平成15(行ウ)282 行政文書の開示実施手数料減免拒否決定取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年1月16日 東京地方裁判所 情報公開
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判決文本文9,899 文字)

- 1 -主文原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告が平成14年10月11日付け東管総発第2849号及び同第2850号をもって原告に対してした行政文書の開示実施手数料の減額及び免除をしない旨の決定を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律16条3項,同法施行令14条2項の規定に基づき,被告に対し,行政文書の開示実施手数料の減額,,,又は免除を申請したところ被告が原告が領置金残高の照会等に応じないため経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否かの判断ができないとして,開示実施手数料の減額及び免除をしない旨の決定をしたことから,原告がその取消しを求めている事案である。 法令の定め行政機関の保有する情報の公開に関する法律平成11年法律第42号以下情(。 「報公開法」という)16条1項は,行政機関の保有する行政文書の開示請求を。 する者又は行政文書の開示を受ける者は,政令で定めるところにより,それぞれ,実費の範囲内において政令で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない旨規定する。 そして,同条3項は,行政機関の長は,経済的困難その他特別の理由があると認めるときは,政令で定めるところにより,上記手数料を減額し,又は免除することができる旨規定し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成12年政令第41号。以下「施行令」という。)14条1項は,行政機関の長(同法17条の規定により委任を受けた職員があるときは当該職員)は,行政文- 2 -書の開示を受ける者が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認めるときは,開示請求1件につき2000円を限度として,開示実施手 任を受けた職員があるときは当該職員)は,行政文- 2 -書の開示を受ける者が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認めるときは,開示請求1件につき2000円を限度として,開示実施手数料を減額し,又は免除することができる旨規定する。 また,施行令14条2項及び3項は,開示実施手数料の減額又は免除を求めようとする者は,減額又は免除を求める額及びその理由を記載した申請書を行政機関の長に提出するとともに,生活保護法11条1項各号に掲げる扶助を受けていることを理由とする場合にあっては当該扶助を受けていることを証明する書面を,その他の事実を理由とする場合にあっては当該事実を証明する書面を上記申請書に添付しなければならない旨規定している。 (いずれも当事者間に争いがない。) 前提となる事実(1)原告は,昭和50年に爆発物取締法違反等の容疑で逮捕,起訴され,昭和62年に死刑判決が確定し,現在に至るまで東京拘置所に収容されている者である。 (2)原告は,平成14年6月4日,被告に対し,東京拘置所の保有する行政文書に係る行政文書ファイル管理簿等の行政文書の開示請求を行いその後,「」,件数の補正により,原告の開示請求に係る行政文書は合計5件とされた。 (3)被告は,上記開示請求に対し,平成14年7月24日付けで,情報公開法9条1項に基づき,上記5件の行政文書を開示又は部分開示する旨決定してその旨原告に通知するとともに,施行令13条2項に基づき,受付番号第5号及び同第9号に係る行政文書の写しの交付を希望する場合には,それぞれ2980円及び220円の開示実施手数料の納付を求める旨通知した。 (4)これに対し,原告は,平成14年7月29日付けで,上記各開示実施手数料のうち,受付番号第5号分については2000円,同第9号分につい 円及び220円の開示実施手数料の納付を求める旨通知した。 (4)これに対し,原告は,平成14年7月29日付けで,上記各開示実施手数料のうち,受付番号第5号分については2000円,同第9号分については220円をそれぞれ減額又は免除することを求める「開示実施手数料の減免申請書(2件兼用)」を提出し,申請理由として,原告は東京拘置所に在監中の死刑確定者であり,家族からのわずかな差入れ以外に収入の途がない無産者であるか- 3 -ら,開示実施手数料を負担する資力がない旨を記載するとともに,原告が無資力であることを証する書面として,総所得金額を零円とする原告の平成14年度特別区民税・都民税非課税証明書(以下「非課税証明書」という。)