平成18(行ウ)286 法人税更正処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年2月6日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文23,262 文字)

- 1 -主文 本件訴えのうち,麻布税務署長が平成18年7月31日付けで原告に対してした,原告の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分の法人税についての重加算税の賦課決定処分の取消しを求める部分を却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求麻布税務署長が原告に対してした以下の各処分をいずれも取り消す。 原告の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分の法人税について平成18年7月31日付けでした更正処分のうち,所得金額マイナス1億2923万7750円(欠損),納付すべき税額0円を超える部分,並びに平成17年7月29日付け及び平成18年7月31日付け各重加算税の賦課決定処分 原告の平成16年2月1日から平成16年3月31日までの事業年度分の法人税について平成17年7月29日付けでした更正処分のうち,所得金額0円,納付すべき税額0円を超える部分,及び重加算税の賦課決定処分 原告の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分以後の法人税について平成17年6月30日付けでした青色申告承認取消処分第2事案の概要本件は,原告が,その保有する株式を,同じ企業グループ内のスイス法人に売却し,同スイス法人において同株式を第三者に転売したことを前提に,原告のスイス法人への売却額に基づき確定申告をしたところ,実際には原告が第三者に直接売却し多額の譲渡益を得ており,原告の上記スイス法人への売却は多額の譲渡益課税を回避するための隠ぺい行為である等として,第1記載の各処- 2 -分を受けたことから,原告がこれらの取消しを求めた事案である。 法令等の定め(1) 法人税法22条2項は,有償による資産の譲渡その他の取引で資本 ぺい行為である等として,第1記載の各処- 2 -分を受けたことから,原告がこれらの取消しを求めた事案である。 法令等の定め(1) 法人税法22条2項は,有償による資産の譲渡その他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額を,益金に算入すべき旨を規定している。 (2) 同法127条1項3号は,青色申告の承認の取消事由として,帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し,その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があることを規定している。 (3) 国税通則法68条1項は,納税者が国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したときは,重加算税を課する旨を規定している。 争いのない事実等(証拠等により容易に認められる事実については,各項末尾に証拠を掲記した。)(1) 原告(旧商号・株式会社P1。平成10年7月1日に現商号に変更。)は,音楽・映像ソフトの輸出入及び販売等を目的として,平成2年6月25日に設立された会社であり,同年7月5日,芝税務署長に対し青色申告の承認を申請し,当該承認を受けた。 P2は,平成10年4月30日に原告の取締役に就任し,その後,取締役として重任している。 P3は,平成11年6月30日に原告の取締役に就任し,平成13年8月1日から平成14年10月28日までは原告の代表取締役であったが,平成15年7月20日に原告の取締役を辞任した。 P4は,平成6年3月24日には,原告の代表取締役に重任しており,平成13年8月1日から平成14年10月28日までの間は代表取締役を辞任- 3 -し取締役となったものの,その後再び代表取締役となり,平成16 成6年3月24日には,原告の代表取締役に重任しており,平成13年8月1日から平成14年10月28日までの間は代表取締役を辞任- 3 -し取締役となったものの,その後再び代表取締役となり,平成16年4月27日に取締役及び代表取締役を辞任した。(甲1の1,乙1,2)(2) P5株式会社(平成15年4月7日にP6株式会社に商号変更。以下「P5社」という。)は,平成9年9月12日に設立された映画館の経営等を目的とする株式会社である。 平成14年12月6日時点におけるP5社の発行済株式総数は5万4067株であり,その株主構成は,以下のとおりであった。 原告が2万8661株(53.0パーセント)P3が5406株(10.0パーセント)P7が3333株(6.2パーセント)投資事業組合であるP8(以下「P8」という。)が4825株(8.9パーセント)P9投資事業組合(以下「P9」という。)が1万1842株(21.9パーセント)また,投資事業組合の運用及び管理業務並びにこれらの受託業務等を目的とするP10株式会社(旧商号・P11株式会社,以下「P10社」という。)は,投資組合であるP8及びP9を運営しており,P5社株式6000株を購入することができる新株引受権(以下「本件新株引受権」という。)を有していた。 (3) P12(以下「P12社」という。)は平成10年8月27日に登記されたスイス法人であり,その役員は,P13,P14らであり,P2は同社の役員ではなかった。 平成15年3月28日時点における,原告及びP12社との資本関係等は,別紙1のとおりである。 P2は,原告の親会社をさらに数社遡った親会社であるP15社の取締役であり,さらにその親会社であるP16社の最高経営責任者(CEO)の肩- 4 -書を有していた。 (4) 原告は,平成14年1 。 P2は,原告の親会社をさらに数社遡った親会社であるP15社の取締役であり,さらにその親会社であるP16社の最高経営責任者(CEO)の肩- 4 -書を有していた。 (4) 原告は,平成14年12月5日に原告が保有していたP5社株式2万8661株を1株当たり6万円(合計17億1966万円)でP12社へ譲渡することを承認する旨の同年8月23日付け取締役会議事録(甲第9号証の1)を作成し,また,同年12月6日付けで,同旨の株式譲渡契約書(甲第2号証)を作成した(以下,「本件契約書1」といい,同契約書に記載された内容の契約を「原告主張譲渡1」という。)。 原告以外の株主の所有していたP5社の株式合計2万5406株及び本件新株引受権については,平成15年3月29日付けで,それぞれP12社に譲渡する旨の株式譲渡契約書合計3通(乙第8号証の1ないし3)が作成された。 さらに,同月31日付けで,P12社が,P17株式会社(以下「P17」という。)