- 1 -判決言渡平成20年3月31日平成19年(ネ)第10088号商標権移転に関する否認権行使・反訴請求控訴事件(原審・千葉地裁平成18年(ワ)第2105号〔本訴,同平成19年(ワ)第1〕433号〔反訴)〕口頭弁論終結日平成20年2月4日判決控訴人株式会社オカムラホーム(一審被告・同反訴原告)訴訟代理人弁護士奥川貴弥同川口里香同山崎郁同菊池不佐男同鈴木惠美被控訴人(一審原告・同反訴被告)破産者岡村建設不動産株式会社破産管財人主文 本訴控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。 (1)控訴人は,原判決別紙商標権目録記載の商標権についての平成16年11月22日受付第018462号特定承継による本権移転登録の否認登録手続をせよ。 (2)控訴人は,被控訴人に対し,7000万円を支払え。 (3)控訴人は,被控訴人に対し,85万円及びこれに対する平成18年11月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -(4)被控訴人のその余の本訴請求を棄却する。 (5)控訴人の反訴請求を棄却する。 訴訟費用は,第1・2審を通じてこれを2分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。 この判決の第1項(2),(3)は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人の本訴請求をいずれも棄却する。 控訴人が,原判決別紙商標権目録記載の商標を使用する権利を有することを確認する。 訴訟費用は,第1・2審とも,被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 破産者岡村建設不動産株式会社(本店所在地は控訴人と同じ。代表取締役C,以下「破産会社」という)は,債権者生活協同組合ちばコープか 費用は,第1・2審とも,被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 破産者岡村建設不動産株式会社(本店所在地は控訴人と同じ。代表取締役C,以下「破産会社」という)は,債権者生活協同組合ちばコープからの申立て。 に基づき,平成17年12月1日千葉地方裁判所から破産手続開始決定(同庁平成17年(フ)第9086号)を受け,弁護士である被控訴人が破産管財人に選任された。 控訴人は,宅地建物取引業・建築工事業・建築物の設計施工等を目的として平成7年12月22日に設立された株式会社で,破産会社の関連会社であり,その本店所在地は平成15年6月12日付けで千葉県八千代市<略>から肩書所在地(破産会社のそれと同じ)へ移転し,以来,同所で業務を行っている。 本件訴訟は,被控訴人からの本訴請求と,控訴人からの反訴請求とから成るが,そのうち本訴請求は,破産管財人たる被控訴人が控訴人に対し,旧破産法(大正11年法律第71号)72条1号に基づく否認権の行使として,①原判決別紙商標権目録記載の商標権(以下この商標を「本件商標」という)につ。 - 3 -き特許庁平成16年11月22日受付第018462号をもってなされた上記商標の特定承継による本権の移転登録の否認登録手続と,②控訴人が被控訴人の有する同商標を平成16年10月8日(設定登録日)から権原なく使用したことによる不当利得返還請求金1億5000万円の支払と,③控訴人が破産会社の所有する千葉県八千代市<略>の土地(本件土地)を平成15年2月6日に不相当な対価で譲り受けこれを第三者に譲渡したとして不当利得金85万円及びこれに対する平成18年11月11日(原審における訴え変更申立書送達の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めたものである。 一方,控訴人の反訴請求は,破産 びこれに対する平成18年11月11日(原審における訴え変更申立書送達の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めたものである。 一方,控訴人の反訴請求は,破産会社は控訴人に対し本件商標の使用を許諾したとして,控訴人が本件商標を使用する権利を有することの確認を求めたものである。 平成19年9月14日に千葉地方裁判所において言い渡された原判決は,被控訴人の本訴請求をいずれも認容し,反訴請求は理由がないとしてこれを棄却したので,これに不服の控訴人が,本訴・反訴双方につき控訴を提起した。 主な争点は,本件商標権移転登録等についての否認権行使の可否,本件商標の使用による利得の額等である。 第3当事者双方の主張 当事者双方の主張は,次に付加するほか,略称も含め,原判決の「事実及び理由」欄の第2「事案の概要」のとおりであるから,これを引用する。 控訴人の主張(1)商標権移転登録の否認登録手続請求(原判決主文第1項)に関し本件商標に係る商標権は,以下のとおり,控訴人に帰属するものである。 ア控訴人が使用する目的で登録したこと破産会社は,控訴人とグループ会社であることから,控訴人設立時(平成7年12月22日)から,控訴人に原判決別紙商標権明細書1記載の商- 4 -標のうち商標登録第3115114号,同第3179956号の各商標(以下「第1商標」という。なお,同明細書1記載の商標のうち商標登録第3115113号,同第3179955号の各商標を以下「第2商標」という)の使用を許諾していた。ところが,破産会社が,平成15年1。 2月1日,第1商標についてパル債権回収株式会社からの申立てに基づき千葉地方裁判所から差押え処分を受けたため,控訴人が第1商標を使用するのは困難な状況となった。しかるに,第1商 が,平成15年1。 2月1日,第1商標についてパル債権回収株式会社からの申立てに基づき千葉地方裁判所から差押え処分を受けたため,控訴人が第1商標を使用するのは困難な状況となった。しかるに,第1商標は,破産会社及び控訴人の商標として市場で広く認知されていたため,控訴人は,類似した商標を使用する必要があり,やむなく第1商標を一部変更した本件商標につき,登録を行うこととした。 ところが,本件商標と第1商標は「類似する商標(商標法4条1項1」1号等)として,控訴人が出願して登録を受けることができないことが判明した。そこで,控訴人は,控訴人が結果として商標登録を得ることができるようにするために,便宜上,破産会社に一旦本件商標を登録させたうえで,控訴人に本件商標権を移転登録することとした。 そして,本件商標権については,控訴人が専ら使用する意思であったから,商標登録の費用(金36万2670円)は控訴人が負担した(乙4,5,6の1~2,7。そして,実際,破産会社は,当時財務状況の悪化に)伴い,事業規模を縮小し,その後業務をさらに縮小しなくてはならない状況にあったことから,本件商標を一切使用せず,活発に事業活動を行っていた控訴人が専ら本件商標を使用していた。 以上の経緯からすれば,本件商標は専ら控訴人が使用するために商標権として登録されたもので,控訴人に帰属するものである。したがって,控訴人および破産会社は,実質上控訴人に帰属していた商標権を形式上(登録上)も控訴人が取得するために,譲渡の形式をとったのであって,譲渡によって,実質的に商標権が移転したものではないから,本件商標権の譲- 5 -渡行為は,否認権行使の対象とならない。 イ設定登録によって本件商標権が発生していないこと本件で,破産会社名義の商標権設定登録(甲4)があったからといって のではないから,本件商標権の譲- 5 -渡行為は,否認権行使の対象とならない。 イ設定登録によって本件商標権が発生していないこと本件で,破産会社名義の商標権設定登録(甲4)があったからといって,商標権が発生しているとはいえない。なぜなら,設定登録は単なる行政処分にすぎず,設定登録があっても他の権利発生要件が備わらなければ,商標権は発生・存続しないと解されるところ,本件で,破産会社は,本件商標権を使用する意思を有しておらず,権利発生要件が備わっていないからである。 この点,商標法において,自己の業務に係る商品,役務について使用するわけではない商標の登録は許されず(3条1項,この要件を欠く出願)),は拒絶査定を受けるべきものとされ(15条1号,過誤登録の場合にも登録異議申立てによる取消し(43条の2第1号)や無効審判による無効(46条1項1号)の対象とされるなど,登録には,使用の意思の要件が必要とされている。 本件で破産会社は,当時財務状況の悪化に伴い,事業規模を縮小しそれ以降もさらに縮小しなくてはならない状況にあったことから,本件商標を取得して指定役務に使用するつもりはなかった。現に,かかる事情から,控訴人は,自ら本件商標権を取得する意思であったため,登録の費用(金36万2670円)も負担しているのである。 破産会社は,本件商標権が第1商標と「類似する商標(商標法4条1」項11号)となってしまい,活発に事業活動を行っていながらも登録できなかった控訴人のために,便宜上,本件商標権の登録を行ったにすぎず,本件商標権を自ら使用する意思はなかったのであるから,本件商標権は設定登録しても,発生しないといえるのである。したがって,商標権が発生していない以上,本件商標権譲渡についても否認権行使の対象とはなり得ない。 - 6 -ウ原 なかったのであるから,本件商標権は設定登録しても,発生しないといえるのである。したがって,商標権が発生していない以上,本件商標権譲渡についても否認権行使の対象とはなり得ない。 - 6 -ウ原判決は,控訴人が本件商標の登録費用を負担したという事実が,判決の結果に影響を及ぼす重大な間接事実であるにもかかわらず,判断の際にこの事実を無視しており不当である。 エ破産会社は,本件商標の登録後間もなく営業を停止し廃業届を出していることから,本件商標権による営業実績が乏しく,本件商標権を使用して営業をした場合にどの程度の利益を得られるかは不明であり,本件商標権の財産的価値を算定することは不可能である。その結果,本件否認により本件商標が破産財団に復帰しても,これを換価することは極めて困難であるか,仮に換価できたとしてもその対価は極めて僅少というべきである。 このように,換価が極めて困難ないし対価が僅少である本件商標の譲渡行為が破産財団を絶対的に減少せしめる行為とは到底いえず,破産債権者の利益を害するものではない。したがって,本件商標権の譲渡は詐害行為には当たらず,破産会社及び控訴人にもその認識がなかったことは明らかであるから,本件商標権の譲渡は否認権行使の対象とならない。 (2)本件商標を権原なく使用したことによる不当利得返還請求(原判決主文第2項)に関しア否認権行使の効果として使用利益の返還を認容したことの問題点(ア)原判決は「被告は,本件商標権について譲り受けた平成16年1,1月22日ころ以降,その使用により利益を得て破産会社に損失を被らせたことになる(10頁下2行~下1行)として,本件商標の使用。」による不当利得金1億5000万円の支払を命じたが,否認権行使の効果として使用利益の返還を認容したことは,以下の理由により相当でな せたことになる(10頁下2行~下1行)として,本件商標の使用。」による不当利得金1億5000万円の支払を命じたが,否認権行使の効果として使用利益の返還を認容したことは,以下の理由により相当でない。 (イ)すなわち否認権は,破産者の処分によって減少した財団を回復させることを目的とする制度であるから,その効果も,その目的達成のために必要にして十分な範囲に限定される(相対的無効説。かかる相対効)- 7 -を前提とすれば,否認権行使の結果,相手方が負う返還義務の範囲(法定果実,使用利益)については,否認権行使の対象となる行為(詐害行為)がなかった場合の財産状態の回復に止まるというべきであるから,詐害行為がなければ破産者が当然利得を収受できたとまでいえない場合は,相手方は収受した法定果実の返還義務を負わないというべきである。 これを本件についてみると,原判決が認定した本件における使用利益は,本件商標権の譲渡の結果,控訴人が当然得た利益ではなく,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの種々の業務の総体によって得たものであるから,本件商標権譲渡がなければ破産者が当然同額の利益を収受できたとはいえず,控訴人は使用利益の返還義務を負わない。 (ウ)この点,否認権についての判例ではないが,同様に相対的無効説を採る詐害行為取消権に関し,最高裁平成13年11月16日判決・判例時報1810号57頁は「詐害行為の取消しの効果は相対的であり,,取消訴訟の当事者である債権者と受益者との間においてのみ当該法律行為を無効とするに止まり,債務者との関係では当該法律行為は依然として有効に存在するのであって,当該法律行為が詐害行為として取り消された場合であっても,債務者は,受益者に対して,当該法律行為によって目的財産が受益者に移転して 務者との関係では当該法律行為は依然として有効に存在するのであって,当該法律行為が詐害行為として取り消された場合であっても,債務者は,受益者に対して,当該法律行為によって目的財産が受益者に移転していることを否定することはできない」。 との理由から,受益者が商標権の使用許諾契約を締結して,第三者から支払を受けた使用許諾料は,債務者との関係で法律上原因がないとはいえないと判示した。この判例とパラレルに考えれば,本件でも,被控訴人による本件商標権譲渡に対する否認権の行使の効果は相対的であり,破産会社と控訴人との関係では譲渡は依然として有効に存在するのであって,破産会社は控訴人に対して,本件譲渡によって商標権が控訴人に移転していることを否定することはできないから,控訴人が本件商標権- 8 -を使用して第三者との取引で得た使用利益は,破産会社との関係で法律上の原因がないといえず,使用利益の返還義務は認められないというべきである。また,本件でも,上掲最高裁の事案と同様に,商標権の第三者による無断使用の事案ではなく,破産会社が控訴人に対し本件商標権を譲渡し使用させ,その結果控訴人が利益を得たのであるから,通常の無断使用のケースとは異なり,使用利益の返還を認めるべきではない。 (エ)さらに,不当利得制度が公平の見地から設けられたものであることに鑑みると,否認権行使の効果は商標権自体の返還に止まるというべきである。