平成20(行コ)116 法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第496号)

裁判年月日・裁判所
平成21年2月18日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文31,141 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文同旨第2事案の概要 被控訴人の経理部長は,被控訴人の金員を詐取し,これを隠ぺいするため外注費が生じたように装ったため,被控訴人の平成12年10月1日から平成13年9月30日までの事業年度及び平成14年10月1日から平成15年9月30日までの事業年度の各法人税の確定申告には,架空外注費が損金として計上されていた。 浦和税務署長は,上記各事業年度について,架空外注費の損金計上を理由として,被控訴人に対し,平成16年10月19日付けで法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした(ただし,平成14年10月1日から平成15年9月30日までの事業年度については,平成17年4月14日付けで減額の更正処分がされている。)。 本件は,被控訴人が,架空外注費の額はこれを計上した事業年度の損金額から控除され,詐取された架空外注費に相当する損害の額は同事業年度の損金の額に算入されるが,金員を詐取した者に対する損害賠償請求権の額は,同事業年度の益金の額に算入する必要がないので,上記各処分は違法であると主張し- 2 -て,更正処分については確定申告に係る金額を超える部分の取消しを,賦課決定処分についてはその金額全部の取消しを求めるのに対し,控訴人が,詐取した者に対する損害賠償請求権の額は,詐取された架空外注費に相当する損害の額を損金の額に算入する事業年度と同じ事業年度の益金の額に算入すべきであると主張して,被控訴人の請求を争う事案である。 原判決は,被控訴人の請求を認容したので,控訴人が控訴をした。 本件における前提となる事実,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の適法 入すべきであると主張して,被控訴人の請求を争う事案である。 原判決は,被控訴人の請求を認容したので,控訴人が控訴をした。 本件における前提となる事実,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の適法性に関する控訴人の主張並びに争点及び当事者の主張は,下記3に当事者の当審における主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の1項ないし3項(原判決2頁19行目から同8頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 当事者の当審における主張(1)控訴人ア法人が従業員から資産を詐取され,そのことが後に発覚した場合,この詐取行為に係る損失及び利益は,法人税法上,当該詐取行為が発生(又は実現)した各事業年度に遡って修正処理することとなる。 そうすると,法人が従業員から資産を詐取され,これが架空外注費として経理処理されていた場合,架空外注費は,法人税法22条3項に規定する損金の額に該当しないので,当該架空外注費の金額が損金の額から減額される。また,法人が従業員から資産を詐取されて損失を被っているので,同項3号により,損失額を損金の額に算入する。同時に,法人は,当該従業員に対し損失額と同額の損害賠償請求権を取得することになるので,同- 3 -条2項により,損害賠償請求権の額を益金の額に算入することとなる。 ところで,収益については,その収入すべき権利が確定した時に属する年度の益金に計上すべきであるという権利確定主義が採用されているが,権利の確定は,権利の発生と同一ではなく,権利発生後一定の事情が加わって権利実現の可能性が増大したことを客観的に認識することができるようになった時を意味するところ,法人資産の詐欺,横領等の場合には,不法行為時に法人資産が外部に流失し,それと同時に不法行為者に対し直ちに履行を請求し 性が増大したことを客観的に認識することができるようになった時を意味するところ,法人資産の詐欺,横領等の場合には,不法行為時に法人資産が外部に流失し,それと同時に不法行為者に対し直ちに履行を請求し得る損害賠償請求権が取得されるのであるから,損害賠償請求権の権利の確定があったということができる。 なお,不法行為者の資力の有無は,損害賠償請求権の確定とは関係がなく,これは貸倒損失として損金処理するかどうかの問題である。 イなお,法人税基本通達2-1-43は,「他の者から支払を受ける損害賠償金(かっこ内省略)の額は,その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが,法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には,これを認める。」と規定している。これは,不法行為等によって生ずる損害賠償請求権の場合,そもそも相手方に損害賠償責任があるかどうかについて当事者間に争いのある場合が少なくなく,また,仮に相手方に損害賠償責任があることが明確であるとしても,損害賠償請求権の具体的な金額については,当事者の合意又は訴訟等の結果を待たなければ確定しない場合が多いことから,そのような場合には,詐取行為による損害に係る損失の計上と同時に,これに対応する損害賠償請求権を益- 4 -金に計上することの例外として,支払を受けることが確定した日の属する事業年度の益金に算入することを確認的に明らかにし,また,法人がその損害賠償請求権の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には,これを認めることとしたものである。 そして,法人の経理において売上げ除外や架空経費計上が行われた場合,それが法人の脱税行為なのか個人が横領行為等を隠ぺいするための経理処理を に算入している場合には,これを認めることとしたものである。 そして,法人の経理において売上げ除外や架空経費計上が行われた場合,それが法人の脱税行為なのか個人が横領行為等を隠ぺいするための経理処理をしたものなのか判別困難であるから,税務行政の遂行に困難を来したり,収益計上時期の恣意的な操作を許して課税の公平を維持できないといった重大な弊害を防止するため,当該法人の役員又は使用人に対する損害賠償請求権については,上記基本通達の範囲外としているのである。 本件は,Aが被控訴人の経理部長という立場を利用して被控訴人の金員を詐取したものであるから,上記通達が適用される場合には該当しないのである。 (2)被控訴人ア法人税の課税対象は,法人の所得であるが,これは課税対象としての適格性(担税力の有無を考慮し,無理のない相当性のある所得かどうかの判定)が要件とされる。したがって,収益の帰属年度は,実現可能性の高い時点及び納税資金に困らない無理のない時点の観点から判断されるべきである。 そうすると,法人税法上,収益は,確実性,客観性,経済的利益に加え,担税力があること,当該利益に現実的な処分可能性があることなどが計上の要件となる。 - 5 -詐欺等の犯罪行為によって法人が被った損害の賠償請求権は,加害行為が秘密裏に行われたり,被害法人が損害発生や加害者を知らないことが多いので,民法上権利が発生しても,これを直ちに行使することは事実上困難であり,また,犯罪行為を原因とする損害賠償請求権は,一般的に履行可能性が低いのであるから,加害行為の発生により直ちに処分可能性のある経済的利益を客観的かつ確実に取得したとはいえないものである。 そうすると,法人が取得する上記の損害賠償請求権の額は,被害額を損金計上した事業年度の益金に算入することは相当ではなく,万一損 能性のある経済的利益を客観的かつ確実に取得したとはいえないものである。 そうすると,法人が取得する上記の損害賠償請求権の額は,被害額を損金計上した事業年度の益金に算入することは相当ではなく,万一損害が回収された場合に,その事業年度の益金に算入することで足りるというべきである。 イAは,若干の資産は有していたが,約8000万円の債務超過状態であって,被控訴人から資産を詐取することによって,かろうじて破産を回避していたのである。したがって,損害発生と同一事業年度中に損害を回復させることは事実上不可能であった。 そうすると,Aに対する損害賠償請求権の額は,本件各事業年度の益金の額に算入する必要はなく,万一回収された場合にその事業年度に収益計上するのが社会通念にも合致する。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,被控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,下記2以下のとおりである。 本件各賦課決定処分に至る経緯前記前提となる事実,関係証拠(甲10の2ないし7,甲13,乙19及び- 6 -関係箇所に掲記の各証拠),弁論の全趣旨によれば,次のとおりの事実が認められる。 (1)被控訴人及びAについてア被控訴人は,親族であるB,C,Dが株式を保有し,Bが代表取締役に,C,D等が取締役に就任していた資本金5000万円の同族会社であり,ビル総合清掃業務等を業としていた(甲1の1,2,乙1,12)。 