエ」と改める。 オ原判決15頁7行目の「消防救済拠点」を「消防救援拠点」と改める。 (3) 当審における控訴人の主張ア争点2(本件各不許可処分における高槻市長の判断の裁量権の逸脱濫用の有無)について(ア) 高槻市長の裁量の範囲及び程度について 。 (3) 当審における控訴人の主張ア争点2(本件各不許可処分における高槻市長の判断の裁量権の逸脱濫用の有無)について(ア) 高槻市長の裁量の範囲及び程度についてa 本件土地は,初めからAとしての使用に供する目的で被控訴人が取得し,かつ,土地の造成まで行ったものであり,また,本件各建物も,初めからAの管理事務所等に供する目的で建築されたものであるから,Aとしての使用に供すること以外の本来的な用途又は目的というものが存在しない。すなわち,控訴人による本件土地の使用は,そもそも行政財産の目的外使用ではない。 b したがって,本件においては,行政財産の目的外使用に関して施設管理者の広範な裁量を認める根拠が存在しないから,本件使用許可に関して高槻市長に裁量が認められるとしても,その裁量の範囲及び程度は,一般の行政財産の目的外使用に関して施設管理者が有する裁量 - 7 -に比べ,相当に狭いものというべきである。 c 高槻市長の裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの判断においても,新たに生じた高槻市による本件各不動産の使用の具体的かつ現実的な必要性の程度,控訴人が本件各不動産の使用を必要とする程度,不許可とされた場合の控訴人及び組合員が被る不利益の内容及び程度,不許可処分に至る判断過程等の各種事情を考慮し,社会通念に照らし妥当性を欠くと認められる場合には,不許可処分は,裁量権の逸脱又は濫用として違法となると解すべきである。 (イ) 本件土地利用と行政目的についてa 控訴人は,昭和50年から約40年間もの長きにわたって本件各不動産の使用を許可され,本件各不動産は,α地区の地場産業である植木業の重要な基地として機能してきた。Aの設立目的であるα地区の地場産業 控訴人は,昭和50年から約40年間もの長きにわたって本件各不動産の使用を許可され,本件各不動産は,α地区の地場産業である植木業の重要な基地として機能してきた。Aの設立目的であるα地区の地場産業である植木業の育成の必要性は,現在でも存続している。地対財特法が失効した平成14年4月以降も,被控訴人は,有償で控訴人に本件各不動産を使用させてきたが,それは,同和対策を離れても,高槻市の伝統産業である植木業を育成・存続させる必要があったからである。 b 本件通知当時,控訴人には,50人の組合員がおり,本件土地は,仮植場として,植木圃場の本来の用法として使用されている区画も多数あり,その部分については行政目的を達成していたのであるから,直ちに本件土地全体について,控訴人に使用許可することが行政目的に合致しないと評価することは相当ではない。 c 被控訴人が支援策を講じている様々な業種と植木業とを差別的に取り扱うべき理由はなく,特に,従前から対価を徴収して土地利用を許可してきたことを急に廃止するという取扱いをすることに合理的な理由はない。 - 8 -(ウ) 控訴人及び組合員の不利益(本件土地の植木圃場の利用状況)についてa 組合員が本件土地を仮植場として利用できなくなった場合には,従前どおりの植木業を営むことができなくなり,極めて重大な不利益を受ける。 b 本件土地の植木圃場は,根巻きした植木を置いておくだけの場所ではなく,植木を植栽しておき,出荷に際して根回しをすることで,根巻きをしていない樹木が普通に生えているのと同じ状態に植栽されており,仮植場として使用されている。 売れ残った植木を枯らさないためには,土に埋めなければならないが,そのためには,植木を植える土が ない樹木が普通に生えているのと同じ状態に植栽されており,仮植場として使用されている。 売れ残った植木を枯らさないためには,土に埋めなければならないが,そのためには,植木を植える土が必要である。土に埋められた植木は,根が出て,根巻きをする前の状態に戻ろうとする。根回しの作業は,全部一斉に根を切ることはできないから,根回しを終わるまでに1年から2年の時間がかかり,大きな根を張っている木になれば,2年から5年もかかるから,1年程度で移転できるものではない。 c したがって,控訴人がAを使用することができなくなれば,組合員が従前どおりの植木業を営んでいくことは不可能となる。 (エ) 被控訴人の本件土地利用の必要性についてa 被控訴人は,平成25年11月1日にAの廃止について特命チームを発足させ,その時から1か月に満たない同月29日までにA廃止の結論を出したが,同日の時点では,跡地利用については何も決まっていなかった。被控訴人が,A跡地の利用について各部署に照会したのは,平成26年1月27日以降である。 僅か2名で構成された特命チームが,僅か1か月以内で,過去40年に及ぶ控訴人の活動の実情を把握し,また,将来の動向を予測し,さらに,Aが廃止された場合の組合員の事業が,どのようなものにな - 9 -るかについて十分に検討するには,時間的余裕がないことは明らかである。 b 被控訴人が,本件土地に設置しようとしているα分署(高槻市中消防署α分署)等の諸施設は,本件土地が,洪水時には2ないし5mの浸水が想定される場所であること等からすると,不適切であるから,本件土地を他の目的に使用する必要性はない。 高い土地から流れてきた水を低い土地に設置する貯留槽に蓄える は2ないし5mの浸水が想定される場所であること等からすると,不適切であるから,本件土地を他の目的に使用する必要性はない。 高い土地から流れてきた水を低い土地に設置する貯留槽に蓄えることが,北側土地の浸水被害を軽減するということは,物理的にみて通常想定できないところである。したがって,本件土地に設置されるとする雨水貯留施設が,本件土地の北側にある土地の浸水被害の軽減に一定の効果を有するとする根拠はない。 イ争点3(本件各不許可処分における適正手続違反の有無)について(ア) 告知・聴聞の機会についてa 被控訴人が,平成25年度をもって本件各不動産の使用許可を終了することを平成25年11月29日に決定した際には,控訴人に対する告知・聴聞手続がとられていない。 b 被控訴人は,平成25年11月29日,平成26年4月1日以降は本件各不動産の使用を許可せず,ただ,同年11月30日までを代替地移転のための猶予期間として,条件付きで使用を許可するということを確定的に決定したものであり,本件各不許可処分は,いずれもこの確定的な決定に基づいて機械的に行われたにすぎない。 c また,被控訴人が控訴人との協議を行ったのは,平成25年11月29日の決定後であるから,告知・聴聞としての意味を持たない。 d したがって,本件各不許可処分は,告知・聴聞の機会を欠いた違法な処分である。 (イ) 行政手続法5条違反について - 10 -a 控訴人が本件条項に基づいて本件各不動産についてした各使用許可の申請(以下「本件申請行為」という。)は,法令に基づき行政庁の許可を求める行為であって,行政庁は,当該行為に対し,許諾の応答をすべきものとされているから,行政手続法2 不動産についてした各使用許可の申請(以下「本件申請行為」という。)は,法令に基づき行政庁の許可を求める行為であって,行政庁は,当該行為に対し,許諾の応答をすべきものとされているから,行政手続法2条3号の「申請」に該当する。 b 申請に対する不許可処分が,行政手続法5条に反して審査基準の設定と公表を欠いたままされたことは,処分の取消事由となるから,当該不許可処分は,行政手続法5条に反するものとして取り消されなければならない。 c ところが,被控訴人は,行政財産の使用許可申請に対する許可・不許可の審査基準を設けておらず,したがって,当該審査基準を公にする措置をとっていない。 d したがって,本件各不許可処分は,審査基準の設定とその公表を欠いてされたものであり,取り消されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 はじめに当裁判所は,以下のとおり,判断する。その理由は,下記2の認定事実を前提として,後記3ないし7において,当審における控訴人の主張も含めて,各争点について判断するところによる。 (1) 原審と同じく,平成28年不許可処分の取消し及び平成28年申請に基づいて法238条の4第7項(本件条項)に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求める訴えのうち,本件各不動産につき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,控訴人のその余の請求は理由がないから棄却すべきである。 (2) 当審において追加された,平成29年不許可処分の取消し及び平成29年申請に基づいて本件条項に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の - 11 -義務付けを求める訴えのうち,本件各不動産につき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを び平成29年申請に基づいて本件条項に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の - 11 -義務付けを求める訴えのうち,本件各不動産につき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,控訴人のその余の請求は理由がないから棄却すべきである。 2 認定事実(1) 原判決の引用当裁判所の認定事実は,原判決「事実及び理由」中の第3の1(18頁19行目から28頁15行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 原判決の補正ア原判決18頁24行目の「同和対策特別措置法」を「同和対策事業特別措置法」,19頁2行目の「地域改善」から同3行目「(地対財特法)」までの部分を「地対財特法」と各改める。 イ原判決25頁6行目の「同年11月30日以降」を「同年12月1日以降」と改める。 ウ原判決27頁8行目の「計画降雨」の前に「10年に1度の」を加える。 3 争点1(本件訴え提起の適法性)について当裁判所も,本件訴えの提起は適法であると判断する。その理由は,原判決29頁12行目の「第3回口頭弁論期日」を「原審第3回口頭弁論期日」と改めるほかは,原判決「事実及び理由」中の第3の2(28頁16行目から29頁17行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 4 本件各不許可処分の取消しの訴えの利益について当裁判所も,本件各不許可処分の取消しについては,訴えの利益があるものと判断する。その理由は,原判決30頁20行目から同31頁3行目までの部分を「前記前提事実(2)及び証拠(甲97)によれば,平成26年不許可処分ないし平成28年不許可処分については,いずれもこれらに対応する申請に係る使用期間満了時までに使用許可申請がされてい までの部分を「前記前提事実(2)及び証拠(甲97)によれば,平成26年不許可処分ないし平成28年不許可処分については,いずれもこれらに対応する申請に係る使用期間満了時までに使用許可申請がされていることが認められる。」と改めるほかは,原判決「事実及び理由」中の第3の3(29頁18行目から31頁 - 12 -7行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 5 争点2(本件各不許可処分の適法性1〔本件各不許可処分における高槻市長の判断の裁量権の逸脱濫用の有無〕)について(1) 原判決の引用争点2についての判断は,下記(2)のとおり,原判決を補正し,後記(3)のとおり,当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の第3の4(31頁8行目から47頁15行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 原判決の補正ア 33頁6行目の「否かついては」を「否かについては」と改める。 イ 34頁12行目の「その後」から同14行目の「認められる。」までの部分を「その後は,平成27年,平成28年及び平成29年にそれぞれ本件各不動産の使用許可申請をしたものの,平成27年不許可処分,平成28年不許可処分及び平成29年不許可処分をそれぞれ受けたことが認められる。」と改める。 ウ 44頁10・11行目の「1時間当たり48mm の降雨」を「10年降雨確率である1時間当たり48mm の降雨」,同22行目の「1時間当たり110mm」を「既往最大降雨である平成24年8月の1時間当たり110mm」,同23行目の「浸水する」を「浸水が生ずる」と各改める。 (3) 当審における控訴人の主張に対する判断ア高槻市長の裁量の範囲及び程度について(ア) 控 当たり110mm」,同23行目の「浸水する」を「浸水が生ずる」と各改める。 (3) 当審における控訴人の主張に対する判断ア高槻市長の裁量の範囲及び程度について(ア) 控訴人は,本件各不動産については,当初からAとしての用に供すること以外の本来的な用途又は目的というものが存在しないから,本件使用許可に関して高槻市長に裁量が認められるとしても,その裁量の範囲及び程度は,一般の行政財産の目的外使用に関して施設管理者が有する裁量に比べて相当に狭いと主張する。 - 13 -(イ) 前記2において認定(同(2)で補正の上,同(1)のとおり,原判決18頁22行目から20頁初行までを引用)したとおり,本件各不動産は,昭和44年成立の同和対策事業特別措置法(その後,昭和57年成立の地域改善対策特別措置法,昭和62年成立の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律[地対財特法])が,同和地区に関する社会的及び経済的諸問題の解決(生活環境の改善)等を図るための特別な措置として同和対策事業を継続的に実施することを定めたという状況を受け,被控訴人は,昭和45年10月21日策定の高槻市同和対策長期総合10箇年計画において,α町における植木産業の振興を図り自立自営化を促進するための特別施策として,昭和48年以降,Aとしての使用に供する目的で,本件土地を取得し,本件各建物を建築した上で,控訴人に対し,使用許可を継続的に行ってきたものであるから,その本来的な用途又は目的は,Aとしての用に供することであったというべきである。 (ウ) しかしながら,前記2において認定(同(1)のとおり,原判決20頁9行目から11行目まで,21頁4行目から22頁7行目までを各引用)のとおり,本件各不動産については,次の である。 (ウ) しかしながら,前記2において認定(同(1)のとおり,原判決20頁9行目から11行目まで,21頁4行目から22頁7行目までを各引用)のとおり,本件各不動産については,次の事実が認められる。 a 本件土地の近隣雑種地の固定資産評価額(平成26年1月現在)を基準に本件土地の固定資産評価額相当額を算定すると,約26億9780万円となるところ,Aの使用料は,昭和50年度から平成13年度までは無償であり,平成14年度からは使用料を徴収することとなったものの,平成25年度の時点では,年額144万1416円と,極めて低廉であった。 b 被控訴人は,控訴人に対し,運営補助金の交付,植木剪定等廃棄物の処理手数料の免除,控訴人が主催する園芸フェアにつき,被控訴人が実行委員会に参画し,補助金を交付する等の種々の支援策を講じて - 14 -きたことからすれば,控訴人は,本件通知時までには,α町における植木産業の振興を図り,自立自営化を促進するためには十分というべき長期間にわたって,特別な措置がとられてきたものである。 c 被控訴人が,平成14年3月末,地対財特法の失効を契機に,被控訴人に対する支援の在り方を見直したところ,組合員の経営の安定及びα町における植木産業の発展が図られた一方で,かえって,控訴人には,行政に対する依存度が高く,自主的で自立的な経営が行われているとはいえない状況が生じていた。 (エ) このように,本件各不動産については,当初は,α町における植木産業の振興を図り自立自営化を促進するために,Aとしての用に供することが用途又は目的であったとしても,本件通知当時には,Aとして控訴人に使用許可を続けることが,かえってその自立自営化を妨げるものとされるに至っていたものである 促進するために,Aとしての用に供することが用途又は目的であったとしても,本件通知当時には,Aとして控訴人に使用許可を続けることが,かえってその自立自営化を妨げるものとされるに至っていたものであるから,上記行政目的との関係においては,一定の目的を達していたばかりか,逆に弊害も現れていたものである。 そうすると,当初の行政目的との関係で,高槻市長の裁量の範囲及び程度が,一般の行政財産の目的外使用に関して施設管理者が有する裁量に比べて狭いものとすべき理由には,欠けるものというべきである。 (オ) したがって,控訴人の前記(ア)の主張は採用できない。 イ土地利用と行政目的について(ア) 控訴人は,昭和50年から約40年間もの長きにわたって本件各不動産の使用を許可され,本件各不動産は,α地区の地場産業である植木業の重要な基地として機能してきたから,Aの設立目的であるα地区の地場産業である植木業の育成の必要性は,地対財特法が失効した平成14年4月以降も,現在まで存続していると主張する。 