すなわち,本件商標の当初の登録が破産会社名義であり,同社が破産し,破産管財人が否認権を行使したとの事実のみを以て,前記のとおり,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの控訴人の種々の業務行為の総体として得た売上や利益を,破産会社に当然に帰属させるのは,かえって不当利得制度の根幹をなす公平の理念にもとるというべき らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの控訴人の種々の業務行為の総体として得た売上や利益を,破産会社に当然に帰属させるのは,かえって不当利得制度の根幹をなす公平の理念にもとるというべきである。 (オ)控訴人は,本件商標権を善意で占有していることから,果実たる使用利益の返還を一切免れるというべきである。すなわち,占有者には民法186条1項により善意の推定が及ぶため,控訴人は本件商標につき善意で占有していたものと推定される。さらに,本件商標権は,専ら控訴人が使用するために,控訴人が登録費用を負担して登録したものであるから,少なくとも破産会社が平成16年2月26日に本件商標につき登録出願し,控訴人が本件商標の使用を開始した時点,あるいは遅くとも平成16年10月8日の本件商標の設定登録時に,破産会社の控訴人に対する使用許諾があったことは明らかである。そうすると,控訴人は使用権原を有するとの認識で本件商標権を使用していたのであるから,善意の占有者(民法189条1項)に該当し,このような善意の占有者には民法189条1項が適用ないし類推適用され,民法703条は排除- 9 -される。 (カ)また,本件商標の使用利益は本件商標権の価値に含まれているから,否認権行使の結果,商標権の返還とは別に使用利益の返還を認める余地はない。 (キ)控訴人が本件商標を使用しても,それは破産会社の信用力や顧客吸引力等を利用するものではなく,控訴人自身の信用力等が背景にあるからこそ価値が認められる商標を,控訴人が使用しているにすぎず,破産会社には何らの損失も発生していない。本件商標は,控訴人を表わすものとして登録出願され,それ以降,専ら控訴人が使用していて破産会社は全くこれを使用しておらず,また,本件商標の移転登録当時(受付平成16年11月22日,破 生していない。本件商標は,控訴人を表わすものとして登録出願され,それ以降,専ら控訴人が使用していて破産会社は全くこれを使用しておらず,また,本件商標の移転登録当時(受付平成16年11月22日,破産会社は既に営業を休止し事業を行ってい)なかったことから,本件商標が破産会社の信用力や顧客吸引力を背景に破産会社を表わす商標として価値を有するものでないことは明らかである。このことは,本件商標の譲受後控訴人の経常利益はむしろ減少しており利得があったといえないのに対し,破産会社の経常利益は同譲渡後増加しており損失が生じたとはいえないことからも裏付けられる。 (ク)仮に控訴人に使用利益の返還義務があるとしても,否認権行使以降の利益に限定されるべきであり,原判決が否認権行使以前の控訴人の使用利益につき返還義務を認めたのは誤りである。すなわち,本来,当事者間における商標権の譲渡が自由であることからすれば,商標権自体については否認権の行使により譲渡時に遡って破産会社に復帰すると解される余地があるとしても,使用利益についてまで同様に扱う必然性はない。なぜなら否認権を行使するまでは控訴人が本件商標を使用することに何ら不法性はなかったからであり,こうした考え方は,否認権の法的性質(相対的無効)にも合致する。 (ケ)仮に控訴人に使用利益の返還義務があるとしても,その範囲は通常- 10 -生ずべき利益でなければならず,返還の目的が商標である本件の場合,通常生ずべき利益とは,だれが当該商標を使用しても得られたであろう利益が基準になるというべきである。そうすると,本件においては,破産会社が本件登録当時本件商標を使用していたならば得られたであろう利益が基準になるところ,破産会社は営業をしていないため,使用による利益はなく,損失もないというべきである。 イ他 件においては,破産会社が本件登録当時本件商標を使用していたならば得られたであろう利益が基準になるところ,破産会社は営業をしていないため,使用による利益はなく,損失もないというべきである。 イ他人に使用させて対価を得ることができるとの理由で通常実施料の相当額を認容したことの問題点(ア)原判決は「破産会社は営業をしておらず,本件商標については他,人に使用させて対価を得ることができることなどを考慮すると,通常実施料として受けるべき相当金額をもって被告(控訴人)の利得と直接の因果関係のある破産会社の損失であると認められ(11頁2行~5,」行)とするが,誤りである。 (イ)本件で,破産会社が控訴人のために本件商標権を登録した経緯に鑑みると,破産会社は,自身が営業をせず,本件商標を使用しないからといって,その代わりに,控訴人以外の第三者に本件商標を使用させて対価を得ることなど全く予定していなかったと考えるべきであるし,実際,控訴人が,本件商標権を第三者に使用させ,控訴人が使用料を取得していた事実も存在しない。したがって,控訴人の本件商標権使用により,破産会社が本件商標を第三者に使用許諾して使用料を得る可能性を害されたという事情を認める余地はない。 そして,本件で,控訴人が破産会社から本件商標権の譲渡を受け,移転登録したのは平成16年12月6日であるところ,破産会社は,同年12月2日には建設業の廃業届(乙9)を,同月10日には,不動産業の廃業届(乙10)をそれぞれ提出しており,既にこの頃事業を行っていなかったのであるから,控訴人が本件商標権を使用したことにより破- 11 -産会社に営業損失が生ずるという関係は存在しない。 (ウ)否認権行使の効果として,使用利益の返還を認めるかについて判断した裁判例として,熊本地裁昭和59年4月2 を使用したことにより破- 11 -産会社に営業損失が生ずるという関係は存在しない。 (ウ)否認権行使の効果として,使用利益の返還を認めるかについて判断した裁判例として,熊本地裁昭和59年4月27日判決・判例タイムズ528号268頁は,いわゆるネズミ講破産につき,天下一家の会・第一相互経済研究所から宗教法人大観宮へ対してなされた不動産等の無償譲渡(寄付行為)が故意否認に該当するとした事案において,管財人が,「本件不動産及び動産を他に賃貸するなどしてその収益を計れば,その収益は全体で1000万円を下らない」として「本件不動産及び動産の使用料として無償譲渡行為があった日の翌日である昭和52年9月10日から右明渡し及び引渡し済みに至るまで1ヶ月につき1000万円の支払による金員の支払」を求めたのに対し,①右各保養所等は元来会員のための保養施設でそれ自体収益を上げる目的のためのものではなく,いわば収益性のないものであったこと,②これに収益性を持たしめるためには単に破産者が破産したということのみでは足りず,原告らにおいてそのための何らかの行動が必要であると解するのが相当であるところ,本件においては原告らが本件寄付行為につき否認権を行使したことをもって右行動があったと認めるのが相当である,として「寄付行為があ(った日ではなく)否認権を行使された日の翌日から本件不動産の引渡済みまで月額200万円の割合による使用料を求める限度で理由があることになる」と判示した。 。 この裁判例とパラレルに考えれば,本件でも①破産会社が本件商標を第三者に使用させて収益を計ることを全く予定していなかったこと,②収益性を持たしめるには単に破産会社が破産したというのみでは足りず,否認権を行使したことが必要であるということになるから,本件譲渡行為があった日以降の通常 を計ることを全く予定していなかったこと,②収益性を持たしめるには単に破産会社が破産したというのみでは足りず,否認権を行使したことが必要であるということになるから,本件譲渡行為があった日以降の通常実施料相当額を認めるべきではない。 ウ通常の実施料相当額として売上額の4%が相当であるとした問題点- 12 -(ア)原判決は「被告の売上には本件商標の使用が大いに寄与したもの,と推認することができるところ,…その通常の実施料相当額としては少なくとも本件商標の使用も寄与して得た売上額の4%相当額とすることが相当である(11頁1行~7行「被告の不動産取引業及び建築。」),業による売上高は平成16年10月8日(本件商標設定登録日)から平成19年4月30日までの間で49億8726万円を超えるから,その4%相当額は少なくとも1億9949万円となる。上記金額は,本件商標権使用の対価に相当するということができるから,被告は,少なくともこれと同額の損失を破産会社に与えたものと推認することができる(11頁下7行~下3行)としたが,以下のとおり,誤りである。 。」(イ)まず原判決は,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと安易に認定しているが,商標権は,特許権,実用新案権等と異なり,それ自体は創作的価値を有するものではなく,商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結びついて初めて一定の価値を有するものであり,商標を付した商品が売れたからといって,直ちに当該商標が売上に寄与したことにはならない。そして,侵害者の利益は,商標の使用等の他,侵害者の資本,労力,設備等の貢献要因によって獲得されたものであるから,不当な利得として返還されるべきは,全利益額を各貢献要因に配分したとして商標の使用等に留保しうる額に止まることになる。 本件でも,控訴人の 本,労力,設備等の貢献要因によって獲得されたものであるから,不当な利得として返還されるべきは,全利益額を各貢献要因に配分したとして商標の使用等に留保しうる額に止まることになる。 本件でも,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの種々の業務行為の総体として控訴人に売上や利益が獲得されるのであるから,売上や利益のうち商標が寄与する割合は算定不能であって,それを少なくとも売上高の4%とする根拠は全くない。 (ウ)また,本件商標が控訴人の売上に寄与した度合いは,役務ごとに異なり,本件商標を使用せずに行った役務の場合,同商標の貢献はゼロであるというべきところ,原判決は各役務を区別せず,一律に売上の4%- 13 -としている。すなわち,控訴人の役務は,原判決別紙商標権目録記載のとおり,第36類「建物の管理,建物の賃借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の賃借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,第37類「建」築一式工事,しゅんせつ工事…」と多岐にわたっており,控訴人の売上の内訳も「土地・建物売上高,工事収入,受取仲介手数料,賃貸管理,収入,家賃収入,保険代理店手数料」と多岐にわたっている(損益計算書〔乙21~23。 〕)例えば,上記役務の中でも,土地の売買と建物を建築して売買する場合では,商標の売上への寄与度は明らかに異なる。すなわち,建物を建築して売買する場合には,業者の設計施工能力が購入者にとって重要な関心事であるが,土地の売買においては,土地はその存在する場所によって特定されるもので,同一の地番により表示される土地が複数存在することはあり得ず,購入者はどの業者により販売されるかは関 って重要な関心事であるが,土地の売買においては,土地はその存在する場所によって特定されるもので,同一の地番により表示される土地が複数存在することはあり得ず,購入者はどの業者により販売されるかは関心がないことから,商標の出所表示機能が寄与する程度は比較的低いというべきである。 このように,商標が売上に寄与した度合いは役務ごとに判断すべきであり,第三者に商標の使用を許諾して使用料を得る可能性について個別的な事情を斟酌して具体的に判断すべきであるから,原判決が各役務を区別なく扱っている点は誤りである。 エ4%が不相当に高額であること(ア)東京地裁平成11年10月21日判決・判例タイムズ1019号250頁は「建物の売買」等を指定役務とする登録商標に類似する標章,を建物(分譲マンション)という商品に使用する行為につき商標権者の商標権を侵害したとして,損害賠償を求められた事案で「本件商標権,- 14 -の使用に対して原告が受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)について検討すると,本件各住居の販売価格のうちの相当部分は土地(敷地の共有部分)の対価であると考えられること,宅地建物取引業者が建物の売買の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額は,一般に建物の価格の3%程度とされていること(宅地建物取引業法46条1項,昭和45年建設省告示第1552号参照,一般に建物)の需要者は,これに付された標章によって表示される出所を考慮するにしても,むしろ,その立地,床面積,間取り,設備,価格,周辺環境等の事情を重視して,当該建物を購入するかどうかを判断するのが通常であること…本件各住居の販売価格の合計額の約0.5%に当たる500万円をもって,本件における使用料相当額と認めることができる」と。 判示した。これに鑑みれば,本件で するかどうかを判断するのが通常であること…本件各住居の販売価格の合計額の約0.5%に当たる500万円をもって,本件における使用料相当額と認めることができる」と。 判示した。これに鑑みれば,本件でも,控訴人の売上の中で,少なくとも不動産売買における本件商標権の使用料相当額は0.5%程度と考えるべきである。 (イ)未使用商標と相当な対価額本件では,破産会社が本件商標を一切使用せず,活発に事業活動を行っていた控訴人が専ら使用していたことを考慮し,使用利益は低額に止めるべきである。裁判例でも,商標権者が商標を一切使用していない場合,以下のとおり,商標法38条3項による相当な対価額は低廉なものとして算定されている。例えば売上高の①0.8%(大阪高判昭和56年2月19日無体裁集13巻1号71頁〔VENUS二審,②1%〕)(名古屋高判昭和56・7・17判例時報1022号69頁〔家紋二審,③2%(大阪地判昭和59・12・20無体裁集16巻3号8〕)32頁〔浜千鳥,④2.5%(大阪地判昭和54・3・23無体裁集〕)〕。 11巻1号247頁〔POLESAFETYBELT)等があるこのうち,上記②は「本件天井材等の業界では対価を支払ってまで他,- 15 -人の登録商標を実施した事例が認められない」として,総出荷額の1%相当額についてのみ,賠償義務を認容している。 (ウ)本件において,控訴人の第8期ないし第10期の損益計算書(乙21~23)によれば,純売上高が,17億6032万8235円(第8期,)20億5846万1194円(第9期,)19億8045万3496円(第10期,)売上総利益が,2億1505万2455円(第8期,)3億9896万2015円(第9期,)2億8128万6153円(第10期,)であるか 期,)19億8045万3496円(第10期,)売上総利益が,2億1505万2455円(第8期,)3億9896万2015円(第9期,)2億8128万6153円(第10期,)であるから,第8期ないし第10期の純売上高の合計額が57億9924万2925円,同期の売上総利益の合計額が8億9530万0623円であり,売上総利益は純売上高の約15%となっている。したがって,原判決が認容した売上高の4%という通常実施料は,売上総利益に対する割合で見たときは不相当に高額であることが明らかである。 (エ)原判決は「悪意の受益者である被告に対する不当利得返還額及び損害賠償額を算定するにつき商標法38条の規定の趣旨を参酌することは妨げられるものではない(12頁1行~3行)とする。 。」しかし「悪意の受益者(民法704条)とは,法律上の原因のな,」いことを知りながら利得をした者であるところ,控訴人は,本件商標権が控訴人に帰属している,ないしは破産会社から使用許諾を受けているとの認識で本件商標権を使用しており,そもそも悪意の受益者ではない。 被控訴人は,本件商標権は市場価値を有しないとの認識であり,破産会社から本件商標権の譲渡を受けることで,破産会社の資産を絶対的に減- 16 -少させるという認識はなかったし,本件商標が自己に帰属するとの認識で登録費用を負担しており,無償で譲り受けたという認識もなかった。 そして,仮に控訴人が悪意の受益者であったとしても,商標権者の受けた損害額の立証の困難を軽減し商標権者を救済するという商標法38条の立法趣旨から「悪意の受益者に適用ないし類推する」という結論を導いた論拠が不明である。民法上も,悪意の占有者ないし受益者の場合,善意の占有者ないし受益者と比較して返還義務の範囲が拡大することはあっても(民 から「悪意の受益者に適用ないし類推する」という結論を導いた論拠が不明である。民法上も,悪意の占有者ないし受益者の場合,善意の占有者ないし受益者と比較して返還義務の範囲が拡大することはあっても(民法190条,704条,立証責任を転換するまでの効果)を認めてはいない。さらに,商標法38条は,その文言から,商標権の侵害があった場合において損害賠償請求に際する損害額の推定又は擬制規定と解されるので,同条で推定又は擬制される損害額を,不当利得返還請求における商標権者等の損失額と推定又は擬制することはできない。 百歩譲って,不当利得返還請求権に商標法38条が適用ないし類推適用されることがあるとしても,本件で,破産会社は,本件商標を使用しておらず,将来的にもその計画もなく,したがって,推定されるべき損害はないから,2項の推定は働かない。 (3)本件土地譲受けによる不当利得返還請求(原判決主文第3項)に関し原判決は「本件土地譲渡は旧破産法72条に規定する行為として管財人,である原告の否認権行使の対象となる。…弁論の全趣旨によれば,原告が本件訴訟を提起して本件土地譲渡につき否認権を行使した当時の本件土地の価格は少なくとも85万円であると認めることができる(12頁8行~1。」9行)としたが,以下のとおり,誤りである。 ア原判決は,否認権が行使された時点(本件訴訟提起時,平成18年10月5日)での本件土地の価格を固定資産税評価額であると認定した理由につき,弁論の全趣旨によるとするだけで他に明確な理由を述べず,また,本件土地譲受の実際の取引価格である27万6000円を不相当とする根- 17 -拠すら述べていない点で妥当でない。 イ本件土地の譲受は適正価格による売買契約であるから,否認権行使の対象とならない。 控訴人は,本件土地を含む合計6筆の 万6000円を不相当とする根- 17 -拠すら述べていない点で妥当でない。 イ本件土地の譲受は適正価格による売買契約であるから,否認権行使の対象とならない。 控訴人は,本件土地を含む合計6筆の土地を破産会社から購入し,その売買代金として破産会社に金27万6000円を支払った。これらのうち703番3,703番11はいずれも公衆用道路,703番12はごみ置場であって,面積も28㎡,33㎡,0.51㎡と狭小であり(乙12,16,被告代表者,また,37番9,37番は公衆用道路であって,面)積が各1.68㎡と0.03㎡であり,いずれも市場価値がなかった。そして,94番114(本件土地)も14㎡と狭小であり,公図(乙12)から明らかなように土地の形状からしても市場価値はなかった。 通常であれば,市場価値のない上記6筆の土地を有償で購入する者はいないところ,控訴人は,破産会社の依頼によりやむを得ず本件土地を含む6筆の土地を総額27万6000円で購入したのであって,相当な対価であったことは明らかである。なお,本件売買当時,控訴人が将来的に94番114と隣接する94番20の土地(乙12)を購入することは全く予定しておらず,本件土地を売却することは想定していなかった。 上記6筆の土地のうち,本件土地以外が無価値であることは明らかであることから,27万6000円の売買代金は同土地のみの対価と考えられるところ,同土地の形状・面積からすれば金27万6000円は相当な対価といえる。 原判決は,本件土地の対価として固定資産税評価額が相当であると認定しているが,固定資産評価額は土地の面積・形状などの利用価値と無関係に決められるので,単純に評価額によって土地の価額を算定することはできず妥当でない。 ウ仮に,上記27万6000円が相当対価といえないとしても,本件 産評価額は土地の面積・形状などの利用価値と無関係に決められるので,単純に評価額によって土地の価額を算定することはできず妥当でない。 ウ仮に,上記27万6000円が相当対価といえないとしても,本件土地- 18 -の価格を固定資産税評価額85万円と認定した原判決は誤りである。 控訴人は,平成17年3月13日,本件土地に隣接する<略>の土地(乙12)を訴外Aから坪16万円で購入した(乙20。この坪単価か)ら算出すると,本件土地(14㎡)の価格は約67万円である。さらに,控訴人が本件土地を購入した平成15年2月6日当時は,<略>の土地の売買が行われた平成17年3月当時と比較して土地の価格が低額であったこと(被告代表者)や上記アで述べた同土地の形状に鑑みて,少なくとも平成15年2月6日当時の本件土地の価格が67万円を下回ることは明らかである。 エまた,万一,本件土地の価格が原判決の認定した85万円であったとしても,控訴人は,破産会社に対し,本件土地を含む上記6筆の合計額として27万6000円を支払い済みであるので,85万円から既払いの代金を控除した57万4000円のみが返還の対象となるというべきである。 オなお,否認の対象が不動産の場合,否認による返還は不動産自体でなければならず,それが不能な場合でない限り,金銭賠償(価格賠償)は認められないから,価格賠償を求める場合には,不動産自体の返還ができない事情を示す必要がある。この点原判決は,控訴人が本件不動産を破産会社から購入して他に売却した事実は認定しているものの,各売買代金を認定せずに,漫然と固定資産税評価額の価格賠償を認めており,理由に不備がある。 カ相殺の意思表示(登録費用36万2670円と土地譲渡代金85万円)仮に,被控訴人による本件商標権譲渡に対する否認権行使の結果,本件商 固定資産税評価額の価格賠償を認めており,理由に不備がある。 カ相殺の意思表示(登録費用36万2670円と土地譲渡代金85万円)仮に,被控訴人による本件商標権譲渡に対する否認権行使の結果,本件商標権が破産財団に帰属した場合,控訴人が負担した本件商標の登録費用は,控訴人に対する関係で破産財団の不当利得となる。 そうすると,控訴人は,被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,登録費用分の返還請求権を有していることになる。 - 19 -一方,原判決によれば,被控訴人は控訴人に対し,本件土地譲渡による不当利得金85万円の返還請求権を有するとのことである。 したがって,控訴人は,上記不当利得返還請求権と被控訴人の本件土地譲渡による不当利得金85万円とを対当額において相殺する。 (4)反訴請求に関し原判決は,破産会社が控訴人に対して本件商標権の使用権を許諾した時期や内容等が具体的に明確ではなく,破産会社が控訴人に本件商標使用権の許諾をしたことを認めるに足りる的確な証拠はないとする(原判決10頁。 )しかし,破産会社は控訴人に対し本件商標の類似商標に当たる第1商標の使用を許諾していたものであり,また,本件商標は控訴人が使用するためにのみ(控訴人が使用する目的で)登録されたのであるから,登録時に破産会社の控訴人に対する使用許諾があったことは明らかである。そして,許諾の時期については,本件商標が第1商標の代替物であり,第1商標と本件商標の使用には連続性があることから,本件商標の登録時に使用許諾があったというべきである。 また,原審認定のとおり,破産会社と控訴人は本店所在地が同一である上,破産会社の代表者であったCおよびその弟で取締役であったDが,控訴人の経営に実質的に関与していたのであるから,控訴人が本件商標の使用を開始した時点で破産会社も使用の 訴人は本店所在地が同一である上,破産会社の代表者であったCおよびその弟で取締役であったDが,控訴人の経営に実質的に関与していたのであるから,控訴人が本件商標の使用を開始した時点で破産会社も使用の事実を当然了知していたことは明らかであり,遅くともその時点で使用許諾があったものというべきである。 なお,本件使用許諾は旧破産法による否認の対象とはならない。 被控訴人の主張(1)控訴人の主張(1)に対しア控訴人は,本件商標権は破産会社の保有する権利であるとした原判決の判断を非難し,その理由として,控訴人が使用する目的で登録されたことや,設定登録によっても本件商標権が発生していないことを挙げるが,こ- 20 -れらは法的常識からかけ離れた主張である。 イまた控訴人は,本件商標権の財産的価値が算定不能であるから本件商標権の譲渡が否認の対象にならないと主張する。しかし,破産債権者を害する行為とは,破産者の財産を減少させる行為であるが,財産は経済的価値がある限りその価値の算定方法に諸説あってもかまわないと考えられ,本件商標権の財産的価値が算定不能とはいえない。 (2)控訴人の主張(2)に対しア否認権行使の効果として使用利益の返還を認容したことを非難する点につき(ア)否認権行使の効果は商標権の返還に止まるという控訴人の主張は正しいが,そうであるからと言って,控訴人は,本件商標権を使用して受けた利益を返還する義務を負わないということにはならない。すなわち,本件商標権が発生したとき(平成16年10月8日)から控訴人に移転したとき(平成16年12月6日)までの間は,控訴人はもともと本件商標権を使用する権原を有していなかったものであるし,移転登録時以降の本件商標権の使用についても,否認権行使の効果により,控訴人には権原がなかったものであ 2月6日)までの間は,控訴人はもともと本件商標権を使用する権原を有していなかったものであるし,移転登録時以降の本件商標権の使用についても,否認権行使の効果により,控訴人には権原がなかったものである。したがって,控訴人は,本件商標をその発生時から現在に至るまでの間使用して得た利益を不当利得として被控訴人に返還する義務がある。 (イ)また控訴人は,最高裁平成13年11月16日判決・判例時報1810号57頁を取り上げて主張する。しかし,本件訴訟において被控訴人は,破産者の不当利得返還請求権を代位行使しているのではない。控訴人による本件商標使用による利益は,破産財団に対する関係で不当利得になるものである。 (ウ)また控訴人は,控訴人が本件商標権の善意占有者であり善意占有者には民法189条が適用ないし類推適用されると主張する。しかし,控- 21 -訴人の本件商標の使用について,物の占有についての推定規定である民法186条1項を直接適用してその占有が善意占有であったと推定されるという同主張には論理の飛躍があるし,仮に控訴人の本件商標の使用が善意占有に該当するとしても,第1商標について破産会社がパル債権回収株式会社から差押えを受けたこと,この差押えをきっかけに控訴人において商標の使用継続について不安を抱いて本件商標の登録を考えたこと,しかし類似商標となるため控訴人名義で商標登録ができなかったこと,そこで一旦破産会社で設定登録した上で控訴人に移転登録したこと等の諸事実から善意占有の推定は破られる。 (エ)控訴人は,使用利益は本件商標権の価値に含まれているから別途返還する義務がないと主張する。しかし,商標権自体の取り戻しに加えて,取り戻しが完了するまでの間に使用して得た利益の返還を請求することが可能であることは,建物の返還に加えて返還時まで ているから別途返還する義務がないと主張する。しかし,商標権自体の取り戻しに加えて,取り戻しが完了するまでの間に使用して得た利益の返還を請求することが可能であることは,建物の返還に加えて返還時までの家賃相当額の利得の返還請求が可能であることと同様である。 (オ)控訴人は,控訴人の決算書の経常利益が減少していたことを理由に控訴人には本件商標の使用による利得がなかったと主張し,他方破産会社においては経常利益が増加していたことを理由に破産会社に損失がなかったと主張する。 しかし,本件商標の使用が直接影響を与える控訴人の売上高は,平成14年7月1日開始事業年度から平成17年7月1日開始事業年度にかけてほぼ増加傾向が続いていた一方,破産会社の同時期頃の事業年度における売上高は急激に減少していたものである。 (カ)控訴人は,返還されるべき使用利益は否認権行使の時以降のものに限定されると主張する。しかし,否認権行使の主張が記載された訴状が相手方に送達されたときに否認の効果が生じるが,生じた否認の効果は,否認の対象となる行為の法的効果を遡及的に失効させるものである。そ- 22 -こで,否認権行使の結果,本件商標の譲渡の法的効果は遡及的に失効させられ,控訴人は譲渡以後の使用の利益を返還する義務を負うに至る。 イ他人に使用させて対価を得ることができるとの理由で通常実施料の相当額を認容したことを非難する点につき(ア)控訴人は,控訴人の本件商標の使用により,破産会社が本件商標を第三者に使用許諾して使用料を得る可能性を害されたという事情は認めがたいと主張する。