に対し,P5社株式合計5万4067株を譲渡するとともに,本件新株引受権を放棄し,P17がP12社に対しこれらの譲渡及び放棄の対価として合計103億円を支払う旨の譲渡契約書(甲第13号証)が作成された(以下,「本件契約書2」といい,同契約書に記載された内容の契約を「原告主張譲渡2」という。)。 (5) 原告は,平成16年1月期及び平成16年2月1日から同年3月31日までの事業年度(以下「平成16年3月期」という。)について,法定申告期限経過前に,別表記載確定申告欄のとおり確定申告をした。 (6) 原告は,平成17年6月30日付けで,麻布税務署長から,平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度(以下「平成16年1月期」という。)以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色申告取消処分」 月30日付けで,麻布税務署長から,平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度(以下「平成16年1月期」という。)以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色申告取消処分」という。)を受け,平成17年8月29日に異議申立てをしたが,平成18年1月31日に東京国税局長から異議棄却決定を受け,同年2月28日付けで国税不服審判所長に対して審査請求をしたものの,同年9- 5 -月14日付けで審査請求を取り下げた。 原告は,平成17年7月29日付けで,麻布税務署長から,平成16年1月期及び平成16年3月期につき,法人税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び各法人税に係る各重加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けたが,その経緯は別表記載のとおりである。 (7) 被告が本訴において主張する,前記(6)記載の各処分の根拠は,別紙2記載のとおりであり,原告が平成15年3月31日ころにP17に対してP5社株式を直接譲渡したが,この事実を隠ぺいして,原告からP12社,P12社からP17に対する取引であるかのように仮装した等というものである。 (8) 原告は,平成18年6月19日,前記(6)の各処分の取消しを求めて本件訴えを提起したが,平成16年1月期のコンサルタント収入1330万円の計上漏れをしており,麻布税務署長から平成18年7月31日付け(同年8月1日に原告に送達)で,同計上漏れを理由とする平成16年1月期の法人税の更正処分(以下「平成16年1月期再更正処分」という。)及び重加算税の賦課決定処分(以下「第2次平成16年1月期賦課決定処分」という。)を受けたことから,平成19年2月9日,前記第1記載の内容の判決を求める訴えの変更を申し立てた。(乙40,41,当裁判所に顕著な事実) 争点 下「第2次平成16年1月期賦課決定処分」という。)を受けたことから,平成19年2月9日,前記第1記載の内容の判決を求める訴えの変更を申し立てた。(乙40,41,当裁判所に顕著な事実) 争点 (1) 本件訴えのうち,平成16年1月期再更正処分及び第2次平成16年1月期賦課決定処分の取消しを求める部分は,出訴期間の経過等により違法であるというべきか否か。 (2) 原告は,平成15年3月31日ころまでにP17に対してP5社株式2万8661株を直接譲渡したが,この事実を隠ぺいして,原告からP12社,P12社からP17に対する取引であるかのように仮装したか否か。 - 6 - 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 本件訴えのうち,平成16年1月期再更正処分及び第2次平成16年1月期賦課決定処分の各取消しを求める部分は,出訴期間の経過等により違法であるというべきか否か。 (被告の主張)ア平成16年1月期再更正処分について訴えの交換的変更がされ,変更後の訴えについて出訴期間の制限がある場合には,原則として訴え変更の申立てが出訴期間内に行われることが必要であるところ,原告は,平成18年8月1日に平成16年1月期再更正処分の送達を受け,原告が処分の存在を知った日から6か月以内の出訴期間経過前に訴えを変更することが十分可能であったにもかかわらず,原告の訴え変更の申立ては出訴期間経過後に行われたから,不適法である。 イ第2次平成16年1月期賦課決定処分について第2次平成16年1月期賦課決定処分についても,上記ア記載の理由と同様の理由で,出訴期間経過後に訴えの交換的変更がされたものであって,不適法である。 また,更正処分の後に増額再更正処分がされた場合,再更正処分に係る加算税の賦課決定処分の加算税の額は,再更正処分により増加した税額を基礎として 訴えの交換的変更がされたものであって,不適法である。 また,更正処分の後に増額再更正処分がされた場合,再更正処分に係る加算税の賦課決定処分の加算税の額は,再更正処分により増加した税額を基礎として計算されるものであって,更正処分に係る加算税賦課決定処分と再更正処分に係る加算税賦課決定処分は全く別個のものである。第2次平成16年1月期賦課決定処分は,平成17年7月29日付けでされた賦課決定処分(以下「第1次平成16年1月期賦課決定処分」という。)と別個の処分であるから,第2次平成16年1月期賦課決定処分の取消しを求める訴えは,適法な不服申立てを経由しておらず,この点からも不適法である。 (原告の主張)- 7 -ア平成16年1月期再更正処分について平成17年7月29日付けでされた平成16年1月期の法人税の更正処分(以下「平成16年1月期更正処分」という。)は,平成16年1月期再更正処分の処分内容としてこれに吸収されて一体となっており,原告の主張する違法事由も同一であるところ,原告は平成16年1月期更正処分について出訴期間を遵守した訴えを提起しているから,平成16年1月期再更正処分の取消請求も,当初の訴え提起時に提起されたものとして,適法である。 イ第2次平成16年1月期賦課決定処分について第2次平成16年1月期賦課決定処分は,第1次平成16年1月期賦課決定処分及び平成16年1月期更正処分と,課税の基礎を同一にする(各重加算税賦課決定処分は本税の額を課税標準とする。)ものであって,実質的に一体であり,原告がこれを争う意思は当初から明白であるから,前記アと同様の理由により,訴状によって訴えが提起されていたものと同視される。 また,重加算税賦課決定処分の取消しの訴えの争点は,基礎となる本税の更正処分の取消しの訴えと必然的に一致する。 るから,前記アと同様の理由により,訴状によって訴えが提起されていたものと同視される。 また,重加算税賦課決定処分の取消しの訴えの争点は,基礎となる本税の更正処分の取消しの訴えと必然的に一致する。