令和3(ネ)10096 競業行為差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、同附帯控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年6月30日 知的財産高等裁判所 1部 判決 原判決一部変更 東京地方裁判所 令和1(ワ)15716
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判決文本文27,434 文字)

1 令和4年6月30日判決言渡令和3年(ネ)第10096号 競業行為差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所令和元年(ワ)第15716号(本訴)、令和2年(ワ)第4369号(反訴))5口頭弁論終結日 令和4年4月19日判 決 控訴人兼附帯被控訴人 X10(以下「1審原告」という。)同訴訟代理人弁護士 石 渡 敏 暁 被控訴人兼附帯控訴人 Y15(以下「1審被告Y」という。) 被控訴人 株式会社ギャラリーアートポイント(以下「1審被告会社」という。) 20上記両名訴訟代理人弁護士 宮 﨑 ま ど か主 文1 1審原告の控訴に基づき、(1) 原判決主文第2項を次のとおり変更する。 ア 1審原告は、1審被告Yに対し、78万3060円及びこれに対す25る本判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 イ 1審被告Yの不正競争防止法4条に基づくその余の反訴請求を棄却する。 (2)ア 原判決主文第4項を取り消す。 イ 前記アの取消しに係る1審被告Yの反訴請求を棄却する。 2 1審原告のその余の控訴及び1審被告Yの附帯控訴をいずれも棄却する。 53 訴訟費用は、第1、2審を通じて、これを10分し、その9を1審原告の負担とし、その余を1審被告Yの負担とする。 事実及び理由第1 当事者の求めた裁判1 控訴の趣旨10⑴ 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審被告Yは、令和19年10月23日 、その余を1審被告Yの負担とする。 事実及び理由第1 当事者の求めた裁判1 控訴の趣旨10⑴ 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審被告Yは、令和19年10月23日までの間、東京都中央区において、貸画廊及び企画画廊、これに類似する営業又は事業をしてはならない。 (3) 1審被告Yは、貸画廊及び企画画廊を行うに当たり、「GALLERYART POINT」なる名称、「ギャラリーアートポイント」なる名称又は15これらに類似の名称を使用してはならない。 (4) 1審被告らは、原判決別紙3被告らウェブページ目録記載の各ウェブページ、Facebook(●(省略)●)、Twitter(●(省略)●)、パンフレット、チラシ等に、同別紙2被告ら標章目録記載の各標章を付して、展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に同目録記載の各標20章を付して電磁的方法により提供してはならない。 (5) 1審被告らは、原判決別紙3被告らウェブページ目録記載の各ウェブページ、Facebook(●(省略)●)、Twitter(●(省略)●)、パンフレット、チラシ等の広告物から、同別紙2被告ら標章目録記載の各標章を削除せよ。 25(6) 1審被告Yは、自ら又は第三者をして、原判決別紙4営業妨害行為目録(差3 止対象行為)記載の各行為によって、原告の貸画廊及び企画画廊の営業を妨げてはならない。 (7) 1審被告Yは、1審原告に対し、403万7900円及びこれに対する令和2年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (8) 1審被告Yの反訴請求をいずれも棄却する。 52 1審被告Yの附帯控訴の趣旨⑴ 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審原告は、1審被告Yに対し、344万 員を支払え。 (8) 1審被告Yの反訴請求をいずれも棄却する。 52 1審被告Yの附帯控訴の趣旨⑴ 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審原告は、1審被告Yに対し、344万0530円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 1審原告は、ウェブページ、パンフレット、チラシ等の広告物又は第三者10への通知において、1審被告Yからギャラリーアートポイントの営業譲渡を受けた旨を記載し、又は、その旨を告知してはならない。 (4) 1審原告は、自己の営業上で用いる看板、ポスター等の掲示物若しくはチラシに原判決別紙6原告標章目録記載の各標章を付して展示し、若しくは頒布し、又は1 審原告が代表者である旨を明記したインターネット上の告知若15しくは宣伝に当該各標章を付して電磁的方法により提供してはならない。 (5) 1審原告は、「artpoint.jp」のドメイン名を保有し、又は、使用してはならない。 (6) 1審原告の1審被告Yに対する本訴請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。)201 事案の要旨本件の本訴は、1審原告が、1審原告の元夫である1審被告Yとの間で、1審被告Yが「GALLERY ART POINT」の名称(以下「本件商号」という場合がある。)を使用して行っていた画廊(以下「本件画廊」という。)の営業について営業譲渡を受ける旨の合意(以下「本件画廊の営業譲渡契約」と25いう場合がある。)をし、その合意後、「GALLERY ART POINT」4 の文字を含む別紙原告商標権目録(原判決別紙1)記載の登録商標(以下「原告商標」という。)に係る商標権(以下「原告商標権」という。)の設定登録を受けたが ALLERY ART POINT」4 の文字を含む別紙原告商標権目録(原判決別紙1)記載の登録商標(以下「原告商標」という。)に係る商標権(以下「原告商標権」という。)の設定登録を受けたが、1審被告Yから、1審原告が本件画廊で行う貸画廊等の営業に対し営業妨害を受けているなどと主張して、1審被告Yに対し、①本件画廊の営業譲渡契約又は商法16条1項に基づき、東京都中央区における貸画廊等の営業の差5止め、②本件画廊の営業譲渡契約に基づき、本件商号、その日本語表記である「ギャラリーアートポイント」又はこれらに類似の名称を使用することの差止め、③本件画廊の営業譲渡契約又は営業権に基づき、1審原告の貸画廊及び企画画廊の営業に対する営業妨害行為の差止め、④不法行為に基づく損害賠償として1審被告Yの営業妨害行為による損害、原告商標権の侵害行為による損害10及び弁護士費用相当の損害の合計403万7900円及び遅延損害金の支払を求めるとともに、1審被告Y及び同人が代表取締役を務める1審被告会社による原判決別紙2被告ら標章目録記載1ないし5の各標章(以下「被告ら各標章」と総称し、同目録記載の番号に従って、それぞれを「被告ら標章1」などという。)の使用が原告商標権の侵害に当たるとして、1審被告らに対し、商標法3156条1項及び2項に基づき、被告ら各標章の使用の差止め及び削除等を求める事案である。 本件の反訴は、原告商標権の設定登録後に「GALLERY ART POINT」の文字を含む別紙被告商標権目録(原判決別紙5)記載1及び2の各登録商標(以下「被告各商標」と総称し、同目録記載1の登録商標を「被告商標201」、同目録記載2の登録商標を「被告商標2」という。)に係る各商標権(以下「被告各商標権」と総称し、被告商標1に係る商標権を「被 下「被告各商標」と総称し、同目録記載1の登録商標を「被告商標201」、同目録記載2の登録商標を「被告商標2」という。)に係る各商標権(以下「被告各商標権」と総称し、被告商標1に係る商標権を「被告商標権1」、被告商標2に係る商標権を「被告商標権2」という。)