しかし,第三者に商標の使用を許諾して使用料を得る可能性とは抽象的なもので足り,現に控訴人によって本件商標が使用されてその売上に大きく寄与していたという事実がある以上,この可能性はあったというこ 。しかし,第三者に商標の使用を許諾して使用料を得る可能性とは抽象的なもので足り,現に控訴人によって本件商標が使用されてその売上に大きく寄与していたという事実がある以上,この可能性はあったということができる。本件商標を第三者に使用させて対価を得ることを予定していなかったというような破産会社の主観的事情は,この可能性の認定に影響を及ぼすものではない。 (イ)控訴人は,本件商標権の移転登録の前後に破産会社は廃業したから,控訴人が本件商標を使用したことにより破産会社に損失が生じる関係にないと主張する。しかし,事業を休業した場合でも,休業前あるいは休業後間もない時期に商標使用契約を締結すればその後長期にわたり借用者から商標使用料収入を得ることが可能であるから,上記主張は失当である。 (ウ)控訴人は,熊本地裁昭和59年4月27日判決・判例タイムズ528号268頁を取り上げて主張する。しかし,この裁判例は,不動産等の譲渡の否認及び譲渡行為以降の収益の返還を破産管財人が請求したところ,裁判所は,目的不動産等が会員のための保養施設であってそれ自体収益をあげる目的のためのものではなかったことなどを理由に,使用料の返還については否認権が行使された日の翌日以降引渡済みまでの範囲に限り認容したものである。他方,本件訴訟において,否認の対象になっているのは商標権の譲渡であるところ,商標権は,自らの営業活動- 23 -のために使用し,あるいは他人に有償で使用させるなど,営利目的のためのみに存在するものである。したがって,上記裁判例は,本件訴訟には当てはまらない。 ウ通常の実施料相当額として売上高の4%が相当であるとした判断を非難する点につき(ア)控訴人は,原判決が,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと認定したのは誤りである旨主張する。しか ウ通常の実施料相当額として売上高の4%が相当であるとした判断を非難する点につき(ア)控訴人は,原判決が,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと認定したのは誤りである旨主張する。しかし,以下の①~⑤の事実から,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと推認することができる。 ①本件商標は,破産会社が長年使用してきた第1商標(風見鶏の図形商標)と酷似している。 ②本件商標について,破産会社が商標登録を受けた上で控訴人に移転登録するという煩雑な方法を取って,また少なくない費用をかけてまで,本件商標権を控訴人が取得した。 ③本件商標権を控訴人が取得するための手続が開始された時期は,破産会社が第1商標について差押えを受けた直後であった。 ④控訴人代表者は,原審代表者尋問において,上記差押えにより第1商標を控訴人において使用できなくなると「もう大変困ります」と。 供述している。 ,,⑤控訴人は,本件商標を「かざみどり」というPR誌,販売チラシ従業員の名刺等に記載して控訴人の事業活動に使用してきた。 (イ)控訴人は,本件商標が控訴人の売上に寄与した度合いは役務ごとに異なるのに,一律に売上の4%と認定したのは誤りである旨主張する。 しかし,寄与の度合いを控訴人の事業を構成する多数の役務ごとに認定するのは煩瑣であるとともに現実的でないから,控訴人の事業を全体的に見て,平均的に4%と認定することは不当とはいえない。 - 24 -(ウ)控訴人は,認定した4%という数字が不相当に高額である旨主張する。しかし,平成17年6月30日終了事業年度の決算報告書(乙23)に記載されているとおり,控訴人の同事業年度において,売上高が会社全体で約19億8000万円であったところ,このうち土地建物の売上高は約6億0600万円にすぎず,工事 事業年度の決算報告書(乙23)に記載されているとおり,控訴人の同事業年度において,売上高が会社全体で約19億8000万円であったところ,このうち土地建物の売上高は約6億0600万円にすぎず,工事収入が11億6200万円と約6割を占めていた。建物の請負工事においては,粗利益率が高いうえに,受注に際して工事業者の信用・実績が重要な要因となる。したがって,本件商標の実施料相当額が控訴人の事業全体の売上高について4%と認定しても,高額すぎることはない。 (エ)控訴人は,悪意の受益者ではないと主張する。しかし,控訴人は,破産会社が債務超過であり,他に見るべき資産がない状況にあり,その破産会社から無償で本件商標権を譲り受けていたことを認識していたから,仮に譲受行為が否認権の対象となることについての法的認識を有していなかったとしても,民法704条の悪意の受益者に当たるというべきである。 (オ)控訴人は,商標法38条の損害額の推定又は擬制の規定は不当利得返還請求において適用あるいは類推適用されるべきではないと主張する。 しかし,原判決は,不当利得返還額及び損害賠償額を算定するにつき商標法38条の規定の趣旨を参酌することは妨げられるものではないとしているだけであるから,上記主張は失当である。 エ売上高に関する主張の追加控訴人の平成16年10月8日から平成19年11月30日までの不動産取引業と建築業の売上高は,86億円を超える(推計額を含む。計算過程は下記「売上高計算書」のとおり。そうすると,その4%相当額は,)3億4400万円を超えることになる。 したがって被控訴人は控訴人に対し,上記不当利得金3億4400万円- 25 -の内金1億5000万円の支払を求めることができる。 記売上高計算書単位千円第10期月平均売上平成16年10月の対 たがって被控訴人は控訴人に対し,上記不当利得金3億4400万円- 25 -の内金1億5000万円の支払を求めることができる。 記売上高計算書単位千円第10期月平均売上平成16年10月の対象期間①高日割計算期間H16/7/1~H16/10/8~H16/ H16/10/8~H1H17/6/3010/317/6/301,448,066売上高1,980,453165,037127,770第11期月平均売上対象期間②対象全期間(①高+②)期間H17/7/1~H17/7/1~H19/1 H16/10/8~H1H18/6/301/309/11/307,177,2108,625,276売上高2,969,886247,490(3)控訴人の主張(3)に対しア控訴人は,原判決が本件土地の価格を少なくとも85万円であると認定したのは誤りである旨主張する。しかし,本件譲渡のなされた平成15年- 26 -当時の本件土地の固定資産評価額は85万3174円であったところ,かかる固定資産評価額は,土地の価格を認定する際の重要な資料であり,また,一般に固定資産評価額は公示地価の7割程度といわれている。したがって,原判決がこれらの事情等を弁論の全趣旨と表現しつつ本件土地の価格が少なくとも85万円であると認定したことに誤りはない。 イ控訴人は,本件土地を含めた6筆の売買価格としては27万6000円が適正である旨主張する。しかし,控訴人は,売買価格27万6000円の算定方法や各土地ごとの価格を示すことができない。27万6000円は6筆合計の金額であるから,本件土地の売買価格はより少額となるはずであるが,控訴人は,本件土地の売買価格を具体的に示すことができない。 したがって,控訴人の主張は根拠がない。 ウ控訴人 6000円は6筆合計の金額であるから,本件土地の売買価格はより少額となるはずであるが,控訴人は,本件土地の売買価格を具体的に示すことができない。 したがって,控訴人の主張は根拠がない。 ウ控訴人は,仮に本件土地の価格が85万円であるとしても,本件土地を含めた6筆の売買代金として27万6000円が支払済みであるから,85万円から27万6000円が控除されて,残額の57万4000円の返還が認容されるべきと主張する。しかし,仮に本件土地の売買代金として27万6000円が破産会社に対し支払済みであるとした場合であっても,否認権行使訴訟において既払の代金を差引控除する方法で精算することは許されない。本件においては,仮に27万6000円の代金が実際に破産会社に支払われていたとしても,その金員は破産財団に現存していないから,控訴人は本件土地の対価の償還について破産債権者として権利行使するための手続を踏まなければならない(旧破産法78条2項。 )エ控訴人は,不動産譲渡の否認の場合には現物返還が原則であり,現物返還が不能な場合にのみ価格償還請求が可能になると主張する。しかし,否認の効果は,管財人と受益者(控訴人)との間だけで生じ,口頭弁論終結前に生じた転得者には及ばない。このような場合に,判決の効力自体からは,受益者から現物の返還を受けることができないから,現物の返還に代- 27 -えてその価格の償還を請求できることは,旧破産法77条1項等の解釈として認められている。 オ控訴人は,本件商標権の登録費用についての不当利得返還請求権を自働債権とし,破産管財人によって土地譲渡を否認された結果生じた価格償還債務を受働債権として,相殺を主張する。しかし,土地譲渡を否認された結果生じた価格償還債務は,破産債権者が破産宣告後に破産財団に対して負担した債務 財人によって土地譲渡を否認された結果生じた価格償還債務を受働債権として,相殺を主張する。しかし,土地譲渡を否認された結果生じた価格償還債務は,破産債権者が破産宣告後に破産財団に対して負担した債務に該当するから,旧破産法104条1号により相殺が禁止され,相殺の主張は失当である。 (4)控訴人の主張(4)に対し控訴人は,破産会社が控訴人に対して本件商標の使用許諾をしたことを原判決が認定しなかったと主張する。しかし,原判決が,許諾した時期や内容等が具体的に明確でないとして許諾の事実を認定しなかったのは妥当な判断である。 第4当裁判所の判断 当裁判所は,原判決主文第1項,第3項,第4項は正当であり,第2項は一部変更すべきものと判断する。その理由は,以下のとおり付加訂正するほか,原判決の記載を引用する。 基礎的事実関係証拠(甲1~76,乙8~10,21~31,被告代表者)並びに弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実を認めることができる。 (1)ア破産会社は,Bらが昭和46年11月11日に設立したパピルス技研株式会社を昭和53年に岡村建設不動産株式会社に商号変更したものであり,昭和53年以降,千葉県八千代市<略>(控訴人会社本店所在地)に事務所兼店舗を設け,八千代市及びその周辺において,主に不動産の売買,建築請負等を営んできた。 イ破産会社は,昭和53年からBが代表取締役を務め,昭和58年にはB- 28 -の子であるCが代表取締役に就任し,またその弟Dは取締役を務めていた。 破産会社の資本の額は,昭和62年10月以降4600万円となっており,また破産会社の株式は,CとDとがその大半を保有し,その母Eを含めた3名で全株式を保有している。 ウ破産会社は,原判決別紙商標権明細書1に記載のとおり,第1商標及び第2商標につき商標登録をしてお また破産会社の株式は,CとDとがその大半を保有し,その母Eを含めた3名で全株式を保有している。 ウ破産会社は,原判決別紙商標権明細書1に記載のとおり,第1商標及び第2商標につき商標登録をしており,第1商標については,昭和57年から平成16年までの間,店舗看板や名刺に使用したり社有物件建物に表示するなどして常時,日常的に使用し,また第2商標については,設立時から平成16年までの間,名刺,バッジ,封筒等に記載するなどして常時,日常的に使用してきた。また破産会社は,昭和63年ころから「オカムラホーム」及び「風見鶏の家オカムラホーム」という文字標章を使用しており,これらをその営業関係の書類のほか破産会社の役員や従業員の名刺にも記載していた。 エ破産会社の平成7年度以降の各営業年度の売上高は,概ね,次のとおりであり,その主な事業活動は,不動産取引業及び建築工事業であった(百万円未満省略。 )第25期(平成7年3月1日~平成8年2月29日)18億5600万円(内土地・土地建物売上8億9900万円内建築工事売上8億9100万円)第26期(平成8年3月1日~平成9年2月28日)15億9900万円(内土地・土地建物売上9億4900万円内建築工事売上6億2100万円)第27期(平成9年3月1日~平成10年2月28日)13億9600万円(内土地・土地建物売上7億4700万円内建築工事売上6億2000万円)- 29 -第28期(平成10年3月1日~平成11年2月28日)16億7100万円(内土地・土地建物売上7億2900万円内建築工事売上9億0200万円)第29期(平成11年3月1日~平成12年2月29日)17億2200万円(内土地・土地建物売上4億5300万円内建築工事売上12億4800万円)第30期(平成12年 事売上9億0200万円)第29期(平成11年3月1日~平成12年2月29日)17億2200万円(内土地・土地建物売上4億5300万円内建築工事売上12億4800万円)第30期(平成12年3月1日~平成13年2月28日)12億4300万円(内土地・土地建物売上6億1900万円内建築工事売上6億1600万円)第31期(平成13年3月1日~平成14年2月28日)17億1100万円(内土地売上3億2400万円内建築工事売上13億2900万円)第32期(平成14年3月1日~平成15年2月28日)7億7900万円(内土地売上7400万円内建築工事売上7億0400万円)第33期(平成15年3月1日~平成16年2月29日)3億3100万円(内土地売上7800万円内手数料収入1億4600万円内建築工事売上1億0600万円)第34期(平成16年3月1日~平成17年2月28日)9500万円(内手数料収入9500万円)オ破産会社は,昭和62年ころから平成2年ころにかけて多額の金員借入をして大量の不動産を購入したことから,いわゆるバブル経済崩壊に伴い財務状況が悪化し,平成8年ころには債務超過に陥り,平成9年には税務当局からの滞納処分がなされ,平成12年ころから破産会社に対する民事執行(不動産競売)がされるようになり,破産会社の有する第1商標及び- 30 -第2商標に係る商標権に対しても,平成15年12月25日受付(受付番号019668)でパル債権回収株式会社からの申立てに基づき千葉地方裁判所からの嘱託により差押登記がなされた(ただし,平成16年7月12日受付で差押登録抹消。 )カ破産会社に対しては,平成17年10月18日,債権者生活協同組合ちばコープから千葉地方裁判所に破産手続開始の申立てがなされ,同裁判所に た(ただし,平成16年7月12日受付で差押登録抹消。 )カ破産会社に対しては,平成17年10月18日,債権者生活協同組合ちばコープから千葉地方裁判所に破産手続開始の申立てがなされ,同裁判所において審理の上,同年12月1日,破産手続開始決定がなされ,澁川達夫弁護士(被控訴人)が破産管財人に選任された(平成17年(フ)第9086号。 )平成18年3月7日に開催された第1回債権者集会における破産管財人の報告書(甲75)によると,前記事情のほか,負債総額が約18億円(うち租税債権1億996万余円,破産財団を構成する財産は預金・土)地・建物等で評価額422万余円であった。 キなお,上記生活協同組合ちばコープ代理人弁護士から平成17年12月15日付けで破産管財人である被控訴人宛てに上申書が提出され,控訴人と破産会社との関係につき下記のような指摘がなされている。 記「上申の趣旨破産者(岡村建設不動産㈱)と㈱オカムラホーム(千葉県八千代市<略>)の関係について,慎重な調査を行われたく上申いたします。 上申の理由破産者と㈱オカムラホームの関係につきましては,破産者に関して行われた財産開示手続き(千葉地裁平成17年(財チ)第7号)及び破産者の代表者であるC及び同取締役であるDについて行われた財産開示手続き(千葉地裁平成17年(財チ)第8号,同第6号)において- 31 -も,㈱オカムラホームが破産者の業務を事実上引き継いでいることが明らかとなっております。 さらに,破産者と㈱オカムラホームの関係については,後記の添付資料に現れているとおり,以下の事情が存します。 ①㈱オカムラホームでは(C及びDは同社の取締役ないし代表取締,役ではないにもかかわらず)Cは「会長」として,Dは「専務」として,両者が前面にたった運営・営業・広報が行われている 事情が存します。 ①㈱オカムラホームでは(C及びDは同社の取締役ないし代表取締,役ではないにもかかわらず)Cは「会長」として,Dは「専務」として,両者が前面にたった運営・営業・広報が行われている。 ②㈱オカムラホームが現在使用している「オカムラホーム」の名称,「風見鶏の家」の商標,風見鶏を模したロゴマークは,すべて従前破産者(岡村建設不動産㈱)が使用してきたものである。 資料1㈱オカムラホームのホームページホームページ上は,トップ頁に「会長挨拶」と表示され,破産者の代表者であるCが長文の挨拶文を寄せている(他方,㈱オカムラホームの代表取締役は「スタッフ紹介」の頁に短く紹介されているのみで,ある。 債権者側の調査によれば,当ホームページのドメイン登録は,破産者によって行われている。 (なお,ホームページ上に紹介されている「風見鶏タウン」等は,従前破産者の所有不動産であった可能性がある)。 資料2の1,2㈱オカムラホーム発行の「かざみどり」資料2の1,2は,㈱オカムラホーム友の会の会誌であるが,同誌には「かざみどり」の表題が冠されている(資料3にも表示されてい。 るとおり,風見鶏は従前破産者が商標として用いていたものである)。 「かざみどり」の紙面では,破産者の代表取締役であるCが㈱オカ- 32 -ムラホームの会長として前面に出る紙面作り,または破産者の取締役であるDが㈱オカムラホームの「専務」として前面に出る紙面作りが行われている。 また「かざみどり」の最終頁には㈱オカムラホームの広告が掲載さ,れているが,同広告中の㈱オカムラホームの表示には左側に風見鶏のロゴが記載され,右上に「風見鶏の家」と記載されている等,資料3の破産者の表示とほとんど同一である。代表電話として表示されている電話番号は,従前破産者が代表番号として用い ムの表示には左側に風見鶏のロゴが記載され,右上に「風見鶏の家」と記載されている等,資料3の破産者の表示とほとんど同一である。代表電話として表示されている電話番号は,従前破産者が代表番号として用いていた電話番号(0474-50-3452)である(資料3。 )なお「かざみどり」のバックナンバーは,上記の㈱オカムラホーム,のホームページ上にも公開されている。 資料3破産者が従前の工事の際に作成・交付した関係ファイル資料3の破産者の表示に見られるとおり,破産者では従前より「風,見鶏の家「オカムラホーム」という表記を長らく用いてきていた。上」記のとおり,その表記は現在㈱オカムラホームが用いている表記とほとんど同じである。 なお「オカムラホーム」の名称は「オカムラホーム一級建築士事,,務所D」として,破産者の取締役であるDを表示するものとしても用いられている。なお「オカムラホーム一級建築士事務所D」の電話番,号は,破産者の電話番号と同じである(0474-50-3452 。 )資料4Dの名刺従前Dが用いていた名刺には「オカムラホーム「専務取締役」と,」記載されていた。この「オカムラホーム」の表記は,風見鶏のロゴが左側に配置され,また,右上に「風見鶏の家」と表記されているもの- 33 -であり,破産者が従前用いてきた表記及び㈱オカムラホームの表記と共通するものである。 債権者側の調査によれば記載されている宅建業登録番号及び建設業登録番号は,いずれも破産者の番号である。なお,前記のとおり,ホームページのドメインは破産者によって取得されたものである。 資料5の1,同2C及びDの名刺資料4とは別の機会に用いられた破産者代表者及び同専務取締役の名刺である。 会社の表示は「オカムラホーム」と大きく表示され,その右下に,「岡村建 れたものである。 資料5の1,同2C及びDの名刺資料4とは別の機会に用いられた破産者代表者及び同専務取締役の名刺である。 会社の表示は「オカムラホーム」と大きく表示され,その右下に,「岡村建設不動産株式会社」と比較的小さな字で表示されている。 電話番号等は,破産者の電話番号である。 なお,債権者が収集している情報によると,㈱オカムラホームが事業を行っている地元では,㈱オカムラホームはC及びD兄弟が経営している会社と認識されているとのことです。 上記のとおり,破産者と㈱オカムラホームは密接な関係を有しているものであり,現地では同一の会社と認識されているものでありますところ,㈱オカムラホームが破産者と法人格を別にすると主張することは法人格を濫用するものと考えられます。現在のところ,㈱オカムラホームは破産者の債務については全く責任を問われることなく営業を継続していますが,上記のとおり㈱オカムラホームは実質的に破産者の営業上の蓄積や利益を基本的にすべて承継して営業を行っているものであり,同社が破産者が負っていた債務のみを免れ,事実上営業上の便益を享受することは著しく法の正義に反するものと思われます。 - 34 -両者の関係について,慎重な調査を行われたく,上申いたします。 以上」(2)ア一方,控訴人は,資本の額を1000万円として平成7年12月22日に設立された株式会社であり,その代表取締役となったのは昭和57年9月から平成7年12月までの間破産会社に勤務していたFであった。Fは,設立当初から本件訴訟提起後の平成18年10月31日までの間,控訴人会社の代表取締役を務めていた。控訴人は,平成8年2月,それまでの千葉県船橋市<略>から千葉県八千代市<略>に本店を移転し,さらに平成15年6月12日,破産会社と同一の住所である八千代市<略> 訴人会社の代表取締役を務めていた。控訴人は,平成8年2月,それまでの千葉県船橋市<略>から千葉県八千代市<略>に本店を移転し,さらに平成15年6月12日,破産会社と同一の住所である八千代市<略>に移転し,資本の額を2500万円とした。そして,破産会社と同様,八千代市及びその周辺において,主に建築請負業,土地建物の販売業等を営んできた。 イ控訴人のウェブサイト(平成17年12月当時のもの・甲64の1,2)には「株式会社オカムラホーム会長C「千葉県八千代市を中心に,,」,28年余の実績と信用が誇りです「私どもオカムラホームは,創業以。」,来27年間,八千代市を中心として…営業してまいりました」との記載。 がされ第1商標が使用されていた。また「編集・発行」欄に「オカムラホーム友の会」又は「株式会社オカムラホーム友の会」との記載がある控訴人のPR誌「かざみどり」には,2001年(平成13年)2月15日発行のもの(甲46)に「オカムラホーム代表取締役C」との記載がされて第1商標が使用され,2002年(平成14年)1月11日発行のもの(甲47)に「岡村建設不動産株式会社代表取締役C」との記載や「オカムラホームは創業以来25年間在来軸工法にこだわってまいりました」との記載がされて第1商標が使用された。そして,2004年(平。 成16年)10月8日発行のもの(甲48)に「オカムラホーム専務取締役D」との記載がされて本件商標が使用され,2005年(平成17- 35 -年)4月8日発行のもの(甲49)に「オカムラホーム専務D」との記載がされて本件商標が使用され,2005年(平成17年)7月15日発行のもの(甲50)に「株式会社オカムラホーム会長C」との記載がされて本件商標が使用され,2005年(平成17年)10月7日発行のもの(甲5 本件商標が使用され,2005年(平成17年)7月15日発行のもの(甲50)に「株式会社オカムラホーム会長C」との記載がされて本件商標が使用され,2005年(平成17年)10月7日発行のもの(甲51)に「株式会社オカムラホーム会長C」との記載がされて本件商標が使用され,2006年(平成18年)1月13日発行のもの(甲52)に「株式会社オカムラホーム専務D「株式会社オカムラホー」,ム会長C」との記載がされて本件商標が使用され,2006年(平成18年)4月7日発行のもの(甲53)に「会長C」との記載がされて本件商標が使用されていた。 ウ控訴人は,破産会社と同種の不動産取引業及び建築業の営業において,設立時から本件商標権を取得するまでの間,第1商標を契約書の欄外表示やインターネットのHP,四季報かざみどりや名刺に記載するなどして使用してきた。また控訴人は「風見鶏の家オカムラホーム」という文字,につき,平成16年2月26日,原判決別紙商標権明細書2のとおり,商標登録の出願をし,同年10月8日に設定登録を受け,控訴人の役員や従業員の名刺にも使用してきた。 エ控訴人の各営業年度の売上高(完成工事高と兼業事業売上高の合計額)は,以下のとおり(原判決別紙要約損益計算書及び弁論の全趣旨〔被控訴人答弁書添付別紙14〕のとおり)であり,その主な事業活動は,建築工事業及び不動産取引業であった。 8期(平成14年7月1日から平成15年6月30日まで)17億6032万8000円,9期(平成15年7月1日から平成16年6月30日まで)20億5846万1000円,10期(平成16年7月1日から平成17年6月30日まで)- 36 -19億8045万3000円,11期(平成17年7月1日~平成18年6月30日)29億6988万6000円 商標権移 円,10期(平成16年7月1日から平成17年6月30日まで)- 36 -19億8045万3000円,11期(平成17年7月1日~平成18年6月30日)29億6988万6000円 商標権移転登録の否認登録手続請求(原判決主文第1項)(1)控訴人は,本件商標は専ら控訴人が使用するために商標権として登録されたもので,控訴人に帰属するものである,すなわち控訴人及び破産会社は,実質上控訴人に帰属していた商標権を形式上(登録上)も控訴人が取得するために,譲渡の形式をとったのであって,譲渡によって,実質的に商標権が移転したものではないから,本件商標権の譲渡行為は,否認権行使の対象とならないと主張する。 しかし,商標法(以下「法」という)14条は,審査官が商標登録出願。 について審査する旨を定め,これを受けて法16条は,審査官が商標登録をすべき旨の査定をする場合について定め,法18条2項は,登録料の納付があったときは商標権の設定の登録をする旨定め,法18条1項は,商標権は,設定の登録により発生すると規定するところ,本件商標権は,破産会社がかかる所定の手続を経て設定登録(登録第4808864号)を受けたものであり,控訴人が設定登録を受けたものではない。そして,仮に本件商標が専ら控訴人が使用するために商標権として登録されたものであれば,専用使用権の設定(法30条1項本文)という手続もあるが,かかる手続もとられていない。そして,法35条で準用する特許法98条1項1号によれば,商標。 ,権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く)は,登録しなければその効力を生じない(対抗要件ではなく効力要件)ものであるところ,本件商標権について,平成16年11月22日受付第018462号(甲4)をもって控訴人に対する特定承継による本権移転の登録申請がなさ その効力を生じない(対抗要件ではなく効力要件)ものであるところ,本件商標権について,平成16年11月22日受付第018462号(甲4)をもって控訴人に対する特定承継による本権移転の登録申請がなされ,平成16年12月6日に登録がなされているものであり,またこのように同登録がなされたのも,破産会社,控訴人の合意が客観的に確認されたからであると- 37 -推認される。これらの事情に照らせば,控訴人及び破産会社が,実質上控訴人に帰属していた商標権を形式上(登録上)も控訴人が取得するために譲渡の形式をとったものであるとすることはできない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2)控訴人は,破産会社は,本件商標権が第1商標と「類似する商標(法」4条1項11号等)となってしまい,活発に事業活動を行っていながらも登録できなかった控訴人のために,便宜上,本件商標権の登録を行ったにすぎず,本件商標権を自ら使用する意思はなかったのであるから,本件商標権は設定登録しても,発生しないといえるのであり,そうである以上,商標権の移転について否認権行使の対象とはなり得ないと主張する。 しかし,上記(1)に説示したように,本件商標権は,破産会社が所定の手続を経て設定登録(登録第4808864号)を受けて発生したものであり,これを便宜上のものということはできない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (3)控訴人は,原判決は,控訴人が本件商標の登録費用を負担したという事実が,判決の結果に影響を及ぼす重大な間接事実であるにもかかわらず,判断の際にこの事実を無視しており不当であると主張する。 