平成16(行ウ)267 公文書不開示処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年3月23日 東京地方裁判所 情報公開
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判決文本文19,454 文字)

- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告外務大臣が原告に対して平成16年3月31日付けでした昭和48年4月付けで外務省条約局・アメリカ局が作成した「日米地位協定の考え方」及びその後の改訂版に関する不開示決定を取り消す。 被告国は原告に対し,金100万円及びこれに対する平成16年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号,以下「情報公開法」という)に基づき被告外務大臣に対して。 行政文書の開示を請求したところ,同法所定の開示又は不開示の決定の期限を経過して同法8条に基づき不開示決定がなされた後,これが自庁取消しされ,理由を変えて再度不開示決定がなされたことから,原告が,被告外務大臣に対し,当該不開示決定の取消しを求めるとともに,開示請求に対する開示又は不開示の決定が期限に遅れたことによる応答義務の履行遅滞及び行政文書が存在し又は同法所定の不開示事由が存在しないにもかかわらず不開示決定がなされたことによる国家賠償法に基づく損害賠償(遅延損害金の起算点は,違法行為の終期)を求めた事案である。 法令等の定め(1)情報公開法5条3号情報公開法5条本文は「行政機関の長は,開示請求があったときは,開,(「」。)示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報以下不開示情報というのいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書- 2 -を開示しなければならない」旨規定し,同条3号は,当該不開示情報の一。 つとして「公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しく,は国際機関との信頼関係が損なわれるお 政文書- 2 -を開示しなければならない」旨規定し,同条3号は,当該不開示情報の一。 つとして「公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しく,は国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を規定している。 (2)情報公開法8条情報公開法8条は「開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存,,,在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる」旨規定している。 。 (3)情報公開法10条情報公開法10条1項本文は,行政機関の長は,開示請求に対する開示又は不開示の決定を「開示請求があった日から30日以内にしなければなら,ない」旨規定するとともに,同条2項は「前項の規定にかかわらず,行政。 ,機関の長は,事務処理上の困難その他正当な理由があるときは,同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる。この場合において,行政機関の長は,開示請求者に対し,遅滞なく,延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない」旨規定している。 。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)処分に至る経緯等ア原告は,平成15年9月5日付け行政文書開示請求書により,被告外務大臣に対して,情報公開法3条に基づき,昭和48年4月付けで外務省条約局・アメリカ局が作成した「日米地位協定の考え方(以下「本件旧文」書」という)及びその後の改訂版(以下「本件新文書」といい,これと。 本件旧文書とを併せて本件各文書というの開示を求めた以下本,「 カ局が作成した「日米地位協定の考え方(以下「本件旧文」書」という)及びその後の改訂版(以下「本件新文書」といい,これと。 本件旧文書とを併せて本件各文書というの開示を求めた以下本,「」。)(「- 3 -件開示請求」という。上記開示請求書は,平成15年9月8日,被告外。)務大臣に到達した(以上につき,乙1)。 イ被告外務大臣は,情報公開法10条2項に基づき,開示請求に係る業務が集中しており,事務処理上の困難があるためとして,平成15年10月7日付けで,開示又は不開示の決定までの期間を同年11月7日まで延長する旨の決定をし,同年10月7日付け「開示決定等の期限の延長等について(通知」と題する書面により,原告に対して,これを通知した(甲)3。 )ウ被告外務大臣は,平成15年11月14日付けで,本件各文書について「本件開示請求の対象となる可能性のある文書の存否を明らかにすることにより,我が国と米国との信頼関係を損ない,また日米安保体制の円滑な運用が阻害されることによって我が国の安全を害するおそれがある」ことから,本件各文書が存在しているか否かを答えるだけで,情報公開法5条3号に該当する不開示情報を開示することとなるとして,同法8条,9条2項に基づき,本件各文書の存否を明らかにせず,本件開示請求を拒否する旨の不開示決定以下当初不開示決定というをし同日付け行(「」。),「政文書開示決定等通知書」と題する書面により,原告に対して,これを通知した。 エ原告は,平成16年2月16日,当裁判所に対して,当初不開示決定の取消しを求める訴訟を提起した。 オ被告外務大臣は,平成16年3月31日付けで,当初不開示決定を取り消すとともに,本件旧文書については,当該文書の不存在を理由として,本件新文 て,当初不開示決定の取消しを求める訴訟を提起した。 