平成12(行コ)105 不作為の違法確認請求控訴事件(原審・大津地方裁判所平成11年(行ウ)第9号)

裁判年月日・裁判所
平成14年2月20日 大阪高等裁判所 警察関係
ファイル
hanrei-pdf-15434.txt

判決文本文15,069 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を取り消す。 (二) 被控訴人が,控訴人に対し,平成11年10月12日付けでなした一般廃棄物処理業の不許可処分を取り消す。 (三) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人主文同旨第2 事案の概要 1 後記2のとおり当審における当事者の主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」中の「第二事案の概要」のとおりであるから,これを引用する。 但し,原判決4頁1行目の「ならないとする」を「ならないと定めている」と,同6頁2行目の「一般廃棄物の」を「一般廃棄物の収集運搬業」と,同7頁11行目の「平成四年の」を「平成4年に策定された」と,同8頁7行目の「一般廃棄物処理業へ」を「一般廃棄物処理業に」と,それぞれ改める。 2当審における当事者の主張【控訴人】(一) 一般廃棄物処理業の許可について廃棄物処理法に定める一般廃棄物処理業の許可,不許可の処分を行うに当たり,市町村長の裁量は,同法7条3項2号の「その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること」との要件の関係で,「処理計画」に適合するか否かについての判断に限定された裁量(要件裁量)であり,許可,不許可の判断自体に無限定な自由裁量が認められているものではない。 (二) 規則12条の適法性について規則12条は,一般廃棄物処理業の許可申請をするに当たり,申請書の様式を示すと共に,添付書類として「その他管理者が必要と認める書類」を要求するが,廃棄物処理法は,前記のとおり,具体的要件を示して,許可権者に対してその要件該当性のみを判断するように求めているのであるから,条例や規則によって実質的にその要件を加重することは 書類」を要求するが,廃棄物処理法は,前記のとおり,具体的要件を示して,許可権者に対してその要件該当性のみを判断するように求めているのであるから,条例や規則によって実質的にその要件を加重することは許されないというべきである。 (三) 本件処分の適法性について(1) 本件処分は,「同意書の提出がない」ことを理由としてなされたのであり,処理計画に適合しないことを理由とするものではないから,処理計画との適合性は問題にならないというべきである。 (2) そもそも被控訴人が本件訴訟において提出した「し尿・汚泥の処理計画」(乙1)は,平成4年3月に作成された古いものであり,その後の平成8年7月1日付けで施行されている「滋賀県生活排水対策の推進に関する条例」(いわゆる水すまし条例)との整合性も保たれておらず,極めて杜撰な内容である。 (3) 浄化槽汚泥は,浄化槽設置者が管理しなければならず,その汚泥処理は同設置者がプラント施設に料金を払って投入処置することとなるのに対し,生し尿については,市町村長等が管理者であり,その処理も管理者が自ら(業者に委託する場合は委託料を支払って)プラント施設に投入処理することになるから,浄化槽汚泥と生し尿を同列に論じることはできない。 (4) 控訴人は,浄化槽清掃業の許可を取得した後,バキュームカーを利用してその業務を遂行するには,一般廃棄物処理業の許可も必要であると考えて,本件申請を行ったものであり,生し尿の処理のように,各町からの業務委託を受けて営業することは考えておらず,生し尿の処理については既存業者と競合することはあり得ない。 (5) 本件処分は,既存業者2社のうち,伊香清掃センターの同意書のみを求めるものであって,同社の利益のみを考慮しており,何ら合理性がなく,権限濫用に当たるというべきである。 (四) 伊香清 ない。 (5) 本件処分は,既存業者2社のうち,伊香清掃センターの同意書のみを求めるものであって,同社の利益のみを考慮しており,何ら合理性がなく,権限濫用に当たるというべきである。 (四) 伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業許可について浄化槽法は,昭和60年に施行され,浄化槽清掃業が許可制とされていたにもかかわらず,伊香清掃センターは平成11年4月までその許可を得たことはなく,「証明」で済ませるなどその規制をすり抜けてきた(甲25ないし29《枝番を含む》)。 