イAは,幾つかの会社でいずれも経理関係の仕事に従事していたが,平成3年12月30日から平成5年12月10日までの間に,当時勤務していたE株式会社(以下「E」という。)から,同社の金員5064万1700円を横領し,同社に同額の損害を与えたため,平成5年12月ころ懲戒解雇された(甲10の1)。そして,Aは,平成6年2月26日,Eとの 株式会社(以下「E」という。)から,同社の金員5064万1700円を横領し,同社に同額の損害を与えたため,平成5年12月ころ懲戒解雇された(甲10の1)。そして,Aは,平成6年2月26日,Eとの間で,上記損害金5064万1700円を平成6年2月から平成11年1月までの間に分割して支払う旨約した(甲7)。 ウAは,上記懲戒解雇後,他1社の勤務を経て,平成9年4月,被控訴人に入社した(甲10の1)。 (2)Aの職務(甲3,甲10の3)アAは,被控訴人に入社と同時に経理課長に就任し,平成11年5月,経理部長に就任した。 Aは,被控訴人の経理業務の責任者として総勘定元帳作成の基礎となる実務上の処理一切を行い,特に,外注費の支出書類の作成及びその支払手続業務を一任されていた。 イAが行っていた外注費の支出書類の作成及びその支払手続は,次のよう- 7 -なものであった。 (ア)被控訴人が外注先から外注取引に係る請求書を受領すると,被控訴人の営業部においてその内容を確認し,確認済みの請求書をAに回す。 (イ)Aは,外注費が毎月末ころ支払われるため,その支払準備として,毎月,上記請求書の金額及び外注内容を支払明細表の用紙に記載して,当該月の支払明細表(乙7)を作成する。 (ウ)Aは,被控訴人の取引銀行(F銀行G支店,後のH銀行G支店)の預金口座(以下,上記取引銀行を「本件取引銀行」,上記預金口座を「本件預金口座」という。)から金員が引き出されて各外注先の金融機関の口座に外注費が振り込まれるため,支払明細表に基づき,本件取引銀行に対し外注先の金融機関の口座に外注費を振り込むことを依頼する旨の振込依頼書を作成する。そして,当該月に支払われるべき外注費の総額を算出して,本件取引銀行あての払戻請求書に上記外注費総額を記載し,さらに,上記手続の 機関の口座に外注費を振り込むことを依頼する旨の振込依頼書を作成する。そして,当該月に支払われるべき外注費の総額を算出して,本件取引銀行あての払戻請求書に上記外注費総額を記載し,さらに,上記手続のまとめとして,振込依頼書の枚数と外注費の合計額を記載したメモを作成する。 (エ)Aは,払戻請求書,振込依頼書及び上記メモを,被控訴人の専務取締役であるC(以下「C専務」という。)に回し,C専務の決裁を受ける。C専務は,決裁をすると,同専務が保管する銀行届出印により,払戻請求書に押印し,これをAに交付する。 (オ)Aは,押印済みの払戻請求書と振込依頼書を本件取引銀行に持参し,本件預金口座から払戻請求書の金額を払い戻してこれを振込依頼書に記載された各外注先の金融機関の口座に振り込むよう依頼する。そして,- 8 -上記手続が完了すると,本件取引銀行から,振込領収書(振込完了のお知らせ)を受領し,これを被控訴人に提出する。 なお,振込依頼書(乙9)は,1部に15箇所への振込依頼を記載するものであるが,多いときはこれが1回で10部くらいになり,払戻請求金額は,多いときは1回で8000万円くらいになっていた。 (カ)Aは,上記振込手続が完了すると,被控訴人の確定申告の事務を受託していた税理士事務所に支払明細表を交付したり,ファックス送信し,同税理士事務所がこの支払明細表に基づき,被控訴人の外注費に係る総勘定元帳を作成し,それらに基づき被控訴人のため法人税の確定申告をしていた。 (3)Aの本件詐取行為(甲3,10の2ないし7,12,乙9,10,19)アAは,借金の返済などに窮したため,被控訴人への入社から間もない平成9年9月から平成16年3月までの間,架空外注費を計上する方法で,被控訴人から総額約1億8815万0475円を詐取した。その方法は, Aは,借金の返済などに窮したため,被控訴人への入社から間もない平成9年9月から平成16年3月までの間,架空外注費を計上する方法で,被控訴人から総額約1億8815万0475円を詐取した。その方法は,次のとおりであった。 (ア)Aは,正規の振込依頼書とは別に,Aが管理する株式会社I銀行(後の株式会社J銀行)K支店のL名義の普通預金口座(以下「A預金口座」という。)を振込先とし,虚偽の金額を記入した架空振込依頼書を作成する。 (イ)Aは,払戻請求書の払戻額の欄に,正規の振込依頼書の金額の合計額に架空振込依頼書の金額を上乗せした虚偽の金額を記載し,また,メ- 9 -モにも同じ虚偽の金額を記載した上で,C専務に対し,上記虚偽の金額を記載した払戻請求書,正規の振込依頼書,虚偽の金額を記載したメモを提出し,架空振込依頼書の金額の外注費が生じているように装って,その旨C専務を欺罔した(なお,正規の振込依頼書の合計金額は,払戻請求書及びメモの金額とは合致しない。)。C専務は,メモの金額と払戻請求書の金額を確認するだけで,正規の振込依頼書の合計金額を確認しなかったため,架空振込依頼書の金額についても,外注費が生じていているものと誤信し,払戻請求書に銀行届出印を押印し,各振込先への支払を決裁した。 (ウ)Aは,本件取引銀行に対し,被控訴人の銀行届出印が押印された払戻請求書,正規の振込依頼書及び架空振込依頼書を提出して,本件預金口座から払戻請求書の金額を払い戻してこれを正規の振込依頼書及び架空振込依頼書に記載された金融機関の口座にこれらに記載された金額に分けて振り込むよう依頼した。その結果,架空振込依頼書に記載された金額がA銀行口座に振り込まれた。本件取引銀行は,上記手続完了後,振込領収書(振込完了のお知らせ)を交付したが,Aは,架空振込の部分 分けて振り込むよう依頼した。その結果,架空振込依頼書に記載された金額がA銀行口座に振り込まれた。本件取引銀行は,上記手続完了後,振込領収書(振込完了のお知らせ)を交付したが,Aは,架空振込の部分は破棄し,その部分は被控訴人に提出しなかった。 (エ)Aは,上記(ウ)の手続の後,支払明細表に,架空の業務内容及び架空振込依頼書の振込金額を追加して記載し,これを被控訴人の確定申告の事務を受託していた税理士事務所に提出した。税理士事務所は,支払明細表の払戻金額及び支払金額を本件預金口座の通帳で確認した上(請求書の合計金額と払戻金額及び支払金額との照合は行わなかった。),- 10 -支払明細表に記載された金額を外注費と消費税に区分し,これを基に被控訴人の総勘定元帳を作成した。そして,それらに基づき本件各事業年度につき法人税の確定申告をした。 イAが平成13年9月期に詐取した金額は,別紙「平成13年9月期の納付すべき法人税額」の「外注費の架空計上額」欄に記載された金額のとおりであり,平成15年9月期に詐取した金額は,別紙「平成15年9月期の納付すべき法人税額」の「外注費の架空計上額」欄に記載された金額のとおりである。 ウAは,A銀行口座に入金された金員をすべて領得し,これを費消した(甲8の1ないし4,甲9)。 (4)本件詐取行為の発覚等ア浦和税務署長は,平成16年4月14日,被控訴人に対する税務調査を行ったところ,平成9年9月期から平成15年9月期までの各事業年度において,架空外注費が計上されていることが発覚した。 そこで,浦和税務署長は,平成16年10月19日,平成9年9月期から平成15年9月期まで(平成11年9月期を除く)の6事業年度について,法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした。なお,その後浦和税務署長は,売上げの過 16年10月19日,平成9年9月期から平成15年9月期まで(平成11年9月期を除く)の6事業年度について,法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした。なお,その後浦和税務署長は,売上げの過大計上額を認定し,平成17年4月14日付けで,平成14年9月期について被控訴人の申告額を下回る更正処分をし,平成15年9月期について税額を一部減額する更正処分及び賦課決定処分をした。 イ被控訴人は,本件各更正処分がされる以前である平成16年5月13日,- 11 -架空外注費の損金計上はAの詐欺行為によるものであるとして,Aを懲戒解雇するとともに,同年7月30日,Aを詐欺罪等で告訴した(乙4,5)。 ウ被控訴人は,同じく本件各更正処分がされる以前である平成16年9月7日,さいたま地方裁判所に対し,Aに対する損害賠償請求訴訟を提起し(甲12),同裁判所は,同年10月27日,Aに対し,1億8815万0475円及びこれに対する平成16年9月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を被控訴人に支払うよう命ずる判決を言い渡し,同判決は確定した(乙3)。 エAは,平成16年11月25日,詐欺罪で起訴され,平成17年6月8日,○の実刑判決を受け,同判決は確定した(乙2)。 (5)本件詐取行為当時のAの経済状況アAは,本件詐取行為による損害賠償債務を負うものである。