昭和35(ナ)10 当選無効請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和36年6月12日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      昭和三十四年四月二十三日執行の長野県議会議員一般選挙における長野 市区の被告の当選を無効とする。      訴訟費用は被告の負担とする。          事    実  原告

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判決文本文5,478 文字)

主    文      昭和三十四年四月二十三日執行の長野県議会議員一般選挙における長野 市区の被告の当選を無効とする。      訴訟費用は被告の負担とする。          事    実  原告等訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、被告訴訟代理人は、本案前において 訴却下、本案につき請求棄却、いずれも訴訟費用は原告等の負担とする旨の判決を 求めた。  原告等訴訟代理人は請求の原因として次のとおり述べた。  一、 原告等は昭和三十四年四月二十三日執行の長野県議会議員一般選挙におい て長野市区の選挙区域内に住所を有した選挙人である。  二、 被告は右選挙において長野市区から立候補したが、右選挙の結果次点者と なり、当選人とならなかつた。  しかるに右選挙において最下位の当選人となつたAは、同人に対する当選無効 (投票の効力に関するもの)の訴訟が提起された結果、昭和三十五年九月十三日最 高裁判所の判決によりその当選の無効であることが確定したので、選挙会において 改めて被告が当選人と定められ、長野県選挙管理委員会において昭和三十五年九月 二十日被告が当選人に当選した旨告示した。  三、 これよりさき、右選挙における被告の選挙運動の総括主宰者であつたB は、昭和三十四年六月二十九日長野簡易裁判所において、公職選挙法第二二一条の 選挙犯罪により罰金一万五千円に処し二年間選挙権及び被選挙権の行使を停止する 旨の略式命令を受け、右略式命令は同年七月十七日同人に送達され、右略式命令に よる裁判は同年八月一日確定した。  四、 右Bの選挙犯罪による裁判確定当時は、被告は未だ右選挙における当選人 ではなかつたが、その後前記のように昭和三十五年九月二十日の当選人の告示によ り改めて被告が当選人となつたので、原告等は公職選挙法第二一一条第一項の法意 により、即ち、同法条は、選挙運動の総括主宰者又 ではなかつたが、その後前記のように昭和三十五年九月二十日の当選人の告示によ り改めて被告が当選人となつたので、原告等は公職選挙法第二一一条第一項の法意 により、即ち、同法条は、選挙運動の総括主宰者又は出納責任者が同法第二二一条 等の選挙犯罪により刑に処せられたため同法第二五一条の二第一項により当該当選 人の当選を無効とされた場合は、選挙人又は公職の候補者から右当選人を被告とし て、右裁判確定の日から三十日以内に当選無効の訴訟を提起することができる旨を 規定したものであるが、本件のように右選挙犯罪の裁判確定当時は当該当選人は未 だ当選人とならなかつたがその後改めて当選人の告示があつたため当選人となつた 場合においても、右当選人に対し、この場合においては右当選人の告示があつた日 から三十日以内に、当選無効の訴訟を提起することができるものと解すべきである から、ここに被告に対しその当選を無効とする旨の宣言を求める。 被告訴訟代理人は答弁として次のとおり述べた。  一、 原告等がその主張の選挙人であることは不知。原告等主張のBが被告の選 挙運動の総括主宰者であつたこと及び本件訴訟が公職選挙法第二一一条第一項の出 訴期間内に提起されたものであることは否認する。その余の原告等主張の事実関係 はこれを認める。  二、公職選挙法第二一一条第一項の出訴期間は、選挙運動の総括主宰者又は出納 責任者の選挙犯罪の裁判確定の日から三十日以内に限られるものであり、本件訴訟 の出訴期期も右によるべきものであつて、原告等主張のように被告の当選人の告示 のあつた日からこれを計算すべきものではない。仮に被告の当選人の告示のあつた 日以後に本件訴訟を提起することができるとしても、右出訴期間は不変期間である から民事訴訟法第一五九条により右当選人の告示のあつた日後一週間内に限り訴訟 行為の追完が許されるのに過ぎ 選人の告示のあつた 日以後に本件訴訟を提起することができるとしても、右出訴期間は不変期間である から民事訴訟法第一五九条により右当選人の告示のあつた日後一週間内に限り訴訟 行為の追完が許されるのに過ぎない。