そうすると,重加算税賦課決定処分の前提となるべき本税の更正処分について不服申立てを経ている限り,不服申立前置の趣旨である審査裁決庁の負担の軽減を図るという趣旨は充たされているし,納税者の権利救済について特別の考慮を払うという趣旨からすれば,重加算税賦課決定処分について独立の不服申立てを要求するのは背理であるから,このような場合には,重加算税賦課決定処分について独立の不服申立てを経ないことにつき正当の理由(国税通則法115条1項3号)があるというべきである。 (2) 原告は,平成15年3月31日ころまでにP17に対してP5社株式2万8661株を直接譲渡したが,この事実を隠ぺいして,原告からP12社,- 8 -P12社からP17に対する取引であるかのように仮装したか否か。 (被告の主張)ア原告の取締役であるP2は,P5社の株式の譲渡について,原告を代表してP17との交渉を行い,また,原告以外の株主及びP10社は,P17への株式譲渡等の交渉をP2に委ねていたところ,P17とP2は,平成15年2月5日に,原告及び原告以外の株主が保有する発行済み全株式をP17に103億円で譲渡することを口頭で合意し,原告以外の株主は,同年3月初めころまでに,103億円の内訳について基本的に合意に至った。このようにして,遅くとも本件契約書2の作成日付である平成15年3月31日ころには,原告及び原告以外の株主は,P2を介して,P17に対し,P5社全株式を103億円で譲渡する最終的な意思表示を行った。 イしかるに,原告は,平成14年11月13日までのP17との交渉経過 1日ころには,原告及び原告以外の株主は,P2を介して,P17に対し,P5社全株式を103億円で譲渡する最終的な意思表示を行った。 イしかるに,原告は,平成14年11月13日までのP17との交渉経過から,P5社株式の譲渡価格が63億円程度になり,その譲渡益について多額の法人税が課されることになることから,これを回避するため,債務超過の外国会社である同じグループ企業のP12社に対して著しく低い価額で譲渡したかのように仮装するとともに,P12社がP17に対して真実の譲渡価格で譲渡したかのように仮装することにし,原告以外の株主及びP10社の協力を得て,本件契約書1,2が作成された。 ウ本件契約書1,2に記載された事項は,P12社を介在させたことに伴う内容を除けば,概ね真実の合意内容であるから,原告とP17との真実の合意内容は,原告がP17に対し,その所有に係るP5社の全株式2万8661株を譲渡し,その対価は,本件契約書2の代金103億円からその他の株主への対価合計42億4359万6930円を差し引いた残額の60億5640万3070円とすること,株券の交付時期は原告主張譲渡2に係るクロージング日の平成15年4月4日とすること,売買代金の支払は同日にP17から原告以外の株主への対価を含む譲渡代金103億円- 9 -を原告の銀行口座に振込送金する方法ですることである(以下「被告主張譲渡」という。)。 (原告の主張)アP5社では,平成13年ころから株式を上場する計画を進めており,原告は,これにより生ずるであろうP5社株式のキャピタルゲインに対する課税を考慮し,同株式のP12社への譲渡を計画し,それを実行するために,原告は,平成14年8月23日に,P12社は同年9月16日に,それぞれ取締役会において上記譲渡を承認し,同年12月6日に上記株式2 税を考慮し,同株式のP12社への譲渡を計画し,それを実行するために,原告は,平成14年8月23日に,P12社は同年9月16日に,それぞれ取締役会において上記譲渡を承認し,同年12月6日に上記株式2万8661株を1株6万円,合計17億1996万円で譲渡する契約を締結した。そして,原告は,同月4日に上記株式に係る株券の発行を受け,同月6日にP12社に引き渡し,同月17日にP5社の取締役会決議で上記譲渡が承認され,上記譲渡に係る代金債務は,平成15年2月1日付けで原告が関係会社に対して負っていた債務とあわせて整理することにより全て決済された。 イP12社は,平成15年3月31日に,上記株式を含むP5社の全株式をP17に譲渡しているが,これは原告の所得と関係がない。 ウ被告主張譲渡は,これを直接立証する客観的証拠は何もない上,本件契約書1,2を含む多くの客観的証拠と明らかに矛盾する。 第3争点に対する判断 争点(1)(平成16年1月期再更正処分及び第2次平成16年1月期賦課決定処分の各取消請求の適法性)について(1) 訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,行政事件訴訟法20条のような特別の規定のない限り,出訴期間の遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視- 10 -し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきである。 (2) そこで検討するに,前記争いのない事実等記載(第2の2(8))のとおり,平成16年1月期再更正処分及び第2次平成16年1月期賦課決定処分は き,訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきである。 (2) そこで検討するに,前記争いのない事実等記載(第2の2(8))のとおり,平成16年1月期再更正処分及び第2次平成16年1月期賦課決定処分は,平成18年8月1日に原告に送達された一方,原告が訴えの変更を申し立てたのは,それから6か月を経過した後である平成19年2月9日であるから,出訴期間経過後にされたものである。 しかし,平成16年1月期再更正処分は,平成16年1月期更正処分で認定された所得金額(38億9490万3992円)に,新たにコンサルタント収入1330万円を所得と認定して加えた所得金額(39億0820万3992円)全体についてなされたものであり,その内容の大部分は,平成16年1月期更正処分と実質的に同一であるところ,訴えの変更後の本訴において,原告が主張している平成16年1月期再更正処分の違法事由は,原告のP17へのP5社株式の直接譲渡の事実の不存在であり,原告の主張する平成16年1月期更正処分についての違法事由と全く同一である。 このような両者の関係からすれば,平成16年1月期更正処分に対する訴えが提起されていることにより,平成16年1月期再更正処分について争う意思が明確であり,これに対しても訴えが提起されていたものと同視することができるというべきであるから,出訴期間の遵守において欠けることがないと解すべき特段の事情があるというべきである。 (3) これに対し,第2次平成16年1月期賦課決定処分は,平成16年1月期再更正処分における税額のうち増加部分を基礎として計算されたものであって,平成16年1月期更正処分における税額全体を基礎として計算された第1次平成16年1月期賦課決定処分とは実質的に何ら重なるところがない別個のものである。そして,第2次平成16年1月期賦課決定処 って,平成16年1月期更正処分における税額全体を基礎として計算された第1次平成16年1月期賦課決定処分とは実質的に何ら重なるところがない別個のものである。