また,Aは,本件各事業年度当時,上記損害賠償債務以外に,上記(1)イのEに対する残債務(平成16年4月時点で約4800万円(甲7)),住宅ローン残債務(平成16年11月時点で約4200万円(甲10の2)),相当額のカードローン債務を負っていたが,これらの分割返済(E月額5万円,住宅ローン月額約16万円)を怠ることはなく,被控訴人から月額にして30万円を超える給与を得ていたほか,平成 甲10の2)),相当額のカードローン債務を負っていたが,これらの分割返済(E月額5万円,住宅ローン月額約16万円)を怠ることはなく,被控訴人から月額にして30万円を超える給与を得ていたほか,平成6年7月19日に約5000万円で購入した自宅マンション(住宅ローンの担保権が設定されている。 甲11。)を所有し,平成13年9月期終了当時で400万5101円,平成15年9月期終了当時で460万4181円の銀行預金を有し(争い- 12 -がない。),自家用車(少なくとも1台。時価約200万円相当)を所有していた(甲10の1,2)。 イAは,本件詐取行為に係る刑事裁判の際,被控訴人に対し,上記自家用車1台を売却して,200万円の弁償を申し出たが,被控訴人は,この受領を拒絶した(争いがない。)。 損害賠償請求権の計上時期について(1)アまず本件詐取行為に係る架空外注費は,外注費として被控訴人が支出したものではなく,法人税法22条3項に規定する損金の額に該当しないので,架空外注費相当額が詐取された事業年度の損金の額から減額され,他方,被控訴人は,架空外注費相当額を詐取されているので,同項3号により,これを詐取された事業年度の損金の額に算入することとなる(なお,後記イのように,詐取された架空外注費相当額の損失を詐取された事業年度の損金に算入することは問題がない。)。 イ問題は,本件詐取行為により被控訴人が取得した損害賠償請求権(以下これを「本件損害賠償請求権」という。)をどの事業年度の益金に計上すべきかという点である。 ところで,法人税法上,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引以外の取引に係る収益の額とするものとされ(法人税法22条2項),当該事業年度の収 人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引以外の取引に係る収益の額とするものとされ(法人税法22条2項),当該事業年度の収益の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すベきものとされている(同条4項)。したがって,ある収益をどの事業年度に計上すべきかは,一般に公正妥当と認められる- 13 -会計処理の基準に従うべきであり,これによれば,収益は,その実現があった時,すなわち,その収入すベき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものというべきである(権利確定主義。最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁等参照)。なお,ここでいう権利の確定とは,権利の発生とは同一ではなく,権利発生後一定の事情が加わって権利実現の可能性を客観的に認識することができるようになることを意味するものと解すべきである。 また,法人税法上,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額として,当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの(同条3項3号)が掲げられているところ,本件のような不法行為により発生した損失はこれに該当し,その額を損失が発生した年度の損金に計上すべきものと解されている(最高裁昭和43年10月17日第一小法廷判決・裁判集民事92号607頁参照)。 そして,本件のような不法行為による損害賠償請求権については,通常,損失が発生した時には損害賠償請求権も発生,確定しているから,これらを同時に損金と益金とに計上するのが原則であると考えられる(不法行為による損失の発生と損害賠償請求権の発生,確定はいわば表裏の関係にあるといえるのである。)。 ウもっとも,本件のような不法行為による損害賠償 金と益金とに計上するのが原則であると考えられる(不法行為による損失の発生と損害賠償請求権の発生,確定はいわば表裏の関係にあるといえるのである。)。 ウもっとも,本件のような不法行為による損害賠償請求権については,例えば加害者を知ることが困難であるとか,権利内容を把握することが困難なため,直ちには権利行使(権利の実現)を期待することができないような場合があり得るところである。このような場合には,権利(損害賠償請- 14 -求権)が法的には発生しているといえるが,未だ権利実現の可能性を客観的に認識することができるとはいえないといえるから,当該事業年度の益金に計上すべきであるとはいえないというべきである(そのような場合にまで,法的基準に拘泥して収益の帰属年度を決することは妥当でないのである。なお,最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決・裁判集民事166号525頁参照)。このような場合には,当該事業年度に,損失については損金計上するが,損害賠償請求権は益金に計上しない取扱いをすることが許されるのである(法人税基本通達2-1-43が,「他の者から支払を受ける損害賠償金(中略)の額は,その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが,法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には,これを認める。」と規定し,損失の計上時期と益金としての損害賠償金請求権の計上時期を切り離す運用を認めているのも,基本的には,第三者による不法行為等に基づく損害賠償請求権については,その行使を期待することが困難な事例が往々にしてみられることに着目した趣旨のものであると解するのが相当である。)。 ただし,この判断は,税負担の公平や法的安定性の観点からして客観的にされるべきもので その行使を期待することが困難な事例が往々にしてみられることに着目した趣旨のものであると解するのが相当である。)。 ただし,この判断は,税負担の公平や法的安定性の観点からして客観的にされるべきものであるから,通常人を基準にして,権利(損害賠償請求権)の存在・内容等を把握し得ず,権利行使が期待できないといえるような客観的状況にあったかどうかという観点から判断していくべきである。 不法行為が行われた時点が属する事業年度当時ないし納税申告時に納税者がどういう認識でいたか(納税者の主観)は問題とすべきでない。 - 15 -エなお,権利確定主義にいう収入すべき権利の確定の時期については,基本的には法的基準によって判断していくものである(法的基準により判断することで,法的安定性,徴税の公平性が担保される。)から,債務者の資力,資産状況等といった経済的観点により債権の実現(債務の履行)可能性を判断し,それが乏しい場合には益金計上をしなくてよいとする処理は妥当でないというべきで,このような経済的観点からの実現(履行)可能性の問題は,下記の貸倒損失の問題として捉えていくのが相当である。 損害賠償請求権については,確かにこれと通常の商行為に基づく債権とを比較すると,経済的な観点からの実現(履行)可能性の乏しいものが多いといえるが,だからといってこれを別に扱う理由はないというべきである(以上,前掲最高裁昭和43年10月17日判決参照)。 オただし,損害賠償請求権がその取得当初から全額回収不能であることが客観的に明らかであるとすると,これを貸倒損失として扱い,法人税法22条3項3号にいう当該事業年度の損失の額として損金に算入することが許されるというべきである(前掲最高裁昭和43年10月17日判決。なお,最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決・民集58巻9 2条3項3号にいう当該事業年度の損失の額として損金に算入することが許されるというべきである(前掲最高裁昭和43年10月17日判決。なお,最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決・民集58巻9号2637頁参照)。また,取得当初はそういえなかったとしても,その後そうなったという場合は,その時点の属する事業年度の損金に算入することが許されるというべきである。 もっとも,上記のように,貸倒損失として損金に算入するためには全額回収不能であることが客観的に明らかである必要がある(前掲最高裁平成16年12月24日判決)ところ,この全額回収不能であることが客観的- 16 -に明らかであるといえるかどうかは,債務者の資産・負債の状況,支払能力,信用の状況,当該債権の額,債権者の採用した取立手段・方法,取立てに対する債務者の態度・対応等諸般の事情を総合して判断していくべきものである。 (2)以上の考え方に基づき,本件について検討する。 ア上記(1)イによれば,本件各事業年度において,本件詐取行為により被控訴人が受けた損失額を損金に計上すると同時に益金として本件損害賠償請求権の額を計上するのが原則ということになるが,本件各事業年度当時の客観的状況に照らすと,通常人を基準にしても,本件損害賠償請求権の存在・内容等を把握し得ず,権利行使が期待できないといえるとすれば,当該事業年度の益金に計上しない取扱いが許されるということになるから,その点を検討する。 