さらに,浄化槽法36条1号では「…清掃業許可申請者の能力が環境省令で定める技術上の基準に適合するものであること」を許可要件と定めているにもかかわらず,伊香清掃センターからはその適合性を示す書面(浄化槽法施行規則11条4号)が提出されておらず,許可要件を満たしていなかった。 したがって,伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業の許可が違法なものである以上,その「同意書」がないことを理由とする本件処分が違法であることは明白である。 【被控訴人】(一) 一般廃棄物処理業の許可について一般廃棄物処理業の許可は,専門技術的政策的判断が尊重され,許可権者は廃棄物処理法7条所定の要件該当性の判断につき,広い裁量権を有するというべきである。 (二) 規則12条の適法性について規則12条は,一搬廃棄物処理業の許可権者に与えられている専門技術的政策的判断に基づく裁量権を適切に行使するために,申請者に対して必要な書類の提出を求めるのであって,法の趣旨に合致する規定である。 (三) 本件処分の適法性について控訴人と伊香清掃センターとの紛争の経緯からすれば,両者の調整なしに控訴人に対して一般廃棄物処理業の許可を与えることは,「処理計画」や伊香郡の実状(今後の要処理量の見通し等)に照らして妥当 ついて控訴人と伊香清掃センターとの紛争の経緯からすれば,両者の調整なしに控訴人に対して一般廃棄物処理業の許可を与えることは,「処理計画」や伊香郡の実状(今後の要処理量の見通し等)に照らして妥当でないことは明らかである。 (四) 伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業許可について(1) 被控訴人が,控訴人に対して,一般廃棄物処理業の既存業者である伊香清掃センターの同意書の提出を求めたのは,控訴人からの一般廃棄物処理業の許可申請に対するものであり,浄化槽清掃業の許可申請に対するものではないから,伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業許可は何ら問題とならない。 (2) 昭和45年に制定された旧廃棄物処理業においては,浄化槽の清掃を業として行うためには,市町村長の許可が必要とされたが(同法9条),浄化槽から排出される汚泥の収集運搬等については,昭和53年までは同許可を得ておれば,重ねて一般廃棄物処理業の許可を要しないものとされていた(旧廃棄物処理法施行規則2条2号)。 しかし,昭和53年11月10日以降は,浄化槽汚泥の収集運搬を業として行う場合には,浄化槽清掃業の許可とは別に一般廃棄物処理業の許可も要することとなり(昭和53年厚生省令51号,同付則1),経過措置として,同日時点で現に浄化槽汚泥の収集,運搬等を業としている者は,その収集運搬の範囲において一般廃棄物処理業の許可を受けたものとみなされた(同付則3)。 昭和58年に浄化槽法が制定され(昭和60年10月1日施行),旧廃棄物処理法から浄化槽に関する規定が削除されたことに伴い,旧廃棄物処理法9条の許可は,浄化槽法35条の許可とみなされた(浄化槽法付則5条)。 (3) 伊香清掃センター及び日の丸清掃社については,昭和60年10月1日に浄化槽法が施行され,浄化槽管理士制度や滋賀県における浄化槽保 可は,浄化槽法35条の許可とみなされた(浄化槽法付則5条)。 (3) 伊香清掃センター及び日の丸清掃社については,昭和60年10月1日に浄化槽法が施行され,浄化槽管理士制度や滋賀県における浄化槽保守点検業登録制度が創設された際に,被控訴人管内において,浄化槽の保守点検業を営んでいたことから,その証明を行うと共に,浄化槽清掃業の許可書に代わるものとして証明書を発行し(乙20,21),その後も3年ごとに「証明書」を発行して浄化槽清掃業や一般廃棄物処理業等の許可業者に対する許可の証明や更新に代替させてきた。 平成11年3月ころから,被控訴人は,上記のような取扱いを改めて,浄化槽清掃業や一般廃棄物処理業等の許可業者に対しては,許可更新の申請書の提出を求め,許可書を交付することとしたが,この事実をもって従前の伊香清掃センターや日の丸清掃社に対する許可が違法となるものではない。 第3 争点に対する判断 1 一般廃棄物処理業の許可について(一) 廃棄物処理法6条1項は,市町村は,当該市町村の区域内における一般廃棄物の処理に関する基本計画を定めなければならないと定めると共に,同法6条の2第1項で「市町村は,一般廃棄物処理計画に従って,その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し,これを運搬し,処分(中略)しなければならない。」