そして,第2次平成16年1月期賦課決定処分の適法性は,コンサルタント収入1330万円についての所得の存否及び仮装・隠ぺい行- 11 -為の有無によるから,原告のP17へのP5社株式の直接譲渡の有無が問題となる平成16年1月期更正処分及び第1次平成16年1月期賦課決定処分とは違法事由が異なり,争点を異にするものである。このような場合,平成16年1月期更正処分及び第1次平成16年1月期賦課決定処分に対する訴えが提起されていても,第2次平成16年1月期賦課決定処分について争う意思が明確であるとは到底いえず,他に出訴期間の遵守において欠けることがないと解すべき特段の事情は認め難い。 また,原告は第2次平成16年1月期賦課決定処分及びその基礎となる平成16年1月期再更正処分について不服申立手続を経ていないところ,上記と同様の理由により,平成16年1月期更正処分及び第1次平成16年1月期賦課決定処分について不服申立手続を経ているからといって,別途,不服申立手続を経ていないことに正当の理由があるとは認め難い。 (4) したがって,本件訴えのうち,平成16年1月期再更正処分の取消しを求める部分は適法であるが,第2次平成16年1月期賦課決定処分の取消しを求める部分は不適法であると解すべきである。 争点(2)(原告のP17へのP5社株式の直接譲渡及び仮装・隠ぺい行為の有無)について(1) まず,P17とP2との間でのP5社株式譲渡に関する契約締結に至るまでの経緯について検討する。 アP17は,原告の取締役であり,かつ,原告の5社上位の親会社であるP16社の最高経営責任者の肩書を有するP2と,P P2との間でのP5社株式譲渡に関する契約締結に至るまでの経緯について検討する。 アP17は,原告の取締役であり,かつ,原告の5社上位の親会社であるP16社の最高経営責任者の肩書を有するP2と,P5社の株式の譲渡に係る交渉をすることを希望し,平成14年8月20日,P17の代表取締役や常務取締役らとP2は,日本で会合を持った。その際,P17は,P2に対し,P5社についてマルティプルによる株価評価額について尋ね,P2は,EBITDA(利払前・償却前・税引前利益)を基準に考え,2年後のEBITDAの15倍の株式価値があり,負債を含めた企業価値で- 12 -はEBITDAの17,8倍であること,平成16年1月期のEBITDAは1000万ポンド(1ポンド180円で換算すると18億円)を見込んでいることなどを述べた。(乙7の1,2,乙42の1)イP17は,平成14年11月6日ころ,P2との交渉を仲介していたP18株式会社(以下「P18」という。)の担当者に対し,P5社の株式価値を30億円から120億円とみることで金額提案を行い,P2は,同月8日,P18担当者に対し,P17が提示金額の上限付近(100億円ないし120億円)で正式なオファーをすれば,喜んでより本格的な交渉に入る旨を述べた。また,P2は,そのころ,P18担当者に対し,翌週に日本に行くのでP17と会談したいし,また,P5社の新株引受権を有するP10社の代表取締役P19とも打合せをしたい旨述べた。(乙53,54)ウP17は,同月13日にP2と会合を持った際,原告以外の株主の所有分を含めたP5社の全株式を買収することを前提に,同社の企業価値を上限170億円,下限80億円と評価し,同社の純有利子負債が約50億円であることを前提に,これを控除した株式価値,すなわち買収価額を上限 たP5社の全株式を買収することを前提に,同社の企業価値を上限170億円,下限80億円と評価し,同社の純有利子負債が約50億円であることを前提に,これを控除した株式価値,すなわち買収価額を上限120億円,下限30億円とする旨の提案をした。これに対し,P2は,P17から提示された上限付近の価額であれば譲渡に応じる可能性がある旨をP17側に示唆した。そこで,P17は,その後に行うデュー・ディリジェンス(法的監査)の結果判明した企業内容が,P17の想定どおりならば,企業価値を上限である170億円とした買収の申出をする旨を返答し,同年12月中に基本合意を締結したいと述べた。(乙7の4,乙9)そして,P2は,同年11月21日,P16のP20会長に,これらの交渉の経緯を報告した。(乙58)エP10社は,平成14年11月当時,P5社のIPO(新規株式公開)- 13 -を希望していたが,代表取締役のP19は,同年11月28日,P18の担当者に対し,平成15年8月のIPOを前提として,時価総額が売出時に70億円,その後100億円となることを想定していたものの,今回P17から提示された評価額は短期的にはIPOでは実現し得ないものであり,P17に売却することは極めて合理的な判断であり,P10社としてもP17への売却を承諾する旨P2に伝えると述べた。(乙25,51)オその後,同年12月18日に,P17とP2は会合を持ち,金額を詰めて,翌年1月ころには基本合意書を締結したい旨の認識で一致した。(乙7の5,乙59)カP17は,平成15年2月4日にP2と会合を持った際,P5社の全株式の対価として,株式価値100億円,P16社とのロイヤリティ契約解約料2億円,支出済みの設備投資額分として3億円,合計105億円の最終提案をした。そして,同月5日の会合で を持った際,P5社の全株式の対価として,株式価値100億円,P16社とのロイヤリティ契約解約料2億円,支出済みの設備投資額分として3億円,合計105億円の最終提案をした。そして,同月5日の会合で,P2は,P17に対し,P16会長もP10社もそれで承諾する旨述べた。(乙7の6,7)なお,原告の代表取締役は平成14年10月29日に,P3からP4に交替したが,P4は,P17とP2との間で行われた同年8月20日から平成15年2月5日までの会合に同席し,上記の交渉等の内容について熟知しつつ何ら反対をしなかった。(乙7の2ないし7)キP17とP2は,平成15年2月7日,基本合意書を作成するための打合せを行ったが,その際,P2は,P17に対し,基本合意書の宛先をP12社というスイス法人にしてほしい旨依頼した。しかしながら,P17は,P12社の業務内容も知らず,役員に会ったこともなく,同法人と交渉もしたことがないのであって,P2がP12社の役員でなく,P2が契約書に署名しないというのは承服できないことからこれを拒否した。だが,それが,単に原告の税務上の問題に対処するためのものであるとの説明を受け,譲渡契約の保証人にP15社がなり,その役員としてP2が署名す- 14 -るということになったことから,最終的には,P17も,基本合意書の宛先をP12社とすることを承諾した。