の設定登録を受けた1審被告Yが、1審原告に対し、1審被告Yが1審原告に対し本件画廊の営業譲渡をした事実がないのに、1審原告がそのウェブサイトや広告物で、上記営業譲渡25をあった旨を公表し、顧客にメール等で通知したことが、1審被告Yの営業上5 の信用を害する虚偽の事実を告知する行為として、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項21号の不正競争行為に該当すると主張して、同法3条1項に基づく上記行為の差止め及び同法4条に基づく損害賠償として569万5000円(売上減少による損害319万5000円及び信用毀損による無形損害ないし精神的損害250万円の合計額)及び遅延損害金の支払、不法5行為に基づく損害賠償として1審原告による1審被告Yの画廊のインターンの業務の妨害行為に対する慰謝料50万円及び遅延損害金の支払、画廊の内装費の半額に相当する132万円の不当利得返還及び遅延損害金の支払、㋓1審原告による原判決別紙6原告標章目録記載の各標章(以下「原告各標章」と総称する。)の使用が、被告各商標権の侵害又は1審被告Yの著作物である原判決10別紙7被告著作物目録記載のロゴマーク(以下「本件ロゴマーク」という。)に係る著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害に当たるとして、商標法36条1項又は著作権法112条1項に基づく上記使用の差止め、1審被告Yの特定商品等表示である「ギャラリーアートポイント」の商号に類似する1審原告の「artpoint.jp」のドメイン名の取得 法36条1項又は著作権法112条1項に基づく上記使用の差止め、1審被告Yの特定商品等表示である「ギャラリーアートポイント」の商号に類似する1審原告の「artpoint.jp」のドメイン名の取得、保有及び使用が、不競法2条151項19号の不正競争行為に該当すると主張して、同法3条1項に基づく上記取得等の差止めを求める事案である。 原審は、1審原告の本訴請求のうち、1審被告Yに対し、④の不法行為に基づく損害賠償として営業妨害行為による損害36万6560円及び弁護士費用相当の損害4万円の合計40万6560円並びにうち4960円に対する令和202年10月9日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金及びうち40万1600円に対する同日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、1審被告Yに対するその余の請求及び1審被告会社に対する請求をいずれも棄却し、また、1審被告Y25の反訴請求のうち、の不競法3条1項に基づく差止請求、㋓の商標法36条6 1項に基づく差止請求をいずれも認容し、㋔の不競法3条1項に基づく差止請求のうち、「artpoint.jp」のドメイン名の保有及び使用の差止めを認める限度で一部認容し、の不競法4条に基づく損害賠償請求のうち、1審原告に対し、128万3060円(売上減少による損害28万3060円及び信用毀損による無形損害100万円の合計額)及びこれに対する判決確定の日5から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、その余の反訴請求をいずれも棄却した。 そこで、1審原告は、原判決中敗訴部分を全部不服として控訴を提起し、1審被告 みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、その余の反訴請求をいずれも棄却した。 そこで、1審原告は、原判決中敗訴部分を全部不服として控訴を提起し、1審被告Yは、附帯控訴の趣旨の限度で、原判決を不服として(本訴請求につき敗訴部分全部、反訴請求につき不競法4条に基づく損害賠償請求のうち、34104万0530円(附帯控訴の趣旨(2))から128万3060円(原審認容額)を控除した差額215万7470円を棄却した部分)、附帯控訴を提起した。 2 前提事実以下のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」の第2の2記載のとおりであるから、これを引用する。 15(1) 原判決14頁10行目の「イ」を「イ(ア)」と改め、同頁同行目の「以前から,」の後に「東京都中央区銀座8丁目所在のエリザベスビル地下1階の賃借事務所(以下「旧事務所」という。)において、」を加え、同頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(イ) 1審被告Yは、平成27年7月10日付けで旧事務所の賃貸借契約20(定期建物賃貸借契約)の終了通知を受け、同賃貸借契約は、平成28年4月30日をもって期間満了により終了した。その後、1審被告Yと旧事務所の賃貸人は、賃貸人が1審被告Yに対し、平成30年2月5日まで旧事務所の明渡しを猶予し、同日までに明渡しをすることを条件に賃貸借契約終了後の使用料相当損害金(月額賃料の倍額の月額38万円25の割合による金員)の支払を免除する旨の合意をした(甲168の1、7 2、1審被告Y)。 (ウ) 1審被告Y及び1審原告と株式会社マルナカホールディングス(以下「マルナカホールディングス」という。)は、平成29年10月24日、1審被告Y及び1審原告の両名が賃借人として、マルナカホー (ウ) 1審被告Y及び1審原告と株式会社マルナカホールディングス(以下「マルナカホールディングス」という。)は、平成29年10月24日、1審被告Y及び1審原告の両名が賃借人として、マルナカホールディングスから、賃料月額25万3692円・共益費月額8万2215円、期5間同年11月1日から2年間の約定で、●●●●●●●●●●●所在の●●●●●●●●●●●の事務所(以下「本件事務所」という。)を賃借する旨の賃貸借契約(甲5)を締結した。」(2) 原判決14頁21行目の「判決(令和2年8月26日確定)」を「判決(令和2年8月6日言渡し・同月26日確定)」と、同頁23行目の「同一の」か10ら25行目の「ということがある。)」までを「本件事務所」と改める。 ⑶ 原判決15頁7行目の「同一であり」を「左側の図形部分の三角形及び平行四辺形の各辺の長さが若干異なるが、全体として実質的に同一であり」と、同頁8行目の「同一と認められる」を「実質的に同一と認められる」と改める。 153 争点原判決18頁13行目の「不正競争防止法」を「不競法」と改めるほか、原判決「事実及び理由」の第2の3記載のとおりであるから、これを引用する。 第3 争点に関する当事者の主張次のとおり原判決を訂正し、当審における当事者の補充主張を付加するほか、20原判決の「事実及び理由」の第3記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決の訂正(1) 原判決18頁25行目の「婚姻当初」を「1審原告と平成27年2月20日に婚姻した当初」と改め、19頁7行目の「(以下「本件画廊」という。)」を「(本件画廊)」と、同頁8行目の「(本件営業譲渡契約)」を「(以下、この25合意を「本件営業譲渡契約」といい、本件営業譲渡契約に基づく営業譲渡を8 行目の「(以下「本件画廊」という。)」を「(本件画廊)」と、同頁8行目の「(本件営業譲渡契約)」を「(以下、この25合意を「本件営業譲渡契約」といい、本件営業譲渡契約に基づく営業譲渡を8 「本営業譲渡」という。)」と改め、20頁2行目冒頭の「原告は、」を削り、同頁8行目の「という。」を「という場合がある。」と改める。 (2) 原判決21頁4行目の「書面の(甲5,乙62)の署名と酷似している。」を「書面(甲5)の署名と同一の筆跡である。甲4の署名と甲5の署名の筆跡の同一性に疑義を生じさせるような筆跡鑑定などは存在しないから、甲4の5署名は、1審被告Yによってされたものである。」と、同頁11行目の「という。」を「という場合がある。」と改める。 (3) 原判決33頁4行目から5行目までを「Aは、平成12年から、本件ロゴマークを使用していたものであり(甲198ないし200)、」と改める。 (4) 原判決51頁10行目末尾に次のとおり加える。 10「また、1審原告は、原判決別紙9-1営業妨害行為目録(実損被害)記載の1審被告Yの営業妨害行為によって、少なくとも「被害金額」欄記載の額と同額の精神的損害を被った。」(5) 原判決52頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 この点に関し原判決は、1審被告Yによる実損被害7及び11に係る行15為は1審原告の業務を妨害するものとして不法行為に該当し、これによって1審原告は、損害(実損被害7につき1728円、実損被害11につき2732円)を被った旨判断した。 しかしながら、実損被害7については、1審被告Yは、1審原告の展示を告知するチラシははがしていないし、また、1枚のチラシの作成費用が201728円であったことについての立証はない。 