平成20(レ)36 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成21年9月16日 岐阜地方裁判所 棄却 多治見簡易裁判所 平成19(少コ)9
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判決文本文8,126 文字)

- 1 -平成21年9月16日判決言渡平成20年(レ)第36号損害賠償請求控訴事件(原審・多治見簡易裁判所平成19年(少コ)第9号)主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 (2)上記取消しにかかる被控訴人の請求を棄却する。 (3)訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文同旨第2事案の概要本件は,被控訴人が,旅行業者である控訴人に対し,添乗員付きの旅行中に観光地に一人で置き去りにされたなどとして,選択的に使用者責任に基づく損害賠償と旅行契約に付随する義務の不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。 原審は,被控訴人の使用者責任に基づく損害賠償請求の一部を認容し,控訴人は,その一部認容部分に不服があるとして控訴した。 前提となる事実(証拠等の記載がない事実は当事者間に争いがない)(1)控訴人は旅行業等を営む株式会社である。 (2)被控訴人は,平成19年6月8日,控訴人との間で,控訴人の主催,計画した「魅惑のトルコ10日間」について,次のとおりの内容の募集型企画- 2 -旅行契約(以下「本件契約」といい,その目的となる旅行を「本件旅行」という。)を締結した。(甲5,弁論の全趣旨)ア旅行商品名魅惑のトルコ10日間イ旅行代金等合計37万5650円(ア)旅行代金32万8000円(イ)関西空港施設使用料2650円(ウ)一人部屋追加代金4万5000円ウ旅行期間平成19年6月19日~同年6月28日エ旅行目的国トルコ共和国オ標準旅行業約款(乙1。以下「本件約款」という。)の次の条項(ア)4条(手配代行者)当社は,募集型企画旅行契約の履行に当た 平成19年6月19日~同年6月28日エ旅行目的国トルコ共和国オ標準旅行業約款(乙1。以下「本件約款」という。)の次の条項(ア)4条(手配代行者)当社は,募集型企画旅行契約の履行に当たって,手配の全部又は一部を本邦内又は本邦外の他の旅行業者,手配を業として行う者その他の補助者に代行させることがあります。 (イ)23条(旅程管理)当社は,旅行者の安全かつ円滑な旅行の実施を確保することに努力し,旅行者に対し次に掲げる業務を行います。ただし,当社が旅行者とこれと異なる特約を結んだ場合には,この限りではありません。 (1)旅行者が旅行中旅行サービスを受けることができないおそれがあると認められるときは,募集型企画旅行契約に従った旅行サービスの提供を確実に受けられるために必要な措置を講ずること。 (2)略(ウ)24条(当社の指示)旅行者は,旅行開始後旅行終了までの間において,団体で行動するときは,旅行を安全かつ円滑に実施するための当社の指示に従わなければなりません。 - 3 -(エ)25条(添乗員等の業務)(1)当社は,旅行の内容により添乗員その他の者を同行させて第23条各号に掲げる業務その他当該募集型企画旅行に付随して当社が必要と認める業務の全部又は一部を行わせることがあります。 (2)略(3)本件旅行には,控訴人従業員Aが添乗員としてすべての旅行行程に同行し,現地ガイドが,トルコ共和国内のすべての旅行行程に同行した。 (4)本件事故の発生ア被控訴人は,本件契約に基づき,本件旅行の参加者ら(以下,被控訴人を含めて「参加者ら」という。)とともに,平成19年6月19日に日本を出発し,同月20日にトルコ共和国のイスタンブールに到着した。 イ参加者らは,同年6月21日,朝にトルコ共和国チャナッカレを本件旅行の専用 参加者ら」という。)とともに,平成19年6月19日に日本を出発し,同月20日にトルコ共和国のイスタンブールに到着した。 イ参加者らは,同年6月21日,朝にトルコ共和国チャナッカレを本件旅行の専用バス(以下「専用バス」という。)にて出発し,午前中にトロイ遺跡を観光した後,ベルガマに移動し,ベルガマ遺跡の見学地のうち,先にアスクレピオン,次にアクロポリスを観光した(以下,アスクレピオン及びアクロポリス観光を合わせて,「本件遺跡観光」という。)。 ウ本件遺跡観光における見学地間の移動は,専用バスでの移動が予定されていたが,専用バスは,被控訴人を乗せずにアスクレピオンを出発し,被控訴人はそこに置き去りにされた(以下「本件事故」という。)。 エ被控訴人は,本件事故後,別の日本人旅行者の車に同乗し,被控訴人を除く参加者らより3分ほど遅れてアクロポリスに到着した。 (5)控訴人は,本件旅行後,被控訴人に対し,5000円分の商品券を交付した。 