(乙7の9,乙10の1,2,乙11)ク以上の事実が認められるところ,これらの事実によれば,原告の保有するP5社の株式をP17に対して譲渡することに関する交渉については,原告側は,終始一貫して保有者たる原告の取締役であるP2が行ってきたのであり,P17は,当然に原告との間で契約を締結するものと考えて交渉をしていたのであって,P17と原告との間で株式譲渡の価格等について合意がで 一貫して保有者たる原告の取締役であるP2が行ってきたのであり,P17は,当然に原告との間で契約を締結するものと考えて交渉をしていたのであって,P17と原告との間で株式譲渡の価格等について合意ができ,基本合意書作成のための打合せを行うという最終段階に至って,初めてP2から,税務対策上,基本合意書の宛先をP12社というスイス法人にしてほしい旨の要請が出たのであり,P17は,P12社の業務内容も知らず,役員に会ったことさえなかったのであるから,P17が,この要請に応じて基本合意書の宛先をP12社にすることを承諾したのは,P12社を名義上の取引相手として介在させることを承諾したにすぎず,その業務内容,資力,信用力について何ら情報を持ち合わせていないスイス法人であるP12社を実質上の相手方として本件のような高額の株式譲渡契約を締結する意思まではなかったと推認することが相当である。 原告は,株券は真の権利者から交付を受けない限り,株券の所有権そのものを善意取得によるほか取得できず,P17としては契約書上の売主が真実の売主であることを最も重視するはずであり,P17がP12社を契約書上の売主とすることを受け入れたのは同社が真実の売主であったからである旨を主張する。しかしながら,本件においては,原告とP17との取引に,原告と同じグループに属するP12社を介在させるか否かだけが問題となっていたのであり,現実にP17の依頼により法的監査報告書を作成した弁護士も,P5社の株式の買主であるP17としては,株券がもらえればよく,売主が誰かというのを確認する必要はない旨の見解を有し- 15 -ているのであって(乙11),原告の上記主張は前記推認を左右するものではない。 (2) また,P12社の財務状況等についてみるに,証拠(乙6の1,2,乙35ないし37,4 の見解を有し- 15 -ているのであって(乙11),原告の上記主張は前記推認を左右するものではない。 (2) また,P12社の財務状況等についてみるに,証拠(乙6の1,2,乙35ないし37,48,49)によれば,P12社は,スイスで登記された法人であるが,常勤の職員を雇用しておらず,平成14年3月31日現在で,4714万0471スイスフラン(日本円で約37億円)の債務超過の状態にあり,会計報告書を作成した会計事務所から,スイス債務法株式会社編725条2項(裁判官への報告義務)の注意喚起を受ける状態にあったこと,同社は,平成14年8月6日までは,P16の一員で英国で設立されたP21Ltd.の100パーセント子会社であったが,同日以降はP22社の100パーセント子会社となり,さらに同年12月5日に市場価格1ポンドで売却されP15社の100パーセント子会社となり,同社から5534万7496スイスフランの債務免除を受けるなどして債務超過を解消したが,その時点でもなお累積欠損金が資本金の2分の1を超過し,上記会計事務所から同条1項(株主総会への財政立て直し措置の提案義務)の注意喚起を受けたこと,その後,平成15年3月28日にはP23社の100パーセント子会社となり,平成15年3月31日時点において,資本金3億5594万5600スイスフランの約94パーセントに相当する累積損失3億3541万8382スイスフランを抱え,原告主張譲渡2の収益4672万2636スイスフランがなければ,2619万5418スイスフラン(1スイスフラン87. 97円で換算すると23億0441万0921円)の債務超過となる状態であったことが認められる。 そうすると,P17が,P12社を100億円以上の株式取引の真実の契約相手であると認識して,同社の業績や財務状況を調査をした 3億0441万0921円)の債務超過となる状態であったことが認められる。 そうすると,P17が,P12社を100億円以上の株式取引の真実の契約相手であると認識して,同社の業績や財務状況を調査をしたならば,およそ100億円以上の多額の取引の相手方として承諾することは考え難い財務状況の法人であることが一見して明らかになったと考えられるから,P17- 16 -が,P12社を,単なる税務対策上の名義人としてのみならず,実質上も100億円以上の株式取引の相手方であると認識していたとは到底考えられず,P17は,原告の税務対策に協力するために,基本合意書の名宛人の名義をP12社にすることは承諾したものの,およそ同社を実質的な契約当事者とする意思は有していなかったと推認するのが相当である。 (3) さらに,株式譲渡代金の授受についてみるに,証拠(乙15,23の1ないし7)によれば,P17は,平成15年4月4日,P5社の全株式の譲渡及び本件新株引受権放棄の対価である103億円を,原告のP24銀行P25支店の口座に振込送金して支払ったこと,原告は,同日,上記金員から原告以外の株主等のそれぞれに対し,対価合計42億4359万6930円を支払ったことが認められ,このように,P17からの本件の株式譲渡の代金支払や,原告から原告以外の株主等への金銭の分配を全て原告の口座を経由して行っており,これらの金銭の授受に,P12社が携わったことをうかがわせる証拠はない。この点について,P12社が,代金の授受について原告の口座を利用して行うように指示したかのような資料が見受けられるが(甲17の1,2,18),真に株式譲渡を行った当事者でありながら,何故自らの口座を利用しなかったのかについて,何ら首肯し得る合理的な理由はうかがえず,また,仮に,何らかの理由で原告の口座を一 るが(甲17の1,2,18),真に株式譲渡を行った当事者でありながら,何故自らの口座を利用しなかったのかについて,何ら首肯し得る合理的な理由はうかがえず,また,仮に,何らかの理由で原告の口座を一時的に利用して金銭の授受を行ったのであれば,その後,当然に原告からP12社に対し,金員の授受又は送金等がされるはずであるが,それらがされたことをうかがわせる証拠はない。 そうすると,P12社は,P17の実質上の契約相手であったとは考え難く,P17は,あくまで実質上は原告との間で取引を行い,単に税務対策のためにP12社の名前を介在させたにすぎないという認識であったと推認される。 (4) そして,P5社の株券の発行についてみるに,原告は,平成14年12月- 17 -4日に本件株式に係る株券の発行を受け,同月6日に,P12社に対し株券の引渡しを行った旨主張する。 そこで検討するに,証拠(乙12の1,2,乙13,14,20の2,3,乙43の1)によれば,P5社の平成14年8月21日改定の定款では,株主名簿は名義書換代理人の事務取扱場所に備え置き,株式の名義書換,株券の交付等に関する事務は名義書換代理人が行いP5社は取り扱わないとされ,これに従って,P5社は,同年9月10日,P26銀行を株式の名義書換代理人に指定したこと,P5社の株式取扱規則では,株券の不所持の申出をした株式につき株券の交付請求をするとき,又は株式の名義書換を請求するときは,株券をP26銀行に提出することとし,株式の名義書換をしたときは,株券の裏面に名義書換代理人であるP26銀行が証印することを規定していたこと,原告は,平成14年11月1日,P5社に対し,株券の不所持の申出をし,また,原告は,平成15年3月10日,P26銀行に対し,株券の発行及びP12社への名義書換に必要な書類を提 とを規定していたこと,原告は,平成14年11月1日,P5社に対し,株券の不所持の申出をし,また,原告は,平成15年3月10日,P26銀行に対し,株券の発行及びP12社への名義書換に必要な書類を提出し,P26銀行は,同日,株券再発行及び名義変更手続をしたことがそれぞれ認められる。 