しかし,控訴人が本件商標の登録費用を負担したとしても,控訴人が,平成15年12月25日,パル債権回収株式会社の申立てに基づき千葉地方裁 らず,判断の際にこの事実を無視しており不当であると主張する。 しかし,控訴人が本件商標の登録費用を負担したとしても,控訴人が,平成15年12月25日,パル債権回収株式会社の申立てに基づき千葉地方裁判所から第1商標等の差押えを受けたことを機に,控訴人が今後の上記商標の使用継続に不安を抱き,本件商標の商標登録を考え,しかし控訴人名義で商標登録できないため破産会社の商標権設定登録を経由して控訴人が移転登録を受けたというのであれば,控訴人は,自ら設定登録を受けることができない本件商標について,破産会社への設定登録,それに続く控訴人への移転登録という制度を利用することにより所期の目的を達し,負担した費用に見合う利益を受けたというにすぎず,登録費用の負担の事実が商標権の発生や- 38 -移転の事実と当然に矛盾するとはいえないから,これにより上記(1),(2)の説示が左右されるものではない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (4)控訴人は,破産会社は,本件商標の登録後間もなく営業を停止し廃業届を出していることから,本件商標権による営業実績が乏しく,本件商標権を使用して営業をした場合にどの程度の利益を得られるかは不明であり,本件商標権の財産的価値を算定することは不可能である,その結果,本件否認により本件商標が破産財団に復帰しても,これを換価することは極めて困難であるか仮に換価できたとしてもその対価は極めて僅少というべきであり,このような換価が極めて困難ないし対価が僅少である本件商標の譲渡行為が破産財団を絶対的に減少せしめる行為とは到底いえず,破産債権者の利益を害するものではなく,本件商標譲渡は詐害行為には当たらず,破産会社及び控訴人にもその認識がなかったことは明らかであると主張する。 しかし,無体財産権である本件商標権の は到底いえず,破産債権者の利益を害するものではなく,本件商標譲渡は詐害行為には当たらず,破産会社及び控訴人にもその認識がなかったことは明らかであると主張する。 しかし,無体財産権である本件商標権の財産的価値の算定や換価に事実上困難な面があるとしても,財産権である本件商標権の財産的価値の算定が当然に不可能であるということにはならず,そのような本件商標権が他の商標権と異なり財産権として無価値なものである事情があるということもできないから,控訴人の上記主張は採用することができない。 本件商標を権原なく使用したことによる不当利得返還請求(原判決主文第2項)(1)否認権行使の効果として使用利益の返還を認容したことの問題点についての判断(控訴人の主張(2)ア)ア控訴人は,否認権は,破産者の処分によって減少した財団を回復させることを目的とする制度であるから,その効果も,その目的達成のために必要にして十分な範囲に限定される(相対的無効説,かかる相対効を前提)とすれば,否認権行使の結果,相手方が負う返還義務の範囲(法定果実,- 39 -使用利益)については,否認権行使の対象となる行為(詐害行為)がなかった場合の財産状態の回復に止まるというべきであるから,詐害行為がなければ破産者が当然利得を収受できたとまでいえない場合は,相手方は収受した法定果実の返還義務を負わない,これを本件についてみると,原判決が認定した本件における使用利益は,本件商標権の譲渡の結果,控訴人が当然得た利益ではなく,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの種々の業務の総体によって得たものであるから,本件商標権譲渡がなければ破産者が当然同額の利益を収受できたとはいえず,控訴人は使用利益の返還義務を負わない,と主張する。 しかし,破産管財人たる被控訴 の種々の業務の総体によって得たものであるから,本件商標権譲渡がなければ破産者が当然同額の利益を収受できたとはいえず,控訴人は使用利益の返還義務を負わない,と主張する。 しかし,破産管財人たる被控訴人が否認権を行使することによって,破産財団との関係では,否認権行使の対象となる行為(本件商標譲渡行為)は当初から存在しなかったこととなり,本件商標は当初から一貫して破産財団に帰属していたことになる(旧破産法77条1項参照。そして,本)件商標権は後に述べるように一定の経済的価値を独自に有するのであるから,被控訴人の否認権行使により,破産管財人たる被控訴人は,直接控訴人に対して,同利益相当額の返還を請求できるというべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 イ控訴人は,最高裁平成13年11月16日判決・判例時報1810号57頁とパラレルに考えれば,本件でも,被控訴人による本件商標権譲渡に対する否認権の行使の効果は相対的であり,破産会社と控訴人との関係では譲渡は依然として有効に存在するのであって,破産会社は控訴人に対して,本件譲渡によって商標権が控訴人に移転していることを否定することはできないから,控訴人が本件商標権を使用して第三者との取引で得た使用利益は,破産会社との関係で法律上の原因がないといえず,使用利益の返還義務は認められないというべきであり,また,本件でも,上掲最高裁の事案と同様に,商標権の第三者による無断使用の事案ではなく,破産会- 40 -社が控訴人に対し本件商標権を譲渡し使用させ,その結果控訴人が利益を得たのであるから,通常の無断使用のケースとは異なり,使用利益の返還を認めるべきではないと主張する。 しかし,本件において問題とされているのは,否認権の行使により破産財団に復帰した財産(本件商標権)の使 のであるから,通常の無断使用のケースとは異なり,使用利益の返還を認めるべきではないと主張する。 しかし,本件において問題とされているのは,否認権の行使により破産財団に復帰した財産(本件商標権)の使用の対価についてその相手方(控訴人)に対し返還を求めるものであるから,前記判決とは事案が異なり,控訴人の上記主張は採用することができない。 ウ控訴人は,不当利得制度が公平の見地から設けられたものであることに鑑みると,否認権行使の効果は商標自体の返還に止まるというべきであり,本件商標の当初の登録が破産会社名義であり,同社が破産し,破産管財人が否認権を行使したとの事実のみを以て,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの控訴人の種々の業務行為の総体として得た売上や利益を,破産会社に当然に帰属させるのは,かえって不当利得制度の根幹をなす公平の理念にもとるというべきであると主張する。 しかし,控訴人の売上等が,従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの控訴人の種々の業務行為の総体として得られたという事情があるとしても,そのほかに本件商標の控訴人の売上に対する寄与も独自に存在するのであるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 エ控訴人は,本件商標権を善意で占有していることから,果実たる使用利益の返還を一切免れるというべきである,すなわち占有者には民法186条1項により善意の推定が及ぶため,控訴人は本件商標につき善意で占有していたものと推定され,さらに,本件商標権は,専ら控訴人が使用するために,控訴人が登録費用を負担して登録したものであるから,少なくとも破産会社が平成16年2月26日に本件商標につき登録出願し,控訴人が本件商標の使用を開始した時点,あるいは遅くとも平成16年10月8日の本件商標の設定登録時 担して登録したものであるから,少なくとも破産会社が平成16年2月26日に本件商標につき登録出願し,控訴人が本件商標の使用を開始した時点,あるいは遅くとも平成16年10月8日の本件商標の設定登録時に,破産会社の控訴人に対する使用許諾があっ- 41 -たことは明らかである,そうすると,控訴人は使用権原を有するとの認識で本件商標権を使用していたのであるから,善意の占有者(民法189条1項)に該当し,このような善意の占有者には民法189条1項が適用ないし類推適用され,民法703条は排除されると主張する。 しかし,物の占有に関する民法189条が無体財産権たる商標権の事案である本件に適用されうるかどうかはともかく,後記のとおり,破産会社の控訴人に対する使用許諾の事実は結局はこれを認めることができないし,また原判決が説示するとおり,破産会社と控訴人とは,本件商標権を無償で控訴人に移転させたものであり,同移転の当時,破産会社は,その数年前から債務超過に陥り,ほかに見るべき資産もなく,第1商標,第2商標も債権者によりいったん差し押さえられたが,それが解除されて間もなかったのであって,そのことは控訴人も認識していたのであるから,控訴人が善意の占有者であると解することもできない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 オ控訴人は,本件商標の使用利益は本件商標権の価値に含まれているから,否認権行使の結果,商標権の返還とは別に使用利益の返還を認める余地はないと主張する。 しかし,本件の事案の下において,本件商標が控訴人の売上に寄与した分の利益相当額は,本件商標権自体の交換価値とは別個にみることができるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 カ控訴人は,控訴人が本件商標を使用しても,それは破産会社の信用力や顧客吸引力等を利用す 当額は,本件商標権自体の交換価値とは別個にみることができるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 カ控訴人は,控訴人が本件商標を使用しても,それは破産会社の信用力や顧客吸引力等を利用するものではなく,控訴人自身の信用力等が背景にあるからこそ価値が認められる商標を控訴人が使用しているにすぎず,破産会社には何らの損失も発生しない,本件商標は,控訴人を表わすものとして使用するために設定登録申請され,それ以降,専ら控訴人が使用しており破産会社は全くこれを使用しておらず,また,本件商標の移転登録当時- 42 -(平成16年11月22日,破産会社は既に営業を休止し事業を行って)いなかったことから,本件商標が破産会社の信用力や顧客吸引力を背景に破産会社を表す商標として価値を有するものでないことは明らかである,このことは,本件商標の譲渡後,控訴人の経常利益はむしろ減少しており利得があったといえないのに対し,破産会社の経常利益は同譲渡後増加しており損失が生じたとはいえないことからも裏付けられると主張する。 しかし,上記2に認定した事実によれば,破産会社は,昭和57年から平成16年にかけて本件商標とほぼ同一の第1商標を店舗看板や名刺,社有物件建物に表示して常時,日常的に使用してきたものであり,また,上記アに説示したとおり,破産会社と控訴人との間に,本店所在地,事業を行っていた地域,事業の内容,役員・従業員等の人的側面,事業活動に使用していた商標等の点から見て極めて密接な関連性が存するものである。 これらによれば,本件商標において,昭和57年から平成16年にかけての営業活動により第1商標に蓄積されてきた破産会社の信用力や顧客吸引力が何ら引き継がれていないとみることはできないというべきである。このことは,本件商標の移転登録当時(平成16年11 16年にかけての営業活動により第1商標に蓄積されてきた破産会社の信用力や顧客吸引力が何ら引き継がれていないとみることはできないというべきである。このことは,本件商標の移転登録当時(平成16年11月22日,破産会)社が全く本件商標を使用しておらず営業を休止し事業を行わない状態になっていたとしても変わりはない。さらに控訴人は経常利益の増減について主張するが,経常利益は営業上又は営業外の様々な要因により変動するものというべきであるから,控訴人の主張が不当利得が認められないことの裏付けになるとはいえない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 キ控訴人は,仮に控訴人に使用利益の返還義務があるとしても,否認権行使以降の利益に限定されるべきであり,原判決が否認権行使以前の控訴人の使用利益につき返還義務を認めたのは誤りである,すなわち,本来,当事者間における商標権の譲渡が自由であることからすれば,商標権自体に- 43 -ついては否認権の行使により譲渡時に遡って破産会社に復帰すると解される余地があるとしても,使用利益についてまで同様に扱う必然性はない,否認権を行使するまでは控訴人が本件商標を使用することに何ら不法性はなかったものであり,こうした考え方は,否認権の法的性質(相対的無効)にも合致すると主張する。 しかし,前記アに説示したとおり,破産管財人たる被控訴人が否認権を行使することによって,否認権行使の対象となる行為(本件商標譲渡行為)は当初から存在しなかったこととなり,本件商標は当初から一貫して(すなわち否認権行使以前に遡及して)破産会社に帰属していたことになる(旧破産法77条1項参照)から,控訴人は本件商標を使用することにより得た利益を破産財団に返還すべきであり,破産管財人たる被控訴人は,直接控訴人に対して,同利益 て)破産会社に帰属していたことになる(旧破産法77条1項参照)から,控訴人は本件商標を使用することにより得た利益を破産財団に返還すべきであり,破産管財人たる被控訴人は,直接控訴人に対して,同利益相当額の返還を請求できるというべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 ク控訴人は,仮に控訴人に使用利益の返還義務があるとしても,その範囲は通常生ずべき利益でなければならず,返還の目的が商標である本件の場合,通常生ずべき利益とは,だれが当該商標を使用しても得られたであろう利益が基準になるというべきである,本件においては,破産会社が本件登録当時本件商標を使用していたならば得られたであろう利益が基準になるところ,破産会社は営業をしていないため,使用による利益はなく,損失もないというべきであると主張する。 しかし,たとえ破産会社が営業をしておらず全く本件商標を使用していないとしても,今後においてこれを譲渡して新たな対価を得たり,商標権者として他者に使用許諾し実施料を得る蓋然性を当然に否定することはできないというべきであるから,商標権侵害の場合の損害額算定に関する商標法38条の規定を参考にして,少なくとも通常使用料として受けるべき相当金額をもって控訴人の利得と直接の因果関係のある破産会社の損失で- 44 -あると認めるのが相当である。