被控訴人の主張(1)不法行為に基づく請求についてアAは,添乗員に求められる旅行者を目的地に安全かつ適確に案内する社- 4 -会通念上の義務に違反して,専用バスを発車させるに当たって参加者らの点呼,確認を行わず,本件事故を発生させた。 また,Aは,被控訴人を置き去りにしたことに気づいた後も,被控訴人に対し,何の手も打たないといった対応(以下「本件対応」という。)を取った。 仮に,Aが現地ガイドに人数確認を委ねていたとしても,現地ガイドも控訴人の履行補助者として添乗員の業務の一部を行う立場にあるから,現地ガイドが人数確認を怠ったことは,Aの過失と同視すべきである。 イそのため,被控訴人は,心労及びその後の本件旅行での観光への悪影響が生じるなど精神的損害を被った。 これを慰謝するには20万円をもってす イドが人数確認を怠ったことは,Aの過失と同視すべきである。 イそのため,被控訴人は,心労及びその後の本件旅行での観光への悪影響が生じるなど精神的損害を被った。 これを慰謝するには20万円をもってするのが相当である。 (2)旅行契約に付随する義務の不履行に基づく請求についてア控訴人には,本件約款23条にいう旅行者の安全かつ円滑な旅行の実施を確保する義務があるところ,専用バスを発車させるに当たっては,参加者らが乗り遅れる可能性があったのであるから,添乗員であるAは,参加者らの点呼,確認を行い,参加者らが欠ける場合には,さらに待機,救援,保護を行うべきであった。Aがこれらを怠り,本件事故が発生し,本件対応がなされたのであるから,控訴人には,旅行契約に付随する義務の不履行がある。 イそのため,被控訴人は,心労及びその後の本件旅行での観光への悪影響が生じるなど精神的損害を被った。 これを慰謝するには20万円をもってするのが相当である。 (3)よって,被控訴人は,控訴人に対し,選択的に民法715条又は債務不履行に基づく損害賠償請求に基づき,20万円及びこれに対する平成19年8月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 - 5 -(4)控訴人の主張(1)イに対する反論アクロポリスは山の上にある遺跡で,アスクレピオンとは,道路距離で7ないし8キロメートル,車で20分,徒歩で優に2時間はかかる距離にあり,当時,日本人の団体旅行客はおらず,独力で移動することが容易であったとは到底いえない。 控訴人の主張(1)被控訴人の主張(1)に対する反論等ア(ア)控訴人は,本件遺跡観光の途中で参加者らが団体からはぐれてしまうなどの万一の事態に備えて,参加者らに緊急連絡先を記したしおりを配布するなどしてあり,参加 被控訴人の主張(1)に対する反論等ア(ア)控訴人は,本件遺跡観光の途中で参加者らが団体からはぐれてしまうなどの万一の事態に備えて,参加者らに緊急連絡先を記したしおりを配布するなどしてあり,参加者らがそこに連絡をすれば,ベルガマ遺跡周辺にいる,本件旅行における現地手配会社であるB社のガイドやバス運転手ら(以下「B社ガイドら」という。)と連絡を取り合うなどして,発生したトラブルに直ちに対応する体制をとっていた。 本件事故当時,アスクレピオン周辺にはB社ガイドらが複数存在し,アスクレピオンとアクロポリスの間を多く行き来していたのであって,仮に参加者らが専用バスに乗り遅れるような事態が生じたとしても,B社ガイドらが連絡を取り合うなどして,直ちにその参加者らを本件遺跡観光に復帰させることが可能な状態であった。 実際,被控訴人は,他の日本人旅行者の車に同乗してアクロポリスまで来ているが,同旅行者のガイドは,B社に所属しており,同人は,アスクレピオンの売店スタッフから被控訴人が専用バスに乗り遅れた可能性があることを聞き,ツアーが異なるとはいえ同じ会社のお客様であるということで,被控訴人をアクロポリスまで送り届けた。 (イ)上記両見学地間の状況からすると,そもそも添乗員であるAに厳格な人数を確認する義務はなかった。 仮に,Aに人数を確認する義務があったとしても,現地ガイドも控訴- 6 -人の履行補助者として添乗員の業務の一部を行う立場にあり(本件約款25条1項),本件遺跡観光における見学地間の移動時には,現地ガイドが人数確認をしているから,Aに過失はない。 イアスクレピオンとアクロポリスは,ともにベルガマ遺跡内の有名な見学地であり,直線距離にして2キロメートルも離れておらず,加えて,そこには,日本人観光客や日本語の堪能なガイド等も多く存在して い。 イアスクレピオンとアクロポリスは,ともにベルガマ遺跡内の有名な見学地であり,直線距離にして2キロメートルも離れておらず,加えて,そこには,日本人観光客や日本語の堪能なガイド等も多く存在しており,たとえ参加者らからはぐれて一人アスクレピオンに残されたとしても,独力でアクロポリスに行くことは容易であり,慰謝料を発生させるような精神的損害は発生していない。 