そうすると,株券の不所持の申出をした原告は,平成15年3月に,P26銀行に対し,株券の発行及びP12社への名義書換に必要な書類を提出して,株券の発行を受けているのであって,原告が主張するような,平成14年12月4日に株券が発行された事実,あるいは発行を受けた株券を同月6日にP12社に引き渡した事実はいずれも認め難い。そして,原告は,平成14年12月4日を発行日とする株券が存在したとして甲19号証の2等の証拠を提出したが,仮に真にこのころに株券が発行され,それが原告からP12社に引き渡されたのであれば,上記認定のように,何故,原告が平成15年3月10日に,P26銀行に対し,株券の発行及びP12社への名義書換に必要な書類を提出したのか理解に苦しむところである。 (5) さらに加えて,原告の3つ上位の親会社であるP27社が平成14年9月- 18 -26日付けで英国財務省に対して行った,原告所有のP5社株式のP12社への譲渡に係る同意の申請書には,P16が将来的にP5社株式を処分する場合の日本における税負担を軽減することを目的とする旨の記載がされていること(甲16の2),P17の依頼によりP28が平成15年3月14日付けで作成したP5社に関する法的監査結果報告書には,P12社が原告から保有全株式を譲り受けて新たに株主となっているのは,P17との取引によるキャピタルゲイン課税を回避するためであるとのことである旨の記載があること(乙5),P10社のP29は,代金が原告 社が原告から保有全株式を譲り受けて新たに株主となっているのは,P17との取引によるキャピタルゲイン課税を回避するためであるとのことである旨の記載があること(乙5),P10社のP29は,代金が原告から入金されたことについて,P12社は原告と同一であり,実質的に権限を行使してきたのはP2らであることから,何ら違和感がなかった旨を供述していること(乙25),原告の代表取締役であったP3は,著書の中で,P5社株式の売却について,「P17ならば僕が苦難の上に立ち上げて,成長させた会社を任せられると思った。」「結果的にすべての株主はそれぞれの条件でP17に対して持株を譲渡することになった」と記述していること(乙27),株式を譲渡したP7は,平成15年2月末ころ,P10社のP29及びP30弁護士からP5社株式の売却に応じるよう求められた際,売却先がP12社であるが最終的にP17が取得すること等の説明を受け,長年海外の企業と取引を行ってきた経験から,グローバル企業が通常のように行う,日本での課税を逃れるためのものであることが容易に想像がついた旨の供述をしていること(乙28)などからも,原告が課税逃れのために,形式上,P12社の名義を利用したことが裏付けられる。 (6) 以上よりするならば,原告主張譲渡1は,原告の課税逃れのために,名義上,P12社を取引に介在させる形式を整えたにすぎないものであり,実体を伴わない契約,すなわち,実質上の意思を欠く通謀虚偽表示による契約というべきであって,その効力を認めることはできず,P17にP5社株式を譲渡したのは真の所有者である原告であり,本件契約書2の売主の記載は事- 19 -実に反するものであって,原告は上記譲渡の対価として,P17からの入金額103億円から他の株主等への対価である42億4359万6930円 者である原告であり,本件契約書2の売主の記載は事- 19 -実に反するものであって,原告は上記譲渡の対価として,P17からの入金額103億円から他の株主等への対価である42億4359万6930円を控除した,60億5640万3070円を取得したものと認めるのが相当である。 (7) 原告の主張についてアこれに対し,原告は,P5社及びその株主間では,平成13年ころから同社の株式新規公開を計画し,原告はこれと並行して将来の上場により生じるであろうキャピタルゲイン課税を考慮して原告主張譲渡1を検討し,平成14年9月16日にP12社取締役会でP5社株式譲受を承認し,同月26日にP27社が英国財務省に対して同意申請をした旨を主張するが,そもそも譲渡が実体を伴わないものであれば,そのような構想自体が,名義のみを借用した課税逃れのスキームであると解され,その後,株式譲受人であるP17との交渉が進行し,何ら事情を知らないP17への売却を前提として平成14年12月にされた原告主張譲渡1がその実質を欠くものであることは,前記認定のとおりであって,原告の上記主張はこの認定を左右するものではない。 イまた,原告は,平成14年8月23日の原告の取締役会決議で原告主張譲渡1が承認された旨を主張し,同年9月12日時点での取締役会議事録の草稿(甲9の2)及び同年12月5日付け取締役会議事録(甲9の1)等がその証左であるという。しかしながら,そもそも内容の異なる議事録が期間をおいて2種類作成され,このうち正式の議事録とされる甲第9号証の1には取締役会決議の日に存在していない株式評価報告書が議事の内容とされており,草稿とされる甲第9号証の2には代表取締役のP3の署名すらないことからすれば,これらが真実の議事録であると信用することは到底できない。このほか,原告が挙 ない株式評価報告書が議事の内容とされており,草稿とされる甲第9号証の2には代表取締役のP3の署名すらないことからすれば,これらが真実の議事録であると信用することは到底できない。このほか,原告が挙げる甲第22ないし24号証は,作成者及び内容から,原告主張の取締役会決議の存在を直接裏付けるもので- 20 -はないのみならず,むしろ甲第22号証の「取締役会議事録等における譲渡の承認」,甲第24号証の「貴兄らの会議の日は,P13が会議の日だといっている,8月23日と記載しています」との記載は,実際の取締役会決議が存在しないのに議事録のみ作成されたことをうかがわせるものであって,ほかに上記取締役会決議の存在を認めるに足りる証拠はない。 ウそして,原告は,平成14年12月17日のP5社の取締役会決議が存在し,このことは原告主張譲渡1と整合すると主張し,甲12号証等を提出した。しかしながら,P5社は,平成14年7月以前の日付の株主総会及び取締役会の議事録を,日付を遡って作成していたほか(乙5),日常的に,取締役会議事録に議事の挿入,削除をしていたところ(乙14),甲第12号証(議事録写し)では「議長,出席取締役及び出席監査役全員これに署名捺印する。」との記載がありながら,これらの者の署名捺印がなく,原告主張の議事録の原本の存在及び成立は不明であり,ほかに原告主張の取締役会決議の存在を認めるに足りる証拠はない。 