主文 被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、A(当時41歳)から金品を強奪しようと考え、Bと共謀の上、令和5年9月24日午後2時50分頃、三重県伊賀市(住所省略)路上において、軽四輪乗用自動車の運転席に乗車していた前記Aに対し、その身体をつかんでAを車外に引きずり出した上、その顔面を拳骨で数回殴り付け、足で踏み付け、その腹部等を数回蹴り、「殺してしまうぞ」、「逃げんな、逃げたらお前殺すぞ」と申し向けるなどの暴行脅迫を加えてその反抗を抑圧し、AからA所有の現金15万円を強奪し、その際、前記一連の暴行により、Aに全治まで約2週間を要する顔面打撲傷、左前額部挫創、右上眼瞼挫創の傷害を負わせ、さらに、Aを監禁した上、Aから金品を強奪しようと考え、C及びDと更に共謀の上、同日午後3時10分頃、同所において、前記の暴行脅迫により反抗を抑圧された状態にあった前記Aを、あらかじめ同所付近に待機させていた普通乗用自動車の後部座席中央に乗り込ませ、被告人及び前記Bがその両側に乗り込み、同車両を発進させ、前記Aの動静を監視するなどし、その頃から同日午後7時45分頃までの間、同所から京都府相楽郡(住所省略)茶畑を経由して大津市(住所省略)E公園に至るまでの同車両内及びその付近において、Aを走行中の同車両内等から脱出することを著しく困難にさせるとともに、その間、同車両内において、Aに対し、その首元等にナイフを突き付け、「おとなしくしていろ」、「どのカードが使えるの」、「カードの暗証番号なに」、「暗証番号間違ってたらぶっ殺すぞ」と申し向けるなどの暴行脅迫を加え、引き続き、その反抗を抑圧し、同車両内又は前記E公園において、AからA管理のキャッシ ードが使えるの」、「カードの暗証番号なに」、「暗証番号間違ってたらぶっ殺すぞ」と申し向けるなどの暴行脅迫を加え、引き続き、その反抗を抑圧し、同車両内又は前記E公園において、AからA管理のキャッシングカード2枚等3点を強奪した。 第2 被告人は、B、C、Dと共謀の上、Aから強奪したA名義のキャッシングカードを使用して現金を窃取しようと考え、令和5年9月24日午後5時56分頃から同日午後6時頃までの間、2回にわたり、大津市(住所省略)F店において、同所に設置された現金自動預払機に、前記A名義のキャッシングカード2枚を順次挿入して同機を作動させ、株式会社G銀行H支店支店長ほか1名管理の現金合計40万円を引き出してこれを窃取した。 (量刑の理由)強盗致傷の点については、共犯少年とともに、無抵抗の被害者の頭部や顔面等を殴ったり踏みつけたりした上、他の共犯者2名と合流した後も、寝袋を被せることで視界を奪い、被害者にむき出しのナイフを突きつけ、「殺す」などと恐怖心を強く煽る言葉を繰り返し用いた。危険で執拗な犯行であり、被害者に対し、いわれのない金銭の支払を約束する誓約書を書かせたことや、4時間半にもわたって監禁したことも考慮すると、本件は金に執着し、被害者の心身を軽んじた悪質な犯行というべきである。幸いにも怪我は重篤ではなかったものの、身体的な苦痛に加え、いつ解放されるかわからない状態に置かれ、殺されるかもしれないという強い恐怖を感じた被害者の精神的な打撃は相当大きかったと認められる。実質的に生じた財産的被害も合計55万円と多額である。また、犯行当日までは特に計画はなく、実際に暴行を開始し、その後被害者を解放するまでの一連の流れについては場当たり的な対応が多くみられたが、当初、まとまった金額がとれそうな被害者に目を付け、人気のない 、犯行当日までは特に計画はなく、実際に暴行を開始し、その後被害者を解放するまでの一連の流れについては場当たり的な対応が多くみられたが、当初、まとまった金額がとれそうな被害者に目を付け、人気のない山の中に呼び出すなどした点は、犯行を実現しやすくしたものというべきである。被告人自身の関わりについては、被害者を呼び出したり共に暴行を加えたりした共犯少年の役割を踏まえると、どちらも重要な役割を果たしており、被告人のみが本件を主導した首謀者であるとまでは認められない。一方で、強盗することを言い出し、被害者を呼び出す場所を決めたり、被害者を車外に引きずり出して暴行を始めたりした上、ATMで現金を引き出す役も引き受けるなど、積極的に犯行に及んでおり、本件について不可欠で重要な役割を担ったと認められるから、負 うべき責任は大きい。さらに、被告人は、事後強盗罪等につき執行猶予判決を受けたにもかかわらず、その後5か月足らずでより悪質な本件に及んだのであるから、より強い非難に値する。 これらの事情からすると、本件は同種事案(「実行共同正犯」「既遂」「傷害の程度2週間以内」「被害額10万円から100万円」)の中では中程度からやや重い部類に属する事案といえ、被告人が本件を認めて更生を誓っていることや、共犯者らにより被害の一部が事後的に回復されていること、前刑の執行猶予が取り消されることを踏まえても、被告人は主文の刑を免れない。 (求刑懲役9年) 令和6年7月2日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官西前征志 裁判官湯川亮 裁判官髙島菜緒 裁判官 湯川亮 裁判官 髙島菜緒
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