オ被告外務大臣は,平成16年3月31日付けで,当初不開示決定を取り消すとともに,本件旧文書については,当該文書の不存在を理由として,本件新文書については「我が国と米国の間の協議事項に係る外務省内の,考え方,両国間の協議の内容等に関する記述が含まれており,公にすることにより米国との交渉上不利益を被るおそれ及び米国との信頼関係を損なうおそれがある」ことから,情報公開法5条3号に該当するとして,いず- 4 -,(「」。)れも同法9条2項に基づき不開示とする決定以下本件決定というをし,同日付け「行政文書開示決定等通知書」と題する書面により,原告に対して,これを通知した。 カ前記エの訴訟については,平成16年6月6日,当初不開示決定が被告外務大臣により取り消されたため,訴えの利益が消滅したとして,原告の訴えを却下するとの判決がなされた(なお,同判決は同年7月1日に確定している。 。)キそこで,原告は,平成16年6月25日,本訴を提起した。 (2)新聞報道の内容等ア平成16年1月13日のA朝刊には,外務省元幹部からの取材に基づく報道として,昭和48年4月付けで外務省条約局・アメリカ局が作成したとする「日米地位協定の考え方」と題する文書(以下「本件報道1」という)が掲載された(なお,本件報道1が本件旧文書の内容を示すもので。 あるか否かについては,争いがある(甲2。 。))イ平成16年7月27日,29日,31日,同年8月3日,5日,7日,10日,12日,及び,14日の各A朝刊には,昭和48年4月付けで外務省条約局・アメリカ局が作成したとする「日米地位協定の考え方」と題する文書に,その後10年間の状況の変化を踏まえ条約課担当事務官が補加筆を行ったものであるとする A朝刊には,昭和48年4月付けで外務省条約局・アメリカ局が作成したとする「日米地位協定の考え方」と題する文書に,その後10年間の状況の変化を踏まえ条約課担当事務官が補加筆を行ったものであるとする「日米地位協定の考え方」増補版と題する文書(以下「本件報道2」という)が連載された(なお,本件報道2が。 本件新文書の内容を示すものであるか否かについては,後記のとおり被告らは認否しないとしている(甲4の1ないし4の9。 。)) 争点 本件の主要な争点は,次のとおりであり,これに関して摘示すべき当事者の主張は,後記第3「争点に対する判断」において掲げたとおりである。 (1)本件旧文書の存否(外務省は本件旧文書を保有しているか否か)。 - 5 -(2)本件新文書の情報公開法5条3号該当性(本件新文書の内容は情報公開法5条3号所定の不開示情報に当たるか否か)。 (3)原告の損害賠償請求の可否及びその額(原告は,本件開示請求に対する開示又は不開示の決定が期限に遅れたことによる応答義務の履行遅滞及び本件旧文書が存在し又は本件各文書に記載された情報が不開示情報に該当しないにもかかわらず本件決定がなされたことによる国家賠償法に基づく損害賠,。 償請求として開示請求権の侵害による損害の賠償を求めることができるかまた,その額はいくらか)。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件旧文書の存否)について(1)原告の特定する本件旧文書とは,昭和48年4月付けで,外務省条約局及びアメリカ局が作成した,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊(,「」。)の地位に関する協定昭和35年条約第7号以下日米地位協定というについての考え方を書き表した行政文書である。これに対 障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊(,「」。)の地位に関する協定昭和35年条約第7号以下日米地位協定というについての考え方を書き表した行政文書である。これに対して,被告らは,本件旧文書は外務省の所管課に保管されていないので,不存在である旨反論している。 そこで,勘案するに,以下のとおり,当該文書を本件決定時において外務省が保有していることを認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。 (2)アまず,本件旧文書が作成されたとされる昭和48年当時,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する事項を所管していた部署は,昭和49年法律第62号による改正前の外務省設置法(昭和26年法律第283号)5条1項並びに昭和49年政令第61号による改正前(),の外務省組織令昭和27年政令第385号15条及び17条によれば- 6 -アメリカ局安全保障課であった。 その後,その所管は,昭和54年法律第69号による上記外務省設置法の改正及び同年政令第295号による上記外務省組織令の改正により,同法5条1項及び同令15条に基づき北米局安全保障課に,平成元年政令第135号による上記外務省組織令の改正により,同令41条,44条及び44条の2に基づき北米局地位協定課に,平成5年政令第266号による上記外務省組織令の改正により,同令49条及び52条に基づき北米局日米安全保障課に,それぞれ変更となった。また,平成10年に外務省内部部局組織規程(昭和51年外務省令第3号)が平成10年外務省令第6号によって改正されたことにより,同規程51条に基づき北米局日米安全保障課日米地位協定室が設置されて,同室がこれを所管することとなった。 さらに,平成1 51年外務省令第3号)が平成10年外務省令第6号によって改正されたことにより,同規程51条に基づき北米局日米安全保障課日米地位協定室が設置されて,同室がこれを所管することとなった。 さらに,平成12年6月7日に新たに定められた外務省組織令(平成12年政令第249号)及び同年に上記外務省内部部局組織規程に代わって定められた外務省組織規則(平成13年外務省令第1号。なお,これは当初平成12年中央省庁等改革推進本部令25号として公布されたものである)により,上記外務省組織令(平成12年政令第249号)52条及。 