昭和23(れ)607 常習賭博

裁判年月日・裁判所
昭和23年10月12日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人信正義雄の上告趣意について。  論旨は、被告人の所為が地方競馬法第十六条に該当するものであつて、常習賭博 罪を以て

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判決文本文1,354 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人信正義雄の上告趣意について。 論旨は、被告人の所為が地方競馬法第十六条に該当するものであつて、常習賭博罪を以て問擬すべきでないことを主張している。しかし地方競馬法第十六条と刑法第百八十六条第一項との法定刑を比較すると、前者には三年以下の懲役若しくは五千円以下の罰金に処し、又は其の刑を併科するとあり、後者には三年以下の懲役に処するとあつて、明かに前者が重いのであるから、論旨は、被告人の不利益に原判決を是正することを求めることゝなる。被告人の側からその不利益に原判決の是正を求める主張は、上告理由として不適法である。 なお職権を以て調査してみると、元来地方競馬法第十六条第三号に該る罪は、偶然の輸贏に関し財物を以て賭事を為す行為であるから、性質上賭博罪であつて、特別の規定がなければ刑法の賭博罪を以て論ずべきものであるが、同法条は、刑法の賭博罪の要件の外に、地方競馬法による競馬の競走に関し、職業として及び多数の者を相手方としたという特別の要件の附け加わつた場合について、その情状に鑑みて特に刑法の賭博罪より重く処罰することゝしている。それ故に、被告人の所為が是等の要件を具えているとすれば、地方競馬法の右の法条を適用して処断すべきものであること論旨の通りであるが、原判決に判示されている事実は、二日間数回に亘り数名の者を相手に俗に呑屋と称する賭博をしたというに止まり、職業として、多数の者に対して賭けことを為したという要件は確定せられていない。従つて原判決がその認定した事実に地方競馬法の前記法条を適用しなかつたことを以て、擬律錯誤ありというにはあたらない。次ぎに論旨は、被告人に賭博罪としての前科なく、又先きの犯罪行為と今回の行為との間に数年を経過し、被告人に賭博の習癖 地方競馬法の前記法条を適用しなかつたことを以て、擬律錯誤ありというにはあたらない。次ぎに論旨は、被告人に賭博罪としての前科なく、又先きの犯罪行為と今回の行為との間に数年を経過し、被告人に賭博の習癖ありと- 1 -は認め難いと述べて、原判決がこれを常習賭博として処断したことを攻撃している。 しかし原判決は、被告人が昭和十三年に賭博の前科があるのに更に本件に於て数回賭博を反覆した事実並に昭和六年、同十二年、同十七年、及び同十八年に何れも本件と同じような賭をして競馬法違反で処罰された旨の供述を参酌して、常習の点を認定したのである。本件と同じような賭をした競馬法違反の行為が、その性質上賭博行為であることは、前述したところによつて明かであるから、原判決が是等の事実を資料として賭博の習癖を認定したのは、経験則に反することではない。従つて原判決が、本件を常習賭博罪に問擬したことに擬律の錯誤はない。論旨は、原判決の事実認定を非難するか、擬律錯誤を主張するかの何れかに帰するのであるが、右の理由によつて何れも採用することができない。 よつて刑事訴訟法第四百四十六条に従ひ主文の通りに判決する。 以上は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官小幡勇三郎関与昭和二三年一〇月一二日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介- 2 - 又介- 2 -

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