としており,これらの規定によれば,一般廃棄物の処理の事務は,市町村の責務に属するものであって,市町村は,その処理につき総合的かつ将来的な見地に立った一般廃棄物処理計画を策定すると共に,自ら同計画に従った処理を行うことが求められているというべきである。 しかし,市町村が自ら直接一般廃棄物の処理を行うことが諸般の事情により困難である場合には,その処理を業者に委託せざるを得ないこととなるが,廃棄物処理法 を行うことが求められているというべきである。 しかし,市町村が自ら直接一般廃棄物の処理を行うことが諸般の事情により困難である場合には,その処理を業者に委託せざるを得ないこととなるが,廃棄物処理法7条は,一般廃棄物の収集又は運搬を,あるいはその処分を業として行おうとする者については,市町村長の許可を受けなければならないものとし(同条1項,4項),市町村長がその許可を与えるためには,①当該市町村による一般廃棄物の処理が困難であること,②許可申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合していること,③供用施設,申請者の能力が所定の基準に適合していること,④申請者が所定の欠格事由に該当しないことを要することとした(同条3項,6項)。 このような廃棄物処理法の規定によれば,同法7条1項の許可は,元来市町村の事務であって,私人が業として行うことを禁止している一般廃棄物の収集,運搬について,同条3項に定める事由の該当性を判断した上で,市町村長が禁止を解除することを認めたものであって,許可権者である市町村長は,その該当性の有無の判断については,市町村が定めた一般廃棄物処理計画を基準として,一般廃棄物処理の事務を混乱することなく達成でき,同処理計画の実現を図る上で有用であるか否かという見地から,技術的政策的に判断することが求められているのであるから,その判断については,市町村長の広範な裁量に委ねられていると解される。 (二) したがって,本件処分が違法か否かを判断するに当たっては,市町村長に認められた廃棄物処理法7条3項記載の要件該当性についての裁量権を前提として,その行使が裁量権を著しく逸脱し,これを濫用したと認められる場合でなければ,違法とはならないというべきである。 なお,控訴人は,廃棄物処理法7条1項の許可においては,同条3項の要件該当性の判断には の行使が裁量権を著しく逸脱し,これを濫用したと認められる場合でなければ,違法とはならないというべきである。 なお,控訴人は,廃棄物処理法7条1項の許可においては,同条3項の要件該当性の判断には,許可権者に裁量が認められているものの(要件裁量),要件に該当すると判断された場合には許可を与えなければならず,効果裁量はないと主張するが,同主張も要件該当性についての裁量権を認めるものであって,当裁判所の前記判断と抵触するものではない。ただ,控訴人は,本件申請が同条3項に該当することについて争いはないから,効果裁量がない以上,本件処分が違法であることは免れないと主張するものと解されるが,同主張が採用できないことは後記3(四)(2)のとおりである。 2 規則12条の適法性について(一) 引用にかかる原判決中の「争いのない事実」及び証拠(甲4の3)によれば,規則12条は,一般廃棄物処理業の許可申請における申請書の様式を定めるとともに,添付書類として,事業計画書,住民票記載事項証明書(法人の場合は,定款,登記簿謄本),印鑑証明書,従業員名簿(法人の場合には,役員名簿を含む。),処理施設,車庫,保管場所,構造仕様書及び設計図並びに付近の見取図と併せて,「その他管理者が必要と認める書類」を要求していることが認められる。 一般廃棄物処理業の許可は,前記1(一)のとおり,許可権者である市町村長が,一般廃棄物処理計画を基準として,許可を与えるか否かを技術的政策的見地から判断することとされているのであるから,同処理計画との適合性等を判断するために,添付書類として一般的に必要と考えられる事業計画書や処理施設等の構造仕様書,設計図等に加えて,同処理計画の実現のために有用と考えられる資料の提出を求めることが必要となることもあることは,その許可の性質上やむを得ないも 的に必要と考えられる事業計画書や処理施設等の構造仕様書,設計図等に加えて,同処理計画の実現のために有用と考えられる資料の提出を求めることが必要となることもあることは,その許可の性質上やむを得ないものと解され,そのために規則12条が添付書類として,上記のとおり「その他管理者が必要と認める書類」と定めていることは,何ら廃棄物処理法7条等の法令に反するものではないというべきである。 (二) これに対し,控訴人は,条例や規則によって実質的にその要件を加重することは許されないとして,規則12条が違法であると主張するが,前記のとおり,同条は,廃棄物処理法7条1項等に定める許可申請を行うに当たり,提出すべき書類を定めた手続的な規定であって,同条3項等に定める許可要件を加重するものとは解されないのであって,提出を求める書類の定め方が「管理者が定める書類」と包括的な規定とされていることについても,一般廃棄物処理業に対する許可が技術的政策的判断を要するものであって,一義的形式的に定め得るものではないことからすれば,違法と解することはできない。 3 本件処分の適法性について(1) 管内におけるし尿や浄化槽汚泥の要処理量の予測等証拠(乙1ないし3,6,7,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 組合が平成4年3月に策定した生活排水処理基本計画(以下「基本計画」という。)によれば,管内の総人口は昭和61年度から平成2年度まで3万1000人台で推移し,基本計画の目標年次である平成23年度まで同水準で推移していくものと予測される。管内のし尿及び浄化槽汚泥の合計処理量については,昭和61年度に1万1950キロリットル(生し尿1万0506キロリットル,浄化槽汚泥1444キロリットル)であったが,平成2年度には1万3657キロリットル(生し 浄化槽汚泥の合計処理量については,昭和61年度に1万1950キロリットル(生し尿1万0506キロリットル,浄化槽汚泥1444キロリットル)であったが,平成2年度には1万3657キロリットル(生し尿1万1661キロリットル,浄化槽汚泥1996キロリットル)に増加し,公共下水道整備等の遅れや対象となる人口の増加,農業集落排水事業の普及等の影響で,平成7年前後まで増加するものの,その後は公共下水道の整備等により減少に転じ,平成23年度には3969キロリットル(浄化槽汚泥のみ)まで落ち込むと予測されている。 (2) 基本計画策定後,管内のし尿・浄化槽汚泥の処理量は,平成7年度には1万5480キロリットル(生し尿1万1790キロリットル,浄化槽汚泥3690キロリットル)となり,平成9年度は1万8460キロリットル(生し尿1万2766キロリットル,浄化槽汚泥5694キロリットル)に達したものの,平成10年度は1万7561キロリットルに減少し(生し尿1万1706キロリットル,浄化槽汚泥5855キロリットル),平成11年度はさらに減少する見込みである。 (3) βにおける下水道の普及は,集落排水供用率が昭和63年には1パーセントであったが,平成11年には68パーセントに上昇し,管内各町における公共下水道の整備は徐々に進んでいる。 (4) 管内では,伊香清掃センターのほか,日の丸清掃社(伊香郡α823番地,B代表)が,被控訴人から一般廃棄物の処理等の委託を受けて,これに従事していたところ,平成10年度末時点での,上記2業者の保有するバキューム車は9台で,その積載量は合計28キロリットルであった。 伊香清掃センター及び日の丸清掃社による伊香郡衛生処理場への一般廃棄物の投入量は,平成11年10月についてみると,総投入量が126万6450リットルであり(1 量は合計28キロリットルであった。 伊香清掃センター及び日の丸清掃社による伊香郡衛生処理場への一般廃棄物の投入量は,平成11年10月についてみると,総投入量が126万6450リットルであり(1日当たり平均5万7565.9リットル),そのうち伊香清掃センターによる投入量が107万1450リットル(約84.6パーセント),日の丸清掃社による投入量が19万5000リットル(約15.4パーセント)であった。 (二) 本件処分に至る経緯引用にかかる原判決中の「争いのない事実」,証拠(甲1の1,2,甲2の1,2,甲10の1の1ないし12,甲10の2,甲11,甲16の1ないし14,甲17,乙5,8,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 控訴人は,一般廃棄物の収集及び運搬並びに処理業,浄化槽の保守及び清掃並びに管理業等を目的として,平成10年4月1日に設立登記がなされた有限会社であり,同年7月,浄化槽清掃業を営むための許可を組合に対して申請した。 