の写し1部を添付した(以下,原告がした上記の開示実施手数料減免申請を,「本件申請」という。)。 (5)本件申請を受けた被告は,在監者である原告に所得がないことだけで,経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認めることはできないとして,原告に対し,平成14年4月以降回答時現在までの現金の差入れの有無,その時期及び金額並びに回答時現在の領置金残高について,同年8月2日付け事務連絡「開示実施手数料の減額(免除)申請書について」により回答を求めるとともに,回答に係る事実を証明する書面の提出を求めた。 これに対し,原告は,同月13日付け「証明資料の追加について(回答)」と題する書面をもって,施行令14条3項の規定は,生活保護法による被保護者と同様に住民税の非課税者も開示実施手数料の減免対象者とすることを予定したものであり,証明資料の追加に応じることは現時点では困難である旨回答し,被告の上記照会事項について回答しなかった。 さらに,被告は,同月26日付け「開示実施手数料の減額(免除)申請書について(補正)」をもっ り,証明資料の追加に応じることは現時点では困難である旨回答し,被告の上記照会事項について回答しなかった。 さらに,被告は,同月26日付け「開示実施手数料の減額(免除)申請書について(補正)」をもって,原告に対し,前記事務連絡と同様の照会を行ったが,これに対しても,原告は,同月28日付け「減免申請に関する回答及び照会書」と題する書面をもって,補正に応じられない旨回答した。 (6)そこで,被告は,原告が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否かを判断するため,原告に対し,平成14年9月11日付け「東京拘置所長へ領置金残高を照会することについて」と題する照会書により,東京拘置所長に対して原告の領置金残高の照会をすることについての意見を求めた。 これに対し,原告は,同月17日付け「回答書」と題する書面をもって,あ- 4 -くまでも提出済みの非課税証明書の写しのみに基づく減免の可否の判断を求め,職権による領置金残高の照会には同意できない旨回答した。 (7)被告は,以上の経緯から,原告が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否かを判断することが不可能であるとして,平成14年10月11日付け東管総発第2849号「開示実施手数料の減額について(通知)」及「(」,び同日付け同第2850号開示実施手数料の免除について通知)をもって本件申請に係る開示実施手数料の減額及び免除をしない旨の通知をした(以下,上記各通知に係る決定を「本件処分」という。)。 これを受けて,原告は,前記受付第5号分及び同第9号分の開示実施手数料として,合計2220円を納付し,被告は,上記各行政文書に係る開示実施手数料が完納されたことから,その開示を実施した。 (8)その後,原告は,平成14年12月2日付けで,法務大臣に対し,本件処分を不服 て,合計2220円を納付し,被告は,上記各行政文書に係る開示実施手数料が完納されたことから,その開示を実施した。 (8)その後,原告は,平成14年12月2日付けで,法務大臣に対し,本件処分を不服として,行政不服審査法5条に基づく審査請求をしたが,法務大臣は,平成15年3月4日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 当事者双方の主張(被告の主張)(1)行政機関が保有する情報に対する開示請求権は,あくまで情報公開法によって付与された権利にすぎず,開示実施手数料の減免の可否の判断については,同法16条3項及び施行令14条1項の「減額し,又は免除することができる。」との文言からも明らかなとおり,あくまで行政機関の長の合理的な裁量にゆだねられたものと解するのが相当である。 したがって,開示実施手数料の減額又は免除に関する処分については,当該処分が社会通念上著しく妥当性を欠くなど裁量権を逸脱,濫用したものと認められない限り,適法とされるべきである。 (2)一般社会において自らの支出によって生計を営む者と異なり,在監者については,必要な糧食及び飲料が国費で支給されるほか,衣類,臥具,食器- 5 -等が支給され,調髪,入浴,医療等についても,国の負担において在監者に施されるなど,日常必要とする生活費はすべて国費で賄われており,在監者が生活費を支出する必要はない。 他方,相当期間収容されている在監者の場合,所得がないのが一般的であり,非課税証明書を入手することは容易であるが,そのような在監者であっても,領置金品を有することが珍しくなく,領置金を有する在監者は,これを日常要する生活費以外の支出に充てることが可能である。 