この点については,上記認定(上記2(3))によれば,Aは,被控訴人の経理担当取締役らに秘して本件詐取行為をしたものであり,被控訴人の取締役らは当時本件詐取行為を認識していなかったものではあるが,本件詐取行為は,経理担当取締役が本件預金口座からの払戻し及び外注先への振込み依頼について決裁する際にAが をしたものであり,被控訴人の取締役らは当時本件詐取行為を認識していなかったものではあるが,本件詐取行為は,経理担当取締役が本件預金口座からの払戻し及び外注先への振込み依頼について決裁する際にAが持参した正規の振込依頼書をチェックしさえすれば容易に発覚するものであったのである(同2(3)ア(イ))。 また,決算期等において,会計資料として保管されていた請求書と外注費として支払った金額とを照合すれば,容易に発覚したものである(同(2)イ,(3)ア)。こういった点を考えると,通常人を基準とすると,本件各事業年度当時において,本件損害賠償請求権につき,その存在,内容等を- 17 -把握できず,権利行使を期待できないような客観的状況にあったということは到底できないというべきである。 そうすると,本件損害賠償請求権の額を本件各事業年度において益金に計上すべきことになる。 イ次に,本件各事業年度当時において,本件損害賠償請求権は全額回収不能であることが客観的に明らかであったといえるかを検討する。 上記認定(上記2(5)ア)によると,①本件各事業年度当時でみると,Aは,資産として,約5000万円で購入したマンションを有していたほか,約200万円相当の自家用車を所有していたし,約400万円程度の預金を有していた。また,月額30万円を超える金額の給与を得ていた(被控訴人から懲戒解雇されたのは平成16年5月であり,また,Aに対し実刑判決が言い渡されたのは平成17年6月で,いずれも本件各事業年度が経過した後の出来事である(同2(4)イ,エ)。)。また,②上記認定(同2(5)イ)のように,本件各事業年度が経過した後のことであるが,Aは,本件詐取行為に係る刑事裁判の際,200万円の弁償を申し出ている。確かに,Aは,本件損害賠償請求権に係る債務のほかEに対する (同2(5)イ)のように,本件各事業年度が経過した後のことであるが,Aは,本件詐取行為に係る刑事裁判の際,200万円の弁償を申し出ている。確かに,Aは,本件損害賠償請求権に係る債務のほかEに対する債務や住宅ローン債務等を抱えていたから,本件各事業年度当時,債務超過に陥っていた可能性が高いが,本件各事業年度当時,①のような資産を有するなどしていて,全く弁済能力がなかったとはいえないのであるから(②の事実からもそのことが強く推認される。),本件各事業年度当時において,本件損害賠償請求権が全額回収不能であることが客観的に明らかであったとは言い難いといわなければならない。 - 18 -そうすると,本件損害賠償請求権の額を本件各事業年度において貸倒損失として損金に計上することはできないことになる。 本件各更正処分の適法性について以上を前提にすると,被控訴人の本件各事業年度の法人税に係る納付すべき税額は,別紙「平成13年9月期の納付すべき法人税額」及び「平成15年9月期の納付すべき法人税額」のとおりとなり(弁論の全趣旨),平成13年9月期が1882万4000円,平成15年9月期が1536万3100円となるが,これらの金額は,本件各更正処分の納付すべき税額,すなわち,平成13年9月期の1696万9400円(原判決別表1-1),平成15年9月期の1301万2200円(原判決別表1-2)をいずれも上回るから,本件各更正処分はいずれも適法ということになる。 本件各賦課決定処分の適法性について以上によれば,被控訴人は,本件各事業年度の法人税について,納付すべき税額を過少に申告したというべきである。そして,本件では,そのことにつき国税通則法65条4項にいう正当な理由がある(すなわち,真に納税者の責めに帰することができない客観的事情があり,過少申告 すべき税額を過少に申告したというべきである。そして,本件では,そのことにつき国税通則法65条4項にいう正当な理由がある(すなわち,真に納税者の責めに帰することができない客観的事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たる)とは認められない。 また,上記認定(上記2(3)ア)によれば,Aが隠ぺい,仮装行為をし,被控訴人は,それに基づき架空外注費を計上して確定申告を行ったものである。 そして,上記認定(同2(2)ア)によれば,Aは,被控訴人の経理業務の責任者で実務上の処理を任されていた者であり,かつ,被控訴人としても,容易に- 19 -Aの隠ぺい,仮装行為を認識することができ(同2(3)ア(イ)),認識すればこれを防止若しくは是正するか,又は過少申告しないように措置することが十分可能であったのであるから,Aの隠ぺい,仮装行為をもって被控訴人の行為と同視するのが相当である。そうすると,本件で,国税通則法68条1項により過少申告加算税に代え重加算税を課したことに違法はない。 そうすると,本件各賦課決定処分も適法というべきである。 結論 よって,被控訴人の請求をいずれも認容した原判決は不当であるから,これを取り消した上,被控訴人の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官大坪丘裁判官宇田川基裁判官尾島明(原裁判等の表示)主文- 20 - 浦和税務署長が原告に対し平成16年10月19日付けでした原告の平成12年10月1日から平成13年9月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額1055万8400円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分を取り消す。 浦和税務署長が原告に対し 成12年10月1日から平成13年9月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額1055万8400円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分を取り消す。 浦和税務署長が原告に対し平成16年10月19日付けでした原告の平成14年10月1日から平成15年9月30日までの事業年度の法人税の更正処分(ただし,平成17年4月14日付けの更正処分により減額された後のもの)のうち納付すべき税額1179万9000円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分(ただし,平成17年4月14日付けの賦課決定処分により減額された後のもの)を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文と同旨第2事案の概要本件は,原告が,法人税の確定申告をしたところ,所轄税務署長が,外注費の架空計上を理由として,法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をしたことから,原告が,外注費の架空計上は原告の従業員の詐欺行為によるものであり,原告は当該詐欺行為によって架空外注費に相当する金額の損失を受けており,また同従業員に対する損害賠償請求権は回収が困難なこと等から益金の額に算入すべきでないと主張して,更正処分については確定申告に係る金額を超える部分の取消しを,賦課決定処分についてはその金額全部の取消しを,- 21 -それぞれ求めた事案である。 前提となる事実(当事者間に争いがない。)(1)原告は,昭和51年8月に設立された,ビル総合清掃業務及び建物等の警備保安業務等を営む法人であり,毎年10月1日から翌年9月30日までの期間を事業年度としている(以下,原告の事業年度を指すときは,当該事業年度終了の日の属する年月を付して「平成9年9月期」等という。)。 (2)浦和税務署長が,平成16年4月14日,原告に対する税務調査 間を事業年度としている(以下,原告の事業年度を指すときは,当該事業年度終了の日の属する年月を付して「平成9年9月期」等という。)。 (2)浦和税務署長が,平成16年4月14日,原告に対する税務調査を開始したところ,調査の過程で,平成9年9月期から平成15年9月期までの各事業年度における架空外注費の損金計上が判明した。 原告は,上記の架空外注費の損金計上は,原告の経理部長であったAの詐欺行為によるものであるとして,平成16年5月13日,Aを懲戒解雇するとともに,同年7月30日,Aを詐欺罪等で告訴した。Aは,同年11月25日,詐欺罪で起訴され,平成17年6月8日,○の実刑判決を受けた(同判決は,Aが控訴することなく確定した。)。 また,原告は,平成16年9月7日,Aに対する損害賠償請求訴訟を提起し,裁判所は,同年10月27日,Aに,原告に対して1億8815万0475円の支払を命じる判決を言い渡した(同判決は,Aが控訴することなく確定した。)。 (3)Aは,平成9年4月に原告の経理課長として採用され,その後平成11年5月に経理部長に昇進するなど,経理の要職を任されていた。Aは,原告の経理業務の一環として原告の外注費の支出書類の作成及びその支払手続業務を行っていたが,その業務の一般的な手続は,以下のとおりであった。 - 22 -ア原告の各外注先から外注取引に係る請求書が原告に送付されると,原告の営業部においてその内容を確認した後,Aに同請求書を回付する。 イA又はその部下職員が,上記アの請求書の金額及び支払内容を支払明細表に記載する。なお,同部下職員が同明細表を記載する場合であっても,Aが責任者として同明細表の記載内容を確認する。 