同許可申請書には,技術管理者にはCが当たり,「車両,作業用具の種類及び数量」として,バキューム車(4トン)1台,同(2トン)1台,タンクローリー(10トン)1台を保有し,「収集,運搬及び処分の方法」として,浄化槽法による収集運搬を行い,組合施設に投入して処分する旨が記載されていたが,組合の事務局長であるAは,同許可申請がなされる前に,前記Cから申請に当たっての相談を受け,その際の説明として,当時,同人が伊香清掃センターの代表取締役でもあったことから,控訴人は伊香清掃センターにおける浄化槽部門を充実させるために設立した会社であり,控訴人が行う浄化槽の清掃により生じる浄化槽汚泥の収集運搬は伊香清掃センターの保有する車両によって行う旨を聞かされていた。 (2) 被控訴人は,平成10 化槽部門を充実させるために設立した会社であり,控訴人が行う浄化槽の清掃により生じる浄化槽汚泥の収集運搬は伊香清掃センターの保有する車両によって行う旨を聞かされていた。 (2) 被控訴人は,平成10年8月6日付けで,控訴人に対し,浄化槽清掃業の許可を行ったところ,同年12月の末頃に,伊香清掃センターの役員が組合を訪れ,控訴人に浄化槽清掃業の許可を行ったことに対して抗議すると共に,Cについては伊香清掃センターの役員からは外され,控訴人と伊香清掃センターとはまったく関係がないとの申し入れがなされた。 Cについては,平成10年9月12日付で伊香清掃センターの代表取締役を辞任した旨の登記が同月28日になされ,平成11年2月8日に,同年1月30日付で取締役解任の登記がなされた。 (3) 平成11年1月以降も,伊香清掃センター役員から組合に対する抗議が続いていたところ,控訴人は,同年3月12日に,本件申請を行った。 控訴人は,平成11年4月26日付内容証明郵便によって,被控訴人に対し,速やかに本件申請に対する許可をするように通知し,これに対して,被控訴人は,同年5月10日付内容証明郵便で,控訴人に対し,規則12条に定める「その他管理者が必要と認める書類」として,同意書が必要であると認めたとして,同書面到達後4週間以内に同意書を本件許可申請書の添付書類として提出することを求めた。 控訴人は,被控訴人に対して,同意書を必要とする理由を照会したところ,被控訴人は,平成11年6月7日付内容証明郵便によって,控訴人と伊香清掃センターとの間のトラブルにより廃棄物の適正かつ円滑な収集運搬等処理に支障を来しかねない危倶がある旨回答した。 (4) 控訴人は,被控訴人に対し,前記回答中のトラブルの内容についてさらに説明を求めたが,これに対する被控訴人からの回答はなかっ かつ円滑な収集運搬等処理に支障を来しかねない危倶がある旨回答した。 (4) 控訴人は,被控訴人に対し,前記回答中のトラブルの内容についてさらに説明を求めたが,これに対する被控訴人からの回答はなかったため,平成11年7月30日,本件申請に対する許可をしないことが違法であることの確認を求めて本件訴訟を提起し(同訴訟提起の事実は裁判所に顕著な事実である。),被控訴人は,同年10月12日,同意書の提出がないことを理由として,本件処分を行った。 (三) 前記(一)認定の事実によれば,管内のし尿,浄化槽汚泥の処理に関する基本計画において,昭和61年度の処理量は1万1950キロリットルであったが,平成7年前後まで処理量が増加するものの,その後減少し平成23年度(目標年次)には3969キロリットルになるものと予測されていたところ,管内の処理量は平成9年度には1万8460キロリットルに増加し続けていたものの,平成10年度に1万7561キロリットルに減少して,平成11年度には更に減少する見込みであるから基本計画における予測には大きな誤りはないと解される。 そして,基本計画において,要処理量が最も増大すると予測されていた平成7年度の処理量は,生し尿が1日当たり33.6キロリットル,浄化槽汚泥が1日当たり9.2キロリットルの合計42,8キロリットルであった(乙1)のに対し,被控訴人から委託を受けて一般廃棄物の処理に当たっている既存業者による処理量は,平成11年10月における1日当たりの平均投入量が約57.5キロリットルであったから,その処理能力は基本計画で予測していた要処理量に十分対応し得るものであったと認められ,これまで既存の2業者による一般廃棄物の収集運搬について,管内住民から苦情等が出されたことはなかった(証人A)。 したがって,組合の管内における た要処理量に十分対応し得るものであったと認められ,これまで既存の2業者による一般廃棄物の収集運搬について,管内住民から苦情等が出されたことはなかった(証人A)。 