そうでないとしても,被控訴人がアスクレピオンで一人になったことによる精神的不安を慰謝するための金額は5000円を上回るものではなく,控訴人は,本件旅行後,被控訴人に対し,5000円分の金券を交付しており,被控訴人に生じた精神的不安はすべて慰謝されている。 ウ過失相殺被控訴人は,本件遺跡観光において団体行動が強く求められている上に,Aから,売店等には立ち寄らず,専用バスへと戻るようにとの指示及び注意が与えられていたにもかかわらず,これを無視して誰にも告げることなく売店に立ち寄り買い物に興じていたため,専用バスに乗り遅れたものである。 また,被控訴人は,添乗員からパスポートや緊急連絡先を記したしおり等を携帯するようにとの指示があったにもかかわらず,これを無視してこれらを携帯していなかった。 以上,被控訴人には,本件事故の発生につき過失があるほか,その損害の発生についても過失がある。 (2)被控訴人の主張(2)に対する反論等ア(ア)上記(1)ア(ア)に同じ。 - 7 -(イ)上記両見学地間の状況からすると,控訴人に旅行契約に付随する義務の不履行はない。 仮に,Aに人数を確認する義務があったとしても,現地ガイドも控訴人の履行補助者として添乗員の業務の一部を行う立場にあり(本件約款25条1項),本件遺跡観光における見学地間の移動時には,現地ガイドが人数確認をしているから,控訴人 あったとしても,現地ガイドも控訴人の履行補助者として添乗員の業務の一部を行う立場にあり(本件約款25条1項),本件遺跡観光における見学地間の移動時には,現地ガイドが人数確認をしているから,控訴人に旅行契約に付随する義務の不履行はない。 イ上記(1)イ及びウに同じ。 第3当裁判所の判断 被控訴人の主張(1)アについて(1)証拠(乙4,7,8)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件遺跡観光のうちアスクレピオン観光は,現地ガイドが先頭に立ち,参加者らは,これに続く形で現地ガイドの説明を聞きながら付いて歩くという方法で行われた。このとき,Aは参加者らの後方から付いて歩いた。 イ現地ガイドは,参加者らに対して,アスクレピオン観光の終了にあたり,専用バスに向かうという説明をし,Aはこれを補足する形で,現地ガイドに付いて専用バスに戻るよう指示をし,観光時と同様,現地ガイドが先頭,Aが後方という形で,参加者らは一団となって歩いて専用バスに向かった。 ウAは,アスクレピオンの出口付近で,トイレに寄りたいという参加者ら数名をアスクレピオンの出口付近のトイレに案内するため,参加者らの一団を専用バスに向かわせたまま,参加者らの一団から離れた。 エアスクレピオン観光中及び観光終了後バス出発までの時間は,自由行動時間ではなく,参加者らは自由行動を取ることは認められていなかったが,被控訴人は,Aの指示に反して参加者らの列から離れ,Aや現地ガイ- 8 -ドの許可を得ることなく,勝手に土産物屋で買い物をした。 オAは,トイレに寄った参加者ら数名を連れてバスに乗り込むと,現地ガイドから「オーケー」という声を掛けられ,すでに人数確認が済んで,参加者らが全員そろっていると思いこみ,専用バスをアクロポリスへと発車させた。 カ被控訴人が ら数名を連れてバスに乗り込むと,現地ガイドから「オーケー」という声を掛けられ,すでに人数確認が済んで,参加者らが全員そろっていると思いこみ,専用バスをアクロポリスへと発車させた。 カ被控訴人が買い物を終え,専用バスに向かって歩き出したところ,専用バスが動き出した。被控訴人は,専用バスが引き返すことを期待して10分程度その場で待機した後,別の日本人旅行者の車に同乗し,被控訴人を除く参加者らより3分ほど遅れてアクロポリスに到着した。 キAは,被控訴人がアクロポリスに到着するまで本件事故につき気づかなかったため,全く何らの対応もしなかった。 クアスクレピオンとアクロポリスは,車でも20分,徒歩であれば1ないし2時間程度かかる距離にある。 ケアスクレピオン周辺には日本語が通じる者が少なかった。一方,被控訴人は,本件事故当時,片言の英語を除き外国語に通じておらず,トルコ語は全く理解していなかった。 コ被控訴人は,本件事故当時,わずかなトルコリラ,クレジットカード及びデジタルカメラしか所持していなかった。 (2)ところで,添乗員は,旅行業務取扱主任者又は旅程管理主任者の資格をもって業として団体旅行に付き添う者であり,社会通念上,旅行者の生命,身体,財産等の安全を確保するため,旅行日程中,その契約内容の実施に関して遭遇する危険を排除すべく合理的な措置をとるべき義務があるというべきである。 