次に しかしながら、実損被害7については、1審被告Yは、1審原告の展示を告知するチラシははがしていないし、また、1枚のチラシの作成費用が201728円であったことについての立証はない。 次に、実損被害11については、水漏れの量はごくわずかであり、チラシの数枚が濡れただけであるから(甲52の2参照)、1審原告の損害額は、多くてもチラシ数枚分の数十円程度である。 したがって、原判決の上記判断は誤りである。」25(6) 原判決53頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 9 「 この点に関し原判決は、1審被告Yによる出展キャンセル被害8に係る行為は1審原告の営業権を侵害する不法行為に該当し、これによって1審原告は、逸失利益相当の36万2100円の損害を被った旨判断した。 しかしながら、1審被告Yは、令和元年12月3日、東北芸術工科大学のBに対し、1審原告によって事業譲渡の書面を偽造され、刑事告訴も考5えており、1審原告主催の展示会については開催を保証できない旨の説明をしたが、東北芸術工科大学がもともと1審被告Yの顧客であり、誤った認識を訂正して二次的な風評被害を防ぐためにも、事業譲渡がなかったこと及び経緯について説明をし、当該展示会が開催できなくなると当時の1審被告Yの予想を告げたとしても、それは自己の顧客を守るためであり、10違法な行為とはいえない。また、上記展示会は、キャンセルされずに、予定どおり開催されているから、1審原告に損害は発生していない。 したがって、原判決の上記判断は誤りである。」(7) 原判決55頁18行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 さらに、1審原告が自らのウェブサイト上で1審原告と1審被告Yとの15間で本件営業譲渡が成立したことを掲載した経緯は、1審原 ) 原判決55頁18行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 さらに、1審原告が自らのウェブサイト上で1審原告と1審被告Yとの15間で本件営業譲渡が成立したことを掲載した経緯は、1審原告は、1審被告Yが甲4の作成に応じたことから、本件営業譲渡が成立したと信じたところ、1審被告Yから、不特定多数の1審原告の顧客に1審原告が画廊の営業をできなくなる旨の書面を送付する旨告げられ、現にBら1審原告の顧客に対し、1審原告が今後展示をできなくなるといった事実と異なる事20項を伝える等したため、顧客への説明が必要となる中で、上記掲載を行ったものである。 したがって、仮に本件営業譲渡が成立していないとしても、本件営業譲渡が成立したと信じた1審原告が上記掲載をしたことについて過失はない。」252 当審における当事者の補充主張10 (1) 争点2-4(1審原告の1審被告らに対する原告商標権の行使が権利の濫用に当たるか)について(本訴請求関係)(1審原告)原判決は、原告商標は被告ら標章1と同一であること、1審被告Yは、遅くとも、母であるCが亡くなった平成19年以降、本件商号を用いて貸画廊5を運営しており、平成21年以降は、被告ら標章1を使用していたこと、平成27年2月当時、本件商号及び被告ら標章1には1審原告独自の信用が化体しておらず、むしろ、それらが正当に帰属すべきは1審被告Yであったこと、1審原告主張の本件営業譲渡契約の成立は認められないから、平成30年1月30日の原告商標の登録出願がされた時点においても、本件商号及び10被告ら標章1に1審原告独自の信用が化体していたとは認められず、これらが正当に帰属すべきは1審被告Yであったことからすると、1審原告が、1審被告らに対し、原告商標権に基づく差止請求及び 及び10被告ら標章1に1審原告独自の信用が化体していたとは認められず、これらが正当に帰属すべきは1審被告Yであったことからすると、1審原告が、1審被告らに対し、原告商標権に基づく差止請求及び商標権侵害による損害賠償請求を行うことは、権利の濫用に当たり、許されない旨判断した。 しかしながら、「ギャラリーアートポイント」の名称は、A(以下「A」と15いう。)が、昭和59年から築地で、平成12年から、銀座8丁目のエリザベスビルにおいて使用していた画廊の名称であること、Aは、平成17年から、1審被告Yの母であるCとともに画廊を経営していたものの、Cの死後、上記名称について商標登録をしたこと、その後、1審被告YとAとの間で、上記名称等について紛争となったこと、1審原告は、1審被告Yとの婚姻中か20ら、個人事業主として、「ギャラリーアートポイント」の名称を自らの事業の表示として使用してきたものであり、1審被告Yが主、1審原告が従であるような関係にもなく、双方が対等な立場にあったこと、1審原告の事業は、1審原告と1審被告Yが別居した以降、1審被告Yと完全に独立していることからすると、原告商標に1審原告独自の信用が化体しており、本件商号及25び被告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであったものとはいえない11 から、原判決の上記判断は、その前提を欠くものであって、誤りである。 (1審被告ら)1審原告の主張は争う。 1審被告Yの母Cは、Aから、本件画廊の経営及び本件商号を引き継ぎ、その後、1審被告Yが、Cの相続により、遅くとも平成19年以降、本件商5号を使用して本件画廊を運営し、原告商標に係る登録出願がされた平成30年1月当時には、本件商号は、1審被告Yの本件画廊の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に も平成19年以降、本件商5号を使用して本件画廊を運営し、原告商標に係る登録出願がされた平成30年1月当時には、本件商号は、1審被告Yの本件画廊の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたから、原判決が判断するとおり、本件商号及び被告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであり、1審被告らによる被告ら標章1の使用は、正当な権利に基づくものである。 10一方、1審被告Yは、1審原告に対し、1審被告Yが営業する本件画廊の場所や名称(本件商号)、備品全てを使用して、1審原告の営業名称である「Art and Links」で営業することを許容していたものであり、1審原告は、1審被告Yの補助者として本件商号を使用していたものであるから、1審被告Yの信用を離れて、本件商号に1審原告独自の信用が化体した15とはいえない。 したがって、1審原告による原告商標権の行使は、権利の濫用に当たり、許されない。 (2) 争点5-4(不正競争による1審被告Yの損害)について(反訴請求関係)(1審被告Y)20ア 1審被告Yは、1審原告による虚偽の事実の告知の不正競争行為によって、次のとおりの損害(344万0530円)を被った。 (ア) 売上げ減少による損害 64万0530円原判決は、1審原告による虚偽の事実の告知の不正競争行為によってキャンセルされた取引に係る1審被告Yの逸失利益(売上げ減少による25損害)は、28万3060円(「D」(乙49の1)、「E」(乙49の5、12 6)、「F」(乙49の7、9)、「G」(乙49の10)、「H」(乙49の11)、「I」(乙49の12)及び「J」(乙49の14)との契約のキャンセル料合計額)と認めるのが相当であると判断した。 しかしながら、上記のほかに、①「K」( 乙49の10)、「H」(乙49の11)、「I」(乙49の12)及び「J」(乙49の14)との契約のキャンセル料合計額)と認めるのが相当であると判断した。 しかしながら、上記のほかに、①「K」(乙49の2)との契約、②「L」(乙49の3)との契約、③「M」(乙49の8)との契約、④「N」(乙549の13)との契約、⑤「O」(乙33の1)との契約は、1審原告による本件営業譲渡の事実や1審被告らが本件画廊の経営者でない旨の虚偽の事実の告知によって、顧客が不安を感じたことを理由にキャンセルされたものであるから、①ないし⑤のキャンセル料(乙50)の合計35万7470円についても、1審被告Yの逸失利益相当の損害(売上げ10減少による損害)である。 したがって、1審被告Yの売上げ減少による損害額は、64万0530円(28万3060円及び35万7470円の合計額)である。 (イ) 無形損害 400万円1審被告Yは、1審原告による本件営業譲渡の事実や1審被告らは本15件画廊の経営者でない旨の虚偽の事実の告知によって、予約破棄被害など証明困難な損害100万円、風評による算定困難な営業損害200万円、精神的損害100万円(合計400万円)を被った。 