よつて本件訴訟は出訴期間経過後に提起され た不適法なものであり、仮にこれを適法なものとしても本訴請求は理由のないもの である。  証拠として、原告等訴訟代理人は甲第一ないし第四号証、第五号証の一ないし 四、第六号証を提出し、被告訴訟代理人は、証人C、D、E、Bの各証言及び被告 本人の供述を援用し、甲各号証の成立を認めた。          理    由  一、 先ず被告の本案前の主張について判断する。  公職選挙法第二五一条の二第一項本文によると、選挙運動を総括主宰した者又は 出納責任者が同法第二二一条等の選挙犯罪により刑に処せられたときは、当該当選 人の当選は無効とする旨定められ、同法第二一一条第一項によると、選挙運動を総 括主宰した者又は出納責任者が右選挙犯罪により刑に処せられたため同法第二五一 条の二第一項の規定により当該当選人の当選を無効であると認める選挙人又は公職 の候補者は、当選人を被告としその裁判確定の日から三十日以内に当選無効の訴訟 を提起することができる旨定められている。右によると、同法第二一一条第一項に よる当選無効の訴訟の出訴期間は、選挙運動の総括主宰者又は出納責任者の選挙犯 罪の裁判確定の日から三十日以内というのであるから、当該当選人の当選が一般に 少くとも右裁判確定の日前に決定しその効力を生じていることを予想し、右のよう な一般の場合について規定したものであるというこ<要旨>とができる。しかし当該 当選人の当選が、選挙運動の総括主宰者又は出納責任者の選挙犯罪の裁判確定前に 決</要旨>定しその効力を生ずるのが一般の場合であるとしても、たとえば同法 ものであるというこ<要旨>とができる。しかし当該 当選人の当選が、選挙運動の総括主宰者又は出納責任者の選挙犯罪の裁判確定前に 決</要旨>定しその効力を生ずるのが一般の場合であるとしても、たとえば同法第九 六条(当選人の更正決定)、第九七条(当選人の繰上補充)に規定する場合等にお いては、当該当選人の当選が右選挙犯罪の裁判確定の日後に初めて決定されその効 力を生ずる場合があり得ないわけではなく、又右の同法第二五一条の二第一項、第 二一一条第一項に選挙運動の総括主宰者又は出納責任者の選挙犯罪による当選の無 効を規定し又はその訴訟提起を認めた趣旨は、このような選挙運動によつて得た当 選は公正なものと認められないとして当該当選人の当選を失わせる趣旨に出でたも のというべきであるから、右のように当該当選人の当選が選挙運動の総括主宰者又 は出納責任者の選挙犯罪の裁判確定の日の前に決定されその効力を生じたと後に決 定されその効力を生じたことによつて区別すべき理由はなく、これを区別すべき趣 旨の認められる規定も存しない。この点からみると、当該当選人の当選が選挙運動 の総括主宰者又は出納責任者の選挙犯罪の裁判確定の日後に決定されその効力を生 じた場合についても、同法第二一一条第一項の規定により当該当選人の当選が同法 第二五一条の二第一項により無効であると認める選挙人又は公職の候補者から当選 人を被告として当選無効の訴訟を提起し得るものであることは勿論というべきであ るが、この場合における出訴期間については、右の同法第二一一条第一項に直接に 規定するところはないけれども同法条の法意にかんがみ、当該当選人の当選が決定 しその当選の効力が生じた日、即ちその当選人の告示のあつた日から三十日以内と するのを相当とする。  この点につき被告は、当該当選人の当選が、選挙運動の総括主宰者の選挙犯罪の 裁判 該当選人の当選が決定 しその当選の効力が生じた日、即ちその当選人の告示のあつた日から三十日以内と するのを相当とする。  この点につき被告は、当該当選人の当選が、選挙運動の総括主宰者の選挙犯罪の 裁判確定の日後に決定されその効力を生じた場合でも、同法第二一一条第一項によ る当選無効の訴訟の出訴期間は、右法条に規定するところにより右裁判確定の日か ら三十日以内とすべきであり、仮に当選人の告示のあつた日以後に右訴訟を提起す ることができるものとしても、その出訴期間については民事訴訟法第一五九条によ り右当選人告示のあつた日以後一週間内に限り訴訟行為の追完が許されるのに過ぎ ない旨主張するが、右被告の主張はこれを採用することができない。  