ウ外注費の支払金額を原告の取引銀行から引き出して各外注先の金融機関口座に振り込むため,Aが,支払明細表に基 職員が同明細表を記載する場合であっても,Aが責任者として同明細表の記載内容を確認する。 ウ外注費の支払金額を原告の取引銀行から引き出して各外注先の金融機関口座に振り込むため,Aが,支払明細表に基づき,各外注先の金融機関口座を振込先とする振込依頼書を作成するとともに,原告の取引銀行の払戻請求書に外注費の総額を記載する。 エAは,振込依頼書,払戻請求書及び振込依頼書の枚数と外注費の合計額を記載したメモを,原告の専務取締役に示した上で,同専務取締役が保管する原告名義の普通預金口座の届出印により,同専務取締役から払戻請求書に押印を受ける。 オAは,押印済みの払戻請求書と振込依頼書を原告の取引銀行に持ち込み,原告名義の普通預金口座から各外注先の金融機関口座に対する振込みを依頼する。 カ原告の会計を担当していた税理士事務所が,Aが作成した支払明細表に基づき,原告の外注費に係る総勘定元帳を作成する。 (4)Aは,平成9年から平成16年までの間,上記(3)の手続の中で,以下の方法で架空外注費の計上に係る会計処理を行い,原告の金員を詐取した(以下「本件詐取行為」という。)。 アAは,正規の振込依頼書とは別に,Aが管理する他人名義の銀行普通預- 23 -金口座を振込先とする振込依頼書を作成する。 イAは,正規の振込依頼書の金額の合計額に,上記アの振込依頼書の金額を上乗せした金額を,払戻請求書の払戻額の欄及び上記(3)エのメモにそれぞれ記載した上で,正規の振込依頼書(上記アの振込依頼書を除く。)と併せて原告の専務取締役に提示し,払戻請求書に同専務取締役の押印を受ける。 ウAは,払戻請求書及び正規の振込依頼書と併せて,上記アの振込依頼書を原告の取引銀行に提出し,上記アの振込依頼書の金額を,自己の管理する上記アの銀行口座に振り込ませる。 エA の押印を受ける。 ウAは,払戻請求書及び正規の振込依頼書と併せて,上記アの振込依頼書を原告の取引銀行に提出し,上記アの振込依頼書の金額を,自己の管理する上記アの銀行口座に振り込ませる。 エAは,上記ウの振込手続の後,支払明細表にあらかじめ印刷されている任意の外注先の業務内容の欄に,架空の業務内容及び上記アの振込依頼書の振込金額を記載する。 オ上記エの処理に基づき,原告の税理士事務所が,支払明細表に記載された上記エの金額を外注費と消費税に区分した上で,原告の総勘定元帳を作成する。 (5)浦和税務署長は,税務調査で判明した外注費の架空計上等を理由として,平成16年10月19日付けで,原告の平成9年9月期から平成15年9月期まで(平成11年9月期を除く。)の6事業年度について,法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした。 原告は,浦和税務署長に対し,Aによる粉飾行為(売上の架空計上)を主張して,平成16年11月30日,更正の請求をするとともに,同年12月17日,上記の更正処分及び賦課決定処分を不服として,異議申立てをした。 - 24 -浦和税務署長は,平成17年3月17日付けで,原告の異議申立てを棄却したが,他方で,売上の過大計上額を認定し,同年4月14日付けで,平成14年9月期について原告の申告額を下回る更正処分をし,平成15年9月期について税額を一部減額する更正処分及び賦課決定処分をした。 原告は,上記の異議棄却決定を不服として,平成17年4月15日,国税不服審判所長に対し,審査請求をした。国税不服審判所長は,平成18年3月23日付けで,職権更正の除斥期間経過を理由に,平成9年9月期,平成10年9月期及び平成12年9月期の更正処分及び賦課決定処分の全部を取り消したが,平成14年9月期の更正処分及び賦課決定処分については,平 付けで,職権更正の除斥期間経過を理由に,平成9年9月期,平成10年9月期及び平成12年9月期の更正処分及び賦課決定処分の全部を取り消したが,平成14年9月期の更正処分及び賦課決定処分については,平成17年4月14日付けで取り消されているとして,原告の審査請求を却下し,平成13年9月期及び平成15年9月期の更正処分及び賦課決定処分については,いずれも適法であるとして,原告の審査請求を棄却した。 (6)原告が本件訴訟において取消しを求める処分は,平成13年9月期及び平成15年9月期(以下,これらを併せて「本件各事業年度」という。)の各法人税の更正処分(ただし,平成15年9月期については,平成17年4月14日付けの更正処分により減額された後のもの)(以下,これらを併せて「本件各更正処分」という。)のうちそれぞれ原告の申告額を超える部分及び各重加算税の賦課決定処分(ただし,平成15年9月期については,平成17年4月14日付けの賦課決定処分により減額された後のもの)(以下,これらを併せて「本件各賦課決定処分」という。)の全部であり,本件各事業年度の法人税に係る確定申告等の経緯は,それぞれ別表1-1及び1-2記載のとおりである。 - 25 - 本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の適法性に関する被告の主張(1)被告は,原告の本件各事業年度の法人税の納付すべき税額は,別表2-1及び2-2記載のとおり(平成13年9月期が1882万4000円,平成15年9月期が1536万3100円)であるところ,これらの金額は,本件各更正処分の納付すべき税額(平成13年9月期が1696万9400円,平成15年9月期が1301万2200円)をいずれも上回るから,本件各更正処分はいずれも適法であると主張する。 (2)また,被告は,原告は本件各事業年度の法人税につ 年9月期が1696万9400円,平成15年9月期が1301万2200円)をいずれも上回るから,本件各更正処分はいずれも適法であると主張する。 (2)また,被告は,原告は本件各事業年度の法人税について,納付すべき税額を過少に申告し,そのことについて国税通則法65条4項の正当な理由は存在せず,さらに,原告は,架空の外注費を計上し,本件各事業年度の法人税の確定申告書を提出していたことから,同法68条1項により,過少申告加算税に代え,重加算税が課されることになるところ,同項の規定に基づき,本件各更正処分によって新たに納付することとなった税額(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の35の割合を乗じて計算した重加算税の額は,平成13年9月期が224万3500円,平成15年9月期が42万3500円であり,いずれも本件各賦課決定処分における重加算税の額と同額であるから,本件各賦課決定処分はいずれも適法であると主張する。 争点及び当事者の主張原告の本件各事業年度の法人税の計算上,本件詐取行為による損害の額を損金の額に算入すべきこと(別表2-1の順号⑦,同2-2の順号⑧)と,当該損害の額に対応する外注費の架空計上額を損金の額から控除すべきこと(同各- 26 -別表の順号②)は,当事者間に争いがなく,争点となっているのは,本件詐取行為によって原告がAに対して取得することとなる損害賠償請求権の額(同各別表の順号③)を,本件各事業年度の益金の額に算入すべきか否かである。 (1)原告の主張益金に算入すべき収益の発生如何は,その権利の性質,内容,権利発生の具体的事情等に基づき,経済的実質的観点から納税者に担税力の増加があったといえるか否かによって判断されるべきであるところ,犯罪者に対する損害賠償請求権は 発生如何は,その権利の性質,内容,権利発生の具体的事情等に基づき,経済的実質的観点から納税者に担税力の増加があったといえるか否かによって判断されるべきであるところ,犯罪者に対する損害賠償請求権は,①加害者がその額等について争う場合が多く,②加害者の無資力により回収可能性が類型的に極めて低く,③その犯罪行為が発覚するまでの間,法人が権利を行使し現実に損失を回復させることを到底見込めないものであるから,当該事業年度において,加害者が損害額について争わずに債務を承認し,かつ,十分な資力を有しているなどの特段の事由がない限り,これを益金に計上すべきではない。 原告は,本件各事業年度においては,本件詐取行為の存在を知らず,また,客観的にみても,Aが多額の債務を負担する一方でその有する資産はわずかなものであったことからすれば,たとえ,原告が,本件各事業年度において,Aに対する損害賠償請求権を行使したとしても,せいぜい平成9年に被った詐欺被害の極く一部を回収できたにすぎず,本件各事業年度で被った損失を回収することは不可能であったから,Aに対する損害賠償請求権の額を,本件各事業年度の益金の額に算入することは許されないというべきである。 (2)被告の主張詐取行為により損害を被った法人は,損害発生と同時に,かつ,法律上当- 27 -然に加害者に対する損害額と同額の損害賠償請求権を取得するのであるから,同損害賠償請求権の同一事業年度中の実現が事実上不可能であると客観的に認められない限りは,同損害賠償請求権を,当該法人の資産を増加させたものとして,同法人の法人税の計算上,損害を生じた事業年度と同じ事業年度の益金に含めるべきである(最高裁昭和43年10月17日第一小法廷判決・裁判集民事92号607頁参照)。 本件についてみると,損害が発生した本件各事業年 税の計算上,損害を生じた事業年度と同じ事業年度の益金に含めるべきである(最高裁昭和43年10月17日第一小法廷判決・裁判集民事92号607頁参照)。 