イ よって、1審被告Yは、1審原告に対し、不競法4条に基づく損害賠償として、344万0530円(前記ア(ア)の64万0530円及び前記ア20(イ)の一部である280万円の合計額)及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (1審原告)ア 1審被告Yの主張は争う。 25イ この点に関し原判決は、1審原告がそのウェブサイト等で本件営業譲渡13 の事実を公表する行為によって1審被告Yの営業上の信用が (1審原告)ア 1審被告Yの主張は争う。 25イ この点に関し原判決は、1審原告がそのウェブサイト等で本件営業譲渡13 の事実を公表する行為によって1審被告Yの営業上の信用が毀損されたことによる無形損害の損害額は100万円と認めるのが相当であると判断した。 しかしながら、1審被告Yは、1審原告の顧客に対し、本件訴訟の内容を伝え、その中には、1審原告が営業をできなくなるなどの説明も含まれ5ており、1審被告Yと1審原告との間の紛争状態にあることを1審原告の顧客を含めた不特定多数に広めていること (甲94、165、239)からすると、仮に1審被告Yの信用が毀損され、売上げが減少したとしても、それは、自ら招来したものであって、1審原告の行為との因果関係がないから、原判決の上記判断は、誤りである。 10(3) 争点8-3(1審被告Yの1審原告に対する被告各商標権の行使が権利の濫用に当たるか)について(反訴請求関係)(1審原告)前記(1)の(1審原告)の主張のとおり、原告商標に1審原告独自の信用が化体しており、本件商号及び被告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Y15であったものとはいえないから、1審被告Yの1審原告に対する被告各商標権の行使は、権利の濫用に当たり、許されない。 (1審被告Y)前記(1)の(1審被告ら)の主張のとおり、1審原告の主張は失当である。 第4 当裁判所の判断201 争点1-1(本件営業譲渡契約の成否)について(本訴請求関係)以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の1記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決65頁25行目冒頭から66頁17行目の「最終となった」までを次のとおり改める。 25「ア Aは、平成12年頃から、「 及び理由」の第4の1記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決65頁25行目冒頭から66頁17行目の「最終となった」までを次のとおり改める。 25「ア Aは、平成12年頃から、「ギャラリーアートポイント」の名称(本件14 商号)を使用して、銀座8丁目のエリザベスビル(以下「画廊旧所在地」という場合がある。)の旧事務所において、貸画廊である本件画廊の営業を行っていたが、経営が悪化し、旧事務所の賃料を滞納するようになった後、平成17年頃、1審被告Yの母であるCが、Aから、本件画廊の経営を引き継ぐとともに、旧事務所の賃借人となった。 5その後、1審被告Y(昭和41年11月生)は、Cが亡くなった平成19年以降、Cの賃借人の地位を引き継ぎ、旧事務所において、「ギャラリーアートポイント」の名称(本件商号)や被告ら標章1を使用して、本件画廊の営業を行うようになった(甲101、乙16、41、74、1審被告Y)10イ 1審原告(昭和56年2月生)は、平成26年8月頃、1審被告Yと知り合い、交際するようになった。1審原告は、その当時、埼玉県内で会社員として勤務していたが、同年11月頃から休日に、1審被告Yの本件画廊の仕事を手伝うようになった。1審原告は、それ以前に画廊での勤務経験はなく、画廊の業務についての知識もなかった。 15その後、1審原告と1審被告Yは、平成27年2月20日、婚姻した。 1審原告は、同年5月頃、勤務先の会社を退職して本件画廊の仕事に専念するようになり、また、その頃から1審被告Yと同居するようになった(甲221、1審原告)。 ウ 1審被告Yと1審原告は、平成27年から、それぞれが個人事業の開20業届(1審被告Yの屋号「アートフロー」、1審原告の屋号「Art and Links」) なった(甲221、1審原告)。 ウ 1審被告Yと1審原告は、平成27年から、それぞれが個人事業の開20業届(1審被告Yの屋号「アートフロー」、1審原告の屋号「Art and Links」)を提出した個人事業主として、本件商号を使用して本件画廊の業務を行っていた(甲221、249、乙10、11、40、41、1審原告)。 1審原告は、平成28年2月10日から平成29年9月15日にかけ25て、1審被告Yに対し、本件画廊での1審原告の売上げの概ね60%に15 相当する金額を「外注費」ないし「画廊使用料」の名目で支払い、その額は、以下のとおり、合計532万8700円であった。」⑵ 原判決67頁16行目から19行目までを次のとおり改める。 「オ(ア) 1審被告Yは、平成27年7月10日付けで旧事務所の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約)の終了通知を受け、同賃貸借契約は、平成258年4月30日をもって期間満了により終了した。その後、1審被告Yと賃貸人は、賃貸人が1審被告Yに対し、平成30年2月5日まで旧事務所の明渡しを猶予し、同日までに明渡しをすることを条件に賃貸借契約終了後の使用料相当損害金(月額賃料の倍額の月額38万円の割合による金員)の支払を免除する旨の合意(甲168の1、2)を10した。 1審被告Yと1審原告は、平成28年頃から、旧事務所からの本件画廊の移転先を探していた。 (イ) 1審被告Y及び1審原告とマルナカホールディングスは、平成29年10月24日、1審被告Y及び1審原告の両名が賃借人として、15マルナカホールディングスから、賃料月額25万3692円・共益費月額8万2215円、期間同年11月1日から2年間の約定で、●●●●●所在の●●●●●●●●●●●の本件事務所を賃借する旨の 、15マルナカホールディングスから、賃料月額25万3692円・共益費月額8万2215円、期間同年11月1日から2年間の約定で、●●●●●所在の●●●●●●●●●●●の本件事務所を賃借する旨の本件賃貸借契約(甲5)を締結した。」⑶ 原判決68頁2行目から5行目までを次のとおり改める。 20「カ(ア) 1審原告と1審被告Yは、平成29年頃から、本件画廊の売上げの分配や生活費の分担等をめぐって口論となることが多くなり、両者の関係は次第に悪化していった。そのような状況下で、1審原告は、同年9月15日の支払を最後に、1審被告Yに対し、1審原告の売上げの概ね60%に相当する金額の支払をしなくなった。 25その後、1審被告Yは、同年12月下旬、1審原告に対する暴行罪16 で逮捕、勾留され、平成30年1月中旬、略式命令による罰金刑を受けた。 1審原告と1審被告Yは、その頃、1審原告が実家に転居し、別居するに至った(甲221、乙72)。 (イ) 1審原告は、1審被告Yと別居中の平成30年1月30日、別紙5原告商標権目録記載の原告商標に係る商標登録出願をした。 原告商標と被告ら標章1は、左側の図形部分の三角形及び平行四辺形の各辺の長さが若干異なるが、全体として実質的に同一である。」⑷ 原判決68頁14行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ク 1審原告と1審被告Yは、本件画廊の経営を分離した上で、別居後の10前記合意に基づいて、●●●●●●●●●●●の本件事務所を1週間交代で交互に使用し、本件商号及び被告ら標章1を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うようになった。 また、1審被告Yは、平成30年3月23日、1審被告会社を設立し、その代表取締役に就任し、以後、1審被告会社が、本件事務所において、 を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うようになった。 また、1審被告Yは、平成30年3月23日、1審被告会社を設立し、その代表取締役に就任し、以後、1審被告会社が、本件事務所において、15本件貸画廊の事業を行うようになった。 