エ原告は,原告主張譲渡1の代金額が17億1966万円であったことは合理性を欠くものでないと主張するが,原告の援用する株価算定書(甲15)は,作成者である会計士が,従業員へのストック・オプション付与を念頭において短期間に形式的に作成したものであって,株式の売買の参考にする目的で作成したものではなく,6万円という価額も結論を先取りして設 作成者である会計士が,従業員へのストック・オプション付与を念頭において短期間に形式的に作成したものであって,株式の売買の参考にする目的で作成したものではなく,6万円という価額も結論を先取りして設定した旨を自認しているところである(乙17)。また,証拠(乙56)によれば,P17は平成14年11月当時から買収価格の目安を100億円前後に設定していたことがうかがわれる一方,前記(1)イないしエのとおり,P2は平成11年11月時点で,P17が100億円ないし120億円で正式なオファーをすれば本格的な交渉に入る旨を述べ,同月28日にはP10社もP17への売却を賛同したのであるから,原告の持ち株割合(53パーセント)を前提とすると平成14年12月時点で53億- 21 -円以上の対価が見込まれ,現実に原告が60億円以上の対価を得たことからすると,17億円余という価格は低廉に失するものである。このほか,原告は,P17への譲渡価格には経営支配権を取得することによるいわゆるコントロールプレミアムとしての価格が含まれるから高く決定されたと主張するが,もともと原告は,持ち株割合が過半数を超え,経営支配権を有しており,原告主張譲渡1の代金額も当然コントロールプレミアムが考慮されてしかるべきであったから,P17への譲渡価格の3分の1未満である原告主張譲渡1の代金額は不合理であるといわざるを得ない。 (8) 小括以上の検討結果のほか,原告のその他の主張立証を考慮してもなお,原告は平成15年3月31日に,P5社株式2万8661株を譲渡し,代金として60億5640万3070円を得たものであり,また,本件契約書1,及び本件契約書2の売主に関する記載は,いずれも仮装されたものであることが認められ,このうち本件契約書1は原告自身が作成したものであることは明白であり, 70円を得たものであり,また,本件契約書1,及び本件契約書2の売主に関する記載は,いずれも仮装されたものであることが認められ,このうち本件契約書1は原告自身が作成したものであることは明白であり,これらの認定を左右する証拠はない。したがって,争点(2)に関する被告の主張は理由がある。また,原告はこれら仮装した契約書に基づき帳簿書類を作成したものと推認され,同推認を覆すに足りる証拠もない。 そして,他に平成16年1月期再更正処分,平成16年3月期の法人税の更正処分,本件各賦課決定処分,及び本件青色申告取消処分が違法であるとすべき理由はなく,これらはいずれも適法である。 第4 結論 以上によれば,本件訴えのうち,第2次平成16年1月期賦課決定処分の取消しを求める部分は不適法であるから却下し,原告のその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 - 22 -東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官定塚誠裁判官中山雅之裁判官進藤壮一郎- 23 -(別紙2) 本件青色申告取消処分の根拠原告は,仮装した事実に基づき平成16年1月期の確定申告書の基礎となる帳簿書類を作成するなどしたものであり,法人税法127条(青色申告の承認の取消)1項3号に規定する「その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し,その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」に該当する。 本件各更正処分の根拠(1) 平成16年1月期ア所得金額38億9490万3992円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算し,(ウ)の金額を減算した金額である。 ( 該当する。 本件各更正処分の根拠(1) 平成16年1月期ア所得金額38億9490万3992円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算し,(ウ)の金額を減算した金額である。 (ア)申告所得金額△1億4253万7750円上記金額は,原告の平成16年1月期の法人税の確定申告書(以下「平成16年1月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。 (イ)所得金額に加算すべき金額90億0939万4440円上記金額は,下記a及びbの合計金額である。 a有価証券の譲渡益の計上漏れの金額46億7274万3070円次の(a)の金額は,次の(b)の金額から次の(c)及び(d)の各金額の合計額を控除した金額である。上記46億7274万3070円は,(a)の金額から,次の(e)の金額を控除した金額で,原告が平成15年3月31日にP17に対して売却したP5社の株式の譲渡益の計上漏れの金額であり,当期の益金の額から除外されていたものである。 - 24 -(a)原告とP17との間のP5社株式の譲渡対価60億5640万3070円(b)原告がP17から受領したP5社株式等の譲渡対価の額103億円(c)原告が,原告以外のP5社の株主に支払ったP5社株式の譲渡対価の額38億7699万6930円(d)原告がP10社に対して支払った新株引受権の譲渡対価の額3億6660万円(e)原告のP5社株式の帳簿価額13億8366万円b国外関連者に対する寄附金の損金不算入額43億3665万1370円上記金額は,原告が,平成15年4月4日にP31社に送金した62億3631万1370円のうち,原告が負っていたとされるP22社からの借入金債務の弁済に充てられた17億1966万円及びP5社がライセンス解約料として原告を通じて英国ロン 日にP31社に送金した62億3631万1370円のうち,原告が負っていたとされるP22社からの借入金債務の弁済に充てられた17億1966万円及びP5社がライセンス解約料として原告を通じて英国ロンドンに所在するP16の法人であるP32Limited に対して送金した1億8千万円の合計18億9966万円を除く金額であり, 原告が, P31社を通じて国外関連者であるP12社に対して金銭の贈与をしたと認められるものであり, 租税特別措置法66条の4第3項の規定により損金の額に算入できない金額である。 (ウ)所得金額から減算すべき金額49億7195万2698円上記金額は,次のaないしcの合計金額である。 a寄附金の損金算入額43億3665万1370円上記金額は,上記(イ)bで述べたとおり,原告が平成15年4月4- 25 -日にP31社に対して送金した62億3631万1370円のうち,同社を通じてP12社に対して金銭の贈与をしたと認められる金額であり,損金の額に算入されていなかったものである。 