本件についてみると,損害が発生した本件各事業年度当時において,Aが一定の預金や資産を有し,給与収入を得,他の債務を継続して返済していたことなどからすると,本件各事業年度内にAに対する損害賠償請求権を実現することが事実上不可能であったと客観的に認めることができないことは明らかであるから,損害の発生と同時に原告が取得した損害賠償請求権の額は,原告の法人税の計算上,本件詐取行為があった各事業年度の益金の額に算入されることになるというべきである。 第3当裁判所の判断 法人税法上,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引以外の取引に係る当該事業年度の収益の額とするものとされ(22条2項),当該事業年度の収益の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すべきものとされている(同条4項)。したがって,ある収益をどの事業年度に計上すべきかは,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり,これによれば,収益は,その実現があった時,すなわち,その収入すべき権利が確定した時の属する事業年度の益金に計上すべきものと考えられる- 28 -(最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照)。 もっとも,企業会計における収益認識の基本原則とされている実現原則,すなわち財貨やサービスが実際に市場で取引されたときに収益があったと認識する原則は,収益計上の確実性及び客観性を確保するための原則であるとされており(甲6),また,法人税に係る所得の金額の計算上益金の額に算入すべき収益の額は に市場で取引されたときに収益があったと認識する原則は,収益計上の確実性及び客観性を確保するための原則であるとされており(甲6),また,法人税に係る所得の金額の計算上益金の額に算入すべき収益の額は,そこから生じる経済的利益に担税力があること,すなわち,当該利益に現実的な処分可能性のあることが必要であると考えられることからすると,収益に係る権利の確定時期に関する会計処理を,純粋に法律的視点から,どの時点で権利の行使が可能となるかという基準を唯一の基準としてしなければならないと考えるのは相当ではなく,現実的な処分可能性のある経済的利益を取得することが客観的かつ確実なものとなったかどうかという観点を加えて,権利の確定時期を判定することが,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものというべきである。 そして,一般に,詐欺等の犯罪行為によって法人の被った損害の賠償請求権についても,その法人の有する通常の金銭債権と同様に,その権利が確定した時の属する事業年度の益金に計上すべきものと考えられるが,不法行為による損害賠償請求権の場合には,その不法行為時に客観的には権利が発生するとしても,不法行為が秘密裏に行われた場合などには被害者側が損害発生や加害者を知らないことが多く,被害者側が損害発生や加害者を知らなければ,権利が発生していてもこれを直ちに行使することは事実上不可能である。この点,民法上,一般の債権の消滅時効の起算点を,権利を行使することができる時とし- 29 -ている(166条1項)のに対し,不法行為による損害賠償請求権については,これを,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時としている(724条)のも,上記のような不法行為による損害賠償請求権の特殊性を考慮したものと解される。このように,権利が法律上発生していても,そ ,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時としている(724条)のも,上記のような不法行為による損害賠償請求権の特殊性を考慮したものと解される。このように,権利が法律上発生していても,その行使が事実上不可能であれば,これによって現実的な処分可能性のある経済的利益を客観的かつ確実に取得したとはいえないから,不法行為による損害賠償請求権は,その行使が事実上可能となった時,すなわち,被害者である法人(具体的には当該法人の代表機関)が損害及び加害者を知った時に,権利が確定したものとして,その時期の属する事業年度の益金に計上すべきものと解するのが相当である(最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決・裁判集民事166号525頁参照)。 なお,被告の援用する最高裁昭和43年10月17日第一小法廷判決の理由中には,横領行為によって法人の被った損害が,その法人の資産を減少せしめたものとして,その損害を生じた事業年度における損金を構成することは明らかであり,他面,横領者に対して法人がその被った損害に相当する金額の損害賠償請求権を取得するものである以上,それが法人の資産を増加させたものとして,同じ事業年度における益金を構成するものであることも疑いない旨を判示した部分があるが,この判示は,法人の代表者による横領行為によって当該法人が被った損害の賠償請求権の益金計上時期が争点となった事案についての判断であり,法人の代表者自身が横領行為を行った場合には,被害者である法人が損害の発生と同時に損害及び加害者を知ったものと評価することができ,これにより損害賠償請求権が確定したものとして,これを当該損害の発生と同- 30 -じ事業年度の益金に計上すべきこととなるから,当裁判所の上記判断は,上記最高裁判決の判断と何ら相反するものではない。 これを本件につ 権が確定したものとして,これを当該損害の発生と同- 30 -じ事業年度の益金に計上すべきこととなるから,当裁判所の上記判断は,上記最高裁判決の判断と何ら相反するものではない。 これを本件についてみると,前判示の事実によれば,原告は,平成9年から平成16年までの間,Aによる本件詐取行為によって金員を詐取され続け,浦和税務署長が平成16年4月に開始した税務調査を契機として初めてこれが発覚したものであり,原告が本件詐取行為を理由として,Aを懲戒解雇としたのが同年5月,詐欺罪等で告訴したのが同年7月,損害賠償請求訴訟を提起したのが同年9月であったというのであるから,原告は,本件各事業年度においては,いまだ本件詐取行為による損害及び加害者を知らず,原告がこれを知ったのは,平成16年9月期であったことが認められる。 したがって,本件詐取行為によって原告がAに対して取得することとなる損害賠償請求権の額は,本件各事業年度の益金の額に算入すべきものではなく,平成16年9月期の益金の額として算入すべきものである。 本件各更正処分の適法性について上記2によれば,原告の本件各事業年度の法人税に係る納付すべき税額は,それぞれ以下のとおり(平成13年9月期が1017万5200円,平成15年9月期が491万7700円)となり,いずれも本件各更正処分における納付すべき税額(平成13年9月期が1696万9400円,平成15年9月期が1301万2200円)を下回るのみならず,原告の本件各事業年度の法人税の確定申告における納付すべき税額(平成13年9月期が1055万8400円,平成15年9月期が1179万9000円)をも下回るから,本件各更正処分のうち,当該各確定申告における納付すべき税額を超える部分は,違法- 31 -なものとして取り消されるべきである。 ( 0円,平成15年9月期が1179万9000円)をも下回るから,本件各更正処分のうち,当該各確定申告における納付すべき税額を超える部分は,違法- 31 -なものとして取り消されるべきである。 (1)平成13年9月期(別表3-1)ア所得金額(順号⑩)3432万9831円上記金額は,下記(ア)の金額に下記(イ)ないし(オ)の各金額の合計額を加算し,下記(カ)及び(キ)の各金額の合計額を減算した金額である。 (ア)申告所得金額(順号①)3558万8203円上記金額は,原告の平成13年9月期の法人税の確定申告書に記載された所得金額であり,当事者間に争いがない。 (イ)外注費の架空計上額(順号②)2476万1911円上記金額は,平成13年9月期において原告が架空に計上した外注費の金額(支払総額2600万円から仮払消費税相当額123万8089円を控除した金額)であり,当事者間に争いがない。 (ウ)雑益の益金算入額(順号③)29円上記金額は,上記(イ)の仮払消費税相当額及び下記(キ)の仮受消費税相当額に基づいて未払消費税との調整を行ったところ算出される金額であり,当事者間に争いがない。 (エ)交際費等の損金不算入額(順号④)47万5000円上記金額は,原告が平成13年9月期の損金の額に算入した外注費のうち,租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前のもの)61条の4に規定する交際費等に該当する金額であり,当事者間に争いがない。 (オ)寄附金の損金不算入額(順号⑤)1万5928円- 32 -上記金額は,上記(ア)の申告所得金額に比し所得金額が127万4300円(上記(イ)ないし(エ)の各金額の合計額と下記(カ)及び(キ)の各金額の合計額との差額)減少することに伴って増加する,寄附金の損金不算入額の金額であり,法人 金額に比し所得金額が127万4300円(上記(イ)ないし(エ)の各金額の合計額と下記(カ)及び(キ)の各金額の合計額との差額)減少することに伴って増加する,寄附金の損金不算入額の金額であり,法人税法(平成14年法律第79号による改正前のもの。