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2)他人に使用させて対価を得ることができるとの理由で通常実施料の相当額を認容したことの問題点についての判断(控訴人の主張(2)イ)ア控訴人は,本件で,破産会社が控訴人のために本件商標権を登録した経緯に鑑みると,破産会社は,自身が営業をせず,本件商標を使用しないからといって,その代わりに,控訴人以外の第三者に本件商標を使用させて 控訴人は,本件で,破産会社が控訴人のために本件商標権を登録した経緯に鑑みると,破産会社は,自身が営業をせず,本件商標を使用しないからといって,その代わりに,控訴人以外の第三者に本件商標を使用させて対価を得ることなど全く予定していなかったと考えるべきであるし,実際,控訴人が,本件商標権を第三者に使用させ,控訴人が使用料を取得していた事実も存在しない,したがって,控訴人の本件商標権使用により,破産会社が本件商標を第三者に使用許諾して使用料を得る可能性を害されたという事情を認める余地はない,そして,本件で,控訴人が破産会社から本件商標の譲渡を受け,移転登録がなされたのは平成16年12月6日であるところ,破産会社は,同年12月2日には建設業の廃業届(乙9)を,同年12月10日には不動産業の廃業届(乙10)を,それぞれ提出しており,既にこの頃事業を行っていなかったのであるから,控訴人が本件商標権を使用したことにより破産会社に営業損失が生ずるという関係は存在しないと主張する。 しかし,仮に破産会社が控訴人のために本件商標登録をしたという経緯があるとしても,依然として破産会社が第三者に本件商標の使用許諾をすることは不可能ではない以上,当然に破産会社が控訴人以外の第三者に本件商標を使用させて対価を得る蓋然性を否定できることにはならない。また,たとえ破産会社が控訴人に本件商標を譲渡し移転登録を経由した時期と,破産会社が建設業・不動産業の廃業届を提出した時期とが重なっているとしても,上記(1)クに説示したとおり,少なくとも通常使用料として受けるべき相当金額をもって控訴人の利得と直接の因果関係のある破産会- 45 -社の損失であると認められることを左右することはできない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 イ控訴人は,否認権行 もって控訴人の利得と直接の因果関係のある破産会- 45 -社の損失であると認められることを左右することはできない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 イ控訴人は,否認権行使の効果として,使用利益の返還を認めるかについて判断した裁判例として熊本地裁昭和59年4月27日判決・判例タイムズ528号268頁を挙げ,この裁判例とパラレルに考えれば,本件でも①破産会社が本件商標を第三者に使用させて収益を計ることを全く予定していなかったこと,②収益性を持たしめるには単に破産会社が破産したというのみでは足りず,否認権を行使したことが必要であるということになるから,本件譲渡行為があった日以降の通常実施料相当額を認めるべきではないと主張する。 しかし,商標権は,そもそも本来的に財産権として営業活動の標識として使用するものであり,収益性を持っていない場合と同視することはできず,本件で破産会社が本件商標を第三者に使用させて収益を計ることを具体的に予定していなかったということから直ちにその収益性を否定することもできないから,上記裁判例とは事案が異なるというべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (3)通常の実施料相当額として売上額の4%が相当であるとした問題点についての判断(控訴人の主張(2)ウ)ア(ア)控訴人は,原判決は,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと安易に認定しているが,商標権は,特許権,実用新案権等と異なり,それ自体は創作的価値を有するものではなく,商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結びついて初めて一定の価値を有するものであり,商標を付した商品が売れたからといって直ちに当該商標が売上に寄与したことにはならない,そして,侵害者の利益は,商標の使用等の他,侵害者の資本,労力, と結びついて初めて一定の価値を有するものであり,商標を付した商品が売れたからといって直ちに当該商標が売上に寄与したことにはならない,そして,侵害者の利益は,商標の使用等の他,侵害者の資本,労力,設備等の貢献要因によって獲得されたものであるから,不当な利得として返還されるべきは,全利益額を各貢献要因に配分- 46 -したとして商標の使用等に留保しうる額に止まることになる,本件でも,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの種々の業務行為の総体として控訴人に売上や利益が獲得されるのであるから,売上や利益のうち商標が寄与する割合は算定不能であって,それを少なくとも売上高の4%とする根拠は全くないと主張する。 確かに,一般論として,商標を付したある商品が売れたからといって直ちに当該商標が売上に寄与したことにはならないこと,侵害者(ただし,本件は商標権侵害事件ではない)の利益は,商標の使用等の他,侵害者の資本,労力,設備等の貢献要因によって獲得されたものであるから,不当な利得として返還されるべきは,全利益額を各貢献要因に配分したとして商標の使用等に留保しうる額に止まることになることは首肯することができる。しかし,そうであるからといって,当然に売上や利益のうち商標が寄与する割合が算定不能であるということにはならず,諸事情を勘案して本件商標につき相当な使用料の率を定めることは可能というべきである。 (イ)この点,被控訴人は,以下の①~⑤から,本件商標の使用が控訴人の売上に大いに寄与したと推認することができるとして,①本件商標は,破産会社が長年使用してきた第1商標(風見鶏の図形商標)と酷似していること,②本件商標について,破産会社が商標登録を受けた上で控訴人に移転登録するという煩雑な方法を取って,また少なくない費用 は,破産会社が長年使用してきた第1商標(風見鶏の図形商標)と酷似していること,②本件商標について,破産会社が商標登録を受けた上で控訴人に移転登録するという煩雑な方法を取って,また少なくない費用をかけてまで,本件商標権を控訴人が取得したこと,③本件商標権を控訴人が取得するための手続が開始された時期は,破産会社が第1商標について差押えを受けた直後であったこと,④控訴人代表者は,原審の代表者尋問において,上記差押えにより第1商標を控訴人において使用できなくなると「もう大変困ります」と供述していること,⑤。 控訴人は,本件商標を「かざみどり」というPR誌,販売チラシ,従,- 47 -業員の名刺等に記載して控訴人の事業活動に使用してきたこと,を指摘する。 aそこで検討すると,前記2に認定したとおり,破産会社と控訴人との間に,本店所在地,事業を行っていた地域,事業の内容,役員・従業員等の人的側面,事業活動に使用していた商標等の点から見て極めて密接な関連性が存することが認められ,また,原判決掲記の各証拠,乙30及び弁論の全趣旨によれば,上記①~⑤の事実が認められる。 これらによれば,昭和46年の設立以来の伝統のある破産会社がその事業活動に昭和57年から平成16年までの間にかけて使用してきた第1商標(風見鶏の図形商標)とほぼ同一である本件商標は,平成7年12月に設立された,破産会社と関係の深い後発の控訴人の事業活動にとってなくてはならないものと位置付けられていたことが認められるから,本件商標の使用が控訴人の売上に対して相当程度の寄与をしていることは否定できないというべきである。 この点控訴人は,控訴人の主たる業務はコンサルティング業務であり,破産会社の主たる業務は建設工事・不動産仲介業・土地売買であり,その中で不動産仲介業の占める割合 ことは否定できないというべきである。 この点控訴人は,控訴人の主たる業務はコンサルティング業務であり,破産会社の主たる業務は建設工事・不動産仲介業・土地売買であり,その中で不動産仲介業の占める割合も高いことから,控訴人と破産会社の業務内容はほとんど競合していないと主張する。しかし,前記2に認定した各事実によれば,控訴人は建築請負業,土地建物の販売業等を営んでおり,一方破産会社も不動産の売買,建築請負等を営んできたものであって,また売上高の内訳から見ても,破産会社の仲介業務の割合の高さは破産宣告前の数年間の特殊な状況にすぎないといえるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 b一方,本件商標の指定役務である第36類,第37類のような役務の場合には,需要者は,その業者の扱う土地・建物自体の個性や,その業者の建物建築の施工実績・施工能力等を十分勘案して最終的に業- 48 -者を選定する側面が強いというべきであるから,控訴人が指摘するように,控訴人の従業員らの営業,不動産仲介,建物の建設,経理,総務などの種々の業務行為の総体として控訴人に売上や利益が獲得される面が少なくないことも否定できない。また,前記2で認定したとおり,破産会社と控訴人との間に,本店所在地,事業を行っていた地域,事業の内容,役員・従業員等の人的側面,事業活動に使用していた商標等の点から見て極めて密接な関連性が存することが認められるところ,破産会社は,自ら第1商標の使用をする一方で,控訴人の,平成7年12月頃から平成16年11月頃(本件商標権の取得時)までの本件商標と酷似する第1商標の使用について異議を述べた形跡がなく,控訴人が破産会社に対しその使用料を支払った事実も認められないことからすると,第1商標と酷似する本件商標の使用料率を過度に高くみることも相当で 酷似する第1商標の使用について異議を述べた形跡がなく,控訴人が破産会社に対しその使用料を支払った事実も認められないことからすると,第1商標と酷似する本件商標の使用料率を過度に高くみることも相当ではない。さらに,破産会社は本件商標登録出願を行いその設定登録を受けた平成16年10月とほぼ同時期に廃業し,その約1年後である平成17年12月に破産手続開始決定を受けているから,本件商標を使用して事業活動を行ったこともなく,他者に実施許諾を行って使用料を得ることができた蓋然性も高くはないといわざるを得ない。そして,本件商標の指定役務である第36類,第37類のような役務を行う業界において,商標権と密接な関係のある第三者以外の者に対し商標の使用許諾をする慣習があることもこれを認めるに足りる証拠はない。 (ウ)また控訴人は,本件商標が控訴人の売上に寄与した度合いは,役務ごとに異なり,本件商標を使用せずに行った役務の場合,同商標の貢献はゼロであるところ,原判決は各役務を区別せず,一律に売上の4%としている,すなわち,控訴人の役務は,原判決別紙商標権目録記載のとおり,第36類「建物の管理,建物の賃借の代理又は媒介,建物の貸与,- 49 -建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の賃借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,第37類「建築」一式工事,しゅんせつ工事…」と多岐にわたっており,控訴人の売上の内訳も「土地・建物売上高,工事収入,受取仲介手数料,賃貸管理収,入,家賃収入,保険代理店手数料」と多岐にわたっているところ(控訴人の損益計算書〔乙21~23,商標が売上に寄与した度合いは役〕)務ごとに判断すべきであり,第三者に商標の使用を許諾して使用料を 入,家賃収入,保険代理店手数料」と多岐にわたっているところ(控訴人の損益計算書〔乙21~23,商標が売上に寄与した度合いは役〕)務ごとに判断すべきであり,第三者に商標の使用を許諾して使用料を得る可能性について,個別的な事情を斟酌して具体的に判断すべきであるから,原判決が各役務を区別なく扱っている点には誤りがあると主張する。 しかし,本件商標が控訴人の売上に寄与した度合いが各役務ごとに異なるとしても,そのような事情は後に判断する総合考慮すべき事情の一つというべきであるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 イ(ア)控訴人は,東京地裁平成11年10月21日判決・判例タイムズ1019号250頁は「建物の売買」等を指定役務とする登録商標に類,似する標章を建物(分譲マンション)という商品に使用する行為につき,商標権者の商標権を侵害したとして,損害賠償を求められた事案で,各住居の販売価格の合計額の約0.5%に当たる500万円をもって,本件における使用料相当額と認めることができると判示したところ,これに鑑みれば,本件でも,控訴人の売上の中で,少なくとも不動産売買における本件商標権の使用料相当額は0.5%程度と考えるべきであると主張する。 しかし,控訴人の上記主張に係る裁判例は「建物の売買」等を指定,役務とする登録商標に類似する標章を建物(分譲マンション)という商品に使用する行為について判断したものであるが,需要者において,建- 50 -物建築の施工実績・施工能力等を十分勘案して業者を選定する側面を有する建築請負業に使用する商標について判断したものではなく,また商標の使用態様の点についても,常時,日常的に使用していた本件と同一にみることができるものではない。 ,(イ)また控訴人は,本件で,本件商標を破産会社は一切使用して いて判断したものではなく,また商標の使用態様の点についても,常時,日常的に使用していた本件と同一にみることができるものではない。 ,(イ)また控訴人は,本件で,本件商標を破産会社は一切使用しておらず活発に事業活動を行っていた控訴人が専ら使用していたものであることを考慮し,その使用利益は低額に止めるべきであると主張するが,そのような事情は後に判断する総合考慮すべき事情の一つに止まるというべきである。 (ウ)また控訴人は,原判決は「悪意の受益者である被告に対する不当利得返還額及び損害賠償額を算定するにつき商標法38条の規定の趣旨を参酌することは妨げられるものではない(12頁1行~3行)とし。」