このような在監者の特質にかんがみれば,所得のない在監者であっても,領置金の金額によっては相当程度の資力が認められ,開示実施手 る在監者は,これを日常要する生活費以外の支出に充てることが可能である。 このような在監者の特質にかんがみれば,所得のない在監者であっても,領置金の金額によっては相当程度の資力が認められ,開示実施手数料を減免することが相当でない場合もあり得るから,在監者に係る開示実施手数料の減免を非課税証明書のみに基づいて判断することは妥当でなく,当該在監者の領置金の有無及びその金額も併せて判断するのが相当である。 (3)被告は,原告が本件申請に際し,非課税証明書の写しを添付したのみであったことから,領置金の有無等,原告の経済的事情を考慮しなければ,本件申請に対する適正な判断ができないと考え,原告に領置金残高を通知するよう求め,あるいは,原告の了解を得て,職権で東京拘置所に原告の領置金残高につき回答を求めようとしたものであり,このような調査方法は,特段原告の手を煩わせたり,経済的負担を伴うなど,原告に過大な負担を強いるものではなかったにもかかわらず,原告があくまで非課税証明書の写しのみに基づく減免の判断を求めたことから,被告としては,原告が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力を有しないか否かを判断できず,これを減免しないこととしたものである。 したがって,本件処分に裁量権の逸脱又は濫用がないことは明らかであるから,原告の請求はいずれも棄却されるべきである。 (原告の主張)(1)施行令14条3項は開示実施手数料を減免すべき「経済的困難(同条1項)」- 6 -の例として,申請人が生活保護法11条1項各号に掲げる扶助を受けていることを挙げているところ,生活保護法に基づく扶助は,憲法25条1項が定める「健康で文化的な最低限度の生活」をすべての国民に保障しようとするものにほかならないから,施行令14条1項にいう「経済的困難」とは,申請人の経済力 ,生活保護法に基づく扶助は,憲法25条1項が定める「健康で文化的な最低限度の生活」をすべての国民に保障しようとするものにほかならないから,施行令14条1項にいう「経済的困難」とは,申請人の経済力が憲法及び生活保護法が想定する健康で文化的な最低限度の生活を上回る生活水準を実現し得る程度に達しているか否かによって判断すべきものと解される。 そうすると,同条3項にいう「その他の事実」とは,生活保護法に基づく扶助を受けていないが,これに準ずる経済状態にあることをいうものと解されるところ,市町村民税の非課税扱いと生活保護制度の間には密接な関係があり,生活保護受給者と市町村民税の非課税者を同等に取り扱う社会福祉事業も多数存在することに照らせば,申請人の属する世帯が市町村民税の非課税世帯である場合は,生活保護法に基づく扶助を受けていないが,これに準ずる経済状態にあるということができる。 そして,原告が被告に対して提出した非課税証明書は,それだけで同条1項にいう「経済的困難」を十分に証明するものであるから,被告が開示実施手数料の減免の可否を判断するに当たり,原告への金銭の差入れ状況,原告の領置金残高に関する情報及びこれらを証明する書面の提出を原告に求めたり,原告の同意の下に原告の領置金残高を職権で照会したりする必要がないことは明らかである。 (2)もっとも,在監者の資力を判断する際,在監者に対して衣食住等の生活条件が保障されていることを考慮することは不合理ではないが,その場合には,その生活条件の内容を一般社会における生活費に換算した価額を在監者の定期的な収入額とみなし,その価額と年金の受給等による安定した収入の合計額が,生活保護受給者に保障される支給額を相当程度上回るようなときに限り,在監者に資力があると認めるべきであって,在監者に金銭の差入れ 収入額とみなし,その価額と年金の受給等による安定した収入の合計額が,生活保護受給者に保障される支給額を相当程度上回るようなときに限り,在監者に資力があると認めるべきであって,在監者に金銭の差入れ- 7 -があったとしても,収入源としては著しく不安定なものであることが容易に推認されるから,このような推認を覆す反証がない限り,在監者の資力を判断するに当たって金銭の差入れを考慮すべきではない。 そうすると,本件請求については,原告に資力がないことが非課税証明書のみで十分証明されており,それ以外の資料を提出する必要はなかったのである。 (3)在監者の多くは,被害者への賠償金,裁判所に納めなければならない訴訟費用等,さまざまな支出に迫られており,在監者の資力を正しく評価しようとすれば,単に金銭の差入れ状況や領置金残高を調べるだけでなく,当該在監者の支出の状況やその要否,債務の有無等を全部調査し,適切な判断基準に基づいて評価しなければならないこととなる。 