以下,(1)において同じ。)37条2項の規定により,上記の金額127万4300円に法人税法施行令(平成14年政令第104号による改正前のもの。以下,(1)において同じ。)73条1項1号ロに規定する100分の2.5及び2分の1を順次乗じて算出した金額である。 (カ)本件詐取行為による損害の損金算入額(順号⑦)2600万円上記金額は,平成13年9月期の本件詐取行為による損害の額であり,当事者間に争いがない。 (キ)売上金額の過大計上額(順号⑧)51万1240円上記金額は,税抜経理を採用している原告が,アメリカ大使館に対する売上として計上した仮受消費税相当額であり,当事者間に争いがない。 イ法人税額(順号⑪)965万8700円上記金額は,法人税法66条1項及び2項並びに経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成14年法律第79号による改正前のもの)16条1項の規定により,上記アの所得金額3432万9000円(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)のうち,800万円については100分の22の税率を,残額の2632万9000円について- 33 -は100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した金額の合計額である。 ウ課税留保金額に対する税額(順号⑫)54万8600円上記金額は,法人税法67条の規定に基づき,以下のとおり算出した金額である。 (ア)留保所得金額3211万2153円上記金額は,法人税法6 課税留保金額に対する税額(順号⑫)54万8600円上記金額は,法人税法67条の規定に基づき,以下のとおり算出した金額である。 (ア)留保所得金額3211万2153円上記金額は,法人税法67条2項に規定する所得等の金額のうち留保した金額であり,原告の平成13年9月期の法人税の確定申告書に記載された留保所得金額3262万3364円(甲1の1)に,上記ア(ウ)の雑益の益金算入額29円を加算し,同(キ)の売上金額の過大計上額51万1240円を減算した金額である。 (イ)当期留保金額2048万6137円上記金額は,法人税法67条2項の規定により,上記(ア)の留保所得金額3211万2153円から,上記イの法人税額965万8700円から下記オの控除所得税額3万2034円を控除した金額962万6666円と,上記イの法人税額965万8700円に法人税法施行令140条に規定する100分の20.7を乗じて算出した金額199万9350円の合計額を控除した後の金額である。 (ウ)留保控除額1500万円上記金額は,法人税法67条3項の規定により算出した留保控除額であり,同項1号の金額(上記アの所得金額3432万9831円に100分の35を乗じて算出した金額1201万5440円),同項2号の金額(1500万円)及び同項3号の金額(積立金基準額であり,本件- 34 -では零円。甲1の1)のうち最も多い金額である。 (エ)課税留保金額548万6000円上記金額は,上記(イ)の金額から上記(ウ)の金額を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定に準じて1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (オ)課税留保金額に対する税額54万8600円上記金額は,上記(エ)の課税留保金額に対する税額であり,法人税法67条1項の規定 規定に準じて1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (オ)課税留保金額に対する税額54万8600円上記金額は,上記(エ)の課税留保金額に対する税額であり,法人税法67条1項の規定により,当該課税留保金額548万6000円に100分の10を乗じて計算した金額である。 エ法人税額計(順号⑬)1020万7300円上記金額は,上記イの法人税額965万8700円に上記ウの課税留保金額に対する税額54万8600円を加算した金額である。 オ控除所得税額(順号⑭)3万2034円上記金額は,原告の平成13年9月期の法人税の確定申告書に記載された控除所得税額であり,当事者間に争いがない。 カ納付すべき法人税額(順号⑮)1017万5200円上記金額は,原告の平成13年9月期の法人税に係る納付すべき税額であり,上記エの法人税額計1020万7300円から,上記オの控除所得税額3万2034円を差し引いた金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (2)平成15年9月期(別表3-2)ア所得金額(順号⑫)1328万6902円- 35 -上記金額は,下記(ア)の金額に下記(イ)ないし(オ)の各金額の合計額を加算し,下記(カ)ないし(ケ)の各金額の合計額を減算した金額である。 (ア)申告所得金額(順号①)3919万5859円上記金額は,原告の平成15年9月期の法人税の確定申告書に記載された所得金額であり,当事者間に争いがない。 (イ)外注費の架空計上額(順号②)3110万円上記金額は,平成15年9月期において原告が架空に計上した外注費の金額(支払総額3265万5000円から仮払消費税相当額155万5000円を控除した金額)であり,当事者間に争いがない。 (ウ)交際費等の損金不算入 15年9月期において原告が架空に計上した外注費の金額(支払総額3265万5000円から仮払消費税相当額155万5000円を控除した金額)であり,当事者間に争いがない。 (ウ)交際費等の損金不算入額(順号③)126万7500円上記金額は,原告が平成15年9月期の損金の額に算入した外注費のうち,租税特別措置法(平成15年法律第8号による改正前のもの。以下,(2)において同じ。)61条の4に規定する交際費等に該当する金額であり,当事者間に争いがない。 (エ)支払手数料の損金不算入額(順号④)50万円上記金額は,原告が平成15年9月期の損金の額に算入した支払手数料のうち,原告代表者の個人的な費用と認められる金額であり,当事者間に争いがない。 (オ)貸倒引当金繰入限度超過額(順号⑤)58万1010円上記金額は,浦和税務署長が平成17年4月14日付けでした原告の平成14年9月期の法人税の更正処分(以下「平成14年9月期減額更正処分」という。)により減額された後の原告の売掛金の期末残高に基- 36 -づき計算した貸倒引当金繰入限度額201万8990円と,原告が平成15年9月期の確定申告において貸倒引当金に繰り入れた金額260万円との差額であり,当事者間に争いがない。 (カ)本件詐取行為による損害の損金算入額(順号⑦)3265万5000円上記金額は,平成15年9月期の本件詐取行為による損害の額であり,当事者間に争いがない。 (キ)寄附金の損金不算入額の減少額(順号⑧)2682円上記金額は,上記(ア)の申告所得金額に比し所得金額が21万4588円(上記(イ)ないし(オ)の各金額の合計額と上記(カ)及び下記(ク)の各金額の合計額との差額)増加することに伴って減少する,寄附金の損金不算入額の金額であり,法人税法(平成15年法律第8号 8円(上記(イ)ないし(オ)の各金額の合計額と上記(カ)及び下記(ク)の各金額の合計額との差額)増加することに伴って減少する,寄附金の損金不算入額の金額であり,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの。以下,(2)において同じ。)37条3項の規定により,上記の金額21万4588円に法人税法施行令(平成15年政令第131号による改正前のもの。以下,(2)において同じ。)73条1項1号ロに規定する100分の2.5及び2分の1を順次乗じて算出した金額である。 (ク)貸倒引当金繰入限度超過額の認容額(順号⑨)57万8922円上記金額は,平成14年9月期減額更正処分により平成14年9月期の益金の額に算入された貸倒引当金繰入限度超過額であり,当事者間に争いがない。 (ケ)繰越欠損金の当期控除額の損金算入額(順号⑩)- 37 -2612万0863円上記金額は,平成14年9月期減額更正処分により平成15年9月期に繰り越された欠損金の当期控除額であり,当事者間に争いがない。 イ法人税額(順号⑬)334万5800円上記金額は,法人税法66条1項及び2項並びに経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成16年法律第14号による改正前のもの)16条1項の規定により,上記アの所得金額1328万6000円(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)のうち,800万円については100分の22の税率を,残額の528万6000円については100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した金額の合計額である。 ウ課税留保金額に対する税額(順号⑭)157万9660円上記金額は,法人税法67条の規定に基づき,以下のとおり算出した金額である。 (ア)留保所得金額 乗じて計算した金額の合計額である。 ウ課税留保金額に対する税額(順号⑭)157万9660円上記金額は,法人税法67条の規定に基づき,以下のとおり算出した金額である。 (ア)留保所得金額3565万9420円上記金額は,法人税法67条2項に規定する所得等の金額のうち留保した金額であり,原告の平成15年9月期の法人税の確定申告書に記載された留保所得金額3565万7332円(甲1の2)に,上記ア(オ)の貸倒引当金繰入限度超過額58万1010円を加算し,同(ク)の貸倒引当金繰入限度超過額の認容額57万8922円を減算した金額である。 (イ)当期留保金額3162万8737円上記金額は,法人税法67条2項の規定により,上記(ア)の留保所得- 38 -金額3565万9420円から,上記イの法人税額334万5800円から下記オの控除所得税額7697円を控除した金額333万8103円と,上記イの法人税額334万5800円に法人税法施行令140条に規定する100分の20.7を乗じて算出した金額69万2580円の合計額を控除した後の金額である。 (ウ)留保控除額1500万円上記金額は,法人税法67条3項の規定により算出した留保控除額であり,同項1号の金額(上記アの所得金額1328万6902円と上記ア(ケ)の繰越欠損金の当期控除額の損金算入額2612万0863円との合計額3940万7765円に100分の35を乗じて算出した金額1379万2717円),同項2号の金額(1500万円)及び同項3号の金額(積立金基準額であり,本件では零円。甲1の2)のうち最も多い金額である。 (エ)課税留保金額1662万8000円上記金額は,上記(イ)の金額から上記(ウ)の金額を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定に準じて1000円未満の端 最も多い金額である。 (エ)課税留保金額1662万8000円上記金額は,上記(イ)の金額から上記(ウ)の金額を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定に準じて1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (オ)課税留保金額に対する税額157万9660円上記金額は,上記(エ)の課税留保金額に対する税額であり,法人税法67条1項及び租税特別措置法68条の2第2項の規定により,当該課税留保金額1662万8000円に100分の10を乗じた金額に,さらに100分の95を乗じて計算した金額である。 - 39 -エ法人税額計(順号⑮)492万5460円上記金額は,上記イの法人税額334万5800円に上記ウの課税留保金額に対する税額157万9660円を加算した金額である。 オ控除所得税額(順号⑯)7697円上記金額は,原告の平成15年9月期の法人税の確定申告書に記載された控除所得税額であり,当事者間に争いがない。 カ納付すべき法人税額(順号⑰)491万7700円上記金額は,原告の平成15年9月期の法人税に係る納付すべき税額であり,上記エの法人税額計492万5460円から,上記オの控除所得税額7697円を差し引いた金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 本件各賦課決定処分の適法性について上記3のとおり,原告の本件各事業年度の法人税に係る納付すべき税額は,いずれも原告の本件各事業年度の法人税の確定申告における納付すべき税額を下回るから,原告は,本件各事業年度の法人税について,納付すべき税額を過少に申告したことにならない。したがって,本件各賦課決定処分もまた,違法なものとして取り消されるべきである。 第4結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるか について,納付すべき税額を過少に申告したことにならない。したがって,本件各賦課決定処分もまた,違法なものとして取り消されるべきである。 第4結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 - 40 -東京地方裁判所民事第3部定塚誠裁判長裁判官古田孝夫裁判官工藤哲郎裁判官- 41 -別表1-1平成13年9月期の法人税に係る確定申告等の経緯(単位:円)項目年月日所得金額納付すべき税額重加算税額確定申告平成13年11月30日35,588,20310,558,400-更正処分等平成16年10月19日58,805,41516,969,4002,243,500異議申立て平成16年12月17日処分の全部取消し異議決定平成17年3月17日棄却審査請求平成17年4月15日処分の全部取消し審査裁決平成18年3月23日棄却別表1-2平成15年9月期の法人税に係る確定申告等の経緯(単位:円)項目年月日所得金額納付すべき税額重加算税額確定申告平成15年12月1日39,195,85911,799,000-更正処分等平成16年10月19日68,971,55220,043,6002,884,000異議申立て平成16年12月17日処分の全部取消し異議決定平成17年3月17日棄却更正処分等平成17年4月14日45,533,71413,012,200423,500審査請求平成17年4月15日処分の全部取消し審査裁決平成18年3月23日棄却- 42 -別表2 17年4月14日45,533,71413,012,200423,500審査請求平成17年4月15日処分の全部取消し審査裁決平成18年3月23日棄却- 42 -別表2-1平成13年9月期の被告主張額(単位:円)項目順号金額申告所得金額①35,588,203外注費の架空計上額②24,761,911加損害賠償請求権の益金算入額③26,000,000雑益の益金算入額④ 算交際費等の損金不算入額⑤475,000加算計(②+③+④+⑤)⑥51,236,940本件詐取行為による損害の⑦26,000,000減損金算入額売上金額の過大計上額⑧511,240寄附金の損金不算入額の減少額⑨309,071算減算計(⑦+⑧+⑨)⑩26,820,311所得金額(①+⑥-⑩)⑪60,004,832法人税額⑫17,361,200課税留保金額に対する税額⑬1,494,900法人税額計(⑫+⑬)⑭18,856,100控除所得税額⑮32,034納付すべき法人税額(⑭-⑮)⑯18,824,000(100円未満の端数切捨て)- 43 -別表2-2平成15年9月期の被告主張額(単位:円)項目順号金額申告所得金額①39,195,859外注費の架空計上額②31,100,000加損害賠償請求権の益金算入額③32,655,000交際費等の損金不算入額④1,267,500支払手数料の損金不算入額⑤500,000算貸倒引当金繰入限度超過額⑥229,080加算計(②+③+④+⑤+⑥)⑦65,751,580本件詐取行為による損害の⑧32,655,000損金算入額減寄附金の損金不算入額の減少額⑨ 金繰入限度超過額⑥229,080加算計(②+③+④+⑤+⑥)⑦65,751,580本件詐取行為による損害の⑧32,655,000損金算入額減寄附金の損金不算入額の減少額⑨406,470貸倒引当金繰入限度超過額認容額⑩578,922繰越欠損金の当期控除額の⑪26,120,863算損金算入額減算計(⑧+⑨+⑩+⑪)⑫59,761,255所得金額(①+⑦-⑫)⑬45,186,184法人税額⑭12,915,800課税留保金額に対する税額⑮2,455,085法人税額計(⑭+⑮)⑯15,370,885控除所得税額⑰7,697納付すべき法人税額(⑯-⑰)⑱15,363,100(100円未満の端数切捨て)- 44 -別表3-1平成13年9月期の法人税額等(単位:円)項目順号金額申告所得金額①35,588,203外注費の架空計上額②24,761,911加雑益の益金算入額③ 交際費等の損金不算入額④475,000算寄附金の損金不算入額⑤15,928加算計(②+③+④+⑤)⑥25,252,868本件詐取行為による損害の⑦26,000,000減損金算入額売上金額の過大計上額⑧511,240算減算計(⑦+⑧)⑨26,511,240所得金額(①+⑥-⑨)⑩34,329,831法人税額⑪9,658,700課税留保金額に対する税額⑫548,600法人税額計(⑪+⑫)⑬10,207,300控除所得税額⑭32,034納付すべき法人税額(⑬-⑭)⑮10,175,200(100円未満の端数切捨て)- 45 -別表3-2平成15年9月期の法人税額等(単位:円)項目順号金額申告所得金額① 納付すべき法人税額(⑬-⑭)⑮10,175,200(100円未満の端数切捨て)- 45 -別表3-2平成15年9月期の法人税額等(単位:円)項目順号金額申告所得金額①39,195,859外注費の架空計上額②31,100,000加交際費等の損金不算入額③1,267,500支払手数料の損金不算入額④500,000算貸倒引当金繰入限度超過額⑤581,010加算計(②+③+④+⑤)⑥33,448,510本件詐取行為による損害の⑦32,655,000損金算入額減寄附金の損金不算入額の減少額⑧2,682貸倒引当金繰入限度超過額の認容額⑨578,922繰越欠損金の当期控除額の⑩26,120,863算損金算入額減算計(⑦+⑧+⑨+⑩)⑪59,357,467所得金額(①+⑥-⑪)⑫13,286,902法人税額⑬3,345,800課税留保金額に対する税額⑭1,579,660法人税額計(⑬+⑭)⑮4,925,460控除所得税額⑯7,697納付すべき法人税額(⑮-⑯)⑰4,917,700(100円未満の端数切捨て)

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