ケ(ア) 1審原告は、平成30年8月、1審被告Yを相手方として夫婦関係調整調停(離婚調停)の申立てをした後、同年11月、同調停は、不成立で終了した。 この間の同年10月5日、1審原告は、原告商標権の設定登録を受20けた。 (イ) 1審被告Yは、平成30年10月29日、別紙被告商標権目録記載の被告商標2に係る商標登録出願をし、同年11月1日、被告商標1に係る商標登録出願をした。 (ウ) 1審原告は、平成31年1月16日、離婚訴訟(東京家庭裁判所25平成31年(家ホ)第20号 離婚等請求事件)を提起し、一方、1審17 被告Yも、反訴(同令和元年(家ホ)第866号 離婚等請求反訴事件)を提起した(本件離婚訴訟)。 (エ) 1審原告は、令和元年6月16日、本件の本訴を提起した。 (オ) 1審被告Yは、令和元年6月7日及び同年11月8日に被告各商標の設定登録を受けた後、令和2年2月19日、本件の反訴を提起し5た。 (カ) 東京家庭裁判所は、令和2年8月6日、本件離婚訴訟において、1審原告と1審被告Yとを離婚する、1審被告Yは、1審原告に対し、離婚に伴う慰謝料として60万円及びこれに対する遅延損害金を支払えとの内容の判決(甲207)をし、同月26日、1審原告と110審被告Yは、同判決の確定により離婚した。 コ 東京地方裁判所は、原判決言渡し後の令和3年11月12日、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づき、1審被告Yに対し、1 審被告Yは、同判決の確定により離婚した。 コ 東京地方裁判所は、原判決言渡し後の令和3年11月12日、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づき、1審被告Yに対し、1審原告の住居その他の場所において1審原告の身辺につきまとい、又は1審原告の住居、勤務先その他通常所在する場所の付近を15はいかいすることの禁止(接近見禁止)等を命じることを求める1審原告の申立てを認容する旨の決定(以下「本件保護命令」という。甲224)をした。 東京高等裁判所は、令和4年3月16日、1審被告Yの即時抗告(同裁判所令和3年(ラ)第2697号事件)により、本件保護命令を取り消20し、1審原告の申立てを却下する旨の決定(乙83)をした。」⑸ 原判決73頁6行目末尾に「これに反する1審原告の主張は、採用することができない。」を、79頁11行目の「に基づいて」の後に「真正に」を加える。 ⑹ 原判決84頁16行目の「原告の主張するような趣旨の文書として,」及び2520行目の「それが原告が主張する趣旨の文書として,」を削り、同頁17行18 目及び20行目の各「に基づいて」の後に「真正に」を加える。 ⑺ 原判決85頁18行目の「としいうのは」を「というのは」と改める。 ⑻ 原判決86頁12行目の「の作成の真否」を「が真正に成立したかどうか」と改める。 2 争点2-4(1審原告の1審被告らに対する原告商標権の行使が権利の濫用5に当たるか)について(本訴請求関係)⑴ア 前記1(1)認定の事実経過等によれば、①1審被告Yは、平成19年以降、亡母Cの旧事務所の賃借人の地位を引き継いで、旧事務所において、本件商号及び被告ら標章1を使用して貸画廊である本件画廊の営業を行うようになったこと、②1審原告は、平成26年8月頃、 平成19年以降、亡母Cの旧事務所の賃借人の地位を引き継いで、旧事務所において、本件商号及び被告ら標章1を使用して貸画廊である本件画廊の営業を行うようになったこと、②1審原告は、平成26年8月頃、1審被告Yと知り合10い、同年11月頃から休日に1審被告Yの本件画廊の仕事を手伝うようになったが、その当時、1審原告には、画廊での勤務経験はなく、画廊の業務についての知識もなかったこと、③1審原告は、平成27年2月20日に1審被告Yと婚姻した後、勤務先の会社を退職して本件画廊の仕事に専念するようになり、1審被告Yと1審原告は、それぞれが個人事業主とし15て、本件商号及び被告ら標章1を使用して本件画廊の業務を行うようになったこと、④1審原告は、平成28年2月10日から、1審被告Yに対し、本件画廊での1審原告の売上げの概ね60%に相当する金額を「外注費」ないし「画廊使用料」の名目で支払うようになったが、平成29年頃から、1審被告Yとの間で、本件画廊の売上げの分配や生活費の分担等をめぐっ20て口論となることが多くなり、両者の関係は次第に悪化し、同年9月15日の支払を最後に、1審原告は、「外注費」ないし「画廊使用料」の名目での上記支払をしなくなったこと、⑤旧事務所の賃貸借契約は平成28年4月30日をもって期間満了により終了し、1審被告Yは、平成30年2月5日まで旧事務所の明渡しの猶予を受けていたことから、1審被告Yと125審原告は、平成28年頃から、旧事務所からの本件画廊の移転先を探すよ19 うになった後、平成29年10月24日、双方が共同賃借人となって、マルナカホールディングスから、賃料月額25万3692円・共益費月額8万2215円、期間同年11月1日から2年間の約定で、●●●●●●●●●●●の本件事務所を賃借する旨の本件 が共同賃借人となって、マルナカホールディングスから、賃料月額25万3692円・共益費月額8万2215円、期間同年11月1日から2年間の約定で、●●●●●●●●●●●の本件事務所を賃借する旨の本件賃貸借契約(甲5)を締結したこと、⑥その際、1審原告は、敷金及び保証料の合計117万4734円、5仲介手数料25万3692円を負担し、他方で、1審被告Yは、本件事務所の内装費等として230万円程度を負担し、火災保険料のほか、賃料は、半額又は1か月分ずつ交互に負担することとしたこと、⑦1審被告Yは、平成29年12月下旬、1審原告に対する暴行罪で逮捕、勾留され、平成30年1月中旬、略式命令による罰金刑を受け、その頃、1審原告が実家10に転居し、1審原告と1審被告Yは、別居するに至ったこと、⑧1審原告は、1審被告Yと別居中の同月30日、被告ら標章1と実質的に同一の原告商標に係る商標登録出願をし、その後、同年10月5日、原告商標権の設定登録を受けたこと、⑨1審原告と1審被告Yは、上記暴行罪に係る示談交渉等を通じて、離婚するか否か、本件賃貸借契約によって賃借した本15件事務所の使用方法、経費負担、生活費の負担、外注費の返金の要否等について交渉を行い、全面的な合意には至らなかったものの、同年2月までに、少なくとも、当面、共同で賃借した本件事務所を交互に使用してそれぞれが本件画廊の営業を行うことについて相互に了承し、その旨の合意をしたこと、⑩1審原告と1審被告Yは、同月までに、旧事務所から本件事20務所へ移転した後、本件画廊の経営を分離した上で、別居後の上記合意に基づいて、本件事務所を1週間交代で交互に使用し、本件商号及び被告ら標章1を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うようになったことが認められる。 イ そして、前記ア認定の1審原 別居後の上記合意に基づいて、本件事務所を1週間交代で交互に使用し、本件商号及び被告ら標章1を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うようになったことが認められる。 イ そして、前記ア認定の1審原告と1審被告Yの婚姻に至る経緯及び別居25に至る経緯等によれば、1審原告は、1審被告Yが、婚姻前から、亡母C20 の旧事務所の賃借人の地位を引き継いで、旧事務所で、本件商号及び被告ら標章1を使用した本件画廊の営業を行っていたこと、1審被告Yが、旧事務所の移転先の本件事務所においても本件画廊の営業を継続する意思を有していたことを十分に認識し、1審被告Yが本件商号や被告ら標章1を使用できない事態になれば、1審被告Yが大きな不利益を受けることに5なることを知りながら、別居直後の平成30年1月30日、被告ら標章と実質的に同一の原告商標に係る商標登録出願をしたことが認められる。 