び55条並びに同規則32条に基づき日米安全保障条約課日米地位協定室がこれを所管することとなった。 イ次に,昭和48年当時,外務省内における行政文書の管理・保管等を所管していた部署は,昭和49年政令第61号による改正前の前記外務省組織令(昭和27年政令第385号)1条1項及び3条によれば,大臣官房文書課であった。 その後,その所管は,平成5年に同令が同年政令第266号によって改正されたことにより,その15条1項及び16条に基づき大臣官房総務課に変更となった。また,前記外務省組織令(平成12年政令第249号),,,,においてもその3条1項17条1項及び18条においてその所管は- 7 -大臣官房総務課であることが定められている。 ウそして昭和48年以降の外務省内の行政文書の保管方法等は証拠乙,,(13の1及び13の2,14,15)及び弁論の全趣旨によれば,昭和48年当時は,大臣官房文書課に引き継がれた文書は外務省文書編さん規程(昭和36年9月1日施行)及びその細則としての外務省文書編さん規程施行細則並びに外務省記録及び記録文書保管,保存,廃棄規程(昭和36年9月1日施行)に基づき保管等が行われており,他方で,大臣官房文 (昭和36年9月1日施行)及びその細則としての外務省文書編さん規程施行細則並びに外務省記録及び記録文書保管,保存,廃棄規程(昭和36年9月1日施行)に基づき保管等が行われており,他方で,大臣官房文書課に引き継がれる前の文書は,実務慣行上当該文書を所管する課の長の裁量にゆだねられており,その後,昭和55年に外務本省主管文書,記録文書管理規程(昭和55年外務省訓令第6号)が制定されてからは,同規程に基づき保管等が行われることとなったことが認められる。 エ以上によれば,本件においては,仮に,本件旧文書が存在し,かつ,現在まで保管されていた場合には,日米地位協定の所管課である北米局日米安全保障条約課日米地位協定室又は文書保管の所管課である大臣官房総務課において保管されていることになる。 ところが,本件開示請求時以降本件決定時に至るまで,両課においては()。 ,本件旧文書を発見できなかったことが認められる弁論の全趣旨また仮に,本件旧文書が存在し,昭和48年以降,本件旧文書が所管課長の裁量により大臣官房文書課に引き継がれていた場合には,それが永久保存文書には当たらないことから,保存期間が10年以下のものとして取り扱われていた(乙14)ことになり,昭和55年以降,本件旧文書が執務上の常用性を失った場合には,大臣官房文書課に引き継がれた上,それが永久保存文書には当たらないことから,保存期間が10年以下のものとして取り扱われていた(乙15)ことになるというのであるから,そうであるとすれば,仮に本件旧文書が存在していたと仮定しても,保存期間の満了により既に廃棄されたとみるのは不自然ではない。原告は本件報道2を挙げ- 8 -て本件旧文書を改訂した本件新文書が昭和58年ころに作成されたというのであるから,これを前提とすれば,なおさらである。 他 り既に廃棄されたとみるのは不自然ではない。原告は本件報道2を挙げ- 8 -て本件旧文書を改訂した本件新文書が昭和58年ころに作成されたというのであるから,これを前提とすれば,なおさらである。 他方で,本件旧文書の外形的内容及び本件新文書は存在していることからして,本件旧文書が外務省において作成され保管されていたとしても必ずしも不自然ではない面もあり,加えて原告は,本件旧文書の内容を示すものであるとして本件報道1(甲2)を挙げてはいるが,これらによっても,本件決定時に本件旧文書を外務省が保有していたということを認めるに足らず,他に同事実を認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。 (3)よって,本訴請求のうち,本件旧文書に係る本件決定の取消しを求める部分には理由がない。 争点(2)(本件新文書の情報公開法5条3号該当性)について(1)ア情報公開法5条3号は「公にすることにより,国の安全が害されるお,それ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認」。 めることにつき相当の理由がある情報を不開示情報として規定しているこの規定は,我が国の安全,他国との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保することが,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これらの利益を十分に保護する必要があることから設けられた規定であると解される。 そして,このような同号の立法趣旨及び同号が「おそれがある情報」と規定されず「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定されていることにかんがみれば,同号該当性の判断については,当該情報が一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,開示・不開示の判断に高度の の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定されていることにかんがみれば,同号該当性の判断については,当該情報が一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴うことからして,同号該当性に関する司法審査の場においては,裁判所は,同号に規定する情報に- 9 -該当するか否かについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうか,すなわち,開示・不開示の決定に全く事実の基礎を欠き,あるいは,社会通念上著しく妥当性を欠くなどの裁量権の逸脱ないし濫用があると認められる点があるかどうかを判断するという審査方法によるべきであると解される。 