原告等の主張するところによると、本件訴訟は、その主張の選挙における当選人 である被告に対し公職選挙法第二一一条第一項による当選無効の訴訟を提起すると いうのであるが、原告等が被告の選挙運動の総括主宰者であると主張するB(この 点については次の本案の判断参照)の選挙犯罪の裁判確定の日は昭和三十四年八月 一日であり、その後昭和三十五年九月二十日被告が当選人に当選した旨の告示があ つたものであることは当事者間に争がなく、原告Fの本件訴訟(昭和三十五年 (ナ)第一〇号)が昭和三十五年十月十八日、原告G及びHの本件訴訟(昭和三十 五年(ナ)第一一号)が同年同月十九日、いずれも当裁判所に提起されたものであ ることは、記録によつて明かであるから、本件訴訟は、同法第二一一条第一項の法 意に照し、この場合における出訴期間と認むべき右被告の当選人の告示のあつた昭 和三十五年九月二十日から三十日以内に提起された適法なものであるといわなけれ ばならない。よつて本件訴訟を同法第二一一条第一項の出訴期間経過後に提起され た不適法なものとする被告の主張はその理由がない。   十五年九月二十日から三十日以内に提起された適法なものであるといわなけれ ばならない。よつて本件訴訟を同法第二一一条第一項の出訴期間経過後に提起され た不適法なものとする被告の主張はその理由がない。  二、 次に本案について判断する。  昭和三十四年四月二十三日長野県議会議員の一般選挙が執行されたことは当事者 間に争がなく、成立に争のない甲第一ないし第三号証にすると、原告等はいずれも 右選挙において長野市区の選挙区域内に住所を有した選挙人であることが認められ る。  被告が右選挙において長野市区の選挙区から立候補したが、右選挙の結果次点者 となり当選人とならなかつたこと、しかるに右選挙において最下位の当選人となつ たAは、同人に対する当選無効(投票の効力に関するもの)の訴訟が提起された結 果、昭和三十五年九月十三日最高裁判所の判決によりその当選の無効であることが 確定したので、選挙会において改めて被告が当選人と定められ、長野県選挙管理委 員会において昭和三十五年九月二十日被告が当選人に当選した旨の告示をしたこ と、これよりさき昭和三十四年六月二十九日Bが長野簡易裁判所において公職選挙 法第二二一条の選挙犯罪により原告等主張の刑及び選挙権被選挙権停止の略式命令 を受け、右略式命令は同年七月十七月同人に送達され、右略式命令による裁判は昭 和三十四年八月一日確定したこと、当時は被告は未だ右長野市区の選挙区における 当選人ではなかつたが前記のようにその後昭和三十五年九月二十日の当選人の告示 により当選人となつたものであることは、いずれも当事者間に争がない。  そこで右Bが右選挙における被告の選挙運動を総括主宰した者であつたかどうか についてみるに、成立に争のない甲第五号証の二ないし四、証人C、D、B、Eの 各証言及び被告本人の供述を綜合すると、右Bは人格者として地元の者に信望があ つ 告の選挙運動を総括主宰した者であつたかどうか についてみるに、成立に争のない甲第五号証の二ないし四、証人C、D、B、Eの 各証言及び被告本人の供述を綜合すると、右Bは人格者として地元の者に信望があ つたので被告及び他の選挙運動員等から推されて被告の選挙運動の事務長に就任し た者であつて、身体が弱かつたため直接に選挙運動の全般にわたつて対策に従事し たようなことはなかつたが、少くとも事務長として終始被告の選挙運動の中心とな つていたものであることが認められ、右事実と右証拠及び成立に争のない甲第四号 証、第五号証の一を綜合して考えると、右Bは被告の右選挙運動を総括主宰した者 であることを肯認することができる。右証人の証言及び被告の供述中には右認定に 反する部分がないではないが、この点は採用することができない。以上によると、 被告の右選挙運動の総括主宰者であつたBは前記のように公職選挙法第二二一条の 選挙犯罪により刑に処せられたのであり、右裁判は昭和三十四年八月一日確定した のであるから、同法第二五一条の二第一項により当該当選人である被告(前記のよ うに被告は昭和三十五年九月二十日の当選人の告示により当選人となつた)の当選 は無効なものであることが明かである。よつて原告等が被告に対し右選挙における 長野市区の被告の当選を無効とする旨の宣言を求める本訴請求は正当である。  以上により訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判 決する。  (裁判長裁判官 村木達夫 裁判官 元岡道雄 裁判官 小池二八)

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