主文 被告人を懲役9年に処する。 未決勾留日数中170日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年11月1日午後7時40分頃から同日午後8時59分頃までの間、三重県四日市市(住所省略)被告人方において、A(当時36歳)に対し、その左右側胸部にそれぞれ接した両腕を拳で複数回殴り、足で複数回蹴るなどし、さらに、転倒したAの左右側胸部を足で複数回踏み付けるなどの暴行を加え、よって、Aに両側多発肋骨骨折等の傷害を負わせ、遅くとも同月2日午前11時頃までの間に、同市(住所省略)B方において、Aを同傷害に起因した両側肺挫傷に伴う両側血気胸により死亡させた。 (量刑の理由)正座をし、あるいは転倒した状態で、終始無抵抗でいた被害者に対し、数十回にわたり、殴る蹴るなどの暴行を執ように加えた。特に、転倒した被害者の左右側胸部を20回前後も踏み付ける暴行は、被害者に多数の肋骨骨折を負わせ、致命傷となった両側肺挫傷に伴う両側血気胸を生じさせるほど強度なもので、凶器を使用した場合や頭部を狙った場合ほどではないにしても、被害者を死亡させる危険性を十分に有するといえる。 このような暴行を受け、36歳の若さで死亡させられた被害者の身体的・精神的苦痛や無念は察するに余りある。犯行の結果は当然ながら重大である(もっとも、この点は傷害致死事案の中では特に差の付く事情とはならない)。 被害者は被告人が好意を抱いていた女性から借金を重ねるなどしていたが、被告人は女性から相談を受け、生活の仕方や金の使い方を改めさせようと被害者を注意したところ、被害者は「すいません」、「アルバイトをして返します」などと繰り返した。被告人は、被害者がその場しのぎの言葉を言うだけで、生活の仕方や金の 使い方を改 改めさせようと被害者を注意したところ、被害者は「すいません」、「アルバイトをして返します」などと繰り返した。被告人は、被害者がその場しのぎの言葉を言うだけで、生活の仕方や金の 使い方を改める具体的な話をしないなどとして立腹し、怒りにまかせて本件に及んだ。このような経緯で被告人が立腹したこと自体は理解できなくはないとしても、本件犯行を正当化する理由には到底なり得ない。被告人の酌むべき事情、被害者の落ち度と評価すべき事情はない。被告人がかねてから被害者に対し同様の理由で繰り返していた暴力の一環として本件を行ったことも併せ考えると、一層強い非難に値する。 被告人は犯行後自ら119番通報したものの、被害者の死亡を知ってから約7時間後で、その間に遺体を死亡場所(女性宅)から被告人宅に移動させ、死亡日時・場所等についてうその申告をしたこと(女性に迷惑を掛けたくなかったというけれども、正当な理由とはなり得ない)も併せ考えると、有利な事情として考慮することはできない。 本件の犯情は、同種の傷害致死事案(単独犯、1件、友人・知人・勤務先関係)の中で、重い部類に位置付けられる。 前科(14犯。そのうち5犯は傷害罪又は同罪と他の罪によるもの。服役10回。 累犯前科1犯。令和3年8月最終刑の執行終了)から、粗暴な性格・行動傾向、法を守る意識の乏しさは明らかである。このことは被告人の刑事責任を一層重くする。 事実を認めて反省の言葉を述べていることも踏まえ、主文の刑を科するのが相当である。 (検察官の求刑懲役10年、弁護人の科刑意見懲役7年) 令和6年7月18日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官出口博章 裁判官深見翼 裁判官 令和6年7月18日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官出口博章 裁判官深見翼 裁判官髙島菜緒
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