しかるに,わずか2000円程度の開示実施手数料の減免の可否を判断するために,行政機関が申請人の経済状態に関する定型的な結論のみを記載した公,,的証明書類以外に個別具体的な収支の状況及び資産の現況に関する情報やそれらを証明する書面の提出を要求する取扱いは,減免額に比べて不当に過大な事務的負担やプライバシーの開示を申請人に課すことにより,貧しい国民を情報公開制度から遠ざけるものであり,情報公開法1条の趣旨に反するというべきである。 (4)一般社会の非課税世帯員の場合には,預貯金の残高等を一切問うことなく,無条件で開示実施手数料の減免を認めているにもかかわらず,原告のような在監者については,領置金残高の開示を要求することは,憲法14条に違反し,在監者に対し不合理な差別を加えるものである。 , なく,無条件で開示実施手数料の減免を認めているにもかかわらず,原告のような在監者については,領置金残高の開示を要求することは,憲法14条に違反し,在監者に対し不合理な差別を加えるものである。 ,,(5)以上の諸事情からすると原告が領置金残高に関する情報等を提出せず領置金残高の照会に同意しないことを理由に,経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否か判断できないとして開示実施手数料の減免をしなかった本件処分は,被告に与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用し- 8 -たものとして違法である。 争点 以上によれば,本件の争点は,原告の領置金の有無,金額等が明らかでないことから,原告が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否か判断できないとして,被告が開示実施手数料を減免しなかったことに,裁量権の範囲を逸脱し又は裁量権を濫用した違法があるか否かという点にある。 第3当裁判所の判断情報公開法は,何人に対しても,同法の定めるところにより,行政機関の保 有する行政文書の開示を請求する権利を認めており(同法3条),同法16条3項及び施行令14条1項は,行政文書の開示を受ける者に対して開示実施手数料の負担を求めることが経済的な理由から適当でない場合があることを考慮して,行政機関の長が,行政文書の開示を受ける者が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないと認める場合に,開示実施手数料の減額又は免除をすることができる旨規定しているところ,行政機関が保有する行政文書の開示請求権が同法により付与された権利であり同法16条3項及び施行令14条1項が手,「,」,数料を減額し又は免除することができる。と規定していることに照らせば同法は,行政文書の開示に係る立法政策として,開示実施手数料の減額又は免除の 条3項及び施行令14条1項が手,「,」,数料を減額し又は免除することができる。と規定していることに照らせば同法は,行政文書の開示に係る立法政策として,開示実施手数料の減額又は免除の可否の判断を行政機関の長の合理的な裁量にゆだねることとしたものと解するのが相当である。 そうすると,行政機関の長が行った開示実施手数料の減額又は免除の可否に関する処分については,当該処分が社会通念上著しく妥当性を欠くなど,行政機関の長に与えられた合理的な裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものと認めらる場合に限り,違法な処分として取り消されるものというべきである。 そこで,本件処分について検討すると,前記「前提となる事実」(1)及び(4) のとおり,本件申請は,在監者である原告が行ったものであるところ,在監者,,,,,,については必要な糧食及び飲料が支給されるほか衣類臥具食器雑具- 9 -日常必需品が支給され(監獄法34条,被収容者に係る物品の給与,貸与,自弁等に関する規則5条ないし11条),調髪,入浴及び疾病に罹患したときの医師の(,,,治療も施されることとされており監獄法40条監獄法施行規則103条105条)日常の生活費を支出する必要がないことが認められる。 そして,在監者の場合,所得がなかったとしても,入所時における所持金や外部の者からの金銭の差入れにより,領置金を所持することがあり得るところ(この点については当事者間に争いがない。,在監者が日常の生活費を支出)する必要がないことに照らせば,所得のない在監者であっても,領置金の残高,や金銭の差入れ状況によっては,開示実施手数料を納付する資力を有しており開示実施手数料の減額又は免除を認めることが相当でない場合があり得るというべきである。 そうすると,被告が本件申 置金の残高,や金銭の差入れ状況によっては,開示実施手数料を納付する資力を有しており開示実施手数料の減額又は免除を認めることが相当でない場合があり得るというべきである。 