また、前記ア認定のとおり、1審原告と1審被告Yは、別居後の本件事務所の使用方法、経費負担、生活費の負担、外注費の返金の要否等の交渉を通じて、同年2月までに、当面、本件賃貸借契約に基づいて共同で賃借10した本件事務所を交互に使用してそれぞれが本件画廊の営業を行うことについて相互に了承し、その旨の合意をしたこと、1審原告と1審被告Yは、旧事務所から本件事務所へ移転した後、本件画廊の経営を分離した上で、別居後の上記合意に基づいて、本件事務所を1週間交代で交互に使用し、本件商号及び被告ら標章1を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行15うようになったことに鑑みると、1審原告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の上記合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞれ本件 告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の上記合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞれ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨20の義務を相互に負うものと解するのが相当である。そして、弁論の全趣旨によれば、当審の本件口頭弁論終結時点(口頭弁論終結日令和4年4月19日)において、マルナカホールディングスと1審被告Y及び1審原告間の本件賃貸借契約は、その契約締結後、更新されて、現に存続しているものと認められる。 25加えて、前記1認定のとおり、1審原告主張の本件営業譲渡契約は成立21 したものと認められないことに照らすと、1審原告による原告商標に係る商標登録出願は、1審原告が1審被告Yとの別居後の上記交渉を自己に有利に進める手段を得るために行われたものとうかがわれ、1審被告Yとの関係では、正当なものとはいえない。 以上の認定事実を総合考慮すると、1審原告が1審被告Y及び1審被告5Yが代表取締役を務める1審被告会社に対し、原告商標権に基づいて、被告ら各標章の使用等の差止めを求める権利行使を行うことは、信義則に反し、権利の濫用に当たり、許されないというべきである。 (2) これに対し1審原告は、1審被告YとA間の「ギャラリーアートポイント」の名称等に係る紛争に至る経緯や、1審原告が、1審被告Yとの婚姻中から、10個人事業主として、「ギャラリーアートポイント」の名称を自らの事業の表示として使用してきたものであり、1審被告Yが主、1審原告が従であるような関係にもなく、双方が対等な立場にあったこと、1審原告の事業は、1審原告と1審被告Yが別居した以降 ト」の名称を自らの事業の表示として使用してきたものであり、1審被告Yが主、1審原告が従であるような関係にもなく、双方が対等な立場にあったこと、1審原告の事業は、1審原告と1審被告Yが別居した以降、1審被告Yと完全に独立していることからすると、原告商標に1審原告独自の信用が化体しており、本件商号及び被15告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであったものとはいえないから、1審原告による1審被告らに対する原告商標権に基づく権利行使は、権利の濫用に当たらない旨主張する。 しかしながら、前記(1)で説示したとおり、①1審原告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続20する限りにおいては、別居後の合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞれ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨の義務を相互に負っていること、②1審原告による原告商標に係る商標登録出願は、1審原告が1審被告Yとの別居後の交渉を自己に有利に進める手段を得25るために行われたものとうかがわれ、1審被告Yとの関係では、正当なもの22 とはいえないことに照らすと、1審原告の上記主張は、原告商標に1審原告独自の信用が化体しているかどうかを検討するまでもなく、採用することができない。 (3) 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、1審原告の1審被告らに対する原告商標権に基づく差止請求及び1審被告Yに対する原告商5標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。 3 争点3(1審被告Yに対する、営業妨害行為の差止請求の当否)及び争点4(1審被告Yに対する、営業妨害行為の不法行為に基づく損害賠償請求の当否 不法行為に基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。 3 争点3(1審被告Yに対する、営業妨害行為の差止請求の当否)及び争点4(1審被告Yに対する、営業妨害行為の不法行為に基づく損害賠償請求の当否)について(本訴請求関係)以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の3及び4記10載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決88頁18行目から19行目にかけての「前記1のとおり,本件営業譲渡の事実は認められず,本件商号は原告に帰属するものではないが,」を削る。 ⑵ 原判決90頁19行目の「上記の各点を考慮すれば」を「上記の各点のほ15か、東京地方裁判所は、原判決言渡し後の令和3年11月12日、1審原告の申立てにより、1審被告Yに対し、1審原告への接近見禁止等を命じる本件保護命令を発令したが、東京高等裁判所は、令和4年3月16日、1審被告Yの即時抗告により、本件保護命令を取り消し、1審原告の申立てを却下する旨の決定をしたことを考慮すれば、」と改める。 20⑶ 原判決91頁5行目及び97頁1行目の各「本件口頭弁論」を「当審の本件口頭弁論」と、91頁24行目、92頁19行目、94頁21行目、95頁12行目及び同頁末行の各「口頭弁論」を「当審の本件口頭弁論」と改める。 (4) 原判決93頁15行目の「認められず」から16行目末尾までを「認められないことからすると、」と改める。 25(5) 原判決100頁16行目の「前記2(1)」を「前記2」と改める。 23 (6) 原判決101頁15行目から21行目までを削り、同頁25行目末尾に行を改めて次のとおり改める。 「 これに対し1審被告Yは、1審原告の展示を告知するチラシははがしていないし、また、1枚のチラシの作成費用が1728円であったことについて 削り、同頁25行目末尾に行を改めて次のとおり改める。 「 これに対し1審被告Yは、1審原告の展示を告知するチラシははがしていないし、また、1枚のチラシの作成費用が1728円であったことについての立証はない旨主張するが、前掲各証拠に照らし、1審被告Yの主張5は、採用することができない。」。 (7) 原判決103頁22行目の「認められ」から23行目末尾までを「認められる。そこで、民事訴訟法248条の規定により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、1審原告の上記水漏れ事故による損害額は、2732円と認めるのが相当である。」10(8) 原判決104頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「セ 1審原告のその他の主張について1審原告は、原判決別紙9-1営業妨害行為目録(実損被害)記載の1審被告Yの営業妨害行為によって、少なくとも「被害金額」欄記載の額と同額の精神的損害を被った旨主張する。 15そこで検討するに、財産権侵害に基づく慰謝料は、侵害の排除又は財産上の損害の賠償だけでは償い難い程の大きな精神的苦痛を被ったと認めるべき特段の事情がなければ、請求することができないものと解されるところ、本件においては、1審原告主張の実損損害に係る不法行為の成立がそもそも認められないか、これが認められる実損損害であっても、20上記特段の事情が存することを認めるに足りる証拠はないから、1審原告の上記主張は、採用することができない。」(9) 原判決108頁12行目の「展示会を開催する代わりに」を「展示会は開催するが」と、同頁14行目の「控えることとし、その旨」を「控える旨」と改め、同頁23行目から24行目にかけての「いえない。」の後に次のとおり25加える。 24 「そして、Bの上記発 開催するが」と、同頁14行目の「控えることとし、その旨」を「控える旨」と改め、同頁23行目から24行目にかけての「いえない。」の後に次のとおり25加える。 24 「そして、Bの上記発言の内容に照らすと、1審原告が令和3年の東北芸術工科大学卒業支援の展示会の発注を受けなかったのは、同大学が1審被告Yの上記行為によって係争中の1審原告と1審被告Yとの間の訴訟の判決が出るまでは1審原告の画廊での同大学の支援や協賛による展示会を控える方針を決定したことによるものと認められるから、1審原告が令和3年5の同大学の展示会の発注を受けなかったことと1審被告Yの上記行為との間には相当因果関係があるものと認められる。」