b送金手数料の損金算入額9万0700円上記金額は, 原告が平成15年4月4日に支出した,P31社に対する62億3631万1370円の送金手数料6万6800円,P8に対する7億0493万2500円の送金手数料1万1500円及びP3に対する7億9300万円の送金手数料1万2400円の合計金額であり,損金の額に算入されていなかったものである。 c繰越欠損金額の損金算入額6億3521万0628円上記金額は,法人税法57条1項及び10項により,損金の額に算入すべき青色申告に係る繰越欠損金額であり,損金の額に算入されていなかったものである。 イ所得金額に対する法人税額11億6783万0900円上記金額は,前記アの所得金額(国税通則法(以下「通 算入すべき青色申告に係る繰越欠損金額であり,損金の額に算入されていなかったものである。 イ所得金額に対する法人税額11億6783万0900円上記金額は,前記アの所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に法人税法66条(経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条適用後のもの。以下同じ。)に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等79円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税等の金額であり,平成16年1月期確定申告書に記載された金額と同額である。 エ納付すべき税額11億6783万0800円上記金額は,前記イの金額から前記ウの金額を差し引いた金額(通則法- 26 -119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後のもの。 以下同じ。)である。 オ確定申告に係る所得税等の還付金額79円上記金額は,法人税法78条1項に規定する所得税額等の控除不足額であり,平成16年1月期確定申告書別表1(1)の「16」欄に記載された所得税額等の還付金額と同額である。 カ差引納付すべき税額11億6783万0800円上記金額は,前記エの金額と前記オの金額を合計した金額であり, 平成16年1月期更正処分により新たに納付することとなった法人税額である。 (2) 平成16年3月期ア所得金額101万1046円上記金額は,下記(ア)の金額に(イ)の金額を加算したものである。 (ア)申告所得金額0円上記金額は,原告の平成16年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成16年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。 (イ)繰越欠損 加算したものである。 (ア)申告所得金額0円上記金額は,原告の平成16年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成16年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。 (イ)繰越欠損金額の損金算入過大額101万1046円上記金額は, 前記(1)の平成16年1月期更正処分により当事業年度に繰り越す欠損金額が0円となるため,当期の所得金額の計算上,損金の額に算入されないこととなる金額である。 イ所得金額に対する法人税額22万2420円上記金額は,前記アの所得金額に法人税法66条に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等42円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税等の金額であり,平成16年3月期確定申告書に記載された金額と同額で- 27 -ある。 エ納付すべき税額22万2300円上記金額は,前記イの金額から前記ウの金額を差し引いた金額である。 オ確定申告に係る所得税額等の還付金額42円上記金額は,法人税法78条1項に規定する所得税額等の控除不足額であり,平成16年3月期確定申告書別表1(1)の「16」欄に記載された所得税額等の還付金額と同額である。 カ差引納付すべき税額22万2300円上記金額は,前記エの金額と前記オの金額を合計した金額であり,平成16年3月期更正処分により新たに納付することとなった法人税額である。 本件各賦課決定処分の根拠本件各更正処分は適法であるところ,原告は,納付すべき税額を過少に申告していたものであって,納付すべき税額を過少に申告したことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められない。 そして,原告は,P12社に対しP5社株式を譲渡する旨の架空の譲渡契約書を作成するなどし,本来原告に帰属する利益 少に申告したことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められない。 そして,原告は,P12社に対しP5社株式を譲渡する旨の架空の譲渡契約書を作成するなどし,本来原告に帰属する利益をP12社に帰属する利益であるように仮装し,平成16年1月期及び平成16年3月期の法人税の課税標準の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,その隠ぺいしたところに基づき,平成16年1月期確定申告書及び平成16年3月期確定申告書を提出していたことから,通則法68条(重加算税)に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当し,同条1項の規定に基づき,過少申告加算税に代え,重加算税が課されることとなる。 したがって,本件各更正処分に伴って賦課されるべき重加算税の額は,それぞれ以下のとおりとなる。 - 28 -(1) 平成16年1月期平成16年1月期更正処分に伴って賦課されるべき重加算税の額は,平成16年1月期更正処分によって新たに納付することとなった税額11億6783万円(ただし,通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の35を乗じて算出した金額4億0874万0500円となる。 (2) 平成16年3月期平成16年3月期更正処分に伴って賦課されるべき重加算税の額は,平成16年3月期更正処分によって新たに納付することとなった税額22万円(ただし,通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の35を乗じて算出した金額7万7千円となる。 以上 基づき1万円未満の端数を切り捨てた後の金額に100分の35を乗じて算出した金額7万7千円となる。 以上

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