そうすると,被告が本件申請に対して開示実施手数料の減額又は免除の可否を判断するに当たり,原告に所得がないことを証明する非課税証明書の写しのみに基づいて判断するのではなく,原告における差入れの状況や,領置金の有無及び金額も考慮して判断することとしたことには,合理性が認められるというべきである。 また,被告は,原告における差入れの状況や,領置金の有無及び金額を調査,,,するに当たり原告に対して照会に対する回答や関連資料の提出を求めたり職権調査に対する同意を求めたりしているところ,このような方法が,原告に特段の経済的,労力的負担を強いたり,原告のプライバシーを不当に侵害するものであるということはできない。 ,,,,そして被告が原告に対し上記の方法により原告における差入れの状況領置金の有無及び金額について調査を試みたにもかかわらず,原告があくまで非課税証明書の写しのみによる判断を求め,被告の照会に対する回答及び資料の提出を拒み,職権調査に対して同意しなかったことは,前記「前提となる事実」(5)及び(6)のとおりである。 - 10 -このようなことからすれば,被告が,本件申請に対し,原告が経済的困難により開示実施手数料を納付する資力がないか否かを判断できないとして,開示実施手数料を減額及び免除しない旨の決定をしたことが,被告に与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものと認めることはできない。 (1)これに対し,原告は,申請人が市町村民税の非課税世帯員であることを 証明する文書である非課税証明書の写しによって,施行令14条1項の「経済的困難」が証明されるの のと認めることはできない。 (1)これに対し,原告は,申請人が市町村民税の非課税世帯員であることを 証明する文書である非課税証明書の写しによって,施行令14条1項の「経済的困難」が証明されるのであるから,それ以上に原告の領置金残高に関する情報等を求める必要はなかった旨主張する。 しかしながら,在監者の場合,所得がなかったとしても,領置金の残高や金銭の差入れ状況によっては開示実施手数料を納付する資力が認められ,その減額又は免除を認めることが相当でない場合があり得ることから,開示実施手数料の減額又は免除の可否の判断に当たり,領置金の有無,金額等をも考慮することに合理性が認められることは前記2のとおりであって,原告の上記主張は理由がない。 (2)また,原告は,在監者の場合,保障されている衣食住等の生活条件の内容を一般社会における生活費に換算し,その価額と安定した収入の合計額が生活保護受給者に保障される支給額を相当程度上回る場合に限り,資力を認めるべきであると主張する。 しかし,在監者については,日常の生活費を支出する必要がなく,所得がなくても領置金の残高等次第では開示実施手数料を納付する資力を有する場合があり得ることは前記2のとおりであって,このような状況にある在監者を生活保護受給者と対比して資力の有無を判断することは相当でないから,原告の上記主張は採用できない。 (3)次に,原告は,わずか2000円程度の開示実施手数料の減免の可否を判断するために,個別具体的な収支の状況及び資産の現況に関する情報や,それらを証明する書面の提出を要求することは,申請人に不当に過大な事務的負- 11 -担及びプライバシーの開示を課するものであり,情報公開法1条の趣旨に反する旨主張する。 しかしながら,被告が本件申請に対する判断を行う目的で,原告に対する ,申請人に不当に過大な事務的負- 11 -担及びプライバシーの開示を課するものであり,情報公開法1条の趣旨に反する旨主張する。 しかしながら,被告が本件申請に対する判断を行う目的で,原告に対する金銭の差入れ状況や,領置金の有無及び金額を調査するに当たり,原告に対して照会への回答や関連資料の提出を求めたり,職権調査に対する同意を求めたりすることが,原告に特段の経済的,労力的負担を強いたり,原告のプライバシーを不当に侵害するものとはいえないことは前記2のとおりであるから,原告の上記主張は理由がない。 ,,,,(4)さらに原告は在監者について領置金残高の開示を要求することは憲法14条に違反する旨主張する。 ,,しかし,既に述べたとおり在監者は日常の生活費を支出する必要がなく所得がなくても領置金の残高等次第では開示実施手数料を納付する資力を有する場合があり得ることに照らせば,在監者に対して領置金残高の開示等を要求することが,不合理な差別であって,憲法14条に違反するということはできないから,原告の上記主張は理由がない。 (5)そして,他に,本件処分に裁量権の範囲を逸脱又は濫用した違法があることを認めるに足りる主張及び証拠はない。 第4 結論 以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官石井浩- 12 -裁判官森英明裁判官丹羽敦子

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