本件において,上記(1)の認定事実によれば,添乗員であるAは,専用バスでアスクレピオンを出発してアクロポリスに向かうにあたり,旅行者である参加者らの身体,生命の安全を確保するため,参加者ら全員が専用バスに- 9 -乗り込んだか否かを点呼するなどして自ら確認するか,これらの作業を現地ガイドに行わせる場合には,その旨を確認をすべき義務があったというべきと 安全を確保するため,参加者ら全員が専用バスに- 9 -乗り込んだか否かを点呼するなどして自ら確認するか,これらの作業を現地ガイドに行わせる場合には,その旨を確認をすべき義務があったというべきところ,Aは,専用バスに乗り込んだ際,現地ガイドがAに対し,「オーケー」と声を掛けたことを,勝手に,現地ガイドが参加者らの人数を確認し,全員がそろっているという意味だと思いこみ,漫然とこれらを行わず,そのため,被控訴人がバスに乗り込むまで待機したり,周囲を捜索するなど,被控訴人に対して何ら保護,救援活動を行わず,本件事故が発生したことが認められるから,控訴人は,被控訴人に対し,民法715条に基づく損害賠償義務があるというべきである。 この点,控訴人は,控訴人の主張(1)アのとおり主張し,確かに,証拠(乙10)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,本件遺跡観光の途中で参加者らが団体からはぐれてしまうなどの万一の事態に備えて,参加者ら全員に緊急連絡先を記したしおりを配布するなどしてあり,参加者らがそこに連絡をすれば,ベルガマ遺跡に多数存在するB社ガイドらが連絡を取り合うなどして,発生したトラブルに直ちに対応する体制をとっていたこと,アスクレピオンとアクロポリスはベルガマ遺跡内における2つの見学地であり,本件事故当時,アスクレピオン周辺にはB社ガイドらが複数存在し,両見学地間を多く行き来していたのであって,仮に参加者らがアスクレピオンからアクロポリスに移動する際に専用バスに乗り遅れるような事態が生じたとしても,B社ガイドらが連絡を取り合うなどして,直ちにその参加者を本件遺跡観光に復帰させることが可能な状態であったことは認められる。しかし,上記(1)ケ及び同コの認定事実のとおり,アスクレピオン周辺には日本語が通じる者が少なかったこと,被控訴人は,本件事 加者を本件遺跡観光に復帰させることが可能な状態であったことは認められる。しかし,上記(1)ケ及び同コの認定事実のとおり,アスクレピオン周辺には日本語が通じる者が少なかったこと,被控訴人は,本件事故当時,片言の英語を除き外国語に通じておらず,トルコ語は全く理解していなかったこと,被控訴人は,本件事故当時,わずかなトルコリラ,クレジットカード及びデジタルカメラしか所持していなかったことからすると,上記事情をもって,Aに上記- 10 -注意義務がなかったとまでは解されず,控訴人の同主張は採用できない。 被控訴人の主張(1)イについて控訴人が,本件旅行後,被控訴人に対し,5000円分の商品券を交付したこと(争いがない事実),上記1(1),(2)の認定事実及び本件に現れた一切の事情を考慮すると,慰謝料は3万円とするのが相当である。 控訴人の主張(1)ウについて(1)上記1(1)の認定事実によれば,Aは,アスクレピオン観光を終えた時点で参加者らに対し,現地ガイドに付いて専用バスに戻るよう口頭で指示をしていたこと,本件旅行では,自由行動時間を除いて参加者らが団体で行動することが予定されており,アスクレピオン観光では自由行動時間はなかったことが認められ,参加者らは,アスクレピオン観光中及び観光終了後専用バスに乗車するまで,個人行動を慎む義務があったと認められる。 それにもかかわらず,被控訴人は,Aの指示に反して参加者らの列から離れ,Aや現地ガイドの許可を得ることなく,勝手に土産物屋で買い物をし,そのために,本件事故が発生したと認められるから,被控訴人にも,本件事故の発生につき過失があるということができる。 (2)Aが,本件事故前に被控訴人に対し,貴重品や緊急連絡先を記したしおりを携帯するよう指示したことを認めるに足りる証拠はない。 (3 訴人にも,本件事故の発生につき過失があるということができる。 (2)Aが,本件事故前に被控訴人に対し,貴重品や緊急連絡先を記したしおりを携帯するよう指示したことを認めるに足りる証拠はない。 (3)Aの過失と被控訴人の上記(1)の過失を対比すると,原告の損害額から5割を減額するのが相当である。 したがって,控訴人が被控訴人に対して賠償すべき損害額は1万5000円となる。 結論 以上によれば,被控訴人の使用者責任に基づく損害賠償請求は,1万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成19年8月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理- 11 -由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第2部裁判長裁判官内田計一裁判官永山倫代裁判官山本菜有子

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