したがって,当該不開示決定の取消訴訟においては,同号該当性を否定する原告が,上記裁量権の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実について主張・立証する責任を負うというべきである。 イこの点,原告は,情報公開法案の国会審議における政府委員の答弁として,同号に該当する情報であるか否かの判断の合理性については「行政機関の方で立証」する旨の発言があること(甲8の3)をもって,不開示決定の取消訴訟における同号該当性の判断についての立証責任は,被告らが当該判断に合理性があることについて負うべきである旨主張する。 しかし,当該発言は「情報公開の訴訟におきましての立証責任の問題,につきましては,この問題については裁判所は行政機関の第一次的な判断が合理性を有するかどうかといったことについて判断をするわけでございます」との発言に引き続いて行われたものであり,その後にも「合理的。 な理由を有する限度であればそういったものにつきましては行政機関の判断が尊重されるというような仕組みになっておるわけでございます」と 」との発言に引き続いて行われたものであり,その後にも「合理的。 な理由を有する限度であればそういったものにつきましては行政機関の判断が尊重されるというような仕組みになっておるわけでございます」と。 の発言が続いている(以上甲8の3)ことからしても,当該発言は,立証責任に関する上記アと同様の解釈を国会審議の場において平明に表現するための手法としてとられたものにすぎず,実質的には上記アの解釈と何ら変わるものではないものというべきであるから,原告の上記主張を採用することはできない。 なお,原告は,外務省において,行政手続法5条を受けて「行政機関の- 10 -保有する情報の公開に関する法律に基づく開示決定等に関する審査基準」を設けていることを挙げて,上記主張を裏付けるものとして援用するが,当該基準を設けているとしても,立証責任について触れているものではなく(弁論の全趣旨,当該基準を設けること自体は,立証責任の問題とは)次元の異なることであるから,上記の点も原告の上記主張を裏付けるものとはならない。 ウもっとも,不開示事由の存否が問題となる文書がそもそも請求者及び裁判所の目に触れる状況に置かれることがないのであるから,当該文書自体を開示できないことにもかんがみて,当該文書の外形的事実等から判断される一般的,類型的にみた限りの当該文書の性質として「国の安全が害,されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある」と行政機関の長が判断をし得る情報が記録されているものであることについては,処分行政庁(現行行政事件訴訟法により国が被告となる場合には国。以下同じ)において,主張・立証することを要するものと解すべきである。 。 そして,被告らは,本件新文書は日米地位協定に関す については,処分行政庁(現行行政事件訴訟法により国が被告となる場合には国。以下同じ)において,主張・立証することを要するものと解すべきである。 。 そして,被告らは,本件新文書は日米地位協定に関する担当者の考え方を記した外務省の部内の参考資料であり,その全体にわたって,我が国と米国との間の協議事項に係る同省内の考え方や,両国間の協議の内容等に関する記述が含まれている旨主張しており,同文書の表題及び日米地位協定の内容並びに弁論の全趣旨にかんがみれば,同文書の概括的な記載内容は,被告らが主張するとおりであると推認することができる。よって,本件新文書は,その外形的事実等から判断される一般的,類型的にみた限りの当該文書の性質として「国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国,際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある」と行政機関の長が判断をし得る情報が記録されているものであると認められる。 - 11 -(2)ア以上を前提に,本件新文書の情報公開法5条3号該当性についての被,,告外務大臣の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったか否かについて以下検討する。 イ(ア)被告らは,本件新文書が存在すること自体は認めているものの,本件報道2との同一性については,本件新文書が不開示情報に該当するこ,,との当然の帰結として認否することができない旨主張しこれを受けて原告は,両者の同一性が認められないならば被告らはこれを否認すればよい以上,被告らが認否拒否の態度をとったことは,両者の同一性を認めたことにほかならない旨主張する。 この点,通常の訴訟であれば,当事者が同一性についてあえて認否をしないとの訴訟態度をとった場合には,両者の同一性が推認される可能性が高いものと思われる。しかし,本件のように,情 ならない旨主張する。 この点,通常の訴訟であれば,当事者が同一性についてあえて認否をしないとの訴訟態度をとった場合には,両者の同一性が推認される可能性が高いものと思われる。しかし,本件のように,情報公開に関する訴訟において,不開示情報該当性が問題とされている場合には,開示ができないとする情報につき内容の同一性を問われて答えることは,自己矛盾となるという事柄の性質上,このような訴訟態度をとっているからといって直ちに両者の同一性を推認することはできないものというべきである。 (イ)また,原告は,本件報道2は本件新文書の内容を示すものであり,その内容にかんがみれば,これを秘匿する理由はなく,情報公開法5条3号所定の不開示情報には当たらない旨主張する。 しかし,仮に本訴における二当事者対立構造の下で提出された証拠により両者の同一性を訴訟法上の心証の程度において認定することが理論上は可能であるとしても,実際これが行われた場合,当該認定のみによって,不開示情報該当性の判断をする前に,本件新文書を本訴の結果として「公に」してしまうことになり,必然的に同号に該当する可能性がなくなってしまうことになるから,本訴において,本件新文書の内容と- 12 -本件報道2との同一性を検討することは,同号を不開示情報として定めた趣旨を没却してしまうので,これを行うべきものではない。