したがって,組合の管内における一般廃棄物の処理量や今後予想される処理量並びに既存業者の処理能力等に照らせば,し尿及び浄化槽汚泥の収集運搬について,新規に業者を参入させる必要性は特に認められないというべきところ,前記(二)認定のとおり,控訴人に対する浄化槽処理業の許可について,控訴人と伊香清掃センターとの間で対立が表面化し,組合は,当初控訴人が行った浄化槽清掃により生じる浄化槽汚泥は,伊香清掃センターの保有する車両等により収集運搬されるとの説明を受けていたにもかかわらず,その後,本件許可申請がなされたとの経緯からすれば,同申請に対して許可をした場合に,浄化槽汚泥の収集運搬をめぐって,控訴人と既存業者である伊香清掃センターとの間の対立が激しくなり,廃棄物の適正かつ円滑な収集運搬等の処理に支障が生じるとの危倶を抱いたことには十分合理性があるといえる。 以上によれば,被控訴人が,本件申請について,廃棄物処理法7条3号所定の要件に該当するか否かを判断する前提として,控訴人との対立が予想される伊香清掃センターの同意書を求めたことについては,前記1説示のとおり,被控訴人が一般廃棄物処理業の許可権者として技術的政策的判断を行うために認められた裁量権の範囲を著しく逸脱しこれを濫用したものではないというべきである。 そして,前記(二)(3),(4)のとおり,控訴人は,被控訴人から同意書の提出を求められたのに対して,その理由が理解できないとして説明を求め,さらに本件申請についての不作為の違法確認訴訟を提起したのであるから,同意書を提出する意思がないことは明らかであり,被控訴人が同意書の提出が られたのに対して,その理由が理解できないとして説明を求め,さらに本件申請についての不作為の違法確認訴訟を提起したのであるから,同意書を提出する意思がないことは明らかであり,被控訴人が同意書の提出がないことを理由として行った本件処分が,被控訴人の有する裁量権を著しく逸脱しこれを濫用したとは認められない。 (四)(1) これに対し,控訴人は,廃棄物処理法と浄化槽法とは,浄化槽(汚泥の処理)に関する限り一般法と特別法の関係にあると解されるから,被控訴人が控訴人に対して浄化槽清掃業の許可を与えたにもかかわらず,本件申請に対して不許可処分を行うことは不合理であると主張する。 しかし,浄化槽清掃業については,昭和45年法律第137号による改正前の清掃法(昭和29年法律第72号)では,一般廃棄物処理業とし尿浄化槽清掃業とを区別することなく,市町村長による許可を要求していたが(同法15条),昭和58年法律第43号による改正前の廃棄物処理法(昭和45年法律第137号)は,一般廃棄物処理業とし尿浄化槽処理業とを区別し,いずれも市町村長による許可を要件としながら,許可条件等の規制方法において,し尿浄化槽清掃業については一般廃棄物処理業に比べて規制が緩和され,供用施設,申請者の能力が所定の基準に適合していること及び申請者が所定の欠格事由に該当しないことが認められた場合には,許可を与えるべきものとされていた(同法9条)。そして,昭和58年法律第43号により浄化槽法が制定され,浄化槽清掃業に対する法規制は同法に引き継がれることとなったが,浄化槽清掃業の許可条件につき,同法36条として,前記廃棄物処理法9条における許可条件と同様の規定が設けられている。 このような一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の営業許可に対する法規制の変遷に鑑みれば,もともとは同一の法規制下に 法36条として,前記廃棄物処理法9条における許可条件と同様の規定が設けられている。 このような一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の営業許可に対する法規制の変遷に鑑みれば,もともとは同一の法規制下に置かれていた業務であるものの,一般廃棄物処理業については,前記のとおり,市町村の定めた処理計画との適合性等,技術的政策的判断を経て許可を与えるか否かを決すべきものとされているのに対し,浄化槽清掃業については,処理計画との適合性といった政策的配慮の下に置くことなく,法令の定める技術的基準を満たし,欠格事由に該当しないと判断された場合には許可を与えるべきものとされているのであるから,その許可基準は大きく異なり,許可制度としての目的,性質を異にするものというべきであり,廃棄物処理法と浄化槽法とは,浄化槽に関する限りにおいても一般法と特別法の関係に立つものとは解し得ない。 したがって,被控訴人は,控訴人に対し,浄化槽清掃業の許可を与えているが,本件申請については,改めて廃棄物処理法7条に定める許可条件の適合性について判断をすべきものであるから,その結果として許可を与えないとすることは何ら不合理ではない。 (2) 控訴人は,本件申請後,本件処分がなされるまでの間に,被控訴人が基本計画との適合性を問題にしたことはなく,本件処分の理由も「同意書が提出されない」ことであったから,本件申請が基本計画に適合することは争いがないと主張し,本件申請後の平成11年3月30日に,控訴人代表者や被控訴人及び組合事務局長(A)との交渉の中で事務局長が本件申請に対する許可がなされることを前提として,控訴人のために伝票を準備していると認める発言を行い,また,被控訴人が本件申請に対して伊香清掃センターと控訴人との「いざこざ」を危倶していたほか,不許可とする理由については何ら言及 とを前提として,控訴人のために伝票を準備していると認める発言を行い,また,被控訴人が本件申請に対して伊香清掃センターと控訴人との「いざこざ」を危倶していたほか,不許可とする理由については何ら言及されなかったとして,同日のやりとりについての録音テープ反訳書(甲19)を提出する。 しかし,控訴人の提出する前記録音テープ反訳書は,控訴人代表者と被控訴人関係者らとの本件申請をめぐる交渉のうち,その一部のやりとりを録音したものにすぎず,同日における被控訴人や組合事務局長の発言をとらえて,被控訴人が本件申請について一般廃棄物処理業の許可条件に適合する旨判断していたと認めることはできず,かえって,前記(二)(3)認定のとおり,被控訴人は,同意書を求める理由について控訴人から照会を受けたのに対して,平成11年6月7日付内容証明郵便によって,控訴人と伊香清掃センターとの間のトラブルにより廃棄物の適正かつ円滑な収集運搬等処理に支障を来しかねない危慎がある旨回答していることからすれば,同時点でも,本件申請の許可条件適合性について,明確な判断を行っていなかったと認められることから,控訴人の前記主張は採用できない。 (3) また,控訴人は,基本計画の作成が平成4年3月と古くなっており,その内容についても極めて杜撰であると主張するが,一番廃棄物処理業の許可に当たっては,申請の内容が一番廃棄物処理計画に適合するか否かについての判断をすることが求められているところ,前記認定のとおり,基本計画における管内のし尿,浄化槽汚泥の処理に関する予測は,その後の処理量の推移等と大きく食い違っていることはなく,本件全証拠によっても計画の基礎となる事情の変化等によって基本計画を見直す必要があると認めることはできない。 (4) 控訴人は,浄化槽清掃業の許可を取得したことに基づいて,発 い違っていることはなく,本件全証拠によっても計画の基礎となる事情の変化等によって基本計画を見直す必要があると認めることはできない。 (4) 控訴人は,浄化槽清掃業の許可を取得したことに基づいて,発生した浄化槽汚泥を収集,運搬するために本件申請を行ったのであるから,生し尿の処理について,既存業者と競合することはあり得ないとして,本件申請が基本計画に適合する旨を主張する。 前記(一)(2)認定のとおり,管内のし尿量及び浄化槽汚泥の合計要処理量は,平成9年度から平成10年度にかけて減少しているものの,浄化槽汚泥については,5694キロリットルから5855キロリットルヘと依然として増加していることが認められ,基本計画においては,浄化槽人口は目標年次の浄化槽人口及び農業集落排水事業人口を合計1万3049人と予測していることが認められる(乙1)。 しかし,前記認定の事実によれば,既存業者である伊香清掃センター及び日の丸清掃社はいずれも生し尿だけではなく,浄化槽汚泥の収集運搬の業務も行っており,平成11年10月における1日当たりの平均投入量は基本計画における要処理量を十分に満たすものであったから,今後,公共下水道の普及等に伴って生し尿の投入量が漸次減少し,生し尿と浄化槽汚泥との合計要処理量が減少していくことが予測されることからすれば,控訴人がその事業計画において浄化槽汚泥の収集運搬のみを取扱い,生し尿の処理について既存業者との間で競合関係が生じないとしても,本件申請が基本計画に適合しているとは直ちに認め難く,特に,本件申請に先立つ控訴人からの浄化槽清掃業の許可申請に当たっては,伊香清掃センターの車両により浄化槽汚泥の収集運搬を行うとの説明がなされていたことからすれば,浄化槽汚泥の収集運搬をめぐって,伊香清掃センターと控訴人との競合,対立が十分に の許可申請に当たっては,伊香清掃センターの車両により浄化槽汚泥の収集運搬を行うとの説明がなされていたことからすれば,浄化槽汚泥の収集運搬をめぐって,伊香清掃センターと控訴人との競合,対立が十分に予想されるものであったから,本件申請が管内における一般廃棄物の円滑な処理に影響を及ぼさないとはいえず,控訴人の前記主張は採用できない。 (5) 控訴人は,既存業者2者のうち伊香清掃センターのみの同意書を求めることが権利濫用に当たると主張するが,控訴人からの浄化槽清掃業の許可申請の際には,控訴人と伊香清掃センターとは協調,協力関係にあると説明されていたのに対し,その後両者が対立,反目し合う中で本件申請がなされたという前記認定の経過に照らせば,伊香清掃センターの同意書を求めることが権利濫用に当たるとは認められない。 さらに控訴人は,そもそも伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業の許可は要件を欠く違法なものであったから,その同意書を求めることには何ら合理性がない旨を主張する。 証拠(甲25の1,甲26,甲27の3,甲28の3,甲29の3,乙20ないし25,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,伊香清掃センター及び日の丸清掃社に対する浄化槽清掃業の許可については,昭和60年10月1日の浄化槽法施行当時,旧廃棄物処理法による許可業者として業務を行うことが認められていたことから,改めて許可書を交付することなく,3年ごとに管内において浄化槽保守点検及び清掃の業務を営んでいることを証明する「証明書」を交付する取扱いをしていたが,滋賀県からの指導もあり,平成11年に許可書を交付する取扱いとするに至ったことが認められる。 ところで浄化槽法35条1項は,浄化槽清掃業を営もうとする者は,当該区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならないとし,同条4項は,市町村長が同 を交付する取扱いとするに至ったことが認められる。 ところで浄化槽法35条1項は,浄化槽清掃業を営もうとする者は,当該区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならないとし,同条4項は,市町村長が同許可の申請に対して,許可又は不許可の処分をした場合には,直ちにその旨を申請者に通知しなければならないと定めているのであるから,許可処分がなされたことが明示されず,「証明書」を交付するにとどめていたとの被控訴人の前記の取扱いは,行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることを目的とする行政手続法の趣旨に照らしても,相当性を欠いていたというべきである。 しかしながら,前記認定によれば,被控訴人は,伊香清掃センター及び日の丸清掃社に対して,浄化槽清掃業の許可を与えていたものであり,ただ手続上許可書を交付することなく,「証明書」を交付するにとどめていたものであるから,伊香清掃センターらが無許可で浄化槽清掃業を営んでいたものとはいえないうえ,伊香清掃センター及び日の丸清掃社が行っていた一般廃棄物の収集運搬業務については,これを違法な業務であったと認めるに足りる証拠はないのであるから,控訴人の前記主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。 なお,控訴人は,伊香清掃センターが浄化槽清掃業の許可申請をするについて,法令に定める技術上の基準に適合することを証する書面が提出されていない違法があると主張するが,証拠(乙26)及び弁論の全趣旨によれば,前記適合性を証する書面として財団法人日本環境整備教育センター発行の修了証書が提出されていることが認められ,調査嘱託の結果によれば,同修了証書は,虎姫衛生企業組合が湖北広域行政事務センターに対して,浄化槽清掃業許可の申請を行うに当たって提出された書面と同一であることが認められるが,そのことをもって伊香清掃センタ 結果によれば,同修了証書は,虎姫衛生企業組合が湖北広域行政事務センターに対して,浄化槽清掃業許可の申請を行うに当たって提出された書面と同一であることが認められるが,そのことをもって伊香清掃センターに対する浄化槽清掃業の許可が違法となるものではない。 第4 結語以上によれば,本件処分の取消を求める控訴人の本件請求は理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であるから,本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第4民事部裁判長裁判官武田多喜子裁判官松本久裁判官森木田邦裕

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る