しかしながら,上記ア(ウ)において認定,判断したとおり,被控訴人が昭和50年からAとして,控訴人に対する本件各不動産の使用許可を続 - 15 -ける一方,平成13年度まで使用料を無償とし,平成14年度以降も極めて低廉な金額の使用料のみを徴収する等の支援策を講じてきたことが,本件通知当時には,かえってα町における植木産業の自立自営化を妨げるものとされるに至っていたものであるから,α地区の地場産業である植木業の育成の必要性が現在でも存続しているとしても,そのために被控訴人が本件各不動産の使用許可を続ける必要があるものとは考えにくい。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 (イ) 控訴人は,本 も存続しているとしても,そのために被控訴人が本件各不動産の使用許可を続ける必要があるものとは考えにくい。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 (イ) 控訴人は,本件通知当時,控訴人には50人もの組合員がおり,本件土地は,仮植場として,植木圃場の本来の用法として使用されている区画も多数あり,その部分については行政目的を達成していたのであるから,直ちに本件土地全体について,控訴人に使用許可することが行政目的に合致しないと評価することは相当でないと主張する。 しかしながら,前記2の認定(同(1)のとおり,原判決22頁22行目から23頁4行目までを引用)のとおり,控訴人の組合員数は,設立当初は100人を超えていたものであるから,本件通知当時には,約半数になっており,現に,本件土地の利用状況をみても,植木圃場として使用されている区画もある一方,使用されていない区画も相当数存在し,その中には,荒れたままになっている区画,土木資材が置かれている区画,駐車場として使用されている区画,ゴミ捨て場になっているような区画等が存在していたのであるから,本件土地は,全体として見れば,Aとしての用に供するという行政目的を達成しているとは考えにくいところである。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 (ウ) 控訴人は,植木業を被控訴人が支援策を講じている様々な業種と差別的に取り扱うべき理由はなく,特に従前から対価を徴収して土地利用を - 16 -許可してきたことを急に廃止するという取扱いをすることに合理的な理由はないと主張する。 しかしながら,上記ア(ウ)で認定,判断したとおり,被控訴人は,控訴人に対しては,α町における植木産業の振興を図り自立自営化を促進するために既 ることに合理的な理由はないと主張する。 しかしながら,上記ア(ウ)で認定,判断したとおり,被控訴人は,控訴人に対しては,α町における植木産業の振興を図り自立自営化を促進するために既に十分な長期間にわたって,特別な措置をとってきたものである。そして,Aが,当初から同和対策事業として行われてきており,本件各不動産がその取得や建物の新築当時から,行政財産として,その用に供せられてきたものであるというこれまでの経緯を十分に勘案しても,その用途を廃止することが,被控訴人が支援策を講じている様々な業種との間で,控訴人を差別的に取り扱うことになるものとは考えにくい。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 ウ控訴人及び組合員の不利益(本件土地の植木圃場の利用状況)について(ア) 控訴人は,本件土地の植木圃場は,根巻きした植木を置いておくだけの場所ではなく,売れ残った植木を枯らさないために仮植場として使用されており,埋められた植木に対する根回しの作業は,それが終わるまでに1年から2年の時間がかかり,大きな根を張っている木になれば2年から5年もかかるから,本件土地を仮植場として利用できなくなった場合には,組合員が,従前どおりの植木業を営むことができなくなり,極めて重大な不利益を受けると主張する。 (イ) しかしながら,前記5(1)において認定,判断(原判決36頁20・21行目の「そうであるところ,」から37頁初行の「認められ,」までを引用)したとおり,本件土地の植木圃場は仮植場であり,基本的には直ちに販売先に植え替えができるよう,根巻き(移植する木の根を菰や藁で包んで保護すること)をした植木を一時的に植えておく場所として利用されるものであること,本件通知後に本件土地を明け渡した組合員 直ちに販売先に植え替えができるよう,根巻き(移植する木の根を菰や藁で包んで保護すること)をした植木を一時的に植えておく場所として利用されるものであること,本件通知後に本件土地を明け渡した組合員 - 17 -の中には,平成26年11月末までの間に本件土地以外の高槻市内の土地に植木等を移設し,引き続き植木業等を営んでいる者がいることが認められるほか,証拠(甲92,乙26,34,41,53ないし55,乙60,乙63,64の各1・2)によれば,一部の売れ残った植木の中には,定期的に掘り出して根巻きをしないと,根を張ってしまうため,伸びた根を少し切り,切った部分から細い根を出させるという根回しの作業のために,1年から2年,あるいは2年から5年もかかる例もあるものの,大半の植木については,根巻きのまま移転することができること,もと控訴人代表者であったBや,組合員Cは,短期間に植木を移動させていること,元組合員には,高槻市内のβやγ,δの各地に土地植木等を移設している者がいることが認められる。 (ウ) 以上によれば,根回しのために,1年から2年,あるいは2年から5年もかかる植木はあるものの,あくまでも例外であり,大半の植木については,1年程度で移転することができるものと考えられるから,控訴人がAを使用することができなくなれば,従前どおりの植木業を営んでいくことが不可能となるとまでは認められない。 (エ) したがって,控訴人の前記(ア)の主張は採用できない。 エ被控訴人の本件土地利用の必要性について(ア) 被控訴人の検討状況a 控訴人は,被控訴人が,Aの廃止について特命チームを発足させたのは平成25年11月1日であり,その時から1か月に満たない同月29日までにA廃止の結論を出したが,同日の時点 の検討状況a 控訴人は,被控訴人が,Aの廃止について特命チームを発足させたのは平成25年11月1日であり,その時から1か月に満たない同月29日までにA廃止の結論を出したが,同日の時点では跡地利用について何も決まっておらず,被控訴人が,A跡地の利用について各部署に照会したのは,平成26年1月27日以降であるところ,僅か2名で構成された特命チームが,僅か1か月以内で過去40年に及ぶ控訴人の活動の実情を把握し,また,将来の動向を予測し,さらに,Aが - 18 -廃止された場合の組合員の事業がどのようなものになるかについて十分に検討するには,時間的余裕がないことは明らかであると主張する。 b しかしながら,前記(1)において認定,判断(原判決45頁22行目から46頁9行目までを引用)したとおり,判断に至るまでの検討期間の長短が,直ちに当該判断の判断過程の適否に結び付くものとはいえないこと,被控訴人においては,平成19年及び平成20年に高槻市議会でAの存続を問題視する趣旨の指摘がされ,その後も同議会において度々Aの存続の適否が議論されており,被控訴人においても,平成25年以前からAの存続の適否について検討が進められてきたことが認められること,また,証拠(乙60)によれば,被控訴人は,毎年活動報告として提出を受けていた総会議案書によって,控訴人の活動が低迷形骸化していることを把握していたことが認められる。これらによれば,控訴人に対する本件各不動産の使用許否の判断に当たり,高槻市長が,特にその必要があると認める(高槻市公有財産規則16条6号)場合に該当しないと判断するに至る過程については,さして長期にわたる複雑な調査や考慮を要するものとは考えられない。 c したがって,控訴人の前記aの主張は採用できない。 産規則16条6号)場合に該当しないと判断するに至る過程については,さして長期にわたる複雑な調査や考慮を要するものとは考えられない。 c したがって,控訴人の前記aの主張は採用できない。 (イ) α分署についてa 控訴人は,被控訴人が,本件土地に設置しようとしているα分署等の諸施設は,本件土地が洪水時には2ないし5mの浸水が想定される場所であること等に照らせば,不適切であるから,本件土地を他の目的に使用する必要性はないこと,高い土地から流れてきた水を低い土地に設置する貯留槽に蓄えることが北側土地の浸水被害を軽減させるということは,物理的にみて通常想定できないところであるのに,本件土地に設置されるという雨水貯留施設が,本件土地の北側にある土地の浸水被害の軽減に一定の効果を有するとする根拠はないことから - 19 -すれば,被控訴人が本件土地を利用する具体的な必要性は認められないと主張する。 