換言するならば,一定の要件の下で不開示情報を定めている文書公開の制度の趣旨にかんがみると,原告は,本件新文書にどのような類型の情報が記載されているかをもって裁量権の逸脱又は濫用を主張・立証すべきであり,情報公開に関する訴訟においては,結果的に,文書保有者である外務省に対し,不開示情報と主張する情報を開示せしめるのと同一の結果を強いるような事実認定を導くための主張・立証は許されないも べきであり,情報公開に関する訴訟においては,結果的に,文書保有者である外務省に対し,不開示情報と主張する情報を開示せしめるのと同一の結果を強いるような事実認定を導くための主張・立証は許されないものというべきである。 (ウ)さらに,本件報道2が本件新文書の内容を示しているので既に秘匿性が失われたことになるから,情報公開法5条3号所定のおそれは今さら生じない,ともいうことはできない。 上記原告の主張は,両者の同一性をその前提としているが,前記(ア)のとおり,本訴における被告らの訴訟態度によってはこれを肯定できないところであるし,本訴外において「公に」されている本件報道2の内容が,本件新文書の記載内容であることが裁判所に顕著である場合とはいえない本訴において,両者の内容の比較等によって,両者の同一性から本件新文書の秘匿性の喪失を立証しようとすることは,被告らの反論の途を実質的に封殺し,かつ,両者の同一性に係る裁判所による認定を通じて秘匿性が喪失されることになるにほかならない。そうすると,結果的に,文書保有者である外務省に対し,不開示情報と主張する情報を開示せしめるのと同一の結果を強いるような事実認定を導くことになるので,上記(イ)と同様に,情報公開法5条3号を不開示情報として定め,。 た趣旨を没却してしまい許されないものというべきであるからであるまた,いかに本件報道2が外務省元幹部と称する者からの取材に基づく報道との位置付けで新聞に掲載された長文にわたる詳細な文書であった- 13 -としても,これをもって直ちにこれが本件新文書に記載されているのと同様の類型の情報に当たり,当該文書の内容が既に「公に」されているともいえない。 ウそこで,進んで検討するに,日米地位協定は,その各条項の内容に照らせば,日本国とアメリカ合衆国との間の相 いるのと同様の類型の情報に当たり,当該文書の内容が既に「公に」されているともいえない。 ウそこで,進んで検討するに,日米地位協定は,その各条項の内容に照らせば,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)の目的達成のため我が国に駐留する米軍の円滑な行動を確保するとの目的で,米軍による我が国における施設及び区域の使用並びに我が国における米軍の地位について規定したものであって,その解釈・運用は我が国の安全保障体制の根幹にかかわる高度に政治的な判断に基。 ,,づくものといえるそして日米地位協定のような条約の解釈を巡っては締約国間で見解の相違が生ずる可能性は常に存在し,その解釈内容いかんによっては締約国の国益に重大な影響が及ぼされることになる蓋然性が高い。 また,日米地位協定の個々の条項に関連して発生する問題は,在日米軍の駐留を受け入れている限りは,我が国と米国との信頼関係に基づき,今後とも我が国として直面し取り組むことが求められているといわざるを得ないものである。 さらに,日米地位協定25条1項は「この協定の実施に関して相互間,の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として,合同委員会を設置する」旨規定しており,第1回日。 米合同委員会においても,同委員会における協議内容については,日米両国間での合意なくして公表することができない旨が合意されている(乙17,25)ところであるから,日米両国の合意がないにもかかわらず当該合同委員会での合意事項を一方的に公表することは,国家間の信頼関係を崩すものとして許されないと考えられる。 そうすると,本件新文書は,被告外務大臣が,本件新文書を公にするこ- 14 -とにより日米両国間の協議事項に係る外務省内の考え方や両国間の協 家間の信頼関係を崩すものとして許されないと考えられる。 そうすると,本件新文書は,被告外務大臣が,本件新文書を公にするこ- 14 -とにより日米両国間の協議事項に係る外務省内の考え方や両国間の協議の内容等が明らかとなれば,米国との交渉上我が国が不利益を被るおそれや我が国と米国との信頼関係を損なうおそれがある(情報公開法5条3号所定の不開示情報の前提となる「おそれ」がある)と判断したことには,その裁量権の逸脱又は濫用があったとは認められない。 (3)これに対して,原告は,種々の観点から,被告外務大臣の上記判断の不合理性を主張するので,以下において,更に検討する。 ア原告は,条約の解釈は承認を受ける際の国会審議において議論されてきたものであり,直接に国会審議において問題とされていなかった記載部分が本件新文書にあったとしても,それが国会における審議内容を実質的に変更するような重要なものであったのでは,国会の承認は無に帰することになるから,本件新文書の記載内容のうち未公表部分は,既に公表された説明を敷衍し,又はこれを補足する程度の意味しか持たないものと考えられ,また,いまだ締結前というならば格別,既に締結された条約について,,の考え方を公表したとしても我が国の国益が損なわれることにはならずさらには,法令の解釈の本質は第三者を納得させるだけの論拠の提示を含む主張であって,客観的資料により確認し得る事実ないしその評価でなければ,解釈論の論拠としての機能を果たし得ない旨主張する。 