(10) 原判決109頁5行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 これに対し1審被告Yは、令和元年12月3日、東北芸術工科大学のBに対し、1審原告によって事業譲渡の書面を偽造され、刑事告訴も考えて10おり、1審原告主催の展示会については開催を保証できない旨の説明をしたが、東北芸術工科大学がもともと1審被告Yの顧客であり、誤った認識を訂正して二次的な風評被害を防ぐためにも、事業譲渡がなかったこと及び経緯について説明をし、当該展示会が開催できなくなると当時の1審被告Yの予想を告げたとしても、それは自己の顧客を守るためであり、違法15な行為とはいえないし、また、上記展示会は、キャンセルされずに、予定どおり開催されているから、1審原告に損害は発生していない旨主張する。 しかしながら、上記認定の事実に照らし、1審被告Yの上記主張は採用することができない。」4 争点5(1審原告に対する不競法2条1項21号の不正競争を理由とする損20害賠償請求及び差止請求に関する争点)について(反訴請求関係)以下のとおり訂正 主張は採用することができない。」4 争点5(1審原告に対する不競法2条1項21号の不正競争を理由とする損20害賠償請求及び差止請求に関する争点)について(反訴請求関係)以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の5記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決112頁6行目から7行目にかけての「甲3書面の作成の真否」を「甲3書面が真正に成立したかどうか」と改める。 25⑵ 原判決113頁5行目の「H´」を「H」と改める。 25 ⑶ 原判決113頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 この点に関し、1審被告Yは、当審において、①「K」(乙49の2)との契約、②「L」(乙49の3)との契約、③「M」(乙49の8)との契約、④「N」(乙49の13)との契約、⑤「O」(乙33の1)との契約は、1審原告による本件営業譲渡の事実や1審被告らが本件画廊の経営者でない5旨の虚偽の事実の告知によって、顧客が不安を感じたことを理由にキャンセルされたものであるから、①ないし⑤のキャンセル料(乙50)の合計35万7470円についても、1審被告Yの逸失利益相当の損害(売上げ減少による損害)である旨主主張する。 しかしながら、①ないし⑤に係るメールは、本件画廊の運営についてト10ラブルになっていることや裁判で係争中であることなどを理由に展示会のキャンセルの申出をする内容のものであり、上記メールには、1審原告による本件営業譲渡の事実や1審被告らが本件画廊の経営者でない旨の事実の告知が原因でキャンセルしたことについての記載はないことからすると、1審被告Yの上記主張は、理由がない。」15⑷ 原判決113頁18行目の「この点については」から19行目末尾までを「認めることができない。」と改める。 とについての記載はないことからすると、1審被告Yの上記主張は、理由がない。」15⑷ 原判決113頁18行目の「この点については」から19行目末尾までを「認めることができない。」と改める。 ⑸ 原判決113頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 1審被告Yは、1審原告による本件営業譲渡の事実や1審被告らは本件画廊の経営者でない旨の虚偽の事実の告知の不正競争行為によって、予約20破棄被害など証明困難な損害100万円、風評による算定困難な営業損害200万円、精神的損害100万円(合計400万円)を被った旨主張する。」⑹ 原判決113頁24行目の「前記(2)のとおり、原告による営業誹謗行為は」を「そこで検討するに、1審原告による前記(2)の虚偽の事実の告知又は流布の不正競争行為は」と、同頁末行から114頁1行目にかけての「営業誹謗25行為」を「不正競争行為」と改める。 26 ⑺ 原判決114頁2行目から11行目までを次のとおり改める。 「 一方で、1審被告Yは、1審原告の顧客に対し、本件訴訟の内容を伝え、その中には、1審原告が営業をできなくなるなどの説明も含まれており、1審被告Yと1審原告との間の紛争状態にあることを自ら不特定多数の者に広めており (甲94、165、239)、このことが1審被告Yの営業上5の信用の損害を拡大した面もあることを否定できないことなど本件に現れた諸般の事情を総合考慮すると、1審原告の不正競争行為によって1審被告Yの営業上の信用が毀損されたことによる損害額は、50万円と認めるのが相当である。1審被告Yの上記主張は、上記の限度で理由がある。」⑻ 原判決114頁14行目末尾に行を改めて「ウ 小括」を加え、同頁1510行目の「ウ」を削り、同頁16行目の「損害額合計128万306 ある。1審被告Yの上記主張は、上記の限度で理由がある。」⑻ 原判決114頁14行目末尾に行を改めて「ウ 小括」を加え、同頁1510行目の「ウ」を削り、同頁16行目の「損害額合計128万3060円」を「損害額合計78万3060円」と改める。 ⑼ 原判決114頁21行目の「本件口頭弁論」を「当審の本件口頭弁論」と改め、同頁24行目の「営業誹謗行為の」を削る。 5 争点8-3(1審被告Yの1審原告に対する被告各商標権の行使が権利の濫15用に当たるか)について(反訴請求関係)⑴ 前記1(1)認定の事実経過等を総合すれば、1審被告Yは、平成27年2月20日に1審原告と婚姻する前から、亡母Cの旧事務所の賃借人の地位を引き継いで、旧事務所で、本件商号及び被告ら標章1を使用した本件画廊の営業を行っていたこと、1審被告Yは、平成30年1月中旬頃、1審原告と別20居した後、同年2月までに、本件画廊の経営を分離した上で、別居後の合意に基づいて、旧事務所からの移転先の本件事務所において、1週間交代で交互に使用し、本件商号や原告商標あるいは被告ら標章1を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うようになったこと、その後、1審被告Yは、1審原告が同年10月5日に被告ら標章1と実質的に同一の原告商標に係る原告商標権25の設定登録を受けたことを知り、これに対抗するために、同年10月29日27 及び同年11月1日に被告各商標に係る商標登録出願を行ったことが認められる。 そして、1審原告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の上記合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞ5れ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本件画廊 た本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の上記合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞ5れ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨の義務を相互に負うものと解するのが相当であること、当審の本件口頭弁論終結時点(口頭弁論終結日令和4年4月19日)において、マルナカホールディングスと1審被告Y及び1審原告間の本件賃貸借契約は、その契約締結後、更新されて、現に存続している10ものと認められることは、前記2⑴イ認定のとおりである。 以上のとおり、1審原告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の上記合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、本件事務所において、それぞれ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本15件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨の義務を相互に負っていることに照らすと、本件賃貸借契約が現に存続しているにもかかわらず、1審被告Yが1審原告に対し、被告各商標権に基づいて、原告各標章の使用等の差止めを求める権利行使を行うことは、信義則に反し、権利の濫用に当たり、許されないというべきである。 