b しかしながら,控訴人に対して本件各不動産の使用を許可すべきかどうかについて,高槻市長が特にその必要があると認める場合に該当しないと判断するに当たり,被控訴人が本件土地を利用する具体的な必要性が明らかでなければならないとは解されない。 また,証拠(乙30,60)によれば,被控訴人が,本件土地に設置を予定しているα分署等の諸施設については,2ないし5mの浸水が想定される場所に建設されるとしても,可能な限り,浸水しない地域への配置や浸水対策を講じるものとされていることが認められ,これによれば,α分署等を設置することが,直ちに不適切であるとはいえない。 さらに,高い土地は,低い土地で雨水が排水できなくなるために浸水するものであるから,高い土地から流れてきた水を低い土地に設置 分署等を設置することが,直ちに不適切であるとはいえない。 さらに,高い土地は,低い土地で雨水が排水できなくなるために浸水するものであるから,高い土地から流れてきた水を低い土地に設置する貯留槽に蓄えることによって,高い土地の浸水被害を軽減するとすることが,直ちに不適切であるとはいえない。 なお,その必要貯留量を12万2000㎥と算定した根拠(乙31)やシュミレーション,費用対効果は,本件全証拠によっても,必ずしも明らかではないものの,そのことが直ちに上記結論を左右するものではない。 c したがって,控訴人の前記aの主張は採用できない。 6 争点3(本件不許可処分の適法性2〔本件各不許可処分における適正手続違反の有無〕)について(1) 原判決の引用争点3についての判断は,原判決48頁11行目の「イ,エ及びオ」を「ア,イ,エ及びオ」と改め,下記(2)において,当審における控訴人の主張 - 20 -に対する判断を加えるほかは,原判決「事実及び理由」中の第3の5(47頁16行目から49頁13行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 当審における控訴人の主張に対する判断ア告知・聴聞の機会について(ア) 控訴人は,被控訴人が,控訴人に対し,平成25年度をもって本件各不動産の使用許可を終了することを平成25年11月29日に通知した(本件通知)した際に,被控訴人は,平成26年3月31日以降は本件各不動産の使用を許可せず,ただ,同年11月30日までを代替地移転のための猶予期間として,条件付きで使用を許可するということを確定的に決定したものであり,本件各不許可処分は,いずれもこの確定的な決定に基づいて機械的に行われたにすぎないのであるから,上 代替地移転のための猶予期間として,条件付きで使用を許可するということを確定的に決定したものであり,本件各不許可処分は,いずれもこの確定的な決定に基づいて機械的に行われたにすぎないのであるから,上記決定に際し,控訴人に対する告知・聴聞手続がとられたといえないと主張する。 (イ) しかしながら,控訴人の主張する確定的な決定とは,内部的な意思決定過程を指すにすぎないところ,前記2において認定(同(1)のとおり,原判決23頁6行目から24行目までを引用)したとおり,本件通知は,被控訴人が植木という特性を考慮し,控訴人及び組合員に対し,平成25年度をもって,本件不動産の使用許可を終了する旨を事前に告知し,代替地に移転するための猶予期間を確保する機会を与えるためであって,控訴人が既に受けていた使用許可を取り消す趣旨を含むものではないから,本件通知を,実質的に「許認可等を取り消す不利益処分」(行政手続法13条1項1号イ)と同視することはできない。 (ウ) したがって,控訴人の前記(ア)の主張は,その前提を欠き,採用することができない。 イ行政手続法5条違反について(ア) 控訴人は,本件申請行為は,法令に基づき行政庁の許可を求める行為 - 21 -であって,当該行為に対して行政庁が許諾の応答をすべきものとされているから,行政手続法2条3号の「申請」に該当するところ,同法5条は,申請に対する処分に関して,行政庁は,許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めるものとし,これを公にする措置をとらなければならないとし,被控訴人においても,高槻市行政手続条例5条で同趣旨の規定を定めているにもかかわらず,被控訴人は,行政財産の使用許可申請に対する許可・不許可の審査基準を設けていないから,上記審査基準を らないとし,被控訴人においても,高槻市行政手続条例5条で同趣旨の規定を定めているにもかかわらず,被控訴人は,行政財産の使用許可申請に対する許可・不許可の審査基準を設けていないから,上記審査基準を公にする措置をとっていないと主張する。 