しかしながら,上記(2)ウのとおり,条約の解釈における事情を踏まえると,対等の主権国家間で締結された条約の個々の条項の解釈について,部内的な検討を含め,自国の見解をその内容にかかわらず対外的に明らかにしてしまうことは,当該条約の締結国との交渉における自己の立場を ると,対等の主権国家間で締結された条約の個々の条項の解釈について,部内的な検討を含め,自国の見解をその内容にかかわらず対外的に明らかにしてしまうことは,当該条約の締結国との交渉における自己の立場をあらかじめ他の締結国に知らしめることにほかならず,それにより交渉も我が国が期待するようにとり進めることが困難となり,自国の利益を損ないかねないことは明らかである。また,同様に,国会審議においても,外交交渉上の我が国の立場や我が国と相手国との信頼関係にかんがみて必要が- 15 -あると判断された場合には,個別の論点に関しては必要に応じた限度での答弁がなされているのであって,外交機密を含むすべての情報が開示されているわけではない以上,国会において審議されていない部分について,当然に公表すべきことにはならない。さらには,個々の主張が説得力を持つためには,その内容が公表されている必要があるということもできず,むしろ,外交交渉においては公表されていない自国の考え方をいついかなる時点で相手国に伝えるかという点も重要となる。 よって,原告の上記主張を採用することはできない。 イまた,原告は,日米地位協定の実施に関する協議と各条項の解釈に関する協議とは異なり,前者を取り扱う日米合同委員会の協議内容を公表でき,,ないとしてもこれと後者を取り扱う本件新文書とでは対象が異なるから国会における条約の承認の際に考慮の対象とされた条約の解釈内容が国会に対して秘匿されることがないのと同様に,米国に対してもこれを秘匿すべき理由はない以上,これを公表しても米国との信頼関係を損なうおそれはない旨主張する。 しかし,上記アのとおり,解釈内容について当然に公表すべきことにはならない上に,前記(1)ウのとおり,本件新文書の内容には我が国と米国との間の協議事項に係る同省内の考 なうおそれはない旨主張する。 しかし,上記アのとおり,解釈内容について当然に公表すべきことにはならない上に,前記(1)ウのとおり,本件新文書の内容には我が国と米国との間の協議事項に係る同省内の考え方や両国間の協議の内容等に関する記述が記載されているものと考えられる以上,原告の上記主張はその前提を欠くものであって,採用できない。 ウさらに,原告は,本件報道2によれば,本件新文書は日米地位協定に関する国会答弁の内容それ自体及び国会において答弁することを予定した内容であるから,基本的には既に公になっている事項を改めて整理し直したものにすぎず,その内容も,すべて日米合同委員会による調整を経た内容であって,本件新文書を公表したとしても,米国との信頼関係を損なうことにはならない旨主張し,これにそう証拠として,本件報道1及び2に係- 16 -る新聞報道(甲2,4の1ないし4の9,5)を挙げる。 しかしながら,前記(2)イ(ウ)のとおり,本件報道2が本件新文書の内,,,容を示すものであるとは直ちにはいえずまた前記(2)イ(イ)のとおり本件報道2が本件新文書の内容を示すものであるか否かを本訴において審,。 理することは相当ではないからそもそも原告の上記主張は採用できないなお,原告の主張する本件報道1及び2に係る新聞報道をみて,これと同類型の内容が本件新文書に記載されているものと仮定してみたとしても,同報道には,国会審議等で言及されたことのない日米間の協議内容や,日米地位協定の解釈に係る日米間の不一致事項,米国や我が国の他省庁の見解の推測,外務省と他省庁との協議内容,我が国の未公表の解釈指針,未,,公表の技術的事項に関する取決めの存在国会答弁の内容を論難する記載日米間の解釈問題等に関する未公表の対立経緯,我が国が採用する解釈の有す 省と他省庁との協議内容,我が国の未公表の解釈指針,未,,公表の技術的事項に関する取決めの存在国会答弁の内容を論難する記載日米間の解釈問題等に関する未公表の対立経緯,我が国が採用する解釈の有する不利益な問題点等が記載されており,本件新文書に同類型の内容が記載されていた場合には,これを公にすることにより,米国との交渉上我が国が不利益を被るおそれや我が国と米国との信頼関係を損なうおそれがあるものといえるから,結論において前記(2)ウの判断を左右するものではない。 エ加えて,原告は,文書の偏在という事情にかんがみれば,仮に裁量権の逸脱又は濫用についての主張立証責任を原告が負うとしても,それとは別途,被告らの側において,まず「国の安全が害されるおそれ,他国若し,くは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある」との判断に不合理な点のないことを相当の根拠,資料に基づき主張・立証する必要があり,被告らがその主張・立証を尽くさない場合には,被告外務大臣がした同判断に不合理な点があることが事実上推認されるべきである旨も主張する。 しかし,原子炉設置の安全性に関する判断のような専門技術的な裁量判- 17 -断についてならば格別(最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決・民集46巻7号1174頁,本件のような政治的,政策的な裁量判断)については,原告主張のような考え方が直ちに当てはまるといえるかは問題であるばかりか,そもそも問題となっている文書内容自体を公にできない本件においては,前記(1)ウのとおり,被告らにおいては,当該文書の外形的事実等から判断される一般的,類型的にみた限りの当該文書の性質として「国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関,係が損なわれるおそれ又は とおり,被告らにおいては,当該文書の外形的事実等から判断される一般的,類型的にみた限りの当該文書の性質として「国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関,係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある」と行政機関の長が判断をし得る情報が記録されているものであることを主張立証する責任を負うにとどまるまた前記(2)イ(イ),。 ,のとおり,具体的な文書の記載内容の同一性による立証が問題となる余地はなく,当該文書の類型的な内容をもって不開示情報該当性の審理を行うべきものであって,具体的な文書の偏在という事態は想定されない。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 (4)以上によれば,本訴請求のうち,本件新文書に係る本件決定の取消しを求める部分にも理由がない。 争点(3)(原告の損害賠償請求の可否及びその額)について(1)情報公開法10条1項本文は,開示請求から30日以内に行政機関の長が当該開示請求に対する開示又は不開示の決定をすべき旨を規定し,同条2項は,その例外事由の一つとして,事務処理上の困難その他正当な理由があるときは,行政機関の長が,開示請求者に対し,遅滞なく,延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならないとしつつ,開示又は不開示の決定までの期間を更に30日以内に限り延長することができる旨を規定している。また,上記の期限の唯一の特例として,同法11条において,開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため,開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著- 18 -しい支障が生ずるおそれがある場合には,前条(同法10条)の規定にかかわらず,行政機関の長は,開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分に について開示決定等をすることにより事務の遂行に著- 18 -しい支障が生ずるおそれがある場合には,前条(同法10条)の規定にかかわらず,行政機関の長は,開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をすれば足り,この場合において,行政機関の長は,同法10条1項に規定する期間内に,開示請求者に対し,同法11条を適用する旨及びその理由並びに残りの行政文書についての開示決定等をする期限を書面により通知しなければならないと規定されている。 ところで,前記前提事実(第2の2)(1)のとおり,本件開示請求に対する外務大臣による開示又は不開示の決定は,事務処理上の困難を理由に延長された期限である平成15年11月7日を7日間経過した同月14日付けで行われている。また,外務大臣は,平成16年3月31日付けで,当初不開示決定を取り消した上で,同日付けで本件決定を行っている。 そして,原告は,本件開示請求に対する開示又は不開示の決定が期限に遅れて本件決定が行われた平成16年3月31日まで応答をすべき義務の履行遅滞があったこと及び本件旧文書が存在し,又は本件各文書に記載されている情報が不開示情報に該当しないにもかかわらず,本件決定がなされたことを国家賠償を基礎付ける違法性として主張する。 しかし,外務大臣が当初不開示決定を自庁取消しして本件決定を行ったことについて,当初内容を精査することなく不誠実な決定を拙速に行い,後に熟慮して決定を覆して,開示又は不開示の決定の期限が定められ早期に情報を公開することとした情報公開法の趣旨を没却したなどの特段の事情を,原告は何ら主張・立証していない。また,前記1及び2のとおり,本件決定には実体的な違法事由は認められない。一方,既に述べたとおり,情報公開法には上記の期限の延長又は行政文書が著しく大量であ 事情を,原告は何ら主張・立証していない。また,前記1及び2のとおり,本件決定には実体的な違法事由は認められない。一方,既に述べたとおり,情報公開法には上記の期限の延長又は行政文書が著しく大量である場合の期限の特例(同法11条)以外には,当該期間の再延長等に関する規定が置かれてはおらず,被告国は,本件開示請求の対象となる行政文書が著しく大量である旨の主張をしていない。 - 19 -そこで,以下,損害賠償請求の根拠となる可能性の残っている,本件開示請求に対し,延長後の期限から本件開示請求に対する当初不開示決定が行われた日までの上記7日間,外務大臣の決定が遅れたこと自体が,故意又は過失によって違法に原告に損害を加えたといえるか否かの点について検討する。 (2)アこの点,原告は,外務大臣が情報公開法の許容する制限期間内に応答する義務を遵守することは適正手続の基本であり,この履行遅滞は,原告に保障された所定の手続により行政文書の開示を受けることを求める法律上の利益を侵害するものであって,外務大臣の故意又は過失によるものにほかならないから,これにより原告が被った少なくとも100万円の損害について賠償すべきであるとしている。 これに対して,被告国は,国家賠償法(昭和22年法律第125号)1条1項の「違法」とは,権利ないし法益の侵害があることを前提に,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別に国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することを意味するところ,情報公開制度においては,その職務に当たる公務員が負担する義務は,情報公開法が適正な行政の運用の監視,確保という国民全体の一般的利益の実現を目的とする以上,そのような目的の下に国民一般に対して負うものであって,開示請求者を含む個別の国民等に対する職務上の法的義務ではないから,国家賠 政の運用の監視,確保という国民全体の一般的利益の実現を目的とする以上,そのような目的の下に国民一般に対して負うものであって,開示請求者を含む個別の国民等に対する職務上の法的義務ではないから,国家賠償請求は認められない旨主張する。 