平成12(あ)1778 殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
平成17年1月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所
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判決文本文1,548 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人小林美智子の上告趣意は,判例違反をいうが,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ,記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。本件は,(1) 知人のA(当時49歳)を被保険者とする生命保険の保険金受取人となっていたBと共謀の上,Aを殺害し首つり自殺に見せ掛けて死亡保険金を入手しようと企て,被告人において,居住する香川県内から宮城県内のA方に赴き,所携の腰ひもで同女のけい部を絞め付けて殺害し,(2) その約4年半後,知人のC(当時48歳)を被保険者とし上記Bを保険金受取人とする生命保険契約が既に失効していたのにまだ存続しているものと思い,Cを殺害すればBからその死亡保険金の一部を報酬として取得できると期待し,Cを殺害して交通事故死に見せ掛けようと企て,Dと共謀の上,被告人方で,Dにおいて重量約5㎏の鉄亜鈴でCの頭部を1回強打し,その約9時間後に,被告人において横たわっているCに対し鉄亜鈴で頭部を殴打したり骨折させるため足部を踏み付けるなどした上,同人を車のトランクに入れて山林まで搬送し,うめき声を発した同人に対し,さらに,両名において鉄亜鈴でトランク内のCの頭部を強打したり,被告人においてトランク外に出したCの胸部等を土足で2,3回強く踏み付けるなどして,同人を殺害したという殺人2件の事案である。いずれの犯行も,被害者に掛けられあるいは掛けられていると考えた死亡保険金の取得を目的として殺人を犯したもので,罪質,動機は悪質であり,計画的で確定的殺意に基づく犯行である。犯行態様は,周到な計画に基づく冷酷なもので,とりわけ上記(2)の犯行のそれは,最初の一撃で身 金の取得を目的として殺人を犯したもので,罪質,動機は悪質であり,計画的で確定的殺意に基づく犯行である。犯行態様は,周到な計画に基づく冷酷なもので,とりわけ上記(2)の犯行のそれは,最初の一撃で身体の自由を失った被害者を長時間にわたって苦しませ,その後上記のとおりの態- 1 -様でとどめを刺したもので,執ようかつ残虐である。2名の生命を奪った結果も極めて重大であるが,慰謝の措置は講じられておらず,遺族の被害感情は非常に厳しく,社会に与えた影響も看過できない。上記(1)の犯行後,妻に手伝わせて首つり自殺に見せ掛けるための偽装工作に及び,上記(2)の犯行後,交通事故死に見せ掛ける企ては失敗したものの,死体を崖から投棄して放置したもので,犯行後の情状も不良である。上記(1)の犯行にあっては,被告人は,Bから繰り返し依頼されて誘い込まれたものではあるが,被告人が,その実行行為のすべてを行い,かつ,犯行後にはBが取得した死亡保険金から700万円の報酬を受け取っているのであるから,その刑責は相当に重い上,上記(2)の犯行にあっては,被告人が,これを立案計画し,Dを引き入れ,終始犯行を主導し,実行行為の相当部分を自ら行ったものである。これらの事情に照らすと,罰金前科以外に前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の刑責は誠に重大であり,原判決の死刑の科刑はやむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官麻生光洋公判出席平成17年1月25日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官上田豊三裁判官金谷 察官麻生光洋公判出席平成17年1月25日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官上田豊三裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官藤田宙靖- 2 -

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