20⑵ これに対し1審被告Yは、1審被告Yの母Cが、Aから、本件画廊の経営及び本件商号を引き継ぎ、その後、1審被告Yが、Cの相続により、遅くとも平成19年以降、本件商号を使用して本件画廊を運営し、原告商標に係る出願がされた平成30年1月当時には、本件商号は、1審被告Yの本件画廊の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたから、25本件商号及び被告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであって、1審28 には、本件商号は、1審被告Yの本件画廊の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたから、25本件商号及び被告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであって、1審28 被告Yによる1審原告に対する被告各商標権に基づく権利行使は、正当な権利に基づくものであるから、権利の濫用に当たらない旨主張する。 しかしながら、前記(1)で説示したとおり、1審原告と1審被告Yは、1審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続する限りにおいては、別居後の合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、5本件事務所において、それぞれ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨の義務を相互に負っていることに照らすと、1審被告Yの上記主張は、本件商号が1審被告Yの本件画廊の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたかどうかを検討するまでもなく、採用することができ10ない。 (3) 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、1審被告Yの1審原告に対する被告各商標権に基づく差止請求は理由がない。 6 争点9(1審原告に対する著作権法112条1項に基づく差止請求の当否)について(反訴請求関係)15⑴ 1審被告Yは、①本件ロゴマークは、1審被告Yを著作者とする著作物であるから、1審被告Yは、本件ロゴマークに係る著作権を有する、②仮に本件ロゴマークの著作者がAであるとしても、1審被告Yの亡母Cは、Aから、本件画廊の経営権及びこれに付随する本件ロゴマークに係る著作権の譲渡を受け、さらに、1審被告Yは、亡Cから本件画廊の経営を引き継いだ際に、上20記ロゴマークの著作権も引き継いだとして、1審原告による原告各標章の 及びこれに付随する本件ロゴマークに係る著作権の譲渡を受け、さらに、1審被告Yは、亡Cから本件画廊の経営を引き継いだ際に、上20記ロゴマークの著作権も引き継いだとして、1審原告による原告各標章の使用は、1審被告Yが有する本件ロゴマークに係る著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害に当たる旨主張する。 しかしながら、①については、これを認めるに足りる証拠はない。なお、証拠(甲198ないし200)及び弁論の全趣旨によれば、Aは、本件画廊を経25営していた平成12年及び平成13年当時、旧事務所において開催する版画29 展や個展の開催を知らせる案内に、「ギャラリー・アート・ポイント」とのロゴマークを使用していたことが認められる。そして、本件ロゴマークと上記ロゴマークを対比すると、両者は、左側の図形部分が共通するが、本件ロゴマークは右側の文字部分が「GALLERY」と「ART POINT」の2段の欧文字で構成されているのに対し、上記ロゴマークは右側の文5字部分が「ギャラリー・アート・ポイント」の片仮名で構成されているから、本件ロゴマークと上記ロゴマークは同一のロゴマークであるとはいえない。 次に、②については、仮にAが本件ロゴマークに係る著作権を有していたとしても、Aから亡Cに上記著作権の譲渡があったことを認めるに足りる証拠はない。 10したがって、1審被告Yの上記主張は理由がない。 (2) 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、1審被告Yの1審原告に対する本件ロゴマークに係る著作権に基づく差止請求は理由がない。 7 争点10(1審原告に対する不競法2条1項19号の不正競争を理由とする差止請求に関する争点)について(反訴請求関係)15以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の9記載 7 争点10(1審原告に対する不競法2条1項19号の不正競争を理由とする差止請求に関する争点)について(反訴請求関係)15以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の9記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決119頁25行目の「原告ドメイン名」の後に「(「artpoint.jp」)」を加える。 ⑵ 原判決120頁14行目の「原告は,」の後に「1審被告Yの特定商品等表20示である」を加える。 ⑶ 原判決120頁17行目の「認められず、」から20行目の「認められるから,」までを「認められないから、」と改める。 ⑷ 原判決121頁9行目及び16行目の各「本件口頭弁論」を「当審の本件口頭弁論」と改める。 25第5 結論30 以上によれば、1審原告の本訴請求は、1審被告Yに対し、不法行為に基づく損害賠償として原判決主文第1項記載の金員の支払を求める限度で理由があり、1審被告Yに対するその余の請求及び1審被告会社に対する請求はいずれも理由がない。また、1審被告Yの反訴請求は、1審原告に対し、不競法4条に基づく損害賠償として78万3060円及びこれに対する本判決確定の日から5支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払、同法3条1項に基づき、原判決主文第3項及び第5項記載の行為の差止めを求める限度で理由があり、その余の反訴請求はいずれも理由がない。 したがって、これと一部異なる原判決は一部相当でないから、1審原告の控訴に基づき、原判決主文第2項の1審被告Yの1審原告に対する不競法4条に10基づく損害賠償請求に関する部分を本判決主文第1項⑴のとおりに変更し、原判決主文第4項を取り消し、同項の取消しに係る1審被告Yの反訴請求を棄却し、1審原告のその余の控訴及び1審被告Yの附帯控訴を 基づく損害賠償請求に関する部分を本判決主文第1項⑴のとおりに変更し、原判決主文第4項を取り消し、同項の取消しに係る1審被告Yの反訴請求を棄却し、1審原告のその余の控訴及び1審被告Yの附帯控訴をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 15知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官 大 鷹 一 郎 20裁判官 小 川 卓 逸 裁判官 遠 山 敦 士 2531 (別紙) 原告商標権目録(原判決別紙1) 登録番号 第6086526号出願日 平成30年1月30日登録日 平成30年10月5日5登録商標商品及び役務の区分・指定役務第35類 広告物の制作、広告用及び販売促進用の広告文の作成、広告、画廊による美術品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供10第41類 絵画及び美術品の展示、絵画及び美術品の貸与 32 (別紙) 被告商標権目録(原判決別紙5) 1登録番号 第6195500号出願日 平成30年11月1日5登録日 令和元年11月8日登録商標 商品及び役務の区分・指定役務第35類 商取引の媒介・取次ぎ又は代理、商品の売買契約の仲介・代行、商品10の売買契約の仲介に関する情報の提供、展示施設の提供に係る事業の運営2登録番号 第6151134号出願日 平成30年10月29日15登録日 令和元年6月7日登録商標 商品及び役務の区分・指定役務第43類 展示施設の貸与20 登録商標 商品及び役務の区分・指定役務第43類 展示施設の貸与20

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