たことに対し「悪意の受益者(民法704条)とは,法律上の原因,」のないことを知りながら利得をした者であるところ,控訴人は,本件商標権が控訴人に帰属している,ないしは破産会社から使用許諾を受けている,との認識で本件商標権を使用しており,そもそも悪意の受益者ではない旨主張する。 しかし,商標法38条は商標権侵害訴訟における損害額認定の際の規定であって,同訴訟類型に当てはまらない本件においては,これを適用するものではないから,民法704条の適用の有無を論ずる必要はない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (エ)控訴人の不当利得額の算定a控訴人の各営業年度(8期~11期)の売上高は,甲76及び弁論の全趣旨によれば(8期~10期は原判決別紙要約損益計算書に記載のとおり,以下のとおりであると認められる。 )(a)8期(平成14年7月1日~平成15年6月30日)- 51 -17億6032万8000円(b)9期(平成15年7月1日~平成16年6月30日)20億5846万1000円(c)10期(平成16年7月1日 4年7月1日~平成15年6月30日)- 51 -17億6032万8000円(b)9期(平成15年7月1日~平成16年6月30日)20億5846万1000円(c)10期(平成16年7月1日~平成17年6月30日)19億8045万3000円(d)11期(平成17年7月1日~平成18年6月30日)29億6988万6000円b次に,平成16年10月8日(本件商標権設定登録日)から平成19年11月30日までの間の控訴人の売上高を算定する。 (a)平成16年10月8日から平成17年6月30日までの間の売上高は,原判決認定のとおり,14億4328万9035円と認められる。 (b)平成17年7月1日から平成18年6月30日までの間の売上高は,上記a(d)のとおり,29億6988万6000円と認められる。 (c)平成18年7月1日から平成19年11月30日までの間の売上高について検討すると,この期間の先立つ3年間の1か月平均売上高は,上記a(a)~(d)の合計70億0880万円を36月で除した1億9468万8888円となるところ,控訴人はその後も上記平均売上高と同額の売上があったと推認することができるから,平成18年7月1日から平成19年11月30日までの控訴人の売上高は,少なくとも33億0971万円(1億9468万8888円×17月)となる。 c以上によれば,平成16年10月8日(本件商標権設定登録日)から平成19年11月30日までの間の控訴人の売上高は,77億2288万円程度と認められる。 - 52 -ウ以上認定の一切の事情を総合考慮すると,本件商標権の使用によって控訴人が得た利得に相当する額は,上記売上高の約1%弱である7000万円を下らないと認めるのが相当であり,控訴人は,少なくともこれと相当因果関係のある同額の 総合考慮すると,本件商標権の使用によって控訴人が得た利得に相当する額は,上記売上高の約1%弱である7000万円を下らないと認めるのが相当であり,控訴人は,少なくともこれと相当因果関係のある同額の損失を破産会社に与えたものというべきである。 (4)したがって,上記(1)ないし(3)によれば,その余について判断するまでもなく,被控訴人の控訴人に対する不当利得金1億5000万円の支払請求は,7000万円の限度で理由があり,その余は失当であることになる。 本件土地譲受けによる不当利得返還請求(原判決主文第3項)について(1)控訴人は,原判決は,否認権が行使された時点(本件訴訟提起時)での本件土地の価格を固定資産税評価額であると認定した理由につき,弁論の全趣旨によるとするだけで他に明確な理由を述べず,また,本件土地譲渡の実際の取引価格である27万6000円を不相当とする根拠すら述べていない点で妥当でないと主張する。 しかし,固定資産評価額は,土地の価格を認定する上で重要な資料であるから,これを採用できない特段の事情がなければ,固定資産評価額を採用できるというべきであり,他方,同価格と著しく乖離する取引価格である27万6000円という価格にはこれを相当価格であるとする裏付けはないのであるから,原判決の判示が妥当でないとはいえない。 (2)また控訴人は,本件土地の譲渡は適正価格による売買契約であるから否認権行使の対象とならない,すなわち控訴人は,本件土地を含む合計6筆の土地を破産会社から購入し,その売買代金として破産会社に金27万6000円支払ったものであり,これらのうち703番3,703番11はいずれも公衆用道路,703番12はごみ置場であって,面積も28㎡,33㎡,0.51㎡と狭小であり(乙12,16,被告代表者,また,37番9,) ものであり,これらのうち703番3,703番11はいずれも公衆用道路,703番12はごみ置場であって,面積も28㎡,33㎡,0.51㎡と狭小であり(乙12,16,被告代表者,また,37番9,)37番は公衆用道路であって,面積が各1.68㎡と0.03㎡であり,いずれも市場価値がなかった,そして,94番114(本件土地)も14㎡と- 53 -狭小であり,公図(乙12)から明らかなように土地の形状からしても市場価値はなかった,通常であれば,市場価値のない上記6筆の土地を有償で購入する者はいないところ,控訴人は,破産会社の依頼によりやむを得ず本件土地を含む6筆の土地を総額27万6000円で購入したのであって,相当な対価であったことは明らかである,固定資産評価額は土地の面積・形状などの利用価値と無関係に決められるので,単純に評価額によって土地の価額を算定することはできず妥当でないと主張する。 しかし,原判決が掲記した証拠によれば,本件土地は,いわゆる分譲地内の私道に隣接している土地であり,控訴人は,本件土地を3つに分筆した上,本件土地と隣接する94番20の土地を購入した上で,本件土地を分筆した3筆の土地とそれぞれ隣接する宅地等を併せて,3名の顧客に売却したことが認められるから,本件土地は隣接地を宅地として売却する上で必要な土地であって,その面積や形状等から当然に市場価値のない土地であるとはいえない。また,本件土地売買の当事者である破産会社と控訴人とは,全くの第三者同士とはいえず,前記のとおり,本店所在地,事業を行っていた地域,事業の内容,役員・従業員等の人的側面,事業活動に使用していた商標等の点から見て極めて密接な関連性が存すると認められることなどに鑑みると,直ちにそのような当事者間の売買代金の価格である27万6000円をもって相当価格 業員等の人的側面,事業活動に使用していた商標等の点から見て極めて密接な関連性が存すると認められることなどに鑑みると,直ちにそのような当事者間の売買代金の価格である27万6000円をもって相当価格とみることはできないというべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (3)また控訴人は,仮に上記27万6000円が相当対価といえないとしても,本件土地の価格を固定資産税評価額85万円と認定した原判決は誤りである,すなわち控訴人は,平成17年3月13日,本件土地に隣接する94番20の土地(乙12)を訴外Aから坪16万円で購入した(乙20,こ)の坪単価から算出すると,本件土地(14㎡)の価格は約67万円である,さらに,控訴人が本件土地を購入した平成15年2月6日当時は,94番2- 54 -0の土地の売買が行われた平成17年3月当時と比較して土地の価格が低額であったこと(被告代表者)や同土地の形状に鑑みて,少なくとも平成15年2月6日当時の本件土地の価格が67万円を下回ることは明らかであると主張する。 しかし,94番20の土地は本件土地に隣接する土地であったにすぎず,隣接地たる本件土地の坪単価がこれを超えれば直ちに不相当といえるものではないのであって,このような場合に,本件土地の価格として固定資産税評価額を採用することが不当とはいえないから,控訴人の上記主張は採用できない。 (4)また控訴人は,万が一,本件土地の価格が原判決の認定した85万円であったとしても,控訴人は,破産会社に対し,本件土地を含む上記6筆の合計額として27万6000円を支払い済みであるので,85万円から既払いの代金を控除した57万4000円のみが返還の対象となるというべきであると主張する。 しかし,仮に本件土地の売買代金として27万6000円が 27万6000円を支払い済みであるので,85万円から既払いの代金を控除した57万4000円のみが返還の対象となるというべきであると主張する。 しかし,仮に本件土地の売買代金として27万6000円が破産会社に対し支払済みであるとした場合であっても,証拠(甲55の1,2,56の1,2,57の1~3,65~75,乙8)及び弁論の全趣旨によれば,同金員が破産財団に現存しているとは認められないから,控訴人は本件土地の対価の償還について破産債権者として権利行使するための手続を踏まなければならない(旧破産法78条2項)というべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 (5)また控訴人は,否認の対象が不動産の場合,否認による返還は不動産自体でなければならず,それが不能な場合でない限り,金銭賠償(価格賠償)は認められないから,価格賠償を求める場合には,不動産自体の返還ができない事情を示す必要があるところ,原判決は,控訴人が本件不動産を破産会社から購入して他に売却した事実は認定しているものの,各売買代金を認定- 55 -せずに,漫然と固定資産税評価額の価格賠償を認めており,理由に不備があると主張する。 しかし,たとえ原判決に各売買代金が認定されていないとしても,控訴人が本件土地を破産会社から購入して他に売却した事実を認定している以上,本件土地自体の返還ができない事情が示されているというべきであるから,原判決に理由不備があるということはできず,控訴人の上記主張は採用することができない。 (6)控訴人は,仮に被控訴人による本件商標権譲渡に対する否認権行使の結果,本件商標権が破産財団に帰属した場合,控訴人が負担した本件商標の登録費用は,控訴人に対する関係で破産財団の不当利得となる,そうすると,控訴人は,被控訴人に対し,不当利得 渡に対する否認権行使の結果,本件商標権が破産財団に帰属した場合,控訴人が負担した本件商標の登録費用は,控訴人に対する関係で破産財団の不当利得となる,そうすると,控訴人は,被控訴人に対し,不当利得返還請求権に基づき,登録費用分の返還請求権を有していることになる,したがって,控訴人は,上記不当利得返還請求権と被控訴人の本件土地譲渡による不当利得金85万円とを対当額において相殺すると主張する。 しかし,たとえ控訴人が被控訴人に対し,自働債権として不当利得返還請求権(本件商標の登録費用分の返還請求権)を有しているとしても,受働債権とされる本件土地譲渡による不当利得金85万円は,破産債権者である控訴人が本件土地譲渡を破産管財人によって否認された結果として生じた価格償還債務であるから,破産債権者が破産宣告後に破産財団に対して負担した債務に該当するものにほかならず,旧破産法104条1号により相殺が禁止されるというべきである。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 反訴請求について控訴人は,原判決が,破産会社が控訴人に対して本件商標権の使用権を許諾した時期や内容等が具体的に明確ではなく,破産会社が控訴人に本件商標使用権の許諾をしたことを認めるに足りる的確な証拠はないとするが,破産会社は- 56 -控訴人に対し本件商標の類似商標に当たる第1商標の使用を許諾していたものであり,また,本件商標権は控訴人が使用するためにのみ(控訴人が使用する目的で)登録されたのであるから,登録時に破産会社の控訴人に対する使用許諾があったことは明らかである,そして,許諾の時期については,本件商標が第1商標の代替物であり,第1商標と本件商標の使用には連続性があることから,本件商標の登録時に使用許諾があったというべきである,また,原審認定のとおり,破 ,そして,許諾の時期については,本件商標が第1商標の代替物であり,第1商標と本件商標の使用には連続性があることから,本件商標の登録時に使用許諾があったというべきである,また,原審認定のとおり,破産会社と控訴人は本店所在地が同一である上,破産会社の代表者であったCおよびその弟で取締役であったDが,控訴人の経営に実質的に関与していたのであるから,控訴人が本件商標の使用を開始した時点で破産会社も使用の事実を当然了知していたことは明らかであり,遅くともその時点で使用許諾があったものというべきであると主張する。 しかし,第1商標については,破産会社は,自らその使用をする一方で,控訴人の使用について異議を述べず,控訴人が破産会社に対しその使用料を支払った事実も認められないものであるが,一方,破産会社が控訴人にその使用権を許諾した時期や内容等が具体的に明確であるものではなく,こうした事実関係から,ほぼ同一とはいえあくまで異なる別個の商標である本件商標につき,その時期や内容等が具体的に明確でない使用権の許諾を当然に認めることはできない。本件商標につき,否認権行使の対象となったものの破産会社から控訴人に対し譲渡がなされていると認められることも,本件商標の使用権の許諾がされたこととは沿わない事実である。そして,仮に控訴人が本件商標の使用を開始した時点で破産会社も使用の事実を了知したものと認められるとしても,以上の説示に照らせば,使用許諾の事実まで認定できるとすることはできず,破産会社が控訴人に本件商標の使用権の許諾をしたことを認めるに足りる的確な証拠もない。 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 結語- 57 -以上のとおりであるから,被控訴人の本訴請求は,主文第1項(1)(2)(3)の限度で理由があり,その余は失当として棄却 以上によれば,控訴人の上記主張は採用することができない。 結語- 57 -以上のとおりであるから,被控訴人の本訴請求は,主文第1項(1)(2)(3)の限度で理由があり,その余は失当として棄却すべきである。また控訴人の反訴請求は全部失当として棄却すべきである。 よって,本件控訴に基づき原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官中野哲弘裁判官今井弘晃裁判官田中孝一
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