イそこで,案ずるに,いかに情報公開法の主たる目的が適正な行政の運用の監視,確保の実現にあり,そのために何人に対しても開示請求権を付与,,,しているとはいえ一度具体的な個人が情報開示請求を行った場合には当該個人は,情報公開法所定の期間内に自己の開示請求に対する開示又は,,不開示の決定を受ける法律上の利益を有するというべきであって同法も上記(1)のとおり,開示請求に対する決定を厳格な要件をもって期間内に- 20 -なすべきことを規定し,これに当たる公務員に迅速に対応すべき作為義務を負わせているのであるから,これを経過した場合には,当該個人に対する権利侵害を構成するものというべきである。 ウ(ア)この点に関して,被告国は,情報公開法は開示請求権を「何人」にも付与していること,開示請求者の地位,属性,開示目的等が開示又は不開示の決定の際に考慮されないこと等からしても,開示請求権は行政運営の監視及び透明性の確保という公益のために行使される公法的権利にすぎず,不開示決定に対して抗告訴訟を提起することができることとされたのは一種の擬制にすぎないのであって,各国民固有の具体的利益を保護するために付与されたものではないとしたり,本件における外務大臣の履行遅滞による原告の精神的苦痛は受忍限度の範囲内にあるからそもそも不法行為を構成しないとして,決定の遅れによる権利侵害は名目的なものにすぎないから,期限経過のみでは直ちには職務上の義務違反を構成しないなどと主張する。 しかし,具体的な開示請求をする以前においては当 法行為を構成しないとして,決定の遅れによる権利侵害は名目的なものにすぎないから,期限経過のみでは直ちには職務上の義務違反を構成しないなどと主張する。 しかし,具体的な開示請求をする以前においては当該開示請求権一般が行政運営の監視及び透明性の確保という公益のために行使されるべきものであるとはいえても,情報公開法の規定内容にかんがみれば,具体的な個人が具体的な開示請求を行った以上は,当該個人は,法定の期限内に当該開示請求に対する何らかの応答を受けることを期待でき,当該期待は法的保護に値するものというべきであるから,被告国の上記主張を採用することはできない。 (イ)さらに,被告国は,情報公開法所定の開示又は不開示の決定の期限は,開示請求者の内心の静穏な感情を害されないという私的利益の保護に向けられたものではないから,上記期限の経過のみでは開示請求者に対する私的利益に対応する義務違反を構成しないとも主張し,最高裁判所平成3年4月26日第二小法廷判決(民集45巻4号653頁)を引- 21 -用する。 確かに,法令自体に行政処分をするまでの「期限の定めがない場合」においては,一般的意味において,処分行政庁が申請に対して相当期間内に対応すべきであるにもかかわらず,これが不当に長期間にわたって放置されたような場合には,早期の処分を期待していた申請者が,不安,,感焦燥感を抱かされ内心の静穏な感情を害されるに至ることを根拠にこのような結果を回避すべき条理上の作為義務が想定され,当該条理上の作為義務違反として,客観的に処分行政庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分できなかったことのみならず,その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き,かつ,その間,処分行政庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに,これを回避する 必要と考えられる期間内に処分できなかったことのみならず,その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き,かつ,その間,処分行政庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに,これを回避するための努力を尽くさなかったことが当該処分行政庁に対する国家賠償上の違法性の主張として要求されることは考え得るところである。 しかしながら,開示請求から開示又は不開示の決定までの期間が厳格に法定され,例外的に期間を延長することができる事由についても限定列挙されている(前記(1))情報公開法に基づく開示請求の事案である,,,本件においては当該期間内に決定がなされなかった場合には当然に処分行政庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに,これを回避するための努力を尽くさなかったと評価することができるのであって,これに加えて,当該期間に比して更に長期間にわたり遅延が続いたことを作為義務違反の要件として更に要求する意義に乏しいもの,。 といわざるを得ないから被告国の上記主張を採用することはできない(3)もっとも,情報公開制度の目的が,政府の国民に対する説明責任の履行を確保するとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進を図ることにあり(情報公開法1条参照,これを受けて,しかる)べき期間が法定されているのであって,そもそも上記目的を達成すべく本件- 22 -開示請求が行われたとみるべきことになることからすれば,本件開示請求に係る原告の主観的な目的いかんにかかわらず,前記7日間程度の開示又は不開示の決定の遅滞は,社会通念上,金銭賠償に値するほどのものとまでは評価することができない。 したがって,結果としては,原告の金銭賠償請求は棄却すべきであるということになる。 以上によれば,原告の本訴各請求はいずれも理由 念上,金銭賠償に値するほどのものとまでは評価することができない。 したがって,結果としては,原告の金銭賠償請求は棄却すべきであるということになる。 以上によれば,原告の本訴各請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部大門匡裁判長裁判官関口剛弘裁判官菊池章裁判官

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