しかしながら,証拠(乙3,65)及び弁論の全趣旨によれば,高槻市長は,地方自治法238条の4第7項に基づく使用許可に関し,高槻市公有財産規則(乙3,65。本件規則)を定めているところ,高槻市長は,控訴人に対し,「特にその必要があると認めるとき」(16条6号)に該当するとして本件各不動産の使用許可を継続していたところ,「特に必要がある」と認めないことから,本件各不許可処分に至ったものであると解される。 (イ) 控訴人は,地方自治法238条の4第7項に基づく行政財産の目的外使用の許可に関しては,一般に行政庁の広範な裁量が認められていることからすると,可能な限り具体的な審査基準が定められている必要があるところ,「市長が特にその必要があると認めるとき」という規定は,あまりに抽象的で漠然とした内容であるから,審査基準として意味がないと主張する。 しかしながら,本件規則16条6号は,高槻市長が行政財産の使用許可をすることができる場合として,同条1号から5号までに列挙された「当該行政財産を利用する者のために食堂,売店その他の厚生施設の用に供するとき」,「学術調査,研究,体育活動,行政施策の普及その他の公益目的のために講演会,研究会,運動会等の用に短期間供すると - 22 -き」,「水道事業,電気事業,ガス事業その他の公益事業の用に供することがやむを得ないと認められるとき」,「災害その他緊急やむを得ない事態の発生により,応急施設の用に極めて短期間供するとき」及び「国若しくは他 道事業,電気事業,ガス事業その他の公益事業の用に供することがやむを得ないと認められるとき」,「災害その他緊急やむを得ない事態の発生により,応急施設の用に極めて短期間供するとき」及び「国若しくは他の地方公共団体その他の公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき」の各号と共に,「前各号に掲げるもののほか,市長が特にその必要があると認めるとき」と定められているから,審査基準としては,列挙された事項と同等の必要性が認められる場合であることを要するものと解することができる。そうすると,本件規則16条6号の規定は,抽象的にすぎるものであるとは解されない。 (ウ) したがって,控訴人の前記(ア)の主張は採用できない。 7 争点4(義務付けの訴えの訴訟要件及び本案要件の具備の有無)当裁判所も,本件各訴えのうち,本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求める部分は,不適法であると判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」中の第3の6(49頁14行目から23行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。これによれば,控訴人の前記第1の5の訴え(当審請求)もまた,不適法である。 第4 結論 1 以上によれば,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却する。 2 また,控訴人が当審において追加した,平成29年不許可処分の取消し及び平成29年申請に基づいて法238条の4第7項(本件条項)に基づき本件各不動産の使用を許可するとの処分の義務付けを求める訴えのうち,本件各不動産につき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,控訴人のその余の追加的請求は理由がないから棄却することとする。 - 23 - 3 よって,主文のと 主文 つき本件条項に基づく使用を許可する旨の処分の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,控訴人のその余の追加的請求は理由がないから棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官田中敦 裁判官吉川愼一 裁判官齋藤聡
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